JP7100606B2 - 発熱シートのセット、加温システム、及び加温ユニット - Google Patents

発熱シートのセット、加温システム、及び加温ユニット Download PDF

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Description

本開示は、発熱シートのセット、加温システム、及び加温ユニットに関する。
農作物を適時に安定して育成するために土壌温度を高める一定のニーズがある。ボイラーにより井戸水や水道水を加熱して温水を生成して農作物の育成領域に予め敷設された配管に流すことが行われている。しかしながら、このような場合、初期設置費用が高く、また設置後にも継続的な燃料コストの負担がある。更には、ボイラーによる燃料、例えば、石油等の燃焼によって二酸化炭素が排出されてしまう。また、配管からの湯漏れ、配管網の再構築の非容易さといった運用上の課題もある。
特許文献1には、農作物の栽培、育成、又は土壌消毒のために土壌を昇温するべく加熱装置を土壌中に埋設することが開示されている。加熱装置は、電熱ヒータと蓄熱体を有する温熱管である。温熱管には電熱ヒータを取り囲む態様で砂鉄流体が充填される。温熱管の管本体には60~200℃の耐熱性が求められ、金属製、特に鋼製が良い、と述べられている(同文献の段落0018)。電熱ヒータとして、500~600℃の発熱温度を有するシース付ニクロム線ヒータを使用可能である、と述べられている(同文献の段落0019)。また、電熱ヒータが間欠的に通電されて砂鉄により蓄熱される、と述べられている(同文献の段落0019)。
特許文献2には、カーボンナノチューブ層の通電に基づいて発熱する発熱シートを太陽電池モジュールの除雪のために用いることが開示されている。同文献の段落0031には、カーボンナノチューブ層上に所定の電極が設けられる、と述べられている。
特許第5121022号公報 特開2018-190741号公報
帯状の発熱シートに対して電力を供給して発熱させることが様々な用途において有益である。本願発明者は、そのような発熱シートの長さが著しく長くなる場合、発熱シートの長さ方向における発熱量の変動によってその実用が妨げられてしまい得るという新たな課題を見出した。
本開示の一態様において帯状の発熱シートのセットが提供される。当該セットに含まれる各発熱シートは、
(i)発熱シートの長さ方向に沿って延び、通電に応じて発熱する発熱層と、
(ii)発熱シートの長さ方向に沿って延びる一対の配線層にして、発熱層の幅方向において発熱層に電圧を印加するべく発熱層の幅方向で離間して配置された一対の配線層と、
(iii)一対の配線層に個別に設けられた一対のコンタクト部にして、各々が、配線層の長さ方向において局所的に設けられる一対のコンタクト部を含む。
帯状の発熱シートのセットは、電源に並列に接続され、かつ1つの発熱シートの加温領域よりも長い加温領域が得られるように非重畳又は部分的に重畳して配置される。
幾つかの実施形態では、帯状の発熱シートのセットが共通の筒状部材に収容され得る。筒状部材は、少なくとも一つの開口端を有し、開口端が閉鎖部材により閉鎖され得る。閉鎖部材には少なくとも一つの通気孔が設けられ得る。閉鎖部材は、コネクタであり得る。筒状部材内には潜熱蓄熱材が導入され得る。
幾つかの実施形態では、帯状の発熱シートのセットが電源に並列に接続されるように筒状部材内において帯状の発熱シートのセットが電線により接続される。
幾つかの実施形態では、コンタクト部は、発熱シートの長さ方向の中央領域に設けられる。
幾つかの実施形態では、発熱層は、カーボンナノチューブの分散層を含む。
本開示の一態様に係る加温システムは、上述のいずれかの発熱シートのセットと、
複数の発熱シートに対して電力を供給する電源を備える。
本開示の一態様に係る加温ユニットは、筒状部材と、筒状部材に収容された帯状の発熱シートのセットを含む。各発熱シートは、
(i)発熱シートの長さ方向に沿って延び、通電に応じて発熱する発熱層と、
(ii)発熱シートの長さ方向に沿って延びる一対の配線層にして、発熱層の幅方向において発熱層に電圧を印加するべく発熱層の幅方向で離間して配置された一対の配線層と、
(iii)一対の配線層に個別に設けられた一対のコンタクト部にして、各々が、配線層の長さ方向において局所的に設けられる一対のコンタクト部を含む。
