JP7164177B2 - 温度センサ及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、熱電変換液体を用いた温度センサ及びその製造方法に関する。
バイオテクノロジー分野やヘルスケア・ライフサイエンス分野において、熱量や温度の計測は非常に重要である。生物の体内では、絶えず代謝が起こり、その結果として熱や温度に変化が生じる。つまり、熱を正確に計測することで、細胞、器官や組織、身体の状態を見極めることができる。そのため、対象の大小を問わず、高感度で、かつ、より多くの測定点で温度情報を得ることが、対象の状態を把握する上で重要になる。
従来の温度センサとして、熱量による梁の温度変化を、周波数の変化として検知する熱量センサがある(例えば、特許文献1参照)。
高感度で、かつ、より多くの測定点を得る温度センサとして、微細加工技術による温度センサが有効である。微細加工技術で作製される温度センサの種類には、先に挙げた機械振動子の共振周波数変化を用いるセンサの他、電気的な計測原理である熱電対やサーミスタが代表的である。熱電対は、ゼーベック効果による熱電能が異なる異種金属を接触させ、その熱起電力を通じて、接点での温度変化を計測する温度センサである。サーミスタは、それを成す金属の電気抵抗値の温度依存性を元に、温度変化を計測する温度センサである。
温度センサの感度は、温度変化に対してセンサの物理量がどれほど変化するか、に大きく依存する。例えば、Si製の梁(機械振動子)の場合、-34.9 ppm/℃や-22.0 ppm/℃(非特許文献1、2参照)、PポリSiとアルミニウムとの組み合わせの熱電対の場合、0.195 mV/K(非特許文献3参照)、白金製のサーミスタの場合、3920 ppm/℃(非特許文献4参照)である。単位が異なるため、単純な比較はできないが、これらの値が大きい材料や構造を用いた方が、より高感度なセンサになる。
機械振動子による温度センサは、非常に高感度であるが、一般的にレーザドップラー振動計が用いられ、これは非常に大がかりで高価な装置であり、汎用的とは言えない。電気的な計測原理である熱電対・サーミスタであれば、比較的安価でコンパクト、かつ容易な計測系で済む利点がある。
しかし、熱電対・サーミスタは、温度検知部からの電気的な配線が必要で、配線に用いる金属は熱伝導率が高く、そこを介して逃げる熱が存在する。
一方、熱電能もしくはそれと同様の特性を有する材料は、金属に限らない。例えば、酸化還元反応によるFeCN -3/FeCN -4溶液やI/I溶液、温度勾配による電子の移動による水酸化ナトリウム含有ポリエチレングリコール(PEG-NaOH)など、イオン液体や電解質溶液が挙げられる(例えば、非特許文献5、6、7参照)。特にPEGのゼーベック係数は、-11.1 mV/Kと、個体のそれらよりも大きい。市販のペルチェ素子に用いられるビスマス・テルル系材料のそれは、-270 μV/Kである(非特許文献8参照)。
液体の熱伝導率は、例えば水で0.1 W/mKと、金属(数10~数100 W/mK)より非常に小さい。
特開2013-195171号公報
C. Cabuz、 "SILICON MICROMACHINED RESONATORS FOR SENSORAPPLICATIONS"、東北大学 博士論文、1994 N. Inomata, M. Toda, and T. Ono, "Highly sensitive thermometer using a vacuumpacked Si resonator in a microfluidic chip for the thermal measurement of single cells", Lab on a Chip, 2016, Vol.16, p.3597-p.3603 K. Verhaegen, K. Baert, J. Simaels, W. V. Driessche, "A high-throughput silicon microphysiometer", Sensors and Actuators, 2000, Vol.82, p.186-p.190 R. A. Serway, "Principles of Physics" 2nd ed., Fort Worth, Texas; London: Saunders College Pub, 1998, ISBN 0-03-020457-7 