JP7116873B2 - 病原微生物増殖抑制装置 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)などの病原微生物の増殖を抑制する病原微生物増殖抑制装置に関する。新型コロナウイルスの命名については、当初、世界保健機関(WHO)は、「2019-nCoV」(2019 novel coronavirusの略称)と暫定的に命名したが(2020年2月)、次いで、国際ウイルス分類委員会(ICTV)は「SARS-CoV-2」(Severe acute respiratory syndrome coronavirus 2の略称)と正式に命名した(2020年3月)。
新型コロナウイルス感染症COVID-19(Coronavirus disease 2019)が世界中で猛威を振るっている2020年現在、このパンデミックを乗り切るために、日本をはじめ世界各国が治療薬やワクチンの開発に総力を挙げて取り組んでいる。COVID-19の治療薬開発で云えば、2020年に入って、抗インフルエンザウイルス薬ファビピラビル(商品名:アビガン(登録商標))や、エボラ出血熱の治療薬として開発されていたレムデシビル、そして気管支喘息治療薬であるシクレソニド(商品名:オルベスコ(登録商標))等々、多くの候補化合物が検討され始めている。また、予防の面では、ワクチン開発でも目覚ましい展開が見られている。例えば、米国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)と米バイオベンチャーのモデルナは、協力して開発したmRNAワクチン「mRNA-1273」のP1試験開始を発表し(2020年3月)、独ビオンテックとファイザーは、共同開発しているmRNAワクチン「BNT162」のP1/2試験について、ドイツの規制当局が実施を承認したと発表した(2020年4月)。また、アストラゼネカ社(英国)はオックスフォード大学と共同開発している新型コロナウイルスのワクチン候補について、フランス、ドイツ、イタリア、オランダで形成される欧州の「ワクチン同盟」に最大4億回分を供給することで合意したと発表し(2020年6月)、日本のアンジェスと大阪大学はDNAワクチンを共同で開発中と発表した(2020年4月)。しかし、これらの新型コロナウイルス疾患の治療薬やワクチンの開発は可能性の段階にあり、その実現には高次臨床試験での慎重な見極めが必要であるために時間がかかり、成果についても予断を許さない。
一方、「ニューヨークAFP=時事(2020年5月15日:非特許文献1)」の速報によれば、コロンビア大学放射線研究センターは「遠紫外線C波(UVC)」と呼ばれる紫外線(波長222nm)が、表面に付着した新型コロナウイルスを数分以内に死滅させることを明らかにした。研究の次段階では、空中を漂うウイルスにUVCを照射する実験を計画中であるとし、研究チームは、予備段階の研究結果を英科学誌ネイチャーにすでに投稿していると云う。
新型コロナウイルスとは異なるが、A型インフルエンザウイルス(H1N1亜型)の紫外線発光ダイオード(UV-LED)照射による不活性化機構の解明が徳島大学・高橋章教授らにより発表されている(非特許文献3:2018年12月13日)。それによれば、UV-LED照射が高病原性鳥インフルエンザを含めたA型インフルエンザウイルスの不活化に効果的であることを発見し、また、UV-LED照射は感染細胞内でのウイルスRNAの転写と複製を抑制することで、インフルエンザウイルスの増幅を抑えていることを証明している。
しかしながら、紫外線による病原微生物の滅菌ではこれを滅菌できる範囲が紫外線が直接届く領域に限定されるため、紫外線を滅菌装置に利用した場合病原微生物を死滅させるためには当該装置を紫外線が直接届く範囲まで移動させ続けなければならず利便性に劣るという不都合がある。
他方、オゾンを用いる新型コロナウイルスの不活性化の可能性が公表されている「(世界初)オゾンによる新型コロナウイルス不活化確認」(非特許文献2:奈良県立医科大学 プレスリリース:2020年5月14日)。それによると、奈良県立医科大学(微生物感染症学 矢野寿一教授)とMBTコンソーシアム(感染症部会会員企業:クオール株式会社、三友商事株式会社、株式会社タムラテコ)の研究グループは、世界で初めてオゾンガス曝露による新型コロナウイルスの不活化を確認し、また、その不活化の条件を実験的に明示することにより、実用性を学問的に示したと云う。具体的には、まず、耐オゾン気密ボックス(アクリル製)内に設置したオゾン発生器(PMDA認証の医療機器)を稼働させて、耐オゾン気密ボックス内のオゾン濃度を1.0~6.0ppmに制御し維持させる。オゾンの曝露量はCT値で設定し、オゾン曝露量として、厚労省PMDAによる医療機器認証の実証実験値であるCT値330及び総務省消防局による救急隊オゾン除染運用値であるCT値60を使用した。オゾン曝露後ウイルスを細胞に接種、その後ウイルスが細胞に感染しているかを判定し、ウイルスの量を算出した。その結果、CT値330(オゾン濃度6ppmで55分曝露)では、1/1,000~1/10,000まで不活化でき、CT値 60(オゾン濃度1ppmで60分曝露)では、1/10~1/100まで不活化できたと云う。極めてインパクトの大きな成果である。しかしながら、オゾンは人体への悪影響も考えられることから、有人の時間帯においてはオゾンによる病原微生物の滅菌は難しく、無人の時間帯においてオゾンにより病原微生物を滅菌できたとしてもオゾンの発生を止めてしまえば病原微生物が増殖してしまうという不都合がある。
