理解を容易にするため、可能な場合は、図に共通の同一要素を示すために同一参照数字を使用した。一実施形態で開示された要素が、特に記述なしに他の実施形態で有益に利用されうる。本明細書で参照される図面は、特に断らない限り一定の縮尺で描かれないことを理解されたい。また、図面は、提示と説明を明瞭にするために、しばしば単純化され、詳細又は構成要素が省略される。図面と検討は、後述される原理を説明する役割をし、同じ名称は同じ要素を示す。
以下の詳細な説明は、単に本質的に例示であり、本開示又は本開示の用途及び使用法を限定するものではない。更に、前述の背景、概要又は以下の詳細な説明に示された如何なる明示又は暗示された理論によっても拘束されるものではない。
本技術の様々な実施形態は、有用性を改善するための入力装置及び方法を提供する。入力装置は、入力装置と入力オブジェクト(例えば、スタイラス又はユーザの指)の間の相互作用を検出するセンサ電極として作動する電極を備えうる。
入力装置は、一般に、容量性検出信号をセンサ電極に印加して容量性測定値を取得する。容量性検出信号に対応する検出周波数は、例えば検出干渉に基づいて、入力装置によって適応的に変化しうる。しかしながら、一般に容量性測定では異なる検出周波数が異なる容量性ベースラインに対応するので、異なる検出周波数で取得された容量性測定値は、ある程度の補償を必要とする。
幾つかの実施形態では、複数の所定の検出周波数に、復調信号のための同じ混合期間が適用される。更に、入力装置は、所定の混合期間中に、1つ以上のスイッチング要素を作動させてセンサ電極を検出経路に選択的に結合する。スイッチング要素が、各検出半サイクル中に一定時間導通されるので、電荷がセンサ電極上に保存され、検出半サイクル中の平均入力電流は、異なる検出周波数で実質的に同じままである。したがって、入力装置の作動中の所定の検出周波数のうちの異なる検出周波数間の任意の遷移に関して、対応する平均電流値が、予測可能な関係を有し、これにより、取得された容量性検出測定値に必要とされうる補正又は補償が単純化される。
典型的な入力装置の実施態様
図1は、本技術の実施形態による入力装置100の概略ブロック図である。様々な実施形態では、入力装置100は、検出装置と一体化された表示装置を含む。入力装置100は、電子システム150に入力を提供するように構成されうる。本明細書で使用されるとき、用語「電子システム」(又は、「電子装置」)は、情報を電子的に処理できる任意のシステムを広義に指す。電子システムの幾つかの非限定的な例には、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ネットブックコンピュータ、タブレット、ウェブブラウザ、電子ブックリーダ及び携帯情報端末(PDA)などの全てのサイズ及び形状のパーソナルコンピュータが含まれる。追加の例示的な電子システムには、入力装置100と、別個のジョイスティック又はキースイッチとを含む物理キーボードなどの複合入力装置が含まれる。電子システムの更に他の例には、データ入力装置(リモートコントロールとマウスを含む)及びデータ出力装置(表示画面とプリンタを含む)などの周辺装置が含まれる。その他の例には、リモート端末装置、キオスク、及びビデオゲーム機(例えば、ビデオゲームコンソール、携帯ゲーム機など)が含まれる。他の例には、通信装置(スマートフォンなどの携帯電話を含む)及びメディア装置(レコーダ、エディタ、及びテレビ、セットトップボックス、音楽プレーヤ、デジタル写真フレーム、デジタルカメラなどのプレーヤを含む)が含まれる。更に、電子システムは、入力装置に対してホストでもスレーブでもよい。
入力装置100は、電子システムの物理部分として実現されてもよく、電子システムと物理的に別個でもよい。必要に応じて、入力装置100は、バス、ネットワーク、及び他の有線又は無線相互接続のいずれか1つ以上を使用して、電子システムの一部分と通信できる。例には、I2C、SPI、PS/2、ユニバーサルシリアルバス(USB)、Bluetooth、高周波及びIRDAが含まれる。
