(第1の実施の形態)
以下、図面を参照しながら本発明の第1の実施の形態について説明する。本実施の形態は本発明を遊技機の一つであるスロットマシンに適用した場合を例にとって説明するが、本発明は、スロットマシンに限ることなく、パチンコ遊技機等のその他の遊技機に適用されてもよい。また、以下の説明において、基本的に、「前後」とは、スロットマシンの前側に遊技者が居る場合に、遊技者側が「前」で、スロットマシン側が「後」を意味し、「上下」とはスロットマシンの上面側が「上」で、下面側が「下」を意味し、「左右」とはスロットマシンを遊技する遊技者の左手側が「左」を意味し、右手側が「右」を意味する。
まず、発明が適用されるスロットマシンMの概略構成について説明する。
図1はスロットマシンMを示す斜視図である。
このスロットマシンMは、筐体1を備えており、この筐体1は、底板、左右の側板、天板および背板を備え、当該筐体1の正面側に開口する正面開口部を有する箱形に形成されている。なお、底板の上面には、各部品に電力を供給するための電源装置を内蔵した電源ユニット、遊技媒体(遊技価値)としてのメダルを貯留するとともにメダルを払い出す払い出し装置としてのホッパー装置150(図2参照)等が設けられている。
また、筐体1の正面には、筐体1の正面開口部を開閉可能に閉塞する前扉3が設けられており、この前扉3は、前記開口部の上部を開閉可能に閉塞する上扉30と、前記開口部の下部を開閉可能に閉塞する下扉40とを備えている。
筐体1内には、図示しない交換ユニットが着脱可能に設けられている。この交換ユニットは、略直方体状に組まれた金属枠である枠体と、枠体に支持されたリールユニットと、枠体に固定された基板ユニットとを備えている。
前記リールユニットは、枠体に設けられた3個のステッピングモータと、各々のステッピングモータの出力軸に固定された3個の回転リール100a,100b,100c(図2参照;図1には示されない)とを備えている。また、前記基板ユニットは、CPU、ROM、RAM、I/O等の電子部品を備えた基板を、基板ケースに収納したものである。そして、前記基板ユニットは、スロットマシンMの遊技を制御するための遊技制御装置として機能する。
図1に示すように、上扉30の下部には表示窓31が設けられている。この表示窓31は上側ほど後側に向かうように水平面に対して傾斜して設けられ、この表示窓31の奥には、3個の前記回転リールが横一列に設けられている。各回転リールの外周面には複数種類の図柄が配列されており、回転リールが停止すると表示窓31を通して1リール当たり3個の図柄が表示される。スロットマシンMでは、横3本と斜め2本とからなる計5本の入賞有効ラインが設定されている。
そして、3個の回転リールが停止したときに入賞有効ライン上に停止した図柄の組み合わせによって当選役が入賞したか否かが表示される。
また、上扉30の上部には、表示窓31よりも大きい表示窓32がほぼ鉛直に設けられている。この表示窓32は上扉30に設けられた画像表示装置の表示面を見るために設けられたものである。画像表示装置は液晶表示パネルを有し、画像表示装置では、その表示面に遊技機における演出用の画像が表示されるようになっている。また、表示窓32よりも上側に位置される上扉30の左右両側部位には、各種演出音(音楽、効果音、音声等)を出力するスピーカ14が設けられる。
また、上扉30の表示窓32の上側中央部には、ロゴシートの表示を遊技者に見せるようになっている横長のトップレンズ33が表示部として設けられている。
また、表示窓32と表示窓31との間には報知や演出などを行なうための横長の照明装置34,35,34が左右に隣接して設けられている。
また、表示窓31の左右両側には報知や演出などを行なうための演出用パネル61が設けられ、右側の演出用パネル61には演出ボタン62が設けられている。演出ボタン62は、遊技者によって押下操作されるものであり、押下されることで例えば表示窓32を通して見える画像表示装置に表示される演出画像の態様を変化させ、遊技者に対して遊技への参加意識を高めるとともに、興趣を高めるようにしたものである。例えば、演出ボタン62の操作に連動して画像表示装置に表示される演出画像を選択することができる。なお、演出ボタン62の配置は、これに限定されるものではなく、遊技者が押下操作可能な位置に設けられていればよい。
さらに、上扉30の左右両側にはそれぞれ報知や演出などを行なうための照明装置37が設けられている。
また、上扉30は、筐体1内に設けられた前記交換ユニットにヒンジを介して回動可能に連結されることで、筐体1の開口上部を開閉するようになっている。また、下扉40は筐体1にヒンジを介して回動可能に連結されることで、筐体1の開口下部を開閉するようになっている。
なお、このスロットマシンMは、分離型筐体タイプの構造を有するものであり、遊技店における機種の交換時に、上扉30が回動自在に取り付けられた交換ユニットを交換するようになっており、機種の交換時に筐体1、下扉40および筐体1内の電源ユニットやホッパー装置150(図2参照)等は、遊技店の島設備に取り付けられたままで、交換されないようになっている。また、スロットマシンMは、分離型筐体タイプに限られるものではなく、機種交換時にスロットマシン全体を交換するものであってもよい。この場合に、前扉3を上扉30と下扉40とに分けない一体の構造としてもよい。また、上扉30と下扉40とに分ける場合に、上扉30を、筐体1の側板にヒンジを介して回動自在に取り付けてもよい。
また、上扉30の下端部には、下扉40の前面より後方側で下扉40の上端より下側に突出する係合部が設けられ、下扉40が閉じた状態で、上扉30を開放することができない構造になっている。
また、下扉40の下部には、スロットマシンMの内部よりメダルを排出するためのメダル払い出し口と、メダル払い出し口から排出されたメダルを溜めておくためのメダル受け皿43とが形成されている。また、下扉40の上部にはスロットマシンMを操作するための操作部50が設けられており、この操作部50とメダル受け皿43との間には液晶表示パネル45が取り付けられている。また、この液晶表示パネル45の左右両側にはそれぞれ報知や演出などを行なうための照明装置33dが設けられている。
操作部50には、メダルを払い出す精算処理を指示するための精算操作部としての精算ボタン52が設けられる。この場合、精算ボタン52の操作に基づく精算処理では、ベットまたはクレジットのうちの少なくとも一方に設定されているメダルが払い出される。すなわち、本実施の形態における精算ボタン52の操作に基づく精算の対象は、クレジットに設定されているメダルのみならず、ベットに設定されているメダルも含む。ここで、ベットおよびクレジットの双方にメダルが設定されている場合の精算ボタン52の操作による精算パターンとしては、例えば、1回目の精算ボタン52の操作によってベットに設定されているメダルおよびクレジットに設定されているメダルの双方が一括して払い出される精算パターンや、1回目の精算ボタン52の操作によってベットに設定されているメダルのみが払い出され、ベットに設定されているメダルの清算後の2回目の精算ボタン52の操作によってクレジットに設定されているメダルが払い出される精算パターンなどを挙げることができる。
また、操作部50には、さらに、遊技を開始させるためのスタートレバー53、3個の回転リールそれぞれの回転を停止させるための3個のストップボタン54、メダルを投入するためのメダル投入口42、メダル投入口42の下方のメダル通路内で発生したメダル詰まりを解消するリジェクトボタン55、最大数の3枚のメダルをベットするときに操作されるMAXベットボタン56(ベットボタン:ベット操作部)等が設けられる他、遊技の演出等を選択するための操作盤57や、表示ユニット58も設けられている。操作盤57は操作部50の幅方向(左右方向)の略中央部に配置され、メダル投入口42およびリジェクトボタン55を挟んで、右側に表示ユニット58が配置されている。なお、操作盤57は、演出等の選択用の十字キー、決定ボタン、キャンセルボタン等を有している。
MAXベットボタン56は、上方を向くように配置されており、上方から下方に向かって押し込まれるように形成されている。MAXベットボタン56を動作させるために必要な力(以下、操作力という)は、約1.0Nとなっている。また、MAXベットボタン56は、押圧部と弾性部材とを備えている。押圧部は、遊技者の指等によって押し込み操作される部材であり、樹脂等で形成されている。また、押圧部は、弾性部材によって上方に付勢されている。弾性部材は、押圧部を付勢するとともに、押圧部が押し込み操作された場合には付勢力に抗して弾性変形するように形成されている部材であり、ばね等が用いられている。
また、ストップボタン54は、前方を向くように配置されており、前方から後方に向かって押し込まれるように形成されている。ストップボタン54の操作力は、約0.7Nとなっている。すなわち、ストップボタン54の操作力は、MAXベットボタン56の操作力よりも小さくなっている。
また、前述した演出ボタン62は、前方を向くように配置されており、前方から後方に向かって押し込まれるように形成されている。演出ボタン62の操作力は、MAXベットボタン56の操作力よりも大きいか、あるいは同等のものとなっている。演出ボタン62の操作力は、例えば、約3.0Nとなっている。
また、ストップボタン54および演出ボタン62は、MAXベットボタン56と同様に、押圧部と弾性部材とを備えており、ストップボタン54および演出ボタン62の押圧部は、弾性部材によって前方に付勢されている。
また、既述のとおり、MAXベットボタン56の操作力は約1.0Nとなっている。すなわち、押圧部を押し込んで弾性部材を弾性変形させ、MAXベットボタン56が備えるセンサからスイッチON信号(ボタンが押された旨の信号)が出力される位置まで押圧部を移動させるのに必要な荷重(センサ検知荷重)が約1.0Nとなっている。なお、本実施の形態の遊技機においては、センサには、フォトセンサが用いられているが、押圧部の押し込みを検知できるものであればその他のセンサを用いてもよい。フォトセンサは、例えば、押圧部の押し込みによって動く検出物体によって、発光素子から受光素子に向かう光が変化したことを検知すると、スイッチON信号を出力するようになっている。押圧部は、センサ検知荷重より大きな荷重が加えられると、弾性部材を弾性変形させながらさらに移動し、メカストッパーに当接して停止するようになっている。MAXベットボタン56の押圧部の初期位置からメカストッパーに当接するまでの移動距離(フルストローク)は、約2.0mmであり、ONストロークの約2倍となっている。また、MAXベットボタン56の押圧部を初期位置からメカストッパーに当接するまで移動させるために必要な荷重(最大荷重)は、約2.0Nであり、センサ検知荷重(操作力)の約2倍となっている。
ストップボタン54(操作力約0.7N)についても同様の構成となっている。また、ストップボタン54のONストロークは約1.0mmであり、フルストロークはその約2倍の約2.0mmとなっている。また、ストップボタン54のセンサ検知荷重(操作力)は約0.7Nであり、最大荷重はその約2倍の約1.4Nとなっている。
なお、以上の説明で操作力、荷重、ストロークに関して使用される「約」なる用語は、設計誤差や組み付け誤差に伴う±10%程度のばらつきを含む意味である。
ここで、本実施の形態の遊技機における基本的な遊技の流れを説明する。遊技者がMAXベットボタン56を押下すると、クレジットされたメダルが投入(ベット)され、遊技を開始することが可能な状態となる。そして、遊技者が遊技を開始する操作としてスタートレバー53を押下する操作を行なうと、回転リールが回転を始め、回転リールの回転速度が所定の速度まで上昇するとストップボタン54の押下操作が有効な状態となる。その後、遊技者が任意のタイミングでストップボタン54を押下していくと、各回転リールが停止する。そして、すべての回転リールが停止すると、遊技の結果に応じて、メダルを払い出す処理や、メダルを新たに消費することなく再度遊技を開始可能な状態とする処理等が行なわれ、1回の遊技が終了する。
また、演出ボタン62は、例えば、ボーナスに当たったことや、遊技者にとって有利な状態に移行することが決定したこと等の、遊技者にとって喜ばしいことを遊技者に報知する場合や、遊技者にとっての勝負所等の所定のタイミングで、演出の態様を変化させるための押下操作が有効な状態となる。そして、当該押下操作が有効な状態で、演出ボタン62が押下されると、画像表示装置に表示される演出画像の態様が変化したり、可動役物が動いたりして、演出の態様が変化する。
上記から明らかなように、ストップボタン54は、遊技毎に回転リールの数に応じた複数個押下する必要がある。このとき、ストップボタン54の操作力が、MAXベットボタン56および演出ボタン62の操作力よりも小さく設定されていることにより、遊技者は、ストップボタン54の操作に関して軽くて心地よい操作フィーリングを得ることができるとともに、テンポよくすべてのストップボタン54を押下することが可能となる。したがって、遊技者は快適に遊技を行なうことが可能となり、遊技性が向上する。また、このように使用頻度の高いストップボタン54の操作力が小さく設定されていることにより、遊技者の疲労の蓄積が軽減され、遊技性が向上する。
また、MAXベットボタン56は、遊技を開始するための操作に用いられることや、上から叩くようにして操作することが可能であることから、強い力で操作されることも多いが、ストップボタン54よりも操作力が大きく設定されていることにより、遊技者は適度に押しごたえのある操作フィーリングを得ることができ、遊技性が向上する。
また、演出ボタン62は、ストップボタン54やMAXベットボタン56よりも操作頻度が低い。また、演出ボタン62は、上記のように遊技者にとって喜ばしいことを遊技者に報知する場合や、遊技者にとっての勝負所等で、演出の態様を変化させるための押下操作が有効な状態となるので、気分が高揚した状態の遊技者によって強い力で操作される傾向がある。このような演出ボタン62の操作力が、ストップボタン54の操作力より大きく、かつMAXベットボタン56の操作力以上となるように設定されているので、遊技者は重くてずっしりとした操作フィーリングを得ることができ、遊技性が向上する。
図2に示すように、スロットマシンMの内部には、遊技に関するコマンドを決定して該コマンドを送信する主制御手段としてのメイン制御基板70と、メイン制御基板70から前記コマンドを受信してその受信したコマンドに対応する処理を実行する副制御手段としてのサブ制御基板72とが設けられている。メイン制御基板70は、MAXベットボタンを含むベットボタン56、スタートレバー53、ストップボタン54、メダル投入口42から投入されるメダルの通過を検知する通過検知センサ89、精算ボタン52等の入力手段からの入力信号を受けて、遊技を実行するための各種の演算を行ない、演算結果に基づいてリールユニット(リール100a,100b,100c)、ホッパー装置150等の出力手段の制御を行なう。また、サブ制御基板72は、メイン制御基板70から送られてくる信号(コマンド)を受けて、演出を実行するための各種の演算を行ない、演算結果に基づいて、表示窓32に対応して上扉30に設けられた前述の液晶表示パネルやその他の液晶表示パネル45を含む画像表示装置の液晶ディスプレイDおよびスピーカ14等の演出用の装置の制御を行なう。
また、メイン制御基板70とサブ制御基板72とは電気的に接続されており、メイン制御基板70からサブ制御基板72へは遊技状態を示す情報など各種情報(コマンド信号)の送信が可能となっているが、サブ制御基板72からメイン制御基板70へは情報を送信できないようになっている。
また、メイン制御基板70やサブ制御基板72等の各基板の機能は、各種のプロセッサ(CPU、DSP等)、IC、あるいはROMやRAM等の情報記憶媒体等のハードウェアや、ROM等に予め記憶されている所定のプログラムからなるソフトウェアにより実現される。
メイン制御基板70は、後述するメダルセレクタ92(図2参照)の動作を制御するセレクタ制御手段93と、投入受付手段80と、乱数発生手段81と、当選役抽選を行なって役の当否を決定する当選役抽選手段82と、リールの回転を制御するリール制御手段83と、全てのリールが停止したときに当選役が入賞したか否かを判定する入賞判定手段84と、遊技状態制御手段85と、各種情報(コマンド信号)を送信するための情報送信手段86と、記憶手段90と、払出制御手段91と、精算制御手段95とを備える。
また、サブ制御基板72は、各種の演出を制御する演出制御手段73と、当選役判定処理を行なう当選役判定手段74と、当選した役が正しくない(エラー)と当選役判定手段74が判定した場合にサブ制御基板72をリセットして初期化する初期化手段75と、演出に関するデータを記憶するサブ側記憶手段76とを備える。
メイン制御基板70の投入受付手段80は、遊技ごとにメダルの投入を受け付けて、規定枚数のメダルが投入されたことに基づいて、スタートレバー53に対する遊技開始操作を有効化する処理を行なう。具体的には、メダル投入口42にメダルが投入されると、通過検知センサ89がメダルの通過を検知することに伴って、投入受付手段80が、3枚を限度として、投入されたメダルを投入状態(ベット状態)に設定する。また、投入受付手段80は、メダルがクレジットされた状態でベットボタン56が押下されると、3枚を限度として、クレジットされたメダルを投入状態に設定する。なお、本実施形態の遊技機では、3枚のメダルの投入に基づいて有効化されたスタートレバー53に対する最初の押下操作が、遊技開始操作として受け付けられ、当該操作を契機としてリール100a~100cの回転が開始されるとともに、当選役抽選等の抽選が行われる。
また、メイン制御基板70の投入受付手段80は、リプレイが入賞した遊技の次回の遊技では遊技者の所有するメダルを新たに投入状態に設定しないように制御する。具体的には、前回の遊技でリプレイが入賞した場合には、メダルの投入を受け付けている状態でメダル投入口42にメダルが投入されても投入されたメダルを投入状態に設定することなく、クレジット上限枚数(例えば、50枚)を限度として、投入されたメダルをクレジットする。また、メダルの投入を受け付けている状態においてベットボタン56に対する操作を受け付けないようにして、ベットボタン56が押下されてもクレジットされたメダルを投入状態に設定しないようにする。
メイン制御基板70の乱数発生手段81は、抽選用の乱数値を発生させるものである。乱数値は、例えばインクリメントカウンタ(所定のカウント範囲を循環するように数値をカウントするカウンタ)のカウント値に基づいて発生させることができる。なお、「乱数」には、数学的な意味でランダムに発生する値のみならず、発生自体は規則的であっても、その取得タイミング等が不規則であるために実質的に乱数として機能しうる値も含まれる。
メイン制御基板70の当選役抽選手段82は、有効化されたスタートレバー53が操作されたこと(すなわち、遊技開始)に基づいて当選役抽選テーブルを用いた当選役抽選を行なう。当選役抽選テーブルは、複数の乱数(例えば、0~65535の65536個の乱数)のそれぞれに対して、小役、リプレイおよびボーナスを含む各種の当選役やハズレ(不当選)が対応付けられたものであり、記憶手段90のROMに設けられた当選役抽選テーブル記憶領域に複数格納されている。当選役抽選では、乱数発生手段81から抽選用の乱数値を取得し、この乱数値を当選役抽選テーブルに照合して当選役に当選したか否かを判定し、当該乱数値に対応付けられた当選役が当選となる。
メイン制御基板70のリール制御手段83は、メイン制御基板70による制御のもと有効化されたスタートレバー53が操作されたこと(すなわち、遊技開始)に伴って各リール100a,100b,100cの回転を開始させるとともに、有効化されたストップボタン54が操作されると、操作されたストップボタン54に対応するリールの停止制御を行なう。
すなわち、リール制御手段83は、ストップボタン54の各ボタンが操作される毎に、第一リール100a~第三リール100cのうち、操作されたボタンに対応するリールの停止位置を決定して、決定された停止位置でリールを停止させる制御を行なう。したがって、3つあるストップボタン54の操作順序(打順)によって、第一リール100a~第三リール100cの停止順序が変化する。
メイン制御基板70の入賞判定手段84は、リール100a~100cの回転が停止されると作動され、リール100a~100cの停止態様に基づいて、役が入賞したか否かを判定する。具体的には、リール100a~100cが停止することによって有効ライン上に表示(停止表示)された図柄組合せを、記憶手段90のROMに記憶されている入賞判定テーブル(図示せず)に照合する。入賞判定テーブルには、各当選役のそれぞれの入賞形態(停止表示された場合に入賞となる図柄組合せ)が記憶されており、前述した照合により、入賞の有無や入賞した当選役の種類が判明する。メイン制御基板70は、当選役が入賞した場合、入賞した当選役に対応する入賞処理を実行する。
メイン制御基板70の遊技状態制御手段85は、複数の状態間、例えば、通常状態、CBB成立状態(第1ボーナス成立状態)、CBB状態(第1ボーナス状態)、RBB成立状態(第2ボーナス成立状態)、RBB状態(第2ボーナス状態)、RB1成立状態(特定ボーナス成立状態)、およびRB1状態(特定ボーナス状態)の間で遊技状態を移行させる遊技状態移行制御処理を行なう。
メイン制御基板70の情報送信手段86は、当選した役を通知する信号、当該役が当選した当選役抽選時の遊技状態を通知する信号、現在の遊技状態を通知する信号などの他、後述するメダル精算に関連するコマンド信号もサブ制御基板72に送信する。
また、メイン制御基板70の払出制御手段91は、遊技結果に応じたメダルの払い出しに関する払い出し制御処理を行なう。具体的には、例えば小役が入賞した場合に、役毎に予め定められている配当に基づいて遊技におけるメダルの払い出し数を決定し、決定された払い出し数に相当するメダルをホッパー装置150に払い出させる制御を行なう。
また、メイン制御基板70のセレクタ制御手段93は、前述したように、後述するメダルセレクタ92の動作を制御するようになっている。具体的には、セレクタ制御手段93は、メダルセレクタ92を構成する前述した通過検知センサ89を含む各種のセンサから信号を受け、メダルセレクタ92を構成するブロッカー99の動作を制御する。なお、セレクタ制御手段93を別個に設けることなく、セレクタ制御手段93が投入受付手段80等によって兼ねられてもよい。
また、メイン制御基板70の精算制御手段95は、精算ボタン52の操作に基づいて、貯留されているメダル、すなわち、クレジットおよび/またはベットに設定されているメダルをホッパー装置150を通じて払い出す精算処理の実行を制御する。なお、精算制御手段95は、精算ボタン52の操作に基づく精算処理の実行を制御するだけでなく、後述するように、精算処理の完了後に通過検知センサ89による検知を伴うメダルの受け付けを所定期間にわたって許容しないようにブロッカー99の動作を制御してもよい。そのような制御形態の場合には、ブロッカー99を備えるメダルセレクタ92の動作を制御する前述のセレクタ制御手段93が精算制御手段95によって兼ねられてもよい。
一方、サブ制御基板72の演出制御手段73は、サブ側記憶手段76のROMに設けられた演出データ記憶領域に記憶されている演出データに基づいて、サブ側記憶手段76のRAMと協働して、液晶ディスプレイD、スピーカ14、および、照明装置33d,34,35,37等の演出用の装置を制御し、演出を行なう。具体的には、メダルの投入やベットボタン56、精算ボタン52、スタートレバー53、ストップボタン54に対する操作、遊技状態の変動等に応じて、液晶ディスプレイDの表示内容を変化させたり、スピーカ14から音を出力させたりすることにより、遊技の進行状況に応じて、遊技を盛り上げたり、遊技を補助するための演出の実行制御を行なう。特に、本実施の形態において、演出制御手段73は、後述するように、精算ボタン52の操作に基づいて、具体的には後述する精算実行中状態および精算終了中状態において、それらの状態を報知する演出音、演出光、および、演出画像を出力するべく、液晶ディスプレイD(45)、スピーカ14、および、照明装置33d,34,35,37等の演出用の装置を制御するようになっている。
また、本実施の形態のスロットマシンMには、メダル通路からメダルを排除可能なブロッカー99によってメダル投入口42を通じて投入されるメダルをメダル払い出し口側または通過検知センサ89側へと選択的に導くメダルセレクタ92(図2参照)が設けられており、メダル投入が可能な投入許容期間以外の期間に投入されたメダルや規格外のメダルは、メダル受け付け不許可状態をもたらす不許可位置にある作動状態のブロッカー99によりメダル払い出し口へと導かれるとともに、投入許容期間内に投入された規格内のメダルは、メダル受け付け許可状態をもたらす許可位置にある作動解除状態のブロッカー99により通過検知センサ89へと導かれてメダル投入が検出されるようになっている。
具体的に、メダルセレクタ92は、メダル投入口42から続くメダル通路に、メダル投入口42の近傍に位置される投入検知センサ130(第1のセンサ:図2参照)と、ブロッカー99の下流側に位置される通過検知センサ89(第2のセンサ:図2参照)とを有する。
この場合、投入検知センサ130は、ブロッカー99よりも下流側にある通過検知センサ89とは異なり、ブロッカー99よりも上流側にあるセンサであり、メダル投入口42を通じたメダルの投入を検知してその検知信号をメイン制御基板70へ送る。メイン制御基板70は、投入検知センサ130のON状態が一定時間(例えば0.6秒)以上経過すると、例えば異物が不正にメダル投入口42からメダル通路に挿入されたことなどに起因する異常であると判定するようになっている。
また、通過検知センサ89は、ブロッカー99によってメダル通路から排除されることなく流下する投入許容期間内に投入された規格内のメダルの通過を検知して、その検知信号をメイン制御基板70へ送る。通過検知センサ89は、例えば、メダル通路を挟んで対向する発光部と受光部とにより構成されるフォトインタラプタタイプの赤外線センサから成り、発光部から照射されて受光部に入射する赤外光がメダル通路を流下してきたメダルによって遮られることによりメダルの通過を検知する。通過検知センサ89によってメダルの通過が検知されると、そのメダルによって遊技が可能となる。すなわち、そのメダルのベットまたはクレジットが加算可能となる。
また、通過検知センサ89の上流側に位置してメダルセレクタ92を構成するブロッカー99は、例えばソレノイドに連動して作動してもよい。その場合、例えば、ソレノイドが非励磁状態のときにブロッカー99がコイルバネの付勢力を受けて作動状態となり、ブロッカー99によってメダル通路からメダルを排除できる。一方、ソレノイドが励磁状態のときには、コイルバネの付勢力に抗してブロッカーが移動されて作動解除状態となり、メダルが通過検知センサ89側へと導かれてメダル投入が検出される。なお、このようなメダルセレクタ92の動作は、前述したようにメイン制御基板70のセレクタ制御手段93によって制御される。
なお、ブロッカー99の位置が不許可位置に移動するように制御されている状態にも拘わらず、不正行為等によりブロッカー99の位置を許可位置に移動させてメダルを通過検知センサ89に検知させた場合には、そのメダルの受け付けが許容されず、ベットまたはクレジットが加算されることなくエラー処理が実行される。ただし、必ずしもこのような構成にする必要は無い。すなわち、通過検知センサ89による検知を伴うメダルの受付を許容しないメダル受け付け不許可状態は、例えばブロッカー99の位置を不許可位置にすることによって実現可能であるが、このようなメダル受け付け不許可状態において誤動作あるいは不正等によって、通過検知センサ89をメダルが通過してしまう場合に、通過検知センサ89がメダルを検知しメダルがベットまたはクレジットされる構成としてもよく、通過検知センサ89がメダルを検知しエラー処理が実行される構成としてもよく、通過検知センサ89がメダルを検知しない(反応しない)構成としてもよい。
そして、さらに、本実施の形態のスロットマシンMでは、精算ボタン52の押下操作に基づく精算処理の完了後に、精算が終了した旨の音声等の精算終了演出音、すなわち、精算処理完了を報知する演出音が出力されるとともに、通過検知センサ89による検知を伴うメダルの受け付けを所定期間にわたって許容しない精算終了中状態を伴うようになっている。以下、これについて詳しく説明する。
なお、ここで、「通過検知センサ89による検知」とは、適正なメダルの通過検知および異常なメダルの通過検知の双方を含む。また、「通過検知センサ89による検知を伴うメダル(遊技媒体)の受け付け」とは、通過検知センサ89により適正にメダルの通過を検知してベットまたはクレジットがされることを指す。さらに、「通過検知センサ89による検知を伴うメダル(遊技媒体)の受け付けを所定期間にわたって許容しない精算終了中状態」とは、通過検知センサ89によるメダルの通過検知自体がブロッカー99によって阻止されるというハード的な意味と、通過検知センサ89によって異常なメダルの通過検知がなされた場合であってもベットまたはクレジットがされないというソフト的な意味とを含む概念である。
図3には、精算ボタン52の操作に基づいて実行される精算処理に関するブロッカー99の位置、メイン制御基板70の制御状態、および、サブ制御基板72の制御状態のタイミングチャートが示されている。また、図4には、精算処理に係るメイン制御基板70側での制御動作のフローチャートが示され、図5には、精算処理に係るサブ制御基板72側での制御動作のフローチャートが示されている。
図3に示されるように、所定の遊技の終了時には、スロットマシンMは、通常、ブロッカー99が許可位置に設定されたメダル受け付け許可状態Aにある。このとき、メイン制御基板70が精算ボタン52の押下操作に基づく精算処理を伴わない非精算中状態C1にあるとして(図4のステップS1)、以下、話を進める。
この非精算中状態C1はメイン制御基板70の制御によってもたらされる。この非精算中状態C1では、前述したようにメダルセレクタ92のブロッカー99が許可位置にあるため、メダル投入口42を通じて投入されたメダルは、通過検知センサ89へと導かれて検出され、ベットまたはクレジットされる。また、このメダル受け付け許可状態Aにおいて、サブ制御基板72は、非精算中演出状態C1’をもたらす制御を行ない(図5のステップS10)、それにより、液晶ディスプレイDおよびスピーカ14を通じて通常演出や通常演出から移行するデモ演出が実行される。
また、このようなメダル受け付け許可状態Aで、精算ボタン52が押下操作されると、スロットマシンMがメダル受け付け不許可状態Bとなる(図3参照)。具体的には、特定期間(例えば1秒)を超える精算ボタン52の押下操作に基づいて、メイン制御基板70の制御により、特に本実施の形態ではセレクタ制御手段93を兼ねてもよい精算制御手段95による制御によって、前述したメダルセレクタ92のブロッカー99が不許可位置に移動する。したがって、メダル投入口42を通じてメダルが投入されても、そのメダルは、不許可位置にある作動状態のブロッカー99によりメダル払い出し口へと導かれてメダル受け皿43へと排出される。なお、このように特定期間(例えば1秒)を超える精算ボタン52の押下操作に伴って精算処理が開始される場合、ブロッカー99が不許可位置に移動するタイミングは、精算ボタン52の押下操作と同時であってもよい。このように、精算処理が開始される前に予めブロッカー99を不許可位置に移動させておくと、精算処理とベットまたはクレジットの加算処理とが同時期に実行されてしまうという処理負担を発生させないようにすることができる。
また、メイン制御基板70(精算制御手段95)は、このように精算ボタン52が押下操作される(図4のステップS2においてYESの場合)と、情報送信手段86を介して精算開始コマンドをサブ制御基板72へ送信する(図4のステップS3)とともに、ホッパー装置150を作動させて、貯留されているメダル、すなわち、クレジットおよび/またはベットに設定されているメダルがメダル払い出し口からメダル受け皿43へ排出される精算実行中状態C2をもたらす制御を行なう(図4のステップS4)。
なお、この精算を開始させるための特定期間を超える精算ボタン52の押下操作に関し、メイン制御基板70は、精算ボタン52が押下操作されている当該特定期間中にベットボタン56が押下操作されても、クレジットされたメダルを投入状態に設定する処理(ベット処理)を行わないこととしてもよい。すなわち、特定期間中は、ベットボタン56の押下操作に基づくメダルのベットが行われないようにしてもよい。このような構成によれば、ベットと精算という相反する処理の両立を防止することができる。なお、このように構成する場合、特定期間中に押下されたベットボタン56が、精算ボタン52の押下操作が解除されるまで、または精算処理が終了するまで、押下され続けたとしても、メダルのベットが行われないようにしてもよい。また、ベットボタン56が押下されている状態において、精算ボタン52が押下され、特定期間を超える精算ボタン52の押下操作がされたとしても、精算処理が行われないようにしてもよい。
また、この精算を開始させるための特定期間を超える精算ボタン52の押下操作に関し、メイン制御基板70は、精算ボタン52が押下操作されている当該特定期間中にベットボタン56が押下操作された場合に、クレジットされたメダルを投入状態に設定する処理(ベット処理)を行うこととしてもよい。このような構成によれば、相反する処理を両立させることができる。
一方、サブ制御基板72は、メイン制御基板70から精算開始コマンドを受ける(図5のステップS11においてYESの場合)と、液晶ディスプレイD(45)を通じて精算実行中である旨を報知する演出画像を表示し、スピーカ14を通じてブザー音を鳴らすなどして精算実行中である旨を報知する第1の演出音(精算実行中演出音)を出力するとともに、照明装置33d、34,35,37のうちの少なくとも1つを通じて精算実行中である旨を報知する演出光を出力する精算実行中演出状態C2’をもたらす制御を行なう(図5のステップS12)。なお、図3には、精算実行中状態C2の期間および精算実行中演出状態C2’の期間が共にP1で示されている。
そして、ホッパー装置150の動作に伴ってメダルをメダル受け皿43へ排出させる精算処理が完全に終了する(図4のステップS5においてYESの場合)と、メイン制御基板70(精算制御手段95)は、情報送信手段86を介して精算終了コマンドをサブ制御基板72へ送信する(図4のステップS6)とともに、通過検知センサ89による検知を伴うメダルの受け付けを所定期間にわたって許容しない精算終了中状態C3をもたらす制御を行なう(図4のステップS7)。すなわち、メイン制御基板70の精算制御手段95は、メダルセレクタ92のブロッカー99を依然として不許可位置のまま維持し、そのため、スロットマシンMはメダル受け付け不許可状態Bに保たれる。したがって、メダル投入口42を通じてメダルが投入されても、そのメダルは、不許可位置にあるブロッカー99によりメダル払い出し口へと導かれてメダル受け皿43へと排出される。このことは、無論、前述した精算実行中状態C2においても当てはまる。すなわち、精算実行中状態C2においても、通過検知センサ89による検知を伴うメダルの受け付けが許容されない。
一方、サブ制御基板72は、メイン制御基板70から精算終了コマンドを受ける(図5のステップS13においてYESの場合)と、液晶ディスプレイDを通じた精算実行中である旨を報知する前述した演出画像の表示と照明装置33d、34,35,37のうちの少なくとも1つを通じた精算実行中である旨を報知する前述した演出光の出力とを維持しつつ、例えば約2秒程度にわたって前述した第1の演出音とは異なる精算処理完了を報知する第2の演出音(精算終了演出音)、具体的には本実施の形態では、精算処理完了を報知する音声(例えば「精算終了しました」などという音声)をスピーカ14を通じて出力する精算終了中演出状態C3’をもたらす制御を行なう(図5のステップS14)。
なお、第2の演出音は、精算処理の時間(メダルの払い出しにかかった時間)に関わらず、報知の時間(音の出力期間)が一定となっている。一方、第1の演出音は、精算処理の時間(メダルの払い出しにかかる時間)に応じて、報知の時間(音の出力期間)が異なるようになっている。
ここで、本実施の形態では、精算終了中状態C3の期間P2(図3参照)内に第2の演出音の出力が終了するようになっている。すなわち、精算終了中演出状態C3’は、精算終了中状態C3の期間P2と同じ期間P2にわたる一方で、第2の演出音を出力している期間P3と、第2の演出音を出力していない無音の期間P4とを有する。言い換えると、精算終了中状態C3の期間P2が第2の演出音を出力している精算終了中演出状態C3’の期間P3よりも長く設定されている。そして、本実施の形態では、さらに、第2の演出音の出力の終了(精算終了中演出状態C3’の期間P3の終了)時から精算終了中状態C3の期間P2の終了時までの時間(期間)P4、すなわち、第2の演出音を出力していない無音の期間P4は、メダルがメダル投入口42から投入されて通過検知センサ89によって検知されるまでの時間、すなわち、第2の演出音の出力中にメダル投入口42から投入されたメダルがメダル投入口42から通過検知センサ89へと至るメダル通路に残っている可能性がある期間よりも長く設定されている。本実施の形態の場合、メダルがメダル投入口42から投入されて通過検知センサ89によって検知されるまでの時間が約0.1秒~0.65秒、例えば約0.3秒に設定され、あるいは、変形例では、メダルが投入検知センサ130により検知されてから通過検知センサ89によって検知されるまでの時間が約0.1秒~0.65秒、例えば約0.3秒に設定されるため、期間P4は例えば約0.7秒に設定される。
具体的には、制御動作の流れとして、メイン制御基板70の精算制御手段95は、図4に示されるように、精算終了中状態C3になった後、所定時間が経過したか否かを判断する(図4のステップS8)。無論、この場合の「所定時間」(精算終了中状態C3の期間P2)は、前述したように、精算終了中演出状態C3’の期間P3よりも長い期間であり、本実施の形態では、精算終了中演出状態C3’の期間P3よりもさらに、メダルがメダル投入口42から投入されて通過検知センサ89によって検知されるまでの時間を超える時間、例えば約2.7秒にわたる。そして、メイン制御基板70の精算制御手段95は、精算終了中状態C3になった後、所定時間が経過する(図4のステップS8においてYESの場合)と、情報送信手段86を介して精算終了中状態終了コマンドをサブ制御基板72へ送信して(図4のステップS9)、前述した非精算中状態C1に戻るように制御を行なう(図4のステップS1)。したがって、スロットマシンMはメダル受け付け許可状態Aとなる。
