本発明の様々な態様及び変化形の非限定的な例を、本明細書に記載し、添付図面に例示する。
ロボットアームの概観
一般に、外科用ロボットシステム又は外科用ロボット支援システム(例えば、低侵襲外科手技を可能にするための)は、低侵襲手術中などに外科用器具を操作するための1つ以上のロボットアームを含み得る。ロボットアームは、複数のリンクと、隣接するリンク間の相対移動を可能にする複数の作動継手モジュールとを含み得る。例えば、図1Aに示すように、ロボットアームは、近位端及び遠位端を有する第1のセグメント110と、近位端(第1のセグメント110の遠位端に連結された)及び遠位端を有する第2のセグメント150とを含み得る。加えて、器具駆動体180が、第2のセグメント150の遠位端に連結され、カニューレ190を通過する外科用器具を保持及び作動させるように構成され得る。
ロボットアーム100を外科手技のために使用する間、第1のセグメント110の近位端を、外科手技中、患者の近くの取付点の構造体(例えば、外科用テーブル、カート、壁、天井など)に取り付けるか、又は別の方法で連結してもよい。いくつかの変化形では、第1のセグメント110は三次元空間(例えば、x-y-z座標)内の機械的な遠隔運動中心(以下で更に説明する)を第1のセグメント110の取付点に対して位置決めし得るので、第1のセグメント110は「デカルトアーム」セグメントと呼ばれ得る。更に、第2のセグメント150は器具駆動体によって保持された外科用器具の先端部を第2のセグメント150の可動域によって画定される略球状空間容積内で移動させ得るので、第2のセグメント150は「球状アーム」と呼ばれ得る。デカルトアームセグメントと球状アームセグメントとの組み合わせは、様々な手技タイプ及び患者タイプのために外科用器具を操作する高度なセットアップ柔軟性及び器用さを提供し得る。
ロボットアームのリンク
いくつかの変化形では、図1Bに示すように、第1のセグメント110は、第1の複数のリンクと、第1の複数のリンクを互いに対して作動させるための第1の複数の作動継手モジュールとを含み得る。例えば、第1のセグメント110は、少なくとも5つのリンク、ベースリンク112、肩部ピッチリンク114、肩部ロールリンク116、肘部リンク118、及び前腕部リンク120を含み得、これらは直列に配置されている。隣接するリンクは、隣接するリンクが互いに対して一軸を中心とする運動に実質的に拘束されるような様式で接続され得る。例えば、ベースリンク112及び肩部ピッチリンク114は、クレビス継手構造によってなど、ピッチ軸を中心とする相対運動に実質的に拘束され得る(例えば、ベースリンク112の長手方向軸と肩部ピッチリンク114の長手方向軸との間の角度は増減し得る)。肩部ピッチリンク114及び肩部ロールリンク116は、ロール軸を中心とする相対運動に実質的に拘束され得る(例えば、肩部ピッチリンク114及び肩部ロールリンク116の長手方向軸は実質的に同軸であってもよい)。例えば、肩部ロールリンク116及び肘部リンク118は、クレビス継手構造によってなど、別のピッチ軸を中心とする相対運動に実質的に拘束され得る(例えば、肩部ロールリンク116の長手方向軸と肘部リンク118の長手方向軸との間の角度は増減し得る)。肘部リンク118及び前腕部リンク120は、別のロール軸を中心とする相対運動に実質的に拘束され得る(例えば、肘部リンク118及び前腕部リンク120の長手方向軸は実質的に同軸であってもよい)。
加えて、第1のセグメント110は、機械的な遠隔運動中心を三次元空間内に位置決めする3DOFタスクを超える少なくとも2つの冗長DOFを含む、少なくとも5自由度(degree of freedom、DOF)で第1のセグメント110を作動させるように構成された第1の複数の作動継手モジュール132を含み得る。例えば、図1Cに示すように、第1の継手モジュール132aは、肩部ピッチリンク114をベースリンク112に連結し得、肩部ピッチリンク114をベースリンク112に対して軸Aを中心として枢動させるように構成された少なくとも1つのアクチュエータを含み得る。第2の継手モジュール132bは、肩部ロールリンク116を肩部ピッチリンク114に連結し得、肩部ロールリンク116を肩部ピッチリンク114に対して軸Bを中心として回転させるように構成された少なくとも1つのアクチュエータを含み得る。第3の継手モジュール132cは、肘部リンク118を肩部ロールリンク116に連結し得、肘部リンク118を肩部ロールリンク116に対して軸Cを中心として枢動させるように構成された少なくとも1つのアクチュエータを含み得る。第4の継手モジュール132dは、前腕部リンク120を肘部リンク118に連結し得、前腕部リンク120を肘部リンク118に対して軸Dを中心として回転させるように構成された少なくとも1つのアクチュエータを含み得る。第5の継手モジュール132eは、ロボットアームの第2のセグメントを(例えば、球状ベースリンク152を介して)第1のセグメントの遠位端(例えば、前腕リンク120)に連結し得、ロボットアームの第2のセグメントを前腕リンク120に対して軸Eを中心として枢動させるように構成された少なくとも1つのアクチュエータを含み得る。リンクの例示的な作動及び制御スキームを以下で更に詳細に説明する。
第2のセグメント150は、第2の複数のリンクと、第2の複数のリンクを互いに対して作動させるための第2の複数の作動継手モジュールとを含み得る。例えば、図1Bに示すように、第2のセグメント150は、球状ピッチアセンブリ156を形成する少なくとも4つのリンク、球状ベースリンク152、球状ロールリンク154、並びに第1のピッチリンク156a及び第2のピッチリンク156bをそれぞれ含み得る。上記のように、球状ベースリンク152は、第1のアームセグメント110と第2のアームセグメント150とを接続するように、第1のセグメント(例えば、前腕リンク120)の遠位端に連結され得る。第1のセグメント110と同様に、第2のセグメント150の隣接するリンクは、隣接するリンクが互いに対して一軸を中心とする運動に実質的に拘束されるような様式で接続され得る。例えば、図1Aに示すように、球状ベースリンク152は、軸Eのみを中心とする相対運動を可能にするクレビス継手構造によって前腕部リンク120に連結され得る。加えて、球状ベースリンク152及び球状ロールリンク154は、ロール軸を中心とする相対運動に実質的に拘束され得る(例えば、球状ベースリンク152及び球状ロールリンク154の長手方向軸は実質的に同軸であってもよい)。
加えて、第2のセグメント150は、第2のセグメント150に少なくとも2つのDOFを提供するように構成された第2の複数の作動継手モジュールを含み得る。例えば、図1Cに示すように、第6の継手モジュール134fは、球状ロールリンク154を球状ベースリンク152に連結し得、球状ロールリンク154を球状ベースリンク152に対して軸Fを中心として回転させるように構成された少なくとも1つのアクチュエータを含み得る。第7の継手モジュール134gは、球状ピッチアセンブリを(第1のピッチリンク156aを介して)球状ロールリンク154に連結し得、第1のピッチリンク156を球状ロールリンク154に対して軸Gを中心として枢動させるように構成された少なくとも1つのアクチュエータを含み得る。リンクの例示的な作動及び制御スキームを以下で更に詳細に説明する。
図1Dに示すように、第2のセグメント150は、第1のピッチリンク156a及び第2のピッチリンク156bを含む球状ピッチアセンブリ156を含み得る。器具駆動体180は、第2のピッチリンク156bの遠位端に連結され得る。例えば、図1Eに示すように、第1のピッチリンク156a、第2のピッチリンク156b、及び器具駆動体は、第1のピッチリンク156aの軸Gを中心とする回転を、機械的な遠隔運動中心(remote center of motion、RCM)で器具駆動体の軸G’を中心とする回転に複製するために、1:1比の駆動機構(以下に更に記載されるものなどの)によって拘束される平行四辺形又は四棒リンク機構の3つのリンクとして移動し得、軸G’は軸Gからオフセットされ軸Gに平行である。言い換えれば、第7の継手モジュール134gは、軸Gを中心として枢動するように第1のピッチリンク156aを作動し得、これは、RCMで軸G’を中心として枢動するように器具駆動体を球状ピッチアセンブリ156を通じて間接的に作動させる。ピッチアセンブリ156は、他の従来のピッチアセンブリ機構と比較して増大した容易性、速度、及び柔軟性でRCMを中心として外科用器具を操作するように構成され得る。
いくつかの変化形では、ピッチアセンブリ156は、異なる長さの第1のピッチリンク及び第2のピッチリンクを含み得、長さは、ピッチリンクの端部の枢動点間で測定される。例えば、図1Dに示すように、第1のピッチリンク156aは、第2のピッチリンク156bより短くてもよい。例えば、いくつかの変化形では、第1のピッチリンク156aは、第2のピッチリンク156bの長さ(枢動点間で測定される)の約10%~約80%の長さ(枢動点間で測定される)を有し得る。いくつかの変化形では、第1のピッチリンク長は、第2のピッチリンク長の約20%~約70%、又は第2のピッチリンク長の約25%~約65%であってもよい。例えば、第1のピッチリンク156aは、第2のピッチリンク156bに対して物理的干渉なく回転し得、より小さい容積又はよりコンパクトな構成へとピッチアセンブリ156を折り畳む又は折り曲げることを可能にする。加えて、より短いピッチリンクはその回転の全体にわたってより小さい容積を掃引することになるので、より短いピッチリンク長は、ピッチアセンブリが動作するために必要なワークスペース容積を低減し得る。このような構成は、例えば、保管のため、輸送のため、ピッチアセンブリと患者若しくは手術要員との間の衝突のリスクを低減するため、かつ/又はピッチアセンブリとロボットアームの他の部分などとの衝突のリスクを低減するために有用であり得る。
例えば、いくつかの変化形では、ピッチアセンブリは、不完全平行四辺形として四棒リンク機構の一部であってもよい。例えば、図2Aの概略図に示すように、第1のピッチリンク156a上の枢動点間の距離は距離「A」であってもよく、第2のピッチリンク156b上の枢動点間の距離は距離「B」であってもよく、第2のピッチリンク156b上の遠位端枢動点とRCMとの間の距離は距離「C」であってもよく、仮想リンク沿いのRCMと第1のピッチリンク156a上の近位端枢動点との間の距離は距離「D」であってもよい。ピッチアセンブリ156及び器具駆動体180が移動するとき、有効長さ「A」を有する第1のリンク156a及び有効長さ「C」を有するリンクの回転が常に平行なわけではないように、距離「A」は距離「C」未満であってもよい。
更に、図2Aに示すピッチアセンブリ156が移動するにつれて、RCMは僅かに移動する傾向がある。例えば、図2Bは、第1のピッチリンク156aがその近位端で軸Gを中心として回転する結果である(例えば、図1Dに記載のように)、ピッチアセンブリ156の一連の4つの例示的な姿勢を例示する。ピッチアセンブリが図2Bで姿勢「a」~「d」にわたって移動するとき、RCMは、ピッチリンクによって部分的に形成される平行四辺形の不完全性のため、完全に静止してとどまるのではなく動いて進む。いくつかの変化形では、第1のピッチリンク156aの軸Gを中心とする移動は、遂行されている外科手術タスクの性質により制限され得る。例えば、例示的な一変化形では、第1のピッチリンク156aは、約2インチ~約4インチの長さを有し得(距離「A」として上記した枢動点間で測定される)、第2のピッチリンク156bは、約7インチ~約9インチの長さを有し得る(距離「B」として上記した枢動点間で測定される)。この例示的な変化形では、アーム及び器具駆動体が典型的な外科手術タスクを遂行しているとき、第7の継手モジュール134gにおけるピッチ可動域は、例えば、一般に約10度~約30度であり得る。このような例示的な条件下で、この例示的な変化形のRCMは、約1cm~約3cm動く傾向があり得る。他の変化形では、第1のピッチリンク156a及び第2のピッチリンク156bは、他の好適な長さを有してもよく、かつ/又は遂行されている外科手術タスクのためのピッチ可動域は様々であり得、これは、RCMを約1cm未満又は約3cm超動かし得ることが理解されるべきである。いくつかの変化形では、ピッチアセンブリに近接する第1のアームセグメント(例えば、デカルトアームセグメント)は、RCM点を空間的に固定又は実質的に固定に維持する制御アルゴリズムに基づいて制御され得、それによってさもなければ起こるであろうRCMの移動を補償する。偏差RCMを補償するためのこのような制御アルゴリズム又は制御モードは、例えば、仮想RCMを維持するために本明細書に記載されたものと同様であってもよい。
図3A及び図3Bに示す例示的な変化形では、球状ピッチリンク機構アセンブリ356は、一連のプーリと、四棒リンク機構の移動を促進するプーリを連結する一連のバンドとを含む。第1のピッチリンク356aは、軸Gを中心とする第1のピッチリンク356aの回転を駆動する継手モジュールアクチュエータの出力軸に連結されている一方、第2のピッチリンク356bは、器具駆動体に回転可能に連結されている。第1のピッチリンク356aは、第1のピッチリンク356aの内部空間内に、継手モジュールアクチュエータのハウジングに連結された、一般に第1のピッチリンク356aの近位点に位置する第1のプーリ310を含む。第1のピッチリンク356aはまた、第1のピッチリンク356aの内部空間内に、一般に第1のピッチリンク356aの遠位点に位置する第2のプーリ312を含む。第2のプーリ312は、第2のピッチリンク356bの近位点に強固に固定される。
加えて、第2のピッチリンク356bは、第1のピッチリンク356aが回転するとき第3のプーリ314が対応して回転するように、一般に第2のピッチリンク356bの近位点に位置し、第2のピッチリンク356bの内容積内へと延びる第1のピッチリンク356aの軸に取り付けられ強固に固定された、第3のプーリ314を含む。第2のピッチリンク356bはまた、第2のピッチリンク356bの内部空間内に、一般に第2のピッチリンク356bの遠位点に位置する第4のプーリ316を含む。器具駆動体は、第2のピッチリンク356bの遠位点に回転可能に連結され、したがって第4のプーリ316が回転するとき移動するように拘束される。