R. Hu, B. A. Cola, N. Haram, J. N. Barisci, S. Lee, S. Stoughton, G. Wallace, C. Too, M. Thomas, A. Gestos, M. E. d. Cruz, J. P. Ferraris, A. A. Zakhidov, and R. H. Baughman, "Harvesting Waste Thermal Energy Using a Carbon-Nanotube-Based Thermo-Electrochemical Cell", Nano Letters, 2010, Vol. 10, No.3, p.838-p.846 T. J. Abraham, D. R. MacFarlanea, and J. M. Pringlea, "Seebeck coefficients in ionic liquids -prospects for thermo-electrochemical cells", Chemical Communications, 2011, Vol. 47, p.6260-p.6262 D. Zhao, H. Wang, Z. U. Khan, J. C. Chen, R. Gabrielsson, M. P. Jonsson, M. Berggrena and X. Crispin, "Ionic thermoelectric supercapacitors", Energy & Environmental Science, 2016, Vol.9, No.4, p.1450-p.1457 D. M. Rowe, "CRC Handbook of Thermoelectrics", CRC Press, New York, NY, USA, 1995,ISBN 9780849301469
計測対象が微小である場合もしくはその発熱が微量である場合、微小対象物は熱容量が小さいため、センサの大きさを小さくしてセンサ自体の熱容量を小さくしないと、微小対象物の発熱に対して応答しない。そのため、高感度温度計測には、微細加工技術を用いた微小センサが用いられ、熱感度と利便性から、非特許文献3や4に記載のような、熱電対やサーミスタと言った電気的な手法(以下、熱電対等)が一般的に用いられている。
しかし、熱電対等は、必ず電気配線が必要になるため、計測対象が微小である場合もしくはその発熱が微量である場合、熱の逃げが相対的に大きくなり、真の値を正確に計測することができないという課題があった。
本発明は、このような課題に鑑み、センサ本体からの熱の逃げを著しく低減させ、微小対象物の発熱または微小な発熱を高感度かつ高精度に測定することができる、温度センサ及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明者等は、温度検知部と電極の間を熱電変換液体で満たすことで、温度検知部の温度変化を電圧変化として得、さらに断熱性を高めることで、測定対象からの発熱をより正確に高感度で測定可能であることに想到し、本発明に係るマイクロデバイスの温度センサとその製造方法に至った。
すなわち、本発明に係る温度センサは、温度変化に対して電気的特性(起電力、出力電圧)が変化する熱電変換液体と、温度検知部と、該温度検知部上または周囲に備えられた第1電極と、前記温度検知部に隣接して配設された流路と、該流路内外に備えられた、前記第1電極とは電気的に接続されていない第2電極とを有し、前記熱電変換液体は、少なくとも1種類以上から成り、前記流路中に保持され、前記第1電極と前記第2電極に接しており、前記温度検知部で発生する熱を、前記熱電変換液体の温度変化に伴う電気的特性の変化として検知するよう構成されていることを特徴とする。
本発明に係る温度センサで、前記熱電変換液体は、1種類か、2つ以上を組み合わせて用いられる。また、前記温度検知部は1つ以上、前記第1電極および前記第2電極は1対以上、前記流路は1つ以上用いられる。また、前記温度検知部は、必要に応じて内部が空洞になっていることが好ましい。流路が2つ以上で構成される場合、該流路を区分するよう前記温度検知部に接続された区分壁を有し、前記区分壁は断熱のため、一連の作製過程において破損しない程度または接合過程において問題が生じない程度に、具体的には5~10μm程度まで幅寸法が細くなっていることが好ましい。また、前記流路は、入口及び出口を有していることが好ましく、内部に保持される前記熱電変換液体の流速を制御可能であることが好ましい。
