JP7244827B2 - 発電装置及び送信装置 - Google Patents
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Description
本態様に係る発電装置の磁性体は導線の周囲に形成される交流磁場を増強させることができる。また、当該磁性体によって、永久磁石の配置箇所に形成される交流磁場の空間勾配が増大する。従って、より効率的に永久磁石を振動させることができる。変換部は、永久磁石の振動エネルギーを電気エネルギーに変換する。本態様に係る発電装置は、交流磁場の周波数が十Hzオーダの低周波数であっても、当該交流磁場をエネルギー源として発電することが可能である。
なお、永久磁石の振動周波数、即ち共振周波数は、交流磁場の周波数に略一致させる構成が好ましい。例えば、交流磁場の周波数が50Hzである場合、永久磁石の振動周波数を50Hzとし、交流磁場の周波数が60Hzである場合、永久磁石の振動周波数を60Hzとする構成が望ましい。但し、所要の電力が得られる範囲で永久磁石の振動周波数を交流磁場の周波数からずらした構成も本発明に含まれる。
また、本態様に係る導線は、電流を通ずることが可能な材料で形成された線状の部材であり、レール状の導通部材、バスバー、角柱状の導体、長手方向を有する板状の導体も導線に含まれる。また、導線は特定の用途のものに限定されるものでは無く、アース線であっても良い。
一方、本態様によれば、図4に示すように、永久磁石は、導線の中心に向かう方向から逸れた方向へ振動するため、永久磁石が導線に衝突する可能性を低減することができる。なお、上記説明は、本態様に係る発明の範囲を限定するものでは無い。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る発電装置100の斜視図、図2は、発電装置100の平面図、図3は、発電装置100の側面図、図4は、発電装置100の正面図である。本発明の実施形態1に係る発電装置100は、圧電部材(変換部)12を有する弾性体としてのカンチレバー1と、カンチレバー1の固定端1a(第1部位)を、十Hzオーダの低周波数の交流が流れる導線Wに対して固定する固定部2と、カンチレバー1の自由端1b(第2部位)に設けられた永久磁石3と、カンチレバー1の圧電部材12に発生した電圧を出力する出力部4と、永久磁石3の配置箇所に形成される交流磁場の空間勾配を増大させる磁性体5とを備える。本実施形態1においては、導線Wは、電流を通ずることが可能な断面略円形の材料で形成された線状の部材であり、導線Wは50Hz又は60Hzの系統電源に接続されているものとする。発電装置100は、導線Wの周囲に形成される交流磁場を永久磁石3の運動エネルギーに変換し、永久磁石3の運動エネルギーを圧電部材12によって電気エネルギーに変換することによって、発電するものである。
なお、上記導線Wの構成は一例であり、永久磁石3を振動させる交流磁場を形成可能な電流が流れる構成であれば、その形状は特に限定されるものでは無く、レール状の導通部材、バスバー、角柱状の導体、長手方向を有する板状の導体であっても良い。また、導線Wは、部分的に方形板状のような非線状部分を有していても良く、全体として所定方向に交流電流が流れるような形状であれば良い。当該非線状部分に発電装置100を固定する構成も本願発明に含まれる。更に、導線Wは、必ずしも直線状である必要は無く、部分的に湾曲していても良い。更にまた、導線Wは特定の用途のものに限定されるものでは無く、アース線であっても良い。以下、本実施形態1では、導線Wが直線状の部材であるものとして説明する。
1は、外力によって弾性変形が可能な導電部材からなる長板部11と、厚み方向に分極した2枚の板状ないしシート状の圧電部材12とを備え、2枚の圧電部材12が長板部11を挟み込むように当該長板部11の両面に貼り合わされている。圧電部材12の長手方向の長さは、長板部11の固定部2からの突出部分の長さの2/3程度で十分である。また、2枚の圧電部材12には、それぞれシート状の電極13が設けられている。長板部11を構成する部材は、例えばステンレス等の金属である。圧電部材12は、例えば圧電セラミックスである。長板部11の長手方向一端部は固定部2に固定される固定端1aであり、長板部11の長手方向他端部は外力によって変位可能な自由端1bである。自由端1bが変位した場合、2枚の圧電部材12はそれぞれ伸張及び伸縮し、電極13及び長板部11間に電圧が発生する。
なお、ここではバイモルフ型圧電素子を説明したが、片面のみに圧電部材12を張り付けたユニモルフ構造であっても良い。圧電部材12は、導線Wの周囲に形成される交流磁場によって振動する永久磁石3の振動エネルギーを電気エネルギーに変換する変換部の一例である。