以上の如く、新型コロナウイルスのパンデミックを克服しようとする国内外の各種の取り組みは、それぞれに成果の可能性を秘めつつも、未だ万全の技術的基盤を確立したとは云えない状況にあり、日々莫大な人命の喪失が発生しているパンデミックの現状を早急に打開せねばならないとの世界的要請がある。
「ニューヨークAFP=時事(2020年5月15日)」https://www.jiji.com/jc/article?k=20200515040065a&g=afp 奈良県立医科大学 「プレスリリース:2020年5月14日」http://www.naramed-u.ac.jp/university/kenkyu-sangakukan/oshirase/r2nendo/ozon.html 徳島大学「研究成果報告:2018年12月13日」https://www.tokushima-u.ac.jp/docs/2018121200023/ Wilfred L. LePage, "Anatomy of an ozone plant", Journal AWWA, Feb. (1981) pp105-111 https://teco.co.jp/pdf/alaclean.pdf、April 12 (2020) Mario Network <低圧水銀UVランプ>2020.06.16; https://www.m-n-w.com/uv-hachou.html
本発明はこれらの不都合に鑑みてなされたものであり、人体に対する影響を低減可能かつ病原微生物の増殖抑制を維持可能な利便性の高い病原微生物増殖抑制装置の提供を目的とするものである。
本発明者らは、上記課題の迅速な解決を志向して鋭意検討を進めた結果、紫外線C波(UV-C又は遠紫外線とも云い、波長は100~280nmの範囲にある。)の放射とオゾン放出とを併用することで病原微生物、特に新型コロナウイルスの増殖抑制に資することを見出し、本発明を完成するに至った。以下、本明細書で云う病原微生物とは、ウイルス、細菌、真菌を含み、本明細書においては、ウイルスとしては、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を念頭において説明する。
上記課題を解決するためになされた発明は、吸気口及び排気口を有する筐体と、上記筐体内に配置された紫外線照射ランプと、上記吸気口及び上記排気口の少なくともいずれか一方に設けられたファンと、を備え、上記紫外線照射ランプは、酸素を励起しオゾンを生成する紫外線を放射可能で且つ病原微生物の増殖抑制に寄与する紫外線を放射可能なオゾンランプと、主に病原微生物の増殖抑制に寄与する紫外線を放射可能なオゾンフリーランプと、を含み、上記ファンにより上記オゾンランプ及び上記オゾンフリーランプの周囲を通風されるように構成されている、病原微生物増殖抑制装置である。
当該病原微生物増殖抑制装置は、酸素を励起しオゾンを生成する紫外線と病原微生物の増殖を抑制する紫外線を同時に放射するオゾンランプと、病原微生物の増殖抑制に寄与する紫外線のみを放射するオゾンフリーランプとを備えることで、環境に応じた使用が可能となり、利便性を向上させることができる。例えば、オゾンはガス体なので部屋の中で万遍に拡散することができ、病原微生物の増殖を効果的に抑制できる一方、高濃度の場合人体への悪影響が生じる可能性もある。このような人体に対するオゾンの有害性を回避するために、平日昼間等の有人の時間帯においてはオゾンランプをオフ、オゾンフリーランプをオンの状態にする。オゾンランプをオフ、オゾンフリーランプをオンの状態にして部屋の空気を当該装置内に通過させることで、オゾンフリーランプからのUV-Cが当該装置内を通過する空気に照射されその空気中の病原微生物の増殖が抑制される。一方、夜間・休日等の無人の時間帯においてはオゾンランプをオンの状態にする。オゾンランプをオンの状態にして当該装置を稼働させることで、その吸気口から取り込んだ部屋の空気にオゾンランプのUV-Cが照射され、UV-Cにより生成されたオゾンを含む空気が病原微生物増殖抑制装置の排出口から部屋へ循環し、このオゾンにより部屋全体の内側表面及び部屋内の空間が殺菌処理され、新型コロナウイルス等の病原微生物の増殖が抑制される。このように、上記オゾンランプ及び上記オゾンフリーランプの操業時間を、有人時と無人時に分けて、紫外線とオゾンガスの長所と短所を考慮して使い分けることで利便性を向上させることができる。
上記オゾンフリーランプが、オゾンの減少をもたらす波長の紫外線を放射するよう構成するとよい。上記オゾンフリーランプから放射される例えば253.7nmの紫外線は、オゾンを短時間で分解して酸素に戻す作用がある。このようにオゾンフリーランプは、空気中の病原微生物の増殖を抑制すると同時に、有人の時間帯前に人体に有害なオゾンの減少をもたらすことができ、オゾンのない空間を確保することができる。
