以下では、本開示のさまざまな実施形態について、添付の図面を参照しながら詳しく説明する。以下の説明では、明確さと簡潔さとを目的として、公知の機能および公知の構造の詳細な説明は省いた。
図1は、提案されている802.11axの草案仕様書(非特許文献1を参照)に準拠するHE(高効率)パケット100のフォーマットを示している。HEパケット100は、レガシーショートトレーニングフィールド(L-STF:legacy short training field)102、レガシーロングトレーニングフィールド(L-LTF:legacy long training field)104、およびレガシー信号フィールド(L-SIG:legacy signal field)106を備えているレガシープリアンブルと、反復L-SIGフィールド(RL-SIG:repeated L-SIG field)108、第1のHE信号フィールド(HE-SIG-A)110、第2のHE信号フィールド(HE-SIG-B)112、HEショートトレーニングフィールド(HE-STF:HE short training field)114、およびHEロングトレーニングフィールド(HE-LTF:HE long training field)116を備えているHEプリアンブルと、HEデータフィールド120と、パケット拡張(PE:packet extension)フィールド122と、を含む。
レガシープリアンブル(102,104,106)は、レガシー標準規格802.11a/g/n/acとの後方互換性を促進するために使用される。L-STF 102およびL-LTF 104は、主として、パケット検出、AGC(自動利得制御:Automatic Gain Control)の設定、周波数オフセット推定、時間同期、およびチャネル推定に使用される。L-SIG 106は、HEプリアンブルの中のRL-SIG 108(L-SIG 106から複製される)とともに、HEパケット100とレガシー802.11a/g/n/acパケットとの区別を支援するために使用される。さらにL-SIG 106は、HEパケット100の送信時間を示す長さ(Length)フィールドを備えている。
HEプリアンブルの中のHE-SIG-A 110は、HEパケット100の残りのフィールドを解釈するために必要な共通制御情報を含む。シングルユーザ伝送用HEパケット100の場合、HE-SIG-A 110は、帯域幅フィールド、MCS(変調・符号化方式:Modulation and Coding Scheme)フィールド、Nssフィールド、符号フィールド、DCM(デュアルサブキャリア変調)フィールドなどのシグナリングフィールドを備えている。MCSフィールドは、HEデータフィールド120において使用される変調方式および符号化率を示す。変調方式は、BPSK(二位相偏移変調:Binary Phase Shift Keying)、QPSK(四位相偏移変調)、16-QAM(16直交振幅変調:16-Quadrature Amplitude Modulation)、および64-QAMなどとすることができる。Nssフィールドは、HEデータフィールド120における空間ストリームの数を示し、符号フィールドは、HEデータフィールド120においてLDPC(低密度パリティ検査符号:Low Density Parity Coding)またはBCC(2進畳み込み符号)のいずれが使用されているかを示し、DCMフィールドは、HEデータフィールド120においてDCMが使用されているかを示す。ダウンリンクマルチユーザ伝送用HEパケット100の場合、HE-SIG-A 110は、帯域幅フィールド、SIGB MCSフィールド、SIGB DCMフィールド、およびSIGBシンボル数(SIGB Number of Symbols)フィールドなどのシグナリングフィールドを備えている。
HEプリアンブルの中のHE-SIG-B 112は、共通フィールド122と、それに続くユーザ固有フィールド124とを備えている。共通フィールド122は、RU割当て情報(例えば、周波数領域におけるRU配置と、各RUにおいて多重化されるユーザの数)を含む。シングルユーザ伝送においてRUが指定されている場合、RUにおいて多重化されるユーザの数は1である。MU-MIMO(マルチユーザ多入力多出力)伝送においてRUが指定されている場合、RUにおいて多重化されるユーザの数は2以上である。ユーザ固有フィールド124は、複数のユーザ固有サブフィールドを備えている。ユーザ固有サブフィールドそれぞれは、ユーザごとの割当て情報を含む。シングルユーザ伝送の場合に指定される各RUに対して、対応する1つのユーザ固有サブフィールドのみが存在し、このサブフィールドは、STA識別子、Nss、MCS、DCM、符号などのシグナリングフィールドを含む。K人のユーザが多重化されるMU-MIMO伝送の場合に指定される各RUに対しては、対応するK個のユーザ固有サブフィールドが存在し、各サブフィールドは、STA識別子、空間構成、MCS、DCM、符号などのシグナリングフィールドを備えている。ユーザ固有フィールド内のユーザ固有サブフィールドの順序は、共通フィールド122によってシグナリングされるRU配置に従う。HEパケット100がシングルユーザ伝送、またはアップリンクのトリガーベースのマルチユーザ伝送において使用されるように意図されている場合、HEパケット100にHE-SIG-B 112が存在しない。アップリンクのトリガーベースのマルチユーザ伝送の場合、指定された送信側STAのためのRU割当て情報およびユーザごとの割当て情報は、APにおいてあらかじめ設定され、指定された送信側STAにAPによってトリガーフレームにおいて送信される。
HEプリアンブルの中のHE-STF 114は、AGCをリセットし、ADC(アナログ-デジタルコンバータ:Analog-to-Digital Converter)に対するダイナミックレンジ要件を低減するために使用される。HEプリアンブルの中のHE-LTF 116は、HEデータフィールド120を受信し等化する(equalizing)ためのMIMOチャネル推定用に提供されている。STAのHEデータフィールド120は、PSDU(物理層サービスデータユニット:Physical Layer Service Data Unit)を含み、PSDUは、指定されたRUにおいて送信され、HEデータフィールド120におけるすべてのOFDMシンボルにまたがる。PEフィールド122はヌルデータを含み、このヌルデータは、単に、受信機がHEデータフィールド120の最後のOFDMシンボルを処理するための十分な時間を有することができるようにする目的で使用される。
L-STF 102、L-LTF 104、L-SIG 106、RL-SIG 108、HE-SIG-A 110、HE-SIG-B 112、HE-STF 114、HE-LTF 116、HEデータフィールド120、およびPEフィールド122の送信処理の詳細は、提案されている802.11axの草案仕様書(非特許文献1を参照)に記載されている。
