JP7070904B2 - ダイヤモンド単結晶およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、窒素-空孔複合欠陥(以下、「NVセンター」とも称する。)を有するダイヤモンド単結晶、および、NVセンターを有するダイヤモンド単結晶の製造方法に関する。
ダイヤモンド単結晶中のNVセンターは、量子ビットとして室温で作用することが知られている。
窒素“原子”イオンをダイヤモンド単結晶中にイオン注入法で注入すると1量子ビットとして作用するNVセンター(以下、「シングルNVセンター」とも称する。)を形成することができる(非特許文献1)。ダイヤモンド単結晶中に注入された窒素原子イオンは、ストラッグリングと称されるランダムな現象により分布するため、停止位置の精密な制御が困難である。
2量子ビットとして作用するNVセンター(以下、「ダブルNVセンター」とも称する。)をダイヤモンド単結晶中に形成するには、互いに相互作用する2つのNVセンターをナノメートルオーダーの範囲に形成しなければならない(非特許文献2~5)。しかし、上述したストラッグリングに起因するダイヤモンド単結晶中での窒素原子の停止位置の不確実性が問題となる。このため、ストラッグリングの影響を抑えるために低エネルギのイオン注入が採用される。窒素原子イオンのダイヤモンド単結晶中での停止位置を制御するには、窒素原子イオンの入射位置も重要な要素となる。ダイヤモンド単結晶表面において、可能な限り同じ位置での窒素原子イオンの注入が求められる。かかる問題を克服するために、以下の2つの手法が用いられることが多い。
1つ目の手法としては、電子線描画法で穴を開けたレジストマスクをダイヤモンド単結晶表面に配置し、当該穴が開いたレジストマスク越しに窒素原子イオンを照射する方法が採用される(図1参照)。電子線描画法でレジストマスクに開けることができる最も小さい穴の直径は、数ナノ~数十ナノメートルが一般的である。ナノメートルオーダーでの停止位置の精密な制御を目的としているところ、入射位置が数十ナノメートルに渡って広がっているのは好ましくなく、ダブルNVセンターが生成される確率は低くならざるを得ない。
上記1つ目の手法の欠点を克服するため2つ目の手法として、注入材料として窒素“分子”イオンを用いる方法がある。窒素分子イオンをダイヤモンド単結晶中にイオン注入法で注入すると、ダイヤモンド単結晶表面に衝突した瞬間に窒素分子が2つの窒素原子に分かれる。その後、各窒素原子はダイヤモンド単結晶中を進み、ストラッグリングの範囲で窒素原子が各々停止する。注入時点では2つの窒素原子からなる窒素分子であるため、電子線描画法で開ける穴の大きさが限りなくゼロに近い状態と同様とみなすことができる。注入時点で、ダイヤモンド単結晶表面での入射位置を精密に制御できる点では、1つ目の手法より優れている。
しかし、上述したいずれの方法も、注入した窒素原子イオンや窒素分子イオンの全てがNVセンターを形成するとは限らず、P1(炭素を置換した窒素)センターなどの他の欠陥を形成することが知られている。形成されるNVセンターの数と、注入した窒素の数の比(以下、「収率」とも称する。)は、注入エネルギが低くなるにしたがって低くなる。したがって、ストラッグリングの影響を抑えるために低エネルギのイオン注入を採用すると、収率が低くなるという問題もある。
上述のような種々の問題に起因して、3量子ビットとして作用するNVセンター(以下、「トリプルNVセンター」とも称する。)以上の多量子ビットとして作用するNVセンターを有するダイヤモンド単結晶は実現されてこなかった。
米国特許公開第2015/0192532号
Pezzagna, S., Naydenov, B., Jelezko, F., Wrachtrup, J. & Meijer, J. Creation efficiency of nitrogen-vacancy centres in diamond. New J. Phys. 12, (2010) Neumann, P. et al. Quantum register based on coupled electron spins in a room-temperature solid. Nat. Phys. 6, 249-253 (2010) Dolde, F. et al. Room-temperature entanglement between single defect spins in diamond. Nat. Phys. 9, 139-143 (2013) Yamamoto, T. et al. Strongly coupled diamond spin qubits by molecular nitrogen implantation. Phys. Rev. B 88, 201201 (2013) Jakobi, I. et al. Efficient creation of dipolar coupled nitrogen-vacancy spin qubits in diamond. J. Phys. 752, 012001 (2016) N. Aslam, et a1. Nanoscale nuclear magnetic resonance with chemical resolution, Science (2018)
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、トリプルNVセンター以上の多量子ビットとして作用するNVセンターを有するダイヤモンド単結晶を実現することにある。
上記の課題を解決するために、本発明に係るダイヤモンド単結晶は、少なくとも3つの窒素-空孔複合欠陥を有するダイヤモンド単結晶であって、前記少なくとも3つの窒素-空孔複合欠陥が、量子絡み合いにより多量子ビットとして機能する構成である。
上記の構成によれば、ダイヤモンド単結晶中のNVセンターを室温で3量子ビット以上の多量子ビットとして機能させることができる。
上記の課題を解決するために、本発明に係るダイヤモンド単結晶の製造方法は、少なくとも3つの窒素-空孔複合欠陥を有するダイヤモンド単結晶の製造方法であって、化合物をダイヤモンド単結晶に対してイオン注入するステップを有し、前記化合物が、少なくとも3以上の窒素原子イオンを包含し、多量子ビットとして作用する少なくとも3つの窒素-空孔複合欠陥をダイヤモンド単結晶内に生成させる方法である。
