JP7263156B2 - 仮想のインピーダンスを模擬する変換器制御装置及び変換器制御方法 - Google Patents

仮想のインピーダンスを模擬する変換器制御装置及び変換器制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、変換器制御装置及び変換器制御方法に関する。
近年、太陽光発電システム等の自然エネルギーを用いた分散型電源の系統への導入が進んでいる。自然エネルギーを用いた分散型電源は、温室効果ガスを排出することなく地球環境に対して負荷が小さいという利点を有することから、今後ますます増加するものと考えられる。分散型電源は、直流又は商用周波数とは異なる周波数の交流を出力するものが多いため、分散型電源が系統に連系される際には、変換器(インバータ)を介して系統に接続されることが多い。このような分散型電源の多くは、PLL(Phase Locked Loop:位相同期ループ)を用いた電流制御(電流ベクトル制御)で運転される。
系統に連系される分散型電源が多くなるにつれ、系統に接続される同期機が減少し、代替として変換器が増加することになる。系統に接続される変換器の増加に伴って、系統には、例えば以下に示す影響が生ずると考えられている。
・系統電圧変動の増大
・系統内の慣性エネルギー量の低下
・系統擾乱時の周波数の変化幅及び変化速度の増大
上記の影響を解消するために、変換器に従来の同期機と同様の挙動をさせる制御として、仮想同期機制御と擬似慣性制御とが提案されている。仮想同期機制御は、同期発電機の挙動を変換器に模擬させる制御である。擬似慣性制御は、同期発電機の運動方程式に基づいて同期発電機の慣性応答を模擬するものである。擬似慣性制御では、周波数の変化を検出し、その変化を打ち消すように有効電力を注入する制御が行われる。尚、以下の非特許文献1には仮想同期機制御の詳細が開示されており、以下の非特許文献2には擬似慣性制御の詳細が開示されている。
崎元謙一,他2名,「仮想同期発電機によるインバータ連系形分散電源を含む系統の安定化制御」,電気学会論文誌B、Vol.132,No.4,pp.341-349,2012 白崎圭亮,他2名,「PV大量導入が大電源脱落時の周波数低下に及ぼす影響」,研究報告R17004,電力中央研究所,2018年6月
ところで、上述した仮想同期機制御及び擬似慣性制御は、同期機の特性を模擬するが故に、同期機同様の課題も存在する。例えば、系統擾乱時に、上述した仮想同期機制御によって模擬される同期機で脱調が発生したり、大きな電力動揺が生じたりする。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、脱調等の同期機由来の問題が発生せず、系統擾乱時の電力変動を従来よりも小さくすることができる変換器制御装置及び変換器制御方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の一態様による変換器制御装置は、分散型電源(DS)を系統(PS)に接続する変換器(IV)の制御を行う変換器制御装置(1)であって、前記変換器に対して位相同期ループを用いた電流ベクトル制御を行う制御部(1A)と、前記制御部と並列に接続され、前記変換器に模擬させるインピーダンスのインピーダンスモデル(12)を用い、前記インピーダンスを介して前記系統に電圧源が接続されている場合に流れる電流を、前記系統に供給する電流補整部(1B)と、を備える。
また、本発明の一態様による変換器制御装置は、前記電流補整部が、前記インピーダンスモデルを用いて、入力される電圧指令値と前記系統の電圧測定値とに応じて前記系統に供給すべき電流を規定する電流補整値を出力する。
また、本発明の一態様による変換器制御装置は、前記制御部が、前記電流ベクトル制御を行うための電流指令値を出力する電力制御部(11)と、前記電力制御部から出力される前記電流指令値と、前記電流補整部から出力される前記電流補整値とを加算する演算部(13a,13b)と、前記演算部の加算結果に基づいて、前記電流ベクトル制御を行うために前記変換器に出力する駆動信号を生成する駆動信号生成部(14、15a、15b、16、17)と、を備える。
また、本発明の一態様による変換器制御装置は、前記変換器に模擬させる同期機の慣性が大きくなるにつれて、位相同期速度が遅くなるように設定される。
本発明の一態様による変換器制御方法は、分散型電源(DS)を系統(PS)に接続する変換器(IV)の制御を行う変換器制御方法であって、前記変換器に対して位相同期ループを用いた電流ベクトル制御を行うための電流指令値を出力する第1ステップ(S11)と、前記変換器に模擬させるインピーダンスのインピーダンスモデル(12)を用いて、入力される電圧指令値と前記系統の電圧測定値との差分に応じて前記系統に供給すべき電流を規定する電流補整値を出力する第2ステップ(S12)と、前記第1ステップで出力された前記電流指令値と、前記第2ステップで出力された前記電流補整値とを加算する第3ステップ(S13)と、前記第3ステップの加算結果に基づいて、前記電流ベクトル制御を行うために前記変換器に出力する駆動信号を生成する第4ステップ(S14)と、を有する。