図2は、DCMおよびBCCを使用しての一つのRUにおけるシングルユーザ伝送用HEデータフィールド120(図1を参照)を生成するために使用される、提案されている802.11axの草案仕様書(非特許文献1を参照)による送信機200の構造の例を示している。送信機200は、FEC前PHYパディングブロック202と、スクランブラ204と、BCC符号化器206と、FEC後PHYパディングブロック208と、ストリームパーサ210と、Nss個のBCCインターリーバ212と、Nss個のコンステレーションマッパー214と、Nss個のDCMトーンマッパー216と、(Nss-1)個のCSD(循環シフトダイバーシチ:Cyclic Shift Diversity)ブロック218と、空間・周波数マッピングブロック220と、NTX個のIDFT(逆離散フーリエ変換:Inverse Discrete Fourier Transform)ブロック222と、NTX個のGI(ガードインターバル:Guard Interval)挿入および窓掛けブロック224と、NTX個のアナログおよびRF(無線周波数:Radio Frequency)ブロック226とを備えており、ここでNssは空間ストリームの数であり、NTXは送信チェーンの数である。
FEC前PHYパディングブロック202と、スクランブラ204と、BCC符号化器206と、FEC後PHYパディングブロック208は、PSDUを、符号化されたデータビットのシーケンスに変換する。ストリームパーサ210は、符号化されたデータビットのシーケンスをNss個のデータブロックに再配置し、各データブロックが特定の空間ストリームに対応する。Nss個の空間ストリームそれぞれにおいて、対応するBCCインターリーバ212が、データブロック内の符号化されたビットをインターリーブする。対応するコンステレーションマッパー214は、データブロック内の符号化されてインターリーブされたビットを、変調コンステレーションポイントにマッピングする。対応するDCMトーンマッパー216は、変調コンステレーションポイントに対してDCMを動作させ、次いで、第1の空間ストリームを除き、対応するCSDブロック218によって循環シフトを挿入する。空間・周波数マッピングブロック220は、RUにおけるシングルユーザ伝送のNss個の空間ストリームの変調コンステレーションポイントを、NTX個の送信チェーンにマッピングする。NTX個の送信チェーンそれぞれにおいて、IDFTブロック222が、変調コンステレーションポイントを複数の時間領域OFDMシンボルに変換する。GI挿入および窓掛けブロック224は、各OFDMシンボルの先頭に、それ自体の循環拡張領域を付加し、オプションとして、スペクトル減衰を増大させるため各OFDMシンボルの縁部を平滑化する。アナログおよびRFブロック226は、複数の時間領域OFDMシンボルを、(1つまたは複数の)アンテナを通じて送信されるアナログ信号に変換する。
図3は、従来技術による、QPSK変調の場合におけるDCM(デュアルサブキャリア変調)の動作の例を示している(非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3、非特許文献5を参照)。DCMは、空間ストリームごとに実行される。第1の空間ストリームSS1に対応するデータブロック内の符号化されてインターリーブされたビットが、QPSKによって変調され、第1の空間ストリームSS1に対応するRUにおけるデータサブキャリアの下半分(図3の左側)にマッピングされ、すなわち、{d
1,k,k=0,1,...,N
SD/2-1}であり、式中、N
SDはRUにおけるデータサブキャリアの数である。第1の空間ストリームSS1に対応するRUにおけるデータサブキャリアの下半分の変調されたシンボルが繰り返され、共役化され(conjugated)、次いで、第1の空間ストリームSS1に対応するRUにおけるデータサブキャリアの上半分(図3の右側)にマッピングされる。すなわち、以下である。
式中、P(k)は、サブキャリアインデックスkの関数であり、例えばP(k)=k+N
SD/2である。同様に、第2の空間ストリームSS2に対応するデータブロック内の符号化されてインターリーブされたビットが、QPSKによって変調され、第2の空間ストリームSS2に対応するRUにおけるデータサブキャリアの下半分にマッピングされ、すなわち、{d
2,k,k=0,1,...,N
SD/2-1}である。第2の空間ストリームSS2に対応するRUにおけるデータサブキャリアの下半分の変調されたシンボルが繰り返され、共役化され、次いで、第2の空間ストリームSS2に対応するRUにおけるデータサブキャリアの上半分にマッピングされる。すなわち、以下である。
このようにして、周波数ダイバーシチ利得を得ることができる。結果として、狭帯域干渉を軽減することができ、さらに、PER性能を改善することができる。
図4は、従来技術による、SFDS(空間・周波数ダイバーシチ方式)の一種であるSFBC(空間・周波数ブロック符号化)の動作の例を示している(特許文献1および非特許文献4を参照)。SFBCは、2つの空間ストリームにまたがって実行される。第1の空間ストリームSS1に対応するデータブロック内の符号化されてインターリーブされたビットが変調され、第1の空間ストリームSS1に対応するRUにおけるデータサブキャリアの下半分(図4の左側)にマッピングされ、すなわち、{d
1,k,k=0,1,...,N
SD/2-1}である。第1の空間ストリームSS1に対応するRUにおけるデータサブキャリアの下半分の変調されたシンボルが繰り返され、共役化され、次いで、第2の空間ストリームSS2に対応するRUにおけるデータサブキャリアの上半分(図4の右側)にマッピングされる。すなわち、以下である。
一方、第2の空間ストリームSS2に対応するデータブロック内の符号化されてインターリーブされたビットが変調され、第2の空間ストリームSS2に対応するRUにおけるデータサブキャリアの下半分にマッピングされ、すなわち、{d
2,k,k=0,1,...,N
SD/2-1}である。第2の空間ストリームSS2に対応するRUにおけるデータサブキャリアの下半分の変調されたシンボルが繰り返され、共役化され、反転され(inverted)、次いで、第1の空間ストリームSS1に対応するRUにおけるデータサブキャリアの上半分にマッピングされる。すなわち、以下である。
このようにして、周波数ダイバーシチ利得に加えて空間ダイバーシチ利得を得ることができる。
なお、高次変調(例えば64-QAM)の場合、良好なPER性能を達成する代償として、高次変調のデータレートが低下しうるため、図3に示したDCMと図4に示したSFDSの両方を使用しなくてもよいことに留意されたい。