上記の構成によれば、少なくとも3以上の窒素原子イオンを包含する化合物をダイヤモンド単結晶にイオン注入することにより形成されたNVセンターを3量子ビット以上の多量子ビットとして室温で機能させることができる。
本発明によれば、上記の構成によれば、ダイヤモンド単結晶中のNVセンターを室温で3量子ビット以上の多量子ビットとして機能させることができるという効果を奏する。
従来技術による窒素イオン注入の概略図である。 実施形態による有機化合物イオン注入の概略図である。 イオン源に用いたアデニンの質量分析の結果を示す。 1000℃におけるアニーリング時間とNVセンターの生成態様について示したグラフである。 共焦点レーザー走査型蛍光顕微鏡(CFM)による測定結果を示す。 光検出磁気共鳴(ODMR)スペクトル法による測定結果を示す。 コヒーレンス時間Tのイオン注入エネルギ依存性を示すグラフである。 窒素原子イオン間の距離に対する相互作用の強さおよび生成確率を示すグラフである。 イオン注入エネルギに対する収率を示すグラフである。 実施形態による量子ゲート構造の概略図である。 実施形態による有機化合物イオン注入の概略図である。
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
本発明は、ダイヤモンド単結晶に対し加速器を利用して有機化合物イオン注入を行い、トリプルNVセンター以上の多量子ビットとして作用するNVセンターを有するダイヤモンド単結晶を実現するものである。イオン注入される好ましい化合物は、少なくとも3以上の窒素原子イオンを包含する。より好ましい化合物は、少なくとも3以上の窒素原子イオンと1以上の炭素原子イオンとを包含する。種々の加速器が利用可能であるが、本実施形態ではCsスパッタ型イオン源と質量分析器を組み合わせて使用した。
<イオン源に使用する原料>
イオン注入に用いる原料としてアデニン(C)を用いた。アデニンをイオン源の原料として用いた際に発生するイオンの一例として、Cイオンを注入に用いた。好ましい実施形態として、nの数は問わない(任意の自然数)。はじめに、アデニンを負イオン化させる必要があり、本実施形態では、Csスパッタ型のイオン源を用いた。
アデニンは、単量体に限定することなく、2量体、3量体などを用いることができる。アデニンに限定することなく、窒素原子を3以上含む化合物をイオン注入に用いる原料とするのが好ましい。例えば、窒素原子イオンを3~20包含する化合物であってよく、好ましくは、含窒素化合物(アルギニン、ヒスチジン、クレアチン等)、特に含窒素複素環式化合物(プリン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、テトラジン、イミダゾール、トリアゾール等)、およびそれらの誘導体を用いることができる。
イオン源外部のオーブンで気化してイオン生成チャンバーに送り込まれたCs(セシウム)蒸気を、イオン生成チャンバー内に設置されたアイオナイザー(1000℃程度まで加熱可能な金属プレート)に接触させる。これにより、熱電離によって正イオン化したCsイオンが、アイオナイザーとカソード(固体原料)との間に印加された数kVの電場により加速され、原料と衝突する。衝突により弾き飛ばされた(スパッタされた)原料原子または分子は負イオンとなる。さらにカソード表面に付着した中性のCsの化学的性質を利用して原料原子或いは分子の負イオン化効率を高めている。当該負イオンを正電位にある引出電極によりイオン生成チャンバーから引出し負イオンビームとする。好ましい実施形態では、負イオン化したアデニンを引き出し加速電圧65kVにて加速した。
図3は、アデニンを原料としてイオン源から引き出されたイオンビームの質量分析の結果を示す。図3に示した質量分析の結果、窒素を1~5個包含する有機化合物イオンビームが形成されていることが確認できた。図3に示すとおり、本実施形態ではCイオンを用いた。他の好ましい実施形態では、CイオンやCイオンを用いることができる。また、アデニンイオンの2量体、3量体などを用いてもよい。
上述のとおり、本実施形態ではCsスパッタ型のイオン源を採用したが、本件発明はCsスパッタ型のイオン源に限定するものではない。
本実施形態同様に負イオンを加速可能な態様としては、電子付着型のイオン源を採用することもできる。電子付着型のイオン源では、粉末状のアデニンのような粉末原料をオーブンで昇華させ、電子付着セル内に設置されたフィラメントから放出される熱電子を、電子付着セル内に送り込まれた試料原子または分子に付着させる。これにより原料を負イオン化させ、当該負イオンを正電位にある引出電極により電子付着セルから引出し負イオンビームとすることができる。プラズマやスパッタ等による原料分子の解離がないため、分子の負イオン化に有効である。
更に別の実施形態では、アーク放電型のイオン源を採用することもできる。粉末原料をオーブンで気化した蒸気またはガス原料をアークチャンバーに送り込み、その原子または分子を、アークチャンバーの中央に設置されたフィラメントから放出され正電位にあるアークチャンバー壁面に流れた電子(アーク放電)と衝突させる。この衝突により、原料を電離させ、正イオンとし、アークチャンバー内にプラズマを形成させ、当該正イオンを正電位にある引出電極により電子付着セルから引出し負イオンビームとする。十分な蒸気が得られない原料に対してはプラズマサポートガスを用いることでプラズマを形成し、効率的に正イオン化することができる。正イオンを加速可能であり、多量体などにも有効である。
<NVセンター形成>
従来のNVセンターの形成スキーム(図1)と対比しつつ、本実施形態におけるNVセンターの形成スキームを図2を参照して説明する。
(シングルNVセンター)
図1は、従来技術による窒素イオン注入の概略図である。図2は、本実施形態による有機化合物イオン注入の概略図である。図1および図2は、イオン注入後の内部の様子を模式的に示すことを優先した概略斜視図であり、各要素の縮尺比率、方位などは必ずしも正確ではない。
