JP7269541B2 - 非晶質アルミノケイ酸塩粒子の分散液及びその製造方法 - Google Patents

非晶質アルミノケイ酸塩粒子の分散液及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、親水性であって、高比表面積と高水蒸気吸着性能を有する非晶質アルミノケイ酸塩粒子が非極性溶媒に均一に分散した分散液、及びその製造方法に関する。
従来、シリカ、アルミノケイ酸塩、酸化チタン等の親水性無機粒子を分散させるためには水やアルコール等の極性有機溶媒を用いてホモジナイザー等で撹拌し分散させる手法が一般的であった。そのため、この手法で極性溶媒への親水性無機粒子の分散液は容易に得ることができていた。
一方、シリカ、アルミノケイ酸塩、酸化チタン等の親水性無機粒子を非極性溶媒(n-ヘキサン、トルエン等)に分散させるためにはシランカップリング剤やシリコーンエマルジョン等により粒子表面を疎水化する必要があった。もしくは分散系の中に分散剤を添加して、分散系中で親水性粒子の表面を分散剤で改質して非極性溶媒中に分散させる手法を用いていた。また、前記2手法を併用するケースも見受けられる。いずれにしても無機粒子表面の親水性を低下させて非極性有機溶媒へ分散させるのが一般的な手法である。従って、分散液から取り出した無機粒子の水蒸気吸着性能は、その改質された粒子表面性のため、低下を避けられない。
ところで、非晶質アルミノケイ酸塩粒子は一次粒子径2~30nm、BET比表面積が100~1000m/gの微粒子多孔質物質であり、該粒子表面は親水性であるため、水分の吸脱着性能を有している(非特許文献1、2)。非晶質アルミノケイ酸塩粒子の一次粒子径は透過型電子顕微鏡(TEM)で確認できる。非晶質アルミノケイ酸塩粒子は鉱物名としてアロフェンと呼ばれているものに位置づけられており、その名の通り非晶質である。しかしながら、XRD(X線回折)、FT-IR(フーリエ変換赤外分光光度計)、NMR(核磁気共鳴)等のスペクトルから構成する元素の短距離秩序、即ち、局所的な範囲での結晶構造に関して議論されている。但し、非晶質アルミノケイ酸塩粒子は簡易な熱処理や粉砕処理で粒子形状や結晶構造に起因するスペクトルが変化するためか、詳細な結晶構造に関して統一的な見解は未だされていない。一方、非晶質アルミノケイ酸塩粒子は細孔の分布が広いため飽和水蒸気吸着量が高いだけでなく、水蒸気吸着性能は外気の相対湿度に比例して高くなる性能を持っていることが古くから知られており、吸着剤として利用されている。
上記非晶質アルミノケイ酸塩粒子は前述の通り優れた吸着性能を有しているが、該粒子の表面親水性のために、該粒子を非極性溶媒へ分散させるのは困難であった。分散剤や表面処理剤を用いた前記粒子の分散液の作製は可能だが、水蒸気吸着サイトである細孔を塞いでしまう。そのため、前記粒子が持つ特徴を生かした非極性溶媒の分散液を得ることが困難であった。そこで、非晶質アルミノケイ酸塩粒子の吸着性能を保った状態での分散液は、塗料化等をはじめとした該粒子の用途展開に強く望まれている。
従来技術として、水蒸気を代表とする極性ガスの吸着性能に優れ、且つ脱離性能においても優れた非晶質アルミノケイ酸塩粒子粉末は特許文献1に開示されている。また、親水性の非晶質アルミノケイ酸塩粒子以外であって、親水性の無機微粒子や無機多孔質物質を分散させた有機溶媒の分散液が特許文献2~3に開示されている。
しかしながら、特許文献1で示されている非晶質アルミノケイ酸塩粒子を実際に作製し、従来技術を用いて、該粒子の比表面積を低下させずに非極性溶媒へ分散させるのは困難であった。
特許文献2では親水性無機多孔質粒子であるメソポーラスシリカの有機溶媒の分散液およびその製造方法が示されている。該特許文献2では、金属アルコキシドが添加されたメソポーラスシリカの分散液が開示されている。しかしながら、前記分散液から得られるメソポーラスシリカには加水分解・重縮合したアルコキシシランを含んでいる。そのため、得られるメソポーラスシリカは高い比表面積を有しているとは言い難く、吸着用途に適しているとも言い難かった。
特許文献3では親水性無機微粒子であるナノ酸化チタン粒子の非極性有機溶媒分散液およびその製造方法が開示されている。前記分散液は保存安定性と透明性に優れ、紫外線吸収剤や屈折率付与剤として用いられている。また、製造方法として、極性有機溶媒の分散液を濃縮し、非極性有機溶媒を添加して、前記分散液を作製している。酸化チタン粒子の光触媒機能を抑制することで、前記分散液を用いた塗膜において経時での色調変化が抑制されている。そのため、製造方法は本発明と類似しているものの、本発明の非晶質アルミノケイ酸塩粒子は特別に表面処理を施していないことを考慮すると、本発明は特許文献3の技術とは無関係である。従って、前記特許文献3の製造方法において、ナノ酸化チタン粒子を非晶質アルミノケイ酸塩粒子に置き換えて分散液を作製した場合でも、得られた分散液を吸着剤として適用した場合、単純にアルミノケイ酸塩粒子の吸着性能の低下が見込まれる。
須藤談話会編「粘土科学への招待 ~粘土の素顔と魅力~」三共出版、2000年6月26日 R.L.Parfitt著「Allophane and imogolite:role in soil biogeochemical process」Clay Minerals,2009年,vol.44,p.135-155.