一方、サブ制御基板72は、第2の演出音を出力する精算終了中演出状態C3’の期間P3に入った後、図5に示されるように、所定時間が経過したか否かを判断する(図5のステップS15)。無論、この場合の「所定時間」(精算終了中演出状態C3’の期間P3)は、前述したように、精算終了中状態C3の期間P2よりも短い期間である。そして、サブ制御基板72は、精算終了中演出状態C3’の期間P3に入った後、所定時間が経過する(図5のステップS15においてYESの場合)と、第2の演出音の出力を終了し(図5のステップS16)、前述した非精算中演出状態C1’に戻るように制御を行なう(図5のステップS10)。
ここで、精算終了中状態C3の終了時にメイン制御基板70からサブ制御基板72へ送信される精算終了中状態終了コマンドは、サブ制御基板72側での動作のための何らかのトリガ信号として作用してもよい。例えば、サブ制御基板72は、第2の演出音の出力終了後、メイン制御基板70から精算終了中状態終了コマンドを受けるまでの間、すなわち、期間P4の間、液晶ディスプレイDや照明装置等を通じてメダル受け付け不許可状態Bを報知する何らかの演出を実行し、その後、精算終了中状態終了コマンドを受信した時点で、非精算中演出状態に対応する演出(例えばデモ演出)を実行してもよい。無論、精算終了中状態C3の終了時にメイン制御基板70からサブ制御基板72へ精算終了中状態終了コマンドが送信されなくてもよい。また、この実施の形態では、ステップS15における所定時間の経過がサブ制御基板72自体により管理されているが、ステップS15における所定時間の経過は、メイン制御基板70によって管理されてもよく、例えばメイン制御基板70からのコマンド信号によってステップS16における第2の演出音の出力の終了がなされてもよい。
なお、以上のような制御動中、特に第2の演出音の出力中に、停電、瞬断を含めて電断(電源遮断)/電断復帰が生じた場合、メイン制御基板70側で、精算終了中状態C3の途中から復帰する動きになると、すなわち、電断時の精算終了中状態経過時間から残存時間の計測を再開すると、電断前に経過した時間分だけ復帰後の精算終了中状態C3の期間が短くなる。そのため、その状態で、サブ制御基板72側が第2の演出音を再び出力してしまうと、精算終了中演出状態C3’の期間P3が復帰後の精算終了中状態C3の期間よりも長くなってしまう虞がある。したがって、本実施の形態では、電断復帰後、サブ制御基板72が第2の演出音を出力させないようにする一方で、演出光および演出画像は初期状態で復帰するようにすることが好ましい。これは、第2の演出音の途中から再開されてしまうと、遊技者に適切な情報の報知ができないからである。
あるいは、そのような電断対策の他の例として、精算実行中状態C2の途中で電断/電断復帰(停電、瞬断を含む)した場合、メダルの精算処理は、電断前に既に精算されたメダルを除く残りのメダルの精算から再開されるとともに、精算実行中演出状態C2’における演出は、第1の演出音(効果音やブザー音)の出力から再開され、精算実行中である旨を報知する演出光(例えば赤点灯)の点灯も再開されるが、演出画像は初期状態であるデモ演出で復帰するようにしてもよい。
以上説明したように、本実施の形態においては、精算実行中状態C2の後、すなわち、精算ボタン52の操作に基づく精算処理の完了後、その精算処理完了を報知する第2の演出音が出力される状況で、通過検知センサ89による検知を伴うメダルの受け付けを許容しない精算終了中状態C3となるため、一般にメダル受け付け不許可状態であると遊技者に認識され易い第2の演出音の出力中に、スロットマシンM側でメダル受け付け不許可状態Bにすることが可能となり、したがって、メダルの投入受け付けの可否に関して遊技者の認識とスロットマシンMの実際の状態との間にずれを生じさせないようにすることができる。すなわち、遊技者がメダル受け付け不許可状態であると認識しているような状況でメダルをスロットマシンM側で受け付けないようにすることができ、したがって、前述したような誤認に伴う不測の不利益を遊技者に与えないで済む。
また、本実施の形態では、精算終了中状態C3の期間P2内に(すなわち、期間P3の終了時に)サブ制御基板72の制御によって第2の演出音の出力が終了するため、第2の演出音の出力中にメダル受け付け許可状態になることを確実に防止することができ、前述した作用効果を確実ならしめることができる。
さらに、本実施の形態において、第2の演出音の出力の終了(精算終了中演出状態C3’の期間P3の終了)時から精算終了中状態C3の期間P2の終了時までの時間P4は、メダルがメダル投入口42から投入されて通過検知センサ89によって検知されるまでの時間よりも長く設定されている。サブ制御基板72による第2の演出音の出力の終了(精算終了中演出状態C3’の期間P3の終了)時から精算終了中状態C3の期間P2の終了時までの時間が、メダル投入口42から投入されるメダルを通過検知センサ89によって検知するまでの時間よりも短い場合には、第2の演出音の出力中に投入されたメダルが通過検知センサ89を通過するまでに精算終了中状態C3の期間が終了してそのメダルが通過検知センサ89によって検知される場合もあり得るため、結果として、第2の演出音の出力中のメダルの投入受け付けを可能にしてしまうが、本実施の形態のようにサブ制御基板72による第2の演出音の出力の終了時から精算終了中状態C3の期間P2の終了時までの時間P4を、メダルがメダル投入口42から投入されて通過検知センサ89によって検知されるまでの時間よりも長く設定すれば、第2の演出音の出力中に投入されたメダルを受け付けることなく完全に無効にすることができ、メダルの投入受け付けの可否に関して遊技者の認識とスロットマシンMの実際の状態との間で生じ得るずれを確実に回避できる。さらに、変形例としては、前述のように、第2の演出音の出力の終了時から精算終了中状態C3の期間P2の終了時までの時間P4を、メダルが投入検知センサ130により検知されてから通過検知センサ89によって検知されるまでの時間よりも長く設定することが考えられる。このような変形例によっても、メダルの投入受け付けの可否に関して遊技者の認識とスロットマシンMの実際の状態との間で生じ得るずれを回避できる。また、このような変形例によれば、時間P4の長さを、投入検知センサ130から通過検知センサ89までのメダルの通過時間に基づいて規定できるので、メダル投入口42の形状等に関らず、投入検知センサ130と通過検知センサ89との間隔に基づいて画一的に時間P4の長さを決定することができ、設計が容易となる。
なお、精算終了中状態C3であって、第2の演出音の出力が終了した後においても(すなわち、期間P4においても)、サブ制御基板72は、液晶ディスプレイDを通じた演出画像の表示または/および照明装置33d,34,35,37のうちの少なくとも1つを通じた演出光の出力により、精算終了中状態C3であることを報知することとしてもよい。すなわち、例えば精算終了中状態C3(精算終了中演出状態C3’)であって、第2の演出音の出力中(期間P3)において、照明装置33d,34,35,37を赤く光らせることにより精算終了中状態C3であることを報知とともに、精算終了中状態C3(精算終了中演出状態C3’)であって、第2の演出音の出力が終了した後(期間P4)においても、照明装置33d,34,35,37を赤く光らせることにより精算終了中状態C3であることを報知することとしてもよい。これにより、精算が完了し、その旨を報知する第2の演出音の出力も終了したが、未だ精算終了中状態C3であり、メダル受け付け不許可状態(通過検知センサ89によるメダルの検知がされない状態)であることを遊技者が認識可能となる。換言すると、サブ制御基板72は、精算終了中状態C3において、演出音の報知中と、前記演出音の報知の終了時から前記精算終了中状態の終了時までの間とで、同様の演出光が発せられるようにする制御を行うようにしてもよい。また、このような液晶ディスプレイDあるいは照明装置33d,34,35,37を通じた精算終了中状態であることの報知は、精算終了中状態C3(精算終了中演出状態C3’)の終了(すなわち、期間P4の終了)とほぼ同時に終了するようにしてもよい。
なお、このような精算終了中状態C3であることを報知する演出光または演出画像は、精算実行中状態C2であることを報知する演出光または演出画像(実際にメダルを払い出している時の演出光または演出画像)と同様であってもよく、異なっていてもよい。例えば、前者の演出光を照明装置33d,34,35,37の赤色点灯とした場合に、後者の演出光を照明装置33d,34,35,37の赤色点灯(同系統色の点灯)としてもよく、白色点灯(異系統色の点灯)としてもよい。すなわち、精算終了中状態C3であることを報知する演出光または演出画像とは、精算に係る後処理を実行中であり、まだメダル受け付け不許可状態であること遊技者が認識可能なものであればよい。
一般に、精算処理に関連する音声等の演出音を出力する場合、とりわけ、遊技者にとってメダル投入を意識し易い精算処理終了時に精算を終了した旨の精算終了演出音を出力する場合には、メダル投入受け付けの可否に関して遊技者の認識とスロットマシン側の実際のメダル投入受け付け状態との間にずれを生じさせる場合がある。スロットマシンには、メダル通路からメダルを排除可能なブロッカーによってメダル投入口を通じて投入されるメダルを、メダル払い出し口側または通過検知センサ側へと選択的に導くメダルセレクタが設けられており、メダル投入が可能な投入許容期間以外の期間に投入されたメダルや規格外のメダルは、作動状態のブロッカーによりメダル払い出し口へと導かれる(メダル(遊技媒体)受け付け不許可状態とも称する)とともに、投入許容期間内に投入された規格内のメダルは、作動解除状態のブロッカーにより通過検知センサへと導かれてメダル投入が検出される(メダル(遊技媒体)受け付け許可状態とも称する)ようになっているが、精算処理終了後に精算終了演出音を出力すると、一般にこの精算終了演出音出力中は(精算終了演出音が止むまで)メダル受け付け不許可状態であると遊技者に認識され易く、したがって、この精算終了演出音出力中にスロットマシンM側でメダル受け付け許可状態になっている場合には、メダル受け付け許可状態になっていると認識できない遊技者と実際にメダル受け付け許可状態となっているスロットマシンMとの間でメダル投入受け付けの可否に関して一致しない時間帯が発生し得る。
このように遊技者がメダル受け付け不許可状態であると認識しているような状況で遊技機がメダルを受け付けると、遊技者に不測の不利益を生じさせる虞がある。例えば、精算終了演出音が出力されている最中に遊技者がメダルを投入してしまったような場合、遊技機側ではその投入されたメダルが受け付けられてベットされているにもかかわらず、精算終了演出音出力中はメダル受け付け不許可状態であると認識している遊技者は、その投入したメダルがブロッカーによってメダル払い出し口側から下皿へと返却されているものだと誤認してしまい、精算ボタンの操作によって投入したメダルを払い出すことなく遊技を終了してしまう場合がある。そのような事態は遊技者の利益を損ない、望ましくない。
本実施の形態に係るスロットマシンMにあっては、遊技媒体の投入受け付けの可否に関して遊技者の認識と実際の遊技機状態との間にずれを生じさせない。すなわち、精算操作部(精算ボタン52)の操作に基づく精算処理の完了後、その精算処理完了を報知する演出音が出力される状況で、通過検知センサ89による検知を伴う遊技媒体の受け付けを許容しない精算終了中状態となるため、一般に遊技媒体受け付け不許可状態であると遊技者に認識され易い前記演出音の出力中に、遊技機側で遊技媒体受け付け不許可状態にすることが可能となり、したがって、遊技媒体の投入受け付けの可否に関して遊技者の認識と実際の遊技機状態との間にずれを生じさせないようにすることができる。すなわち、遊技者が遊技媒体受け付け不許可状態であると認識しているような状況で遊技媒体を遊技機側で受け付けないようにすることができ、したがって、前述したような誤認に伴う不測の不利益を遊技者に与えないで済む。なお、上記構成において、「貯留されている遊技媒体」とは、遊技に関連して少なくとも電子的に遊技機に貯められている遊技媒体を指す。
また、副制御手段(サブ制御基板72)による演出音の出力は、精算終了中状態の期間内に終了することが好ましい。これによれば、演出音出力中に遊技媒体受け付け許可状態になることを確実に防止することができる。ここで、「精算終了中状態の期間内に副制御手段による演出音の出力が終了する」とは、精算終了中状態の期間の終了と同時に副制御手段による演出音の出力が終了することも含む。
また、前記演出音の出力の終了時から精算終了中状態の終了時までの時間は、遊技媒体が第1のセンサ(投入検知センサ130)によって検知されてから第2のセンサ(通過検知センサ89)によって検知されるまでの時間よりも長くされていることが好ましい。副制御手段(サブ制御基板72)による演出音の出力の終了時から精算終了中状態の終了時までの時間が、遊技媒体が第1のセンサ(投入検知センサ130)によって検知されてから第2のセンサ(通過検知センサ89)によって検知されるまでの時間よりも短い場合には、演出音出力中に投入された遊技媒体が第1のセンサを通過した後、第2のセンサによって検知されるまでの間に精算終了中状態の期間が終了してその遊技媒体が第2のセンサによって検知される場合もあり得るため、結果として、演出音出力中の遊技媒体の投入受け付けを可能にしてしまうが、副制御手段(サブ制御基板72)による演出音の出力の終了時から精算終了中状態の終了時までの時間を、遊技媒体が第1のセンサによって検知されてから第2のセンサによって検知されるまでの時間よりも長く設定すれば、演出音出力中に投入された遊技媒体を受け付けることなく無効にすることができ、遊技媒体の投入受け付けの可否に関して遊技者の認識と実際の遊技機状態との間で生じ得るずれを回避できる。
図1で示したように、スロットマシンMにおける演出用パネル61には、演出に用いられる演出操作部(演出に関する操作に用いられる第1の演出操作部)としての演出ボタン62が設けられている。この演出ボタン62は、例えば操作部50等に設けられていてもよい。また、演出ボタン62の押圧部は、円形状に限らず、四角形状等であってもよい。また、本実施の形態では、演出操作部を演出ボタン62としているが、演出操作部を、例えば、傾動操作が可能なレバーや、タッチ(指等の接触)を検出可能なタッチパネル、物体による遮光等を検出可能な光電センサ等としてもよい。
以下、3停止とは、その遊技で、ストップボタン54のうちいずれか2つのストップボタンが押下操作された状態において、ストップボタン54のうちいずれか有効なボタンを押下する操作をいう。本実施の形態では、例えば、遊技者にとって勝負所等のタイミングである場合、3停止以降に、サブ制御基板72が、演出ボタン62を、押下操作を受け付け可能な状態(すなわち押下操作が有効化された状態)とする。このとき、サブ制御基板72は、その旨を示す画面を液晶ディスプレイDに表示するとともに、演出ボタン62を点灯させる。
また、以下、図1で示した操作盤57を、演出設定操作部(演出に関する操作に用いられる第2の演出操作部)としての十字ボタン57とする。十字ボタン57は、演出の設定を含む操作に用いられる。演出の設定としては、例えば、音量の調整、キャラクターの選択等がある。
十字ボタン57は、少なくとも、中央に配置されたメインボタンと、メインボタンの周囲に配置された選択ボタン(方向操作ボタン)とを備えている。選択ボタンには、上ボタン、左ボタン、下ボタンおよび右ボタンがある。なお、選択ボタンは、複数からなるもの(上下左右が独立しているもの)であっても、一体となっているものでもよい。また、演出設定操作部は、十字ボタン(十字キー)に限らず、例えば、少なくとも2つのボタンを備えたものや、メインボタンとジョグダイヤルとを備えたもの、あるいはタッチ(指等の接触)を検出可能なタッチパネル等であってもよい。非遊技中に、十字ボタン57(例えばメインボタン)が押下されると、サブ制御基板72は、メニュー画面を液晶ディスプレイDに表示する。換言すると、十字ボタン57は、メニュー画面突入ボタンとしての機能を果たす。また、非遊技中に、十字ボタン57(例えば左右ボタン)が押下されると、サブ制御基板72は、音量変更画面を液晶ディスプレイDに表示する。換言すると、十字ボタン57は、音量変更画面突入ボタンとしての機能を果たす。
なお、メニュー画面からは、演出態様の設定(例えば、演出にメインで登場するキャラクターの設定や、役またはボーナス等の当選の報知態様の設定)、遊技履歴の参照やユーザー端末(遊技者のスマートフォン等)への転送、役の表示態様の確認等が可能となっている。また、メニュー画面から音量の設定や照明装置の発光強度の設定等が可能となっていてもよい。すなわち、メニュー画面が音量変更画面を兼ねていてもよい。
メイン制御基板70は、精算ボタン52が押下操作されたことを検出すると、精算開始コマンドをサブ制御基板72に送信するとともに、精算処理(払出処理)を開始(実行)する。
サブ制御基板(制御手段)72は、精算開始コマンドをメイン制御基板70から受信すると、精算処理(精算ボタン52の操作に基づく遊技媒体の払い出し)の実行を報知する。サブ制御基板72は、精算処理の実行の報知として、精算中である旨を報知する画面(以下、精算中報知画面という)を液晶ディスプレイDに表示するとともに、精算中である旨を報知する演出音(以下、精算中報知音という:例えば効果音やブザー音)を、スピーカ14を介して出力する。また、サブ制御基板72は、精算中である旨を報知する演出光(以下、精算中ランプという:例えば赤色)を、照明装置33d、34,35,37のうちの少なくとも1つを通じて出力(点灯)する。
メイン制御基板70は、精算処理が終了すると、精算終了コマンドをサブ制御基板72に送信する。サブ制御基板72は、精算終了コマンドをメイン制御基板70から受信したことに基づき、精算処理の実行の報知を停止し、精算処理の完了(精算ボタン52の操作に基づく遊技媒体の払い出しの完了)の報知を行う。サブ制御基板72は、精算処理の完了の報知として、精算処理の完了を報知する演出音(以下、精算完了音声という)を、スピーカ14を介して出力する。精算完了音声としては、例えば「精算しました」というものがある。なお、本実施の形態では、サブ制御基板72は、精算処理の完了の報知として、精算中報知画面の表示および精算中ランプの点灯を行う。精算処理の完了の報知をしている間の画面(精算の完了を示す画面)は、精算中の画面(精算中を示す画面)と同じものであっても異なるものであってもよい。
以下、精算処理の実行が報知されている間(期間)を「精算報知中」という。精算報知中は、サブ制御基板72が、精算開始コマンドを受信してから精算終了コマンドを受信するまでの間を指す。この精算報知中は、精算ボタン52の操作に基づく遊技媒体の払い出し中ともいえる。
また、精算ボタン52の操作に基づく遊技媒体の払い出しの完了が報知されている間、すなわち精算処理の完了が報知されている間(期間)を「精算完了報知中」という。精算完了報知中は、精算終了コマンドを受信してから精算完了音声の出力が終了するまでの間を指す。なお、精算完了報知中には、精算処理終了後(サブ制御基板72が精算終了コマンドを受信した後)、精算完了音声の最初の1音(例えば「せ」)が出力されるまでの間も含まれる。また、精算完了報知中には、図3で示した無音の期間P4が含まれるものとしてもよい。
次に、図6に示すタイミングチャートを用いて、精算処理が行われている間およびその前後における処理の構成例を説明する。以下、演出ボタン62、十字ボタン57、精算ボタン52等の「押下操作」を単に「押下」または「操作」ということがある。
(A5、A6)3停止以降、サブ制御基板72は、演出ボタン62を、押下を受け付け可能な状態(すなわち操作が有効な状態)とし、演出ボタン62を押下可能である旨を示す画面(操作指示画面)を液晶ディスプレイDに表示する。このときの演出ボタン62の押下は、演出を進行させる契機となるもので、演出ボタン62が押下されると、遊技の結果が遊技者に報知される。具体的には、例えばボーナスの当選(いわゆる疑似ボーナス(AT演出状態への移行)の当選も含む))を期待させる演出中、すなわち遊技者にとって有利な状態に移行することを期待させる演出中に、演出ボタン62の押下が有効となり操作指示画面が表示され、演出ボタン62が押下されると、有利な状態に移行するか否かが報知される。
(A4)このタイミングチャートの開始時点は遊技中であるため、十字ボタン57は無効となっている。
(A1、A2)精算ボタン52が押下されると、メイン制御基板70は、精算開始コマンドをサブ制御基板72に送信するとともに、精算処理(払出処理)を開始する。
(A2、A3)メイン制御基板70は、精算処理の終了に伴い、精算終了コマンドをサブ制御基板72に送信し、サブ制御基板72は、精算終了コマンドをメイン制御基板70から受信したことに基づき、精算完了音声の出力を開始する。
(A4)サブ制御基板72は、精算報知中および精算完了報知中に、十字ボタン57の操作を無効とする。すなわち、サブ制御基板72は、精算報知中および精算完了報知中は、十字ボタン57が押下されても、当該押下を受け付けないように制御する。換言すると、精算報知中および精算完了報知中に十字ボタン57を押下しても、液晶ディスプレイDにはメニュー画面や音量変更画面は表示されない(メニュー画面や音量変更画面に移行しない)。サブ制御基板72は、精算完了音声の出力(精算完了報知中)の終了に伴い、十字ボタン57の操作を有効とする。
このように、精算報知中に十字ボタン57の操作を無効とすることで、精算処理の実行の報知が、十字ボタン57の操作によって遮られ(妨げられ)精算中であることを把握できなくなることや、例えば、メニュー画面と精算中を示す画面とが同時に表示され、メニュー画面は情報量(文字数)が多いことから、精算中であることが把握しにくくなるという問題が回避される。これにより、遊技者は確実に精算処理の実行の報知を把握でき、遊技者による誤認(例えば精算が中断されたかのように認識することを含む)を防止できる。また、精算報知中にメニュー画面が開くと、精算報知中であることが周囲にわかりにくくなってしまい、これを利用した不正等が行われる虞があるが、そのような問題を回避することができる。
また、精算完了報知中に十字ボタン57の操作を無効とすることで、精算処理の完了の報知が、十字ボタン57の操作によって遮られ(妨げられ)精算完了の報知を把握できなくなることや、例えば、メニュー画面と精算の完了を示す画面とが同時に表示され、メニュー画面は情報量(文字数)が多いことから、精算完了を示す画面が把握しにくくなるという問題が回避される。これにより、遊技者は確実に精算処理の完了の報知を把握でき、遊技者による誤認(例えば精算が中断されたかのように認識することを含む)を防止できる。また、精算完了報知中にメニュー画面が開くと、精算完了報知中であることが周囲にわかりにくくなってしまい、これを利用した不正等が行われる虞があるが、そのような問題を回避することができる。
(A5、A6)精算ボタン52が押下され、精算報知中および精算完了報知中となっても、サブ制御基板72は、演出ボタン62を押下可能である旨を示す画面を液晶ディスプレイDに表示しつつ、演出ボタン62を有効のままとする。換言すると、サブ制御基板72は、精算報知中または精算完了報知中に演出ボタン62が押下された場合、当該押下を受け付ける。また、精算完了報知が終了した後も演出ボタン62は有効となっている。すなわち、3停止を契機として演出ボタン62が有効化されると、精算処理に移行し精算が終了しても、演出ボタン62の有効化が解除されないようになっている。
なお、精算報知中または精算完了報知中において演出ボタン62が押下された場合、演出が進行するが、この間も、液晶ディスプレイDには、精算の実行中あるいは精算の完了を報知する表示がなされる。このとき、精算に係る表示を優先し、精算に係る表示によって、遊技に係る演出の一部が隠された状態となる。
このように、演出ボタン62の操作については精算報知中に無効とせずに有効とすることで、遊技者は演出ボタン62を押下して演出を進めることができる。このため、遊技者は、精算報知中に演出ボタン62を押下できないことによる不満を抱くことがない。例えば、演出ボタン62の押下指示画面が表示されている場合、遊技者は演出ボタン62を押下し、遊技の結果を見てから席を立ちたいと思うこともあるが、精算報知中であっても演出ボタン62が有効となっていることで、精算報知中に演出を進め、結果を見てから席を立つということがスムーズに行えるようになる。なお、押下指示画面は、メニュー画面のように情報量(文字数)が多いものではないため、精算中を示すが画面と同時に表示しても遊技者が誤認することはない。
また、精算完了報知中に演出ボタン62の操作を無効とせず有効とすることで、遊技者は演出ボタン62を押下して演出を進めることができる。このため、遊技者は、精算完了報知中に演出ボタン62を押下できないことによる不満を抱くことがない。例えば、演出ボタン62の押下指示画面が表示されている場合、遊技者は演出ボタン62を押下し、遊技の結果を見てから席を立ちたいと思うこともあるが、精算完了報知中であっても演出ボタン62が有効となっていることで、精算完了報知中に演出を進め、結果を見てから席を立つということがスムーズに行えるようになる。なお、押下指示画面は、メニュー画面のように情報量(文字数)が多いものではないため、精算完了を示す画面と同時に表示しても遊技者が誤認することはない。
なお、サブ制御基板72は、精算報知中または精算完了報知中において、演出ボタン62の操作を有効としつつ、演出ボタン62を消灯させている。すなわち、演出ボタン62を点灯させ、操作の有効を積極的には報知はしないが、押下された場合にはその押下を受け付けるようになっている。このようにすることで、基本的には精算報知中または精算完了報知中に演出を進めさせることを推奨しないが、仮に演出ボタン62を押下された場合には、遊技者の意思を優先し、演出を進めることが可能となる。なお、サブ制御基板72は、精算報知中または精算完了報知中に、演出ボタン62の操作を有効としつつ、演出ボタン62を点灯させてもよい。
図6では、演出ボタン62が押下されていない状態で精算ボタン52が押下された場合を示した。図7では、3停止以降に、有効となった演出ボタン62が押下され、演出ボタン62の押下に基づく演出が実行されている間に、精算ボタン52が押下された場合の構成例について説明する。
(B4、B5)サブ制御基板72は、演出ボタン62を押下可能である旨を示す画面を液晶ディスプレイDに表示するとともに、演出ボタン62を有効とする。
(B6、B7、B8)有効化された演出ボタン62が押下されると、サブ制御基板72は、演出ボタン62の押下に基づく(対応する)液晶演出および音声演出の出力を開始する。具体的には、サブ制御基板72は、演出ボタン62の押下に基づく演出画像を液晶ディスプレイDに表示するとともに、演出ボタン62の押下に基づく音声演出(BGM、セリフ、効果音等)を、スピーカ14を介して出力する。なお、サブ制御基板72は、演出ボタン62の押下に基づく演出光を、照明装置33d、34,35,37のうちの少なくとも1つを通じて出力してもよい。
(B1、B2)精算ボタン52が押下されると、メイン制御基板70は、精算開始コマンドをサブ制御基板72に送信するとともに、精算処理を開始する。
(B1、B7、B8)演出ボタン62の押下に基づく液晶演出および音声演出の出力中に、精算ボタン52が押下されると、サブ制御基板72は、精算開始コマンドをメイン制御基板70から受信したことに基づき、音声演出の出力を停止する。ただし、サブ制御基板72は、精算開始コマンドを受信しても、液晶演出の出力は停止しない(継続する)。
(B2、B3)メイン制御基板70は、精算処理の終了に伴い、精算終了コマンドをサブ制御基板72に送信し、サブ制御基板72は、精算終了コマンドをメイン制御基板70から受信したことに基づき、精算完了音声の出力を開始する。
(B8)サブ制御基板72は、精算完了音声の出力の終了に伴い(精算完了音声の出力の終了を待って)、音声演出(演出ボタン62の押下に基づく音声演出)の出力を開始する。なお、サブ制御基板72は、音声演出の出力を停止している間、音を外部に出力せずに、精算完了音声の出力の裏(精算完了音声の裏のレイヤ)では音声演出を実行している。すなわち、サブ制御基板72は、演出ボタン62の押下に基づく音声演出の出力中に精算開始コマンドを受信すると、音声演出を実行しているが音は出力しない状態とし、精算完了音声の出力が終了すると、再び音声演出の音を出力するように制御する。これは、音声演出が飛ぶようになっているともいえる。
このように、演出ボタン62の押下に基づく音声演出が出力されている際に精算処理が実行された場合、音声演出の出力を停止し、精算に関する報知(精算中報知音および精算完了音声)の出力を優先させることで、遊技者は音を介して精算処理が実行されていることを把握できる。ただし、精算中報知音および精算完了音声が出力されている間であっても、演出ボタン62の押下に基づく液晶演出は継続されるため、遊技者は、視覚的に演出が進行していることを把握できる。
図7では、有効となった演出ボタン62が押下され、演出ボタン62の押下に基づく演出が実行されている間に、精算ボタン52が押下された場合を示した。図21では、先に精算ボタン52が押下され、精算処理が実行されている間に演出ボタン62が押下された場合を示す。
(G4、G5)サブ制御基板72は、演出ボタン62を押下可能である旨を示す画面を液晶ディスプレイDに表示するとともに、演出ボタン62を有効とする。
(G1、G2)精算ボタン52が押下されると、メイン制御基板70は、精算開始コマンドをサブ制御基板72に送信するとともに、精算処理を開始する。
(G6、G7、G8)精算処理が実行されている間に、有効状態の演出ボタン62が押下されると、サブ制御基板72は、その旨の情報(信号)の受信に基づき、演出ボタン62の押下に基づく液晶演出の出力を開始する。このとき、サブ制御基板72は、演出ボタン62の押下に基づく音声演出を出力しない。この「音声演出を出力しない」は「音声演出の出力を停止する」に含まれる。換言すると、サブ制御基板72は、精算に関する報知(精算報知中および精算完了報知中)を実行している間に、演出ボタン62が押下された旨の情報(信号)を受信しても、音声演出を出力しない。すなわち、精算に関する報知を演出ボタン62の押下に基づく音声演出よりも優先させる。
(G2、G3)メイン制御基板70は、精算処理の終了に伴い、精算終了コマンドをサブ制御基板72に送信し、サブ制御基板72は、精算終了コマンドをメイン制御基板70から受信したことに基づき、精算完了音声の出力を開始する。
(G8)サブ制御基板72は、精算完了音声の出力の終了に伴い(精算完了音声の出力の終了を待って)、音声演出の出力を開始する。なお、サブ制御基板72は、音声演出の出力を停止している間、音を外部に出力せずに、精算完了音声の出力の裏(精算完了音声の裏のレイヤ)では音声演出を実行している。すなわち、サブ制御基板72は、精算に関する報知を実行している間、演出ボタン62が押下された旨の信号を受信しても、精算完了音声の出力が終了するまでは音声演出を実行するが音は出力しない状態とし、精算完了音声の出力が終了すると、音声演出の音を出力するように制御する。
なお、図7および図21の例において、精算完了音声を音声演出の音声に「優先させる」には、音声演出の音声を無音にする場合だけでなく、音声演出の音声を精算完了音声に比べ小さくして出力(流す)ことが含まれる。
次に、「精算中」にエラーが発生した場合について説明する。
まず、メイン制御基板70が検出(検知)する各エラーについて説明する。なお、図示は省略しているが、メイン制御基板70は、エラー検出手段とエラー管理手段とを備えている。エラー検出手段は、各種センサの信号状態等に基づいて、逆流エラー、エンプティエラー、払出詰まりエラー、払出異常エラー、オーバーエラー、滞留エラー、バックアップエラー、ドア開放エラー、投入異常エラー、表示判定異常エラー、RAM異常エラー、設定値異常エラーを検出する。
(1)逆流エラーは、メダルが流路において逆流していることに起因するエラーである。
(2)エンプティエラーは、ホッパー装置150に貯蔵されているメダルがなくなったことに起因するエラーである。具体的には、メダルの払い出しが行われている状況において、払出センサの信号状態がオフ状態(払い出されるメダルが検知されていない状態)で一定期間(約2100ms)以上継続した場合に検出されるエラーである。
(3)払出詰まりエラーは、ホッパー装置150において払い出されるべきメダルが詰まって排出されていないことに起因するエラーである。具体的には、メダルの払い出しが行われている状況において、払出センサ(払出メダルスイッチ)の信号状態がオン状態(払い出されるメダルが検知されている状態)で一定期間(約172ms)以上継続した場合に検出されるエラーである。
(4)払出異常エラーは、メダルの払い出しを行うべきではない状況でメダルの払い出しがあったことに起因するエラーである。具体的には、メダルの払い出しが行われていない状況において、払出センサ(払出メダルスイッチ)の信号状態がオン状態で一定期間(約6ms)以上継続した場合に検出されるエラーである。
(5)オーバーエラーは、キャッシュボックスに貯蔵されている余剰メダルが所定量を超えたことに起因するエラーである。具体的には、オーバーフローセンサの信号状態がオン状態(余剰メダルが所定量を超えたこと示す信号状態)で一定期間(約100ms)以上継続した場合に検出されるエラーである。
(6)滞留エラーは、メダルセレクタ92内でメダルが詰まっていることに起因するエラーである。具体的には、投入検知センサ130の下流であり、ブロッカー99よりも上流にある第一メダル通過センサまたは第二メダル通過センサの信号状態がオン状態(メダルの存在を検知していることを示す信号状態)で一定期間(約113ms)以上継続した場合に検出されるエラーである。
(7)バックアップエラーは、RWMのバックアップに不具合が生じたことに起因するエラーである。具体的には、電源投入時において、RWMのバックアップ異常を検出した場合に検出されるエラーである。あるいは、電源投入時において、スタックポインタの保存値が特定の範囲でない場合に検出されるエラーである。
(8)ドア開放エラーは、下扉40(前扉3)が開いていることに起因するエラーである。具体的には、下扉40が開くことによって作動するドア開閉スイッチの信号状態がオン状態(下扉40が開いていることを示す信号状態)で一定期間(約48ms)以上継続した場合に検出されるエラーである。
(9)投入異常エラーは、ブロッカー99を作動させてメダルシュートへの流路を閉塞したことによってメダルの流路が切り替えられたにも関わらずに、メダルが正規の流路(ここではメダル払出口に返却される流路)とは異なる流路を通過していることに起因するエラーである。具体的には、ブロッカー99の作動後に第二メダル通過センサによってメダルセレクタ92を通過してメダルシュートへ向かって流れるメダルを検知した場合に検出されるエラーである。本実施形態の遊技機では、ブロッカー99が閉塞してから一定期間(約250ms)以上経過後に、第二メダル通過センサがON状態となった場合に、エラーを検出する。
また、投入異常エラーには、シュートエラーがある。シュートエラーは、メダルセレクタ92を通過したメダルの数とメダルシュートを通過したメダルの数とに一定以上の差が生じたことに起因するエラーである。具体的には、投入されたメダルが第一メダル通過センサおよび第二メダル通過センサを正しい順序で通過してから一定期間を経過するまでの間に、第一メダル通過センサおよび第二メダル通過センサを正しい順序で通過したと検知されたメダルの数と、シュートセンサの信号状態がオン状態(メダルの存在を検知している信号状態)となった回数との差が、所定範囲に収まっていない場合、または投入されたメダルが第一メダル通過センサおよび第二メダル通過センサを正しい順序で通過してから一定期間を経過した時点において、第一メダル通過センサおよび第二メダル通過センサを正しい順序で通過したと検知されたメダルの数と、シュートセンサの信号状態がオン状態(メダルの存在を検知している信号状態)となった回数との差が、所定数以上となった場合に検出されるエラーである。
また、投入異常エラーには投入検知エラーがある。投入検知エラーは、メダル投入口42付近でメダルが詰まっていることに起因するエラーである。具体的には、メダルセレクタ92内の投入検知センサ130がオン状態(メダルの存在を検知している信号状態)で一定期間(約602ms)以上継続した場合に検出されるエラーである。
(10)表示判定異常エラーは、当選役でない図柄が表示された場合に検出されるエラーである。
(11)RAM異常エラーは、RAMの読み書きが正常に行われなかった場合に検出されるエラーである。
(12)設定値異常エラーは、内部抽選時において、設定値が許容範囲外の場合に検出されるエラーである。
各エラーには、図8に示すように、エラーの種類に応じてE1~ECまでのエラーコードが割り当てられている。エラー管理手段は、エラー検出手段によってエラーが検出されると、検出されたエラーを、液晶ディスプレイDやメイン表示器(図1の表示ユニット58)を介して報知する処理を実行する。具体的には、エラー管理手段は、検出されたエラーの種類に対応したエラーコードを設定して、設定されたエラーコードを、液晶ディスプレイDやメイン表示器(図1の表示ユニット58)に表示させる。
また、エラー管理手段は、所定の解除操作(エラー解除操作)が行われたことに基づいてエラー検出フラグ等をクリアする解除処理を行う。所定の解除操作(エラー解除操作)としては、例えば、ドアキーシリンダにドアキーを挿入し、ドアキーを反時計回りに回転させる(捻る)という操作と、設定変更ボタンを押下するという操作とがある。図8に示すように、エラーの種類(エラーコードE1~EC)ごとに、エラー解除操作が設定されている。エラー管理手段は、エラー解除操作によって設定変更ボタンまたはドアセンサから信号が入力されると、エラー解除操作が行われたと判断し、エラー検出フラグやタイマの計時情報等のエラーに関連する情報をクリア(消去)する解除処理を行う。
