以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、実施形態に係る静電チャックを模式的に表す斜視図である。
図2(a)及び図2(b)は、実施形態に係る静電チャックの一部を模式的に表す断面図である。
図1では、説明の便宜上、静電チャックの一部において断面図を表している。
図2(a)は、図1に示したA1-A1線による断面図である。
図2(b)は、図2(a)に示した領域B1の拡大図である。なお、図2(b)では、処理対象物Wを省略している。
図1、図2(a)、及び図2(b)に表したように、実施形態に係る静電チャック10は、セラミック誘電体基板100と、ヒータ部200と、べースプレート300と、を備える。
セラミック誘電体基板100は、例えば多結晶セラミック焼結体による平板状の基材であり、半導体ウェーハ等の処理対象物Wを載置する第1主面101と、第1主面101とは反対側の第2主面102と、を有する。
本願明細書では、第1主面101に対して垂直な方向をZ方向とする。Z方向は、換言すれば、第1主面101と第2主面102とを結ぶ方向である。Z方向は、換言すれば、ベースプレート300からセラミック誘電体基板100に向かう方向である。また、Z方向と直交する方向の1つをX方向、Z方向及びX方向に直交する方向をY方向とする。本願明細書において、「面内」とは、例えばX-Y平面内である。また、本願明細書において、「平面視」とは、Z方向に沿って見た状態を示す。
セラミック誘電体基板100に含まれる結晶の材料としては、例えばAl2O3、Y2O3及びYAGなどが挙げられる。このような材料を用いることで、セラミック誘電体基板100における赤外線透過性、絶縁耐性及びプラズマ耐久性を高めることができる。
セラミック誘電体基板100の内部には、電極層111が設けられている。電極層111は、第1主面101と、第2主面102と、の間に介設されている。すなわち、電極層111は、セラミック誘電体基板100の中に挿入されるように形成されている。電極層111は、セラミック誘電体基板100に一体焼結されている。
なお、電極層111は、第1主面101と、第2主面102と、の間に介設されていることに限定されず、第2主面102に付設されていてもよい。
静電チャック10は、電極層111に吸着保持用電圧を印加することによって、電極層111の第1主面101側に電荷を発生させ、静電力によって処理対象物Wを吸着保持する。
電極層111は、第1主面101及び第2主面102に沿って設けられている。電極層111は、処理対象物Wを吸着保持するための吸着電極である。電極層111は、単極型でも双極型でもよい。また、電極層111は、三極型やその他の多極型であってもよい。電極層111の数や電極層111の配置は、適宜選択される。
ベースプレート300は、セラミック誘電体基板100の第2主面102側に設けられ、セラミック誘電体基板100を支持する。ベースプレート300には、連通路301が設けられている。つまり、連通路301は、ベースプレート300の内部に設けられている。ベースプレート300の材料としては、例えばアルミニウムが挙げられる。
ベースプレート300は、セラミック誘電体基板100の温度調整を行う役目を果たす。例えば、セラミック誘電体基板100を冷却する場合には、連通路301へ冷却媒体を流入し、連通路301を通過させ、連通路301から冷却媒体を流出させる。これにより、冷却媒体によってベースプレート300の熱を吸収し、その上に取り付けられたセラミック誘電体基板100を冷却することができる。
また、セラミック誘電体基板100の第1主面101側には、必要に応じて凸部113が設けられている。互いに隣り合う凸部113の間には、溝115が設けられている。溝115は、互いに連通している。静電チャック10に搭載された処理対象物Wの裏面と、溝115と、の間には、空間が形成される。
溝115には、ベースプレート300及びセラミック誘電体基板100を貫通する導入路321が接続されている。処理対象物Wを吸着保持した状態で導入路321からヘリウム(He)等の伝達ガスを導入すると、処理対象物Wと溝115との間に設けられた空間に伝達ガスが流れ、処理対象物Wを伝達ガスによって直接加熱もしくは冷却することができるようになる。
ヒータ部200は、セラミック誘電体基板100を加熱する。ヒータ部200は、セラミック誘電体基板100を加熱することで、セラミック誘電体基板100を介して処理対象物Wを加熱する。この例では、ヒータ部200は、セラミック誘電体基板100と別体であり、セラミック誘電体基板100とベースプレート300との間に設けられている。
ベースプレート300とヒータ部200との間には、接着層403が設けられている。ヒータ部200とセラミック誘電体基板100との間には、接着層403が設けられている。接着層403の材料としては、比較的高い熱伝導性を有するシリコーン等の耐熱性樹脂が挙げられる。接着層403の厚さは、例えば約0.1ミリメートル(mm)以上、1.0mm以下程度である。接着層403の厚さは、ベースプレート300とヒータ部200との間の距離、あるいはヒータ部200とセラミック誘電体基板100との間の距離と同じである。
図3(a)及び図3(b)は、実施形態の変形例に係る静電チャックの一部を模式的に表す断面図である。
図3(b)は、図3(a)に示した領域B2の拡大図である。なお、図3(b)では、処理対象物Wを省略している。
図3(a)及び図3(b)に表したように、この例では、ヒータ部200は、第1主面101と、第2主面102と、の間に設けられている。すなわち、ヒータ部200は、セラミック誘電体基板100の中に挿入されるように形成されてもよい。言い換えれば、ヒータ部200は、セラミック誘電体基板100に内蔵されていてもよい。この場合、接着層403は、省略される。
図4は、実施形態に係るヒータ部を模式的に表す分解斜視図である。
図5は、実施形態に係るヒータ部を模式的に表す分解断面図である。
なお、図4、5では、図2のように、ヒータ部200をセラミック誘電体基板100とベースプレート300との間に設ける場合を例として説明する。この例では、ヒータ部200が支持板(第1支持板210及び第2支持板270)を備えているが、支持板は設けられなくてもよい。図3のように、ヒータ部200をセラミック誘電体基板100の第1主面101と第2主面102との間に設ける場合には、第1支持板210、第2支持板270は省略されてもよい。
図4及び図5に表したように、この例では、ヒータ部200は、第1支持板210と、第1絶縁層220と、第1ヒータエレメント231と、第2絶縁層240と、第2ヒータエレメント232と、第3絶縁層245と、バイパス層250と、第4絶縁層260と、第2支持板270と、給電端子280と、を有する。
第1支持板210は、第1ヒータエレメント231、第2ヒータエレメント232、バイパス層250等の上に設けられる。第2支持板270は、第1ヒータエレメント231、第2ヒータエレメント232、バイパス層250等の下に設けられる。第1支持板210の面211(上面)は、ヒータ部200の上面を形成する。第2支持板270の面271(下面)は、ヒータ部200の下面を形成する。なお、ヒータ部200をセラミック誘電体基板100に内蔵する場合には、第1支持板210及び第2支持板270を省略できる。
第1支持板210及び第2支持板270は、第1ヒータエレメント231及び第2ヒータエレメント232などを支持する支持板である。この例において、第1支持板210及び第2支持板270は、第1絶縁層220と、第1ヒータエレメント231と、第2絶縁層240と、第2ヒータエレメント232と、第3絶縁層245と、バイパス層250と、第4絶縁層260と、を挟み、これらを支持する。
第1絶縁層220は、第1支持板210と、第2支持板270と、の間に設けられている。第1ヒータエレメント231は、第1絶縁層220と、第2支持板270と、の間に設けられている。このように、第1ヒータエレメント231は、第1支持板210と重ねて設けられる。第1絶縁層220は、換言すれば、第1支持板210と第1ヒータエレメント231との間に設けられる。ヒータ部200をセラミック誘電体基板100に内蔵する場合には、セラミック誘電体基板100が第1絶縁層220を兼ねる。
第2絶縁層240は、第1ヒータエレメント231と、第2支持板270と、の間に設けられている。第2ヒータエレメント232は、第2絶縁層240と、第2支持板270と、の間に設けられている。このように、第2ヒータエレメント232は、第1ヒータエレメント231が設けられた層とは、異なる層に設けられる。第2ヒータエレメント232の少なくとも一部は、Z方向において、第1ヒータエレメント231と重なる。第3絶縁層245は、第2ヒータエレメント232と、第2支持板270と、の間に設けられている。バイパス層250は、第3絶縁層245と、第2支持板270と、の間に設けられている。第4絶縁層260は、バイパス層250と、第2支持板270と、の間に設けられている。
第1ヒータエレメント231は、換言すれば、第1絶縁層220と第2絶縁層240との間に設けられる。第2ヒータエレメント232は、換言すれば、第2絶縁層240と第3絶縁層245との間に設けられる。バイパス層250は、換言すれば、第3絶縁層245と第4絶縁層260との間に設けられる。
第1ヒータエレメント231は、例えば、第1絶縁層220及び第2絶縁層240のそれぞれに接触する。第2ヒータエレメント232は、例えば、第2絶縁層240及び第3絶縁層245のそれぞれに接触する。バイパス層250は、例えば、第3絶縁層245及び第4絶縁層260のそれぞれに接触する。
なお、バイパス層250及び第4絶縁層260は、必要に応じて設けられ、省略可能である。バイパス層250及び第4絶縁層260が設けられていない場合には、第3絶縁層245は、第2支持板270に接触する。以下では、ヒータ部200がバイパス層250及び第4絶縁層260を有する場合を例に挙げて説明する。
