JP7075600B2 - 血圧推定プログラム及び血圧推定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、医療・福祉やヘルスケア等の分野において、圧迫用カフ等の加圧機構を有さない(カフレス)で血圧を推定するための血圧推定プログラム及び血圧推定装置に関する。
近年、高齢化と生活習慣病への関心の高まりと共に、健康維持・管理及び疾病予防(未病予測)等を目的として、血圧等の生体情報を自己管理する機器やシステムが種々開発されている。
血圧は、循環器系疾患の検査・診断を行う指標の一つとして知られている。例えば、血圧に基づいて、いわゆる生活習慣病等のリスクを診断・解析することは、脳卒中、心不全及び心筋梗塞等の心臓・血管系における疾患を予防するのに有効である。特に、家庭等の病院外における日常生活及び労働環境において、経時的にかつ長期間にわたって血圧を測定することが望まれている。
一般に、血圧を測定する方法としては、上腕又は手首にカフを巻いて測定するカフ式血圧計を用いる方法(カフ圧迫法)が挙げられる。このカフ圧迫法のうち、カフ振動法が現在汎用されており、この血圧測定においては、カフ適用部分を加圧するため、利用者に不快感や違和感を与えるおそれがある。また、カフ振動法の血圧測定においては、カフを付属した専用の装置が必要となり、血圧を経時的にかつ長期間にわたって測定することが容易とはいえない。
例えば特許文献1には、カフレスで血圧を測定する方法が記載されている。特許文献1に記載の血圧測定方法は、被験者に装着された生体信号検出センサによって得られる生体信号(心電図及び脈波)から脈波伝搬時間(PTT;pulse transit time)を算出し、血管に関する特定を表す2つの定数パラメータを用いて収縮期血圧を算出する方法である。
特許第5984088号
特許文献1に記載の血圧推定装置においては、一定程度の精度で血圧を推定することが可能ではあるが、さらなる精度の向上が求められている。
そこで、本発明は、上記事情を鑑みて、カフレスで簡易にかつ高精度に血圧を推定することができる新たな血圧推定プログラム及び血圧推定装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、循環器系を血行力学的に線形系回路と仮定し、この循環回路系をオームの法則になぞらえ、循環基本式に基づいて血圧を推定する理論式について、鋭意研究を積み重ねた結果、第1の時点での血圧、脈拍数及び末梢血管抵抗と、第1の時点から任意の時間が経過した第2の時点での脈拍数及び末梢血管抵抗とを用いることにより、第2の時点での血圧を推定することができる理論式を見出した。そして、驚くべきことに、当該理論式から得られる推定値と、カフ式血圧計による実測値との相関関係が極めて高く、飛躍的に精度が向上したものであった。本発明は、このような成功例及び知見に基づき、完成された発明である。
本発明に係る血圧推定の理論式を導くための説明を以下具体的に示す。
まず、循環器系を線形系回路と仮定すると、中心静脈圧は動脈圧の大きさと比べて極めて小さく無視できるため、循環回路系は概ねオームの法則を満たしていると考えられ、循環基本式は下記式(a)となることが広く知られている(A.C. Guyton: Cardiac output and its regulation, Saunders (1963), A. C. Guyton and J. E. Hall, Human physiology and mechanisms of disease, Saunders (1996))(この文献の記載は、ここに特に開示として援用される)。
MBP=CO×TPR ・・・式(a)
式(a)において、MBP(mean blood pressure)は平均血圧〔mmHg〕、CO(cardiac output)は心拍出量〔mL/min〕、TPR(total peripheral-vascular resistance)は全身の末梢血管抵抗(より正確には全末梢循環抵抗)〔mmHg/mL/min〕を示す。
心拍出量(CO)は、1分間に左心室から駆出される血液量であり、下記式(b)により表される。
CO=SV×PR ・・・式(b)
式(b)において、SV(stroke volume)は一回拍出量〔mL〕、PR(pulse rate)は脈拍数〔1/min〕を示す。なお、脈拍間隔をT〔s〕とすれば、PR=60/Tとなる。以下の説明では、脈拍をPRと統一して表現するが、以下に示す式中のPRは60/Tと置き換えてもよい。
心拍出量(CO)と脈拍数(PR)は、高い相関関係を有することが知られている(A. Sherwood, C. A. Dolan and K. C. Light, Hemodynamics of blood pressure responses during active and passive coping. Psychophysiology, 27, 656-668, 1990)(この文献の記載は、ここに特に開示として援用される)ため、
CO≒k1 ×PR ・・・式(i)
と置き換えることができる。
また、末梢血管抵抗(TPR)は全身の末梢血管抵抗であるが、局所的な末梢部(例えば、指尖部等)の血管抵抗(AR;arteriole resistance)と対応すると考えれば、
