JP7066703B2 - キラル分析用のキャビティエンハンスト・フーリエ変換分光法 - Google Patents

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Description

本明細書は、限定ではないが、概して分子回転分光法に関し、より具体的にはキャビティエンハンスト・フーリエ変換分子回転分光法に関する。
キラル分子は、重ね合わせることができない鏡像を有する分子として定義され得る。こうした鏡像はエナンチオマーと呼称されることがある。エナンチオマーは通常、それらの三次元幾何学において複数の結合長および複数の結合角からなる組が同じものである。結果として、エナンチオマーはそれらの伝統的な吸収スペクトルを含めて類似の分子特性を有する。生体系は特定の掌性を持つキラル分子で構成されているため、それらは「不斉(asymmetric)」系であり、エナンチオマーの生化学は異なる可能性がある。結果として、キラル分子の立体化学構造を分析する能力によって、化学分野において特に医薬における応用のための多くの用途が見出される。
キラル分子は、4つの異なる化学置換基を有する「不斉炭素原子」などのいくつかの「キラル中心」がある構造を有することがある。この示では、各不斉炭素の局所的立体化学は、カーン・インゴルド・プレローグR/S表記法を用いて表されるように右掌性か左掌性かのどちらかとなりえる。結果として、N個のキラル中心を有する分子には、2個の立体異性体がある。一般的な場合(メソ構造の可能性がない場合)には、立体異性体は、ジアステレオマーと呼称されることがある2N-1個の別個の分子構造を有することになり、個々のジアステレオマーについて、エナンチオマーと呼称されることがある2つの重ね合わせることができない鏡像があり得る。エナンチオマーは各キラル中心で反対の局所的キラリティーを有する。例えば、3つのキラル中心を有する分子の場合、3つ全てのキラル中心がR配置(RRR)を有するように形成されたジアステレオマーは、3つ全てがS配置(SSS)のエナンチオマーを有する。
一般に入手可能なキラル分析用の分析化学機器は、クロマトグラフィーおよび光に基づく分析という、2つの広いカテゴリーに分類される。クロマトグラフィーは、試料混合物を取り出して、その試料混合物を「カラム」に通すことによって生じる分子と固定相との異なる相互作用によって試料混合物を分離する。例として、ガスクロマトグラフィー(GC)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、および他の多くの変形が含まれる。最近のクロマトグラフィーは、ジアステレオマーのような幾何学が異なる複合体混合物の分離を少量のサンプルを用いて達成することができる。固定相それ自体がキラルであれば、エナンチオマーの分離を達成することが可能である。キラル分析については、ジアステレオマーとエナンチオマーの組成を確定するために2つの異なる測定法がしばしば使用される。すべての関心成分の明確な分離をもたらす機器プロトコルを見つけるには、かなりの開発期間が必要になることがある。各溶出時間での化合物の同一性を確定するために、特にエナンチオマー分離のために、参照試料が必要となることがある。このように、クロマトグラフィー機器を較正するために他のキラル分析技術が一般に使用される。
キラル分子の分子構造および絶対配置を確定するために光を使用し得る測定技術の多様なセットがある。このような分析手法には、光の回折、偏光の回転(旋光分析)、左右の円偏光の差吸収(円偏光二色性)とそれに関連するラマン版(ラマン光学活性)、および、本来的にアキラルな分光法からキラル情報を得る方法(核磁気共鳴(NMR)分析に使用される手法)が含まれる。
X線回折は、分子の絶対配置(掌性)を確定するために使用される。X線回折には、通常、単結晶形態のエナンチオピュアな試料の使用が伴われる。この試料の調製要件によってX線回折の有用性が制限されることがある。絶対配置を確定する1つの方法は、内部キラル参照物を使用することである。参照物は、既知の(例えば、以前に確定された)絶対配置を有する分子を含み得る。この分子が関心分子と共結晶化可能である場合、その単位格子構造はその複合体に対するものである。その複合体の両エナンチオマーは同じ回折パターンを生成するであろうけれども、内部参照分子の絶対配置の知見によって、対になった分子の絶対配置を疑義なく帰属可能である。
絶対配置を確定するための別の技術は、異常吸収によって引き起こされる単結晶試料の回折ピークの強度ばらつき(intensity variation)を使用することである。この手法は、軽い原子(例えば、C、N、O、またはH)のみを持つ分子については決定的でない結果をもたらすことがある。X線回折の使用は、通常、分析用にエナンチオピュアな単結晶が形成されることを保証するために、初期試料が開始時に既知の(そして高い)エナンチオ純度を有するといった様々な課題を提起し得る。
旋光分析は、キラル分析のための他の技術であり、旋光計を使用して光学的に活性な試料による偏光の回転を観察するのに使用されることがある。回転方向は、平面偏光の回転方向を指す(+)/(-)を用いてエナンチオマーの利き手を示すのにしばしば使用される。旋光分析は本質的に化学的選択性を有さず、この分析は、溶媒に溶解された純粋な試料の使用を通常伴う。
これは旋光分析をエナンチオ純度の迅速な確認にとって有用となるが、そのような技術は化学分析にとって限定的な価値しかない。
円偏光二色性(CD)は、左右の円偏光の吸収差を確定するために使用することができる。各エナンチオマーは反対の値を示すので、(+)および(-)エナンチオマーの等しい混合物すなわちラセミ混合物は、吸収差を生じない。一方のエナンチオマーが他方より過剰であるために試料全体が光学的活性であると、CDシグナルが得られる。このシグナルの起源は、その分子の電気磁気双極子モーメントによって引き起こされる吸収の干渉である。磁気双極子モーメントはかなり小さいので、差分CD吸収シグナルは他の分光技術と比較して一般に弱い。振動円偏光二色性(VCD)の場合、キラル性光学シグナル(chiroptical signal)は、通常の振動スペクトル強度の10-4のオーダーである。CDシグナル強度は、試料をプローブするために使用される光の周波数に強く依存する。その結果、回転CD効果は測定可能なレベルをはるかに下回ると予想される。CDの用途は、電磁スペクトルの赤外領域における振動分光法と、可視およびUV領域における電子分光法とを含む。ラマン光学活性変形法についても類似のシグナル強度スケーリングが一般に生じる。
振動CDおよび電子CDはキラル分析に使用することができる。分子の振動スペクトルは、分子幾何学の識別力のあるサインとして使用することができる。したがって、VCDは、限定されたスペクトル分解能を有する電子分光法に基づく方法と比較して、良好な化学選択性を提供する。同様に、振動分光法のためのラマン光学活性も化学的選択性を提供する。VCDには、ほとんどの測定について得られたスペクトルが密集しており、そのような密集が混合物の分析を困難にするといった課題が示されることがある。VCD研究には通常、精製分子試料が使用される。例えば、シグナルの弱さのために、高い試料濃度が通常使用され、ひいては、スペクトル分析を複雑にする分子複合体の形成がもたらされることがある。シグナル振幅(例えば示差吸収シグナル)は通常、エナンチオマー過剰率(「ee」)測定のためにエナンチオ純度が既知の試料を用いて較正される。VCDスペクトルの予測は、試料中に存在する全ての可能な分子立体配座の理論的VCDスペクトルの生成を伴うといった、コンピュータ計算上困難な問題となることがあり、また試料は通常室温である。
本発明者は、上記のようなキラル分析用に設計された特定の機器があることを認識した。また、本発明者は、とりわけ、上記の技術のどれひとつとして広い一般性と日常的測定実施を提供しないことも認識した。キラル分子の異性体の定量分析は、特に複数のキラル中心を有する分子について通常困難である。複数のキラル中心を有する分子についての全キラル分析は、別個の分子形状を有するジアステレオマーの相対存在度と、(エナンチオマー過剰率(「ee」)として与えられる)これらジアステレオマーの各々についてエナンチオマーの比率と、最も豊富に存在するエナンチオマーの絶対配置とのうちの1つ以上を提供し得る。
医薬を含めた用途では、ジアステレオマーおよびエナンチオマー純度が99.5%以上であると測定されることが望ましいことがある。本発明者は、とりわけ、ジアステレオマーおよびそれらのエナンチオマーの参照試料を必要とせずにそのような分析を実施することが課題であることを認識した。本出願書類に記載した本願の主題は、化学的検出用の回転分光法を使用する機器(および関連技術)を提供することができる。このような機器は、一般的な測定方法でキラル分析測定を行うことができる。そのような技術は、(1)エナンチオマー過剰率の確定、(2)ジアステレオマーの相対存在度、または(3)エナンチオマーの絶対配置を支持するための1つ以上の測定値を提供することができる。
一実施形態の一態様は、とりわけ、分光計用の機器(および関連方法)を提供する。一実施形態の態様は、とりわけ、キャビティエンハンスト・フーリエ変換分光計装置を使用するシステムおよび方法を提供する。一実施形態のある態様は、とりわけ、絶対配置またはエナンチオマー過剰率測定(例えば高エナンチオ純度限界に近づいたことの判定を含む)のうちの1つまたは複数の確定といったキラル分析を実行できる回転分光機器のためのシステムおよび技術を提供する。一実施形態の一態様は、広帯域測定のためのまたは特定の既知の遷移周波数のシグナルを測定するためのスペクトル取得を提供する機器と、絶対配置およびエナンチオマー過剰率確定のうちの1つ以上についてキラルタグ付測定を行うための対応する試料導入システムとを含み得る。一実施形態の一態様は、とりわけ、キラルタグ付分子回転分光法を使用する、分子のキラル分析用の多重化キャビティエンハンスト・フーリエ変換分光法を使用するシステムおよび方法を提供する。
一例では、方法などの技術は、共振キャビティを備える試料室に、パルスジェットを使用して検体とキラルタグとを注入すること、前記共振キャビティの複数のモードを電気的に励起すること、前記検体と前記キラルタグとを備える試料から、前記共振キャビティを電気的に励起することによって誘発される時間ドメイン応答を電気的に取得すること、前記時間ドメイン応答の周波数ドメイン表現を確定することを含むことができる。
一例では、方法などの技術は、検体とキラルタグを備えるラセミ混合物とを含む第1の試料を収容する共振キャビティから誘発される第1の応答を電気的に取得すること、前記検体分析物と特定のエナンチオ純度の形態の前記キラルタグとを含む第2の試料を収容する前記共振キャビティから誘発される第2の応答を電気的に取得することを備え、前記第1の応答および前記第2の応答が、調査対象の分子回転共鳴の範囲に対応する、前記共振キャビティの複数のモードを電気的に励起することによって誘発されるものである。
一例では、分光計装置などの装置またはシステムは、共振キャビティを含む試料室と、前記共振キャビティの複数のモードを電気的に励起するために前記試料室に電気的に結合される供給源と、前記供給源を用いた前記共振キャビティの励起に応答して、前記試料室内の試料から誘発される応答を取得するために前記試料室に電気的に結合される受信機であって、前記試料室から取得した時間ドメイン応答のデジタル表現を提供するためのアナログデジタル変換器を備える前記受信機と、少なくとも前記受信機が前記試料から誘発される前記応答を受信しているときに前記試料室から前記供給源を分離するためのアイソレータとを備え、前記試料室が、検体とキラルタグとを受け取るための少なくとも1つの試料導入ポートを含む少なくとも2つの試料導入ポートを備える。
発明の概要は、本特許出願の主題の概要を提供することを意図しており、本発明の排他的または網羅的な説明を提供することを意図するものではない。本特許出願に関するさらなる情報を提供するために詳細な説明が含まれる。
