JP7281025B2 - 偏光膜の製造方法 - Google Patents
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Description
1つの実施形態においては、上記位相差層付偏光板は、単位重量が6.5mg/cm2以下である。
1つの実施形態においては、上記位相差層付偏光板は、総厚みが60μm以下である。
1つの実施形態においては、上記位相差層は液晶化合物の配向固化層の単一層であり、該位相差層のRe(550)は100nm~190nmであり、該位相差層の遅相軸と上記偏光膜の吸収軸とのなす角度は40°~50°である。
1つの実施形態においては、上記位相差層は、第1の液晶化合物の配向固化層と第2の液晶化合物の配向固化層との積層構造を有し;該第1の液晶化合物の配向固化層のRe(550)は200nm~300nmであり、その遅相軸と上記偏光膜の吸収軸とのなす角度は10°~20°であり;該第2の液晶化合物の配向固化層のRe(550)は100nm~190nmであり、その遅相軸と該偏光膜の吸収軸とのなす角度は70°~80°である。
1つの実施形態においては、上記偏光膜の50cm2の領域内における単体透過率の最大値と最小値との差が0.2%以下である。
1つの実施形態においては、上記位相差層付偏光板は幅が1000mm以上であり、上記偏光膜の幅方向に沿った位置における単体透過率の最大値と最小値との差は0.3%以下である。
1つの実施形態においては、上記偏光膜の単体透過率は43.5%以下であり、偏光度は99.998%以下である。
1つの実施形態においては、上記位相差層付偏光板は、上記位相差層の外側に別の位相差層をさらに有し、該別の位相差層の屈折率特性はnz>nx=nyの関係を示す。
1つの実施形態においては、上記位相差層付偏光板は、上記位相差層の外側に導電層または導電層付等方性基材をさらに有する。
本発明の別の局面によれば、画像表示装置が提供される。この画像表示装置は、上記の位相差層付偏光板を備える。
1つの実施形態においては、上記画像表示装置は、有機エレクトロルミネセンス表示装置または無機エレクトロルミネセンス表示装置である。
本明細書における用語および記号の定義は下記の通りである。
(1)屈折率(nx、ny、nz)
「nx」は面内の屈折率が最大になる方向(すなわち、遅相軸方向)の屈折率であり、「ny」は面内で遅相軸と直交する方向(すなわち、進相軸方向)の屈折率であり、「nz」は厚み方向の屈折率である。
(2)面内位相差(Re)
「Re(λ)」は、23℃における波長λnmの光で測定した面内位相差である。例えば、「Re(550)」は、23℃における波長550nmの光で測定した面内位相差である。Re(λ)は、層(フィルム)の厚みをd(nm)としたとき、式:Re(λ)=(nx-ny)×dによって求められる。
(3)厚み方向の位相差(Rth)
「Rth(λ)」は、23℃における波長λnmの光で測定した厚み方向の位相差である。例えば、「Rth(550)」は、23℃における波長550nmの光で測定した厚み方向の位相差である。Rth(λ)は、層(フィルム)の厚みをd(nm)としたとき、式:Rth(λ)=(nx-nz)×dによって求められる。
(4)Nz係数
Nz係数は、Nz=Rth/Reによって求められる。
(5)角度
本明細書において角度に言及するときは、当該角度は基準方向に対して時計回りおよび反時計回りの両方を包含する。したがって、例えば「45°」は±45°を意味する。
図1は、本発明の1つの実施形態による位相差層付偏光板の概略断面図である。本実施形態の位相差層付偏光板100は、偏光板10と位相差層20とを有する。偏光板10は、偏光膜11と、偏光膜11の一方の側に配置された第1の保護層12と、偏光膜11のもう一方の側に配置された第2の保護層13とを含む。目的に応じて、第1の保護層12および第2の保護層13の一方は省略されてもよい。例えば、位相差層20が偏光膜11の保護層としても機能し得る場合には、第2の保護層13は省略されてもよい。本発明の実施形態においては、偏光膜は、二色性物質を含むポリビニルアルコール系樹脂フィルムで構成される。偏光膜の厚みは8μm以下であり、単体透過率は43.0%以上であり、偏光度は99.980%以上である。
B-1.偏光膜
