JP7250221B2 - 準衛星軌道 - Google Patents

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Description

本開示は一般に、複数の同様の軌道を通るように宇宙船を移動させることに関し、より特定的には、フォボスの周りを回る同様の軌道遷移中に宇宙船に関してマルチボディダイナミクスを活用することによって燃料効率のよい遷移軌道または遷移軌跡を生成するための方法およびシステムに関する。
これまでの従来の火星へのミッションは、二体円錐軌道構造に基づく軌道設計を有する。しかし、火星は、フォボスおよびデイモスという2つの衛星を有しており、フォボスの軌道特性、フォボスの軌道運動、および火星の周りを回るフォボスの接近軌道は全て、非常に珍しい作用を生じさせるため、火星へのミッションの軌道設計の計画を非常に複雑にしている。実際、火星への軌道設計を計画することは、地球のさまざまな軌道間の軌道設計を計画することとは似ても似つかない。
たとえば、従来の遷移軌道は、宇宙船が低地球軌道(LEO)(すなわち、初期軌道)から静止地球軌道(GEO)(すなわち、第2の軌道)に遷移する遷移軌道と称され得る。GEOの従来の軌道特性は、固定された半径の円軌道であり、宇宙船に地球の赤道を周回させる。GEOにある物体は、地球の自転周期に等しい従来の軌道周期を有し、地球から宇宙空間にあるその物体を見上げると、上空の固定された位置で静止しているように見える。
ところが、フォボスの「従来とは異なった珍しい」軌道特性は、同期軌道半径未満で火星を周回し、これは、火星自体が自転するよりも速くフォボスが火星の周りを移動することを意味する。したがって、火星の表面にいる観測者の視点からは、フォボスは、火星日ごとにおよそ2回、西から昇って、比較的速やかに空を横切って、東に沈むことになる。フォボスの「従来とは異なった珍しい」軌道は非常に低いので、その角直径は、火星にいる観測者が見ると、上空のフォボスの位置とともに変化することは明らかである。それと比較して、太陽は、火星の空では約0.35°の見かけの大きさを有する。フォボスの相は、火星から観測できる限りでは、約3分の1日、すなわちフォボスの会合周期をかけて進路を進んでいき、フォボスの恒星周期よりもわずか13秒長い。これらの「従来とは異なった珍しい」局面は全て、地球のLEOから地球のGEOへの従来の軌道設計の計画とは異なって、火星-フォボス系におけるミッションのフォボス軌道設計の計画を非常に難しくしている。
さらに、このようなフォボス軌道設計の計画の複雑さは、火星への過去のミッションからもたらされる。たとえば、火星へのいくつかの過去のミッション(マーズ・オービター・ミッション(MOM)、マーズ・リコネッサンス・オービター(MRO)およびマーズ・アトモスフィア・アンド・ボラタイル・エボリューション(MAVEN)ミッションなど)は全て、軌道設計者が依然として最良の軌道設計アプローチであると信じている二体円錐軌道構造に基づく軌道設計を有する。しかし、上記のように、これらの複数の変動要因、すなわち「従来とは異なった珍しい」局面に起因して、火星へのミッションおよび火星ーフォボス系におけるフォボス軌道内の軌道設計の計画は、非常に複雑であり、軌道設計者による軌道設計の解決を不可能に近いものにしている。
従来の宇宙飛行、従来の軌道設計およびナビゲーションは、数学ではN体問題として知られており、このN体問題は、宇宙空間における天体間の重力引力を説明する、数学では周知の難しい問題である。従来のミッションを設計する際、N体は、宇宙船と、太陽系における地球、太陽および他の天体との任意の組み合わせであり得る。しかし、軌道を支配するニュートンの重力および運動の法則を使用した従来の軌道設計アプローチは、二体、すなわち地球および太陽では十分に単純である。しかし、フォボス軌道を含む火星-フォボス系ミッションの軌道設計を設計する際には、軌道設計は決して従来通りではなく、実際、上記のように、火星-フォボス系軌道設計問題を解く際にそれは非常に「従来とは異なった珍しい」ものである。火星-フォボス系軌道設計問題にさらなる多変数を追加するという事実は、軌道挙動を変化させることになり、複合的に複雑かつややこしくなる。ごくわずかでも初期条件を変化させると、軌道は予測不可能かつ劇的に変化する可能性があり、最も単純な場合を除いてそれらを計算することが実質的に不可能になる。
このような理由から、従来の軌道設計者は、上記のように、上記の火星への過去のミッションについては一度に二体を扱ってきた。二体の場合、方程式を正確に解くことができ、その結果、円錐曲線として知られている軌道が得られる。なぜなら、それらの軌道は全て、円錐の表面上に存在するさまざまな円弧であるからである。ミッション設計者は、地球および宇宙船から開始して、宇宙船をそのターゲットの方に送り出す円錐曲線を求め、次いで焦点をターゲット天体および宇宙船にシフトさせて、探査機を軌道にのせる交差円錐曲線を求める。次いで、ミッション設計者は、円錐曲線および接続経路の選択を最適化して、最良の軌道を求める。しかし、上記のように、フォボスの軌道の中での軌道設計の計画は全く異なっている。
したがって、新たなフォボス軌道に突入した後に宇宙船を追跡することも含む、火星-フォボス系へのミッションの軌道設計に対する新たなアプローチを生み出す必要性が存在する。さらに、従来の二体円錐軌道構造を使用した軌道追跡および軌道設計の従来の問題を再検討する必要がある。火星-フォボス系へのミッションの新たな火星-フォボス系軌道設計は、宇宙船に関してマルチボディダイナミクスを活用することも含む、フォボス軌道の燃料効率のよい遷移を保持する追跡および軌道設計に対処する必要がある。
本開示は、複数の同様の軌道を通るように宇宙船を移動させることに関し、より特定的には、三体仮定を使用して宇宙船に関してマルチボディダイナミクスを活用する、火星-フォボス系における軌道間の燃料効率のよい遷移を生じさせるための方法およびシステムに関する。
火星の衛星を調査していくつかの気付きが発見された。これらの気付きは、火星-フォボス系ミッションの今日の軌道設計者によって従来から信じられているように、二体仮定で軌道設計を制限することはもやは不可能であるという気付きを含む。多くの理由の中で少なくとも1つの理由は、火星の衛星が比較的小さな質量を有するため、主天体(すなわち、火星)が依然として、衛星に近接している宇宙船に対しても支配的な重力の作用を及ぼすというものである。別の気付きは、初期フォボス軌道から同様のターゲットフォボス軌道への軌道設計を計画することを考慮してフォボス軌道の「従来とは異なった珍しい」局面についてさらに理解を深めるというものである。
たとえば、本開示のいくつかの気付きは、三体仮定の下で必要な火星-フォボス軌道設計を行うことを含む。特に、宇宙船に起因する重力の作用が無視できるほどのものであると想定される制限三体モデルを使用する。主天体が円軌道における重心を周回するというこの仮定により、宇宙船の閉軌道を求める問題は、円制限三体問題(CR3BP)と呼ばれる。実験から得られた複数の解は、このCR3BPを使用して発見され、対象の解のうちの少なくとも1つは、通常の二体衛星軌道に似た軌道の形状のためにそのように呼ばれている準衛星軌道(QSO)を含んでいた。火星-フォボス系の場合、このQSOは、フォボスの周りを回る軌道の優れた選択肢であることが分かる。その理由は、いくつかある局面の中で特に、フォボスからのその距離が、詳細な観測を行うには十分に近くでありながら、宇宙船がフォボスの表面と接触しないことを保証するには十分に遠いからである。このフォボスへのミッションにおける軌道追跡の問題を検討するにあたって、実験作業は、一部には、火星衛星探査計画(MMX)ミッションが動機となって行われた。フォボス軌道およびそれらの非常に珍しい軌道特性をさらに調査して、いくつかの局面が学習されたが、それらの局面は、フォボスの質量比がμ=1.6606 10-8であって、このことが、フォボスを火星に対して小さくして火星の影響がフォボス自体よりも無視できるほどに小さい軌道にしている、というものである。フォボスの寸法は、27km×22km×18kmであり、保持している質量が小さすぎるので、それ自体の重力で円形になることができない。さらに、フォボスは、その低質量および低重力に起因して大気を有していないため、フォボスは、太陽系の中で最も反射率の低い天体のうちの1つであり、アルベドは約0.071である。赤外スペクトルは、炭素質コンドライトに見られる炭素に富む材料をフォボスが有していることを示し、火星の表面の組成との類似性を示す組成であると思われる。また、フォボスの密度は、硬い岩であるには低すぎて、相当な有孔率を有していると考えられる。フォボスの軌道のさらに学習された知識に基づいて、少なくとも1つの気付きは、宇宙船が新たなフォボス軌道を達成した後に宇宙船をさらに追跡する必要性を含んでいた。少なくとも1つの理由は、LEOとGEOとの間の従来の軌道遷移と比較して、多くの従来とは異なった珍しい変動要因および特性を、軌道設計を計画する際にさらに考慮に入れる必要があるというものである。
いくつかの実施形態では、火星-フォボスQSOの追跡を含む2つのアプローチを検討する。第1のアプローチは、線形二次レギュレータ(LQR)問題に対する解を用いた軌道追跡方法に基づく。この第1のアプローチの少なくとも1つの固有の局面は、アプリオリ状態不確実性行列の構造に等しくなるように設定される状態ペナルティ行列を選択する方法である。たとえば、この第1のアプローチについて、プロセッサは、初期軌道からターゲット軌道への乗り物の遷移軌道を生成するように、メモリに格納された遷移軌道生成部を動作させることができる。天体の周りを回る乗り物のターゲット軌道を計算することに基づく。自由軌道に沿った各パッチポイントが位置および速度を含むように、自由軌道モジュールを使用して、自由軌道に沿ってパッチポイントを有する自由軌道を計算することができる。フィードバックゲインモジュールは、自由軌道の各パッチポイントにおける状態ペナルティ関数が、同一のパッチポイントにおける状態不確実性関数に一致するように設定されるように、自由軌道に沿った各パッチポイントにおけるフィードバックゲインを求める。言い換えれば、状態ペナルティ関数は、状態ペナルティ行列を含む二次関数であり、状態ペナルティ行列は、リカッチ差分方程式を時間を遡る方向に伝播させることによって求められる。状態不確実性関数は、二次関数から導き出され、状態不確実性関数は、状態不確実性行列を含む。状態不確実性行列は、閉ループシステムダイナミクスを時間の進む方向に伝播させて状態不確実性行列を取得し、次いで収束閾値までプロセスを反復的に繰り返すことによって求められる。
第2のアプローチに関して、基準QSOの近傍に安定化するという代案である少なくとも1つの第2の固有の局面は、基準と同一の積分定数を有する軌道を追跡することを含む。ヤコビ定数と呼ばれるこの積分定数は、軌道のエネルギの尺度である。同一のヤコビ定数を有するQSOは、互いに接近していることを保証できるため、このエネルギレベルにとどまることにより、結果として生じる軌道を基準の近傍にとどめることが保証される。言い換えれば、第2のアプローチに関して、プロセッサは、フィードバック安定化コントローラを動作させることができ、このフィードバック安定化コントローラは、ターゲット軌道を維持するために、各パッチポイントにおける計算されたフィードバックゲインを適用して、各パッチポイントにおける位置および速度をデルタvコマンドにマッピングすることができる。プロセッサは、デルタvコマンドをスラスタコマンドに変換し得て、または代替的に、デルタvコマンドは、スラスタコマンドモジュールに出力され得る。スラスタコマンドモジュールは、デルタvコマンドを受信して、デルタvコマンドをスラスタコマンドに変換し得る。次いで、スラスタコマンドモジュールは、スラスタコマンドを少なくとも1つのスラスタの少なくとも1つのスラスタプロセッサに送信して、乗り物の軌道追跡制御のために少なくとも1つのスラスタを作動させ得る。
QSOは、CR3BPの場合には閉じているが、実際には実在しない。しかし、CR3BPにおけるQSOは、CR3BPの閉軌道解から発展させることができる。同様に、このエネルギ尺度は、CR3BPの場合には一定であるが、実際には一定ではなく、火星-フォボス系の場合には幸いにも厳しく制限され得る。
実験から学習されたフォボス軌道の中の軌道遷移における少なくとも1つの重要な変数は、「デルタv」または速度の変化と称され、これは、宇宙船がフォボス軌道間を移動して、初期軌道を離れて新たなフォボス軌道またはターゲット軌道に至ると必要な速度変化を生じさせるために搭載しなければならない燃料の量の実用的な同義語である。宇宙船をフォボス軌道の中の1つの軌道から別の軌道に移動させることは、宇宙船の予め定められた測定された速度の変化であり得て、これは、宇宙船のフォボス軌道の変化を生じさせる。この変化または遷移軌道は、初期フォボス軌道にいる間、新たなフォボス軌道への遷移中、および宇宙船が新たがフォボス軌道を達成した後、宇宙船のダイナミクスに影響を及ぼす重力外乱を考慮に入れる。デルタvを最小化するための1つのアプローチは、宇宙船が天体の軌道に対して近づく方向次第で宇宙船(すなわち、乗り物または宇宙探査機)を加速させたり減速させたり向きを変えたりするために天体の軌道の「重力アシスト」を組み込むというものであり得る。実験から学習された他のさらなる技術は、軌道上昇および傾斜角変更スキームを組み合わせて、軌道間の遷移中に3つ以上の作戦を使用することを含み得る。
デルタvを最小化するためのこれらの技術(すなわち、重力アシストならびに軌道上昇および傾斜角変更スキーム)は全て、軌道遷移に対して個々の改善を示しているが、いずれもフォボス軌道の固有の変数および特性を大いに利用するものではない。たとえば、火星-フォボス系におけるフォボス軌道に関して、遠方逆行軌道(DRO)と呼ばれる安定に近い平面軌道が存在しており、これらのDROは、宇宙船をフォボスから比較的遠い距離に保つ。上記の三次元準周期構造、準衛星軌道(QSO)はDROの近傍に存在することになるため、これらは、本開示に係る潜在的なミッションのための候補軌道であると考えられる。
たとえば、火星-フォボス系に対する従来の軌道設計は、おそらく、これらの「固有のフォボス軌道」を考慮に入れない。なぜなら、いくつかの軌道は、平面軌道であり、火星-フォボス系ミッションの軌道設計の従来の設計者にとって優先順位が高い要素であるフォボスの表面全体を観測することには向いていないからである。本開示の少なくとも1つの気付きは、宇宙船運動が主重力体から著しく離れると、宇宙船運動が他の重力体の重力の影響を受けるというものである。円制限三体問題(CR3BP)に対する解は、フォボス軌道における重力を受けた宇宙船運動を検討する際に、宇宙船運動のより近い近似物を提供することができる。