本発明によれば、脱調等の同期機由来の問題が発生せず、系統擾乱時の電力変動を従来よりも小さくすることができるという効果がある。
本発明の一実施形態による変換器制御装置の要部構成を示すブロック図である。 本発明の一実施形態による変換器制御装置で用いられるインピーダンスモデルの一例を示すブロック図である。 本発明の一実施形態による変換器制御装置が備える定電流制御部の構成例を示すブロック図である。 本発明の一実施形態による変換器制御装置で用いられるPLLの制御ブロック図である。 本発明の一実施形態おいて実現される制御系のイメージを示す図である。 本発明の一実施形態による変換器制御装置の動作の概要を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態による変換器制御装置の系統擾乱発生時の動作を説明するための図である。 本発明の一実施形態による変換器制御装置で用いられるインピーダンスモデルの他の例を示すブロック図である。 本発明の一実施形態による変換器制御装置におけるPLLの役割を説明するための図である。 シミュレーションに用いた解析対象系統を示す図である。 シミュレーションで用いる変換器の平均化モデルを説明するための図である。 3LGの解析に用いた変換器の諸定数を示す図である。 電源脱落の検証に用いた変換器及び発電機の諸定数を示す図である。 3LGの事故シーケンスを示す図である。 3LGのシミュレーション結果を示す図である。 3LGの他のシミュレーション結果を示す図である。 電源脱落のシミュレーション結果を示す図である。 電源脱落の他のシミュレーション結果を示す図である。
以下、図面を参照して本発明の一実施形態による変換器制御装置及び変換器制御方法について詳細に説明する。
〈変換器制御装置の要部構成〉
図1は、本発明の一実施形態による変換器制御装置の要部構成を示すブロック図である。図1に示す通り、本実施形態の変換器制御装置1は、電力制御部11、インピーダンスモデル12、演算部13a,13b、定電流制御部14(駆動信号生成部)、演算部15a,15b(駆動信号生成部)、座標変換部16(駆動信号生成部)、PWM波形生成部17(駆動信号生成部)を備える。このような変換器制御装置1は、分散型電源DSを系統PSに接続(連系リアクトルLを介して接続)する変換器IVの制御を行う。尚、変換器IVは、例えばインバータである。
ここで、変換器制御装置1は、制御部1Aと電流補整部1Bとに大別される。制御部1Aは、変換器IVに対して位相同期ループを用いた電流ベクトル制御を行うものであり、電力制御部11、演算部13a,13b、定電流制御部14、演算部15a,15b、座標変換部16、及びPWM波形生成部17を含んで構成される。電流補整部1Bは、制御部と並列に接続され、変換器IVに模擬させるインピーダンス(仮想インピーダンス)を介して系統PSに電圧源が接続されている場合に流れる電流を、系統PSに供給するものであり、インピーダンスモデル12を含んで構成される。
制御部1Aが変換器IVに対して行う制御(位相同期ループを用いた電流ベクトル制御)は、従来の一般的なものである。例えば、三相交流の状態量を二相変換(αβ変換)し、更に回転座標系に変換(DQ変換)し、D軸(有効分)とQ軸(無効分)とに分離して各々の軸(成分)を独立して制御するものである。尚、図1では、定電力制御を行う構成を例示している。以下、制御部1A及び電流補整部1Bに含まれる構成の詳細について説明する。
電力制御部11は、変換器IVで入出力される電力(有効電力及び無効電力)の制御を行う。電力制御部11には、系統PSにおける有効電力測定値Pdmes及び無効電力測定値Pqmesが入力されている。電力制御部11は、有効電力指令値と有効電力測定値Pdmesとの差を零にするためのD軸電流指令値Idordpと、無効電力指令値と無効電力測定値Pqmesとの差を零にするためのQ軸電流指令値Idordpとを出力する。
インピーダンスモデル12は、変換器IVに模擬させるインピーダンス(仮想インピーダンス)を規定するモデルである。例えば、変換器IVに同期機(仮想同期機)を模擬させる場合には、上記インピーダンスは、変換器IVで模擬される同期機のインピーダンスとすることができる。インピーダンスモデル12は、D軸電圧指令値Vdord及びQ軸電圧指令値Vqordと、D軸電圧測定値Vdmes及びQ軸電圧測定値Vqmesとを入力とし、D軸電流補整値Idcor及びQ軸電流補整値Iqcorを出力とするモデルである。
ここで、D軸電圧指令値Vdord及びQ軸電圧指令値Vqordは、仮想同期機の特性等に応じて任意に設定される。例えば、D軸電圧指令値Vdord及びQ軸電圧指令値Vqordは、一定の値に設定されても良く、時間と共に値が変化するように設定されても良い。本明細書では、説明を簡単にするために、D軸電圧指令値Vdordが1.0[pu]に設定されており、Q軸電圧指令値Vqordが0.0[pu]に設定されているものとする。
