以下に、本開示の特定装置、プログラム、特定方法、情報処理装置及び特定器について、X線撮影、CT、MRI、PET、PET-CT等の撮像装置を用いて患者の患部を撮影した医用画像に基づいて患者の患部の状態を判別する診断処理を支援する診断支援システムに適用した実施形態を示す図面に基づいて詳述する。なお、本開示は、好適には、乳房腫瘤、肺癌、脳腫瘍等、各種の病変を撮影した医用画像に基づいて病変の状態を判別する診断処理を支援するシステムに適用できるが、医用画像を対象に限定するものでもなく、診断支援システムへの適用に限定するものでもない。
(実施形態1)
乳房腫瘤の疑いがある患者の乳房をマンモグラフィで撮影して得られた医用画像(X線画像)に基づいて腫瘤であるか否かを判別する診断支援システムについて説明する。図1は診断支援システムの構成例を示す模式図である。本実施形態の診断支援システムは、学習装置10と、医療機関に設置された特定装置20とを含み、学習装置10及び特定装置20は、インターネット等のネットワークに接続可能である。なお、学習装置10は、医用画像に基づいて乳房腫瘤であるか否かを判別する分類器(学習モデル)を、後述する教師データを用いて学習させる装置であり、特定装置20は、学習装置10にて学習済みの分類器を用いて、患者の医用画像に基づいて乳房腫瘤であるか否かを判別(特定)する装置である。特定装置20は学習装置10から学習済みの分類器を取得する場合、例えばネットワーク経由、又は、USB(Universal Serial Bus)メモリ、CD-R(compact disc recordable )等の可搬型記憶媒体を用いて取得する。
図2は、学習装置10の構成例を示すブロック図である。学習装置10は、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ等である。学習装置10は、制御部11、記憶部12、表示部13、入力部14、通信部15等を含み、これらの各部はバスを介して相互に接続されている。制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)又はGPU(Graphics Processing Unit)等の1又は複数のプロセッサを含む。制御部11は、記憶部12に記憶してある制御プログラムを適宜実行することにより、学習装置10が行うべき種々の情報処理、制御処理等を行う。
記憶部12は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等を含む。記憶部12は、制御部11が実行する制御プログラム及び制御プログラムの実行に必要な各種のデータ等を予め記憶している。また記憶部12は、制御部11が制御プログラムを実行する際に発生するデータ等を一時的に記憶する。記憶部12に記憶される制御プログラムには、第1分類器12b及び第2分類器12dの学習処理を実行するための学習プログラム12aが含まれる。また記憶部12は、例えば機械学習処理によって構築されたCNN(Convolution Neural Network)モデルである第1分類器12b及び第2分類器12dを記憶している。記憶部12に記憶されるデータには、第1分類器12bを学習させるための第1教師データが蓄積された第1教師データDB12c、第2分類器12dを学習させるための第2教師データが蓄積された第2教師データDB12eが含まれる。
記憶部12に記憶される制御プログラム及びデータは、例えば通信部15を介してネットワーク経由で外部装置から取得されて記憶部12に記憶される。また、学習装置10が可搬型記憶媒体に記憶された情報を読み取る読取部等を備える場合、記憶部12に記憶される制御プログラム及びデータは、可搬型記憶媒体から読み出されて記憶部12に記憶されてもよい。また、第1教師データDB12c及び第2教師データDB12eは、学習装置10に接続された外部の記憶装置に記憶されてもよく、ネットワークを介して学習装置10と通信可能な記憶装置に記憶されてもよい。
表示部13は、例えば液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等であり、制御部11からの指示に従って各種の情報を表示する。入力部14は、ユーザによる操作入力を受け付け、操作内容に対応した制御信号を制御部11へ送出する。表示部13及び入力部14は一体として構成されたタッチパネルであってもよい。通信部15は、有線通信又は無線通信によってネットワークに接続するためのインタフェースであり、ネットワークを介して外部装置との間で情報の送受信を行う。
以下に、本実施形態の診断支援システムで用いる医用画像について説明する。マンモグラフィで撮影して得られた撮影画像(以下、マンモグラフィ画像という)に対して、異なる画像処理フィルタを用いたフィルタ処理を行うことによって異なる種類の医用画像を得ることができる。本実施形態の診断支援システムでは、マンモグラフィ画像に対して、ガボールフィルタによるフィルタ処理を行ったガボールフィルタ適用後画像(以下、ガボール画像という)と、アイリスフィルタによるフィルタ処理を行ったアイリスフィルタ適用後画像(以下、アイリス画像という)とを用いて、撮影対象の状態が腫瘤であるか否かを判断(判別)する。なお、判断に用いる医用画像はこれらに限定されず、他のフィルタを用いたフィルタ処理を行った医用画像を用いてもよい。また、判断に用いる複数種類の医用画像は、同じ撮影対象(患者の乳房)を同じ状態で撮影した撮影画像であればよく、同一の撮像装置にて同じ撮影タイミングでパラメータを異ならせて撮影されたものであってもよく、異なる撮像装置にて撮影されたものであってもよい。
図3はマンモグラフィ画像の例を示す模式図、図4はフィルタ処理後の画像の例を示す模式図である。図3Aはマンモグラフィ画像の例を示し、図3Bは、マンモグラフィ画像から抽出された腫瘤領域を含む腫瘤画像T及び正常領域を含む正常画像Nの例を示す。本実施形態では、教師データを生成する際に、腫瘤を有する患者のマンモグラフィ画像から腫瘤領域を含む腫瘤画像Tと、腫瘤がない正常領域を含む正常画像Nとを抽出する。そして、抽出した腫瘤画像T及び正常画像Nのそれぞれに対して、ガボールフィルタによるフィルタ処理を行ってガボール画像を生成し、アイリスフィルタによるフィルタ処理を行ってアイリス画像を生成する。図4Aは、図3Bに示す腫瘤画像T及び正常画像Nから生成されたガボール画像の例を示し、図4Bは、図3Bに示す腫瘤画像T及び正常画像Nから生成されたアイリス画像の例を示す。ガボール画像及びアイリス画像のサイズは例えば128画素×128画素とすることができるが、これに限定されない。本実施形態の診断支援システムでは、判別対象の状態の種類として、撮影対象の病変の状態が腫瘤であるか正常であるか(腫瘤でないか)を判別する。よって、第1分類器12bは、患者のガボール画像に基づいて、撮影対象の病変の状態が腫瘤であるか正常であるかを判別する分類器であり、第2分類器12dは、患者のアイリス画像に基づいて、撮影対象の病変の状態が腫瘤であるか正常であるかを判別する分類器である。
第1教師データDB12cには、腫瘤領域の画像(腫瘤画像)として、図4Aの左側に示すようなガボール画像が多数蓄積されており、正常領域の画像(正常画像)として、図4Aの右側に示すようなガボール画像が多数蓄積されている。第1教師データDB12cにおいて、1つのガボール画像と、このガボール画像に対応付けられた腫瘤又は正常を示す情報とのセットを第1教師データという。第2教師データDB12eには、腫瘤領域の画像として、図4Bの左側に示すようなアイリス画像が多数蓄積されており、正常領域の画像として、図4Bの右側に示すようなアイリス画像が多数蓄積されている。第2教師データDB12eにおいて、1つのアイリス画像と、このアイリス画像に対応付けられた腫瘤又は正常を示す情報とのセットを第2教師データという。学習装置10は、図4Aに示すようなガボール画像による第1教師データに基づいて第1分類器12bを学習させ、図4Bに示すようなアイリス画像による第2教師データに基づいて第2分類器12dを学習させる。
次に、学習装置10において制御部11が学習プログラム12aを実行することによって実現される機能について説明する。図5は、学習装置10の制御部11によって実現される機能を示すブロック図、図6は、学習装置10が行う学習処理の説明図である。学習装置10の制御部11は、記憶部12に記憶してある学習プログラム12aを実行した場合、第1教師データ取得部101、第1学習部104、第2教師データ取得部111、第2学習部114の各機能を実現する。なお、本実施形態では、これらの各機能を制御部11が学習プログラム12aを実行することにより実現するが、これらの一部を専用のハードウェア回路で実現してもよい。
第1教師データ取得部101は、第1教師データDB12cに記憶されている第1教師データを順次取得する。第1教師データには、腫瘤又は正常を示す情報と、図4Aに示すようなガボール画像とが含まれる。
第1学習部104は、第1教師データ取得部101が第1教師データDB12cから取得した腫瘤又は正常を示す情報とガボール画像とに基づいて、第1分類器12bを学習させる。ここで、第1分類器12bについて説明する。図6は本実施形態の第1分類器12bの構成例を示す模式図である。図6に示す第1分類器12bは、畳み込みニューラルネットワークモデル(CNN)で構成したものである。第1分類器12bの構成は、図6に示すように多層のニューラルネットワーク(深層学習)に限定されるものではなく、他の機械学習のアルゴリズムを用いることもできる。
