以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<1.第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態に係る変速機1について説明する。
[1-1.変速機の構成]
まず、図1、図2及び図3を参照して、本実施形態に係る変速機1の構成について説明する。図1は、本実施形態に係る変速機1の概略構成の一例を示すスケルトン図である。図2は、シングルピニオン式の遊星歯車機構におけるサンギヤ、キャリア及びリングギヤの回転数の関係を示す共線図である。図3は、ダブルピニオン式の遊星歯車機構におけるサンギヤ、キャリア及びリングギヤの回転数の関係を示す共線図である。
変速機1は、例えば、図1に示したように、入力軸A1と、出力軸A2と、第1遊星歯車機構PG1と、第2遊星歯車機構PG2と、第3遊星歯車機構PG3と、第4遊星歯車機構PG4と、第1ブレーキB1と、第2ブレーキB2と、第1クラッチC1と、第2クラッチC2と、第3クラッチC3と、第4クラッチC4とを備える。変速機1は、例えば車両に搭載され、エンジン等の駆動源から出力される動力を各変速段に応じた変速比で変速して駆動輪側へ出力する。
入力軸A1は、動力が入力される軸である。例えば、入力軸A1は、トルクコンバータを介してエンジン等の駆動源と接続されており、駆動源から出力される動力が入力軸A1へ入力される。
出力軸A2は、伝達される動力を出力する軸である。例えば、出力軸A2は、ディファレンシャル装置を介して駆動輪と接続されており、出力軸A2から出力される動力は駆動輪へ伝達される。
第1遊星歯車機構PG1、第2遊星歯車機構PG2、第3遊星歯車機構PG3及び第4遊星歯車機構PG4は、ケース9内に設けられ、サンギヤ、キャリア及びリングギヤを回転要素として備える遊星歯車機構である。このように、変速機1は、4つの遊星歯車機構を備える。ケース9内において、4つの遊星歯車機構は、第1遊星歯車機構PG1、第2遊星歯車機構PG2、第3遊星歯車機構PG3及び第4遊星歯車機構PG4の順に同心に配置される。
第1遊星歯車機構PG1、第2遊星歯車機構PG2及び第4遊星歯車機構PG4は、具体的には、シングルピニオン式の遊星歯車機構である。図2に示すように、シングルピニオン式の遊星歯車機構の共線図上において、サンギヤの回転数を示す縦軸、キャリアの回転数を示す縦軸、リングギヤの回転数を示す縦軸をこの順に並べた場合、サンギヤ、キャリア及びリングギヤの回転数は、直線上に並ぶ関係にある。サンギヤ及びキャリアの回転数を示す各縦軸の間隔D1と、キャリア及びリングギヤの回転数を示す各縦軸の間隔D2との比は、リングギヤの歯数とサンギヤの歯数との比と一致する。
第3遊星歯車機構PG3は、具体的には、ダブルピニオン式の遊星歯車機構である。図3に示すように、ダブルピニオン式の遊星歯車機構の共線図上において、サンギヤの回転数を示す縦軸、リングギヤの回転数を示す縦軸、キャリアの回転数を示す縦軸をこの順に並べた場合、サンギヤ、リングギヤ及びキャリアの回転数は、直線上に並ぶ関係にある。サンギヤ及びキャリアの回転数を示す各縦軸の間隔E1と、リングギヤ及びキャリアの回転数を示す各縦軸の間隔E2との比は、リングギヤの歯数とサンギヤの歯数との比と一致する。
ゆえに、キャリアが固定されている場合におけるリングギヤの回転数のサンギヤの回転数に対する比を遊星歯車機構のギヤ比とした場合、遊星歯車機構のギヤ比はサンギヤの歯数をリングギヤの歯数で除して得られる値となる。各遊星歯車機構において、リングギヤの歯数及びサンギヤの歯数を適宜設定することによって、各遊星歯車機構のギヤ比を所望のギヤ比に設定することができる。なお、キャリアが固定されている場合、シングルピニオン式の遊星歯車機構のサンギヤ及びリングギヤの回転方向は互いに相違し、ダブルピニオン式の遊星歯車機構のサンギヤ及びリングギヤの回転方向は互いに一致する。
第1遊星歯車機構PG1は、サンギヤS1と、サンギヤS1に対して外周側に同心に配置されるリングギヤR1と、サンギヤS1及びリングギヤR1と噛み合う複数のピニオンギヤP1と、複数のピニオンギヤP1を自転及び公転自在に支持するキャリアCA1とを備える。第1遊星歯車機構PG1のギヤ比は、例えば、0.56に設定される。
第2遊星歯車機構PG2は、サンギヤS2と、サンギヤS2に対して外周側に同心に配置されるリングギヤR2と、サンギヤS2及びリングギヤR2と噛み合う複数のピニオンギヤP2と、複数のピニオンギヤP2を自転及び公転自在に支持するキャリアCA2とを備える。第2遊星歯車機構PG2のギヤ比は、例えば、0.62に設定される。
第3遊星歯車機構PG3は、サンギヤS3と、サンギヤS3に対して外周側に同心に配置されるリングギヤR3と、サンギヤS3と噛み合う複数のピニオンギヤP3aと、P3a及びリングギヤR3と噛み合う複数のピニオンギヤP3bと、複数のピニオンギヤP3a及びピニオンギヤP3bを自転及び公転自在に支持するキャリアCA3とを備える。第3遊星歯車機構PG3のギヤ比は、例えば、0.40に設定される。
第4遊星歯車機構PG4は、サンギヤS4と、サンギヤS4に対して外周側に同心に配置されるリングギヤR4と、サンギヤS4及びリングギヤR4と噛み合う複数のピニオンギヤP4と、複数のピニオンギヤP4を自転及び公転自在に支持するキャリアCA4とを備える。第4遊星歯車機構PG4のギヤ比は、例えば、0.24に設定される。
変速機1において、遊星歯車機構の回転要素のうちの一部の回転要素は、他の要素と連結されている。なお、他の要素は、遊星歯車機構の回転要素の他に、入力軸A1、出力軸A2及びケース9を含み得る。
