JP7084689B2 - 脳組織の異常を伴う非ヒト動物の作製方法およびその利用 - Google Patents
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Description
<1> 非ヒト動物に単糖類、二糖類およびオリゴ糖から選択される糖類ならびに人工甘味料のうちの少なくともいずれか1つの物質を投与する工程を包含する、脳組織の異常を伴う非ヒト動物の作製方法。
<1’> 非ヒト動物に上記物質の代わりに多糖類を投与する工程を包含する、脳組織の異常を伴う非ヒト動物の作製方法。
<2> 上記物質の投与を受けた上記非ヒト動物において上記脳組織の異常が生じているか調べる工程をさらに包含する、<1>に記載の方法。
<3> 上記脳組織の異常を、当該脳組織の異常に起因する行動異常が生じているかで調べる、<2>に記載の方法。
<4> 上記行動異常は、過活動、PPI(Pre Pulse Inhibition)値の低下、作業記憶の低下、活動の馴化不全およびセルフグルーミングの増加のうちの少なくとも1つである、<3>に記載の方法。
<5> 上記脳組織の異常を、脳血管中のAGE(Advanced Glycation End Product)の蓄積、抑制性神経細胞の異常およびアストロサイトの炎症のうちの少なくとも1つが生じているかで調べる、<1>~<4>の何れかに記載の方法。
<6> 上記行動異常が、ヒトの精神疾患または精神障害の指標となるものである、<1>~<5>の何れかに記載の方法。
<7> 上記精神疾患または精神障害が、うつ病、自閉症、統合失調症、注意欠如・多動性障害、不安障害、認知症および知的障害のうちの少なくとも1つである、<6>に記載の方法。<8> 上記物質は、スクロース、グルコース、フルクトース、エリスリトール、アスパルテーム、アセスルファムカリウムおよびスクラロースから選択される、<1>~<7>の何れかに記載の方法。
<9> 上記物質を投与する上記工程は、上記非ヒト動物に対して、スクロース相当量に換算して50重量%を超える物質を含有する飼料を与えることで行われる、<1>~<8>の何れかに記載の方法。
<10> 上記非ヒト動物が、マウス、ラットおよびマーモセットから選択される非ヒト動物である、<1>~<9>の何れかに記載の方法。
<11> 物質を投与する上記工程は、少なくとも、成体より前の段階を含んでいる所定の期間行われる、<1>~<10>の何れかに記載の方法。
<12> 上記非ヒト動物はマウスであり、上記物質を離乳直後から少なくとも1か月間投与する、<1>~<11>の何れかに記載の方法。
<13> 脳血管中にAGEが蓄積している、脳組織の異常を伴う非ヒト動物。
<14> アストロサイトに炎症が生じている、<13>に記載の非ヒト動物。
<15> 行動異常をさらに伴う、<13>または<14>に記載の非ヒト動物。
<16> <13>または<14>に記載の非ヒト動物に、被検物質を投与することによって行動異常が予防されるか否か、または<15>に記載の非ヒト動物に、被検物質を投与することによって上記行動異常が改善されるか否か、を調べる工程を包含する、精神疾患または精神障害の予防または治療薬のスクリーニング方法。
<17> 非ヒト動物に、単糖類、二糖類およびオリゴ糖から選択される糖類を代替する被験物質を投与することによって、脳組織の異常を生じるか否かを調べる工程を包含する、脳組織の異常の要因となる物質のスクリーニング方法。
本発明に係る脳組織の異常を伴う非ヒト動物の作製方法は、非ヒト動物に単糖類、二糖類およびオリゴ糖から選択される糖類ならびに人工甘味料のうちの少なくともいずれか1つの物質を投与する工程(物質投与工程)を包含する、脳組織の異常を伴う非ヒト動物の作製方法である。
本明細書において「糖類」は、単糖類、二糖類およびオリゴ糖を指すものとして定義する。以下に各糖類について詳細に説明する。
「単糖類」はそれ以上加水分解されない糖の最小構成単位として存在する糖類を指す。本実施形態における単糖類としては、例えば、プシコース、ソルボース、タガトース、アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース、フコース、フクロース、ラムノース、グルコース、ガラクトース、フルクトース、キシロース、アラビノース、エリトルロース、エリトロース、トレオース、ヘプツロース、ヘキシロースおよびペンツロース等が挙げられるがこれらに限定されない。また、アミノ糖類として、グルコサミン、N-アセチルグルコサミン(例えば、N-アセチルD-グルコサミン)、およびガラクトサミン等が挙げられる。
「二糖類」は上記糖類の最小構成単位が2分子結合した構造を有する糖類を指す。本実施形態における二糖類としては、例えば、スクロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、ツラノース、セロビオース、イソマルトース、トレハノース、メリビオース等が挙げられるがこれらに限定されない。
<多糖類>
