[第1実施形態]
以下、本発明に係る無線タグ管理システムを具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示す無線タグ管理システム1は、グループで移動している無線タグのタグ情報をグループ化して管理するシステムとして構成されている。この無線タグ管理システム1は、図1に示すように、無線タグ30がそれぞれ付された複数の物品が搬送される搬送経路中に配置されて各無線タグ30を読み取るタグリーダ10と、このタグリーダ10による読み取り結果等を利用して搬送される物品Pに関する管理を行う管理装置20とを備えている。この無線タグ管理システム1により、図1に例示する搬送状態では、それぞれ無線タグ30a,30bが付された2つの物品Paと無線タグ30c,30dが付された2つの物品Pbとが搬送台車に載置されて出荷時にタグリーダ10前を通過した際に、タグリーダ10にて読み取られた各無線タグ30a~30dのタグ情報がグループ化される。このようにグループで移動している各無線タグ30のタグ情報をグループ化することで、入庫作業や出庫作業にともなう物品の在庫管理や搬送作業管理等をより詳細に管理することができる。
まず、本実施形態に係るタグリーダ10の構成について説明する。
タグリーダ10は、例えば公知のRFタグリーダによって構成されるものであり、図1に例示するように搬送経路に設けられるゲートに設置されており、無線タグ30から読み取った情報や無線タグ30の移動状態に関する情報等を管理装置20に出力するように構成されている。
タグリーダ10のハードウェア構成は、図2のようになっており、制御部11、記憶部12、通信処理部13、アンテナ14及び外部インタフェース15等を備えている。制御部11は、マイコンを主体として構成されるものであり、CPU、システムバス、入出力インタフェース等を有し、半導体メモリ等からなる記憶部12とともに情報処理装置を構成している。
また、通信処理部13は、図2に示すように、送信回路13b、受信回路13c等を備えている。送信回路13bは、例えば、キャリア発振器、符号化部、変調部及び増幅器等によって構成されている。キャリア発振器は、所定周波数のキャリア(搬送波)を出力しており、符号化部は、制御部11に接続され、制御部11より出力される送信データを符号化して変調部に出力している。変調部は、キャリア発振器からのキャリア(搬送波)及び符号化部からの送信データが入力されるものであり、キャリア発振器より出力されるキャリア(搬送波)に対し、通信対象へのコマンド送信時に符号化部より出力される符号化された送信符号(変調信号)によってASK(Amplitude Shift Keying)変調された被変調信号を生成し、増幅器に出力している。また、増幅器は、入力信号(変調部によって変調された被変調信号)を設定された増幅率で増幅しており、その増幅信号が送信信号としてアンテナ14に出力されるようになっている。
また、アンテナ14には、受信回路13cの入力端子が接続されており、アンテナ14によって受信された無線タグ30からの応答波に相当する電波信号(受信信号)は、受信回路13cに入力されるようになっている。受信回路13cは、例えば、増幅器、復調部等によって構成されており、アンテナ14によって受信された受信信号を増幅器によって増幅し、その増幅信号を復調部によって復調している。更に、その復調された信号波形に相当する信号を受信データとして制御部11に出力している。このように通信処理部13を介して受信された無線タグ30の応答波の位相及び受信信号強度(RSSI)は、制御部11にてなされる測定処理により、その測定時刻(受信時刻)tに関連付けられて、順次記憶部12に記憶される。なお、制御部11及び通信処理部13は、「測定部」の一例に相当し得る。
また、外部インタフェース15は、管理装置20等の外部機器との間でのデータ通信を行うためのインタフェースとして構成されており、制御部11と協働して通信処理を行う構成をなしている。
ここで、タグリーダ10の読取対象となる無線タグ30の電気的構成について、図3を参照して説明する。
図3に示すように、無線タグ30は、アンテナ31,電源回路32,復調回路33,制御回路34,メモリ35,変調回路36などによって構成されている。電源回路32は、アンテナ31を介して受信したタグリーダ10からの送信信号(キャリア信号)を整流、平滑して動作用電源を生成するものであり、その動作用電源を、制御回路34をはじめとする各構成要素に供給している。
また、復調回路33は、送信信号(キャリア信号)に重畳されているデータを復調して制御回路34に出力している。メモリ35は、ROM,EEPROM等の各種半導体メモリによって構成されており、制御プログラムや無線タグ30を識別するための識別情報(タグID)、或いは無線タグ30の用途に応じたデータなどが記憶されている。制御回路34は、メモリ35から上記情報やデータを読み出し、それを送信データとして変調回路36に出力する構成をなしており、変調回路36は、応答信号(キャリア信号)を当該送信データで負荷変調してアンテナ31から応答波として送信するように構成されている。なお、図2及び図3では、タグリーダ10及び無線タグ30の電気的構成の一例を挙げたが、電磁波を媒介として無線通信を行い得る構成であれば公知の他の電気的構成を用いてもよい。
次に、本実施形態に係る管理装置20の構成について説明する。
管理装置20は、タグリーダ10から取得した各無線タグ30の読み取り結果や外部から取得した情報を利用して搬送される物品Pの搬送状態などを管理する装置として機能するものである。この管理装置20は、例えばコンピュータとして構成され、図4に示すように、CPU等からなる制御部21、液晶モニタ等として構成される表示部22、ROM、RAM、HDD等からなる記憶部23、マウスやキーボード等として構成される操作部24、タグリーダ10や上位機器等の外部機器との間でのデータ通信を行うための通信インタフェースとして構成される通信部25などを備えている。
次に、搬送される各物品に付された無線タグ30のタグ情報をグループ化する際にタグリーダ10に制御部11にて行われるグループ化処理について詳述する。