第1遊星歯車機構PG1のサンギヤS1は、第2遊星歯車機構PG2のサンギヤS2と連結されている。ゆえに、第1遊星歯車機構PG1のサンギヤS1及び第2遊星歯車機構PG2のサンギヤS2の回転数は一致する。
第1遊星歯車機構PG1のキャリアCA1は、第4遊星歯車機構PG4のリングギヤR4と連結されている。ゆえに、第1遊星歯車機構PG1のキャリアCA1及び第4遊星歯車機構PG4のリングギヤR4の回転数は一致する。
第2遊星歯車機構PG2のキャリアCA2は、入力軸A1と連結されている。ゆえに、第2遊星歯車機構PG2のキャリアCA2及び入力軸A1の回転数は一致する。
第3遊星歯車機構PG3のキャリアCA3は、第4遊星歯車機構PG4のサンギヤS4と連結されている。ゆえに、第3遊星歯車機構PG3のキャリアCA3及び第4遊星歯車機構PG4のサンギヤS4の回転数は一致する。
第4遊星歯車機構PG4のキャリアCA4は、出力軸A2と連結されている。ゆえに、第4遊星歯車機構PG4のキャリアCA4及び出力軸A2の回転数は一致する。
第1ブレーキB1、第2ブレーキB2、第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3及び第4クラッチC4は、遊星歯車機構の回転要素と他の要素との連結状態を切り替え可能な連結機構である。このように、変速機1は、6つの連結機構を備える。第1ブレーキB1、第2ブレーキB2、第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3及び第4クラッチC4は、本発明に係る第1連結機構、第2連結機構、第3連結機構、第4連結機構、第5連結機構及び第6連結機構にそれぞれ相当する。
各ブレーキは、遊星歯車機構の回転要素とケース9との連結状態を切り替え可能である。各ブレーキとしては、例えば、湿式多板ブレーキが用いられる。各ブレーキへ供給される油圧が制御されることによって、各ブレーキは締結され、又は開放される。ブレーキが締結されることによって、遊星歯車機構の回転要素とケース9とが連結された状態となり、遊星歯車機構の回転要素がケース9に対して固定される。一方、ブレーキが開放されることによって、遊星歯車機構の回転要素とケース9との連結が解除された状態となり、遊星歯車機構の回転要素のケース9に対する固定が解除される。
第1ブレーキB1は、第1遊星歯車機構PG1のリングギヤR1とケース9との連結状態を切り替え可能である。第1ブレーキB1が締結されることによって、第1遊星歯車機構PG1のリングギヤR1がケース9に対して固定される。一方、第1ブレーキB1が開放されることによって、第1遊星歯車機構PG1のリングギヤR1のケース9に対する固定が解除される。
また、第1ブレーキB1は、ドグブレーキであり得る。ここで、第1ブレーキB1の締結状態は、後述するように、前進第6速段(6th)と前進第7速段(7th)との切り替えの前後において切り替えられる。前進第6速段(6th)と前進第7速段(7th)との切り替えの前後では第1ブレーキB1に生じるトルクの方向が反転するので、第1ブレーキB1としてドグブレーキが用いられる場合であっても、円滑に第1ブレーキB1の締結状態の切り替えを行うことができる。
第2ブレーキB2は、第1遊星歯車機構PG1のサンギヤS1及び第2遊星歯車機構PG2のサンギヤS2とケース9との連結状態を切り替え可能である。第2ブレーキB2が締結されることによって、第1遊星歯車機構PG1のサンギヤS1及び第2遊星歯車機構PG2のサンギヤS2がケース9に対して固定される。一方、第2ブレーキB2が開放されることによって、第1遊星歯車機構PG1のサンギヤS1及び第2遊星歯車機構PG2のサンギヤS2のケース9に対する固定が解除される。
各クラッチは、遊星歯車機構の回転要素と他の回転要素との連結状態を切り替え可能である。なお、他の回転要素は、遊星歯車機構の回転要素の他に、入力軸A1及び出力軸A2を含み得る。各クラッチとしては、例えば、湿式多板クラッチが用いられる。各クラッチへ供給される油圧が制御されることによって、各クラッチは締結され、又は開放される。クラッチが締結されることによって、遊星歯車機構の回転要素と他の回転要素とが連結された状態となり、遊星歯車機構の回転要素と他の回転要素との間で回転数が一致する。一方、クラッチが開放されることによって、遊星歯車機構の回転要素と他の回転要素との連結が解除された状態となり、遊星歯車機構の回転要素と他の回転要素との間での動力の伝達が遮断される。
第1クラッチC1は、第2遊星歯車機構PG2のキャリアCA2及び入力軸A1と第3遊星歯車機構PG3のキャリアCA3及び第4遊星歯車機構PG4のサンギヤS4との連結状態を切り替え可能である。第1クラッチC1が締結されることによって、第2遊星歯車機構PG2のキャリアCA2及び入力軸A1と第3遊星歯車機構PG3のキャリアCA3及び第4遊星歯車機構PG4のサンギヤS4との間で回転数が一致する。一方、第1クラッチC1が開放されることによって、第2遊星歯車機構PG2のキャリアCA2及び入力軸A1と第3遊星歯車機構PG3のキャリアCA3及び第4遊星歯車機構PG4のサンギヤS4との間での動力の伝達が遮断される。
第2クラッチC2は、第1遊星歯車機構PG1のキャリアCA1及び第4遊星歯車機構PG4のリングギヤR4と第3遊星歯車機構PG3のリングギヤR3との連結状態を切り替え可能である。第2クラッチC2が締結されることによって、第1遊星歯車機構PG1のキャリアCA1及び第4遊星歯車機構PG4のリングギヤR4と第3遊星歯車機構PG3のリングギヤR3との間で回転数が一致する。一方、第2クラッチC2が開放されることによって、第1遊星歯車機構PG1のキャリアCA1及び第4遊星歯車機構PG4のリングギヤR4と第3遊星歯車機構PG3のリングギヤR3との間での動力の伝達が遮断される。
