JP7156058B2 - 石炭の物性値の推定方法、石炭特性グラフの生成方法、石炭の物性値の推定装置、石炭特性グラフの生成装置及びプログラム - Google Patents

石炭の物性値の推定方法、石炭特性グラフの生成方法、石炭の物性値の推定装置、石炭特性グラフの生成装置及びプログラム Download PDF

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Description

本発明は、石炭の物性値の推定方法、石炭特性グラフの生成方法、石炭の物性値の推定装置、石炭特性グラフの生成装置及びプログラムに関する。
電磁波を用いて物質を分析する手法がある。このような手法には、非破壊で試料全体の原子レベルの情報が得られるものがあり、代表例として測定対象の物質に対するNMR(Nuclear Magnetic Resonance、核磁気共鳴)測定により得られたデータを用いて分析する手法、測定対象の物質に赤外(Infra Red、IR)線を照射し、透過(又は、反射)した光を分光することでスペクトルを得て、物質を分析する手法がある。
特許文献1には、NMRスペクトルのノイズを低減する装置及び方法が開示されている。特許文献1では、NMRスペクトルのノイズを低減して、S/N比の高いNMRスペクトルを得ることができる。
また、特許文献2には、石炭中の無機鉱物の化学形態を推定するために、NMR法を利用して、石炭中の無機鉱物の化学形態を推定する方法が開示されている。
また、特許文献3には、従来の中赤外線スペクトルを測定する方法に比べて、赤外線を用いて材料を測定し、より簡便、且つ迅速な高分子材料のグレードを識別する方法が開示されている。
国際公開第2016/098845号 特開2006-337186号公報 特開2002-90299号公報
石炭を測定対象として得られた13C-NMRスペクトルには、石炭の特性についての有用な情報が含まれているが、NMRスペクトルの解釈には、NMRについての専門知識が必要となる。NMRについての専門知識がない者にとっては、石炭の13C-NMRスペクトルに含まれる情報を有用に活用できなかった。そこで、石炭の13C-NMRスペクトルを用いて、NMRスペクトルに関する専門知識がないようなユーザが、より容易に、より精度よく石炭の特性を把握できるように支援したいという要望がある。
しかし、特許文献1~3等の従来技術では、このような要望を実現できなかった。
そこで、本発明は、石炭の13C-NMRスペクトルの情報を活用して、ユーザによる、より容易で、より精度のよい石炭の特性の把握を支援することを目的とする。
本発明の推定方法は、物性値が既知の石炭である既知石炭の核種13CについてのNMR(Nuclear Magnetic Resonance)スペクトルを示す第1のスペクトルデータを取得する第1の取得工程と、前記第1の取得工程で取得された前記第1のスペクトルデータを説明変数のサンプルとして、前記既知石炭の前記物性値を目的変数のサンプルとして、前記第1のスペクトルデータと前記既知石炭の前記物性値とを用いた多変量解析により、前記説明変数と前記目的変数との関係を特定する特定工程と、前記物性値が未知の石炭である未知石炭の核種13CについてのNMRスペクトルを示す第2のスペクトルデータを取得する第2の取得工程と、前記第2の取得工程で取得された前記第2のスペクトルデータと、前記特定工程で特定された前記関係と、に基づいて、前記未知石炭の前記物性値を推定する推定工程と、を含み、前記第1のスペクトルデータ及び前記第2のスペクトルデータは、化学シフトが0ppmから所定の化学シフトまでの共鳴の強度の値を要素とするベクトルのデータである。
また、本発明の生成方法は、物性値が既知の石炭である既知石炭の核種13CについてのNMRスペクトルを示す第1のスペクトルデータを取得する第1の取得工程と、物性値が未知の石炭である未知石炭の核種13CについてのNMRスペクトルを示す第2のスペクトルデータを取得する第2の取得工程と、前記第1の取得工程で取得された前記第1のスペクトルデータに対する主成分分析により求まる第1主成分と第2主成分とにそれぞれ対応する2つの軸で表されるグラフであって、前記第1の取得工程で取得された前記第1のスペクトルデータと前記第2の取得工程で取得された前記第2のスペクトルデータとのそれぞれに対応するオブジェクトがプロットされた石炭特性グラフを生成する生成工程と、を含み、前記第1のスペクトルデータ及び前記第2のスペクトルデータは、化学シフトが0ppmから所定の化学シフトまでの共鳴の強度の値を要素とするベクトルのデータである
本発明によれば、石炭の13C-NMRスペクトルの情報を活用して、ユーザによるより容易で、より精度のよい石炭の特性の把握を支援することができる。
図1は、実験に用いた石炭の分類の一例を説明する図である。 図2は、各石炭の特性を示すコールバンドの一例を示す図である。 図3は、従来の物性値の推定方法の一例について説明する図である。 図4は、各石炭のNMRスペクトルの一例を示す図である。 図5は、主成分回帰分析を用いた物性値の推定方法を説明する図である。 図6は、各石炭の分布を示すグラフの一例を示す図である。 図7は、部分的最小二乗回帰分析を用いた物性値の推定方法を説明する図である。 図8は、実験結果を示す図である。 図9は、解析システムのシステム構成の一例を示す図である。 図10は、情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。 図11は、情報処理装置の機能構成の一例を示す図である。 図12は、推定処理の一例を示すフローチャートである。 図13は、生成処理の一例を示すフローチャートである。
<実施形態>
以下、本発明の一実施形態について図面に基づいて説明する。
(着想)
石炭のコークス製造時の膨張性等には、種々の要因が複雑に関連していると考えられる。要因の中でも最多構成元素である炭素骨格構造の変化に種々の物性が大きく関連することが予想される。したがって、炭素環境の詳細な違いを反映した情報からの物性予測をもとに、コークス化に適した粘結性を有するための原炭選定手法を提案していくことが適当と考えられる。そのためにはまず、炭素骨格構造の違いを詳細に反映する分析手法の情報に基づいて、石炭の特性を分析することが有効と考えられる。
石炭の13C-NMRスペクトルには、元素分析では得られない炭素骨格構造(分子構造)に関する情報が含まれており、コークス製造において重要な石炭の各種物性値の情報が含まれていると考えられる。13C-NMRスペクトルとは、試料中の核種13C(7個の中性子を含む炭素の同位体)に対するNMR(Nuclear Magnetic Resonance、核磁気共鳴)の測定により得られるスペクトルである。NMRとは、磁気モーメントをもつ核種を含む試料を磁場の中におき、共鳴条件を満たす周波数の電磁波を加えたときにおこる共鳴現象である。
NMRスペクトルでは、ある特性に関わるとされる特定帰属スペクトル領域のみに着目した分析が行われてきたが、他の物性変化に関わりうる他の分子構造要因について考慮していなかった。そこで、発明者らは、13C-NMRスペクトルの個々のピークのみに着目するのではなく、重要な情報が含まれていると考えられる特定の化学シフトの範囲内のスペクトル全体をデータとみなし、これに多変量解析を適用して、石炭の物性値を推定するという着想を得た。このようにスペクトル全体のデータを用いることで、スペクトル解析の際の客観性を極力保持できる。
(実験)
発明者らは、得た着想の実効性の確認のための実験を行った。以下に発明者らが行った実験について説明する。