図1では、入力装置100は、検出領域170内の1つ以上の入力オブジェクト140によって提供された入力を検出するように構成された近接センサデバイス(例えば、しばしば「タッチパッド」又は「タッチセンサデバイス」とも呼ばれる)として示される。例示的な入力オブジェクトには、図1に示されたように指とスタイラスが含まれる。
検出領域170は、入力装置100の上、そのまわり、その中、及び/又はその近くに、入力装置100がユーザ入力(例えば、1つ以上の入力オブジェクト140によって提供されたユーザ入力)を検出できる任意の空間を包含する。特定の検出領域のサイズ、形状及び位置は、実施形態によって大きく異なりうる。幾つかの実施形態では、検出領域170は、信号対雑音比によって十分に正確なオブジェクト検出が妨げられるまで、入力装置100の表面から空間内に1つ以上の方向に拡張する。この検出領域170が特定の方向に拡張する距離は、約1ミリメートル未満、数ミリメートル、数センチメートル又はそれ以上でよく、使用される検出技術のタイプと必要精度により大きく異なりうる。したがって、幾つかの実施形態は、入力装置100の表面との非接触、入力装置100の入力面(例えば、タッチ面)との接触、ある量の印加力又は圧力と結合された入力装置100の入力面との接触、及び/又はこれらの組み合わせを含む。様々な実施形態では、入力面は、センサ電極が中にあるケーシングの表面、センサ電極又は任意のケーシングの上に貼り付けられた表面板などによって提供されうる。幾つかの実施形態では、検出領域170は、入力装置100の入力面に投影されたときに矩形形状を有する。
入力装置100は、センサ構成要素と検出技術の任意の組み合わせを利用して、検出領域170内のユーザ入力を検出できる。入力装置100は、ユーザ入力を検出するための複数のセンサ電極120を含む。入力装置100は、センサ電極を形成するように組み合わされた1つ以上のセンサ電極120を含みうる。幾つかの非限定的な例として、入力装置100は、容量性、弾性、抵抗性、誘導性、磁性、音響、超音波、及び/又は光技術を使用しうる。
幾つかの実施態様は、一次元、二次元、三次元又はそれより高次元の空間に及ぶ画像を提供するように構成される。幾つかの実施態様は、特定の軸又は平面に沿った入力の投射を提供するように構成される。
入力装置100の幾つかの抵抗性実施態様では、柔軟で導電性の第1の層が、1つ以上のスペーサ要素によって導電性の第2の層から分離される。動作中、層内に1つ以上の電圧勾配が作成される。柔軟な第1層を押すと、層間の電気接触を作成するのに十分なだけ撓み、その結果、層間の接触点を表す電圧出力が生じる。そのような電圧出力は、位置情報を決定するために使用されうる。
入力装置100の幾つかの誘導性実施態様では、1つ以上のセンサ電極120が、1つの共振コイル又はコイル対によって生成されるループ電流をピックアップする。次に、電流の大きさ、位相及び周波数の幾つかの組み合わせを使用して位置情報を決定できる。
入力装置100の幾つかの容量性実施態様では、電圧又は電流を印加して電界を作成する。近くの入力オブジェクトは、電界を変化させ、電圧や電流などの変化として検出されうる容量性結合の検出可能な変化を生成する。
幾つかの容量性実施態様は、配列又は他の規則的若しくは不規則的パターンの容量性センサ電極120を利用して電界を作成する。幾つかの容量性実施態様では、個別のセンサ電極120をオーム短絡して、より大きいセンサ電極を構成できる。幾つかの容量性実施態様は、均一な抵抗性でよい抵抗性シートを利用する。
前述されたように、幾つかの容量性実施態様は、センサ電極120と入力オブジェクトの間の容量結合の変化に基づく「自己キャパシタンス」(又は「絶対キャパシタンス)検出方法を利用する。一実施形態では、処理システム110は、既知の振幅を有する電圧をセンサ電極120に印加し、センサ電極を印加電圧まで充電するのに必要な電荷の量を測定するように構成される。他の実施形態では、処理システム110は、既知の電流を印加し、得られた電圧を測定するように構成される。様々な実施形態では、センサ電極120近くの入力オブジェクトは、センサ電極120近くの電界を変化させ、したがって、測定された容量結合が変化する。一実施態様では、絶対キャパシタンス検出方法は、変調信号を使用してセンサ電極120を基準電圧(例えば、系統接地)に対して変調し、センサ電極120と入力オブジェクト140の間の容量結合を検出することによって機能する。