第3クラッチC3は、第2遊星歯車機構PG2のリングギヤR2と第3遊星歯車機構PG3のリングギヤR3との連結状態を切り替え可能である。第3クラッチC3が締結されることによって、第2遊星歯車機構PG2のリングギヤR2と第3遊星歯車機構PG3のリングギヤR3との間で回転数が一致する。一方、第3クラッチC3が開放されることによって、第2遊星歯車機構PG2のリングギヤR2と第3遊星歯車機構PG3のリングギヤR3との間での動力の伝達が遮断される。
第4クラッチC4は、第2遊星歯車機構PG2のリングギヤR2と第3遊星歯車機構PG3のサンギヤS3との連結状態を切り替え可能である。第4クラッチC4が締結されることによって、第2遊星歯車機構PG2のリングギヤR2と第3遊星歯車機構PG3のサンギヤS3との間で回転数が一致する。一方、第4クラッチC4が開放されることによって、第2遊星歯車機構PG2のリングギヤR2と第3遊星歯車機構PG3のサンギヤS3との間での動力の伝達が遮断される。
以下、変速機1における遊星歯車機構の回転要素と他の要素との接続経路の一例について説明する。なお、以下では、各遊星歯車機構の軸方向を単に軸方向と称し、各遊星歯車機構の径方向を単に径方向と称する。
入力軸A1は、第1遊星歯車機構PG1及び第2遊星歯車機構PG2のサンギヤであるサンギヤS1及びサンギヤS2の内周側に挿通される。入力軸A1は、各遊星歯車機構と同心に配置され得る。入力軸A1は、第1遊星歯車機構PG1に対して第2遊星歯車機構PG2と逆側において、駆動源と接続される。ゆえに、第1遊星歯車機構PG1に対して第2遊星歯車機構PG2と逆側から入力軸A1へ動力が入力される。
出力軸A2は、第4遊星歯車機構PG4に対して第3遊星歯車機構PG3と逆側に配置される。出力軸A2は、各遊星歯車機構と同心に配置され得る。出力軸A2における第4遊星歯車機構PG4と逆側が駆動輪と接続される。ゆえに、第4遊星歯車機構PG4に対して第3遊星歯車機構PG3と逆側へ向けて出力軸A2から動力が出力される。
第1遊星歯車機構PG1のサンギヤS1は、第1遊星歯車機構PG1に対して第2遊星歯車機構PG2と逆側を経由してケース9と第2ブレーキB2を介して接続される。ゆえに、第1遊星歯車機構PG1のサンギヤS1とケース9とを接続する接続部は、第1遊星歯車機構PG1に対して第2遊星歯車機構PG2と逆側において径方向に延在する径方向延在部101と、サンギヤS1の内周側に対して第2遊星歯車機構PG2と逆側からサンギヤS1の内周側へ軸方向に延在する内周延在部123とを有し得る。なお、内周延在部123は、第2遊星歯車機構PG2のサンギヤS2と接続され得る。
第1遊星歯車機構PG1のキャリアCA1の第2遊星歯車機構PG2側は、第2遊星歯車機構PG2及び第3遊星歯車機構PG3のリングギヤの外周側を経由して第4遊星歯車機構PG4のリングギヤR4と接続され、第3遊星歯車機構PG3のリングギヤR3と第2クラッチC2を介して接続される。ゆえに、第1遊星歯車機構PG1のキャリアCA1と第4遊星歯車機構PG4のリングギヤR4及び第3遊星歯車機構PG3のリングギヤR3とを接続する接続部は、第1遊星歯車機構PG1及び第2遊星歯車機構PG2の間において径方向に延在する径方向延在部102と、リングギヤR2の外周側に対して第1遊星歯車機構PG1側からリングギヤR4の外周側へ軸方向に延在する外周延在部121とを有し得る。
第2遊星歯車機構PG2のキャリアCA2の第3遊星歯車機構PG3側は、入力軸A1と接続される。ゆえに、第2遊星歯車機構PG2のキャリアCA2と入力軸A1とを接続する接続部は、第2遊星歯車機構PG2及び第3遊星歯車機構PG3の間において径方向に延在する径方向延在部103を有し得る。
第2遊星歯車機構PG2のリングギヤR2は、第2遊星歯車機構PG2及び第3遊星歯車機構PG3の間を経由して第3遊星歯車機構PG3のサンギヤS3と第4クラッチC4を介して接続される。ゆえに、第2遊星歯車機構PG2のリングギヤR2と第3遊星歯車機構PG3のサンギヤS3とを接続する接続部は、リングギヤR2の外周側から第3遊星歯車機構PG3側へ軸方向に延在する外周延在部122と、第2遊星歯車機構PG2及び第3遊星歯車機構PG3の間において径方向に延在する径方向延在部104と、サンギヤS3の内周側に対して第2遊星歯車機構PG2側からサンギヤS3の内周側へ軸方向に延在する内周延在部124とを有し得る。なお、外周延在部122は、第3クラッチC3を介して第3遊星歯車機構PG3のリングギヤR3と接続され得る。
第3遊星歯車機構PG3のキャリアCA3の第4遊星歯車機構PG4側は、第4遊星歯車機構PG4のサンギヤS4と接続され、第3遊星歯車機構PG3のサンギヤS3の内周側を経由して入力軸A1と第1クラッチC1を介して接続される。ゆえに、第3遊星歯車機構PG3のキャリアCA3と第4遊星歯車機構PG4のサンギヤS4及び入力軸A1とを接続する接続部は、第3遊星歯車機構PG3及び第4遊星歯車機構PG4の間において径方向に延在する径方向延在部105と、サンギヤS4の内周側から第2遊星歯車機構PG2側へ軸方向に延在する内周延在部125とを有し得る。
第4遊星歯車機構PG4のキャリアCA4の第3遊星歯車機構PG3と逆側は、出力軸A2と接続される。ゆえに、第4遊星歯車機構PG4のキャリアCA4と出力軸A2とを接続する接続部は、第4遊星歯車機構PG4に対して第3遊星歯車機構PG3と逆側において径方向に延在する径方向延在部106を有し得る。