特開2008-179533号公報 特開2015-157715号公報 特開2015-221742号公報
高い比表面積を有し、水蒸気に対して高吸着速度、高吸着量でかつ、相対湿度に比例して水蒸気吸着性能が向上する非晶質アルミノケイ酸塩粒子は提供されている。しかしながら、非極性溶媒を用いた非晶質アルミノケイ酸塩粒子の分散液から得られる非晶質アルミノケイ酸塩粒子において、前述の非晶質アルミノケイ酸塩粒子の性能が得られるような分散液は未だに提供されていない。また、長期保存安定性に優れた非晶質アルミノケイ酸塩粒子の非極性溶媒分散液は未だに提供されていない。前記諸特性を有する非晶質アルミノケイ酸塩粒子の非極性溶媒分散液の製造方法も未だに提供されていない。
即ち、前出特許文献1には、前述の通り非極性溶媒へ撹拌混合で分散させた場合、非晶質アルミノケイ酸塩粒子は数時間で沈降をしてしまう。
また、特許文献2及び3に記載の技術で、無機微粒子、及び無機多孔質粒子をアルミノケイ酸塩粒子に置き換えると、分散液から得られるアルミノケイ酸塩粒子の水蒸気吸着性能は低下してしまう。
前記技術的課題は、次の通りの本発明によって達成できる。
即ち、本発明は、BET比表面積が100~1000m/gであって、Si/Alモル比が0.6~5.0である非晶質アルミノケイ酸塩粒子を、溶解度パラメータが7.0~9.7(cal/cm)1/2の溶媒に分散させてなる分散液において、分散安定性試験において一週間後に生じる上澄み量が分散液の全量の50体積%以下である非晶質アルミノケイ酸塩粒子の分散液である。(本発明1)。
また、本発明は、本発明1記載の分散液であって、分散液における非晶質アルミノケイ酸塩粒子の固形分濃度が0.1~30.0重量%である非晶質アルミノケイ酸塩粒子の分散液である。(本発明2)。
また、本発明は、本発明1又は2記載の分散液であって、粘度が1.0~200mPa・sである非晶質アルミノケイ酸塩粒子の分散液である。(本発明3)。
また、本発明は、非晶質アルミノケイ酸塩粒子の固形分濃度が0.1重量%~50.0重量%の水懸濁液を作製する第一工程、前記水懸濁液に対し溶解度パラメータが9.9~16.0(cal/cm)1/2の有機溶媒を添加し、メディア粉砕し、濃縮を行う第二工程、得られた混合分散液に溶解度パラメータが7.0~9.7(cal/cm)1/2の有機溶媒を添加し、メディア粉砕し、濃縮を行う第三工程を含む非晶質アルミノケイ酸塩粒子の分散液の製造方法である。(本発明4)。
また、本発明は、本発明4記載の分散液の製造方法であって、第二工程で添加する有機溶媒が第一工程で得られる水懸濁液の1~5倍の体積比である非晶質アルミノケイ酸塩粒子の分散液の製造方法である。(本発明5)。
また、本発明は、本発明4又は5記載の分散液の製造方法であって、第二工程における有機溶媒の添加、メディア粉砕、濃縮の一連の操作を複数回繰り返し行う非晶質アルミノケイ酸塩粒子の分散液の製造方法である。(本発明6)。
また、本発明は、本発明4~6のいずれかに記載の分散液の製造方法であって、第三工程における有機溶媒の添加、メディア粉砕、濃縮の一連の操作を複数回繰り返し行う非晶質アルミノケイ酸塩粒子の分散液の製造方法である。(本発明7)。
本発明に係る非晶質アルミノケイ酸塩粒子の分散液は、水蒸気に対して高い吸着性能を有する親水性非晶質アルミノケイ酸塩粒子を非極性有機溶媒に分散させた分散液であって、得られる分散液は長期保存安定性に優れている。また、本発明に係る非晶質アルミノケイ酸塩粒子の分散液は、分散剤を極力低減させている。そのため、前記分散液から得られる非晶質アルミノケイ酸塩粒子はそれ自身が持つ細孔を塞ぐことがなく、優れた吸着性能を維持することが可能である。
また、本発明に係る非晶質アルミノケイ酸塩粒子の分散液の製造方法は、簡易で、環境への負荷も小さく、量産可能な製造方法である。
実施例1に用いた非晶質アルミノケイ酸塩粒子のTEM像である。 図の下部は実施例1に用いた非晶質アルミノケイ酸塩粒子の実測のXRDプロファイルで、図の中央部、及び上部は、各々、ハロイサイト、及びカオリナイトのシミュレーションのXRDプロファイルである。 実施例1で得られた分散液、第二工程で用いた2-プロパノール、及び第三工程で用いたトルエンのFT-IRスペクトルである。 実施例1の原料に用いた非晶質アルミノケイ酸塩粒子粉末、及び分散液から得られた非晶質アルミノケイ酸塩粒子粉末の水蒸気吸着等温線である。 実施例1、比較例1、及び比較例2で得られた分散液を1週間放置した状態を比較した写真である。
本発明の構成をより詳しく説明すれば次の通りである。
先ず、本発明に係るアルミノケイ酸塩粒子の分散液について述べる。
本発明に係る分散液に分散したアルミノケイ酸塩粒子は、非晶質であり、元素の並びにほとんど周期性はない。化学構造は一般式x MO・y SiO・z Al・n HO(Mはアルカリ金属)で表わされる。ここで、一般式のHOは結晶水であり、吸着水とは異なる。Si4+とAl3+は互いに共有するO2-が存在するため、Si4+周辺は電気的に中性であっても、Al3+周辺はマイナス1価として帯電している。そのため、Al3+周辺は電気的中性になるようMで補われる。該Mイオンは雰囲気によりイオン交換され、前記粒子粉末の系外へ出されることもある。