グループで移動している物品にそれぞれ付された無線タグ30を読み取る際に、グループ外の無線タグ30、例えば、タグリーダ10の周辺に置かれて移動していない物品に付された無線タグ(図1の物品Pcに付された無線タグ30e,30f参照)や、別方向からタグリーダ10の付近を通過した物品に付された無線タグ等が読み取られる場合がある。このため、単に所定の時間帯で読み取った複数の無線タグ30のタグ情報を1つの移動グループとしてグループ化すると、グループ外とすべき無線タグ30のタグ情報まで誤ってグループ化されてしまうという問題がある。
そこで、本実施形態では、無線タグ30からの応答波の位相変化量を利用して無線タグ30の移動状態を検知し、移動していると推定される無線タグ30のうちRSSIの最大値(以下、最大RSSIともいう)が所定のグループ範囲内となるものを1つの移動グループとしてグループ化する。
このように、無線タグ30からの応答波の位相変化量を利用して無線タグ30の移動状態を検知する理由は、低速で移動している無線タグ30であってもその無線タグ30の移動状態を正確に検知することができるからである。特に、本実施形態では、応答波の位相変化量から以下の様にして算出される位相変化量積算値に基づいて、無線タグ30の移動状態を検知する。
具体的には、制御部11にて別途なされる測定処理により、通信処理部13を利用して、所定時間、アンテナ14を介して複数の無線タグ30から受信した応答波の位相φ及びRSSIがそれぞれ測定されて、無線タグ30ごとに測定時刻tに関連付けられて、記憶部12に順次記憶される。そして、制御部11にてなされるグループ化処理の際に、記憶部12に記憶されている応答波の各位相φについて前回の位相φとの差の絶対値が位相変化量Δφとして算出されて、当該位相変化量Δφを積算して位相変化量積算値φsumが算出される。このように算出された位相変化量積算値φsumは、移動中であってかつ読み取りやすい無線タグ30ほど大きくなるので、位相変化量積算値φsumを基準に無線タグ30の移動状態を検知する。なお、位相変化量積算値φsumを算出する制御部11は、「算出部」の一例に相当し得る。
また、最大RSSIが所定のグループ範囲内となるものを1つの移動グループとする理由は、同じ移動グループで移動する無線タグ30同士では、アンテナ14までの距離の変化がほぼ同じ状態となるため、最大RSSIが上記グループ範囲内となるからである。その一方で、例えば、管理対象の無線タグ30が移動体に載せられて搬送される場合に、その移動体による電波の反射のために停止している無線タグ(停止タグ)の位相変化量積算値φsumが第1閾値φsa以上となっても、その停止タグから移動体を介したアンテナ14までの距離は管理対象の無線タグ30からアンテナ14までの距離に対して長くなるため、その停止タグの最大RSSIが管理対象の無線タグ30の最大RSSIに対して十分に小さくなるからである。このため、本実施形態では、位相変化量積算値φsumが第1閾値φsa以上であっても最大RSSIが上記グループ範囲外となる無線タグ30を、グループ化対象外とする。
以下、複数の無線タグ30のタグ情報が読み取られるとともに各無線タグ30の位相φ及びRSSIが順次測定されて記憶部12に記憶された後に、制御部11にて行われるグループ化処理について、図5及び図6に示すフローチャートを参照して詳述する。なお、グループ化処理を行う制御部11は、「グループ化処理部」の一例に相当し得る。
各無線タグ30の位相φ及びRSSIが記憶部12に記憶されることで、制御部11にてグループ化処理が開始されると、図5のステップS101に示すタグ種類分け処理がなされる。この処理では、読み取った複数の無線タグ30が、移動タグ、停止タグ、代表タグのいずれかに種類分けされる。
ここで、移動タグは、読み取った複数の無線タグ30のうち、位相変化量積算値φsumが、移動とみなされる値に設定された第1閾値φsa以上となる無線タグ30である。また、停止タグは、読み取った複数の無線タグ30のうち、位相変化量積算値φsumが上記第1閾値φs未満となるために停止していると推定される無線タグ30である。また、代表タグは、読み取った複数の無線タグ30のうち、位相変化量積算値φsumが、上記第1閾値φsaよりも大きくなるように設定された第2閾値φsb以上となるもので、移動タグと種類分けされ得る無線タグ30の中でも信頼性が高くグループ化の基準となり得る無線タグ30である。なお、第1閾値φsa及び第2閾値φsbは、例えば、実際に複数の無線タグ30がタグリーダ10前を通過した際に算出された位相変化量積算値φsumに応じて設定されてもよく、また、搬送状況等に応じて、適宜変更されてもよい。
上記タグ種類分け処理について、図6のフローチャートを参照して詳述する。
まず、記憶部12に記憶される各測定時間での位相φ及びRSSIが無線タグ30ごとに読み出される(図6のS201)。続いて、無線タグ30の位相変化量積算値φsumが算出されると(S203)、ステップS205,S207の判定処理により、算出された位相変化量積算値φsumに基づいて、読み取った複数の無線タグ30が、移動タグ、停止タグ、代表タグのいずれかに種類分けされる。
具体的には、位相変化量積算値φsumが第2閾値φsb以上となる無線タグ30は、ステップS205にてYes、ステップS207にてYesと判定されて、代表タグに種類分けされる(S209)。また、位相変化量積算値φsumが第1閾値φsa以上第2閾値φsb未満となる無線タグ30は、ステップS205にてYes、ステップS207にてNoと判定されて、移動タグに種類分けされる(S211)。また、位相変化量積算値φsumが第1閾値φsa未満となる無線タグ30は、ステップS205にてNoと判定されて、停止タグに種類分けされる(S213)。この処理は、読み取った全ての無線タグ30がいずれかに種類分けされるまで繰り返しなされ(S215でNo)、全ての無線タグ30について種類分けが完了すると(S215でYes)、本タグ種類分け処理が終了する。
上述のようにタグ種類分け処理が終了すると、ステップS103の判定処理にて、読み取った複数の無線タグ30のうち代表タグに種類分けされる無線タグがあるか否かについて判定される。ここで、代表タグに種類分けされる無線タグがあると(S103でYes)、ステップS105に示すグループ範囲設定処理がなされる。この処理では、代表タグが2以上ある場合には、各代表タグにおける最大RSSIの平均値を基準値Rmとして、この基準値Rmを中心とする所定の範囲がグループ範囲として設定される。また、代表タグが1つである場合には、その代表タグの最大RSSIを基準値Rmとして、この基準値Rmを中心とする所定の範囲がグループ範囲として設定される。なお、代表タグが2以上ある場合に、全ての代表タグにおける最大RSSIの平均値を基準値Rmとすることに限らず、一部の代表タグにおける最大RSSIの平均値を基準値Rmとしてもよいし、いずれか1つの代表タグにおける最大RSSIを基準値Rmとしてもよい。なお、本実施形態では、上記グループ範囲は、例えば、基準値Rm±5[dB]に設定される。