図6に示すように、第1分類器12bは、入力層、中間層及び出力層から構成されている。中間層は畳み込み層、プーリング層及び全結合層を含む。本実施形態の第1分類器12bでは、入力層のノード数は16,384(チャンネル数は1)であり、出力層のノード数は2であり、上述したようなガボール画像が、学習済みの第1分類器12bの入力データとして与えられる。入力層のノードに与えられたガボール画像は中間層に入力され、中間層において、畳み込み層でフィルタ処理等によって画像特徴量が抽出されて特徴マップが生成され、プーリング層で圧縮されて情報量を削減される。畳み込み層及びプーリング層は複数層繰り返し設けられており、複数の畳み込み層及びプーリング層によって生成された特徴マップは、全結合層に入力される。全結合層は複数層(図6では2層)設けられており、入力された特徴マップに基づいて、重み及び各種の関数を用いて各層のノードの出力値を算出し、算出した出力値を順次後の層のノードに入力する。全結合層は、各層のノードの出力値を順次後の層のノードに入力することにより、最終的に出力層の各ノードにそれぞれの出力値を与える。畳み込み層、プーリング層及び全結合層のそれぞれの層数は図6に示す例に限定されない。出力層の各ノードは、腫瘤又は正常のそれぞれに対する分類確率を出力する。例えば入力されたガボール画像が腫瘤領域の画像である確率をノード0が出力し、正常領域の画像である確率をノード1が出力する。出力層の各ノードの出力値は例えば0~1.0の値であり、2つのノードから出力された確率の合計が1.0(100%)となる。
第1学習部104は、第1教師データ取得部101が第1教師データDB12cから取得したガボール画像を、第1分類器12bの入力層のノードに入力し、出力層において、このガボール画像の腫瘤又は正常を示す情報に応じたノードの出力値が1.0に近づき、他方のノードの出力値が0に近づくように、第1分類器12bを学習させる。即ち、第1学習部104は、入力層のノードに入力したガボール画像が腫瘤画像である場合、ノード0の出力値が1.0に近づき、ノード1の出力値が0に近づくように、第1分類器12bを学習させる。第1学習部104は、例えば全結合層の各層のノードを結合する重み及び関数を学習アルゴリズムによって最適化して第1分類器12bを学習させる。第1学習部104は、第1教師データDB12cに記憶してある全ての第1教師データを用いて第1分類器12bを学習させる。これにより、学習済みの第1分類器12bが生成される。
第2教師データ取得部111及び第2学習部114のそれぞれは、第1教師データ取得部101及び第1学習部104とは処理対象の画像が異なるが、それぞれ同様の処理を行う。また、第2分類器12dは第1分類器12bと同様の構成を有する。よって、これらについての詳細な説明は省略する。第2教師データ取得部111は、第2教師データDB12eに記憶されている第2教師データを順次取得する。第2教師データには、腫瘤又は正常を示す情報と、図4Bに示すようなアイリス画像とが含まれる。第2学習部114は、第2教師データDB12eに記憶してある全ての第2教師データを用いて第2分類器12dを学習させる。これにより、学習済みの第2分類器12dが生成される。
以下に、上述したように学習装置10にて学習した第1分類器12b及び第2分類器12dを用いて、診断対象の患者の医用画像に基づいて、撮影対象の病変の状態が腫瘤であるか正常であるか(腫瘤でないか)を判別する特定装置20について説明する。図7は、特定装置20の構成例を示すブロック図である。特定装置20は、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ等であり、学習装置10と同様の構成を有するので詳細については省略する。特定装置20は、制御部21、記憶部22、表示部23、入力部24、通信部25等を含み、これらの各部はバスを介して相互に接続されている。なお、特定装置20の記憶部22には、本開示のプログラムである特定プログラム22a、学習装置10にて学習済みの第1分類器22b及び第2分類器22cが記憶されている。学習装置10にて学習済みの第1分類器12b及び第2分類器12dはまとめて特定器として提供される。
第1分類器22b及び第2分類器22cは、学習装置10で学習した第1分類器12b及び第2分類器12dである。特定装置20は、例えば通信部25を介してネットワーク経由で学習装置10から第1分類器22b及び第2分類器22cを取得して記憶部22に記憶する。また特定装置20が可搬型記憶媒体に記憶された情報を読み取る読取部等を備える場合、特定装置20は、第1分類器22b及び第2分類器22cを可搬型記憶媒体から読み出して記憶部22に記憶してもよい。また特定装置20は、特定プログラム22aを第1分類器22b及び第2分類器22cと共に、ネットワーク経由で取得してもよいし、可搬型記憶媒体を用いて取得してもよい。
次に、特定装置20において制御部21が特定プログラム22aを実行することによって実現される機能について説明する。図8は、特定装置20の制御部21によって実現される機能を示すブロック図、図9は、特定装置20が行う特定処理の説明図である。特定装置20の制御部21は、記憶部22に記憶してある特定プログラム22aを実行した場合、第1画像取得部201、第1腫瘤領域抽出部202、第1判別部205、第2画像取得部211、第2腫瘤領域抽出部212、第2判別部215、特定部221、出力部222の各機能を実現する。なお、本実施形態では、これらの各機能を制御部21が特定プログラム22aを実行することにより実現するが、これらの一部を専用のハードウェア回路で実現してもよい。
第1画像取得部201は、乳房腫瘤の疑いがある診断対象の患者のガボール画像を取得する。ここでのガボール画像は、患者のマンモグラフィ画像に対してガボールフィルタによるフィルタ処理を行って生成されたガボール画像である。特定装置20は、患者のガボール画像を、例えばネットワーク経由又は可搬型記憶媒体経由で予め取得して記憶部22に記憶しておき、第1画像取得部201は、診断対象のガボール画像を記憶部22から読み出す。なお、特定装置20が、患者のマンモグラフィ画像をネットワーク経由又は可搬型記憶媒体経由で取得して記憶部22に記憶している場合、第1画像取得部201は、診断対象のマンモグラフィ画像を記憶部22から読み出す。そして、第1画像取得部201は、読み出したマンモグラフィ画像に対してガボールフィルタによるフィルタ処理を行ってガボール画像を生成し、患者のガボール画像を取得する。
第1腫瘤領域抽出部202は、第1画像取得部201が取得したガボール画像から腫瘤領域を抽出する。第1腫瘤領域抽出部202は、例えば入力部24を介したユーザ(医師等)の入力操作による指定に基づいて、乳房全体のガボール画像から腫瘤領域を抽出する。これにより、図4Aの左側に示すような腫瘤領域(腫瘤画像)が抽出される。また、第1腫瘤領域抽出部202は、例えばディープラーニングによる学習済みの認識モデルを用いて、第1画像取得部201が取得したガボール画像中の腫瘤領域を認識して抽出してもよい。
第1判別部205は、第1腫瘤領域抽出部202が抽出した腫瘤領域(腫瘤画像)に基づいて、撮影対象の状態が腫瘤であるか正常であるかを第1分類器22bを用いて判別する。具体的には、第1判別部205は、抽出した腫瘤領域を第1分類器22bに入力し、第1分類器22bからの出力値を取得する。第1分類器22bの出力値は、腫瘤又は正常に対する分類確率である。第1判別部205は、判別結果を例えば記憶部22に記憶する。
第2画像取得部211、第2腫瘤領域抽出部212及び第2判別部215のそれぞれは、第1画像取得部201、第1腫瘤領域抽出部202及び第1判別部205とは処理対象の画像が異なるが、それぞれ同様の処理を行う。よって、詳細については説明を省略する。なお、第1画像取得部201が取得するガボール画像と、第2画像取得部211が取得するアイリス画像とは、同じ患者の乳房(撮影対象)の撮影画像である。
第2画像取得部211は、診断対象の患者のアイリス画像を取得する。ここでも、特定装置20は、患者のアイリス画像をネットワーク経由又は可搬型記憶媒体経由で取得して記憶部22に記憶しておき、第2画像取得部211は、診断対象のアイリス画像を記憶部22から読み出す。また、特定装置20が患者のマンモグラフィ画像を記憶部22に記憶している場合、第2画像取得部211は、診断対象のマンモグラフィ画像を記憶部22から読み出し、アイリスフィルタによるフィルタ処理を行ってアイリス画像を生成してもよい。第2腫瘤領域抽出部212は、第2画像取得部211が取得したアイリス画像から腫瘤領域を抽出する。第2判別部215は、第2腫瘤領域抽出部212が抽出した腫瘤領域(腫瘤画像)を第2分類器22cに入力し、第2分類器22cからの出力である腫瘤又は正常に対する分類確率を取得する。第2判別部215は判別結果を例えば記憶部22に記憶する。
特定部221は、患者のガボール画像に基づいて第1判別部205が取得した腫瘤又は正常に対する分類確率と、患者のアイリス画像に基づいて第2判別部215が取得した腫瘤又は正常に対する分類確率とに基づいて、この患者の病変の状態が腫瘤であるか正常であるかを特定する。具体的には、特定部(算出部)221は、第1判別部205が取得した腫瘤又は正常に対する分類確率と、第2判別部215が取得した腫瘤又は正常に対する分類確率とを統合して、この患者における腫瘤又は正常に対する分類確率(判別確率)を算出する。例えば特定部221は、判別対象である腫瘤又は正常のそれぞれについて、ガボール画像に基づいて取得された分類確率と、アイリス画像に基づいて取得された分類確率との平均値を算出し、統合された確率とする。特定部221は、統合した腫瘤又は正常に対する分類確率において、高い分類確率であった判別結果を、この患者の病変の状態として特定する。
出力部222は、特定部221による特定結果を出力する。例えば出力部222は、特定部221による特定結果を表示するための表示情報を生成し、生成した表示情報に基づいて特定結果画面を表示部23に表示する。図9は特定結果画面の例を示しており、図9に示す画面には、特定部221が最終的に算出した、この患者における腫瘤又は正常に対する分類確率(判別確率)が表示され、特定部221が特定した判別結果に下線が付されて目立つように表示されている。また、図9に示す画面には、診断に用いたガボール画像及びアイリス画像が表示されている。よって、出力部222は、ガボール画像及びアイリス画像と、特定部221が算出した腫瘤又は正常に対する分類確率とを表示する特定結果画面を生成する。
表示部23に表示される画面は、図9に示す例に限定されず、例えば、特定部221が最終的に算出した腫瘤又は正常に対する分類確率のみを表示する画面でもよい。また、例えば、特定部221が特定した判別結果について第1判別部205及び第2判別部215で取得された分類確率が高い方の画像(ガボール画像又はアイリス画像)を表示してもよい。また、腫瘤領域の大きさが大きい方の画像(ガボール画像又はアイリス画像)を表示してもよい。このような画像は、特定部221が特定した判別結果であることを判断し易い画像である可能性が高い。また、ガボール画像及びアイリス画像を表示する場合に、ガボール画像及びアイリス画像中の腫瘤領域を目立つように表示してもよい。なお、出力部222は、特定部221による特定結果を表示部23に表示するほかに、音声で出力してもよいし、所定の端末装置に送信してもよい。