カンチレバー1に設けられた永久磁石3の振動周波数は、導線Wの周囲に形成される交流磁場の周波数に略一致するように構成されている。例えば、交流磁場の周波数が50Hzである場合、永久磁石3の振動周波数を50Hzとし、交流磁場の周波数が60Hzである場合、永久磁石3の振動周波数を60Hzとする。なお、振動周波数が交流磁場の周波数に略一致するとは、所要の電力が得られる範囲で、振動周波数を交流磁場の周波数からずれた構成も本実施形態1に係る発電装置100に含まれることを意味する。
磁性体5は、例えばフェライトである。磁性体5の材質は、透磁率が高い物質であれば特に限定されるものでは無い。
磁性体5は、永久磁石3が配されている側に開口を有し、交流磁場が流出入する2つの端部5a,5aを備える。2つの端部5a,5aは、法線方向が略同一の平面部5b,5bと、交流磁場が流出入する平行的に対向した平面部5c,5cとを有する。永久磁石3は、平行的に対向した各平面部5c,5cを結ぶ線分の外側に配されている。言い換えると、永久磁石3は、磁性体5の法線方向外側に配されている。平面部5b,5bは、永久磁石3のN極3a及びS極3bの並び方向に対して略垂直な面であり、平面部5c、5cは、平面部5b,5bに対して略垂直な面である。
図6は、導線Wの周囲に配された永久磁石3に働く力を説明するための概念図である。導線Wに電流を流すとアンペールの法則に従って、導線Wの周囲に磁界が形成される。図6中、x軸、y軸及びz軸は直交座標系の座標軸であり、z軸の正方向(紙面手前方向)に電流が流れるものとする。導線W周辺の磁界はx軸方向及びy軸方向に勾配を有する。y軸方向を向いた磁気双極子を有する永久磁石3を導線Wの近傍に配した場合、永久磁石3が受ける磁気力は下記式(1)及び(2)で表される。
ことを示し、ハッチングが付されている領域P2は、永久磁石3に右方向の力が働くことを示している。破線で示すように、x軸及びy軸に対して略45度の境界で区分けされた4つの領域中、図8中、左右の領域P1(図8B中、白抜きの領域P1)に配された永久磁石3には、白抜き左矢印で示すように左方向の力が働き、図8中、上下の領域P2(図8B中、ハッチングが付された領域P2)に配された永久磁石3には、白抜き右矢印で示すように右方向の力が働く。このように、領域P1と、領域P2とでは、永久磁石3に働く力の向きが左右逆向きである。発電装置100の永久磁石3を振動させて発電を行う場合、同一方向の力が働くように、領域P1又は領域P2のいずれか一方の領域を利用することが好ましい。
カンチレバー1の自由端1bに永久磁石3を設けてなる圧電振動発電素子の支配方程式は、図8中、導線Wの上下、即ちy軸上に永久磁石3を配した場合、下記式(3)及び(4)で表される。なお、導線Wの左右、即ちx軸上に永久磁石3を配した場合の支配方程式も同様にして表される。
例えば、カンチレバー1の自由端1bに部品を取り付ける場合、可能な限り、磁性体からなる部品を用いることが望ましい。カンチレバー1の自由端1bに非磁性体部品を取り付けた場合、その質量に比例して発電量が増加すると考えられるが、磁性体部品を取り付ける場合に比べて、2乗の比例関係を有する残留磁束密度が低下し、結果として発電特性は低下してしまう。
つまり、永久磁石3の厚み方向が導線Wの径方向を向き、永久磁石3の長辺方向が導線Wに沿うように配置すると良い。
図11中、横軸は開口の距離dを示し、縦軸は永久磁石3に働く力を示している。丸印のプロット、四角印のプロット、三角印のプロット、アスタリスクのプロット、菱形印のプロットは、それぞれ磁性体5の外径が12mm、13mm、14mm、15mm、16mmであることを示している。図11のグラフから磁性体5の開口の大きさは、永久磁石3の振動方向における幅よりも大きい構成が好ましい。また磁性体5の開口が大き過ぎると永久磁石3に働く力が低減してしまう。具体的には、開口の大きさを示す距離dは、永久磁石3の横幅の1.2倍以上1.5倍以下が好ましい。より好ましくは、距離dは、永久磁石3の横幅の1.3倍以上1.5倍以下、更に好ましくは1.4倍が望ましい。
図12は実験用発電装置を示す模式図である。図13は、導線Wの中心線方向からみた永久磁石3、導線W及び磁性体5の断面図である。実験用発電装置の基本的な構成は、図1に示した発電装置100と同様である。図13に示すように磁性体5が鉄板を曲げ加工により略U字状に形成してなる点が異なるが、永久磁石3に働く磁気力Fの向き、永久磁石3の振動方向、磁気双極子の向き等は同じであり、原理的には同一構造と見なせる。磁性体5の2つの端部は平面部ないし曲面部を有する。圧電発電部であるカンチレバー1にはPZTセラミックスをガラスエポキシ基板の両面に接着したバイモルフ素子を用いた。永久磁石3にはネオジウム磁石を用いた。
また、素子の共振周波数が50Hz程度になるように永久磁石3の質量や取り付け位置を調整した。永久磁石3は双極子が下向きになるように固定している。発電量の評価のために負荷Rとして抵抗を接続した。共振周波数との関係からインピーダンス整合する負荷Rの抵抗値は50kΩであった。負荷Rに発生する起電力はロックインアンプで測定した。