図3に示したDCMは、任意の数の空間ストリームを使用するダイバーシチ伝送に適用可能である。しかしながら、図3に示したDCMでは、空間ダイバーシチ利得は得られない。これに対して、図4に示したSFDSは、2つの空間ストリームを使用するダイバーシチ伝送において空間ダイバーシチ利得および周波数ダイバーシチ利得の両方を有する。しかしながら、図4に示したSFDSを、3つ以上の空間ストリームを使用するダイバーシチ伝送にどのように拡張することができるかが不明確である。以下では、空間ダイバーシチ利得および周波数ダイバーシチ利得の両方を最大限に得ることができるように、本開示に係る、任意の数の空間ストリームを使用するダイバーシチ伝送を実行する装置および方法のさまざまな実施形態について、さらに詳しく説明する。
<第1の実施形態>
図5は、任意の数の空間ストリームを使用するダイバーシチ伝送を実行する、本開示の第1の実施形態に係る方法の例500を示している。方法500はステップ502において開始される。ステップ504において、Nss個の空間ストリームをNp個のペアに対にする(式(1))。
なお、Nssが奇数である場合、空間ストリームの1つが対にされないことに留意されたい。
本開示の第1の実施形態によれば、空間ストリームを対にする方法は、設定可能とする、またはあらかじめ決めておくことができる。空間ストリームを対にするいくつかの方法が設定可能である場合、使用される空間ストリームを対にするために実際に用いられる方法を示すため、HE-SIG-A 110、HE-SIG-B 112のユーザ固有サブフィールド、またはトリガーフレームにおける追加のシグナリングが必要である。
本開示の第1の実施形態によれば、開ループ(OL)MIMO伝送の場合、対にされた空間ストリーム間の相互関係ができる限り弱いように、物理的なアンテナの構成と、アンテナへの空間ストリームのマッピングとに基づいて、空間ストリームを対にすることができる。これを達成する目的で、隣り合うアンテナを通じて送信される空間ストリームが対にされることを回避し、対にされた空間ストリームが送信されるアンテナの間の最小物理距離を最大にすることが好ましい。空間ストリームに割り当てられているストリームインデックスが、物理的なアンテナの構成の番号に対応している場合、空間ストリームをNp個のペアに対にする方法の例は、最小のストリームインデックスを有する空間ストリームから開始して、ストリームインデックスの値がNpだけ離れている2つの空間ストリームそれぞれを互いに対にするステップを含む。Nssが奇数である場合、最大のストリームインデックスを有する空間ストリームは対にされない。結果として、特に、直接マッピングを使用するOL MIMO伝送の場合に、対にされた空間ストリームそれぞれにおける空間ダイバーシチ利得を改善することができる。
図6Aは、直接マッピングおよび4つの空間ストリームを使用するOL MIMO伝送の場合における、本開示の第1の実施形態に係る空間ストリームのペアリングの例を示している。この場合、空間ストリームに割り当てられているストリームインデックスが、物理的なアンテナの構成の番号に対応している。第1の空間ストリームSS1と第3の空間ストリームSS3との間の相互関係は、第1の空間ストリームSS1と第2の空間ストリームSS2との間の相互関係より一般に弱いが、第2の空間ストリームSS2と第4の空間ストリームSS4との間の相互関係と同程度であることに留意されたい。したがって、4つの空間ストリームそれぞれがより良好な同程度の空間ダイバーシチ利得を達成することができるように、SS1とSS3を対にし、SS2とSS4を対にすることがより良好である。
図6Bは、直接マッピングおよび6つの空間ストリームを使用するOL MIMO伝送の場合における、本開示の第1の実施形態に係る空間ストリームのペアリングの別の例を示している。この場合、空間ストリームに割り当てられているストリームインデックスが、物理的なアンテナの構成の番号に対応している。第1の空間ストリームSS1と第4の空間ストリームSS4との間の相互関係は、第1の空間ストリームSS1と第2の空間ストリームSS2との間の相互関係、または第1の空間ストリームSS1と第3の空間ストリームSS3との間の相互関係より一般に弱いが、第2の空間ストリームSS2と第5の空間ストリームSS5との間の相互関係、または第3の空間ストリームSS3と第6の空間ストリームSS6との間の相互関係と同程度であることに留意されたい。したがって、6つの空間ストリームそれぞれがより良好な同程度の空間ダイバーシチ利得を達成することができるように、SS1とSS4を対にし、SS2とSS5を対にし、SS3とSS6を対にすることがより良好である。
図6Cは、直接マッピングおよび8つの空間ストリームを使用するOL MIMO伝送の場合における、本開示の第1の実施形態に係る空間ストリームのペアリングの別の例を示している。この場合、空間ストリームに割り当てられているストリームインデックスが、物理的なアンテナの構成の番号に対応している。第1の空間ストリームSS1と第5の空間ストリームSS5との間の相互関係は、第1の空間ストリームSS1と第2の空間ストリームSS2との間の相互関係、または第1の空間ストリームSS1と第3の空間ストリームSS3との間の相互関係、または第1の空間ストリームSS1と第4の空間ストリームSS4との間の相互関係より一般に弱いが、第2の空間ストリームSS2と第6の空間ストリームSS6との間の相互関係、または第3の空間ストリームSS3と第7の空間ストリームSS7との間の相互関係、または第4の空間ストリームSS4と第8の空間ストリームSS8との間の相互関係と同程度であることに留意されたい。したがって、SS1~SS8それぞれがより良好な同程度の空間ダイバーシチ利得を達成することができるように、SS1とSS5を対にし、SS2とSS6を対にし、SS3とSS7を対にし、SS4とSS8を対にすることがより良好である。
図6Dは、直接マッピングおよび4つの空間ストリームを使用するOL MIMO伝送の場合における、本開示の第1の実施形態に係る空間ストリームのペアリングの別の例を示している。この場合、空間ストリームに割り当てられているストリームインデックスは、物理的なアンテナの構成の番号に対応していない。第1の空間ストリームSS1と第2の空間ストリームSS2との間の相互関係は、第1の空間ストリームSS1と第3の空間ストリームSS3との間の相互関係より一般に弱いが、第3の空間ストリームSS3と第4の空間ストリームSS4との間の相互関係と同程度であることに留意されたい。したがって、SS1、SS2、SS3、SS4がより良好な同程度の空間ダイバーシチ利得を達成することができるように、SS1とSS2を対にし、SS3とSS4を対にすることがより良好である。
図5におけるステップ506においては、空間ストリームのペアそれぞれに、図4に示したSFDSを適用する。Nssが奇数である場合、対にされない空間ストリームに、図3に示したDCMを適用する。方法500は、ステップ508において停止する。
