JP7193846B2 - サイレージ等の乾物密度を推定する方法及び装置 - Google Patents
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Description
本発明によるサイレージの乾物密度を推定する方法は、堆積したサイレージに貫入させるシャフトと、堆積したサイレージとシャフトの表面との間の摩擦抵抗値を測定する測定器とを有する装置を用いることによって、実施することができる。測定器によって測定された摩擦抵抗値は、摩擦抵抗値とサイレージの乾物密度との間の相関関係に基づいて、乾物密度に換算することができる。
本発明の発明者は、実験によって本実施形態におけるシャフトの好ましい形状を求めており、当該実験及び結果の詳細は、実施例を参照されたい。
本実施形態において相関関係を求めるための実験及び結果の詳細は、実施例を参照されたい。
図1は、サイレージの乾物密度を推定するフロー100である。貫入抵抗値又は引抜抵抗値を測定することによってサイレージの乾物密度を推定する方法は、以下のとおりである。まず、シャフトに貫入抵抗を測定するための測定器(例えばフォースゲージ)を取り付け(S102)、測定器の指示値をゼロに校正する(S103)。乾物密度の推定対象箇所においてサイレージが乱れているときは、乱れを整えたり、特に内部の乱れが大きいときには他の箇所に変更したりすることが好ましい(S104)。推定対象箇所は、限定されるものではないが、周囲からの圧力が概ね均等に作用している箇所が好ましいため、開封されたサイレージの測定断面の中央部分であることが好ましい。なお、本方法は、通常はサイロ開封後のサイレージの乾物密度を推定するために用いられるものであるが、必要に応じて、ロールベールサイレージから取り出されたサイレージの乾物密度を推定する場合にも用いることができる。
回転抵抗、貫入抵抗又は引抜抵抗と乾物密度との間の相関関係(相関図、検量線又は換算表)を求める方法は、以下のとおりである。図2は、相関関係を求めるフロー200である。フロー200においては、まず、サイレージの真の密度を求めることができるように、所定の内寸法を有する容器を準備する(S202)。本実施形態においては、内寸法が102mm×103mm×400mmの直方体の木製容器を用いた。この容器には、シャフトを挿入するための複数の孔が長手方向の一方の端部の側面に設けられた。
上述の実施形態においては、回転抵抗値、貫入抵抗値又は摩擦抵抗値のうちのいずれか一種を用いて、サイレージの乾物密度を推定している。しかしながら、別の実施形態においては、回転抵抗値、貫入抵抗値及び引抜抵抗値の組み合わせを用いて、サイレージの乾物密度を推定することもできる。例えば、測定された回転抵抗値、貫入抵抗値及び引抜抵抗値のいずれか2種又は全部の各々に対応する相関図、検量線又は換算表を用いて乾物密度の数値を得た後に、これらの複数の数値、すなわち、回転抵抗値に対応する乾物密度の数値、貫入抵抗値に対応する乾物密度の数値、及び引抜抵抗値に対応する乾物密度の数値のいずれか2つ又は全部を比較し、これらの密度の数値の計測誤差を求め、より計測誤差の小さい(すなわち、より精度の高い)数値を、当該サイレージの乾物密度の推定値として採用することができる。
<シャフトの製作>
シャフトは、貫入抵抗値、引抜抵抗値及び回転抵抗値の測定のいずれにも用いることができるものとし、高強度で軽量かつ切削性に優れるジェラルミン製の丸棒を採用した。シャフトの好ましい形状を決定するために、長さ350mm、直径5mm、8mm、10mm、12mm及び15mmの丸棒を準備し、先端部の円錐の頂角が15°、30°、60°、90°及び120°となるように加工したシャフト25本を製作した。円錐形状の先端部末端を起点として、シャフト円柱部に、50mm毎に目印を設けた。
チモシー主体・1番草サイレージが貯蔵されているバンカーサイロにおいて、乱されていないサイレージ断面のうち、低密度(サイロ上部)及び高密度(サイロ中央下部)の2カ所に対して、貫入抵抗、回転抵抗及び引抜抵抗を測定し、各種測定値の範囲と抵抗値が描く線形形状、計測時の状況から、適切なシャフトの形状を決定した。測定においては、上記25本のシャフトについて、円錐形状の先端部の貫入抵抗を測定した後、シャフトを50mm貫入させる毎に貫入抵抗値及び回転抵抗値を測定し、シャフト円柱部を250mmまで貫入させた後、シャフトを引き抜き、50mm毎に引抜抵抗値を測定した。貫入抵抗値及び引抜抵抗値の測定においては、高荷重用デジタルフォースゲージ(IMADA製ZPH-5000N)を用いた。回転抵抗計測においては、トルクドライバ(東日製FTD200CN2-S)を用いた。
<測定方法>
