JP7260783B2 - 最適化システム、最適化支援装置、最適化支援方法、および最適化支援プログラム - Google Patents

最適化システム、最適化支援装置、最適化支援方法、および最適化支援プログラム Download PDF

Info

Publication number
JP7260783B2
JP7260783B2 JP2019153035A JP2019153035A JP7260783B2 JP 7260783 B2 JP7260783 B2 JP 7260783B2 JP 2019153035 A JP2019153035 A JP 2019153035A JP 2019153035 A JP2019153035 A JP 2019153035A JP 7260783 B2 JP7260783 B2 JP 7260783B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
solution
programming problem
value
binary variable
mixed integer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019153035A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2021033633A (ja
Inventor
哲明 黒川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP2019153035A priority Critical patent/JP7260783B2/ja
Publication of JP2021033633A publication Critical patent/JP2021033633A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7260783B2 publication Critical patent/JP7260783B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Complex Calculations (AREA)

Description

本発明は、最適化システム、最適化支援装置、最適化支援方法、および最適化支援プログラムに関する。
製造業・流通業等において、所定の需要を満たすために複数の設備を運転することがある。例えば、所定の電力需要に対応するため、複数の発電機が稼動される。また、所定の鋼材の需要に対応するため、複数の加熱炉が稼動される。
設備の稼動条件は、設備ごとに異なり得る。例えば、単位時間あたりの処理量、処理による生成物の品質、運転に要する費用、運転により生じる二酸化炭素排出量等の値が、設備ごとに異なっている場合がある。
このような複数の設備の運転により所定の需要を満たす場合、複数の設備全体における稼動コスト、品質、納期といった評価指標は、どの設備をどのような順序で稼動させるか、また、稼動された設備でどの程度の処理を行うかによって変動する。そのため、このような運転を行う場合、これらの評価指標が最適(指標に応じて最小または最大)になるよう、稼動させる設備(運転パターン)や各設備での処理量を設定することが重要となる。
評価指標は、各設備の運転パターンや処理順といった2値変数と、各設備の処理量や稼働率といった連続変数とを用いた目的関数として表される場合がある。このように2値変数と連続変数とが混在する最適化問題は、混合整数計画問題(Mixed Integer Programming, MIP)と称される。
例えば、所定の時間範囲における任意の時刻の電力需要を満たし、かつ、発電コストが最小となるような、複数の発電機の稼動パターンを決定する問題は、混合整数計画問題として問題設定され得る。また、処理の順序によって温度、流量、圧力といったプロセス量が変動し、プロセス量の変動が二酸化炭素排出量に影響する生産設備において、二酸化炭素排出量を最小にする問題も、混合整数計画問題として問題設定され得る。
特許文献1には、混合整数計画法により複合熱源システムの最適運転スケジュールを決定する熱源運転支援制御方法が記載されている。特許文献1に記載の熱源運転支援制御方法では、熱源システムを構成する各機器の運転・停止状態を表す変数の一部を予め連続変数に設定し、熱源システムの負荷を予測し、負荷予測値と目的関数と運転・停止状態を表す変数とに基づき最適運転スケジュールを決定する。
特開2004-317049号公報
混合整数計画問題の最適解は、2値変数の組み合わせごとに、連続変数の問題を解くことにより求めることができる。2値変数の組み合わせの数は、用いられる2値変数の数が増加するにつれて膨大となる。そのため、大規模な混合整数計画問題の解を求めるには計算機の処理能力や処理時間といった資源が大量に必要となり、容易ではなかった。
この問題を少しでも改善するために、特許文献1に記載の熱源運転支援制御方法では、2値変数である運転・停止状態を表す変数の一部を連続変数に設定することにより組み合わせの数を減少させている。
しかし、2値変数の一部を連続変数に設定すると、残りの2値変数の取り得る組み合わせが限定されるため、このような問題を解いたとしても、2値変数の一部を連続変数に設定する前の元の混合整数計画問題の最適解が得られる保証はない。
一方、近年、量子力学的な状態の共存を動作原理として用いる量子計算機(例えば、超伝導量子ビットを用いた量子アニーリングマシン)の開発が進んでいる。量子計算機で用いられる演算単位(量子ビット)は、0/1以外の複数の状態に対応する。このような量子計算機は、特に多数の組み合わせの候補(選択肢)の中から最適な組み合わせを求める組合せ最適化問題(最適解を求める際に各組み合わせの候補に対して同一の処理が行われる)を、ノイマン型コンピュータ等の従来型計算機(以下、「汎用計算機」ともいう)よりも効率的に処理することができる。
ただし、現時点の量子アニーリングマシンは、目的関数が2値変数の二次形式で表された問題(以下、「イジングモデル」という)しか求解することができない。したがって、現時点の量子アニーリングマシンは、連続変数を扱うことができず、量子アニーリングマシンを用いて混合整数計画問題を求解するには、混合整数計画問題を連続変数が含まれていないイジングモデルで表す必要がある。
そこで、本発明は、汎用計算機と量子計算機とを使い分けるハイブリッド方式により混合整数計画問題を効率よく求解する最適化システム、最適化支援装置、最適化支援方法、および最適化支援プログラムを提供することを目的とする。