次に、診断支援システムにおいて学習装置10による学習処理についてフローチャートに基づいて説明する。図10は学習装置10による学習処理の手順を示すフローチャートである。以下の処理は、学習装置10の記憶部12に記憶してある学習プログラム12aを含む制御プログラムに従って制御部11によって実行される。学習装置10は、第1教師データDB12cに記憶されているガボール画像の第1教師データを用いて第1分類器12bを学習させ、第2教師データDB12eに記憶されているアイリス画像の第2教師データを用いて第2分類器12dを学習させる。第1分類器12bの学習処理と第2分類器12dの学習処理とは同じ処理であり、図10には第1分類器12bの学習処理のみを示す。
学習装置10の制御部11は、第1教師データDB12cからガボール画像の第1教師データを1つ取得する(S11)。第1教師データには、腫瘤又は正常を示す情報と、図4Aに示すようなガボール画像とが含まれる。制御部11は、第1教師データに含まれる腫瘤又は正常を示す情報とガボール画像とを用いて、第1分類器12bを学習させる(S12)。ここでは、制御部11は、ガボール画像を第1分類器12bの入力層のノードに入力し、出力層において、このガボール画像が腫瘤画像(又は正常画像)である場合、ノード0(又はノード1)の出力値が1.0に近づき、ノード1(又はノード0)の出力値が0に近づくように、第1分類器12bを学習させる。
制御部11は、第1教師データDB12cに記憶してある全ての第1教師データに基づく処理を終了したか否かを判断する(S13)。全ての第1教師データに基づく処理を終了していないと判断した場合(S13:NO)、制御部11は、ステップS11の処理に戻り、未処理の第1教師データを1つ取得する(S11)。制御部11は、取得した第1教師データに基づいてステップS12の処理を行う。全ての第1教師データに基づく処理を終了したと判断した場合(S13:YES)、制御部11は、第1分類器12bの学習処理を終了する。
学習装置10の制御部11は、図10に示す処理と同様の処理によって、第2教師データDB12eに記憶されているアイリス画像の第2教師データを用いて第2分類器12dを学習させる。なお、第2分類器12dの学習処理では、図10中のステップS11で、制御部11は、第2教師データDB12eからアイリス画像の第2教師データを取得する。またステップS12で、制御部11は、第2教師データに含まれる腫瘤又は正常を示す情報とアイリス画像とを用いて第2分類器12dを学習させる。
上述した処理により、ガボール画像に基づいて患者の病変の状態が腫瘤であるか否かを判別する第1分類器12bと、アイリス画像に基づいて患者の病変の状態が腫瘤であるか否かを判別する第2分類器12dとを学習させることができる。よって、学習済みの第1分類器12b及び第2分類器12dが得られる。
次に、診断支援システムにおいて特定装置20による特定処理についてフローチャートに基づいて説明する。図11は、特定装置20による特定処理の手順を示すフローチャートである。以下の処理は、特定装置20の記憶部22に記憶してある特定プログラム22aを含む制御プログラムに従って制御部21によって実行される。特定装置20の記憶部22には、学習装置10によって学習済みの第1分類器22b及び第2分類器22cが記憶されている。また、記憶部22には、診断対象の患者の乳房のガボール画像及びアイリス画像が記憶されている。なお、ガボール画像及びアイリス画像の代わりにマンモグラフィ画像が記憶部22に記憶されていてもよい。図11に示す処理では、特定装置20の制御部21は、ステップS21~S24の処理とステップS31~S34の処理とを並列に実行するが、一方の処理を実行した後に他方の処理を実行してもよい。
特定装置20の制御部21は、診断対象の患者のガボール画像を取得する(S21)。なお、記憶部22にマンモグラフィ画像が記憶されている場合、制御部21は、マンモグラフィ画像に対してガボールフィルタによるフィルタ処理を行ってガボール画像を取得する。制御部21は、取得したガボール画像から腫瘤領域を抽出し(S22)、抽出した腫瘤領域に対して、腫瘤領域における病変の状態が腫瘤であるか正常であるかを第1分類器22bにて判別し(S23)、判別結果を記憶部22に記憶する(S24)。具体的には、第1分類器22bは、ガボール画像における病変の状態が腫瘤であるとする判別結果と、正常であるとする判別結果とのそれぞれに対する分類確率を出力し、制御部21は、第1分類器22bから出力された腫瘤又は正常に対する分類確率を記憶部22に記憶する。
一方、制御部21は、患者のアイリス画像を取得し(S31)、取得したアイリス画像から腫瘤領域を抽出し(S32)、抽出した腫瘤領域に対する腫瘤又は正常の判別を第2分類器22cにて行い(S33)、判別結果を記憶部22に記憶する(S34)。ここでは、第2分類器22cは、アイリス画像における病変の状態が腫瘤であるとする判別結果と、正常であるとする判別結果とのそれぞれに対する分類確率を出力し、制御部21は、第2分類器22cから出力された腫瘤又は正常に対する分類確率を記憶部22に記憶する。
制御部21は、ステップS23でガボール画像に基づいて取得した腫瘤又は正常に対する分類確率と、ステップS33でアイリス画像に基づいて取得した腫瘤又は正常に対する分類確率とを統合して、この患者における腫瘤又は正常に対する分類確率を算出する(S41)。制御部21は、算出した患者における腫瘤又は正常に対する分類確率を判別結果として表示するための表示情報を生成する(S42)。例えば、制御部21は、この患者における腫瘤又は正常に対する分類確率を表示するための表示情報を生成する。そして、制御部21は、生成した表示情報に基づいて、特定装置20による判別結果を表示部23に表示する(S43)。これにより、例えば図9に示すような画面が表示部23に表示され、特定装置20による判別結果が通知される。
本実施形態では、患者のガボール画像及びアイリス画像に基づいて、撮影対象の病変が腫瘤である可能性を示す分類確率と、正常である可能性を示す分類確率とを算出できる。よって、病変の状態が腫瘤又は正常である可能性を通知できるので、医師は、マンモグラフィ画像に基づいて病変の状態を診断する際に考慮でき、医師による診断を支援できる。医師が医用画像の情報を目視で正確に読み取ることは困難であるが、特定装置20は医用画像に基づいて判別を行うので、医用画像を有効に利用できる。
本実施形態では、第1分類器22bを用いたガボール画像に基づく判別結果と、第2分類器22cを用いたアイリス画像に基づく判別結果とを統合して、患者の病変が腫瘤であるか正常であるかを判別する。これにより、判別精度が向上する。出願人は、特定装置20による判別処理の精度を評価するための評価実験を行った。比較対象として、第1分類器22bを用いてガボール画像に基づいて病変の状態が腫瘤であるか否かを判別した場合、例えば48枚のガボール画像のテストデータに対して正解であると判別できた割合(分類精度)は64.6%であった。また、第2分類器22cを用いてアイリス画像に基づいて病変の状態が腫瘤であるか否かを判別した場合、例えば48枚のアイリス画像のテストデータに対して正解であると判別できた割合(分類精度)は62.5%であった。更に出願人は、ガボール画像及びアイリス画像の2つの画像を入力し、2つの画像に基づいて撮影対象の病変の状態が腫瘤であるか否かを判別する分類器を用いた判別処理を行った。この場合、例えばそれぞれ48枚のガボール画像及びアイリス画像のテストデータに対して正解であると判別できた割合(分類精度)は58.3%であった。これに対して、本実施形態の特定装置20による判別処理における分類精度は66.7%であった。このように、第1分類器22b又は第2分類器22cの一方のみを用いた判別処理による分類精度や、2つの画像を入力して判別する判別処理による分類精度と比較して、第1分類器22b及び第2分類器22cによる判別結果を統合して判別する判別処理による分類精度が高い値となっている。よって、異なる種類の医用画像に対して、それぞれの医用画像用の分類器を用いた判別処理を行い、それぞれの判別結果を統合して最終的な判別結果を特定することによって、判別精度を向上させることができる。
本実施形態では、診断に用いる画像としてマンモグラフィ画像からフィルタ処理によって得られるガボール画像及びアイリス画像を用いたが、これらに限定されない。また、分類器22b,22cによる判別対象は、腫瘤又は正常の2種別に限定されない。例えば、乳癌、乳腺線維腺腫、乳腺症、乳腺炎、葉状腫瘍等の各種の病変について、それぞれの教師データを用いて分類器22b,22cに学習させることによって病変の種類の判別が可能となる。
本実施形態において、学習装置10は、教師データのガボール画像及びアイリス画像をそのまま用いて分類器12b,12dを学習させる代わりに、教師データのガボール画像及びアイリス画像からそれぞれ、所定の画素数の画素を有するパッチ画像を複数抽出し、パッチ画像にて分類器12b,12dを学習させてもよい。この場合、特定装置20は、診断対象の患者のガボール画像及びアイリス画像をそのまま用いて分類器22b,22cによる判別処理を行う代わりに、ガボール画像及びアイリス画像からパッチ画像を複数抽出し、パッチ画像にて分類器22b,22cによる判別処理を行ってもよい。画像から抽出したパッチ画像を教師データに用いる場合、1枚の画像から複数のパッチ画像(教師データ)を生成できるので、教師データ数を増やすことができ、その結果、学習精度を向上させることができる。また、画像から抽出したパッチ画像を用いて判別処理を行う場合、判別対象のデータ数を増やすことができるので、判別精度を向上させることができる。