上述のとおり決定された形状を有するシャフトを用いて、バンカーサイロから採取したチモシー主体・1番草サイレージ(以下、「grass」という)及び飼料用とうもろこしサイレージ(以下、「corn」という)を、それぞれ温度30~35度で段階的に風乾処理し、異なる水分量のサイレージサンプルを調製した。調製されたgrassの水分量は、23.9%、45.3%、63.3%、70.4%及び80.3%の5段階とし、cornの水分量は、16.2%、44.8%、59.2%、66.1%及び70.0%の5段階とした。水分量が異なるこれらのサイレージサンプルの各々を、充填量を5段階に変化させて、内寸法102mm×103mm×400mm、有効内容量4202mlの筐体に充填した。筐体側面に設けた孔からシャフトを貫入して、各水分量及び充填量のサイレージサンプルの貫入抵抗値、引抜抵抗値及び回転抵抗値を3回ずつ測定した。シャフトの貫入速度及び引抜速度は10cm/秒、回転速度は90°/秒とした。これらの抵抗値の測定と同時に、内寸法66mm、外寸法69mm、有効深200mmの電動式コアサンプラーを用いた慣行法による密度計測を、各水分量のサイレージサンプルについて3回ずつ行った。筐体に充填されたサイレージサンプルの重量及び水分量並びに筐体の寸法から、サイレージサンプルの現物密度及び乾物密度を求めてこれらを真値とし、貫入抵抗値、引抜抵抗値及び回転抵抗値とサイレージサンプルの現物密度及び乾物密度との間の相関図を作成し、検量線を求めるとともに、各抵抗値による乾物密度の推定精度の比較を行った。あわせて、従来法についても同様に、相関図を作成し、検量線を求めるとともに、乾物密度の推定精度の比較を行った。
サイレージサンプルの現物密度と各摩擦抵抗値との間には、一定の傾向は見られたものの、相関の高い近似式は存在しなかった(図示せず)。しかし、サイレージサンプルの乾物密度と各摩擦抵抗値との関係には、いずれの抵抗値についても極めて高い相関関係が確認され、非常に精度の高い二次曲線が得られた(図3及び図4)。以下に、図3及び図4の近似式と、それぞれの近似式の相関係数を示す。
貫入抵抗 y=0.0005x2.5343(R2=0.9237)
引抜抵抗 y=9×10-5x2.7842(R2=0.9409)
回転抵抗 y=3×10-5x2.9087(R2=0.9672)
貫入抵抗 y=2×10-7x3.8928(R2=0.9482)
引抜抵抗 y=2×10-8x4.2274(R2=0.9332)
回転抵抗 y=2×10-8x4.2275(R2=0.962)
Claims (7)
- サイレージ及びその原料(以下、「サイレージ等」という。)の乾物密度を推定する方法であって、
堆積したサイレージ等にシャフトを貫入させるステップと、
前記サイレージ等と前記シャフトとの間の摩擦抵抗値を測定するステップと、
摩擦抵抗値とサイレージ等の乾物密度との間の予め求められた相関関係に基づいて、測定された摩擦抵抗値に対応する前記サイレージ等の乾物密度を求めるステップと
を含み、
前記サイレージ等と前記シャフトとの間の摩擦抵抗値は、前記サイレージ等に貫入させた前記シャフトを該シャフトの軸周りに回転させたときの回転抵抗値若しくは前記サイレージ等から前記シャフトを引き抜くときの引抜抵抗値のいずれか、又はこれらの組み合わせである
ことを特徴とする乾物密度推定方法。 - 前記シャフトとサイレージ等との間の摩擦抵抗値と、該摩擦抵抗値が測定されたサイレージ等の乾物密度とに基づいて、前記相関関係を予め求めるステップをさらに含む、請求項1に記載の乾物密度推定方法。
- 前記相関関係を予め求めるステップは、
水分量が既知のサイレージ等を所定の容器に充填することと、
前記容器に充填されたサイレージ等に前記シャフトを挿入することと、
前記シャフトとサイレージ等との間の摩擦抵抗値を測定することと、
容器へのサイレージ等の充填、サイレージ等へのシャフトの挿入及び摩擦抵抗値の測定を、水分量及び充填量の異なるサイレージ等について繰り返すことと、
前記容器に充填された水分量及び充填量の異なるサイレージ等の各々の乾物密度を計算することと、
測定された複数の摩擦抵抗値と、計算された複数の乾物密度とを用いて、摩擦抵抗値とサイレージ等の乾物密度との間の相関関係を求めることと
を含む、請求項2に記載の乾物密度推定方法。 - 前記シャフトは、円形状の横断面を有する、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の乾物密度推定方法。
- 前記シャフトは、円錐形状の先端部を有する、請求項4に記載の乾物密度推定方法。
- サイレージ及びその原料(以下、「サイレージ等」という。)の乾物密度を推定するために用いられる装置であって、
堆積したサイレージ等に貫入させるシャフトと、
前記サイレージ等と前記シャフトとの間の摩擦抵抗値を測定する測定器と、
摩擦抵抗値をサイレージ等の乾物密度に換算するための相関関係を含む換算部と、
を備え、
前記サイレージ等と前記シャフトとの間の摩擦抵抗値は、前記サイレージ等に貫入させた前記シャフトを該シャフトの軸周りに回転させたときの回転抵抗値若しくは前記サイレージ等から前記シャフトを引き抜くときの引抜抵抗値のいずれか、又はこれらの組み合わせである
ことを特徴とする乾物密度推定装置。 - 前記相関関係は、前記シャフトとサイレージ等との間の摩擦抵抗値と、該摩擦抵抗値が測定された部分のサイレージ等の乾物密度とに基づいて、予め求められたものである、請求項6に記載の乾物密度推定装置。
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