本願の出願人は、その各々は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2018年3月28日出願の以下の米国特許仮出願を所有する。
・「INTERACTIVE SURGICAL SYSTEMS WITH ENCRYPTED COMMUNICATION CAPABILITIES」と題する米国特許仮出願第62/649,302号、
・「DATA STRIPPING METHOD TO INTERROGATE PATIENT RECORDS AND CREATE ANONYMIZED RECORD」と題する米国特許仮出願第62/649,294号、
・「SURGICAL HUB SITUATIONAL AWARENESS」と題する米国特許仮出願第62/649,300号、
・「SURGICAL HUB SPATIAL AWARENESS TO DETERMINE DEVICES IN OPERATING THEATER」と題する米国特許仮出願第62/649,309号、
・「COMPUTER IMPLEMENTED INTERACTIVE SURGICAL SYSTEMS」と題する米国特許仮出願第62/649,310号、
・「USE OF LASER LIGHT AND RED-GREEN-BLUE COLORATION TO DETERMINE PROPERTIES OF BACK SCATTERED LIGHT」と題する米国特許仮出願第62/649,291号、
・「ADAPTIVE CONTROL PROGRAM UPDATES FOR SURGICAL DEVICES」と題する米国特許仮出願第62/649,296号、
・「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS FOR CUSTOMIZATION AND RECOMMENDATIONS TO A USER」と題する米国特許仮出願第62/649,333号、
・「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS FOR SECURITY AND AUTHENTICATION TRENDS AND REACTIVE MEASURES」と題する米国特許仮出願第62/649,327号、
・「DATA HANDLING AND PRIORITIZATION IN A CLOUD ANALYTICS NETWORK」と題する米国特許仮出願第62/649,315号、
・「CLOUD INTERFACE FOR COUPLED SURGICAL DEVICES」と題する米国特許仮出願第62/649,313号、
・「DRIVE ARRANGEMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許仮出願第62/649,320号、
・「AUTOMATIC TOOL ADJUSTMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許仮出願第62/649,307号、及び
・「SENSING ARRANGEMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許仮出願第62/649,323号。
本願の出願人は、その各々は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2018年3月29日出願の以下の米国特許出願を所有する。
・「INTERACTIVE SURGICAL SYSTEMS WITH ENCRYPTED COMMUNICATION CAPABILITIES」と題する米国特許出願第____________号、代理人整理番号END8499USNP/170766、・ 「INTERACTIVE SURGICAL SYSTEMS WITH CONDITION HANDLING OF DEVICES AND DATA CAPABILITIES」と題する米国特許出願第____________号、代理人整理番号END8499USNP1/170766-1、
・ 「SURGICAL HUB COORDINATION OF CONTROL AND COMMUNICATION OF OPERATING ROOM DEVICES」と題する米国特許出願第____________号、代理人整理番号END8499USNP2/170766-2、
・「COOPERATIVE UTILIZATION OF DATA DERIVED FROM SECONDARY SOURCES BY INTELLIGENT SURGICAL HUBS」と題する米国特許出願第____________号、代理人整理番号END8499USNP4/170766-4、
・「SURGICAL HUB CONTROL ARRANGEMENTS」と題する米国特許出願第____________号、代理人整理番号END8499USNP5/170766-5、
・「DATA STRIPPING METHOD TO INTERROGATE PATIENT RECORDS AND CREATE ANONYMIZED RECORD」と題する米国特許出願第____________号、代理人整理番号END8500USNP/170767、
・「COMMUNICATION HUB AND STORAGE DEVICE FOR STORING PARAMETERS AND STATUS OF A SURGICAL DEVICE TO BE SHARED WITH CLOUD BASED ANALYTICS SYSTEMS」と題する米国特許出願第____________号、代理人整理番号END8500USNP1/170767-1、
・「SELF DESCRIBING DATA PACKETS GENERATED AT AN ISSUING INSTRUMENT」と題する米国特許出願第____________号、代理人整理番号END8500USNP2/170767-2、
・「DATA PAIRING TO INTERCONNECT A DEVICE MEASURED PARAMETER WITH AN OUTCOME」と題する米国特許出願第____________号、代理人整理番号END8500USNP3/170767-3、
・「SURGICAL HUB SITUATIONAL AWARENESS」と題する米国特許出願第____________号、代理人整理番号END8501USNP/170768、
・「SURGICAL SYSTEM DISTRIBUTED PROCESSING」と題する米国特許出願第____________号、代理人整理番号END8501USNP1/170768-1、
・「AGGREGATION AND REPORTING OF SURGICAL HUB DATA」と題する米国特許出願第____________号、代理人整理番号END8501USNP2/170768-2、
・「SURGICAL HUB SPATIAL AWARENESS TO DETERMINE DEVICES IN OPERATING THEATER」と題する米国特許出願第____________号、代理人整理番号END8502USNP/170769、
・「DISPLAY OF ALIGNMENT OF STAPLE CARTRIDGE TO PRIOR LINEAR STAPLE LINE」と題する米国特許出願第____________号、代理人整理番号END8502USNP1/170769-1、
・「STERILE FIELD INTERACTIVE CONTROL DISPLAYS」と題する米国特許出願第____________号、代理人整理番号END8502USNP2/170769-2、
・「COMPUTER IMPLEMENTED INTERACTIVE SURGICAL SYSTEMS」と題する米国特許出願第____________号、代理人整理番号END8503USNP/170770、
・「USE OF LASER LIGHT AND RED-GREEN-BLUE COLORATION TO DETERMINE PROPERTIES OF BACK SCATTERED LIGHT」と題する米国特許出願第____________号、代理人整理番号END8504USNP/170771、
・「CHARACTERIZATION OF TISSUE IRREGULARITIES THROUGH THE USE OF MONO-CHROMATIC LIGHT REFRACTIVITY」と題する米国特許出願第____________号、及び代理人整理番号END8504USNP1/170771-1、及び
・「DUAL CMOS ARRAY IMAGING」と題する米国特許出願第____________号、代理人整理番号END8504USNP2/170771-2。
本願の出願人は、その各々は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2018年3月29日出願の以下の米国特許出願を所有する。
・「ADAPTIVE CONTROL PROGRAM UPDATES FOR SURGICAL DEVICES」と題する米国特許出願第____________号、代理人整理番号END8506USNP/170773、
・「ADAPTIVE CONTROL PROGRAM UPDATES FOR SURGICAL DEVICES」と題する米国特許出願第____________号、代理人整理番号END8506USNP1/170773-1、
・「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS FOR CUSTOMIZATION AND RECOMMENDATIONS TO A USER」と題する米国特許出願第____________号、代理人整理番号END8507USNP/170774、
・「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS FOR LINKING OF LOCAL USAGE TRENDS WITH THE RESOURCE ACQUISITION BEHAVIORS OF LARGER DATA SET」と題する米国特許出願第____________号、代理人整理番号END8507USNP1/170774-1、
・「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS FOR MEDICAL FACILITY SEGMENTED INDIVIDUALIZATION OF INSTRUMENT FUNCTION」と題する米国特許出願第____________号、代理人整理番号END8507USNP2/170774-2、
・「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS FOR SECURITY AND AUTHENTICATION TRENDS AND REACTIVE MEASURES」と題する米国特許出願第____________号、代理人整理番号END8508USNP/170775、
・「DATA HANDLING AND PRIORITIZATION IN A CLOUD ANALYTICS NETWORK」と題する米国特許出願第____________号、代理人整理番号END8509USNP/170776、及び
・「CLOUD INTERFACE FOR COUPLED SURGICAL DEVICES」と題する米国特許出願第____________号、代理人整理番号END8510USNP/170777。
本願の出願人は、その各々は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2018年3月29日出願の以下の米国特許出願を所有する。
・「DRIVE ARRANGEMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許出願第____________号、代理人整理番号END8511USNP/170778、
・「COMMUNICATION ARRANGEMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許出願第____________号、代理人整理番号END8511USNP1/170778-1、
・「CONTROLS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許出願第____________号、代理人整理番号END8511USNP2/170778-2、
・「AUTOMATIC TOOL ADJUSTMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許出願第____________号、代理人整理番号END8512USNP/170779、
・「CONTROLLERS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許出願第____________号、代理人整理番号END8512USNP1/170779-1、
・「COOPERATIVE SURGICAL ACTIONS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許出願第____________号、代理人整理番号END8512USNP2/170779-2、
・「DISPLAY ARRANGEMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許出願第____________号、代理人整理番号END8512USNP3/170779-3、及び
・「SENSING ARRANGEMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許出願第____________号、代理人整理番号END8513USNP/170780。
外科用装置及び発生器の様々な態様を詳細に説明する前に、例示される実施例は、適用又は用途において、添付の図面及び説明で示される部品の構造及び配置の詳細に限定されないことに留意すべきである。例示的な実施例は、他の態様、変形形態、及び修正で実施されるか、又はそれらに組み込まれてもよく、様々な方法で実施又は実行されてもよい。更に、特に明記しない限り、本明細書で用いられる用語及び表現は、読者の便宜のために例示的な実施例を説明する目的で選択されたものであり、それらを限定するためのものではない。更に、以下に記述される態様、態様の具現、及び/又は実施例のうちの1つ又は2つ以上を、以下に記述される他の態様、態様の具現、及び/又は実施例のうちの任意の1つ又は2つ以上と組み合わせることができるものと理解されたい。
図1を参照すると、コンピュータ実装インタラクティブ外科システム100は、1つ又は2つ以上の外科システム102と、クラウドベースのシステム(例えば、記憶装置105に連結されたリモートサーバ113を含み得るクラウド104)と、を含む。各外科システム102は、リモートサーバ113を含み得るクラウド104と通信する少なくとも1つの外科用ハブ106を含む。一実施例では、図1に示すように、外科システム102は、互いに、及び/又はハブ106と通信するように構成された、可視化システム108と、ロボットシステム110と、ハンドヘルド式インテリジェント外科用器具112と、を含む。いくつかの態様では、外科システム102は、M個のハブ106と、N個の可視化システム108と、O個のロボットシステム110と、P個のハンドヘルド式インテリジェント外科用器具112と、を含んでもよく、ここでM、N、O、及びPは1以上の整数である。
図3は、外科手術室116内の手術台114上に横たわっている患者に対して外科処置を実施するために使用される外科システム102の一例を示す。ロボットシステム110は、外科処置において外科システム102の一部として使用される。ロボットシステム110は、外科医のコンソール118と、患者側カート120(外科用ロボット)と、外科用ロボットハブ122と、を含む。患者側カート120は、患者の身体の低侵襲切開中に、外科医が外科医のコンソール118を介して手術部位を見る間、少なくとも1つの取り外し可能に連結された外科用ツール117を操作することができる。手術部位の画像は医療用撮像装置124によって得ることができ、医療用撮像装置124は撮像装置124を配向するために患者側カート120によって操作され得る。ロボットハブ122は、外科医のコンソール118を介して外科医に対するその後の表示のために、手術部位の画像を処理するように使用することができる。
他の種類のロボットシステムを、外科システム102と共に使用するために容易に適合させることができる。本開示と共に使用するのに好適なロボットシステム及び外科用ツールの様々な例は、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2017年12月28日出願の「ROBOT ASSISTED SURGICAL PLATFORM」と題する米国特許仮出願第62/611,339号に記載されている。
クラウド104によって実施され、本開示と共に使用するのに好適なクラウドベース分析の様々な例は、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2017年12月28日出願の「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS」と題する米国特許仮出願第62/611,340号に記載されている。
様々な態様では、撮像装置124は、少なくとも1つの画像センサと1つ又は2つ以上の光学構成要素とを含む。好適な画像センサとしては、電荷結合素子(Charge-Coupled Device、CCD)センサ及び相補型金属酸化膜半導体(Complementary Metal-Oxide Semiconductor、CMOS)センサが挙げられるが、これらに限定されない。
撮像装置124の光学構成要素は、1つ若しくは2つ以上の照明光源及び/又は1つ若しくは2つ以上のレンズを含んでもよい。1つ又は2つ以上の照明光源は、手術野の部分を照明するように方向付けられてもよい。1つ又は2つ以上の画像センサは、組織及び/又は外科用器具から反射又は屈折された光を含む、手術野から反射又は屈折された光を受信することができる。
1つ又は2つ以上の照明光源は、可視スペクトル及び不可視スペクトル内の電磁エネルギーを放射するように構成され得る。光学スペクトル又は発光スペクトルと称されることもある可視スペクトルは、人間の目に可視である(すなわち、人間の目によって検出することができる)電磁スペクトルの一部分であり、可視光、又は単に光と称されることがある。典型的な人間の目は、空気中の約380nm~約750nmの波長に反応する。
不可視スペクトル(すなわち、非発光スペクトル)は、可視スペクトルの下方及び上方に位置する電磁スペクトルの一部分である(すなわち、約380nm未満及び約750nm超の波長)。不可視スペクトルは、人間の目で検出可能ではない。約750nmを超える波長は、赤色可視スペクトルよりも長く、これらは不可視赤外線(infrared、IR)、マイクロ波、及び無線電磁放射線になる。約380nm未満の波長は、紫色スペクトルよりも短く、これらは不可視紫外線、X線、及びガンマ線電磁放射線になる。
様々な態様では、撮像装置124は、低侵襲性手術で使用するように構成されている。本開示と共に使用するのに好適な撮像装置の例としては、関節鏡、血管鏡、気管支鏡、胆道鏡、結腸鏡、サイトスコープ(cytoscope)、十二指腸鏡、腸鏡、食道胃十二指腸鏡(胃鏡)、内視鏡、喉頭鏡、鼻咽喉-腎盂鏡(nasopharyngo-neproscope)、S状結腸鏡、胸腔鏡、及び尿管鏡が挙げられるが、これらに限定されない。
一態様では、撮像装置は、トポグラフィーと下層構造とを区別するためにマルチスペクトルモニタリングを用いる。マルチスペクトル画像は、電磁スペクトルにわたって特定の波長範囲内の画像データを取り込むものである。波長は、フィルタによって、又は可視光範囲を超える周波数、例えば、IR及び紫外光を含む特定の波長からの光に感受性の器具を使用することによって分離することができる。スペクトル撮像法は、人間の目がその赤色、緑色、及び青色の受容体で取り込むことのできない追加情報の抽出を可能にすることができる。マルチスペクトル撮像法の使用は、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる2017年12月28日出願の「INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する米国特許仮出願第62/611,341号の「Advanced Imaging Acquisition Module」の項で詳細に説明されている。マルチスペクトルモニタリングは、1つの手術作業が完了した後に、処置された組織上で上述の試験の1つ又は2つ以上を実施するために手術野を再配置するのに有用なツールであり得る。
いかなる外科手術においても手術室及び外科用機器の厳格な滅菌が必要であることは自明である。「手術現場(surgical theater)」、すなわち手術室又は処置室に必要とされる厳格な衛生及び滅菌条件は、全ての医療装置及び機器の最大級の滅菌性を必要とする。その滅菌プロセスの一部は、撮像装置124並びにその付属品及び構成要素を含む、患者と接触する、又は滅菌野に侵入するあらゆるものを滅菌する必要性である。滅菌野は、トレイ内又は滅菌タオル上などの、微生物を含まないと見なされる特定の領域と見なされ得ること、又は滅菌野は、外科処置のために準備された患者のすぐ周囲の領域と見なされ得ることが理解されよう。滅菌野は、適切な衣類を着用した洗浄済みのチーム構成員、並びにその領域内の全ての備品及び固定具を含み得る。
様々な態様では、可視化システム108は、図2に示されるように、滅菌野に対して戦略的に配置される1つ又は2つ以上の撮像センサと、1つ又は2つ以上の画像処理ユニットと、1つ又は2つ以上のストレージアレイと、1つ又は2つ以上のディスプレイと、を含む。一態様では、可視化システム108は、HL7、PACS、及びEMRのインターフェースを含む。可視化システム108の様々な構成要素については、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる2017年12月28日出願の「INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する米国特許仮出願第62/611,341号の「Advanced Imaging Acquisition Module」の項で説明されている。
図2に示すように、一次ディスプレイ119は、手術台114の操作者に可視であるように、滅菌野内に配置される。加えて、可視化タワー111は、滅菌野の外に位置付けられる。可視化タワー111は、互いに離れる方に面する第1の非滅菌ディスプレイ107及び第2の非滅菌ディスプレイ109を含む。ハブ106によって誘導される可視化システム108は、ディスプレイ107、109、及び119を利用して、滅菌野の内側及び外部の操作者に対する情報フローを調整するように構成されている。例えば、ハブ106は、可視化システム108に、一次ディスプレイ119上の手術部位のライブ映像を維持させながら、撮像装置124によって記録される手術部位のスナップショットを非滅菌ディスプレイ107又は109上に表示させることができる。非滅菌ディスプレイ107又は109上のスナップショットは、例えば、非滅菌操作者が外科処置に関連する診断工程を実施することを可能にすることができる。
一態様では、ハブ106は、滅菌野内で、可視化タワー111に位置する非滅菌操作者によって入力された診断入力又はフィードバックを滅菌領域内の一次ディスプレイ119に送り、これを手術台の滅菌操作者が見ることができるようにも構成される。一実施例では、入力は、ハブ106によって一次ディスプレイ119に送ることのできる、非滅菌ディスプレイ107又は109上に表示されるスナップショットに対する修正の形態であってもよい。
図2を参照すると、外科用器具112は、外科処置において外科システム102の一部として使用されている。ハブ106はまた、外科用器具112のディスプレイへの情報フローを調整するようにも構成されている。例えば、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、「INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する2017年12月28日出願の米国特許仮出願第62/611,341号における。可視化タワー111で非滅菌操作者によって入力される診断入力又はフィードバックは、滅菌野内でハブ106によって外科用器具ディスプレイ115に送られてもよく、ここで診断入力又はフィードバックは外科用器具112の操作者によって見られてもよい。外科システム102と共に使用するのに好適である例示的な外科用器具の例は、例えば、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、「Surgical Instrument Hardware」の項目、及び「INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する2017年12月28日出願の米国特許仮出願第62/611,341号で説明されている。
ここで図3を参照すると、ハブ106が、可視化システム108、ロボットシステム110、及びハンドヘルド式インテリジェント外科用器具112と通信している状態で示されている。ハブ106は、ハブディスプレイ135、撮像モジュール138、発生器モジュール140、通信モジュール130、プロセッサモジュール132、及びストレージアレイ134を含む。特定の態様では、図3に示すように、ハブ106は、排煙モジュール126及び/又は吸引/灌注モジュール128を更に含む。
外科処置中、封止及び/又は切断のため組織へのエネルギー印加は、一般に、排煙、過剰な流体の吸引、及び/又は組織の灌注を伴う。異なる供給源からの流体、電力、及び/又はデータラインは、外科処置中に絡まり合うことが多い。外科処置中にこの問題に対処することで貴重な時間が失われる場合がある。ラインの絡まりをほどくには、それらの対応するモジュールからラインを抜くことが必要となる場合があり、そのためにはモジュールをリセットすることが必要となる場合がある。ハブのモジュール式筐体136は、電力、データ、及び流体ラインを管理するための統一環境を提供し、このようなライン間の絡まりの頻度を低減させる。
本開示の態様は、手術部位における組織へのエネルギー印加を伴う外科処置において使用するための外科用ハブを提示する。外科用ハブは、ハブ筐体と、ハブ筐体のドッキングステーション内に摺動可能に受容可能な組み合わせ発生器モジュールと、を含む。ドッキングステーションはデータ及び電力接点を含む。組み合わせ発生器モジュールは、単一ユニット内に収容された、超音波エネルギー発生器構成要素、双極RFエネルギー発生器構成要素、及び単極RFエネルギー発生器構成要素のうちの2つ又は3つ以上を含む。一態様では、組み合わせ発生器モジュールは、更に、排煙構成要素と、組み合わせ発生器モジュールを外科用器具に接続するための少なくとも1つのエネルギー供給ケーブルと、組織への治療エネルギーの印加によって発生した煙、流体、及び/又は微粒子を排出するように構成された少なくとも1つの排煙構成要素と、遠隔手術部位から排煙構成要素まで延在する流体ラインと、を含む。
一態様では、流体ラインは第1の流体ラインであり、第2の流体ラインは、遠隔手術部位から、ハブ筐体内に摺動可能に受容される吸引及び灌注モジュールまで延在する。一態様では、ハブ筐体は、流体インターフェースを備える。
特定の外科処置は、1つ超のエネルギーの種類を組織に印加することを必要とする場合がある。1つのエネルギーの種類は、組織を切断するのにより有益であり得るが、別の異なるエネルギーの種類は、組織を封止するのにより有益であり得る。例えば、双極発生器は、組織を封止するために使用することができ、一方で、超音波発生器は、封止された組織を切断するために使用することができる。本開示の態様は、ハブのモジュール式筐体136が異なる発生器を収容して、これらの間の双方向通信を促進するように構成される解決法を提示する。ハブのモジュール式筐体136の利点の1つは、様々なモジュールの迅速な取り外し及び/又は交換を可能にすることである。
本開示の態様は、組織へのエネルギー印加を伴う外科処置で使用するためのモジュール式外科用筐体を提示する。モジュール式外科用筐体は、組織に印加するための第1のエネルギーを生成させるように構成された第1のエネルギー発生器モジュールと、第1のデータ及び電力接点を含む第1のドッキングポートを備える第1のドッキングステーションと、を含み、第1のエネルギー発生器モジュールは、電力及びデータ接点と電気係合するように摺動可能に移動可能であり、また第1のエネルギー発生器モジュールは、第1の電力及びデータ接点との電気係合から外れるように摺動可能に移動可能である。
上記に加えて、モジュール式外科用筐体は、第1のエネルギーとは異なる、組織に印加するための第2のエネルギーを生成するように構成された第2のエネルギー発生器モジュールと、第2のデータ及び電力接点を含む第2のドッキングポートを備える第2のドッキングステーションと、を更に含み、第2のエネルギー発生器モジュールは、電力及びデータ接点と電気係合するように摺動可能に移動可能であり、また第2のエネルギー発生器モジュールは、第2の電力及びデータ接点との電気係合から外れるように摺動可能に移動可能である。
更に、モジュール式外科用筐体は、第1のエネルギー発生器モジュールと第2のエネルギー発生器モジュールとの間の通信を容易にするように構成された、第1のドッキングポートと第2のドッキングポートとの間の通信バスを更に含む。
図3~図7を参照すると、発生器モジュール140と、排煙モジュール126と、吸引/灌注モジュール128と、のモジュール式統合を可能にするハブのモジュール式筐体136に関する本開示の態様が提示される。ハブのモジュール式筐体136は、モジュール140、126、128間の双方向通信を更に促進する。図5に示すように、発生器モジュール140は、ハブのモジュール式筐体136に摺動可能に挿入可能な単一のハウジングユニット139内に支持される、統合された単極、双極、及び超音波構成要素を備える発生器モジュールであってもよい。図5に示すように、発生器モジュール140は、単極装置146、双極装置147、及び超音波装置148に接続するように構成され得る。代替的に、発生器モジュール140は、ハブのモジュール式筐体136を介して相互作用する一連の単極、双極、及び/又は超音波発生器モジュールを備えてもよい。ハブのモジュール式筐体136は、複数の発生器が単一の発生器として機能するように、複数の発生器の挿入と、ハブのモジュール式筐体136にドッキングされた発生器間の双方向通信と、を促進するように構成されてもよい。
一態様では、ハブのモジュール式筐体136は、モジュール140、126、128の取り外し可能な取り付け及びそれらの間の双方向通信を可能にするために、外部及び無線通信ヘッダを備えるモジュール式電力及び通信バックプレーン149を備える。
一態様では、ハブのモジュール式筐体136は、モジュール140、126、128を摺動可能に受容するように構成された、本明細書ではドロアーとも称されるドッキングステーション又はドロアー151を含む。図4は、外科用ハブ筐体136、及び外科用ハブ筐体136のドッキングステーション151に摺動可能に受容可能な組み合わせ発生器モジュール145の部分斜視図を示す。組み合わせ発生器モジュール145の後側に電力及びデータ接点を有するドッキングポート152は、組み合わせ発生器モジュール145がハブのモジュール式筐体136の対応するドッキングステーション151内の位置へと摺動されると、対応するドッキングポート150をハブのモジュール式筐体136の対応するドッキングステーション151の電力及びデータ接点と係合するように構成される。一態様では、組み合わせ発生器モジュール145は、図5に示すように、双極、超音波、及び単極モジュールと、単一のハウジングユニット139と共に一体化された排煙モジュールと、を含む。
様々な態様では、排煙モジュール126は、捕捉/回収された煙及び/又は流体を手術部位から遠ざけて、例えば、排煙モジュール126へと搬送する流体ライン154を含む。排煙モジュール126から発生する真空吸引は、煙を手術部位のユーティリティ導管の開口部に引き込むことができる。流体ラインに連結されたユーティリティ導管は、排煙モジュール126で終端する可撓管の形態であってもよい。ユーティリティ導管及び流体ラインは、ハブ筐体136内に受容される排煙モジュール126に向かって延在する流体経路を画定する。
様々な態様では、吸引/灌注モジュール128は、吸い込み(aspiration)流体ライン及び吸引(suction)流体ラインを含む外科用ツールに連結される。一実施例では、吸い込み及び吸引流体ラインは、手術部位から吸引/灌注モジュール128に向かって延在する可撓管の形態である。1つ又は2つ以上の駆動システムは、手術部位への、及び手術部位からの流体の灌注及び吸い込みを引き起こすように構成され得る。
一態様では、外科用ツールは、その遠位端にエンドエフェクタを有するシャフトと、エンドエフェクタに関連付けられた少なくとも1つのエネルギー処置部と、吸い込み管と、灌注管と、を含む。吸い込み管は、その遠位端に入口ポートを有することができ、吸い込み管はシャフトを通って延在する。同様に、灌注管はシャフトを通って延在することができ、かつ、エネルギー送達器具に近接した入口ポートを有することができる。エネルギー送達器具は、超音波及び/又はRFエネルギーを手術部位に送達するように構成され、最初にシャフトを通って延在するケーブルによって発生器モジュール140に連結される。
灌注管は流体源と流体連通することができ、吸い込み管は真空源と流体連通することができる。流体源及び/又は真空源は、吸引/灌注モジュール128内に収容され得る。一実施例では、流体源及び/又は真空源は、吸引/灌注モジュール128とは別にハブ筐体136内に収容され得る。このような実施例では、流体インターフェースは、吸引/灌注モジュール128を流体源及び/又は真空源に接続するように構成され得る。
一態様では、モジュール140、126、128及び/又はハブのモジュール式筐体136上のそれらの対応するドッキングステーションは、モジュールのドッキングポートを位置合わせして、ハブのモジュール式筐体136のドッキングステーション内でこれらの対応部品と係合させるように構成された位置合わせ機能を含み得る。例えば、図4に示すように、組み合わせ発生器モジュール145は、ハブのモジュール式筐体136の対応するドッキングステーション151の対応するブラケット156と摺動可能に係合するように構成された側部ブラケット155を含む。ブラケットは協働して、組み合わせ発生器モジュール145のドッキングポート接点をハブのモジュール式筐体136のドッキングポート接点と電気係合させるように誘導する。
いくつかの態様では、ハブのモジュール式筐体136のドロアー151はサイズが同じ又は実質的に同じであり、モジュールはドロアー151内に受容されるサイズに調整される。例えば、側部ブラケット155及び/又は156は、モジュールのサイズに応じてより大きくなっても小さくなってもよい。他の態様では、ドロアー151はサイズが異なり、特定のモジュールを収容するように各々設計される。
更に、適合しない接点を備えるドロアーにモジュールを挿入することを避けるために、特定のモジュールの接点を、特定のドロアーの接点と係合するように鍵付きにしてもよい。
図4に示されるように、1つのドロアー151のドッキングポート150は、通信リンク157を介して別のドロアー151のドッキングポート150に連結されて、ハブのモジュール式筐体136内に収容されたモジュール間の双方向通信を容易にすることができる。代替的に又は更に、ハブのモジュール式筐体136のドッキングポート150は、ハブのモジュール式筐体136内に収容されたモジュール間の無線双方向通信を容易にしてもよい。例えば、Air Titan-Bluetoothなどの任意の好適な無線通信を用いてもよい。
図6は、外科用ハブ206の複数のモジュールを受容するように構成された横方向モジュール式ハウジング160の複数の横方向ドッキングポートの個々の電力バスアタッチメントを示す。横方向モジュール式ハウジング160は、モジュール161を横方向に受容して相互接続するように構成される。モジュール161は、モジュール161を相互接続するためのバックプレーンを含む横方向モジュール式ハウジング160のドッキングステーション162内に摺動可能に挿入される。図6に示すように、モジュール161は、横方向モジュール式ハウジング160内で横方向に配置される。代替的に、モジュール161は、横方向モジュール式ハウジング内で垂直方向に配置されてもよい。
図7は、外科用ハブ106の複数のモジュール165を受容するように構成された垂直モジュール式ハウジング164を示す。モジュール165は、モジュール165を相互接続するためのバックプレーンを含む垂直モジュール式ハウジング164のドッキングステーション又はドロアー167内に摺動可能に挿入される。垂直モジュール式ハウジング164のドロアー167は垂直方向に配置されているが、特定の場合では、垂直モジュール式ハウジング164は、横方向に配置されたドロアーを含んでもよい。更に、モジュール165は、垂直モジュール式ハウジング164のドッキングポートを介して互いに相互作用し得る。図7の実施例では、モジュール165の動作に関連するデータを表示するためのディスプレイ177が提供される。加えて、垂直モジュール式ハウジング164は、マスタモジュール178内に摺動可能に受容される複数のサブモジュールを収容するマスタモジュール178を含む。
様々な態様では、撮像モジュール138は、内蔵型のビデオプロセッサ及びモジュール式光源を備え、様々な撮像装置と共に使用するように適合されている。一態様では、撮像装置は、光源モジュール及びカメラモジュールと共に組み立てることが可能なモジュール式ハウジングで構成される。ハウジングは、使い捨て式ハウジングであってもよい。少なくとも1つの実施例では、使い捨て式ハウジングは、再利用可能なコントローラ、光源モジュール、及びカメラモジュールと取り外し可能に連結される。光源モジュール及び/又はカメラモジュールは、外科処置の種類に応じて選択的に選択することができる。一態様では、カメラモジュールはCCDセンサを含む。別の態様では、カメラモジュールはCMOSセンサを含む。別の態様では、カメラモジュールはスキャンされたビームの撮像用に構成される。同様に、光源モジュールは、外科処置に応じて白色光又は異なる光を送達するように構成することができる。
外科処置中に、手術野から外科用装置を除去して異なるカメラ又は異なる光源を含む別の外科用装置と交換することは非効率的であり得る。手術野の視野を一時的に喪失することは、望ましくない結果をもたらし得る。本開示のモジュール撮像装置は、手術野から撮像装置を除去する必要なく、外科処置中に光源モジュール又はカメラモジュール中間体(midstream)の交換を可能にするように構成される。
一態様では、撮像装置は、複数のチャネルを含む管状ハウジングを備える。第1のチャネルは、第1のチャネルとスナップ嵌め係合するように構成され得るカメラモジュールを摺動可能に受容するように構成されている。第2のチャネルは、第2のチャネルとスナップ嵌め係合するように構成され得る光源モジュールを摺動可能に受容するように構成されている。別の実施例では、カメラモジュール及び/又は光源モジュールは、これらの対応するチャネル内の最終位置へと回転させることができる。スナップ嵌め係合の代わりにねじ係合が採用されてもよい。
様々な実施例で、複数の撮像装置が、複数の視野を提供するために手術野内の様々な位置に位置決めされる。撮像モジュール138は、最適な視野を提供するために撮像装置間を切り替えるように構成することができる。様々な態様では、撮像モジュール138は、異なる撮像装置からの画像を統合するように構成することができる。
本開示と共に使用するのに好適な様々な画像プロセッサ及び撮像装置は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる「COMBINED SBI AND CONVENTIONAL IMAGE PROCESSOR」と題する2011年8月9日発行の米国特許第7,995,045号に記載されている。更に、その全体が参照により本明細書に組み込まれる「SBI MOTION ARTIFACT REMOVAL APPARATUS AND METHOD」と題する2011年7月19日発行の米国特許第7,982,776号は、画像データからモーションアーチファクトを除去するための様々なシステムについて記載している。こうしたシステムは、撮像モジュール138と一体化され得る。更に、「CONTROLLABLE MAGNETIC SOURCE TO FIXTURE INTRACORPOREAL APPARATUS」と題する2011年12月15日公開の米国特許出願公開第2011/0306840号、及び「SYSTEM FOR PERFORMING A MINIMALLY INVASIVE SURGICAL PROCEDURE」と題する2014年8月28日公開の米国特許出願公開第2014/0243597号は、その各々は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
図8は、医療施設の1つ又は2つ以上の手術室、又は外科処置のための専門設備を備えた医療施設内の任意の部屋に配置されたモジュール式装置をクラウドベースのシステム(例えば記憶装置205に連結されたリモートサーバ213を含み得るクラウド204)に接続するように構成されたモジュール式通信ハブ203を備える外科用データネットワーク201を示す。一態様では、モジュール式通信ハブ203は、ネットワークルータと通信するネットワークハブ207及び/又はネットワークスイッチ209を備える。モジュール式通信ハブ203は更に、ローカルコンピュータ処理及びデータ操作を提供するために、ローカルコンピュータシステム210に連結することができる。外科用データネットワーク201は、受動的、インテリジェント、又は切り替え式として構成されてもよい。受動的外科用データネットワークはデータの導管として機能し、データが1つの装置(又はセグメント)から別の装置に、及びクラウドコンピューティングリソースに行くことを可能にする。インテリジェントな外科用データネットワークは、トラフィックが監視対象の外科用データネットワークを通過することを可能にし、ネットワークハブ207又はネットワークスイッチ209内の各ポートを構成する追加の機能を含む。インテリジェントな外科用データネットワークは、管理可能なハブ又はスイッチと称され得る。スイッチングハブは、各パケットの宛先アドレスを読み取り、次いでパケットを正しいポートに転送する。
手術室に配置されたモジュール式装置1a~1nは、モジュール式通信ハブ203に連結されてもよい。ネットワークハブ207及び/又はネットワークスイッチ209は、ネットワークルータ211に連結されて、装置1a~1nをクラウド204又はローカルコンピュータシステム210に接続することができる。装置1a~1nに関連付けられたデータは、遠隔データ処理及び操作のためにルータを介してクラウドベースのコンピュータに転送されてもよい。装置1a~1nに関連付けられたデータはまた、ローカルでのデータ処理及び操作のためにローカルコンピュータシステム210に転送されてもよい。同じ手術室に位置するモジュール式装置2a~2mもまた、ネットワークスイッチ209に連結されてもよい。ネットワークスイッチ209は、ネットワークハブ207及び/又はネットワークルータ211に連結されて、装置2a~2mをクラウド204に接続することができる。装置2a~2nに関連付けられたデータは、データ処理及び操作のためにネットワークルータ211を介してクラウド204に転送されてもよい。装置2a~2mに関連付けられたデータはまた、ローカルでのデータ処理及び操作のためにローカルコンピュータシステム210に転送されてもよい。
複数のネットワークハブ207及び/又は複数のネットワークスイッチ209を複数のネットワークルータ211と相互接続することによって、外科用データネットワーク201が拡張され得ることが理解されるであろう。モジュール式通信ハブ203は、複数の装置1a~1n/2a~2mを受容するように構成されたモジュール式制御タワー内に収容され得る。ローカルコンピュータシステム210もまた、モジュール式制御タワーに収容されてもよい。モジュール式通信ハブ203は、ディスプレイ212に接続されて、例えば外科処置中に、装置1a~1n/2a~2mのうちのいくつかによって取得された画像を表示する。様々な態様では、装置1a~1n/2a~2mとしては、外科用データネットワーク201のモジュール式通信ハブ203に接続され得るモジュール式装置の中でもとりわけ、例えば、内視鏡に連結された撮像モジュール138、エネルギーベースの外科用装置に連結された発生器モジュール140、排煙モジュール126、吸引/灌注モジュール128、通信モジュール130、プロセッサモジュール132、ストレージアレイ134、ディスプレイに連結された外科用装置、及び/又は非接触センサモジュールなどの様々なモジュールが挙げられ得る。
一態様では、外科用データネットワーク201は、装置1a~1n/2a~2mをクラウドに接続する、ネットワークハブ(複数可)、ネットワークスイッチ(複数可)、及びネットワークルータ(複数可)との組み合わせを含んでもよい。ネットワークハブ又はネットワークスイッチに連結された装置1a~1n/2a~2mのいずれか1つ又は全ては、リアルタイムでデータを収集し、データ処理及び操作のためにデータをクラウドコンピュータに転送することができる。クラウドコンピューティングは、ソフトウェアアプリケーションを取り扱うために、ローカルサーバ又はパーソナル装置を有するのではなく、共有コンピューティングリソースに依存することは理解されるであろう。「クラウド」という用語は、「インターネット」の隠喩として使用され得るが、この用語は、そのように限定はされない。したがって、「クラウドコンピューティング」という用語は、本明細書では「インターネットベースのコンピューティングの一種」を指すために使用することができ、この場合、サーバ、記憶装置、及びアプリケーションなどの様々なサービスは、手術現場(例えば、固定式、移動式、一時的、又は現場の手術室又は空間)に位置するモジュール式通信ハブ203及び/又はコンピュータシステム210に、かつインターネットを介してモジュール式通信ハブ203及び/又はコンピュータシステム210に接続された装置に送達される。クラウドインフラストラクチャは、クラウドサービスプロバイダによって維持され得る。この文脈において、クラウドサービスプロバイダは、1つ又は2つ以上の手術室内に位置する装置1a~1n/2a~2mの使用及び制御を調整するエンティティであり得る。クラウドコンピューティングサービスは、スマート外科用器具、ロボット、及び手術室内に位置する他のコンピュータ化装置によって収集されたデータに基づいて、多数の計算を実行することができる。ハブハードウェアは、複数の装置又は接続部がクラウドコンピューティングリソース及び記憶装置と通信するコンピュータに接続することを可能にする。
装置1a~1n/2a~2mによって収集されたデータにクラウドコンピュータデータ処理技術を適用することで、外科用データネットワークは、外科的成果の改善、コスト低減、及び患者満足度の改善を提供する。組織の封止及び切断処置後に、組織の状態を観察して封止された組織の漏出又は灌流を評価するために、装置1a~1n/2a~2mのうちの少なくともいくつかを用いることができる。クラウドベースのコンピューティングを使用して、身体組織の試料の画像を含むデータを診断目的で検査して疾患の影響などの病状を特定するために、装置1a~1n/2a~2mのうちの少なくともいくつかを用いることができる。これは、組織及び表現型の位置特定及びマージン確認を含む。撮像装置と一体化された様々なセンサ、及び複数の撮像装置によってキャプチャされた画像をオーバーレイするなどの技術を使用して、身体の解剖学的構造を特定するために、装置1a~1n/2a~2mのうちの少なくともいくつかを用いることができる。画像データを含む、装置1a~1n/2a~2mによって収集されたデータは、画像処理及び操作を含むデータ処理及び操作のために、クラウド204若しくはローカルコンピュータシステム210又はその両方に転送されてもよい。データは、組織特異的部位及び状態に対する内視鏡的介入、新興技術、標的化放射線、標的化介入、及び精密ロボットの適用などの更なる治療を遂行できるかを判定することによって、外科処置の結果を改善するために分析することができる。こうしたデータ分析は、予後分析処理を更に採用してもよく、標準化されたアプローチを使用することは、外科治療及び外科医の挙動を確認するか、又は外科治療及び外科医の挙動に対する修正を提案するかのいずれかのために有益なフィードバックを提供することができる。
一実装態様では、手術室装置1a~1nは、ネットワークハブに対する装置1a~1nの構成に応じて、有線チャネル又は無線チャネルを介してモジュール式通信ハブ203に接続されてもよい。ネットワークハブ207は、一態様では、開放型システム間相互接続(Open System Interconnection、OSI)モデルの物理層上で機能するローカルネットワークブロードキャスト装置として実装されてもよい。ネットワークハブは、同じ手術室ネットワーク内に位置する装置1a~1nに接続性を提供する。ネットワークハブ207は、パケット形態のデータを収集し、それらを半二重モードでルータに送信する。ネットワークハブ207は、装置データを転送するための任意の媒体アクセス制御/インターネットプロトコル(media access control、MAC/Internet Protocol、IP)は記憶しない。装置1a~1nのうちの1つのみが、ネットワークハブ207を介して一度にデータを送信することができる。ネットワークハブ207は、情報の送信先に関する経路選択テーブル又はインテリジェンスを有さず、全てのネットワークデータを各コネクション全体、及びクラウド204上のリモートサーバ213(図9)にブロードキャストする。ネットワークハブ207は、コリジョンなどの基本的なネットワークエラーを検出することができるが、全ての情報を複数のポートにブロードキャストすることは、セキュリティリスクとなりボトルネックを引き起こすおそれがある。