偏光膜11は、上記のとおり、厚みが8μm以下であり、単体透過率が43.0%以上であり、偏光度が99.980%以上である。一般的に、単体透過率と偏光度とは互いにトレードオフの関係にあり、単体透過率を高めると偏光度が低下し得、偏光度を高めると単体透過率が低下し得る。このため、従来、単体透過率43.0%以上、かつ、偏光度99.980%以上の光学特性を満足する薄型の偏光膜を実用に供するのは困難であった。単体透過率が43.0%以上であり、かつ、偏光度が99.980%以上であるという優れた光学特性を有するとともに光学特性のバラつきが抑制された薄型の偏光膜を用いることが、本発明の特徴の1つである。
偏光度(%)={(Tp-Tc)/(Tp+Tc)}1/2×100
C=R1-R0
R0=((1.50-1)2/(1.50+1)2)×(T1/100)
R1=((n1-1)2/(n1+1)2)×(T1/100)
ここで、R0は、屈折率が1.50である保護フィルムを用いた場合の透過軸反射率であり、n1は使用する保護フィルムの屈折率であり、T1は偏光膜の透過率である。例えば、表面屈折率が1.53である基材(シクロオレフィン系フィルム、ハードコート層付きフィルムなど)を保護フィルムとして用いる場合、補正量Cは約0.2%となる。この場合、測定により得られた透過率に0.2%を加算することで、表面屈折率が1.50である保護フィルムを用いた場合の透過率に換算することが可能である。なお、上記式に基づく計算によれば、偏光膜の透過率T1を2%変化させたときの補正値Cの変化量は0.03%以下であり、偏光膜の透過率が補正値Cの値に与える影響は限定的である。また、保護フィルムが表面反射以外の吸収を有する場合は、吸収量に応じて適切な補正を行うことができる。
第1の保護層12および第2の保護層13は、それぞれ、偏光膜の保護層として使用できる任意の適切なフィルムで形成される。当該フィルムの主成分となる材料の具体例としては、トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系樹脂や、ポリエステル系、ポリビニルアルコール系、ポリカーボネート系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリエーテルスルホン系、ポリスルホン系、ポリスチレン系、ポリノルボルネン系、ポリオレフィン系、(メタ)アクリル系、アセテート系等の透明樹脂等が挙げられる。また、(メタ)アクリル系、ウレタン系、(メタ)アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型樹脂または紫外線硬化型樹脂等も挙げられる。この他にも、例えば、シロキサン系ポリマー等のガラス質系ポリマーも挙げられる。また、特開2001-343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルムも使用できる。このフィルムの材料としては、例えば、側鎖に置換または非置換のイミド基を有する熱可塑性樹脂と、側鎖に置換または非置換のフェニル基ならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物が使用でき、例えば、イソブテンとN-メチルマレイミドからなる交互共重合体と、アクリロニトリル・スチレン共重合体とを有する樹脂組成物が挙げられる。当該ポリマーフィルムは、例えば、上記樹脂組成物の押出成形物であり得る。
偏光膜は、例えば、長尺状の熱可塑性樹脂基材の片側に、ハロゲン化物とポリビニルアルコール系樹脂(PVA系樹脂)とを含むポリビニルアルコール系樹脂層(PVA系樹脂層)を形成して積層体とすること、および、積層体に、空中補助延伸処理と、染色処理と、水中延伸処理と、長手方向に搬送しながら加熱することにより幅方向に2%以上収縮させる乾燥収縮処理と、をこの順に施すことを含む方法により作製され得る。PVA系樹脂層におけるハロゲン化物の含有量は、好ましくは、PVA系樹脂100重量部に対して5重量部~20重量部である。乾燥収縮処理は、加熱ロールを用いて処理することが好ましく、加熱ロールの温度は、好ましくは、60℃~120℃である。乾燥収縮処理による積層体の幅方向の収縮率は、好ましくは、2%以上である。このような製造方法によれば、上記B-1項で説明した偏光膜を得ることができる。特に、ハロゲン化物を含むPVA系樹脂層を含む積層体を作製し、上記積層体の延伸を空中補助延伸及び水中延伸を含む多段階延伸とし、延伸後の積層体を加熱ロールで加熱することにより、優れた光学特性(代表的には、単体透過率および偏光度)を有するとともに、光学特性のバラつきが抑制された偏光膜を得ることができる。具体的には、乾燥収縮処理工程において加熱ロールを用いることにより、積層体を搬送しながら、積層体全体に亘って均一に収縮することができる。これにより、得られる偏光膜の光学特性を高めることができるだけでなく、光学特性に優れる偏光膜を安定して生産することができ、偏光膜の光学特性(特に、単体透過率)のバラつきを抑制することができる。