本実施形態において、3種別以上の画像を用いて患者の病変の状態を判別するように構成することもできる。この場合、学習装置10は、画像の種類毎に、教師データを用いて分類器(学習モデル)を学習させ、特定装置20は、画像の種類毎に分類器を用いた判別処理を行い、画像の種類毎の判別結果を統合して、患者の病変の状態を判別する。このような構成とした場合、判別精度の更なる向上が期待できる。
(実施形態2)
肺癌の疑いがある患者の肺をPET-CTで撮影して得られた医用画像(PET画像及びCT画像)に基づいて、肺の所定部位の状態として肺癌であるか否かを判別する診断支援システムについて説明する。本実施形態においては異なる種類の画像を取得するために、異なる撮像方式に基づいた画像(PET画像及びCT画像)を使用する。本実施形態の診断支援システムの各装置は、実施形態1の各装置と同じ構成を有するので、構成については説明を省略する。本実施形態では、PET-CTで撮影して得られたPET画像及びCT画像を用いて、撮影対象の状態が肺癌であるか否かを判断(判別)する。なお、判断に用いる医用画像はこれらに限定されず、他の種類の医用画像を用いてもよい。また、判断に用いる複数種類の医用画像は、同じ撮影対象(患者の肺)を撮影した撮影画像であればよく、PET-CTにて同時に撮影されたものであってもよく、PET及びCTのそれぞれの装置にて各別に撮影されたものであってもよい。
本実施形態では、第1分類器12b,22bは、患者のPET画像に基づいて、撮影対象の病変の状態が肺癌であるか正常であるかを判別する分類器であり、第2分類器12d,22cは、患者のCT画像に基づいて、撮影対象の病変の状態が肺癌であるか正常であるかを判別する分類器である。よって、第1教師データDB12cには、肺癌患者のPET画像から抽出された腫瘤領域(肺癌領域)を含む腫瘤画像と、腫瘤(肺癌)がない正常領域を含む正常画像とによる第1教師データが多数蓄積されており、第2教師データDB12eには、肺癌患者のCT画像から抽出された腫瘤領域(肺癌領域)を含む腫瘤画像と、腫瘤(肺癌)がない正常領域を含む正常画像とによる第2教師データが多数蓄積されている。そして、本実施形態の学習装置10は、PET画像による第1教師データに基づいて第1分類器12bを学習させ、CT画像による第2教師データに基づいて第2分類器12dを学習させる。
本実施形態の学習装置10では、制御部11は学習プログラム12aを実行することによって図5に示した各機能を実現する。なお、本実施形態において、第1教師データ取得部101は、第1教師データDB12cからPET画像による第1教師データを取得する。第1学習部104は、第1教師データに含まれる肺癌又は正常を示す情報とPET画像とに基づいて第1分類器12bを学習させる。また、第2教師データ取得部111は、第2教師データDB12eからCT画像による第2教師データを取得する。また第2学習部114は、第2教師データに含まれる肺癌又は正常を示す情報とCT画像とに基づいて第2分類器12dを学習させる。
本実施形態の特定装置20では、制御部21は特定プログラム22aを実行することによって図8に示した各機能を実現する。なお、本実施形態において、第1画像取得部201は、診断対象の患者のPET画像を取得し、第1腫瘤領域抽出部202は、PET画像から腫瘤領域を抽出する。第1判別部205は、PET画像から抽出した腫瘤領域に対して第1分類器22bが出力した肺癌又は正常に対する分類確率を取得する。また、第2画像取得部211は、診断対象の患者のCT画像を取得し、第2腫瘤領域抽出部212は、CT画像から腫瘤領域を抽出する。第2判別部215は、CT画像から抽出した腫瘤領域に対して第2分類器22cが出力した肺癌又は正常に対する分類確率を取得する。その他の機能は実施形態1と同様であるので説明を省略する。
本実施形態において、学習装置10は、図10に示した処理と同様の処理を行う。なお、本実施形態では、図10中のステップS11で、制御部11は、第1教師データDB12cからPET画像による第1教師データを取得し、ステップS12で、第1教師データに含まれるPET画像と、肺癌又は正常を示す情報とを用いて、第1分類器12bを学習させる。その他の処理は実施形態1と同様であるので説明を省略する。また、本実施形態の学習装置10の制御部11は、図10に示す処理と同様の処理によって、第2教師データDB12eに記憶されているCT画像の第2教師データを用いて第2分類器12dを学習させる。これにより、学習済みの第1分類器12b及び第2分類器12dが得られる。
本実施形態において、特定装置20は、図11に示した処理と同様の処理を行う。なお、本実施形態では、図11中のステップS21で、制御部21は、診断対象の患者のPET画像を取得し、ステップS22で、取得したPET画像から腫瘤領域を抽出する。またステップS23で、制御部21は、PET画像から抽出した腫瘤領域に対して、病変の状態が肺癌であるか正常であるかを第1分類器22bにて判別する。また、制御部21は、ステップS31で診断対象の患者のCT画像を取得し、ステップS32で、取得したCT画像から腫瘤領域を抽出する。またステップS33で、制御部21は、CT画像から抽出した腫瘤領域に対して、病変の状態が肺癌であるか正常であるかを第2分類器22cにて判別する。その他の処理は実施形態1と同様であるので説明を省略する。
本実施形態では、上述した実施形態1と同様の効果が得られる。よって、患者の病変の状態が肺癌である可能性及び肺癌でない(正常である)可能性を通知できるので、医師は、PET画像及びCT画像に基づいて病変の状態を診断する際に考慮でき、医師による診断を支援できる。また、第1分類器22bを用いたPET画像に基づく判別結果と、第2分類器22cを用いたCT画像に基づく判別結果とを統合して、患者の病変が肺癌であるか否かを判別するので、判別精度が向上する。
本実施形態においても、診断に用いる医用画像はPET画像及びCT画像に限定されない。また、分類器22b,22cによる判別対象は、肺癌又は正常の2種別に限定されない。例えば、肺癌のほかに、転移性肺腫瘍、過誤腫、硬化性血管腫等の各種の病変について、それぞれの教師データを用いて分類器22b,22cに学習させることによって病変の種類の判別が可能となる。また、本実施形態においても、実施形態1で説明した変形例の適応が可能である。即ち、学習装置10は、教師データのPET画像及びCT画像からそれぞれ複数のパッチ画像を抽出し、パッチ画像にて分類器12b,12dを学習させてもよく、特定装置20は、診断対象の患者のPET画像及びCT画像からそれぞれ複数のパッチ画像を抽出し、パッチ画像にて分類器22b,22cによる判別処理を行ってもよい。また、本実施形態の診断支援システムを、3種別以上の画像を用いて患者の病変の状態を判別するように構成してもよい。
(実施形態3)
脳腫瘍の患者の脳をMRIで撮影して得られた医用画像(MRI画像)に基づいて、撮影対象である脳腫瘍の状態(種別)を判別する診断支援システムについて説明する。本実施形態の診断支援システムの各装置は、実施形態1の各装置と同じ構成を有するので、構成については説明を省略する。本実施形態では、MRIで撮影して得られたMRI画像を用いて、撮影対象の脳腫瘍の種別を判別する。
MRIは、撮影時のパラメータを異ならせることによって異なる種類のMRI画像を得ることができる。本実施形態の診断支援システムでは、造影剤を用いずに水、脂肪及び腫瘍が白く写る方法で撮影して得られたT2強調画像と、造影剤を用いて脂肪及び造影剤が白く写り、水及び腫瘍が黒く写る方法で撮影して得られたT1CE画像とを用いて、撮影対象の脳腫瘍の種別を判別する。脳腫瘍の種別の判別に用いる医用画像はこれらに限定されず、他の種類の医用画像を用いてもよい。MRIは、患者の頭(撮影対象の脳)を上下方向に走査しつつ前後左右方向の平面で切った断面画像(スライス画像)を取得する装置であり、1人の患者の脳に対して、T2強調画像であれば例えば20枚程度撮影し、T1CE画像であれば例えば200程度撮影する。MRIによる撮影枚数はこれらの枚数に限定されない。
図12はT2強調画像の例を示す模式図、図13はT1CE画像の例を示す模式図である。T2強調画像及びT1CE画像のサイズは例えば512画素×512画素とすることができるが、これに限定されない。T2強調画像では病変(腫瘍)の領域を認識し易く、T1CE画像では病変(腫瘍)の輪郭を認識し易い。図12には、膠芽腫、悪性リンパ腫、髄膜腫、転移性腫瘍、神経鞘腫の5種別の脳腫瘍のT2強調画像の例を示し、図13には、膠芽腫、悪性リンパ腫、髄膜腫、転移性腫瘍、神経鞘腫の5種別の脳腫瘍のT1CE画像の例を示す。本実施形態の診断支援システムでは、判別対象の脳腫瘍の種別として、膠芽腫、悪性リンパ腫、髄膜腫、転移性腫瘍、神経鞘腫の5種別のいずれであるかを判別する。よって、第1分類器12b,22bは、患者のT2強調画像に基づいて、このT2強調画像に対する脳腫瘍の種別を判別する分類器であり、第2分類器12d,22cは、患者のT1CE画像に基づいて、このT1CE画像に対する脳腫瘍の種別を判別する分類器である。
従って、本実施形態の第1教師データDB12cには、膠芽腫、悪性リンパ腫、髄膜腫、転移性腫瘍、神経鞘腫のそれぞれに対応付けて、図12に示すようなT2強調画像が多数蓄積されている。また、第2教師データDB12eには、脳腫瘍の種別のそれぞれに対応付けて、図13に示すようなT1CE画像が多数蓄積されている。なお、第1教師データDB12cにおいて、1つのT2強調画像(スライス画像)と、このT2強調画像に対応付けられた脳腫瘍の種別(膠芽腫、悪性リンパ腫、髄膜腫、転移性腫瘍又は神経鞘腫)を示す情報とのセットを第1教師データという。また、第2教師データDB12eにおいて、1つのT1CE画像(スライス画像)と、このT1CE画像に対応付けられた脳腫瘍の種別を示す情報とのセットを第2教師データという。本実施形態の学習装置10は、図12に示すようなT2強調画像による第1教師データに基づいて第1分類器12bを学習させ、図13に示すようなT1CE画像による第2教師データに基づいて第2分類器12dを学習させる。