上述のようにグループ範囲が設定されると、代表タグ及び移動タグのうち最大RSSIが上述のように設定されたグループ範囲内となる無線タグ30のタグ情報が、同じ移動グループに含まれるようにグループ化される(S107)。すなわち、読み取られた複数の無線タグ30のうち、位相変化量積算値φsumが第1閾値φsa以上であり最大RSSIが上述のように設定されたグループ範囲内となる無線タグ30のタグ情報が、同じ移動グループに含まれるようにグループ化される。
例えば、図7に例示するように、位相変化量積算値φsum及び最大RSSIが算出された複数の無線タグ30(図7の例では16個の無線タグ30)についてグループ処理を行う場合には、位相変化量積算値φsumが第1閾値φsa以上であり、枠線Ea内の代表タグの最大RSSIの平均値となる基準値Rmを中心とするグループ範囲ΔR内となる枠線Eb内の無線タグ30のタグ情報が、同じ移動グループに含まれるようにグループ化される。このようにグループ化されたタグ情報等は、管理装置20に出力される(S109)。なお、読み取った複数の無線タグ30のうちグループ化されなかった無線タグ30のタグ情報は、管理装置20に出力されない。また、代表タグに種類分けされる無線タグ30がない場合には(S103でNo)、移動タグに種類分けされる無線タグ30があったとしても、読み取った複数の無線タグ30のタグ情報等は、管理装置20に出力されない。
管理装置20では、タグリーダ10からグループ化されたタグ情報等を受信すると、グループ化されたタグ情報を管理するため、記憶部23に構築される所定のデータベースが更新される。なお、管理装置20は、「管理部」の一例に相当し得る。
例えば、無線タグ30a(タグ情報:200001),30b(タグ情報:200002)が付された2つの物品Paと、無線タグ30c(タグ情報:300001),30d(タグ情報:300002)が付された2つの物品Pbと、無線タグ30e(タグ情報:400001),30f(タグ情報:400002)が付された2つの物品Pcとがグループで入庫される場合には、図8(A)に示すようにデータベースが更新される。その際、各タグ情報には、例えば、第1状態付随情報として、入庫日時が付与されるとともに、第2状態付随情報として、グループに含まれる他の物品名やタグ情報などのグループ化に関連する情報等が付与される。その後、図1に示すように、無線タグ30a,30bが付された2つの物品Paと、無線タグ30c,30dが付された2つの物品Pbとがグループで出庫される場合には、搬送されていない無線タグ30e,30fが無線タグ30a~30dとともに読み取られたとしても、無線タグ30a~30dのタグ情報がグループ化されて、図8(B)に示すようにデータベースが更新される。その際、出庫された各タグ情報には、例えば、第1状態付随情報として、出庫日時が付与されるとともに、第2状態付随情報として、グループに含まれる他の物品名やタグ情報などのグループ化に関連する情報等が付与される。
このような出庫作業を検知した場合、管理装置20は、グループ化されたタグ情報を管理する制御部21での処理として、例えば、図1に例示するように、2つの物品Pa及び2つの物品Pbの計4つの物品が出庫物品として出庫されたことを表示部22に画面表示してもよい。
なお、上述したグループ化処理は、タグリーダ10の制御部11にてなされることに限らず、タグリーダ10から各無線タグ30の位相φ及びRSSI等を取得した管理装置20の制御部21にてなされてもよい。この場合、管理装置20の制御部21は、「算出部」及び「グループ化処理部」の一例に相当し得る。
以上説明したように、本実施形態に係る無線タグ管理システム1では、無線タグ30ごとに、測定された位相φ及びRSSI(受信信号強度)が測定時刻tとともに記憶部12に順次記憶され、記憶部12に記憶される各位相φについて前回の位相との差が位相変化量Δφとして算出されて、当該位相変化量Δφを積算して位相変化量積算値φsumが算出される。そして、複数の無線タグ30のうち、算出された位相変化量積算値φsumが移動とみなされる第1閾値φsa以上であり記憶部12に記憶される最大RSSIが所定のグループ範囲内となる無線タグ30が同じ移動グループに含まれるように、グループ化処理が行われる。
これにより、読み取った複数の無線タグ30のうち、位相変化量積算値φsumが第1閾値φsa未満となるために停止しているとみなされる無線タグ30を、グループ化対象外とすることができる。また、位相変化量積算値φsumが第1閾値φsa以上であっても、同じグループで移動していないために最大RSSIが上記グループ範囲外となる無線タグ30を、グループ化対象外とすることができる。したがって、グループで移動している管理対象に付された無線タグ30のタグ情報を正確にグループ化して管理することができる。
特に、制御部11にてなされるグループ化処理では、複数の無線タグ30のうち、算出された位相変化量積算値φsumが第1閾値φsaよりも大きな第2閾値φsb以上となる無線タグ30の少なくとも1つを代表タグとして種類分けし、当該代表タグの最大RSSIを基準に上記グループ範囲を設定する。
読み取りやすい無線タグ30ほど位相変化量積算値φsumが大きくなるので、位相変化量積算値φsumが上記第2閾値φsb以上となる無線タグ30は、位相変化量積算値φsumが第2閾値φsb未満となる無線タグ30よりも読み取りに関して信頼性が高くなる。このため、位相変化量積算値φsumが第2閾値φsb以上となる代表タグ、すなわち、信頼性が高い無線タグ30の最大RSSIを基準に上記グループ範囲を設定することで、その移動グループの移動状況に適した設定を行うことができ、より正確なグループ化を実現することができる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る無線タグ管理システムについて、図面を参照して説明する。
