以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、本実施形態に係るシステム1の一例を示す。システム1は、各製品の製造プロセス情報に従って各装置を動作させることにより、1または複数の種類の製品を生産することができる。本実施形態において、システム1は、一例として化学製品または医薬等の流体または粉体の製品を製造する。システム1は、複数の製造モジュール100と、複数の電源装置110と、管理装置120と、端末130とを備え、管理装置120および端末130がネットワーク140によって接続された構成をとる。システム1によれば、多様な製品を製造するために、ユーザは製造モジュール100の配置を変更して製造モジュール100を組み換えることにより、製造モジュール100によるプロセス処理の実行順番を変更することができる。
各製造モジュール100は、製造プロセスの一部ずつに応じたプロセスを担当する。各製造モジュール100は、出発原料または前工程の生成物から担当するプロセスに応じた生成物を製造し、これを後工程へ提供する。各製造モジュール100は、製造プロセスが変更される場合に容易に組み換えることができるように可動式であってよい。複数の製造モジュール100のうち少なくとも1つまたは全部は、防爆設備内に設置されていてよい。各製造モジュール100は複数個積み重ねられて設置されてよく、上下二段ずつで設置されてもよい。各製造モジュール100は、筐体150と、製造ユニット160と、ユニット制御装置170とを有する。
筐体150は、製造ユニット160を収容するケースである。筐体150は、出発原料または前工程の生成物が流入する入口と本工程の生成物が流出する出口とを有し、入口および出口は、筐体150内の製造ユニット160と前工程および後工程の製造ユニット160とをそれぞれ結合させるための配管が嵌合するように形成される。複数の筐体150はそれぞれ、製造モジュール100の組み立ておよび組み換えを容易にするべく、同一の形状であってよく、立方体形状等の直方体形状であってよい。ここで各筐体150は、防爆構造を有してよく、金属またはセラミック等から構成されてよい。
製造ユニット160は、製造プロセスに応じて複数組み合わされて、各々が製造プロセスの一部ずつに応じたプロセス処理を行う。各製造ユニット160は、反応槽、貯留槽、晶析槽、濾過槽、分離槽、混合槽、充填機、または乾燥機等の製造装置(プロセス処理装置)であってよい。
ユニット制御装置170は、マイクロコントローラ、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)またはマシンコントローラ等のコントローラとその周辺回路を含む制御用コンピュータであってよい。また、ユニット制御装置170は、パーソナルコンピュータまたはノート型コンピュータ等のコンピュータを利用して実現されてもよい。各ユニット制御装置170は、複数の製造ユニット160の各々に対応して設けられ、対応する製造ユニット160と接続されて、制御プログラムを実行することにより、対応付けられた製造ユニット160の制御を担当する。本実施形態において、各ユニット制御装置170は、制御を担当する製造ユニット160の移動に対応して移動される。各ユニット制御装置170は、複数の製造ユニット160のうち担当する製造ユニット160と同一の筐体150内に設けられる。これに代えて、各ユニット制御装置170は、担当する製造ユニット160が収容される筐体150の外に別個に設けられてもよい。
電源装置110は、1または複数の電気機器を有する電気制御盤であってよい。複数の電源装置110の各々は複数の製造ユニット160の各々に対応して設けられ、対応する製造ユニット160に接続されて、電力を供給する。各電源装置110は、対応する製造ユニット160の設置場所に応じた位置に設置される。電源装置110はまた、接続された製造ユニット160に対応するユニット制御装置170に接続され、ユニット制御装置170に電力を供給する。本実施形態において、電源装置110は、防爆設備外に設けられてよい。
管理装置120は、マイクロコントローラ、PLC若しくはマシンコントローラ等のコントローラまたは産業用コンピュータであってよい。これに代えて、管理装置120は、1または複数のコンピュータであってよく、複数のコンピュータで実現された装置であってもよく、パーソナルコンピュータなどで構成されてもよい。管理装置120は、各製造モジュール100のユニット制御装置170に接続される。管理装置120は、管理プログラムを実行することにより、複数の製造ユニット160の各々の配置に応じた配置情報に基づいて、複数の製造ユニット160の各々の連携処理を管理する。
端末130は、パーソナルコンピュータ、ノート型コンピュータ、携帯電話、スマートフォン、タブレット、またはデータ入出力可能なその他の端末装置であってよい。端末130は、ネットワーク140を介して管理装置120に接続される。端末130は、例えば医薬における処方等の製造対象の製品を製造するための製造プロセスを設計するプロセスエンジニア等のユーザによって操作され、製造プロセスを実施するための複数の製造モジュール100の配置に関する配置情報および製造プロセスを実行するための複数の製造モジュール100の制御を指定する製造プロセス情報を、CADソフトウェア等を用いて生成する。端末130は、製造プロセス情報および配置情報を管理装置120に提供してよい。
ネットワーク140は、管理装置120および端末130の間を無線または有線により接続する。ネットワーク140は、インターネット、ワイドエリアネットワーク、またはローカルエリアネットワーク等であってよく、携帯回線網を含んでもよい。
以上のシステム1によれば、製造ユニット160が可動式であり、複数のユニット制御装置170の各々が製造ユニット160の各々に対応して設けられる。このため、製造プロセスを変更する場合、ユーザは製造ユニット160の移動に伴って対応するユニット制御装置170を移動させることができ、製造ユニット160の組み換え作業が容易となる。また製造ユニット160を移動させて組み換えた場合にも、各製造ユニット160が組み換え前と同じユニット制御装置170によって制御されるので、各ユニット制御装置170をプログラムし直す必要がなく、組み換えを容易に行えるようになる。
図2は、本実施形態に係る製造モジュール100の結合の一例を示す。
製造モジュール100の各製造ユニット160は、配管により結合される。一例として、製造ユニット1は製造ユニット2に結合され、製造ユニット2は製造ユニット3に結合される。これにより、製造ユニット1によって処理された中間生成物が配管を通じて製造ユニット2に供給され、製造ユニット2によって処理された中間生成物が配管を通じて製造ユニット3へ供給される。これに代えて、製造ユニット1と製造ユニット3とを結合させて、製造ユニット1によって処理された中間生成物を、配管を通じて製造ユニット3に直接供給してもよい。ユーザは、製造プロセスの変更により製造ユニット160のプロセス処理の実行順番を変更する場合、製造ユニット160の配置を変更し、配置変更後の製造ユニット160を配管により結合することにより、製造ユニット160の接続を変更する。
図3は、本実施形態に係る製造システム3における、製造モジュール100、電源装置110および管理装置120の具体的構成例を示す。