第1支持板210は、比較的高い熱伝導率を有する。例えば、第1支持板210の熱伝導率は、第1ヒータエレメント231の熱伝導率よりも高く、第2ヒータエレメント232の熱伝導率よりも高い。第1支持板210の材料としては、例えばアルミニウム、銅、及びニッケルの少なくともいずれかを含む金属や、多層構造のグラファイトなどが挙げられる。第1支持板210の厚さ(Z方向の長さ)は、例えば約0.1mm以上、3.0mm以下程度である。より好ましくは、第1支持板210の厚さは、例えば0.3mm以上、1.0mm以下程度である。第1支持板210は、ヒータ部200の面内の温度分布の均一性を向上させる。第1支持板210は、例えば、均熱板として機能する。第1支持板210は、ヒータ部200の反りを抑制する。第1支持板210は、ヒータ部200とセラミック誘電体基板100との間の接着の強度を向上させる。
第2支持板270の材料、厚さ、及び機能は、第1支持板210の材料、厚さ、及び機能とそれぞれ同じである。例えば、第2支持板270の熱伝導率は、第1ヒータエレメント231の熱伝導率よりも高く、第2ヒータエレメント232の熱伝導率よりも高い。なお、実施形態においては、第1支持板210及び第2支持板270の少なくともいずれかを省略してもよい。
第1絶縁層220の材料としては、例えば、樹脂やセラミックなどの絶縁性材料を用いることができる。第1絶縁層220が樹脂の場合の例として、ポリイミドやポリアミドイミドなどが挙げられる。第1絶縁層220がセラミックの場合の例として、Al2O3、Y2O3及びYAGなどが挙げられる。第1絶縁層220の厚さ(Z方向の長さ)は、例えば約0.01mm以上、0.20mm以下程度である。第1絶縁層220は、第1支持板210と第1ヒータエレメント231とを接合させる。第1絶縁層220は、第1支持板210と第1ヒータエレメント231との間を電気的に絶縁する。このように、第1絶縁層220は、電気絶縁の機能と、面接合の機能と、を有する。なお、第1絶縁層220は、少なくとも絶縁機能を有していればよく、例えば、熱伝導機能、拡散防止機能などの他の機能を有していてもよい。
第2絶縁層240の材料及び厚さは、第1絶縁層220の材料及び厚さとそれぞれ同程度である。第3絶縁層245の材料及び厚さは、第1絶縁層220の材料及び厚さとそれぞれ同程度である。第4絶縁層260の材料及び厚さは、第1絶縁層220の材料及び厚さとそれぞれ同程度である。
第2絶縁層240は、第1ヒータエレメント231と第2ヒータエレメント232とを接合させる。第2絶縁層240は、第1ヒータエレメント231と第2ヒータエレメント232との間を電気的に絶縁する。このように、第2絶縁層240は、電気絶縁の機能と、面接合の機能と、を有する。なお、第2絶縁層240は、少なくとも絶縁機能を有していればよく、例えば、熱伝導機能、拡散防止機能などの他の機能を有していてもよい。
第3絶縁層245は、第2ヒータエレメント232とバイパス層250とを接合させる。第3絶縁層245は、第2ヒータエレメント232とバイパス層250との間を電気的に絶縁する。このように、第3絶縁層245は、電気絶縁の機能と、面接合の機能と、を有する。なお、第3絶縁層245は、少なくとも絶縁機能を有していればよく、例えば、熱伝導機能、拡散防止機能などの他の機能を有していてもよい。
第4絶縁層260は、バイパス層250と第2支持板270とを接合させる。第4絶縁層260は、バイパス層250と第2支持板270との間を電気的に絶縁する。このように、第4絶縁層260は、電気絶縁の機能と、面接合の機能と、を有する。なお、第4絶縁層260は、少なくとも絶縁機能を有していればよく、例えば、熱伝導機能、拡散防止機能などの他の機能を有していてもよい。
第1ヒータエレメント231の材料としては、例えばステンレス、チタン、クロム、ニッケル、銅、アルミニウム、インコネル(登録商標)、ニッケル、モリブデン、タングステン、パラジウム、白金、銀、タンタル、モリブデンカーバイド、及びタングステンカーバイドの少なくともいずれかを含む金属などが挙げられる。第1ヒータエレメント231の厚さ(Z方向の長さ)は、例えば約0.01mm以上、0.20mm以下程度である。第2ヒータエレメント232の材料及び厚さは、第1ヒータエレメント231の材料及び厚さとそれぞれ同程度である。第1ヒータエレメント231及び第2ヒータエレメント232は、例えば、それぞれ、バイパス層250と電気的に接続されている。一方で、第1ヒータエレメント231及び第2ヒータエレメント232は、それぞれ、第1支持板210及び第2支持板270とは電気的に絶縁されている。
第1ヒータエレメント231及び第2ヒータエレメント232は、それぞれ、電流が流れると発熱する。第1ヒータエレメント231及び第2ヒータエレメント232は、発熱することで、セラミック誘電体基板100を加熱する。第1ヒータエレメント231及び第2ヒータエレメント232は、例えば、セラミック誘電体基板100を介して処理対象物Wを加熱することで、処理対象物Wの面内の温度分布を均一にする。あるいは、第1ヒータエレメント231及び第2ヒータエレメント232は、例えば、セラミック誘電体基板100を介して処理対象物Wを加熱することで、処理対象物Wの面内の温度に意図的に差をつけることもできる。
バイパス層250は、第1支持板210と略平行に配置され、第2支持板270と略平行に配置されている。バイパス層250は、複数のバイパス部251を有する。この例では、バイパス層250は、8つのバイパス部251を有する。バイパス部251の数は、「8」には限定されない。バイパス層250は、板状を呈する。
バイパス層250は、例えば、導電性を有する。バイパス層250は、例えば、第1ヒータエレメント231及び第2ヒータエレメント232と電気的に接続されている。バイパス層250は、第1ヒータエレメント231及び第2ヒータエレメント232の給電経路である。一方で、バイパス層250は、例えば、第1支持板210及び第2支持板270とは絶縁層により電気的に絶縁されている。
バイパス層250の厚さ(Z方向の長さ)は、例えば約0.03mm以上、0.30mm以下程度である。バイパス層250の厚さは、第1絶縁層220の厚さよりも厚い。バイパス層250の厚さは、第2絶縁層240の厚さよりも厚い。バイパス層250の厚さは、第3絶縁層245の厚さよりも厚い。バイパス層250の厚さは、第4絶縁層260の厚さよりも厚い。
例えば、バイパス層250の材料は、第1ヒータエレメント231及び第2ヒータエレメント232の材料と同じである。一方で、バイパス層250の厚さは、第1ヒータエレメント231の厚さよりも厚く、第2ヒータエレメント232の厚さよりも厚い。そのため、バイパス層250の電気抵抗は、第1ヒータエレメント231の電気抵抗よりも低く、第2ヒータエレメント232の電気抵抗よりも低い。これにより、バイパス層250の材料が第1ヒータエレメント231及び第2ヒータエレメント232の材料と同じ場合でも、バイパス層250が第1ヒータエレメント231及び第2ヒータエレメント232のように発熱することを抑えることができる。つまり、バイパス層250の電気抵抗を抑え、バイパス層250の発熱量を抑えることができる。
なお、バイパス層250の電気抵抗を抑え、バイパス層250の発熱量を抑える手段は、バイパス層250の厚さではなく、体積抵抗率が比較的低い材料を用いることで実現されてもよい。すなわち、バイパス層250の材料は、第1ヒータエレメント231及び第2ヒータエレメント232の材料と異なってもよい。バイパス層250の材料としては、例えばステンレス、チタン、クロム、ニッケル、銅、及びアルミニウムの少なくともいずれかを含む金属などが挙げられる。
給電端子280は、バイパス層250と電気的に接続されている。ヒータ部200がベースプレート300とセラミック誘電体基板100との間に設けられた状態において、給電端子280は、ヒータ部200からベースプレート300へ向かって設けられている。給電端子280は、静電チャック10の外部から供給された電力をバイパス層250を介して第1ヒータエレメント231及び第2ヒータエレメント232に供給する。給電端子280は、例えば、第1ヒータエレメント231及び第2ヒータエレメント232に直接的に接続されてもよい。これにより、バイパス層250が省略可能となる。
一方、第1ヒータエレメント231及び/または第2ヒータエレメント232が、例えば20以上、または50以上、あるいは100以上の多数のゾーンを有する場合、各ゾーンに対応する給電端子280を配置することが困難となる。バイパス層250を設けることで、ゾーン毎に配置した場合と比較して給電端子280の配置自由度が向上する。
ヒータ部200は、複数の給電端子280を有する。この例では、ヒータ部200は、8つの給電端子280を有する。給電端子280の数は、「8」には限定されない。1つの給電端子280は、1つのバイパス部251と電気的に接続されている。つまり、給電端子280の数は、バイパス部251の数と同じである。孔273は、第2支持板270を貫通している。給電端子280は、孔273を通してバイパス部251と電気的に接続されている。
第1ヒータエレメント231は、第1サブ給電部231aと、第2サブ給電部231bと、サブヒータライン231cと、を有する。サブヒータライン231cは、第1サブ給電部231aと第2サブ給電部231bとに電気的に接続されている。第1サブ給電部231aは、サブヒータライン231cの一端に設けられており、第2サブ給電部231bは、サブヒータライン231cの他端に設けられている。サブヒータライン231cは、電流が流れることにより発熱する。第1サブ給電部231a及び第2サブ給電部231bは、サブヒータライン231cに給電する。第1ヒータエレメント231は、第1サブ給電部231a及び第2サブ給電部231bにおいてバイパス層250と電気的に接続されている。