更に、前述されたように、幾つかの容量性実施態様は、検出電極間の容量結合の変化に基づく「相互キャパシタンス」(又は「相互キャパシタンス」)検出方法を利用する。様々な実施形態では、検出電極近くの入力オブジェクト140が、検出電極間の電界を変化させ、それにより、測定された容量結合が変化する。一実施態様では、相互キャパシタンス検出方法は、以下の頁で記載するように、1つ以上のトランスミッタ検出電極(「トランスミッタ電極」とも)と1つ以上のレシーバ検出電極(「レシーバ電極」とも)の間の容量結合を検出することによって機能する。トランスミッタ検出電極は、トランスミッタ信号を伝送するために基準電圧(例えば、系統接地)に対して変調されうる。レシーバ検出電極は、結果信号の受け取りを容易にするために基準電圧に対して実質的に一定に保持されうる。結果信号は、1つ以上のトランスミッタ信号及び/又は1つ以上の環境的干渉源(例えば、他の電磁気信号)に対応する影響を含みうる。検出電極は、専用トランスミッタ電極又はレシーバ電極でもよく、送信と受信の両方を行うように構成されてもよい。
図1で、処理システム110は、入力装置100の一部として示される。処理システム110は、入力装置100のハードウェアを動作させて検出領域170の入力を検出するように構成される。処理システム110は、1つ以上の集積回路(IC)及び/又は他の回路構成要素の一部又は全てを含む。例えば、相互キャパシタンスセンサデバイスのための処理システムは、トランスミッタセンサ電極によって信号を送信するように構成されたトランスミッタ回路及び/又はレシーバセンサ電極によって信号を受信するように構成されたレシーバ回路を有しうる。幾つかの実施態様では、処理システム110は、また、ファームウェアコードやソフトウェアコードなどの電子的に読取り可能な命令を含みうる。幾つかの実施形態では、処理システム110を構成する構成要素は、入力装置100のセンサ電極120の近くなどに一緒に配置される。他の実施形態では、処理システム110の構成要素は、入力装置100のセンサ電極120の近くに1つ以上の構成要素があり、他の場所に1つ以上の構成要素があるように物理的に別個である。例えば、入力装置100は、デスクトップコンピュータに結合された周辺装置でよく、処理システム110は、デスクトップコンピュータの中央処理ユニット上と、中央処理ユニットとは別個の1つ以上のIC(おそらく関連ファームウェアを有する)上で動作するように構成されたソフトウェアを含みうる。別の例として、入力装置100は、電話に物理的に組み込まれてもよく、処理システム110は、電話の主プロセッサの一部である回路とファームウェアを含んでもよい。幾つかの実施形態では、処理システム110は、入力装置100の実施態様にのみ使用される。他の実施形態では、処理システム110は、また、表示画面の作動や触覚アクチュエータの駆動などの他の機能を実行する。
処理システム110は、処理システム110の様々な機能を処理する1組のモジュールとして実現されうる。各モジュールは、処理システム110、ファームウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせの一部である回路を含みうる。様々な実施形態では、モジュールの様々な組み合わせが使用されうる。例示的なモジュールには、センサ電極や表示画面などのハードウェアを作動させるためのハードウェア作動モジュール、センサ信号や位置情報などのデータを処理するためのデータ処理モジュール、及び情報を報告するための報告モジュールが含まれる。更に他の例示的モジュールには、センサ電極120を作動させて入力を検出するように構成されたセンサ作動モジュール、モード変更ジェスチャなどのジェスチャを識別するように構成された識別モジュール、及び動作モードを変更するためのモード変更モジュールが含まれる。処理システム110は、また、1つ以上のコントローラを含みうる。