図1に示すとおり、従来技術では、窒素原子イオン13をダイヤモンド単結晶10にイオン注入する。図1では、4つの窒素原子イオン13をイオン注入する様子を模式的に点線矢印で示している。ダイヤモンド単結晶10にイオン注入された窒素原子イオン13は、それぞれランダムにダイヤモンド単結晶10内を進む。窒素原子イオン13がダイヤモンド単結晶10内を進むにつれて、ダイヤモンド単結晶10内に空孔14が形成される。図1では、形成された一連の空孔に参照番号14を付し、個別の空孔に参照番号14i(iは1以上の任意の整数)を付した。
イオン注入された窒素原子イオン13は、ダイヤモンド単結晶10内のストラッグリングの範囲で各々停止する。例えば、窒素原子イオン13のイオン注入エネルギが10MeVであれば、注入された窒素原子イオン13は、表面から約3.8μmまでダイヤモンド単結晶10中をほぼ直進する。この直進距離を、以下、飛程とも称する。注入された窒素原子イオン13は、表面からぴったり3.8μmの位置に停止するわけではなく、3.8μm(3800nm)から標準偏差(σ=68%)で110nmの範囲に分布する。窒素原子イオン13のイオン注入エネルギが10MeVの場合、当該約110nmの範囲をストラッグリングと称する。したがって、イオン注入された窒素原子イオン13は、深さ方向では約3690nmから約3910nmの範囲に68%の確率で分布する。
窒素原子イオン13のイオン注入エネルギが10keVであれば、飛程は約14nmであり、ストラッグリングは標準偏差(σ=68%)で約5nmとなる。したがって、イオン注入された窒素原子イオン13は、深さ方向では約9nmから約19nmの範囲に68%の確率で分布する。
停止した窒素原子イオン13の近傍に空孔14iが存在すれば、その後の熱処理によりある一定の確率でNVセンターが形成される。窒素原子イオン13のランダムに分布した範囲と、窒素-空孔複合欠陥の形成確率から、シングルNVセンター15が1%程度生成されることが報告されている。
(ダブルNVセンター)
照射領域を限定することにより、ダイヤモンド単結晶10中に注入された窒素原子イオン13が分布する範囲をある程度は限定することが期待される。例えば、背景技術の項でも説明したとおり、電子線描画法で穴12を開けたレジストマスク11をダイヤモンド単結晶10の表面に配置することができる。穴12が開いたレジストマスク11越しに窒素原子イオン13を照射する。電子線描画で形成できる穴12の直径は、最も小さい直径で数ナノメートルから数十ナノメートルである。したがって、例えば10keVの照射エネルギで窒素原子イオン13を注入した場合、穴12の直径から更にストラッグリングの範囲で広がったエリアに窒素原子イオン13が各々停止する。窒素原子イオン13の照射領域を限定しない場合より、各窒素原子イオン13が分布する領域が限定されることが期待されるため、ダブルNVセンターが生成されることが報告されている。また、注入するイオン源として窒素分子イオンを利用することによっても、ダブルNVセンターが生成される確率が高まることが報告されている。
しかし、いずれの方法でも意図的にトリプルNVセンター以上の窒素-空孔複合欠陥の形成を制御することは困難であった。
(トリプルNVセンター)
本実施形態では、少なくとも3以上の窒素原子イオンを包含する化合物イオンをダイヤモンド単結晶10に照射した。トリプルNVセンターを生成させるためには、少なくとも3以上の窒素原子イオンは必須である。より好ましい態様では、少なくとも3以上の窒素原子イオンおよび1以上の炭素原子イオンを包含する化合物をダイヤモンド単結晶10に照射した。炭素原子イオンを併せてイオン注入することにより、当該炭素原子イオンにより空孔が形成され得るため、窒素原子イオンのみをイオン注入する場合と比較してより多くの空孔が形成される。かかる炭素原子イオンのイオン注入により形成された空孔も、トリプルNVセンターの生成に寄与するため、炭素原子イオンを包含する化合物イオンを用いることで効率よくトリプルNVセンターを形成し得るからである。
好ましい実施形態では、ダイヤモンド単結晶10にCイオン21を10/cmの照射量で注入した。照射されるダイヤモンド単結晶10の好ましい結晶面は(100)面である。図2に模式的に示すとおり、Cイオン21の状態でダイヤモンド単結晶10の表面に照射されるため、照射ポイント(図2の点線矢印)では、点線源に相当する。窒素原子イオン13が照射される領域は、図1の穴12を利用したような広い分布とはならず、複数の窒素原子イオン13が1点で注入されることになる。本実施形態では、図1の例と比較しつつ説明を簡易にする目的で1つのCイオン21を用いた例を示している。
イオン注入されたCイオン21は、窒素原子イオン13、炭素原子イオン22、水素原子イオン23に分かれてダイヤモンド単結晶10内を各々所定の飛程だけ進む。窒素原子イオン13および炭素原子イオン22が、ダイヤモンド単結晶10内を進むにつれて、ダイヤモンド単結晶10内に空孔14が形成される。図2では、形成された一連の空孔に参照番号14を付し、個別の空孔に参照番号14i(iは1以上の任意の整数)を付した。本実施形態では、照射ポイントが点線源に相当するため、図1の例と比べ、空孔14が形成される領域が限定され、注入後の窒素原子イオン13同士の距離も短くなる。窒素原子イオン13だけでなく、炭素原子イオン22もイオン注入によりダイヤモンド単結晶10内を進むため、図1の例とし比して、限定された領域に多くの空孔を形成することができる。つまり、炭素原子イオン22もイオン注入されることによりNVセンターの収率が高くなる。
<アニーリング>
当該イオン注入後、本実施形態では、ダイヤモンド単結晶10をアニーリングした。図4は、1000℃におけるアニーリング時間とNVセンターの生成態様について示したグラフである。図4に示す通り、アニーリング時間を長くすると、単位時間当たり(/分)変化するNVセンターの数が多くなるのが確認できる。一方、アニーリング時間が10分を超えるとNVセンターの数が安定するのが確認できる。800℃以上1200℃以下では、同様の傾向が確認できた。本実施形態では、800℃で5時間、1000℃で2時間、1200℃で1時間など種々のアニーリングを実施し、NVセンターの生成が確認できた。