このように、変速機1において、径方向に延在する6個の径方向延在部が軸方向に沿って4つの遊星歯車機構と異なる位置で設けられ得る。
また、変速機1において、外周延在部121は、外周延在部122の外周部を覆うように設けられ得る。ゆえに、外周延在部122及び外周延在部121によって二重構造が形成され得る。
また、変速機1において、内周延在部123は、入力軸A1の外周部を覆うように設けられ得る。ゆえに、入力軸A1及び内周延在部123によって二重構造が形成され得る。
また、変速機1において、内周延在部124は、内周延在部125の外周部を覆うように設けられ得る。ゆえに、内周延在部125及び内周延在部124によって二重構造が形成され得る。
ここで、入力軸A1には、油路が形成され得る。第1クラッチC1を駆動するための油圧は、入力軸A1に形成される油路を介して供給され得る。
また、出力軸A2には、油路が形成され得る。第2クラッチC2及び第3クラッチC3を駆動するための油圧は、出力軸A2に形成される油路から内周延在部125、内周延在部124及び径方向延在部104を介して供給され得る。また、第4クラッチC4を駆動するための油圧は、出力軸A2に形成される油路から内周延在部125及び内周延在部124を介して供給され得る。
また、ケース9には、油路が形成され得る。第1ブレーキB1及び第2ブレーキB2を駆動するための油圧は、ケース9に形成される油路を介して供給され得る。
また、変速機1には、例えば、入力軸A1の回転数を検出可能なセンサが設置され、そのセンサの検出結果は変速機1の変速段の切り替えの制御に利用され得る。当該センサは、例えば、径方向延在部101より駆動源側に設置され得る。
[1-2.変速機の動作]
続いて、図4~図6を参照して、本実施形態に係る変速機1の動作について説明する。図4は、本実施形態に係る変速機1における各変速段についての各連結機構の締結状態を示す説明図である。図5は、本実施形態に係る変速機1における各変速段についてのギヤ比の一例を示す説明図である。図5に示した変速機1におけるギヤ比は、各変速段についての入力軸A1の回転数の出力軸A2の回転数に対する比である。図6は、本実施形態に係る変速機1における各変速段間についてのステップ比の一例を示す説明図である。図6に示した変速機1におけるステップ比は、隣り合う変速段においてローギヤ側の変速段についてのギヤ比のハイギヤ側の変速段についてのギヤ比に対する比である。なお、図5及び図6に示した変速機1におけるギヤ比及びステップ比は、上述したように、第1遊星歯車機構PG1、第2遊星歯車機構PG2、第3遊星歯車機構PG3及び第4遊星歯車機構PG4のギヤ比がそれぞれ0.56、0.62、0.40及び0.24である場合における値である。
変速機1では、各連結機構の締結状態が切り替えられることによって、変速段が切り替えられる。それにより、変速機1のギヤ比が変速段に応じたギヤ比へ切り替えられる。各連結機構の締結状態は、例えば、車両に搭載される制御装置によって車両の走行状態に応じて制御される。
前進第1速段(1st)は、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2、第1クラッチC1及び第4クラッチC4を締結させることによって実現される。前進第1速段(1st)についてのギヤ比は、5.10である。
前進第2速段(2nd)は、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2、第3クラッチC3及び第4クラッチC4を締結させることによって実現される。前進第2速段(2nd)についてのギヤ比は、3.16である。また、前進第1速段(1st)と前進第2速段(2nd)との間についてのステップ比は、1.62である。
前進第3速段(3rd)は、第1ブレーキB1、第1クラッチC1、第3クラッチC3及び第4クラッチC4を締結させることによって実現される。前進第3速段(3rd)についてのギヤ比は、2.06である。また、前進第2速段(2nd)と前進第3速段(3rd)との間についてのステップ比は、1.53である。
前進第4速段(4th)は、第1ブレーキB1、第2クラッチC2、第3クラッチC3及び第4クラッチC4を締結させることによって実現される。前進第4速段(4th)についてのギヤ比は、1.68である。また、前進第3速段(3rd)と前進第4速段(4th)との間についてのステップ比は、1.23である。
前進第5速段(5th)は、第1ブレーキB1、第1クラッチC1、第2クラッチC2及び第3クラッチC3を締結させることによって実現される。前進第5速段(5th)についてのギヤ比は、1.48である。また、前進第4速段(4th)と前進第5速段(5th)との間についてのステップ比は、1.13である。
前進第6速段(6th)は、第1ブレーキB1、第1クラッチC1、第2クラッチC2及び第4クラッチC4を締結させることによって実現される。前進第6速段(6th)についてのギヤ比は、1.27である。また、前進第5速段(5th)と前進第6速段(6th)との間についてのステップ比は、1.17である。
前進第7速段(7th)は、第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3及び第4クラッチC4を締結させることによって実現される。前進第7速段(7th)についてのギヤ比は、1.00である。また、前進第6速段(6th)と前進第7速段(7th)との間についてのステップ比は、1.27である。