製造ユニット160は、供給される原料または中間生成物を加工する不図示のプロセス処理装置に加え、1または複数のセンサ300および1または複数のアクチュエータ302を含む。センサ300およびアクチュエータ302は、ユニット制御装置170の入出力部304に接続される。センサ300は、プロセス処理装置の特定位置に設けられ、計測したプロセス処理装置の状態を示す情報をユニット制御装置170の入出力部304に提供する。センサ300は、一例として、温度センサ、湿度センサ、流量センサ、水位センサ、ガス検知センサ、圧力センサ、振動センサ、電圧センサまたは電流センサ等の物理量を測定するセンサであってよい。アクチュエータ302は、プロセス処理装置の特定位置に設けられ、ユニット制御装置170の入出力部304から提供される制御信号に基づいてプロセス処理装置の状態を制御するよう動作する。アクチュエータ302は電気式のサーボモータ、ステッピングモータ、若しくはリニアモータ、油圧式のシリンダ若しくはモータ、または空気圧式のシリンダ若しくはモータであってよく、バルブまたはポンプを制御してよい。
ユニット制御装置170は、入出力部304、記憶部306、制御部308、および通信部310を含む。
入出力部304は、1または複数の入出力ポートを有するI/Oモジュールであってよい。たとえば入出力部304は、アナログ入力ポート、アナログ出力ポート、アナログ入出力ポート、デジタル入力ポート、デジタル出力ポートおよびデジタル入出力ポートのうちの少なくとも1つを有し、各ポートを介して1または複数のセンサ300および1または複数のアクチュエータ302のそれぞれに接続されてよい。入出力部304は、制御部308の要求に応じてセンサ300から信号を取得して制御部308へと供給してよい。また入出力部304は、制御部308の要求に応じてアクチュエータ302へ制御信号を提供してよい。入出力部304とセンサ300またはアクチュエータ302との通信は、一例として、HART(登録商標)、BRAIN、ファウンデーションフィールドバス(登録商標)またはISA100.11a等で規定される通信プロトコルを用いてよい。入出力部304は各ポートに、A/D変換器および/またはD/A変換器を有してよく、増幅器、フィルター、アナログスイッチまたはコンパレータを有してよい。
記憶部306は、複数の製造ユニット160のうち自己のユニット制御装置170が担当する製造ユニット160のユニット識別情報および電源対応表等の各種情報を記憶する。記憶部306は、不揮発性メモリであってよい。ここで、ユニット識別情報とは、ユニット制御装置170または当該ユニット制御装置170が制御を担当する製造ユニット160を識別する情報である。ユニット識別情報は、ユニット制御装置170内の記憶部306に代えて、ユニット制御装置または当該ユニット制御装置170が制御を担当する製造ユニット160に、ジャンパスイッチまたはデュアルインラインパッケージ(DIP)スイッチ等を用いて設定されてもよい。電源対応表は、当該ユニット制御装置170が制御を担当する製造ユニット160に電力を供給することができる電源装置110の種別を示す。
制御部308は、入出力部304、記憶部306および通信部310と接続される。制御部308は、複数の製造ユニット160のうち自己のユニット制御装置170が担当する製造ユニット160の位置に応じた位置情報を取得する。位置情報とは、各製造ユニット160の実設置位置を示す情報である。位置情報は、接続先の電源装置110の設置位置に応じた場所に設けられたコードまたは無線タグ等によって示される。本例において、接続先の電源装置110の設置位置に応じた場所とは、製造ユニット160に接続される電源装置110の設置場所近傍であるが、これに代えて当該場所は、製造ユニット160自身の設置場所等であってよい。制御部308は、取得した位置情報および記憶部306に格納されるユニット識別情報を用いて、管理装置120に製造ユニット160の配置の検証を行わせる。そして制御部308は、自己のユニット制御装置170に対応する製造ユニット160の制御を行う。より具体的には、制御部308は、入出力部304を介して担当する製造ユニット160から各取得値を取得し、通信部310を介して管理装置120に各取得値を送信する。取得値は、製造プロセスの稼働中における製造ユニット160内のセンサ300の計測値、またはセンサ300の計測値若しくはその他製造ユニット160から取得した情報に基づいて適宜変換された値等であってよい。制御部308はまた、通信部310を介して管理装置120から各制御パラメータを取得する。制御パラメータは、所望のプロセス処理を実行するために制御されるべき製造ユニット160の状態を表すパラメータであってよい。たとえば制御パラメータは、製造ユニット160において調整すべき温度または圧力等の値であってよい。制御部308は、各種制御パラメータおよびプロセス処理装置の状態に基づいてアクチュエータ302を操作するための操作値を生成し、入出力部304を介して、操作値に基づいた制御信号をアクチュエータ302に提供する。操作値とは、製造ユニット160内の状態を制御パラメータが示す状態に近づけるために、各アクチュエータ302に与える操作量を示す。制御部308は、プロセッサを含んでよい。
通信部310は、管理装置120の管理通信部326および電源装置110の通信部315と通信可能に接続され、管理装置120および電源装置110とユニット制御装置170との間の通信処理を行う。各通信は、一例として、MODBUS(登録商標)、CAN、TCP/IP、CC-LINK(登録商標)等の汎用通信プロトコルを用いてよい。
電源装置110は、電源ユニット312と、電源制御装置314とを備える。電源ユニット312は、製造モジュール100に接続され、製造モジュール100に電力を供給する。電源ユニット312は、例えば無停電電源装置等のバッテリを含んでよい。
電源制御装置314は、マイクロコントローラ、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)またはマシンコントローラ等のコントローラとその周辺回路を含む制御用コンピュータであってよい。また、ユニット制御装置170は、パーソナルコンピュータまたはノート型コンピュータ等のコンピュータを利用して実現されてもよい。電源制御装置314は、電源ユニット312に対応して設けられ、対応付けられた電源ユニット312の制御を担当する。また電源制御装置314は、ユニット制御装置170と通信を行い、通信先のユニット制御装置170に、対応する電源ユニット312の適合性の検証を行わせる。電源制御装置314は、通信部315と、記憶部316と、制御部317とを有する。
通信部315は、管理装置120の管理通信部326と通信可能に接続される。通信部315は、ユニット制御装置170および管理装置120と電源装置110との間の通信処理を行う。
記憶部316は、自己の電源装置110の電源識別情報等の各種情報を記憶する。ここで電源識別情報は、電源装置110または電源装置110が有する電源ユニット312を識別する情報である。記憶部316は、不揮発性メモリであってよい。これに代えて、電源識別情報は、電源装置110にジャンパスイッチまたはDIPスイッチ等を用いて設定されてもよい。