熱可塑性樹脂基材とPVA系樹脂層との積層体を作製する方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。好ましくは、熱可塑性樹脂基材の表面に、ハロゲン化物とPVA系樹脂とを含む塗布液を塗布し、乾燥することにより、熱可塑性樹脂基材上にPVA系樹脂層を形成する。上記のとおり、PVA系樹脂層におけるハロゲン化物の含有量は、好ましくは、PVA系樹脂100重量部に対して5重量部~20重量部である。
熱可塑性樹脂基材の厚みは、好ましくは20μm~300μm、より好ましくは50μm~200μmである。20μm未満であると、PVA系樹脂層の形成が困難になるおそれがある。300μmを超えると、例えば、後述の水中延伸処理において、熱可塑性樹脂基材が水を吸収するのに長時間を要するとともに、延伸に過大な負荷を要するおそれがある。
塗布液は、上記のとおり、ハロゲン化物とPVA系樹脂とを含む。上記塗布液は、代表的には、上記ハロゲン化物および上記PVA系樹脂を溶媒に溶解させた溶液である。溶媒としては、例えば、水、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、各種グリコール類、トリメチロールプロパン等の多価アルコール類、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン等のアミン類が挙げられる。これらは単独で、または、二種以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、好ましくは、水である。溶液のPVA系樹脂濃度は、溶媒100重量部に対して、好ましくは3重量部~20重量部である。このような樹脂濃度であれば、熱可塑性樹脂基材に密着した均一な塗布膜を形成することができる。塗布液におけるハロゲン化物の含有量は、好ましくは、PVA系樹脂100重量部に対して5重量部~20重量部である。
特に、高い光学特性を得るためには、乾式延伸(補助延伸)とホウ酸水中延伸を組み合わせる、2段延伸の方法が選択される。2段延伸のように、補助延伸を導入することにより、熱可塑性樹脂基材の結晶化を抑制しながら延伸することができ、後のホウ酸水中延伸において熱可塑性樹脂基材の過度の結晶化により延伸性が低下するという問題を解決し、積層体をより高倍率に延伸することができる。さらには、熱可塑性樹脂基材上にPVA系樹脂を塗布する場合、熱可塑性樹脂基材のガラス転移温度の影響を抑制するために、通常の金属ドラム上にPVA系樹脂を塗布する場合と比べて塗布温度を低くする必要があり、その結果、PVA系樹脂の結晶化が相対的に低くなり、十分な光学特性が得られない、という問題が生じ得る。これに対して、補助延伸を導入することにより、熱可塑性樹脂上にPVA系樹脂を塗布する場合でも、PVA系樹脂の結晶性を高めることが可能となり、高い光学特性を達成することが可能となる。また、同時にPVA系樹脂の配向性を事前に高めることで、後の染色工程や延伸工程で水に浸漬された時に、PVA系樹脂の配向性の低下や溶解などの問題を防止することができ、高い光学特性を達成することが可能になる。
結晶化指数=(IC/IR)
ただし、
IC :測定光を入射して測定したときの1141cm-1の強度
IR :測定光を入射して測定したときの1440cm-1の強度
である。
必要に応じて、空中補助延伸処理の後、水中延伸処理や染色処理の前に、不溶化処理を施す。上記不溶化処理は、代表的には、ホウ酸水溶液にPVA系樹脂層を浸漬することにより行う。不溶化処理を施すことにより、PVA系樹脂層に耐水性を付与し、水に浸漬した時のPVAの配向低下を防止することができる。当該ホウ酸水溶液の濃度は、水100重量部に対して、好ましくは1重量部~4重量部である。不溶化浴(ホウ酸水溶液)の液温は、好ましくは20℃~50℃である。
上記染色処理は、代表的には、PVA系樹脂層を二色性物質(代表的には、ヨウ素)で染色することにより行う。具体的には、PVA系樹脂層にヨウ素を吸着させることにより行う。当該吸着方法としては、例えば、ヨウ素を含む染色液にPVA系樹脂層(積層体)を浸漬させる方法、PVA系樹脂層に当該染色液を塗工する方法、当該染色液をPVA系樹脂層に噴霧する方法等が挙げられる。好ましくは、染色液(染色浴)に積層体を浸漬させる方法である。ヨウ素が良好に吸着し得るからである。