本発明にかかる最適化システムは、汎用計算機と量子計算機とが通信可能に接続され、2値変数および連続変数により表される混合整数計画問題の目的関数を最適化する2値変数および連続変数の組み合わせである最適解を求める最適化システムであって、汎用計算機は、混合整数計画問題における2値変数に暫定2値変数解を代入することで混合整数計画問題から線形計画問題を作成し、線形計画問題を双対問題に変換し、双対問題を求解し、双対問題の解が有界であり、かつ、双対問題の目的関数の値が、混合整数計画問題の目的関数に最適解を代入して得られる最適値以上であることが分かっている最小の値である上界値よりも小さい場合、双対問題の目的関数の値により上界値を更新するとともに、線形計画問題を求解することで得られた連続変数解と暫定2値変数解とを暫定最適解とし、量子計算機は、双対問題の解に基づき設定される制約条件を満たすように混合整数計画問題から作成された0-1計画問題を求解し、得られた2値変数解に対応する目的関数の値を求め、汎用計算機は、2値変数解を暫定2値変数解として混合整数計画問題における2値変数に改めて代入して線形計画問題を作成するとともに暫定2値変数解に対応する目的関数の値により、最適値以下であることが分かっている最大の値である下界値を更新し、汎用計算機および量子計算機は、下界値と上界値とが所定の終了条件を満たすまで線形計画問題の双対問題の求解および0-1計画問題の求解を繰り返し、汎用計算機は、下界値と上界値とが終了条件を満たした場合、暫定最適解を混合整数計画問題の最適解として出力する。
本発明にかかる最適化支援装置は、量子計算機と通信可能に構成され、2値変数および連続変数により表される混合整数計画問題の目的関数を最適化する2値変数および前記連続変数の組み合わせである最適解を求めるための量子計算機の演算を支援する最適化支援装置であって、混合整数計画問題における2値変数に暫定2値変数解を代入することで混合整数計画問題から線形計画問題を作成し、線形計画問題を双対問題に変換し、双対問題を求解し、双対問題の解が有界であり、かつ、双対問題の目的関数の値が、混合整数計画問題の目的関数に最適解を代入して得られる最適値以上であることが分かっている最小の値である上界値よりも小さい場合、双対問題の目的関数の値により上界値を更新するとともに、線形計画問題を求解することで得られた連続変数解と暫定2値変数解とを暫定最適解とする線形計画問題求解部と、双対問題の解に基づいて、混合整数計画問題から生成される0-1計画問題の解の制約条件を定める制約条件設定部と、制約条件を満たすように混合整数計画問題から0-1計画問題を作成し、量子計算機に出力する0-1計画問題作成部と、を備え、線形計画問題求解部は、量子計算機から0-1計画問題の2値変数解および2値変数解に対応する目的関数の値が入力された場合、2値変数解を暫定2値変数解として混合整数計画問題における2値変数に改めて代入して線形計画問題を作成するとともに暫定2値変数解に対応する目的関数に値により、最適値以下であることが分かっている最大の値である下界値を更新し、下界値と上界値とが所定の終了条件を満たした場合、暫定最適解を混合整数計画問題の最適解として出力する。
本発明にかかる最適化支援装置では、0-1計画問題作成部は、暫定2値変数解の複数の近傍解について目的関数に基づいて作成された評価関数の値を求め、複数の近傍解と対応する評価関数の値とに基づく重回帰分析により求められた係数を用いて0-1計画問題を作成することが好ましい。
本発明にかかる最適化支援装置では、制約条件設定部は、線形計画問題が実行可能であるか否かを判定し、実行可能でない場合、連続変数を規定する第1制約条件を設定し、実行可能である場合、評価関数を規定する第2制約条件を設定することが好ましい。
本発明にかかる最適化支援装置では、0-1計画問題作成部は、複数の近傍解のうち第1制約条件を満足する近傍解に対応する評価関数の値を、第2制約条件から算出される評価関数の最大値とすることが好ましい。
本発明にかかる最適化支援装置では、0-1計画問題作成部は、複数の近傍解のうち第1制約条件を満足しない近傍解に対応する評価関数の値を無限大とすることが好ましい。
本発明にかかる最適化支援方法は、量子計算機と通信可能に構成された汎用計算機により実行され、2値変数および連続変数により表される混合整数計画問題の目的関数を最適化する2値変数および連続変数の組み合わせである最適解を求めるための量子計算機による演算を支援する最適化支援方法であって、混合整数計画問題における2値変数に暫定2値変数解を代入することで混合整数計画問題から線形計画問題を作成し、線形計画問題を双対問題に変換し、双対問題を求解し、双対問題の解が有界であり、かつ、双対問題の目的関数の値が、混合整数計画問題の目的関数に最適解を代入して得られる最適値以上であることが分かっている最小の値である上界値よりも小さい場合、双対問題の目的関数の値により上界値を更新するとともに、線形計画問題を求解することで得られた連続変数解と暫定2値変数解とを暫定最適解とし、双対問題の解に基づいて、混合整数計画問題から生成される0-1計画問題の解の制約条件を設定し、制約条件を満たすように混合整数計画問題から0-1計画問題を作成し、量子計算機に出力し、量子計算機から0-1計画問題の2値変数解および2値変数解に対応する目的関数の値が入力された場合、2値変数解を暫定2値変数解として混合整数計画問題における2値変数に改めて代入して線形計画問題を作成するとともに暫定2値変数解に対応する目的関数の値により、最適値以下であることが分かっている最大の値である下界値を更新し、下界値と上界値とが掌底の終了条件を満たした場合、暫定最適解を混合整数計画問題の最適解として出力する。
本発明にかかる最適化支援プログラムは、量子計算機と通信可能に構成された汎用計算機により実行され、2値変数および連続変数により表される混合整数計画問題の目的関数を最適化する2値変数および連続変数の組み合わせである最適解を求めるための量子計算機による演算を支援する最適化支援プログラムであって、汎用計算機に、混合整数計画問題における2値変数に暫定2値変数解を代入することで混合整数計画問題から線形計画問題を作成し、線形計画問題を双対問題に変換し、双対問題を求解し、双対問題の解が有界であり、かつ、双対問題の目的関数の値が、混合整数計画問題の目的関数に最適解を代入して得られる最適値以上であることが分かっている上界値よりも小さい場合、双対問題の目的関数の値により上界値を更新するとともに、線形計画問題を求解することで得られた連続変数解と暫定2値変数解とを暫定最適解とし、双対問題の解に基づいて、混合整数計画問題から生成される0-1計画問題の解の制約条件を定め、制約条件を満たすように混合整数計画問題から0-1計画問題を作成し、量子計算機に出力し、量子計算機から0-1計画問題の2値変数解および2値変数解に対応する目的関数の値が入力された場合、2値変数解を暫定2値変数解として混合整数計画問題における2値変数に代入して線形計画問題を作成するとともに暫定2値変数解に対応する目的関数の値により、最適値以下であることが分かっている最大の値である下界値を更新し、下界値と上界値とが所定の終了条件を満たした場合、暫定最適解を混合整数計画問題の最適解として出力する。
本発明によると、汎用計算機と量子計算機とを使い分けるハイブリッド方式により混合整数計画問題を効率よく求解することができる。
最適化システムの動作概要を示す模式図である。 汎用計算機の概略構成を示す模式図である。 量子計算機の概略構成を示す模式図である。 超伝導を用いた量子ビットの動作原理を説明する図である。 量子ビットノードおよび結合器の配置模式図である。 汎用計算機の処理フローチャートである。 0-1計画問題作成処理のフローチャートである。 制約条件を説明する図である。