発明者らは、14種類の石炭A~Nを用意した。図1は、石炭A~Nの分類を示す図である。図1の表には、石炭A~Nそれぞれについての、炭素含有率に基づいた分類と、Krevelenコールバンド上での分類と、が示されている。石炭は、石炭化度の高い方から、無煙炭、瀝青炭、亜瀝青炭、褐炭、亜炭、泥炭に分類される。また、瀝青炭は、粘結性に応じて、粘結性が相対的に高い高度瀝青炭と、粘結性が相対的に低い低度瀝青炭と、に分類される。
図2は、Krevelenコールバンド(以下で―は、コールバンドとする)であって、石炭A~Nそれぞれがプロットされたコールバンドを示す図である。コールバンドは、石炭の構成元素の比である水素/炭素(H/C)及び酸素/炭素(O/C)それぞれに対応する2つの軸で表される2次元グラフである。図2のコールバンド上にプロットされた円形のオブジェクト、三角形のオブジェクト、菱形のオブジェクトは、それぞれ石炭A~Nの何れかを示すオブジェクトである。円形のオブジェクトに対応する石炭は、ジラトメータを用いて最大膨張率(MD)が測定可能な石炭である。三角形のオブジェクトに対応する石炭は、ジラトメータを用いてMDが十分な精度で測定できなかった石炭である。菱形のオブジェクトに対応する石炭は、ジラトメータを用いてMDが測定できなかった石炭である。図2が示すように、石炭A~D、I、J、Nそれぞれは、ジラトメータを用いてMDが測定できなかった石炭である。また、石炭E、G、Hそれぞれは、ジラトメータを用いてMDが十分な精度で測定できなかった石炭である。また、石炭F、K~Lそれぞれは、ジラトメータを用いてMDが測定可能な石炭である。
図2のコールバンド上の実線の斜線群は、脱メタンに対応する反応線である。また、破線の斜線群は、脱水に対応する反応線である。また、一点鎖線の斜線群は、脱炭酸に対応する反応線である。
本実験の概要について説明する。
発明者らは、石炭A~Nそれぞれについて、推定対象とする物性値それぞれを測定し、実測値を求めた。本実験では、推定対象とする石炭の物性値は、固定炭素量(Fixed Carbon:FC)、ビトリニット反射率(Ro)、揮発成分量(Volatile Matter:VM)それぞれとした。
FCは、石炭から揮発分と水分と灰分とを除いた固体の炭素の質量分率を示す。FCは、100%から固有水分、灰分、揮発成分量の石炭全体に対する質量分率(%)を差し引いて求められる。
Roは、石炭を研磨処理して反射率を測定し得られる平均値のことである。この反射率は測定の方向によって変化し、測定結果は、研磨した場所に依存する。
VMは、定められた条件下で石炭から揮発する成分の質量の石炭全体の質量に対する割合(質量分率)である。VMは、試料をふた付きのるつぼに入れて空気との接触を避けるように加熱し、その加熱減量の試料に対する質量分率(%)を求め、これから定量した水分を差し引くことで測定される。
そして、発明者らは、石炭A~C、E、F、H~Nそれぞれを、物性値が既知の石炭として扱い、更に、石炭D、Gそれぞれを、物性値が未知の石炭として扱うこととした。そして、発明者らは、石炭A~C、E、F、H~Nそれぞれについての13C-MAS-NMRスペクトルを説明変数のサンプルとし、更に、石炭A~C、E、F、H~Nそれぞれについての物性値を目的変数のサンプルとして、多変量解析を行い、目的変数を推定する推定関数を求めた。本実験では、発明者らは、この多変量解析として、主成分回帰分析(PCR)を用いた。また、発明者らは、この多変量解析として、部分的最小二乗回帰分析(PLS)を用いての実験も行った。
そして、発明者らは、石炭D、Gそれぞれについて、石炭D、Gそれぞれの13C-MAS-NMRスペクトルと、求めた推定関数と、を用いて物性値を推定した。石炭D、Gそれぞれについて推定した物性値と、石炭D、Gそれぞれの実際の物性値と、を比較することで、求めた推定関数による石炭の物性値の推定の精度を検証した。
以上が本実験の概要である。以下では、本実験の詳細について説明する。
図3は、従来の石炭の物性値の推定方法の一例について説明する図である。
図3のそれぞれのグラフは、(H/C)と物性値との対応と、(O/C)と物性値との対応と、を示すグラフである。図3のそれぞれのグラフの縦軸は、(O/C)又は(H/C)を示す。図3のそれぞれのグラフの横軸は、対応する物性値を示す。
図3(a)のグラフは、物性値:固定炭素(FC)に対応するグラフである。また、図3(b)のグラフは、物性値:ビトリニット反射率(Ro)に対応するグラフである。また、図3(c)のグラフは、物性値:揮発成分量(VM)に対応するグラフである。
図3(a)のグラフ中のオブジェクト301とオブジェクト302とを除く各矩形オブジェクトは、石炭A~Nそれぞれについての、(H/C)とFCの実測値との対応を示すオブジェクトである。オブジェクト303は、石炭Dに対応するオブジェクトである。オブジェクト304は、石炭Gに対応するオブジェクトである。
回帰線305は、石炭A~C、E、F、H~Nそれぞれに対応する矩形オブジェクトの位置に基づいて、最小二乗法で求められた、(H/C)とFCとの関係を示す直線状の回帰線である。従来、このように石炭化進行度の指標である元素比との相関・回帰線を用いてFCの議論・推定が行われていた。
オブジェクト301は、石炭Dの(H/C)と、石炭Dの(H/C)から回帰線305を用いて定まる石炭DのFCの推定値と、に対応する位置にプロットされたオブジェクトである。即ち、オブジェクト301が示すFCの値は、石炭DのFCの推定値である。また、オブジェクト302は、石炭Gの(H/C)と、石炭Gの(H/C)から回帰線305を用いて定まる石炭GのFCの推定値と、に対応する位置にプロットされたオブジェクトである。即ち、オブジェクト302が示すFCの値は、石炭GのFCの推定値である。
図3(a)のグラフ中の各円形オブジェクト、矩形のオブジェクト308、309は、石炭A~Nそれぞれについての(O/C)とFCの実測値との対応を示すオブジェクトである。オブジェクト308は、石炭Dに対応するオブジェクトであり、石炭Dの(O/C)とFCの実測値とに対応する位置にプロットされている。オブジェクト309は、石炭Gに対応するオブジェクトであり、石炭Gの(O/C)とFCの実測値とに対応する位置にプロットされている。各円形オブジェクトは、石炭A~C、E~F、H~Nそれぞれに対応するオブジェクトであり、石炭A~C、E~F、H~Nそれぞれについての(O/C)とFCの実測値とに対応する位置にそれぞれプロットされている。
回帰線310は、石炭A~C、E、F、H~Nそれぞれに対応する円形オブジェクトの位置に基づいて、最小二乗法で求められた、(O/C)とFCとの関係を示す直線状の回帰線である。従来、このように石炭化進行度の指標である元素比との相関・回帰線を用いてFCの議論・推定が行われていた。
オブジェクト306は、石炭Dの(O/C)と、石炭Dの(O/C)から回帰線310を用いて定まる石炭DのFCの推定値と、に対応する位置にプロットされたオブジェクトである。即ち、オブジェクト306が示すFCの値は、石炭DのFCの推定値である。また、オブジェクト307は、石炭Gの(O/C)と、石炭Gの(O/C)から回帰線310を用いて定まる石炭GのFCの推定値と、に対応する位置にプロットされたオブジェクトである。即ち、オブジェクト307が示すFCの値は、石炭GのFCの推定値である。
図3(b)のグラフ中のオブジェクト311とオブジェクト312とを除く各矩形オブジェクトは、石炭A~Nそれぞれについての、(H/C)とRoの実測値との対応を示すオブジェクトである。オブジェクト313は、石炭Dに対応するオブジェクトである。オブジェクト314は、石炭Gに対応するオブジェクトである。
