JP7215731B2 - 積層型反応器 - Google Patents
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Description
「複数のプレートを、ガスケットを介して所定間隔で積層配置することで形成された流路と、
前記プレートのいずれかに設けられた、前記流路に連通する流体入口及び流体出口と、
前記流路内の温度を測定する測温手段と、
を備えた積層型反応器であって、
前記ガスケットは、JIS R 3453(2001)に規定する圧縮率が16%以上であり、
前記測温手段は、前記プレートのいずれか及び前記ガスケットで挟持されてその一部が前記流路内に配置されたことを特徴とする、積層型反応器」
を採用する。
また、本明細書における反応とは、化学反応に限定されず、抽出や蒸留等の、物質が何らかの変化をするもの全般の意味で用いられる。したがって、本発明の積層型反応器は、化学反応のみならず、抽出や蒸留等にも使用することができる。
プレート2の形状は、板形状であれば特に限定されず、平板状でもよく、また後述するように、触媒を埋設固定するための凹部を有するものでもよい。
プレート2の寸法も特には限定されず、入手のしやすさ、必要な反応生成物の量及び反応の制御のしやすさ等を考慮して、適宜決定すれば良い。一例として、長さ10~1000mm、幅1~1000mm、厚さ0.1~10mmが挙げられる。
一般に、圧縮率の大きなガスケットは締め付けに時間がかかるため、通常の用途への適用は控えられていた。しかし、本発明者は、高い圧縮率に起因した変形のしやすさが、測温手段7を隙間無く挟持するという本発明の目的達成に寄与することを見出し、前述した大きな圧縮率を有するガスケット3を使用することとした。
前記圧縮率は、80%以下であることが好ましく、70%以下であることがより好ましく、60%以下であることがよりいっそう好ましく、50%以下であることが特に好ましい。ガスケット3の圧縮率が該範囲内にあると、積層型反応器1の使用中に温度や圧力等が変化してガスケット3にかかる圧力が変動しても、該変動に伴うガスケット3の変形量が小さくなるため、安定したシールが可能となる。
前述のような圧縮率を示すガスケット3の材質としては、膨張黒鉛、PTFE等のエンジニアリングプラスチックもしくはスーパーエンジニアリングプラスチック、天然ゴム、合成ゴム(ニトリルゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム)等が挙げられる。
ガスケットの態様は、前述の圧縮率を有するものであれば特に限定されず、均一の材料で製作されたものでもよいし、フィラーやバインダーなど複数の材料を混合して製作されたものでもよいし、複数の材質を積層して製作されたものでもよいし、ある材料を中心材として別の材料で包みジャケット式にしたものでもよいし、所謂うず巻形ガスケット等でもよい。
ガスケット3の厚さも特に限定されず、前述の圧縮率及び形成する流路4の高さ等を考慮して適宜設定すればよい。一例として、0.1~10mmが挙げられる。
また、ガスケット3は、JIS R 3453(2001)に規定される応力緩和率が50%以下であることが好ましく、40%以下であることがより好ましく、35%以下であることがさらに好ましく、30%以下であることが特に好ましい。応力緩和率の低いガスケットを使用することで、長時間に亘ってシール性を保つことができる。
本実施形態は、プレート2,2の面及び/又はガスケット3の開口部の形状や、プレート2,2及び/又はガスケット3の厚さや積層枚数を調節することで、流路4の形状及び寸法を比較的容易に変更できる利点も有するものである。
固体触媒の態様としては特に限定されず、粉末状或いは顆粒状であってもよいし、予めペーパー状あるいはフェルト状に成型されていてもよいし、ペレット状に成型されていてもよいし、構造体触媒であってもよい。
整流プレート22を用いた場合、流体が貫通孔221を通過する際に、パイパスや停留等で生じていた流路内の流体流れの偏奇が解消し、均一な反応を起こすことができる。
このように作用する整流プレート22としては、例えば、板部材に機械加工やレーザー加工等で貫通孔221を形成したもの、枠部材にメッシュや多孔質布を張設したもの、又は板部材に設けた貫通孔や開口にセラミックス等の多孔質体を装填したもの等が挙げられる。
整流プレート22への固体触媒の担持方法は特に限定されず、例えば、固体触媒粒子を分散したスラリーを整流プレート22に塗布ないし散布した後乾燥する方法、該スラリーに整流プレート22を浸漬した後乾燥する方法等が挙げられる。