図5に表した矢印C1及び矢印C2のように、電力が静電チャック10の外部から給電端子280に供給されると、電流は、給電端子280からバイパス層250へ流れる。図5に表した矢印C3及び矢印C4のように、バイパス層250へ流れた電流は、バイパス層250から第1ヒータエレメント231へ流れる。図5に表した矢印C5及び矢印C6のように、第1ヒータエレメント231へ流れた電流は、第1ヒータエレメント231の所定の領域を流れ、第1ヒータエレメント231からバイパス層250へ流れる。より具体的には、バイパス層250へ流れた電流は、第1サブ給電部231aを介してサブヒータライン231cへ流れ、第2サブ給電部231bを介してバイパス層250へ流れる。図5に表した矢印C7及び矢印C8のように、バイパス層250へ流れた電流は、バイパス層250から給電端子280へ流れる。図5に表した矢印C9のように、給電端子280へ流れた電流は、静電チャック10の外部へ流れる。
第2ヒータエレメント232は、第1メイン給電部232aと、第2メイン給電部232bと、メインヒータライン232cと、を有する。メインヒータライン232cは、第1メイン給電部232aと第2メイン給電部232bとに電気的に接続されている。第1メイン給電部232aは、メインヒータライン232cの一端に設けられており、第2メイン給電部232bは、メインヒータライン232cの他端に設けられている。メインヒータライン232cは、電流が流れることにより発熱する。第1メイン給電部232a及び第2メイン給電部232bは、メインヒータライン232cに給電する。第2ヒータエレメント232は、第1メイン給電部232a及び第2メイン給電部232bにおいてバイパス層250と電気的に接続されている。
図5に表した矢印C11及び矢印C12のように、電力が静電チャック10の外部から給電端子280に供給されると、電流は、給電端子280からバイパス層250へ流れる。図5に表した矢印C13及び矢印C14のように、バイパス層250へ流れた電流は、バイパス層250から第2ヒータエレメント232へ流れる。図5に表した矢印C15及び矢印C16のように、第2ヒータエレメント232へ流れた電流は、第2ヒータエレメント232の所定の領域を流れ、第2ヒータエレメント232からバイパス層250へ流れる。より具体的には、バイパス層250へ流れた電流は、第1メイン給電部232aを介してメインヒータライン232cへ流れ、第2メイン給電部232bを介してバイパス層250へ流れる。図5に表した矢印C17及び矢印C18のように、バイパス層250へ流れた電流は、バイパス層250から給電端子280へ流れる。図5に表した矢印C19のように、給電端子280へ流れた電流は、静電チャック10の外部へ流れる。
例えば、第1ヒータエレメント231に流れる電流及び第2ヒータエレメント232に流れる電流は、別々に制御される。この例では、第1ヒータエレメント231(第1サブ給電部231a及び第2サブ給電部231b)に接続されるバイパス部251と、第2ヒータエレメント232(第1メイン給電部232a及び第2メイン給電部232b)に接続されるバイパス部251と、はそれぞれ異なる。第1ヒータエレメント231(第1サブ給電部231a及び第2サブ給電部231b)に接続されるバイパス部251と、第2ヒータエレメント232(第1メイン給電部232a及び第2メイン給電部232b)に接続されるバイパス部251と、は同じであってもよい。
第1ヒータエレメント231は、第2ヒータエレメント232よりも少ない熱量を生成する。すなわち、第1ヒータエレメント231は低出力のサブヒータであり、第2ヒータエレメント232は高出力のメインヒータである。
このように、第1ヒータエレメント231が第2ヒータエレメント232よりも少ない熱量を生成することで、第2ヒータエレメント232のパターンに起因する処理対象物Wの面内の温度ムラを、第1ヒータエレメント231によって抑制することができる。したがって、処理対象物Wの面内の温度分布の均一性を向上させることができる。
第1ヒータエレメント231の体積抵抗率は、例えば、第2ヒータエレメント232の体積抵抗率よりも高い。なお、第1ヒータエレメント231の体積抵抗率は、サブヒータライン231cの体積抵抗率である。つまり、第1ヒータエレメント231の体積抵抗率は、第1サブ給電部231aと、第2サブ給電部231bと、の間の体積抵抗率である。言い換えれば、第1ヒータエレメント231の体積抵抗率は、図5の矢印C5で示す経路における体積抵抗率である。同様に、第2ヒータエレメント232の体積抵抗率は、メインヒータライン232cの体積抵抗率である。つまり、第2ヒータエレメント232の体積抵抗率は、第1メイン給電部232aと、第2メイン給電部232bと、の間の体積抵抗率である。言い換えれば、第2ヒータエレメント232の体積抵抗率は、図5の矢印C15で示す経路における体積抵抗率である。
このように、第1ヒータエレメント231の体積抵抗率を第2ヒータエレメント232の体積抵抗率よりも高くすることで、第1ヒータエレメント231の出力(発熱量、消費電力)を、第2ヒータエレメント232の出力(発熱量、消費電力)よりも低くすることができる。これにより、第2ヒータエレメントのパターンに起因する処理対象物の面内の温度ムラを、第1ヒータエレメントによって抑制することができる。したがって、処理対象物の面内の温度分布の均一性を向上させることができる。
給電端子280の周辺は、温度の特異点(温度が周囲の領域と比較的大きく異なる点)となりやすい。これに対して、バイパス層250が設けられることで、給電端子280の配置の自由度を高くすることができる。例えば、温度の特異点となりやすい給電端子280を分散して配置することができ、特異点の周辺で熱が拡散しやすくなる。これにより、処理対象物Wの面内の温度分布の均一性を向上させることができる。
バイパス層250が設けられることで、熱容量が大きい給電端子280を第1ヒータエレメント231及び第2ヒータエレメント232に直接接続させない構成とすることができる。これにより、処理対象物Wの面内の温度分布の均一性を向上させることができる。また、バイパス層250が設けられることで、比較的薄い第1ヒータエレメント231及び第2ヒータエレメント232に給電端子280を直接接続させなくともよい。これにより、ヒータ部200の信頼性を向上させることができる。
前述したように、給電端子280は、ヒータ部200からベースプレート300へ向かって設けられている。そのため、ベースプレート300の下面303(図2(a)及び図2(b)参照)の側からソケットなどと呼ばれる部材を介して給電端子280に電力を供給することができる。これにより、静電チャック10が設置されるチャンバ内に給電端子280が露出することを抑えつつ、ヒータの配線が実現される。
この例では、第1ヒータエレメント231は、第2ヒータエレメント232よりも上方に位置している。換言すれば、第1ヒータエレメント231は、第2ヒータエレメント232と第1主面101との間に設けられている。第1ヒータエレメント231の位置と、第2ヒータエレメント232の位置と、は逆であってもよい。つまり、第2ヒータエレメント232は、第1ヒータエレメント231よりも上方に位置していてもよい。換言すれば、第2ヒータエレメント232は、第1主面101と第1ヒータエレメント231との間に設けられていてもよい。温度制御の観点から、第1ヒータエレメント231は、第2ヒータエレメント232よりも上方に位置していることが好ましい。
第1ヒータエレメント231が第2ヒータエレメント232よりも上方に位置する場合、第1ヒータエレメント231と処理対象物Wとの間の距離は、第2ヒータエレメント232と処理対象物Wとの間の距離よりも短い。第1ヒータエレメント231が処理対象物Wに比較的近いことにより、第1ヒータエレメント231によって処理対象物Wの温度を制御しやすくなる。すなわち、第2ヒータエレメント232のパターンに起因して生じる処理対象物Wの面内の温度ムラを、第1ヒータエレメント231によって抑制しやすくなる。したがって、処理対象物Wの面内の温度分布の均一性を向上させることができる。
一方、第2ヒータエレメント232が第1ヒータエレメント231よりも上方に位置する場合、高出力の第2ヒータエレメント232が処理対象物Wに比較的近い。これにより、処理対象物Wの温度の応答性(昇温速度・降温速度)を向上させることができる。
また、この例では、第2ヒータエレメント232は、Z方向において、バイパス層250と第1ヒータエレメント231との間に設けられている。つまり、バイパス層250は、第1ヒータエレメント231及び第2ヒータエレメント232よりも下方に位置している。
このように、第2ヒータエレメント232を、Z方向において、バイパス層250と第1ヒータエレメント231との間に設けることで、バイパス層250の一方側に第1ヒータエレメント231及び第2ヒータエレメント232を配置することができる。これにより、バイパス層250に給電端子280を接続する際に、第1ヒータエレメント231や第2ヒータエレメント232とは反対側からバイパス層250に給電端子280を接続することができる。したがって、第1ヒータエレメント231や第2ヒータエレメント232に給電端子280を通すための孔部を設ける必要がなく、ヒータパターン上の温度特異点を減らすことができ、第1ヒータエレメント231や第2ヒータエレメント232の面内の温度分布の均一性を向上させることができる。