前進第8速段(8th)は、第2ブレーキB2、第1クラッチC1、第2クラッチC2及び第4クラッチC4を締結させることによって実現される。前進第8速段(8th)についてのギヤ比は、0.83である。また、前進第7速段(7th)と前進第8速段(8th)との間についてのステップ比は、1.20である。
前進第9速段(9th)は、第2ブレーキB2、第1クラッチC1、第2クラッチC2及び第3クラッチC3を締結させることによって実現される。前進第9速段(9th)についてのギヤ比は、0.67である。また、前進第8速段(8th)と前進第9速段(9th)との間についてのステップ比は、1.25である。
前進第10速段(10th)は、第2ブレーキB2、第2クラッチC2、第3クラッチC3及び第4クラッチC4を締結させることによって実現される。前進第10速段(10th)についてのギヤ比は、0.62である。また、前進第9速段(9th)と前進第10速段(10th)との間についてのステップ比は、1.08である。
後進段(Rev)は、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2、第2クラッチC2及び第4クラッチC4を締結させることによって実現される。後進段(Rev)についてのギヤ比は、-4.66である。
このように、変速機1は、前進10段及び後進1段を実現可能である。また、変速機1では、隣り合う変速段の間で、締結される4つの連結機構のうち3つが共通となっている。それにより、締結される4つの連結機構のうちの1つを切り替えることによって、隣り合う変速段へ変速段を切り替えることができる。ゆえに、円滑に変速段の切り替えを行うことができる。
さらに、変速機1では、二段差を有する変速段の間(例えば1stと3rdとの間)で、締結される4つの連結機構のうち3つが共通となっている。それにより、締結される4つの連結機構のうちの1つを切り替えることによって、二段差を有する変速段へ変速段を切り替えることができる。ゆえに、二段差を有する変速段の間で、円滑に変速段の切り替えを行うことができる。
さらに、変速機1の各変速段では、6つの連結機構のうちの4つの連結機構が締結され、他の2つの連結機構が開放される。ゆえに、各変速段で、例えば6つの連結機構のうちの3つ以上の連結機構が開放される変速機と比較して、連結機構で生じるフリクションロスの増大を抑制することができる。
[1-3.変速機の効果]
続いて、本実施形態に係る変速機1の効果について説明する。
変速機1では、第1遊星歯車機構PG1のサンギヤS1は、第2遊星歯車機構PG2のサンギヤS2と連結される。また、第1遊星歯車機構PG1のキャリアCA1は、第4遊星歯車機構PG4のリングギヤR4と連結される。また、第2遊星歯車機構PG2のキャリアCA2は、入力軸A1と連結される。また、第3遊星歯車機構PG3のキャリアCA3は、第4遊星歯車機構PG4のサンギヤS4と連結される。また、第4遊星歯車機構PG4のキャリアCA4は、出力軸A2と連結される。また、第1ブレーキB1は、第1遊星歯車機構PG1のリングギヤR1とケース9との連結状態を切り替え可能である。また、第2ブレーキB2は、第1遊星歯車機構PG1のサンギヤS1及び第2遊星歯車機構PG2のサンギヤS2とケース9との連結状態を切り替え可能である。また、第1クラッチC1は、第2遊星歯車機構PG2のキャリアCA2及び入力軸A1と第3遊星歯車機構PG3のキャリアCA3及び第4遊星歯車機構PG4のサンギヤS4との連結状態を切り替え可能である。また、第2クラッチC2は、第1遊星歯車機構PG1のキャリアCA1及び第4遊星歯車機構PG4のリングギヤR4と第3遊星歯車機構PG3のリングギヤR3との連結状態を切り替え可能である。また、第3クラッチC3は、第2遊星歯車機構PG2のリングギヤR2と第3遊星歯車機構PG3のリングギヤR3との連結状態を切り替え可能である。また、第4クラッチC4は、第2遊星歯車機構PG2のリングギヤR2と第3遊星歯車機構PG3のサンギヤS3との連結状態を切り替え可能である。
それにより、4つの遊星歯車機構と6つの連結機構とを備えることによって前進10段及び後進1段を実現することができる。ゆえに、例えば4つの遊星歯車機構と6つの連結機構とを備え前進8段及び後進1段を実現可能な変速機と比較して、遊星歯車機構及び連結機構の数を増加させることなく変速段数を増大させることができる。よって、変速機の大型化を抑制しつつ、変速段数をさらに増大させることが可能となる。それにより、燃費の向上及びドライバビリティの向上を実現することができる。
また、変速機1では、ケース9内において、4つの遊星歯車機構は、第1遊星歯車機構PG1、第2遊星歯車機構PG2、第3遊星歯車機構PG3及び第4遊星歯車機構PG4の順に同心に配置される。具体的には、入力軸A1は、第1遊星歯車機構PG1及び第2遊星歯車機構PG2のサンギヤであるサンギヤS1及びサンギヤS2の内周側に挿通される。また、出力軸A2は、第4遊星歯車機構PG4に対して第3遊星歯車機構PG3と逆側に配置される。また、第1遊星歯車機構PG1のサンギヤS1は、第1遊星歯車機構PG1に対して第2遊星歯車機構PG2と逆側を経由してケース9と第2ブレーキB2を介して接続される。また、第1遊星歯車機構PG1のキャリアCA1の第2遊星歯車機構PG2側は、第2遊星歯車機構PG2及び第3遊星歯車機構PG3のリングギヤの外周側を経由して第4遊星歯車機構PG4のリングギヤR4と接続され、第3遊星歯車機構PG3のリングギヤR3と第2クラッチC2を介して接続される。また、第2遊星歯車機構PG2のキャリアCA2の第3遊星歯車機構PG3側は、入力軸A1と接続される。また、第2遊星歯車機構PG2のリングギヤR2は、第2遊星歯車機構PG2及び第3遊星歯車機構PG3の間を経由して第3遊星歯車機構PG3のサンギヤS3と第4クラッチC4を介して接続される。また、第3遊星歯車機構PG3のキャリアCA3の第4遊星歯車機構PG4側は、第4遊星歯車機構PG4のサンギヤS4と接続され、第3遊星歯車機構PG3のサンギヤS3の内周側を経由して入力軸A1と第1クラッチC1を介して接続される。また、第4遊星歯車機構PG4のキャリアCA4の第3遊星歯車機構PG3と逆側は、出力軸A2と接続される。