回帰線315は、石炭A~C、E、F、H~Nそれぞれに対応する矩形オブジェクトの位置に基づいて、最小二乗法で求められた、(H/C)とRoとの関係を示す直線状の回帰線である。従来、このように石炭化進行度の指標である元素比との相関・回帰線を用いてRoの議論・推定が行われていた。
オブジェクト311は、石炭Dの(H/C)と、石炭Dの(H/C)から回帰線315を用いて定まる石炭DのRoの推定値と、に対応する位置にプロットされたオブジェクトである。即ち、オブジェクト311が示すRoの値は、石炭DのRoの推定値である。また、オブジェクト312は、石炭Gの(H/C)と、石炭Gの(H/C)から回帰線315を用いて定まる石炭GのRoの推定値と、に対応する位置にプロットされたオブジェクトである。即ち、オブジェクト312が示すRoの値は、石炭GのRoの推定値である。
図3(b)のグラフ中の各円形オブジェクト、矩形のオブジェクト318、319は、石炭A~Nそれぞれについての(O/C)とRoの実測値との対応を示すオブジェクトである。オブジェクト318は、石炭Dに対応するオブジェクトである。オブジェクト319は、石炭Gに対応するオブジェクトである。各円形オブジェクトは、石炭A~C、E~F、H~Nそれぞれに対応するオブジェクトであり、石炭A~C、E~F、H~Nそれぞれについての(O/C)とRoの実測値とに対応する位置にそれぞれプロットされている。
回帰線320は、石炭A~C、E、F、H~Nそれぞれに対応する円形オブジェクトの位置に基づいて、最小二乗法で求められた、(O/C)とRoとの関係を示す直線状の回帰線である。従来、このように石炭化進行度の指標である元素比との相関・回帰線を用いてRoの議論・推定が行われていた。
オブジェクト316は、石炭Dの(O/C)と、石炭Dの(O/C)から回帰線320を用いて定まる石炭DのRoの推定値と、に対応する位置にプロットされたオブジェクトである。即ち、オブジェクト316が示すRoの値は、石炭DのRoの推定値である。また、オブジェクト317は、石炭Gの(O/C)と、石炭Gの(O/C)から回帰線320を用いて定まる石炭GのRoの推定値と、に対応する位置にプロットされたオブジェクトである。即ち、オブジェクト317が示すRoの値は、石炭GのRoの推定値である。
図3(c)のグラフ中のオブジェクト321とオブジェクト322とを除く各矩形オブジェクトは、石炭A~Nそれぞれについての(H/C)とVMの実測値との対応を示すオブジェクトである。オブジェクト323は、石炭Dに対応するオブジェクトである。オブジェクト324は、石炭Gに対応するオブジェクトである。
回帰線325は、石炭A~C、E、F、H~Nそれぞれに対応する矩形オブジェクトの位置に基づいて、最小二乗法で求められた、(H/C)とVMとの関係を示す直線状の回帰線である。従来、このように石炭化進行度の指標である元素比との相関・回帰線を用いてVMの議論・推定が行われていた。
オブジェクト321は、石炭Dの(H/C)と、石炭Dの(H/C)から回帰線325を用いて定まる石炭DのVMの推定値と、に対応する位置にプロットされたオブジェクトである。即ち、オブジェクト321が示すVMの値は、石炭DのVMの推定値である。また、オブジェクト322は、石炭Gの(H/C)と、石炭Gの(H/C)から回帰線325を用いて定まる石炭GのVMの推定値と、に対応する位置にプロットされたオブジェクトである。即ち、オブジェクト322が示すVMの値は、石炭GのVMの推定値である。
図3(c)のグラフ中の各円形オブジェクト、矩形のオブジェクト328、329は、石炭A~Nそれぞれについての(O/C)とVMの実測値との対応を示すオブジェクトである。オブジェクト328は、石炭Dに対応するオブジェクトである。オブジェクト329は、石炭Gに対応するオブジェクトである。各円形オブジェクトは、石炭A~C、E~F、H~Nそれぞれに対応するオブジェクトであり、石炭A~C、E~F、H~Nそれぞれについての(O/C)とVMの実測値とに対応する位置にそれぞれプロットされている。
回帰線330は、石炭A~C、E、F、H~Nそれぞれに対応する円形オブジェクトの位置に基づいて、最小二乗法で求められた、(O/C)とVMとの関係を示す直線状の回帰線である。従来、このように石炭化進行度の指標である元素比との相関・回帰線を用いてVMの議論・推定が行われていた。
オブジェクト326は、石炭Dの(O/C)と、石炭Dの(O/C)から回帰線330を用いて定まる石炭DのVMの推定値と、に対応する位置にプロットされたオブジェクトである。即ち、オブジェクト326が示すVMの値は、石炭DのVMの推定値である。また、オブジェクト327は、石炭Gの(O/C)と、石炭Gの(O/C)から回帰線330を用いて定まる石炭GのVMの推定値と、に対応する位置にプロットされたオブジェクトである。即ち、オブジェクト327が示すVMの値は、石炭GのVMの推定値である。
本実験では、発明者らは、石炭A~Nそれぞれについて、NMR測定装置を用いた13Cに対するMAS(Magic Angle Spinning)法によるNMR測定を行い、13C-NMRスペクトルを測定する。以下では、MAS法で得られた13C-NMRスペクトルを、13C-MAS-NMRスペクトルとする。また、発明者らは、石炭A~C、E、F、H~Nそれぞれについての13C-MAS-NMRスペクトルそれぞれの面積を同じにするように正規化した。
図4は、石炭A~C、E、F、H~Nそれぞれについての13C-MAS-NMRスペクトルを示す図である。図4の13C-MAS-NMRスペクトルの横軸は、予め定められた基準物質(本実験では、テトラメチルシラン)に含まれる13Cの共鳴周波数を基準として、試料に照射された電磁波の周波数と基準の周波数との差分の程度(化学シフト)を示す。化学シフトは、ppm(parts per million)単位で表される。13C-MAS-NMRスペクトルの縦軸は、共鳴の強度を示す。図4に示す石炭A~C、E、F、H~Nそれぞれについての13C-MAS-NMRスペクトルは、面積が同じになるように正規化されている。
発明者らは、石炭A~C、E、F、H~Nそれぞれについての13C-MAS-NMRスペクトルのデータを説明変数のサンプルとし、更に、石炭A~C、E、F、H~Nそれぞれについての物性値を目的変数のサンプルとして、多変量解析(PCR、PLS)を行い、目的変数を推定する推定関数を求めた。PCRとは、主成分分析(PCA)と回帰分析とを組みあわせた手法であり、説明変数のサンプルに対するPCAの結果得られた主成分と、目的変数と、の関係を示す回帰関数を求める手法である。また、PLSとは、目的変数との共分散が最大になるように説明変数が変換された主成分と、目的変数と、に基づいて、主成分から目的変数を推定する回帰関数を求める手法である。
PCRを用いた実験の詳細について説明する。発明者らは、石炭A~C、E、F、H~Nそれぞれについての13C-MAS-NMRスペクトルそれぞれを、以下のような1134次元のベクトルとして表した。即ち、n番目の要素が、化学シフト(図4の横軸の値)0.194175×(n-1)(ppm)に対応する13C-MAS-NMRスペクトルの値を示すベクトルである。以下では、このベクトルを、スペクトルベクトルとする。