必要に応じて、染色処理の後、水中延伸処理の前に、架橋処理を施す。上記架橋処理は、代表的には、ホウ酸水溶液にPVA系樹脂層を浸漬させることにより行う。架橋処理を施すことにより、PVA系樹脂層に耐水性を付与し、後の水中延伸で、高温の水中へ浸漬した際のPVAの配向低下を防止することができる。当該ホウ酸水溶液の濃度は、水100重量部に対して、好ましくは1重量部~5重量部である。また、上記染色処理後に架橋処理を行う場合、さらに、ヨウ化物を配合することが好ましい。ヨウ化物を配合することにより、PVA系樹脂層に吸着させたヨウ素の溶出を抑制することができる。ヨウ化物の配合量は、水100重量部に対して、好ましくは1重量部~5重量部である。ヨウ化物の具体例は、上述のとおりである。架橋浴(ホウ酸水溶液)の液温は、好ましくは20℃~50℃である。
水中延伸処理は、積層体を延伸浴に浸漬させて行う。水中延伸処理によれば、上記熱可塑性樹脂基材やPVA系樹脂層のガラス転移温度(代表的には、80℃程度)よりも低い温度で延伸し得、PVA系樹脂層を、その結晶化を抑えながら、高倍率に延伸することができる。その結果、優れた光学特性を有する偏光膜を製造することができる。
上記乾燥収縮処理は、ゾーン全体を加熱して行うゾーン加熱により行っても良いし、搬送ロールを加熱する(いわゆる加熱ロールを用いる)ことにより行う(加熱ロール乾燥方式)こともできる。好ましくは、その両方を用いる。加熱ロールを用いて乾燥させることにより、効率的に積層体の加熱カールを抑制して、外観に優れた偏光膜を製造することができる。具体的には、加熱ロールに積層体を沿わせた状態で乾燥することにより、上記熱可塑性樹脂基材の結晶化を効率的に促進させて結晶化度を増加させることができ、比較的低い乾燥温度であっても、熱可塑性樹脂基材の結晶化度を良好に増加させることができる。その結果、熱可塑性樹脂基材は、その剛性が増加して、乾燥によるPVA系樹脂層の収縮に耐え得る状態となり、カールが抑制される。また、加熱ロールを用いることにより、積層体を平らな状態に維持しながら乾燥できるので、カールだけでなくシワの発生も抑制することができる。この時、積層体は、乾燥収縮処理により幅方向に収縮させることにより、光学特性を向上させることができる。PVAおよびPVA/ヨウ素錯体の配向性を効果的に高めることができるからである。乾燥収縮処理による積層体の幅方向の収縮率は、好ましくは1%~10%であり、より好ましくは2%~8%であり、特に好ましくは4%~6%である。加熱ロールを用いることにより、積層体を搬送しながら連続的に幅方向に収縮させることができ、高い生産性を実現することができる。
好ましくは、水中延伸処理の後、乾燥収縮処理の前に、洗浄処理を施す。上記洗浄処理は、代表的には、ヨウ化カリウム水溶液にPVA系樹脂層を浸漬させることにより行う。
第1の位相差層20は、上記のとおり、液晶化合物の配向固化層である。液晶化合物を用いることにより、得られる位相差層のnxとnyとの差を非液晶材料に比べて格段に大きくすることができるので、所望の面内位相差を得るための位相差層の厚みを格段に小さくすることができる。その結果、位相差層付偏光板のさらなる薄型化および軽量化を実現することができる。本明細書において「配向固化層」とは、液晶化合物が層内で所定の方向に配向し、その配向状態が固定されている層をいう。なお、「配向固化層」は、後述のように液晶モノマーを硬化させて得られる配向硬化層を包含する概念である。本実施形態においては、代表的には、棒状の液晶化合物が第1の位相差層の遅相軸方向に並んだ状態で配向している(ホモジニアス配向)。
第2の位相差層は、上記のとおり、屈折率特性がnz>nx=nyの関係を示す、いわゆるポジティブCプレートであり得る。第2の位相差層としてポジティブCプレートを用いることにより、斜め方向の反射を良好に防止することができ、反射防止機能の広視野角化が可能となる。この場合、第2の位相差層の厚み方向の位相差Rth(550)は、好ましくは-50nm~-300nm、より好ましくは-70nm~-250nm、さらに好ましくは-90nm~-200nm、特に好ましくは-100nm~-180nmである。ここで、「nx=ny」は、nxとnyが厳密に等しい場合のみならず、nxとnyが実質的に等しい場合も包含する。すなわち、第2の位相差層の面内位相差Re(550)は10nm未満であり得る。
導電層は、任意の適切な成膜方法(例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法、イオンプレーティング法、スプレー法等)により、任意の適切な基材上に、金属酸化物膜を成膜して形成され得る。金属酸化物としては、例えば、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、インジウム-スズ複合酸化物、スズ-アンチモン複合酸化物、亜鉛-アルミニウム複合酸化物、インジウム-亜鉛複合酸化物が挙げられる。なかでも好ましくは、インジウム-スズ複合酸化物(ITO)である。