図2は、本発明の一実施形態による変換器制御装置で用いられるインピーダンスモデルの一例を示すブロック図である。図2に例示するインピーダンスモデル12は、演算部21a,21b、第1ブロック22a,22b、第2ブロック23a,23b、及び演算部24a,24bを備える。演算部21aは、D軸電圧指令値VdordとD軸電圧測定値Vdmesとの差を求める。演算部21bは、Q軸電圧指令値VqordとQ軸電圧測定値Vqmesとの差を求める。
第1ブロック22a,22bは、仮想インピーダンスの抵抗成分をrとし、仮想インピーダンスのリアクタンス成分をxとすると、入力される値とr/(r+x)なる式で示される値との積を求める。第1ブロック22aには、演算部21aの演算結果が入力され、第1ブロック22bには、演算部21bの演算結果が入力される。第2ブロック23a,23bは、入力される値とx/(r+x)なる式で示される値との積を求める。第2ブロック23aには、演算部21bの演算結果が入力され、第2ブロック23bには、演算部21aの演算結果が入力される。
演算部24aは、第1ブロック22aの演算結果と第2ブロック23aの演算結果との和を求める。演算部24aの演算結果は、D軸電流補整値Idcorとして出力される。演算部24bは、第1ブロック22bの演算結果と第2ブロック23bの演算結果との差を求める。演算部24bの演算結果は、Q軸電流補整値Iqcorとして出力される。
演算部13aは、電力制御部11から出力されるD軸電流指令値Idordpと、インピーダンスモデル12から出力されるD軸電流補整値Idcorとを加算して、D軸電流指令値Idordとして出力する。演算部13bは、電力制御部11から出力されるQ軸電流指令値Iqordpと、インピーダンスモデル12から出力されるQ軸電流補整値Iqcorとを加算して、Q軸電流指令値Iqordとして出力する。
定電流制御部14は、ACR(Automatic Current Regulator)の機能を有し、定電流制御を行う。定電流制御部14は、演算部13a,13bからそれぞれ出力されるD軸電流指令値Idord及びQ軸電流指令値Iqordと、D軸電流測定値Idmes及びQ軸電流測定値Iqmesとに基づいて定電流制御を行う。
図3は、本発明の一実施形態による変換器制御装置が備える定電流制御部の構成例を示すブロック図である。図3に例示する定電流制御部14は、演算部31a,31b、制御ブロック32a,32b、電圧演算部33a,33b、及び演算部34a,34bを備える。演算部31aは、D軸電流指令値IdordとD軸電流測定値Idmesとの差を求める。演算部31bは、Q軸電流指令値IqordとQ軸電流測定値Iqmesとの差を求める。
制御ブロック32aは、演算部31aの演算結果に応じた電圧値を求め、制御ブロック32bは、演算部31bの演算結果に応じた電圧値を求める。電圧演算部33aは、D軸電流指令値Idordに応じた電圧値を求め、電圧演算部33bは、Q軸電流指令値Iqordに応じた電圧値を求める。具体的に、系統PSにおける角周波数をωとし、連系リアクトル(図1参照)をLとすると、電圧演算部33a,33bは、入力される電流指令値とωLなる式で示される値との積を求める。演算部34aは、制御ブロック32aから出力される電圧値と電圧演算部33bから出力される電圧値との差を求める。演算部34bは、制御ブロック32bから出力される電圧値と電圧演算部33aから出力される電圧値との和を求める。
演算部15aは、定電流制御部14の演算部34aから出力される電圧値と、D軸電圧測定値Vdmesとの和を求める。演算部15bは、定電流制御部14の演算部34bから出力される電圧値と、Q軸電圧測定値Vqmesとの和を求める。座標変換部16は、回転座標系(DQ座標系)の状態状を三相交流の状態量に変換する。この座標変換部16には、PLL検出位相θPLLが入力されている。
図4は、本発明の一実施形態による変換器制御装置で用いられるPLLの制御ブロック図である。図4(a)に示す通り、PLLの制御ブロックは、第1制御ブロック41と第2制御ブロック42とを備える。図4(a)に示す制御ブロックは、PLL検出位相θPLLと系統電圧(変換器用変圧器一次側電圧)の位相θとの差分Δθを算出し、この差分Δθを零にするように制御を行う。
図4(a)に示す第1制御ブロック41は、上記の差分ΔθからPLLの角速度ωを求める。第2制御ブロック42は、上記のPLLの角速度ωからPLL検出位相θPLLを求める。ここで、αβ変換後の系統電圧をVα,Vβとすると、上記のPLL検出位相θPLL、系統電圧の位相θ、及び差分Δθは、例えば、図4(b)に示す関係にある。
第1制御ブロック41及び第2制御ブロック42に示したKはゲインであり、Tは時定数である。第1制御ブロック41のゲインKは、例えば30.0に設定され、第1制御ブロック41の時定数Tは、例えば3.0[s]に設定される。第2制御ブロック42のゲインKは、例えば1.0に設定され、第2制御ブロック42の時定数Tは、例えば1.0[s]に設定される。
PWM波形生成部17は、座標変換部16で変換された三相交流から、変換器IVに出力する駆動信号としてのPWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)信号を生成する。変換器IVは、PWM波形生成部17から出力されるPWM信号によって駆動され、これにより分散型電源DSと系統PSとの間で電力が入出力される。