幾つかの実施形態では、処理システム110は、1つ以上のアクションを引き起こすことによって、検出領域170内のユーザ入力(又は、ユーザ入力の欠如)に直接応答する。例示的なアクションには、動作モードの変更、並びにカーソル移動、選択、メニューナビゲーション、及び他の機能などのGUIアクションが含まれる。幾つかの実施形態では、処理システム110は、入力(又は、入力の欠如)に関する情報を、電子システムのある部分(例えば、別個の中央処理システムが存在する場合は、処理システム110とは別個の電子システムの中央処理システム)に提供する。幾つかの実施形態では、電子システムのある部分は、処理システム110から受け取った情報を処理してユーザ入力に従って動作する(例えば、モード変更アクションとGUIアクションを含む全範囲のアクションを容易にする)。
例えば、幾つかの実施形態では、処理システム110は、入力装置100のセンサ電極120を動作させて、検出領域170内の入力(又は、入力の欠如)を示す電気信号を生成する。処理システム110は、電子システムに提供される情報を作成する際に電気信号に任意の適切な量の処理を実行できる。例えば、処理システム110は、センサ電極120から得られたアナログ電気信号をデジタル化できる。別の例として、処理システム110は、フィルタリング又は他の信号調整を実行できる。更に別の例として、処理システム110は、情報が電気信号と基準線との差を反映するように、基準線を減算するか又は他の方法で考慮できる。更に他の例として、処理システム110は、位置情報の決定、コマンドとしての入力の認識、手書きの認識などを行える。
「位置情報」は、本明細書で使用されるとき、絶対位置、相対位置、速度、加速度及び他のタイプの空間情報を広く含む。典型的な「ゼロ次元」位置情報は、近く/遠く、又は接触/非接触情報を含む。典型的な「一次元」位置情報は、軸に沿った位置を含む。典型的な「二次元」位置情報は、平面内の動きを含む。典型的な「三次元」位置情報は、空間内の瞬間又は平均速度を含む。更に他の例には、空間情報の他の表現が含まれる。また、例えばある期間にわたる位置、動き又は瞬間速度を追跡する履歴データを含む1つ以上のタイプの位置情報に関する履歴データも決定かつ/又は記憶されうる。
幾つかの実施形態では、入力装置100は、処理システム110又は他の処理システムによって操作される付加入力構成要素によって実現される。そのような付加入力構成要素は、検出領域170内の入力のための冗長機能、又は他の機能を提供できる。図1は、入力装置100を使用して要素の選択を容易にするために使用されうる検出領域170近くのボタン130を示す。他のタイプの付加入力構成要素には、スライダ、ボール、ホイール、スイッチなどが含まれる。これと反対に、幾つかの実施形態では、入力装置100は、他の入力構成要素なしに実施されうる。
幾つかの実施形態では、入力装置100は、タッチスクリーンインタフェースを含み、検出領域170は、表示装置160の表示画面のアクティブ領域の少なくとも一部と重なる。例えば、入力装置100は、表示画面を覆う実質的に透明なセンサ電極120を含み、関連電子システムのためのタッチスクリーンインタフェースを提供できる。表示画面は、ユーザに視覚インタフェースを表示できる任意のタイプの動的表示装置でよく、また任意のタイプの発光ダイオード(LED)、有機LED(OLED)、陰極線管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマ、エレクトロルミネセンス(EL)、又は他の表示技術を含みうる。入力装置100と表示装置160は、物理要素を共用できる。例えば、幾つかの実施形態は、表示と検出に同じ電気構成要素の幾つかを利用できる。別の例として、表示画面160は、処理システム110によって一部分又は全体が操作されうる。
この技術の多くの実施形態が、完全に機能する装置の文脈で述べられているが、この技術の機構が、プログラム製品(例えば、ソフトウェア)として様々な形態で配布されうることを理解されたい。例えば、この技術の機構は、電子プロセッサによって読み取り可能な情報保持媒体(例えば、処理システム110によって読み取り可能な非一時的コンピュータ読み取り可能及び/又は記録可能/書き込み可能情報保持媒体)上のソフトウェアプログラムとして実現され配布されうる。更に、この技術の実施形態は、配布を行うために使用される特定タイプの媒体にかかわらず、等しく適用される。非一時的で電子的に読み取り可能な媒体の例には、様々なディスク、メモリスティック、メモリカード、メモリモジュールなどが含まれる。電子的に読取り可能な媒体は、フラッシュ、光学、磁気、ホログラフィ又は任意の他の記憶技術に基づきうる。