図面は、必ずしも一定の縮尺で描かれておらず、異なる図面における同様の数字は同様の構成要素を記述することがある。異なる文字の接尾辞を有する類似の数字は、類似の構成要素の異なる事例を表すことがある。図面は、限定ではなく概して例として、本明細書に記述した様々な実施形態を示している。
本明細書中に記述した1つ以上の技術を実行するために使用可能な装置の一例を概して示す図。 (A)(B)は本明細書中に記述した1つ以上の技術を実行するために使用可能な試料室構成例の図(共振キャビティを画定する試料室の異なる視点表現)。 共振キャビティの共振にマッチするように確立されたものであり得る一連の周波数を含む励起波形を含む例示的な例の概略図。 各バーストが約100ナノ秒の持続時間を有する、5000、5200、5400、5600、5800、および6000メガヘルツ(MHz)の6つのパルスを含む、図3Bと同様のパルスシーケンスの例示的な例の概略図。 図3Bのパルスシーケンスの周波数ドメイン表現の例示的な例の概略図。 図3Bと同様であるが、テーパーコサイン窓関数を使用して確立されるような各バーストを包絡線整形したパルスシーケンスの例示的な例の概略図。 図3Dのパルスシーケンスの周波数ドメイン表現の例示的な例であって、励起周波数間のより良い分離または漏洩の抑制を提供するためなどの、周波数ドメイン・サイドローブの抑制の概略図。 共振キャビティの複数のモードを同時期に励起するのに使用するための3つの励起周波数を備える波形の例示的な例の概略図。 6つの構成周波数を有する波形の600ナノ秒持続バーストの例示的な例の概略図。 図4Bの波形の周波数ドメイン表現の例示的な例の概略図。 図4Bと同様であるが、テーパーコサイン窓関数を使用して確立されるような600ナノ秒の持続時間全体にわたる波形の包絡線整形を有する波形の例示的な例の概略図。 図4Dのパルスシーケンスの周波数ドメイン表現の例示的な例であって、ここでも、励起周波数間のより良い分離または漏洩の抑制を提供するためなどの、周波数ドメイン・サイドローブの抑制の概略図。 検体とキラルタグのラセミ混合物との複合体(complex)を形成すること、対応する周波数ドメイン回転スペクトルを得ること、検体とエナンチオピュア形態のキラルタグとの複合体を形成すること、別の周波数ドメイン回転スペクトルを得ることを含み得る技術であって、検体内のジアステレオマーを区別するため、または検体の絶対配置を確定するのを補助するためなどの技術の概略図。 (S)-ソルケタールとラセミ酸化プロピレンタグとの複合体の遷移を示す回転スペクトルを、ソルケタール-酸化プロピレンの2つのジアステレオマー複合体に帰属されたスペクトルと一緒に概して示す図。 図6Bに示されるものと同じであるが、拡大スケールを有するスペクトルの概略図。 図6Aおよび図6Bから帰属したスペクトルと共に、(S)-ソケルケタールとエナンチオピュアな(R)-(+)-酸化プロピレンの複合体から得られる別の周波数ドメイン回転スペクトル概して示す図であり、帰属された一方のジアステレオマースペクトルからのピークは残るが、帰属された他方のジアステレオマーに対応するピークは存在しない。 (S)-ソルケタールと(R)-酸化プロピレンの市販試料の測定とともに、ホモキラルなソルケタール-酸化プロピレン複合体の実験的に得られた回転遷移の例示的な例の概略図。 (S)-ソルケタールと(R)-酸化プロピレンの市販試料の測定とともに、ホモキラルなソルケタール-酸化プロピレン複合体の実験的に得られた回転遷移の例示的な例の概略図。 (S)-ソルケタールと(R)-酸化プロピレンの市販試料の測定とともに、ホモキラルなソルケタール-酸化プロピレン複合体の実験的に得られた回転遷移の例示的な例の概略図。 (S)-ソルケタールと(R)-酸化プロピレンの市販試料の測定とともに、ホモキラルなソルケタール-酸化プロピレン複合体の実験的に得られた回転遷移の例示的な例の概略図。 パルスジェット入力ポートを使用するなどして、共振キャビティを備える試料室に検体およびキラルタグを注入することを含み得る方法などの技術の概略図。 検体とキラルタグを備えるラセミ混合物とを含む第1の試料を収容するキャビティから第1の応答を得ること、および前記検体と特定のエナンチオ純度形態の前記キラルタグとを収容する前記キャビティから第2の応答を得ることを含み得る方法などの技術の概略図。 1つまたは複数の実施形態(たとえば、本明細書に記述した方法論)を実装(例えば実行)することができる機械を含み得る例であって、当該機械が図1に示されるシステムの一部として含まれるかまたは図1のシステムが図10の機械に通信可能に結合される例のブロック図。
(詳細な説明)
吸収分光法(例えば、スピン共鳴(NMR/ESR)、回転、振動、および電子)は通常、エナンチオマーの得られた周波数ドメインスペクトルにいかなる差異も生じず、したがって、そのような技術はキラル分析には通常適用できない。エナンチオマー混合物を異なるジアステレオマーに変換し、それを次に分光法によって区別することができる測定手法が使用可能である。
例示すると、3つのキラル中心を有する分子について、3つのキラル中心のそれぞれについてカーン・インゴルド・プレローグ表記法を使用すると、ジアステレオマーの1つは[RRR]と表記される。未知試料中のこのジアステレオマーの2つのエナンチオマーの相対数を確定することは困難な分析問題である。これらのエナンチオマーは[RRR]と[SSS]である。他方のエナンチオマーの存在下で痕跡量の一方のエナンチオマーを検出可能な技術を手に入れることが望まれる。99.5%を超えるエナンチオ純度を確証することは、特定の用途には有用である。前述のように、キラルカラムでのエナンチオマー分離によって異なる検出チャネルでエナンチオマーを検出することが可能になって痕跡量検出が可能になるので、クロマトグラフィーが使用可能である。しかしながら、溶出ピークを完全に分離できるプロトコルを開発しなければならないので、そのような手法には課題がある。
エナンチオマーからジアステレオマーへの変換は、「別々の検出チャネル」状態を生成する可能性を有する。そのような技術は、高いエナンチオ純度で絶対配置が既知の化学試薬を使用して第四(またはそれ以上)のキラル中心を有する新しい分子を創製することを伴うことがある。例えば、この試薬が、(S)-立体配置であることが既知のキラル中心を有すれば、このエナンチオマーは[RRR]-(S)および[SSS]-(S)であるジアステレオマーに変換される。分析化学技術として、[RRR]-(S)及び[SSS]-(S)のスペクトル特徴は、関心分子の絶対配置([RRR]または[SSS])を確定するために疑義なく帰属される。生成された2つのジアステレオマースペクトルが高分解能スペクトルをもたらす場合、つまり、生成された[RRR]-(S)および[SSS]-(S)ジアステレオマーの特徴においてスペクトル重複がほとんどまたは全くない場合、エナンチオマー過剰率測定を、痕跡量のエナンチオ不純物を検出可能な能力をもって、実行できる。NMR分光法によるキラル分析は、高い化学選択性および合理的に高いスペクトル分解能を提供することができ、ジアステレオマーの分解NMR共鳴を使用し高いee限界におけるエナンチオマー過剰率測定への扉を開く。電子分光法およびNMR分光法の両方について、この手法は、特殊な錯化剤(例えばNMRにおけるキラルシフト剤)やキラル誘導体化剤(例えば化学反応を用いてエナンチオマーをジアステレオマーに変換する場合)の開発を伴う。そのようなNMRに基づく技術のための分子特異的な、通常は化学的に複雑な「キラル分割剤」の開発例がある。しかしながら、そのような技術に関して課題が存在することがあり、それには、最終的なジアステレオマーの同定をするためにエナンチオピュアな(例えば、かなりエナンチオ濃縮された)分割剤が通常必要となる。結果として、これらの手法は、(例えば、クロマトグラフィーと比較して)一般的な適用性が制限されており、そのプロトコルを実行するために高価な試薬の使用を伴うことがある。分子回転共鳴(MRR)分光法と呼称されることがある分子回転分光法には、当該分光法をキラル分析用の適切な技術にできる強さがある。回転分光法の化学選択性は、分子の三次元幾何学における小さな変化を分解でき、異なるジアステレオマースペクトルの分解をもたらす。そのような回転測定のスペクトル分解能は、クロマトグラフィーによる分離を必要とせずにジアステレオマー分析を可能にする。フーリエ変換マイクロ波機器のような分子回転分光機器の感度は、通常で1000:1のダイナミックレンジを達成することができ、99.9%のジアステレオマー純度測定をサポートする。
量子化学から計算された構造とスペクトル分析からの分光定数との間の密接な関係は、参照試料を必要とせずに高信頼度でジアステレオマーの幾何確定を提供することができる。回転分光法は、分子構造中の個々の原子の位置を同定する能力も有する。この測定は、ベース分子の回転スペクトルを、単一の原子(通常はC、H、N、またはO)が存在量の少ない安定同位体で置き換えられた異性体と比較するために使用でき、それら異性体の別個の構造はアイソトポログと呼ばれる。(例えば、回転定数と呼称され、分子幾何学の主慣性モーメントに反比例する)分光定数の変化から、質量中心からの同位体置換原子の距離を確定でき、主座標系における座標に関する情報を取得できる(通常、符号ではなく座標の大きさのみ取得可能)。
一手法では、三波混合技術が使用可能である。この技術は、キラル分析の分野で使用される他の技術(上記のVCDのような)とは異なる物理原理に基づいている。回転三波混合を用いて得られるスペクトルの基本的な外観は、円偏光二色性といくらか類似している。エナンチオマーは、例えば、試料中にエナンチオマー過剰がある場合にのみシグナルが観察されるというように、異なる符号のシグナルを生成する。得られたシグナルの符号は絶対配置に関する情報を含み、その情報は(例えば、分子の双極子モーメントベクトルの正確な計算を伴う)解析的にモデル化された予測との比較によって解釈され得る。得られたシグナルの振幅は、エナンチオマー過剰率に比例し得る。三波混合技術は課題を提示することがある。
1)エナンチオマー過剰率測定を実施するために、既知のeeを有する関心分子の試料が、シグナルを較正するために通常使用される。競合技術であるクロマトグラフィーにはこの制限はない。
2)既知のeeを有する較正用試料が入手可能であっても、高エナンチオ純度限界で作業することは依然として困難であり得る。実例として、三波混合シグナルが最大値の99.9%ではなく99.5%であるかどうかを確定することは困難であり得、そのような差は様々な規制要件に関して要求される分解能の実例である。
3)絶対配置確定用の正確で較正された3波混合シグナルを提供する機器があったとしても、双極子モーメントが主軸のうちの1つとほぼ直交している場合が依然としてあり得る。この場合、理論は、測定された位相を疑義なく解釈するための正確さを持たないことがある。
本発明者は、とりわけ、分子回転分光法を実行するための異なる手法を使用して、上述の課題に対処するための技術および関連装置を開発した。一手法では、広帯域フーリエ変換分光計をキラルタグ付技術と共に使用することができる。一例では、同じキャビティと試料を使用して、複数の周波数の「多重化」測定を提供するために、複数の共振モードを有するキャビティが使用され得る。理論に縛られるものではないが、そのような技術は、マイクロ波周波数範囲、ミリ波範囲、またはテラヘルツ周波数範囲のうちの少なくとも1つを含む広範囲の周波数に適用可能であると信じられる。