従来の軌道設計の設計者がこれらの「固有のフォボス軌道」を考慮にいれなかったかもしれない別の理由は、上記のように複数の変数によって著しく摂動される火星-フォボス系内の軌道設計の複雑さによって混乱させられるこの重力の影響を活用することの問題に起因する。従来の軌道設計についての多くの相違点の中でもこの相違点は、本明細書に記載されている本開示の方法およびシステムを真に革新的にする。開示されている方法およびシステムは、本明細書に具体的に挙げられている固有の動作およびパフォーマンスの利点を提供し、より多くの利点およびメリッは、さらに開示されるであろう。
本開示は、これらの「固有のフォボス軌道」を使用して軌道遷移を生じさせる方法およびシステムを提供することによって、上記の問題の局面に対処する。これらの方法およびシステムは、天体(すなわち、火星の衛星または火星)に近いフォボス軌道の宇宙船(すなわち、通信衛星および他の宇宙船)を移動させるための作動によってスラスタ動作を制御することに使用され得る。本開示のフォボス軌道遷移生成方法およびシステムは、これらの「固有のフォボス軌道」からの著しい重力の影響を使用して宇宙船を1つのフォボス軌道から別の同様のフォボス軌道に遷移させるための革新的な技術を提供する。たとえば、宇宙船は、特定の傾斜角で初期フォボス軌道から火星-フォボス系内のその他のフォボス軌道に遷移または移動され得る。1つの特定の実現例において、遷移決定における複数の天体は、火星(そのまわりを宇宙船が周回する)および/またはフォボス軌道であり得る。
実際、遷移フォボス軌道または軌跡は、非限定的な例として、重力の影響を活用して遷移パフォーマンスを向上させることによって燃料効率のよい局面を利用するように、遷移軌道生成部または同様のコンピュータベースのツールなどによって求められることができる。
いくつかの実施形態は、宇宙船の予め定められた測定された速度の変化を使用して宇宙船を1つの軌道から別の軌道に移動させ、これは、宇宙船の初期フォボス軌道の、同様のフォボスターゲット軌道への変化を生じさせる、遷移軌道生成部によって求められる生成された遷移フォボス軌道解であり得る。生成された遷移フォボス軌道解は、スラスタコマンドに変換されるデルタvコマンドを含み得て、このスラスタコマンドは、宇宙船をターゲット軌道の方に向ける宇宙船推進システムのスラスタコントローラを介して宇宙船の推進システムの1つまたは複数のスラスタを制御するのに使用され、宇宙船のフォボス軌道の変化を生じさせる。
本開示の方法およびシステムは、遷移パフォーマンスおよび遷移利用可能性に多数のメリットを提供するという理由から、重力アシストのためにこれらの固有のフォボス軌道特性を活用するという気付きを組み込む。このことを念頭に置いて、フォボス軌道遷移生成部(および、生成方法)は、宇宙船に対するこれらの固有のフォボス軌道の自然な相互作用を利用して、従来の軌道遷移(すなわち、従来のホーマン遷移)とは大きく異なるフォボス軌道遷移を生じさせるために使用される概念、技術および手順を記載することによって教示され得る。たとえば、初期フォボス軌道からターゲットフォボス軌道へのフォボス軌道設計は、多変数、すなわち(1)フォボスの珍しい軌道特性、(2)フォボスの珍しい軌道運動、(3)火星の周りを回るフォボスの異常に接近した軌道を、(4)他の既知の摂動(すなわち、単一の他の巨大質量天体の重力引力以外の力を受ける巨大質量天体の複雑な運動であって、この他の力は、第3の(第4の、第5の、など)天体、大気圏からの抵抗、および、偏球のまたはいびつな天体のオフセンタ引力を含み得る)とともに考慮に入れる。
本開示のいくつかの実施形態は、コンピュータに接続されたプロセッサを介して、遷移軌道生成部を使用して、フォボス軌道の中の効率的な遷移軌道を生成することを含む。これらの実施形態は、第1の天体(フォボスなど)の周りを回る宇宙船のターゲットフォボス軌道を識別するためのモジュールを実現するためにプロセッサを含み得る。遷移フォボス軌道生成部(すなわち、1つまたは複数のモジュール、コンピュータプログラム/ソフトウェアなど)は、宇宙船のターゲットフォボス軌道を生成する。ターゲットフォボス軌道は、火星-フォボス系における初期フォボス軌道と同様であり、これらのフォボス軌道は、遠方逆行軌道(DRO)と呼ばれる安定に近い平面軌道である。これらのDROは、宇宙船をフォボスから比較的遠い距離に保ち、これにより、上記の三次元準周期構造、準衛星軌道(QSO)がDROの近傍に存在することになり、これらは、潜在的なミッションのための候補軌道であると考えられる。
本開示の一実施形態に従って、乗り物の軌道追跡制御のために上記乗り物の推進システムの少なくとも1つのスラスタを作動させるためのシステムである。上記システムは、格納データを有するメモリを含み、上記データは、実行可能なモジュールと、乗り物データと、過去の宇宙データとを含み、上記システムはさらに、宇宙データを受信する入力インターフェイスと、プロセッサとを含み、上記プロセッサは、初期軌道からターゲット軌道への上記乗り物の遷移軌道を生成するように遷移軌道生成部を動作させ、フィードバック安定化コントローラを動作させる。上記プロセッサは、上記天体の周りを回る上記乗り物の上記ターゲット軌道を計算し、各パッチポイントが位置および速度を含むように、自由軌道モジュールを使用して、パッチポイントを有する自由軌道を計算し、上記パッチポイントは、上記自由軌道に沿っており、上記プロセッサはさらに、上記自由軌道の各パッチポイントにおける状態ペナルティ関数が、上記同一のパッチポイントにおける状態不確実性関数に一致するように設定されるように、フィードバックゲインモジュールを使用して、上記自由軌道に沿った各パッチポイントにおけるフィードバックゲインを求め、フィードバック安定化コントローラを使用して上記ターゲット軌道を維持するために、各パッチポイントにおける上記フィードバックゲインを適用して、各パッチポイントにおける上記位置および上記速度をデルタvコマンドにマッピングし、上記デルタvコマンドを出力して、上記乗り物の上記軌道追跡制御のために上記少なくとも1つのスラスタを作動させる。
本開示の別の実施形態に従って、乗り物の軌道追跡制御のために上記乗り物の推進システムの少なくとも1つのスラスタを作動させるための方法である。上記方法は、実行可能なモジュールと乗り物データと過去の宇宙データとを格納するメモリに接続されたプロセッサを使用する。上記プロセッサは、初期軌道からターゲット軌道への上記乗り物の遷移軌道を生成するように遷移軌道生成部を動作させ、フィードバック安定化コントローラを動作させる。上記方法は、入力インターフェイスを介して受信された宇宙データを使用して、天体の周りを回る上記乗り物のターゲット軌道を計算するステップと、各パッチポイントが位置および速度を含むように、自由軌道モジュールを使用して、パッチポイントを有する自由軌道を計算するステップとを備え、上記パッチポイントは、上記自由軌道に沿っており、上記方法はさらに、上記自由軌道の各パッチポイントにおける状態ペナルティ関数が、上記同一のパッチポイントにおける状態不確実性関数に一致するように設定されるように、フィードバックゲインモジュールを使用して、上記自由軌道に沿った各パッチポイントにおけるフィードバックゲインを求めるステップと、上記フィードバック安定化コントローラを使用して上記ターゲット軌道を維持するために、各パッチポイントにおける上記フィードバックゲインを適用して、各パッチポイントにおける上記位置および上記速度をデルタvコマンドにマッピングするステップと、出力インターフェイスを介して上記デルタvコマンドを出力して、上記乗り物の上記軌道追跡制御のために上記少なくとも1つのスラスタを作動させるステップとを含む。
本開示の別の実施形態に従って、格納された命令を含む非一時的な機械読取可能媒体であって、上記命令は、処理回路によって実行されると、乗り物の軌道追跡制御のために上記乗り物の推進システムの少なくとも1つのスラスタを作動させるための動作を実行するように上記処理回路を構成する。上記方法は、実行可能なモジュールと乗り物データと過去の宇宙データとを格納するメモリに接続されたプロセッサを使用する。上記プロセッサは、初期軌道からターゲット軌道への上記乗り物の遷移軌道を生成するように遷移軌道生成部を動作させ、フィードバック安定化コントローラを動作させる。上記方法は、入力インターフェイスを介して受信された宇宙データを使用して、天体の周りを回る上記乗り物のターゲット軌道を計算するステップと、各パッチポイントが位置および速度を含むように、自由軌道モジュールを使用して、パッチポイントを有する自由軌道を計算するステップとを備え、上記パッチポイントは、上記自由軌道に沿っており、上記方法はさらに、上記自由軌道の各パッチポイントにおける状態ペナルティ関数が、上記同一のパッチポイントにおける状態不確実性関数に一致するように設定されるように、フィードバックゲインモジュールを使用して、上記自由軌道に沿った各パッチポイントにおけるフィードバックゲインを求めるステップと、上記フィードバック安定化コントローラを使用して上記ターゲット軌道を維持するために、各パッチポイントにおける上記フィードバックゲインを適用して、各パッチポイントにおける上記位置および上記速度をデルタvコマンドにマッピングするステップと、出力インターフェイスを介して上記デルタvコマンドを出力して、上記乗り物の上記軌道追跡制御のために上記少なくとも1つのスラスタを作動させるステップとを含む。
添付の図面を参照して、ここに開示されている実施形態についてさらに説明する。示されている図面は、必ずしも一定の縮尺に応じているとは限らず、その代わりに、一般的には、ここに開示されている実施形態の原理を示すことに重点が置かれている。
本開示の一実施形態に係る、軌道設計のためのいくつかのシステムおよび方法ステップを示すブロック図である。 本開示のいくつかの実施形態に係る、いくつかの実施形態を実現するためのいくつかの方法ステップを示すフロー図である。 本開示のいくつかの実施形態に係る、方法およびシステムを実現するために使用されるいくつかの構成要素を示す概略図である。 本開示のいくつかの実施形態に係る、名目軌道を追跡するための安定化フィードバックゲインの決定を示すフロー図である。 本開示のいくつかの実施形態に係る、サイズ100km×200km×60kmの準衛星軌道(QSO)のグラフであって、この軌道は、x-y平面において見た場合に時計回り方向に移動する。 本開示のいくつかの実施形態に係る、rのさまざまな選択肢についての30日間軌道追跡ステーションキーピングコストの表Aを示す。 本開示のいくつかの実施形態に係る、平均偏差に対してプロットされた30日間軌道追跡ステーションキーピングコストのグラフである。 本開示のいくつかの実施形態に係る、r=10-4(線上に点あり)およびr=10(線上に点なし)についてプロットされたプロット軌道追跡平均偏差のグラフである。 本開示のいくつかの実施形態に係る、r=10-4(線上に点あり)およびr=10(線上に点なし)についてプロットされたプロット軌道追跡平均ステーションキーピングコストのグラフである。 本開示のいくつかの実施形態に係る、近傍ステーションキーピングα=1に対応する3つの別々にランダム化されたランについてのベースライン軌道からの偏差のグラフである。 本開示のいくつかの実施形態に係る、α=0に対応する2つの軌道の比較を示す図であって、図8Aにおけるタイトなステーションキーピング解は、α=0を使用して得られ、rが10-4に設定される軌道追跡技術を使用して達成された結果を有する図8Bにおけるステーションキーピングと同等である。 本開示のいくつかの実施形態に係る、α=1に対応する2つの軌道の比較を示す図であって、図8Aにおけるタイトなステーションキーピング解は、α=0を使用して得られ、rが10-4に設定される軌道追跡技術を使用して達成された結果を有する図8Bにおけるステーションキーピングと同等である。 本開示のいくつかの実施形態に係る、Nのさまざまな選択肢についての30日間軌道追跡ステーションキーピング燃料コストの表Bを示す。 本開示のいくつかの実施形態に係る、天体暦モデルを使用したシミュレーションにおける名目ヤコビ定数からのヤコビ値偏差のグラフである。 本開示のいくつかの実施形態に係る、方法およびシステムのいくつかの局面を実現するために使用される局面をよりよく理解するためのいくつかの従来のパラメータの概略図である。 本開示のいくつかの実施形態に係る、方法およびシステムのいくつかの局面を実現するために使用される局面をよりよく理解するためのいくつかの従来のパラメータの概略図である。 本開示のいくつかの実施形態に係る、方法およびシステムのいくつかの局面を実現するために使用される局面をよりよく理解するためのいくつかの従来のパラメータの概略図である。 本開示のいくつかの実施形態に係る、方法およびシステムのいくつかの局面を実現するために使用される局面をよりよく理解するためのいくつかの従来のパラメータの概略図である。 本開示のいくつかの実施形態に係る、方法およびシステムのいくつかの局面を実現するために使用される局面をよりよく理解するためのいくつかの従来のパラメータの概略図である。 本開示の一実施形態に係る、生成された遷移軌道を実現するためのいくつかの構成要素を示すブロック図である。 本開示の一実施形態に係る、軌道設計のためのいくつかのシステムおよび方法ステップを示すブロック図である。
上記の図面は、ここに開示されている実施形態を説明しているが、明細書に記載されているように他の実施形態も考えられる。本開示は、限定としてではなく説明として例示的な実施形態を提示している。当業者は、ここに開示されている実施形態の原理の範囲および精神の範囲内の多数の他の変形例および実施形態を考案することができる。
本開示は、複数の同様の軌道を通るように宇宙船を移動させることに関し、より特定的には、三体仮定を使用して宇宙船に関してマルチボディダイナミクスを活用する、火星-フォボス系における軌道間の燃料効率のよい遷移を生じさせるための方法およびシステムに関する。本開示の方法およびシステムのうちのいくつかを説明するために使用される名称に関して、本願の最後の「定義」セクションは、実験から学習された説明を提供している。
図1Aは、本開示の実施形態に係る、方法を実現するためのいくつかの方法ステップを示すフロー図である。この方法は、乗り物の軌道追跡制御のために乗り物の推進システムの少なくとも1つのスラスタを作動させるためのものであり得て、この方法は、実行可能なモジュールと乗り物データと過去の宇宙データとを格納するメモリに接続されたプロセッサを使用し、このプロセッサは、初期軌道からターゲット軌道への乗り物の遷移軌道を生成するための遷移軌道生成部を動作させ、フィードバック安定化コントローラを動作させる。
図1Aのステップ15は、入力インターフェイスを介して受信された宇宙データを使用して、天体の周りを回る乗り物のターゲット軌道を計算するステップを含む。