以下、図面を参照して最適化システム、最適化支援装置、最適化支援方法、および最適化支援プログラムについて詳細に説明する。ただし、本発明は図面または以下に記載される実施形態には限定されないことを理解されたい。
本開示の最適化システムは、通信可能に接続される汎用計算機と量子計算機とにより構成される。最適化システムは、2値変数と連続変数とが混在する混合整数計画問題の解を求める。そのために、最適化システムでは、汎用計算機が、混合整数計画問題の2値変数に暫定2値変数解を代入することで線形計画問題を作成し、線形計画問題の双対問題を求解する。また、汎用計算機は、双対問題の解に基づいて制約条件を設定する。量子計算機は、制約条件を満たすように混合整数計画問題から生成された0-1計画問題を求解する。汎用計算機は、量子計算機により求解された0-1計画問題の2値変数解を暫定2値変数解として混合整数計画問題し、新たな線形計画問題を作成する。このように、最適化システムでは汎用計算機による線形計画問題の双対問題の求解と量子計算機による0-1計画問題の求解とが繰り返される。このため、本開示の最適化システムは、汎用計算機と量子計算機とを使い分けるハイブリッド方式により混合整数計画問題を効率よく求解することができる。
図1は、最適化システムの動作概要を示す模式図である。
最適化システム1は、n個の設備(設備1から設備n)の評価指標の最適化を実行する。時間単位ごとの各設備の評価値の合計を対象となる時間範囲にわたって合計した値を最小とする問題が、最適化システム1の解くべき複数機械運転計画問題(Multiple Machine Operation Planning, MMOP)として設定されている。MMOPは、混合整数計画問題の一例である。MMOPは、例えば各設備を稼動させるか否か(2値変数)、および、稼動させる時の処理量(連続変数である評価値)を変数とする目的関数を用いて設定される。MMOPは最適化システム1に入力され、最適化システム1はMMOPを求解し、目的関数を最小化する最適解を出力する。
最適化システム1は、汎用計算機2と量子計算機3とを有する。汎用計算機2と量子計算機3とは、通信可能に接続される。汎用計算機2は、最適化支援装置の一例である。
汎用計算機2は、原問題であるMMOPから、MMOPの2値変数に所定の暫定2値変数解を代入することにより、連続変数のみで定式化された線形計画問題を作成する。汎用計算機2は、作成された線形計画問題の双対問題を求解する。そして、汎用計算機2は、線形計画問題の双対問題の解に基づいて、原問題であるMMOPを0-1計画問題に変形する。汎用計算機2は、MMOPを0-1計画問題に変形する際、連続変数に関わる項を2値変数に置き換えたために必要となった制約条件を設定する。
双対問題の解が有界である場合、その双対問題の原問題である線形計画問題は実行可能解を有する。双対問題の解が有界である場合、汎用計算機2は、双対問題の目的関数の値と上界値とを比較する。上界値は、MMOPの目的関数に最適解を代入して得られる最適値以上であることが分かっている最小の値である。双対問題の解が有界であり、かつ、双対問題の目的関数の値が上界値よりも小さい場合、汎用計算機2は、その双対問題の目的関数の値により上界値を更新する。また、汎用計算機2は、線形計画問題の解(連続変数解)を求め、当該線形計画問題を作成するときに用いた暫定2値変数解とあわせて暫定最適解として記憶する。続いて、汎用計算機2は、設定した制約条件に基づいて0-1計画問題を作成し、量子計算機3に出力する。
量子計算機3は、汎用計算機2により作成された0-1計画問題を求解し、0-1計画問題の目的関数を最適化する2値変数解および対応する目的関数値を汎用計算機2に出力する。量子計算機3が求解した0-1計画問題は、MMOPが満たすべき制約条件を反映していないことがある。そのため、量子計算機3が求めた0-1計画問題の2値変数解を代入することにより求められる目的関数値は最適値以下となり、最適値と一致する場合を除いてMMOPの実行可能な解ではない。汎用計算機2は、最適値以下であることが分かっている最大の値である下界値を当該目的関数値により更新し、量子計算機3から入力された0-1計画問題の解を暫定2値解x*とし、所定の終了条件を満たすまで後述する一連の処理を繰り返す。汎用計算機2は、所定の終了条件を満たすと判断した場合、暫定最適解をMMOPの最適解として出力する。
このように動作することにより、本実施形態にかかる最適化支援装置を含む最適化システム1は、汎用計算機2と量子計算機3とを使い分けるハイブリッド方式により混合整数計画問題を効率よく求解することができる。
図2は、汎用計算機の概略構成を示す模式図である。
汎用計算機2は、量子計算機3と接続し、混合整数計画問題に基づいて作成した0-1計画問題を量子計算機3に出力し、量子計算機3から0-1計画問題の解の入力を受ける。そのために、汎用計算機2は、通信インタフェース21と、メモリ22と、入力デバイス23と、プロセッサ24とを備える。
通信インタフェース21は、汎用計算機2を通信ネットワークに接続するための通信インタフェース回路を有する。通信インタフェース21は、プロセッサ24により供給される0-1計画問題を量子計算機3に送信し、量子計算機3から受信した0-1計画問題の解をプロセッサ24に供給する。
メモリ22は、例えば、半導体メモリ、磁気ディスク装置および光ディスク装置のうちの少なくとも1つを有する。メモリ22は、プロセッサ24による処理に用いられるドライバプログラム、オペレーティングシステムプログラム、アプリケーションプログラム、データ等を記憶する。例えば、メモリ22は、ドライバプログラムとして、通信インタフェース21を制御する通信デバイスドライバプログラム等を記憶する。各種プログラムは、コンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いてメモリ22にインストールされてよい。コンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体とは、例えばCD-ROM(Compact Disc Read-Only Memory)、DVD-ROM(DVD Read-Only Memory)等である。
入力デバイス23は、汎用計算機2の操作が可能であればどのようなデバイスでもよく、例えば、キーボードやマウス等である。ユーザは、入力デバイス23を用いて、文字や数字、記号等を入力することができる。入力デバイス23は、ユーザにより操作されると、その操作に対応する信号を発生する。そして、発生した信号は、ユーザの指示としてプロセッサ24に供給される。
プロセッサ24は、1以上のプロセッサおよびその周辺回路を備える。プロセッサ24は、汎用計算機2の全体的な動作を統括的に制御する処理回路であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。プロセッサ24は、汎用計算機2の各種処理がメモリ22に記憶されているプログラム等に基づいて適切な手段で実行されるように、通信インタフェース21等の動作を制御する。プロセッサ24は、メモリ22に記憶されているプログラム(オペレーティングシステムプログラム、ドライバプログラム、アプリケーションプログラム等)に基づいて処理を実行する。また、プロセッサ24は、複数のプログラム(アプリケーションプログラム等)を並列に実行することができる。