図5は、本発明の一実施形態おいて実現される制御系のイメージを示す図である。図5に示す通り、変換器IVでは、制御部1A(図1参照)による制御系C1と、電流補整部1B(図1参照)による制御系C2とが実現される。制御系C1は、電流ベクトル制御によって、分散型電源DSと系統PSとの間で電力を入出力させる制御系である。制御系C2は、制御系C1に対して並列接続され、所望のインピーダンス(仮想インピーダンス)を介して系統PSに電圧源が接続されている場合に流れる電流を、系統PSに供給する制御系である。
〈変換器制御装置の動作〉
図6は、本発明の一実施形態による変換器制御装置の動作の概要を示すフローチャートである。尚、図6に示すフローチャートの処理は、一定の制御周期で繰り返し行われる。変換器制御装置1の動作が開始されると、変換器IVに対して位相同期ループを用いた電流ベクトル制御を行うための電流指令値(D軸電流指令値Idordp、Q軸電流指令値Iqordp)を出力する処理が電力制御部11によって行われる(ステップS11:第1ステップ)。
また、変換器IVに模擬させるインピーダンスのインピーダンスモデル12を用いて、電流補整値(D軸電流補整値Idcor、Q軸電流補整値Iqcor)を出力する処理が電流補整部1Bによって行われる(ステップS12:第2ステップ)。一例として、図2に示す通り、入力されるD軸電圧指令値Vdord(1.0[pu])とD軸電圧測定値Vdmesとの差と、入力されるQ軸電圧指令値Vqord(0.0[pu])とQ軸電圧測定値Vqmesとの差と求め、これらの差から上記の電流補整値(D軸電流補整値Idcor、Q軸電流補整値Iqcor)を求めて出力する処理が電流補整部1Bによって行われる。
尚、図6では、便宜的に、上記のステップS12の処理が、上記のステップS11の後に行われるように図示しているが、これらステップS11,S12の処理は、並列して行われる点に注意されたい。
次に、電力制御部11から出力される電流指令値と、電流補整部1Bから出力される電流補整値とを加算する処理が演算部13a,13bで行われる(ステップS13:第3ステップ)。具体的には、電力制御部11から出力されるD軸電流指令値Idordpと電流補整部1Bから出力されるD軸電流補整値Idcorとを加算する処理が演算部13aで行われ、電力制御部11から出力されるQ軸電流指令値Iqordpと電流補整部1Bから出力されるQ軸電流補整値Iqcorとを加算する処理が演算部13bで行われる。
以上の処理が終了すると、演算部13a,13bの加算結果(D軸電流指令値Idord、Q軸電流指令値Iqord)に基づいて、電流ベクトル制御を行うために変換器IVに出力する駆動信号を生成する処理が、定電流制御部14、演算部15a,15b、座標変換部16、及びPWM波形生成部17で行われる(ステップS14:第4ステップ)。尚、定電流制御部14~PWM波形生成部17で行われる処理は、既知の処理であるため、詳細な説明は省略する。
ここで、本実施形態の変換器制御装置1は、変換器IVに対して従来の電流ベクトル制御を行う場合と同様に、端子電圧を検出し、端子電圧の位相と同じ位相となるようにPLLを同期させる。このため、定常運転状態において、系統電圧はD軸上にのみ存在し、Q軸電圧は常に零となるようにPLLが動作することとなる。変換器制御装置1で行われる制御は、電流制御型仮想同期機のインピーダンスモデルの機能のみを抽出して電流ベクトル制御に付け加えた制御とも捉えることができる。
一方で、系統PSの周波数は一般に、電圧位相の微分で計算されるため、Q軸電圧が発生することは系統周波数が変化したということである。このため、変換器制御装置1で行われる制御は、系統周波数の変化時に有効電力を出力するという意味で、擬似慣性制御と同様の働きをする制御と考えることもできる。但し、変換器制御装置1の制御によって行われる動作と擬似慣性制御で行われる動作とが、完全に同じ動作という意味ではない点に注意されたい。
次に、系統擾乱発生時おける変換器制御装置1の動作について説明する。図7は、本発明の一実施形態による変換器制御装置の系統擾乱発生時の動作を説明するための図である。尚、ここでは、説明を簡単にするために、仮想同期機のインピーダンス(仮想インピーダンス)及び連系される系統PSの主成分はリアクタンス成分(X分)であるとする。
(1)D軸方向の電圧変動に対する動作
系統擾乱等によってD軸方向の電圧が低下した場合を考える。例えば、図7(a)に示す通り、D軸方向の電圧がΔVだけ低下したとする。この場合において、変換器制御装置1は、系統PSに無効電流を注入するように動作する。例えば、図7(a)に示す通り、補償のためのQ軸電流Iを注入するように動作する。
無効電流が注入されることで系統電圧は系統PSのリアクタンス成分Xに応じて上昇する。例えば、図7(a)に示す補償電圧量(系統PSのリアクタンス成分XにQ軸電流Iを乗じて得られる電圧)だけ系統電圧が上昇する。このように、D軸方向の電圧変動が生じた場合には、変換器制御装置1は、D軸方向の電圧変動を打ち消すように動作する。