多糖類は、上記構成単位の単糖類が11個以上結合したものを指す。多糖類の例示としては、デンプン、デキストリンおよびセルロースなどの多糖類が挙げられる。
また本実施形態において投与される物質は人工甘味料であり得る。
本明細書において「非ヒト動物」とはヒト以外の動物を指しており、非ヒト哺乳動物、鳥類および爬虫類等が挙げられる。なかでも、非ヒト哺乳動物が好ましい。非ヒト哺乳動物としては、例えば、げっ歯類および霊長類などが挙げられる。
「脳組織」とは、例えば、線条体、大脳皮質、海馬、扁桃体および脳室などの脳内の組織、中枢神経並びに脳内血管等を包含する任意の脳内に存在するあらゆる組織を意味しており、本明細書において脳組織の異常とは、例えば脳神経系の異常および脳血管の異常が挙げられる。脳神経系の異常とは、抑制性神経細胞の異常およびアストロサイトの炎症等が挙げられる。
続いて、物質投与工程について詳細に説明する。
物質の投与形態は、飼料(食餌)の成分として含有させることによって投与してもよく、飼料とは別途に、該物質のみの形態または該物質を含有する組成物の形態で投与してもよい。また、通常の飲料の溶液中に含有させてもよい。
物質の投与方法は、通常の飼料または飲料として経口的に与える方法の他に、該物質のみの形態または該物質を含有する組成物の形態で経口的または非経口的に投与する方法が挙げられる。非経口的経路としては、静脈内、筋肉内、腹腔内、動脈内、皮下、皮内、気道内、鼻腔内または気管支内が挙げられる。また、非経口的投与手法としては、直接注射、噴霧および血管内投与が挙げられる。
物質の投与量は、物質の種類、動物の種類、体重、年齢または生育段階および投与形態などによって異なるが、例えばスクロース相当量に換算して、0~3g/kg体重/日の範囲、3~5g/kg体重/日の範囲、または5~10g/kg体重/日の範囲であり得る。例えば、スクロースをマウスに投与する場合0~3g/kg体重/日の範囲、より好ましくは、5~10g/kg体重/日の範囲、さらにより好ましくは、5~10g/kg体重/日の範囲から適宜選択することができる。また、例えば当該物質の投与量として、0~3g/kg体重/日の範囲、3~5g/kg体重/日の範囲、または5~10g/kg体重/日の範囲であり得る。例えば、スクロースをマウスに投与する場合0~3g/kg体重/日の範囲、より好ましくは、5~10g/kg体重/日の範囲、さらにより好ましくは、5~10g/kg体重/日の範囲から適宜選択することができる。当該量を1日1回ないし数回に分けて投与してもよい。また、ここでスクロース換算量とは、実際に投与する物質の重量を該物質と同一のモル等量のスクロース重量で換算した時の重量である。
物質の投与の対象となる生育段階は、特に限定されないが、例えば、出生してから哺乳期までの間、離乳直後から成体となるまでの間、成体となってから死亡するまでの間、または離乳直後から死亡するまでの間などであり得る。あるいは、成体となってからのある一定期間のみ投与してもよい。ある一定の期間とは、例えば、成体における妊娠前もしくは妊娠後から授乳している期間までの間などの期間であり得る。
一実施形態における脳組織の異常を伴う非ヒト動物の作製方法は、上記物質の投与を受けた上記非ヒト動物において上記脳組織の異常が生じているか調べる工程(脳組織異常性の検査工程)をさらに包含する。
一例では上記脳組織の異常は、脳血管中のAGEの蓄積、および内皮細胞における異常なFC受容体の発現上昇、抑制性神経細胞の異常およびアストロサイトの炎症のうちの少なくとも1つが生じているかで調べられる。
「AGE」とは、タンパク質または脂質のアルドース糖とのインキュベーションによって生じるタンパク質または脂質の糖化反応(メイラード反応)により生じる生成物の総称である。AGEは、糖尿病および正常な老化に関連した合併症を含む種々の障害に関係していることが知られている。AGEの例としては、ペントシジン、N-カルボキシメチルリシン(CML)、Nε-カルボキシエチルリシン(CEL)、アルグピリミジン、ピラリン、クロスリン、GA-ピリジンおよびグルコスパン等が挙げられる。
本明細書において「行動異常」とは、行動上の異常を意味しており、各動物の種類によってその種類や形態は多岐にわたるが、各非ヒト動物の行動異常にはヒトにおける精神疾患または精神障害に関連する行動異常に対応するものが知られている。
「精神疾患または精神障害」を呈するヒトにおいて特徴的に見られ得る行動上の異常としては、以下に限定されないが、例えば、意識障害、知的障害、記憶障害、知覚障害、思考障害、抑うつ状態、感情鈍麻、興奮、不安または怒りなどの感情または気分の障害、食欲低下および睡眠障害等が挙げられる。また、記憶障害には、記憶を思い出すことができない障害と、新たなことを覚えることができない障害とが含まれる。また、記憶障害には、一時的に思い出すことができない短期記憶障害と、長期間思い出すことができない長期記憶障害とが含まれる。
一実施形態において、対照と比較して脳組織の異常性の高い非ヒト動物を選抜する選抜工程をさらに包含していてもよい。