メイン制御基板70は、エラーを検出すると、エラーが発生した旨を示すコマンド(エラーコマンド)をサブ制御基板72に送信する。サブ制御基板72は、エラーコマンドを主制御装置70から受信すると、エラーの発生内容に対応する画像(以下、エラー画面という)を液晶ディスプレイDに表示する制御や、エラー発生に対応する警告音(以下、エラー音という)を、スピーカ14を介して出力する制御等を行う。
図9に示すタイミングチャートを用いて、精算報知中にエラーが発生した場合の処理の構成例を説明する。なお、以下ではエラーとして逆流エラーが発生した場合について説明するが、他のエラーであってもよい。
(C1、C2)精算ボタン52が押下されると、メイン制御基板70は、精算開始コマンドをサブ制御基板72に送信するとともに、精算処理を開始する。
(C4)メイン制御基板70は、逆流エラーを検出すると(逆流エラーの条件を満たすと)、逆流エラーが発生した旨を示すコマンド(逆流エラーコマンド)をサブ制御基板72に送信する。
(C2、C5)サブ制御基板72は、精算開始コマンドを受信し、かつ、エラーコマンド(逆流エラーコマンド)を受信しても、精算終了コマンドをメイン制御基板70から受信するまでは、逆流エラーコマンドの受信に基づく処理を実行しない。
サブ制御基板72は、精算終了コマンドをメイン制御基板70から受信したことに基づき、逆流エラーコマンドの受信に基づく処理を実行する。サブ制御基板72は、逆流エラーコマンドの受信に基づく処理として、逆流エラーの報知を行う。サブ制御基板72は、逆流エラーの報知として、逆流エラーに対応する画面(逆流エラー画面)を液晶ディスプレイDに表示し、逆流エラーに対応する警告音(エラー音)を、スピーカ14を介して出力し、エラー中である旨を報知する演出光(以下、エラーランプという:例えば赤色)を、照明装置33d、34,35,37のうちの少なくとも1つを通じて出力(点灯)する。
このようにサブ制御基板72は、精算終了コマンドをメイン制御基板70から受信しても、エラーコマンドを先に受信している場合には、当該エラーコマンドに基づく処理(エラー報知)を優先して行う。そして、以下に示すように、サブ制御基板72は、エラーが解除されてから、精算終了コマンドに基づく処理(精算完了音声の出力)を行う。
(C6)作業者等により、逆流エラーに対応するエラー解除動作(エラー復帰処理)が入力(実行)されると、メイン制御基板70は、逆流エラーが解除された旨を示すコマンド(逆流エラー解除コマンド)をサブ制御基板72に送信する。
(C3、C5)サブ制御基板72は、逆流エラー解除コマンドの受信に基づき、逆流エラーの報知を停止するとともに、精算完了音声(「精算しました」)の出力を開始する。サブ制御基板72は、逆流エラーの報知の停止として、液晶ディスプレイDの表示をエラー画面から通常画面に移行させ、エラー音の出力を停止し、エラーランプを消灯する。なお、サブ制御基板72は、精算完了音声を出力している間(精算完了報知中)に、精算の完了を示す画面を表示させ、その後、通常画面を表示させてもよい。また、サブ制御基板72は、エラーランプを消灯するとともに、精算完了報知中に精算中ランプを点灯させてもよい。その場合、例えば、エラーランプと精算中ランプの点灯パターン(点灯色)が同一である場合には、見た目上の変化はない。
通常画面(通常画像)とは、例えば滞在中の演出状態において、基本的に表示される画像(表示される比率(確率)の最も高い画像)、あるいはその演出状態の開始時に表示させる画像等である。換言すると、通常画像とは、滞在中の演出状態において、遊技と遊技との間に表示される画像である。
なお、C3、C5、C6について、エラー解除の立上りエッジでエラー報知を停止し、精算完了音声の出力を開始しているが、これらをエラー解除の立下りエッジに基づき行うものとしてもよい。
このように、精算報知中にエラー(例えば逆流エラー)が発生した場合、精算処理が終了するのを待ってからエラーの発生を報知するため、遊技者が、精算が終了したことを確実に把握できる。換言すると、遊技者が、誤認する(例えば精算が中断されたかのような認識を抱くこと)のを防止できる。一方で、エラーの発生の報知を精算完了音声の出力よりは優先させているため、エラー発生からエラーが報知されるまでの時間をより短縮でき、エラーに対して早期に処置を施すことができる。また、精算報知中にエラー発生を報知する構成とする場合には処理が複雑となるが、上述の構成とすれば、そのような処理の複雑化を招くことはない。
なお、精算処理の終了後にエラーの発生を報知し、その後精算完了音声を出力するための処理は、上述の処理に限られない。例えば、上述の例では、サブ制御基板72は、エラーコマンドを受信しても、精算終了コマンドをメイン制御基板70から受信するまでは、エラーコマンドの受信に基づく処理を実行しないこととしたが、精算処理中にエラーが発生した場合、メイン制御基板70は精算処理が終了してから、エラーコマンドをサブ制御基板72に送信することとしてもよい。また、メイン制御基板70は、エラーの解除後(エラー解除コマンドの送信後)に、精算終了コマンドをサブ制御基板72に送信することとしてもよい。
次に、図10に示すタイミングチャートを用いて、精算完了報知中にエラーが発生した場合の処理の構成例を説明する。
(D1、D2)精算ボタン52が押下されると、メイン制御基板70は、精算開始コマンドをサブ制御基板72に送信するとともに、精算処理を開始する。
(D7)サブ制御基板72は、精算開始コマンドをメイン制御基板70から受信したことに基づき、液晶ディスプレイDの表示を通常画面から精算中報知画面に移行させる。
(D2、D3)メイン制御基板70は、精算処理の終了に伴い、精算終了コマンドをサブ制御基板72に送信し、サブ制御基板72は、精算終了コマンドをメイン制御基板70から受信したことに基づき、精算完了音声の出力を開始する。
(D4)メイン制御基板70は、逆流エラーを検出すると、逆流エラーコマンドをサブ制御基板72に送信する。
(D3、D5)サブ制御基板72は、精算完了音声の出力を実行している間(すなわち精算完了報知中)に、逆流エラーコマンドをメイン制御基板70から受信した場合、当該受信に基づき、精算完了音声(「精算しました」)の出力を停止(キャンセル)して(例えば「精算し」で止めて)、逆流エラーの報知を行う。具体的には、サブ制御基板72は、逆流エラー画面を液晶ディスプレイDに表示し、エラー音を出力し、エラーランプを点灯させる。
(D6)作業者等により、逆流エラーに対応するエラー解除動作が入力(実行)されると、メイン制御基板70は、逆流エラー解除コマンドをサブ制御基板72に送信する。
(D5、D7)サブ制御基板72は、逆流エラー解除コマンドの受信に基づき、逆流エラーの報知を停止し(エラー音の出力を停止して、エラーランプを消灯し)、液晶ディスプレイDの表示をエラー画面から通常画面に移行させる。
(D3)なお、本例では、サブ制御基板72は、エラーから復帰しても(逆流エラー解除コマンドを受信しても)、逆流エラーコマンドの受信に従い停止した精算完了音声の出力を、再開(出力)することはしない。ただし、サブ制御基板72は、エラーの復帰(通常画面への移行)とともに、精算完了音声を出力することとしてもよい。その場合、サブ制御基板72は、停止した箇所からではなくもう一度最初から精算完了音声を出力することとしてもよい。
なお、D5、D6において、エラー解除の立上りエッジでエラー報知が停止するものとしているが、エラー解除の立下りエッジでエラー報知が停止するものとしてもよい。
また、D6、D7において、エラー解除の立下りエッジで通常画面に移行するものとしているが、エラー解除の立上りエッジで通常画面に移行するものとしてもよい。
このように、精算完了報知中にエラー(例えば逆流エラー)が発生した場合、精算完了音声の出力が終了するのを待たずに(精算完了音声の出力の途中でも)、エラーの発生の報知を優先する。すなわち、より優先度(緊急度)の高いエラーの報知が精算完了音声よりも優先して出力される。これにより、エラーに対して早期に対策を施すことができる。すなわち、エラーに対する処理が遅れるのを防止できる。
なお、D3およびD4では、精算完了音声が出力されている間にエラーが発生した場合を示したが、精算処理終了後(精算終了コマンドの受信後)、精算完了音声の最初の1音(例えば「せ」)が出力される前にエラーが発生する場合がある。そのような場合でも、サブ制御基板72は、精算完了音声の出力をせず(出力を停止し)、エラーの報知を実行する。すなわち、サブ制御基板72は、精算完了音声の出力よりもエラーの報知を優先する。
次に、図11に示すタイミングチャートを用いて、精算完了報知中に十字ボタン57が押下された場合の処理の構成例を説明する。
(F1、F2)精算ボタン52が押下されると、メイン制御基板70は、精算開始コマンドをサブ制御基板72に送信するとともに、精算処理を開始する。
(F4、F7)サブ制御基板72は、精算開始コマンドをメイン制御基板70から受信したことに基づき、遊技中のランプの点灯(例えば白色)を停止し、精算中ランプの点灯(例えば赤色)を開始する。なお、本実施の形態では、精算中ランプの点灯とエラーランプの点灯とは、同パターンとなっている。
(F2、F3)メイン制御基板70は、精算処理の終了に伴い、精算終了コマンドをサブ制御基板72に送信し、サブ制御基板72は、精算終了コマンドをメイン制御基板70から受信したことに基づき、精算完了音声の出力を開始する。
(F3、F5)サブ制御基板72は、精算完了音声の出力を実行している間(すなわち精算完了報知中)(遊技媒体の払い出しに係る音声を出力している間)に、十字ボタン57が操作(押下)されると当該操作(押下)を受け付ける。本例では、サブ制御基板72は、精算完了報知中(すなわち精算終了コマンドを受信してから精算完了音声の出力が終了するまでの間)に、十字ボタン57の操作を有効な状態としている。そして、サブ制御基板72は、精算完了音声の出力を実行している間に、十字ボタン57が押下された旨を示す情報(信号)(コマンド)を受信すると、当該受信に基づき、精算完了音声の出力を停止する(例えば「精算しま」で止める)。
(F5、F6、F7)また、サブ制御基板72は、精算完了音声の出力を実行している間に、十字ボタン57が押下された旨を示す情報(信号)(コマンド)を受信すると、当該受信に基づき、精算中ランプを消灯して遊技中ランプを点灯させ、液晶ディスプレイDの表示を、精算中報知画面からメニュー画面(なお音量変更画面でもよい)に移行させる。すなわち、サブ制御基板72は、精算完了音声の出力を実行している間に、十字ボタン57が押下された旨を示す情報を受信すると、当該受信に基づき、十字ボタン57の押下に基づく処理を行う。
なお、F3およびF5では、精算完了音声が出力されている間に十字ボタン57が押下された場合を示したが、精算処理終了後、精算完了音声の最初の1音(例えば「せ」)が出力される前に十字ボタン57が押下される場合がある。そのような場合でも、サブ制御基板72は、精算完了音声の出力をせず(出力を停止し)、十字ボタン57の押下に基づく処理を実行する。すなわち、サブ制御基板72は、精算完了音声の出力よりも十字ボタン57の押下に基づく処理を優先する。
また、F5およびF6について、十字ボタン57の立下りエッジでメニュー画面に移行するものとしているが、十字ボタン57の立上りエッジでメニュー画面に移行するようにしてもよい。
このように、精算完了報知中に十字ボタン57が操作された場合、精算完了音声の出力が終了するのを待たずに(精算完了音声の出力の途中でも)、十字ボタン57の操作を受け付け(十字ボタン57の操作が優先され)、当該操作に基づく処理(メニュー画面への移行等)が実行されるため、例えば、遊技者は、精算完了音声を最後まで聞かずにメニュー画面を早く開いて所望の設定を行うことができる。すなわち、精算完了音声の出力が終わるのを待たなければ十字ボタン57を操作できないことによって、遊技者が不満を抱く(ストレスを感じる)のを防止できる。
ここで、図11のF4における破線部Zについて説明する。破線部Zは、本来実行される予定であった精算中ランプの点灯を示している。ここで、仮に、精算完了音声出力中に十字ボタン57が押下されなかった場合を考える。その場合、精算完了音声(「精算しました」)の出力が終了した後であっても、精算中ランプの点灯が一定時間継続するようになっている。換言すると、サブ制御基板72は、精算処理の完了の報知である、精算完了音声の出力および精算中ランプの点灯を行うが、前者(精算完了音声の出力)が終了した後も後者(精算中ランプの点灯)を一定時間継続させる。なお、サブ制御基板72は、画面(液晶ディスプレイD)については、精算完了音声出力の終了とともに通常画面へ移行させている。このように、精算中ランプの点灯を、精算完了音声の出力よりも長くすることで、精算処理が終わった後、一定時間の間、精算処理が終了したことを認識できる。すなわち、精算処理が終わった後、一定時間の間、精算処理が終了したことが周囲に報知されるため、例えば、ホールスタッフ等が認識しやすくなる。
上記では精算完了報知中に十字ボタン57が操作された場合を示したが、精算報知中に十字ボタン57の操作された場合について同様に構成してもよい。換言すると、精算ボタン52が押下されると、メイン制御基板70は、精算処理を開始するが、サブ制御基板72は、精算中報知音を出力している間(すなわち精算報知中)(遊技媒体の払い出しに係る音声を出力している間)に、十字ボタン57が操作(押下)されると当該操作(押下)を受け付けるようにしてもよい。サブ制御基板72は、精算中報知音の出力を実行している間に、十字ボタン57が押下された旨を示すコマンドを受信すると、当該受信に基づき、精算中報知音の出力を停止する(この場合、その後の精算完了音声も出力しない)。なお、サブ制御基板72は、精算中報知音の出力を実行している間に、十字ボタン57が押下された旨を示すコマンドを受信したことに基づき、精算中ランプを消灯して遊技中ランプを点灯させ、液晶ディスプレイDの表示を、精算中報知画面からメニュー画面(なお音量変更画面でもよい)に移行させてもよい。サブ制御基板72は、精算中報知音の出力を実行している間に、十字ボタン57が押下された旨を示すコマンドを受信すると、当該受信に基づき十字ボタン57の押下に基づく処理を行う。
サブ制御手段72は、精算ボタン52の操作に基づく遊技媒体の払い出しに係る音声が出力されている間に十字ボタン57(演出設定操作部)が操作されると、払い出しに係る音声の出力を停止し、十字ボタン57の操作に基づく処理を行う。払い出しに係る音声の出力が終了するのを待たずに十字ボタン57の操作を受け付け、当該操作に基づく処理(メニュー画面への移行等)が実行されるため、例えば、遊技者は、払い出しに係る音声を最後まで聞かずにメニュー画面を早く開いて所望の設定を行うことができる。すなわち、払い出しに係る音声の出力が終わるのを待たなければ十字ボタン57を操作できないことによって、遊技者が不満を抱く(ストレスを感じる)のを防止できる。
ここで、演出設定操作部を十字ボタン57(十字キー)において、左右ボタン(左ボタンと右ボタン)を第1の演出設定操作部(第1演出設定操作部)とし、上下ボタン(上ボタンと下ボタン)を第2の演出設定操作部(第2演出設定操作部)とする。なお、第1演出設定操作部は、左右ボタンの他に、メインボタン(決定ボタン)であってもよく、また、決定ボタンとして機能する演出ボタン62(PUSHボタン:十字ボタン57とは別に設けられているボタン)であってもよい。
サブ制御手段72は、精算ボタン52の操作に基づく遊技媒体の払い出しに係る音声が出力されている間に第1演出設定操作部が操作されると、払い出しに係る音声の出力を停止し、第1演出設定操作部の操作に基づく処理を行うようにしてもよい。換言すると、精算ボタン52の操作に基づく遊技媒体の払い出しに係る音声が出力されている間に第1演出設定操作部が操作されると、払い出しに係る音声の出力が停止し、第1演出設定操作部の操作に基づく処理が行われる。一方で、精算ボタン52の操作に基づく遊技媒体の払い出しに係る音声が出力されている間に第2演出設定操作部が操作された場合であっても、払い出しに係る音声の出力は停止せず、第2演出設定操作部の操作に基づく処理は行われない。
第1演出設定操作部の操作に基づく処理として、所定の音声の選択がある。ここでは、第1演出設定操作部の操作により、所定の演出状態(AT演出状態)行われる打順ナビ演出に係る音声(ナビ音)を、複数種類の音声(キャラクタに対応する音声)の中から選択(決定)できるものとする。なお、当該操作によって選択された音声(キャラクタ)が、他の報知(例えば精算完了音声)にも用いられるようになっていてもよい。
非遊技中に第1演出設定操作部(例えば右ボタン)を押下すると、初期(デフォルト)に設定されているキャラクタの次のキャラクタ(第2のキャラクタ)の画像が液晶ディスプレイDの所定の位置に表示されるとともに、その第2のキャラクタに対応する音声(セリフ)が出力される。そして、再度右ボタンを押下すると、第2のキャラクタの次の第3のキャラクタの画像が表示されるとともに、第3のキャラクタに対応する音声(セリフ)が出力される。そして、所定のキャラクタの画像を表示させている(すなわち選択している)状態で、第1演出設定操作部としての決定ボタンまたは第1演出設定操作部としての演出ボタン62(PUSHボタン)を押下すると、当該キャラクタに対応する音声を所定の演出(打順ナビ演出等)に係る音声とすることが決定される。
なお、上記では、右ボタンを押下する場合について説明したが、初期設定の状態から左ボタンを押下すると、例えば5番目のキャラクタ(選択可能なキャラクタのうちの最後のキャラクタ)の画像が表示され、そのキャラクタに対応する音声が出力される。
また、本例では、非遊技中(通常中)にPUSHボタンが操作(押下)されると、メニュー画面が表示され(メニュー画面に移行し)、メニュー画面が表示された状態で第2演出設定操作部(上下ボタン)が操作(押下)されると、カーソルが移動する。遊技者は、複数のアイコンの中から、設定等を行いたいアイコンを選択できる。
精算ボタン52が押下された場合について、精算ボタン52の操作に基づく遊技媒体の払い出しに係る音声が出力されている間に第1演出設定操作部(例えば右ボタン)が操作(押下)されると、払い出しに係る音声の出力が停止する。そして、第1演出設定操作部の操作に基づく処理が行われる、すなわち、所定のキャラクタの画像が表示され、そのキャラクタに対応する音声(現在選択されている種類の音声)が出力される。このとき、もう1度、第1演出設定操作部が押下された場合には、次のキャラクタ画像が表示され、そのキャラクタに対応する音声が出力される。そして、第1演出設定操作部としての決定ボタンまたはPUSHボタンが押下されると、選択されている音声を所定の演出(打順ナビ演出等)に係る音声とすることが決定される。
なお、精算ボタン52の操作に基づく遊技媒体の払い出しに係る音声が出力されている間に第2演出設定操作部(上下ボタン)が操作(押下)されても、払い出しに係る音声の出力は停止せず、上下ボタンの押下に基づく処理は行われない。
また、精算ボタン52の操作に基づく遊技媒体の払い出しに係る音声が出力されている間におけるPUSHボタンについて、上記のように決定ボタン(第1演出設定操作部)としては機能するが、他のボタンとしては機能しない(操作を受け付けない)。換言すると、非遊技中(通常中)にPUSHボタンが押下されると、メニュー画面が表示される(メニュー画面に移行可能である)が、精算ボタン52の操作に基づく遊技媒体の払い出しに係る音声が出力されている間にPUSHボタンが押下されても、その押下は受け付けられず、メニュー画面に移行しない。一方で、精算ボタン52の操作に基づく遊技媒体の払い出しに係る音声が出力されている間に、左右ボタンが押下され、所定の音声(所定のキャラクタ)が選択された上でのPUSHボタン(決定ボタン)の押下は受け付けられる。
なお、精算ボタン52の操作に基づく遊技媒体の払い出しに係る音声は、エラー発生時に出力される報知音(エラー音)と同様のものであってもよい。
ここで、所定の操作が行われ、音量調整アイコンを含むメニュー画面が表示されているものとする。また、液晶ディスプレイDがタッチパネルとなっており、画面に表示されているアイコンを操作(タッチ)することにより選択できるものとする。精算ボタン52が操作されると、精算ボタン52の操作に基づく遊技媒体の払い出しに係る音声が出力される。そして、その払い出しに係る音声が出力されている間に、第1演出設定操作部としてのタッチパネル(タッチパネルに表示されている音量調整アイコン)が操作(接触)されると、遊技媒体の払い出しに係る音声(エラー音)の出力が停止し(キャンセルされ)、第1演出設定操作部の操作に基づく処理が行われる、すなわち、音量調整画面が表示される(メニュー画面から音量調整画面に移行する)。
ただし、遊技媒体の払い出しに係る音声の出力の途中での第1演出設定操作部(タッチパネル)が操作され音量調整画面に移行した場合、精算ボタン52の操作に基づく精算が終了するまで(精算処理が終了するまで、または精算完了音声の出力が終了するまで)は、十字ボタン57およびPUSHボタンが有効とならない。換言すると、十字ボタン57およびPUSHボタンが押下されても、その押下に基づく処理が行われない(十字キーを押下しても音量が変更されない)。そして、精算が終了すると、十字ボタン57およびPUSHボタンが有効となる。
なお、精算ボタン52の操作に基づく払い出しに係る音声が出力されている間に第2演出設定操作部(上下ボタン)が操作(押下)されても、払い出しに係る音声の出力は停止せず、上下ボタンの押下に基づく処理は行われない。
(第2の実施の形態)
次に、図面を参照しながら本発明の第2の実施の形態について説明する。以下、第1実施形態で説明した構成と同一または相当する機能を有する構成については、同一の符号を付し、その説明を省略または簡略化する。
図12は、第2の実施の形態に係るスロットマシン(遊技機)100の外観斜視図である。図12に示すように、スロットマシン100は、遊技者側を向く面である前面側が開口された箱状の筐体111と、当該筐体111の前面側開口を開閉する前面扉112とを備えている。
筐体111には、回転自在なリール120a、リール120bおよびリール120cがユニット化されたリールユニットと、メダルの払い出しを行うホッパー装置等が収納されている。また、前面扉112は、上扉112aと下扉112bとに分割されており、上扉112aおよび下扉112bはそれぞれ筐体111に対して開閉自在となっている。
図13は、上扉112aおよび下扉112bを開いた状態を示す外観斜視図である。
以下、「前後」とは、スロットマシン100の前側に遊技者が居る場合に、遊技者側が「前」で、スロットマシン側が「後」を意味し、「上下」とはスロットマシン100の上面側が「上」で、下面側が「下」を意味し、「左右」とはスロットマシン100を遊技する遊技者の左手側が「左」を意味し、右手側が「右」を意味する。
上扉112aには、液晶ディスプレイ113、スピーカ114等の演出装置、および、表示窓116が設けられている。液晶ディスプレイ113には、各種演出用の画像(動画、静止画)が表示される。また、スピーカ114からは、各種演出用の音(音楽、効果音、音声等)が出力される。なお、演出装置としては、液晶ディスプレイ113、スピーカ114の他に、ランプ(LED)等の電飾装置、アクチュエータ等で動作可能な可動役物等を備えていてもよい。
図13に示すように、リールユニットは、その一部が表示窓116の外から視認可能となるように表示窓116の奥に配置されている。各リール120a~120cの外周面には、複数種類の図柄が一列に配置されている。各リール120a~120cが停止している状態では、表示窓116を介して1リール当たり3個の図柄(上段図柄、中段図柄、下段図柄)が視認可能となる。表示窓116には、各リール120a~120cの図柄を視認するための表示位置として、上段、中段、下段が設けられており、各リール120a~120cの表示位置の組合せによって有効ラインが設定されている。
スロットマシン100では、1回の遊技(1遊技)を開始するために必要な遊技媒体(メダル)の数(規定数)が、設定されている。本実施の形態では、規定数を3とする。スロットマシン100に規定数のメダルが投入されると、有効ラインが有効化される。なお、規定数を超える枚数のメダルが投入された場合、規定数を超えた分のメダルは、所定の値(例えば50とする)を上限とし、スロットマシン100の内部(図14に示すメインRAM203)に電気的に貯留される。
スロットマシン100では、遊技開始に伴って各リール120a~120cが回転を開始するとともに、当選役抽選が実行されて当選役のいずれかの当選または不当選が決定される。次いで、各リール120a~120cが停止したときに、当選役抽選で当選した当選役に対応する図柄組合せが有効ラインに表示されると、この当選役が入賞となり、入賞した当選役に対応する処理(入賞処理)が実行される。
下扉112bには、メダルを投入するためのメダル投入口122、貯留(クレジット)されているメダルをベットするためのベットボタン123、遊技を開始する際に操作されるスタートレバー124、回転しているリール120a,120b,120cを停止させるためのストップボタン126a,126b,126c、ホッパー装置によりメダルを払い出す払い出し口127、払い出し口127から払い出されたメダルを受けるメダル受け皿128が設けられている。また、メダル投入口122の奥には、メダル投入口122から投入されたメダルの通過を検知するためのメダルセンサ129(図2参照)が設けられている。
ベットボタン123、スタートレバー124、ストップボタン126a~126cは、操作を検出すると、操作されたことを示す信号を出力する。また、メダルセンサ129は、メダルの投入を検出すると、メダルが投入されたことを示す信号を出力する。なお、ベットボタン123には、1ベットボタンとMAXベットボタンとがある。1ベットボタンは、貯留されているメダルから1枚のメダルをベットする際に押下されるボタンである。MAXベットボタンは、貯留されているメダルから規定数のメダルをベットする際に押下されるボタンである。以下、ベットボタン123という場合、1ベットボタンまたはMAXベットボタンのいずれかを指すものとする。
ここで、1遊技について説明する。
スロットマシン100では、メダル投入口122を介してのメダルの投入、または、ベットボタン123の操作による規定数のメダルのベットを受け付けると、ベットボタン123の操作が無効化され、スタートレバー124の操作が有効化される。
次に、スロットマシン100は、有効化されたスタートレバー124の操作を受け付けると、遊技を開始する(すなわち各リール120a~120cの回転を開始する)とともに、当選役抽選を行う。
次に、スロットマシン100は、各リール120a~120cの回転速度が一定速度に到達して定常回転となると、ストップボタン126a~126cの操作を有効化する。
次に、スロットマシン100は、有効化されたストップボタン126a~126cの操作を受け付けると、操作されたストップボタン126a~126cに対応する各リール200a~200cの回転を停止する。
次に、スロットマシン100は、各リール120a~120cの回転が停止したときに、当選役抽選で当選した当選役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されたかを判定する。
スロットマシン100は、当選役抽選で当選した当選役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されたと判定した場合、入賞処理(例えば、メダルの払い出し処理)を実行し、1遊技を終了する。
一方、スロットマシン100は、当選役抽選の結果が不当選であった場合、または、当選役抽選で当選した当選役に入賞しなかったと判定した場合、各リール120a~120cが停止したことをもって1遊技を終了する。1遊技が終了すると、ベットボタン123の操作が有効化される。
また、図13に示すように、筐体111の内部には、スロットマシン100の電源をON/OFFするための電源スイッチ500が設けられている。電源スイッチ500は、スロットマシン100を管理する管理者等が操作し、電源のOFF状態(電断状態)と電源のON状態の2つの状態を切り換えるために用いられる。電源スイッチ500は、電源をONにするための操作を受け付けると、電源ON信号を出力する。また、電源スイッチ500は、電源をOFFにするための操作を受け付けると、電源OFF信号を出力する。
図14は、スロットマシン100の電気的構成を示すためのブロック図である。
筐体111の内部には、メイン制御基板(主制御装置)200と、サブ制御基板(副制御装置)300とが設けられている。メイン制御基板200は、ベットボタン123、スタートレバー124、ストップボタン126a~126c、メダルセンサ129、電源スイッチ500等から出力される信号を取得し、遊技を実行するための各種の演算を行い、演算結果に基づいてリールユニット、ホッパー装置等の制御を行う。
サブ制御基板300は、メイン制御基板200から取得した信号に基づき演出を実行するための各種の演算を行い、演算結果に基づいて液晶ディスプレイ113およびスピーカ114等の演出装置の制御を行う。
メイン制御基板200とサブ制御基板300とは電気的に接続されており、メイン制御基板200からサブ制御基板300へは遊技状態を示す情報等各種情報(信号)の送信が可能となっているが、サブ制御基板300からメイン制御基板200へは情報を送信できないようになっている。メイン制御基板200やサブ制御基板300等の各基板の機能は、各種のプロセッサ(CPU、DSP等)、IC、あるいはROMやRAM等の情報記憶媒体等のハードウェアや、ROM等に予め記憶されている所定のプログラムからなるソフトウェアにより実現される。
図14に示すように、本実施の形態では、メイン制御基板200は、中央処理装置であるメインCPU201、プログラム等が格納されたメインROM202、ワークエリアとして機能するメインRAM203(主記憶部)等を含む各種半導体集積回路を有している。メインRAM203(内蔵RAM)にはバックアップ電源(不図示)が接続されていて、電源がOFF状態となった場合でも、設定変更が行われてメインRAM203の初期化処理が実行されない限り、記憶されたデータは消去されることなく保持される。なお、メインRAM203を内蔵RAMと外付けRAMとにより構成し、外付けRAMのバックアップ領域にバックアップデータが記憶されるようにしてもよい。この場合、外付けRAMにバックアップ電源(不図示)が接続される。電源がOFF状態となった後、電断から復帰する際に、内蔵RAMは、外付けRAMのバックアップ領域に記憶されたバックアップデータを読み出し、電断前の状態に復帰する。
メイン制御基板200は、メインCPU201が、メインROM202に格納されたプログラムに基づきメインRAM203と協働することで機能する機能部を有している。機能部には、後述するベット制御部210等がある。
また、図14に示すように、本実施の形態では、サブ制御基板300は、中央処理装置であるサブCPU301、プログラム等が格納されたサブROM302、ワークエリアとして機能するサブRAM303(副記憶部)等を含む各種半導体集積回路を有している。また、メインRAM203と同様に、サブRAM303にもバックアップ電源(不図示)が接続されていて、電源が切断された場合でも、データが消去されることなく保持される。
サブ制御基板300は、サブCPU301が、サブROM302に格納されたプログラムに基づき、サブRAM303と協働することで機能する。
次に、メイン制御基板200のベット制御部210について説明する。
ベット制御部210は、遊技ごとに、規定数のメダルがベットされたことに基づき、ベットボタン123の操作が無効化される処理を行い、スタートレバー124に対する遊技開始操作が有効化される処理を行う。
また、ベット制御部210は、ベットボタン123が押下操作された場合、規定数を限度として、貯留されているメダルを投入状態(ベット状態)に設定する。以下、メダルをベット状態に設定することを、単にメダルをベットするという。
メイン制御基板200は、電源ON状態で、ベットボタン123が押下されたことを示す信号(ベット操作情報)を取得すると、メインRAM203の入力現在状態を「ON状態」とする。入力現在状態とは、現在のベットボタン123の操作状態、すなわち現在ベットボタン123が操作されている状態であるか否かを示す情報である。現在ベットボタン123が押下状態である場合、入力現在状態は「ON状態」となる。一方、現在ベットボタン123が非押下状態である場合、すなわち、メイン制御基板200がベット操作情報を取得していない場合、入力現在状態は「OFF状態」となる。入力現在状態は、後述するエッジ検出処理で用いられる情報である。
図14に示すように、ベット制御部210は、エッジ検出部211、ベット設定部212、情報制御部213等を備えている。
エッジ検出部211は、ベットボタン123の操作が有効化されてから、ベットボタン123の操作が無効化されるまでの間(ベット受付期間)、一定間隔(例えば、1.49ms)毎に、定期処理(タイマー割込み)であるエッジ検出処理を行う。
エッジ検出処理では、ベットボタン123の操作状態を示す情報が所定の条件に該当する場合にONエッジを検出する。具体的には、後述する入力前回状態と、入力現在状態とを比較し、図15(a)の太線枠に示すように、入力前回状態が「OFF状態」であり、かつ、入力現在状態が「ON状態」である場合(ONエッジ検出条件に該当する場合)に、ONエッジ(立ち上がりエッジ)を検出する。なお、エッジ検出処理には、後述する更新処理が含まれる。
また、図15(a)に示すように、入力前回状態が「OFF状態」であり、かつ、入力現在状態が「OFF状態」である場合(ONエッジ検出条件に非該当である場合)、ONエッジは検出されない。また、入力前回状態が「ON状態」であり、かつ、入力現在状態が「OFF状態」である場合(ONエッジ検出条件に非該当である場合)、ONエッジは検出されない。また、入力前回状態が「ON状態」であり、かつ、入力現在状態が「ON状態」である場合(ONエッジ検出条件に非該当である場合)、ONエッジは検出されない。
ベット設定部212は、エッジ検出部211が行うエッジ検出処理でONエッジが検出されると、メダルをベットする。具体的には、ベット設定部212は、1ベットボタンの押下に基づくONエッジが検出された場合には1枚のメダルをベットし、MAXベットボタンの押下に基づくONエッジが検出された場合には規定数(3枚)のメダルをベットする。
情報制御部213は、更新処理を行う。更新処理には、次回のエッジ検出処理で用いられる情報を決定する処理が含まれる。情報制御部213は、更新処理を行い、メインRAM203に記憶されている入力現在状態が示す情報を、次回のエッジ検出処理に用いられる入力前回状態として設定する。入力前回状態は、入力現在状態と同様に、メインRAM203に記憶される。
図15(b)はエッジ検出処理について説明するための図である。図15(b)中に矢印で示すように、情報制御部213は、n-1回目(nは2以上の整数)の入力現在状態が示す情報を、n回目の入力前回状態として設定する。換言すると、n回目の入力前回状態は、n-1回目の入力現在状態である。入力前回状態は、前回のエッジ検出処理のときのベットボタン123の操作状態に基づいて決定され、現在のエッジ検出処理で用いられる情報ともいえる。
次に、図16に示すフローチャートを用いてエッジ検出処理について説明する。
まず、エッジ検出部211は、入力現在状態をメインRAM203から取得する(ステップST1)。次に、エッジ検出部211は、入力前回状態をメインRAM203から取得する(ステップST2)。
次に、エッジ検出部211は、入力前回状態が「OFF状態」であり、かつ、入力現在状態が「ON状態」であるか、すなわち、ONエッジ検出条件に該当するか判定する(ステップST3)。
ステップST3において、エッジ検出部211は、ONエッジ検出条件に該当すると判定した場合(ステップST3:YES)、ONエッジを検出する(ステップST4)。ステップST4においてONエッジが検出されると、ベット設定部212は、メダルをベットする。
一方、ステップST3において、エッジ検出部211は、ONエッジ検出条件に該当しないと判定した場合(ステップST3:NO)、ステップST5の処理に進む。
次に、情報制御部213は、更新処理を行う(ステップST5)。すなわち、情報制御部213は、メインRAM203に記憶されている入力現在状態が示す情報を、次回の入力前回状態として設定する。ステップST5の処理が終了すると、再びステップST1の処理に戻る。なお、図5においてステップST5の処理はステップST3の処理の前に行うものとしてもよい。
次に、図15(b)で示したエッジ検出処理の2回目と3回目との間に、電断が発生した場合について説明する。以下、ベットボタン123が非押下状態(OFF状態)で当該電断が発生し、その後、ベットボタン123が押下状態(ON状態)で当該電断から復帰した場合について説明する。当該ベットボタン123の押下操作は、遊技者によるメダルのベットを意図するものではないため、3回目のエッジ検出処理でONエッジが検出されるのは好ましくない。
メイン制御基板200は、電源スイッチ500から電源ON信号を取得した際(電断から復帰する際)に復帰処理を行う。復帰処理には、メインRAM203の状態を、バックアップされているデータに基づいて電断前の状態に戻す処理が含まれる。
意図しないONエッジの検出を防ぐための対策を施さなかった場合、電断後における3回目のエッジ検出処理で用いられる入力前回状態は、電断が発生しなかった場合と同様に、2回目の入力現在状態である「OFF状態」となっている。また、電断後の3回目のエッジ検出処理で用いられる入力現在状態は、ベットボタン123が押下されているため「ON状態」となっている。このため、3回目のエッジ検出処理で意図しないONエッジが検出されてしまうこととなる。
本実施の形態に係るメイン制御基板200は、上記のような意図しないONエッジの検出を防ぐために、電断から復帰する際に更新処理(電断復帰時の更新処理という)を行う。
なお、電断からの復帰は、電源スイッチ500のON操作に起因するものだけではなく、停電の発生等によってスロットマシン10の電源が一旦OFFとなり、その後電源が再び供給されて復帰する場合等がある。