制御部317は、通信部315および記憶部316に接続される。制御部317は、ユニット制御装置170の要求に応じて、電源ユニット312を制御する。また、制御部317は、電源装置110の設置位置に応じた場所に設けられた無線タグまたはコード等を読み取ることにより位置情報を取得する。本例において、電源装置110の設置位置に応じた場所とは、製造ユニット160に接続される電源装置110の設置場所近傍であるが、これに代えて当該場所は、製造ユニット160自身の設置場所等であってよい。制御部317は、取得した位置情報および記憶部316が記憶する電源識別情報を用いて、接続先の製造ユニット160に対応するユニット制御装置170に、対応する電源ユニット312が接続先の製造ユニット160に適合しているか否かを検証させる。制御部317は、プロセッサを含んでよい。
管理装置120は、配置管理部320と、制御処理部322と、管理記憶部324と、管理通信部326とを有する。
配置管理部320は、管理記憶部324および管理通信部326に接続される。配置管理部320は、管理通信部326が端末130から配置情報328を取得したことに応じて、配置情報328を管理記憶部324に格納する。配置管理部320は、管理通信部326を介して各ユニット制御装置170から提供されるユニット識別情報および管理記憶部324に格納される配置情報328を用いて、複数の製造ユニット160の各々について配置の検証を行う。
制御処理部322は、管理記憶部324および管理通信部326に接続される。制御処理部322は、管理記憶部324から配置情報328を取得してよく、管理通信部326を介してユニット制御装置170から各製造ユニット160の取得値を受信してよい。制御処理部322は、配置情報328、製造プロセス情報330および取得値に基づき、各制御パラメータを算出し、各ユニット制御装置170へ制御パラメータを送信してよい。
管理記憶部324は、管理通信部326が端末130から受信した配置情報328および製造プロセス情報330を記憶する。
管理通信部326は、ユニット制御装置170の通信部310および端末130と通信を行う。管理通信部326は、配置管理部320または制御処理部322の要求に応じて、各ユニット制御装置170と通信してよい。
以上の製造システム3によれば、製造ユニット160を移動させて組み換えた場合でも、製造モジュール100内の装置は変更されないため、ユーザによる製造モジュール100内の各装置ごとの据付時適格性評価(IQ)等の検証作業が省略若しくは簡略化される。また、製造ユニット160の組み換えにより製造ユニット160の接続先が変更されても、管理装置120が製造ユニット160の配置情報328の検証を行い、検証済みの配置情報328に基づいて製造ユニット160間の連携処理を行うため、接続先変更後の製造ユニット160間の装置の連携に関する現場での検証作業を省略することができる。したがって、ユーザが製造ユニット160を組み換えて製造プロセスを変更することが容易となり、限られたコストおよびスペースの中で多種類の製品を製造することが可能となる。
図4は、本実施形態に係る管理記憶部324に格納される配置情報328のデータ構造の一例を示す。配置情報328は、複数の製造ユニット160のそれぞれに対応した位置情報と、ユニット識別情報と、接続先ユニット識別情報とを含む。端末130は、製造プロセスの構築を支援するCADソフトウェア等を用いて、ユーザの入力に応じて各製造ユニット160の位置および製造ユニット160間の結合および各製造ユニット160の制御手順を示す製造フロー図を生成するとともに、製造フロー図に対応する各製造ユニット160の配置に関する配置情報328と、各製造ユニット160の制御手順に関する製造プロセス情報330とを生成してよい。
配置情報328における位置情報は、製造ユニット160が設置される場所の位置に応じたアドレス情報であり、そこに設置されるべき製造ユニット160に対応するユニット制御装置170内の制御部308が実際に取得すべき位置情報を示す。位置情報は、数字若しくは文字列であってよく、または数字と文字列の組み合わせであってもよい。一例として位置情報は、2進数、10進数または16進数で表記されてよい。
配置情報328におけるユニット識別情報は、複数の製造ユニット160の各々の位置情報に対応付けてテーブル上に設定される。配置情報328におけるユニット識別情報は、複数のユニット制御装置170のうち配置情報328における位置情報が示す位置に設置されるべき製造ユニット160の制御を担当するユニット制御装置170または当該製造ユニット160を識別する。配置情報328におけるユニット識別情報は、そこに設置されるべき製造ユニット160を担当するユニット制御装置170内の記憶部306が記憶すべきユニット識別情報を示す。配置情報328におけるユニット識別情報は、ユニット制御装置170若しくは制御を担当する製造ユニット160の製品または製品種別等の識別情報であってよく、これらの識別情報とシリアル番号との組み合わせであってよい。配置情報328におけるユニット識別情報は、数字若しくは文字列であってよく、または数字と文字列の組み合わせであってもよい。一例として自ユニット識別情報は、2進数、10進数または16進数で表記されてよい。
接続先ユニット識別情報とは、複数の製造ユニット160のうち製造プロセスにおいて当該製造ユニット160の上流および下流の少なくとも一方に結合された少なくとも1つの製造ユニット160の制御を担当するユニット制御装置170または当該製造ユニット160を識別する。接続先ユニット識別情報は、製造プロセスの順序に応じて上流側の情報および下流側の情報に分類される。接続先ユニット識別情報の上流側および下流側に示したフィールドには、それぞれ上流または下流に直接接続される1または複数の接続先ユニット識別情報が格納されてよい。上流または下流に接続先がない製造ユニット160については、当該製造ユニット160に対応する接続先ユニット識別情報の上流側または下流側のフィールドが空であってもよく、便宜上当該フィールドに当該製造ユニット160のユニット識別情報が格納されてもよい。なお、配置情報328における接続先ユニット識別情報の各エントリは、配置情報328におけるユニット識別情報に対応する製造ユニット160が有する特定の接続口等に対応付けられてよい。接続先ユニット識別情報は、配置情報328において各位置情報に対応するレコードに格納されるユニット識別情報によって識別される製造ユニット160に接続される製造ユニット160のユニット識別情報を示す。接続先ユニット識別情報は、数字若しくは文字列であってよく、または数字と文字列の組み合わせであってもよい。一例として接続先ユニット識別情報は、2進数、10進数または16進数で表記されてよい。
このように、管理装置120の管理記憶部324が配置情報328を格納することにより、管理装置120は、全ての製造ユニット160に対して、製造ユニット160の設置位置に対する当該製造ユニット160の種類および当該製造ユニット160の接続先を製造プロセスごとに設定し、各製造ユニット160の処理の実行順番を管理することができる。
図5は、本実施形態に係る記憶部306に格納される電源対応表のデータ構造の一例を示す。電源対応表は、自己のユニット識別情報に対して電力を供給することができる電源装置110を示す1または複数の電源識別情報と、その対応関係とを有する。
電源対応表における各電源識別情報は、各電源装置110または各電源装置110の電源ユニット312の製品または製品種別を識別する情報である。電源対応表における各電源識別情報は、数字若しくは文字列であってよく、または数字と文字列の組み合わせであってもよい。一例として位置情報は、2進数、10進数または16進数で表記されてよい。