継手モジュールが軸Gを中心とする第1のピッチリンク356aの回転を駆動するとき第2のピッチリンク356bの配向が継手モジュールアクチュエータのハウジングの配向に対して固定状態にとどまるように、少なくとも1つのバンド(図3A及び図3Bに図示せず)が、第1のプーリ及び第2のプーリを取り囲む。同様に、第2のピッチリンク356bが回転するとき器具駆動体の配向が第1のピッチリンク356aの配向に対して固定状態にとどまるように、少なくとも1つのバンド(図示せず)が、第3のプーリ及び第4のプーリを取り囲む。要するに、軸Gを中心とする第1のピッチリンク356aの回転は、ピッチリンク、プーリ、及びバンドのシステムを通じて、軸G’を中心とする器具駆動体の回転に変換される。代替的な実施形態では、プーリは、ケーブル、ベルト、及び/又は他の好適な駆動部材と係合してもよい。
第1のプーリ310と第2のプーリ312、及び第3のプーリ314と第4のプーリ316を接続するバンドは、上記の回転移動の変換を容易にするために、適切に張力付与されるべきである。したがって、ピッチアセンブリ356は、張力付与アセンブリを更に含み得る。例えば、張力付与アセンブリは、第1のプーリ310及び第2のプーリ312並びに対応するバンドと面内に位置する少なくとも1つの張力付与プーリと、第3のプーリ314及び第4のプーリ316並びに対応するバンドと面内に位置する少なくとも1つの張力付与プーリとを含むことができる。張力付与プーリの面内位置は、バンドの張力を較正するために調節及び設定され得る(例えば、締結具で)。しかし、ピッチアセンブリ356は、ターンバックル、又は任意の好適な張力付与アセンブリを含み得る。バンドは、ピッチアセンブリの組み立て中に所定の張力レベルに張力付与され、ロボットアームの使用中及び使用の過程にわたって監視及び再張力付与され得る。あるいは、ピッチアセンブリの少なくとも一部分は、正規保守の一環などで、適切に張力付与されたピッチアセンブリ部品と置き換えるように交換可能である。
ロボットアーム中のピッチアセンブリのプーリ配置の例示的な変化形(例えば、駆動部材をプーリ、張力付与機構などに取り付けるためのアセンブリ)は、本出願と同時に出願され、「BELT TERMINATION AND TENSIONING IN A PULLEY ARRANGEMENT FOR A ROBOTIC ARM」と題され、代理人整理番号VESU-032/00US326240-2039を有する米国特許出願第___号に更に詳細に記載されており、同出願は、その全体がこの参照によりここに組み込まれる。
器具駆動体180は、図1Cに示す軸Hに沿ってカニューレ190内へと外科用器具を方向付けるように構成され得る。器具駆動体180は、例えば、軸Hを中心とする器具の回転及び軸Hに沿った並進を可能にし、それによって2つの追加のDOFを提供することができる。冗長な2つのDOFを表現する代替的な方法は、軸Hを中心とする器具軸の回転(器具駆動体内に位置するDOF)を、第1のアームセグメント及び第2のアームセグメントからの7つのDOFと共に含めて、器具駆動体を含むロボットアームの合計8つのDOFとし、次いでロボットアームの目的を検討してベクトル(外科用器具)を6つのDOFタスクとして空間内に位置決めすることであり得る。したがって、このような6つのDOFタスクを遂行するために利用可能な8つのDOFは、2つの冗長な自由度をもたらす。球状ロール軸F、オフセットピッチ軸G’、及び器具軸Hの交点は、カニューレ190内の外科用器具の機械的な遠隔運動中心(「RCM」)を画成する。一般に、機械的なRCMは、外科用器具のポート配置と密に一致し得る(例えば、カニューレ190はポートに連結する)。
他の変化形では、図4に示すように、第2のアームセグメント(球状アーム)の回転軸の少なくとも一部は、図1D及び図1Eに示す変化形と対照的に、共通点で交差しない。むしろ、球状アーム内のリンクは、軸F(球状ロールリンク454が回転する球状ロール軸)、軸G’(球状ピッチ軸、これを中心とする移動は継手モジュール434g並びにピッチリンク456a及び456bによって遠隔制御される)、及び軸H(器具駆動体480が器具を軸方向に回転させる器具回転軸)が一般に共通領域内で交わるが所定の距離(例えば、約1~5センチメートル、又は約2~4センチメートル、又は約3センチメートル)だけ互いからオフセットされるように、構成され得る。いくつかの変化形では、器具軸(軸H)はRCMで交差し得る一方、ロール軸(軸F)及び/又はピッチ軸(軸G’)はRCMと交差しない。例えば、ロール軸及び/又はピッチ軸は、遠隔運動中心から約5センチメートル以下、又は遠隔運動中心から約2センチメートル以下だけオフセットされていてもよい。アームリンクの様々な長さをこのオフセットを達成するように調節し得る(例えば、第1のピッチリンク456aを短くする)。
例えば、3D空間内の同じ点を中心として、その点が機械的RCMであるかのように外科用器具を移動させるために、アームの制御アルゴリズムは、器具の命令された動作の間、軸オフセットを補償するために、アーム内(第1のセグメント、又はデカルトアーム内のを含む)の一部又は全部の継手の好適な作動を計算する。例えば、いくつかの変化形では、ロール軸(軸F)と器具軸(軸H)とのオフセットは、約2センチメートルであり得る。図4に見られるように球状ロールリンク454がロール軸を中心として時計回りに約90度回転すると、継手J1~J5を有する第1のセグメント(例えば、上記のデカルトアーム)は、軸オフセットを補償し同じ効果的なRCMを維持するために、終点が約2cm上、約2cm右にある(図4の視点から眺めるとき)弧に沿って球状ロールリンク454を並進させるように全体として移動し得る。各継手J1~J5の具体的な回転移動は、かかる移動の時点におけるロボットアームの具体的な姿勢に依存し得る。
一部のエリアでは、オフセットを補償するための制御アルゴリズムは、以下で更に詳細に説明する仮想RCM制御モードで実装されるものと同様であってもよい。したがって、遠隔操作中に有効RCMを中心とする所望の弧状の可動域を維持する能力を犠牲にすることなく、コンパクト設計を達成し得る。これらのオフセット球状ロール軸、球状ピッチ軸、及び/又は器具回転軸を具現化するロボットアームの1つの恩恵は、ロボットアームがよりコンパクトに折り曲げ構成へと折り畳まれるように構成され得ることである。ロボットアームがテーブルの可動域(例えば、傾斜)を妨害又は別の方法で限定せず、かつ撮像視野(例えば、CTスキャンなどの医用撮像)を遮断しないように、このようなコンパクトな構成は、例えば、患者テーブルの下(又は移動カート内などの別の好適な保管場所)での効率的な格納のために望ましいことがある。加えて、上記のように、球状ロール軸、球状ピッチ軸、及び器具回転軸のうちの少なくとも1つがオフセットされているロボットアーム配置では、より短いピッチリンクがその回転の全体にわたってより小さい容積を掃引することになるので、ピッチアセンブリが動作するために低減されたワークスペース容積が必要とされ得る。
いくつかの変化形では、図5A~図5Cに示すように、ロボットアーム500は、近位端及び遠位端を有する第1のセグメント510と、第1のセグメント510の遠位端に連結された近位端を有し、更に遠位端を有する第2のセグメント550と、第2のセグメント550の遠位端に連結され、カニューレを通過する外科用器具を保持及び作動させるように構成された器具駆動体580とを含み得る。第1のセグメント510及び第2のセグメント550は、一般に上記の第1のセグメント110及び第2のセグメント150と同様であってもよく、要素は、以下に記載するものを除いて、図1A~図1Cに示すものと同様に付番されている。例えば、図1A~図1Cに関連して上述したロボットアームと同様に、第1のセグメント510は、少なくとも5自由度を提供する複数のリンクを含み得、第2のセグメント550は、少なくとも2自由度を提供する複数のリンクを含み得る。
第1のセグメント510は、その中を第2のセグメント520が移動するワークスペースの位置を移動させるように構成され得る。更に、図5Aに示す変化形では、第1のセグメント510の長手方向軸のうちの少なくとも一部は、隣接するリンク間の継手からオフセットされていてもよい。例えば、肩部ロールリンク516の長手方向軸及び/又は肘部リンク518の長手方向軸は、継手J3(例えば、肘継手)の中心から横方向にオフセットされていてもよい。この横方向のオフセットは、例えば、肩部ロールリンク516と肘部リンク518が互いに対してよりコンパクトに折れ曲がることを可能にする。好適な横方向のオフセットは、例えば、リンクの直径の約1/4(又は半径の約半分)の距離であってもよい。同様に、ロボットアームのコンパクトな折り曲げ構成を更に可能にするために、ロボットアーム内の他のリンクの隣接する継手(複数可)に対する横方向のオフセットが含まれてもよい。
図5B及び5Cに示すように、ロボットアーム500の第2のセグメントは、球状ベースリンク552、球状ベースリンク552に連結された球状ロールリンク554、球状ロールリンク554の遠位端に連結された近位端を有する第1のピッチリンク556a、及び第1のピッチリンク556aの遠位端に連結された近位端を有する第2のピッチリンク556bを含み得る。
球状ロールリンク554は、近位部分554aと、近位部分554aに連結された遠位部分554bとを含み得る。図5A~図5Cに示すように、球状ロールリンク554の近位部分554a及び遠位部分554bは、略円筒状であって、それぞれの長手方向軸に沿って整列していてもよい。近位部分554a及び遠位部分554bは、同様の直径を有し得る。しかし、他の変化形では、近位部分554a及び遠位部分554bは、任意の好適な形状を有し得る(例えば、角柱状、不規則など)。近位部分554a及び遠位部分554bは、一体形成されてもよく(例えば、射出成型、共通片からの切削加工など)、又は別個に形成され互いに連結されてもよい(例えば、締着具、溶接、又は他の接合を介して)。ブリッジ部分又は接続特徴は、後述するように、近位部分554aと遠位部分554bとの間の並進オフセット及び/又は角度オフセットを容易にし得る。
近位部分554aの球状ベースリンク552に対する回転が球状ロール軸を中心とする器具駆動体580の運動を提供するように、(例えば、図1Cに示す軸Fと同様に)、近位部分554aは、球状ロールリンク554のロール軸に沿って配向され得る。球状ロールリンク554の遠位部分554bは、ピッチ軸(例えば、軸G’と同様)と相関する遠隔の角度付き軸(例えば、図1Cに示す軸Gと同様)に沿って配向され得、角度付き軸は、球状ロール軸とは異なる面内にある。例えば、遠隔の角度付き軸は、平行四辺形(少なくとも部分的に第1のピッチリンク556a及び第2のピッチリンク556bによって形成される)がそれを中心として運動する軸であってもよい。図5A~図5Cに描かれているロボットアーム500では、遠位部分554b(及びその遠隔の角度付き軸)は、近位部分554a(及びその球状ロール軸)に対して直交でも平行でもない。
いくつかの変化形では、近位部分554aと遠位部分554bは、1つ以上の方向(例えば、少なくとも2つの方向)にオフセットされていてもよい。例えば、遠位部分554bは、近位部分554aから第1の方向に並進オフセットされていてもよい(例えば、図5Aに示す側面図の視点に示すように)。第1の方向への並進オフセット(例えば、近位部分554aと遠位部分554bの長手方向軸間で測定される)は、例えば、近位部分554a若しくは遠位部分554bの直径の約1~約2倍、近位部分554a若しくは遠位部分554bの直径の約1~約1.75倍、又は近位部分554a若しくは遠位部分554bの直径の約1~約1.5倍であり得る。
追加的に又は代替的に、遠位部分554bは、近位部分554aから第2の方向に角度的にオフセットされていてもよい(例えば、図5Bに示す上面斜視図及び図5Cに示す正面図の視点に示すように)。例えば、近位部分554aの長手方向軸(例えば、球状ロール軸)と遠位部分554bの長手方向軸(例えば、遠隔の角度付き軸)との間の角度オフセットは鈍角であってもよい。上面図の視点から測定すると(例えば、図5Bに示すように)、球状ロールリンクの近位部分と遠位部分の角度オフセットは、例えば、約90度~約135度、約90度~約125度、又は約90度~約105度などであってもよい。正面図の視点から測定すると(例えば、図5Cに示すように)、球状ロールリンクの近位部分と遠位部分の角度オフセットは、例えば、約90度~約135度、約90度~約125度、又は約90度~約105度などであってもよい。したがって、図5A~図5Cに描かれているロボットアーム500において、球状ロール軸と遠位部分554bの遠隔の角度付き軸との非直交性は、球状ロールリンクの並進オフセット部分及び角度オフセット部分によって達成される。
あるいは、いくつかの変化形では、球状ロールリンク554それ自体は、球状ロール軸に沿ってのみ配向されていてもよい。これらの変化形では、第1のピッチリンク556aは、角度付き遠隔軸を中心とする回転を達成するために、球状ロールリンク554に連結された横方向の角度付き突起を含み得る。追加的に又は代替的に、これらの変化形では、第1のピッチリンク556aは、任意の好適な角度の連結を介して球状ロールリンク554に連結され得る(例えば、球状ロールリンクの近位部分554aに類似の部分に直接)。したがって、これらの変化形では、球状ロール軸と遠隔の角度付き軸との非直交性は、球状ロールリンク554と第1のピッチリンク556aとの並進オフセット及び角度オフセットされた連結部分によって達成し得る。
第1のピッチリンク556aは第1の平面内で回転可能であってもよく、第2のピッチリンク556bは第2の平面内で回転可能であってもよい。例えば、第1の平面及び第2の平面は、一般に、互いに対してオフセットされ平行であってもよい。第1のピッチリンク556a及び第2のピッチリンク556bは、上記のピッチアセンブリ156と一般に同様であってもよい。器具駆動体が第1の平面及び第2の平面のうちの少なくとも1つに平行にならない(例えば、第1のピッチリンクと第2のピッチリンクによって少なくとも部分的に形成される平行四辺形からオフセットされる)ように、かつ/又は球状ロールリンク554の少なくとも一部分に平行にならない(例えば、球状ロール軸からオフセットされる)ように、器具駆動体580は、第2のピッチリンク556bの遠位端に連結され得る。