図14は、実施形態3の学習装置10の制御部11によって実現される機能を示すブロック図、図15及び図16は、実施形態3の学習装置10が行う学習処理の説明図である。本実施形態の学習装置10では、制御部11は学習プログラム12aを実行した場合、第1教師データ取得部101、第1腫瘤領域抽出部102、第1パッチ画像抽出部103、第1学習部104、第2教師データ取得部111、第2腫瘤領域抽出部112、第2パッチ画像抽出部113、第2学習部114の各機能を実現する。なお、これらの各機能の一部を専用のハードウェア回路で実現してもよい。第1教師データ取得部101、第1学習部104、第2教師データ取得部111及び第2学習部114は、図5に示した実施形態1の各機能と同様の処理を行う。
本実施形態において、第1教師データ取得部101は、第1教師データDB12cからT2強調画像による第1教師データを取得する。第1教師データには、脳腫瘍の種別を示す情報とT2強調画像(スライス画像)とが含まれる。第1腫瘤領域抽出部102は、第1教師データ取得部101が取得したT2強調画像から腫瘤領域(脳腫瘍領域)を抽出する。第1教師データDB12cに記憶されるT2強調画像は脳全体の画像であり、第1腫瘤領域抽出部102は、例えば入力部14を介したユーザの入力操作による指定に基づいて脳腫瘍領域を抽出する。また、第1腫瘤領域抽出部102は、例えばディープラーニングによる学習済みの認識モデルを用いて、第1教師データ取得部101が取得したT2強調画像中の脳腫瘍領域を認識して抽出してもよい。図15Aに示す例では、破線の閉曲線で囲まれた領域Rが脳腫瘍領域として抽出されている。
第1パッチ画像抽出部103は、第1腫瘤領域抽出部102が抽出した腫瘤領域に対して、所定の画素数の画素を含む矩形のパッチ画像(画素ブロック)を複数抽出する。パッチ画像のサイズは例えば128画素×128画素とすることができるが、これに限定されない。第1パッチ画像抽出部103は、第1腫瘤領域抽出部102が抽出した腫瘤領域内の所定間隔を隔てた各位置をそれぞれ中央位置とするパッチ画像を、1枚のT2強調画像(腫瘤領域)から例えば100~200枚程度抽出する。図15Bに示す例では、それぞれの矩形で囲まれた領域Pがパッチ画像として抽出されている。
第1学習部104は、第1教師データに含まれる脳腫瘍の種別を示す情報と、T2強調画像から抽出された複数のパッチ画像(T2強調画像のパッチ画像)とに基づいて第1分類器12bを学習させる。ここで、本実施形態の第1分類器12bについて説明する。図16は本実施形態の第1分類器12bを示し、図16に示す第1分類器12bは、実施形態1の第1分類器12bと同様にCNNで構成されている。図16に示すように、本実施形態の第1分類器12bでは、入力層のノード数は16,384(チャンネル数は1)であり、出力層のノード数は5である。本実施形態の第1分類器12bには、上述したようなパッチ画像が入力データとして与えられる。出力層の各ノードは、5種別の脳腫瘍のそれぞれに対する分類確率を出力する。例えば入力されたパッチ画像が膠芽腫の画像である確率をノード0が出力し、悪性リンパ腫の画像である確率をノード1が出力し、髄膜腫の画像である確率をノード2が出力し、転移性腫瘍の画像である確率をノード3が出力し、神経鞘腫の画像である確率をノード4が出力する。出力層の各ノードの出力値は例えば0~1.0の値であり、5つのノードから出力された確率の合計が1.0(100%)となる。本実施形態の第2分類器12dも第1分類器12bと同様の構成を有する。
本実施形態の第1学習部104は、T2強調画像から抽出したパッチ画像を第1分類器12bの入力層のノードに入力し、出力層において、このパッチ画像(T2強調画像)の脳腫瘍の種別に応じたノードの出力値が1.0に近づき、その他のノードの出力値が0に近づくように、第1分類器12bを学習させる。即ち、第1学習部104は、入力層のノードに入力したパッチ画像が膠芽腫の画像である場合、ノード0の出力値が1.0に近づき、ノード1~4の出力値が0に近づくように第1分類器12bを学習させる。
本実施形態において、第2教師データ取得部111、第2腫瘤領域抽出部112、第2パッチ画像抽出部113及び第2学習部114のそれぞれは、第1教師データ取得部101、第1腫瘤領域抽出部102、第1パッチ画像抽出部103及び第1学習部104とは処理対象の画像が異なるが、それぞれ同様の処理を行う。また、第2分類器12dは第1分類器12bと同様の構成を有する。よって、これらについての詳細な説明は省略する。第2教師データ取得部111は、第2教師データDB12eからT1CE画像による第2教師データを取得し、第2腫瘤領域抽出部112は、T1CE画像から腫瘤領域(脳腫瘍領域)を抽出する。また第2パッチ画像抽出部113は、T1CE画像から抽出された脳腫瘍領域から複数のパッチ画像を抽出する。第2学習部114は、第2教師データに含まれる脳腫瘍の種別を示す情報と、T1CE画像から抽出された複数のパッチ画像とに基づいて第2分類器12dを学習させる。
図17は、実施形態3の特定装置20の制御部21によって実現される機能を示すブロック図、図18~図20は、実施形態3の特定装置20が行う特定処理の説明図である。本実施形態の特定装置20の制御部21は、記憶部22に記憶してある特定プログラム22aを実行した場合、第1画像取得部201、第1腫瘤領域抽出部202、第1パッチ画像抽出部203、第1パッチ判別部204、第1判別部205、第2画像取得部211、第2腫瘤領域抽出部212、第2パッチ画像抽出部213、第2パッチ判別部214、第2判別部215、特定部221、出力部222の各機能を実現する。なお、本実施形態では、これらの各機能の一部を専用のハードウェア回路で実現してもよい。第1画像取得部201、第1腫瘤領域抽出部202、第2画像取得部211、第2腫瘤領域抽出部212、特定部221、出力部222は、図8に示した実施形態1の各機能と同様の処理を行う。
本実施形態において、第1画像取得部201は、診断対象の患者のT2強調画像(スライス画像)を取得する。なお、T2強調画像は、患者の脳を上下方向に走査しつつ撮影した断面画像であり、1人の患者に対して複数枚のT2強調画像が1セットとして処理される。よって、第1画像取得部201は、1人の患者から得られた複数のT2強調画像を取得する。第1腫瘤領域抽出部202は、第1画像取得部201が取得したT2強調画像のそれぞれから脳腫瘍領域を抽出する。
第1パッチ画像抽出部203は、学習装置10の制御部11が実現する第1パッチ画像抽出部103と同様の処理を行う。即ち、第1パッチ画像抽出部203は、第1腫瘤領域抽出部202が抽出した腫瘤領域のそれぞれから複数のパッチ画像を抽出する。第1パッチ判別部204は、第1パッチ画像抽出部203が抽出したパッチ画像(T2強調画像のパッチ画像)に基づいて、それぞれのパッチ画像に対する脳腫瘍の種別を第1分類器22bを用いて判別する。具体的には、第1パッチ判別部204は、パッチ画像のそれぞれを第1分類器22bに入力し、第1分類器22bからの出力値を取得する。第1分類器22bの出力値は、5種別の脳腫瘍(膠芽腫、悪性リンパ腫、髄膜腫、転移性腫瘍、神経鞘腫)のそれぞれに対する分類確率である。第1パッチ判別部204は、1人の患者における複数のT2強調画像のそれぞれから第1パッチ画像抽出部203が抽出したパッチ画像についてそれぞれ判別処理を行う。第1パッチ判別部204は、それぞれのパッチ画像に対する判別結果を例えば記憶部22に記憶する。図18は、第1パッチ判別部204による判別結果を示す模式図である。図18に示すテーブルには、患者ID、T2強調画像ID、パッチID、分類確率が対応付けて記憶されている。患者IDは各患者に割り当てられた識別情報であり、T2強調画像IDは、患者のT2強調画像に割り当てられた識別情報であり、パッチIDは、T2強調画像から抽出されたパッチ画像のそれぞれに割り当てられた識別情報である。分類確率は、それぞれのパッチ画像に基づいて第1分類器22bが出力した脳腫瘍の各種別に対する分類確率である。
第1判別部205は、第1パッチ判別部204による判別結果に基づいて、それぞれのT2強調画像(スライス画像)について、脳腫瘍の各種別に対する分類確率を算出する。即ち、第1判別部205は、第1分類器22bが各パッチ画像に対して出力した脳腫瘍の種別毎の分類確率に基づいて、このパッチ画像が抽出されたT2強調画像(スライス画像)における脳腫瘍の種別毎の分類確率を算出する。例えば第1判別部205は、1枚のT2強調画像から抽出されたパッチ画像のそれぞれに対して出力された脳腫瘍の各種別に対する分類確率の平均値をそれぞれ算出して、このT2強調画像における脳腫瘍の種別毎の分類確率としてもよい。T2強調画像における脳腫瘍の種別毎の分類確率の算出方法はこれに限定されない。例えば、一部のパッチ画像における脳腫瘍の種別毎の分類確率の平均値を、T2強調画像における脳腫瘍の種別毎の分類確率としてもよい。第1判別部205は、1人の患者における全てのT2強調画像に対して、脳腫瘍の種別毎の分類確率を算出し、例えば記憶部22に記憶する。
そして、本実施形態の第1判別部205は、それぞれのT2強調画像(スライス画像)について算出した脳腫瘍の種別毎の分類確率に基づいて、この患者の脳腫瘍の種別を判別する。具体的には、第1判別部205は、それぞれのT2強調画像における脳腫瘍の種別毎の分類確率に基づいて、この患者における脳腫瘍の種別毎の分類確率を算出する。ここで、第1判別部205は、例えば、それぞれのT2強調画像における脳腫瘍領域の大きさ(面積)に応じた重み付けを行って、脳腫瘍の各種別に対する分類確率の加重平均値(重み付き平均)を算出し、患者における脳腫瘍の種別毎の分類確率とする。
図19は、T2強調画像における脳腫瘍領域の大きさに応じた重み付けを説明するための模式図である。図19A~Dには、T2強調画像と、それぞれT2強調画像中の脳腫瘍領域(腫瘍領域)とを示している。図19A~Dに示すT2強調画像において、それぞれの脳腫瘍領域の面積がa1~a4であり、最大面積がa2であったとする。この場合、図19A~Dに示すT2強調画像における脳腫瘍領域の大きさに応じた係数(重み係数)はそれぞれ、a1/a2,1,a3/a2,a4/a2とすることができる。そして、第1判別部205は、脳腫瘍の種別毎に、それぞれのT2強調画像における分類確率に、脳腫瘍領域の大きさに応じた係数を掛け算した上で加算し、その合計値を係数の合計値で割り算し、得られた商を、この患者における分類確率とする。T2強調画像における分類確率から患者の分類確率を算出する方法はこれに限定されない。例えば、一部のT2強調画像における分類確率を用いて患者の分類確率を算出してもよい。第1判別部205は、判別対象の脳腫瘍のそれぞれについて、患者における分類確率を算出する。