本発明に係る分散液に分散した非晶質アルミノケイ酸塩粒子はX線回折プロファイルにおいて結晶由来のピークがほとんど観測されない程度の非晶質を示し、ほぼ低結晶性であり、アロフェンに属すると言及できることが好ましい。更に好ましくは、カオリナイト又はハロイサイトの単位胞を1~30個並べた元素配列の周期性を示すことである。
本発明に係る分散液に分散した非晶質アルミノケイ酸塩粒子はFT-IRスペクトルにおいて、930~990cm-1でSiO四面体ユニットのSi-Oに由来する振動スペクトルを有することが好ましい。より好ましくは940~980cm-1である。
本発明に係る分散液に分散した非晶質アルミノケイ酸塩粒子のBET比表面積は100~1000m/gである。BET比表面積が100m/g未満の場合には水蒸気の吸着性能が下がるため好ましくない。1000m/gを超えると分散液作製の際に、分散液が増粘しやすくなり、分散液の流動性が悪くなるため好ましくない。好ましいBET比表面積は150~950m/gであり、より好ましくは200~900m/gである。
本発明に係る分散液に分散した非晶質アルミノケイ酸塩粒子のSi/Alモル比は0.6~5.0である。Si/Alモル比が0.6未満の場合、非晶質アルミノケイ酸塩粒子は規則的なギブサイト結晶構造を有するγ-Al(OH)が主体的になる。そのため、アルミノケイ酸塩粒子の非晶質構造に由来していた細孔が少なくなり、BET比表面積が下がってしまうため好ましくない。5.0を超える場合は非晶質シリカが主体的となり、非晶質シリカと水蒸気の吸着性能の差がなくなり、吸着性能が下がるため好ましくない。より好ましいSi/Alモル比は0.7~4.5であり、更により好ましくは0.8~4.0である。
本発明に係る分散液の溶媒の溶解度パラメータ値は7.0~9.7(cal/cm)1/2である。ここで溶解度パラメータ(Solubility Parameter)値とはSP値のことであり、溶媒の溶解挙動を示す数値である。SP値が高い場合親水性の極性溶媒であり、SP値が低い場合疎水性の非極性溶媒となる。SP値7.0未満の溶媒は沸点が低く、長期保存安定性に優れた非晶質アルミノケイ酸塩粒子の分散液を作るのは困難である。SP値9.7より高い溶媒で非晶質アルミノケイ酸塩粒子と撹拌混合による分散液の作製は容易に可能であり、本発明の第二工程で作製でき、本発明における課題の範囲からは外れる。より好ましいSP値は7.1~9.5(cal/cm)1/2であり、更により好ましいSP値は7.3~9.0(cal/cm)1/2である。
本発明に係る分散液の分散安定性試験において、一週間後に生じる上澄み量は全体の分散液量の50体積%以下である。ここで、分散安定性試験とは、本発明に係る分散液をガラス等の密封容器に入れ、室温にて一週間静置した状態を維持し、生成した上澄みの体積を測定するものである。分散安定性試験での上澄み量が50体積%を超える場合、塗料化等の用途展開の際に安定性が低くなり好ましくない。より好ましくは一週間後の上澄み量が35体積%以下、更により好ましくは20体積%以下である。
本発明に係る分散液のFT-IRスペクトルにおいて、分散した非晶質アルミノケイ酸塩粒子のSiO四面体ユニットのSi-O振動スペクトルに対するO-H振動スペクトルの強度比は0.2以下が好ましい。ここで、Si-O振動スペクトルは930~990cm-1、O-H振動スペクトルは3100~3700cm-1の範囲で検出することができる。前記強度比が0.2を超えると、非晶質アルミノケイ酸塩粒子に親水基が残っていることを意味する。そのため、分散安定性に優れた非極性溶媒の分散液を得ることができなかったと推察している。より好ましくは、前記強度比は0.15以下、更により好ましくは0.1以下である。
本発明に係る分散液において、溶媒のSP値が7.0~9.7(cal/cm)1/2である溶媒は、具体的には、トルエン、シクロヘキサン、n-ヘキサン、n-オクタン、ジエチルエーテル、トリクロロフルオロメタン、酢酸ブチル、メチル-n-ブチルケトン、メタクリル酸エチル、四塩化炭素、トリクロロエチレン、ベンゼン、スチレン等が挙げられる。
本発明に係る分散液に分散した非晶質アルミノケイ酸塩粒子は、分散液の安定性を向上させる為に、前記粒子表面の親水性を疎水性へと処理したものとして用いることができる。前記表面処理にはシランカップリング剤やシリコーンエマルジョンといった非晶質アルミノケイ酸塩粒子と親和性の高く、両親媒性の高分子が好ましい。表面処理剤の量は非晶質アルミノケイ酸塩粒子に対して0.1wt%~40.0wt%が好ましい。0.1wt%未満であれば、表面処理剤による疎水化の効果が見えにくく好ましくない。40.0wt%より大きい場合は、表面処理剤が非晶質アルミノケイ酸塩の比表面積や水蒸気吸着性能を低下させてしまうため好ましくない。より好ましい表面処理剤の量は非晶質アルミノケイ酸塩粒子に対して0.5wt%~35.0wt%であり、更により好ましくは1.0wt%~30.0wt%である。