球状ロール軸(例えば、球状ロールリンクの少なくとも近位部分554aの)と遠隔の角度付き軸(例えば、球状ロールリンクの遠位部分554bの)との非直交性の1つの効果は、ピッチアセンブリの少なくとも一部分は球状ロールリンク554の少なくとも一部分に対して角度をなしてもよいことである(例えば、第1のピッチリンク及び第2のピッチリンクによって少なくとも部分的に形成される平行四辺形は、ロール軸から角度オフセットされてもよい)。したがって、ロボットアーム及び器具アセンブリの別の部分が収まって、よりコンパクトな空間へと更に折り畳まれることを可能にする空間が、ピッチアセンブリと球状ロールリンク554との間に設けられてもよい。例えば、図5A~図5Cに示すように、ピッチリンク556a及び556bが互いに対して、及び球状ロールリンク554に対して折り曲げられるときなど、ロボットアーム500の少なくとも第2のセグメント550は、器具駆動体580が球状ロールリンク554とピッチリンク556a及び556bのうちの少なくとも1つとの間に位置決めされたコンパクトな構成へと折り曲げ可能であってもよい。したがって、ロボットアームの第2のセグメント550は、隣接するリンク間の物理的干渉なしに実現される折り曲げ構成及び非折り曲げ構成の全体にわたってより大きい可動域を有し得、それによってより高い器用さを提供する。加えて、球状ロールリンク、ピッチアセンブリ、及び器具駆動体がオフセットされていることは、保管及び/又は輸送目的などのためにより小容積へと折り曲げられるロボットアームの一般的能力を増大させ得る。
いくつかの変化形では、リンクの一部又は全部は、他のリンク、他の継手モジュール、他のロボットアーム、手術助手若しくは他のユーザ、他の外科用機器(例えば、外科用テーブル)、及び/又は他の近くの障害物と衝突した場合にロボットアームの部分を損傷から保護するのに役立ち得るバンパを含み得る。バンパは、追加的に又は代替的に、梱包及び輸送中にロボットアームを損傷から保護するのに役立ち得る。一実施形態では、バンパは、リンクを覆う1つ以上の可撓性プレート(例えば、金属薄板)を含んでもよく、プレートは屈曲して衝撃時のエネルギーを吸収し、それによってその下の構成部品に伝達される衝撃エネルギーを低減する。他の実施形態では、バンパは、発泡体、ゴム、膨張可能なスリーブ、又は他のカバーを含み得る。バンパは、ロボットアームの全長を実質的に覆ってもよく、又はロボットアームの選択された部分(例えば、選択されたリンク、継手モジュール)のみを覆ってもよい。例えば、1つ以上のバンパは、アームの球状セグメントの一部のみ若しくは全長、アームのデカルトセグメントの一部のみ若しくは全長、又はデカルトセグメントの一部分及び球状セグメントの一部分を覆ってもよい。別の例として、1つ以上のバンパは、ロボットアーム内の継手モジュールの一部のみ又は全部を覆ってもよい。更に別の例として、バンパは、アームの一部分を実質的に取り囲んでもよく(例えば、アームを中心として周方向に)、又はアームの周囲長の一部のみを覆ってもよい(例えば、弧状断面を有するスリーブ)。ロボットアームが衝突及び/又は環境内の物体への接近の発生を感知することができるように、バンパのうちの一部又は全部はセンサ(例えば、圧力センサ、静電容量型センサなど)に接続されていてもよい。衝突又は差し迫る衝突を検出すると、制御システムは、現在方向の運動を停止するように、かつ/又は衝突に逆行又は回避するために異なる方向に移動させるように、アームの制御を自動的に調節し得る。
一般に各リンクは、ロボットアームの長さに沿って、少なくとも1つの継手モジュールを受容するための、かつ/又は配線(例えば、通信若しくは電力用の)を通すための内部容積を含み得る。例えば、リンクは略管状構造であってもよい。リンクは、金属(例えば、アルミニウム、鋼など)又は他の好適な剛性材料から作製され得、任意の好適な製造プロセスを通じて機械加工、鋳造、成形、及び/又は形成された部品を含み得る。更に、リンクは、略管状構造を形成するように溶接されるか又は別の方法で互いに締結される複数のリンク部品(例えば、シェル部)を含み得る。
アーム構成
ロボットアーム内の様々なリンクは、異なる目的のための任意の数の所定の構成に配置され得る。例えば、ロボットアーム(例えば、図1Fに関連して上述した球状ロール軸、球状ピッチ軸、及び器具回転軸がオフセットされた変化形)は、外科用テーブルの下への格納、保管、及び/又は運搬などのためにコンパクトな折り曲げ構成に配置し得る。折り曲げアーム構成はまた、ロボットアームを手術患者テーブル、カート、又は他の表面に連結するテーブルアダプタなどの、ロボットアームに連結された構成要素の折り曲げ、引き込み、又は他のコンパクトな保管を組み込み得る。図6A及び図6Bは、ロボットアームの例示的な折り曲げ構成をより詳細に例示する(例えば、図1A及び図1Bに関連して上述した球状ロール軸、球状ピッチ軸、及び器具回転軸がオフセットされていない変化形)。肩部ピッチリンク614及び肩部ロールリンク616は同軸であり肩部肢部615を形成し、肘部リンク618及び前腕部リンク620は同軸であり前腕部肢部619を形成する。折り曲げ構成において、肩部肢部615及び前腕部肢部619は、第1の平面又は「層」内に概ね配置され、互いに向かって折り曲がり得る。球状ベースリンク652及び球状ロールリンク654は、ピッチアセンブリ(ピッチリンク656a及び656b)が第2の平面又は「層」内に概ね配置されるように、前腕部肢部619に対して折り曲がり得る。器具駆動体680は、第1の「層」と第2の「層」の間にたくし込まれてもよい。
図7A及び図7Bは、外科用患者テーブルの下に例示的な折り曲げ構成で配置されたロボットアームの例示的な変化形(図5A~図5Cに関連して上述したロボットアーム500と同様)を例示する。この例示的な折り曲げ構成は、例えば保管及び/又は輸送目的のために使用され得る。図7Bのロボットアーム700Aを参照すると、いくつかの変化形では、ロボットアームは、ピン又は他の好適なアダプタなどによってテーブルTに連結するように構成されたベースリンク712を含み得る。ベースリンク712は、例えば、テーブルTを床に接地させるテーブルTの支柱に連結し得る。ロボットアームは、ベースリンク712に連結された肩部ピッチリンク714と、肩部ピッチリンク714と同軸であり肩部ピッチリンク714に連結された肩部ロールリンク716とを含み得る。ロボットアームの前腕部部分(肘部リンク718及び前腕部リンク720を含む)がロボットアームの肩部部分(肩部ピッチリンク714及び肩部ロールリンク716を含む)に対して折り曲げ可能になるように、リンク718が肩部ピッチリンク714に枢動可能に連結されている。例えば、ロボットアームの前腕部は、ロボットアームの肩部部分及び前腕部部分が同じ平面又は「層」内に概ね位置する状態で、一般にロボットアームの肩部部分上に折り返され得る。図7Aに最も良好に示されるように、球面ベースリンク752(これは前腕部リンク720に連結される)は、肩部部分及び前腕部部分から面外の角度に配向され得る。球状ロールリンク754(これは球状ベースリンク752に連結される)、第1のピッチリンク756a、及び第2のピッチリンク756bを含む、ロボットアームの球状アームセグメントの少なくとも残部は、ロボットアームの肩部部分及び前腕部部分から面外に配置され得る。例えば、球状ロールリンク754の少なくとも近位部分は、ロボットアームのより近位部分から面外にとどまるように、球状ベースリンク752と同軸であってもよい。第1のピッチリンク756a及び第2のピッチリンク756bは、ロボットアームの肩部部分及び前腕部部分の平面の下方に配置されてもよい。器具駆動体780は、図5A~図5Cに関連して上述した球状アームセグメント構成と同様の様式で、球状ロールリンクと第1のピッチリンク756a及び第2のピッチリンク756bのうちの少なくとも1つとの間にたくし込まれるか、又は折り畳まれ得る。いくつかの変化形では、例えば、図7A及び図7Bに示すアームの格納構成は、一般に高さ約8~約12インチ(テーブルの垂直高さに沿って)、幅約8~約12インチ(テーブルの幅に沿って)、及び長さ約18~約22インチ(テーブルの長手方向長さに沿って)の容積を占め得る。例示的な一変化形では、例えば、アームの格納構成は、高さ約10インチ、幅約10インチ、及び長さ約20インチの容積を占め得る。
図7Bは2×2配置に配置された4つのロボットアーム700A、700B、700C、及び700Dを描いているが(すなわち、それゆえ各ロボットアームはテーブルTのそれぞれの象限に利用されるか、又はそれに連結されている)、外科用ロボットシステムは任意の好適な様式で配置されたより少ない(例えば、1つ、2つ、若しくは3つ)又はより多い(4つ、5つ、6つなど)ロボットアームを含み得ることが理解されるべきである。更に、いくつかの変化形では、ロボットアームの1つ以上はテーブルに恒久的に連結されていてもよく、他の変化形では、ロボットアームの1つ以上はテーブルに着脱可能に連結されていてもよい。例えば、システムの少なくとも一部はモジュール式であって、ロボットアームのうちの1つ以上は選択的に着脱可能かつ/又は再配置可能であってもよい。ロボットアームを患者テーブルに連結する連結機構の例示的な変化形は、本出願と同時に出願され、「LINKAGE MECHANISMS FOR MOUNTING ROBOTIC ARMS TO A SURGICAL TABLE」と題され、代理人整理番号VESU-024/00US326240-2029を有する米国特許出願第____号、及び本出願と同時に出願され、「TABLE ADAPTERS FOR MOUNTING ROBOTIC ARMS TO A SURGICAL TABLE」と題され、代理人整理番号VESU-025/01US326240-2116を有する米国特許出願第____号に更に詳細に記載されており、同出願の各々は、その全体がこの参照によりここに組み込まれる。
外科手技における使用中、ロボットアームは、様々な姿勢で構成可能であることによって、広範なワークプレース領域に器具が到達することを容易にし得る。例えば、ロボットアームは、「低」(又は「たくし込み」)アーム位置、「高」アーム位置、及び「跳ね上げ」アーム位置で構成可能であってもよい。「低」アーム位置(又は「高」アーム位置)と「跳ね上げ」アーム位置との間で、器具駆動体の重量がアームによって異なる方向から支持されるように、器具駆動体は、完全にアームを中心として旋回することができる。例えば、図8Aに示すように、「低」アーム位置では、ロボットアーム800は、器具駆動体880を器具駆動体の下方から支持してもよい(アーム800が患者テーブル又はカートの側方及び/若しくは下方に位置するか、又はデカルトアームの少なくとも一部がベースリンクの下方に位置する状態で)。同様に、「高」アーム位置では、ロボットアーム800は、同様に器具駆動体を器具駆動体の下方から支持してもよい(ただし、ロボットアームが患者テーブル又はカートの上方に概ね位置する状態で)。「低」及び「高」アーム位置では、ロボットアーム部の少なくとも一部(例えば、デカルトアームの少なくとも一部分)は、アームを器具駆動体の下方に位置決めするために、患者のレベルより下方に折り曲げ及び/又は位置決めされ得る。図8Bに示すように、「跳ね上げ」アーム位置では、ロボットアーム800は、器具駆動体880を器具駆動体の上方から支持してもよい。「跳ね上げ」アーム位置では、ロボットアーム800の大部分は、アームを器具駆動体の上方に位置決めするために、患者のレベルの上方に延ばし及び/又は位置決めしてもよい。ロボットアームは、追加的に、アームを中心とする360度旋回内の任意の場所に器具駆動体を位置決めするために、「低」又は「高」アーム位置と「跳ね上げ」アーム位置の間の他の中間アーム位置に位置決めされてもよい。更に、器具駆動体のアームに対するクリアランスを改善するために、アームリンクの少なくとも一部(例えば、肩部ピッチリンク、肩部ロールリンク、肘部リンク、及び前腕部リンクを含む)が湾曲していてもよい。例えば、図1Bに示すように、少なくとも肘部リンク118及び前腕部リンク120は、凹面を有する前腕部リンクを形成してもよく、凹部は、一般に器具駆動体のワークスペースに対向している。
いくつかの変化形では、ロボットアームは、外科手技タイプに相関付けられた複数のテンプレート姿勢のうちのいずれかで構成されてもよい。異なるタイプの腹腔鏡手技のためには、異なるポート配置(すなわち、外科用器具がカニューレを通じて患者に入り得る場所)が一般に好ましい。例えば、特定の外科手技は、患者腹部の右下象限の特定の位置の少なくとも第1のポートと、患者の腹部の左上象限の別の特定の位置の第2のポートとを必要としてもよい。加えて、手術助手が手技中に補助する(例えば、1つ以上のロボットアームを操作する、患者をモニタする)ためにいるべき最良の位置として、患者の周囲には異なる位置が存在し得る。この手技のためのテンプレートは、第1のロボットアームに「低」アーム位置の姿勢をとらせ、第1のロボットアームが第1のポートに到達することを可能にし、第2のロボットアームに「高」アーム位置の姿勢をとらせ、第2のロボットアームが第2のポートに到達することを可能にすることを含み得る。第1のロボットアーム及び第2のロボットアームのベースリンクは、手術助手の便宜を図るために、患者テーブルの周囲の好適な位置に取り付けられてもよい。言い換えれば、ロボットアームの集合的配置及び姿勢は、特定の外科手技のためのテンプレート構成を形成してもよく、これは、特定の患者のために僅かにカスタマイズされてもよく、又は別の方法で調節されてもよい(例えば、高さ、胴回り、重量、性別などの患者特性に関して調節する)。いくつかの変化形では、テンプレート姿勢又は他の姿勢(例えば、「低」アーム位置、「高」アーム位置、及び/又は「跳ね上げ」アーム位置)、並びにアーム内の関連付けられた継手角度位置などは、メモリ装置(例えば、ハードドライブ)に記憶し、記憶された姿勢にアームを移動させることを望むときにメモリ装置から呼び出してもよい。更に、いくつかの変化形では、特定の姿勢が達成されてもよく(例えば、ロボットアームのアクチュエータ制御及び/又は手動移動によって)、その特定の姿勢に関連付けられたアーム内の一組の継手角度位置は、保存コマンドのユーザ入力の際にメモリ装置に記憶されてもよい。このような記憶された姿勢は、将来アームを再位置決めするために呼び出され得る。
継手モジュール
上記のように、隣接するアームリンク間の相対運動は、1つ以上の継手モジュールにより発生する。いくつかの変化形では、継手モジュールは、サーボモータ又は他の好適なモータを含む継手モジュールを含み得る。一般に、各継手モジュールは、1つのモータ、又は複数のモータ(例えば、個々のモータ出力を組み合わせるための差動歯車駆動体と共に)を含み得る。加えて、アクチュエータアセンブリは、全体的なトルク出力を増大させるために、ハーモニックドライブ、遊星ギヤボックス、サイクロドライブなどのモータ出力に連結されたギヤボックスを含み得る。継手モジュールは更に、アクチュエータの回転位置を検出し、フィードバックを提供する少なくとも1つのセンサ(例えば、エンコーダ)を含み得る。一般に、継手モジュールは、物理的空間の制約及び医療装置の要件を考慮して、同様に堅牢、軽量、かつコンパクトなロボットアームに寄与するように、堅牢、軽量、かつコンパクトであるように設計されている。加えて、継手モジュールは、ギヤボックス内側の潤滑を保持するように機能する、ロータ軸を中心とする少なくとも1つの円周状シールを含み得る。このようなシールは、理想的には、継手モジュールによる作動に著しく干渉しないように、ロータ軸に対して少量の一貫した摩擦を有する。