帯状の発熱シートのセットは、電源に並列に接続され、かつ1つの発熱シートの加温領域よりも長い加温領域が得られるように非重畳又は部分的に重畳して配置される。
本開示の一態様によれば、1つの発熱シートの長さを短くしつつ、複数の発熱シートの合計によって十分な長さの加温領域を得ることができる。
本開示の一態様に係る加温システムの概略的な構成を示す模式図であり、加温ユニットの発熱シートの積層構造が模式的に示される。 本開示の一態様に係る加温ユニットが農作物の育成領域である畝に対応付けて設けられることを示す模式図であり、電源構成も模式的に示される。 本開示の一態様に係る加温ユニットの概略的な構成を示す模式図であり、発熱シートが電源に並列に接続され、また、複数の発熱ユニットが連結可能であることを模式的に示す。 電源に対して並列接続された発熱シートそれぞれにおいて発熱層と配線層が抵抗として働くことを示す模式図である。 電源に対して並列接続された発熱シートが非重畳に配置され、1つの発熱シートの加温領域よりも長い加温領域が得られることを示す概略図である。 1つの発熱シートを用いる比較例を示す模式図である。 図6の比較例における位置と発熱量の関係を示す概略図である。 本開示の一態様に係る加温ユニットの概略的な構成を示す模式図であり、筒状部材の開口端が閉鎖部材により閉鎖されることを模式的に示す。 本開示の一態様に係る加温ユニットの概略的な構成を示す模式図であり、筒状部材の配線を複線にて模式的に示す。 本開示の一態様に係る加温ユニットにおけるコンタクト部の位置及び個数に関するバリエーションを示す模式図である。 電源に対して並列接続された発熱シートが端部において重畳して配置されることを示す模式図である。 図11に示した発熱シートの部分的な重畳配置によって各発熱シートの端部での発熱量の落ち込みが改善されることを示す概略図である。 本開示の一態様に係る加温システムの概略的な構成を示す模式図であり、発熱シートが電源に並列に接続されるが、筒状部材内で配線により並列接続されない形態を示す。
以下、図1乃至図13を参照しつつ、本発明の非限定の実施形態及び特徴について説明する。当業者は、過剰説明を要せず、各実施形態及び/又は各特徴を組み合わせることができ、この組み合わせによる相乗効果も理解可能である。実施形態間の重複説明は、原則的に省略する。参照図面は、発明の記述を主たる目的とするものであり、作図の便宜のために簡略化されている。各特徴は、本明細書に開示された加温システムにのみ有効であるものではなく、本明細書に開示されていない他の様々な加温システムにも通用する普遍的な特徴として理解される。
図1に示すように、加温システムは、電源6と、1以上の加温ユニット1を有する。加温ユニット1は、ある方向に長く延びる筒状部材3と、筒状部材3に収容された2以上の帯状の発熱シート2を含む。加温システムは、様々な用途に用いることができ、例えば、野菜工場又は果物工場において培土・循環水の温調のために用いられ、又は、水族館又は養殖場(例えば、貝類、魚類の養殖場)の水槽内の水又は海水の温調のために用いられる。これらに限らず、幾つかの場合、加温システムは、住宅の床暖房に用いられ、或いは、寒冷地における屋外の融雪(住宅等の建物の屋根の融雪、路面上の融雪、階段や手摺の融雪)に用いられる。本開示に係る技術は、ここで述べた用途以外でも利用可能である。
電源6は、加温ユニット1の発熱シート2に対して電力を供給する交流電源又は直流電源である。交流電源は、例えば、電力網を介して電力会社から供給される商用電源であり、単相、2相、又は3相交流を出力する。直流電源は、再充電により繰り返し使用可能である蓄電池を含み得る。蓄電池は、商用電源に接続されたオングリッド、又は、商用電源に非接続のオフグリッドとして構成される。蓄電池は、加温システムとは別のシステム、例えば、太陽光発電システムと共用され得る。太陽光発電により生成される電力によって蓄電池が充電され、蓄電池から供給される電力が加温システム、端的には、発熱シート2により消費される。電源6の構成については、様々な形態が想定される。例えば、電源6は、コンバータ、インバータ、トランス(変圧器)、平滑回路、タイマー、サーモスタット、ブレーカー、ヒューズ、地絡検出器、及び開閉器といった1以上の電気部品を含むことができる。