(2)Q軸方向の電圧変動に対する動作
系統擾乱等によってQ軸方向の電圧が変動した場合(系統位相が変動した場合)を考える。例えば、図7(b)に示す通り、Q軸方向の電圧がΔVだけ上昇したとする。この場合において、変換器制御装置1は、系統PSに有効電流を注入するように動作する。例えば、図7(b)に示す通り、補償のためのD軸電流Iを注入するように動作する。
有効電流が注入されれば、系統位相の変動が打ち消される。例えば、図7(b)に示す補償電圧量(系統PSのリアクタンス成分XにD軸電流Iを乗じて得られる電圧)だけ系統電圧位相が変化する。このように、Q軸方向の電圧変動が生じた場合には、変換器制御装置1は、Q軸方向の電圧変動を打ち消すように動作する。尚、電源脱落等が発生し、系統周波数が低下している最中もQ軸方向に電圧が変動するが、変換器制御装置1は、この変動を打ち消すように動作する。
以上から、変換器IVが変換器制御装置1によって制御されることで、以下に示す効果が期待できる。
(1)系統電圧の大きさ(D軸電圧)の変動緩和
(2)系統電圧の位相方向(Q軸電圧)の変動緩和(≒系統周波数の変動緩和)
尚、インピーダンスモデル12は、抵抗成分を零とした場合には、図8に示すものとなる。図8は、本発明の一実施形態による変換器制御装置で用いられるインピーダンスモデルの他の例を示すブロック図である。図8に示す通り、抵抗成分を零とした場合のインピーダンスモデル12は、2つのブロック25,26を備えるものとなる。
ブロック25は、Q軸電圧測定値Vqmesを入力とし、D軸電流補整値Idcorを出力とするブロックである。ブロック25は、定位相角制御(AAR:Automatic Angle Regulator)を行うブロックである。ブロック26は、D軸電圧測定値Vdmesを入力とし、D軸電流補整値Idcorを出力とするブロックである。ブロック26は、定電圧制御(AVR:Automatic Voltage Regulator)を行うブロックである。
ここで、変換器制御装置1と仮想同期機制御を行う装置とを比較すると、変換器制御装置1は、慣性等の設定項目を有しない。しかしながら、変換器制御装置1では、PLLの位相同期の遅れが発電機の慣性に類似した役割を果たす(慣性そのものではない点に注意されたい)。以下にその理由を述べる。図9は、本発明の一実施形態による変換器制御装置におけるPLLの役割を説明するための図である。
まず、図9(a)に示す通り、同期機SM1が、慣性が無限大と見なせる同期機SM2と連系されている系統において、同期機SM2の位相がa度だけ減少した場合を考える。尚、簡単のため、同期機SM1,SM2の機械入力は一定とし、同期機SM1,SM2の初期の出力は零であり、同期機SM1と同期機SM2との初期の位相差は零であるとする。このような場合には、図9(a)に示す通り、同期機SM1から同期機SM2に出力される電力が増加することとなる。
ここで、図9(b)に示す通り、仮に、同期機SM1の慣性が無限大である場合には、同期機SM2と同期機SM1との位相差は縮まらない。このため、同期機SM1は電力を出力し続けたままとなる。これに対し、図9(c)に示す通り、仮に、同期機SM1の慣性が小さければ、同期機SM1は、回転数が変化して同期機SM2との位相差が縮まる方向に動作する。これにより、同期機SM1から出力される電力は少なくなっていき、同期機SM1と同期機SM2と位相差が零になると(同期機SM1の位相がa度だけ減少すると)初期状態に戻る。
次に、図9(d)に示す通り、変換器制御装置1によって制御される変換器IVが、慣性が無限大と見なせる同期機SM2と連系されている系統において、同期機SM2の位相がa度だけ減少した場合を考える。尚、簡単のため、初期状態は、図9(a)と同様であるとする。このような場合には、図9(d)に示す通り、Q軸電圧が発生するため、変換器IVから同期機SM2に出力される電力が増加することとなる。
ここで、図9(e)に示す通り、仮に、変換器制御装置1におけるPLLの位相同期速度が無限に遅い場合には、系統位相の変化によって発生したQ軸電圧が無限に長く残り続ける。このため、変換器IVは電力を出力し続けたままとなる。これに対し、図9(f)に示す通り、仮に、変換器制御装置1におけるPLLの位相同期速度が速い場合には、即座に位相が同定され、系統位相の変化によって発生したQ軸電圧は検出されなくなる。これにより、変換器IVから出力される電力は少なくなっていき、PLLの位相同期が完了すると初期状態に戻る。
以上の通り、変換器制御装置1では、PLLの位相同期の遅れが発電機の慣性に類似した役割を果たす。このように、PLLの位相同期の遅れは、発電機の慣性に類似した役割を果たすことから、PLLは、変換器IVに模擬させる同期機の慣性が大きくなるにつれて、位相同期速度が遅くなるように設定するのが好ましい。つまり、変換器IVに模擬させる同期機の慣性が大きくなるほど位相同期速度を遅く設定し、変換器IVに模擬させる同期機の慣性が小さくなるほど位相同期速度を速く設定するのが好ましい。
〈シミュレーション解析〉