いくつかの変化形では、継手モジュールの少なくとも一部は、モータ部を含む第1のハウジングと、負荷(高負荷)部を含む第2のハウジングと、電子機器部を含む第3のハウジングとを有するモジュールアセンブリを含み得る。継手モジュールは、複数のハウジングを、構築及び保守するのが簡単なモジュール様式で組み合わせ得る。例えば、図9A及び図9Bに示すように、継手モジュール900は、モータ部910を有する第1のハウジングと、モータ部910の第1の端部に連結された負荷部920を含む第2のハウジングと、モータ部910の第2の端部に連結された電子機器部930を含む第3のハウジングとを含む。第3のハウジングは、第3のハウジング内に電子機器を封入するように構成されたカバー940を更に含み得る。保守などのために締着具952を除去して継手モジュールのハウジングを解体し得るように、様々なハウジングは、図9Aに示す連結特徴954を結合する着脱可能な締着具952(例えば、ねじ)によって互いに連結されていてもよい。あるいは、ハウジングは、機械的ロック又はスナップロックなどの他の好適な機構によって互いに連結されていてもよい。負荷部、モータ部、及び電子機器部のハウジングのアセンブリは、モジュールハウジング940内に更に封入されていてもよく、モジュールハウジング940は、着脱可能なカバー942によってアクセス可能であってもよい。
継手モジュールのモータ部分910は、ステータ及びロータ(例えばサーボモータの場合)、安全ブレーキ(例えば、以下に記載の変化形のうちの1つ、若しくは別の好適なフェイルセーフブレーキ)、モータの回転位置を測定するためのエンコーダ、軸受などの、モータに関連付けられた様々な構成要素を含み得る。モータ出力に連結されたギヤボックスがハーモニックドライブを含む実施形態では、モータ部910は、ハーモニックドライブ波発生装置を含み得る。図9Cに示すように、モータ部910は、負荷部920から容易に取り外し可能であってもよい(例えば、モジュール様式で)。加えて、蛇行性通路を介して潤滑を保持し、ロータと非接触であるため本質的に低摩擦であるラビリンスシールなどの、少なくとも1つのシールが、モータ部910内に存在してもよい。
図9Bに示すように、継手モジュールの負荷部920は、出力軸受などの高負荷構成要素、ハーモニックドライブのスプライン構成要素922(例えば、円形スプライン及びフレックススプライン)又はギヤボックスの他の部分、隣接する作動リンクの可動域を制限するための機械的継手限界などを含み得る。モータ部の直接出力に続く他の好適な構成要素は、負荷部920ハウジング内に含まれ得る。上記のように、負荷部920は、継手モジュールの残部から容易に取り外し可能であってもよい。
図9Dに示すように、継手モジュールの電子機器部930は、モータに関連付けられモータに連結された様々な電子機器を含み得る。例えば、電子機器部930は、電子機器部930のハウジング内のモータの後端に位置する回路基板932上に、モータドライバ及び/又は信号処理部を含み得る。電子機器へのアクセスは、リアカバー942を取り外すこと(例えば、締着具を取り外すこと)などによりモジュールハウジング940の少なくとも一部を解体することによって達成され得る。
ロボットアーム内の様々な継手モジュールは、一般に、図9A~図9Dに示すように、同一のモジュール構造を有し得るが、ロボットアーム内の異なる継手モジュールは、ロボットアーム内の各継手における空間制限及び/又はトルク要件に応じて、異なるサイズ(例えば、モータの異なる定格及び寸法)を有し得る。アームリンク内又はロボットアーム内の別所に嵌合するように、継手モジュールは、好適なリンク内のサイズになるように略円筒状プロファイルを有してもよい。
安全ブレーキ
継手モジュールのうちの1つ以上は、アクチュエータが故障した場合に継手モジュールの動きを停止させる安全ブレーキ又はフェイルセーフブレーキと、継手モジュールによって接続されたアームリンクとを含み得る。例えば、アクチュエータの故障は、電力の損失(例えば、回路故障、主電源の故障)、又は継手モジュール内のアクチュエータを駆動するために使用される電流の損失によって引き起こされ得る。故障の別の例は、単一の継手モジュールにおけるアクチュエータ出力又は継手の回転位置を測定するために使用される複数のエンコーダセンサ間の不一致であり、これは、例えば機械構成要素の空転の可能性を示すことがある。ロボットアームは、操作するために動力を必要とするので、その力の急激な損失は、ロボットアームの少なくとも一部分が重力又は他の外力によって倒壊することをもたらし得る。ロボットアームの倒壊は、損失が外科手技中に発生した場合、患者の怪我、外科用ロボット支援システム付近のオペレータの怪我、ロボットアーム若しくは外科用器具への損害、並びに/又は他の周囲の機器及び周辺環境の損傷をもたらし得る。故障時にアクチュエータに制動力を加えるフェイルセーフブレーキは、アクチュエータ故障及び/又は他のシステム障害の望ましくない帰結を低減するために役立ち得る。
いくつかの変化形では、安全ブレーキは、安全ブレーキの作動にかかわらずロボットアームの移動を可能にするようにユーザによって手動でオーバーライドされるように構成されてもよい。例えば、システム障害が発生した場合、ロボットアームを手術野から取り外さなければならないことがある。しかし、このような取り外しは、ロボットアームのコマンド制御(これは、システム故障のため可能ではないことがある)及び/又は力ずく(これは、アーム継手を適所でロックするフェイルセーフブレーキのため可能ではないことがある)を必要とする。したがって、ロボットアームは、安全ブレーキをオーバーライドするための機構を含み得る。例えば、安全ブレーキはユーザの手動の力によって克服し得、手動の力はギヤボックス又はレバレッジを増大させる機構などによって増幅されてもよく、されなくてもよい。一変化形では、ロボットアームは、特別な道具又はクランクによって安全ブレーキを手動で克服する(例えば、継手モジュール内のロータに手動で動力供給することによって)ためのアクセスを提供するアクセスパネルを(例えば、1つ以上の継手モジュールの近くに)含み得る。追加的に又は代替的に、安全ブレーキは、ボタン又はハンドルなどによって係合解除されてもよいが、いくつかの変化形では、このような係合解除機構の位置は、ユーザがアームの倒壊を手動で防止することができる可能性が高い位置(例えば、ユーザが器具駆動体の重量のみ支持する必要がある遠位端の近くなど)に限定されてもよい。
好ましくは、安全ブレーキは、軽量かつコンパクトであり、作動及び係合時に比較的小さな熱(又は低温)を生成する。一般に、安全ブレーキは「ブレーキオン」モードと「ブレーキオフ」モードとを有する。いくつかの変化形では、ブレーキは、「ブレーキオン」モードで機械的にバイアスされ、「ブレーキオフ」モードでブレーキを維持するために何らかの力を必要とするバイアスブレーキ(例えば、スプリング適用ブレーキ又は永久磁石ブレーキ)であってもよく、「ブレーキオン」モードは停電時に係合される。他の変化形では、ブレーキは、蓄積エネルギー源(例えば、コンデンサ又はバッテリ)によって動力供給される二次アクチュエータによって作動される双安定ブレーキであってもよい。停電時には、蓄積エネルギー源はその蓄積エネルギーを速やかに二次アクチュエータに放出し、二次アクチュエータは「ブレーキオン」モードに係合する。フェイルセーフブレーキの例示的な変化形を以下で詳細に説明する。
双安定ブレーキ
上記のように、双安定ブレーキは、蓄積エネルギー源(例えば、コンデンサ又はバッテリ)によって動力供給される二次アクチュエータによって作動される。二次アクチュエータの一例を図10A~図10Gに示す。図10Aに示すように、双安定ブレーキ用の例示的なステッパ及びコイルブレーキアクチュエータアセンブリは、磁界を有する磁石1020と、磁石1020に磁気的に吸着される被駆動素子1030と、選択的に磁界を打ち消すように構成されたコイル1040と、コイル1040を活性化して磁界を打ち消すように構成された少なくとも1つのコンデンサ1054とを含む。磁石1020は、例えば、コイル1040が活性化されたときに磁界を打ち消すように、好適にはコイル1040の内部にあることができる特徴(例えば、プロング)を有する永久磁石を含んでもよい。被駆動素子1030は、鉄などの好適な磁性材料から作製され得る。
加えて、二次アクチュエータアセンブリは、主ねじ1012上を走行するナット1014を有する主ねじ1012を駆動するステッパモータ1010又は他の好適なアクチュエータを含んでもよく、磁石1020と係合する(例えば、ピンで)。PCB1050又は他の電子機器アセンブリが、二次アセンブリを制御及びトリガするために追加的に設けられてもよい。PCB1050は、例えば、ステッパモータ1010用の駆動体、1つ以上のコンデンサ1054(例えば、タンタルコンデンサ、セラミックコンデンサなど)若しくは1つ以上の小型バッテリ、少なくとも1つのスイッチトランジスタ、状態センサ1056a及び/又は1056b、状態インジケータLED、他の制御素子などを含んでもよい。複数のコンデンサ及び/又は複数バッテリ(バックアップバッテリを含む)などのPCB1050上に冗長素子が提供されてもよい。
継手モジュールの通常又は典型的な動作中、二次アクチュエータは、図10Cに示すように、「ブレーキオフ」モードにある。コイル1040は活性化されず、それによって磁石1020からの磁界が被駆動素子1030を近くに(例えば、受動磁界によって「駐車」又は係止された状態に)維持することを可能にする。この状態では、エネルギーは1つ以上のコンデンサ1804に蓄積される。状態センサ1056aは、被駆動要素が「ブレーキオフ」モードに従って位置決めされていることを検出してもよい。図10Bに示すように、PCB1050は、供給電力(例えば、24V又は48V)を継続的に監視し、トリガ閾値レベル(例えば、15V)と比較してもよい。ソフトウェアは、監視電力がトリガ閾値レベルより高い間、「ブレーキオフ」コマンド又は信号を高頻度(例えば、1ミリ秒毎)で周期的に送信してもよい。追加的に又は代替的に、状態センサ1056a及び/又は1056bは、ステッパモータの位置及びブレーキ作動の状態を検証してもよい。例えば、状態センサ1056aは、磁石1020(又はナット1014など)が「ブレーキオフ」モードに対応する位置にあるか否かを検出する光反射型又は磁気センサであってもよい。
システム電力がトリガ閾値レベル未満であるのでPCB1050が「ブレーキオフ」コマンド又は信号を送信しないとき、停電が示され得る。停電の表示(又は故意のブレーキコマンド)が発生した場合、PCB1050上の回路は、PCB上のスイッチトランジスタを通じて受動的になど、蓄積エネルギーを放出して通常磁界を打ち消すコイル1040を活性化するように、1つ以上のコンデンサ1054を自動的にトリガする。図10Dに示すように、コイル1840が活性化されると、被駆動素子1020は磁石1020から解放される。被駆動要素1020は、双安定ブレーキ全体の構成要素を作動させるために所定の距離(例えば、ばねによって支配される)を走行し得る。
二次アクチュエータアセンブリは、図10Cに示される構成に戻るように、それ自体を再装備してもよい。図10Eに示すように、ステッパモータ1010は、ナット1014、磁石1020(これは、ピン若しくは他の好適な取付機構によってナット1014に係合する)、及び/又はコイル1040を、解放された被駆動素子1020に向かって遠位に駆動するように、主ねじ1012を回転させ得る。この時点ではコイルはコンデンサから受け取ったエネルギーを消費してしまっており、磁界をもはや打ち消さないので、磁石1020の磁界を使用して非駆動素子1020を捕捉し得る(図10F)。図10Gに示すように、ステッパモータ1010は次いで、ナット1014、磁石1020、被駆動素子1020、及びコイル1040を「ブレーキオフ」構成に戻らせるように、主ねじを逆方向に駆動し得る。あるいは、別の好適な機械的特徴(例えば、ばね)を使用して、被駆動素子1020を「ブレーキオフ」構成に戻してもよい。これらの構成要素が「ブレーキオフ」位置に戻ると、主ねじの近位端の近くに位置する状態センサ1056aは、ブレーキシステムの状態が「ブレーキオフ」位置にあることを確認するために、存在を検証してしてもよい(かつ/又は、モータに対して遠位に位置する状態センサ1056bが構成要素の不在を検証してもよい)。
例えば上記の二次アクチュエータ1000と対となってもよい双安定安全ブレーキの一変化形を図11~図13に示す。図11Aに示すように、ラチェット安全ブレーキモジュール1100は、継手モジュール内のエンコーダと制御PCBボードとの間など、ロータ1110を中心とする継手モジュール内に配設されてもよい。
図11B~図11Fを参照すると、二次アクチュエータ1000の被駆動素子は、引張ばね1124の一端に連結されてもよく、引張ばね1124の他端は、ピン1122に連結されてもよい。ピン1122は、安全ブレーキモジュール1100内に配設されたカムホイール又はリング1120と一体又は連結されている。安全ブレーキモジュール1100は、バネ付勢された枢動爪1130を更に含んでもよく、枢動爪1130は、カムホイール1120の内面と関節接合されるローラ1132を有する。爪1130の各々は、ラチェットホイール1140に係合するように構成された先端部1134も含む。ラチェットホイール1140は、軸受1142を介してロータ1110を中心として配設される。図11Eに示すように、ロータ1110上に螺着される加圧ナット1180(天板又はディスク)も、ロータを中心として配設されている。加圧ナット1180は、ラチェットホイール1140と協働して、摩擦パッド1150、中間圧力プレート1160、及びウェーブスプリング1170を含むスタックを圧縮する。この圧縮の程度は、ブレーキ力に相関し、ブレーキ力は、ロータ軸に沿った天板1162の位置によって組立中に調整可能である。図11Fに最も良好に示されるように、圧力プレート1160は、ロータ軸上の長手方向溝に係合するキー1162を含む。
「ブレーキオフ」モードの安全ブレーキモジュール1100を図12A~図12Cに示す。他の双安定ブレーキと同様に、この状態を保持するために電力は必要とされない。二次アクチュエータ1000内の被駆動素子が磁石1020に磁気的に保持され、それによってピン1122(ばね1124を介して被駆動素子に取り付けられた)及びカムホイール1120が「ブレーキオフ」位置を維持することを可能にするように、二次アクチュエータ1000は、磁気ラッチに係合する。この位置では、枢動爪1130のローラ1132は、カムホイール1120の内面のローブと関節接合し、それによって爪先端部1134をラチェットホイール1140から係合解除された状態に保つ。
