JP7253353B2 - 同軸ケーブル用コネクタ及び同軸ケーブル - Google Patents

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Description

本発明は、中空の内部導体を備えた同軸ケーブルに取り付けられる同軸ケーブル用コネクタ及びこれを備えた同軸ケーブルに関する。
信号の伝送機能に加え、アンテナ機能を備えた漏洩同軸ケーブル用のコネクタは、シェルや外部締付け金具を有する外部パーツと、コンタクトやブッシュなどからなる内部パーツと、で構成されている(例えば特許文献1参照)。
内部パーツのコンタクトは、例えば中心ピンを取付ける先端取付部と漏洩同軸ケーブルの内部導体の内側に挿着される複数の板状片(ハネ部)を含む内部導体挿着部とを有している。内部導体挿着部の内側には、突起部(嵌合部)を先端側に設けたくさび状の締付け金具が配置されている。この締付け金具は、ボルト締めにより軸方向に移動させることで、複数の板状片を内側から押し拡げる機能を生じさせる。
従来のコンタクトは、例えば6分割された板状片の内面を、くさび状の締付け金具の傾斜面と同じ角度で円錐状に削り、さらにこれら6つの板状片からなる内部導体挿着部の外径を、内部導体の内径に合わせ込んでいる。この板状片の外周面を内部導体の内周面に押し付けて生じる摩擦力でコンタクトが固定されている(例えば特許文献2参照)。
ここで、内部導体には、漏洩同軸ケーブルの製造時に生じる螺旋状の凹凸があり、内部導体の内面の凸部と板状片(ハネ部)が接触するため、平坦な接触状態とはならず、板状片と内部導体との接触面積が減少する。
なお、内部導体の内径に比べて6つの板状片からなる内部導体挿着部の外径が小さい場合、錐体形状の締付け金具の傾斜面(円錐面)の角度以上に複数の板状片全体が拡がり、内部導体の内面に板状片が斜めに接触することとなり接触面積が減少する。さらに、6つの板状片では、内部導体の内径とコンタクトとの曲率の違いで接触幅を十分に確保できないことがある。このため、従来では、内部導体の内径に合せた複数のコンタクトを用意する必要があった。また、締付け金具の傾斜面(円錐面)の角度に比べて複数の板状片全体のテーパ面の角度が大きくなるため、締付け金具の先端が板状片の内面を削る。この板状片の内面の削れは、長期的には板状片の破断を招く要因となる。
また、締付け金具の突起部を、分割された板状片どうしの間の分割溝に挟み込むことで回転防止機能が得られているが、上記したボルトを締め込んでいくと円周方向の力が増加し、突起部が接触する分割溝側面の損傷や板状片の偏りが発生する。さらに、コンタクトが備えるこのような板状片の状態によっては、ボルト締めの際にボルトが回転せず、コンタクト全体が回転してしまい、内部導体へのねじり力、コンタクトの取付面の損傷、締付けトルク不足などが発生する。
特開平10-172678号公報 実開平3-32382号公報
前述したように、内部導体には、ケーブル製造時に生じる螺旋状の凹凸(コルデル紐を巻き付けた際に生じる内部導体の外周面の凹み)があるため、複数の板状片からなる内部導体挿着部の外周面が内部導体の内周面のコルデル跡(凸部)に接触してしまい、板状片の接触面積が減少する。このため、コンタクトと内部導体との固定力が弱く、コンタクトが内部導体との固定位置からずれ電気特性が低下するおそれや内部導体から抜け落ちるおそれがある。また、上記したボルトを締め込んでいくと円周方向の力が増加し、突起部が接触する分割溝側面の損傷や板状片の偏りが発生し、内部導体と板状片との接触が均一にはならず、前記同様、コンタクトが、内部導体との固定位置からずれ電気特性が低下するおそれや、内部導体から抜け落ちる可能性がある。