TPR≒k2 ×AR ・・・式(ii)
と置き換えることができる。
また、末梢部の血管抵抗(AR)は、末梢部細動脈の血管収縮(末梢血管抵抗の調節)を起こす交感神経活動の指標である修正規準化脈波容積(mNPV;modified normalized pulse volume)とほぼ同等と考えられ、AR≒mNPVと置き換えることができ、上記式(ii)から、
TPR≒k2 ×AR≒k2 ×mNPV ・・・式(iii)
となる。
なお、修正規準化脈波容積(mNPV)は、生体組織を散乱体として定義した生理指標(J. Lee, K. Matsumura, T. Yamakoshi (Corresp.), P. Rolfe, N. Tanaka, K. H. Kim and K. Yamakoshi, Validation of normalized pulse volume in the outer ear as a simple measure of sympathetic activity using warm and cold pressor tests: Towards applications in ambulatory monitoring, Physiological Measurement, 34(3), 359-375, 2013)(この文献の記載は、ここに特に開示として援用される)である。すなわち、規準化脈波容積(NPV;Y. Sawada, G. Tanaka and K. Yamakoshi, Normalized pulse volume (NPV) derived photo-plethysmographically as a more valid measure of the finger vascular tone. International Journal of Psychophysiology. 41, 1-10, 2001)(この文献の記載は、ここに特に開示として援用される)の修正版(生体組織に対して、Lambert-Beerの法則(希薄溶液に対して成立する法則)を適用して、近赤外光810nmの光電容積信号を利用)であり、下記式(iv)で定義されている。
Figure 0007075600000001
上記式(i)~(iii)を上記式(a)に代入すると、平均血圧(MBP)は下記式(c)により表される。
なお、式中、「*」は積を示す。以降の式においても同様である。
MBP=k1 *PR×{k2 *AR(≒k2 mNPV)} ・・・式(c)
上記式(c)を対数変換して線形化し、結合法則を適用すると下記式(d)となる。
lnMBP=ln(k1 *PR×k2 *AR)
=lnPR+lnAR+lnk1 *2 ・・・式(d)
ここで、第1の時点での平均血圧を例えばカフ式血圧計等で取得しておき、これをMBP0 とし、このときの脈拍数及び末梢血管抵抗をそれぞれPR0 及びAR0 とすると、下記式(e)となる。
なお、式(e)においても、上記式(i)~(iii)から、CO0 ≒k3 PR0 、TPR0 ≒k4 *AR0 (≒k4 mNPV0 )とする。
lnMBP0 =ln(k3 *PR0 ×k4 *AR0
=lnPR0 +lnAR0 +lnk3 *4 ・・・式(e)
ここで、上記式(d)の(lnk1 *2 )及び上記式(e)の(lnk3 *4 )は定数であり、ほぼ等しいと考え、(lnk1 *2 )≒(lnk3 *4 )とし、上記式(d)と上記式(e)との差をとると、定数項は消え、下記式(f)となる。
ln(MBP/MBP0 )=ln(PR/PR0 )+ln(AR/AR0
MBP/MBP0 =PR/PR0 ×AR/AR0 ・・・式(f)
従って、平均血圧(MBP)は下記式(1-1)で表される。
Figure 0007075600000002
上記式(1-1)は、第1の時点での平均血圧(MBP0 )、脈拍数(PR0 )及び末梢血管抵抗(AR0 )と、第2の時点での脈拍数(PR)及び末梢血管抵抗(AR)とを用いることにより、第2の時点での平均血圧(MBP)が算出できることを示し、これは、収縮期血圧(SBP;systolic blood pressure)及び拡張期血圧(DBP;diastolic blood pressure)についても同様に応用できると考えられる。
従って、収縮期血圧(SBP)は下記式(1-2)、拡張期血圧(DBP)は下記式(1-3)により表される。
Figure 0007075600000003
Figure 0007075600000004
ここで、収縮期血圧とは、心臓の筋肉が最も収縮して、血液を血管系に拍出したときの血管内圧力で、以下、最高血圧ともいい、拡張期血圧とは、心臓の筋肉が最も拡張したときに対応した血管内圧力で、以下、最低血圧ともいう。
従って、本発明によれば、
生体の末梢部位において、光電容積信号を測定することにより脈拍数(PR)及び末梢血管抵抗(AR)を得る測定ステップと、
予め取得した、平均血圧(MBP0 )、収縮期血圧(SBP0 )及び拡張期血圧(DBP0 )からなる群から選ばれるいずれかの血圧(BP0 )、脈拍数(PR0 )並びに末梢血管抵抗(AR0 )と、前記測定ステップで得られた脈拍数(PR)及び末梢血管抵抗(AR)とを用い、下記式(1)により、前記血圧(BP0 )に対応する血圧(BP)を算出する演算ステップとを