本出願の発明者は、変換器制御装置1によって制御される変換器IVの動作を検証するためにシミュレーションを行った。このミュレーションは、瞬時値解析が可能な電力系統瞬時値解析プログラム(XTAP(eXpandable Transient Analysis Program))を使用して実施した。シミュレーションにより、三相地絡(3LG)が生じた場合の動作と、電源脱落が生じた場合の動作とを検証した。
図10は、シミュレーションに用いた解析対象系統を示す図である。図10(a)は、3LGが生じた場合の動作を検証するための系統(3LG検証系統)であり、図10(b)は、電源脱落が生じた場合の動作を検証するための系統(電源脱落検証系統)である。図10に示す通り、変換器IVの直流側には理想的な直流電圧源VSが接続されているとしている。実際の変換器IVの直流側には、電池、分散型電源、直流送電網を介した他の交流系統等の諸設備が接続されることが多い。しかしながら、シミュレーションでは、変換器制御装置1によって制御される変換器IVの動作を検証することを目的としていることから、これらの設備を理想化して直流電圧源VSで代替している。
尚、シミュレーションでは、計算の簡略化のため、変換器IVは平均化モデルを使用している。図11は、シミュレーションで用いる変換器の平均化モデルを説明するための図である。変換器IVは、変換器制御装置1から出力される駆動信号によってスイッチング動作する。変換器IVの平均化モデルは、変換器IVのスイッチング動作を模擬せず、スイッチング周期を平均化区間としてリプルを平均化するモデルである。
実際の変換器IVからは、図11(a)に示す通り、PWM変調された電圧が出力される。これに対し、変換器IVの平均化モデルからは、図11(b)に示す通り、変調波(定常状態では理想正弦波)が出力される。図11(b)に示す変換器IVの平均化モデルを用いることで、回路規模を削減することができるとともに、計算時間刻みの延伸も行うことができることから、計算量を大幅に軽減することができる。
図10(a)に示す3LG検証系統は、無限大母線を模擬する電圧源と、短絡容量を模擬する抵抗及びリアクトルとにより構成される。ここで、短絡容量比は2回線時に6.93に設定している。交流側の事故地点は、変換器IVの至近端とし、交流事故は事故回線を遮断器CBにより開放することで除去する。図12は、3LGの解析に用いた変換器の諸定数を示す図である。
図10(b)に示す電源脱落検証系統は、2台の同期機SM11,SM12と、これらの中間点に接続された変換器IV及び負荷とにより構成される。同期機SM11の初期出力は1.0[pu](90[kW])であり、系統内の負荷量は1.11[pu](100[kW])としている。このため、電源脱落が生ずると、系統内の周波数は低下し続ける。尚、負荷は抵抗負荷で模擬している。図13は、電源脱落の検証に用いた変換器及び発電機の諸定数を示す図であって、(a)が変換器の諸定数を示す図であり、(b)が発電機の諸定数を示す図である。
ここで、図12及び図13(a)中の「提案制御」は、本実施形態の変換器制御装置1によって行われる制御を意味する。つまり、3LGが生じた場合の動作及び電源脱落が生じた場合の動作のシミュレーションは、図2に示すインピーダンスモデル12によって規定される仮想インピーダンスの抵抗成分rが、0.2[pu]に設定され、仮想インピーダンスのリアクタンス成分xが0.6[pu]に設定されて行われている。
尚、図12中の「仮想同期機」は、従来の仮想同期機制御を意味する。変換器IVに対して従来の仮想同期機制御が行われているときに、3LGが生じた場合の動作のシミュレーションも比較のために行った。従来の仮想同期機制御において用いられるインピーダンスモデルは、仮想インピーダンスの抵抗成分rが、0.2[pu]に設定され、仮想インピーダンスのリアクタンス成分xが0.6[pu]に設定されており、変換器制御装置1で用いられるインピーダンスモデル12と同じものとした。
《3LG》
図14は、3LGの事故シーケンスを示す図である。図14に示す3LGの事故シーケンスは、時刻2.5[s]で3LGが発生し、3LGの発生から所定時間後に遮断器CB(図10参照)が開放されることにより三相開放(3LO)が行われるものである。3LGのシミュレーションは、3LGの発生から3LOまでの時間(事故継続時間)を、0.1[s](5サイクル)、0.2[s](10サイクル)、又は0.35[s](17.5サイクル)に設定して、3ケース行っている。尚、交流事故は、事故回線を遮断器CBにより開放することによって除去される。
図15は、3LGのシミュレーション結果を示す図である。尚、図15(a)は、変換器IVが従来の仮想同期機制御により制御された場合のシミュレーション結果であり、図15(b)は、変換器IVが変換器制御装置1によって制御された場合のシミュレーション結果である。
図15(a)を参照すると、変換器IVが従来の仮想同期機制御により制御された場合には、遮断器CBによって事故回線が開放された直後に変換器電力の大きなオーバーシュートが生じ、その後に変換器電力が振動するのが分かる。また、変換器電力の振動振幅は、事故継続時間が長くなるにつれて大きくなっており、事故継続時間が0.35[s]になると、変換器電力の振動振幅が著しく大きくなって脱調が発生しているのが分かる。