図17に示すフローチャートを用いて、電断復帰時の更新処理について説明する。図17のフローチャートの開始時点において、メイン制御基板200は、電源スイッチ500から電源ON信号を取得しているものとする。また、メインRAM203は、電断前の状態に復帰しているものとする。
情報制御部213は、入力現在状態をメインRAM203から取得する(ステップST11)。次に、情報制御部213は、メインRAM203の入力前回状態を、ステップST11で取得した入力現在状態が示す情報で書き換える(ステップST12)。換言すると、情報制御部213は、入力前回状態を、電断から復帰する際の実際のベットボタン123の操作状態で書き換える。これは、入力現在状態が示す情報を入力前回状態として設定するともいえる。具体的には、入力現在状態が「ON状態」である場合には入力前回状態を「ON状態」とし、入力現在状態が「OFF状態」である場合には入力前回状態を「OFF状態」とする。入力現在状態が示す情報で書き換えられた入力前回状態は、メインRAM203に記憶される。ステップST12の処理が終わると、電断復帰時の更新処理は終了する。
また、上記では、ステップST11でメインRAM203から入力現在状態を取得するものとしたが、情報制御部213は、ベットボタン123が操作されたことを示す情報(ベット操作情報)を直接ベットボタン123から取得するようにしてもよい。この場合、ステップST12において、情報制御部213は、当該ベット操作情報に基づいてメインRAM203の入力前回状態を書き換える。具体的には、ベット操作情報が「ON状態」を示す場合には入力前回状態を「ON状態」とし、ベット操作情報が「OFF状態」を示す場合には入力前回情報を「OFF状態」とする。
図18は、エッジ検出処理の2回目と3回目との間に、ベットボタン123が非押下状態(OFF状態)で電断が発生し、その後、ベットボタン23が押下状態(ON状態)で電断から復帰し、かつ電断復帰時の更新処理が行われた場合について説明する図である。電断から復帰する際にベットボタン123の操作状態が「ON状態」であるため、図18中に矢印Fで示すように、情報制御部213は、メインRAM203における3回目の入力前回状態を「ON状態」に設定する。
電断復帰時の更新処理後に、エッジ検出処理(3回目)が実行される。エッジ検出処理(3回目)は、例えば、電断復帰から1.49ms後に実行される。エッジ検出処理(3回目)において、エッジ検出部211は、メインRAM203から入力現在状態「ON状態」を取得する。次に、エッジ検出部211は、メインRAM203から入力前回状態「ON状態」を取得する。次に、エッジ検出部211は、入力前回状態が「ON状態」であり、かつ、入力現在状態が「ON状態」であるため、ONエッジ検出条件に該当しないと判定する。よって、電断を跨いだ、意図しないONエッジが検出されることはない。
また、図示は省略するが、電断から復帰する際にベットボタン123の操作状態が「OFF状態」である場合には、情報制御部213が、メインRAM203の入力前回状態を「OFF」とする。このため、エッジ検出処理(3回目)において、エッジ検出部211は、メインRAM203から入力現在状態「OFF状態」を取得する。次に、エッジ検出部211は、メインRAM203から入力前回状態「OFF状態」を取得する。次に、エッジ検出部211は、入力前回状態が「OFF状態」であり、かつ、入力現在状態が「OFF状態」であるため、ONエッジ検出条件に該当しないと判定する。
また、図16のステップST1は、メインCPU201が、ベットボタン123の操作が有効化されてから、ベットボタン123の操作が無効化されるまでの間、一定間隔(例えば、1.49ms)毎に、定期処理(タイマー割込み)を行い、入力現在状態の検出、すなわちベットボタン123の操作状態がOFF状態であるかON状態であるかを検出しているといえる。以下、当該検出を定期処理という。また、図16のステップST1~ステップST4は、メインCPU201が、定期処理において、n-1回目の定期処理タイミング(第1定期処理タイミングとする)でベットボタン23の「OFF状態」を検出し、第1定期処理タイミングの後のn回目の定期処理タイミング(第2定期処理タイミングとする)でベットボタン23の「ON状態」を検出した場合に、この「OFF状態」から「ON状態」への変化に基づきONエッジを検出するといえる。例えば、メインCPU201は、2回目(第1定期処理タイミング)の操作状態が「OFF状態」であり、3回目(第2定期処理タイミング)の操作状態が「ON状態」である場合、この「OFF状態」から「ON状態」への変化に基づきONエッジを検出する。メインCPU201は、ONエッジを検出した場合に、メダルのベットを行う。
また、図18で示した内容は、メインCPU201が、第1定期処理タイミングで「OFF状態」を検出した後、電断が発生し、ベットボタン123が押下されている状態で電断から復帰して、電断復帰後の第2定期処理タイミングで「ON状態」を検出した場合には、第1定期処理タイミングにおける「OFF状態」を「ON状態」に更新することで、ONエッジを検出しないということができる。このため、電断を跨いでの、遊技者が意図しない操作によるONエッジが検出されることはない。
なお、図17では、ステップST12において、電断前の状態に復帰したメインRAM203の入力前回状態を入力現在状態が示す情報で書き換える場合について説明した。ただし、当該入力前回状態は必ずしもバックアップされていることを要するものではなく、仮に入力前回状態がバックアップされていない(復帰できない)場合には、電断から復帰する際に取得した入力現在状態が示す情報を入力前回状態に代入する(書き込む)ようにしてもよい。この場合でも、書き換えを行った場合と同様に、意図しないONエッジの検出を防ぐことができる。
次に、ベットボタン123が「ON状態」で電断が発生し、その後、ベットボタン23が「OFF状態」で当該電断から復帰した場合について説明する。
図19は、2回目のエッジ検出処理で入力前回状態および入力現在状態が「ON状態」であった後、電断が発生し、その後ベットボタン123が「OFF状態」で電断から復帰して、電断復帰時の更新処理が行われた場合について説明する図である。図19に示すように、電断から復帰する際のベットボタン23の操作状態(入力現在状態)は「OFF状態」となっている。このため、電断復帰時の更新処理が行われ、3回目の入力前回状態に「OFF状態」が設定される。これにより、3回目のエッジ検出処理において、入力前回状態および入力現在状態がともに「OFF状態」であるため、例えば、OFFエッジ(立ち下がりエッジ)の意図しない検出を防ぐことができる。なお、実際には、OFFエッジの検出を行わない構成であってもよい。
また、図17では、ステップST12において、入力現在状態が「ON状態」であるか「OFF状態」であるかを問わず入力前回状態を入力現在状態で書き換えるものとしたが、電断復帰時の更新処理の別の例として、入力現在状態が「ON状態」である場合にのみ、当該書き換えを行うようにしてもよい。図10に示すフローチャートを用いて当該別の例について説明する。
まず、情報制御部213は、入力現在状態をメインRAM203から取得する(ステップST21)。次に、情報制御部213は、メインRAM203の入力現在状態が「ON状態」であるか判定する(ステップST22)。
ステップST22において、情報制御部213は、メインRAM203の入力現在状態が「ON状態」であると判定した場合(ステップST22:YES)、情報制御部213は、メインRAM203の入力前回状態を、入力現在状態「ON状態」で書き換える(ステップST23)。すなわち、入力現在状態が示す情報を入力前回状態として設定する。ステップST23によって、「OFF状態」であった入力前回状態が「ON状態」に書き換えられることとなる。ステップST23の処理が終わると、電断復帰時の更新処理を終了する。
一方、ステップST22において、情報制御部213は、メインRAM203の入力現在状態が「ON状態」でないと判定した場合(ステップST22:NO)、電断復帰時の更新処理を終了する。
また、電断復帰時の更新処理において、入力現在状態が「ON状態」であるか「OFF状態」であるかに関わらず、入力前回状態を「ON状態」に設定することとしてもよい。このような構成でも、意図しないONエッジの検出を防ぐことができる。
以上のように、本実施の形態によれば、遊技の制御を行うメイン制御基板200と、遊技媒体をベットするためのベットボタン123とを備え、メイン制御基板200は、ベットボタン123が押下されている状態で電断から復帰した場合に、当該押下に基づく遊技媒体のベットを行わない。このため、ベットボタン123が押下されていない状態で電断し、その後、ベットボタン123が押下された状態で電源が投入された場合に、遊技者の意図しないメダルのベットが実行されるのを防ぐことができる。
また、メイン制御基板200は、一定間隔毎にベットボタン123の操作状態がOFF状態であるかON状態であるかを検出する定期処理を実行し、定期処理において、第1定期処理タイミングでOFF状態を検出し、第1定期処理タイミングの後の第2定期処理タイミングでON状態を検出した場合は、このOFF状態からON状態への変化に基づきONエッジを検出可能であり、ONエッジを検出した場合に遊技媒体のベットを行い、第1定期処理タイミングでOFF状態を検出した後、電断が発生し、ベットボタン23が押下されている状態で電断から復帰して、電断復帰後の第2定期処理タイミングでON状態を検出した場合には、ONエッジを検出しない。このため、処理負荷の大きな増大を招くことなく意図しないONエッジの検出を防ぐことができる。これにより、遊技者の意図しないメダルのベットが実行されるのを防ぐことができる。
また、メイン制御基板200は、ベットボタン123の操作状態を示す情報が所定の条件に該当する場合にONエッジを検出するエッジ検出処理を、一定間隔毎に行うエッジ検出部211と、エッジ検出処理でONエッジが検出された場合に、遊技媒体のベットを行うベット設定部212と、エッジ検出処理で用いられる情報を制御する情報制御部213とを備え、エッジ検出部211は、前回のエッジ検出処理のときのベットボタン123の操作状態に基づいて決定され、現在の前記エッジ検出処理で用いられる入力前回状態と、現在のベットボタン123の操作状態に基づいて決定される入力現在状態とを比較し、入力前回状態が、ベットボタン123が非押下状態であることを示すOFF状態であり、かつ入力現在状態が、ベットボタンが押下状態であることを示すON状態である場合にONエッジを検出し、情報制御部213は、ベットボタン123が押下されている状態で電断から復帰した場合に、当該復帰後のエッジ検出処理で用いられる入力前回状態をON状態に設定することを特徴とする。このため、処理負荷の大きな増大を招くことなく、意図しないONエッジの検出を防ぐことができる。
なお、図17で示した更新処理は、1遊技の終了時(または1遊技の開始時)にも行われる。このため、ベットボタン123の操作が有効化される前から、ベットボタン123が押下操作されていた場合でも、当該押下操作に基づくメダルのベットは行われない。換言すると、ベットボタン123の押下操作が、ベットボタン123の操作が無効化されている期間に開始され、ベットボタン123が押下操作され続けた状態でベットボタン123の操作が有効化された状態になったとしても、当該押下操作に基づくメダルのベットは行われない。「ベットボタン123の操作が有効化された状態」とは、ベットボタン123の操作が有効化されるまでの時間が経過した状態のことをいう。
例えば、ベットボタン123の操作が無効化される期間であるメダルの払い出し期間中(メダル払出中)にベットボタン123の押下操作を開始し、そのままの状態でベットボタン123の操作が有効化された場合であっても(メダルの払出の処理が終了しても)、当該押下操作に基づくメダルのベットは行われない。
また、図17で示した更新処理は、エラーからの復帰時に実行されるようにしてもよい。この場合、ベットボタン123の操作が無効化される期間であるエラー期間中(エラー中)にベットボタン123の押下操作を開始し、そのままの状態でベットボタン123の操作が有効化された場合であっても(エラーが終了しても)(エラーが解除されても)、当該押下操作に基づくメダルのベットは行われない。
本実施の形態では、スロットマシン100として遊技媒体(メダル)を使用するものを示したが、スロットマシン100は、遊技媒体を使用せずに遊技を行うことが可能な遊技機(いわゆるメダルレス遊技機)であってもよい。このメダルレス遊技機では、メダル等の遊技媒体が、電子化された情報(電子情報)によって管理され、この電子情報によってベットや払い出しが行われる。すなわち、メダル等の遊技媒体を使用せずに遊技を行うことが可能である。本実施の形態では、メダル等の遊技媒体と、遊技媒体が電子化された電子情報とを含む概念を、遊技価値とする。
上述では、メダル払出中(当選役抽選で当選した当選役に対応する図柄組合せが有効ライン上に表示された場合)にベットボタン123が押下され、ベットボタン123が押下されている状態でメダル払出の処理が終了しても、当該押下に基づくメダルのベットは行われないとした。
ここで、精算処理について説明する。図12に示す前面扉112には、精算ボタン(精算操作部)152が設けられている。この精算ボタン152は、押下操作可能に形成されており、メダルを払い出す精算処理の実行に用いられる。精算ボタン152の操作に基づく精算処理では、ベットまたはクレジットのうちの少なくとも一方に設定されているメダルが払い出される。すなわち、本実施の形態における精算ボタン152の操作に基づく精算の対象は、クレジットに設定されているメダルのみならず、ベットに設定されているメダルも含む。ベットおよびクレジットの双方にメダルが設定されている場合の精算ボタン152の操作による精算パターンとしては、例えば2つのパターンがある。
1つ目のパターンは、1回の精算ボタン152の操作によってベットに設定されているメダルおよびクレジットに設定されているメダルの双方が一括して払い出される精算パターンである。
2つ目のパターンは、1回目の精算ボタン152の操作によってベットに設定されているメダルのみが払い出され、ベットに設定されているメダルの精算後の2回目の精算ボタン152の操作によってクレジットに設定されているメダルが払い出される精算パターンである。
本実施の形態では、メダル精算中(遊技価値精算中)にベットボタン123の押下を開始し、そのままの状態でメダルの精算の処理が終了しても、当該ベットボタン123の押下に基づくメダルのベットは行われない。すなわち、メイン制御基板200は、メダル精算中にベットボタン123が押下され、ベットボタン123が押下されている状態でメダルの精算の処理が終了しても、当該ベットボタン123の押下に基づくメダルのベットを行わないように制御する。これにより、メダル精算中にメダルがベットされるという、相反する煩雑な処理が実行されないようにすることができる。
「メダル精算中」とは、精算ボタン152の押下に基づき、ブロッカーが不許可位置に移動してから、精算処理が完了し、所定の期間経過後に、ブロッカーが許可位置に移動するまでの間(図3に示すP1およびP2の期間)をいう。なお、精算ボタン152の押下が開始されてから(またはブロッカーが不許可位置に移動してから)、精算の完了を報知する音声(精算完了音声)(例えば「精算しました」)の出力が終了するまでの間(図3に示すP1およびP3の期間)をメダル精算中としてもよい。また、精算完了音声の出力後、一定時間の無音期間を設け、その無音期間が経過するまでの間をメダル精算中としてもよい(図3に示すP1、P2およびP3の期間)。
また、メイン制御基板200は、精算ボタン152の押下中にベットボタン123が押下され、ベットボタン123が押下されている状態で精算ボタン152の押下が終了しても、当該ベットボタン123の押下に基づくメダルのベットを行わないように制御する。精算ボタン152の押下が終了するとは、精算ボタン152の押下が開放されることをいう。
「精算ボタン152の操作中」とは、精算ボタン152が押下されている間であるが、所定期間(1秒)経過前に精算ボタン152の押下を開放したことにより精算処理が開始されなかった場合と、精算処理の終了後も精算ボタン152を押下し続けた後に精算ボタン152の押下を開放した場合とを含む。これにより、メダルを精算しようという操作中にメダルがベットされるという、相反する煩雑な処理が実行されないようにできる。
ここで、メイン制御基板200が検出(検知)するエラーは、第1の実施の形態と同様に、逆流エラー、エンプティエラー、払出詰まりエラー、払出異常エラー、オーバーエラー、滞留エラー、バックアップエラー、ドア開放エラー、投入異常エラー、表示判定異常エラー、RAM異常エラー、設定値異常エラーがある。また、エラー解除操作としては、例えば、ドアキーシリンダ(図12の符号153)にドアキーを挿入し、ドアキーを反時計回りに回転させる(ひねる)という操作と、設定変更ボタンを押下するという操作とがある。
メイン制御基板200は、エラーを検出すると、エラーが発生した旨を示すコマンド(エラーコマンド)をサブ制御基板300に送信する。サブ制御基板300は、エラーコマンドをメイン制御基板200から受信すると、エラーの発生内容に対応する画像(エラー画面)を液晶ディスプレイDに表示する制御や、エラー発生に対応する警告音(エラー音)を、スピーカ114を介して出力する制御等を行う。
なお、メイン制御基板200が検出するエラーには、上述以外のエラーがあってもよい。本実施の形態では、ドア開放エラーを第1エラーとし、ドア開放エラー以外の所定のエラーを第2エラーとする。メイン制御基板200が検出可能なエラーには、第1エラーと第2エラーとを含む複数のエラーがある。
上述では、エラー中にベットボタン123の押下を開始し、そのままの状態でエラーが終了しても(エラーが解除されても)、当該ベットボタン123の押下に基づくメダルのベットは行われないとしたが、これをエラーが所定のエラーである場合に行うようにしてもよい。すなわち、メイン制御基板200は、第2エラー中にベットボタン123が押下され、ベットボタン123が押下されている状態で第2エラーが終了しても(第2エラーが解除されても)、当該ベットボタン123の押下に基づくメダルのベットを行わないように制御する。これにより、第2エラー中のベットボタン123の押下に基づいてメダルがベットされるのを防止できる。なお、メイン制御基板200は、第1エラー中にベットボタン123が押下され、ベットボタン123が押下されている状態で第1エラーが解消すると、当該ベットボタン123の押下に基づいてメダルのベットを行うように制御する。
また、エラー解除操作には、ドアキー操作(ドアキーシリンダにドアキーを挿入し、例えばドアキーを反時計回りに回転させる)がある。メイン制御基板200は、エラー中にベットボタン123が押下され、そのベットボタン123が押下されている状態でエラーが終了しても(エラーが解消されても)、当該ベットボタン123の押下に基づくメダルのベットを行わないが、エラーが発生した後そのエラーの解除を行うためのドアキー操作中にベットボタン123が押下されると、当該ベットボタン123の押下に基づくメダルのベットを行うように制御する。ドアキー操作中とは、ドアキーシリンダに挿入したドアキーを回転させる(ひねる)ことにより、ドアキーONが検出されている間をいう。これにより、ドアキーOFF(すなわち、ドアキーを反時計回りにひねる操作を終了した状態)を検知することなくベットが可能な遊技状態に移行できるので容量の削減に繋がる。
(第3の実施の形態)
次に、図面を参照しながら本発明の第3の実施の形態について説明する。
図22に示すように、本発明のスロットマシン(遊技機)10は、遊技者側を向く面である前面側が開口された箱状の筐体11と、当該筐体11の前面側開口を開閉する前面扉12とを備えている。筐体11には、回転自在な第1リール20a、第2リール20bおよび第3リール20cがユニット化されたリールユニットと、メダル(遊技価値)の払い出しを行うホッパー装置等が収納されている。また、前面扉12は、上扉12aと下扉12bとに分割されており、これら上扉12aおよび下扉12bはそれぞれ筐体11に対して開閉自在となっている。
上扉12aには、液晶ディスプレイ(表示手段)13、スピーカ14などの演出用の装置、および、表示窓16が設けられている。液晶ディスプレイ13は、各種演出用の画像(動画、静止画)を表示する。また、スピーカ14は、各種演出用の音(音楽、効果音、音声等)を出力する。なお、演出用の装置としては、液晶ディスプレイ13やスピーカ14の他にランプ(LED)などの電飾装置、アクチュエータ等で動作可能な可動役物などを設けても良い。
表示窓16の奥には、リールユニットが、その一部を表示窓16の外から視認可能に配置されている。各リール20a~20cの外周面には、複数種類の図柄が一列に配置されており、各リール20a~20cが停止すると表示窓16を通して1リール当たり3個の図柄(上段図柄、中段図柄、下段図柄)が表示される。また、表示窓16には、各リール20a~20cの図柄を視認するための表示位置として、上段、中段、下段が設けられており、各リール20a~20cの表示位置の組合せによって有効ラインが設定されている。なお、本実施形態の遊技機では、第1リール20aの中段と、第2リール20bの中段と、第3リール20cの上段とによって有効ラインが構成されている。また、本実施形態の遊技機では、1回の遊技に関して必要なメダルの数(規定枚数)が、3枚に設定されており、規定枚数のメダルが投入されると、有効ラインが有効化される。
スロットマシン10では、遊技開始に伴って各リール20a~20cが回転を開始するとともに内部抽選が実行されて当選役のいずれかの当選またはハズレ(不当選)が決定される。次いで、リール20a~20cが停止したときに、内部抽選で当選した当選役に対応する図柄組合せが有効ラインに表示されると、この当選役が入賞となり、入賞した当選役に対応する処理(入賞処理)が実行される。
表示窓16の下方には、遊技情報表示部17および有利区間表示器18が設けられている。遊技情報表示部17は、LED、ランプ、7セグメント表示器等からなり、メダルのクレジット数、1回の遊技におけるメダルの払出数あるいは獲得数、エラー情報等の各種遊技情報が表示される。また、有利区間表示器18はLEDを有しており、このLEDの点灯および消灯により、有利区間に滞在しているか否かが報知されるようになっている。
下扉12bには、メダルを投入するメダル投入口22、クレジットされたメダルをベットするためのベットボタン23、遊技を開始する際に操作されるスタートレバー(遊技開始操作手段)24、回転しているリールを停止させるためのストップボタン(停止操作手段)26a,26b,26c、ホッパー装置によりメダルを払い出す払い出し口27、払い出し口27から払い出されたメダルを受けるメダル受け皿28が設けられている。また、メダル投入口22の奥には、メダル投入口22から投入されたメダルの通過を検知するメダルセンサ29(図23参照)が設けられている。
スロットマシン10では、メダル投入口22にメダルが投入、または、ベットボタン23が操作され規定枚数のメダルがベットされることで、スタートレバー24の操作が有効化される。また、有効化されたスタートレバー24が操作されると遊技が開始される。遊技が開始されると、各リール20a~20cが回転を開始し、各リール20a~20cの回転速度が一定速度に到達して定常回転となるとストップボタン26a~26cの操作が有効化される。また、有効化されたストップボタン26a~26cが操作されると、操作されたストップボタン26a~26cに対応する各リール20a~20cを停止する。
図23に示すように、スロットマシン10の内部には、メイン制御基板(主制御装置)31と、サブ制御基板(副制御装置)32とが設けられている。メイン制御基板31は、ベットボタン23、スタートレバー24、ストップボタン26a~26c、メダルセンサ29等の入力手段からの入力信号を受けて、遊技を実行するための各種の演算を行い、演算結果に基づいてリールユニットや、ホッパー装置等の出力手段の制御を行う。また、サブ制御基板32は、メイン制御基板31から送られてくる信号を受けて、演出を実行するための各種の演算を行い、演算結果に基づいて液晶ディスプレイ13およびスピーカ14等の演出用の装置の制御を行う。
また、メイン制御基板31とサブ制御基板32とは電気的に接続されており、メイン制御基板31からサブ制御基板32へは遊技状態を示す情報など各種情報(信号)の送信が可能となっているが、サブ制御基板32からメイン制御基板31へは情報を送信できないようになっている。
また、メイン制御基板31やサブ制御基板32等の各基板の機能は、各種のプロセッサ(CPU、DSP等)、IC、あるいはROMやRAM等の情報記憶媒体等のハードウェアや、ROM等に予め記憶されている所定のプログラムからなるソフトウェアにより実現される。
メイン制御基板31は、投入受付手段40と、乱数発生手段41と、内部抽選を行って役の当否を決定する内部抽選手段42と、リールの回転を制御するリール制御手段43と、全てのリールが停止したときに当選役が入賞したか否かを判定する入賞判定手段44と、払出制御手段45と、リプレイ制御手段46と、設定変更手段47と、初期化手段48と、遊技状態制御手段49と、指示機能制御手段51と、演出メイン制御手段52と、記憶手段60と、を備えている。また、記憶手段60は、ROMとRAMとを備えている。
また、サブ制御基板32は、演出サブ制御手段70と、サブ側記憶手段72と、を備えている。また、サブ側記憶手段72は、ROMとRAMとを備えている。
また、演出メイン制御手段52と演出サブ制御手段70とによって、演出制御手段100が構成されている。演出メイン制御手段52は、遊技状態や演出状態等に基づき演出サブ制御手段70へ指示を出す。また、演出サブ制御手段70は、演出メイン制御手段52から送信される遊技状態、演出状態に関する情報、あるいは指示演出を行うか否かの情報に基づき、サブ側記憶手段72に記憶された演出用データを用いて、演出用の装置の制御を行う。なお、本実施形態において説明する演出メイン制御手段52で行う制御は、演出サブ制御手段70で行ってもよく、演出サブ制御手段70で行う制御は、演出メイン制御手段52で行ってもよい。また、本実施形態において説明する演出制御手段100で行う制御は、指示機能制御手段51で行ってもよく、指示機能制御手段51で行う制御は演出制御手段100で行っても良い。
投入受付手段40は、遊技ごとにメダルの投入を受け付けて、規定数のメダルが投入されたことに基づいて、スタートレバー24に対する遊技開始操作を有効化する処理を行う。具体的には、メダル投入口22にメダルが投入されると、メダルセンサ29がメダルを検知することに伴って、投入受付手段40が、規定数を限度として、投入されたメダルを投入状態(ベット状態)に設定する。また、投入受付手段40は、メダルがクレジットされた状態でベットボタン23が押下されると、規定数を限度として、クレジットされたメダルを投入状態に設定する。なお、本実施形態の遊技機では、規定数のメダルの投入に基づいて有効化されたスタートレバー24に対する最初の押下操作が、遊技開始操作として受け付けられ、当該操作を契機としてリール20a~20cの回転が開始されるとともに、内部抽選等の抽選が行われる。
また、投入受付手段40は、リプレイが入賞した遊技の次回の遊技では遊技者の所有するメダルを新たに投入状態に設定しないように制御する。具体的には、前回の遊技でリプレイが入賞した場合には、メダルの投入を受け付けている状態でメダル投入口22にメダルが投入されても投入されたメダルを投入状態に設定することなく、クレジット上限数(例えば、50枚)を限度として、投入されたメダルをクレジットする。また、メダルの投入を受け付けている状態においてベットボタン23に対する操作を受け付けないようにして、ベットボタン23が押下されてもクレジットされたメダルを投入状態に設定しないようにする。
乱数発生手段41は、抽選用の乱数値を発生させるものである。乱数値は、例えばインクリメントカウンタ(所定のカウント範囲を循環するように数値をカウントするカウンタ)のカウント値に基づいて発生させることができる。なお、本実施形態において、「乱数」には、数学的な意味でランダムに発生する値のみならず、発生自体は規則的であっても、その取得タイミング等が不規則であるために実質的に乱数として機能しうる値も含まれる。
内部抽選手段42は、有効化されたスタートレバー24が操作されたこと(すなわち、遊技開始)に基づいて内部抽選テーブルを用いた内部抽選を行う。
内部抽選テーブルは、複数の乱数(例えば、0~65535の65536個の乱数)のそれぞれに対して、小役、リプレイおよびボーナスを含む各種の当選役やハズレ(不当選)が対応付けられたものであり、記憶手段60のROMに設けられた内部抽選テーブル記憶領域61に複数格納されている。本実施形態の遊技機では、後述するように、遊技状態として、一般中状態、RBB内部中状態、RBB作動中の一般中状態、RBB作動中のRB内部中状態およびRBB作動中のRB作動中状態が設定可能とされ、設定値として、設定1~設定6までの6つの設定値が設定可能とされており、内部抽選手段42は、遊技状態および設定値に応じて内部抽選テーブルを選択して内部抽選を行う。
なお、小役とは、入賞することにより、入賞した小役に応じた所定枚数のメダルの払い出しを受けることができる役である。また、リプレイとは、入賞することにより、メダルを新たに消費することなく、再度遊技を行うことができる役である。リプレイが入賞すると、遊技者のメダルを使うことなくスタートレバー24の操作が有効化され、スタートレバー24の操作により遊技を開始することが可能な状態となる。
内部抽選では、乱数発生手段41から抽選用の乱数値を取得し、この乱数値を内部抽選テーブルに照合して当選役に当選したか否かを判定し、当該乱数値に対応付けられた当選役が当選となる。具体的には、内部抽選テーブルには、図24に示すような複数の当選エリアが設けられており、乱数発生手段41から取得される乱数値のそれぞれがいずれかの当選エリアに対応付けられている。また、当選エリアには、1または複数の当選役が含まれる(当選役が対応付けられた)当選エリアと、いずれの当選役も含まれない(ハズレが対応付けられた)当選エリアとがある。また、各当選エリア同士は、含まれる当選役の組み合わせが異なっている。そして、乱数発生手段41から取得された乱数値に対応付けられた当選エリアに属する全ての当選役が、内部抽選の結果として当選となるようになっている。以下では、内部抽選において、当選エリアに属する役が当選することを「当選エリアが当選」ともいうこととする。また、いずれの役にも当選しない場合を「当選エリア「不当選」が当選」ともいうこととする。
図24に示すように、本実施形態の遊技機では、小役として、小役1~小役39が用意されている。また、小役が含まれる当選エリアとして「10枚ALL」、「1枚ALL」、「打順ベル1A」~「打順ベル6A」、「打順ベル1B」~「打順ベル6B」、「打順ベル1C」~「打順ベル6C」および「打順ベル1D」~「打順ベル6D」が用意されている。また、小役1~小役6は入賞すると10枚のメダルが払い出される10枚役(特定役の一例)となっており、小役7~小役39は入賞すると1枚のメダルが払い出される1枚役となっている。
なお、以下では、当選エリア「打順ベル1A」~「打順ベル6A」を打順ベルAといい、当選エリア「打順ベル1B」~「打順ベル6B」を打順ベルBといい、当選エリア「打順ベル1C」~「打順ベル6C」を打順ベルCといい、当選エリア「打順ベル1D」~「打順ベル6D」を打順ベルDといい、打順ベルA、B、C、Dをまとめて打順ベルということとする。
当選エリア「10枚ALL」は、全ての10枚役(小役1~小役6)と複数の1枚役(小役8~39)とが重複して当選する当選エリアとなっている。また、当選エリア「1枚ALL」は、全ての1枚役(小役7~小役39)が重複して当選する当選エリアとなっている。また、当選エリア「打順ベル1A~6A」、「打順ベル1B」~「打順ベル6B」、「打順ベル1C」~「打順ベル6C」、「打順ベル1D」~「打順ベル6D」は、10枚役のうちいずれか1種類と、1枚役とが重複して当選する当選エリアとなっている。
また、本実施形態の遊技機では、リプレイとして、リプレイ1~リプレイ16が用意されている。また、リプレイが含まれる当選エリアとして「リプレイ1」~「リプレイ4」、「弱チェリー1」、「弱チェリー2」、「強チェリー」、「チャンス目」、「スイカ」および「スイカハズレ」が用意されている。
当選エリア「リプレイ1」~「リプレイ4」、「弱チェリー1」、「弱チェリー2」、「強チェリー」、「チャンス目」、「スイカ」および「スイカハズレ」は、複数のリプレイが重複して当選する当選エリアとなっている。
また、本実施形態の遊技機では、ボーナスとして、ビッグボーナス(RBB:特別役の一例)とレギュラーボーナス(RB:シフト役の一例)(第1レギュラーボーナス(RB1)~第4レギュラーボーナス(RB4))が用意されている。また、ボーナスが対応付けられた当選エリアとして、ビックボーナス(RBB)が単独で当選する当選エリア「RBB」と、第1レギュラーボーナス(RB1)~第4レギュラーボーナス(RB4)がそれぞれ単独で当選する当選エリア「RB1」~「RB4」とが設けられている。
なお、本実施形態の遊技機では、ビッグボーナス(RBB)としていわゆる第一種特別役物に係る役物連続作動装置を想定しており、レギュラーボーナス(RB)としていわゆる第一種特別役物を想定しているが、これ以外のボーナスを用いてもよい。また、他のボーナスも併せて搭載することとしてもよい。また、搭載するボーナスは、それぞれ単独で当選するように設定されていてもよく、リプレイや小役と重複して当選するように設定されていても良い。
また、ハズレが対応付けられた当選エリアとして「不当選」が用意されている。
各当選エリアは、遊技状態に応じて当選する場合としない場合とが設定されている。換言すると、内部抽選手段42は、遊技状態に応じて内部抽選テーブルを選択して内部抽選を行うようになっており、これにより当選し得る役が変化するようになっている。さらに換言すると、各遊技状態においては、各遊技状態において当選し得る当選エリアが抽選対象に含まれる内部抽選テーブルを用いて内部抽選が行われる。各内部抽選テーブルでは、各当選エリアについて値数(置数ともいう)が定められている。ここで、値数とは乱数値の全範囲(例えば、65535)に対して当選となる範囲を示す数値である。換言すると、値数とは、各当選エリアに対応付けられている乱数の数を示すものである。例えば、図24に示すように、一般中状態における当選エリア「打順ベル1A」の値数は、3082となっており、当選エリア「打順ベル1A」に約4.7%(=3082/65536)の確率で当選することがわかる。
各遊技状態において値数が割り当てられている各当選エリア(値数が1以上である当選エリア)は、その遊技状態において当選し得る当選エリアである。すなわち、当選エリア「不当選」は、遊技状態がRBB内部中状態の場合に当選し、それ以外の遊技状態では当選しないようになっている。また、当選エリア「10枚ALL」および「1枚ALL」は、遊技状態がRBB作動中のRB作動中状態の場合に当選し、それ以外の遊技状態では当選しないようになっている。また、当選エリア「打順ベル1A」~「打順ベル6A」、「打順ベル1B」~「打順ベル6B」、「打順ベル1C」~「打順ベル6C」および「打順ベル1D」~「打順ベル6D」は、遊技状態が一般中状態、RBB内部中状態、RBB作動中の一般中状態またはRBB作動中のRB内部中状態の場合に当選し、RBB作動中のRB作動中状態では当選しないようになっている。また、当選エリア「リプレイ1」~「リプレイ4」は、遊技状態が一般中状態、RBB内部中状態またはRBB作動中のRB内部中状態の場合に当選し、RBB作動中の一般中状態またはRBB作動中のRB作動中状態では当選しないようになっている。また、当選エリア「弱チェリー1」、「弱チェリー2」、「強チェリー」、「チャンス目」、「スイカ」および「スイカハズレ」は、遊技状態が一般中状態またはRBB内部中状態の場合に当選し、RBB作動中状態では当選しないようになっている。また、当選エリア「RB1」~「RB4」は、遊技状態がRBB作動中の一般中状態の場合に当選し、それ以外の遊技状態では当選しないようになっている。また、当選エリア「RBB」は、遊技状態が一般中状態の場合に当選し、それ以外の遊技状態では当選しないようになっている。
また、一般中状態、RBB内部中状態、RBB作動中の一般中状態およびRBB作動中のRB内部中状態において、当選エリア「打順ベル1A」~「打順ベル6A」または「打順ベル1B」~「打順ベル6B」のそれぞれの値数は、3082であるのに対し、当選エリア「打順ベル1C」~「打順ベル6C」または「打順ベル1D」~「打順ベル6D」のそれぞれの値数は、490となっている。換言すると、これらの各遊技状態において、打順ベルAと打順ベルBとの値数の合計値(3082×12=36984)は、打順ベルCと打順ベルDとの値数の合計値(490×12=5880)よりも大きくなっている。さらに換言すると、これらの各遊技状態において、打順ベルAまたは打順ベルBのいずれかに当選する確率(36984/65536=56.4%)は、打順ベルCまたは打順ベルDのいずれかに当選する確率(5880/65536=9.0%)よりも大きくなっている。
また、RBB作動中の一般中状態における当選エリア「RB1」~「RB4」のそれぞれの値数は5668であるのに対し、RBB作動中のRB内部中状態における当選エリア「リプレイ1」~「リプレイ4」のそれぞれの値数は5668となっている。換言すると、RBB作動中の一般中状態における当選エリア「RB1」~「RB4」の値数の合計値(5668×4=22672)は、RBB作動中のRB内部中状態における当選エリア「リプレイ1」~「リプレイ4」の値数の合計値(5668×4=22672)と等しくなっている。さらに換言すると、RBB作動中の一般中状態において、当選エリア「RB1」~「RB4」のいずれかに当選する確率(22672/65536=34.6%)は、RBB作動中のRB内部中状態において、当選エリア「リプレイ1」~「リプレイ4」のいずれかに当選する確率(22672/65536=34.6%)と等しくなっている。すなわち、RBB作動中の一般中状態においてレギュラーボーナス(RB)に当選する確率は、RBB作動中のRB内部中状態においてリプレイに当選する確率と等しくなっている。なお、本実施形態の遊技機では、一般中状態とRBB内部中状態とでリプレイの当選確率が同一となっている。また、RBB作動中状態の一般中状態ではリプレイに当選しないようになっている。また、RBB作動中のRB内部中状態は、他の遊技状態に比べ、リプレイの当選確率が高くなっている。