本発明に係る分散液中の非晶質アルミノケイ酸塩粒子の平均挙動粒子径は0.1~200μmが好ましい。より好ましくは0.2~150μm、更により好ましくは0.5~100μmである。平均挙動粒子径が0.1μm未満、或いは200μmを超える場合、長期保存安定性に優れた分散液を工業的な製造方法として作製することは困難であった。
本発明に係る分散液中の非晶質アルミノケイ酸塩粒子の一次粒子形状は球状又は板状が好ましい。
本発明に係る分散液中の非晶質アルミノケイ酸塩粒子の平均一次粒子径は2~50nmが好ましい。平均一次粒子径が2nm未満の粒子を製造することは工業的に困難であり、また、平均一次粒子径が50nmを超えた粒子は比表面積が小さく、ガス吸着性能が劣ってくる。より好ましくは3~30nmである。
本発明に係る分散液中の非晶質アルミノケイ酸塩粒子の固形分濃度は0.1~30.0重量%が好ましい。0.1重量%未満では得られる分散液の濃度が低すぎるため好ましくない。30.0重量%を超えると、得られる分散液は増粘し、流動性が悪くなるため好ましくない。より好ましくは0.5~25.0重量%、更により好ましくは1.0~20.0重量%である。
本発明に係る分散液の粘度は1.0~200.0mPa・sであることが好ましい。粘度が1.0mPa・s未満の分散液は非晶質アルミノケイ酸塩粒子の濃度が低すぎる場合になるため好ましくない。粘度が200mPa・sより大きい分散液はハンドリング性が悪くなるため好ましくない。より好ましくは2.0~180.0mPa・sであり、更により好ましくは2.5~160.0mPa・sである。
次に、本発明に係る非晶質アルミノケイ酸塩粒子の分散液の製造方法について述べる。
本発明に係る分散液の製造方法の第一工程として、出発原料の非晶質アルミノケイ酸塩粒子を水に懸濁させ、水懸濁液を製造することができる。下記参考文献に従って、非晶質アルミノケイ酸塩粒子を水溶媒で作製後、水洗と濃縮を繰り返し行うことで、前記水懸濁液を製造することができる。或いは、作製された非晶質アルミノケイ酸塩粒子粉末に対し溶媒を水として、攪拌機を用いて水分散液を製造することができる。
(参考文献1)特願2017-071681
本発明に係る分散液の製造方法の第一工程として、非晶質アルミノケイ酸塩粒子水懸濁液の固形分濃度は0.1重量%~50.0重量%が好ましい。0.1重量%未満は固形分濃度が低すぎるため生産効率の面で好ましくない。50.0重量%以上は原料混合時、或いは水洗・濃縮時に増粘してしまい、撹拌が困難になり好ましくない。より好ましくは0.5~45.0重量%、更により好ましくは1.0~40.0重量%である。
本発明に係る分散液の製造方法の第二工程として、第一工程で得られた水懸濁液に対し溶解度パラメータが9.9~16.0(cal/cm)1/2の有機溶媒を添加し、メディア粉砕し、濃縮を行うことができる。SP値が9.9(cal/cm)1/2未満の有機溶媒を用いる場合、得られた水懸濁液に馴染まず、相分離を起こし、本発明に係る分散液を得ることは困難となる。また、SP値が16.0(cal/cm)1/2を超える有機溶媒を用いる場合、最終的には本発明における第二工程を繰り返すこととなり、製造効率良く本発明に係る分散液を得ることは困難となる。前記濃縮により第二工程で得られる懸濁液のSP値は9.9~16.0(cal/cm)1/2の範囲内になる、或いは該範囲に近づくことができる。第二工程における有機溶媒の添加、メディア粉砕、濃縮といった一連の操作を繰り返し行うことで、更に第二工程で得られる懸濁液のSP値は9.9~16.0(cal/cm)1/2の範囲内になることができる。
前述のSP値9.9~16.0(cal/cm)1/2である有機溶媒は、エタノール、メタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、アセトン、酢酸、メタクリル酸、フェノール、エチレングリコール等が挙げられる。
本発明に係る分散液の製造方法の第二工程として、第二工程で添加する有機溶媒が第一工程で得られる水懸濁液の1~5倍の体積比であることが好ましい。体積比が1倍未満の場合、第二工程を繰り返す回数が増え、生産性が高い製造方法とは言い難い。また、前記繰り返し回数が少ない場合、水が残留しやすくなり、SP値7.0~9.7(cal/cm)1/2の溶媒を加えた後、混合分散液は相分離し、本発明の分散液が得られなくなる。体積比が5倍を超える場合、濃縮の際の固形分の損失により、得られる分散液の固形分が下がりすぎるため好ましくない。より好ましい体積比は1.5~3倍である。
本発明に係る分散液の製造方法の第二工程において、用いる有機溶媒の溶解度パラメータのより好ましい値は10.5~15.0(cal/cm)1/2であり、更により好ましくは11.0~14.5(cal/cm)1/2である。