本開示の第1の実施形態によれば、RUにおけるシングルユーザ伝送においてダイバーシチ伝送が可能であり、DCMおよびSFDSを含む2つのダイバーシチ伝送方式が、RUにおいて使用される変調方式に適用可能である。RUにおいて使用されるダイバーシチ伝送方式は、次のように、RUにおいて送信される空間ストリームの数Nssのみに従って決定される。
- Nssが偶数である場合、Np個の空間ストリームペアそれぞれにSFDSが適用される。例えば、Nss=2の場合、1つの空間ストリームペアにSFDSが適用される。
- Nssが奇数である場合、Np個の空間ストリームペアそれぞれにSFDSが適用され、対にされない空間ストリームにDCMが適用される。例えば、Nss=1の場合、1つの空間ストリームにDCMが適用される。Nss=3の場合、1つの空間ストリームペアにSFDSが適用され、残りの対にされない空間ストリームにDCMが適用される。
本開示の第1の実施形態によれば、図1のHEパケット100のHE-SIG-AにおけるDCMフィールド、HE-SIG-B 112のユーザ固有サブフィールド、またはトリガーフレームが、本来の目的の代わりに、ダイバーシチ伝送が有効にされているかを示すことができる。ダイバーシチ伝送が有効にされている場合、受信機は、RUにおけるシングルユーザ伝送に(1つまたは複数の)どのダイバーシチ伝送方式が使用されているかを、空間ストリームの数Nssに従って求めることができる。
上述した設定によれば、RUにおいて2つ以上の空間ストリームが送信される場合、対にされた空間ストリームそれぞれに対するダイバーシチ伝送方式としてSFDSを使用することによって、対にされた空間ストリームそれぞれにおいて周波数ダイバーシチ利得および空間ダイバーシチ利得の両方を得ることができる。したがって、HEパケット100が受ける狭帯域干渉が軽減され、さらに、HEパケット100のPER性能が改善される。さらには、送信機は、どの空間ストリームに対してどのダイバーシチ伝送方式を使用するかを空間ストリームの数に基づいて決定するため、たとえRUにおいて2つ以上の空間ストリームが送信されるときでも、受信機は、どの空間ストリームに対してどのダイバーシチ伝送方式が実際に使用されているかを通知する追加のシグナリングビットを受信することなく、どの空間ストリームに対してどのダイバーシチ伝送方式が使用されているかを認識することができる。したがって、上述した設定をサポートするために余分なシグナリングビットが必要ない。これは極めて重要であり、なぜならHE-SIG-Aフィールド、またはHE-SIG-Bフィールドのユーザ固有サブフィールドが、どの空間ストリームに対してどのダイバーシチ伝送方式が使用されているかを示すための十分なシグナリングビットを有さないことがあるためである。
本開示の第1の実施形態によれば、Nssが奇数である場合、DCMが適用される対にされない空間ストリームにおいては、空間ダイバーシチ利得が得られない。
本開示の第1の実施形態によれば、受信機は、1つのRUにおけるシングルユーザ伝送用HEパケット100のHEデータフィールド120を復号する前に、空間ストリームがどのように対にされているかを、空間ストリームの数Nssに従って認識することができる。例えば、Nss=4の場合、最初の空間ストリームペアが、第1の空間ストリームSS1および第3の空間ストリームSS3を備えており、2番目の空間ストリームペアが、第2の空間ストリームSS2および第4の空間ストリームSS4を備えている。
本開示の第1の実施形態によれば、Nssが偶数である場合に1つのRUにおけるシングルユーザ伝送用HEパケット100のHEデータフィールド120を受信機において復号する方法は、Np個の空間ストリームペアそれぞれにおける第1の空間ストリームおよび第2の空間ストリームからの情報ビットを復号するステップと、Nss個の空間ストリームを逆パースして(deparse)、復号された情報ビットのシーケンスを得るステップと、を含む。
本開示の第1の実施形態によれば、Nssが奇数である場合に1つのRUにおけるシングルユーザ伝送用HEパケット100のHEデータフィールド120を受信機において復号する方法は、Np個の空間ストリームペアそれぞれにおける第1の空間ストリームおよび第2の空間ストリームからの情報ビットを復号するステップと、対にされていない空間ストリームからの情報ビットを復号するステップと、Nss個の空間ストリームを逆パースして、復号された情報ビットのシーケンスを得るステップと、を含む。
本開示の第1の実施形態によれば、受信機は、空間ストリームペアにおける第1の空間ストリームからの情報ビットを復号するため、ペアにおける第1の空間ストリームに対応する最初のデータサブキャリアk(k=0,1,...,N
SD/2-1)におけるLLR(尤度比:Likelihood Ratio)と、ペアにおける第2の空間ストリームに対応する2番目のデータサブキャリアP(k)、すなわち、
におけるLLRとを計算し、次いで両方のLLRを合成する。さらに受信機は、空間ストリームペアにおける第2の空間ストリームからの情報ビットを復号するため、ペアにおける第2の空間ストリームに対応する最初のデータサブキャリアk(k=0,1,...,N
SD/2-1)におけるLLRと、ペアにおける第1の空間ストリームに対応する2番目のデータサブキャリアP(k)、すなわち、
におけるLLRとを計算し、次いで両方のLLRを合成する。
本開示の第1の実施形態によれば、受信機は、対にされていない空間ストリームからの情報ビットを復号するため、対にされていない空間ストリームに対応する最初のデータサブキャリアk(k=0,1,...,N
SD/2-1)におけるLLR(尤度比)と、対にされていない空間ストリームに対応する2番目のデータサブキャリアP(k)、すなわち、
におけるLLRとを計算し、次いで両方のLLRを合成する。
図7は、ダイバーシチ伝送およびBCCを使用しての1つのRUにおけるシングルユーザ伝送用HEパケット100のHEデータフィールド120(図1を参照)を生成するために使用される、本開示の第1の実施形態に係る送信機700の構造の例を示している。送信機700は、FEC前PHYパディングブロック702と、スクランブラ704と、BCC符号化器706と、FEC後PHYパディングブロック708と、ストリームパーサ710と、Nss個のBCCインターリーバ712と、Nss個のコンステレーションマッパー714と、DCM/SFDSトーンマッパー716と、(Nss-1)個のCSDブロック718と、空間・周波数マッピングブロック720と、NTX個のIDFTブロック722と、NTX個のGI挿入および窓掛けブロック724と、NTX個のアナログおよびRFブロック726と、を備えている。さらに、送信機700は、空間ストリームペアリングブロック732と、ダイバーシチ方式選択ブロック734と、を備えている。
FEC前PHYパディングブロック702と、スクランブラ704と、BCC符号化器706と、FEC後パディングブロック708と、ストリームパーサ710と、BCCインターリーバ712と、コンステレーションマッパー714と、CSDブロック718と、空間・周波数マッピングブロック720と、IDFTブロック722と、GI挿入および窓掛けブロック724と、アナログおよびRFブロック726は、図2に示した送信機200における対応する各ブロックとまったく同じ機能を有する。