図1に示す積層型反応器1を作製した。プレート2,2には、300×30×7mmのSUS316L板を使用した。ガスケット3には、外形寸法が300×30×1mmで、中央に250×4mmのスリットを備えた、圧縮率が47%で応力緩和率が4%の膨張黒鉛(ジャパンマテックス製)を使用した。測温手段7には、直径0.5mmのK熱電対を使用した。また、上側と下側のプレート2における流路4を画定する面(流路4の上面及び底面)に、それぞれ80×4×1.5mmの凹部を1つずつ設け、該凹部に、粒径0.3mm(50メッシュ)以下のNiO/Al2O3触媒粒子を0.5gずつ、計1.0gを充填することで、固体触媒8を配設した。
このようにして作製した積層型反応器1を電気炉内に設置し、測温手段7が525℃を指すように温度制御した後、流体入口5からCH4及びCO2を約60sccmずつの流量で流通させ、メタンのドライ改質反応を進行させた。このとき、ガス分析によるメタン転化率は約16%であり、測温手段7は509℃を示した。メタンのドライ改質反応は吸熱反応であるため、測温手段7により測定された温度低下は妥当な結果といえる。また出口流量を測定した結果、全反応時間に亘って、ドライ改質反応のため入口流量の約120sccmから増加して約155sccmと測定され、ガス漏れを起こさなかったことが確認された。
ガスケットの材質を、圧縮率が12%で応力緩和率が40%のマイカに変更した以外は実施例1と同様にして、積層型反応器1を作製し、メタンのドライ改質反応を行った。
ガス分析により算出されたメタン転化率は約15%であり、測温手段7は510℃付近を示した。出口流量を測定した結果、反応開始直後は入口流量の約120sccmから増加して約151sccmと測定されたが、時間経過とともに出口流量は低下し、開始100分の時点で113sccmまで低下した。これは時間経過とともにガス漏れのシーリング性能が低下したことを反映するものといえる。
ガスケットを表1に示すものとした以外は実施例1と同様にして、実施例2~10及び比較例2~3に係る積層型反応器1をそれぞれ作製した。
このようにして作製した各積層型反応器1に、Heガスを常温下で約600sccm流通させて流量を測定し、下記式(1)によりリーク率を算出した。
ガスケットを使用せず、測温手段7をプレート2,2間に直接挟持したこと以外は実施例2と同様にして、比較例4,5に係る積層型反応器1を作製し、リーク率を算出した。比較例4では、測温手段7を挟持する面の表面粗さが0.05mmのプレート2,2を使用し、比較例5では、該表面粗さが0.03mm以下のプレート2,2を使用した。得られたリーク率は、比較例4が2.63%、比較例5が2.47%となった。
2,21:プレート
22:整流プレート
221:貫通孔
3:ガスケット
4:流路
5:流体入口
6:流体出口
7:測温手段
8,81,82:固体触媒
Claims (7)
- 複数のプレートを、ガスケットを介して所定間隔で積層配置することで形成された流路と、
前記プレートのいずれかに設けられた、前記流路に連通する流体入口及び流体出口と、
前記流路内の温度を測定する測温手段と、
を備えた積層型反応器であって、
前記ガスケットは、JIS R 3453(2001)に規定される圧縮率が16%以上であり、
前記測温手段は、前記プレートのいずれか及び前記ガスケットで挟持されてその一部が前記流路内に配置されたことを特徴とする、積層型反応器。 - 前記ガスケットが膨張黒鉛を含む、請求項1に記載の積層型反応器。
- 前記流路内に固体触媒を配設した、請求項1又は2に記載の積層型反応器。
- 前記固体触媒が、前記プレートの前記流路に面する壁面に設けた凹部に埋設固定された、請求項3に記載の積層型反応器。
- 前記固体触媒が、前記ガスケットの前記流路に面する壁面に設けた凹部に埋設固定された、請求項3又は4に記載の積層型反応器。
- 前記プレートが、
積層構造の最下層及び最上層に配置された2枚のプレートと、
該2枚のプレートの間に配置された、複数の貫通孔を備える整流プレートと、
を備えると共に、
前記流体入口と流体出口とが、前記整流プレートに対して互いに反対側に配置された、
請求項1~5のいずれか1項に記載の積層型反応器。 - 前記整流プレートに固体触媒が担持された、請求項6に記載の積層型反応器。
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