対応関係は、自己のユニット識別情報に対して、電源対応表における各電源識別情報が対応しているか否かを示す。対応関係は、その電源識別情報を有する電源ユニット312が、担当する製造ユニット160がプロセス処理を行うために必要な電力を供給できるか否かによって、ユーザによって決定されてよい。一例として、その電源識別情報を有する電源装置110の電源ユニット312が必要な電力を供給できる場合には、その電源識別情報の対応関係に「OK」が格納され、できない場合には、その電源識別情報の対応関係に「NG」が格納されてよい。
このように、ユニット制御装置170の記憶部306が電源対応表を格納することにより、ユニット制御装置170は、自己が担当する製造ユニット160に対して電力を供給することができる電源装置110を把握することができる。なお、電源対応表は、製造ユニット160に適合可能な電源装置110等のリストであってよく、適合しない電源装置110等の情報を含まなくてもよい。
図6は、本実施形態に係るシステム1における製造ユニット160に対する電源ユニット312の適合性の検証および製造ユニット160の配置の検証に関する処理フローの一例を示す。
S600において、管理装置120の配置管理部320は、端末130を用いて生成された全ての製造ユニット160について配置情報328を取得し、管理記憶部324に格納する。システム1は、配置情報328に登録された各製造モジュール100について、S610~S680に示す処理を行う。
S610において、各ユニット制御装置170の制御部308は、複数の製造ユニット160のうち自己のユニット制御装置170が担当する製造ユニット160の位置情報を取得する。また電源装置110内の電源制御装置314の制御部317は、担当する電源ユニット312に接続される製造ユニット160に対応付けられたユニット制御装置170と共通の位置情報を取得する。たとえば、各制御部308および制御部317は、複数の製造ユニット160のうち自己のユニット制御装置170が担当する製造ユニット160が設置された場所に応じたコードまたは無線タグを読み取ることにより位置情報を取得してよい。コードまたは無線タグは、対応する製造ユニット160に接続される電源装置110の設置位置に応じた場所に設けられる。本実施形態において、コードまたは無線タグは、対応する製造ユニット160に接続される電源装置110の設置位置近傍に設けられる。そして、各制御部308および制御部317は、当該コードまたは無線タグから位置情報を取得する。他の実施形態において、コードまたは無線タグは、対応する製造ユニット160に接続される電源装置110の設置位置近傍に加え、当該製造ユニット160の設置位置近傍にも設けられる。それぞれのコードまたは無線タグは、共通の位置情報を有する。そして各制御部308および制御部317は、対応する製造ユニット160および電源装置110の設置位置近傍にそれぞれ設けられるコードまたは無線タグ等から位置情報をそれぞれ取得する。なお、ユニット制御装置170および電源装置110は、S610において起動され、制御部308および制御部317はブート処理の実行中に自動で位置情報を取得してよい。
S620において、ユニット制御装置170の制御部308は、自己が取得した位置情報に基づいて、当該ユニット制御装置170のネットワークアドレス情報を生成する。また電源制御装置314の制御部317は、自己が取得した位置情報に基づいて、各電源制御装置314のネットワークアドレス情報を生成する。本実施形態において、制御部317は、自己の電源制御装置314のネットワークアドレス情報として、担当する電源ユニット312に接続される製造ユニット160に対応付けられたユニット制御装置170のネットワークアドレス情報との間に予め定められた差を有するネットワークアドレス情報を生成してよい。たとえば、制御部308は、自己が取得した位置情報に基づく数値をホスト部に含むIPアドレスを生成してよく、制御部317は、自己が取得した位置情報に基づく数値に定数(たとえば、0×20等)を加算した数値をホスト部に含むIPアドレスを生成してよい。本実施形態において、制御部308および制御部317のそれぞれは、位置情報を取得した後、自己のユニット制御装置170および電源制御装置314を再起動させ、再起動時に自動で各ネットワークアドレス情報を生成してよい。
S630において、ユニット制御装置170の制御部308は、自己が取得した位置情報に基づいて、担当する製造ユニット160に接続される電源装置110の電源制御装置314のネットワークアドレス情報を取得する。たとえば、制御部308は、自己のユニット制御装置170のIPアドレスのホスト部に定数を加算した数値をホスト部に含むIPアドレスを、当該電源制御装置314のネットワークアドレス情報として取得する。そして、制御部308は、取得した電源制御装置314のネットワークアドレス情報を用いて、当該電源制御装置314に対して、電源識別情報の読出要求をする。この読出要求は、電源制御装置314内における電源識別情報が格納されているアドレスまたはレジスタ番号等の指定を含んでよい。
S640において、電源制御装置314の制御部317は、ユニット制御装置170の制御部308からの読出要求を受信したことに応じて、記憶部316に格納される電源識別情報を、通信部315を介して制御部308に返信する。
S650において、ユニット制御装置170の制御部308は、制御を担当する製造ユニット160に電力を供給する電源装置110を識別する電源識別情報を取得し、ユニット制御装置170のユニット識別情報および取得した電源識別情報に基づいて、制御を担当する製造ユニット160に適合する電源ユニット312が当該製造ユニット160に接続されているか否かを判定する。本実施形態において、制御部308は、記憶部306に格納される電源対応表において、自己のユニット制御装置170のユニット識別情報と電源制御装置314から取得した電源識別情報との対応関係から、当該電源制御装置314に対応する電源ユニット312が接続先の製造ユニット160に適合しているか否かを判定する。制御部308は、適合する電源ユニット312が接続されていると判定すれば、処理をS660に進め、接続されていないと判定すれば、処理をS692に進める。
S660において、管理装置120の配置管理部320は、管理記憶部324に格納される配置情報328における位置情報に基づいて、当該位置情報が示す位置に設置された製造ユニット160に対応するユニット制御装置170のネットワークアドレス情報を取得する。各製造モジュール100が配置情報328通りの正しい位置に設置されていれば、配置管理部320が取得するネットワークアドレス情報は、S620において各ユニット制御装置170の制御部308が生成するネットワークアドレス情報と一致する。配置管理部320は、取得したユニット制御装置170のネットワークアドレス情報を用いて、当該ユニット制御装置170の制御部308と通信し、制御部308に対してユニット識別情報の読出要求を送信する。この読出要求は、ユニット制御装置170内におけるユニット識別情報が格納されているアドレスまたはレジスタ番号等の指定を含んでよい。
