JP7270975B2 - 診断支援システム、診断支援方法およびプログラム - Google Patents
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Description
また従来から、信号(データ)のランダムネス(複雑さの度合い)を評価する手法のひとつとして、エントロピー解析が知られている。非特許文献2には、生体信号の複雑さを近似エントロピー(ApEn)およびサンプルエントロピー(SampEn)を用いて評価する方法について記載されている。
更に、本発明者等は、鋭意研究において、被験者の脳の灰白質ボクセルのrs-fMRI信号時系列データと、被験者の脳の他の灰白質ボクセルのrs-fMRI信号時系列データとから得られる被験者の脳の灰白質ボクセルのrs-fMRI信号の平均スペクトル相関距離(「平均スペクトル相関距離」の定義などについては後で詳細に説明する。)を解析することによっても、ミクロな機能連結の状態を反映する情報を拾い出せることを見い出した。本発明者等は、この解析において、灰白質ボクセルのrs-fMRI信号の平均スペクトル相関距離の分布がASDと定型発達とでは明らかに異なることを見い出した。この解析において得られた結果も脳の微細構造学的知見(ASDにおける皮質カラム構造の狭小化)とも整合することから、診断支援の手法として一定の信頼性を有することを確認した。
図1は第1実施形態の診断支援システム1の一例などを示す図である。詳細には、図1(A)は第1実施形態の診断支援システム1の一例を示しており、図1(B)は図1(A)に示す診断支援システム1の各構成要素間のデータなどの流れを示している。
図1に示す例では、診断支援システム1が、医療診断を支援する情報(医療診断支援情報)を提示する。診断支援システム1は、安静時機能的MRIデータ取得部11と、解剖学的MRI画像取得部12と、位置合わせ部13と、前処理部14と、灰白質マップ作成部15と、パラメータ算出部16と、パラメータ分布算出部17と、照合部18と、診断支援情報提示部19と、機械学習部1Aとを備えている。
安静時機能的MRIデータ取得部11は、被験者の脳の安静時機能的MRI信号時系列データを取得する。安静時機能的MRIデータ取得部11によって取得される安静時機能的MRI信号時系列データは、例えば被験者の脳全体を128×128×15ボクセル程度の3次元T2*強調画像として1秒あたり1ボリュームの時間分解能で5分以上の時間にわたって採取されたものである。例えば安静時機能的MRI信号時系列データが330秒(5分30秒)の時間にわたって採取された場合、安静時機能的MRIデータ取得部11によって取得される安静時機能的MRI信号時系列データの数は、ボクセル数(128×128×15ボクセル)×時間サンプル数(330個)になる。本明細書において、安静時機能的MRIデータ取得部11によって取得される安静時機能的MRI信号時系列データのi番目(iは1~128×128×15の値)のボクセルの信号時系列を「Si(tn)」で表す(tは時間を示しており、nは1~330の値である)。
図1に示す例では、安静時機能的MRIデータ取得部11によって取得される安静時機能的MRI信号時系列データの時間サンプル数が、330秒に相当する330個に設定されているが、他の例では、安静時機能的MRIデータ取得部11によって取得される安静時機能的MRI信号時系列データの時間サンプル数が、330より大きい数に設定されていてもよい。
図2(A)の上側は被験者の脳の前側に対応しており、図2(A)の右側は被験者の脳の右側に対応している。図2(B)は、図2(A)に示す被験者の脳の解剖学的MRI画像に含まれる灰白質ボクセル(図2(A)参照)において採取された安静時機能的MRI信号時系列データを示している。図2(B)の縦軸は信号強度(安静時機能的MRI信号の強度)を示しており、図2(B)の横軸は時間tを示している。
図2(B)に示す例では、安静時機能的MRI信号が、330秒(5分30秒)の時間にわたって、1秒ごとに1セット(1ボリューム)採取されている。
詳細には、図1に示す例では、診断支援システム1が提示する医療診断支援情報を得るために、被験者の脳の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号時系列データが用いられる。つまり、安静時機能的MRIデータ取得部11によって取得された被験者の脳の安静時機能的MRI信号時系列データ(灰白質ボクセル以外のボクセルの安静時機能的MRI信号時系列データも含む)から、被験者の脳の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号時系列データを抜き出す必要がある。
そこで、図1に示す例では、安静時機能的MRIデータ取得部11によって取得された被験者の脳の安静時機能的MRI信号時系列データから、被験者の脳の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号時系列データを抜き出すことを容易にするために、位置合わせ部13が、被験者の脳の安静時機能的MRIデータ(図2(B)参照)と被験者の脳の解剖学的MRI画像(図2(A)参照)との位置合わせを行う(すなわち、被験者の脳の解剖学的MRI画像が用いられる)。
被験者の脳の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号時系列データが予め抜き出されている他の例(つまり、予め抜き出された被験者の脳の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号時系列データが診断支援システム1に入力される例)では、診断支援システム1が、解剖学的MRI画像取得部12、位置合わせ部13および後述する灰白質マップ作成部15を備えていなくてもよい。
