JP7066938B2 - 吸収性物品の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、トップシート及びバックシートの間に配置される吸収体と、を有する吸収性物品の製造方法である。なお、本明細書において、身体側表面とは、吸収体等の各部材の表裏両面のうち、着用時に着用者の肌側に配される面であり、衣類側表面とは、吸収体等の各部材の表裏両面のうち、着用時に着用者の肌側とは反対側に向けられる面である。さらに、本明細書の説明において、流れ方向とは、吸収性物品の製造において、基体不織布が進行する方向を指す。本発明の吸収性物品の製造方法によれば、テープ止めタイプの紙おむつ、パンツ型タイプの紙おむつ、生理用ナプキン、尿取りバッド、軽失禁パッド、軽失禁ライナー等の吸収性物品を製造することができる。
工程Aは、基体不織布に弱酸性の薬液をオンラインで塗布してトップシートを作製する工程である。基体不織布にオンラインで塗布してトップシートを作製することにより、あらかじめ弱酸性の薬液が塗布されたトップシートを購入して用いるよりも、コストを低減でき、基体不織布の選択性も広げることができる。
工程Aにおいて、薬液が基体不織布に塗布される際の、薬液由来の水分塗布量が3.5g/m2以下であり、0.5g/m2以上3.5g/m2以下であることが好ましい。また、薬液が基体不織布に塗布される際の、薬液由来の水分塗布量が上記の範囲であることにより、薬液を塗布した後に、乾燥装置による乾燥を行わなくても、ホットメルト接着剤等により各種部材を接合する際の接着性の低下を防ぐことができる。また、液量が少なすぎることによる塗布ムラも起こらない。
トップシートは、肌と当接するシートとなることから、トップシートの元となる基体不織布には、柔らかな感触で、肌に刺激を与えないような性質を有する、ポリプロピレンやポリエチレン等の合成繊維、レーヨン等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いて、エアスルー法、サーマルボンド法、スパンレース法、スパンボンド法等の公知の加工法によって得られた親水性不織布又はこれらを積合した複合不織布を用いることができる。また、基体不織布には、液透過性を向上させるために、表面にエンボス加工や穿孔加工を施してもよい。これらのエンボス加工や穿孔加工を施すための方法としては、公知の方法を制限なく実施することができる。
工程Bは、衣類側から順に、バックシート、吸収体、トップシート、を積層する工程である。各部材を積層した後は、製品形状にカットして吸収性物品を得ることができる。各部材を一体化させる手段としては、ホットメルト接着剤やヒートエンボス、超音波エンボス、高周波エンボス等を用いることができる。以下、各部材について説明する。
トップシートは、吸収体に向けて体液を速やかに通過させるものであり、吸収体を挟んで、バックシートに対向して配置される。強度、加工性及び液戻り量の点から、トップシート坪量は、15g/m2以上200g/m2以下であることが好ましい。トップシートの形状としては特に制限はないが、漏れがないように体液を吸収体へと誘導するために必要とされる、吸収体を覆う形状であればよい。なお、トップシートには、上記の薬液の他に、ローション、酸化防止剤、抗炎症成分、抗菌剤、保湿剤を含有させてもよい。
吸収体は、基材としての吸収性繊維と、高吸水性ポリマー(SAP)と、を含有する。なお、吸収体は、単層であっても複層であってもよい。
吸収性繊維は、一般に生理用ナプキンや紙おむつ、尿取りパッド等の吸収性物品に使用されるものであれば特に制限はなく、例えば、フラッフパルプ、コットン、レーヨン、アセテート、ティシュ、吸収紙、親水性不織布等を挙げることができる。これらの中でも、吸収性の観点から、フラッフパルプを使用することが好ましい。フラッフパルプとしては、木材パルプ(例えば、サウザンパインやダグラスファー等の針葉樹晒クラフトパルプ(N-BKP))、合成繊維、樹脂繊維、非木材パルプ等を綿状に解繊したものを挙げることができる。吸収体の基材としての吸収性繊維に、フラッフパルプを用いた場合、吸収性繊維の坪量は、吸収体全体で、100g/m2以上800g/m2以下であることが好ましい。これにより、肌触りを損なわずに、より多くの体液を吸収させることができる。
吸収体のSAPとしては、体液を吸収し、かつ、逆流を防止できるものであれば特に制限はなく、ポリアクリル酸ナトリウム系共重合体、ポリアスパラギン酸塩系共重合体、(デンプン-アクリル酸)グラフト共重合体、(アクリル酸-ビニルアルコール)共重合体、(イソブチレン-無水マレイン酸)共重合体及びそのケン化物等の材料から形成されたものを使用することができる。これらの中でも、重量当たりの吸収量の観点から、ポリアクリル酸ナトリウム系共重合体が好ましい。
