概要
図面を全体として参照すると、様々な例示的実施形態によるモデル予測的メンテナンス(MPM)システム及びその構成要素が示されている。MPMシステムは、ビルディング機器に関する最適なメンテナンス戦略を決定するように構成することができる。いくつかの実施形態では、最適なメンテナンス戦略は、最適化期間(例えば、30週、52週、10年、30年など)の継続期間にわたるビルディング機器の購入、メンテナンス及び動作に関連する総コストを最適化する決定事項の組である。これらの決定事項は、例えば、機器の購入の決定、機器のメンテナンスの決定及び機器の動作の決定を含むことができる。MPMシステムは、モデル予測制御技法を使用して、これらの決定事項の関数として総コストを表す目的関数を定式化することができる。決定事項は、決定変数として目的関数に含めることができる。MPMシステムは、様々な最適化技法のいずれかを使用して目的関数を最適化(例えば、最小化)して、各決定変数に関する最適値を識別することができる。
MPMシステムによって最適化することができる目的関数の一例は、次式で示される。
ここで、C
op,iは、最適化期間の時間ステップiにおいてビルディング機器が消費する単位エネルギーあたりのコスト(例えば、ドル/kWh)であり、P
op,iは、時間ステップiにおけるビルディング機器の電力消費量(例えば、kW)であり、Δtは、各時間ステップiの継続時間であり、C
main,iは、時間ステップiにおいてビルディング機器に対して実施されるメンテナンスのコストであり、B
main,iは、メンテナンスが実施されるか否かを示すバイナリ変数であり、C
cap,iは、時間ステップiにおいてビルディング機器の新たなデバイスを購入する資本コストであり、B
cap,iは、新たなデバイスが購入されるか否かを示すバイナリ変数であり、hは、最適化が実施されるホライズン又は最適化期間の継続時間である。
目的関数Jの第1項は、最適化期間の継続期間にわたるビルディング機器の動作コストを表す。いくつかの実施形態では、単位エネルギーあたりのコストCop,iは、エネルギー価格データとして公益企業から受信される。コストCop,iは、時刻、曜日(例えば、平日か週末か)、現在の季節(例えば、夏か冬か)又は他の時間ベースの因子に依存する時変コストであり得る。例えば、コストCop,iは、ピークエネルギー消費期間中にはより高く、オフピーク又は部分ピークエネルギー消費期間中にはより低いことがある。
いくつかの実施形態では、電力消費量Pop,iは、ビルディングの加熱又は冷却負荷に基づく。加熱又は冷却負荷は、ビルディング占有、時刻、曜日、現在の季節又は加熱若しくは冷却負荷に影響を与え得る他の因子に応じて、MPMシステムによって予測することができる。いくつかの実施形態では、MPMシステムは、気象サービスからの天気予報を使用して加熱又は冷却負荷を予測する。電力消費量Pop,iは、ビルディング機器の効率ηiにも依存する。例えば、高い効率で動作するビルディング機器は、低い効率で動作するビルディング機器に比べて、同じ加熱又は冷却負荷を満たすために消費する電力Pop,iが少ないことがある。
有利には、MPMシステムは、メンテナンス決定Bmain,i及び機器購入決定Bcap,iの関数として、各時間ステップiにおけるビルディング機器の効率ηiをモデル化することができる。例えば、特定のデバイスに関する効率ηiは、デバイスが購入されたときに初期値η0で始まることがあり、時間と共に低下し、連続する各時間ステップiと共に効率ηiが低下することがある。デバイスに対するメンテナンスを実施することで、メンテナンスが実施された直後に効率ηiをより高い値にリセットすることができる。同様に、新たなデバイスを購入して既存のデバイスと交換することで、新たなデバイスが購入された直後に効率ηiをより高い値にリセットすることができる。リセット後、効率ηiは、メンテナンスが実施されるか又は新たなデバイスが購入される次の時点まで、時間と共に低下し続けることがある。
メンテナンスの実施又は新たなデバイスの購入により、動作中の電力消費量Pop,iが比較的低くなり、したがって、メンテナンスが実施された後又は新たなデバイスが購入された後に各時間ステップiにおける動作コストがより低くなることがある。言い換えると、メンテナンスの実施又は新たなデバイスの購入により、目的関数Jの第1項によって表される動作コストを低減することができる。しかし、メンテナンスの実施により、目的関数Jの第2項が増加することがあり、新たなデバイスの購入により、目的関数Jの第3項が増加することがある。目的関数Jは、これらの各コストを捕捉し、MPMシステムによって最適化して、最適化期間の継続期間にわたるメンテナンス及び機器購入決定の最適な組(すなわちバイナリ決定変数Bmain,i及びBcap,iに関する最適値)を決定することができる。
いくつかの実施形態では、MPMシステムは、ビルディング機器からのフィードバックとして受信された機器性能情報を使用して、ビルディング機器の効率及び/又は信頼性を推定する。効率は、ビルディング機器での加熱又は冷却負荷とビルディング機器の電力消費量との関係を示すことがある。MPMシステムは、効率を使用して、Pop,iの対応する値を計算することができる。信頼性は、ビルディング機器がその現在の動作条件下で障害なく動作し続ける尤度の統計的尺度であり得る。より過酷な条件下(例えば、高負荷、高温など)での動作は、信頼性をより低くすることがあり、より過酷でない条件下(例えば、低負荷、中程度の温度など)での動作は、信頼性をより高くすることがある。いくつかの実施形態では、信頼性は、ビルディング機器が最後にメンテナンスを受けてから経過した時間量及び/又はビルディング機器が購入若しくは設置されてから経過した時間量に基づく。
いくつかの実施形態では、MPMシステムは、機器購入及びメンテナンスの推奨を生成及び提供する。機器購入及びメンテナンスの推奨は、目的関数Jを最適化することによって決定されるバイナリ決定変数Bmain,i及びBcap,iに関する最適値に基づくことがある。例えば、ビルディング機器の特定のデバイスに関するBmain,25=1の値は、最適化期間の第25の時間ステップにおいてそのデバイスに対してメンテナンスが実施されるべきであることを示すことがあり、Bmain,25=0の値は、その時間ステップにおいてメンテナンスを実施すべきでないことを示すことがある。同様に、Bcap,25=1の値は、最適化期間の第25の時間ステップにおいて、ビルディング機器の新たなデバイスを購入すべきであることを示すことがあり、Bcap,25=0の値は、その時間ステップにおいて新たなデバイスを購入すべきでないことを示すことがある。
有利には、MPMシステムによって生成される機器購入及びメンテナンスの推奨は、ビルディング機器の実際の動作条件及び実際の性能に基づく予測的な推奨である。MPMシステムによって実施される最適化は、メンテナンスを実施するコスト及び新たな機器を購入するコストを、そのようなメンテナンス又は購入の決定により生じる動作コストの低減に対して重み付けして、総複合コストJを最小化する最適なメンテナンス戦略を決定する。このようにして、MPMシステムによって生成される機器購入及びメンテナンスの推奨は、各グループのビルディング機器に特有のものとなり、特定のグループのビルディング機器に関する最適なコストJを実現することができる。機器に特有の推奨は、いくつかのグループの接続された機器610及び/又はいくつかの動作条件に関しては最適でないことがある機器製造業者によって提供される一般的な予防的メンテナンスの推奨(例えば、毎年の機器の整備)に比べ、全体的なコストJを低くすることができる。MPMシステムのこれら及び他の特徴を以下で詳細に述べる。
ビルディングHVACシステム及びビルディング管理システム
ここで、図1~図5を参照すると、いくつかの実施形態による、本開示のシステム及び方法を実施することができるいくつかのビルディング管理システム(BMS)及びHVACシステムが示されている。簡単な概要として、図1は、HVACシステム100を備えたビルディング10を示す。図2は、ビルディング10にサービス提供するために使用することができるウォーターサイドシステム200のブロック図である。図3は、ビルディング10にサービス提供するために使用することができるエアサイドシステム300のブロック図である。図4は、ビルディング10を監視及び制御するために使用することができるBMSのブロック図である。図5は、ビルディング10を監視及び制御するために使用することができる別のBMSのブロック図である。
ビルディング及びHVACシステム
特に図1を参照すると、ビルディング10の斜視図が示されている。ビルディング10は、BMSによってサービス提供される。BMSは、一般に、ビルディング又はビルディングエリアの内部又は周辺の機器を制御、監視及び管理するように構成されたデバイスのシステムである。BMSは、例えば、HVACシステム、セキュリティシステム、照明システム、火災警報システム、ビルディングの機能若しくはデバイスを管理することが可能な任意の他のシステム又はそれらの任意の組合せを含むことができる。
ビルディング10にサービス提供するBMSは、HVACシステム100を含む。HVACシステム100は、ビルディング10のための暖房、冷房、換気又は他のサービスを提供するように構成された複数のHVACデバイス(例えば、加熱器、冷却器、エアハンドリングユニット、ポンプ、ファン、熱エネルギー貯蔵装置など)を含み得る。例えば、HVACシステム100は、ウォーターサイドシステム120及びエアサイドシステム130を含むものとして示されている。ウォーターサイドシステム120は、加熱又は冷却された流体をエアサイドシステム130のエアハンドリングユニットに提供し得る。エアサイドシステム130は、加熱又は冷却された流体を使用して、ビルディング10に提供される気流を加熱又は冷却し得る。HVACシステム100で使用され得る例示的なウォーターサイドシステム及びエアサイドシステムについては、図2~3を参照してより詳細に述べる。
HVACシステム100は、冷却器102、ボイラ104及び屋上エアハンドリングユニット(AHU)106を含むものとして示されている。ウォーターサイドシステム120は、ボイラ104及び冷却器102を使用して、作動流体(例えば、水やグリコールなど)を加熱又は冷却することができ、作動流体をAHU106に循環させ得る。様々な実施形態において、ウォーターサイドシステム120のHVACデバイスは、(図1に示されるように)ビルディング10内若しくは周囲に位置するか、又は中央プラント(例えば、冷却器プラント、蒸気プラント、熱プラントなど)など場外の位置に位置し得る。作動流体は、ビルディング10に暖房が必要とされているか冷房が必要とされているかに応じて、ボイラ104で加熱されるか、又は冷却器102で冷却され得る。ボイラ104は、例えば、可燃性材料(例えば、天然ガス)を燃焼することにより、又は電気加熱要素を使用することにより、循環される流体に熱を加え得る。冷却器102は、循環される流体を、熱交換器(例えば、蒸発器)内の別の流体(例えば、冷媒)との熱交換関係にして、循環される流体から熱を吸収し得る。冷却器102及び/又はボイラ104からの作動流体は、配管108を通してAHU106に輸送され得る。
AHU106は、(例えば、冷却コイル及び/又は加熱コイルの1つ又は複数のステージを通って)AHU106を通過する気流と作動流体を熱交換関係にすることができる。気流は、例えば、外気、ビルディング10内からの還気又はそれら両方の組合せであり得る。AHU106は、気流と作動流体との間で熱を伝達して、気流を加熱又は冷却し得る。例えば、AHU106は、1つ又は複数のファン又は送風機を含み得、ファン又は送風機は、作動流体を含む熱交換器の上に又は熱交換器を通して空気を流すように構成される。次いで、作動流体は、配管110を通って冷却器102又はボイラ104に戻り得る。
エアサイドシステム130は、AHU106によって供給される気流(すなわち給気流)を、給気ダクト112を通してビルディング10に送給し、還気を、ビルディング10から還気ダクト114を通してAHU106に提供し得る。いくつかの実施形態では、エアサイドシステム130は、複数の可変空気体積(VAV)ユニット116を含む。例えば、エアサイドシステム130は、ビルディング10の各フロア又は区域に別個のVAVユニット116を含むものとして示されている。VAVユニット116は、ビルディング10の個々の区域に提供される給気流の量を制御するように動作させることができるダンパ又は他の流量制御要素を含み得る。他の実施形態では、エアサイドシステム130は、中間VAVユニット116又は他の流量制御要素を使用せずに、(例えば、供給ダクト112を通して)ビルディング10の1つ又は複数の区域に給気流を送給する。AHU106は、給気流の属性を測定するように構成された様々なセンサ(例えば、温度センサや圧力センサなど)を含み得る。AHU106は、AHU106内及び/又はビルディング区域内に位置するセンサからの入力を受信することができ、AHU106を通る給気流の流量、温度又は他の属性を調節して、ビルディング区域に関する設定値条件を実現し得る。
ウォーターサイドシステム
次に、図2を参照すると、いくつかの実施形態によるウォーターサイドシステム200のブロック図が示されている。様々な実施形態において、ウォーターサイドシステム200は、HVACシステム100内のウォーターサイドシステム120を補助するか若しくはそれに置き代わり得るか、又はHVACシステム100とは別個に実装され得る。HVACシステム100に実装されるとき、ウォーターサイドシステム200は、HVACシステム100内のHVACデバイスのサブセット(例えば、ボイラ104、冷却器102、ポンプ、弁など)を含み得、加熱又は冷却された流体をAHU106に供給するように動作し得る。ウォーターサイドシステム200のHVACデバイスは、ビルディング10内に(例えば、ウォーターサイドシステム120の構成要素として)位置しても、中央プラントなど場外の位置に位置し得る。
図2で、ウォーターサイドシステム200は、複数のサブプラント202~212を有する中央プラントとして示されている。サブプラント202~212は、加熱器サブプラント202、熱回収冷却器サブプラント204、冷却器サブプラント206、冷却塔サブプラント208、高温熱エネルギー貯蔵(Thirmal Energy Storage(TES))サブプラント210及び冷熱エネルギー貯蔵(TES)サブプラント212を含むものとして示されている。サブプラント202~212は、公益事業からの資源(例えば、水、天然ガス、電気など)を消費して、ビルディング又はキャンパスの熱エネルギー負荷(例えば、温水、冷水、暖房、冷房など)を提供する。例えば、加熱器サブプラント202は、加熱器サブプラント202とビルディング10との間で温水を循環させる温水ループ214内の水を加熱するように構成され得る。冷却器サブプラント206は、冷却器サブプラント206とビルディング10との間で冷水を循環させる冷水ループ216内の水を冷却するように構成され得る。熱回収冷却器サブプラント204は、冷水ループ216から温水ループ214に熱を伝達して、温水のための追加加熱及び冷水のための追加冷却を可能にするように構成され得る。凝縮器水ループ218が、冷却器サブプラント206内の冷水から熱を吸収し、吸収された熱を冷却塔サブプラント208内に排除するか、又は吸収された熱を温水ループ214に伝達し得る。高温TESサブプラント210及び低温TESサブプラント212は、その後の使用のために、それぞれ高熱及び低熱エネルギーを貯蔵し得る。
温水ループ214及び冷水ループ216は、ビルディング10の屋上に位置するエアハンドラ(例えば、AHU106)に又はビルディング10の個々のフロア若しくは区域(例えば、VAVユニット116)に、加熱及び/又は冷却された水を送給し得る。エアハンドラは、水が流れる熱交換器(例えば、加熱コイル又は冷却コイル)に空気を押し通して、空気を加熱又は冷却する。加熱又は冷却された空気は、ビルディング10の個々の区域に送給されて、ビルディング10の熱エネルギー負荷を提供し得る。次いで、水はサブプラント202~212に戻り、さらなる加熱又は冷却を受ける。
サブプラント202~212は、ビルディングへの循環のための水を加熱及び冷却するものとして図示されて述べられているが、熱エネルギー負荷を供給するために水の代わりに又は水に加えて、任意の他のタイプの作動流体(例えば、グリコールやCO2など)が使用され得ることを理解されたい。他の実施形態では、サブプラント202~212は、中間伝熱流体を必要とせずに、ビルディング又はキャンパスに加熱及び/又は冷却を直接提供し得る。ウォーターサイドシステム200に対するこれら及び他の変形形態も本開示の教示の範囲内にある。
サブプラント202~212は、サブプラントの機能を実現しやすくするように構成された様々な機器をそれぞれ含み得る。例えば、加熱器サブプラント202は、温水ループ214内の温水に熱を加えるように構成された複数の加熱要素220(例えば、ボイラや電気加熱器など)を含むものとして示されている。また、加熱器サブプラント202は、いくつかのポンプ222及び224を含むものとして示されており、これらのポンプ222及び224は、温水ループ214内で温水を循環させ、個々の加熱要素220を通る温水の流量を制御するように構成される。冷却器サブプラント206は、冷水ループ216内の冷水から熱を除去するように構成された複数の冷却器232を含むものとして示されている。また、冷却器サブプラント206は、いくつかのポンプ234及び236を含むものとして示されており、ポンプ234及び236は、冷水ループ216内で冷水を循環させ、個々の冷却器232を通る冷水の流量を制御するように構成される。
熱回収冷却器サブプラント204は、冷水ループ216から温水ループ214に熱を伝達するように構成された複数の熱回収熱交換器226(例えば、冷蔵回路)を含むものとして示されている。また、熱回収冷却器サブプラント204は、いくつかのポンプ228及び230を含むものとして示されており、ポンプ228及び230は、熱回収熱交換器226を通して温水及び/又は冷水を循環させ、個々の熱回収熱交換器226を通る水の流量を制御するように構成される。冷却塔サブプラント208は、凝縮器水ループ218内の凝縮器水から熱を除去するように構成された複数の冷却塔238を含むものとして示されている。また、冷却塔サブプラント208は、いくつかのポンプ240を含むものとして示されており、ポンプ240は、凝縮器水ループ218内で凝縮器水を循環させ、個々の冷却塔238を通る凝縮器水の流量を制御するように構成される。
高温TESサブプラント210は、後の使用のために温水を貯蔵するように構成された高温TESタンク242を含むものとして示されている。また、高温TESサブプラント210は、1つ又は複数のポンプ又は弁を含み得、これらのポンプ又は弁は、高温TESタンク242の内外への温水の流量を制御するように構成される。低温TESサブプラント212は、後の使用のために冷水を貯蔵するように構成された低温TESタンク244を含むものとして示されている。また、低温TESサブプラント212は、1つ又は複数のポンプ又は弁を含むこともあり、これらのポンプ又は弁は、低温TESタンク244の内外への冷水の流量を制御するように構成される。
いくつかの実施形態では、ウォーターサイドシステム200内のポンプ(例えば、ポンプ222、224、228、230、234、236及び/又は240)又はウォーターサイドシステム200内のパイプラインの1つ又は複数が、それらに関連付けられた隔離弁を含む。隔離弁は、ウォーターサイドシステム200内の流体の流れを制御するために、ポンプと一体化されても、ポンプの上流又は下流に位置決めされ得る。様々な実施形態において、ウォーターサイドシステム200は、ウォーターサイドシステム200の特定の構成と、ウォーターサイドシステム200によって提供される負荷のタイプとに基づいて、より多数、より少数又は異なるタイプのデバイス及び/又はサブプラントを含むこともある。
エアサイドシステム
次に、図3を参照すると、いくつかの実施形態によるエアサイドシステム300のブロック図が示されている。様々な実施形態において、エアサイドシステム300は、HVACシステム100内のエアサイドシステム130を補助するか若しくはそれに置き代わり得るか、又はHVACシステム100とは別個に実装され得る。HVACシステム100に実装されるとき、エアサイドシステム300は、HVACシステム100内のHVACデバイスのサブセット(例えば、AHU106、VAVユニット116、ダクト112~114、ファン、ダンパなど)を含み得、ビルディング10内又は周辺に位置し得る。エアサイドシステム300は、ウォーターサイドシステム200によって提供される加熱又は冷却された流体を使用して、ビルディング10に提供される気流を加熱又は冷却するように動作し得る。
図3に、エアサイドシステム300が、エコノマイザ型エアハンドリングユニット(AHU)302を含むものとして示されている。エコノマイザ型AHUは、加熱又は冷却のためにエアハンドリングユニットによって使用される外気及び還気の量を変える。例えば、AHU302は、ビルディング区域306から還気ダクト308を通して還気304を受け取り得、給気ダクト312を通してビルディング区域306に給気310を送給し得る。いくつかの実施形態では、AHU302は、ビルディング10の屋根に位置する屋上ユニット(例えば、図1に示されるAHU106)又は還気304と外気314との両方を受け取るように他の場所に位置決めされた屋上ユニットである。AHU302は、混ざり合って給気310を生成する外気314と還気304との量を制御するために、排気ダンパ316、混合ダンパ318及び外気ダンパ320を動作させるように構成され得る。混合ダンパ318を通過しない還気304は、AHU302から排気ダンパ316を通して排気322として排出され得る。
各ダンパ316~320は、アクチュエータによって動作することができる。例えば、排気ダンパ316はアクチュエータ324によって動作することができ、混合ダンパ318はアクチュエータ326によって動作することができ、外気ダンパ320はアクチュエータ328によって動作することができる。アクチュエータ324~328は、通信リンク332を介してAHU制御装置330と通信し得る。アクチュエータ324~328は、AHU制御装置330から制御信号を受信することができ、AHU制御装置330にフィードバック信号を提供し得る。フィードバック信号は、例えば、現在のアクチュエータ又はダンパ位置の標示、アクチュエータによって及ぼされるトルク又は力の量、診断情報(例えば、アクチュエータ324~328によって実施された診断テストの結果)、ステータス情報、試運転情報、構成設定、較正データ及び/又はアクチュエータ324~328によって収集、記憶若しくは使用され得る他のタイプの情報若しくはデータを含み得る。AHU制御装置330は、1つ又は複数の制御アルゴリズム(例えば、状態ベースアルゴリズム、極値探索制御(ESC)アルゴリズム、比例積分(PI)制御アルゴリズム、比例積分微分(PID)制御アルゴリズム、モデル予測制御(MPC)アルゴリズム、フィードバック制御アルゴリズムなど)を使用してアクチュエータ324~328を制御するように構成されたエコノマイザ制御装置であり得る。
引き続き図3を参照すると、AHU302は、給気ダクト312内に位置決めされた冷却コイル334、加熱コイル336及びファン338を含むものとして示されている。ファン338は、給気310を冷却コイル334及び/又は加熱コイル336に通し、さらに給気310をビルディング区域306に提供するように構成され得る。AHU制御装置330は、通信リンク340を介してファン338と通信して、給気310の流量を制御し得る。いくつかの実施形態では、AHU制御装置330は、ファン338の速度を調整することにより、給気310に加えられる加熱又は冷却の量を制御する。
冷却コイル334は、冷却された流体を、配管342を通してウォーターサイドシステム200から(例えば、冷水ループ216から)受け取ることができ、また、冷却された流体を、配管344を通してウォーターサイドシステム200に戻すことができる。冷却コイル334を通る冷却流体の流量を制御するために、配管342又は配管344に沿って弁346が位置決めされ得る。いくつかの実施形態では、冷却コイル334は、給気310に加えられる冷却量を調整するために、(例えば、AHU制御装置330やBMS制御装置366などによって)独立して作動及び作動停止され得る複数ステージの冷却コイルを含む。
加熱コイル336は、加熱された流体を、配管348を通してウォーターサイドシステム200から(例えば、温水ループ214から)受け取ることができ、また、加熱された流体を、配管350を通してウォーターサイドシステム200に戻すことができる。加熱コイル336を通る加熱流体の流量を制御するために、配管348又は配管350に沿って弁352が位置決めされ得る。いくつかの実施形態では、加熱コイル336は、給気310に加えられる加熱量を調整するために、(例えば、AHU制御装置330やBMS制御装置366などによって)独立して作動及び作動停止され得る複数ステージの加熱コイルを含む。
弁346及び352は、アクチュエータによって制御され得る。例えば、弁346はアクチュエータ354によってそれぞれ制御され得、弁352は、アクチュエータ356によって制御され得る。アクチュエータ354~356は、通信リンク358~360を介してAHU制御装置330と通信し得る。アクチュエータ354~356は、AHU制御装置330から制御信号を受信することができ、制御装置330にフィードバック信号を提供し得る。いくつかの実施形態では、AHU制御装置330は、給気ダクト312内(例えば、冷却コイル334及び/又は加熱コイル336の下流)に位置決めされた温度センサ362から給気温度の測定値を受信する。また、AHU制御装置330は、ビルディング区域306内に位置する温度センサ364からビルディング区域306の温度の測定値を受信することもある。
いくつかの実施形態では、AHU制御装置330は、アクチュエータ354~356によって弁346及び352を操作して、(例えば、給気310の設定値温度を実現するため又は設定値温度範囲内で給気310の温度を維持するために)給気310に提供される加熱又は冷却の量を調整する。弁346及び352の位置は、冷却コイル334又は加熱コイル336によって給気310に提供される加熱又は冷却の量に影響を及ぼし、所望の給気温度を実現するために消費されるエネルギーの量と相関し得る。AHU330は、コイル334~336を作動若しくは作動停止させること、ファン338の速度を調節すること又はそれら両方の組合せにより、給気310及び/又はビルディング区域306の温度を制御し得る。
引き続き図3を参照すると、エアサイドシステム300は、ビルディング管理システム(BMS)制御装置366及びクライアントデバイス368を含むものとして示されている。BMS制御装置366は、システムレベル制御装置としての役割を果たす1つ又は複数のコンピュータシステム(例えば、サーバ、監視制御装置、サブシステム制御装置など)、アプリケーション若しくはデータサーバ、ヘッドノード又はエアサイドシステム300のためのマスタ制御装置、ウォーターサイドシステム200、HVACシステム100及び/又はビルディング10にサービス提供する他の制御可能なシステムを含み得る。BMS制御装置366は、複数の下流のビルディングシステム又はサブシステム(例えば、HVACシステム100、セキュリティシステム、照明システム、ウォーターサイドシステム200など)と、同様の又は異なるプロトコル(例えば、LON(登録商標)やBACnet(登録商標)など)に従って通信リンク370を介して通信し得る。様々な実施形態において、AHU制御装置330とBMS制御装置366は、(図3に示されるように)別々であるか又は一体化され得る。一体化された実装では、AHU制御装置330は、BMS制御装置366のプロセッサによって実行されるように構成されたソフトウェアモジュールであり得る。
いくつかの実施形態では、AHU制御装置330は、BMS制御装置366から情報(例えば、コマンド、設定値、動作境界など)を受信し、BMS制御装置366に情報(例えば、温度測定値、弁又はアクチュエータ位置、動作ステータス、診断など)を提供する。例えば、AHU制御装置330は、温度センサ362~364からの温度測定値、機器のオン/オフ状態、機器の動作能力及び/又は任意の他の情報をBMS制御装置366に提供することができ、これらの情報をBMS制御装置366が使用して、ビルディング区域306内の変動する状態又は条件を監視又は制御することができる。
クライアントデバイス368は、HVACシステム100、そのサブシステム及び/又はデバイスを制御、閲覧又は他の方法でそれらと対話するための1つ又は複数の人間-機械インターフェース又はクライアントインターフェース(例えば、グラフィカルユーザインターフェース、報告インターフェース、テキストベースのコンピュータインターフェース、クライアントフェーシングウェブサービス、ウェブクライアントにページを提供するウェブサーバなど)を含み得る。クライアントデバイス368は、コンピュータワークステーション、クライアント端末、遠隔若しくはローカルインターフェース又は任意の他のタイプのユーザインターフェースデバイスであり得る。クライアントデバイス368は、固定端末でもモバイルデバイスであり得る。例えば、クライアントデバイス368は、デスクトップコンピュータ、ユーザインターフェースを備えるコンピュータサーバ、ラップトップコンピュータ、タブレット、スマートフォン、PDA又は任意の他のタイプのモバイルデバイス若しくは非モバイルデバイスであり得る。クライアントデバイス368は、通信リンク372を介してBMS制御装置366及び/又はAHU制御装置330と通信し得る。
ビルディング管理システム
次に、図4を参照すると、いくつかの実施形態によるビルディング管理システム(BMS)400のブロック図が示されている。BMS400は、様々なビルディング機能を自動的に監視及び制御するためにビルディング10に実装され得る。BMS400は、BMS制御装置366及び複数のビルディングサブシステム428を含むものとして示されている。ビルディングサブシステム428は、ビルディング電気サブシステム434、情報通信技術(ICT)サブシステム436、セキュリティサブシステム438、HVACサブシステム440、照明サブシステム442、エレベータ/エスカレータサブシステム432及び火災安全サブシステム430を含むものとして示されている。様々な実施形態において、ビルディングサブシステム428は、より少数の、追加の又は代替のサブシステムを含むことができる。例えば、追加又は代替として、ビルディングサブシステム428は、冷蔵サブシステム、広告若しくは標識サブシステム、調理サブシステム、販売サブシステム、プリンタ若しくはコピーサービスサブシステム又はビルディング10を監視若しくは制御するために制御可能な機器及び/又はセンサを使用する任意の他のタイプのビルディングサブシステムを含み得る。いくつかの実施形態では、ビルディングサブシステム428は、図2~3を参照して述べたように、ウォーターサイドシステム200及び/又はエアサイドシステム300を含む。
各ビルディングサブシステム428は、その個々の機能及び制御活動を完遂するための多数のデバイス、制御装置及び接続を含み得る。HVACサブシステム440は、図1~3を参照して述べたようなHVACシステム100と同じ構成要素の多くを含み得る。例えば、HVACサブシステム440は、冷却器、ボイラ、多数のエアハンドリングユニット、エコノマイザ、フィールド制御装置、監視制御装置、アクチュエータ、温度センサ及びビルディング10内の温度、湿度、気流又は他の可変条件を制御するための他のデバイスを含み得る。照明サブシステム442は、多数の照明器具、安定器、照明センサ、調光器又はビルディング空間に提供される光の量を制御可能に調節するように構成された他のデバイスを含み得る。セキュリティサブシステム438は、人感センサ、ビデオ監視カメラ、デジタルビデオレコーダ、ビデオ処理サーバ、侵入検出デバイス、アクセス制御デバイス及びサーバ又は他のセキュリティ関連デバイスを含み得る。
