JP7054339B2 - 移動体 - Google Patents

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Description

本発明は、障害物検知を行う移動体に関する。
従来の移動体において、測距センサを用いて周囲の物体までの距離を測定し、その測定結果を用いて障害物を検知することが行われている(例えば、特許文献1参照)。そのようにして障害物を検知した場合には、移動体は、例えば、その障害物との衝突を防ぐために減速したり停止したりする。そのように、移動体において障害物検知に応じた移動制御を行うことによって、より安全な移動を実現することができる。
特開2017-97535号公報
しかしながら、移動体が狭い通路に進入する際や、狭いT字路を通る際、エレベータのカゴに出入りする際などには、壁を障害物として検知してしまうことによって、移動体が動作不能になる可能性があった。一般的にいえば、移動環境によっては、障害物検知によって、本来の移動が制限される可能性があるという問題があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、移動体が壁の近くなどを移動する際であっても、障害物検知によって本来の移動が制限されないようにすることができる移動体を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明による移動体は、自律的に移動する移動体であって、複数方向に関して周囲の物体までの距離を測定する測距センサと、測距センサによる測定結果を用いて障害物を検知する障害物検知部と、移動体を移動させる移動機構と、障害物検知部によって検知された障害物への衝突を防ぐように移動機構を制御する移動制御部と、あらかじめ決められた条件が満たされた場合に、障害物の検知が弱くなるように障害物検知部を制御する障害物検知制御部と、を備えたものである。
このような構成により、あらかじめ決められた条件が満たされた場合には、障害物の検知を弱くすることができる。したがって、例えば、壁の近くを通る際や、エレベータのカゴに出入りする際などに、あらかじめ決められた条件が満たされるように設定することによって、壁などが障害物として検知され、その障害物の検知によって本来の移動が制限されるような事態を低減でき、円滑な移動を実現することができるようになる。
また、本発明による移動体では、障害物検知制御部は、あらかじめ決められた条件が満たされた場合に、障害物検知部による障害物の検知を停止させてもよい。
このような構成により、あらかじめ決められた条件が満たされた場合には、測距センサの測定結果を用いた障害物の検知を停止させることによって、移動体の移動を優先させることができるようになる。
また、本発明による移動体では、障害物検知制御部は、あらかじめ決められた条件が満たされた場合に、障害物検知部による障害物の検知範囲を狭くしてもよい。
このような構成により、あらかじめ決められた条件が満たされた場合であっても、測距センサの測定結果を用いた障害物の検知を狭い範囲で行うことによって、移動体の円滑な移動と、安全性の維持とを両立させることができるようになる。
また、本発明による移動体では、移動体の現在位置を取得する現在位置取得部をさらに備え、あらかじめ決められた条件は、現在位置があらかじめ決められた場所になったことであってもよい。
このような構成により、壁の近くや、狭い通路などをあらかじめ決められた場所に設定しておくことにより、そのような場所において、障害物の検知を弱めることができ、円滑な移動を実現することができるようになる。
また、本発明による移動体では、移動環境において標識を検知する標識検知部をさらに備え、あらかじめ決められた条件は、標識検知部によって標識が検知されたことであってもよい。
このような構成により、壁の近くや、狭い通路などにおいて、ビーコンなどの標識が検知されるように設定しておくことによって、そのような場所において、障害物の検知を弱めることができ、円滑な移動を実現することができるようになる。
また、本発明による移動体では、あらかじめ決められた条件は、移動体がエレベータのカゴに入ったことであってもよい。
このような構成により、移動体がエレベータのカゴに円滑に出入りすることができるようになる。
本発明による移動体によれば、例えば、移動体が壁の近くなどを移動する際であっても、障害物検知によって本来の移動が制限されないようにすることができる。
本発明の実施の形態による移動体の構成を示すブロック図 同実施の形態による移動体の動作を示すフローチャート 同実施の形態における障害物の検知範囲の制限について説明するための図 同実施の形態における障害物検知の制限について説明するための図 同実施の形態における障害物検知の制限について説明するための図 同実施の形態における障害物検知の制限について説明するための図
以下、本発明による移動体について、実施の形態を用いて説明する。なお、以下の実施の形態において、同じ符号を付した構成要素及びステップは同一または相当するものであり、再度の説明を省略することがある。本実施の形態による移動体は、ある条件が満たされた場合に、測距結果を用いた障害物検知が弱くなるように制御するものである。