プロセッサ24は、線形計画問題求解部241と、制約条件設定部242と、0-1計画問題作成部243とを有する。プロセッサ24が有するこれらの各部は、プロセッサ24が有するプロセッサ上で実行されるプログラムによって実装される機能モジュールである。あるいは、プロセッサ24が有するこれらの各部は、独立した集積回路、マイクロプロセッサ、またはファームウェアとして汎用計算機2に実装されてもよい。
図3は、量子計算機の概略構成を示す模式図である。
量子計算機3は、量子力学の法則を用いた処理を実行する計算機である。量子力学の法則を用いて組み合わせ最適化問題を求解する量子アニーリングマシンは、量子計算機3の一例である。
量子計算機3は、複数の量子ビットノード31と、各量子ビットノード31を制御する量子ビット制御部32とを備える。また、量子計算機3は、各量子ビットノード31の間を結合する複数の結合器33と、各結合器33を制御する結合器制御部34とを備える。また、量子計算機3は、各量子ビットノード31の値を測定して出力する読出部35を備える。また、量子計算機3は、量子計算機3を通信ネットワークに接続するための通信インタフェース回路を有する通信部36を備える。
本実施形態の量子ビットノード31は、例えばニオブなどの金属を極低温に冷却したときに電気抵抗がゼロになる現象である超伝導を動作原理として用いた超伝導リングにより実現される。なお、量子ビットノード31は、シリコン基板上の電子のスピンを動作原理として用いたシリコン量子ビットチップなどの他の技術によっても実現可能である。
図4は、超伝導を用いた量子ビットの動作原理を説明する図である。
図4に示す量子ビットは、超伝導リング内に発生する磁束の性質を用いた磁束量子ビットである。磁束量子ビットの超伝導リングでは、一方向の電流と逆方向の電流とが所定の比率で同時に存在することができ、超伝導リングに対して垂直な方向の磁束が生成される。このような超伝導リングの近傍に配置された回路を流れる交流電流により生ずる磁場に対して、超伝導リングの磁束が磁気共鳴する。この超伝導リングの磁束の変動を、磁束量子ビットの周囲に配置される不図示の超伝導量子干渉計(Superconducting Quantum Interference Device, SQUID)により検出する。
図5は、量子ビットノードおよび結合器の配置模式図である。
結合器33-15~33-48は、縦長の量子ビットノード31-1~31-4に重ねて配置される。また、横長の量子ビットノード31-5~31-8は、結合器33-15~33-48に重ねて配置される。縦型の量子ビットノード31-1~31-4と横型の量子ビットノード31-5~31-8とは、格子状に配置される。なお、図5では量子ビットノード31が縦横に4個ずつ配置された例を示しているが、量子ビットノード31が配置される個数はこの例に限定されない。
結合器33-15~33-48は、上述した超伝導リングで構成されている。なお、量子ビットノード31がシリコン量子ビットチップで構成されている場合、結合器33もシリコン量子ビットチップで構成することができる。
一の量子ビットノード31(図5において例えば量子ビットノード31-1)と他の量子ビットノード(図5において例えば量子ビットノード31-5)とは、結合器33(図5において例えば結合器33-15)を介して結合されている。
量子ビット制御部32は、量子ビットノード31を所定の状態に設定する。これにより、量子ビットノード31は0と1(または-1と+1)とが重ね合わせられた状態を有する。また、結合器制御部34は、結合器33を所定の状態に設定する。結合器33および結合器33により結合される複数の量子ビットノード31は相互作用し、量子ビットノード31の状態が変化する。読出部35は量子ビットノード31の状態を読み取り、出力する。
ここで、最適化システム1の処理対象となる問題について説明する。本実施形態において、最適化システム1は、複数の設備により処理を行うプロセスによる処理コストを最小化する運転計画問題を解くことができる。運転計画において、複数の設備による処理量の合計は、単位時間ごとに定められた需要量を満たす必要がある。
設備の集合をN={1, 2, …, i, …, n}とし、処理時刻の集合をT={t1, t2, …, t, …, tn}とする。設備iの起動されているときにおける処理量は、PiL以上PiU以下である。設備iの処理コストは、起動されている単位時間について発生する固定費Fiと、処理量に比例して発生する変動費Viとからなる。
このような運転計画問題は、以下に示す混合整数計画問題として定式化することができる。
Figure 0007260783000001
上述の運転計画問題では、上記式(1)、(2)は、以下に示すMMOPとして表現できる。式(1)、(2)のd、c、A、B、bは解くべき問題に応じて適宜設定される定数ベクトルあるいは行列で、dはn×1、cはm×1、Aは制約数×m、Bは制約数×n、bは制約数×1のサイズを持つ。なお、以下の説明では、説明の便宜上、混合整数計画問題の形式で表現された式とMMOPの形式で表現された式とを併用するが、処理される問題自体は共通である。
Figure 0007260783000002
式(3)~(6)のx[i][t]は、設備iが時刻tにおいて起動する場合に値「1」を取り、起動せず停止している場合に値「0」を取る2値変数であり、y[i][t]は、時刻tにおける処理量を示す連続変数である。式(3)~式(6)で示すMMOPのうち、式(3)は目的関数を示している。式(3)の第1項は固定費であり、第2項は変動費である。式(4)および式(5)は制約条件を示している。式(4)は時刻tにおける需要Dtを満たす処理量を供給するという制約であり、式(5)は各設備の処理量にそれぞれの上限PiLおよび下限PiUがあるという制約である。
図6は、汎用計算機の処理フローチャートである。
プロセッサ24は、混合整数計画問題の一例として式(3)~(6)に示すMMOPを与えられると、まずMMOPの変数を初期化する(ステップS1)。初期化される変数は、上述のMMOPにおける2値変数であるx[i][t]の暫定2値変数解x*と、式(3)の目的関数の上界値ZUBおよび下界値ZLBである。暫定2値変数解x*、上界値ZUB、および下界値ZLBの初期値は、メモリ22に予め記憶される。暫定2値変数解x*は、一般には、元の問題の制約式である式(2)のうち、2値変数であるxのみに関する制約であるx∈X、x∈{0,1}を満たす適当な解を選択する。MMOPにおいては、x∈Xとして、例えば連続して運転可能な時間に制限がある場合にはそれを満たすような解とする。2値変数であるxについてそのような単独での制約がない場合、x∈{0,1}を満たす任意の解を選択してよい。上界値ZUBは∞(無限大)で初期化され、下界値ZLBは問題に応じて0または-∞(負の無限大)で初期化される。なお、暫定2値変数解x*により初期化されたMMOPは、式(4)、(5)の連続変数であるy[i][t]に関する制約条件を満たしていなくてもよい。