各当選エリアには、それぞれに異なる当選エリア番号が付されている。そして、当選エリア番号によって各当選エリアが識別可能となっている。
内部抽選手段42は、内部抽選の結果当選した役に対応する当選フラグを非当選状態(オフ状態)から当選状態(オン状態)に設定する。また、複数の当選役が重複して当選した場合には、重複して当選したそれぞれの役に対応する当選フラグを非当選状態から当選状態に設定する。また、当選フラグの設定情報は、記憶手段60のRAMに設けられた当選フラグ記憶領域62に格納される。
また、当選フラグには、入賞するまで次回以降の遊技に当選状態を持ち越し可能な当選フラグ(持越可能フラグ)と、入賞の如何に関わらず次回以降の遊技に当選状態が持ち越されず、非当選状態にリセットされる当選フラグ(持越不可フラグ)とがある。持越可能フラグが対応づけられる役としては、ボーナス(ビッグボーナス(RBB)およびレギュラーボーナス(RB))がある。また、持越不可フラグが対応づけられる役としては、小役、およびリプレイがある。例えば、内部抽選手段42は、内部抽選でボーナスに当選すると、ボーナスの当選フラグの当選状態を、ボーナスが入賞するまで持ち越す処理を行う。このとき内部抽選手段42は、ボーナスの当選フラグの当選状態が持ち越されている遊技でも、小役およびリプレイについての当否を決定する内部抽選を行っている。すなわち、ボーナスの当選フラグの当選状態が持ち越されている遊技において、小役やリプレイが当選した場合には、既に当選しているボーナスの当選フラグと内部抽選で当選した小役やリプレイの当選フラグとの、2種類以上の役に対応する当選フラグを当選状態に設定する。
また、スロットマシン10は、設定1~設定6までの6つの設定値について、設定値の違いによって、役の当選確率が異なるようになっている。具体的には、設定が変わると、遊技状態に応じて選択される複数の内部抽選テーブルからなる内部抽選テーブル群が、各設定に対応付けられた内部抽選テーブル群に変更されるようになっており、設定によって小役、リプレイ、ボーナスの当選確率が異なる内部抽選テーブル群に変わるようになっている。
設定変更手段47は、記憶手段60のRAMに設けられた設定値記憶領域63に記憶されている設定値を変更する制御を行う。具体的には、スロットマシン10の内部に設けられた設定変更キーシリンダに設定変更キーが挿入され、設定変更キー(設定変更キーシリンダ)が初期位置から時計回りに90度回された状態でスロットマシン10の電源が投入されると、設定変更手段47は、スロットマシン10を設定変更モードで起動する。設定値は、設定1~設定6までの6段階の設定値の中から選択できるようになっており、設定1から設定6に向かって順番に出玉率の期待値が高くなるように内部抽選の当選確率が変動するようになっている。設定変更手段47は、設定変更モードにおいてスロットマシン10の内部に設けられた設定変更ボタンが押下される毎に、設定1→設定2→・・・設定6→設定1→・・・の順序で設定値を変更し、スタートレバー24が押下されると、設定値を確定させて、確定された設定値を設定値記憶領域63に記憶させる。また、設定変更キーシリンダに挿入された設定変更キーを初期位置に戻すことによって設定変更モードから遊技モードへ移行させることができるようになっている。
なお、本実施形態では、設定1<設定2<設定3<設定4<設定5<設定6の順で設定値の高低を表現する。
また、設定変更キーシリンダが初期位置にある状態で電源が投入されると、スロットマシン10を遊技モードで起動する。本実施形態の遊技機では、遊技モードでは遊技を行うことができるが、設定値の変更を行うことはできず、設定変更モードでは設定値の変更を行うことはできるが、遊技を行うことはできないようになっている。
初期化手段48は、設定値が変更されると記憶手段60のRAMに記憶されている情報の少なくとも一部を初期化する初期化処理を行う。具体的には、設定値が変更されると初期化手段48は、後述する遊技状態、遊技区間および演出状態を初期状態に戻す処理を行う。すなわち、設定値が変更されると、遊技状態が一般中状態となり、遊技区間が非有利区間となり、演出状態が通常演出状態となり、これらの状態が工場出荷後最初に電源を入れたときと同様の状態となる。また、初期化手段48は、初期化処理において、他にも記憶手段60のRAMに記憶された演出に関する情報等を初期化する。また、サブ制御基板32も初期化手段(図示せず)を備えており、設定値が変更されたことを知らせる信号がメイン制御基板31から送信されると、サブ制御基板32の初期化手段はサブ側記憶手段51のRAMに記憶された演出に関する情報を初期化する。
なお、設定値が変更されても、遊技状態や遊技区間や演出状態が初期状態に戻らないようにしてもよい。
リール制御手段43は、メイン制御基板31による制御のもと有効化されたスタートレバー24が操作されたこと(すなわち、遊技開始)に伴って各リール20a~20cの回転を開始させるとともに、有効化されたストップボタン26a~26cが操作されると、操作されたストップボタンに対応するリールの停止制御を行う。
すなわち、リール制御手段43は、ストップボタン26a~26cの各ボタンが操作される毎に、第1リール20a~第3リール20cのうち、操作されたボタンに対応するリールの停止位置を決定して、決定された停止位置でリールを停止させる制御を行う。スロットマシン10では、ストップボタン26aが操作されると、第1リール20aの回転が停止され、ストップボタン26bが操作されると、第2リール20bの回転が停止され、ストップボタン26cが操作されると、第3リール20cの回転が停止される。したがって、ストップボタン26a~26cの操作順序(打順)によって、第1リール20a~第3リール20cの停止順序が変化する。
なお、以下では、停止操作の順序(ストップボタン26a~26cの操作順序)について、ストップボタン26a~26cのうちの全てのストップボタンを操作する1まとまりの停止操作の順序を「打順」とする。また打順を構成する各停止操作のうち、最初に行う停止操作を「第1停止操作」、2番目に行う停止操作を「第2停止操作」、3番目に行う停止操作を「第3停止操作」とする。
また、以下では、第1リール20a、第2リール20b、第3リール20cの順に回転リールを停止させるストップボタン26a、26b、26cの操作を「打順1」とし、第1リール20a、第3リール20c、第2リール20bの順に回転リールを停止させるストップボタン26a、26b、26cの操作を「打順2」とし、第2リール20b、第1リール20a、第3リール20cの順に回転リールを停止させるストップボタン26a、26b、26cの操作を「打順3」とし、第2リール20b、第3リール20c、第1リール20aの順に回転リールを停止させるストップボタン26a、26b、26cの操作を「打順4」とし、第3リール20c、第1リール20a、第2リール20bの順に回転リールを停止させるストップボタン26a、26b、26cの操作を「打順5」とし、第3リール20c、第2リール20b、第1リール20aの順に回転リールを停止させるストップボタン26a、26b、26cの操作を「打順6」とする。
ストップボタン26a~26cが操作された際の停止制御において、リール制御手段43は、当選フラグが当選状態に設定されている当選役が入賞するように、各リール20a~20cを停止させる。具体的には、1つの当選役の当選フラグが当選状態に設定されている状態では、この当選役が入賞するように各リール20a~20cの停止制御を行う。また、複数の当選役の当選フラグが重複して当選状態に設定されている状態では、役毎に定められた優先順位に従って、所定の当選役が入賞するように、各リール20a~20cを停止させる。本実施形態の遊技機においては、当該優先順位は、「リプレイ>小役>ボーナス」の順序で定められている。そして、リール制御手段43は、優先順位の高い役の入賞形態を構成する図柄が、優先順位が低い役の入賞形態を構成する図柄に優先して有効ライン上に表示されるように、リール20a~20cを停止させる。
本実施形態の遊技機では、ビッグボーナス(RBB)の当選フラグが当選状態に設定されている状況において、内部抽選で当選エリア「不当選」が当選した場合、リール制御手段43は、ビッグボーナス(RBB)の入賞形態を構成する図柄が優先して有効ライン上に表示されるように停止制御を行う。したがって、ビッグボーナス(RBB)の当選フラグが当選状態に設定されている状況において、当選エリア「不当選」が当選すると、ビッグボーナス(RBB)の入賞形態を示す図柄組合せを有効ライン上に表示させることが可能となっている。
また、内部抽選で複数種類の小役が当選した場合における停止位置の候補についての優先順位は、有効ライン上に表示可能な図柄組合せの数に応じて優先順位を求める場合と、小役について予め定められている配当に基づくメダルの払出数に応じて優先順位を求める場合とが存在する。有効ライン上に表示可能な図柄組合せの数に応じて停止位置の候補についての優先順位を求める場合には、有効ライン上に表示可能な入賞形態を示す図柄組合せの数が多くなる停止位置ほど優先順位が高くなるように各停止位置の候補についての優先順位を求める。メダルの払出数に応じて停止位置の候補についての優先順位を求める場合には、有効ライン上の表示位置に表示されている図柄に対応する小役の配当に基づくメダルの払出数が多くなる停止位置(配当が多い小役を入賞させることができる停止位置)ほど優先順位が高くなるように各停止位置の候補についての優先順位を求める。ただし、メダルの払出数に応じて停止位置の候補についての優先順位を求める場合に、配当が同一の小役が重複して当選した場合には、それぞれの小役を入賞させることができる停止位置の候補についての優先順位はそれぞれ同一のものとして扱われる。
打順ベルには、それぞれ正解打順と不正解打順とが設定されている。具体的には、図25に示すように、いずれかの打順ベルが当選した場合に、正解打順で操作がされると10枚役が入賞し、不正解打順で操作がされると1枚役が入賞し得る(10枚役が入賞しない)ようになっている。なお、図25における括弧書きの内容は、その打順で停止操作が行われた場合における、1枚役の入賞率を示している。例えば、「1枚役(1/4)」という表記は、停止操作のタイミングがランダムであることを前提として、1/4の確率で1枚役が入賞し、3/4の確率で1枚役を取りこぼす(1枚役が入賞しない)ことを示している。また、括弧書きがされていない部分に関しては、停止操作のタイミングに関らず必ず表記されている役(10枚役あるいは1枚役)が入賞するようになっている。例えば、一般中状態において当選エリア「打順ベル1A」に当選した場合、打順1で停止操作がされると10枚役が入賞し、打順2で停止操作がされると1枚役が入賞し、打順3~6のいずれかで停止操作がされると、1/4の確率で1枚役が入賞し3/4の確率で1役を取りこぼすようになっている。
そして、いずれかの打順ベルが当選した場合に、正解打順でストップボタン26a~26cが押下されると、小役1~6を入賞させることができる停止位置の候補の優先順位が最も高くなるように優先順位が求められ、不正解打順でストップボタン26a~26cが押下されると、小役8~小役39を入賞させることができる停止位置の候補の優先順位が最も高くなるように優先順位が求められる。
なお、打順ベルに当選し、不正解打順で停止操作がされた場合であって、1枚役を取りこぼすタイミングで停止操作がされた場合に、ビッグボーナス(RBB)の当選フラグが当選状態に設定されていれば、ビッグボーナス(RBB)が入賞し得るようになっていてもよい。
また、打順ベルは、遊技状態に応じて正解打順が変化するものと、変化しないものとが存在する。具体的には、打順ベルAおよび打順ベルBは、遊技状態に関わらず、正解打順は1通り(1種類)に定められており、他の5通り(5種類)の打順は不正解打順とされている。また、打順ベルAのそれぞれは、互いに異なる打順が正解打順に設定されており、打順Bのそれぞれは、互いに異なる打順が正解打順に設定されている。
一方、打順ベルCおよび打順ベルDは、遊技状態に応じて正解打順の個数が変化するようになっている。具体的には、打順ベルCおよび打順ベルDは、遊技状態が一般中状態、RBB内部中状態またはRBB作動中の一般中状態である場合には、正解打順は1通りに定められており、他の5通りの打順は不正解打順とされている。また、遊技状態が一般中状態、RBB内部中状態またはRBB作動中の一般中状態である場合には、打順ベルCのそれぞれは、互いに異なる打順が正解打順に設定されており、打順Dのそれぞれは、互いに異なる打順が正解打順に設定されている。また、打順ベルCおよび打順ベルDは、遊技状態がRBB作動中のRB内部中状態である場合には、6通りの打順全てが正解打順に定められている。換言すると、打順ベルCおよび打順ベルDは、遊技状態が特定の遊技状態(RBB作動中のRB内部中状態)である場合には、他の遊技状態に比べて、正解打順の個数が多くなっている。さらに換言すると、特定の遊技状態においては、正解打順と不正解打順との区別が無くなっている。
すなわち、一般中状態、RBB内部中状態およびRBB作動中の一般中状態においては、打順ベルA、打順ベルB、打順ベルCおよび打順ベルDは、いずれも6択(1/6の確率)で10枚役が払い出される当選エリアとなっているが、RBB作動中のRB内部中状態においては、打順ベルAおよび打順ベルBは、6択(1/6の確率)で10枚役が払い出される当選エリアとなっている一方、打順ベルCおよび打順ベルDは、100%の確率で10枚役が払い出される当選エリアとなっている。
入賞判定手段44は、リール20a~20cの回転が停止されると作動され、リール20a~20cの停止態様に基づいて、役が入賞したか否かを判定する。具体的には、リール20a~20cが停止することによって有効ライン上に表示(停止表示)された図柄組合せを、記憶手段60のROMに記憶されている入賞判定テーブルに照合する。入賞判定テーブルには、各当選役のそれぞれの入賞形態(停止表示された場合に入賞となる図柄組合せ)が記憶されており、前述した照合により、入賞の有無や入賞した当選役の種類が判明する。メイン制御基板31は、当選役が入賞した場合、入賞した当選役に対応する入賞処理を実行する。入賞処理としては、具体的には、小役が入賞した場合には払出処理を行い、リプレイが入賞した場合にはリプレイ処理(再遊技処理)を行い、ボーナスが入賞した場合には遊技状態を移行させる処理(遊技状態移行制御処理)を行う。
ここで、払出処理は、小役が入賞した場合に、役毎に定められている配当に基づいて決定された枚数のメダルを払い出す処理であり、払出制御手段45が行う。払出制御手段45は、小役が入賞した場合に、役毎に定められている配当に基づいてメダルの払出数を決定し、決定された払出数のメダルをホッパー装置に払い出させる。なお、クレジットが許可されている場合には、ホッパー装置によって実際にメダルを払い出す代わりに、記憶手段60のRAMに設けられたクレジット記憶領域に記憶されているクレジット数(クレジットされたメダルの数)に対して、払出数を加算するクレジット加算処理を行って、仮想的にメダルを払い出す。
本実施形態の遊技機では、小役1~小役6に入賞すると10枚のメダルが払い出され、小役7~小役39に入賞すると1枚のメダルが払い出されるようになっている。
また、リプレイ処理は、リプレイが入賞した場合に、次回の遊技に関して遊技者の所有するメダルの投入を要さずに前回の遊技と同じ遊技開始待機状態に設定する処理であり、リプレイ制御手段46が行う。リプレイが入賞した場合には、前回の遊技(当該リプレイが入賞した遊技)において投入状態に設定された枚数と同じ枚数分のメダルを、遊技者の手持ちのメダル(クレジットされたメダルを含む)を使わずに自動的に投入する自動投入処理が行われ、自動投入処理によって投入されたメダルの数に対応する有効ラインを設定した状態で次回のスタートレバー24に対する遊技開始操作を待機する。また、自動投入処理が行なわれた場合、メダルを追加投入することはできないようになっている。
遊技状態制御手段49は、図26に示すように、一般中状態(通常状態の一例)、RBB内部中状態(ボーナス成立状態)およびRBB作動中状態(ボーナス状態:特別状態の一例)の間で遊技状態を移行させる遊技状態移行制御処理を行う。遊技状態の移行条件は、1の条件が定められていてもよいし、複数の条件が定められていてもよい。複数の条件が定められている場合には、複数の予め定められた条件のうち1の条件が成立したことに基づいて遊技状態を移行させてもよく、複数の予め定められた条件の複数あるいは全てが成立したことに基づいて、遊技状態を移行させてもよい。
遊技状態は、初期状態においては、一般中状態となっている。一般中状態においては、打順ベル、当選エリア「リプレイ1」~「リプレイ4」、「弱チェリー1」、「弱チェリー2」、「強チェリー」、「チャンス目」、「スイカ」、「スイカハズレ」および「RBB」が抽選対象に設定された内部抽選テーブルを参照して内部抽選が行われる。また、一般中状態からはRBB内部中状態への移行が可能となっている。遊技状態制御手段49は、一般中状態においてビッグボーナス(RBB)が当選した場合に、遊技状態をRBB内部中状態へ移行させる。
RBB内部中状態は、内部抽選でビッグボーナス(RBB)に当選したことを契機として移行する遊技状態である。RBB内部中状態では、当選エリア「不当選」、打順ベル、当選エリア「リプレイ1」~「リプレイ4」、「弱チェリー1」、「弱チェリー2」、「強チェリー」、「チャンス目」、「スイカ」および「スイカハズレ」が抽選対象に設定された内部抽選テーブルを参照して内部抽選が行われる。換言すると、RBB内部中状態では、ビッグボーナス(RBB)が抽選対象から除外された内部抽選テーブルを参照して内部抽選が行われる。また、RBB内部中状態では、ビッグボーナス(RBB)が入賞するまでビッグボーナス(RBB)に対応する当選フラグが当選状態に維持され、ビッグボーナス(RBB)の入賞形態を示す図柄組合せが有効ライン上に表示されると、遊技状態制御手段49は、遊技状態をRBB内部中状態からRBB作動中状態へ移行させる。
RBB作動中状態は、ビッグボーナス(RBB)の入賞形態を示す図柄組合せが有効ライン上に表示されたことを契機として移行する遊技状態である。RBB作動中状態では、ビッグボーナス(RBB)が抽選対象から除外された内部抽選テーブルを参照して内部抽選が行われる。遊技状態制御手段49は、図26に示すように、RBB作動中状態において、RBB作動中の一般中状態(第1遊技状態の一例)、RBB作動中のRB内部中状態(第2遊技状態の一例)およびRBB作動中のRB作動中状態(第3遊技状態の一例)の間で遊技状態を移行させる処理を行う。
RBB作動中の一般中状態は、ビッグボーナス(RBB)の入賞によってRBB作動中状態が開始される際に設定される遊技状態となっている。RBB作動中の一般中状態においては、打順ベルおよび当選エリア「RB1」~「RB4」が抽選対象に設定された内部抽選テーブルを参照して内部抽選が行われる。また、RBB作動中の一般中状態からはRBB作動中のRB内部中状態への移行が可能となっている。遊技状態制御手段49は、RBB作動中の一般中状態において第1レギュラーボーナス(RB1)~第4レギュラーボーナス(RB4)のいずれかが当選した場合に、遊技状態をRBB作動中のRB内部中状態へ移行させる。
RBB作動中のRB内部中状態は、RBB作動中状態における内部抽選でレギュラーボーナス(RB)に当選したことを契機として移行する遊技状態である。RBB作動中のRB内部中状態では、打順ベルおよび当選エリア「リプレイ1」~「リプレイ4」が抽選対象に設定された内部抽選テーブルを参照して内部抽選が行われる。換言すると、RBB作動中のRB内部中状態では、レギュラーボーナス(RB)が抽選対象から除外された内部抽選テーブルを参照して内部抽選が行われる。また、RBB作動中のRB内部中状態では、レギュラーボーナス(RB)が入賞するまでレギュラーボーナス(RB)に対応する当選フラグが当選状態に維持され、レギュラーボーナス(RB)の入賞形態を示す図柄組合せが有効ライン上に表示されると、遊技状態制御手段49は、遊技状態をRBB作動中のRB内部中状態からRBB作動中のRB作動中状態へ移行させる。
RBB作動中のRB作動中状態は、RBB作動中状態においてレギュラーボーナス(RB)の入賞形態を示す図柄組合せが有効ライン上に表示されたことを契機として移行する遊技状態である。RBB作動中のRB作動中状態では、当選エリア「10枚ALL」および「1枚ALL」が抽選対象に設定された内部抽選テーブルを参照して内部抽選が行われる。換言すると、RBB作動中のRB作動中状態では、レギュラーボーナス(RB)が抽選対象から除外された内部抽選テーブルを参照して内部抽選が行われる。
また、RBB作動中のRB作動中状態では、小役の入賞回数と遊技回数とによってRB作動中状態の終了条件が成立したか否かが判断される。具体的には、小役の入賞回数が8回に達するか、遊技回数が12回に達するとRB作動中状態の終了条件が成立したと判断される。遊技状態制御手段49は、RB作動中状態の終了条件が成立した際にRBB作動中状態の終了条件が成立していなければ、遊技状態をRBB作動中のRB作動中状態からRBB作動中の一般中状態へ移行させる。
またRBB作動中状態では、RBB作動中状態での遊技によって払い出されたメダルの合計数により終了条件が成立したか否かを判断し、予め定められた所定枚数(例えば、200枚)を超えるメダルが払い出されると、遊技状態制御手段49は、RBB作動中状態を終了させて、遊技状態を一般中状態へ復帰させる制御を行う。なお本実施形態では、RBB作動中状態における払出数についてのカウント情報は記憶手段60に記憶される。また本実施形態では、RBB作動中状態の終了時においてレギュラーボーナス(RB)の当選フラグが当選状態に設定されていても、RBB作動中状態の終了に伴ってレギュラーボーナス(RB)の当選フラグは非当選状態にリセットされる。
指示機能制御手段51は、遊技区間制御手段80と、演出状態制御手段81と、特典付与手段82とを備えている。指示機能制御手段51は、有利区間において所定の役の入賞を補助する指示機能の作動に係る処理を行う。具体的には、指示機能制御手段51は、所定の役が当選した場合に、この役の入賞を補助する指示演出を行うか否かを決定する。より具体的には、指示機能制御手段51は、打順ベルが当選した場合に、正解打順を報知して10枚役の入賞を補助する指示演出(打順ナビ演出)を行うか否かを決定する。そして、この決定に基づいて、演出制御手段100が、打順ナビ演出を液晶ディスプレイ13に実行させるようになっている。
遊技区間制御手段80は、図27に示すように、遊技の進行状況に応じて、非有利区間と有利区間との間で遊技区間を移行させる遊技区間移行制御処理を行う。非有利区間は、複数種類の遊技区間の中で初期状態に相当する遊技区間となっている。非有利区間においては、特典付与手段82が有利区間移行抽選を行い、有利区間移行抽選に当選すると、遊技区間制御手段80が遊技区間を有利区間へ移行させる。また、有利区間は、遊技を行うことが可能な回数に上限値(ここでは、1500回とする)が設けられた遊技区間となっている。また、遊技区間が非有利区間に設定されている状態では指示演出を行うことができず、有利区間に設定されている場合に限り指示演出を行うことができるようになっている。遊技区間制御手段80は、有利区間において遊技を行った回数が上限値である1500回に達すると有利区間を終了させ、遊技区間を非有利区間へ移行させる。
特典付与手段82は、非有利区間においては、所定契機で有利区間への移行の可否を決定する抽選(有利区間移行抽選)を行う。具体的には、特典付与手段82は、所定の役(例えば、当選エリア「スイカ」、「弱チェリー1」、「弱チェリー2」、「強チェリー」、「チャンス目」等:以下、これらの当選エリアをレア役と呼ぶ)の当選に基づいて、有利区間への移行の可否を決定する抽選(有利区間移行抽選)を行う。そして、有利区間移行抽選に当選すると、遊技区間制御手段80は、遊技区間を非有利区間から有利区間へ移行させる。
また、遊技区間制御手段80は、有利区間において1回の遊技が行われる毎に、スタートレバー24に対する遊技開始操作を契機として、記憶手段60のRAMに設けられた有利区間遊技数カウンタ65の記憶値に一回分の遊技に相当する値として「1」を加算するインクリメント処理を行う。なお、遊技区間制御手段80は、非有利区間においては、有利区間遊技数カウンタ65への加算を行わない。また、非有利区間から有利区間へ移行した時点においては、有利区間遊技数カウンタ65の記憶値は「0」となっている。そして、遊技区間制御手段80は、有利区間遊技数カウンタ65の記憶値がしきい値(上限値)「1500」に達すると、有利区間の終了条件が成立したとして、遊技区間を有利区間から非有利区間へ移行させる。すなわち、有利区間における遊技回数は、上限値が1500回に設定されており、有利区間において1500回を超える遊技が連続して行なわれないようになっている。
また、遊技区間制御手段80は、有利区間において、記憶手段60のRAMに設けられた差枚数カウンタ64の記憶値をメダルの差枚数によって更新し、メダルの払出数に相当する値(例えば、10枚のメダルの払い出しがあった場合には「10」とし、いずれの役も入賞せずに払い出しがなかった場合には「0」とする)から遊技に使用されたメダルの投入数に相当する値(例えば、3枚の投入があった場合には「3」とする)を減算して当該遊技における差枚数の演算結果を求めて、この演算結果を差枚数カウンタ64の記憶値に加算する更新処理を行う。なお、遊技区間制御手段80は、非有利区間においては、差枚数カウンタ64への加算を行わない。また、非有利区間から有利区間へ移行した時点においては、差枚数カウンタ64の記憶値は「0」となっている。そして、遊技区間制御手段80は、差枚数カウンタ64の記憶値がしきい値(例えば、「2400」)を超えた場合に有利区間の終了条件が成立したとして、遊技区間を有利区間から非有利区間へ移行させる。なお、差枚数カウンタ64の記憶値は初期値「0」を下回らないように制御され、例えば、遊技開始時における差枚数カウンタ64の記憶値が「2」であり、遊技を行った結果、いずれの役も入賞せずにメダルの払い出しがなかった場合には、その遊技における差枚数の演算結果が「-3」となり、差枚数カウンタ64の記憶値に差枚数の演算結果を加算すると初期値「0」を下回ってしまうが、更新後の差枚数カウンタの記憶値は初期値「0」を下限値としてカウントストップされるようになっている。すなわち、有利区間において獲得可能なメダル数には、上限値が設定されており、有利区間においてメダルが最も減少したときを基準「0」として、当該基準からのメダルの増加数が2400枚を超えた場合に有利区間が終了するようになっている。また、遊技においてリプレイの入賞があった場合には、リプレイの入賞した遊技で当該遊技の規定投入数に相当するメダルの払い出しがあったものとして取り扱って差枚数を求め、リプレイの入賞によって無償で提供される次回の遊技については実際のメダルの投入は行われていなくても当該遊技の規定投入数に相当するメダルの投入が行われたものとして扱い、差枚数を求めることとしてもよい。
また、有利区間表示器18は、非有利区間において消灯し、有利区間において点灯するようになっている。
なお、有利区間表示器18は、有利区間に移行すると同時に点灯させる必要はなく、最初の指示演出を行うまでに点灯させればよい。また、一度点灯させると、有利区間が終了するまでは、消灯しないようになっている。
演出状態制御手段81は、図27に示すように、通常演出状態、非AT演出状態、チャンス演出状態、AT演出状態(指示演出状態)、低期待値演出状態および特別演出状態を含む複数種類の演出状態の間で演出状態を移行させる演出状態移行制御処理を行う。演出状態の移行条件は、1の条件が定められていてもよいし、複数の条件が定められていてもよい。複数の条件が定められている場合には、複数の予め定められた条件のうち1の条件が成立したことによって演出状態を移行させてもよく、複数の予め定められた条件の複数あるいは全てが成立したことに基づいて、演出状態を移行させてもよい。
通常演出状態は、複数種類の演出状態の中で初期状態に相当する演出状態である。非有利区間においては、演出状態制御手段81は、演出状態を通常演出状態に設定している。通常演出状態(非有利区間)においては、上述のように特典抽選手段が有利区間移行抽選を行っており、有利区間移行抽選において有利区間への移行が決定されると、演出状態制御手段81は、演出状態を非AT演出状態に移行させる。
非AT演出状態は、有利区間が開始される際に基本的に移行する演出状態であり、有利区間の開始時については、非AT演出状態に移行する確率が他の演出状態に移行する確率よりも高く設定されている。非AT演出状態においては、特典付与手段82は、チャンス演出状態への移行の可否を決定する抽選(CZ抽選)を行う。具体的には、特典付与手段82は、非AT演出状態においてレア役に当選した場合に、CZ抽選を行う。そして、CZ抽選に基づいてチャンス演出状態への移行が決定されると、演出状態制御手段81は、演出状態をチャンス演出状態へ移行させる。
チャンス演出状態においては、特典付与手段82は、AT演出状態への移行の可否を決定する抽選(AT抽選)を行う。具体的には、特典付与手段82は、チャンス演出状態においてレア役に当選した場合に、AT抽選を行う。そして、AT抽選に基づいてAT演出状態への移行が決定されると演出状態制御手段81は演出状態をAT演出状態へ移行させる。具体的には、AT抽選に当選し、演出状態をAT演出状態へ移行することが決定された場合、特典付与手段82は、記憶手段60のRAMに設けられたATセット数カウンタ67の記憶値にAT演出状態の1セットに相当する値「1」を設定し、AT演出状態へ移行する権利を付与する。なお、AT抽選の当選によって付与されるセット数は1セットに限らず2セット以上であってもよく、複数種類のセット数からAT抽選の当選時に選択される等としてもよい。
演出状態制御手段81は、チャンス演出状態においてATセット数カウンタ67の値が「1」以上の場合に、演出状態をAT演出状態に移行させる。また、演出状態制御手段81は、AT演出状態を開始する際に、ATセット数カウンタ67の記憶値から「1」を減算する処理を行う。また、演出状態制御手段81は、AT演出状態を開始する際に、記憶手段60のRAMに設けられたナビ回数カウンタ66に、AT演出状態1セット分の打順ナビの回数に相当する所定値を設定する。なお、ここで設定される打順ナビの回数は複数種類の回数から選択されるものであってもよく、本実施形態の遊技機においては、「10」、「20」、「30」、「50」または「100」の中から所定契機で決定されるようになっている。
また、AT演出状態においては、特典付与手段82は、所定契機で(例えばレア役に当選した場合に)、AT演出状態のセット数を増加させるか否か決定する(AT演出状態の継続期間を増加させるか否か決定する)抽選(上乗せ抽選)を行い、当該抽選結果に基づいてセット数の増加が決定された場合に、所定のセット数に相当する値をATセット数カウンタ67に加算する。
指示機能制御手段51は、AT演出状態において打順ベルが当選すると、正解打順を報知する打順ナビ演出の実行を決定する。また、打順ナビ演出の実行が決定されると演出制御手段100は、液晶ディスプレイ13に正解打順を表示させる。また、指示機能制御手段51は、打順ナビ演出が実行される毎に、ナビ回数カウンタ66の記憶値から「1」を減算する処理を行う。そして、ナビ回数カウンタ66の記憶値がしきい値「0」に達すると、AT演出状態の1セットの終了条件が成立したとして、演出状態制御手段81は、AT演出状態の1セットを終了させる。
演出状態制御手段81は、AT演出状態の1セットの終了条件が成立すると、演出状態を低期待値演出状態に移行させる。低期待値演出状態においては、特典付与手段82は、所定契機で(例えばレア役に当選した場合に)、AT演出状態のセット数を増加させるか否か決定する抽選を行い、当該抽選結果に基づいてセット数の増加が決定された場合に、所定のセット数に相当する値をATセット数カウンタ67に加算する。
低期待値演出状態においては、打順ベルに当選しても正解打順を報知する打順ナビ演出が行われず、遊技を行うほどメダルが減るようになっている。一方、AT演出状態では、打順ベルの当選時に正解打順を報知する打順ナビ演出が行われるので、遊技者は打順ナビ演出に従って停止操作を行うことでメダルを増やすことが可能となっている。換言すると、低期待値演出状態は、メダルの増加数に関する期待値がAT演出状態よりも低くなっている。
なお、低期待値演出状態においても、打順ナビ演出を行うこととしてもよいが、打順ナビ演出の発生頻度はAT演出状態よりも低く設定することが好ましい。
また、低期待値演出状態では、所定回数の遊技が実行されるようになっている。ここで、低期待値演出状態での遊技回数は、抽選や所定の条件に基づいて定められるようになっていてもよい。そして、所定回数の遊技の終了時に、ATセット数カウンタ67の記憶値が「1」以上であれば、演出状態制御手段81は、演出状態をAT演出状態へ移行させるとともに、ATセット数カウンタ67の記憶値から「1」を減算する。一方、所定回数の遊技の終了時に、ATセット数カウンタ67の記憶値が「0」であれば、演出状態制御手段81は、演出状態を通常演出状態へ移行させる。また、演出状態が通常演出状態へ移行する場合、遊技区間制御手段80は、遊技区間を有利区間から非有利区間へ移行させる。
また、演出状態制御手段81は、有利区間において所定の条件が成立すると、演出状態を特別演出状態へ移行させる。具体的には、特典付与手段82は、有利区間において特別演出状態への移行の可否を決定する抽選を行う。そして、当該抽選に基づき特別演出状態への移行が決定されると、演出状態制御手段81は、演出状態を特別演出状態へ移行させる。
特別演出状態では、特典付与手段82は、所定契機で、AT演出状態のセット数を増加させるか否か決定し、セット数の増加が決定された場合に、所定のセット数に相当する値をATセット数カウンタ67に加算する。また、特別演出状態は、AT演出状態のセット数の増加に対する期待値が、非AT演出状態やチャンス演出状態やAT演出状態や低期待値演出状態よりも高く設定されている。
また、特別演出状態に移行すると、特典付与手段82は、ATセット数カウンタ67の記憶値を必ず1以上増加させるようになっている。そして、演出状態制御手段81は、特別演出状態が終了すると、演出状態をAT演出状態に移行させる。
なお、通常演出状態からチャンス演出状態やAT演出状態へ直接移行することがあるようにしてもよい。例えば、有利区間移行抽選において、単に有利区間(非AT演出状態)への移行の可否を決定するのではなく、演出状態をAT演出状態に移行させるか、チャンス演出状態に移行させるか、非AT演出状態に移行させるか、それとも通常演出状態のまま移行させないか抽選することとしてもよい。換言すると、CZ抽選を非AT演出状態以外の演出状態(例えば、通常演出状態)において行ってもよく、AT抽選をチャンス演出状態以外の演出状態(例えば、通常演出状態や非AT演出状態)において行ってもよい。
なお、チャンス演出状態は、AT演出状態への移行確率が通常演出状態や非AT演出状態よりも高く、通常演出状態や非AT演出状態よりも遊技者にとって有利な演出状態となっている。また、チャンス演出状態は、打順ナビ演出が行われる頻度がAT演出状態よりも低く、打順ナビ演出がほぼ行われないか、あるいは全く行われないようになっている。また、非AT演出状態は、打順ナビ演出が行われる頻度がチャンス演出状態よりも低く、打順ナビ演出がほぼ行われないか、あるいは全く行われないようになっている。
また、AT抽選に当選し、チャンス演出状態からAT演出状態に移行する場合等、ある演出状態から他の演出状態に移行する際に、別の演出状態を経由してから移行するようにしてもよい。例えば、AT抽選に当選した場合に、即座にAT演出状態を開始するのではなく、チャンス演出状態からAT演出状態の準備状態(AT準備演出状態)へ移行させ、その後AT演出状態へ移行させるものとしてもよい
また、AT演出状態は、ボーナスの当選あるいは入賞に基づいて移行する遊技状態に応じて設定されるものであってもよい。例えば、遊技状態が一般中状態やRBB内部中状態である場合にAT演出状態への移行を可能とし、RBB作動中状態においてはAT演出状態への移行を不可能としてもよい。換言すると、RBB作動中状態においては、例えば、AT抽選に当選したとしてもAT演出状態に移行させないこととしてもよく、また、AT抽選を行わないようにしてもよい。すなわち、RBB作動中状態においては、指示機能に係る処理(指示機能に係る抽選等)を行わないこととしてもよい。なお、RBB作動中状態において指示機能に係る処理を完全に行わないこととしなくてもよく、一般中状態やRBB内部中状態に比べ処理が行われる頻度を低下させることとしてもよい。あるいは、RBB作動中状態において実行される指示機能に係る処理を、一般中状態やRBB内部中状態において実行される指示機能に係る処理に比べ、遊技者にとっての有利度合いが低いものとしてもよい(例えばAT抽選においてAT演出状態を獲得できる確率を低いものとする等)。
また、演出状態がAT演出状態であって遊技状態がRBB内部中状態であるときにボーナスに入賞した場合、このボーナスの入賞により移行するRBB作動中状態の終了後に一般中状態を経由して再びRBB内部中状態に移行するまでの間、AT演出状態を中断することとしてもよい。すなわち、ボーナスに入賞すると指示機能に係る処理(打順ナビ演出等)を止め、再びRBB内部中状態に移行すると指示機能に係る処理を再開させるようにしてもよい。
指示機能制御手段51は、有利区間が終了し、遊技区間が通常区間に移行する際に、指示機能に係る情報として記憶手段60のRAMに記憶されている情報を初期化する指示機能情報初期化処理を行う。具体的には、指示機能制御手段51は、有利区間遊技数カウンタ65の記憶値、差枚数カウンタ64の記憶値、指示機能に係る抽選に関するフラグ(抽選結果)、ATセット数カウンタ67の記憶値およびナビ回数カウンタ66の記憶値等を初期化する。すなわち、指示機能に係る情報は、複数の有利区間を跨いで持ち越されることがないようになっている。また、初期化手段48が、設定値が変更された際に行う上述の初期化処理を行うと、ここで示した指示演出に係る情報も初期化されるようになっている。
