まず図1を参照すると、本発明の一側面に係るシステムの一実施形態がフロー図形式で示される。モニタリングを必要とし及び少なくともいくつかの例では既存の創傷を有するか又は褥瘡発生リスクを有する人100が一以上のセンサ110に関連づけられる。センサは、人の配向、体位、及び動き、及び/又は創傷及び/又は易感染性組織灌流領域及び/又はリスク領域に関するデータを収集する。センサはホストシステム120と通信する。ホストシステム120は典型的には、人の体位又は配向又は動き、人の創傷又は易感染性組織灌流領域又はリスク領域を決定するべく入ってくるセンサ情報を処理する少なくとも一のプログラムが動くコンピュータである。当該プログラムはまた、センサデータを分析してリスクを識別するべく履歴等のデータも使用する。少なくともいくつかの実施形態において、当該データは、センサデータ及び分析データ双方を含み、将来の使用のために記憶される。
本実施形態によれば、ホストシステムからの出力は、130に示されるように自動介護システムに向けて与えることができる。または、140に示されるように介護者の注意を求めるメッセージを表示することができる。後者の例では、介護者は、150に示されるように、本システムからの提案を訓練及び判断とともに使用して人の介護管理に関する決定を下す。
次に図2Aを参照すると、図1のシステムのハードウェア要素の一実施形態を良好に理解することができる。詳しくは、バリエーションが以下に詳細に記載されるセンサ110が人の配向の及び生理学的なデータを収集する。いくつかの例において、これは、人の配向、体位、及び動きに加え、心拍数、呼吸数等のデータを含むことができる。ホストシステム120は典型的に、少なくとも一つのデータ記憶デバイスとともに処理ユニット125を含む。処理ユニットは、一以上のソフトウェアプログラムを実行して、センサ情報を分析して人の状態を決定し、人の現在の状態及び関連記憶データに基づいて介護推奨を決定し、及び、いくつかの例では自動介護システム130の動作を指示する。データ記憶部135は典型的に、ハードディスク、RAM、EEPROM、ソリッドステートディスク等のメモリデバイスを含み、現行及び履歴センサデータ、人の健康状態、もしあれば創傷位置、もしあればリスクがある位置、並びに人の介護のための推奨及び設定を記憶する。いくつかのシステムでは、データ記憶部は、一以上の病院データベースと統合するか又はこれにリンクすることができる。その結果、データ記憶部135におけるデータは、病院の記録が更新されるときにいつでも更新される。ホストシステム120は、有線又は無線リンクいずれかによりディスプレイ140及び/又は一以上の自動介護システム130と通信する。
次に図2B及び2Cを参照すると、図1及び図2Aのシステムのソフトウェア要素の、例示実施形態に係る動作を良好に理解することができる。最初に図2Bを参照すると、センサからのデータ200はまず、ステップ205に示されるように、フィルタリング及び分析されて、当該センサが使用されるか及び適切に機能するかの双方が決定される。当該決定はステップ210でなされ、センサが適切に機能しない場合、ステップ215において当該欠陥に関する通知が送られる。しかしながら、センサが適切に機能する場合はプロセスはステップ220に進み、生のセンサデータがフィルタリング及び分析されて人の配向が決定される。そして、ステップ225において、配向に基づく圧力マップが生成される。引き続いてステップ230において、組織領域がどれくらいの間所定圧力を受けていたかを評価する圧力・時間決定が行われる。ホスト120から時間入力が得られ又は別個の時間基準が使用されて、圧力・時間測定が行われる。そして、ステップ235において圧力・時間測定が、予め設定された制限と、履歴データとともに、当該領域がどれくらいの間減圧されたか、当該領域の最新の減圧がいつ生じたか、人の健康状況、創傷の位置、リスク領域等の因子と、ステップ240に示される体位変更履歴データとともに、対比されて、提案される体位再変更に関する決定がなされる。
そして、ステップ245において、データが人をすぐに体位再変更すべきことを提案しているか否かに関して決定がなされる。「いいえ」であれば、プロセスは、いくつかの実施形態では、配向、体位、及び動きのデータ及び提案された体位再変更スケジュールの表示とともに、ステップ250で終了する。「はい」であり、かつ、自動介護機能が存在すれば、ステップ245における決定が、ステップ255において自動介護を与える指示をもたらす。代替的に、すなわち自動介護が成功しない場合には、ステップ260において、体位再変更の必要性を提案するメッセージが提案された新たな体位とともに介護者に送られる。介護者は、265において示される提案を受け入れるか、又はステップ270において判断及び訓練に基づく代替介護を与える。
本発明の一側面はセンサ自体にある。本発明のシステムのために容認できるセンサは、幅広く多様であって、人の身体と連続し及び人の身体から遠隔された双方のセンサを含むことができる。可能なセンサはとりわけ、加速度計、RFID検知、抵抗、容量、誘導、及び磁気センサ、反射センサ、赤外センサ、ビデオモニタリング、圧力及び応力センサ、経皮的酸素圧力センサ、経皮的CO2センサ、ハイドレーションセンサ、pHセンサ、超音波センサ、遠隔光学分光センサ、及びレーザドップラー流量センサを含む。
次に図2Cを参照すると、センサからのデータ271は最初に、ステップ272に示されるように、フィルタリング及び分析されて、当該センサが使用されるか及び適切に機能するかの双方が決定される。当該決定はステップ273でなされ、センサが適切に機能しない場合、ステップ274において当該欠陥に関する通知が送られる。しかしながら、センサが適切に機能する場合はプロセスはステップ275に進み、生のセンサデータがフィルタリング及び分析されて人の配向が決定される。次に、ステップ276~278において、当該人が、支持表面(例えばベッド)から出たか、又は(例えばベッド)から切迫して出ようとする体位にあるか、若しくは起立しているか、若しくは歩いているかを決定するチェックが行われる。かかるチェックは、例えば、本明細書において参照として組み入れられる、同時係属中の2014年11月17日出願の米国特許出願第14/543,887号に記載されるように、任意の適切なセンサ及びセンサデータ分析を使用して行うことができる。かかる決定を行うべく使用される検知モダリティは、例えば、加速度計、磁力計、高度計、及び一般の位置検知技術(すなわち三角測量及びセンサ位置特定)の一以上を含み、それぞれが単独又は複数で使用することができる。
人がベッドから出ようとしているか、又はベッドから出て起立若しくは歩いているかいずれかの場合、システムはステップ279において、前から存在する向き変更プロトコルを保留し、又は必要に応じて調節することができる。ステップ276~278のいずれかにおけるポジティブ検出は、支持表面(例えばベッド)により人が支持されていないこと、又はすぐには支持されないであろうことを示す。システムは、実施形態に応じて、前から存在する向き変更プロトコルを保留し、又はステップ279において任意の適切な態様で調節することができる。例えば、システムは、人の検出された離床、起立又は歩行状態の、少なくとも以下の結果に基づいて、向き変更プロトコルを調節することができる。第一に、人は向き変更を必要とせず、第二に、人が支持表面上に存在するときに最近加圧された組織が、減圧され始める。さらに、起立又は歩行状態にある間の、そのような減圧速度は典型的に、人が支持表面上に残っていてここに記載されるように向き変更がされている場合の減圧速度を超過する。この速い減圧速度が生じるのは、1)身体組織が支持表面からいずれの圧力も受けていないことと、2)歩行により心拍出量が増加しがちなので組織灌流が、座位の人よりも改善されることと、3)歩行している人は一般に褥瘡のリスクが低いので厳密な向き変更プロトコルの必要性が少ないこととによる。
いくつかの実装形態において、システムは、歩行(又は起立)を検出すると、向き変更クロックを即座にリセットして当該人の履歴データを、すべての身体組織の当座の減圧を反映させるべく修正することができる。他の実装形態において、システムは、歩行(又は起立)を検出すると、人が起立又は歩行している間に適用される減圧速度又は時間を調節することができる。身体組織は、起立又は歩行状態にある間、(支持表面に支持されることとは対照的に)加速された速度で減圧するのが典型的だからである。すなわち、減圧は、起立又は歩行状態において、かなり少ない時間で済む。例えば、組織が支持表面にあるときに1×の速度で減圧する場合、同組織は、歩行のとき2×の速度で減圧し得る。減圧速度又は時間の調節は、人固有データに基づいて変えることができ、又は、固定値、若しくは任意の他の適切な配列とすることができ、向き変更プロトコルは、現行の向き変更、及び減圧速度の必要性(又はその欠如)を反映するべく調節される。かかる調節に関する人固有データは、例えば、人が離床する頻度、人が起立している時間、人が歩き回る距離及び速さ、転倒、又は離床のときにこれらが欠如すること、を含み得る。数ステップのために一週間に一度離床する人には、毎日100フィート(30.5メートル)歩き回る人とは異なる減圧速度又は時間及び向き変更プロトコルを割り当てることができる。
いくつかの実施形態において、歩行(又は起立)が検出されると、システムは一時的に、人の向き変更スケジュールを無効、保留、又は中断することができる。人が支持表面において支持されていないとき、人の向き変更又は体位再変更の必要はないので、向き変更プロトコル(及びすべての関連する注意喚起/通知)を一時的に保留にすることができる。人が支持表面に戻ったと決定されるとすぐに、向き変更プロトコル(及びすべての関連する注意喚起/通知)を再開することができる。いくつかの実施形態において、システムは、向き変更プロトコルが再開したときに、(例えば調節された減圧速度又は時間を使用することにより)向き変更プロトコルが保留にされている間に生じた減圧量を考慮することができる。
人が離床も、起立も、歩行もしようとしているわけではない場合、プロセスは、減圧速度又は既存の向き変更プロトコルを調節することなく、直接ステップ280に進行する。調節がステップ279において行われる場合、プロセスは、当該調節がさらなるステップとして実施されるステップ280へと進行する。
そして、ステップ280において、配向に基づく圧力マップが生成される。引き続いてステップ281において、組織領域がどれくらいの間所与圧力を受けていたかを評価する圧力・時間決定が行われる。ホスト120から時間入力が得られ又は別個の時間基準が使用されて、圧力・時間測定が行われる。そして、ステップ282において圧力・時間測定が、予め設定された制限と、履歴データとともに、当該領域がどれくらいの間減圧されたか、当該領域の最新の減圧がいつ生じたか、人の健康状況、創傷の位置、リスク領域等の要因と、ステップ240に示される体位変更履歴データとともに、対比されて、提案される体位再変更に関する決定がなされる。
そして、ステップ284において、データが人をすぐに体位再変更すべきことを提案しているか否かに関して決定がなされる。すぐに体位再変更すべきでない場合、プロセスは、いくつかの実施形態において、配向、体位及び動きのデータ、並びに提案された体位再変更スケジュールの表示を伴うステップ285において終了する。すぐに体位再変更すべき場合、かつ、自動介護機能が286において存在するとチェックされて287において必要であるとチェックされると、ステップ284における決定は、ステップ288において自動介護を与えるべきとの指示をもたらす。代替的に、又は自動介護が成功しない若しくは必要でない場合、ステップ289において介護者に、体位再変更、及び提案された新たな体位の必要性を提案するメッセージが送られる。介護者にとって自動介護がオプションとして利用可能な場合、介護者は、290において示された提案を受け入れるか又は、判断及び訓練に基づいてステップ291において代替介護を与える。
本発明の一側面はセンサ自体にある。本発明のシステムのために容認できるセンサは、幅広く多様であって、人の身体と連続し及び人の身体から遠隔する双方のセンサを含むことができる。可能なセンサはとりわけ、加速度計、RFID検知、抵抗、容量、誘導、及び磁気センサ、反射センサ、赤外センサ、ビデオモニタリング、圧力及び応力センサ、経皮的酸素圧力センサ、経皮的CO2センサ、ハイドレーションセンサ、pHセンサ、超音波センサ、リモート光学分光センサ、及びレーザドップラー流量センサを含む。
図3に示されるように、一つの目下のところ好ましい形態のセンサは、関連づけられているプロセッサ310及び関連電子機器を伴う多軸加速度計305を含む。関連電子機器は図3に示され、一般に300により表される。一つの容認できる加速度計は、STマイクロエレクトロニクス社から入手可能なタイプLIS344ALHの3軸加速度計であるが、すべての実施形態において3軸上の検知が必要とされるわけではない。加速度計に加え、センサ300はまた、容量センサ315、温度センサ320、湿潤センサ325、及び電気信号センサ330も含むことができる。マイクロプロセッサ310は、ビルトインのA/Dコンバータ及び記憶されたセンサ識別子を含むことができる。マイクロプロセッサ310は、ベースステーション/ホスト335と通信する。ベースステーション/ホスト335は、RF送受信器340及びアンテナ345を介して有線又は無線信号を信頼性をもって受信するのに十分近くに配置される無線通信用送受信器を含むことができる。代替的に、送受信器/ベースステーション335は遠隔ホストと通信する。いずれの場合も、ホストは究極的に、観察ターミナル350にリンクする。観察ターミナル350は、例えば、人センサ若しくは支持システムに統合するか、人の部屋に、ナースステーションに、又は他の位置に置くことができる。わかることだが、図示していないにもかかわらず、センサ300には電池等の電源が与えられる。当業者は、ホストの機能が、本発明に係る一システムのいくつかの異なる位置に存在できることがわかる。例えば、ホストの機能は主にセンサ自体に存在し得る。または、当該機能は、ベースステーション内に共存してもよく、又は双方から外部に置かれてもよく、複数のデバイス間に分割されてもよい。
センサの一実施形態において、デバイスは当該ユニットが使用状態となるまで電池寿命が失われないように保管される。代替的に、センサは、充電可能電池、又は例えばキャパシタのような他のエネルギー貯蔵デバイスを有するように構成される。充電可能センサは、電力コンバータのような他の何らかのエネルギー源へのケーブルと接続することにより充電することができる。または、誘導充電器を使用して無線で充電することもできる。充電可能でないシステムが低コストであって病院等の短期介護環境における一回の使い捨て可能な使用に適している一方、充電可能センサは、初期コストは大きいが、養護ホームのような長期介護施設において経済的である。センサは、例えば、当該ユニット上の接着性裏貼りを除去することにより若しくは従来型スイッチにより、又は人の部屋内の周囲光にさらすことによりアクティブにすることができる。または、人にさらすときにアクティブにすることもできる。代替的に、センサは受動型RFIDによりアクティブにすることができる。受動型RFIDは、当該ユニット自体にビルトインするか又は当該ユニットの接着性裏貼りに埋め込むことができる。センサはまた、RF又は誘導ループにより作動させることもできる。典型的には、センサの加速度計を保護するべく予防措置がとられる。予防措置は、例えば、損傷を与える加速力を加速度計に作用させないようにするようにとることができる。一実施形態において、転倒又は衝撃の加速力を低減するべくセンサユニットのケーシングを圧縮性にすることができる。代替的に又は付加的に、加速度計は損傷を又は再較正の必要性をもたらすほど大きな加速度を受ける時を示し、センサユニットはその後、損傷を受ける又は較正の必要性がある旨の信号を送ることができる。他実施形態において、センサは、主要加速度計が容認できる範囲よりも大きな加速度を検知し得る付加加速度計を含むこともできる。付加加速度計は、敏感な加速度計に損傷を与えるか又は再較正の必要性をもたらし得る加速度を測定するべく使用される。2つの軸を超える加速度計では、配向を決定するべく3つの軸すべてを使用することができる。これにより、加速度計が損傷を受け又は再較正の必要性がある旨のインジケータとして対比かつ使用され得る一を超える配向計算が与えられる。
センサは、例えば図1に示される他のシステム要素とともに、人の経時的な配向及び表面圧力分布の実時間モニタリングを与えることができる。これにより、治療処置を必要とする人を容易に識別することができる。一実施形態は、小さく、薄く、安価で無線かつ使い捨て可能なセンサを利用する。当該センサは人の経時的な3次元配向を安全にモニタリングする。本発明の一実施形態において、センサは、人の身体に付着することができる接着性裏貼りを有する。一実施形態において、一以上のセンサを人の身体上の既知の解剖学的位置に配置することができるが、当該センサの解剖学的位置は、本発明の当該側面に係るいくつかの代替実施形態において、既知である必要がない。これは、以下でさらに詳細に説明する。センサは、身体上の、組織障害のリスクを増加させない位置に配置することができる。この実施形態の一具体例において、人の胸骨又は上前腸骨棘(ASIS)に小さなセンサが付着される。センサは、例えばシャツ若しくは下着、ブレスレット、ベルト、又は首輪のような人が装着する物品に、当該センサが当該人に対して著しく動くことがない限りにおいて埋め込むこともできる。
本実施形態で使用されるセンサは、人の一以上の状況を測定することができる一以上の加速度計、ジャイロスコープ、磁力計等のデバイスを包含し得る。加速度計は、信頼性かつ正確性をもって人の傾動、人の配向、人の動き、及び振動、並びに転倒に伴って生じる衝撃を測定することができる。加速度計は、無線送信デバイスに接続することができる。これにより、センサが付着されている人から延びる配線がなくなる。無線通信は、無線周波数送信を介して達成することができる。身体センサからの無線通信をモニタリングすることは、人の配向及び配向に基づく経時的圧力分布を含む人の状況の実時間追跡を可能とする。代替的に、無線通信は赤外線等の光リンクを使用して実装することができる。
本実施形態は、支持表面に対する人の静止角度及び加速度を正確にモニタリングするべく使用することができる。本発明は、支持表面に対する人の配向を連続的に測定することにより、人がどの程度の体位再変更を必要としているか及び/又は次にスケジュールされている向き変更をどの程度までスキップ若しくは遅延できるかを決定することができる。支持表面に対する固有角度において人の体位が長引いていることのような予め定義された状況に応答して警告を与えることができる。すべての人が適切に体位再変更を受けていることを保証するべく、センサデータは、被モニタリング者のネットワークを管理する中央位置に送信される。当該ネットワークは、介護者に警告を与えるべく及び介護者間で人体位再変更スケジュールを調整するべく使用することができる。
本実施形態に記載されるセンサ及びモニタリングシステムは、人が支持表面に対して固有の配向にある時間の積算量を追跡することができる。システムはまた、重力ベクトル(加速度計により決定される)の方向、支持表面の配向、及び当該重力ベクトルの推定される大きさ(慎重、体重、ボディマス指数(BMI)、マス(mass)分布等の人の身体的特性により定義される)に基づいて、身体の異なる領域に加わる表面圧力を推定することができる。コンピュータは、人の経時的な配向/表面圧力データを人ごとに分析して、当該データに基づき最適な体位再変更操作を推奨することができる。さらに、人ごとの積算表面圧力分布は、人が異なる支持表面(すなわちベッド、椅子、車椅子、ソファ等)へ又は当該支持表面から動くときにシームレスに追跡かつ記録することができる。各人の褥瘡履歴、ブレーデンスコア等の人の状況に関する情報は、モニタリングシステムに入力することができる。コンピュータは、人固有データに基づいて最適な体位再変更スケジュールを推奨することができる。
一実施形態において、検知システムは、人の配向及び表面圧力分布を正確に決定するべく人に対して適切に固定される。一実施形態において、本発明のシステムは、センサシステムが人に適切に付着されているか否かの自動決定手段を含む。センサが付着されていない場合、適切に付着されていない場合、人において適切な配向となっていない場合、人に適切に配置されていない場合、又は適切に動作していない場合を検出して介護者に通知することができるシステムが望ましい。当該状況は、検出されなければ、人が、褥瘡が発生するか又は他の何らかの不利な医学的状況を受けるほど長く一配向に置かれる結果をもたらす。本実施形態によれば、本発明は、センサの適切な位置、配向、及び動作を確証するいくつかの方法のいずれかを使用することができる。一組の実施形態は、配向センサが人に適切に固定されているか否かを示す生物測定パラメータを検出する手段及び方法を含む。このアプローチでは、配向センサは、検出された生物測定パラメータが既知の生理学的挙動に基づく所定値内に収まる場合にのみ、人に適切に付着されているとみなされる。検出された生物測定パラメータが、予め定義された制限から外れていれば、人配向センサは、人に不適切に固定されているか又は人に付着されていないとみなされ、介護者は注意喚起を受けることができる。検出された生物測定パラメータは、皮膚キャパシタンス、呼吸数、心拍数、及び温度を含むことができるがこれらに限られない。測定されたパラメータが範囲外となる何らかのエラー状況の場合、システムは、当該システム又は詳しくはセンサ若しくはベースステーションが適切に動作していない旨を介護者に通知する。