コンピュータに実行させるための血圧推定プログラムが提供される。
Figure 0007075600000005
式(1)において、末梢血管抵抗(AR0 ,AR)は、光電容積信号(直流成分信号と交流(脈波)成分信号を測定することにより得られる修正規準化脈波容積(mNPV0 ,mNPV)である。
本発明の血圧推定プログラムにおいては、血圧(BP0 )が平均血圧(MBP0 )である場合においては、演算ステップで、平均血圧(MBP)が上記式(1-1)により算出され、血圧(BP0 )が最高血圧(SBP0 )である場合においては、演算ステップで、最高血圧(SBP)が上記式(1-2)により算出され、血圧(BP0 )が最低血圧(DBP0 )である場合においては、演算ステップで、最低血圧(DBP)が上記式(1-3)により算出される。
本発明の実施態様においては、前記光電容積信号は、前記末梢部位に対して可視光~近赤外光を照射する発光素子が適用可能であるが、体動の影響を低減するためには緑色光(J. Lee, K. Matsumura, K. Yamakoshi, P. Rolfe, S. Tanaka and T. Yamakoshi (Corresp.), Comparison between red, green and blue light reflection photoplethysmography for heart rate monitoring during motion, in: Proceedings of the 35th Annual International Conference of the IEEE Engineering in Medicine and Biology Society, 2013, 1724-1727, 2013)(この文献の記載は、ここに特に開示として援用される)を照射する発光素子と、前記末梢部位での反射光を受光する受光素子とを用いて測定されることが望ましい。
また、前記発光素子として緑色光を照射する発光素子を用いる場合において、前記発光素子は、携帯端末に内蔵されたLEDライトであり、前記受光素子は、携帯端末に内蔵されたカメラであることが好ましい。
さらに、前記携帯端末は、スマートフォン、タブレット又はウェアラブルデバイスであることが好ましい。
本発明の実施態様においては、前記末梢部位は測定適用可能箇所であれば特に限定されない(例えば、手首、大腿等)が、前記携帯端末を用いる場合においては指尖部であることが好ましい。
本発明の実施態様においては、前記血圧(BP0 )、前記脈拍数(PR0 )及び前記末梢血管抵抗(AR0 )が、撮影画像を読み取ることにより取得されるものとすることができる。
本発明の別の側面によれば、
生体の末梢部位において、光電容積信号を測定することにより脈拍数(PR)及び末梢血管抵抗(AR)を得る測定部と、
予め取得した、平均血圧(MBP0 )、収縮期血圧(SBP0 )及び拡張期血圧(DBP0 )からなる群から選ばれるいずれかの血圧(BP0 )、脈拍数(PR0 )並びに末梢血管抵抗(AR0 )と、前記測定部で得られた脈拍数(PR)及び末梢血管抵抗(AR)とを用い、上記式(1)により、前記血圧(BP0 )に対応する血圧(BP)を算出する演算部とを
有する血圧推定装置が提供される。
本発明の血圧推定装置においては、血圧(BP0 )が平均血圧(MBP0 )である場合においては、演算部で、平均血圧(MBP)が上記式(1-1)により算出され、血圧(BP0 )が最高血圧(SBP0 )である場合においては、演算部で、最高血圧(SBP)が上記式(1-2)により算出され、血圧(BP0 )が最低血圧(DBP0 )である場合においては、演算部で、最低血圧(DBP)が上記式(1-3)により算出される。
本発明の実施態様においては、前記測定部が腕時計又は家庭用調度に組み込まれる構成とすることができる。
本発明の別の側面によれば、
生体の末梢部位において、光電容積信号を測定することにより脈拍数(PR)及び末梢血管抵抗(AR)を得る測定ステップと、
予め取得した、平均血圧(MBP0 )、収縮期血圧(SBP0 )及び拡張期血圧(DBP0 )からなる群から選ばれるいずれかの血圧(BP0 )、脈拍数(PR0 )並びに末梢血管抵抗(AR0 )と、前記測定ステップで得られた脈拍数(PR)及び末梢血管抵抗(AR)とを用い、上記式(1)により、前記血圧(BP0 )に対応する血圧(BP)を算出する演算ステップとを
有する血圧推定方法が提供される。
本発明の血圧推定方法においては、血圧(BP0 )が平均血圧(MBP0 )である場合においては、演算ステップで、平均血圧(MBP)が上記式(1-1)により算出され、血圧(BP0 )が最高血圧(SBP0 )である場合においては、演算ステップで、最高血圧(SBP)が上記式(1-2)により算出され、血圧(BP0 )が最低血圧(DBP0 )である場合においては、演算ステップで、最低血圧(DBP)が上記式(1-3)により算出される。
本発明によれば、カフレスで簡易にかつ高精度に血圧を推定することができる。
また、特許文献1に記載の血圧測定方法においては、心電図と光電容積脈波を測定するための特別な大型の装置が必要であるが、本発明においては、スマートフォン等の携帯端末を利用すれば、特別な装置も必要なく、経時的にかつ長期間にわたって簡易に測定することができ、その上、特許文献1に記載の血圧測定方法に比べ、飛躍的に高い精度が得られる。