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、同軸ケーブルに対するコンタクトの固定力を高めることができる同軸ケーブル用コネクタ及びこれを備えた同軸ケーブルの提供を目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る同軸ケーブル用コネクタは、中空の内部導体を備えた同軸ケーブルに取り付けられる。この同軸ケーブル用コネクタのコンタクトは、内部導体挿着部、筒状の被挿通部材、及び締付け部材を備えている。内部導体挿着部の内周側は、軸方向の一端側に向けて縮径すると共に傾斜角度の異なる複数段のテーパ孔を構成する複数の板状片と複数の分割溝とが周方向に沿って交互に配置され、前記内部導体の内側に挿着される。被挿通部材は、前記テーパ孔の前記一端側に連通する透孔を有すると共に、前記透孔及び前記テーパ孔挿通されるねじ部材のストッパ部を有する。締付け部材は、前記複数の分割溝の幾つかと嵌合する嵌合部と、前記テーパ孔と係合する錐体形状の係合部と、を有し、前記ストッパ部と当接する前記ねじ部材の締め込みにより前記テーパ孔の小径側に引き寄せられる。前記テーパ孔は、前記テーパ孔の傾斜角度が第1の傾斜角度である第1のテーパ孔傾斜面と、前記第1のテーパ孔傾斜面よりも前記一端側に隣接して並んでおり、前記テーパ孔の傾斜角度が前記第1の傾斜角度よりも小さい第2の傾斜角度である第2のテーパ孔傾斜面部とを有し、前記係合部45の傾斜角度が、前記第1の傾斜角度と同じである。
前記複数の分割溝は、前記嵌合部を嵌合させる第1の分割溝と、前記嵌合部の非嵌合対象となる第2の分割溝とを有し、前記第2の分割溝における前記周方向の幅が、前記第1の分割溝における前記周方向の幅よりも狭い構成を適用することも可能であるまた、前記複数段のテーパ孔は、例えば2段以上で構成されていてもよいし、傾斜の変わる曲面で構成されていてもよく、また、前記複数の分割溝の総数は、例えば8個である。
一方、前記嵌合部の嵌合端側には、分割溝への嵌合を案内するガイド部が形成されている。また、前記締付け部材は、前記係合部の軸心に形成され、前記ねじ部材と螺合するねじ孔と、前記嵌合部の軸心に形成され、前記ねじ孔の前記一端側に連通していると共に前記ねじ部材を挿通させる第2の透孔と、を有している。さらに、前記被挿通部材は、フランジ部を有し、前記フランジ部の外周面の一部が平坦面で形成されている。また、前記複数の板状片は、前記第1の分割溝と隣接する第1の板状片と、前記第1の分割溝とは非隣接位置にある第2の板状片とを有し、前記第1の板状片における前記周方向の幅が、前記第2の板状片における前記周方向の幅よりも狭い構成を適用してもよい。さらに、このような同軸ケーブル用コネクタが取り付けられた同軸ケーブルを得ることが可能である。
本発明によれば、同軸ケーブルに対するコンタクトの固定力を高めることができる同軸ケーブル用コネクタ及びこれを備えた同軸ケーブルを提供することが可能である。
本発明の実施形態に係る同軸ケーブル用コネクタが取り付けられる同軸ケーブルの構造を示す図。 図1に示す同軸ケーブルの断面図。 図1の同軸ケーブルに取り付けられる同軸ケーブル用コネクタを一部断面で示す図。 図3の同軸ケーブル用コネクタの内部部品であるコンタクトを一部断面で示す図。 図4に示すコンタクトの矢視図A。 比較例の同軸ケーブル用コネクタのコンタクトを一部断面で示す図。 図6に示すコンタクトの矢視図B。 図1に示す同軸ケーブルの内部導体と図4、図5に示すコンタクトとの接触箇所について説明するための実施例のコンタクト取り付け時の内部導体の内周面を展開して示す展開図。 図1に示す同軸ケーブルの内部導体と図6、図7に示すコンタクトとの接触箇所について説明するための比較例のコンタクト取り付け時の内部導体の内周面を展開して示す展開図。 