別の実装形態では、手術室装置2a~2mは、有線チャネル又は無線チャネルを介してネットワークスイッチ209に接続されてもよい。ネットワークスイッチ209は、OSIモデルのデータリンク層内で機能する。ネットワークスイッチ209は、同じ手術室内に位置する装置2a~2mをネットワークに接続するためのマルチキャスト装置である。ネットワークスイッチ209は、フレームの形態のデータをネットワークルータ211に送信し、全二重モードで機能する。複数の装置2a~2mは、ネットワークスイッチ209を介して同時にデータを送信することができる。ネットワークスイッチ209は、データを転送するために装置2a~2mのMACアドレスを記憶かつ使用する。
ネットワークハブ207及び/又はネットワークスイッチ209は、クラウド204に接続するためにネットワークルータ211に連結される。ネットワークルータ211は、OSIモデルのネットワーク層内で機能する。ネットワークルータ211は、装置1a~1n/2a~2mのいずれか1つ又は全てによって収集されたデータを更に処理及び操作するために、ネットワークハブ207及び/又はネットワークスイッチ211から受信したデータパケットをクラウドベースのコンピュータリソースに送信するための経路を作成する。ネットワークルータ211は、例えば、同じ医療施設の異なる手術室、又は異なる医療施設の異なる手術室に位置する異なるネットワークなどの、異なる位置に位置する2つ又は3つ以上の異なるネットワークを接続するために用いられてもよい。ネットワークルータ211は、パケット形態のデータをクラウド204に送信し、全二重モードで機能する。複数の装置が同時にデータを送信することができる。ネットワークルータ211は、データを転送するためにIPアドレスを使用する。
一実施例では、ネットワークハブ207は、複数のUSB装置をホストコンピュータに接続することを可能にするUSBハブとして実装されてもよい。USBハブは、装置をホストシステムコンピュータに接続するために利用可能なポートが多くなるように、単一のUSBポートをいくつかの階層に拡張することができる。ネットワークハブ207は、有線チャネル又は無線チャネルを介して情報を受信するための有線又は無線能力を含むことができる。一態様では、無線USB短距離高帯域無線通信プロトコルが、手術室内に位置する装置1a~1nと装置2a~2mとの間の通信のために使用されてもよい。
他の実施例では、手術室装置1a~1n/2a~2mは、固定及びモバイル装置から短距離にわたってデータを交換し(2.4~2.485GHzのISM帯域における短波長UHF電波を使用して)、かつパーソナルエリアネットワーク(personal area network、PAN)を構築するために、Bluetooth無線技術規格を介してモジュール式通信ハブ203と通信することができる。他の態様では、手術室装置1a~1n/2a~2mは、Wi-Fi(IEEE802.11ファミリー)、WiMAX(IEEE802.16ファミリー)、IEEE802.20、ロング・ターム・エボリューション(long-term evolution、LTE)、並びにEv-DO、HSPA+、HSDPA+、HSUPA+、EDGE、GSM、GPRS、CDMA、TDMA、DECT、及びこれらのイーサネット派生物、のみならず3G、4G、5G、及びそれ以降と指定される任意の他の無線及び有線プロトコルが挙げられるがこれらに限定されない数多くの無線又は有線通信規格又はプロトコルを介してモジュール式通信ハブ203と通信することができる。コンピューティングモジュールは、複数の通信モジュールを含んでもよい。例えば、第1の通信モジュールは、Wi-Fi及びBluetoothなどの短距離無線通信専用であってもよく、第2の通信モジュールは、GPS、EDGE、GPRS、CDMA、WiMAX、LTE、Ev-DOなどの長距離無線通信専用であってもよい。
モジュール式通信ハブ203は、手術室装置1a~1n/2a~2mの1つ又は全ての中央接続部として機能することができ、フレームとして知られるデータ型を取り扱う。フレームは、装置1a~1n/2a~2mによって生成されたデータを搬送する。フレームがモジュール式通信ハブ203によって受信されると、フレームは増幅されてネットワークルータ211へ送信され、ネットワークルータ211は本明細書に記載される数多くの無線又は有線通信規格又はプロトコルを使用することによってこのデータをクラウドコンピューティングリソースに転送する。
モジュール式通信ハブ203は、スタンドアロンの装置として使用されてもよく、又はより大きなネットワークを形成するために互換性のあるネットワークハブ及びネットワークスイッチに接続されてもよい。モジュール式通信ハブ203は、一般に据え付け、構成、及び維持が容易であるため、モジュール式通信ハブ203は手術室装置1a~1n/2a~2mをネットワーク接続するための良好な選択肢となる。
図9は、コンピュータ実装インタラクティブ外科システム200を示す。コンピュータ実装インタラクティブ外科システム200は、多くの点で、コンピュータ実装インタラクティブ外科システム100と類似している。例えば、コンピュータ実装インタラクティブ外科システム200は、多くの点で外科システム102と類似する1つ又は2つ以上の外科システム202を含む。各外科システム202は、リモートサーバ213を含み得るクラウド204と通信する少なくとも1つの外科用ハブ206を含む。一態様では、コンピュータ実装インタラクティブ外科システム200は、例えば、インテリジェント外科用器具、ロボット、及び手術室内に位置する他のコンピュータ化装置などの複数の手術室装置に接続されたモジュール式制御タワー236を備える。図10に示されるように、モジュール式制御タワー236は、コンピュータシステム210に連結されたモジュール式通信ハブ203を備える。図9の実施例に例示するように、モジュール式制御タワー236は、内視鏡239に連結された撮像モジュール238、エネルギー装置241に連結された発生器モジュール240、排煙器モジュール226、吸引/灌注モジュール228、通信モジュール230、プロセッサモジュール232、ストレージアレイ234、任意でディスプレイ237に連結されたスマート装置/器具235、及び非接触センサモジュール242に連結される。手術室装置は、モジュール式制御タワー236を介してクラウドコンピューティングリソース及びデータ記憶装置に連結される。ロボットハブ222もまた、モジュール式制御タワー236及びクラウドコンピューティングリソースに接続されてもよい。中でもとりわけ、装置/器具235、可視化システム208が、本明細書に記載される有線又は無線通信規格又はプロトコルを介してモジュール式制御タワー236に連結されてもよい。モジュール式制御タワー236は、撮像モジュール、装置/器具ディスプレイ、及び/又は他の可視化システム208から受信した画像を表示及びオーバーレイするためにハブディスプレイ215(例えば、モニタ、スクリーン)に連結されてもよい。ハブディスプレイはまた、画像及びオーバーレイ画像と共にモジュール式制御タワーに接続された装置から受信したデータを表示してもよい。
図10は、モジュール式制御タワー236に連結された複数のモジュールを備える外科用ハブ206を示す。モジュール式制御タワー236は、例えばネットワーク接続装置などのモジュール式通信ハブ203と、例えば局所処理、可視化、及び撮像を提供するためのコンピュータシステム210と、を備える。図10に示すように、モジュール式通信ハブ203は、モジュール式通信ハブ203に接続できるモジュール(例えば、装置)の数を拡張するために階層化構成で接続されて、モジュールに関連付けられたデータをコンピュータシステム210、クラウドコンピューティングリソース、又はその両方に転送することができる。図10に示すように、モジュール式通信ハブ203内のネットワークハブ/スイッチの各々は、3つの下流ポート及び1つの上流ポートを含む。上流のネットワークハブ/スイッチは、クラウドコンピューティングリソース及びローカルディスプレイ217への通信接続を提供するためにプロセッサに接続される。クラウド204への通信は、有線又は無線通信チャネルのいずれかを介して行うことができる。
外科用ハブ206は、非接触センサモジュール242を使用して、手術室の寸法を測定し、また超音波又はレーザ型非接触測定装置のいずれかを使用して手術現場のマップを生成する。その全体が参照により本明細書に組み込まれる「INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する2017年12月28日出願の米国特許仮出願第62/611,341号中の「Surgical Hub Spatial Awareness Within an Operating Room」の項で説明されるように、超音波ベースの非接触センサモジュールは、超音波のバーストを送信し、超音波のバーストが手術室の外壁に反射したときのエコーを受信することによって手術室をスキャンし、ここでセンサモジュールが、手術室のサイズを判定し、かつBluetoothペアリングの距離限界を調整するように構成される。レーザベースの非接触センサモジュールは、例えば、レーザ光パルスを送信し、手術室の外壁に反射するレーザ光パルスを受信し、送信されたパルスの位相を受信したパルスと比較して、手術室のサイズを判定し、かつBluetoothペアリング距離限界を調整することによって手術室をスキャンする。
コンピュータシステム210は、プロセッサ244とネットワークインターフェース245とを備える。プロセッサ244は、システムバスを介して、通信モジュール247、記憶装置248、メモリ249、不揮発性メモリ250、及び入力/出力インターフェース251に連結される。システムバスは、9ビットバス、業界標準アーキテクチャ(Industrial Standard Architecture、ISA)、マイクロチャネルアーキテクチャ(Micro-Chearmel Architecture、MSA)、拡張ISA(Extended ISA、EISA)、インテリジェントドライブエレクトロニクス(Intelligent Drive Electronics、IDE)、VESAローカルバス(VESA Local Bus、VLB)、周辺装置相互接続(Peripheral Component Interconnect、PCI)、USB、アドバンスドグラフィックスポート(Advanced Graphics Port、AGP)、パーソナルコンピュータメモリカード国際協会バス(Personal Computer Memory Card International Association bus、PCMCIA)、小型計算機システム・インターフェース(Small Computer Systems Interface、SCSI)、又は任意の他の独自バス(proprietary bus)が挙げられるがこれらに限定されない任意の様々なバスアーキテクチャを使用する、メモリバス若しくはメモリコントローラ、ペリフェラルバス若しくは外部バス、及び/又はローカルバスを含むいくつかの種類のバス構造(複数可)のうちのいずれかであっってもよい。
プロセッサ244は、Texas Instruments製のARM Cortexの商品名で知られているものなど、任意のシングルコア又はマルチコアプロセッサであってもよい。一態様では、プロセッサは、例えば、その詳細が製品データシートで入手可能である、最大40MHzの256KBのシングルサイクルフラッシュメモリ若しくは他の不揮発性メモリのオンチップメモリ、性能を40MHz超に改善するためのプリフェッチバッファ、32KBのシングルサイクルシリアルランダムアクセスメモリ(single-cycle serial random access memory、SRAM)、StellarisWare(登録商標)ソフトウェアを搭載した内部読み出し専用メモリ(read-only memory、ROM)、2KBの電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(erasable programmable read-only memory、EEPROM)、及び/又は、1つ若しくは2つ以上のパルス幅変調(pulse width modulation、PWM)モジュール、1つ若しくは2つ以上の直交エンコーダ入力(quadrature encoder input、QEI)アナログ、12個のアナログ入力チャネルを備える1つ若しくは2つ以上の12ビットアナログ-デジタル変換器(analog-to-digital comverter、ADC)を含む、Texas Instrumentsから入手可能なLM4F230H5QR ARM Cortex-M4Fプロセッサコアであってもよい。
一態様では、プロセッサ244は、同じくTexas Instruments製のHercules ARM Cortex R4の商品名で知られるTMS570及びRM4xなどの2つのコントローラ系ファミリーを含む安全コントローラを含んでもよい。安全コントローラは、拡張性のある性能、接続性、及びメモリの選択肢を提供しながら、高度な集積型安全機能を提供するために、中でも特に、IEC61508及びISO26262の安全限界用途専用に構成されてもよい。
システムメモリとしては、揮発性メモリ及び不揮発性メモリが挙げられる。起動中などにコンピュータシステム内の要素間で情報を転送するための基本ルーチンを含む基本入出力システム(basic input/output system、BIOS)は、不揮発性メモリに記憶される。例えば、不揮発性メモリとしては、ROM、プログラマブルROM(programmable ROM、PROM)、電気的プログラマブルROM(electrically programmable ROM、EPROM)、EEPROM、又はフラッシュメモリが挙げられ得る。揮発性メモリとしては、外部キャッシュメモリとして機能するランダムアクセスメモリ(random-access memory、RAM)が挙げられる。更に、RAMは、SRAM、ダイナミックRAM(dynamic RAM、DRAM)、シンクロナスDRAM(synchronous DRAM、SDRAM)、ダブルデータレートSDRAM(double data rate、DDR SDRAM)、エンハンスドSDRAM(enhanced SDRAM、ESDRAM)、シンクリンクDRAM(Synchlink DRAM、SLDRAM)、及びダイレクトランバスRAM(direct Rambus RAM、DRRAM)などの多くの形態で利用可能である。
コンピュータシステム210はまた、取り外し可能/取り外し不可能な揮発性/不揮発性コンピュータ記憶媒体、例えばディスク記憶装置などを含む。ディスク記憶装置としては、磁気ディスクドライブ、フロッピーディスクドライブ、テープドライブ、Jazドライブ、Zipドライブ、LS-60ドライブ、フラッシュメモリカード、又はメモリスティックのような装置が挙げられるが、これらに限定されない。加えて、ディスク記憶装置は、記憶媒体を、独立して、又はコンパクトディスクROM装置(compact disc ROM、CD-ROM)、コンパクトディスク記録可能ドライブ(conpact disc recordable drive、CD-R Drive)、コンパクトディスク書き換え可能ドライブ(compact disc rewritable drive、CD-RW Drive)、若しくはデジタル多用途ディスクROMドライブ(digital versatile disc ROM drive、DVD-ROM)などの光ディスクドライブが挙げられるがこれらに限定されない他の記憶媒体との組み合わせで含むことができる。ディスク記憶装置のシステムバスへの接続を容易にするために、取り外し可能な又は取り外し不可能なインターフェースが用いられてもよい。
コンピュータシステム210は、好適な動作環境で説明されるユーザと基本コンピュータリソースとの間で媒介として機能するソフトウェアを含むことを理解されたい。このようなソフトウェアとしてはオペレーティングシステムが挙げられる。ディスク記憶装置上に記憶され得るオペレーティングシステムは、コンピュータシステムのリソースを制御及び割り当てするように機能する。システムアプリケーションは、システムメモリ内又はディスク記憶装置上のいずれかに記憶されたプログラムモジュール及びプログラムデータを介して、オペレーティングシステムによるリソース管理を活用する。本明細書に記載される様々な構成要素は、様々なオペレーティングシステム又はオペレーティングシステムの組み合わせで実装することができることを理解されたい。
ユーザは、I/Oインターフェース251に連結された入力装置(複数可)を介してコンピュータシステム210にコマンド又は情報を入力する。入力装置としては、マウス、トラックボール、スタイラス、タッチパッドなどのポインティング装置、キーボード、マイクロフォン、ジョイスティック、ゲームパッド、サテライト・ディッシュ、スキャナ、TVチューナカード、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、ウェブカメラなどが挙げられるが、これらに限定されない。これら及び他の入力装置は、インターフェースポート(複数可)を介し、システムバスを通してプロセッサに接続する。インターフェースポート(複数可)としては、例えば、シリアルポート、パラレルポート、ゲームポート、及びUSBが挙げられる。出力装置(複数可)は、入力装置(複数可)と同じ種類のポートのうちのいくつかを使用する。したがって、例えば、USBポートを使用して、コンピュータシステムに入力を提供し、またコンピュータシステムからの情報を出力装置に出力してもよい。出力アダプタは、特別なアダプタを必要とする出力装置の中でもとりわけ、モニタ、ディスプレイ、スピーカ、及びプリンタなどのいくつかの出力装置が存在することを示すために提供される。出力アダプタとしては、例示としてのものであり限定するものではないが、出力装置とシステムバスとの間の接続手段を提供するビデオ及びサウンドカードが挙げられる。遠隔コンピュータ(複数可)などの他の装置及び/又は装置のシステムは、入力及び出力機能の両方を提供することに留意されたい。
コンピュータシステム210は、クラウドコンピュータ(複数可)などの1つ若しくは2つ以上の遠隔コンピュータ又はローカルコンピュータへの論理接続を使用するネットワーク化環境で動作することができる。遠隔クラウドコンピュータ(複数可)は、パーソナルコンピュータ、サーバ、ルータ、ネットワークPC、ワークステーション、マイクロプロセッサベースの機器、ピア装置、又は他の一般的なネットワークノードなどであり得、典型的には、コンピュータシステムに関して説明される要素の多く又は全てを含む。簡潔にするために、遠隔コンピュータ(複数可)と共にメモリ記憶装置のみが示される。遠隔コンピュータ(複数可)は、ネットワークインターフェースを介してコンピュータシステムに論理的に接続され、続いて、通信接続を介して物理的に接続される。ネットワークインターフェースは、ローカルエリアネットワーク(local area network、LAN)及びワイドエリアネットワーク(wide area network、WAN)などの通信ネットワークを包含する。LAN技術としては、光ファイバ分散データインターフェース(Fiber Distributed Data Interface、FDDI)、銅線分散データインターフェース(Copper Distributed Data Interface、CDDI)、Ethernet/IEEE802.3、Token Ring/IEEE802.5などが挙げられる。WAN技術としては、ポイントツーポイントリンク、統合サービスデジタルネットワーク(Integrated Services Digital Network、ISDN)及びその変形などの回路交換ネットワーク、パケット交換ネットワーク、並びにデジタル加入者回線(Digital Subscriber Line、DSL)が挙げられるがこれらに限定されない。
様々な態様では、図10のコンピュータシステム210、図9~図10の撮像モジュール238、及び/又は可視化システム208、及び/又はプロセッサモジュール232は、画像プロセッサ、画像処理エンジン、メディアプロセッサ、又はデジタル画像の処理に使用される任意の専用デジタル信号プロセッサ(digital signal processor、DSP)を含んでもよい。画像プロセッサは、単一命令複数データ(single instruction multiple data、SIMD)、又は複数命令複数データ(multiple instruction multiple data、MIMD)技術を用いる並列コンピューティングを用いて速度及び効率を高めることができる。デジタル画像処理エンジンは、様々なタスクを実行することができる。画像プロセッサは、マルチコアプロセッサアーキテクチャを備えるチップ上のシステムであってもよい。
通信接続(複数可)とは、ネットワークインターフェースをバスに接続するために用いられるハードウェア/ソフトウェアを指す。例示の明瞭さのために通信接続はコンピュータシステム内部に示されているが、通信接続はコンピュータシステム210の外部にあってもよい。例示のみを目的として、ネットワークインターフェースへの接続に必要なハードウェア/ソフトウェアとしては、通常の電話グレードモデム、ケーブルモデム、及びDSLモデムを含むモデム、ISDNアダプタ、並びにイーサネットカードなどの内部及び外部技術が挙げられる。
図11は、本開示の少なくとも1つの態様による、USBネットワークハブ300装置の一態様の機能ブロック図を示す。図示した態様では、USBネットワークハブ装置300は、Texas Instruments製TUSB2036集積回路ハブを採用する。USBネットワークハブ300は、USB2.0規格に準拠する、上流USB送受信ポート302及び最大3つの下流USB送受信ポート304、306、308を提供するCMOS装置である。上流USB送受信ポート302は、差動データプラス(data plus、DP0)入力とペアリングされた差動データマイナス(data minus、DM0)入力を含む差動ルートデータポートである。3つの下流USB送受信ポート304、306、308は、各ポートが差動データマイナス(DM1~DM3)出力とペアリングした差動データプラス(DP1~DP3)出力を含む差動データポートである。
USBネットワークハブ300装置は、マイクロコントローラの代わりにデジタル状態マシンを備えて実装され、ファームウェアのプログラミングを必要としない。完全準拠したUSB送受信機が、上流USB送受信ポート302及び全ての下流USB送受信ポート304、306、308の回路に統合される。下流USB送受信ポート304、306、308は、ポートに取り付けられた装置の速度に応じてスルーレートを自動的に設定することによって、最高速度及び低速の装置の両方をサポートする。USBネットワークハブ300装置は、バスパワーモード又はセルフパワーモードのいずれかで構成されてもよく、電力を管理するためのハブパワー論理312を含む。
USBネットワークハブ300装置は、シリアルインターフェースエンジン310(serial interface engine、SIE)を含む。SIE310は、USBネットワークハブ300ハードウェアのフロントエンドであり、USB仕様書の第8章に記載されているプロトコルの大部分を取り扱う。SIE310は、典型的には、トランザクションレベルまでのシグナリングを理解する。これが取り扱う機能としては、パケット認識、トランザクションの並べ替え、SOP、EOP、RESET、及びRESUME信号の検出/生成、クロック/データ分離、非ゼロ復帰逆転(non-return-to-zero invert、NRZI)データ符号化/復号及びビットスタッフィング、CRC生成及びチェック(トークン及びデータ)、パケットID(packet ID、PID)の生成、及びチェック/復号、並びに/又はシリアル・パラレル/パラレル・シリアル変換が挙げられ得る。310は、クロック入力314を受信し、ポート論理回路320、322、324を介して、上流USB送受信ポート302と下流USB送受信ポート304、306、308との間の通信を制御するために、サスペンド/レジューム論理並びにフレームタイマー316回路及びハブリピータ回路318に連結される。SIE310は、シリアルEEPROMインターフェース330を介してシリアルEEPROMからコマンドを制御するように、インターフェース論理を介してコマンドデコーダ326に連結される。
様々な態様では、USBネットワークハブ300は、最大6つの論理層(階層)内に構成された127個の機能を単一のコンピュータに接続することができる。更に、USBネットワークハブ300は、通信及び電力分配の両方を提供する標準化された4本のワイヤケーブルを使用して全ての周辺機器に接続することができる。電力構成は、バスパワーモード及びセルフパワーモードである。USBネットワークハブ300は、個々のポート電力管理又は連動ポート電力管理のいずれかを備えるバスパワーハブ、及び個々のポート電力管理又は連動ポート電力管理のいずれかを備えるセルフパワーハブの、電力管理の4つのモードをサポートするように構成されてもよい。一態様では、USBケーブル、USBネットワークハブ300を使用して、上流USB送受信ポート302はUSBホストコントローラにプラグ接続され、下流USB送受信ポート304、306、308はUSBに互換性のある装置を接続するために露出される、といった具合である。
外科用器具のハードウェア
図12は、本開示の1つ又は2つ以上の態様による、外科用器具又はツールの制御システム470の論理図を示す。システム470は、制御回路を備える。制御回路は、プロセッサ462及びメモリ468を備えるマイクロコントローラ461を含む。例えば、センサ472、474、476のうちの1つ又は2つ以上が、プロセッサ462にリアルタイムなフィードバックを提供する。モータ駆動器492によって駆動されるモータ482は、長手方向に移動可能な変位部材を動作可能に連結して、Iビームナイフ要素を駆動する。追跡システム480は、長手方向に移動可能な変位部材の位置を判定するように構成されている。位置情報は、長手方向に移動可能な駆動部材の位置、並びに発射部材、発射バー、及びIビームナイフ要素の位置を判定するようにプログラム又は構成され得るプロセッサ462に提供される。追加のモータが、Iビームの発射、閉鎖管の移動、シャフトの回転、及び関節運動を制御するために、ツールドライバインターフェースに提供されてもよい。ディスプレイ473は、器具の様々な動作条件を表示し、データ入力のためのタッチスクリーン機能を含んでもよい。ディスプレイ473上に表示された情報は、内視鏡撮像モジュールを介して取得された画像とオーバーレイさせることができる。
一態様では、マイクロコントローラ461は、Texas Instruments製のARM Cortexの商品名で知られているものなど、任意のシングルコア又はマルチコアプロセッサであってもよい。一態様では、主マイクロコントローラ461は、例えば、その詳細が製品データシートで入手可能である、最大40MHzの256KBのシングルサイクルフラッシュメモリ若しくは他の不揮発性メモリのオンチップメモリ、性能を40MHz超に改善するためのプリフェッチバッファ、32KBのシングルサイクルSRAM、StellarisWare(登録商標)ソフトウェアを搭載した内部ROM、2KBのEEPROM、1つ若しくは2つ以上のPWMモジュール、1つ若しくは2つ以上のQEIアナログ、及び/又は12個のアナログ入力チャネルを備える1つ若しくは2つ以上の12ビットADCを含む、Texas Instrumentsから入手可能なLM4F230H5QR ARM Cortex-M4Fプロセッサコアであってもよい。
一態様では、マイクロコントローラ461は、同じくTexas Instruments製のHercules ARM Cortex R4の商品名で知られるTMS570及びRM4xなどの2つのコントローラ系ファミリーを含む安全コントローラを含んでもよい。安全コントローラは、拡張性のある性能、接続性、及びメモリの選択肢を提供しながら、高度な集積型安全機能を提供するために、中でも特に、IEC61508及びISO26262の安全限界用途専用に構成されてもよい。
マイクロコントローラ461は、ナイフ及び関節運動システムの速度及び位置に対する精密制御など、様々な機能を実行するようにプログラムされてもよい。一態様では、マイクロコントローラ461は、プロセッサ462及びメモリ468を含む。電動モータ482は、ギアボックス、及び関節運動又はナイフシステムへの機械的連結部を備えたブラシ付き直流(direct current、DC)モータであってもよい。一態様では、モータ駆動器492は、Allegro Microsystems,Incから入手可能なA3941であってもよい。他のモータ駆動器を、絶対位置決めシステムを備える追跡システム480で使用するために容易に置き換えることができる。絶対位置決めシステムの詳細な説明は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる「SYSTEMS AND METHODS FOR CONTROLLING A SURGICAL STAPLING AND CUTTING INSTRUMENT」と題する2017年10月19日公開の米国特許出願公開第2017/0296213号に記載されている。
マイクロコントローラ461は、変位部材及び関節運動システムの速度及び位置に対する正確な制御を提供するようにプログラムされてもよい。マイクロコントローラ461は、マイクロコントローラ461のソフトウェア内で応答を計算するように構成されてもよい。計算された応答は、実際のシステムの測定された応答と比較されて「観測された」応答が得られ、これが実際のフィードバック決定のために使用される。観測された応答は、シミュレーションによる応答の滑らかで連続的な性質と、測定による応答とのバランスをとる好適な調整された値であり、これはシステムに及ぼす外部の影響を検出することができる。
一態様では、モータ482は、モータ駆動器492によって制御されてもよく、外科用器具又はツールの発射システムによって使用され得る。様々な形態において、モータ482は、例えば、約25,000RPMの最大回転速度を有するブラシ付きDC駆動モータであってもよい。別の構成において、モータ482はブラシレスモータ、コードレスモータ、同期モータ、ステッパモータ、又は任意の他の好適な電気モータを含んでよい。モータ駆動器492は、例えば、電界効果トランジスタ(field-effect transistor、FET)を含むHブリッジ駆動器を備えてもよい。モータ482は、外科用器具又はツールに制御電力を供給するために、ハンドルアセンブリ又はツールハウジングに解除可能に装着された電源アセンブリによって給電され得る。電源アセンブリは、外科用器具又はツールに給電するための電源として使用され得る、直列に接続された多数の電池セルを含み得る電池を含んでもよい。特定の状況下では、電源アセンブリの電池セルは、交換可能及び/又は再充電可能であってよい。少なくとも1つの例では、電池セルは、電源アセンブリに連結可能かつ電源アセンブリから分離可能であり得るリチウムイオン電池であり得る。
モータ駆動器492は、Allegro Microsystems,Incから入手可能なA3941であってもよい。A3941 492は、特にブラシ付きDCモータなどの誘導負荷を目的として設計された外部Nチャネルパワー金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(metal-oxide semiconductor field-effect transisitor、MOSFET)と共に使用するためのフルブリッジコントローラである。駆動器492は、固有の電荷ポンプレギュレータを備え、これは、完全(>10V)ゲート駆動を7Vまでの電池電圧に提供し、A3941が5.5Vまでの低減ゲート駆動で動作することを可能にする。NチャネルMOSFETに必要な上記の電池供給電圧を与えるために、ブートストラップコンデンサが用いられてもよい。ハイサイド駆動用の内部電荷ポンプにより、DC(100%デューティサイクル、duty cycle)動作が可能となる。フルブリッジは、ダイオード又は同期整流を使用して高速又は低速減衰モードで駆動され得る。低速減衰モードにおいて、電流の再循環は、ハイサイドのFETによっても、ローサイドのFETによっても可能である。電力FETは、レジスタで調節可能なデッドタイムによって、シュートスルーから保護される。統合診断は、低電圧、温度過昇、及びパワーブリッジの異常を指示するものであり、ほとんどの短絡状態下でパワーMOSFETを保護するように構成され得る。他のモータ駆動器を、絶対位置決めシステムを備えた追跡システム480で使用するために容易に置換することができる。
追跡システム480は、本開示の一態様による位置センサ472を備える制御されたモータ駆動回路構成を備える。絶対位置決めシステム用の位置センサ472は、変位部材の位置に対応する固有の位置信号を提供する。一態様では、変位部材は、ギア減速機アセンブリの対応する駆動ギアと噛合係合するための駆動歯のラックを備える長手方向に移動可能な駆動部材を表す。他の態様では、変位部材は、駆動歯のラックを含むように適合及び構成され得る発射部材を表す。更に別の態様では、変位部材は、発射バー又はIビームを表し、それらの各々は、駆動歯のラックを含むように適合及び構成され得る。したがって、本明細書で使用する場合、変位部材という用語は、駆動部材、発射部材、発射バー、Iビーム、又は変位され得る任意の要素など、外科用器具又はツールの任意の移動可能な部材を総称して指すために使用される。一態様では、長手方向に移動可能な駆動部材は、発射部材、発射バー、及びIビームに連結される。したがって、絶対位置決めシステムは、実際には、長手方向に移動可能な駆動部材の直線変位を追跡することによって、Iビームの直線変位を追跡することができる。様々な他の態様では、変位部材は、直線変位を測定するのに好適な任意の位置センサ472に連結されてもよい。したがって、長手方向可動駆動部材、発射部材、発射バー、若しくはIビーム、又はそれらの組み合わせは、任意の好適な直線変位センサに連結され得る。直線変位センサは、接触式又は非接触式変位センサを含んでよい。直線変位センサは、線形可変差動変圧器(linear variable differential transformers、LVDT)、差動可変磁気抵抗型変換器(differential variable reluctance transducers、DVRT)、スライドポテンショメータ、移動可能な磁石及び一連の直線上に配置されたホール効果センサを備える磁気感知システム、固定された磁石及び一連の移動可能な直線上に配置されたホール効果センサを備える磁気感知システム、移動可能な光源及び一連の直線上に配置された光ダイオード若しくは光検出器を備える光学検出システム、固定された光源及び一連の移動可能な直線上に配置された光ダイオード若しくは光検出器を備える光学検出システム、又はこれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
電動モータ482は、変位部材上の駆動歯のセット又はラックと噛合係合で装着されるギアアセンブリと動作可能にインターフェースする回転式シャフトを含んでもよい。センサ素子は、位置センサ472素子の1回転が、変位部材のいくらかの直線長手方向並進に対応するように、ギアアセンブリに動作可能に連結されてもよい。ギアリング及びセンサ機構を、ラックピニオン機構によって直線アクチュエータに、又はスパーギア若しくは他の接続によって回転アクチュエータに接続することができる。電源は、絶対位置決めシステムに電力を供給し、出力インジケータは、絶対位置決めシステムの出力を表示することができる。変位部材は、ギア減速機アセンブリの対応する駆動ギアと噛合係合するために、その上に形成された駆動歯のラックを備える長手方向に移動可能な駆動部材を表す。変位部材は、長手方向に移動可能な発射部材、発射バー、Iビーム、又はこれらの組み合わせを表す。
位置センサ472と関連付けられたセンサ素子の1回転は、変位部材の長手方向直線変位d1に相当し、d1は、変位部材に連結されたセンサ素子の1回転した後で、変位部材が点「a」から点「b」まで移動する長手方向の直線距離である。センサ機構は、位置センサ472が変位部材のフルストロークに対して1回又は2回以上の回転を完了する結果をもたらすギアの減速を介して接続されてもよい。位置センサ472は、変位部材のフルストロークに対して複数回の回転を完了することができる。
位置センサ472の2回以上の回転に対する固有の位置信号を提供するために、一連のスイッチ(ここでnは1より大きい整数である)が、単独で用いられても、ギアの減速との組み合わせで用いられてもよい。スイッチの状態は、マイクロコントローラ461にフィードバックされ、マイクロコントローラ461は、論理を適用して、変位部材の長手方向の直線変位d1+d2+...dnに対応する固有の位置信号を判定する。位置センサ472の出力はマイクロコントローラ461に提供される。センサ機構の位置センサ472は、位置信号又は値の固有の組み合わせを出力する、磁気センサ、電位差計などのアナログ回転センサ、又はアナログホール効果素子のアレイを備えてもよい。
位置センサ472は、例えば、磁界の全磁界又はベクトル成分を測定するか否かに基づいて分類される磁気センサなどの、任意の数の磁気感知素子を備えてもよい。両種類の磁気センサを生産するために使用される技術は、物理学及び電子工学の多数の側面を含んでいる。磁界の感知に使用される技術としては、とりわけ、探りコイル、フラックスゲート、光ポンピング、核摂動(nuclear precession)、SQUID、ホール効果、異方性磁気抵抗、巨大磁気抵抗、磁気トンネル接合、巨大磁気インピーダンス、磁歪/圧電複合材、磁気ダイオード、磁気トランジスタ、光ファイバ、磁気光学、及び微小電気機械システムベースの磁気センサが挙げられる。
一態様では、絶対位置決めシステムを備える追跡システム480の位置センサ472は、磁気回転絶対位置決めシステムを備える。位置センサ472は、Austria Microsystems,AGから入手可能なAS5055EQFTシングルチップ磁気回転位置センサとして実装されてもよい。位置センサ472は、マイクロコントローラ461と連携して絶対位置決めシステムを提供する。位置センサ472は、低電圧低電力の構成要素であり、磁石の上方に位置する位置センサ472の領域に、4つのホール効果素子を含む。更に、高解像度ADC及びスマート電力管理コントローラがチップ上に設けられている。加算、減算、ビットシフト、及びテーブル参照演算のみを必要とする、双曲線関数及び三角関数を計算する簡潔かつ効率的なアルゴリズムを実装するために、桁毎法(digit-by-digit method)及びボルダーアルゴリズム(Volder's algorithm)としても知られる、座標回転デジタルコンピュータ(coordinate rotation digital computer、CORDIC)プロセッサが設けられる。角度位置、アラームビット、及び磁界情報は、シリアル周辺インターフェース(serial peripheral interface、SPI)インターフェースなどの標準的なシリアル通信インターフェースを介してマイクロコントローラ461に伝送される。位置センサ472は、12ビット又は14ビットの解像度を提供する。位置センサ472は、小型のQFN16ピン4×4×0.85mmパッケージで提供されるAS5055チップであってもよい。
絶対位置決めシステムを備える追跡システム480は、PID、状態フィードバック、及び適応コントローラなどのフィードバックコントローラを備えてもよく、かつ/又はこれを実装するようにプログラムされてもよい。電源が、フィードバックコントローラからの信号を、システムへの物理的入力、この場合は電圧へと変換する。他の例としては、電圧、電流、及び力のPWMが挙げられる。位置センサ472によって測定される位置に加えて、物理的システムの物理パラメータを測定するために、他のセンサ(複数化)が設けられてもよい。いくつかの態様では、他のセンサ(複数可)としては、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、「STAPLE CARTRIDGE TISSUE THICKNESS SENSOR SYSTEM」と題する2016年5月24日発行の米国特許第9,345,481号、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、「STAPLE CARTRIDGE TISSUE THICKNESS SENSOR SYSTEM」と題する2014年9月18日公開の米国特許出願公開第2014/0263552号、及びその全体が参照により本明細書に組み込まれる、「TECHNIQUES FOR ADAPTIVE CONTROL OF MOTOR VELOCITY OF A SURGICAL STAPLING AND CUTTING INSTRUMENT」と題する2017年6月20日出願の米国特許出願第15/628,175号に記載されているものなどのセンサ機構を挙げることができる。デジタル信号処理システムでは、絶対位置決めシステムはデジタルデータ取得システムに連結され、ここで絶対位置決めシステムの出力は有限の解像度及びサンプリング周波数を有する。絶対位置決めシステムは、計算された応答を測定された応答に向けて駆動する加重平均及び理論制御ループなどのアルゴリズムを使用して、計算された応答を測定された応答と組み合わせるために、比較及び組み合わせ回路を備え得る。入力を知ることによって物理的システムの状態及び出力がどうなるかを予測するために、物理的システムの計算された応答は、質量、慣性、粘性摩擦、誘導抵抗などの特性を考慮に入れる。
絶対位置決めシステムは、モータ482が単に前方又は後方に経た工程の数をカウントして装置アクチュエータ、駆動バー、ナイフなどの位置を推定する従来の回転エンコーダで必要となり得るような、変位部材をリセット(ゼロ又はホーム)位置へ後退又は前進させることなしに、器具の電源投入時に変位部材の絶対位置を提供する。
例えば歪みゲージ又は微小歪みゲージなどのセンサ474は、例えば、アンビルに適用される閉鎖力を示すことができる、クランプ動作中にアンビルに及ぼされる歪みの振幅などのエンドエフェクタの1つ又は2つ以上のパラメータを測定するように構成される。測定された歪みは、デジタル信号に変換されて、プロセッサ462に提供される。センサ474の代わりに、又はこれに加えて、例えば、負荷センサなどのセンサ476が、閉鎖駆動システムによってアンビルに加えられる閉鎖力を測定することができる。例えば、負荷センサなどのセンサ476は、外科用器具又はツールの発射ストローク中にIビームに加えられる発射力を測定することができる。Iビームは、楔形スレッドと係合するように構成されており、楔形スレッドは、ステープルドライバを上向きにカム作用して、ステープルを押し出してアンビルと変形接触させるように構成されている。Iビームはまた、Iビームを発射バーによって遠位に前進させる際に組織を切断するために使用することができる、鋭利な切刃を含む。代替的に、モータ482による電流引き込みを測定するために、電流センサ478を用いることができる。発射部材を前進させるのに必要な力は、例えば、モータ482によって引き込まれる電流に対応し得る。測定された力は、デジタル信号に変換されて、プロセッサ462に提供される。
一形態では、歪みゲージセンサ474を使用して、エンドエフェクタによって組織に加えられる力を測定することができる。治療される組織に対するエンドエフェクタによる力を測定するために、歪みゲージをエンドエフェクタに連結することができる。エンドエフェクタによって把持された組織に印加される力を測定するためのシステムは、例えば、エンドエフェクタの1つ又は2つ以上のパラメータを測定するように構成された微小歪みゲージなどの歪みゲージセンサ474を備える。一態様では、歪みゲージセンサ474は、把持動作中にエンドエフェクタのジョー部材に及ぼされる歪みの振幅又は大きさを測定することができ、これは組織の圧縮を示すことができる。測定された歪みは、デジタル信号に変換されて、マイクロコントローラ461のプロセッサ462に提供される。負荷センサ476は、例えば、アンビルとステープルカートリッジとの間に捕捉された組織を切断するために、ナイフ要素を動作させるために使用される力を測定することができる。磁界センサは、捕捉された組織の厚さを測定するために用いることができる。磁界センサの測定値もデジタル信号に変換されて、プロセッサ462に提供され得る。
センサ474、476によってそれぞれ測定される、組織の圧縮、組織の厚さ、及び/又はエンドエフェクタを組織上で閉鎖するのに必要な力の測定値は、発射部材の選択された位置、及び/又は発射部材の速度の対応する値を特性決定するために、マイクロコントローラ461によって使用することができる。一例では、メモリ468は、評価の際にマイクロコントローラ461によって用いることができる技術、等式及び/又はルックアップテーブルを記憶することができる。
外科用器具又はツールの制御システム470はまた、図8~図11に示されるようにモジュール式通信ハブと通信するための有線又は無線通信回路を備えてもよい。
図13は、本開示の一態様による、外科用器具又はツールの態様を制御するように構成された制御回路500を示す。制御回路500は、本明細書に説明される様々なプロセスを実装するように構成することができる。制御回路500は、少なくとも1つのメモリ回路504に連結された1つ又は2つ以上のプロセッサ502(例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ)を備えるマイクロコントローラを備えることができる。メモリ回路504は、プロセッサ502によって実行されると、本明細書に記載される様々なプロセスを実装するための機械命令をプロセッサ502に実行させる、機械実行可能命令を記憶する。プロセッサ502は、当該技術分野で既知の多数のシングル又はマルチコアプロセッサのうちの任意の1つであってもよい。メモリ回路504は、揮発性及び不揮発性の記憶媒体を含むことができる。プロセッサ502は、命令処理ユニット506及び演算ユニット508を含んでもよい。命令処理ユニットは、本開示のメモリ回路504から命令を受信するように構成されてもよい。
図14は、本開示の一態様による、外科用器具又はツールの態様を制御するように構成された組み合わせ論理回路510を示す。組み合わせ論理回路510は、本明細書に説明される様々なプロセスを実装するように構成され得る。組み合わせ論理回路510は、入力514で外科用器具又はツールと関連付けられたデータを受信し、組み合わせ論理512によってデータを処理し、出力516を提供するように構成された組み合わせ論理512を含む有限状態マシンを含み得る。
図15は、本開示の一態様による、外科用器具又はツールの態様を制御するように構成された順序論理回路520を示す。順序論理回路520又は組み合わせ論理522は、本明細書に記載される様々なプロセスを実装するように構成することができる。順序論理回路520は有限状態マシンを含んでもよい。順序論理回路520は、例えば、組み合わせ論理522、少なくとも1つのメモリ回路524、及びクロック529を含んでもよい。少なくとも1つのメモリ回路524は、有限状態マシンの現在の状態を記憶することができる。特定の例では、順序論理回路520は、同期式又は非同期式であってもよい。組み合わせ論理522は、入力526から外科用器具又はツールと関連付けられたデータを受信し、組み合わせ論理522によってデータを処理し、出力528を提供するように構成される。他の態様では、回路は、プロセッサ(例えば、図13のプロセッサ502)と、本明細書の様々なプロセスを実装する有限状態マシンと、の組み合わせを含んでもよい。他の態様では、有限状態マシンは、組み合わせ論理回路(例えば図14の組み合わせ論理回路510)と順序論理回路520の組み合わせを含むことができる。
図16は、様々な機能を実行するために起動され得る複数のモータを備える外科用器具又はツールを示す。特定の例では、第1のモータを起動させて第1の機能を実行することができ、第2のモータを起動させて第2の機能を実行することができ、第3のモータを起動させて第3の機能を実行することができ、第4のモータを起動させて第4の機能を実行することができる、といった具合である。特定の例では、ロボット外科用器具600の複数のモータは個々に起動されて、エンドエフェクタにおいて発射運動、閉鎖運動、及び/又は関節運動を生じさせることができる。発射運動、閉鎖運動、及び/又は関節運動は、例えばシャフトアセンブリを介してエンドエフェクタに伝達することができる。
特定の例では、外科用器具システム又はツールは発射モータ602を含んでもよい。発射モータ602は、特に、Iビーム要素を変位させるために、モータ602によって生成される発射運動をエンドエフェクタに伝達するように構成され得る、発射駆動アセンブリ604に動作可能に連結され得る。特定の例では、モータ602によって生成される発射運動によって、例えば、ステープルをステープルカートリッジから、エンドエフェクタによって捕捉された組織内へと配備し、かつ/又はIビーム要素の切刃を前進させて、捕捉された組織を切断してもよい。Iビーム要素は、モータ602の方向を逆転させることによって後退させられ得る。
特定の例では、外科用器具又はツールは閉鎖モータ603を含んでもよい。閉鎖モータ603は、具体的には閉鎖管を変位させてアンビルを閉鎖し、アンビルとステープルカートリッジとの間で組織を圧縮するためにモータ603によって生成された閉鎖運動をエンドエフェクタに伝達するように構成され得る、閉鎖モータ駆動アセンブリ605と動作可能に連結されてもよい。閉鎖運動によって、例えば、エンドエフェクタが開放構成から接近構成へと遷移して組織を取り込むことができる。エンドエフェクタは、モータ603の方向を逆転させることによって開放位置に遷移され得る。