S670において、ユニット制御装置170の制御部308は、配置管理部320からの読出要求を受信したことに応じて、記憶部306に格納されるユニット識別情報を通信部310を介して管理装置120の管理通信部326に返信する。他の実施形態において、少なくとも1つのユニット制御装置170の制御部308は、自己のユニット制御装置170に対応付けられた製造ユニット160にDIPスイッチ等を用いて設定されたユニット識別情報を取得し、取得したユニット識別情報を通信部310を介して管理通信部326に返信してよい。
S680において、管理装置120の配置管理部320は、管理通信部326を介してユニット制御装置170から、各ユニット制御装置170を識別するユニット識別情報を取得し、各ユニット制御装置170から取得したユニット識別情報を配置情報328に含まれるそのユニット制御装置170に対応するユニット識別情報と照合することにより、製造ユニット160が配置情報328どおりに配置されているか否かを判定する。なお、配置管理部320は、ユニット識別情報にシリアル番号が含まれる場合には、製造ユニット160または製造ユニット160の種別を示す範囲を照合対象としてよい。配置管理部320は、両ユニット識別情報が一致すると判定した場合、処理をS690に進める。配置管理部320は、両ユニット識別情報が一致しないと判定した場合、処理をS692に進める。
S690において、管理装置120の配置管理部320は、全ての製造ユニット160に対してユニット識別情報の照合を行ったか否かを判定する。配置管理部320は、全ての製造ユニット160に対して当該照合を行っていれば、処理を終了させ、全ての製造ユニット160に対して当該照合を行っていなければ、処理をS610に戻して、次の製造ユニット160の照合を進める。
S692において、ユニット制御装置170の制御部308は、S650において担当する製造ユニット160に適合する電源ユニット312が接続されていないと判定したことに応じて、管理装置120の配置管理部320に対して、その旨を示すエラー信号を出力する。このとき配置管理部320は、管理通信部326を介して、端末130に当該エラー信号を送信してよい。また管理装置120の配置管理部320は、S680において両ユニット識別情報が一致しないと判定したことに応じて、複数の製造モジュール100の配置が配置情報328に設定された設計通りの配置と一致しない旨のエラー信号を出力する。このとき配置管理部320は、管理通信部326を介して、端末130に当該エラー信号を送信してよい。
なお、システム1は、S630~S650に示す処理とS660~S680に示す処理とを並行して行ってもよく、S660~S680に示す処理の後にS630~S650に示す処理を行ってもよい。
他の実施形態において、ユニット制御装置170に代えて管理装置120が電源対応表を保有し、各製造ユニット160および各電源装置110の間の照合を行ってもよい。この場合S630~S650に代えて、管理装置120がユニット制御装置170および電源制御装置314に対してユニット識別情報および電源識別情報の読出要求を送信する。そして、ユニット制御装置170の制御部308および電源制御装置314の制御部317はそれぞれ、読出要求を受信したことに応じて、取得したユニット識別情報および電源識別情報を管理装置120に返信する。管理装置120は、電源対応表を用いてユニット識別情報に対する電源識別情報の対応関係を確認し、電源ユニット312がユニット制御装置170に対応する製造ユニット160に適合したものであるか否かを判定する。管理装置120は、適合していると判定すれば、処理をS660に進め、適合していないと判定すれば、処理をS692に進める。
更に他の実施形態において、管理装置120に代えてユニット制御装置170が配置情報328の照合を行ってよい。この場合S660に代えて、管理装置120の配置管理部320が配置情報328における位置情報に基づいてネットワークアドレス情報を取得し、そのネットワークアドレス情報を用いて対応するユニット制御装置170の制御部308に対して配置情報328におけるユニット識別情報を送信する。そしてS670~S680に代えて、ユニット制御装置170の制御部308が、管理装置120から受信したユニット識別情報と記憶部306に格納されるユニット識別情報とを照合する。このとき制御部308は、両ユニット識別情報が一致すると判定した場合、管理装置120の管理通信部326に一致することを示す信号を送信し、両ユニット識別情報が一致しないと判定した場合、管理装置120の管理通信部326にエラー信号を送信してよい。
以上により、システム1は、適合する電源ユニット312が製造ユニット160に接続されているか否かの検証を行うことができる。またシステム1は、複数のユニット制御装置170が保有するユニット識別情報と管理装置120が保有する配置情報328におけるユニット識別情報とを照合することで、複数の製造モジュール100の配置が配置情報328に設定された設計通りの配置と一致するか否かの検証を行うことができる。したがって、製造プロセスの変更により製造ユニット160の配置を変更した場合であっても、現場における製造ユニット160と電源装置110との間の照合作業および製造ユニット160の配置の検証作業を省略することができる。
図7は、本実施形態に係る新しい製造ユニット160への入れ替えフローの一例を示す。S700において、製造プロセスの変更により、端末130は各製造ユニット160の配置情報を変更して管理装置120に送信する。管理装置120の配置管理部320は、受信した変更後の配置情報を管理記憶部324に格納する。
S710において、ユーザは、変更後の配置情報328に基づいて、移動させる製造ユニット160の電源をOFFにし、その製造ユニット160と電源装置110との間の接続を解除する。またユーザは、ユニット制御装置170の入出力部304と電源装置110との間の接続を解除してよい。各ユニット制御装置170の制御部308は、電源装置110との接続が解除されてもメモリの内容を維持すべく、不揮発性メモリまたはバックアップ機能を有するメモリを用いてよい。
S720において、ユーザは、移動させる製造ユニット160に接続された、その上流および下流の製造ユニット160のそれぞれと結合するための配管を外す。本実施形態において、ユーザは、移動させる製造ユニット160を収容する筐体150の入口および出口に嵌合された配管を外してよい。
S730において、ユーザは、変更後の配置情報328に基づいて製造ユニット160を移動させ、新たに組み込む製造ユニット160を設置して製造ユニット160の組み換えを行う。このとき対応するユニット制御装置170は、製造ユニット160の移動に伴い移動される。また製造ユニット160の移動と同様に、対応する電源装置110も移動されてよい。そして、新たに組み込む製造ユニット160の設置位置に応じた位置に、新たに組み込む製造ユニット160に対応する電源装置110を設置してよい。そしてユーザは、新たに組み込んだ製造ユニット160と上流および下流の製造ユニット160とをそれぞれ配管で接続させる。本実施形態において、ユーザは、新たに組み込んだ製造ユニット160を収容する筐体150の入口および出口に、上流および下流の製造ユニット160に接続される配管をそれぞれ嵌合させることにより、製造ユニット160同士を接続させてよい。ここで、新たに組み込んだ製造ユニット160に対応するユニット制御装置170は、製造ラインに組み込まれる前にあらかじめ制御用のソフトウェアをダウンロードしてよい。制御用のソフトウェアは、複数種類のプロセス処理に応じた制御プログラムを含んでよい。また制御用のソフトウェアは、配置情報328が検証されるまで実行されないようにあらかじめ保護されていてよい。