演出制御手段100は、演出状態がAT演出状態である場合に、打順ベルが当選すると、正解打順を報知して10枚役の入賞を補助する指示演出(ナビ演出)を液晶ディスプレイ13およびスピーカ14等の演出装置に実行させる制御を行う。打順ベルが当選し、指示演出で報知された正解打順に沿ってストップボタン26a~26cが押下されると必ず10枚役が入賞して10枚のメダルを獲得することができるようになっている。
なお、指示演出を行う場合には、遊技情報表示部17の7セグメント表示器にも正解打順を示す情報が表示される。
(遊技価値の獲得性能)
本実施形態では、RBB作動中状態においてレギュラーボーナスが入賞したことによって移行するRBB作動中のRB作動中状態における出玉率(メダルの投入数に対する払出数の比率)の期待値を下げることによって指示演出による(AT演出状態での)メダルの獲得性能を向上させる手法を採用している。
具体的に説明すると、本実施形態では、遊技状態として、一般中状態と、RBB内部中状態と、RBB作動中状態(RBB作動中の一般中状態、RBB作動中のRB内部中状態、RBB作動中のRB作動中状態)とが設定可能となっているが、その中で一般中状態、RBB内部中状態、RBB作動中の一般中状態およびRBB作動中のRB内部中状態では、小役の抽選態様が同一であり、RBB作動中のRB作動中状態では他の遊技状態とは小役の抽選態様が異なっている。これはRBB作動中のRB作動中状態が技術上の規格に定められた第一種特別役物が作動している遊技状態であるからであって、それ以外の遊技状態では役物が作動していないため小役の抽選態様を変更することができないことに起因するものである。
そして、本実施形態では、RBB作動中のRB作動中状態において10枚小役の抽選態様を工夫することで、第一種特別役物が作動している状況であっても出玉率の期待値を低くすることができるようになっており、一般中状態、RBB内部中状態、RBB作動中の一般中状態およびRBB作動中のRB内部中状態では、小役1~小役6の6種類の10枚役が打順ベルの各当選態様において互いに重複せずに当選するようになっている一方で、RBB作動中のRB作動中状態では、当選エリア「10枚ALL」において6種類の10枚役を重複して当選させ、当選エリア「10枚ALL」を得る確率が、他の遊技状態においていずれかの打順ベルの当選エリアを得る確率よりも低くなっている。これによりRBB作動中のRB内部中状態において10枚役を入賞させる機会が他の遊技状態より減少するため、第一種特別役物が作動している状況であっても出玉率の期待値を低くすることができるようになっている。
ここで、本実施形態のようなスロットマシンと称される遊技機では、メダルの獲得性能によって射倖性が著しく高まることを防止するべく、技術上の規格において出玉率の期待値が所定範囲内に収まるように設計するべきことが定められている。この点について、本実施形態のような指示演出を行わせる遊技仕様では、役物が作動している遊技の出玉率の期待値を低くすることによって、役物が作動していない状況で行われる指示演出に基づくメダルの獲得性能の向上を図ることにより技術上の規格で定められた出玉率の上限規制を満たすことができる。
すなわち、指示演出を実行する遊技仕様では、役物が作動している遊技の出玉率の期待値を下げるほど指示演出に基づくメダルの獲得性能を向上させることができる。しかし、そこで問題となってくるのが、上記の技術上の規格で定められた出玉率の制限における下限規制の部分である。
具体的に説明すると、本実施形態におけるレギュラーボーナスが該当する第一種特別役物は小役の抽選態様を変更することでメダルの獲得性能を上げることを本来の目的とするものであるから、第一種特別役物が作動している遊技での出玉率の期待値が、一般中状態の遊技での出玉率の期待値を下回るような設計を行うことが認められていない。このため、役物が作動している遊技での出玉率の期待値を下げすぎてしまうと、一般中状態の遊技での出玉率をそれ以上に下げることになってしまうため、その結果、技術上の規格で定められた出玉率に関する下限規制を満たすことが困難になってしまっていた。
そこで本実施形態では、RBB作動中のRB内部中状態で、一般中状態やRBB内部中状態とは停止制御の態様を異ならせることで出玉率の期待値を高める手法を採用している。
具体的に説明すると、一般中状態、RBB内部中状態、RBB作動中の一般中状態およびRBB作動中のRB内部中状態では、10枚役を入賞可能とする当選エリアとして、打順ベルAと打順ベルBと打順ベルCと打順ベルDとが設けられており、このうち、RBB作動中のRB内部中状態では、打順ベルCまたは打順ベルDに属する当選エリアに関して停止制御の態様が変更され、一般中状態、RBB内部中状態およびRBB作動中の一般中状態では、打順ベルCまたは打順ベルDに属する各当選エリアの正解打順が1種類であるのに対して、RBB作動中のRB内部中状態では打順ベルCまたは打順ベルDに属する各当選エリアの正解打順が6種類(全打順)に増加するようになっている(図25参照)。
そして本実施形態では、打順ベルCまたは打順ベルDに属する当選エリアに関する停止制御の変更によってRBB作動中のRB内部中状態において10枚役の入賞率を上げることで小役の抽選態様が変更できない状況であっても一般中状態やRBB内部中状態よりも出玉率の期待値を向上させることを可能としている。
また、本実施形態では、RBB作動中の一般中状態において、当選エリア「RB1」~「RB4」に割り当てられていた乱数値の範囲を、RBB作動中のRB内部中状態においては、当選エリア「リプレイ1」~「リプレイ4」に割り当てることで、RBB作動中のRB内部中状態におけるリプレイの当選確率を上昇させており、これにより出玉率の期待値を向上させている。
ここで、図28は、本実施形態の手法を適用した各遊技状態の設計例を示すものである。本実施形態においては、一般中状態およびRBB内部中状態の出玉率の期待値を約50%に設定している。また、RBB作動中の一般中状態の出玉率の期待値を約65%に設定している。また、RBB作動中のRB作動中状態の出玉率の期待値を約60%に設定している。そして、RBB作動中のRB内部中状態の出玉率の期待値を100%以上(約103%)に設定することで、RBB作動中状態全体を通しての出玉率の期待値を約100%に引き上げるとともに、全ての遊技を通じての出玉率の期待値を60%以上に引き上げている。すなわち、一般中状態およびRBB内部中状態での出玉率の期待値を、技術上の規格で定められた下限規制(60%)を下回るように設定しても、RBB作動中のRB内部中状態を利用することで全ての遊技を通じての出玉率の期待値を引き上げ、下限規制を満たすような設計を実現可能としている。
なお、本実施形態では、RBB作動中のRB内部中状態においてのみ、打順ベルCまたは打順ベルDに属する当選エリアの停止制御を変更し(正解打順の種類を増やし)、10枚役の入賞率を上げることとしているが、RBB作動中の一般中状態においても同様に打順ベルCまたは打順ベルDに属する当選エリアの停止制御を変更し(正解打順の種類を増やし)、10枚役の入賞率を上げることとしてもよい。この場合に、RBB作動中のRB内部中状態の方がRBB作動中の一般中状態よりも10枚役の入賞率が高くなるように、RBB作動中の一般中状態ではRBB作動中のRB内部中状態よりも打順ベルCまたは打順ベルDに属する当選エリアの正解打順の種類が少なくなるよう(例えば、4種類)にしてもよく、RBB作動中の一般中状態では打順ベルCまたは打順ベルDのいずれか一方についてのみ停止制御を変更する(正解打順の種類を増やす)こととしてもよい。
また、本実施形態では、RBB作動中のRB内部中状態の滞在率を高める手法の一例として、RBB作動中の一般中状態において4種類のレギュラーボーナス(RB1~RB4)を抽選対象としてRBB作動中のRB内部中状態でレギュラーボーナスの入賞に関して選択要素を発生させている。このように本実施の形態では、RBB作動中のRB作動中状態への移行難易度を高めることによって、RBB作動中のRB内部中状態の滞在率を高めている。また、RBB作動中の一般中状態の滞在率を低くすることで対応することも可能であり、例えば、RBB作動中の一般中状態のレギュラーボーナスの当選確率を高めることによりRBB作動中のRB内部中状態に移行しやすくすることで、RBB作動中状態において一般中状態に滞在しにくくすることの結果としてRBB作動中のRB内部中状態の滞在率を高めることもできる。
また、本実施形態では、RBB作動中のRB内部中状態において内部抽選でハズレ(当選エリア「不当選」の当選)が発生しないようになっているが、RBB作動中のRB内部中状態でハズレが発生し得るようにしてもよい。
なお、本実施形態では、一般中状態とRBB内部中状態とにおいてリプレイの当選確率を同一としたが、RBB内部中状態では、一般中状態よりもリプレイの当選確率が高くなっていてもよい。また、本実施形態では、RBB作動中の一般中状態においてリプレイを抽選対象から除外しているが、RBB作動中の一般中状態においてもリプレイを抽選対象とした内部抽選が行われるようにしてもよい。
本実施形態の遊技機は、ビッグボーナス(特別役)を抽選対象とした内部抽選が行われる一般中状態(通常状態)と、ビッグボーナスが入賞したことに基づいて移行するRBB作動中状態(特別状態)と含む複数種類の遊技状態の間で遊技状態を移行させる遊技状態制御手段49と、指示演出に係る制御をする指示機能制御手段51と、を備え、遊技状態制御手段49は、RBB作動中状態において、レギュラーボーナス(シフト役)を抽選対象とした内部抽選が行われるRBB作動中の一般中状態(第1遊技状態)と、レギュラーボーナスが当選した状態をレギュラーボーナスが入賞するまで維持するRBB作動中のRB内部中状態(第2遊技状態)と、レギュラーボーナスが入賞したことに基づいて移行するRBB作動中のRB作動中状態(第3遊技状態)との間で遊技状態をさせることが可能であり、RBB作動中の一般中状態からRBB作動中のRB内部中状態へ移行すると遊技価値の獲得性能が上昇し、RBB作動中のRB内部中状態からRBB作動中のRB作動中状態へ移行すると遊技価値の獲得性能が低下し、内部抽選手段42は、入賞した場合に1遊技に対しベットされる遊技価値よりも多数の遊技価値を獲得できる10枚役(特定役:小役1~小役6)を含む複数の小役が重複して当選する当選態様として、打順ベルAおよび打順ベルB(第1当選態様)と打順ベルCおよび打順ベルD(第2当選態様)とが存在するように内部抽選を行い、RBB作動中のRB内部中状態において打順ベルCまたは打順ベルDが当選した場合に10枚役が入賞する確率は、一般中状態において打順ベルCまたは打順ベルDが当選した場合に10枚役が入賞する確率よりも高くなっているとともに、RBB作動中のRB内部中状態において打順ベルAまたは打順ベルBが当選した場合に10枚役が入賞する確率よりも高くなっている。また、RBB作動中のRB内部中状態における内部抽選は、打順ベルAまたは打順ベルBが当選する確率が、打順ベルCまたは打順ベルDが当選する確率よりも高くなっている。ここで、RBB作動中状態や、RBB作動中のRB内部中状態におけるメダルの獲得性能が大きくなりすぎてしまうと、遊技に攻略性が生まれてしまうおそれがある。しかし、本実施形態の遊技機においては、RBB作動中のRB内部中状態における、打順ベルCおよび打順ベルDの値数の合計値(490×12=5880)を、打順ベルAおよび打順ベルBの値数の合計値(3082×12=36984)よりも小さくしたことで、打順ベルCおよび打順ベルDの当選確率を適切な範囲に抑えることができ、メダルの獲得性能を適切にすることができる。
表示装置13は、その表示面に演出画像を表示させることにより、演出を実行する。また、表示装置13に表示される演出画像は、描画素材(素材画像)が配置された複数のレイヤを重ね合せて形成された合成画像となっている。図32は、各演出に対応する描画素材が配置されるレイヤの概念を示す図である。
表示装置13に表示される演出画面は、例えば1秒間が30コマ(以下、フレームという)で構成されている(いわゆる30fpsのフレームレート)。したがって、例えば1分間の長さを持った演出パターンの場合、その演出画面は全体で60秒×30フレームの計1800フレームにより成り立っている。図32には、その最小単位に当たる1つのフレームを構成するレイヤ構造が示されている。
1つのフレームを描画する際には、優先度の低い描画素材から1つずつ順に相応のレイヤに描画される。例えば、1つのフレームが5個の描画素材で構成される場合には、まず優先度が最も低い(優先順位5位の)描画素材が最も下位のレイヤに配されて所定の位置に描画される。次に優先度が2番目に低い(優先順位4位の)描画素材が、優先順位5位の描画素材が描画されたレイヤよりも上位のレイヤに配されて所定の位置に描画される。このようにして優先度に従い描画素材が次々と描画されていき、最後に優先度が最も高い(優先順位1位の)描画素材が優先順位2位の描画素材が描画されたレイヤよりも上位のレイヤに配されて所定の位置に描画される。全ての描画素材を各レイヤに描画し終えた段階で、これらのレイヤを上位側(前面側)からみた合成画像が、そのフレームに対応する合成画像として表示装置13に表示される。換言すると、合成画像を表示装置13で見た場合、下位のレイヤに配置された描画素材は、上位のレイヤに配置された描画素材に覆われた状態となる。さらに換言すると、上位側のレイヤほど、表示装置13における表示上の優先度が高いといえる。本実施形態の遊技機においては、各フレームにはレイヤ1~レイヤNのN枚のレイヤが存在し、番号の小さいレイヤほど表示上の優先度が低く、番号の大きいレイヤほど表示上の優先度が高くなっている。
なお、各合成画像の描画処理は、サブ側記憶手段72のVRAM内の1領域であるフレームバッファを用いて実行される。新たな描画素材を上位のレイヤに描画することは、新たな描画素材をフレームバッファにバッファされた画像の上に重ねて描画することを意味する。あるフレームを構成する描画素材を優先度の低い方から順にフレームバッファに描画していき、全ての描画素材を描画し終えると、フレームバッファ上に完成した合成画像が当該フレームの画像として表示装置13に表示されることとなる。なお、描画素材は、サブ側記憶手段72の描画素材記憶領域(ROM)に記憶されている。
なお、レイヤの数に特に限定はなく、例えば数十~数百のレイヤが規定されてもよい。また、各合成画像は、必ずしも全てのレイヤに描画素材が配置されて構成されるとは限らず、不使用のレイヤが適宜発生し得る。また、本実施形態では、優先度の低い描画素材は、その上から優先度のより高い描画素材が重ねて描画されると、その重なった部分が視認できないものとするが、各描画素材には透明度の設定が可能であり、上位に重ねられる描画素材に設定された透明度が0(完全に不透明)でない場合はこの限りではなく、透明度の度合いに応じてその下位側に隠れた描画素材の存在をフレーム画像で視認できる場合もある。
ここで、近い位置に配置された複数のレイヤー(複数の描画素材の集合体)を1つのまとまりとして捉えることにより、1つのフレームは、N枚のレイヤで構成されていると同時に、複数のレイヤ群で構成されているとみることもできる。例えば、図32に示すフレームは、3つのレイヤ群で構成されており、一番下(表示装置13で見た場合の最も背面側)に配置されたレイヤ群LG1にレイヤ群LG2が重ねられ、一番上(表示装置13で見た場合の最も前面側)にレイヤ群LG3が配置されることにより、1つのフレーム画像が完成している。
演出画面を構成する画像は、例えば、背景画像、報知情報、重要情報等に分けられ、画像の種類毎に各レイヤ群LG1~LG3に配置される。各画像の優先度は概して重要情報が最も高く、ここから報知情報、背景画像の順に低く設定されている。1フレームの描画は優先度の低い方から順に行われ、背景画像の上に報知情報を示す画像が、さらにその上に重要情報を示す画像が重ねられて1つのフレーム画像が合成される。なお、ここで示した優先度はあくまで主要な例であり、この順番とは異なるケースも存在する。
例えば、一番下に位置するレイヤ群LG1には、優先度が最も低い背景画像が描画される。この背景画像は全体が1個の描画素材ではなく、複数の描画素材が各々優先度の低い方から順に重ね合わされて1つの背景画像を成している。以下に説明する他のレイヤ群LG2,LG3に配置される画像についても、これと同様に構成されている。
レイヤ群LG1の上には、レイヤ群LG2が重ねられている。レイヤ群LG2には、報知情報を構成する複数の描画素材が描画される。具体的には、例えば、カウンタ表示の画像、打順ナビ表示の画像等が配置される。
レイヤ群LG2の上には、レイヤ群LG3が重ねられている。レイヤ群LG3には、重要な情報を示す複数の描画素材が描画される。重要な情報とは、例えば、のめり込み防止を報知する情報や、システムメッセージ(エラーメッセージ)等のことを指す。これらの情報は、遊技上特に重要であるため優先度が高く設定されており、他の画像に隠れてしまうことなく確実に視認できるよう最も上側のレイヤ群LG3に描画される。
本実施形態の遊技機では、演出状態制御手段81は、図27に示すように、通常演出状態、非AT演出状態、チャンス演出状態、AT演出状態、低期待値演出状態および特別演出状態を含む複数種類の演出状態の間で、演出状態を移行させる演出状態移行制御処理を行う。ここで、通常演出状態または非AT演出状態を第1演出状態とし、AT演出状態を第2演出状態とする。第2演出状態は、指示機能に係る特典(例えば、AT演出状態のセット数の増加等)が付与される確率が第1演出状態よりも高い。なお、第2演出状態は、指示機能に関する有利度合いが第1演出状態よりも高いものであればよい。例えば、第2演出状態を、AT演出状態への移行確率が通常演出状態や非AT演出状態よりも高いチャンス演出状態としてもよい。以下、第1演出状態を通常演出状態とし、第2演出状態をAT演出状態とする場合について説明する。
演出制御手段100は、ビッグボーナスの入賞形態を示す図柄組合せが有効ライン上に表示された遊技の第3停止操作を契機として、所定の演出を、演出装置(表示装置13等)に実行させる。具体的には、演出制御手段100は、前記第3停止操作を契機として、RBB作動中状態であることを示す表示(以下、RBB作動中表示)を、表示装置13に表示させる。RBB作動中表示は、ボーナス状態における所定の演出(ボーナス状態であることを認識できる特定の画像の表示)である。RBB作動中表示が表示装置13に表示されることで、現在RBB作動中状態であることを、遊技者が認識できるようになっている。図29は、RBB作動中表示の一例を示すもので、キャラクタの紹介画像が表示装置13に表示されている。なお、本実施形態の遊技機では、RBB作動中状態以外の遊技状態では、このRBB作動中表示がされない(当該キャラクタの紹介画像が表示されない)ようになっている。図29に示すRBB作動中表示の例では、所定のカウンタ表示(記憶手段60のクレジット記憶領域に記憶されている貯留数や、小役が入賞した場合のメダルの払出数を示す表示)が表示されている。
ここで、RBB作動中状態での遊技について説明する。本実施形態の遊技機では、遊技状態が一般中状態あるいはRBB内部中状態である場合には、所定のレア役に当選することがあり(図24参照)、特典付与手段82がそのレア役の当選を契機とし、指示機能に係る抽選を行う。一方で、遊技状態がRBB作動中状態である場合には、所定のレア役に当選することはなく(図24参照)、指示機能に係る抽選は行われない。なお、RBB作動中状態において、所定の契機で、指示機能に係る抽選が行われることとしてもよいが、指示機能に係る抽選が実行される頻度は、一般中状態あるいはRBB内部中状態に比べて低いものとする。したがって、遊技状態がRBB作動中状態である場合、一般中状態やRBB内部中状態に比べて、指示機能に係る抽選が行われる頻度が低い(全く行われない場合を含む)。換言すると、RBB作動中状態は、一般中状態やRBB内部中状態に比べて、指示機能に関する有利度合いが低くなっている(指示機能に関して不利な状態となっている)。このため、RBB作動中状態では、遊技者は、指示機能に係る抽選が行われる頻度が低い状態で、RBB作動中状態が終了するまで所定の回数の遊技を行わなければならない。
本実施形態の遊技機は、AT演出状態において打順ナビ演出が実行される毎にナビ回数カウンタ66の記憶値から「1」が減算され、ナビ回数カウンタ66の記憶値がしきい値「0」に達すると、AT演出状態の1セットの終了条件が成立する。ただし、これに限らず、次のようにしてもよい。すなわち、AT演出状態での遊技の回数を記憶するカウンタ(AT遊技数カウンタ)を設け、AT演出状態において遊技が行われる毎にAT遊技数カウンタの記憶値から「1」が減算され、AT遊技数カウンタの記憶値がしきい値「0」に達すると、AT演出状態の1セットの終了条件が成立するようにしてもよい。換言すると、AT演出状態の終了条件を打順ナビ演出の回数に基づいて管理するのではなく、AT演出状態での遊技の回数に基づいて管理することとしてもよい。
本実施形態の遊技機は、RBB作動中状態のAT演出状態では、以下の所定の指示機能に係る処理が行われないか、行われたとしても当該処理が行われる頻度は一般中状態やRBB内部中状態よりも低くなっている。
RBB作動中状態のAT演出状態では、打順ナビ演出が行われない。打順ナビ演出が行われないという場合、演出制御手段100による打順ナビの表示に係る処理が行われないものとしてもよいが、後述するように、打順ナビ表示の画像(正解打順を報知する画像)が下位レイヤに配置されるとともに、それよりも上位のレイヤにRBB作動中表示の画像が表示され、打順ナビ表示の画像が覆われる(隠される)ようにしてもよい。
また、RBB作動中状態のAT演出状態では、演出制御手段100(指示機能制御手段51)が指示機能に係る所定のカウンタの記憶値を変化させない。本実施形態の遊技機では、ナビ回数カウンタ66およびAT遊技数カウンタの記憶値を変化させない。換言すると、RBB作動中状態のAT演出状態では打順ナビ演出が行われないので、ナビ回数カウンタ66の記憶値が変化しない。ただし、RBB作動中状態のAT演出状態であっても、有利区間遊技数カウンタ65や差枚数カウンタ64の記憶値は変化させる。
また、RBB作動中状態のAT演出状態では、演出状態制御手段81が演出状態を、低期待値演出状態や特別演出状態へ移行させない。換言すると、RBB作動中状態のAT演出状態では、AT演出状態の終了条件が満たされないので(打順ナビ演出が行われないので)、AT演出状態が終了しない。
図30は、演出状態がAT演出状態(第2演出状態の1つ)である場合に、演出制御手段100が表示装置13に表示させる表示(これをAT中表示とする)の一例を示している。なお、AT中表示とは、遊技者がAT演出状態に滞在していることを認識できる表示であって、打順ナビ演出が行われ得る状態での表示をいう。換言すると、AT中表示とは、AT演出状態において通常表示される表示(遊技状態が一般中状態あるいはRBB内部中状態であるときに表示される表示)であって、打順ベルの当選時には正解打順の報知をする表示をいう。
図30に示すAT中表示の例では、AT演出状態に係る所定のカウンタ表示が表示されている。AT演出状態に係る所定のカウンタ表示には、AT演出状態での打順ナビ演出の回数に関する表示と、AT演出状態のセット数に関する表示と、AT演出状態でのメダルの獲得数に関する表示とが含まれている。
演出状態がAT演出状態であり、AT中表示が表示されている状態で、遊技状態がRBB作動中状態に移行することが決定した場合、演出制御手段100は、ビッグボーナスに入賞した遊技の第3停止操作を契機として、RBB作動中表示を表示させる。具体的には、演出制御手段100は、RBB作動中表示の素材画像(画像)を、AT中表示の画像が配置されているレイヤよりも優先度の高い上位のレイヤ(例えばレイヤ群LG2のいずれかのレイヤ)に配置させる。より具体的には、AT中表示に係る画像としては、背景画像、打順ナビ表示の画像、およびAT演出状態に係る所定のカウンタ表示の画像等があって、それらは優先度に基づき適宜各レイヤに配置されるが、RBB作動中表示の画像は、それらの画像が配置されているレイヤよりもさらに上位のレイヤに配置される。これにより、図29に示すRBB作動中表示が表示されて、図30に示すAT中表示は隠れた状態(視認できない状態)となる。
なお、RBB作動中表示の素材画像は、AT中表示に係る画像のうち少なくとも背景画像が配置されるよりも上位のレイヤに配置すればよい。すなわち、RBB作動中状態において打順ナビ表示の画像をいずれのレイヤにも配置しないのであれば、他の状態において打順ナビ表示の画像が配置されるレイヤよりも下位のレイヤにRBB作動中表示の素材画像を配置してもよい。
AT演出状態において遊技状態がRBB作動中状態に移行することが決定すると、演出制御手段100は、RBB作動中表示(図29)を表示させる。すなわち、遊技状態がRBB作動中状態であることが報知される。よって、遊技者は、AT演出状態が実行されている間に、遊技状態がRBB作動中状態に移行したことを認識できる。
RBB作動中状態の終了条件が成立すると、演出制御手段100は、RBB作動中状態における最後の遊技の第3停止操作を契機として、RBB作動中表示を非表示にし(すなわちRBB作動中表示を視認できない状態とし)、再びAT中表示を表示させる。本実施形態の遊技機では、RBB作動中表示の画像をAT中表示の画像が配置されているレイヤよりも上位のレイヤに配置させ、RBB作動中表示が表示されている間、その下位のレイヤではAT中表示の表示が継続されている。ただし、RBB作動中表示が表示されている間は、AT中表示の表示が中断される(すなわちAT中表示の画像がレイヤに配置(描画)されない)ようにしてもよい。
また、演出状態がAT演出状態である場合には、演出制御手段100は、AT演出状態における態様での発光(AT中発光)を照明装置に実行させる。その状態において遊技状態がRBB作動中状態に移行することが決定すると、演出制御手段100は、ビッグボーナスに入賞した遊技の第3停止操作を契機として、AT中発光よりも優先度の高い、RBB作動中状態における態様での発光(RBB作動中発光)を照明装置に実行させる。すなわち、RBB作動中状態への移行に伴い照明装置の発光態様を変化させる。照明装置の発光態様の変化のさせ方としては、演出制御手段100は、AT中発光に加えて、RBB作動中発光(例えばAT中発光とは色が異なる)を実行させ、照明装置の発光色を変化させてもよい。また、演出制御手段100は、AT中発光を停止させ、RBB作動中発光(AT中発光とは色が異なる)のみを実行させてもよい。また、その場合に、RBB作動中発光とは、照明装置を消灯させることであってもよい。
RBB作動中状態の終了条件が成立すると、演出制御手段100は、RBB作動中状態における最後の遊技の第3停止操作を契機として、RBB作動中発光を停止させ、再びAT発光を照明装置に実行させる。
RBB作動中表示が表示されることに加え、RBB作動中発光が行われることで、遊技者は、遊技状態がRBB作動中状態(特殊な状態)に移行したことを、より認識しやすくなる。
なお、RBB作動中発光は、上述のRBB作動中表示が行われることに伴って行われるものである。遊技状態がRBB作動中状態に移行してもRBB作動中表示が行われない場合(詳細は後述する)があるが、その場合にはRBB作動中発光も行われないようになっている。
本実施形態の遊技機は、演出状態がAT演出状態であっても、遊技状態がRBB作動中状態である場合と、遊技状態が一般中状態またはRBB内部中状態である場合とで、照明装置の発光態様が異なっている。
また、演出状態がAT演出状態である場合に、演出制御手段100は、AT演出状態における態様での音(音楽)(AT音)の出力をスピーカに実行させる。その状態において遊技状態がRBB作動中状態に移行することが決定すると、演出制御手段100は、ビッグボーナスに入賞した遊技の第3停止操作を契機として、所定の音以外の音がスピーカから出力されないように制御する(RBB作動中の音声出力とする)。
なお、所定の音とは、ストップボタン26a~26cを停止操作した際に出力される効果音(停止音)や、メダルが払い出される際に出力される効果音(払出音)等である。本実施形態の遊技機では、出力する音を音の種類ごとに複数のトラックのそれぞれに割り当て、複数の種類の音を複数のトラックにおいて並行して出力することができるようになっている。すなわち、例えば、停止音と払出音とAT演出状態におけるBGM(遊技を盛り上げるための演出音)とを別々のトラックに割り当て、並行して出力できるようになっている。また、トラックごとに音量を調整することが可能となっている。演出制御手段100は、所定の音以外の音のトラックについて、それらの音量を「0」(最小の音量:無音状態)とする。例えば、AT演出状態におけるBGMのトラックの音量を「0」とする。この場合、当該BGMが音量「0」で流れていることとなる。
RBB作動中状態の終了条件が成立すると、演出制御手段100は、RBB作動中状態における最後の遊技の第3停止操作を契機として、所定の音以外の音がスピーカを介して出力されるように制御する。すなわち、所定の音以外の音のトラックについて、それらの音量を元の音量(RBB作動中状態に移行する前と同じ音量)とする。なお、本実施形態では、トラックの音量を制御するようにしているため、すなわち、RBB作動中状態においてトラックの音量を「0」として音の出力は継続させているため、AT演出状態の再開にあたり、演出を再構築(再設定)する必要がない。
RBB作動中表示が表示されることに加え、RBB作動中の音声出力となることで、遊技者は、遊技状態がRBB作動中状態に移行したことを、より認識しやすくなる。
なお、RBB作動中の音声出力は、上述のRBB作動中表示が行われることに伴って実行されるものである。遊技状態がRBB作動中状態に移行してもRBB作動中表示が行われない場合(詳細は後述する)があるが、その場合にはRBB作動中の音声出力も実行されないようになっている。
本実施形態の遊技機は、演出状態がAT演出状態であっても、遊技状態がRBB作動中状態である場合と、遊技状態が一般中状態またはRBB内部中状態である場合とで、音声の出力態様が異なっている。
AT演出状態において遊技状態がRBB作動中状態に移行することが決定すると、RBB作動中状態での所定の回数の遊技が行われ、かつRBB作動中状態における演出(表示、照明および音)が実行されるが、その間、AT演出状態での打順ナビ演出は行われない(ナビ回数カウンタ66の記憶値が減算されない)。すなわち、RBB作動中状態に移行すると、AT演出状態の打順ナビ演出が実行されない状態となり、RBB作動中状態の終了後に、AT演出状態の打順ナビ演出が実行される(実行可能な)状態となる。なお、AT演出状態の終了を打順ナビ演出の回数ではなくAT演出状態での遊技の回数で管理している場合には、RBB作動中状態への移行に伴いAT遊技数カウンタ68の記憶値が減算されない状態となり、RBB作動中状態の終了後に、AT遊技数カウンタ68の記憶値が減算される(減算可能な)状態となる。
なお、AT演出状態の実行中にRBB作動中状態に移行した場合に、仮に、RBB作動中状態が終了するよりも前にAT演出状態が終了したとする場合、AT演出状態が終了してもRBB作動中状態が終了するまで、RBB作動中状態の演出を継続させるようにしてもよい。
図31は、演出状態が通常演出状態(第1演出状態の1つ)である場合に、演出制御手段100が表示装置13に表示させる表示(これを通常中表示(通常中の演出)とする)の一例を示している。上述の説明では、AT演出状態において遊技状態がRBB作動中状態に移行することが決定すると、演出制御手段100は、RBB作動中表示(図29)を表示させるとしたが、本実施形態の遊技機は、通常演出状態において遊技状態がRBB作動中状態に移行しても、演出制御手段100は、RBB作動中表示を表示させない。換言すると、演出制御手段100は、通常演出状態において遊技状態がRBB作動中状態に移行しても、RBB作動中表示を表示させずに通常中表示を表示させる(一般中状態あるいはRBB内部中状態における表示を継続させる)。
ただし、RBB作動中状態に表示させる通常中表示は、所定の位置(例えば表示装置13における表示面の右上の位置)に表示されるカウンタ表示が、遊技が行われても変化しないようになっている。このカウンタ表示は、所定期間において実行された遊技の回数(例えば、通常演出状態が開始されてから実行された遊技の回数)を示すもので、遊技が行われる毎に通常遊技数カウンタ69の記憶値が「1」ずつ増えることに伴い、数字部が「1」ずつ繰り上がるものである。なお、通常遊技数カウンタ69は、例えば通常演出状態が開始されてからの遊技の回数を記憶するもので、通常遊技数カウンタ69の記憶値は、所定の契機で(例えばAT演出状態への移行を契機とし)、リセットされて「0」となる。
本実施形態の遊技機は、通常演出状態においてRBB作動中状態に移行すると、演出制御手段100(指示機能制御手段51)が通常遊技数カウンタ69の記憶値を変化させない(増加させない)ようになっている。よって、通常中表示におけるカウンタ表示が、遊技が行われても変化しない。すなわち、遊技が行われても、カウンタ表示の数字部が一定値(例えば「0」)のままとなる。さらに換言すると、RBB作動中状態における通常中表示は、カウンタ表示が変化しない。
RBB作動中状態は、一般中状態やRBB内部中状態に比べて、指示機能に関する有利度合いが低くなっている。すなわち、所定の役の入賞を補助する指示機能に係る抽選が行われる頻度が一般中状態やRBB内部中状態に比べて低くなっている。そのため、通常演出状態において遊技状態がRBB作動中状態に移行することが決定したことに基づき、RBB作動中表示が表示されると、遊技者は遊技状態がRBB作動中状態であると認識しやすく、スロットマシンでの遊技を止め、席を離れるおそれがある。また、RBB作動中表示が表示されたままの状態となっていると、その表示を見た遊技者が、遊技状態がRBB作動中状態であると認識し、そのスロットマシンでの遊技を回避する可能性が高い。
本実施形態の遊技機は、第1演出状態(通常演出状態または非AT演出状態)において遊技状態がRBB作動中状態(ボーナス状態)に移行した場合、RBB作動中状態であることを認識できる特定の画像(RBB作動中表示)を表示装置13に表示させない。具体的には、RBB作動中表示の画像が、通常中表示の画像が配置されているレイヤよりも上位レイヤに重ねて配置されることがなく、通常中表示の表示が継続される。
このため、遊技者が、遊技状態がRBB作動中状態であると認識する可能性が低くなり、スロットマシン10での遊技を止め、席を離れる可能性を低減できる。また、どのスロットマシンで遊技をするか検討している遊技者が、スロットマシン10の表示装置13の表示を見て、スロットマシン10での遊技を回避する可能性を低減できる。
また、本実施形態の遊技機は、指示機能に関する有利度合いが第1演出状態よりも高い第2演出状態(例えばAT演出状態)において、遊技状態がRBB作動中状態(ボーナス状態)に移行した場合、RBB作動中状態であることを認識できる特定の画像(RBB作動中表示)を表示装置13に表示させる。具体的には、RBB作動中表示の画像が、AT中表示の画像が配置されているレイヤよりも上位レイヤに重ねて配置され、RBB作動中表示が表示される。
メダルを増加させることが可能なAT演出状態においては、その途中でRBB作動中状態への移行が報知されても、遊技者がそのスロットマシンでの遊技を止める可能性は低い。このようにAT演出状態においてRBB作動中表示を表示させることで、遊技者は、遊技状態がRBB作動中状態に移行したことを把握できる。
なお、RBB作動中状態における通常中表示では、カウンタ表示の数字が変化しないため、遊技者は、実際に遊技を行うと遊技状態がRBB作動中状態であると認識する場合がある。ただし、遊技を開始する前の状態では(見た目だけでは)、遊技状態がRBB作動中状態であることに気付くのは不可能であるため、遊技者が、スロットマシン10での遊技を回避する可能性を低減できる。すなわち、遊技者がスロットマシン10で遊技を行う確率を高くすることができる。
また、遊技状態がRBB作動中状態である場合に電源遮断(電断)がされる場合がある。この状態で電断復帰すると、復帰処理によって電断前の状態に戻り、RBB作動中表示または通常中表示(カウンタ表示が変化しない)のいずれかが表示される。この場合、遊技者が、遊技状態がRBB作動中状態であると認識し、その表示がされているスロットマシン10での遊技を回避するおそれがある。
そこで、本実施形態の遊技機は、遊技状態がRBB作動中状態である場合に電断し、その電断から復帰した場合には、電断復帰時から所定の期間(例えば約5分)、演出制御手段100が、一部または全部の照明装置を所定の色(例えば赤色)で発光させる。これは、遊技状態がRBB作動中状態で電断復帰したことの報知であり、遊技場の店員に、所定の処理を促すものである。所定の処理としては、設定変更操作がある。設定変更操作がされると、設定変更手段47が設定値を変更し、それに伴い初期化手段48が遊技状態を初期状態(一般中状態)に戻す。これにより、遊技状態がRBB作動中状態ではなくなり、RBB作動中状態における表示が表示されなくなる。したがって、遊技者によってスロットマシン10での遊技を回避される可能性を低減できる。なお、上記の所定の操作は、所定回数の遊技の実行であってもよい。所定の回数の遊技を行うことで、RBB作動中状態の終了条件が成立し、RBB作動中状態における表示が表示されなくなる。
また、本実施形態の遊技機では、演出状態が第1演出状態では、遊技状態がRBB作動中状態に移行しても、RBB作動中表示は表示されない。一方で、演出状態が第2演出状態(例えばAT演出状態)である場合には、遊技状態がRBB作動中状態に移行すると、RBB作動中表示が表示される。したがって、RBB作動中表示は、演出状態が第2演出状態(例えばAT演出状態)である場合にのみ表示される。このため、そのことを知っている遊技者にとっては、RBB作動中表示が、演出状態が第2演出状態(有利な状態)であることの報知となる。
本実施の形態では、ボーナスとしてビッグボーナス(RBB:第一種特別役物に係る役物連続作動装置)を採用した場合を例に説明したが、このボーナスを例えばレギュラーボーナス(RB:第一種特別役物)として読み替えてもよい。すなわち、遊技状態制御手段49が、一般中状態、RB内部中状態(ボーナス成立状態)およびRB作動中状態(ボーナス状態)の間で、遊技状態を移行させる遊技状態移行制御処理を行うようにし、演出状態が第1演出状態であるか第2演出状態であるかに応じてRB作動中状態において上述のRBB作動中表示(RB作動中表示)をするか否かを異ならせることとしてもよい。遊技状態がRB作動中状態である場合、一般中状態やRB内部中状態に比べて、所定の役の入賞を補助する指示機能に係る抽選が行われる頻度が少ない。