本発明の血圧推定プログラムの処理手順の一例を示すフローチャートである。 「国際保健機構(WHO)/世界高血圧学会(ISH)高血圧実地診療ガイドライン(1999)」に基づいて血圧レベルを6段階に分類したテーブルである。 本発明の血圧推定装置の構成の一例を示すブロック図である。 実験例1における(a)最高血圧の実測値及び推定値の経時変化を示すグラフ、(b)平均血圧の実測値及び推定値の経時変化を示すグラフ、(c)最低血圧の実測値及び推定値の経時変化を示すグラフである。 実験例1における(a)最高血圧の実測値と推定値との関係を示す散布図、(b)平均血圧の実測値と推定値との関係を示す散布図、(c)最低血圧の実測値と推定値との関係を示す散布図、(d)最高血圧、平均血圧及び最低血圧全ての血圧の実測値と推定値との関係を示す散布図である。 実験例1における(a)最高血圧の誤差分析による散布図、(b)平均血圧の誤差分析による散布図、(c)最低血圧の誤差分析による散布図、(d)最高血圧、平均血圧及び最低血圧全ての血圧の誤差分析による散布図である。 実験例2における(a)最高血圧の実測値及び推定値の経時変化を示すグラフ、(b)平均血圧の実測値及び推定値の経時変化を示すグラフ、(c)最低血圧の実測値及び推定値の経時変化を示すグラフである。 実験例2における(a)最高血圧の実測値と推定値との関係を示す散布図、(b)平均血圧の実測値と推定値との関係を示す散布図、(c)最低血圧の実測値と推定値との関係を示す散布図、(d)最高血圧、平均血圧及び最低血圧全ての血圧の実測値と推定値との関係を示す散布図である。 実験例2における(a)最高血圧の誤差分析による散布図、(b)平均血圧の誤差分析による散布図、(c)最低血圧の誤差分析による散布図、(d)最高血圧、平均血圧及び最低血圧全ての血圧の誤差分析による散布図である。
以下、本発明の実施態様について詳細に説明するが、本発明はこれらの実施態様に限定されるものではない。
〔血圧推定プログラム〕
本発明は、カフレスで血圧を推定することが可能な血圧推定プログラムに関し、少なくとも下記ステップ(1)及び(2)をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
(1)生体の末梢部位において、光電容積信号を測定することにより脈拍数(PR)及び末梢血管抵抗(AR)を得る測定ステップ。
(2)予め取得した血圧(BP0 ;平均血圧MBP0 、最高血圧SBP0 又は最低血圧DBP0 )、脈拍数(PR0 )及び末梢血管抵抗(AR0 )と、測定ステップ(1)で得られた脈拍数(PR)及び末梢血管抵抗(AR)とを用い、上記式(1-1)~(1-3)のいずれかにより、血圧(BP0 )に対応する血圧(BP)を算出する演算ステップ。
本発明において、生体とは、ヒト、イヌ、ネコ等の哺乳動物の生体をいい、好ましくはヒトの生体である。また、末梢部位とは、生体の首、肩、股関節よりも末梢側の部位をいい、例えば、手及び足の指先、手首、足首、鼻先、耳たぶ、肘、太腿等が挙げられる。末梢部位の測定適用可能箇所としては、例えば、指尖部(具体的には手指尖腹部)、手首(具体的には手首前面又は手首後面)、大腿(具体的には大腿後面)等が挙げられる。
図1は、本発明の血圧推定プログラムの処理手順の一例を示すフローチャートである。
本発明の第一の態様のプログラムは、図1に示すように、下記ステップS1~S4をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
(ステップS1)
ステップS1において、初期値を設定する。
初期値として第1の時点での、血圧(BP0 ;平均血圧MBP0 、最高血圧SBP0 又は最低血圧DBP0 )、脈拍数(PR0 )及び末梢血管抵抗(AR0 )を取得し、設定する。
血圧(BP0 )及び脈拍数(PR0 )の取得方法としては、例えば、カフ式血圧計により測定する方法が挙げられる。カフ式血圧計による測定部位は、例えば、上腕、手首等が挙げられるが、特に限定されない。
なお、一般的なカフ式血圧計による測定においては、血圧として最高血圧及び最低血圧と、脈拍数とが計測(表示)され、通常、平均血圧は計測されない。そこで、平均血圧(MBP0 )は、カフ式血圧計により測定された最高血圧(SBP0 )及び最低血圧(DBP0 )の測定値を用い、下記式(2)により算出することができる。
Figure 0007075600000006
他の実施形態において、血圧(BP0 )の取得方法としては、例えば、予め定められた複数の候補値から選択する方法が挙げられる。具体的には、例えば図2に示すように、「国際保健機構(WHO)/世界高血圧学会(ISH)高血圧実地診療ガイドライン(1999)」に基づいて血圧レベルが6段階に分類された選択肢から、利用者が自ら自身の血圧レベルを選択することにより、当該血圧レベルに対応し設定した血圧を初期値として取得する方法である。