以下、1000℃で2時間熱処理したダイヤモンド単結晶10について説明する。当該熱処理により、ダイヤモンド単結晶10中に注入された窒素の一部と空孔とが結合し、NVセンターが形成される。Cイオン21の状態でダイヤモンド単結晶10の表面に点線源に相当する態様で照射するため、限定された領域に形成される空孔の量が多く、飛程後の窒素原子イオン13の各々の停止位置が図1の例に比して相対的に近くなる。その結果、近接するNVセンター25の生成確率が高くなる。図2では、近接するNVセンター25をそれぞれ、NV(25a)、NV(25b)およびNV(25c)と示す。
<トリプルNVセンターの同定>
当該熱処理が施されたダイヤモンド単結晶10中に形成されたNVセンターの態様を図5および図6に示す。図5は、共焦点レーザー走査型蛍光顕微鏡(CFM)による測定結果を示す。図6は、光検出磁気共鳴(ODMR)スペクトル法による測定結果を示す。
図5を参照すると、所定の観測領域(x軸方向:80~100μm、y軸方向:0~20μm)の蛍光強度の面内分布が確認できる。蛍光強度の観測結果から、所定の蛍光強度以上のスポットを以下の通りマークした。1つのNVセンターが含まれているスポットを「□」で囲み、2つのNVセンターが含まれているスポットを「○」で囲み、3つのNVセンターが含まれているスポットを「△」で囲んだ。図5の観測結果のとおり、所定の観測領域に、3つのNVセンターからなるトリプルNVセンターが形成されているのが確認できる。
当該各スポットに含まれるNVセンターの数を光検出磁気共鳴(ODMR)スペクトル法を用いて同定した結果を図6に示す。図6に示した3つのスペクトルは、上から順に、ディップの数が2つ、4つ、6つであることが確認できる。ディップの数が2つのスペクトルは、シングルNVセンターを示し、ディップの数が4つのスペクトルはダブルNVセンターを示し、ディップの数が6つのスペクトルはトリプルNVセンターを示す。6つのディップから、3つのNVセンター(NV(25a)、NV(25b)およびNV(25c))が各々異なる方位を持っていることが確認できる。図2では、NV(25a)、NV(25b)およびNV(25c)が各々異なる方位を示すことを明示するために模式的に矢印を付してある。
<各NVセンターの相互作用>
上記3つのNVセンターが相互作用している場合、量子絡み合いが生成され、トリプルNVセンターを形成し、3量子ビットとして機能する。以下、NVセンターの相互作用について説明する。
3つのNVセンターのうちの2つのNVセンターの相互作用を検討する。本実施形態では、NV(25a)とNV(25b)とのペア、NV(25b)とNV(25c)とのペア、および、NV(25a)NV(25c)とのペアを想定する。
上記ペアを構成する2つのNVセンター間の双極子-双極子相互作用は、2つのNVセンター間の距離の3乗の逆数に比例して減衰する。したがって、より近接した位置にNVセンターを形成することが重要となる。
また、双極子-双極子相互作用の検出感度は、NVセンターのコヒーレンス時間の逆数に比例して低下する。したがって、コヒーレンス時間の改善も重要な要素となる。図7は、コヒーレンス時間T(μs)のイオン注入エネルギ(keV)依存性を示すグラフである。図7を参照すると、10keVのイオン注入では、100μs程度のコヒーレンス時間が一般的であることが確認できる。Tが100μsのNVセンターを用いた場合に双極子―双極子相互作用の検出限界は10kHz(=1/100μs)である。
図8は、窒素原子イオン間の距離に対する相互作用の強さおよび生成確率を示すグラフである。図9は、イオン注入エネルギに対する収率を示すグラフである。図8の左縦軸は、窒素原子イオン間の距離に対する双極子-双極子相互作用の強さを表す。双極子-双極子の相互作用が10kHzとなる窒素原子イオン間の距離が15.4nmであるのが確認できる。Cのイオン注入では、注入した窒素原子イオン13同士の距離は、窒素原子イオン13のストラッグリングによってのみ決定されるため、本実施形態によるイオン注入によれば窒素原子イオン13同士を近い距離に導入することが可能である。
図8の(a)および(b)の右縦軸は、Cイオン注入に関する任意の2つの窒素原子間の距離の確率分布を表す。当該確率分布は、イオン注入に関して一般的に採用されるSRIM(Stopping and Range In Matter)シミュレーションコードを用いた。図8の(a)は、Cを84keVのエネルギでイオン注入した場合を示し、図8の(b)は、Cを65keVのエネルギでイオン注入した場合を示す。原子量の配分により、14Nイオンに対するエネルギは、10keVに相当する。したがって、Cでは、相互作用が10kHzとなる距離である15.4nm以内に窒素原子が停止する確率は、約83%となることが確認できる(図8の(a))。他の好ましい実施形態では、14Nイオンに対するエネルギが7.7keV相当の場合、相互作用が10kHzとなる距離である15.4nm以内に窒素が停止する確率は93.3%である(図8の(b))。これらのエネルギ値により所定の範囲に生成されたNVセンターのペアは量子絡み合い状態を形成する。
以上、Cに関する任意の2つのNVセンターのペアについて説明した。当該生成確率は、Cイオン21(n=1~5)に関するNV(25a)とNV(25b)とのペア、NV(25b)とNV(25c)とのペア、および、NV(25a)NV(25c)とのペアについても同様に適用できる。
上述のとおり、実験的にも理論的にも本実施形態により、3つのNVセンターが、相互作用する距離に生成され、相互作用によりトリプルNVセンターとして機能していることが確認できた。相互作用により量子絡み合いが生成され、トリプルNVセンターは、3量子ビットとして機能する。
<3量子ビット>
ダイヤモンド単結晶中のNVセンターの量子絡み合いが量子ビットとして機能することにより、量子センサ、量子中継器、並びに、量子コンピュータに搭載可能な量子ゲート装置を構成することができる。特に、上記相互作用が強い場合、室温動作の量子コンピュータに搭載可能な量子ゲート装置として有効に機能する。本実施形態において相互作用が強い条件を、以下のように規定する。