そして、発明者らは、石炭A~C、E、F、H~Nそれぞれについてのスペクトルベクトル(12個のスペクトルベクトル)を説明変数のサンプルとして、この12個のスペクトルベクトルに対してPCAを行った。第1主成分の寄与率は、92.1%であり、第2主成分の寄与率は、3.7%であった。発明者らは、石炭A~C、E、F、H~Nそれぞれのスペクトルベクトルに対するPCAで求まった第一主成分が、コールバンドのO/C及びH/C値との相関があり、炭化度の変化に伴う最も大きな構造変化を示している可能性があることを見出した。
そして、発明者らは、石炭A~C、E、F、H~Nそれぞれについてのスペクトルベクトルの第1主成分の値と、石炭A~C、E、F、H~Nそれぞれについての物性値と、に基づいて、最小二乗法を用いて、スペクトルベクトルの第1主成分(説明変数の第1主成分)から物性値(目的変数)を推定する1次式の回帰関数を求めた。発明者らは、求めた回帰関数を用いて、石炭D、Gのスペクトルベクトルから、石炭D、Gそれぞれについての物性値の推定値を求めた。
図5は、PCRを用いた物性値の推定方法の一例について説明する図である。図5のそれぞれのグラフの横軸は、対応する物性値の値を示す。図5のそれぞれのグラフの縦軸は、説明変数(スペクトルベクトル)の第1主成分の値を示す。図5(a)は、物性値FCに対応するグラフである。図5(b)は、物性値Roに対応するグラフである。図5(c)は、物性値VMに対応するグラフである。
図5(a)のグラフ中にプロットされているオブジェクトそれぞれは、オブジェクト501とオブジェクト502とを除いて、石炭A~Nそれぞれについての、スペクトルベクトルの第1主成分とFCの実測値との対応を示すオブジェクトである。オブジェクト503は、石炭Dに対応するオブジェクトである。オブジェクト504は、石炭Gに対応するオブジェクトである。
回帰線505は、石炭A~C、E、F、H~Nそれぞれに対応するスペクトルベクトルの第1主成分とFCの実測値とに基づいて、最小二乗法で求められた、スペクトルベクトルの第1主成分とFCとの関係を示す直線状の回帰線である。本実験では、発明者らは、この回帰線505を用いて、石炭D、Gそれぞれについて、FCの値を推定した。
オブジェクト501は、石炭Dのスペクトルベクトルの第1主成分と、石炭Dのスペクトルベクトルの第1主成分から回帰線505を用いて定まる石炭DのFCの推定値と、に対応する位置にプロットされたオブジェクトである。即ち、オブジェクト501が示すFCの値は、石炭DのFCの推定値である。また、オブジェクト502は、石炭Gのスペクトルベクトルの第1主成分と、石炭Gのスペクトルベクトルの第1主成分から回帰線505を用いて定まる石炭DのFCの推定値と、に対応する位置にプロットされたオブジェクトである。即ち、オブジェクト502が示すFCの値は、石炭GのFCの推定値である。
図5(b)のグラフ中にプロットされているオブジェクトそれぞれは、オブジェクト506とオブジェクト507とを除いて、石炭A~Nそれぞれについての、スペクトルベクトルの第1主成分とRoの実測値との対応を示すオブジェクトである。オブジェクト508は、石炭Dに対応するオブジェクトである。オブジェクト509は、石炭Gに対応するオブジェクトである。
回帰線510は、石炭A~C、E、F、H~Nそれぞれに対応するスペクトルベクトルの第1主成分とRoの実測値とに基づいて、最小二乗法で求められた、スペクトルベクトルの第1主成分とRoとの関係を示す直線状の回帰線である。本実験では、発明者らは、この回帰線510を用いて、石炭D、Gそれぞれについて、Roの値を推定した。
オブジェクト506は、石炭Dのスペクトルベクトルの第1主成分と、石炭Dのスペクトルベクトルの第1主成分から回帰線510を用いて定まる石炭DのRoの推定値と、に対応する位置にプロットされたオブジェクトである。即ち、オブジェクト506が示すRoの値は、石炭DのRoの推定値である。また、オブジェクト507は、石炭Gのスペクトルベクトルの第1主成分と、石炭Gのスペクトルベクトルの第1主成分から回帰線510を用いて定まる石炭DのRoの推定値と、に対応する位置にプロットされたオブジェクトである。即ち、オブジェクト507が示すRoの値は、石炭GのRoの推定値である。
図5(c)のグラフ中にプロットされているオブジェクトそれぞれは、オブジェクト511とオブジェクト512とを除いて、石炭A~Nそれぞれについての、スペクトルベクトルの第1主成分とVMの実測値との対応を示すオブジェクトである。オブジェクト513は、石炭Dに対応するオブジェクトである。オブジェクト514は、石炭Gに対応するオブジェクトである。
回帰線515は、石炭A~C、E、F、H~Nそれぞれに対応するスペクトルベクトルの第1主成分とVMの実測値とに基づいて、最小二乗法で求められた、スペクトルベクトルの第1主成分とVMとの関係を示す直線状の回帰線である。本実験では、発明者らは、この回帰線510を用いて、石炭D、Gそれぞれについて、VMの値を推定した。
オブジェクト511は、石炭Dのスペクトルベクトルの第1主成分と、石炭Dのスペクトルベクトルの第1主成分から回帰線515を用いて定まる石炭DのVMの推定値と、に対応する位置にプロットされたオブジェクトである。即ち、オブジェクト511が示すVMの値は、石炭DのVMの推定値である。また、オブジェクト512は、石炭Gのスペクトルベクトルの第1主成分と、石炭Gのスペクトルベクトルの第1主成分から回帰線515を用いて定まる石炭DのVMの推定値と、に対応する位置にプロットされたオブジェクトである。即ち、オブジェクト512が示すVMの値は、石炭GのVMの推定値である。
発明者らは、図5の各グラフから、石炭のFC、Ro、VMに関しては、図3と比較して、第1主成分とより高い相関を示すことを見出した。
また、発明者らは、物性値が既知の石炭(石炭A~C、E、F、H~N)それぞれについてのスペクトルベクトルに対するPCAにより得られた第1主成分を示す軸と第2主成分を示す軸とで表される2次元のグラフに、物性値が既知の石炭と、物性値が未知の石炭と、をプロットすることで、以下のような効果を奏することができる可能性があるとの着想を得た。即ち、その平面を視認したユーザが、その平面上で、物性値が未知の石炭に対応する位置と、物性値が既知の石炭に対応する位置と、の双方を把握することで、物性値が未知の石炭の特性を推測することができるようにすることができるとの効果である。例えば、ユーザは、その平面上で、物性値が既知の石炭の近傍に、物性値が未知の石炭がプロットされている場合、物性値が未知のその石炭の特性(特にここでは炭素骨格構造)は、物性値が既知のその石炭の特性に近い特性を有すると推測できる。
この着想の実効性を検証するため、発明者らは、石炭A~C、E、F、H~Nそれぞれについてのスペクトルベクトルに対するPCAにより得られた第1主成分を示す軸と第2主成分を示す軸とで表される2次元のグラフを生成し、石炭A~C、E、F、H~Nそれぞれと、石炭D、Gそれぞれと、をプロットした。
石炭A~Nそれぞれがプロットされたこのグラフを図6に示す。図6が示す各石炭の分布の様子と、図2のコールバンドが示す各石炭の分布の様子と、を見ると、石炭AとBとが他の石炭同士よりも近くに存在し、石炭K、L、Mが他の石炭同士よりも近くに存在し、その他の石炭同士も相対的に近傍に位置している点が共通している。このように、図6のグラフは、石炭の特性に応じた分布を示す図2のコールバンドと共通する特徴を有しており、石炭の特性に応じた分布を示す可能性があることが確認された。図6のグラフは、石炭の特性に応じた分布を示す石炭特性グラフの一例である。
また、図6のグラフにおいては、図2のコールバンドと比べて、N炭は、A~C炭のようなより褐炭に近い領域に位置している。また、E、H、I、J炭の高度瀝青炭に近い方からの序列が図2とは逆になっており、元素比では得られない炭素骨格構造の違いに基づいた炭種の違いが第一主成分の軸沿いに明確に分離されることが確認された。
