次に、図面を参照する。図面中、同様の参照番号は様々な図における同一または類似の構成要素を特定するのに使用される。図1は、磁気位置センサ28および電極30を組み込んだ、ガイドワイヤ、カテーテル、誘導針(例えば、シース)などの医療用デバイス等が使用されるシステム10の模式図である。
本開示の実施形態の詳細な記載に進む前に、かかるデバイスおよびセンサ等が使用される例示的な環境について最初に説明する。引き続き図1を参照すると、システム10は、図示されるように、様々な入力/出力メカニズム14、ディスプレイ16、任意の画像データベース18、心電図(ECG)モニタ20、医療用位置決めシステム22などの局在化システム、医療用位置決めシステム対応の医療用デバイス24、患者基準センサ26、磁気位置センサ28、および電極30を有する、主要電子制御装置12(例えば、プロセッサ)を含む。単純にするため、1つの磁気位置センサ28および1つの電極30が示されているが、1つを超える磁気位置センサ28および/または1つを超える電極30をシステム10に含めることができる。
入力/出力メカニズム14は、例えば、キーボード、マウス、タブレット、フットペダル、スイッチ、および/またはその他のうち1つまたは複数を含む、コンピュータベースの制御装置とインターフェースで接続する従来の装置を備えてもよい。ディスプレイ16も、コンピュータモニタなどの従来の装置を備えてもよい。
本明細書に記載する様々な実施形態は、関心領域のリアルタイムおよび/または事前獲得画像を使用する、ナビゲーション用途での使用法を見出してもよい。したがって、システム10は、任意に、患者の身体に関連する画像情報を格納する画像データベース18を含んでもよい。画像情報は、例えば、医療用デバイス24の行先部位を取り囲む関心領域、および/または医療用デバイス24が横断することが想到されるナビゲーションパスに沿った複数の関心領域を含んでもよい。画像データベース18のデータは、(1)過去の個々の時間にそれぞれ獲得した1つもしくは複数の二次元静止画像、(2)画像データベースがバッファとして作用する(ライブ透視)、画像獲得デバイスからリアルタイムで取得した複数の関連二次元画像、(例えば、X線画像診断装置からの透過画像)、および/または(3)シーケンスの各画像が、ECGモニタ20から取得した獲得リアルタイムECG信号にしたがってシーケンスの再生を可能にするのに適切な、各画像と関連付けられたECGタイミングパラメータを少なくとも有する、シネループを定義する関連二次元画像のシーケンスを含む、既知の画像タイプを含んでもよい。上述の実施形態は単なる例であり、本質的な限定ではないことが理解されるべきである。例えば、画像データベースは、同様に、三次元画像データも含んでもよい。更に、画像は、例えばX線、超音波、コンピュータ断層撮影、核磁気共鳴など、現在知られているかまたは今後開発される任意の画像診断モダリティによって獲得されてもよいことが理解されるべきである。
ECGモニタ20は、例えば、患者の身体の外側に外部から固着される複数のECG電極(不図示)を使用することによって、心臓器官の電気タイミング信号を連続的に検出するように構成される。タイミング信号は、一般に、中でも特に心周期の特定の位相に対応する。一般に、ECG信号は、データベース18に格納されている以前に捕捉された画像シーケンス(シネループ)をECGに同期させて再生するために、制御装置12によって使用されてもよい。ECGモニタ20およびECG電極は両方とも、従来の構成要素を備えてもよい。
別の医療用位置決めシステムセンサ、つまり患者基準センサ(PRS)26(システム10に提供される場合)は、呼吸によって誘導される動きなど、患者の身体の動きに対する動き補償を可能にするため、患者の身体の位置基準を提供するように構成することができる。このような動き補償は、「体内位置基準センサを使用した、移動する器官の動きの補償(Compensation of Motion in a Moving Organ Using an Internal Position Reference Sensor)」という名称の、米国特許出願第12/650,932号に更に詳細に記載されており、その全内容を本明細書で十分に説明されているようなものとして参照により組み込む。PRS 26は、患者の胸骨柄または他の場所に取り付けられてもよい。PRS 26は、それが配設される磁界の1つまたは複数の特性を検出するように構成することができ、医療用位置決めシステム22は、磁気基準座標系におけるPRSの位置および向きを示す配置読取り値(例えば、P&O読取り値)を決定する。
医療用位置決めシステム22は、局在化システムとして役立つように、1つまたは複数の磁気位置センサ28および/または電極30に対する位置(局在化)データを決定し、それぞれの配置読取り値を出力するように構成される。一実施形態では、医療用位置決めシステム22は、第1の医療用位置決めシステム、または第1の座標系における電極配置を決定する電気インピーダンスベースの医療用位置決めシステム22Aと、第2の医療用位置決めシステム、または第2の座標系における磁気位置センサを決定する磁界ベースの医療用位置決めシステム22Bとを含んでもよい。一実施形態では、配置読取り値はそれぞれ、基準座標系(例えば、磁気ベースの座標系またはインピーダンスベースの座標系)に対する位置および向き(P&O)の少なくとも一方または両方を含んでもよい。いくつかのタイプのセンサの場合、P&Oは、磁界発生器もしくは送信機に対する磁界内での電磁位置センサ28の、ならびに/あるいは電界発生器(例えば、一組の電極パッチ)に対する印加電界内での電極30の、三次元(3D)位置(例えば、3つの垂直軸X、Y、およびZの座標)ならびに二次元(2D)の向き(例えば、ピッチおよびヨー)として、5つの自由度(5DOF)で表現されてもよい。他のタイプのセンサの場合、P&Oは、3D位置(例えば、X、Y、Z座標)および3Dの向き(例えば、ロール、ピッチ、およびヨー)として、6つの自由度(6DOF)で表現されてもよい。
インピーダンスベースの医療用位置決めシステム22Aは、電極30および外部電極パッチから受信した捕捉および処理信号に基づいて電極配置を決定し、電極は、例えば、電極パッチによって生成される制御された電界(例えば、電場)内に配設される。図2は、例示的な電気インピーダンスベースの医療用位置決めシステム(「MPSシステム」)22Aの模式的概観である。MPSシステム22Aは、例えば、St.Jude Medical,Inc.から市販されているEnSite(商標)電気解剖マッピングシステムを含む当分野で知られているような、あるいは両方とも本発明と同一譲受人によるものであり、両方とも全体を参照により本明細書に組み込む、「心臓内におけるカテーテルのナビゲーションおよび配置およびマッピングの方法および装置(Method and Apparatus for Catheter Navigation and Location and Mapping in the Heart)」という名称のHauckらの米国特許第7,263,397号、または「組織内のインピーダンスドリフトを計算に入れてナビゲーション信号を換算する方法(Method of Scaling Navigation Signals to Account for Impedance Drift in Tissue)」という名称のHauckの米国特許出願公開第2007/0060833号を参照することによって全体的に分かるような、様々な視覚化、マッピング、およびナビゲーション構成要素を備えてもよい。
医療用位置決めシステム22Aは、患者54の心臓52の模式的描写を含む。システムは、カテーテル遠位端を心臓52の周りおよび心腔内で動かしたときの、カテーテル電極配置(即ち、位置および向き)を決定する能力を含む。この目的のため、(1)電極56、58(X軸)、(2)電極60、62(Y軸)、および(3)電極64、66(Z軸)という三組の体表面電極(パッチ)が示されている。それに加えて、体表面電極(「ベリーパッチ」)68が模式的に示されている。表面電極は全てスイッチ70に接続される。当然ながら、より少数の電極例えば3つの電極、より多数の電極、例えば12個、または異なる物理的構成、例えば、直交構成の代わりに線形構成など、他の表面電極の構成および組み合わせが、本発明とともに使用するのに適している。
医療用デバイス24は、遠位電極30を有するカテーテルとして示されている。カテーテル24は、電極30に加えて追加の電極(例えば、カテーテル先端電極および/またはリング電極)、ならびに1つまたは複数の磁気位置センサ(不図示)を有してもよい。図2はまた、例えば、較正の目的で心臓上に据え付けられる固定の基準電極76を有する第2の独立したカテーテル74を示している。多くの例において、心臓52内の冠状静脈洞電極または他の固定の基準電極76は、電圧および変位を測定するための基準として使用することができる。
カテーテル24は更に他の電極を含んでもよく、EPまたはRFアブレーションの実施形態など、他の実施形態では、他の電極は、あらゆる診断および/または治療の目的で使用されてもよいことが理解されるべきである。例えば、かかる電極、またしたがってかかるカテーテルは、アブレーション処置、心臓マッピング、電気生理学的(EP)研究、ならびに他の診断および/または治療処置を実施するのに使用されてもよい。実施形態は、いずれか1つのタイプのカテーテルまたはカテーテルベースのシステムまたは処置に限定されない。
図2は更に、コンピュータシステム78、信号発生器80、アナログデジタル変換器82、およびローパスフィルタ84を示している。コンピュータシステム78は、本明細書に記載する様々な機能および動作を実施するように構成された処理装置を含む。コンピュータシステム78は、表面電極の様々な対(ダイポール)を選択的に励磁する、所定の戦略にしたがって、信号発生器80を制御するように構成されてもよい。動作の際、コンピュータシステム78は、(1)フィルタ84およびA/D変換器82を介して未加工パッチデータ(即ち、電圧読取り値)を取得し、(2)未加工パッチデータを(電極測定値と併せて)使用して、心臓またはその内腔内部に位置決めされたカテーテル電極(例えば、電極30など)の、三次元座標系(例えば、インピーダンスベースの座標系)における未加工の補償していない電極配置座標を決定してもよい。コンピュータシステム78は更に、1つまたは複数の補償および調節機能を実施し、電極72などの1つまたは複数の電極の座標系14における配置を出力するように構成されてもよい。動き補償は、例えば、全体を参照により本明細書に組み込む、「自動利得制御を用いた動的適応性呼吸補償(Dynamic Adaptive Respiration Compensation with Automatic Gain Control)」という名称の米国特許出願第12/980,515号に記載されているような、呼吸によって誘導される患者の身体の動きに対する補償を含んでもよい。
各体表面(パッチ)電極はスイッチ70に独立して連結され、電極対は、コンピュータシステム78上で稼働するソフトウェアによって選択され、それによってパッチが信号発生器80に連結される。電極対、例えばZ軸電極64および66は、信号発生器80によって励起されて、患者54の身体および心臓52に電界を発生させてもよい。一実施形態では、パッチ電極の異なる組が選択され、(一実施形態の)励起されていない表面電極の1つまたは複数が電圧を測定するのに使用されるので、この電極励起プロセスは迅速かつ逐次的に行われる。励起信号(例えば、電流パルス)を伝達する間、残りの(励起されていない)パッチ電極はベリーパッチ68を基準としてもよく、これら残りの電極に印加された電圧はA/D変換器82によって測定される。このように、表面パッチ電極は、駆動された電極と駆動されていない電極のセットに分割される。ローパスフィルタ84は電圧測定値を処理してもよい。フィルタ処理された電圧測定値は、アナログデジタル変換器82によってデジタルデータに変換され、コンピュータ78に送信されて、ソフトウェアの指示によって格納される。この一連の電圧測定値は、本明細書では「パッチデータ」と呼ばれる。ソフトウェアは、表面電極の各対の各励起の間に各表面電極で作られた個々の電圧測定値それぞれにアクセスする。
パッチデータを、電極30で作られた測定値と併せて使用して、患者ベースの座標系または患者基準フレーム6と呼ばれることがあるものにおける、電極30の相対配置が決定される。つまり、パッチは患者に直接適用されるので、患者はインピーダンス測定値の基準フレームを定義する。6つの直交表面電極それぞれの電位は、(一実施形態の)特定の表面電極対が駆動される場合を除いて、全てのサンプルに対して獲得されてもよい。一実施形態では、表面電極が駆動された対のソースまたはシンクとして作用している間のサンプリングは、この時間の間に駆動された電極で測定される電位が電極インピーダンスおよび高い局所的電流密度の影響によって歪むことがあるため、通常は回避される。しかしながら、代替実施形態では、サンプリングは全てのパッチ(駆動されているものでも)において行われてもよい。
一般に、一実施形態では、生物導体内におけるカテーテルの局在化機能を実現するために、3つの名目上直交している電界は、一連の駆動され感知された電気ダイポールによって生成される。あるいは、これらの直交する電界を分解することができ、表面電極の(例えば、非直交の)任意の対をダイポールとして駆動して、有効な電極の三角測量が提供されてもよい。図3A~図3Dは、インピーダンスベースの座標系2に設定された、D0、D1、D2、およびD3と指定された複数の例示的な非直交のダイポールを示している。図3A~図3DではX軸表面電極はXAおよびXBと指定され、Y軸表面電極はYAおよびYBと指定され、Z軸電極はZAおよびZBと指定されている。いずれかの望ましい軸に関して、駆動(ソースシンク)構成の所定の組によってもたらされる心臓内電極30で測定された電位が、代数的に組み合わされて、直交軸に沿って均一な電流を単純に駆動することによって得られるであろうものと同じ有効電位を産生してもよい。表面電極56、58、60、62、64、66(図2を参照)のうち任意の2つが、接地基準、例えばベリーパッチ68に対するダイポールのソースおよびドレインとして選択され、一方で励起されていない体表面電極が、接地基準に対して電圧を測定してもよい。心臓52内に配置された測定電極30も、電圧パルスからの電界に暴露され、接地、例えばベリーパッチ68に対して測定される。実際上、心臓内のカテーテルまたは複数のカテーテルは複数の電極を含んでもよく、各電極電位は別個に測定されてもよい。あるいは、上述したように、例えば、少なくとも1つの電極が心臓の内表面に固定されて、やはり接地に対して測定される固定の基準電極76を形成してもよい。
表面電極および内部電極それぞれからのデータセットは全て、心臓52内における測定電極30の配置を決定するのに使用される。電圧測定が行われた後、異なる表面電極対が電流源によって励起され、残りのパッチ電極および内部電極の電圧測定プロセスが行われる。シーケンスは迅速に、例えば一実施形態では、1秒当たり100回程度行われる。第1の近似に対して、心臓内の電極における電圧は、上記で参照した米国特許第7,263,397号に更に十分位記載されているように、心臓内の電界を確立するパッチ電極間の位置との線形関係を有する。
磁気ベースの医療用位置決めシステム22Bは、磁気位置センサ28から受信した捕捉および処理信号に基づいて、磁気座標系における磁気位置センサの配置(例えば、P&O)を決定し、センサは、制御された低強度の交流(AC)磁界(例えば、磁界)内に配設される。各磁気位置センサ28などはコイルを備えてもよく、電磁的観点から、変化する磁界またはAC磁界は、コイルが磁界内にあるとき、コイル内で電流を誘導してもよい。磁気位置センサ28は、したがって、それが配設される磁界の1つまたは複数の特性(例えば、磁束)を検出し、それらの特性を示す信号を生成するように構成され、信号は更に、例えば磁界発生器に対する磁気センサ28のそれぞれのP&Oを取得するため、医療用位置決めシステム22Bによって処理される。
図4は、システム88と指定される、X線透視法ベースの画像診断環境内にある例示的な磁界ベースの医療用位置決めシステム22Bの模式図である。位置および向き(P&O)読取り値を決定する、磁界発生器または磁気送信機アセンブリ(MTA)90および磁気処理コア92は、全体として、磁界ベースの位置決めシステム22Bを定義する。MTA 90は、図4にモーションボックス94として指定される既定の三次元空間内において、患者の胸腔内およびその周りで磁界を生成するように構成される。デバイス24(例えば、カテーテルまたは別の医療用デバイス)と連結された磁界センサは、磁界の1つまたは複数の特性を感知するように構成され、センサがモーションボックス94内にあるとき、磁気処理コア92に提供されるそれぞれの信号をそれぞれ生成する。処理コア92は、これらの検出された信号に応答し、各磁界センサに対してそれぞれの三次元位置および向き(P&O)読取り値を計算するように構成される。したがって、MPSシステム22Bは、三次元空間内における各磁界センサのリアルタイム追跡を可能にし、それによって磁気ベースの座標系4が形成される。センサの位置は、単なる例として、心臓モデルまたは幾何学形状に対してディスプレイ96上に示されてもよい。磁界ベースの医療用位置決めシステムの更なる例示的実施形態は、共同所有の米国特許第7,386,339号および米国特許出願第2013/0066193号で説明されており、それらの全体を参照により本明細書に組み込む。例えば、米国特許第7,197,354号および第6,233,476号を参照しても分かるように、変形が可能であることが理解されるべきであり、それらも全体を参照により本明細書に組み込む。体表面電極が患者に直接適用されるので、患者基準フレーム6に基づいた原点を有する、図2に関連して検討した電気インピーダンスベースのシステムとは異なり、磁界ベースのシステムの原点は、一般的に、(例えば、破線によって示されるような)MTA 90を拠点とするかまたはそれに基づき、患者とは独立している。換言すれば、患者座標系(例えば、患者基準フレーム)6および磁気ベースの座標系4は異なる原点を有する。
図4に更に示されるように、患者基準センサ(PRS)26が患者に適用されてもよい。一実施形態では、PRS 26は患者の胸骨柄に取り付けられてもよい。しかしながら、PRS 26の他の患者配置が可能である。一実施形態では、PRS 26は、それが配設される磁界の1つまたは複数の特性を検出するように構成された磁気センサであり、医療用位置決めシステム22Bは、PRS 26の(例えば、磁気ベースの座標系における)位置および向きを示す配置読取り値(例えば、P&O読取り値)を決定する。本出願の場合、PRSは、患者基準座標系または患者基準フレーム6(PRF)の原点(例えば、PRF 0,0,0)を定義する。原点は、センサの実際の配置からオフセットされてもよい。つまり、所定のオフセット(例えば、x、y、およびz)が、患者におけるセンサの配置と所望の原点との間の推定距離と対応する、PRS測定値に適用されてもよい。例えば、心臓に適用する場合、原点は、患者の心臓内にあるようにセンサからオフセットされてもよい。更に、2つ以上のPRSを適用して、PRF 6の更なる向き情報が提供されてもよい。任意の実施形態では、PRS 26が患者に取り付けられ、患者の動きとともに移動するにつれて、PRF 6の原点も移動する。かかる動きは、患者の呼吸および/または患者の物理的な動き(横移動、回転など)によってもたらされてもよい。PRF 6の原点は、したがって、患者の位置に依存し、時間に伴って更新されてもよい。より具体的には、PRSの測定値は磁界座標系において決定されてもよく、この測定値はPRFの原点として(例えば、調節を含めて)利用されてもよい。
上述したように、インピーダンスベースの医療用位置決めシステムおよび磁気ベースの医療用位置決めシステムは、異なる長所および短所を有する。例えば、インピーダンスベースのシステムは、比較的多数の電極を同時に位置確認する能力を提供する。しかしながら、インピーダンスベースのシステムはヒトの体内における電流の流れを用いるので、システムは、様々な生理的現象(例えば、局所的な導電性の変化、汗/パッチの相互作用など)によって起こるシフトおよび/またはドリフトによって、測定が不正確になる場合がある。それに加えて、インピーダンスベースのシステムは電気的干渉を受けることがある。結果として、かかるインピーダンスベースの測定に基づいた電極配置、レンダリング、幾何学形状、および/または表現が歪むことがある。他方で、磁気ベースのシステムは、患者の解剖学的構造の特性に依存せず、より高い精度を提供するものと見なされる。しかしながら、磁気位置センサは、一般に、比較的少数のセンサを追跡することに限定される。