なお、バイパス層250は、第1ヒータエレメント231及び第2ヒータエレメント232よりも上方に位置していてもよい。つまり、バイパス層250は、第1支持板210と第1ヒータエレメント231との間に設けられていてもよい。また、バイパス層250は、第1支持板210と第2ヒータエレメント232との間に設けられていてもよい。また、バイパス層250は、第1ヒータエレメント231と第2ヒータエレメント232との間に位置していてもよい。
また、ヒータ部200が有するヒータエレメントの数は、「2」には限定されない。つまり、ヒータ部200は、第1ヒータエレメント231及び第2ヒータエレメント232とは異なる層に設けられた、別のヒータエレメントをさらに有していてもよい。
図6は、第1実施形態に係る第2ヒータエレメントのメインゾーンを模式的に表す平面図である。図6は、図4に記載の第2ヒータエレメント232をZ方向に垂直な平面に投影した図である。
図6に表したように、第2ヒータエレメント232は、径方向Drに分割された複数のメインゾーン600を有する。第2ヒータエレメント232では、各メインゾーン600において、独立した温度制御が行われる。
本願明細書において、「径方向Dr」とは、ヒータエレメントの中心から半径に沿って外周に向かう方向である。「周方向Dc」とは、ヒータエレメントの外周に沿う方向である。
この例では、複数のメインゾーン600は、径方向Drに並ぶ3つのメインゾーン601~603を有する。つまり、第2ヒータエレメント232は、径方向Drにおいて3つに分割されている。各メインゾーン600は、第2ヒータエレメント232の中心CT2から径方向Drの外側に向かってメインゾーン601、メインゾーン602、メインゾーン603の順に配置されている。
この例では、メインゾーン601は、平面視において、中心CT2を中心とする円形状である。メインゾーン602は、平面視において、メインゾーン601の外側に位置し中心CT2を中心とする環状である。メインゾーン603は、平面視において、メインゾーン602の外側に位置し中心CT2を中心とする環状である。
この例では、メインゾーン601の径方向Drの幅LM1、メインゾーン602の径方向Drの幅LM2、及びメインゾーン603の径方向Drの幅LM3は、それぞれ同じである。幅LM1~LM3は、それぞれ異なっていてもよい。
なお、メインゾーン600の数やメインゾーン600の平面視における形状は、任意でよい。また、メインゾーン600は、周方向Dcに分割されていてもよいし、周方向Dc及び径方向Drに分割されていてもよい。各メインゾーン600内の構成については、後述する。
各メインゾーン600を構成するメインヒータライン232cは、互いに独立している。これにより、各メインゾーン600(メインヒータライン232c)ごとに異なる電圧を印加することができる。したがって、各メインゾーン600ごとに出力(生成する熱量)を独立して制御することができる。言い換えれば、各メインゾーン600は、互いに独立した温度制御を行うことができるヒータユニットであり、第2ヒータエレメント232は、このヒータユニットを複数有するヒータユニットの集合体である。
なお、図6では便宜上、各メインゾーン600の径方向Drの端部同士を接して記載しているが、実際にはこれらの間には隙間(すなわち、メインヒータライン232cが設けられていない部分)が存在しており、隣接するメインゾーンの径方向Drの端部同士が接することはない。以降の図も同じである。
図7は、第1実施形態に係る第1ヒータエレメントのサブゾーンを模式的に表す平面図である。図7は、図4に記載の第1ヒータエレメント231をZ方向に垂直な平面に投影した図である。
図7に表したように、この例では、第1ヒータエレメント231は、径方向Dr及び周方向Dcに分割された複数のサブゾーン700を有する。第1ヒータエレメント231では、各サブゾーン700において、独立した温度制御が行われる。
この例では、複数のサブゾーン700は、周方向Dcに並ぶサブゾーン701a~701fからなる第1領域701と、周方向Dcに並ぶサブゾーン702a~702fからなる第2領域702と、を有する。つまり、第2ヒータエレメント232は、径方向Drにおいて2つに分割されている。さらに、第1領域701及び第2領域702は、それぞれ、周方向Dcにおいて6つに分割されている。各領域は、第1ヒータエレメント231の中心CT1から径方向Drの外側に向かって第1領域701、第2領域702の順に配置されている。
第1領域701は、平面視において、中心CT1を中心とする円形状である。第2領域702は、平面視において、第1領域701の外側に位置し中心CT1を中心とする環状である。
第1領域701は、サブゾーン701a~701fを有する。第1領域701において、サブゾーン701a~701fは、時計回りにサブゾーン701a、サブゾーン701b、サブゾーン701c、サブゾーン701d、サブゾーン701e、サブゾーン701fの順に配置されている。サブゾーン701a~701fは、それぞれ、円形状の第1領域701の一部を構成している。
第2領域702は、サブゾーン702a~サブゾーン702fを有する。第2領域702において、サブゾーン702a~702fは、時計回りにサブゾーン702a、サブゾーン702b、サブゾーン702c、サブゾーン702d、サブゾーン702e、サブゾーン702fの順に配置されている。また、この例では、サブゾーン702aは、サブゾーン701aの外側に位置する。サブゾーン702bは、サブゾーン701bの外側に位置する。サブゾーン702cは、サブゾーン701cの外側に位置する。サブゾーン702dは、サブゾーン701dの外側に位置する。サブゾーン702eは、サブゾーン701eの外側に位置する。サブゾーン702fは、サブゾーン701fの外側に位置する。サブゾーン702a~702fは、それぞれ、環状の第2領域702の一部を構成している。
この例では、第1領域701の径方向Drの幅LS1及び第2領域702の径方向Drの幅LS2は、同じである。幅LS1及び幅LS2は、異なっていてもよい。
複数のサブゾーン700の数は、複数のメインゾーン600の数よりも多い。つまり、第1ヒータエレメント231は、第2ヒータエレメント232よりも多くのゾーンに分割されている。
第1ヒータエレメント231に含まれる複数のサブゾーン700の数を、第2ヒータエレメント232に含まれる複数のメインゾーン600の数よりも多くすることで、第1ヒータエレメント231によって、第2ヒータエレメント232よりも狭い領域の温度調整を行うことができる。これにより、第1ヒータエレメント231によってより細かい温度の微調整が可能となり、処理対象物Wの面内の温度分布の均一性を向上させることができる。
サブゾーン700の数やサブゾーン700の平面視における形状は、任意でよい。また、サブゾーン700は、周方向Dcに分割されていなくてもよい。つまり、第1領域701や第2領域702は、周方向Dcに分割された複数のサブゾーン700を含まなくてもよい。各サブゾーン700内の構成については、後述する。
各サブゾーン700を構成するサブヒータライン231cは、互いに独立している。これにより、各サブゾーン700(サブヒータライン231c)ごとに異なる電圧を印加することができる。したがって、各サブゾーン700ごとに出力(生成する熱量)を独立して制御することができる。言い換えれば、各サブゾーン700は、互いに独立した温度制御を行うことができるヒータユニットであり、第1ヒータエレメント231は、このヒータユニットを複数有するヒータユニットの集合体である。
第1ヒータエレメント231と第2ヒータエレメント232とは、例えば、第1ヒータエレメント231の中心CT1と第2ヒータエレメント232の中心CT2とがZ方向において重なるように配置される。また、このとき、第1ヒータエレメント231の外周縁231eと第2ヒータエレメント232の外周縁232eとは、例えば、Z方向において重なる。
なお、図7では便宜上、各サブゾーン700の径方向Drの端部同士を接して記載しているが、実際にはこれらの間には隙間(すなわち、サブヒータライン231cが設けられていない部分)が存在しており、隣接するサブゾーン700の径方向Drの端部同士が接することはない。以降の図も同じである。
図8は、第1実施形態に係る第2ヒータエレメントのメインゾーンの一部を模式的に表す平面図である。
図8に表したように、メインゾーン600は、第1メイン給電部232aと、第2メイン給電部232bと、メインヒータライン232cと、を有する。1つのメインゾーン600は、1つの第1メイン給電部232aと、1つの第2メイン給電部232bと、1つのメインヒータライン232cと、を有する。メインゾーン600は、第1メイン給電部232aと第2メイン給電部232bとを繋ぐ連続するメインヒータライン232cで構成される領域である。
図9は、第1実施形態に係る第1ヒータエレメントのサブゾーンの一部を模式的に表す平面図である。
図9に表したように、サブゾーン700は、第1サブ給電部231aと、第2サブ給電部231bと、サブヒータライン231cと、を有する。1つのサブゾーン700は、1つの第1サブ給電部231aと、1つの第2サブ給電部231bと、1つのサブヒータライン231cと、を有する。サブゾーン700は、第1サブ給電部231aと第2サブ給電部231bとを繋ぐ連続するサブヒータライン231cで構成される領域である。
図9では、図7のサブゾーン702eを拡大して表している。ここでは、第1サブゾーン710がサブゾーン702eである場合を例に挙げて説明する。第1サブゾーン710は、サブゾーン700のうちの1つである。
図9に表したように、第1サブゾーン710は、中央領域711と、外周領域712と、を有する。中央領域711は、平面視において、第1サブゾーン710の中央に位置する。外周領域712は、平面視において、中央領域711の外側に位置する。例えば、第1サブゾーン710を加熱した際、中央領域711の温度は、外周領域712の温度よりも高くなる。