一例として、本主題は、とりわけ、回転分光法を用いてキラル分析を行うための装置および関連技術を含むことができる。キラル分析は、「キラルタグ」を付けることによってエナンチオマーをジアステレオマーに変換することによって行うことができる。このキラルタグは、通常ラセミ試料およびエナンチオ濃縮された(例えば、「エナンチオピュアな」)試料において入手可能な小分子である。一例では、そのようなエナンチオ濃縮は、100%に近いキラルタグのエナンチオマー過剰率を提供するものであり得る。キラルタグは、パルスジェット分子ビーム源を使用して関心分子とタグとの分子複合体を生成することによって、非共有結合的化学的相互作用を介して検体分子に「付着」され得る。「エナンチオピュア」という文言の使用は、必ずしも絶対的純粋であることを必要とせず、代わりに、95%、99%、99.5%、99.9%、または他の値などの特定のエナンチオ濃縮を指すことがある。このキラルタグ回転分光法は、NMRおよび電子分光法技術とは異なり、特定の高価なキラル分割剤の開発を必要としないなど、一般的なものとなり得る。アイソトポログによる構造検証は、絶対配置の帰属に信頼性を提供するために、同位体濃縮化されたラセミ試料を使用して実施することができる。基本的分析の後、例えばエナンチオマー純度限界に近づけるかまたはその範囲に近づけるといった、エナンチオマー過剰率測定を行うために高感度測定が用いられ得る。理論に縛られるものではないが、キラルタグ回転測定手法の感度は、クロマトグラフィー技術の感度を超えると予想される。検体/キラルタグ複合体の構造を生成するために高感度測定を行うことができ、それゆえ、タグの絶対配置が分かっている場合、関心分子の絶対構造を、X線回折の性能を超える原子位置の精度をもって確定することができる。
図1は、本明細書の他の場所に記述した1つまたは複数の技術を実行するために使用することができる装置100の一例を概して示す。装置100は、試料室(sample cell)120内の試料の分析などのために回転分光法を実行するために使用することができる。図示した例のように、試料室は、検体およびキラルタグを含む複合体、または検体単独、またはキラルタグ単独を提供するために、第1の入力ポート118A(例えば、パルスジェット注入ポート)などの試料導入ポートを含むことができる。第2の試料ポート118Bは、検体と、別の特定のエナンチオ純度を有するキラルタグとを含む複合体を提供するためといった、異なる試料を導入するために使用することができる。試料室120は、励起シグナルを受信するためにシグナル供給源106に結合された入力116を含み得る。シグナル供給源106は、波形発生器として機能することができ、任意波形発生器(AWG)、ディジタル直接合成発振器(DDS)、コム(comb)シンセサイザバンク、またはそのようなシグナル供給源の組み合わせのうちの1つまたは複数を含むことができる。
シグナル供給源106は、例えば電力増幅器回路110Aを介して試料室に結合することができる。受信機回路は、アナログ-デジタル変換器(124)(例えば、デジタイザ)を含むことができる。受信機シグナルチェーンには、低ノイズ増幅器(LNA)110Bを含めることができる。一例では、供給源シグナルチェーンまたは受信シグナルチェーンのうちの1つまたは複数に、供給源シグナルチェーン内の第1のスイッチ112Aや、受信シグナルチェーン内の第2のスイッチ112Bといった絶縁分離回路を含めることができる。一例では、試料室から放射または反射されたシグナルがシグナル供給源106に戻り結合されるのを防止するなどのために、アイソレータ構成で接続されたマイクロ波アイソレータ114またはサーキュレータを使用することができる。例えば、試料室120内の試料の応答の時間ドメイン表現をADC124を使用して取得し、高速フーリエ変換(FFT)や、時間ドメイン表現に対する他の周波数ドメイン変換を実行することによって、試料室120から周波数ドメインスペクトルを取得することができる。例えば、プロセッサ回路102を使用してシグナル供給源106やADC124のうちの1つまたは複数を制御することができ、プロセッサ回路は、取られた時間ドメイン表現に対してFFTを実行するように構成されるかまたはそうした命令を実行することができる。装置100を制御するための情報または装置から取得された情報のうちの1つまたは複数は、メモリ回路104を使用して格納することができる。装置100内の他の要素は、プロセッサ回路102を使用するなどして制御することができる。
上述のように、シグナル供給源106は、以下のうちの1つまたは複数を提供するように構成することができる。
a)任意波形発生器(AWG)からのシーケンシャルな周波数パルス波形の生成。この手法では、励起周波数の組を単一のシーケンシャルな波形バーストとしてまとめた波形を作成するのにAWGが使用され得る。この波形は位相が連続しており、各「サブパルス」がはサイクルの整数になる。AWGのサンプリングレートが固定されているかまたは比較的低いために分光計の動作周波数がAWGのナイキスト周波数を超えるなどの場合には、この波形を試料室120に提供する前に、この波形をアップコンバートするためにこの波形は、周波数逓倍器またはミキサに入力され得る。AWG出力範囲を分光計の動作範囲に変換するために外部マイクロ波回路を使用することができる。相互変換(IM)信号の生成を回避するためにアップコンバージョン手法を使用する場合、相互変調(IM)シグナルの生成を回避するために通常はいつでも単一の周波数のみが周波数逓倍器またはミキサに入力される。200MHzの分離(典型的なキャビティFSR)がある5つの周波数とそのフーリエ変換を示すAWG生成波形の一例が、添付の図3Bおよび図3Cにそれぞれ示されている。
b)デジタル直接合成発振器(DDS)集積回路(IC)を使用して励起周波数の位相連続シーケンスを生成すること。ディジタル直接合成発振器(DDS)ICを使用して、シーケンシャルな周波数波形を作成することもできる。例示的な例として、DDS ICは、正弦波などの波形の高精度「ルックアップ」テーブル表現を使用して波形を生成することができる。各クロックサイクルで何個のルックアップテーブルの「ライン」がスキップされるかによって出力周波数を確定することができ、この「スキップ」値の変更によって、出力周波数を位相連続的に変更できる。DDS ICは、「スキップ」値の組を記憶する能力を有することができ、それによって、デジタル制御線の組を介して出力周波数の組に迅速にアクセスできる。DDS回路を使用して励起波形を作成する場合は、各測定サイクルで正確な波形を繰り返し、位相コヒーレントシグナルの平均化を実現できる。
c)周波数コムの生成。キャビティを多重化方式で励起するのに周波数コムを使用できる。チャープパルス周波数コムは、ミキサまたは周波数逓倍器を使用して簡単に変換できるコム周波数を生成するために使用できる。コムは、最初の例である上記(a)のようにAWGを使用したり、他の技術を使用して作成できる。周波数コム手法の課題は、通常AWGがコムを共振キャビティの調整に正確に一致させるための時間分解能を欠いていることである。たとえば、高速AWGは毎秒25ギガ個の試料(Gs/s)で動作することがある。その波形にさらに1点を追加することは、約1センチメートル(cm)の光進行距離の追加に相当する。共振器を1つのFSRにわたって滑らかに調整するには、(例示的な例によれば)合計約3cmをカバーする200の距離ステップをとることを伴う。周波数コム繰返し速度をキャビティの往復時間にマッチさせることは、通常、約0.01cmの距離分解能(25GS/sAWGより2桁高い)が必要となるであろう。
d)周波数シンセサイザバンクの使用。さらに別の例では、波形は周波数シンセサイザの組を使用して作成することができる。各シンセサイザの出力は、スイッチの使用や他の方法で組み合わせるなどして使用可能にすることができる。例えば、マルチチャンネルデジタルパルス発生器は、どんな瞬間でもただ一つの出力周波数を可能にするように各スイッチの出力を制御できる。全ての周波数源の出力は、シーケンシャルシグナルを単一の出力チャネルポート(例えば、出力108)に供給するようにN方向電力コンバイナにルーティングされ得る。測定の各サイクルでの各励起パルスについて同じ位相を有する波形を生成して、分子放射シグナルの時間ドメインシグナル平均化(例えば、自由誘導減衰(FID))を生じさせることができる。これは、例えば、全ての周波数を、定義された周波数の整数倍にすることによって達成することができる。たとえば、すべての出力周波数が1MHzの倍数である場合、位相パターン全体が1マイクロ秒ごとに繰り返され、1マイクロ秒の整数倍の時間間隔でトリガすることで位相コヒーレンスが得られる。測定繰り返し速度は、少なくとも部分的にはパルスバルブシステムによって(そして分光計の減圧ポンプ速度によって制限されて)決められ、これらの時間は典型的にはミリ秒領域にあり、小さな周波数段差が、全てのパルスをキャビティと本質的に共振させるベースとして選択され得る。
様々な例によれば、パルス「光」源(例えば、シグナル供給源106)は、結合アンテナを介してキャビティ共振器に入力される前に、電力増幅器110Aを使用するなどしてその電力を増幅させることができる。分子放射を検出するために、検出サイクル中に増幅器110Aのノイズ電力出力が抑制され得る。これは、増幅器110Aの出力上のマイクロ波スイッチ112Aを用いて、または増幅器110Aへの電力をスイッチオフすることによって達成され得る(例えば、いくつかのマイクロ波ソリッドステート電力増幅器に見られる能力)。装置100は、各励起「色」を試料室120の一部として含まれる共振キャビティによって受動的に増幅できるので、自由空間フーリエ変換マイクロ波分光計を超える利点を提供することができる。したがって、電力増幅器110Aを使用する場合、例示的な例として、大型の大電力消費の進行波管増幅器に代えて小型のソリッドステート増幅器を含めることができる。励起波形は、キャビティから反射された周波数でかなりの電力を含むことがあり、パルス発生システムは、励起源とキャビティを切り離すためにマイクロ波アイソレータ114を含むことがある。
一連のキャビティエンハンスト励起周波数による励起に続いて、試料の偏光分光遷移が自由誘導減衰(FID)を介して放射する。上述したように、これらの周波数は通常、時間ドメインで検出される。位相コヒーレント励起および測定の使用は、平均化によるシグナルの累積を可能にする。受信機シグナルチェーンは通常、時間ドメイン表現のサンプリングを通してある範囲の周波数を捕捉するための特定の帯域幅を含む。様々な受信機シグナルチェーントポロジを使用することができる。このようなトポロジには、次のものがある。
a)図1に示すように、シグナルを直接検出するための広帯域受信機および高速デジタイザ。
b)単一の局部発振器による周波数ダウンコンバージョン。特定の用途では、分光計の帯域幅は、スペクトル分析を実行するために、測定周波数に対して狭い周波数範囲のみをカバーし得る。例示的な例として、2GHzの測定帯域幅は、6~8GHzで動作する機器が特定の用途に使用されるのに十分なスペクトルカバレッジを捕捉することができる。そのような例示的な例では、単一の局部発振器を使用する周波数ダウンコンバージョン受信機を使用してデジタイザ帯域幅を緩和することができる(例えば、低帯域幅デジタイザを使用することができる)。このダウンコンバージョンで使用される単一の局部発振器周波数は、測定帯域幅の外にあることも内にあることもある。たとえば、8.5GHzの局部発振器を使用してミキサーで低側波帯を取得すると、8~10GHzの機器の検出帯域は、0.5~2.5GHzに転化され、それによって、直接サンプリング手法と比較してデジタイザ速度が低下する。
c)複数の局部発振器による周波数ダウンコンバージョン。高Qキャビティの共振器の共振構造は、任意の単一キャビティ長での多重化測定(これは共振周波数を定義する)が通常、絶対周波数および周波数空間に対して小さい実測定帯域幅を伴うことを意味する。そのような帯域幅は、(100MHzより大きい周波数分離を有する)TEM00共振周波数のより大きい周波数間隔によって分離された(約1MHz帯を定義するような、キャビティの共振幅からの)小さい周波数帯の形態である。多周波局部発振器を使用して、キャビティ共振間の未使用周波数を「絞り出す」など、多重化された検出窓の各々をデジタイザの帯域幅内のベースバンドにあるまたはその付近にある隣接周波数チャネルにダウンコンバートすることができる。この技術は、順次オフセットされた局部発振器共振周波数の組を提供することができる第2のチャープパルス周波数コムを使用して達成することができる。