電気インピーダンスベースの位置決めシステムの利点(例えば、多数の電極の位置決め)を、磁界ベースの座標系の利点(例えば、患者の解剖学的構造に依存しないこと、高精度であること)と組み合わせる、システムを提供する努力が成されてきた。一実施形態では、かかるシステムは、電気インピーダンスベースの位置決めシステムの座標系を磁界ベースの位置決めシステムの座標系と位置合わせすることによって提供されてもよい。かかる構成では、磁気ベースの座標系における1つまたは複数の磁気センサの配置を特定するのと併せて、電極の配置が、インピーダンスベースの座標系において特定されてもよい。一実施形態では、電極および磁気センサの少なくとも一部分が共同配置されて、起点ペアを定義してもよい。この共同位置によって、座標系間の変換(例えば、変換行列)を決定することが可能になる。変換は、任意の電極の位置に適用されて、変換が決定されると、これらの位置を磁界ベースの座標系に位置合わせしてもよい。したがって、電気インピーダンスベースの電極を、磁界ベースの位置決めシステムの座標系において特定し、それによって電極の位置決め精度を向上することができる。かかるシステムは、上記で組み込んだような、共同所有の米国特許出願公開第2013/0066193号で説明されている。
改善された電極の位置決めを提供する一方、インピーダンスベースの座標系と磁気ベースのインピーダンスシステムとの間における変換の決定、およびそれに続く磁気座標系に対する電極配置の位置合わせは、電極と関連付けられた、様々なインピーダンスのシフトおよび/またはドリフトの説明を失敗する場合がある。つまり、インピーダンスベースのシステムは生理学的現象による非線形のシフトおよび/またはドリフトを受ける場合がある。これらの考え方に沿って、以前の試みでは、シフトおよび/またはドリフトを特定し、位置合わせに対して補正を適用することを対象としていた。かかるシステムは、全体が参照により本明細書に組み込まれる、共同所有の米国特許出願公開第2016/0367168号で説明されている。一般に、かかるシステムは、インピーダンスベースのシステムと磁気ベースのシステムとの間の変換を決定し、電極配置に対して補正を適用する。
電極情報(例えば、インピーダンス測定値)および磁気センサ情報を利用して、三次元空間で(例えば、患者の体内で)改善された電極位置決めを提供する以前のシステムは、主に、インピーダンスベースの測定値に依存している。つまり、磁気センサ情報(例えば、磁気センサ測定値)が追加の精度をもたらす。これは、インピーダンス優位の配置構成として説明されてもよい。インピーダンス測定値の歪みまたは一時的な不安定により、かかる構成は不安定になることがある。更に、以前のインピーダンス優位の配置構成は、場合によっては、システム内の様々な誤差の説明に失敗する。例として、インピーダンスベースの座標系と磁気ベースのインピーダンスシステムとの間の変換は、電極および/または磁気センサ測定値の誤差もしくは不確実性を低く見積もることがある。更なる例として、かかるシステムは、電極の計算された配置または位置に影響することがある、他のシステム入力(例えば、患者の動き、医療用デバイスの形状など)を考慮に入れられないことがある。概して、磁気ベースのシステムに対するインピーダンスベースのシステムの位置合わせは、観察および/または推論することができ、また三次元空間内におけるカテーテルおよび/または電極位置の全体的な特定を改善することができる、追加情報を含めることに失敗することがある。
患者の体内などの三次元空間内における電極の配置を決定する、改善されたシステムを提供するため、本開示は、電極および外部パッチからのインピーダンス測定値を磁気センサからの位置および向きの測定値と連続的に統合(例えば、融合)して、患者基準フレーム内に配設された医療用デバイスの潜在状態(例えば、位置)を推定する、配置構成(例えば、センサ融合プロセスもしくはアルゴリズム)を対象とする。潜在状態は、各カテーテル電極に配置された磁気センサであるものとして、患者の体内のカテーテル電極を追跡し、それによって精度および安定性の両方を達成するのに使用される。より広範には、提示する構成は、電極およびセンサの起点ペアが存在することに基づいた、インピーダンスベースの座標系と磁気ベースのインピーダンス座標系との間の直接変換に依存することなく、患者基準フレーム内の電極を位置確認するのに利用される、観察されたパラメータの数を拡張する。起点ペアは、本開示のシステムおよび方法には必須ではない。それよりもむしろ、インピーダンス測定値および磁気測定値が、患者基準フレーム内におけるカテーテル電極配置を推定/予測し更新する、システムモデル全体に対する入力として利用される。カテーテルおよび/または電極配置は、磁気およびインピーダンス測定値両方を使用して追跡されてもよい。
図5Aは、カテーテルおよび/または電極配置システムモデルを数学的に定義するのに使用される、独立モデルの一実施形態を示している。つまり、独立モデルは(例えば、患者基準フレームにおける)システムの複合モデル40を定義する。複合システムモデル40の図示される実施形態は、カテーテル基準フレーム8内における1つもしくは複数の電極および/または磁気センサを有するカテーテルの形状(例えば、カテーテル構成)を予測する、カテーテルモデル42(例えば、医療用デバイスモデル)と、カテーテルに特異的な固有の変換に基づいて、カテーテル基準フレーム8から患者基準フレーム6へとカテーテルモデルを変換する、カテーテル位置および向きモデル44と、患者基準フレーム内における磁気センサ測定値を予測する磁気モデル46と、患者基準フレーム内における電極インピーダンス測定値を予測する、インピーダンスモデル48と、患者の呼吸に基づいて予測インピーダンスおよび/または磁気測定値のアーチファクトを予測する、呼吸モデル55という、5つのモデルを含む。各モデルは、システム全体の一部分を数学的に説明する。しかしながら、全てのモデルが複合モデルに必須なわけではないことが認識されるであろう。つまり、複合モデルは、モデルのいくつかまたは全ての異なる組み合わせを使用してもよい。一実施形態では、磁気モデルは更に、患者基準フレームに対するPRS 26の位置の調節を追跡する、患者基準センサモデル57を含む。
図5Bは、モデルの様々な1つの協働を更に示している。最初に、カテーテルモデル42は、患者の身体(例えば、心臓52)などの三次元空間内に配設された、対応する物理的なカテーテル50のカテーテル形状を予測し、物理的なカテーテル50は、電極331~334の組と磁気センサ282とを有する。図示される実施形態では、カテーテル形状モデル42は、カテーテル基準フレーム8内における、モデル電極301~304およびモデル磁気センサ281(即ち、物理的な電極331~334および磁気センサ282に対応するもの)のモデル位置または配置を含む。位置および向きモデル44は、1つまたは複数の変換をカテーテルモデル42に適用して、モデルをカテーテル基準フレーム8から患者基準フレーム6へと平行移動させる。変換の際、モデル電極301~304および/またはモデル磁気センサ281の配置(例えば、予測配置)が、患者の心臓52に配置されて示されるような、電極301~304の丸印および磁気センサ281のベクトルによって示されるように、患者基準フレーム6内で予測(例えば、投影)される。インピーダンスモデル48は、患者基準フレーム内におけるモデル電極301~304の予測電極配置に対して、インピーダンス応答または測定値311~314を予測し、磁気モデル46は、患者基準フレーム内におけるモデルセンサ281の予測配置に対して、応答または測定値を予測する。これは、各予測モデル電極配置に対する予測電極応答(例えば、配置)311~314が黒丸によって表され、モデルセンサ281に対する予測磁気測定値291が実線のベクトルによって表される、図5Cに示されている。インピーダンスベースの医療用位置決めシステムは、印加された電場に対する、患者の身体(例えば、患者基準フレーム)内における物理的な電極331~334の実際の応答351~354(例えば、観察された測定値)を測定して、破線の円によって表されるような、電極の応答(例えば、配置)を決定する。磁気ベースの医療用位置決めシステムが利用された場合、破線のベクトル292によって表されるような、患者の体内における磁気センサの応答(例えば、配置)282を測定する。図5Cの拡大部分によって示されるように、物理的な電極および/またはセンサ(不図示)の測定応答(例えば、351)、ならびに電極(例えば、311)および/またはセンサ(不図示)の予測応答はそれぞれ、何らかの未知の誤差またはノイズ(例えば、不確実性)を含む。一実施形態では、予測応答は呼吸モデル55からの呼吸アーチファクトを含む。一実施形態では、測定応答および予測応答の不確実性は部分的に重なり合ってもよい。予測測定値および観察された測定値は、次に、図5CでXによって表されるような、電極371~374の真の(例えば、更新された)または計算された配置を予測するのに利用される。図5Cの拡大部分に示されるように、計算された配置371は、予測応答配置および測定応答配置の重なりの中にあってもよい。任意の実施形態では、計算された配置は、一般的に、予測応答または観察された応答のどちらかによって得られる配置よりも高い精度を有する。計算された配置は次に、ディスプレイに出力されてもよい。例えば、図1を参照のこと。つまり、カテーテルもしくは他の医療用デバイスの更新された表現または描画が、計算された配置を使用して、ディスプレイに出力されてもよい。
カテーテルモデル
以下、カテーテル基準フレーム内における磁気センサおよび電極の配置を特定することを可能にする、単純化したカテーテルモデル(即ち、図6A)を提供する。図6Aのモデルは、単一の磁気センサと磁気センサに対する向きが分かっている4つの電極とを備えた、剛性カテーテルを対象とする。しかしながら、他のより複雑なカテーテルモデルが可能であることが認識され、かかる複雑なカテーテルモデルについては図6B~図6Dに関連して更に考察する。後述するように、より複雑なカテーテルモデルは、モデルが、形状保存変換(例えば、単位四元数および平行移動)とともに使用される、変形可能な区画(例えば、フレネセレ基準フレームに沿った少数の湾曲および歪み)を含んで、患者基準フレーム内におけるカテーテル形状、および/または位置および向きを説明するように、カテーテル変形を提供してもよい。一例では、カテーテル基準フレーム内における電極配置を決定するのに使用されるカテーテルモデルは、全内容を参照により本明細書に組み込む、2018年11月7日に出願された「センサ融合プロセスのためのカテーテルの数学モデル(Mechanical Models of Catheters for Sensor Fusion Processes)」という名称の米国仮特許出願第62/756,915号に記載されている。
再び図6Aを参照すると、カテーテル24が単一の磁気位置センサ28と4つの電極30-1、30-2、30-3、30-4(以下、具体的に参照しない限り、30)とを有する、例示的な医療用デバイスまたはカテーテル24の側面図が示されている。モデルの複雑性を低減するか、または次元性(例えば、モデルパラメータの数)を低減するために、カテーテル基準フレーム内における電極の位置および向きを、磁気センサの位置の関数として決定するのが望ましいことがある。例えば、カテーテルと関連付けられた仕様(例えば、磁気位置センサ28に対する電極30の位置を詳述したメーカー仕様)を使用して、カテーテル基準フレーム内における電極の配置が、磁気センサの位置から決定されてもよい。例えば、磁気位置センサ28(例えば、5または6自由度のセンサ)の位置および向きに基づいて、磁気位置センサに関するベクトルを決定することができる。いくつかの実施形態では、ベクトルは磁気位置センサ28(例えば、磁気コイル)の遠位端に向かう方向であることができ、磁気位置センサ28と同軸であることができる。磁気位置センサ28は剛性カテーテルの軸内に配設されるので、磁気位置センサと関連付けられたベクトルに基づいて、カテーテル軸の位置および向きを決定することができる。磁気位置センサ28に対する軸上における1つまたは複数の電極30の位置決めと関連付けられた仕様(例えば、メーカー仕様)を使用して、カテーテル基準フレーム内における(即ち、ベクトルに沿った)電極30のモデル位置を決定することができる。したがって、カテーテル基準フレーム内におけるセンサ28および電極30の配置を特定するモデル式(例えば、状態ベクトル)が決定されてもよい。つまり、センサ配置および電極間隔と併せて、全ての電極およびセンサの位置と向きがカテーテル基準フレーム内で分かっている。
図6Bは、変形可能な物理的なカテーテル24および対応するカテーテル形状モデル124の一実施形態を示している。変形可能なカテーテル24は、単一のカテーテルスプラインと、複数の電極30と、磁気センサ28とを含む。カテーテルモデルは、本実施形態では、スプラインを近位側軸セグメント132と遠位側フープセグメント134との2つのモデルセグメントに分割する。各セグメント132、134は、物理的なカテーテルの対応するセグメントの円弧に追随する、定数パラメータのフレネ移動フレームによって説明される。モデル電極146は、機械的仕様にしたがって、遠位側フープモデルセグメント134に配置される。例えば、各電極の位置は、フレネフレームの(例えば、フレームの原点からの)長さλに沿った距離または長さlによって定義されてもよい。本実施形態では、全ての電極が遠位側フープセグメント134に位置するものとして示されているが、物理的なカテーテル24の物理的構成に応じて、各モデルセグメントが電極を含んでもよいことが認識されるであろう。本実施形態では、近位側軸モデルセグメント132は単一のモデル磁気センサ128を含む。やはり、各モデルセグメントが1つもしくは複数の磁気センサおよび/または1つもしくは複数の電極を含んでもよいことが認識されるであろう。このように、モデルセグメントのパラメータ化は、カテーテルモデル124のカテーテル基準フレーム8内における電極配置を十分に説明する。
フレネの公式は、三次元空間内における連続的で微分可能な曲線の幾何学的性質を説明する。より具体的には、フレネの公式は、フレームの長さλに沿った各地点における互いに関する接線「T」、法線「N」、および従法線「B」単位ベクトルの導関数を説明する。図6Bを参照のこと。接線、法線、および従法線単位ベクトル、即ち集合的にフレネフレームが定義され、Tは、動きの方向を指す、曲線に対する単位ベクトル接線であり、Nは法線単位ベクトルであり、曲線の弧長パラメータに対するTの導関数をその長さおよびBで割ったものが、TおよびNのクロス乗積である従法線単位ベクトルである。フレネの公式は次式の通りである。
式中、d/dsは弧長に対する導関数、κは湾曲(例えば、曲線の逆数または半径)、τは曲線の歪みである。2つのスカラーκおよびτは、曲線の湾曲および歪みを有効に定義する。同次座標系の各セグメントに関して、曲線に沿った距離λにおけるκおよびτによって定義される曲線に対するフレネフレーム(FF)は、次式のように定義される。
フレネフレームを利用することによって、湾曲κおよび歪みτという2つのパラメータを利用して各モデルセグメントを定義することが効果的にできる。
図6Bの実施形態では、カテーテル形状モデルは、互いから90°回転させた一定の湾曲および歪みの2つの連続曲線(例えば、モデルセグメント)を含む。第1の曲線は、近位側軸セグメント132と遠位側フープセグメント134との間の曲がりを表す。第1の曲線はκ1および歪みτ1によって定義される。第2の曲線は遠位側フープセグメント134を表す。第2の曲線はκ2および歪みτ2によって定義される。このように、カテーテル形状モデル124は、2つの湾曲および2つの歪みという4つのパラメータによって定義され、それによってカテーテルモデルが取り得る全ての可能な形状が定義される。これらのパラメータはそれぞれ、一般的に、所定のまたは実験によって決定された数値範囲(例えば、物理的なカテーテルによる)を有する。更に、曲線パラメータは、一般的に、カテーテルモデルの潜在的な形状を予測する、確率過程における状態変数を形成する。モデル電極および/または磁気センサの配置は、所与のモデルに対するそれらそれぞれのフレームに沿った、それらの既知の配置によって導き出されてもよい。
一実施形態では、時間k-1における各曲線パラメータの効果を時間kにおける曲線パラメータに適用する、状態遷移モデル(例えば、行列)は次式の通りである。
f(x)i=κi(k-1)+fi-curve(hi-κi(k-1))
f(x)i=τi(k-1)+fi-torsion(ti-τi(k-1))
式中、
iは曲線セグメント(例えば、本実施形態ではi=1または2)を表し、
hは各曲線セグメントの既定の湾曲を表し、
tは各曲線セグメントの既定の歪みを表し、
fは各曲線パラメータの強制因子を定義する行列を表す。
遷移行列が適用された場合、状態変数をそれぞれ変更して、複数の可能なカテーテル形状を生成する。一実施形態では、これによって可能なカテーテル形状の状態分布が作成される。図7Aを参照のこと。一般的に、状態分布の平均は、最も可能性が高いカテーテル形状および対応するカテーテルパラメータの組を表す。
一実施形態では、強制因子は、カテーテル固有の機械的パラメータから導き出されてもよい。一実施形態では、強制因子は、カテーテルのスプラインを形成する成形金属ワイヤの戻り力を表してもよい。かかる実施形態では、強制因子Fは、所与の形状パラメータと関連付けられた変形に戻り力を加え、それは、現在の形状パラメータから未変形または名目上の状態に戻そうとする、成形金属ワイヤによって加えられる力を表す。一実施形態では、名目上直線であって捻じれていない単一セグメントカテーテルに関して、捻じれ剛性は次式の回転剛性と同じである。
認識されるように、かかる強制因子Fは特定のカテーテルに対して固有である。強制因子を含むことにより、状態遷移モデルが前の状態に特定されなくなる。
上述の遷移モデルを適用することによって、カテーテル基準フレーム内における潜在的なカテーテル形状の状態分布が時間kに関して推定されてもよい。図7Aは1つの例示的な分布を示している。最も可能性が高い形状(例えば、分布の平均)に基づいて、モデル電極の配置がカテーテル基準フレーム内において決定されてもよい。
観察モデルを実現して、状態パラメータが物理ドメイン(例えば、カテーテル基準フレーム)内にマッピングされてもよい。一実施形態では、これは、フレネフレームに対する行列指数関数を評価することによって実施される。一実施形態では、行列指数関数は、弧長全体にわたって電極の位置lが変動する全ての電極に関する、弧長全体にわたる定数項(例えば、湾曲および歪み)を有する統合された微分行列である。一実施形態では、行列評価は、ギブンス回転および三角関数を使用して計算されてもよい。
一実施形態では、ギブンス回転は、フレネフレームの2つの項を排除するため、最初に計算される。
残りの行列指数関数の最初の数項を展開した後、次の三角級数公式を認識することができる。
式中、Φは状態空間からカテーテル基準フレームへの変換である。Φ行列全体に対して、ギブンス回転を解に残すことが有用である。しかしながら、最後の行は、曲線に沿った所与の弧長に対するデカルト座標を含み、フープの各電極に対して評価される。
式中、Pはフレネフレームの位置lにおける座標である。次に、各電極について指定の曲線に沿った弧長を計算し、上述のようにPを計算し、それをより近位側であってもよい任意のΦと合成することによって、モデル電極および/またはコイルがカテーテル基準フレーム内で特定される。
図6Bのモデルに関して、遠位側フープのモデル電極(例えば、本実施形態の下付添字2)の場合は次の通りである。
式中、
Ciはカテーテル基準フレーム内における各電極の位置、
λ2は遠位側フープ曲線の長さ、
Δl’は電極内距離の仕様(例えば、中心間)、
Φhは、平滑化をもたらすための第1および第2のフレネフレームの曲線間の変換であり、第1および第2のフレームが90°の時計方向回転を有する一実施形態では、次式の通りである。
Φ1は遠位側フープ曲線に対する変換、
λ1は近位側軸曲線の長さである。
図6Bの2セグメントカテーテルモデルの近位側軸における磁気センサまたは電極(存在する場合)に関しては、次式の通りである。