図1は、本実施の形態による移動体1の構成を示すブロック図である。本実施の形態による移動体1は、自律的に移動するものであり、移動機構11と、測距センサ12と、障害物検知部13と、現在位置取得部14と、標識検知部15と、障害物検知制御部16と、移動制御部17とを備える。なお、移動体1が自律的に移動するとは、移動体1がユーザ等から受け付ける操作指示に応じて移動するのではなく、自らの判断によって目的地に移動することであってもよい。その目的地は、例えば、手動で決められたものであってもよく、または、自動的に決定されたものであってもよい。また、その目的地までの移動は、例えば、移動経路に沿って行われてもよく、または、そうでなくてもよい。また、自らの判断によって目的地に移動するとは、例えば、進行方向、移動や停止などを移動体1が自ら判断することによって、目的地まで移動することであってもよい。また、例えば、移動体1が、障害物に衝突しないように移動することであってもよい。移動体1は、例えば、台車であってもよく、移動するロボットであってもよい。ロボットは、例えば、エンターテインメントロボットであってもよく、監視ロボットであってもよく、搬送ロボットであってもよく、清掃ロボットであってもよく、動画や静止画を撮影するロボットであってもよく、その他のロボットであってもよい。
移動機構11は、移動体1を移動させる。移動機構11は、例えば、移動体1を全方向に移動できるものであってもよく、または、そうでなくてもよい。全方向に移動できるとは、任意の方向に移動できることである。移動機構11は、例えば、走行部(例えば、車輪など)と、その走行部を駆動する駆動手段(例えば、モータやエンジンなど)とを有していてもよい。なお、移動機構11が、移動体1を全方向に移動できるものである場合には、その走行部は、全方向移動車輪(例えば、オムニホイール、メカナムホイールなど)であってもよい。全方向移動車輪を有し、全方向に移動可能な移動体については、例えば、特開2017-128187号公報を参照されたい。この移動機構11としては、公知のものを用いることができるため、その詳細な説明を省略する。
測距センサ12は、複数方向に関して周囲の物体までの距離を測定する。測距センサ12は、例えば、レーザセンサや、超音波センサ、マイクロ波を用いた距離センサ、ステレオカメラによって撮影されたステレオ画像を用いた距離センサなどであってもよい。そのレーザセンサは、レーザレンジセンサ(レーザレンジスキャナ)であってもよい。なお、それらの測距センサについてはすでに公知であり、それらの説明を省略する。本実施の形態では、測距センサ12がレーザレンジセンサである場合について主に説明する。また、移動体1は、1個のレーザレンジセンサを有していてもよく、または、2個以上のレーザレンジセンサを有していてもよい。後者の場合には、2個以上のレーザレンジセンサによって、全方向がカバーされてもよい。また、測距センサ12が超音波センサや、マイクロ波を用いた距離センサなどである場合に、測距センサ12の測距方向を回転させることによって複数方向の距離を測定してもよく、複数方向ごとに配置された複数の測距センサ12を用いて複数方向の距離を測定してもよい。測距センサ12は、所定範囲の方向に関して距離を測定するものであってもよく、全方向に関して距離を測定するものであってもよい。例えば、測距センサ12は、移動体1の前方のみの範囲について、複数方向の距離を測定するものであってもよい。また、例えば、測距センサ12は、全周囲(360度)について、あらかじめ決められた角度間隔で複数方向の距離を測定するものであってもよい。その角度間隔は、例えば、1度間隔や2度間隔、5度間隔などのように一定であってもよい。測距センサ12から得られる情報は、例えば、移動体1のある向きを基準とした複数の方位角のそれぞれに関する周辺の物体までの距離であってもよい。その距離を用いることによって、移動体1のローカル座標系において、移動体1の周囲にどのような物体が存在するのかを知ることができるようになる。
障害物検知部13は、測距センサ12によって測定された距離を用いて障害物を検知する。障害物検知部13は、例えば、測距センサ12によって測定された距離によって、移動体1の近くに物体が存在することが分かった場合に、その物体を障害物として検知してもよい。例えば、測距センサ12によって測定された周囲の物体までの距離が所定の閾値以下になった場合に、障害物検知部13は、その物体を障害物として検知してもよい。その周囲の物体までの距離は、例えば、測距センサ12からの距離であってもよく、移動体1の外縁からの距離であってもよく、移動体1の外縁を仮想的に膨張させた位置からの距離であってもよく、その他の基準からの距離であってもよい。その閾値は、1個であってもよく、または、2個以上存在してもよい。後者の場合には、例えば、停止領域と減速領域とに応じた2個の閾値が存在してもよい。停止領域に存在する障害物が検知された場合には、移動体1が停止され、減速領域に存在する障害物が検知された場合には、移動体1が減速されてもよい。その閾値や障害物が検知される領域は、後述するように、障害物検知制御部16によって変更されてもよい。なお、障害物が検知される領域は、1個であってもよい。その領域は、例えば、停止領域であってもよく、減速領域であってもよい。