上記オゾンランプと上記オゾンフリーランプとが一体型であり、上記オゾンランプ及び上記オゾンフリーランプを構成するランプ本体と、上記ランプ本体の外周を摺動又は回転可能に構成され、オゾンを生成可能な紫外線及び病原微生物の増殖抑制に寄与する紫外線を選択的に透過する一の領域、及び、主に病原微生物の増殖抑制に寄与する紫外線を選択的に透過する他の領域が形成された紫外線透過体と、を備えるよう構成するとよい。このようにオゾンランプとオゾンフリーランプとを一体型とすることで、筐体内部のスペースを減少させることができ、病原微生物増殖抑制装置を小型化させることができる。
なお、本明細書では、「オゾンランプ」は空気中の酸素を励起してオゾンを発生させる紫外線を放射可能で且つ病原微生物の増殖抑制に寄与する紫外線を放射可能なランプを云い、「オゾンフリーランプ」は、オゾンを略発生させず主に病原微生物の増殖抑制に寄与する紫外線を放射可能なランプを云う。
本発明は、人体に対する影響を低減可能かつ病原微生物の増殖抑制を維持可能な利便性の高い病原微生物増殖抑制装置を提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る病原微生物増殖抑制装置及びこれに使用される制御盤を示した全体構成図である。 図2(a)は、図1の病原微生物増殖抑制装置の一例を示す模式的正面図、図2(b)は模式的左側面図、図2(c)は模式的右側面図、図2(d)は模式的平面図、図2(e)は模式的背面図である。 図3(a)は一体型紫外線照射ランプの一の態様を示した模式的斜視図、図3(b)はその断面図、図3(c)はその部分拡大図である。 図4(a)は一体型紫外線照射ランプの別の態様を示した模式的斜視図、図4(b)はその部分拡大図である。 図5(a)は、図1の病原微生物増殖抑制装置に使用される制御盤の一例を示す模式的正面図、図5(b)は模式的右側面図、図5(c)は模式的平面図である。 図6は、低圧水銀ランプの発光スペクトル図を示す参考図である(非特許文献6より引用)。
以下、適宜図面を参照しつつ本発明の実施の形態を説明する。本実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであって、本発明を限定するものではない。以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」を含む用語)を用いるが、その用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲は限定されない。
図1は本発明の一実施形態に係る病原微生物増殖抑制装置を示す構成図、図2(a)は図1の病原微生物増殖抑制装置の一例を示す模式的正面図、図2(b)は模式的左側面図、図2(c)は模式的右側面図、図2(d)は模式的平面図、図2(e)は模式的背面図、図3(a)は一体型紫外線照射ランプの一の態様を示した模式的斜視図、図3(b)はその断面図、図3(c)はその部分拡大図、図4(a)は一体型紫外線照射ランプの別の態様を示した模式的斜視図、図4(b)はその部分拡大図、図5(a)は図1の病原微生物増殖抑制装置に使用される制御盤の一例を示す模式的正面図、図5(b)は模式的右側面図、図5(c)は模式的平面図、図6は低圧水銀ランプの発光スペクトル図(非特許文献6より引用)である。
図1の病原微生物増殖抑制装置1は、吸気口9及び排気口10を有する筐体2と、筐体2内に配置された紫外線照射ランプ3と、排気口10に設けられたファン4と、を備え、紫外線照射ランプ3は、酸素を励起しオゾンを生成する紫外線を放射可能で且つ病原微生物の増殖抑制に寄与する紫外線を放射可能なオゾンランプ6と、主に病原微生物の増殖抑制に寄与する紫外線を放射可能なオゾンフリーランプ7と、を含み、ファン4によりオゾンランプ6及びオゾンフリーランプ7の周囲を通風されるように構成されている。
オゾンランプ6は、密閉されたガラス管(不図示)と、ガラス管の両端に設けられた電極(不図示)と、を備え、ガラス管の内部は低圧の水銀により満たされている。オゾンランプ6のガラス管は、酸素を励起しオゾンを生成する所定波長の紫外線を選択的に透過する。図6に示すように、低圧水銀中での放電によって波長の異なる数種類の紫外線が放射されるが、オゾンランプ6のガラス管は、これらの紫外線のうち少なくとも波長184.9nmの紫外線を透過させる。オゾンランプ6から放射される波長184.9nmの紫外線は、空気中の酸素を励起しオゾンを生成することができるとともに、病原微生物に直接作用し殺菌消毒することができる。オゾンは強い酸化力を有するため、この酸化力により病原微生物の増殖を抑制することができる。オゾンは酸素原子3個が結合した分子構造を有しているが、不安定な状態にあるため、時間の経過により安定な酸素分子に戻る特性を有している。そのため、有人の時間帯までにオゾンが酸素に戻るようオゾン量をコントロールすることで人体への悪影響を抑えることができる。また、紫外線により生成されたオゾンは、無声放電により生成されたオゾンと異なり、人体に有毒な窒素酸化物を含まない。そのため、紫外線によりオゾンを発生させる構成とすることで、人体に対する安全性を高めることができる。