モデル電極および/または磁気センサの位置がカテーテル基準フレーム内で分かると、任意の適切な変換を使用して、患者基準フレームへと変換されてもよい。一実施形態では、6自由度の剛性変換を利用して、磁気患者基準センサの位置および向きに対する磁気センサの位置および向きに基づいて、電極および磁気センサのカテーテルモデル配置が患者基準フレームへと向き付けられる。患者基準フレーム内における各モデル電極に対して、インピーダンス測定値が予測されてもよく、インピーダンス測定値は物理的な電極から取得(例えば、観察)されてもよい。予測測定値および観察された測定値を利用して、変形可能なカテーテルの物理的構成により緊密に近似するように、カテーテルモデルのパラメータが更新されてもよい。
比較的単純な単一スプラインのカテーテルのモデリングについて上述したが、限定されたパラメータセットに基づいて、より複雑なカテーテルがモデリングされてもよいことが認識されるであろう。図8A~図8Dは、1つまたは複数の磁気センサ148および1つまたは複数の電極(不図示)を有する実質的に剛性の軸142と、正方行列状に配置された16個の電極1461-16(以下、具体的に参照しない限り、146)を含む可撓性パドル144とを有する平面カテーテル140を示している。一実施形態では、平面カテーテル140は、米国イリノイ州レイクブラフのAbbott Laboratoriesから市販されている、HDグリッドカテーテルに対応する。図示される実施形態では、可撓性パドル148は、4つの電極146をそれぞれ支持する4つの成形金属ワイヤによって定義される。たわんでいないまたは弛緩した状態では、可撓性パドル144はXZ面内で実質的に平面であり、原点は剛性軸の端部にある。基準軸xは原点から、例えば剛性軸と軸線方向で整列して、長手方向に延在する。一実施形態では、カテーテル140は、2つのモデルセグメント(近位および遠位)を有する曲面としてモデリングされる。湾曲に加えて、遠位セグメントの湾曲の軸線を回転させて、軸外変形を捕捉してもよく、両方のセグメントを横方向で丸めてもよい。次に、電極の三次元配置が、曲面の二次元位置によって決定されてもよい。更に、電極および/またはセンサの配置は、様々な面の長さに沿って定義されてもよい。
一実施形態では、平面カテーテルは、ベースの湾曲、パドルの湾曲、傾斜角、およびチューブの湾曲という4つのパラメータによってモデリングされる。かかるパラメータは、臨床処置の過程で行われることがあり、それによってカテーテル140が特定の形状を取る(例えば、変形する)、物理的動作に関連する。例えば、心臓手術中、カテーテル140は一般的に、心臓壁を圧迫し、ならびに/または管腔(例えば、血管、動脈)に押し込まれる。心臓壁の圧迫によって、一般的に、ベースの湾曲およびパドルの湾曲が弛緩状態から変化し、図8Bの側面図に示されるように、パドル144が基準軸xから変位される。それに加えて、側壁を圧迫することによって、図8Cに示されるように、パドル144が基準軸xに対して傾斜することがある。最後に、カテーテルが管腔内で変位することによって、図8Dに示されるように、パドル144の長さに沿って円筒状の湾曲がもたらされることがある。
ベースの湾曲κbおよびパドルの湾曲κpは、図8Bに最も良く示されている。図示されるように、ベースの湾曲κbは、パドル144の近位セグメント150の湾曲(例えば、半径の逆数)に対応し、パドルの湾曲κpは、パドル144の遠位セグメント152の湾曲(例えば、半径R1の逆数)に対応する。実験を通して、対応する物理的なカテーテルについて、パドル144に対する直立方向の圧力(例えば、傾斜なしで遠位先端に加えられる)によって、近位セグメント150が一貫した形で湾曲することが決定されている。したがって、ベースの湾曲κbは、予期される湾曲によって確立されるかまたは実験を通して決定されてもよい、値範囲(例えば、±0.25)を有する単一の湾曲パラメータによって表現されてもよい。一般的に、パドル144の近位セグメント150は、同じ圧力を加えたとき、パドルの遠位セグメント152よりも剛性が低い。しかしながら、2つのセグメントの湾曲は関連する。一実施形態では、パドルの湾曲κpとベースの湾曲κbとの関係は次式のように表現することができる。
κp≒c・f(κb)
式中、関数因子f(κb)は正である。この関係は、多数のパドル変形を(例えば、ベンチトップ試験で)実験してベースの湾曲の形状または範囲が決定される実験を通して決定されてもよい。一実施形態では、ベースの湾曲κbおよびパドルの湾曲κpの相対値のプロットは、例えば、最適曲線がパラメータの関係を定義してもよいようにして準備されてもよい。一実施形態では、特定のカテーテルに対するこれらの湾曲間の関係は次式のように見出された。
κp≒c・f(κb)=c・c1arctan(c2 κb)
式中、c1およびc2は実験によって決定された定数である。
図8Cは、パドルに適用された傾斜角を示している。直立方向の圧迫がデバイスに加えられたとき、横軸(即ち、剛性軸方向に垂直)で一般化された円筒に巻き付くと想像することができる。傾斜した圧迫も一般化された円筒表面をもたらすが、軸が横方向ではなく、ある角度αを有する。傾斜角は確立された範囲(例えば、±45°)を有してもよい。図8Dは、パドルの長さに沿った湾曲またはチューブの湾曲κbを示している。例として、カテーテルが管腔に押し込まれると、パドルは、カテーテルの長手方向軸または基準軸xに対してほぼ横断方向である湾曲を有する管状になる。カテーテルモデルは、4つの言及したパラメータを利用して、平面カテーテル140が取り得る全ての可能な形状(例えば、状態)を定義する。やはり、これらのパラメータは、モデルの潜在的な形状を予測する、確率過程における状態変数を定義してもよい。したがって、電極の分かっている間隔に基づいて、上述したのと同様の方法で、カテーテル基準フレーム内における可能な状態に対してそれらの位置が決定されてもよい。
カテーテルモデルは、確率過程の一部として、カテーテルの形状または状態を推定するように実現されてもよい。かかる構成では、カテーテルモデルを使用して、カテーテルの現在の形状が、またそれにより、カテーテルの以前の分かっている形状に基づいて、カテーテル基準フレーム内における電極の配置が予測または推定されてもよい。かかる構成では、形成関数を適用して、モデルパラメータの各組(例えば、以前の湾曲、歪、傾斜角など)を調節して、新しい潜在的なカテーテル形状が推定されてもよい。かかる構成では、モデルパラメータは隠れた状態変数を形成してもよく、一実施形態では、拡張カルマンフィルタまたは他の推定器を使用して、これらの隠れた状態変数を推定してカテーテル形状が予測されてもよい。かかる構成では、全ての可能なカテーテル形状の状態分布を生成し、カテーテル基準フレームから患者基準フレームへと変換して、患者基準フレーム内における電極配置が予測されてもよい。(例えば、カテーテルモデルからの)患者基準フレーム内における電極の予測配置と関連付けられた、(例えば、インピーダンスモデルからの)予測電極測定値を、患者基準フレーム内における実際の電極測定値とともに利用して、更新された形状推定値と関連付けられた形状パラメータの組が更新されてもよい。これにより、患者基準フレーム内における真のカテーテル形状および電極配置を特定することが可能になってもよい。
少数のパラメータによって説明されたカテーテルの形状を推定または予測する場合、形状推定値が高く評価されすぎることが認識されてきた。つまり、形状パラメータに基づいた予測カテーテル形状の状態分布は、可能ではあるものの可能性が低い形状を含むことがある。例えば、図6Bのループカテーテルは、全ての湾曲をゼロに設定することによって直線状にされてもよく、または図8A~図8Dの平面カテーテルは、チューブの湾曲が大きい値に設定されることによって、小さいループに丸められてもよい。どちらの条件も可能性は低い。更に、電極測定値は全て何らかの誤差を含むので、予測または観察された電極測定値を正確に再現する形状パラメータの組み合わせは存在しない。したがって、推定値から可能性が低い状態を排除して、プロセス全体の精度を改善することが有益であろう。
一実施形態では、本開示は、形状パラメータの組の可能性を決定することによって、パラメータ空間を物理的に達成可能な状態にプルーニングする技術について記載する。より具体的には、尤度関数をカテーテル形状モデルの推定状態分布に適用して、可能性が低い状態を推定状態分布から除外する。これにより、推定器がより可能性が高いパラメータへとバイアスされる。
一実施形態では、尤度関数は、一定の力の下でカテーテルモデルと関連付けられた物理的なカテーテルを変形し、カテーテルの各形状に対して形状パラメータの組と関連付けられたエネルギーを計算することによって、実験で決定されてもよい。蓄積エネルギーは次に、特定のカテーテル形状に対して、形状パラメータの関連する組の負の対数尤度に比例するものとして使用されてもよい。これらの考え方に沿って、多くのカテーテルが、変形されたときに、名目上または元の構成に戻ろうとする、1つまたは複数の形状記憶ワイヤまたはスプラインを有することが認識される。例として、上述の平面カテーテルは、変形力がカテーテルから除去されると、平面構成に戻ってもよい。したがって、曲げられたときにカテーテル内に蓄積されたエネルギーは、変形の可能性に比例すると仮定されてもよい。カテーテルが構造に押し付けることによって変形されると、カテーテルは最も低エネルギーの構成に適合するようになると仮定されてもよい。例えば、障害物に応答した変形では、低エネルギー構成が同じ測定値を生み出すことができる場合、カテーテルは低エネルギー構成となる。したがって、変形のエネルギーは対応する形状パラメータの組の可能性に比例することになる。
図9は、曲げ処置におけるカテーテル140の変形のエネルギーを実験によって決定する試験システム200を示している。図示されるように、システムは、カテーテル140の軸142を既知の向きで受け入れ保持する支持体またはコレット202と、可動スレッド210と、カテーテルの遠位端を変位させるアクチュエータ212と、力センサ220と、1つまたは複数のカメラ230と、コントローラ232とを有する。システムは、既知の大きさおよび/または変位量の変形を適用し、3D空間内におけるカテーテル電極146の配置を記録するのに使用される。
コレット202は、所望の横転角αでカテーテル軸を保持する。一実施形態では、コレットは、カテーテル軸の長手方向軸線と実質的に同軸である軸線を中心にして回転するように構成される。したがって、コレットは、任意の所望の横転角αまで回転してもよい。各曲げ処置の間、カテーテル軸は所定の固定の横転角で維持されてもよい。可動スレッド210は、カテーテル140の長手方向軸に対してある角度Θ(例えば、接触角)で、カテーテルの遠位端と接触するように動かされる。スレッド210は、力センサ220を通してアクチュエータ212に取り付けられる。スレッド210は次に、(例えば、PID制御を介して)力のセットポイントを維持するように構成された、アクチュエータ212によって制御可能に変位させられる。スレッド210は、既知の角度Θでカテーテルの遠位端に接触し、力のセットポイントが達成されるまで、カテーテルに向かって変位させられる。最初の力のセットポイントが達成されると、スレッドは更なる力のセットポイントに対して更に変位させられてもよい。スレッドの前進または変位および力のセットポイントそれぞれに対して、カテーテルが曲げられるかまたは変形される。変位および力を記録することによって、それらを統合して、カテーテルに蓄積されたエネルギーが計算されてもよい。カテーテルの遠位端が既知のサイズおよび向きの管腔内へと変位させられる(例えば、押し込まれる)、類似のプロセスが提供されてもよい。
この曲げ処置は、校正済みマルチカメラシステムで実施される。つまり、カメラ230は、各電極の低誤差3D座標が各変形に対して決定されるようにして、各電極146の位置を特定する。コントローラ232は、各変形に対して、カメラからの座標、コレットおよびスレッドからの角度情報、力および変位を利用して、対応する形状パラメータ(例えば、湾曲、傾斜角など)を決定する。一実施形態では、形状、位置、および向きパラメータの非線形最小二乗最小化を使用して、特定の変形と関連付けられた形状パラメータが見出される。一定の力変位をアルファ、シータ、および力の置換全体にわたって反復することによって、形状/エネルギーのランドスケープのサンプルが獲得される。形状パラメータの関数としてエネルギーを説明する曲線を、次に、サンプルに適合させることができる。図10は、カテーテル140の近位および遠位面セグメントの湾曲全体にわたる一例を示している。多数の曲線が任意の所与のカテーテルに対して生成されてもよい。
一実施形態では、実験によって決定された曲線は尤度関数r(x)の基礎である。尤度関数は、推定状態分布を正則化するのに使用される。一般に、尤度関数は状態(例えば、カテーテル形状)の尤もらしさを説明する。一実施形態では、負の対数尤度が利用される。かかる実施形態では、不可能な状態は無限の負の対数尤度を有し、最も可能性が高い状態は最小限の負の対数尤度を有する。この正則化を適用するため、一実施形態では、負の対数関数を否定し、累乗し、正規化することによって、確率密度関数(正則化PDF)が計算される。推定状態分布を次に、正則化PDFによって乗算し、再正規化して、可能性が低い状態(即ち、状態分布と正則化PDFの組み合わせ以外の状態)を省略した正則化状態分布が作られる。
一実施形態では、対数尤度関数を、推定状態分布の平均における負の対数尤度関数の二次テイラー級数展開を通して近似的に適用して、確率密度関数が作られてもよい。一実施形態では、負の対数尤度関数の近似は、次式によって行われてもよい。
式中、二次展開のヘッシアンHは共分散の逆数として扱われ、ガウス平均が、二次展開のヤコビアンをヘッシアンの逆数で乗算することによって与えられる。この近似は、十分に理解されている平均によって状態分布で乗算することができる、ガウスPDFと等価である。
状態分布推定の正則化は、図7A~図7Cにグラフで示されている。具体的には、図7Aは、カテーテルモデルによって予測される可能なカテーテル形状の状態分布100を示している。図7Bは、状態分布に適用された正則化PDF 104を示している。図7Cは、例示のために破線の円で全体が囲まれている、正則化された状態分布106を示している。認識されるように、正則化された状態分布は、可能性が低い状態を最初の状態分布推定値から除外している。これにより、更新された平均および更新された共分散を有する、新しいまたは更新された状態分布(例えば、正則化された状態分布)が得られる。換言すれば、正則化プロセスは、システムの真の状態をより正確に予測する、より緊密な状態分布をもたらす。
カテーテルの位置および向きモデル
磁気センサを有する任意のカテーテルモデルの場合、磁気センサは一般的に、6自由度を有するベクトルを定義する。モデルの1つまたは複数の磁気センサによって定義されるような、カテーテル基準フレーム内の原点モデルを定義してもよい、位置に関する3自由度(即ち、x、y、z)と、向きに関する3自由度(即ち、ヨー、ピッチ、ロール)である。向きに関する3自由度は、四元数の対数である、3D二重ベクトル(byz、bzx、およびbxy)を定義してもよい。カテーテル形状モデルは、カテーテルモデルの形状およびサイズを保存する変換を利用して、患者基準フレームへと変換されてもよい(例えば、カテーテル変換)。つまり、カテーテルの位置および向きモデルは、形状モデルのベクトル(例えば、状態ベクトル)を患者基準フレームへと平行移動する、剛体変換(例えば、6自由度剛体平行移動)によって表されてもよい。例えば、かかる変換は、カテーテルモデルの原点および向き(例えば、一実施形態ではベクトル)を、(例えば、患者基準センサによって決定されるような)患者基準フレームの原点に対して整列させてもよい。そのような際に、磁気センサおよび電極の配置は、患者基準フレーム内で既知かまたは推定される。なお、患者基準フレームの原点ならびにカテーテル基準フレームの原点は、患者の動き(例えば、呼吸、物理的な患者の動きなど)によってシフトすることがある。したがって、患者基準フレームとカテーテル基準フレームとの間の変換および位置合わせが更新されてもよい。
PRSモデルおよび磁気モデル
一実施形態では、磁気患者基準センサモデルまたはPRSモデル(例えば、PRStoPat)を使用して、患者基準フレーム6に対する患者基準センサの変位が説明される。認識されるように、磁気測定値は、一般的に磁界発生器に基づいた原点を有する、静磁気ベースの座標系または磁気基準フレーム4で作成される。静磁気基準フレームに対する患者の動きを排除するため、患者の動きは、磁気位置患者基準センサ(PRS)26によって監視される。図5Aを参照のこと。この方策を使用して、医療用デバイスからの磁気測定値は患者基準フレームへと変換される。この方法は、患者の身体に対する位置基準センサの変位の変化を起こしやすい傾向がある。これらの変位は、呼吸または心臓運動、身体の伸展、患者の発話などによる患者の皮膚の動きによって起こることがある。PRS 26の補償されていない変位は、磁気測定値のシフト、および医療用デバイス配置の不正確さの増加に結び付く。一実施形態では、本開示は、PRS 26の変異による磁気配置の変化を説明するPRSモデルについて記載する。磁気PRSモデルは、隠れた状態ベクトルを用いてPRSの変位について記載するのに使用されてもよい。つまり、モデルは、隠れたまたは潜在状態であるモデルの真の状態が決定される、確率過程として定義される。
PRSモデルは、患者基準フレーム内で定義される1つまたは複数の位置基準センサ(例えば、患者基準センサ)の位置および向きを含み、各患者基準センサは、やはりセンサ融合アルゴリズムの状態変数によって表現される、更なる6自由度(例えば、3D位置および3D向き)を有する。モデルによって、患者に対する患者基準センサの動きを追跡することが可能になる。この動きは、小さい誤差を有するものとしてモデリングすることができる。患者上における患者基準センサの一貫した配置によって、センサの少なくとも1つを、患者フレームの原点から指定された初期の平行移動オフセット位置にあるものとして見なすことが可能になる。例えば、患者原点は一般的な心臓の位置またはその中に配置することができる。あるいは、患者原点は患者基準センサによって定義されてもよい。
磁気モデル(PatToMag)は、患者座標フレーム(例えば、患者基準フレーム)から、時間に伴って変動する場合がある磁界発生器フレームへの剛性変換を定義する。一実施形態では、磁気モデルは、患者基準フレーム内における配置(例えば、原点)と磁気基準フレームの原点との間での初期変換を定義する。一実施形態では、磁気モデルによって、患者基準フレーム内における配置に対する磁気値を予測できる。磁気モデルは、センサ融合プロセスまたはアルゴリズムの状態変数によって表される6自由度を有する。磁気モデルによって、実質的にリアルタイムで患者の動きを追跡することが可能になる。処置の開始時、患者は一般的に、磁界発生器に対する既知の向きまたはそれに近い一貫した向きで、手術台に横たわっている。したがって、患者基準フレームに対する磁界発生器の固定の向き(例えば、磁気基準フレーム4)を、初期状態に対して仮定することができる。
モデルの目的は、任意の時間kにおける、時間的に変動する三次元の患者対磁気モデル/変換(即ち、PatToMagk)を決定することである。この変換は、任意の所与の時間に、患者基準フレームから磁気基準フレーム(例えば、磁界発生器フレーム)への剛性平行移動を提供する。時間的に変動する変換によって、患者基準フレーム内における配置を磁気基準フレームに変換し、患者の動きに応答してこれらの配置を周期的または連続的に更新することが可能になる。広くは、モデルによって、所与の時間における1つのフレーム(例えば、患者基準フレーム)内の地点を、その時間における他のフレーム(磁気基準フレーム)の座標で特定できるように、1つの基準フレームを別の基準フレーム内で表すことが可能になる。これに関して、変換行列Mを適用することによって、第1の基準フレームを第2の基準フレームに関連して表すことができる。つまり、1つの基準フレーム内の結果として得られる座標(例えば、位置および向き)の組は、別の基準フレーム内の座標(例えば、位置および向き)の関数である。一般式では次式の通りである。