特定の例では、外科用器具又はツールは、例えば、1つ又は2つ以上の関節運動モータ606a、606bを含んでもよい。モータ606a、606bは、モータ606a、606bによって生成された関節運動をエンドエフェクタに伝達するように構成され得る、対応する関節運動モータ駆動アセンブリ608a、608bに動作可能に連結され得る。特定の例では、関節運動によって、例えば、エンドエフェクタがシャフトに対して関節運動することができる。
上述したように、外科用器具又はツールは、様々な独立した機能を実施するように構成され得る複数のモータを含んでもよい。特定の例では、外科用器具又はツールの複数のモータは、他のモータが停止した状態を維持している間に、独立して又は別個に起動させて、1つ又は2つ以上の機能を実施することができる。例えば、関節運動モータ606a、606bを起動させて、発射モータ602が停止した状態を維持している間に、エンドエフェクタを関節運動させることができる。代替的に、発射モータ602を起動させて、関節運動モータ606が停止している間に、複数のステープルを発射させ、及び/又は刃先を前進させることができる。更に、閉鎖モータ603は、本明細書の以下でより詳細に説明されるように、閉鎖管及びIビーム要素を遠位に前進させるために、発射モータ602と同時に起動されてもよい。
特定の例では、外科用器具又はツールは、外科用器具又はツールの複数のモータと共に用いることができる、共通の制御モジュール610を含んでもよい。特定の例では、共通の制御モジュール610は、一度に複数のモータのうちの1つに対応することができる。例えば、共通の制御モジュール610は、ロボット外科用器具の複数のモータに対して個々に連結及び分離が可能であってもよい。特定の例では、外科用器具又はツールの複数のモータは、共通の制御モジュール610などの1つ又は2つ以上の共通の制御モジュールを共有してもよい。特定の例では、外科用器具又はツールの複数のモータは、共通の制御モジュール610に独立してかつ選択的に係合することができる。特定の例では、共通の制御モジュール610は、外科用器具又はツールの複数のモータのうち一方との連携から、外科用器具又はツールの複数のモータのうちもう一方との連携へと選択的に切り替えることができる。
少なくとも1つの例では、共通の制御モジュール610は、関節運動モータ606a、606bとの動作可能な係合と、発射モータ602又は閉鎖モータ603のいずれかとの動作可能な係合と、の間で選択的に切り替えることができる。少なくとも1つの実施例では、図16に示すように、スイッチ614は、複数の位置及び/又は状態間を移動又は遷移させることができる。例えば、第1の位置616では、スイッチ614は、共通の制御モジュール610を発射モータ602と電気的に連結してもよく、第2の位置617では、スイッチ614は、共通の制御モジュール610を閉鎖モータ603と電気的に連結してもよく、第3の位置618aでは、スイッチ614は、共通の制御モジュール610を第1の関節運動モータ606aと電気的に連結してもよく、第4の位置618bでは、スイッチ614は、共通の制御モジュール610を第2の関節運動モータ606bと電気的に連結してもよい。特定の例では、同時に、別個の共通の制御モジュール610を、発射モータ602、閉鎖モータ603、及び関節運動モータ606a、606bと電気的に連結してもよい。特定の例では、スイッチ614は、機械的スイッチ、電気機械的スイッチ、固体スイッチ、又は任意の好適な切り替え機構であってもよい。
モータ602、603、606a、606bの各々は、モータのシャフト上の出力トルクを測定するためのトルクセンサを備えてもよい。エンドエフェクタ上の力は、ジョーの外側の力センサによって、又はジョーを作動させるモータのトルクセンサなどによって、任意の従来の方法で感知されてもよい。
様々な例では、図16に示されるように、共通の制御モジュール610は、1つ又は2つ以上のHブリッジFETを備え得るモータ駆動器626を備えてもよい。モータ駆動器626は、例えば、マイクロコントローラ620(「コントローラ」)からの入力に基づいて、電源628から共通の制御モジュール610に連結されたモータへと伝達された電力を変調してもよい。特定の例では、上述したように、例えば、モータが共通の制御モジュール610に連結されている間にマイクロコントローラ620を用いて、モータによって引き込まれる電流を判定することができる。
特定の例では、マイクロコントローラ620は、マイクロプロセッサ622(「プロセッサ」)と、1つ又は2つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体又はメモリユニット624(「メモリ」)と、を含んでもよい。特定の例では、メモリ624は、様々なプログラム命令を記憶することができ、それが実行されると、プロセッサ622に、本明細書に記載される複数の機能及び/又は計算を実施させることができる。特定の例では、メモリユニット624の1つ又は2つ以上が、例えば、プロセッサ622に連結されてもよい。
特定の例では、電源628を用いて、例えばマイクロコントローラ620に電力を供給してもよい。特定の例では、電源628は、例えばリチウムイオン電池などの電池(又は「電池パック」若しくは「パワーパック」)を含んでもよい。特定の例では、電池パックは、外科用器具600に電力を供給するため、ハンドルに解除可能に装着されるように構成されてもよい。直列で接続された多数の電池セルを、電源628として使用してもよい。特定の例では、電源628は、例えば、交換可能及び/又は再充電可能であってもよい。
様々な例では、プロセッサ622は、モータ駆動器626を制御して、共通の制御モジュール610に連結されたモータの位置、回転方向、及び/又は速度を制御することができる。特定の例では、プロセッサ622は、モータ駆動器626に信号伝達して、共通の制御モジュール610に連結されたモータを停止及び/又は使用不能にすることができる。「プロセッサ」という用語は、本明細書で使用されるとき、任意の好適なマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、又は、コンピュータの中央処理装置(central processing unit、CPU)の機能を1つの集積回路又は最大で数個の集積回路上で統合した他の基本コンピューティング装置を含むと理解されるべきである。プロセッサは、デジタルデータを入力として受理し、メモリに記憶された命令に従ってそのデータを処理し、結果を出力として提供する、多目的のプログラマブル素子である。これは、内部メモリを有するので、逐次的デジタル論理の一例である。プロセッサは、二進数法で表される数字及び記号で動作する。
一例では、プロセッサ622は、Texas Instruments製のARM Cortexの商品名で知られているものなど、任意のシングルコア又はマルチコアプロセッサであってもよい。特定の例では、マイクロコントローラ620は、例えばTexas Instrumentsから入手可能なLM 4F230H5QRであってもよい。少なくとも1つの実施例では、Texas InstrumentsのLM4F230H5QRは、製品データシートで容易に利用可能な機能の中でもとりわけ、最大40MHzの256KBのシングルサイクルフラッシュメモリ若しくは他の不揮発性メモリのオンチップメモリ、性能を40MHz超に改善するためのプリフェッチバッファ、32KBのシングルサイクルSRAM、StellarisWare(登録商標)ソフトウェアを搭載した内部ROM、2KBのEEPROM、1つ又は2つ以上のPWMモジュール、1つ又は2つ以上のQEIアナログ、12個のアナログ入力チャネルを備える1つ又は2つ以上の12ビットADCを含むARM Cortex-M4Fプロセッサコアである。他のマイクロコントローラが、モジュール4410と共に使用するのに容易に代用されてもよい。したがって、本開示は、この文脈に限定されるべきではない。
特定の例では、メモリ624は、共通の制御モジュール610に連結可能な外科用器具600のモータの各々を制御するためのプログラム命令を含んでもよい。例えば、メモリ624は、発射モータ602、閉鎖モータ603、及び関節運動モータ606a、606bを制御するためのプログラム命令を含んでもよい。このようなプログラム命令は、プロセッサ622に、外科用器具又はツールのアルゴリズム又は制御プログラムからの入力に従って、発射機能、閉鎖機能、及び関節運動機能を制御させることができる。
特定の例では、例えば、センサ630などの1つ又は2つ以上の機構及び/又はセンサを用いて、特定の設定で使用すべきプログラム命令をプロセッサ622に警告することができる。例えば、センサ630は、エンドエフェクタの発射、閉鎖、及び関節運動に関連するプログラム命令を使用するようにプロセッサ622に警告することができる。特定の例では、センサ630は、例えば、スイッチ614の位置を感知するために用いることができる位置センサを備えてもよい。したがって、プロセッサ622は、例えば、センサ630を介してスイッチ614が第1の位置616にあることを検出すると、エンドエフェクタのIビームの発射と関連付けられたプログラム命令を使用することができ、プロセッサ622は、例えば、センサ630を介してスイッチ614が第2の位置617にあることを検出すると、アンビルの閉鎖と関連付けられたプログラム命令を使用することができ、プロセッサ622は、例えば、センサ630を介してスイッチ614が第3の位置618a又は第4の位置618bにあることを検出すると、エンドエフェクタの関節運動と関連付けられたプログラム命令を使用することができる。
図17は、本開示の一態様による、本明細書で説明される外科用ツールを動作させるように構成されたロボット外科用器具700の回路図である。ロボット外科用器具700は、単一又は複数の関節運動駆動連結部のいずれかを用いて、変位部材の遠位/近位並進、閉鎖管の遠位/近位変位、シャフトの回転、及び関節運動を制御するようにプログラム又は構成されてもよい。一態様では、外科用器具700は、発射部材、閉鎖部材、シャフト部材、又は1つ若しくは2つ以上の関節運動部材を個別に制御するようにプログラム又は構成されてもよい。外科用器具700は、モータ駆動式の発射部材、閉鎖部材、シャフト部材、又は1つ若しくは2つ以上の関節運動部材を制御するように構成された制御回路710を備える。
一態様では、ロボット外科用器具700は、複数のモータ704a~704eを介して、エンドエフェクタ702のアンビル716及びIビーム714(鋭い切刃を含む)部分、取り外し可能なステープルカートリッジ718、シャフト740、並びに1つ又は2つ以上の関節運動部材742a、742bを制御するように構成された制御回路710を備える。位置センサ734は、Iビーム714の位置フィードバックを制御回路710に提供するように構成されてもよい。他のセンサ738は、制御回路710にフィードバックを提供するように構成されてもよい。タイマー/カウンタ731は、制御回路710にタイミング及びカウント情報を提供する。モータ704a~704eを動作させるためにエネルギー源712が設けられてもよく、電流センサ736はモータ電流フィードバックを制御回路710に提供する。モータ704a~704eは、開ループ又は閉ループフィードバック制御において制御回路710によって個別に動作させることができる。
一態様では、制御回路710は、1つ又は2つ以上のマイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、又はプロセッサ若しくは複数のプロセッサに1つ又は2つ以上のタスクを実施させる命令を実行するための他の好適なプロセッサを備えてもよい。一態様では、タイマー/カウンタ731は、経過時間又はデジタルカウントなどの出力信号を制御回路710に提供して位置センサ734によって判定されたIビーム714の位置をタイマー/カウンタ731の出力と相関させ、その結果、制御回路710は、Iビーム714が開始位置に対して特定の位置にあるときの、開始位置又は時間(t)に対する特定の時間(t)におけるIビーム714の位置を判定することができる。タイマー/カウンタ731は、経過時間を測定するか、外部事象を計数するか、又は外部事象の時間を測定するように構成されてもよい。
一態様では、制御回路710は、1つ又は2つ以上の組織状態に基づいてエンドエフェクタ702の機能を制御するようにプログラムされてもよい。制御回路710は、本明細書に説明されるように、直接的又は間接的のいずれかで厚さなどの組織状態を感知するようにプログラムされてもよい。制御回路710は、組織状態に基づいて発射制御プログラム又は閉鎖制御プログラムを選択するようにプログラムされてもよい。発射制御プログラムは、変位部材の遠位運動を記述することができる。様々な組織状態をより良好に処理するために様々な発射制御プログラムを選択することができる。例えば、より厚い組織が存在する場合、制御回路710は、変位部材をより低速で、かつ/又はより低電力で並進させるようにプログラムされてもよい。より薄い組織が存在する場合、制御回路710は、変位部材をより高速で、かつ/又はより高電力で並進させるようにプログラムされてもよい。閉鎖制御プログラムは、アンビル716によって組織に加えられる閉鎖力を制御し得る。他の制御プログラムは、シャフト740及び関節運動部材742a、742bの回転を制御する。
一態様では、制御回路710は、モータ設定点信号を生成し得る。モータ設定値信号は、様々なモータコントローラ708a~708eに提供されてもよい。モータコントローラ708a~708eは、本明細書で説明するように、モータ704a~704eにモータ駆動信号を提供してモータ704a~704eを駆動するように構成された1つ又は2つ以上の回路を備えてもよい。いくつかの実施例では、モータ704a~704eはブラシ付きDC電動モータであってもよい。例えば、モータ704a~704eの速度は、それぞれのモータ駆動信号に比例してもよい。いくつかの実施例では、モータ704a~704eはブラシレスDC電動モータであってもよく、それぞれのモータ駆動信号は、モータ704a~704eの1つ又は2つ以上の固定子巻線に提供されるPWM信号を含んでもよい。また、いくつかの実施例では、モータコントローラ708a~708eは省略されてもよく、制御回路710がモータ駆動信号を直接生成してもよい。
一態様では、制御回路710は、最初に、モータ704a~704eの各々を、変位部材のストロークの第1の開ループ部分では開ループ構成で動作させてもよい。ストロークの開ループ部分の間のロボット外科用器具700の応答に基づいて、制御回路710は、閉ループ構成の発射制御プログラムを選択してもよい。器具の応答としては、開ループ部分の間の変位部材の並進距離、開ループ部分の間に経過する時間、開ループ部分の間にモータ704a~704eのうちの1つに提供されるエネルギー、モータ駆動信号のパルス幅の合計などが挙げられ得る。開ループ部分の後で、制御回路710は、変位部材ストロークの第2の部分に対して選択された発射制御プログラムを実施してもよい。例えば、ストロークの閉ループ部分の間、制御回路710は、変位部材の位置を記述する並進データに基づいてモータ704a~704eのうちの1つを閉ループ式に変調して、変位部材を一定速度で並進させてもよい。
一態様では、モータ704a~704eは、エネルギー源712から電力を受け取ることができる。エネルギー源712は、主交流電源、電池、超コンデンサ、又は任意の他の好適なエネルギー源によって駆動されるDC電源であってもよい。モータ704a~704eは、それぞれの伝達装置706a~706eを介して、Iビーム714、アンビル716、シャフト740、関節運動742a、及び関節運動742bなどの個々の可動機械的要素に機械的に連結されてもよい。伝達装置706a~706eは、モータ704a~704eを可動機械的要素に連結するための1つ又は2つ以上のギア又は他の連結構成要素を含んでもよい。位置センサ734は、Iビーム714の位置を感知し得る。位置センサ734は、Iビーム714の位置を示す位置データを生成することができる任意の種類のセンサであってもよく、又はそれを含んでもよい。いくつかの実施例では、位置センサ734は、Iビーム714が遠位及び近位に並進すると一連のパルスを制御回路710に提供するように構成されたエンコーダを含んでもよい。制御回路710は、パルスを追跡してIビーム714の位置を判定してもよい。例えば近接センサを含む他の好適な位置センサが使用されてもよい。他の種類の位置センサは、Iビーム714の運動を示す他の信号を提供することができる。また、いくつかの実施例では、位置センサ734は省略されてもよい。モータ704a~704eのいずれかがステップモータである場合、制御回路710は、モータ704が実行するように指示された工程数及び方向を合計することによって、Iビーム714の位置を追跡することができる。位置センサ734は、エンドエフェクタ702内、又は器具の任意の他の部分に位置することができる。モータ704a~704eの各々の出力は、力を感知するためのトルクセンサ744a~744eを含み、駆動シャフトの回転を感知するエンコーダを有する。
一態様では、制御回路710は、エンドエフェクタ702のIビーム714部分などの発射部材を駆動するように構成されている。制御回路710はモータ制御部708aにモータ設定値を提供し、モータ制御部708aはモータ704aに駆動信号を提供する。モータ704aの出力シャフトは、トルクセンサ744aに連結される。トルクセンサ744aは、Iビーム714に連結された伝達装置706aに連結される。伝達装置706aは、エンドエフェクタ702の長手方向軸線に沿って遠位方向及び近位方向へのIビーム714の移動を制御するための回転要素及び発射部材などの可動機械的要素を備える。一態様では、モータ704aは、第1のナイフ駆動ギア及び第2のナイフ駆動ギアを含むナイフギア減速セットを含むナイフギアアセンブリに連結されてもよい。トルクセンサ744aは、制御回路710に発射力フィードバック信号を提供する。発射力信号は、Iビーム714を発射又は変位させるために必要な力を表す。位置センサ734は、発射ストロークに沿ったIビーム714の位置又は発射部材の位置を、フィードバック信号として制御回路710に提供するように構成されてもよい。エンドエフェクタ702は、制御回路710にフィードバック信号を提供するように構成された追加のセンサ738を含んでもよい。使用準備が整ったら、制御回路710は、モータ制御部708aに発射信号を提供することができる。発射信号に応答して、モータ704aは、発射部材をエンドエフェクタ702の長手方向軸線に沿って、近位のストローク開始位置からストローク開始位置の遠位にあるストローク終了位置まで遠位方向に駆動することができる。発射部材が遠位に並進すると、遠位端に位置付けられた切断要素を備えるIビーム714は、遠位に前進して、ステープルカートリッジ718とアンビル716との間に位置する組織を切断する。
一態様では、制御回路710は、エンドエフェクタ702のアンビル716部分などの閉鎖部材を駆動するように構成されている。制御回路710は、モータ704bに駆動信号を提供するモータ制御部708bにモータ設定点を提供する。モータ704bの出力シャフトは、トルクセンサ744bに連結される。トルクセンサ744bは、アンビル716に連結された伝達装置706bに連結される。伝達装置706bは、開放位置及び閉位置からのアンビル716の移動を制御するための回転要素及び閉鎖部材などの可動機械的要素を含む。一態様では、モータ704bは、閉鎖スパーギアと噛合係合して支持される閉鎖減速ギアセットを含む閉鎖ギアアセンブリに連結される。トルクセンサ744bは、制御回路710に閉鎖力フィードバック信号を提供する。閉鎖力フィードバック信号は、アンビル716に適用される閉鎖力を表す。位置センサ734は、閉鎖部材の位置をフィードバック信号として制御回路710に提供するように構成されてもよい。エンドエフェクタ702内の追加のセンサ738は、閉鎖力フィードバック信号を制御回路710に提供することができる。枢動可能なアンビル716は、ステープルカートリッジ718の反対側に位置決めされる。使用準備が整うと、制御回路710は、モータ制御部708bに閉鎖信号を提供することができる。閉鎖信号に応答して、モータ704bは、閉鎖部材を前進させて、クランプアーム716とステープルカートリッジ718との間で組織を把持する。
一態様では、制御回路710は、エンドエフェクタ702を回転させるためにシャフト740などのシャフト部材を回転させるように構成されている。制御回路710は、モータ704cに駆動信号を提供するモータ制御部708cにモータ設定点を提供する。モータ704cの出力シャフトは、トルクセンサ744cに連結される。トルクセンサ744cは、シャフト740に連結された伝達装置706cに連結される。伝達機構706cは、シャフト740の時計回り又は反時計回りの回転を360度まで及びそれを超えて制御するために回転要素などの可動機械的要素を含む。一態様では、モータ704cは、ツール装着プレート上に動作可能に支持された回転ギアアセンブリによって動作可能に係合されるように、近位閉鎖管の近位端上に形成された(又はこれに取り付けられた)管状ギアセグメントを含む回転伝達装置アセンブリに連結される。トルクセンサ744cは、制御回路710に回転力フィードバック信号を提供する。回転力フィードバック信号は、シャフト740に加えられる回転力を表す。位置センサ734は、閉鎖部材の位置をフィードバック信号として制御回路710に提供するように構成されてもよい。シャフトエンコーダなどの追加のセンサ738が、シャフト740の回転位置を制御回路710に提供してもよい。
一態様では、制御回路710は、エンドエフェクタ702を関節運動させるように構成されている。制御回路710は、モータ704dに駆動信号を提供するモータ制御部708dにモータ設定点を提供する。モータ704dの出力シャフトは、トルクセンサ744dに連結される。トルクセンサ744dは、関節運動部材742aに連結された伝達装置706dに連結される。伝達装置706dは、エンドエフェクタ702の±65°の関節運動を制御するための関節運動要素などの可動機械的要素を含む。一態様では、モータ704dは、関節運動ナットに連結され、関節運動ナットは、遠位スパイン部分の近位端部分上で回転可能に軸支され、遠位スパイン部分の近位端部分上で関節運動ギアアセンブリによって回転可能に駆動される。トルクセンサ744dは、制御回路710に関節運動力フィードバック信号を提供する。関節運動力フィードバック信号は、エンドエフェクタ702に適用される関節運動力を表す。関節運動エンコーダなどのセンサ738は、エンドエフェクタ702の関節運動位置を制御回路710に提供してもよい。
別の態様では、ロボット外科システム700の関節運動機能は、2つの関節運動部材、又は連結部742a、742bを含んでもよい。これらの関節運動部材742a、742bは、2つのモータ708d、708eによって駆動されるロボットインターフェース(ラック)上の別個のディスクによって駆動される。個別の発射モータ704aが提供されると、ヘッドが運動していないときにヘッドに抵抗保持運動及び負荷を提供するために、かつヘッドが関節運動しているときに関節運動を提供するために、関節運動連結部742a、742bの各々は他の連結部に対して拮抗的に駆動され得る。関節運動部材742a、742bは、ヘッドが回転するときに固定された半径でヘッドに取り付けられる。したがって、ヘッドが回転すると、プッシュプル連結部の機械効率は変化する。この機械効率の変化は、他の関節運動連結部の駆動システムでより顕著であり得る。
一態様では、1つ又は2つ以上のモータ704a~704eは、ギアボックス、及び発射部材、閉鎖部材、又は関節運動部材への機械的連結部を備えるブラシ付きDCモータを備えてもよい。別の例としては、変位部材、関節運動連結部、閉鎖管、及びシャフトなどの可動機械的要素を動作させる電動モータ704a~704eが挙げられる。外部影響とは、組織、周囲体、及び物理系上の摩擦などのものの、測定されていない予測不可能な影響である。こうした外部影響は、電動モータ704a~704eの1つに反して作用する障害(drag)と称されることがある。障害などの外部影響は、物理系の動作を物理系の所望の動作から逸脱させることがある。
一態様では、位置センサ734は、絶対位置決めシステムとして実装されてもよい。一態様では、位置センサ734は、Austria Microsystems,AGから入手可能なAS5055EQFTシングルチップ磁気回転位置センサとして実装される磁気回転絶対位置決めシステムを備えてもよい。位置センサ734は、制御回路710と連係して絶対位置決めシステムを提供することができる。位置は、磁石の上方に位置し、加算、減算、ビットシフト、及びテーブル参照演算のみを必要とする、双曲線関数及び三角関数を計算する簡潔かつ効率的なアルゴリズムを実装するために設けられた、桁毎法及びボルダーアルゴリズムとしても知られるCORDICプロセッサに連結された、複数のホール効果素子を含み得る。
一態様では、制御回路710は、1つ又は2つ以上のセンサ738と通信してもよい。センサ738は、エンドエフェクタ702上に位置付けられ、ロボット外科用器具700と共に動作して、間隙距離対時間、組織圧縮対時間、及びアンビル歪み対時間などの様々な導出パラメータを測定するように適合されてもよい。センサ738は、磁気センサ、磁界センサ、歪みゲージ、ロードセル、圧力センサ、力センサ、トルクセンサ、渦電流センサなどの誘導センサ、抵抗センサ、容量センサ、光学センサ、及び/又はエンドエフェクタ702の1つ又は2つ以上のパラメータを測定するための任意の他の好適なセンサを備えてもよい。センサ738は、1つ又は2つ以上のセンサを含み得る。センサ738は、分割された電極を使用して組織の位置を判定するために、ステープルカートリッジ718のデッキ上に配置されてもよい。トルクセンサ744a~744eは、とりわけ、発射力、閉鎖力、及び/又は関節運動力などの力を感知するように構成されてもよい。したがって、制御回路710は、(1)遠位閉鎖管によって経験される閉鎖負荷及びその位置、(2)ラックにある発射部材及びその位置、(3)ステープルカートリッジ718のどの部分がその上に組織を有しているか、並びに(4)両方の関節運動ロッド上の負荷及び位置を感知することができる。
一態様では、1つ又は2つ以上のセンサ738は、把持状態の間のアンビル716における歪みの大きさを測定するように構成された、微小歪みゲージなどの歪みゲージを備えてもよい。歪みゲージは、歪みの大きさに伴って振幅が変動する電気信号を提供する。センサ738は、アンビル716とステープルカートリッジ718との間で圧縮された組織の存在によって生成された圧力を検出するように構成された圧力センサを備えてもよい。センサ738は、アンビル716とステープルカートリッジ718との間に位置する組織部分のインピーダンスを検出するように構成されてもよく、このインピーダンスは、それらの間に位置する組織の厚さ及び/又は充満度を示す。
一態様では、センサ738は、とりわけ、1つ又は2つ以上のリミットスイッチ、電気機械装置、固体スイッチ、ホール効果装置、磁気抵抗(magneto-resistive、MR)装置、巨大磁気抵抗(giant magneto-resistive、GMR)装置、磁力計として実装されてもよい。他の実装形態では、センサ738は、とりわけ光センサ、IRセンサ、紫外線センサなどの光の影響下で動作する固体スイッチとして実装されてもよい。更に、スイッチは、トランジスタ(例えば、FET、接合FET、MOSFET、双極など)などの固体装置であってもよい。他の実装形態では、センサ738は、とりわけ、導電体非含有スイッチ、超音波スイッチ、加速度計、及び慣性センサを含んでもよい。
一態様では、センサ738は、閉鎖駆動システムによってアンビル716に及ぼされる力を測定するように構成され得る。例えば、1つ又は2つ以上のセンサ738は、閉鎖管によってアンビル716に加えられる閉鎖力を検出するために、閉鎖管とアンビル716との間の相互作用点に位置してもよい。アンビル716に対して及ぼされる力は、アンビル716とステープルカートリッジ718との間に捕捉された組織部分が経験する組織圧縮を表すものであり得る。1つ又は2つ以上のセンサ738を、閉鎖駆動システムに沿って様々な相互作用点に配置して、閉鎖駆動システムによりアンビル716に適用される閉鎖力を検出することができる。1つ又は2つ以上のセンサ738は、制御回路710のプロセッサによるクランプ動作中にリアルタイムでサンプリングされてもよい。制御回路710は、リアルタイムのサンプル測定値を受信して時間ベースの情報を提供及び分析し、アンビル716に適用される閉鎖力をリアルタイムで評価する。
一態様では、電流センサ736を用いて、モータ704a~704eの各々によって引き込まれる電流を測定することができる。Iビーム714などの可動機械的要素のいずれかを前進させるのに必要な力は、モータ704a~704eのうちの1つによって引き込まれる電流に対応する。力はデジタル信号に変換されて、制御回路710に提供される。制御回路710は、器具の実際のシステムの応答をコントローラのソフトウェアでシミュレートするように構成され得る。変位部材を作動させて、エンドエフェクタ702内のIビーム714を目標速度又はその付近で移動させることができる。ロボット外科用器具700は、フィードバックコントローラを含むことができ、フィードバックコントローラは、例えば、PID、状態フィードバック、線形二次(linear-quadratic、LQR)、及び/又は適応コントローラが挙げられるがこれらに限定されない任意のフィードバックコントローラのうちのいずれか1つであってもよい。ロボット外科用器具700は、フィードバックコントローラからの信号を、例えば、ケース電圧、PWM電圧、周波数変調電圧、電流、トルク、及び/又は力などの物理的入力に変換するための電源を含むことができる。更なる詳細は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2017年6月29日出願の「CLOSED LOOP VELOCITY CONTROL TECHNIQUES FOR ROBOTIC SURGICAL INSTRUMENT」と題する米国特許出願第15/636,829号に開示されている。
図18は、本開示の一態様による、変位部材の遠位並進を制御するようにプログラムされた外科用器具750のブロック図を示す。一態様では、外科用器具750は、Iビーム764などの変位部材の遠位並進を制御するようにプログラムされる。外科用器具750は、アンビル766、Iビーム764(鋭い切刃を含む)、及び取り外し可能なステープルカートリッジ768を備え得るエンドエフェクタ752を備える。
Iビーム764などの直線変位部材の位置、移動、変位、及び/又は並進は、絶対位置決めシステム、センサ機構、及び位置センサ784によって測定することができる。Iビーム764が長手方向に移動可能な駆動部材に連結されているため、Iビーム764の位置は、位置センサ784を使用する長手方向に移動可能な駆動部材の位置を測定することによって判定することができる。したがって、以下の説明では、Iビーム764の位置、変位、及び/又は並進は、本明細書に記載される位置センサ784によって達成され得る。制御回路760は、Iビーム764などの変位部材の並進を制御するようにプログラムされてもよい。いくつかの実施例では、制御回路760は、1つ若しくは2つ以上のマイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、又はプロセッサ若しくは複数のプロセッサに、説明される方法で変位部材、例えばIビーム764を制御させる命令を実行するための他の好適なプロセッサを備えてもよい。一態様では、タイマー/カウンタ781は、経過時間又はデジタルカウントなどの出力信号を制御回路760に提供して、位置センサ784によって判定されたIビーム764の位置をタイマー/カウンタ781の出力と相関させ、その結果、制御回路760は、開始位置に対する特定の時間(t)におけるIビーム764の位置を判定することができる。タイマー/カウンタ781は、経過時間を測定するか、外部事象を計数するか、又は外部事象の時間を測定するように構成されてよい。
制御回路760は、モータ設定点信号772を生成してもよい。モータ設定点信号772は、モータコントローラ758に提供されてもよい。モータコントローラ758は、本明細書で説明するように、モータ754にモータ駆動信号774を提供してモータ754を駆動するように構成された1つ又は2つ以上の回路を備えてもよい。いくつかの実施例では、モータ754は、ブラシ付きDC電動モータであってもよい。例えば、モータ754の速度は、モータ駆動信号774に比例してもよい。いくつかの例では、モータ754はブラシレスDC電動モータであってもよく、モータ駆動信号774は、モータ754の1つ又は2つ以上の固定子巻線に提供されるPWM信号を含んでもよい。また、いくつかの実施例では、モータコントローラ758は省略されてもよく、制御回路760がモータ駆動信号774を直接生成してもよい。
モータ754は、エネルギー源762から電力を受信することができる。エネルギー源762は、電池、超コンデンサ、又は任意の他の好適なエネルギー源であってもよく、あるいはそれを含んでもよい。モータ754は、伝達装置756を介してIビーム764に機械的に連結され得る。伝達装置756は、モータ754をIビーム764に連結するための1つ若しくは2つ以上の歯車又は他の連結構成要素を含んでもよい。位置センサ784は、Iビーム764の位置を感知し得る。位置センサ784は、Iビーム764の位置を示す位置データを生成することができる任意の種類のセンサであってもよく、又はそれを含んでもよい。いくつかの実施例では、位置センサ784は、Iビーム764が遠位及び近位に並進すると一連のパルスを制御回路760に提供するように構成されたエンコーダを含んでもよい。制御回路760は、パルスを追跡してIビーム764の位置を判定してもよい。例えば近接センサを含む他の好適な位置センサが使用されてもよい。他の種類の位置センサは、Iビーム764の運動を示す他の信号を提供することができる。また、いくつかの実施例では、位置センサ784は省略されてもよい。モータ754がステップモータである場合、制御回路760は、モータ754が実行するように指示された工程数及び方向を合計することによって、Iビーム764の位置を追跡することができる。位置センサ784は、エンドエフェクタ752内、又は器具の任意の他の部分に位置することができる。
制御回路760は、1つ又は2つ以上のセンサ788と通信することができる。センサ788は、エンドエフェクタ752上に位置付けられ、外科用器具750と共に動作して、間隙距離対時間、組織圧縮対時間、及びアンビル歪み対時間などの様々な導出パラメータを測定するように適合され得る。センサ788は、磁気センサ、磁界センサ、歪みゲージ、圧力センサ、力センサ、渦電流センサなどの誘導センサ、抵抗センサ、容量センサ、光学センサ、及び/又はエンドエフェクタ752の1つ若しくは2つ以上のパラメータを測定するための任意の他の好適なセンサを備え得る。センサ788は、1つ又は2つ以上のセンサを含み得る。
1つ又は2つ以上のセンサ788は、クランプ留め状態の間のアンビル766における歪みの大きさを測定するように構成された、微小歪みゲージなどの歪みゲージを備えてもよい。歪みゲージは、歪みの大きさに伴って振幅が変動する電気信号を提供する。センサ788は、アンビル766とステープルカートリッジ768との間で圧縮された組織の存在によって生成された圧力を検出するように構成された圧力センサを備えてもよい。センサ788は、アンビル766とステープルカートリッジ768との間に位置する組織部分のインピーダンスを検出するように構成されてもよく、このインピーダンスは、それらの間に位置する組織の厚さ及び/又は充満度を示す。
センサ788は、閉鎖駆動システムにより、アンビル766上に及ぼされる力を測定するように構成されてよい。例えば、1つ又は2つ以上のセンサ788は、閉鎖管によってアンビル766に加えられる閉鎖力を検出するために、閉鎖管とアンビル766との間の相互作用点に位置してもよい。アンビル766に対して及ぼされる力は、アンビル766とステープルカートリッジ768との間に捕捉された組織部分が経験する組織圧縮を表すものであり得る。1つ又は2つ以上のセンサ788を、閉鎖駆動システムに沿って様々な相互作用点に配置して、閉鎖駆動システムによりアンビル766に適用される閉鎖力を検出することができる。1つ又は2つ以上のセンサ788は、制御回路760のプロセッサによるクランプ動作中にリアルタイムでサンプリングされてもよい。制御回路760は、リアルタイムのサンプル測定値を受信して時間ベースの情報を提供及び分析し、アンビル766に適用される閉鎖力をリアルタイムで評価する。
モータ754によって引き込まれる電流を測定するために、電流センサ786を用いることができる。Iビーム764を前進させるのに必要な力は、モータ754によって引き込まれる電流に対応する。力はデジタル信号に変換されて、制御回路760に提供される。
制御回路760は、器具の実際のシステムの応答をコントローラのソフトウェアでシミュレートするように構成され得る。変位部材を作動させて、エンドエフェクタ752内のIビーム764を目標速度又はその付近で移動させることができる。外科用器具750は、フィードバックコントローラを含むことができ、フィードバックコントローラは、例えば、PID、状態フィードバック、LQR、及び/又は適応コントローラが挙げられるがこれらに限定されない任意のフィードバックコントローラのうちのいずれか1つであってもよい。外科用器具750は、フィードバックコントローラからの信号を、例えば、ケース電圧、PWM電圧、周波数変調電圧、電流、トルク、及び/又は力などの物理的入力に変換するための電源を含むことができる。
外科用器具750の実際の駆動システムは、ギアボックス、並びに関節運動及び/又はナイフシステムへの機械的連結部を備えるブラシ付きDCモータによって、変位部材、切断部材、又はIビーム764を駆動するように構成されている。別の例は、交換式シャフトアセンブリの、例えば、変位部材及び関節運動ドライバを動作させる電気モータ754である。外部影響とは、組織、周囲体、及び物理系上の摩擦などのものの、測定されていない予測不可能な影響である。こうした外部影響は、電気モータ754に反して作用する障害と称されることがある。障害などの外部影響は、物理系の動作を物理系の所望の動作から逸脱させることがある。
様々な例示的態様は、モータ駆動の外科用ステープル留め及び切断手段を有するエンドエフェクタ752を備える外科用器具750を対象とする。例えば、モータ754は、エンドエフェクタ752の長手方向軸線に沿って遠位方向及び近位方向に変位部材を駆動してもよい。エンドエフェクタ752は、枢動可能なアンビル766と、使用のために構成される場合は、アンビル766の反対側に配置されたステープルカートリッジ768とを備えてもよい。臨床医は、本明細書に説明されるように、アンビル766とステープルカートリッジ768との間に組織を把持してもよい。器具750を使用する準備が整った場合、臨床医は、例えば、器具750のトリガを押すことによって発射信号を提供してもよい。発射信号に応答して、モータ754は、変位部材をエンドエフェクタ752の長手方向軸線に沿って、近位のストローク開始位置からストローク開始位置の遠位にあるストローク終了位置まで遠位方向に駆動することができる。変位部材が遠位方向に並進するにつれて、遠位端に配置された切断要素を有するIビーム764は、ステープルカートリッジ768とアンビル766との間の組織を切断することができる。
様々な実施例で、外科用器具750は、1つ又は2つ以上の組織状態に基づいて、例えば、Iビーム764などの変位部材の遠位並進を制御するようにプログラムされた制御回路760を備えてもよい。制御回路760は、本明細書に説明されるように、直接的又は間接的のいずれかで厚さなどの組織状態を感知するようにプログラムされてもよい。制御回路760は、組織状態に基づいて発射制御プログラムを選択するようにプログラムされてもよい。発射制御プログラムは、変位部材の遠位運動を記述することができる。様々な組織状態をより良好に処理するために様々な発射制御プログラムを選択することができる。例えば、より厚い組織が存在する場合、制御回路760は、変位部材をより低速で、かつ/又はより低電力で並進させるようにプログラムされてもよい。より薄い組織が存在する場合、制御回路760は、変位部材をより高速で、かつ/又はより高電力で並進させるようにプログラムされてもよい。
いつくかの実施例では、制御回路760は、最初に、モータ754を、変位部材のストロークの第1の開ループ部分に対する開ループ構成で動作させてもよい。ストロークの開ループ部分の間の器具750の応答に基づいて、制御回路760は、発射制御プログラムを選択してもよい。器具の応答としては、開ループ部分の間の変位部材の並進距離、開ループ部分の間に経過する時間、開ループ部分の間にモータ754に提供されるエネルギー、モータ駆動信号のパルス幅の合計などが挙げられ得る。開ループ部分の後、制御回路760は、変位部材ストロークの第2の部分に対して、選択された発射制御プログラムを実施してもよい。例えば、ストロークの閉ループ部分の間、制御回路760は、変位部材の位置を記述する並進データに基づいてモータ754を閉ループ式に変調して、変位部材を一定速度で並進させてもよい。更なる詳細は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2017年9月29日出願の「SYSTEM AND METHODS FOR CONTROLLING A DISPLAY OF A SURGICAL INSTRUMENT」と題する米国特許出願第15/720,852号に開示されている。
図19は、本開示の一態様に従った、様々な機能を制御するように構成された外科用器具790の概略図である。一態様では、外科用器具790は、Iビーム764などの変位部材の遠位並進を制御するようにプログラムされる。外科用器具790は、アンビル766と、Iビーム764と、RFカートリッジ796(破線で示す)と交換することができる着脱可能なステープルカートリッジ768と、を備え得る、エンドエフェクタ792を備える。
一態様では、センサ788は、とりわけ、リミットスイッチ、電気機械装置、固体スイッチ、ホール効果装置、MR装置、GMR装置、磁力計として実装されてもよい。他の実装形態では、センサ638は、とりわけ光センサ、IRセンサ、紫外線センサなどの光の影響下で動作する固体スイッチであってもよい。更に、スイッチは、トランジスタ(例えば、FET、接合FET、MOSFET、双極など)などの固体装置であってもよい。他の実装形態では、センサ788は、とりわけ、導電体非含有スイッチ、超音波スイッチ、加速度計、及び慣性センサを含んでもよい。
一態様では、位置センサ784は、Austria Microsystems,AGから入手可能なAS5055EQFTシングルチップ磁気回転位置センサとして実装される磁気回転絶対位置決めシステムを備える絶対位置決めシステムとして実装されてもよい。位置センサ784は、制御回路760と連係して絶対位置決めシステムを提供することができる。位置は、磁石の上方に位置し、加算、減算、ビットシフト、及びテーブル参照演算のみを必要とする、双曲線関数及び三角関数を計算する簡潔かつ効率的なアルゴリズムを実装するために設けられた、桁毎法及びボルダーアルゴリズムとしても知られるCORDICプロセッサに連結された、複数のホール効果素子を含み得る。
一態様では、Iビーム764は、上に組織切断刃を動作可能に支持するナイフ本体を備えるナイフ部材として実装されてもよく、アンビル係合タブ又は特徴部、及び通路係合特徴部又は足部を更に含み得る。一態様では、ステープルカートリッジ768は、標準的な(機械式)外科用締結具カートリッジとして実装され得る。一態様では、RFカートリッジ796は、RFカートリッジとして実装され得る。これら、及び他のセンサ構成は、その全体が本明細書に参照により組み込まれる、2017年6月20日出願の共同所有の米国特許出願第15/628,175号、表題「TECHNIQUES FOR ADAPTIVE CONTROL OF MOTOR VELOCITY OF A SURGICAL STAPLING AND CUTTING INSTRUMENT」に説明されている。
Iビーム764などの直線変位部材の位置、移動、変位、及び/又は並進は、絶対位置決めシステム、センサ構成、及び位置センサ784として表される位置センサにより、測定可能である。Iビーム764が長手方向に移動可能な駆動部材に連結されているため、Iビーム764の位置は、位置センサ784を使用する長手方向に移動可能な駆動部材の位置を測定することによって判定することができる。したがって、以下の説明では、Iビーム764の位置、変位、及び/又は並進は、本明細書に記載される位置センサ784によって達成され得る。制御回路760は、本明細書に説明されるように、Iビーム764などの変位部材の並進を制御するようにプログラムされてもよい。いくつかの実施例では、制御回路760は、1つ若しくは2つ以上のマイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、又はプロセッサ若しくは複数のプロセッサに、説明される方法で変位部材、例えばIビーム764を制御させる命令を実行するための他の好適なプロセッサを備えてもよい。一態様では、タイマー/カウンタ781は、経過時間又はデジタルカウントなどの出力信号を制御回路760に提供して、位置センサ784によって判定されたIビーム764の位置をタイマー/カウンタ781の出力と相関させ、その結果、制御回路760は、開始位置に対する特定の時間(t)におけるIビーム764の位置を判定することができる。タイマー/カウンタ781は、経過時間を測定するか、外部事象を計数するか、又は外部事象の時間を測定するように構成されてよい。
制御回路760は、モータ設定点信号772を生成してもよい。モータ設定点信号772は、モータコントローラ758に提供されてもよい。モータコントローラ758は、本明細書で説明するように、モータ754にモータ駆動信号774を提供してモータ754を駆動するように構成された1つ又は2つ以上の回路を備えてもよい。いくつかの実施例では、モータ754は、ブラシ付きDC電動モータであってもよい。例えば、モータ754の速度は、モータ駆動信号774に比例してもよい。いくつかの例では、モータ754はブラシレスDC電動モータであってもよく、モータ駆動信号774は、モータ754の1つ又は2つ以上の固定子巻線に提供されるPWM信号を含んでもよい。また、いくつかの実施例では、モータコントローラ758は省略されてもよく、制御回路760がモータ駆動信号774を直接生成してもよい。
モータ754は、エネルギー源762から電力を受信することができる。エネルギー源762は、電池、超コンデンサ、又は任意の他の好適なエネルギー源であってもよく、あるいはそれを含んでもよい。モータ754は、伝達装置756を介してIビーム764に機械的に連結され得る。伝達装置756は、モータ754をIビーム764に連結するための1つ若しくは2つ以上の歯車又は他の連結構成要素を含んでもよい。位置センサ784は、Iビーム764の位置を感知し得る。位置センサ784は、Iビーム764の位置を示す位置データを生成することができる任意の種類のセンサであってもよく、又はそれを含んでもよい。いくつかの実施例では、位置センサ784は、Iビーム764が遠位及び近位に並進すると一連のパルスを制御回路760に提供するように構成されたエンコーダを含んでもよい。制御回路760は、パルスを追跡してIビーム764の位置を判定してもよい。例えば、近接センサを含む、他の好適な位置センサが使用されてもよい。他の種類の位置センサは、Iビーム764の運動を示す他の信号を提供することができる。また、いくつかの実施例では、位置センサ784は、省略されてもよい。モータ754がステップモータである場合、制御回路760は、モータが実行するように指示された工程数及び方向を合計することによって、Iビーム764の位置を追跡することができる。位置センサ784は、エンドエフェクタ792内、又は器具の任意の他の部分に位置することができる。
制御回路760は、1つ又は2つ以上のセンサ788と通信することができる。センサ788は、エンドエフェクタ792上に位置付けられ、外科用器具790と共に動作して、間隙距離対時間、組織圧縮対時間、及びアンビル歪み対時間などの様々な導出パラメータを測定するように適合され得る。センサ788は、磁気センサ、磁界センサ、歪みゲージ、圧力センサ、力センサ、渦電流センサなどの誘導センサ、抵抗センサ、容量センサ、光学センサ、及び/又はエンドエフェクタ792の1つ若しくは2つ以上のパラメータを測定するための任意の他の好適なセンサを備え得る。センサ788は、1つ又は2つ以上のセンサを含み得る。
1つ又は2つ以上のセンサ788は、クランプ留め状態の間のアンビル766における歪みの大きさを測定するように構成された、微小歪みゲージなどの歪みゲージを備え得る。歪みゲージは、歪みの大きさに伴って振幅が変動する電気信号を提供する。センサ788は、アンビル766とステープルカートリッジ768との間で圧縮された組織の存在によって生成された圧力を検出するように構成された圧力センサを備え得る。センサ788は、アンビル766とステープルカートリッジ768との間に位置する組織部分のインピーダンスを検出するように構成されてもよく、このインピーダンスは、それらの間に位置する組織の厚さ及び/又は充満度を示す。
センサ788は、閉鎖駆動システムにより、アンビル766上に及ぼされる力を測定するように構成され得る。例えば、1つ又は2つ以上のセンサ788は、閉鎖管によってアンビル766に加えられる閉鎖力を検出するために、閉鎖管とアンビル766との間の相互作用点に位置し得る。アンビル766に対して及ぼされる力は、アンビル766とステープルカートリッジ768との間に捕捉された組織部分が経験する組織圧縮を表すものであり得る。1つ又は2つ以上のセンサ788を、閉鎖駆動システムに沿って様々な相互作用点に配置して、閉鎖駆動システムによりアンビル766に適用される閉鎖力を検出することができる。1つ又は2つ以上のセンサ788は、制御回路760のプロセッサ部分によって、クランプ動作中にリアルタイムでサンプリングされてもよい。制御回路760は、リアルタイムのサンプル測定値を受信して、時間ベースの情報を提供及び分析し、アンビル766に適用される閉鎖力をリアルタイムで評価する。