これに対し、図15(b)を参照すると、変換器IVが変換器制御装置1によって制御された場合には、遮断器CBによって事故回線が開放された直後に変換器電力の多少のオーバーシュートは生ずるものの、その後は変換器電力が振動せずに収束するのが分かる。尚、事故継続時間が0.35[s]であっても、変換器電力が振動せずに収束しており、図15(a)のような脱調が発生していないのが分かる。これにより、変換器IVが変換器制御装置1によって制御されると、系統擾乱時でも脱調が発生することなく安定して動作するのが分かる。
図16は、3LGの他のシミュレーション結果を示す図である。図16に示すシミュレーション結果は、仮想インピーダンスの大きさを変えて(大きくして)3LGのシミュレーションを行った場合のものである。尚、事故継続時間(3LGの発生から3LOまでの時間)は、0.1[s](5サイクル)に固定している。
図16に示す波形W11は、仮想インピーダンスの抵抗成分rが、0.2[pu]に設定され、仮想インピーダンスのリアクタンス成分xが0.6[pu]に設定された場合のものである。つまり、波形W11は、図15(b)において、事故継続時間が0.1[s]に設定された場合の波形と同じものである。
図16に示す波形W12は、仮想インピーダンスの大きさが上記の場合の2倍に設定された場合のものであり、波形W13は、仮想インピーダンスの大きさが上記の場合の4倍に設定された場合のものである。尚、図16に示す波形W10は、変換器IVが従来の電流ベクトル制御によって制御された場合のものである。つまり、波形W10は、インピーダンスモデル12から出力されるD軸電流補整値Idcor及びQ軸電流補整値Iqcorが零である場合のものである。
図16を参照すると、仮想インピーダンスの大きさを変更すると、3LOが行われた直後の変換器電流量の大きさが変わっているのが分かる。つまり、仮想インピーダンスを調整することによって、系統PSに注入される電流量が調整可能であることが分かる。このため、仮想インピーダンスを調整することで、例えば変換器IV電流リミッターが動作してしまう事態を防止することができる。
また、図16を参照すると、仮想インピーダンスの大きさが大きくなるにつれて、波形の形状が、波形W10(変換器IVが従来の電流ベクトル制御によって制御された場合の波形)に近づいて行くことが分かる。これは、変換器制御装置1は、いわば従来の電流ベクトル制御を行う構成に、インピーダンスモデルを追加したものであるため、従来の電流ベクトル制御との親和性が高いということができる。
《電源脱落》
図10(b)に示す通り、1回線開放による電源脱落(同期機SM12の切り離し)が生じた場合のシミュレーションを行った。図17は、電源脱落のシミュレーション結果を示す図である。尚、図17(a)は、電源脱落が生じた場合の変換器有効電力Pの経時変化を示すシミュレーション結果であり、図17(b)は、電源脱落が生じた場合の発電機すべりSg(≒周波数偏差)の経時変化を示すシミュレーション結果である。
図17(a)中の波形W20及び図17(b)中の波形W30は、変換器IVの制御が行われなかった場合のシミュレーション結果である。これに対し、図17(a)中の波形W21及び図17(b)中の波形W31は、変換器IVが変換器制御装置1によって制御された場合のシミュレーション結果である。尚、図17(a),(b)では、時刻3.0[s]で電源脱落が生じている。
図17(a)中の波形W20及び図17(b)中の波形W30を参照すると、変換器有効電力Pは電源脱落が生じた後も零のままであり、発電機すべりSgの値(絶対値)は電源脱落が生じた後に時間とともに徐々に大きくなっている。これにより、変換器IVの制御が行われない場合には、電源脱落が生ずると、変換器IVから系統に電力が出力されず、周波数偏差が徐々に大きくなっていくのが分かる。
これに対し、図17(a)中の波形W21及び図17(b)中の波形W31を参照すると、電源脱落が生ずると変換器有効電力Pが正の値になり、発電機すべりSgの値(絶対値)が小さくなっている。これにより、変換器IVが変換器制御装置1によって制御される場合には、電源脱落が生ずると、変換器IVから系統に電力が出力され、変換器IVの制御が行われない場合に比べて系統周波数の低下が抑制されていることが分かる。
図18は、電源脱落の他のシミュレーション結果を示す図である。図18に示すシミュレーション結果は、仮想インピーダンスの大きさを変えて(小さくして)、又はPLLの位相同期速度の速さを変えて(遅くして)電源脱落のシミュレーションを行った場合のものである。尚、図18(a)は、電源脱落が生じた場合の変換器有効電力Pの経時変化を示すシミュレーション結果であり、図18(b)は、電源脱落が生じた場合の発電機すべりSg(≒周波数偏差)の経時変化を示すシミュレーション結果である。
図18(a)に示す波形W21及び図18(b)に示す波形W31は、図17(a),(b)にそれぞれ示すものと同じである。つまり、これら波形W21,W31は、仮想インピーダンスの抵抗成分rが、0.2[pu]に設定され、仮想インピーダンスのリアクタンス成分xが0.6[pu]に設定され、且つ、図4(a)に示す第1制御ブロック41のゲインKが30.0に設定され、第1制御ブロック41の時定数Tが3.0[s]に設定された場合のものである。