この例では、第1サブゾーン710は、内周端721と、外周端722と、第1側端723と、第2側端724と、で囲まれた領域である。内周端721は、第1サブゾーン710を構成するサブヒータライン231cの径方向Drの内側の端部と重なる。外周端722は、第1サブゾーン710を構成するサブヒータライン231cの径方向Drの外側の端部と重なる。この例では、内周端721及び外周端722は、円弧状である。
第1側端723は、内周端721の一端と、外周端722の一端と、の間に位置する。第1側端723は、第1サブゾーン710を構成するサブヒータライン231cの周方向Dcの一方側の端部と重なる。第2側端724は、内周端721の他端と、外周端722の他端と、の間に位置する。第2側端724は、第1サブゾーン710を構成するサブヒータライン231cの周方向Dcの他方側の端部と重なる。この例では、第1側端723及び第2側端724は、直線状である。
中央領域711は、例えば、第1サブゾーン710の中心715を含む。中心715は、内周端721と外周端722との間の径方向Drの中心線RL1と、第1側端723と第2側端724との間の周方向Dcの中心線CL1と、の交点である。
中央領域711は、内周端721と中心線RL1との間の径方向Drの中心線RL2と、外周端722と中心線RL1との間の径方向Drの中心線RL3と、の間、かつ、第1側端723と中心線CL1との間の周方向Dcの中心線CL2と、第2側端724と中心線CL1との間の周方向Dcの中心線CL3と、の間の領域である。つまり、中央領域711は、中心線RL2、中心線RL3、中心線CL2、及び中心線CL3により囲まれた領域の内部である。
外周領域712は、中心線RL2、中心線RL3、中心線CL2、及び中心線CL3よりも外側(つまり、中心715とは反対側)に位置する領域である。すなわち、外周領域712は、中心線RL2と内周端721との間、中心線RL3と外周端722との間、中心線CL2と第1側端723との間、及び中心線CL3と第2側端724との間に位置する。
第1サブゾーン710は、第1サブ給電部231aと、第2サブ給電部231bと、サブヒータライン231cと、を有する。第1サブ給電部231a及び第2サブ給電部231bの少なくともいずれかは、中央領域711に設けられる。この例では、第1サブ給電部231a及び第2サブ給電部231bの両方が、中央領域711に設けられている。第1サブ給電部231a及び第2サブ給電部231bのいずれかは、外周領域712に設けられていてもよい。また、この例では、サブヒータライン231cは、中央領域711及び外周領域712の両方に設けられている。
なお、本願明細書において、第1サブ給電部231aが「中央領域711に設けられる」とは、第1サブ給電部231aの少なくとも一部がZ方向において中央領域711と重なることを意味する。つまり、第1サブ給電部231aが中央領域711と外周領域712との境界上に設けられている場合も、第1サブ給電部231aが中央領域711に設けられているとみなす。言い換えれば、第1サブ給電部231aがZ方向において中央領域711と一部も重なっていない場合は、第1サブ給電部231aが外周領域712に設けられているとみなす。第2サブ給電部231b及びサブヒータライン231cについても、同様である。
上述のように、第1ヒータエレメント231において、電流は、第1サブ給電部231a及び第2サブ給電部231bを介してサブヒータライン231cへ流れる。そして、サブヒータライン231cは、電流が流れることにより発熱する。第1ヒータエレメント231を加熱させた際、第1サブ給電部231aや第2サブ給電部231bの温度は、サブヒータライン231cの温度に比べて低くなりやすい。
また、第1サブゾーン710の外周領域712は、中央領域711に比べて発熱密度が低くなりやすい。そのため、第1ヒータエレメント231を加熱させた際、外周領域712の温度は、中央領域711の温度に比べて低くなりやすい。したがって、第1サブ給電部231a及び第2サブ給電部231bを外周領域712に設けると、第1サブゾーン710の面内の温度分布の均一性が悪化しやすいという問題がある。
これに対し、実施形態に係る静電チャック10によれば、サブヒータライン231cに比べて温度が低くなりやすい第1サブ給電部231aや第2サブ給電部231bを、外周領域712に比べて温度が高くなりやすい中央領域711に設けることで、第1サブゾーン710の面内の温度分布の均一性を向上させることができる。これにより、処理対象物Wの面内の温度分布の均一性を向上させることができる。
また、第1サブ給電部231a及び第2サブ給電部231bの両方を、中央領域711に設けることで、第1サブゾーン710の面内の温度分布の均一性をさらに向上させることができる。
図10は、第1実施形態に係る第1ヒータエレメントのサブゾーンの別の一部を模式的に表す平面図である。
図10では、図7のサブゾーン701eを拡大して表している。ここでは、第1サブゾーン710がサブゾーン701eである場合を例に挙げて説明する。
図10に表したように、この例では、第1サブゾーン710の内周端721は、第1ヒータエレメント231の中心CT1付近に位置する。第1サブゾーン710は、外周端722と、第1側端723と、第2側端724と、内周端721と、で囲まれた略扇形状の領域である。図10に表した第1サブゾーン710(サブゾーン701e)は、形状が異なる以外は図9に表した第1サブゾーン710(サブゾーン702e)と実質的に同じであるため、ここでは、中央領域711や外周領域712の説明を省略する。
この例でも、第1サブ給電部231a及び第2サブ給電部231bの両方が、中央領域711に設けられている。第1サブ給電部231a及び第2サブ給電部231bのいずれかは、外周領域712に設けられていてもよい。
図11は、第2実施形態に係る第1ヒータエレメントのサブゾーンを模式的に表す平面図である。
図11に表したように、この例では、第1ヒータエレメント231の複数のサブゾーン700は、サブゾーン701aからなる第1領域701と、サブゾーン702aからなる第2領域702と、サブゾーン703aからなる第3領域703と、サブゾーン704aからなる第4領域704と、を有する。つまり、第2ヒータエレメント232は、径方向Drにおいて4つに分割されている。この例では、第1領域701、第2領域701、第3領域703、及び第4領域704は、それぞれ、周方向Dcにおいて分割されていない。各領域は、第1ヒータエレメント231の中心CT1から径方向Drの外側に向かって第1領域701、第2領域702、第3領域703、第4領域704の順に配置されている。
第1領域701は、平面視において、中心CT1を中心とする円形状である。第2領域702は、平面視において、第1領域701の外側に位置し中心CT1を中心とする環状である。第3領域703は、平面視において、第2領域702の外側に位置し中心CT1を中心とする環状である。第4領域704は、平面視において、第3領域703の外側に位置し中心CT1を中心とする環状である。
この例では、第1領域701の径方向Drの幅LS1、第2領域702の径方向Drの幅LS2、第3領域703の径方向Drの幅LS3、及び第4領域704の径方向Drの幅LS4は、それぞれ異なる。
図12は、第2実施形態に係る第1ヒータエレメントのサブゾーンの一部を模式的に表す平面図である。
図12では、図11のサブゾーン702aの一部を拡大して表している。ここでは、第1サブゾーン710がサブゾーン702aである場合を例に挙げて説明する。
図12に表したように、この例では、第1サブゾーン710は、周方向Dcに分割されていない。つまり、第1サブゾーン710は、第1側端723及び第2側端724を有さない。言い換えれば、第1サブゾーン710は、内周端721と、外周端722と、で囲まれた環状の領域である。
この例では、第1サブゾーン710の中央領域711は、内周端721と中心線RL1との間の径方向Drの中心線RL2と、外周端722と中心線RL1との間の径方向Drの中心線RL3と、の間の領域である。つまり、中央領域711は、中心線RL2及び中心線RL3により囲まれた領域の内部である。中心線RL1は、内周端721と外周端722との間の径方向Drの中心線である。
この例では、第1サブゾーン710の外周領域712は、中心線RL2と内周端721との間、及び中心線RL3と外周端722との間に位置する。
この例でも、第1サブ給電部231a及び第2サブ給電部231bの両方が、中央領域711に設けられている。第1サブ給電部231a及び第2サブ給電部231bのいずれかは、外周領域712に設けられていてもよい。
図13は、第2実施形態に係る第1ヒータエレメントのサブゾーンの別の一部を模式的に表す平面図である。
図13では、図11のサブゾーン701aを拡大して表している。ここでは、第1サブゾーン710がサブゾーン701aである場合を例に挙げて説明する。
図13に表したように、この例では、第1サブゾーン710は、第1ヒータエレメント231の中心CT1を中心とし、外周端722に囲まれた円形状の領域である。つまり、第1サブゾーン710は、内周端721、第1側端723、及び第2側端724を有さない。また、第1サブゾーン710の中心715は、第1ヒータエレメント231の中心CT1と一致する。
この例では、第1サブゾーン710の中央領域711は、第1サブゾーン710の中心715と外周端722との間の径方向Drの中心線RL1により囲まれた領域の内部である。つまり、中央領域711は、第1サブゾーン710の同心円であり、第1サブゾーン710の半分の半径を有する円形状の領域である。
この例では、第1サブゾーン710の外周領域712は、中心線RL1よりも外側(つまり、中心715とは反対側)に位置する領域である。つまり、外周領域712は、中心線RL1と外周端722との間に位置する。