本第2実施形態では、代表タグのばらつきに応じてグループ範囲を複数設定する点が、上記第1実施形態と主に異なる。したがって、第1実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
例えば、図9に示すように、出庫作業者がタグリーダ10のアンテナ14近くを通過することで出庫物品に付された各無線タグ30が読み取られた際に、入庫作業者がタグリーダ10のアンテナ14から離れた場所を通過して入庫物品(図9の物品Pd参照)に付された各無線タグ30(図9の無線タグ30g,30h参照)が読み取られる場合がある。このような場合、単に、代表タグの最大RSSIの平均値に応じてグループ範囲を設定していると、出庫物品に付された無線タグ30のタグ情報と入庫物品に付された無線タグ30のタグ情報とが、誤って同じグループとなるようにグループ化されてしまう可能性がある。また、例えば、出庫物品のグループにグループ化すべき無線タグ30のタグ情報が入庫物品のグループに誤ってグループ化される可能性や、入庫物品のグループにグループ化すべき無線タグ30のタグ情報が出庫物品のグループに誤ってグループ化される可能性がある。
そこで、本実施形態では、制御部11にて行われるグループ化処理でのタグ種類分け処理において複数の代表タグが種類分けされた際に、グループ範囲設定処理(S105)において、複数の代表タグのうちの1つとなる第1の代表タグの最大RSSIと他の1つとなる第2の代表タグの最大RSSIとの差の絶対値が所定値以上となる場合に、第1の代表タグの最大RSSIが範囲内となる第1のグループ範囲と第2の代表タグの最大RSSIが範囲内となる第2のグループ範囲とをそれぞれ設定する。例えば、k番目に大きな最大RSSI(第1の代表タグの最大RSSI)とk+1番目に大きな最大RSSI(第2の代表タグの最大RSSI)との差が上記所定値以上となると、k番目までとk+1番目からとでグループ範囲を分けるように設定する。なお、上記所定値は、周囲の無線通信状況等、例えば、RSSIのバンドギャップ幅等に応じて設定することができる。
具体的には、例えば、図10に例示するように、位相変化量積算値φsum及び最大RSSIが算出された複数の無線タグ30(図10の例では21個)についてグループ処理を行う場合に、各代表タグにおいて3番目に大きな最大RSSIと4番目に大きな最大RSSIとの差ΔRoが上記所定値以上となると、3番目までと4番目からとでグループ範囲を分けるように設定する。この場合には、上記ステップS107に示す処理では、枠線Ea1内となる1番目に大きな最大RSSIから3番目に大きな最大RSSIまでの平均値となる基準値Rm1を中心とする第1のグループ範囲ΔR1内となる枠線Eb1内の無線タグ30のタグ情報が、同じ移動グループに含まれるようにグループ化される。また、枠線Ea2内となる4番目に大きな最大RSSIから6番目に大きな最大RSSIまでの平均値となる基準値Rm2を中心とする第2のグループ範囲ΔR2内となる枠線Eb2内の無線タグ30のタグ情報が、同じ移動グループに含まれるようにグループ化される。そして、このようにグループ化されたタグ情報等は、管理装置20に出力される(S109)。
以上説明したように、本実施形態に係る無線タグ管理システム1では、複数の無線タグ30から第1の代表タグ及び第2の代表タグを含めた2以上の代表タグが種類分けされた際に、第1の代表タグの最大RSSIと第2の代表タグの最大RSSIとの差ΔRoが上記所定値以上となる場合に、第1の代表タグの最大RSSIが範囲内となる第1のグループ範囲ΔR1と、第2の代表タグの最大RSSIが範囲内となる第2のグループ範囲ΔR2とをそれぞれ設定して、グループ範囲ごとにグループ化処理を行う。
これにより、移動グループごとにグループ化処理を行うことができるので、入庫作業や出荷作業などの複数の搬送作業が一斉に行われる場合であっても、搬送作業ごとに無線タグ30のタグ情報をグループ化して管理することができる。なお、例えば、最大RSSIの大きさ順で前後の差が上記所定値以上となる箇所が2箇所ある場合には、グループ範囲を3つに分けるように設定してもよいし、n箇所ある場合には、グループ範囲をn+1に分けるように設定してもよい。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態に係る無線タグ管理システムについて、図面を参照して説明する。
本第3実施形態では、移動基準タグを基準にグループ範囲を設定する点が、上記第1実施形態と主に異なる。したがって、第1実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態では、図11に示すように、物品を搬送台車に載置して搬送する作業者等に移動基準タグ40が付されている。この移動基準タグ40は、無線タグ30と同じ構成であって、作業者を特定する情報や作業内容(例えば、出庫先や出庫個数)を特定する情報、搬送予定の物品に関する情報等が記憶されており、タグリーダ10により読み取りやすい位置、例えば、作業者の肩や胸元等に付されている。
そして、制御部11にて行われるグループ化処理では、代表タグに代えて、移動基準タグ40の最大RSSIを基準に1又は2以上の無線タグ30が含まれるグループ範囲が設定される。移動基準タグ40は、上述のように読み取りやすい位置に付されていることから、信頼性が高くグループ化の基準となり得るものであるため、上記第1実施形態の様に第2閾値φsbを考慮してまで代表タグを設定する必要が無いからである。
以下、本実施形態において、複数の無線タグ30のタグ情報が読み取られるとともに各無線タグ30の位相φ及びRSSIが順次測定されて記憶部12に記憶された後に、制御部11にて行われるグループ化処理について、図12に示すフローチャートを参照して詳述する。
各無線タグ30の位相φ及びRSSIが記憶部12に記憶されることで、制御部11にてグループ化処理が開始されると、図12のステップS301に示す判定処理にて、複数の無線タグ30とともに移動基準タグ40が読み取られているか否かについて判定される。ここで、移動基準タグ40が読み取られていると(S301でYes)、ステップS303のタグ種類分け処理がなされる。この処理では、読み取った複数の無線タグ30のうち、位相変化量積算値φsumが第1閾値φsa以上となる無線タグ30が移動タグに種類分けされ、位相変化量積算値φsumが第1閾値φsa未満となる無線タグ30が停止タグに種類分けされる。