オゾンフリーランプ7は、オゾンランプ6と同様の構成を有するが、オゾンフリーランプ7のガラス管(不図示)は、主に病原微生物の増殖抑制に寄与する所定波長(253.7nm)の紫外線を選択的に透過する。オゾンフリーランプ7から放射される波長253.7nmの紫外線は、病原微生物に対する殺菌力が強く、病原微生物に直接作用しその増殖を抑制することができる。
図3(a)に示す一体型紫外線照射ランプ3は、ランプ本体11と、紫外線透過体12と、を備え、紫外線透過体12はランプ本体11の外周を摺動可能に構成されている。一方、図4(a)に示す一体型紫外線照射ランプ3は、上記同様、ランプ本体11と、紫外線透過体12とを備え、紫外線透過体12はランプ本体11の外周を回転可能に構成されている。
紫外線透過体12は、オゾンを生成可能で且つ病原微生物に直接作用し増殖抑制に寄与する紫外線を選択的に透過する第1の領域13と、主に病原微生物の増殖抑制に寄与する波長の紫外線を選択的に透過する第2の領域14と、を有する。
紫外線透過体12がランプ本体11の長軸方向(x軸方向)に摺動する態様では、図3(a)に示すように、第1の領域13と第2の領域14とがx軸方向について隣り合うように設けられている。また、紫外線透過体12が周回方向θに回転する態様では、図4(a)に示すように、第1の領域13と第2の領域14とが周回方向θについて隣り合うように設けられている。
このようにx軸方向について隣り合うように第1の領域13及び第2の領域14を設け、紫外線透過体12をランプ本体11に対して摺動させることで、オゾン生成可能な波長の紫外線の量と主に病原微生物の増殖抑制に寄与する波長の紫外線の量との比率を変動させることができる。また、もう一方の態様では、円柱状のランプ本体11のガラス管の内面の一部に反射体(不図示)を設けランプ本体11から所定方向のみに紫外線が放射されるように構成し、周回方向θについて隣り合うように第1の領域13及び第2の領域14を設け、紫外線透過体12をランプ本体11の外周を周回方向θに回転させることで、上記同様、上述の比率を変動させることができる。また、紫外線透過体12がランプ本体11の外周に沿って回転する態様では、紫外線透過体12及びランプ本体11が占めるスペースが増加しないため、病原微生物増殖抑制装置1の省スペース化を図ることができる。
ランプ本体11としては、通常使用される低圧水銀ランプを使用することができる。ランプ本体11を構成するガラス管は、少なくとも波長184.9nm及び253.7nmの紫外線を透過可能である。
図3(a)及び図4(a)に示す紫外線透過体12の形状は両端が開放した円筒状である。紫外線透過体12の形状を両端が開放した円筒状とすることで、製造容易性を向上させることができるとともに、紫外線透過体12のランプ本体11に対する摺動及び回転を容易に行うことができる。しかしながら、紫外線透過体12の形状としては、上述の両端が開放した円筒状に限定されず如何なる形状であってもよい。他の形状としては、例えば、シート状、角柱状等が挙げられる。紫外線透過体12の形状をランプ本体11の外形と一致させるとよい。紫外線透過体12の形状をランプ本体11の外形と一致させることで無駄なスペースを排除することができるとともにランプ本体11に対する紫外線透過体12の摺動及び回転を容易に行うことができる。
紫外線透過体12を構成する材料としては、特定波長の紫外線を透過できる限り如何なるものでもよいが、例えばガラス、プラスティック等が挙げられる。中でも高エネルギー線に対する耐性に優れる点でガラスが好ましい。
紫外線透過体12に形成された第1の領域13と第2の領域14との面積比率としては、特に限定されるものではないが、1:2~2:1が好ましく、製造容易性の観点から1:1が特に好ましい。
ランプ本体11に対する紫外線透過体12の摺動又は回転を可能とするアクチュエータ手段15としては、如何なるものを使用することができるが、例えば弾性表面波アクチュエータ等を使用するとよい。このようにアクチュエータ手段15として、弾性表面波アクチュエータを使用することで、省電力化、省スペース化を図ることができる。
弾性表面波アクチュエータは、紫外線透過体12をランプ本体11に対して摺動又は回転させることができる限り、ランプ本体11の外面にその振動面が外側に向くように設けてもよいし、紫外線透過体12の内面にその振動面が内側に向くように設けてもよい。特に、弾性表面波アクチュエータをランプ本体11の外周にその振動面が外側を向くように設けるとよい。弾性表面波アクチュエータを紫外線透過体12側に設けた場合、弾性表面波アクチュエータからの配線の絡まりが発生する虞があるのに対して、弾性表面波アクチュエータをランプ本体11側に設けた場合、配線の絡まりの発生を抑制することができる。ランプ本体11の外面に設けられた弾性表面波アクチュエータは、その振動面が紫外線透過体12の内面に圧接するよう構成されていることが肝要である。一方、弾性表面波アクチュエータが紫外線透過体12の内面に設けられる場合は、その振動面はランプ本体11の外面に圧接するよう構成されている。このように構成することで、摺動又は回転の際のエネルギーロスを抑えることができる。