「ブレーキオン」モードの安全ブレーキモジュール1100を図13A~図13Dに示す。動力損失が発生した場合、二次アクチュエータ1000は、磁気ラッチを解除し(被駆動要素が解放されるので)、ばね1124は、回転中(図13Bに示すように反時計方向へ)のカムホイール1120を突如引っ張る。ばね装填爪ローラ1132は、カムホイール1120の内面のローブから離間して関節接合し、それによって爪チップ1134が係合してラチェットホイール1140の回転を停止させることを可能にする。ラチェットホイール1140が停止すると、摩擦パッド1150(ラチェットホイール1140と圧力プレート1160との間に位置する)は、圧力プレート1160をゆっくり停止させる。ロータは圧力プレート1162上の軸方向キー1160と係合しているので、ロータは、圧力プレート1160と共にゆっくり停止し、それによってロータと、継手モジュールによって提供される全ての作動とを停止させる。この「ブレーキオン」モードでは、安全ブレーキアセンブリは単一の設定クラッチとして作用する。この「ブレーキオン」モードでは、ブレーキを保つために動力を必要としない。
その後、安全ブレーキモジュール1100を非活性化し、「ブレーキオフ」状態に戻してもよい。図10E~図10Gに関して上述したように、二次アクチュエータは、磁気ラッチに再係合するように再装備してもよい。磁気ラッチの再係合は、カムホイール1120を回転させ(図13Bに描かれているのとは反対の時計方向に)、爪を枢動させ、その先端部1134をラチェットホイール1140から係合解除させる。爪がラチェットホイール1140から係合解除されると、ラチェットホイール1140は、軸受1142上のロータと共に自由に回転する。この場合も、この「ブレーキオフ」モードを保持するために電力を必要としない。
例えば上記の二次アクチュエータ1000の1つ以上のインスタンスと対となり得る双安定安全ブレーキの別の変化形では、図14A~図14Cに示される。図14Aに示すように、継手モジュール1400は、モータハウジング1412を有するモータ部1410と、ブレーキハウジング1422を有するブレーキ部1420とを含み得る。図14Bに示すように、モータ部1410は、スピンするロータ1414と、静止した状態にとどまるステータ1416とを含む。ロータ1414の周りに配設されているのは、図12A~図12C及び図13A~図13Dに関連して上述したものと同様の、ラチェットブレーキアセンブリの2つのインスタンスである。第1のラチェットブレーキアセンブリ1430は、高トルクを有する拘束ブレーキとして機能してもよく、第2のラチェットブレーキアセンブリ1440は、低トルク(第1のラチェットブレーキアセンブリ1430のトルクより低い)を有するクラッチブレーキアセンブリとして機能してもよい。
停電又はシステム障害の場合、第1のラチェットブレーキアセンブリ1430は、上記のように、それぞれの摩擦パッドに係合してロータを停止させてもよい。加えて、第2のラチェットブレーキアセンブリ1440は更に、そのそれぞれの摩擦パッドに係合して補助力を提供してもよい(第1のラチェットブレーキアセンブリ1430と協働してロータを停止させるか、又はロータがすでに停止している場合、ロータの静止位置を維持することを助けるために)。第1のラチェットブレーキアセンブリがロータを停止させた後にロータが可動である必要がある場合(例えば、ロボットアームの姿勢を手動で再決定する、バックドライブするなどのために)、第1のラチェットブレーキアセンブリ1430を停止したロータから係合解除し、第2のラチェットブレーキアセンブリ1440を係合したままにしてもよい。第2のラチェットブレーキアセンブリ1440はより低いトルクを有するので、手動の力によって克服され得る。更に、図14B及び図14Cは、第2のラチェットブレーキアセンブリ(クラッチブレーキ)を、第1のラチェットブレーキアセンブリ(拘束ブレーキ)よりもロータに対してより遠位にあるとして描いているが、あるいは第1のラチェットブレーキアセンブリ(拘束ブレーキ)が、第2のラチェットブレーキアセンブリ(クラッチブレーキ)より遠位にあってもよい。
図15A~図15Fは、双安定ブレーキであってもよい、安全ブレーキの別の変化形を例示する。この変化形では、安全ブレーキ1500は、モータのロータの周りに配置された少なくとも1つのブレーキバンドを含み得る。動力損失又は他の類似の故障時に、二次アクチュエータは、ブレーキバンドの締め付けを誘発し、それによってブレーキを「ブレーキオン」モードにする。「ブレーキオン」モードでは、ブレーキは、摩擦によりロータが運動するのを妨げる締付力をロータに対して提供する。加えて、ブレーキバンドは、ブレーキバンドを解放して「ブレーキオン」モードに入るように二次アクチュエータに意図的に命令することによって活性化されてもよい。あるいは、ブレーキ1500は、「ブレーキオン」モードに向かって付勢されたバイアスブレーキであってもよく、ブレーキ1500は、ブレーキを「ブレーキオフ」モードに維持するために能動的に電力を必要とする。
図15Aに示すように、安全ブレーキ1500は、ロータ1514の周りに巻き付けられるか、又は別の方法でロータ1514を包囲する1つ以上のブレーキバンド1530を含む。ブレーキバンドは、例えば鋼、又は好適には高い引張強度を有する他の材料(あるいは、高い摩擦を有するゴム又は他のエラストマー)であってもよい。いくつかの変化形では、継手モジュールは、追加のブレーキバンド(例えば、第3のブレーキバンド及び第4のブレーキバンド)を含み得る。図15C及び図15Dに示すように、バンドは、ロータの周りに全周距離一周超巻かれ、各端部は、バンドコネクタブロック1564a又は1564bに接続され、バンドコネクタブロック1564a及び1564bが離間されると、ロータ周りの巻き付けループが締め付けられる。この巻き付け構成は、巻き付けの全角度に依存する巻き付けの「キャプスタン」効果の結果として、ブレーキがロータを停止させるための著しいトルクを有することを可能にし(たとえバンドが低摩擦係数の材料から作製されていても)、それによって二次アクチュエータのための低力要件及び低摩擦要件をもたらす。例えば、結果として得られる制動トルクは、キャプスタン式Tload=Thold
*eμφによって支配され得、式中、Tloadはバンドに掛かる張力であり、Tholdはロータの他端に加えられる得られる力であり、μはバンドとロータの間の摩擦係数であり、φはロータの周りのバンドの全てのターンによって掃引される全角度である(ラジアンで測定される)。
「ブレーキオン」モードと「ブレーキオフ」モードとの切替は、二次アクチュエータ1550によって制御される。例えば、二次アクチュエータ1550は、双極ステッパモータを含み得る。ステッパモータは、主ねじを駆動し得、ブレーキバンド1530及び1540の平面に直交する方向にアクチュエータナット1560を直線的に移動させる。アクチュエータナット1560はフレックスリンク1562に連結され、フレックスリンク1562はバンドコネクタブロック1564a及び1564bを引き寄せ、かつ押し離すように構成されている。図15Eに示すように、二次アクチュエータ1550は、能動的にアクチュエータナット1550を前進させ、フレックスリンク1562にバンドコネクタブロック1564a及び1564bを引き寄せさせ、ブレーキバンドは「ブレーキオフ」モードにおいて径方向に拡張される。対照的に、図15Fに示すように、二次アクチュエータ1550がアクチュエータナット1550を引き戻すと、フレックスリンク1562はバンドコネクタブロックを押し離し、ブレーキバンドは「ブレーキオン」モードにおいて引き締められる。更に、二次アクチュエータアセンブリは、アクチュエータナット1550を「ブレーキオン」モードの構成に向かって付勢又は多少バイアスするように構成された捻りばね1570を含んでもよい。したがって、ブレーキの係合に必要なエネルギーは、部分的に捻りばね1570によって提供され、ブレーキを係合解除するために必要なトルクと比較して、ステッパモータは、ブレーキに係合するためにより低いトルクで(かつ、動力損失又はシステム障害に対するより迅速な反応のために、より高速に)駆動することができる。
二次アクチュエータ1550は、図15Bに示すようにPCB1570により制御してもよく、PCB1570は、ステッパモータ駆動信号を生成するマイクロプロセッサ、モータ駆動体集積回路、及びシステム停電時にステッパモータの作動動力を供給する少なくとも1つのバックアップバッテリ(例えば、リチウムイオン)を含み得る。バックアップバッテリは、バックアップバッテリが常に一定の動力を有するように、ロボットアームシステムが電源投入されている間に自動的に充電されてもよい。ステッパモータに送られる駆動信号は、ステッパモータを一方向(「ブレーキオフ」に対応する)又は反対方向(「ブレーキオン」に対応する)に回転させ得る。例えば、図15G及び図15Hで例示する例示的な一実施形態において、PCB1570は、システム電力損失時(例えば、約24Vのシステム電力が約ゼロに突然落ちる)にバックアップバッテリが二次アクチュエータへの電力供給線を閾値電力レベル(例えば、約4.8V~約5V)へ自動的に急増させ、それによって「ブレーキオン」モードの作動を自動的にトリガするように、設計され得る。システム電力復帰時(例えば、システム電源が再び約24V)に、二次アクチュエータは、ブレーキを係合解除してもよい。いくつかの変化形では、ブレーキを係合解除する前に、二次アクチュエータは、遅延時間(例えば、数ミリ秒)だけ待機してもよく、これは、継手モジュールアクチュエータ駆動体が制御を取り戻すことを可能にし得る。追加的に又は代替的に、PCB1570は、コマンド上で「ブレーキオン」又は「ブレーキオフ」作用を活性化するスイッチ入力を有してもよい。追加的に又は代替的に、PCB1570は、電力供給を監視し、二次アクチュエータ1000に関連して上述したトリガ閾値と同様のトリガ閾値と電力とを比較する電子機器を更に含んでもよい。
タッチポイント及び他のユーザインターフェース要素
いくつかの変化形では、図16A~図16Cに示すように、ロボットアームは、特定のユーザとの対話処理を受信するように構成されたアームの領域であるいくつかの「タッチポイント」を含み得る。タッチポイントは、タッチポイントで受信されたコマンドを受信し、受信したタッチポイントコマンドに基づいて1つ以上の継手モジュールに作動を提供する(かつ/又は他の好適なコマンドを出力する)制御システムと電気的に連通していてもよい。追加的に又は代替的に、タッチポイントは、直接連結されてもいい、そのアームのある側面を制御するためのロボットアームの一部分に(例えば、関連付けられた継手を制御するための継手モジュールアクチュエータと直接連通して)。例えば、ロボットアームリンクのうちの少なくとも1つは、ロボットアームが再位置決めモード(以下で更に説明する)で動作しているときに所望のアーム動作を制御するために使用され得る指向性パッド(例えば、十字状Dパッド、上下左右ボタンのセットなど)を含み得る。ハンドル、ジョイスティック、ストラップ、ボタンスイッチ、静電容量センサ(例えば、静電容量式傾きセンサ、静電容量式スクロールなど)、機械的スクロール、圧力センサ、抵抗力センサ、及び/又はカメラなどの他の特徴が、追加的に又は代替的に、ロボットアームを手動操作するためのユーザ相互作用点を提供するために使用されてもよい。例えば、図16A及び図16Bに示すように、ロボットアームは、静電容量感知、圧力感知、及び/又は力感知のためのモジュール1610を含んでもよい。別の例として、図16Cに示すように、ロボットアームは、傾斜した皿式キャップ1620を含んでもよい。他の変化形では、ロボットアームを操作するためのタッチポイントの1つ以上は、器具駆動体上のボタンなど、システム内の別所に位置してもよい。
1つ以上のタッチポイントは、特定の制御モード(例えば、以下で更に説明する制御モードのいずれか)のユーザ選択を表示する手動入力を受信するように構成されてもよい。いくつかの変化形では、抵抗力センサはまた、力の位置及び/又は配向に対して制御モードがトグルオン/オフされ得るように、位置情報を提供してもよい。追加的に又は代替的に、タッチポイント制御機構への入力を補完する情報を証明するために、他の力センサ及び/又はトルクセンサを使用してもよい。これらのタッチポイントのユーザ操作は、アナログ信号又はデジタル信号のいずれを発生させてもよい(アナログ信号が肯定選択又は入力を表すかどうかを識別するために閾値が定義されてもよい)。
タッチポイントの操作の異なるタイミング及び組み合わせが実装されてもよい。例えば、「長押し」相互作用後に1つ以上の制御モードを選択してもよい(例えば、圧力センサ又は静電容量センサが十分な力を検出するか、又はタッチポイントへのユーザ接触の存在を検出する限り、制御モードが持続する)。別の例として、1つ以上の制御モードは、単一の接触若しくは十分な力(又は所定の閾値持続時間続く接触又は所定の閾値力超の力)によって選択及び/又はその後選択解除されてもよい。
更に、ロボットアームは、ロボットアーム及び/又は器具駆動体に関する情報をユーザに提供するように構成されたいくつかの電子機器を含んでもよい。例えば、ロボットアームは、アーム及び/又は器具駆動体の動作状態の聴覚的指示を提供するスピーカを含んでもよい。別の例として、ロボットアームは、ロボットアームリンクのうちの少なくとも1つに1つ以上の表示灯(例えば、LED)を含めてもよい。表示灯は、色及び/又は周波数及び/又は照明の持続時間(例えば、点滅周波数)を通じて、情報を伝達してもよい。このような情報としては、例えば、制御モード、制御状態、システム故障、アーム継手限界の到達若しくは接近、方向、衝突解決、器具変更、器具寿命、器具タイプなどが挙げられる。例えば、単一の表示灯は、通常の動作状態を示す緑色、又は故障若しくは他のエラーを示す黄色若しくは赤色であってもよい。別の例として、表示灯の一部又は全部は、器具タイプを示すために特定の色パターンで照明されてもよい、(例えば、図17B)。加えて、一組の複数の表示灯の照明パターンは、特定のタイプのエラーに相関するコードを伝達してもよい(例えば、図17Cに示すものなど、4つの照明にわたってのオンーオフーオンーオンの照明パターンは、特定の故障を伝達してもよい)。表示灯は、追加的に又は代替的に、外科用ロボット支援システムの他の部分に関する情報を伝達してもよい。図17A~図17Cに示す例示的な一実施形態では、表示灯は、ユーザと通信する光モジュールの一部であってもよい。図17Aに示すように、光リングモジュールは、複数のLED(例えば、マウント1710上にリング、ストリップ、又は他の好適なパターンで配置されている)と、光を均一に拡散させるように複数のLEDの上方に配設された光パイプベゼル1720と、複数のLEDの全体にわたって照明を制御するマイクロコントローラ(例えば、PCB上の)と、を含んでもよい。他の照明素子(例えば、レーザダイオードなど)が、追加的に又は代替的に光モジュール内に含まれてもよい。光パイプベゼルは、アームリンクのハウジング1730内、器具駆動体の一部分、又はロボットアーム上若しくはその近くの他の任意の好適な位置に載置され得る。光パイプベゼルは、例えば、アクリル又は任意の好適な発光材料若しくは光伝搬材料を含み得る。いくつかの変化形では、ジョイスティック又はボタンなどのタッチポイントが、光モジュールの近くに位置決めされてもよい。