引き続き図4を参照すると、BMS制御装置366は、通信インターフェース407及びBMSインターフェース409を含むものとして示されている。インターフェース407は、BMS制御装置366と外部アプリケーション(例えば、監視及び報告アプリケーション422、企業管理アプリケーション426、遠隔システム及びアプリケーション444、クライアントデバイス448に常駐するアプリケーションなど)との間の通信を容易にして、BMS制御装置366及び/又はサブシステム428に対するユーザ制御、監視及び調節を可能にし得る。また、インターフェース407は、BMS制御装置366とクライアントデバイス448との間の通信を容易にし得る。BMSインターフェース409は、BMS制御装置366とビルディングサブシステム428(例えば、HVAC、照明セキュリティ、エレベータ、配電、ビジネスなど)との間の通信を容易にし得る。
インターフェース407、409は、ビルディングサブシステム428又は他の外部システム若しくはデバイスとのデータ通信を行うための有線若しくは無線通信インターフェース(例えば、ジャック、アンテナ、送信機、受信機、送受信機、有線端末など)であり得るか又はそれを含み得る。様々な実施形態において、インターフェース407、409を介する通信は、直接的なもの(例えば、ローカル有線又は無線通信)でも、通信ネットワーク446(例えば、WAN、インターネット、セルラネットワークなど)を介するものであり得る。例えば、インターフェース407、409は、Ethernet(登録商標)ベースの通信リンク又はネットワークを介してデータを送受信するためのEthernetカード及びポートを含むことができる。別の例では、インターフェース407、409は、無線通信ネットワークを介して通信するためのWi-Fi送受信機を含むことができる。別の例では、インターフェース407、409の一方又は両方は、セルラ又は携帯電話通信送受信機を含み得る。一実施形態では、通信インターフェース407は電力線通信インターフェースであり、BMSインターフェース409はEthernetインターフェースである。他の実施形態では、通信インターフェース407とBMSインターフェース409がいずれもEthernetインターフェースであるか、又は同一のEthernetインターフェースである。
引き続き図4を参照すると、BMS制御装置366は、プロセッサ406及びメモリ408を含む処理回路404を含むものとして示されている。処理回路404は、処理回路404及びその様々な構成要素がインターフェース407、409を介してデータを送受信できるように、BMSインターフェース409及び/又は通信インターフェース407に通信可能に接続され得る。プロセッサ406は、汎用プロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、1つ若しくは複数のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、1群の処理コンポーネント又は他の適切な電子処理コンポーネントとして実装することができる。
メモリ408(例えば、メモリ、メモリユニット、記憶デバイスなど)は、本出願で述べる様々なプロセス、層及びモジュールを完遂又は容易化するためのデータ及び/又はコンピュータコードを記憶するための1つ又は複数のデバイス(例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、ハードディスク記憶装置など)を含み得る。メモリ408は、揮発性メモリ若しくは不揮発性メモリであり得るか又はそれを含み得る。メモリ408は、データベースコンポーネント、オブジェクトコードコンポーネント、スクリプトコンポーネント又は本出願で述べる様々な活動及び情報構造をサポートするための任意の他のタイプの情報構造を含み得る。いくつかの実施形態によれば、メモリ408は、処理回路404を介してプロセッサ406に通信可能に接続され、(例えば、処理回路404及び/又はプロセッサ406によって)本明細書で述べる1つ又は複数のプロセスを実行するためのコンピュータコードを含む。
いくつかの実施形態では、BMS制御装置366は、単一のコンピュータ(例えば、1つのサーバや1つのハウジングなど)内に実装される。様々な他の実施形態では、BMS制御装置366は、(例えば、分散された場所に存在することができる)複数のサーバ又はコンピュータにわたって分散されることもある。さらに、図4は、BMS制御装置366の外部に存在するものとしてアプリケーション422及び426を示しているが、いくつかの実施形態では、アプリケーション422及び426は、BMS制御装置366内(例えば、メモリ408内)でホストされることもある。
引き続き図4を参照すると、メモリ408は、企業統合層410、自動測定及び検証(AM&V)層412、要求応答(DR)層414、故障検出及び診断(FDD)層416、統合制御層418並びにビルディングサブシステム統合層420を含むものとして示されている。層410~420は、ビルディングサブシステム428及び他のデータ源から入力を受信し、入力に基づいてビルディングサブシステム428のための最適な制御アクションを決定し、最適な制御アクションに基づいて制御信号を生成し、生成された制御信号をビルディングサブシステム428に提供するように構成され得る。以下の段落では、BMS400での各層410~420によって実施される全般的な機能のいくつかを述べる。
企業統合層410は、様々な企業レベルのアプリケーションをサポートするための情報及びサービスをクライアント又はローカルアプリケーションに提供するように構成され得る。例えば、企業管理アプリケーション426は、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)又は多数の企業レベルのビジネスアプリケーション(例えば、会計システムやユーザ識別システムなど)にサブシステムスパニング制御を提供するように構成され得る。企業管理アプリケーション426は、追加又は代替として、BMS制御装置366を構成するための構成GUIを提供するように構成されることもある。さらに他の実施形態では、企業管理アプリケーション426は、層410~420と協働して、インターフェース407及び/又はBMSインターフェース409で受信された入力に基づいてビルディングパフォーマンス(例えば、効率、エネルギー使用量、快適性又は安全性)を最適化することができる。
ビルディングサブシステム統合層420は、BMS制御装置366とビルディングサブシステム428との間の通信を管理するように構成され得る。例えば、ビルディングサブシステム統合層420は、ビルディングサブシステム428からセンサデータ及び入力信号を受信し、ビルディングサブシステム428に出力データ及び制御信号を提供し得る。ビルディングサブシステム統合層420は、ビルディングサブシステム428間の通信を管理するように構成されることもある。ビルディングサブシステム統合層420は、複数のマルチベンダ/マルチプロトコルシステムにわたって通信(例えば、センサデータ、入力信号、出力信号など)を変換する。
要求応答層414は、ビルディング10の要求が満たされたことに応答して、資源使用量(例えば、電気使用量、天然ガス使用量、水使用量など)及び/又はそのような資源使用量の金銭的コストを最適化するように構成され得る。最適化は、時間帯別の価格、削減信号、エネルギー利用可能性又は公益事業者、分散型エネルギー生成システム424、エネルギー貯蔵装置427(例えば、高温TES242や低温TES244など)若しくは他の提供源から受信される他のデータに基づき得る。要求応答層414は、BMS制御装置366の他の層(例えば、ビルディングサブシステム統合層420や統合制御層418など)からの入力を受信することもある。他の層から受信される入力は、温度、二酸化炭素レベル、相対湿度レベル、空気質センサ出力、人感センサ出力、部屋スケジュールなどの環境入力又はセンサ入力を含み得る。また、入力は、公益事業からの電気使用量(例えば、単位kWhで表される)、熱負荷測定値、価格情報、予測価格、平滑化価格、削減信号などの入力を含むこともある。
いくつかの実施形態によれば、要求応答層414は、受信したデータ及び信号に応答するための制御論理を含む。これらの応答は、統合制御層418内の制御アルゴリズムと通信すること、制御戦略を変更すること、設定値を変更すること又は制御下でビルディング機器若しくはサブシステムを作動/作動停止することを含むことができる。また、要求応答層414は、貯蔵されているエネルギーを利用すべきときを決定するように構成された制御論理を含むこともある。例えば、要求応答層414は、ピーク使用時間の開始直前にエネルギー貯蔵装置427からのエネルギーの使用を開始することを決定し得る。
いくつかの実施形態では、要求応答層414は、要求(例えば、価格、削減信号、要求レベルなど)を表す1つ又は複数の入力に基づいて又は要求に基づいて、エネルギーコストを最小にする(例えば、自動的に設定値を変更する)制御アクションを能動的に開始するように構成された制御モジュールを含む。いくつかの実施形態では、要求応答層414は、機器モデルを使用して、最適な制御アクションの組を決定する。機器モデルは、例えば、様々な組のビルディング機器によって実施される入力、出力及び/又は機能を記述する熱力学モデルを含むことができる。機器モデルは、ビルディング機器の集合体(例えば、サブプラント、冷却器アレイなど)又は個々のデバイス(例えば、個々の冷却器、ヒータ、ポンプなど)を表すことがある。
さらに、要求応答層414は、1つ又は複数の要求応答ポリシー定義(例えば、データベースやXMLファイルなど)を含むか又はそれを利用し得る。ポリシー定義は、(例えば、グラフィカルユーザインターフェースを介して)ユーザによって編集又は調節することができ、それにより、要求入力に応答して開始される制御アクションは、ユーザの用途に合わせて、所望の快適性レベルに合わせて、特定のビルディング機器に合わせて又は他の事項に基づいて調整され得る。例えば、要求応答ポリシー定義は、特定の要求入力に応答してどの機器がオン又はオフにされ得るか、システム又は機器をどの程度長くオフにすべきか、どの設定値を変更できるか、許容できる設定値調節範囲はどの程度か、通常通り予定された設定値に戻るまでに高い要求設定値をどの程度長く保つか、能力の限界にどの程度近付くか、どの機器モードを利用するか、エネルギー貯蔵デバイス(例えば、熱貯蔵タンクやバッテリバンクなど)の内外へのエネルギー伝達速度(例えば、最高速度、アラーム速度、他の速度限度情報など)及び(例えば、燃料電池や電動発電機セットなどを介して)現場でのエネルギー発生を送出するときを指定することができる。
統合制御層418は、ビルディングサブシステム統合層420及び/又は要求応答層414のデータ入力又は出力を使用して制御決定を行うように構成され得る。ビルディングサブシステム統合層420によって実現されるサブシステムの統合により、統合制御層418は、サブシステム428の制御活動を統合することができ、それにより、サブシステム428が単一の統合型スーパーシステムとして挙動する。いくつかの実施形態では、統合制御層418は、複数のビルディングサブシステムからの入力及び出力を使用する制御論理を含み、個々のサブシステムが単独で提供することができる快適性及びエネルギー節約よりも大きい快適性及びエネルギー節約を提供する。例えば、統合制御層418は、第1のサブシステムからの入力を使用して、第2のサブシステムに関するエネルギー節約制御決定を行うように構成され得る。これらの決定の結果は、ビルディングサブシステム統合層420に通信し返すことができる。
統合制御層418は、論理的に要求応答層414の下位にあるものとして示されている。統合制御層418は、ビルディングサブシステム428及びそれらそれぞれの制御ループを要求応答層414と共同で制御できるようにすることにより、要求応答層414の有効性を高めるように構成され得る。この構成は、有利には、従来のシステムに比べて、破壊的な要求応答挙動を減少し得る。例えば、統合制御層418は、冷却される水の温度の設定値(又は温度に直接若しくは間接的に影響を及ぼす別の成分)に対する要求応答に基づく上方修正が、ファンエネルギー(又は空間を冷却するために使用される他のエネルギー)の増加をもたらさないことを保証するように構成され得る。そのようなファンエネルギーの増加は、ビルディング総エネルギー使用量を、冷却器で保存されているエネルギーよりも大きくしてしまう。
統合制御層418は、要求応答層414にフィードバックを提供するように構成され得、それにより、要求応答層414は、要求された部分的送電停止が行われている間であっても制約(例えば、温度や照明レベルなど)が適切に維持されていることをチェックする。制約には、安全性、機器動作限界及びパフォーマンス、快適性、火災コード、電気コード、エネルギーコードなどに関係する設定値又は検知境界が含まれることもある。また、統合制御層418は、論理的に、故障検出及び診断層416並びに自動測定及び検証層412の下位にある。統合制御層418は、複数のビルディングサブシステムからの出力に基づいて、計算された入力(例えば、集約)をこれらのより高いレベルの層に提供するように構成され得る。
自動測定及び検証(AM&V)層412は、(例えば、AM&V層412、統合制御層418、ビルディングサブシステム統合層420、FDD層416又は他の層によって集約されたデータを使用して)統合制御層418又は要求応答層414によって指令された制御戦略が適切に機能していることを検証するように構成され得る。AM&V層412によって行われる計算は、個々のBMSデバイス又はサブシステムに関するビルディングシステムエネルギーモデル及び/又は機器モデルに基づき得る。例えば、AM&V層412は、モデルに基づいて予測された出力をビルディングサブシステム428からの実際の出力と比較して、モデルの精度を決定し得る。
故障検出及び診断(FDD)層416は、ビルディングサブシステム428及びビルディングサブシステムデバイス(すなわちビルディング機器)に関する継続的な故障検出機能を提供し、要求応答層414及び統合制御層418によって使用されるアルゴリズムを制御するように構成され得る。FDD層416は、統合制御層418から、直接的に1つ若しくは複数のビルディングサブシステム若しくはデバイスから又は別のデータ源からデータ入力を受信し得る。FDD層416は、検出された故障を自動的に診断して応答し得る。検出又は診断された故障に対する応答は、ユーザ、メンテナンススケジューリングシステム又は故障を修理する若しくは故障に対処することを試みるように構成された制御アルゴリズムに警報メッセージを提供することを含み得る。
FDD層416は、ビルディングサブシステム統合層420で利用可能な詳細なサブシステム入力を使用して、故障している構成要素又は故障の原因(例えば、緩いダンパ連係)の具体的な識別を出力するように構成され得る。他の例示的実施形態では、FDD層416は、「故障」イベントを統合制御層418に提供するように構成され、統合制御層418は、受信された故障イベントに応答して制御戦略及びポリシーを実行する。いくつかの実施形態によれば、FDD層416(又は統合制御エンジン若しくはビジネスルールエンジンによって実行されるポリシー)は、システムをシャットダウンするか、又は故障しているデバイス若しくはシステムの周囲での制御活動を指示して、エネルギー浪費を減少させ、機器寿命を延ばすか、又は適切な制御応答を保証し得る。
FDD層416は、様々な異なるシステムデータストア(又はライブデータに関するデータポイント)を記憶するか又はそこにアクセスするように構成され得る。FDD層416は、データストアのうち、あるコンテンツを、機器レベル(例えば、特定の冷却器、特定のAHU、特定の端末ユニットなど)での故障を識別するために使用し、他のコンテンツを、構成要素又はサブシステムレベルでの故障を識別するために使用し得る。例えば、ビルディングサブシステム428は、BMS400及びその様々な構成要素のパフォーマンスを示す時間的(すなわち時系列)データを生成し得る。ビルディングサブシステム428によって生成されるデータは、測定値又は計算値を含むことがあり、それらの測定値又は計算値は、統計的特性を示し、対応するシステム又はプロセス(例えば、温度制御プロセスや流量制御プロセスなど)がその設定値からの誤差に対してどのように挙動しているかに関する情報を提供する。これらのプロセスは、FDD層416によって検査することができ、システムのパフォーマンスが低下し始めたときを明らかにし、より深刻になる前に故障を修理するようにユーザに警報する。
次に、図5を参照すると、いくつかの実施形態による、別のビルディング管理システム(BMS)500のブロック図が示されている。BMS500を使用して、HVACシステム100、ウォーターサイドシステム200、エアサイドシステム300、ビルディングサブシステム428のデバイス並びに他のタイプのBMSデバイス(例えば、照明機器、セキュリティ機器など)及び/又はHVAC機器を監視及び制御することができる。
BMS500は、自動機器発見及び機器モデル分配を容易にするシステムアーキテクチャを提供する。機器発見は、複数の異なる通信バス(例えば、システムバス554、ゾーンバス556~560及び564、センサ/アクチュエータバス566など)にわたって及び複数の異なる通信プロトコルにわたって、BMS500の複数のレベルで行うことができる。いくつかの実施形態では、機器発見は、アクティブノードテーブルを使用して達成され、アクティブノードテーブルは、各通信バスに接続されたデバイスに関するステータス情報を提供する。例えば、新たなノードに関する対応するアクティブノードテーブルを監視することにより、新たなデバイスについて各通信バスを監視することができる。新たなデバイスが検出されると、BMS500は、ユーザ対話なしで、新たなデバイスとの対話(例えば、制御信号の送信、デバイスからのデータの使用)を開始することができる。
BMS500でのいくつかのデバイスは、機器モデルを使用してネットワークにそれら自体の存在を知らせる。機器モデルは、他のシステムとの統合のために使用される機器オブジェクト属性、ビュー定義、スケジュール、トレンド及び関連のBACnet値オブジェクト(例えば、アナログ値、バイナリ値、マルチステート値など)を定義する。BMS500でのいくつかのデバイスは、それら独自の機器モデルを記憶している。BMS500での他のデバイスは、機器モデルが外部に(例えば、他のデバイス内に)記憶されている。例えば、ゾーンコーディネータ508が、バイパスダンパ528に関する機器モデルを記憶することができる。いくつかの実施形態において、ゾーンコーディネータ508は、バイパスダンパ528又はゾーンバス558上の他のデバイスに関する機器モデルを自動的に作成する。他のゾーンコーディネータも、それらのゾーンバスに接続されたデバイスに関する機器モデルを作成することができる。デバイスに関する機器モデルは、ゾーンバス上のデバイスによって提示されるデータポイントのタイプ、デバイスタイプ及び/又は他のデバイス属性に基づいて自動的に作成することができる。自動の機器発見及び機器モデル分配のいくつかの例を以下でより詳細に論じる。
図5をさらに参照すると、BMS500は、システムマネージャ502と、いくつかのゾーンコーディネータ506、508、510及び518と、いくつかのゾーンコントローラ524、530、532、536、548及び550とを含むものとして示されている。システムマネージャ502は、BMS500内のデータポイントを監視し、監視される変数を様々な監視及び/又は制御アプリケーションに報告することができる。システムマネージャ502は、データ通信リンク574(例えば、BACnet(登録商標)IP、イーサネット(登録商標)、有線又は無線通信など)を介してクライアントデバイス504(例えば、ユーザデバイス、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、モバイルデバイスなど)と通信することができる。システムマネージャ502は、データ通信リンク574を介してクライアントデバイス504へのユーザインターフェースを提供することができる。ユーザインターフェースは、ユーザがクライアントデバイス504を介してBMS500を監視及び/又は制御できるようにし得る。
いくつかの実施形態では、システムマネージャ502は、システムバス554を介してゾーンコーディネータ506~510及び518と接続される。システムマネージャ502は、マスタ・スレーブトークンパッシング(MSTP)プロトコル又は任意の他の通信プロトコルを使用して、システムバス554を介してゾーンコーディネータ506~510及び518と通信するように構成することができる。また、システムバス554は、システムマネージャ502を、定容積(CV)ルーフトップユニット(RTU)512、入出力モジュール(IOM)514、サーモスタットコントローラ516(例えば、TEC5000系列のサーモスタットコントローラ)及びネットワーク自動化エンジン(NAE)又はサードパーティのコントローラ520など他のデバイスと接続することもできる。RTU512は、システムマネージャ502と直接通信するように構成することができ、システムバス554に直接接続することができる。他のRTUは、中間デバイスを介してシステムマネージャ502と通信することができる。例えば、有線入力562は、サードパーティのRTU542をサーモスタットコントローラ516に接続することができ、サーモスタットコントローラ516は、システムバス554に接続する。
システムマネージャ502は、機器モデルを含む任意のデバイスのためのユーザインターフェースを提供することができる。ゾーンコーディネータ506~510及び518並びにサーモスタットコントローラ516などのデバイスは、システムバス554を介してそれらの機器モデルをシステムマネージャ502に提供することができる。いくつかの実施形態では、システムマネージャ502は、機器モデルを含まない接続されたデバイス(例えば、IOM514、サードパーティのコントローラ520など)に関して、機器モデルを自動的に作成する。例えば、システムマネージャ502は、デバイスツリーリクエストに応答する任意のデバイスに関する機器モデルを作成することができる。システムマネージャ502によって作成された機器モデルは、システムマネージャ502に記憶することができる。次いで、システムマネージャ502は、システムマネージャ502によって作成された機器モデルを使用して、自機の機器モデルを含まないデバイスのためのユーザインターフェースを提供することができる。いくつかの実施形態では、システムマネージャ502は、システムバス554を介して接続された各タイプの機器に関するビュー定義を記憶し、記憶されているビュー定義を使用してその機器のためのユーザインターフェースを生成する。
各ゾーンコーディネータ506~510及び518は、ゾーンバス556、558、560及び564を介してゾーンコントローラ524、530~532、536及び548~550の1つ又は複数と接続することができる。ゾーンコーディネータ506~510及び518は、MSTPプロトコル又は任意の他の通信プロトコルを使用して、ゾーンバス556~560及び564を介してゾーンコントローラ524、530~532、536及び548~550と通信することができる。また、ゾーンバス556~560及び564は、ゾーンコーディネータ506~510及び518を、可変風量(Variable Air Volume(VAV))RTU522及び540、切替えバイパス(COBP)RTU526及び552、バイパスダンパ528及び546並びにPEAKコントローラ534及び544など他のタイプのデバイスと接続することもできる。
ゾーンコーディネータ506~510及び518は、様々なゾーニングシステムを監視及び命令するように構成することができる。いくつかの実施形態では、各ゾーンコーディネータ506~510及び518は、別個のゾーニングシステムを監視及び命令し、別個のゾーンバスを介してゾーニングシステムに接続される。例えば、ゾーンコーディネータ506は、ゾーンバス556を介してVAV RTU522及びゾーンコントローラ524に接続することができる。ゾーンコーディネータ508は、ゾーンバス558を介してCOBP RTU526、バイパスダンパ528、COBPゾーンコントローラ530及びVAVゾーンコントローラ532に接続することができる。ゾーンコーディネータ510は、ゾーンバス560を介してPEAKコントローラ534及びVAVゾーンコントローラ536に接続することができる。ゾーンコーディネータ518は、ゾーンバス564を介して、PEAKコントローラ544、バイパスダンパ546、COBPゾーンコントローラ548及びVAVゾーンコントローラ550に接続することができる。
ゾーンコーディネータ506~510及び518の単一のモデルは、複数の異なるタイプのゾーニングシステム(例えば、VAVゾーニングシステム、COBPゾーニングシステムなど)を取り扱うように構成することができる。各ゾーニングシステムは、RTU、1つ又は複数のゾーンコントローラ及び/又はバイパスダンパを含むことができる。例えば、ゾーンコーディネータ506及び510は、それぞれVAV RTU522及び540に接続されたVerasys(登録商標)VAVエンジン(VVE)として示されている。ゾーンコーディネータ506は、ゾーンバス556を介してVAV RTU522に直接接続され、ゾーンコーディネータ510は、PEAKコントローラ534に提供された有線入力568を介してサードパーティのVAV RTU540に接続される。ゾーンコーディネータ508及び518は、それぞれCOBP RTU526及び552に接続されたVerasys COBPエンジン(VCE)として示されている。ゾーンコーディネータ508は、ゾーンバス558を介してCOBP RTU526に直接接続され、ゾーンコーディネータ518は、PEAKコントローラ544に提供された有線入力570を介してサードパーティのCOBP RTU552に接続される。
ゾーンコントローラ524、530~532、536及び548~550は、センサ/アクチュエータ(SA)バスを介して個々のBMSデバイス(例えば、センサ、アクチュエータなど)と通信することができる。例えば、VAVゾーンコントローラ536は、SAバス566を介して、ネットワーク化されたセンサ538に接続されて示されている。ゾーンコントローラ536は、MSTPプロトコル又は任意の他の通信プロトコルを使用して、ネットワーク化されたセンサ538と通信することができる。図5にはSAバス566が1つのみ示されているが、各ゾーンコントローラ524、530~532、536及び548~550を異なるSAバスに接続できることを理解されたい。各SAバスは、ゾーンコントローラを様々なセンサ(例えば、温度センサ、湿度センサ、圧力センサ、光センサ、人感センサなど)、アクチュエータ(例えば、ダンパアクチュエータ、バルブアクチュエータなど)及び/又は他のタイプの制御可能な機器(例えば、冷却器、ヒータ、ファン、ポンプなど)と接続することができる。
各ゾーンコントローラ524、530~532、536及び548~550は、異なるビルディング区域を監視及び制御するように構成することができる。ゾーンコントローラ524、530~532、536及び548~550は、それらのSAバスを介して提供される入力及び出力を使用して、様々なビルディング区域を監視及び制御することができる。例えば、ゾーンコントローラ536は、温度制御アルゴリズムでのフィードバックとして、ネットワーク化されたセンサ538からSAバス566を介して受信された温度入力(例えば、ビルディング区域の測定された温度)を使用することができる。ゾーンコントローラ524、530~532、536及び548~550は、様々なタイプの制御アルゴリズム(例えば、状態ベースのアルゴリズム、極値探索制御(ESC)アルゴリズム、比例積分(PI)制御アルゴリズム、比例積分微分(PID)制御アルゴリズム、モデル予測制御(MPC)アルゴリズム、フィードバック制御アルゴリズムなど)を使用して、ビルディング10内又は周囲の可変状態又は状況(例えば、温度、湿度、気流、照明など)を制御することができる。
モデル予測的メンテナンスシステム
次に、図6を参照すると、例示的実施形態によるビルディングシステム600のブロック図が示されている。システム600は、図4~5を参照して述べたBMS400及びBMS500と同じ構成要素の多くを含むことができる。例えば、システム600は、ビルディング10、ネットワーク446及びクライアントデバイス448を含むものとして示されている。ビルディング10は、接続された機器610を含むものとして示されており、機器610は、ビルディング10を監視及び/又は制御するために使用される任意のタイプの機器を含むことができる。接続された機器610は、接続された冷却器612、接続されたAHU614、接続されたボイラ616、接続されたバッテリ618又はビルディングシステム内の任意の他のタイプの機器(例えば、ヒータ、エコノマイザ、バルブ、アクチュエータ、ダンパ、冷却塔、ファン、ポンプなど)若しくはビルディング管理システム内の任意の他のタイプの機器(例えば、照明機器、セキュリティ機器、冷凍機器など)を含むことができる。接続された機器610は、図1~5を参照して述べたHVACシステム100、ウォーターサイドシステム200、エアサイドシステム300、BMS400及び/又はBMS500の機器のいずれを含むこともできる。
接続された機器610には、接続された機器610の様々な状態(例えば、電力消費量、オン/オフ状態、動作効率など)を監視するためのセンサを装備することができる。例えば、冷却器612は、冷凍回路内の様々な位置での冷却水温度、凝縮水温度及び冷媒特性(例えば、冷媒圧力、冷媒温度など)などの冷却器変数を監視するように構成されたセンサを含むことができる。冷却器612の1つとして使用することができる冷却器700の一例が図7に示されている。冷却器700は、凝縮器702、膨張弁704、蒸発器706、圧縮機708及び制御パネル710を有する冷凍回路を含むものとして示されている。いくつかの実施形態では、冷却器700は、冷凍回路に沿った様々な位置での監視される変数の組を測定するセンサを含む。同様に、AHU614には、給気温度及び湿度、外気温度及び湿度、還気温度及び湿度、冷却された流体の温度、加熱された流体の温度、ダンパ位置などのAHU変数を監視するためのセンサを装備することができる。一般に、接続された機器610は、接続された機器610の性能を特徴付ける変数を監視及び報告することができる。監視された各変数は、ポイントID及びポイント値を含むデータポイントとしてビルディング管理システム606に転送することができる。
監視される変数は、接続された機器610及び/又はその構成要素の性能を示す任意の測定された値又は計算された値を含むことができる。例えば、監視される変数は、1つ又は複数の測定又は計算された温度(例えば、冷媒温度、冷水供給温度、温水供給温度、給気温度、ゾーン温度など)、圧力(例えば、蒸発器圧力、凝縮器圧力、供給空気圧力など)、流量(例えば、冷水流量、温水流量、冷媒流量、供給空気流量など)、バルブ位置、資源消費(例えば、電力消費量、水消費量、電気消費量など)、制御設定点、モデルパラメータ(例えば、回帰モデル係数)又は対応するシステム、デバイス若しくはプロセスがどのように動作しているかに関する情報を提供する任意の他の時系列値を含むことができる。監視される変数は、接続された機器610及び/又はその様々な構成要素から受信することができる。例えば、監視される変数は、1つ又は複数のコントローラ(例えば、BMSコントローラ、サブシステムコントローラ、HVACコントローラ、サブプラントコントローラ、AHUコントローラ、デバイスコントローラなど)、BMSデバイス(例えば、冷却器、冷却塔、ポンプ、加熱素子など)又はBMSデバイスの集合体から受信することができる。