図1Aのステップ17は、各パッチポイントが位置および速度を含むように、自由軌道モジュールを使用して、パッチポイントを有する自由軌道を計算するステップを含み、パッチポイントは、自由軌道に沿っている。
図1Aのステップ19は、自由軌道の各パッチポイントにおける状態ペナルティ関数が、同一のパッチポイントにおける状態不確実性関数に一致するように設定されるように、フィードバックゲインモジュールを使用して、自由軌道に沿った各パッチポイントにおけるフィードバックゲインを求めるステップを含む。
図1Aのステップ21は、フィードバック安定化コントローラを使用してターゲット軌道を維持するために、各パッチポイントにおけるフィードバックゲインを適用して、各パッチポイントにおける位置および速度をデルタvコマンドにマッピングするステップを含む。
図1Aのステップ23は、出力インターフェイスを介してデルタvコマンドを出力して、乗り物の軌道追跡制御のために少なくとも1つのスラスタを作動させるステップを含む。
本開示の実施形態は、火星-フォボス系の軌道設計に対して重要な解を提供し、非限定的な例として、宇宙産業における宇宙技術イノベータは、フォボスの低重力のためにフォボスへのミッションを重要な技術的関心事と見なしており、これは、火星への最終的なサンプルリターンミッションに必要とされる技術をテストして証明するためのよい機会であると見なされる。また、将来の宇宙革新およびフォボスへのミッションは、火星-フォボス系へのミッション(すなわち、2021年までにオービタを火星軌道に乗せて、一連の接近フライバイを通じてフォボスおよびデイモスを調査するように提案されたディスカバリークラスミッション(すなわち、フォボス・アンド・デイモス・アンド・マーズ・エンバイロメント(PADME)と呼ばれるミッション)を含む)を計画している多くの国にとって重要であると考えられている。ディスカバリ13セレクションのために2つの他のフォボスミッションが提案されており、これらのミッションは、デイモスにフライバイするが実際にはフォボスを周回して着陸するであろうマーリンと呼ばれるミッションを含み、もう1つのミッションは、デイモスおよびフォボスの両方を周回するであろうパンドラである。また、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、フォボスを対象にしたサンプルリターンミッションである火星衛星探査計画(MMX)を公表した。MMXは、デイモスフライバイ観測を行って火星の気候をモニタリングすることとともに、複数回フォボスに着陸してフォボスからサンプルを収集するであろう。宇宙船は、コアサンプリングメカニズムを使用することによって、サンプルを検索することを目指している。NASA、ESA、DLRおよびCNESもこのプロジェクトに参加しており、科学機器を提供するであろう。アメリカは、中性子およびガンマ線分光計(NGRS)を寄贈し、フランスは、近赤外線分光計(NIRS4/MacrOmega)を寄贈するであろう。
図1Bは、本開示のいくつかの実施形態に係る、いくつかの実施形態を実現するためのいくつかの方法ステップを示すフロー図である。たとえば、図1Bのステップ110は、CR3BPモデルを使用して軌道を計算する。ステップ115は、各々の既知の外乱について天体暦モデルを使用してシミュレーションすることを開示している。ステップ120は、主要な外乱をCR3BPモデルに組み込むことを含む。ステップ125は、主要な外乱を有するCR3BPモデルを使用して軌道を計算する。最後に、ステップ130は、求められたフィードバックゲインを使用して、対応するフィードバック制御法則が得られるように、フィードバック法則を決定する。自由軌道モジュールは、予め定められた閾値を上回る支配的外乱源を判断するための支配的外乱源モジュールを使用して、自由軌道を計算することを支援する。
図1Cは、本開示の実施形態に係る、システムおよび方法を実現するために使用され得るいくつかの構成要素を示すブロック図である。たとえば、コンピュータシステム50またはネットワークは、天体(たとえば、火星など)の周りを回る初期軌道から当該天体または別の天体の周りを回るターゲット軌道に宇宙船または乗り物を移動させるための遷移軌道の決定に使用されるように適合され得る。CPUまたはプロセッサ10は、バスシステム13を介して、メモリ12、入力/出力デバイス14および通信インターフェイス16に接続可能である。ストレージデバイス18、制御インターフェイス20、ディスプレイインターフェイス22および外部インターフェイス22もバスシステム13に接続可能である。外部インターフェイス22は、拡張メモリ50、乗り物パラメータ52(すなわち、宇宙船仕様、スラスタ仕様、サイズ、重量など)、初期軌道データ54(すなわち、時間、日付、パラメータ(高度、傾斜角、離心率を含む)など)および他の軌道データ56(すなわち、固有の軌道データ)に接続可能である。バスシステム13は、制御インターフェイス24、出力インターフェイス26、受信部28および送信部30も接続することができる。さらに、バスシステムは、GPS受信部モジュール32をGPS34に接続することができる。
バスシステム13は、軌道メンテナンス40を接続することができ、軌道メンテナンス40は、遷移軌道生成部42と、フィードバックゲインモジュール44と、フィードバックコントローラ46と、スラスタコマンド生成部48とを含み得る。また、バスシステム13は、スラスタコマンドを出力するための出力スラスタコマンドモジュール58を接続することができる。バス59は、スラスタコントローラモジュール(図示せず。図12Aを参照されたい)からのデータを伝達するために軌道メンテナンスに再び接続する。
図1Cは、乗り物の軌道追跡制御のために乗り物の推進システムの少なくとも1つのスラスタを作動させるためのシステムおよび方法を示している。コンピュータ70は、1つまたは複数のプロセッサ10を有するサーバまたはデスクトップ、ラップトップ、モバイルまたは他のコンピュータデバイスまたはシステムであり得る。プロセッサ10は、コンピュータ70のメモリ12もしくはストレージデバイス18内の(または、拡張メモリ50もしくは他のデータストレージ52,54,56内の)遷移軌道生成部42の形式のコードにアクセスするように適合された中央処理装置であり得る。本開示のシステムおよび方法に関連する局面に従って、所期のハードウェアおよび目標実現例の特定の設計および局面次第でさらに必要とされる場合には、外部ストレージデバイスも考えられる。たとえば、コンピュータ70を使用してシステムおよび方法のステップを実現することができ、メモリ12および/またはストレージデバイス18は、データを格納することができる。
図1A、図1Bおよび図1Cを参照して、図1Cのメモリ12内の格納データは、実行可能なモジュールと、乗り物データと、過去の宇宙データとを含み得る。たとえば、乗り物データは、宇宙船の仕様、寸法、重量、さまざまな条件(重力および他の摂動(すなわち、宇宙空間内の単一の他の巨大質量天体の重力引力以外の力を受ける巨大質量天体の複雑な運動)を含む)下のパフォーマンスデータを含み得る。さらに、乗り物データは、多変数、すなわち(1)フォボスの珍しい軌道特性、(2)フォボスの珍しい軌道運動、(3)火星の周りを回るフォボスの異常に接近した軌道、および(4)他の既知の摂動のうちの1つまたは複数に関連付けられた乗り物ダイナミクスに関連する局面に関連するデータを含み得る。宇宙データは、火星-フォボス系、過去の火星へのミッションに関連するデータ、ならびに、宇宙、宇宙船、および宇宙にある火星または他の天体への軌道設計の計画に関連するその他のデータを含み得る。たとえば、宇宙データとして格納されるデータとしては、火星の衛星についてのデータ(初期フォボス軌道から同様のターゲットフォボス軌道への軌道設計を策定する際に考慮に入れることができるフォボスの特性など)を挙げることができる。このようなデータレビューは、フォボス軌道が5,989km(3,721マイル)の高度を有することにより、フォボスが同期軌道半径を下回って火星を周回し、これは、火星自体が自転するよりも速くフォボスが火星のまわりを移動することを意味する、ということを含み得る。したがって、火星の表面にいる観測者の視点からは、フォボスは、火星日ごとにおよそ2回(11時間6分ごとに)、西から昇って、比較的速やかに空を横切って(4時間15分またはそれ未満以内)、東に沈むことになる。
任意に、格納データは、ストレージデバイス18、外部インターフェイス22に格納され得て、外部インターフェイス22は、拡張メモリ50に接続されており、拡張メモリ50は、図1Cの初期軌道データデータベース54、他の軌道データデータベース56、および乗り物パラメータ、仕様、パフォーマンスなどのデータデータベース52に接続している。
依然として図1A、図1Bおよび図1Cを参照して、図1Cのコンピュータ70のプロセッサ10は、特定の用途次第では2つまたはそれ以上のプロセッサであってもよい。たとえば、いくつかのステップは、本開示のシステムおよび方法に関連付けられた特定の処理時間または処理速度を保証するために別個のプロセッサを必要とし得る。
図1Cの受信部28または入力インターフェイスは、過去の格納宇宙データが図1Cのメモリ12に格納された後に、宇宙船に関連付けられた地球ミッションコントロールセンタもしくはセンサから、または他の場所から得られる宇宙データ(最新の宇宙データであってもよい)を受信することができる。図1Cの受信部28および送信部30は、たとえば地球ミッションコントロールセンタまたは他の場所との間でデータを送受信するためのワイヤレススポットを提供することができる。図1CのGPS34に接続されたGPS受信部モジュール32は、ナビゲーション関連局面に使用することができる。図1Cのコンピュータ70は、制御インターフェイス20と、ディスプレイインターフェイス22と、任意に、本開示のシステムおよび方法に関連する使用を意図された外部デバイス、制御インターフェイス、ディスプレイ、センサ、マシンなど(図示せず。図12Bを参照されたい)とを含み得る。
図1Cのプロセッサ10は、軌道メンテナンス40の局面を動作させるまたは実現することができ、軌道メンテナンス40は、フィードバック安定化コントローラ46またはフィードバックコントローラを動作させるとともに、初期フォボス軌道からターゲットフォボス軌道への乗り物の遷移軌道を生成するための遷移軌道生成部42を含む。
図1Aのステップ17および図1Bのステップ110~ステップ125に関して、図1Cのプロセッサ10は、各パッチポイントが位置および速度を含むように、自由軌道モジュール(すなわち、メモリ12に格納されている)を使用して、パッチポイントを有する自由軌道を計算することができ、パッチポイントは、自由軌道に沿っている。特に、図1Bのステップ110~ステップ125は、円制限三体問題(CR3BP)に対する解を識別するCR3BPモデルを使用して軌道を計算することを開示している。CR3BPは、両方の天体が重心を中心に円形経路内で移動すると想定される太陽-惑星系または惑星-衛星系における重力を受けた宇宙船運動を検討する際に、宇宙船運動のより近い近似物を提供することができる。
図1Aのステップ19に関して、図1Cのプロセッサ10は、自由軌道の各パッチポイントにおける状態ペナルティ関数が、同一のパッチポイントにおける状態不確実性関数に一致するように設定されるように、図1Cのフィードバックゲインモジュール44を使用して、自由軌道に沿った各パッチポイントにおけるフィードバックゲインを求めることができる。
図1Bのステップ130に関して、図1Cのプロセッサ10は、求められたフィードバックゲインを使用して、対応するフォードバック制御法則を取得し、これにより、自由軌道モジュールは、予め定められた閾値を上回る支配的外乱源を判断するための支配的外乱源モジュールを使用して、自由軌道の計算を支援する。
図1Aのステップ21に関して、図1Cのプロセッサ10は、宇宙船が一部には図1Cのフィードバック安定化コントローラ46を使用してターゲットフォボス軌道を維持するために、各パッチポイントにおける求められたフィードバックゲインを適用して、各パッチポイントにおける位置および速度をデルタvコマンドにマッピングすることができる。
図1Aのステップ23および図12Aに関して、図1Cのプロセッサ10は、図12Aのスラスタコマンドモジュール1210に接続されたスラスタコマンド生成部にアクセスして、図12Aのデルタvコマンド1201を受信し、デルタvコマンドをスラスタコマンドに変換することができ、スラスタコマンドモジュール1210は、スラスタコマンドをプロセッサ1241を含むサブコントローラスラスタに送信し、プロセッサ1241は、変換されたデルタvコマンドに従ってスラスタコマンドが乗り物の軌道追跡制御のために少なくとも1つのスラスタを作動させることができるようにスラスタコマンドを処理することができる。他の構成の実現は、デルタvコマンドを受信し、デルタvコマンドをスラスタコマンドに変換し、少なくとも1つのスラスタに従ってスラスタコマンドを処理し、少なくとも1つのプロセッサを作動させるようにスラスタコマンドを実行するよう意図されている。
軌道メンテナンス40の動作は、遷移軌道生成部42、フィードバックゲインモジュール44、フィードバックコントローラ46を、必要であれば他の実行可能なモジュールまたはソフトウェアプログラムとともに利用して、デルタvコマンドを少なくとも1つの最終軌道設計または少なくとも1つの出力軌道設計として生成または作成することができ、この軌道設計は、初期または第1フォボス軌道(初期軌道データ54によって定義され得る)からターゲットまたは第2/最終フォボス軌道(ターゲット軌道データ57によって定義され得る)への宇宙船(宇宙船パラメータ52によって定義され得る)の遷移軌道を定義することを支援し得る、ということも考えられる。この目的のために、遷移軌道は、宇宙船(または、その打ち上げ機)の推進システムの動作を制御するのに使用される制御データ(フォボス軌道を遷移させるための情報など)を含み得て、この制御データは、1つまたは複数のスラスタの各作動の時間、大きさおよび方向を含み得て、時間は、フォボス軌道上の場所を定義する。
遷移軌道および情報は、その後の検索のためにメモリ12に格納されてもよく、または、インターネットなどのネットワークを介するなどして、要求側、すなわち要求元デバイス(たとえば、デジタルデータを処理することができる別のコンピュータデバイス)に伝達(または、提供)されてもよい。同様に、初期軌道データ54、宇宙船パラメータ52およびターゲット軌道データ57は、コンピュータ70によって(ネットワークなどを介して)アクセス可能なメモリ12またはストレージデバイス18から検索されてもよく、または、要求元デバイス(たとえば、コンピュータ70にアクセスして遷移軌道データを要求する要求側のコンピュータ(ミッションデザイナまたは同様のクライアントの通信デバイスなど))からデジタル通信ネットワークを介してワイヤードまたはワイヤレスの態様で伝達されてもよい。