この例でも、第1サブ給電部231a及び第2サブ給電部231bの両方が、中央領域711に設けられている。第1サブ給電部231a及び第2サブ給電部231bのいずれかは、外周領域712に設けられていてもよい。
図14は、第3実施形態に係る第1ヒータエレメントのサブゾーンを模式的に表す平面図である。
図14に表したように、この例では、第1ヒータエレメント231は、碁盤目状に分割されている。第1ヒータエレメント231の複数のサブゾーン700は、サブゾーン701a~701dからなる第1領域701と、サブゾーン702a~702mからなる第2領域702と、サブゾーン703a~703qからなる第3領域703と、を有する。各領域は、第1ヒータエレメント231の中心CT1から径方向Drの外側に向かって第1領域701、第2領域702、第3領域703の順に配置されている。
サブゾーン701a~701d及びサブゾーン702a~702mは、それぞれ、平面視において四角形状である。
図15は、第3実施形態に係る第1ヒータエレメントのサブゾーンの一部を模式的に表す平面図である。
図15では、図14のサブゾーン701aの一部を拡大して表している。ここでは、第1サブゾーン710がサブゾーン701aである場合を例に挙げて説明する。
図15に表したように、この例では、第1サブゾーン710は、第1辺716aと、第2辺716bと、第3辺716cと、第4辺716dと、で囲まれた四角形状の領域である。第1サブゾーン710は、第1辺716aと第2辺716bとにより形成される第1角717aと、第2辺716bと第3辺716cとにより形成される第2角717bと、第3辺716cと第4辺716dとにより形成される第3角717cと、第4辺716dと第1辺716aとにより形成される第4角717dと、を有する。
第1サブゾーン710の中央領域711は、例えば、第1サブゾーン710の中心715を含む。中心715は、第1角717aと第3角717cとを結ぶ対角線DL1と、第2角717bと第4角717dとを結ぶ対角線DL2と、の交点である。
この例では、中央領域711は、中心715と第1角717aとの間の中点である第1中点718aと、中心715と第2角717bとの間の中点である第2中点718bと、中心715と第3角717cとの間の中点である第3中点718cと、中心715と第4角717dとの間の中点である第4中点718dと、を結んだ領域の内部である。すなわち、中央領域711は、第4中点718dと第1中点718aとを結ぶ第5辺716eと、第1中点718aと第2中点718bとを結ぶ第6辺716fと、第2中点718bと第3中点718cとを結ぶ第7辺716gと、第3中点718cと第4中点718dとを結ぶ第8辺716hと、により囲まれた領域の内部である。
この例では、外周領域712は、第5辺716e、第6辺716f、第7辺716g、及び第8辺716hよりも外側(つまり、中心715とは反対側)に位置する領域である。すなわち、外周領域712は、第1辺716aと第5辺716eとの間、第2辺716bと第6辺716fとの間、第3辺716cと第7辺716gとの間、及び第4辺716dと第8辺716hとの間に位置する。
この例でも、第1サブ給電部231a及び第2サブ給電部231bの両方が、中央領域711に設けられている。第1サブ給電部231a及び第2サブ給電部231bのいずれかは、外周領域712に設けられていてもよい。
なお、第2ヒータエレメント232のメインゾーン600においても、第1メイン給電部232a及び第2メイン給電部232bの少なくともいずれかが、メインゾーン600の中央領域に設けられていることが好ましい。この場合、メインゾーン600の中央領域及び外周領域は、図12及び図13で表した第1サブゾーン710の中央領域711及び外周領域712と同様に定義される。
このように、メインヒータライン232cに比べて温度が低くなりやすい第1メイン給電部232aや第2メイン給電部232bを、メインゾーン600の外周領域に比べて温度が高くなりやすいメインゾーン600の中央領域に設けることで、メインゾーン600の面内の温度分布の均一性を向上させることができる。これにより、処理対象物Wの面内の温度分布の均一性を向上させることができる。
また、第1ヒータエレメント231がメインヒータであり、第2ヒータエレメント232がサブヒータであってもよい。また、第2ヒータエレメント232は、省略されてもよい。
図16は、実施形態に係る第2ヒータエレメントのメインヒータラインと第1ヒータエレメントの第1、第2サブ給電部との位置関係を模式的に表す平面図である。
図16に表したように、第1ヒータエレメント231は、Z方向において、第2ヒータエレメント232と重なるように設けられる。この例では、第1ヒータエレメント231は、第2ヒータエレメント232の上方に設けられている。
第1ヒータエレメント231のサブヒータライン231cは、例えば、Z方向において第2ヒータエレメント232のメインヒータライン232cと重なる位置に設けられる。この例では、サブヒータライン231cは、メインヒータライン232cの上方に設けられる。一方、第1ヒータエレメント231の第1サブ給電部231a及び第2サブ給電部231bは、Z方向において第2ヒータエレメント232のメインヒータライン232cと重ならない位置に設けられる。メインヒータライン232cには、第1サブ給電部231a及び第2サブ給電部231bを避けるための逃げ部232hが設けられている。逃げ部232hにおいては、第1サブ給電部231a及び第2サブ給電部231bが設けられる部分を迂回するように、メインヒータライン232cが湾曲している。
このように、サブヒータライン231cがZ方向においてメインヒータライン232cと重なる場合に、第1サブ給電部231a及び第2サブ給電部231bをZ方向においてメインヒータライン232cと重ならない位置に設けている。つまり、第1サブ給電部231a及び第2サブ給電部231bと重なる位置にはメインヒータライン231cの熱が供給されないため、第1サブ給電部231a及び第2サブ給電部231bはより温度が低くなりやすい。第1サブ給電部231a、第2サブ給電部231bを、外周領域712に比べて温度が高くなりやすい中央領域711に設けているため、第1サブゾーン710の面内の温度分布の均一性の低下を抑制することができる。
図17は、実施形態に係る第1ヒータエレメントの一部を模式的に表す平面図である。
図17に表したように、第1ヒータエレメント231において、第1サブ給電部231aは、サブヒータライン231cの一端に設けられている。また、第2サブ給電部231bは、サブヒータライン231cの他端に設けられている。
「給電部」とは、ヒータラインの始点及び終点に設けられ、給電端子280と電気的に接続される部分である。給電部自体は発熱しない。給電部と給電端子280とを物理的に接続してもよいし、給電部とバイパス層250とを、例えば溶接やはんだ等によって物理的に接続しバイパス層250と給電端子280とを物理的に接続してもよい。
平面視において、第1サブ給電部231aの幅LW1は、サブヒータライン231cの幅LW3よりも大きい。つまり、サブヒータライン231cの端部において、サブヒータライン231cの幅LW3よりも大きい幅LW1を有する部分が第1サブ給電部231aである。ここで、「幅」とは、第1サブ給電部231aとサブヒータライン231cとの接続部からサブヒータライン231cが延びる方向に直交する方向の最大長さである。なお、接続部からサブヒータライン231cが延びる方向が曲線の場合には、曲線の接線方向に直交する方向の最大長さである。
同様に、平面視において、第2サブ給電部231bの幅LW2は、サブヒータライン231cの幅LW3よりも大きい。つまり、サブヒータライン231cの端部において、サブヒータライン231cの幅LW3よりも大きい幅LW2を有する部分が第2サブ給電部231bである。ここで、「幅」とは、第2サブ給電部231bとサブヒータライン231cとの接続部からサブヒータライン231cが延びる方向に直交する方向の最大長さである。なお、接続部からサブヒータライン231cが延びる方向が曲線の場合には、曲線の接線方向に直交する方向の最大長さである。
なお、この例では、第1サブ給電部231a及び第2サブ給電部231bの平面視における形状は、円形状である。第1サブ給電部231a及び第2サブ給電部231bの平面視における形状は、円形状に限定されず、楕円形状や多角形状などであってもよい。
例えば、第1ヒータエレメント231を加熱した際、第1サブ給電部231aの温度及び第2サブ給電部231bの温度は、サブヒータライン231cの温度よりも低くなる。つまり、第1サブ給電部231aの発熱量及び第2サブ給電部231bの発熱量は、サブヒータライン231cの発熱量よりも小さい。
また、第2ヒータエレメント232の第1メイン給電部232a、第2メイン給電部232b、及びメインヒータライン232cも、第1ヒータエレメント231の第1サブ給電部231a、第2サブ給電部231b、及びサブヒータライン231cと同様である。つまり、平面視において、第1メイン給電部232aの幅は、メインヒータライン232cの幅よりも大きい。また、平面視において、第2メイン給電部232bの幅は、メインヒータライン232cの幅よりも大きい。また、第1メイン給電部232a及び第2メイン給電部232bの平面視における形状は、円形状であってもよいし、楕円形状や多角形状などであってもよい。
例えば、第2ヒータエレメント232を加熱した際、第1メイン給電部232aの温度及び第2メイン給電部232bの温度は、メインヒータライン232cの温度よりも低くなる。つまり、第1メイン給電部232aの発熱量及び第2メイン給電部232bの発熱量は、メインヒータライン232cの発熱量よりも小さい。