図3(c)に示すように、弾性表面波アクチュエータの波の進行方向と、ランプ本体11に対する紫外線透過体12の摺動方向と、の成す角度αとしては、ランプ本体11に対して紫外線透過体12が良好に摺動しうる限り特に限定されないが、その上限としては、30°が好ましく、20°がより好ましく、10°がさらに好ましい。特に、弾性表面波アクチュエータの駆動効率の観点から角度αは0°が好ましい。
図4(b)に示すように、弾性表面波アクチュエータの波の進行方向と、ランプ本体11に対する紫外線透過体12の回転方向と、の成す角度βとしては、ランプ本体11に対して紫外線透過体12が良好に回転しうる限り特に限定されないが、その上限としては、30°が好ましく、20°がより好ましく、10°がさらに好ましい。特に、上記同様の観点から角度βは0°が好ましい。
さらに別の態様では、ランプ本体11の外表面に所定間隔、所定幅長で複数の遮光材を設け、紫外線透過体12に所定幅長で第1の領域13と第2の領域14とを交互に設けてもよい。紫外線透過体12がランプ本体11の長軸方向に摺動する場合は、ランプ本体11の外周をθ方向に周回する遮光材をx方向に等間隔で配置するとともに、紫外線透過体12において第1の領域13と第2の領域14とをx方向に交互に配置する。遮光材間の距離と遮光材の幅長は一致するとよく、第1の領域13と第2の領域14の幅長も一致するとよい。さらには、遮光材間の距離、遮光材の幅長、第1の領域13の幅長、第2の領域14の幅長、全てが一致するとよい。紫外線透過体12がランプ本体11の周回方向に回転する場合は、ランプ本体11の長軸方向に延びる遮光材をθ方向に等間隔で配置するとともに、紫外線透過体12において第1の領域13と第2の領域14とをθ方向に交互に配置する。上記同様、遮光材間の距離と遮光材の幅長は一致するとよく、第1の領域13と第2の領域14の幅長も一致するとよい。さらには、遮光材間の距離、遮光材の幅長、第1の領域13の幅長、第2の領域14の幅長、全てが一致するとよい。このように構成することで紫外線の波長の切り替えを省スペースにて容易に実現することができる。
図1及び図2に示すように、ファン4は、排気口10の内側に設けられている。ファン4を回転させることで排気口10から空気が排出され筐体2内の気圧が低下する。筐体2内の気圧の低下に伴い吸気口9から筐体2内へ空気が吸入される。吸入された空気はオゾンランプ6及びオゾンフリーランプ7の周囲を通過し、その間にオゾンランプ6及びオゾンフリーランプ7からの紫外線照射を受ける。ファン4は、吸気口9のみに設けてもよいし、吸気口9及び排気口10の両方に設けてもよい。
図2の病原微生物増殖抑制装置1の筐体2はランプハウス扉13を備え、オゾンランプ6及びオゾンフリーランプ7の保守点検時に開閉することができる。パチン錠14は筐体2の左右2か所にあり、オゾンランプ6又はオゾンフリーランプ7の使用時においてランプハウス扉13の開放を防止する。ランプ交換コネクタ15はオゾンランプ6に接続されるものとオゾンフリーランプ7に接続されるものとがある。蝶番22は病原微生物増殖抑制装置本体とランプハウス扉13とを開閉可能に接続するものであり、筐体取付け具11は、壁や天井に筐体2を取付けるためのものである。
図5(a)は、本発明の一態様に係る病原微生物増殖抑制装置1の制御盤42の正面図、図5(b)はその平面図、図5(c)はその右側面図である。制御盤42は病原微生物増殖抑制装置1の電源制御、及びオゾンランプ6及びオゾンフリーランプ7の稼働交代時間制御、並びに安全管理を司る。オゾンランプアワーメータ33は、設定された積算オゾン処理時間を表示する。オゾンアワーメータ33はオゾン処理時間をリセットすることができる。メインパイロット34は主電源を表示し、タイマー35はオゾンランプ6とオゾンフリーランプ7の切替えに用いることができる。これは動作スイッチ付きであり、そのタイマー35は「切」(切替え不可)、「自動」(切替え)、「入」(強制切替え)のいずれかのポジションをとる。オゾンフリーランプアワーメータ36は、オゾンフリーランプ7による積算光滅菌時間を表示する。オゾンフリーランプアワーメータ36は光滅菌時間をリセットすることができる。オゾンフリーランプパイロット37(緑色)は、オゾンフリーランプ7が稼働中であることを、オゾンフリーランプ切パイロット38(赤色)は、オゾンフリーランプ7が不点灯(ランプ寿命)であることを、オゾンランプ切パイロット39(赤色)は、オゾンランプが不点灯(ランプ寿命)であることを、そして、オゾンランプパイロット40(透明)は、オゾンランプ6が稼働中であることを示す。メインスイッチ39は、漏電ブレーカー付きである。壁面固定板43は制御盤42を壁に固定するためのものである。配線引き出し口44はオゾンランプ6、オゾンフリーランプ7及びファン4用の配線出口であり、電源は入力コード33から制御盤42及び病原微生物増殖抑制装置1に電力を供給する。
図6は、本発明で紫外線源として用いる低圧水銀ランプの発光スペクトルを示す参考図である。184.9nmの輝線は酸素分子からオゾンを発生させることに寄与し、253.7nmの輝線は184.9nmの輝線と共に光滅菌に寄与する。