軌道設計情報は、初期フォボス軌道を離れて、所定の軌道局面を実行して、ターゲットフォボス軌道に到達するために必要とされる大きさおよび方向を含み得る(が、これらに限定されるものではない)。位置、速度および場所情報は、宇宙船パフォーマンスを追跡して、軌道パフォーマンスを確認して、宇宙船サブシステムの要件(たとえば、通信)をモデル化するのに使用することができる。また、これらの軌道遷移を生じさせるために使用される手順は、その順序が異なっていてもよく、全てのステップを含んでいなくてもよく、および/または、生じさせる厳密な軌道遷移次第ではさらなるステップを含んでもよい。たとえば、優れた初期推測または推定(GUIを介して手動で入力されるか、または、一組の以前に生成された遷移フォボス軌道から選択されてメモリに格納され得る)が与えられる。
図2は、本開示のいくつかの実施形態に係る、名目軌道を追跡するための安定化フィードバックゲインの決定を示すフロー図である。たとえば、全ての主要な外乱を含むモデル205と、当該モデルのダイナミクスを満たす軌道206とが与えられた状態で、軌道のパッチポイントについての線形化ダイナミクス203を計算する。線形化ダイナミクス203をフィードバックゲイン215とともに使用して、閉ループシステム207を形成する。フィードバックゲインに対する初期推測219が提供されて、0に設定される。時間の進む方向に伝播させると、閉ループシステムは、状態不確実性行列209の進展を提供する。状態不確実性行列に等しくなるように状態ペナルティ行列を設定する(211)。状態ペナルティ行列は、LQRソルバ213に渡されて、新たなフィードバックゲイン215を求める。これは、フィードバックゲインの変化が特定の閾値を下回るまでループでなされる。
フォボスの周りを回る準衛星軌道
二体問題に対する解は、1つの重力体の周りを回る宇宙船の経路を表す円錐曲線である。宇宙船運動が主重力体から著しく離れると、その運動は他の重力体の重力の影響を受ける。火星系の場合、宇宙船が衛星であるフォボスに十分に接近すると、次の主な重力源はフォボスである。円制限三体問題(CR3BP)に対する解は、両方の天体が重心を中心に円形経路内で移動すると想定される太陽-惑星系または惑星-衛星系における重力を受けた宇宙船運動を検討する際に、宇宙船運動のより近い近似物である。
この研究では、μ=1.6606 10-8の質量比を有する(フォボスの質量が火星-フォボス系の数分の1μであることを意味する)火星-フォボス系を検討する。この系についての運動方程式は、以下によって示される。
Figure 0007250221000001
また、x,y,zは、惑星-衛星系の重心を中心とした回転座標系において、次元化されていない正規化された量として定義される。フォボスの方向におけるx軸ポイント、重心を中心とした系の角運動量の方向におけるz軸ポイント、およびy軸は、右手座標系を完全なものにする。CR3BPに存在するエネルギのような積分定数は、ヤコビ定数Cと呼ばれ、以下によって示される。
Figure 0007250221000002
(1a)から(1c)に対するリミットサイクル解は軌道と呼ばれ、軌道には多数の群が存在している。太陽-地球系および地球-月系内では、一般的に好ましい軌道の種類は、リアプノフ軌道およびハロー軌道であり、これは、二次天体への近接性、ならびに、科学実験を行って二次天体を観測するのに適したものにするそれらの安定性特性および構造に起因している。これら2つのタイプの軌道は、火星-フォボス系に存在しているが、それらの大部分はフォボスの表面を通過するため、十分に長期間のミッションでは実現不可能である。代替的に、同一の系には、遠方逆行軌道(DRO)と呼ばれる安定に近い平面軌道が存在しており、これらは、宇宙船をフォボスから比較的遠い距離に保つ。これらの軌道は、平面であるため、衛星の表面全体を観測しようとするミッションにとっては理想的な候補ではない。しかし、準衛星軌道(QSO)と呼ばれる三次元準周期構造がDROの近傍に存在しており、これらは、潜在的なミッションのための候補軌道として調査されてきた。この研究では、およその寸法が100km×200km×60kmであるこのような軌道を検討する。この軌道は、衛星から十分に遠くにとどまりながらフォボスを十分にカバーする軌道であり、時間周期は、火星を周回するフォボスの時間周期におよそ等しい。
軌道決定
図3は、本開示のいくつかの実施形態に係る、サイズ100km×200km×60kmの準衛星軌道(QSO)のグラフであって、この軌道は、x-y平面において見た場合に時計回り方向に移動する。たとえば、QSOの決定は、DROを修正することによって行われる。QSOを直接構築することは困難であるため、カプデビラの計算手順(2016)に従って、x-y平面において、およその寸法が100km×200kmであるDRO軌道群を生成することから開始する。これらのDROは、時間的にシーケンシャルに重ね合わせられ、各公転は、4つのパッチポイントに離散化される。次いで、第1のパッチポイントのz座標が固定されるという追加制約がある状態でムラリダランの多重シューティング連続スキーム(2017)を実行して、連続的な自由軌道を生じさせる。次いで、この解を、ターゲットz振幅がより高い状態で、新たな多重シューティング問題に対する初期推測として使用し、これは、第1のパッチポイントのz座標が所望の60kmに等しくなるまで繰り返される。結果は、図3に示される軌道である。
得られたこのQSO軌道は、CR3BPの仮定の下では自由である。しかし、火星の周りを回るフォボスの離心軌道からの外乱力の存在、両方の天体の偏球の影響、および太陽系における他の天体(太陽および木星など)の引力に起因して、現実には軌道は自由ではない。真に自由な軌道を計算するために、高忠実度天体暦モデルmar097およびde421を使用して、ダイナミクスを伝播させる。1公転当たり4つのパッチポイントに離散化された前のステップからの解を、連続的かつ真に自由な軌道を提供する新たな多重シューティングスキームに対する初期推測として使用する。
ステーションキーピング
軌道は自由であるが、系の外乱は、所望の経路からの宇宙船の逸脱を生じさせることが予想され得る。このような理由から、所望の軌道の近くにとどまることを保証するステーションキーピングスキームを実行しなければならない。このセクションでは、比較のためにこのようなスキームを2つ紹介する。すなわち、接近追跡を保証する軌道追跡スキーム、および、衛星が所望の軌道の近傍にとどまることを保証する多様体安定化スキームである。
軌道追跡:軌道の近傍において、以下のように、経時変化する線形系を用いて優勢なダイナミクスをおよそモデル化することができる。
Figure 0007250221000003

式中、δx=x(t)-x(t)は、六次元の実際の状態であり、x(t)は、離散化時間ステップにおいて測定された基準状態であり、tおよびΔvは、推進作戦の三次元ベクトルであり、すなわち瞬間速度は、tで変化する。軌道を維持するために、以下のように、ミッション期間[t,t]にわたってコスト関数を最小化する。
Figure 0007250221000004

このLQR問題に対する解は、以下のように示される。
Figure 0007250221000005

式中、Kkは、以下を満たす時間依存性のゲイン行列である。
Figure 0007250221000006

は、以下のように離散型代数リカッチ方程式を満たす。
Figure 0007250221000007
Figure 0007250221000008
宇宙船ができるだけ接近して軌道を追跡することを望んでいるので、全てのkについてQ=Sを設定する。これは本当である。なぜなら、Sは、推定の自信の尺度であり、自信が高ければ高いほど、その特定の状態にペナルティを科す必要がなくなる。好ましいスラスタ方向がないので、制御に対するペナルティは、一定であってかつ全ての方向において等しくなるように選択され、R≡rI(r>0)になる。低エネルギの解に関心があるので、rを非常に大きな数値に設定する。しかし、rは大きすぎてはならないことに注意する。その理由は、このことが、最終的に、線形性の仮定を無効にするにはあまりにお粗末な軌道の追跡を生じさせ、衛星が宇宙空間へとそれていくことを生じさせるであろう。rの選択肢は、シミュレーションを通じて通知される。
最適な制御ゲインKについて(6)~(8)を解く。解を求めるために、(7)は、所定の最終条件Pで時間を遡る方向に安定しているのに対して、(8)は、所定の初期条件Sで時間の進む方向に安定している、ということに注目する。最初にP=S≡Sを設定し、解に収束するまで(8)を順方向におよび(7)を逆方向に伝播させることによって解を求め、順方向パスを完了した後に毎回Q=S(k=0,...,N-1)およびP=Sを設定する。なお、Sは、アポステリオリ共分散であって、フィルタの出力であってもよく、または単に測定に使用されるデバイスに固有の誤差に起因してもよい。
近傍ステーションキーピング:宇宙船が所定の軌道を正確に辿ることはミッション要件ではないので、衛星が所望の軌道に沿った特定の場所ではなくフォボスの近くにとどまることを保証する方法を導入する。追跡制約を緩和することにより、衛星の接近フライバイを依然として可能にしながら相当な量の燃料を減少させることができる。特に、我々のスキームは、同一のヤコビ定数を有する軌道群が二次天体から距離を有しており、これらの距離が当該群にわたって同一ではないが互いに大きく逸脱することはない、という認識に基づく。このような理由から、所定の軌道を追跡する代わりに、このエネルギ定数の追跡を強要する。
は、CR3BPにおいて求められるQSO軌道のヤコビ定数であるとする。CR3BPにおいて計算されてより一般的な仮定に拡張される軌道のヤコビ定数は、互いに関連しており、共有の多様体上で進展することが分かった。したがって、基準経路から逸脱する宇宙船は、元の軌道の近傍における同様の軌道に戻されることができる。
我々が提案するアプローチは、名目軌道に近くかつ計画対象期間の終わりに所望のヤコビ定数Cに収束する新たな軌道を宇宙船が追跡することを保証するΔvi|kの予測されたシーケンスを求める後退範囲コントローラである。この制御は、以下のように、有限の計画対象期間Nにわたって最適制御問題を解き、
Figure 0007250221000009

以下のように、期間T1|kにわたって制御を設定することによって求められる。
Figure 0007250221000010

式中、ri|kおよびvi|kは、それぞれ、時刻tにおいて計算的に求められた時刻tk+1における位置および速度状態であり、同様に、Δvi|kは、時刻tにおいて計算的に求められたΔvk+iの値であり、α,ζ,Wγ,Wνは、重み付け定数であり、CN|kは、時刻tにおいて計算的に求められた計画対象期間の終わりにおけるヤコビ定数である。
スペースダイナミクスの複雑性により、および終端等式制約が安定性問題を生じさせる可能性があるという事実を認識していることにより、燃料節約を厳しく制限することなしに我々のアプローチの安定性を保証することはできず、そのため、系の安定性に影響を及ぼすであろういずれの大きな外的な力も自信をもって予測できるほどにNが十分に大きくなるようにする。さらに、この同一の目的で重みαを導入して、燃料消費量の最適化(α=1)と名目軌道の追跡(α<1)との折り合いをつけ、優れた軌道追跡が安定した挙動を保証するであろうと予想した。
内点最適化ソルバIPOPTを使用してΔvについて(9)を解く。特に、我々のアルゴリズムは、インデックスi=1,...,n-1にそれぞれ対応するパッチポイントt1|k,...,tn-1|kにおける軌道を接続することによって実現される。コスト関数の勾配および制約ベクトルのヤコビアンは、2つの中間パッチポイント間に伝播された状態遷移行列の関数であるので、ユーザ定義の目的勾配および制約-ヤコビアンを提供して最適化アルゴリズムのパフォーマンスを向上させることができる。
実験
このセクションでは、ステーションキーピングスキームをテストする数値シミュレーションの結果を提示する。各シミュレーションは、燃料消費量の平均偏差および標準偏差を計算するモンテカルロランで構成されていた。シミュレーションにおいて、位置測定値不確実性は、バイアスがかかっていないと想定され、3つ全ての方向において標準偏差σ=0.1kmを有し、速度測定値不確実性も、バイアスがかかっておらず、標準偏差σ=1cm/sを有し、W=diag(0.1,0.1,0.1,1,1,1)になる。7.6時間ごとに1回の割合で作戦を実行し、これは1公転当たり約1回の作戦に対応する。これは、同一の軌道中に2回以上または1回未満の作戦を実行することが、同様の条件下でのテストにおいていかなる改善も示さなかったので、行われた。作戦と作戦との間隔があき過ぎると、全体的なステーションキーピングコストが増加する可能性がある。なぜなら、宇宙船がベースライン軌道から逸脱する十分な時間が与えられてしまうからである。
図4は、本開示のいくつかの実施形態に係る、rのさまざまな選択肢についての30日間軌道追跡ステーションキーピングコストの表Aを示す。
図5は、本開示のいくつかの実施形態に係る、平均偏差に対してプロットされた30日間軌道追跡ステーションキーピングコストのグラフである。
図6Aおよび図6Bは、本開示のいくつかの実施形態に係る、r=10-4(線上に点あり)およびr=10(線上に点なし)についてプロットされたプロット軌道追跡平均偏差のグラフ(図6A)およびプロット軌道追跡平均ステーションキーピングコストのグラフ(図6B)である。
図4(表A)、図5、図6Aおよび図6Bを参照して、最初に軌道追跡方法を検討し、ペナルティ行列は、R=rIであるように選択される。rのさまざまな選択肢のテストが実行され、各々が100回のランで構成されるモンテカルロシミュレーションが実行されて、図4(表A)、図5、図6Aおよび図6Bにおける結果が提供され、これらの結果は、CR3BPモデルダイナミクスおよびより正確な天体暦モデルの両方のモデルに対応する。図5は、rのさまざまな選択肢について基準軌道の周りを回る1ヶ月のミッション期間にわたって計算されたステーションキーピングコストと平均偏差との間の関係を示している。これらの結果から、r≦10-3である場合、宇宙船は基準軌道をきっちりと遵守し続けるが大量の燃料を消費し、r≧10である場合、燃料消費量は少なくとも5倍良くなるが追跡は非常にお粗末であり、最終的に宇宙船が基準軌道を追跡していて見失うことになる、ということが分かる。なお、CR3BPモデルによって得られる結果と天体暦モデルによって得られる結果との間の差は小さく、これら2つの間には整合性があることを意味する。
近傍ステーションキーピング