別の例として、図16Dに示すように、ロボットアームは、動作状態、障害、他のエラー、及び/又は他の好適な情報をテキスト及び/又はグラフィックで表示するように構成された表示画面1630を含んでもよい。インジケータ電子機器は、例えば、前腕部リンク上に(又は、図1Cに示す継手モジュール134e及び134fの間に)取り付けられてもよく、これは、患者側に(例えば、外科用テーブルの隣に)立っているユーザからインジケータ電子機器が典型的に少なくとも部分的に見える位置であり得る。いくつかの変化形では、表示画面は、ユーザインターフェース(例えば、メニュー、ボタン、スライダ、及び/又はロボットアームを操作するための他の好適な制御)を介してユーザ入力を受容するタッチスクリーンを含んでもよい。表示画面としては、LCD及び/又は静電容量式タッチスクリーンなどの任意の好適な画面を挙げることができる。
更に、図1Dに示すように、ロボットアームは微細位置決めクラッチ170を含んでもよく、微細位置決めクラッチ170は、係合すると、第1のアームセグメント110(デカルトアームセグメント)の継手モジュールが移動することを可能にしつつ、第2のアームセグメント150(球状アームセグメント)の姿勢の少なくとも一部分を実質的に制限又はロックするように構成されている。第2のアームセグメント150の姿勢の少なくとも一部分を制限することは、第1のアームセグメント110を休めることによって第2のアームセグメント150全体が全体として移転されても、例えば、それぞれの回転位置を維持する第2のアームセグメント150内の継手モジュールの一部又は全部に電流コマンドを送信することによって達成され得る。この機能性は、例えば、患者のポート内に位置するカニューレにロボットアームをドッキングさせながら、微細位置決め能力(すなわち、ユーザ位置決め案内に応答してアームの小さな動きを容易にする)を提供するために有用であり得る。例示的な一実施形態では、微細位置決めクラッチ170が係合すると、球状アーム内の第7の継手モジュール134gのみが実質的に制限される(例えば、クラッチ170が係合したときに対応する基準ロック位置に対して一方向若しくは両方向に10度以内、5度以内、若しくは2度以内などの運動に制限される)又はロックされる(例えば、基準ロック位置に対して実質的に移動ゼロに制限される)一方、アーム内の他の継手モジュール(例えば、第1、第2、第3、第4、第5、及び第6の継手モジュール)は制限なく移動するように作動され得る。別の例示的な実施形態では、微細位置決めクラッチ170が係合すると、第6の継手モジュール134f及び/又は第7の継手モジュール134gの両方は、実質的に制限又はロックされる一方、第1のアームセグメント110内の継手モジュールは制限なく移動するように作動され得る。制限及び/又はロックされた継手モジュール及び可動継手モジュールの他の組み合わせが、微細位置決めクラッチの係合時に更に可能になり得る。いくつかの変化形では、微細位置決めクラッチ170は、ピッチリンク機構アセンブリ156上、又は微細位置決めクラッチ170が患者のポートの近くに立っているユーザによって容易にアクセス可能であり得る器具駆動体の近くの別の好適な位置の上など、第2のアームセグメント150上に位置してもよい。
微細位置決めクラッチ170は、任意の好適な機構を含んでもよい。例えば、上記のタッチポイントのいずれかは、微細位置決めクラッチとして動作してもよい。ロボットアーム全体のデフォルトの姿勢を変更することを可能にするように、かつ微細位置決めクラッチ170が係合しているときのみ球状アームの移動を規制するように、ロボットアームのいくつかの制御モードでは、微細位置決めクラッチ170は「係合解除」モードに向かってバイアスされていてもよい。追加的に又は代替的に、ドッキングモードの一変化形などのいくつかの制御モードでは、微細位置決めクラッチ170が係合解除されない限り第1のアームセグメント110のみの姿勢を変更することを可能にするように、微細位置決めクラッチ170は、「係合」モードに向かってバイアスされていてもよい。更に、いくつかの変化形では、ロボットアーム100は、現在の姿勢において一組のリンクを同様にロックしながら別の組のリンク間の相対運動を可能にする1つ以上の他のクラッチを、任意の好適な組み合わせで含んでもよい。
コントローラ
外科用ロボット支援システムは、ロボットアーム(又は、外科用ロボット支援システムが2つ以上のロボットアームを含む場合は、複数のロボットアーム)の作用を支配する制御システムを含んでもよい。図18に示すように、制御システムは、1つ以上のプロセッサ1850(例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、アプリケーション固有集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ、及び/又は他の論理回路)を含み得る。ロボットアームそれ自体上に、カートで運ばれるユニット内に、又は他の好適な構造体内に物理的に位置し得るプロセッサ1850は、コンソール(例えば、ユーザインターフェース)に通信可能にリンクされていてもよい。制御システムは、一組の複数のモータコントローラ(例えば、1854a、1856a、1858a、1860a、1862a、1864a、及び1866a)を更に含んでもよく、その各々は、プロセッサ1850に通信可能に連結され、ロボットアーム内のそれぞれの継手モジュール内の少なくとも1つのアクチュエータ(例えば、1854b、1856b、1858b、1860b、1862b、1864b、及び1866b)を制御及び操作するように捧げられている。
モータコントローラからの信号は、(例えばワイヤハーネス内の)束ねられた有線接続を通じてアクチュエータに伝達され、ロボットアームのアームリンク及び継手モジュールの内部容積内を通ってもよい。いくつかの変化形では、有線接続は、ワイヤハーネス内などに束ねてもよい。更に、ネットワークハードウェアの物理層は、スイッチングの過渡現象又はモータ駆動体が継手モジュールを作動させるときモータ駆動体によって生成される突発的なエネルギーによって引き起こされる電気干渉を低減するように構成されてもよい。例えば、物理層は、このような干渉を低減するために、RS485タイプのトランシーバ、光絶縁された、及び/又はトランス結合されたインターフェースを含むことができる。
いくつかの変化形では、ロボットアームの内側のワイヤの総本数を減少させることが望ましいことがあり、これは、ワイヤ束又はハーネスのプロファイルを減少させ、リンク及び移動する継手モジュールを通るワイヤのルーティングを単純化するであろう。例えば、ワイヤ接続は、ノード(例えば、アクチュエータ又はセンサ)との通信のやりとりのためのワイヤがノードに入る一対のワイヤとノードから出る別の一対のワイヤとに低減された、デイジーチェーンリング構成で配置されてもよい。更に、ロボットアームの内側のワイヤのデイジーチェーンリング構成は、外科用ロボット支援システム(例えば、他のロボットアーム)の残りの全体にわたって拡張されてもよい。その結果、デイジーチェーンリング構成の拡張は、例えば、ノードと制御システムとの間のデータ(例えば、コマンド及びフィードバック情報)のやりとりにおける時間遅延を低減し得る。デイジーチェーンリング構成は、全てのアクチュエータノードを制御システムに位相ロック又は同期するために使用され得るタイミング情報を分配してもよく、これは、全てのアクチュエータノードからのフィードバック情報が同時に生成されることを確実にし、それによって1つ以上のロボットアームの挙動を支配するより正確な制御ループを可能にする。
図19に示すように、制御システムは、1つ以上の制御モードに基づいて少なくとも1つの継手モジュールを作動させるように構成されてもよい。例えば、制御モードは、プリミティブモード(これは、少なくとも1つの継手モジュールの作動のための基礎的な挙動を支配する)として、又はユーザモード(これは、より高いレベルの、タスク固有の挙動を支配し、1つ以上のプリミティブモードを利用してもよい)として分類されてもよい。いくつかの変化形では、ユーザは、ユーザインターフェース装置を介して(例えば、操作コマンドリストから特定のモードを選択する)又はボタン、タッチスクリーン、若しくはロボットアームの面上の上記のものなどの他のタッチポイント面を活性化することによって、特定の制御モードを選択してもよい。ユーザが特定のタッチポイント表面に係合すると、様々な制御モード間の切り換えが、例えば、ステートマシン/コントローラによって処理されてもよい。
プリミティブモード
いくつかの変化形では、プリミティブモードは、ロボットアームが特定のタスクを行うことを可能にする、最も小さい機能ブロックであってもよい(例えば、継手モジュールの両側のアームリンク間の角度を増大又は減少させるように継手モジュールを作動させる)。図19に示すように、プリミティブ制御モードの一例は、継手コマンドモードであり、継手コマンドモードは、ユーザが単一の継手モジュールアクチュエータを個別的に、かつ/又は複数の継手モジュールアクチュエータをまとめて、直接制御することを可能にする。継手コマンドモードでは、ロボットアームは継手ごとに命令されてもよい。出力は入力と同じであるため、コマンドは、直接又は「パススルー」である。例えば、制御システムの入出力としては、継手モジュール指標(例えば、どの継手モジュールがコマンドに関連付けられているかを定義する指標)、命令されたモードの表示(継手モジュール内の1つ以上のアクチュエータへの電流若しくは電力、継手モジュール内の1つ以上のアクチュエータの回転位置などをコマンドが制御すべきかを定義する)、及び基準コマンドの表示(命令された電流、位置、速度などの値)などが挙げられる。いくつかの変化形では、継手コマンドモードは、継手モジュール及び/又はアクチュエータレベルで何らかのエラー処理ステップを含んでもよい。例えば、継手コマンドモードは、継手コマンドが継手モジュールにその物理的な限界を超えさせないことの確認、及び/又は継手コマンドが1つ以上のアクチュエータの電流制限を超えないことの確認を含んでもよい。いくつかの変化形では、継手コマンドモードは、例えば、システムのチューニング及び試験のために使用されてもよい。
図19に示すように、プリミティブ制御モードの別の例は、重力補償モードであり、重力補償モードでは、ロボットアームは、重力のために下方へ押し流されることなく、それ自体を特定の姿勢(すなわち、リンク及び継手モジュールの特定の位置及び配向)に保持する。重力補償モードでは、制御システムは、ロボットアーム内のリンクの少なくとも一部分に作用する重力を決定する。応答して、制御システムは、ロボットアームが現在の姿勢を維持することができるように、決定された重力に対抗するように少なくとも1つの継手モジュールを作動させる。重力を決定するために、コントローラは、隣接するリンク間の測定した継手角度、ロボットアーム及び器具駆動体の既知の運動学的及び/若しくは動的特性、並びに/又はアクチュエータの既知の特性(例えば、ギヤ比、モータトルク定数)などに基づいて計算を遂行してもよい。更に、ロボットアームは、アームにかかる重力の方向を決定するように構成された少なくとも1つの加速度計又は他の好適なセンサを含んでもよい。これらの計算に基づいて、コントローラは、その継手モジュールに作用する重力を補償するために各継手モジュールで必要とされる力をアルゴリズムによって決定してもよい。例えば、コントローラは、順運動学的アルゴリズム、逆動力学的アルゴリズム、又は任意の好適なアルゴリズムを利用し得る。コントローラは、次いで、一組のコマンドを生成して、継手モジュール内のアクチュエータに、ロボットアームを同じ姿勢に保持する適切な電流レベルを提供し得る。重力補償モードは、例えば、単独で、又は以下に記載のユーザモード、ドッキングモード、ドレーピングモード、セットアップモード、及び/又は器具変更モード、の中の他のモードと組み合わせて使用されてもよい(例えば、外科用器具を器具ホルダに連結すること、器具ホルダ内の既存の外科用器具を新しい外科用器具と交換することなど)。
図19に示すように、プリミティブ制御モードの別の例は、摩擦補償モード、又は能動バックドライブモードである。多くの場合、ユーザは、ロボットアームを特定の姿勢に配置するために、1つ以上のアームリンクを直接操作(例えば、引く又は押す)することを希望することがある。これらの動作はロボットアームのアクチュエータをバックドライブする。しかし、継手モジュール内の高ギヤ比などの機械的態様により引き起こされる摩擦のため、ユーザは、摩擦を克服し、ロボットアームを良好に移動させるためには、相当量の力を加える必要がある。これに対処するために、摩擦補償モードは、ユーザが所望する姿勢を達成するために必要な方向へと適切な継手モジュールを能動的にバックドライブすることによって、ロボットアームが、ロボットアームの少なくとも一部分をユーザが移動させるのを支援することを可能にする。その結果、ユーザは、摩擦をあまり知覚せずに、又は外見上は「軽い」感触で、ロボットアームを手動で操作し得る。いくつかの変化形では、コントローラはまた、偶発的な動き(例えば、アームの短い衝突)と、突然の意図的なアーム位置の移動とを区別し、移動が偶発的と決定された場合にアーム位置を訂正又は再確立するのを助ける所定のパラメータ(例えば、力の持続時間)を組み込んでもよい。摩擦補償モードでは、制御システムは、少なくとも1つの継手モジュールに作用するユーザ印加力の存在及び方向を決定して、その継手モジュール内のアクチュエータをバックドライブする(1つ以上のアームリンクに対する力の結果として直接的又は間接的にのいずれかで)。応答して、制御システムは、ユーザ印加力と同じ方向に継手モジュールを作動させて、ユーザが静的又は動的摩擦を克服するのを助ける。ユーザ印加力の存在、大きさ、及び方向を決定するために、制御システムは、継手モジュール又はロボットリンクの速度及び/又は位置を監視してもよい(例えば、力センサ又はトルクセンサ、加速度計などで)。加えて、摩擦補償モードでは、継手モジュールがいずれのアクチュエータ方向の摩擦もほぼ克服するが完全には克服しないように、制御システムは、ディザリング電流信号(例えば、ゼロを中心とした約0.5Hz~1.0Hzの周波数又は他の好適な周波数を有し、両方向に摩擦バンド内の振幅を有する正弦波又は矩形波)を1つ以上の継手モジュールに送信してもよい。ユーザ印加力の存在及び方向を決定することに応答して、制御システムは、次いで、より積極的に摩擦を克服するために適切なレベルの電流を継手モジュール内のアクチュエータに提供する一組のコマンドを生成してもよい。摩擦補償モードは、例えば、ドッキング、器具変更などの間、単独で又は他のモードと組み合わせて使用されてもよい。