本発明の一態様に係る病原微生物増殖抑制装置1は、光源として紫外線ランプを使うことから、紫外線の滅菌・殺菌性や危険性につき説明し、続いて、発生するオゾンの滅菌性と安全管理についても言及する。
紫外線は、表1に示すように、その波長により紫外線C波(UV-Cまたは短波紫外線)、紫外線B波(UV-Bまたは紫外線中波)および紫外線Aは(UV-Aまたは長波紫外線)に分類される。
Figure 0007116873000001
このうち、本発明の一態様に係る病原微生物増殖抑制装置が利用するのは100~280nmのUV-C(短波紫外線)である。UV-Cは細菌やウイルス等の病原微生物に対して滅菌(又は殺菌)効果を有すると同時に、空気中の酸素(O)を励起してオゾン(O)を発生させるものがあることは知られている。このようなUV-Cは、放電ランプなどによって、人工的に発生させて滅菌等の用途に利用される。UV-C発生に使用される放電ランプには重水素ランプ、メタルハイドランプ、キセノンランプ、水銀ランプ(低圧、高圧、超高圧)等が知られている。本発明においては、その光源を特に限定するものではないが、オゾン発生効率や光滅菌効率等に加えて、特に安全性を考慮して、低圧水銀ランプを好ましくは使用する。
本発明の一態様に係る病原微生物増殖抑制装置は、二つの独立した低圧水銀ランプを2本並列して有し、当該装置は、波長が184.9nmと253.7nmにそれぞれ頂点を有する狭いピーク幅(パルス状に近い)の短波紫外線を放射する(図4:参考図(非特許文献6:Mario Network; https://www.m-n-w.com/uv-hachou.html))。いずれのランプも紫外線源としては同一の発光源(低圧水銀ランプ)を使用するが、当該光源を被覆している石英ガラス管の透光性を変えることにより、「オゾンランプ」は184.9nmに鋭いピークを有する紫外線を透過し、「オゾンフリーランプ」は253.9nmの紫外線を透過するように設計されている(図2を参照)。
本発明の一態様に係る病原微生物増殖抑制装置は、新型コロナウイルスを含む病原微生物の滅菌に寄与するオゾンを、UV-C、特に波長184.9nmの紫外線で空気中の酸素を励起することによって発生させ、併せて、184.9nmの紫外線より2倍ほど強い滅菌力を有すると云われる253.7nm紫外線自体の持つ光滅菌効果も併用して、病原微生物を滅菌する。
UV-C、特に波長184.9nmの紫外線がオゾンを発生させる反応機構は、184.9nmの紫外線が空気中の酸素分子(O)を励起して原子状酸素(O)を生成し、この原子状酸素(O)が酸素分子(O)と結合してオゾン(O)を生成する、と説明される(下記式参照)。
Figure 0007116873000002
ここで、オゾンガス作用量及び紫外線露光量並びにそれらの単位について説明する。気体であるオゾンガスの代表的な濃度単位は“mg/l”であるが、その他に“ppm”や“%”も使われる。紫外線(UV光)の強さは“照度”で示され、単位は“mW/cm”である。UV光の量は“露光量”で示され、単位は“mJ/cm”である。オゾンガスの濃度を示すとき、ガスの量が容積(vol)単位か重量(wt)単位かを区別しなくてはならない。“ppm”単位の時は表1のように容積を基準とするか重量を基準とするかで数値は変わる。基準が明記されていないときは、容積基準と見做される。
Figure 0007116873000003
ガスの殺菌効果を示す指標としてCT値がある。これはガス濃度(Concentration)と接触時間(Time)の積で表される。ここでは、オゾンガス濃度の単位としてppmが、接触時間の単位として分が用いられる。一方、紫外線の露光量では、単位面積当たりのUV照度(mW/cm)と照射時間(秒)との積で表し、UV露光量と称する。紫外線の露光量では時間単位は秒(sec)であるのに対して、オゾンガスの作用量では時間単位は分(min)である。
これらの関係式を以下に示す。
(1)オゾンガスの作用量(CT値)=オゾンガス濃度(ppm)×接触時間(分)
(2)UV露光量(mJ/cm)=UV照度(mW/cm)×照射時間(秒)
オゾンガス濃度1ppmのもとで、対象物が60分暴露されると、そのCT値は60となり、オゾンガス濃度が60ppmのもとで、対象物が1分暴露されると、同じくCT値は60である。滅菌による不活化の程度は、指数値で示される。微生物やウイルスでは、生き残ったものは再び繁殖する。殺菌の場合は光回復と言う特性があるので、安全を配慮して2桁~4桁のCT値が採用される場合が多い。
オゾンは強力な酸化剤であり、その酸化力により細菌やウイルスを不活化する効果を有するとともに、脱臭効果も併せ持つ。従来から使われている塩素系薬剤、ホルマリン、酸化エチレンガスなどは、残留毒性や副生成物による環境負荷の弊害がある。一方、オゾンは放置しておくと最後は酸素に戻るため、オゾンガスの安全性が評価されて、オゾンガスが室内における燻蒸消毒や脱臭に採用されることが多くなっている。欧米ではオゾンガスを使った家庭用の洗濯機が販売されている。オゾンガスはホルマリンガスと同等の殺菌効果があり、無菌病棟の消毒にも使用されている。表3に、ウイルス・細菌名、CT値及び死滅率を示す。
Figure 0007116873000004