前処理部14による処理と同等の処理が予め行われた被験者の脳の安静時機能的MRI信号時系列データが安静時機能的MRIデータ取得部11によって取得される他の例(つまり、前処理部14による処理と同等の処理が予め行われた被験者の脳の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号時系列データが診断支援システム1に入力される例)では、診断支援システム1が、前処理部14を備えていなくてもよい。
パラメータ算出部16は、位置合わせ部13による、被験者の脳の安静時機能的MRIデータと被験者の脳の解剖学的MRI画像との位置合わせの結果と、灰白質マップ作成部15によって作成された被験者の脳の灰白質マップとに基づいて、安静時機能的MRIデータ取得部11によって取得された被験者の脳の安静時機能的MRI信号時系列データから、被験者の脳の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号時系列データを抜き出す。
詳細には、上述した図2(B)は、パラメータ算出部16によって抜き出された被験者の脳の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号時系列データを示している。
予め抜き出された被験者の脳の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号時系列データが安静時機能的MRIデータ取得部11によって取得される他の例(つまり、予め抜き出された被験者の脳の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号時系列データが診断支援システム1に入力される例)では、パラメータ算出部16が、上述した被験者の脳の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号時系列データの抜き出しを行わなくてもよい。
また、パラメータ算出部16は、離散スペクトル算出部161と、パワースペクトル算出部162と、規格化部163とを備えている。
離散スペクトル算出部161は、被験者の脳の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号時系列データSi(図2(B)参照)の離散スペクトルXi(ωk)(図3参照)を算出する。詳細には、離散スペクトル算出部161は、被験者の脳の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号時系列データSi(図2(B)参照)の(離散)フーリエ変換を行うことによって離散スペクトルXi(ωk)を算出する(Xは一般に複素数)。
すなわち、エントロピー算出部16Aによって安静時機能的MRI信号のスペクトルエントロピーPSEiが算出される灰白質ボクセルは、被験者の脳に複数存在する。そこで、エントロピー算出部16Aは、被験者の脳に存在する全ての灰白質ボクセルについて、安静時機能的MRI信号のスペクトルエントロピーPSEiを算出する。更に、エントロピー分布算出部17Aは、エントロピー算出部16Aによって算出された安静時機能的MRI信号のスペクトルエントロピーPSEiの値(つまり、被験者の脳に存在する全ての灰白質ボクセルに対応する複数の値)の分布(ヒストグラム)を作成する。
図4(A)および図4(B)に示す例では、縦軸がその値を示す灰白質ボクセルの数を示しているが、他の例では、縦軸がその値を示す灰白質ボクセルの割合、相対頻度、確率などであってもよい。
図1に示す例では、照合用エントロピー分布のデータベースまたはモデル2が診断支援システム1の外部に設けられているが、他の例では、照合用エントロピー分布のデータベースまたはモデル2が診断支援システム1の内部に設けられていてもよい。
例えばエントロピー分布算出部17Aによって算出された被験者の脳の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号のスペクトルエントロピーPSEiの分布が、そのスペクトルエントロピーPSEiの分布(図4(A)参照)(照合用エントロピー分布)と一致する場合には、被験者が定型発達であると判別することができる。つまり、照合部18による照合の結果を用いることによって、被験者が定型発達であるか否かを判別することができる。
例えばエントロピー分布算出部17Aによって算出された被験者の脳の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号のスペクトルエントロピーPSEiの分布が、そのスペクトルエントロピーPSEiの分布(図4(B)参照)(照合用エントロピー分布)と一致する場合には、被験者が自閉スペクトラム症であると判別することができる。つまり、照合部18による照合の結果を用いることによって、被験者が自閉スペクトラム症であるか否かを判別することができる。
また、本発明者等は、鋭意研究において、被験者の年齢が高くなるに従って、被験者の脳の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号のスペクトルエントロピーの分布のピークにおけるスペクトルエントロピーの値(分布のモード)EA、EB(図4参照)が図4の左側にシフトすることを見い出した。