また、本発明に係る温度センサは、センサを形成する1または複数の層を有し、各層は、Si、ガラスもしくは金属等の固い材料から成る基板、または、ポリマー等のフレキシブル材料から成る基板を用いて形成されていてもよい。前記温度検知部の周囲または一部が、Siや金属より熱伝導率の低い、例えば1 W/mK以下の断熱層(ポリマーやSiO等の熱伝導率の低い材料)でおおわれていることが好ましい。
本発明に係る温度センサの製造方法は、第1基板に対して、Siや金属のように30 W/mKを超える熱伝導を有する材料から成る温度検知部を形成する工程と、該温度検知部内部を空洞にする工程と、前記温度検知部周りに断熱絶縁層を形成し、前記温度検知部の側壁に接するよう第1電極を形成する工程と、前記温度検知部に隣接して流路を配設する工程と、該流路上に断熱絶縁層を形成する工程と、前記第1電極と絶縁された第2電極を、前記流路に、前記第1電極と対峙して形成する工程と、第2基板に対して、前記流路の入口および出口、前記第1電極および前記第2電極との接続孔を形成する工程と、前記第1基板と前記第2基板とを接合する工程と、温度変化に対して電気的特性が変化する熱電変換液体を、前記流路に収納する工程とを、有することを特徴とする。
本発明に係る温度センサの製造方法は、本発明に係る温度センサを好適に製造することができる。本発明に係る温度センサの製造方法で、前記第1基板は、導電性かつSiや金属のように30 W/mKを超える熱伝導率の基板やフレキシブルシートから成り、前記第1電極は、前記第1基板そのものから成り、前記第1基板の上面および/または下面を、断熱のため、部分的に、Siや金属より熱伝導率の低い、例えば1 W/mK以下の材料で覆う工程を有することが好ましい。また、この場合、前記第2基板に対して、前記第2電極および前記流路を形成してもよい。
本発明によれば、センサ本体からの熱の逃げを著しく低減させ、微小対象物の発熱または微小な発熱を高感度かつ高精度に測定することができる、温度センサ及びその製造方法を提供することができる。
本発明の実施の形態の温度センサの、裏面の構造を示す断面斜視図である。 図1に示す温度センサの、(a)平面図、(b) (a)のI-I’線に沿った断面図である。 本発明の実施の形態の温度センサの駆動原理を示す断面図である。 本発明の実施の形態の温度センサに関し、(a)熱電変換液体がLiI&I2水溶液(各々0.4M)のとき、(b)熱電変換液体が3%NaOH含有ポリエチレングリコール(PEG)のときの、高温低温側電極の温度と起電力とを示すグラフである。 本発明の実施の形態の温度センサの、2流路を用いる場合の製造方法を順次に示す模式的な断面図である。 本発明の実施の形態の温度センサの、1流路を用いる場合の製造方法を順次に示す模式的な断面図である。 図5に示す製造方法を用いて製作した、本発明の実施の形態の温度センサを示す(a)温度検知部に隣接して配設される流路側、(b)温度検知部側の光学顕微鏡像である。 本発明の実施の形態の温度センサの、LiI&I2水溶液(各々0.4M)と3%NaOH含有PEGを導入した際の、温度検知部の裏面(電極側)付近の光学顕微鏡像である。 本発明の実施の形態の温度センサの、温度検知部にレーザを照射して加熱した際の電圧変化を測定するための実験系を示す断面図である。 図9に示す温度センサの、温度検知部にレーザを照射して加熱した際の、レーザ強度と温度検知部の温度変化とを解析的に算出したグラフである。 図9に示す温度センサの、温度検知部に対するレーザ照射をon/offした際の、電圧出力を示したグラフである。 図9に示す温度センサの、温度検知部に対して照射したレーザの強度(温度)と電圧出力との関係を示したグラフである。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
[温度センサ]
図1は、本発明の実施の形態の温度センサ1の構造を示す斜視図であり、図2(a)は、図1の上からの平面図、図2(b)は、(a)のI-I’線に沿った断面図である。
図1及び図2に示すように、本発明の実施の形態の温度センサ1は、温度検知部6と、温度検知部6に隣接して配設される流路4aと、必要に応じて配設される別の流路4bと、温度検知部6上または周囲に隣接して配設される第1電極3aと、流路4a、4b内もしくは流路4a、4b外において電極3aとは電気的に接続されていない第2電極3b1、3b2と、流路4a、4b内にそれぞれ満たされる熱電変換液体2a、2bと、温度検知部6と第1電極3aと、第2電極3b1と、第2電極3b2との間の絶縁/断熱層7とを、少なくとも含んで構成されていることを特徴とする。