次に、プロセッサ24は、終了条件を満たしているか否かを判定する(ステップS2)。終了条件は、上界値ZUBと下界値ZLBとの差が予め定められた定数ε以下となること(ZUB - ZLB ≦ ε)である。上述したように、上界値ZUBは最適値以上であることが分かっている最小の値であり、MMOPの実行可能な解に対応する。下界値ZLBは最適値以下であることが分かっている最大の値であり、最適値と一致する場合を除いてMMOPの実行可能でない解に対応する。最適化システム1が一連の処理を実行することにより、上界値ZUBと下界値ZLBとの差が減少する。上界値ZUBと下界値ZLBとの差が定数ε以下となったことを終了条件とすることで、最適化システム1は十分正確に特定された解を出力し、処理を終了する。定数εは問題に応じて適宜設定され、例えば0.01である。
MMOPの解が終了条件を満たしていないと判定された場合(ステップS2:N)、線形計画問題求解部241は、MMOPに暫定2値変数解x*を代入して得られる線形計画問題を双対問題に変換し、線形計画問題の双対問題を求解する(ステップS3)。
線形計画問題求解部241は、混合整数計画問題の式(1)に暫定変数解x*を代入することにより、下記式(7)、(8)の連続変数yのみの線形計画問題であるSP(Sub Problem)を求め、双対問題(The Dual of SP)に変換する。
Figure 0007260783000003
上記SPの双対問題(The Dual of SP)は、以下の式(9)、(10)で表現される。なお、式(9)では、求解に影響しない定数成分の記載を省略している。
Figure 0007260783000004
線形計画問題求解部241は、上記SPの双対問題に対応するMMOPの式として、式9に対応する以下の式(11)と、式(10)に対応する式(12)~(15)を求める。
Figure 0007260783000005
線形計画問題求解部241は、式(11)~式(15)に示すSPの双対問題を解き、双対問題の解u****)を求める。
また、線形計画問題求解部241は、以下の式(16)または式(17)に従って、双対問題の解が有界であり、かつ、求めた双対問題の目的関数の値がメモリ22に記憶されている上界値よりも小さい場合、その双対問題の目的関数の値により上界値を更新する。
Figure 0007260783000006
式(16)に示す上界値ZUBの更新は、MMOPでは以下の式(17)で表現される。
Figure 0007260783000007
また、線形計画問題求解部241は、式(16)または(17)により上界値ZUBが更新された場合、式(7)、(8)に示すSPを解き、連続変数解y~を求める。そして、線形計画問題求解部241は、その計算で用いた暫定2値変数解x*をx~とし、y~と合わせた(x~,y~)を上界値ZUBに対応する暫定最適解としてメモリ22に記憶する。
次に、制約条件設定部242は、双対問題の解u*に基づいて、0-1計画問題の2値変数解の制約条件を定める(ステップS4)。本実施形態において、制約条件設定部242は、まず、双対問題の解u****)が有界(bounded)であるか非有界(unbounded)であるかを判定する。
なお、双対問題の解u****)が有界であるか非有界であるかを判定するために、制約条件設定部242は、上記SPの双対問題ではなく、SP自体を解いてもよい。SPが実行可能であれば双対問題の解u****)は有界であり、SPが実行不可能であれば双対問題の解u****)は非有界となる。
双対問題の解u****)が有界でない場合、すなわちSPが実行不可能な場合、制約条件設定部242は、双対問題の解の組をベクトルとみた場合にその方向のみを保存し所定のノルムを有する以下のベクトルを作成する。そして、制約条件設定部242は、このベクトルを用いた以下の連続変数yに関する実行可能領域を2値変数xにより制限した制約条件を作成する。
Figure 0007260783000008
式(18)に示す制約条件は、MMOPでは以下の式(19)で表現される。
Figure 0007260783000009
式(18)、(19)に示すFeasible Cutは、第1制約条件の例である。
双対問題の解u****)が有界である場合、すなわちSPが実行可能な場合、制約条件設定部242は、双対問題の解を用いた以下の連続変数yに関する目的関数値の下限条件を2値変数xにより記述した制約条件(式(20))を作成する。式(20)において、θは式(1)におけるcT・yを置き換えた変数である。なお、双対問題の解u****)が非有界である場合、すなわちSPが実行不可能な場合、後述する制約条件の作成は行われない。
Figure 0007260783000010
式(20)に示す制約条件は、MMOPでは以下の式(21)で表現される。
Figure 0007260783000011
式(20)、(21)に示すOptimal Cutは、第2制約条件の例である。
制約条件設定部242は、双対問題の解u****)が有界であるか否かに応じて作成した制約条件を、MP(Master Problem、本実施形態では後述する式(22)、(23))である0-1計画問題の2値変数解が満たすべき制約条件の集合であるCutに追加する。Cutを用いた2値変数解の制約については後述する。
次に、0-1計画問題作成部243は、制約条件に基づいて0-1計画問題を作成し、量子計算機3に出力する0-1計画問題作成処理を実行する(ステップS5)。0-1計画問題作成処理の詳細は後述する。
次に、プロセッサ24は、0-1計画問題の2値変数解および対応する目的関数の値を量子計算機3から取得する(ステップS6)。プロセッサ24は、MMOPの目的関数の下界値ZLBを、ここで取得した目的関数値により更新する。また、プロセッサ24は、ここで取得した0-1計画問題の2値変数解を、その下界値ZLBに対応する暫定2値変数解としてメモリ22に記憶する。ステップS2に戻り、プロセッサ24は、終了条件を満たしているか否かを判定する。上界値ZUBと下界値ZLBとの差が予め定められた定数ε以下となる場合、終了条件を満たしていると判定される。上界値ZUBは、0-1計画問題の2値変数解の制約条件を定めるステップS4において更新された値である。終了条件の判定は、更新された上界値ZUBおよび下界値ZLBに基づいて行われる。
図7は、0-1計画問題作成処理のフローチャートである。
0-1計画問題作成処理が開始されると、0-1計画問題作成部243は、下界値ZLBに対応する暫定2値変数解x*の近傍解を抽出する(ステップS51)。より詳細には、0-1計画問題作成部243は、『x∈X(変数x単独の実行可能域), x∈{0,1}n』を満たすxのうち、下界値ZLBに対応する暫定2値変数解x*の近傍にあるxの集合を、Xnb *として抽出する。
0-1計画問題作成部243は、MMOPから線形計画問題を作成するときに用いた暫定2値変数解x*の要素のうち一つを反転(1を0、または0を1に変更)して得られるxを、近傍解として抽出する。また、xが順序変数である場合、0-1計画問題作成部243は、挿入近傍、交換近傍、λ-opt近傍(λ≧2)、Or-opt近傍といった手法により、近傍解を抽出してもよい。