そこで、他の例では、エントロピー分布形状と年齢などの情報をセットとして疾患との関係をデータベース化したものを、照合用エントロピー分布のデータベースまたはモデル2に格納し、照合部18が、そのデータベース化したものを、データ解析によって得られた分布(つまり、エントロピー分布算出部17Aによって算出された被験者の脳の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号のスペクトルエントロピーPSEiの分布)と照合してもよい。そのようにすることにより、発達障害の有無や程度に関する客観的指標を得ることができる。
つまり、診断支援情報提示部19は、パラメータ分布算出部17によって算出されたパラメータの分布に基づく情報を、医療診断支援情報として提示する。
例えば被験者の脳の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号のスペクトルエントロピーPSEiの分布のピークにおけるスペクトルエントロピーの値(図4(A)および図4(B)の横軸の値)が、定型発達の脳の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号のスペクトルエントロピーPSEiの分布(図4(A)参照)のピークにおけるスペクトルエントロピーの値EA(図4(A)参照)よりも大きい場合に、診断支援情報提示部19は、被験者が自閉スペクトラム症の可能性がある旨の情報を提示してもよい。
機械学習部1Aは、例えば定型発達であるか否かが既知のスペクトルエントロピーPSEiの分布(図4(A)参照)と、自閉スペクトラム症であるか否かが既知のスペクトルエントロピーPSEiの分布(図4(B)参照)とを教師データとして用いることによって、診断支援情報提示部19の機械学習を行ってもよい。
図1に示す例では、診断支援システム1が機械学習部1Aを備えているが、他の例(例えば診断支援システム1に備えられる診断支援情報提示部19が、機械学習部1Aによる機械学習の実行後の診断支援情報提示部19と同等の能力を予め有している例)では、診断支援システム1が機械学習部1Aを備えていなくてもよい。
図5に示す例では、ステップS11において、安静時機能的MRIデータ取得部11が、被験者の脳の安静時機能的MRI信号時系列データ(図2(B)参照)を取得する。また、解剖学的MRI画像取得部12が、被験者の脳の解剖学的MRI画像(図2(A)参照)を取得する。
次いで、ステップS12では、位置合わせ部13が、ステップS11において取得された被験者の脳の安静時機能的MRIデータと被験者の脳の解剖学的MRI画像との位置合わせを行う。
また、ステップS14では、灰白質マップ作成部15が、ステップS11において取得された被験者の脳の解剖学的MRI画像に基づいて、被験者の脳の灰白質マップを作成する。
次いで、ステップS16では、パラメータ分布算出部17が、ステップS15において算出されたパラメータ(スペクトルエントロピーPSEi)の分布を算出する。詳細には、エントロピー分布算出部17Aが、ステップS15において算出された被験者の脳の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号のスペクトルエントロピーPSEiの分布(図4(A)および図4(B)参照)を算出する。
次いで、ステップS17では、照合部18が、ステップS16において算出された被験者の脳の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号のスペクトルエントロピーPSEiの分布を、照合用エントロピー分布と照合する。
次いで、ステップS18では、診断支援情報提示部19が、ステップS17における照合の結果に基づいて、被験者の医療診断を支援する情報(医療診断支援情報)を提示する。つまり、ステップS16において算出されたパラメータ(スペクトルエントロピーPSEi)の分布に基づく情報が、医療診断を支援する情報として提示される。
この例では、被験者の脳の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号のスペクトルエントロピーPSEiの分布として、テント上(被験者の脳の小脳より上部の領域)の全体又は特定部位での分布が求められる。
上述したように、エントロピーPSEiの分布は年齢にも依存することから、この例では、定型発達および代表的な発達障害および精神疾患における分布形状が、年齢と紐付けられて予めデータベース化(またはモデル化)され、照合用エントロピー分布のデータベースまたはモデル2(図1(B)参照)に予め格納されている。
この例では、求められた被験者の脳の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号のスペクトルエントロピーPSEiの分布が、照合用エントロピー分布のデータベースまたはモデル2に格納されている照合用エントロピー分布と照合され、診断の参考となる情報が、診断支援システム1から提示される。照合の精度を確保するために機械学習を応用する(つまり、診断支援情報提示部19の機械学習が予め行われる)。
本発明者等は脳の動的モデルに基づく考察から安静時の機能的MRIにエントロピー解析を適用する着想に至り、試行の結果、第1実施形態の診断支援システム1を用いることによって、ASDと定型発達(健常者)の間に明確な差を見出すことができた。第1実施形態の診断支援システム1と類似の手法は存在しない上、原理的に広範な発達障害および精神疾患に第1実施形態の診断支援システム1を応用できると考えられる。