S740において、ユーザは、新たに組み込んだ製造ユニット160と当該製造ユニット160に対応する電源装置110とを接続させ、電源装置110を起動させることで、新たに組み込んだ製造ユニット160および対応するユニット制御装置170を起動させる。
S750において、新たに組み込んだ製造ユニット160に対応するユニット制御装置170の制御部308は、位置情報を取得する。新たに組み込んだ製造ユニット160に接続される電源ユニット312に対応する電源制御装置314の制御部317もまた、位置情報を取得する。制御部308および制御部317による位置情報の取得は、図6におけるS610に示す方法と同様の方法により行われてよい。ユニット制御装置170および電源制御装置314はそれぞれ、S740において起動され、ブート処理の実行中に自動で位置情報を取得してよい。
S760において、新たに組み込んだ製造ユニット160に対応するユニット制御装置170の制御部308および接続先の電源ユニット312に対応する電源制御装置314の制御部317は、各々が取得した位置情報に基づいて各ネットワークアドレス情報を生成する。制御部308および制御部317によるネットワークアドレス情報の生成は、図6におけるS620に示す方法と同様の方法により行われてよい。ユニット制御装置170および電源制御装置314は、位置情報を取得後、リブート処理を実行して再起動され、再起動時に自動で各ネットワークアドレス情報を生成してよい。
S770において、管理装置120の配置管理部320は、配置情報328における位置情報に基づいて、新たに組み込んだ製造ユニット160に対応するユニット制御装置170のネットワークアドレス情報を取得する。そして配置管理部320は、管理通信部326を介して、当該ネットワークアドレス情報を用いて、新たに組み込んだ製造ユニット160に対応するユニット制御装置170に制御用のソフトウェアを実行するための各種情報を送信する。制御用のソフトウェアを実行するための各種情報は、ソフトウェアの保護を解除するための情報または担当する製造ユニット160のプロセス処理の種類を示すパラメータ等を含んでよい。
S780において、ユニット制御装置170の制御部308は、通信部310を介して取得した制御用のソフトウェアを実行するための各種情報を用いて、制御用のソフトウェアを実行する。本実施形態において、制御部308は、制御用のソフトウェアの保護を解除し、制御用のソフトウェアに含まれる、担当する製造ユニット160のプロセス処理の種類に応じた制御プログラムを実行してよい。
S790において、ユニット制御装置170は、制御を担当する製造ユニット160に対する接続先の電源ユニット312の適合性についての検証を行う。また管理装置120は、製造ユニット160の配置変更後の配置情報328について検証を行う。システム1は、図6におけるS630~S692に示す処理と同様の処理を用いて、これらの検証を行ってよい。
以上のように、ユーザは、既存の製造ユニット160を新しい製造ユニット160に入れ替えて新しい製造ユニット160を起動させると、システム1は、対応するユニット制御装置170と管理装置120との通信を確立させて配置情報328を検証し、各製造ユニット160のプロセス処理に対する制御を自動で開始する。このため、ユーザによる、ネットワークアドレス情報の生成作業若しくはユニット制御装置170と管理装置120との間の通信設定作業または現場での配置情報328の検証作業等が省略される。また、システム1は、新しく組み込んだ製造ユニット160に適合する電源ユニット312が接続されているかを自動で検証するため、ユーザによる現場での電源装置110の照合作業等が省略される。そしてユニット制御装置170は、あらかじめ制御用のソフトウェアを有し、組み込まれた後に自動で制御用ソフトウェアを実行可能とする。このため、ユーザによる、個々のユニット制御装置170に対する実行可能な制御用のソフトウェアのダウンロード作業およびユニット制御装置170の検証作業が更に省略される。したがって、ユーザは容易に製造ユニット160を入れ替えることができるため、機動的に多品種生産に対応することができる。
図8は、本実施形態に係る新しい製造ユニット160への入れ替えの一例を示す。本実施形態において、入れ替え前の製造ユニット160のプロセス処理の実行順番が、製造ユニット1→製造ユニット2→製造ユニット3である場合、各製造ユニット160はプロセス処理の実行順番に従って配置される。そして製造ユニット1は製造ユニット2に結合され、製造ユニット2は製造ユニット3に結合される。製造プロセスの変更により、ユーザが製造ユニット2に代えて製造ユニット4を製造ラインに新たに導入する場合、ユーザが図7のS700~S740と同様の動作を行うことで、システム1は、図7のS750~S790に示す処理を自動で行うことができる。これにより、システム1は既存の製造ユニット160から新しい製造ユニット160への組み換えを容易に実現できる。
システム1は、既存の製造ユニット160同士の配置および接続を入れ替えることによって、製造プロセスを変更可能とすることも可能である。図9は、本実施形態に係る既存の製造ユニット160同士の入れ替えの一例を示す。図9において、ユーザは、製造ユニット160のプロセス処理の実行順番を製造ユニット1→製造ユニット2→製造ユニット3から製造ユニット1→製造ユニット3→製造ユニット2に変更するために、製造ユニット2および3を入れ替える。この場合、ユーザが図7のS700~S740に示す動作と同様の動作を行うことで、システム1は図7のS750~S790に示す処理を行ってよい。なお、図7のS770およびS780に示す処理のうち、制御用のソフトウェアの実行可能化に関する処理は省略されてよい。
図10は、本実施形態に係る制御処理部322の一例を各製造モジュール100のセンサ300またはアクチュエータ302の一例とともに示す。制御処理部322は、制御選択部900と複数の制御演算器910とを備える。
制御選択部900は、複数の制御演算器910および各製造モジュール100内のユニット制御装置170の制御部308を介して、各製造モジュール100の製造ユニット160に含まれるセンサ300またはアクチュエータ302に接続される。制御選択部900は、各製造ユニット160に対応するユニット制御装置170を介して、当該製造ユニット160から取得したセンサ300の計測値等の取得値を取得する。また制御選択部900は、製造ユニット160の状態を制御するための制御パラメータを対応するユニット制御装置170に供給する。ここで制御選択部900は、複数の製造ユニット160から取得した各取得値の中から、各製造ユニット160のプロセス処理に応じて各製造ユニット160の物理状態を制御するためにいずれの製造ユニット160から取得した取得値をいずれの制御演算器910に供給するかを選択する。そして、制御選択部900は、選択された制御演算器910を用いて算出された制御パラメータを取得し、その制御パラメータを対象の製造ユニット160に対応するユニット制御装置170に送信する。