ここで、代替的な近傍ステーションキーピングスキームを検討する。このスキームは、他の技術とは異なって、完全な非線形モデルを使用して作戦を決定する。非線形ダイナミクスを使用することにより計算負荷が増加し、これは、計画対象期間Nの選択によって管理することができる。計算を相当に高速に保って、通常のデスクトップコンピュータで1日以内に1ヶ月間のステーションキーピングをシミュレーションすることができるようにするために、いくつかの数値実験を行って、範囲N≦5を選択した。この範囲は、大ざっぱに言って、5つの軌道の長さまたは1.5日強に対応する。燃料消費量の低減を実現するために、初期制御入力に対してコストをフロントロードし、いくつかの正のγ<1について形式ζk+1=γζkの減衰コストを使用する代わりに、全ての他のkについて単純にζ =10およびζk=1を設定した。ζ が高くなるにつれて第1の作戦のコストが増加し、ζ が低くなるにつれて追跡が向上するが燃料コストが増加する。
図7は、本開示のいくつかの実施形態に係る、近傍ステーションキーピングα=1に対応する3つの別々にランダム化されたランについてのベースライン軌道からの偏差のグラフである。たとえば、CR3BPモデルを使用して、α=0、0.5および1に対応する、各々が20回のランで構成された三組のモンテカルロシミュレーションが実行され、その結果は、表Bにまとめられている。α=1に対応する最小燃料解は、軌道追跡技術を使用して実現される最小燃料コストを下回る燃料コストを有していた。この値の改善は、図7に示されるように、ステーションキーピングの緩和を犠牲にして得られ、これは、α=1で最適化問題を解くことに対応する3つの異なるサンプル軌道について最適解の平均偏差を示している。これらの軌道は、基準から大きな偏差を有するが、基準と同一の形状を維持しており、大きな偏差にもかかわらず、宇宙船は繰り返しベースライン解に近づく。このことは、宇宙船を基準軌道に戻すために比較的低コストの作戦が常に実行され得ることを示唆している。
図8Aおよび図8Bは、本開示のいくつかの実施形態に係る、α=0(図8A)およびα=1(図8B)に対応する2つの軌道の比較を示す図である。たとえば、図8Aにおけるタイトなステーションキーピング解は、α=0を使用して得られ、図8Bにおける最小燃料解は、α=1を使用して得られる。
図9は、本開示のいくつかの実施形態に係る、Nのさまざまな選択肢についての30日間軌道追跡ステーションキーピング燃料コストの表Bを示す。たとえば、計画対象期間N中に我々の選択をさらに正確にするためにさらなるシミュレーションが実行される。これらの結果と軌道追跡スキームとの間の直接比較を行うことはできないが、表Bにおいて入手可能な結果は、前者を使用した場合に燃料消費量が着実に改善されることを示している。さらに、このアプローチの汎用性を紹介するために、α=0.5に対応するシミュレーションを実行し、その結果も表B(図9)において入手可能である。予想通り、αの中間値(0.5など)は、中間のステーションキーピングコストおよび偏差をもたらす。
図10は、本開示のいくつかの実施形態に係る、天体暦モデルを使用したシミュレーションにおける名目ヤコビ定数からのヤコビ値偏差のグラフである。たとえば、高忠実度モデルの場合の天体暦モデルにおけるヤコビ定数は、位置状態、速度状態および伝播時間に加えて、エポックタイムも従属変数であるため、それも設計ベクトルに組み込まれなければならない。ヤコビ定数は、このモデルでは定数でなく、(2)に従って計算された変数であり、図10に示されるように、基準軌道に沿って有界であるままである。有界のヤコビ値は、基準軌道の有界性質を示す。円制限モデルにおいてN番目のノードにおけるヤコビ定数をマッチングすることとは異なって、高忠実度の場合、その代わりに計画対象期間の終わりに求められたヤコビ定数をマッチングする。すなわち、(9d)を以下のように修正する。
Figure 0007250221000011

式中、Cref(t)は、オフラインで求められ、Cからのその偏差が図10に示されている。
α=1およびN=2を設定して、このアプローチを使用して、αが1に設定された場合には0.55m/sという30日間燃料コストが得られ、αが0に設定された場合には7.33m/sという30日間燃料コストが得られる。
これらの結果は、燃料消費量の低減または優れたステーションキーピングを実現するように両方のアプローチを修正できることを明らかに示している。軌道追跡アプローチは、燃料消費量が少なくても許容可能な追跡を実現するが、近傍ステーションキーピングは、近傍にはとどまっているが接近追跡を示さない。このような理由から、前者の方法は、通常の科学調査では推奨されるが、後者は、燃料消費量を考慮することが最重要である状況、すなわち燃料を最小化する必要があるためにα=1を設定する状況でも依然として有用であり得る。このような状況は、非常時またはシステム故障時に生じ得る。
この研究では、火星の衛星であるフォボスの周りを回るQSO上でのステーションキーピングについて調査した。2種類のステーションキーピングアプローチを検討した。一方のステーションキーピングアプローチは、接近追跡を目的とした線形ダイナミクスに基づくものであり、他方のステーションキーピングアプローチは、所望のヤコビ定数によって決定された多様体への安定化を目的とした非線形ダイナミクスに基づくものであった。軌道追跡方法は、追跡が正確である場合により優れた燃料消費量を提供する。基準軌道と同一のヤコビ定数を有する軌道を自由に追跡できるので、多様体への安定化は、接近追跡を犠牲にして全体としてより優れた燃料消費量を提供する。このような理由から、厳しい燃料節約要件を有する軌道メンテナンスにはこの技術が推奨される。
特徴
本開示の一局面は、上記スラスタコマンドモジュールが、上記デルタvコマンドを受信し、上記デルタvコマンドをスラスタコマンドに変換し、これにより、上記スラスタコマンドモジュールが、上記スラスタコマンドを上記少なくとも1つのスラスタのスラスタプロセッサに送信して、上記変換されたデルタvコマンドに従って上記乗り物の軌道追跡制御のために上記少なくとも1つのスラスタを作動させる、ことを含む。
別の局面は、上記自由軌道モジュールが、上記自由軌道に沿った各パッチポイントにおける上記フィードバックゲインを使用して、対応するフィードバック制御法則を取得し、これにより、上記自由軌道モジュールが、予め定められた閾値を上回る支配的外乱源を判断するための支配的外乱源モジュールを使用して、上記自由軌道の計算を支援する、ことを含む。
別の局面は、上記自由軌道の各パッチポイントにおける上記状態ペナルティ関数が、上記自由軌道に沿った前のパッチポイントまたは次のパッチポイントにおける状態不確実性関数に一致するように設定され、これにより、上記パッチポイントが、上記自由軌道に沿ったシーケンシャルなパッチポイントになる、ことを含む。
別の局面は、上記第1の天体が、火星-フォボス系内に位置する火星の衛星であり、上記初期軌道が、上記受信された宇宙データまたは上記過去の宇宙データから得られ、上記初期軌道が初期フォボス軌道であり、上記ターゲット軌道がターゲットフォボス軌道であり、上記火星-フォボス系内で上記初期フォボス軌道が上記ターゲットフォボス軌道に類似している、ことを含む。別の局面は、上記ターゲット軌道が、円制限三体問題を使用した解に基づく、ことを含む。
別の局面は、上記ターゲット軌道の上記識別が、x-y平面においてフォボスに対して見た場合に時計回り方向に移動する軌道を有するサイズ100km×200km×60kmの準衛星軌道(QSO)を求めることと、x-y平面においてフォボスに対して100km×200kmのおよその寸法を有する一群の遠方逆行軌道(DRO)を生成することと、上記DROの各DROを時間的にシーケンシャルに重ね合わせることとに基づき、フォボスの周りを回る上記乗り物の各公転は、4つのパッチポイントに離散化され、上記ターゲット軌道の上記識別がさらに、第1のパッチポイントのz座標が固定されているという追加制約がある状態で多重シューティング連続モジュールを実行して、連続的な自由軌道を生じさせて、初期ターゲット軌道を取得することと、上記多重シューティング連続モジュールを上記初期ターゲット軌道で更新することにより、上記更新された多重シューティング連続モジュールが上記多重シューティング連続モジュールからのターゲットz振幅よりも高いターゲットz振幅を含むことと、上記第1のパッチポイントのz座標が所望の60kmに等しくなるまで上記多重シューティング連続モジュールを反復的に更新し、次いで上記反復を停止して、上記ターゲット軌道を取得することとに基づく、ことを含む。
別の局面は、上記支配的外乱源モジュールが、少なくともフォボスの周りを回る公転中に上記乗り物に対して作用する外乱力の最大量を測定することによって、またはベースラインダイナミクスを受ける上記乗り物の軌道および各外乱力を別々にシミュレーションし、各外乱について、上記ベースラインダイナミクスに従って計算された名目フォボス軌道からの最大偏差を比較することによって、上記支配的外乱源を判断する、ことを含む。別の局面は、上記最適制御モジュールが線形二次レギュレータ問題である、ことを含む。
別の局面は、上記予め定められた閾値が、上記システムにおける予測不可能な不確実性によって引き起こされる力を下回り、上記システムにおける上記予測不可能な不確実性が、正規分布である統計モデルを使用して統計学的にモデル化される、ことを含む。
別の局面は、上記予め定められた閾値が、ディープスペースネットワークにおける測定誤差および上記ディープスペースネットワークからの上記乗り物の距離から得られ、上記予め定められた閾値が、上記フィードバック制御法則を使用して検証される、ことを含む。
別の局面は、上記状態ペナルティ関数が、状態ペナルティ行列を含む二次関数であり、上記状態ペナルティ行列が、リカッチ差分方程式を時間を遡る方向に伝播させることによって求められ、上記状態不確実性関数が、上記二次関数から導き出され、上記状態不確実性関数が、状態不確実性行列を含み、上記状態不確実性行列が、閉ループシステムダイナミクスを時間の進む方向に伝播させて上記状態不確実性行列を取得し、次いで収束閾値まで上記プロセスを反復的に繰り返すことによって求められ、上記収束閾値が、0.01%未満の上記フィードバック法則の変化に対応する、ことを含む。
別の局面は、上記フィードバックゲインモジュールが、上記状態ペナルティ行列を上記状態不確実性行列に設定し、リカッチ差分方程式を時間を遡る方向に伝播させることによって、上記フィードバックゲインを求める、ことを含む。
定義
本開示の局面に従って、および実験に基づいて、以下の定義が確立されているが、各フレーズまたは用語の完全な定義でないことは確実である。提供されている定義は、実験からの学習に基づいて一例として提供されているに過ぎず、他の解釈、定義および他の局面が関係してもよい。しかし、このような定義は、記載されているフレーズまたは用語の少なくとも単なる基本的なプレビューのために提供されている。
図11A、図11B、図11C、図11Dおよび図11Eは、本開示のいくつかの実施形態に係る、方法およびシステムのいくつかの局面を実現するために使用される局面をよりよく理解するためのいくつかの従来のパラメータを示す概略図である。
円錐曲線:図11Aおよび図11Bを参照して、円錐曲線(conic sectionまたは単にconic)とは、平面を直円錐に通過させることによって形成される曲線である。図11Aおよび図11Bは、円錐曲線が円であるか、楕円であるか、放物線であるか、双曲線であるかを判断する、円錐に対する平面の角度方向を示す。円および楕円は、円錐と平面との交差が有界曲線である場合に生じる。円は、平面が円錐の軸に垂直である楕円の特別な場合である。平面が円錐の母線に平行である場合、円錐曲線は放物線と呼ばれる。最後に、交差が非有界曲線であって、平面が円錐の母線に平行でない場合、形状は双曲線である。後者の場合、平面は、円錐の両半分と交差して、2つの別々の曲線を生じさせる。全ての円錐曲線は、離心率の観点から定義することができる。円錐曲線のタイプは、軌道長半径およびエネルギにも関連する。以下の表は、離心率、軌道長半径およびエネルギと円錐曲線のタイプとの間の関係を示す。
Figure 0007250221000012
衛星軌道は、4つの円錐曲線のうちのいずれかであり得る。このページでは、ほとんど楕円軌道を扱っているが、双曲線軌道を検討して締めくくることにする。
図11C、図11Dおよび図11Eを参照して、従来の軌道を数学的に説明するためには、軌道要素と呼ばれる6つの量を定義しなければならない。それらは、以下の通りである。
軌道長半径a
離心率e
傾斜角i
近点引数ω
近点通過時間T
昇交点黄経
図11C~図11Eは、楕円として知られている長円形状の経路を辿る従来の軌道周回衛星を示しており、この衛星は、中心点と呼ばれる2つの点のうちの1つに位置する、主天体と呼ばれる天体を周回する。図11Cは、以下の特性、すなわち楕円上の各点について、中心点と呼ばれる2つの固定された点からの距離の合計が一定であるという特性を有する曲線であるように定義された楕円を示す。楕円の中心を通って引くことができる最長線および最短線は、それぞれ長軸および短軸と呼ばれる。軌道長半径は、長軸の半分であり、主天体からの衛星の平均距離を表す。離心率とは、長軸の長さによって除算された中心点間の距離であり、0と1との間の数字である。離心率が0であることは、円であることを示す。
図11Eは、衛星の軌道平面とその主天体の赤道(または、太陽中心のまたは太陽を中心とした軌道の場合、黄道面)との間の角距離である傾斜角iを示している。傾斜角iが0°であることは、順行(または、直接)と呼ばれる方向である、主天体の自転と同一の方向に主天体の赤道の周りを回る軌道を示す。傾斜角iが90°であることは、極軌道を示す。傾斜角iが180°であることは、逆行赤道軌道を示す。逆行軌道は、衛星がその主天体の自転とは反対の方向に移動する軌道である。
依然として図11Eを参照して、近点ωとは、主天体に最も近い軌道における点である(すなわち、別の天体の周りを回る楕円軌道内を移動する物体では、最接近の点が近点であり、軌道の中のこの点では、ケプラーの第二法則によって、物体はその最も速い速度で移動している)。近点ωの逆、すなわち軌道の中の最遠点は、遠点と呼ばれる(すなわち、別の天体の周りを回る楕円軌道内を移動する物体では、最大離隔の点が遠点であり、軌道の中のこの点では、ケプラーの第二法則によって、物体はその最も遅い速度で移動している)。近日点とは、最接近の位置、すなわち太陽と惑星との間の最短距離であり、軌道の中のこの点では、ケプラーの第二法則によって、惑星はその最大速度で移動している。遠日点は、太陽と惑星との間の最大距離であり、軌道の中のこの点では、ケプラーの第二法則によって、惑星はその最も遅い速度で移動しており、遠日点は、具体的には太陽の周りを回る軌道を指し、一般的な軌道の遠点と等価である。近点ωおよび遠点は、通常、周回される天体に当てはまるように修正される(太陽では近日点および遠日点、地球では近地点および遠地点、木星では近木点および遠木点、月では近月点および遠月点、など)。近点ωの引数とは、昇交点Nと近点との間の角距離である(図11Eを参照されたい)。近点通過時間Tとは、衛星がその近点を通る時間である。