よって、発明者らは、物性値が既知の石炭についてのスペクトルベクトルに対するPCAにより得られた第1主成分を示す軸と第2主成分を示す軸とで表される2次元のグラフに、物性値が既知の石炭と、物性値が未知の石炭と、をプロットしたグラフをユーザに提示することで、ユーザによる石炭の特性(特に、炭素構造)の把握を支援できるとの知見を得た。以下では、この知見を、第1の知見とする。
次に、石炭A~C、E、F、H~Nそれぞれについての13C-MAS-NMRスペクトルのデータを説明変数とし、更に、石炭A~C、E、F、H~Nそれぞれについての物性値を目的変数として、多変量解析であるPLSを行った実験の詳細について説明する。発明者らは、石炭A~C、E、F、H~Nそれぞれについての13C-MAS-NMRスペクトルそれぞれを、1134次元のベクトルとして表した。PCAでは、説明変数からなるべく情報量が大きくなるように主成分を求めて、情報の要約・分類が行われるのに対して、PLSでは、なるべく説明変数の情報を維持しながら目的変数(物性値、VMやRo等)との関係が大きいように主成分が求められることで、目的変数の定量的予測が可能となる。
そして、発明者らは、石炭A~C、E、F、H~Nそれぞれについてのスペクトルベクトル(12個のスペクトルベクトル)を説明変数のサンプルとし、更に、石炭A~C、E、F、H~Nそれぞれの物性値を目的変数のサンプルとして、PLSを行った。発明者らは、PLSの結果、説明変数から目的変数を推定するための回帰関数を取得した。
そして、発明者らは、石炭A~Nそれぞれについて、スペクトルベクトルに基づいて、取得した回帰関数を用いて、物性値の推定値を求めた。
図7は、石炭A~Nそれぞれについての物性値の実測値と、PLSを行い得られた回帰関数から推定した物性値の推定値と、の対応を示すグラフである。図7の各グラフの横軸は、対応する物性値の実測値を示す。また、図7の各グラフの縦軸は、対応する物性値の推定値を示す。仮に、ある石炭の物性値の推定値が理想的に推定されている場合、図7の各グラフにおいて、その石炭は、対応する横軸の値(物性値の実測値)と、対応する縦軸の値(物性値の推定値)と、が等しくなる。図7(a)のグラフは、FCに対応するグラフである。図7(b)のグラフは、Roに対応するグラフである。図7(c)のグラフは、VMに対応するグラフである。
図7(a)のグラフのオブジェクト701は、石炭Dに対応する。即ち、オブジェクト701に対応する縦軸の値は、石炭DのFCの推定値である。また、オブジェクト702は、石炭Gに対応する。即ち、オブジェクト702に対応する縦軸の値は、石炭GのFCの推定値である。
図7(b)のグラフのオブジェクト703は、石炭Dに対応する。即ち、オブジェクト703に対応する縦軸の値は、石炭DのRoの推定値である。また、オブジェクト704は、石炭Gに対応する。即ち、オブジェクト704に対応する縦軸の値は、石炭GのRoの推定値である。
図7(c)のグラフのオブジェクト705は、石炭Dに対応する。即ち、オブジェクト705に対応する縦軸の値は、石炭DのVMの推定値である。また、オブジェクト706は、石炭Gに対応する。即ち、オブジェクト706に対応する縦軸の値は、石炭GのVMの推定値である。
図8に、本実験における石炭D、Gについての物性値の推定結果を示す。図8のグラフは、物性値、実測値、従来技術(O/C、H/C)、本実験例(PCR、PLS)の項目を含む。
図8のグラフの物性値の項目は、推定対象の物性値を示す項目である。実測値の項目は、対応する物性値の実測値を示す項目である。従来技術O/Cの項目は、図3等を用いて説明した従来の推定方法のうち、石炭のO/Cに基づいて推定された(回帰線310、320、330を用いて推定された)物性値の値を示す項目である。即ち、従来技術O/Cの項目の各値は、図3の各グラフにおけるオブジェクト306、307、316、317、326、327それぞれに対応する横軸の値となる。
従来技術H/Cの項目は、図3等を用いて説明した従来の推定方法のうち、石炭のH/Cに基づいて推定された(回帰線305、315、325を用いて推定された)物性値の値を示す項目である。即ち、従来技術H/Cの項目の各値は、図3の各グラフにおけるオブジェクト301、302、311、312、321、322それぞれに対応する横軸の値となる。
本実験例PCRの項目は、図5等を用いて説明したPCRを行って得られた回帰関数(回帰線505、510、515が示す関数)を用いて推定された物性値の推定値を示す項目である。即ち、本実験例PCRの項目の各値は、図5の各グラフにおけるオブジェクト501、502、506、507、511、512それぞれに対応する横軸の値となる。
本実験例PCRの項目は、図7等を用いて説明したPLSを行って得られた回帰関数を用いて推定された物性値の推定値を示す項目である。即ち、本実験例PLSの項目の各値は、図7の各グラフにおけるオブジェクト701~706それぞれに対応する縦軸の値となる。
図8のグラフを見ると、石炭DのFC、Roそれぞれについては、本実験例の方が、従来技術よりも精度よく推定できていることが確認できる。
また、図5の各グラフにおけるグラフ中の回帰線を基準とした各オブジェクトのばらつきは、図3の各グラフにおけるグラフ中の回帰線を基準とした各オブジェクトのばらつきよりも小さいことが分かる。そのため、図5の各グラフの回帰線は、図3の各グラフの回帰線よりも、より精度よく物性値を推定できる回帰線と考えられる。
また、図7の各グラフにおけるプロットされたオブジェクト(オブジェクト701~706を除く)を見ると、PLSに用いたサンプル群(石炭A~C、E、F、H~N)について、物性値の予測値と実測値とは、ほぼ一致していることが分かる。また、オブジェクト701~706についても、適切な精度で予測できており、相関性についても図3に示したO/Cの場合より0.1ポイント以上向上したことが確認された。
以上より、発明者らは、物性値が既知の石炭についてのスペクトルベクトルを説明変数のサンプルとして、その石炭の物性値を目的変数のサンプルとして、多変量解析を行い得られた推定関数を用いて、物性値が未知の石炭の物性値を推定することで、より精度よく推定できる場合があるとの知見を得た。以下では、この知見を第2の知見とする。
発明者らは、第2の知見から、物性値が既知の石炭についてスペクトルベクトルを説明変数のサンプルとし、更に、その石炭についての物性値を目的変数のサンプルとして、多変量解析を行い、目的変数の推定関数を取得し、取得した推定関数を用いて、物性値が未知の石炭の物性値を推定する方法について想到した。
そこで、本実施形態の推定方法の概要は、以下の通りである。まず、物性値が既知の石炭についてスペクトルベクトルを取得し、取得したスペクトルベクトルを説明変数のサンプルとし、更に、その石炭についての物性値を目的変数のサンプルとして、多変量解析を行い、目的変数の推定関数を取得する。そして、物性値が未知の石炭のスペクトルベクトルを取得し、取得したスペクトルベクトルから、取得した推定関数を用いて、その石炭の物性値を推定する。
また、発明者らは、第1の知見から、物性値が既知の石炭についてのスペクトルベクトルに対するPCAにより得られた第1主成分を示す軸と第2主成分を示す軸とで表される2次元のグラフに、物性値が既知の石炭と、物性値が未知の石炭と、をプロットしたグラフを生成する方法について想到した。