つまり、第1実施形態の診断支援システム1によれば、原理的にASDのみならず広範な発達障害および精神・神経系疾患の診断支援システムを実現することができる。また、それによって治療効果の客観的な評価が可能になる。第1実施形態の診断支援システム1は、安静時機能的MRIの標準的な解析法として利用可能である。
以下、本発明の診断支援システム、診断支援方法およびプログラムの第2実施形態について説明する。
第2実施形態の診断支援システム1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の診断支援システム1と同様に構成されている。従って、第2実施形態の診断支援システム1によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の診断支援システム1と同様の効果を奏することができる。
図6に示す例では、図1に示す例と同様に、診断支援システム1が、医療診断を支援する情報(医療診断支援情報)を提示する。
図6に示す例では、診断支援システム1が、安静時機能的MRIデータ取得部11と、解剖学的MRI画像取得部12と、位置合わせ部13と、前処理部14と、灰白質マップ作成部15と、パラメータ算出部16と、パラメータ分布算出部17と、照合部18と、診断支援情報提示部19と、機械学習部1Bとを備えている。
図1に示す例では、パラメータ算出部16がエントロピー算出部16Aを備えているが、図6に示す例では、パラメータ算出部16が平均スペクトル相関距離(Mean Spectral Correlation Distance;MSCD)算出部16Bを備えている。平均スペクトル相関距離算出部16Bは、被験者の脳の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号時系列データと、被験者の脳の他の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号時系列データとに基づいて、被験者の脳の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号の平均スペクトル相関距離を算出する。
また、図6に示す例では、パラメータ算出部16が、離散スペクトル算出部164と、絶対値算出部165とを備えている。
離散スペクトル算出部164は、図1に示す離散スペクトル算出部161と同様に、被験者の脳の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号時系列データSi(図2(B)参照)の離散スペクトルXi(ωk)(図3参照)を算出する。詳細には、離散スペクトル算出部164は、離散スペクトル算出部161と同様に、被験者の脳の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号時系列データSi(図2(B)参照)の(離散)フーリエ変換を行うことによって離散スペクトルXi(ωk)を算出する。
詳細には、平均スペクトル相関距離算出部16Bは、絶対値算出部165によって算出された被験者の脳の灰白質ボクセル(i番目の灰白質ボクセル)に関する離散スペクトルの絶対値Fi(ωk)と、被験者の脳の灰白質ボクセル(j番目の灰白質ボクセル)に関する離散スペクトルの絶対値Fj(ωk)と、物理的距離di,jと、下記の式とに基づいて、被験者の脳の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号の平均スペクトル相関距離MSCDiを算出する。下記の式において、Mは灰白質ボクセルの数を示している。平均スペクトル相関距離MSCDiの単位は、物理的距離di,jの単位と同様である。つまり、物理的距離di,jが[mm]の単位で表される場合、平均スペクトル相関距離MSCDiも[mm]の単位で表される。
すなわち、平均スペクトル相関距離算出部16Bによって安静時機能的MRI信号の平均スペクトル相関距離MSCDiが算出される灰白質ボクセルは、被験者の脳に複数存在する。そこで、平均スペクトル相関距離算出部16Bは、被験者の脳に存在する全ての灰白質ボクセルについて、安静時機能的MRI信号の平均スペクトル相関距離MSCDiを算出する。更に、平均スペクトル相関距離分布算出部17Bは、平均スペクトル相関距離算出部16Bによって算出された安静時機能的MRI信号の平均スペクトル相関距離MSCDiの値(つまり、被験者の脳に存在する全ての灰白質ボクセルに対応する複数の値)の分布(ヒストグラム)を作成する。
図7(A)および図7(B)に示す例では、縦軸がその値を示す灰白質ボクセルの数を示しているが、他の例では、縦軸がその値を示す灰白質ボクセルの割合、相対頻度、確率などであってもよい。
図6に示す例では、照合用平均スペクトル相関距離分布のデータベースまたはモデル3が診断支援システム1の外部に設けられているが、他の例では、照合用平均スペクトル相関距離分布のデータベースまたはモデル3が診断支援システム1の内部に設けられていてもよい。
例えば平均スペクトル相関距離分布算出部17Bによって算出された被験者の脳の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号の平均スペクトル相関距離MSCDiの分布が、その平均スペクトル相関距離MSCDiの分布(図7(A)参照)(照合用平均スペクトル相関距離分布)と一致する場合には、被験者が定型発達であると判別することができる。つまり、照合部18による照合の結果を用いることによって、被験者が定型発達であるか否かを判別することができる。