図8、図9のコンタクトを内部導体から引抜く引抜き力について実施例1と比較例1とを比較した結果を示す図。 図8、図9のコンタクトを内部導体から引抜く引抜き力について実施例2と比較例2とを比較した結果を示す図。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1、図2に示すように、本実施形態に係る同軸ケーブル用コネクタが取り付けられる同軸ケーブル10は、信号を伝送すると共に、電波を漏洩させることでアンテナとしても利用できるように設計された、いわゆる漏洩同軸ケーブル(Leaky Coaxial cable)である。この同軸ケーブル10は、細長いスロット(穴)15aが外部導体15に形成されている。これによって、同軸ケーブル10は、電波の発信又は受信が可能となる。
同軸ケーブル10は、図1、図2に示すように、内被である絶縁パイプ11、外被であるシース17、パイプ状の内部導体12、コルデル紐14、前述した外部導体15、支持用隆起部18、支持線19を有する。内部導体12は、銅製又はアルミニウム製の例えば中空パイプなどで構成されている。コルデル紐14は、内部導体12の外面に螺旋状に巻き付けられたスペーサである。
絶縁パイプ11は、電気絶縁性を有する筒体であり、コルデル紐14を介して、内部導体12との間の径方向に一定の間隔を空けて設けられている。外部導体15は、絶縁パイプ11の外周面に蛇腹状に巻回された金属テープである。シース17は、外部導体15及び支持線19の外側を被覆する。支持用隆起部18は、同軸ケーブル10の軸方向に沿って延びかつ径方向に突出した同軸ケーブル本体の支持部である。支持線19は、撚り線からなるメッセンジャワイヤであり、支持用隆起部18の内芯として設けられている。
図3に示すように、上述した同軸ケーブル10の端部には、同軸ケーブル用コネクタ20が取り付けられる。この同軸ケーブル用コネクタ20は、シェル20aやシェル締付具20bを有する外部パーツと、後述するコンタクト30やブッシュ23a、23b、23c、インシュレータ26などからなる内部パーツと、で構成されている。シェル締付具20b、ブッシュ23a、23bは、同軸ケーブル10の端部の外周部分に嵌め込まれている。
また、ブッシュ23c及びブッシュ23cに嵌め込まれたインシュレータ26は、シェル締付具20bの外周面でシェル20aと螺合、締付ける事で固定される。
上記した図3に加え、図4、図5に示すように、同軸ケーブル用コネクタ20が有するコンタクト30は、コンタクト本体31、ねじ部材としてのボルト33、締付け部材である締付け金具32を備えている。締付け金具32は、内部導体12の中心孔内(内側)に挿入されたコンタクト本体31を、ボルト33を介して固定している。コンタクト本体31は、長手方向の中央部分に凹部34が周方向に沿って形成されており、この凹部34で区分された内部導体挿着部35と筒状の被挿通部材36とを有している。
内部導体挿着部35は、コンタクト本体31の軸方向の一端側(先端側)に向けて縮径すると共に傾斜角度の異なる複数段のテーパ孔49を構成する複数の第1、第2の板状片(ハネ部)38、48と、複数の第1、第2の分割溝37、47と、が周方向に沿って交互に配置されている。この内部導体挿着部35は、図3に示すように、同軸ケーブル10の内部導体12の内側(内周面)に挿着される。
一方、被挿通部材36は、内部導体挿着部35のテーパ孔49の前記一端側に連通する透孔(第1の透孔)46を有すると共に、透孔46及びテーパ孔49を挿通されるボルト33のストッパ部(段部)41を備えている。ボルト33は、六角穴44aを有する頭部44及びワッシャ33aを有している。ボルト33の締め込み時に頭部44が、ストッパ部41と当接(係合)する。