現在位置取得部14は、移動体1の現在位置を取得する。現在位置の取得は、例えば、無線通信を用いて行われてもよく、周囲の物体までの距離の測定結果を用いて行われてもよく、周囲の画像を撮影することによって行われてもよく、現在位置を取得できるその他の手段を用いてなされてもよい。無線通信を用いて現在位置を取得する方法としては、例えば、GPS(Global Positioning System)を用いる方法や、屋内GPSを用いる方法、最寄りの無線基地局を用いる方法などが知られている。また、例えば、周囲の物体までの距離の測定結果を用いたり、周囲の画像を撮影したりすることによって現在位置を取得する方法としては、例えば、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)などによって知られている方法を用いてもよい。周囲の物体までの距離の測定結果としては、例えば、測距センサ12の測定結果を用いてもよい。また、あらかじめ作成された地図(例えば、周囲の物体までの距離の測定結果や撮影画像を有する地図など)が記憶されている場合には、現在位置取得部14は、地図を用いて、周囲の物体までの距離の測定結果に対応する位置を特定することによって現在位置を取得してもよく、周囲の画像を撮影し、地図を用いて、その撮影結果に対応する位置を特定することによって現在位置を取得してもよい。また、現在位置取得部14は、例えば、自律航法装置を用いて現在位置を取得してもよい。また、現在位置取得部14は、移動体1の向き(方向)を含む現在位置を取得することが好適である。その方向は、例えば、北を0度として、時計回りに測定された方位角によって示されてもよく、その他の方向を示す情報によって示されてもよい。その向きは、電子コンパスや地磁気センサによって取得されてもよい。
標識検知部15は、移動環境において標識を検知する。その標識は、例えば、マーカ(表示標識)であってもよく、ビーコン(電波標識、無線標識)であってもよく、発光(光標識)であってもよく、音(音標識)であってもよく、その他の標識であってもよい。標識がマーカである場合には、そのマーカは、視覚的に認識されるものであり、移動体1の移動環境に設置されている、あらかじめ決められた図形等であってもよい。そして、標識検知部15は、撮影手段を有しており、その撮影手段によって撮影された画像に、標識であるマーカが含まれることを認識した場合に、標識を検知したと判断してもよい。標識がビーコンである場合には、そのビーコンは、例えば、移動体1の移動環境に設置されている所定の送信局から定期的に送信される、あらかじめ決められた形式の電波であってもよい。そのビーコンは、例えば、Bluetooth(登録商標)や無線LAN(Local Area Network)などの通信方式によって送信されてもよく、その他の方法によって送信されてもよい。そして、標識検知部15は、ビーコンを受信する受信手段を有しており、その受信手段によって受信された信号に、標識であるビーコンが含まれることを認識した場合に、標識を検知したと判断してもよい。標識が発光である場合には、その発光は、移動体1の移動環境に設置されている発光体によって発光された、あらかじめ決められた点滅のパターンであってもよい。そして、標識検知部15は、撮影手段や受光素子等を有しており、その撮影手段や受光素子等によって得られた明るさの変化に、標識である発光の点滅パターンが含まれることを認識した場合に、標識を検知したと判断してもよい。標識が音である場合には、その音標識は、移動体1の移動環境に設置された所定のスピーカから定期的に出力される、あらかじめ決められた音(例えば、あらかじめ決められた周波数の音や、あらかじめ決められたパターンで変化する音など)であってもよい。そして、標識検知部15は、マイクなどの音受付手段を有しており、その音受付手段によって受け付けた音に、標識である音が含まれることを認識した場合に、標識を検知したと判断してもよい。
障害物検知制御部16は、あらかじめ決められた条件が満たされた場合に、障害物の検知が弱くなるように障害物検知部13を制御する。障害物の検知が弱くなるように制御するとは、障害物を検知しなくなる方向に制御することである。例えば、障害物の検知が弱くなるようにとは、障害物の検知を行わないことであってもよい。すなわち、障害物検知制御部16は、あらかじめ決められた条件が満たされた場合に、障害物検知部13による障害物の検知を停止させてもよい。また、例えば、障害物の検知が弱くなるようにとは、障害物の検知範囲を狭くすることであってもよい。すなわち、障害物検知制御部16は、あらかじめ決められた条件が満たされた場合に、障害物検知部13による障害物の検知範囲を狭くしてもよい。障害物の検知範囲を狭くするとは、障害物を検知する距離を短くすることであってもよく、障害物を検知する領域を小さくすることであってもよい。障害物を検知する領域に停止領域と減速領域とが存在する場合には、障害物の検知範囲を狭くする際に、各領域がそれぞれ狭くされてもよく、または、そうでなくてもよい。後者の場合には、例えば、狭くされた後の障害物の検知範囲が、障害物の通常の検知範囲における停止領域にすべて含まれるときには、狭くされた後の障害物の検知範囲は、すべて停止領域となってもよい。