図18は、第1実施形態の変形例に係る第1ヒータエレメントのサブゾーンの一部を模式的に表す平面図である。
図18に表したように、第1サブゾーン710は、処理対象物Wを支持するためのリフトピン(図示しない)が通過可能に設けられたリフトピン用孔714aを有していてもよい。リフトピン用孔714aにおいては、リフトピンが設けられる部分を迂回するように、サブヒータライン231cが湾曲している。リフトピン用孔714aは、例えば、第1サブゾーン710の中央領域711に設けられる。なお、リフトピン用孔714aは、例えば、第1サブゾーン710の外周領域712に設けられてもよい。また、リフトピン用孔714aは、必要に応じて設けられ、省略可能である。
また、第1サブゾーン710は、吸着電極(電極層111)に電流を供給するための吸着電極端子(図示しない)が通過可能に設けられた吸着電極端子用孔714bを有していてもよい。吸着電極端子用孔714bにおいては、吸着電極端子が設けられる部分を迂回するように、サブヒータライン231cが湾曲している。吸着電極端子用孔714bは、例えば、第1サブゾーン710の中央領域711に設けられる。なお、吸着電極端子用孔714bは、例えば、第1サブゾーン710の外周領域712に設けられてもよい。また、吸着電極端子用孔714bは、必要に応じて設けられ、省略可能である。
また、第1サブゾーン710は、処理対象物Wを冷却するための冷却ガスが通過可能に設けられた冷却ガス用孔714cを有していてもよい。冷却ガス用孔714cは、例えば、導入路321の一部を構成する。冷却ガス用孔714cにおいては、冷却ガスが通過する部分を迂回するように、サブヒータライン231cが湾曲している。冷却ガス用孔714cは、例えば、第1サブゾーン710の中央領域711に設けられる。なお、冷却ガス用孔714cは、例えば、第1サブゾーン710の外周領域712に設けられてもよい。また、冷却ガス用孔714cは、必要に応じて設けられ、省略可能である。
なお、本願明細書において、リフトピン用孔714aが「中央領域711に設けられる」とは、リフトピン用孔714aの少なくとも一部がZ方向において中央領域711と重なることを意味する。吸着電極端子用孔714b及び冷却ガス用孔714cについても、同様である。
このように、第1ヒータエレメント231を加熱させた際にサブヒータライン231cが設けられないために他の部分に比べて温度が低くなりやすいリフトピン用孔714aや吸着電極端子用孔714bや冷却ガス用孔714cを、第1サブゾーン710において外周領域712に比べて温度が高くなりやすい中央領域711に設けることで、第1サブゾーン710の面内の温度分布の均一性を向上させることができる。
サブヒータライン231cに通電した際に、第1サブゾーン710の中央領域711の温度は、第1サブゾーン710の外周領域712の温度よりも高くなる。一方、サブヒータライン231cに給電する給電部(第1サブ給電部231a及び第2サブ給電部231b)や、第1サブゾーン710に設けられた孔部(リフトピン用孔714a、吸着電極端子用孔714b、冷却ガス用孔714cなど)の温度は、それ自体が発熱しないため、サブヒータライン231cの温度よりも低くなる。第1主面101に対して垂直なZ方向に沿ってみたときに、第1サブゾーン710の中央領域711に給電部や各種孔部などの低温特異点を設けることで、ヒータエレメントのゾーン内の温度分布をより均一とすることができる。
なお、第1サブゾーン710は、リフトピン用孔714a、吸着電極端子用孔714b、及び冷却ガス用孔714cのいずれか1つを有していてもよいし、いずれか2つ以上を有していてもよいし、3つを有していてもよい。また、第1サブゾーン710に設けられるリフトピン用孔714a、吸着電極端子用孔714b、及び冷却ガス用孔714cの数は、それぞれ、1つでもよいし、2つ以上でもよい。
ここで、リフトピン用孔714a、冷却ガス用孔714c等の温度特異点になりうる孔の数と、第1ヒータエレメント231のサブゾーンの数と、の関係について説明する。周方向Dcに、例えば均等に分割されるサブゾーンの数は、冷却ガス用孔714c等の数の整数倍である。このようにすることで、サブゾーンの数が増えた場合であっても、冷却ガス用孔714c等の孔を、隣接するサブゾーン間の周方向Dcにおける境界やサブゾーンの周方向Dcの端部と重なることなく配置することができる。
例えば、サブゾーンを周方向Dcに均等に16分割する場合、分割された一つのサブゾーンの扇形の角度は、およそ22.5°となる。一方、冷却ガス用孔714cを12個、周方向Dcに均等に配置する場合、冷却ガス用孔714cと中心CT1とで形成される角度は30°となる。この場合、一部の冷却ガス用孔714c等の孔がサブゾーン間の周方向Dcにおける境界やサブゾーンの周方向dcの端部と重なる恐れがある。周方向Dcに分割されるサブゾーンの数を、冷却ガス用孔714c等の孔の数の整数倍とすることで、冷却ガス用孔714c等の孔をサブゾーン間の周方向Dcにおける境界やサブゾーンの周方向Dcの端部と重ならない位置に、より確実に配置することができる。
図19は、実施形態に係るヒータ部の一部を模式的に表す断面図である。
図19に表したように、この例では、第2ヒータエレメント232は、Z方向において、バイパス層250と第1ヒータエレメント231との間に設けられている。また、第1ヒータエレメント231と第2ヒータエレメント232との間には、第2絶縁層240が設けられている。また、第2ヒータエレメント232とバイパス層250との間には、第3絶縁層245が設けられている。
ヒータ部200は、第2絶縁層240と、第2ヒータエレメント232と、第3絶縁層245と、をZ方向に貫通する孔部290を有する。第1ヒータエレメント231は、孔部290において、バイパス層250と電気的に接続されている。つまり、バイパス層250は、孔部290において、第1サブ給電部231a及び第2サブ給電部231bと直接接することで、第1サブ給電部231a及び第2サブ給電部231bと電気的に接続されている。
このような孔部290を設けることで、バイパス層250と第1ヒータエレメント231との間に第2絶縁層240、第2ヒータエレメント232、及び第3絶縁層245が設けられていても、バイパス層250と第1ヒータエレメント231(第1サブ給電部231a及び第2サブ給電部231b)とを、直接的に接触させることができる。また、バイパス層250が第1サブ給電部231a及び第2サブ給電部231bと直接接して第1サブ給電部231a及び第2サブ給電部231bと電気的に接続されることで、給電端子280と給電部(第1サブ給電部231aや第2サブ給電部231b)とを直接接続する場合に比べて、給電端子280の配置自由度を高めることができる。
図20は、実施形態に係るウェーハ処理装置を模式的に表す断面図である。
図20に表したように、実施形態に係るウェーハ処理装置500は、処理容器501と、上部電極510と、静電チャック10と、を備えている。処理容器501の天井には、処理ガスを内部に導入するための処理ガス導入口502が設けられている。処理容器501の底板には、内部を減圧排気するための排気口503が設けられている。また、上部電極510及び静電チャック10には高周波電源504が接続され、上部電極510と静電チャック10とを有する一対の電極が、互いに所定の間隔を隔てて平行に対峙するようになっている。
ウェーハ処理装置500において、上部電極510と静電チャック10との間に高周波電圧が印加されると、高周波放電が起こり処理容器501内に導入された処理ガスがプラズマにより励起、活性化されて、処理対象物Wが処理されることになる。なお、処理対象物Wとしては、半導体基板(ウェーハ)を例示することができる。ただし、処理対象物Wは、半導体基板(ウェーハ)には限定されず、例えば、液晶表示装置に用いられるガラス基板等であってもよい。
高周波電源504は、静電チャック10のベースプレート300と電気的に接続される。ベースプレート300には、前述のように、アルミニウムなどの金属材料が用いられる。すなわち、ベースプレート300は、導電性を有する。これにより、高周波電圧は、上部電極410とベースプレート300との間に印加される。
また、この例では、ベースプレート300は、第1支持板210及び第2支持板270と電気的に接続されている。これにより、ウェーハ処理装置500では、第1支持板210と上部電極510との間、及び、第2支持板270と上部電極510との間にも高周波電圧が印加される。
このように、各支持板210、270と上部電極510との間に高周波電圧を印加する。これにより、ベースプレート300と上部電極510との間のみに高周波電圧を印加する場合に比べて、高周波電圧を印加する場所を処理対象物Wにより近付けることができる。これにより、例えば、より効率的かつ低電位でプラズマを発生させることができる。
ウェーハ処理装置500のような構成の装置は、一般に平行平板型RIE(Reactive Ion Etching)装置と呼ばれるが、実施形態にかかる静電チャック10は、この装置への適用に限定されるわけではない。例えば、ECR(Electron Cyclotron Resonance)エッチング装置、誘電結合プラズマ処理装置、ヘリコン波プラズマ処理装置、プラズマ分離型プラズマ処理装置、表面波プラズマ処理装置、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition )装置などのいわゆる減圧処理装置に広く適応することができる。このようなウェーハ処理装置500は、例えば、半導体装置の製造に用いられる。ウェーハ処理装置500は、例えば、半導体製造装置として使用される。