空間ストリームペアリングブロック732は、Nss個の空間ストリームをNp個のペアに対にする。Nssが奇数である場合、Nss個の空間ストリームのうちの1つが対にされない。ダイバーシチ方式選択ブロック734は、使用する(1つまたは複数の)ダイバーシチ方式をNssの値に従って決定する。DCM/SFDSトーンマッパー716は、Nssが奇数の場合に、対にされない空間ストリームに対して、図3に示したDCMを実行し、Np個の空間ストリームペアそれぞれに対して、図4に示したSFDSを実行する。
本開示の第1の実施形態の設定によれば、RUにおいて2つ以上の空間ストリームが送信される場合、対にされた空間ストリームそれぞれに対するダイバーシチ伝送方式としてSFDSを使用することによって、対にされた空間ストリームそれぞれにおいて周波数ダイバーシチ利得および空間ダイバーシチ利得の両方を得ることができる。したがって、HEパケット100が受ける狭帯域干渉が軽減され、さらに、HEパケット100のPER性能が改善される。さらには、どの空間ストリームに対してどのダイバーシチ伝送方式が使用されているかを受信機に通知する余分なシグナリングビットが必要ない。
<第2の実施形態>
図8は、ダイバーシチ伝送を実行する、本開示の第2の実施形態に係る方法の例800を示している。方法800は、ステップ802において開始される。ステップ804において、空間ストリームの数Nssが1に等しい場合、方法800はステップ806に進む。そうでない場合、方法800はステップ808に進む。
ステップ806においては、1つの空間ストリームに、図3に示したDCMを適用する。方法800はステップ818において停止する。ステップ808においては、空間ストリームの数Nssが偶数である場合、方法800はステップ810に進む。そうでない場合、方法800はステップ814に進む。
ステップ810においては、Nss個の空間ストリームをNg個(次式)のグループにグループ化する(式(2))。
各グループは2つの空間ストリームを備えている。ステップ812において、2つの空間ストリームからなるNg個のグループそれぞれに、図4に示したSFDSを適用する。方法800はステップ818において停止する。
ステップ814においては、Nss個の空間ストリームをNg個のグループにグループ化し、この場合、Ng個のグループのうちの1つが3つの空間ストリームを備えており、残りの(Ng-1)個のグループそれぞれが2つの空間ストリームを備えている。ステップ816において、2つの空間ストリームからなる(Ng-1)個のグループそれぞれに、図4に示した従来のSFDSを適用し、3つの空間ストリームからなるグループに、拡張SFDS(e-SFDS)を適用する。e-SFDSの動作については後から詳しく説明する。方法800はステップ818において停止する。
本開示の第2の実施形態によれば、空間ストリームをグループ化する方法は、設定可能とする、またはあらかじめ決めておくことができる。空間ストリームをグループ化する複数の方法が設定可能である場合、空間ストリームをグループ化するために実際に使用されている方法を示すため、HE-SIG-A 110、HE-SIG-B 112のユーザ固有サブフィールド、またはトリガーフレームにおける追加のシグナリングが必要である。
本開示の第2の実施形態によれば、OL MIMOの場合、グループ化される空間ストリーム間の相互関係ができる限り弱いように、物理的なアンテナの構成と、アンテナへの空間ストリームのマッピングとに基づいて、空間ストリームをグループ化することができる。これを達成する目的で、隣り合うアンテナを通じて送信される空間ストリームを同じグループにグループ化することを回避し、同じグループの空間ストリームが送信されるアンテナ間の最小物理距離を最大にすることが好ましい。
空間ストリームに割り当てられているストリームインデックスが、物理的なアンテナの構成の番号に対応している場合、Nssが偶数ならば、空間ストリームをNg個の空間ストリームグループにグループ化する方法の例は、最小のストリームインデックスを有する空間ストリームから開始して、ストリームインデックスの値がNgだけ離れている2つの空間ストリームそれぞれを一緒にグループ化するステップを含む。Nssが奇数であり1より大きい場合には、空間ストリームをNg個の空間ストリームグループにグループ化する方法の例は、2番目に小さいストリームインデックスを有する空間ストリームから開始して、2つの空間ストリームからなる(Ng-1)個のグループそれぞれにおいて、ストリームインデックスの値がNpだけ離れている2つの空間ストリームそれぞれを一緒にグループ化するステップを含む。残りの3つの空間ストリームは、3つの空間ストリームからなるグループにグループ化される。結果として、特に、直接マッピングを使用するOL MIMO伝送の場合に、空間ストリームそれぞれにおいて空間ダイバーシチ利得を改善することができる。
図9Aは、直接マッピングおよび4つの空間ストリームを使用するOL MIMO伝送の場合における、本開示の第2の実施形態に係る空間ストリームのグループ化の例を示している。この場合、空間ストリームに割り当てられているストリームインデックスが、物理的なアンテナの構成の番号に対応している。第1の空間ストリームSS1と第3の空間ストリームSS3との間の相互関係は、第1の空間ストリームSS1と第2の空間ストリームSS2との間の相互関係より一般に弱いが、第2の空間ストリームSS2と第4の空間ストリームSS4との間の相互関係と同程度であることに留意されたい。したがって、4つの空間ストリームそれぞれがより良好な同程度の空間ダイバーシチ利得を達成することができるように、SS1とSS3をグループ化し、SS2とSS4をグループ化することがより良好である。
図9Bは、直接マッピングおよび5つの空間ストリームを使用するOL MIMO伝送の場合における、本開示の第2の実施形態に係る空間ストリームのグループ化の別の例を示している。この場合、空間ストリームに割り当てられているストリームインデックスが、物理的なアンテナの構成の番号に対応している。第1の空間ストリームSS1と第3の空間ストリームSS3との間の相互関係は、第1の空間ストリームSS1と第2の空間ストリームSS2との間の相互関係より一般に弱いが、第2の空間ストリームSS2と第4の空間ストリームSS4との間の相互関係、または第3の空間ストリームSS3と第5の空間ストリームSS5との間の相互関係と同程度であることに留意されたい。したがって、SS1~SS5それぞれがより良好な同程度の空間ダイバーシチ利得を達成することができるように、SS1とSS3とSS5をグループ化し、SS2とSS4をグループ化することがより良好である。