制御演算器910は、温度または圧力等の制御対象すなわち制御パラメータの種類ごとに設けられてよく、2以上の制御対象について時分割等で共用されてもよい。また制御演算器910は、各製造ユニット160の組み合わせごとに設けられてよい。制御演算器910は、制御選択部900から取得値を入力し、対応する制御対象の制御パラメータを演算する。制御演算器910は、一例として、流量制御演算器、圧力制御演算器、レベル制御演算器またはシーケンス制御演算器であってよい。制御演算器910は、PID制御等のフィードバック制御を用いて各物理対象の制御パラメータを算出してよい。
図11は、本実施形態に係る制御処理部322における製造ユニット160の各種物理量の制御フローの一例を示す。S1100において、管理装置120の制御処理部322は、管理記憶部324から製造プロセス情報330および配置情報328を取得する。
S1110において、制御選択部900は、各ユニット制御装置170から各々が担当する製造ユニット160の各取得値を取得する。取得値は、一例として、流量、圧力、レベルまたは温度の値であってよい。
S1120において、管理装置120の制御選択部900は、配置情報328に基づいて、複数の製造ユニット160のうち、複数のユニット制御装置170の各々に対応する製造ユニット160の制御に用いる制御パラメータを、複数のユニット制御装置170のうちいずれのユニット制御装置170が担当する製造ユニット160から取得した取得値を用いて算出するかを選択する。制御選択部900は、流量または圧力等の制御対象ごとに当該選択を行ってよい。そして、制御選択部900は、制御対象ごとに、その制御対象の制御パラメータを算出するために、複数の制御演算器910のうちのいずれの制御演算器910を用いるかを選択する。制御選択部900はまた、ユーザが設計した製造プロセス情報330に基づいて、取得値および制御演算器910を選択してよい。
S1130において、制御対象ごとに選択された制御演算器910が、製造プロセス情報330および選択されたユニット制御装置170が担当する製造ユニット160から取得した取得値に基づいて、各製造ユニット160の制御パラメータを演算する。
S1140において、制御選択部900は、各製造ユニット160の各制御対象を制御する各制御パラメータを制御演算器910から取得する。制御選択部900は、各製造ユニット160に対応するユニット制御装置170に各制御パラメータを送信する。
S1150において、制御部308は、各制御パラメータを受信したことに応じて、当該制御パラメータおよび制御を担当する製造ユニット160のプロセス処理装置の状態に基づいて、各アクチュエータ302の操作値を算出する。制御部308は、制御を担当する製造ユニット160のプロセス処理装置の現物理状態を示すセンサ300の測定値、当該製造ユニット160固有の情報およびアクチュエータ302固有の情報のうちの少なくとも1つを用いて、制御パラメータから操作値を算出してよい。
S1160において、制御部308は、操作値を対応するアクチュエータ302に提供することによって、担当する製造ユニット160のプロセス処理装置の各物理量の制御を実行する。制御部308は、操作値をアクチュエータが受信可能な信号に変換するために、入出力部304を介してDA変換等の変換をしてよい。
以上のように、管理装置120は自己が保有する配置情報328および製造プロセス情報330並びに各製造ユニット160の取得値に基づいて、製造ユニット160ごとに制御パラメータを算出し、制御パラメータに基づいた操作値に従って、各製造ユニット160のプロセス処理を適切に制御することができる。したがって、管理装置120は複数の製造ユニット160の各々の連携処理を自動で実行し管理することができるため、ユーザによる現場でのパラメータ調整作業等を省略することができる。
図12は、本実施形態の変形例に係る製造システム12における、製造モジュール100、電源装置1210および管理装置120の具体的構成例を示す。本図における、図3と同じ符号を付した構成要素は、基本的には図3~図11に示した説明と同様であるから、以下相違点を中心に説明する。図12に示す製造システム12は、図3に示す製造システム3とほぼ同様の構成および機能を有するが、電源装置1210が、マイクロコントローラ等を含む独立した制御装置である電源制御装置314を有さず、制御部308の入出力装置として機能する点で相違する。電源装置1210は、電源ユニット312と、記憶部1216と、入出力部1220とを有する。
記憶部1216は、自己の電源装置1210の電源識別情報を記憶する。記憶部1216は、不揮発性メモリであってよい。これに代えて、電源識別情報は、自己の電源装置1210にジャンパスイッチまたはDIPスイッチ等を用いて設定されてもよい。記憶部1216は、入出力部1220に接続され、ユニット制御装置170の要求に応じて、電源識別情報を入出力部1220に提供する。
入出力部1220は、ユニット制御装置170の入出力部304に接続される。入出力部1220は、入出力部304を介して受け取るユニット制御装置170の要求に応じて、電源ユニット312の制御を行う。また入出力部1220は、入出力部304を介して受け取るユニット制御装置170の要求に応じて、ユニット制御装置170に各種情報を提供する。
本実施形態の変形例における製造システム12の動作は、以下の点において図3の製造システム3の動作と相違する。図6のS610において、入出力部1220は、入出力部304を介して受け取るユニット制御装置170の要求に応じて、電源装置1210の設置位置に応じた場所に設けられるコードまたは無線タグを読み取ることにより、接続先の製造ユニット160の位置情報を取得する。本例において電源装置1210の設置位置に応じた場所は、電源装置1210の設置位置近傍であってよい。そして、入出力部1220は、入出力部304を介して受け取るユニット制御装置170の要求に応じて、取得した位置情報を入出力部304に出力する。
図6のS620において、ユニット制御装置170の制御部308は、入出力部304を介して電源装置1210から取得した位置情報に基づいて、当該ユニット制御装置170のネットワークアドレス情報を生成する。本例において、制御部308は、位置情報を取得した後、自己のユニット制御装置170を再起動させ、再起動時に自動でネットワークアドレス情報を生成してよい。
図6のS630およびS640において、制御部308は、入出力部304および入出力部1220を介して、記憶部1216に格納される電源識別情報を取得する。
図7のS750において、新たに組み込んだ製造ユニット160に接続される電源装置1210の入出力部1220が、当該製造ユニット160に対応するユニット制御装置170の入出力部304を介して受け取った制御部308からの要求に応じて、当該製造ユニット160の位置情報を取得する。ユニット制御装置170は、入出力部304を介して、入出力部1220が取得した位置情報を取得する。ユニット制御装置170は、図7のS740において起動され、ブート処理の実行中に自動で位置情報を取得してよい。
図7のS760において、新たに組み込んだ製造ユニット160に対応するユニット制御装置170の制御部308は、取得した位置情報に基づいてネットワークアドレス情報を生成する。制御部308によるネットワークアドレス情報の生成は、図6におけるS620に示す方法と同様の方法により行われてよい。ユニット制御装置170は、位置情報を取得後、リブート処理を実行して再起動され、再起動時に自動でネットワークアドレス情報を生成してよい。