(第4の実施の形態)
以下、本発明の第4の実施の形態について図面を参照して説明する。
まず、遊技機の概略構成について説明する。なお、以下では遊技機の一つであるスロットマシンについて説明するが、本発明に係る遊技機は、スロットマシンに限ることなく、パチンコ遊技機等の遊技機であってもよい。
また、以下の説明においては、基本的に「前後」とは、スロットマシンの前側に遊技者が居る場合に、遊技者側が「前」で、スロットマシン側が「後」を意味し、「上下」とはスロットマシンの上面側が「上」で、下面側が「下」を意味し、「左右」とはスロットマシンを遊技する遊技者の左手側が「左」を意味し、右手側が「右」を意味する。
図33はスロットマシンXを示す斜視図である。また、図34はスロットマシンXの筐体1内部を示す斜視図である。このスロットマシンXは、筐体(遊技機筐体)1を備えている。また、筐体1は、天板2、背板3、底板4および左右の側板5,6を備え、当該筐体1の前面側に開口する前面開口部を有する箱形に形成されている。また、背板3は、天板2、底板4および左右の側板5,6よりも板厚が薄くなっている。なお、本実施形態においては、筐体1は木製であるが、合成樹脂製や金属製等であってもよい。
なお、以下では、天板2の下面、背板3の前面、底板4の上面、左側の側板5の右面および右側の側板6の左面、すなわち天板2、背板3、底板4、側板5または側板6における筐体1の内側を向く板面を内面とも呼ぶこととする。また、天板2の上面、背板3の背面、底板4の下面、左側の側板5の左面および右側の側板6の右面、すなわち天板2、背板3、底板4、側板5または側板6における筐体1の外側を向く板面を外面とも呼ぶこととする。
底板4の上面には、各部品に電力を供給するための電源ユニット10、メダルを貯留するとともにメダルを払い出す払い出し装置としてのホッパーユニット11、ホッパーユニット11に貯蔵されたメダルが一定量に達した際に余剰メダルが送り出されるキャッシュボックス12等が設けられている。
また、筐体1内には、リールユニット14や基板ユニット16等が設けられている。リールユニット14は、周囲に複数の図柄を表示した3個のリール15a,15b,15cと、リール15a~15cを回転させるための駆動モータ(ステッピングモータ)と、これらリール15a~15cおよび駆動モータ等が取り付けられこれらを一体的に支持するリールフレーム(フレーム部材)13とを有している。また、基板ユニット16は、CPU、ROM、RAM、I/O等の電子部品を備えた電子回路基板を、基板ケース18に収納したものである。基板ユニット16の電子回路基板は主制御基板(主制御装置)であり、後述するベットボタン35、スタートレバー990、ストップボタン33(ストップボタン33a,33b,33c)、メダルセンサ等の入力手段からの入力信号を受けて、遊技を実行するための各種の演算を行い、演算結果に基づいてリールユニット14や、ホッパーユニット11等の出力手段の制御を行う。なお、主制御基板から送られてくる信号を受けて、演出を実行するための各種の演算を行い、演算結果に基づいて液晶ディスプレイやスピーカ27等の演出用の装置の制御を行う副制御基板(副制御装置)は、前扉20の裏側に設けられている。
また、筐体1の正面側には、筐体1の前面開口部を開閉可能に閉塞する前扉20が設けられている。具体的には、前扉20は、筐体1にヒンジ29を介して回動可能に連結されており、筐体1の開口部を開閉するようになっている。
なお、前扉20は、上側部分と下側部分とで分かれている等、複数の扉に分かれているものであってもよい。また、スロットマシンXは、遊技店における機種の交換時に筐体1、前扉20の下側部分および筐体1内の電源ユニット10やホッパーユニット11等が遊技店の島設備に取り付けられたままで、前扉20の上側部分およびリールユニット14等が交換可能ないわゆる分離型筐体タイプのものであってもよい。
前扉20の上部中央には、平板状のパネル21が設けられている。また、パネル21は、その中央部に形成された透明な表示窓22と、表示窓22を囲うように形成され、絵柄が描かれた(印刷された)意匠部23とを備えている。
表示窓22の奥には、3個のリール15a~15cが横一列に設けられている。そして、表示窓22を通してリール15a~15cの一部が視認可能となっている。各リール15a~15cの外周面には複数種類の図柄が配列されており、リール15a~15cが停止すると表示窓22を通して1リール当たり3個の図柄(上段図柄、中段図柄、下段図柄)が表示される。そして、3個の回転リールが停止したときに表示窓22を通して表示される図柄の組み合わせによって当選役が入賞したか否かが表示される。また、意匠部23の背面側には、照明用の光源(LED)が設けられており、この光源からの光によって意匠部23に描かれた絵柄が背後から照らされるようになっている。
前扉20のパネル21の上部には、報知や演出などを行うための照明装置24が設けられている。また、前扉20の左右両端部には、報知や演出などを行うための照明装置25,25が設けられている。これらの照明装置24,25を含む、発光性または非発光性の立体的形状を有する装飾部材26が前扉20の所定部分に設けられることによって、遊技機の前面側の外形が凹凸したものとなっている。そして、これら装飾部材26によって、遊技機が装飾されている。また、このような凹凸した装飾部材26を備える前扉20の側面は、左右方向において左右の側板5,6の外面よりも僅かに内側に位置している。また、このような凹凸した装飾部材26を備える前扉20の上面は、天板2の外面よりも僅かに内側(下側)に位置している。
また、前扉20の上部および下部には複数のスピーカ27が設けられている。スピーカ27は、各種演出用の音(音楽、効果音、音声等)を出力する。なお、演出用の装置としては、照明装置24やスピーカの他に、各種演出用の画像(動画、静止画)を表示する液晶ディスプレイや、アクチュエータ等で動作可能な可動役物などを設けても良い。
前扉20の上下方向中央部には、スロットマシンXを操作するための操作部30が設けられている。操作部30には、クレジットされたメダルを払い出すための精算スイッチ31、遊技を開始させるためのスタートレバー990、3個のリール15a~15cそれぞれの回転を停止させるための3個のストップボタン33、メダル(遊技媒体)を投入するためのメダル投入口821、メダル投入口821の下方で発生したメダル詰まりを解消するリジェクトボタン、メダルをゲームに投資(ベット)するときに操作されるベットボタン35等が設けられている。
また、前扉20の下端部には、スロットマシン内部よりメダルを排出するためのメダル払い出し口と、メダル払い出し口から排出されたメダルを溜めておくためのメダル受け皿38とが形成されている。また、操作部30とメダル受け皿38との間には遊技機の外観を装飾するための下パネル39が設けられている。また、下パネル39の背面側には、照明用の光源(LED)が設けられており、この光源からの光によって下パネル39が背後から照らされるようになっている。
図34および図35に示すように、主制御基板を収納した基板ケース18、リールユニット14、電源ユニット10、ホッパーユニット11、前扉20(ヒンジ29)等は、ネジ50(ネジ50a,50b,50c,50d,50e:雄ネジ)によって筐体1に固定されている。具体的には、基板ケース18は、背板3に対して複数のネジ50aによってネジ止めされている。また、リールユニット14は、各リール15a~15cが設けられるリールフレーム13が背板3および左右の側板5,6に対して複数のネジ50bによってネジ止めされることで筐体1に固定されている。また、電源ユニット10は、背面を背板3の内面に当接または近接させ、左面を左側の側板5の内面に当接または近接させた状態で、背板3および左側の側板5に対して複数のネジ50cによってネジ止めされている。また、ホッパーユニット11は、底板4に対して複数のネジ50dによってネジ止めされている。また、前扉20を筐体1に連結するためのヒンジ29は、左側の側板5に対して複数のネジ50eによってネジ止めされている。また、この他にも、遊技機の状態を監視するホールコンピュータ等の外部機器に遊技機の状態を知らせる信号を送る外部集中端子板や、前述の入力装置または出力装置と主制御基板または副制御基板とを繋ぐ中継基板等の各種電子回路基板、筐体1の前扉20側を補強するフレーム52等の部品が、筐体1にネジ50によってネジ止めされている。なお、フレーム52には、筐体1の前面開口部を閉塞した前扉20の係合部が係合する被係合部が設けられており、当該係合部が当該被係合部に係合することで前扉20が筐体1の前面開口部を閉塞した状態で固定されるようになっている。
筐体1へのネジ50の取り付けについて、1つのネジ50を例にとって図36を参照しながら説明する。なお、他のネジ50についても同様にして筐体1に取り付けられている。ネジ50は、筐体1に設けられた複数の孔55それぞれに挿入されている。また、筐体1の外面1aには、孔55に対応する位置にザグリ加工が施されて凹部56が形成されている。すなわち、筐体1の外面1aには、孔55それぞれと同軸でかつ孔55よりも径の大きい凹部56が設けられている。ネジ50は、ナット(雌ネジ)58にねじ込まれており、これによりネジ50によって固定される各部品が、筐体1に対して固定されている。すなわち、当該各部品は、ネジ50とナット58とによって構成される締結部材(固着部材)によって、筐体1に固定されている。ここで、本実施形態において筐体1に取り付けられるネジ(雄ネジ)50a~50eは全て、その頭部が筐体1の内側(内面1b側)に配置され、先端部(頭部とは逆側の端部)が筐体1の外側(外面1a側)を向いた状態で筐体1に取り付けられている。このように全てのネジ50の頭部が筐体1の内側に配置されることで、ネジ50の取付作業を筐体1の内側からまとめて行うことができ、取付作業の効率が上昇する。また、ナット(雌ネジ)58は、凹部56の内側に収まるように配置されている。そして、ネジ50a~50eの頭部とナット58とによって筐体1を挟んだ状態となっている。
本実施形態の遊技機においては、ナット58として、爪付きナットを用いている。このように爪付きナットを用いることで、遊技機の製造コストを削減できる。また、孔55周辺部等の損傷を抑えられるので、ネジ50を一旦外して再度取り付けなおすこと等も容易となり、遊技機の再利用性を高めることができる。なお、ナット58として、爪付きナット以外のナットを用いてもよい。また、ナット58を用いず、孔55に締結部材としてのネジ(雄ネジ)50が直接螺合するような構成としてもよい。具体的には、木製の筐体1に対して締結部材としてのネジとして木ネジを用いて筐体1にねじ込むこととしてもよい。また、孔55の内周面が雌ネジ状となっており、この雌ネジ状の内周面に対して締結部材としてのネジ50が螺合する構成としてもよい。
天板2、背板3、底板4または側板5,6に取り付けられたネジ50は全て、天板2、背板3、底板4または側板5,6の外面(筐体1の外面)よりも外側に突出していない状態となっている。具体的には、ネジ50は、ネジ50の頭部が筐体1の内側に配置されており、ネジ50の先端(頭部とは逆側の端部)が筐体1の外面よりも1mm~2mm程度凹んだ状態(内側に位置した状態)となっている。なお、ネジ50の先端が筐体1の外面と面一となっていてもよい。また、複数のネジ50のうちの一部または全部が、ネジ50の頭部が筐体1の外側を向くように配置されていてもよい。また、この場合にネジ50の頭部は、凹部56の内側に収まるように配置されることが好ましい。すなわち、ネジ50の頭部が筐体1の外側を向く場合であっても、ネジ50の頭部の頂点が、筐体1の外面と面一あるいは当該外面よりも例えば、1mm~2mm程度凹んだ状態(内側に位置した状態)となっていることが好ましい。また、天板2、背板3、底板4または側板5,6に取り付けられたナット58は全て、天板2、背板3、底板4または側板5,6の外面よりも突出していない状態となっている。具体的には、ナット58は、凹部56の内側に配置されており、ナット58の遊技機外側を向く面が筐体1の外面よりも1mm~2mm凹んだ状態(内側に位置した状態)となっている。
次に、把手60および把手60が取り付けられる把手取付部61について、図37および図38を参照しながら説明する。左右の側板5,6それぞれには、把手取付部61が設けられており、この把手取付部61それぞれに、把手60が取り付けられている。遊技機を運ぶ者は、把手60の内側に手を入れて遊技機を持ち上げることが可能となっている。把手取付部61および把手60の構成は、左右の側板5,6で同様であるため、ここでは右側の側板6について説明し、左側の側板5については説明を省略する。
把手60は、把手本体部65とフランジ部66と係止部67とを備え、合成樹脂により形成されている。また、把手本体部65は、有底筒状となっている。また、把手本体部65は、有底筒状の開口65a側を構成し左右方向に延びる筒状の第1直線部68と、有底筒状の底65b側を構成し第1直線部68に対して上方に延びる筒状の第2直線部69と、第1直線部68と第2直線部69とを繋ぐ筒状の屈曲部70とを備えている。また、屈曲部70は、その内面が、第1直線部68側から第2直線部69側に向かって滑らかに曲がる曲面となっている。
把手本体部65の開口65a側の端縁には、フランジ部66が設けられている。また、係止部67は、把手60を筐体1に対して係止するための部分であり、把手本体部65の下方に設けられている。また、把手本体部65の外面であって、第1直線部68と第2直線部69との境目近傍には、第1直線部68の上方に突出するようにして側板6の内面に当接または近接する当接面71が形成されている。
把手60は、把手本体部65の開口65a側を、側板6の外側(右側)に向けた状態で配置されている。そして、把手60は、正面視における断面形状および外形が略L字状となっている。また、開口65aは、前後方向に長尺で上下方向に短尺な矩形状となっている。
把手60は、有底筒状の把手本体部65の中心軸を通る平面(上下方向および左右方向に延びる平面)で把手60を分割したような形状の、第1部材75と第2部材76とによって形成されている。第1部材75と第2部材76とには、例えば爪状等の係止部77と、この係止部77が係止される例えば孔状等の被係止部78とが、それぞれに複数ずつ設けられており、各係止部77が対応する各被係止部78に係止されることで一体化されている。なお、把手60は、第1部材75と第2部材76とに分かれておらず、合成樹脂等により一体的に成形されていてもよい。
把手取付部61は、側板6の上下方向中心よりもやや下方であって前後方向中心よりもやや後方に穿設された把手孔62と、フランジ嵌挿用凹部63とを備えている。フランジ嵌挿用凹部63は、側板6の外面に形成された凹部である。フランジ嵌挿用凹部63は、把手孔62における側板6外面側の周縁を囲うようにして形成されている。換言すると、フランジ嵌挿用凹部63の底面を、外周部を残して貫通させるようにして把手孔62が形成されている。また、把手孔62の内周面形状は、把手60の第1直線部68の外周面形状と略一致している。また、把手孔62の内周は、フランジ部66の外周よりも小さくなっている。また、フランジ嵌挿用凹部63の内周面形状は、フランジ部66の外周面形状と略一致している。また、フランジ嵌挿用凹部63の左右方向の長さ(側板6の外面からの凹み量)は、フランジ部66の左右方向の長さ(厚み)よりも1mm~2mm程度長くなっている。
ここで、把手取付部61への把手60の取り付けについて説明する。把手60は、把手本体部65の底65b側から把手孔62に挿入され、フランジ部66の裏面(側板6側を向く面)がフランジ嵌挿用凹部63の底面に当接するまで挿入される。フランジ部66の裏面がフランジ嵌挿用凹部63の底面に当接すると、把手60の左方への移動が規制され、把手60がそれ以上側板6に挿入されることが防止される。把手60が把手孔62に挿入されていく際には、係止部67が、把手60の上下方向の長さが短くなる方向に弾性変形し、当該挿入が阻害されないようになっているが、フランジ部66の裏面がフランジ嵌挿用凹部63の底面に当接するまで把手60が挿入されると、弾性変形した係止部67が元に戻り、係止部67が側板6の内面に掛かるようになっている。また、フランジ部66の裏面がフランジ嵌挿用凹部63の底面に当接した状態において、把手60の当接面71は、側板6の内面に当接または近接した状態となっている。すなわち、把手60は、把手取付部61に取り付けられた状態では、フランジ部66と係止部67および当接面71とによって側板6を挟み込んだ状態となっており、これにより把手60の抜け落ち(左右方向への移動)が防止されている。また、把手60は、把手取付部61に取り付けられた状態において、第1直線部68が、把手孔62の内周面に当接または近接しており、把手60の上下方向および前後方向への移動が規制されている。また、把手60が把手取付部61に取り付けられた状態において、フランジ部66の表面(右側(側板6の外側)を向く面)は、側板6(筐体1)の外面よりも1mm~2mm程度凹んだ状態(内側に位置した状態)となっている。なお、フランジ部66の表面が側板6(筐体1)の外面と面一となっていてもよい。
次に、筐体1の内部に設けられた電源ユニット10について説明する。電源ユニット10は、図39に示すように、電源筐体90と、電源筐体90の内部に収納された電源装置(図示せず)と、電源装置のON/OFFを切り替えるための電源スイッチ92と、コネクタ94と、電源筐体90の前面を覆う前面カバー95とを備えている。また、前面カバー95には、前面カバー95から露出する電源スイッチ92を覆う、開閉可能な電源スイッチカバー95aが設けられている。
コネクタ94には、商用電源(AC100V)を供給するコンセントに接続される電源ケーブル(図示せず)が接続される。具体的には、電源ケーブルの一端部に設けられたコネクタがコネクタ94に接続され、電源ケーブルの他端部に設けられたプラグがコンセントに接続される。電源装置は、遊技機の外部から電源ケーブルを介して送られる電力から直流電源(例えば、5V、12V、24V等)を作り、遊技機の各部品に電力を供給する。
電源筐体90は、略直方体の箱状となっている。また、電源筐体90には、電源筐体90の左面に連続して設けられ、当該左面の前縁上方部から前方に突出する板状部96が設けられている。また、板状部96の左面は、電源筐体90の左面と面一となっている。また、板状部96には、前述のネジ50cが挿通されるネジ挿通孔96a,96aが設けられている。また、電源筐体90は、電源筐体90の右面に連続して設けられ、当該右面の後縁下方部から右方に突出する板状部97が設けられている。すなわち、板状部96と板状部97とは、電源筐体90の互いに対角となる位置に設けられている。また、板状部97の背面は、電源筐体90の背面よりも後方に位置しており、電源筐体90の背面と平行となっている。また、板状部97には、前述のネジ50cが挿通されるネジ挿通孔97aが設けられている。また、電源筐体90は、背面の上縁および右縁上部を後方に突出させるようにして形成された突出部98,98を有している。また、突出部98,98の後端は、板状部97の背面と面一となっている。
電源スイッチ92は、電源筐体90の前面側に設けられている。電源スイッチ92がON状態にされると、電源装置が遊技機の各部品への電力供給を行い、電源スイッチ92がOFF状態にされると、電源装置が遊技機の各部品への電力供給をストップするようになっている。なお、電源スイッチ92がOFF状態でも電源装置が一部の部品に電力を供給するようになっていてもよい。
コネクタ94は、電源筐体90の背面の中心よりも下方に、当該背面から後方に突出して設けられている。また、コネクタ94は、オスコネクタとなっており、3つのピン100と、3つのピン100を囲う壁部101とを備えている。また、3つのピン100および壁部101が電源筐体90の背面から後方に突出しているが、壁部101の方が3つのピン100よりも当該背面からの突出量が大きくなっている。また、3つのピン100および壁部101の、電源筐体90背面からの突出量は、板状部97および突出部98,98の、電源筐体90背面からの突出量よりも大きくなっている。
筐体1の背板3には、図40に示すように、電源ユニット10のコネクタ94を後方に露出させるための開口105が設けられている。すなわち、コネクタ94は、背面視において遊技機の外側から見えるようになっており、電源ケーブルのコネクタを電源ユニット10のコネクタ94に差し込む際に、後方から真っ直ぐ差せるようになっている。また、開口105の開口断面は、コネクタ94の背面視における外形よりも大きくなっている。
電源ユニット10は、板状部96のネジ挿通孔96a,96aそれぞれに挿通されたネジ50cが、筐体1の側板5に固定され、板状部97のネジ挿通孔97aに挿通されたネジ50cが、筐体1の背板3に固定されることで、筐体1に固定されている。また、電源筐体90の左面および板状部96の左面は、筐体1の側板5に当接または近接している。また、突出部98,98の後端および板状部97の背面は、筐体1の背板3に当接または近接しており、電源筐体90の背面と筐体1の背板3との間には隙間が形成されている。また、電源筐体90の背面には、電源ユニット10の各部品を互いに固定するためのネジ99が、その頭部を電源筐体90の背面から後方に突出させた状態で取り付けられているが、当該頭部が、電源筐体90の背面と筐体1の背板3との間の隙間に収まるようになっている。
また、コネクタ94は、後側の端部が、開口105部分の内側(開口105に囲われた領域)に入り込んだ状態となっている。換言すると、コネクタ94の後端は、背板3の内面(筐体1の内面)よりも、後方に位置している。また、コネクタ94の後端は、背板3の外面(筐体1の外面)よりも1mm~2mm程度凹んだ状態(前方(内側)に位置した状態)となっている。なお、コネクタ94の後端が、背板3の外面と面一となっていてもよい。
次に、メダル補給穴110およびメダル補給穴110を塞ぐメダル補給穴カバー112について、図41を参照しながら説明する。筐体1の背板3には、メダル補給穴110とメダル補給穴カバー112とが設けられている。メダル補給穴110は、店舗等において、スロットマシンXの後側からメダルを補給可能とする穴であり、このメダル補給穴110を介してホッパーユニット11にメダルを補給可能になっている。また、メダル補給穴カバー112は、メダル補給穴110を使用しない場合(メダル補給穴110を介したメダルの補給を行わない場合)に、メダル補給穴110を塞いでおくためのカバーである。
背板3には、メダル補給穴110の左側に、孔(カバー取付孔)120が設けられている。また、背板3の外面には、孔120に対応する位置にザグリ加工が施されて凹部122が形成されている。すなわち、背板3の外面には、孔120と同軸でかつ孔120よりも径の大きい凹部122が設けられている。また、背板3には、メダル補給穴110の右縁に隣接する部分を一部切り欠くようにして、凹部(係止用凹部)124が形成されている。
メダル補給穴カバー112は、略矩形板状となっている。また、メダル補給穴カバー112の背面左側には、後方に突出する係止用突出部126が設けられている。係止用突出部126は、略円筒状であり、突出方向先端部に、係止用の爪126aが形成されている。係止用突出部126は、孔120に挿入されるようになっており、挿入される際には爪126a部分が縮径して孔120に挿入されるととともに、挿入されると縮径されていた爪126a部分が元に戻り孔120の縁に係止されるようになっている。また、メダル補給穴カバー112の背面右側には、後方に突出する係止片128が設けられている。係止片128は、凹部124に適合する形状となっている。また、係止片128のメダル補給穴カバー112背面からの突出量は、係止用突出部126のメダル補給穴カバー112背面からの突出量よりも小さくなっている。また、メダル補給穴カバー112の右側上部には、指を差し入れ可能な穴129が設けられており、メダル補給穴カバー112の取り付け、取り外しの際に、作業者が穴129に指を挿入してメダル補給穴カバー112を持ったりメダル補給穴カバー112を下方に押し下げたりすることができるようになっている。
メダル補給穴カバー112は、筐体1の内側から取り付けられ、メダル補給穴110を内側から覆って塞ぐようになっている。また、メダル補給穴カバー112は、係止用突出部126が孔120に挿入され孔120の縁に係止されるとともに、係止片128が凹部124に係止された状態で、背板3に取り付けられるようになっている。このとき、メダル補給穴カバー112は、係止用突出部126が孔120の縁に係止されることで、背板3からの逸脱が防止されているとともに、係止用突出部126が孔120に挿入され、係止片128が凹部124に係止されることで、背板3に対する位置決めがされている。
メダル補給穴カバー112の背面は、背板3の内面に当接した状態となっている。また、係止用突出部126の後端は、背板3の外面よりも突出していない状態となっている。具体的には、係止用突出部126の爪126aは、凹部122の内側に配置されており、係止用突出部126の後端が、背板3の外面よりも1mm~2mm程度凹んだ状態(内側に位置した状態)となっている。すなわち、メダル補給穴カバー112は、筐体1の外面よりも外側に突出した部分を有しないように形成され、取り付けられている。なお、係止用突出部126の後端等、メダル補給穴カバー112の一部が、筐体1の外面と面一となっていてもよい。
本実施形態の遊技機によれば、天板2と背板3と底板4と2つの側板5,6とを備え、箱形に形成された遊技機筐体1と、遊技機筐体1に取り付けられる把手60および複数のネジ50と、電源ケーブルが接続されるコネクタ94を有し、遊技機筐体1に収容され、所定の部品に電力を供給する電源ユニット10と、を備え、把手60と、コネクタ94と、天板2、背板3または側板5,6に取り付けられる全てのネジ50とが、遊技機筐体1よりも外側に突出していないので、遊技機を梱包する際等に、把手60、コネクタ94またはネジ50が引っ掛かったりして梱包がしにくいといったことや、把手60、コネクタ94またはネジ50等が損傷してしまったりすることを防止できる。また、コネクタ94の少なくとも一部が遊技機筐体1の内面よりも外側に突出しているので、遊技機筐体1の外部からコネクタ94へ電源ケーブルを接続する作業が容易となる。また、このようにコネクタ94、すなわち電源ユニット10の一部を遊技機筐体1の内面よりも外側に突出させて配置することで、電源ユニット10を筐体1の左奥に寄せて配置することが可能となり、電源ユニット10に対する不正な操作を防止することができる。
なお、基板ユニット16または電源ユニット10が、遊技に係る抽選に関する設定を変更する際に操作される設定変更ボタン(ボタンスイッチ)と設定変更キースイッチとを備えていてもよい。特に電源ユニット10が設定変更ボタンや設定変更キースイッチを備えている場合には、電源ユニット10を筐体1の左奥に寄せて配置することによる不正に設定が変更されることへの防止効果が高くなるが、仮に基板ユニット16が設定変更ボタンや設定変更キースイッチを備えている場合であっても、基本的には設定変更の際には電源スイッチ92も併せて操作されるため、この場合でも電源ユニット10を筐体1の左奥に寄せて配置することで不正な設定変更操作の防止につながる。
なお、把手60と、コネクタ94と、天板2、背板3または側板5,6に取り付けられるネジ50とは、その外側の端が、筐体1の外面(天板2、背板3または側板5,6の外面)よりも1mm~2mm程度内側に位置するように配置されていてもよい。このように構成することで、各部材の製造上の誤差や、筐体1への取り付け誤差等が生じた場合(公差最大までずれた場合であっても)であっても、把手60やコネクタ94やネジ50が筐体1の外側に突出することを防止できる。なお、全ての把手60、コネクタ94およびネジ50の全てが筐体1の外面よりも1mm~2mm程度内側に位置するように配置する必要はなく、特に誤差の生じやすい部材のみ、1mm~2mm程度内側に位置するように配置されていればよい。
また、コネクタ94に接続される電源ケーブルのコネクタは、L型のコネクタとしてもよい。すなわち、電源ケーブルのコネクタは、コネクタ94に接続された状態において、電源ケーブルが例えば左右方向に延びる形状としてもよい。このような構成によれば、コネクタ94が、背板3の外面に近い位置に配置されている本実施形態の遊技機のような構成であっても、電源ケーブルのコネクタ部分において電源ケーブルに負荷がかかることを防止でき(例えば、電源ケーブルのコネクタ部分とケーブル部分との接続箇所が遊技機の後方の壁等に押し付けられ、当該接続箇所に負荷がかかることを防止でき)、当該コネクタ部分において電源ケーブルが断線してしまうことを防止できる。なお、電源ケーブルのコネクタをL型コネクタとする場合において、当該L型コネクタは、その一部が筐体1の外面よりも外側に突出するようになっていてもよく、突出しないようになっていてもよい。
また、本実施形態の遊技機においては、コネクタ94の後端が背板3の前面よりも後方に位置するものとしたが、電源ユニット10のその他の部分の後端が背板3の前面よりも後方に位置することとしてもよい。例えば、電源筐体90の後端が、背板3の前面よりも後方に位置していてもよい。また、電源筐体90の背面に、電源ユニット10で発生する熱を放熱するためのヒートシンクが設けられ、このヒートシンクが背板3の前面よりも後方に位置することとしてもよい。またこれらの場合に、コネクタ94は、その後端が背板3の前面よりも前方に位置していてもよく、後方に位置していてもよい。すなわち、電源ユニット10は、少なくともその一部が、開口105(開口に囲われた領域)の内側に位置し、当該一部が背板3の前面よりも後方に突出するようになっているとよい。このような構成によれば、電源ユニット10をできるだけ後方、さらに述べると左奥に配置することができ、不正な操作が行われる可能性を低減することができる。また、電源筐体90または前記ヒートシンクの少なくとも一部が背板3の前面よりも後方に突出するように、開口105の内側に入り込ませて配置することで、電源ユニット10の放熱性を高めることができる。なお、開口105の大きさは、この開口105の内側に配置される部材の大きさに応じて適宜設定すればよく、また複数の開口105が設けられていてもよい。また、本実施形態の遊技機においては、筐体1の内面と電源筐体90の突出部98,98および板状部97が当接または近接するようになっているが、例えば、筐体1の背板3の内面と電源筐体90の背面とが当接していていもよい。また、電源筐体90(電源ユニット10)は、筐体1の背板3および/または側板5,6に当接していなくてもよいが、コネクタ94ができる限り開口105に近づくとともに、できる限り遊技者等から遠ざかる位置に電源ユニット10が配置(本実施形態の遊技機においては、電源ユニット10が、できる限り後方に配置され、筐体1の背板3に近接又は当接するように配置)されることが望ましい。コネクタ94をできるだけ開口105に近づけることで、たとえコネクタ94の一部が筐体1の内面よりも外側に突出していなくても、電源ケーブルの接続をある程度容易にすることができる。
また、スロットマシンXは、メダル補給穴カバー112を備えていなくてもよいが、備えている場合には、メダル補給穴カバー112は、前述のように筐体1の外面よりも外側に突出した部分を有しないように形成され、取り付けられることが好ましい。すなわち、筐体1の外面(天板2、背板3、底板4、側板5または側板6の外面)よりも突出する部材が(電源ケーブルを除いて)存在しないように遊技機が構成されることが好ましい。
次に、筐体1の変形例である筐体141について図42を参照しながら説明する。筐体141は、筐体1と同様に、天板142、背板143、底板144および左右の側板145,146を備え、当該筐体141の前面側に開口する前面開口部を有する箱形に形成されている。また、天板142、底板144および左右の側板145,146の後端面142a,144a,145a,146aは、背板143の外側の板面143aよりも後方に突出している。また、天板142、底板144および左右の側板145,146の後端面142a,144a,145a,146aは、互いに面一となっている。なお、これらの後端面142a,144a,145a,146aは、互いに完全に面一でなくてもよく、略面一となっていてもよい。
このような筐体141を備える遊技機においては、ネジ50もしくはメダル補給穴カバー112等の背板143に取り付けられる部材、または電源ユニット10(コネクタ94)等の少なくとも一部が背板143の前面よりも後方に突出する部材は、天板142、底板144および左右の側板145,146の後端面142a,144a,145a,146aを通る仮想平面よりも突出していなければよい。すなわち、ネジ50、メダル補給穴カバー112または電源ユニット10(コネクタ94)等の一部が、背板143の外面143aよりも外側に突出していても、天板142、底板144および左右の側板145,146に囲われた領域内に収まっていればよい。具体的には、例えば、頭部が外側に位置するように取り付けられたネジ50の頭部や、ナット58等が、背板143の外面143aよりも外側に突出していてもよい。このような構成によれば、天板142、底板144および左右の側板145,146の後端面142a,144a,145a,146aによって、梱包材としての段ボール箱等が背板143の外面143aに向かってくるのを防ぐことができるので、ネジ50、メダル補給穴カバー112または電源ユニット10(コネクタ94)等が前記仮想平面よりも後方に突出していなければ、ネジ50、メダル補給穴カバー112または電源ユニット10(コネクタ94)等に梱包材等が引っ掛かったりすることを防止できる。なお、天板142、底板144および左右の側板145,146の後端面142a,144a,145a,146aは、互いに面一となっていなくてもよい。また、天板142、底板144または左右の側板145,146のうち、後端面142a,144a,145a,146aが背板143の外面143aよりも後方に突出していないものがあってもよい。天板142、底板144または左右の側板145,146のうち、少なくとも1つの後端面142a,144a,145a,146aが背板143の外面143aよりも後方に突出しており、ネジ50、メダル補給穴カバー112または電源ユニット10(コネクタ94)等の後端が、背板143の外面143aよりも後方に突出した端面142a,144a,145a,146aよりも後方に突出していなければ、前記同様にネジ50、メダル補給穴カバー112または電源ユニット10(コネクタ94)等に梱包材等が引っ掛かる等して、ネジ50、メダル補給穴カバー112または電源ユニット10が損傷したり、梱包の妨げとなったりすることを防止できる。
(第5の実施の形態)
以下、本発明の第5の実施の形態について図面を参照して説明する。
まず、遊技機の概略構成について説明する。なお、以下では遊技機の一つであるスロットマシンについて説明するが、本発明に係る遊技機は、スロットマシンに限ることなく、パチンコ遊技機等の遊技機であってもよい。
また、以下の説明においては、基本的に「前後」とは、スロットマシンの前側に遊技者が居る場合に、遊技者側が「前」で、スロットマシン側が「後」を意味し、「上下」とはスロットマシンの上面側が「上」で、下面側が「下」を意味し、「左右」とはスロットマシンを遊技する遊技者の左手側が「左」を意味し、右手側が「右」を意味する。
図43(a)はスロットマシンXを示す斜視図である。また、図43(b)はスロットマシンXの筐体1内部を示す斜視図である。このスロットマシンXは、筐体(遊技機筐体)1を備えている。また、筐体1は、天板2、背板3、底板4および左右の側板5,6を備え、当該筐体1の前面側に開口する前面開口部を有する箱形に形成されている。また、背板3は、天板2、底板4および左右の側板5,6よりも板厚が薄くなっている。
なお、以下では、天板2の下面、背板3の前面、底板4の上面、左側の側板5の右面および右側の側板6の左面、すなわち天板2、背板3、底板4、側板5または側板6における筐体1の内側を向く板面を「内面」とも呼ぶこととする。また、天板2の上面、背板3の背面、底板4の下面、左側の側板5の左面および右側の側板6の右面、すなわち天板2、背板3、底板4、側板5または側板6における筐体1の外側を向く板面を「外面」とも呼ぶこととする。筐体1は木製、合成樹脂製、または金属製等である。また、筐体1の材料は1種類に限らず、例えば一部(天板2)が木製であり、その他(背板3、底板4および左右の側板5,6)が樹脂製となっていてもよい。
底板4の上面には、各部品に電力を供給するための電源ユニット10、メダルを貯留するとともにメダルを払い出す払い出し装置としてのホッパーユニット11、ホッパーユニット11に貯蔵されたメダルが一定量に達した際に余剰メダルが送り出されるキャッシュボックス12等が設けられている。
また、筐体1内には、リールユニット14等が設けられている。リールユニット14は、周囲に複数の図柄を表示した3個のリール15a,15b,15cと、リール15a~15cを回転させるための駆動モータ(ステッピングモータ)と、これらリール15a~15cおよび駆動モータ等が取り付けられこれらを一体的に支持するリールフレーム(フレーム部材)13とを有している。
また、筐体1の正面側には、筐体1の前面開口部を開閉可能に閉塞する前扉20が設けられている。具体的には、前扉20は、筐体1にヒンジ29を介して回動可能に連結されており、筐体1の開口部を開閉するようになっている。なお、前扉20は、上側部分と下側部分とで分かれている等、複数の扉に分かれているものであってもよい。また、スロットマシンXは、遊技場における機種の交換時に筐体1、前扉20の下側部分および筐体1内の電源ユニット10やホッパーユニット11等が遊技場の島設備に取り付けられたままで、前扉20の上側部分およびリールユニット14等が交換可能ないわゆる分離型筐体タイプのものであってもよい。
前扉20の上部中央には、平板状のパネル21が設けられている。また、パネル21は、その中央部に形成された透明な表示窓22と、表示窓22を囲うように形成され、絵柄が描かれた(印刷された)意匠部23とを備えている。