式中、列ベクトル[x,y,z]は患者基準フレーム内における配置であり、行列MはPatToMagk行列を表し、列ベクトル[x’,y’,z’]は磁気基準フレーム内における配置の予測測定値である。この関係は、PatToMagk変換/モデルを使用して、患者基準フレーム内における磁気センサの予測配置に対する磁気測定値を(例えば、医療用デバイスモデルから)予測できるように、確率過程で実現されてもよい。かかる予測測定値は、その後の観察に基づいて更新または補正されてもよい。例えば、予測配置またはその付近にある磁気センサに関する実際の磁気測定値は、医療用位置決めシステム22から取得されてもよい。実際の測定値を予測測定値とともに利用して、患者基準フレーム内における磁気センサの真の配置が決定されてもよい。更に、実際の測定値および予測測定値を利用して、患者基準フレーム内における配置に関する値を予測する、行列Mが更新されてもよい。
モデルは、患者基準センサを利用して、患者基準フレーム内における基準位置を確立する。患者基準センサが患者とともに動くのにつれて、PatToMagkモデルはかかる患者の動きを計算に入れて、時間に伴って展開しなければならない。例として、変換は次式によって実施されてもよい。
式中、位置値は、1または0を列ベクトルの最後の入力に更に使用して、地点/位置または方向をそれぞれ表す。プロセスが確率過程である実施形態では、行列の変数(例えば、a~i)が時間に伴って展開することが可能になる。
本実施形態では、モデルは次の関係を有する。
patk=PRSToPati,krefk
および、
magk=PatToMagkpatk
式中、refkは、時間k(例えば、患者の動きを計算に入れて患者基準フレームと整列させる前)における患者の体内(例えば、基準センサ空間)での座標100,patkは、時間kにおける患者基準フレーム内での座標の値(例えば、患者フレーム座標)、magkは、時間kにおける磁気基準フレーム内での座標の値(例えば、患者基準フレームから磁気基準フレームへと変換された後のpatk)である。これは、図11Aに示されている。一実施形態では、患者基準センサから患者への変換はPRSToPati,kとして示されてもよく、下付添字iは特定の患者基準センサを表す(例えば、i=1、i=2、i=nなど)。この下付添字は、単一の患者基準センサの場合は省略されてもよい。これらの関係は、患者基準フレーム内における任意の座標または配置に対する磁気測定値または値を予測する手段を提供する。
PRSToPati,k変換は、患者基準センサ26をrefkで患者基準フレーム6に整列(例えば、回転)させる。つまり、PRSToPati,k変換は、患者基準センサと患者基準フレームとの間の患者基準センサ変換を表す。一実施形態では、患者基準センサは患者基準フレームの原点を定義してもよい。別の実施形態では、患者基準センサは患者基準フレームの原点からオフセットされてもよい。どちらの実施形態でも、患者の初期の向きは既知である。例えば、処置の開始時、患者は一般的に、手術台の上に一貫した向きで横たわっているので、患者基準フレームの向きは既知である。患者基準フレーム6は、例えば、最初に支持台/手術台と整列させた患者の頭から足に、左から右に、また垂直方向で上から下に延在してもよい。患者基準センサ26は6自由度(例えば、x、y、z、ロール、ピッチ、およびヨー)を有する。患者基準センサが患者に外部から適用されるとき、センサ26の初期の向き5(例えば、ロール、ピッチ、ヨー)は患者基準フレーム6と整列していないことがある。しかしながら、患者に適用されたときの患者基準センサの向きを(例えば、医療用位置決めシステムを使用して)決定し、患者基準センサ26を、PRSToPati,k変換を定義する患者基準フレーム6と整列させるように変換することができる。患者基準センサ26と患者の身体における原点または任意の座標との関係は、患者基準センサ26および原点(ならびに患者の身体における他の座標)の両方が患者の動きとともに動いたときに、実質的に一定であるように仮定される。したがって、公称の患者基準センサから患者への変換(例えば、NomPRStoPat)は定義可能な固定の変換である。
PatToMagk変換は、患者基準フレームを磁気基準フレーム4と整列させる。換言すれば、PatToMagk変換は、磁気ベースの医療用位置決めシステムの磁界発生器と関連付けられた原点を有する磁気基準フレームと、患者基準フレーム内における座標または配置との間の変換を定義する。この変換PatToMagkは、最初に、既知の患者基準フレームの初期の向きに対する、磁界発生器の固定の向き(例えば、磁気基準フレーム4)に基づいてもよい。換言すれば、名目の患者から磁気への変換(例えば、NomPatToMag)は定義可能な固定の変換である。
これらの関係および変換に基づいて、患者基準フレーム内における任意の座標(例えば、patk)の位置および向きは、PatToMagk変換を使用して磁気基準(例えば、magk)フレーム内で決定されてもよい。これに関して、関係magk=PatToMagkpatkは、更に後述するように、観察モデルの一部分を形成する。一実施形態では、患者基準センサの位置を監視して、患者の動きによって起こる変位が特定されてもよい。つまり、医療用位置決めシステムは患者基準センサの変位を特定してもよく、これらの変位は上述の関係を更新するのに使用されてもよい。
モデルを実現するために、座標系(例えば、患者座標系および磁気座標系)の間の変換を定義する必要がある。患者基準センサ空間から磁界発生器への関係(例えば、磁気座標)は、任意の時間kにおけるものである。
PRStoMagi,k=PatToMagkPRSToPati,k
つまり、患者基準センサから磁界発生器への変換は、2つの変換PatToMagkおよびPRStoPati,kの積である。患者基準センサは磁気センサなので、基準磁界におけるその位置も直接観察されてもよい。しかしながら、患者の動きにより、PatToMagkおよびPRStoPati,kの両方が時間に伴って変化または展開することがあるが、これら2つの変換は、それらの名目の関係である、PRStoPati,nomとしても定義されるNomPRSToPati、およびPatToMagnomとしても定義されるNomPatToMagに近いままのはずである。一実施形態では、名目の関係は初期の(例えば、k=0における)関係である。PatToMagkおよびPRStoPati,kは、それらの公称の関係からの逸脱を追跡し、それらの変化を捕捉するように定義されるので、それらの基準フレーム間の変換は患者の動き(例えば、患者基準センサの動き)に合わせて更新される。
一実施形態では、PRStoPati,kは、次式の通り逸脱を追跡するように定義することができる。
PRStoPati,k=NomPRSToPatiPRSToNomPRSi,k
これは図11Bに図示されている。図示されるように、患者基準センサ26は、医療用位置決めシステムによって特定されてもよいように、名目(例えば、一実施形態における最初)からシフト位置26Aへと動いている。同様に、他の座標(例えば、100)が初期位置からシフト位置100Aへと動いている。図示される実施形態では、名目(例えば、初期)の患者基準センサ配置および向きと患者基準フレーム6との間の固定の変換は、名目の患者基準変換NomPRSToPatiとして指定される。それに加えて、時間変動する変換PRSToNomPRSi,kは、初期センサ配置26と後続/現在のセンサ配置26Aとの間の動きを定義する。図11Bを参照のこと。つまり、PRSToNomPRSi,kは患者基準センサ変位変換である。この変位は、少なくとも部分的に、磁界発生器を使用して患者基準センサの動きを監視することに基づいて決定されてもよい。この実施形態では、PRStoPati,kは、名目変換および患者基準センサ変位変換の積である。
実施形態では、PatToMagkは次式の通り逸脱を追跡するように定義することができる。
PatToMagk=NomPatToMagPatToNomPatk
これは図11Cに図示されている。図示されるように、座標100は、患者の動きに応答して、名目または初期位置から変位された位置100に移動する。図示される実施形態では、患者基準フレームと磁気基準フレームとの間の変換は、初期または名目磁気変換NomPatToMagとして指定され、固定の変換である。それに加えて、初期座標配置100と後続/現在配置100Aとの間の時間変動する変換PatToNomPatkは、患者基準フレーム内における座標の変位を定義する。つまり、PatToNomPatkは座標変位変換である。この変位は、少なくとも部分的に、患者基準センサの、したがって患者基準フレームの動きを監視することに基づいて決定されてもよい。この実施形態では、PatToMagkは、名目変換および座標変位変換の積である。一実施形態では、PRSToNomPRSi,kおよびPatToNomPatkは、センサ融合プロセス中に決定されてもよい、状態変数によって支配される。一実施形態では、これらの変数は、磁気およびカテーテル状態変数を磁気測定値および他の測定値に適合させるように、再帰的ベイズ推定器(例えば、拡張カルマンフィルタまたは粒子フィルタ)などの推定システムで決定される。概して、これらの変換PRSToNomPRSi,kおよびPatToNomPatkは、直接観察不能であり、例えば、患者の呼吸および他の患者の動きによって継続的に変化し、時間に伴って展開させることが可能である。しかしながら、観察可能なパラメータ(例えば、PRSToMagi,k)と組み合わせて、変換が推定されてもよい。
上述したように、患者は一般的に、処置の開始時、手術台上で一貫した向きで横たわる。したがって、患者基準フレームに対する磁界発生器の固定の向き(例えば、磁気基準フレーム4)を、初期状態に対して仮定することができる。したがって、一実施形態では、名目の関係(例えば、変換、センサ配置など)は、処置の始めにおける初期の関係に実質的に等しいと仮定される。一実施形態では、次式である。
PRSToNomPRSi,nom=I≒PRStoNomPRSi,0
PatToNomPatnom=I≒PatToNomPat0
つまり、名目の構成は、時間0における名目の構成に実質的に等しい、初期構成Iに近いことが予期される。したがって、初期患者基準センサ配置は、PRSToMag0,0に近いことが予期されるので、PRSToMag0,nomに対して適切な値である。
一実施形態では、患者基準センサは磁界で測定(即ち、観察)されてもよい。
式中、Pnomは、名目時間(例えば、時間0、または時間0に近いいくつかの観察値の組み合わせ)における患者基準センサの観察された向き、pnomは名目時間における患者基準センサの位置である。したがって、PRSToMag0,nom変換は、直接測定値から決定されてもよい。PRSToMag0,nom変換に基づいて、次式の変換が導き出されてもよい。
式中、
Anomは、患者フレームと、固定であると仮定される磁気フレームとの間の固定の名目回転、
anomは、後述するように推定されてもよい、磁界発生器に対する患者の位置(例えば、磁界ベースの位置決めシステムのベッド上の位置)、
Bnomは、後述するように推定されてもよい、患者上の患者基準センサの向き、
bnomは、既知の患者上の患者基準センサの位置である。
一実施形態では、患者原点が一般的には心臓内にあるように、患者フレーム内における患者基準センサの固定位置(例えば、0または原点)を設定することが望ましい。例示的実施形態では、後側患者基準センサの場合、患者基準センサと心臓内の原点との間のオフセットは、bnom=[0 175 0]Tとして選ばれ、これは上付添字Tによって示される列ベクトルである。他のオフセットが可能であり、一般的に、それらがどのシステムで実現されるか、および/またはどこに患者基準センサが患者に配置されるか(例えば、胸部、背中など)に応じて決まる。
患者は特徴的な向きで台上に横たわるので、磁界発生器、テーブル、およびしたがって患者基準フレームの間の向きは最初に分かっていてもよい。一実施形態では、患者基準フレームと磁気基準フレームとの間の固定の名目回転が確立されてもよい。例えば、
である。
この固定の名目回転は、一般的に、特定の磁界ベースの位置決めシステムに応じて決まる。残りの自由度はanomおよびBnomである。以前の関係
PRStoMagk=PatToMagkPRSToPatk
を所与として、
Pnom=AnomBnom
pnom=Anombnom+anom
したがって、
Bnom=AT
nomPnom
anom=pnom-Anombnom
である。したがって、Anom、anom、Bnom、およびbnomがそれぞれ測定および/または導き出されて、PatToMagnomおよびPRSToPat0,nomの変換の推定が可能になる。換言すれば、変数変換を推定できるようにするのに十分な観察可能なパラメータが存在する。
モデルは、患者座標フレームから磁界発生器フレームへの時間的に変動する剛性変換を定義して、患者基準フレーム内における配置の磁気値を決定できるようにする。一実施形態では、PRSモデルは、カテーテルモデルならびに位置および向きモデルと併用される。図12Aに示されるように、(例えば、図6Aのカテーテル24の)カテーテルモデル42は最初に、位置および向きモデル44を使用して患者基準フレーム6へと変換される。つまり、モデル42を使用して、幻像で示されるような、患者の心臓52内のセンサおよび/または電極の配置が予測される。図12Aはまた、心臓内に配設された物理的なカテーテル50を示している。カテーテルモデル42は、患者の心臓52内に配設された物理的なカテーテル50に対応する。最初に、カテーテルモデルのモデル磁気センサ281の配置が、位置および向きモデルを使用して患者基準フレーム6内で予測される。つまり、カテーテルモデルを、カテーテル基準フレームから患者基準フレームへと変換して、モデル磁気センサ281が、例えば心臓内の座標に配置される。この位置は、元々は座標patkを表していてもよい。このとき、モデル磁気センサ281の磁気測定値/磁気値は、上述したようなPatToMagk変換を利用して、磁気基準フレーム内で決定(例えば、予測)されてもよい。それに対応して、物理的なカテーテル50の対応する物理的な磁気センサ282に関して、磁気基準フレーム内で磁気測定値/磁気値が測定されてもよい。例えば、医療用位置決めシステムは、物理的なカテーテルの磁気センサ282に関する実際の測定値(例えば、ある量のシステムノイズを有する)を取得してもよい。予測測定値および実際の測定値は、様々なモデルを更新するのに確率過程で利用されてもよい。つまり、予測測定値および実際の測定値(または複数のセンサが存在する場合、複数の測定値)を利用して、患者基準フレーム内におけるカテーテルモデル42の位置および向きが調節され、ならびに/あるいは物理的な磁気センサの配置が生成されてもよい。一実施形態では、patkは更新される。多数の反復にわたって、カテーテルモデル42の位置および向きは、患者基準フレームへと投影されるように、患者の心臓内に配設されたものとして物理的カテーテル50の位置および向きにより緊密に近似するように更新されてもよい。図12Bを参照のこと。一実施形態では、PRSモデルは、患者基準フレーム内におけるカテーテルモデルの配置をほぼ連続的に更新して、患者の動きを計算に入れられるようにする。つまり、静的変換に基づいてカテーテルモデルを整列させるのではなく、患者が動いている場合であっても、PRStoPatおよびPatToMag変換の展開によって、カテーテルモデルのモデル磁気センサの配置を継続的に更新させて、その予測配置が物理的な磁気センサの物理的な配置をより緊密に表すようにする。
一実施形態では、拡張カルマンフィルタを使用して、モデルの変換の隠れた状態変数に対応する隠れた状態変数が推論される。隠れた状態変数から、任意の時間において、隠れた状態測定値(例えば、患者基準フレーム内における磁気値)を予測することができ、隠れた状態変数のアクセス可能な部分の更新を可能にするような形で拡張カルマンフィルタ(または他の推定器)の枠組を使用して、状態変数の推定値を更新することができる。したがって、任意の瞬間において、拡張カルマンフィルタの枠組を使用することによって状態変数の部分を決定するのに十分な情報がなくても、インピーダンスベースのドメインから患者ドメインへの変換と関連付けられた、状態変数の適切な部分と関連付けられた予測を行うことができる。
モデルと関連付けられた状態変数の適切な部分の予測と実際の測定値との間に差ができる場合があり、予測と実際の測定値との間の差に基づいて、状態変数の適切な部分を更新することができる。そのため、状態変数は、所与の瞬間ではなく所与の期間にわたって修正することができる。例えば、状態変数の適切な部分の以前の予測を、現在の時点における測定値に基づいて補正することができる。
本明細書で更に考察するように、磁気および/またはPRSモデルは、システムモデル全体または複合システムモデルの一部を形成してもよい。実現の間、モデルに照会して、患者基準フレーム内におけるセンサ位置が予測される。続いて、これらの予測をセンサ位置測定値とともに利用して、患者基準フレーム内におけるセンサの推定位置が更に改良され、磁気モデルおよび/またはPRSモデルが更新される。追加の磁気モデルが可能であり、本開示の範囲内と見なされることが認識されるであろう。一例では、患者相対座標と座標との間の変換に使用される磁気モデルは、全内容を参照により本明細書に組み込む、2018年11月7日に出願された「磁気およびインピーダンスセンサ測定値に基づいた医療用デバイス局在化のための患者基準センサモデル(Patient Reference Sensor Model for Medical Device Localization based on Magnetic and Impedance Sensor Measurements)」という名称の米国仮特許出願第62/756,936号に記載されている。
インピーダンスモデル
センサ融合プロセスの文脈において、三次元空間(例えば、患者基準フレーム)内で物理的なカテーテルおよびその電極を位置確認するインピーダンス測定値の有用性は、いずれのカテーテル構成に対しても、電気またはインピーダンス電場内におけるインピーダンス測定値を予測するのに有効なモデルを有することに依存する。つまり、患者基準フレーム(例えば、三次元空間)内におけるカテーテルおよび/またはカテーテル電極(例えば、モデル電極)の予測配置(例えば、モデル配置)に基づいて、モデリングされたカテーテル電極のインピーダンス測定値を予測して、物理的なカテーテルおよび/またはその電極の配置を改良すること、ならびに/あるいはインピーダンスモデルを更新することが望ましい。更に、電極配置のインピーダンスモデリングの以前の労力は、場合によっては、ノイズを計算に入れられないために精度が低かったことが認識されている。
一実施形態では、インピーダンスモデルは、患者座標系とインピーダンス測定値との間で変換する(例えば、PatToImp)。更に、インピーダンスモデルは、個々の電極間のノイズおよび、および/または距離依存のモデリング誤差を組み込んで、患者の体内における電極配置を決定するためのインピーダンス測定値の推定を改善してもよい。一実施形態では、インピーダンスモデルは、モデルの真の状態が決定される、隠れたまたは潜在状態である、確率過程である。モデルは、三次元空間内における電極インピーダンス測定値(例えば、配置対インピーダンス値)を推定する。かかる推定および/またはモデルは、三次元空間内に配置された電極の実際のインピーダンス測定値に基づいて改良されてもよい。一実施形態では、かかるインピーダンスモデルは、組み合わせて使用することができる、様々な別個の方法論を実現する。
一実施形態では、第1の方法論は、正則の体球調和関数など、調和基底関数の線形結合のマッピングとして配置対インピーダンス値をモデリングすることを対象とする。しかしながら、追加の調和基底関数が可能であり、本発明の範囲内と見なされることが認識されるであろう。しかしながら、正則の体球調和基底関数は、自由度が低減された適切な記述性を提供して、モデルを単純化すると考えられる。更に、電極は共通の血液プール内に配置されるので、一般に条件は均一となるため、調和基底関数のラプラシアンはゼロであり、モデルに制約が提供されるはずである。更にまた、調和基底関数の線形結合はキルヒホフの電圧則に従うように制約されてもよい。集合的に、これはインピーダンス測定値の空間非線形性を計算に入れる助けとなる。一実施形態では、第2の方法論は、別個の電極からの測定値間における共分散を含む、インピーダンスシステムの測定ノイズ特性をモデリングすることを対象とする。一実施形態では、第3の方法論は、別個の電極間の距離によって低下する、それらの電極間における人為的な測定ノイズ共分散を導入することを対象とする。このノイズ項は、他の方法ではモデリングされない誤差の量を表し、インピーダンス測定値および/または呼吸に関連するアーチファクトの空間非線形性を計算に入れる助けとなる。