コヒーレンス時間(以下、「T」とも称する)に関し、一方のNVセンターをNV(25a)、他の一方のNVセンターをNV(25b)と規定すると、それぞれのコヒーレンス時間をT2,NVA、T2,NVBと表記する。T2,NVAの方がT2,NVBよりも長い(T2,NVA>T2,NVB)場合、量子ゲート操作が可能なほど強い相互作用を持つ条件は1/T2,NVBとなる。逆に、T2,NVAの方がT2,NVBよりも短い(T2,NVA<T2,NVB)場合、強い相互作用を持つ条件は1/T2,NVAとなる。したがって、上記NVセンターのペアに関して量子ゲート操作が可能なほど強い相互作用を持つ条件の一般式は、1/min(T2,NVA,T2,NVB)となる。
本実施形態により3量子ビットとして機能するトリプルNVセンターでは、量子ゲート操作が可能なほど強い相互作用を持つ条件は、1/min(T2,NVA,T2,NVB,T2,NVC)と表すことができる。このような相互作用を奏する条件を満たした本実施形態にかかるトリプルNVセンターでは、3量子ビットの量子ゲートとして機能する。
図10は、模式的に量子ゲート構造の具体例を示す。本実施形態では、光学制御にて機能する量子ゲートを例示的に示すが、光学制御による態様に限定されるものではない。本実施形態の量子ゲート装置は好ましくは、光源部110、光学系制御部120、光学装置130、量子ゲート素子構造150を有する。量子ゲート素子構造150は、量子ビット素子構造160を備える。本実施形態では、量子ビット素子構造160は、3量子ビットとして機能するトリプルNVセンターを包含するダイヤモンド単結晶10を利用する。
光源部110は、レーザーを生成する。光学系制御部120は、音響光学素子もしくは音響光学変調器を使用してレーザーをパルス化し、強度を設定する。光学装置130は、好ましくはミラーやレンズからなり、所定の光140を量子ビット素子構造160に照射するよう配置される。さらに、量子ゲート素子構造150の外部に静磁場発生装置180が配置されている。量ビット素子構造160にはNVセンターの電子スピン共鳴周波数の信号源190が電気的に接続される。量子ビット素子構造160の量子状態は単一光子検出器170で検出する。本実施形態では、単一光子検出器170はアバランシェフォトダイオードを用いるのが好ましいが、アバランシェフォトダイオードに限定されるものではない。好ましい実施形態では、量子ビット素子構造160の量子状態を光ファイバやフォトニッククリスタルを介して出力することができる。
<量子メモリ>
本実施形態では、図11に示すとおり、ダイヤモンド単結晶10にイオン注入するCイオン21に代えて、炭素(C)が13C(炭素13原子イオン22’)を包含するCイオン21’とすることができる。少なくとも1つの炭素原子が13C(炭素13原子イオン22’)であればよく、好ましくは全ての炭素原子が13C(炭素13原子イオン22’)であってもよい。図11は、図2にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。図11は、図2と同様に、イオン注入後の内部の様子を模式的に示すことを優先した概略斜視図であり、各要素の縮尺比率、方位などは必ずしも正確ではない。
ダイヤモンドを構成する炭素のほとんどは、12Cである。12Cは核スピンを有さない。一方、13Cは核スピンを有する(I=1/2)。また、トリプルNVセンターを構成する窒素も質量数の異なる14Nと15Nの同位体が存在する。窒素の同位体の核スピンはそれぞれ、スピン量子数がI=1とI=1/2である。これらの核スピンは、量子状態を保持するメモリとして利用可能である(非特許文献6)。
図11に示すとおり、13C(炭素13原子イオン22’)を包含するCイオン21’をダイヤモンド単結晶10にイオン注入すると、13C(炭素13原子イオン22’)が近位に配置されたトリプルNVセンターを意図的に形成することができる。13C(炭素13原子イオン22’)もストラッグリングにより広がって分布する。例えば、Cイオン21’に対して65keVの注入エネルギで注入した場合、3%の炭素が3nmの範囲で停止する。このように注入エネルギに依存してストラッグリングの範囲に配置された13C(炭素13原子イオン22’)を利用することができる。好ましい実施形態では、近位の範囲は、隣接だけでなく第2隣接(隣接の隣接)や第3隣接の範囲まで含まれる。
13Cが近位に配置されたトリプルNVセンターを用いることにより、NVセンターが有する電子スピン状態を13Cの核スピンに移すことができる。核スピンの方が、電子スピンよりもスピン状態を維持する能力が高いため、量子状態の保持が可能となる。かかる構成により、量子メモリ効果を発揮することができる。
〔実施形態2〕
実施形態1では、説明を簡易にするため1つのCイオン21を注入した場合を例示し、量子絡み合いにより3量子ビットとして機能するトリプルNVセンターを意図的にダイヤモンド単結晶10中に形成することができることを示した。
<イオン源>
イオン21は2以上の多量体として試料を用意することができる。実施形態2では、2以上のCイオン21をダイヤモンド単結晶10にイオン注入する。本実施形態ではCsスパッタ型のイオン源を採用したが、Csスパッタ型のイオン源に限定するものではない。
2以上のCイオン21をダイヤモンド単結晶10にイオン注入する照射ポイントは、実施形態1と同様に点線源に相当する。実施形態1の場合の倍以上の量の窒素原子イオン13、炭素原子イオン22がダイヤモンド単結晶10中を進むことにより、より多くの空孔14がダイヤモンド単結晶10内に形成される。これにより、収率も大幅に増大する。かかる態様により、3量子ビットとして機能するトリプルNVセンター以上の多量子ビットとして作用するNVセンターを形成することができる。
<多量子ビット>
2以上の多量体のCイオン注入後、実施形態1と同様に、ダイヤモンド単結晶10をアニーリングした。実施形態1と同様に本実施形態でも、800℃で5時間、1000℃で2時間、1200℃で1時間など種々のアニーリングを実施し、NVセンターの生成が確認できた。アニーリングによるNVセンターの生成傾向などは実施形態1と同様であるため、詳細な説明は繰り返さない。
本実施形態でも、1000℃で2時間熱処理したダイヤモンド単結晶10について説明する。生成されたNVセンターの同定などは実施形態1と同様であるため、詳細な説明は繰り返さない。