温度検知部6は、温度受領側から、反対側の熱電変換液体2a、2bの側の面に損失を少なく熱を伝えるため、熱伝導の良い材料を用いる。試料を保持するために、温度検知部6の内部は空洞になっているが、必ずしも空洞である必要はない。
流路4a、4bは、ガラス、Si等の固い材料やフレキシブルなポリマー材料から成り、熱電変換液体2a、2bを流し、保持するためのもので、それぞれ入口4a1、4b1と出口4a2、4b2とを備えている。熱電変換液体2a、2bは,例えば入口4a1、4b1と出口4a2、4b2にチューブを指して導入する。そのままチューブ付きで用いてもよいし,必要に応じて薄いポリマーやテープ等のシール部9でシールしてもよい。
第1電極3a、第2電極3b1、3b2は、熱電変換液体2a、2bに対応した材料、主に金や白金から成り、熱電変換液体2a、2bを挟む形で、お互い接触しないように配置されている。
流路4a、4bと、第1電極3a、第2電極3b1、3b2との位置関係は、温度センサ1の平面内、上下面方向を問わない。
図3は、温度センサ1の駆動原理を示す断面図である。温度検知部6は、方法を問わず何かしらの形、例えば、発熱体の直接接触や、レーザや赤外線による間接加熱による温度変化を受領する(熱源10)。それに伴う温度検知部6の温度変化によって、温度検知部6の周囲の温度も変化し、高温領域11となる。一方、温度検知部6から離れた電極3b1、3b2周囲の温度は、室温付近のままである(低温領域12)。2つの電極(第1電極3aと第2電極3b1、または、第1電極3aと第2電極3b2)に挟まれた熱電変換液体2a、2bは、その2つの電極が並ぶ方向の温度勾配によって、酸化還元反応もしくは電子の熱拡散によって、起電力が生じる。高温側と低温側の電位の正負は、用いる熱電変換液体2a、2bのゼーベック係数により、2つ以上の熱電変換液体2a、2bを組み合わせて用いる場合は、各々のゼーベック係数の正負が異なるように選択、配置する必要がある。ゼーベック係数の異なる2種の熱電変換液体2a、2bを、温度検知部6に隣接する第1電極3aを挟んで接続することで、一般的な金属熱電対と同様に、温度検知部6の温度変化と、熱電変換液体2a、2bのゼーベック係数に依存した起電力を得ることができる。得られた起電力をもとに、温度検知部6の温度変化を算出できる。なお、この起電力は、熱電変換液体と第1電極および第2電極とが1組でも、温度変化に依存した起電力を得ることができる
酸化還元反応をもとにした熱電変換液体2a、2bの原理を述べる。低温側では還元反応により電子が増え、高温側では酸化反応により電子が減る(この逆もあり得る)。この電子の授受・移動に伴い、電圧が生じる。
イオン液体中の温度勾配により、電子の熱拡散による熱電変換液体2a、2bの原理を述べる。今回用いるNaOH含有PEGの場合、液体内の温度勾配ができることで、高温側にキャリアが移動し、逆側(低温側)にはキャリアと符号が逆のイオンが集まる。これにより電圧が生じる.
温度感度を上げるために、温度検知部6から周囲への熱の逃げを低減させる必要がある。そのため、温度検知部6の周囲を絶縁/断熱層7で覆ったり、接続されている区分壁5の幅寸法を細くしたり、等の対策を講じる。
温度検知部6表面で検知された熱は、速やかに表面と反対側の熱電変換液体2a、2bの側の面に伝達される必要があるため、温度検知部6は、熱伝導率の高い材料で作製する必要がある。温度検知部6の内部を空洞にするかどうかは、計測対象による。温度検知部6と同等以下の大きさであれば、試料の把持のために空洞にした方がよいが、モノやヒトの表面など、大面積の温度を計測する場合は空洞を設ける必要はない。
熱電変換液体2a、2bは、シリンジポンプ等の液体輸送ポンプを用いて、流速を制御することが可能である。
図4は、熱電変換液体を2つの別々の電極で挟み、各々の電極に対してペルチェ素子で電極温度を制御した際に取り出した電圧を示す。熱電変換液体は、図4(a)では、LiI、 I2各々0.4Mを水に溶かしたもの、図4(b)では、3%NaOH含有PEGである。最も起電力が高い位置でゼーベック係数を算出すると、図4(a)では、+1.23mV/℃、図4(b)では、-10.8 mV/℃となった。
[温度センサの製造方法]
図5は、温度センサ1の製造方法の一例を、順次に示す模式的な断面図である。