図3は、障害物の検知範囲の一例を示す図であり、移動体1を上方から見た図である。図3を参照して、通常は、移動体1の周囲の領域R11において、障害物が検知されているものとする。すなわち、障害物検知部13は、領域R11に物体が存在することが測距センサ12による測定結果によって分かった場合に、障害物が存在すると判断することになる。一方、あらかじめ決められた条件が満たされた場合には、例えば、その領域R11は、存在しなくなってもよく、または、領域R12に狭められてもよい。前者が、障害物の検知が停止される場合に対応し、後者が、障害物の検知範囲が狭くされる場合に対応する。これらに限定されるものではないが、例えば、領域R11は、移動体1の外縁の各辺に沿った直線を、外方にそれぞれ2~3メートル程度移動させた4個の直線によって囲われる矩形から、移動体1の範囲を除去した領域であってもよい。また、領域R12は、移動体1の外縁の各辺に沿った直線を、外方にそれぞれ5~10センチメートル程度移動させた4個の直線によって囲われる矩形から、移動体1の範囲を除去した領域であってもよい。なお、あらかじめ決められた条件については、後述する。また、図3で示される領域R11,R12は一例であり、例えば、領域R11は、移動体1の外縁からの距離が、所定の長さ以下となる範囲に設定され、領域R12も、同様にして設定されてもよい。その場合には、領域R11,R12のそれぞれは、図3で示される領域R11,R12の各頂点を丸めた形状となる。また、移動体1の移動方向が決まっている場合には、その移動方向にのみ延びるように領域R11,R12のそれぞれが設定されてもよい。例えば、図3で示される移動体1が図中の右方向にしか進まない場合には、図3の移動体1の右側の辺を延ばした直線よりも右側の領域R11,R12のみが、通常の検知範囲や、弱められた検知範囲となってもよい。
移動制御部17は、移動機構11を制御することによって、移動体1の移動を制御する。移動の制御は、移動体1の移動の向きや、移動の開始・停止などの制御であってもよい。例えば、移動経路が設定されている場合には、移動制御部17は、移動体1がその移動経路に沿って移動するように、移動機構11を制御してもよい。より具体的には、移動制御部17は、現在位置取得部14によって取得される現在位置が、その移動経路に沿ったものになるように、移動機構11を制御してもよい。また、移動制御部17は、地図を用いて、移動の制御を行ってもよい。その場合には、移動体1は、地図が記憶される記憶部を備えていてもよい。
また、移動制御部17は、障害物検知部13によって検知された障害物への衝突を防ぐように移動機構11を制御する。移動制御部17は、前述のように、停止領域に存在する障害物が検知された場合には、移動体1が停止するように移動機構11を制御し、停止領域において障害物は検知されていないが、減速領域に存在する障害物が検知された場合には、移動体1がその時点の速度よりも減速するように移動機構11を制御してもよい。移動体1が減速される場合に、その減速後の速度が決まっていてもよく、または、そうでなくてもよい。後者の場合には、例えば、その時点の速度に対して相対的に決まる速度(例えば、50%の速度など)となるように減速が行われてもよい。また、移動制御部17は、障害物が検知された場合に、その障害物を迂回するように移動体1を移動させることによって、障害物への衝突を防止してもよい。障害物の迂回を行う場合には、移動制御部17は、検知された障害物の位置を障害物検知部13から受け取ってもよい。その位置は、移動体1のローカル座標系における位置であってもよい。
なお、上記のような移動の制御は公知であり、その詳細な説明を省略する。また、移動体1が移動経路に沿って移動する場合に、その移動経路は、移動制御部17によって取得されてもよい。その移動経路の取得は、例えば、移動経路の生成によって行われてもよく、外部のサーバ等から移動経路を受け取ることによって行われてもよい。
次に、あらかじめ決められた条件が、(1)現在位置があらかじめ決められた場所になったことである場合、(2)標識検知部15によって標識が検知されたことである場合、(3)移動体1がエレベータのカゴに入ったことである場合のそれぞれについて説明する。
(1)あらかじめ決められた条件が、現在位置に関する条件である場合