接続された機器610は、機器ステータス情報を報告することもできる。機器ステータス情報は、例えば、機器の動作ステータス、動作モード(例えば、低負荷、中負荷、高負荷など)、機器が正常な状態で稼働しているか異常な状態で稼働しているかの標示、機器が稼働している時間、安全障害コード又は接続された機器610の現在のステータスを示す任意の他の情報を含むことができる。いくつかの実施形態において、接続された機器610の各デバイスは、制御パネル(例えば、図7に示される制御パネル710)を含む。制御パネル710は、接続された機器610から監視される変数及び機器ステータス情報を収集し、収集されたデータをBMS606に提供するように構成することができる。例えば、制御パネル710は、センサデータ(又はセンサデータから導出された値)を所定の閾値と比較することができる。センサデータ又は計算された値が安全閾値を超える場合、制御パネル710は、デバイスをシャットダウンすることができる。制御パネル710は、安全シャットダウンが起きたときにデータポイントを生成することができる。データポイントは、シャットダウンをトリガした理由又は状態を示す安全障害コードを含むことができる。
接続された機器610は、監視される変数及び機器ステータス情報をBMS606に提供することができる。BMS606は、ビルディングコントローラ(例えば、BMSコントローラ366)、システムマネージャ(例えば、システムマネージャ502)、ネットワーク自動化エンジン(例えば、NAE520)又は接続された機器610と通信するように構成されたビルディング10の任意の他のシステム若しくはデバイスを含むことができる。BMS606は、図4~5を参照して述べたBMS400又はBMS500の構成要素のいくつか又はすべてを含むことがある。いくつかの実施形態では、監視される変数及び機器ステータス情報は、データポイントとしてBMS606に提供される。各データポイントは、ポイントID及びポイント値を含むことができる。ポイントIDは、データポイントのタイプ又はデータポイントによって測定される変数(例えば、凝縮器圧力、冷媒温度、電力消費量など)を識別することができる。監視される変数は、名前又は英数字コード(例えば、Chilled_Water_Temp、7694など)によって識別することができる。ポイント値は、データポイントの現在の値を示す英数字値を含むことができる。
BMS606は、監視される変数及び機器ステータス情報をモデル予測的メンテナンスシステム602にブロードキャストすることができる。いくつかの実施形態では、モデル予測的メンテナンスシステム602は、BMS606の構成要素である。例えば、モデル予測的メンテナンスシステム602は、Johnson Controls Inc.が販売しているMETASYS(登録商標)ブランドのビルディング自動化システムの一部として実装することができる。他の実施形態では、モデル予測的メンテナンスシステム602は、ネットワーク446を介して1つ又は複数のビルディング管理システムからのデータを受信及び処理するように構成された遠隔コンピューティングシステム又はクラウドベースのコンピューティングシステムの構成要素であり得る。例えば、モデル予測的メンテナンスシステム602は、Johnson Controls Inc.が販売しているPANOPTIX(登録商標)ブランドのビルディング効率プラットフォームの一部として実装することができる。他の実施形態では、モデル予測的メンテナンスシステム602は、サブシステムレベルコントローラ(例えば、HVACコントローラ)、サブプラントコントローラ、デバイスコントローラ(例えば、AHUコントローラ330、冷却器コントローラなど)、フィールドコントローラ、コンピュータワークステーション、クライアントデバイス又は接続された機器610から監視される変数を受信して処理する任意の他のシステム若しくはデバイスの構成要素であり得る。
モデル予測的メンテナンス(MPM)システム602は、監視される変数及び/又は機器ステータス情報を使用して、接続された機器610の現在の動作条件を識別することができる。MPMシステム602によって現在の動作条件を検査して、接続された機器610の性能が低下し始めるときを明らかにし、且つ/又は障害が発生するときを予測することができる。いくつかの実施形態では、MPMシステム602は、接続された機器610から収集された情報を使用して、接続された機器610の信頼性を推定する。例えば、MPMシステム602は、接続された機器610の現在の動作条件と、接続された機器610が設置されてから及び/又はメンテナンスが最後に実施されてから経過した時間量とに基づいて、発生する可能性があり得る様々なタイプの故障の尤度を推定することができる。いくつかの実施形態では、MPMシステム602は、各故障が発生すると予測されるまでの時間量を推定し、各故障に関連する経済的コスト(例えば、メンテナンスコスト、増加される動作コスト、交換コストなど)を識別する。MPMシステム602は、信頼性情報及び潜在的な故障の尤度を使用して、メンテナンスが必要とされるときを予測し、所定の期間にわたってそのようなメンテナンスを実施するコストを推定することができる。
MPMシステム602は、接続された機器610に関する最適なメンテナンス戦略を決定するように構成することができる。いくつかの実施形態では、最適なメンテナンス戦略は、最適化期間(例えば、30週、52週、10年、30年など)の継続期間にわたる接続された機器610の購入、メンテナンス及び動作に関連する総コストを最適化する決定事項の組である。これらの決定事項は、例えば、機器の購入の決定、機器のメンテナンスの決定及び機器の動作の決定を含むことができる。MPMシステム602は、モデル予測制御技法を使用して、これらの決定事項の関数として総コストを表す目的関数を定式化することができる。決定事項は、決定変数として目的関数に含めることができる。MPMシステム602は、様々な最適化技法のいずれかを使用して目的関数を最適化(例えば、最小化)して、各決定変数に関する最適値を識別することができる。
MPMシステム602によって最適化することができる目的関数の一例は、次式で示される。
ここで、C
op,iは、最適化期間の時間ステップiにおいて接続された機器610が消費する単位エネルギーあたりのコスト(例えば、ドル/kWh)であり、P
op,iは、時間ステップiにおける接続された機器610の電力消費量(例えば、kW)であり、Δtは、各時間ステップiの継続時間であり、C
main,iは、時間ステップiにおいて接続された機器610に対して実施されるメンテナンスのコストであり、B
main,iは、メンテナンスが実施されるか否かを示すバイナリ変数であり、C
cap,iは、時間ステップiにおいて接続された機器610の新たなデバイスを購入する資本コストであり、B
cap,iは、新たなデバイスが購入されるか否かを示すバイナリ変数であり、hは、最適化が実施されるホライズン又は最適化期間の継続時間である。
目的関数Jの第1項は、最適化期間の継続期間にわたる接続された機器610の動作コストを表す。いくつかの実施形態では、単位エネルギーあたりのコストCop,iは、エネルギー価格データとして公益企業608から受信される。コストCop,iは、時刻、曜日(例えば、平日か週末か)、現在の季節(例えば、夏か冬か)又は他の時間ベースの因子に依存する時変コストであり得る。例えば、コストCop,iは、ピークエネルギー消費期間中にはより高く、オフピーク又は部分ピークエネルギー消費期間中にはより低いことがある。
いくつかの実施形態では、電力消費量P
op,iは、ビルディング10の加熱又は冷却負荷に基づく。加熱又は冷却負荷は、ビルディング占有、時刻、曜日、現在の季節又は加熱若しくは冷却負荷に影響を与え得る他の因子に応じて、MPMシステム602によって予測することができる。いくつかの実施形態では、MPMシステム602は、気象サービス604からの天気予報を使用して加熱又は冷却負荷を予測する。電力消費量P
op,iは、接続された機器610の効率η
iにも依存する。例えば、高い効率で動作する接続された機器610は、低い効率で動作する接続された機器610に比べて、同じ加熱又は冷却負荷を満たすために消費する電力P
op,iが少ないことがある。一般に、接続された機器610の特定のデバイスの電力消費量P
op,iは、次式を使用してモデル化することができる。
ここで、Load
iは、時間ステップiにおけるデバイスに対する加熱又は冷却負荷(例えば、トン単位での冷却負荷、kW単位での加熱負荷など)であり、P
ideal,iは、対応する負荷点Load
iでのデバイスに関する機器性能曲線の値(例えば、トン単位での冷却負荷、kW単位での加熱負荷など)であり、η
iは、時間ステップiにおけるデバイスの動作効率である(例えば、0≦η
i≦1)。関数f(Load
i)は、性能曲線によって表されるデバイス又はデバイスのセットの機器性能曲線によって定義することができる。
いくつかの実施形態では、機器性能曲線は、理想的な動作条件下でのデバイスに関する製造業者仕様に基づいている。例えば、機器性能曲線は、接続された機器610の各デバイスに関する電力消費量と加熱/冷却負荷との関係を定義することがある。しかし、デバイスの実際の性能は、実際の動作条件に応じて異なることがある。MPMシステム602は、接続された機器610によって提供される機器性能情報を分析して、接続された機器610の各デバイスに関する動作効率ηiを決定することができる。いくつかの実施形態では、MPMシステム602は、接続された機器610からの機器性能情報を使用して、接続された機器610の各デバイスに関する実際の動作効率ηiを決定する。MPMシステム602は、動作効率ηiを目的関数Jへの入力として使用すること及び/又は対応するPop,i値を計算することができる。
有利には、MPMシステム602は、各時間ステップiにおける接続された機器610の効率ηiを、メンテナンス決定Bmain,i及び機器購入決定Bcap,iの関数としてモデル化することができる。例えば、特定のデバイスに関する効率ηiは、デバイスが購入されたときに初期値η0で始まることがあり、時間と共に低下し、連続する各時間ステップiと共に効率ηiが低下することがある。デバイスに対するメンテナンスを実施することで、メンテナンスが実施された直後に効率ηiをより高い値にリセットすることができる。同様に、新たなデバイスを購入して既存のデバイスと交換することで、新たなデバイスが購入された直後に効率ηiをより高い値にリセットすることができる。リセット後、効率ηiは、メンテナンスが実施されるか又は新たなデバイスが購入される次の時点まで、時間と共に低下し続けることがある。
メンテナンスの実施又は新たなデバイスの購入により、動作中の電力消費量Pop,iが比較的低くなり、したがって、メンテナンスが実施された後又は新たなデバイスが購入された後に各時間ステップiにおける動作コストがより低くなることがある。言い換えると、メンテナンスの実施又は新たなデバイスの購入により、目的関数Jの第1項によって表される動作コストを低減することができる。しかし、メンテナンスの実施により、目的関数Jの第2項が増加することがあり、新たなデバイスの購入により、目的関数Jの第3項が増加することがある。目的関数Jは、これらの各コストを捕捉し、MPMシステム602によって最適化して、最適化期間の継続期間にわたるメンテナンス及び機器購入決定の最適な組(すなわちバイナリ決定変数Bmain,i及びBcap,iに関する最適値)を決定することができる。
いくつかの実施形態では、MPMシステム602は、接続された機器610からの機器性能情報を使用して、接続された機器610の信頼性を推定する。信頼性は、接続された機器610がその現在の動作条件下で障害なく動作し続ける尤度の統計的尺度であり得る。より過酷な条件下(例えば、高負荷、高温など)での動作は、信頼性をより低くすることがあり、より過酷でない条件下(例えば、低負荷、中程度の温度など)での動作は、信頼性をより高くすることがある。いくつかの実施形態では、信頼性は、接続された機器610が最後にメンテナンスを受けてから経過した時間量に基づく。
MPMシステム602は、複数のビルディングに分散された接続された機器610の複数のデバイスから動作データを受信することがあり、動作データのセット(例えば、動作条件、障害標示、故障時間など)を使用して、各タイプの機器に関する信頼性モデルを生成することができる。MPMシステム602が信頼性モデルを使用して、接続された機器610の任意の所与のデバイスの信頼性を、その現在の動作条件及び/又は他の外的要因(例えば、メンテナンスが最後に実施されてからの時間、地理的位置、水質など)に応じて推定することができる。いくつかの実施形態では、MPMシステム602は、接続された機器610の各デバイスの推定された信頼性を使用して、最適化期間の各時間ステップにおいてデバイスがメンテナンス及び/又は交換を必要とする確率を決定する。MPMシステム602は、これらの確率を使用して、最適化期間の継続期間にわたるメンテナンス及び機器購入決定の最適な組(すなわちバイナリ決定変数Bmain,i及びBcap,iに関する最適値)を決定することができる。
いくつかの実施形態では、MPMシステム602は、機器購入及びメンテナンスの推奨を生成及び提供する。機器購入及びメンテナンスの推奨は、目的関数Jを最適化することによって決定されるバイナリ決定変数Bmain,i及びBcap,iに関する最適値に基づくことがある。例えば、接続された機器610の特定のデバイスに関するBmain,25=1の値は、最適化期間の第25の時間ステップにおいてそのデバイスに対してメンテナンスが実施されるべきであることを示すことがあり、Bmain,25=0の値は、その時間ステップにおいてメンテナンスを実施すべきでないことを示すことがある。同様に、Bcap,25=1の値は、最適化期間の第25の時間ステップにおいて、接続された機器610の新たなデバイスを購入すべきであることを示すことがあり、Bcap,25=0の値は、その時間ステップにおいて新たなデバイスを購入すべきでないことを示すことがある。
有利には、MPMシステム602によって生成される機器購入及びメンテナンスの推奨は、接続された機器610の実際の動作条件及び実際の性能に基づく予測的な推奨である。MPMシステム602によって実施される最適化は、メンテナンスを実施するコスト及び新たな機器を購入するコストを、そのようなメンテナンス又は購入の決定により生じる動作コストの低減に対して重み付けして、総複合コストJを最小化する最適なメンテナンス戦略を決定する。このようにして、MPMシステム602によって生成される機器購入及びメンテナンスの推奨は、各グループの接続された機器610に特有のものとなり、特定のグループの接続された機器610に関する最適なコストJを実現することができる。機器に特有の推奨は、いくつかのグループの接続された機器610及び/又はいくつかの動作条件に関しては最適でないことがある機器製造業者によって提供される一般的な予防的メンテナンスの推奨(例えば、毎年の機器の整備)に比べ、全体的なコストJを低くすることができる。
いくつかの実施形態では、機器購入及びメンテナンスの推奨は、ビルディング10(例えば、BMS606)及び/又はクライアントデバイス448に提供される。操作者又はビルディングの所有者は、機器購入及びメンテナンスの推奨を使用して、メンテナンスの実施及び新たなデバイスの購入のコスト及び利益を評価することができる。いくつかの実施形態では、機器購入及びメンテナンスの推奨が整備士620に提供される。整備士620は、機器購入及びメンテナンスの推奨を使用して、整備の実施又は機器の交換のために顧客に連絡すべきときを決定することができる。
いくつかの実施形態では、MPMシステム602は、データ分析及び視覚化プラットフォームを含む。MPMシステム602は、整備士620、クライアントデバイス448及び他のシステム又はデバイスがアクセスすることができるウェブインターフェースを提供することがある。ウェブインターフェースを使用して、機器性能情報にアクセスし、最適化の結果を閲覧し、メンテナンスが必要な機器を識別し、さもなければMPMシステム602と対話することができる。整備士620は、ウェブインターフェースにアクセスして、MPMシステム602によってメンテナンスが推奨される機器のリストを閲覧することができる。整備士620は、機器購入及びメンテナンスの推奨を使用して、接続された機器610を早期に修理又は交換し、目的関数Jによって予測される最適なコストを実現することができる。MPMシステム602のこれら及び他の特徴は、以下でより詳細に述べる。
次に、図8を参照すると、例示的実施形態に従って、MPMシステム602をより詳細に例示するブロック図が示されている。MPMシステム602は、最適化結果をビルディング管理システム(BMS)606に提供するものとして示されている。BMS606は、図4~5を参照して述べたBMS400及び/又はBMS500の特徴のいくつか又はすべてを含むことがある。BMS606に提供される最適化結果は、最適化期間内の時間ステップiごとに目的関数Jの決定変数の最適値を含むことがある。いくつかの実施形態では、最適化結果は、接続された機器610のデバイスごとの機器購入及びメンテナンスの推奨を含む。
BMS606は、接続された機器610の動作及び性能を監視するように構成されることがある。BMS606は、接続された機器610から監視される変数を受信することができる。監視される変数は、接続された機器610及び/又はその構成要素の性能を示す任意の測定された値又は計算された値を含むことができる。例えば、監視される変数は、1つ又は複数の測定又は計算された温度、圧力、流量、バルブ位置、資源消費(例えば、電力消費量、水消費量、電気消費量など)、制御設定点、モデルパラメータ(例えば、機器モデル係数)又は対応するシステム、デバイス若しくはプロセスがどのように動作しているかに関する情報を提供する任意の他の変数を含むことができる。
いくつかの実施形態では、監視される変数が、接続された機器610の各デバイスの動作効率ηiを示すか、又は監視される変数を使用して動作効率ηiを計算することができる。例えば、冷却器によって出力される冷却された水の温度及び流量を使用して、冷却器によってサービス提供される冷却負荷(例えば、トン単位での冷却負荷)を計算することができる。冷却負荷を冷却器の電力消費量と組み合わせて使用して、動作効率ηi(例えば、消費される電気1kWあたりのトン単位での冷却負荷)を計算することができる。BMS606は、接続された機器610の各デバイスの動作効率ηiを計算する際に使用するために、監視される変数をMPMシステム602に報告することができる。
いくつかの実施形態では、BMS606は、接続された機器610の稼働時間を監視する。稼働時間は、接続された機器610の各デバイスがアクティブである所与の期間内の時間を示し得る。例えば、冷却器に関する稼働時間は、冷却器が1日に約8時間アクティブであることを示すことがある。稼働時間を、アクティブ時の冷却器の平均電力消費量と組み合わせて使用して、各時間ステップiにおける接続された機器610の総電力消費量Pop,iを推定することができる。
いくつかの実施形態では、BMS606は、接続された機器610によって報告される機器故障及び障害標示を監視する。BMS606は、各故障又は障害が発生する時間及び障害又は故障が発生した際の接続された機器610の動作条件を記録することができる。BMS606及び/又はMPMシステム602が、接続された機器610から収集された動作データを使用して、接続された機器610のデバイスごとの信頼性モデルを作成することができる。BMS606は、監視される変数、機器稼働時間、動作条件並びに機器故障及び障害標示を機器性能情報としてMPMシステム602に提供することができる。
BMS606は、制御されているビルディング又はビルディング区域内部の状態を監視するように構成することができる。例えば、BMS606は、ビルディング全体にわたって分散された様々なセンサ(例えば、温度センサ、湿度センサ、気流センサ、電圧センサなど)からの入力を受信することがあり、ビルディングの状態をMPMシステム602に報告することがある。ビルディングの状態は、例えば、ビルディング又はビルディングのゾーンの温度、ビルディングの電力消費量(例えば、電気負荷)、ビルディング内部の制御されている状態に影響を与えるように構成された1つ又は複数のアクチュエータの状態又は制御されているビルディングに関係する他のタイプの情報を含むことがある。BMS606は、接続された機器610を動作させて、ビルディング内部の監視されている状態に影響を与え、ビルディングの熱エネルギー負荷を提供することができる。
BMS606は、接続された機器610に制御信号を提供し、接続された機器610に関するオン/オフ状態、充電/放電速度及び/又は設定点を指定することができる。BMS606は、制御信号に従って(例えば、アクチュエータ、継電器などを介して)機器を制御して、接続された機器610の様々なビルディング区域及び/又はデバイスに関する設定点を実現することができる。様々な実施形態において、BMS606は、MPMシステム602と組み合わされ得るか、又は別個のビルディング管理システムの一部であり得る。例示的実施形態によれば、BMS606は、Johnson Controls,Inc.が販売しているMETASYS(登録商標)ブランドのビルディング管理システムである。
MPMシステム602は、BMS606から受信された情報を使用して、接続された機器610の性能を監視することができる。MPMシステム602は、(例えば、気象サービス604からの天気予報を使用して)最適化期間内の複数の時間ステップに関してビルディングの熱エネルギー負荷(例えば、加熱負荷、冷却負荷など)を予測するように構成されることがある。MPMシステム602は、公益企業608から受信された価格データを使用して、電気又は他の資源(例えば、水、天然ガスなど)のコストを予測することもある。MPMシステム602は、最適化プロセスに対する制約(例えば、負荷制約、決定変数制約など)を受ける最適化期間の継続期間にわたって、接続された機器610の動作、メンテナンス及び購入の経済的価値を最適化する最適化結果を生成することができる。MPMシステム602によって実施される最適化プロセスを以下でより詳細に述べる。
例示的実施形態によれば、MPMシステム602は、単一のコンピュータ(例えば、1つのサーバ、1つのハウジングなど)の内部に統合することができる。様々な他の例示的実施形態では、MPMシステム602を複数のサーバ又はコンピュータ(例えば、分散された場所に存在し得る)にわたって分散させることができる。別の例示的実施形態では、MPMシステム602は、複数のビルディングシステムを管理するスマートビルディングマネージャと統合し、且つ/又はBMS606と組み合わせることができる。
MPMシステム602は、通信インターフェース804及び処理回路806を含むものとして示されている。通信インターフェース804は、様々なシステム、デバイス又はネットワークとのデータ通信を行うための有線又は無線インターフェース(例えば、ジャック、アンテナ、送信機、受信機、送受信機、有線端末など)を含むことがある。例えば、通信インターフェース804は、イーサネットベースの通信ネットワークを介してデータを送受信するためのイーサネットカード及びポート及び/又は無線通信ネットワークを介して通信するためのWiFi送受信機を含むことがある。通信インターフェース804は、ローカルエリアネットワーク又はワイドエリアネットワーク(例えば、インターネット、ビルディングWANなど)を介して通信するように構成されることがあり、様々な通信プロトコル(例えば、BACnet、IP、LONなど)を使用し得る。
通信インターフェース804は、MPMシステム602と様々な外部システム又はデバイス(例えば、BMS606、接続された機器610、公益企業510など)との間の電子データ通信を容易にするように構成されたネットワークインターフェースであり得る。例えば、MPMシステム602は、BMS606から、制御されているビルディングの1つ又は複数の測定された状態(例えば、温度、湿度、電気負荷など)及び接続された機器610に関する機器性能情報(例えば、稼働時間、電力消費量、動作効率など)を示す情報を受信することがある。通信インターフェース804は、BMS606及び/又は接続された機器610から入力を受信することができ、BMS606及び/又は他の外部システム若しくはデバイスに最適化結果を提供することができる。最適化結果により、BMS606は、接続された機器610に関する設定点をアクティブ化、非アクティブ化又は調整して、最適化結果で指定された決定変数の最適値を実現することができる。
引き続き図8を参照すると、処理回路806は、プロセッサ808及びメモリ810を含むものとして示されている。プロセッサ808は、汎用若しくは特定用途向けプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、1つ若しくは複数のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、処理構成要素のグループ又は他の適切な処理構成要素であり得る。プロセッサ808は、メモリ810に記憶されたか又は他のコンピュータ可読媒体(例えば、CDROM、ネットワークストレージ、リモートサーバなど)から受信されたコンピュータコード又は命令を実行するように構成され得る。
メモリ810は、本開示で述べる様々なプロセスを完遂及び/又は容易化するためのデータ及び/又はコンピュータコードを記憶するための1つ又は複数のデバイス(例えば、メモリユニット、メモリデバイス、記憶デバイスなど)を含み得る。メモリ810は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、ハードドライブ記憶装置、一時記憶装置、不揮発性メモリ、フラッシュメモリ、光学メモリ又はソフトウェアオブジェクト及び/又はコンピュータ命令を記憶するための任意の他の適切なメモリを含み得る。メモリ810は、データベースコンポーネント、オブジェクトコードコンポーネント、スクリプトコンポーネント又は本開示で述べる様々な活動及び情報構造をサポートするための任意の他のタイプの情報構造を含み得る。メモリ810は、処理回路806を介してプロセッサ808に通信可能に接続され得、本明細書で述べる1つ又は複数のプロセスを(例えば、プロセッサ808によって)実行するためのコンピュータコードを含み得る。
MPMシステム602は、機器性能モニタ824を含むものとして示されている。機器性能モニタ824は、BMS606及び/又は接続された機器610から機器性能情報を受信することができる。機器性能情報は、監視される変数のサンプル(例えば、測定された温度、測定された圧力、測定された流量、電力消費量など)、現在の動作条件(例えば、加熱又は冷却負荷、現在の動作条件など)、障害標示又は接続された機器610の性能を特徴付ける他のタイプの情報を含むことができる。いくつかの実施形態では、機器性能モニタ824は、機器性能情報を使用して、接続された機器610の各デバイスの現在の効率ηi及び信頼性を計算する。機器性能モニタ824は、目的関数Jの最適化に使用するために、効率ηi及び信頼性値をモデル予測オプティマイザ830に提供することができる。
引き続き図8を参照すると、MPMシステム602は、負荷/料金予測器822を含むものとして示されている。負荷/料金予測器822は、最適化期間の時間ステップiごとに、ビルディング又は構内のエネルギー負荷(Loadi)(例えば、加熱負荷、冷却負荷、電気負荷など)を予測するように構成されることがある。負荷/料金予測器822は、気象サービス604から天気予報を受信するものとして示されている。いくつかの実施形態では、負荷/料金予測器822は、天気予報に応じてエネルギー負荷Loadiを予測する。いくつかの実施形態では、負荷/料金予測器822は、BMS606からのフィードバックを使用して、負荷Loadiを予測する。BMS606からのフィードバックは、様々なタイプの感覚入力(例えば、温度、流量、湿度、エンタルピーなど)又は制御されているビルディングに関係する他のデータ(例えば、HVACシステム、照明制御システム、セキュリティシステム、給水システムなどからの入力)を含むことがある。
いくつかの実施形態では、負荷/料金予測器822は、測定された電気負荷及び/又は以前に測定された負荷データをBMS606から(例えば、機器性能モニタ824を介して)受信する。負荷/料金予測器822は、所与の天気予報
、日付け(日)、時刻(t)及び以前に測定された負荷データ(Y
i-1)に応じて負荷Load
iを予測することがある。そのような関係は、次式で表される。
いくつかの実施形態では、負荷/料金予測器822は、履歴負荷データから訓練された決定論的+確率モデルを使用して負荷Loadiを予測する。負荷/料金予測器822は、様々な予測法の任意のものを使用して負荷Loadiを予測することができる(例えば、決定論的部分に関しては線形回帰及び確率的部分に関してはARモデル)。負荷/料金予測器822は、ビルディング又は構内に関する1つ又は複数の異なるタイプの負荷を予測することがある。例えば、負荷/料金予測器822は、最適化期間内の時間ステップiごとに、温水負荷LoadHot,i、冷水負荷LoadCold,i及び電気負荷LoadElec,iを予測することがある。予測される負荷値Loadiは、これらのタイプの負荷のいくつか又はすべてを含むことができる。いくつかの実施形態では、負荷/料金予測器822は、米国特許出願第14/717,593号に記載の技法を使用して負荷/料金予測を行う。
負荷/料金予測器822は、公益企業608から公共料金を受信するものとして示されている。公共料金は、最適化期間内の各時間ステップiにおいて公益企業608によって提供される資源(例えば、電気、天然ガス、水など)の単位あたりのコスト又は価格を示すことがある。いくつかの実施形態では、公共料金は時変料金である。例えば、電気の価格は、特定の時間帯又は曜日(例えば、高需要の期間中)にはより高く、他の時間帯又は曜日(例えば、低需要の期間中)にはより低くなることがある。公共料金は、様々な期間と、各期間中の資源の1単位あたりのコストとを定義することがある。公共料金は、公益企業608から受信された実際の料金又は負荷/料金予測器822によって推定された予測公共料金であり得る。
いくつかの実施形態では、公共料金は、公益企業608によって提供される1つ又は複数の資源に関する需要料金を含む。需要料金は、需要料金期間中の特定の資源の最大使用量(例えば、最大エネルギー消費)に基づいて、公益企業608によって課される個別のコストを定義することがある。公共料金は、様々な需要料金期間と、各需要料金期間に関連付けられた1つ又は複数の需要料金とを定義することがある。いくつかの場合、需要料金期間は、互いに及び/又は予測窓と部分的又は完全に重なることがある。モデル予測オプティマイザ830は、高レベルオプティマイザ832によって実施される高レベル最適化プロセスにおける需要料金を考慮に入れるように構成されることがある。公益企業608は、時変(例えば、1時間ごと)の価格、最大サービスレベル(例えば、物理的インフラストラクチャによって又は契約によって許可される最大消費レート)及び電気の場合、需要料金又は特定の期間内の消費量のピークレートに関する料金によって定義されることがある。負荷/料金予測器822は、予測される負荷Loadi及び公共料金をメモリ810に記憶することができ、且つ/又は予測された負荷Loadi及び公共料金をモデル予測オプティマイザ830に提供することができる。
引き続き図8を参照すると、MPMシステム602は、モデル予測オプティマイザ830を含むものとして示されている。モデル予測オプティマイザ830は、マルチレベル最適化プロセスを実施して、接続された機器610の購入、メンテナンス及び動作に関連付けられた総コストを最適化するように構成することができる。いくつかの実施形態では、モデル予測オプティマイザ830は、高レベルオプティマイザ832及び低レベルオプティマイザ834を含む。高レベルオプティマイザ832は、接続された機器610のセット全体(例えば、ビルディング内部のすべてのデバイス)又は接続された機器610のサブセット(例えば、単一のデバイス、サブプラント又はビルディングサブシステムのすべてのデバイスなど)に関して目的関数Jを最適化して、目的関数Jでの各決定変数(例えば、Pop,i、Bmain,i及びBcap,i)に関する最適値を決定することができる。高レベルオプティマイザ832によって実施される最適化を、図9を参照してより詳細に述べる。