図2を参照して、加温システムがビニールハウス内のいちごの栽培のために用いられることを説明する。言うまでもなく、いちごは、農作物の一例であるに過ぎない。いちごの育成領域である畝には加温ユニット1が埋設される。加温ユニット1の作動に応じて畝の土壌温度が高められる。図3に示すように、ある加温ユニット1を別の加温ユニット1に対して連結部材39を介して連結することも想定される。図3は、連結部材39により連結される各加温ユニット1が共通の電源6に対して接続されることを示す。
電源6は、交流電源に接続されたサーモスタット61とサーモスタット61を介して交流電源に接続されたトランス62を含む。サーモスタット61には温度センサー63が接続され、温度センサー63により検出される土壌温度が第1閾値温度以下の時、サーモスタット61が閉状態となり、温度センサー63により検出される土壌温度が第2閾値温度を超える時、サーモスタット61が開状態になる。
サーモスタット61が開状態から閉状態になると、トランス62が交流電源に接続され、発熱シート2に対して電力が供給される。発熱シート2に電力が供給される間、発熱シート2が発熱し、筒状部材3内の空気が昇温され、筒状部材3が昇温され、筒状部材3の周囲の土壌が昇温される。いちごの根の周囲温度が高められ、イチゴの生育が促進される。サーモスタット61が閉状態から開状態になると、トランス62が交流電源から遮断になり、発熱シート2への電力供給が停止される。発熱シート2に電力が供給されず、発熱シート2が発熱しない。筒状部材3の周囲の土壌から筒状部材3から離れた土壌や外気に熱が伝達し、筒状部材3の周囲の土壌の温度が徐々に低下する。筒状部材3及びその内部の空気の温度も徐々に低下する。発熱シート2が筒状部材3により収容され、また、筒状部材3の内部空間が気体、例えば、空気により満たされている。筒状部材3の内部空間の気体による蓄熱のため、発熱シート2の通電停止によって急激に周囲の土壌の温度が低下してしまうことは避けられる。筒状部材3の内部空間を気体、例えば、空気により満たすことにより、筒状部材3の内部空間を砂鉄といった粒状体で充填する場合と比較して加温ユニット1が軽量となり、またより速い昇温速度を得ることができる。
ビニールハウス内において畝に沿っていちごの苗が植えられて育てられる。畝の長さは、例えば、1m~25mである。加温ユニット1、筒状部材3、発熱シート2は、いずれも畝沿いに延びる。畝沿いの距離に応じた発熱シート2の発熱量の変化は、畝沿いの距離に応じた土壌温度の変化に帰結し、いちごの育成に悪影響を与え得る。なお、発熱シート2は、筒状部材3の内部空間において真っ直ぐに平坦に延びる形態に限らず、筒状部材3の内部空間においてらせん状に延びる形態も想定される。
筒状部材3内には帯状の発熱シート2のセット(すなわち、複数の発熱シート2)が収容される。筒状部材3は、例えば、市場において入手可能な金属又は樹脂又はカーボン管であるが、これらに限られない。60℃以下又は90℃以下の低温用途では、塩化ビニル樹脂又はポリプロピレン樹脂といった樹脂管が用いられる。樹脂管は、金属管よりも軽く、取り扱いが容易である。筒状部材3は、直線状に延びる管に限らず、1以上の箇所において屈曲していても良い。例えば、トーチランプを用いて樹脂管を屈曲させることができる。同様、パイプベンダを用いて金属管を屈曲させることができる。筒状部材3の断面形状は、円形に限られない。
発熱シート2は、幅に比べて長さが大きい長尺な帯状体であり、通電により発熱する。発熱シート2は、可撓性を有する積層体であり、これにより、筒状部材3内への発熱シート2の挿入が容易になり、若しくは、筒状部材3に発熱シート2を挿入した後、筒状部材3を屈曲させることが可能になる。必ずしもこの限りではないが、発熱シート2の発熱量は、発熱シート2に供給する電力(ワット)により制御可能である。図1に示すように、発熱シート2は、ベース層21、発熱層22、配線層23,24、コンタクト部25,26、及び保護層27を有する。