モータ754によって引き込まれる電流を測定するために、電流センサ786を用いることができる。Iビーム764を前進させるのに必要な力は、モータ754によって引き込まれる電流に対応する。力はデジタル信号に変換されて、制御回路760に提供される。
RFエネルギー源794は、エンドエフェクタ792に連結され、RFカートリッジ796が、ステープルカートリッジ768の代わりにエンドエフェクタ792にロードされるときに、RFカートリッジ796に適用される。制御回路760は、RFエネルギーのRFカートリッジ796への送達を制御する。
更なる詳細は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2017年6月28日出願の「SURGICAL SYSTEM COUPLABLE WITH STAPLE CARTRIDGE AND RADIO FREQUENCY CARTRIDGE,AND METHOD OF USING SAME」と題する米国特許出願第15/636,096号に開示されている。
発生器ハードウェア
図20は、他の利点の中でも、インダクタレス同調を提供するように構成された発生器800の簡略ブロック図である。発生器800の追加の詳細は、2015年6月23日出願の米国特許第9,060,775号、表題「SURGICAL GENERATOR FOR ULTRASONIC AND ELECTROSURGICAL DEVICES」に説明されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。発生器800は、電力変圧器806を介して非絶縁段階804と通信する患者絶縁段階802を含んでもよい。電力変圧器806の二次巻線808は、絶縁段階802内に収容され、例えば、超音波外科用器具、RF電気外科用器具、並びに単独又は同時に送達可能な超音波及びRFエネルギーモードを含む多機能型外科用器具などの様々な外科用器具に駆動信号を送達するために駆動信号出力部810a、810b、810cを画定するためのタップ構成(例えば、センタタップ又は非センタタップ構成)を備え得る。具体的には、駆動信号出力部810a、810cは、超音波駆動信号(例えば、420Vの二乗平均根(root-meanaquare、RMS)駆動信号)を超音波外科用器具に出力してもよく、駆動信号出力部810b、810cは、電力変圧器806のセンタタップに対応する駆動出力部810bにより、電気外科用駆動信号(例えば、100VのRMS駆動信号)をRF電気外科用器具に出力してもよい。
特定の形態では、超音波及び電気外科用の駆動信号は、別個の外科用器具に、及び/又は超音波エネルギー及び電気外科用エネルギーの両方を組織に送達する能力を有する、多機能外科用器具などの単一の外科用器具に、同時に供給されてもよい。専用の電気外科用器具及び/又は複合多機能超音波/電気外科用器具のどちらかへと提供される電気外科用信号は、治療用又は治療量以下のレベルの信号のどちらかであり、治療量以下の信号は、例えば、組織又は器具状態を監視して、発生器へとフィードバックを提供することに使用され得る、と理解されよう。例えば、超音波及びRF信号は、以下でより詳細に考察されるように、所望の出力信号を外科用器具に提供するために、単一の出力ポートを有する発生器から別個に又は同時に送達され得る。したがって、発生器は、超音波エネルギー及び電気外科用RFエネルギーを組み合わせて、複合エネルギーを多機能超音波/電気外科用器具に送達することができる。双極電極は、エンドエフェクタの一方又は両方のジョーの上に配置することができる。一方のジョーは、同時に働く、電気外科用RFエネルギーに加えて超音波エネルギーによって駆動されてもよい。超音波エネルギーが組織を切開するために用いられてもよい一方で、電気外科用RFエネルギーは、血管封止に用いられてもよい。
非絶縁段階804は、電力変圧器806の一次巻線814に接続された出力部を有する電力増幅器812を含むことができる。ある特定の形態では、電力増幅器812は、プッシュプル増幅器を含んでもよい。例えば、非絶縁段階804は、対応するアナログ信号を電力増幅器812の入力に続いて供給するデジタル-アナログ変換器(DAC)回路818に、デジタル出力を供給するための論理装置816を更に含んでもよい。特定の形態では、論理装置816は、他の論理回路の中でも、例えば、プログラマブルゲートアレイ(programmable gate array、PGA)、FPGA、プログラマブル論理装置(programmable logic device、PLD)を含んでもよい。したがって、論理装置816は、DAC回路818を介して電力増幅器812の入力を制御することにより、駆動信号入力部810a、810b、810cで出現する駆動信号の多くのパラメータ(例えば、周波数、波形、波形振幅)のうちのいずれかを、制御することができる。特定の形態では、また以下で考察されるように、論理装置816は、プロセッサ(例えば、以下で考察されるDSP)と共に、いくつかのDSPベースの及び/又は他の制御アルゴリズムを実装して、発生器800によって出力される駆動信号のパラメータを制御することができる。
電力は、スイッチモードレギュレータ820、例えば、電力変換装置によって、電力増幅器812の電力レールに供給され得る。ある特定の形態では、スイッチモードレギュレータ820は、例えば、調整可能なバックレギュレータを含んでもよい。非絶縁段階804は、第1のプロセッサ822を更に含んでもよく、この第1のプロセッサは、一形態では、例えば、Analog Devices(Norwood,MA)から入手可能なAnalog Devices ADSP-21469 SHARC DSPなどのDSPプロセッサを含んでもよいが、様々な形態において、任意の好適なプロセッサが使用されてもよい。特定の形態では、DSPプロセッサ822は、電力増幅器812からDSPプロセッサ822がADC回路824を介して受信する、電圧フィードバックデータに応答するスイッチ-モードレギュレータ820の動作を制御し得る。一形態では、例えば、DSPプロセッサ822は、電力増幅器812によって増幅された信号(例えば、RF信号)の波形エンベロープを、ADC回路824を介して入力として受信し得る。次いで、DSPプロセッサ822は、電力増幅器812に供給されるレール電圧が、増幅された信号の波形エンベロープを追跡するように、スイッチ-モード調節器820(例えば、PWM出力を介して)を制御し得る。波形エンベロープに基づいて、電力増幅器812のレール電圧を動的に変調することにより、電力増幅器812の効率は、固定レール電圧増幅器スキームに対して顕著に改善され得る。
特定の形態では、論理装置816は、DSPプロセッサ822と共に、直接デジタルシンセサイザ制御スキームなどのデジタル合成回路を実装して、発生器800によって出力される駆動信号の波形形状、周波数及び/又は振幅を制御してもよい。一形態では、例えば、論理装置816は、FPGA内に埋め込まれてもよいRAM LUTなどの、動的に更新されるルックアップテーブル(lookup table、LUT)内に記憶された波形サンプルを呼び出すことによって、DDS制御アルゴリズムを実装してもよい。この制御アルゴリズムは、超音波変換器などの超音波変換器が、その共振周波数における明瞭な正弦波電流によって駆動され得る超音波用途で特に有用である。他の周波数が寄生共振を励起し得るため、動作分岐電流の全歪みの最小化又は低減は、これに対応して望ましくない共振効果を最小化又は低減することができる。発生器800よって出力される駆動信号の波形は、出力駆動回路内に存在する様々な歪み源(例えば、電力変圧器806、電力増幅器812)によって影響されるため、駆動信号に基づく電圧及び電流フィードバックデータは、DSPプロセッサ822によって実行される誤差制御アルゴリズムなどのアルゴリズムに入力されることができ、これは動的な、進行に応じたベース(例えば、リアルタイム)で、LUTに保存された波形サンプルを好適に事前に歪ませる又は修正することによって、歪みを補償する。一形態では、LUTサンプルに加えられる予歪みの量又は程度は、計算された動作分岐電流と所望の電流波形との間の誤差に基づいてもよく、誤差は、サンプル毎に判定される。このようにして、予め歪ませたLUTサンプルは、駆動回路により処理される場合、超音波変換器を最適に駆動するために、所望の波形形状(例えば、正弦波)を有する動作ブランチ駆動信号を生じ得る。そのような形態では、LUT波形サンプルは、したがって、駆動信号の所望の波形を表すのではなく、歪み効果を考慮した際の、動作分岐駆動信号の所望の波形を最終的に生成するために必要な波形を表す。
非絶縁段階804は、発生器800によって出力される駆動信号の電圧及び電流をそれぞれサンプリングするために、各絶縁変圧器830、832を介して電力変圧器806の出力部に連結された第1ADC回路826及び第2ADC回路828を更に備え得る。特定の形態では、ADC回路826、828は、駆動信号のオーバーサンプリングを可能にするために、高速(例えば、毎秒80メガサンプル(mega samples per second、MSPS))でサンプリングするように構成され得る。一形態では、例えば、ADC回路826、828のサンプリング速度は、駆動信号のおよそ200×(周波数による)のオーバーサンプリングを可能にし得る。特定の形態では、ADC回路826、828のサンプリング動作は、双方向マルチプレクサを介し、入力電圧及び電流信号を受信する単一のADC回路によって実施され得る。発生器800の形態での高速サンプリングの使用は、とりわけ、動作ブランチを通って流れる複素電流の計算(これは、上述のDDSベースの波形形状制御を実施するために、特定の形態で使用され得る)、サンプリングされた信号の正確なデジタルフィルタリング、及び高精度での実電力消費の計算を可能にし得る。ADC回路826、828によって出力される電圧及び電流フィードバックデータは、論理装置816によって受信かつ処理され得(例えば、先着順処理方式(first-in-first-out、FIFO)バッファ、マルチプレクサ)、例えば、DSPプロセッサ822による、以後の読み出しのために、データメモリに記憶されてもよい。上記のように、電圧及び電流のフィードバックデータは、動的及び進行に応じたベースで、LUT波形サンプルを予め歪ませるか又は修正するための、アルゴリズムへの入力として使用され得る。特定の形態では、これは、電圧及び電流のフィードバックデータ対が得られる場合に、論理装置816によって出力された対応するLUTサンプルに基づき、又は別の方法でこれに関連して、記憶された各電圧及び電流のフィードバックデータ対が索引されることを必要とし得る。この方法によるLUTサンプルと電圧及び電流のフィードバックデータとの同期は、予歪みアルゴリズムの正確なタイミング及び安定性に寄与する。
特定の形態では、電圧及び電流のフィードバックデータは、駆動信号の周波数及び/又は振幅(例えば、電流振幅)を制御するために使用されてもよい。例えば、一形態では、電圧及び電流のフィードバックデータは、インピーダンス相を判定するために使用されてもよい。駆動信号の周波数はその後、判定されたインピーダンス相とインピーダンス相設定点(例えば、0°)との間の差を最小化又は低減するように制御されてもよく、したがって高調波歪みの効果を最小化又は低減し、これに対応してインピーダンス相測定正確性を向上させる。相インピーダンス及び周波数制御信号の判定は、例えば、DSPプロセッサ822に実装されてもよく、周波数制御信号は、論理装置816によって実装されるDDS制御アルゴリズムへの入力として供給される。
別の形態では、例えば、電流のフィードバックデータは、駆動信号の電流振幅を電流振幅設定点で維持するために監視されてもよい。電流振幅設定値は、直接指定されてもよく、又は指定された電圧振幅及び電力設定値に基づいて間接的に判定されてもよい。特定の形態では、電流振幅の制御は、例えば、DSPプロセッサ822内の比例-積分-微分(proportional-integral-derivative、PID)制御アルゴリズムといった、制御アルゴリズムによって実行され得る。駆動信号の電流振幅を好適に制御するために、制御アルゴリズムにより制御される変数には、例えば、論理装置816に格納されるLUT波形サンプルのスケーリング、及び/又はDAC回路834を介したDAC回路818(これは電力増幅器812に入力を供給する)のフルスケール出力電圧が挙げられ得る。
非絶縁段階804は、とりわけユーザインターフェース(user interface、UI)機能性を提供するために、第2のプロセッサ836を更に含んでもよい。一形態では、UIプロセッサ836は、例えば、Atmel Corporation、San Jose、Californiaから入手可能な、ARM 926EJ-Sコアを有するAtmel AT91SAM9263プロセッサを含んでもよい。UIプロセッサ836によってサポートされるUI機能の例としては、聴覚的及び視覚的なユーザフィードバック、周辺装置との通信(例えば、USBインターフェースを介して)、フットスイッチとの通信、入力装置(例えば、タッチスクリーンディスプレイ)との通信、並びに出力装置(例えば、スピーカ)との通信を挙げることができる。UIプロセッサ836は、DSPプロセッサ822及び論理装置816(例えば、SPIバス)と通信し得る。UIプロセッサ836は、UI機能性を主にサポートしてもよいが、特定の形態では、UIプロセッサ836はまた、DSPプロセッサ822と協調して、危険の緩和を実現してもよい。例えば、UIプロセッサ836は、ユーザ入力及び/又は他の入力(例えば、タッチスクリーン入力、フットスイッチ入力、温度サンサ入力)の様々な態様をモニタリングするようにプログラミングされてもよく、かつ誤った状態が検出される際に、発生器800の駆動出力を無効化することができる。
特定の形態では、DSPプロセッサ822及びUIプロセッサ836の両方は、例えば、発生器800の動作状態を判定かつ監視してもよい。DSPプロセッサ822に関し、発生器800の動作状態は、例えば、どの制御及び/又は診断プロセスがDSPプロセッサ822によって実行されるかを表し得る。UIプロセッサ836に関し、発生器800の動作状態は、例えば、UI(例えば、ディスプレイスクリーン、音)のどの要素がユーザに提供されるかを表し得る。DSPプロセッサ822及びUIプロセッサ836はそれぞれ、発生器800の現在の動作状態を別個に維持し、現在の動作状態からの可能な遷移を、認識及び評価し得る。DSPプロセッサ822は、この関係におけるマスタとして機能し、動作状態間の遷移がいつ生じるかを判定し得る。UIプロセッサ836は、動作状態間の有効な遷移を認識してもよく、また特定の遷移が適切であるかを確認し得る。例えば、DSPプロセッサ822が、UIプロセッサ836に特定の状態へと遷移するように命令すると、UIプロセッサ836は、要求される遷移が有効であることを確認し得る。要求される状態間の遷移がUIプロセッサ836によって無効であると判定される場合、UIプロセッサ836は、発生器800を障害モードにし得る。
非絶縁段階804は、入力装置を監視するためのコントローラ838(例えば、発生器800をオン及びオフするために使用される静電容量式タッチセンサ、静電容量式タッチスクリーン)を更に含むことができる。特定の形態では、コントローラ838は、少なくとも1つのプロセッサ及び/又はUIプロセッサ836と通信する他のコントローラ装置を含んでもよい。一形態では、例えば、コントローラ838は、1つ又は2つ以上の容量性タッチセンサを介して提供されるユーザ入力をモニタリングするように構成されたプロセッサ(例えば、Atmelから入手可能なMeg168 8ビットコントローラ)を含み得る。一形態では、コントローラ838は、容量性タッチスクリーンからのタッチデータの獲得を制御及び管理するための、タッチスクリーンコントローラ(例えば、Atmelから入手可能なQT5480タッチスクリーンコントローラ)を含み得る。
特定の形態では、発生器800が「電力オフ」状態にあるとき、コントローラ838は、(例えば、後に考察される電源854などの、発生器800の電源からのラインを介して)動作電力を受信し続け得る。このようにして、コントローラ838は、発生器800をオンオフするための入力装置(例えば、発生器800の前側パネルに配置された静電容量式タッチセンサ)を監視し続け得る。発生器800が電源オフ状態にあるとき、コントローラ838は、ユーザによる「オン/オフ」入力装置の起動が検出されれば、電源を起動することができる(例えば、電源854の1つ又は2つ以上のDC/DC電圧変圧器856の動作を有効化にする)。その結果、コントローラ838は、発生器800を「電源オン」状態に移行させるためのシーケンスを開始することができる。逆に、発生器800が電源オン状態にあるときに「オン/オフ」入力装置の起動が検出されれば、コントローラ838は発生器800を電源オフ状態に遷移させるためのシーケンスを開始することができる。例えば、特定の形態では、コントローラ838は、「オン/オフ」入力装置の起動をUIプロセッサ836に報告してもよく、これは、順次、発生器800の切断状態への遷移のために必要なプロセスシーケンスを実行する。この形態では、コントローラ838は、発生器800の電源オン状態が確立された後に、発生器800から電力を排除するための別個の能力を有しないことがある。
特定の形態では、コントローラ838は、ユーザに電源オン又は電源オフシーケンスが開始されたことを警告するために、発生器800に可聴又は他の感覚的フィードバックを提供させてもよい。そのような警告は、電源オン又は電源オフシーケンスの開始時、及びシーケンスと関連する他のプロセスの開始前に提供されてもよい。
特定の形態では、絶縁段階802は、例えば、外科用器具の制御回路(例えば、ハンドピーススイッチを含む制御回路)と、例えば、論理装置816、DSPプロセッサ822、及び/又はUIプロセッサ836などの非絶縁段階804の構成要素との間の、通信インターフェースを提供するために、器具インターフェース回路840を含んでもよい。器具インターフェース回路840は、例えば、IRベースの通信リンクなどの、段階802と804との間の好適な度合いの電気的絶縁を維持する通信リンクを介し、非絶縁段階804の構成要素と情報を交換し得る。例えば、非絶縁段階804から駆動される絶縁変圧器によって電力供給される低ドロップアウト電圧レギュレータを使用して、器具インターフェース回路840に電力を供給することができる。
一形態では、器具インターフェース回路840は、信号調整回路844と通信している論理回路842(例えば、論理回路、プログラマブルロジック回路、PGA、FPGA、PLD)を含み得る。信号調整回路844は、同一の周波数を有する双極呼びかけ信号を生成するために、論理回路842から周期信号(例えば、2kHz方形波)を受信するように構成されてもよい。呼びかけ信号は、例えば、差動増幅器によって供給される双極電流源を使用して生成することができる。呼びかけ信号は、(例えば、発生器800を外科用装置に接続するケーブル内の導電ペアを使用して)外科用装置制御回路に通信され、制御回路の状態又は構成を判定するために監視されてもよい。制御回路は、多数のスイッチ、抵抗器、及び/又はダイオードを含んでもよく、制御回路の状態又は構成が1つ又は2つ以上の特性に基づいて個別に識別可能であるように、呼びかけ信号の1つ又は2つ以上の特性(例えば、振幅、整流)を修正してもよい。例えば、一形態では、信号調整回路844は、呼びかけ信号が通過する経路から生じる制御回路の入力にわたって出現する電圧信号のサンプルを生成するため、ADC回路を含み得る。論理回路842(又は、非絶縁段階804の構成要素)はその後、ADC回路サンプルに基づく制御回路の状態又は構成を判定し得る。
一形態では、器具インターフェース回路840は、第1のデータ回路インターフェース846を含んで、論理回路842(又は器具インターフェース回路840の他の要素)と、外科用器具内に配置されるか又は別の方法で関連付けられた第1のデータ回路と、の間の情報交換を可能にしてもよい。特定の形態では、例えば、第1のデータ回路は、発生器800を有する特定の外科用器具の種類又はモデルとインターフェース接続させるために、外科用器具ハンドピースに一体的に取り付けられたケーブル内、又はアダプタ内に配設されてもよい。第1のデータ回路は、任意の好適な方法で実装されてもよく、例えば、第1のデータ回路に関して本明細書に記載されたものを、含む任意の好適なプロトコルに従って、発生器と通信してもよい。特定の形態では、第1のデータ回路は、EEPROM装置などの、不揮発性記憶装置を含み得る。特定の形態では、第1のデータ回路インターフェース846は、論理回路842とは別個に実施されてもよく、また好適な回路(例えば、別個の論理装置、プロセッサ)を含み、論理回路842と第1のデータ回路との間の通信を可能にし得る。他の形態では、第1のデータ回路インターフェース846は、論理回路842と一体であり得る。
特定の形態では、第1のデータ回路は、第1のデータ回路が関連している特定の外科用器具に関する情報を記憶し得る。そのような情報は、例えば、モデル番号、シリアル番号、外科用器具が使用された動作数、及び/又は任意の他の種類の情報を含むことができる。この情報は、器具インターフェース回路840によって(例えば、論理回路842によって)読み取られ、出力装置を介したユーザへの提供のため、及び/又は発生器800の機能又は動作の制御のために、非絶縁段階804の構成要素(例えば、論理装置816、DSPプロセッサ822、及び/又はUIプロセッサ836)に伝達され得る。加えて、任意の種類の情報が、第1のデータ回路インターフェース846を介して(例えば、論理回路842を使用して)内部に記憶させるために、第1のデータ回路に通信され得る。そのような情報は、例えば、外科用器具が使用された最新の手術数並びに/又はその使用の日付及び/若しくは時間を含んでもよい。
上で考察されたように、外科用器具は、器具の互換性及び/又は廃棄性を促進するために、ハンドピースから取り外し可能であり得る(例えば、多機能外科用器具は、ハンドピースから取り外し可能であり得る)。そのような場合、従来の発生器は、使用されている特定の器具構成を認識し、これに対応して制御及び診断プロセスを最適化する能力が制限されている場合がある。しかし、この問題に対処するために、外科用器具に読み取り可能なデータ回路を追加することは、適合性の観点から問題がある。例えば、必要なデータ読み取り機能性を欠く発生器との後方互換性を保つように外科用器具を設計することは、例えば、異なる信号スキーム、設計複雑性及び費用のために、実用的でない場合がある。本明細書で考察される器具の形態は、既存の外科用器具に実装されてもよいデータ回路を経済的に使用し、外科用器具と最新の発生器プラットフォームとの適合性を維持するための設計変更を最小限にすることによってこれらの懸念に対処する。
加えて、発生器800の形態は、器具ベースのデータ回路との通信を可能にしてもよい。例えば、発生器800は、器具(例えば、多機能外科用器具)内に収容される第2のデータ回路と通信するように構成することができる。いくつかの形態では、第2のデータ回路は、本明細書に説明される第1のデータ回路のものと類似した多くのものに実装される。器具インターフェース回路840は、この通信を可能にする第2のデータ回路インターフェース848を含むことができる。一形態では、第2のデータ回路インターフェース848は、トライステートデジタルインターフェースを含んでもよいが、他のインターフェースも使用されてもよい。ある特定の形態では、第2のデータ回路は、一般にデータを送信及び/又は受信するための任意の回路であってもよい。一形態では、例えば、第2のデータ回路は、第2のデータ回路が関連付けられた特定の外科用器具に関する情報を記憶してもよい。そのような情報は、例えば、モデル番号、シリアル番号、外科用器具が使用された動作数、及び/又は任意の他の種類の情報を含むことができる。
いくつかの形態では、第2のデータ回路は、関連する超音波変換器、エンドエフェクタ、又は超音波駆動システムの電気的及び/又は超音波的特性に関する情報を記憶してもよい。例えば、第1のデータ回路は、本明細書に説明されるように、バーンイン周波数スロープを示してもよい。加えて、又は代替的に、第2のデータ回路インターフェース848を介して内部に記憶させるために、第2のデータ回路に任意の種類の情報を伝達してもよい(例えば、論理回路842を使用して)。そのような情報は例えば、器具が使用された最新の動作数、並びに/又は、その使用の日付及び/若しくは時間を含んでもよい。ある特定の形態では、第2のデータ回路は、1つ又は2つ以上のセンサ(例えば、器具ベースの温度センサ)によって取得されたデータを送信してもよい。特定の形態では、第2のデータ回路は、発生器800からデータを受信し、その受信したデータに基づいてユーザに指標(例えば、発光ダイオード指標又は他の可視指標)を提供し得る。
特定の形態では、第2のデータ回路及び第2のデータ回路インターフェース848は、論理回路842と第2のデータ回路との間の通信が、この目的のための追加的な導体(例えば、ハンドピースを発生器800に接続するケーブルの専用導体)の提供を必要とせずにもたらされ得るように、構成され得る。一形態では、例えば、使用される導体のうちの1つが、信号調整回路844からハンドピース内の制御回路へ呼びかけ信号を送信するなど、既存のケーブル配線上に実装されたワンワイヤバス通信方式を使用して、第2のデータ回路との間で情報を通信することができる。このようにして、元来必要とされる場合がある外科用器具への設計変更又は修正は、最小化又は低減される。更に、一般的な物理的チャネル上で実施される異なる種類の通信を周波数帯域分離することができるため、第2のデータ回路の存在は、必要なデータ読み取り機能を有しない発生器にとって「不可視」であり、したがって、外科用器具の後方互換性を可能にする。
特定の形態では、絶縁段階802は、直流電流が患者を通るのを防ぐために、駆動信号出力部810bに接続された、少なくとも1つの阻止コンデンサ850-1を含んでもよい。単一のブロッキングコンデンサは、例えば、医学的規制又は基準に準拠することが必要とされる場合がある。単一コンデンサ設計における障害は比較的稀であるが、それでもなおそのような障害は否定的な結果をもたらす恐れがある。一形態では、第2の阻止コンデンサ850-2は、阻止コンデンサ850-1と直列で提供され得、阻止コンデンサ850-1と850-2との間の点からの電流漏洩が、漏洩電流により誘発される電圧をサンプリングするために、ADC回路852によって監視される。サンプルは、例えば、論理回路842によって受信されてもよい。漏れ電流の変化に基づいて(電圧サンプルによって示されるように)、発生器800は、阻止コンデンサ850-1、850-2のうちの少なくとも1つが故障したときを判定し、したがって、単一の故障点を有する単一コンデンサ設計に勝る利益を提供し得る。
特定の形態では、非絶縁段階804、好適な電圧及び電流でDC電力を送達するための電源854を含み得る。電源は、例えば、48VDCシステム電圧を送達するための、400W電源を含み得る。電源854は、電源の出力を受信して発生器800の様々な構成要素によって必要とされる電圧及び電流でDC出力を生成するための1つ又は2つ以上のDC/DC電圧変換器856を更に備えることができる。コントローラ838と関連して上で考察されたように、DC/DC電圧変換器856のうちの1つ又は2つ以上は、ユーザによる「オン/オフ」入力装置の起動がコントローラ838によって検出されたときにコントローラ838から入力を受信し、DC/DC電圧変換器856の動作又は起動を可能にしてもよい。
図21は、発生器800(図20)の一形態である発生器900の一例を示す。発生器900は、複数のエネルギーモダリティを外科用器具に送達するように構成されている。発生器900は、エネルギーを外科用器具に送達するためのRF信号及び超音波信号を単独で又は同時にのいずれかで提供する。RF信号及び超音波信号は、単独で、又は組み合わせて提供されてもよく、また同時に提供されてもよい。上述したように、少なくとも1つの発生器出力部は、単一のポートを通して複数のエネルギーモダリティ(例えば、とりわけ超音波、双極若しくは単極RF、不可逆及び/若しくは可逆電気穿孔法、並びに/又はマイクロ波エネルギー)を送達することができ、これらの信号は、組織を治療するために個別に又は同時にエンドエフェクタに送達することができる。発生器900は、波形発生器904に連結されたプロセッサ902を備える。プロセッサ902及び波形発生器904は、プロセッサ902に連結されたメモリに記憶された情報(開示を明瞭にするために示されず)に基づいて、様々な信号波形を発生するように構成されている。波形に関連するデジタル情報は、デジタル入力をアナログ出力に変換するために1つ又は2つ以上のDAC回路を含む波形発生器904に提供される。アナログ出力は、信号調節及び増幅のために、増幅器1106に供給される。増幅器906の調節及び増幅された出力は、電力変圧器908に連結される。信号は、電力変圧器908を横断して患者絶縁側にある二次側に連結される。第1のエネルギーモダリティの第1の信号は、ENERGY1及びRETURNと標識された端子間の外科用器具に提供される。第2のエネルギーモダリティの第2の信号は、コンデンサ910にわたって連結され、ENERGY2及びRETURNと標識された端子間の外科用器具に提供される。2つを超えるエネルギーモダリティが出力されてもよく、したがって添え字「n」は、最大n個のENERGYn端子が提供され得ることを表示するために使用することができ、このnは、1超の正の整数であることが理解されよう。最大「n」個のリターンパス(RETURNn)が、本開示の範囲から逸脱することなく提供されてもよいことも理解されよう。
第1の電圧感知回路912は、ENERGY1及びRETURNパスと標識された端子にわたって連結され、それらの間の出力電圧を測定する。第2の電圧感知回路924は、ENERGY2及びRETURNパスと標識された端子にわたって連結され、それらの間の出力電圧を測定する。電流感知回路914は、いずれかのエネルギーモダリティの出力電流を測定するために、図示される電力変圧器908の二次側のRETURN区間と直列に配設される。異なるリターンパスが各エネルギーモダリティに対して提供される場合、別個の電流感知回路が、各リターン区間で提供されねばならない。第1の電圧感知回路912及び第2の電圧感知回路924の出力が対応の絶縁変圧器916、922に提供され、電流感知回路914の出力は、別の絶縁変圧器918に提供される。電力変圧器908の一次側(非患者絶縁側)上における絶縁変圧器916、928、922の出力は、1つ又は2つ以上のADC回路926に提供される。ADC回路926のデジタル化された出力は、更なる処理及び計算のためにプロセッサ902に提供される。出力電圧及び出力電流のフィードバック情報は、外科用器具に提供される出力電圧及び電流を調整するために、またいくつかあるパラメータの中で出力インピーダンスを計算するために使用することができる。プロセッサ902と患者絶縁回路との間の入力/出力通信は、インターフェース回路920を通して提供される。センサもまた、インターフェース回路920を介してプロセッサ902と電気通信してもよい。
一態様では、インピーダンスは、ENERGY1/RETURNと標識された端子にわたって連結された第1の電圧感知回路912又はENERGY2/RETURNと標識された端子にわたって連結された第2の電圧感知回路924を、電力変圧器908の二次側のRETURN区間と直列に配置された電流感知回路914の出力で割ることによって、プロセッサ902により判定されてもよい。第1の電圧感知回路912及び第2の電圧感知回路924の出力は、個別の絶縁変圧器916、922に提供され、電流感知回路914の出力は、別の絶縁変圧器916に提供される。ADC回路926からのデジタル化された電圧及び電流感知測定値は、インピーダンスを計算するためにプロセッサ902に提供される。一例として、第1のエネルギーモダリティENERGY1は、超音波エネルギーであってもよく、第2のエネルギーモダリティENERGY2は、RFエネルギーであってもよい。それでも、超音波エネルギーモダリティ及び双極又は単極RFエネルギーモダリティに加えて、他のエネルギーモダリティには、数ある中でも不可逆並びに/又は可逆電気穿孔法及び/若しくはマイクロ波エネルギーが挙げられる。また、図21に例示された例は、単一のリターンパス(RETURN)が2つ又は3つ以上のエネルギーモダリティに提供され得ることを示しているが、他の態様では、複数のリターンパスRETURNnが、各エネルギーモダリティENERGYnに提供されてもよい。したがって、本明細書に記載されるように、超音波変換器のインピーダンスは、第1の電圧感知回路912の出力を電流感知回路914で割ることによって測定されてもよく、組織のインピーダンスは、第2の電圧感知回路924の出力を電流感知回路914で割ることによって測定されてもよい。
図21に示すように、少なくとも1つの出力ポートを含む発生器900は、実行される組織の処置の種類に応じて、電力を、例えば、とりわけ、超音波、双極若しくは単極RF、不可逆及び/若しくは可逆電気穿孔法、並びに/又はマイクロ波エネルギーなどの1つ又は2つ以上のエネルギーモダリティの形態でエンドエフェクタに提供するために単一の出力部を有し、かつ複数のタップを有する電力変圧器908を含むことができる。例えば、発生器900は、単極又は双極RF電気外科用電極のいずれかを使用して、超音波変換器を駆動するために高電圧かつ低電流で、組織封止のためのRF電極を駆動するために低電圧かつ高電流で、又はスポット凝固のための凝固波形で、エネルギーを送達することができる。発生器900からの出力波形は、周波数を外科用器具のエンドエフェクタに提供するために、誘導、切り替え、又はフィルタリングされ得る。超音波変換器の発生器900の出力部への接続部は、好ましくは、図21に示したENERGY1と標識された出力部とRETURNと標識された出力部との間に位置するであろう。一実施例では、RF双極電極の発生器900の出力部への接続部は、好ましくは、ENERGY2と標識された出力部とRETURNと標識された出力部との間に位置するであろう。単極出力の場合、好ましい接続部は、ENERGY2出力部及びRETURN出力部に接続された好適なリターンパッドへの活性電極(例えば、ペンシル型又は他のプローブ)であろう。
更なる詳細は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、「TECHNIQUES FOR OPERATING GENERATOR FOR DIGITALLY GENERATING ELECTRICAL SIGNAL WAVEFORMS AND SURGICAL INSTRUMENTS」と題する2017年3月30日公開の米国特許出願公開第2017/0086914号に開示されている。
本出願全体をとおして使用される「無線」という用語及びその派生語は、非固体媒体を介して変調電磁放射線の使用を通じてデータを通信し得る回路、装置、システム、方法、技術、通信チャネルなどを説明するために使用されてもよい。この用語は、関連する装置がいかなる有線も含まないことを意味するものではないが、一部の態様では、それらは存在しない可能性がある。通信モジュールは、Wi-Fi(IEEE802.11ファミリー)、WiMAX(IEEE802.16ファミリー)、IEEE802.20、ロング・ターム・エボリューション(LTE)、Ev-DO、HSPA+、HSDPA+、HSUPA+、EDGE、GSM、GPRS、CDMA、TDMA、DECT、Bluetooth、これらのイーサネット派生物、のみならず3G、4G、5G、及びそれ以降と指定される任意の他の無線及び有線プロトコルが挙げられるがこれらに限定されない多数の無線又は有線通信規格又はプロトコルのうちのいずれかを実装してもよい。コンピューティングモジュールは、複数の通信モジュールを含んでもよい。例えば、第1の通信モジュールは、Wi-Fi及びBluetoothなどの短距離無線通信専用であってもよく、第2の通信モジュールは、GPS、EDGE、GPRS、CDMA、WiMAX、LTE、Ev-DOなどの長距離無線通信専用であってもよい。
本明細書で使用するとき、プロセッサ又は処理ユニットは、いくつかの外部データソース、通常はメモリ又は何らかの他のデータストリーム上で動作を実行する電子回路である。この用語は、本明細書では、多くの専用「プロセッサ」を組み合わせたシステム又はコンピュータシステム(特にシステムオンチップ(systems on a chip、SoC))内の中央プロセッサ(中央処理ユニット)を指すために使用される。
本明細書で使用するとき、チップ上のシステム又はシステムオンチップ(SoC又はSOC)は、コンピュータ又は他の電子システムの全ての構成要素を統合する集積回路(「IC」又は「チップ」としても知られる)である。これは、デジタル、アナログ、混合信号、及び多くの場合は高周波数機能を、全て単一の基材上に含むことができる。SoCは、マイクロコントローラ(又はマイクロプロセッサ)を、グラフィックス処理ユニット(graphics processing unit、GPU)、Wi-Fiモジュール、又はコプロセッサなどの最新の周辺装置と統合する。SoCは、内蔵メモリを含んでもよく、含まなくてもよい。
本明細書で使用するとき、マイクロコントローラ又はコントローラは、マイクロプロセッサを周辺回路及びメモリと統合するシステムである。マイクロコントローラ(又はマイクロコントローラユニットのMCU)は、単一の集積回路上の小型コンピュータとして実装されてもよい。これはSoCと同様であってもよく、SoCは、その構成要素の1つとしてマイクロコントローラを含み得る。マイクロコントローラは、1つ又は2つ以上のコア処理ユニット(CPU)と共にメモリ及びプログラム可能な入力/出力周辺機器を収容することができる。強誘電性のRAM、NORフラッシュ、又はOTP ROMの形態のプログラムメモリ、及び少量のRAMもまた、チップ上にしばしば含まれる。マイクロコントローラは、パーソナルコンピュータ又は様々な個別のチップで構成された他の汎用用途で使用されるマイクロプロセッサとは対照的に、組み込み型用途用に採用され得る。
本明細書で使用するとき、コントローラ又はマイクロコントローラという用語は、周辺装置とインターフェースするスタンドアロンIC又はチップ装置であってもよい。これは、その装置の動作(及び装置との接続)を管理する外部装置上のコンピュータ又はコントローラの2つの部分間の連結部であってもよい。
本明細書で説明されるプロセッサ又はマイクロコントローラはいずれも、Texas Instruments製のARM Cortexの商品名で知られているものなど、任意のシングルコア又はマルチコアプロセッサであってもよい。一態様では、プロセッサは、例えば、その詳細が製品データシートで入手可能である、最大40MHzの256KBのシングルサイクルフラッシュメモリ若しくは他の不揮発性メモリのオンチップメモリ、性能を40MHz超に改善するためのプリフェッチバッファ、32KBのシングルサイクルシリアルランダムアクセスメモリ(SRAM)、StellarisWare(登録商標)ソフトウェアを搭載した内部読み出し専用メモリ(ROM)、2KBの電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、1つ又は2つ以上のパルス幅変調(PWM)モジュール、1つ又は2つ以上の直交エンコーダ入力(QEI)アナログ、12個のアナログ入力チャネルを備える1つ又は2つ以上の12ビットアナログ-デジタル変換器(ADC)を含む、Texas Instrumentsから入手可能なLM4F230H5QR ARM Cortex-M4Fプロセッサコアであってもよい。
一態様では、プロセッサは、同じくTexas Instruments製のHercules ARM Cortex R4の商品名で知られるTMS570及びRM4xなどの2つのコントローラ系ファミリーを含む安全コントローラを含んでもよい。安全コントローラは、拡張性のある性能、接続性、及びメモリの選択肢を提供しながら、高度な集積型安全機能を提供するために、中でも特に、IEC61508及びISO26262の安全限界用途専用に構成されてもよい。
モジュール式装置は、外科用ハブ内に受容可能な(例えば図3及び図9に関連して説明される)モジュールと、対応する外科用ハブと接続又はペアリングするために様々なモジュールに接続され得る外科用装置又は器具と、を含む。モジュール式装置としては、例えば、インテリジェント外科用器具、医療用撮像装置、吸引/灌注装置、排煙器、エネルギー発生器、ベンチレータ、吸入器、及びディスプレイが挙げられる。本明細書に記載されるモジュール式装置は、制御アルゴリズムによって制御することができる。制御アルゴリズムは、モジュール式装置自体上で、特定のモジュール式装置がペアリングされる外科用ハブ上で、又はモジュール式装置及び外科用ハブの両方の上で(例えば、分散コンピューティングアーキテクチャを介して)、実行され得る。いくつかの例示では、モジュール式装置の制御アルゴリズムは、モジュール式装置自体によって(すなわち、モジュール式装置内の、モジュール式装置上の、又はモジュール式装置に接続されたセンサによって)感知されたデータに基づいて装置を制御する。このデータは、手術中の患者(例えば、組織特性又は注入圧)又はモジュール式装置自体(例えば、前進するナイフの速度、モータ電流、又はエネルギーレベル)に関連し得る。例えば、外科用ステープル留め及び切断器具の制御アルゴリズムは、ナイフが前進する際にナイフが遭遇する抵抗に基づき、器具のモータが組織を貫いてそのナイフを駆動させる速度を制御することができる。
装置及びデータの長距離通信及び状態ハンドリング
外科処置は、異なる場所で異なる外科医によって実施され、他者よりもはるかに少ない経験を有する外科医もいる。所与の外科処置について、所望される結果を実現しようとするために変更され得る多くのパラメータが存在する。例えば、発生器によって供給されるエネルギーを利用する所与の外科処置について、外科医は、多くの場合、所望される結果を実現しようとするために、どのエネルギーのモードを利用するか、どのレベルの出力電力を利用するか、エネルギーの印加の持続時間などを判定するために、経験のみに頼る。複数の異なる外科処置に対する所望される結果を実現する可能性を増加させるために、各外科医は、経時的に複数の場所で複数の外科処置と関連付けられた情報の大規模で正確なデータセット内で識別される重要な関係に基づいて、最善の推薦を提供されるべきである。しかしながら、そのようなデータセットが、損傷、不正確、及び/又は安全でないように与えられ得、それによって、そこから導出される最善の推奨の適用性を問う。例えば、ソースからクラウドベースのシステムに送信されるデータについて、データは、クラウドベースのシステムに遷移している間に失われ得、データの機密性は、クラウドベースのシステムに遷移している間に含められ得、及び/又はデータの内容は、クラウドベースのシステムに遷移している間に変更され得る。
複数の場所に位置する複数の手術室は、外科用ハブを各々備え得る。所与の外科処置が所与の手術室で実施されるとき、外科用ハブは、外科処置と関連付けられたデータを受信し、データをクラウドベースのシステムに通信し得る。経時的に、クラウドベースのシステムは、手術と関連付けられた情報の大規模データセットを受信することになる。データは、クラウドベースのシステムが、(1)通信されたデータの真正性を検証すること、(2)データを通信したそれぞれの外科用ハブの各々を認証すること、及び(3)それぞれの外科用ハブからクラウドベースのシステムまでデータが辿った経路を追跡することを可能にする様式で外科用ハブからクラウドベースのシステムに通信され得る。
したがって、一態様では、本開示は、外科処置と関連付けられた発生器データを、複数の外科用ハブに通信可能に連結されたクラウドベースのシステムに送信するための外科用ハブを提供する。外科用ハブは、プロセッサと、プロセッサに連結されたメモリとを備える。メモリは、発生器からデータを受信することと、データを暗号化することと、データに基づいてメッセージ認証コード(message authentication code、MAC)を生成することと、暗号化されたデータ、生成されたMAC、ソース識別子、及び宛先識別子を含むデータグラムを生成することと、データグラムをクラウドベースのシステムに送信することと、を行うように、プロセッサによって実行可能な命令を記憶する。データは、データソースを示すフィールド、固有のタイムスタンプ、発生器のエネルギーモードを示すフィールド、発生器の電力出力を示すフィールド、及び発生器の電力出力の持続時間を示すフィールドのうちの少なくとも2つを含むデータパケットに構造化される。データグラムは、クラウドベースのシステムが、送信されたデータグラムの暗号化されたデータを復号化すること、MACに基づいてデータの完全性を検証すること、データグラムのソースとして外科用ハブを認証すること、外科用ハブとクラウドベースのシステムとの間のデータグラムが辿った送信経路を検証することを可能にする。
様々な態様では、本開示は、上記のように、複数の外科用ハブに通信可能に連結されたクラウドベースのシステムに外科処置と関連付けられた発生器データを送信するための制御回路を提供する。様々な態様では、本開示は、非一時的コンピュータ可読命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体を提供し、コンピュータ可読命令は、実行されると、機械に、外科処置と関連付けられた発生器データを、上記のように、複数の外科用ハブに通信可能に連結されたクラウドベースのシステムに送信させる。
別の態様では、本開示は、複数の外科用ハブに通信可能に連結されたクラウドベースのシステムを提供する。各外科用ハブは、外科処置と関連付けられた発生器データをクラウドベースのシステムに送信するように構成される。クラウドベースのシステムは、プロセッサと、プロセッサに連結されたメモリとを備える。メモリは、外科用ハブによって生成されたデータグラムを受信することと、受信されたデータグラムの暗号化された発生器データを復号化することと、MACに基づいて発生器データの完全性を検証することと、データグラムのソースとして外科用ハブを認証することと、外科用ハブとクラウドベースのシステムとの間のデータグラムが辿った送信経路を検証することと、を行うように、プロセッサによって実行可能な命令を記憶する。データグラムは、外科用ハブと関連付けられた発生器から取り込まれた発生器データと、発生器データ、ソース識別子、及び宛先識別子に基づいて、外科用ハブによって生成されるMACと、を含む。発生器データは、外科用ハブによって暗号化されている。暗号化された発生器データは、データソースを示すフィールド、固有のタイムスタンプ、エネルギーモードを示すフィールド、電力出力を示すフィールド、及び印加された電力の持続時間を示すフィールドのうちの少なくとも2つを含むデータパケットに構造化されている。
様々な態様では、本開示は、クラウドベースのシステムに外科処置と関連付けられた発生器データを送信するための制御回路を提供する。様々な態様では、本開示は、非一時的コンピュータ可読命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体を提供し、コンピュータ可読命令は、実行されると、機械に、外科処置と関連付けられた発生器データをクラウドベースのシステムに送信させる。
別の態様では、本開示は、外科処置中に外科用ハブの組み合わせ発生器からデータを取り込むことを含む方法を提供し、組み合わせ発生器は、2つ又は3つ以上の異なるエネルギーモードを供給するように構成される。取り込まれた発生器データを暗号化すること、取り込まれた発生器データに基づいてMACを生成すること、暗号化された発生器データ、MAC、ソース識別子、及び宛先識別子を含むデータグラムを生成すること、並びにデータグラムを外科用ハブからクラウドベースのシステムに通信すること。データグラムは、クラウドベースのシステムが、通信された発生器データの完全性を認証することと、データグラムのソースとして外科用ハブを認証することと、外科用ハブとクラウドベースのシステムとの間のデータグラムが辿った通信経路を判定することと、を可能にする。
複数の異なる外科用ハブからクラウドベースのシステムに、取り込まれた発生器データを送信することによって、クラウドベースのシステムは、経時的に複数の場所で実施される複数の外科処置と関連付けられた情報の大規模データセットを迅速に構築することができる。更に、それぞれのデータグラムの組成に起因して、所与のデータグラムについて、クラウドベースのシステムは、データグラムが外科用ハブのうちの1つによって元々送信されたか否かを判定することができ(ソース検証)、それによって、クラウドベースのシステムで受信された発生器データが正当なデータであることの指標を提供する。所与のデータグラムについて、クラウドベースのシステムはまた、クラウドベースのシステムで受信された発生器データが、所与の外科用ハブによって送信された発生器データと同一であるか否かを判定することができ(データ完全性)、それによって、受信された発生器データの真正性が検証されることを可能にする。加えて、所与のデータグラムについて、クラウドベースのシステムはまた、データグラムが辿った通信経路を再追跡することもでき、それによって、クラウドベースのシステムによって受信されたデータグラムが、外科用ハブ以外の装置から元々送信された場合、及び/又はデータグラムの内容が、クラウドベースのシステムに遷移している間に変更された場合、強化されたトラブルシューティングを可能にする。なお、本開示は、特に発生器データを参照する。ここで、本開示は、発生器データのみを処理することができるものとして限定されるべきではない。例えば、外科用ハブ206及び/又はクラウドベースのシステム205は、本明細書で考察された同様の様式で、外科用ハブ206に連結される外科システム202の任意の構成要素(例えば、撮像モジュール238、発生器モジュール240、排煙器モジュール226、吸引/灌注モジュール228、通信モジュール230、プロセッサモジュール232、ストレージアレイ234、スマート装置/器具235、非接触センサモジュール242、ロボットハブ222、非ロボット外科用ハブ206、無線スマート装置/器具235、可視化システム208)から受信されたデータ、及び/又はそのような構成要素に連結された/そのような構成要素を介して、任意の装置(例えば、内視鏡239、エネルギー装置241)からのデータ(例えば、図9及び図10参照)を処理し得る。