センサが適切に機能しているか否かを決定する他の方法は、センサから収集された生データの範囲チェックを行うことである。3軸の加速度を測定しているセンサの場合、所定最大又は最小合理的加速度を超える加速度の大きさ又は加速度の成分が、加速度計又はインタフェイス電子機器が適切に動作していないことを示す。他のタイプのセンサの場合、生抵抗、生キャパシタンス、生インダクタンス等が合理的最大値及び/又は最小値に対してチェックされた範囲となり得る。センサはまた、回路電圧レベル及び電流レベル、電池電圧及び電池電流消費、電池充電状態、並びにベースステーションへの報告異常値をモニタリングすることもできる。センサは、複数の時間基準、例えば一を超えるクロック、オシレータ、及び/又はタイマー、を有して対比することができる。時間基準が、経過時間に対して異なる値を与える場合、センサは、ベースステーションへ異常値を報告することができる。代替的に、一の時間基準を有するセンサが、経過時間をベースステーションに位置する時間基準と対比することができる。
センサが適切に動作していないかを検出する付加的な方法は、計算された配向、若しくは所定時点での位置、又は経時的な配向若しくは位置の範囲を、合理的に予想されるものと対比することである。例えば、計算された配向が、人がとり得ない配向である場合、センサは適切に動作していない可能性が高い。仰臥位から腹臥位へ突然変わると計算される麻痺者は、センサに関する問題を示し得る。所定の最大角度偏差、例えば任意平面における180度、は故障したセンサを示し得る。角度偏差及び配向の範囲は、センサが範囲外にあるとわかった場合にエラーが示されるようにして識別することができる。同様に、所定の最大角加速度を超えるとされるセンサも故障したセンサを示し得る。予想外の配向範囲又は予想外の計算配向もまた、センサが誤った身体位置に付着されていることを示し得る。例えば、足のような身体の一肢が複数の配向をとり、骨盤又は胸郭に対する配向と異なる配向の範囲をとり得る。
センサとベースステーションとの間で及びベースステーションとナースステーションとの間で適切に動作しているRF通信リンクは、所定インターバルにて当該別個のシステム要素間で予想されるメッセージを通信することにより、規則的なインターバルにて確証することができる。適切な時刻に適切なメッセージを受信できないことが、通信リンクの故障を示す。
センサの適切な付着、位置、及び/又は機能を確証するべく、センサにより収集された生物測定データを使用することができる。例えば、センサの主目的が配向データの収集である場合、センサはまた、当該センサが適切に付着され、配向され、位置決めされ、及び/又は適切に機能しているかことを確証するべく、脈拍数、呼吸数、皮膚キャパシタンス、光学特性等の人の身体的特性を測定することもできる。
本発明に記載の検知システムは、人の呼吸数を測定するべく使用することができる。呼吸中に胸が上下するときに、人の胸郭又はその近くに配置されたセンサ300は、周期的パターンの加速度/減速度を受ける。本明細書に記載の適切なソフトウェアを含む本発明のコンピュータシステムは、この加速度/減速度の周期的パターンを、当該加速度/減速度の比率、振幅、及び波形を含むがこれらに限られない人間の呼吸に関連づけられている生理学的パラメータに整合する場合、呼吸数として解釈することができる。一実施形態においてシステムは、センサが人の身体に適切に付着されていることを保証するべく呼吸数を使用するように構成することができる。システムが呼吸数を検出しない場合、当該システムは、人が無呼吸にあるか又はセンサが人から落下しているか若しくはセンサが人に適切に付着していないと解釈することができる。システムが異常な呼吸パターン(異常呼吸数及び/又は呼吸中の異常な大きさの胸の上昇/下降を含み得る)を検出すると、当該システムは、人が呼吸困難にあると解釈することができる。システムは、換気亢進、断続的呼吸、ため息、空気とらえ込み等のような異常呼吸パターンを識別することができる。異常呼吸パターンが検出される場合、介護者は、アラーム機構を介して注意喚起を受けることができる。
同様に、本発明に記載の検知システムは、人の心拍数を測定するべく使用することができる。胸郭において心臓が鼓動すると、人の胸郭又はその近くに配置された敏感な加速度計は、周期的パターンの加速度/減速度を受ける。生理学的な制限内の胸壁の周期的な上下(例えば、生理学的心拍数と整合する振幅、周波数、及び波形を含む)は、加速度計305により測定して図1のシステムにより、人の心拍数であると解釈することができる。システムは、センサが人の身体に適切に付着されていることを保証するべく心拍数を使用するように構成することができる。システム心拍数を検出しない場合、当該システムは、人が心停止にあるか又は又はセンサが人から落下しているか若しくはセンサが人に適切に付着していないと解釈することができる。システムが異常な心拍パターン又は不整脈(異常心拍数及び/又は心臓鼓動中の異常な大きさの胸の上昇/下降を含み得る)を検出すると、当該システムは、人が心不全にあると解釈することができる。システムは、頻脈、徐脈、細動等のような異常心拍パターン又は不整脈を識別することができる。異常心拍パターン又は不整脈が検出される場合、介護者は、アラーム機構を介して注意喚起を受けることができる。センサはまた、心臓の電気的活動を検出することができる埋め込み電気活動センサを含むこともできる。センサはまた、モニタリングシステムの感受性/特定性を増大するべく心電図(EKG)と相関させることもできる。
本明細書に記載の人の配向及び表面圧力をモニタリングするシステムは、人支持表面の圧力制御システムに直接、自動フィードバックさせるように構成することができる。多くの支持表面は、個別位置の表面圧力を調整することができる。人の経時的な体位、配向、位置、動き、及び表面圧力分布に関する情報を圧力制御システムに与えることにより、支持表面の表面圧力を最適化することができる。表面圧力はまた、高リスク領域にある圧力を解放するべく人を自動的に転がすか又は体位再変更するように調整することができる。
本実装形態によれば、本発明に記載の検知システムは、直接の介護者サポートを必要としない、家庭介護、ナーシング介護、又は外来介護のモニタリングを目的として構成することができる。センサは、人が装着することができて(人の皮膚に付着されるか又は衣類に埋め込まれるかのいずれか)、人の配向/表面圧力分布を絶えず又は周期的のいずれかでモニタリングすることができる。システムが圧力誘因負傷の可能性を検出すると、可聴及び/又は可視アラームを発することができる。アラームは、人に体位/配向を変更する必要性を通知することができる。また、そうする際にアラームは自動的に停止することができる。アラームは、人の体位再変更自体が十分な場合にのみ停止するようプログラムすることができる。本明細書に記載の一実施形態においてアラームシステムは、増大する音響又は視覚刺激レベルを有するようプログラムすることができる。例えば、体位再変更が示されていることをシステムが検出すると、低強度の音がシステムによりもたらされる。人が自ら体位再変更をしない場合、当該人が自ら十分に体位再変更を完了するまで当該音の強度を増大させることができる。人が自分自身で体位再変更できない場合、介護者は注意喚起を受けることができる。本明細書に記載の検知システムは、遠隔医療人モニタリングソリューションとして使用することができる。
本明細書に記載の人の配向及び表面圧力モニタリングシステムは、SIDS(乳児突然死症候群)の防止に役立てるべく使用することができる。乳児の体位/配向センサは、乳児が支持表面上で顔を上にして横たわっているか又は顔を下にして横たわっているかを検出することができる。偶発的窒息を防止するべく、乳児を顔を上にして眠るよう推奨が設定される。センサユニットは、乳児又は他の任意の人が伏臥で横たわっている時を介護者に通知するべく使用することができる。センサは、乳児が支持表面に対して予め定義された配向にある時を介護者に通知又は注意喚起することができる。また、例えば電話、無線呼出し機、又はコンピュータシステムを介してデータを介護者に遠隔送信することもできる。本発明の人モニタリングシステムはまた、胸壁の動きの分析により、心拍数、呼吸数、及び呼吸パターンを測定することができる。呼吸数及び/又は呼吸パターンに関する情報を表示し、及び/又は、潜在的に有害な配向の検出の特定性を増大するべく乳児若しくは人の体位/配向と相関づけることができる。人配向センサは、人の皮膚に直接付着するか又はおむつ若しくはパジャマのような衣類に埋め込むことができる。埋め込まれた温度センサはまた、ユーザの皮膚表面温度を決定するべく使用することもできる。検知システムはまた、ユーザの身体位置をモニタリングして、当該ユーザが落下したか、歩行しているか、転がっているか、這っているか等を示すことができる。
センサ300は、人の体位/配向の変化に起因する加速度を検出するのみならず、心拍、呼吸、他の動き等に起因する加速度も検出する。人の体位/配向検出を改善するべく、人の体位/配向の変化によりもたらされるセンサ信号を、呼吸、心拍等を含む他の力によりもたらされる加速度信号から分離することが望ましい。人の体位/配向を決定するには、重力に起因する加速度のみが必要とされる。それにもかかわらず、いくつかの実施形態においては、心拍数、呼吸等の生命徴候をセンサ300によりモニタリングすることが有用であり得る。これは以下で詳細に記載する。人の体位/配向を決定するには、他の発生源に起因する信号をフィルタ除去することが望ましい。これは、低域通過フィルタの使用により達成することができる。典型的に人の向き変更は、センサ300が検知する他の動きと比べてゆっくりだからである。フィルタのためのカットオフ周波数の一例は0.1Hz(正常な呼吸数の下限が約0.2Hzだからである)が、他の周波数を使用することもできる。重力加速力を隔離する他の方法は、いくつかの読みにわたる加速度信号の平均、メジアン、モード、又はこれらのいくつかの組み合わせをとることを含む。当該方法により、高周波数及びランダムであって一定ではない又は周期的な加速力をほぼ除去することができる。1gを超える加速度を与える信号の成分もまたノイズとして除去される。静止しているユーザに対して重力加速度が1gを超える可能性は高くないからである。低周波数の加速度を隔離する付加的な方法は、加速度計の揺動アーム上の慣性質量が、その固有の応答性を高周波数の動きに対しては低減させることを含む。重力に起因する加速力を隔離するべく、加速度計からの生信号400が一以上のフィルタ405を通過する配列が図4に示される。ひとたび適切な信号が隔離されると、410においてのように人の体位/配向が成功裏に決定される。
配向を決定するべくセンサ300を使用する方法を、図5A及び5Bから良好に理解することができる。加速度計が受ける加速力によってユーザの配向が測定されるように、センサがユーザに付着される。多軸加速度計の別個の複数軸はしばしば互いに直交し、これらは図5Bに示される。図5Aに示されるのは、3軸加速度計であって、一軸(この場合x)がユーザの頭部尾部軸沿いに整合され、もう一軸(y)が左右軸沿いに整合され、もう一軸(z)が前後軸沿いに整合される。ユーザの側方から側方への回転は、z及びy配向加速度計によりピックアップされる。ユーザのトレンデレンブルグ及び逆トレンドレンブルグの傾動(頭部からつま先への傾動)は、x及びz配向加速度計によりピックアップされる。したがって、複数の加速度計が検知する2を超える直交軸が冗長となる。しかしながら、当該冗長性は、配向計算を確認すること、及び異なる配向角度のための異なる加速度計を使用してこれらの最も正確な角度領域内で当該加速度計が動作できるようにすることを含むいくつかの目的のために使用することができる。
ユーザが右側へ30度傾動される一例を考えてみる。x軸加速度計沿いの重力加速度成分は変化しない。しかしながら、y軸及びz軸上では変化する。人がフラットに横たわっていると、z軸加速度計は、重力方向と平行な下向き/後ろ向き方向の重力に起因する最大加速度を受ける。y軸加速度計は、重力に対して垂直な最小の重力加速度を受ける。ユーザが右側に傾動すると、z軸加速度計が受ける重力成分が減少し、かつ、y軸加速度計が受ける重力成分が増大する。ユーザが右側へ30度の傾動に到達すると、z軸加速度計は、重力加速度のほぼコサイン(30)gを受ける。この配向において、y軸加速度計は、重力加速度のサイン(30)g=0.5gを受ける。x軸/頭部尾部軸まわりの傾動を含む他の配向に対し、z及びy加速度計は、30が傾動角度に置換される同様の関係に従う。同様に、ユーザがトレンデレンブルグ体位又は逆トレンデレンブルグ体位に傾動されると、z軸加速度計は、重力加速度のほぼコサイン(角度)gを受け、x軸加速度計は重力加速度のサイン(30度)gを受ける。加速度計が受ける重力加速度を知ることにより、傾動角度がわかる。これは、一軸まわりのみの単純な傾動の場合、重力に起因して測定された加速度の重力加速度の大きさに対する比のアークサイン又はアークコサインをとることにより達成することができる。
図6は、ユーザの90度の向き変更を示す3軸加速度計からのサンプルデータを示す。z軸加速度計は最初センサがフラットなとき加速度1gを示し、その後センサが90度になると加速度ほぼ0gを示す。なお、図6において、加速度はgに関する単位ではなく加速度計からの出力である。逆のことがy軸加速度計に対して当てはまる。一軸を超える軸まわりの傾動の場合、複数の加速度計が受ける重力加速度成分は、非傾動状態と比べて低減する。例えば、ユーザが5度だけ逆トレンデレンブルグ体位になる(頭部が足に対して上に傾けられる)と、ここでユーザは、側方から側方へ(すなわちx軸まわりに)傾動され、z軸加速度計は、完全なgではなくコサイン(5度)×gを受ける。ユーザがx軸まわりに傾動されると、z軸加速度測定は引き続きコサイン(5度)の比で減少する。同様に、側方から側方への(x軸まわりの)回転中のy軸に対し、測定されるy軸重力加速度はコサイン(5度)の比で減少する。z軸の任意の傾斜角度に対しては、当該5度を当該傾斜角度に置換して同様の計算が使用される。x軸まわりの回転に対しても同様に、z及びy軸により測定された重力加速度はコサイン(回転角度)の比で減少する。
一般的な使用において、一軸を超える軸まわりの傾動が存在する場合、ユーザはトレンデレンブルグ体位又は逆トレンデレンブルグ体位に傾動され、かつ、x軸まわりに回転される。この場合、上述の技術の使用によりy軸まわりの傾動角度を決定するべく、x軸加速度を使用することができる。この傾動角度はその後、x軸まわりの回転の計算に使用される。当該計算は、上述のように、傾動角度を決定する計算に進む前に、受けた加速度の重力加速度の大きさとの比をコサイン(y軸まわりの傾動角度)で割ることにより行われる。例えば、
arcsin{[(y軸加速度計にて測定された重力加速度)/g]/[cos(y軸まわりの傾動角度)]}=「x軸まわりの傾動角度」
となる。
y軸まわりの傾動角度は、他の手段によっても測定することができる。y軸まわりの傾動はしばしば、支持表面の傾動に関連する。支持表面のこの傾動は、支持表面に対する固定体位に別個の配向センサを配置又は付着させて当該支持表面又はその一部の配向を決定することにより決定することができる。これはまた、支持表面の配向に関する情報をシステムに入力することによっても達成することができる。このデータ収集は、手動により又は(支持表面が配向センサを有しかつ使用可能なフォーマットのデータを出力することができる能力を有する場合)支持表面と直接通信することにより行うことができる
いくつかの実施形態において、所望の精度を達成するには加速度計を較正することが望ましい。較正は、加速度を実数の物理単位で記載することを可能にする定数を決定する。「較正」中、デバイスの生出力は、例えばm/s/s、ft/s/s、g’s等のような物理単位を決定するのに使用され得る適切な定数を決定することにより較正され得る。較正プロセスは、加速度計の、その配向の代表サンプル全体にわたる読みを決定することを含み得る。より正確な加速度データを得るのに使用される較正定数を決定することができる。較正定数を決定する一つの方法は、センサを、加速度が測定される各軸沿いに1g及び-1gの加速度を受けるように配向させることである。当該センサはその後、1g又は-1gの加速度を受けるときの加速度計からの出力が、1g又は-1gの加速度それぞれに関連づけられるように較正される。このプロセスは、センサをエンドユーザに配布する前に行うことができる。または、エンドユーザが、提供され得る説明書又は較正ツールを使用して行うことができる。較正定数は例えば、乗数及びオフセットを、Mが乗数及びOがオフセットとしたときに較正方程式が加速度=(加速度計の読み)×M+Oとなるようにして与えることができる。加速度計のその範囲全体にわたる読みの線形度に応じて、較正方程式は線形方程式以外の形態をとり得る。
加速度計を較正することに加え、少なくともいくつかの実施形態において、センサが配置される人の回転軸に対する加速度計の角度を較正することも役立つ。本発明のセンサの典型的な配置は、胸骨においてである。しかしながら、大抵の人々にとって、胸骨は、基本的には頭骨の中心から足まで垂直に降りるように延びる身体の回転軸に対し、完全に平行というわけではない。むしろ、大抵の人々にとって、胸骨から頸部に向かって下向き傾斜が存在し、この下向き胸角度又はピッチは、恐らくは、回転軸に平行かつ胸骨に接する線に対して測定される50度以上もの大きさで有意に変わり得る。ただし、30度が典型的である。
したがって、ユーザの回転を検出するセンサの精度を改善するべく、加速度計が検出した重力ベクトルをY軸まわりに適切なオフセットだけ回転させるように回転行列を適用することによって、人の下向き胸角度の逆に等しい補正因子又はオフセットを適用することができる。数学的に表現すると、この補正は以下のようになる。
角度θの補正(すなわち下向き傾斜θに対するオフセット)を目的としてプロセッサにおいて行われるプロセスは、コサインθ及びサインθが計算され、生加速度値が加速度計から収集され、加速度値がngx、ngy及びngzを与えるべく正規化され、上述の回転行列が適用される。ここで補正された値が手元にあれば、ユーザの配向、又は配向の変化を決定する残りのプロセスは通常の態様で続く。当業者にとってわかることだが、正規化は回転の前に又は後に行うことができる。いくつかの実施形態において、すべての人に対して固定されたオフセットを適用することが適切である。そのような包括的なオフセットを利用する実施形態においては、オフセット値を控えめに、すなわち小さく、選択することが有利となり得る。胸には浅い角度、又は正の角度さえも有するものがあるからである。さらに一般的に適用可能な実施形態において、固有の人又は他のユーザの実際の胸角度に基づいて補正オフセットを決定することが望ましくなり得る。これは、既知の配向、例えば仰臥位、又は壁に対してのような垂直起立のいずれか、に人を配置することによって行うことができる。センサからの加速度計測定値がその後取得され、その測定値から、既知の配向に対するその固有人の胸角度を計算することができる。
上述のプロセスの一実施形態は、図4Bからわかる。プロセスは420において、補正を適用すべきとの決定から開始する。人固有補正角度が、上述のとおり利用可能であれば、プロセスはステップ425へと進行し、その記憶位置から、典型的には度又はラジアンで表現されてθにより示される補正値が取得される。包括的な補正値が使用される場合、プロセスはステップ420からステップ430へと進行し、包括的な補正値が、その記憶位置から取得される。いずれの場合も、435において補正値θのサイン及びコサインが計算される。未補正の又は生の加速度値もまた、440に示されるように、加速度計(及び必要に応じて信号互換性のための関連処理)又は記憶位置のいずれかから取得される。図4Bに示される例示的実施形態において、加速度値はその後、ステップ445において正規化され、ステップ450において回転行列が適用される。上述のように、回転行列の適用前又は適用後のいずれかに正規化を行うことができる。いずれのアプローチにおいても、455に示されるように、回転行列ステップの正規化された出力が、配向を決定するべくプロセスの残りに与えられる。
いくつかの例において、本発明のセンサは、胸骨に又はその近くに配置されることはなく、その代わりに、人の正中線の短手方向において鎖骨近くに配置される。かかる例において、上述したピッチ補正に加え、ロール補正が望ましい。ロール補正の計算は、上述されたものと類似する。ただし、回転行列はX軸まわりに適用される。さらに、センサが、当該センサ上の標識に従って人に配置されるわけではない場合、ヨー補正も望ましい。一実施形態において、ヨー補正は、加速度計と磁力計との組み合わせによって達成することができる。磁力計は、磁気北位に較正され、又は基準磁石を既知かつ再現可能な位置(例えば人の頭又は足)に、若しくは人の長手方向身体軸に整合するように配置する。