例えば平均スペクトル相関距離分布算出部17Bによって算出された被験者の脳の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号の平均スペクトル相関距離MSCDiの分布が、その平均スペクトル相関距離MSCDiの分布(図7(B)参照)(照合用平均スペクトル相関距離分布)と一致する場合には、被験者が自閉スペクトラム症であると判別することができる。つまり、照合部18による照合の結果を用いることによって、被験者が自閉スペクトラム症であるか否かを判別することができる。
つまり、診断支援情報提示部19は、パラメータ分布算出部17によって算出されたパラメータの分布に基づく情報を、医療診断支援情報として提示する。
例えば被験者の脳の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号の平均スペクトル相関距離MSCDiの分布のピークにおける平均スペクトル相関距離の値(図7(A)および図7(B)の横軸の値)が、定型発達の脳の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号の平均スペクトル相関距離MSCDiの分布(図7(A)参照)のピークにおける平均スペクトル相関距離の値MA(図7(A)参照)よりも小さい場合に、診断支援情報提示部19は、被験者が自閉スペクトラム症の可能性がある旨の情報を提示してもよい。
機械学習部1Bは、例えば定型発達であるか否かが既知の平均スペクトル相関距離MSCDiの分布(図7(A)参照)と、自閉スペクトラム症であるか否かが既知の平均スペクトル相関距離MSCDiの分布(図7(B)参照)とを教師データとして用いることによって、診断支援情報提示部19の機械学習を行ってもよい。
図6に示す例では、診断支援システム1が機械学習部1Bを備えているが、他の例(例えば診断支援システム1に備えられる診断支援情報提示部19が、機械学習部1Bによる機械学習の実行後の診断支援情報提示部19と同等の能力を予め有している例)では、診断支援システム1が機械学習部1Bを備えていなくてもよい。
図8に示す例では、ステップS21において、図5のステップS11と同様に、安静時機能的MRIデータ取得部11が、被験者の脳の安静時機能的MRI信号時系列データ(図2(B)参照)を取得する。また、解剖学的MRI画像取得部12が、被験者の脳の解剖学的MRI画像(図2(A)参照)を取得する。
次いで、ステップS22では、位置合わせ部13が、ステップS21において取得された被験者の脳の安静時機能的MRIデータと被験者の脳の解剖学的MRI画像との位置合わせを行う。
また、ステップS24では、灰白質マップ作成部15が、ステップS21において取得された被験者の脳の解剖学的MRI画像に基づいて、被験者の脳の灰白質マップを作成する。
次いで、ステップS26では、パラメータ分布算出部17が、ステップS25において算出されたパラメータ(平均スペクトル相関距離MSCDi)の分布を算出する。詳細には、平均スペクトル相関距離分布算出部17Bが、ステップS25において算出された被験者の脳の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号の平均スペクトル相関距離MSCDiの分布(図7(A)および図7(B)参照)を算出する。
次いで、ステップS27では、照合部18が、ステップS26において算出された被験者の脳の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号の平均スペクトル相関距離MSCDiの分布を、照合用平均スペクトル相関距離分布と照合する。
次いで、ステップS28では、診断支援情報提示部19が、ステップS27における照合の結果に基づいて、被験者の医療診断を支援する情報(医療診断支援情報)を提示する。つまり、ステップS26において算出されたパラメータ(平均スペクトル相関距離MSCDi)の分布に基づく情報が、医療診断を支援する情報として提示される。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶部のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
Claims (15)
- 医療診断を支援する情報を提示する診断支援システムであって、
被験者の脳の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI(Magnetic Resonance Imaging)信号時系列データに基づいて、前記被験者の脳の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号のスペクトルエントロピーを算出するパラメータ算出部と、
前記パラメータ算出部によって算出された前記被験者の脳の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号のスペクトルエントロピーの分布を算出するパラメータ分布算出部と、
前記被験者の脳の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号のスペクトルエントロピーの分布のピークにおけるスペクトルエントロピーの値である分布のモードと、定型発達の脳の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号のスペクトルエントロピーの分布のモードとに基づいて、被験者が自閉スペクトラム症の可能性があるか否かを判定する診断支援情報提示部と
を備え、
前記医療診断を支援する情報は、前記パラメータ分布算出部によって算出されたパラメータの分布に基づく情報である、