締付け金具32は、複数の分割溝の幾つかと嵌合(第1の分割溝37と嵌合)する四角柱状の嵌合部(突起部)43と、内部導体挿着部35のテーパ孔49と係合する錐体形状(錐体状)の係合部45と、を有している。締付け金具32は、頭部44がストッパ部41と当接するボルト33の締め込みにより内部導体挿着部35のテーパ孔49の小径側(前記一端側)に引き寄せられる。具体的には、締付け金具32は、ねじ孔45a及び透孔(第2の透孔)43bを有している。ねじ孔45aは、係合部45の軸心に形成されている。一方、透孔43bは、嵌合部43の軸心に形成されている。透孔43bは、ねじ孔45aの一端側に連通していると共にボルト33(ボルト33の雄ねじ部分)を挿通させる。
ここで、前述したように、嵌合部43の軸心には、あえてねじ孔を形成せずに、ボルト33を単に挿通(貫通)させるための透孔43b(挿通孔)が形成されている。このような透孔43bは、ボルト33の先端を、係合部45の軸心のねじ孔45aに導くための案内孔として機能する。これにより、ボルト33の先端とねじ孔45aとが例えば傾いた状態で螺合し互いのねじ山を潰してしまうような不具合が回避される。
ここで、図4、図5に示すように、被挿通部材36は、フランジ部39を有している。さらに、このフランジ部39の外周面の一部は、締付け取り外しでコンタクト30の空転防止のため、スパナやアジャスタブルレンチなどで把持できる工具把持面(平坦面)39aが形成されている。なお、工具把持面39aは、フランジ部39の外周面の一部に対向する一対の平坦面で形成されている。これにより、ボルト締めの際にボルトが回転せず、コンタクト全体が回転してしまい、内部導体へのねじり力、コンタクトの取付面の損傷、締付けトルク不足などが発生する問題を回避できる。つまり工具把持面39aは、コンタクト本体31の周方向における回り止め機構として機能する。この構成により、コンタクト本体31を所望のトルクで締付けて固定することが可能となるため、内部導体に対する固定力の安定化を図ることができる。
図4、図5に示すように、内部導体挿着部35の前述した第1の分割溝37は、2箇所に設けられており、締付け金具32の嵌合部43を嵌合させる。これに対して、第2の分割溝47は、6箇所に設けられており、嵌合部43とは嵌合しない非嵌合対象となる溝である。上記した第1の分割溝37と第2の分割溝47との総数は8個である。ここで、第2の分割溝47の幅は、第1の分割溝37の幅よりも狭く形成されている。第1の分割溝37の幅A7は第1の板状片38,38の距離であり、後述の隣接する板状片同士の間隔(弧長)a7よりも短く、また、第2の分割溝47の幅A1は第2の板状片48,48の距離であり、後述の隣接する板状片同士の間隔(弧長)a1よりも短い。
ここで、締付け金具32の嵌合部43における第1の分割溝37との嵌合端側(前記一端側)には、第1の分割溝37への嵌合を案内するガイド部43aが形成されている。このガイド部43aは、四角柱状の嵌合部43における嵌合端側のエッジ部(角部)にR面加工やC面加工などの面取り加工を施すことによって形成されている。これにより、第1の分割溝37に対して嵌合部43を嵌合させる際の摩擦が低減し嵌合部分どうしの損傷を抑制することが可能となる。
一方、内部導体挿着部35の前述した第1の板状片38は、第1の分割溝37とそれぞれ隣接する位置(4箇所の位置)に配置されている。これに対して、第2の板状片48は、第1の分割溝37とは隣接しない非隣接位置(4箇所の位置)に配置されている。このような第1の板状片38における周方向の幅(例えば最大幅)は、第2の板状片48における周方向の幅(例えば最大幅)よりも狭く形成されている。