この場合には、障害物検知制御部16は、現在位置取得部14によって取得される現在位置が、あらかじめ決められた場所になったときに、障害物の検知が弱くなるように障害物検知部13を制御し、その現在位置が、あらかじめ決められた場所ではないときに、通常どおりの障害物検知を行うように障害物検知部13を制御してもよい。通常どおりの障害物検知とは、弱くされていない障害物の検知である。この場合には、例えば、壁の近くや狭い通路、狭いT字路などを、あらかじめ決められた場所に設定していてもよい。あらかじめ決められた場所は、例えば、0次元の点状の場所であってもよく、1次元の線状の場所であってもよく、2次元の広がりを有する領域の場所であってもよい。本実施の形態では、あらかじめ決められた場所が、2次元の広がりを有する領域である場合について主に説明する。なお、そのあらかじめ決められた場所を示す情報、例えば、あらかじめ決められた場所の座標や輪郭を示す情報が移動体1において保持されており、障害物検知制御部16は、その情報を用いて、現在位置があらかじめ決められた場所かどうかの判断を行ってもよい。
図4Aは、あらかじめ決められた場所である領域R21の一例を示す図である。図4Aを参照して、障害物B1~B3の間の通路が、あらかじめ決められた場所である領域R21に設定されている。また、その通路に移動体1が存在する場合には、領域R11に障害物B1~B3の少なくともいずれかが存在することになるものとする。一方、障害物の検知領域が領域R12に狭められると、その通路に移動体1が存在する場合であっても、領域R12に障害物B1~B3が存在しないことになるものとする。移動体1は、図4Aにおける移動体1-0の位置から出発して図中の上方に移動するものとする。本実施の形態による障害物検知の制御が行われない場合には、移動体1-1の位置において、障害物検知部13によって障害物B1,B3が検知され、移動制御部17は、移動体1を停止させることになる。一方、本実施の形態による障害物検知の制御が行われている場合には、移動体1-1の位置において、障害物検知制御部16により、移動体1の現在位置があらかじめ決められた領域R21になったと判断され、障害物検知部13による障害物の検知が弱められることになる。その結果、移動体1は、移動体1-2,1-3,1-4の位置に移動できることになり、例えば、近道による移動を行ったり、障害物B1~B3の間の通路における作業(例えば、搬送対象物の積み降ろしなど)を行ったりすることができるようになる。
(2)あらかじめ決められた条件が、標識の検知に関する条件である場合
この場合には、障害物検知制御部16は、標識検知部15によって標識が検知されたときに、障害物の検知が弱くなるように障害物検知部13を制御し、標識検知部15によって標識が検知されていないときに、通常どおりの障害物検知を行うように障害物検知部13を制御してもよい。この場合には、例えば、壁の近くや狭い通路、狭いT字路などに、標識を設置してもよい。
図4Bは、ビーコンを出力する送信局が位置P1に設置された状況を示す図である。その送信局は、移動体1の移動の妨げにならないように、例えば、天井などに設置されてもよい。図4Bを参照して、破線の円で示されるところまで、送信局から送信された電波が到達するものとする。したがって、移動体1-1の位置において、標識検知部15によってビーコンが検知され、障害物検知制御部16によって、障害物検知部13による障害物の検知が弱められることになる。その結果、移動体1は、移動体1-2,1-3,1-4の位置に移動できることになり、例えば、近道による移動を行ったり、障害物B1~B3の間の通路における作業を行ったりすることができるようになる。
なお、標識によって、障害物の検知が弱くなる位置を設定する場合には、移動体1に関する設定等(例えば、あらかじめ決められた場所に関する設定等)を行うことなく、標識の存在する箇所において、障害物検知を弱くすることができる。したがって、例えば、図4Bにおいて、障害物B1~B3の間を人が通らない夜間には、位置P1に設置された送信局からビーコンを出力し、障害物B1~B3の間を人が通りうる昼間には、そのビーコンを出力しないなどのように、所定の領域への移動体1が進入できるかどうかを、移動体1への設定を行うことなく、移動体1の移動環境側において変更することもできるようになる。
(3)あらかじめ決められた条件が、エレベータのカゴに関する条件である場合
この場合には、障害物検知制御部16は、移動体1がエレベータのカゴに入ったときに、障害物の検知が弱くなるように障害物検知部13を制御し、エレベータのカゴに入っていないときに、通常どおりの障害物検知を行うように障害物検知部13を制御してもよい。エレベータのカゴに入ったことは、例えば、現在位置によって検知されてもよく、標識によって検知されてもよく、または、その他の方法によって検知されてもよい。現在位置によってエレベータのカゴに入ったことが検知される場合には、障害物検知制御部16は、現在位置取得部14によって取得される現在位置が、エレベータのカゴの領域になったときに、障害物の検知が弱くなるように障害物検知部13を制御し、そうでないときに、通常どおりの障害物検知を行うように障害物検知部13を制御してもよい。また、標識によってエレベータのカゴに入ったことが検知される場合には、障害物検知制御部16は、エレベータのカゴに設置されている標識が標識検知部15によって検知されたときに、障害物の検知が弱くなるように障害物検知部13を制御し、そうでないときに、通常どおりの障害物検知を行うように障害物検知部13を制御してもよい。