図9Cは、直接マッピングおよび6つの空間ストリームを使用するOL MIMO伝送の場合における、本開示の第2の実施形態に係る空間ストリームのグループ化の別の例を示している。この場合、空間ストリームに割り当てられているストリームインデックスが、物理的なアンテナの構成の番号に対応している。第1の空間ストリームSS1と第4の空間ストリームSS4との間の相互関係は、第1の空間ストリームSS1と第2の空間ストリームSS2との間の相互関係、または第1の空間ストリームSS1と第3の空間ストリームSS3との間の相互関係より一般に弱いが、第2の空間ストリームSS2と第5の空間ストリームSS5との間の相互関係、または第3の空間ストリームSS3と第6の空間ストリームSS6との間の相互関係と同程度であることに留意されたい。したがって、SS1~SS6それぞれがより良好な同程度の空間ダイバーシチ利得を達成することができるように、SS1とSS4を対にし、SS2とSS5を対にし、SS3とSS6を対にすることがより良好である。
図9Dは、直接マッピングおよび7つの空間ストリームを使用するOL MIMO伝送の場合における、本開示の第2の実施形態に係る空間ストリームのグループ化の別の例を示している。この場合、空間ストリームに割り当てられているストリームインデックスが、物理的なアンテナの構成の番号に対応している。第1の空間ストリームSS1と第4の空間ストリームSS4との間の相互関係は、第1の空間ストリームSS1と第2の空間ストリームSS2との間の相互関係、または第1の空間ストリームSS1と第3の空間ストリームSS3との間の相互関係より一般に弱いが、第2の空間ストリームSS2と第5の空間ストリームSS5との間の相互関係、または第3の空間ストリームSS3と第6の空間ストリームSS6との間の相互関係、または第4の空間ストリームSS4と第7の空間ストリームSS7との間の相互関係と同程度であることに留意されたい。したがって、SS1~SS7それぞれがより良好な同程度の空間ダイバーシチ利得を達成することができるように、SS1とSS4とSS7をグループ化し、SS2とSS5をグループ化し、SS3とSS6をグループ化することがより良好である。
図9Eは、直接マッピングおよび8つの空間ストリームを使用するOL MIMO伝送の場合における、本開示の第2の実施形態に係る空間ストリームのグループ化の別の例を示している。この場合、空間ストリームに割り当てられているストリームインデックスが、物理的なアンテナの構成の番号に対応している。第1の空間ストリームSS1と第5の空間ストリームSS5との間の相互関係は、第1の空間ストリームSS1と第2の空間ストリームSS2との間の相互関係、または第1の空間ストリームSS1と第3の空間ストリームSS3との間の相互関係、または第1の空間ストリームSS1と第4の空間ストリームSS4との間の相互関係より一般に弱いが、第2の空間ストリームSS2と第6の空間ストリームSS6との間の相互関係、または第3の空間ストリームSS3と第7の空間ストリームSS7との間の相互関係、または第4の空間ストリームSS4と第8の空間ストリームSS8との間の相互関係と同程度であることに留意されたい。したがって、SS1~SS8それぞれがより良好な同程度の空間ダイバーシチ利得を達成することができるように、SS1とSS5を対にし、SS2とSS6を対にし、SS3とSS7を対にし、SS4とSS8を対にすることがより良好である。
図9Fは、直接マッピングおよび4つの空間ストリームを使用するOL MIMO伝送の場合における、本開示の第2の実施形態に係る空間ストリームのグループ化の別の例を示している。この場合、空間ストリームに割り当てられているストリームインデックスが、物理的なアンテナの構成の番号に対応していない。第1の空間ストリームSS1と第2の空間ストリームSS2との間の相互関係は、第1の空間ストリームSS1と第3の空間ストリームSS3との間の相互関係より一般に弱いが、第3の空間ストリームSS3と第4の空間ストリームSS4との間の相互関係と同程度であることに留意されたい。したがって、SS1、SS2、SS3、SS4がより良好な同程度の空間ダイバーシチ利得を達成することができるように、SS1とSS2をグループ化し、SS3とSS4をグループ化することがより良好である。
図9Gは、直接マッピングおよび5つの空間ストリームを使用するOL MIMO伝送の場合における、本開示の第2の実施形態に係る空間ストリームのグループ化の別の例を示している。この場合、空間ストリームに割り当てられているストリームインデックスが、物理的なアンテナの構成の番号に対応していない。第1の空間ストリームSS1と第2の空間ストリームSS2との間の相互関係は、第1の空間ストリームSS1と第4の空間ストリームSS4との間の相互関係より一般に弱いが、第4の空間ストリームSS4と第5の空間ストリームSS5との間の相互関係、または第2の空間ストリームSS2と第3の空間ストリームSS3との間の相互関係と同程度であることに留意されたい。したがって、SS1~SS5それぞれがより良好な同程度の空間ダイバーシチ利得を達成することができるように、SS1とSS2とSS3をグループ化し、SS4とSS5をグループ化することがより良好である。
図10は、本開示の第2の実施形態に係る、QPSK変調が使用される場合におけるe-SFDSの動作の例を示している。e-SFDSは、3つの空間ストリームにまたがって実行される。第1の空間ストリームSS1に対応するデータブロック内の符号化されてインターリーブされたビットが、QPSKによって変調され、第1の空間ストリームSS1に対応するRUにおけるデータサブキャリアの下半分(図10の左側)にマッピングされ、すなわち、{d
1,k,k=0,1,...,N
SD/2-1}である。第1の空間ストリームSS1に対応するRUにおけるデータサブキャリアの下半分の変調されたシンボルが繰り返され、共役化され、次いで、第2の空間ストリームSS2に対応するRUにおけるデータサブキャリアの上半分(図10の右側)にマッピングされる。すなわち、以下である。
第2の空間ストリームSS2に対応するデータブロック内の符号化されてインターリーブされたビットが、QPSKによって変調され、第2の空間ストリームSS2に対応するRUにおけるデータサブキャリアの下半分にマッピングされ、すなわち、{d
2,k,k=0,1,...,N
SD/2-1}である。第2の空間ストリームSS2に対応するRUにおけるデータサブキャリアの下半分の変調されたシンボルが繰り返され、共役化され、次いで、第3の空間ストリームSS3に対応するRUにおけるデータサブキャリアの上半分にマッピングされる。すなわち、以下である。
第3の空間ストリームSS3に対応するデータブロック内の符号化されてインターリーブされたビットが、QPSKによって変調され、第3の空間ストリームSS3に対応するRUにおけるデータサブキャリアの下半分にマッピングされ、すなわち、{d
3,k,k=0,1,...,N