身体の回転軸の一以上に対してセンサを正確に整合することはまた、既存の創傷に過度の圧力を及ぼす配向のような固有体位に人が配置されるべきではない例、又は人が特定体位に維持されるべき例のいずれか関連する。後者の例では、例えば、肺炎進展を被る又はそのリスクにある人は、ベッド頭部(「HOB」)上昇プロトコルを受けることができる。胃から肺への逆流リスクにある人が、院内肺炎(「HAP」)を回避又は解決するべくベッド頭部上昇要求を受ける一つの例示的な群である。機械的人工呼吸又は経管栄養補給を受ける人は他の群であるが、これらの群の間に重複が存在し得る。人工呼吸器を着けている人は、人工呼吸器関連肺炎(「VAP」)のリスクにあり得る。HAP及びVAP双方に対処するべく使用される人頭部上昇プロトコルは典型的に、ベッドの頭部を30度以上上昇させることを提案する。ただし、いくつかの例においては45度以上が推奨される。これによりひいては、人の頭部を対応する角度まで上昇させることが予想される。多くのベッドがアラームを含む一方、当該ベッドの支持表面上の人胴体の体位は、例えば、人が当該ベッドの支持表面の上昇位置から滑り落ちる場合、変わり得る。歴史的に、人の上昇角度は、ベッド頭部の上昇角度から推測されてきたが、正確な評価は、人から直接得られる上昇角度の方であり、ベッドの方ではない。すなわち、HOBプロトコルに対する正確な用語は、関心測定が人の頭部及び胴体の上昇角度であることを良好に反映するには、人頭部(「HOP」)となるかもしれない。以下、HOPは、HOBプロトコルを反映するべく使用されるが、ベッド頭部の角度から人上昇角度を推測することよりもむしろ人上昇角度に基づく。
本発明の一側面において、本明細書に記載のシステムの実施形態は、HOPプロトコルの遵守を確認するべく体位最適化を与えるのに役立ち得る。本発明の実施形態は、人の実際の体位を検出することにより、当該人の胴体が上昇プロトコルに従って上昇されることを確認することができる。図2A及び2Bに関して上述したように、加速度計は、人の体位及び配向を自動的に決定する。これには、胴体の上昇が含まれる。図2Bに示されたように行われるチェックの代わりに又はそのチェックに加え、胴体の上昇角度に対してもチェックが行われる。人のHOP角度が、定義されたしきい値、例えば、介護者により適切とみなされる30度未満又は何らかの他の値、から外れると、体位最適化システムは、一以上の注意喚起を介護者に与える。注意喚起は、体位しきい値が違反されるとすぐに、又は次善の体位で所定時間量が経過した後に、発行されるように構成することができる。それに加え、注意喚起通知のタイミングは、体位の違反程度に基づいてよい。例えば、人が体位変更パラメータを1度だけ超過すると、注意喚起通知はすぐに発行されず又は全く発行されず、又は補正体位に戻る機会を当該人に与えるべく延長された時間の後に発行され得る。人に注意喚起の発行なしに変更を行う機会を許容することは、アラームの疲労を回避するのに役立ち得る。しかしながら、人が予想される上昇パラメータから、例えば20度だけ変わると、体位違反の深刻度により、注意喚起が即時に、又は軽度の違反よりも短い時間の後に、発行され得るようになる。自動的に又は介護者により行われる固有人の状況の評価は、遵守の必要性のレベルを評価するべく使用することができ、又は遵守の必要性は、予め決定された特性に基づき得る。
重要なことであるが、体位変更の目標がHAP/VAP予防とHAPU(院内褥瘡)予防との間で矛盾することがある。HAP/VAPガイドラインとは対照的に、褥瘡ガイドラインは、仙骨領域に過剰な圧力がかからないように、ベッド頭部角度を30°未満に維持することを提案している。HAP/VAP及びHAPUの双方のリスクにある人にとって、矛盾する目的のバランスをとることにより、最適な体位を、HOPプロトコルにとって容認できる上昇範囲の下限とし得る。例えば、褥瘡向き変更プロトコルとHOPプロトコルとの間の妥協点を、30度ぴったりとし得る。
HOP(すなわち「人頭部」)角度が定義されたしきい値から外れる場合に注意喚起を与えることに加え、体位最適化システムは、体位再変更スケジュールをHOP角度の関数としてインテリジェントに最適化することもできる。例えば、HOP角度が増加するとシステムは、向き変更インターバルを自動的に増加又は減少させることができる。向き変更インターバルをHOP角度の関数として改変することに加え、システムは、向き変更パラメータのいずれか又はすべてを、HOP角度又はHOP角度変化の関数として自動的に調節することができる。例えば、システムは、向き変更として認定するのに必要な短手方向向き変更角度しきい値を増加若しくは減少させることができ、並びに/又は、組織減圧時間パラメータを増加若しくは減少させることができ、さらに他のパラメータを調節して直立角度に基づいて短手方向回転を最適化するのに役立てることができる。例えば、システムは、人の特定配向のための最大持続時間(例えば、特定配向における一つの先行期間中の最大値、若しくは特定配向における複数期間の各持続時間を含む最大積算持続時間)を、決定された胴体傾斜角度の関数として増加又は減少させることができ、又は、解放配向のままである最小減圧/解放持続時間、若しくは配向変化に対する最小頻度を、決定された胴体傾斜角度の関数として増加若しくは減少させることができる。
加速度計の所望配向範囲全体にわたる較正により、正確な配向測定が可能となり得る。各タイプの加速度計又は各個別の加速度計を、所望の精度レベルに応じて試験かつ較正することができる。加速度計データ対実際の測定角度に基づいて計算された角度のプロットを、当該計算の精度を改善するべくその後使用され得る回帰をもたらすようにして使用することができる。ひとたび回帰が行われると、配向の計算は当該回帰からのデータを使用して行うことができる。生理学的心拍数は、大まかにいえば、約30から350bpmの範囲を有する。このため、心臓の鼓動からの加速度信号を隔離すると、この範囲内又は同様の周波数範囲内の信号を選択して見ることができる。この範囲より高い及び低い周波数を有する信号を減衰させるべく帯域通過フィルタを使用することができる。心臓の鼓動に起因する加速力は、静止しているユーザが受ける他の加速力と比べて大きくなり得るので、合理的な精度をもって心拍数を検出するのに当該データを著しくフィルタリングする必要性は存在しない。心拍数は、正常な振幅よりも高いか、又は所定周波数よりも高い信号を減衰させるべく低域通過フィルタが使用可能な、周期的信号を探すことにより検出することができる。例えば、約6Hz(すなわち350bpm)よりも高い周波数を減衰させることができる。当該減衰を変更するか又は帯域通過周波数を変更(シフト、狭小化、拡大化等)することにより、フィルタリング量を増大又は低減することもできる。例えば、静止している人に対し、最も一般的な周波数範囲は35~120bpmである。この範囲をカバーする帯域通過フィルタは、ほとんどの場合に対して有用である。あまり一般的ではない心拍数に適合させるには、異なる利得をもって付加されるか又は別個に分析される別個の幅広い又はシフトされたフィルタを有することにより、他の周波数をキャプチャすることができる。同様に周波数範囲を増大させるには、減衰を却下することもできる。タイトな帯域通過フィルタ(例えば、狭小な周波数範囲をカバーするか又は大きな減衰を有する等)はクリーンな信号を与えることができる。例えばバターワースフィルタを使用することができるが、他の多くのタイプのフィルタも使用することができる。
フィルタリングの質は、信号が小さいか又はノイズが大きい場合に重要となる。このことが生じるいくつかの例は、センサが心臓の近くでないところに(例えば骨盤領域に)配置されている場合、ユーザがセンサと心臓又は動脈との間に介在する多くの物質(例えば皮膚、脂肪、衣服のような無機材料等)を有している場合、又は脈拍が弱い(例えば障害性心臓収縮又は低血圧/脈圧)場合を含む。当該場合には、フィルタリングが重要となって、フィルタを改善する上述の方法が心拍数を隔離するべく必要とされる。脈拍数及び心拍数の検出を改善するべく最適なセンサの配置は、心臓(又は主要動脈)に密に近接していることである。胸、特に胸骨の近く、にセンサを配置することは、心拍数検出にとって最適である。大動脈等の大きな動脈に近い位置にセンサを配置することは、心臓から離れた位置では心拍数検出にとって良好なセンサ配置である。
図5Aに示されるようにセンサが3軸配向で配置される場合、心拍数(及び呼吸数)は主にz軸加速度計により検知される。心拍数又は呼吸数検出を意図するセンサを位置決めするとき、信号の質は、ほぼ前後軸(又は上述で示されるz軸)に少なくとも一つの加速器が配置されている場合に改善される。
所定の場合には、以下の場合を追跡し続けることが有用となり得る。
・心拍数(HR)が所定しきい値よりも高い場合、
・HRが所定しきい値よりも低い場合、
・HRが急変する場合、
・HRが不規則である場合、
・加速度の大きさが急変するか又は所定しきい値よりも高い速度にある場合、
・加速度の大きさが急変するか又は所定しきい値よりも高い速度にある場合、
・加速度センサにより検出される心拍数が電気信号センサにより検出される心拍数と異なる場合。
これは、心臓からの電気信号が存在するが機械的な心臓の鼓動が存在しないか又は不規則である心室細動の場合に重要となり得る。当該場合に加速度計データは、EKGデータのための信号検出器がセンサ300の外部又は内部のいずれかに存在するとき、EKGデータと対比することができる。
心臓の機械的活動及び/又は電気的活動を検出することは、上述のように、例えば頻脈、徐脈、不整脈、心臓発作、無脈性電気活動(PEA)、心不全等のような異常な生理学的状況の表示を与えることができる。
人の呼吸数を検知することはまた、本発明のいくつかの実施形態においても望ましい。生理学的な呼吸数は、大まかにいえば、約3から100bpmの範囲を有する。呼吸からもたらされる加速度信号を隔離する場合、少なくともいくつかの実施形態に対しては、この範囲内又は同様の周波数範囲内の信号を選択して見ることが望ましい。心拍数に関しては、この範囲より高い及び低い周波数を有する信号を減衰させるべく帯域通過フィルタを使用することができる。呼吸からもたらされる加速力は、特に静止中の呼吸に関しては、心拍数に対して小さいことが多い。したがって、フィルタリングが望ましいこととなり得る。基本的な帯域通過フィルタを超えてフィルタリングを改善する方法は、実施形態にとって適切であれば実装することができる。これは、例えば、帯域を5から30呼吸/分まで狭小化することを含む。この範囲をカバーする帯域通過フィルタは、大抵の状況に対して有用であり得る。他の問題は、生理学的な呼吸及び心拍数に対する範囲が重なる点にある。心拍数が通常呼吸数よりも高いという事実を利用することができる。狭小化された帯域通過フィルタは、所望の差異化を達成することができる。フィルタリングはまた、まず心拍数を検出してその後フィルタを、心拍数よりも低い高域カットオフを有するように調節して適応させることもできる。心拍数に関しては、タイトな帯域通過フィルタがクリーンな信号もたらすことができる。再びであるが、様々な容認できる帯域通過フィルタのうち、バターワースフィルタを使用することができる。
所定の場合には、人の呼吸数を追跡し続けることが有用となり得る。例えば、
・呼吸数(BR)が所定しきい値よりも高い場合、
・BRが所定しきい値よりも低い場合、
・これが急変する場合、
・これが薬物の投与と関連づけられている場合、
・これが不規則である場合、
・加速度の大きさが所定しきい値よりも高いか又は低い場合、
・加速度の大きさが急変するか又は所定しきい値よりも高い速度にある場合、
・心拍数が呼吸数よりも低い場合、
・例えばチェーンストークス呼吸のような所定の呼吸パターンの場合である。
上述のように呼吸数及び呼吸パターンを検出することは、例えば頻呼吸、低換気、チェーンストークス(脳卒中、脳損傷、脳症、心不全)等のような異常な生理学的状況の表示を与えることができる。
人は自分自身で動き得るので、その活動レベル又はこれの欠如を決定することが有用となり得る。この信号を他の生理学的信号から隔離することが重要である。一般に、ユーザの正常な自発的動きに起因する加速度成分が存在する。当該動きの大きさは、呼吸、心拍、及び脈拍に起因する加速度よりも大きいものとなり得る。ユーザの動きに基づく加速度を隔離する一つの方法は、呼吸及び心拍/脈拍に起因すると予想される大きさを超える大きさの加速度を隔離することである。この大きさのしきい値は、心拍、脈拍、及び呼吸に起因する生理学的に正常な加速度に基づいて予めプログラムすることができる。当該しきい値はまた、人が静止していると決定される時と同時に又は他の時のいずれかにおいて、ユーザにて測定された加速度から直接測定することもできる。動きに基づく加速度信号を隔離する他の方法は、フィルタリングされた心拍数及び呼吸の信号を初期信号から差し引くことである。
ユーザは、例えば機械類に起因する環境ノイズを受け得る。褥瘡のリスクがある多くの人は、「交替圧力」マットレス上に置かれる。当該マットレスは、その圧力を独立的に調節する一連の個別空気列を有するので、人の下を移動する減圧波をもたらす。当該波は、非常に遅く移動し得るが、説明を必要とする人のわずかな動きをもたらし得る。当該ノイズ及び任意の他の環境ノイズをフィルタ除去するアルゴリズムは当業者にとって簡単であって、本明細書に教示が与えられる。環境ノイズはまた、電気的干渉等にも起因し得る。望ましくない環境ノイズ源は、近くの電気的又は機械的機器、建物のHVAC等の基幹施設システム、及び/又は他の人間活動を含む。
動きに基づく加速度検知は、人の活動レベルをモニタリングして活動を促進するか又は活動を思いとどまらせるべく使用することができる。これはまた、例えばブレーデンスケールの要素(すなわち可動性、活動性、ずれの力等)のいくつかを決定するためのチャート作成を目的として、活動性を自動的に決定するべく使用することもできる。
加速度計からの信号について、他の信号分析を行うこともできる。心拍/脈拍に起因する加速度の波形全体は、呼吸に含まれる加速度に対する波形と同様に知られている。信号分析は、加速度信号の波形を、例えばその発生源又は異なる生理学的状況との関連性のような多くの情報を当該信号から得るように分析するべく使用することができる。例えば、呼吸に対する波形は心拍又は脈拍に対する波形とは異なる。すなわち、波形及び/又は周波数は、心拍数(HR)及び呼吸数(BR)を隔離/識別するのに役立つように使用することができる。人が向きを変える波形も識別することができる。加えて、心拍/脈拍の加速度波形内には、当該波形に影響を与える異なる生理学的状況が存在する。例えば、正常な心拍と心室細動とでは波形が異なる。このようにして波形の変化又は異常な波形を検出することができる。これは呼吸に対しても同様に当てはまる。アルゴリズムはまた、ユーザの正常状態から学習して、正常なHR及びBRの範囲並びに特定のユーザに対する正常波形を良好に識別するのに役立てることができる。このことは、これらのいずれかが大きく変化する場合に有用である。このアルゴリズムはまた、一のユーザ又は複数のユーザからの多くのデータセットから学習してその精度及び精密性を改善することもできる。
図7は、上述のプロセスを説明し、配向、心拍数、呼吸数、及び動きのデータを初期加速度計信号から隔離するべく使用されるフィルタ、並びに当該フィルタが学習することができる経路を示す。詳しくは、一実施形態において、重力加速力を隔離するフィルタ705、心拍/脈拍加速力を隔離するフィルタ710、呼吸加速力を隔離するフィルタ715、及び動きに起因する加速力を隔離するフィルタ720を含む4つの並列フィルタ705から720の一セットが加速度計からの信号700を受信する。動き及び配向に加え、例えば落下のような他の特徴的な加速事象を検出するべく加速度測定を使用することもできる。ブロック725において心拍数出力が、呼吸数フィルタに対して高域カットオフを与えるべく使用され、ブロック725からフィルタ715に送られる。同様にして、フィルタ720に送られるブロック730に示されるように、動きを隔離するべく心拍数及び呼吸数を差し引くことができる。
次に図8を参照すると、図7のフィルタの一つを詳細に理解できる。加速度計信号800が低域通過フィルタ805に与えられ、最小生理学的呼吸数を下回るカットオフにより、810に示される配向が隔離される。心拍数を隔離するには、信号800が、820に示される心拍数の生理学的範囲を有するか又は心拍数出力をもたらすサブセットをカットオフとして有する帯域通過フィルタ815に送られる。加えて、心拍数データはブロック825を介して帯域通過フィルタ830に送られる。帯域通過フィルタ830はまた、信号800を受信して、835に示される呼吸数を隔離する。これは、呼吸数に対する高域カットオフとして心拍数を使用することを含む。また、振幅しきい値ブロック840が信号800を受信して、ブロック845に示される活動性及び可動性レベルを隔離する。
人の生命徴候が体位変更により影響を受け得る場合が存在する。本明細書に記載の体位/配向センサは、実時間で人の生命徴候に相関させることができる。体位/配向センサからのデータは、標準のモダリティ(EKG、血圧カフ、動脈拍動触診脈拍の用手的計数、呼吸の用手的計数等)を介して得られる生命徴候測定値と相関させることができる。体位/配向センサからのデータはまた、人の体位/配向及び生命徴候双方を決定することができる一つのセンサを使用して生命徴候と相関させることができる。一実装形態において、人に配置された加速度計が人の体位/配向並びに心拍数及び呼吸数を決定することができる。検知システムが、体位/配向の変化に関連づけられている心拍数の劇的な変化を検出すると、介護者は、人が起立性低血圧かもしれない旨の通知を受けることができる。起立性低血圧の人は一般に、心拍数の急速な加速度(通常20bpmを超える増加)に関連づけられる起立時の血圧低下を経験する。実際、多くの状況(すなわち、起立性低血圧、自律神経機能障害、体位性頻脈症候群等)の診断を、人が傾動するプラットホーム上に置かれて生命徴候がモニタリングされる傾動テーブルテストの使用により支援することができる。
人の生命徴候が体位によって影響を受ける他の例も存在する。例えば、鬱血性心不全(CHF)の人がフラットに横たわっている場合、呼吸数の増大が現れる呼吸困難が発症し得る。同様に、病的肥満又は閉塞性睡眠時無呼吸の人は、フラットに横たわっている(胸及び首まわりの脂肪に起因する過剰な重量が呼吸の仕事量を増大させる)場合、呼吸困難が発症し得る。当該人の呼吸パターンは姿勢変更に基づいて変化し得る。一実装形態において、人に配置された加速度計が、人の体位/配向及び呼吸数の双方を測定することができる。検知システムが、体位/配向の変化に関連づけられている呼吸数の変化を検出すると、介護者は通知を受けてさらなる精密検査を開始することができる。
体位により影響を受ける状況がモニタリングシステムに入力される。例えば、特定の人が、重篤な起座呼吸をもたらす鬱血性心不全(CHF)である場合、当該状況がシステムに入力され、向きを変える推奨によって、人の頭/胸を一日中30度上げたままとすることができる(CHFの人は、仰臥で横たわっているときに生じる過剰な流体負荷に対処することができないので、フラットに横たわっている場合は呼吸が短くなる)。その結果、人の頭/胸が一日中上げられ(これにより仙骨に与えられる圧力が増大し)、システムはその後、向きを変える頻度を増大させる等の推奨を行い仙骨潰瘍の予防に役立てることができる。人の任意の状況(すなわち麻痺、切断、負傷、糖尿病、食欲不振、肥満等)をシステムにおいて定義することができる。
人の呼吸パターン及び心拍数の検知を、センサが人に適切に付着されているか否かを決定するべくどのようにして使用できるかがこれまで本明細書に記載されてきた。
同様に、センサが人に適切に付着されているか否かを決定するべく、身体の電気的活動、インピーダンス、又は抵抗の測定が可能な電極又は容量センサも使用することができる。センサが人に適切に固定されているか否かを決定するべく温度計も使用することができる。皮膚表面温度の読みが予想皮膚温度に十分近い場合、センサは人に付着されているとみなすことができる。同様に、皮膚表面温度の突然の変化が検出されると、センサが人との連続性を失ったと推測することができる。
センサユニットが人に適切に付着されているか否かを決定するべく使用することができる他の技術は、検知ユニット回路内の導体に付着されるタブである。ユニットが人に付着された後、当該ユニットが引き続き取り除かれると、タブが分離して、例えば抵抗を変化させることによって回路を測定可能な態様で変更する。これにより、検知ユニットは人から取り除かれたことを知り、この情報をホスト等のリーダーに送ることができる。いくつかの配列において、タブはまた、付着性化合物又は熱活性接着物質の違いにより人に強い強度で付着することができる。
センサユニットは、人のいずれかの場所に配置されると自動的に動作するように配向することができる。当該介護において、配向とは、重力に対して又は人に対して加速度計の方向を決定することを意味する。「配向」の間、加速度計の方向は、3軸の加速度を測定することにより、デバイスが当該3軸それぞれの回転軸で回転する際、重力に対して決定することができる。いくつかの配置は、胸骨の切り欠き又は胸骨若しくは上前腸骨棘(ASIS)の剣状突起とすることができる。センサユニットはまた、人の任意の場所に配置され得るか又は人に対して配向され得る。このアプローチを使用する一実施形態において、人は、所定位置のセンサユニットを有して仰臥で横たわる。リーダユニットのボタン、センサ自体、遠隔コントローラ、又はコンピュータインタフェイスが、ひとたび人が仰臥になると押されるか又は指令を送り、リーダユニットはその後、センサユニットからの読みを仰臥位に関連づける。すなわち、センサユニットは、人に対する任意角度で配置することができ、それに従ってシステムを配向することができる。人が仰臥にある旨のシステムへの信号は、音声アクティベーション等を含む任意数の形態をとり得る。
異なる体型の人への使用に対して異なるセンサを予め較正することができる。例えば、固有の識別子を有するセンサを特定のBMIを有する人に配置することができる。このようにして、システムは、当該センサから固有の識別子を検出し、特定のBMIの人に対してモニタリングシステムを自動的に較正する。