インピーダンスベースの配置測定のためのハードウェアは、患者/患者基準フレームに固着された一組の電気パッチ(例えば、首、脚、胸部、背中、右側、左側の6つのパッチ)のものを含む。図3A~図3Dおよび図13Aを参照のこと。AC電圧がパッチ対の組(例えば、背中→左側、左側→胸部、右側→背中、胸部→右側、首→背中、脚→背中)に印加され、結果として得られるインピーダンス場内に配設されたカテーテル24の各カテーテル電極30における電位(例えば、インピーダンス)が、各パッチ対が駆動された状態で測定される。図13Aを参照のこと。測定電位は、電極と駆動されたパッチそれぞれとの間の相対インピーダンスに応じて変わる。つまり、駆動されたパッチ対はそれぞれ、電極が測定する患者基準空間の間に電場を誘導する。したがって、インピーダンスモデルの意図は、インピーダンス測定値を電場内のいずれの配置に関しても推定できるように、電場およびその測定値特性をモデリングすることである。例として、三次元空間(例えば、患者基準空間)のかかるインピーダンスモデルを確立した後、所与の時間におけるその空間内の任意の配置に関して、インピーダンス値が推定または予測されてもよい。
図13Aは、各パッチがグラフの頂点を形成し、グラフのエッジ(例えば、実線の接続線)が駆動されたパッチ対それぞれの頂点の間に延在する、インピーダンスパッチの数学グラフを示している。数学グラフでは、サイクルは、頂点がそこから到達可能である、エッジおよび頂点の経路である。つまり、サイクルは閉ループを形成する。本実施形態では、駆動されたパッチ対の組は、背中→左側→胸部→右側→背中の単一のサイクルを定義する。閉ループまたは回路(例えば、サイクル)を形成するグラフの各サイクル(即ち、本実施形態では1つ)は、そのサイクル周囲の電位差が合計でゼロでなければならないことを示唆する、キルヒホフの電圧則によって制約される。つまり、ZB-L+ZL-C+ZC-R+ZR-B=0である。図14を参照のこと。それに対応して、背中→電極→左側→電極→胸部→電極→右側→電極→背中の回路周囲の電位低下もゼロでなければならないので、そのサイクルからの任意の電極に対する駆動された電位の合計はゼロでなければならない。
これらの制約に基づいて、独立したインピーダンス電位の数は、駆動されたパッチ対の数(即ち、本実施形態では6つ)からグラフ中のサイクルの数(即ち、本実施形態では1つ)を引いた数である。本実施形態では、5つの独立したインピーダンス電場がある。更に、これらの独立したインピーダンス電場から、パッチ対によって駆動される電位のより大きい組への線形マッピングがある。本実施形態に示される駆動されたパッチ対の組の場合、マッピングは次式の通りである。
式中、zは測定または推定電位のベクトル、yは独立したインピーダンス電位のベクトルであり、一実施形態では、確率過程の隠れた状態変数である。下記にMで示される数値行列は、5つの独立したインピーダンス電場yを6つの電位zに対してマッピングする。一実施形態では、行列Mは確率過程の観察モデルを形成する。独立したインピーダンス電場は、提示する実施形態では、決して励起されないがシステム内に存在する、仮想電場を表す。つまり、独立したインピーダンス電場は非励起パッチ対の間に存在する。これらの独立したインピーダンス電場のうち2つyleft-rightおよびyback-chestが、図13Aに示されている。例として、yleft-right=zleft-chest+zchest-right、および-yleft-right=zright-back+zback-leftである。yxyに対する独立したインピーダンス電場が図13Bに示されている。この電場は、図13Aに示されるような実質的に共通の面XY内にある、背中、左側、胸部、右側の4つのパッチに基づく。残りの独立したインピーダンス電場を記述するため、患者のYZ面に対して類似のグラフが提供されてもよい。したがって、独立したインピーダンス電場は、測定インピーダンス値の代数関数として計算または推定されてもよい。一実施形態では、独立したインピーダンス電場は、確率過程の状態変数を定義し、後述するように、調和基底関数を用いて記述される。
各時点および独立の駆動されたパッチ対それぞれ、または「インピーダンスモッド(impedance mod)」に対して、各独立したインピーダンス電場iおよび電極jのモデルインピーダンス測定値は次式のように説明される。
yij=φij+εij
および、
zk=Vec(Myj)+vk
式中、φijは、一連の調和基底Ylから計算された電極jに対する独立したインピーダンス電場iの電位、eijは、この距離の関数として一対の電極間で共分散するモデリング誤差項、vkは測定ノイズ項である。
独立の駆動されたパッチ対またはインピーダンスモッドi’それぞれに対して、φi’jは、(例えば、患者基準フレーム内における)電極配置xj、およびインピーダンスモデル(例えば、患者からインピーダンスへの変換)の状態変数の関数である。一実施形態では、インピーダンス変換は、患者基準フレームをインピーダンス基準フレームに対してマッピングする全体動的非剛性変換であってもよい。εi’は、インピーダンスモッドi’に対する全ての距離依存のモデリング誤差項のベクトルであり、入力が電極対間の距離に依存する共分散を有する、多変量正規確率変数としてモデリングされる。最後に、全ての電極に対する電気ノイズ項のベクトルvは、測定システムの電気ノイズ特性を反映する多変量正規確率変数である。インピーダンス測定値挙動のこのモデルは、インピーダンスおよびカテーテル状態変数をインピーダンス測定値および他の測定値に適合させるのに、再帰的ベイズ推定器(例えば、拡張カルマンフィルタまたは粒子フィルタ)など、センサ融合プロセスまたはアルゴリズムの一部として使用される。
一実施形態では、φijは基底関数の線形結合である。空間内のある地点における各基底関数は、モデリングされた電場の電気値を電気値(例えば、電圧、インピーダンスなど)にマッピングする。電極が配置xjにあるとき、
である。式中、Ylは電極配置に対するl番目の体球調和基底関数のスカラー値関数、bi,lはインピーダンス電場に対する患者基準フレームに関連する基底関数(例えば、l番目の既定関数)に対する重みである。全ての基底関数Ylは調和関数であるべきである。つまり、ラプラシアンはどの位置でもゼロであるべきである。一実施形態では、Ylは所定の次数以下の正則の体球調和関数である。例えば、Ylは四次以下の正則の体球調和関数であることができる。四次以下の調和関数を使用することによって電極1つ当たり25の基底関数が得られる。認識されるように、調和基底関数を四次に限定することで、電場の追加の記述を提供することがある、より高次の調和関数における情報が切り捨てられる。この情報の除外は、モデリング誤差項εの計算に入れられる。一実施形態では、重みbi,lは、実験的に決定されたベースラインに基づいてもよい、所定値または既定値に設定されてもよい。インピーダンスモデルの操作中、これらの重みbi,lは、インピーダンスおよびカテーテル状態変数をインピーダンス測定値および他の測定値に適合させるように調節される。
モデリング誤差項εの分布
モデリング誤差項は、患者の呼吸によって生じる調和基底または摂動のモデリングされていない高次項など、インピーダンス測定値におけるモデリングされていない信号のソースを表すためのものである。インピーダンス基底モデルにおけるモデリングされていない現象または誤差の予期される大きさを明示的に組み込むことにより、かかる矛盾に対してシステムが堅牢になる。
独立したインピーダンスモッドl’それぞれに関して、εj=nj+rjとする。式中、njは、gkによってモデリングされていないインピーダンスの非線形性による誤差を表す多変量正規確率変数、rjは、例えばモデリングされていない呼吸アーチファクトによる、誤差を表す多変量正規確率変数である。
一実施形態では、njは、
である。式中、Nは正規確率分布、0は分布の平均を表し、行列hは、各電極の間の絶対距離d(例えば、ベクトル)に基づいた各電極の共分散を表す(即ち、|x
#-x
#|)。例えば、図6Aを参照のこと。共分散のこの選択は、空間にわたって非常に滑らかに変動すると予期される誤差をもたらす。パラメータaはモデリング誤差の大きさを表す。パラメータaが大きいほど、非線形性に由来する誤差の予期される大きさは大きくなる。パラメータbは、モデリング誤差が減衰する幅または半径を表す。パラメータbが大きいほど、その予期される距離の規模は小さくなる。
一実施形態では、rjは、
である。各時間iにおいて、呼吸は、共有の平行移動を独立したインピーダンス電場それぞれの全ての点に適用する。パラメータcは呼吸誤差の大きさを制御する。一例では、呼吸誤差またはアーチファクトをモデリングするシステムおよび方法は、全内容を参照により本明細書に組み込む、2018年11月7日に出願された「インピーダンスセンサ測定値に基づいたデバイス局在化の呼吸モデル(Respiration Model for Device Localization Based on Impedance Sensor Measurements)」という名称の米国仮特許出願第62/756,926号に記載されている。
電気ノイズ項vkの分布
駆動されたパッチ対jそれぞれに対して、
である。
この実施形態では、各電極は、他の電極とは独立した分散eのノイズ成分と、他の電極と共有する分散dのノイズ成分とを有する。
使用の際、インピーダンスモデルは、患者基準フレームに対してインピーダンス場を数学的に定義する。一実施形態では、インピーダンス場は、インピーダンス場の任意の配置における一組の駆動されたパッチ電極に対するインピーダンス電位が、インピーダンス電位にマッピングされた、一組の独立したインピーダンス電場の関数であるように定義される。様々な方法がインピーダンスモデルを生成するのに埋め込まれてもよい。一実施形態では、インピーダンスモデルは処置中にオンザフライで生成される。つまり、カテーテル24は手術の始めにインピーダンス場の中に配設されてもよい。図13Aを参照のこと。処置中、カテーテル24がインピーダンス場を通って動くのにしたがって、電極インピーダンス測定値が獲得され、独立したインピーダンス電場がインピーダンス測定値にマッピングされる。別の実施形態では、多数の電極を有するマッピングカテーテルを使用して、初期のインピーダンスモデルが生成されてもよい。かかる実施形態では、マッピングカテーテルを患者体腔(例えば、心腔)の周りで動かして(例えば、掃引して)、多数の配置に対するインピーダンス測定値が獲得されてもよい。これは、多数の配置を有するインピーダンスモデル、ならびに対応するインピーダンス測定値およびマッピングされた独立したインピーダンス電場をもたらしてもよい。かかる実施形態では、マッピングカテーテルは、初期のインピーダンスモデルを生成した後に除去され、手術を実施するのに使用されるカテーテル(例えば、アブレーションカテーテル)と置き換えられてもよい。1つの例示的なマッピングカテーテルが、全体を参照により本明細書に組み込む、「高密度マッピングカテーテル(High Density Mapping Catheter)」という名称の米国特許第8,744,599号に記載されている。更なる実施形態では、インピーダンスモデルの初期状態を取る、既定インピーダンスマップが提供されてもよい。この実施形態では、後続のインピーダンス測定値を使用して、現在のインピーダンス場または患者基準空間に対するモデルがより迅速に更新される。任意の実施形態では、配置、インピーダンス、および独立したインピーダンス電場が記録されてもよい。その後、インピーダンスモデルは、この情報を利用して、例えば、モデリングされたインピーダンス場において分かっている配置の間の配置に関するインピーダンス測定値を補間してもよい。
一実施形態では、独立したインピーダンス電場およびそれらのパラメータは確率過程の状態変数なので、時間に伴って展開してもよい。最初に、インピーダンスモデルは、配置xjにおける電極jに対する一組のインピーダンス測定値Zi,estを推定する(例えば、背中→左側、左側→胸部、右側→背中、胸部→右側、首→背中、脚→背中)。例えば、図5Bの心臓52における予測電極配置301~304、および図5Cの予測測定値311~314を参照のこと。一実施形態では、これらの電極の予測配置は、カテーテルモデルを使用して患者基準フレーム内で推定されてもよい。予測インピーダンス測定値の組は、一実施形態では、少なくとも部分的に、調和基底関数に適用される重みbi,lに基づいて生成される。インピーダンスモデルを実現するとき、一組のインピーダンス測定値(例えば、実際の測定値)Zi,actは、患者基準フレーム内における対応する物理的な電極に対して得られてもよい。例えば、図5Cの測定値351~354を参照のこと。予測測定値Zi,estは、例えば、確率過程における補正または利得を決定するため、実際の測定値Zi,act(例えば、観察可能なパラメータ/電極インピーダンス測定値、計算された独立したインピーダンス場)とともに利用されてもよい。この補正/利得は次に、インピーダンスモデルの隠れた状態変数を調節するのに利用されてもよい。例えば、インピーダンスモデルの重みbi,lならびに他の隠れた状態変数(例えば、独立したインピーダンス電場の基底関数)は、実際のインピーダンス測定値により良好に適合または一致するように調節されてもよい。適用の際、インピーダンスモデルは、実際のインピーダンス測定値をより緊密に近似するように(例えば、再帰的に)調節する。したがって、続いて、更新されたインピーダンスモデルを使用して、モデリングされた電場における配置に対するインピーダンス測定値(例えば、カテーテルモデルによって予測されるようなもの)が予測されてもよい。更に、補正/利得を利用して、患者基準フレームにおける更新された電極配置が推定されてもよい。例えば、図5Cの真の配置371~374を参照のこと。
一実施形態では、拡張カルマンフィルタを使用して、モデルの隠れた状態変数に対応する隠れた状態変数が推論される。隠れた状態変数から、任意の時間において、隠れた状態測定値(例えば、空間内の配置におけるインピーダンス値)を予測することができ、隠れた状態変数のアクセス可能な部分の更新を可能にするような形で拡張カルマンフィルタの枠組を使用して、状態変数の推定値を更新することができる。したがって、任意の瞬間において、拡張カルマンフィルタの枠組を使用することによって状態変数の部分を決定するのに十分な情報がなくても、患者基準フレームにおける位置からインピーダンス測定値への変換と関連付けられた、状態変数の適切な部分と関連付けられた予測を行うことができる。
モデルと関連付けられた状態変数の適切な部分の予測と実際の測定値との間に差ができる場合があり、予測と実際の測定値との間の差に基づいて、状態変数の適切な部分を更新することができる。そのため、状態変数は、所与の瞬間ではなく所与の期間にわたって修正することができる。例えば、状態変数の適切な部分の以前の予測を、現在の時点における測定値に基づいて補正することができる。
本明細書で更に考察するように、インピーダンスモデルは、システムモデル全体または複合システムモデルの一部を形成する。実現の間、カテーテルモデルによって推定されるような患者基準フレーム内における予測電極配置とともに使用される、インピーダンスモデルが照会される。より具体的には、インピーダンスモデルを使用して、患者基準フレームにおける各電極配置に対する測定値が予測される。続いて、これらの予測を実際の電極測定値とともに利用して、患者基準フレーム内における電極の推定配置が更に改良されるとともに、インピーダンスモデルが更新される。一例では、患者基準フレーム内における配置に対するインピーダンス測定値または値を決定するのに使用されるインピーダンスモデルは、全内容を参照により本明細書に組み込む、2018年11月7日に出願された「カテーテル配置を推定するためのインピーダンス変換モデル(Impedance Transformation Model for Estimating Catheter Locations)」という名称の米国仮特許出願第62/756,931号に記載されている。
呼吸モデル
呼吸アーチファクトは、インピーダンス測定値誤差に著しく寄与し、それによって医療用デバイスに関する配置決定の誤差を増加させる場合がある。一実施形態では、本開示は、呼吸/息によるインピーダンスの変化を計算に入れた呼吸モデルについて記載する。一実施形態では、呼吸モデルは、インピーダンス測定および/または予測の精度を増加させることによって、医療用デバイスおよび/またはその電極の配置を決定するときの改善された精度を提供する、カテーテル電極インピーダンスアーチファクトを説明する。
心臓手術中、インビボのインピーダンス測定誤差は呼吸によって大幅に共変動する。つまり、患者基準フレーム内(例えば、患者の胸部上もしくは胸部内)の空間的に変動するインピーダンス測定値に対して、呼吸は、時間的に変動するアーチファクトを誘導する。時間的に変動するアーチファクトは、患者の胸部の体積が増加および減少する変化によって、各呼吸サイクルの間に生じる。より具体的には、体積の変化によって患者の生理学的状態が変化し、それによって、患者基準フレーム内におけるインピーダンス電場のインピーダンス測定値が変化する。したがって、かかるアーチファクトを監視し計算に入れることが望ましい。呼吸に誘導されるアーチファクトの監視は、呼吸がサイクルの間で変動するという事実によって複雑になる。呼吸は、呼息の終わりから吸息を通って呼息に戻る周期的位相空間を移動するが、呼吸は規則的周期ではない。各息は振幅および持続時間が固有であり、息の間の時間も変動する。これは、一連の呼吸の波形120を示す図15に示されている。波形120は、患者の吸息の間で増加し、呼息の間で減少する。この波形は、提示されるプロセスでは直接監視されず、例として図示される。呼吸波形の位相角Θは、πから-πまで変動する周期的ドメインを有する。より具体的には、位相角Θは、吸息の間にゼロからπまで増加し、呼息の間に-πから0まで減少する。図示されるように、吸息または呼息どちらかの間一定である必要はない。例えば、吸息または呼息の速度は、様々な位相角波形の非線形的傾斜によって示されるように、単一の吸息または呼息サイクルの間に変化することがある。ωによって示される呼吸波形の変化率は、位相角Θの導関数である。図示されるように、隣接する呼吸の振幅および持続時間は異なる。つまり、各呼吸は、規則的周期のプロセスではなく準周期的プロセスである。呼吸が準周期的なので、本開示の目的は、呼吸を介して誘導されるアーチファクトを準周期関数としてモデリングすることである。一実施形態では、アーチファクトは、所与の呼吸サイクルにおける現在の配置および位置の関数としてモデリングされる。
各呼吸/息は固有であるが、呼吸を準周期関数としてモデリングする際に使用されてもよい、いくつかの相対的に安定したまたは一定の呼吸パラメータがある。例えば、受動的呼息の終わりに肺に存在する空気の量である機能的残気量(FRC)は、所与の個人で比較的一定である。対照的に、一回呼吸量(TV)は、通常の吸気と呼気との間で変位される通常の空気量を表す肺の容量である。FRCは比較的一定であるが、TV(例えば、振幅)は息ごとにそれよりも変動する。結果として、呼息の終わりと吸息の始まりとの間の位相は相対的に安定した位相Θsを表し、各息は安定した位相からの摂動を表す。
インピーダンス測定における呼吸に関連するアーチファクトをモデリングするため、各電極インピーダンス測定値ziは、一実施形態における時間依存の関数である準周期関数gj(Θ)と、一実施形態における空間依存の関数である非周期関数fiとの合成としてモデリングされる。つまり、fiは、患者基準フレーム内および/またはインピーダンス場の中における配置に対するインピーダンス測定値を表してもよい。準周期関数は呼吸サイクルの位相角Θに依存する。つまり、準周期関数は、本発明の解析では位相角Θとして示される、吸気の始まりと呼気の始まりとの間の呼吸サイクルにおける配置に依存する。患者基準フレーム内の全てのインピーダンス測定値に影響する共通の呼吸プロセスがあるので、単一の位相角Θおよび振幅γが時間サンプルkにおける全ての準周期関数を支配すると仮定される。