以上の通り、本実施形態1に係る発電装置100によれば、導線Wの周囲に形成される交流磁場の周波数が十Hzオーダの低周波数であっても、当該交流磁場に基づいて発電を行うことができる。特に、磁性体5によって、永久磁石3の配置箇所に形成される交流磁場の空間勾配を増大させることにより、より効率的に永久磁石3を振動させ、発電することができる。本実施形態1では、圧電部材12を用いた簡単な構成で永久磁石3の振動エネルギーを電気エネルギーに変換することができる。
この場合も、空間勾配を有する交流磁場を形成することができ、永久磁石3をより効率的に振動させ、その振動エネルギーを電気エネルギーに変換することができる。
実施形態2に係る発電装置200は、導線Wに対する永久磁石3の配置及び姿勢、振動方向が実施形態1と異なるため、以下では主に上記相違点を説明する。その他の構成及び作用効果は実施形態1と同様であるため、対応する箇所には同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
本実施形態3に発電装置300は永久磁石3の振動エネルギーを電気エネルギーに変換する構成が実施形態1と異なるため、以下では主に上記相違点を説明する。その他の構成及び作用効果は実施形態1と同様であるため、対応する箇所には同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
図17は、本実施形態4に係る電圧調整装置を示すブロック図である。実施形態4に係る電圧調整装置は、系統に接続された導線Wの電圧を調整するための電圧調整機407と、電圧調整機407の状態を検出する検出装置408と、当該検出装置408にて検出された検出情報を外部へ無線送信する送信装置409とを備える。電圧調整機407は、例えば、SVR(Step Voltage Regulator)、SVC(static var compensator)等であり、
検出情報は、電圧調整機407の上流側及び下流側の電圧、電流、電圧調整内容等である。
また、永久磁石3を変位可能に支持する構成としてカンチレバー1を例示したが、振動磁場によって永久磁石3が移動できる構成であれば、支持機構は特にカンチレバー1に限定されるものでは無い。
Claims (8)
- 交流が流れる導線に対して変位可能に設けられた永久磁石と、
前記永久磁石の配置箇所に形成される交流磁場の空間勾配を増大させる磁性体と、
前記導線の周囲に形成される交流磁場によって前記永久磁石が振動した場合、該永久磁石の振動エネルギーを電気エネルギーに変換する変換部と
を備え、
前記磁性体は、
交流磁場が流出入する2つの端部を備え、各端部は交流磁場が流出入する平行的に対向した平面部を有し、
前記永久磁石は、平行的に対向した各平面部を結ぶ線分の外側に配されている
発電装置。 - 前記磁性体は、
断面U字状又はC字状をなす
請求項1に記載の発電装置。 - 前記永久磁石は、
前記導線及び前記永久磁石の離隔方向に対して非直交方向に並ぶS極及びN極を有し、交流の通流方向及び前記離隔方向に交差する方向に振動する
請求項1又は請求項2に記載の発電装置。 - 前記永久磁石は、
前記導線及び前記永久磁石の前記離隔方向に並ぶS極及びN極を有し、交流の通流方向及び前記離隔方向に直交する方向に振動する
請求項3に記載の発電装置。 - 前記永久磁石は、
交流の通流方向と、前記導線及び前記永久磁石の離隔方向とに直交する方向に並ぶS極及びN極を有し、前記離隔方向に振動する
請求項1又は請求項2に記載の発電装置。 - 弾性体と、
該弾性体の第1部位を、交流が流れる前記導線に対して固定する固定部と
を備え、
前記永久磁石は、
外力によって前記導線に対する位置が変化する前記弾性体の第2部位に設けられており、
前記変換部は、
前記弾性体に設けられた圧電部材を備える
請求項1~請求項5までのいずれか一項に記載の発電装置。 - 前記変換部は、
エレクトレットを有する第1電極基板と、前記エレクトレットに対向する対向電極を有する導電性の第2電極基板とを有し、該永久磁石の振動を電気エネルギーに変換するエレクトレット発電機を備える
請求項1~請求項6までのいずれか一項に記載の発電装置。 - 請求項1~請求項7までのいずれか一項に記載の発電装置と、
信号を送信する送信部と
を備え、
前記送信部は、
前記発電装置にて変換された電気エネルギーにて駆動する送信装置。
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---|---|---|---|---|
WO2014148371A1 (ja) | 2013-03-19 | 2014-09-25 | 国立大学法人東北大学 | 静電誘導型の振動発電装置及びその製造方法 |
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