表3より、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対するオゾンガスによる死滅率は、2桁のCT値(CT値=60~72)ではインフルエンザウイルスやノロウイルスに較べてやや低いものの、CT値を3桁(CT値=330)に上げることで、ほぼ100%に近づけることができることが分かる。
従って、本発明の一態様に係る病原微生物増殖抑制装置の適用に当たっては、人体に対する安全を勘案して、オゾンガスのCT値が2桁~4桁、例えば、CT値が50~5000、好ましくは100~2500、より好ましくは、200~1000程度を目安として運転条件を定めればよい。具体的には、一例としてオゾンガス濃度を2ppmに設定した場合の所要運転時間(滅菌時間)は好ましくは50分~1250分(約21時間)、より好ましくは100分(1.7時間)~1000分(約17時間)である。これらの値と本
発明の一態様に係る病原微生物増殖抑制装置の運転時間サイクルとを勘案すれば、新型コロナウイルス滅菌の場合、オゾン濃度は1~5ppm、好ましくは1.5~4ppm、さらに好ましくは2~3ppmに設定することが望ましい。
本発明の一態様に係る病原微生物増殖抑制装置の所要運転時間は、当該病原微生物増殖抑制装置のオゾンガス吐出容量(即ち、オゾンガス出口濃度と吐出空気流量の積であり、この値はオゾンランプのワット数に依存する)と滅菌しようとする部屋の容積との対比で決定することができる。
ちなみに、新型コロナウイルスに特定することなく、光滅菌処理として本発明の一態様に係る病原微生物増殖抑制装置を適用して良好な滅菌効果を得た例を、参考例として表4に挙げる。室内オゾン濃度は、オゾン濃度モニター(オゾン計)による実測値の平均である。部屋の容量に応じて、単体として高能力の病原微生物増殖抑制装置を設置するか、或いは、複数の病原微生物増殖抑制装置を設置するかを適宜選択することが可能である。
Figure 0007116873000005
表5は、病原微生物増殖抑制装置の仕様、並びに、出口オゾン濃度とオゾン発生量を示す。部屋の容積や設定すべき室内オゾン濃度に応じて最適な形式の装置を選択すると良い。
Figure 0007116873000006
本発明の一態様に係る病原微生物増殖抑制装置においては、184.9nm波長の紫外線も253.7nm波長の紫外線も人体には有害なため、オゾンランプ6とオゾンフリーランプ7は筐体2内に配置され、紫外線が筐体2によって遮蔽されている。病原微生物増殖抑制装置1に内蔵されたファン4を作動させることにより、吸気口9から室内の空気を取り入れてオゾンランプ6周辺を通過させる。波長184.9nmの紫外線をこの空気に照射することによってオゾンを発生させて、そして当該オゾンを含んだ空気を病原微生物増殖抑制装置1の排気口10から室内に排出することによって、予め設定された濃度のオゾンにより室内全体の空気を消毒する。このオゾンによる消毒は無人状態の部屋で実施されなければならず、例えば夜間や休日の運転が想定される。
本発明の一態様に係る病原微生物増殖抑制装置の運転操作は、制御盤(図3)の操作により行う。この制御盤は、病原微生物増殖抑制装置と電源とを有線又は無線で電気的に接続するものであり、メインスイッチ、オゾンランプスイッチ、オゾンフリーランプスイッチ、オゾンランプとオゾンフリーランプの切替え用タイマー、オゾンランプの稼働時間積算用オゾンアワーメータ、並びにそれら各々のスイッチ及びタイマーのオン/オフ表示パイロット、を備える。この制御盤は、部屋内のオゾン濃度計、部屋外のオゾン無害化装置、及び部屋入口に設置された入室許可ランプと、それぞれ独立に有線又は無線で電気的に接続する、オゾン濃度計用端子、オゾン無害化装置用端子、及び入室許可ランプ用端子と、を更に有しても良い。
本発明において、オゾンランプスイッチ及びオゾンフリーランプスイッチを共にオンの状態で新型コロナウイルス等の病原微生物のオゾン滅菌処理を開始し、オゾンアワーメータが、予め設定された所定のCT値に達する時間にオゾンランプスイッチをオフとし、光滅菌作用とオゾン分解作用を持つオゾンフリーランプは稼働を継続し、併せて、部屋外のオゾン処理装置にシグナルを送ってオゾン処理装置を稼働させ、部屋内のオゾン濃度計が許容濃度以下に達したことを示すシグナルを受信したら、部屋入口の入室許可ランプをオンにするように設定するとよい。これらの操作で、無人状態で安全に、しかも新型コロナウイルスの所定の殺菌条件(CT値)を達成した後、部屋に残存するオゾンガスの安全な無害化が達成され、その後は、人が部屋に入って無菌状態下で医療作業や食品取扱作業等を安全に執り行うことができる。
別の態様では、オゾンランプスイッチオンの状態で新型コロナウイルス等の病原微生物のオゾン滅菌処理を開始し、オゾンアワーメータが、予め設定された所定のCT値に達する時間でオゾンランプスイッチをオフとし、併せて、光滅菌作用とオゾン分解作用を持つオゾンフリーランプスイッチをオンとして稼働させると共に、部屋外のオゾン処理装置にシグナルを送ってオゾン処理装置を稼働させ、部屋内のオゾン濃度計から許容濃度以下に達したことを示すシグナルを受信したら、部屋入口の入室許可ランプをオンにするように設定してもよい。これらの操作によってもまた、前述の操作と同様に、無人状態で安全に、しかも新型コロナウイルスの所定の殺菌条件(CT値)を達成した後、部屋に残存するオゾンガスの安全な無害化が達成され、その後は、人が部屋に入って無菌状態下で医療作業や食品取扱作業等を安全に執り行うことができる。