図13Aは、6つの外部または表面パッチ電極によって定義されるインピーダンス場の中に配設された医療用デバイスまたはカテーテル24を示している。図示される非限定的実施形態では、パッチ電極は、左側パッチ電極56と、右側パッチ電極58と、胸部パッチ電極60と、背中パッチ電極62と、首パッチ電極64と、脚パッチ電極66とを含む。電極30の任意の電極インピーダンス測定値iに関して、駆動されたパッチ対のインピーダンス場の中のカテーテル24に、1つの準周期関数gjが当てはまる。一実施形態では、同じ準周期関数は、表面パッチ電極の単一の対を駆動することに応答して測定される、全ての電極インピーダンス測定値(例えば、複数のカテーテル電極が存在する場合、異なるカテーテル電極のインピーダンス測定値)に当てはまる(例えば、インピーダンスモッド)。例として、インピーダンス場の単一のカテーテル電極30(例えば、電極i)およびインピーダンス場を定義する6つの表面パッチ電極が存在する図13Aの実施形態では、胸部から右側のパッチ対の駆動(例えば、インピーダンスモッド)が単一の準周期関数gjをもたらすであろう。jは準周期関数を表す。この実施形態では、これは1つの準周期関数(例えば、gl)をもたらす。つまり、電流が胸部および右側のパッチ電極の間で駆動された場合、第1の準周期関数は電極30を支配するであろう。一実施形態では、各電極インピーダンスは6つの駆動されたパッチ対(例えば、背中→左側、左側→胸部、右側→背中、胸部→右側、首→背中、脚→背中)の組み合わされた測定値である。したがって、1つの準周期関数を駆動されたパッチ対それぞれに対して用いて、これによって6つの準周期関数がもたらされる。第2の電極の追加は、新しい準周期関数をもたらさない。
一実施形態では、インピーダンス測定値と準周期関数との間の関係(例えば、測定ベクトル)は、次式のように書かれてもよい。
zi+(j-l)*numElec(xk,Θk,γk)=fij(xk)+γkgj(Θk)
式中、時間kにおける電極の電極インピーダンス測定値zi+(j-l)*numElecは、上述のインピーダンスモデルによって提供されてもよい、非周期関数f(x)によって与えられる電極の配置に対するインピーダンス、ならびに時間kにおける呼吸サイクルの振幅γおよび時間kにおける呼吸サイクル中の配置Θによって修正された準周期関数gjによって決定される、その配置に対するアーチファクトの関数である。一実施形態では、非周期関数f(x)は一定である。各準周期関数は同じ位相角によって支配されるが、各関数は他の関数に対して進むかまたは遅れてもよい。各準周期関数は同様に、他の関数に対して大きいかまたは小さいか、正か負かいずれかの振幅を有することが予期される。
駆動されたパッチ対それぞれに対して、4つのパッチは駆動されず、4つの追加の準周期関数が駆動されていないパッチ対を支配する。例として、図13Aの実施形態では、胸部から右側のパッチ対の駆動(例えば、インピーダンスモッド)は、4つの追加の準周期関数(例えば、g7、g8、g9、およびg10として記載される、Neck→Refパッチ、Leg→Refパッチ、Back→Refパッチ、およびLeft→Refパッチ)をもたらすであろう。一実施形態では、各電極インピーダンスは6つの駆動されたパッチ対(例えば、背中→左側、左側→胸部、右側→背中、胸部→右側、首→背中、脚→背中)の組み合わされた測定値である。したがって、4つの準周期関数を駆動されたパッチ対それぞれに対して用いて、これによって24の追加の準周期関数がもたらされる。一実施形態では、駆動されていないパッチの測定値が測定ベクトルの終わりに追加されてもよく、追加の駆動されていないパッチのインピーダンス測定値と準周期関数との間の関係は、次式のように書かれてもよい。
z6*numElec+j’(xk,Θk,γk)=fj’(xk)+γkg6+j’(Θk)
上述したように、呼吸は、位相角がゼロのとき(例えば、呼吸の間)、比較的安定した周期Θsを有するものと見なされてもよい。この安定した周期の間、準周期関数は測定値に対する影響を有さないべきである。結果として、位相角がゼロのとき、全ての準周期関数がゼロに等しいことが望ましい。
したがって、一実施形態では、各準周期関数は次式のように公式化される。
gj(Θk)=αj(l-cos(Θk))+βjsin(Θk)
式中、αおよびβは各準周期関数の位相を調節する重みを表す。一実施形態では、αおよびβは定数である。一実施形態では、各準周期関数ならびに支配する位相角および振幅は、サンプルごとの何らかの一般に分布する誤差を有して、確率過程にしたがって変動する。つまり、位相および振幅は、以前の値および観察可能なパラメータ(例えば、インピーダンス測定値)から予測されてもよい、隠れた状態変数である。
一実施形態では、一旦呼吸サイクルが始まると、安定した位相角Θsによって定義される位相がゼロに近いときを除いて、比較的定常の速度ωで前進するものと考えられる。ゼロに十分に近いとき、位相角は安定していると予測され、ゼロに向かう傾向がある。位相角は、πから-πへの周期的ドメインを有する。一実施形態では、以前の時間ステップ(例えば、k-1)から現在の時間ステップ(例えば、k)へのΘの展開は、定常速度ωにおける前進である。つまり、モデルは時間ステップ間のΘの予測可能な前進を仮定する。ωならびにαjおよびβjそれぞれは定数として表されるが、これらのパラメータも変動してもよい。つまり、これらのパラメータは、より遅い時間スケールで変化するものであるが、確率過程の隠れた状態変数を形成してもよい。
上述したように、位相角および振幅は、以前の値および現在の測定値から予測されてもよい、隠れた状態変数である。これに関して、Θk-lおよびγk-lは分かっていてもよく、時間kの配置(x)に対する電極インピーダンス測定値zi(xk,Θk,γk)を予測するのに使用される、現在の電流位相Θkおよび振幅γkを予測するのに利用されてもよい。例えば、配置(x)のインピーダンス場(例えば、患者基準フレーム)における電極の配置を予測するカテーテルモデルと併せて、インピーダンスモデルは配置に対するインピーダンス値を予測してもよく、呼吸モデルはその電極のアーチファクトを予測してもよい。結果として、呼吸アーチファクトを含むインピーダンス測定値は、患者基準フレームにおけるモデル電極配置に対して予測されてもよい。それに対応して、モデル電極に対応する(例えば、物理的なカテーテルの)物理的な電極における実際のインピーダンス測定値が、取得/測定されてもよい。例えば、医療用位置決めシステムは、患者基準フレーム内に配設された物理的なカテーテルの対応する電極に関する実際のインピーダンス測定値(例えば、ある量のシステムノイズを有する)を取得してもよい。予測測定値および実際の測定値は、様々なモデルを更新するのに利用されてもよい。つまり、予測測定値および実際の測定値を利用して、患者基準フレーム内における物理的な電極の真の配置が決定されてもよい。それに加えて、位相Θおよび振幅γが、予測測定値および実際の測定値に基づいて更新されてもよい。認識されるように、モデルは位相および振幅を推定できるようにするが、これらのパラメータは直接観察されることはない。これに関して、確率過程は、位相および振幅を推論し、反復プロセスを通して、呼吸サイクルの実際の位相および振幅と実質的に整列するように、呼吸モデルを調節する。
一実施形態では、拡張カルマンフィルタを使用して、準周期関数の隠れた状態変数が推論される。隠れた状態変数から、任意の時間において、隠れた状態測定値を予測することができ、隠れた状態変数のアクセス可能な部分の更新を可能にするような形で拡張カルマンフィルタの枠組を使用して、状態変数の推定値を更新することができる。したがって、任意の瞬間において、拡張カルマンフィルタの枠組を使用することによって状態変数の部分を決定するのに十分な情報がなくても、準周期関数と関連付けられた、状態変数の適切な部分と関連付けられた予測を行うことができる。
準周期関数と関連付けられた状態変数の適切な部分の予測と実際の測定値との間に差ができる場合があり、予測と実際の測定値との間の差に基づいて、状態変数の適切な部分を更新することができる。そのため、状態変数は、所与の瞬間ではなく所与の期間にわたって修正することができる。例えば、状態変数の適切な部分の以前の予測を、現在の時点における測定値に基づいて補正することができる。
総合的に、モデルは、医療用デバイスの動きにノイズがないことを十分に説明する。換言すれば、モデルは、システムの可能な状態を説明し、システムの個々の状態変数を表す。一般に、初期の時間における状態変数の知識は、システム入力および/または出力の少なくとも部分的な知識とともに、状態空間(例えば、幾何学的多様体)における点または分布としてシステムの現在の状態および/または後の状態を推定できるようにする。かかる構成では、状態変数は状態空間(例えば、N次元空間)の座標軸上に配置される。入力、出力、および状態の数からまとめて、状態変数(例えば、モデル)はベクトルとして表され、それらを組み合わせてシステムの状態ベクトルが形成される。システムの状態は、状態空間内における可能な状態の分布100として表す(即ち、状態空間内の点として表す)ことができる。図16を参照のこと。状態分布の各点は、全てのモデルに関する情報(例えば、電極配置、センサ配置、モデル変数など)を含む。一般的に、分布の平均は、システムの最も可能性が高いまたは真の状態を表すものと見なされる。したがって、平均は全ての状態変数の最良の推定値として利用されてもよい。一般に、状態変数(例えば、状態ベクトル成分)の数を低減して、システムの計算量を低減することが望ましい。しかしながら、更なる変数(例えば、モデル)が、上述のモデルに加えて、システムモデルに組み込まれてもよいことが認識されるであろう。
状態ベクトルは、医療用デバイスの動きにノイズがないことを説明する。しかしながら、電極および磁気センサの実際の測定値にはノイズがある。つまり、これらのパラメータの測定値はそれぞれ、未知の大きさの誤差またはノイズを含む。実際のシステムは、多数のシステム構成要素(例えば、個々のモデル)である確率過程である。システムの改善されたモデリングおよび推定を提供するため、ノイズはシステムモデル内に含めなければならない。したがって、本開示は、状態ベクトル、ノイズ測定値、および制御ベクトル(例えば、分かっている入力)の間の関係を定義する観察モデルを提供する。この観察モデルは、新しい測定値(例えば、ある量のノイズを有する)をシステムの前の状態とともに利用して、システムの新しい状態を推定する。
開示するシステムの1つの利益は、各時間ステップにおけるシステム状態を連続的に更新または推定する点である。つまり、観察モデルは、静的補正因子とは対照的に、連続的な補正を提供する。例えば、開示するシステムは、システムの状態を1秒当たり約100回予測または更新してもよい。更なる利益は、観察モデルが、状態推定値が推定器によって提供されるシステム状態の更新/推定値を生成するのに、システムの以前の(例えば、時間k-1における)状態および現在の(例えば、時間kにおける)システム測定値に関する情報しか要しない点である。
確率過程全体は、医療用デバイスの新しい配置および/または医療用デバイスの電極の新しい配置を推定するとともに、各モデル(例えば、インピーダンスモデル、磁気モデル、カテーテルモデルなど)の様々な状態変数を推定する。一実施形態では、プロセスは、次式にしたがって、時間k-1における以前の状態から展開された、時間kにおけるシステムの状態を仮定する。
xk=Fk(xk-1)+Bk(uk)+wk
式中、
xkはシステムに対する関心パラメータ(例えば、モデルのパラメータ)を含む状態ベクトルである。この式は、後に続く状態を誤差を含んで予測するのに使用される。
Fkは、時間k-1における各システム状態パラメータの効果を時間kにおけるシステム状態に適用する、状態遷移行列である。換言すれば、遷移行列は、以前の状態ベクトルと現在の状態ベクトルとの間の関係を定義する。
ukは任意の制御入力(例えば、医療用デバイスに対するロボット入力)を含むベクトルである。
Bkは、ベクトルukにおける各制御入力パラメータの効果を状態ベクトルに適用する制御入力行列である。なお、本実施形態は、いずれの制御入力および入力行列も利用せず、Bkおよびukは空である。しかしながら、制御入力がシステムに組み込まれた場合、制御ベクトルおよび制御入力行列が含まれてもよいことが認識されるであろう。
wkは状態ベクトルにおける各パラメータ(例えば、モデル)のプロセスノイズ項を含むベクトルである。一実施形態では、プロセスノイズは、共分散行列Qkによって定義された共分散を有する多変量分布から引き出されるものと仮定される。
誤差を含むシステムの測定も、モデルにしたがって各時間ステップで実施される。
zk=hk(xk)+vk
式中、
zkは測定ベクトルであり、センサによって測定された変数の組(例えば、インピーダンス測定値、磁気センサ測定値など)である。
hkは状態ベクトルパラメータを測定ドメインにマッピングする観察モデル(即ち、変換行列)である。換言すれば、観察モデルは、状態ベクトルとノイズがある測定値との間の関係を定義する。
vkは、測定ベクトルの測定された変数それぞれに対する測定ノイズ項を含むベクトルである。一実施形態では、プロセスノイズは、共分散行列Rkによって定義される共分散を有する多変量分布から引き出されるものと仮定される。
確率過程は、隠れたまたは潜在状態である、システムの真の状態を決定するのに利用される。プロセスの目的は、システム状態(例えば、モデルの電極配置、隠れた変数など)の推定値を生成し、これらの推定値から真の状態(例えば、より正確な状態)を決定することである。一実施形態では、推定器は、非線形システムモデルまたは線形化システムモデルとともに、ならびに/あるいは非ガウスノイズ分布を有するモデルとともに使用するように適合された、拡張カルマンフィルタの形で実現される。しかしながら、非線形システムおよび/または非ガウスノイズ分布を有するシステムにそれぞれ適用されてもよい、アンセンテッドカルマンフィルタ、マルコフモデルおよび/または粒子フィルタなど、他の推定器を使用した変形例が埋め込まれてもよいことが認識されるであろう。
推定器の各推定値は、平均(即ち、状態推定値の分布中心)、および平均の周りにおける確率を説明する共分散である。適用の際、推定値は、測定値を組み込む前の事前推定値(予測)、および測定値を組み込んだ後の事後推定値(更新)を含む。事前推定値は、以前の時間ステップからの状態推定値を使用して、現在の時間ステップにおける潜在状態(平均x
k|k-1および共分散P
k|k-1)の推定値(例えば、予測)を作成する。
x
k|k-1=Fk
x
k|k-1+BkUk
P
k|k-1=Fk
P
k|k-1+Fk
T+Qk
つまり、事前推定値は、以前の状態(即ち、k-1)から推定分布および共分散を作成する、変換行列からの推定値である。変換行列は、元の分布の全ての点を取り、それを、例えば、未知のシステムノイズを計算に入れた拡大共分散(例えば、Qkを共分散行列Pに追加)を有する予測分布へと移動させる。事後推定では、現在の事前予測を観察モデルと組み合わせて、状態推定値が改良されてもよい。より具体的には、観察モデルは、推定値(例えば、平均x
k|k-1および共分散P
k|k-1)を測定ドメインにマッピングして測定値を予測する。
z
k=hk
x
k|k-1
予測測定値z
kは、観察可能なパラメータ(例えば、システムの電極測定値およびセンサ測定値)の実際の測定値zkと比較されてもよい。
yk=zk-z
k
これによって、システムの利得Kを決定することが可能になる。Kは、x
k|k-x
kの間の予期される残差平方和を最小限に抑える。これは、第1の予測平均μ0および第1の予測共分散σ0を有する予測測定値を作成する観察モデルと組み合わされた状態分布の一次元表現である図17にグラフで示されている。実際の観察測定値は、第2の平均μ1および第2の共分散σ1を有する第2の分布によって表される。これらの分布の重なりは、推定状態および推定共分散を補正するのに使用されるシステム利得(例えば、カルマン利得)を定義する。換言すれば、2つの分布を融合して、融合平均μ’および融合共分散σ’を有する更新された分布が生成される(例えば、2つのガウス分布の倍数を併せて、これら2つの分布の重なり合う部分のガウス分布を生成する)。利得Kを、推定状態分布および推定共分散と組み合わせて、更新された状態分布(例えば、更新された状態平均および更新された共分散)が生成されてもよい。
x
k|k=x
k|k-1+Kkyk
P
k|k=(I-KkHk)P
k|k-1(I-KkHk)T+KkRkKT
更新された平均状態を利用して、電極および/または磁気センサの更新されたまたは真の配置(例えば、計算された配置)が決定されてもよい。更に、この状態を利用して、様々なモデルの様々な状態変数が更新されてもよい。
制約
上述のプロセスはシステムの現在の状態を予測することを可能にするが、更に、状態ベクトルおよび対応する状態の推定値が様々な制約を受けることが理解される。かかる制約を利用して、状態分布を限定するかまたは別の形で改良し、それによってシステム全体の精度を改善することができる。状態ベクトルxを所与として、モデル制約はg(x)=0として関数形式で表現することができる。この形式では、いずれの真の状態もこの式を満たすはずである。例として、表面パッチ電極間の電流を駆動して電極を励起することによって、インピーダンス測定値が作られる。上述したように、パッチ電極の異なる組が選択され、(一実施形態の)励起されていない表面電極の1つまたは複数が電圧を測定するのに使用されるので、電極励起プロセスは迅速かつ逐次的に行われる。励起信号(例えば、電流パルス)を伝達する間、残りの(励起されていない)パッチ電極は基準またはベリーパッチを基準としてもよく、これら残りの電極に印加された電圧が測定される。表面パッチ電極それぞれの電位は、特定の表面電極パッチ対が駆動される場合を除いて、全てのサンプルに対して獲得されてもよい。図14に示される二次元表現では、背中、左側、胸部、および右側の表面パッチ電極が患者の体内の電流ループを定義する。キルヒホフの電圧則はこの電圧ループに対する線形制約を表す。具体的には、パッチ電極対の全てにわたるそのサイクルからの、駆動された電位(即ち、インピーダンス)の合計はゼロでなければならない。つまり、
ZB-L+ZL-C+ZC-R+ZR-B=0
である。それに対応して、そのサイクルからの任意の電極における駆動された電位の合計はゼロでなければならない。したがって、この制約は、インピーダンス測定値(例えば、インピーダンスモデル)に関連する状態ベクトルの部分に適用されてもよい。別の制約は、磁気モデルが換算なしの剛体変換に対応する変化に制約されてもよいことであってもよい。つまり、変換前および変換後の全ての特定されたオブジェクトは同じ相対的な向きを有さなければならない。他の制約が複合モデルまたは独立モデルに適用されてもよい。適用の際、1つまたは複数のかかる制約を適用して、状態分布が制限されるかまたは別の形で改良されてもよい。
図18は、状態分布推定値に関連する制約g(x)=0を示している。図示されるように、制約は、制約が満たされる制約空間において実行可能性多様体(feasibility manifold)または制約多様体を形成する。つまり、g(x)=0の状態である。図11に示されるように、初期状態分布推定値100は制約多様体にはない。したがって、状態分布推定に対する制約を実施するため、状態分布推定を制約多様体へと移動させなければならない。この制約の適用は、制約を満たすデルタ関数を生成し、それを状態分布推定値で乗算して、制約された状態分布推定値を作ることによって実施される。
制約の適用は、制約されていない状態分布推定値100の平均の周囲に線形表現または接線102を生成する、一次テイラー級数展開を使用して近似されてもよい。これにより、状態分布推定値の制約されていない平均の周囲に一次近似が作られる。この接線は、制約の表面に投影されてもよい。より具体的には、この一次近似は、制約のヤコビアンの零空間
に対して直交方向で投影されてもよく、分布は零空間G内へと投影される。Gを通る連続の投影を用いて、推定状態分布は、制約が正確に線形でない場合であっても、制約多様体を追跡する。結果として、状態分布推定値は制約に従って制約される。
可能性が低い状態