それにより、軸方向に沿って4つの遊星歯車機構と異なる位置で設けられ径方向に延在する径方向延在部の数を、4つの遊星歯車機構の位置関係を変速機1と異ならせた場合(例えば、後述する第2の実施形態に係る変速機2)と比較して、少ない数にすることができる。ゆえに、変速機1を軸方向について小型化することができる。
さらに、内周延在部によって形成される多重構造における層数を多くとも2層にすることができる。ゆえに、4つの遊星歯車機構の位置関係を変速機1と異ならせた場合と比較して、内周延在部によって形成される多重構造における層数を比較的少なくすることができる。内周延在部によって形成される多重構造は、多重構造を形成する各部材を回転自在に支持する軸受が設けられることによって実現される。ゆえに、このような多重構造における層数を少なくすることによって、設けられる軸受の数を少なくすることができるので、軸受で生じるフリクションロスの増大を抑制することができる。
さらに、油路が形成される軸から油圧が供給される連結機構と当該軸との間に介在する内周延在部の数を多くとも1つにすることができる。ゆえに、4つの遊星歯車機構の位置関係を変速機1と異ならせた場合と比較して、油路が形成される軸から油圧が供給される連結機構と当該軸との間に介在する内周延在部の数を比較的少なくすることができる。よって、油圧の供給についてのエネルギ損失の増大を抑制することができる。
さらに、外周延在部によって形成される多重構造における層数を多くとも2層にすることができる。ゆえに、4つの遊星歯車機構の位置関係を変速機1と異ならせた場合と比較して、外周延在部によって形成される多重構造における層数を比較的少なくすることができる。よって、変速機1を径方向について小型化することができる。
また、変速機1では、第1ブレーキB1は、ドグブレーキであり得る。それにより、第1ブレーキB1が開放されている際に第1ブレーキB1で生じるフリクションロスの増大を抑制することができる。
<2.第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態に係る変速機2について説明する。
[2-1.変速機の構成]
まず、図7を参照して、本実施形態に係る変速機2の構成について説明する。図7は、本実施形態に係る変速機2の概略構成の一例を示すスケルトン図である。
変速機2では、上述した変速機1と比較して、ケース9内における4つの遊星歯車機構の位置関係が異なる。それに伴い、変速機2では、上述した変速機1と比較して、遊星歯車機構の回転要素と他の要素との接続経路が異なる。
なお、変速機2では、互いに連結される遊星歯車機構の回転要素と他の要素との組合せは、上述した変速機1と同様である。また、変速機2では、各連結機構についての連結状態の切り替えの対象となる遊星歯車機構の回転要素と他の要素との組合せは、上述した変速機1と同様である。また、変速機2では、各変速段についての各連結機構の締結状態は、上述した変速機1と同様である。また、変速機2では、各遊星歯車機構のギヤ比が上述した変速機1と同様である場合、各変速段についてのギヤ比及び各変速段間についてのステップ比は、上述した変速機1と同様である。また、変速機2では、上述した変速機1と同様に、第1ブレーキB1は、ドグブレーキであり得る。
変速機2では、ケース9内において、4つの遊星歯車機構は、第2遊星歯車機構PG2、第1遊星歯車機構PG1、第3遊星歯車機構PG3及び第4遊星歯車機構PG4の順に同心に配置される。
以下、変速機2における遊星歯車機構の回転要素と他の要素との接続経路の一例について説明する。
入力軸A1は、第2遊星歯車機構PG2に対して第1遊星歯車機構PG1と逆側に配置される。なお、入力軸A1は、上述した変速機1と同様に、各遊星歯車機構と同心に配置され得る。また、第2遊星歯車機構PG2に対して第1遊星歯車機構PG1と逆側から入力軸A1へ動力が入力される。
出力軸A2は、第4遊星歯車機構PG4に対して第3遊星歯車機構PG3と逆側に配置される。なお、出力軸A2は、上述した変速機1と同様に、各遊星歯車機構と同心に配置され得る。また、第4遊星歯車機構PG4に対して第3遊星歯車機構PG3と逆側へ向けて出力軸A2から動力が出力される。
第2遊星歯車機構PG2のサンギヤS2は、第2遊星歯車機構PG2及び第1遊星歯車機構PG1の間を経由してケース9と第2ブレーキB2を介して接続される。ゆえに、第2遊星歯車機構PG2のサンギヤS2とケース9とを接続する接続部は、サンギヤS2の内周側から第1遊星歯車機構PG1側へ軸方向に延在する内周延在部225と、第2遊星歯車機構PG2及び第1遊星歯車機構PG1の間において径方向に延在する径方向延在部204とを有し得る。なお、内周延在部225は、第1遊星歯車機構PG1のサンギヤS1と接続され得る。