同様に、支持表面に配置されるセンサは、異なる特性の支持表面での使用に対して予め較正することができる。例えば、固有の識別子を有するセンサを、特定の表面圧力プロファイル(すなわち乾燥圧力、空気圧力、空気流動化等)を有する支持表面上に配置することができる。このようにして、システムは、当該センサからの固有の識別子を検出し、特定の表面圧力プロファイルの支持表面に対してモニタリングシステムを自動的に較正する。
少なくともいくつかの実施形態において、検知システムは、介護者による任意の付加的な操作を必要としないように構成される。上述のように、センサは、その接着性裏貼りが除去されると自動的にアクティブになることができる。接着性裏貼りの除去により、センサ回路のアクティベーションが可能となり、これゆえに当該ユニットに搭載されている電池の放電が可能となる。電力を節約するべく、センサは加速度データをローカルに記憶しておき、この情報を一の又は複数の受信ステーションへ予め定義されたインターバルで送信することができる。使い捨て可能なセンサユニットは、例えば数日又は数週のような長期間にわたり加速度データを送信することができるように構成することができる。
センサユニットは、パッケージにあるときは電力を消費しない(又は少なくとも極小電力にある)ように構成することができる。いくつかの実施形態において、センサユニットは、人に配置される直前にアクティブになる。代替的に、送受信器から受信される信号がセンサユニットをアクティブにするべく機能することができる。アクティベーション信号の一つのタイプは、当該ユニットに送信されるRF信号であり得る。センサユニットが受動RFユニットでなければ、当該ユニットは一時的に、アクティベーションされる前の受動タグとして動作し、受信信号により電力を受けることができる。他の代替例として、受動的に信号を受信する能力を有する受動タグ又はRF受信器/送受信器が、センサの一部として最初に含まれ、センサに蓄積されたエネルギーを使用することなくセンサが信号を受信することができるように使用され得る。この信号はセンサをアクティブにするべく使用される。検知ユニットのサイズを低減して当該受動受信器/送受信器アンテナを大きくする方法として、受動タグはその後、アクティベーション直後に除去することができる。
一実施形態における呼吸数、心拍数、及び/又は温度のような生理学的変数を検知するユニットに対し、リーダは、生理学的値が測定されると予想される前に、アクティベーション後の所定期間(数秒、数分、又は数時間)を得ることができる。これにより、システムが生理学的データを受信すると予想する前にセンサを人に付着する時間が得られる。他の変形例は、ユニット上のスイッチによりアクティブにされるセンサを有する。
センサ300の人への適切な配置は少なくともいくつかの実施形態において重要である。少なくともいくつかの実施形態において、センサは、当該センサが人に対して動く可能性がないように人に配置される。一実施形態において、センサは、標準EKGリード線のために使用されるものと類似し得る接着性パッチを使用して皮膚に直接接着されるが、他の例では、センサは、当該センサの交換を可能とする一方で人の皮膚を保護するように接着性裏貼りから除去され得る。
センサは、後胸郭、骨盤、上大腿部、又は肩に配置されるのが理想的である。理想的な使用では、センサとユーザの骨盤との間に相対的な動きはほとんど存在しない。これにより、ユーザの骨盤の配向をほぼ決定することができる。一実施形態において、センサは、当該センサの配向が人の骨盤及び/又は胸郭の配向に近似する身体上位置に配置する必要がある。
人の骨盤及び/又は胸郭の配向を知ることにより、他の身体構造物にわたる表面圧力分布を推定することができる。例えば、人が完全に仰臥位にあると決定される場合、表面圧力が人の仙骨及び坐骨に加わっていることがわかる。しかしながら、人の配向、及び異なる身体構造物間に存在する既知の解剖学的関係に基づいて、後頭部、ひじ、及びかかとのような構造物も圧力を受けていることが推測できる。その後、人が左側臥位に向き変更すると、表面圧力が、人の左腰、並びに左肩、左ひじ、左後頭部、及び左外側くるぶしのような他の身体構造物に移行したと決定することができる。
人の骨盤が左側臥位にあると決定される場合、表面圧力が人の右腰、右後頭部、右ひじ、右肩、右外側くるぶしに加わっている可能性は極めて低い(不可能でなければ)。圧力がこれらの位置に加わらないようにする異なる身体部分間に存在する解剖学的関係がある。このように、骨盤又は胸郭のような一以上の身体構造物の既知の配向に基づいて、人の全体的な表面圧力分布マップを推定することができる。
少なくともいくつかの実施形態において、センサは四肢又は頭に配置しないのが好ましい。四肢の配向は骨盤/胸郭の配向に常に近似するわけではないからである。主な関心が骨盤領域以外の位置における褥瘡の予防及び管理に向けられている場合、配置する位置は異なり得る。例えば、人が右かかとに褥瘡を有する場合、センサは、影響を受ける領域の配向及び表面圧力分布を良好に近似かつモニタリングするべく右足、足首、若しくは下肢に又はこれらの近くに配置することができる。一実施形態において、センサは、転がりやすい位置に配置すべきではない。
ユーザの配向を正確に決定するには、少なくともいくつかの実施形態において、人に対するセンサの配向を知ることが重要である。著しい訓練を必要とせずに人に対するセンサの適切な配向を促すべく、指標マークをセンサ300上に与えることができる。当該指標マークは、センサがどの方向に配向されるべきか(例えばセンサ頂部が人の頭を向く)又は人のどこにセンサが配置されるべきかを含むがこれらに限られない情報を与えることができる。指標マークの例は、図9に説明される異なるセンサ900A~900Eに示される。これらは、2つの900C-Dを含む。センサが配置されるべき位置、及びセンサ上の人間画像の配向をユーザに整合させるべき位置(すなわち画像及びユーザで同じ方向に頭を向いていること)を示す十字線が人間の表示上にある。図9の3つの他の例は、矢印、「頭」のラベル付き矢印、及び人間画像表示を含む所望のセンサ配向を単純に示すためのものである。一実施形態において、人に対するセンサの配向が決定されて、人の相対的表面圧力分布が正確に決定される。身体上の識別可能なランドマークに対して及び当該ランドマークに相対的に配向してセンサを配置するのに十分かつ単純な指示又は標識が存在する限り、当該ランドマークが胸骨、へそ、上前腸骨棘(ASIS)、脊椎、脚等のいずれであっても、標識は頭を参照する必要がない。標識は、センサ上のマーク、センサ自体の形状、センサの異なる部分に使用される異なる材料若しくは色、又はセンサの非対称性を含み得るがこれらに限られない。センサ又は接着性裏貼りの形状はまた、固有配向にある身体の固有領域に適切にフィット又は一致するようにできる。センサは、人が装着する物品に組み入れて当該物品が装着されるとセンサが適切な位置及び配向となるようにすることができる。
一実施形態において、例えば身体中の生体電気信号を検知することにより、センサ300の配向を自動的に決定することができる。良好に理解されているのは、電気的インパルスが明確なパターンで心臓から伝播するということである。身体は検出可能な既知のかつ明確な極性を有する。次に図10を参照すると、センサ1000に当該センサの外表面まわりに周方向に位置決めされた複数の生体電気センサ1005を設けることにより、当該複数の生体電気センサを、電気伝播の平均方向を検出するべく使用することができる。または、当該センサ自体又は当該遠隔ホストは、当該中心に対するセンサ1000の配向を識別するべく当該データを処理することができる。当該配列において、センサ1000は、胸郭/骨盤上の実質的に任意の位置に(及び任意の配向で)人に配置することができる。センサは人に対するその配向を自動的に決定することができる。
さらに図10を参照すると、センサは電極間の電気信号をピックアップする。当該電極は、黒丸で示される共通電極1010を基準として白丸で示され、当該センサ位置における身体電気信号のベクトルへの依存性により、人に対するその配向を決定することができる。異なる電極からの信号の大きさ(平均の又は統合された大きさであり得る)が、当該ベクトルの方向の表示を与える。例えば、電極の一つからの信号の大きさが残りよりも大きい場合、ベクトルは、その電極と共通電極とが交差する線の方向に最も近いと決定することができる。ベクトルはまた、検出信号の最大の大きさを有する2つの電極間の方向にあると決定することもできる。電極で検出される信号は正又は負であり得るので、複数の電極は、360度範囲内のベクトル方向を決定するべく、約180度の、例えばほぼ半円の、スパンのみを必要とする。これにより、デバイスごとに必要とされる電極数並びに検知入力数及び/又はA/Dコンバータ入力数が低減される。
電極数を低減する代替的な方法は、図11に示されるような、既知角度(90度が一つの例示的実装形態である)で離間する2つの電極検知ベクトルを使用することである。それぞれで検出される生体電気信号の大きさに基づいて、ベクトル方向を決定することができる。これは、センサ1015が電極1020及び共通電極1025を含む図10において説明される。
代替的に、センサのビルトイン加速度計を使用して、呼吸及び心臓活動に起因する身体の正常な生理学的動きを検出することができる。心臓及び肺は胸郭の動きをもたらし、当該動きは、特徴的な軌跡を有する。心臓及び呼吸器活動の胸郭の動きの軌跡を分析することにより、人に対する検知ユニットの配向を知ることができる。
自己又は自動較正のためのさらに異なる代替例として、システムは、人体の正常な動きから既知の及び予想されるもの範囲を外れる任意の加速度を識別することができる。加速度計が人に正しく配置されていないと、人が転がる場合、正常な身体の動きに合わない態様で動くように現れる。これが当てはまる場合、介護者は、センサが人に適切に配置されていることを確認するよう注意喚起を受けることができる。代替的にシステムは、可能な人の動きの範囲を知り当該情報をセンサからのデータに相関させることにより、ある程度まで自身を自動的に再較正することができる。介護者はまた、自分がどの方向に人の向きを変えたかに関する入力をシステムに与えることができる。その後、学習アルゴリズムが、配向センサを較正するべく使用される。
システムは、人の向き変更を調整して向き変更プロトコルの遵守を文書化するべく使用されるので、少なくともいくつかの実施形態において、センサが人に対して適切に付着されていることを確認できることが重要である。センサは、適切に配置されている場合に固有の生理学的パラメータを検出することができる。生理学的パラメータの信号が突然なくなることは、センサがもはや人に適切に配置されていないこと又は人が深刻な事象を有していることを示す。例えば、一実施形態において、センサは皮膚のキャパシタンスを検出することができる。検出されるキャパシタンスが突然変化する場合、センサが人との連続性を失っていると決定することができる。センサが人から除去されていると決定される場合、センサをロックアウトし及び無機能にすることができる。これにより、センサの偶発的な又は不正な操作の任意のリスクが回避される。
加えて、各センサには、固有の識別子を割り当てることができる。一実施形態において、各センサは、例えばスキャン等の電子データ入力によって特定の人にリンクすることができる。エラーのある読みを回避することとは別にして、これは、図1に示される一つのモニタリングシステムが複数のセンサをモニタリングすることを可能とする。
多くの場合、センサデータを所定の人に関連づけることが重要である。これは、一を超える人が存在する介護設定に当てはまる。また、人からのデータを記憶かつ識別するか又は人に関連づける必要がある一人者の設定にも当てはまる。異なる介護設定の必要性は、どのようにしてシステムからのデータを人/ユーザに結合したいかという点で変わる。一つの可能な使用シナリオにおいて、介護施設は、当該人データを、例えば診療録番号(MRN)のような十分に固有な人識別子と結合したいと考える。他の識別子は、名前、誕生日、部屋番号/ベッド番号等を含むことができる。
介護施設がデータを診療録番号(MRN)に関連づけたいと思う場合は、当該関連づけを行うことができる方法がいくつか存在する。一方法では、ユーザがMRNを本発明のシステムに入力する。その後システムは、データをMRNとともに送信するか又は必要に応じてデータと関連づけられたMRNを求めるポーリングを受けることができる。
システムはまた、所与のセンサ又はセンサ群からのデータに固有識別子を割り当てることもできる。この固有識別子は、介護施設が使用する人の固有識別子とは異なり得る。固有識別子はまた、受信したデータがどのセンサから来たかを区別するべくシステムが使用する、センサ自体に関連づけられた十分に固有な識別子であり得る。その後介護施設は、システムからの固有識別子を、例えば別個のコンピュータシステムにおいて、別個に人の識別子と関連づけることができる。
MRNをセンサと容易に関連づける一方法は、ユーザ/介護者が、人におけるスキャン可能な識別ユニット(例えばバーコード付きブレスレット又はRFID)からの又は他の発生源(例えばチャート、ステッカー、ベッド等)からのMRNをスキャンすることであり得る。センサはまた、その識別子を求めるスキャン又はポーリングを受けることもできる。人識別子及びセンサ識別子は、エラー尤度を低減するべくベッド脇において人と自動的に結合することができる。一実施形態において、スキャンシステムは本発明の一部を形成し、RFリーダ、バーコードリーダ、又は視覚テキスト認識システムからなり得るがこれらに限られない。センサ自体は、人識別子用スキャナを含み、その後当該情報をホストシステムに送信する。
結合プロセスの間、システムは、どの一のセンサ又は複数のセンサが人識別子に結合されているのかを知る必要がある。センサの通信範囲は、所望の一の又は複数のセンサ以外の複数のセンサが範囲内にあることを意味する。正しいセンサを関連づける一方法は、使用されている固有のセンサを読み取る近距離RFリーダを有することである。ユーザ/介護者は、正しいセンサにおいてスキャンするべくハンドヘルド近距離リーダを使用することができる。近距離リーダはまた、当該部屋の中のベースステーションリーダ上に存在し得る。ユーザ/介護者は、センサ及び人識別子の結合を行う場合、所望の一の又は複数のセンサを当該近距離リーダに密に近接して保持することができる。近距離リーダはまた、センサデータを受信するリーダと同じリーダであり得るが、近距離リードモードに置かれる。近距離リードモードは、リーダの送信パワーを低減すること又は受信信号パワーの受信通信用しきい値を上げることによって達成できる。ユーザ/介護者は、当該リーダの近距離リードモードをボタン等の手段によりアクティブにすることができる。当該結合はまた、センサがアクティブである場合に生じる。
一使用例において、介護者はまず、バーコードスキャナを含むハンドヘルドスキャナで人のブレスレットをスキャンする。人の固有識別子は、システムに読み込まれる。その後システムは、センサがスキャンされるように促す。介護者は、ハンドヘルドスキャナにより一以上のセンサをスキャンする。当該ハンドヘルドスキャナもまた近距離RFリーダを含む。その後システムは、人の識別子とセンサの識別子を結合する。
例えば氏名、誕生日、部屋、ベッド等のようなMRN以外の識別子のために、上述と同じ方法を使用することができる。
部屋又はベッドの場合、ベースステーションは、信号強度から又はその読みの範囲から、どのベッド又は部屋に当該センサが存在しているのかを決定することができる。例えば、ベースステーションは、部屋の中又は固有のベッドからのセンサからのみデータを受信するのに十分な読みの範囲を有する。ベースステーションリーダの指向性もまた、センサの位置を決定するべく使用することができる。この指向性は、指向性が大きなアンテナにより達成することができる。ベースステーションごとに一以上の人が存在する設定において、一以上のアンテナを使用することができる。一つのアンテナが、通信ごとにその方向を変えることができる。ユーザ/介護者は、インジケータがアンテナの方向を示すことができるベースユニットにおいて、アンテナが向いている方向又はその最大利得の方向を変えることができる。その後システムは、ベッド又は部屋の番号をセンサ又はセンサ群からのデータと関連づけることができる。固有の部屋又はベッドに対する一の又は複数のセンサのこの結合は、どの人がどのセンサによりモニタリングされているかを所与の介護施設が決定するのに十分である。
本発明のモニタリングシステムは、人に対する相対的な表面圧力分布データを追跡、記録、及び表示し、人の体位再変更をいつするべきと示されているかを介護者に注意喚起することができる。配向センサは(可視指標及び自動配向機構を使用して)人に対して既知の配向に配置されているので、システムには、いつ当該身体の固有領域に圧力が加えられているのかを知る能力がある。システムはまた、圧力が当該身体の固有領域に加えられてきた時間の積算量を決定することができる。これにより、当該身体の固有領域に対する圧力投与が計算される。システムは、人の身体の固有領域における圧力投与をモニタリングし、この情報を人の体位再変更の必要性を決定するべく使用することができる。システムは、この情報を使用して、必要な頻度ではあるが必要を超えない頻度で人が向きを変えることを保証するのに役立てることができる。加えてシステムは、人の身体の固有領域における圧力投与を分析することによって、及び低い圧力投与を有する身体の領域に対して人が優先的に体位再変更できる体位再変更操作を提案することによって、人の体位再変更をする最適な方向を提案することができる。
なおもさらに、システムは、人が自身で向きを変えることをいつ開始するか又は向きを変えることが介護者により開始されるか否かを自動的に検出することができる。この側面の一実施形態において、介護者のバッジ上のRFIDタグが、人上の配向センサにより又は人の近くに存在するベースステーションにより、認識されるように構成される。2つ(IDバッジ及び人センサ)が互いに密に近接して引き続きシステムが人の向きの変更を検出すると、その変更が介護者が居合わせているときに行われたことがわかる。これを行う他の方法は、押されると介護者に向きの変更が行われたことを示すセンサ又はユーザインタフェイスにボタンを設けることを含む。さらに他の方法は、本明細書の教示を得た当業者には明らかであろう。この情報は、人が十分に可動性を有し、それゆえ引き続いてのモニタリング及び介護者の支援がもはや不要であるときを示すのに役立つ因子なので、有用となり得る。しかしながら、人が自身では十分に動いていないと決定されると、これは、当該人が引き続いてのモニタリング及び介護者の支援を必要としていることを示す。
本発明の他側面において、システムは、ユーザがその身体の固有領域にどれほど長く圧力を加えてきたかを追跡し続けるのみならず、身体の固有領域がどれくらいの時間減圧しなければならなかったかをも追跡し続けることができる。これは重要である。組織への十分な血流(血流制限しきい値より高い圧力が存在しない場合)が、当該組織に酸素及び生命維持に必要な栄養素を再補給するべく、十分長い期間必要とされるからである。これは再灌流インターバルという。所望の再灌流インターバルは、ユーザにより若しくは介護者により設定すること又はプロトコルから得ることができる。再灌流インターバルはまた、人に応じて変わる。適切な再灌流インターバルを決定するべく、例えば、人の同時罹患率、ブレーデンスコア、栄養状態、過去の床ずれの履歴、又は灌流センサからのフィードバックを使用することができる。
支持表面に対する人の配向を知ることは、褥瘡管理のために重要となり得る。重力に対する支持表面の配向及び重力に対する人の配向双方に関する情報が与えられると、システムは、支持表面の相対法線力(圧力)及び支持表面の接線力(ずれ力)を決定することができる。
図12に示されるように、支持表面の配向を直接測定するべく支持表面上に配向/傾斜センサ1200を配置することができる。これらは、例えばマットレス、ベッドフレーム等の上に配置することができる。これらのセンサは、人に配置されるセンサ1205と同じであっても異なっていてもよい。これらのセンサは、同じ又は異なる有線又は無線の送受信器と通信することができる。支持表面と人とで異なるセンサを使用することにより、又は異なる固有識別子を有するセンサを使用することにより、システムは、支持表面センサから送信される情報と人センサから送信される情報とを容易に区別することができる。一以上の支持表面センサを配置するか又はこれらを支持表面内に含めることができる。一つのセンサによって、ユニットとしての支持表面の傾動(例えば右、左、トレンデレンブルグ体位等)を測定することができる。一を超えるセンサによって、例えばベッドの頭部を傾動することによる支持表面の異なる部分の配向を決定することができる。
支持表面は、配向及び体位変更を決定するべく使用される埋め込みセンサを有することができる。当該センサからのデータは、支持表面の配向に関する情報を我々のシステムに与えるべく使用することができる。当該実施形態において、ホストはこのデータを収集するべく、支持表面の要素、例えば埋め込まれた一の若しくは複数のプロセッサ又は一の若しくは複数のセンサ、と通信する。
支持表面はいくつかの共通の配向及び構成を有する。これらは、フラット、ヘッドアップ、トレンデレンブルグ体位、逆トレンデレンブルグ体位、右回転、左回転、これらの組み合わせ等を含む。これらの共通かつ可能な支持表面位置のための配向データは、当該配向データを直接測定する必要がないように、システム内にプログラムすることができる。ユーザは、支持システムがどの配向にあるか(いくつかの実施形態において固有の角度を含む)を選択することができ、システムは、支持表面に対する人の配向を決定するべく当該データを使用することができる。