本発明において、この制御盤は更に、オゾンランプがオンの時に、当該病原微生物増殖抑制装置が備え付けられた部屋のいずれかの開口部が開かれた信号を受信した場合に、オゾンランプスイッチをロックダウンすると共に、部屋外に設置されたアラームを鳴動させる信号を発信する端子を備えていてもよい。こうすることで、万が一オゾン発生中の部屋に入ろうとした人がいた場合でも、アラームにより危険を知らせることでオゾンガスの被曝を防止することができる。
本発明におけるオゾン無害化操作では、本病原微生物増殖抑制装置のオゾンランプを消灯し、更にオゾン濃度×時間で示される所望のCT値が達成される時間をかけて部屋の滅菌を完了した後、外部に設置されたオゾン無害化装置を通して規定濃度以下であることをモニターしつつ、大気放散する。
オゾンフリーランプが放射する波長253.7nmの紫外線は、オゾンの分解にも利用することができるため、上述のオゾン無害化操作は、オゾンフリーランプのみを稼働させて行うことができる。
本発明の一態様に係る病原微生物増殖抑制装置においては、このオゾン処理と同時に、253.7nm波長の紫外線ランプも点灯したままとしておくことによって、両波長(184.9nm及び253.7nm)の紫外線の効果により、病原微生物増殖抑制装置内を通過する空気の光滅菌処理も実施できる。
一方、無人状態で部屋のオゾン処理が完了し、且つ、残存オゾンの無害化処理も完了した後は、部屋での通常作業が可能となる。その際には、オゾンランプを消灯し、オゾンフリーランプのみを点灯して部屋の空気を循環させれば、光滅菌処理の環境にある部屋(無菌室又は無菌状態に近い部屋)として、例えば、入院患者の処置や、医薬や食品の取り扱い等が可能となる。日本では「産業衛生学会許容濃度委員会」が、作業環境におけるオゾン許容濃度を0.1ppmと定めている。諸外国でも、殆どが0.05~0.1ppmの値を許容濃度と定めている。作業環境にはオゾン検出器を設置して、許容濃度を超えた場合はアラームを発し、部屋をロックダウンする等の安全策を講じるべきである。
オゾン(O)は、生体には有害でもあるので、オゾンガスの濃度と効果・害の関係をよく理解して、濃度管理を的確に行う必要がある。オゾンの効果及び害と濃度との関係を表6及び表7に示す。
Figure 0007116873000007
Figure 0007116873000008
本発明の一態様に係る病原微生物増殖抑制装置を、新型コロナウイルス滅菌用として使用するにあたっては、前述のとおり、オゾンガスのCT値を勘案すれば、新型コロナウイルス滅菌用としてのオゾン濃度は1~5ppm、好ましくは1.5~4ppm、さらに好ましくは2~3ppmと設定することが望ましい。コロナウイルスの滅菌操作は無人(夜間或いは休日等)で行わなければならず、その間も当該室内のオゾンガス濃度は検出器によって厳重にモニターし、管理されなければならない。かくして所望の滅菌効果を達成した後は、室内の残存オゾンガスを、除害装置を通して環境基準値(0.05~0.06ppm)以下の濃度とした後、大気放散する。
そして、無人状態で部屋のオゾン処理が完了し、且つ、残存オゾンの無害化処理も完了した後は、当該部屋での通常作業が可能となる。その際には、病原微生物増殖抑制装置のオゾンランプを消灯し(且つ、ロックし)、オゾンフリーランプのみを点灯して本消毒器を使用して部屋の空気を循環すれば、光滅菌処理の環境にある部屋(無菌室又は無菌状態に近い部屋)として、例えば、新型コロナウイルス感染症をはじめとする各種感染症患者の処置、医薬品製造、或いは食品加工等が可能となる。なお、作業に当たっては室内のオゾン濃度を常時モニター計によって監視し、ACGIH2001(作業環境許容濃度2001)に定められた8時間労働におけるオゾン濃度0.01~0.05ppmの下限値である0.01ppm以下で管理することが求められる。
1 病原微生物増殖抑制装置
2 筐体
3 紫外線照射ランプ
4 ファン
6 オゾンランプ
7 オゾンフリーランプ
9 吸気口
10 排気口

Claims (1)

  1. 吸気口及び排気口を有する筐体と、
    上記筐体内に配置された紫外線照射ランプと、
    上記吸気口及び上記排気口の少なくともいずれか一方に設けられたファンと、を備え、
    上記紫外線照射ランプは、複数の遮光材により所定間隔をおいて覆われたランプ本体と、
    上記ランプ本体の外周を摺動可能に構成され、184.9nmの紫外線を選択的に透過する一の領域、及び、253.7nmの紫外線を選択的に透過する他の領域が摺動方向に隣り合って形成された石英ガラス管と、を有し、
    上記ファンにより上記紫外線照射ランプの周囲を通風されるように構成されている、病原微生物増殖抑制装置。
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