残念ながら、外科処置の結果は、常に最適ではない。例えば、外科用装置の障害、望ましくない組織穿孔、望ましくない術後出血などの障害事象が発生し得る。障害事象の発生は、1人又は2人以上の外科医、手術と関連付けられた1つ又は2つ以上の装置、患者の状態、及びそれらの組み合わせを含む、様々な異なる人々及び装置のいずれかに起因し得る。所与の障害事象が発生すると、障害事象を引き起こしたのは誰若しくは何か、又は障害事象の発生が将来の手術に関連して緩和され得るかについて、常に明らかであるわけではない。
所与の外科処置中、外科処置と関連付けられた大量のデータが生成され、取り込まれ得る。取り込まれたデータの全ては、外科用ハブに通信され得、取り込まれたデータは、外科用ハブで受信される前又は後のいずれかでタイムスタンプされ得る。外科処置と関連付けられた障害事象が検出及び/又は識別されると、取り込まれたデータのどれが障害事象と関連付けられているか、及び/又は取り込まれたデータのどれが障害事象と関連付けられていないかが判定され得る。この判定を行う際、障害事象は、障害事象の検出/識別前の期間を含むように定義され得る。障害事象と関連付けられた、取り込まれたデータに関する判定が行われると、外科用ハブは、全ての他の取り込まれたデータから障害事象と関連付けられたデータを分離し得、取り込まれたデータは、タグ付け、フラグ付けなどに基づいて分離され得る。障害事象と関連付けられた、取り込まれたデータは、次いで、タイムスタンプ及び障害事象に適用可能な定義された期間に基づいて、時系列化され得る。時系列化された、取り込まれたデータは、次いで、分析のために優先順位ベースでクラウドベースのシステムに通信され得、優先順位ベースは、障害事象と関連付けられていない、取り込まれたデータに対する相対的なものである。分析が、障害事象の原因として外科処置と関連付けられた装置を識別するか否かにかかわらず、外科用ハブは、将来の使用からの装置の除外、装置の更なる分析、及び/又は装置を製造元に返却するために、装置をタグ付けし得る。
所与の外科処置が実施されるとき、外科処置と関連付けられた大量のデータが生成され、取り込まれ得る。取り込まれたデータの全ては、外科用ハブに通信され得、その情報は、全ての「個人」関連性を取り除かれ得る。取り込まれたデータは、外科用ハブで受信される前、外科用ハブで受信された後、「個人」関連性を取り除かれる前、又は「個人」関連性を取り除かれた後、タイムスタンプされ得る。外科用ハブは、後続の分析のために、取り除かれた後のデータをクラウドベースのシステムに通信し得る。経時的に、クラウドベースのシステムは、手術と関連付けられた情報の大規模データセットを受信することになる。
したがって、一態様では、本開示は、外科処置と関連付けられた外科用データを、複数の外科用ハブに通信可能に連結されたクラウドベースのシステムに優先順位付けするための外科用ハブを提供する。外科用ハブは、プロセッサと、プロセッサに連結されたメモリとを備える。メモリは、外科用装置と関連付けられたデータを含む外科用データを取り込むことと、取り込まれた外科用データをタイムスタンプすることと、障害事象を識別することと、障害事象と関連付けられた期間を識別することと、識別された期間に基づいて障害事象と関連付けられていない外科用データから障害事象外科用データを隔離することと、タイムスタンプによって障害事象外科用データを時系列化することと、時系列化された障害事象外科用データを暗号化することと、暗号化された障害事象外科用データを含むデータグラムを生成することと、データグラムをクラウドベースのシステムに送信することと、を行うように、プロセッサによって実行可能な命令を記憶する。データグラムは、データグラムの他の暗号化されたデータよりも上に、暗号化された障害事象外科用データを優先順位付けするフラグを含むフィールドを含むように構造化される。データグラムは、クラウドベースのシステムが、暗号化された障害事象外科用データを復号することと、障害事象と関連付けられていない外科用データではなく障害事象外科用データに分析の焦点を絞ることと、手術室からの除去、製造元への返却、又はクラウドベースのシステムでの将来の不作動性のうちの少なくとも1つについて、障害事象と関連付けられた外科用装置をフラグ付けすることと、を行うことを可能にする。
様々な態様では、本開示は、複数の外科用ハブに通信可能に連結されたクラウドベースのシステムに外科処置と関連付けられた外科用データを優先順位付けするための制御回路を提供する。様々な態様では、本開示は、非一時的コンピュータ可読命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体を提供し、コンピュータ可読命令は、実行されると、機械に、外科処置と関連付けられた外科用データを、複数の外科用ハブに通信可能に連結されたクラウドベースのシステムに対して優先順位付けさせる。
別の態様では、本開示は、外科処置中にデータを取り込むことと、取り込まれたデータを外科用ハブに通信することと、取り込まれたデータをタイムスタンプすることと、外科処置と関連付けられた障害事象を識別することと、取り込まれたデータのうちのどれが障害事象と関連付けられているかを判定することと、障害事象と関連付けられた、取り込まれたデータを分離することと、障害事象と関連付けられた取り込まれたデータを時系列化することと、時系列化された、取り込まれたデータを、優先順位ベースでクラウドベースのシステムに通信することと、を含む、方法を提供する。
外科処置と関連付けられた大量のデータを取り込むと共に、取り込まれたデータがタイムスタンプされていることによって、検出/識別された障害事象に関連する取り込まれたデータの部分は、他の取り込まれたデータの全てからより容易に隔離され得、それによって、関連する取り込まれたデータのみで、より焦点を絞った後続の分析を可能にする。障害事象と関連付けられたデータは、次いで、時系列化され得(これは、取り込まれたデータの全てを時系列化するよりも少ない処理電力を必要とする)、それによって、障害事象の検出/識別に至る事象が、障害事象の後続の分析中により容易に考慮されることを可能にする。次いで、時系列化されたデータが、優先順位ベースでクラウドベースのシステムに通信され得(これは、取り込まれたデータの全てを同時に通信するよりも少ない通信リソースを必要とする)、それによって、故障事象の焦点を絞った後続の分析が、より時間依存様式でクラウドベースのシステムによって実施されることを可能にする。
最善の推奨が正確なデータに基づいて展開されることを確保することを助けるために、クラウドベースのシステムで受信された発生器データが、クラウドベースのシステムに通信される発生器データと同じであることを確保することが望ましいであろう。また、障害事象の原因を可能な限り迅速に判定することができることを助けるために、外科用データの分析が迅速な様式で実施され得るように、障害事象と関連付けられた外科用データが優先順位様式(障害事象と関連付けられていない外科用データに対して)でクラウドベースのシステムに通信されることを確保することが望ましいであろう。
外科処置と関連付けられたデータを通信するためのシステム及び方法の態様が、本明細書に説明される。図9に示されるように、コンピュータ実装インタラクティブ外科システム200の様々な態様は、装置/器具235、発生器モジュール240、モジュール式制御タワー236、及びクラウドベースのシステム205を含む。図10に示されるように、装置/器具235、発生器モジュール240、及びモジュール式制御タワー236は、外科用ハブ206の構成要素/部分である。
様々な態様では、外科用ハブ206の発生器モジュール240は、外科処置で使用するための装置/器具235に対する、単極高周波エネルギー、双極高周波エネルギー、並びに高度双極エネルギー及び/又は超音波エネルギーなどの高周波エネルギーを供給し得る。したがって、発生器モジュール240は、組み合わせ発生器と称され得る。そのような組み合わせ発生器の一例は、図22に示されており、組み合わせ発生器3700は、単極モジュール3702、双極モジュール3704、高度双極モジュール3706、及び超音波モジュール3708を含むものとして示されている。外科処置中に利用されるとき、組み合わせ発生器3700のそれぞれのエネルギーモジュール(例えば、3702、3704、3706、及び/又は3708)は、装置器具に供給されるエネルギーの種類(例えば、高周波エネルギー、超音波エネルギー、高周波エネルギー及び超音波エネルギー)、高周波エネルギーの種類(例えば、単極、双極、高度双極)、周波数、電力出力、持続時間など)などの発生器データを、組み合わせ発生器3700のデータ通信モジュール3710に提供し得る。
図23は、組み合わせ発生器3700からデータを取り込み、取り込まれた発生器データをクラウドベースのシステム205に通信する方法の様々な態様を示す。なお、本明細書で考察されるように、本開示は、発生器データを処理することに限定されるべきではない。したがって、図23の方法は、外科用ハブ206に連結された他の構成要素から受信された他の種類のデータ(例えば、撮像モジュールデータ、排煙器データ、吸引/灌注データ、装置/器具データ)に同様に拡張する。方法は、(1)外科処置中に外科用ハブ206の組み合わせ発生器3700からデータを取り込むことであって、組み合わせ発生器3700は、2つ又は3つ以上の異なるエネルギーモードを供給するように構成される、取り込むこと(3712)と、(2)取り込まれた発生器データを暗号化すること(3714)と、(3)取り込まれた発生器データに基づいてMACを生成すること(3716)と、(4)暗号化された発生器データ、MAC、ソース識別子、及び宛先識別子を含むデータグラムを生成すること(3718)と、(5)データグラムを外科用ハブ206からクラウドベースのシステム205に通信すること(3720)と、を含み、データグラムは、クラウドベースのシステム205が、(i)通信された発生器データの完全性を認証することと、(ii)外科用ハブをデータグラムのソースとして認証することと、(iii)外科用ハブ206とクラウドベースのシステム205との間のデータグラムが辿った通信経路を判定することと、を行うことを可能にする。
より具体的には、発生器データが、組み合わせ発生器3700のデータ通信モジュール3710で受信されると、発生器データは、クラウドベースのシステム205への後続の通信のために、外科用ハブ206のモジュール式通信ハブ203に通信され得る。データ通信モジュール3710は、単一の通信線を介して、又は複数の通信線にわたって並列に、モジュール式通信ハブ203に発生器データを通信することができ、そのような通信は、リアルタイム又はほぼリアルタイムで実施され得る。代替的に、そのような通信は、バッチで実施されてもよい。
様々な態様によると、発生器データをモジュール式通信ハブ203に通信する前に、組み合わせ発生器3700の構成要素(例えば、データ通信モジュール3710)は、発生器データをデータパケットに編成し得る。そのようなデータパケットの一例が図24に示されており、データパケット3722は、データが何かを定義するプリアンブル3724又は自己記述データヘッダ(例えば、組み合わせ発生器データ-CGD)、並びに発生器データがどこから来たかを示すフィールド[例えば、発生器ID番号3726-(例えば、017)、固有のタイムスタンプ3728(例えば、08:27:16)、利用されるエネルギーモード3730(例えば、RF、U、RF+U)、高周波エネルギー又は高周波モード3732の種類(例えば、MP、BP、ABP)、周波数3734(例えば、500Khz)、電力出力3736(例えば、30ワット)、印加された電力3738の持続時間(例えば、45ミリ秒)、及びデータポイント3740の認証/識別証明書(例えば、01101011001011)]を含む。例示的なデータパケット3722は、自己記述データパケットと見なされ得、組み合わせ発生器3700及び他のインテリジェント装置(例えば、外科用ハブ206)は、自己記述データパケットを使用して、データサイズ及びデータハンドリングリソースを最小化し得る。繰り返しになるが、本明細書で考察されるように、本開示は、組み合わせ発生器3700から受信された発生器データを処理することに限定されるべきではない。したがって、図24のデータパケット3722は、外科用ハブ206に連結された他の構成要素から受信された他の種類のデータにも同様に拡張する。一態様では、データパケット3722は、撮像モジュール238の構成要素から受信された内視鏡239(例えば、画像データ)と関連付けられたデータを含み得る。別の態様では、データパケット3722は、排煙器モジュール226の構成要素から受信された排出システムと関連付けられたデータ(例えば、圧力、粒子数、流量、モータ速度)を含み得る。更に別の態様では、データパケット3722は、装置/器具235の構成要素から受信された装置/器具(例えば、温度センサデータ、発射データ、封止データ)と関連付けられたデータを含み得る。様々な他の態様では、データパケット3722は、外科用ハブ206に連結された他の構成要素(例えば、吸引/灌注モジュール228、非接触センサモジュール242)から受信されたデータを同様に含み得る。
加えて、データ通信モジュール3710は、発生器データをモジュール式通信ハブ203に通信する前に発生器データを圧縮する、及び/又は発生器データを暗号化し得る。圧縮及び/又は暗号化の特定の方法は、以下により詳細に説明されるように、外科用ハブ206によって実施され得る圧縮及び/又は暗号化と同じであってもよく、又は異なってもよい。
モジュール式通信ハブ203は、組み合わせ発生器3700から(例えば、データ通信モジュール3710を介して)通信される発生器データを受信し得、発生器データは、続いて、クラウドベースのシステム205に(例えば、インターネットを介して)通信され得る。様々な態様によると、モジュール式通信ハブ203は、モジュール式通信ハブ203のハブ/スイッチ207/209を通じて発生器データを受信し得(図10参照)、発生器データは、モジュール式通信ハブ203のルータ211によってクラウドベースのシステム205に通信され得る(図10参照)。発生器データは、リアルタイム、ほぼリアルタイム、又はバッチでクラウドベースのシステム205に通信され得るか、又はクラウドベースのシステム205に通信される前に外科用ハブ206に記憶され得る。発生器データは、例えば、ストレージアレイ234又は外科用ハブ206のコンピュータシステム210のメモリ249に記憶され得る。
様々な態様では、例えば、モジュール式通信ハブ203で受信された発生器データが暗号化されない場合、受信された発生器データがクラウドベースのシステム205に通信される前に、発生器データは、外科用ハブ206に記憶されている間、又はインターネット若しくは他のコンピュータネットワークを使用してクラウド204に送信されている間に、発生器データの機密性を確保することを助けるために暗号化される。様々な態様によると、外科用ハブ206の構成要素は、暗号化アルゴリズムを利用して、発生器データを読み取り可能なバージョンから符号化されたバージョンに変換し、それによって、暗号化された発生器データを形成する。暗号化アルゴリズムを利用/実行する外科用ハブ206の構成要素は、例えば、プロセッサモジュール232、コンピュータシステム210のプロセッサ244、及び/又はそれらの組み合わせであり得る。利用/実行される暗号化アルゴリズムは、対称暗号化アルゴリズム及び/又は非対称暗号化アルゴリズムであり得る。
対称暗号化アルゴリズムを使用すると、外科用ハブ206は、共有秘密(例えば、秘密鍵、パスフレーズ、パスワード)を使用して発生器データを暗号化することになる。そのような態様では、暗号化された発生器データの受信者(例えば、クラウドベースのシステム205)は、次いで、同じ共有秘密を使用して暗号化された発生器データを復号化することになる。そのような態様では、外科用ハブ206及び受信者は、同じ共有秘密へのアクセス及び/又はその認識を必要とすることになる。一態様では、共有秘密は、受信者への暗号化された通信の前に、外科用ハブ206によって生成/選択され、受信者に安全に送達(例えば、物理的に)され得る。
代替的に、非対称暗号化アルゴリズムを使用すると、外科用ハブ206は、受信者(例えば、クラウドベースのシステム205)と関連付けられた公開鍵を使用して、発生器データを暗号化することになる。この公開鍵は、受信者が所有する公開鍵を証明するデジタル証明書を発行する認証局から外科用ハブ206によって受信され得る。認証局は、外科用ハブ206及び受信者によって信頼される任意のエンティティであり得る。そのような態様では、暗号化された発生器データの受信者は、次いで、発生器データを暗号化するために外科用ハブ206によって使用された公開鍵に対してペアリングされた秘密鍵(すなわち、受信者のみに既知)を使用して、暗号化された発生器データを復号化することになる。なお、そのような態様では、暗号化された発生器データは、受信者の秘密鍵を使用してのみ復号化され得る。
本開示の態様によると、外科システム202の構成要素(例えば、外科用装置/器具235、エネルギー装置241、内視鏡239)は、シリアル番号の形態であり得る、固有の識別子と関連付けられる。したがって、本開示の様々な態様によると、構成要素が外科用ハブ206に連結されると、構成要素は、共有秘密として、連結された構成要素の固有の識別子を使用して、外科用ハブ206と共有秘密を確立し得る。更に、そのような態様では、構成要素は、チェックサム関数/アルゴリズムを固有の識別子及び/又は外科用ハブ206に通信されている他のデータに適用することによってチェックサム値を導出し得る。ここで、チェックサム関数/アルゴリズムは、基礎データに修正がある場合、顕著に異なるチェックサム値を出力するように構成される。
一態様では、構成要素は、最初に、外科用ハブと関連付けられた公開鍵(例えば、接続時/接続後に外科用ハブ206から構成要素によって受信された)を使用して連結された構成要素の固有の識別子を暗号化し、暗号化された固有の識別子を外科用ハブ206に通信し得る。他の態様では、構成要素は、外科用ハブ206と関連付けられた公開鍵を使用して、連結された構成要素の固有の識別子及び導出されたチェックサム値を暗号化し、暗号化された固有の識別子及びリンクされた/関連付けられたチェックサム値を外科用ハブ206に通信し得る。
更に他の態様では、構成要素は、外科用ハブ206と関連付けられた公開鍵を使用して、固有の識別子及びチェックサム関数/アルゴリズムを暗号化し、暗号化された固有の識別子及びチェックサム関数/アルゴリズムを外科用ハブ206に通信し得る。そのような態様では、外科用ハブ206は、次いで、固有の識別子を暗号化するために構成要素によって使用された公開鍵に対してペアリングされた秘密鍵(すなわち、外科用ハブ206のみに既知)を使用して、暗号化された固有の識別子、又は暗号化された固有の識別子及びリンクされた/関連付けられたチェックサム値、又は暗号化された固有の識別子及びチェックサム関数/アルゴリズムを復号化することになる。
暗号化された固有の識別子が、外科用ハブ206の秘密鍵を使用してのみ復号化され得、かつ秘密鍵が、外科用ハブのみに既知であるため、これは、共有秘密(例えば、連結された構成要素の固有の識別子)を外科用ハブ206に通信する安全な手段である。更に、チェックサム値が固有の識別子にリンクされる/それと関連付けられる態様では、外科用ハブ206は、復号化された固有の識別子に同じチェックサム関数/アルゴリズムを適用して、検証チェックサム値を生成し得る。検証チェックサム値が、復号化されたチェックサム値と一致する場合、復号化された固有の識別子の完全性が更に検証される。更に、そのような態様では、共有秘密が確立されると、構成要素は、外科用ハブ206への将来の通信を暗号化することができ、外科用ハブ206は、共有秘密(例えば、連結された構成要素の固有の識別子)を使用して、構成要素からの将来の通信を復号化することができる。ここで、様々な態様によると、チェックサム値は、構成要素と外科用ハブ206との間の各通信(例えば、通信されたデータ又はその少なくとも指定された部分に基づくチェックサム値)毎に導出され、通信され得る。ここで、チェックサム関数/アルゴリズム(例えば、外科用ハブ206及び/若しくは構成要素によって既知であるか、又は上記のように外科用ハブ206と構成要素との間の共有秘密を確立するときに通信される)は、通信されたチェックサム値との比較のための検証チェックサム値を生成して、各通信の通信されたデータの完全性を更に検証するために使用され得る。
なお、非対称暗号化アルゴリズムは、複雑であり得、各通信を実行するために顕著な計算リソースを必要とし得る。したがって、連結された構成要素の固有の識別子を共有秘密として確立することは、より迅速であるだけではなく(例えば、擬似乱数鍵発生器を使用して共有秘密を生成する必要がない)、全ての後続の通信の計算効率も増大させる(例えば、より速い、より複雑な対称暗号化アルゴリズムの実行を可能にする)。様々な態様では、この確立された共有秘密は、構成要素が外科用ハブから連結解除される(例えば、外科処置終了)まで、構成要素及び外科用ハブ206によって利用され得る。
本開示の他の態様によると、外科システム202の構成要素(例えば、外科用装置/器具235、エネルギー装置241、内視鏡239)は、その独自の固有の識別子と各々関連付けられた副構成要素(例えば、ハンドル、シャフト、エンドエフェクタ、カートリッジ)を備え得る。したがって、本開示の様々な態様によると、構成要素が外科用ハブ206に連結されると、構成要素は、連結された構成要素を形成するために組み合わさる副構成要素と関連付けられた固有のコンパイル/文字列(例えば、順序化されているか、又はランダム)を使用して、外科用ハブ206との共有秘密を確立し得る。一態様では、構成要素は、最初に、外科用ハブ206と関連付けられた公開鍵を使用して、連結された構成要素の固有のコンパイル/文字列を暗号化し、暗号化された固有のコンパイル/文字列を外科用ハブ206に通信し得る。そのような態様では、外科用ハブ206は、次いで、固有のコンパイル/文字列を暗号化するために構成要素によって使用された公開鍵に対してペアリングされた秘密鍵(すなわち、外科用ハブ206のみに既知)を使用して、暗号化された固有のコンパイル/文字列を復号化することになる。暗号化された固有のコンパイル/文字列が、外科用ハブ206の秘密鍵を使用してのみ復号化され得、かつ秘密鍵が、外科用ハブ206のみに既知であるため、これは、共有秘密(例えば、連結された構成要素の固有のコンパイル/文字列)を外科用ハブ206に通信する安全な手段である。更に、そのような一態様では、共有秘密が確立されると、構成要素は、外科用ハブ206への将来の通信を暗号化することができ、外科用ハブ206は、共有秘密(例えば、連結された構成要素の固有のコンパイル/文字列)を使用して、構成要素からの将来の通信を復号化することができる。
繰り返しになるが、非対称暗号化アルゴリズムは、複雑であり得、各通信を実行するために顕著な計算リソースを必要とし得る。したがって、連結された構成要素の固有のコンパイル/文字列(すなわち、構成要素によって即座に組み合わせ可能)を共有秘密として確立することは、より迅速であるだけではなく(例えば、擬似乱数鍵発生器を使用して共有秘密を生成する必要がない)、全ての後続の通信の計算効率も増大させる(例えば、より速い、より複雑な対称暗号化アルゴリズムの実行を可能にする)。様々な態様では、この確立された共有秘密は、構成要素が外科用ハブ206から連結解除される(例えば、外科処置終了)まで、構成要素及び外科用ハブ206によって利用され得る。更に、そのような態様では、様々な副構成要素(例えば、ハンドル、シャフト、エンドエフェクタ)が再利用可能であり得るが、他の副構成要素(例えば、エンドエフェクタ、カートリッジ)が再利用可能ではない場合があるため、連結された構成要素を形成するために組み合わさる副構成要素の各新しい組み合わせは、外科用ハブ206への構成要素通信のための共有秘密として使用可能な固有のコンパイル/文字列を提供する。
本開示の更なる態様によると、外科システム202の構成要素(例えば、外科用装置/器具235、エネルギー装置241、内視鏡239)は、固有の識別子と関連付けられる。したがって、本開示の様々な態様によると、構成要素が外科用ハブ206に連結されると、外科用ハブ206は、連結された構成要素の固有の識別子を使用して、受信者(例えば、クラウドベースのシステム205)と共有秘密を確立し得る。一態様では、外科用ハブ206は、最初に、受信者と関連付けられた公開鍵を使用して、連結された構成要素の固有の識別子を暗号化し、暗号化された固有の識別子を受信者に通信し得る。そのような態様では、受信者は、次いで、固有の識別子を暗号化するために外科用ハブ206によって使用された公開鍵に対してペアリングされた秘密鍵(すなわち、受信者のみに既知)を使用して、暗号化された固有の識別子を復号化することになる。暗号化された固有の識別子が、受信者の秘密鍵を使用してのみ復号化され得、かつ秘密鍵が、受信者のみに既知であるため、これは、共有秘密(例えば、連結された構成要素の固有の識別子)を受信者(例えば、クラウドベースのシステム)に通信する安全な手段である。更に、そのような一態様では、共有秘密が確立されると、外科用ハブ206は、受信者(例えば、クラウドベースのシステム205)への将来の通信を暗号化することができ、受信者は、共有秘密(例えば、連結された構成要素の固有の識別子)を使用して、外科用ハブ206からの将来の通信を復号化することができる。
なお、非対称暗号化アルゴリズムは、複雑であり得、各通信を実行するために顕著な計算リソースを必要とし得る。したがって、連結された構成要素の固有の識別子(すなわち、外科用ハブ206によって既に利用可能)を共有秘密として確立することは、より迅速であるだけではなく(例えば、擬似乱数鍵発生器を使用して共有秘密を生成する必要がない)、例えば、より速い、より複雑な対称暗号化アルゴリズムの実行を可能にすることによって、全ての後続の通信の計算効率も増大させる。様々な態様では、この確立された共有秘密は、構成要素が外科用ハブから連結解除される(例えば、外科処置終了)まで、外科用ハブ206によって利用され得る。
本開示のまた更なる態様によると、外科システム202の構成要素(例えば、外科用装置/器具235、エネルギー装置241、内視鏡239)は、その独自の固有の識別子と各々関連付けられた副構成要素(例えば、ハンドル、シャフト、エンドエフェクタ、カートリッジ)を備え得る。したがって、本開示の様々な態様によると、構成要素が外科用ハブ206に連結されると、外科用ハブ206は、連結された構成要素を形成するために組み合わさる副構成要素と関連付けられた固有の識別子の固有のコンパイル/文字列(例えば、順序化されているか、又はランダム)を使用して、受信者(例えば、クラウドベースのシステム205)との共有秘密を確立し得る。
一態様では、外科用ハブ206は、最初に、受信者と関連付けられた公開鍵を使用して、連結された構成要素の固有のコンパイル/文字列を暗号化し、暗号化された固有のコンパイル/文字列を受信者に通信し得る。そのような態様では、受信者は、次いで、固有のコンパイル/文字列を暗号化するために外科用ハブ206によって使用された公開鍵に対してペアリングされた秘密鍵(すなわち、受信者のみに既知)を使用して、暗号化された固有のコンパイル/文字列を復号化することになる。暗号化された固有のコンパイル/文字列が、受信者の秘密鍵を使用してのみ復号化され得、かつ秘密鍵が、受信者のみに既知であるため、これは、共有秘密(例えば、連結された構成要素の固有のコンパイル/文字列)を受信者(例えば、クラウドベースのシステム)に通信する安全な手段である。共有秘密が確立されると、外科用ハブ206は、受信者(例えば、クラウドベースのシステム205)への将来の通信を暗号化することができ、受信者は、共有秘密(例えば、連結された構成要素の固有のコンパイル/文字列)を使用して、外科用ハブ206からの将来の通信を復号化することができる。繰り返しになるが、非対称暗号化アルゴリズムは、複雑であり得、各通信を実行するために顕著な計算リソースを必要とし得る。したがって、連結された構成要素の固有のコンパイル/文字列(すなわち、外科用ハブ206によって即座に組み合わせ可能)を共有秘密として確立することは、より迅速であるだけではなく(例えば、擬似乱数鍵発生器を使用して共有秘密を生成する必要がない)、全ての後続の通信の計算効率も増大させる(例えば、より速い、より複雑な対称暗号化アルゴリズムの実行を可能にする)。
様々な態様では、この確立された共有秘密は、構成要素が外科用ハブから連結解除される(例えば、外科処置終了)まで、外科用ハブ206によって利用され得る。更に、そのような態様では、様々な副構成要素(例えば、ハンドル、シャフト、エンドエフェクタ)が再利用可能であり得るが、他の副構成要素(例えば、エンドエフェクタ、カートリッジ)が再利用可能ではない場合があるため、連結された構成要素を形成するために組み合わさる副構成要素の各新しい組み合わせは、受信者への外科用ハブ206通信のための共有秘密として使用可能な固有のコンパイル/文字列を提供する。
いくつかの態様では、encrypt-then-MAC(EtM)アプローチが、暗号化された発生器データを生成するために利用され得る。このアプローチの一例が図25に示されており、暗号化されていない発生器データ(すなわち、プレーンテキスト3742、例えば、データパケット3722)が最初に暗号化されて(例えば、鍵3746を介して)(3743)、暗号化テキスト3744(すなわち、暗号化された発生器データ)を生成し、次いで、MAC3745が、結果的に得られた暗号化テキスト3744、鍵3746、及びMACアルゴリズム(例えば、ハッシュ関数3747)に基づいて生成される。より具体的には、暗号化テキスト3744は、鍵3746を使用してMACアルゴリズムを介して処理される。本明細書で考察される対称暗号化と同様の一態様では、鍵3746は、外科用ハブ206及び受信者(例えば、クラウドベースのシステム205)によってアクセス可能/既知の秘密鍵である。そのような態様では、秘密鍵は、外科用ハブ206と関連付けられた/それによって選択された共有秘密、受信者と関連付けられた/それによって選択された共有秘密、又は擬似乱数鍵発生器を介して選択される鍵である。このアプローチについて、概して3748に示されるように、暗号化された発生器データ(すなわち、暗号化テキスト3744)及びMAC3745は、クラウドベースのシステム205に一緒に通信されることになる。
他の態様では、encrypt-and-MAC(E&M)アプローチが、暗号化された発生器データを生成するために利用され得る。このアプローチの一例が図26に示されており、MAC3755は、暗号化されていない発生器データ(すなわち、プレーンテキスト3752、例えば、データパケット3722)、鍵3756、及びMACアルゴリズム(例えば、ハッシュ関数3757)に基づいて生成される。より具体的には、プレーンテキスト3752は、鍵3756を使用してMACアルゴリズムを通して処理される。本明細書で考察される対称暗号化と同様の一態様では、鍵3756は、外科用ハブ206及び受信者(例えば、クラウドベースのシステム205)によってアクセス可能/既知の秘密鍵である。そのような態様では、秘密鍵は、外科用ハブ206と関連付けられた/それによって選択された共有秘密、受信者と関連付けられた/それによって選択された共有秘密、又は擬似乱数鍵発生器を介して選択される鍵である。更に、かかる態様では、暗号化されていない発生器データ(すなわち、プレーンテキスト3752、例えば、データパケット3722)は、暗号化テキスト3754を生成するために暗号化される(例えば、鍵3756を介して)(3753)。このアプローチについて、概して3758に示されるように、MAC3755(すなわち、暗号化されていない発生器データに基づいて生成される)及び暗号化された発生器データ(すなわち、暗号化テキスト3754)は、クラウドベースのシステム205に一緒に通信されることになる。
他の態様では、MAC-then-encrypt(MtE)アプローチが、暗号化された発生器データを生成するために利用され得る。このアプローチの一例が図27に示されており、MAC3765は、暗号化されていない発生器データ(すなわち、プレーンテキスト3762)、鍵3766、及びMACアルゴリズム(例えば、ハッシュ関数3767)に基づいて生成される。より具体的には、プレーンテキスト3762は、鍵3766を使用してMACアルゴリズムを通して処理される。本明細書で考察される対称暗号化と同様の一態様では、鍵3766は、外科用ハブ206及び受信者(例えば、クラウドベースのシステム205)によってアクセス可能/既知の秘密鍵である。そのような態様では、秘密鍵は、外科用ハブ206と関連付けられた/それによって選択された共有秘密、受信者と関連付けられた/それによって選択された共有秘密、又は擬似乱数鍵発生器を介して選択される鍵である。次に、暗号化されていない発生器データ(すなわち、プレーンテキスト3762)及びMAC3765は、両方に基づいて暗号化テキスト3764を生成するために一緒に暗号化される(例えば、鍵3766を介して)(3763)。このアプローチについて、概して3768に示されるように、暗号化テキスト3764(すなわち、暗号化された発生器データ及び暗号化されたMAC3765を含む)は、クラウドベースのシステム205に通信されることになる。
代替的な態様では、暗号化されていない発生器データ(例えば、図25及び図26)、又は暗号化されていない発生器データ及びMAC(例えば、図27)を暗号化するために使用される鍵は、MACを生成するために使用される鍵(例えば、鍵3746、3756、3766)とは異なり得る。例えば、暗号化されていない発生器データ(例えば、図25及び図26)、又は暗号化されていない発生器データ及びMAC(例えば、図27)を暗号化するために使用される鍵は、異なる共有秘密、又は受信者と関連付けられた公開鍵であり得る。
他の態様によるクラウドベースのシステム205に対するデータ完全性の後続の保証を提供するためにMACを利用する代わりに、外科用ハブ206は、デジタル署名を利用して、クラウドベースのシステム205が、通信された発生器データの完全性を引き続き認証することを可能にし得る。例えば、コンピュータシステム210のプロセッサモジュール232及び/又はプロセッサ244は、1つ又は2つ以上のアルゴリズムを利用して、発生器データと関連付けられたデジタル署名を生成し得、クラウドベースのシステム205は、受信された発生器データの真正性を判定するためにアルゴリズムを利用し得る。コンピュータシステム210のプロセッサモジュール232及び/又はプロセッサ244によって利用されるアルゴリズムは、(1)一組の可能な秘密鍵からランダムに秘密鍵を選択する鍵生成アルゴリズムであって、鍵生成アルゴリズムが、秘密鍵及び対応する公開鍵を出力する、鍵生成アルゴリズムと、(2)発生器データ及び秘密鍵を考慮して、発生器データと関連付けられたデジタル署名を生成する署名アルゴリズムと、を含み得る。クラウドベースのシステム205は、受信された発生器データ、公開鍵、及びデジタル署名を利用して、デジタル署名が真正であると判定された場合、受信された発生器データを真正として受理するか、又はデジタル署名が真正であると判定されない場合、発生器データを損傷又は変更されていると見なし得る。
本開示の他の態様によると、外科用ハブ206は、商業的認証プログラム(例えば、SHA-256を含むセキュアハッシュアルゴリズム、SHA-2)を利用して、通信された発生器データのデータ完全性の後続の保証をクラウドベースのシステム205に提供し得る。
発生器データが暗号化された後(例えば、EtM、E&M、MtEを介して)、外科用ハブ206の構成要素は、暗号化された発生器データをクラウドベースのシステム205に通信し得る。暗号化された発生器データをクラウドベースのシステム205に通信する外科用ハブ206の構成要素は、例えば、プロセッサモジュール232、モジュール式通信ハブ203のハブ/スイッチ207/209、モジュール式通信ハブ203のルータ211、コンピュータシステム210の通信モジュール247などであり得る。
様々な態様によると、インターネットを介した暗号化された発生器データの通信は、(1)送達される暗号化された発生器データを包含するデータグラムを定義する、並びに/又は(2)データグラムをソース及び宛先情報を用いて標識するために使用されるアドレス指定方法を定義する、IPに従い得る。例示的なデータグラム3770の高位表現が図28に示されており、データグラム3770は、ヘッダ3772及びペイロード3774を含み、他の態様ではまた、トレーラー(図示せず)を含み得る。例示的なデータグラム3780のより詳細な表現が図29に示されており、ヘッダ3782は、例えば、データグラムを送信しているソース3786(例えば、モジュール式通信ハブ203のルータ211)のIPアドレス、データグラムを受信する宛先3788(例えば、クラウドベースのシステム205と関連付けられたクラウド204及び/又は遠隔サーバ213)のIPアドレス、サービス指定の種類(図示せず)、ヘッダ長3790、ペイロード長3792、及びチェックサム値3794などの情報のためのフィールドを含み得る。そのような態様では、外科用ハブ206は、チェックサム関数/アルゴリズムを、暗号化されていない発生器データ(すなわち、プレーンテキスト3742、例えば、データパケット3722)、又は暗号化されていない発生器データの少なくとも一部分(例えば、組み合わせ発生器ID3726)を更に適用して、チェックサム値3794を導出し得る。ここで、チェックサム関数/アルゴリズムは、基礎データ(例えば、発生器データ)に任意の修正(例えば、わずかな変化でも)がある場合、顕著に異なるチェックサム値を出力するように構成される。暗号化された発生器のその受信者(例えば、クラウドベースのシステム205)による復号化の後、受信者は、同じチェックサム関数/アルゴリズムを、復号化された発生器データに適用して、検証チェックサム値を生成し得る。検証チェックサム値がチェックサム値3794(すなわち、受信されたデータグラム3780のヘッダ3782に記憶されている)と一致する場合、受信された発生器データの完全性が更に検証される。ペイロード3784は、暗号化された発生器データ3796を含み得、暗号化された発生器データ3796が、指定されたペイロード長未満である場合、パディング3798も含み得る。なお、通信された、暗号化された発生器データ3796は、上記の図25、図26及び図27(例えば、それぞれ参照番号3748、3758、及び3768)で考察されたようにMACを備え得る。一部の態様では、ヘッダ3782は、データグラムが外科用ハブ206からクラウドベースのシステム205(例えば、ソースのIPアドレスから、少なくとも1つの中間ネットワーク構成要素(例えば、指定されたルータ、指定されたサーバ)のIPアドレス、宛先のIPアドレス)に通信されたときに、データグラムが辿る特定の経路を更に含み得る。
様々な態様によると、発生器データが暗号化される前に、発生器データは、タイムスタンプされ得る(組み合わせ発生器3700によって未だタイムスタンプされていない場合)、及び/又は発生器データは、圧縮され得る(組み合わせ発生器3700によって未だ圧縮されていない場合)。タイムスタンプは、クラウドベースのシステム205が、クラウドベースのシステム205に通信され得る他のデータ(例えば、取り除かれた患者データ)と相関させることを可能にする。圧縮は、続いて暗号化されてクラウドベースのシステム205に通信されることになる、発生器データのより小さい表現を可能にする。圧縮について、外科用ハブ206の構成要素は、発生器データの表現を発生器データのより小さい表現に変換するために圧縮アルゴリズムを利用し得、それによって、発生器データのより効率的かつ経済的な暗号化(例えば、より少ないデータの暗号化は、より少ない処理リソースを利用する)、及び暗号化された発生器データのより効率的かつ経済的な通信(例えば、データグラム(例えば、図28及び図29)のペイロード内の発生器データのより小さい表現は、より多くの発生器データが所与のデータグラム内に含められること、より多くの発生器データが所与の期間内に通信されること、及び/又は発生器データがより少ない通信リソースで通信されることを可能にする)を可能にする。圧縮アルゴリズムを利用/実行する外科用ハブ206の構成要素は、例えば、プロセッサモジュール232、コンピュータシステムのプロセッサ244、及び/又はそれらの組み合わせであり得る。利用/実行される圧縮アルゴリズムは、可逆圧縮アルゴリズム又は不可逆圧縮アルゴリズムであり得る。
所与のデータグラムに対する発生器データ及びMACが、クラウドベースのシステム205で受信されると(例えば、図25、参照番号3748、図26、参照番号3758、及び図27、参照番号3768)、クラウドベースのシステム205は、通信されたデータグラムのペイロードから暗号化された発生器データを復号化して、通信された発生器データを認識し得る。
一態様では、再び図25を参照すると、受信者(例えば、クラウドベースのシステム205)は、外科用ハブ206と同様、同じ既知/アクセス可能な秘密鍵を使用して同じMACアルゴリズムを介して暗号化テキスト3744を処理して、認証MACを生成し得る。受信されたMAC3745が、この認証されたMACと一致する場合、受信者(例えば、クラウドベースのシステム205)は、暗号化テキスト3744が変更されておらず、かつ外科用ハブ206からのものであると安全に想定し得る。受信者(例えば、クラウドベースのシステム205)は、次いで、暗号化テキスト3744を復号化して(例えば、キー3746を介して)、プレーンテキスト3742(例えば、発生器データを含むデータパケット)を認識し得る。
別の態様では、再び図26を参照すると、受信者(例えば、クラウドベースのシステム205)は、暗号化テキスト3754を復号化して(例えば、キー3756を介して)、プレーンテキスト3752(例えば、発生器データを含むデータパケット)を認識し得る。次に、外科用ハブ206と同様、受信者(例えば、クラウドベースのシステム205)は、同じ既知/アクセス可能な秘密鍵を使用して同じMACアルゴリズムを介してプレーンテキスト3752を処理して、認証MACを生成し得る。受信されたMAC3755が、この認証されたMACと一致する場合、受信者(例えば、クラウドベースのシステム205)は、プレーンテキスト3752が変更されておらず、かつ外科用ハブ206からのものであると安全に想定し得る。
更に別の態様では、再び図27を参照すると、受信者(例えば、クラウドベースのシステム205)は、暗号化テキスト3764を復号化して(例えば、キー3766を介して)、プレーンテキスト3762(例えば、発生器データを含むデータパケット)及びMAC3765を認識し得る。次に、外科用ハブ206と同様、受信者(例えば、クラウドベースのシステム205)は、同じ既知/アクセス可能な秘密鍵を使用して同じMACアルゴリズムを介してプレーンテキスト3762を処理して、認証MACを生成し得る。受信されたMAC3765が、この認証されたMACと一致する場合、受信者(例えば、クラウドベースのシステム205)は、プレーンテキスト3762が変更されておらず、かつ外科用ハブ206からのものであると安全に想定し得る。
代替的な態様では、暗号化されていない発生器データ(例えば、図25及び図26)、又は暗号化されていない発生器データ及びMAC(例えば、図27)を暗号化するために使用される鍵は、MACを生成するために使用される鍵(例えば、鍵3746、3756、3766)とは異なり得る。例えば、暗号化されていない発生器データ(例えば、図25及び図26)、又は暗号化されていない発生器データ及びMAC(例えば、図27)を暗号化するために使用される鍵は、異なる共有秘密、又は受信者と関連付けられた公開鍵であり得る。そのような態様では、図25を参照すると、受信者(例えば、クラウドベースのシステム205)は、鍵3746(上記)を介して認証MACを検証した後、次いで、暗号化テキスト3744を復号化して(例えば、受信者と関連付けられた異なる共有秘密又は秘密鍵を介して)、プレーンテキスト3742(例えば、発生器データを含むデータパケット)を認識し得る。そのような態様では、図26を参照すると、受信者は、暗号化テキスト3754を復号化して(例えば、受信者と関連付けられた異なる共有秘密又は秘密鍵を介して)、プレーンテキスト3752(例えば、発生器データを含むデータパケット)を認識し、次いで、鍵3756(上記)を介して認証MACを検証し得る。そのような態様では、図27を参照すると、受信者は、暗号化テキスト3764を復号化して(例えば、受信者と関連付けられた異なる共有秘密又は秘密鍵を介して)、プレーンテキスト3762(例えば、発生器データを含むデータパケット)及びMAC3765を認識し、次いで、鍵3766(上記)を介して認証MACを検証し得る。
要するに、図25~図27を参照すると、クラウドベースのシステム205によって判定/計算されたように、認証MACがデータグラムと共に受信されたMACと同じである場合、クラウドベースのシステム205は、受信された発生器データが真正である(すなわち、それが外科用ハブ206によって通信された発生器データと同じである)こと、及び通信された発生器データのデータ完全性が損傷又は変更されていないことの信頼性を有し得る。上記のように、受信者は、同じチェックサム関数/アルゴリズム(すなわち、外科用ハブ206によって使用された)にプレーンテキスト3742、3752、3762、又は少なくともその一部分を更に適用して、検証チェックサム値を生成して、通信されたデータグラムのヘッダに記憶されたチェックサム値に基づいて、発生器データの完全性を更に検証し得る。
加えて、復号化されたデータグラムに基づいて、データグラムをクラウドベースのシステム205に元々通信したソースのIPアドレス(例えば、図29、参照番号3786)は、通信されたデータグラムのヘッダから判定され得る。判定されたソースが認識されたソースである場合、クラウドベースのシステム205は、発生器データが信頼できるソースから発信されたことの信頼を有し、それによって、ソース認証、また更に発生器データのデータ完全性のより高い保証性を提供する。更に、データグラムがクラウドベースのシステム205まで通過した経路にある各ルータが、その転送された通信と共にそのIPアドレスを含むため、クラウドベースのシステム205は、データグラムが辿った経路を遡って追跡し、データグラムを取り扱った各ルータを識別することができる。それぞれのルータを識別する能力は、クラウドベースのシステム205で受信されたデータグラムの内容が、外科用ハブ206によって元々通信されたデータグラムの内容と同じではない場合に有用であり得る。通信経路が、事前指定され、かつ通信されたデータグラムのヘッダに含められる態様について、それぞれのルータを識別する能力は、経路検証を可能にし、受信された発生器データの真正性の追加の信頼を提供し得る。
更に、様々な態様によると、受信された発生器データを認証した後、クラウドベースのシステム205は、インターネット又は別の通信ネットワークを介して、外科用ハブ206にメッセージ(例えば、ハンドシェイク又は類似のメッセージ)を通信し得、外科用ハブ206から通信されたデータグラムが、クラウドベースのシステム205によって無傷で受信されたことを確認/保証し、それによって、その特定のデータグラムに対するループを効果的に閉鎖する。
上記の通信方法の態様、及び/又はその変形はまた、クラウドベースのシステム205に発生器データ以外のデータを通信するために、並びに/又は外科用ハブ206からの発生器データ及び/若しくは他のデータを、クラウドベースのシステム205以外のシステム及/若しくは装置に通信するためにも用いられ得る。例えば、様々な態様によると、発生器データ及び/又は他のデータは、外科用ハブ206からハンドヘルド外科用装置/器具(例えば、無線装置/器具235)に、外科用装置/器具のロボットインターフェース(例えば、ロボットハブ222)に、及び/又は上述の通信方法に従って他のクラウドベースのシステム(例えば、クラウドベースのシステム205と同様の)と関連付けられたサーバ(例えば、サーバ213と同様の)を含む他のサーバに、通信され得る。例えば、特定の事例では、所与の外科用器具のEEPROMチップは、最初に、単に電子チップ装置IDが提供され得る。組み合わせ発生器3700への所与の外科用器具の接続の際、データは、上記の通信方法に従って、クラウドベースのシステム205から外科用ハブ206、続いて外科用器具のEEPROMにダウンロードされ得る。
クラウドベースのシステム205に発生器データを通信することに加えて、外科用ハブ206はまた、上記の通信方法及び/又はその変形を利用して、クラウドベースのシステム205に発生器データ以外のデータも通信することができる。例えば、外科用ハブ206はまた、外科処置と関連付けられた他の情報をクラウドベースのシステム205に通信してもよい。そのような他の情報としては、例えば、外科処置が実施されている外科処置の種類、外科処置が実施されている施設の名称、外科処置が実施されている施設の場所、外科処置が実施されている施設内の手術室の識別、外科処置を実施する外科医の名前、患者の年齢、及び患者の状態と関連付けられたデータ(例えば、血圧、心拍数、現在の治療薬)が挙げられ得る。様々な態様によると、そのような他の情報は、情報が、クラウドベースのシステム205による更なる処理及び分析のために本質的に匿名化されるように、特定の手術、患者、又は外科医を識別し得る全ての情報が取り除かれ得る。言い換えると、取り除かれた後のデータは、特定の手術、患者、又は外科医に相関しない。取り除かれた後の情報は、通信された発生器データと一緒に、又はそれとは別個に、クラウドベースのシステム205に通信され得る。
取り除かれた後の/他のデータが発生器データとは別に通信される場合、取り除かれた後の/他のデータは、発生器データに関して上記に説明されたものと同一又は異なる様式で、タイムスタンプ、圧縮、及び/又は暗号化され得、外科用ハブ206は、暗号化された発生器データの代わりに、暗号化された取り除かれた後の/他の情報を含むデータグラムを生成するようにプログラム/構成され得る。データグラムは、次いで、(1)送達される暗号化された取り除かれた後の/他のデータを包含するデータグラムを定義する、及び(2)データグラムをソース及び宛先情報を用いて標識するために使用されるアドレス指定方法を定義する、IPに従って、外科用ハブ206からインターネットを介してクラウドベースのシステム205に通信され得る。