図5(A)に示すように、Si層13(ここでは流路形成として用いる)、SiO層14、ハンドリング用Si層15(ここでは温度検知部用としても用いる)を有する基板16を準備する。SOI基板を例にするが、Si基板上にSiO、Siを製膜した基板でもよい。なお、今回用いた温度センサ1における各層の厚みは、Si層13:100μm、SiO層14:1μm、Si層15:250μmである。
図5(B)に示すように、基板16に対し、流路形成側Si層13のエッチングにより流路4a、4bを形成し、その上から絶縁/断熱層7であるSiOを厚さ500nmで成膜する。
図5(C)に示すように、基板16に対し、流路4a、4bの一部の絶縁/断熱層7上に、第1電極3a、第2電極3b1、3b2を形成する。流路4a、4bの側壁にも、第1電極3a、第2電極3b1、3b2を成膜する必要があるので、今回はステンシルマスクによるリフトオフパターニングを用いる。
図5(D)に示すように、検知部側Si層15にパターンニングして温度検知部6を形成する。必要に応じて、温度検知部6の直下下方にあるSiO層14と流路側Si層13をパターニングし、空洞を有する温度検知部6にする。
図5(E)に示すように、テンパックスガラス17を準備する。
図5(F)に示すように、テンパックスガラス17に、流路4a、4bの入口4a1と4b1及び出口4a2と4b2、第2電極3b1および3b2へのアクセス用貫通孔18の形成を行う。このガラスのエッチングには、サンドブラストを使用することができる。
図5(G)に示すように、テンパックスガラス17の片側全面に対し、接着層8を塗布する。今回は加熱によって軟化し、冷却すると硬化する樹脂としてフォトレジストの一種であるSU-8を用いた。
最後に図5(H)に示すように、基板16とテンパックスガラス17とを接合する。接合条件の一例は、110℃、数100gの加熱加圧である。
なお、温度検知部6の形成は必ずしもSiの加工である必要はなく、検知面から熱電変換液側に伝熱できればよいので、例えば金属線を埋め込む等で代替してもよい。
以上で、温度センサ1が作製される。
[温度センサの製造方法の変形例1]
温度センサ1の製造方法の変形例として、1種の熱電変換液体2a、2bを用いるセンサの製造方法について説明する。Siやガラス等の固い基板の場合でも、ポリマー等のフレキシブルな基板を用いた場合も、基本的には同様の工程で作製することができる。フレキシブル型のセンサの製造方法を例に述べる。
図6は、温度センサ1を1種の熱電変換液体2a、2bを用いたフレキシブルなセンサの場合の製造方法の1例を説明する図である。
図6(A)に示すように、Si層13(ここでは温度検知部用として用いる)、SiO層14、ハンドリング用Si層15を有する基板16を準備する。SOI基板を例にするが、Si基板上にSiO、Siを製膜した基板でもよい。
図6(B)に示すように、基板16上のSi層13にパターニングを施し,温度検知部6を形成する。
図6(C)に示すように、温度検知部6側の上面一面に絶縁/断熱層7としてSiOを成膜する。
図6(D)に示すように、温度検知部6上を除いて、フォトレジストまたはポリミド層19をパターニングする。
図6(E)に示すように、温度検知部6の上面または周囲に第1電極3aを形成する。フォトレジストマスクによるエッチングでも、ステンシルマスクによるリフトオフでも、どちらの手法でもパターニングできる。
図6(F)に示すように、ポリミドシート20上に、第2電極3b1を形成する。フォトレジストマスクによるエッチングでも、ステンシルマスクによるリフトオフでも、どちらの手法でもパターニングできる。
図6(G)に示すように、ポリミドシート20上にポリマー層21による流路4aを形成する。ポリジメチルシロキサンのような多少粘着性のあるポリマーのシートに対して、所望の形状、流路や穴をカッティング加工してから、ポリミドシート20と接合してもよいし、ポリマーを塗布した後、フォトリソグラフィ等の何らかの方法でパターニングしてもよい。
図6(H)に示すように、ポリマー層21上に接着層8を塗布する。
図6(I)に示すように、ポリミドシート20と基板16とを、第1電極3aへの接続部22にアクセスできる状態を維持して接合する。
図6(J)に示すように、不要なSiO層14とSi層15とを除去する。
図6(K)に示すように、必要であれば、温度検知部6の内部を空洞に追加工する。