支持表面の配向に関する情報がシステムに与えられない場合、支持システムは、例えば重力に対して水平のようなデフォルト配向にあると解釈することができる。
支持表面に対する人の配向及び重力に対する支持表面の配向を知ることにより、システムは、人の身体上のどこに表面圧力が加えられているかについての推定を生成することができる。配向に基づく表面圧力分布マップを生成することができる。このデータはまた、人の単位体重当たりの圧力の大きさを推定するべく使用することもできる。人の体重及びマス(mass)分布に関する情報は、人の身体の異なる領域が受ける絶対圧力を推定するべく使用することができる。
支持表面に及び重力に対する人の異なる回転角度において、人はその身体の異なる部分に圧力を受ける。これは、身体領域を次々と周期的に減圧することを可能とする向き変更プロトコルの基礎となる。システムは、支持表面に及び重力に対する人の配向から、身体のどの領域が圧力を受けているかを決定することができる。これにより、人の、配向に基づく圧力分布モデルを生成することができる。配向に基づく圧力マップの代表が図13に示される。システムはまた、人がどれほど長く任意の所与体位にあるか、すなわちどれほど長く当該身体の所定領域が著しい圧力を受けているか、を追跡し続けることもできる。人が体位再変更されると、システムは人の回転角度をモニタリングして、人の配向が十分に変更されたか否かを決定することができる。その結果、人の身体の固有領域における減圧のしきい値レベルが与えられる。例えば、人の回転が不十分な場合、当該身体の所定領域は減圧を受けることができない。システムは、配向に基づく圧力分布モデルを使用して異なる身体領域における圧力をモニタリングかつ追跡することができる。システムは、所定の身体領域がいつ減圧を必要とするかを決定し、これにより人の配向変化が必要であることを示すことができる。当該態様において、システムは人の向き変更スケジュールを最適化し、必要な頻度ではあるが必要を超えない頻度で人が向きを変えられていることを保証することができる。システムはまた、人が、組織灌流に十分な時間を与えるのに十分な頻度でかつ十分な減圧インターバルで、向きを変えられていることを保証することもできる。
配向に基づく表面圧力分布モデルは、表面圧力分布を支持表面に対する人の配向の関数として決定する。人が仰臥にある場合、表面圧力は当該人の背中全体に分散する。人がその側方に回転すると、表面圧力は、人の回転角度の関数として対応する側面に沿って分散する。
配向に基づく相対表面圧力分布モデルを、実際の又は絶対的な圧力推定を考慮することなく生成することができる。しかしながら、本発明はまた、配向に基づく絶対表面圧力分布モデルを推定するべく、人の体重、マス分布、BMI等の特性を組み入れることもできる。所定の人及び/又は介護者は、異なる角度での回転と、例えば圧力マットのような圧力測定デバイスを使用した圧力分布の表示とを含み得る較正手順を遂行することにより、配向に基づく圧力分布の較正を選択することができる。
支持表面に対する人の配向及び重力に対する支持表面の配向を知ることにより、システムは、法線力圧力に加えて人に作用するずれ力を推定することができる。ずれ力は、支持表面が傾いて、人の皮膚に対する接線方向に作用する力が存在する場合に人に作用する。当該ずれ力は組織障害に寄与し、ずれ力を最小限にすることが褥瘡管理及び皮膚の健康にとって重要である。
人へのずれ力を推定する一つの方法は、重力に対する人の配向を決定すること、及び重力に対する支持表面の配向を決定することを含む。処理デバイス及び対応するアルゴリズムはその後、支持表面に対する人の配向を決定する。人が静止している場合、人に作用する重力は、支持表面の法線力の、重力ベクトルの反対方向にある成分により計数され、また、ずれ力の、重力ベクトルの反対方向にある成分により計数される。重力、法線力、及びずれ力の方向は、重力方向に平行及び直交の成分とともに図14に説明される。ここで、以下の関係がわかる。
重力-法線力の垂直成分=ずれ力の垂直成分
ずれ力=ずれ力の垂直成分/sin(支持表面の傾斜角度)
したがって、支持表面の角度は、我々が人に作用するずれ力の相対的な大きさを決定することができる尺度を与える。人の体重のような人固有データを知ることにより、ずれ力の絶対的な大きさを推測することができる。
ずれ力の推定は、配向に基づく圧力マップ及び支持表面配向データと組み合わせて、ずれ力が作用している箇所を推定することができる。圧力を受けている組織領域は、大きなずれ力を受け得る領域でもある。組織の所与領域に対する圧力及びずれ力の大きさは相関させることができる。この情報は、配向に基づくずれ力マップを生成するべく使用することができる。システムはこのデータを、ずれ力の損傷を最小限にするべく体位再変更の推奨を調節するように使用することができる。例えば、所与領域がずれ力を受ける時間量又は受けたずれ力の大きさは、システムが最小化又は制限しようとする指標となり得る。
人にのみ配置された一つのセンサ又は複数のセンサを、支持表面に及び重力に対する人の配向を決定するべく使用することができる。例えば、図5Aに定義されるxz平面における任意の持続的傾斜は、ベッドの傾斜として解釈することができる。人に配置された一つのセンサの、経時的な重力に対する配向の分析により、構造物が柔軟な設定可能性を有するように支持構造物の配向を決定することができる。
本発明はまた、典型的には人のブレーデンスコアを計算するべく使用される様々なパラメータの自動化を許容する。現在のところ、これらのパラメータのいくつかは主観的にとられている。しかしながら、本発明により、これらのパラメータが一層客観的に決定され、人のチャート、モニタリングシステム、支持表面、又は任意の関連データ記憶ユニットへの自動データ入力が許容される。先行技術により主観的に評価されているが、本明細書に記載のモニタリングシステムを使用して客観的に評価することができるパラメータは、人の可動性レベル、活動性レベル、湿潤レベル、並びに、人が受ける任意の摩擦力及びずれ力を含む。可動性及び活動性レベルを上述のセンサユニットにより測定することができる。湿潤センサを加えることにより、ユニットは、皮膚湿潤レベルの客観的な評価を与えることができる。上述の支持表面に対する人の加速度は、人が受ける任意の摩擦力及びずれ力の大きさを決定するべく分析することもできる。人が滑ることなく動く能力を、加速度計が受ける加速度により決定することができる。積算移動距離を決定するための統合加速度並びに付加的なジャイロスコープ及び/又は磁力計を、人が受ける摩擦力/ずれ力の決定に役立てることができる。ブレーデンスコアを構成する2つの残りの変数(すなわち栄養状態及び知覚認知)は、本明細書に記載のモニタリングシステムによっては測定できないが、これらの変数は頻繁に変わる可能性はかなり少なく、ほぼ定数とみなすことができる。したがって、人の栄養状態及び知覚認知に関する情報がひとたびシステムに与えられれば、当該システムはその後、自動的かつ客観的に人のブレーデンスコアを実時間で決定することができる。
人の体位再変更及び表面圧力分布データの改善されたモニタリングにより、向き変更プロトコルの有効性を良好に評価することができる。多くの現行プロトコルが2時間ごとの向き変更を提案するが、これはすべての人に対して最善のプロトコルとはいえない。例えば、既存の創傷、不十分な栄養状態、不十分な治癒等を有する所定の人は、これより頻繁に向きを変える必要がある。良好な健康状態にあり創傷が少ない所定の人は、向き変更をあまり必要としないので、良好な休息、及び低減された介護者関与が可能となる。改善されたモニタリングは、向き変更プロトコルの有効性を評価したいと思う施設にとって極めて貴重となり得る。本発明はまた、向き変更プロトコルのバリエーションを自動的に提案するべく能動的なデータ収集を可能とする特徴を含むことができる。一実施形態において、システムは、例えばブレーデンスコア、又は所与の人のブレーデンスコアに影響を与える要素のような、人についてのデータを使用することができる。他の有用なデータは、創傷の存在、褥瘡、褥瘡履歴等を含む。治癒又は悪化のような褥瘡の発生及び進行についてのデータも入力することができる。本実施形態によれば、本発明は、現行レジメンを人がどの程度行っているか又は向き変更レジメンを過去にどの程度行ったかに基づいて、提案される向き変更レジメンを調節することができる。本発明は、向き変更レジメンの微調節に対処することもできる。また、どのレジメンが良好かを決定するべく当該進行についてのデータを使用することもできる。レジメンの変更は、向き変更の頻度、所与体位で経過した時間、減圧状態で経過した所定の組織領域、配向角度、創傷の又は以前創傷だった領域における圧力量及び経過時間等を含むがこれらに限られない。いくつかの実施形態において、当該進行を評価するべく、灌流センサ、創傷の領域及び深さ尺度、創傷の段階等を含む付加的なセンサ及びデータを使用することができる。データを一を超える人、例えば施設若しくは病棟内の人又はすべての人、から収集して介護プロトコルの成績を評価し及び介護プロトコルの潜在的な改善を決定するのに役立てることができる。
前から存在する褥瘡等の創傷は圧力及びずれ力により容易に損傷を受ける。当該潰瘍又は創傷のための処置の一部は、障害のある組織及びその周囲の組織が受ける最大圧力を低減すること又は当該組織に圧力が加わる時間量を低減することであり得る。同様に、当該処置は、当該組織が受けるずれ力の量を制限することも含み得る。
本発明の他側面において、身体の既存の褥瘡、創傷等の圧力感受性領域の位置を識別してモニタリングシステムに入力することができる。圧力感受性領域に圧力が加わり得るしきい時間量は、所望の減圧インターバルと同様に調節することができる。いくつかの例において、障害のある組織領域には圧力が存在しないことが望ましい。褥瘡、切り傷、皮膚弁等のような創傷にとって適切な圧力は、健康な組織にとってのそれよりも一層低いからである。当該シナリオでは、障害のある組織領域に圧力が加わっていることが決定されると、システムは、当該創傷領域を減圧して体位を調節するべく、人及び/又は一の若しくは複数の介護者に通知するアラームを発することができる。創傷に加えて、システムは、表面圧力モニタリングを必要とする他の任意領域の入力を許容するべく構成することができる。当該領域は、肩、腰、足等を含むことができる。ユーザ/介護者は、当該位置を多くの方法で入力することができる。いくつかの例は、創傷部位のプルダウンメニュー、テキスト入力、2D又は3Dの人のグラフィカル表現を有するグラフィカルインタフェイス等を含む。これらは以下で詳細に記載される。加えて、異なるセンサを固有身体領域での使用のために予めプログラムすることができる。プログラム済みセンサは、これらが配置されることとなっている及び/又は固有の圧力しきい値、減圧インターバルしきい値等の介護データを含むこととなっている位置についての情報を含むことができる。
ユーザ又は介護者は、創傷の位置を手動で入力することができる。一つの入力方法は、人(又は、恐らくは当該人にぴたりとマッチするリストから選択された一般化された人)の2D(例えば前、後、左側、右側のような一以上の表示からの)又は3Dモデルを示し、褥瘡等の創傷が存在する位置をユーザに当該モデル上で選択してもらうことである。このモデルは、位置選択に対処するマウス又はタッチ画面相互作用により、コンピュータディスプレイ上に表すことができる。2Dモデル上の選択は、人の3Dモデルにマッピングすることができる。
他の方法は、褥瘡にとって一般的又は可能な位置、例えば坐骨結節、転子、仙骨、くるぶし、かかと、膝蓋骨、前脛骨、鼻、あご、額、後頭部、胸、背中、及びひじの位置、から選択することを含む。創傷位置が当該リスト外にあって当該位置に十分近いエントリーがない場合、ユーザは、例えば膝蓋骨から3時方向に2cmというように当該エントリーに関連する位置を入力し得る。
ユーザは、より適切かつ有効なものに応じて一以上の入力方法を選択することができる。ユーザはまた、段階、サイズ、形状、深さ、年齢、スキンケア詳細等を含む褥瘡についての詳細を入力することもできる。本実施形態によれば、システムはまた、ユーザが後に調節することができるチャートに基づいて、創傷及び潰瘍の位置についてのデータを自己に投入することもできる。他実施形態において、創傷及び潰瘍の位置を指定するべく感受性マーカを人に配置することができる。
創傷及び潰瘍の位置を使用することで、処置をパーソナライズすることができる。自動化された処置/予防ベッドにおいて、例えば、創傷位置の圧力を低減し、異なる圧力の様々なモードを使用することができる。体位再変更レジメンの推奨としては、当該推奨は、人が創傷又は潰瘍の位置で過ごす時間量を低減することができる。既存の創傷又は潰瘍の仮定が不可避であれば、本発明の複数実施形態は、異なる褥瘡が悪化する相対的な重篤度又はリスクを考慮に入れることができる。当該重篤度又はリスクは、例えば、どの潰瘍/創傷を優先的に回避するかを決定するべくユーザが入力することができる。
製造が高価とならないことで使い捨て可能としやすいセンサを作る本実施形態には、いくつかの特徴が存在し得る。そのような一つの特徴は、当該センサの義務を果たすのに必要な電子機器及び回路を構成に含ませ得ることである。一つの簡略化された実施形態において、主要要素は、加速度計、A/Dコンバータ、マイクロプロセッサ、RF送受信器、アンテナのみを含むことができる。基本的な生理学的信号モニタリングを含む所望の特徴の多くが、これらの要素によってカバーされる。いくつかの実施形態において、3軸加速度計は2軸加速度計により置換することができる。マイクロプロセッサは、大抵の計算がホストシステム上で行われるべく構成されるすべての実施形態において高性能である必要はない。また、一以上の要素を一つのチップ上に含ませることもできる。例えば、マイクロプロセッサ、A/Dコンバータ、及びRF送受信器を有するチップであり、又はこれらのすべてプラス加速度計を有するチップである。当該実施形態は、センサのコスト及び/又はサイズを著しく低減することができる。再び本実施形態によれば、電池、又はキャパシタのようなエネルギー貯蔵ユニットは、充電可能ではなく使い捨て可能とすることができる。これにより、エネルギー貯蔵ユニットのサイズ及びコストを低減することができる。センサの電池はまた、大幅に放電されるまでずっと動作するように構成することができる。これにより、同じエネルギー容量貯蔵に対して大量の使用可能エネルギーが得られるが、充電可能ユニットにはなじみにくくなる。同様に、充電可能でないユニットによれば、リード線又は誘導ループ若しくはアンテナを含む充電に必要な電子機器及び回路をセンサから除外することができる。
システムは、振動療法又はパーカッション療法を受けている人をモニタリングするべく使用することができる。肺疾患の人はしばしば、その気道から粘液及び分泌物を取り除くのに役立つ定期的な振動/パーカッション療法を必要とする。本明細書に記載のセンサは胸壁の振動を検出することができる。モニタリングシステムは、振動/パーカッション療法の程度、セッション時間の長さ、及びセッション頻度を定量化するべく使用することができる。モニタリングシステムは、人に対する振動/パーカッション療法の調整に役立つように使用することができる。人が適切な振動/パーカッション療法を受けていない場合、介護者はアラーム機構を介して注意喚起をすることができる。本発明のモニタリングシステムはまた、振動/パーカッション療法の自動化手段に使用されるデバイスにフィードバックを与えることもできる。本発明によれば、自動化された発生源(例えばベッド)から発生する振動/パーカッション療法の力を、人に配置されたセンサからのデータに基づいて調整することができる。
本発明に記載の検知システムは、動機付け肺活量計を処方されている人をモニタリングするべく使用することができる。多くの入院者は、肺拡張不全の予防及び肺機能の改善に役立てるべく動機付け肺活量計の使用を促される。上述のように、本明細書に記載のセンサは、胸壁の加速度を検出することができる。モニタリングシステムは、動機付け肺活量計療法の程度、セッション時間の長さ、及びセッション頻度を定量化するべく使用することができる。人の動機付け肺活量計の使用に関する統計を人及び介護者双方に与えることができる。人が適切な動機付け肺活量計療法を受けていない場合、介護者はアラーム機構を介して注意喚起をすることができる。本明細書に記載の検知システムは、処方された動機付け肺活量計レジメンの遵守及び妥当性を評価するべく使用することができる。
一実施形態において、モニタリングシステムは、人に付着されたセンサを含む。センサのデータは、一以上の信号受信ステーションに無線送信される。受信ステーションは、付着された既知の位置に配置することができる。その結果、三角測量、受信信号強度表示(RSSI)、送受信EM信号の時間遅延等の業界周知の実時間位置追跡手段により、被モニタリング者のおよその位置を決定することができる。
一実施形態において、本発明は、ベッド又は椅子から出ようとして落下した人を識別するべく使用することができる。当該実施形態のセンサは、モニタリングされている人の突然の加速度及び/又は減速度を検出することができる。本発明のモニタリングシステムが潜在的な人の落下を検出すると、介護者はすぐにアラーム機構を介して注意喚起を受けることができる。
検知システムは、人がいつ及びどれくらいの頻度でベッドから出るかを検出するべく使用することができる。入院者に頻繁にベッドから出るように促すのが慣例である。人をベッドから出して散歩させることは、褥瘡及び深部静脈血栓症(凝血)のような病院関連合併症の予防に役立ち得る。本明細書に記載のセンサは、どれくらい長く人がベッドを出ているか、どれくらい遠くまで人が出かけたか、及びどれくらいの速さで人が歩いたかを決定することができる。人がベッドから出ていないか又は十分に歩いていない場合、介護者はアラーム機構を介して注意喚起を受けることができる。検知システムは、ユーザの歩行のレベル及び妥当性を客観的に評価することができる。
上述の一以上の加速度計及びRFユニットに加え、他の生理学的特徴を検出する付加的な検知要素をセンサ300に付着するか又はこれに組み入れることができる。このような一つのセンサは歩数計である。これは、人が歩いたステップ数又は人が従事する動きの量を追跡するべく使用することができる。歩数計からのデータは、加速度計からのデータとともに送信することができる。上述のように、電気リード線を心臓等の筋肉活動をモニタリングするべく組み入れることができる。同様に、心音、呼吸音等の振動を検出するべく容量センサ又は圧電センサを組み入れることもできる。同様に、酸素負荷データを与えるべくパルス酸素濃度計を組み入れることもできる。温度センサは温度モニタリングを与えることができる。
センサ300は、少なくともいくつかの実施形態において、電池又は同様のデバイスから電力を受けるので、いくつかの実施形態において電力を節約することが望ましい。本発明の一側面は、規則的なインターバルにて又は予め定義されたきっかけに応じてのいずれかの電力管理を含む。当該電力管理はバーストデータ送信を含む。送受信器、マイクロプロセッサ、センサ等を含むセンサの複数部分の電源を、必要でない場合に落とすことができる。一実施形態において、センサを所定期間使用して、その後電源を落とし、そしてなおも心拍数及び呼吸を成功裏にモニタリングすることができる。いくつかの実施形態における容量センサ及び温度センサは、電源停止同士の間の一つの読みのみを必要とし得る。
低電力状態は様々な方法で示すことができる。当該状態指示は、フラッシング、ディスプレイ上の輝度変更、応答指令信号を受けたときの異なる応答、及び電池情報の送信又は「私は生きています」情報を含む。
上述のように、いくつかの実施形態において、人に付着された裏貼りからセンサを除去できることが望ましい場合があり得る。当該状況において、人に対する配向が維持されていることを保証することと、新たなセンサが固定され、任意のロック機構とともに裏貼り及びセンサ間の非対称関係が使用できることを保証することとの双方が望ましい。他実施形態において、センサ及び裏貼り間の関係は固定でなくてもよく、新たな相対的位置をシステムに通知するべく自動的に検知される電極、反射パッチ等のようなインジケータを使用することができる。
上記説明は加速度計に基づくセンサを詳細に記載したが、他のセンサも上述のように受容される。したがって、次に図15A及び15B並びに図16A及び16Bを参照すると、本発明に係る抵抗センサを良好に理解することができる。
本発明の一側面に係る一実施形態において、複数の空気列を含む支持表面に、表面マーカの存在を検出することができるセンサのアレイが埋め込まれるが、少なくともいくつかの実施形態では一つのセンサが機能する。表面マーカは、腰、かかと、仙骨のような最も床ずれが進展しやすい身体領域上に配置することができる。表面マーカはまた、褥瘡進展に耐性がある身体領域上に配置することもできる。表面マーカはまた、靴下又は下着のような衣類に組み入れることもできる。ブレスレット又はベルトのような他の装着可能物品も表面マーカを組み入れることができる。表面マーカはまた、創傷包帯に組み入れることもできる。これはその後負傷組織まわりに配置される。ユーザ身体の固有領域はまた、感受性インクペンを使用して区画分けすることができる。支持表面は、表面マーカの下の表面圧力を最適化するべくプログラムすることができる。支持表面はまた、表面マーカに対応する領域における圧力調節操作を行うべくプログラムすることもできる。圧力調節操作は、表面マーカに対応する領域への血流を促すことができて、空間及び時間双方にわたり変化し得る。治療手段はまた、身体表面マーカに対応する領域を標的とすることができる。治療は、光療法(赤外線、近赤外線、又は低レベルレーザ光を含む)、超音波療法、電磁気療法等の療法を含み得る。身体表面マーカに対応する領域を標的とするエネルギー(熱)は、局所的な血管膨張を引き起こすことで当該固有領域への血流を促し得る。治療手段は、支持表面に由来してもよいし、支持表面の外部に置いてもよい。