また、実施形態にかかる静電チャック10は、露光装置や検査装置のように大気圧下で処理や検査が行われる基板処理装置に広く適用することもできる。ただし、実施形態にかかる静電チャック10の有する高い耐プラズマ性を考慮すると、静電チャック10をプラズマ処理装置に適用させることが好ましい。なお、これらの装置の構成の内、実施形態にかかる静電チャック10以外の部分には公知の構成を適用することができるので、その説明は省略する。
このように、実施形態に係るウェーハ処理装置500(半導体製造装置)によれば、第1ヒータエレメント231を加熱させた際にサブヒータライン231cに比べて温度が低くなりやすい第1サブ給電部231aや第2サブ給電部231bを、外周領域712に比べて温度が高くなりやすい中央領域711に設けた静電チャック10を備えることで、第1サブゾーン710の面内の温度分布の均一性を向上させることができる。これにより、処理対象物Wの面内の温度分布の均一性を向上させることができる。
図21は、実施形態の変形例に係るヒータ部を模式的に表す分解断面図である。
図21に表したように、実施形態の変形例に係るヒータ部200Aでは、第1ヒータエレメント231の各サブゾーン(領域)700において、それぞれ、独立した温度制御が行われるとともに、第2ヒータエレメント232の各メインゾーン600において、それぞれ、独立した温度制御が行われる点が、図5に示したヒータ部200とは異なる。なお、図5に示したヒータ部200と同じ構成については、説明を省略する。
この例では、給電端子280として、10個の給電端子280a~280jが設けられている。また、この例では、バイパス層250は、10個のバイパス部251a~251jを有する。
第1ヒータエレメント231は、第1領域701及び第2領域702を有する。第1領域701及び第2領域702は、それぞれ、第1サブ給電部231aと、第2サブ給電部231bと、サブヒータライン231cと、を有する。
第2ヒータエレメント232は、メインゾーン601、メインゾーン602、及びメインゾーン603を有する。メインゾーン601~603は、それぞれ、第1メイン給電部232aと、第2メイン給電部232bと、メインヒータライン232cと、を有する。
矢印C21及び矢印C22のように、電力が静電チャック10の外部から給電端子280aに供給されると、電流は、給電端子280aからバイパス部251aへ流れる。矢印C23及び矢印C24のように、バイパス部251aへ流れた電流は、バイパス部251aから第1ヒータエレメント231の第1領域701へ流れる。矢印C25及び矢印C26のように、第1領域701へ流れた電流は、第1領域701からバイパス部251bへ流れる。より具体的には、バイパス部251aへ流れた電流は、第1領域701の第1サブ給電部231aを介して第1領域701のサブヒータライン231cへ流れ、第1領域701の第2サブ給電部231bを介してバイパス部251bへ流れる。矢印C27及び矢印C28のように、バイパス部251bへ流れた電流は、バイパス部251bから給電端子280bへ流れる。矢印C29のように、給電端子280bへ流れた電流は、静電チャック10の外部へ流れる。
同様に、電力が静電チャック10の外部から給電端子280cに供給されると、電流は、矢印C31~C39のように、給電端子280c、バイパス部251c、第1ヒータエレメント231の第2領域702、バイパス部251d、給電端子280dの順に流れる。
同様に、電力が静電チャック10の外部から給電端子280eに供給されると、電流は、矢印C41~C49のように、給電端子280e、バイパス部251e、第2ヒータエレメント232のメインゾーン601、バイパス部251f、給電端子280fの順に流れる。
同様に、電力が静電チャック10の外部から給電端子280gに供給されると、電流は、矢印C51~C59のように、給電端子280g、バイパス部251g、第2ヒータエレメント232のメインゾーン602、バイパス部251h、給電端子280hの順に流れる。
同様に、電力が静電チャック10の外部から給電端子280iに供給されると、電流は、矢印C61~C69のように、給電端子280i、バイパス部251i、第2ヒータエレメント232のメインゾーン603、バイパス部251j、給電端子280jの順に流れる。
例えば、給電端子280aに印加する電圧と、給電端子280cに印加する電圧と、を異ならせることで、第1領域701の出力と、第2領域702の出力と、を異ならせることができる。つまり、各サブゾーン(領域)700の出力を独立して制御することができる。
例えば、給電端子280eに印加する電圧と、給電端子280gに印加する電圧と、給電端子280iに印加する電圧と、を異ならせることで、メインゾーン601の出力と、メインゾーン602の出力と、メインゾーン603の出力と、を異ならせることができる。つまり、各メインゾーン600の出力を独立して制御することができる。
図22は、第4実施形態に係る第1ヒータエレメントのサブゾーンの一部を模式的に表す平面図である。
図22では、図7のサブゾーン702eを拡大して表している。ここでは、第1サブゾーン710がサブゾーン702eである場合を例に挙げて説明する。
図22に表したように、この例では、第1サブゾーン710は、第1ヒータエレメント231の外周縁231eを含んでいる。つまり、この例では、第1サブゾーン710は、第1ヒータエレメント231の最外周部に位置している。
第1サブゾーン710は、内周部751と、外周部752と、を有する。内周部751は、径方向Drの中心線RL1よりも径方向Drの内側に位置する部分である。外周部752は、径方向Drの中心線RL1よりも径方向Drの外側に位置する部分である。外周部752は、第1ヒータエレメント231の外周縁231eを含む。径方向Drの中心線RL1は、第1サブゾーン710の内周端721と外周端722との間の径方向Drの中心を通る。つまり、径方向Drの中心線RL1は、第1サブゾーン710を径方向Drにおいて2等分する。
第1サブ給電部231a及び第2サブ給電部231bの少なくともいずれかは、内周部751に設けられる。この例では、第1サブ給電部231a及び第2サブ給電部231bの両方が、内周部751に設けられている。第1サブ給電部231a及び第2サブ給電部231bのいずれかは、外周部752に設けられていてもよい。
なお、本願明細書において、第1サブ給電部231aが「内周部751に設けられる」とは、第1サブ給電部231aの少なくとも一部がZ方向において内周部751と重なることを意味する。つまり、第1サブ給電部231aが内周部751と外周部752との境界上に設けられている場合も、第1サブ給電部231aが内周部751に設けられているとみなす。言い換えれば、第1サブ給電部231aがZ方向において内周部751と一部も重なっていない場合は、第1サブ給電部231aが外周部752に設けられているとみなす。第2サブ給電部231b及びサブヒータライン231cについても、同様である。
処理対象物Wの最外周部分は、内側の部分と比べて温度が低くなりやすい。これに対し、実施形態に係る静電チャック10によれば、第1サブゾーン710が第1ヒータエレメント231の外周縁231eを含む場合に(すなわち、第1ヒータエレメント231の最外周部に位置する第1サブゾーン710において)、第1ヒータエレメント231を加熱させた際にサブヒータライン231cに比べて温度が低くなりやすい第1サブ給電部231aや第2サブ給電部231bを、第1サブゾーン710の内周部751に設けることで、処理対象物Wの面内の温度分布の均一性を向上させることができる。
また、第1サブ給電部231a及び第2サブ給電部231bの両方を、内周部751に設けることで、処理対象物Wの面内の温度分布の均一性をさらに向上させることができる。
また、この例では、第1サブ給電部231a及び第2サブ給電部231bの両方が、上述の第1サブゾーン710の中央領域711に設けられている。つまり、この例では、第1サブ給電部231a及び第2サブ給電部231bの両方が、中央領域711に設けられ、かつ、内周部751に設けられている。これにより、処理対象物Wの面内の温度分布の均一性をさらに向上させることができる。
図23は、第5実施形態に係る第1ヒータエレメントのサブゾーンの一部を模式的に表す平面図である。
図23では、図7のサブゾーン702eを拡大して表している。ここでは、第1サブゾーン710がサブゾーン702eである場合を例に挙げて説明する。
図23に表したように、この例でも、第1サブゾーン710は、第1ヒータエレメント231の外周縁231eを含んでいる。つまり、この例でも、第1サブゾーン710は、第1ヒータエレメント231の最外周部に位置している。
図23に表したように、この例でも、第1サブ給電部231a及び第2サブ給電部231bの両方が、内周部751に設けられている。第1サブ給電部231a及び第2サブ給電部231bのいずれかは、外周部752に設けられていてもよい。
一方で、この例では、第1サブ給電部231a及び第2サブ給電部231bの両方が、上述の第1サブゾーン710の外周領域712に設けられている。つまり、この例では、第1サブ給電部231a及び第2サブ給電部231bの両方が、内周部751かつ外周領域712に設けられている。この場合でも第1サブ給電部231a及び/または第2サブ給電部231bを内周部751に配置しているため一定の効果が得られる。第1サブ給電部231a及び第2サブ給電部231bの両方を、内周部751かつ中央領域711に設けることがより好ましい。
以上のように、実施形態によれば、処理対象物の面内の温度分布の均一性を向上させることができる静電チャック及び半導体製造装置が提供される。
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、静電チャックが備える各要素の形状、寸法、材質、配置、設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。