上述のように、本明細書に記載の技術は通常、試料室120に含まれる共振キャビティの複数のモードの励起によって誘発される放出放射の時間ドメイン測定(FID)を含む。これらのシグナルは、ADC124(例えば、デジタイザ)を用いて測定され、デジタイザ速度(例えば、サンプリングレート)は通常、関心周波数を捕捉することができるように指定される。試料室120からの放射を直接測定するために、デジタイザは通常、(例えば、ナイキスト限界を定義する)最高検出周波数の最低2倍で動作するように指定される。一例では、低サンプリングレートのデジタイザを使用して受信シグナルを「エイリアス」することができる。ただし、これが異なる多重化測定からチャネルオーバーラップを生じない場合に限る。デジタイザの垂直分解能(振幅など)も考慮する必要がある。シグナル蓄積中のノイズ低減を達成するために(ノイズ低減は通常、累積された測定数の平方根に比例する)、受信機ノイズは通常、デジタイザの少なくとも1ビット(例えば最下位ビット)の長さがある。垂直分解能は、最も強い分子FIDシグナルをクリッピングまたは他の非線形性なしに捕捉するように通常指定される。
図2Aおよび図2Bは、試料室構成220Aまたは220Bの例(図1に示す試料室120の異なる図を表すなど)を概して示しており、本明細書の他の場所に示し記述した1つまたは複数の技術を実行するために使用され得る。例えば、試料室構成220Aおよび220Bは、本明細書の他の箇所に記載されている様々な技術を実行する際に使用するために、図1の装置に示される試料室120を提供するための特徴を含み得る。
試料室構成220Aおよび220Bは、キャビティ長を規定する特定の距離「L」だけ離間される、共振キャビティを規定するための反射器または「ミラー」230Aおよび230Bを含み得る。キャビティ共振器の基本モード(dominant modes)はTEM00n縦モードであり、これらは通常、キャビティ長によって確定される周波数間隔(自由スペクトル範囲、「FSR」)を有する等間隔共振の組を定義する。
FSR=c/2L …(式1)
ここで、「c」は光速を表し、Lはキャビティ長を表す。このFSR値は、シグナルがキャビティ内を伝搬するラウンドトリップディレイタイムの逆数を表す。共振キャビティは、距離「L」を変更するなどのために1つまたは複数のアクチュエータ(たとえば、アクチュエータ234)を含むなどして、調整可能であり得る。このようなアクチュエータは、自動または半自動の測定プロトコルの一部として電子的に制御されるように構成されるなどした、電気機械式または圧電式装置を含むことができる。
一般に、ミラー230Aおよび230Bによって画定された共振キャビティは、試料室ハウジング232を少なくとも部分的に排気するために減圧ポンプ238に結合されたポート236を含むなどした、排気された試料室ハウジング232内に収容することができる。試料室構成220Aおよび220Bの入力216は、励起を受けるために供給源に電気的に結合することができる。そのような励起は、距離Lによって定義される多重キャビティモードを励起することができる。共振励起に続いて、出力222に電気的に結合されたデジタイザを使用するなどして、広帯域分子自由誘導減衰(FID)シグナルをデジタル化することができる。試料は、1つまたは複数のポートを使用するなどして、試料室ハウジング232の内部に導入することができる。図2Bの例示的な例では、3つの試料導入ポートまたは「入力」ポート240A、240B、および240Cが示されているが、他のポートの組合せまたは数を使用することができる。例示的な例として、第1の入力ポート240Aは、検体分子とキラルタグのラセミ混合物とを備える複合体を提供するためのパルスジェット注入ポートを含むことができる。第2の入力ポート240Bは、検体分子と、その検体中のエナンチオマーのエナンチオマー過剰率(「ee」)を確定するのに使用するためなどの、特定のエナンチオ純度を有するキラルタグとを備える複合体を提供するために使用することができる。第3の入力ポート240Cは、検体と、その検体の絶対配置を確定する際に使用するためなどの、同位体標識されたキラルタグとを備える複合体を提供するために使用することができる。ベースライン測定を提供するために、単独で検体を提供するためのポート、または単独でキラルタグを提供するためのポートを含むなどの、様々な例に従って他の構成を使用することができる。
一般に、上述のように、2つの別々のパルスバルブ試料導入システム(例えば、第1入力ポート240Aおよび第2の入力ポート240B)の使用は、例えば、エナンチオマー過剰率測定用の試料の提供を行うことができる。第3の試料導入システム(例えば、第3の入力ポート240C)は絶対配置の確定に対してより高い確実性を提供する。測定感度を向上させるために、これらの試料システムを複数セット使用することができる。試料導入用のパルスジェットバルブは、図2Bに示すようにキャビティ軸に対して垂直に配置することができ、またはそのような試料導入ポートは、Balle-Flygare型機器の「COBRA」構成で使用される同軸試料導入用のミラーに設けることができる。マルチノズルシステムを使用して、測定時間と試料消費量を低減できる。
エナンチオマー種から分光学的に識別可能なジアステレオマーへの変換が通常、関心分子とキラルタグとが弱く結合した複合体を形成することによって達成されるので、(室温ガス室または緩衝ガス冷却室機器の代わりに)パルスジェット注入ポート装置が通常使用される。この複合体は、非共有結合的相互作用(例えば、水素結合、分散力、または他の相互作用)によって形成され得る。大型分子回転分光法では、高い感度を得るために、ガス試料の回転温度の強い冷却が行われる(例えば、1~2Kの温度)。
図2Aおよび図2Bの試料室構成220Aおよび220Bを参照すると、ミラー230Aおよび230B用の金属を使用した半焦点キャビティは、シグナル増強用の高Qキャビティを生成することができる。装置の所望の低周波数動作範囲に適応するようにミラー直径を指定することができる。後述するように、ミラー直径は少なくとも部分的に回折損失を定義することがあり、それは機器における主要な損失メカニズムとなったり、より低い周波数での品質係数(Q)を制限することがある。分子が大きいほど、最も強い強度を持つ回転遷移(したがって、最も高い検出感度を提供できる遷移)がより低い周波数に移動するため、分析する分子のサイズがキャビティミラーの直径の仕様に影響を与えることがある。
図1の装置100と図2Aおよび図2Bに示す試料室構成とを備える分光計機器は、キャビティエンハンスト分光技術と広帯域フーリエ変換回転分光技術とを組み合わせた機器を提供することができる。Ball-Flygare手法とは異なり、本主題は、例示的な例として、単一のキャビティを使用して多重化測定を提供するための複数のキャビティモードの使用を含むことができる。以下の他の例に関して論じるように、そのようなキャビティモードは順次的にまたは同時期に励起されることができ、キャビティからの広帯域放射は、キャビティエンハンストスペクトルの多重化測定を提供するためにデジタル化されることができる。長さ「L」は、異なるキャビティ長を用いた連続的な測定を通じて特定の帯域幅をカバーするなどのために、広帯域取得の間で段階的(例えば調整)にすることができる。例えば、1つのキャビティフリースペクトル範囲の帯域幅をカバーするのに十分な段数を作ると、同時に励起されるモードの数によって確定され得る対応する広帯域範囲をカバーすることとなる。それに代えてまたは加えて、複数の試料室または複数のキャビティを使用してさらなる多重化能力を提供することができる。
例示的な例として、フーリエ変換マイクロ波(FTMW)機器は、TEM00nモードの場合の200MHzの自由スペクトル範囲に対応する75センチメートル(cm)の公称ミラー間隔を有するキャビティの使用を含み得る。ミラーの直径が約40cmの場合、そのような機器構成は、約5ギガヘルツ(GHz)の低周波数限界までうまく機能することができる。より低い周波数では、ミラーでの回折損失は、侵食感度などのキャビティ強化を低減させることがある。このような例示的な例の品質係数(Q)は約10000であるが、より高い品質係数を達成することができると考えられる。この例示的な実施例によれば、5~15GHzのスペクトルを取得するために上述のキャビティ寸法を多重化実験で使用すると、50個のキャビティモードが同時に励起されることができる。各取得は、キャビティ強化のない自由空間チャープパルス測定よりも、Q1/2強い広帯域放射シグナルを提供することができる。ノイズは通常、平均スペクトル取得数の平方根の関数に従って低下するので、そのようなキャビティ強化は、自由空間測定と比較してQの因数で短縮された期間内に特定のシグナル対ノイズレベルに達することに対応する。
全スペクトルをカバーするために、分光計は、たとえば、5000~5200MHzの周波数範囲をカバーするものといった、1つの自由スペクトル範囲を走査し得るものであり得る。自由スペクトル範囲の変化は通常、キャビティ長に反比例するので、連続する各TEM00nモードがわずかに遠くにシフトし、これはスペクトル取得におけるオーバーラップをもたらすが、必要ならば励起パルスの選択によって除去できる。品質係数は通常、共振周波数に対するキャビティ帯域幅の比として定義され、5000~5200MHzの範囲のキャビティ幅は約0.5MHzであるので、例示した例のように、所望の10GHz周波数範囲をカバーする多重化スキャンを完成するために約400回の別個の測定が用いられる。400回の別個の測定を実行しても、正味の結果は、自由空間チャープパルス測定と比較して、キャビティエンハンスト手法を使用して(10,000/400)少ない時間で同じ最終感度でフルスペクトルを取得できることである。すなわち、測定時間(および試料消費)の減少が25倍。
パルス励起シグナル供給源(例えば、マイクロ波範囲、ミリ波範囲、またはテラヘルツ周波数範囲のうちの少なくとも1つにあるシグナルを供給)は、通常、指定されたキャビティ共振の組にマッチする周波数の組のエネルギーを有する電気励起シグナルを供給する。これらのキャビティ共振は、インパルス試験(または所望の動作範囲にわたるチャープ励起パルスを使用すること)によって分析的に確定されるかまたは任意のミラー分離について測定でき、キャビティ長とシグナル供給源周波数とのうち1つまたは複数が調整されて、シグナル供給源励起と指定されたキャビティ共振の組とが揃えられる。励起波形を生成する際に、パルスの総持続時間は、分子自由誘導減衰(FID)シグナルの位相緩和時間よりも通常短い。マイクロ波周波数(例えば、約2~約40GHz)での回転分光法では、この時間スケールは、パルスジェット試料源を用いて約50~100マイクロ秒である。例示的な例として、約5マイクロ秒の総励起パルス持続時間を使用することができる。各測定サイクルにおいて50個のキャビティモードが励起される上記の例示的な例では、各個々の励起パルスは約100nsの持続時間を有することができる。
図3Aは、一連の周波数を備える励起波形を含む例示的な例を概して示しており、ここで周波数は、共振キャビティの共振とマッチするように確立され得る。上述のように、多重化フーリエ変換測定を実行するために使用することができる波形プロファイルは、順次形式で出力される目標周波数を含むことができる。この順次パルス形式は、強い非線形変換挙動を有し得る周波数逓倍器を使用して励起波形を周波数に変換する励起方式での使用に適している。図3Aの例示的な例は、位相連続的波形であって、持続時間302、304、および306に対応する、別個の励起周波数各々について整数のサイクル数を使用することによって構築される波形を備える。全てのパルスは、ほぼ同じパルス幅を有するように選択される(「連続」波形を構成するために整数サイクル数を使用することから生じるばらつきを伴う)。順次励起波形における別々のパルスの振幅は、必要に応じて、キャビティ品質係数(Q)における機器ばらつきまたはシステムにおける他の周波数依存の振幅ばらつきを考慮するために調整することができる。
図3Bは、各バーストが約100ナノ秒の持続時間を有する、5000、5200、5400、5600、5800、および6000メガヘルツ(MHz)にある6つのパルスを含む、図3Bと同様のパルスシーケンスの例示的な例を概して示す。図3Cは、図3Bのパルスシーケンスの周波数ドメイン表現の例示的な例を概して示す。図3Bの例は、200MHzの間隔を有する6つの周波数(この例示的な例におけるキャビティFSRに対応する)および図3Cに示される対応するフーリエ変換を提供するためにAWGを使用して生成され得る。この例では、振幅はシーケンシャル波形のすべてのパルスで同じである(観測される小さなばらつきは、波形が時間ドメインでサンプリングされるデジタル化によるアーチファクトである)。図3Bの各パルスはパルスを切り捨てる矩形振幅プロファイルを有するとみなせるので、図3Cの周波数ドメイン表現は各周波数に対するシンク関数振幅挙動を示す。