典型的なセンサ電極の実施態様
図2と図3は、本明細書に記載された実施形態による、典型的センサ電極実施態様の一部を示す図である。具体的には、実施態様200(図2)は、幾つかの実施形態による、センサ電極のパターンと関連付けられた検出領域170内で検出するように構成されたセンサ電極のパターンの一部を示す。説明と記述を分かりやすくするために、図2は、センサ電極を単純な矩形パターンで示し、様々な関連構成要素を示していない。この検出電極パターンは、第1の複数のセンサ電極205(例えば、205-1、205-2、205-3、205-4)と、第2の複数のセンサ電極215(例えば、215-1、215-2、215-3、215-4)とを含む。センサ電極205,215はそれぞれ、前述されたセンサ電極120の例である。一実施形態では、処理システム110は、第1の複数のセンサ電極205を複数のトランスミッタ電極として、第2の複数のセンサ電極215を複数のレシーバ電極として作動させる。別の実施形態では、処理システム110は、第1の複数のセンサ電極205と第2の複数のセンサ電極215を絶対キャパシタンス検出電極として作動させる。
第1の複数のセンサ電極205と第2の複数のセンサ電極215は、典型的には、互いにオーム分離される。即ち、1つ以上の絶縁体が、第1の複数のセンサ電極205と第2の複数のセンサ電極215を分離し、それらが互いに電気的に短絡するのを防ぐ。幾つかの実施形態では、第1の複数のセンサ電極205と第2の複数のセンサ電極215が、共通層上に配置されうる。複数のセンサ電極205,215は、それらの間の交差領域に配置された絶縁材料によって電気的に分離されてもよく、そのような構造では、第1の複数のセンサ電極205及び/又は第2の複数のセンサ電極215は、同一電極の様々な部分を接続するジャンパで構成されうる。幾つかの実施形態では、第1の複数のセンサ電極205と第2の複数のセンサ電極215は、1つ以上の絶縁材料層によって分離される。幾つかの実施形態では、第1の複数のセンサ電極205と第2の複数のセンサ電極215は、1つ以上の基板によって分離され、例えば、同一基板の両側また異なる積層基板上に配置されてもよい。
複数のセンサ電極205,215は、任意の所望の形状に形成されうる。更に、センサ電極205のサイズ及び/又は形状は、センサ電極215のサイズ及び/又は形状と異なってもよい。更に、基板の同じ側に配置されたセンサ電極205,215は、異なる形状及び/又はサイズを有してもよい。一実施形態では、第1の複数のセンサ電極205は、第2の複数のセンサ電極215より大きくてもよい(例えば、より大きな表面積を有する)が、これは必要条件ではない。他の実施形態では、第1及び第2の複数のセンサ電極205,215は、類似のサイズ及び/又は形状を有してもよい。
一実施形態では、第1の複数のセンサ電極205は、実質的に第1の方向に延在し、第2の複数のセンサ電極215は、実質的に第2の方向に延在する。例えば、図2に示されたように、第1の複数のセンサ電極205は、ある方向に延し、第2の複数のセンサ電極215は、センサ電極205に対して実質的に直角の方向に延在する。他の向き(例えば、平行又は他の相対的な向き)も可能である。
幾つかの実施形態では、第1及び第2の複数のセンサ電極205、215は両方とも、一緒に表示装置160を構成する複数の層(又は表示スタック)の外側に配置される。表示スタックの一例は、レンズ層、1つ以上の偏光子層、カラーフィルタ層、1つ以上の表示電極層、表示材料層、薄膜トランジスタ(TFT)ガラス層、及びバックライト層などの層を含みうる。しかしながら、表示スタックの他の実施態様が可能である。他の実施形態では、第1及び第2の一方又は両方の複数のセンサ電極205、215が、表示関連層の一部として含まれるか個別層として含まれるかに関係なく、表示スタック内に配置される。例えば、特定の表示電極層内のVcom電極は、表示更新と容量性検出の両方を行うように構成されうる。