一実施形態において、上記の物質投与工程において物質投与した非ヒト動物を母親および/または父親として交配し、仔を出産させる工程を包含していてもよい。交配は、任意方法で行えばよく、近交系、クローズドコロニーおよび交雑系等のいずれであってもよい。
本発明に係る脳組織の異常を伴う非ヒト動物は、脳血管中にAGEが蓄積している。
また、別の一例では、脳組織の異常を伴う非ヒト動物は、アストロサイトに炎症が生じている。さらに別の一例では、該脳組織の異常を伴う非ヒト動物は、行動異常をさらに伴っている。また、脳組織の異常を伴う非ヒト動物は、上記状態の全てあるいは複数の状態を同時に示すものであり得る。
本発明は、上述の作製方法によって得られた、脳組織の異常を伴う非ヒト動物に、被検物質を投与することによって上記行動異常が予防されるか否か、または上述の作製方法によって得られた、行動異常を伴う非ヒト動物に、被検物質を投与することによって上記行動異常が改善されるか否か、を調べる工程を包含する、精神疾患または精神障害の予防または治療薬のスクリーニング方法を提供する。
本発明は、また、非ヒト動物に、単糖類、二糖類およびオリゴ糖から選択される糖類を代替する被験物質を投与することによって、脳組織の異常を生じるか否かを調べる工程を包含する、脳組織の異常の要因となる物質のスクリーニング方法も提供する。
(飼育方法)
マウス(雌10~20個体、雄10~20個体)に、離乳直後(3週齢)から通常の食餌(CE2 、日本クレア、以下通常食とも記載する)、および該通常食の炭水化物成分(58カロリー%(50重量%)のデンプン)の代わりに、68カロリー%のデンプン(コーンスターチ)もしくは、68カロリー%のスクロースを含有する食餌(糖類高含有飼料)を与えて1~3か月間飼育した。なお、この実験材料マウスの親マウスは、両親とも通常食を与えて飼育されたマウスであり、実験材料のマウスはこの親マウスから離乳時まで授乳させた。なお、カロリー%は、飼料の総カロリー当たりのカロリーの割合であり、重量%は、飼料の重量当たりの重量割合を示している。以降の記載でも同様である。
食餌の飼料組成
(通常食)炭水化物としてのデンプン58カロリー%(50重量%)、タンパク質29カロリー%(25重量%)、脂肪13カロリー%(11重量%)、粗繊維等14重量%;
(糖類高含有飼料1、図1では複合糖質食として示している(以下、デンプン食としても記載する))デンプン68カロリー%、タンパク質21カロリー%、脂肪11カロリー%;
(糖類高含有飼料2、図1では砂糖含有食として示している(以下、砂糖食としても記載する))スクロース68カロリー%、タンパク質21カロリー%、脂肪11カロリー%。
以下の実施例においては、離乳直後から糖類高含有飼料を与えたものを被験群とし、離乳直後から1か月の時点で各行動試験および離乳直後から3か月の時点で脳組織の解析を行った。
(多動性の測定方法:オープンフィールドテスト)
一辺50cm程度の空間に被験マウスを置き、5分ごとの移動距離の計測を合計で30分間行った。
結果を図2に示す。図2は、飼料の種類と多動性との関係を示した図である。図2の(a)は、通常食を与えた場合と砂糖食を与えた場合との多動性の比較を示す。図2の(b)は、デンプン食を与えた場合と砂糖食を与えた場合との多動性の比較を示す。
図2のとおり、砂糖食では新奇の環境における行動量が多く、新奇の環境における多動性が認められた。
(音刺激によるプレパルス抑制テスト実施方法〕
上記のマウスを1匹ずつ筒状の入れ物の中にマウスを固定し、大きなパルス音(120db)を聞かせ驚愕反応としてのマウスのつっぱり強度を測定し、このつっぱり強度の値を基準値とした。次に大きな音の前(100ms)に小さなパルス音(70db、75db、80dbまたは85db)聞かせた。PPIがよく機能しているマウスはより小さいレベルのパルス音でも驚愕反応の抑制が観察される。
実験1日前にマウスを50cmの正方形の箱に入れ、15分間自由行動させ環境に慣れさせた。翌日、まったく同じ見た目の、色付きの水を入れたペットボトルを2本用意し、箱の中の一辺の壁から7cm離れ、且つ、該一片の壁に接する片側の壁から7cm離れた位置に一方のペットボトルを、一辺の壁から7cm離れ、且つ、該一片の壁に接する別の側の壁から7cm離れた位置に他方のペットボトルを設置し、10分間マウスをその中で歩かせる。ホームケージにマウスを5分戻したのち、設置されたペットボトルのうち、どちらか一方のみを、もう一方のペットボトルと箱の対角線上に点対称となる位置に移動させ、前回箱に入れたものと同一のマウスを再び箱に入れる。前回のペットボトルの位置を記憶しているマウスは、習性上新しく移動したボトルの近くで長い時間を過ごすため、それぞれのボトルにおける滞在時間を記憶力のスコアとする。
結果を図4に示す。図4の(a)は作業記憶テスト(object location test, OLT)のプロトコルを示す。図4の(b)5分後にobject Bを探索した割合を示す。値が高い程、object Bの移動を認識しており作業記憶が良好であること示す。
(セルフグルーミング頻度の測定方法)