図5は、移動体1がエレベータのカゴ3に入る状況を示す模式図である。移動体1が移動体1-5に位置する場合、例えば、エレベータホールに存在する場合には、通常どおりの障害物検知が行われることになる。一方、移動体1-6に位置する場合、すなわち、エレベータのカゴ3に入った場合には、上記のように何らかの方法によってそのことが検知され、障害物検知制御部16によって、障害物検知部13による障害物の検知が弱められることになる。その結果、移動体1は、エレベータのカゴ3の内部において、壁の近くなどに移動することができるようになる。通常、エレベータのカゴ3は、あまり大きくないため、通常の障害物検知が行われている場合には、移動体1の先端部分がエレベータのカゴ3に入ることができたとしても、エレベータのカゴ3の奥側の壁が障害物として検知されることによって、それ以上、移動できなくなる可能性もある。一方、本実施の形態による障害物検知のように、エレベータのカゴ3においては、障害物の検知が弱められることによって、移動体1が、エレベータのカゴ3の奥側の壁の近傍まで移動できることになり、エレベータのカゴ3に適切に入ることができるようになる。
次に、移動体1の動作について図2のフローチャートを用いて説明する。
(ステップS101)移動制御部17は、移動体1の移動の制御を行う。この移動の制御は、例えば、目的地に向かう移動の制御であってもよい。このステップS101の移動の制御が繰り返して行われることによって、移動体1は、出発地から目的地に到達してもよい。
(ステップS102)障害物検知制御部16は、現在位置取得部14によって取得された現在位置が、あらかじめ決められた場所であるかどうか判断する。そして、現在位置があらかじめ決められた場所である場合には、ステップS105に進み、そうでない場合には、ステップS103に進む。
(ステップS103)障害物検知制御部16は、標識検知部15によって標識が検知されたかどうか判断する。そして、標識が検知された場合には、ステップS105に進み、そうでない場合には、ステップS104に進む。
(ステップS104)障害物検知制御部16は、移動体1がエレベータのカゴに入ったかどうか判断する。そして、エレベータのカゴに入った場合には、ステップS105に進み、そうでない場合には、ステップS106に進む。
(ステップS105)障害物検知制御部16は、障害物検知部13による障害物の検知が弱くなるように制御する。なお、その時点において障害物の検知が弱くなるように制御されている場合には、その制御が継続されることになる。
(ステップS106)障害物検知制御部16は、障害物検知部13による障害物の検知が通常になるように制御する。なお、その時点において障害物の検知が通常であるように制御されている場合には、その制御が継続されることになる。
(ステップS107)障害物検知部13は、障害物を検知したかどうか判断する。そして、障害物を検知した場合には、ステップS108に進み、そうでない場合には、ステップS101に戻る。なお、障害物の検知は、ステップS105,S106による制御に応じた範囲において行われる。例えば、ステップS105からステップS107に進んだ場合には、図3の領域R12で示される範囲で障害物の検知が行われてもよく、または、障害物の検知が行われなくてもよい。なお、ステップS105からステップS107に進んだ場合であって、あらかじめ決められた条件が満たされた際には障害物の検知を行わない場合には、障害物を検知しないとして、ステップS101に戻ってもよい。一方、例えば、ステップS106からステップS107に進んだ場合には、図3の領域R11の範囲で障害物の検知が行われてもよい。
(ステップS108)移動制御部17は、障害物の検知に応じた移動制御を行う。その移動制御は、例えば、移動体1の減速や停止であってもよく、障害物を迂回するように移動体1を移動させることであってもよい。障害物の検知に応じて移動体1を停止させた場合には、移動制御部17は、障害物が検知されなくなるまで停止を継続し、障害物が検知されなくなってから、ステップS101に戻って移動を再開してもよい。また、障害物の検知に応じて移動体1を減速させた場合には、移動制御部17は、移動速度の上限を減速後のものに制限した上で、ステップS101に戻って移動を継続してもよい。その場合には、障害物が検知されなくなったとき(ステップS107でNOと判断されたとき)に、移動速度の上限の制限を解除してもよい。また、障害物の検知に応じて障害物を迂回するように移動体1を移動させる場合には、移動制御部17は、障害物検知部13から受け取った障害物の位置を用いて、その位置を迂回する経路を取得し、その迂回の経路に応じた移動を行うことによって障害物が検知されなくなった後に、ステップS101に戻って目的地までの移動を継続してもよい。
なお、図2のフローチャートにおける処理の順序は一例であり、同様の結果を得られるのであれば、各ステップの順序を変更してもよい。また、図2のフローチャートには含まれていないが、現在位置取得部14による現在位置の取得や、標識検知部15による標識の検知は、繰り返して行われているものとする。また、図2のフローチャートにおいて、移動体1が目的地に到達したこと、または電源オフや処理終了の割り込みにより処理は終了する。