第2遊星歯車機構PG2のキャリアCA2の第1遊星歯車機構PG1側は、第2遊星歯車機構PG2のリングギヤR2の外周側と、第2遊星歯車機構PG2に対して第1遊星歯車機構PG1と逆側とを経由して入力軸A1と接続される。ゆえに、第2遊星歯車機構PG2のキャリアCA2と入力軸A1とを接続する接続部は、第2遊星歯車機構PG2及び第1遊星歯車機構PG1の間において径方向に延在する径方向延在部203と、リングギヤR2の外周側に対して第1遊星歯車機構PG1側から第1遊星歯車機構PG1と逆側へ軸方向に延在する外周延在部221と、第2遊星歯車機構PG2に対して第1遊星歯車機構PG1と逆側において径方向に延在する径方向延在部201とを有し得る。
第2遊星歯車機構PG2のリングギヤR2は、第2遊星歯車機構PG2に対して第1遊星歯車機構PG1と逆側と、第2遊星歯車機構PG2及び第1遊星歯車機構PG1のサンギヤの内周側と、第1遊星歯車機構PG1及び第3遊星歯車機構PG3の間とを経由して第3遊星歯車機構PG3のリングギヤR3と第3クラッチC3を介して接続される。ゆえに、第2遊星歯車機構PG2のリングギヤR2と第3遊星歯車機構PG3のリングギヤR3とを接続する接続部は、リングギヤR2の外周側から第1遊星歯車機構PG1と逆側へ軸方向に延在する外周延在部222と、第2遊星歯車機構PG2に対して第1遊星歯車機構PG1と逆側において径方向に延在する径方向延在部202と、サンギヤS2の内周側に対して第1遊星歯車機構PG1と逆側から第1遊星歯車機構PG1のサンギヤS1の内周側に対して第3遊星歯車機構PG3側へ軸方向に延在する内周延在部226と、第1遊星歯車機構PG1及び第3遊星歯車機構PG3の間において径方向に延在する径方向延在部206と、リングギヤR3の外周側に対して第1遊星歯車機構PG1側からリングギヤR3の外周側へ軸方向に延在する外周延在部224とを有し得る。なお、内周延在部226は、第4クラッチC4を介して第3遊星歯車機構PG3のサンギヤS3と接続され得る。
第1遊星歯車機構PG1のキャリアCA1の第3遊星歯車機構PG3側は、第3遊星歯車機構PG3のリングギヤR3の外周側を経由して第4遊星歯車機構PG4のリングギヤR4と接続され、第3遊星歯車機構PG3のリングギヤR3と第2クラッチC2を介して接続される。ゆえに、第1遊星歯車機構PG1のキャリアCA1と第4遊星歯車機構PG4のリングギヤR4及び第3遊星歯車機構PG3のリングギヤR3とを接続する接続部は、第1遊星歯車機構PG1及び第3遊星歯車機構PG3の間において径方向に延在する径方向延在部205と、リングギヤR3の外周側に対して第1遊星歯車機構PG1側からリングギヤR4の外周側へ軸方向に延在する外周延在部223とを有し得る。
第3遊星歯車機構PG3のキャリアCA3の第4遊星歯車機構PG4側は、第4遊星歯車機構PG4のサンギヤS4と接続され、第3遊星歯車機構PG3、第1遊星歯車機構PG1及び第2遊星歯車機構PG2のサンギヤの内周側を経由して入力軸A1と第1クラッチC1を介して接続される。ゆえに、第3遊星歯車機構PG3のキャリアCA3と第4遊星歯車機構PG4のサンギヤS4及び入力軸A1とを接続する接続部は、第3遊星歯車機構PG3及び第4遊星歯車機構PG4の間において径方向に延在する径方向延在部207と、サンギヤS4の内周側から第2遊星歯車機構PG2のサンギヤS2の内周側に対して第1遊星歯車機構PG1と逆側へ軸方向に延在する内周延在部227とを有し得る。
第4遊星歯車機構PG4のキャリアCA4の第3遊星歯車機構PG3と逆側は、出力軸A2と接続される。ゆえに、第4遊星歯車機構PG4のキャリアCA4と出力軸A2とを接続する接続部は、第4遊星歯車機構PG4に対して第3遊星歯車機構PG3と逆側において径方向に延在する径方向延在部208を有し得る。
このように、変速機2において、径方向に延在する8個の径方向延在部が軸方向に沿って4つの遊星歯車機構と異なる位置で設けられ得る。
また、変速機2において、外周延在部221は、外周延在部222の外周部を覆うように設けられ得る。ゆえに、外周延在部222及び外周延在部221によって二重構造が形成され得る。
また、変速機2において、外周延在部223は、外周延在部224の外周部を覆うように設けられ得る。ゆえに、外周延在部224及び外周延在部223によって二重構造が形成され得る。
また、変速機2において、内周延在部226は、内周延在部227の外周部を覆うように設けられ得る。さらに、内周延在部225は、内周延在部226の外周部を覆うように設けられ得る。ゆえに、内周延在部227、内周延在部226及び内周延在部225によって三重構造が形成され得る。
ここで、入力軸A1には、油路が形成され得る。第1クラッチC1を駆動するための油圧は、入力軸A1に形成される油路を介して供給され得る。
また、出力軸A2には、油路が形成され得る。第2クラッチC2及び第3クラッチC3を駆動するための油圧は、出力軸A2に形成される油路から内周延在部227、内周延在部226及び径方向延在部206を介して供給され得る。また、第4クラッチC4を駆動するための油圧は、出力軸A2に形成される油路から内周延在部227及び内周延在部226を介して供給され得る。
また、ケース9には、油路が形成され得る。第1ブレーキB1及び第2ブレーキB2を駆動するための油圧は、ケース9に形成される油路を介して供給され得る。
また、変速機2には、例えば、入力軸A1の回転数を検出可能なセンサが設置され、そのセンサの検出結果は変速機2の変速段の切り替えの制御に利用され得る。当該センサは、例えば、径方向延在部201より駆動源側に設置され得る。
[2-2.変速機の効果]
続いて、本実施形態に係る変速機2の効果について説明する。
変速機2では、互いに連結される遊星歯車機構の回転要素と他の要素との組合せ及び各連結機構についての連結状態の切り替えの対象となる遊星歯車機構の回転要素と他の要素との組合せは、変速機1と同様である。ゆえに、変速機2では、変速機1と同様に、4つの遊星歯車機構と6つの連結機構とを備えることによって前進10段及び後進1段を実現することができる。