ベース層21は、ポリイミド、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、フッ素系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリスチレン、液晶ポリマー(LCP(Liquid Crystal Polymer))といった耐熱性樹脂層である。発熱層22は、通電により発熱する層(言わば、抵抗加熱層)であり、例えば、カーボンナノチューブの分散層である。絶縁性材料、例えば、絶縁性樹脂中でカーボンナノチューブが分散し、これにより平面的な導電特性が得られる。カーボンナノチューブは、シングル又はマルチウォールのものであり得る。配線層23,24は、金属といった導電性材料から成る層であり、例えば、銅箔といった金属箔である。金属箔にめっき処理、例えば、Snめっきを施し、半田濡れ性を確保し、又は酸化保護を図っても良い。金属箔、例えば、銅箔は、例えば、5μm~50μmの厚みのものであり、十分な可撓性を有する。
保護層27は、ポリイミド、ポリウレタン、又はポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、フッ素系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリスチレン、液晶ポリマー(LCP(Liquid Crystal Polymer))といった耐熱性樹脂層である。コンタクト部25,26は、配線層23,24と外部配線の接点であり、例えば、保護層27から配線層23,24が露出した部分である。コンタクト部25,26は、保護層27の選択的な除去により形成可能であるが、必ずしもこの限りではない。
発熱層22は、カーボンナノチューブが分散した分散媒を塗工して乾燥することにより形成可能である。ベース層21上に発熱層22を形成し、続いてベース層21上に配線層23,24と保護層27を順に又は一緒に積層することにより発熱シート2を製造可能である。ロール・トゥ・ロールといった長尺物の搬送機構を用いることができる。ベース層21に保護層27が圧着され、ベース層21と保護層27の間で発熱層22と配線層23,24が閉じ込められる。なお、発熱シート2の積層構造は、図示のものに限らず、追加又は代替の層を含むことができる。ベース層21と保護層27のいずれか一方又は両方を省略することも想定される。筒状部材3といった基材上に発熱層22と配線層23,24を直接的に形成する形態も想定される。
図3に示すように、発熱層22及び配線層23,24は、帯状の発熱シート2の長さ方向に沿って延びる。ベース層21及び保護層27についても同様である。発熱シート2は、幅に比べて長さが大きい帯体である。図3では、図示の都合上、発熱シート2の長さが非常に長く描いていないことに留意されたい。発熱シート2と同様、発熱層22は、幅に比べて長さが大きい帯体である。配線層23,24は、幅に比べて長さが大きい帯体である。幅と長さの比は、発熱シート2が導入される筒状部材3の内径や用途に応じて適切に選択される。
配線層23,24は、発熱層22の幅方向において発熱層22に電圧を印加するべく発熱層22の幅方向で離間して配置される。好適には、発熱シート2の長さ方向に沿って配線層23,24が平行に延び、配線層23,24の間における発熱層22の幅が発熱層22の長さ方向において一定になる。コンタクト部25,26は、配線層23,24に個別に設けられ、各々が、配線層23,24の長さ方向において局所的に設けられる。なお、発熱層22の長さ方向に沿って発熱層22に対して電圧を印加する場合、発熱層22が幅に比べて長さが顕著に大きいため、電源6の出力電圧を高めることが必要になる。
図4に示すように、発熱層22及び配線層23,24は抵抗成分を有する。配線層23,24の単位長当たりの抵抗値は、抵抗加熱層である発熱層22の単位長当たりの抵抗値よりも小さい。しかしながら、発熱シート2と同様に配線層23,24が長尺に延びるため、コンタクト部25,26からの離間距離に応じた配線層23,24の抵抗の増分が無視できなくなる。具体的には、コンタクト部25,26からの離間距離の増加に応じて配線層23,24の抵抗が増加し、コンタクト部25,26に近い発熱層22の領域においてより多くの電流が流れ、コンタクト部25,26から離れた発熱層22の領域においてより少ない電流が流れる。発熱層22の平面内においてそのような電流分布が生じることによって、発熱層22の発熱量がその長さ方向において均一ではなくなってしまう。