そして、1つでも移動タグに種類分けされる無線タグ30があると(S305でYes)、ステップS307に示すグループ範囲設定処理がなされる。この処理では、移動基準タグ40の最大RSSIを中心とする所定の範囲がグループ範囲として設定される。そして、移動タグのうち最大RSSIが上述のように設定されたグループ範囲内となる無線タグ30のタグ情報が、移動基準タグ40とともに同じ移動グループに含まれるようにグループ化される(S309)。
このようにグループ化されたタグ情報等は、管理装置20に出力される(S311)。なお、読み取った複数の無線タグ30のうちグループ化されなかった無線タグ30のタグ情報は、管理装置20に出力されない。また、移動基準タグ40が読み取られていない場合には(S301でNo)、移動タグに種類分けされる無線タグ30があったとしても、読み取った複数の無線タグ30のタグ情報等は、管理装置20に出力されない。なお、移動基準タグ40が読み取られていない場合には(S301でNo)、上記第1実施形態にて述べた、代表タグを利用したグループ化処理を行ってもよい。また、移動基準タグ40が読み取られていても、移動タグに種類分けされる無線タグ30がない場合には(S305でNo)、移動基準タグ40を付した作業者が通過しているだけとして、本グループ化処理を終了する。
管理装置20では、タグリーダ10からグループ化されたタグ情報等を受信すると、グループ化されたタグ情報を管理するため、記憶部23に構築される所定のデータベースが更新される。
例えば、無線タグ30a(タグ情報:200001),30b(タグ情報:200002)が付された2つの物品Paと、無線タグ30c(タグ情報:300001),30d(タグ情報:300002)が付された2つの物品Pbと、無線タグ30e(タグ情報:400001),30f(タグ情報:400002)が付された2つの物品Pcとが、作業者名や入庫作業内容等を特定する入庫コード(図13(A)の例では10001)が記憶された移動基準タグ40とともにグループで入庫される場合には、図13(A)に示すようにデータベースが更新される。その際、各タグ情報には、例えば、第1状態付随情報として、入庫日時が付与されるとともに、第2状態付随情報として、入庫コードを含めたグループ化に関連する情報等が付与される。その後、図11に示すように、無線タグ30a,30bが付された2つの物品Paと、無線タグ30c,30dが付された2つの物品Pbとが、作業者名や出庫作業内容等を特定する出庫コード(図13(B)の例では20001)が記憶された移動基準タグ40とともにグループで出庫される場合には、搬送されていない無線タグ30e,30fが無線タグ30a~30dとともに読み取られたとしても、無線タグ30a~30dのタグ情報がグループ化されて、図13(B)に示すようにデータベースが更新される。その際、出庫された各タグ情報には、例えば、第1状態付随情報として、出庫日時が付与されるとともに、第2状態付随情報として、出庫コードを含めたグループ化に関連する情報等が付与される。
このような出庫作業を検知した場合、管理装置20は、グループ化されたタグ情報を管理する制御部21での処理として、例えば、2つの物品Pa及び2つの物品Pbの計4つの物品が出庫物品として出庫されたことを表示部22に画面表示してもよい。その際、例えば、移動基準タグ40に出庫予定数が記録されている場合には、図11に例示するように、出庫個数と出庫予定数とをあわせて画面表示してもよい。
なお、上述したグループ化処理は、タグリーダ10の制御部11にてなされることに限らず、タグリーダ10から各無線タグ30の位相φ及びRSSI等を取得した管理装置20の制御部21にてなされてもよい。
以上説明したように、本実施形態に係る無線タグ管理システム1では、制御部11にてなされるグループ化処理において、管理対象の無線タグ30を付した物品とともに移動する作業者に付される移動基準タグ40の最大RSSIを基準に、上記グループ範囲が設定される。
移動基準タグ40は、グループ化すべき無線タグ30と同じ移動状況で移動しているため、移動基準タグ40の最大RSSIを基準に上記グループ範囲を設定することで、その移動グループの移動状況に適した設定を行うことができ、より正確なグループ化を実現することができる。また、上記第1実施形態のように代表タグを設定する必要もなく、第2閾値φsb以上となる無線タグ30がなくても、移動基準タグ40を読み取ることができれば、移動タグに種類分けされた無線タグ30をグループ化することができる。
なお、移動基準タグ40は、作業者の読み取りやすい位置に付されることに限らず、例えば、管理対象の無線タグ30を搬送する搬送台車など、管理対象の無線タグ30を付した物品とともに移動する移動体のうちタグリーダ10により読み取りやすい位置に付されてもよい。
また、移動基準タグ40には、上述したグループ化処理の際に、グループ化された情報に関する情報がタグリーダ10を利用して書き込まれてもよい。また、移動基準タグ40には、移動グループ単位での搬送履歴を特定するための情報や搬送手段を特定するための情報、読み取ったタグリーダ10に対して所定の指示(例えば、所定の条件での通過履歴の削除や自動値引き等の数値変更指示)を与えるためのコマンド等が含まれてもよい。
[第4実施形態]
次に、第4実施形態に係る無線タグ管理システムについて、図面を参照して説明する。
本第4実施形態では、複数の移動基準タグを読み取った場合に、移動基準タグごとにグループ範囲を設定する点が、上記第3実施形態と主に異なる。したがって、第3実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
例えば、図14に示すように、移動基準タグ40aを付した出庫作業者がタグリーダ10のアンテナ14近くを通過することで出庫物品(図14の物品Pa,Pb参照)に付された各無線タグ30(図14の無線タグ30a~30d参照)が読み取られた際に、別の移動基準タグ40bを付した入庫作業者がタグリーダ10のアンテナ14から離れた場所を通過して入庫物品(図14の物品Pd参照)に付された各無線タグ30(図14の無線タグ30g,30h参照)が読み取られる場合がある。
このような場合、出庫物品に付された各無線タグ30の最大RSSIは、出庫作業者に付された移動基準タグ40aの最大RSSIを基準に設定されたグループ範囲内となり、入庫物品に付された各無線タグ30の最大RSSIは、入庫作業者に付された移動基準タグ40bの最大RSSIを基準に設定されたグループ範囲内となる。