システムのパラメータ化(例えば、システムモデル内)は、実現可能でないかまたはシステムの測定値によって十分に決定されていない、起こり得るシステム状態を記述してもよい。したがって、本開示は更に、かかる可能性が低い状態を不利にすることを含んでもよい。より具体的には、本開示は、より可能性が高い推定値/状態がシステムに対して作成されるように、推定を正則化する手段を提供する。推定状態分布を正則化するため、状態の尤度に比例する量を表現する正則化関数が定義されてもよい。一般に、尤度関数は、観察を所与として状態の尤もらしさを記述し、確率分布関数と状態分布の積である。一実施形態では、負の対数尤度が利用される。かかる実施形態では、不可能な状態は無限の負の対数尤度を有し、最も可能性が高い状態は最小限の負の対数尤度を有する。この正則化を適用するため、一実施形態では、負の対数関数を否定し、累乗し、正規化することによって、確率密度関数(正則化PDF)が計算される。推定状態分布を次に、正則化PDFによって乗算し、再正規化して、可能性が低い状態(例えば、状態分布と正則化PDFの組み合わせ以外の状態)を省略した正則化状態分布が作られる。
一実施形態では、一般的な負の対数尤度関数を、推定状態分布の平均における負の対数尤度関数の二次テイラー級数展開を通して近似的に適用して、確率密度関数が作られてもよい。一実施形態では、負の対数尤度関数の近似は、次式によって行われてもよい。
式中、二次展開のヘッシアンHは共分散の逆数として扱われ、ガウス平均が、二次展開のヤコビアンをヘッシアンの逆数で乗算することによって与えられる。この近似は、十分に理解されている平均によって状態分布で乗算することができる、ガウスPDFと等価である。
状態分布推定の正則化は、図7A~図7Cにグラフで示されている。具体的には、図7Aは状態分布100を示している。図7Bは、状態分布に適用された正則化PDF 104を示している。図7Cは、例示のために破線の円で全体が囲まれている、正則化された状態分布106を示している。認識されるように、正則化された状態分布は、可能性が低い状態を最初の状態分布推定値から除外している。これにより、異なる平均およびより小さい共分散を有する、新しい状態分布(例えば、正則化された状態分布)が得られる。つまり、正則化プロセスは、システムの真の状態をより正確に予測する、より緊密な状態分布をもたらす。
図19は、本開示の実施形態による、コンピューティングデバイスの処理リソースと通信しているコンピュータ可読媒体の一例のブロック図を示している。主制御部12は、図1に関連して考察したように、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、および/または論理を利用して、多数の機能を実施することができる。主制御部12は、多数のリモートコンピューティングデバイスを含むことができる。
主制御部12は、多数の機能を実施するように構成された、ハードウェアおよびプログラム命令の組み合わせであることができる。ハードウェアは、例えば、1つまたは複数の処理リソース160、コンピュータ可読媒体(CRM)162などを含むことができる。プログラム命令(例えば、コンピュータ可読命令(CRI)164)は、所望の機能を実現するため(例えば、観察モデルを使用してインピーダンスベースの医療用デバイスにおける電極の更新された配置を決定するなど)、CRM 162に格納され、処理リソース160によって実行可能な命令を含むことができる。CRI 164はまた、サーバによって管理されるリモートメモリに格納することができ、ダウンロードし、インストールし、実行することができるインストールパッケージを表すことができる。主制御部12はメモリリソース166を含むことができ、処理リソース160はメモリリソース166に結合することができる。
処理リソース160は、内部または外部の非一時的CRM 162に格納することができる、CRI 164を実行することができる。処理リソース160は、CRI 164を実行して、上述の機能を含む様々な機能を実施することができる。
多数のモジュール168、170、172、174、176は、サブモジュールまたは他のモジュールであることができる。例えば、推定モジュール172および推定器モジュール174は、サブモジュールであり、ならびに/あるいは単一のモジュールに含むことができる。更に、多数のモジュール168、170、172、174、176は、互いに別個であって離散的な個々のモジュールを備えることができる。
ナビゲーションモジュール168は、CRI 164を備えることができ、処理リソース160によって実行され、測定値を医療用デバイス24から獲得し、出力をディスプレイ16に描画することができる。測定値は、カテーテル上に配設された電極30のインピーダンス測定値、および/またはインピーダンス表面パッチ測定値を含むことができる。測定値はまた、カテーテル上に配設された磁気位置センサ28の磁気配置、および/または患者基準センサ26の磁気測定値を含むことができる。ナビゲーションモジュール168は、配置モジュール170を呼び出して、医療用デバイス24の電極および/またはセンサの更新された配置を取得してもよい。
配置モジュール170は、CRI 164を備えることができ、処理リソース160によって実行され、推定モジュール172、モデルモジュール174、および推定器モジュール176の動作を協調させることができる。一例では、配置モジュールは、更新要求と併せて、未加工の測定値をナビゲーションモジュールから受信することができる。ロケータモジュール170は、推定システムモジュール172を呼び出して、未加工の測定値を前処理してもよい。前処理された測定値が推定モジュールから獲得されると、配置モジュール172は、前処理された測定値を推定器176に提供して、要求とともにシステムの現在の状態を更新してもよい。
推定システムモジュール172は、CRI 164を備えることができ、処理リソース160によって実行されることができる。一実施形態では、推定システムモジュール172は、状態遷移および観察モデルを含むシステム全体の確率過程を定義する。一実施形態では、推定システムは、カルマンフィルタリング技術を実現するカルマンシステムであってもよい。一実施形態では、推定システムモジュール172は、モデルモジュール174および推定器モジュール176を呼び出して、更新された状態推定値を取得する。
モデルモジュール174は、CRI 164を備えることができ、処理リソース160によって実行されることができる。モデルモジュールは複数の個々のモデルを含んでもよい。これら個々のモデルは、1つまたは複数のカテーテルモデルを含んでもよい。一実施形態では、医療用デバイス/カテーテルは1つまたは複数のモデルによって表されてもよい。それに加えて、カテーテルモデルは、1つを超えるカテーテルが患者基準フレーム内で使用される場合の、異なる医療用デバイスのモデルを含んでもよい。個々のモデルはまた、患者基準フレームから磁気基準フレームへと配置を変換する、磁気モデル(例えば、磁気変換モデル)を含んでもよい。個々のモデルはまた、患者基準フレーム内の配置に対するインピーダンスを予測する、インピーダンスモデルまたはインピーダンス変換モデルを含んでもよい。
推定器モジュール176は、CRI 164を備えることができ、処理リソース160によって実行されることができる。推定器モジュールは、更新要求および入力を推定システム172から受信し、それに応答して更新された状態推定値および/または予測測定値を提供する。一実施形態では、推定器モジュールは拡張カルマンフィルタとして実現されてもよい。
図20は、本開示の実施形態による、三次元空間内の推定電極配置を更新する全体プロセス(例えば、センサ融合プロセス)と関連付けられたフロー図300を示している。最初に、フロー図は、ボックス302で、未加工の測定値を処理することを含む。未加工の測定値は、表面パッチ電極からの未加工のパッチインピーダンス測定値、ならびにパッチ継続データを含んでもよい。パッチ継続データは、各表面パッチの接触、およびしたがってその信頼性に関する指示を提供してもよい。未加工の電極インピーダンス測定値は、医療用デバイス/カテーテル(以下、カテーテル)の電極に関しても受信される。未加工の磁気データは、カテーテルの磁気センサおよび患者基準センサに関しても受信される。未加工の測定値の処理は、未加工の測定値を処理して、測定に関する所定の統計的範囲外にある(例えば、非ガウス誤差を有する)任意の測定値を検出することを含んでもよい。任意のかかる外にある測定値は、後に続く処理から除外されてもよい。未加工の電極インピーダンス測定値の場合、インピーダンス測定値は、いくつかの実施形態ではフィルタ処理されて、ノイズをインピーダンス信号から除去することができる。一実施形態では、生体インピーダンス換算を実施して、いくつかの実施形態における、電極のインピーダンス測定値(例えば、正の値)のドリフトを計算に入れる助けとしてもよい。かかる生体インピーダンス換算は、スカラー乗算器が時間に伴うインピーダンス測定値の変化を説明するという仮定で、導電性の全身性変化を補償してもよい。かかる換算は、駆動されていないパッチにおける平均インピーダンスを測定し、現在の平均と履歴値との比によって全てのインピーダンス測定値を換算してもよい。別の実施形態では、パッチ中心減算が適用されてもよい。パッチ中心減算は、システム基準電位の変化を補償する、生体インピーダンス換算を補完するドリフト補償アルゴリズムである。いくつかの例では、システム基準は心臓からある距離に配置されてもよい。パッチ中心減算アルゴリズムは、駆動されていないパッチからの仮想基準座標を計算し、この座標を生体インピーダンス換算後の電極測定値のインピーダンス座標から減算する。一般に、かかるパッチ中心減算は、心臓の中心により近い配置に対してインピーダンス座標を改めて参照する。未加工の信号の他の処理が可能であり、本開示の範囲内と見なされる。
ボックス304で、フロー図は、1つまたは複数の状態制約を計算して、状態分布を制限するかまたは別の形で改良し、それによってシステム全体の精度を改善することを含む。かかる制約が計算されると、ボックス306で、以前の状態が制約に投影されてもよい。なお、これは、今後の予測に関するシステムの更なる不確実性またはノイズを計算に入れるため、以前の状態に対して共分散行列を拡大することを含んでもよい。この追加のプロセスノイズが以前の状態に含まれると、以前の状態は制約多様体に配置されなくなってもよい。したがって、上述したように、以前の状態は制約多様体へと移動されてもよい。
以前の状態が制約に投影されると、フロー図のボックス308で、システムの次の状態が予測される。つまり、状態の新しい分布(例えば、平均および共分散)が、時間k-1における各システム状態パラメータの効果を時間kにおけるシステム状態に適用する、状態遷移行列Ftを使用して生成される。つまり、現在の状態が予測される。新しい状態分布(例えば、平均および共分散)が生成されると、ボックス310で、現在の状態に対する1つまたは複数の制約が計算されてもよい。ボックス312で、現在の状態が制約に投影されてもよい。
一実施形態では、現在の状態の分布を低減するため、現在の状態における可能性が低い状態が不利にされてもよい。一実施形態では、フロー図のボックス314で、負の対数尤度が計算される。一実施形態では、確率密度関数が生成される。この関数は、現在の状態分布に適用されてもよい。つまり、フロー図のボックス316で、現在の状態分布が正則化されてもよい。
フロー図のボックス318で、予測測定値が生成されてもよい。つまり、観察モデルを利用して、現在の予測状態を所与として測定値(例えば、電極およびセンサ配置測定値)を予測して、平均および共分散を有する予測測定値の分布が作られてもよい。測定値が予測されると、実際の測定値と比較されてもよい。予測測定値と実際の測定値との間の差を利用して、フロー図のボックス320で、現在の予測状態が補正されてもよい。現在の状態が補正されると、一実施形態では、フロー図のボックス322で、異常値が特定され、現在の状態から除去されてもよい。この時点で、新しい状態分布が現在の更新(例えば、時間ステップ)に対して生成される。新しいまたは更新された状態分布から、フロー図のボックス324で、電極配置が計算されてもよい。更に、様々なモデルの全ての状態変数が、更新された状態分布から計算されてもよい。
図21A、21B、および22は、図19に記載されるモジュール168、170、172、174、176の間の相互作用の一実施形態を説明する、プロセスコールグラフを示している。図21Aを参照すると、更新プロセスコールグラフ340が記載されている。最初に、ナビゲーションモジュール168は、配置モジュール170からの状態の更新342を指示する。ナビゲーションモジュール168は、現在の時間ステップ(例えば、時間t)の新しい測定値(例えば、未加工の測定値)を、更新要求と併せて配置モジュール170に提供する。配置モジュール170は、推定システムモジュール172が未加工の測定値を処理することを要求する(344)。推定システム172は、モデルモジュール174のカテーテルモデルまたは複数のカテーテルモデルと通信する。より具体的には、推定システムは、未加工の測定値が特定のカテーテルモデルに対して前処理されることを要求する(346)。なお、複数のカテーテルが患者基準フレーム内にある例では、このプロセスは、複数のカテーテルモデルを利用して複数のカテーテルに対して実施されてもよい。モデルモジュール174は、前処理された測定値を推定システムモジュール172に返し(342)、そのモジュールはこれらの測定値を配置モジュール170に返す。前処理された測定値は、配置モジュール170によって要求352とともに推定器モジュール176に提供されて、以前の時間ステップ(k-1)に対するシステムの状態分布(例えば、状態平均および状態共分散)が更新される。要求352は、現在の時間ステップに対する測定値も含む。
推定器モジュール176は、システムの確率過程を説明する推定システムモジュール172とともに働いて、以前の時間ステップに対する更新された状態平均および状態共分散を生成する。要求および応答ループ354で、推定器モジュール176は、推定システムモジュール172がシステムに対する(例えば、状態ベクトルに対する)制約を計算することを要求し、推定器システムモジュール172は、制約を推定器モジュール176に提供する。推定器176は、状態(例えば、k-1)を制約に投影する(356)。制約されると、要求および応答ループ358で、推定器モジュール176は、推定システムモジュール172がシステムの次の状態を予測することを要求し、推定システム172は、システムに対する次の状態分布推定値(例えば、平均および共分散)を推定器176に返す。推定器モジュール176および推定システムモジュール172は、要求および応答ループ360で、(例えば、時間tにおける)次の状態分布推定値に対する更新された制約を計算する。推定器は、次の状態分布推定値を更新された制約に投影する(362)。推定器モジュール176および推定システムモジュール172は、要求および応答ループ364で、状態分布推定値に対する尤度関数を計算する。推定器モジュール176は、尤度関数を利用して、正則化された状態分布推定値を作成する(366)。
推定器モジュール176および推定システムモジュール172は次に、要求および応答ループ368において、正則化された状態分布推定値を測定空間にマッピングする観察モデルを適用することによって、測定値(例えば、電極およびセンサ測定値)を予測する。このループ368については図22に関連して本明細書で更に考察する。予測測定値に基づいて、推定器モジュール176は、予測測定値と実際の測定値との対応370を決定する。推定器モジュール176が拡張カルマンフィルタである一実施形態では、これは、最適なカルマン利得の決定である。予測測定値と実際の測定値との間の対応は、状態分布推定値を補正して、更新された状態平均および共分散(例えば、更新された状態)を生成するのに使用される。つまり、正則化された状態分布推定値は、時間kにおける更新された状態平均および共分散を生成するように補正され、それは配置モジュール170に提供される(372)。一実施形態では、配置モジュールは、更新された状態平均および状態共分散における疑わしい異常値を特定する(374)ように、推定システムモジュールに要求する(374)。配置モジュールの推定システムモジュール172は、ステータスをナビゲーションモジュール170に返す(376)。
更新された状態平均および状態共分散のステータスが許容可能である場合、コールグラフは図21Bに続く。一実施形態では、ナビゲーションモジュールは、各カテーテルに対して、更新された状態平均および共分散に基づいて、患者フレーム内における電極および/またはセンサの配置を要求する。つまり、ナビゲーションモジュール168は、配置モジュール170が患者基準フレーム内における配置(例えば、電極配置)を取得することを要求する(378)。配置モジュール170は、更新された状態に基づいて、推定システムからの電極配置を要求する(380)。推定システム170は、モデルモジュール174からの変換(例えば、患者からインピーダンスへの変換)を要求する。変換を更新された電極配置に適用することによって、患者基準フレーム内における真の電極配置が予測され、それがナビゲーションモジュール170に提供される。ナビゲーションモデル170は次に、画像診断システムに対する電極配置を描画するかまたは別の方法で処理し(386)、電極配置をディスプレイ16に出力する。
上述したように、推定器モジュール176および推定システムモジュール172は、図21Aの要求および応答ループ368において、正則化された状態分布推定値を測定空間にマッピングする観察モデルを適用することによって、測定値(例えば、電極およびセンサ測定値)を予測する。図22は更に、この要求および応答ループを示している。図示されるように、推定器モジュール176は最初に、推定システムモジュール172が測定値を予測することを要求する(402)。このとき、推定システムモジュール172はモデルモジュール174とインターフェース接続する。より具体的には、推定システム172は、状態分布推定値の磁気部分を磁気変換モデル174Cに提供し、状態部分推定値のインピーダンス部分をインピーダンス変換モデル174Cに提供する。例えば、要求および応答ループ404において、推定システムは、磁気変換モデル174Bによる患者基準フレームから磁気基準フレームへの変換を要求する。かかる要求では、推定システムモジュール172は、推定値の各状態に対して、6つの変数(例えば、6自由度センサの場合)を磁気変換モデル174Bに提供し、それに応答して変換行列を提供してもよい。要求および応答ループ406において、推定システムは、インピーダンス変換モデル174Cによる患者基準フレームからインピーダンスのインピーダンスフレームへの変換を要求する。かかる要求では、推定システムモジュール172は、各状態に対して、インピーダンスパラメータをインピーダンス変換モデル174Cに提供し、それに応答して変換行列を提供してもよい。ループ408において、推定システムモジュール172は、カテーテルモデル174Aから、患者基準フレームにおけるセンサおよび電極の予測座標(例えば、配置)を取得してもよい。第2のループ410において、推定システムモジュール172は、取得した変換を予測配置およびカテーテルモデル174Aそれぞれに適用してもよい。一実施形態では、平均における各状態に対してヤコビアンが計算される(412)。ヤコビアン行列式は、状態空間の変換によってもたらされる各状態のローカルデルタを記述する。予測測定値およびヤコビアンは推定器モジュール176に返され(414)、そこで予測測定値を実際の測定値と比較して、推定状態分布に対する利得(例えば、補正)が計算されることによって、時間kに対する更新された状態および更新された共分散が生成される。
信頼度および障害検出
図20に関連して上述したように、センサ融合プロセスは、未加工の測定値の信頼性を決定すること(例えば、ボックス302)、ならびに推定状態分布における異常値を特定すること(例えば、ボックス322)を含んでもよい。これらの考え方に沿って、電極、磁気センサ、またはカテーテル自体(例えば、カテーテルスプライン)などのカテーテル機構の測定配置および/または推定配置は、配置が信頼できるものか否かの指示を有する。一実施形態では、かかる指示は、推定状態分布から計算される統計信頼区間、および収束時間に基づいてもよい。配置の信頼性が低い場合、履歴データ点の収集が抑制される。