いくつかの実施形態では、低レベルオプティマイザ834は、高レベルオプティマイザ832から最適化結果を受信する。最適化結果は、最適化期間内の各時間ステップiにおける接続された機器の各デバイス又はデバイスのセットに関する最適な電力消費量値Pop,i及び/又は負荷値Loadiを含むことがある。低レベルオプティマイザ834は、高レベルオプティマイザ832によって決定された負荷値で各デバイス又はデバイスのセットを最適に稼働する方法を決定することがある。例えば、低レベルオプティマイザ834は、接続された機器610の電力消費量を最適化(例えば、最小化)して対応する負荷値Loadiを満たすために、接続された機器610の様々なデバイスに関するオン/オフ状態及び/又は動作設定点を決定することがある。
低レベルオプティマイザ834は、接続された機器610の各デバイス又はデバイスのセットに関する機器性能曲線を生成するように構成されることがある。各性能曲線は、接続された機器610の特定のデバイス又はデバイスのセットによる資源消費量(例えば、kW単位で測定される電気使用量、L/sで測定される水使用量など)を、デバイス又はデバイスのセットに対する負荷の関数として示すことがある。いくつかの実施形態において、低レベルオプティマイザ834は、負荷点(例えば、Loadiの様々な値)及び気象条件の様々な組合せで低レベル最適化プロセスを実施して複数のデータポイントを生成することによって性能曲線を生成する。低レベル最適化を使用して、対応する加熱又は冷却負荷を満たすために必要とされる最小の資源消費量を決定することができる。低レベルオプティマイザ834によって実施することができる低レベル最適化プロセスの例は、2015年2月27日出願の「Low Level Central Plant Optimization」という名称の米国特許出願第14/634,615号に詳細に述べられており、その特許出願の開示全体が参照により本明細書に組み入れられる。低レベルオプティマイザ834は、データポイントに曲線を当てはめて、性能曲線を生成することがある。
いくつかの実施形態では、低レベルオプティマイザ834は、接続された機器610の個々のデバイスの効率曲線を組み合わせることにより、接続された機器610のセット(例えば、冷却器サブプラント、ヒータサブプラントなど)に関する機器性能曲線を生成する。デバイス効率曲線は、負荷の関数としてデバイスによる資源消費量を示すことがある。デバイス効率曲線は、デバイス製造業者によって提供されることがあるか、又は実験データを使用して生成されることもある。いくつかの実施形態において、デバイス効率曲線は、デバイス製造業者によって提供され、実験データを使用して更新された初期効率曲線に基づく。デバイス効率曲線は、機器モデル818に記憶され得る。いくつかのデバイスでは、デバイス効率曲線は、資源消費が負荷のU字関数であることを示すことがある。したがって、複数のデバイス効率曲線が組み合わされて複数のデバイスに関する性能曲線になるとき、得られる性能曲線は波状の曲線になり得る。これらの波は、単一のデバイスが負荷を上げることによって引き起こされ、その後、サブプラント負荷を満たすための別のデバイスの起動がより効率的になる。低レベルオプティマイザ834は、高レベル最適化プロセスで使用するために機器性能曲線を高レベルオプティマイザ832に提供することがある。
引き続き図8を参照すると、MPMシステム602が、機器コントローラ828を含むものとして示されている。機器コントローラ828は、接続された機器610を制御して、ビルディング10での可変状態又は状況(例えば、温度、湿度など)に影響を与えるように構成することができる。いくつかの実施形態では、機器コントローラ828は、モデル予測オプティマイザ830によって実施された最適化の結果に基づいて、接続された機器610を制御する。いくつかの実施形態では、機器コントローラ828は、接続された機器610に通信インターフェース804及び/又はBMS606を介して提供することができる制御信号を生成する。制御信号は、目的関数Jでの決定変数の最適値に基づくことがある。例えば、機器コントローラ828は、接続された機器610に、最適化期間内の時間ステップiごとの最適な電力消費量値Pop,iを実現させる制御信号を生成することがある。
モデル予測オプティマイザ830、機器コントローラ828又はMPMシステム602の他のモジュールからのデータ及び処理結果は、監視及び報告アプリケーション826によってアクセス(又は監視及び報告アプリケーション826にプッシュ)されることがある。監視及び報告アプリケーション826は、ユーザ(例えば、システムエンジニア)が閲覧及びナビゲートすることができるリアルタイム「システムヘルス」ダッシュボードを生成するように構成されることがある。例えば、監視及び報告アプリケーション826は、GUIのユーザに重要業績評価指標(KPI)又は他の情報を表示するためのいくつかのグラフィカルユーザインターフェース(GUI)要素(例えば、ウィジェット、ダッシュボードコントロール、ウィンドウなど)を有するウェブベースの監視アプリケーションを含むことがある。さらに、GUI要素は、(実際の又はモデル化された)異なるビルディングや異なる構内などでのビルディング管理システムにわたる相対的なエネルギー使用量及び強度を要約することができる。他のGUI要素又はレポートは、利用可能なデータに基づいて生成されて示されることがあり、ユーザが、1つ又は複数のエネルギー貯蔵システムにわたる性能を1つの画面から評価できるようにする。ユーザインターフェース又はレポート(又は元のデータエンジン)は、ビルディング、ビルディングのタイプ、機器のタイプなどによって動作条件を集計及び分類するように構成されることがある。GUI要素は、ビルディングシステムのデバイスに関する動作パラメータ及び電力消費量をユーザが視覚的に分析できるようにするチャート又はヒストグラムを含むことがある。
引き続き図8を参照すると、MPMシステム602は、監視及び報告アプリケーション826をサポートするために、1つ又は複数のGUIサーバ、ウェブサービス812又はGUIエンジン814を含むことがある。様々な実施形態において、アプリケーション826、ウェブサービス812及びGUIエンジン814は、MPMシステム602の外部の別個の構成要素として(例えば、スマートビルディングマネージャの一部として)提供され得る。MPMシステム602は、関連データの詳細な履歴データベース(例えば、リレーショナルデータベース、XMLデータベースなど)を維持するように構成されることがあり、詳細なデータベースに維持されているデータに対して継続的に、頻繁に又は低頻度でクエリ、集約、変換、検索又は他の処理を行うコンピュータコードモジュールを含む。MPMシステム602は、任意のそのような処理の結果を、例えば外部監視及び報告アプリケーションによるさらなるクエリ、計算若しくはアクセスのために、他のデータベース、テーブル、XMLファイル又は他のデータ構造に提供するように構成されることがある。
MPMシステム602は、構成ツール816を含むものとして示されている。構成ツール816により、MPMシステム602がBMS606及び/又は接続された機器610での変化する条件にどのように応答するかをユーザが(例えば、グラフィカルユーザインターフェースを介して、プロンプト方式の「ウィザード」を介してなど)定義できるようにし得る。例示的実施形態では、構成ツール816により、接続された機器610の複数のデバイス、複数のビルディングシステム及び複数のエンタープライズ制御アプリケーション(例えば、作業指示管理システムアプリケーション、エンティティ資源プランニングアプリケーションなど)に及び得る条件応答シナリオをユーザが構築して記憶することができるようにする。例えば、構成ツール816は、様々な条件論理を使用して(例えば、サブシステムからの、イベント履歴からの)データを組み合わせる機能をユーザに提供することができる。様々な例示的実施形態では、条件論理は、条件間の単純な論理演算子(例えば、AND、OR、XORなど)から、擬似コード構造又は複雑なプログラミング言語関数(より複雑な対話、条件文、ループなどを可能にする)まで含むことができる。構成ツール816は、そのような条件論理を構築するためのユーザインターフェースを提示することができる。ユーザインターフェースは、ユーザがグラフィックでポリシー及び応答を定義できるようにすることがある。いくつかの実施形態では、ユーザインターフェースは、ユーザが、予め記憶又は予め構成されたポリシーを選択し、そのポリシーを適合させるか、又はそのユーザのシステムと共に使用できるようにし得る。
高レベルオプティマイザ
次に、図9を参照すると、例示的実施形態に従って、高レベルオプティマイザ832をより詳細に示すブロック図が示されている。高レベルオプティマイザ832は、接続された機器610に関する最適なメンテナンス戦略を決定するように構成することができる。いくつかの実施形態では、最適なメンテナンス戦略は、最適化期間(例えば、30週、52週、10年、30年など)の継続期間にわたる接続された機器610の購入、メンテナンス及び動作に関連する総コストを最適化する決定事項の組である。これらの決定事項は、例えば、機器の購入の決定、機器のメンテナンスの決定及び機器の動作の決定を含むことができる。
高レベルオプティマイザ832は、動作コスト予測器910、メンテナンスコスト予測器920、資本コスト予測器930、目的関数生成器935及び目的関数オプティマイザ940を含むものとして示されている。コスト予測器910、920及び930は、モデル予測制御技法を使用して、いくつかの決定変数(例えば、メンテナンス決定、機器購入決定など)及び入力パラメータ(例えば、エネルギーコスト、デバイス効率、デバイス信頼性)の関数として総コストを表す目的関数を定式化することができる。動作コスト予測器910は、目的関数での動作コスト項を定式化するように構成することができる。同様に、メンテナンスコスト予測器920は、目的関数でのメンテナンスコスト項を定式化するように構成することができ、資本コスト予測器930は、目的関数での資本コスト項を定式化するように構成することができる。目的関数オプティマイザ940は、様々な最適化技法のいずれかを使用して目的関数を最適化(例えば、最小化)して、各決定変数に関する最適値を識別することができる。
高レベルオプティマイザ832によって生成することができる目的関数の一例は、次式で示される。
ここで、C
op,iは、最適化期間の時間ステップiにおいて接続された機器610が消費する単位エネルギーあたりのコスト(例えば、ドル/kWh)であり、P
op,iは、時間ステップiにおける接続された機器610の電力消費量(例えば、kW)であり、Δtは、各時間ステップiの継続時間であり、C
main,iは、時間ステップiにおいて接続された機器610に対して実施されるメンテナンスのコストであり、B
main,iは、メンテナンスが実施されるか否かを示すバイナリ変数であり、C
cap,iは、時間ステップiにおいて接続された機器610の新たなデバイスを購入する資本コストであり、B
cap,iは、新たなデバイスが購入されるか否かを示すバイナリ変数であり、hは、最適化が実施されるホライズン又は最適化期間の継続時間である。
動作コスト予測器
動作コスト予測器910は、目的関数Jでの第1項を定式化するように構成することができる。目的関数Jの第1項は、最適化期間の継続期間にわたる接続された機器610の動作コストを表し、3つの変数又はパラメータ(すなわちCop,i、Pop,i及びΔt)を含むものとして示されている。いくつかの実施形態では、単位エネルギーあたりのコストCop,iは、エネルギーコストモジュール915によって決定される。エネルギーコストモジュール915は、エネルギー価格データとして、公益企業608からエネルギー価格のセットを受信することができる。いくつかの実施形態では、エネルギー価格は、時刻、曜日(例えば、平日か週末か)、現在の季節(例えば、夏か冬か)又は他の時間ベースの因子に依存する時変コストであり得る。例えば、電気のコストは、ピークエネルギー消費期間中にはより高く、オフピーク又は部分ピークエネルギー消費期間中にはより低いことがある。
エネルギーコストモジュール915は、エネルギーコストを使用して、最適化期間内の時間ステップiごとにCop,iの値を定義することができる。いくつかの実施形態において、エネルギーコストモジュール915は、最適化期間内のh個の時間ステップそれぞれに関するコスト要素を含むアレイCopとしてエネルギーコストを記憶する。例えば、エネルギーコストモジュール915は、以下のアレイを生成することができる。
Cop=[Cop,1 Cop,2 … Cop,h]
ここで、アレイCopは、1×hのサイズを有し、アレイCopの各要素は、最適化期間の特定の時間ステップi=1...hに関するエネルギーコスト値Cop,iを含む。
さらに図9を参照すると、動作コスト予測器910は、理想性能計算機912を含むものとして示されている。理想性能計算機912は、負荷/料金予測器822から負荷予測Loadiを受信することがあり、低レベルオプティマイザ834から性能曲線を受信することがある。上で論じたように、性能曲線は、接続された機器610のデバイス又はデバイスのセットの理想的な電力消費量Pidealを、デバイス又はデバイスのセットに対する加熱又は冷却負荷の関数として定義することがある。例えば、接続された機器610の1つ又は複数のデバイスの性能曲線は、次式によって定義することができる。
Pideal,i=f(Loadi)
ここで、Pideal,iは、時間ステップiにおける接続された機器610の理想的な電力消費量(例えば、kW)であり、Loadiは、時間ステップにおける接続された機器610に対する負荷(例えば、トン単位での冷却負荷、kW単位での加熱負荷など)である。理想的な電力消費量Pideal,iは、接続された機器610の1つ又は複数のデバイスが完璧な効率で動作すると仮定したそれらの電力消費量を表すことがある。
理想性能計算機912は、接続された機器610のデバイス又はデバイスのセットに関する性能曲線を使用して、Pideal,iの値を識別することができ、この値は、最適化期間の各時間ステップにおけるデバイス又はデバイスのセットに関する負荷点Loadiに対応する。いくつかの実施形態では、理想性能計算機912は、最適化期間内のh個の時間ステップそれぞれに関する要素を含むアレイPidealとして、理想的な負荷値を記憶する。例えば、理想性能計算機912は、以下のアレイを生成することができる。
Pideal=[Pideal,1 Pideal,2 … Pideal,h]T
ここで、アレイPidealは、h×1のサイズを有し、アレイPidealの各要素は、最適化期間の特定の時間ステップi=1...hに関する理想的な電力消費量値Pideal,iを含む。
引き続き図9を参照すると、動作コスト予測器910が、効率アップデータ911及び効率デグレーダ913を含むものとして示されている。効率アップデータ911は、実際の動作条件下での接続された機器610の効率ηを決定するように構成することができる。いくつかの実施形態では、効率η
iは、次式で示されるように、接続された機器の理想的な電力消費量P
idealと、接続された機器610の実際の電力消費量P
actualとの比を表す。
ここで、P
idealは、接続された機器610に関する性能曲線によって定義される接続された機器610の理想的な電力消費量であり、P
actualは、接続された機器610の実際の電力消費量である。いくつかの実施形態では、効率アップデータ911は、接続された機器610から収集された機器性能情報を使用して、実際の電力消費量値P
actualを識別する。効率アップデータ911は、実際の電力消費量P
actualを理想的な電力消費量P
idealと組み合わせて使用して、効率ηを計算することができる。
効率アップデータ911は、接続された機器610の現在の動作効率を反映するために効率ηを定期的に更新するように構成することができる。例えば、効率アップデータ911は、接続された機器610の効率ηを、1日に1回、1週間に1回、1年に1回又は時間と共に効率ηの変化を捕捉するのに適切であり得る任意の他の間隔で計算することができる。効率ηの各値は、効率ηが計算される時点でのPideal及びPactualの対応する値に基づき得る。いくつかの実施形態では、効率アップデータ911は、高レベル最適化プロセスが実施されるたびに(すなわち目的関数Jが最適化されるたびに)効率ηを更新する。効率アップデータ911によって計算された効率値は、初期効率値η0としてメモリ810に記憶されることがあり、ここで、下付き数字0は、最適化期間の開始時又は開始前(例えば、時間ステップ0で)の効率ηの値を表す。
いくつかの実施形態では、効率アップデータ911は、接続された機器610に対するメンテナンスの実施又は接続された機器610の1つ若しくは複数のデバイスを交換若しくは補完するための新たな機器の購入により生じる接続された機器610の効率ηの上昇を考慮に入れるために、最適化期間中の1つ又は複数の時間ステップに関する効率ηiを更新する。効率ηiが更新される時間ステップiは、メンテナンスが実施されることになるか、又は機器が交換されることになる予測時間ステップに対応することがある。接続された機器610に対してメンテナンスが実施されることになる予測時間ステップは、目的関数Jでのバイナリ決定変数Bmain,iの値によって定義することができる。同様に、機器が交換されることになる予測時間ステップは、目的関数Jでのバイナリ決定変数Bcap,iの値によって定義することができる。
効率アップデータ911は、その時間ステップにおいてメンテナンスが実施されること及び/又はその時間ステップにおいて新たな機器が購入されることをバイナリ決定変数Bmain,i及びBcap,iが示す場合(すなわちBmain,i=1及び/又はBcap,i=1)、所与の時間ステップiに関する効率ηiをリセットするように構成することができる。例えば、Bmain,i=1の場合、効率アップデータ911は、ηiの値をηmainにリセットするように構成することができ、ここで、ηmainは、時間ステップiにおいて実施されるメンテナンスにより得られると期待される効率値である。同様に、Bcap,i=1の場合、効率アップデータ911は、ηiの値をηcapにリセットするように構成することができ、ここで、ηcapは、時間ステップiにおいて実施される接続された機器610の1つ又は複数のデバイスを補完又は交換するために新たなデバイスを購入することにより得られると期待される効率値である。効率アップデータ911は、1つ又は複数の時間ステップに関して効率ηiを動的にリセットすることができ、(例えば、最適化の各反復によって)バイナリ決定変数Bmain,i及びBcap,iの値に基づいて最適化が実施される。
効率デグレーダ913は、最適化期間の各時間ステップiにおける接続された機器610の効率ηiを予測するように構成することができる。最適化期間の開始時の初期効率η0は、接続された機器610の性能が低下するにつれて、時間と共に低下することがある。例えば、冷却器の効率は、冷却水管が汚れて冷却器の熱伝達率が低下した結果、時間と共に低下することがある。同様に、バッテリの物理的又は化学的構成要素の劣化により、バッテリの効率は、時間と共に低下することがある。効率デグレーダ913は、そのような低下を、最適化期間の継続時間にわたって効率ηiを段階的に低下させることによって考慮に入れるように構成することができる。
いくつかの実施形態では、初期効率値η0は、各最適化期間の開始時に更新される。しかし、効率ηは、最適化期間中に低下することがあり、初期効率値η0は、最適化期間の継続期間にわたって次第に不正確になる。最適化期間中の効率低下を考慮に入れるために、効率デグレーダ913は、連続する各時間ステップにおいて効率ηを所定量だけ低下させることができる。例えば、効率デグレーダ913は、各時間ステップi=1...hでの効率を以下のように定義することができる。
ηi=ηi-1-Δη
ここで、ηiは、時間ステップiにおける効率であり、ηi-1は、時間ステップi-1での効率であり、Δηは、連続する時間ステップ間での効率の低下である。いくつかの実施形態では、ηiのこの定義は、Bmain,i=0及びBcap,i=0である各時間ステップに適用される。しかし、Bmain,i=1又はBcap,i=1である場合、ηiの値は、前述したようにηmain又はηcapにリセットされ得る。
いくつかの実施形態では、Δηの値は、効率アップデータ911によって計算された効率値の時系列に基づいている。例えば、効率デグレーダ913は、効率アップデータ911によって計算された初期効率値η
0の時系列を記録することがあり、ここで、各初期効率値η
0は、特定の時点における接続された機器610の経験的に計算された効率を表す。効率デグレーダ913は、初期効率値η
0の時系列を検査して、効率が低下する率を決定することができる。例えば、時点t
1での初期効率η
0がη
0,1であり、時点t
2での初期効率がη
0,2である場合、効率デグレーダ913は、効率低下率を以下のように計算することができる。
ここで、
は、効率低下率である。効率デグレーダ913は、
に、各時間ステップの継続時間Δtを乗算して、Δηの値を計算することができる(すなわち、
)。
いくつかの実施形態では、効率デグレーダ913は、最適化期間内のh個の時間ステップそれぞれに関する要素を含むアレイηに、最適化期間の継続期間にわたる効率値を記憶する。例えば、効率デグレーダ913は、以下のアレイを生成することができる。
η=[η1 η2 … ηh]
ここで、アレイηは、h×1のサイズを有し、アレイηの各要素は、最適化期間の特定の時間ステップi=1...hに関する効率値ηiを含む。アレイηの各要素iは、前の要素の値とΔηの値とに基づいて計算されることがある(例えば、Bmain,i=0及びBcap,i=0の場合)か、又はηmain又はηcapに動的にリセットされることがある(例えば、Bmain,i=1又はBcap,i=1の場合)。
効率アップデータ911及び効率デグレーダ913によって実施される効率更新及びリセット動作を特徴付ける論理は、次式で要約することができる。
Bmain,i=1の場合 → ηi=ηmain
Bcap,i=1の場合 → ηi=ηcap
Bmain,i=0及びBcap,i=0の場合 → ηi=ηi-1-Δη
これは、目的関数オプティマイザ940によって実施される高レベル最適化に対する制約として適用することができる。
有利には、効率アップデータ911及び効率デグレーダ913は、各時間ステップiにおける接続された機器610の効率ηiを、メンテナンス決定Bmain,i及び機器購入決定Bcap,iの関数としてモデル化することができる。例えば、特定のデバイスに関する効率ηiは、最適化期間の開始時に初期値η0で始まることがあり、時間と共に低下し、連続する各時間ステップiと共に効率ηiが低下することがある。デバイスに対するメンテナンスを実施することで、メンテナンスが実施された直後に効率ηiをより高い値にリセットすることができる。同様に、新たなデバイスを購入して既存のデバイスと交換することで、新たなデバイスが購入された直後に効率ηiをより高い値にリセットすることができる。リセット後、効率ηiは、メンテナンスが実施されるか又は新たなデバイスが購入される次の時点まで、時間と共に低下し続けることがある。
引き続き図9を参照すると、動作コスト予測器910は、電力消費量推定器914及び動作コスト計算機916を含むものとして示されている。電力消費量推定器914は、最適化期間の各時間ステップiにおける接続された機器610の電力消費量P
op,iを推定するように構成することができる。いくつかの実施形態では、電力消費量推定器914は、理想性能計算機912によって計算された理想電力消費量P
ideal,iと、効率デグレーダ913及び/又は効率アップデータ911によって決定された効率η
iとの関数として、電力消費量P
op,iを推定する。例えば、電力消費量推定器914は、次式を使用して電力消費量P
op,iを計算することができる。
ここで、P
ideal,iは、対応する負荷点Load
iでのデバイスに関する機器性能曲線に基づいて理想性能計算機912によって計算された電力消費量であり、η
iは、時間ステップiにおけるデバイスの動作効率である。
いくつかの実施形態では、電力消費量推定器914は、最適化期間内のh個の時間ステップそれぞれに関する要素を含むアレイPopとして電力消費量値を記憶する。例えば、電力消費量推定器914は、以下のアレイを生成することができる。
Pop=[Pop,1 Pop,2 … Pop,h]T
ここで、アレイPopは、h×1のサイズを有し、アレイPopの各要素は、最適化期間の特定の時間ステップi=1...hに関する理想的な電力消費量値Pop,iを含む。
動作コスト計算機916は、最適化期間の継続期間にわたる接続された機器610の動作コストを推定するように構成することができる。いくつかの実施形態では、動作コスト計算機916は、次式を使用して各時間ステップi中の動作コストを計算する。
Cost
op,i=C
op,iP
op,iΔt
ここで、P
op,iは、電力消費量推定器914によって決定される時間ステップiにおける予測電力消費量であり、C
op,iは、エネルギーコストモジュール915によって決定される時間ステップiにおける単位エネルギーあたりのコストであり、Δtは、各時間ステップの継続期間である。動作コスト計算機916は、以下のように、最適化期間の継続期間にわたる動作コストを合計することができる。
ここで、Cost
opは、目的関数Jの動作コスト項である。
他の実施形態では、動作コスト計算機916は、次式で示されるように、コストアレイCopに電力消費量アレイPop及び各時間ステップの継続時間Δtを乗算することにより、動作コストCostopを推定する。
Costop=CopPopΔt
Costop=[Cop,1 Cop,2 … Cop,h][Pop,1 Pop,2 … Pop,h]TΔt
メンテナンスコスト予測器
メンテナンスコスト予測器920は、目的関数Jでの第2項を定式化するように構成することができる。目的関数Jでの第2項は、最適化期間の継続期間にわたる、接続された機器610に対するメンテナンスを実施するコストを表し、2つの変数又はパラメータ(すなわちCmain,i及びBmain,i)を含むものとして示されている。メンテナンスコスト予測器920は、メンテナンス推定器922、信頼性推定器924、メンテナンスコスト計算機926及びメンテナンスコストモジュール928を含むものとして示されている。
信頼性推定器924は、接続された機器610から受信された機器性能情報に基づいて、接続された機器610の信頼性を推定するように構成することができる。信頼性は、接続された機器610がその現在の動作条件下で障害なく動作し続ける尤度の統計的尺度であり得る。より過酷な条件下(例えば、高負荷、高温など)での動作は、信頼性をより低くすることがあり、より過酷でない条件下(例えば、低負荷、中程度の温度など)での動作は、信頼性をより高くすることがある。いくつかの実施形態では、信頼性は、接続された機器610が最後にメンテナンスを受けてから経過した時間量及び/又は接続された機器610が購入若しくは設置されてから経過した時間量に基づく。
いくつかの実施形態では、信頼性推定器924は、機器性能情報を使用して、接続された機器610の現在の動作条件を識別する。信頼性推定器924によって現在の動作条件を検査して、接続された機器610の性能が低下し始めるときを明らかにし、且つ/又は障害が発生するときを予測することができる。いくつかの実施形態では、信頼性推定器924は、接続された機器610で潜在的に発生し得る様々なタイプの故障の尤度を推定する。各故障の尤度は、接続された機器610の現在の動作条件、接続された機器610が設置されてから経過した時間量及び/又はメンテナンスが最後に実施されてから経過した時間量に基づくことがある。いくつかの実施形態では、信頼性推定器924は、2016年6月21日出願の「Building Management System With Predictive Diagnostics」という名称の米国特許出願第15/188,824号に記載のシステム及び方法を使用して、動作条件を識別し、様々な故障の尤度を予測する。上記特許出願の開示全体が参照により本明細書に組み入れられる。
いくつかの実施形態では、信頼性推定器924は、複数のビルディングにわたって分散された接続された機器610の複数のデバイスから動作データを受信する。動作データは、例えば、現在の動作条件、障害標示、故障時間又は接続された機器610の動作及び性能を特徴付ける他のデータを含むことができる。信頼性推定器924は、動作データのセットを使用して、各タイプの機器に関する信頼性モデルを作成することができる。信頼性推定器924が信頼性モデルを使用して、接続された機器610の任意の所与のデバイスの信頼性を、その現在の動作条件及び/又は他の外的要因(例えば、メンテナンスが最後に実施されてからの時間、設置又は購入からの時間、地理的位置、水質など)に応じて推定することができる。
信頼性推定器924が使用することができる信頼性モデルの一例は、次式で示される。
Reliabilityi=f(OpCondi,Δtmain,i,Δtcap,i)
ここで、Reliabilityiは、時間ステップiにおける接続された機器610の信頼性であり、OpCondiは、時間ステップiにおける動作条件であり、Δtmain,iは、メンテナンスが最後に行われた時点と時間ステップiとの間で経過した時間量であり、Δtcap,iは、接続された機器610が購入又は設置された時点と時間ステップiとの間で経過した時間量である。信頼性推定器924は、接続された機器610からフィードバックとして受信された機器性能情報に基づいて現在の動作条件OpCondiを識別するように構成することができる。より過酷な条件下(例えば、高負荷、極端な温度など)での動作は、信頼性をより低くすることがあり、より過酷でない条件下(例えば、低負荷、中程度の温度など)での動作は、信頼性をより高くすることがある。
信頼性推定器924は、バイナリ決定変数Bmain,iの値に基づいて、接続された機器610に対してメンテナンスが最後に実施されてから経過した時間量Δtmain,iを決定することがある。各時間ステップiに関して、信頼性推定器924は、時間ステップi及び前の各時間ステップ(例えば、時間ステップi-1、i-2、...、1)におけるBmainの対応する値を検査することができる。信頼性推定器924は、メンテナンスが最後に実施された時点(すなわちBmain,i=1である直近の時点)を、時間ステップiに関連する時点から引くことにより、Δtmain,iの値を計算することができる。メンテナンスが最後に実施されてからの時間量Δtmain,iが長いと、信頼性がより低くなることがあり、メンテナンスが最後に実施されてからの時間量が短いと、信頼性がより高くなることがある。
同様に、信頼性推定器924は、バイナリ決定変数Bcap,iの値に基づいて、接続された機器610が購入又は設置されてから経過した時間量Δtcap,iを決定することがある。各時間ステップiに関して、信頼性推定器924は、時間ステップi及び前の各時間ステップ(例えば、時間ステップi-1、i-2、...、1)におけるBcapの対応する値を検査することができる。信頼性推定器924は、接続された機器610が購入又は設置された時点(すなわちBcap,i=1である直近の時点)を、時間ステップiに関連する時点から引くことにより、Δtcap,iの値を計算することができる。接続された機器610が購入又は設置されてからの時間量Δtcap,iが長いと、信頼性がより低くなることがあり、接続された機器610が購入又は設置されてからの時間量が短いと、信頼性がより高くなることがある。
信頼性推定器924は、その時間ステップにおいてメンテナンスが実施されること及び/又はその時間ステップにおいて新たな機器が購入されることをバイナリ決定変数Bmain,i及びBcap,iが示す場合(すなわちBmain,i=1及び/又はBcap,i=1)、所与の時間ステップiに関する信頼性をリセットするように構成することができる。例えば、Bmain,i=1の場合、信頼性推定器924は、Reliabilityiの値をReliabilitymainにリセットするように構成することができ、ここで、Reliabilitymainは、時間ステップiにおいて実施されるメンテナンスにより得られると期待される信頼性値である。同様に、Bcap,i=1の場合、信頼性推定器924は、Reliabilityiの値をReliabilitycapにリセットするように構成することができ、ここで、Reliabilitycapは、時間ステップiにおいて実施される接続された機器610の1つ又は複数のデバイスを補完又は交換するために新たなデバイスを購入することにより得られると期待される信頼性値である。信頼性推定器924は、1つ又は複数の時間ステップに関して信頼性を動的にリセットすることができ、(例えば、最適化の各反復によって)バイナリ決定変数Bmain,i及びBcap,iの値に基づいて最適化が実施される。