そこで、本実施形態の生成方法の概要は、以下の通りである。まず、物性値が既知の石炭についてスペクトルベクトルを取得し、取得したスペクトルベクトルを説明変数のサンプルとして、PCAを行い、説明変数の第1主成分と第2主成分とを決定する。そして、この第1主成分に対応する軸と、第2主成分に対応する軸と、で表されるグラフを生成し、生成したグラフに、この物性値が既知の石炭と、物性値が未知の石炭と、をプロットする。
(解析システム)
(評価システムの詳細)
図9は、本実施形態の解析システムのシステム構成の一例を示す図である。
解析システムは、情報処理装置900、NMR測定装置901を含む。
情報処理装置900は、NMR測定装置901により測定された石炭の13C-MAS-NMRスペクトルを解析するパーソナルコンピュータ(PC)、サーバ装置等の情報処理装置である。また、他の例として、情報処理装置900は、NMR測定装置901に組み込まれているコンピュータであることとしてもよい。
NMR測定装置901は、測定対象の試料について、MAS法を用いて核種13CのNMRを測定する測定装置である。本実施形態では、NMR測定装置901は、測定により、図4と同様に、化学シフト0(ppm)~220(ppm)の範囲における共鳴の強度のデータを取得する。即ち、化学シフトの特定の範囲である0(ppm)~220(ppm)の範囲における共鳴の強度のデータを取得する。また、NMR測定装置901は、化学シフト0(ppm)~220(ppm)の範囲における共鳴の強度のデータとして、n番目の要素が、化学シフト0.194175×(n-1)(ppm)における共鳴の強度の値を示すベクトルのデータ(スペクトルベクトル)を取得するとする。
(情報処理装置の詳細)
図10は、情報処理装置900のハードウェア構成の一例を示す図である。情報処理装置900は、CPU1001、主記憶装置1002、補助記憶装置1003、デバイスI/F1004、入力部1005、出力部1006を含む。各要素は、システムバス1007を介して相互に通信可能に接続されている。情報処理装置は、石炭の物性値の推定装置の一例である。また、情報処理装置は、各石炭の特性に応じた分布の様子を示す石炭特性グラフの生成装置の一例である。
CPU1001は、情報処理装置900を制御する中央演算装置である。主記憶装置1002は、CPU1001のワークエリアやデータの一時的な記憶領域として機能するRandom Access Memory(RAM)等の記憶装置である。補助記憶装置1003は、各種プログラム、各種設定情報、各種画像データ等を記憶するRead Only Memory(ROM)、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)等の記憶装置である。デバイスI/F1004は、NMR測定装置901等の外部のデバイスとの間での情報の入出力に用いられるインターフェースである。入力部1005は、マウス、キーボード、マイク、タッチパネル等の入力部である。出力部は、モニタ、スピーカ、タッチパネルの表示部等の出力部である。
CPU1001が、補助記憶装置1003等に記憶されたプログラムにしたがって処理を実行することで、図11で後述する情報処理装置900の機能や図12、13で後述するフローチャートの処理等が実現される。
図11は、情報処理装置900の機能構成の一例を示す図である。情報処理装置900は、取得部1101、解析部1102、推定部1103、生成部1104、出力制御部1105を含む。
取得部1101は、デバイスI/F1004を介して、NMR測定装置901から、測定対象の石炭について測定された13C-MAS-NMRスペクトルを取得する。
解析部1102は、取得部1101により取得された13C-MAS-NMRスペクトルについての解析を行う。
推定部1103は、解析部1102による解析結果に基づいて、物性値の推定対象となる石炭の物性値を推定する。
生成部1104は、解析部1102による解析結果に基づいて、各石炭の特性に応じた分布を示す石炭特性グラフを生成する。
出力制御部1105は、推定部1103による推定結果、生成部1104により生成された石炭特性グラフを出力する。
(推定方法)
図12を用いて、本実施形態の情報処理装置900が実行する石炭の物性値の推定方法について説明する。本実施形態では、予め物性値が既知である1つ以上の石炭と、物性値が未知である1つ以上の石炭と、が用意されているとする。以下では、予め用意された物性値が既知の石炭を、既知石炭とする。また、以下では、予め用意された物性値が未知の石炭を、未知石炭とする。
S1201において、取得部1101は、既知石炭それぞれについての13C-MAS-NMRスペクトルのデータであるスペクトルベクトルを、NMR測定装置901から取得する。NMR測定装置901は、既知石炭それぞれについて、核種13CのNMRを測定し、測定して得られたスペクトルのデータを情報処理装置900に送信する。NMR測定装置901による測定による得られたスペクトルベクトルのデータは、13C-NMRスペクトルを示すスペクトルデータの一例である。
S1202において、取得部1101は、補助記憶装置1003から、補助記憶装置1003に予め記憶されている既知石炭それぞれの物性値を取得する。ただし、取得部1101は、既知石炭それぞれの物性値を取得できれば、補助記憶装置1003から既知石炭それぞれの物性値を取得しないでもよい。例えば、取得部1101は、入力部1005を介したユーザからの既知石炭の物性値の入力に基づいて、既知石炭それぞれの物性値を取得してもよい。
S1203において、解析部1102は、S1201で取得したスペクトルベクトルそれぞれを説明変数のサンプルとし、更に、S1202で取得した物性値を目的変数のサンプルとして、主成分回帰分析(PCR)を行うことで、物性値の推定に用いられる推定関数を求める。
より具体的には、解析部1102は、S1201で取得したスペクトルベクトル(説明変数のサンプル)に対してPCAを行うことで、説明変数の第1主成分を求める。そして、解析部1102は、既知石炭それぞれについて、スペクトルベクトルの第1主成分の値と物性値(目的変数のサンプル)とを取得する。そして、解析部1102は、取得したスペクトルベクトルの第1主成分の値と物性値とに基づいて、最小二乗法を用いて、スペクトルベクトルの第1主成分の値から物性値を推定する1次式の回帰関数である推定関数を求める。S1203で求めた推定関数は、説明変数と目的変数との関係を示す情報の一例である。解析部1102は、この推定関数を求めることで、説明変数と目的変数との関係を特定する。
本実施形態では、解析部1102は、S1203で、PCRを行うことで、推定関数を求めることとした。但し、解析部1102は、他の多変量解析を行うことで、推定関数を求めることとしてもよい。
例えば、解析部1102は、S1201で取得したスペクトルベクトルそれぞれを説明変数のサンプルとし、更に、S1202で取得した物性値を目的変数のサンプルとして、部分的最小二乗回帰分析(PLS)を行うことで、説明変数から目的変数を推定する推定関数を求めることとしてもよい。
S1204において、取得部1101は、物性値の推定対象である未知石炭についてのスペクトルベクトルを、NMR測定装置901から取得する。NMR測定装置901は、この未知石炭について、核種13CのNMRを測定し、測定して得られたスペクトルのデータを情報処理装置900に送信する。
S1205において、推定部1103は、S1204で取得したスペクトルベクトルについて、S1203で特定された第1主成分の値を求める。そして、推定部1103は、求めた第1主成分の値を、S1203で求められた推定関数に代入することで、目的変数である未知石炭の物性値の推定値を取得する。