上記A項からE項に記載の位相差層付偏光板は、画像表示装置に適用され得る。したがって、本発明は、そのような位相差層付偏光板を用いた画像表示装置を包含する。画像表示装置の代表例としては、液晶表示装置、エレクトロルミネセンス(EL)表示装置(例えば、有機EL表示装置、無機EL表示装置)が挙げられる。本発明の実施形態による画像表示装置は、その視認側に上記A項からE項に記載の位相差層付偏光板を備える。位相差層付偏光板は、位相差層が画像表示セル(例えば、液晶セル、有機ELセル、無機ELセル)側となるように(偏光膜が視認側となるように)積層されている。1つの実施形態においては、画像表示装置は、湾曲した形状(実質的には、湾曲した表示画面)を有し、および/または、屈曲もしくは折り曲げ可能である。このような画像表示装置においては、本発明の位相差層付偏光板の効果が顕著となる。
(1)厚み
10μm以下の厚みは、干渉膜厚計(大塚電子社製、製品名「MCPD-3000」)を用いて測定した。10μmを超える厚みは、デジタルマイクロメーター(アンリツ社製、製品名「KC-351C」)を用いて測定した。
(2)単体透過率および偏光度
実施例および比較例に用いた偏光膜/保護層の積層体(偏光板)について、紫外可視分光光度計(日本分光社製V-7100)を用いて測定した単体透過率Ts、平行透過率Tp、直交透過率Tcをそれぞれ、偏光膜のTs、TpおよびTcとした。これらのTs、TpおよびTcは、JIS Z8701の2度視野(C光源)により測定して視感度補正を行なったY値である。なお、保護層の屈折率は1.50であり、偏光膜の保護層とは反対側の表面の屈折率は1.53であった。
得られたTpおよびTcから、下記式により偏光度Pを求めた。
偏光度P(%)={(Tp-Tc)/(Tp+Tc)}1/2×100
なお、分光光度計は、大塚電子社製 LPF-200などでも同等の測定をすることが可能である。一例として、下記実施例と同様の構成の偏光板のサンプル1~サンプル3について、V-7100およびLPF-200を用いた測定により得られる単体透過率Tsおよび偏光度Pの測定値を表1に示す。表1に示されるように、V-7100の単体透過率の測定値と、LPF-200の単体透過率の測定値との差は0.1%以下であり、いずれの分光光度計を用いた場合であっても同等の測定結果が得られることが分かる。
(3)長尺状の偏光膜の光学特性のバラつき
実施例および比較例に用いた偏光板から、幅方向に沿って等間隔に5か所の各位置で測定サンプルを切り出し、5つの各測定サンプルの中央部分の単体透過率を上記(2)と同様にして測定した。次いで、各測定位置において測定された単体透過率のうちの最大値と最小値との差を算出し、この値を長尺状の偏光膜の光学特性のバラつきとした。
(4)枚葉状の偏光膜の光学特性のバラつき
実施例および比較例に用いた偏光板から、100mm×100mmの測定サンプルを切り出し、枚葉状の偏光板(50cm2)の光学特性のバラつきを求めた。具体的には、測定サンプルの4辺の各辺の中点から内側に約1.5cm~2.0cm付近の位置および中央部分の計5か所の単体透過率を上記(2)と同様にして測定した。次いで、各測定位置において測定された単体透過率のうちの最大値と最小値との差を算出し、この値を枚葉状の偏光膜の光学特性のバラつきとした。
(5)反り
実施例および比較例で得られた位相差層付偏光板を110mm×60mmサイズに切り出した。このとき、偏光膜の吸収軸方向が長辺方向となるように切り出した。切り出した位相差層付偏光板を、120mm×70mmサイズ、厚み0.2mmのガラス板に粘着剤を介して貼り合わせ、試験サンプルとした。試験サンプルを、85℃に保持された加熱オーブンに24時間投入し、取り出した後の反り量を測定した。ガラス板を下にして試験サンプルを平面上に静置した時に、当該平面から最も高い部分の高さを反り量とした。
(6)単位重量
実施例および比較例で得られた位相差層付偏光板を所定のサイズに切り出し、重量(mg)を面積(cm2)で除することにより、位相差層付偏光板の単位面積当たりの重量(単位重量)を算出した。
(7)耐折り曲げ性