取り除かれた後の/他の情報が発生器データと共に通信される場合、取り除かれた後の/他のデータは、発生器データに関して上記に説明されたものと同一又は異なる様式で、タイムスタンプ、圧縮、及び/又は暗号化され得、外科用ハブ206は、暗号化された発生器データ及び暗号化された取り除かれた後の/他の情報の両方を含むデータグラムを生成するようにプログラム/構成され得る。そのようなデータグラムの一例が図30に示されており、データグラム3800のペイロード3804は、2つ又は3つ以上の別個のペイロードデータ部分に分割され(例えば、1つが暗号化された発生器データ3834、1つが暗号化された取り除かれた後の/他の情報3836)、各部分が、識別ビット(例えば、発生器データ(generator data、GD)3806、他のデータ(other data、OD)3812)、関連付けられた暗号化されたデータ3808、3814、及び関連付けられたパディング3810、3816を、それぞれ必要に応じて有する。更に、図30に示されるように、ヘッダ3802は、図29に示されるデータグラム3780を参照して説明されたヘッダ3782と同じ(例えば、IPアドレスソース3818、IPアドレス宛先3820、ヘッダ長3822)であってもよく、又はそれとは異なってもよい。例えば、ヘッダ3802は、ヘッダ3802が、データグラム3800のペイロード3804に含められるペイロードデータ部分3824の数(例えば、2)を指定するフィールドを更に含むという点で異なり得る。ヘッダ3802はまた、ペイロード長3826、3830を指定するフィールド、及び各ペイロードデータ部分3834、3836についてそれぞれチェックサム値3828、2832を含み得る点でも異なり得る。2つのペイロードデータ部分のみが図30に示されているが、データグラム3800のペイロード3804は、任意の量/数のペイロードデータ部分(例えば、1、2、3、4、5)を含んでもよく、各ペイロードデータ部分は、異なる態様の外科処置と関連付けられたデータを含むことが理解されるであろう。データグラム3800は、次いで、(1)送達される暗号化された発生器データ及び暗号化された取り除かれた後の/他のデータを包含するデータグラムを定義する、及び(2)データグラムをソース及び宛先情報を用いて標識するために使用されるアドレス指定方法を定義する、IPに従って、外科用ハブ206からインターネットを介してクラウドベースのシステム205に通信され得る。
上記のように、全ての外科処置の結果が常に最適及び/又は成功ではないことは、不運な現実である。障害事象が検出及び/又は識別される場合、上記の通信方法の変動が、障害事象と関連付けられる外科用データ(例えば、障害事象外科用データ)を、障害事象と関連付けられていない外科用データ(例えば、非障害事象外科用データ)から隔離し、障害事象と関連付けられる外科用データ(例えば、障害事象データ)を、分析のために優先順位ベースで外科用ハブ206からクラウドベースのシステム205に通信するために利用され得る。本開示の一態様によると、障害事象外科用データは、外科用ハブ206からクラウドベースのシステム205に、非障害事象外科用データに対する優先順位ベースで通信される。
図31は、障害事象と関連付けられた外科用データ(例えば、障害事象外科用データ)を識別し、識別された外科用データを優先順位ベースでクラウドベースのシステム205に通信するシステム実装方法の様々な態様を示す。方法は、(1)外科用ハブ206で外科処置と関連付けられる外科用データを受信すること(3838)と、(2)外科用データをタイムスタンプすること(3840)と、(3)外科処置と関連付けられる障害事象を識別すること(3842)と、(4)どの外科用データが障害事象と関連付けられているか(例えば、障害事象外科用データ)を判定すること(3844)と、(5)外科用ハブ206で受信された全ての他の外科用データ(例えば、非障害事象外科用データ)から、障害事象と関連付けられた外科用データを分離すること(3846)と、(6)障害事象と関連付けられた外科用データを時系列化すること(3848)と、(7)障害事象と関連付けられた外科用データを暗号化すること(3850)と、(8)暗号化された外科用データを優先順位ベースでクラウドベースのシステム205に通信すること(3852)と、を含む。
より具体的には、様々な外科用データは、外科処置中に取り込まれ得、取り込まれた外科用データ、及び外科処置と関連付けられた他の外科用データは、外科用ハブ206に通信され得る。外科用データは、例えば、手術中に利用される外科用装置/器具(例えば、図9、外科用装置/器具235)と関連付けられたデータ、患者と関連付けられたデータ、外科処置が実施された施設に関連付けられたデータ、及び外科医と関連付けられたデータを含み得る。外科用データが外科用ハブ206に通信され、外科用ハブ206によって受信される前又は後のいずれかで、外科用データは、タイムスタンプされ、特定の手術、患者、又は外科医を識別し得る全ての情報を取り除かれ得、その結果、情報は、クラウドベースのシステム205による更なる処理及び分析のために本質的に匿名化される。
障害事象が検出及び/又は識別されると(例えば、外科処置中又は後のいずれかであり得る)、外科用ハブ206は、どの外科用データが障害事象(例えば、障害事象外科用データ)と関連付けられており、どの外科用データが外科事象(例えば、非障害事象外科用データ)と関連付けられていないかを判定し得る。本開示の一態様によると、障害事象は、例えば、外科処置のステープル留め部分中の1つ又は2つ以上の誤発射ステープルの検出を含み得る。例えば、一態様では、図9を参照すると、内視鏡239は、ステープルカートリッジを含むエンドエフェクタを備える外科用装置/器具235が外科処置のステープル留め部分を実施する間にスナップショットを撮影し得る。そのような一態様では、撮像モジュール238は、誤発射ステープル及び/又は誤発射ステープルの証拠(漏れ)を検出するために、正確に発射されたステープルを伝える、記憶された画像及び/又はクラウドベースのシステム205からダウンロードされた画像とスナップショットを比較し得る。別の態様では、撮像モジュール238は、スナップショット自体を分析して、誤発射ステープル及び/又は誤発射ステープルの証拠を検出し得る。1つの代替的な態様では、外科用ハブ206は、クラウドベースのシステム205にスナップショットを通信し得、クラウドベースのシステム205の構成要素は、上記の様々な撮像モジュール機能を実施して、誤発射ステープル及び/又は誤発射ステープルの証拠を検出し、検出を外科用ハブ206に報告し得る。本開示の別の態様によると、障害事象は、外科処置の組織封止部分中の予期される温度未満である組織温度の検出、及び/又は外科処置後の過剰な出血若しくは滲出の視覚的指標(例えば、図9、内視鏡239を介して)を含み得る。例えば、一態様では、図9を参照すると、外科用装置/器具235は、温度センサ及び外科用ハブ206を含むエンドエフェクタを備え得る、及び/又はクラウドベースのシステムは、温度センサによって検出された少なくとも1つの温度(例えば、外科処置の組織封止部分の間の)を、予期される及び/又はその外科処置と関連付けられた記憶された温度及び/又は温度範囲と比較して、不適切/低い封止温度を検出し得る。別の態様では、内視鏡239は、外科処置中にスナップショットを撮影し得る。そのような一態様では、撮像モジュール238は、不適切/不十分な封止温度の証拠(例えば、炭化、滲出/出血)を検出するために、予期される温度で正確に封止された組織を伝える、記憶された画像及び/又はクラウドベースのシステム205からダウンロードされた画像とスナップショットを比較し得る。更に、そのような一態様では、撮像モジュール238は、不適切/不十分な封止温度の証拠(例えば、炭化、滲出/出血)を検出するために、スナップショット自体を分析し得る。1つの代替的な態様では、外科用ハブ206は、クラウドベースのシステム205にスナップショットを通信し得、クラウドベースのシステム205の構成要素は、上記の様々な撮像モジュール機能を実施して、不適切/不十分な封止温度の証拠を検出し、検出を外科用ハブ206に報告し得る。上記の様々な態様によると、検出及び/又は識別された障害事象に応答して、外科用ハブ206は、検出された問題を補正する外科用装置/器具235による実行のために、クラウドベースのシステム205からプログラムをダウンロードし得る(すなわち、誤発射ステープルを防止するために外科用装置/器具パラメータを変更するプログラム、外科用装置/器具パラメータを変更して、正確な封止温度を確保するプログラム)。
いくつかの態様では、障害事象は、特定の期間を包含すると見なされ、その特定の期間と関連付けられた全ての外科用データは、障害事象と関連付けられると見なされ得る。
障害事象と関連付けられた外科用データが識別された後、識別された外科用データ(例えば、障害事象外科用データ)は、外科処置と関連付けられた他の外科用データ(例えば、非障害事象外科用データ)の全てから分離又は隔離され得る。分離は、例えば、識別された外科用データをタグ付け又はフラグ付けすることによって、外科処置と関連付けられた他の外科用データの全てとは別に、識別された外科用データを記憶することによって、又はクラウドベースのシステム205への後続の優先化された通信のための識別された外科用データを処理し続けつつ、他の外科用データのみを記憶することによって、実現され得る。様々な態様によると、識別された外科用データのタグ付け又はフラグ付けは、以下により詳細に説明されるように、データグラムが生成されるときに、通信プロセス中に生じ得る。
外科用データの全てのタイムスタンプ(例えば、外科用データが外科用ハブで受信される前又は後のいずれか)は、障害事象と関連付けられた、識別された外科用データを時系列化するために、外科用ハブ206の構成要素によって利用され得る。識別された外科用データを時系列化するためにタイムスタンプを利用する外科用ハブ206の構成要素は、例えば、プロセッサモジュール232、コンピュータシステム210のプロセッサ244、及び/又はそれらの組み合わせであり得る。識別された外科用データを時系列化することによって、クラウドベースのシステム205及び/又は他の関係者は、続いて、障害事象の発生につながる状態をより良好に理解し、恐らくは、障害事象の正確な原因を正確に指摘することができ、それによって、将来実施される同様の外科処置中に同様の障害事象が発生することを潜在的に緩和するための知識を提供する。
識別された外科用データが時系列化されると、時系列化された外科用データは、発生器データの暗号化に関して上記に説明された様式と同様の様式で暗号化され得る。したがって、識別された外科用データは、識別された外科用データの機密性を確保することを助けるために、外科用ハブ206に記憶されている間に、又はインターネット若しくは他のコンピュータネットワークを使用してクラウドベースのシステム205に送信されている間に、暗号化され得る。様々な態様によると、外科用ハブ206の構成要素は、暗号化アルゴリズムを利用して、識別された外科用データを読み取り可能なバージョンから符号化されたバージョンに変換し、それによって、障害事象と関連付けられた暗号化された外科用データを形成する(図25~図27)。暗号化アルゴリズムを利用する外科用ハブの構成要素は、例えば、プロセッサモジュール232、コンピュータシステム210のプロセッサ244、及び/又はそれらの組み合わせであり得る。利用される暗号化アルゴリズムは、対称暗号化アルゴリズム又は非対称暗号化アルゴリズムであり得る。
識別された外科用データが暗号化された後、外科用ハブの構成要素は、クラウドベースのシステム205に障害事象と関連付けられた暗号化された外科用データ(例えば、暗号化された障害事象外科用データ)を通信し得る。暗号化された外科用データをクラウドベースのシステム205に通信する外科用ハブの構成要素は、例えば、プロセッサモジュール232、モジュール式通信ハブ203のハブ/スイッチ207/209、モジュール式通信ハブ203のルータ211、又はコンピュータシステム210の通信モジュール247であり得る。様々な態様によると、インターネットを介した暗号化された外科用データ(例えば、暗号化された障害事象外科用データ)の通信は、(1)送達される暗号化された外科用データを包含するデータグラムを定義する、及び(2)データグラムをソース及び宛先情報を用いて標識するために使用されるアドレス指定方法を定義する、IPに従い得る。データグラムは、図29に示されるデータグラム又は図30に示されるデータグラムと同様であり得るが、データグラムのヘッダ又はペイロードのいずれかが、暗号化された外科用データ(例えば、暗号化された障害事象外科用データ)を、非優先化外科用データ(例えば、暗号化された非障害事象外科用データ)に対して優先化されるように識別するフラグ又はタグを含むフィールドを含み得るという点で異なり得る。そのようなデータグラムの一例が図32に示されており、データグラム3860のペイロード3864は、ペイロード3864が優先化された外科用データ(例えば、組み合わせ発生器データ3868)を含むことを示す(例えば、優先化された指示3834)フィールドを含む。様々な態様によると、データグラム3860のペイロード3864はまた、図32に示されるように、非フラグ付け/非タグ付け/非優先化外科用データ3836(例えば、他の外科用データ3874)も含み得る。
様々な態様によると、識別された外科用データ(例えば、障害事象外科用データ)が暗号化される前に、識別された外科用データは、圧縮され得る(関連する外科用データのソースによって未だ圧縮されていない場合)。圧縮は、続いて暗号化されてクラウドベースのシステム205に通信されることになる、障害事象と関連付けられた外科用データのより小さい表現を可能にする。圧縮について、外科用ハブ206の構成要素は、識別された外科用データの表現を識別された外科用データのより小さい表現に変換するために圧縮アルゴリズムを利用し得、それによって、識別された外科用データのより効率的かつ経済的な暗号化(より少ないデータの暗号化は、より少ない処理リソースを利用する)、及び暗号化された外科用データのより効率的かつ経済的な通信(例えば、データグラムのペイロード内の外科用データのより小さい表現は、より多くの識別された外科用データが所与のデータグラム内に含められること、より多くの識別された外科用データが所与の期間内に通信されること、及び/又は識別された外科用データがより少ない通信リソースで通信されることを可能にする)を可能にする。圧縮アルゴリズムを利用する外科用ハブ206の構成要素は、例えば、プロセッサモジュール232、コンピュータシステム210のプロセッサ244、及び/又はそれらの組み合わせであり得る。利用される圧縮アルゴリズムは、可逆圧縮アルゴリズム又は不可逆圧縮アルゴリズムであり得る。
他の非優先化外科用データ(例えば、非障害事象外科用データ)が、優先化された外科用データ(例えば、障害事象外科用データ)と共に通信される場合、他の非優先化外科用データは、障害事象と関連付けられるように識別された外科用データに関して上記に説明された様式と同一又は異なる様式で、タイムスタンプ、圧縮、及び/又は暗号化され得、外科用ハブ206は、暗号化された優先化された外科用データ(例えば、暗号化された障害事象外科用データ)及び暗号化された他の非優先化外科用データ(例えば、暗号化された非障害事象外科用データ)の両方を含むデータグラムを生成するようにプログラム/構成され得る。例えば、図32の観点では、データグラム3860のペイロード3864は、2つ又は3つ以上の別個のペイロードデータ部分に分割され得(例えば、1つが優先化された外科用データ3834、1つが非優先化外科用データ3836)、各部分が、識別ビット(例えば、発生器データ(GD)3866、他のデータ(OD)3872)、関連付けられた暗号化されたデータ(例えば、暗号化された優先化された外科用データ3868、暗号化された非優先化外科用データ3874)、及び関連付けられたパディング3870、3876を、それぞれ必要に応じて有する。更に、図30と同様、ヘッダ3862は、図29に示されるデータグラム3780を参照して説明されたヘッダ3782と同じ(例えば、IPアドレスソース3878、IPアドレス宛先3880、ヘッダ長3882)であってもよく、又はそれとは異なってもよい。例えば、ヘッダ3862は、ヘッダ3862が、データグラム3860のペイロード3864に含められるペイロードデータ部分3884の数(例えば、2)を指定するフィールドを更に含むという点で異なり得る。ヘッダ3862はまた、ペイロード長3886、3890を指定するフィールド、及び各ペイロードデータ部分3834、3836についてそれぞれチェックサム値3888、2892を含み得る点でも異なり得る。2つのペイロードデータ部分のみが図32に示されているが、データグラム3860のペイロード3864は、任意の量/数のペイロードデータ部分(例えば、1、2、3、4、5)を含んでもよく、各ペイロードデータ部分は、異なる態様の外科処置と関連付けられたデータを含むことが理解されるであろう。データグラム3860は、次いで、(1)送達される暗号化された発生器データ及び暗号化された取り除かれた後の/他のデータを包含するデータグラムを定義する、及び(2)データグラムをソース及び宛先情報を用いて標識するために使用されるアドレス指定方法を定義する、IPに従って、外科用ハブ206からインターネットを介してクラウドベースのシステム205に通信され得る。
いくつかの態様では、外科処置と関連付けられた障害事象が識別されると、外科用ハブ206及び/又はクラウドベースのシステム205は、続いて、不作動性及び/又は除去について、外科処置中に利用された外科用装置/器具235をフラグ付け又はタグ付けし得る。例えば、一態様では、外科用装置/器具235と関連付けられ、外科用ハブ206及び/又はクラウドベースシステム205に記憶された情報(例えば、シリアル番号、ID)が、外科用装置/器具235が再び使用されることを効果的に阻止する(例えば、ブラックリスト化される)ために利用され得る。別の態様では、外科用装置/器具と関連付けられた情報(例えば、シリアル番号、ID)は、外科用装置/器具235の徹底的な分析/検査が実施され得るように(例えば、障害の原因を判定するために)、外科用装置/器具235を製造元又は他の指定された当事者に返却するための輸送伝票及び輸送指示の印刷を開始し得る。本明細書に説明される様々な態様によると、障害の原因が判定されると(例えば、外科用ハブ206及び/又はクラウドベースのシステム205を介して)、外科用ハブ206は、判定された障害の原因を補正する、外科用装置/器具235による実行のためのプログラム(すなわち、外科用装置/器具パラメータを変更して障害が再び発生することを防止するプログラム)をクラウドベースのシステム205からダウンロードし得る。
いくつかの態様によると、外科用ハブ206及び/又はクラウドベースのシステム205はまた、外科用装置/器具235を手術室から物理的に除去する(例えば、手術室に依然として存在することを検出された場合)、及び/又は外科用装置/器具235を製造元又は他の指定された当事者に送るように、管理者、職員、及び/又は他の関係者にリマインダを提供/表示し得る(例えば、ハブディスプレイ215及び/又は外科用装置/器具ディスプレイ237を介して)。一態様では、リマインダは、管理者が外科用ハブ206及び/又はクラウドベースシステム205から外科用装置/器具235のフラグ又はタグを除去し得るまで、周期的に提供/表示されるように設定され得る。様々な態様によると、管理者は、管理者が、外科用装置/器具235が製造元又は他の指定された当事者によって受容されたことを確認し得ると(例えば、そのシリアル番号/IDを介した外科用装置/器具235のシステム追跡)、フラグ又はタグを除去し得る。上記の方法を使用して、障害事象と関連付けられた外科用データをフラグ付け及び/又は追跡することによって、障害事象と、及び/又は外科用装置/器具235と関連付けられた外科用データの閉ループ制御が実現され得る。加えて、上記を考慮すると、外科用ハブ206は、外科処置中に利用されたか、又は潜在的に利用され得る、外科用装置/器具235の利用率(又は非利用率)を効果的に管理するために利用され得ることが理解されるであろう。
本開示の様々な態様では、外科用ハブ206及び/又はクラウドベースのシステム205は、どの構成要素(例えば、外科用装置/器具235、エネルギー装置241)が、外科処置を実施するために、そのインタラクティブ外科システム100/200内で利用されるかを制御することを望み得る(例えば、将来の障害事象を最小化するために、未認可又はノックオフ構成要素の使用を回避するために)。
したがって、本開示の様々な態様では、インタラクティブ外科システム100が、複数の外科用ハブ106を備え得るため、インタラクティブ外科システム100のクラウドベースのシステム105及び/又は各外科ハブ106は、経時的に利用される構成要素-外科用ハブの組み合わせを追跡することを望み得る。一態様では、構成要素(図9、例えば、外科用装置/器具235、エネルギー装置241参照)が、特定の外科用ハブ106に接続された/それと共に使用された際/後(例えば、外科用装置/器具235が特定の外科用ハブ106に有線/無線で接続され、エネルギー装置241が発生器モジュール240を介して特定の外科用ハブ106に接続される)、特定の外科用ハブ106は、インタラクティブ外科システム100のクラウドベースのシステム105及び/又は他の外科用ハブ106に対するその接続/使用のレコード/ブロックを通信し得る(例えば、接続された装置のそれぞれの固有の識別子をリンクする)。例えば、エネルギー装置241の接続/使用の際/後、特定の外科用ハブ106は、インタラクティブ外科システム100のクラウドベースのシステム105及び/又は他の外科用ハブ106に対するレコード/ブロックを通信し得る(例えば、エネルギー装置241の固有の識別子を、発生器モジュール240の固有識別子に、特定の外科用ハブ106の固有の識別子にリンクする)。そのような一態様では、これが、構成要素(例えば、エネルギー装置)のインタラクティブ外科システム100の外科用ハブ106への接続/それとの使用の初回である場合、インタラクティブ外科システム100のクラウドベースのシステム105及び/又は各外科用ハブ106は、レコード/ブロックを発生レコード/ブロックとして記憶し得る。そのような一態様では、クラウドベースのシステム105及び/又は各外科用ハブ106に記憶された発生レコード/ブロックは、タイムスタンプを含み得る。しかしながら、そのような一態様では、これが、構成要素(例えば、エネルギー装置241)のインタラクティブ外科システム100の外科用ハブ106への接続/それとの使用の初回ではなかった場合、インタラクティブ外科システムのクラウドベースのシステム105及び/又は各外科用ハブ106は、レコード/ブロックを、構成要素と関連付けられた一連のレコード/ブロック内の新しいレコード/ブロックとして記憶し得る。そのような態様では、新しいレコード/ブロックは、クラウドベースのシステム105及び/又は各外科用ハブ106に記憶された、最新の通信されたレコード/ブロックの暗号ハッシュ、通信されたリンクデータ、及びタイムスタンプを含み得る。そのような一態様では、各暗号ハッシュは、各新しいレコード/ブロック(例えば、構成要素の各使用)をその以前のレコード/ブロックにリンクして、元の発生レコード/ブロック(例えば、構成要素の第1の使用)に遡る各々の以前のレコード/ブロックの完全性を確認するチェーンを形成する。そのような一態様によると、このレコード/ブロックのブロックチェーンは、インタラクティブ外科システム100のクラウドベースのシステム105及び/又は各外科用ハブ106で展開されて、特定の構成要素の使用を、経時的にインタラクティブ外科システム100の1つ又は2つ以上の外科用ハブ106に永続的かつ検証可能に結び付け得る。ここで、別の態様によると、このアプローチは、構成要素がインタラクティブ外科システム100の特定の外科用ハブ106に接続される/それと共に使用されたとき/後に、構成要素の副構成要素(例えば、ハンドル、シャフト、エンドエフェクタ、カートリッジ)に同様に適用され得る。
本開示の様々な態様によると、クラウドベースのシステム105及び/又は各外科用ハブ106は、そのようなレコード/ブロックを利用して、特定の構成要素及び/又は副構成要素の使用を、インタラクティブ外科システム100でのその最初の使用まで辿って追跡し得る。例えば、特定の構成要素(例えば、外科用装置/器具235)が障害事象に関連してフラグ付け/タグ付けされている場合、クラウドベースのシステム105及び/又は外科用ハブ106は、そのようなレコード/ブロックを分析して、その構成要素及び/又はその構成要素の副構成要素の過去の使用が障害事象(例えば、過剰使用)の一因となったか、又はそれを引き起こしたか否かを判定し得る。一実施例では、クラウドベースのシステム105は、その構成要素の副構成要素(例えば、エンドエフェクタ)が実際に障害事象の一因となり得る/それを引き起こし得ることを判定し、次いで、判定に基づいて、不作動性及び/又は除去についてその構成要素をタグ付け/フラグ付けし得る。
別の態様によると、クラウドベースのシステム205及び/又は外科用ハブ206は、構成要素及び/又はその供給元/製造元を認証することによって、どの構成要素(例えば、外科用装置/器具235、エネルギー装置241)が、外科処置を実施するためにインタラクティブ外科システム200で利用されるかを制御し得る。一態様では、構成要素の供給元/製造元は、シリアル番号及びソースIDを構成要素と関連付け得る。そのような一態様では、供給元/製造元は、シリアル番号の秘密鍵を作成/生成し、秘密鍵を用いてシリアル番号を暗号化し、暗号化されたシリアル番号及びソースIDを、手術現場に輸送する前に構成要素内の電子チップ(例えば、メモリ)上に記憶し得る。ここで、外科用ハブ206への構成要素の接続の際/後に、外科用ハブ206は、暗号化されたシリアル番号及びソースIDを電子チップから読み取り得る。それに応じて、外科用ハブ206は、メッセージ(すなわち、暗号化シリアル番号を含む)を、ソースIDと関連付けられた供給元/製造元のサーバに送信し得る(例えば、直接、又はクラウドベースのシステム205を介して)。そのような一態様では、外科用ハブ206は、その供給元/製造元と関連付けられた公開鍵を使用してメッセージを暗号化し得る。それに応答して、外科用ハブ206は、メッセージ(すなわち、供給元/製造元がその暗号化されたシリアル番号用に生成した/それと関連付けた秘密鍵を含む)を供給元/製造元サーバから受信し得る(例えば、直接、又はクラウドベースのシステム205を介して)。そのような一態様では、供給元/製造元サーバは、外科用ハブ206と関連付けられた公開鍵を使用してメッセージを暗号化し得る。更に、そのような一態様では、外科用ハブ206は、次いで、暗号化されたシリアル番号と関連付けられた秘密鍵を明らかにするために、メッセージを復号化し得る(例えば、メッセージを暗号化するために使用された公開鍵に対してペアリングされた秘密鍵を使用して)。外科用ハブ206は、次いで、暗号化されたシリアル番号を、シリアル番号を明らかにするために、その秘密鍵を使用して復号化し得る。更に、そのような一態様では、外科用ハブ206は、次いで、復号化されたシリアル番号を、認可されたシリアル番号の包括的リスト(例えば、外科用ハブ206及び/若しくはクラウドベースのシステムに記憶される、並びに/又はクラウドベースのシステムからダウンロードされる、例えば、供給元/製造元から別個に受信される)と比較し、復号化されたシリアル番号が認可されたシリアル番号と一致する場合、接続された構成要素の使用を許可し得る。最初に、そのようなプロセスは、外科用ハブ206が供給元/製造元を認証することを可能にする。具体的には、外科用ハブ206は、供給元/製造元と関連付けられた公開鍵を使用して暗号化されたシリアル番号を含むメッセージを暗号化した。したがって、応答メッセージ(すなわち、秘密鍵を含む)を受信することは、供給元/製造元を外科用ハブ206に対して認証する(すなわち、そうでない場合、供給元/製造元は、メッセージを暗号化するために、外科用ハブ206によって使用される公開鍵に対してペアリングされた秘密鍵へのアクセスを有していないことになり、供給元/製造元は、メッセージ内で受信された暗号化されたシリアル番号を、その既に生成された秘密鍵に関連付けることができなかったことになる)。更に、そのようなプロセスは、外科用ハブ206が、接続された構成要素/装置自体を認証することを可能にする。具体的には、供給元/製造元(例えば、ちょうど認証された)は、送達された秘密鍵を使用して、構成要素のシリアル番号を暗号化した。秘密鍵の安全な受信の際、外科用ハブ206は、暗号化されたシリアル番号(すなわち、接続された構成要素から読み取られる)を復号化することができ、暗号化されたシリアル番号は、構成要素及び/又は供給元/製造元とのその関連付けを認証する(すなわち、その供給元/製造元から受信された秘密鍵のみが、暗号化されたシリアル番号を復号化することになる)。それでもなお、外科用ハブ206は、構成要素を真正として更に検証する(例えば、復号化されたシリアル番号を、供給元/製造元とは別個に受信された、認可されたシリアル番号の包括的リストと比較する)。なお、上記のそのような態様は、構成要素及び/又はその供給元/製造元を認証することによって、どの構成要素(例えば、外科用装置/器具235、エネルギー装置241)が、インタラクティブ外科システム200で利用されるか(例えば、外科処置を実施するために)を制御するために、クラウドベースのシステム205、及び/又はクラウドベースのシステム205と外科用ハブ206との組み合わせによって代替的に実施されてもよい。一態様では、そのような説明されたアプローチは、インタラクティブ外科システム200内のノックオフ構成要素の使用を防止し、外科患者の安全及び健康を確保し得る。
別の態様によると、構成要素(例えば、外科用装置/器具235、エネルギー装置241)の電子チップは、その構成要素の使用と関連付けられたデータ(すなわち、使用データ、例えば、制限された使用装置による使用回数、残りの使用回数、実行された発射アルゴリズム、単回使用構成要素としての指定)を記憶し得る(例えば、メモリ内に)。そのような一態様では、インタラクティブ外科システムへの構成要素の接続の際/後、外科用ハブ206及び/又はクラウドベースのシステム205は、構成要素のメモリからそのような使用データを読み取り、その使用データの少なくとも一部分を、外科用ハブ206での記憶(例えば、メモリ249内)のために、及び/又はクラウドベースのシステム205での記憶のために、書き戻し得る(例えば、個々に、及び/又は本明細書で考察されるブロックチェーンアプローチの下で)。そのような一態様によると、外科用ハブ206及び/又はクラウドベースのシステム205は、その構成要素の後続の接続の際/後に、そのような使用データを再び読み取り、その使用を以前に記憶された使用データと比較し得る。ここで、不一致が存在する場合、又は所定の/認可された使用が満たされた場合、外科用ハブ206及び/又はクラウドベースのシステム205は、インタラクティブ外科システム200上でのその構成要素(例えば、ブラックリスト化された、不作動とされた、除去についてフラグ付けされた)の使用を防止し得る。様々な態様では、そのようなアプローチは、暗号化チップシステムのバイパスを防止する。構成要素の電子チップ/メモリが改ざんされていた場合(例えば、メモリリセット、変更された使用回数、変更された発射アルゴリズム、複数回使用装置として指定された単回使用装置)、不一致が存在することになり、構成要素の使用が制御/防止されることになる。
更なる詳細は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、「TECHNIQUES FOR OPERATING GENERATOR FOR DIGITALLY GENERATING ELECTRICAL SIGNAL WAVEFORMS AND SURGICAL INSTRUMENTS」と題する米国特許出願公開第2017/0086914号に開示されている。
手術室での装置ペアリングの外科用ハブ調整
外科用ハブ106の機能のうちの1つは、外科システム102の構成要素間の相互作用を制御する、それらから情報を収集する、又はそれらを調整するために、外科システム102の他の構成要素とペアリングすることである(本明細書では「接続」又は「連結」とも称される)。病院の手術室が互いに物理的に近接している可能性が高いため、外科システム102の外科用ハブ106は、隣接する手術室内の外科システム102の構成要素と知らずにペアリングされる場合があり、これは、外科用ハブ106の機能との顕著に干渉することになる。例えば、外科用ハブ106は、異なる手術室で外科用器具を非意図的に作動させるか、又は隣接する手術室で異なる進行中の外科処置から情報を記録する場合がある。
本開示の態様は、外科用ハブ106が、その手術室の境界内に位置する外科システム102の検出された装置のみとペアリングする解決策を提示する。
更に、外科用ハブ106は、例えば、どの外科用器具が互いにペアリングされるか、又は作動されるべきであるかについての決定を行う際に、その手術室内の外科システム102の他の構成要素の場所のその認識に依存する。外科用ハブ106又は外科システム102の別の構成要素の位置の変化は、問題となり得る。
本開示の態様は、外科用ハブ106が移動されたことを検出すると、外科用ハブ106がその手術室の境界を再評価又は再判定するように構成されている解決策を更に提示する。本開示の態様は、外科用ハブ106が移動されたことの指標であり得る、外科システム102の変圧装置の検出の際、外科用ハブ106がその手術室の境界を再評価又は再判定するように構成されている解決策を更に提示する。
様々な態様では、外科用ハブ106は、手術室で実施される外科処置で外科システム102と共に使用される。外科用ハブ106は、手術室の境界を判定し、手術室の境界内に位置する外科システム102の装置を判定し、外科用ハブ106を、手術室の境界内に位置する外科システム102の装置とペアリングするように構成された制御回路を備える。
一態様では、制御回路は、外科用ハブ106の起動後の手術室の境界を判定するように構成される。一態様では、外科用ハブ106は、手術室の境界内に位置する外科システムの装置を検出し、それとペアリングするように構成された通信回路を含む。一態様では、制御回路は、外科システム102の変圧装置が検出された後に手術室の境界を再判定するように構成される。一態様では、制御回路は、手術室の境界を周期的に判定するように構成される。
一態様では、外科用ハブ106は、手術室の境界を測定するように構成された複数の非接触センサを含む手術室マッピング回路を備える。
様々な態様では、外科用ハブ106は、プロセッサと、プロセッサに連結されたメモリとを含む。メモリは、上記のように、外科用ハブを、手術室の境界内に位置する外科システム102の装置とペアリングするために、プロセッサによって実行可能な命令を記憶する。様々な態様では、本開示は、コンピュータ可読命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体を提供し、コンピュータ可読命令は、実行されると、機械に、上記のように、外科用ハブ106を、手術室の境界内に位置する外科システム102の装置とペアリングさせる。
図35及び図36は、上記のように、外科用ハブ106を、手術室の境界内に位置する外科システム102の装置とペアリングするための制御プログラム又は論理構成を図示するプロセスの論理フロー図である。
外科用ハブ106は、外科処置の支援、外科システム102の装置間の調整、並びにクラウド104へのデータの収集及び送信などの、短距離及び長距離通信を必要とする広範囲の機能を実施する。その機能を適切に実施するために、外科用ハブ106は、外科システム102の他の装置と近距離通信することができる通信モジュール130を備える。通信モジュール130はまた、クラウド104と長距離通信することもできる。
外科用ハブ106はまた、手術室の境界を識別し、かつ手術室内の外科システム102の装置を識別することができる手術室マッピングモジュール133も備える。外科用ハブ106は、手術室の境界を識別し、手術室内で検出される外科システム102の変圧装置のみとペアリングするか、又はそれらのみに接続するように構成される。
一態様では、ペアリングは、通信リンク又は経路を確立することを含む。別の態様では、ペアリングは、制御リンク又は経路を確立することを含む。
手術室の境界の初期マッピング又は評価は、外科用ハブ106の初期起動中に行われる。更に、外科用ハブ106は、その手術室を周期的にマッピングすることによって、動作中の空間認識を維持するように構成され、これは、外科用ハブ106が移動されたかどうかを判定する際に有用であり得る。再評価3017は、周期的に実行されてもよく、又は手術室内にあると見なされる外科システム102の装置の変化を観察するなどの事象によってトリガされてもよい。一態様では、変化は、図37に示されるように、手術室の境界内にあるとして以前には見なされなかった新しい装置の検出(3010)である。別の態様では、変化は、図38に示されるように、手術室内にあると以前に見なされた、ペアリングされた装置の消失、接続解除、又はペアリング解除である。外科用ハブ106は、ペアリングされた装置との接続を連続的に監視して(3035)、ペアリングされた装置の消失、接続解除、又はペアリング解除を検出し得る(3034)。
他の態様では、再評価トリガ事象は、例えば、外科医の位置の変化、器具交換、又は外科用ハブ106によって実施されている新しいタスクセットの感知であり得る。
一態様では、外科用ハブ106による部屋の境界の評価は、外科用ハブ106が手術室の壁を検出することを可能にする、外科用ハブ106内の手術室マッピングモジュール133のセンサアレイの起動によって達成される。
外科システム102の他の構成要素は、外科用ハブ106と同じ又は同様の様式で空間認識されるように作製され得る。例えば、ロボットハブ122もまた、手術室マッピングモジュール133を備えてもよい。
外科用ハブ106の空間認識、及び外科システム102の変圧構成要素に対して手術室をマッピングするその能力は、外科用ハブ106が、そのような変圧構成要素を外科システム102の一部として含むか、又は除外するか否かについて自律的な決定を行うことを可能にし、そのようなタスクを扱うことから手術スタッフを解放する。更に、外科用ハブ106は、例えば、外科処置の実施前、実施中、及び/又は実行後に収集された情報に基づいて、手術室で実施される外科処置の種類についての推定を行うように構成される。収集された情報の例としては、手術室内に持ち込まれる装置の種類、手術室内へのそのような装置の導入時間、及び/又は装置起動シーケンスが挙げられる。
一態様では、外科用ハブ106は、手術室マッピングモジュール133を用いて、超音波又はレーザ非接触測定装置のいずれかを使用して、手術現場の境界(例えば、固定、可動、又は一時的な手術室又は空間)を判定する。
図34を参照すると、超音波ベースの非接触センサ3002が、超音波のバーストを送信し、それが手術現場の外周壁3006で反射したときのエコーを受信することによって手術現場をスキャンして、手術現場のサイズを判定し、Bluetoothペアリング距離限界を調整するために用いられ得る。一実施例では、非接触センサ3002は、図34に示されるように、Ping超音波距離センサとすることができる。
図34は、超音波センサ3002が、どのように、その超音波スピーカ3003を用いて有する簡易チャープを送信し、エコーが超音波センサの超音波マイクロフォン3005に戻るまでどの程度の時間がかかるかを手術室マッピングモジュール133のマイクロコントローラ3004が測定することを可能にするかを示す。マイクロコントローラ3004は、超音波センサ3002にパルスを送信して、測定を開始する。超音波センサ3002は、次いで、マイクロコントローラプログラムがパルス入力コマンドを開始するのに十分な時間、待機する。次いで、超音波センサ3002が40kHzトーンをチャープするとほぼ同時に、マイクロコントローラ3004に高信号を送信する。超音波センサ3002は、その超音波マイクロフォン3005を用いてエコーを検出すると、その高信号を低に戻すように変化させる。マイクロコントローラのパルス入力コマンドは、高及び低の変化の間の時間を測定し、その測定値を変数に記憶する。この値は、外科用ハブ106と手術室壁3006との間の距離を計算するために、空気中の音の速度と共に使用され得る。
一実施例では、図33に示されるように、外科用ハブ106は、4つの超音波センサ3002を備え得、4つの超音波センサの各々は、外科用ハブ106と手術室3000の壁との間の距離を評価するように構成される。外科用ハブ106は、手術室の境界を判定するために、4つ超又は4つ未満の超音波センサ3002を備えてもよい。
他の距離センサが、手術室の境界を判定するために、手術室マッピングモジュール133によって用いられてもよい。一実施例では、手術室マッピングモジュール133は、手術室の境界を評価するために用いられ得る1つ又は2つ以上の光電センサを備えてもよい。一実施例では、好適なレーザ距離センサもまた、手術室の境界を評価するために用いられてもよい。レーザベースの非接触センサは、レーザ光パルスを送信し、手術室の外壁に反射するレーザ光パルスを受信し、送信されたパルスの位相を受信したパルスと比較して、手術室のサイズを判定し、かつBluetoothペアリング距離限界を調整することによって手術室をスキャンし得る。
図33の左上隅を参照すると、外科用ハブ106が手術室3000に持ち込まれる。外科用ハブ106は、外科処置の前に発生するセットアップの開始時に起動される。図33の実施例では、セットアップは、リアルタイムクロックに基づいて11:31:14(EST)の実際の時間で開始する。しかしながら、記載された手順のセットアップ開始時間では、外科用ハブ106は、個人の患者情報を保護するために、人為的なリアルタイム07:36:00で人為的にランダム化されたリアルタイムクロックタイミングスキームを開始する(3001)。
人為的なリアルタイム07:36:01では、手術室マッピングモジュール133が、超音波距離センサを用いて、手術室に超音波でピング送出して(例えば、上記のように超音波のバーストを送信し、それが手術室の外周壁から反射したときのエコーを待つ)、手術室のサイズを検証し、ペアリング距離限界を調整する。
人為的なリアルタイム07:36:03では、データが取り除かれ、タイムスタンプされる。人為的なリアルタイム07:36:05では、外科用ハブ106は、手術室マッピングモジュール133の超音波距離センサ3002を使用して検証された際の手術室3000内のみに位置する装置のペアリングを開始する。図33の右上隅は、手術室3000の境界内にあり、かつ二次表示装置3020、二次ハブ3021、共通インターフェース装置3022、電動ステープラ3023、ビデオタワーモジュール3024、及び電動ハンドヘルド切開器具3025を含む、外科用ハブ106とペアリングされるいくつかの例示的な装置を示す。一方で、二次ハブ3021’、二次表示装置3020’、及び電動ステープラ3026は、全て手術室3000の境界の外側にあり、したがって、外科用ハブ106とペアリングされない。
手術室内にある外科システム102の装置との通信リンクを確立することに加えて、外科用ハブ106はまた、装置の各々に固有の識別及び通信シーケンス又は番号を割り当てる。固有のシーケンスは、通信が最初に確立されたときの装置の名称及びタイムスタンプを含み得る。他の好適な装置情報もまた、装置の固有のシーケンスに組み込まれ得る。
図33の左上隅に示されるように、外科用ハブ106は、手術室3000の境界が、外科用ハブ106から距離a、-a、b、及び-bにあると判定している。装置「D」が、その手術室3000の判定された境界の外側にあるため、外科用ハブ106は、装置「D」とペアリングされないことになる。図35は、外科用ハブ106がどのようにその手術室の境界内の装置のみとペアリングするかを示す例示的なアルゴリズムである。起動後、外科用ハブ106は、上記のように手術室マッピングモジュール133を使用して手術室の境界を判定する(3007)。初期判定後、外科用ハブ106は、ペアリング範囲内の装置を連続的に探索又は検出する(3008)。装置が検出された場合(3010)、外科用ハブ106は、次いで、検出された装置が手術室の境界内にあるかを判定する(3011)。装置が手術室の境界内にあると判定された場合、外科用ハブ106は、装置とペアリングする(3012)。特定の事例では、外科用ハブ106はまた、装置に識別子を割り当てる(3013)。しかしながら、検出された装置が手術室の境界の外側にあると外科用ハブ106が判定した場合、外科用ハブ106は、装置を無視することになる(3014)。
図36を参照すると、手術室の境界の初期判定後、及びそのような境界内に位置する装置の初期ペアリング後、外科用ハブ106は、ペアリングのために利用可能となる新しい装置を検出し続ける(3015)。新しい装置が検出された場合(3016)、外科用ハブ106は、新しい装置とのペアリングの前に、手術室の境界を再評価する(3017)ように構成される。新しい装置が、手術室の新たに判定された境界内にあると判定された場合(3018)、外科用ハブ106は、装置とペアリングし(3019)、新しい装置に固有の識別子を割り当てる(3030)。しかしながら、新しい装置が手術室の新たに判定された境界の外側にあると外科用ハブ106が判定した場合、外科用ハブ106は、装置を無視することになる(3031)。
ペアリングのために、手術室マッピングモジュール133は、コンパス及び統合されたBluetooth送受信機を含有する。病院環境又は地理的位置によって顕著に影響されない他の通信機構が用いられてもよい。Bluetooth Low Energy(BLE)ビーコン技術は、現在、約1~2メートルの精度で屋内距離測定を達成することができ、より近位(0~6メートル以内)での改善された精度を有する。距離測定の精度を改善するために、コンパスがBLEと共に使用される。手術室マッピングモジュール133は、BLE及びコンパスを利用して、モジュールが患者に対してどこに位置しているかを判定する。例えば、互いに対向する2つのモジュール(コンパスによって検出される)は、それらの間の距離が1メートル超である状態で、モジュールが患者の両側にあることを明確に示し得る。手術室内により多くの「ハブ」対応モジュールが存在すると、三角測量技術に起因して、達成可能な精度がより高くなる。
複数の外科用ハブ106、モジュール及び/又は他の周辺装置が、図33の右上隅に示されるように、同じ手術室内に存在する状況では、手術室マッピングモジュール133は、手術室内に存在する各モジュールの物理的位置をマッピングするように構成される。この情報は、ユーザインターフェースによって使用されて、手術室の仮想マップを表示し得、ユーザが、どのモジュールが存在して有効化されているか、及びそれらの現在の状態をより容易に識別することを可能にする。一態様では、外科用ハブ106によって収集されたマッピングデータは、クラウド104にアップロードされ、データは、例えば、手術室がどのように物理的にセットアップされているかを識別するために分析される。
外科用ハブ106は、送信無線信号強度及び方向を評価することによって、装置の場所を判定するように構成される。Bluetoothプロトコルについて、受信信号強度インジケーション(Received Signal Strength Indication、RSSI)は、受信された無線信号強度の測定値である。一態様では、外科システム102の装置は、USB Bluetoothドングルを備え得る。外科用ハブ106は、USB Bluetoothビーコンをスキャンして距離情報を取得し得る。別の態様では、可変減衰器を有するBluetoothアクセスポイント上の複数の高ゲインアンテナは、RSSI測定よりも正確な結果を生成し得る。一態様では、ハブは、複数のアンテナからの信号強度を測定することによって装置の場所を判定するように構成される。代替的に、いくつかの実施例では、外科用ハブ106は、外科用ハブ106の位置の変化を検出するように構成された1つ又は2つ以上の運動センサ装置を備え得る。
図33の左下隅を参照すると、外科用ハブ106は、破線で図示されているその元の位置から、依然として手術室3000の境界の外側にある装置「D」により近い新しい位置に移動されている。外科用ハブ106は、その新しい位置にあり、以前に判定された手術室の境界に基づいて、装置「D」が外科システム102の変圧構成要素であると自然に結論付けることになる。しかしながら、新しい装置の導入は、図35、図37の例示的なアルゴリズムに示されるように、手術室の境界の再評価(3017)のためのトリガ事象である。再評価を実施した後、外科用ハブ106は、手術室境界が変化したと判定する。新しい境界に基づいて、距離anew、-anew、bnew、及び-bnewに基づいて、外科用ハブ106は、それが移動され、かつ装置「D」が、その手術室の新たに判定された境界の外側にあると結論付ける。したがって、外科用ハブ106は、依然として装置「D」とペアリングしないことになる。
一態様では、図35~図39に図示されるプロセスのうちの1つ又は2つ以上は、図10(プロセッサ244)に図示されるような外科用ハブ106の制御回路によって実行され得る。別の態様では、図35~図39に図示されるプロセスのうちの1つ又は2つ以上は、図1に図示されるようなクラウドコンピューティングシステム104によって実行され得る。更に別の態様では、図35~図39に図示されるプロセスのうちの1つ又は2つ以上は、図12に図示される外科用器具のマイクロコントローラ461、図16に図示される外科用器具のマイクロコントローラ620、図17に図示されるロボット外科用器具700の制御回路710、図18~図19に図示される外科用器具750、790の制御回路760、図20に図示される発生器800のコントローラ838などの、モジュール色相値の制御回路と組み合わせて、上述のクラウドコンピューティングシステム104及び/又は外科用ハブ106の制御回路のうちの少なくとも1つによって実行され得る。