本発明に係る分散液の製造方法の第三工程として、第二工程で得られた混合分散液に対し溶解度パラメータが7.0~9.7(cal/cm)1/2の有機溶媒を添加し、メディア粉砕し、濃縮を行うことができる。これらの操作や効果は第二工程と同等であり、高効率な生産性で本発明の分散液を得ることができる。より低いSP値の分散液を得るために、第三工程の有機溶媒の添加、メディア粉砕、濃縮といった一連の操作を繰り返し行うこともできる。
第二、第三工程において、有機溶媒を添加し、メディア粉砕し、濃縮といった一連の操作は同時に行うこともできる。粉砕メディアを用いた懸濁液、及び混合分散液への有機溶媒の添加、及び濃縮については、湿式アトライタ、ロータリーエバポレーター、湿式ビーズミル、湿式ハンディミル、湿式ボールミル、湿式横型連続式粉砕機等を用いるのが好ましい。
前述の粉砕メディアについては、ガラス、スチール、アルミナ、ジルコニア、ジルコン、窒化ケイ素製を用いるのが好ましい。一方、ナイロン等の樹脂球は比重が軽く、懸濁液や混合分散液の濃縮時にそれらが流動しなくなり、第二、第三工程の混合粉砕ができなくなる。そのため、樹脂球の使用は好ましくない。
粉砕メディアの形状は真球状が好ましい。メディアの直径は0.1mm~20.0mmが好ましい。0.1mm未満ではメディアが軽く、懸濁液及び混合分散液が増粘した時に、メディアが流動しなくなるので好ましくない。20.0mmより大きいと、効率的な粉砕が困難となり、生産性の高い製造方法とはなり難く、好ましくない。より好ましいメディアの直径は0.3mm~15.0mm、更により好ましくは0.5mm~10.0mmである。
第二工程にSP値9.9~16.0(cal/cm)1/2の有機溶媒として用いる全有機溶媒体積量は、第一工程で得られた水懸濁液の体積の1倍~50倍が好ましい。1倍未満では第三工程のSP値7.0~9.7(cal/cm)1/2の有機溶媒と混合する際に相分離してしまうため好ましくない。50倍を超えるとSP値9.9~16.0(cal/cm)1/2の有機溶媒の損失が多くなり、費用対効果が悪くなるため好ましくない。より好ましい用いるSP値9.9~16.0(cal/cm)1/2の全有機溶媒体積は、前記水懸濁液の体積の3.5倍~40倍、更により好ましくは4倍~30倍である。
本発明に係る分散液の製造方法の第三工程として、第三工程で添加する有機溶媒が第二工程で得られる分散液の1~5倍の体積比であることが好ましい。体積比が1倍未満の場合、第三工程を繰り返す回数が増え、生産性が高い製造方法とは言い難い。また、前記繰り返し回数が少ない場合、第二工程で得られる分散液中の溶媒が残留してしまい、低SP値の溶媒の分散液を作製する目的を満たさない。体積比が5倍を超える場合、濃縮の際の固形分の損失により、得られる分散液の固形分が下がりすぎるため好ましくない。より好ましい体積比は1.5~3倍である。
第三工程において、SP値7.0~9.7(cal/cm)1/2の有機溶媒の添加に用いる全有機溶媒体積は第二工程で得られる混合分散液の体積の1倍~30倍が好ましい。1倍未満では、第二工程で得られる分散液中の高SP値の溶媒が残留してしまい、低SP値の溶媒の分散液を作製する目的を満たさない。30倍以上だとSP値7.0~9.7(cal/cm)1/2の有機溶媒の損失が多くなり、費用対効果が悪くなるため好ましくない。より好ましい全有機溶媒体積は第二工程で得られる混合分散液中の高SP値の溶媒の2倍~25倍、更により好ましくは3倍~20倍である。
<作用>
本発明において重要な点は、本発明に係る非晶質アルミノケイ酸塩粒子の分散液は、100~1000m/gの比表面積を有する親水性粒子がSP値7.0~9.7(cal/cm)1/2の溶媒に分散でき、且つ長期保存安定性に優れるという事実である。また、本発明に係る非晶質アルミノケイ酸塩粒子の分散液を用いて得られる非晶質アルミノケイ酸塩粒子は高い水蒸気吸着性能を維持しているという事実である。
本発明に係る分散液において、分散した非晶質アルミノケイ酸塩粒子は、出発原料としては、100~1000m/gの比表面積を有する親水性粒子である。SP値7.0~9.7(cal/cm)1/2の溶媒に前記粒子が分散できる理由は未だ明らかではないが、本発明者らは以下のように推定している。即ち、前段のSP値9.9~16.0(cal/cm)1/2の溶媒の一部が前記親水性粒子表面を被覆し、或いは前記粒子表面の親水基と反応する。このことにより、前記親水性粒子表面は疎水性を持ち、その後、SP値7.0~9.7(cal/cm)1/2の有機溶媒でより非晶質アルミノケイ酸塩粒子表面を疎水性にできたと発明者は解釈している。事実として、低SP値7.0~9.7(cal/cm)1/2の溶媒に対して一定の平均挙動粒子径で安定した分散状態をつくることができている。
本発明の代表的な実施の形態は次の通りである。
本発明に係る非晶質アルミノケイ酸塩粒子の分散液の粘度はE型粘度計(東機産業(株)製TVE-35H)を用いて、回転数50rpmにおける粘度を測定した。