図3の実施態様300は、幾つかの実施形態による、検出領域170内で検出するように構成されたセンサ電極パターンの一部を示す。例証と記述を分かりやすくするために、図3は、センサ電極120を単純な長方形パターンで示し、他の関連構成要素を示していない。典型的なパターンは、X列とY行で配列されたセンサ電極120X,Yの配列を含み、XとYは正整数であるが、XとYの一方はゼロでもよい。センサ電極120のパターンは、対極配列、繰り返しパターン、非繰り返しパターン、単一行又は列、あるいは他の適切な実施態様などの他の構成を有してもよいことが意図される。更に、様々な実施形態では、センサ電極120の数は、行ごと及び/又は列ごとに異なってもよい。一実施形態では、センサ電極120の少なくとも1つの行及び/又は列は、他のものからずらされ、他と異なる少なくとも1つの方向に延在する。センサ電極120は、処理システム110に結合され、検出領域170内の入力オブジェクトの存在(又は、その欠如)を決定するために利用される。
第1の動作モードで、センサ電極120(1201,1,1202,1,1203,1,...,120X,Y)の実施態様は、絶対検出技術によって入力オブジェクトの存在を検出するために利用されうる。即ち、処理システム110は、センサ電極120を変調して、変調されたセンサ電極120と入力オブジェクトの間の容量結合の変化の測定値を取得して入力オブジェクトの位置を決定するように構成される。処理システム110は、更に、変調されたセンサ電極120が受け取った結果信号の測定値に基づいて、絶対キャパシタンスの変化を決定するように構成される。
幾つかの実施形態において、実施態様300は、センサ電極120の少なくとも2つの間に配置された1つ以上のグリッド電極(図示せず)を含む。グリッド電極は、複数のセンサ電極120を群として少なくとも部分的に区切り、また追加又は代替として、センサ電極120の1つ以上を完全又は部分的に区切ってもよい。一実施形態では、グリッド電極は、複数のアパーチャを有する平面体であり、各アパーチャは、センサ電極120のそれぞれを区切る。他の実施形態では、グリッド電極は、個別又は群で駆動されうる複数のセグメントを含む。グリッド電極は、センサ電極120と同じように製造されうる。グリッド電極は、センサ電極120と共に、導電性配線トレースを利用しかつ入力オブジェクト検出に使用される処理システム110に結合されうる。
センサ電極120は、典型的には、互いにオーミック分離され、グリッド電極からオーミック分離される。即ち、1つ以上の絶縁体が、センサ電極120とグリッド電極を分離し、それらが互いに電気的に短絡するのを防ぐ。幾つかの実施形態では、センサ電極120とグリッド電極は、絶縁ギャップによって分離され、この絶縁ギャップは、電気絶縁材料が充填されもよく、空気ギャップでもよい。幾つかの実施形態では、センサ電極120とグリッド電極は、1つ以上の絶縁材料層によって垂直方向に分離される。幾つかの他の実施形態では、センサ電極120とグリッド電極は、1つ以上の基板によって分離され、例えば、同じ基板の反対側に配置されてもよく異なる基板上に配置されてもよい。更に他の実施形態では、グリッド電極は、同一基板上又は様々な基板上に、複数の層で構成されてもよい。一実施形態では、第1のグリッド電極が、第1の基板上(又は、基板の第1の側)に形成され、第2のグリッド電極が、第2の基板上(又は、基板の第2の側)に形成されてもよい。例えば、第1のグリッド電極が、表示装置160の薄膜トランジスタ(TFT)層上に配置された1つ以上のコモン電極を含み(図1)、第2のグリッド電極は、表示装置160のカラーフィルタガラス上に配置される。第1及び第2のグリッド電極の寸法は、等しくてもよく、少なくとも1つの寸法が異なってもよい。
第2の動作モードで、センサ電極120(1201,1,1202,1,1203,1,...,120X,Y)は、トランスミッタ信号がグリッド電極に印加されたときに相互キャパシタンス検出技術によって入力オブジェクトの存在を検出するために利用されうる。即ち、処理システム110は、トランスミッタ信号をグリッド電極に印加し、各センサ電極120によって結果信号を受け取るように構成され、結果信号は、入力オブジェクトの位置を決定するために処理システム110又は他のプロセッサによって利用されるトランスミッタ信号に対応する影響を含む。