このため、例えば、図15に例示するように、位相変化量積算値φsum及び最大RSSIが算出された複数の無線タグ30(図15の例では21個)についてグループ処理を行う場合に、上記ステップS307に示すグループ範囲設定処理では、移動基準タグ40aの最大RSSI(図15の符号Rm1参照)を中心とする第1のグループ範囲ΔR1が設定されるとともに、移動基準タグ40bの最大RSSI(図15の符号Rm2参照)を中心とする第2のグループ範囲ΔR2が設定される。そして、上記ステップS309に示す処理では、第1のグループ範囲ΔR1内となる枠線Eb1内の無線タグ30のタグ情報が、同じ移動グループに含まれるようにグループ化されるとともに、第2のグループ範囲ΔR2内となる枠線Eb2内の無線タグ30のタグ情報が、同じ移動グループに含まれるようにグループ化される。そして、このようにグループ化されたタグ情報等は、管理装置20に出力される(S311)。
管理装置20では、タグリーダ10からグループ化されたタグ情報等を受信すると、グループ化されたタグ情報を管理するため、記憶部23に構築される所定のデータベースが更新される。
例えば、図13(A)に示すようにデータベースが更新された後に、図14に示すように、無線タグ30a,30bが付された2つの物品Paと、無線タグ30c,30dが付された2つの物品Pbとが、所定の出庫コード(図16の例では20001)が記憶された移動基準タグ40aとともにグループで出庫され、無線タグ30g(タグ情報:500001),30h(タグ情報:500002)が付された2つの物品Pdが、所定の入庫コード(図16の例では10002)が記憶された移動基準タグ40bとともにグループで入庫される場合を想定する。このような場合には、無線タグ30a~30dの各タグ情報と無線タグ30g,30hの各タグ情報とがそれぞれグループ化されて、図16に示すようにデータベースが更新される。その際、出庫された無線タグ30a~30dの各タグ情報には、例えば、第1状態付随情報として、出庫日時が付与されるとともに、第2状態付随情報として、出庫コードを含めたグループ化に関連する情報等が付与される。また、入庫された無線タグ30g,30hの各タグ情報には、例えば、第1状態付随情報として、入庫日時が付与されるとともに、第2状態付随情報として、入庫コードを含めたグループ化に関連する情報等が付与される。
以上説明したように、本実施形態に係る無線タグ管理システム1では、制御部11にてなされるグループ化処理において、2以上の移動基準タグ40が読み取られた複数の無線タグ30に含まれていると、移動基準タグ40ごとに上記グループ範囲をそれぞれ設定して、グループ範囲ごとにグループ化を行う。
このように、移動基準タグ40ごとにグループ化処理を行うことができるので、入庫作業や出荷作業などの複数の搬送作業が一斉に行われる場合であっても、搬送作業ごとに無線タグ30のタグ情報をグループ化して管理することができる。
[第5実施形態]
次に、第5実施形態に係る無線タグ管理システムについて、図面を参照して説明する。
本第5実施形態では、移動基準タグを基準にグループ化されたタグ情報に対してグループ化に関する補正を行う点が、上記第4実施形態と主に異なる。したがって、第4実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
例えば、図17(A)~(C)に示すように、移動基準タグ40aを付した出庫作業者と移動基準タグ40bを付した別の出庫作業者とがそれぞれ出庫作業を行う際に、両出庫作業者がタグリーダ10のアンテナ14近くで接近したために、移動基準タグ40aの最大RSSIと移動基準タグ40bの最大RSSIとが近くなる場合がある。
このような場合、例えば、移動基準タグ40aとともに移動している無線タグ30aの位相変化量積算値φsum及び最大RSSIと移動基準タグ40bとともに移動している無線タグ30bの位相変化量積算値φsum及び最大RSSIとが図18に例示するように算出されると、無線タグ30aのタグ情報が誤って移動基準タグ40bのグループにグループ化されてしまう可能性がある(枠線Eb2参照)。すなわち、各移動基準タグ40の最大RSSIが互いに近くなるために、読み取ったタグ情報を、どの移動基準タグ40を基準にグループ化すべきか判断できなくなる場合がある。
そこで、本実施形態では、制御部11にてなされるグループ化処理において、2以上の移動基準タグ40を基準にグループ化されたタグ情報に対して、必要に応じてグループ化に関する補正を行うグループ化補正処理を追加する。なお、グループ化補正処理を行う制御部11は、「グループ化補正部」の一例に相当し得る。
具体的には、グループ化補正処理では、記憶部12に記憶される位相φ及びRSSIについて複数の測定時間帯に区分して、区分した測定時間帯ごとに、各移動基準タグ40を基準とする仮グループを複数設定して、タグ情報を、位相変化量積算値φsum及び最大RSSIが最も近くなる移動基準タグ40を基準とする仮グループに含めるように仮グループ化処理を行う。そして、当該仮グループ化処理の結果に基づいて、上記第4実施形態のように各移動基準タグ40を基準にグループ化されたタグ情報に対してグループ化に関する補正を行う。
例えば、図17の事例において、移動基準タグ40a,40bとともに読み取られた無線タグ30a,30bが移動タグに種類分けされた際に、図19に示すような位相変化量Δφの時間変化が測定されるとともに、図20に示すようなRSSIの時間変化が測定される場合を想定する。このような場合、まず、第1時間帯T1(0s~1.3s)、第2時間帯T2(1.3s~2.7s)、第3時間帯T3(2.7s~4.0s)の3つの測定時間帯に区分して、区分した測定時間帯ごとに、各無線タグ30及び各移動基準タグ40の位相変化量積算値φsum及び最大RSSIをそれぞれ算出する。そして、タグ情報を、位相変化量積算値φsum及び最大RSSIが最も近くなる移動基準タグ40を基準とする仮グループに含めるように仮グループ化処理を行う。