図13は、本発明の複数の態様が全体的または部分的に具現化されてよいコンピュータ2200の例を示す。コンピュータ2200にインストールされたプログラムは、コンピュータ2200に、本発明の実施形態に係る装置に関連付けられる操作または当該装置の1または複数のセクションとして機能させることができ、または当該操作または当該1または複数のセクションを実行させることができ、これに加えて、またはこれに代えて、コンピュータ2200に、本発明の実施形態に係るプロセスまたは当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ2200に、本明細書に記載のフローチャートおよびブロック図のブロックのうちのいくつかまたはすべてに関連付けられた特定の操作を実行させるべく、CPU2212によって実行されてよい。
本実施形態によるコンピュータ2200は、CPU2212、RAM2214、グラフィックコントローラ2216、およびディスプレイデバイス2218を含み、それらはホストコントローラ2210によって相互に接続されている。コンピュータ2200はまた、通信インターフェイス2222、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226、およびICカードドライブのような入出力ユニットを含み、それらは入出力コントローラ2220を介してホストコントローラ2210に接続されている。コンピュータはまた、ROM2230およびキーボード2242のようなレガシの入出力ユニットを含み、それらは入出力チップ2240を介して入出力コントローラ2220に接続されている。
CPU2212は、ROM2230およびRAM2214内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ2216は、RAM2214内に提供されるフレームバッファ等またはそれ自体の中にCPU2212によって生成されたイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス2218上に表示されるようにする。
通信インターフェイス2222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。ハードディスクドライブ2224は、コンピュータ2200内のCPU2212によって使用されるプログラムおよびデータを格納する。DVD-ROMドライブ2226は、プログラムまたはデータをDVD-ROM2201から読み取り、ハードディスクドライブ2224にRAM2214を介してプログラムまたはデータを提供する。ICカードドライブは、プログラムおよびデータをICカードから読み取り、これに加えて、またはこれに代えてプログラムおよびデータをICカードに書き込む。
ROM2230はその中に、アクティブ化時にコンピュータ2200によって実行されるブートプログラム等、およびコンピュータ2200のハードウェアに依存するプログラムの少なくとも1つを格納する。入出力チップ2240はまた、様々な入出力ユニットをパラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入出力コントローラ2220に接続してよい。
プログラムが、DVD-ROM2201またはICカードのようなコンピュータ可読媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読媒体から読み取られ、コンピュータ可読媒体の例でもあるハードディスクドライブ2224、RAM2214、またはROM2230にインストールされ、CPU2212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ2200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置または方法が、コンピュータ2200の使用に従い情報の操作または処理を実現することによって構成されてよい。
例えば、通信がコンピュータ2200および外部デバイス間で実行される場合、CPU2212は、RAM2214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インターフェイス2222に対し、通信処理を命令してよい。通信インターフェイス2222は、CPU2212の制御下、RAM2214、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROM2201、またはICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ処理領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、またはネットワークから受信された受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ処理領域等に書き込む。
また、CPU2212は、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226(DVD-ROM2201)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイルまたはデータベースの全部または必要な部分がRAM2214に読み取られるようにし、RAM2214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU2212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックする。
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、およびデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU2212は、RAM2214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプの操作、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索,置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM2214に対しライトバックする。また、CPU2212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU2212は、第1の属性の属性値が指定される、条件に一致するエントリを当該複数のエントリの中から検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
上で説明したプログラムまたはソフトウェアモジュールは、コンピュータ2200上またはコンピュータ2200近傍のコンピュータ可読媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワークまたはインターネットに接続されたサーバーシステム内に提供されるハードディスクまたはRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読媒体として使用可能であり、それによりプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ2200に提供する。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。