バックシートは、吸収体が保持している体液が衣類を濡らさないような液不透過性を備えた基材を用いて形成されればよく、樹脂フィルムや、樹脂フィルムと不織布とを積層した複合シートといった材料から形成される。複合シートに用いられる不織布としては、製法を特に限定せず、例えば、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、スパンボンド/メルトブロー、スパンボンド/メルトブロー/スパンボンドを積層した複合不織布及びこれらの複合材料が挙げられる。また、樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンとポリプロピレンの複合フィルム等が挙げられる。
トップシートの身体側表面には、立体ギャザーが設けられていてもよい。この立体ギャザーは、トップシートとともに体液の閉じ込め空間を形成し、体液の漏れを防止できるようになっている。立体ギャザーは、立体ギャザーシートと、立体ギャザーシートの自由端部に沿って配された伸縮性弾性部材と、を備えていることが好ましい。伸縮性弾性部材としては、天然ゴム、合成ゴム、及びポリウレタン等からなる、糸状、紐状、平型形状のものを適宜使用することができる。なお、トップシートと立体ギャザーの接合には、ホットメルト接着剤を用いることが好ましい。また、立体ギャザーのトップシートとの接合は、基体不織布に薬液を塗布した後であれば、バックシート、吸収体、トップシート、を積層する前工程と後工程のいずれのセクションで行ってもよい。ここで、立体ギャザーのトップシートとの接合を、バックシート、吸収体、トップシート、を積層する前工程で行う場合には、立体ギャザーが、薬液が塗布された基体不織布に最も速く接合する部材となるが、この場合でも、本発明においては、基体不織布に塗布される薬液由来の水分塗布量が上記の範囲に調整されているため、乾燥装置による乾燥を行わなくても、ホットメルト接着剤による接合性の低下を防ぐことができる。
ライン速度100m/分で流れ方向に進行する基体不織布(坪量20g/m2の幅75mmの親水性のエアスルー不織布)に、スロットダイ(ノードソン社製)で0.25質量%のリンゴ酸を含有する薬液をオンラインで塗布したのち、乾燥装置による乾燥を行わずに5m走行させた後に、立体ギャザーをホットメルト接着剤で基体不織布の身体側表面に接合させて、トップシートを作製した。その後、基体不織布に薬液を塗布して3.6秒後に、各部材にホットメルト接着剤を塗布して、衣類側から順に、バックシート、吸収体、トップシートを積層し、所定の形状にカットして実施例1から5、比較例1の軽失禁パッドを製造した。なお、基体不織布に塗布された薬液由来の水分含有量を薬液中の水分含有量、ライン速度、塗布装置のポンプの送り流量から計算し、表1に示した。
各実施例及び比較例に係る吸収性物品をそれぞれ10個用意し、各吸収性物品の立体ギャザーとトップシートの接着性について、立体ギャザーをトップシートから手で剥がしたときの強度を確認し、以下の基準により評価し、結果を表1に示した。
〇・・10個の吸収性物品の全ての接着性が良好であったとき
×・・接着性が良好でない吸収性物品が一つでもあったとき
塗工直後の基材不織布を吸収体の製造ラインに入る直前で取り出し、BTB溶液で呈色し、ムラがなく均一に発色しているかを目視で確認した。
Claims (1)
- 液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、前記トップシート及び前記バックシートの間に配置される吸収体と、前記トップシートの身体側表面に設けられる立体ギャザーと、を有する吸収性物品の製造方法であって、
基体不織布に弱酸性の薬液をオンラインで塗布した後、基体不織布の身体側表面に立体ギャザーをホットメルト接着剤で接合してトップシートを作製する工程Aと、
工程Aの後に、衣類側から順に、前記バックシート、前記吸収体、前記トップシート、を積層する工程Bと、を有し、
前記工程Aにおいて、前記薬液が前記基体不織布に塗布される際の前記薬液由来の水分塗布量が0.5g/m2以上3.5g/m2以下であり、
前記基体不織布に前記薬液を塗布した後に、乾燥装置による乾燥を行わず、かつ、前記基体不織布に前記薬液を塗布してから、前記工程Bにおいて、前記トップシートを前記吸収体の身体側に積層するまでの時間は、4秒以内であることを特徴とする、吸収性物品の製造方法。
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