そして、第1時間帯T1において、図21(A)に示すように、移動基準タグ40a,40b及び無線タグ30a,30bの位相変化量積算値φsum及び最大RSSIが算出される場合には、無線タグ30aのタグ情報は、移動基準タグ40aを基準とする第1仮グループに含められ、無線タグ30bのタグ情報は、移動基準タグ40bを基準とする第2仮グループに含められる。また、第2時間帯T2において、図21(B)に示すように、移動基準タグ40a,40b及び無線タグ30a,30bの位相変化量積算値φsum及び最大RSSIが算出される場合には、上記第1時間帯T1と同様に、無線タグ30aのタグ情報は、移動基準タグ40aを基準とする第1仮グループに含められ、無線タグ30bのタグ情報は、移動基準タグ40bを基準とする第2仮グループに含められる。また、第3時間帯T3において、図21(C)に示すように、移動基準タグ40a,40b及び無線タグ30a,30bの位相変化量積算値φsum及び最大RSSIが算出される場合には、上記第1時間帯T1と同様に、無線タグ30aのタグ情報は、移動基準タグ40aを基準とする第1仮グループに含められ、無線タグ30bのタグ情報は、移動基準タグ40bを基準とする第2仮グループに含められる。
このように、仮グループ化処理では、全ての時間帯において、無線タグ30aのタグ情報が移動基準タグ40aを基準とする第1仮グループに含められ、無線タグ30bのタグ情報が移動基準タグ40bを基準とする第2仮グループに含められる結果が得られる。この仮グループ化処理の結果に基づいて、無線タグ30aのタグ情報が移動基準タグ40aを基準とするグループに含まれていない場合には、このグループに無線タグ30aのタグ情報を含めるように補正を行い、無線タグ30bのタグ情報が移動基準タグ40bを基準とするグループに含まれていない場合には、このグループに無線タグ30bのタグ情報を含めるように補正を行う。このような補正により、図22に示すように、最終的に、無線タグ30aのタグ情報が移動基準タグ40aを基準とするグループに含まれ、無線タグ30bのタグ情報が移動基準タグ40bを基準とするグループに含まれるようにグループ化がなされる。
また、他の例として、移動基準タグ40a,40bとともに読み取られた無線タグ30a,30bが移動タグに種類分けされた際に、図23に示すような位相変化量Δφの時間変化が測定されるとともに、図24に示すようなRSSIの時間変化が測定される場合を想定する。このような場合、第1時間帯T1(0s~1.3s)、第2時間帯T2(1.3s~2.7s)、第3時間帯T3(2.7s~4.0s)の3つの測定時間帯に区分して、区分した測定時間帯ごとに、各無線タグ30及び各移動基準タグ40の位相変化量積算値φsum及び最大RSSIをそれぞれ算出する。そして、タグ情報を、位相変化量積算値φsum及び最大RSSIが最も近くなる移動基準タグ40を基準とする仮グループに含めるように仮グループ化処理を行う。
そして、第1時間帯T1において、図25(A)に示すように、移動基準タグ40a,40b及び無線タグ30a,30bの位相変化量積算値φsum及び最大RSSIが算出される場合には、無線タグ30aのタグ情報は、移動基準タグ40aを基準とする第1仮グループに含められ、無線タグ30bのタグ情報は、移動基準タグ40bを基準とする第2仮グループに含められる。また、第2時間帯T2において、図25(B)に示すように、移動基準タグ40a,40b及び無線タグ30a,30bの位相変化量積算値φsum及び最大RSSIが算出される場合には、上記第1時間帯T1と異なり、無線タグ30aのタグ情報は、移動基準タグ40bを基準とする第2仮グループに含められ、無線タグ30bのタグ情報は、移動基準タグ40bを基準とする第2仮グループに含められる。また、第3時間帯T3において、図25(C)に示すように、移動基準タグ40a,40b及び無線タグ30a,30bの位相変化量積算値φsum及び最大RSSIが算出される場合には、上記第1時間帯T1と同様に、無線タグ30aのタグ情報は、移動基準タグ40aを基準とする第1仮グループに含められ、無線タグ30bのタグ情報は、移動基準タグ40bを基準とする第2仮グループに含められる。
上述のように、タグ情報が含まれる仮グループが各時間帯で異なる場合には、含まれる回数が多い仮グループの移動基準タグ40を基準に補正を行う。具体的には、無線タグ30aのタグ情報は、移動基準タグ40aを基準とする第1仮グループに含められる回数が、移動基準タグ40bを基準とする第2仮グループに含められる回数よりも多くなるため、無線タグ30aのタグ情報が移動基準タグ40aを基準とするグループに含まれていない場合には、このグループに無線タグ30aのタグ情報を含めるように補正を行う。その一方で、無線タグ30bのタグ情報は、全ての時間帯において、移動基準タグ40bを基準とする第2仮グループに含められるので、無線タグ30bのタグ情報が移動基準タグ40bを基準とするグループに含まれていない場合には、このグループに無線タグ30bのタグ情報を含めるように補正を行う。このような補正により、図26に示すように、最終的に、無線タグ30aのタグ情報が移動基準タグ40aを基準とするグループに含まれ、無線タグ30bのタグ情報が移動基準タグ40bを基準とするグループに含まれるようにグループ化がなされる。
以上説明したように、本実施形態に係る無線タグ管理システム1では、制御部11にてなされるグループ化処理において、2以上の移動基準タグ40を基準にグループ化されたタグ情報に対して、グループ化に関する補正を行うグループ化補正処理が追加される。このグループ化補正処理では、区分した測定時間帯ごとに、移動基準タグ40を基準とする仮グループを複数設定して、タグ情報を、位相変化量積算値φsum及び最大RSSIが最も近くなる移動基準タグ40を基準とする仮グループに含めるように仮グループ化処理を行い、当該仮グループ化処理の結果に基づいて上記補正を行う。
これにより、測定時間帯ごとにどの移動基準タグ40の移動グループにグループ化すべきか考慮できるので、搬送作業の際に予測困難な複雑な移動をしていたとしても、グループ化に関して精度を向上させることができる。
なお、測定時間帯は、3つに区分されることに限らず、4つ以上に区分されてもよく、また、多数決を採用するために奇数個に区分されてもよい。