以上のように、本実施の形態による移動体1によれば、移動体1が、壁の近くを通る際や、狭い通路を通る際、エレベータのカゴに入る際などに、あらかじめ決められた条件が満たされるように設定を行うことによって、そのような経路を移動体1が通る際にも、壁などが障害物として検知され、本来の移動が制限される事態を回避することができるようになる。その結果、目的に応じた円滑な移動を実現することができるようになる。また、狭い通路なども通ることができるようになるため、近道の経路を選択することもできるようになり、移動効率を向上させることもできるようになる。
なお、本実施の形態では、移動体1において、上記(1)~(3)のそれぞれがあらかじめ決められた条件となる場合について説明したが、そうでなくてもよい。(1)~(3)のいずれかのみがあらかじめ決められた条件となってもよい。この場合には、例えば、現在位置があらかじめ決められた場所になったことのみが、あらかじめ決められた条件となってもよい。また、(1)~(3)の任意の2個のそれぞれがあらかじめ決められた条件となってもよい。この場合には、例えば、現在位置があらかじめ決められた場所になったこと、及び標識検知部によって標識が検知されたことが、あらかじめ決められた条件となってもよい。また、あらかじめ決められた条件として、移動体1の円滑な移動を実現するための上記(1)~(3)以外の条件が用いられてもよい。なお、あらかじめ決められた条件が満たされるかどうかの判断に標識の検知が用いられない場合には、移動体1は、標識検知部15を備えていなくてもよい。また、あらかじめ決められた条件が満たされるかどうかの判断に現在位置が用いられない場合であって、移動制御にも現在位置が用いられない場合には、移動体1は、現在位置取得部14を備えていなくてもよい。
また、本実施の形態では、あらかじめ決められた条件が満たされた場合に、障害物の検知が停止されるか、または、障害物の検知範囲が狭くされると説明したが、それらは、満たされたと判断された、あらかじめ決められた条件に応じて変更されてもよい。すなわち、あらかじめ決められた条件に応じて、障害物検知を弱くする程度が決まっていてもよい。例えば、現在位置が第1の場所になった場合には、障害物の検知が停止され、現在位置が第2の場所になった場合には、障害物の検知範囲が狭くされてもよい。また、第1の標識が検知された場合には、障害物の検知が停止され、第2の標識が検知された場合には、障害物の検知範囲が狭くされてもよい。なお、第1及び第2の場所は、それぞれ異なる場所であり、第1及び第2の標識は、それぞれ異なる標識であるとする。また、標識が検知された場合には、障害物の検知が停止され、現在位置があらかじめ決められた場所になった場合には、障害物の検知範囲が狭くされてもよい。また、エレベータのカゴに入ったことが検知された場合には、障害物の検知が停止されてもよく、または、障害物の検知範囲が狭くされてもよい。
また、本実施の形態では、移動体1がエレベータのカゴに入った際に、障害物検知が弱められる場合について説明したが、例えば、エレベータホールからエレベータのカゴに入る際にも、エレベータの入り口部分を障害物と検知する可能性もあり得る。そのような場合には、例えば、エレベータホールの領域を、障害物検知が弱められる場所に設定したり、エレベータホールに、障害物検知を弱めるための標識を設置したりすることによって、移動体1がエレベータホールからエレベータのカゴに移動する際や、エレベータのカゴからエレベータホールに移動する際にも障害物検知が弱められるようにしてもよい。
また、本実施の形態では、測距センサ12による測定結果を用いた障害物検知のみを行う場合について説明したが、それ以外の障害物検知を行ってもよい。例えば、接触センサを用いた障害物検知を行うようにしてもよい。その場合には、あらかじめ決められた条件が満たされているかどうかに関係なく、接触センサを用いた障害物検知を行うようにしてもよい。
また、上記実施の形態において、各処理または各機能は、単一の装置または単一のシステムによって集中処理されることによって実現されてもよく、または、複数の装置または複数のシステムによって分散処理されることによって実現されてもよい。
また、上記実施の形態において、各構成要素間で行われる情報の受け渡しは、例えば、その情報の受け渡しを行う2個の構成要素が物理的に異なるものである場合には、一方の構成要素による情報の出力と、他方の構成要素による情報の受け付けとによって行われてもよく、または、その情報の受け渡しを行う2個の構成要素が物理的に同じものである場合には、一方の構成要素に対応する処理のフェーズから、他方の構成要素に対応する処理のフェーズに移ることによって行われてもよい。