S1206において、出力制御部1105は、S1205で取得された推定値を、出力部1006のモニタに表示することで出力する。ただし、出力制御部1105は、他の態様で、S1205で取得された推定値を出力してもよい。例えば、出力制御部1105は、S1205で取得された推定値を、補助記憶装置1003に記憶することで出力してもよい。また、出力制御部1105は、S1205で取得された推定値を、予め定められた送信先に送信することで出力してもよい。また、出力制御部1105は、S1205で取得された推定値を、印刷装置を介して印刷することで出力してもよい。
(生成方法)
図13を用いて、本実施形態の情報処理装置900が実行する複数の石炭に対応するオブジェクトを、石炭の特性に応じた分布態様で表示する石炭特性グラフを生成する生成方法について説明する。
S1301において、取得部1101は、既知石炭それぞれについてのスペクトルベクトルを、NMR測定装置901から取得する。
S1302において、解析部1102は、S1201で取得したスペクトルベクトル(説明変数のサンプル)に対してPCAを行うことで、説明変数の第1主成分と、第2主成分と、を特定する。
S1303において、取得部1101は、物性値の推定対象である未知石炭それぞれについてのスペクトルベクトルを、NMR測定装置901から取得する。
S1304において、生成部1104は、横軸がS1302で特定された第1主成分に対応し、縦軸がS1302で特定された第2主成分に対応する2次元のグラフを生成する。
そして、生成部1104は、S1301で取得された既知石炭に対応するスペクトルベクトルそれぞれについて、S1302で特定された第1主成分の値と、第2主成分の値と、を求める。また、生成部1104は、求めた第1主成分の値と第2主成分の値とに基づいて、既知石炭それぞれに対応するオブジェクト(例えば、円形オブジェクト、矩形オブジェクト、三角形オブジェクト等)を、生成したグラフ上にプロットする。
また、生成部1104は、S1303で取得された未知石炭それぞれに対応するスペクトルベクトルそれぞれについて、S1302で特定された第1主成分の値と、第2主成分の値と、を求める。また、生成部1104は、求めた第1主成分の値と第2主成分の値とに基づいて、未知石炭それぞれに対応するオブジェクト(例えば、円形オブジェクト、矩形オブジェクト、三角形オブジェクト等)を、生成したグラフ上にプロットする。
また、生成部1104は、プロットした各オブジェクトがどの石炭に対応するかを示す情報(例えば、石炭名等)を、このグラフ上に記載する。
生成部1104は、以上の処理により、各石炭に対応するオブジェクトが各石炭の特性に応じて分布されている石炭特性グラフを生成する。
S1305において、出力制御部1105は、S1304で生成された石炭特性グラフを、出力部1006のモニタに表示することで出力する。ただし、出力制御部1105は、他の態様で、S1304で生成された石炭特性グラフを出力してもよい。例えば、出力制御部1105は、S1304で生成された石炭特性グラフを、印刷装置を介して印刷することで出力してもよい。
また、出力制御部1105は、S1304で生成された石炭特性グラフを、補助記憶装置1003に記憶することで出力してもよい。また、出力制御部1105は、S1304で生成された石炭特性グラフを、予め定められた送信先に送信することで出力してもよい。
(効果)
本実施形態では、解析システムは、既知石炭の13C-MAS-NMRスペクトルのデータを用いた多変量解析により、石炭の物性値を求める推定関数を求め、求めた推定関数を用いて、未知石炭の物性値を推定することとした。解析システムは、13C-MAS-NMRスペクトルのデータとして、特定の化学シフトの範囲(0ppm~220ppm)における13C-MAS-NMRスペクトル全体を示すスペクトルベクトルのデータを用いた。これにより、解析システムは、13C-MAS-NMRスペクトルの内容を解釈することなく、特定の化学シフトの範囲の13C-MAS-NMRスペクトル全体に含まれる情報を活用しつつ、未知石炭の物性値を推定できることとなる。
これにより、ユーザは、NMRスペクトルの内容について専門知識がなくとも、13C-MAS-NMRスペクトルに含まれる情報を活用した上での未知石炭の物性値の推定値を把握できる。即ち、解析システムは、石炭の13C-NMRスペクトルを用いて、NMRスペクトルに関する専門知識がないようなユーザが、より容易に、より精度よく石炭の特性を把握できるように支援できる。
また、本実施形態では、解析システムは、既知石炭の13C-MAS-NMRスペクトルのデータであるスペクトルベクトルを説明変数のサンプルとして、既知石炭のスペクトルベクトルを用いたPCAにより、説明変数の第1主成分と第2主成分とを特定し、特定した第1主成分に対応する軸と第2主成分に対応する軸とで表される石炭特性グラフを生成することとした。そして、解析システムは、生成した石炭特性グラフに、既知石炭と未知石炭とのそれぞれに対応するオブジェクトをプロットすることで、各石炭に対応するオブジェクトが各石炭の特性に応じて分布されている石炭特性グラフを生成した。これにより、解析システムは、13C-MAS-NMRスペクトルの内容を解釈することなく、特定の化学シフトの範囲の13C-MAS-NMRスペクトル全体に含まれる情報を活用しつつ、各石炭に対応するオブジェクトが各石炭の特性に応じて分布されている石炭特性グラフを生成できる。
ユーザは、この石炭特性グラフにおける各オブジェクトの分布を確認することで、NMRスペクトルの内容について専門知識がなくとも、未知石炭の特性を把握できる。即ち、解析システムは、石炭の13C-NMRスペクトルを用いて、NMRスペクトルに関する専門知識がないようなユーザが、より容易に、より精度よく石炭の特性を把握できるように支援できる。
本実施形態では、解析システムは、以上のように、石炭の13C-MAS-NMRスペクトルを用いた解析を行うこととした。IR測定では、ある程度多元素由来の構造シグナルを取得できるが、スペクトル中に複数の振動モードを含むため、単分子においても非常に複雑なスペクトルパターンを示す。一方、NMR測定では元素選択的な構造スペクトルを取得でき、1Hや13C核のような核スピン量子数1/2の核種であれば、適切な条件で測定すると、NMRスペクトル中の各ピークを1つの原子的環境とみなすことができ、IR測定と比較して分解能の良いスペクトルが得られる。また、IR測定では双極子モーメントの変化が伴わない場合、赤外活性とならず、スペクトルが生じない、あるいは、ピークにより吸収強度が異なり、複数ピーク間の定量比較が単純にはできない。一方、NMR測定では核固有の核磁気回転比に基づく共鳴スペクトル強度を示すため、十分に緩和させる時間を待てば定量的な原子数比を反映するスペクトルを得ることができる。即ち、NMR測定では、赤外線分光法よりも高分解能で、元素の定量比を反映するスペクトルを得ることができる。そのため、NMR測定で得られたスペクトルのデータを用いて、IR測定で得られたデータを用いる場合よりも、より適切な解析を行うことができる。
また、石炭には構成成分として、前述の有機質を中心とするVMやFCの他に、灰分、吸着水分や表面水分が含まれる。IR測定では、多元素由来のピーク成分を同一スペクトル上で観測できるが、水分を含む試料の解析において、含有水分によるバックグラウンドの歪みが解析に支障をきたす場合があるという問題があるが、13C-MAS-NMR測定では、元素選択的に観測を行うため、このような問題はない。そのため、解析システムは、石炭の13C-MAS-NMRスペクトルを用いて解析を行うことで、水分を含みうる物体である石炭について、赤外線分光法を用いる場合よりもより適切に解析できる。