図19に示すように、プリミティブ制御モードの別の例は、ロボットアームが1つ以上のデカルト軌道コマンドのシーケンスに追従するように移動し得る軌道追従モードである。軌道コマンドとしては、例えば速度コマンド(線形及び/若しくは角度運動に関してフレーム化される)、又は目標姿勢コマンド(特定の種類の外科手技のためのテンプレート姿勢などの、リンク及び継手モジュールの端部目標位置及び配向に関してフレーム化される)を挙げることができる。コマンドが現在の姿勢から目標姿勢に移行するためにいくつかのリンク動作を必要とする目標姿勢である場合、制御システムは、軌道(必要なリンク動作を定義する)を生成し得る。コマンドが現在の姿勢と同じ目標姿勢に関する場合、制御システムは、実質的に「ホールド」位置が命令される軌道コマンドを生成してもよい。例えば、軌道は、命令される速度又は姿勢(例えば、変換行列、回転行列、3Dベクトル、6Dベクトルなど)、制御されるべきアームリンク、測定された継手パラメータ(角度、速度、加速度など)、道具パラメータ(タイプ、重量、サイズなど)、及び環境パラメータ(例えば、アームリンクが進入することが阻止又は禁止されている所定の領域など)を含む入力に基づいていてもよい。制御システムは、次いで、1つ以上のアルゴリズムを使用して命令された継手パラメータコマンド(位置、速度、加速度など)のファームウェアへの出力を生成し、かつ/又は命令されたモータ電流を電流供給としてファームウェアに送り得る。これらの出力コマンドを決定する好適なアルゴリズムとしては、順運動学、逆運動学、逆力学、及び/又は衝突回避(例えば、アームリンク間、ロボットアームの異なるインスタンス間、アームと環境間、などの衝突)に基づくアルゴリズムが挙げられる。軌道追従モードは、例えば、単独で、又は以下に記載のユーザモード、ドッキングテーブルモード、ドレーピングモード、セットアップモード、及び/又は器具変更モード、の中の他のモードと組み合わせて使用されてもよい。
図19に示すように、プリミティブ制御モードの別の例は、力及び/又はセンサを使用することなく、ロボットアームが仮想環境に対してコンプライアントになることを可能にする、インピーダンス制御モードである。一般に、インピーダンス制御は、機械システムの機械インピーダンスを変調させる。システムの機械インピーダンスは、システムの力出力と、システムに入力される運動との比として定義される。システムの機械インピーダンスを制御することによって、環境から課される外的運動に対するシステムの耐性の量を制御することができる。例えば、インピーダンス制御モードは、ばね及びダンパシステムを使用して周囲環境をモデル化してもよく、ばね定数はモデル化されたばねの力出力を定義し、減衰定数は所与の速度入力に対する力出力を定義する。いくつかの変化形では、インピーダンス制御モードの1つの応用は、仮想固定具、又は触覚の作成及び使用であり、これにより、ロボットアームは、環境及び/又はロボットアームに適用される1つ以上の仮想の幾何学的制約などの、所定の制限に対してコンプライアントな操作(すなわち、動作)を完了することができる。仮想固定具の1つの例示的なタイプは、アームが環境内の所定の空間に入ることを防止する「禁止領域」の仮想固定具である(例えば、衝突回避のために)。仮想固定具の別の例示的なタイプは、アームの運動限界の範囲を幾何学的に拘束すること(例えば、アームリンクの相対運動を拘束すること)によってアームに案内される運動を提供する「誘導」仮想固定具である。インピーダンス制御モードにおける制御技術は、継手空間を制御すること(各継手モジュールの作動を制御すること)及び/又はデカルト空間を制御すること(空間内におけるアーム位置を制御すること)としてフレーム化することができる。制御アルゴリズムへの入力としては、ロボットアームの1つ以上の部分の測定された継手角度及び/又は速度、選択された仮想固定具の構成、並びにロボットアーム上の目標制御点の位置、を挙げることができる。制御システムは、次いで、1つ以上のアルゴリズムを使用して、命令された継手アクチュエータパラメータ(必要な電流/トルクなど)及び/又は課された拘束に対するコンプライアンス状態を生成し得る。これらの出力コマンドを決定する好適なアルゴリズムとしては、順運動学、逆運動学、逆動力学、衝突回避(例えば、アームリンク間、ロボットアームの異なるインスタンス間、アームと環境間、などの衝突)、及び/又は仮想力レンダリング(幾何形状、質量、ばね及びダンパなどの仮想モデルの使用を含む)に基づくアルゴリズムが挙げられる。インピーダンス制御モードは、例えば、器具変更の間、単独で又は他のモードと組み合わせて使用されてもよい。
図19に示すように、プリミティブ制御モードの別の例は、アドミッタンス制御モードであり、アドミッタンス制御モードは、ロボットアームが仮想モデル(例えば、仮想質量/慣性特性)に従って感知したユーザの力に応答することを可能にする。例えば、ユーザが仮想アームモデルを同様に押し/引きした場合、ロボットアームに向けられたユーザの力を測定する1つ以上の力/トルクセンサに応答して、実際のロボットアームは、仮想アームモデルと同様に移動し得る。いくつかの変化形では、ユーザの力は、少なくともアーム内の1つ以上の継手モジュール内のトルクセンサによって測定される。他の変化形では、ユーザの力は、少なくともロボットアームの1つ以上のリンク上の6つのDOF力/トルクセンサ(例えば、上記の6つのDOFセンサ)又は合計6つのDOFを検出する複数のセンサ(例えば、2つの3DOFセンサ)によって測定される。制御システムは、実際の力/トルクセンサの示度、実際のロボットアームを仮想モデルにマッピングするための力/トルクセンサ変換、パラメータをロボットアームの既知の基準フレームにマッピングする仮想モデル変換、他の仮想モデル特性、及び/又はロボットアーム及び器具駆動体の運動学を入力としてとり得る。制御システムは、次いで、ロボットアームを仮想モードに従って移動させるために、1つ以上のアルゴリズムを使用して、特定の電流、トルク、継手位置、及び/又は他の好適な継手モジュールパラメータのための継手モジュールアクチュエータへのコマンドを生成し得る。これらの出力コマンドを決定する好適なアルゴリズムとしては、仮想モデルの順運動学、逆運動学、逆動力学、衝突回避、及び/又は順動力学が挙げられる。アドミッタンス制御モードは、例えば、ポートドッキング又は機器変更中に、単独で、又は他のモードと組み合わせて使用してもよい。
ユーザモード
いくつかの変化形では、ユーザモードは上述の1つ以上のプリミティブモードを組み込むことができるので、ユーザモードは、プリミティブモードの上にオーバーレイされる制御モードであってもよい。ユーザモードは、ユーザが外科手技の異なるフェーズ中にいくつかの異なる方法でロボットアームと物理的に相互作用することを可能にする(例えば、手術前セットアップ及び試験、手術、手術後の分解及び収納)。例えば、あるユーザモードは、組み込まれたプリミティブモードの特定の組み合わせに応じて、ロボットアームをある方法で反応させることを可能にする。加えて、あるユーザモードは、外科手技の特定のフェーズの効率性を高めるように設計された自動移動ステップの所定のシーケンスを伴い得る。多数のユーザモードは互いに排他的であり、同時に選択することができないが、いくつかのユーザモード(例えば、遠隔操作モード及び仮想RCMモード)は並行して動作し得る。
図19に示すように、ユーザモードの一例は、ロボットアームが更なるコマンド又は命令を待機しながら現在のアーム姿勢又はデフォルトのアーム姿勢で休止し得るアイドリングモードである。一変化形では、アイドリングモードは、上述の軌道追従モードを組み込み、現在の姿勢と同じ姿勢を目標姿勢として定義し、それによって「ホールド」位置が命令される。別の変化形では、アイドリングモードは、追加的に又は代替的に、上記の重力補償モードを組み込む。
図19に示すように、ユーザモードの別の例は、ロボットアームが第1の姿勢(例えば、収納及び輸送のための折り曲げ構成)から、デフォルトセットアップ姿勢又は特定タイプの外科手技のための所定のテンプレート姿勢などの、デフォルト姿勢(例えば、少なくとも部分的に伸長された)に移行し得るセットアップモードである。加えて、ロボットアームは、アクションアイテムの所定のチェックリスト(例えば、安全性及び機能性チェック)を完了することによって、それ自体を初期化してもよい。デフォルト姿勢への移動及び/又はチェックリスト完了は、少なくとも部分的に自動的又は自律的であってもよい。ロボットアームの使用準備ができていることは、ユーザ又は監督制御システムによって確認されてもよい。ロボットアームがセットアップモードにある間、ユーザは、検査(例えば、目視又は手動による)、洗浄、ドレーピングなどの様々な手術前タスクをロボットアームに対して遂行してもよい。
図19に示すように、ユーザモードの別の例は、ロボットアームが手術プラットフォーム(例えば、外科用テーブル又はカート)に接続され、かつ/又はセットアップのために初期化される装着モードである。例えば、手術プラットフォームに接続されている間、ロボットアームは、現在のアーム姿勢(例えば、セットアップモードのアクションシーケンスの終了時に達成されたデフォルトの姿勢)で休止してもよい。アイドリングモードと同様に、「ホールド位置」が命令される軌道追従モードを組み込んでもよく、かつ/又は上記の重力補償モードを組み込んでもよい。
図19に示すように、ユーザモードの別の例は、(ロボットアームと外科用器具との間に滅菌バリアを維持するために)滅菌バリアがロボットアームに連結されるプロセスをロボットアームが容易にするドレーピングモードである。例えば、ドレーピングモードでは、ロボットアームは、患者から離れ手術助手により近いなどの、滅菌バリアの取り付けを必要とする領域(例えば、器具駆動体上の器具取付点)へのアクセスを改善する所定のドレーピング姿勢にそれ自体を自動的に移動してもよい。手術助手は、例えば、患者テーブルの周りを歩いてドレーピング姿勢の複数のロボットアームの各々に行き、順次滅菌バリアを各個別のロボットアームに取り付けてもよい。あるいは、手術助手が静止状態にとどまり、それによってセットアップ効率を改善するように、複数のロボットアームが自動的に手術助手に接近してもよい。例えば、第1のロボットアームに対する滅菌ドレーピングが完了し、第2のロボットアームが同じようにドレーピングされる準備ができている場合、制御システムは、(例えば、センサを使用して滅菌バリア取付具を自動的に検出した後、かつ/又はドレーピングが完了したことを示すユーザコマンドの後に)第1のロボットアームを離れた別の位置に移動させ、第2のロボットアームを手術助手の近くに移動してもよい。更に、ドレーピング中、ユーザは、室内の散らかり具合、患者の大きさ、及び/又はドレーピングを遂行する手術助手の背の低さなどの具体的な状況に適合するように、ロボットアームの形状及び位置を調節してもよい。いくつかの変化形では、ドレーピングモードは、ロボットアームを制御するために継手コマンドモード及び/又は重力補償モードを組み込んでもよい。
図19に示すように、ユーザモードの別の例は、ロボットアームが、ユーザがロボットアームを患者のポート(患者の体内に予め挿入されたカニューレを有する)に取り付けるプロセスを容易にする、ドッキングモードである。低侵襲外科手術を遂行するために、ロボットアームの遠位端は、一般に粗位置決めステップ及び微細位置決めステップを使用してポートに強固に留められる。粗位置決め中、手術助手は、アームを直接手で掴む、押す、引く、又は他の方法によって(あるいはハンドルを掴みながら、又はジョイスティック、Dパッド、若しくは他のユーザインターフェースタッチポイントを操作することによって)、ロボットアームの遠位端をポートの近く(例えば、ポートから約6インチ以内又は他の好適な距離)に手動で案内してもよい。粗位置決め中、重力補償及び/又は摩擦補償が、上記のようにアーム継手に適用されてもよい。更に、いくつかの変化形では、偶発的又は不注意な衝突がアームを不所望に動かすのを防止するために、ユーザが手動で加える力は、ユーザの力がアームを移動させる前に、閾値仮想ばね力を克服することを要求されてもよい。微細位置決めの間、手術助手は、ポートに挿入されたカニューレに連結するように、ロボットアームの遠位端を更に手動で案内してもよい。微細位置決めは更に、トリガ、ボタン、スイッチなどの微細位置決めクラッチ170(例えば、図1Dに示す上記の器具駆動体の近くに、球状アーム150の上に位置する)の使用によって可能にされてもよい。微細位置決めクラッチ170が係合すると、第1のアームセグメント(デカルトアームセグメント)のリンクは、第2のアームセグメントのリンクの少なくとも一部が互いに対して移動しないように、第2のアームセグメント(球状アームセグメント)のリンクの継手モジュールの少なくとも一部をロックしながら、粗位置決め中と同様にユーザ案内下で移動し得る。これらのステップ中、制御システムは、上述の重力補償モード及び/又は摩擦補償モードでロボットアームを動作させ得る。
図19に示すように、ユーザモードの別の例は、ロボットアームが外科手技中にユーザインターフェース装置によって遠隔制御される遠隔操作モードである。遠隔操作モードでは、典型的には、デカルトアームセグメントは、空間内で固定されていてもよく(それによって機械的RCM及び対応するエンドエフェクタの可動域を保つ)、エンドエフェクタの移動は、球状アームセグメント及び器具駆動体によって制御されてもよい。遠隔操作モードは、上記の重力補償モード、軌道追従モード、及び/又はインピーダンス制御モードを組み込んでもよい。いくつかの変化形では、軌道追従モード及び/又はインピーダンス制御モードは、ロボットアームが遠隔操作モードにある間、衝突回避(例えば、他のロボットアームとの)に焦点を合わせてもよい。