本発明に係る分散液における非晶質アルミノケイ酸塩粒子の固形分濃度、即ち本発明2の固形分濃度は以下の方法で測定した。まず、得られた分散液を10gシャーレに測り取り、溶媒が突沸しないように、箱型乾燥機に40℃で20時間乾燥させた。その後、溶媒が残存しないように、110℃で20時間乾燥し、得られた乾燥物の重量を測った。該乾燥物が本発明における非晶質アルミノケイ酸塩粒子粉末であることを確認し、該乾燥物重量と分散液10gから、前記固形分濃度を計算した。
本発明に係る分散液中の非晶質アルミノケイ酸塩粒子の平均挙動粒子径はレーザー回折・散乱法(「粒度分布計MT-3300EXII:マイクロトラック・ベル社製」)を用いて、体積換算の粒度分布からメジアン径D50とした。ここで、メジアン径D50とは粒子粉末の全体積を100%とし、粒子径に対する累積割合を求めたときの累積割合が50%となる粒子径である。
本発明における非晶質アルミノケイ酸塩粒子粉末の結晶相の同定は、XRD装置D8 ADVANCE(BRUKER製)(管球:Cu、管電圧:40kV、管電流:40mA、ゴニオメーター:広角ゴニオメーター、サンプリング幅:0.20°、走査速度:6°/min、発散スリット:0.2°、受光スリット:0.03mm)を使用した。
また本発明における粒子粉末のSi及びAl含有量の測定は蛍光X線分析装置Rigaku RIX2100を用いた。粒子粉末のアルカリ金属の量も蛍光X線分析装置で定量化できる。粒子粉末の結晶水の量は強熱減量法を用いることができる。
本発明に原料として用いた、或いは本発明の分散液から得られた非晶質アルミノケイ酸塩粒子粉末の2種類がある。該粒子粉末のBET比表面積値は、BET法により測定した。測定装置はマルチソーブ(カンタクローム・インスツルメンツ・ジャパン製)を使用して測定した。前処理条件は窒素ガスを通気しつつ120℃、2hの条件で脱気をした。
本発明における非晶質アルミノケイ酸塩粒子粉末の平均一次粒子径は透過型電子顕微鏡JEM-F200(日本電子製)で測定して求めた。代表的な一次粒子をその平均一次粒子径とした。
本発明に係る非晶質アルミノケイ酸塩粒子分散液の溶媒のSP値は、分散液の溶媒を同定して参考文献2の値を採用した。被検物質の状態は分散液から抽出した溶媒でも分散液そのものでも構わないが、後述する実施例は分散液の状態で測定した。まず、分散液をFT-IRサーモフィッシャーサイエンティフィック(株)製 Nicolet iS5を用いて測定した。ATR(全反射測定)法で測定を行った。分解能は4cm-1、積算回数は16回である。得られたFT-IRのスペクトルは非晶質アルミノケイ酸塩粒子と分散液の溶媒からなるスペクトルであった。該溶媒のSP値は参考文献2を基にしている。一方、溶媒が2種以上の混合物である場合、FT-IRで各溶媒の混合比率を定量化し、参考文献2のSP値から混合物のSP値を算出することができる。
(参考文献2) 化学便覧 改訂5版 基礎編I P770~777.
本発明に係る非晶質アルミノケイ酸塩粒子の分散液の分散安定性試験は、市販のスクリュー管瓶、又は柴田科学製の容量20mlの共栓試験管(目盛付、ガラス平栓付)を用いた。前述の容器に得られた分散液20mlを加えた後、封をした状態で温度25℃の環境で1週間静置した。その後、分散液の上澄みの体積を計測し、分散液の全量の20mlに対して、上澄み量の体積%を算出した。
実施例1
非晶質アルミノケイ酸塩粒子粉末は(参考文献1)特願2017-071681を基に作製した。得られた粒子粉末はBET比表面積740m/g、Si/Alモル比0.93であった。得られた粒子粉末のTEM像を図1に示すように、数nmの一次粒子が確認できた。また、得られた粒子粉末のXRDプロファイルを図2の下部に示す。同時に、図2の中央部、及び上部は、各々、ハロイサイト、及びカオリナイトのシミュレーションのXRDプロファイルである。プログラムはRIETAN-2000を用い、データベースはAmerican Mineralogist Crystal Structure databaseを用い、空間群、格子定数、及び原子座標を採用した。ハロイサイト、及びカオリナイトの単位胞の一辺の長さは0.5~0.9nmである。ハロイサイトの結晶子サイズを1.6nm、歪を1.3%とした。また、カオリナイトを板状結晶とし、板面に平行な結晶子サイズを2.6nm、板面に垂直な結晶子サイズを0.6nm、歪を3%とし、シミュレーションを行った。いずれかの鉱物に由来するプロファイルが確認できたが、結晶子サイズは非常に小さい。そのため、カオリナイト又はハロイサイトの単位胞を1~30個並べた元素配列の周期性を満たしており、構成する元素は短距離秩序を有していることが分かる。また、得られた粒子粉末のXRDプロファイルには非晶質特有のHaloピークも含んでおり、シミュレーションのXRDプロファイルのバックグラウンドは0である。従って、得られた粒子粉末は非晶質、或いは低結晶性であるとも言及でき、また、アロフェンに属するとも言及できる。同試料に関して、FT-IRスペクトルにおいても、Si-O振動スペクトルが960cm-1で確認できた。
(参考文献3)F. Izumi and T. Ikeda, Mater. Sci. Forum, 321-324 (2000) 198-203.