表示窓22の奥には、3個のリール15a~15cが横一列に設けられている。そして、表示窓22を通してリール15a~15cの一部が視認可能となっている。各リール15a~15cの外周面には複数種類の図柄が配列されており、リール15a~15cが停止すると表示窓22を通して1リール当たり3個の図柄(上段図柄、中段図柄、下段図柄)が表示される。そして、3個の回転リールが停止したときに表示窓22を通して表示される図柄の組み合わせによって当選役が入賞したか否かが表示される。また、意匠部23の背面側には、照明用の光源(LED)が設けられており、この光源からの光によって意匠部23に描かれた絵柄が背後から照らされるようになっている。
前扉20のパネル21の上部には、報知や演出などを行うための照明装置24が設けられている。また、前扉20の左右両端部には、報知や演出などを行うための照明装置25,25が設けられている。これらの照明装置24,25を含む、発光性または非発光性の立体的形状を有する装飾部材26が前扉20の所定部分に設けられることによって、遊技機の前面側の外形が凹凸したものとなっている。そして、これら装飾部材26によって、遊技機が装飾されている。また、このような凹凸した装飾部材26を備える前扉20の側面は、左右方向において左右の側板5,6の外面よりも僅かに内側に位置している。また、このような凹凸した装飾部材26を備える前扉20の上面は、天板2の外面よりも僅かに内側(下側)に位置している。
また、前扉20の上部および下部には複数のスピーカ27が設けられている。スピーカ27は、各種演出用の音(音楽、効果音、音声等)を出力する。なお、演出用の装置としては、照明装置24やスピーカの他に、各種演出用の画像(動画、静止画)を表示する液晶ディスプレイや、アクチュエータ等で動作可能な可動役物などを設けても良い。
前扉20の上下方向中央部には、スロットマシンXを操作するための操作部30が設けられている。操作部30には、クレジットされたメダルを払い出すための精算スイッチ31、遊技を開始させるためのスタートレバー990、3個のリール15a~15cそれぞれの回転を停止させるための3個のストップボタン33、メダル(遊技媒体)を投入するためのメダル投入口821、メダル投入口821の下方で発生したメダル詰まりを解消するリジェクトボタン、メダルをゲームに投資(ベット)するときに操作されるベットボタン35等が設けられている。
また、前扉20の下端部には、スロットマシン内部よりメダルを排出するためのメダル払い出し口と、メダル払い出し口から排出されたメダルを溜めておくためのメダル受け皿38とが形成されている。また、操作部30とメダル受け皿38との間には遊技機の外観を装飾するための下パネル39が設けられている。また、下パネル39の背面側には、照明用の光源(LED)が設けられており、この光源からの光によって下パネル39が背後から照らされるようになっている。
筐体1における天板2は、木製、合成樹脂製、または金属製等である。なお、天板2は、例えば板状の樹脂(外側)と板状の金属(内側)とを2枚重ねた構造としてもよい。図44に示すように、天板2には、複数の取付穴201が設けられている。取付穴201は、遊技機を遊技場の島設備に取り付ける際に用いられる穴(島固定用穴)である。すなわち、取付穴201は、筐体1の島設備への取り付けに用いられる。
作業者は、前扉20を開いた状態で筐体1の内側から固定部材(締結部材)としてのネジ(例えば木ネジ)を、下から上に向かって取付穴201にねじ込み、さらにネジを取付相手部材(島側の部材)にもねじ込むことで、遊技機を島設備に固定する。これによりネジの頭部は、筐体1の内側に配置されることとなる。取付穴201は、ネジを螺合させることが可能に形成されており、取付穴201の直径は、例えばネジにおけるねじ山が形成されている部分(ねじ部)の直径(ねじ部の外径)よりも小さくなっている。なお、本実施形態では、取付穴201を円形状(丸穴)としているが、ネジを螺合させることが可能な形状であれば、楕円、長穴等となっていてもよい。また、取付穴201は、貫通穴に限らず非貫通の穴であってもよい。すなわち、取付穴201は、天板2の内面側に設けられた一定の深さを有する凹み形状であってもよい。また、固定部材としてネジを用いることとするが、例えば釘等の他の固定部材を用いてもよい。
本実施形態では、天板2における左側と右側とに、取付穴201を、前後方向(奥行方向)に沿って、所定の間隔ごとに一列に並ぶように設けている。本実施形態では、左側に3箇所、右側に3箇所の合計6箇所の取付穴201を設けている。6箇所の取付穴201は、すべてが遊技機の取り付け(固定)に用いられる必要はない。すなわち、取付穴201は、天板2における左側と右側とに少なくとも1箇所ずつ設けられているものであればよい。ただし、本実施形態のように取付穴201を6箇所に設けた場合、作業者は、使用する取付穴201を適宜選択することができる。すなわち、左側3箇所のうちのいずれか1箇所の取付穴201と、右側3箇所のうちのいずれか1箇所の取付穴201と、を選択することできる。このように複数の取付穴201を設けておくことで、取付相手部材の劣化等によりネジ締めが困難な場合に、使用する取付穴201の位置を前後方向で変更することができる。なお、取付穴201は、固定部材(ネジ)をねじ込むために設けられている仮穴ともいえ、固定部材(ネジ)をねじ込む際の目安となる。
<主制御基板およびサブ制御基板>
図44に示すように、筐体1の内部における上側(天板側)には、主制御基板ユニット220が設けられている。また、図45に示すように、前扉20の裏側(背面側)における上側には、副制御基板ユニット230が設けられている。また、図47は、図46に示すY-Y線における断面図である。図47に示すように、主制御基板ユニット220は、主制御基板221と、主制御基板221を覆う(主制御基板221を内部に収容する)主制御基板ケース222とを備えている。主制御基板221には、複数の電子部品(CPU、ROM、RAM、I/O等)が実装されている。主制御基板221は、ベットボタン35、スタートレバー990、ストップボタン33(ストップボタン33a,33b,33c)、メダルセンサ等の入力装置からの入力信号を受けて、遊技を実行するための各種の演算を行い、演算結果に基づいてリールユニット14や、ホッパーユニット11等の出力装置の制御を行う。また、主制御基板ケース222は、透明な樹脂等で形成され、主制御基板221を保護している。
また、副制御基板ユニット230は、副制御基板231と、副制御基板231を覆う(副制御基板231を内部に収容する)副制御基板ケース232とを備えている。副制御基板231には、複数の電子部品が実装されている。副制御基板231は、主制御基板221から送られてくる信号を受けて、演出を実行するための各種の演算を行い、演算結果に基づいて演出装置(液晶ディスプレイやスピーカ27等)の制御を行う。また、副制御基板ケース232は、透明な樹脂等で形成され、副制御基板231を保護している。
ここで遊技機の島設備への取り付けにおいて生じ得る問題について説明する。作業者は天板2に設けられている取付穴201を用いてネジ締めを行うが、その際にゴミ(木、樹脂、金属等のくずや粉等)が発生することがある。このゴミ(異物)が、仮に主制御基板221または副制御基板231に付着した場合、誤動作や故障等の不具合が生じるおそれがある。特にゴミが金属製のゴミである場合、回路のショート等を招くおそれがある。
図47における破線a、破線bおよび破線cは、それぞれの取付穴201(3箇所)から鉛直方向(鉛直下方、直下)に引いた破線である。本実施形態では、上記の問題の発生を抑制するために、取付穴201の鉛直下方(直下)となる位置に、主制御基板221および副制御基板231が設けられていない(配置されていない)。換言すると、取付穴201の鉛直下方とはならない位置に、主制御基板221および副制御基板231を配置している。さらに換言すると、取付穴201、主制御基板221および副制御基板231の位置関係が、取付穴201の鉛直下方に、主制御基板221および副制御基板231が存在しない位置関係となっている。このように構成することで、遊技機を島設備へ固定する際のネジ締めでゴミが発生した場合であっても、取付穴201から鉛直下方に落下するゴミが、主制御基板221および副制御基板231のいずれにも付着することがない。これにより、誤動作や故障等の不具合が発生するのを抑制できる。
また、前後方向における最も後方に設けられている取付穴201の鉛直下方に(いずれの取付穴201の鉛直下方にも)、主制御基板221を覆う主制御基板ケース222が配置されていない。また、前後方向における最も前方に設けられている取付穴201の鉛直下方に(いずれの取付穴201の鉛直下方にも)、副制御基板231を覆う副制御基板ケース232が配置されていない。このため、ネジ締めの際のゴミが主制御基板ケース222および副制御基板ケース232のいずれにも付着することがない。したがって、当該ゴミが主制御基板ケース222および副制御基板ケース232を伝って内部に侵入することがない。取付穴201の鉛直下方に、基板のみならず基板ケース(主制御基板ケース222および副制御基板ケース232)をも配置されないように構成することで、不具合が発生する確率をさらに低減できる。
<メイン裏箱基板およびサブ裏箱基板>
図44に示すように、筐体1の内部における上側(天板側)には、メイン裏箱基板ユニット223およびサブ裏箱基板ユニット224が設けられている。メイン裏箱基板ユニット223は背板3に取り付けられている。サブ裏箱基板ユニット224は左側板5に取り付けられている。図48は、各基板ユニットの基板ケースを取り外した状態(基板を露出させた状態)を示している。メイン裏箱基板ユニット223は、メイン裏箱基板223a(図48)とメイン裏箱基板223aを覆うメイン裏箱基板ケース223b(図44)とを備えている。また、サブ裏箱基板ユニット224は、サブ裏箱基板224a(図48)とサブ裏箱基板224aを覆うサブ裏箱基板ケース224b(図44)とを備えている。図48に示すように、取付穴201の鉛直下方となる位置には、メイン裏箱基板223aおよびサブ裏箱基板224aがいずれも配置されていない。このため、ネジ締めの際のゴミがメイン裏箱基板223aおよびサブ裏箱基板224aに付着せず、誤動作や故障等の不具合が発生するのを抑制できる。また、図44に示すように、取付穴201の鉛直下方となる位置に、メイン裏箱基板ケース223bおよびサブ裏箱基板ケース224bも配置されていない。よって、ネジ締めの際のゴミが、メイン裏箱基板ケース223bおよびサブ裏箱基板ケース224bに付着することがなく、不具合が発生する確率をさらに低減できる。
<外部端子板(外部集中端子板)>
図49に示すように、筐体1の内部には、外部端子板ユニット225が設けられている。本実施形態では、外部端子板ユニット225は右側板6に取り付けられている。外部端子板ユニット225は、外部端子板225aと、外部端子板225aの周囲を囲む外部端子板ケース225bとを備えている。なお、外部端子板ケース225bは、外部端子板225a全体を覆うケースであってもよい。外部端子板225aは、遊技機を外部の電子機器(データ表示装置やホールコンピュータ等)に接続するために設けられ、外部端子板225aからは、遊技機の状態等を表す各種の外部情報信号が外部の電子機器に向けて出力される。本実施形態では、取付穴201の鉛直下方となる位置に、外部端子板225aが配置されていない。このため、ネジ締めの際のゴミが外部端子板225aに付着せず、不具合が発生するのを抑制できる。また、取付穴201の鉛直下方となる位置に外部端子板ケース225bも配置されていない。このため、不具合が発生する確率をさらに低減できる。なお、本実施形態では、外部端子板ユニット225が右側板6に取り付けられるものとしたが、外部端子板ユニット225は例えば左側板5に取り付けられていてもよい。その場合であっても、取付穴201の鉛直下方には、外部端子板ユニット225が配置されない。
<電源ユニット>
図44に示すように、筐体1の内部における下側(底板側)には、略直方体の箱状である電源ユニット10が配置されている。電源ユニット10は、底板4に載置され左側板5に固定されている。電源ユニット10は、電源基板ケース251、電源スイッチカバー252、電源スイッチ(図示せず)、および電源基板254(図48参照)等を備えている。そして、本実施形態では、図48に示すように、取付穴201の鉛直下方となる位置に電源基板254が配置されていない。したがって、ネジ締めの際のゴミが電源基板254に付着せず、誤動作や故障等の不具合が発生するのを抑制できる。
また、図51に示すように、取付穴201の鉛直下方に電源ユニット10自体が配置されていない。このため、ネジ締めの際のゴミが電源ユニット10(電源基板ケース251)に付着することがない。したがって、当該ゴミが電源基板ケース251を伝って内部に侵入することがない。これにより、不具合が発生する確率をさらに低減できる。
<前扉に設けられている基板>
図52は、前扉20を背面側から見た図であり、各基板ユニットの基板ケース等を取り外して、基板を露出させた状態としている。前扉20の背面側には、副制御基板231、複数のLED基板234、および複数の中継基板233が設けられている。LED基板234は、少なくとも1つの光源(LED)が実装された基板である。また、中継基板233には、所定の基板(メイン裏箱基板等)と所定の装置(入力装置、出力装置等)とを繋ぐ中継基板や、所定の基板(サブ制御基板等)と所定の基板(LED基板等)とを繋ぐ中継基板等がある。なお、本実施形態では、図47に示すように、副制御基板231は、前扉20に設けられる基板の中で、最も後方側に配置されている。換言すると、前扉20に設けられる副制御基板231以外の基板は、副制御基板231よりも前方側に配置されている。
本実施形態では、取付穴201の鉛直下方となる位置に、前扉20に設けられているすべての基板がいずれも配置されていない。なお、前扉20に設けられる副制御基板231、LED基板234および中継基板233以外の基板としては、液晶制御基板等がある。このように構成することで、ネジ締めの際のゴミが、前扉20に設けられているすべての基板のいずれにも付着することがない。これにより、誤動作や故障等の不具合の発生を抑制できる。
また、副制御基板231以外の前扉20に設けられる基板で、基板ケースに覆われているもの(基板ケースに収納されているもの)が存在してもよい。例えば、図52で示した2つの中継基板233は、図45に示すように、それぞれ中継基板ケース233aに覆われている。なお、本実施形態では、図47に示すように、副制御基板ケース232は、前扉20に設けられる基板ケースの中で最も後方側に配置されている。換言すると、前扉20に設けられる副制御基板ケース232以外の基板ケースは、副制御基板ケース232よりも前方側に配置されている。本実施形態では、取付穴201の鉛直下方となる位置に、前扉20に設けられている基板を覆うすべての基板ケースのいずれもが配置されていない。これにより、不具合が発生する確率をさらに低減できる。
<リールLED基板(リールバックライト基板)>
図44に示すように、筐体1の内部であって上下方向の略中央部には、板状の中板7(リールフレーム13を構成)が取り付けられている。また、この中板7には、リールユニット14が配置されている。中板7は、リールユニット14の支持部材といえる。リールユニット14における各リール15a~15cは、上段図柄、中段図柄、および下段図柄の3図柄に光を照射する光源(LED)が実装されたリールLED基板(リールバックライト基板)228(図48参照)を備えている。そして、図47に示すように、本実施形態では、取付穴201の鉛直下方となる位置には、リールバックライト基板228が配置されていない。このため、ネジ締めの際のゴミがリールバックライト基板228に付着せず、誤動作や故障等の不具合が発生するのを抑制できる。
<すべての基板>
本実施形態では、取付穴201の鉛直下方となる位置に、すべての基板が配置されていない。当該すべての基板には、筐体1の内部に設けられる基板と、前扉20に設けられる基板とがある。このため、ネジ締めの際のゴミがいずれの基板にも付着せず、誤動作や故障等の不具合が発生するのを抑制できる。
<すべての基板ケース>
本実施形態では、取付穴201の鉛直下方となる位置に、各基板を覆うすべての基板ケースのいずれもが配置されていない。当該すべての基板ケースには、筐体1の内部に設けられる基板ケースと、前扉20に設けられる基板ケースとがある。このため、ネジ締めの際のゴミがいずれの基板ケースにも付着せず、不具合が発生する確率をさらに低減できる。
<変形例1>
本実施形態では、図47に示すように、前後方向において、取付穴201の鉛直下方に、主制御基板221および副制御基板231が配置されていないものとしたが、以下のように構成してもよい。図50に示すように、左取付穴201と右取付穴201との左右方向間隔を左右方向間隔Aとする。また、主制御基板221の左右方向長さを左右方向長さBとする。また、図52に示すように、副制御基板231の左右方向長さを左右方向長さCとする。本変形例では、取付穴201の左右方向間隔Aを、主制御基板221の左右方向長さBおよび副制御基板231の左右方向長さCの両方よりも広い間隔とする。言い換えると、左右方向間隔Aの内側に、主制御基板221(左右方向長さB)および副制御基板231(左右方向長さC)が配置されるように構成する。
このように構成することで、仮に主制御基板221がより前方側に配置された場合や、副制御基板231がより後方側に配置された場合であっても、取付穴201が主制御基板221の左右方向両端および副制御基板231の左右方向両端よりも左右方向外側に設けられているため(取付穴201が左右方向に逃げているため)、取付穴201の鉛直下方となる位置に、主制御基板221および副制御基板231が配置されない。このため、ネジ締めの際のゴミが主制御基板221および副制御基板231に付着せず、誤動作や故障等の不具合が発生するのを抑制できる。
<変形例2>
本実施形態では、図47に示すように、取付穴201の鉛直下方となる位置に、リールバックライト基板228が配置されていないものとしたが、取付穴201の鉛直下方となる位置にリールバックライト基板228を配置してもよい。図47に示すように、リール15bは、リール本体部229、リールテープ226、リフレクタ227、リールバックライト基板228等を備えている。帯状のシート部材であるリールテープ226は、リール本体部229に巻回されている。なお、説明を省略するが、リール15a,15cも同様の構成となっている。したがって、取付穴201の鉛直下方となる位置にリールバックライト基板228が配置された場合であっても、リールバックライト基板228の上方側には常にリールテープ226が存在する。換言すると、リールバックライト基板228の上方側はリールテープ226に覆われている。さらに換言すると、取付穴201とリールバックライト基板228との間には、リールテープ226が配置されている(介在している)。
このように構成することで、ネジ締めの際にゴミが発生した場合であっても、落下したゴミがリールテープ226に当たるため、リールテープ226の内側に侵入することがない。このため、落下したゴミがリールバックライト基板228に付着しない。これにより、誤動作や故障等の不具合が発生するのを抑制できる。
<変形例3>
本実施形態では、図51に示すように、取付穴201の鉛直下方となる位置に、リール15aとリール15cとが配置されているものとしたが、取付穴201の鉛直下方となる位置に、リール(リール15a~15c)が配置されていないように構成してもよい。ここで、リール15aの左端からリール15cの右端までの左右方向幅を左右方向幅Dとする。(1)左右方向間隔Aを変更せずに、左右方向幅Dを左右方向間隔Aよりも小さくする。換言すると、左リールの左端から右リールの右端までの左右方向幅Dが、取付穴201の左右方向間隔Aよりも小さい。なお、左右方向幅Dを小さくする方法としては、各リールの幅を小さくする方法がある。または(2)左右方向幅Dを変更せずに、左右方向間隔Aを左右方向幅Dよりも大きくする。換言すると、取付穴201の左右方向間隔Aが、左リールの左端から右リールの右端までの左右方向幅Dよりも大きい。なお、(1)と(2)とに分けたが、左右方向幅Dおよび左右方向間隔Aの両方を変更してもよい。
なお、リール15a~15cはそれぞれ、枠体の外周側にリールテープが巻回されて構成されている。リールテープの左右方向幅は、枠体の左右方向幅よりも小さくなっている。上記では、左右方向幅Dを、リール15aにおける枠体の左端からリール15cにおける枠体の右端までとしたが、左右方向幅Dを、リール15aにおけるリールテープの左端からリール15cにおけるリールテープの右端までとしてもよい。後者の左右方向幅Dの場合、前者の左右方向幅Dの場合よりも例えば2~3mm程度小さくなる。
取付穴201の鉛直下方となる位置に、リール15a~15cがいずれも配置されないように構成することで、ネジ締めの際のゴミがリール15a~15c(各リールテープ)のいずれにも付着しない。このため、リール15a~15cを伝って内側にゴミが侵入しない。これにより、当該ゴミがリールバックライト基板228に付着せず、不具合が発生する確率をさらに低減できる。
<変形例4>
本実施形態では、図51に示すように、取付穴201の鉛直下方となる位置に、ホッパーユニット11が配置されているが、取付穴201の鉛直方向において、天板2(取付穴201)とホッパーユニット11との間には、中板7が配置されている。この中板7は、ネジ締めの際のゴミがホッパーユニット11の内部に侵入するのを妨げる。したがって、当該ゴミがホッパーユニット11の内部に侵入することにより不具合が発生するのを抑制できる。
本変形例では、さらに以下のように構成する。図51に示すように、ホッパーユニット11の左右方向幅を左右方向幅Eとする。(1)取付穴201の左右方向間隔Aを変更せずに、ホッパーユニット11の左右方向幅Eを小さくし、ホッパーユニット11を取付穴201の左右方向間隔Aの内側に配置する。換言すると、左右方向幅Eが左右方向間隔Aよりも小さい。または(2)ホッパーユニット11の左右方向幅Eを変更せずに、取付穴201の左右方向間隔Aをホッパーユニット11の左右方向幅Eよりも大きくし、取付穴201の位置をホッパーユニット11よりも左右方向外側とする。換言すると、左右方向間隔Aが左右方向幅Eよりも大きい。なお、(1)と(2)とに分けたが、左右方向幅Eおよび左右方向間隔Aの両方を変更してもよい。
取付穴201の鉛直下方となる位置に、ホッパーユニット11が配置されないように構成することで、ネジ締めの際のゴミがホッパーユニット11の内部により侵入しにくくなる。これにより、不具合が発生する確率をさらに低減できる。
<変形例5>
本実施形態では、図51に示すように、筐体1の内部における下側(底板側)に、キャッシュボックス12が配置されている。キャッシュボックス12は、底板4の上の右側に配置されている。取付穴201の鉛直下方にキャッシュボックス12が配置されているが、取付穴201の鉛直方向において、天板2(取付穴201)とキャッシュボックス12との間に、中板7が配置されている。この中板7は、ネジ締めの際のゴミがキャッシュボックス12の内部に侵入するのを妨げる。したがって、当該ゴミがキャッシュボックス12の内部に侵入することにより不具合が発生するのを抑制できる。なお、取付穴201の鉛直方向に、底板4が配置されている。
本変形例では、さらに以下のように構成する。図51に示すように、キャッシュボックス12の左右方向幅を左右方向幅Fとする。(1)取付穴201の左右方向間隔Aを変更せずに、キャッシュボックス12の左右方向幅Fを小さくし、キャッシュボックス12を右側に寄せて配置する。または(2)キャッシュボックス12の左右方向幅Fを変更せずに、取付穴201の左右方向間隔Aを小さくする。なお、(1)と(2)とに分けたが、左右方向幅Fおよび左右方向間隔Aの両方を変更してもよい。
取付穴201の鉛直下方となる位置に、キャッシュボックス12が配置されないように構成することで、ネジ締めの際のゴミがキャッシュボックス12の内部により侵入しにくくなる。これにより、不具合が発生する確率をさらに低減できる。
<変形例6>
本実施形態では、図51に示すように、取付穴201の鉛直下方となる位置に、電源ユニット10が配置されていないものとしたが、取付穴201の鉛直下方となる位置に電源ユニット10が配置されるように構成してもよい。取付穴201の鉛直下方に電源ユニット10が配置されていたとしても、取付穴201の鉛直方向において、天板2(取付穴201)と電源ユニット10との間に、中板7が配置されている。この中板7はネジ締めの際のゴミが電源ユニット10に付着するのを妨げる。したがって、当該ゴミが電源ユニット10の内部に侵入せず、不具合が発生するのを抑制できる。
<変形例7>
本実施形態では、取付穴201の鉛直下方となる位置にすべての基板が配置されていないものとしたが、仕様等により取付穴201の鉛直下方となる位置に基板を配置する場合がある(ただし、少なくとも主制御基板221および副制御基板231は配置されていない)。本変形例では、取付穴201の鉛直下方となる位置に所定の基板を配置する場合であっても、基板の板面が上方を向いた基板を配置しないものとする。板面が上方を向いた基板とは、基板の板面と鉛直方向(上下方向)とが垂直となっているものに限らず、基板の板面が水平面に対して所定の角度だけ傾いているものであってもよい。図53に示すように、基板の板面と水平面とがなす角度を基板の傾斜角度αとすると、本変形例では、取付穴201の鉛直下方に、基板の傾斜角度αが0°~45°程度となっている基板(上向き基板)は配置しない。
基板の板面が上方を向いていると、板面に付着したゴミが下方へ落下せずにその場所に留まり続ける。このため、基板の不具合の原因となる。本変形例では、取付穴201の鉛直下方となる位置に、板面が上方を向いた基板を配置しないため、かかる不具合が発生するのを抑制できる。
<変形例8>
本実施形態では、取付穴201の鉛直下方となる位置にすべての基板ケースが配置されていないものとしたが、仕様等により取付穴201の鉛直下方となる位置に基板ケースを配置する場合がある。図54は、基板ユニット330の一例を示している。基板ユニット330は、コネクタ311が実装された基板310と、基板310を覆う基板ケース320とを備えている。図54(a)に示すように、基板ケース320には、コネクタ311を露出させるコネクタ開口部321が設けられている。図54(b)は、基板310を板面が上方を向くように(基板310の板面が鉛直方向と略垂直となるように)配置した状態(断面)を示しており、基板310の上方を覆う基板ケース320には、上下方向の貫通穴であるコネクタ開口部321が設けられている。このようなコネクタ開口部321を、開口が上方を向いている(上方に向かって開口している)という。基板ケース320は、コネクタ開口部321の向きが上方向となるように配置されている。なお、図54(b)では断面であることを示すハッチングを省略している。また、図示は省略するが、基板ケース320は、コネクタ開口部321の向きが下方向となるように配置されていてもよい。
本変形例では、基板ケース320が、コネクタ開口部321の向きが上下方向となるように配置されているが、取付穴201の鉛直下方(直下)に、基板ケース320が配置されていても、コネクタ開口部321は配置されていない。このように構成することで、取付穴201から鉛直下方に落下したゴミが、コネクタ開口部321の内周面とコネクタ311の側面との隙間から、基板ケース320の内部に侵入するのを防止できる。これにより、不具合が発生するのを抑制できる。
<ホッパーレール>
図55(a)に示すように、底板4の上面には、金属製のベース部401が配置されている。また、ベース部401の上面には、レール部410が設けられている。レール部410は、ベース部401を挟むようにして、ネジ締めにより底板4に固定されている。レール部410は、一対のレール部、すなわち左レール部420と右レール部430とを備えている。左レール部420および右レール部430は前後方向に延びており、互いに略平行となるように配置されている。なお、底板4にも島設備への取付穴202が複数設けられている。また、図55(b)に示すように、ホッパーユニット11における下方の左右両側には、金属製で長尺板状に形成されたスライド部11aが設けられている。レール部410は、スライド部11aを前後方向にスライド可能に保持する。
以下、左レール部420を用いて説明する。右レール部430は、左レール部420と同様の構成であるため、説明を省略する。図56(a)は、図55(a)に示すP方向から左レール部420のみを見た図である。図56(b)は、図55(a)に示すQ方向(前方)から左レール部420のみを見た図である。また、図56(c)は、図55(a)に示すR方向から左レール部420、およびベース部401を見た図である。
図56(b)に示すように、左レール部420は、前方から見るとクランク形状となっており、取付部421と、側方ガイド部422と、上方ガイド部423とを備えている。取付部421は、筐体1(底板4)への固定に用いられる部位である。側方ガイド部422は、底板4と略垂直な面を備えており、スライド部11aの左右方向への動きを規制する部位である。上方ガイド部423は、底板4と略平行な面を備えており、スライド部11aの上方への動きを規制する部位である。また、上方ガイド部423は、ベース部401の上面との間に所定の隙間(スライド部11aの厚さよりも大きい)を形成している。
また、図56(a)に示すように、左レール部420は、側方から見るとL字状となっており、上方ガイド部423の後端から下方に向かって延びるように形成されたストッパー部424を備えている。図56(c)に示すように、ストッパー部424は、ベース部401に設けられた穴に挿し通され、その先端は底板4に設けられた凹部(図示せず)に収容されている。
ここで、図56(b)に示すように、ストッパー部424の左右方向の長さを左右方向長さZとする。ストッパー部424の左右方向長さZとは、側方ガイド部422の内側の面から、ストッパー部424における側方ガイド部422側とは反対側の端面(筐体1の内部において内側に位置する端面)までの長さである。なお、本例では、側方ガイド部422の内側の面と、ストッパー部424との間に左右方向隙間βを設けているが、この左右方向隙間βは設けられていなくてもよい(側方ガイド部422の後端側とストッパー部424とが連なる形状となっていてもよい)。このストッパー部424の左右方向長さZは、メダルの直径の半分(1/2)未満の長さとなっている。
ここで、ベース部401と、側方ガイド部422と、上方ガイド部423との間にメダルを存在させた状態(メダルが挟まった状態)で、ホッパーユニット11のスライド部11aを後方側に向かって移動させる場合を考える。メダルは、スライド部11aに押されて徐々に後方側へと移動する。そして、メダルはストッパー部424に接触する。このとき、ストッパー部424の左右方向長さZが、メダルの直径の半分(1/2)未満の長さとなっているため、メダルは停止することなく、そのまま後方側へと押し出されて、レールから排出される。仮にストッパー部424の左右方向長さZが、メダルの直径の半分以上である場合、ストッパー部424とスライド部11aとの間にメダルが挟まって停止し、ホッパーユニット11がそれ以上後方側へ移動しない状態となる。この場合、ホッパーユニット11を手前に引き出してメダルを取り除き、再度ホッパーユニット11を前方から後方へ移動させなければならないという手間が生じる。本例では、ストッパー部424の左右方向長さZを、メダルの直径の半分(1/2)未満としているため、そのような手間の掛かる作業が発生するのを防止できる。
<取付穴の変形例>
図62は、天板2を裏面から見た図である。本実施形態では、小径の取付穴201を示したが、図62に示すように、所定の範囲を有する取付穴350としてもよい。取付穴350は、枠部材352に設けられており、枠部材352は、下方から木製の板部351に取り付けられている。取付穴350は、その上方側が板部351に覆われている(塞がれている)状態となっている。なお、枠部材352は、金属製または樹脂製等である。本変形例では、略四角形状の取付穴350を、左右方向に沿って6箇所に設けている。天板2は、少なくとも板部351と枠部材352とを備えている。取付穴350は、その範囲の内側においてネジをねじ込むことが可能となっている。なお、図62では、取付穴350を6箇所に設けているが、6箇所よりも多くても少なくてもよい。
作業者は、取付穴350の内側におけるいずれかの箇所(位置)を選択してネジをねじ込むことができる。遊技場において遊技機を移動する際、遊技機を取り外して別の場所(島設備)へ取り付けるが、その際に一度設けた穴(貫通穴)を再び使用すると、穴径が拡大していることや取付相手側が劣化していること等に起因して固定が不十分となることがある。本変形例のように、所定の範囲を有する取付穴350とすることで、作業者がネジをねじ込む位置を選択する自由度が広がる。これにより、ネジ締めの位置を適宜変更することができ、遊技機の取り付け、取り外しを繰り返す場合であっても、遊技機を確実に固定できる。
(第6の実施の形態)
以下、本発明の第6の実施の形態について図面を参照して説明する。以下、第5の実施の形態で説明した構成と同一または相当する機能を有する構成については、同一の符号を付し、その説明を省略または簡略化する。
図57(a)に示すように、本実施形態に係るスロットマシンMは、回胴部500を備えている。回胴部500は、図57(b)に示すように、種々の部品を設置可能に形成された支持体としての枠体521と、枠体521に固定されたリールユニット530および基板ユニット540と、枠体521に設けられたフレームベース510とを備えている。枠体521は樹脂製であり、フレームベース510は金属製である。
図58(a)に示すように、枠体521における左右両側には、筐体1の内部への取り付けに用いられる取付穴522がそれぞれ設けられている。取付穴522は、長穴となっている。また、図58(b)は、枠体521を背面側から見た図であるが、取付穴522の周囲には、他の面よりも一段突出するように形成された第1当て面523が設けられている。第1当て面523を設けることで、寸法の管理、調節が容易となる。
図59(a)に示すように、筐体1の内部における左右両側には留め具550が設けられている。図59(b)に示すように、留め具550は、本体部551と、本体部551に回転可能に支持されたつまみ部552を備えている。本体部551における最も前方側(つまみ部552側)の面は、第2当て面553となっている。また、つまみ部552の先端形状は所定の厚さを有するリブ状となっており、枠体521の取付穴522に挿し通すことが可能な形状となっている。
回胴部500を筐体1に組み付ける際には、まず、作業Aを行う。作業Aは、2箇所のつまみ部552を2箇所の取付穴522に挿通させつつ、回胴部500を奥側に押し当てる。次に、2箇所のつまみ部552を90°回転させる。この作業Aを行うと、枠体521が、つまみ部552の裏側の面と本体部551の第2当て面553との間に挟み込まれる。このとき、枠体521の第1当て面523と本体部551の第2当て面553とが当接する。これにより、回胴部500の前後方向(奥行方向)の位置が規制される。なお、このとき、回胴部500は左右方向には若干移動させることが可能となっている。
図60(a)に示すように、筐体1の左側板5における内側の面には、第3当て面5aが設けられている。また、左側板5の内側の面には、上下方向に沿って2箇所にねじ穴5bが設けられている。このねじ穴5bには雌ねじ部が設けられている。
図60(b)に示すように、枠体521の左側の側壁(左側壁)における外側の面には、第4当て面524が設けられている。また、枠体521の左側壁には、上下方向に沿って2箇所に貫通穴525が設けられている。貫通穴525は、ねじ穴5bに対応する位置に設けられている。
図61に示すように、固定部材560は、雄ねじ部561と頭部562とを備えている。頭部562は、径方向外側に向かって突出した薄板状の2つの突出部を有している。このような頭部562を設けることで、工具を用いることなく手動で固定部材560を締め付けることができる。
上述の作業Aの後に行う作業Bは、雄ねじ部561を有する固定部材560を、貫通穴525に挿通させてねじ穴5bにねじ込む。この作業Bを行うと、枠体521(回胴部500)が筐体1の左側板5に押し当てられ、左側板5の第3当て面5aと枠体521の第4当て面524とが当接する。これにより、回胴部500の左右方向の位置が規制される。なお、このとき、枠体521の右側の側壁と、筐体1の右側板6との間には、所定の隙間が形成されている。
本実施形態によれば、回胴部500の前後方向および左右方向の位置を、当て面同士が接触(当接)する関係により規制している。このため、筐体1に回胴部500を組み付ける際の組付け誤差を低減できる。これにより、リールユニットの位置ずれを抑制でき、リールの位置がずれることによって遊技者が違和感を抱く可能性を抑制できる。
また、本実施形態では、回胴部500を片側(左側)のみで固定することとしている。すなわち、回胴部500を片側(左側)のみで位置決めすることとしている。仮に回胴部500を、左側および右側の両方で固定可能に構成すると、左または右のうち、先に固定部材560で締め付けた方に回胴部500が寄ってしまうという問題が生じる。本実施形態では、片側(左側)でのみ回胴部500を固定する構成としているため、そのような問題が生じるのを防止できる。
また、留め具550および固定部材560を用いて回胴部500を筐体1に容易に取り付けできる構成とすることで、作業者によって組み付け位置がばらつくのを抑えられる。すなわち、誰が作業を行っても同等の組み付け位置とすることができる。
なお、本発明は、前述した実施の形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。例えば、スロットマシンの遊技制御形態および構成等は前述した実施の形態のそれに限定されない。また、前述した制御動作は、スロットマシンに限らず、パチンコ遊技機、メダルレス遊技機等の他の遊技機にも適用できる。本発明は、遊技機に適用でき、遊技機には、スロットマシン、パチンコ遊技機、メダルレス遊技機等が含まれる。
なお、本発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。