SD/2-1}である。第3の空間ストリームSS3に対応するRUにおけるデータサブキャリアの下半分の変調されたシンボルが繰り返され、共役化され、次いで、第1の空間ストリームSS1に対応するRUにおけるデータサブキャリアの上半分にマッピングされる。すなわち、以下である。
本開示の第2の実施形態によれば、e-SFDSの利点は、3つの空間ストリームからなる1つのグループ内の3つの空間ストリームそれぞれにおいて、周波数ダイバーシチ利得および空間ダイバーシチ利得の両方を得ることができることである。
なお、高次変調(例えば64-QAM)の場合、高い誤り性能を達成する代償として、高次変調のデータレートが低下しうるため、図9に示したe-SFDSを使用しなくてもよいことに留意されたい。
本開示の第2の実施形態によれば、RUにおけるシングルユーザ伝送においてダイバーシチ伝送が可能であり、DCM、従来のSFDS、およびe-SFDSを含む3つのダイバーシチ伝送方式が、RUにおいて使用される変調方式に適用可能である。RUにおいて使用されるダイバーシチ伝送方式は、次のように、RUにおいて送信される空間ストリームの数Nssのみに従って決定される。
- Nss=1の場合、1つの空間ストリームにDCMが適用される。
- Nssが偶数である場合、2つの空間ストリームからなるNg個のグループそれぞれに従来のSFDSが適用される。例えば、Nss=2の場合、2つの空間ストリームからなる1つのグループに従来のSFDSが適用される。
- Nssが奇数であり1より大きい場合、Ng個のグループが存在する。2つの空間ストリームからなる(Ng-1)個のグループそれぞれに従来のSFDSが適用され、3つの空間ストリームからなるグループにe-SFDSが適用される。例えば、Nss=3の場合、3つの空間ストリームからなる1つのグループにe-SFDSが適用される。Nss=5の場合、2つの空間ストリームからなるグループに従来のSFDSが適用され、3つの空間ストリームからなるグループにe-SFDSが適用される。
本開示の第2の実施形態によれば、図1のHEパケット100のHE-SIG-AにおけるDCMフィールド、HE-SIG-B 112のユーザ固有サブフィールド、またはトリガーフレームが、本来の目的の代わりに、ダイバーシチ伝送が有効にされているかを示すことができる。ダイバーシチ伝送が有効にされている場合、受信機は、(1つまたは複数の)どのダイバーシチ伝送方式が使用されているかを、空間ストリームの数Nssに従って求めることができる。
上述した設定によれば、RUにおいて2つ以上の空間ストリームが送信される場合、2つの空間ストリームからなるグループそれぞれに対するダイバーシチ伝送方式としてSFDSを使用し、3つの空間ストリームからなるグループに対するダイバーシチ伝送方式としてe-SFDSを使用することによって、Nss個の空間ストリームそれぞれにおいて周波数ダイバーシチ利得および空間ダイバーシチ利得の両方を得ることができる。したがって、HEパケット100が受ける狭帯域干渉が軽減され、さらに、HEパケット100のPER性能が改善される。さらには、送信機は、どの空間ストリームに対してどのダイバーシチ伝送方式を使用するかを空間ストリームの数に基づいて決定するため、たとえRUにおいて2つ以上の空間ストリームが送信されるときでも、受信機は、どの空間ストリームに対してどのダイバーシチ伝送方式が実際に使用されているかを通知する追加のシグナリングビットを受信することなく、どの空間ストリームに対してどのダイバーシチ伝送方式が使用されているかを認識することができる。したがって、上述した設定をサポートするために余分なシグナリングビットが必要ない。これは極めて重要であり、なぜならHE-SIG-Aフィールド、またはHE-SIG-Bフィールドのユーザ固有サブフィールドが、どの空間ストリームに対してどのダイバーシチ伝送方式が使用されているかを示すための十分なシグナリングビットを有さないことがあるためである。
本開示の第2の実施形態によれば、受信機は、1つのRUにおけるシングルユーザ伝送用HEパケット100のHEデータフィールド120を復号する前に、空間ストリームがどのようにグループ化されているかを、空間ストリームの数Nssに従って認識することができる。例えば、Nss=4の場合、2つの空間ストリームからなる最初のグループがSS1およびSS3を備えており、2つの空間ストリームからなる2番目のグループがSS2およびSS4を備えている。
本開示の第2の実施形態によれば、Nssが偶数である場合に1つのRUにおけるシングルユーザ伝送用の図1のHEパケット100のHEデータフィールド120を受信機において復号する方法は、2つの空間ストリームからなるNss/2個のグループそれぞれにおける第1の空間ストリームおよび第2の空間ストリームからの情報ビットを復号するステップと、Nss個の空間ストリームを逆パースして、復号された情報ビットのシーケンスを得るステップと、を含む。
本開示の第2の実施形態によれば、Nssが奇数であり1より大きい場合に1つのRUにおけるシングルユーザ伝送用の図1のHEパケット100のHEデータフィールド120を受信機において復号する方法は、2つの空間ストリームからなる(Ng-1)個のグループそれぞれにおける第1の空間ストリームおよび第2の空間ストリームからの情報ビットを復号するステップと、3つの空間ストリームからなるグループにおける第1の空間ストリーム、第2の空間ストリーム、および第3の空間ストリームからの情報ビットを復号するステップと、Nss個の空間ストリームを逆パースして、復号された情報ビットのシーケンスを得るステップと、を含む。
本開示の第2の実施形態によれば、受信機は、2つの空間ストリームからなるグループにおける第1の空間ストリームからの情報ビットを復号するため、グループにおける第1の空間ストリームに対応する最初のデータサブキャリアk(k=0,1,...,N
SD/2-1)におけるLLRと、グループにおける第2の空間ストリームに対応する2番目のデータサブキャリアP(k)、すなわち、
におけるLLRとを計算し、次いで両方のLLRを合成する。さらに受信機は、2つの空間ストリームからなるグループにおける第2の空間ストリームからの情報ビットを復号するため、グループにおける第2の空間ストリームに対応する最初のデータサブキャリアk(k=0,1,...,N
SD/2-1)におけるLLRと、グループにおける第1の空間ストリームに対応する2番目のデータサブキャリアP(k)、すなわち、
におけるLLRとを計算し、次いで両方のLLRを合成する。
本開示の第2の実施形態によれば、受信機は、3つの空間ストリームからなるグループにおける第1の空間ストリームからの情報ビットを復号するため、グループにおける第1の空間ストリームに対応する最初のデータサブキャリアk(k=0,1,...,N
SD/2-1)におけるLLRと、グループにおける第2の空間ストリームに対応する2番目のデータサブキャリアP(k)、すなわち、