脈拍数(PR0 )及び末梢血管抵抗(AR0 )の取得方法としては、生体の末梢部位において光電容積信号(直流/交流(脈波)成分)を測定する方法が挙げられる。光電容積信号を測定する方法としては、当該信号を検出することができる一般的な装置を用いることができる。ここで、光電容積信号とは、血液の容積変動に伴う透過光又は反射光強度変化である。一般に、光電容積信号の測定装置は、生体に対して光を照射する発光素子と、透過光又は反射光を受光する受光素子とにより構成され、発光素子が生体の一部に対して光を照射することにより、照射された光は生体の組織を透過又は反射し、受光素子が透過又は反射した一部の光を受光することにより、心拍変動に対応した血液の容積変動に伴う透過光又は反射光強度変化を検出する。このようにして検出された光電容積信号から脈拍数(PR)及び修正規準化脈波容積(mNPV)を得ることができ、本発明においては、得られた修正規準化脈波容積(mNPV)を末梢血管抵抗(AR)として置き換えるものとする。このような光電容積信号の測定装置としては、例えば指先クリップ式の測定装置等が挙げられる。指先クリップ式の測定装置としては、血中酸素濃度計等を採用することもできる。
また、光電容積信号を測定する方法としては、スマートフォン等の携帯端末に搭載されたアプリケーションを用いる方法が挙げられる。光電容積信号の測定が可能なアプリケーションとしては、「iPhysioMeter(登録商標)」が挙げられる。具体的には、このアプリケーションでは、生体の末梢部位(例えば指尖部)に対して緑色光(緑色光、青色光及び赤色光を組み合わせた疑似白色光)を照射する発光素子(携帯端末に内蔵されたLEDライト)と、末梢部位での反射光を受光する受光素子(携帯端末に内臓されたカメラ)とにより光電容積信号を検出する。検出された光電容積信号から脈拍数(PR)及び修正規準化脈波容積(mNPV)を得ることができ、本発明においては、得られた修正規準化脈波容積(mNPV)を末梢血管抵抗(AR)として置き換えるものとする。携帯端末としては、スマートフォンの他、タブレット、ウェアラブルデバイス、スマートウォッチ等が挙げられる。
なお、光電容積信号から脈拍数(PR)及び修正規準化脈波容積(mNPV)を得る方法については、公知(K. Matsumura and T. Yamakoshi, iPhysioMeter: A new approach for measuring heart rate and normalized pulse volume using only a smartphone, Behavior Research Methods, 45(4), 1272-1278, 2013.)(この文献の記載は、ここに特に開示として援用される)でありその詳細な説明は省略する。
ここで、光電容積信号の測定においては、発光素子として可視光~近赤外光を発光するものを使用することが可能であるが、体動に高い耐性を有し、高精度の光電容積信号を得ることができるので、発光素子として緑色光を発光するものが好ましい。その理由としては、公知(K. Matsumura, P. Rolfe, J. Lee and T. Yamakoshi, iPhone 4s photoplethysmography: Which light color yields the most accurate heart rate and normalized pulse volume using the iPhysioMeter application in the presence of motion artifact?, PLOS ONE, 9(3), Article No. e91205, 2014)(この文献の記載は、ここに特に開示として援用される)であるので、その詳細な説明は省略する。
なお、発光素子として近赤外光を発光するものを使用する場合においては、種々の公知のものが適用可能である。
ステップS1において、脈拍数(PR0 )及び末梢血管抵抗(AR0 )の取得方法としては、スマートフォン等の身近な機器で手軽に測定を行うことができる観点から、携帯端末に搭載されたアプリケーション「iPhysioMeter(登録商標)」を用いる方法が好ましい。
なお、脈拍数(PR0 )については、光電容積信号の測定で得られた値でもよいし、上述のカフ式血圧計で得られた値でもよいが、緑色光による光電容積信号の測定で得られた値がより高精度と考えられるため、緑色光による光電容積信号の測定で得られた値、特にアプリケーション「iPhysioMeter(登録商標)」を用いて得られた値を採用することが好ましい。
第1の時点のタイミングとしては、本発明に係る血圧推定を実行する直前であってもよいし、過去の任意の時点でもよい。具体的には、血圧の初期値をカフ式血圧計によって取得する場合においては、本発明に係る血圧推定を実行する直前に取得した血圧値を用いてもよいし、例えば過去に健康診断等で取得した血圧値を用いてもよい。
また、初期値としての血圧(BP0 )、脈拍数(PR0 )及び末梢血管抵抗(AR0 )はそれぞれ同時点での値が好ましいが、必ずしも同時点であることに限定されない。
初期値を入力する方法としては、直接数値を入力する方法以外にも、例えば、カフ式血圧計によって測定した値が表示された画面の撮影画像を予め得、当該撮影画像を読み取る方法(例えばOCR処理等)等が挙げられるが、特に限定されない。
(ステップS2)
ステップS2においては、生体の末梢部位において光電容積信号の測定を行う。