本実施形態においては、帯状の発熱シート2のセットは、電源6に対して並列に接続され(図3,4参照)、また1つの発熱シート2の加温領域よりも長い加温領域が得られるように非重畳又は部分的に重畳して配置される(図4,5参照)。これによって、1つの発熱シート2の長さを短くしつつ、複数の発熱シート2の合計によって十分な長さの加温領域を得ることができる。1つの発熱シート2の長さを短くすることができ、コンタクト部25,26からの離間距離に応じた配線層23,24の抵抗の増分によって発熱層22の長さ方向に沿って電流分布に偏りが生じてしまうことが抑制される。幾つかの形態では、各発熱シート2の長さは、10m以下又は5m以下である。幾つかの場合、各発熱シート2の長さは、4m以下、3.5m以下、3m以下、2.5m以下、2m以下、1.5m以下、1m以下である。
図6及び図7は、一つの長い発熱シート2が用いられる参考例に関する。図6に示す発熱シート2の長さは、図4に示した2つの発熱シート2の合計長に等しい。本参考例においても、コンタクト部25,26からの離間距離の増加に応じて配線層23,24の抵抗が大きくなる。コンタクト部25,26が設けられた発熱シート2の端部2aの発熱層22の領域に多くの電流が流れる。コンタクト部25,26から離れた発熱シート2の端部2bの発熱層22の領域には電流が殆ど流れない。結果として、図7に示すように発熱シート2の長さ方向においてコンタクト部25,26から離間するに応じて発熱量が低下し、発熱シート2の長さ方向において均一な発熱量が得られない。農作物の育成を例にとれば、図6に示す場合、発熱シート2の端部2a近傍の育成領域と反対側の端部2b近傍の育成領域の間で温度差が顕著となってしまい、農作物の育成には不向きになる。本実施形態では、上述のとおり、このような課題を回避又は抑制することができる。
幾つかの実施形態では、図8及び図9に示すように、2以上の帯状の発熱シート2が共通の筒状部材3に収容されてユニット化される。各発熱シート2が電源6に対して並列に接続されるように、2以上の発熱シート2が、筒状部材3内において電線(例えば、ビニル絶縁電線、耐燃性ポリエチレン絶縁電線、架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル)によって接続される。発熱シート2の通電によって想定される筒状部材3内の最高温度に照らして適切な種類の電線を選択することができる。電線は、コンタクト部25,26において配線層23,24に対して電気的に接続され、例えば、半田付けされる。望ましくは、配線層23,24と電線がオーミック接触する。コンタクト部25,26として、絶縁電線のストリップ端を配線層23,24に接続させる電気及び機械的な接続部品を用いる形態も想定される。なお、図8では電線が単線図で示され、図9では電線が複線図で示される。
図8及び図9に示すように、筒状部材3の開口端を閉鎖部材71,72により閉鎖することにより筒状部材3の内部空間を外部空間から隔離して加温ユニット1の蓄熱性を高めることができる。筒状部材3に固体又は液体の蓄熱材料を導入して加温ユニット1の蓄熱性を高めることもできる。蓄熱材料として潜熱蓄熱材を用いることもできる。幾つかの場合、潜熱蓄熱材の相変化温度が、加温ユニット1の用途における目標温度に設定される。例えば、苺の苗の育成のために40℃が適切であるとすると、筒状部材3内に導入される潜熱蓄熱材の相変化温度が40℃に設定される。発熱シート2の通電によって潜熱蓄熱材が固体から液体に相変化する時、潜熱蓄熱材には多くの熱量が蓄積される(40℃において累積蓄熱密度(kJ/kg)が大きくなる)。発熱シート2の通電が停止され、潜熱蓄熱材が液体から固体に相変化する時、潜熱蓄熱材は、40℃を維持しつつ蓄積した熱量を放出する。従って、発熱シート2の通電停止によって加温ユニット1が急速に冷却してしまうことが抑制される。蓄熱材料の非限定の例としては、塩化カルシウム、硫酸ナトリウムといった無機水和塩やパラフィン系蓄熱材料が挙げられる。潜熱蓄熱材の相変化温度は、潜熱蓄熱材の合成方法又は化学的処理(例えば、パラフィンの炭素数の変更)によって適切に設定可能である。