内容積200mlのビーカーに、前記非晶質アルミノケイ酸塩粒子粉末を出発原料として10g、純水を100ml測り取った。その後、高速分散機を用いて3000rpmで30分撹拌・混合して、固形分濃度10重量%の非晶質アルミノケイ酸塩粒子の水懸濁液を得た。前記水懸濁液のうち50mlを測り取り、500mlナスフラスコへ加えて、第一工程を終了した。
前述の水懸濁液の中にφ6mmのアルミナボールを200g加えた。更にSP値が11.5(cal/cm)1/2の2-プロパノールを50ml測り取りナスフラスコに添加した。ロータリーエバポレーターにナスフラスコを取り付け10分間回転混合し、メディア粉砕し、その後に減圧した。その際、フラスコ内圧を100mmHgまで減圧し、回転するフラスコ表面を40℃の湯浴で加温しつつ混合分散液を濃縮した。前記濃縮の終点として、混合分散液の濃縮後の体積は、第一工程の水懸濁液の体積を参考にした。即ち、ロータリーエバポレーターの液溜めにある取り除かれた溶媒の体積は、50ml程度であった。得られた50mlの混合分散液に対し、更に50mlの2-プロパノールを添加し、同様の操作で濃縮を行った。結局のところ、これら一連の有機溶媒を添加、メディア粉砕、濃縮といった操作を2回繰り返すことで、混合分散液の体積が50mlとなるように調整し、第二工程を終了した。
得られた混合分散液50mlに対し、50mlのトルエンを添加した。10分間回転・混合し、メディア粉砕し、その後にロータリーエバポレーターでフラスコ内を減圧した。その減圧はフラスコ内圧で150mmHgまでであり、回転するフラスコ表面を30℃の湯浴で加温しつつ、混合分散液を濃縮した。前記濃縮の終点として、混合分散液の濃縮後の体積は、第一工程の水懸濁液の体積を参考にした。即ち、ロータリーエバポレーターの液溜めに50ml程度の溶媒が溜まった時点で、一連の有機溶媒を添加、メディア粉砕、濃縮といった操作を終了した。前述の一連の操作を3回繰り返した。第三工程を終了時の分散液の体積を50mlとなるように調整した。また、目開き2mmの篩を用いてアルミナボールと分散液を分離して、分散液を得た。
得られた分散液、及び参考のため、前記分散液の作製に有機溶媒として用いた2-プロパノールとトルエンのFT-IRスペクトルを図3に示す。2-プロパノールとトルエンのFT-IRスペクトルは既知のものと一致した。また、分散液のスペクトルの一部は測定したトルエンのスペクトルとほぼ一致した。そのため、分散液中の溶媒は第三工程で用いたトルエンであり、SP値は8.9であった。一方、非晶質アルミノケイ酸塩粒子粉末のSi-O振動スペクトルは確認できたが、O-H振動スペクトルは確認できなかった。即ち、分散した非晶質アルミノケイ酸塩粒子のSiO四面体ユニットのSi-O振動スペクトルに対するO-H振動スペクトルの強度比は0であった。従って、分散した非晶質アルミノケイ酸塩粒子の表面は疎水化され、SP値7.0~9.7(cal/cm)1/2の溶媒に安定して分散することができたと考えられる。
得られた分散液の粘度は53mPa・sであり、また、分散液中の平均挙動粒子径は2.6μmであった。得られた分散液を10gシャーレに測り取り、箱型乾燥機に40℃で20時間乾燥させた。その後、110℃で20時間乾燥して、乾燥物を得た。該乾燥物のXRDパターンは図1と同等な、低結晶性のアルミノケイ酸塩であった。また、前記乾燥物のSi/Alモル比は出発原料のSi/Alモル比と同程度と蛍光エックス線分析で判明し、用いた溶媒中にSiやAlが溶け出した形跡は観察できなかった。前記乾燥物の総重量を測定したところ0.95gであり、その結果を元に、本発明で得られた分散液における非晶質アルミノケイ酸塩粒子の固形分濃度を算出ところ、9.5重量%であった。前記乾燥物のBET比表面積を測定したところ754m/gであり、出発原料の非晶質アルミノケイ酸塩粒子粉末のBET比表面積は乾燥物のBET比表面積740m/gと同程度であった。前記乾燥物の平均一次粒子径はTEMで行い、出発原料に対し変化が見られなかったことを確認している。図4に水蒸気吸着等温線を示すように、前記乾燥物は出発原料に対し吸着性能の変化は見られなかった。分散液中でO-H基の存在が確認できなかったものの、前記乾燥物にはO-H基が存在できるものであった。分散液の安定性試験に関しては後述する。
実施例2~8
出発原料の非晶質アルミノケイ酸塩粒子の比表面積、該粒子のSi/Alモル比、該粒子水懸濁液中の固形分濃度、SP値9.9~16.0(cal/cm1/2の有機溶媒の種類と使用量、SP値7.0~9.7(cal/cm)1/2の有機溶媒の種類と使用量等を種々変化させた以外は、表1に示すように、実施例1と同様にしてアルミノケイ酸塩粒子の分散液を作製した。
比較例1
内容積200mlのビーカーに、BET比表面積740m/g、Si/Alモル比0.92の非晶質アルミノケイ酸塩粒子粉末を30g、トルエンを100ml測り取り高速分散機を用いて3000rpmで30分撹拌・混合した。その後、後述する方法で有機溶媒のトルエンを添加し、処理を行った。
比較例2
内容積200mlのビーカーに、BET比表面積740m/g、Si/Alモル比0.92の非晶質アルミノケイ酸塩粒子粉末を30g、純水を100ml測り取り高速分散機を用いて3000rpmで30分撹拌・混合して、非晶質アルミノケイ酸塩粒子の水懸濁液を得た。
上記水懸濁液の各々に対し、50mlを測り取り500mlナスフラスコへ加える。その中にφ6mmのアルミナボールを200g測り取り加える。更にトルエンを50ml測り取りナスフラスコに加えた。ロータリーエバポレーターにナスフラスコを取り付け10分間回転混合し、その後に減圧する。フラスコ内圧を150mmHgまで減圧し、回転するフラスコ表面を30℃の湯浴で加温しつつ濃縮した。液溜めに50ml以上溶媒が溜まった時点で50mlのトルエンを追加した。比較例1の場合、同様の作業は繰り返さなかった。比較例2の場合、同様の作業を3回繰り返した。3回目の混合濃縮時に液溜めに50ml溜まった時点で終点とした。