メンテナンス推定器922は、最適化期間の継続期間にわたる接続された機器610の推定された信頼性を使用して、最適化期間の各時間ステップにおいて接続された機器610がメンテナンス及び/又は交換を必要とする確率を決定するように構成することができる。いくつかの実施形態では、メンテナンス推定器922は、接続された機器610が所与の時間ステップにおいてメンテナンスを必要とする確率を臨界値と比較するように構成される。メンテナンス推定器922は、時間ステップiにおいて接続された機器610がメンテナンスを必要とする確率が臨界値を超えるという決定に応答して、Bmain,i=1の値を設定するように構成することができる。同様に、メンテナンス推定器922は、接続された機器610が所与の時間ステップにおいて交換を必要とする確率を臨界値と比較するように構成することができる。メンテナンス推定器922は、時間ステップiにおいて接続された機器610が交換を必要とする確率が臨界値を超えるという決定に応答して、Bcap,i=1の値を設定するように構成することができる。
いくつかの実施形態では、接続された機器610の信頼性とバイナリ決定変数Bmain,i及びBcap,iの値とに相互関係がある。言い換えると、接続された機器610の信頼性は、最適化で選択されるバイナリ決定変数Bmain,i及びBcap,iの値に影響を与えることができ、バイナリ決定変数Bmain,i及びBcap,iの値は、接続された機器610の信頼性に影響を与えることができる。有利には、目的関数オプティマイザ940によって実施される最適化は、バイナリ決定変数Bmain,i及びBcap,iと接続された機器610の信頼性との相互関係を考慮に入れながら、バイナリ決定変数Bmain,i及びBcap,iの最適値を識別することができる。
いくつかの実施形態では、メンテナンス推定器922は、バイナリメンテナンス決定変数の行列B
mainを生成する。行列B
mainは、最適化期間の各時間ステップにおいて実施することができる様々なメンテナンス活動それぞれに関するバイナリ決定変数を含むことがある。例えば、メンテナンス推定器922は、以下の行列を生成することができる。
ここで、行列B
mainは、サイズがm×hであり、行列B
mainの各要素は、最適化期間の特定の時間ステップにおける特定のメンテナンス活動に関するバイナリ決定変数を含む。例えば、バイナリ決定変数B
main,j,iの値は、第jのメンテナンス活動が最適化期間の第iの時間ステップ中に実施されるか否かを示す。
引き続き図9を参照すると、メンテナンスコスト予測器920は、メンテナンスコストモジュール928及びメンテナンスコスト計算機926を含むものとして示されている。メンテナンスコストモジュール928は、接続された機器610の様々なタイプのメンテナンスの実施に関連するコストCmain,iを決定するように構成することができる。メンテナンスコストモジュール928は、外部システム又はデバイス(例えば、データベース、ユーザデバイスなど)からメンテナンスコストのセットを受信することができる。いくつかの実施形態では、メンテナンスコストは、様々なタイプのメンテナンスを実施する経済的コスト(例えば、ドル)を定義する。各タイプのメンテナンス活動は、それに関連する異なる経済的コストを有することがある。例えば、冷却器圧縮機内のオイルを交換するメンテナンス活動にかかる経済的コストは、比較的小さいことがあり、冷却器を完全に分解してすべての冷却水管を洗浄するメンテナンス活動にかかる経済的コストは、かなり大きいことがある。
メンテナンスコストモジュール928は、メンテナンスコストを使用して、目的関数JでのCmain,iの値を定義することができる。いくつかの実施形態では、メンテナンスコストモジュール928は、実施することができるメンテナンス活動それぞれに関するコスト要素を含むアレイCmainとしてメンテナンスコストを記憶する。例えば、メンテナンスコストモジュール928は、以下のアレイを生成することができる。
Cmain=[Cmain,1 Cmain,2 … Cmain,m]
ここで、アレイCmainは、サイズが1×mであり、アレイCmainの各要素は、特定のメンテナンス活動j=1...mに関するメンテナンスコスト値Cmain,jを含む。
いくつかのメンテナンス活動は、他よりもコストがかかることがある。しかし、異なるタイプのメンテナンス活動が、接続された機器610の効率η及び/又は信頼性に対する異なるレベルの改良をもたらすことがある。例えば、冷却器内のオイルの単なる交換は、効率ηのわずかな改良及び/又は信頼性のわずかな改良をもたらすことがあり、冷却器の完全な分解及びすべての冷却水管の洗浄は、接続された機器610の効率η及び/又は信頼性のかなり大きい改良をもたらすことがある。したがって、複数の異なるレベルのメンテナンス後の効率(すなわちηmain)及びメンテナンス後の信頼性(すなわちReliabilitymain)が存在し得る。ηmain及びReliabilitymainの各レベルは、異なるタイプのメンテナンス活動に対応することがある。
いくつかの実施形態では、メンテナンス推定器922は、異なるレベルのηmain及びReliabilitymainそれぞれを、対応するアレイに記憶する。例えば、パラメータηmainは、m個の異なるタイプのメンテナンス活動それぞれに関する要素を有するアレイηmainとして定義することができる。同様に、パラメータReliabilitymainは、m個の異なるタイプのメンテナンス活動それぞれに関する要素を有するアレイReliabilitymainとして定義することができる。これらのアレイの例は、次式で示される。
ηmain=[ηmain,1 ηmain,2 … ηmain,m]
Reliabilitymain=[Reliabilitymain,1 Reliabilitymain,2…Reliabilitymain,m]
ここで、アレイηmainは、サイズが1×mであり、アレイηmainの各要素は、特定のメンテナンス活動に関するメンテナンス後の効率値ηmain,jを含む。同様に、アレイReliabilitymainは、サイズが1×mであり、アレイReliabilitymainの各要素は、特定のメンテナンス活動に関するメンテナンス後の信頼性値Reliabilitymain,jを含む。
いくつかの実施形態では、効率アップデータ911は、各バイナリ決定変数Bmain,j,iに関連するメンテナンス活動を識別し、Bmain,j,i=1の場合、効率ηを、対応するメンテナンス後の効率レベルηmain,jにリセットする。同様に、信頼性推定器924は、各バイナリ決定変数Bmain,j,iに関連するメンテナンス活動を識別することができ、Bmain,j,i=1の場合、信頼性を、対応するメンテナンス後の信頼性レベルReliabilitymain,jにリセットすることができる。
メンテナンスコスト計算機926は、最適化期間の継続期間にわたる接続された機器610のメンテナンスコストを推定するように構成することができる。いくつかの実施形態では、メンテナンスコスト計算機926は、次式を使用して各時間ステップi中のメンテナンスコストを計算する。
Cost
main,i=C
main,iB
main,i
ここで、C
main,iは、時間ステップiにおいて実施することができるm個の異なるタイプのメンテナンス活動それぞれに関する要素を含むメンテナンスコストのアレイであり、B
main,iは、m個のメンテナンス活動それぞれが時間ステップiにおいて実施されるか否かを示すバイナリ決定変数のアレイである。メンテナンスコスト計算機926は、以下のように、最適化期間の継続期間にわたってメンテナンスコストを合計することができる。
ここで、Cost
mainは、目的関数Jのメンテナンスコスト項である。
他の実施形態では、メンテナンスコスト計算機926は、次式に示されるように、メンテナンスコストアレイC
mainにバイナリ決定変数の行列B
mainを乗算することによってメンテナンスコストCost
mainを推定する。
資本コスト予測器
資本コスト予測器930は、目的関数Jでの第3項を定式化するように構成することができる。目的関数Jでの第3項は、最適化期間の継続期間にわたる接続された機器610の新しいデバイスを購入するコストを表し、2つの変数又はパラメータ(すなわちCcap,i及びBcap,i)を含むものとして示されている。資本コスト予測器930は、購入推定器932、信頼性推定器934、資本コスト計算機936及び資本コストモジュール938を含むものとして示されている。
信頼性推定器934は、メンテナンスコスト予測器920を参照して述べたように、信頼性推定器924の特徴のいくつか又はすべてを含むことができる。例えば、信頼性推定器934は、接続された機器610から受信された機器性能情報に基づいて、接続された機器610の信頼性を推定するように構成することができる。信頼性は、接続された機器610がその現在の動作条件下で障害なく動作し続ける尤度の統計的尺度であり得る。より過酷な条件下(例えば、高負荷、高温など)での動作は、信頼性をより低くすることがあり、より過酷でない条件下(例えば、低負荷、中程度の温度など)での動作は、信頼性をより高くすることがある。いくつかの実施形態では、信頼性は、接続された機器610が最後にメンテナンスを受けてから経過した時間量及び/又は接続された機器610が購入若しくは設置されてから経過した時間量に基づく。信頼性推定器934は、前述したように、信頼性推定器924の特徴及び/又は機能のいくつか又はすべてを含むことができる。
購入推定器932は、最適化期間の継続期間にわたる接続された機器610の推定された信頼性を使用して、最適化期間の各時間ステップにおいて接続された機器610の新たなデバイスが購入される確率を決定するように構成することができる。いくつかの実施形態では、購入推定器932は、所与の時間ステップにおいて接続された機器610の新たなデバイスが購入される確率を臨界値と比較するように構成される。購入推定器932は、時間ステップiにおいて接続された機器610が購入される確率が臨界値を超えるという決定に応答して、Bcap,i=1の値を設定するように構成することができる。
いくつかの実施形態では、購入推定器932は、バイナリ資本決定変数の行列B
capを生成する。行列B
capは、最適化期間の各時間ステップにおいて行うことができる様々な資本購入それぞれに関するバイナリ決定変数を含むことができる。例えば、購入推定器932は、以下の行列を生成することができる。
ここで、行列B
capは、サイズがp×hであり、行列B
capの各要素は、最適化期間の特定の時間ステップにおける特定の資本購入に関するバイナリ決定変数を含む。例えば、バイナリ決定変数B
cap,k,iの値は、最適化期間の第iの時間ステップ中に第kの資本購入が行われるか否かを示す。
引き続き図9を参照すると、資本コスト予測器930は、資本コストモジュール938及び資本コスト計算機936を含むものとして示されている。資本コストモジュール938は、様々な資本購入(すなわち接続された機器610の1つ又は複数の新たなデバイスの購入)に関連するコストCcap,iを決定するように構成することができる。資本コストモジュール938は、外部システム又はデバイス(例えば、データベース、ユーザデバイスなど)から資本コストのセットを受信することができる。いくつかの実施形態では、資本コストは、様々な資本購入を行う経済的コスト(例えば、ドル)を定義する。各タイプの資本購入は、それに関連する異なる経済的コストを有することがある。例えば、新たな温度センサの購入にかかる経済的コストは比較的小さいことがあり、新たな冷却器の購入にかかる経済的コストはかなり大きいことがある。
資本コストモジュール938は、購入コストを使用して、目的関数JでのCcap,iの値を定義することができる。いくつかの実施形態では、資本コストモジュール938は、行うことができる資本購入それぞれに関するコスト要素を含むアレイCcapとして資本コストを記憶する。例えば、資本コストモジュール938は、以下のアレイを生成することができる。
Ccap=[Ccap,1 Ccap,2 … Ccap,p]
ここで、アレイCcapは、サイズが1×pであり、アレイCcapの各要素は、特定の資本購入k=1...pに関するコスト値Ccap,kを含む。
いくつかの資本購入は、他のものよりも高価であり得る。しかし、異なるタイプの資本購入が、接続された機器610の効率η及び/又は信頼性に対する異なるレベルの改良をもたらすことがある。例えば、既存のセンサの交換のために新たなセンサを購入することで、効率ηがわずかに向上し、且つ/又は信頼性がわずかに向上することがあり、新たな冷却器及び制御システムを購入することで、接続された機器610の効率η及び/又は信頼性がかなり大きく向上することがある。したがって、複数の異なるレベルの購入後の効率(すなわちηcap)及び購入後の信頼性(すなわちReliabilitycap)があり得る。ηcap及びReliabilitycapの各レベルは、異なるタイプの資本購入に対応することがある。
いくつかの実施形態では、購入推定器932は、異なるレベルのηcap及びReliabilitycapそれぞれを、対応するアレイに記憶する。例えば、パラメータηcapは、行うことができるp個の異なるタイプの資本購入それぞれに関する要素を有するアレイηcapとして定義することができる。同様に、パラメータReliabilitycapは、行うことができるp個の異なるタイプの資本購入それぞれに関する要素を有するアレイReliabilitycapとして定義することができる。これらのアレイの例は、次式で示される。
ηcap=[ηcap,1 ηcap,2 … ηcap,p]
Reliabilitycap=[Reliabilitycap,1 Reliabilitycap,2…Reliabilitycap,p]
ここで、アレイηcapは、サイズが1×pであり、アレイηcapの各要素は、特定の資本購入kに関する購入後効率値ηcap,kを含む。同様に、アレイReliabilitycapは、サイズが1×pであり、アレイReliabilitycapの各要素は、特定の資本購入kに関する購入後信頼性値Reliabilitycap,kを含む。
いくつかの実施形態では、効率アップデータ911は、各バイナリ決定変数Bmain,k,iに関連する資本購入を識別し、Bcap,k,i=1の場合、効率ηを、対応する購入後効率レベルηcap,kにリセットする。同様に、信頼性推定器924は、各バイナリ決定変数Bcap,k,iに関連する資本購入を識別することができ、Bmain,k,i=1の場合、信頼性を、対応する購入後信頼性レベルReliabilitycap,kにリセットすることができる。
資本コスト計算機936は、最適化期間の継続期間にわたる接続された機器610の資本コストを推定するように構成することができる。いくつかの実施形態では、資本コスト計算機936は、次式を使用して各時間ステップi中の資本コストを計算する。
Cost
cap,i=C
cap,iB
cap,i
ここで、C
cap,iは、時間ステップiにおいて行うことができるp個の異なる資本購入それぞれに関する要素を含む資本購入コストのアレイであり、B
cap,iは、p個の資本購入それぞれが時間ステップiにおいて行われるか否かを示すバイナリ決定変数のアレイである。資本コスト計算機936は、以下のように、最適化期間中の継続期間にわたって資本コストを合計することができる。
ここで、Cost
capは、目的関数Jの資本コスト項である。
他の実施形態では、資本コスト計算機936は、次式に示されるように、資本コストアレイC
capにバイナリ決定変数の行列B
capを乗算することによって資本コストCost
capを推定する。
目的関数オプティマイザ
引き続き図9を参照すると、高レベルオプティマイザ832は、目的関数生成器935及び目的関数オプティマイザ940を含むものとして示されている。目的関数生成器935は、コスト予測器910、920及び930によって定式化された動作コスト項、メンテナンスコスト項及び資本コスト項を合計することによって目的関数Jを生成するように構成することができる。目的関数生成器935によって生成することができる目的関数の一例は、次式で示される。
ここで、C
op,iは、最適化期間の時間ステップiにおいて接続された機器610が消費する単位エネルギーあたりのコスト(例えば、ドル/kWh)であり、P
op,iは、時間ステップiにおける接続された機器610の電力消費量(例えば、kW)であり、Δtは、各時間ステップiの継続時間であり、C
main,iは、時間ステップiにおいて接続された機器610に対して実施されるメンテナンスのコストであり、B
main,iは、メンテナンスが実施されるか否かを示すバイナリ変数であり、C
cap,iは、時間ステップiにおいて接続された機器610の新たなデバイスを購入する資本コストであり、B
cap,iは、新たなデバイスが購入されるか否かを示すバイナリ変数であり、hは、最適化が実施されるホライズン又は最適化期間の継続時間である。
目的関数生成器935によって生成することができる目的関数の別の例は、次式で示される。
ここで、アレイC
opは、最適化期間の特定の時間ステップi=1...hに関するエネルギーコスト値C
op,iを含み、アレイP
opは、最適化期間の特定の時間ステップi=1...hに関する電力消費量値P
op,iを含み、アレイC
mainの各要素は、特定のメンテナンス活動j=1...mに関するメンテナンスコスト値C
main,jを含み、行列B
mainの各要素は、最適化期間の特定の時間ステップi=1...hにおける特定のメンテナンス活動j=1...mに関するバイナリ決定変数を含み、アレイC
capの各要素は、特定の資本購入k=1...pに関する資本コスト値C
cap,kを含み、行列B
capの各要素は、最適化期間の特定の時間ステップi=1...hにおける特定の資本購入k=1...pに関するバイナリ決定変数を含む。
目的関数生成器935は、目的関数Jでの1つ又は複数の変数又はパラメータに制約を課すように構成することができる。制約は、動作コスト予測器910、メンテナンスコスト予測器920及び資本コスト予測器930を参照して述べた式又は関係のいずれを含むこともできる。例えば、目的関数生成器935は、接続された機器610の1つ又は複数のデバイスに関する電力消費量値Pop,iを、理想電力消費量Pideal,i及び効率ηiの関数として定義する制約を課すことができる(例えば、Pop,i=Pideal,i/ηi)。目的関数生成器935は、効率アップデータ911及び効率デグレーダ913を参照して述べたのと同様に、効率ηiをバイナリ決定変数Bmain,i及びBcap,iの関数として定義する制約を課すことができる。目的関数生成器935は、メンテナンス推定器922及び購入推定器932を参照して述べたのと同様に、バイナリ決定変数Bmain,i及びBcap,iを0又は1のいずれかの値に制約し、バイナリ決定変数Bmain,i及びBcap,iを、接続された機器610の信頼性Reliabilityiの関数として定義する制約を課すことができる。目的関数生成器935は、信頼性推定器924及び934を参照して述べたのと同様に、接続された機器610の信頼性Reliabilityiを機器性能情報(例えば、動作条件、稼働時間など)の関数として定義する制約を課すことができる。
目的関数オプティマイザ940は、目的関数Jを最適化して、最適化期間の継続時間にわたるバイナリ決定変数Bmain,i及びBcap,iの最適値を決定することができる。目的関数オプティマイザ940は、様々な最適化技法の任意のものを使用して、目的関数Jを定式化及び最適化することができる。例えば、目的関数オプティマイザ940は、整数計画法、混合整数線形計画法、確率的最適化、凸最適化、動的計画法又は任意の他の最適化技法を使用して、目的関数Jを定式化し、制約を定義し、最適化を実施することができる。これら及び他の最適化技法は当技術分野で知られており、本明細書で詳細には述べない。
いくつかの実施形態では、目的関数オプティマイザ940は、混合整数確率的最適化を使用して目的関数Jを最適化する。混合整数確率的最適化では、目的関数Jでの変数のいくつかを、ランダム変数又は確率変数の関数として定義することができる。例えば、決定変数Bmain,i及びBcap,iは、接続された機器610の信頼性に基づいた確率値を有するバイナリ変数として定義することができる。低い信頼性値は、バイナリ決定変数Bmain,i及びBcap,iが値1を有する確率を高めることがあり(例えば、Bmain,i=1及びBcap,i=1)、高い信頼性値は、バイナリ決定変数Bmain,i及びBcap,iが値0を有する確率を高めることがある(例えば、Bmain,i=0及びBcap,i=0)。いくつかの実施形態では、メンテナンス推定器922及び購入推定器932は、混合整数確率的技法を使用して、接続された機器610の信頼性の確率関数としてバイナリ決定変数Bmain,i及びBcap,iの値を定義する。
上で論じたように、目的関数Jは、最適化期間の継続期間にわたって接続された機器610の1つ又は複数のデバイスを動作、メンテナンス及び購入する予測コストを表すこともある。いくつかの実施形態では、目的関数オプティマイザ940は、これらのコストを特定の時点(例えば、現時点)に投影し、特定の時点での接続された機器610の1つ又は複数のデバイスの正味現在価値(NPV)を決定するように構成される。例えば、目的関数オプティマイザ940は、次式を使用して、目的関数Jでの各コストを現時点に投影することができる。
ここで、rは利率であり、Cost
iは、最適化期間の時間ステップi中にかかったコストであり、NPV
costは、最適化期間の継続期間にわたってかかった総コストの正味現在価値(すなわち現在のコスト)である。いくつかの実施形態では、目的関数オプティマイザ940は、正味現在価値NPV
costを最適化して、特定の時点における接続された機器610の1つ又は複数のデバイスのNPVを決定する。
上で論じたように、目的関数Jでの1つ又は複数の変数又はパラメータは、接続された機器610からの閉ループフィードバックに基づいて動的に更新することができる。例えば、接続された機器610から受信された機器性能情報を使用して、接続された機器610の信頼性及び/又は効率を更新することができる。目的関数オプティマイザ940は、目的関数Jを定期的に(例えば、1日に1回、1週間に1回、1か月に1回など)最適化して、接続された機器610からの閉ループフィードバックに基づいて予測コスト及び/又は正味現在価値NPVcostを動的に更新するように構成することができる。
いくつかの実施形態では、目的関数オプティマイザ940は、最適化結果を生成する。最適化結果は、最適化期間内の時間ステップiごとに目的関数Jの決定変数の最適値を含むことがある。最適化結果は、接続された機器610の各デバイスに関する動作決定、機器メンテナンス決定及び/又は機器購入決定を含む。いくつかの実施形態では、最適化結果は、最適化期間の継続期間にわたって接続された機器610を動作、メンテナンス及び購入する経済的価値を最適化する。いくつかの実施形態では、最適化結果は、特定の時点における接続された機器610の1つ又は複数のデバイスの正味現在価値を最適化する。最適化結果により、BMS606は、接続された機器610に関する設定点をアクティブ化、非アクティブ化又は調整して、最適化結果で指定された決定変数の最適値を実現することができる。
いくつかの実施形態では、MPMシステム602は、最適化結果を使用して、機器購入及びメンテナンスの推奨を生成する。機器購入及びメンテナンスの推奨は、目的関数Jを最適化することによって決定されるバイナリ決定変数Bmain,i及びBcap,iに関する最適値に基づくことがある。例えば、接続された機器610の特定のデバイスに関するBmain,25=1の値は、最適化期間の第25の時間ステップにおいてそのデバイスに対してメンテナンスが実施されるべきであることを示すことがあり、Bmain,25=0の値は、その時間ステップにおいてメンテナンスを実施すべきでないことを示すことがある。同様に、Bcap,25=1の値は、最適化期間の第25の時間ステップにおいて、接続された機器610の新たなデバイスを購入すべきであることを示すことがあり、Bcap,25=0の値は、その時間ステップにおいて新たなデバイスを購入すべきでないことを示すことがある。
いくつかの実施形態では、機器購入及びメンテナンスの推奨は、ビルディング10(例えば、BMS606)及び/又はクライアントデバイス448に提供される。操作者又はビルディングの所有者は、機器購入及びメンテナンスの推奨を使用して、メンテナンスの実施及び新たなデバイスの購入のコスト及び利益を評価することができる。いくつかの実施形態では、機器購入及びメンテナンスの推奨が整備士620に提供される。整備士620は、機器購入及びメンテナンスの推奨を使用して、整備の実施又は機器の交換のために顧客に連絡すべきときを決定することができる。
モデル予測的メンテナンスプロセス
次に、図10を参照すると、例示的実施形態に従って、モデル予測的メンテナンスプロセス1000のフローチャートが示されている。プロセス1000は、ビルディングシステム600の1つ又は複数の構成要素によって実施することができる。いくつかの実施形態において、プロセス1000は、図6~9を参照して述べたようにMPMシステム602によって実施される。
プロセス1000は、ビルディングの可変状態又は状況に影響を与えるためにビルディング機器を動作させること(ステップ1002)及びビルディング機器からのフィードバックとして機器性能情報を受信すること(ステップ1004)を含むものとして示されている。ビルディング機器は、ビルディングを監視及び/又は制御するために使用することができる機器のタイプを含むことができる(例えば、接続された機器610)。例えば、ビルディング機器は、冷却器、AHU、ボイラ、バッテリ、ヒータ、エコノマイザ、バルブ、アクチュエータ、ダンパ、冷却塔、ファン、ポンプ、照明機器、セキュリティ機器、冷凍機器又はビルディングシステム若しくはビルディング管理システム内の任意の他のタイプの機器を含むことができる。ビルディング機器は、図1~5を参照して述べたHVACシステム100、ウォーターサイドシステム200、エアサイドシステム300、BMS400及び/又はBMS500の機器のいずれを含むこともできる。機器性能情報は、監視される変数のサンプル(例えば、測定された温度、測定された圧力、測定された流量、電力消費量など)、現在の動作条件(例えば、加熱又は冷却負荷、現在の動作条件など)、障害標示又はビルディング機器の性能を特徴付ける他のタイプの情報を含むことができる。
プロセス1000は、機器性能情報に応じてビルディング機器の効率及び信頼性を推定すること(ステップ1006)を含むものとして示されている。いくつかの実施形態では、ステップ1006は、図9を参照して述べた効率アップデータ911及び信頼性推定器924、926によって実施される。ステップ1006は、機器性能情報を使用して、実際の動作条件下でのビルディング機器の効率ηを決定することを含むことができる。いくつかの実施形態では、効率η
iは、次式で示されるように、ビルディング機器の理想的な電力消費量P
idealと、ビルディング機器の実際の電力消費量P
actualとの比を表す。
ここで、P
idealは、ビルディング機器に関する性能曲線によって定義されるビルディング機器の理想的な電力消費量であり、P
actualは、ビルディング機器の実際の電力消費量である。いくつかの実施形態では、ステップ1006は、ステップ1002で収集された機器性能情報を使用して、実際の電力消費量値P
actualを識別することを含む。ステップ1006は、実際の電力消費量P
actualを理想的な電力消費量P
idealと組み合わせて使用して効率ηを計算することを含むことができる。
ステップ1006は、効率ηを定期的に更新して、ビルディング機器の現在の動作効率を反映することを含むことができる。例えば、ステップ1006は、ビルディング機器の効率ηを、1日に1回、1週間に1回、1年に1回又は時間と共に効率ηの変化を捕捉するのに適切であり得る任意の他の間隔で計算することを含むことができる。効率ηの各値は、効率ηが計算される時点でのPideal及びPactualの対応する値に基づき得る。いくつかの実施形態では、ステップ1006は、高レベル最適化プロセスが実施されるたびに(すなわち目的関数Jが最適化されるたびに)効率ηを更新することを含む。ステップ1006で計算された効率値は、初期効率値η0としてメモリ810に記憶されることがあり、ここで、下付き数字0は、最適化期間の開始時又は開始前(例えば、時間ステップ0で)の効率ηの値を表す。
ステップ1006は、最適化期間の各時間ステップiにおけるビルディング機器の効率ηiを予測することを含むことができる。最適化期間の開始時の初期効率η0は、ビルディング機器の性能が低下するにつれて、時間と共に低下することがある。例えば、冷却器の効率は、冷却水管が汚れて冷却器の熱伝達率が低下した結果、時間と共に低下することがある。同様に、バッテリの物理的又は化学的構成要素の劣化により、バッテリの効率は、時間と共に低下することがある。ステップ1006は、そのような低下を、最適化期間の継続時間にわたって効率ηiを増分的に低下させることによって考慮に入れることができる。
いくつかの実施形態では、初期効率値η0は、各最適化期間の開始時に更新される。しかし、効率ηは、最適化期間中に低下することがあり、初期効率値η0は、最適化期間の継続期間にわたって次第に不正確になる。最適化期間中の効率低下を考慮に入れるために、ステップ1006は、連続する各時間ステップにおいて効率ηを所定量だけ低下させることを含むことができる。例えば、ステップ1006は、各時間ステップi=1...hでの効率を以下のように定義することを含むことができる。
ηi=ηi-1-Δη
ここで、ηiは、時間ステップiにおける効率であり、ηi-1は、時間ステップi-1における効率であり、Δηは、連続する時間ステップ間の効率の低下である。いくつかの実施形態では、ηiのこの定義は、Bmain,i=0及びBcap,i=0である各時間ステップに適用される。しかし、Bmain,i=1又はBcap,i=1の場合、ステップ1018で、ηiの値をηmain又はηcapにリセットすることができる。
いくつかの実施形態では、Δηの値は、効率値の時系列に基づいている。例えば、ステップ1006は、初期効率値η
0の時系列を記録することを含むことがあり、各初期効率値η
0は、特定の時点におけるビルディング機器の経験的に計算された効率を表す。ステップ1006は、初期効率値η
0の時系列を検査して、効率が低下する率を決定することを含むことができる。例えば、時刻t
1での初期効率η
0がη
0,1であり、時刻t
2での初期効率がη
0,2である場合、効率低下率は、以下のように計算することができる。
ここで、
は、効率低下率である。ステップ1006は、
に各時間ステップの継続時間Δtを乗算して、Δηの値を計算することを含むことができる(すなわち、
)。
ステップ1006は、ステップ1004で受信された機器性能情報に基づいてビルディング機器の信頼性を推定することを含むことができる。信頼性は、ビルディング機器がその現在の動作条件下で障害なく動作し続ける尤度の統計的尺度であり得る。より過酷な条件下(例えば、高負荷、高温など)での動作は、信頼性をより低くすることがあり、より過酷でない条件下(例えば、低負荷、中程度の温度など)での動作は、信頼性をより高くすることがある。いくつかの実施形態では、信頼性は、ビルディング機器が最後にメンテナンスを受けてから経過した時間量及び/又はビルディング機器が購入若しくは設置されてから経過した時間量に基づく。