また、上記実施の形態において、各構成要素が実行する処理に関係する情報、例えば、各構成要素が受け付けたり、取得したり、選択したり、生成したり、送信したり、受信したりした情報や、各構成要素が処理で用いる閾値や数式、アドレス等の情報等は、上記説明で明記していなくても、図示しない記録媒体において、一時的に、または長期にわたって保持されていてもよい。また、その図示しない記録媒体への情報の蓄積を、各構成要素、または、図示しない蓄積部が行ってもよい。また、その図示しない記録媒体からの情報の読み出しを、各構成要素、または、図示しない読み出し部が行ってもよい。
また、上記実施の形態において、各構成要素等で用いられる情報、例えば、各構成要素が処理で用いる閾値やアドレス、各種の設定値等の情報がユーザによって変更されてもよい場合には、上記説明で明記していなくても、ユーザが適宜、それらの情報を変更できるようにしてもよく、または、そうでなくてもよい。それらの情報をユーザが変更可能な場合には、その変更は、例えば、ユーザからの変更指示を受け付ける図示しない受付部と、その変更指示に応じて情報を変更する図示しない変更部とによって実現されてもよい。その図示しない受付部による変更指示の受け付けは、例えば、入力デバイスからの受け付けでもよく、通信回線を介して送信された情報の受信でもよく、所定の記録媒体から読み出された情報の受け付けでもよい。
また、上記実施の形態において、移動体1に含まれる2以上の構成要素が通信デバイスや入力デバイス等を有する場合に、2以上の構成要素が物理的に単一のデバイスを有してもよく、または、別々のデバイスを有してもよい。
また、上記実施の形態において、各構成要素は専用のハードウェアにより構成されてもよく、または、ソフトウェアにより実現可能な構成要素については、プログラムを実行することによって実現されてもよい。例えば、ハードディスクや半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェア・プログラムをCPU等のプログラム実行部が読み出して実行することによって、各構成要素が実現され得る。その実行時に、プログラム実行部は、記憶部や記録媒体にアクセスしながらプログラムを実行してもよい。また、そのプログラムは、サーバなどからダウンロードされることによって実行されてもよく、所定の記録媒体(例えば、光ディスクや磁気ディスク、半導体メモリなど)に記録されたプログラムが読み出されることによって実行されてもよい。また、このプログラムは、プログラムプロダクトを構成するプログラムとして用いられてもよい。また、そのプログラムを実行するコンピュータは、単数であってもよく、複数であってもよい。すなわち、集中処理を行ってもよく、または分散処理を行ってもよい。
また、本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
以上より、本発明による移動体によれば、例えば、壁などの近くを移動体が通る際に、その壁を障害物として検知しないように設定できるという効果が得られ、自律的に移動する移動体として有用である。
1 移動体
11 移動機構
12 測距センサ
13 障害物検知部
14 現在位置取得部
15 標識検知部
16 障害物検知制御部
17 移動制御部

Claims (4)

  1. 自律的に移動する移動体であって、
    複数方向に関して周囲の物体までの距離を測定する測距センサと、
    前記測距センサによる測定結果を用いて障害物を検知する障害物検知部と、
    前記移動体を移動させる移動機構と、
    前記障害物検知部によって検知された障害物への衝突を防ぐように前記移動機構を制御する移動制御部と、
    あらかじめ決められた条件が満たされた場合に、障害物の検知が弱くなるように前記障害物検知部を制御する障害物検知制御部と、
    前記移動体の現在位置を取得する現在位置取得部と、を備え
    前記あらかじめ決められた条件は、現在位置が、あらかじめ決められた2次元の広がりを有する領域になったことである、移動体。
  2. 自律的に移動する移動体であって、
    複数方向に関して周囲の物体までの距離を測定する測距センサと、
    前記測距センサによる測定結果を用いて障害物を検知する障害物検知部と、
    前記移動体を移動させる移動機構と、
    前記障害物検知部によって検知された障害物への衝突を防ぐように前記移動機構を制御する移動制御部と、
    あらかじめ決められた条件が満たされた場合に、障害物の検知が弱くなるように前記障害物検知部を制御する障害物検知制御部と、
    移動環境において、送信局から送信された電波標識を検知する標識検知部と、を備え、
    前記あらかじめ決められた条件は、前記標識検知部によって電波標識が検知されたことである、移動体。
  3. 前記障害物検知制御部は、前記あらかじめ決められた条件が満たされた場合に、前記障害物検知部による障害物の検知を停止させる、請求項1または請求項2記載の移動体。
  4. 前記障害物検知制御部は、前記あらかじめ決められた条件が満たされた場合に、前記障害物検知部による障害物の検知範囲を狭くする、請求項1または請求項2記載の移動体。
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