また、前記基板16として金属シートやカーボンシート用い,それそのものを第1電極3aとして用いる場合、図6(A)から(E),(I)から(K)の工程を行わず、図6(F)から(G)の工程を行った後、基板16と接合する。なお,基板16に断熱用の層を設ける場合,接合前に断熱層を基板16上にパターニングする。
[温度センサの製作]
図7は、図5に示す製造方法を用いて製作した温度センサ1を示す光学顕微鏡像である。
図7に示すように、電極2組、第1電極3aと第2電極3b1および3b2(うち1つ(第1電極3a)は共通)、電極へのアクセス用貫通孔18、2つの流路4aおよび4bが確認できる。流路4a、4bとアクセス用貫通孔18以外は接着層8で覆われており、干渉縞が見えないことから、接合が成功したと判断できる。
図8は、温度検知部6に隣接して配設される流路4a、4bに0.4M LiI&I2水溶液、3%NaOH含有PEGを導入した後の、温度検知部6周囲の光学顕微鏡像である。特に漏れ等もないことが確認できる。
[温度検知部を加熱した際の電圧変化]
次に、温度検知部6を、加熱用レーザ23を用いて加熱し、その時の電圧を検出した。図9は、その実験系を示す。温度検知部6に照射する加熱用レーザ23の強度を変化させた際の電圧変化を、電圧計24で検出する。図10は、実際の温度センサ1と同様の構造にて、温度検知部6に加熱用レーザ23を照射した際の、温度検知部6の温度変化を有限要素法により解析的に算出した図である。
図11は、加熱用レーザ23の強度を 20.3 mWにして、on/offした際の、温度センサ1から検出された起電力を示している。加熱用レーザ23のon/offに応じて、センサ出力が変化することが観察された。これにより、温度センサ1が機能していることが確認できる。
図12は、温度検知部6に照射する加熱用レーザ23の強度を、10.9、 16.8、 20.3 mWと変化させた際の、温度センサ1から出力される電圧を示している。加熱用レーザ23で加熱した際の温度検知部6の温度変化は、有限要素法によって算出した(図10)。図12の傾きより、本温度センサ1の出力は、10.6mV/℃となる。この値は、0.4MLiIおよびI2水溶液の+1.23 mV/℃と 3%NaOH含有PEGの-10.8 mV/℃とを合わせた、12.0mV/℃と大きな相違はなく、妥当であると言える。
図12において、測定点でのエラーバーが最も大きい値は 68.0μVであり、この値を元に、この温度センサ1の熱感度を計算すると、12.8 m℃となる。
以上の結果から、感度変化に対して物理量変化の大きい、かつ、熱伝導率の低い液体の熱電変換液体を用いることで、高感度温度センサの開発に成功した。液体を用いているため、フレキシブルな構造への応用が可能であり、様々な応用への展開が期待できる。
本発明は、前記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれることはいうまでもない。
1 温度センサ
2a、2b 熱電変換液体(イオン液体)
3a 第1電極
3b1.3b2 第2電極
4a、4b 流路
4a1.4b1 入口
4a2.4b2 出口
5 区分壁
6 温度検知部
7 絶縁/断熱層
8 接着層
9シール部
10 熱源
11 高温領域
12 低温領域
13 Si層
14 SiO
15 (ハンドリング用)Si層
16 基板
17 テンパックスガラス
18 アクセス用貫通孔
19 フォトレジストまたはポリミド層
20 ポリミドシート
21 ポリマー層
22 接続部
23 加熱用レーザ
24 電圧計

Claims (8)

  1. 1または複数の層により形成され、各層は、シリコン(Si)製またはガラス(SiO 2 )製の固い材料から成る基板、または、フレキシブル材料から成る基板を用いて形成されており、
    温度変化に対して電気的特性が変化する熱電変換液体と、
    温度検知部と、
    該温度検知部上または周囲に備えられた第1電極と、
    前記温度検知部に隣接して配設された流路と、
    該流路内外に備えられた、前記第1電極とは電気的に接続されていない第2電極とを有し、
    前記熱電変換液体は、少なくとも1種類以上から成り、前記流路中に保持され、前記第1電極と前記第2電極に接しており、
    前記温度検知部で発生する熱を、前記熱電変換液体の温度変化に伴う電気的特性の変化として検知するよう構成されていることを
    特徴とする温度センサ。
  2. 温度変化に対して電気的特性が変化する熱電変換液体と、
    温度検知部と、