いくつかの実施形態では、ステップ1006は、機器性能情報を使用して、ビルディング機器の現在の動作条件を識別することを含む。現在の動作条件を検査して、ビルディング機器の性能が低下し始めるときを明らかにし、且つ/又は障害が発生するときを予測することができる。いくつかの実施形態では、ステップ1006は、ビルディング機器で潜在的に発生し得る様々なタイプの故障の尤度を推定することを含む。各故障の尤度は、ビルディング機器の現在の動作条件、ビルディング機器が設置されてから経過した時間量及び/又はメンテナンスが最後に実施されてから経過した時間量に基づくことがある。いくつかの実施形態では、ステップ1006は、2016年6月21日出願の「Building Management System With Predictive Diagnostics」という名称の(特許文献3)に記載のシステム及び方法を使用して、動作条件を識別し、様々な故障の尤度を予測することを含む。上記特許出願の開示全体が参照により本明細書に組み入れられる。
いくつかの実施形態では、ステップ1006は、複数のビルディングにわたって分散されたビルディング機器から動作データを受信することを含む。動作データは、例えば、現在の動作条件、障害標示、故障時間又はビルディング機器の動作及び性能を特徴付ける他のデータを含むことができる。ステップ1006は、動作データのセットを使用して、各タイプの機器の信頼性モデルを作成することを含むことができる。ステップ1006で信頼性モデルを使用して、ビルディング機器の任意の所与のデバイスの信頼性を、その現在の動作条件及び/又は他の外的要因(例えば、メンテナンスが最後に実施されてからの時間、設置又は購入からの時間、地理的位置、水質など)に応じて推定することができる。
ステップ1006で使用することができる信頼性モデルの一例は、次式で示される。
Reliabilityi=f(OpCondi,Δtmain,i,Δtcap,i)
ここで、Reliabilityiは、時間ステップiにおけるビルディング機器の信頼性であり、OpCondiは、時間ステップiにおける動作条件であり、Δtmain,iは、メンテナンスが最後に行われた時点と時間ステップiとの間で経過した時間量であり、Δtcap,iは、ビルディング機器が購入又は設置された時点と時間ステップiとの間で経過した時間量である。ステップ1006は、ビルディング機器からフィードバックとして受信された機器性能情報に基づいて現在の動作条件OpCondiを識別することを含むことができる。より過酷な条件下(例えば、高負荷、極端な温度など)での動作は、信頼性をより低くすることがあり、より過酷でない条件下(例えば、低負荷、中程度の温度など)での動作は、信頼性をより高くすることがある。
引き続き図10を参照すると、プロセス1000は、推定された効率の関数として最適化期間にわたるビルディング機器のエネルギー消費を予測すること(ステップ1008)を含むものとして示されている。いくつかの実施形態では、ステップ1008は、図9を参照して述べたように理想性能計算機912及び/又は電力消費量推定器によって実施される。ステップ1008は、負荷/料金予測器822から負荷予測Loadiを受信し、低レベルオプティマイザ834から性能曲線を受信することを含むことができる。上で論じたように、性能曲線は、ビルディング機器の理想的な電力消費量Pidealを、デバイス又はデバイスのセットに対する加熱又は冷却負荷の関数として定義することができる。例えば、ビルディング機器に関する性能曲線は、次式によって定義することができる。
Pideal,i=f(Loadi)
ここで、Pideal,iは、時間ステップiにおけるビルディング機器の理想的な電力消費量(例えば、kW)であり、Loadiは、時間ステップiにおけるビルディング機器に対する負荷(例えば、トン単位での冷却負荷、kW単位での加熱負荷など)である。理想的な電力消費量Pideal,iは、ビルディング機器が完璧な効率で動作すると仮定したそれらの電力消費量を表すことがある。ステップ1008は、ビルディング機器に関する性能曲線を使用して、最適化期間の各時間ステップにおけるビルディング機器に関する負荷点Loadiに対応するPideal,iの値を識別することを含むことができる。
いくつかの実施形態では、ステップ1008は、理想的な電力消費量P
ideal,i及びビルディング機器の効率η
iの関数として電力消費量P
op,iを推定することを含む。例えば、ステップ1008は、次式を使用して電力消費量P
op,iを計算することを含むことができる。
ここで、P
ideal,iは、対応する負荷点Load
iでのビルディング機器に関する機器性能曲線に基づく電力消費量であり、η
iは、時間ステップiにおけるビルディング機器の動作効率である。
引き続き図10を参照すると、プロセス1000は、予測されたエネルギー消費量の関数として、最適化期間にわたってビルディング機器を動作させるコストCost
opを定義すること(ステップ1010)を含むものとして示されている。いくつかの実施形態において、ステップ1010は、図9を参照して述べたように動作コスト計算機916によって実施される。ステップ1010は、次式を使用して各時間ステップi中の動作コストを計算することを含むことができる。
Cost
op,i=C
op,iP
op,iΔt
ここで、P
op,iは、ステップ1008で決定される時間ステップiにおける予測電力消費量であり、C
op,iは、時間ステップiにおける単位エネルギーあたりのコストであり、Δtは、各時間ステップの継続期間である。ステップ1010は、以下のように、最適化期間の継続期間にわたって動作コストを合計することを含むことができる。
ここで、Cost
opは、目的関数Jの動作コスト項である。
他の実施形態では、ステップ1010は、次式で示されるように、コストアレイCopに電力消費量アレイPop及び各時間ステップの継続時間Δtを乗算することにより、動作コストCostopを計算することを含むことができる。
Costop=CopPopΔt
Costop=[Cop,1 Cop,2 … Cop,h][Pop,1 Pop,2 … Pop,h]TΔt
ここで、アレイCopは、最適化期間の特定の時間ステップi=1...hに関するエネルギーコスト値Cop,iを含み、アレイPopは、最適化期間の特定の時間ステップi=1...hに関する電力消費量値Pop,iを含む。
引き続き図10を参照すると、プロセス1000は、推定された信頼性の関数として、最適化期間にわたってビルディング機器に対してメンテナンスを実施するコストを定義すること(ステップ1012)を含むものとして示されている。ステップ1012は、図9を参照して述べたようにメンテナンスコスト予測器920によって実施することができる。ステップ1012は、最適化期間の継続時間にわたるビルディング機器の推定された信頼性を使用して、最適化期間の各時間ステップにおいてビルディング機器がメンテナンス及び/又は交換を必要とする確率を決定することを含むことができる。いくつかの実施形態では、ステップ1012は、ビルディング機器が所定の時間ステップにおいてメンテナンスを必要とする確率を臨界値と比較することを含む。ステップ1012は、時間ステップiにおいてビルディング機器がメンテナンスを必要とする確率が臨界値を超えるという決定に応答して、Bmain,i=1の値を設定することを含むことができる。同様に、ステップ1012は、所与の時間ステップにおいてビルディング機器が交換を必要とする確率を臨界値と比較することを含むことができる。ステップ1012は、時間ステップiにおいてビルディング機器が交換を必要とする確率が臨界値を超えるという決定に応答して、Bcap,i=1の値を設定することを含むことができる。
ステップ1012は、ビルディング機器に対する様々なタイプのメンテナンスの実施に関連するコストCmain,iを決定することを含むことができる。ステップ1012は、外部システム又はデバイス(例えば、データベース、ユーザデバイスなど)からメンテナンスコストのセットを受信することを含むことができる。いくつかの実施形態では、メンテナンスコストは、様々なタイプのメンテナンスを実施する経済的コスト(例えば、ドル)を定義する。各タイプのメンテナンス活動は、それに関連する異なる経済的コストを有することがある。例えば、冷却器圧縮機内のオイルを交換するメンテナンス活動にかかる経済的コストは、比較的小さいことがあり、冷却器を完全に分解してすべての冷却水管を洗浄するメンテナンス活動にかかる経済的コストは、かなり大きいことがある。ステップ1012は、メンテナンスコストを使用して目的関数JでのCmain,iの値を定義することを含むことができる。
ステップ1012は、最適化期間の継続期間にわたるビルディング機器のメンテナンスコストを推定することを含むことができる。いくつかの実施形態では、ステップ1012は、次式を使用して各時間ステップi中のメンテナンスコストを計算することを含む。
Cost
main,i=C
main,iB
main,i
ここで、C
main,iは、時間ステップiにおいて実施することができるm個の異なるタイプのメンテナンス活動それぞれに関する要素を含むメンテナンスコストのアレイであり、B
main,iは、m個のメンテナンス活動それぞれが時間ステップiにおいて実施されるか否かを示すバイナリ決定変数のアレイである。ステップ1012は、以下のように、最適化期間の継続期間にわたってメンテナンスコストを合計することを含むことができる。
ここで、Cost
mainは、目的関数Jのメンテナンスコスト項である。
他の実施形態では、ステップ1012は、次式に示されるように、メンテナンスコストアレイC
mainにバイナリ決定変数の行列B
mainを乗算することによってメンテナンスコストCost
mainを推定することを含む。
ここで、アレイC
mainの各要素は、特定のメンテナンス活動j=1...mに関するメンテナンスコスト値C
main,jを含み、行列B
mainの各要素は、最適化期間の特定の時間ステップi=1...hにおける特定のメンテナンス活動j=1...mに関するバイナリ決定変数を含む。
引き続き図10を参照すると、プロセス1000は、推定された信頼性の関数として、最適化期間にわたってビルディング機器を購入又は交換するコストCostcapを定義すること(ステップ1014)を含むものとして示されている。ステップ1014は、図9を参照して述べたように資本コスト予測器930によって実施することができる。いくつかの実施形態では、ステップ1014は、最適化期間の継続時間にわたるビルディング機器の推定された信頼性を使用して、最適化期間の各時間ステップにおいてビルディング機器の新たなデバイスが購入される確率を決定することを含む。いくつかの実施形態では、ステップ1014は、所与の時間ステップにおいてビルディング機器の新たなデバイスが購入される確率を臨界値と比較することを含む。ステップ1014は、時間ステップiにおいてビルディング機器が購入される確率が臨界値を超えるという決定に応答して、Bcap,i=1の値を設定することを含むことができる。
ステップ1014は、様々な資本購入(すなわちビルディング機器の1つ又は複数の新たなデバイスを購入すること)に関連するコストCcap,iを決定することを含むことができる。ステップ1014は、外部システム又はデバイス(例えば、データベース、ユーザデバイスなど)から資本コストのセットを受信することを含むことができる。いくつかの実施形態では、資本コストは、様々な資本購入を行う経済的コスト(例えば、ドル)を定義する。各タイプの資本購入は、それに関連する異なる経済的コストを有することがある。例えば、新たな温度センサの購入にかかる経済的コストは比較的小さいことがあり、新たな冷却器の購入にかかる経済的コストはかなり大きいことがある。ステップ1014は、購入コストを使用して、目的関数JでのCcap,iの値を定義することを含むことができる。
いくつかの資本購入は、他のものよりも高価であり得る。しかし、異なるタイプの資本購入は、効率η及び/又はビルディング機器の信頼性に対して異なるレベルでの向上をもたらすことがある。例えば、既存のセンサの交換のために新たなセンサを購入することで、効率ηがわずかに向上し、且つ/又は信頼性がわずかに向上することがあり、新たな冷却器及び制御システムを購入することで、ビルディング機器の効率η及び/又は信頼性がかなり大きく向上することがある。したがって、複数の異なるレベルの購入後の効率(すなわちηcap)及び購入後の信頼性(すなわちReliabilitycap)があり得る。ηcap及びReliabilitycapの各レベルは、異なるタイプの資本購入に対応することがある。
ステップ1014は、最適化期間の継続期間にわたるビルディング機器の資本コストを推定することを含むことができる。いくつかの実施形態では、ステップ1014は、次式を使用して各時間ステップi中の資本コストを計算することを含む。
Cost
cap,i=C
cap,iB
cap,i
ここで、C
cap,iは、時間ステップiにおいて行うことができるp個の異なる資本購入それぞれに関する要素を含む資本購入コストのアレイであり、B
cap,iは、p個の資本購入それぞれが時間ステップiにおいて行われるか否かを示すバイナリ決定変数のアレイである。ステップ1014は、以下のように、最適化期間中の継続期間にわたって資本コストを合計することを含むことができる。
ここで、Cost
capは、目的関数Jの資本コスト項である。
他の実施形態では、ステップ1014は、次式に示されるように、資本コストアレイC
capにバイナリ決定変数の行列B
capを乗算することによって資本コストCost
capを推定することを含む。
ここで、アレイC
capの各要素は、特定の資本購入k=1...pに関する資本コスト値C
cap,kを含み、行列B
capの各要素は、最適化期間の特定の時間ステップi=1...hにおける特定の資本購入k=1...pに関するバイナリ決定変数を含む。
引き続き図10を参照すると、プロセス1000は、コストCost
op、Cost
main及びCost
capを含む目的関数を最適化して、ビルディング機器に関する最適なメンテナンス戦略を決定すること(ステップ1016)を含むものとして示されている。ステップ1016は、ステップ1010~1014で定式化された動作コスト項、メンテナンスコスト項及び資本コスト項を合計することによって目的関数Jを生成することを含むことができる。ステップ1016で生成することができる目的関数の一例は、次式で示される。
ここで、C
op,iは、最適化期間の時間ステップiにおいて接続された機器610が消費する単位エネルギーあたりのコスト(例えば、ドル/kWh)であり、P
op,iは、時間ステップiにおける接続された機器610の電力消費量(例えば、kW)であり、Δtは、各時間ステップiの継続時間であり、C
main,iは、時間ステップiにおいて接続された機器610に対して実施されるメンテナンスのコストであり、B
main,iは、メンテナンスが実施されるか否かを示すバイナリ変数であり、C
cap,iは、時間ステップiにおいて接続された機器610の新たなデバイスを購入する資本コストであり、B
cap,iは、新たなデバイスが購入されるか否かを示すバイナリ変数であり、hは、最適化が実施されるホライズン又は最適化期間の継続時間である。
ステップ1016で生成することができる目的関数の別の例は、次式で示される。
ここで、アレイC
opは、最適化期間の特定の時間ステップi=1...hに関するエネルギーコスト値C
op,iを含み、アレイP
opは、最適化期間の特定の時間ステップi=1...hに関する電力消費量値P
op,iを含み、アレイC
mainの各要素は、特定のメンテナンス活動j=1...mに関するメンテナンスコスト値C
main,jを含み、行列B
mainの各要素は、最適化期間の特定の時間ステップi=1...hにおける特定のメンテナンス活動j=1...mに関するバイナリ決定変数を含み、アレイC
capの各要素は、特定の資本購入k=1...pに関する資本コスト値C
cap,kを含み、行列B
capの各要素は、最適化期間の特定の時間ステップi=1...hにおける特定の資本購入k=1...pに関するバイナリ決定変数を含む。
ステップ1016は、目的関数Jでの1つ又は複数の変数又はパラメータに制約を課すことを含むことができる。制約は、動作コスト予測器910、メンテナンスコスト予測器920及び資本コスト予測器930を参照して述べた式又は関係のいずれを含むこともできる。例えば、ステップ1016は、ビルディング機器の1つ又は複数のデバイスに関する電力消費量値Pop,iを、理想電力消費量Pideal,i及び効率ηiの関数として定義する制約を課すことを含むことができる(例えば、Pop,i=Pideal,i/ηi)。ステップ1016は、効率アップデータ911及び効率デグレーダ913を参照して述べたのと同様に、効率ηiをバイナリ決定変数Bmain,i及びBcap,iの関数として定義する制約を課すことを含むことができる。ステップ1016は、メンテナンス推定器922及び購入推定器932を参照して述べたのと同様に、バイナリ決定変数Bmain,i及びBcap,iを0又は1のいずれかの値に制約し、バイナリ決定変数Bmain,i及びBcap,iを、接続された機器610の信頼性Reliabilityiの関数として定義する制約を課すことを含むことができる。ステップ1016は、信頼性推定器924及び934を参照して述べたのと同様に、接続された機器610の信頼性Reliabilityiを機器性能情報(例えば、動作条件、稼働時間など)の関数として定義する制約を課すことを含むことができる。
ステップ1016は、目的関数Jを最適化して、最適化期間の継続時間にわたるバイナリ決定変数Bmain,i及びBcap,iの最適値を決定することを含むことができる。ステップ1016は、様々な最適化技法の任意のものを使用して目的関数Jを定式化及び最適化することを含むことができる。例えば、ステップ1016は、整数計画法、混合整数線形計画法、確率的最適化、凸最適化、動的計画法又は任意の他の最適化技法を使用して、目的関数Jを定式化し、制約を定義し、最適化を実施することを含むことができる。これら及び他の最適化技法は当技術分野で知られており、本明細書で詳細には述べない。
いくつかの実施形態では、ステップ1016は、混合整数確率的最適化を使用して目的関数Jを最適化することを含む。混合整数確率的最適化では、目的関数Jでの変数のいくつかを、ランダム変数又は確率変数の関数として定義することができる。例えば、決定変数Bmain,i及びBcap,iは、ビルディング機器の信頼性に基づいた確率値を有するバイナリ変数として定義することができる。低い信頼性値は、バイナリ決定変数Bmain,i及びBcap,iが値1を有する確率を高めることがあり(例えば、Bmain,i=1及びBcap,i=1)、高い信頼性値は、バイナリ決定変数Bmain,i及びBcap,iが値0を有する確率を高めることがある(例えば、Bmain,i=0及びBcap,i=0)。いくつかの実施形態では、ステップ1016は、混合整数確率的技法を使用して、バイナリ決定変数Bmain,i及びBcap,iの値をビルディング機器の信頼性の確率関数として定義することを含む。
上で論じたように、目的関数Jは、最適化期間の継続期間にわたってビルディング機器の1つ又は複数のデバイスを動作、メンテナンス及び購入する予測コストを表すこともある。いくつかの実施形態では、ステップ1016は、これらのコストを特定の時点(例えば、現時点)に投影し、特定の時点でのビルディング機器の1つ又は複数のデバイスの正味現在価値(NPV)を決定することを含む。例えば、ステップ1016は、次式を使用して、目的関数Jでの各コストを現時点に投影することを含むことができる。
ここで、rは利率であり、Cost
iは、最適化期間の時間ステップi中にかかったコストであり、NPV
costは、最適化期間の継続期間にわたってかかった総コストの正味現在価値(すなわち現在のコスト)である。いくつかの実施形態では、ステップ1016は、正味現在価値NPV
costを最適化して、特定の時点でのビルディング機器のNPVを決定することを含む。
上で論じたように、目的関数Jでの1つ又は複数の変数又はパラメータは、ビルディング機器からの閉ループフィードバックに基づいて動的に更新することができる。例えば、ビルディング機器から受信された機器性能情報を使用して、ビルディング機器の信頼性及び/又は効率を更新することができる。ステップ1016は、目的関数Jを定期的に(例えば、1日に1回、1週間に1回、1か月に1回など)最適化して、ビルディング機器からの閉ループフィードバックに基づいて予測コスト及び/又は正味現在価値NPVcostを動的に更新することを含むことができる。
いくつかの実施形態では、ステップ1016は、最適化結果を生成することを含む。最適化結果は、最適化期間内の時間ステップiごとに目的関数Jの決定変数の最適値を含むことがある。最適化結果は、ビルディング機器の各デバイスに関する動作決定、機器メンテナンス決定及び/又は機器購入決定を含む。いくつかの実施形態では、最適化結果は、最適化期間の継続期間にわたってビルディング機器を動作、メンテナンス及び購入する経済的価値を最適化する。いくつかの実施形態では、最適化結果は、特定の時点におけるビルディング機器の1つ又は複数のデバイスの正味現在価値を最適化する。最適化結果により、BMS606は、ビルディング機器に関する設定点をアクティブ化、非アクティブ化又は調整して、最適化結果で指定された決定変数の最適値を実現することができる。
いくつかの実施形態では、プロセス1000は、最適化結果を使用して、機器購入及びメンテナンスの推奨を生成することを含む。機器購入及びメンテナンスの推奨は、目的関数Jを最適化することによって決定されるバイナリ決定変数Bmain,i及びBcap,iに関する最適値に基づくことがある。例えば、ビルディング機器の特定のデバイスに関するBmain,25=1の値は、最適化期間の第25の時間ステップにおいてそのデバイスに対してメンテナンスが実施されるべきであることを示すことがあり、Bmain,25=0の値は、その時間ステップにおいてメンテナンスを実施すべきでないことを示すことがある。同様に、Bcap,25=1の値は、最適化期間の第25の時間ステップにおいて、ビルディング機器の新たなデバイスを購入すべきであることを示すことがあり、Bcap,25=0の値は、その時間ステップにおいて新たなデバイスを購入すべきでないことを示すことがある。
いくつかの実施形態では、機器購入及びメンテナンスの推奨は、ビルディング10(例えば、BMS606)及び/又はクライアントデバイス448に提供される。操作者又はビルディングの所有者は、機器購入及びメンテナンスの推奨を使用して、メンテナンスの実施及び新たなデバイスの購入のコスト及び利益を評価することができる。いくつかの実施形態では、機器購入及びメンテナンスの推奨が整備士620に提供される。整備士620は、機器購入及びメンテナンスの推奨を使用して、整備の実施又は機器の交換のために顧客に連絡すべきときを決定することができる。
引き続き図10を参照すると、プロセス1000は、最適なメンテナンス戦略に基づいてビルディング機器の効率及び信頼性を更新すること(ステップ1018)を含むものとして示されている。いくつかの実施形態では、ステップ1018は、ビルディング機器に対するメンテナンスの実施又はビルディング機器の1つ若しくは複数のデバイスを交換若しくは補完するための新たな機器の購入により生じるビルディング機器の効率ηの上昇を考慮に入れるために、最適化期間中の1つ又は複数の時間ステップに関する効率ηiを更新することを含む。効率ηiが更新される時間ステップiは、メンテナンスが実施されることになるか、又は機器が交換されることになる予測時間ステップに対応することがある。ビルディング機器に対してメンテナンスが実施されることになる予測時間ステップは、目的関数Jでのバイナリ決定変数Bmain,iの値によって定義することができる。同様に、ビルディング機器が交換されることになる予測時間ステップは、目的関数Jでのバイナリ決定変数Bcap,iの値によって定義することができる。
ステップ1018は、その時間ステップにおいてメンテナンスが実施されること及び/又はその時間ステップにおいて新たな機器が購入されることをバイナリ決定変数Bmain,i及びBcap,iが示す場合(すなわちBmain,i=1及び/又はBcap,i=1)、所与の時間ステップiに関する効率ηiをリセットすることを含むことができる。例えば、Bmain,i=1の場合、ステップ1018は、ηiの値をηmainにリセットすることを含むことができ、ここで、ηmainは、時間ステップiにおいて実施されるメンテナンスにより得られると期待される効率値である。同様に、Bcap,i=1の場合、ステップ1018は、ηiの値をηcapにリセットすることを含むことができ、ここで、ηcapは、時間ステップiにおいて実施されるビルディング機器の1つ又は複数のデバイスを補完又は交換するために新たなデバイスを購入することにより得られると期待される効率値である。ステップ1018は、1つ又は複数の時間ステップに関して効率ηiをリセットすることを含むことができ、(例えば、最適化の各反復によって)バイナリ決定変数Bmain,i及びBcap,iの値に基づいて最適化が実施される。
ステップ1018は、バイナリ決定変数Bmain,iの値に基づいて、ビルディング機器に対してメンテナンスが最後に実施されてから経過した時間量Δtmain,iを決定することを含むことがある。各時間ステップiに関して、ステップ1018は、時間ステップi及び前の各時間ステップ(例えば、時間ステップi-1、i-2、...、1)におけるBmainの対応する値を検査することができる。ステップ1018は、メンテナンスが最後に実施された時点(すなわちBmain,i=1である直近の時点)を、時間ステップiに関連する時点から引くことにより、Δtmain,iの値を計算することを含むことができる。メンテナンスが最後に実施されてからの時間量Δtmain,iが長いと、信頼性がより低くなることがあり、メンテナンスが最後に実施されてからの時間量が短いと、信頼性がより高くなることがある。
同様に、ステップ1018は、バイナリ決定変数Bcap,iの値に基づいて、ビルディング機器が購入又は設置されてから経過した時間量Δtcap,iを決定することを含むことがある。各時間ステップiに関して、ステップ1018は、時間ステップi及び前の各時間ステップ(例えば、時間ステップi-1、i-2、...、1)におけるBcapの対応する値を検査することができる。ステップ1018は、ビルディング機器が購入又は設置された時点(すなわちBcap,i=1である直近の時点)を、時間ステップiに関連する時点から引くことにより、Δtcap,iの値を計算することを含むことができる。ビルディング機器が購入又は設置されてからの時間量Δtcap,iが長いと、信頼性がより低くなることがあり、ビルディング機器が購入又は設置されてからの時間量が短いと、信頼性がより高くなることがある。
いくつかのメンテナンス活動は、他よりもコストがかかることがある。しかし、異なるタイプのメンテナンス活動が、ビルディング機器の効率η及び/又は信頼性に対する異なるレベルの改良をもたらすことがある。例えば、冷却器内のオイルの単なる交換は、効率ηのわずかな改良及び/又は信頼性のわずかな改良をもたらすことがあり、冷却器の完全な分解及びすべての冷却水管の洗浄は、ビルディング機器の効率η及び/又は信頼性のかなり大きい改良をもたらすことがある。したがって、複数の異なるレベルのメンテナンス後の効率(すなわちηmain)及びメンテナンス後の信頼性(すなわちReliabilitymain)が存在し得る。ηmain及びReliabilitymainの各レベルは、異なるタイプのメンテナンス活動に対応することがある。
いくつかの実施形態では、ステップ1018は、各バイナリ決定変数Bmain,j,iに関連するメンテナンス活動を識別することを含み、Bmain,j,i=1の場合、効率ηを、対応するメンテナンス後の効率レベルηmain,jにリセットする。同様に、ステップ1018は、各バイナリ決定変数Bmain,j,iに関連するメンテナンス活動を識別することを含むことができ、Bmain,j,i=1の場合、信頼性を、対応するメンテナンス後の信頼性レベルReliabilitymain,jにリセットすることができる。
いくつかの資本購入は、他のものよりも高価であり得る。しかし、異なるタイプの資本購入は、効率η及び/又はビルディング機器の信頼性に対して異なるレベルでの向上をもたらすことがある。例えば、既存のセンサの交換のために新たなセンサを購入することで、効率ηがわずかに向上し、且つ/又は信頼性がわずかに向上することがあり、新たな冷却器及び制御システムを購入することで、ビルディング機器の効率η及び/又は信頼性がかなり大きく向上することがある。したがって、複数の異なるレベルの購入後の効率(すなわちηcap)及び購入後の信頼性(すなわちReliabilitycap)があり得る。ηcap及びReliabilitycapの各レベルは、異なるタイプの資本購入に対応することがある。
いくつかの実施形態では、ステップ1018は、各バイナリ決定変数Bmain,k,iに関連する資本購入を識別し、Bcap,k,i=1の場合、効率ηを、対応する購入後効率レベルηcap,kにリセットすることを含む。同様に、ステップ1018は、各バイナリ決定変数Bcap,k,iに関連する資本購入を識別することを含むことがあり、Bmain,k,i=1の場合、信頼性を、対応する購入後信頼性レベルReliabilitycap,kにリセットすることができる。
経時的なビルディング機器の劣化
概要
全般的に図11~13を参照すると、いくつかの実施形態による、経時的なビルディング機器の劣化を例示するグラフ1100~1300が示されている。一般に、ビルディング機器は、経時的に劣化する。ビルディング機器が劣化するにつれて、ビルディング機器は、例えば、許容可能な効率を維持するためにより頻繁なメンテナンスを必要とし、より多くの電力を消費するため、機器の稼働に関連する動作コストが増加することがある。いくつかの実施形態では、ビルディング機器のメンテナンスの実施及び/又は交換は、ビルディング機器の劣化を低減し、それにより動作コストを低減する。いくつかの実施形態では、交換には、ビルディング機器全体の交換及び/又はビルディング機器の構成要素の交換が含まれる。いくつかの実施形態では、図9を参照して述べた目的関数オプティマイザ940は、ビルディング機器がメンテナンス及び/又は交換を受けるべきときを決定するように構成される。ビルディング機器のメンテナンスの実施及び/又は交換は、メンテナンスコスト及び/又は資本コストを生じることがあるが、動作コストの削減につながることがある。いくつかの実施形態では、メンテナンス及び/又は交換が実施される場合、動作コストの削減による便益は、メンテナンス及び/又は交換に関連するコストを上回る。例えば、大量の電力を消費している室内可変冷媒流量(VRF)ユニットの完全な交換は、追加の資本コストを生じることがあるが、交換されたユニットの動作に必要な電力は、それほど多くないことがあり得るため、動作コストを大幅に削減することができる。
平均電力消費量及び劣化
ここで、図11を参照すると、いくつかの実施形態による、経時的なビルディング機器の劣化及び平均電力消費量を例示するグラフ1100が示されている。グラフ1100は、期間1106にわたるビルディング機器の劣化及び平均電力消費量を例示する。いくつかの実施形態では、期間1106は、最適化期間であるか又は最適化期間を含む。いくつかの実施形態では、期間1106は、複数の最適化期間を含む。期間1106は、いくつかの実施形態によれば、時間ステップt0で始まり、時間ステップt40で終わる。グラフ1100に示されるように、ビルディング機器の劣化は、ビルディング機器の平均電力消費量に関連する。一般に、ビルディング機器の劣化が進行するにつれて、ビルディング機器の平均電力消費量も増加する。これは、機器の劣化が進行するにつれてビルディング機器の効率が低下することに起因し得る。いくつかの実施形態では、モデル予測的メンテナンス(MPM)システム602は、目的関数Jの最適化(例えば、最小化)によって決定される、ビルディング機器のメンテナンスを実施し且つ/又はビルディング機器を交換するときの決定により、ビルディング機器の劣化を低減するように構成される。いくつかの実施形態では、目的関数Jを最適化すると共に、MPMシステム602は、合計の複合コストが最小化されるように決定変数の最適値を決定する。いくつかの実施形態では、過剰なメンテナンスコスト及び/又は資本コストを生じることなく(メンテナンスの実施及び/又は交換により)動作コストを削減することにより、合計の複合コストが最小化される。