近点:天体と質量中心との間の距離が最小になる、系の質量中心の周りを回る天体の楕円軌道の点である(https://en.wiktionary.org/wiki/periapsis)。ωとして表される近点引数(perifocusの引数またはpericenterの引数とも呼ばれる)は、軌道周回天体の軌道要素のうちの1つである。パラメータ的に、ωは、運動の方向に測定された天体の昇交点からその近点までの角度である。特定のタイプの軌道では、近日点(太陽中心軌道の場合)、近地点(地球中心軌道の場合)、近星点(星の周りを回る軌道の場合)などを含む単語は、近点という単語と置き換えられてもよい(詳細については、軌道極点を参照されたい)。近点引数が0°であることは、軌道周回天体が、南から北に基準平面を横切るのと同時に中心天体に最接近することを意味している。近点引数が90°であることは、軌道周回天体が、基準平面から最北の距離にある近点に到達することを意味している。近点引数を昇交点黄経に追加することにより、近点の経度が得られる。しかし、特に連星および太陽系外惑星の説明では、「近点の経度」または「近星点の経度」という用語がしばしば「近点引数」と同義で使用される。
Figure 0007250221000013
遠点:天体と質量中心との間の距離が最大になる、系の質量中心の周りを回る天体の楕円軌道の点である。
交点:衛星が地球の赤道面を横切るなど、軌道が平面を横切る点である。南から北に延びる平面を衛星が横切る場合、交点は昇交点Nである。北から南に移動する場合、交点は降交点Nである。昇交点Nの経度は、交点の黄経である。黄経は、地球上の経度と類似しており、0から反時計回りに度で測定され、0黄経は、春分点Ωの方向である。
従来の軌道例の実現:宇宙船が地球軌道を達成するためには、地球の大気圏を超える高度まで宇宙船を打ち上げて、軌道速度に加速させなければならない。最もエネルギ効率のよい軌道は、必要な燃料の量が最小である軌道であり得て、直接低傾斜角軌道である。このような従来の軌道を達成するために、宇宙船は、地球の赤道付近の箇所から東に向かって打ち上げられる。利点は、地球の自転速度が宇宙船の最終軌道速度に寄与するというものである。ケープ・カナベラルにある米国の打ち上げ場(北緯28.5°)では、真東に打ち上げると、「フリーライド」が1,471km/h(914mph)になる。東以外の方向にまたは赤道から遠く離れた箇所から宇宙船を打ち上げると、軌道の傾斜角が高くなる。高傾斜角軌道は、地球の自転によって提供される初速を利用することができなくなるため、打ち上げ機は、軌道速度を得るために必要なエネルギのより多くの部分または全てを提供しなければならなくなる。高傾斜角軌道は、それほどエネルギ効率がよくないが、特定の用途では赤道軌道よりも利点を有する。各々のいくつかの利点は、以下の通りである。
軌道のタイプ:対地同期軌道(GEO):24時間の周期を有する地球の周りを回る円軌道である。傾斜角が0°の対地同期軌道は、静止軌道と呼ばれる。静止軌道にある宇宙船は、地球の赤道上の1つの位置の上方に静止してぶら下がっているように見える。このような理由から、それらは、ある種の通信衛星および気象衛星では理想的である。傾斜対地同期軌道にある宇宙船は、軌道ごとに1回、空で通常の8の字パターンを辿るように見える。対地同期軌道を達成するために、宇宙船は、まず、静止遷移軌道(GTO)と呼ばれる、遠地点が35,786km(22,236マイル)である楕円軌道に打ち上げられる。次いで、この軌道は、遠地点において宇宙船のエンジンに点火することによって円形にされる。極軌道(PO):傾斜角が90°の軌道である。極軌道は、惑星が自転したときに宇宙船が惑星の表面上の実質的に全ての点へのアクセスを有するので、マッピングおよび/または監視動作を実行する衛星では有用である。歩行軌道:軌道周回衛星は、非常に多くの重力影響を受ける。まず、惑星は、完全に球形ではなく、わずかに不均一な質量分布を有している。これらの揺らぎは、宇宙船の軌道に対して影響を及ぼす。また、太陽、月および惑星は、軌道周回衛星に対して重力影響を与える。適切な計画により、これらの影響を利用して衛星の軌道平面において歳差運動を生じさせる軌道を設計することが可能である。結果として生じる軌道は、歩行軌道と呼ばれる。太陽同期軌道(SSO):軌道平面が惑星の太陽軌道周期と同一の周期で歳差運動する歩行軌道である。このような軌道では、衛星は、軌道ごとにほぼ同じ現地時間に近点を横切る。これは、惑星の表面に対する特定角度の太陽照射に左右される機器を衛星が携えている場合に有用である。正確な同期タイミングを維持するために、推進作戦を時折実行して軌道を調整する必要があり得る。モルニヤ軌道:およそ12時間(1日当たり2回の公転)の周期を有する高離心率地球軌道である。軌道傾斜角は、近地点の変化率が0であるように選択されるため、遠地点も近地点も、固定された緯度上に維持することができる。この状態は、63.4°および116.6°の傾斜角で生じる。これらの軌道では、近地点引数は、一般に南半球に設置されるため、衛星は、軌道当たりおよそ11時間にわたって、遠地点付近の北半球の上方にとどまる。この方向は、高北緯度で優れた地上カバレッジを提供することができる。ホーマン遷移軌道:惑星間軌道であり、その利点は、消費する燃料の量が最小限であるというものである。外惑星(火星など)へのホーマン遷移軌道は、宇宙船を打ち上げて、太陽の周りを回る地球の公転の方向に加速させることによって達成され、これは、宇宙船が地球の重力から抜け出して、外惑星の軌道に等しい遠日点を有する太陽軌道に宇宙船を乗せる速度に達するまで行われる。宇宙船は、目的地に到着すると、惑星の重力が宇宙船を惑星軌道内に取り込むことができるように減速しなければならない。たとえば、宇宙船を内惑星(金星など)に派遣するためには、宇宙船を打ち上げて、宇宙船が内惑星の軌道に等しい近日点を有する太陽軌道を達成するまで、太陽の周りを回る地球の公転とは反対の方向に宇宙船を加速させる(すなわち、減速させる)。なお、宇宙船は、地球と同じ方向に移動し続けるが、地球よりもゆっくりとしか移動しない。惑星に到着するためには、宇宙船が惑星の軌道を遮る地点に惑星があるときに宇宙船が惑星の軌道に到着するように、正確な時間に宇宙船を惑星間軌道に挿入する必要がある。このタスクは、フットボールと受け手とが同時に同一地点に到着するようにクォーターバックが受け手を「導く」ことに類似している。ミッションを完了するために宇宙船が打ち上げられなければならない時間間隔は、打ち上げウィンドウと呼ばれる。ほぼ直線的なハロー軌道(NRHO):「ほぼ安定した」軌道として定義することができ、安定性は安定指数vを使用して測定される。
CR3BPモデル:ほぼ直線的なハロー軌道は、ハロー軌道のL1およびL2群のより広範なセットの要素、すなわち、複数の重力体の観点からモデル化された動的な環境に存在する基礎的な構造である。L1は、地球から太陽までの道のりの1/100地点または第1のラグランジュ点であり、そこでは求心力と地球および太陽の重力引力とが全て相殺される。それは、宇宙探査機が、原則として、まるで重力版のピンの頭部でバランスをとっているかのようにずっと止まっていることができる地球-太陽系における5つのこのような点のうちの1つである。もう1つの点であるL2は、太陽から地球の向こう側であって、160万キロメートル離れている。L1もL2も、宇宙の方を見るための理想的なスポットであり、L1は、地球および太陽に対して見晴らしのきく地点でもある。しかし、それらは欠点もある。L1では、宇宙船の信号は、その後ろにある太陽からの放射によって圧倒されるであろう。L2では、地球の陰は、探査機がその機器に電力供給するために必要とする太陽放射を遮る。解決策は、宇宙船をラグランジュ点の周りを回る「ハロー軌道」に乗せるというものである。L1の周りを回るハロー軌道にある宇宙船は、地球-太陽軸に垂直な巨大な緩やかなループを描いて、エンドレスにバランスポイントの方に落ちていく。この基本的な挙動は、高忠実度モデルでも続くため、月の付近の軌道にある、場合によっては有人の宇宙船のための潜在的な長期ミッションシナリオをサポートする。このタイプの軌道は、地球-月系における重力影響の単純化された表現、すなわち円制限三体問題(CR3BP)において最初に識別される。CR3BPモデルでは、ほぼ直線的なハロー軌道(NRHO)(すなわち、「ほぼ安定した」軌道として定義することができ、安定性は安定指数vを使用して測定される)は、消費する燃料資源を少なくしながら長期間にわたってNRHOのような運動を維持する可能性を示唆する有利な安定性特性によって特徴付けられる。NRHOの中には、ミッション設計に利用することができて特に食を回避するのに有用である有利な共振特性を有しているものもある。しかし、実際のミッション遂行では、このような軌道への遷移およびステーションキーピング戦略を高忠実度天体暦モデルにおいて実証しなければならない。秤動点軌道のためのステーションキーピングアルゴリズムは、これまで、平面リアプノフ軌道および従来の三次元ハロー軌道の両方の文脈においてこの動的レジームの範囲内で利用されてきた。しかし、NRHOは、天体暦レジームにおいて構築される。
ステーションキーピング:宇宙力学において、宇宙船を特定の割り当てられた軌道に保持するために必要なスラスタ噴射によって行われる軌道作戦は、軌道ステーションキーピングと呼ばれる。多くの地球衛星では、非ケプラー力の影響、すなわち均質球の重力からの地球の重力の偏差、太陽/月からの重力、太陽放射圧および空気抗力を打ち消さなければならない。均質球の重力場からの地球の重力場の偏差および太陽/月からの重力は、一般に、軌道平面を摂動させる。太陽同期軌道では、地球が偏球であることによって引き起こされる軌道平面の歳差運動は、ミッション設計の一部である望ましい特徴であるが、太陽/月の重力によって引き起こされる傾斜角変化は望ましくない。静止した宇宙船では、操縦不可能なアンテナによって宇宙船を追跡することができるほどに十分に小さく傾斜角を保つべきであるので、太陽および月の重力によって引き起こされる傾斜角変化は、燃料の相当大きな出費によって打ち消されなければならない。低軌道にある宇宙船では、大気抗力の影響をしばしば補償しなければならない。いくつかのミッションでは、これは、単に再突入を回避するために必要であり、他のミッション、一般に軌道を地球の自転と正確に同期させるべきであるミッションでは、これは、軌道周期の縮小を回避するために必要である。太陽放射圧は、一般に、離心率(すなわち、離心率ベクトル)を摂動させる(軌道摂動分析(宇宙船)を参照されたい)。いくつかのミッションでは、これは、作戦により積極的に打ち消されなければならない。静止した宇宙船では、操縦不可能なアンテナによって宇宙船を追跡することができるほどに十分に小さく離心率を保たなければならない。また、固定された地上航跡を有する非常に反復性の軌道が望ましい地球観測宇宙船では、離心率ベクトルをできるだけ固定された状態に保つべきである。この補償の大部分は、凍結軌道設計を使用することによって行うことができるが、微調整のためにスラスタを用いた作戦が必要である。ラグランジュ点の周りを回るハロー軌道にある宇宙船では、このような軌道は不安定であるので、ステーションキーピングがさらに重要である。スラスタ噴射による積極的な制御なしでは、位置/速度の最小の偏差は、宇宙船が軌道を完全に離れることを生じさせるであろう。
支配的外乱力:支配的な外乱とは、ディープスペースネットワーク(DSN)位置決めシステムの航法誤差よりも大きな偏差を生じさせる外乱である。また、支配的な力は、その影響が予測不可能な最大の力よりも大きい力として定義することができる。また、予測不可能な最大の力は、位置および速度測定誤差によるものであり得る。
摂動:単一の他の巨大質量天体の重力引力以外の力を受ける巨大質量天体の複雑な運動であり得る。この他の力は、第3の(第4の、第5の、など)天体、大気圏からの抵抗、および、偏球のまたはいびつな天体のオフセンタ引力を含み得る。月に対する太陽の摂動力は、軌道内の2箇所で見られる。濃い点線矢印は、地球の重力の方向および大きさを表す。これを地球の位置および月の位置に適用しても、互いに対するこれらの位置を乱すことはない。それを月の力(濃い実線矢印)から減算すると、残されるものは、地球に対する月の摂動力(濃い二重矢印)である。摂動力は、軌道の両側で方向および大きさが異なっているので、軌道の形状の変化を生じさせる。
Figure 0007250221000014
フォボスは、火星の2つの天然衛星のうちの最内側の大きい方の衛星であり、他方はデイモスである。フォボスは、平均半径が11km(7マイル)である小さな不規則な形状の物体であって、外側の衛星であるデイモスの7倍の大きさである。フォボスは、その他の既知の惑星衛星よりも主天体に接近して、火星表面から6,000km(3,700マイル)を周回する。それは、非常に接近しているので、火星が自転するよりもはるかに速く火星を周回して、たった7時間39分で軌道を完了する。その結果、火星の表面からは、それは、火星日ごとに2回、西から昇って、4時間15分またはそれ未満で空を横切って、東に沈むように見える。フォボスは、太陽系の中で最も反射率の低い天体のうちの1つであり、アルベドはたった0.071である。表面温度は、太陽で照らされた側の約-4℃(25°F)から陰になった側の-112℃(-170°F)である。
図12Aは、本開示の一実施形態に係る、いくつかの軌道設計を実現するためのいくつかのシステムおよび方法ステップを示すブロック図である。スラスタコントローラモジュール1210は、受信されたデルタコマンド1201をスラスタコマンド1226に変換する(1224)ことができるプロセッサ1220を含み得て、このスラスタコマンド1226は、センサ1248に接続され得るサブ制御スラスタ1240のスラスタ1243にバス1228を介して送信されることができる。
図12Bは、本開示の実施形態に係る、方法およびシステムのいくつかの技術を実現するために使用することができるコンピューティング装置1200を非限定的な例として示す概略図である。コンピューティング装置またはデバイス1200は、さまざまな形態のデジタルコンピュータ(ラップトップ、デスクトップ、ワークステーション、パーソナルデジタルアシスタント、サーバ、ブレードサーバ、メインフレームおよび他の適切なコンピュータなど)を表す。