ステップS2においては、具体的には、第1の時点から任意の時間が経過した第2の時点で光電容積信号の測定を行い、得られた光電容積信号から脈拍数(PR)及び末梢血管抵抗(AR)を得る。
光電容積信号の測定方法としては、ステップS1において脈拍数(HR0 )及び末梢血管抵抗(AR0 )を取得するための光電容積信号を測定する方法と同様に、スマートフォン等の携帯端末に搭載されたアプリケーションを用いる方法が好ましい。光電容積信号の測定が可能なアプリケーションとしては、「iPhysioMeter(登録商標)」が挙げられる。具体的には、このアプリケーションでは、生体の末梢部位(例えば手指尖腹部)に対して緑色光(緑色光、青色光及び赤色光を組み合わせた疑似白色光)を照射する発光素子(携帯端末に内蔵されたLEDライト)と、末梢部位での反射光を受光する受光素子(携帯端末に内臓されたカメラ)とにより光電容積信号を検出する。検出された光電容積信号から脈拍数(PR)及び修正規準化脈波容積(mNPV)を得ることができ、本発明においては、得られた修正規準化脈波容積(mNPV)を末梢血管抵抗(AR)として置き換えるものとする。携帯端末としては、スマートフォンの他、タブレット、ウェアラブルデバイス、スマートウォッチ等が挙げられる。
光電容積信号の測定においては、発光素子として可視光~近赤外光を発光するものを使用することが可能であるが、体動に高い耐性を有し、高精度の光電容積信号を得ることができることを考慮すれば、発光素子として緑色光を発光するものが好ましい。
なお、発光素子として近赤外光を発光するものを使用する場合においては、種々の公知のものが適用可能である。
このように、光電容積信号の測定がスマートフォン等の携帯端末に搭載されたアプリケーションを用いて行われることにより、経時的にかつ長期間にわたって簡易に行うことができるため好ましい。
ステップS2においては、携帯端末に搭載されたアプリケーションを用いて光電容積信号を検出した後、色調補正などの画像処理を行ってもよい。携帯端末に搭載されたアプリケーションを用いて行われる場合、得られる末梢血管抵抗(AR)は、測定部位(例えば指尖腹部)が、LEDライト及びカメラ上の適当な位置に配置されていないと、正確な測定が困難となる場合があるので、カメラで撮影された反射光画像に対して、色調補正を行うことが好ましい。
また、他の実施形態において、光電容積信号の測定方法としては、光電容積信号を検出することが可能な一般的な装置を用いることもできる。このような光電容積信号の測定装置としては、例えば指先クリップ式の測定装置等が挙げられる。指先クリップ式の測定装置としては、血中酸素濃度計等を採用することもできる。このような測定装置においても、発光素子として緑色光を発光するものが好ましい。
(ステップS3)
ステップS3においては、血圧の推定値の算出を行う。
ステップS1において入力された血圧(BP0 ;平均血圧MBP0 、最高血圧SBP0 又は最低血圧DBP0 )、脈拍数(PR0 )及び末梢血管抵抗(AR0 )と、ステップS2において得られた脈拍数(PR)及び末梢血管抵抗(AR)とを用い、血圧(BP0 )に対応する(BP;平均血圧MBP、最高血圧SBP又は最低血圧DBP)を上記式(1-1)~(1-3)のいずれかにより算出し、推定値を得る。
(ステップS4)
ステップS4においては、ステップS3により算出された推定値(平均血圧MBP、最高血圧SBP又は最低血圧DBP)を出力する。出力方法としては、血圧の推定値を液晶ディスプレイ等に表示してもよいし、血圧推定値信号を外部装置に送信してもよい。
〔血圧推定装置〕
本発明の血圧推定装置は、本発明のプログラムを実行することができる装置であり、少なくとも以下の構成を有する。
(a)生体の末梢部位において、光電容積信号を測定することにより脈拍数(PR)及び末梢血管抵抗(AR)を得る測定部。
(b)予め取得した血圧(BP0 ;平均血圧MBP0 、最高血圧SBP0 又は最低血圧DBP0 )、脈拍数(PR0 )及び末梢血管抵抗(AR0 )と、測定部で得られた脈拍数(PR)及び末梢血管抵抗(AR)とを用い、上記式(1-1)~(1-3)のいずれかにより、血圧(BP0 )に対応する血圧(BP)を算出する演算部。
図3は、本発明の血圧推定装置の構成の一例を示すブロック図である。
本発明の第一の態様の血圧推定装置10は、入力部1と、測定部2と、制御部3、記憶部4及び演算部5を含む処理部6と、表示部7とを備える。
入力部1は、初期値(血圧(BP0 )、脈拍数(PR0 )及び末梢血管抵抗(AR0 ))を設定するための操作デバイスである。
測定部2は、発光素子及び受光素子を備え、光電容積信号から脈拍数(PR)及び末梢血管抵抗(AR)を得るための測定デバイスである。測定部2を構成する発光素子は、可視光~近赤外光を発光するものが適用可能であるが、緑色光を発光するものが好ましい。
制御部3は、CPU等から構成される演算・制御デバイスである。
記憶部4は、RAM、ROM等から構成される記憶デバイスである。記憶部4には、本発明に係るプログラムが格納されている。
演算部5は、入力部1から取得した初期値と測定部2から得られた値とから、血圧(BP)を算出する。記憶部4によって格納されている本発明に係るプログラムが制御部3によって実行されることにより、演算部5の機能が実現される。