目的関数Jの最適化とは、最適化プロセスを実施した結果を表すことを理解されたい。目的関数Jの最適化は、目的関数Jの最適解を決定することができる/最適解が決定されることを示していないことがある。目的関数Jの最適化は、真の最適な結果が得られるか否かに関係なく実施することができる。
グラフ1100は、シリーズ1102及びシリーズ1104を含むものとして示されている。いくつかの実施形態では、シリーズ1102は、ビルディング機器がいかなる機器サービス提供も受けない(すなわちメンテナンスも交換も行われない)場合、経時的に(例えば、期間1106にわたって)ビルディング機器の劣化及び平均電力消費量が増加することを示す。グラフ1100に示されるように、機器サービスが実施されない場合、(シリーズ1102によって例示されるように)ビルディング機器の劣化の増加率が経時的に増加することがある。シリーズ1102は、様々な実施形態によれば、機器サービスが実施されない場合の経時的なビルディング機器の劣化及び平均電力消費量を表す指数関数的傾向、線形傾向、対数傾向など、又は任意の他の傾向に従うことがある。いくつかの実施形態では、シリーズ1102は、メンテナンス及び/又は交換によって動作コストを削減することを試みずに、動作コストが増加する最悪の状況を例示している。
いくつかの実施形態では、シリーズ1104は、ビルディング機器が1つ又は複数の機器サービスを提供される場合の経時的なビルディング機器の劣化及び平均電力消費量を例示する。シリーズ1104は、いくつかの実施形態による、時間ステップt10、t20、t30及びt40で機器サービス提供を受けるビルディング機器を表す。各機器サービス提供は、ビルディング機器の劣化及び平均電力消費量を劣化値1114に低減することができる。いくつかの実施形態では、機器サービス提供は、シリーズ1104にわたって定期的なスケジュール(例えば、10日毎、10週毎など)で行われる。いくつかの実施形態では、ビルディング機器が最大許容劣化値を超え、コストがもはや最適(例えば、最小)レベルに近くなくなることにより、機器サービス提供が行われる。例えば、現在の劣化値が劣化値1114の2倍になった後、ビルディング機器について機器サービス提供の必要性を決定することができる。定期的な機器サービス提供は、ビルディング機器が高い劣化値に達しないようにすることによって動作コストを低く抑え、それによりビルディング機器の望ましい効率水準を維持することができる。高い劣化値を避けることにより、ビルディング機器が動作中に過剰量の電力を引き出さないことを保証することができる。いくつかの実施形態では、目的関数オプティマイザ940は、動作コスト、メンテナンスコスト及び資本コストに関連する合計の複合コストを最適化(すなわち最小化)するように決定変数の最適値を決定する。いくつかの実施形態では、決定変数は、最適な(例えば、最小化された)合計の複合コストを達成するために機器サービス提供(例えば、メンテナンス及び/又は交換)が行われるべきときを示す。
シリーズ1104及びシリーズ1102は、時点t0で劣化値1114から始まるものとして示されている。同様に、シリーズ1104は、各機器サービス提供後に劣化値1114に実質的に戻るものとして示されている。いくつかの実施形態では、劣化値1114は、機器に関する達成可能な最小の劣化値である。いくつかの実施形態では、劣化値1114は、ゼロよりも大きい何らかの値である。いくつかの実施形態では、劣化値1114は、(例えば、高効率デバイス又は等エントロピー効率で動作するデバイスに関して)ゼロに実質的に等しい。いくつかの実施形態では、シリーズ1104において連続して行われる機器サービス提供は、それぞれビルディング機器の劣化値を劣化値1114の近くまで戻すが、戻りが減る。例えば、連続的な機器サービスが実施されるとき、機器サービスを実施することによる利益が低減することがある。代わりに、シリーズ1104における各機器サービス提供は、新たな低減された劣化値が前の低減された劣化値よりも(無視できるほどであれ)高い劣化値になるように、ビルディング機器の劣化値を新たな低減された劣化値に戻すことがある。いくつかの実施形態では、機器サービス提供にもかかわらずビルディング機器のいくつかの構成要素が老化し続けることがあるため、新たな低減された劣化値は、連続する各機器サービス提供と共に増加する。ある時点において、劣化を劣化値1114に完全に戻すためにビルディング機器を交換することが必要となり得る。
また、グラフ1100は、平均電力消費量の差1112を含むものとして示されている。いくつかの実施形態では、平均電力消費量の差1112は、P1として示される第1の平均電力消費値1108と、P2として示される第2の平均電力消費値1110との差を例示する。いくつかの実施形態では、P1は、第2のシリーズ1104の全体的な平均電力消費量である。いくつかの実施形態では、P2は、シリーズ1102の全体的な平均電力消費量である。平均電力消費量の差1112は、P2とP1との差(すなわちP2-P1)として表すことができる。平均電力消費量の差1112は、いくつかの実施形態によれば、機器サービス提供が実施されない場合(シリーズ1102)と比較して、機器サービス提供が断続的に実施される場合(シリーズ1104)に電力消費量が低減されることを表す。機器サービス提供を断続的に実施することにより、期間1106にわたって引き出される平均電力量を大幅に削減することができ(すなわち平均電力消費量の差1112が増加し)、動作コストが削減される。
経時的なビルディング機器の故障率
ここで、図12を参照すると、グラフ1200は、経時的なビルディング機器の故障率を例示している。グラフ1200は、経時的なビルディング機器の故障率を例示する曲線1202を含むものとして示されている。曲線1202は、いくつかの実施形態によれば、3つの区間、すなわち使用寿命前区間1206、使用寿命区間1204及び使用寿命後区間1208を含む。いくつかの実施形態では、曲線1202は、ビルディング機器に対する機器サービス提供の実施がビルディング機器の使用寿命をどの程度延長するかを決定するために使用される。
曲線1202の使用寿命前区間1206は、使用寿命区間1204が始まる前のビルディング機器の故障率を例示している。使用寿命前区間1206は、高い故障率から始まり、使用寿命前区間1206の終わりにより低い故障率に低下するものとして例示されている。いくつかの実施形態では、使用寿命前区間1206は、ビルディングでの設置後にビルディング機器が多くの故障を有している場合、高い故障率から始まる。例えば、VRFシステムでの新たに設置された屋外VRFユニットが最初に欠陥を有する可能性があり、したがって、屋外VRFユニットは、修理又は交換されるまで高い故障率を有する可能性がある。別の例として、新たに設置された屋外VRFユニットが使用寿命前区間1206において正しく接続されておらず、短絡されている可能性がある。いくつかの実施形態では、ビルディング機器は、設置時に低い故障率を有する(例えば、ビルディング機器が期待通りに機能している)。使用寿命前区間1206においてビルディング機器が低い故障率から始まるとき、使用寿命前区間1206は、短いことがある。ビルディング機器が低い故障率から始まるとき、曲線1202の使用寿命区間1204が即座に始まり、それにより使用寿命前区間1206が完全にスキップされることがある。
いくつかの実施形態では、使用寿命区間1204は、ビルディング機器が許容可能な故障率で動作している時間量である。時間の経過と共にビルディング機器の故障率が上昇することがある。ビルディング機器の故障率が上昇するにつれて、ビルディング機器の動作及びメンテナンスに関連する合計コストも増加することがある。しかし、機器サービス提供の実施により、ビルディング機器の故障の量を減少することにより、ビルディング機器の使用寿命区間1204を延長することができる。いくつかの実施形態では、より多くの機器サービス提供が実施されるにつれて、使用寿命区間1204が増加される。一般に、使用寿命区間1204が延長されると、故障率を低く保つためにビルディング機器に対してメンテナンスを実施する必要があり、且つ/又はビルディング機器の構成要素を購入及び交換する必要があり得るため、メンテナンスコスト及び/又は資本コストが増加する。最終的に、使用寿命区間1204を延長するために機器サービス提供(例えば、メンテナンス及びビルディング機器の構成要素の交換)を実施することは、メンテナンスコスト及び/又は資本コストの増加により、(コスト面で)最適でない解決策であり得る。例えば、ある時点において、使用寿命区間1204を延長する便益よりも、(メンテナンス及び/又は構成要素の交換を行うことによって)使用寿命区間1204の延長に関連するコストが上回ることがある。いくつかの実施形態では、一般的な機器の摩耗により、ビルディング機器の故障率が上昇し、曲線1202は、使用寿命後区間1208に移行する。
いくつかの実施形態では、使用寿命後区間1208は、ビルディング機器が使用寿命区間1204を超えたが、依然として交換されていない時間スパンを示す。いくつかの実施形態では、使用寿命後区間1208では、ビルディング機器が劣化するため、ビルディング機器は、故障率が上昇する。いくつかの実施形態では、ビルディング機器は、一般的な機器の摩耗により劣化する。いくつかの実施形態では、ビルディング機器は、コストの増加により、一般的な機器サービス提供が使用寿命区間1204と同程度に実施されない場合及び/又は全く行われない場合に劣化する。一般に、一般的な機器サービス提供は、ビルディング機器の使用寿命を、ユニット全体を交換する方が、費用対効果が高くなり得る特定の点までのみ延長できることがある。いくつかの実施形態では、使用寿命後区間1208が始まると直ちに、ビルディング機器の完全な交換がスケジュールされるべきであり、ビルディング機器が完全に交換されるようにする。このようにして、使用寿命後区間1208を短縮することができ、高い故障率に関連する動作コストの増加を最小限に抑えることができる。いくつかの実施形態では、ビルディング機器が完全に交換された後、使用寿命後区間1208は、終了する。
経時的なビルディング機器の効率低下
ここで、図13を参照すると、グラフ1300は、いくつかの実施形態による経時的なビルディング機器の機能的性能(例えば、効率)を例示する。グラフ1300は、シリーズ1302及びシリーズ1304を含むものとして示されている。いくつかの実施形態では、シリーズ1302は、ビルディング機器が最小効率閾値1310に達したのに応答して、機器サービス提供(例えば、メンテナンス及び/又は部品/構成要素の交換)が実施される場合を例示する。いくつかの実施形態では、シリーズ1304は、メンテナンスへの予防的な手法を表し、ビルディング機器が最小効率閾値1310に達する前に複数の機器サービスが実施される。
いくつかの実施形態では、シリーズ1302は、最小効率閾値1310に達したことに応答して機器サービス提供を実施することが、機器サービス提供が断続的に実施される場合(シリーズ1304)と比較して早期の効率低下をもたらす様子を例示する。シリーズ1302の効率値は、ビルディング機器から収集される機器情報(例えば、性能変数の値)及び機器のモデル(例えば、劣化モデル、性能変数の理想値など)に基づいて決定することができる。いくつかの実施形態では、機器の効率値は、動作コスト(例えば、単位コストあたりの生産量)に基づいて決定される。例えば、より高い動作コストは、ビルディング機器のより低い効率値を示すことがある。
第1の機器サービス提供ポイント1306は、シリーズ1302中の可能な機器サービス提供として示されている。いくつかの実施形態では、第1の機器サービス提供ポイント1306は、時点t1でシリーズ1302の効率値(すなわちY軸値)が最小効率閾値1310に達したことに応答して発生する。いくつかの実施形態では、最小効率閾値1310は、非常に高い動作コストを生じないようにMPMシステム602が回避を試みるビルディング機器の効率値である。第1の機器サービス提供ポイント1306は、ビルディング機器が使用可能であると見なされる時間量を一時的に延長することができる。しかし、定期的な機器サービス提供を行わないと、ビルディング機器が使用可能であると見なされる追加の時間量が短くなることがある。いくつかの実施形態では、シリーズ1302に関して、機器サービス提供は、ビルディング機器の効率値が最小効率閾値1310以下になるたびに実施される。ビルディング機器が全体として劣化し続けるため、後続の各機器サービス提供は、ビルディング機器の効率値に与える効果が小さくなることがある。最終的に、MPMシステム602により、機器サービス提供に費やされる額が大きすぎると判断されることがあり、ビルディング機器は、交換をスケジュールされることがある。
また、グラフ1300は、定期的な機器サービス提供が行われた場合の経時的なビルディング機器の効率を例示するシリーズ1304を含むものとして示されている。定期的な機器サービス提供により、ビルディング機器の使用可能時間の量を延ばすことができる。シリーズ1304は、多くの小さい機器サービス1312を含むものとして示されている。小さい機器サービス1312は、例えば、定期検査、何らかの部品交換、流体(例えば、冷却剤)の交換などを含むことができる。いくつかの実施形態では、それぞれの小さい機器サービス1312は、ビルディング機器の使用可能時間をわずかに延ばす。それぞれの小さい機器サービス1312は、ビルディング機器の使用可能時間をわずかに延長するにすぎないが、小さい機器サービス1312を繰り返し実施することにより、ビルディング機器の使用可能時間を大幅に増加することができる。また、シリーズ1304は、主要な機器サービス提供1308も含むものとして示されている。主要な機器サービス提供1308は、ビルディング機器の使用可能時間を大幅に増加させることができる。主要な機器サービス提供1308には、例えば、ビルディング機器のいくつかの部品交換、ソフトウェアアップグレード、複数の小さい機器サービス1312、改修などが含まれる。
シリーズ1304での機器サービスは、ビルディング機器の効率値が最小効率閾値1310に達する前に行われるものとして示されている。シリーズ1304は、時点t2で最小効率閾値1310に達するものとして示されている。いくつか実施形態では、t2とt1との差は、異なる機器サービス提供方法に基づいてビルディング機器が最小効率閾値1310に達するまでの追加の期間を示す。いくつかの実施形態では、断続的な機器サービス提供により、t2は、t1よりも大きい。機器サービス提供を先行して実施することにより、ビルディング機器を完全に交換しなければならなくなるまでにビルディング機器の使用可能時間を大幅に増加することができる。
インセンティブ組込みを伴うモデル予測的メンテナンスシステム
概要
全般的に図14~17を参照すると、いくつかの実施形態による、インセンティブ組込みを伴うモデル予測的メンテナンスシステムに関するシステム及び方法が示されている。いくつかの実施形態では、図14~17を参照して以下でより詳細に述べるシステム及び方法のいずれかは、図6~10を参照して上でより詳細に述べたMPMシステム602に組み込まれる。例えば、図8~9を参照して上でより詳細に述べたモデル予測的メンテナンスシステム602の高レベルオプティマイザ832は、本明細書で以下に述べるシステム及び方法(例えば、コストインセンティブ)のいずれか又はすべてを含むことがある。いくつかの実施形態では、MPMシステム602は、目的関数Jをさらに最適化するために1つ又は複数のコストインセンティブを受け取るように構成される。コストインセンティブは、コストを効果的に削減することができるMPMでの使用に利用可能な任意のインセンティブを表すことができる。具体的には、コストインセンティブは、例えば、メンテナンスの実施、ビルディング機器の交換、システムのアップグレードなどのコストを削減することができる。例えば、コストインセンティブは、会計年度末に税控除を受けられるように可変冷媒流量(VRF)システムでの1つ又は複数の冷媒の交換を奨励する税制優遇である。別の例として、コストインセンティブは、ビルディング機器の部品を環境に優しい代替物と交換するコストが削減されるように、環境配慮ビルディングインセンティブに関連付けられることがある。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のコストインセンティブは、負のコスト項(すなわち収益項)として目的関数Jに追加されて、全体的なコストを削減する。いくつかの実施形態では、コストインセンティブは、提供されるコストインセンティブによっては、動作コスト、メンテナンスコスト及び/又は資本コストの増加をもたらす。しかし、コストインセンティブによる節約は、生じた追加コストを上回ることがあるため、目的関数Jをさらに最適化するようにそれでも決定することができる。例えば、VRFシステムでの冷媒を交換すると、追加の資本コスト及び/又はメンテナンスコストが生じることがあるが、冷媒を交換するためのコストインセンティブは、追加の資本コスト及び/又はメンテナンスコストよりも大きい額となり、それにより目的関数をさらに最適化することができる。
いくつかの実施形態では、目的関数Jの最適化中に考慮されるコストインセンティブは、現時点で利用可能であり、且つ/又は将来のある時点で利用可能になる。いくつかの実施形態では、コストインセンティブが現在利用可能である場合、コストインセンティブの便益は、直ちに且つ/又はコストインセンティブが満了する前に得ることができる。コストインセンティブが将来の時点で利用可能である場合、コストインセンティブが利用可能になる将来のある時点に得られるようにコストインセンティブをスケジュールすることができる。このように、目的関数Jを最適化する場合、最適化は、最適化期間にわたって最小のコストを達成するために、利用可能なコストインセンティブと将来のコストインセンティブとの両方を考慮することができる。利用可能なコストインセンティブは、現在利用可能なコストインセンティブ及び将来の時点で利用可能になるコストインセンティブを表し得ることを理解されたい。
コストインセンティブを伴うモデル予測的メンテナンス
ここで、図14を参照すると、いくつかの実施形態による、コストインセンティブを伴う経時的な累積メンテナンス支出を例示するグラフ1400が示されている。いくつかの実施形態では、グラフ1400は、ビルディング10のメンテナンス(すなわち目的関数Jのメンテナンス項)に関係するコストインセンティブを考慮に入れるものとして示されている。同様に、グラフ1400は、資本購入に関係するコストインセンティブ(すなわち目的関数Jの資本コスト項)をモデル化するために同様に使用することができる。いくつかの実施形態において、コストインセンティブは、政府(例えば、連邦政府、州政府、地方自治体など)によって実施されて、節税によってビルディング機器(又はビルディング機器の構成要素)のアップグレード又は交換を奨励する。いくつかの実施形態では、コストインセンティブは、独立した組織、グループ、個人などによって実施され得る。例えば、ある民間企業は、大量の製品を販売することを望むことがあり、特定の量の製品の購入に対するコストインセンティブを提供する。
グラフ1400は、図15を参照して以下で述べる高レベルオプティマイザ832により、最適化期間1404にわたってメンテナンス支出が決定される様子を例示することができる。いくつかの実施形態では、グラフ1400は、時間ステップi=1から始まり、最終時間ステップhまでの最適化期間1404を含む。いくつかの実施形態では、グラフ1400は、第1のメンテナンス支出1406、第2のメンテナンス支出1408及び第3のメンテナンス支出1410を含む。一般に、メンテナンス支出は、Bmain,i=1として時間ステップiで発生するものとして示すことができる。一般に、メンテナンス支出は、Bmain,i=0として時間ステップiで発生しないものとして示すことができる。
第1のメンテナンス支出1406は、Bmain,6=1として時間ステップi=6で発生するものとして示されている。いくつかの実施形態では、メンテナンスが時間ステップi=6で行われるべきであるという、図15を参照して以下で述べる高レベルオプティマイザ832からの決定により、第1のメンテナンス支出1406が発生する。第1のメンテナンス支出1406は、Costmain,1と表すことができる。第1のメンテナンス支出1406が実施された後、累積メンテナンス支出Costmainは、Costmain=Costmain,1と表すことができる。時間ステップi=16において、第2のメンテナンス支出1408が実施されるものとして示されており、第2のメンテナンス支出1408のコストは、Costmain,2と表すことができる。第1のメンテナンス支出1406と同様に、第2のメンテナンス支出1408は、Bmain,16=1として時間ステップi=16で発生するものとして示されている。いくつかの実施形態では、第2のメンテナンス支出1408は、累積メンテナンス支出CostmainをCostmain=Costmain,1+Costmain,2に増加させる。さらに、時間ステップi=21で第3のメンテナンス支出1410が発生するものとして示されており、第3のメンテナンス支出1410のコストは、Costmain,3として表すことができる。第1のメンテナンス支出1406と同様に、第3のメンテナンス支出1410は、いくつかの実施形態によれば、Bmain,21=1として時間ステップi=21で発生するものとして示されている。いくつかの実施形態では、第3のメンテナンス支出1410は、累積メンテナンス支出CostmainをCostmain=Costmain,1+Costmain,2+Costmain,3に増加する。最終的に、Costmain=Costmain,1+Costmain,2+Costmain,3を未調整の合計メンテナンス支出1416として表すことができる。
メンテナンス支出シリーズ1402は、最適化期間1404にわたって示されている。いくつかの実施形態では、メンテナンス支出シリーズ1402は、最適化期間1404中の任意の時間ステップiでの累積メンテナンス支出を例示する。いくつかの実施形態では、時間ステップhでのメンテナンス支出シリーズ1402の値は、最適化期間1404中の最終的な累積メンテナンス支出である。
いくつかの実施形態では、目的関数オプティマイザ940は、最適化期間1404にわたって最適なメンテナンススケジュールを決定する。目的関数オプティマイザ940は、最適化期間1404にわたって最適なメンテナンススケジュールを決定する場合、1つ又は複数のコストインセンティブを考慮に入れることができる。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のコストインセンティブは、現時点で利用可能な1つ又は複数のコストインセンティブ及び/又は将来の時点で利用可能な1つ又は複数のコストインセンティブを含む。いくつかの実施形態では、コストインセンティブは、最適化期間1404にわたって累積コスト(例えば、動作コスト、メンテナンスコスト、資本コストなど)を削減することによって目的関数Jをさらに最適化する。いくつかの実施形態では、コストインセンティブに関する1つ又は複数の要件を満たすために、追加のメンテナンス支出が最適である。例えば、コストインセンティブに関する要件を満たすために、目的関数オプティマイザ940によって第3のメンテナンス支出1410が実施されることが決定されていることがある。最適化期間1404にわたる最適なメンテナンススケジュールに第3のメンテナンス支出1410を実装することにより、コストインセンティブを満たして、最適化期間1404にわたる累積メンテナンス支出を最小化することができる。
また、グラフ1400は、費用便益1414を含むものとして示されている。いくつかの実施形態では、費用便益1414は、コストインセンティブに関する要件が整った後、未調整の合計メンテナンス支出1416から差し引かれる額(例えば、ドル)である。費用便益1414による節約は、直ちに利用可能でないことがある。例えば、費用便益1414が税制優遇である場合、費用便益1414は、税金が申告されるときに計上されることがある。費用便益1414が直ちに利用可能でない場合、MPMシステム602は、最適化期間1404中のより後の時間ステップで計上することができる費用便益1414を期待することができる場合、最適化期間1404中のより早い時間ステップで追加コストが生じるように1つ又は複数の決定を行うことができる。別の例として、1つ又は複数のコストインセンティブが将来のコストインセンティブである場合、費用便益1414は、直ちに利用可能でないことがある。任意のコストインセンティブが将来のコストインセンティブである場合、将来のコストインセンティブが得られる場合、将来の時点で費用便益1414の一部及び/又はすべてが利用可能になることがある。いくつかの実施形態では、費用便益1414は、コストインセンティブに関する要件が満たされると直ちに利用可能である。費用便益1414が直ちに利用可能である場合、MPMシステム602は、目的関数Jを最適化するための要件を満たすときに関する決定を行うことができる。
コスト節約1412は、費用便益1414から第3のメンテナンス支出1410を差し引いたものとして示されている。いくつかの実施形態では、コスト節約1412は、目的関数オプティマイザ940により、目的関数Jでの決定変数の最適値を決定するときに使用される。目的関数オプティマイザ940は、最適化を実施するときに第3のメンテナンス活動1410を実施する「コスト」としてコスト節約1412を使用することができる。グラフ1400では、コスト節約1412は、第3のメンテナンス活動1410を実施することによってコストが削減されることを示す負の額である。コスト節約1412が、目的関数オプティマイザ940によって決定されたときに十分に大きい額でない場合、最適化期間1404中の1つ又は複数のメンテナンス支出は、行われないことがある。コスト節約1412が十分に大きい値でない場合、目的関数オプティマイザ940は、費用便益1414を含まないように最適なメンテナンススケジュールを決定し、且つ/又は費用便益1414を得るためにコストインセンティブ要件を満たすようにメンテナンス活動を決定することができる。
ここで、図15を参照すると、いくつかの実施形態によるMPMシステム602をより詳細に示すブロック図が示されている。コストインセンティブサービス838は、高レベルオプティマイザ832に1つ又は複数のコストインセンティブを提供するものとして示されている。コストインセンティブサービス838は、例えば、外部ウェブサイト、BMS606のコストインセンティブ監視サービス、コストインセンティブ情報を記憶するデータベース、コストインセンティブ情報をMPMシステム602に提供する人などであり得る。いくつかの実施形態では、コストインセンティブサービス838は、MPMシステム602と通信するときに利用可能なあらゆるコストインセンティブを提供する。いくつかの実施形態では、コストインセンティブサービス838は、ビルディング10が利用可能であり得る1つ又は複数の特定のコストインセンティブを選択して提供することができ、いくつかのコストインセンティブを提供しないように決定することもできる。例えば、コストインセンティブサービス838は、コストインセンティブがビルディング10に適用可能でないと判断することがあり、上記コストインセンティブをMPMシステム602に提供しないことを決定することがある。別の例として、コストインセンティブサービス838は、VRFシステムでの冷媒を交換するための税制優遇がビルディング10に適用可能であると判断することがあり、上記税制優遇をMPMシステム602に提供することを決定することがある。いくつかの実施形態では、コストインセンティブサービス838は、考慮対象としてMPMシステム602に提供されるコストインセンティブの数を減らすことにより、目的関数Jでの決定変数の最適値を決定するときに考慮に入れる必要のある変数が少なくなるため、MPMシステム602での処理効率を高めるのに役立つ。いくつかの実施形態では、コストインセンティブサービス838によって選択及び提供されるコストインセンティブは、動作コスト、メンテナンスコスト及び/又は資本コストを削減するために使用される。いくつかの実施形態では、高レベルオプティマイザ832は、コストインセンティブサービス838によって提供されるコストインセンティブを使用して、最適化期間にわたる合計コストを削減することによって目的関数Jを最適化(すなわち最小化)する。コストインセンティブを利用する高レベルオプティマイザ832については、図16を参照して以下でより詳細に述べる。
いくつかの実施形態では、利用可能なコストインセンティブがない場合、コストインセンティブサービス838は、コストインセンティブを提供しない。利用可能なコストインセンティブがない場合、MPMは、コストインセンティブを考慮に入れずに実施されることがある。
ここで、図16を参照すると、図9及び15を参照して述べた高レベルオプティマイザ832がいくつかの実施形態に従ってより詳細に示されている。高レベルオプティマイザ832は、コストインセンティブマネージャ950を含むものとして示されている。いくつかの実施形態では、コストインセンティブマネージャ950は、(例えば、図15を参照して述べたコストインセンティブサービス838から)1つ又は複数のコストインセンティブを受け取るように構成される。いくつかの実施形態では、コストインセンティブマネージャ950は、いかなるコストインセンティブも受け取らない。この場合、高レベルオプティマイザ832は、いかなるコストインセンティブも考慮に入れずに目的関数を生成及び最適化する。
いくつかの実施形態では、コストインセンティブマネージャ950は、図15を参照して述べたコストインセンティブサービス838によって提供されるコストインセンティブを受け取るように構成される。いくつかの実施形態では、提供されたコストインセンティブに基づいて、コストインセンティブマネージャ950は、コストインセンティブがメンテナンスコスト及び/又は資本コストに適用可能であるか否かを判断するように構成される。例えば、コストインセンティブは、新たなVRFシステムが購入された場合に節税が利用可能であることを示すことができる。しかし、利用可能なコストインセンティブがない場合、コストインセンティブマネージャ950は、他の重要な操作を実施しないことがある。利用可能なコストインセンティブがない場合、コストインセンティブ情報なしでモデル予測的メンテナンスを実施することができる。コストインセンティブに基づいて、コストインセンティブマネージャ950は、コストインセンティブに関する情報が1つ又は複数の資本コストインセンティブとして資本コスト予測器930に提供されるべきであると判断することができる。別の例として、コストインセンティブマネージャ950に提供されるコストインセンティブは、暖房、換気及び空気調和(HVAC)システムに対してメンテナンスが実施される場合にコスト節約が利用可能である(又は利用可能になる)ことを示すことがある。コストインセンティブに基づいて、コストインセンティブマネージャ950は、コストインセンティブを表す1つ又は複数のメンテナンスコストインセンティブがメンテナンスコスト予測器920に提供されるべきであると判断することができる。
いくつかの実施形態では、コストインセンティブは、コストインセンティブが利用可能である期間を定義する。期間が定義されている場合、コストインセンティブマネージャ950は、1つ若しくは複数の資本コストインセンティブ及び/又は1つ若しくは複数のメンテナンスコストインセンティブにおいて期間を示すことができる。この期間は、目的関数オプティマイザ940によって実施される最適化に対する制約として機能し得る。例えば、税制優遇が連邦政府によって提供され、3か月後に終了する場合、税制優遇を得ることができる場合、3か月後までに税制優遇に関する要件を満たす必要があり得る。別の例として、環境配慮ビルディングインセンティブが現在利用可能でないが、現時点から2週間後に利用可能になる場合、環境配慮ビルディングインセンティブが利用可能になった後に環境配慮ビルディングインセンティブに関する要件を満たす必要があり得る。したがって、コストインセンティブマネージャ950は、特定のコストインセンティブの要件が時間通りに満たされないことを保証するために、特定のコストインセンティブが利用可能な期間を決定することができる。