診断支援システム。 - 前記パラメータ算出部は、前記被験者の脳の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号時系列データの離散スペクトルを算出し、算出した前記離散スペクトルからパワースペクトル密度を算出し、算出した前記パワースペクトル密度の規格化を行い、規格化した前記パワースペクトル密度から、被験者の脳の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号のスペクトルエントロピーを算出する、
請求項1に記載の診断支援システム。 - 前記パラメータ分布算出部によって算出された前記被験者の脳の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号のスペクトルエントロピーの分布を、定型発達または自閉スペクトラム症の脳の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号のスペクトルエントロピーの分布と照合する照合部を更に備える、
請求項1または請求項2に記載の診断支援システム。 - 前記診断支援情報提示部は、前記照合部による、前記被験者の脳の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号のスペクトルエントロピーの分布と、定型発達または自閉スペクトラム症の脳の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号のスペクトルエントロピーの分布との照合の結果に基づいて、前記被験者の医療診断を支援する情報を提示する、
請求項3に記載の診断支援システム。 - 前記診断支援情報提示部は、前記被験者の脳の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号のスペクトルエントロピーの分布のピークにおけるスペクトルエントロピーの値である分布のモードが、定型発達の脳の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号のスペクトルエントロピーの分布のモードよりも大きい場合に、前記被験者が自閉スペクトラム症の可能性がある旨の情報を提示する、
請求項4に記載の診断支援システム。 - 定型発達であるか否かが既知のスペクトルエントロピーの分布と、自閉スペクトラム症であるか否かが既知のスペクトルエントロピーの分布とを教師データとして用いることによって、前記診断支援情報提示部の機械学習を行う機械学習部を更に備える、
請求項5に記載の診断支援システム。 - 前記パラメータ算出部は、前記被験者の脳の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号時系列データと、前記被験者の脳の他の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号時系列データとに基づいて、前記被験者の脳の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号の平均スペクトル相関距離を算出し、
前記パラメータ分布算出部は、前記パラメータ算出部によって算出された前記被験者の脳の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号の平均スペクトル相関距離の分布を算出し、
前記平均スペクトル相関距離は、前記被験者の脳の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号時系列データから算出される離散スペクトルの絶対値と、前記被験者の脳の他の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号時系列データから算出される離散スペクトルの絶対値と、前記被験者の脳の灰白質ボクセルと前記被験者の脳の他の灰白質ボクセルとの間の物理的距離とに基づいて算出される、
請求項1に記載の診断支援システム。 - 前記パラメータ算出部は、前記被験者の脳の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号時系列データの離散スペクトルを算出し、算出した前記離散スペクトルの絶対値を算出し、前記被験者の脳の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号時系列データから算出される離散スペクトルの絶対値と、前記被験者の脳の他の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号時系列データから算出される離散スペクトルの絶対値と、前記被験者の脳の灰白質ボクセルと前記被験者の脳の他の灰白質ボクセルとの間の物理的距離とに基づいて、前記被験者の脳の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号の平均スペクトル相関距離を算出する、
請求項7に記載の診断支援システム。 - 前記パラメータ算出部によって算出された前記被験者の脳の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号の平均スペクトル相関距離の分布を、定型発達または自閉スペクトラム症の脳の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号の平均スペクトル相関距離の分布と照合する照合部を更に備える、