表示部7は、液晶ディスプレイ等の表示デバイスである。
血圧推定装置10においては、制御部3が本発明に係るプログラムを実行することにより、測定部2から得られた脈拍数(PR)及び末梢血管抵抗(AR)と、入力部1から取得した血圧(BP0 )、脈拍数(PR0 )及び末梢血管抵抗(AR0 )とから、演算部5において血圧(BP0 )に対応する血圧(BP)が算出され、表示部7に表示される。
スマートフォン、タブレット、ウェアラブルデバイス等の携帯端末は、コンピュータの一種であり、血圧推定装置10として構成することができる。また、光電容積信号をスマートフォン等の携帯端末に搭載されたアプリケーションで測定する場合においては、測定部2のみをスマートフォン等の携帯端末によって構成することもできる。
さらに、血圧推定装置10としては、測定部2が、腕時計、例えばベッド、椅子、浴槽、便座等の家庭用調度に組み込まれる構成とすることができる。このような構成により、利用者が意図しなくても、経時的にかつ長期間にわたって簡易に血圧推定を行うことができる。
本発明の血圧推定プログラム及び血圧推定装置においては、カフレスで簡易にかつ高精度に血圧を推定することができ、特に、スマートフォンをはじめとする携帯端末を利用することにより、経時的かつ長期間にわたって簡易に高精度の血圧を取得することができる。また、光電容積信号を測定するデバイスを家庭用調度に組み込むことにより、利用者が意図しなくても、経時的にかつ長期間にわたって簡易に高精度の血圧を取得することができる。
以下に、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
〔実験例1〕
(1)初期値の設定
健康な70代の男性を対象に約1カ月間(23日間)にわたって実験を行った。
まず、上腕式カフ振動法血圧計「DSK-1051」(ニッセイ社製)を用いて、左手上腕部における最高血圧及び最低血圧の測定を行った。得られた値を初期値(最高血圧SBP0 及び最低血圧DBP0 )とした。また、初期値としての平均血圧MBP0 は、得られた最高血圧SBP0 及び最低血圧DBP0 を用い、上記式(2)により算出した。
カフ振動法血圧計の測定と同時に、アプリケーション「iPhysioMeter(登録商標)」がインストールされた「iPhone(登録商標) 7」(アップル社製)を用いて、左手第二指指尖腹部における光電容積信号の測定を行い、この光電容積信号から脈拍数及び修正規準化脈波容積(末梢血管抵抗)を得た。得られた値を初期値(脈拍数PR0 及び末梢血管抵抗AR0 )とした。
(2)光電容積信号の測定
少なくとも1日に1回以上任意の時間に、アプリケーション「iPhysioMeter(登録商標)」がインストールされた「iPhone(登録商標) 7」(アップル社製)を用いて、左手第二指指尖腹部における光電容積信号の測定を行った。この光電容積信号から脈拍数PR及び修正規準化脈波容積(末梢血管抵抗AR)を得た。
(3)血圧推定値の算出
上記(2)で得られた脈拍数PR及び末梢血管抵抗ARと、上記(1)で取得した血圧BP0 (平均血圧MBP0 、最高血圧SBP0 又は最低血圧DBP0 )、脈拍数PR0 及び末梢血管抵抗AR0 とを用い、上記式(1-1)~(1-3)のいずれかにより、血圧BP0 に対応する血圧BPを算出し、これらを推定値(平均血圧MBPe 、最高血圧SBPe 又は最低血圧DBPe )とした。
(4)評価用血圧の測定
上記(2)の光電容積信号の測定と同時に、上腕式カフ振動法血圧計「DSK-1051」(ニッセイ社製)を用いて、左手上腕部における最高血圧及び最低血圧の測定を行って、評価用の実測値(最高血圧SBPc 及び最低血圧DBPc )を得た。また、得られた最高血圧SBPc 及び最低血圧DBPc から上記式(2)により平均血圧MBPを算出した。
(5)結果
結果を図4~6に示す。
図4(a)は、最高血圧の実測値SBPc (実線)及び推定値SBPe (破線)の経時変化を示すグラフであり、図4(b)は、平均血圧の実測値MBPc (実線)及び推定値MBPe (破線)の経時変化を示すグラフであり、図4(c)は、最低血圧の実測値DBPc (実線)及び推定値DBPe (破線)の経時変化を示すグラフである。図4の縦軸は血圧(mmHg)であり、横軸は時間である。
図5(a)は、最高血圧の実測値SBPc 及び推定値SBPe の散布図(N=38)であり、図5(b)は、平均血圧の実測値MBPc 及び推定値MBPe の散布図(N=38)であり、図5(c)は、最低血圧の実測値DBPc 及び推定値DBPe の散布図(N=38)であり、図5(d)は、最高血圧の実測値SBPc 及び推定値SBPe 、平均血圧の実測値MBPc 及び推定値MBPe 、並びに最低血圧の実測値DBPc 及び推定値DBPe 全ての散布図(N=114)である。図5の縦軸は推定値(mmHg)であり、横軸は実測値(mmHg)であり、図5中の実線は回帰直線を表し、その式を相関係数r値(Pearsonの相関係数)と共に示す。