本実施形態の第1変形例として、制御部11にてなされるグループ化補正処理では、タグ情報を、位相変化量Δφの増減が反転した測定時刻(位相変化量Δφの勾配が0になった測定時刻)が最も近くなる移動基準タグ40と同じ移動グループに含めるように上記補正を行ってもよい。無線タグ30がタグリーダ10のアンテナ14に近づくほど位相変化量Δφが大きくなり無線タグ30がアンテナ14から離れるほど位相変化量Δφが小さくなるため、位相変化量Δφの増減が反転した測定時刻は無線タグ30がアンテナ14に対して最接近した時刻となる。このため、位相変化量Δφの増減が反転した測定時刻、すなわち、無線タグ30がアンテナ14に対して最接近した測定時刻を基準に上記補正を行うことで、グループ化処理時に移動基準タグ40同士の最大RSSIが近くなる場合や複数のグループが連続で通過する場合であっても、グループ化に関して精度を向上させることができる。
具体的には、例えば、図27に示すように、移動基準タグ40aを付した出庫作業者により搬送される無線タグ30aのゲート通過タイミングと移動基準タグ40bを付した出庫作業者により搬送される無線タグ30bのゲート通過タイミングとが異なる場合を想定する。このような場合、図28に示すように、移動基準タグ40aの位相変化量Δφの増減が反転した測定時刻t1と無線タグ30aの位相変化量Δφの増減が反転した測定時刻t2とが近くなり、移動基準タグ40bの位相変化量Δφの増減が反転した測定時刻t3と無線タグ30bの位相変化量Δφの増減が反転した測定時刻t4とが近くなる。このため、無線タグ30aのタグ情報がゲート通過タイミングの近い移動基準タグ40aを基準とするグループに含まれていない場合には、このグループに無線タグ30aのタグ情報を含めるように補正を行い、無線タグ30bのタグ情報がゲート通過タイミングの近い移動基準タグ40bを基準とするグループに含まれていない場合には、このグループに無線タグ30bのタグ情報を含めるように補正を行うことができる。
本実施形態の第2変形例として、制御部11にてなされるグループ化補正処理では、タグ情報を、複数の測定時刻において、それぞれ位相変化量Δφから求められる速度vが最も近くなる移動基準タグ40と同じ移動グループに含めるように上記補正を行ってもよい。ここで、速度vは、位相変化量Δφ及び伝播定数βから算出される距離変位と当該位相変化量Δφを算出した際の時間差Δtとに基づいて、以下の式(1)により算出することができる。
v=(Δφ/β)/Δt ・・・(1)
移動基準タグ40とともに移動している無線タグ30の速度vは、その移動基準タグ40の速度vと同じように変化するため、複数の測定時刻において、それぞれ位相変化量Δφから求められる速度vが最も近くなる移動基準タグ40と同じ移動グループに含めるように上記補正を行うことで、グループ化に関して精度を向上させることができる。
具体的には、例えば、図27に示すように、移動基準タグ40aを付した出庫作業者により搬送される無線タグ30aの速度と移動基準タグ40bを付した出庫作業者により搬送される無線タグ30bの速度とが異なる場合を想定する。このような場合、測定時刻ごとに上記式(1)に基づいて算出された速度vを比較すると、図29に示すように、各測定時刻にて移動基準タグ40aの速度vと無線タグ30aの速度vとが近くなり、各測定時刻にて移動基準タグ40aの速度vと無線タグ30aの速度vとが近くなる。より具体的には、例えば、速度vを5つの速度域(速度v1~速度v5)に区分して4つの測定時刻(t1~t4)にて比較した場合、図30に示すように、移動基準タグ40a及び無線タグ30aは、各測定時刻において速度域が同じ区分となり、移動基準タグ40b及び無線タグ30bは、各測定時刻において速度域が同じ区分となる。
このため、無線タグ30aのタグ情報が速度vの近い移動基準タグ40aを基準とするグループに含まれていない場合には、このグループに無線タグ30aのタグ情報を含めるように補正を行い、無線タグ30bのタグ情報が速度vの近い移動基準タグ40bを基準とするグループに含まれていない場合には、このグループに無線タグ30bのタグ情報を含めるように補正を行うことができる。
なお、本実施形態及び変形例におけるグループ化補正処理は、複数の移動基準タグ40が読み取られる場合に行われてもよいし、図18に例示するように各移動基準タグ40の最大RSSIの差が所定値以下となるために誤ったグループ化が行われる可能性がある場合に限って行われてもよい。また、本実施形態及び変形例におけるグループ化補正処理は、上記第2実施形態のように、代表タグのばらつきに応じてグループ範囲が複数設定される場合に、各グループ範囲につき1つの代表タグを移動基準タグ40のように基準として行われてもよい。
なお、本発明は上記実施形態及びその変形例等に限定されるものではなく、例えば、以下のように具体化してもよい。
(1)無線タグ30が付される物品Pは、作業台車等を利用して搬送されることに限らず、他の移動体、例えば、図31に例示する物品Peのように自動搬送装置(Auto Guided Viecle)を利用して搬送されてもよいし、図31に例示する物品Pf,Pgのようにいわゆるドローンと称される無人飛行装置を利用して搬送されてもよい。また、上記他の移動体には、図31に例示する自動搬送装置や無人飛行装置のように移動基準タグ40が付されてもよい。
(2)本発明は、倉庫等にてグループで搬送される複数の物品にそれぞれ付される無線タグ30のタグ情報をグループ化して管理するシステムに採用されることに限らず、例えば、店舗等にて顧客に対してグループで提供される商品(例えば、うどん及びサラダのランチセットや衣服のセット)等にそれぞれ付される無線タグ30のタグ情報をグループ化して管理するシステムに採用されてもよい。
(3)本発明は、機密情報等を管理するシステムに採用されてもよい。具体的には、例えば、機密文書がまとめられた1又は2以上のファイルにそれぞれ無線タグ30が付され、そのファイルを持ち出す持出者にその持出者を特定する情報等が記憶された移動基準タグ40が付されることで、その持出者が上記ファイルを持ち出す際にタグリーダ10で読み取られた無線タグ30のタグ情報と移動基準タグ40の情報とをグループ化して管理する。これにより、どの持出者がいつどのファイルを持ち出したかを容易に管理することができる。また、持込者を特定する情報等が記憶された移動基準タグ40を付した持込者が無線タグ30を付した1又は2以上の物品を所定の管理エリア内に持ち込む際に、タグリーダ10で読み取られた無線タグ30のタグ情報と移動基準タグ40の情報とをグループ化して管理することもできる。この場合、その持込者が上記管理エリアから退出する際に、持込時と同じ物品を持ち出しているか否かまで管理することができ、持込時と同じ物品を持ち出していない場合には、その旨を管理者等に対して報知することができる。