上記した内部導体挿着部35の構成は、同軸ケーブル10に対するコンタクト30の固定力(内部導体12の内周面と内部導体挿着部35の外周面との固定力)を高めるために適用されている。つまり、内部導体挿着部の分割数が例えば6分割の場合、板状片(ハネ部)の周方向の幅が大き過ぎて、内部導体12の内周面との接触幅が限定的になってしまうものの、内部導体挿着部の分割数を例えば8分割(板状片を8枚)とすることで、内部導体12の内周面と8枚の板状片との接触幅を確保し内部導体挿着部35と内部導体12とのの接触面積を増加させ、同軸ケーブル10に対するコンタクト30の固定力を向上させる。ここで、内部導体挿着部の分割数を増加させると、分割した板状片どうしの間の分割溝数も増加し、内部導体と板状片との周方向における接触幅が減少してしまうため、第2の分割溝47の幅を、第1の分割溝37の幅よりも小さくすることで、内部導体と板状片との接触面積の減少を抑制している。
また、図4、図5に示すように、内部導体挿着部35おける複数段のテーパ孔49は、例えば2段で構成されている。このような複数段のテーパ孔は、3段以上で構成されていてもよいし、傾斜の異なる曲面で構成されていてもよい。テーパ孔の加工上、テーパ孔は2段で構成することが好ましい。また、複数段のテーパ孔のうち、傾斜角度の最も大きいテーパ孔の当該傾斜角度は、締付け金具32における例えば円錐台形状などに形成された錐体形状の係合部45の傾斜角度と同じ角度である。同じ角度とすることで、内部導体12にコンタクト30が取付けられ内部導体挿着部35の外周面が締付け金具(締め付け部材)32で内部導体12の内周面に押し付けられた際、傾斜面38aと係合部45が密着し内部導体挿着部35の外周面と内部導体12の内周面の軸方向の接触角度が小さくなり接触長さをより大きくできる。これにより内部導体12の内周面と内部導体挿着部35の外周面との固定力が高まる。ここで、コンタクト本体31を軸方向に裁断した縦断面において、軸心の線と、テーパ孔49の開口端から遠い側の傾斜面38aと(及び傾斜面48a)がなす角度は、例えば3°である。一方、コンタクト本体31を軸方向に裁断した縦断面において、軸心の線と、テーパ孔49の開口端に近い側の傾斜面38b(及び傾斜面48b)とがなす角度は、例えば10°である。また、複数段のテーパ孔(2段のテーパ孔49)のうち、傾斜角度の最も大きいテーパ孔の当該傾斜角度は、締付け金具32における錐体形状の係合部45の傾斜角度と同じ角度である。図4の例では、係合部45の傾斜角度と複数段のテーパ孔における最も大きい傾斜角度(傾斜面38b、48bの傾斜角度)は例えば10°である。
上記したように、傾斜角度の異なる複数段のテーパ孔49を内部導体挿着部35に適用したことで、締付け金具32の締付け時に、錐体形状の係合部45の傾斜角度以上に、複数段のテーパ孔49が拡がり、締付け金具32の係合部45の先端が板状片の内面に接触することが抑制される。したがって、内部導体挿着部35のテーパ孔49に対して締付け金具32の係合部45を係合させる際の摩擦が低減し、係合部分どうしの損傷を抑えることが可能となる。これにより、ボルト33を所定の締付けトルクで締付けた際にテーパ孔49(板状片)を拡げる力を増大させることができるので、同軸ケーブル10の内部導体12に対する内部導体挿着部35の固定力を向上させることができる。
既述したように、本実施形態に係る同軸ケーブル用コネクタ20によれば、同軸ケーブル10に対するコンタクト30の固定力を高めることができる。
次に、本発明の実施例を、前述した図3~図5に加え、図6~図11に基づき説明する。ここで、図6は、比較例の同軸ケーブル用コネクタのコンタクト50を一部断面で示す図であり、図7は、図6に示すコンタクト50の矢視図Bである。また、図8は、図1に示す同軸ケーブルの内部導体と図4、図5に示すコンタクト30との接触箇所について説明するための実施例1、2のコンタクト取り付け時の内部導体12の内周面を展開して示す展開図である。