図3Dは、図3Bと同様であるが、テーパーコサイン窓関数を使用して確立されるような各バーストを包絡線整形したパルスシーケンスの例示的な例を概して示す。
図3Eは、図3Dのパルスシーケンスの周波数ドメイン表現の例示的な例であって、励起周波数間のより良い分離または漏洩の抑制を提供するなどのための、周波数ドメイン・サイドローブの抑制を概して示す。AWGベースのパルス生成を使用して、シーケンシャルな単一周波数のパルスバーストのそれぞれに対して「マイクロパルス」プロファイルを形成できる。例えば、そのようなウィンドウ生成またはバーストプロファイルの整形は、励起スペクトルの「スペクトル漏洩」を減少させ、それの結果、望ましくない(軸外)キャビティモードは励起されない。不要なモードの抑制は、共振結合のない周波数での電力を減少させることによってキャビティからの反射電力を減少させ得る。テーパーコサインウィンドウの使用またはガウス形状の振幅プロファイルの使用を含めて、いくつかの振幅整形プロファイルを使用することができる。コサインテーパは図3Dおよび図3Dの例で使用されている。AWGがアップコンバージョンなしで(例えば、ミキシングなしで)共振キャビティを励起するために使用されるとき、または線形変換効率を提供するミキサーを使用して周波数変換が行われる場合には、振幅形状またはウィンドウ時間ドメイン波形が使用できる。
順次励起波形は通常、その波形に単一の周波数のみがいつでも存在するように確立される。この挙動は、波形を歪ませることがある後続の回路素子における非線形効果を減少させる。特に、励起回路の周波数をアップコンバートするために周波数逓倍器またはミキサを使用する能力は、シグナル供給源回路を単純化したりコストを削減するなど、より低いサンプルレートの波形源(AWGおよびDDSチップ)を使用することを可能にするので望ましい。周波数逓倍器とミキサは、多色パルスで生成される可能性のあるすべての相互変調トーンから強く歪んだ波形を生成することがある。パルス発生サブシステムでも使用できる増幅器のような他の装置も強い相互変調歪みを発生することがある。
関心周波数をカバーするのに十分なサンプルレート(例えば、生成されている最高周波数の2倍のナイキスト限界を少なくとも超えるサンプルレート)でAWGが利用可能である例では、個々のキャビティ励起パルスが時間的に完全にまたは部分的に重なり合う波形を生成することができる(例えば、図4Aに概して示されるように複数の周波数で同時期励起を提供する)。
図4Aは、共振キャビティの複数のモードを同時期に励起するのに使用するための3つの励起周波数を備える波形の例示的な例を概して示す。図4Aでは、3つの励起周波数が使用されており、それらは図3Aの連続でシーケンシャルな位相のものと同じである。しかしながら、この例では、全3つの周波数が全パルス幅(例えば3ns)にわたって存在し、3「色」の同時期出力を与える。このような同時期出力は、構成周波数の建設的および相殺的干渉から高度に構造化された波形を生成する。
図4Bは、6つの構成周波数を有する波形の600ナノ秒持続時間のバーストの例示的な例を概して示し、図4Cは、図4Bの波形の周波数ドメイン表現の例示的な例を概して示す。各「色」すなわち構成周波数がバースト期間全体にわたって存在し得るので(例えば、図3Bと比較して100nsではなく600ns)、周波数ドメインピークは周波数ドメインにおいてより狭い帯域幅を示す。
図4Dは、図4Bと同様であるがテーパーコサイン窓関数を使用して確立されるような600ナノ秒の持続時間の全体にわたる波形の包絡線整形を有する波形の例示的な例を概して示す。図4Eは、図4Dのパルスシーケンスの周波数ドメイン表現の例示的な例であり、ここでも、励起周波数間のより良い分離または漏洩の抑制を提供するためなどの、周波数ドメイン・サイドローブの抑制を概して示す。
図5は、検体とキラルタグのラセミ混合物との複合体を形成すること、対応する周波数ドメイン回転スペクトルを得ること、検体とエナンチオピュア形態のキラルタグとの複合体を形成すること、別の周波数ドメイン回転スペクトルを得ることを含み得る技術であって、検体内のジアステレオマーを区別するため、または検体の絶対配置を確定するのを補助するためなどの技術を概して示す。例えば、502において、酸化プロピレンキラルタグとソルケタールとのラセミ混合物を備えるジアステレオマー複合体が形成されて、S-(+)-ソルケナール複合体508(検体はS-(+)ソルケタールである)または(R)-(-)-ソルケタール複合体510(検体はR-(-)-ソルケタール)のうちの一つ以上を提供する。未知のエナンチオ純度の検体試料中に存在するときに、複合体508および510の両方からの寄与を含むことなどにより、第1のスペクトルが得られる。504において、エナンチオピュアな形態(例えば、特定のエナンチオマー濃縮度を有する形態)のキラルタグが検体と組み合わせて提供されて、第1のスペクトルと対比される、異なる分子回転スペクトルを有するジアステレオマー複合体を形成する。この例示的な例では、S)-(-)酸化プロピレン512が使用されたため、検体中にS-(+)ソルケタールエナンチオマーがそれほど多くなくても、得られるS-(-)ソルケタール514ジアステレオマー複合体が形成され検出できる。なぜなら、エナンチオピュアな形態のキラルタグの使用が、R-(-)ソルケタールエナンチオマーを備える複合体516の形成を抑制するできるからである。
図6Aは、(S)-ソルケタールとラセミ酸化プロピレンタグとの複合体の遷移を示す回転スペクトルを602で示し、併せて、ソルケタール-酸化プロピレンの2つのジアステレオマー複合体に帰属されたスペクトルを604で示す。604にて帰属したたスペクトルは、各ジアステレオマー複合体に対応する回転定数および双極子モーメント方向を確定するための理論的モデリングを使用して確立することができる。図6Aでは、双極子情報が帰属されたスペクトルに正しくモデル化されていないが、この技術は、以下に論じるようにジアステレオマー複合体を区別する能力を依然として示す。
図6Bは、拡大されたスケールを有するが、図6Bに示されるものと概して同じスペクトルを示す。図6Bでは、ピーク位置614および616は、604にて帰属したスペクトル中のピーク610Aおよび612にそれぞれ対応する。ピーク610Aは、ソルケタール-酸化プロピレン複合体の1つのジアステレオマーのある帰属スペクトルと関連付けることができ、ピーク612は、ソルケタール-酸化プロピレン複合体の別のジアステレオマーと関連付けることができる。図6Cは、図6Aおよび図6Bから、604で帰属したスペクトルと共に、(S)-ソルケタールとエナンチオピュアな(R)-(+)-酸化プロピレンの複合体から得られた別の実験的に得られる周波数ドメイン回転スペクトルを示しており、帰属したジアステレオマーのスペクトルピークの1つ612と整列したピーク616が残り、他の帰属したジアステレオマーに対応するピーク610Aおよび610Bは存在しないことが示される。したがって、スペクトル606は、(S)-ケルケタールの存在を示す。図7A、図7B、図7Cおよび図7Dは、ホモキラルなソルケタール-酸化プロピレン複合体(例えば、スペクトル702A、704B、704C、および704Dとして示した(S)-酸化プロピレンの付いた(S)-ソルケタール)の実験的に得られた回転遷移とともに、(S)-ソルケタールおよび(R)-酸化プロピレンの市販試料の測定(スペクトル704A、704B、704C、および704Dとして示される)の例示的な例を概して示す。(S)-ソルケタールおよび(R)-酸化プロピレンの市販試料を使用した測定では、ホモキラル複合体は少量で存在する。スペクトル702A、702B、702C、および702Dは、それぞれのピークの大きさをスペクトル704A、704B、704C、および704D内のピークと揃えるために、各プロットにおいて200倍で均一に縮小されている。したがって、(S)-ソルケタールの市販試料について確定されたエナンチオマー濃縮度は99%である。この相対的な遷移強度は、ピーク(たとえば、702Aと704A)が揃っている場合と同じであり、これは、これらの周波数でのシグナルに寄与する他のスプリアス遷移がないことを示す。実験的に得られた情報のこの例示的な例では、酸化プロピレンタグのエナンチオマー過剰率は較正されていないので、示された0.5%のホモキラル複合体のどれだけが、キラルタグ(酸化プロピレン)のエナンチオ純度ではなく、関心分子(ソルケタール)のエナンチオ純度に起因するかは不明である。
図8は、パルスジェット入力ポートを使用するなどして、共振キャビティを備える試料室に検体およびキラルタグを注入することを802に含むことができる、方法などの技術800を概して示す。804では、共振キャビティの複数のモードが順次または同時期に励起される。806では、804において励起された共振キャビティの複数のモードに対応する時間ドメイン応答を捕捉するなどのために、試料からの放射が電気的に取得される。808では、806において取得された時間ドメイン情報に対して実行される高速フーリエ変換(FFT)を使用するなどして、時間ドメイン応答の周波数ドメイン表現が確定される。様々な例によれば、1つまたは複数の時間ドメイン応答または周波数ドメイン応答を集約することができ、得られた時間ドメイン応答または周波数ドメイン応答の算術平均といった、代表値(central tendency)を確定することができる。
図9は、検体とキラルタグを備えるラセミ混合物とを含む第1の試料を収容するキャビティから第1の応答を得ること、および前記検体と特定のエナンチオ純度形態の前記キラルタグとを収容する前記キャビティから第2の応答を得ることを含むことができる方法などの技術を概して示す。図8と図9のうちの1つ以上の技術、または本明細書に記載の他の技術は、図1および図2に記載の装置を使用すること、または本明細書の他の箇所に記載の装置を使用することなどで実施できる。以下の実施例は、本明細書の他の実施例と組み合わせることができ、またはキラル分析を行うためのキャビティエンハンスト・フーリエ変換回転分光法に使用される装置の処理条件または構成などの態様に関するさらなる詳細を提供することができる。
実施例:試料測定およびジアステレオマーキラルタグ複合体の作成
一例では、図1および図2に示すような装置が初期回転分光スクリーニングの実施に用いられる。様々な試料ホルダー構成を使用することができる。関心分子の多くは液体または固体のことがあり、気相試料が生成されてよい。容器ノズルがパルスノズルオリフィスの近くに試料を保持し、熱を使用して十分な蒸気圧を発生させる(例えば、約1Torr(約133.3Pa)を使用する)。試料をバインダーと混合し、次いでその材料を短いパルス幅のレーザーで気相へとアブレーションするレーザーアブレーションを含むことができる。不活性ガスのガス流を使用して、関心分子を、膨張用減圧チャンバ内へと進ませてパルスジェット膨張を生じさせることができる。ノズルシステムでは、1つの不活性ガス流を2つの供給源によって供給することができる。1つの供給源は、例示的な例として、「ピュアな」不活性ガス、例えば、ヘリウム、ネオン、もしくはアルゴン、またはこれらの混合物を含み得る。このガス流を使用すると、関心分子のみが存在するときの(例えば、キラルタグが使用されていないときの)回転スペクトルがまず得られる。必要に応じて、この参照スペクトルを使用して試料を検証できる。
第2のガス流をパルスノズルシステムに供給して、不活性ガスとキラルタグのラセミ試料との混合物を得ることができる。キラルタグは、この第2のガス流中で希釈され(例えば、この文書に記載されている実験的に得られた結果を得るために0.1~1%を使用したが、他の濃度も使用できる)。タグ分子は小さい傾向があるので、(通常は液体として)外部容器内に存在するタグ分子の蒸気と平衡状態にある、比較的一定圧で高圧の不活性ガスを維持する外部容器を使用する外部ガスシリンダ内でガス混合物を作るのに十分な蒸気圧を通常有する。機器がこのガス流に切り替えると、キラルタグも含む不活性ガス流に関心分子を同伴させることによって、関心分子のエナンチオマーのジアステレオマー複合体を含むスペクトルが取得される。