実施例および比較例で得られた位相差層付偏光板を50mm×100mmサイズに切り出した。このとき、偏光膜の吸収軸方向が短辺方向となるように切り出した。恒温恒湿チャンバー付耐折試験機(YUASA社製、CL09 type-D01)を用いて、20℃50%RHの条件下で、切り出した位相差層付偏光板を折り曲げ試験に供した。具体的には、位相差層付偏光板を、位相差層側が外側となるように、吸収軸方向に平行な方向に繰り返し折り曲げて、表示不良となるようなクラック、剥がれやフィルムの破断などが発生するまでの折り曲げ回数を測定し、以下の基準で評価した(折り曲げ径:2mmφ)。
<評価基準>
1万回未満:不良
1万回以上3万回未満:良
3万回以上:優
1.偏光膜の作製
熱可塑性樹脂基材として、長尺状で、吸水率0.75%、Tg約75℃である、非晶質のイソフタル共重合ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み:100μm)を用いた。樹脂基材の片面に、コロナ処理を施した。
ポリビニルアルコール(重合度4200、ケン化度99.2モル%)およびアセトアセチル変性PVA(日本合成化学工業社製、商品名「ゴーセファイマーZ410」)を9:1で混合したPVA系樹脂100重量部に、ヨウ化カリウム13重量部を添加したものを水に溶かし、PVA水溶液(塗布液)を調製した。
樹脂基材のコロナ処理面に、上記PVA水溶液を塗布して60℃で乾燥することにより、厚み13μmのPVA系樹脂層を形成し、積層体を作製した。
得られた積層体を、130℃のオーブン内で周速の異なるロール間で縦方向(長手方向)に2.4倍に自由端一軸延伸した(空中補助延伸処理)。
次いで、積層体を、液温40℃の不溶化浴(水100重量部に対して、ホウ酸を4重量部配合して得られたホウ酸水溶液)に30秒間浸漬させた(不溶化処理)。
次いで、液温30℃の染色浴(水100重量部に対して、ヨウ素とヨウ化カリウムを1:7の重量比で配合して得られたヨウ素水溶液)に、最終的に得られる偏光膜の単体透過率(Ts)が43.0%以上となるように濃度を調整しながら60秒間浸漬させた(染色処理)。
次いで、液温40℃の架橋浴(水100重量部に対して、ヨウ化カリウムを3重量部配合し、ホウ酸を5重量部配合して得られたホウ酸水溶液)に30秒間浸漬させた(架橋処理)。
その後、積層体を、液温70℃のホウ酸水溶液(ホウ酸濃度4.0重量%)に浸漬させながら、周速の異なるロール間で縦方向(長手方向)に総延伸倍率が5.5倍となるように一軸延伸を行った(水中延伸処理)。
その後、積層体を液温20℃の洗浄浴(水100重量部に対して、ヨウ化カリウムを4重量部配合して得られた水溶液)に浸漬させた(洗浄処理)。
その後、90℃に保たれたオーブン中で乾燥しながら、表面温度が75℃に保たれたSUS製の加熱ロールに約2秒接触させた(乾燥収縮処理)。乾燥収縮処理による積層体の幅方向の収縮率は5.2%であった。
このようにして、樹脂基材上に厚み5μmの偏光膜を形成した。
上記で得られた偏光膜の表面(樹脂基材とは反対側の面)に、保護層としてアクリル系フィルム(表面屈折率1.50、40μm)を、紫外線硬化型接着剤を介して貼り合せた。具体的には、硬化型接着剤の総厚みが1.0μmになるように塗工し、ロール機を使用して貼り合わせた。その後、UV光線を保護層側から照射して接着剤を硬化させた。次いで、両端部をスリットした後に、樹脂基材を剥離し、保護層/偏光膜の構成を有する長尺状の偏光板(幅:1300mm)を得た。偏光板(実質的には、偏光膜)の単体透過率は43.15%であり、偏光度は99.995%であった。さらに、長尺状の偏光膜の光学特性のバラつきは0.14%であり、枚葉状の偏光膜の光学特性のバラつきは0.09%であった。
ネマチック液晶相を示す重合性液晶(BASF社製:商品名「Paliocolor LC242」、下記式で表される)10gと、当該重合性液晶化合物に対する光重合開始剤(BASF社製:商品名「イルガキュア907」)3gとを、トルエン40gに溶解して、液晶組成物(塗工液)を調製した。
塗工厚みを変更したこと、および、配向処理方向を偏光膜の吸収軸の方向に対して視認側から見て75°方向となるようにしたこと以外は上記と同様にして、PETフィルム上に液晶配向固化層Bを形成した。液晶配向固化層Bの厚みは1.5μm、面内位相差Re(550)は140nmであった。さらに、液晶配向固化層Bは、nx>ny=nzの屈折率分布を有していた。