また、0-1計画問題作成部243は、下界値ZLBに対応する暫定2値変数解自体を用いることなく、近傍解を抽出してもよい。例えば、0-1計画問題作成部243は、以下の式(22)~(23)に示すMP(Master Problem)の連続緩和問題として定義した式(24)~(25)に示すLMPを解き、線形最適解xc *を求め、その点を中心に半径Rn内に存在するx単独の実行可能域をXnb *として抽出する。このように、xc *を中心とする半径Rn内を近傍と定義する場合、0-1計画問題作成部243は、最適解の範囲が不明確な処理開始時は大きめな値に設定した半径Rnを、一連の処理の繰り返しが進むにつれて減少するように設定するのが好ましい。
Figure 0007260783000012
次に、0-1計画問題作成部243は、制約条件を満たす近傍解について、関数テーブルを作成する(ステップS52)。関数テーブルでは、近傍解として抽出された集合Xnb *に含まれるすべての近傍解xnb *と、以下の式(26)、(27)に示す評価関数O(xnb *)の値とが関係づけられる。
Figure 0007260783000013
式(26)は、ある近傍解xnb *について、これまで設定されたFeasible Cut(式(16)に対応)を計算したときに、一つでも0以下のものがある場合の評価関数O(xnb *)の値を示している。式(26)に当てはまる近傍解xnb *は、Feasible Cutの制約条件を満たしているため実行可能である。このような近傍解xnb *に対する評価関数O(xnb *)の値として、これまで設定されたOptimal Cut(式(20)に対応)から算出される目的関数の最大値が設定される。
式(27)は、ある近傍解xnb *について、これまで設定されたFeasible Cutを計算したときに、一つでも0より大きくなるものがある場合の評価関数O(xnb *)の値を示している。式(27)に当てはまる近傍解xnb *は、Feasible Cutの制約条件を満たしていないため実行可能ではない。このような近傍解xnb *に対する評価関数O(xnb *)の値として、無限大が設定される。なお、この場合に設定される値は無限大に限られず、十分に大きな値であれば足りる。
次に、0-1関数作成部243は、関数テーブルに基づく回帰分析により、係数パラメータを求める(ステップS53)。具体的には、0-1関数作成部243は、関数テーブルを以下の式(28)に示す重回帰モデルに適用したときの係数パラメータJijおよびhiを、回帰分析により求める。
Figure 0007260783000014
関数テーブルの近傍解xnb *は式(28)のx[i]に対応し、関数テーブルの評価関数O(xnb *)の値は式(28)のE(x)に対応する。ここで、x[i]、x[j]は変数ベクトルxのi番目、j番目の要素をそれぞれ示す。Mは、量子計算機3の仕様上、評価可能な範囲で設定される。十分な数の(i,j)を計算対象とすることができない場合、Jijが比較的小さい値となる(i,j)を除外したE(x)を構成するようにしてもよい。
次に、0-1計画問題作成部243は、係数パラメータを用いて0-1計画問題を作成し(ステップS54)、0-1計画問題作成処理を終了する。具体的には、0-1計画問題作成部243は、ステップS53で求めた係数パラメータJijおよびhiを用いて、以下の式(29)に示す0-1計画問題を作成する。本実施形態において、0-1計画問題はイジングモデルMPS最小化問題である。
Figure 0007260783000015
ステップS2において、上界値および下界値が終了条件を満たしていると判定された場合(ステップS2:Y)、プロセッサ24は、ステップS4にて上界値が更新された場合に計算した上界値に対応する暫定最適解(x~,y~)を混合整数計画問題の最適解として出力し、一連の処理を終了する。
このように、本実施形態の最適化システム1では、汎用計算機2が、MMOPにおける2値変数に暫定2値変数解を代入することでMMOPから線形計画問題を作成し、作成された線形計画問題の双対問題を求解する。そして、本実施形態の最適化システム1では、量子計算機3が、線形計画問題の双対問題の解に基づき定められる制約条件を満たすように、MMOPから0-1計画問題に変形された問題を求解する。量子計算機3が求解した0-1計画問題の解は暫定2値変数解として汎用計算機2に渡される。汎用計算機2は、この暫定解をMMOPに代入することで混合整数計画問題から新たな線形計画問題を作成し、作成された線形計画問題の双対問題を求解し、上界値に対応する暫定最適解を得る。
本実施形態の最適化システム1は、このように汎用計算機2と量子計算機3とが相互に他方の求めた解を用いて問題を繰り返し求解することで、混合整数計画問題を効率よく求解することができる。
図8は、制約条件を説明する図である。
図8に示すグラフ100において、横軸は離散変数xの定義域を表し、縦軸はxに対応する目的関数f(x,y)の最小値を表す。また、横軸上のハッチング部分は、原問題(本実施形態では式(3))におけるxの実行可能領域を示す。すなわち、ハッチング部分に含まれるxは原問題について実行可能であり、含まれないxは原問題について実行不可能である。
まず、変数x単独の実行可能域であるXで得られた暫定2値変数解をx0とする。暫定2値変数解x0は横軸上のハッチング部分に含まれず、原問題の実行可能解ではない。すなわち、暫定2値変数解x0による双対問題(式(9)、(10))の解は非有界である。そこで、制約条件設定部242は、式(18)に従ってFeasible Cutである制約条件FC1を作成し、制約条件の集合Cutに追加する。
制約条件FC1を含む制約条件の集合Cutに基づいて得られた変数xの暫定2値変数解をx1とする。暫定2値変数解x1は横軸上のハッチング部分に含まれており、原問題の実行可能解である。すなわち、暫定2値変数解x1による双対問題(式(9)、(10))の最適解u*は有界である。そこで、制約条件設定部242は、連続変数解u*を式(20)に代入してOptimal Cutを作成する。具体的には、制約条件設定部242は、制約条件OC1を作成し、制約条件の集合Cutに追加する。制約条件OC1は、x1における目的関数に対する接平面に対応する。
制約条件FC1およびOC1を含む制約条件の集合Cutに基づいて得られた変数xの暫定2値変数解をx2とする。暫定2値変数解x2は横軸上のハッチング部分に含まれず、原問題の実行可能解ではない。そこで、制約条件設定部242は、式(18)に従ってFeasible Cutである制約条件FC2を作成し、制約条件の集合Cutに追加する。
このような処理を繰り返すことにより、最適化システム1は、2値変数xだけの問題(MP)において、Feasible Cutである制約条件によりMMOPの実行可能領域を任意のxに対し徐々に正確に特定できる。また、最適化システム1は、Optimal Cutである制約条件によりMMOPの目的関数値を任意のxに対し徐々に正確に特定することができる。最適化システム1では、このようにMMOPを2値変数xの問題に変形することにより、MMOPを2値変数xのみからなる0-1計画問題として量子計算機3に求解させることができる。
当業者は、本発明の精神および範囲から外れることなく、種々の変更、置換および修正をこれに加えることが可能であることを理解されたい。
1 最適化システム
2 汎用計算機
241 線形計画問題求解部
242 制約条件設定部
243 0-1計画問題作成部
3 量子計算機