実験前の最終の食餌を与えた時間から3時間以上絶食させたのち、ホームケージで10分間目視で観察を行い、セルフグルーミングの回数を測定した。その際一般的なセルフグルーミングの指標とされる、Elliptical stroke、Unilateral stroke、Bilateral stroke、Body lickingの4種のグルーミングを行った合計時間を算出した。
結果を図5に示す。図5は、飼料の種類とセルフグルーミングの頻度との関係を示した図である。図5のとおり、糖類高含有飼料を与えることにより、セルフグルーミングの頻度の増加が認められた。
(不安行動の測定方法)
高架式十字迷路によって、不安行動の程度を測定した。
結果を図6に示す。図6は、飼料の種類と不安行動との関係を示した図である。図6のとおり、糖類高含有飼料を与えることにより、不安行動の減少が認められた。
(試料の調製および観察方法)
上記の条件で飼育した、離乳直後から3か月の時点のマウスから脳を取り出し、4%パラフォルムアルデヒド液で灌流固定後、脳切片を作成し、抗PV抗体で染色した。各群の脳組織について、顕微鏡(オリンパスFV1000)を用いて観察を行った。
結果を図7に示す。図7は、飼料の種類とPV量との関係を示した図である。海馬CA1領域および大脳皮質の一部を示しており、緑のシグナルは抗PV抗体染色された細胞を示す。
本実施例では、マウスの系統として、GFAP-GFPマウス(アストロサイト特異的にGFP蛍光を示すマウス(GFAPプロモーター依存的にGFPを発現するマウス)を用い、上記の飼育条件と同様に被験群と対照群とを飼育し、離乳直後から3か月の時点で実験に用いた。
GFAP-GFPマウスについて、離乳直後から3か月の時点のマウスから脳を取り出し、4%パラフォルムアルデヒド液で灌流固定後、脳切片を作成し、抗GFP抗体を用いて染色し、給餌によってアストロサイトで増加したGFPの量を定量した。
結果を図8に示す。図8は、マウスの飼料の脳血管におけるアストロサイトの炎症への影響を示した図であり、海馬の歯状回の染色像を示す。GFPの強度が強いほど、強い炎症反応を示す。図8のとおり、糖類高含有飼料を与えて飼育した被験群のマウスは通常飼料を与えた対照群のマウスと比較して、アストロサイトに強い炎症が見られた。
(試料の調製および観察方法)
上記の条件で飼育した、離乳直後から3か月の時点のマウスから脳を取り出し、4%パラフォルムアルデヒド液で灌流固定後、脳切片を作成し、抗AGE抗体で染色した。各群の脳組織について、顕微鏡(オリンパスFV1000)を用いて観察を行った。
結果を図9に示す。図9は、マウスの飼料の脳血管におけるAGEの蓄積への影響を示した図であり、大脳皮質における抗ペントシジン抗体による染色像を示す。図9のとおり、糖類高含有飼料を与えて飼育した被験群のマウスは通常飼料を与えた対照群のマウスと比較して、脳血管中のペントシジン蓄積が見られた。
上記のマウスについて、離乳直後から3か月の時点で実験に用いた。
上記のマウスを離乳直後から3か月の時点のマウスから脳を取り出し、4%パラフォルムアルデヒド液で灌流固定後、脳切片を作成し、抗FC抗体を用いて染色した。各群の脳組織について、顕微鏡(オリンパスFV1000)を用いて観察を行った。
結果を図10に示す。図10は、マウスの飼料の脳血管における影響を示した図であり、海馬の歯状回の染色像を示す。GFPの強度が強いほど、強い炎症反応を示す。図10のとおり、糖類高含有飼料を与えて飼育した被験群のマウスは通常飼料を与えた対照群のマウスと比較して脳血管内皮細胞のFC受容体の発現の増加が見られた。
Claims (18)
- 脳血管中にAGEが蓄積している、脳組織の異常を伴う非ヒト動物であって、
上記脳組織の異常は、パルブアルブミン量の減少および脳血管内皮細胞における異常なFC受容体の発現上昇のうちの少なくとも1つが生じている、非ヒト動物。 - 上記非ヒト動物が、マウス、ラットおよびマーモセットから選択される非ヒト動物である、請求項1に記載の非ヒト動物。
- アストロサイトに炎症が生じている、請求項1または2に記載の非ヒト動物。
- 行動異常をさらに伴う、請求項1~3の何れか一項に記載の非ヒト動物。
- 上記行動異常は、過活動、PPI(Pre Pulse Inhibition)値の低下、作業記憶の低下、活動の馴化不全およびセルフグルーミングの増加のうちの少なくとも1つである、請求項4に記載の非ヒト動物。
- 上記行動異常が、ヒトの精神疾患または精神障害の指標となるものである、請求項4または5に記載の非ヒト動物。
- 上記精神疾患または精神障害が、うつ病、自閉症、統合失調症、注意欠如・多動性障害、不安障害、認知症および知的障害のうちの少なくとも1つである、請求項6に記載の非ヒト動物。
- 非ヒト動物に単糖類、二糖類およびオリゴ糖から選択される糖類ならびに人工甘味料のうちの少なくともいずれか1つの物質を投与する工程を包含する、脳組織の異常を伴う非ヒト動物の作製方法であって、
上記脳組織の異常を伴う非ヒト動物は、パルブアルブミン量の減少および脳血管内皮細胞における異常なFC受容体の発現上昇のうちの少なくとも1つを伴う非ヒト動物であり、