上記2.で得られた偏光板の偏光膜表面に、上記3.で得られた液晶配向固化層Aおよび液晶配向固化層Bをこの順に転写した。このとき、偏光膜の吸収軸と配向固化層Aの遅相軸とのなす角度が15°、偏光膜の吸収軸と配向固化層Bの遅相軸とのなす角度が75°になるようにして転写(貼り合わせ)を行った。なお、それぞれの転写(貼り合わせ)は、上記2.で用いた紫外線硬化型接着剤(厚み1.0μm)を介して行った。このようにして、保護層/接着層/偏光膜/接着層/位相差層(第1の配向固化層/接着層/第2の配向固化層)の構成を有する位相差層付偏光板を得た。得られた位相差層付偏光板の総厚みは52μmであった。得られた位相差層付偏光板を上記(5)~(7)の評価に供した。反り量は1.8mmであった。
保護層として厚み20μmのアクリル系フィルムを用いたこと以外は実施例1と同様にして位相差層付偏光板を作製した。得られた位相差層付偏光板の総厚みは32μmであった。得られた位相差層付偏光板を実施例1と同様の評価に供した。反り量は1.5mmであった。
保護層として厚み25μmのトリアセチルセルロース(TAC)フィルムを用いたこと以外は実施例1と同様にして位相差層付偏光板を作製した。得られた位相差層付偏光板の総厚みは37μmであった。得られた位相差層付偏光板を実施例1と同様の評価に供した。反り量は1.3mmであった。
1.偏光子の作製
平均重合度が2,400、ケン化度が99.9モル%、厚みが30μmであるポリビニルアルコール系樹脂フィルムを用意した。ポリビニルアルコールフィルムを、周速比の異なるロール間で、20℃の膨潤浴(水浴)中に30秒間浸漬して膨潤しながら搬送方向に2.4倍に延伸し(膨潤工程)、続いて、30℃の染色浴(ヨウ素濃度が0.03重量%、ヨウ化カリウム濃度が0.3重量%である水溶液)中で最終延伸後の単体透過率が所望の値となるように浸漬して染色しながら元のポリビニルアルコールフィルム(搬送方向に全く延伸していないポリビニルアルコールフィルム)を基準にして搬送方向に3.7倍に延伸した(染色工程)。この時の浸漬時間は約60秒であった。次いで、染色したポリビニルアルコールフィルムを、40℃の架橋浴(ホウ酸濃度が3.0重量%、ヨウ化カリウム濃度が3.0重量%である水溶液)中で浸漬しながら元のポリビニルアルコールフィルムを基準にして搬送方向に4.2倍まで延伸した(架橋工程)。さらに、得られたポリビニルアルコールフィルムを、64℃の延伸浴(ホウ酸濃度が4.0重量%、ヨウ化カリウム濃度が5.0重量%である水溶液)中で50秒間浸漬して元のポリビニルアルコールフィルムを基準にして搬送方向に6.0倍まで延伸した(延伸工程)後、20℃の洗浄浴(ヨウ化カリウム濃度が3.0重量%である水溶液)中で5秒間浸漬した(洗浄工程)。洗浄したポリビニルアルコールフィルムを、30℃で2分間乾燥して偏光子(厚み12μm)を作製した。
接着剤として、アセトアセチル基を含有するポリビニルアルコール樹脂(平均重合度が1,200、ケン化度が98.5モル%、アセトアセチル化度が5モル%)とメチロールメラミンとを重量比3:1で含有する水溶液を用いた。この接着剤を用いて、上記で得られた偏光子の一方の面に厚みが25μmのハードコート層付トリアセチルセルロース(TAC)フィルムを、偏光子の他方の面に厚みが25μmのTACフィルムをロール貼合機で貼り合わせた後、オーブン内で加熱乾燥(温度が60℃、時間が5分間)させて、保護層1(厚み25μm)/接着層/偏光子/接着層/保護層2(厚み25μm)の構成を有する偏光板を作製した。
上記2.で得られた偏光板の保護層2の表面に、実施例1と同様にして液晶配向固化層Aおよび液晶配向固化層Bをこの順に転写して、保護層1/接着層/偏光子/接着層/保護層2/接着層/位相差層(第1の配向固化層/接着層/第2の配向固化層)の構成を有する位相差層付偏光板を作製した。得られた位相差層付偏光板の総厚みは68μmであった。得られた位相差層付偏光板を実施例1と同様の評価に供した。反り量は4.2mmであった。
PVA水溶液(塗布液)にヨウ化カリウムを添加しなかったこと、空中補助延伸処理における延伸倍率を1.8倍としたこと、および、乾燥収縮処理において加熱ロールを用いなかったこと以外は実施例1と同様にして、偏光膜および偏光板を作製した。偏光板(実質的には、偏光膜)の単体透過率は42.34%であり、偏光度は99.988%であった。この偏光板を用いたこと以外は実施例1と同様にして位相差層付偏光板を作製した。
1.偏光板の作製
保護層として厚み25μmのTACフィルムを用いたこと以外は実施例1と同様にして保護層/偏光膜の構成を有する長尺状の偏光板(幅:1300mm)を得た。
2-1.ポリエステルカーボネート系樹脂の重合