手術室内の外科用ハブの空間認識
外科処置中、超音波又はRF外科用器具などの外科用器具は、外科用ハブ106の発生器モジュール140に連結され得る。加えて、足又は手のスイッチ又は起動装置などの別個の外科用器具コントローラが、発生器から外科用器具へのエネルギーの流れを起動するために、外科用器具の操作者によって使用され得る。複数の外科用器具コントローラ及び複数の外科用器具は、手術室で同時に使用され得る。誤った外科用器具コントローラを押す又は起動することは、望ましくない結果をもたらし得る。本開示の態様は、外科用ハブ106が外科用器具コントローラと外科用器具とのペアリングを調整して、患者及び操作者の安全を確保する解決策を提示する。
本開示の態様は、手術室の境界内の外科システム102の構成要素間のペアリングを確立及び切断して、そのような構成要素間の情報の流れ及び制御動作を調整するように構成された外科用ハブ106について提示される。外科用ハブ106は、外科用ハブ106の手術室の境界内に存在する外科用器具コントローラと外科用器具との間のペアリングを確立するように構成され得る。
様々な態様では、外科用ハブ106は、操作者要求又は状況及び/若しくは空間認識に基づいて、外科システム102の構成要素間のペアリングを確立及び切断するように構成され得る。ハブ状況認識は、図62に関連して以下により詳細に説明される。
本開示の態様は、手術室で実施される外科処置で外科システムと共に使用するための外科用ハブについて提示される。外科用ハブは、外科システムの装置間のペアリングを選択的に形成及び切断する制御回路を含む。一態様では、ハブは、制御回路を含み、制御回路は、ハブを外科システムの第1の装置とペアリングし、第1の装置に第1の識別子を割り当て、ハブを外科システムの第2の装置とペアリングし、第2の識別子を第2の装置に割り当て、第1の装置を第2の装置と選択的にペアリングするように構成される。一態様では、外科用ハブは記憶媒体を含み、制御回路は、記憶媒体内に第1の装置と第2の装置との間のペアリングを示すレコードを記憶するように構成される。一態様では、第1の装置と第2の装置との間のペアリングは、それらの間の通信経路を画定する。一態様では、第1の装置と第2の装置との間のペアリングは、第2の装置から第1の装置に制御動作を送信するための制御経路を画定する。
上記に加えて、一態様では、制御回路は、ハブを外科システムの第3の装置とペアリングし、第3の識別子を第3の装置に割り当て、第1の装置と第2の装置との間のペアリングを切断し、第1の装置を第3の装置と選択的にペアリングするように更に構成される。一態様では、制御回路は、記憶媒体内に第1の装置と第3の装置との間のペアリングを示すレコードを記憶するように更に構成される。一態様では、第1の装置と第3の装置との間のペアリングは、それらの間の通信経路を画定する。一態様では、第1の装置と第3の装置との間のペアリングは、第3の装置から第1の装置に制御動作を送信するための制御経路を画定する。
様々な態様では、外科用ハブは、プロセッサと、プロセッサに連結されたメモリとを含む。メモリは、上記のように、外科システムの装置間のペアリングを選択的に形成及び切断するように、プロセッサによって実行可能な命令を記憶する。様々な態様では、本開示は、非一時的コンピュータ可読命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体を提供し、コンピュータ可読命令は、実行されると、機械に、上記のように、外科システムの装置間のペアリングを選択的に形成及び切断させる。図40及び図41は、上記のように、外科システムの装置間のペアリングを選択的に形成及び切断するための制御プログラム又は論理構成を図示するプロセスの論理フロー図である。
一態様では、外科用ハブ106は、外科用器具との第1のペアリング、及び外科用器具コントローラとの第2のペアリングを確立する。外科用ハブ106は、次いで、外科用器具及び外科用器具コントローラが互いに動作することを可能にするように、ペアリングを一緒にリンクさせる。別の態様では、外科用ハブ106は、外科用器具と外科用器具コントローラとの間の既存の通信リンクを切断し、次いで、外科用器具を外科用ハブ106にリンクされる別の外科用器具コントローラにリンクし得る。
一態様では、外科用器具コントローラは、2つのソースにペアリングされる。最初に、外科用器具コントローラは、その起動を制御のための、発生器モジュール140を含む外科用ハブ106にペアリングされる。第2に、外科用器具コントローラはまた、誤った外科用器具の不意な起動を防止するために、特定の外科用器具にもペアリングされる。
図40及び図42を参照すると、外科用ハブ106は、通信モジュール130に、第1の外科用器具であり得る、外科システム102の第1の装置3102とペアリングさせるか(3100)、又はそれとの第1の通信リンク3101を確立させ得る。次いで、ハブは、第1の識別番号を第1の装置3102に割り当て得る(3104)。これは、固有の識別及び通信シーケンス又は番号であり、通信が最初に確立されたときの装置の名称及びタイムスタンプを含み得る。
加えて、外科用ハブ106は、通信モジュール130に、外科用器具コントローラであり得る、外科システム102の第2の装置3108とペアリングさせるか(3106)、又はそれとの第2の通信リンク3107を確立させ得る。外科用ハブ106は、次いで、第2の識別番号を第2の装置3108に割り当てる(3110)。
様々な態様では、外科用ハブ106を装置とペアリングする工程は、上記により詳細に説明されるように、新しい装置の存在を検出することと、新しい装置が手術室の境界内にあると判定することと、新しい装置が手術室の境界内に位置する場合、新しい装置のみとペアリングすることとを含み得る。
外科用ハブ106は、次いで、図42に示されるように、第1の装置3102と第2の装置3108との間に確立されることになる通信リンク3114をペアリング(3112)又は認可し得る。通信リンク3114を示すレコードが、ストレージアレイ134内の外科用ハブ106によって記憶される。一態様では、通信リンク3114は、外科用ハブ106を介して確立される。別の態様では、図42に示されるように、通信リンク3114は、第1の装置3102と第2の装置3108との間の直接リンクである。
図41及び図43を参照すると、外科用ハブ106は、次いで、例えば、別の外科用器具コントローラであり得る、外科システム102の第3の装置3116を検出及びペアリングするか(3120)、又はそれとの第3の通信リンク3124を確立し得る。外科用ハブ106は、次いで、第3の識別番号を第3の装置3116に割り当て得る(3126)。
特定の態様では、図43に示されるように、外科用ハブ106は、次いで、図43に示されるように、通信リンク3114を切断させながら(3128)、第1の装置3102と第3の装置3116との間に確立されることになる通信リンク3118をペアリング(3130)又は認可し得る。通信リンク3118の形成及び通信リンク3114の切断を示すレコードが、ストレージアレイ134内の外科用ハブ106によって記憶される。一態様では、通信リンク3118は、外科用ハブ106を介して確立される。別の態様では、図43に示されるように、通信リンク3118は、第1の装置3102と第3の装置3116との間の直接リンクである。
上記のように、外科用ハブ106は、外科システム102の装置間の間接通信を管理し得る。例えば、第1の装置3102が外科用器具であり、第2の装置3108が外科用器具コントローラである状況では、外科用器具コントローラの出力は、通信リンク3107を介して外科用ハブ106に送信され得、次いで、通信リンク3101を介して出力を外科用器具に送信し得る。
外科システム102の装置間の接続を接続又は切断する決定を行う際、外科用ハブ106は、外科用ハブ106によって受信又は生成された手術前後のデータを頼り得る。手術前後のデータは、操作者入力、ハブ状況認識、ハブ空間認識、及び/又はクラウドデータを含む。例えば、要求が、外科用器具コントローラを外科用器具に割り当てるために、操作者ユーザインターフェースから外科用ハブ106に送信され得る。外科用器具コントローラが別の外科用器具に既に接続されていると外科用ハブ106が判定した場合、外科用ハブ106は、接続を切断し、操作者の要求毎に新しい接続を確立し得る。
特定の実施例では、外科用ハブ106は、可視化システム108と一次ディスプレイ119との間に第1の通信リンクを確立して、滅菌野の外側にある可視化システム108から、滅菌野内に位置する一次ディスプレイ119に画像又は他の情報を送信し得る。外科用ハブ106は、次いで、第1の通信リンクを切断し、ロボットハブ122と一次ディスプレイ119との間に第2の通信リンクを確立して、例えば、ロボットハブ122から一次ディスプレイ119に別の画像又は他の情報を送信し得る。外科用ハブ106が、外科システム102の異なる構成要素に一次ディスプレイ119を割り当て及び再割り当てする能力は、外科用ハブ106が、これらの構成要素を物理的に移動させずに、手術室内、特に滅菌野の内側及び滅菌野の外側の構成要素間の情報フローを管理することを可能にする。
ハブ状況認識を伴う別の実施例では、外科用ハブ106は、実施される外科処置の種類に基づいて、又は装置が接続若しくは切断されることを必要とする外科処置の近く予定されている工程の判定に基づいて、手術室内の外科システム102の装置を選択的に接続又は接続解除し得る。ハブ状況認識は、図62に関連して以下により詳細に説明される。
図44を参照すると、外科用ハブ106は、外科処置の外科的工程の進行を追跡し得(3140)、そのような進行に基づいて、外科システム102の装置のペアリング及びペアリング解除を調整し得る。例えば、外科用ハブ106は、第1の外科的工程が第1の外科用器具の使用を必要とし、一方、第1の外科的工程の完了後に発生する第2の外科的工程が第2の外科用器具の使用を必要とすると判定し得る。したがって、外科用ハブ106は、第1の外科的工程の持続時間の間、外科用器具コントローラを第1の外科用器具に割り当て得る。第1の外科的工程の完了を検出した後(3142)、外科用ハブ106は、第1の外科用器具と外科用器具コントローラとの間の通信リンクを切断させ得る(3144)。外科用ハブ106は、次いで、外科用器具コントローラと第2の外科用器具との間のペアリング(3146)又はそれら間の通信リンクの確立を認可することによって、外科用器具コントローラを第2の外科用器具に割り当て得る。
外科システム102の装置を接続又は接続解除する決定に影響を及ぼし得る、ハブ状況認識の様々な他の例は、図62に関連して以下により詳細に説明される。
特定の態様では、外科用ハブ106は、外科処置の外科的工程の進行を追跡し、外科用器具コントローラを1つの外科用器具から外科用ハブ106の手術室内の別の外科用器具に自律的に再割り当てするために、以下により詳細に説明されるように、その空間認識機能を利用し得る。一態様では、外科用ハブ106は、Bluetoothペアリング及びコンパス情報を使用して、外科システム102の構成要素の物理的位置を判定する。
図2に示される実施例では、外科用ハブ106は、手術台で術者によって保持された第1の外科用器具、及びサイドトレイ上に位置付けられた第2の外科用器具とペアリングされる。外科用器具コントローラは、第1の外科用器具又は第2の外科用器具のいずれかと選択的にペアリングされ得る。Bluetoothペアリング及びコンパス情報を利用して、外科用ハブ106は、患者に対するその近接度を理由に、外科用器具コントローラを第1の外科用器具に自律的に割り当てる。
第1の外科用器具を使用することを伴う外科的工程の完了後、第1の外科用器具は、サイドトレイに戻されるか、又は別様に患者から離れるように移動され得る。第1の外科用器具の位置の変化を検出すると、外科用ハブ106は、第1の外科用器具と外科用器具コントローラとの間の通信リンクを切断して、外科用器具コントローラによる第1の外科用器具の不意の起動を防止し得る。外科用ハブ106はまた、外科用ハブ106が手術台の新しい位置に移動されたことを検出した場合、外科用器具コントローラを別の外科用器具に再割り当てし得る。
様々な態様では、外科システム102の装置は、1人のユーザが、装置の起動制御を与えることを可能にする容易なハンドオフ動作モードを備え得、装置は、別の操作者の到達範囲内の別の外科用器具コントローラに対して現在制御している。一態様では、装置は、所定の起動シーケンスで起動される装置を互いにペアリングさせる、装置の所定の起動シーケンスを介したハンドオフを達成するように備わっている。
一態様では、起動シーケンスは、特定の順序で互いにペアリングされる装置に電力供給することによって達成される。別の態様では、起動シーケンスは、所定の期間内に互いにペアリングされることになる装置に電力供給することによって達成される。一態様では、起動シーケンスは、互いにペアリングされることになる装置のBluetoothなどの通信構成要素を特定の順序で起動することによって達成される。別の態様では、起動シーケンスは、互いにペアリングされることになる装置のBluetoothなどの通信構成要素を所定の期間内に起動することによって達成される。
代替的に、ハンドオフはまた、術者入力装置のうちの1つを通じた装置の選択によって達成され得る。選択が完了した後、別のコントローラによる次の起動は、新しいコントローラが制御を行うことを可能にする。
様々な態様では、外科用ハブ106は、外科システム102が手術室に持ち込まれると、外科システム102の構成要素を直接識別するように構成され得る。一態様では、外科システム102の装置は、例えば、バーコード又はRFIDタグなどの外科用ハブ106によって認識可能な識別子を備え得る。NFCもまた、用いられ得る。外科用ハブ106は、手術室内に持ち込まれた装置を検出するための好適な読取器又はスキャナを備え得る。
外科用ハブ106はまた、外科システム102の装置の様々な制御プログラムをチェック及び/又は更新するように構成され得る。外科システム102の装置の通信リンクを検出及び確立すると、外科用ハブ106は、その制御プログラムが最新であるかどうかをチェックし得る。制御プログラムのより新しいバージョンが利用可能であると外科用ハブ106が判定した場合、外科用ハブ106は、クラウド104から最新バージョンをダウンロードし得、装置を最新バージョンに更新し得る。外科用ハブ106は、各々のペアリング又は接続された装置に対して、連続的な識別及び通信番号を発行し得る。
インテリジェント外科用ハブによる二次ソース由来のデータの協調利用
外科処置では、術者の注意は、手の作業に集中しなければならない。例えば、複数のディスプレイなどの複数のソースから情報を受信することは、有用であるが、気を散らし得る。外科用ハブ106の撮像モジュール138は、気が散ることを最小限に抑える様式で、術者に関連情報をインテリジェントに収集、分析、編成/パッケージ、及び伝播するように構成される。
本開示の態様は、例えば、外科用ハブ106の撮像モジュール138などの複数のソース由来のデータの協調利用について提示される。一態様では、撮像モジュール138は、例えば、1つ又は2つ以上のソース由来のデータを、一次ディスプレイ119に向かうライブストリーム上にオーバーレイするように構成されている。一態様では、オーバーレイされたデータは、撮像モジュール138によって取得された1つ又は2つ以上のフレーム由来であり得る。撮像モジュール138は、画像フレームを、例えば、一次ディスプレイ119などのローカルディスプレイ上に表示する過程で自由に利用し得る。撮像モジュール138はまた、自由に利用された画像上の局所画像処理のアレイをプリフォームし得る画像プロセッサも備える。
更に、外科処置は、概して、例えば、術者又は外科用ロボットによってガイドされる1つ又は2つ以上の外科用器具によって実施され得るいくつかの手術作業を含む。外科処置の成功又は失敗は、手術作業の各々の成功又は失敗に依存する。個々の手術作業に関連するデータがない場合、失敗した外科処置の理由を判定することは、確率の問題である。
本開示の態様は、他のデータとの更なる処理及び/又はペアリングのために、外科処置のライブストリームの1つ又は2つ以上のフレームを取り込むことについて提示される。フレームは、手術作業が正常に完了したか否かを評価するために、手術作業(本明細書の他の箇所では「外科的工程」とも称される)の完了時に取り込まれ得る。更に、フレーム及びペアリングされたデータは、更なる分析のためにクラウドにアップロードされ得る。
一態様では、1つ又は2つ以上の取り込まれた画像は、少なくとも1つの以前に完了した手術作業を識別して、手術作業の結果を評価するために使用される。一態様では、手術作業は、組織ステープル留めリング作業である。別の態様では、手術作業は、高度エネルギー横切開である。
図45は、遠隔手術部位のライブストリームの1つ又は2つ以上の静止フレーム由来の情報を、ライブストリーム上にオーバーレイするための制御プログラム又は論理構成を図示するプロセス3210の論理フロー図である。プロセス3210は、例えば、医療用撮像装置124から遠隔手術部位のライブストリームを受信すること(3212)と、ライブストリームから外科処置の外科的工程の少なくとも1つの画像フレームを取り込むこと(3214)と、少なくとも1つの画像フレームから抽出されたデータから外科的工程に関連する情報を導出すること(3216)と、ライブストリーム上に情報をオーバーレイすること(3218)と、を含む。
一態様では、静止フレームは、遠隔手術部位で実施される外科的工程であり得る。静止フレームは、外科的工程の完了に関する情報について分析され得る。一態様では、外科的工程は、手術部位で組織をステープル留めすることを含む。別の態様では、手術作業は、手術部位で組織にエネルギーを印加することを含む。
図46は、外科処置の外科的工程を区別するための制御プログラム又は論理構成を図示するプロセス3220の論理フロー図である。プロセス3220は、例えば、医療用撮像装置124から手術部位のライブストリームを受信すること(3222)と、ライブストリームから外科処置の第1の外科的工程の少なくとも1つの第1の画像フレームを取り込むこと(3224)と、少なくとも1つの画像フレームから抽出されたデータから第1の外科的工程に関連する情報を導出すること(3226)と、ライブストリームから外科処置の第2の外科的工程の少なくとも1つの第2の画像フレームを取り込むこと(3228)と、少なくとも1つの第1の画像フレーム及び少なくとも1つの第2の画像フレームに基づいて、第1の外科的工程と第2の外科的工程との間を区別すること(3229)と、を含む。
図47は、外科処置の外科的工程を区別するための制御プログラム又は論理構成を図示するプロセス3230の論理フロー図である。プロセス3232は、例えば、医療用撮像装置124から手術部位のライブストリームを受信すること(3232)と、ライブストリームから外科処置の外科的工程の画像フレームを取り込むこと(3234)と、画像フレームから抽出されたデータに基づいて、外科的工程の間を区別すること(3236)と、を含む。
図48は、ステープルカートリッジから組織内に配備されたステープルの1つ又は2つ以上の静止フレーム由来の情報からステープルカートリッジを識別するための制御プログラム又は論理構成を図示するプロセス3240の論理フロー図である。プロセス3240は、例えば、医療用撮像装置124から手術部位のライブストリームを受信すること(3242)と、ライブストリームから画像フレームを取り込むこと(3244)と、画像フレーム内のステープルパターンを検出すること(3246)と、を含み、ステープルパターンは、ステープルカートリッジから手術部位の組織内に配備されたステープルによって画定される。プロセス3240は、ステープルパターンに基づいてステープルカートリッジを識別すること(3248)を更に含む。
様々な態様では、プロセス3210、3220、3230、3240の工程のうちの1つ又は2つ以上は、図3、図9、図10に図示されるように、外科用ハブの撮像モジュールの制御回路によって実行され得る。特定の実施例では、制御回路は、プロセッサと、プロセッサに連結されたメモリとを含み得、メモリは、プロセス3210、3220、3230、3240の工程のうちの1つ又は2つ以上を実施するように、プロセッサによって実行可能な命令を記憶する。特定の実施例では、非一時的コンピュータ可読媒体は、実行されると、機械に、プロセス3210、3220、3230、3240の工程のうちの1つ又は2つ以上を実施させる、コンピュータ可読命令を記憶する。経済性のために、プロセス3210、3220、3230、3240の以下の説明は、外科用ハブの撮像モジュールの制御回路によって実行されるものとして説明されるが、プロセス3210、3220、3230、3240の実行は、上述の実施例のいずれかによって達成され得ることを理解されたい。
図34及び図49を参照すると、外科用ハブ106は、外科処置中に遠隔手術部位に位置する医療用撮像装置124と連通している。撮像モジュール138は、例えば、工程3212、3222、3232、3242に従って、例えば、撮像装置124によって一次ディスプレイ119に送信された遠隔手術部位のライブストリームを受信する。
上記に加えて、外科用ハブ106の撮像モジュール138は、フレームグラバ3200を含む。フレームグラバ3200は、工程3214、3224、3234、3244に従って、例えば、外科処置中に、例えば、一次ディスプレイ119に、撮像装置124によって送信されたライブストリームからのデジタル静止フレームを個々に取り込む(「グラブする」)ように構成される。取り込まれた静止フレームは、外科処置に関する情報を導出するために、撮像モジュール138のコンピュータプラットフォーム3203(図49)によって記憶及び処理される。取り込まれたフレームの処理は、物体検出、3Dフィルタリングなどのより複雑なタスクの性能に対して、ヒストグラム計算、2Dフィルタリング、及びピクセルのアレイ上の算術演算などの単純な演算の性能を含み得る。
一態様では、導出された情報は、ライブストリーム上にオーバーレイされ得る。一態様では、静止フレーム及び/又は静止フレームの処理から結果的に得られる情報は、データ集約及び更なる分析のために、クラウド104に通信され得る。
様々な態様では、フレームグラバ3200は、デジタルビデオデコーダと、例えば、フレームバッファなどの、取得された静止フレームを記憶するためのメモリとを含み得る。フレームグラバ3200はまた、バスインターフェースであって、これを介して、プロセッサが取得を制御し、データにアクセスし得る、バスインターフェースと、画像取得のトリガ又は外部機器の制御のための汎用I/Oとを含み得る。
上記のように、撮像装置124は、例えば、カメラ及び遠隔手術部位に位置付けられた光源を含む内視鏡の形態であり、例えば、一次ディスプレイ119で遠隔手術部位のライブストリームを提供するように構成され得る。
様々な態様では、画像認識アルゴリズムが、フレームグラバ3200によって取り込まれる手術部位の静止フレーム内の特徴又は物体を識別するために実装され得る。取り込まれたフレームと関連付けられた外科的工程に関する有用な情報は、識別された特徴から導出され得る。例えば、取り込まれたフレーム内のステープルの識別は、組織ステープル留め外科的工程が手術部位で実施されたことを示す。識別されたステープルの種類、色、配置、及びサイズもまた、ステープルを配備するために用いられるステープルカートリッジ及び外科用器具に関する有用な情報を導出するために使用され得る。上記のように、そのような情報は、手術室内の一次ディスプレイ119に向けられたライブストリーム上にオーバーレイされ得る。
画像認識アルゴリズムは、撮像モジュール138のコンピュータプラットフォーム3203(図49)によって、少なくとも部分的にローカルに実施され得る。特定の事例では、画像認識アルゴリズムは、少なくとも部分的に、外科用ハブ106のプロセッサモジュール132によって実施され得る。画像データベースは、画像認識アルゴリズムの性能内で利用され得、コンピュータプラットフォーム3203のメモリ3202内に記憶され得る。代替的に、撮像データベースは、外科用ハブ106のストレージアレイ134(図3)内に記憶され得る。画像データベースは、クラウド104から更新され得る。
コンピュータプラットフォーム3203によって実行され得る例示的な画像認識アルゴリズムは、キーポイントベースの比較及び領域ベースの色比較を含み得る。アルゴリズムは、例えば、コンピュータプラットフォーム3203などの処理装置で入力を受信することであって、入力が、遠隔手術部位の静止フレームに関するデータを含む、受信することと、画像データベースから画像を取得し、かつ画像が受理又は拒否されるまで、画像を候補画像として指定することを含む、読み出し工程を実施することと、画像認識アルゴリズム出力を取得するために、処理装置を使用して、静止フレーム及び候補画像に対して画像認識アルゴリズムを実施することを含む、画像認識工程を実施することと、比較工程を実施することであって、比較工程が、画像認識アルゴリズム出力が事前選択された範囲内にある場合、候補画像を静止フレームとして受理し、画像認識アルゴリズム出力が事前選択された範囲内にない場合、候補画像を拒否し、取得、画像認識、及び比較工程を繰り返すことを含む、実施することと、を含む。
図50~図52を参照すると、一例では、外科的工程は、組織をステープル留め及び切断することを伴う。図50は、ステープル留め及び切断された組織Tの静止フレーム3250を図示する。ステープル配備3252は、第1のステープルカートリッジからのステープル3252’、3252”を含む。第2のステープル配備3254は、第2のステープルカートリッジからのステープル3254’、3254”を含む。ステープル配備3252の近位部分3253は、ステープル配備3254の遠位部分3255と重なり合う。6列のステープルが、各配備で配備された。組織Tは、各配備の第3の列と第4の列との間で切断されたが、ステープル留めされた組織Tの片側のみが完全に示されている。
様々な態様では、撮像モジュール138は、フレームグラバ3200によって取り込まれた以前の静止フレームに存在しなかった、静止フレーム3250内のステープル3252’、3252”、3254’、3254”のうちの1つ又は2つ以上を識別する。撮像モジュール138は、次いで、外科用ステープル留め及び切断器具が手術部位で使用されたと結論付ける。
図50の実施例では、ステープル配備3252は、2つの異なるステープル3252’、3252”を含む。同様に、ステープル配備3254は、2つの異なるステープル3254’、3254”を含む。簡潔化のために、以下の説明は、ステープル3252’、3252”に焦点を絞るが、ステープル3254’、3254”に等しく適用可能である。ステープル3252’、3252”は、ステープル3252’、3252”を収容するステープルカートリッジに対応する固有の識別子を形成する所定のパターン又は列に配置される。固有のパターンは、ステープル3250の単一の列又は複数の列にあり得る。一実施例では、固有のパターンは、所定の配置でステープル3252’、3252”を交互にすることによって達成され得る。
一態様では、複数のパターンは、ステープルの発射時に検出され得る。各パターンは、ステープルの固有の特性、ステープルを収容したステープルカートリッジ、及び/又はステープルを発射するために用いられた外科用器具と関連付けられ得る。例えば、ステープルの発射は、ステープル形態、ステープルサイズ、及び/又は発射の場所を表すパターンを含み得る。
図50の実施例では、撮像モジュール138は、静止フレーム3250からステープル3252の固有のパターンを識別し得る。ステープルパターン及び対応するステープルカートリッジの識別番号を記憶するデータベースが、次いで、ステープル3252を収容したステープルカートリッジの識別番号を判定するために探索され得る。
図50の実施例のパターンは、2つの異なるステープルのみに基づくが、他の態様は、3つ又は4つ以上の異なるステープルを含み得る。異なるステープルは、異なるコーティングでコーティングされ得、これは、陽極酸化、染色、電気コーティング、光輝性コーティング、窒化物、メチルメタクリレート、塗装、粉末コーティング、パラフィンによるコーティング、油染み又は蛍光体コーティングの適用、ヒドロキシアパタイト、ポリマー、酸化チタン窒化物、硫化亜鉛、炭化物などの使用の方法のうちの1つ又は2つ以上によってステープルに適用され得る。列挙されたコーティングは、本明細書に開示されるようにかなり特定的であるが、ステープルを区別するために当該技術分野で既知の他のコーティングが本開示の企図される範囲内であることに留意されたい。
図50~図52の実施例では、ステープル3252’は、陽極酸化されたステープルであるが、ステープル3252”は、非陽極酸化ステープルである。一態様では、異なるステープルは、2つ又は3つ以上の異なる色を含んでもよい。異なる金属ステープルは、それらをマーキングされていないステープルと区別する磁気又は放射性ステープルマーカを含んでもよい。
図51は、外科用器具を介してステープルカートリッジから組織内に配備されたステープル配備3272を示す。3つのステープル列3272a、3272b、3272cのみが図51に図示されている。列3272a、3272b、3272cは、組織が切断された中間線と、組織縁にある側方線との間に配置される。明確化のために、ステープルの内側列3272aは、左に別個に再描写され、外側の2つの列3272b、3272cは、右に別個に再描写される。ステープル配備3272の近位端3273及び遠位端部分もまた、明確化のために図51に再描写される。
ステープル配備3272は、様々な機能を果たす所定のパターンで配置された2つの異なるステープル3272’、3272”を含む。例えば、内側列3272aは、手術野の距離測定の測定基準を画定する、交互のステープル3272’、3272”のパターンを含む。言い換えると、内側列3272aのパターンは、例えば、漏れの位置を正確に判定する際に有用であり得る、距離を測定するための定規として作用する。外側列3272b、3272cは、ステープル3272’、3272”に収容されたステープルカートリッジの識別番号を表すパターンを画定する。
更に、ステープル配備3272の端での固有のパターンは、近位端部分3273及び遠位端部分3275を識別する。図51の実施例では、3つのステープル3272”の固有の配置が遠位端3275を識別し、一方、4つのステープル3272”の固有の配置が近位端3273を識別する。ステープル配備の近位端及び遠位端の識別は、撮像モジュール128が、取り込まれたフレーム内の異なるステープル配備の間を区別することを可能にし、これは、例えば、漏れの発生源を示すのに有用であり得る。
様々な態様では、撮像モジュール138は、フレームグラバ3200によって取り込まれた遠隔手術部位の静止フレーム内の封止された組織を検出し得る。封止された組織の検出は、治療エネルギーを組織に印加することを伴う外科的工程を示し得る。
組織を封止することは、組織内に熱効果を引き起こすために、外科用器具のエンドエフェクタ内に捕捉又はクランプ留めされた組織に対する、例えば、電気エネルギーなどの、エネルギーの印加によって達成され得る。様々な単極及び双極のRF器具及び高調波外科用器具が、そのような目的で開発されてきた。一般的に、捕捉された組織に対するエネルギーの送達は、組織の温度を上昇させることができ、その結果、エネルギーは、組織内のタンパク質を少なくともある程度変性させる可能性がある。コラーゲンなどのそのようなタンパク質は、例えば、タンパク質が復元する際に混合し互いに溶着する、又は封着するタンパク性アマルガムに変性され得る。
したがって、封止された組織は、例えば、画像認識アルゴリズムを使用して、撮像モジュール138によって検出され得る別個の色及び/又は形状を有する。加えて、手術部位での煙の検出は、組織への治療エネルギーの印加が進行中であることを示し得る。
上記に加えて、外科用ハブ106の撮像モジュール138は、取り込まれたフレームに基づいて外科処置の外科的工程の間を区別することができる。上記のように、発射されたステープルを含む静止フレームは、組織ステープル留めを伴う外科的工程を示し、一方、封止された組織を含む静止フレームは、組織へのエネルギー印加を伴う外科的工程を示す。
一態様では、外科用ハブ106は、以前に完了した手術作業に関連する情報を、ライブストリーム上に選択的にオーバーレイし得る。例えば、オーバーレイされた情報は、以前に完了した手術作業中に取り込まれた手術部位の静止フレームからの画像データを含み得る。更に、手術部位での共通ランドマーク位置によってガイドされ、撮像モジュール138は、1つの画像フレームを別の画像フレームにインターレースして、以前に完了した手術作業の手術位置及び関係データを確立及び検出し得る。
一実施例では、外科用ハブ106は、以前に完了した手術作業でのステープル留め又は治療エネルギーの印加によって治療された組織内の潜在的な漏れに関する情報をオーバーレイするように構成される。潜在的な漏れは、組織の静止フレームの処理中に撮像モジュール138によってスポットされ得る。術者は、潜在的な漏れについてライブストリーム上にオーバーレイしている情報によって、漏れに関して警告され得る。
様々な態様では、手術部位での外科用器具のエンドエフェクタの静止フレームが、外科用器具を識別するために使用され得る。例えば、エンドエフェクタは、静止フレームの画像処理中に撮像モジュール138によって認識され得る識別番号を含み得る。したがって、撮像モジュール138によって取り込まれた静止フレームは、外科処置の外科的工程で利用される外科用器具を識別するために使用され得る。静止フレームはまた、外科用器具の性能に関する有用な情報を含み得る。全てのそのような情報は、データ集約及び更なる分析のためにクラウド104にアップロードされ得る。
様々な実施例では、外科用ハブ106はまた、手術作業に好適な解剖学的位置又は外科用器具などの、現在又は今後の手術作業に関連する情報を選択的にオーバーレイし得る。
撮像モジュール138は、外科用器具が手術作業を完了するために使用された手術部位を追跡するために、様々な画像及びエッジ検出技術を用い得る。手術作業の成功又は失敗が、次いで、評価され得る。例えば、外科用器具は、手術部位で組織を封止及び/又は切断するために用いられ得る。手術部位の静止フレームは、例えば、手術作業の完了時に、外科用ハブ106のメモリ3202又はストレージアレイ134内に記憶され得る。
以下の外科的工程では、封止の品質が、異なる機構を介して試験され得る。試験が治療された組織に正確に適用されることを確保するために、手術部位の記憶された静止フレームは、一致を検索する際に、ライブストリーム上にオーバーレイされる。一致が見つかると、試験が行われ得る。1つ又は2つ以上の更なる静止フレームが、試験中に撮影され得、これらは、外科用ハブ106の撮像モジュール138によって後で分析され得る。試験機構としては、例えば、気泡検出、出血検出、染料検出(手術部位で染料が用いられる場合)、及び/又は破裂伸長検出(局所的な歪みが吻合部位に隣接して適用される)が挙げられる。
撮像モジュール138は、これらの試験に対する、処置された組織の応答の静止フレームを取り込み得、これらは、例えば、メモリ3202又は外科用ハブ106のストレージアレイ134に記憶され得る。静止フレームは、単独で、又は、例えば、組織処置を実施する外科用器具からのデータなどの他のデータと組み合わせて記憶され得る。ペアリングされたデータはまた、追加の分析及び/又はペアリングのためにクラウド104にアップロードされ得る。
様々な態様では、フレームグラバ3200によって取り込まれた静止フレームは、ローカルで処理され、他のデータとペアリングされ得、クラウド104に送信されてもよい。処理された及び/又は送信されたデータのサイズは、取り込まれたフレームの数に依存することになる。様々な態様では、フレームグラバ3200がライブストリームから静止フレームを取り込む速度は、品質を犠牲にせずに、データのサイズを低減するために変更され得る。
一態様では、フレーム取り込み速度は、実施される手術作業の種類に依存し得る。特定の手術作業は、成功又は失敗の評価のために、他よりも多くの数の静止フレームを必要とする場合がある。フレーム取り込み速度は、そのような必要性に適応するようにスケーリングされ得る。
一態様では、フレーム取り込み速度は、撮像装置124の検出された動きに依存する。使用時、撮像装置124は、ある期間にわたって1つの手術部位を標的にし得る。撮像装置124が移動されていない間に取り込まれた静止フレームの変化を観察しないか、又は小さな変化を観察することで、撮像モジュール138は、フレームグラバ3200のフレーム取り込み速度を低下させ得る。しかしながら、頻繁な動きが検出される状況が変化する場合、撮像モジュール138は、フレームグラバ3200のフレーム取り込み速度を増加させることによって応答し得る。言い換えると、撮像モジュール138は、フレームグラバ3200のフレーム取り込み速度を、検出された撮像装置124の動きの程度と相関させるように構成され得る。
更なる効率化のために、動きが検出される静止フレームの部分のみが、記憶され、処理され、及び/又はクラウド104に送信されることを必要とする。撮像モジュール138は、動きが検出される静止フレームの部分を選択するように構成され得る。一実施例では、動き検出は、静止フレームを以前に取り込まれた静止フレームと比較することによって達成され得る。移動が検出された場合、撮像モジュール138は、フレームグラバ3200に、フレーム取り込み速度を増加させ得るが、動きが検出される部分のみが、記憶され、処理され、及び/又はクラウド104に送信される。
別の態様では、データサイズは、例えば、焦点が位置するか、又はエンドエフェクタが位置するスクリーンの領域に基づいて、取り込まれた情報の解像度をスケーリングすることによって管理され得る。スクリーンの残りは、より低い解像度で取り込まれ得る。
一態様では、スクリーンの隅及び縁は、概して、より低い解像度で取り込まれ得る。しかしながら、解像度は、重要な事象が観察された場合に拡大され得る。
外科処置中、外科用ハブ106は、例えば、心拍数モニタ及び吹送ポンプなどの様々な手術室監視装置に接続され得る。これらの装置から収集されたデータは、外科用ハブ106の状況認識を改善し得る。ハブ状況認識は、図62に関連して以下により詳細に説明される。
一実施例では、外科用ハブ106は、手術部位の位置に関するデータと共に、接続された心拍数モニタから受信された患者データを利用して、感覚神経への手術部位の近接度を評価するように構成され得る。手術部位が感覚神経の高い領域にあることを示す解剖学的データと組み合わせられたとき、患者の心拍数の増加は、感覚神経近接度の指標として解釈され得る。解剖学的データは、患者レコード(例えば、患者レコードを含有するEMRデータベース)にアクセスすることによって、外科用ハブ106に利用可能であり得る。
外科用ハブ106は、例えば、心拍数モニタ及び吹送ポンプなどの手術室監視装置のうちの1つ又は2つ以上から受信されたデータから患者に対して実施されている外科処置の種類を判定するように構成され得る。腹部外科処置は、一般的に、腹部の吹送を必要とするが、一方、吹送は、理論的な手術では必須ではない。外科用ハブ106は、吹送ポンプがアクティブであるか否かを検出することによって、外科処置が腹部外科処置であるか、又は胸部外科処置であるかを判定するように構成され得る。一態様では、外科用ハブ106は、実施されている外科処置が吹送を必要とするものか否かを判定するために、吹送ポンプの出力側の吹送圧力を監視するように構成され得る。
外科用ハブ106はまた、例えば、外科処置が血管処置であるか、又は無血管処置であるかを評価するために、手術室内の他の二次装置からの情報も収集し得る。
外科用ハブ106はまた、構成要素がアクティブであるか否かを評価するためにその構成要素のうちの1つ又は2つ以上に対するAC電流供給も監視し得る。一実施例では、外科用ハブ106は、実施されている外科処置が、組織を封止するためにエネルギーの印加を必要とするものであることの指標であり得る、発生器がアクティブであるか否かを評価するために、発生器モジュールへのAC電流供給を監視するように構成される。
様々な態様では、外科用ハブ106と通信することができない手術室内の二次装置は、外科用ハブ106とのこれらの装置の接続を容易にし得る通信インターフェース装置(通信モジュール)を備え得る。一態様では、通信インターフェース装置は、外科用ハブ106とそのような装置との間の双方向通信を可能にするブリッジ要素であるように構成され得る。
一態様では、外科用ハブ106は、通信インターフェース装置を介して二次装置のうちの1つ又は2つ以上の動作パラメータを制御するように構成され得る。例えば、外科用ハブ106は、吹送装置に連結された通信インターフェース装置を介して吹送圧力を増加又は減少させるように構成され得る。
一態様では、通信インターフェース装置は、装置のインターフェースポートと係合するように構成され得る。別の態様では、通信インターフェース装置は、二次装置の制御パネルと直接相互作用するオーバーレイ又は他のインターフェースを含み得る。他の態様では、例えば、心拍数モニタ及び/又は吹送装置などの二次装置は、それらと双方向通信するためにそれらがハブとペアリングすることを可能にする統合された通信モジュールを備え得る。
一態様では、外科用ハブ106はまた、例えば、神経感知装置の分解能を改善するために神経刺激検出装置に接続される筋肉パッドに、通信インターフェース装置を介して接続され得る。
更に、外科用ハブ106はまた、手術室用品を管理するように構成され得る。異なる外科処置は、異なる用品を必要とする。例えば、2つの異なる外科処置は、異なるセットの外科用器具を必要とし得る。特定の外科処置は、ロボットシステムを使用することを伴い得るが、他の手術は、そうではない場合もある。更に、2つの異なる外科処置は、数、種類、及び/又はサイズが異なるステープルカートリッジを必要とし得る。したがって、手術室内に持ち込まれた用品は、実施されることになる外科処置の性質に関する手がかりを提供し得る。
様々な態様では、外科用ハブ106は、手術室用品スキャナと統合されて、手術室内に引き入れられ、滅菌野内に導入される品目を識別し得る。外科用ハブ106は、外科用ハブ106とペアリングされた外科システム102の装置からのデータと共に、手術室用品スキャナからのデータを利用して、実施されることになる外科処置の種類を自律的に判定し得る。一実施例では、外科用ハブ106は、外科処置で使用されることになるスマートカートリッジのシリアル番号のリストを記録し得る。外科処置中、外科用ハブ106は、ステープルカートリッジチップから収集された情報に基づいて、発射されたステープルを徐々に除去し得る。一態様では、外科用ハブ106は、処置の終了時に全ての品目が説明されることを確認するように構成される。
外科用ハブ制御構成
外科処置では、第2の外科用ハブが、第1の外科用ハブの制御下に既にある状態で手術室内に持ち込まれ得る。第2の外科用ハブは、例えば、ロボットシステムの一部として手術室内に持ち込まれる外科用ロボットハブであり得る。第1及び第2の外科用ハブ間の調整なしでは、ロボット外科用ハブは、手術室内にある外科システム102の全ての他の構成要素とペアリングすることを試みることになる。単一の手術室内の2つのハブ間の競合から生じる混乱は、望ましくない結果をもたらし得る。また、外科処置中にハブ間の器具分配を整理することは、時間がかかる場合がある。
本開示の態様は、手術室で実施される外科処置で外科システムと共に使用するための外科用ハブについて提示される。外科用ハブの制御回路は、手術室の境界を判定し、手術室の境界内に位置する検出された外科用ハブを有する制御構成を確立するように構成される。
一態様では、制御構成は、ピアツーピア構成である。別の態様では、制御構成は、マスタスレーブ構成である。一態様では、制御回路は、マスタスレーブ構成のマスタ動作モード又はスレーブ動作モードのうちの1つを選択するように構成される。一態様では、制御回路は、スレーブ動作モードで、検出された外科用ハブに少なくとも1つの外科用器具の制御を引き渡すように構成される。
一態様では、外科用ハブは、手術室の境界を測定するように構成された複数の非接触センサを含む手術室マッピング回路を含む。
様々な態様では、外科用ハブは、プロセッサと、プロセッサに連結されたメモリとを含む。メモリは、上記のように、外科ハブ間の制御構成を調整するように、プロセッサによって実行可能な命令を記憶する。様々な態様では、本開示は、非一時的コンピュータ可読命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体を提供し、コンピュータ可読命令は、実行されると、機械に、上記のように、外科用ハブ間の制御構成を調整させる。
本開示の態様は、互いに相互作用するように構成される2つの独立した外科用ハブを備える外科システムのために提示される。ハブの各々は、それら自体のリンクされた外科用装置を有し、データが記録及び処理される場所の制御指示及び分配を有する。この相互作用は、一方又は両方のハブに、それらが相互作用前にどのように挙動していたかを変化させる。一態様では、変化は、ハブの各々に以前に割り当てられた装置の再分配を伴う。別の態様では、変化は、ハブ間にマスタスレーブ構成を確立することを伴う。更に別の態様では、変化は、ハブ間で共有された処理の場所の変化であり得る。
図53は、外科用ハブ間の制御構成を調整するための制御プログラム又は論理構成を図示するプロセスの論理フロー図である。図53のプロセスは、図53のプロセスが別の外科用ハブによる外科用ハブの検出に対処することを除いて、図35のプロセスに多くの点で類似している。図53に示されるように、外科用ハブ106は、手術室の境界を判定する(3007)。初期判定後、外科用ハブ106は、ペアリング範囲内の装置を連続的に探索又は検出する(3008)。装置が検出された場合(3010)、及び検出された装置が手術室の境界内に位置する場合(3011)、外科用ハブ106は、装置とペアリングし(3012)、装置に識別子を割り当てる(3013)。以下により詳細に説明されるように、初期相互作用を介して、外科用ハブ106は、装置が別の外科用ハブであると判定し(3039)、制御構成がそれらの間に確立される(3040)。
図54を参照すると、ロボット外科用ハブ3300は、外科用ハブ3300によって既に占有されている手術室に入る。ロボット外科用ハブ3310及び外科用ハブ3300は、例えば、外科用ハブ106などの、本明細書の他の箇所でより詳細に説明される他の外科用ハブに多くの点で類似している。例えば、ロボット外科用ハブ3310は、図33、図34に関連して本明細書の他の箇所でより詳細に説明されるように、手術室の境界を測定するように構成された非接触センサを含む。
ロボット外科用ハブ3310が電源投入されると、ロボット外科用ハブ3310は、手術室の境界を判定し、手術室の境界内に位置する外科システム102の他の構成要素とのペアリングを開始する。ロボット外科用ハブ3310は、ロボット前進エネルギーツール3311と、ロボットステープラ3312と、単極エネルギーツール3313と、ロボット可視化タワー3314とペアリングし、これらは、手術室の境界内に全て位置する。外科用ハブ3300は、ハンドヘルドステープラ3301、ハンドヘルド電動切開器具3302、二次ディスプレイ3303、外科医インターフェース3304、及び可視化タワー3305と既にペアリングされている。ハンドヘルドステープラ3301、ハンドヘルド電動切開器具3302、二次ディスプレイ3303、外科医インターフェース3304、及び可視化タワー3305が、外科用ハブ3300と既にペアリングされているため、そのような装置は、外科用ハブ3300からの許可なしに別の外科用ハブとペアリングすることができない。
上記に加えて、ロボット外科用ハブ3310は、外科用ハブ3300を検出及び/又はそれによって検出される。通信リンクが、外科用ハブ3300、3310の通信モジュール間に確立される。外科用ハブ3300、3310は、次いで、それらの間の制御構成を判定することによって、それらの相互作用の性質を判定する。一態様では、制御構成は、マスタスレーブ構成とすることができる。別の態様では、制御構成は、ピアツーピア構成とすることができる。
図54の実施例では、マスタスレーブ構成が確立される。外科用ハブ3300、3310は、手術室を外科用ハブ3300から制御するために、ロボット外科用ハブ3310の術者からの許可を要求する。許可は、外科医インターフェース又はコンソール3304を介して要求され得る。許可が付与されると、ロボット外科用ハブ3310は、ロボット外科用ハブ3310に制御を転送するように外科用ハブ3300に要求する。
代替的に、外科用ハブ3300、3310は、以前に収集されたデータに基づいて、外部入力なしでそれらの相互作用の性質を取り決め得る。例えば、外科用ハブ3300、3310は、次の手術作業がロボットシステムの使用を必要とすることを集合的に判定し得る。そのような判定は、外科用ハブ3300に、ロボット外科用ハブ3310への手術室の制御を自律的に引き渡させ得る。手術作業の完了時、ロボット外科用ハブ3310は、次いで、手術室の制御を外科用ハブ3300に自律的に戻し得る。
外科用ハブ3300、3310間の相互作用の結果が、図54の右側に示されている。外科用ハブ3300は、ロボット外科用ハブ3310に制御を転送しており、ロボット外科用ハブ3310は、外科用ハブ3300から外科医インターフェース3304及び二次ディスプレイ3303の制御も受け取っている。ロボット外科用ハブ3310は、新たに転送された装置に新しい識別番号を割り当てる。外科用ハブ3300は、ハンドヘルドステープラ3301、ハンドヘルド電動切開器具3302、及び可視化タワー3305の制御を保持する。加えて、外科用ハブ3300は、サポートする役割を実施し、ここで、外科用ハブ3300の処理及び記憶能力がロボット外科用ハブ3310に利用可能である。
図55は、外科用ハブ間の制御構成を調整するための制御プログラム又は論理構成を図示するプロセスの論理フロー図である。様々な態様では、2つの独立した外科用ハブが、所定の様式で互いに相互作用して、それらの関係の性質を評価することになる。一実施例では、通信リンクを確立した後(3321)、外科用ハブは、データパケットを交換する(3322)。データパケットは、外科用ハブの種類、識別番号、及び/又はステータスを含み得る。データパケットは、外科用ハブの制御下での装置のレコード、及び/又は他の二次手術室装置のためのデータポートなどの任意の制限された通信接続を更に含み得る。