これらの測定から、分析される分子のスペクトル(第1の測定)またはラセミキラルタグガス混合物の参照スペクトルに現れない遷移を同定することによって、ジアステレオマー複合体のスペクトルを単離できる。キラルタグの参照スペクトルは前もって得ることができ、特徴付けられたキラルタグを使用する任意の分析に再使用することができる。
測定が絶対配置の確定を含む場合、キラルタグ付複合体のスペクトルが分析される。関心分子とタグの両方が存在するときにのみタグ付き複合体に起因する遷移が観察されるという事実によってタグ付き複合体に起因する遷移を単離した後、その複合体のスペクトルの帰属を行う。一般に、コンピュータ計算化学から利用可能な形であろう複合体構造の推定がある。これらの構造は、分析プロセスを導くことができる推定分光パラメータ用の入力を提供する。スペクトルの帰属が行われると、次に、キラルタグと関心分子のエナンチオマーとの会合によって生成される2つのジアステレオマー複合体の構造についての理にかなった知識がある。場合によっては、エナンチオマー過剰率確定は、どのエナンチオマーが優勢であるかを知る必要がないことがある(例えば、この確定を下す追加の化学的情報が利用可能であろう)。絶対配置を確定するためのスペクトル帰属を必要とせずに、エナンチオマー過剰率測定を実行できる。
実施例:エナンチオピュアなキラルタグ複合体の製造
絶対配置確定を実施するために、エナンチオピュアキラルタグ試料を有するガス混合物を提供するための上述したサンプルシステムを使用してスペクトルが取得される。この系は、タグの既知の絶対配置の知識をジアステレオマー複合体のスペクトルの分析に移すために使用することができる。
この測定の目的は、図6Bおよび図6Cに例示的に示されるように、どちらのジアステレオマー複合体スペクトルが、エナンチオピュアタグに切り替えた際に残るかを見つけることである。次いでこれは、スペクトルがタグのキラル中心にて既知の立体配置を有すること(またはより一般的にはタグが既知のエナンチオマー絶対構造を有すること)を確認する。関心分子の絶対配置は、この帰属されたスペクトルに起因すると考えられる理論構造によって確定される。理論との比較はこの分析の要素であり、正しい分析は通常、実験による複雑な幾何学を理論によって同定することを含む。
図6Cに示されるように、この分析は、分子-タグ複合体が依然として存在するかどうかを見るための単に「イエス」または「ノー」の結果であり得る。フーリエ変換機器のキャビティエンハンスト測定能力を使用すると、少数の特定の、帰属された回転遷移周波数でのシグナル強度によって、広範囲の周波数を分析する広帯域手法と比較して短い測定時間で、複合体の有無を確認できる。
絶対配置を設定する場合は、回転分光法の構造解析機能を利用することができる。例えば、分子中の個々の原子の位置は、アイソトポログの回転スペクトルを分析することによって確定できる。ほとんどの場合、アイソトポログを天然存在比で検出するための測定感度(相対天然存在比が1%の13Cのような)を含むこの手法を用いて、分子とエナンチオピュアキラルタグとの間の複合体の構造を確定できる。構造確定は2つのエナンチオマーと整合するだろう。分子およびタグのキラリティーがそれらの旋光度表示(+)または(-)を用いて表される場合、複合体の構造は既知のジアステレオマー対のいずれかのエナンチオマーであり得る。例えば、複合体がホモキラル対から形成されていることが分光分析によって示される場合、エナンチオマーの可能性は以下の通りである。
(+)(+) ⇔ (-)(-) …(式2)
ここで1番目にある旋光度表記は分子に対するもので、2番目のものはタグに対するものである。
エナンチオピュアなタグ分子の旋光度は実験で一般的に知られているので、複合体の正確なエナンチオマーを知ることができる。キラルタグが(+)である場合、関心分子の立体配置は(+)であることが知られており、測定から、絶対配置の知識を有する分子の絶対構造が得られるであろう。
ee確定を行うために、エナンチオピュアタグを用いてスペクトルを高感度で取得することができる(タグのエナンチオ純度の定量的測定は、キラルガスクロマトグラフィーのような他の技術からまたは記載した機器を用いる分析によって得ることができる)。分子回転分光検出器の高いスペクトル分解能は、ジアステレオマー複合体について完全に分解されたスペクトル遷移を与えるので、各ジアステレオマーの存在量は、較正としてラセミタグを用いて得られるスペクトルを用いて確定することができる。広帯域チャープパルスフーリエ変換マイクロ波分光計と比較して有意な測定時間の短縮(したがって試料消費の削減)は、本明細書に記述した多重化キャビティエンハンスト・フーリエ変換機器構成を使用することによって達成することができる。
本明細書の他の箇所で述べたように、エナンチオピュアなタグ分子用の試料導入システム(例えば、パルスジェット試料ポート)は、ラセミ複合体との交差汚染を回避するために別の経路とすることができる。この交差汚染は、一般に、単一のエナンチオマーから両方の観測したジアステレオマースペクトルを作成することによって高エナンチオ純度領域におけるエナンチオマー過剰率測定の精度を低下させる可能性がある。
実施例:絶対配置検証用の同位体濃縮キラルタグ
分析される分子の絶対配置の確定における信頼性は、同位体濃縮キラルタグを使用して改善することができる。この技術を使用すると、分子の絶対配置は、理論的に確定された構造と関心分子へのエナンチオピュアなキラルタグの複合体化(complexing)によって形成された測定回転スペクトルとの比較によって帰属できる。分析の信頼性は、理論と実験的スペクトルパラメータがどの程度よく一致するかにかかっている(2つのジアステレオマー複合体の回転定数の相対的な違いについての追加情報もあり、それは単に定数の絶対的予測よりも信頼性が高いと期待される)。分光定数(たとえば、遷移周波数と強度を確定する3つの主軸上の双極子モーメントの投影の相対的な大きさを確定する主慣性モーメントに関連する回転定数)は、やや大域的な量である。
試料導入システムがキラルタグのラセミ同位体標識試料を提供する。ジアステレオマー複合体の回転スペクトルは、この同位体標識されたタグを使用して再測定される(そのような標識のないラセミタグを使用したものと比較される)。ラセミおよび同位体標識されたキラルタグ複合体から得られたスペクトルを比較すると、遷移周波数の小さなシフトが検出され得る。そのようなシフトは通常、標識された核の質量差から生じる慣性モーメントの変化によって引き起こされる(例えば、13Cはタグ分子の単一の炭素原子(12C)を置換する)。測定された回転定数の変化から、2つのジアステレオマー構造中の置換原子の位置に関する情報を得ることができる。この情報は、主軸系における原子の座標の大きさを表すことができる。この情報から、重心から置換原子までの距離を直接求めることができる。分子回転分光法の分野における研究は、これらの距離が0.01オングストロームの精度よりも良く測定できることを示している。一般に、理論的構造および実験的構造は、分子複合体であっても、0.1オングストロームよりも良いオーダーで原子位置の一致を示す傾向がある。したがって、本開示のこの態様(例えば、同位体標識されたキラルタグを使用する)は、分子-キラルタグ複合体(両方のジアステレオマー)の提案された理論構造の厳密な試験を提供でき、ひいては、分析対象分子の複合体の絶対配置を確定できる。
同位体濃縮ラセミタグ試料は、非標識ラセミタグと同じ試料導入ポートを通して送達され得る。しかしながら、試料ライン中の同位体標識不純物は、測定において多数の弱い遷移を生じさせる可能性があり、それはキラルタグ複合体のスペクトルの検索および帰属を複雑にする可能性がある。したがって、高精度の分析化学作業のためには、上記のように別個の試料導入システムを使用するのがよいであろう。
一般に、本開示におけるキラルタグの使用に関して、本明細書に記載の技術の1つの強みは、非共有結合的相互作用が通常、安定な分子複合体を生成するので、本明細書に記載の技術はどのような分子にも適用可能であることである。さらに、タグの選択に柔軟性があり、試験される検体分子と適合性のある構造的特徴(例えば、水素結合供与体または受容体基)を有するタグを選択することによって実験を制御することができる。(塩素およびその35Cl/37Cl同位体のような)1つ以上の同位体の高い天然存在度を有する原子を有するタグ分子を特定することも可能であり、濃縮サンプルを必要とせずに、構造を検証することができるタグ内の原子位置に関する追加情報が直接利用可能である。一般に、定量的エナンチオマー過剰率測定は、入力としてタグエナンチオ純度の知識を使用する。この情報は、キラルカラムを用いたガスクロマトグラフィーのような他の測定を通じて提供することができる。しかしながら、タグがそれ自体で作るホモキラルおよびヘテロキラル複合体の相対存在度を測定することによって、回転分光計におけるタグエナンチオ純度を確定することも可能である。
図10は、1つまたは複数の実施形態(たとえば、本明細書に記述した方法論)を実装(例えば実行)することができる機械900を含むことができる例であって、当該機械が図1に示す装置100の一部として含まれるか、または図1のシステム100が図10の機械900に通信可能に結合される例のブロック図を概して示す。機械900の例として、論理回路、1つまたは複数の構成要素、または回路を含むことができる。回路は、特定の動作を実行するように構成された有形の実体である。一例では、回路は、特定の方法で(例えば、内部的に、または他の回路などの外部エンティティに関して)配置することができる。一例では、1つまたは複数のコンピュータシステム(たとえば、スタンドアロン、クライアントまたはサーバコンピュータシステム)または1つまたは複数のハードウェアプロセッサ(プロセッサ)をソフトウェア(たとえば、命令、アプリケーション部分、またはアプリケーション)によって本明細書に記載されるような特定の動作を実行するように動作する回路として構成することができる。一例では、ソフトウェアは、(1)非一時的な機械可読媒体に、または(2)伝送シグナル内に存在することができる。一例では、ソフトウェアは、回路の基礎となるハードウェアによって実行されると、回路に特定の動作を実行させる。
一例では、回路は機械的または電子的に実装することができる。例えば、回路は、専用プロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)または特定用途向け集積回路(ASIC)を含むなど、上述したような1つまたは複数の技術を実行するように特に構成された専用回路または論理を備えることができる。一例では、回路は、特定の動作を実行するために一時的に(例えばソフトウェアによって)構成することができるプログラマブルロジック(例えば、汎用プロセッサまたは他のプログラマブルプロセッサ内に包含されるような回路)を含むことができる。本明細書に記載の装置および技術は、機械的回路(例えば、専用の恒久的に構成された回路等)で、または一時的に構成された回路(例えば、ソフトウェアによって構成)で実装できると理解されよう。
したがって、「回路」という用語は、有形の実体を包含するものと理解され、それは、指定された方法で動作したり指定された動作を実行するように、物理的に構築された、恒久的に設定された(例えばハードワイヤード)、または一時的に(例えば短時間だけ)構成された(例えばプログラムされた)実体を包含する元理解される。一例では、複数の一時的に構成された回路が与えられると、回路のそれぞれは、時間内の任意の1つの時点で構成またはインスタンス化される必要はない。例えば、回路がソフトウェアを介して構成された汎用プロセッサを備える場合、汎用プロセッサは異なる時間にそれぞれ異なる回路として構成することができる。ソフトウェアは、例えば、ある時点で特定の回路を構成し、異なる時点で異なる回路を構成するようにプロセッサを構成することができる。