本発明の他実施形態において、複数の空気列を含む支持表面には、一以上のセンサが埋め込まれる。その結果、身体上の個別位置においてユーザの灌流状態を決定することができる。センサアレイが生成する組織灌流マップをその後使用して、易感染性組織灌流領域を識別することができる。支持表面は、易感染性組織灌流を有すると識別された領域における圧力分布を最適化するべく及び表面圧力を低減し又はなくすべく、組織灌流マップを使用することができる。実装形態に応じ、易感染性組織灌流に相関する領域において一以上の空気列内の圧力が自動的に低減し得る。これにより、当該位置における表面の界面圧力が低減する。
本発明の他実施形態において、組織灌流が支持表面により自動的に最適化されない場合、介護者は注意喚起を受けることができる。介護者はその後、組織障害を予防するべく人の表面圧力分布を手動で最適化することができる。当該方法により、介護者は人の灌流状態をモニタリングすることができる。システムは、潜在的に障害性の又は易感染性の組織灌流を示す任意領域について介護者に自動的に注意喚起するべくプログラムすることができる。
支持表面は、一以上のセンサを利用して、ユーザの物理的存在を決定し及び/又はユーザ身体の固有領域(創傷包帯等の表面マーカにより区画され得る)を識別することができる。本実施形態によれば、センサはまた、ユーザの灌流状態、配向等の生物測定データを決定するべく使用することができる。センサは、支持システムに埋め込むこと又は支持システムの外部に置くことができる。特定の実装形態によれば、本発明の当該側面に使用することができるセンサのタイプは、抵抗センサ、容量センサ、誘導センサ、及び磁気センサを含むがこれらに限られない。反射、RFID、赤外線、圧力、及び応力センサもまたいくつかの実装形態において使用することができる。同様に、経皮的CO2センサ、ハイドレーションセンサ、pHセンサ、超音波センサ、及び遠隔光学分光センサもまた所定の実装形態において使用することができる。これらのそれぞれを以下に簡単に説明する。
図15A及び15Bに示されるように、抵抗センサは、ユーザの存在又はユーザ身体上の個別領域を検知するべく使用することができる。本発明のこの側面において、2つの電極間の抵抗が連続的にモニタリングされる。ユーザ又はユーザ身体上の個別領域全体を、既知の抵抗を有する材料で覆うことができる。この材料が、支持システムに埋め込まれた抵抗センサに接触すると、測定可能な抵抗の変化が生じる。この測定可能な抵抗の変化を、ユーザの存在を識別するべく使用することができる。コンピュータを使用して、ユーザの身体位置マップを生成するべく複数の抵抗センサからのデータを合成することができる。このマップは、ユーザ全体(又はユーザの個別部分)の位置を支持システムとの関係で示すべく使用することができる。
ユーザを覆うべく使用される材料の抵抗は、ユーザ又はユーザが装着する材料が存在しない場合に支持システムのセンサが検知する固有抵抗とは十分に異なる必要がある。支持システムの固有抵抗は、空気、寝具類、プラスチック等に起因する。ユーザを覆うべく使用される材料の抵抗は、検知される固有抵抗よりも低いか又は高い抵抗であり得る。
この方法の一実装形態において、検知システムは、その表面上に一以上の抵抗センサが配置されるように構成することができる。ユーザが低抵抗繊維又は高抵抗繊維が埋め込まれた衣類を装着するか、又は、低抵抗特性若しくは高抵抗特性の身体表面マーカがユーザ身体の固有領域上に配置される。低抵抗材料又は高抵抗材料が検知システムの抵抗センサに接触すると、得られる抵抗の増加又は低下は、測定可能であり、ユーザの存在又はユーザ身体の個別領域を識別するべく使用することができる。
いくつかの実施形態において、異なる抵抗を有する複数の異なる材料をユーザ上に配置することができる。当該方法では、異なる抵抗の材料は、ユーザ身体の固有領域を区画するべく使用することができる。例えば、ユーザがいくつかの異なる創傷を有していた場合、各創傷は、異なる抵抗を有する創傷包帯に覆われる。創傷包帯が検知システムに接触する場合、得られる抵抗の変化を、本発明の支持システムに対する各創傷の位置を決定するべく使用することができる。異なる創傷部位間の又は身体の異なる領域間の区別を可能とすることにより、本発明の実施形態は異なる部位に異なる態様で適応することができる。例えば、各部位において許容される異なる最大圧力が又は各部位において圧力を変える異なる方法が存在し得る。他の使用方法は、ユーザ身体の異なる部分上に配置された異なる抵抗の材料を有することである。これにより、本発明の検知システムの実施形態は、異なる身体部分同士を特定かつ区別することができる。これは、例えば、支持システムに対するユーザのマッピングを改善するべく使用することができる。なお、異なる興味領域同士を区別して、ひとたび当該領域が区別されると異なるアクションをとることができる能力は、区別可能なマーカに対処する他の検知モダリティに対しても同様に適用することができる。ここでは、異なる抵抗が使用されるが、異なるキャパシタンス、RFID等の区別可能なマーカを使用することもできる。
なお、ユーザは必ずしも、本発明のすべての実施形態において抵抗性材料に覆われる必要はない。ユーザが存在しない場合にシステムが検知する固有抵抗が、ユーザの皮膚又は衣類が検知システムに接触したときに検知された抵抗とは十分に異なっていた場合、ユーザを覆うものは特に必要ない。当該方法において、皮膚又は衣類は、検知システムの抵抗性接触センサと相互作用を行い、測定可能な抵抗の変化をもたらす。その後、検知システムに接触した皮膚又は衣類のすべての位置を識別するべくユーザ位置マップを生成することができる。
システムは、抵抗センサと被検知対象との間に潜在的に介在するベッドシーツ、衣類等の材料を収容するように構成することができる。
図15Aには、抵抗センサの一実施形態が示される。抵抗センサ1500が支持表面1505に埋め込まれて、2つのリード線1510間の抵抗が測定される。当該リード線間の抵抗は、人1515又は異なる抵抗を有するマーカ材料が当該リード線間に置かれると変化する。抵抗の変化は抵抗センサにより検出され、この情報が他のセンサデータと統合されるべくコンピュータに送られる。
図16A及び16Bに示される他実施形態において、抵抗検知は、いくつかの接触感受性ディスプレイに見出されるのと同様の抵抗性接触技術を組み入れるパッド1600の形態で実装することができる。当該実施形態において、人に対して配置されるもの、装着されるもの、又は適用されるものは必要ない。一実施形態において、当該パッドは支持表面1605を覆うか又は支持表面内若しくはこれの下に配置され得る(人の存在に起因する圧力が支持表面を通して有効に伝達されることを前提とする)。また、当該パッドは、例えば小さな点又は列のアレイにより垂直方向に分離される2つの抵抗層1615を含む。パッド上に横たわる人1620からの圧力は2つの層の接触をもたらし、これにより圧力が適用される位置を決定することができる。代替的な配置において、複数の抵抗パッドを使用することができる。各パッドは、人により適用される圧力が良好に定量化されかつ分離されることを許容する。接触領域をもたらす身体部分は、圧力分布を認識するべく構成されるソフトウェアを介して識別することができる。これにより、人の配向を、様々な身体部分により適用される圧力の大きさとともに決定することができる。
ユーザ又はユーザ身体上の個別領域の存在を検知するべく使用され得る一代替方法は、容量接触センサを使用することである。ここでは、電極が身体のキャパシタンスを検知することができる。当該方法において、一以上の容量接触センサを使用して、支持システムに対するユーザの位置を決定することができる。一実施形態において、ユーザはまた、既知のキャパシタンスを有する材料を装着することもできる。これはその後、容量接触センサにより検出することができる。ユーザ身体上の固有領域(例えば創傷領域)もまた、異なるキャパシタンスを有する材料を使用して区画することができる。異なるキャパシタンスを有する材料をユーザ身体上に戦略的に配置することにより、ユーザの身体位置マップを生成することができる。複数の異なる材料を使用する場合(それぞれが異なるキャパシタンスを有する)、ユーザ身体上の個別領域同士を区別するべく複数の容量接触センサを組み合わせて使用することができる。当該態様で使用される場合、ユーザ身体上の固有領域を「タグづけ」することができる。各タグづけ位置において表面圧力を独立して調整することができる。これは、各創傷は異なる最大圧力しきい値を有する場合において複数の創傷を有するユーザを管理するのに重要である。
上述の抵抗センサと同様にして容量センサを使用することができる。抵抗センサと同様に、容量センサも、人に対して配置され、装着され、又は適用される必要はない。上述のように、容量センサはパッドに組み入れることができる。同様に、複数の身体領域を識別することができる。これらの局所的な接触圧力は、当該センサへの人の近接により生じるキャパシタンスを測定することによって定量化することができる。本実装形態によれば、一の又は複数のセンサが望ましい。
誘導センサもまた、ユーザの存在又はユーザ身体上の個別領域を検出するべく使用することができる。当該センサは、磁界を生成する誘導ループを使用する。当該ループのインダクタンスは、ユーザ上に配置され得る近くの金属材料の存在又は不存在によって変化する。例えば、ユーザは、金属材料が埋め込まれた衣類を装着することができる。または、接着性の表面マーカに金属材料を埋め込むことができるか又は創傷包帯に金属材料を埋め込むことができる。異なる誘導特性を有する材料をユーザ身体の戦略的位置に配置することができる。当該方法により、誘導センサは、ユーザ身体上の異なる位置同士を区別することにより、ユーザの身体位置マップを生成することができる。
上述の抵抗センサ及び容量センサと同様にして誘導センサを使用することができる。
磁気センサもまた、非接触検知に対処し、磁気抵抗効果、ホール効果、磁力、又は磁界の大きさ及び/又は方向を測定する業界周知の他の任意手段を利用することができる。磁気材料が支持システムに近接して存在することを検出するべく、検知システムは、一以上の磁気センサを使用することができる。ユーザ身体の固有領域又はユーザの全身を、創傷包帯、表面マーカ、又は磁気材料が埋め込まれた衣類により区画することができる。ユーザ身体の固有領域又はユーザの全身はまた、磁気インクペン等の磁気的検知可能なマーカを使用して区画することもできる。検知システムはその後、磁気材料がもたらす磁界強度及び/又は磁界方向を検出して、ユーザの物理的存在を検出し及び/又はユーザ身体上の固有領域を突き止め及び/又は支持システムに対するユーザの任意の動きを検出することができる。磁気センサは、当該検知システムに近接して配置された任意の磁気材料からもたらされる磁界強度及び/又は磁界方向を測定することができる。磁界方向対磁界強度を測定することにはいくつかの利点が存在する。これらは、磁石の温度係数に対して非感受性であること、衝撃及び振動に対してあまり感受性がないこと、センサ及び磁石間のギャップの大きなバリエーションに耐え得ること、及び磁気物体の角運動又は線形運動を検出し得ることを含む。支持システムは、ユーザ身体上に配置された磁気材料に区画される圧力を解放する又は圧力をなくす操作が行われるようにプログラムすることができる。支持システムはまた、ユーザ身体上に配置された磁気材料が区画する領域で又はこれの周辺で加圧/減圧シーケンスを行うべくプログラムすることができる。当該方法は、ユーザ身体の固有領域への血流を促すべく使用することができる。
抵抗、容量、及び誘導センサの当該説明から理解できるように、磁気センサは、例えば2層を有して支持表面を覆うマットに配置することができる。当該マットにおいて、特別な衣類若しくは創傷包帯又は他のマーカを必要とせず抵抗的に、容量的に、誘導的に、又は磁気的に測定可能な態様で、人からの適用圧力が当該層を一緒に動かす。
位置マーカの一バリエーションは、マーカが反射又は再帰反射材料を含み得て光センサが当該マーカから反射する光を検出できることである。センサは、例えばLEDのような光源に隣接して配置することができる。光源からの光がマーカから反射するようにマーカが位置決めされると、光センサにより検知され得る。
位置センサの他のバリエーションは、RFID及び無線周波数三角測量を使用することである。センサが、当該センサが当該IDを検出し得る小さな及び/又は指向性の体積を有することにより、RFIDを使用して体位を検知することができる。既知体位にある一以上のRFIDセンサを有することにより、検知システムは、ひとたびセンサの範囲内にあればRFIDタグについての情報を得ることができる。RFIDタグは身体表面マーカに埋め込むことができる。身体表面マーカ及び創傷包帯に埋め込まれたRFIDタグを検出するセンサシステム上のセンサアレイは、可能な一実装形態である。代替的に、タグ及びリーダ間の無線周波数通信は、当該タグの位置を三角測量するべく使用することができる。
いくつかの実施形態においてユーザの放射熱を検出するべく、赤外線(IR)センサを使用することができる。このアプローチの一実装形態において、検知システムは、その表面にわたり配置される一以上の赤外線センサを有する。代替的に、IRセンサは、ユーザとセンサとの間のすべての材料が、正確な読みが得られる程度に十分に赤外放射を透過させる支持システムの表面下に配置することができる。代替的に、IRセンサは、ユーザとの十分な照準線が存在する支持表面の外部に配置することができる。当該方法により、ユーザの放射熱を遠隔検出することができる。したがって、皮膚に直接接触することなく大きな面積にわたる皮膚表面温度を測定するべく、赤外線センサを使用することができる。IR放射を送る支持システム内のすべての位置を識別することにより、支持システムに対するユーザの身体位置を決定することができる。
赤外線センサの使用は、皮膚灌流を間接的に測定するための確立されかつ信頼性のある方法である。ユーザ身体の赤外線検知により、ユーザ身体上の個別位置における温度に関する有用な情報が得られる。異常な熱特性を有するユーザ身体上の位置を識別するべく、サーモグラフィーとして知られる温度マッピングを使用することができる。組織が虚血する場合、皮膚表面温度に測定可能な降下が存在する。したがって、皮膚温度は灌流のためのマーカであり、皮膚温度の異常な変化は、組織内の灌流異常を示し得る。皮膚の絶対温度及び経時的温度変化(ΔΤ)の双方を、灌流異常のためのマーカとして使用することができる。ユーザ身体上の個別領域におけるΔΤを決定するには、ユーザの熱マップをユーザの身体位置マップに相関させる必要がある。ユーザの身体位置マップを他の生物測定データと相関させることは、上述の態様で行うことができる。皮膚温度変化が灌流異常と相関することが知られているので、異常温度が表れる領域において界面圧力を自動的に解放することができる。当該方法は、ユーザの灌流状態を最適化するべく使用することができる。赤外線センサは、例えば半導体光ダイオード、ボロメータ検出器等の業界周知の温度センサのような個別センサの2次元アレイを含む。代替的に、CCD等の2次元画像センサを有する熱画像カメラを使用することもできる。
ユーザの物理的存在検出と潜在的に易感染性の組織灌流の領域指示との双方を行うべく、圧力センサを使用することができる。表面の界面圧力が増加すると、易感染性組織灌流の確率も増加する。32mmHgを上回る持続的な表面圧力が、障害性血流と相関し、したがって組織壊死のリスクを大幅に増加させることすることが示されている。
支持システム全体にわたる圧力分布を最適化するべく、圧力センサを他のセンサとともに使用することができる。
臨界界面圧力しきい値は、ユーザ身体上の異なる位置間で変わる。例えば、創傷組織に対応する領域は、どんな表面圧力にも耐えることができない。骨突出を覆う組織は、相対的に低い表面圧力しきい値を有し得る。厚い脂肪層又は筋肉層を覆う組織は、相対的に高い表面圧力に耐え得る。異なる表面圧力しきい値をユーザ身体上の固有位置に割り当てるには、検知システムは、ユーザの体位及び表面圧力データを相関可能とする必要がある。本明細書には、どのようにしてユーザの身体位置マップを他の生物測定データと相関させるかについてのさらなる記載が含まれる。
一実施形態において、ユーザの圧力分布マップを、支持表面に対する当該ユーザの体位/配向を決定するべく分析することもできる。当該態様において、人の身体の別個領域における圧力を決定することができる。
いくつかの実施形態において、応力センサを使用して、ユーザ身体がもたらす圧力に起因する支持表面に適用される応力を測定することができる。応力センサのいくつかの例は、ひずみゲージ若しくはピエゾ抵抗素子、又は伸長すると抵抗が変化する抵抗性織物/糸である。応力センサは、検知システムの表面上に又は検知システムの壁内に配置することができる。応力センサはまた、支持表面を覆うシート又はマットに配置することもできる。応力センサは、ユーザの体重に起因する過剰な適用圧力の関数として伸長又は圧縮する。応力センサはまた、皮膚の伸長又は圧縮を測定するべくユーザ身体上に直接配置することもできる。圧力を推定することに加え、応力センサは、ずれ応力についてのデータを収集するべく使用することもできる。応力センサからのデータは、人の身体位置を決定すること及び増加した圧力又はずれ力に起因する潜在的に易感染性の灌流領域の識別に役立てること双方を行うべく使用することができる。
いくつかの実施形態において、ユーザの物理的存在を検出すること及び潜在的に易感染性の組織灌流領域を示すことの双方を目的として経皮的酸素圧力(TcPO2)センサを使用することができる。TcPO2は、ユーザの灌流状態を評価する非侵襲性の方法である。TcPO2は虚血の程度に関連し、酸素圧力の低下は易感染性組織灌流の領域を示す。TcPO2は、ユーザの灌流状態の感受性がありかつ信頼性がある決定因子とみなされている。
TcPO2センサは、人に又は支持表面上に配置することができる。経皮的酸素圧力はまた、遠隔測定することもできる。これは本明細書において以下に記載する。
同様に、ユーザの物理的存在を検出すること及び潜在的に易感染性の組織灌流領域を示すことの双方を目的として、一実施形態において経皮的二酸化炭素圧力(TcPCO2)センサを使用することができる。TcPCO2のモニタリングは、二酸化炭素分圧を連続的に測定する非侵襲の方法を与える。TcPCO2は、易感染性組織灌流領域を示す二酸化炭素圧力増加を伴う虚血の程度に関連する。TcPCO2センサを、人上又は支持表面上に配置することができる。
一実施形態において、ユーザの物理的存在を検出すること及び潜在的に易感染性の組織灌流領域を示すことの双方を目的として、ハイドレーションセンサを使用することができる。組織のハイドレーションの評価は、脱水性又は水腫性の組織を検出するべく使用できる。ハイドレーション状態はまた、遠隔測定することもできる。これは本明細書において以下に記載する。
いくつかの実施形態において、近赤外光センサを遠隔的に使用して、ユーザ身体上の個別位置におけるpHを検出することができる。この技術は、皮下組織のpHのわずかな変化を正確に検出するべく使用することができる。この技術は、プロトン化分子と非プロトン化分子との吸光度の違いを検出することにより機能する。組織が虚血すると、酸含有量が増加し、非プロトン化分子に対するプロトン化分子の比が増加する。したがって、プロトン化分子の増加が障害性灌流と相関し、支持システムは、障害性灌流を有するものと識別された領域における圧力を自動的に取り除くことができる。
いくつかの実施形態において、ユーザから生理学的データを収集するべく、超音波を検知モダリティとして使用することができる。このデータは、人の身体上の個別位置における灌流状態を評価するべく、単独で使用するか又は他の検知モダリティと組み合わせて使用することができる。ドップラー超音波もまた、血流を評価するべく使用することができる。異常灌流領域が検出されると、支持システムは、当該位置における表面の界面圧力を自動的に最適化することができる。介護者は注意喚起を受けることができる。支持システムが行う圧力最適化操作を、臨界的な領域への血流を促進するべく使用することができる。
いくつかの実施形態において、近赤外光分光法を使用して組織酸素分圧、二酸化炭素分圧、pH、及びハイドレーション状態を遠隔的に分析することができる。皮膚は、近赤外光の相対的に弱い吸収体であるから、外皮及び真皮を分析するべく近赤外線分光法を使用することができる。近赤外線分光法を使用して、組織血行力学上の空間的及び時間的変化を試験することができる。また、近赤外線分光法は、灌流異常の発症前検出を与えることができる。灌流異常が検出されると、本発明の支持システムは、易感染性組織灌流の領域から圧力を取り除くように自動的に再分散させることができる。
ヘモグロビンは、当該ヘム群が酸素化しているか脱酸素化しているかに応じて、近赤外線スペクトルの明確な吸収帯域を有する。組織が近赤外光にさらされている場合、組織内の発色団(例えば酸素化又は脱酸素化ヘモグロビン)が別個の波長の光を吸収する。したがって、究極的に組織から反射される光は、発色団が吸収しなかった光の波長を包含する。酸素化ヘモグロビンが900から950nmの範囲の近赤外光を強力に吸収する一方、脱酸素化ヘモグロビンは650から750nmの範囲の近赤外光を強力に吸収する。