    該温度検知部上または周囲に備えられた第1電極と、
    前記温度検知部に隣接して配設され、入口及び出口を有している流路と、
    該流路内外に備えられた、前記第1電極とは電気的に接続されていない第2電極とを有し、
    前記熱電変換液体は、少なくとも1種類以上から成り、前記流路中に保持され、前記第1電極と前記第2電極に接しており、
    前記温度検知部で発生する熱を、前記熱電変換液体の温度変化に伴う電気的特性の変化として検知するよう構成されていることを
    特徴とする温度センサ。
  3. 温度変化に対して電気的特性が変化する熱電変換液体と、
    内部が空洞になっている温度検知部と、
    該温度検知部上または周囲に備えられた第1電極と、
    前記温度検知部に隣接して配設された流路と、
    該流路内外に備えられた、前記第1電極とは電気的に接続されていない第2電極と
    前記流路を区分するよう前記温度検知部に接続された区分壁とを有し、
    前記熱電変換液体は、少なくとも1種類以上から成り、前記流路中に保持され、前記第1電極と前記第2電極に接しており、
    前記区分壁は断熱のため、5~10μmまで幅寸法が細くなっており、
    前記温度検知部で発生する熱を、前記熱電変換液体の温度変化に伴う電気的特性の変化として検知するよう構成されていることを
    特徴とする温度センサ。
  4. 温度変化に対して電気的特性が変化する熱電変換液体と、
    温度検知部と、
    該温度検知部上または周囲に備えられた第1電極と、
    前記温度検知部に隣接して配設された流路と、
    該流路内外に備えられた、前記第1電極とは電気的に接続されていない第2電極とを有し、
    前記熱電変換液体は、少なくとも1種類以上から成り、前記流路中に保持され、前記第1電極と前記第2電極に接しており、
    前記流路は、内部に保持される前記熱電変換液体の流速を制御可能であり、
    前記温度検知部で発生する熱を、前記熱電変換液体の温度変化に伴う電気的特性の変化として検知するよう構成されていることを
    特徴とする温度センサ。
  5. 温度変化に対して電気的特性が変化する熱電変換液体と、
    温度検知部と、
    該温度検知部上または周囲に備えられた第1電極と、
    前記温度検知部に隣接して配設された流路と、
    該流路内外に備えられた、前記第1電極とは電気的に接続されていない第2電極とを有し、
    前記熱電変換液体は、少なくとも1種類以上から成り、前記流路中に保持され、前記第1電極と前記第2電極に接しており、
    前記温度検知部の周囲または一部が、Siおよび金属より熱伝導率の低い断熱層でおおわれており、
    前記温度検知部で発生する熱を、前記熱電変換液体の温度変化に伴う電気的特性の変化として検知するよう構成されていることを
    特徴とする温度センサ。
  6. 第1基板に対して、30 W/mKを超える熱伝導率を有する材料から成る温度検知部を形成する工程と、
    該温度検知部の内部を空洞にする工程と、
    前記温度検知部の周りに断熱絶縁層を形成し、前記温度検知部の側壁に接するよう第1電極を形成する工程と、
    前記温度検知部に隣接して流路を配設する工程と、
    該流路上に断熱絶縁層を形成する工程と、
    前記第1電極と絶縁された第2電極を、前記流路に、前記第1電極と対峙して形成する工程と、
    第2基板に対して、前記流路の入口および出口、前記第1電極および前記第2電極との接続孔を形成する工程と、
    前記第1基板と前記第2基板とを接合する工程と、
    温度変化に対して電気的特性が変化する熱電変換液体を、前記流路に収納する工程とを、
    有することを特徴とする温度センサの製造方法。
  7. 前記第1基板は、導電性かつ30 W/mKを超える熱伝導率の基板またはフレキシブルシートから成り、
    前記第1電極は、前記第1基板そのものから成り、
    前記第1基板の上面および/または下面を、断熱のため、部分的に、Siおよび金属より熱伝導率の低い材料で覆う工程を有することを
    特徴とする請求項記載の温度センサの製造方法。
  8. 前記第2基板に対して、前記第2電極および前記流路を形成することを特徴とする請求項記載の温度センサの製造方法。
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