また、変速機2では、ケース9内において、4つの遊星歯車機構は、第2遊星歯車機構PG2、第1遊星歯車機構PG1、第3遊星歯車機構PG3及び第4遊星歯車機構PG4の順に同心に配置される。具体的には、入力軸A1は、第2遊星歯車機構PG2に対して第1遊星歯車機構PG1と逆側に配置される。また、出力軸A2は、第4遊星歯車機構PG4に対して第3遊星歯車機構PG3と逆側に配置される。また、第2遊星歯車機構PG2のサンギヤS2は、第2遊星歯車機構PG2及び第1遊星歯車機構PG1の間を経由してケース9と第2ブレーキB2を介して接続される。また、第2遊星歯車機構PG2のキャリアCA2の第1遊星歯車機構PG1側は、第2遊星歯車機構PG2のリングギヤR2の外周側と、第2遊星歯車機構PG2に対して第1遊星歯車機構PG1と逆側とを経由して入力軸A1と接続される。また、第2遊星歯車機構PG2のリングギヤR2は、第2遊星歯車機構PG2に対して第1遊星歯車機構PG1と逆側と、第2遊星歯車機構PG2及び第1遊星歯車機構PG1のサンギヤの内周側と、第1遊星歯車機構PG1及び第3遊星歯車機構PG3の間とを経由して第3遊星歯車機構PG3のリングギヤR3と第3クラッチC3を介して接続される。また、第1遊星歯車機構PG1のキャリアCA1の第3遊星歯車機構PG3側は、第3遊星歯車機構PG3のリングギヤR3の外周側を経由して第4遊星歯車機構PG4のリングギヤR4と接続され、第3遊星歯車機構PG3のリングギヤR3と第2クラッチC2を介して接続される。また、第3遊星歯車機構PG3のキャリアCA3の第4遊星歯車機構PG4側は、第4遊星歯車機構PG4のサンギヤS4と接続され、第3遊星歯車機構PG3、第1遊星歯車機構PG1及び第2遊星歯車機構PG2のサンギヤの内周側を経由して入力軸A1と第1クラッチC1を介して接続される。また、第4遊星歯車機構PG4のキャリアCA4の第3遊星歯車機構PG3と逆側は、出力軸A2と接続される。
それにより、油路が形成される軸から油圧が供給される連結機構と当該軸との間に介在する内周延在部の数を多くとも1つにすることができる。ゆえに、4つの遊星歯車機構の位置関係を変速機2と異ならせた場合と比較して、油路が形成される軸から油圧が供給される連結機構と当該軸との間に介在する内周延在部の数を比較的少なくすることができる。よって、油圧の供給についてのエネルギ損失の増大を抑制することができる。
さらに、外周延在部によって形成される多重構造における層数を多くとも2層にすることができる。ゆえに、4つの遊星歯車機構の位置関係を変速機2と異ならせた場合と比較して、外周延在部によって形成される多重構造における層数を比較的少なくすることができる。よって、変速機2を径方向について小型化することができる。
<3.むすび>
以上説明したように、本発明の実施形態によれば、4つの遊星歯車機構の回転要素のうちの一部の回転要素は、所定の他の要素と連結される。また、6つの連結機構は、所定の遊星歯車機構の回転要素と所定の他の要素との連結状態を切り替え可能である。それにより、4つの遊星歯車機構と6つの連結機構とを備えることによって前進10段及び後進1段を実現することができる。ゆえに、例えば4つの遊星歯車機構と6つの連結機構とを備え前進8段及び後進1段を実現可能な変速機と比較して、遊星歯車機構及び連結機構の数を増加させることなく変速段数を増大させることができる。よって、変速機の大型化を抑制しつつ、変速段数をさらに増大させることが可能となる。それにより、燃費の向上及びドラバビリティの向上を実現することができる。
上記では、本発明の実施形態に係る変速機が車両に搭載される例について主に説明したが、本発明の実施形態に係る変速機が搭載される装置は係る例に限定されない。本発明の実施形態に係る変速機は、動力伝達系を有する装置であれば車両以外の他の装置に搭載されてもよい。
また、上記では、各ブレーキ及び各クラッチとして湿式多板ブレーキ及び湿式多板クラッチが用いられる例について主に説明したが、各ブレーキ及び各クラッチの種類は係る例に限定されない。各ブレーキ及び各クラッチは、要素間の連結状態を切り替え可能であればよい。
また、上記では、第1遊星歯車機構PG1、第2遊星歯車機構PG2、第3遊星歯車機構PG3及び第4遊星歯車機構PG4のギヤ比がそれぞれ0.56、0.62、0.40及び0.24である例について主に説明したが、各遊星歯車機構のギヤ比は係る例に限定されない。例えば、各遊星歯車機構のギヤ比は、本発明の実施形態に係る変速機が搭載される車両等の設計仕様に応じて適宜設定され得る。なお、本発明の実施形態に係る変速機における各変速段についてのギヤ比は、各遊星歯車機構のギヤ比の設定値に対応する値になる。
また、上記では、各図面を参照して、本発明の実施形態に係る変速機における各構成要素(例えば、遊星歯車機構の回転要素と他の要素とを接続する接続部)について説明したが、各構成要素の形状及び各構成要素間の位置関係は各図面に対応する例に限定されず、図面に示した形状及び位置関係は一例に過ぎない。また、各構成要素は、一体として形成されてもよく、複数の部材によって形成されてもよい。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は係る例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は応用例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。