水は組織内の主要な要素であり、900nmを上回る波長の近赤外光を最も強力に吸収する。水の吸収特性はヘモグロビンとは全く異なるので、水をヘモグロビンから独立して分析することができる。したがって、いくつかの実施形態において、近赤外線分光法は、組織ハイドレーション及び水含有量に関する情報に加え、組織血行力学に関する情報も与えることができる。当該方法はまた、無症状の水腫又は膨潤の検出も可能とする。
図17A及び17Bに示されるように、近赤外線分光法を使用して人の灌流マップを作ることができる。一以上の近赤外光源1700が使用されて、例えばTcO2、pH、及び温度のような複数の生理学的プロセスが分析される。光源に十分近接するがこれとは別個に配置される一以上の近赤外線感受性カメラ1705を使用して、当該光源からの流出を受け取ることなく人からの反射光を受け取ることができる。支持システムはその後、組織灌流マップに基づいて表面圧力を最適化する。支持システムは、灌流マップからのデータを使用して表面圧力分布を自動的に最適化し、看護職員又は介護者に潜在的異常について注意喚起する。易感染性組織灌流又は組織負傷の兆候を有するものと識別される領域において、表面の界面圧力を実質的になくすことができる。本発明は、褥瘡性潰瘍を有する人を助けることに加え、火傷、慢性的創傷、植皮、皮膚弁等の損傷を有する人の処置にも有用となり得る。
いくつかの実施形態において、皮膚毛細血管における灌流を測定するべくレーザドップラー血流計を使用することもできる。当該技術は、低パワーレーザからの光で興味組織を照射することにより機能する。レーザ光ビームは興味組織内で散乱され、いくらかの光がセンサまで散乱される。ほとんどの光は、静止した(動かない)組織により散乱されるが、所定パーセントの光は動く赤血球により散乱される。動く赤血球により散乱される光は、静止組織により散乱される光とは全く異なり(すなわち固有発振周波数を有し)、後方散乱光の発振周波数は、動く赤血球の相対的な数及び速度と相関する。したがって、この技術を使用して、動く赤血球の相対量を測定しその平均速度を測定することができる。この技術は完全に非侵襲性であり、数ミリメートルの深さまでの皮下組織からの応答を受けるべく使用することができる。異常灌流領域が検出されると、支持システムは、当該位置における表面の界面圧力を自動的に最適化することができる。介護者は注意喚起を受けることができる。支持システムが行う圧力解放操作を、血流を促進するべく使用することができる。
いくつかの実施形態において、検出システムの特定性を高めることにより虚血検出性能を改善するべく、複数の検知モダリティからの灌流データを組み合わせることが望ましい。灌流マップが複数源からのデータの合成から生成されていれば、偽陽性率を低減することができる。例えば、経皮的酸素分圧が体位Xにおいて低いがpHは正常、温度は正常、かつレーザドップラー血流は体位Xにおいて正常と決定される場合、体位Xにおける偽陽性経皮的酸素測定とみなされ、支持システムはアクションをとらない。しかしながら、複数の検知モダリティが、灌流が体位Xにおいて易感染性であることを示す場合、支持システムはすぐに、体位Xにおける圧力解放操作を行い介護者に注意喚起することができる。圧力解放操作を開始するのに必要な検知モダリティの最小の数及び/又はタイプは、ユーザ又は介護者が予め定義することができる。異なる検知モダリティからのデータを使用して、重みづけ平均を構築することができる。この場合、各検知モダリティの重みは、その組織虚血検出における重要性、信頼性、及び有効性により決定される。
いくつかの実施形態において、人上の易感染性灌流領域に良好に対処するべく、灌流データを体位データと相関させることが望ましい。灌流センサを使用して、身体の所定領域が虚血障害のリスクにあるか否か又は虚血障害の初期/後期段階にあるか否かを決定することができる。支持システムは、表面の界面圧力を動的に調節して標的組織への適切な血流を促進するように構成することができる。支持システムが易感染性灌流領域に対処する場合、当該虚血領域をユーザ上の実際の身体位置と相関させることが役に立つ。これを行い得る方法は、灌流センサが支持システムに埋め込まれているか又は人の身体に接着されているかに応じて変わる。
一実施形態において、支持システムは、その表面にわたり一以上のセンサを有することができる。これらのセンサは、潜在的虚血領域を識別するべく使用することができる。身体のどの部分を潜在的虚血領域と相関させるかを決定するべく、システムには当該身体の既知部分に対する基準座標系が必要となる。ここで、基準マーカを身体の既知の基準位置、例えばひじ、ひざ、足首、手首、脊椎、腰等、に配置することができる。こららの基準マーカは、一定数の潜在的モダリティ(例えば容量、誘導、抵抗、磁気、RFID等)を使用してシステムが検知することができる。これらの基準マーカは、既知の身体ランドマークを区画するべく使用することもできる。各基準マーカはまた、固有の感受性質(例えば異なるキャパシタンス、抵抗、インダクタンス等)を有することができる。その結果、支持システムは、異なる基準マーカを区別して異なる身体ランドマークを識別することができる。当該方法において、システムは、例えば、ひじ対手首に対する基準マーカを検知しているかを知ることができる。マーカが固有のもの又は異なるものでない場合、支持システムは、当該支持システムに対するユーザの位置及び配向を推定するべく、基準マーカの相対的位置を、ユーザの既知形状及びユーザ身体の可能な配向についての情報とともに使用することができる。代替的に、支持システムは、その中に埋め込まれたセンサからのデータを、当該アレイ内のどのセンサがユーザの存在を検知しているのかを決定するべく入手して、当該データを、ユーザの形状/サイズ/可能な動きについてのデータとともに、支持表面に対するユーザの配向及び位置を推定するべく使用することができる。例えば、圧力センサを包含する支持表面から生成される圧力マップを使用して、ユーザの位置及び配向を推定することができる。圧力センサに対してここに記載したのと同じ原理をすべての検知モダリティに適用することができる。
次に図19を参照すると、一実施形態において、支持表面に対するユーザの体位、位置、及び配向が推定される。動き及び重さの範囲を有する身体モデルが作られる。これは一般的であり得るか又はユーザ固有のデータを含み得る。当該身体モデルをセンサデータと組み合わせて使用して、位置マップが生成される。
いくつかの実施形態において、灌流センサのようなセンサが人の身体上に直接配置される。当該センサは、例えば、ユーザ身体上の任意領域が虚血であるか否かを決定することができる。灌流センサは、一定数の異なる検知モダリティ(例えば経皮的酸素圧力、皮膚温度等)を用いることができる。この生物測定情報は、既知の基準マーカを介して得られた体位情報とともに、検知システムに中継することができる。ユーザ上に配置された基準マーカはまた、ユーザの灌流状態に関する情報に加え、固有識別子(例えば異なるキャパシタンス、抵抗、RFID等)を有することもできる。すなわち、灌流センサを既知の基準マーカと並列させて、灌流データ及び体位データをリンクさせることができる。灌流センサ及び基準/位置マーカを、互いに密に近接して又は互いに既知の関係で配置して、灌流データ及び体位データの密接なリンクを作ることができる。支持システムとの関係における各灌流センサの固有位置についての知識を使用して、ユーザの組織灌流マップを生成することができる。検知システムは、灌流センサ及び位置マーカ双方の検知を担うことにより、当該センサ及びマーカを小さくかつ低複雑性にすることができる。
本発明のいくつかの実施形態において、ユーザから支持システムへのセンサデータの送信は重要である。灌流センサは、虚血のマーカとなる異なる生理学的因子の程度を検出することができる。当該センサがユーザ上に配置される場合、当該センサは支持システムへ当該情報を中継することができる。これを達成する一方法は、ユーザ身体上のセンサを支持システムにリンクする配線を有することである。センサはまた、情報を無線送信するように構成することができる。これを達成する他方法は、灌流センサにインジケータの感受性変化を誘起させることである。インジケータはユーザ上に配置され、センサ自体に当該インジケータを組み入れることができる。その後インジケータ内の変化を支持システムが検知することができる。例えば、灌流センサは、インジケータのキャパシタンス又は抵抗に変化を誘起し得る。キャパシタンス又は抵抗のこの変化をシステムが検知することができる。したがって、システムは、ユーザの灌流状態に関する情報を間接的に受信することができる。
センサは、身体表面全体にわたり配置することができるか又は、例えば寛骨、尾骨、かかと、足首、及びひじのような、虚血となる高リスクがある領域に戦略的に配置することができる。高リスク領域にのみセンサを戦略的に配置することは、ユーザが灌流検知の準備をする時間を低減し得る。センサはまた、高リスク領域と既知の身体的関係にあるが直接的に高リスク領域ではない位置に戦略的に配置することもできる。また、少ないセンサを使用することが、効力を大幅に低減することなく全体的なセンサ帯域幅を低減し得る。
センサの配置を支援するべく、埋め込みセンサのアレイを有する接着シートをユーザ上に配置することができる。シートには透明なランドマークが印刷されているので、センサアレイの適切な配置が支援される。例えば、一実施形態において、シートには、例えばL4隆椎、ASIS、転子等のような解剖学的ランドマークと相関するように構成されるランドマークが印刷される。当該シートは、異なる形状及びサイズのユーザを収容するべく異なるサイズにすることができる。当該シートはまた、異なるサイズ及び形状のユーザを収容するべく伸長するように構成することができる。当該シートはまた、半透明、透明、通気性、再使用可能、及び/又は、センサの適切な配置後所定位置に当該センサを残しておくよう除去可能であり得る。センサの「シート」を使用する方法は、センサを配置する速度、容易性、及び信頼性を大幅に向上させ得る。シートは、任意の身体部分に適合するべく上述の特徴を有して作ることができる。また、シートは、広い範囲の潜在的なセンサアレイを収容するように構成することもできる。センサはまた、体にぴったり合う靴下、下着、手袋、パッチ、及びスリーブに埋め込むこともできる。
図18において、解剖学的ランドマークを有するセンサ1805付きシート1800が示される。当該方法により、センサを迅速かつ容易に寛骨及び尾骨に配置することができる。なお、本発明に使用されるセンサは、多くの位置及び配向に見出すことができる。可能なセンサ位置は、支持表面への埋め込み、支持表面を覆うシートへの埋め込み、支持表面の下又は周辺への配置を含むがこれらに限られない。
本発明の多くの実施形態において、身体表面マーカに対応する領域において圧力を最適化することが望ましい。本発明は、創傷包帯等の身体表面マーカに対応する領域における界面圧力をなくす新規な方法を利用する。これを達成する一方法は、創傷包帯等の身体表面マーカに、システムが検知し得る材料を埋め込むことである。検知システムはその後、すべての創傷包帯及び身体表面マーカの位置を追跡し、これにより表面圧力を最適化することができる。したがって、創傷等の高リスク領域の下において界面圧力を低減し又はなくすことができる。創傷包帯及び身体表面マーカを感受性にするには多くの方法が存在する。これらのいくつかが本明細書に記載される。
本発明の一側面において、有線又は無線接続のいずれかを介して遠隔ホストにより検知され得る創傷包帯が使用される。当該感受性のある創傷包帯はまた、図20に示されるように、身体表面マーカ2000及び2005を含むことができる。当該創傷包帯及び表面マーカは接着材料からなり得る。その結果、人の皮膚に適用され得る。検知システムはその後、創傷包帯又は表面マーカの存在を自動的に識別することができる。そして、当該固有位置において圧力最適化操作を行うことができる。支持システムに対して人が動くと、検知システムは、当該検知システムの表面の近くに存在する任意の創傷包帯又は表面マーカを連続的に追跡することができる。
本発明のいくつかの実施形態において、人が装着する衣類の中に表面マーカを組み入れることが望ましい。本発明に使用される表面マーカは、例えば靴下、下着、手袋、パッチ、ブレスレット、又はスリーブのような体にぴったり合う衣類に埋め込むことができる。
図21には、一以上の感受性材料が埋め込まれた靴下2100が示される。感受性材料は、例えばかかと、外果、及び/又は内果のような靴下の固有位置に埋め込むことができる。ユーザは、靴下を装着し、当該靴下が検知システムの表面近くに配置される場合、当該固有位置において圧力最適化操作を行うことができる。支持システムに対して人が動くと、検知システムは、当該支持システムの表面近くにある任意の靴下を連続的に追跡することができる。なお、靴下又はスリーブは、例えば腕又は脚のような任意の身体の表面に合うように作ることができる。また、例えば組織の移植又は皮膚弁のような固有の「リスクがある」領域にわたってフィットするように、専用のスリーブを構成することもできる。
また、図21において、一以上の感受性材料が埋め込まれた下着2105が示される。感受性材料は、例えば腰及び仙骨のような固有の位置に埋め込むことができる。ユーザは、下着を装着し、当該下着が支持システムの表面近くに配置される場合、当該固有位置において圧力最適化操作を行うことができる。支持システムに対して人が動くと、検知システムは、当該支持システムの表面に近いままである限り、当該下着を連続的に追跡することができる。下着は、当該下着のいずれの動きも人の動きを直接反映するよう、人に対して固定された位置のままとする必要がある。
図22に示されるように、本発明の一側面において、感受性の身体表面マーカを作るべく磁石2200を実装することができる。感受性の創傷包帯及び身体表面マーカ2205を作る一方法は、可撓性の、柔らかい、かつ磁気的に許容可能な材料をこれらのアイテムに埋め込むことである。磁気的に許容可能な創傷包帯はその後、支持表面の空気列2210のそれぞれの中に包含される小さな磁石又は電磁石と相互作用をする。磁気的に許容可能な創傷包帯が支持表面の近くに置かれる場合、支持表面の中に包含される磁石は創傷包帯に向かって引き寄せられる。各空気列は、磁力の大きさを測定することができる力センサを含む。支持表面はその後、大きな力を受ける空気列における空気圧力を低下させることにより応答する。受ける力が増加すると、対応する列内の空気圧力はそれに比例する量だけ低下する。したがって、界面圧力が、磁気的に許容可能な包帯を有する領域下で解放され又はなくなる。他実施形態において、支持表面は、当該支持表面の上層の下において所定距離離間して配置される磁気センサアレイを包含する。この磁気センサアレイを使用して、当該センサアレイに近い範囲内に配置される磁気身体表面マーカの座標を決定することができる。当該位置データは支持表面と通信することができる。支持表面はその後、表面圧力を最適化するか又はこの情報に基づいて標的とされる療法を送達する。
図22は、当該磁石を使用して創傷下の表面圧力をなくす方法を示す。磁気的に許容可能な材料を包含する包帯が使用されて任意の創傷又は組織が覆われる。検知システムは小さな磁石を包含し、当該磁気的に許容可能な創傷包帯は、当該2つが近くに配置されると、当該小さな磁石を引き寄せる。得られる磁気力がシステムにより検知され、対応する空気列内の空気圧力が低下する。
磁石を利用する他方法は、磁気センサを支持表面に埋め込むことである。表面マーカは磁気材料から作ることができる。当該磁気材料は、検知システムに埋め込まれた一以上の磁気センサにより容易に認識される。磁気センサは、比較的安価、高感受性、かつ非接触検知可能である。非接触検知は、ユーザが、不快となり得るセンサを「感じる」必要がないので有利である。磁気材料を埋め込んだ創傷包帯、身体表面マーカ、さらには衣類(すなわち靴下、下着、手袋等)をも使用して、被験者身体の固有領域を区画することができる。または、磁気インクペンを使用して、被験者身体の固有領域をマーキングすることができる。検知システムはその後、磁気材料によりもたらされる磁界強度及び/又は磁界方向を検出して、1)我々の被検者の物理的存在を検出し、2)我々の被験者上の固有位置を突き止め、3)我々の被験者身体の支持システムに対する任意の動きを検出し、4)磁気表面マーカ下の界面圧力を最適化することができる。磁気センサを使用して、支持システムの近くに配置された任意の磁気表面マーカからもたらされる磁界強度及び/又は磁界方向を測定することができる。磁界方向対磁界強度を測定することにはいくつかの利点が存在する。これらは磁石の温度係数に対して非感受性であること、衝撃及び振動に対してあまり感受性がないこと、センサ及び磁石間距離の大きなバリエーションに耐え得ること、及び磁気物体の角運動又は線形運動を検出し得ることを含む。
本発明の検知システムはまた、導電可能な織物を利用することもできる。身体表面マーカはその後、検知システムと接触すると抵抗に測定可能な変化が生じるように、人に配置することができる。この方法を使用すると、検知システムは人上の身体表面マーカを追跡し、それに応じて表面圧力を調整することができる。
同様に、織物又は材料に伝導性を加えるべく、通常の織物に伝導性糸を散在させることができる。これにより、通常の織物、紙、又はプラスチックの材料が、伝導性となる(又は低抵抗性となる)一方で、他の特性をほとんどの部分に対して維持することができる。
他の処置又は人管理のレジメンとの望ましくない干渉を回避するべく、検知デバイス内の導体を通過し得る電流の量を制限するヒューズをセンサシートに配置することができる。ヒューズは、例えば、ベッド又は人と接触する導体に対して直列に配置することができる。例えば、細動除去器が人に使用される場合、導体に沿った電流の流れを低減するべくヒューズを使用することができる。
当該ヒューズは、導体と分離することができるが導体のセグメントの形態をとることもできる。いずれの実装形態においても、所定の最大電流のみが、回路が遮断されるまで流れることが許容される。少なくともいくつかの実施形態において、人又は周辺の他の機器のいずれにも危険性が存在しないレベルまで電流を制限するべく、高い値の抵抗を使用することができる。
検知システムにアラーム機能を組み入れることができる。身体の特定領域(身体表面マーカが定義)が次善の灌流を長時間受けていた旨を検知システムが決定すると、介護者は、可聴又は可視アラームを介して注意喚起を受けることができる。アラームは、ナースステーションに無線送信することができる。
本発明の検知システムは、易感染性組織灌流領域を識別するべく、本明細書に記載のセンサの一つ、いくつか、又はすべてを利用することができる。支持システムはその後、灌流下にある領域に血流を回復させるべく表面圧力を最適化することができる。
上述の概念、センサ、及びデバイスのいずれも、椅子、車椅子、手術台等の支持表面上での使用に適用することができる。
一実施形態において、手術室の台の表面に圧力センサが埋め込まれる。圧力センサを使用して、手術を受ける人の圧力マップを生成することができる。任意の領域が高い圧力を長時間量の間受けると、アラームが鳴る。その後、当該圧力を解放するべく人の体位を調節することができる。
複数の圧力センサの一つのシートが、手術に先立って手術台表面上に固定的に配置されるシステムを構成することができる。代替的に、感圧織物からなるシートを使用することもできる。当該シートは使い捨て可能である。
検知システムが易感染性組織灌流領域又は組織負傷を検出する場合、当該固有位置において界面圧力をなくすことができる。異なる言い方をすれば、本発明のいくつかの実施形態において、人の身体上の固有位置における圧力を取り除くことができる。固有位置周辺の圧力を漸次的に解放するように支持システムを構成することができる。このように漸次的に圧力を取り除くことにより、界面圧力の突然かつ劇的な変化が回避される。劇的な圧力変化は、とりわけ、不十分な循環又は支持システムが「欠落している」という感覚をもたらし得る。圧力勾配の大きさが調節可能であり、最小界面圧力が設定可能である。圧力を取り除く速度も調節可能である。所与位置から単位距離当たりの圧力を取り除く速度は、ユーザ又は介護者が定義することができる。経時的な圧力を取り除く速度は、ユーザ又は介護者が定義することができる。これらの調節は、快適性を最大限にするように又は標的領域若しくはこれの周辺における減圧を最適化するように行うことができる。
図23において、圧力解放を必要とする所定領域がマーキングされている(長円で示されている)。一つのマーカ2300の場合、界面圧力が漸次的に低減され、当該圧力がマーカ直下で最低となる。圧力解放が必要な領域を複数のマーカ2305~2310が取り囲む場合、当該圧力は漸次的に低下し、当該圧力は、計算された最適位置においてマーカが包囲する領域内で最低となる。
所定実施形態において、固有位置において界面圧力が順次増加又は低下できるように支持システムを構成することができる。このような順次加圧及び減圧は、選択された組織への血流を促進するべく使用することができる。当該方法の一実施形態において、ユーザの灌流状態を個別の位置で決定することができるように、複数の空気列を包含する支持表面にセンサアレイが埋め込まれる。標的組織への血流を最適化するべく、個別の空気列がその空気圧力を調整することができる。当該動的な空気圧力変化は、圧力パルス又は圧力波が標的組織に向かって又は標的組織から離れて径方向に動くような、血流を促すことが知られている所定パターンに従うように構成することができる。他の圧力変化モードもまた可能である。
図24において、異なる圧力変化パターンが示される。点線は、太線矢印で示されるようにシフトする複数の局所圧力最大値を示す。ここに示されるのは、拡がる圧力リング2400、回転する径方向圧力ライン2405、及び一方向に動く圧力ライン2410である。さらに示されるのは、圧力変化のいずれかの所与パターンを使用して低下され又はなくされる高リスク領域における圧力である。