一例では、回路は他の回路に情報を提供し、他の回路から情報を受信することができる。この例では、回路は、1つまたは複数の他の回路に通信可能に結合されていると見なすことができる。そのような回路が複数同時期に存在する場合、通信は、それらの回路を接続するシグナル伝送(例えば、適切な回路およびバスを介して)を介して達成することができる。複数の回路が異なる時間に構成またはインスタンス化される実施形態では、そのような回路間の通信は、例えば、複数の回路のうちの少なくとも1つがアクセスするメモリ構造における情報の記憶および検索を通じて達成できる。例えば、1つの回路が動作を実行し、その動作の出力をそれが通信可能に結合されているメモリデバイスに記憶することができる。その後、別の回路がメモリデバイスにアクセスして、記憶された出力を取り出して処理することができる。
一例では、回路は、入力装置または出力装置との通信を開始または受信するように構成することができ、リソース(例えば、情報の集まり)に対して動作することができる。
本明細書に記述した技術の様々な動作は、少なくとも部分的に、一時的に(たとえばソフトウェアによって)構成され、または関連する動作を実行するように恒久的に構成される1つまたは複数のプロセッサによって実行され得る。一時的または恒久的に構成されているかにかかわらず、そのようなプロセッサは、1つまたは複数の動作または機能を実行するように動作するプロセッサ実装回路を構成することができる。一例では、本明細書で言及される回路は、プロセッサ実装回路を備えることができる。
一般に、本明細書記述した技術は、少なくとも部分的にプロセッサ実装され得る。例えば、方法の動作のうちの少なくともいくつかは、1つまたは複数のプロセッサまたはプロセッサ実装回路によって実行することができる。
特定の動作の行為は、単一の機械に行わせるだけでなく、複数の機械にまたがって配置される1つ以上のプロセッサ間で分散させることができる。一例では、1つまたは複数のプロセッサを単一の場所(たとえば、家庭環境、オフィス環境内、またはサーバファーム内)に配置することができ、他の例では、プロセッサをいくつかの場所にわたって分散させることができる。
1つまたは複数のプロセッサはまた、「クラウドコンピューティング」環境において、または「サービスとしてのソフトウェア」(SaaS)として、関連する動作の実行をサポートするように動作することができる。例えば、少なくともいくつかの動作は、(プロセッサを含む機械の例として)一群のコンピュータによって実行することができ、これらの動作は、ネットワーク(例えば、インターネット)を介して及び1つ以上の適切なインターフェースを介してアクセス可能である(例えば、アプリケーションプログラムインターフェイス(API)。
様々な実施形態の例(例えば、装置、システム、または方法)は、デジタル電子回路内、コンピュータハードウェア内、ファームウェア内、ソフトウェア内、またはそれらの任意の組み合わせで実装することができる。様々な実施形態の例は、コンピュータプログラム製品(例えば、情報媒体または機械可読媒体に有形に具体化された、プログラマブルプロセッサ、コンピュータ、または複数のコンピュータのようなデータ処理装置による実行のための、またはその動作を制御するためのコンピュータプログラム)を用いて実装できる。
コンピュータプログラムは、コンパイル言語またはインタプリタ言語を含む任意の形態のプログラミング言語で書くことができ、スタンドアロンプログラムとして、またはソフトウェアモジュール、サブルーチン、またはコンピューティング環境で使用するのに適した他の単位を含めて、任意の形態で展開することができる。コンピュータプログラムは、1つのサイトの1つのコンピュータまたは複数のコンピュータで実行されるように、あるいは複数のサイトにわたって分散されて通信ネットワークによって相互接続されるように展開することができる。
コンピューティングシステムは、クライアントおよびサーバを含むことができる。クライアントとサーバは通常、互いに離れており、通常、通信ネットワークを介して対話する。クライアントとサーバの関係は、それぞれのコンピュータ上で実行され、互いにクライアント-サーバ関係を有するコンピュータプログラムによって生じる。プログラマブルコンピューティングシステムを展開する実施形態では、ハードウェアアーキテクチャとソフトウェアアーキテクチャの両方が考慮を必要とすることが理解されよう。特定の機能は、例えば、恒久的に構成されたハードウェア(例えば、ASIC)、または一時的に構成されたハードウェア(例えば、ソフトウェアとプログラマブルプロセッサとの組み合わせ)に実装することができる。
一例では、機械900は独立型装置として動作することができ、あるいは機械900は他の機械に接続(例えばネットワーク接続)することができる。
ネットワーク配置では、機械900は、サーバ-クライアントネットワーク環境において、サーバまたはクライアント機械のいずれかの能力で動作することができる。一例では、機器900は、ピアツーピア(または他の分散型)ネットワーク環境においてピア機器として機能することができる。機械900は、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットPC、セットトップボックス(STB)、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、ハンドヘルド特定用途向けアセンブリ、携帯電話、ウェブ機器、ネットワークルーター、スイッチまたはブリッジ、あるいは機械900によってとられる(例えば実行される)べき動作を指定する命令(順次またはその他)を実行することができる任意の機械であり得る。さらに、単一の機械900のみが示されているが、「機械」という用語は、本明細書で説明した方法論のうちの任意の1つまたは複数を実行するために1組(または複数組)の命令を個別にまたは共同で実行する任意の機械の集まりも含むと解釈される。
一例では、機械(例えば、コンピュータシステム)900は、プロセッサ902(例えば、中央処理装置(CPU)、グラフィック処理装置(GPU)、またはその両方)、メインメモリ904、および静的メモリ906を含むことができ、それらの一部または全部はバス908または他のリンクを介して互いに通信することができる。機械900は、表示ユニット910、英数字入力装置912(例えばキーボード)、およびユーザインターフェース(UI)ナビゲーション装置911(例えばマウス、タッチスクリーン、または実例としての1つ以上のソフトキー)をさらに含むことができる。
一例では、表示ユニット910、入力装置912およびUIナビゲーション装置914はタッチスクリーンディスプレイとすることができる。機械900は、記憶装置(例えば、ドライブ装置)916、シグナル生成装置918(例えば、スピーカ)、ネットワークインターフェース装置920、および全地球測位システム(GPS)センサ、コンパス、加速度計、またはその他のセンサなどの1つまたは複数のセンサ921をさらに含むことができる。
記憶装置916は、本明細書に記述した方法論または機能のうちの任意の1つまたは複数によって具現化または利用される1組または複数組のデータ構造または命令924(たとえばソフトウェア)を記憶する機械可読媒体922を含むことができる。命令924はまた、完全にまたは少なくとも部分的に、機械900による実行中にメインメモリ904内、スタティックメモリ906内、またはプロセッサ902内に存在することもできる。一例では、メインメモリ904、スタティックメモリ906、または記憶装置916のうちの1つまたは任意の組合せは、機械可読媒体または機械可読媒体を備えることができる。
機械可読媒体922は単一の媒体として示されているが、「機械可読媒体」という用語は、1つまたは複数の命令924を記憶するように構成されている単一の媒体または複数の媒体(例えば、集中型または分散型データベース、および/または関連するキャッシュおよびサーバ)を含むことができる。「機械可読媒体」という用語はまた、機械による実行のための命令を格納、符号化、または搬送することができ、本開示の方法論のうちの任意の1つまたは複数を機械に実行させる任意の有形媒体を含むと解釈され得る。それは、そのような命令によって利用されるか、またはそれに関連するデータ構造を格納、符号化、または搬送することができる。したがって、「機械可読媒体」という用語は、それだけに限らないが、固体メモリ、ならびに光および磁気媒体を含むと解釈することができる。機械可読媒体の具体例は、例として、半導体メモリデバイス(例えば、電気的にプログラム可能な読み出し専用メモリ(EPROM)、電気的に消去可能なプログラム可能な読み出し専用メモリ(EEPROM))およびフラッシュメモリ装置を含む不揮発性メモリ、内蔵ハードディスクやリムーバブルディスクなどの磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROMおよびDVD-ROMディスクを含み得る。
命令924はさらに、いくつかの転送プロトコル(例えば、フレームリレー、IP、TCP、UDP、HTTP等)のうちのいずれか1つを利用するネットワークインターフェースデバイス920を介して伝送媒体を使用して通信ネットワーク926を介して送信または受信することができる。通信ネットワークの例は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、パケットデータネットワーク(例えばインターネット)、携帯電話ネットワーク(例えばセルラーネットワーク)、普通電話サービス(POTS)ネットワーク、および無線データネットワーク(例えば、WiFi(登録商標)として知られるIEEE802.11規格ファミリー、WiMax(登録商標)として知られるIEEE802.16規格ファミリー)、ピアツーピア(P2P)ネットワーク等を含むことができる。「伝送媒体」という用語は、機械による実行のための命令を格納、符号化、または搬送することが可能であり、そのようなソフトウェアの通信を容易にするためのデジタルまたはアナログ通信シグナルまたは他の無形媒体を含む任意の無形媒体を含むと解釈される。
補足
上記の非限定的な態様のそれぞれは、独立していてもよく、または本書類に記載されている他の態様または他の主題のうちの1つまたは複数との様々な置換または組合せで組み合わされてもよい。
上記の詳細な説明は、詳細な説明の一部を形成する添付の図面への参照を含む。図面は、例示として、本発明を実施することができる特定の実施形態を示す。これらの実施形態は通常、「例」とも呼ばれる。そのような例は、示されるか記述した以外の要素を含むことができる。しかしながら、本発明者は、図示または記載されている要素のみが提供されている例も企図している。さらに、本発明者はまた、特定の例(またはその1つまたは複数の態様)に関して、または本明細書に示されるか記述した他の例(またはその1つまたは複数の態様)に関して、示されるか記述した要素(またはその1つまたは複数の態様)の任意の組合せまたは置換を使用する例を企図する。
本明細書および参照によりそのように組み込まれた文書との間で矛盾する用法がある場合には、この文書における用法が支配する。
本明細書では、特許文献において一般的であるように、用語「a」または「an」は、「少なくとも1つ」または「1つまたは複数」の他の事例または使用法とは無関係に、1つまたは複数を含むように使用される。本明細書では、「または」という用語は、非排他的orを参照するのに用いられており、特に示さない限り、「AまたはB」は、「Aを含むがBを含まない」、「Bを含むがAを含まない」および「AおよびB」を含む。本文書では、「含む(including)」および「その中で(in which)」という用語は、「備える(comprising)」および「その中で(wherein)」それぞれの用語の平易な英語の等価物として使用されている。また、以下の特許請求の範囲において、「含む(including)」および「備える(comprising)」という用語は、無制限(open-ended)であり、すなわち、そのような用語の後に列挙されるもの以外の要素を含むシステム、装置、物品、組成物、配合物、またはプロセスであっても、その請求の範囲内に含まれると見なされる。さらに、添付の特許請求の範囲において、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は単にラベルとして使用されており、それらの目的に数値要件を課すことを意図するものではない。