上記物質の投与を受けた上記非ヒト動物において上記脳組織の異常が生じているか調べる工程をさらに包含し、
上記脳組織の異常を、パルブアルブミン量の減少および脳血管内皮細胞における異常なFC受容体の発現上昇のうちの少なくとも1つが生じているかで調べ、
上記物質は、スクロース、フルクトース、グルコース、ソルビトール、ならびに、フルクトースおよびグルコースを含む異性化糖から選択される、方法。 - 上記脳組織の異常を、当該脳組織の異常に起因する行動異常が生じているかで調べる、
請求項8に記載の方法。 - 上記行動異常は、過活動、PPI(Pre Pulse Inhibition)値の低下、作業記憶の低下、活動の馴化不全およびセルフグルーミングの増加のうちの少なくとも1つである、請求項9に記載の方法。
- 上記行動異常が、ヒトの精神疾患または精神障害の指標となるものである、請求項9または10に記載の方法。
- 上記精神疾患または精神障害が、うつ病、自閉症、統合失調症、注意欠如・多動性障害、不安障害、認知症および知的障害のうちの少なくとも1つである、請求項11に記載の方法。
- 上記物質を投与する上記工程は、上記非ヒト動物に対して、スクロース相当量に換算して50重量%を超える物質を含有する飼料を与えることで行われる、請求項8~12の何れか一項に記載の方法。
- 上記非ヒト動物が、マウス、ラットおよびマーモセットから選択される非ヒト動物である、請求項8~13の何れか一項に記載の方法。
- 上記物質を投与する上記工程は、少なくとも、成体より前の段階を含んでいる所定の期間行われる、請求項8~14の何れか一項に記載の方法。
- 上記非ヒト動物はマウスであり、
上記物質を離乳直後から少なくとも1か月間投与する、請求項8~15の何れか一項に記載の方法。 - 請求項1~3の何れか一項に記載の非ヒト動物に、被検物質を投与することによって行動異常が予防されるか否か、または
請求項4~7の何れか一項に記載の非ヒト動物に、被検物質を投与することによって上記行動異常が改善されるか否か、を調べる工程を包含する、精神疾患または精神障害の予防または治療薬のスクリーニング方法。 - 非ヒト動物に、スクロース、フルクトース、グルコース、ソルビトール、ならびに、フルクトースおよびグルコースを含む異性化糖から選択される糖類を代替する被験物質を投与することによって、脳組織の異常を生じるか否かを調べる工程、および
上記被験物質を投与しなかった場合と比較して、脳組織異常性が高くなったときに、該被験物質を、脳組織の異常の要因となる物質の候補として選択する工程を包含しており、
上記脳組織の異常は、パルブアルブミン量の減少および脳血管内皮細胞におけるFC受容体の発現上昇のうちの少なくとも1つが生じていることである、脳組織の異常の要因となり、スクロース、フルクトース、グルコース、ソルビトール、ならびに、フルクトースおよびグルコースを含む異性化糖から選択される糖類を代替する物質のスクリーニング方法。
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Fontana et al. | The developing utility of zebrafish models of neurological and neuropsychiatric disorders: A critical review | |
Gumusoglu et al. | Maternal inflammation and neurodevelopmental programming: a review of preclinical outcomes and implications for translational psychiatry | |
Sakaguchi et al. | Loss of cerebellar Purkinje cells in aged mice homozygous for a disrupted PrP gene | |
Baker Jr et al. | Neuronal GM1 gangliosidosis in a Siamese cat with β-galactosidase deficiency | |
Ahmadalipour et al. | Effects of environmental enrichment on behavioral deficits and alterations in hippocampal BDNF induced by prenatal exposure to morphine in juvenile rats | |
CN102458450B (zh) | 乳铁蛋白和婴幼儿的脑健康及发育 | |
Pena et al. | Enduring effects of environmental enrichment from weaning to adulthood on pituitary-adrenal function, pre-pulse inhibition and learning in male and female rats | |