図19に示すように、ユーザモードの別の例は、エンドエフェクタ器具の位置及び配向を変更することなくユーザがロボットアームを新しい姿勢で移動し得る再位置決めモードである。この種類の再配置は、ロボットアーム内の冗長DOFにより可能である。例えば、器具駆動体の周りでロボットアームを移動させる間(例えば、上記の「低」又は「高」アーム位置のいずれかと「跳ね上げ」アーム位置との間での切り替え)、ロボットアームの遠位端は、ポートにドッキングされた状態にとどまってもよい(機械的RCM及び器具が空間内に固定された状態にとどまることを可能にする)。再配置モードでは、制御システムは、器具がどこに位置するか認識しており、ロボットアームとの衝突を回避するためにユーザがロボットアームを再配置するにつれてアーム移動を追跡する。あるいは、ロボットアームは、器具が依然として患者の体内に挿入されている間に器具から係合解除されてもよく、ロボットアームは、再配置され、その後器具と再係合してもよい。ロボットアームが新しい姿勢に収まり、器具と再係合した後、制御システムは、器具の機能及び制御が正しく動いていることを確認するのを助けるためにチェックを開始してもよい。再位置決めモードは、上記の重力補償モード、軌道追従モード、及び/又はインピーダンス制御モードを組み込んでもよい。
例示的な例として、ロボットアームが再位置決めモードにあるとき、ロボットアーム全体は重力補償と共に作動してもよい。ロボットアームの第1のセグメントの少なくとも一部(例えば、デカルトアームセグメントの少なくとも一部)は受動的であってもよく、受動的にバックドライブ可能である継手モジュールを含む。ロボットアームの第2のセグメントの少なくとも一部(例えば、球状アームセグメントの少なくとも一部)は能動的であってもよく、RCM及びエンドエフェクタの位置/配向を維持するために軌道追従モードで能動「ホールド」位置にロックされている継手モジュールを含む。ロボットアームがロボットアームに対するユーザの力(例えば、押し又は引き)を受けた後、ユーザの力は受動継手モジュールに伝搬され、一定の拘束(インピーダンス制御を通じて実装される)と共に、一般にユーザの力に従って受動継手を移動させる。特に、受動アームセグメントが仮想固定具によって禁止されていない領域内のみを移動することができるように、一定の特徴(例えば、受動アームセグメントの最遠位端)は、一般に球状の面などの仮想固定具の表面上に拘束されてもよい。受動アームセグメントが移動している間、受動アームセグメントが仮想球面上の新たな位置へと押されるにもかかわらず、能動的アームセグメント内の継手モジュールは、実質的に一定/安定した器具及びRCM位置及び角度を維持するように能動的に駆動されてもよい。図19に示すように、ユーザモードの別の例は、ロボットアームが機械的遠隔運動中心と一致しない仮想遠隔運動中心を確立する仮想RCMモードである。仮想遠隔運動中心は、機械的設計と組み合わせられたソフトウェアの結果として作成される。典型的に、外科手技の間、機械的RCMは、デカルトアームセグメントの姿勢を固定し、球状アームセグメントを移動させることによって(すなわち、遠隔操作モード中)保存される。しかし、仮想RCMモードでは、機械的RCMは、仮想RCMにおけるエンドエフェクタの以前の有効可動域を維持しつつ、ロボットアームと患者との間のより良い物理的クリアランスを生成するために移動することができる。デカルトアームセグメントは機械的RCMと仮想RCMの間のオフセットを作るので、仮想RCMは、デカルトアームセグメントと球状アームセグメントの両方を移動させることによって達成される。機械的RCMとは対照的に、仮想RCMは、外科手技中又は異なる外科手技の間に、動的に変化し得る。いくつかの変化形では、仮想RCMモードは、重力補償モード及び軌道追従モードを組み込んでもよく、あるいは重力補償モードとインピーダンス制御モードを交互に組み込んでもよい。
いくつかの例では、仮想RCMは、点に拘束されるのではなく、装置シャフト軸に略垂直であり機械的RCMに対して所定の高さで器具シャフト軸と交差する平面に拘束されてもよいので、仮想RCMはコンプライアントであり得る。このような場合、アームが仮想平面に一致する力に応答するが、平面に垂直な力には抵抗することを継手が可能にするように、デカルトアームの継手は、重力補償モード、能動的バックドライブモード、及び/又はインピーダンス制御モードで動作してもよい。球状アーム(例えば、J6及びJ7)の継手と器具駆動体の継手は、依然として軌道追従モードにあり、それによってユーザが任意追加的に器具の駆動及び手術の遂行を継続して行うことを可能にする。これにより、ロボットアームは、器具及びカニューレが患者に引き込まれたり、押し込まれたり、引き出されたり、押し出されたりすることを防止しつつ、患者の組織に対して少量の力を生じさせる枢動点を自然に見つけることができる。このような動作モードは、例えば、単一の固定枢動点のみでは理想的ではないことがある大きな器具の可動域を有するケース(例えば、複数象限手技)の間に有用であり得る。より厚い組織層を有する過剰体重/肥満患者を手術するための手技及びカニューレ及び器具が肋骨の間を通過する胸部手技などの他のケースも、このようなコンプライアントな仮想RCMモードから恩恵を受け得る。コンプライアント仮想RCMモードは、遠隔操作モードと共に使用してもよく、ユーザによって選択的かつ間欠的に係合されてもよい。このモードはまた、テーブルのシフトから生じる患者組織のシフト(例えば、トレンデレンブルク位置から逆トレンデレンブルク位置へ)にアームがコンプライアントに追従することを可能にするので、手技中に患者テーブルを傾斜させるケース中に有用であり得る。
図19に示すように、ユーザモードの別の例は、ロボットアームの複数の継手モジュールが、最遠位の継手モジュールのみを作動させることによって利用可能な可動域を超えて、外科用器具をカニューレに出し入れするように作用する(例えば、器具軸Hに沿った並進)、器具変更又は器具変更モードである。(例えば、カニューレをユーザの手動による直接支援なしに取り外し得るように、例えばモータにより運転される作動カニューレラッチ機構によって)外科用器具をカニューレの外に更に移動させることにより、ロボットアームはカニューレ及び器具を容易にドッキング又は変更し得る。いくつかの変化形では、器具変更モードは、追加的に又は代替的に、制御システムコマンドが自動的にカニューレから器具を取り出し、エンドエフェクタの先端又は器具を変更し、ロボットアームをカニューレに再ドッキングする自動器具変更を可能にし得る。制御システムが自動器具変更動作のために所望のエンドエフェクタの先端を突き止め、識別し得るように、様々な選択されたエンドエフェクタの先端を、所定の順序で表面(例えば、テーブル)上に配置してもよい。いくつかの変化形では、器具変更モードは、重力補償モードと軌道追従モードとを組み込んでもよい。
他のユーザモードは、上述の様々な制御モードの態様を組み込んで組み合わせる制御システムにプログラムされてもよい。例えば、ユーザモードの別の例は、いくつかのステップが異なる順序で発生し得る(例えば、システムチェックに続いて、ロボットアームを保管のために折り曲げ構成へと折り曲げる)ことを除いてセットアップモードと同様であり得る手術後モードである。手術後モードはまた、完全なパワーオフサイクルをトリガすることを含んでもよい。他の潜在的なモードとしては、保守点検モード、洗浄モード(例えば、洗浄中若しくは滅菌中、ロボットアームを完全伸長姿勢に移動させて露出表面積を増大させる)、検査モード、パレード若しくはマーケティングモード(例えば、実演姿勢のための予めプログラムされた一連の動き)、サイクル試験モード、及び/又は他の任意の好適なモードが挙げられる。
ソフトウェア更新可能性
いくつかの変化形では、外科用ロボットシステムは、ロボットアーム及び/又は他の構成要素(例えば、器具駆動体)の動作を支配するための1つ以上のプロセッサを更に含んでもよい。例えば、外科用ロボットシステムは、1つ以上のコンピュータ、又は好適なコンピュータ配置を含む制御コンソール又は制御塔を含んでもよい。例えば、図18に示すように、制御コンソール1852は、1つ以上のロボットアームのモータコントローラを制御する少なくとも1つのプロセッサ1850に通信連結されていてもよい。
制御コンソール1852は、外科用ロボットシステムのロボットアーム及び/又は他の構成要素(例えば手持ち式ユーザインターフェース装置)の制御を改変するために定期的に又は間欠的に変更され(例えば、アップグレードされ)得るソフトウェアを含んでもよい。有利には、例えば、ロボットアームの動作を制御するソフトウェアを更新することは、ロボットアームの実際のハードウェアを交換することなくロボットアームの異なる機能及び特性を可能にし得る。更に、いくつかの変化形では、ソフトウェア(特定のバージョン又は異なるバージョン内のソフトウェア)は、外科用ロボットシステムを操作する外科医若しくは他のユーザに固有であってもよく、かつ/又はユーザにカスタマイズ可能であってもよい。
異なるバージョンのソフトウェアは、例えば、より新しいバージョンの制御モード及び/又は制御アルゴリズムを提供してもよい。例えば、新しいバージョンのソフトウェアは、ロボットアームに作用する重力を、より正確に又はより迅速に(より高速な計算プロセスなどを通じて)打ち消す新しい重力補償モードを提供してもよい。別の例として、新しいバージョンのソフトウェアは、仮想RCM及び/又は仮想固定具のための新しいスキーム(パラメータ、境界、インピーダンス値など)を提供してもよい。
別の例として、異なるバージョンのソフトウェアは、ロボットアームのための異なる一組のテンプレート又は所定の姿勢(例えば、上記の「低」、「高」、及び/又は「跳ね上げ」アーム構成の異なる変化形)を提供してもよい。
他の例では、異なるバージョンのソフトウェアは、例えば、患者固有、患者タイプ固有、及び/又は外科手技タイプ固有などであってもよい。例えば、ある所定のロボットアーム姿勢又は構成は、より小さい患者(例えば、小児科患者)用により最適化されていてもよい一方、他のロボットアーム姿勢又は構成は、より大きい患者用により最適化されていてもよい。
別の例として、異なるバージョンのソフトウェアは、ユーザがロボットアームの特徴(例えば、制御モード、動作エラー、又は警告など)を閲覧し得るディスプレイ、タッチスクリーンなど上により新しいバージョンのグラフィカルユーザインターフェースを提供してもよく、より新しいバージョンのグラフィカルユーザインターフェースは、例えばメニューのレイアウト及び内容に対する変更を含んでもよい。
アームに対するソフトウェア更新は、例えば、記憶媒体(例えば、ハードドライブ、フラッシュドライブ、フロッピーディスク、クラウド記憶装置)からのファイル転送を介して、有線及び/又は無線接続を介して行われてもよい。コンソール1852(又は他の制御コンピュータ配置)に対するソフトウェア更新は、既存の記憶媒体又は他のソースから周期的に(例えば、毎日、毎週、隔週、毎月、隔月、毎半年、毎年など)プッシュ又はプルされてもよい。追加的に又は代替的に、ソフトウェア更新は、ユーザ入力(例えば、ソフトウェアを更新するためのユーザインターフェース上のユーザ選択)に応答してトリガされてもよい。
滅菌
いくつかの変化形では、不注意に患者を細菌及び他の病原体に感染させる可能性を低減するために、外科用ロボット支援システムにおける使用前のロボットアームの滅菌が、望ましいことがある。例えば、ロボットアームは、その滅菌状態を維持するために、滅菌され、次いで覆われてもよい(例えば、袋、ラップ、又は他の好適切に封止されたカバーで)。別の例として、ロボットアームは、最初にカバーされ、次いでカバーを通じて滅菌されてもよく、カバーは、その後ロボットアームの滅菌状態を維持することができる。滅菌され、袋詰めされたロボットアームは、その後、滅菌の使用場(例えば、手術室)で取り出されるまで、包装、輸送などにわたって滅菌を維持するためにそれほど心配せずに取り扱われ得る。好適な滅菌手順は、例えば、ロボットアームを紫外光、電子ビーム照射、ガンマ線、及び/又はガスで処理することを含んでもよい。ロボットアームは、追加的に又は代替的に、オートクレーブ内で、又は別の好適な医療グレード滅菌プロセスを通じて(例えば、単一使用後の再滅菌プロセス)で、滅菌されてもよい。
他の変化形では、ロボットアームは、滅菌ではなく、一般的な清浄度のために処理されてもよい。例えば、ロボットアームは、埃、汚れ、及び/又は他の可視性異物に関して払拭されてもよい。このような洗浄手順に続いて、ロボットアームは、そのほぼ清浄な状態を維持するために袋詰めされてもよい。例えば、ロボットアームは、ロボットアームを飛沫及び他の危険から保護するのを助けるために、袋、ドレープ、タープ、又は他のカバーによって覆われてもよい。
ロボットアーム及び他の構成要素の無菌性を維持するためのシステムの他の例は、「STERILE ADAPTERS WITH A SHIFTING PLATE FOR USE IN A ROBOTIC SURGICAL SYSTEM」と題された米国仮特許出願第62/436,957号、「STERILE ADAPTER DRIVE DISKS FOR USE IN A ROBOTIC SURGICAL SYSTEM」と題された米国仮特許出願第62/436,965号、「STERILE ADAPTERS WITH A TOOL SEAT FOR USE IN A ROBOTIC SURGICAL SYSTEM」と題された米国仮特許出願第62/436,974号、及び「DRAPE ATTACHMENT TO STERILE ADAPTERS FOR USE IN A ROBOTIC SURGICAL SYSTEM」と題された米国仮特許出願第62/436,981号に詳細に記載されており、同出願の各々は2016年12月20日に出願され、その全体がこの参照によりここに組み込まれる。
説明目的のための上記の記載は、本発明の徹底した理解を提供するために、特定の専門用語を使用していた。しかし、本発明を実施するために具体的な詳細は必要とされないことは、当業者には明らかであろう。したがって、本発明の特定の実施形態の上記の記載は、例示及び記述の目的のために提示される。これらは、網羅的であること、又は開示された厳密な形態に本発明を制限することを意図するものではなく、上記の教示に照らして多くの変更及び変化形が可能である。実施形態は、本発明の原理及びその実際の用途を最もよく説明するために選択及び記述されており、それによって実施形態は、当業者が本発明及び様々な実施形態を、企図される特定の使用に適した様々な変更及び/又は様々な組み合わせと共に最も良好に利用することを可能にする。