電極からの測定値(例えば、電極からの6つのインピーダンス呼掛け信号(以下、「インピーダンスモッド」)、センサからの測定値、各パッチ、全てのインピーダンスデータを組み合わせたもの、全ての磁気データを組み合わせたもの、単一のインピーダンスモッドそれぞれ、全てのインピーダンスデータを組み合わせたもの、単一のカテーテルそれぞれ)の各群に関して、信頼性値は、切断されたもしくは不適切に接続された電極、状態遷移および観察モデルによって説明できない測定値など、複数の測定の問題が存在するか否かを示す。これら測定値の問題が検出されると、障害の指示がユーザに表示されてもよく、ならびに/あるいはある種の障害に関して、対応する医療用デバイスからのデータ収集が抑制されてもよい。一部の測定の問題の検出は、対応する測定値をセンサ融合プロセスから除外する。一般に、1)対応する推定カテーテル配置の信頼性が高いか否かを判定すること、2)センサ融合アルゴリズムから除外されるべき故障測定値を修復および/または検出するユーザ操作を要求する、測定障害を検出すること、ならびに/あるいは3)統計的異常値を決定することが望ましい。
信頼性
一実施形態では、全ての配置推定値は、センサ融合プロセスが開始された後の指定された時間間隔の間、信頼できないとして記されてもよい。この不信頼性期間は、磁気変換、インピーダンス変換、カテーテル形状、および他の状態変数の推定が確定するのに時間を取る際に実現されてもよい。したがって、全ての配置推定値は、センサ融合プロセスが開始された後、120秒などの指定された時間間隔の間、信頼できないとして記されてもよい。カテーテルにおける配置推定値はまた、カテーテルが導入された後のある時間、カテーテルがシース内部にある間、カテーテルがシースから出た後のある時間、またはカテーテルが分離されたとき、信頼できないとして記されてもよい。
一実施形態では、様々な距離誤差に境界が置かれてもよく、および/または関与するカテーテル機構配置が信頼できないものとして境界が記されてもよい。かかる実施形態では、境界は、同じまたは別個のカテーテルにおける、カテーテル機構の真の配置と推定配置との間の誤差距離、カテーテル機構と、付近の表面、付近の病変、もしくは付近のマッピング点など、解剖学的配置との間の距離の誤差、ならびに/あるいは2つの別個のカテーテル機構間の距離の誤差を決定することを含んでもよい。かかる距離に対して、公差が設定される。公差は、物理的な距離(例えば、2mm)として、または推定値のパーセンテージ(例えば、10%)として設定されてもよい。適用の際、推定器は、システムの状態変数全体にわたる確率分布を作成する。例えば、一次元状態分布(例えば、ベル曲線)である。それぞれの可能な状態に対して、全てのカテーテル機構の配置を計算することができる。システムは、状態変数の平均に対するカテーテル機構の各距離がその公差を超える確率を計算する。確率が閾値を超えた場合(例えば、一次元分布に2つの標準偏差)、その距離に関与するカテーテル機構配置は信頼できないとして記される。
一実施形態では、距離がその公差を超える確率を計算する数値的方法は、モンテカルロサンプリングを含む。かかる実施形態では、状態は、状態の確率分布から無作為にサンプリングされる。各サンプルに対して距離が計算される。距離がその公差を超えるパーセンテージが決定される。閾値を超えるパーセンテージの距離が公差を超えた場合、距離は信頼できないものと見なされる。
一実施形態では、距離がその公差を超える確率を計算する数値的方法は、ヒューリスティック解析を含む。この実施形態では、ガウス状態分布の場合、推定値からのカテーテル機構オフセットの局所的な線形化が計算される。これにより、各オフセットはヤコビアンを有することになる。状態分布が平均xおよび共分散Sを有する場合、オフセットの分布は次式によって十分に近似される。
N(0,JSJT)
誤差が等方性に近い場合、トレースの平方根(JSJT)は平方距離誤差の標準偏差を近似する。この値が上限を超えると、距離は信頼できないものと見なされ、したがって関与する配置推定値が信頼できないものと見なされる。
故障測定値
インピーダンスデータの問題を検出する、いくつかのヒューリスティック故障検出アルゴリズムが実現されてもよい。以下の状況は、切断されたかまたは物理的に故障していると見なされる電極を検出する。これらの状況が検出された場合、測定値は推定器から除外される。一実施形態では、インピーダンス値が閾値よりも大きい電極が、切断されたかまたは故障していると見なされる。別の実施形態では、全ての電極の平均と異なるインピーダンス値を有する電極は、故障していると見なされない。
以下の実施形態は、切断されたか、物理的に故障しているか、または接続が交換されたと見なされた電極を検出する。これらの測定値は推定器から除外される。一実施形態では、センサ融合プロセスによる配置推定値が、インピーダンス優位のアルゴリズムによるそれらの推定値よりも閾値から離れている電極が除外される。別の実施形態では、ポリラインが電極配置に適合される。一連の隣接する電極を通るポリラインが電極の1つにおいて鋭角を有する場合、その電極は誤接続検出の候補と見なされる。あるいは、平均曲げ角が閾値を超える場合、カテーテルスプラインの全ての電極が誤接続検出の候補と見なされる。実際には誤接続されていない誤接続候補は、次のように考慮から除去される。潜在的に誤接続されているとフラグが付けられた単一の電極があり、他の電極は不適当な測定ステータスを有さないか、または切断されていると記されている場合、その単一の電極が除去される。一実施形態では、電極配置のセンサ融合プロセス推定値が、他の任意の誤接続候補のインピーダンス配置よりもその電極のインピーダンス配置に近い場合、電極は除去される。
統計的異常値
状態推定器は、全ての測定値にわたる確率分布を計算する。各測定値群に対して、測定値をそれらの予期される分布と比較する検定統計量が計算されてもよい。推定器によって計算される全体的にガウス分布を有する一実施形態では、平均から測定値までのマハラノビス距離が、一実施形態では、検定統計量を形成してもよい。マハラノビス距離は、地点Pとその地点を含む分布Dの平均との間の距離の指標である。距離が所定の閾値を超える場合、測定値群は統計的異常値として記される。
様々な装置、システム、および/または方法の実施形態について本明細書に記載している。多数の具体的な詳細は、本明細書に記載され添付図面に例示されるような実施形態の全体的な構造、機能、製造、および使用について徹底的な理解を提供するために説明される。しかしながら、当業者であれば、実施形態はかかる具体的な詳細なしで実施されてもよいことを理解するであろう。他の例では、良く知られている動作、構成要素、および要素については、本明細書に記載する実施形態の妨げとならないよう、詳細には記載していない。当業者であれば、本明細書に記載し例示する実施形態は非限定例であり、したがって、本明細書に開示する具体的な構造上および機能上の詳細は代表例であり、添付の特許請求の範囲によってのみ定義される実施形態の範囲を必ずしも限定しないものと認識できることを理解するであろう。
本明細書全体を通して、「様々な実施形態」、「いくつかの実施形態」、「一実施形態」、または「ある実施形態」などの参照は、実施形態と関連して記載される特定の特徴、構造、または特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、「様々な実施形態では」、「いくつかの実施形態では」、「一実施形態では」、または「ある実施形態では」などの語句が、本明細書全体を通して所々に出現する場合、必ずしも全て同じ実施形態を指すとは限らない。更に、特定の特徴、構造、または特性は、1つまたは複数の実施形態において、任意の公的な形で組み合わされてもよい。したがって、一実施形態と関連して例示もしくは記載される特定の特徴、構造、または特性は、組み合わせが非論理的または非機能的ではないことを所与として非限定的に、1つもしくは複数の他の実施形態の特徴、構造、または特性と全体的もしくは部分的に組み合わされてもよい。
「近位」および「遠位」という用語は、患者を治療するのに使用される器具の一端を操作する医師を参照して、本明細書全体を通して使用されてもよいことが認識されるであろう。「近位」という用語は、医師に最も近い器具の部分を指し、「遠位」という用語は、医師から最も遠くに位置する部分を指す。更に、簡潔さおよび明確さのため、「垂直」、「水平」、「上」、および「下」などの空間的用語が、例示される実施形態に対して本明細書において使用されてもよい。しかしながら、外科器具は多くの向きおよび位置で使用されてもよく、これらの用語は限定的および絶対的であることを意図しない。
システムモデルの利用に基づいて電極の配置を推定する少なくとも1つの実施形態について、ある程度の特定性を含めて上記に記載してきたが、当業者であれば、本開示の趣旨または範囲から逸脱することなく、開示の実施形態に対して多数の変更を行うことができる。全ての方向に関する参照(例えば、上、下、上向き、下向き、左、右、左側、右側、上部、下部、上方、下方、垂直、水平、時計方向、および反時計方向)は、読者が本開示を理解するのを支援する特定の目的でのみ使用され、特にデバイスの位置、向き、または使用に関して限定を生み出すものではない。接合に関する参照(例えば、固着される、取り付けられる、結合される、接続されるなど)は、広く解釈されるべきであり、要素の接続間の中間部材および要素間の相対移動を含むことができる。そのため、接合に関する参照は、2つの要素が直接接続され、互いに対して固定の関係にあることを必ずしも推論するものではない。上述の説明に含まれるかまたは添付図面に示される全ての事項は、限定的ではなく単なる例示と解釈されるべきものとする。添付の特許請求の範囲で定義されるような本開示の趣旨から逸脱することなく、詳細または構造の変更を行うことができる。
本明細書に参照により組み込まれると説明されているいずれの特許、出版物、または他の開示資料も、全体的または部分的に、組み込まれた資料が本開示に説明されている既存の定義、記述、または他の開示資料と矛盾しない程度でのみ、本明細書に組み込まれる。そのため、必要な程度において、本明細書に明示的に説明されるような本開示は、参照により本明細書に組み込まれるいずれの矛盾する資料にも優先する。本明細書に参照により組み込まれると説明されているが、本明細書に説明される既存の定義、記述、または他の開示資料と矛盾する、いずれの資料またはその一部分も、組み込まれる資料と既存の開示資料との間に矛盾が生じない程度でのみ組み込まれる。
以下に本明細書に開示の技術を列挙する。
(項目1)
物理的なカテーテルのカテーテルモデルに基づいて、三次元空間内に配設された前記物理的なカテーテルの物理的な電極の配置を予測するステップであって、前記物理的な電極の予測配置がモデル電極配置を定義する、ステップと、
前記モデル電極配置に対して予測インピーダンス応答を生成するステップと、
印加された電場に応じて、前記物理的なカテーテルの前記物理的な電極に対するインピーダンス応答を測定するステップと、
少なくとも前記予測インピーダンス応答および前記インピーダンス応答に基づいて、前記物理的な電極の計算された配置を生成するステップと、
前記物理的な電極の前記計算された配置をディスプレイに出力するステップと、を含む、電極の配置を特定するのに使用する方法。
(項目2)
前記物理的なカテーテルの物理的な磁気センサの配置を予測して、モデル磁気センサ配置を定義するステップと、
前記モデル磁気センサ配置に対する予測磁気応答を生成するステップと、
印加された磁界に応じて、前記物理的な磁気センサの磁気応答を測定するステップと、を更に含み、
前記計算された配置が更に、前記予測磁気応答および前記磁気応答に基づく、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記カテーテルモデルにおける前記物理的な電極の相対位置を定義するステップであって、前記相対位置が前記物理的なカテーテルの前記物理的な電極の間隔に対応する、ステップを更に含む、項目1に記載の方法。
(項目4)
カテーテル変換を前記カテーテルモデルに適用して、カテーテル基準フレームと前記三次元空間との間で前記カテーテルモデルの位置および向きを変換するステップであって、最初は、前記カテーテルモデルが、カテーテル基準フレーム内における前記モデル電極配置を定義する、ステップを更に含む、項目3に記載の方法。
(項目5)
前記カテーテル変換を前記カテーテルモデルに適用するステップが、剛体の6自由度における変換を前記カテーテルモデルに適用するステップを含む、項目4に記載の方法。
(項目6)
前記カテーテル基準フレーム内における前記カテーテルモデルの配置および向きがモデル磁気センサによって定義される、項目4に記載の方法。
(項目7)
前記カテーテル変換を前記カテーテルモデルに適用するステップが、
前記モデル磁気センサの位置及び向きと、前記物理的なカテーテルの物理的な磁気センサと、の間で変換を適用するステップを更に含む、項目6に記載の方法。
(項目8)
前記予測インピーダンス応答を生成するステップが、
前記印加された電場のインピーダンスモデルを前記モデル電極配置に適用するステップであって、前記インピーダンスモデルが各モデル電極配置を予測インピーダンス応答に変換する、ステップを更に含む、項目3に記載の方法。
(項目9)
前記物理的な電極の前記インピーダンス応答と、前記予測インピーダンス応答と、に基づいて、前記インピーダンスモデルを更新するステップを更に含む、項目8に記載の方法。
(項目10)
前記カテーテルモデルおよび前記インピーダンスモデルが、前記三次元空間内における前記物理的なカテーテルをモデリングする複合モデルの状態変数である、項目8に記載の方法。
(項目11)
前記状態変数を推測するために拡張カルマンフィルタが使用される、項目10に記載の方法。
(項目12)
前記複合モデルを使用して潜在的な電極配置の推定された状態分布を生成するステップであって、前記計算された配置が前記状態分布を使用して生成される、ステップを更に含む、項目10に記載の方法。
(項目13)
少なくとも第1の制約を前記推定された状態分布に適用するステップであって、前記第1の制約が前記状態変数の少なくとも1つを制約し、前記第1の制約が前記推定された状態分布を制限する、ステップを更に含む、項目12に記載の方法。
(項目14)
関数を前記推定された状態分布に適用して、可能性が低い状態を前記推定された状態分布から除去するステップを更に含む、項目12に記載の方法。
(項目15)
前記予測インピーダンス応答を前記インピーダンス応答と比較するステップと、前記比較に基づいて補正を生成するステップとを更に含む、項目12に記載の方法。
(項目16)
前記補正を前記推定された状態分布に適用して、更新された状態分布を生成するステップであって、前記更新された状態分布を使用して前記計算された配置が生成される、ステップを更に含む、項目16に記載の方法。
(項目17)
前記更新された状態分布の外にある状態を特定するステップであって、前記外にある状態が前記更新された状態分布から除去される、ステップを更に含む、項目16に記載の方法。
(項目18)
電極の配置を特定する命令を格納する非一時的コンピュータ可読媒体であって、
前記命令は、
カテーテル基準フレーム内におけるモデル電極の相対位置を定義するカテーテルモデルにアクセスする処理であって、前記相対位置が、三次元空間内に配設された物理的なカテーテルの物理的な電極の間隔に対応する、処理と、
前記カテーテルモデルを前記三次元空間内における前記物理的な電極の予測配置に適用する処理であって、前記物理的な電極の予測配置がモデル電極配置を定義する、処理と、
前記モデル電極配置に対して予測インピーダンス応答を生成する処理と、
印加された電場に応じて、前記物理的な電極からインピーダンス応答を取得する処理と、
前記予測インピーダンス応答および前記インピーダンス応答に基づいて、前記物理的な電極の計算された配置を生成し、
前記物理的な電極の前記計算された配置を、ディスプレイデバイスによって受信するように出力する処理と、
を実行可能である、非一時的コンピュータ可読媒体。
(項目19)
前記命令は、さらに、
前記カテーテルモデルを適用して前記三次元空間内における前記物理的なカテーテルの物理的な磁気センサの配置を予測する処理であって、予測配置がモデル磁気センサ配置を定義する、処理と、
前記モデル磁気センサ配置に対する予測磁気応答を生成する処理と、
印加された磁界に応じて、前記物理的な磁気センサの磁気応答を取得すう処理と、
前記予測磁気応答および前記磁気応答を利用して、前記計算された配置を生成する処理と、を実行可能な命令を更に含む、項目20に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
(項目20)
カテーテル変換を適用して、前記カテーテルモデルを前記カテーテルモデルのカテーテル基準フレームと前記三次元空間との間で変換する命令を更に含む、項目18に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
(項目21)
前記印加された電場のインピーダンスモデルにアクセスし、前記インピーダンスモデルを適用する処理であって、前記インピーダンスモデルが前記モデル電極配置を前記予測インピーダンス応答に変換する、処理を実行可能な命令を更に含む、項目20に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
(項目22)
推定器システムを実現して、前記インピーダンスモデル、前記カテーテル変換、または前記カテーテルモデルの状態変数を推測する命令を更に含む、項目21に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
(項目23)
カルマンフィルタを実現して前記状態変数を推測する命令を更に含む、項目22に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
(項目24)
前記推定器システムの出力に基づいて、前記インピーダンスモデル、前記カテーテル変換、または前記カテーテルモデルの少なくとも1つを更新する命令を更に含む、項目22に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
(項目25)
電極の配置を特定するシステムであって、
三次元空間内に配設された物理的な電極を有する物理的なカテーテルと、
印加された電場に応じて、前記物理的な電極のインピーダンス応答を測定する医療用位置決めシステムと、
非一時的コンピュータ可読命令を格納するプロセッサおよびメモリであって、
前記物理的なカテーテルのカテーテルモデルに基づいて、前記三次元空間内における前記物理的な電極の配置を予測する処理であって、前記物理的な電極の予測配置がモデル電極配置を定義する、処理と、
前記モデル電極配置に対して予測モデルインピーダンス応答を生成する処理と、
前記医療用位置決めシステムから前記物理的な電極に対するインピーダンス応答を取得する処理と、
前記予測インピーダンス応答および前記インピーダンス応答に基づいて、前記三次元空間内における前記物理的な電極の計算された配置を生成する処理と、を実行可能な命令を格納するプロセッサおよびメモリと、
前記物理的な電極の前記計算された配置を表示するために、前記プロセッサおよびメモリと動作可能に接続されたディスプレイと、
を備える、システム。
(項目26)
前記メモリが、
前記三次元空間内における前記物理的なカテーテルの物理的な磁気センサの配置を予測する処理であって、予測配置がモデル磁気センサ配置を定義する処理と、
前記モデル磁気センサ配置に対する予測磁気応答を生成する処理と、
印加された磁界に応じて、前記物理的な磁気センサの磁気応答を取得する処理と、
前記予測磁気応答および前記磁気応答を利用して、前記計算された配置を生成する処理と、を実行可能な命令を更に含む、項目25に記載のシステム。
(項目27)
前記メモリが、
カテーテル変換を適用して、前記カテーテルモデルを前記カテーテルモデルのカテーテル基準フレームと前記三次元空間との間で変換する命令を更に含む、項目25に記載のシステム。
(項目28)
前記メモリが、
前記印加された電場のインピーダンスモデルにアクセスし、前記インピーダンスモデルを適用する処理であって、前記インピーダンスモデルが前記モデル電極配置を前記予測インピーダンス応答に変換する、処理を実行可能な命令を更に含む、項目25に記載のシステム。
(項目29)
前記メモリが、
推定器システムを実現して、前記インピーダンスモデル、前記カテーテル変換、または前記カテーテルモデルの状態変数を推測する命令を更に含む、項目26に記載のシステム。
(項目30)
前記メモリが、
前記推定器システムの出力に基づいて、前記インピーダンスモデル、前記カテーテル変換、または前記カテーテルモデルの少なくとも1つを更新する命令を更に含む、項目29に記載のシステム。