Chourbaji et al. | Altering BDNF expression by genetics and/or environment: impact for emotional and depression-like behaviour in laboratory mice | |
Rosenfeld et al. | Behavioral effects of environmental enrichment during gestation in WKY and Wistar rats | |
Erbas et al. | Neurobehavioral effects of long-term maternal fructose intake in rat offspring | |
Bilbo et al. | Bacterial infection early in life protects against stressor-induced depressive-like symptoms in adult rats | |
Ishii et al. | Neuronal heterotopias affect the activities of distant brain areas and lead to behavioral deficits | |
Maldonado-Ruiz et al. | Inflammatory domains modulate autism spectrum disorder susceptibility during maternal nutritional programming | |
Collier et al. | Maternal ethanol consumption before paternal fertilization: Stimulation of hypocretin neurogenesis and ethanol intake in zebrafish offspring | |
Yamada et al. | Theanine, r-glutamylethylamide, increases neurotransmission concentrations and neurotrophin mRNA levels in the brain during lactation | |
Inoue et al. | LMTK3 deficiency causes pronounced locomotor hyperactivity and impairs endocytic trafficking | |
JP7084689B2 (ja) | 脳組織の異常を伴う非ヒト動物の作製方法およびその利用 | |
Norton et al. | Long-lasting behavioral and neuroanatomical effects of postnatal valproic acid treatment | |
Skwarzynska et al. | Glycolysis regulates neuronal excitability via lactate receptor, HCA1R | |
Cuenca-Bermejo et al. | Octodon degus: a natural model of multimorbidity for ageing research | |
Ommati et al. | Pre/postnatal taurine supplementation improves neurodevelopment and brain function in mice offspring: A persistent developmental study from puberty to maturity | |
Ragueneau | Early development in mice. IV: Quantity and gross composition of milk in five inbred strains | |
Jiang et al. | Early prenatal morphine exposure impairs performance of learning tasks and attenuates in vitro heterosynaptic long-term potentiation of intermediate medial mesopallium in day-old chicks | |
Best et al. | Effects of saccharides on brain function and cognitive performance | |
Nogueira et al. | S100β protein expression: gender-and age-related daily changes |
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