図18(a)に示す波形W22及び図18(b)に示す波形W32は、仮想インピーダンスの大きさが上記の場合の半分に設定された場合のものである。図18(a)に示す波形W23及び図18(b)に示す波形W33は、PLLの位相同期速度が上記の場合の半分に設定された場合のものである。
図18(a)に示す波形W22,W23を参照すると、仮想インピーダンスの大きさを小さくした場合及びPLLの位相同期速度を遅くした場合の何れの場合でも、変換器IVから系統に出力される電力が増加することが分かる。また、図18(b)に示す波形W32,W33を参照すると、仮想インピーダンスの大きさを小さくした場合及びPLLの位相同期速度を遅くした場合の何れの場合でも、系統周波数の低下がより抑制されていることが分かる。以上から、仮想インピーダンスの大きさ又はPLLの位相同期速度を調整することにより、系統擾乱時の電力変動を従来よりも小さくすることができる。
以上の通り、本実施形態では、分散型電源DSを系統PSに接続する変換器IVに対して位相同期ループを用いた電流ベクトル制御を行うとともに、変換器IVに模擬させるインピーダンスのインピーダンスモデル12を用い、同期機の仮想的なインピーダンスを介して系統PSに電圧源が接続されている場合に流れる電流を、系統に供給するようにしている。これにより、脱調等の同期機由来の問題が発生せず、系統擾乱時の電力変動を従来よりも小さくすることができる。
また、本実施形態の変換器制御装置1は、いわば従来の電流ベクトル制御を行う構成(制御部1A)に、インピーダンスモデル12を用いて系統PSに対する電流供給を行う電流補整部1Bを追加したものである。このため、従来の電流ベクトル制御との親和性が高く、制御が簡便である。
以上、本発明の一実施形態による変換器制御装置及び変換器制御方法について説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されることなく、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、インピーダンスモデル12の構成は、図2に示す構成に制限される訳では無く、変換器IVの特性等に応じて任意の構成とすることができる。同様に、定電流制御部14の構成は、図3に示す構成に制限される訳では無く、変換器IVの特性等に応じて任意の構成とすることができる。また、定電流制御部14に代えて、定電圧制御部を設けることも可能である。
1 変換器制御装置
1A 制御部
1B 電流補整部
11 電力制御部
12 インピーダンスモデル
13a,13b 演算部
14 定電流制御部
15a,15b 演算部
16 座標変換部
17 PWM波形生成部
DS 分散型電源
IV 変換器
PS 系統

Claims (4)

  1. 分散型電源を系統に接続する変換器の制御を行う変換器制御装置であって、
    前記変換器に対して位相同期ループを用いた電流ベクトル制御を行う制御部と、
    前記制御部と並列に接続され、前記変換器に模擬させるインピーダンスのインピーダンスモデルを用い、前記インピーダンスを介して前記系統に電圧源が接続されている場合に流れる電流を、前記系統に供給する電流補整部と、
    を備え
    前記電流補整部は、前記インピーダンスモデルを用いて、入力される電圧指令値と前記系統の電圧測定値とに応じて前記系統に供給すべき電流を規定する電流補整値を出力する、
    換器制御装置。
  2. 前記制御部は、前記電流ベクトル制御を行うための電流指令値を出力する電力制御部と、
    前記電力制御部から出力される前記電流指令値と、前記電流補整部から出力される前記電流補整値とを加算する演算部と、
    前記演算部の加算結果に基づいて、前記電流ベクトル制御を行うために前記変換器に出力する駆動信号を生成する駆動信号生成部と、
    を備える請求項1記載の変換器制御装置。
  3. 前記位相同期ループは、前記変換器に模擬させる同期機の慣性が大きくなるにつれて、位相同期速度が遅くなるように設定される、請求項1又は請求項2記載の変換器制御装置。
  4. 分散型電源を系統に接続する変換器の制御を行う変換器制御方法であって、
    前記変換器に対して位相同期ループを用いた電流ベクトル制御を行うための電流指令値を出力する第1ステップと、
    前記変換器に模擬させるインピーダンスのインピーダンスモデルを用いて、入力される電圧指令値と前記系統の電圧測定値との差分に応じて前記系統に供給すべき電流を規定する電流補整値を出力する第2ステップと、
    前記第1ステップで出力された前記電流指令値と、前記第2ステップで出力された前記電流補整値とを加算する第3ステップと、
    前記第3ステップの加算結果に基づいて、前記電流ベクトル制御を行うために前記変換器に出力する駆動信号を生成する第4ステップと、
    を有する変換器制御方法。
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