におけるLLRとを計算し、次いで両方のLLRを合成する。さらに受信機は、グループにおける第2の空間ストリームからの情報ビットを復号するため、グループにおける第2の空間ストリームに対応する最初のデータサブキャリアk(k=0,1,...,N
SD/2-1)におけるLLRと、グループにおける第3の空間ストリームに対応する2番目のデータサブキャリアP(k)、すなわち、
におけるLLRとを計算し、次いで両方のLLRを合成する。さらに受信機は、グループにおける第3の空間ストリームからの情報ビットを復号するため、グループにおける第3の空間ストリームに対応する最初のデータサブキャリアk(k=0,1,...,N
SD/2-1)におけるLLRと、グループにおける第1の空間ストリームに対応する2番目のデータサブキャリアP(k)、すなわち、
におけるLLRとを計算し、次いで両方のLLRを合成する。
図11は、ダイバーシチ伝送およびBCCを使用しての1つのRUにおけるシングルユーザ伝送用の図1のHEパケット100のHEデータフィールド120を生成するために使用される、本開示の第2の実施形態に係る送信機1100の構造の例を示している。送信機1100は、FEC前PHYパディングブロック1102と、スクランブラ1104と、BCC符号化器1106と、FEC後PHYパディングブロック1108と、ストリームパーサ1110と、Nss個のBCCインターリーバ1112と、Nss個のコンステレーションマッパー1114と、DCM/SFDS/e-SFDSトーンマッパー1116と、(Nss-1)個のCSDブロック1118と、空間・周波数マッピングブロック1120と、NTX個のIDFTブロック1122と、NTX個のGI挿入および窓掛けブロック1124と、NTX個のアナログおよびRFブロック1126とを備えており、ここでNssは空間ストリームの数であり、NTXは送信チェーンの数である。さらに、送信機1100は、空間ストリームグループ化ブロック1132と、ダイバーシチ方式選択ブロック1134とを備えている。
FEC前PHYパディングブロック1102と、スクランブラ1104と、BCC符号化器1106と、FEC後PHYパディングブロック1108と、ストリームパーサ1110と、BCCインターリーバ1112と、コンステレーションマッパー1114と、CSDブロック1118と、空間・周波数マッピングブロック1120と、IDFTブロック1122と、GI挿入および窓掛けブロック1124と、アナログおよびRFブロック1126は、図2に示した送信機200における対応する各ブロックとまったく同じ機能を有する。
空間ストリームグループ化ブロック1132は、Nssが1より大きい場合に、Nss個の空間ストリームをNg個のグループにグループ化する。Nssが偶数である場合、Ng個のグループすべてが、2つの空間ストリームからなるグループである。Nssが奇数である場合、Ng個のグループの1つが、3つの空間ストリームからなるグループであり、残りの(Ng-1)個のグループそれぞれが、2つの空間ストリームからなるグループである。ダイバーシチ方式選択ブロック1134は、各グループに対して使用する(1つまたは複数の)ダイバーシチ方式を、Nssの値に従って決定する。DCM/SFDS/e-SFDSトーンマッパー1116は、Nss=1の場合、1つの空間ストリームに対して、図3に示したDCMを実行する。Nssが偶数である場合、DCM/SFDS/e-SFDSトーンマッパー1116は、2つの空間ストリームからなるNg個のグループそれぞれに対して、図4に示した従来のSFDSを実行する。Nssが1より大きく、かつNssが奇数である場合、DCM/SFDS/e-SFDSトーンマッパー1116は、3つの空間ストリームからなるグループに対して、図10に示したe-SFDSを実行し、2つの空間ストリームからなる残りの(Ng-1)個のグループそれぞれに対して、図4に示した従来のSFDSを実行する。
本開示の第2の実施形態の設定によれば、RUにおいて2つ以上の空間ストリームが送信される場合、2つの空間ストリームからなるグループそれぞれに対するダイバーシチ伝送方式としてSFDSを使用し、3つの空間ストリームからなるグループに対するダイバーシチ伝送方式としてe-SFDSを使用することによって、Nss個の空間ストリームそれぞれにおいて周波数ダイバーシチ利得および空間ダイバーシチ利得の両方を得ることができる。したがって、HEパケット100が受ける狭帯域干渉が軽減され、さらに、HEパケット100のPER性能が改善される。さらに、どの空間ストリームに対してどのダイバーシチ伝送方式が使用されているかを受信機に通知する余分なシグナリングビットが必要ない。
<無線通信装置の構造>
図12は、本開示の第1の実施形態および第2の実施形態に係る無線通信装置1200の構造の例を示している。無線通信装置1200は、集中型無線ネットワークにおけるAP(アクセスポイント)、集中型無線ネットワークにおけるSTA(端末局)、またはピアツーピア無線ネットワークにおけるノードとすることができる。無線通信装置1200は、コントローラ1210と、送信機1220と、受信機1230と、複数のアンテナ1240とを備えている。コントローラ1210は、パケット生成器1212を備えている。パケット生成器1212は、図1に示したパケットを作成するように構成されている。作成されたパケットは、本開示のさまざまな実施形態の1つに従って送信機1220によって送信処理された後、アンテナ1240を通じて送信される。一方で、コントローラ1210は、アンテナ1240を通じて受信されたパケットを、受信機1230によって受信処理された後に解析および処理するように構成されている。
上述した実施形態においては、本発明は、上に説明したように一例としてハードウェアによって構成されているが、ハードウェアと協働するソフトウェアによって本発明を提供することもできる。
さらに、実施形態の説明において使用されている機能ブロックは、一般にはLSIデバイス(集積回路である)として実施される。これらの機能ブロックは、個々のチップとして形成することができ、あるいは、機能ブロックの一部またはすべてを1つのチップに集積化することができる。ここでは用語「LSI」が使用されているが、集積度に応じて、用語「IC」、「システムLSI」、「スーパーLSI」、または「ウルトラLSI」も使用することができる。
さらに、回路集積化はLSIに限定されず、専用回路、またはLSI以外の汎用プロセッサによって達成することができる。LSIを作製した後、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)(プログラム可能である)、またはLSIの中の回路セルの接続および設定を再設定できるリコンフィギャラブルプロセッサを使用することもできる。
半導体技術、または半導体技術から派生する別の技術の進歩の結果として、LSIに代わる回路集積化技術が登場した場合、そのような技術を使用して機能ブロックを集積化することができる。別の可能性として、バイオテクノロジーおよび/またはその他の技術を適用することができる。