請求項7または請求項8に記載の診断支援システム。 - 前記診断支援情報提示部は、前記照合部による、前記被験者の脳の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号の平均スペクトル相関距離の分布と、定型発達または自閉スペクトラム症の脳の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号の平均スペクトル相関距離の分布との照合の結果に基づいて、前記被験者の医療診断を支援する情報を提示する、
請求項9に記載の診断支援システム。 - 前記診断支援情報提示部は、前記被験者の脳の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号の平均スペクトル相関距離の分布のピークにおける平均スペクトル相関距離の値が、定型発達の脳の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号の平均スペクトル相関距離の分布のピークにおける平均スペクトル相関距離の値よりも小さい場合に、前記被験者が自閉スペクトラム症の可能性がある旨の情報を提示する、
請求項10に記載の診断支援システム。 - 定型発達であるか否かが既知の平均スペクトル相関距離の分布と、自閉スペクトラム症であるか否かが既知の平均スペクトル相関距離の分布とを教師データとして用いることによって、前記診断支援情報提示部の機械学習を行う機械学習部を更に備える、
請求項11に記載の診断支援システム。 - 前記被験者の脳の安静時機能的MRI信号時系列データを取得する安静時機能的MRIデータ取得部と、
前記被験者の脳の解剖学的MRI画像を取得する解剖学的MRI画像取得部と、
前記安静時機能的MRIデータ取得部によって取得された前記被験者の脳の安静時機能的MRIデータと前記解剖学的MRI画像取得部によって取得された前記被験者の脳の解剖学的MRI画像との位置合わせを行う位置合わせ部と、
前記安静時機能的MRIデータ取得部によって取得された被験者の脳の安静時機能的MRI信号時系列データの前処理を行う前処理部と、
前記解剖学的MRI画像取得部によって取得された前記被験者の脳の解剖学的MRI画像に基づいて、前記被験者の脳の灰白質マップを作成する灰白質マップ作成部と
を更に備え、
前記パラメータ算出部は、前記位置合わせ部による、前記被験者の脳の安静時機能的MRIデータと前記被験者の脳の解剖学的MRI画像との位置合わせの結果と、前記灰白質マップ作成部によって作成された前記被験者の脳の灰白質マップとに基づいて、前記安静時機能的MRIデータ取得部によって取得された前記被験者の脳の安静時機能的MRI信号時系列データから、前記被験者の脳の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号時系列データを抜き出す、
請求項1に記載の診断支援システム。 - 医療診断を支援する情報を提示する診断支援方法であって、
被験者の脳の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号時系列データに基づいて、前記被験者の脳の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号のスペクトルエントロピーを算出するパラメータ算出ステップと、
前記パラメータ算出ステップにおいて算出された前記被験者の脳の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号のスペクトルエントロピーの分布を算出するパラメータ分布算出ステップと、
前記被験者の脳の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号のスペクトルエントロピーの分布のピークにおけるスペクトルエントロピーの値である分布のモードと、定型発達の脳の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号のスペクトルエントロピーの分布のモードとに基づいて、被験者が自閉スペクトラム症の可能性があるか否かを判定する診断支援情報提示ステップと
を備え、
前記医療診断を支援する情報は、前記パラメータ分布算出ステップにおいて算出されたパラメータの分布に基づく情報である、
診断支援方法。 - コンピュータに、
被験者の脳の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号時系列データに基づいて、前記被験者の脳の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号のスペクトルエントロピーを算出するパラメータ算出ステップと、
前記パラメータ算出ステップにおいて算出された前記被験者の脳の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号のスペクトルエントロピーの分布を算出するパラメータ分布算出ステップと、
前記被験者の脳の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号のスペクトルエントロピーの分布のピークにおけるスペクトルエントロピーの値である分布のモードと、定型発達の脳の灰白質ボクセルの安静時機能的MRI信号のスペクトルエントロピーの分布のモードとに基づいて、被験者が自閉スペクトラム症の可能性があるか否かを判定する診断支援情報提示ステップと
を実行させるためのプログラムであって、
前記パラメータ分布算出ステップにおいて算出されたパラメータの分布に基づく情報が、医療診断を支援する情報として提示される、
プログラム。
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