コストインセンティブマネージャ950は、1つ又は複数のコストインセンティブがメンテナンスコスト予測器920及び資本コスト予測器930の両方に適用可能な情報を含むことを決定することができる。コストインセンティブがメンテナンスコスト予測器920及び資本コスト予測器930の両方に適用可能な情報を含むとき、コストインセンティブマネージャ950は、コストインセンティブに関する情報を、それぞれメンテナンスコスト予測器920及び資本コスト予測器930に提供される1つ又は複数のメンテナンスコストインセンティブ及び/又は1つ又は複数の資本コストインセンティブに分けることができる。いくつかの実施形態では、コストインセンティブに関する情報を1つ若しくは複数のメンテナンスコストインセンティブ及び/又は1つ若しくは複数の資本コストインセンティブに分けることにより、メンテナンスコスト予測器920及び資本コスト予測器930に関連する情報のみがそれぞれに提供される。例えば、いくつかの実施形態によれば、ビルディングにおいて新たなVRFシステムが購入され、ビルディングでの古い冷媒が交換されるときに節税を提供するコストインセンティブを考える。コストインセンティブに基づいて、コストインセンティブマネージャ950は、コストインセンティブを、冷媒の交換に関する情報を含むメンテナンスコストインセンティブと、新たなVRFシステムの購入に関する情報を含む資本コストインセンティブとに分けることができる。いくつかの実施形態によれば、メンテナンスコストインセンティブ及び資本コストインセンティブがそれぞれメンテナンスコスト予測器920及び資本コスト予測器930に提供されるとき、各コスト予測器に関連する情報のみが提供される(例えば、資本コスト予測器930は、冷媒の交換に関する情報を必要としないため、新たなVRFシステムの購入に関する情報のみを受け取る)。
いくつかの実施形態では、メンテナンスコスト予測器920は、提供された機器性能情報及び1つ又は複数のメンテナンスコストインセンティブに基づいてメンテナンスコスト項を決定する。いくつかの実施形態では、メンテナンスコスト予測器920は、コストインセンティブマネージャ950によって提供される1つ又は複数のメンテナンスコストインセンティブに関する合計メンテナンスコスト節約を予測することにより、メンテナンスコスト項を決定する。目的関数Jのメンテナンスコスト項を決定するとき、メンテナンスコスト予測器920は、より多くの可能なメンテナンスを考慮に入れるために、Cmain及び/又はBmainに1つ又は複数の追加の変数を含む必要があり得る。いくつかの実施形態では、メンテナンスコストインセンティブは、通常であればメンテナンスコスト予測器920によって考慮されない1つ又は複数のタイプのメンテナンスを導入する。例えば、コストインセンティブがない場合、メンテナンスコスト予測器920は、ビルディング10の冷媒を特定の環境に優しい冷媒に交換することを考慮しないことがある。この場合、Cmainは、以下の形式を有することがある。
Cmain=[Cmain,1 Cmain,2 … Cmain,m]
ここで、いくつかの実施形態によれば、アレイCmainは、1×mのサイズを有し、アレイCmainの各要素は、特定のメンテナンス活動j=1...mに関するメンテナンスコスト値Cmain,jを含む。
同様に、メンテナンスコストインセンティブが考慮されない場合、B
mainは、以下の形式を有することがある。
ここで、行列B
mainは、m×hのサイズを有し、行列B
mainの各要素は、最適化期間の特定の時間ステップでの特定のメンテナンス活動に関するバイナリ決定変数を含む。
しかし、ビルディング10の冷媒を特定の環境に優しい冷媒に交換するためのメンテナンスコストインセンティブがメンテナンスコスト予測器920に提供される場合、メンテナンスコスト予測器920は、修正されたメンテナンスコストアレイCmain,modと、修正されたメンテナンス決定行列Bmain,modとを生成して、メンテナンスコストインセンティブを考慮に入れることができる。メンテナンスコストインセンティブに基づいて、Cmain,modは、以下の形式を有することがある。
Cmain,mod=[Cmain,1 Cmain,2 … Cmain,m Cmain,m+1]
ここで、Cmain,m+1は、いくつかの実施形態によれば、ビルディングの冷媒を特定の環境に優しい冷媒に交換するメンテナンス活動j=m+1に関する追加のメンテナンスコスト値を示す。
同様に、B
main,modは、特定の環境に優しい冷媒への交換を考慮に入れるために、以下の形式を有することがある。
ここで、いくつかの実施形態によれば、B
main,modは、最適化期間での各時間ステップiについて、メンテナンス活動j=m+1に関する追加の行B
main,m+1,iを含む。目的関数オプティマイザ940が、目的関数生成器935によって生成された目的関数(例えば、目的関数J)を最適化(すなわち最小化)するとき、目的関数オプティマイザ940は、メンテナンスコストインセンティブに関する要件を満たすためにメンテナンスに関係する任意のものを含む決定変数の最適値を決定することができる。メンテナンスコストインセンティブが将来の時点で利用可能な将来のメンテナンスコストインセンティブである場合、目的関数オプティマイザ940は、将来のメンテナンスコストインセンティブが有効になる前に要件を満たすことができない場合、メンテナンスコストインセンティブの要件を満たすときを考慮に入れる必要があり得る。いくつかの実施形態では、メンテナンスコストインセンティブに関連するメンテナンス活動がC
main及び/又はB
mainにすでに存在する場合(すなわちC
main=C
main,mod及びB
main=B
main,mod)、新たな値/行がC
main及び/又はB
mainに追加される必要はない。いくつかの実施形態では、目的関数オプティマイザ940は、1つ又は複数のメンテナンスコストインセンティブによって生じる節約を考慮に入れる。
いくつかの実施形態では、メンテナンスコスト予測器920は、メンテナンスのコストCost
mainを決定するとき、C
main,mod及び/又はB
main,modを考慮に入れる。いくつかの実施形態では、メンテナンスコスト予測器920は、メンテナンスを実施することに関連する1つ又は複数のコストインセンティブを考慮に入れるとき、メンテナンスの修正されたコストCost
main,modを計算する。一般に、Cost
main,modは、以下の式で表すことができる。
いくつかの実施形態では、資本コスト予測器930は、提供される機器信頼性情報及び1つ又は複数の資本コストインセンティブに基づいて資本コスト項を決定する。いくつかの実施形態では、資本コスト予測器930は、コストインセンティブマネージャ950によって提供される1つ又は複数の資本コストインセンティブに関する合計資本コスト節約を予測することにより、資本コスト項を決定する。目的関数Jの資本コスト項を決定するとき、資本コスト予測器930は、1つ又は複数の資本コストインセンティブによって示されるより多くの可能な資本購入を考慮に入れるために、Ccap及び/又はBcapに1つ又は複数の追加の変数を含む必要があり得る。
資本コストインセンティブは、通常であれば資本コスト予測器930によって考慮されない1つ又は複数の資本購入を導入することができる。例えば、コストインセンティブがない場合、資本コスト予測器930は、典型的には、現在の最適化期間中にビルディング10のための新たなボイラを購入することを考慮しないことがある。この場合、Ccapは、以下の形式を有することがある。
Ccap=[Ccap,1 Ccap,2 … Ccap,p]
ここで、いくつかの実施形態によれば、アレイCcapは、1×pのサイズを有し、アレイCcapの各要素は、特定の資本購入k=1...pに関するコスト値Ccap,kを含む。
同様に、B
capは、以下の形式を有することがある。
ここで、行列B
capは、p×hのサイズを有し、行列B
capの各要素は、最適化期間の特定の時間ステップにおける特定の資本購入に関するバイナリ決定変数を含む。
しかし、ビルディング10のための新たなボイラを購入するための資本コストインセンティブが資本コスト予測器930に提供される場合、資本コスト予測器930は、資本コストインセンティブに関連する資本購入を考慮に入れるために、修正された資本コストアレイCcap,mod及び修正されたバイナリ資本購入決定行列Bcap,modを計算することができる。資本コストインセンティブに基づいて、Ccap,modは、以下の形式を有することができる。
Ccap,mod=[Ccap,1 Ccap,2 … Ccap,p Ccap,p+1]
ここで、Ccap,p+1は、資本購入k=p+1に関するコスト値(すなわちビルディング10のための新たなボイラを購入するためのコスト値)である。
同様に、B
cap,modは、ビルディング10のための新たなボイラの購入を考慮に入れるために、以下の形式を有することがある。
ここで、いくつかの実施形態によれば、B
cap,modは、最適化期間の各時間ステップiについて、メンテナンス活動k=p+1に関する追加の行B
cap,p+1,iを含む。いくつかの実施形態では、目的関数オプティマイザ940が、目的関数生成器935によって生成された目的関数(例えば、目的関数J)を最適化(すなわち最小化)するとき、目的関数オプティマイザ940は、資本コストインセンティブに関する要件を満たすために資本購入に関係する任意のものを含む決定変数の最適値を決定することができる。資本コストインセンティブが将来の時点で利用可能な将来の資本コストインセンティブである場合、目的関数オプティマイザ940は、将来の資本コストインセンティブが有効になる前に要件を満たすことができない場合、要件を満たすときを考慮に入れる必要があり得る。いくつかの実施形態では、資本コストインセンティブに関連する資本購入がC
cap,mod及び/又はB
cap,modにすでに存在する場合、C
cap,mod及び/又はB
cap,modに新たな値を追加する必要はない。いくつかの実施形態では、目的関数オプティマイザ940は、1つ又は複数の資本コストインセンティブによって生じる節約を単に考慮に入れる。
いくつかの実施形態では、資本コスト予測器930は、資本購入のコストCost
capを決定するときにC
cap,mod及び/又はB
cap,modを考慮に入れる。いくつかの実施形態では、資本コスト予測器930は、資本購入に関連する1つ又は複数のコストインセンティブを考慮に入れるとき、修正された資本購入のコストCost
cap,modを計算する。一般に、Cost
cap,modは、以下の式によって示すことができる。
ここで、Cost
cap,modは、最適化期間にわたる修正された資本購入のコストである。
いくつかの実施形態では、メンテナンスコスト予測器920及び資本コスト予測器930は、メンテナンス及び/又は交換情報を動作コスト予測器910にフィードし、それにより動作コスト予測器910が機器の効率値を更新することができる。様々なコストインセンティブに基づいて、機器は、異なる時間ステップにおいてメンテナンス及び/又は交換を受けることがあり、それにより、機器の効率値は、コストインセンティブがない場合と異なる時間ステップで更新される。
いくつかの実施形態では、目的関数生成器935は、動作コスト項、メンテナンスコスト項及び資本コスト項のそれぞれを収集して、コスト節約を利用するために1つ又は複数の可能なコストインセンティブを含む目的関数Jを生成する。いくつかの実施形態では、目的関数生成器935によって生成された目的関数Jは、目的関数オプティマイザ940に提供される。目的関数オプティマイザ940は、目的関数Jでの決定変数の最適値を決定して、最適化期間にわたって合計の複合コストを最適化することができる。いくつかの実施形態では、目的関数オプティマイザ940は、決定変数の最適値を決定するとき、コストインセンティブマネージャ950に提供される1つ又は複数のコストインセンティブを考慮に入れる。いくつかの実施形態では、目的関数オプティマイザ940は、ビルディング10が1つ又は複数のコストインセンティブに関する要件を満たすことを可能にする、決定変数の最適値の異なる組を決定する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のコストインセンティブに関する要件を満たすことにより、追加のメンテナンスコスト及び/又は資本コストが生じるが、1つ又は複数のコストインセンティブに関連するコスト節約が、追加のメンテナンスコスト及び/又は資本コストによって生じるコストよりも大きい場合、合計の複合コストを削減することができる。いくつかの実施形態では、目的関数オプティマイザ940は、1つ又は複数のコストインセンティブの要件を満たすためにメンテナンスコスト及び/又は資本コストによって生じる追加のコストが、1つ又は複数のコストインセンティブに関連するコスト節約よりも大きいと判断する。メンテナンスコスト及び/又は資本コストによって生じる追加のコストがコスト節約よりも大きい場合、目的関数オプティマイザ940は、コストインセンティブを達成するのに必要なメンテナンス及び/又は交換なしでメンテナンス及び/又は交換を実施することを決定することができる。
上述したように、コストインセンティブが将来のコストインセンティブである場合、目的関数オプティマイザ940は、要件が早期に満たされることをコストインセンティブが許可しない場合、要件が早期に満たされないことを保証する必要があり得る。例えば、冷媒を交換するための税制優遇が提供されることがあり、現時点から2週間後に開始されるが、冷媒を早期に交換しても税制優遇を受けることはできない。いずれにせよビルディング内で冷媒を交換する必要がある場合、目的関数オプティマイザ940は、税制優遇を得るために交換を遅らせることで、冷媒を直ちに交換して動作コストを下げるよりも生じるコストが高くなるか又は低くなるかを判断することができる。いくつかの実施形態では、コストインセンティブが要件を早期に満たすことを許す場合、目的関数オプティマイザ940は、要件を満たすときに関する上記の制約を遵守することを必要とされない。しかし、目的関数オプティマイザ940は、コストの最適化を進める価値があるか否かを判断するために、コストインセンティブを得ることができるときを考慮に入れることを必要とされ得る。
いくつかの実施形態では、1つ又は複数のコストインセンティブに関する要件を満たすために生じるコスト節約は、現在の最適化期間外に節約される。例えば、税金が申告される前に現在の最適化期間が終了し、現在の最適化期間のコストインセンティブが税制優遇を含む場合、現在の最適化期間において節税が考慮に入れられないことがある。現在の最適化期間においてコスト節約が考慮に入れられない場合、目的関数Jの最適化は、コストインセンティブを達成しないメンテナンス及び/又は交換活動が実施されるべきであることを決定することを含み得る(それが最も費用対効果の高いソリューションである場合)。
いくつかの実施形態では、目的関数オプティマイザ940は、将来の最適化期間に関するコスト節約を得られるようにコストインセンティブが依然として満たされるように目的関数Jを最適化する。将来の最適化期間にわたるコスト節約を得られるようにコストインセンティブが依然として満たされることを保証するために、目的関数オプティマイザ940は、現在の最適化期間中に決定を行うことができるように、将来の収益の正味現在価値(NPV)を考慮に入れることができる。例えば、費用収益が1500ドルであり、6か月後に受け取られる場合、目的関数オプティマイザ940は、標準のNPV式を使用して、その費用収益を現時点で決定を行う価値に変換することができる。一般に、目的関数オプティマイザ940は、以下の式によって正味現在価値を決定することができる。
ここで、iは、割引率(すなわち同様のリスクを伴う投資で単位時間あたりにおいて得ることができるリターン)であり、tは、コストフロー(例えば、キャッシュフロー)の時間であり、Rtは、正味コスト(例えば、キャッシュ)フローであり、Nは、期間の合計数であり、NPV(i,N)は、正味現在価値である。正味の現在価値を利用することにより、目的関数オプティマイザ940は、メンテナンス活動の実施の決定を、同じ最適化期間において上記活動から得られる費用収益と対にすることができる。将来の最適化期間を考慮に入れることにより、目的関数オプティマイザ940は、複数の最適化期間にわたって合計コストを最小化することが可能になり得る。いくつかの実施形態では、MPMシステム602での将来コスト節約設定は、目的関数オプティマイザ940が、目的関数Jを最適化する間に将来の最適化期間にわたるコスト節約を考慮するか否かを示す。
ここで、図17を参照すると、いくつかの実施形態による、コストインセンティブ情報が与えられた目的関数Jを最適化するためのプロセス1700の流れ図が示されている。いくつかの実施形態では、目的関数Jを最適化するときにコストインセンティブ情報を考慮に入れることにより、コスト節約により合計コストをさらに削減できるようになる。いくつかの実施形態では、コストインセンティブ要件を満たすためにメンテナンスを実施し且つ/又は機器を購入することにより、将来の時間ステップでの動作コストも削減される。例えば、コストインセンティブ要件を満たすためにメンテナンスを実施し且つ/又は機器を購入することにより、連続する時間ステップに関する動作コストを削減することができる。これは、既存の機器に対して追加のメンテナンスが実施されており、且つ/又は機器が交換されているからであり、これらは、いずれも動作コストを削減することができる。さらに、機器は、メンテナンス及び/又は交換後により高い効率で動作し、それによって動作コストを削減することがある。いくつかの実施形態では、プロセス1700の一部及び/又はすべてのステップがMPMシステム602によって実施される。
プロセス1700は、いくつかの実施形態によれば、コストインセンティブサービスからコストインセンティブ情報を受け取ること(ステップ1702)を含むものとして示されている。いくつかの実施形態では、コストインセンティブサービスは、コストインセンティブサービスに利用可能なすべてのコストインセンティブを提供する。いくつかの実施形態では、コストインセンティブサービスは、コストインセンティブサービスに利用可能なすべてのコストインセンティブのサブセットを選択し、このサブセットは、ビルディング機器に関連するコストインセンティブのみを含む。いくつかの実施形態では、コストインセンティブ情報は、現時点及び/又は将来において利用可能なコストインセンティブがないことを示す。いくつかの実施形態では、コストインセンティブサービス838及びMPMシステム602がステップ1702の一部及び/又はすべてを実施する。
プロセス1700は、いくつかの実施形態によれば、ビルディング機器のメンテナンス及び交換に関連するコストインセンティブを識別すること(ステップ1704)を含むものとして示されている。いくつかの実施形態では、ステップ1704は、コストインセンティブが利用可能であるか否かを判断することを含む。コストインセンティブが利用可能でない場合、プロセス1700は、コストインセンティブを考慮に入れずにモデル予測的メンテナンスを実施することを含むことがある。コストインセンティブが利用可能である場合、ステップ1702で受け取られたコストインセンティブ情報によって示されるコストインセンティブは、そのコストインセンティブがメンテナンスに関連するか及び/又は資本購入に関連するかに応じて、グループ/サブセットに分けることができる。コストインセンティブは、満たすために、メンテナンスと1つ又は複数の資本購入とを必要とすることがある。いくつかの実施形態では、コストインセンティブが、メンテナンスと1つ又は複数の資本購入との両方が満たされることを必要とする場合、コストインセンティブは、連係された決定のパッケージとして扱われる。いくつかの実施形態では、コストインセンティブが、メンテナンスと1つ又は複数の資本購入との両方が満たされることを必要とする場合、コストインセンティブは、メンテナンスと資本購入との特定の組合せに連係される。例えば、コストインセンティブを満たすために必要とされる2つの対応する活動に関して2つのバイナリ決定変数の値が真(すなわち1)である場合、コストインセンティブに関するバイナリ決定も真になることがあり(例えば、Btax=Bmain×Bcap)、ここで、1は、真であり、0は、偽である。したがって、Btax=1では、目的関数Jの最適化中に費用収益が含まれることがある。いくつかの実施形態では、コストインセンティブからのコスト節約を得るためにすべての要件が満たされる必要がある場合、各グループ/サブセットでの各メンテナンス及び/又は資本購入は、各グループ/サブセットでのすべての他のメンテナンス及び/又は資本購入も実施される場合にのみ実施される。いくつかの実施形態では、コストインセンティブマネージャ950がステップ1704の一部及び/又はすべてを実施する。
プロセス1700は、いくつかの実施形態によれば、メンテナンスに関連する1つ又は複数のコストインセンティブを含むビルディング機器に対してメンテナンスを実施する修正されたコスト(Costmain,mod)を決定すること(ステップ1706)を含むものとして示されている。いくつかの実施形態では、コストインセンティブが利用可能でない場合、ビルディング機器に対してメンテナンスを実施する修正されたコストは、コストインセンティブを考慮せずに決定されることがある。いくつかの実施形態では、利用可能なコストインセンティブがない場合、ステップ1706は、スキップされる。いくつかの実施形態では、Costmain,modは、最適化期間中の各時間ステップで実施されるすべてのメンテナンス活動に基づいて計算される。いくつかの実施形態では、メンテナンスコスト予測器920がステップ1706の一部及び/又はすべてを実施する。
プロセス1700は、いくつかの実施形態によれば、資本購入に関連するコストインセンティブを含むビルディング機器を購入/交換(すなわち資本購入)する修正されたコスト(Costcap,mod)を決定すること(ステップ1708)を含むものとして示されている。いくつかの実施形態では、コストインセンティブが利用可能でない場合、ビルディング機器を購入/交換する修正されたコストは、コストインセンティブを考慮せずに決定されることがある。いくつかの実施形態では、利用可能なコストインセンティブがない場合、ステップ1708は、スキップされる。いくつかの実施形態では、Costcap,modは、最適化期間中の各時間ステップで実施されるすべての資本購入活動に基づいて計算される。いくつかの実施形態では、資本コスト予測器930がステップ1708の一部及び/又はすべてを実施する。
プロセス1700は、いくつかの実施形態によれば、Costmain,mod及びCostcap,modを用いてモデル予測的メンテナンスプロセスを実施して、ビルディング機器に関する最適な機器サービス提供戦略を決定すること(ステップ1710)を含むものとして示されている。いくつかの実施形態では、ステップ1710は、図10を参照して述べたプロセス1000を実施することを含む。いくつかの実施形態では、最適な機器サービス提供戦略は、最適なメンテナンス戦略及び最適な資本購入戦略を含む。いくつかの実施形態では、最適な機器サービス提供戦略は、最適化期間にわたる複合コストを最適化(最小化)するために使用される。いくつかの実施形態では、図6~9を参照して述べたMPMシステム602がステップ1710の一部及び/又はすべてを実施する。
可変冷媒流量システムのモデル予測的メンテナンス
ここで、図18A~18Bを参照すると、いくつかの実施形態によれば、可変冷媒流量(VRF)システム1800が示されている。VRFシステム1800は、複数の屋外VRFユニット1802及び複数の屋内VRFユニット1804を含むものとして示されている。屋外VRFユニット1802は、ビルディングの外に位置させることができ、冷媒を加熱又は冷却するように動作することができる。屋外VRFユニット1802は、電気を消費して、冷媒を液相、気相及び/又は過熱気相間で変換することができる。屋内VRFユニット1804は、ビルディング内の様々なビルディングゾーン全体にわたって分散させることができ、加熱又は冷却された冷媒を屋外VRFユニット1802から受け取ることができる。各屋内VRFユニット1804は、屋内VRFユニットが位置されている特定のビルディングゾーンに関する温度制御を提供することができる。
VRFシステムの主な利点は、いくつかの屋内VRFユニット1804が冷却モードで動作することができ、他の屋内VRFユニット1804が加熱モードで動作できることである。例えば、屋外VRFユニット1802及び屋内VRFユニット1804は、加熱モード、冷却モード又はオフモードでそれぞれ動作することができる。各ビルディングゾーンは、個別に制御することができ、異なる温度設定値を有することができる。いくつかの実施形態では、各ビルディングは、ビルディングの外(例えば、屋上)に位置された最大3つの屋外VRFユニット1802と、ビルディング全体にわたって(例えば、様々なビルディングゾーン内に)分散された最大128個の屋内VRFユニット1804とを有する。
VRFシステム1800には多くの異なる構成が存在する。いくつかの実施形態では、VRFシステム1800は、各屋外VRFユニット1802が単一の冷媒戻りライン及び単一の冷媒出口ラインに接続する2パイプシステムである。2パイプシステムでは、加熱又は冷却された冷媒の1つのみを、単一の冷媒出口ラインを通して提供することができるため、すべての屋外VRFユニット1802が同じモードで動作する。他の実施形態では、VRFシステム1800は、各屋外VRFユニット1802が冷媒戻りライン、高温冷媒出口ライン及び低温冷媒出口ラインに接続する3パイプシステムである。3パイプシステムでは、2つの冷媒出口ラインを通して加熱及び冷却の両方を同時に提供することができる。
いくつかの実施形態では、VRFシステム1800は、図6~9を参照して述べたモデル予測的メンテナンス(MPM)システム602と統合される。いくつかの実施形態では、MPMシステム602は、VRFシステム1800及びシステム内の任意の/すべての構成要素に関する最適なメンテナンス戦略を決定するように構成される。いくつかの実施形態では、MPMシステム602は、以下と同様及び/又は同一のVRFシステム1800及びその任意の/すべての構成要素に関する最適な購入/交換戦略を決定するように構成される。
いくつかの実施形態では、MPMシステム602は、各構成要素の現在の劣化状態及び使用推定(例えば、負荷予測及び性能曲線)について、VRFシステム1800の構成要素の一部及び/又はすべてを監視するように構成される。例えば、MPMシステム602は、各屋内VRFユニット1804及び各屋外VRFユニット1802を監視することができる。いくつかの実施形態では、各VRFユニットは、様々な要因(例えば、VRFユニットが設置されたとき、VRFユニットが使用される頻度、VRFユニットが実行される電力の平均レベルなど)により、異なる現在の劣化状態を有する。現在の劣化状態及び使用推定に基づいて、MPMシステム602は、機器に関連する動作コスト、メンテナンスコスト及び/又は資本コストを予測することができる。いくつかの実施形態では、これらの予測は、図10を参照して述べたプロセス1000と同様及び/又は同一のプロセスによって行われる。
いくつかの実施形態では、上記の様々なコストが予測された後、最適化期間に関して目的関数Jが生成される。目的関数Jが生成された後、MPMシステム602は、目的関数Jを最適化(すなわち最小化)するように構成することができる。いくつかの実施形態では、目的関数Jの最適化は、VRFシステム1800の各構成要素について決定変数の最適値を決定する。例えば、1つの決定変数は、ビルディングゾーンが適切に冷却されていないことに応答して、屋内VRFユニット1804が最適化期間中の特定の時間ステップにおいてメンテナンスを実施される必要があることを示すことがある。別の例として、別の決定変数は、屋外VRFユニット1802が設置されたときよりもさらに50%多くの電力を消費しているという決定に応答して、最適化期間中の特定の時間ステップにおいて屋外VRFユニット1802を交換する必要があり得る(すなわち資本コストが生じる)ことを示すことがある。
いくつかの実施形態では、1つ又は複数のコストインセンティブは、MPMシステム602が目的関数Jをさらに最適化することを可能にするVRFシステム1800に関連する。例えば、コストインセンティブは、現在の冷媒を環境に優しい冷媒で置き換えるための節税を提供することがある。目的関数Jを最適化するとき、MPMシステム602は、コストインセンティブを満たすための節税が最適化期間にわたって合計コストを削減できることを決定することができる。いくつかの実施形態では、現在の冷媒を環境に優しい冷媒に交換するとき、環境に優しい冷媒が購入されて、VRFシステム1800において交換される必要があるため、追加のメンテナンスコストが生じる。いくつかの実施形態では、現在の冷媒を環境に優しい冷媒で置き換えることにより、節税を行い、さらに動作コストを削減する。いくつかの実施形態では、コストインセンティブは、政府によって実施され、初期コストの一部を相殺してコストインセンティブを実施することにより、より効率的な技術を推進する。したがって、環境に優しい冷媒を実装することにより、VRFシステム1800は、最適化期間中にわたって節税でき、且つ動作コストを削減することができる。
例示的実施形態の構成
様々な例示的実施形態に示したようなシステム及び方法の構成及び配置は、例示的なものにすぎない。本開示ではいくつかの実施形態のみを詳細に述べているが、多くの変更形態が可能である(例えば、様々な要素のサイズ、寸法、構造、形状及び広さ、パラメータの値、取付け配置、材料の使用、色、向きなど)。例えば、要素の位置が逆にされ得るか、又は他の方法で変更され得、個々の要素の性質若しくは数又は位置が変化又は変更され得る。したがって、そのような変更形態は、すべて本開示の範囲内に含まれることが意図される。任意のプロセス又は方法ステップの順序又は並びは、代替実施形態に従って変更されるか又は並べ替えられ得る。本開示の範囲から逸脱することなく、例示的実施形態の設計、動作条件及び配置に対する他の置換形態、修正形態、変更形態及び省略形態がなされ得る。
本開示は、様々な動作を達成するための方法、システム及び任意の機械可読媒体でのプログラム製品を企図する。本開示の実施形態は、既存のコンピュータプロセッサを使用して実装されるか、この目的若しくは別の目的で組み込まれた適切なシステムのための専用コンピュータプロセッサによって実装されるか、又は有線システムによって実装され得る。本開示の範囲内の実施形態は、機械実行可能命令又はデータ構造を担持又は記憶するための機械可読媒体を備えるプログラム製品を含む。そのような機械可読媒体は、汎用若しくは専用コンピュータ又はプロセッサを備える他の機械によってアクセスすることができる任意の利用可能な媒体であり得る。一例として、そのような機械可読媒体は、RAM、ROM、EPROM、EEPROM、CD-ROM若しくは他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置若しくは他の磁気記憶デバイス又は任意の他の媒体を含むことができ、そのような媒体は、機械実行可能命令又はデータ構造の形態での所望のプログラムコードを担持又は記憶するために使用することができ、さらに汎用若しくは専用コンピュータ又はプロセッサを備える他の機械によってアクセスすることができる。上記の媒体の組合せも機械可読媒体の範囲に含まれる。機械実行可能命令は、例えば、汎用コンピュータ、専用コンピュータ又は専用処理機械に特定の機能若しくは機能群を実施させる命令及びデータを含む。
図面は、方法ステップの特定の順序を示しているが、ステップの順序は、図示されるものと異なり得る。また、2つ以上のステップが並行して又は一部並行して実施され得る。そのような変形形態は、選択されるソフトウェア及びハードウェアシステム並びに設計者の選択に依存する。そのような変形形態は、すべて本開示の範囲内にある。同様に、ソフトウェア実装は、様々な接続ステップ、処理ステップ、比較ステップ及び決定ステップを達成するために規則ベースの論理及び他の論理を備えた標準的なプログラミング技法によって達成することができる。