一方、図9は、図1に示す同軸ケーブルの内部導体と図6、図7に示すコンタクト50との接触箇所について説明するための比較例1、2のコンタクトの外周面を展開して示す展開図である。また、図10は、図8、図9のコンタクトを内部導体から引抜く引抜き力について実施例1と比較例1とを比較した結果を示す図である。さらに、図11は、図8、図9のコンタクトを内部導体から引抜く引抜き力について実施例2と比較例2とを比較した結果を示す図である。
図6、図7に示すように、比較例の同軸ケーブル用コネクタのコンタクト50は、コンタクト本体51と、一段のテーパ孔59を有する内部導体挿着部55と、傾斜面(テーパ面)58aを有しかつ周方向の幅(最大幅など)が互いに同じ幅である6つの板状片58と、周方向の溝幅が互いに同じ幅である6つの分割溝57と、嵌合部53、係合部56及びねじ孔52aを有する締付け金具52など、を主に備えている。
図8、図9に示すように、より具体的には実施例1と比較例1、実施例2と比較例2における内部導体装着部の主要な特性値の比較は次のとおりである。まず、a1、a7は隣接する板状片同士の間隔(弧長)、a2、a8は板状片の弧長、a3は板状片と内部導体の接触長、a4は内部導体内面の凸部の領域、a5は内部導体と板状片の接触領域、a6は内部導体の内径である。また、b1は隣接する板状片同士の間隔、b2は板状片の弧長、b3は板状片と内部導体の接触長、b4は内部導体内面の凸部の領域、b5は内部導体と板状片の接触領域、b6は内部導体の内径である。
さらに、実施例1、比較例1では被取付け側の同軸ケーブルについては銅製の内部導体を適用した。また、板状片の弧長a2、a8およびb2の総和は比較例1を1としたとき実施例1は0.98倍であり、内部導体と板状片の接触長a3およびb3の総和は比較例1を1としたとき実施例1は1.03倍である。
一方、実施例2、比較例2では被取付け側の同軸ケーブルについてはアルミニウム製の内部導体を適用した。また、板状片の弧長a2、a8およびb2の総和は比較例2を1としたとき実施例2は1.06倍であり、内部導体と板状片の接触長a3およびb3の総和は比較例2を1としたとき実施例2は1.33倍である。
このような実施例1、比較例1の内部導体の接触跡を観察した結果、内部導体と板状片の接触領域a5およびb5、内部導体内面の凸部領域a4およびb4の総和は比較例1の1.22倍の接触跡が実施例1で確認された。
さらに、実施例2、比較例2の内部導体の接触跡を観察した結果、内部導体と板状片の接触領域a5およびb5、内部導体内面の凸部領域a4およびb4の総和は比較例2の1.4倍の接触跡が実施例2で確認された。
また、図10、図11に示す結果から明らかなように、複数段のテーパ孔を有する内部導体挿着部を備えた実施例1、2は、一段のテーパ孔を有する内部導体挿着部を備えた比較例1、2と比べて、引抜き力が約1.3倍~約2倍向上しており、同軸ケーブルに対するコンタクトの固定力が高められていることが検証された。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10 同軸ケーブル
11 絶縁パイプ
12 内部導体
14 コルデル紐
15 外部導体
15a スロット
17 シース
18 支持用隆起部
19 支持線
20 同軸ケーブル用コネクタ
20a シェル
20b シェル締付具
23a ブッシュ
23b ブッシュ
23c ブッシュ
26 インシュレータ
30 コンタクト
31 コンタクト本体
32 締付け金具(締付け部材)
33 ボルト
33a ワッシャ
34 凹部
35 内部導体挿着部