交替圧力支持システムの最大圧力を変えることに加え、他の特徴も調節することができる。これらは、支持システムに沿った任意位置に対し、最小圧力、圧力変化周波数(周波数0Hzすなわち圧力変化なしを含む)、高圧力持続時間(又はデューティーサイクル)、振幅変化、最大及び最小振幅、並びに圧力変化が生じる速度を含む。身体表面マーカを検知する位置により、これらの圧力最適化バリエーションが、身体上の固有領域を標的とすることができる。これの一例は、安定した頭の支持を可能とするべく頭を区画して、この位置の表面圧力が相対的に又は絶対的に一定のままとすることである。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の支持表面及びデバイスは、どの圧力最適化技術が各個別の人に対して最善に機能するかを決定する学習アルゴリズムを用いることができる。当該アルゴリズムは、異なる圧力最適化操作が行われる前、間、及び後に取得されたセンサからの灌流データを考慮に入れることができる。異なる圧力最適化操作の有効性が記録かつ評価されて、どの操作又は操作の組み合わせが個別の人に対して最善に機能するかが決定される。これはどのユーザに対しても有効となり得るが、支持表面上で多くの時間を過ごすユーザにとって、圧力最適化プロトコルがロバストであって固有の生理学的パラメータに基づいてカスタマイズされることが最大の利益となる。灌流は、学習アルゴリズムにより最適化され得る一手段であるが、他の手段もまた学習アルゴリズムを使用して最適化することができる。
身体上の所定位置、例えば寛骨、尾骨、かかと、足首、及びひじ、においては特に潰瘍が進展しやすい。図18に示されるような接着シートの使用により適用される身体表面マーカを使用して、潰瘍が進展する高リスクにある領域を区画することができる。下の画像は、複数の身体表面マーカを迅速並びに人に対して及び互いに正しい配向双方に適用するべく使用される接着シートの詳細な図を示す。
これらの位置において、圧力はしばしば骨突出にわたって集中する。これらの部位にクッション材料及び支持材料を使用することで、広い領域にわたって圧力を分散することができる。これにより、骨突出にわたる圧力を解放することができる。当該デバイスの使用は、潰瘍化の予防に役立ち、創傷及び潰瘍の治癒を支援することができる。
当該デバイスに関する一つの共通の問題は、高リスク位置における圧力が解放される一方で、圧力が他の部位に伝達されて当該他の部位における潰瘍化リスクが増加することである。1)減圧勾配を利用すること及び2)支持クッションが動的な圧力最適化操作を行うことという2つの改善点が本明細書に記載される。
現在のところ入手可能であってかかとにフィットするクッション及び支持デバイスがしばしば、かかと上の圧力を解放するべく使用される。かかと又はひじの場合(これらの低質量が与えられる)圧力が容易に分散できる一方、上述の改善点は、クッション材料及び支持材料の、腰及び尾骨のような重負荷領域における使用を許容することができる。
図27は、支持表面2700のための一実施形態における圧力調節を示す。圧力が高リスク領域2705において低減され、クッションの隣接列2710のエッジ間には劇的な圧力差は存在しない。得られる圧力降下は漸次的である。この漸次的な圧力再分配方法を使用して、高リスク領域における灌流を最適化する一方で人の快適性を改善することができる。
圧力勾配は、それぞれの固有のユーザ、身体部分、又は創傷部位に対して調節かつカスタマイズすることができる。独立して制御される圧力の個別領域がクッションに存在する。クッション内の個別領域における圧力は、これらの領域に対して所定物質を加え/減じることにより独立的に調整することができる。この物質は、発泡体のような柔らかい中実材料、水のような流体、又は空気のような気体であり得る。
圧力勾配に加え、クッション/支持デバイスはまた、圧力のシフト/又は動的な変化をもたらすこともできる。一例において、これは、クッションの個別チャンバ内の圧力をポンプ等の空気加圧デバイスにより制御することによって達成することができる。その後圧力が自動的に経時的な調整及び調節を受ける。圧力変化は、例えば、径方向にリスク又は障害の側から離れて又はこれに向かって動く圧力パルスを有することにより、血流を促すべく選択されたパターンに従い得る。同様に、圧力パルス又は圧力波は、リスク領域から扇形に広がり及び/又はその周辺を移動することができる。他の圧力変化モードもまた可能である。
図25において、クッションにおける圧力変化の異なるパターンが示される。点線は、太線矢印で示されるようにシフトする複数の局所圧力最大値を示す。ここに示されるのは、拡がる圧力リング2500及び回転する径方向圧力ライン2505である。さらに示されるのは、圧力変化のいずれかの所与パターンを使用して低減され又はなくされる高リスク領域における圧力である。
これら同じ技術をかかと及びひじ等の身体領域にも同様に適用することができる。
上述の支持クッションは、本明細書に記載の検知機構のいずれか又はすべてを収容するように構成することができる。灌流センサを支持クッションに組み入れることにより、標的組織の血行力学をモニタリングすることができ、血流を促すべく圧力を最適化することができる。本明細書に記載の概念、センサ、及びデバイスのいずれも、支持クッションとともに使用することができる。
本明細書に記載の概念及びセンサを使用して、ユーザの灌流状態を(支持システムと接触している組織のみならず)身体上の任意位置においてモニタリングするスリーブ、パッチ、又は包帯を構成することができる。異常灌流が検出される場合、アラームを使用して介護者に注意喚起することができる。当該デバイスは、組織の植皮又は皮膚弁の灌流をモニタリングするのに有用となり得る。
異なる配向に空気列を配置することは、必要な空気列を少なくして表面圧力の2次元制御に対処する支持表面の一つのバリエーションである。
図26に示されるのは、互いに直交配列される2層の水平空気列2600~2605を有する支持表面である。
上層列のみが収縮する場合、下層行は、その圧力が上層よりも高くなると膨張する。その結果、収縮する上層列により覆われた領域は、下層行により支持される。上層列及び下層行は、互いに直交に配列される。下層行のみが収縮する場合、上層列は膨張し、下層行に覆われた領域が上層列により支持される。上層列及び下層行双方が収縮すると、上層及び下層双方に完全には支持されていない領域のみが、収縮した列及び行が交差する領域に対応する。したがって、行及び列双方の圧力を調節することにより、表面圧力を固有位置において制御することができる。
本発明のデバイス及び方法は、他の様々な用途を有する。例えば、ずれ力を最小限とし又は温度を調整若しくは湿度を調節するべく、支持システムを構成することができる。創傷の処置の他の用途も存在する。例えば、規則的なインターバルでの局所的胸部パーカッション療法(CPT)を必要とする嚢胞性繊維症のような疾患を有する人が、検知システムを利用することができる。詳細には、可変圧力パターンを作る本発明の実施形態を使用して、嚢胞性繊維症を有する人の粘液排出を最適化する自動化パーカッションプロトコルを作ることができる。パーカッション療法が有益となり得る他の用途においても同じ原理を使用することができる。本発明の他の潜在的な用途が本明細書に簡潔に記載される。
ずれ力を直接検出しかつこれをなくす能力が、創傷及び褥瘡の処置及び予防を改善する。ずれ力を検出する一方法は、皮膚と支持表面との界面に、例えばひずみゲージ又はピエゾ抵抗素子センサのようなずれセンサを配置することである。一実装形態において、支持表面に又はその表面直下に、ずれセンサを埋め込むことができる。ずれセンサはまた、支持表面の上部に配置されるシートに配置することもできる。ずれセンサはまた、皮膚に直接付着することもできる。これらのずれセンサを使用して、皮膚表面に対して接線方向の伸長又は圧縮をもたらす力を検知することができる。
他のアプローチは、伸長に基づいて抵抗が変化する伝導性織物又は糸を使用することである。抵抗の変化を測定することを使用して、ずれ力と相関し得る表面の伸長を定量化することができる。人の配向及び/又は人が横たわるか若しくは座っている支持表面の位置を知ることにより、ずれ力を推定することができる。
ずれ力がひとたび検出されると、本実施形態によれば、一定数のアクションがとられる。一以上のずれセンサが、支持表面沿いの又はユーザの皮膚上の異なる位置におけるずれ力のマップを形成し得る。大きなずれ力を受ける領域がハイライトされて、ユーザの体位再変更によりずれ力を低減するべくユーザ又は介護者は注意喚起を受けることができる。支持表面沿いの又はユーザの皮膚上のずれ力のマップは、ずれ力をモニタリングすることにより生成することができる。
ずれ力の検出に加え、支持表面の実施形態を使用して過剰なずれ力を自動的になくすことができる。所定しきい値を上回るずれ力がひとたび検出されると、支持表面は、当該力が生成されている位置を決定する。灌流センサデータを人の体位と相関させる上述の方法と同様の方法を、センサデータの局在化のために使用することができる。ここで、灌流センサの代わりにずれセンサが使用される。支持表面はその後、ずれ力の位置及びその周辺における界面圧力を調節してずれ力を解放することができる。
ずれ力を自動的になくす一方法は、増加したずれ力の領域を取り囲む領域における圧力を増加させた後、増加したずれ力の領域における圧力を、皮膚/組織と支持表面とが互いに動き/スライドできる程度に十分な圧力が解放されるまで低減することを含む。
過剰な摩擦力を防止するべく、圧力の低減を速くして圧力を完全になくすようにすることができる。当該方法は、皮膚と支持表面との接触なしの相対的な動きを可能とする。ずれ力の低減を目的とする圧力変化は、支持システムが最適な静止圧力条件を迅速に再取得できるように、一時的であり得る。
本発明の一実施形態によりもたらされる、ずれ力の低減を目的とする圧力変化は、動く圧力波、圧力低減リング、又は増加/低減圧力の交替領域を用いることができる。ずれ力を低減する最適な方法は、各固有皮膚領域のサイズ、形状、及び脆性に依存し得る。
支持システムは、任意のアクションがとられる前に所定時間量の間十分大きなずれ力が存在する必要のある特徴を組み入れることができる。当該方法は、ずれ力の過渡的かつ自己限定的な増加をきっかけとするアクションをなくすのに役立ち得る。
ユーザは、恐らくは知覚障害に起因して、ずれ力を感じることができないかもしれない。このため、それに応じて体位を調節することができないかもしれない。本発明においては、ずれ力をモニタリングして自動的になくすことができる。ユーザ及び/又は介護者は、ずれ力が支持表面によっては自動的になくすことができない場合、注意喚起を受けることができる。
ずれ力センサが皮膚上に直接配置されていないが、例えば、代わりに支持表面に配置されている場合、検出されるずれ力のいくつかは皮膚に伝達されない。これらの検出されるずれ力は、センサが埋め込まれている材料の圧力又は自然な伸長に起因し得る。皮膚が受けるずれ力が興味測定値であるから、測定されたどの力が最も皮膚に伝達される可能性が高いかを決定することが有用である。これを行う一方法は、ずれ力検知マップを圧力検知マップと相関させることである。当該圧力が十分であって所与の検知ずれ力の原因となる見込みがある場合、当該ずれ力の読みは無視し又は差し引くことができる。残りのずれ力が、皮膚に伝達される可能性が高いと仮定することができる。この方法は、ずれ力センサからのデータを無視し、差し引き、又は重みづけする調節可能レベルを許容することにより、様々な程度にカスタマイズすることができる。
創傷の予防及び処置において、湿潤及び温度の制御も重要となり得る。湿潤に対しては、浸軟を回避するべく非傷害皮膚領域を乾燥させておくことが重要である。創傷に対しては、当該領域を湿潤させて乾かないようにしておくことが重要である。皮膚を取り囲む空気の湿度及び流体の存在を検知システムにより検出することができる。湿度センサ及び流体センサを皮膚上又は支持表面に配置することができる。創傷領域を区画して、次善の湿潤レベルを有する領域を、湿りすぎ又は乾きすぎのいずれであっても、検出することができる。過剰湿潤領域に対しては、支持表面は湿潤を低減するべく動作することができる。例えば、支持表面の浸透性を変えることができる。支持表面は、開放され、かつ、流体が排出され、毛管作用で逃がされ、又は吸い出されるようにする水チャネルを有することができる。支持表面はまた、湿潤を蒸発させるべく気体が吹き入れられ及び吹き出されるようにもできる。支持表面は、所定領域における圧力を低減して、皮膚と支持表面との間を気体が流れるようにすることができる。湿潤が不十分な領域においては、湿潤低減方法を停止するか又は湿潤低減領域に湿潤気体を送達することができる。
温度の制御は、創傷の予防及び処置にとって重要である。温度の規制は特に、体温調節障害のユーザにとって問題となる。脊髄負傷(SCI)を有する個人は、反射性の発汗又は血流制御の喪失により一定体温を維持することが困難であり得る。温度検知に対しては、サーミスタ、放射熱検出、及びIRセンサを含むいくつかの方法が存在する。ひとたび次善温度の領域が検出されると、支持表面は温度を補正するべく動作することができる。温度制御にはいくつかの方法を使用することができる。これらは、加熱又は冷却された液体又は気体を支持表面の表面近くにポンピングすること、皮膚と支持表面との間に気体をポンピングして蒸発による熱損失を促すこと、熱電加熱及び冷却素子を使用すること、電気加熱素子を使用すること、及びユーザ又は介護者に次善の温度を注意喚起して迅速にアクションがとられるようにすることを含むがこれらに限られない。
支持表面は、ユーザ身体上の個別位置における表面温度を最適化することができる。身体の固有領域、例えば背中、に送達される熱が、リラックス及び治癒効果を有し得ることが知られている。本発明の検知システムは、ユーザ身体上の特定位置を識別することができるので、ユーザの固有位置に熱を送達することができる。同様に、身体の任意部分に冷却を送達することもできる。検知システムは、これらの固有身体位置を、ユーザの身体位置マップを生成すること又はユーザ身体上のマーカを用いることのいずれかにより決定することができる。身体表面マーカが使用される場合、複数の固有身体表面マーカを、各身体表面マーカにおける温度が異なり得るように身体の特定領域に適用することができる。加熱及び冷却サイクル及びプロトコルも用いることができる。
いくつかの実施形態において、ユーザの体位を知ること、及び支持システムにわたる固有位置の圧力を十分に変えることができることにより、ユーザを自動的に転がすことができる。例えば、ユーザが仰向けに横たわっている場合、身体の一側面上の圧力を増加させる一方で、他側面上の圧力を同時に低下させて、有効に転がりをもたらすか又は促すことができる。これは、褥瘡が進展しがちであって頻繁に転がる必要がある人にとって極めて有利となり得る。これはまた、例えば、睡眠無呼吸又はいびきの問題を有するユーザであって横向きになって寝ている間はあまり睡眠障害を受けないユーザにとっても有用となり得る。当該状況において、支持表面は、ユーザが好ましくない体位にある時を検出することができる。また、それに応じてユーザを転がすことができる。システムは、十分な転がりが達成された時を検出することができる。この時点で、表面圧力はその通常状態に復帰する。
鬱血性心不全(CHF)を有する人に対し、支持システムを調節して、心臓への緊張を低下させるべく人を傾動させる(頭が上で足が下)ことができる。これは、血液酸素負荷の微小な変化を検出するパルス酸素濃度計等のセンサとともに使用することができる。
身体表面マーカの使用により、システムは肺野に対応する身体表面領域を識別して当該位置に直接パーカッション又は振動療法を送達することができる。パーカッション及び振動療法はまた、呼吸器粘液及びデブリの喀痰を最大化するべく、肺野に対して固有のパターンで送達することもできる。このように送達される肺疾患療法は、肺をきれいにしておく支援となり得る。
本明細書に記載の発明及びデバイスはまた、一般的な消費者集団による使用を目的として構成することができる。一般消費者のための一実装形態は、ユーザ身体の身体位置マップを生成した後に、エルゴノミクスの改善を目的として表面圧力を最適化するデバイスである。これにより、支持システムは、各固有ユーザに対して及びユーザの現行体位及び固有の問題に応じて、エルゴノミクスを自動的かつ動的にカスタマイズすることができる。当該技術は、例えば、固有のランバーサポートを必要とする背中の問題を有する者にとって有利である。検知システムは、ユーザのランバー領域を識別し、当該ランバー領域を支持するべく表面圧力を最適化することができる。さらに、当該実施形態における支持システムは、ユーザが中立的な、人間工学的に効率的な、かつ健康的な体位で休むことができるように、その表面にわたる圧力を調節することができる。
本発明の他側面において、睡眠サイクルを検出するべく構成されるセンサ300の一実施形態を図1のシステムとともに使用して、検知システムがアラームクロックとして機能できるようにし得る。睡眠サイクルの固有の段階(すなわちレム睡眠直後)において目覚めることは有利である。検知システムは、ユーザが睡眠サイクルのどの段階にあるかを、上述に教示の態様で、脳電図を直接測定することにより又は他の生物測定データ(例えば動き、レム睡眠中は人々が麻痺するので)を間接的にモニタリングすることにより決定することができる。ユーザはその後、当該人に適切な任意の知覚刺激(視覚、聴覚、嗅覚、触覚)を介して最適な時刻に目を覚ます。支持システムはまた、人が所望の時刻に支持システムから出ることを促すべく表面圧力を調整することができる。人は、目を覚ましたいと思う時刻範囲を指定することができる。システムはその後、この範囲内で人が目覚める最適時刻を識別することができる。
本発明の他側面において、手術台が、その表面にわたり圧力検知マットを有し得る。当該マットは、手術台に埋め込むことができるか、又は支持システムの表面にわたり固定的にくるむ(ベッドシーツのように)ことができる。その後、人の圧力マップを生成することができる。高圧力領域が一時間又は他の予め定義された時間量を超える間確認されると、介護者は注意喚起を受ける。人は手術台上にいるときは麻痺させられているのが典型的なので、動くべきではなく、体位マップ及び圧力マップを相関させる必要がない。圧力センサに関連づけられたLCD表示を使用して、高圧力領域が手術台に対してどこに位置するかを示すことができる。
圧力検知パッドを使用して、身体部分同士間又は身体部分と他の物体との間の圧力をモニタリングすることができる。例えば、両ひざ間、ひじ/手首と身体側面との間である。これらの領域も、人が横になって横たわっている場合又は両腕が密接につながれている場合、高い圧力を受け得る。圧力マットは、所定位置に留まるのに役立つような及びこれらの領域にパッドを当てるのにも役立つような形状及び形態とすることができる。介護者は、高い圧力が持続期間測定される場合に注意喚起を受けることができる。
検知システムは、支持システムに対する人の正確な体位を決定することができるので、支持システムを使用して、挿管を促す配向への自動的な人の体位変更により、迅速な気道管理を支援することができる。例えば、声門暴露を増大させるべく首を強制的に突き出させることができる。ベッドの頭部を上昇させて、呼吸の仕事量を低下させることができる(肥満者は時々、フラットに横たわっている間呼吸困難となり得る)。ベッドの頭部を上昇させることはまた、睡眠無呼吸又は鬱血性心不全の人に対しても有用である。この場合、生命徴候モニタを使用して、適切な傾きレベルを決定することができる(呼吸数が増加又は酸素飽和量が低下すると、傾きレベルは増加する)。
本発明の他側面において、支持表面における容認できる「へこみ」の最大サイズを予め定義することができる。これにより、ユーザが支持システムに作られた穴に落下するのを防止することができる。最大限界を有することは、大きな創傷を有する人を処置するときに重要となり得る。圧力が低減される複数の小さな領域は、創傷領域下に移動して、圧力を大きな空間にわたり所定期間最小化することができる。
上述において主に、病院又は養護ホーム用の支持表面について記載するが、本発明の技術は幅広い潜在的用途を有することも理解される。例えば、当該技術は、家庭又は車において利用することができる。例えば、運転中、後ろのポケットに入れた財布が厄介となり得る。財布は、感受性材料が埋め込まれるか又はこれを包含することができる。その後、ユーザの財布が車又は車椅子等の支持表面のシート近くに配置されるときはいつでも、当該財布に対応する位置に小さなへこみが自動的に作られる。これにより、人は、後ろのポケットから財布を取り除く必要なく車のシートに快適に座ることができる。この方法は財布に拘束される必要はなく、代わりに、身体に密着して不快性をもたらすか又は褥瘡発生リスクを増加させる任意の物体に対して適切である。
本明細書は、支持システムの基礎として「空気列」の使用に焦点を当てている。すべての実施形態において空気列が必要とされるわけではないことに注意すべきである。個別位置において表面圧力を調整可能な任意の支持システムを使用することができる。他の方法は、液圧システム、沸き立つ砂の列、及び機械ピストンを含むがこれらに限られない。
本発明の好ましい実施形態、その多数の側面、及び様々な代替例について十分に記載したが、当業者は、本明細書の教示を前提として、本発明から逸脱しない多数の代替例及び均等例が存在することを認識する。したがって、本発明は上述の記載によってではなく添付の特許請求の範囲によって制限されることが意図される。