Claims (8)

  1. 汎用計算機と量子計算機とが通信可能に接続され、2値変数および連続変数により表される混合整数計画問題の目的関数を最適化する前記2値変数および前記連続変数の組み合わせである最適解を求める最適化システムであって、
    前記汎用計算機は、前記混合整数計画問題における前記2値変数に暫定2値変数解を代入することで前記混合整数計画問題から線形計画問題を作成し、前記線形計画問題を双対問題に変換し、前記双対問題を求解し、前記双対問題の解が有界であり、かつ、前記双対問題の目的関数の値が、前記混合整数計画問題の目的関数に前記最適解を代入して得られる最適値以上であることが分かっている最小の値である上界値よりも小さい場合、前記双対問題の目的関数の値により前記上界値を更新するとともに、前記線形計画問題を求解することで得られた連続変数解と前記暫定2値変数解とを暫定最適解とし、
    前記量子計算機は、前記双対問題の解に基づき設定される制約条件を満たすように前記混合整数計画問題から作成された0-1計画問題を求解し、得られた2値変数解に対応する前記目的関数の値を求め、
    前記汎用計算機は、前記2値変数解を、前記暫定2値変数解として前記混合整数計画問題における前記2値変数に改めて代入して線形計画問題を作成するとともに前記暫定2値変数解に対応する前記目的関数の値により、前記最適値以下であることが分かっている最大の値である下界値を更新し、
    前記汎用計算機および前記量子計算機は、前記下界値と前記上界値とが所定の終了条件を満たすまで前記線形計画問題の双対問題の求解および前記0-1計画問題の求解を繰り返し、
    前記汎用計算機は、前記下界値と前記上界値とが前記終了条件を満たした場合、前記暫定最適解を前記混合整数計画問題の最適解として出力する、
    最適化システム。
  2. 量子計算機と通信可能に構成され、2値変数および連続変数により表される混合整数計画問題の目的関数を最適化する前記2値変数および前記連続変数の組み合わせである最適解を求めるための前記量子計算機の演算を支援する最適化支援装置であって、
    前記混合整数計画問題における前記2値変数に暫定2値変数解を代入することで前記混合整数計画問題から線形計画問題を作成し、前記線形計画問題を双対問題に変換し、前記双対問題を求解し、前記双対問題の解が有界であり、かつ、前記双対問題の目的関数の値が、前記混合整数計画問題の目的関数に前記最適解を代入して得られる最適値以上であることが分かっている最小の値である上界値よりも小さい場合、前記双対問題の目的関数の値により前記上界値を更新するとともに、前記線形計画問題を求解することで得られた連続変数解と前記暫定2値変数解とを暫定最適解とする線形計画問題求解部と、
    前記双対問題の解に基づいて、前記混合整数計画問題から生成される0-1計画問題の解の制約条件を設定する制約条件設定部と、
    前記制約条件を満たすように前記混合整数計画問題から0-1計画問題を作成し、前記量子計算機に出力する0-1計画問題作成部と、を備え、
    前記線形計画問題求解部は、前記量子計算機から前記0-1計画問題の2値変数解および前記2値変数解に対応する前記目的関数の値が入力された場合、前記2値変数解を前記暫定2値変数解として前記混合整数計画問題における前記2値変数に改めて代入して線形計画問題を作成するとともに前記暫定2値変数解に対応する前記目的関数の値により、前記最適値以下であることが分かっている最大の値である下界値を更新し、前記下界値と前記上界値とが所定の終了条件を満たした場合、前記暫定最適解を前記混合整数計画問題の最適解として出力する、最適化支援装置。
  3. 前記0-1計画問題作成部は、前記暫定2値変数解の複数の近傍解について前記目的関数に基づいて作成された評価関数の値を求め、前記複数の近傍解と対応する前記評価関数の値とに基づく重回帰分析により求められた係数を用いて前記0-1計画問題を作成する、請求項2に記載の最適化支援装置。
  4. 前記制約条件設定部は、前記線形計画問題が実行可能であるか否かを判定し、
    実行可能でない場合、前記連続変数を規定する第1制約条件を設定し、
    実行可能である場合、前記評価関数を規定する第2制約条件を設定する、請求項3に記載の最適化支援装置。
  5. 前記0-1計画問題作成部は、前記複数の近傍解のうち前記第1制約条件を満足する近傍解に対応する前記評価関数の値を、前記第2制約条件から算出される前記評価関数の最大値とする、請求項4に記載の最適化支援装置。
  6. 前記0-1計画問題作成部は、前記複数の近傍解のうち前記第1制約条件を満足しない近傍解に対応する前記評価関数の値を無限大とする、請求項4または5に記載の最適化支援装置。
  7. 量子計算機と通信可能に構成された汎用計算機により実行され、2値変数および連続変数により表される混合整数計画問題の目的関数を最適化する前記2値変数および前記連続変数の組み合わせである最適解を求めるための前記量子計算機による演算を支援する最適化支援方法であって、
    前記混合整数計画問題における前記2値変数に暫定2値変数解を代入することで前記混合整数計画問題から線形計画問題を作成し、前記線形計画問題を双対問題に変換し、前記双対問題を求解し、前記双対問題の解が有界であり、かつ、前記双対問題の目的関数の値が、前記混合整数計画問題の目的関数に前記最適解を代入して得られる最適値以上であることが分かっている最小の値である上界値よりも小さい場合、前記双対問題の目的関数の値により前記上界値を更新するとともに、前記線形計画問題を求解することで得られた連続変数解と前記暫定2値変数解とを暫定最適解とし、
    前記双対問題の解に基づいて、前記混合整数計画問題から生成される0-1計画問題の解の制約条件を設定し、
    前記制約条件を満たすように前記混合整数計画問題から0-1計画問題を作成し、前記量子計算機に出力し、
    前記量子計算機から前記0-1計画問題の2値変数解および前記2値変数解に対応する前記目的関数の値が入力された場合、前記2値変数解を前記暫定2値変数解として前記混合整数計画問題における前記2値変数に改めて代入して線形計画問題を作成するとともに前記暫定2値変数解に対応する前記目的関数の値により、前記最適値以下であることが分かっている最大の値である下界値を更新し、前記下界値と前記上界値とが所定の終了条件を満たした場合、前記暫定最適解を前記混合整数計画問題の最適解として出力する、
    ことを含む最適化支援方法。
  8. 量子計算機と通信可能に構成された汎用計算機により実行され、2値変数および連続変数により表される混合整数計画問題の目的関数を最適化する前記2値変数および前記連続変数の組み合わせである最適解を求めるための前記量子計算機の演算を支援する最適化支援プログラムであって、
    前記汎用計算機に、
    前記混合整数計画問題における前記2値変数に暫定2値変数解を代入することで前記混合整数計画問題から線形計画問題を作成し、前記線形計画問題を双対問題に変換し、前記双対問題を求解し、前記双対問題の解が有界であり、かつ、前記双対問題の目的関数の値が、前記混合整数計画問題の目的関数に前記最適解を代入して得られる最適値以上であることが分かっている最小の値である上界値よりも小さい場合、前記双対問題の目的関数の値により前記上界値を更新するとともに、前記線形計画問題を求解することで得られた連続変数解と前記暫定2値変数解とを暫定最適解とし、
    前記双対問題の解に基づいて、前記混合整数計画問題から生成される0-1計画問題の解の制約条件を設定し、
    前記制約条件を満たすように前記混合整数計画問題から0-1計画問題を作成し、前記量子計算機に出力し、
    前記量子計算機から前記0-1計画問題の2値変数解および前記2値変数解に対応する前記目的関数の値が入力された場合、前記2値変数解を前記暫定2値変数解として前記混合整数計画問題における前記2値変数に改めて代入して線形計画問題を作成するとともに前記暫定2値変数解に対応する前記目的関数の値により、前記最適値以下であることが分かっている最大の値である下界値を更新し、前記下界値と前記上界値とが所定の終了条件を満たした場合、前記暫定最適解を前記混合整数計画問題の最適解として出力する、
    処理を実行させる最適化支援プログラム。
JP2019153035A 2019-08-23 2019-08-23 最適化システム、最適化支援装置、最適化支援方法、および最適化支援プログラム Active JP7260783B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019153035A JP7260783B2 (ja) 2019-08-23 2019-08-23 最適化システム、最適化支援装置、最適化支援方法、および最適化支援プログラム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019153035A JP7260783B2 (ja) 2019-08-23 2019-08-23 最適化システム、最適化支援装置、最適化支援方法、および最適化支援プログラム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021033633A JP2021033633A (ja) 2021-03-01
JP7260783B2 true JP7260783B2 (ja) 2023-04-19