図6(a)は、最高血圧の誤差分析(Bland-Altman分析)による散布図(Bland-Altman plots)であり、図6(b)は、平均血圧の誤差分析(Bland-Altman分析)による散布図(Bland-Altman plots)であり、図6(c)は、最低血圧の誤差分析(Bland-Altman分析)による散布図(Bland-Altman plots)であり、図6(d)は、全血圧の誤差分析(Bland-Altman分析)による散布図(Bland-Altman plots)である。図6の縦軸は差(mmHg)=実測値-推定値であり、横軸は平均値(mmHg)=(実測値+推定値)/2であり、図6中の実線は、偏り(バイアス:差の平均値であり系統誤差ともいう。)を示し、破線は、95%一致限界((バイアス±1.96×標準偏差)に相当する範囲)を示す。
図5によれば、最高血圧においては、相関係数が0.924、全血圧においては、相関係数が0.981と極めて高い相関関係を示すものであった。また、平均血圧及び最低血圧においても、相関係数がそれぞれ0.840及び0.743と高い相関関係を示すものであった。また、図6によれば、95%一致限界が、最高血圧で0.3±11.7mmHg、平均血圧で1.8±9.10mmHg、最低血圧で3.6±10.2mmHg、全体で1.9±10.6mmHgであった。これらの値から、極めて高い精度の推定値が得られたことが示された。
〔実験例2〕
70代女性を対象にしたこと以外は実験例1と同様に実験を行なった。結果を図7~9に示す。
図8によれば、最高血圧においては、相関係数が0.924、全血圧においては、相関係数が0.968と極めて高い相関関係を示すものであった。また、平均血圧及び最低血圧においても、相関係数がそれぞれ0.873及び0.789と高い相関関係を示すものであった。また、図9によれば、95%一致限界が、最高血圧で0.0±19.5mmHg、平均血圧で0.9±12.5mmHg、最低血圧で-1.9±9.6mmHg、全体で-0.6±13.9mmHgであった。これらの値から、極めて高い精度の推定値が得られたことが示された
本発明の血圧推定プログラム及び血圧推定装置は、経時的かつ長期間にわたって簡易に高精度の血圧を取得することができるので、医療やヘルスケア等の分野において、臨床場面での測定以外にも、健康維持及び疾病予防(未病予測)等を目的として自己管理するシステムとして極めて有用である。
1 入力部
2 測定部
3 制御部
4 記憶部
5 演算部
6 処理部
7 表示部
10 血圧推定装置

Claims (9)

  1. 生体の末梢部位において、光電容積信号を測定することにより脈拍数(PR)及び末梢血管抵抗(AR)を得る測定ステップと、
    予め取得した、平均血圧(MBP0 )、収縮期血圧(SBP0 )及び拡張期血圧(DBP0 )からなる群から選ばれるいずれかの血圧(BP0 )、脈拍数(PR0 )並びに末梢血管抵抗(AR0 )と、前記測定ステップで得られた脈拍数(PR)及び末梢血管抵抗(AR)とを用い、下記式(1)により、前記血圧(BP0 )に対応する血圧(BP)を算出する演算ステップとを
    コンピュータに実行させるための血圧推定プログラム。
    Figure 0007075600000007
    〔式(1)において、末梢血管抵抗(AR0 ,AR)は、光電容積信号を測定することにより得られる修正規準化脈波容積(mNPV0 ,mNPV)である。〕
  2. 前記光電容積信号は、前記末梢部位に対して近赤外光を照射する発光素子と、前記末梢部位での反射光を受光する受光素子とを用いて測定される、請求項1に記載の血圧推定プログラム。
  3. 前記光電容積信号は、前記末梢部位に対して緑色光を照射する発光素子と、前記末梢部位での反射光を受光する受光素子とを用いて測定される、請求項1に記載の血圧推定プログラム。
  4. 前記発光素子は、携帯端末に内蔵されたLEDライトであり、
    前記受光素子は、携帯端末に内蔵されたカメラである、請求項3に記載の血圧推定プログラム。
  5. 前記携帯端末は、スマートフォン、タブレット又はウェアラブルデバイスである、請求項4に記載の血圧推定プログラム。
  6. 前記末梢部位が、指尖部、手首又は大腿である、請求項1~5のいずれか一項に記載の血圧推定プログラム。
  7. 前記血圧(BP0 )、前記脈拍数(PR0 )及び前記末梢血管抵抗(AR0 )が、撮影画像を読み取ることにより取得される、請求項1~6のいずれか一項に記載の血圧推定プログラム。
  8. 生体の末梢部位において、光電容積信号を測定することにより脈拍数(PR)及び末梢血管抵抗(AR)を得る測定部と、
    予め取得した、平均血圧(MBP0 )、収縮期血圧(SBP0 )及び拡張期血圧(DBP0 )からなる群から選ばれるいずれかの血圧(BP0 )、脈拍数(PR0 )並びに末梢血管抵抗(AR0 )と、前記測定部で得られた脈拍数(PR)及び末梢血管抵抗(AR)とを用い、下記式(1)により、前記血圧(BP0 )に対応する血圧(BP)を算出する演算部とを
    有する血圧推定装置。
    Figure 0007075600000008
    〔式(1)において、末梢血管抵抗(AR0 ,AR)は、光電容積信号を測定することにより得られる修正規準化脈波容積(mNPV0 ,mNPV)である。〕
  9. 前記測定部が家庭用調度に組み込まれる、請求項8に記載の血圧推定装置。

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