第2画像取得部211、第2腫瘤領域抽出部212、第2パッチ画像抽出部213、第2パッチ判別部214及び第2判別部215のそれぞれは、第1画像取得部201、第1腫瘤領域抽出部202、第1パッチ画像抽出部203、第1パッチ判別部204及び第1判別部205とは処理対象の画像が異なるが、それぞれ同様の処理を行う。よって、詳細については説明を省略する。なお、第1画像取得部201が取得するT2強調画像と、第2画像取得部211が取得するT1CE画像とは、同じ患者の脳(撮影対象)の同じ箇所での断面画像である。このようなT2強調画像及びT1CE画像は、同一の撮像装置にて同じ撮影タイミングでパラメータを異ならせて撮影されたものであってもよく、異なる撮像装置にて撮影されたものであってもよく、1つの撮像装置にて撮影した後に異なる画像処理を行うことによって生成されたものでもよい。
第2画像取得部211は、1人の患者から得られた複数のT1CE画像(スライス画像)を取得する。第2腫瘤領域抽出部212は、第2画像取得部211が取得したT1CE画像のそれぞれから脳腫瘍領域を抽出する。第2パッチ画像抽出部213は、第2腫瘤領域抽出部212が抽出した脳腫瘍領域のそれぞれから複数のパッチ画像を抽出する。
本実施形態において、第2パッチ判別部214は、T1CE画像(脳腫瘍領域)から抽出したパッチ画像のそれぞれを第2分類器22cに入力し、第2分類器22cからの出力である5種別の脳腫瘍のそれぞれに対する分類確率を取得する。第2パッチ判別部214は、1人の患者における複数のT1CE画像のそれぞれから抽出されたパッチ画像についてそれぞれ判別処理を行い、図18に示すテーブルと同様の構成のテーブルに判別結果を記憶する。なお、第2パッチ判別部214が判別結果を記憶するテーブルは、図18に示すテーブルにおいてT2強調画像IDの代わりにT1CE画像IDが記憶される。
第2判別部215は、第2分類器22cが各パッチ画像に対して出力した脳腫瘍の種別毎の分類確率に基づいて、このパッチ画像が抽出されたT1CE画像(スライス画像)における脳腫瘍の種別毎の分類確率を算出する。そして、第2判別部215は、それぞれのT1CE画像(スライス画像)について算出した脳腫瘍の種別毎の分類確率に基づいて、この患者における脳腫瘍の種別毎の分類確率を算出する。ここでも、第2判別部215は、T1CE画像における脳腫瘍領域の大きさに応じた重み係数を用いて、患者における脳腫瘍の種別毎の分類確率を算出してもよい。第2判別部215は、1人の患者に対して、判別対象の脳腫瘍の種別毎の分類確率を算出し、例えば記憶部22に記憶する。
本実施形態の特定部221は、患者のT2強調画像に基づいて第1判別部205が算出した脳腫瘍の種別毎の分類確率と、患者のT1CE画像に基づいて第2判別部215が算出した脳腫瘍の種別毎の分類確率とに基づいて、この患者における脳腫瘍の種別を特定する。具体的には、特定部221は、第1判別部205が算出した脳腫瘍の種別毎の分類確率と、第2判別部215が算出した脳腫瘍の種別毎の分類確率とを統合して、この患者における脳腫瘍の種別毎の分類確率(判別確率)を算出する。例えば特定部221は、脳腫瘍の種別毎に、T2強調画像に基づいて算出された分類確率と、T1CE画像に基づいて算出された分類確率との平均値をそれぞれ算出し、統合された確率とする。特定部221は、統合した脳腫瘍の種別毎の分類確率のうちで最高の分類確率であった脳腫瘍を、この患者の脳腫瘍に特定する。
本実施形態の出力部222は、特定部221による特定結果を表示するための表示情報を生成し、生成した表示情報に基づいて、図20に示すような特定結果画面を表示部23に表示する。図20に示す画面には、特定部221が最終的に算出した、この患者における脳腫瘍の種別毎の分類確率(判別確率)が表示され、特定部221が特定した脳腫瘍に下線が付されて、他の脳腫瘍よりも目立つように表示されている。また、図20に示す画面には、例えば、診断対象のT2強調画像のうちで、特定部221が特定した脳腫瘍(図20では転移性腫瘍)について、第1判別部205で算出された分類確率が最高であったT2強調画像が表示されている。このようなT2強調画像は、特定部221が特定した脳腫瘍であることを判断し易い画像である可能性が高い。同様に、図20に示す画面には、診断対象のT1CE画像のうちで、特定部221が特定した脳腫瘍について、第2判別部215で算出された分類確率が最高であったT1CE画像が表示されている。よって、出力部222は、上述したようなT2強調画像及びT1CE画像をそれぞれ選択し、この患者における脳腫瘍の種別毎に算出された分類確率と共に表示する特定結果画面を生成する。
表示部23に表示される画面は、図20に示す例に限定されず、例えば、この患者における脳腫瘍の種別毎の分類確率のみを表示する画面でもよい。また、例えば、特定部221が特定した脳腫瘍について第1判別部205で算出された分類確率が高いT2強調画像のうちで、脳腫瘍領域の大きさが最も大きいT2強調画像を表示してもよい。同様に、特定部221が特定した脳腫瘍について第2判別部215で算出された分類確率が高いT1CE強調画像のうちで、脳腫瘍領域の大きさが最も大きいT1CE画像を表示してもよい。また、例えば、特定部221が特定した脳腫瘍について、第1パッチ判別部204で算出された分類確率が所定値以上であったT2強調画像のパッチ画像を表示してもよい。同様に、特定部221が特定した脳腫瘍について、第2パッチ判別部214で算出された分類確率が所定値以上であったT1CE画像のパッチ画像を表示してもよい。更に、それぞれ表示されるスライス画像(T2強調画像及びT1CE画像)に対して、脳腫瘍領域をハイライト表示してもよい。
図21は、実施形態3の学習装置10による学習処理の手順を示すフローチャートである。本実施形態の学習装置10は、第1教師データDB12cに記憶されているT2強調画像の第1教師データを用いて第1分類器12bを学習させ、第2教師データDB12eに記憶されているT1CE画像の第2教師データを用いて第2分類器12dを学習させる。第1分類器12bの学習処理と第2分類器12dの学習処理とは同じ処理であり、図21には第1分類器12bの学習処理のみを示す。
本実施形態の学習装置10において、制御部11は、第1教師データDB12cからT2強調画像の第1教師データを1つ取得する(S91)。第1教師データには、脳腫瘍の種別を示す情報とT2強調画像(スライス画像)とが含まれる。制御部11は、取得したT2強調画像から腫瘤領域(脳腫瘍領域)を抽出し(S92)、抽出した腫瘤領域に対して、所定の画素数の画素を含むパッチ画像を抽出する(S93)。そして、制御部11は、1つのパッチ画像と、第1教師データに含まれる脳腫瘍の種別を示す情報とを用いて、第1分類器12bを学習させる(S94)。ここでは、制御部11は、パッチ画像を第1分類器12bの入力層のノードに入力し、出力層において、このパッチ画像の脳腫瘍の種別に応じたノードの出力値が1.0に近づき、その他のノードの出力値が0に近づくように、第1分類器12bを学習させる。
制御部11は、ステップS93でT2強調画像から抽出した全てのパッチ画像に対して処理を終了したか否かを判断し(S95)、終了していないと判断した場合(S95:NO)、ステップS94の処理に戻り、未処理のパッチ画像を用いて第1分類器12bを学習させる(S94)。全てのパッチ画像に対して処理を終了したと判断した場合(95:YES)、制御部11は、第1教師データDB12cに記憶してある全ての第1教師データに基づく処理を終了したか否かを判断する(S96)。全ての第1教師データに基づく処理を終了していないと判断した場合(S96:NO)、制御部11は、ステップS91の処理に戻り、未処理の第1教師データを1つ取得する(S91)。制御部11は、取得した第1教師データに基づいてステップS92~S95の処理を行う。全ての第1教師データに基づく処理を終了したと判断した場合(S96:YES)、制御部11は、第1分類器12bの学習処理を終了する。
本実施形態の学習装置10の制御部11は、図21に示す処理と同様の処理によって、第2教師データDB12eに記憶されているT1CE画像の第2教師データを用いて第2分類器12dを学習させる。なお、第2分類器12dの学習処理では、図21中のステップS91で、制御部11は、第2教師データDB12eからT1CE画像の第2教師データを取得する。またステップS94で、制御部11は、T1CE画像から抽出されたパッチ画像と、第2教師データに含まれる脳腫瘍の種別を示す情報とを用いて第2分類器12dを学習させる。上述した処理により、T2強調画像に基づいて患者の脳腫瘍の種別を判別する第1分類器12bと、T1CE画像に基づいて患者の脳腫瘍の種別を判別する第2分類器12dとを学習させることができる。よって、学習済みの第1分類器12b及び第2分類器12dが得られる。
図22及び図23は、実施形態3の特定装置20による特定処理の手順を示すフローチャートである。特定装置20の記憶部22には、学習装置10によって学習済みの第1分類器22b及び第2分類器22cが記憶されている。また、記憶部22には、診断対象の患者の脳のT2強調画像及びT1CE画像がそれぞれ複数枚ずつ記憶されている。図22に示す処理では、特定装置20の制御部21は、ステップS51~S59の処理とステップS61~S69の処理とを並列に実行するが、一方の処理を実行した後に他方の処理を実行してもよい。
本実施形態において、特定装置20の制御部21は、診断対象の患者のT2強調画像のうちの1つを取得する(S51)。制御部21は、取得したT2強調画像から脳腫瘍領域を抽出し(S52)、抽出した脳腫瘍領域から複数のパッチ画像を抽出する(S53)。そして、制御部21は、1つのパッチ画像に対する脳腫瘍の種別を第1分類器22bにて判別し(S54)、判別結果を記憶部22に記憶する(S55)。判別結果とは、第1分類器22bから出力される脳腫瘍の種別毎の分類確率である。制御部21は、ステップS53でT2強調画像から抽出した全てのパッチ画像に対して処理を終了したか否かを判断し(S56)、終了していないと判断した場合(S56:NO)、ステップS54の処理に戻り、未処理のパッチ画像に対してステップS54~S55の処理を行う。