筒状部材3の内部空間を完全に密閉する場合、温度変化に同調して筒状部材3の内部空間の体積が変化する。この体積変化に応じた力が筒状部材3や閉鎖部材71,72に付与されてしまう。幾つかの実施形態では、閉鎖部材71,72に通気孔91,92が設けられ、筒状部材3の内部空間の体積変化の影響が緩和される。通気孔91,92は、筒状部材3が畝に埋設される時、通気孔91,92を介して土壌が筒状部材3に流入しない程度の孔径を有するが、必ずしもこの限りではない。
幾つかの実施形態では、閉鎖部材71,72がコネクタとして構成され、加温ユニット1同士の連結、すなわち、機械的な連結と電気的な接続が容易に達成可能である。加温ユニット1の長さの倍数の長さにおいて発熱量の大きな変動が抑制された加温領域が得られる。なお、共通の電源6に対して並列接続される加温ユニット1の個数には上限があることも想定される。
雄型コネクタ71は、コネクタ本体に埋め込まれた一対のコネクタプレート81を有する。雌型コネクタ72は、雄型コネクタのコネクタプレート81を受容する受容空間82と受容空間で露出したコネクタプレート83を有する。雌型コネクタにはバネが設けられ、又は、雌型コネクタのコネクタプレート83にはバネ部が設けられ、これにより、雄型コネクタのコネクタプレート81と雌型コネクタのコネクタプレート83が電気及び機械的に接続される。コネクタの具体的な構造は、本分野において周知のものであり、詳細説明は省略する。
図3,4,8,及び9に示すように、発熱シート2の長さ方向の中央領域にコンタクト部25,26を設けられることが有利である。発熱シート2の中央領域は、例えば、発熱シート2の全長の1/3又は1/4又は1/5の距離だけ各端部から離れた領域である。発熱シート2の中央領域にコンタクト部25,26を設ける場合、そうではない場合と比較して、コンタクト部25,26と発熱シート2の端部の間の最大距離が小さくなる。これにより、コンタクト部25,26からの離間距離に応じた配線層23,24の抵抗の増分によって発熱層22の長さ方向に沿って電流分布に偏りが生じてしまうことが抑制される。
図10に示すように1つの発熱シート2におけるコンタクト部25,26の配置態様は様々であり得る。図10(a)では、コンタクト部25,26が発熱シート2の一つの端部近傍に設けられる。図10(b)では、コンタクト部25,26が、各々、発熱シート2の反対の端部の近傍に設けられる。図10(c)では、1つのコンタクト部25と2つのコンタクト部26が設けられ、コンタクト部25が発熱シート2の中央領域に設けられ、コンタクト部26が発熱シート2の反対の端部の近傍に設けられる。本実施形態では、上述のように、発熱シート2のセットに含まれる各発熱シート2の長さを短くすることができ、従って、図10(a),(b)のようなコンタクト部の配置も利用可能である。図10(c)の場合、配線層と電線の電気的な接続信頼性を高めるため、一つの配線層に複数のコンタクト部が設けられる。電源6の種類(交流電源、直流電源)に応じても、コンタクト部の個数や配置が適切に決定され得る。
図11に示すように発熱シート2が部分的に重畳して配置される形態も想定される。図12に示すように、各発熱シート2の重ね合わせ端部の発熱量が加算され、各発熱シート2の中央領域の発熱量と同等のものになり、各発熱シートの端部での発熱量の落ち込みが改善される。
図13に示すように、電源6に対して並列接続されるように筒状部材3内で電線によって発熱シート2が接続されない形態も想定される。各発熱シート2は、共通の電源6に対して個別の電線により接続され、結果として、発熱シート2が電源6に対して並列に接続される。同一種類の電線を用いる場合、電線の長さが異なることに起因して電線の抵抗に差が生じ、同一の電力によって同一の発熱量が得られないことが生じ得る。図13は、参考までに、電源6が、蓄電池と変圧器から構成されることも併せて示す。
上述の説明は、請求項で特定される発明の理解の促進のためにのみ参酌され、請求項で特定される発明を限定するものとして参酌されるべきではない。請求項で特定された発明の限定は、請求項における文言のみによって生じ、明細書の如何なる記載もその根拠とはならない。請求項で特定された発明の全変形例を本明細書で記述することは、当業者には冗長である他なく、省略される。請求項で特定された発明に関する詳細な設計値(例えば、材料の厚みや電気又は機械的特性)も当業者には冗長である他なく、同様に省略される。