実施形態1の「量子ゲート」の項で説明した通り、ダイヤモンド単結晶中のNVセンターが量子ビットとして機能することにより、量子センサ、量子中継器、並びに、量子コンピュータに搭載可能な量子ゲート装置を構成することができる。量子ビットが、室温で作動する多量子ビットとして機能することにより、特に量子情報通信におけるメリットが大きい。量子状態を長距離伝送する際、伝送中に量子状態を中継(受信/復元/発信)する必要がある。5量子ビット以上であれば、エラー訂正を含む量子中継器を構成することができ、量子ネットワークの基幹技術として有効に機能する。本実施形態では、5量子ビット以上として作用する5つ以上のNVセンターを形成することも可能である。
コヒーレンス時間Tに関し、第1のNVセンターをNV、第2のNVセンターをNV、・・・第n番目のNVセンターをNV規定すると、それぞれのコヒーレンス時間をT2,NVA、T2,NVB、・・・、T2,NVnと表記する。実施形態1と同様に、多量子ビットとして機能するNVセンターでは、量子ゲート操作が可能なほど強い相互作用を持つ条件は、1/min(T2,NVA,T2,NVB,・・・,T2,NVn)と表すことができる。このような相互作用を奏する条件を満たした本実施形態にかかる多量子ビットの量子ゲートとして機能する。
図10に関し、実施形態1では、量子ビット素子構造160が、3量子ビットとして機能するトリプルNVセンターを包含するダイヤモンド単結晶10であった。本実施形態では、量子ビット素子構造160は、3量子ビットより多い多量子ビットとして機能する4以上のNVセンターを包含するダイヤモンド単結晶10であるのが好ましい。他の構成は、実施形態1と同様であるため、詳細な説明は繰り返さない。本実施形態でも実施形態1と同様に、所定の光が照射された量子ビット素子構造160の量子状態を外部電子デバイス170に出力することができる。
<量子メモリ>
本実施形態では、ダイヤモンド単結晶10にイオン注入する2以上の多量体のCイオン21に代えて、炭素(C)が13C(炭素13原子イオン22’)を包含する2以上の多量体のCイオン21’とすることができる。
13Cが近位に配置されたトリプルNVセンター以上の多量子ビットを形成するNVセンターを用いることにより、NVセンターが有する電子スピン状態を13Cの核スピンに移すことができる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
〔まとめ〕
本発明の態様1に係るダイヤモンド単結晶は、少なくとも3つの窒素-空孔複合欠陥を有するダイヤモンド単結晶であって、前記少なくとも3つの窒素-空孔複合欠陥が、量子絡み合いにより多量子ビットとして機能する構成である。
上記の構成によれば、ダイヤモンド単結晶中のNVセンターを室温で3量子ビット以上の多量子ビットとして機能させることができる。
本発明の態様2に係るダイヤモンド単結晶は、上記の態様1において、前記少なくとも3つの窒素-空孔複合欠陥が、ダイヤモンド単結晶内で、コヒーレンス時間に応じた量子絡み合いが生成される範囲に配置される構成としてもよい。
上記の構成によれば、ダイヤモンド単結晶中の所定の範囲内のNVセンターを量子絡み合いにより3量子ビット以上の多量子ビットとして室温で機能させることができる。
本発明の態様3に係るダイヤモンド単結晶は、上記の態様1または2において、前記少なくとも3つの窒素-空孔複合欠陥が、少なくとも3以上の窒素原子イオンを包含する化合物を用いて形成された窒素原子イオンと空孔とが対をなしてなる複合欠陥である構成としてもよい。
上記の構成によれば、少なくとも3以上の窒素原子イオンを包含する化合物を用いて形成されたNVセンターを3量子ビット以上の多量子ビットとして室温で機能させることができる。
本発明の態様4に係るダイヤモンド単結晶は、上記の態様1から3のいずれかにおいて、前記少なくとも3つの窒素-空孔複合欠陥が、少なくとも3以上の窒素原子イオンと1以上の炭素原子イオンとを包含する化合物を用いて形成された窒素原子イオンと空孔と、が対をなしてなる複合欠陥である構成としてもよい。
上記の構成によれば、少なくとも3以上の窒素原子イオンと1以上の炭素原子イオンとを包含する化合物を用いて形成されたNVセンターを3量子ビット以上の多量子ビットとして室温で機能させることができる。
本発明の態様5に係るダイヤモンド単結晶は、上記の態様4において、前記少なくとも3以上の窒素原子イオンと1以上の炭素原子イオンとを包含する化合物が、13Cを包含し、前記少なくとも3つの窒素-空孔複合欠陥が前記13Cの近位に配置してなる複合欠陥である構成としてもよい。
上記の構成によれば、13Cを包含する化合物を用いて形成されたNVセンターによる3量子ビット以上の多量子ビットの量子状態を13Cの核スピンに移すことができる。
本発明の態様6に係るダイヤモンド単結晶は、上記の態様1から5のいずれかにおいて、前記少なくとも3つの窒素-空孔複合欠陥が、1以上のCイオン(nは任意の自然数)またはその量体を用いて形成された窒素原子イオンと空孔とが対をなしてなる複合欠陥である構成としてもよい。
上記の構成によれば、1つのCイオンまたはCイオンの2量体以上のユニットを用いて形成されたNVセンターを3量子ビット以上の多量子ビットとして室温で機能させることができる。
本発明の態様7に係るダイヤモンド単結晶の製造方法は、少なくとも3つの窒素-空孔複合欠陥を有するダイヤモンド単結晶の製造方法であって、化合物をダイヤモンド単結晶に対してイオン注入するステップを有し、前記化合物が、少なくとも3以上の窒素原子イオンを包含し、多量子ビットとして作用する少なくとも3つの窒素-空孔複合欠陥をダイヤモンド単結晶内に生成させる方法である。
上記の構成によれば、少なくとも3以上の窒素原子イオンを包含する化合物をダイヤモンド単結晶にイオン注入することにより形成されたNVセンターを3量子ビット以上の多量子ビットとして室温で機能させることができる。
本発明の態様8に係るダイヤモンド単結晶の製造方法は、上記の態様7において、前記化合物が、少なくとも3以上の窒素原子イオンと1以上の炭素原子イオンとを包含する化合物である方法としてもよい。
上記の構成によれば、少なくとも3以上の窒素原子イオンと1以上の炭素原子イオンとを包含する化合物をダイヤモンド単結晶にイオン注入することにより形成されたNVセンターを3量子ビット以上の多量子ビットとして室温で機能させることができる。