実施例1と比較例1~2で得られた分散液をガラスの密封容器に入れ、室温にて一週間静置した後の沈降状態を比較した。その比較は図5の写真で示す。図5の右が実施例1、中央が比較例1、左が比較例2である。比較例1,2は1週間で沈降し、上澄みの体積を測定することが可能であることが分かるが、実施例1は沈降が見受けられず、上澄みの体積は0%であった。
実施例1~8と比較例1~2の分散液を柴田科学製の容量20mlの共栓試験管(目盛付、ガラス平栓付)に20mlの線まで加えた。該共栓試験管に封をした状態で温度25℃の環境で1週間静置した後、分散液で生じる沈降状態を確認した。実施例1~8はすべて20mlの地点で安定して分散し沈降は見受けられず、上澄みの体積は0%であった。比較例1は3ml、比較例2は6mlまで沈降しており、上澄み量は各々85%と70%であった。
実施例、及び比較例の製造条件を表1に、得られた非晶質アルミノケイ酸塩粒子の分散液の諸特性を表2に示す。該分散液の溶媒のSP値は、実施例1で証明したように、第三工程で用いた有機溶媒のSP値で代用することが可能である。
Figure 0007269541000001
Figure 0007269541000002
比較例3
実施例に倣って、二酸化チタン微粒子の分散液の製造を試みた。内容積200mlのビーカーに、BET比表面積300m/gの二酸化チタン粉末を出発原料として10g、純水を100ml測り取った。その後、高速分散機を用いて3000rpmで30分撹拌・混合して、固形分濃度10重量%の二酸化チタン微粒子の水懸濁液を得た。該水懸濁液のうち50mlを測り取り500mlナスフラスコへ加えて、第一工程を終了した。
前述の水懸濁液中にφ6mmのアルミナボールを200g測り取り加えた。更にSP値が11.5の2-プロパノールを50ml測り取り、ナスフラスコに添加したところ、二酸化チタン粒子が茶色に変色し凝集沈殿が生じた。ロータリーエバポレーターにナスフラスコを取り付け10分間回転混合し、メディア粉砕し、その後に減圧した。その際、フラスコ内圧を100mmHgまで減圧し、回転するフラスコ表面を40℃の湯浴で加温しつつ濃縮した。前記濃縮でロータリーエバポレーターの液溜めに50ml以上溶媒が溜まった時点で、濃縮を中止した。更に50mlの2-プロパノールを添加、メディア粉砕、濃縮の一連の操作を繰り返したが、混合分散液は茶色に変色したままであり、二酸化チタンは凝集沈殿した状態であった。即ち、分散安定性に優れた分散液を作製することはできなかった。
比較例4
参考文献1を基に、Si/Al=0.55の粒子粉末を作製した。結果、BET比表面積は85m/gであり、得られた粉末XRDプロファイルから、アロフェンのピークパターンとベーマイトのピークパターンの2相のパターンが得られ、それらは同程度のピーク面積を保有していた。結果として、水蒸気吸着剤に適さない粒子粉末が得られた。
本発明に係る非晶質アルミノケイ酸塩粒子の分散液は、従来では困難であった親水性多孔質物質である非晶質アルミノケイ酸塩粒子を非極性有機溶媒の分散液としたことである。得られる分散液は沈降性が低く長期保存安定性に優れ、また、該分散液を乾燥させて得られた粒子粉末は高比表面積と高水蒸気吸着性能を保っている。即ち、高親水性を保持した多孔質物質の分散液をその性能を損なわずに非極性溶媒に安定して分散させることが本発明により可能となった。該分散液によって、これまでに困難であった塗料化等が可能となり新規用途展開が見込まれる。

Claims (8)

  1. BET比表面積が100~1000m/gであって、Si/Alモル比が0.6~5.0である非晶質アルミノケイ酸塩粒子を、溶解度パラメータが7.0~9.7(cal/cm)1/2の溶媒に分散させてなる分散液において、前記非晶質アルミノケイ酸塩粒子は表面処理されておらず粒子表面が疎水性である非晶質アルミノケイ酸塩粒子の分散液。
  2. 請求項1記載の分散液であって、分散安定性試験において一週間後に生じる上澄み量が分散液の全量の50体積%以下である非晶質アルミノケイ酸塩粒子の分散液。
  3. 請求項1又は2に記載の分散液であって、分散液における非晶質アルミノケイ酸塩粒子の固形分濃度が0.1~30.0重量%である非晶質アルミノケイ酸塩粒子の分散液。
  4. 請求項1~3のいずれかに記載の分散液であって、粘度が1.0~200mPa・sである非晶質アルミノケイ酸塩粒子の分散液。
  5. 非晶質アルミノケイ酸塩粒子の固形分濃度が0.1重量%~50.0重量%の水懸濁液を作製する第一工程、前記水懸濁液に対し溶解度パラメータが9.9~16.0(cal/cm)1/2の有機溶媒を添加し、メディア粉砕し、濃縮を行う第二工程、得られた混合分散液に溶解度パラメータが7.0~9.7(cal/cm)1/2の有機溶媒を添加し、メディア粉砕し、濃縮を行う第三工程を含む非晶質アルミノケイ酸塩粒子の分散液の製造方法。
  6. 請求項記載の分散液の製造方法であって、第二工程で添加する有機溶媒が第一工程で得られる水懸濁液の1~5倍の体積比である非晶質アルミノケイ酸塩粒子の分散液の製造方法。
  7. 請求項5又は6記載の分散液の製造方法であって、第二工程における有機溶媒の添加、メディア粉砕、濃縮の一連の操作を複数回繰り返し行う非晶質アルミノケイ酸塩粒子の分散液の製造方法。
  8. 請求項5~7のいずれかに記載の分散液の製造方法であって、第三工程における有機溶媒の添加、メディア粉砕、濃縮の一連の操作を複数回繰り返し行う非晶質アルミノケイ酸塩粒子の分散液の製造方法。
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