コンピューティングデバイス1200は、電源1208と、プロセッサ1209と、メモリ1210と、ストレージデバイス1211とを含み得て、これらは全てバス1250に接続されている。さらに、高速インターフェイス1212、低速インターフェイス1213、高速拡張ポート1214および低速拡張ポート1215は、バス1250に接続可能である。また、低速接続ポート1216は、バス1250と接続している。特定の用途次第では、非限定的な例として共通のマザーボード1230に搭載され得るさまざまなコンポーネント構成が考えられる。さらに、入力インターフェイス1217は、バス1250を介して外部受信機1206および出力インターフェイス1218に接続可能である。受信部1219は、バス1250を介して外部送信機1207および送信部1220に接続可能である。また、外部メモリ1204、外部センサ1203、マシン1202および環境1201もバス1250に接続可能である。さらに、1つまたは複数の外部入力/出力デバイス1205は、バス1250に接続可能である。ネットワークインターフェイスコントローラ(NIC)1221は、バス1250を介してネットワーク1222に接続するように適合され得て、とりわけデータまたは他のデータは、コンピューティングデバイス1200の外側の第三者ディスプレイデバイス、第三者撮像デバイスおよび/または第三者印刷デバイスで提供され得る。
メモリ1210は、コンピューティングデバイス1200によって実行可能な命令、過去のデータ、ならびに、本開示の方法およびシステムによって利用可能な任意のデータを格納することができる、と考えられる。メモリ1210は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、フラッシュメモリまたはその他の好適なメモリシステムを含み得る。メモリ1210は、1つもしくは複数の揮発性メモリユニット、および/または、1つもしくは複数の不揮発性メモリユニットであり得る。また、メモリ1210は、別の形態のコンピュータ読取可能媒体(磁気ディスクまたは光ディスクなど)であってもよい。
依然として図12Bを参照して、ストレージデバイス1211は、コンピューティングデバイス1200によって使用される補足データおよび/またはソフトウェアモジュールを格納するように適合され得る。たとえば、ストレージデバイス1211は、本開示に関して上記した過去のデータおよび他の関連データを格納することができる。さらにまたは代替的に、ストレージデバイス1211は、本開示に関して上記したデータと同様の過去のデータを格納することができる。ストレージデバイス1211は、ハードドライブ、光学ドライブ、サムドライブ、ドライブのアレイ、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。さらに、ストレージデバイス1211は、コンピュータ読取可能媒体(フロッピー(登録商標)ディスクデバイス、ハードディスクデバイス、光ディスクデバイスもしくはテープデバイスなど)、フラッシュメモリもしくは他の同様のソリッドステートメモリデバイス、またはデバイスのアレイ(ストレージエリアネットワークもしくは他の構成におけるデバイスを含む)を含み得る。命令は、情報キャリアに格納することができる。これらの命令は、1つまたは複数の処理デバイス(たとえば、プロセッサ1209)によって実行されると、1つまたは複数の方法(上記の方法など)を実行する。
このシステムは、任意に、このシステムをディスプレイデバイス1225およびキーボード1224に接続するように適合されたディスプレイインターフェイスまたはユーザインターフェイス(HMI)1223にバス1250を介して結合可能であり、ディスプレイデバイス1225は、とりわけ、コンピュータモニタ、カメラ、テレビ、プロジェクタまたはモバイルデバイスを含み得る。
依然として図12Bを参照して、コンピューティングデバイス1200は、プリンタインターフェイス(図示せず)に適合されたユーザ入力インターフェイス1217を含み得て、このプリンタインターフェイスも、バス1250を介して接続され、印刷デバイス(図示せず)に接続するように適合され得て、この印刷デバイスは、とりわけ、液体インクジェットプリンタ、固体インクプリンタ、大規模商用プリンタ、サーマルプリンタ、UVプリンタまたは昇華型プリンタを含み得る。
高速インターフェイス1212は、コンピューティングデバイス1200のための帯域幅集約型動作を管理するのに対して、低速インターフェイス1213は、低帯域幅集約型動作を管理する。このような機能の割り当ては、一例に過ぎない。いくつかの実現例において、高速インターフェイス1212は、メモリ1210、ユーザインターフェイス(HMI)1223、キーボード1224およびディスプレイ1225(たとえば、グラフィックスプロセッサまたはアクセラレータを介して)、ならびに高速拡張ポート1214に結合可能であって、この高速拡張ポート1214は、バス1250を介してさまざまな拡張カード(図示せず)を受け入れ得る。実現例において、低速インターフェイス1213は、バス1250を介してストレージデバイス1211および低速拡張ポート1215に結合される。さまざまな通信ポート(たとえば、USB、ブルートゥース(登録商標)、イーサネット(登録商標)、ワイヤレスイーサネット)を含み得る低速拡張ポート1215は、たとえばネットワークアダプタを介して、1つまたは複数の入力/出力デバイス1205および他のデバイス、キーボード1224、ポインティングデバイス(図示せず)、スキャナ(図示せず)、またはネットワーキングデバイス(スイッチもしくはルータなど)に結合され得る。
依然として図12Bを参照して、コンピューティングデバイス1200は、図に示されるようにいくつかの異なる形態で実現されてもよい。たとえば、それは、標準的なサーバ1226として実現されてもよく、またはこのようなサーバのグループで複数回実現されてもよい。また、それは、パーソナルコンピュータ(ラップトップコンピュータ1227など)で実現されてもよい。また、それは、ラックサーバシステム1228の一部として実現されてもよい。代替的に、コンピューティングデバイス1200からのコンポーネントは、モバイルデバイス(図示せず)内の他のコンポーネントと組み合わせられてもよい。このようなデバイスの各々は、コンピューティングデバイスおよびモバイルコンピューティングデバイスのうちの1つまたは複数を含んでもよく、システム全体は、互いに通信する複数のコンピューティングデバイスで構成されてもよい。
実施形態
以下の記載は、例示的な実施形態を提供しているに過ぎず、本開示の範囲、適用可能性または構成を限定するよう意図されるものではない。むしろ、例示的な実施形態の以下の記載は、1つまたは複数の例示的な実施形態を実現するための実施を可能にする説明を当業者に提供するであろう。添付の特許請求の範囲に記載されている通りに開示されている主題の精神および範囲から逸脱することなく、要素の機能および配置の点でさまざまな変更がなされ得ることが考えられる。
実施形態を完全に理解してもらうために、以下の記載には具体的な詳細が示されている。しかし、これらの具体的な詳細がなくても実施形態を実施できるということを当業者は理解することができる。たとえば、開示されている主題におけるシステム、プロセスおよび他の要素は、実施形態を不必要に詳細に曖昧にしないように、ブロック図の形式の構成要素として示されてもよい。他の例では、周知のプロセス、構造および技術は、実施形態を曖昧にすることを回避するために、不必要な詳細なしに示されてもよい。さらに、さまざまな図における同様の参照番号および名称は同様の要素を示す。
また、個々の実施形態は、フローチャート、フロー図、データフロー図、構造図またはブロック図として描かれるプロセスとして記載されてもよい。フローチャートは、動作をシーケンシャルなプロセスとして記載し得るが、これらの動作のうちの多くは並行してまたは同時に実行することができる。また、動作の順序は、並べ換えられてもよい。プロセスは、その動作が完了したときに終了されてもよいが、図に記載されていないまたは含まれていない追加のステップを有していてもよい。さらに、特定的に記載されたプロセスにおける全ての動作が全ての実施形態で行われるとは限らない。プロセスは、方法、関数、手順、サブルーチン、サブプログラムなどに対応し得る。プロセスが関数に対応する場合、関数の終了は、呼び出し関数またはメイン関数への関数の戻りに対応し得る。
さらに、開示されている主題の実施形態は、少なくとも一部が手動でまたは自動的に実現されてもよい。手動でのまたは自動的な実現例は、マシン、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語、またはそれらの任意の組み合わせを使用することによって実行されてもよく、または少なくとも支援されてもよい。ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェアまたはマイクロコードで実現される場合、必要なタスクを実行するためのプログラムコードまたはコードセグメントは、機械読取可能媒体に格納されてもよい。プロセッサが必要なタスクを実行し得る。
さらに、本開示の実施形態および本明細書に記載されている機能的動作は、デジタル電子回路で実現されてもよく、有形に実施されたコンピュータソフトウェアもしくはファームウェアで実現されてもよく、コンピュータハードウェア(本明細書に開示されている構造およびそれらの構造的等価物を含む)で実現されてもよく、または、それらのうちの1つもしくは複数の組み合わせで実現されてもよい。さらに、本開示のいくつかの実施形態は、1つまたは複数のコンピュータプログラムとして、すなわちデータ処理装置による実行またはデータ処理装置の動作の制御のために有形の非一時的なプログラムキャリア上に符号化されたコンピュータプログラム命令の1つまたは複数のモジュールとして、実現されてもよい。さらに、プログラム命令は、情報を符号化して好適な受信機装置に送信してデータ処理装置によって実行されるように生成された人為的に生成された伝播信号(たとえば、マシンによって生成された電気信号、光信号または電磁信号)上に符号化され得る。コンピュータ記憶媒体は、機械読取可能ストレージデバイス、機械読取可能ストレージ基板、ランダムもしくはシリアルアクセスメモリデバイス、またはそれらのうちの1つもしくは複数の組み合わせであり得る。
本開示の実施形態によれば、「データ処理装置」という用語は、データを処理するための全ての種類の装置、デバイスおよびマシンを包含することができ、それらは、一例として、プログラマブルプロセッサ、コンピュータ、または複数のプロセッサもしくはコンピュータを含む。装置は、特別目的論理回路(たとえば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路))を含み得る。また、装置は、ハードウェアに加えて、対象のコンピュータプログラムのために実行環境を作成するコード(たとえば、プロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、またはそれらのうちの1つもしくは複数の組み合わせを構成するコード)も含み得る。
コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、モジュール、ソフトウェアモジュール、スクリプトまたはコードと称されてもよく、またはそのように記載されてもよい)は、任意の形式のプログラミング言語(コンパイル型もしくはインタープリタ型言語、または、宣言型もしくは手続き型言語を含む)で書くことができ、任意の形式で(スタンドアロンのプログラムとして、またはモジュール、コンポーネント、サブルーチン、もしくはコンピューティング環境での使用に適した他のユニットとして、を含む)デプロイすることができる。コンピュータプログラムは、ファイルシステムにおけるファイルに対応し得るが、そうでなくてもよい。プログラムは、他のプログラムもしくはデータ(たとえば、マークアップ言語ドキュメントに格納された1つまたは複数のスクリプト)を保持するファイルの一部に格納されてもよく、対象のプログラムに専用の単一のファイルに格納されてもよく、または複数の連係されたファイル(たとえば、1つもしくは複数のモジュール、サブプログラム、もしくはコードの一部を格納するファイル)に格納されてもよい。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータ上で実行されるようにデプロイされてもよく、または、一箇所に位置しているかもしくは複数箇所に分散されて通信ネットワークによって相互接続されている複数のコンピュータ上で実行されるようにデプロイされてもよい。コンピュータプログラムの実行に適したコンピュータは、一例として、汎用もしくは特別目的マイクロプロセッサもしくはそれら両方、またはその他の種類の中央処理装置を含む。一般に、中央処理装置は、リードオンリメモリまたはランダムアクセスメモリまたはそれら両方から命令およびデータを受信する。コンピュータの必須の要素は、命令を実行または実施するための中央処理装置と、命令およびデータを格納するための1つまたは複数のメモリデバイスとである。一般に、コンピュータは、データを格納するための1つもしくは複数の大容量記憶装置(たとえば、磁気ディスク、光磁気ディスクもしくは光ディスク)も含み、または、これらの1つもしくは複数の大容量記憶装置からデータを受信したり、データを送信したり、データを送受信したりするように作動的に結合される。しかし、コンピュータは、このようなデバイスを有していなくてもよい。さらに、コンピュータは、別のデバイス(たとえば、いくつか例を挙げると、携帯電話、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、モバイルオーディオもしくはビデオプレーヤ、ゲーム機、グローバルポジショニングシステム(GPS)受信機、または携帯型記憶装置(たとえば、ユニバーサルシリアルバス(USB)フラッシュドライブ))に組み込むことができる。
ユーザとのインタラクションを提供するために、本明細書に記載されている主題の実施形態は、情報をユーザに表示するためのディスプレイデバイス(たとえば、CRT(陰極線管)またはLCD(液晶ディスプレイ))と、ユーザがコンピュータに入力を提供することができるキーボードおよびポインティングデバイス(たとえば、マウスまたはトラックボール)とを有するコンピュータ上で実現可能である。ユーザとのインタラクションを提供するために他の種類のデバイスも使用することができる。たとえば、ユーザに提供されるフィードバックは、任意の形式の感覚フィードバック(たとえば、視覚フィードバック、聴覚フィードバックまたは触覚フィードバック)であり得て、ユーザからの入力は、任意の形式(音響入力、音声入力または触覚入力を含む)で受信することができる。また、コンピュータは、ユーザによって使用されるデバイスにドキュメントを送信したり、このデバイスからドキュメントを受信したりすることによって(たとえば、ユーザのクライアントデバイス上のウェブブラウザから受信した要求に応答して、このウェブブラウザにウェブページを送信することによって)、ユーザと相互作用することができる。