(変形例1)
本実施形態では、解析システムは、石炭の13C-MAS-NMRスペクトルのデータとして、n番目の要素が、化学シフト0.194175×(n-1)に対応する13C-MAS-NMRスペクトルの値を示す1134次元のベクトルを用いた。ただし、解析システムは、石炭の13C-MAS-NMRスペクトルのデータとして、特定の化学シフトの範囲における13C-MAS-NMRスペクトル全体の形状が表されるデータであるならビン化により他のデータ点数にまとめたデータを用いてもよい。例えば、解析システムは、n番目の要素が、化学シフト0.194175×(2n-2)(ppm)に対応する13C-MAS-NMRスペクトルの値を示す567次元のベクトルとして作成したデータを用いてもよい。
(変形例2)
本実施形態では、解析システムは、S1304で生成した石炭特性グラフ上にプロットされた各オブジェクトに対応する各石炭を示す情報を記載するとした。ただし、解析システムは、S1304で生成した石炭特性グラフ上にプロットされた各オブジェクトをユーザにとって区別可能な態様で各オブジェクトを表示できれば、各オブジェクトに対応する各石炭を示す情報を記載しなくてもよい。例えば、解析システムは、石炭特性グラフ上に、石炭ごとに、形状や色がそれぞれ異なるオブジェクトをプロットするようにしてもよい。
(変形例3)
本実施形態では、情報処理装置900が、推定方法と生成方法とを実行することした。しかし、NMR測定装置901による既知石炭と未知石炭との測定により得られたデータから、ユーザが、人手で推定方法と生成方法とを実行することとしてもよい。
(その他の変形例)
本実施形態の解析システムの機能構成の一部又は全てをハードウェアとして情報処理装置900に実装してもよい。
900 情報処理装置、901 NMR測定装置、1001 CPU

Claims (12)

  1. 物性値が既知の石炭である既知石炭の核種13CについてのNMR(Nuclear Magnetic Resonance)スペクトルを示す第1のスペクトルデータを取得する第1の取得工程と、
    前記第1の取得工程で取得された前記第1のスペクトルデータを説明変数のサンプルとして、前記既知石炭の前記物性値を目的変数のサンプルとして、前記第1のスペクトルデータと前記既知石炭の前記物性値とを用いた多変量解析により、前記説明変数と前記目的変数との関係を特定する特定工程と、
    前記物性値が未知の石炭である未知石炭の核種13CについてのNMRスペクトルを示す第2のスペクトルデータを取得する第2の取得工程と、
    前記第2の取得工程で取得された前記第2のスペクトルデータと、前記特定工程で特定された前記関係と、に基づいて、前記未知石炭の前記物性値を推定する推定工程と、
    を含み、
    前記第1のスペクトルデータ及び前記第2のスペクトルデータは、化学シフトが0ppmから所定の化学シフトまでの共鳴の強度の値を要素とするベクトルのデータである石炭の物性値の推定方法。
  2. 前記所定の化学シフトは、220ppmである、請求項1記載の石炭の物性値の推定方法。
  3. 前記特定工程では、前記多変量解析として、主成分回帰分析を用いて、前記関係を特定する請求項1又は2記載の石炭の物性値の推定方法。
  4. 前記特定工程では、前記第1の取得工程で取得された前記第1のスペクトルデータに対する主成分分析により求まる前記説明変数の第1主成分から前記目的変数を推定する関数を前記関係として特定する請求項記載の石炭の物性値の推定方法。
  5. 前記特定工程では、前記多変量解析として、部分的最小二乗回帰分析を用いて、前記関係を特定する請求項1又は2記載の石炭の物性値の推定方法。
  6. 前記物性値は、固定炭素量、ビトリニット反射率、揮発成分量のうちの何れかである請求項1乃至何れか1項記載の石炭の物性値の推定方法。
  7. 物性値が既知の石炭である既知石炭の核種13CについてのNMRスペクトルを示す第1のスペクトルデータを取得する第1の取得工程と、
    物性値が未知の石炭である未知石炭の核種13CについてのNMRスペクトルを示す第2のスペクトルデータを取得する第2の取得工程と、
    前記第1の取得工程で取得された前記第1のスペクトルデータに対する主成分分析により求まる第1主成分と第2主成分とにそれぞれ対応する2つの軸で表されるグラフであって、前記第1の取得工程で取得された前記第1のスペクトルデータと前記第2の取得工程で取得された前記第2のスペクトルデータとのそれぞれに対応するオブジェクトがプロットされた石炭特性グラフを生成する生成工程と、
    を含み、
    前記第1のスペクトルデータ及び前記第2のスペクトルデータは、化学シフトが0ppmから所定の化学シフトまでの共鳴の強度の値を要素とするベクトルのデータである石炭特性グラフの生成方法。
  8. 前記生成工程で生成された前記石炭特性グラフを出力する出力工程を更に含む請求項記載の石炭特性グラフの生成方法。
  9. 物性値が既知の石炭である既知石炭の核種13CについてのNMRスペクトルを示す第1のスペクトルデータを取得する第1の取得手段と、
    前記第1の取得手段により取得された前記第1のスペクトルデータを説明変数のサンプルとして、前記既知石炭の前記物性値を目的変数のサンプルとして、前記第1のスペクトルデータと前記既知石炭の前記物性値とを用いた多変量解析により、前記説明変数と前記目的変数との関係を特定する特定手段と、
    前記物性値が未知の石炭である未知石炭の核種13CについてのNMRスペクトルを示す第2のスペクトルデータを取得する第2の取得手段と、
    前記第2の取得手段により取得された前記第2のスペクトルデータと、前記特定手段により特定された前記関係と、に基づいて、前記未知石炭の前記物性値を推定する推定手段と、
    を有し、
    前記第1のスペクトルデータ及び前記第2のスペクトルデータは、化学シフトが0ppmから所定の化学シフトまでの共鳴の強度の値を要素とするベクトルのデータである石炭の物性値の推定装置。
  10. 物性値が既知の石炭である既知石炭の核種13CについてのNMRスペクトルを示す第1のスペクトルデータを取得する第1の取得手段と、
    物性値が未知の石炭である未知石炭の核種13CについてのNMRスペクトルを示す第2のスペクトルデータを取得する第2の取得手段と、
    前記第1の取得手段により取得された前記第1のスペクトルデータに対する主成分分析により求まる第1主成分と第2主成分とにそれぞれ対応する2つの軸で表されるグラフであって、前記第1の取得手段により取得された前記第1のスペクトルデータと前記第2の取得手段により取得された前記第2のスペクトルデータとのそれぞれに対応するオブジェクトがプロットされた石炭特性グラフを生成する生成手段と、
    を有し、
    前記第1のスペクトルデータ及び前記第2のスペクトルデータは、化学シフトが0ppmから所定の化学シフトまでの共鳴の強度の値を要素とするベクトルのデータである石炭特性グラフの生成装置。
  11. コンピュータを、請求項記載の石炭の物性値の推定装置の各手段として、機能させるためのプログラム。
  12. コンピュータを、請求項10記載の石炭特性グラフの生成装置の各手段として、機能させるためのプログラム。
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