36 被挿通部材
37 第1の分割溝
38 第1の板状片
38a 傾斜面
38b 傾斜面
39 フランジ部
39a 工具把持面(平坦面)
41 ストッパ部
43 嵌合部
43a ガイド部
43b 透孔(第2の透孔)
44 頭部
44a 六角穴
45 係合部
45a ねじ孔
46 透孔(第1の透孔)
47 第2の分割溝
48 第2の板状片
48a 傾斜面
48b 傾斜面
49 テーパ孔
50 コンタクト
51 コンタクト本体
52 締付け金具
52a ねじ孔
53 嵌合部
55 内部導体挿着部
56 係合部
57 分割溝
58 板状片
58a 傾斜面
59 テーパ孔
60 フランジ部

Claims (9)

  1. 中空の内部導体を備えた同軸ケーブルに取り付けられる同軸ケーブル用コネクタであって、
    軸方向の一端側に向けて縮径すると共に傾斜角度の異なる複数段のテーパ孔を構成する複数の板状片と複数の分割溝とが周方向に沿って交互に配置され、前記内部導体の内側に挿着される内部導体挿着部と、
    前記テーパ孔の前記一端側に連通する透孔を有すると共に、前記透孔及び前記テーパ孔挿通されるねじ部材のストッパ部を有する筒状の被挿通部材と、
    前記複数の分割溝の幾つかと嵌合する嵌合部と、前記テーパ孔と係合する錐体形状の係合部と、を有し、前記ストッパ部と当接する前記ねじ部材の締め込みにより前記テーパ孔の小径側に引き寄せられる締付け部材と、
    を備えたコンタクトを有し、
    前記テーパ孔は、
    前記テーパ孔の傾斜角度が第1の傾斜角度である第1のテーパ孔傾斜面と、
    前記第1のテーパ孔傾斜面よりも前記一端側に隣接して並んでおり、前記テーパ孔の傾斜角度が前記第1の傾斜角度よりも小さい第2の傾斜角度である第2のテーパ孔傾斜面部と
    を有し、
    前記係合部45の傾斜角度が、前記第1の傾斜角度と同じである、
    同軸ケーブル用コネクタ。
  2. 前記複数の分割溝は、前記嵌合部を嵌合させる第1の分割溝と、前記嵌合部の非嵌合対象となる第2の分割溝とを有し、前記第2の分割溝の幅が、前記第1の分割溝の幅よりも狭い、
    請求項1に記載の同軸ケーブル用コネクタ。
  3. 前記複数段のテーパ孔は、2段で構成されている、
    請求項1または2に記載の同軸ケーブル用コネクタ。
  4. 前記複数の分割溝の総数は、8個である、
    請求項1からまでのいずれか1項に記載の同軸ケーブル用コネクタ。
  5. 前記嵌合部の嵌合端側には、分割溝への嵌合を案内する面取り加工が施されたガイド部が形成されている、
    請求項1からまでのいずれか1項に記載の同軸ケーブル用コネクタ。
  6. 前記締付け部材は、前記係合部の軸心に形成され、前記ねじ部材と螺合するねじ孔と、前記嵌合部の軸心に形成され、前記ねじ孔の前記一端側に連通していると共に前記ねじ部材を挿通させる第2の透孔と、を有する、
    請求項1からまでのいずれか1項に記載の同軸ケーブル用コネクタ。
  7. 前記被挿通部材は、フランジ部を有し、前記フランジ部の外周面の一部が対向する一対の平坦面で形成されている、
    請求項1からまでのいずれか1項に記載の同軸ケーブル用コネクタ。
  8. 前記複数の板状片は、前記第1の分割溝と隣接する第1の板状片と、前記第1の分割溝とは非隣接位置にある第2の板状片とを有し、前記第1の板状片における前記周方向の幅が、前記第2の板状片における前記周方向の幅よりも狭い、
    請求項2に記載の同軸ケーブル用コネクタ。
  9. 請求項1からまでのいずれか1項に記載の同軸ケーブル用コネクタが取り付けられた同軸ケーブル。
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