本明細書に記載されている主題の実施形態は、バックエンドコンポーネントを(たとえば、データサーバとして)含むコンピューティングシステムで実現されてもよく、またはミドルウェアコンポーネント(たとえば、アプリケーションサーバ)を含むコンピューティングシステムで実現されてもよく、またはフロントエンドコンポーネント(たとえば、ユーザが本明細書に記載されている主題の実現例と相互作用することができるグラフィカルユーザインターフェイスもしくはウェブブラウザを有するクライアントコンピュータ)を含むコンピューティングシステムで実現されてもよく、または1つもしくは複数のこのようなバックエンドコンポーネント、ミドルウェアコンポーネントもしくはフロントエンドコンポーネントの任意の組み合わせを含むコンピューティングシステムで実現されてもよい。システムのコンポーネントは、任意の形式または媒体のデジタルデータ通信(たとえば、通信ネットワーク)によって相互接続されることができる。通信ネットワークの例としては、ローカルエリアネットワーク(「LAN」)およびワイドエリアネットワーク(「WAN」)(たとえば、インターネット)が挙げられる。
特定の好ましい実施形態を参照して本開示を説明してきたが、本開示の精神および範囲内でさまざまな他の適合および変形を行うことができるということが理解されるべきである。したがって、全てのこのような変更および変形を本開示の真の精神および範囲内に入るように包含することは、添付の特許請求の範囲の局面である。

Claims (20)

  1. 乗り物の軌道追跡制御のために前記乗り物の推進システムの少なくとも1つのスラスタを作動させるためのシステムであって、
    格納データを有するメモリを備え、前記データは、実行可能なモジュールと、乗り物データと、過去の宇宙データとを含み、前記システムはさらに、
    初期軌道を含む宇宙データを受信する入力インターフェイスと、
    プロセッサとを備え、前記プロセッサは、前記初期軌道からターゲット軌道への前記乗り物の遷移軌道を生成するように遷移軌道生成部を動作させ、フィードバック安定化コントローラを動作させ、
    前記プロセッサは、
    天体の周りを回る前記乗り物の前記ターゲット軌道を計算し、
    各パッチポイントが位置および速度を含むように、自由軌道モジュールを使用して、パッチポイントを有する自由軌道を計算し、前記パッチポイントは、前記自由軌道に沿っており、前記プロセッサはさらに、
    前記自由軌道の各パッチポイントにおける状態ペナルティ関数が、同一のパッチポイントにおける状態不確実性関数に一致するように設定されるように、フィードバックゲインモジュールを使用して、前記自由軌道に沿った各パッチポイントにおけるフィードバックゲインを求め、
    前記状態不確実性関数は、各パッチポイントにおける測定誤差を示す状態不確実性行列により求められ、
    前記状態ペナルティ関数は、状態ペナルティ行列を含む離散型代数リカッチ方程式により求められ、
    前記プロセッサは、さらに、
    前記フィードバック安定化コントローラを使用して前記ターゲット軌道を維持するために、各パッチポイントにおける前記フィードバックゲインを適用して、各パッチポイントにおける前記位置および前記速度を示すコマンドを生成し、
    記コマンドを出力して、前記乗り物の前記軌道追跡制御のために前記少なくとも1つのスラスタを作動させる、システム。
  2. 前記プロセッサは、式(1)~(4)を解くことにより、前記フィードバックゲインを求め、
    Figure 0007250221000015

    式(1)~(4)のkは、離散時間を示し、
    式(1)~(4)のA およびB は、予め定められた行列を示し、
    式(1)の左辺のK は、前記フィードバックゲインを示し、
    式(1)の右辺のR は、R ≡rI であり、rは、定数であり、I は、予め定められた行列であり、
    式(2)は、前記離散型代数リカッチ方程式を示し、
    式(2)の左辺のP は、前記状態ペナルティ関数を示し、
    式(2)の右辺のQ は、前記状態ペナルティ行列を示し、
    式(3)の左辺のS k+1 は、前記状態不確実性関数を示し、
    式(3)の右辺のW k+1 は、前記状態不確実性行列を示し、
    前記自由軌道の各パッチポイントにおける前記状態ペナルティ関数が、同一のパッチポイントにおける前記状態不確実性関数に一致することは、Q =S ということである、請求項1に記載のシステム。
  3. 前記システムは、スラスタコマンドモジュールをさらに備え、
    スラスタコマンドモジュールは、前記コマンドを受信し、前記コマンドをスラスタコマンドに変換し、これにより、前記スラスタコマンドモジュールは、前記スラスタコマンドを前記少なくとも1つのスラスタのスラスタプロセッサに送信して、前記コマンドに従って前記乗り物の軌道追跡制御のために前記少なくとも1つのスラスタを作動させる、請求項1に記載のシステム。
  4. 前記自由軌道モジュールは、前記自由軌道に沿った各パッチポイントにおける前記フィードバックゲインを使用して、対応するフィードバック制御法則を取得し、これにより、前記自由軌道モジュールは、予め定められた閾値を上回る支配的外乱源を判断するための支配的外乱源モジュールを使用して、前記自由軌道の計算を支援する、請求項1に記載のシステム。
  5. 前記自由軌道の各パッチポイントにおける前記状態ペナルティ関数は、前記自由軌道に沿った前のパッチポイントまたは次のパッチポイントにおける状態不確実性関数に一致するように設定され、これにより、前記パッチポイントは、前記自由軌道に沿ったシーケンシャルなパッチポイントになる、請求項1に記載のシステム。
  6. 前記天体は、火星-フォボス系内に位置する火星の衛星であり、前記初期軌道は前記フォボスの周りを回る前記乗り物の初期フォボス軌道であり、前記ターゲット軌道は前記フォボスの周りを回る前記乗り物のターゲットフォボス軌道であり、前記火星-フォボス系内で前記初期フォボス軌道は前記ターゲットフォボス軌道に類似している、請求項1に記載のシステム。
  7. 前記ターゲット軌道は、円制限三体問題を使用した解に基づく、請求項1に記載のシステム。
  8. 前記ターゲット軌道の識別は、
    x-y平面においてフォボスに対して見た場合に時計回り方向に移動する軌道を有するサイズ100km×200km×60kmの準衛星軌道(QSO)を求めることと、
    x-y平面においてフォボスに対して100km×200kmのおよその寸法を有する一群の遠方逆行軌道(DRO)を生成することと、
    前記DROの各DROを時間的にシーケンシャルに重ね合わせることとに基づき、フォボスの周りを回る前記乗り物の各公転は、4つのパッチポイントに離散化され、前記ターゲット軌道の前記識別はさらに、
    第1のパッチポイントのz座標が固定されるという追加制約がある状態で多重シューティング連続モジュールを実行して、連続的な自由軌道を生じさせて、初期ターゲット軌道を取得することと、
    前記多重シューティング連続モジュールを前記初期ターゲット軌道で更新することにより、前記更新された多重シューティング連続モジュールが前記多重シューティング連続モジュールからのターゲットz振幅よりも高いターゲットz振幅を含むことと、
    前記第1のパッチポイントのz座標が所望の60kmに等しくなるまで前記多重シューティング連続モジュールを反復的に更新し、次いで前記反復を停止して、前記ターゲット軌道を取得することとに基づく、請求項1に記載のシステム。
  9. 前記支配的外乱源モジュールは、
    少なくともフォボスの周りを回る公転中に前記乗り物に対して作用する外乱力の最大量を測定することによって、または、
    ベースラインダイナミクスを受ける前記乗り物の軌道および各外乱力を別々にシミュレーションし、
    各外乱について、前記ベースラインダイナミクスに従って計算された名目フォボス軌道からの最大偏差を比較することによって、
    前記支配的外乱源を判断する、請求項4に記載のシステム。
  10. 前記準衛星軌道を求めることは、線形二次レギュレータ問題の解に基づく、請求項8に記載のシステム。
  11. 前記予め定められた閾値は、前記システムにおける予測不可能な不確実性によって引き起こされる力を下回り、前記システムにおける前記予測不可能な不確実性は、正規分布である統計モデルを使用して統計学的にモデル化される、請求項4に記載のシステム。
  12. 前記予め定められた閾値は、ディープスペースネットワークにおける測定誤差および前記ディープスペースネットワークからの前記乗り物の距離から得られ、前記予め定められた閾値は、前記フィードバック制御法則を使用して検証される、請求項4に記載のシステム。
  13. 前記状態ペナルティ関数は、状態ペナルティ行列を含む二次関数であり、前記状態不確実性関数は、前記二次関数から導き出され、前記状態不確実性関数は、状態不確実性行列を含み、前記状態不確実性行列は、閉ループシステムダイナミクスに従って前記状態不確実性行列を取得し、次いで収束閾値までプロセスを反復的に繰り返すことによって求められる、請求項1に記載のシステム。
  14. 前記収束閾値は、0.01%未満のフィードバック法則の変化に対応する、請求項13に記載のシステム。
  15. 乗り物の軌道追跡制御のために前記乗り物の推進システムの少なくとも1つのスラスタを作動させるための方法であって、前記方法は、実行可能なモジュールと乗り物データと過去の宇宙データとを格納するメモリに接続されたプロセッサを使用し、前記プロセッサは、初期軌道からターゲット軌道への前記乗り物の遷移軌道を生成するように遷移軌道生成部を動作させ、フィードバック安定化コントローラを動作させ、前記方法は、
    入力インターフェイスを介して受信された宇宙データを使用して、天体の周りを回る前記乗り物のターゲット軌道を計算するステップと、
    各パッチポイントが位置および速度を含むように、自由軌道モジュールを使用して、パッチポイントを有する自由軌道を計算するステップとを備え、前記パッチポイントは、前記自由軌道に沿っており、前記方法はさらに、
    前記自由軌道の各パッチポイントにおける状態ペナルティ関数が、同一のパッチポイントにおける状態不確実性関数に一致するように設定されるように、フィードバックゲインモジュールを使用して、前記自由軌道に沿った各パッチポイントにおけるフィードバックゲインを求めるステップを備え、
    前記状態不確実性関数は、各パッチポイントにおける測定誤差を示す状態不確実性行列により求められ、
    前記状態ペナルティ関数は、状態ペナルティ行列を含む離散型代数リカッチ方程式により求められ、前記方法はさらに、
    前記フィードバック安定化コントローラを使用して前記ターゲット軌道を維持するために、各パッチポイントにおける前記フィードバックゲインを適用して、各パッチポイントにおける前記位置および前記速度を示すコマンドを生成するするステップと、
    出力インターフェイスを介して前記コマンドを出力して、前記乗り物の前記軌道追跡制御のために前記少なくとも1つのスラスタを作動させるステップとを備える、方法。
  16. 前記自由軌道の各パッチポイントにおける前記状態ペナルティ関数は、前記自由軌道に沿った前のパッチポイントまたは次のパッチポイントにおける状態不確実性関数に一致するように設定され、これにより、前記パッチポイントは、前記自由軌道に沿ったシーケンシャルなパッチポイントになる、請求項15に記載の方法。
  17. 前記状態ペナルティ関数は、状態ペナルティ行列を含む二次関数であり、前記状態不確実性関数は、前記二次関数から導き出され、前記状態不確実性関数は、状態不確実性行列を含み、前記状態不確実性行列は、閉ループシステムダイナミクスに従って前記状態不確実性行列を取得し、次いで収束閾値までプロセスを反復的に繰り返すことによって求められる、請求項15に記載の方法。
  18. 格納された命令を含む非一時的な機械読取可能媒体であって、前記命令は、処理回路によって実行されると、乗り物の軌道追跡制御のために前記乗り物の推進システムの少なくとも1つのスラスタを作動させるための動作を実行するように前記処理回路を構成し、前記命令は、実行可能なモジュールと乗り物データと過去の宇宙データとを格納するメモリに接続されたプロセッサを使用し、前記プロセッサは、初期軌道からターゲット軌道への前記乗り物の遷移軌道を生成するように遷移軌道生成部を動作させ、フィードバック安定化コントローラを動作させ、前記命令は、
    入力インターフェイスを介して受信された宇宙データを使用して、天体の周りを回る前記乗り物のターゲット軌道を計算するステップと、
    各パッチポイントが位置および速度を含むように、自由軌道モジュールを使用して、パッチポイントを有する自由軌道を計算するステップとを備え、前記パッチポイントは、前記自由軌道に沿っており、前記命令はさらに、
    前記自由軌道の各パッチポイントにおける状態ペナルティ関数が、同一のパッチポイントにおける状態不確実性関数に一致するように設定されるように、フィードバックゲインモジュールを使用して、前記自由軌道に沿った各パッチポイントにおけるフィードバックゲインを求めるステップを備え、
    前記状態不確実性関数は、各パッチポイントにおける測定誤差を示す状態不確実性行列により求められ、
    前記状態ペナルティ関数は、状態ペナルティ行列を含む離散型代数リカッチ方程式により求められ、前記命令はさらに、
    前記フィードバック安定化コントローラを使用して前記ターゲット軌道を維持するために、各パッチポイントにおける前記フィードバックゲインを適用して、各パッチポイントにおける前記位置および前記速度を示すコマンドを生成するステップと、
    出力インターフェイスを介して前記コマンドを出力して、前記乗り物の前記軌道追跡制御のために前記少なくとも1つのスラスタを作動させるステップとを備える、非一時的な機械読取可能媒体。
  19. 前記状態ペナルティ関数は、状態ペナルティ行列を含む二次関数であり、前記状態不確実性関数は、前記二次関数から導き出され、前記状態不確実性関数は、状態不確実性行列を含み、前記状態不確実性行列は、閉ループシステムダイナミクスに従って前記状態不確実性行列を取得し、次いで収束閾値までプロセスを反復的に繰り返すことによって求められ、前記収束閾値は、0.01%未満のフィードバック法則の変化に対応する、請求項18に記載の非一時的な機械読取可能媒体。
  20. 前記自由軌道の各パッチポイントにおける前記状態ペナルティ関数は、前記自由軌道に沿った前のパッチポイントまたは次のパッチポイントにおける状態不確実性関数に一致するように設定され、これにより、前記パッチポイントは、前記自由軌道に沿ったシーケンシャルなパッチポイントになる、請求項18に記載の非一時的な機械読取可能媒体。
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