Family

ID=74675898

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019153035A Active JP7260783B2 (ja) 2019-08-23 2019-08-23 最適化システム、最適化支援装置、最適化支援方法、および最適化支援プログラム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7260783B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11783435B2 (en) 2020-04-27 2023-10-10 Hitachi Energy Switzerland Ag Power grid resource allocation

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019512134A (ja) 2016-02-23 2019-05-09 1キュービー インフォメーション テクノロジーズ インコーポレイテッド1Qb Information Technologies Inc. 2値多項的に制約された多項計画問題のラグランジュ双対を2値オプティマイザを用いて解くための方法及びシステム
JP2020113190A (ja) 2019-01-16 2020-07-27 富士電機株式会社 最適化装置、最適化システム、最適化方法、及びプログラム

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019512134A (ja) 2016-02-23 2019-05-09 1キュービー インフォメーション テクノロジーズ インコーポレイテッド1Qb Information Technologies Inc. 2値多項的に制約された多項計画問題のラグランジュ双対を2値オプティマイザを用いて解くための方法及びシステム
JP2020113190A (ja) 2019-01-16 2020-07-27 富士電機株式会社 最適化装置、最適化システム、最適化方法、及びプログラム

Also Published As

Publication number Publication date
JP2021033633A (ja) 2021-03-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Hajiakbari Fini et al. Comparative study on the performance of many‐objective and single‐objective optimisation algorithms in tuning load frequency controllers of multi‐area power systems
Mohanty et al. Design and analysis of fuzzy PID controller with derivative filter for AGC in multi‐area interconnected power system
KR102113096B1 (ko) 탐색 장치, 탐색 방법 및 플라스마 처리 장치
Long et al. Scheduling a realistic hybrid flow shop with stage skipping and adjustable processing time in steel plants
Fattahi et al. A new hybrid particle swarm optimization and parallel variable neighborhood search algorithm for flexible job shop scheduling with assembly process
US11093578B2 (en) Optimization device and method of controlling optimization device
Lin et al. Network modeling and evolutionary optimization for scheduling in manufacturing
Ho et al. OSA: orthogonal simulated annealing algorithm and its application to designing mixed H/sub 2//H/sub/spl infin//optimal controllers
Chi et al. A hybridization of cuckoo search and differential evolution for the logistics distribution center location problem
JP7260783B2 (ja) 最適化システム、最適化支援装置、最適化支援方法、および最適化支援プログラム
Dong et al. Composite differential evolution with modified oracle penalty method for constrained optimization problems
Rossi et al. Multi‐scenario robust online optimization and control of fed‐batch systems via dynamic model‐based scenario selection
Welikala et al. Distributed nonconvex optimization of multiagent systems using boosting functions to escape local optima
Xu et al. Multiobjective collective decision optimization algorithm for economic emission dispatch problem
CN110532291B (zh) 基于最小执行代价的深度学习框架间模型转换方法及系统
Ye et al. Run‐to‐run optimization of batch processes with self‐optimizing control strategy
Marquardt et al. Constructive nonlinear dynamics in process systems engineering
Hayashi et al. Assembly sequence optimization of spatial trusses using graph embedding and reinforcement learning
EP0875848A1 (en) Placement method and apparatus
Mou et al. An Improved Genetic Algorithm for Single‐Machine Inverse Scheduling Problem
JP7234566B2 (ja) 運転計画方法、運転計画装置およびプログラム
Dang et al. Makespan minimisation for pre-emptive scheduling of mobile robots in FMS environment
Chung et al. Evolutionary design of static output feedback controller for Takagi–Sugeno fuzzy systems
WO2021111511A1 (ja) 探索装置、探索プログラム及びプラズマ処理装置
Misni et al. Harmony search for multi-depot vehicle routing problem

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220407

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230131

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230307

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230320

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 7260783

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151