本発明の態様9に係るダイヤモンド単結晶の製造方法は、上記の態様8において、前記化合物が、13Cを包含し、前記少なくとも3つの窒素-空孔複合欠陥を前記13Cの近位に生成させる方法としてもよい。
上記の構成によれば、13Cを包含する化合物を用いて形成されたNVセンターによる3量子ビット以上の多量子ビットの量子状態を13Cの核スピンに移すことができる。
本発明の態様10に係るダイヤモンド単結晶の製造方法は、上記の態様7から9のいずれかにおいて、前記化合物が、1以上のCイオン(nは任意の自然数)またはその量体を包含する化合物である方法としてもよい。
上記の構成によれば、1つのCイオンまたはCイオンの2量体以上のユニットをダイヤモンド単結晶にイオン注入することにより形成されたNVセンターを3量子ビット以上の多量子ビットとして室温で機能させることができる。
本発明の態様11に係るダイヤモンド単結晶の製造方法は、上記の態様7から10のいずれかにおいて、前記イオン注入するステップが、1keV以上18000keV以下のイオン注入エネルギにより実施される方法としてもよい。
上記の構成によれば、少なくとも3以上の窒素原子イオンを包含する化合物をダイヤモンド単結晶に1keV以上18000keV以下のイオン注入エネルギによりイオン注入することにより形成されたNVセンターを3量子ビット以上の多量子ビットとして室温で機能させることができる。
本発明の態様12に係るダイヤモンド単結晶の製造方法は、上記の態様7から11のいずれかにおいて、前記イオン注入するステップが、窒素原子イオン相当で7.7keV以上10keV以下のイオン注入エネルギにより実施され、前記少なくとも3つの窒素-空孔複合欠陥が、ダイヤモンド単結晶内で互いに10ナノメートルの範囲に配置される方法としてもよい。
上記の構成によれば、少なくとも3以上の窒素原子イオンを包含する化合物をダイヤモンド単結晶に窒素原子イオン相当で7.7keV以上10keV以下のイオン注入エネルギによりイオン注入することにより形成されたNVセンターを3量子ビット以上の多量子ビットとして室温で機能させることができる。
本発明の態様13に係るダイヤモンド単結晶の製造方法は、上記の態様7から12のいずれかにおいて、前記イオン注入するステップに次いで、前記ダイヤモンド単結晶をアニーリングするステップを更に有し、前記アニーリングするステップが、800℃以上1200℃以下の温度範囲で、1時間以上10時間以下で実施される方法としてもよい。
上記の構成によれば、少なくとも3以上の窒素原子イオンを包含する化合物がイオン注入されたダイヤモンド単結晶をアニーリングすることにより形成されたNVセンターを3量子ビット以上の多量子ビットとして室温で機能させることができる。
本発明の態様14に係るダイヤモンド単結晶を備え、前記ダイヤモンド単結晶内に形成された前記少なくとも3つの窒素-空孔複合欠陥が、室温で多量子ビットとして機能することを特徴とする量子ゲート装置は、上記の態様1~6のいずれかにおいて、請求項1~6のいずれか1項に記載のダイヤモンド単結晶を備え、前記ダイヤモンド単結晶内に形成された前記少なくとも3つの窒素-空孔複合欠陥が、室温で多量子ビットとして機能する構成としてもよい。
上記の構成によれば、ダイヤモンド単結晶中のNVセンターが室温で3量子ビット以上の多量子ビットとして作用する量子ゲート装置として機能させることができる。
本発明の態様15に係る量子ゲート装置は、上記の態様5において、請求項5に記載のダイヤモンド単結晶を備え、前記ダイヤモンド単結晶内に形成された前記少なくとも3つの窒素-空孔複合欠陥の電子スピン状態を前記13Cの核スピンに移すことにより量子状態を保持する量子メモリとして機能する構成としてもよい。
上記の構成によれば、NVセンターによる3量子ビット以上の多量子ビットの量子状態を13Cの核スピンに移すことにより量子状態を保持する量子メモリとして作用する量子コンピュータとして機能させることができる。
本発明の態様16に係るダイヤモンド単結晶を備え、前記ダイヤモンド単結晶内に形成された前記少なくとも3つの窒素-空孔複合欠陥が、室温で多量子ビットとして機能することを特徴とする量子コンピュータにおける量子ビット素子構造は、上記の態様1~6のいずれかにおいて、請求項1~6のいずれか1項に記載のダイヤモンド単結晶を備え、前記ダイヤモンド単結晶内に形成された前記少なくとも3つの窒素-空孔複合欠陥が、室温で多量子ビットとして機能する構成としてもよい。
上記の構成によれば、ダイヤモンド単結晶中のNVセンターを室温で3量子ビット以上の多量子ビットとして作用する量子ビット素子構造として機能させることができる。
本発明の態様17に係る量子コンピュータにおける量子ビット素子構造は、上記の態様5において、請求項5に記載のダイヤモンド単結晶を備え、前記ダイヤモンド単結晶内に形成された前記少なくとも3つの窒素-空孔複合欠陥の電子スピン状態を前記13Cの核スピンに移すことにより量子状態を保持する量子メモリとして機能する構成としてもよい。
上記の構成によれば、NVセンターによる3量子ビット以上の多量子ビットの量子状態を13Cの核スピンに移すことにより量子状態を保持する量子メモリとして作用する量子コンピュータにおける量子ビット素子構造として機能させることができる。
本発明の態様18に係るダイヤモンド単結晶を備え、前記ダイヤモンド単結晶内に形成された前記少なくとも3つの窒素-空孔複合欠陥が、室温で多量子ビットとして機能することを特徴とする量子中継器は、上記の態様1~6のいずれかにおいて、請求項1~6のいずれか1項に記載のダイヤモンド単結晶を備え、前記ダイヤモンド単結晶内に形成された前記少なくとも3つの窒素-空孔複合欠陥が、室温で多量子ビットとして機能する構成としてもよい。
上記の構成によれば、ダイヤモンド単結晶中のNVセンターを室温で3量子ビット以上の多量子ビットとして作用する量子中継器として機能させることができる。
本発明の態様19に係るダイヤモンド単結晶を備え、前記ダイヤモンド単結晶内に形成された前記少なくとも3つの窒素-空孔複合欠陥が、室温で多量子ビットとして機能することを特徴とする量子センサは、上記の態様1~6のいずれかにおいて、請求項1~6のいずれか1項に記載のダイヤモンド単結晶を備え、前記ダイヤモンド単結晶内に形成された前記少なくとも3つの窒素-空孔複合欠陥が、室温で多量子ビットとして機能する構成としてもよい。