1 :加温ユニット
2 :発熱シート
3 :筒状部材
6 :電源

21 :ベース層
22 :発熱層
23 :配線層
24 :配線層
25 :コンタクト部
26 :コンタクト部
27 :保護層

61 :サーモスタット
62 :トランス
63 :温度センサー

Claims (16)

  1. 帯状の発熱シートのセットであって、
    当該セットに含まれる各発熱シートが、
    (i)前記発熱シートの長さ方向に沿って延び、通電に応じて発熱する発熱層と、
    (ii)前記発熱シートの長さ方向に沿って延びる一対の配線層にして、前記発熱層の幅方向において前記発熱層に電圧を印加するべく前記発熱層の幅方向で離間して配置された一対の配線層と、
    (iii)前記一対の配線層に個別に設けられた一対のコンタクト部にして、各々が、前記配線層の長さ方向において局所的に設けられる一対のコンタクト部を備え、
    前記帯状の発熱シートのセットは、電源に並列に接続され、かつ1つの発熱シートの加温領域よりも長い加温領域が得られるように非重畳又は部分的に重畳して配置され
    前記帯状の発熱シートのセットが共通の筒状部材に収容される、発熱シートのセット。
  2. 前記筒状部材は、少なくとも一つの開口端を有し、前記開口端が閉鎖部材により閉鎖される、請求項に記載の発熱シートのセット。
  3. 前記閉鎖部材には少なくとも一つの通気孔が設けられる、請求項に記載の発熱シートのセット。
  4. 前記閉鎖部材は、コネクタである、請求項又はに記載の発熱シートのセット。
  5. 前記帯状の発熱シートのセットが前記電源に並列に接続されるように前記筒状部材内において前記帯状の発熱シートのセットが電線により接続される、請求項乃至のいずれか一項に記載の発熱シートのセット。
  6. 前記筒状部材内には潜熱蓄熱材が導入されている、請求項乃至のいずれか一項に記載の発熱シートのセット。
  7. 前記コンタクト部は、前記発熱シートの長さ方向の中央領域に設けられる、請求項1乃至のいずれか一項に記載の発熱シートのセット。
  8. 前記発熱層は、カーボンナノチューブの分散層を含む、請求項1乃至のいずれか一項に記載の発熱シートのセット。
  9. 土壌温度を高めるために用いられることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の発熱シートのセット。
  10. 請求項1乃至9のいずれか一項に記載の発熱シートのセットと、
    複数の発熱シートに対して電力を供給する電源を備える、加温システム。
  11. 筒状部材と、
    筒状部材に収容された帯状の発熱シートのセットを備える加温ユニットであって、
    各発熱シートは、
    (i)前記発熱シートの長さ方向に沿って延び、通電に応じて発熱する発熱層と、
    (ii)前記発熱シートの長さ方向に沿って延びる一対の配線層にして、前記発熱層の幅方向において前記発熱層に電圧を印加するべく前記発熱層の幅方向で離間して配置された一対の配線層と、
    (iii)前記一対の配線層に個別に設けられた一対のコンタクト部にして、各々が、前記配線層の長さ方向において局所的に設けられる一対のコンタクト部を備え、
    前記帯状の発熱シートのセットは、電源に並列に接続され、かつ1つの発熱シートの加温領域よりも長い加温領域が得られるように非重畳又は部分的に重畳して配置される、加温ユニット。
  12. 前記筒状部材は、少なくとも一つの開口端を有し、前記開口端が閉鎖部材により閉鎖される、請求項11に記載の加温ユニット。
  13. 前記閉鎖部材には少なくとも一つの通気孔が設けられる、請求項12に記載の加温ユニット。
  14. 前記閉鎖部材は、コネクタである、請求項12又は13に記載の加温ユニット。
  15. 前記帯状の発熱シートのセットが前記電源に並列に接続されるように前記筒状部材内において前記帯状の発熱シートのセットが電線により接続される、請求項11乃至14のいずれか一項に記載の加温ユニット。
  16. 前記コンタクト部は、前記発熱シートの長さ方向の中央領域に設けられる、請求項11乃至15のいずれか一項に記載の加温ユニット。
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