全てのパッチ画像に対して処理を終了したと判断した場合(S56:YES)、制御部21は、記憶部22に記憶した各パッチ画像に対する脳腫瘍の種別毎の分類確率に基づいて、ステップS51で取得したT2強調画像(スライス画像)に対する脳腫瘍の種別毎の分類確率を算出する(S57)。例えば制御部21は、脳腫瘍の種別毎に、各パッチ画像に基づく分類確率の平均値を算出し、スライス画像(T2強調画像)に対する分類確率とする。制御部21は、1つのT2強調画像に対して算出した脳腫瘍の種別毎の分類確率を記憶部22に記憶しておく。
制御部21は、全てのT2強調画像に対して処理を終了したか否かを判断する(S58)。全てのT2強調画像に対して処理を終了していないと判断した場合(S58:NO)、制御部21は、ステップS51の処理に戻り、未処理のT2強調画像を1つ取得する(S51)。制御部21は、取得したT2強調画像に対してステップS52~S57の処理を行う。全てのT2強調画像に対して処理を終了したと判断した場合(S58:YES)、制御部21は、それぞれのT2強調画像に対する脳腫瘍の種別毎の分類確率に基づいて、この患者に対する脳腫瘍の種別毎の分類確率を算出する(S59)。ここでは、制御部21は、脳腫瘍の種別毎に、それぞれのT2強調画像に基づく分類確率から、それぞれのT2強調画像中の脳腫瘍領域の大きさに応じた重み係数を用いた加重平均値を算出し、患者に対する分類確率とする。
一方、制御部21は、患者のT1CE画像のうちの1つを取得し(S61)、取得したT1CE画像から脳腫瘍領域を抽出し(S62)、抽出した脳腫瘍領域から複数のパッチ画像を抽出する(S63)。そして、制御部21は、1つのパッチ画像に対する脳腫瘍の種別を第2分類器22cにて判別し(S64)、判別結果を記憶部22に記憶する(S65)。制御部21は、全てのパッチ画像に対して処理を終了したか否かを判断し(S66)、終了していないと判断した場合(S66:NO)、ステップS64の処理に戻り、未処理のパッチ画像に対してステップS64~S65の処理を行う。
全てのパッチ画像に対して処理を終了したと判断した場合(S66:YES)、制御部21は、記憶部22に記憶した各パッチ画像に対する脳腫瘍の種別毎の分類確率に基づいて、ステップS61で取得したT1CE画像(スライス画像)に対する脳腫瘍の種別毎の分類確率を算出する(S67)。制御部21は、全てのT1CE画像に対して処理を終了したか否かを判断する(S68)。全てのT1CE画像に対して処理を終了していないと判断した場合(S68:NO)、制御部21は、ステップS61の処理に戻り、未処理のT1CE画像を1つ取得する(S61)。制御部21は、取得したT1CE画像に対して、ステップS62~S67の処理を行う。全てのT1CE画像に対して処理を終了したと判断した場合(S68:YES)、制御部21は、各T1CE画像に対する脳腫瘍の種別毎の分類確率に基づいて、この患者に対する脳腫瘍の種別毎の分類確率を算出する(S69)。
制御部21は、ステップS59でT2強調画像に基づいて算出した脳腫瘍の種別毎の分類確率と、ステップS69でT1CE画像に基づいて算出した脳腫瘍の種別毎の分類確率とを統合して、この患者に対する脳腫瘍の種別毎の分類確率を算出する(S71)。制御部21は、算出した患者に対する脳腫瘍の種別毎の分類確率を判別結果として表示するための表示情報を生成する(S72)。そして、制御部21は、生成した表示情報に基づいて、特定装置20による判別結果を表示部23に表示する(S73)。これにより、例えば図20に示すような画面が表示部23に表示され、特定装置20による判別結果が通知される。
本実施形態では、実施形態1と同様の効果が得られる。即ち、本実施形態では、患者のT2強調画像及びT1CE画像に基づいて、少なくとも5種別に分類される脳腫瘍のそれぞれについて、この患者の脳腫瘍である可能性を通知できる。よって、医師は、T2強調画像及びT1CE画像に基づいてどういった脳腫瘍であるかを診断する際に考慮でき、医師による診断を支援できる。医師が全ての医用画像を目視で確認することは困難であるが、特定装置20は全ての医用画像を用いて判別を行うので、医用画像を有効に利用できる。また、特定装置20による判別結果として、患者の脳腫瘍である可能性が高い脳腫瘍であることを判断し易いスライス画像(T2強調画像又はT1CE画像)を通知することができる。よって、通知されたスライス画像に基づいて診断を行うことができた場合、医師は全ての画像を確認する必要がなく、医師による診断の負担を軽減できる。
本実施形態の特定装置20は、第1分類器22bを用いたT2強調画像に基づく判別結果と、第2分類器22cを用いたT1CE画像に基づく判別結果とを統合して、患者の脳腫瘍の種別を判別する。これにより、判別精度が向上する。出願人は、特定装置20による判別処理の精度を評価するための評価実験を行った。図24はテストデータの構成を示す図表、図25は特定装置20による判別精度を示す図表である。評価実験では、膠芽腫、悪性リンパ腫、髄膜腫、転移性腫瘍及び神経鞘腫のそれぞれの脳腫瘍に対して、図24に示すスライス画像数のT2強調画像及びT1CE画像(スライス画像)をそれぞれテストデータとして用いた。また、テストデータのT2強調画像及びT1CE画像のそれぞれから、図24に示すパッチ画像数のパッチ画像が抽出されて判別処理に用いられた。
特定装置20は、図24に示すようなテストデータを用いて判別処理を行い、図25に示すような結果が得られた。感度は、それぞれの患者のT2強調画像及びT1CE画像(テストデータ)に基づいて、正解の脳腫瘍に対して正解の脳腫瘍であると判別できた割合(正解の脳腫瘍に対して最高の分類確率を出力できた割合)を示す。特異度は、それぞれの患者のT2強調画像及びT1CE画像に基づいて、不正解の脳腫瘍に対して不正解の脳腫瘍であると判別できた割合(不正解の脳腫瘍に対して低い分類確率を出力できた割合)を示す。分類精度は、各テストデータの患者に対して、T2強調画像に基づいて正解の脳腫瘍であると判別できた割合、T1CE画像に基づいて正解の脳腫瘍であると判別できた割合、第1分類器22b及び第2分類器22cによる判別結果を統合した分類確率に基づいて正解の脳腫瘍であると判別できた割合をそれぞれ示す。図25に示す結果では、T2強調画像に基づいて正解の脳腫瘍を判別できた割合及びT1CE画像に基づいて正解の脳腫瘍を判別できた割合と比較して、第1分類器22b及び第2分類器22cによる判別結果を統合して最終的に正解の脳腫瘍を判別できた割合が高い値となっている。よって、異なる医用画像に対して、それぞれの医用画像用の分類器を用いた判別処理を行い、それぞれの判別結果を統合して最終的な判別を行うことによって、判別精度を向上させることができる。
本実施形態では、複数のスライス画像(T2強調画像/T1CE画像)のそれぞれに基づいて算出した脳腫瘍の種別毎の分類確率に対して、それぞれの画像中の脳腫瘍領域の大きさに応じた重み付けを行って、患者に対する脳腫瘍の種別毎の分類確率を算出した。画像中の脳腫瘍領域が大きいほど、このスライス画像から算出した脳腫瘍の種別毎の分類確率の信頼性が高いと考えられる。よって、画像中の脳腫瘍領域が大きいほど大きい重み係数とすることにより、算出される患者における脳腫瘍の種別毎の分類確率の信頼性を向上させることができる。
本実施形態においても、診断に用いる医用画像はT2強調画像及びT1CE画像に限定されない。また、分類器22b,22cによる判別対象の脳腫瘍は、膠芽腫、悪性リンパ腫、髄膜腫、転移性腫瘍、神経鞘腫の5種別に限定されない。これら以外の脳腫瘍についても分類器22b,22cに学習させることによって判別可能となる。また、脳腫瘍以外の疾病についても、それぞれの教師データを用いて分類器に学習させることによって判別可能となる。また、本実施形態においても、学習装置10は、教師データのT2強調画像及びT1CE画像をそのまま用いて分類器12b,12dを学習させてもよく、特定装置20は、診断対象の患者のT2強調画像及びT1CE画像をそのまま用いて分類器22b,22cによる判別処理を行ってもよい。また、本実施形態の診断支援システムを、3種別以上の画像を用いて患者の脳腫瘍の種別を判別するように構成してもよい。
(実施形態4)
乳房腫瘤の疑いがある患者の乳房をマンモグラフィで撮影した医用画像(マンモグラフィ画像)に基づいて腫瘤であるか否かを判別する診断支援システムについて説明する。本実施形態の診断支援システムの各装置は、実施形態1の各装置と同じ構成を有するので、構成については説明を省略する。本実施形態では、1人の同一患者の左右の乳房をそれぞれ撮影した2枚のマンモグラフィ画像(以下、左乳房画像及び右乳房画像という)と、2枚のマンモグラフィ画像の差分画像との2種類の画像を用いて、撮影対象の状態が腫瘤であるか否かを判別する。
図26はマンモグラフィ画像の例を示す模式図、図27は差分画像の例を示す模式図である。図26は1人の患者の左乳房画像及び右乳房画像を示し、図26の左側に右乳房画像を、右側に左乳房画像をそれぞれ示す。本実施形態では、教師データを生成する際に、左右乳房のいずれかに腫瘤を有する患者の乳房画像において、腫瘤がある乳房画像(左乳房画像又は右乳房画像)から腫瘤領域を含む腫瘤画像T1を抽出し、腫瘤がない乳房画像(右乳房画像又は左乳房画像)から、腫瘤画像T1に対応する対応画像T2を抽出する。腫瘤画像T1と対応画像T2とは、患者の身体の上下方向の中心軸に対して左右対称の領域の画像である。また、本実施形態では、腫瘤がある乳房画像中の正常領域を含む正常画像N1を抽出し、腫瘤がない乳房画像から、正常画像N1に対応する対応画像N2を抽出する。正常画像N1及び対応画像N2も患者の身体において左右対称の領域の画像である。図26に示す例では、右乳房に腫瘤があるので、右乳房画像から腫瘤画像T1と正常画像N1とを抽出し、左乳房画像から対応画像T2,N2を抽出する。腫瘤画像T1、正常画像N1及び対応画像T2,N2のサイズは例えば128画素×128画素とすることができるが、これに限定されない。