上記の構成によれば、ダイヤモンド単結晶中のNVセンターを室温で3量子ビット以上の多量子ビットとして作用する量子センサとして機能させることができる。
10 ダイヤモンド単結晶
11 レジストマスク
13 窒素原子イオン
14、14i 空孔
15 シングルNVセンター
21、21’ Cイオン
22 炭素原子イオン
22’ 炭素13原子イオン
23 水素原子イオン
25 NVセンター
110 光源部
120 光学系制御部
130 光学装置
150 量子ゲート素子構造
160 量子ビット素子構造
170 外部電子デバイス

Claims (19)

  1. 少なくとも3つの窒素-空孔複合欠陥を有するダイヤモンド単結晶であって、
    前記少なくとも3つの窒素-空孔複合欠陥が、量子絡み合いにより多量子ビットとして機能することを特徴とするダイヤモンド単結晶。
  2. 前記少なくとも3つの窒素-空孔複合欠陥が、ダイヤモンド単結晶内で、コヒーレンス時間に応じた量子絡み合いが生成される範囲に配置されることを特徴とする、請求項1に記載のダイヤモンド単結晶。
  3. 前記少なくとも3つの窒素-空孔複合欠陥が、少なくとも3以上の窒素原子イオンを包含する化合物を用いて導入された窒素原子イオンと空孔とが対をなしてなる複合欠陥であることを特徴とする、請求項1または2に記載のダイヤモンド単結晶。
  4. 前記少なくとも3つの窒素-空孔複合欠陥が、少なくとも3以上の窒素原子イオンと1以上の炭素原子イオンとを包含する化合物を用いて形成された窒素原子イオンと空孔と、が対をなしてなる複合欠陥であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載のダイヤモンド単結晶。
  5. 前記少なくとも3以上の窒素原子イオンと1以上の炭素原子イオンとを包含する化合物が、13Cを包含し、前記少なくとも3つの窒素-空孔複合欠陥が前記13Cの近位に配置してなる複合欠陥であることを特徴とする、請求項4に記載のダイヤモンド単結晶。
  6. 前記少なくとも3つの窒素-空孔複合欠陥が、1以上のCイオン(nは任意の自然数)またはその量体を用いて形成された窒素原子イオンと空孔とが対をなしてなる複合欠陥であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載のダイヤモンド単結晶。
  7. 少なくとも3つの窒素-空孔複合欠陥を有するダイヤモンド単結晶の製造方法であって、化合物をダイヤモンド単結晶に対してイオン注入するステップを有し、前記化合物が、少なくとも3以上の窒素原子イオンを包含し、多量子ビットとして作用する少なくとも3つの窒素-空孔複合欠陥をダイヤモンド単結晶内に生成させることを特徴とするダイヤモンド単結晶の製造方法。
  8. 前記化合物が、少なくとも3以上の窒素原子イオンと1以上の炭素原子イオンとを包含する化合物であることを特徴とする請求項7に記載のダイヤモンド単結晶の製造方法。
  9. 前記化合物が、13Cを包含し、前記少なくとも3つの窒素-空孔複合欠陥を前記13Cの近位に生成させることを特徴とする請求項8に記載のダイヤモンド単結晶の製造方法。
  10. 前記化合物が、1以上のCイオン(nは任意の自然数)またはその量体を包含する化合物であることを特徴とする請求項7から9のいずれか1項に記載のダイヤモンド単結晶の製造方法。
  11. 前記イオン注入するステップが、1keV以上18000keV以下のイオン注入エネルギにより実施されることを特徴とする請求項7から10のいずれか1項に記載のダイヤモンド単結晶の製造方法。
  12. 前記イオン注入するステップが、窒素原子イオン相当で7.7keV以上10keV以下のイオン注入エネルギにより実施され、
    前記少なくとも3つの窒素-空孔複合欠陥が、ダイヤモンド単結晶内で互いに10ナノメートルの範囲に配置されることを特徴とする請求項7から11のいずれか1項に記載のダイヤモンド単結晶の製造方法。
  13. 前記イオン注入するステップに次いで、前記ダイヤモンド単結晶をアニーリングするステップを更に有し、
    前記アニーリングするステップが、800℃以上1200℃以下の温度範囲で、1時間以上10時間以下で実施されることを特徴とする請求項7から12のいずれか1項に記載のダイヤモンド単結晶の製造方法。
  14. 請求項1~6のいずれか1項に記載のダイヤモンド単結晶を備え、
    前記ダイヤモンド単結晶内に形成された前記少なくとも3つの窒素-空孔複合欠陥が、室温で多量子ビットとして機能することを特徴とする量子ゲート装置。
  15. 請求項5に記載のダイヤモンド単結晶を備え、
    前記ダイヤモンド単結晶内に形成された前記少なくとも3つの窒素-空孔複合欠陥の電子スピン状態を前記13Cの核スピンに移すことにより量子状態を保持する量子メモリとして機能することを特徴とする請求項14に記載の量子ゲート装置。
  16. 請求項1~6のいずれか1項に記載のダイヤモンド単結晶を備え、
    前記ダイヤモンド単結晶内に形成された前記少なくとも3つの窒素-空孔複合欠陥が、室温で多量子ビットとして機能することを特徴とする量子コンピュータにおける量子ビット素子構造。
  17. 請求項5に記載のダイヤモンド単結晶を備え、
    前記ダイヤモンド単結晶内に形成された前記少なくとも3つの窒素-空孔複合欠陥の電子スピン状態を前記13Cの核スピンに移すことにより量子状態を保持する量子メモリとして機能することを特徴とする請求項16に記載の量子コンピュータにおける量子ビット素子構造。
  18. 請求項1~6のいずれか1項に記載のダイヤモンド単結晶を備え、
    前記ダイヤモンド単結晶内に形成された前記少なくとも3つの窒素-空孔複合欠陥が、室温で多量子ビットとして機能することを特徴とする量子中継器。
  19. 請求項1~6のいずれか1項に記載のダイヤモンド単結晶を備え、
    前記ダイヤモンド単結晶内に形成された前記少なくとも3つの窒素-空孔複合欠陥が、室温で多量子ビットとして機能することを特徴とする量子センサ。
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