上記の説明は例示的であり、限定的ではない。例えば、上述の例(またはその1つまたは複数の態様)を互いに組み合わせて使用することができる。
上記の説明を検討すると、当業者によってなど、他の実施形態を使用することができる。要約は、読者が技術的開示の性質を迅速に確認することを可能にするために提供される。特許請求の範囲または意味を解釈または限定するために使用されることはないとの理解のもとに提出されている。また、上記の詳細な説明では、開示を簡素化するために様々な特徴を一緒にグループ化することができる。これは、請求されていない開示された機能がいかなる請求にも不可欠であることを意図していると解釈されるべきではない。むしろ、発明の主題は、特定の開示された実施形態の全ての特徴より少ない特徴にあり得る。したがって、添付の特許請求の範囲は、実施例または実施形態として詳細な説明に組み込まれ、各特許請求の範囲は独立した実施形態として自立しており、そのような実施形態は様々な組み合わせまたは順列で互いに組み合わせることができると考えられる。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して、そのような特許請求の範囲が権利を有する等価物の全範囲と共に確定されるべきである。

Claims (32)

  1. パルスジェットを使用してキラル検体と特定のエナンチオ純度の形態のキラルタグとを試料室に注入することであって、前記キラルタグは前記キラル検体と結合してジアステレオマー複合体を形成し、当該ジアステレオマー複合体は前記キラル検体の分子回転共鳴(MRR)スペクトルとは異なる分子回転共鳴スペクトルを示すものである、前記注入すること
    前記ジアステレオマー複合体から時間ドメイン応答を取得すること、
    前記時間ドメイン応答に基づき前記ジアステレオマー複合体の前記分子回転共鳴スペクトルの周波数ドメイン表現を確定することを備える方法。
  2. 前記試料室が調整可能な共振キャビティを備える、請求項1記載の方法。
  3. 前記試料室は共振キャビティを備え、前記時間ドメイン応答を取得することは、前記共振キャビティの少なくとも1つのモードを供給源からの順次連なる周波数を用いて電気的に励起することを含む、請求項1に記載の方法。
  4. 前記試料室は共振キャビティを備え、前記時間ドメイン応答を取得することは、前記共振キャビティの複数のモードを同時期に電気的に励起することを含む、請求項1に記載の方法。
  5. 前記時間ドメイン応答を取得することは、マイクロ波周波数範囲、ミリ波範囲、またはテラヘルツ周波数範囲のうちの少なくとも1つの範囲内にある周波数範囲を用いて前記ジアステレオマー複合体を励起することを含む、請求項1に記載の方法。
  6. 前記注入することは、前記試料室が少なくとも部分的に排気されたときに、前記試料室内への前記キラル検体と前記キラルタグとを備える試料の膨張をもたらすためにパルスジェットを使用して行われる、請求項1に記載の方法。
  7. 前記特定のエナンチオ純度の形態のキラルタグがラセミ混合物を備える、請求項1に記載の方法。
  8. 前記特定のエナンチオ純度の形態のキラルタグがラセミ同位体標識組成物を備える、請求項1に記載の方法。
  9. 前記特定のエナンチオ純度の形態のキラルタグがエナンチオ濃縮されたものである、請求項1に記載の方法。
  10. 前記キラル検体と前記キラルタグとが、非共有結合的相互作用により前記ジアステレオマー複合体を形成する、請求項1に記載の方法。
  11. 前記試料室の一部として含まれるパルスジェット入力ポートを使用して、前記キラル検体と前記キラルタグとが組み合わされて注入される、請求項10に記載の方法。
  12. 前記試料室は、
    第1の測定のために、前記キラル検体と前記キラルタグのラセミ混合物とを備える第1の複合体として前記ジアステレオマー複合体を提供するための第1のパルスジェット入力ポートと、
    第2の測定のために、前記キラル検体と特定のエナンチオ純度を有する非ラセミ形態の前記キラルタグとを備える第2の複合体を提供するための第2のパルスジェット入力ポートとを備える、請求項11に記載の方法。
  13. 前記キラルタグが、液相形態の前記キラルタグと不活性ガスとを含む容器を使用して提供される、請求項10に記載の方法。
  14. 前記キラル検体が、液相形態または固相形態の前記キラル検体をアブレーションすることによって提供される、請求項10に記載の方法。
  15. 検体とキラルタグを備えるラセミ混合物とを含む第1の試料から誘発される第1の応答を電気的に取得すること、
    前記検体と特定のエナンチオ純度の形態の前記キラルタグとを含む第2の試料から誘発される第2の応答を電気的に取得することを備え、
    前記第1の応答および前記第2の応答が、分子回転共鳴の範囲を電気的に励起することによって誘発される、方法。
  16. 前記第1の応答に対応するスペクトルと前記第2の応答に対応するスペクトルとを少なくとも部分的に比較することによって、前記検体と前記特定のエナンチオ純度を有する前記キラルタグとの間に形成されたジアステレオマーに対応する前記検体のエナンチオマー過剰率(ee)値を確定することを備える請求項15記載の方法。
  17. 前記第1の試料および前記第2の試料は、調整可能共振キャビティにあり、前記調整可能共振キャビティの一部として含まれる反射器間の距離を調整して前記調整可能共振キャビティの共振周波数を第1の周波数群から第2の周波数群にシフトさせることを備える請求項15に記載の方法。
  18. 前記検体と前記キラルタグを備える前記ラセミ混合物とは、試料室の一部として含まれる第1のパルスジェット入力ポートを使用して注入される、請求項15に記載の方法。
  19. 前記検体と前記特定のエナンチオ純度を有する前記キラルタグとが、前記試料室の一部として含まれる第2のパルスジェット入力ポートを使用して注入される、請求項18に記載の方法。
  20. キラル検体と特定のエナンチオ純度の形態のキラルタグとによって形成されるジアステレオマー複合体を保持するための共振キャビティを含む試料室と、
    前記共振キャビティの少なくとも1つのモードと前記ジアステレオマー複合体の分子回転共鳴のある範囲を電気的に励起するために前記試料室に電気的に結合される供給源と、
    前記供給源を用いた前記共振キャビティの励起に応答して、前記試料室内の前記ジアステレオマー複合体から誘発される応答を取得するために前記試料室に電気的に結合される受信機であって、前記試料室から取得した時間ドメイン応答のデジタル表現を提供するためのアナログデジタル変換器を備える前記受信機と、
    少なくとも前記受信機が前記ジアステレオマー複合体から誘発される前記応答を受信しているときに前記試料室から前記供給源を分離するためのアイソレータとを備え、
    前記試料室が、前記キラル検体と前記特定のエナンチオ純度の形態のキラルタグとを受け取るための少なくとも1つの試料導入ポートを含む少なくとも2つの試料導入ポートを備える、装置。
  21. 前記試料室が少なくとも部分的に排気されるように構成されている、請求項20に記載の装置。
  22. 前記少なくとも2つの試料導入ポートが、パルスジェット試料導入ポートを備える、請求項20に記載の装置。
  23. 前記少なくとも2つの試料導入ポートは、
    第1の測定のために、前記ジアステレオマー複合体である第1のジアステレオマー複合体を提供するための第1の入力ポートと、
    第2の測定のために、前記キラル検体と特定のエナンチオ純度を有する非ラセミ形態の前記キラルタグとを備える第2のジアステレオマー複合体を提供するための第2の入力ポートとを備える、請求項22に記載の装置。
  24. 前記少なくとも1つのモードに対応する周波数範囲は、マイクロ波周波数範囲、ミリ波範囲、またはテラヘルツ周波数範囲のうちの少なくとも1つの範囲内にある、請求項20に記載の装置。
  25. 前記共振キャビティが調整可能な共振キャビティを備える、請求項20に記載の装置。
  26. 前記アイソレータがスイッチを備える、請求項20に記載の装置。
  27. 前記アイソレータが、前記供給源と前記試料室との間に結合されて前記試料室から前記供給源へ伝播するシグナルを減衰または抑制するように構成されるマイクロ波アイソレータを備える、請求項20に記載の装置。
  28. 前記ジアステレオマー複合体の前記分子回転共鳴スペクトルに表れる少なくとも1つの遷移に基づき前記キラル検体のエナンチオマー過剰率を確定することをさらに備える、請求項1に記載の方法。
  29. 前記ジアステレオマー複合体の前記分子回転共鳴スペクトルに表れる少なくとも1つの遷移に基づき前記キラル検体の絶対配置を確定することをさらに備える、請求項1に記載の方法。
  30. エナンチオ純度が未知のキラル検体のエナンチオマー過剰率を測定する方法であって、
    前記キラル検体の第1の気相試料とキラルタグのラセミ混合物とを試料室に注入することであって、前記キラル検体の前記第1の気相試料は、前記試料室中で、前記キラルタグの前記ラセミ混合物と第1のジアステレオマー複合体を形成する前記キラル検体の第1のエナンチオマーと、前記キラルタグの前記ラセミ混合物と第2のジアステレオマー複合体を形成する前記キラル検体の第2のエナンチオマーとを含んでおり、前記第1のジアステレオマー複合体は、前記キラル検体の分子回転共鳴(MRR)スペクトルとは異なる分子回転共鳴スペクトルを示すものであり、前記第2のジアステレオマー複合体は、前記キラル検体の前記分子回転共鳴スペクトルとも前記第1のジアステレオマー複合体の前記分子回転共鳴スペクトルとも異なる分子回転共鳴スペクトルを示すものである、前記注入すること、
    前記キラル検体の前記第1の気相試料と前記キラルタグの前記ラセミ混合物の分子回転共鳴スペクトルを取得することであって、当該分子回転共鳴スペクトルには、前記第1のジアステレオマー複合体および前記第2のジアステレオマー複合体の両方からの寄与が含まれている、前記取得すること、
    前記キラル検体の第2の気相試料とエナンチオピュア形態の前記キラルタグとを前記試料室に注入すること、
    前記キラル検体の前記第2の気相試料と前記エナンチオピュア形態の前記キラルタグの分子回転共鳴スペクトルを取得することであって、当該分子回転共鳴スペクトルには、前記第1のジアステレオマー複合体および前記第2のジアステレオマー複合体のいずれか一つからの寄与が含まれている、前記取得すること、
    前記キラル検体の前記第1の気相試料と前記キラルタグの前記ラセミ混合物の前記分子回転共鳴スペクトルと、前記キラル検体の前記第2の気相試料と前記エナンチオピュア形態の前記キラルタグの前記分子回転共鳴スペクトルとに基づき、前記キラル検体の前記エナンチオマー過剰率を確定することを備える、方法。
  31. 前記キラル検体の前記第1の気相試料と前記キラルタグの前記ラセミ混合物とを前記試料室に注入することは、
    前記キラル検体の前記第1の気相試料を、第1のノズルから前記試料室内へと流れる第1の不活性ガスのガス流に同伴させることと、
    前記キラルタグの前記ラセミ混合物を、第2のノズルから前記試料室内へと流れる第2の不活性ガスのガス流に同伴させることを備える、請求項30に記載の方法。
  32. 前記キラル検体の前記エナンチオマー過剰率を確定することは、
    前記キラル検体の分子回転共鳴スペクトルに現われずかつ前記キラルタグの前記ラセミ混合物の分子回転共鳴スペクトルに現われない、前記キラル検体の前記第1の気相試料と前記キラルタグの前記ラセミ混合物の前記分子回転共鳴スペクトルの遷移に基づき、前記第1のジアステレオマー複合体および前記第2のジアステレオマー複合体に関連する遷移を単離することを備える、請求項30に記載の方法。
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