撹拌翼および100℃に制御された還流冷却器を具備した縦型反応器2器からなるバッチ重合装置を用いて重合を行った。ビス[9-(2-フェノキシカルボニルエチル)フルオレン-9-イル]メタン29.60質量部(0.046mol)、イソソルビド(ISB)29.21質量部(0.200mol)、スピログリコール(SPG)42.28質量部(0.139mol)、ジフェニルカーボネート(DPC)63.77質量部(0.298mol)及び触媒として酢酸カルシウム1水和物1.19×10-2質量部(6.78×10-5mol)を仕込んだ。反応器内を減圧窒素置換した後、熱媒で加温を行い、内温が100℃になった時点で撹拌を開始した。昇温開始40分後に内温を220℃に到達させ、この温度を保持するように制御すると同時に減圧を開始し、220℃に到達してから90分で13.3kPaにした。重合反応とともに副生するフェノール蒸気を100℃の還流冷却器に導き、フェノール蒸気中に若干量含まれるモノマー成分を反応器に戻し、凝縮しないフェノール蒸気は45℃の凝縮器に導いて回収した。第1反応器に窒素を導入して一旦大気圧まで復圧させた後、第1反応器内のオリゴマー化された反応液を第2反応器に移した。次いで、第2反応器内の昇温および減圧を開始して、50分で内温240℃、圧力0.2kPaにした。その後、所定の攪拌動力となるまで重合を進行させた。所定動力に到達した時点で反応器に窒素を導入して復圧し、生成したポリエステルカーボネート系樹脂を水中に押し出し、ストランドをカッティングしてペレットを得た。
得られたポリエステルカーボネート系樹脂(ペレット)を80℃で5時間真空乾燥をした後、単軸押出機(東芝機械社製、シリンダー設定温度:250℃)、Tダイ(幅200mm、設定温度:250℃)、チルロール(設定温度:120~130℃)および巻取機を備えたフィルム製膜装置を用いて、厚み135μmの長尺状の樹脂フィルムを作製した。得られた長尺状の樹脂フィルムを、幅方向に、延伸温度133℃、延伸倍率2.8倍で延伸し、厚み53μmの位相差フィルムを得た。得られた位相差フィルムのRe(550)は141nmであり、Re(450)/Re(550)は0.82であり、Nz係数は1.12であった。
上記1.で得られた偏光板の偏光膜表面に、上記2.で得られた位相差フィルムを、アクリル系粘着剤(厚み5μm)を介して貼り合わせた。このとき、偏光膜の吸収軸と位相差フィルムの遅相軸とが45°の角度をなすようにして貼り合わせた。このようにして、保護層/接着層/偏光膜/粘着剤層/位相差層の構成を有する位相差層付偏光板を得た。得られた位相差層付偏光板の総厚みは89μmであった。得られた位相差層付偏光板を上記(6)および(7)の評価に供した。
表2および実施例1と比較例2との比較から明らかなように、本発明の実施例の位相差層付偏光板は、薄型で、加熱試験後の反りが抑制され、かつ、光学特性に優れる。また、位相差層付偏光板の単位面積当たりの重量が所定の値以下であることにより、耐折り曲げ性が向上することがわかる。
11 偏光膜
12 第1の保護層
13 第2の保護層
20 位相差層
100 位相差層付偏光板
101 位相差層付偏光板
102 位相差層付偏光板
Claims (6)
- 厚みが8μm以下であり、単体透過率が43.0%以上であり、偏光度が99.980%以上である偏光膜(ただし、単体透過率が43.5%以上であるものを除く)の製造方法であって、
長尺状の熱可塑性樹脂基材の片側に、ヨウ化物または塩化ナトリウムとポリビニルアルコール系樹脂とを含むポリビニルアルコール系樹脂層を形成して積層体とすること、および
前記積層体に、空中補助延伸処理と、染色処理と、水中延伸処理と、長手方向に搬送しながら加熱炉内で加熱ロールを用いて該加熱ロールとの総接触時間が20秒以下となるように加熱することにより幅方向に2%~10%収縮させる乾燥収縮処理と、をこの順に施すことを含む、製造方法。 - 偏光度が99.998%以下である偏光膜の製造方法であって、請求項1に記載の製造方法。
- 前記ポリビニルアルコール系樹脂層における前記ヨウ化物または塩化ナトリウムの含有量が、前記ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して5重量部~20重量部である、請求項1または2に記載の製造方法。
- 前記空中補助延伸処理における延伸倍率が2.0倍以上である、請求項1から3のいずれかに記載の製造方法。
- 前記乾燥収縮処理による前記積層体の幅方向の収縮率が2%~8%である、請求項1から4のいずれかに記載の製造方法。
- 前記加熱ロールの温度が60℃~80℃である、請求項1から5のいずれかに記載の製造方法。
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