外科用ハブ間の制御構成は、次いで、術者からの入力に基づいて、又は外科用ハブ間で自律的に判定される(3323)。外科用ハブは、それらの間の制御構成をどのように判定するかということに関する命令を記憶し得る。2つの外科用ハブ間の制御構成は、実施されている外科処置の種類に依存し得る。2つの外科用ハブ間の制御構成は、それらの種類、識別情報、及び/又は状態に依存し得る。2つの外科用ハブ間の制御構成は、外科用ハブとペアリングされた装置に依存し得る。外科用ハブは、次いで、判定された制御構成に基づいて、外科システム102の装置をそれらの間で再分配する(3324)。
マスタスレーブ構成では、レコード通信は、スレーブハブからマスタハブへの一方向であり得る。マスタハブはまた、その無線装置のいくつかをハンドオフして、通信経路を統合することも必要とし得る。一態様では、スレーブハブは、全てのコマンドを発信し、かつ全てのデータを記録するマスタハブとの中継構成に格下げされ得る。スレーブハブは、マスタハブコマンド、レコード、及び/又は制御の分散サブ処理のためにマスタハブにリンクされたままであり得る。そのような相互作用は、マスタハブ自体の能力を超えて、二重リンクハブの処理能力を拡張する。
ピアツーピア構成では、各外科用ハブは、その装置の制御を保持し得る。一態様では、外科用ハブは、外科用器具を制御する際に協働し得る。一態様では、外科用器具の操作者は、その使用時に外科用器具を制御することになる外科用ハブを指定し得る。
概して図56~図61を参照すると、外科用ハブ間の相互作用は、手術室の境界を越えて延長され得る。様々な態様では、別個の手術室内の外科用ハブは、既定の限界内で互いに相互作用し得る。それらの相対的近接度に依存して、別個の手術室内の外科用ハブは、Bluetooth及びWiFiなどの任意の好適な有線又は無線データ通信ネットワークを介して相互作用し得る。本明細書に使用される際、「データ通信ネットワーク」は、発信元構成要素と宛先構成要素との間のデータ通信をサポートするように構成された、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、及び/又は処理論理を含む、任意の数の物理的、仮想的、又は論理的構成要素を表し、データ通信は、1つ又は2つ以上の指定された通信媒体を介して1つ又は2つ以上の指定された通信プロトコルに従って実行される。
様々な態様では、第1の手術室内の第1の術者は、緊急の場合などの、第2の手術室の第2の術者に助言を求めることを望む場合がある。第1及び第2の術者がそれぞれの手術室に留まりながらの助言を容易にするために、一時的通信リンクが第1及び第2の手術室の外科用ハブ間に確立され得る。
助言を求められている術者は、自身の手術室の外科用ハブを介して助言要求を提示され得る。術者が受理した場合、術者は、助言を要求する外科用ハブによってコンパイルされた全てのデータへのアクセスを有することになる。術者は、処置の完全な履歴を含む、全ての以前に記憶されたデータにアクセスし得る。加えて、要求側手術室での手術部位のライブストリームが、外科用ハブを介して、受信側手術室のディスプレイに送信され得る。
助言要求が開始すると、受信側外科用ハブは、外科用ハブのストレージアレイの専用部分であり得る一時的記憶場所に全ての受信された情報を記録し始める。助言の終了時に、一時的記憶場所は、全ての情報から消去される。一態様では、助言中、外科用ハブは、血圧、換気データ、酸素スタット、発生器設定及び使用、並びに全ての患者電子データを含む、全てのアクセス可能なデータを記録する。記録されたデータは、通常動作中に外科用ハブによって記憶されたデータよりも多くなる可能性があり、これは、助言を求められている術者に助言のために可能な限り多くの情報を提供する際に有用である。
図56を参照すると、異なる手術室内の外科用ハブ間の相互作用の非限定的な例が図示されている。図56は、胸部区域切除をサポートする外科システム3400を含む手術室OR1、及び結腸直腸処置をサポートする外科システム3410を含む、第2の手術室OR3を図示する。外科システム3400は、外科用ハブ3401、外科用ハブ3402、及びロボット外科用ハブ3403を含む。外科システム3400は、パーソナルインターフェース3406、一次ディスプレイ3408、及び二次ディスプレイ3404、3405を更に含む。外科システム3410は、外科用ハブ3411及び二次ディスプレイ3412を含む。明確化のために、外科システム3400、3410の数個の構成要素が除去されている。
図56の実施例では、OR3の術者は、OR1の術者からの助言を要求している。OR3の外科用ハブ3411は、外科用ハブ3401などの、OR1の外科用ハブのうちの1つに助言要求を送信する。OR1では、外科用ハブ3401が、術者によって保持されたパーソナルインターフェース3406で要求を提示する。助言は、結腸横切開の最適な位置を選択することに関する。パーソナルインターフェース3406を介して、OR1の術者は、結腸の血管の多い区分を回避する横切開部位の最適な位置を推奨する。推奨は、外科用ハブ3401、3411を介してリアルタイムに送信される。したがって、術者は、自身の手術室の滅菌野を去ることを必要とせず、リアルタイムに助言要求に応答することができる。助言を要求する術者もまた、滅菌野又はOR3を去る必要はなかった。
外科用ハブ3401がパーソナルインターフェース3406と通信していない場合、外科用ハブ3401は、外科用ハブ3402又はロボット外科用ハブ3403などの別の外科用ハブにメッセージを中継し得る。代替的に、外科用ハブ3401は、別の外科用ハブからのパーソナルインターフェース3406の制御を要求し得る。
いずれの場合も、OR1の術者が助言要求を受理することを決定した場合、OR3の結腸直腸処置の手術部位3413のライブストリーム、又はフレームが、例えば、外科用ハブ3401、3411間に確立された接続を介して、OR1に送信される。図57は、OR3の二次ディスプレイ上に表示された手術部位3413のライブストリームを示す。外科用ハブ3401、3411は、図58に示されるように、OR3の手術部位のライブストリームを、OR1のパーソナルインターフェース3406に送信するように協働する。
図59~図61を参照すると、術者は、例えば、パーソナルインターフェース3406の制御を介して、OR1の一次ディスプレイ3405上にOR3からの腹腔鏡ライブストリームを展開し得る。パーソナルインターフェース3406は、図60に示されるように、術者が、OR1で利用可能であるディスプレイを表すアイコンを術者に提示することによって、ライブストリームの宛先を選択することを可能にする。他のナビゲーション制御3407が、図61に示されるように、パーソナルインターフェース3406を介して術者に利用可能である。例えば、パーソナルインターフェース3406は、術者がその指をパーソナルインターフェース3406上に表示されたライブストリーム上で動かすことによって、OR3の手術部位のライブストリームをOR1で調整するためのナビゲーション制御を含む。血管の多い領域を可視化するために、助言を求められた術者は、ライブストリームの視野を、パーソナルインターフェース3406を介して、OR3から高度な撮像スクリーンに変化させ得る。術者は、次いで、複数の平面内で画像を操作して、例えば、広角マルチスペクトルビューを使用して血管分布を見ることができる。
図61に示されるように、術者はまた、例えば、心拍数、血圧、換気データ、酸素スタット、発生器設定及び使用、並びにOR3の患者の全ての患者電子データなどの関連情報3420のアレイへのアクセスを有する。
状況認識
状況認識は、データベース及び/又は器具から受信されたデータから外科処置に関する情報を判定又は推定するための、外科システムのいくつかの態様の能力である。情報は、実行される処置の種類、手術される組織の種類、又は処置の対象である体腔を含み得る。外科処置に関するコンテキスト情報によると、外科システムは、例えば、外科システムが、それに接続されるモジュール式装置(例えば、ロボットアーム及び/又はロボット外科用ツール)を制御し、外科処置の過程で外科医にコンテキスト化された情報又は提案を提供する様式で改善し得る。
ここで図62を参照すると、例えば、外科用ハブ106又は206などのハブの状況認識を図示する予定表5200が図示されている。予定表5200は例示的な外科処置、及び外科用ハブ106、206が、外科処置の各工程でデータソースから受信したデータから導き出すことができるコンテキスト情報である。予定表5200は、手術室を設置することから開始し、患者を術後回復室に移送することで終了する肺区域切除手術の過程で、看護師、外科医、及び他の医療関係者によってとられるであろう典型的な工程を示す。
状況認識外科用ハブ106、206は、外科処置の過程全体にわたって、医療関係者が外科用ハブ106、206とペアリングされたモジュール式装置を利用する度に生成されるデータを含むデータをデータソースから受信する。外科用ハブ106、206は、ペアリングされたモジュール式装置及び他のデータソースからこのデータを受信して、任意の所与の時間に処置のどの工程が実施されているかなどの新しいデータが受信されると、進行中の処置に関する推定(すなわち、コンテキスト情報)を継続的に導出することができる。外科用ハブ106、206の状況認識システムは、例えば、レポートを生成するために処置に関するデータを記録する、医療関係者によってとられている工程を検証する、特定の処置工程に関連し得るデータ又はプロンプトを(例えば、ディスプレイスクリーンを介して)提供する、コンテキストに基づいてモジュール式装置を調節する(例えば、モニタを起動する、医療用撮像装置の視界を調節する、又は超音波外科用器具若しくはRF電気外科用器具のエネルギーレベルを変更するなど)、及び上記の任意の他のこうした動作を行うことが可能である。
この例示的な処置における第1の工程5202として、病院職員は、病院のEMRデータベースから患者のEMRを読み出す。EMRにおける選択された患者データに基づいて、外科用ハブ106、206は、実行される処置が胸部処置であることを判定する。
第2の工程5204では、職員は、処置のために入来する医療用品をスキャンする。外科用ハブ106、206は、スキャンされた用品を様々な種類の処置で利用される用品のリストと相互参照し、用品の組み合わせ(mix of supplies)が胸部処置に対応することを確認する。更に、外科用ハブ106、206はまた、処置が楔形処置ではないと判定することができる(入来する用品が、胸郭楔形処置に必要な特定の用品を含まないか、又は別の点で胸郭楔形処置に対応していないかのいずれかであるため)。
第3の工程5206では、医療関係者は、外科用ハブ106、206に通信可能に接続されたスキャナを介して患者のバンドをスキャンする。続いて、外科用ハブ106、206は、スキャンされたデータに基づいて患者の識別情報を確認することができる。
第4の工程5208では、医療スタッフが補助機器をオンにする。利用される補助機器は、外科処置の種類及び外科医によって使用される技術に従って変わり得るが、この例示的な場合では、これらとしては、排煙器、吸入器、及び医療用撮像装置が挙げられる。起動されると、モジュール式装置である補助機器は、その初期化プロセスの一部として、モジュール式装置の特定の近傍内に位置する外科用ハブ106、206と自動的にペアリングすることができる。続いて、外科用ハブ106、206は、この術前又は初期化段階中にそれとペアリングされるモジュール式装置の種類を検出することによって、外科処置に関するコンテキスト情報を導出することができる。この特定の実施例では、外科用ハブ106、206は、ペアリングされたモジュール式装置のこの特定の組み合わせに基づいて、外科処置がVATS手術であると判定する。患者のEMRからのデータの組み合わせ、手術に使用される医療用品のリスト、及びハブに接続するモジュール式装置の種類に基づいて、外科用ハブ106、206は、外科チームが実施する特定の処置を概ね推定することができる。外科用ハブ106、206が、何の特定の処置が実施されているかを知ると、続いて外科用ハブ106、206は、メモリから、又はクラウドからその処置の工程を読み出して、次に接続されたデータソース(例えば、モジュール式装置及び患者監視装置)からその後受信したデータを相互参照して、外科処置のどの工程を外科チームが実行しているかを推定することができる。
第5の工程5210では、職員は、EKG電極及び他の患者監視装置を患者に取り付ける。EKG電極及び他の患者監視装置は、外科用ハブ106、206とペアリングすることができる。外科用ハブ106、206が患者監視装置からデータの受信を開始すると、外科用ハブ106、206は患者が手術室にいることを確認する。
第6の工程5212では、医療関係者は、患者に麻酔を誘導する。外科用ハブ106、206は、例えば、EKGデータ、血圧データ、ベンチレータデータ、又はこれらの組み合わせを含む、モジュール式装置及び/又は患者監視装置からのデータに基づいて、患者が麻酔下にあることを推定することができる。第6の工程5212が完了すると、肺区域切除手術の術前部分が完了し、手術部分が開始する。
第7の工程5214では、手術されている患者の肺が虚脱される(換気が対側肺に切り替えられる間に)。外科用ハブ106、206は、例えば、患者の肺が虚脱されたことをベンチレータデータから推定することができる。外科用ハブ106、206は、患者の肺が虚脱したのを検出したことを、処置の予期される工程(事前にアクセス又は読み出すことができる)と比較することができるため、処置の手術部分が開始したことを推定して、それによって肺を虚脱させることがこの特定の処置における第1の手術工程であると判定することができる。
第8の工程5216では、医療用撮像装置(例えば、スコープ)が挿入され、医療用撮像装置からのビデオが開始される。外科用ハブ106、206は、医療用撮像装置への接続を通じて医療用撮像装置データ(すなわち、ビデオ又は画像データ)を受信する。医療用撮像装置データを受信すると、外科用ハブ106、206は、外科処置の腹腔鏡部分が開始したことを判定することができる。更に、外科用ハブ106、206は、実施されている特定の処置が、肺葉切除とは対照的に区域切除術であると判定することができる(処置の第2の工程5204で受信したデータに基づいて、楔形処置は外科用ハブ106、206によって既に割り引かれていることに留意されたい)。医療用撮像装置124(図2)からのデータは、患者の解剖学的構造の可視化に関して配向されている医療用撮像装置の角度を判定することによる、利用されている(すなわち、起動されており、外科用ハブ106、206とペアリングされている)医療用撮像装置の数を監視することによる、及び利用されている可視化装置の種類を監視することによる、ことを含む多くの異なる方法の中から実施されている処置の種類に関するコンテキスト情報を判定するために利用され得る。例えば、VATS肺葉切除術を実施するための1つの技術は、カメラを患者の胸腔の前下方角部の横隔膜上方に配置し、一方、VATS区域切除術を実施するための1つの技術は、カメラを、区域裂に対して前肋間位置に配置する。例えば、パターン認識又は機械学習技術を使用して、状況認識システムは、患者の解剖学的構造の可視化に基づいて、医療用撮像装置の位置を認識するように訓練され得る。別の例として、VATS肺葉切除術を実施するための1つの技術は単一の医療用撮像装置を利用するが、VATS区域切除術を実施するための別の技術は複数のカメラを利用する。更に別の例として、VATS区域切除術を実施するための1つの技術は、区域裂を可視化するために赤外線光源(可視化システムの一部として外科用ハブに通信可能に連結され得る)を利用し、これはVATS肺葉切除術では利用されない。医療用撮像装置からのこのデータのいずれか又は全てを追跡することによって、外科用ハブ106、206は、実行中の特定の種類の外科処置、及び/又は特定の種類の外科処置に使用されている技術を判定することができる。
第9の工程5218で、外科チームは、処置の切開工程を開始する。外科用ハブ106、206は、エネルギー器具が発射されていることを示すRF又は超音波発生器からのデータを受信するため、外科医が患者の肺を切開して分離するプロセスにあると推定することができる。外科用ハブ106、206は、受信されたデータを外科処置の読み出しされた工程と相互参照して、プロセスのこの時点(すなわち、前に考察された処置の工程が完了した後)で発射されているエネルギー器具が切開工程に対応していると判定することができる。特定の例では、エネルギー器具は、ロボット外科システムのロボットアームに取り付けられたエネルギーツールであり得る。
第10の工程5220では、外科チームは、処置の結紮工程に進む。外科用ハブ106、206は、器具が発射されていることを示す外科用ステープル留め及び切断器具からのデータを受信するため、外科医が動脈及び静脈を結紮していると推定することができる。前工程と同様に、外科用ハブ106、206は、外科用ステープル留め及び切断器具からのデータの受信を、読み出しされたプロセス内の工程と相互参照することによって、この推定を導出することができる。特定の例では、外科用器具は、ロボット外科システムのロボットアームに取り付けられた外科用ツールであり得る。
第11の工程5222では、処置の区域切除部分が実施される。外科用ハブ106、206は、そのカートリッジからのデータを含む外科用ステープル留め及び切断器具からのデータに基づいて、外科医が実質組織を横切開していると推定することができる。カートリッジのデータは、例えば、器具によって発射されるステープルのサイズ又は種類に対応することができる。異なる種類のステープルが異なる種類の組織に利用されているため、カートリッジのデータは、ステープル留め及び/又は横切開されている組織の種類を示すことができる。この場合、発射されるステープルの種類は実質組織(又は他の同様の組織種)に利用され、これにより、外科用ハブ106、206は、処置の区域切除部分が実行されていると推定することができる。
第12の工程5224では、次いで、結節切開工程が実施される。外科用ハブ106、206は、RF又は超音波器具が発射されていることを示す発生器から受信したデータに基づいて、外科チームが結節を切開し、漏れ試験を実施していると推定することができる。この特定の処置の場合、実質組織が横切開された後に利用されるRF又は超音波器具は結節切開工程に対応しており、この結節切開工程により外科用ハブ106、206がこの推定を行うことが可能となる。異なる器具が特定の作業に対してより良好に適合するため、外科医は、処置中の特定の工程に応じて、定期的に外科用ステープル留め/切断器具と外科用エネルギー(すなわち、RF又は超音波)器具との間で交互に切り替えることに留意されたい。したがって、ステープル留め/切断器具及び外科用エネルギー器具が使用される特定のシーケンスは、外科医が処置のどの工程を実施中であるかを示すことができる。更に、特定の例では、外科処置中の1つ又は2つ以上の工程にロボットツールを利用することができ、かつ/又は外科処置中の1つ又は2つ以上の工程にハンドヘルド外科用器具を利用することができる。外科医(複数可)は、例えば、ロボットツールとハンドヘルド外科用器具とを順に交代させることができ、かつ/又は、例えば、装置を同時に使用することができる。第12の工程5224が完了すると、切開部が閉鎖され、処置の術後部分が開始する。
第13の工程5226では、患者の麻酔がリバースされる。外科用ハブ106、206は、例えば、ベンチレータデータに基づいて(すなわち、患者の呼吸速度が増加し始める)、患者が麻酔から覚醒しつつあると推定することができる。
最後に、第14の工程5228では、医療関係者は、患者から様々な患者監視装置を取り外す。したがって、外科用ハブ106、206は、ハブがEKG、BP、及び患者監視装置からの他のデータを喪失したとき、患者が回復室に移送されていると推定することができる。この例示的な処置の説明から分かるように、外科用ハブ106、206と通信可能に連結された各種データソースから受信されたデータに基づいて、外科用ハブ106、206は、所与の外科処置の各工程が発生しているときを判定又は推定することができる。
状況認識については、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、「INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する2017年12月28日出願の米国特許仮出願第62/611,341号で更に説明されている。特定の例では、例えば本明細書で開示される様々なロボット外科システムを含むロボット外科システムの動作は、その状況認識、及び/若しくはその構成要素からのフィードバックに基づいて、並びに/又はクラウド102からの情報に基づいて、外科用ハブ106、206によって制御され得る。
本明細書に記載される主題の様々な態様は、以下の番号付けされた実施例において説明される。
実施例1.手術室内で実施される外科処置で外科システムと共に使用するための外科用ハブであって、外科用ハブは、制御回路を備え、制御回路は、手術室の境界を判定することと、手術室の境界内に位置する外科システムの装置を判定することと、外科用ハブを、手術室の境界内に位置する外科システムの装置とペアリングすることと、を行うように、構成されている、外科用ハブ。
実施例2.外科システムの装置を判定する工程が、外科システムの変圧装置を検出することと、外科システムの変圧装置が手術室の境界内にあるか、又は手術室の境界の外側にあるかを評価することと、を含む、実施例1に記載の外科用ハブ。
実施例3.制御回路が、外科用ハブの起動後に手術室の境界を判定するように構成されている、実施例1又は2に記載の外科用ハブ。
実施例4.制御回路は、外科用ハブが移動されたと判定した後に手術室の境界を再判定するように構成されている、実施例1~3のいずれか1つに記載の外科用ハブ。
実施例5.制御回路は、外科用ハブの変圧装置が検出された後に手術室の境界を再判定するように構成されている、実施例1~4のいずれか1つに記載の外科用ハブ。
実施例6.制御回路が、手術室の境界を周期的に判定するように構成されている、実施例1~5のいずれか1つに記載の外科用ハブ。
実施例7.手術室の境界を測定するように構成された非接触センサを備える、実施例1~6のいずれか1つに記載の外科用ハブ。
実施例8.手術室内で実施される外科処置で外科システムと共に使用するための外科用ハブであって、外科用ハブは、プロセッサと、プロセッサに連結されたメモリと、を備え、メモリは、命令を記憶し、命令は、手術室の境界を判定することと、手術室の境界内に位置する外科システムの装置を判定することと、外科用ハブを、手術室の境界内に位置する外科システムの装置とペアリングすることと、を行うように、プロセッサによって実行可能である、外科用ハブ。
実施例9.外科システムの装置を判定する工程が、外科システムの変圧装置を検出することと、外科システムの変圧装置が手術室の境界内にあるか、又は手術室の境界の外側にあるかを評価することと、を含む、実施例8に記載の外科用ハブ。
実施例10.メモリが、外科用ハブの起動後に手術室の境界を判定するように、プロセッサによって実行可能である命令を更に記憶している、実施例8又は9に記載の外科用ハブ。
実施例11.メモリは、外科用ハブが移動されたと判定した後に手術室の境界を再判定するように、プロセッサによって実行可能である命令を更に記憶している、実施例8~10のいずれか1つに記載の外科用ハブ。
実施例12.メモリは、外科システムの変圧装置が検出された後に手術室の境界を再判定するように、プロセッサによって実行可能である命令を更に記憶している、実施例8~11のいずれか1つに記載の外科用ハブ。
実施例13.メモリが、手術室の境界を周期的に判定するように、プロセッサによって実行可能である命令を更に記憶している、実施例8~12のいずれか1つに記載の外科用ハブ。
実施例14.手術室の境界を測定するように構成された非接触センサを備える、実施例8~13のいずれか1つに記載の外科用ハブ。
実施例15.コンピュータ可読命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体であって、コンピュータ可読命令は、実行されると、機械に、手術室の境界を判定することと、手術室の境界内に位置する外科システムの装置を判定することと、外科用ハブを、手術室の境界内に位置する外科システムの装置とペアリングすることと、を行わせる、非一時的コンピュータ可読媒体。
実施例16.外科システムの装置を判定する工程が、外科システムの変圧装置を検出することと、外科システムの変圧装置が手術室の境界内にあるか、又は手術室の境界の外側にあるかを評価することと、を含む、実施例15に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
実施例17.コンピュータ可読命令は、実行されると、機械に、外科用ハブの起動後に手術室の境界を判定することを更に行わせる、実施例15又は16に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
実施例18.コンピュータ可読命令は、実行されると、機械に、外科用ハブが移動されたと判定した後に手術室の境界を再判定することを更に行わせる、実施例15~17のいずれか1つに記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
実施例19.コンピュータ可読命令は、実行されると、機械に、外科システムの変圧装置が検出された後に手術室の境界を再判定することを更に行わせる、実施例15~18のいずれか1つに記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
実施例20.コンピュータ可読命令は、実行されると、機械に、手術室の境界を周期的に判定することを更に行わせる、実施例15~19のいずれか1つに記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
いくつかの形態が例示され説明されてきたが、添付の「特許請求の範囲」の範囲をそのような詳述に制限又は限定することは、本出願人が意図するところではない。多数の修正、変形、変化、置換、組み合わせ及びこれらの形態の等価物を実装することができ、本開示の範囲から逸脱することなく当業者により想到されるであろう。更に、記述する形態に関連した各要素の構造は、その要素によって行われる機能を提供するための手段として代替的に説明することができる。また、材料が特定の構成要素に関して開示されているが、他の材料が使用されてもよい。したがって、上記の説明文及び添付の特許請求の範囲は、全てのそのような修正、組み合わせ、及び変形を、開示される形態の範囲に含まれるものとして網羅することを意図としたものである点を理解されたい。添付の特許請求の範囲は、全てのそのような修正、変形、変化、置換、修正、及び等価物を網羅することを意図する。
上記の詳細な説明は、ブロック図、フローチャート、及び/又は実施例を介して装置及び/又はプロセスの様々な形態について記載してきた。そのようなブロック図、フローチャート、及び/又は実施例が1つ若しくは2つ以上の機能及び/又は動作を含む限り、当業者に理解されたいこととして、そのようなブロック図、フローチャート、及び/又は実施例に含まれる各機能及び/又は動作は、多様なハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの事実上の任意の組み合わせによって、個々にかつ/又は集合的に実装することができる。当業者には、本明細書で開示される形態のうちのいくつかの態様の全部又は一部が、1台又は2台以上のコンピュータ上で稼働する1つ又は2つ以上のコンピュータプログラムとして(例えば、1台又は2台以上のコンピュータシステム上で稼働する1つ又は2つ以上のプログラムとして)、1つ又は2つ以上のプロセッサ上で稼働する1つ又は2つ以上のプログラムとして(例えば、1つ又は2つ以上のマイクロプロセッサ上で稼働する1つ又は2つ以上のプログラムとして)、ファームウェアとして、又はこれらの実質的に任意の組み合わせとして集積回路上で等価に実現することができ、また、回路を設計すること、並びに/又はソフトウェア及び/若しくはファームウェアのコードを記述することは、本開示を鑑みれば当業者の技能の範囲内に含まれることが理解されよう。更に、本明細書に記載した主題の機構は、多様な形式で1つ又は2つ以上のプログラム製品として配布されることが可能であり、本明細書に記載した主題の例証的な形態は、配布を実際に行うために使用される信号搬送媒体の特定の種類にかかわらず適用されることが当業者には理解されるであろう。
様々な開示された態様を実行するように論理をプログラムするために使用される命令は、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、キャッシュ、フラッシュメモリ、又は他の記憶装置などのシステム内メモリに記憶され得る。更に、命令は、ネットワークを介して、又は他のコンピュータ可読媒体によって分配され得る。したがって、機械可読媒体としては、機械(例えば、コンピュータ)によって読み出し可能な形態で情報を記憶又は送信するための任意の機構が挙げられ得るが、フロッピーディスケット、光ディスク、コンパクトディスク、読み出し専用メモリ(CD-ROM)、並びに磁気光学ディスク、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、磁気若しくは光カード、フラッシュメモリ、又は、電気的、光学的、音響的、若しくは他の形態の伝播信号(例えば、搬送波、赤外線信号、デジタル信号など)を介してインターネットを介した情報の送信に使用される有形機械可読記憶装置に限定されない。したがって、非一時的コンピュータ可読媒体としては、機械(例えば、コンピュータ)によって読み出し可能な形態で電子命令又は情報を記憶又は送信するのに好適な任意の種類の有形機械可読媒体が挙げられる。
本明細書の任意の態様で使用されるとき、「制御回路」という用語は、例えば、ハードワイヤード回路、プログラマブル回路(例えば、1つ又は2つ以上の個々の命令処理コアを含むコンピュータプロセッサ、処理ユニット、プロセッサ、マイクロコントローラ、マイクロコントローラユニット、コントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、プログラマブル論理装置(PLD)、プログラマブル論理アレイ(PLA)、又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array、FPGA))、状態機械回路、プログラマブル回路によって実行される命令を記憶するファームウェア、及びこれらの任意の組み合わせを指すことができる。制御回路は、集合的に又は個別に、例えば、集積回路(integrated circuit、IC)、特定用途向け集積回路(application-specific integrated circuit、ASIC)、システムオンチップ(SoC)、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、サーバ、スマートフォンなどの、より大きなシステムの一部を形成する回路として具現化され得る。したがって、本明細書で使用するとき、「制御回路」としては、少なくとも1つの個別の電気回路を有する電気回路、少なくとも1つの集積回路を有する電気回路、少なくとも1つの特定用途向け集積回路を有する電気回路、コンピュータプログラムによって構成された汎用コンピューティング装置(例えば、本明細書で説明したプロセス及び/若しくは装置を少なくとも部分的に実行するコンピュータプログラムによって構成された汎用コンピュータ、又は本明細書で説明したプロセス及び/若しくは装置を少なくとも部分的に実行するコンピュータプログラムによって構成されたマイクロプロセッサ)を形成する電気回路、メモリ装置(例えば、ランダムアクセスメモリの形態)を形成する電気回路、並びに及び/又は通信装置(例えば、モデム、通信スイッチ、若しくは光-電気機器)を形成する電気回路が挙げられるが、これらに限定されない。当業者は、本明細書で述べた主題が、アナログ若しくはデジタルの形式又はこれらのいくつかの組み合わせで実現されてもよいことを認識するであろう。
本明細書の任意の態様で使用される場合、「論理」という用語は、前述の動作のいずれかを実行するように構成されたアプリケーション、ソフトウェア、ファームウェア、及び/又は回路を指し得る。ソフトウェアは、非一時的コンピュータ可読記憶媒体上に記録されたソフトウェアパッケージ、コード、命令、命令セット、及び/又はデータとして具現化されてもよい。ファームウェアは、メモリ装置内のコード、命令、若しくは命令セット、及び/又はハードコードされた(例えば、不揮発性の)データとして具現化されてもよい。
本明細書の任意の態様で使用するとき、「構成要素」、「システム」、「モジュール」などという用語は、ハードウェア、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせ、ソフトウェア、又は実行中のソフトウェアのどちらかであるコンピュータ関連エンティティを指すことができる。
本明細書の任意の態様で使用するとき、「アルゴリズム」とは、所望の結果につながる工程の自己無撞着シーケンスを指し、「工程」とは、必ずしも必要ではないが、記憶、転送、結合、比較、及び別様に操作されることが可能な電気又は磁気信号の形態をなすことができる物理的量及び/又は論理状態の操作を指す。これらの信号を、ビット、値、要素、記号、文字、用語、番号などとして言及することが一般的な扱い方である。これらの及び類似の用語は、適切な物理的量と関連付けられ得、また単に、これらの量及び/又は状態に適用される便利な標識である。
ネットワークとしては、パケット交換ネットワークが挙げられ得る。通信装置は、選択されたパケット交換ネットワーク通信プロトコルを使用して、互いに通信することができる。1つの例示的な通信プロトコルとしては、伝送制御プロトコル/インターネットプロトコル(Transmission Control Protocol/Internet Protocol、TCP/IP)を使用して通信を可能にすることができるイーサネット通信プロトコルを挙げることができる。イーサネットプロトコルは、Institute of Electrical and Electronics Engineers(IEEE)によって発行された2008年12月発行の表題「IEEE802.3Standard」、及び/又は本規格の後のバージョンのイーサネット規格に準拠するか、又は互換性があり得る。代替的に又は追加的に、通信装置は、X.25通信プロトコルを使用して互いに通信することができる。X.25通信プロトコルは、International Telecommunication Union-Telecommunication Standardization Sector(ITU-T)によって公布された規格に準拠するか、又は互換性があり得る。代替的に又は追加的に、通信装置は、フレームリレー通信プロトコルを使用して互いに通信することができる。フレームリレー通信プロトコルは、Consultative Committee for International Telegraph and Telephone(CCITT)及び/又はthe American National Standards Institute(ANSI)によって公布された規格に準拠するか、又は互換性があり得る。代替的に又は追加的に、送受信機は、非同期転送モード(Asynchronous Transfer Mode、ATM)通信プロトコルを使用して互いに通信することが可能であり得る。ATM通信プロトコルは、ATM Forumによって「ATM-MPLS Network Interworking2.0」という題で2001年8月に公開されたATM規格及び/又は本規格の後のバージョンに準拠するか、又は互換性があり得る。当然のことながら、異なる及び/又は後に開発されたコネクション型ネットワーク通信プロトコルは、本明細書で等しく企図される。
別段の明確な定めがない限り、前述の開示から明らかなように、前述の開示全体を通じて、「処理する」、「計算する」、「算出する」、「判定する」、「表示する」などの用語を使用する考察は、コンピュータシステムのレジスタ及びメモリ内で物理的(電子的)量として表現されるデータを、コンピュータシステムのメモリ若しくはレジスタ又はそのような情報記憶、伝送、若しくは表示装置内で物理量として同様に表現される他のデータへと操作及び変換する、コンピュータシステム又は類似の電子計算装置の動作及び処理を指していることが理解されよう。
1つ又は2つ以上の構成要素が、本明細書中で、「ように構成される(configured to)」、「ように構成可能である(configurable to)」、「動作可能である/ように動作する(operable/operative to)」、「適合される/適合可能である(adapted/adaptable)」、「ことが可能である(able to)」、「準拠可能である/準拠する(conformable/conformed to)」などと言及され得る。当業者は、「ように構成される」は、一般に、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除き、アクティブ状態の構成要素及び/又は非アクティブ状態の構成要素及び/又はスタンドバイ状態の構成要素を包含し得ることを理解するであろう。
「近位」及び「遠位」という用語は、本明細書では、外科用器具のハンドル部分を操作する臨床医を基準として使用される。「近位」という用語は、臨床医に最も近い部分を指し、「遠位」という用語は、臨床医から離れた位置にある部分を指す。便宜上及び明確性のために、「垂直」、「水平」、「上」、及び「下」などの空間的用語が、本明細書において図面に対して使用され得ることが更に理解されよう。しかしながら、外科用器具は、多くの向き及び位置で使用されるものであり、これらの用語は限定的及び/又は絶対的であることを意図したものではない。
当業者は、一般に、本明細書で使用され、かつ特に添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の範囲の本文)で使用される用語は、概して「オープンな」用語として意図されるものである(例えば、「含む(including)」という用語は、「~を含むが、それらに限定されない(including but not limited to)」と解釈されるべきであり、「有する(having)」という用語は、「~を少なくとも有する(having at least)」と解釈されるべきであり、「含む(includes)」という用語は、「~を含むが、それらに限定されない(includes but is not limited to)」と解釈されるべきであるなど)ことを理解するであろう。更に、導入された請求項記載(introduced claim recitation)において特定の数が意図される場合、かかる意図は当該請求項中に明確に記載され、またかかる記載がない場合は、かかる意図は存在しないことが、当業者には理解されるであろう。例えば、理解を助けるものとして、後続の添付の特許請求の範囲は、「少なくとも1つの(at least one)」及び「1つ又は2つ以上の(one or more)」という導入句を、請求項記載を導入するために含むことがある。しかしながら、かかる句の使用は、「a」又は「an」という不定冠詞によって請求項記載を導入した場合に、たとえ同一の請求項内に「1つ又は2つ以上の」又は「少なくとも1つの」といった導入句及び「a」又は「an」という不定冠詞が含まれる場合であっても、かかる導入された請求項記載を含むいかなる特定の請求項も、かかる記載事項を1つのみ含む特許請求の範囲に限定されると示唆されるものと解釈されるべきではない(例えば、「a」及び/又は「an」は通常、「少なくとも1つの」又は「1つ又は2つ以上の」を意味するものと解釈されるべきである)。定冠詞を使用して請求項記載を導入する場合にも、同様のことが当てはまる。
更に、導入された請求項記載において特定の数が明示されている場合であっても、かかる記載は、典型的には、少なくとも記載された数を意味するものと解釈されるべきであることが、当業者には認識されるであろう(例えば、他に修飾語のない、単なる「2つの記載事項」という記載がある場合、一般的に、少なくとも2つの記載事項、又は2つ又は3つ以上の記載事項を意味する)。更に、「A、B、及びCなどのうちの少なくとも1つ」に類する表記が使用される場合、一般に、かかる構文は、当業者がその表記を理解するであろう意味で意図されている(例えば、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、限定するものではないが、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBの両方、AとCの両方、BとCの両方、及び/又はAとBとCの全てなどを有するシステムを含む)。「A、B、又はCなどのうちの少なくとも1つ」に類する表記が使用される場合、一般に、かかる構文は、当業者がその表記を理解するであろう意味で意図されている(例えば、「A、B、又はCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、限定するものではないが、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBの両方、AとCの両方、BとCの両方、及び/又はAとBとCの全てなどを有するシステムを含む)。更に、典型的には、2つ若しくは3つ以上の選択的な用語を表わすあらゆる選言的な語及び/又は句は、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除いて、明細書内であろうと、特許請求の範囲内であろうと、あるいは図面内であろうと、それら用語のうちの1つ、それらの用語のうちのいずれか、又はそれらの用語の両方を含む可能性を意図すると理解されるべきであることが、当業者には理解されよう。例えば、「A又はB」という句は、典型的には、「A」又は「B」又は「A及びB」の可能性を含むものと理解されよう。
添付の特許請求の範囲に関して、当業者は、本明細書における引用した動作は一般に、任意の順序で実施され得ることを理解するであろう。また、様々な動作のフロー図がシーケンス(複数可)で示されているが、様々な動作は、例示されたもの以外の順序で行われてもよく、又は同時に行われてもよいことが理解されるべきである。かかる代替の順序付けの例は、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除いて、重複、交互配置、割り込み、再順序付け、増加的、予備的、追加的、同時、逆、又は他の異なる順序付けを含んでもよい。更に、「~に応答する」、「~に関連する」といった用語、又は他の過去時制の形容詞は、一般に、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除き、かかる変化形を除外することが意図されるものではない。
「一態様」、「態様」、「例示」、「一例示」などへの任意の参照は、その態様に関連して記載される特定の機能、構造、又は特性が少なくとも1つの態様に含まれると意味することは特記に値する。したがって、本明細書の全体を通じて様々な場所に見られる「一態様では」、「態様では」、「例示では」、及び「一例示では」という句は、必ずしも全てが同じ態様を指すものではない。更に、特定の特徴、構造、又は特性は、1つ又は2つ以上の態様において任意の好適な様態で組み合わせることができる。
本明細書で参照され、かつ/又は任意の出願データシートに列挙される任意の特許出願、特許、非特許刊行物、又は他の開示資料は、組み込まれる資料が本明細書と矛盾しない範囲で、参照により本明細書に組み込まれる。それ自体、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示内容は、参考として本明細書に組み込まれているあらゆる矛盾する記載に優先するものとする。現行の定義、見解、若しくは本明細書に記載される他の開示内容と矛盾する任意の内容、又はそれらの部分は本明細書に参考として組み込まれるものとするが、参照内容と現行の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ、参照されるものとする。
要約すると、本明細書に記載した構想を用いる結果として得られる多くの利益が記載されてきた。1つ又は2つ以上の形態の上述の記載は、例示及び説明を目的として提示されているものである。包括的であることも、開示された厳密な形態に限定することも意図されていない。上記の教示を鑑みて、修正又は変形が可能である。1つ又は2つ以上の形態は、原理及び実際の応用について例示し、それによって、様々な形態を様々な修正例と共に、想到される特定の用途に適するものとして当業者が利用できるようにするために、選択され記載されたものである。本明細書と共に提示される特許請求の範囲が全体的な範囲を定義することが意図される。
〔実施の態様〕
(1) 手術室内で実施される外科処置で外科システムと共に使用するための外科用ハブであって、前記外科用ハブは、制御回路を備え、前記制御回路は、
前記手術室の境界を判定することと、
前記手術室の前記境界内に位置する前記外科システムの装置を判定することと、
前記外科用ハブを、前記手術室の前記境界内に位置する前記外科システムの前記装置とペアリングすることと、を行うように、構成されている、外科用ハブ。
(2) 前記外科システムの装置を判定する工程が、
前記外科システムの変圧装置を検出することと、
前記外科システムの前記変圧装置が前記手術室の前記境界内にあるか、又は前記手術室の前記境界の外側にあるかを評価することと、を含む、実施態様1に記載の外科用ハブ。
(3) 前記制御回路が、前記外科用ハブの起動後に前記手術室の前記境界を判定するように構成されている、実施態様1に記載の外科用ハブ。
(4) 前記制御回路は、前記外科用ハブが移動されたと判定した後に前記手術室の前記境界を再判定するように構成されている、実施態様1に記載の外科用ハブ。
(5) 前記制御回路は、前記外科システムの変圧装置が検出された後に前記手術室の前記境界を再判定するように構成されている、実施態様1に記載の外科用ハブ。
(6) 前記制御回路が、前記手術室の前記境界を周期的に判定するように構成されている、実施態様1に記載の外科用ハブ。
(7) 前記手術室の前記境界を測定するように構成された非接触センサを備える、実施態様1に記載の外科用ハブ。
(8) 手術室内で実施される外科処置で外科システムと共に使用するための外科用ハブであって、前記外科用ハブは、
プロセッサと、
前記プロセッサに連結されたメモリと、を備え、前記メモリが、命令を記憶し、前記命令は、
前記手術室の境界を判定することと、
前記手術室の前記境界内に位置する前記外科システムの装置を判定することと、
前記外科用ハブを、前記手術室の前記境界内に位置する前記外科システムの前記装置とペアリングすることと、を行うように、前記プロセッサによって実行可能である、外科用ハブ。
(9) 前記外科システムの装置を判定する前記工程が、
前記外科システムの変圧装置を検出することと、
前記外科システムの前記変圧装置が前記手術室の前記境界内にあるか、又は前記手術室の前記境界の外側にあるかを評価することと、を含む、実施態様8に記載の外科用ハブ。
(10) 前記メモリが、前記外科用ハブの起動後に前記手術室の前記境界を判定するように、前記プロセッサによって実行可能である命令を更に記憶している、実施態様8に記載の外科用ハブ。
(11) 前記メモリは、前記外科用ハブが移動されたと判定した後に前記手術室の前記境界を再判定するように、前記プロセッサによって実行可能である命令を更に記憶している、実施態様8に記載の外科用ハブ。
(12) 前記メモリは、前記外科システムの変圧装置が検出された後に前記手術室の前記境界を再判定するように、前記プロセッサによって実行可能である命令を更に記憶している、実施態様8に記載の外科用ハブ。
(13) 前記メモリが、前記手術室の前記境界を周期的に判定するように、前記プロセッサによって実行可能である命令を更に記憶している、実施態様8に記載の外科用ハブ。
(14) 前記手術室の前記境界を測定するように構成された非接触センサを備える、実施態様8に記載の外科用ハブ。
(15) コンピュータ可読命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記コンピュータ可読命令は、実行されると、機械に、
手術室の境界を判定することと、
前記手術室の前記境界内に位置する外科システムの装置を判定することと、
外科用ハブを、前記手術室の前記境界内に位置する前記外科システムの前記装置とペアリングすることと、を行わせる、非一時的コンピュータ可読媒体。
(16) 前記外科システムの装置を判定する前記工程が、
前記外科システムの変圧装置を検出することと、
前記外科システムの前記変圧装置が前記手術室の前記境界内にあるか、又は前記手術室の前記境界の外側にあるかを評価することと、を含む、実施態様15に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
(17) 前記コンピュータ可読命令は、実行されると、機械に、前記外科用ハブの起動後に前記手術室の前記境界を判定することを更に行わせる、実施態様15に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
(18) 前記コンピュータ可読命令は、実行されると、機械に、前記外科用ハブが移動されたと判定した後に前記手術室の前記境界を再判定することを更に行わせる、実施態様15に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
(19) 前記コンピュータ可読命令は、実行されると、機械に、前記外科システムの変圧装置が検出された後に前記手術室の前記境界を再判定することを更に行わせる、実施態様15に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
(20) 前記コンピュータ可読命令は、実行されると、機械に、前記手術室の前記境界を周期的に判定することを更に行わせる、実施態様15に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。