本実施形態では、抽出した腫瘤画像T1及び対応画像T2の差分画像T3を生成し、抽出した正常画像N1及び対応画像N2の差分画像N3を生成する。例えば、腫瘤画像T1及び正常画像N1中の各画素値から対応画像T2,N2中の各画素値を引いた各値の絶対値を差分画像T3,N3の各画素値とする。図27Aは腫瘤画像T1、対応画像T2、腫瘤画像T1及び対応画像T2の差分画像T3の例を示し、図27Bは正常画像N1、対応画像N2、正常画像N1及び対応画像N2の差分画像N3の例を示す。
第1教師データDB12cには、腫瘤領域の画像として、図27Aの左側に示すような腫瘤画像T1(マンモグラフィ画像)が多数蓄積されており、正常領域の画像として、図27Bの左側に示すような正常画像N1(マンモグラフィ画像)が多数蓄積されている。第1教師データDB12cにおいて、1つのマンモグラフィ画像と、この画像に対応付けられた腫瘤又は正常を示す情報とのセットを第1教師データという。第2教師データDB12eには、腫瘤領域の画像として、図27Aの右側に示すような差分画像T3が多数蓄積されており、正常領域の画像として、図27Bの右側に示すような差分画像N3が多数蓄積されている。第2教師データDB12eにおいて、1つの差分画像と、この差分画像に対応付けられた腫瘤又は正常を示す情報とのセットを第2教師データという。学習装置10は、マンモグラフィ画像による第1教師データに基づいて第1分類器12bを学習させ、マンモグラフィ画像から生成された差分画像による第2教師データに基づいて第2分類器12dを学習させる。
本実施形態の診断支援システムでは、判別対象の状態として、撮影対象である病変が腫瘤であるか正常であるか(腫瘤でないか)を判別する。よって、第1分類器12b,22bは、患者のマンモグラフィ画像に基づいて、撮影対象の病変が腫瘤であるか正常であるかを判別する分類器である。第2分類器12d,22cは、患者の差分画像に基づいて、撮影対象の病変が腫瘤であるか正常であるかを判別する分類器である。
本実施形態の学習装置10では、制御部11は学習プログラム12aを実行することによって図5に示した各機能を実現する。なお、本実施形態において、第1教師データ取得部101は、第1教師データDB12cからマンモグラフィ画像による第1教師データを取得し、第1学習部104は、第1教師データに含まれる腫瘤又は正常を示す情報とマンモグラフィ画像とに基づいて第1分類器12bを学習させる。また、第2教師データ取得部111は、第2教師データDB12eから差分画像による第2教師データを取得し、第2学習部114は、第2教師データに含まれる腫瘤又は正常を示す情報と差分画像とに基づいて第2分類器12dを学習させる。
本実施形態の特定装置20では、制御部21は特定プログラム22aを実行することによって図8に示した各機能を実現する。なお、本実施形態において、第1画像取得部201は、診断対象の患者のマンモグラフィ画像を取得し、第1腫瘤領域抽出部202は、マンモグラフィ画像から腫瘤領域を抽出する。第1判別部205は、マンモグラフィ画像から抽出された腫瘤領域に対して第1分類器22bが出力した腫瘤又は正常に対する分類確率を取得する。また、第2画像取得部211は、診断対象の患者の差分画像を取得し、第2腫瘤領域抽出部212は、差分画像から腫瘤領域を抽出する。第2判別部215は、差分画像から抽出された腫瘤領域に対して第2分類器22cが出力した腫瘤又は正常に対する分類確率を取得する。その他の機能は実施形態1と同様であるので説明を省略する。
本実施形態において、学習装置10は、図10に示した処理と同様の処理を行う。なお、本実施形態では、図10中のステップS11で、制御部11は、第1教師データDB12cからマンモグラフィ画像による第1教師データを取得し、ステップS12で、第1教師データに含まれる腫瘤又は正常を示す情報とマンモグラフィ画像とを用いて、第1分類器12bを学習させる。その他の処理は実施形態1と同様であるので説明を省略する。また、本実施形態の学習装置10の制御部11は、図10に示す処理と同様の処理によって、第2教師データDB12eに記憶されている差分画像の第2教師データを用いて第2分類器12dを学習させる。これにより、学習済みの第1分類器12b及び第2分類器12dが得られる。
本実施形態において、特定装置20は、図11に示した処理と同様の処理を行う。なお、本実施形態では、図11中のステップS21で、制御部21は、診断対象の患者のマンモグラフィ画像を取得し、ステップS22で、取得したマンモグラフィ画像から腫瘤領域を抽出する。またステップS23で、制御部21は、マンモグラフィ画像から抽出した腫瘤領域に対して、病変の状態が腫瘤であるか正常であるかを第1分類器22bにて判別する。また、制御部21は、ステップS31で診断対象の患者の差分画像を取得し、ステップS32で、取得した差分画像から腫瘤領域を抽出する。またステップS33で、制御部21は、差分画像から抽出した腫瘤領域に対して、病変の状態が腫瘤であるか正常であるかを第2分類器22cにて判別する。その他の処理は実施形態1と同様であるので説明を省略する。
本実施形態では、上述した実施形態1と同様の効果が得られる。よって、患者の病変の状態が乳癌腫瘤である可能性及び正常である可能性を通知できるので、医師は、マンモグラフィ画像に基づいて病変の状態を診断する際に考慮でき、医師による診断を支援できる。また、第1分類器22bを用いたマンモグラフィ画像に基づく判別結果と、第2分類器22cを用いた差分画像に基づく判別結果とを統合して、患者の病変が腫瘤であるか否かを判別するので、判別精度が向上する。
(実施形態5)
実施形態1における特定装置20の変形例について説明する。本実施形態の診断支援システムの各装置は、実施形態1の各装置と同じ構成を有するので、構成については説明を省略する。図28は、実施形態5の特定装置20の制御部21によって実現される機能を示すブロック図である。本実施形態の特定装置20の制御部21は、特定プログラム22aを実行した場合、図8に示す各機能のほかに、第1腫瘤検出部206及び第2腫瘤検出部216の各機能を実現する。図28では、第1画像取得部201、第1腫瘤領域抽出部202、第2画像取得部211、第2腫瘤領域抽出部212、第1腫瘤検出部206及び第2腫瘤検出部216以外の機能の図示を省略する。
本実施形態の特定装置20において、第1腫瘤検出部206は、第1画像取得部201が取得したガボール画像に対して、腫瘤の疑いがある腫瘤領域の有無を検出する。なお、腫瘤領域とは、第1分類器22bによって腫瘤か否かの判別が可能な腫瘤の領域である。第1腫瘤検出部206は、例えばディープラーニングによる学習済みの認識モデルを用いて、第1画像取得部201が取得したガボール画像中の腫瘤領域を検出する。よって、本実施形態の第1腫瘤領域抽出部202は、第1画像取得部201が取得したガボール画像から、第1腫瘤検出部206が検出した腫瘤領域を抽出する。同様に、第2腫瘤検出部216は、第2画像取得部211が取得したアイリス画像に対して腫瘤領域の有無を検出する。よって、本実施形態の第2腫瘤領域抽出部212は、第2画像取得部211が取得したアイリス画像から、第2腫瘤検出部216が検出した腫瘤領域を抽出する。
図29は、実施形態5の特定装置20による特定処理の手順の一部を示すフローチャートである。図29に示す処理は、図11に示した実施形態1の処理において、ステップS21,S22の処理の間にステップS81,S82の処理を追加し、ステップS31,S32の処理の間にステップS83,S84の処理を追加したものである。図29では、図11中のステップS21,S22,S31,S32以外のステップの図示を省略する。
本実施形態の特定装置20では、制御部21は、診断対象の患者のガボール画像を取得し(S21)、取得したガボール画像に対して、乳房腫瘤の領域を検出する検出処理を実行する(S81)。制御部21は、検出処理によって腫瘤領域を検出できたか否かを判断し(S82)、検出できたと判断した場合(S82:YES)、取得したガボール画像から、ステップS81で検出した腫瘤領域を抽出し(S22)、ステップS23以降の処理を行う。ガボール画像中に腫瘤領域を検出できないと判断した場合(S82:NO)、制御部21は、このガボール画像に対する以降の処理を終了する。また、制御部21は、診断対象の患者のアイリス画像を取得し(S31)、取得したアイリス画像に対して、乳房腫瘤の領域を検出する検出処理を実行する(S83)。制御部21は、検出処理によって腫瘤領域を検出できたか否かを判断し(S84)、検出できたと判断した場合(S84:YES)、取得したアイリス画像から、ステップS83で検出した腫瘤領域を抽出し(S32)、ステップS33以降の処理を行う。アイリス画像中に腫瘤領域を検出できないと判断した場合(S84:NO)、制御部21は、このアイリス画像に対する以降の処理を終了する。
本実施形態では、上述した実施形態1と同様の効果が得られる。また本実施形態では、診断対象の医用画像(ガボール画像及びアイリス画像)中に腫瘤領域が有るか否かを判断し、有る場合に、この腫瘤領域(医用画像)に基づく判別処理を行う。よって、例えば健康診断や脳ドック等で多数の患者から撮影された膨大な医用画像を医師が確認する前に、特定装置20による判別処理によって、何らかの腫瘤を有する可能性のある患者を抽出することができる。よって、医師は、何らかの腫瘤を有する可能性が高い患者の医用画像を優先的に確認することができ、医師による診断の負担を軽減できると共に、診断漏れを抑制できる。本実施形態の構成は実施形態2~4にも適用可能であり、実施形態2~4に適用した場合であっても同様の効果が得られる。
上述した実施形態1~5では、撮像装置を用いて患者を撮影した医用画像に基づいて、患者の病変の状態を特定するシステムについて説明したが、本開示は、その他のシステムにも適用できる。例えば、建物の外壁の状態を検出(特定)するシステムに適用できる。この場合、建物の外壁を撮影して複数種類の画像を取得し、それぞれの画像に応じた学習モデルを用いて、それぞれの画像について撮影対象の状態を判別し、判別結果を統合して外壁の状態を特定することによって外壁の状態を精度良く検出できる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものでは無いと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味では無く、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。