第3の動作モードでは、センサ電極120は、相互キャパシタンス検出技術によって入力オブジェクトの存在を検出するために利用されるトランスミッタ及びレシーバ電極の群に分割されうる。即ち、処理システム110は、センサ電極120の第1群にトランスミッタ信号を印加し、結果信号を第2群のセンサ電極120によって受け取ってもよく、結果信号は、トランスミッタ信号に対応する影響を含む。結果信号は、入力オブジェクトの位置を決定するために処理システム110又は他のプロセッサによって利用される。
入力装置100は、前述されたモードのいずれかで動作するように構成されうる。入力装置100は、また、前述されたモードの任意の複数のモード間で切り替わるように構成されうる。
容量結合の局所的容量性検出領域は、「容量画素」、「タッチ画素」、「ティクセル(tixel)」などと呼ばれうる。容量性画素は、第1の動作モードでは個別のセンサ電極120と基準電圧の間、第2の動作モードではセンサ電極120とグリッド電極の間、及びトランスミッタ及びレシーバ電極として使用されるセンサ電極120の群の間に形成されうる(例えば、図2の実施形態200)。容量結合は、センサ電極120と関連付けられた検出領域170内の入力オブジェクトの近さと動きにより変化し、したがって、入力装置100の検出領域内の入力オブジェクトの存在の指標として使用されうる。
幾つかの実施形態では、センサ電極120は、そのような容量結合を決定するために「走査」される。即ち、一実施形態では、センサ電極120の1つ以上が、トランスミッタ信号を送信するために駆動される。トランスミッタは、1つのトランスミッタ電極が一度に送信するか複数のトランスミッタ電極が同時に送信するように作動されうる。複数のトランスミッタ電極が同時に送信する場合、複数のトランスミッタ電極は、同じトランスミッタ信号を送信し、それにより実質的により大きいトランスミッタ電極を作成できる。あるいは、複数のトランスミッタ電極が、異なるトランスミッタ信号を送信できる。例えば、複数のトランスミッタ電極は、レシーバ電極の結果信号に対する複合的な影響を個々に決定することを可能にする1つ以上の符号化方式により様々なトランスミッタ信号を送信できる。一実施形態では、複数のトランスミッタ電極は、同じトランスミッタ信号を同時に送信でき、レシーバ電極は、影響を受け、走査方式に従って測定される。
レシーバセンサ電極として構成されたセンサ電極120は、結果信号を取得するために単独又は複合的に作動されうる。結果信号は、容量性画素における容量結合の測定値を決定するために使用されうる。処理システム110は、行われる同時測定の数並びに支持電気構造のサイズを小さくするために、センサ電極120によって走査式及び/又は多重式に受け取るように構成されうる。一実施形態では、1つ以上のセンサ電極は、マルチプレクサなどのスイッチング要素を介して処理システム110のレシーバに結合される。そのような実施形態では、スイッチング要素は、処理システム110の内部でもよく、処理システム110の外部でもよい。1つ以上の実施形態では、スイッチング要素は、更に、センサ電極120をトランスミッタ又は他の信号及び/又は電位と結合するように構成されうる。一実施形態では、スイッチング要素は、複数のレシーバ電極を共通レシーバに同時に結合するように構成されうる。
他の実施形態では、そのような容量結合を決定するセンサ電極120の「走査」は、センサ電極の1つ以上の変調と、1つ又はセンサ電極の絶対キャパシタンスの測定を含む。別の実施形態では、センサ電極は、複数のセンサ電極が一度に駆動され受け取られるように作動されうる。そのような実施形態では、絶対キャパシタンス測定値は、1つ以上のセンサ電極120のそれぞれから同時に得られうる。一実施形態では、センサ電極120がそれぞれ、同時に駆動され受信され、センサ電極120のそれぞれから同時に絶対キャパシタンス測定値を得る。様々な実施形態では、処理システム110は、センサ電極120の一部分を選択的に変調するように構成されうる。例えば、センサ電極は、ホストプロセッサ上で動作するアプリケーション、入力装置の状態及び検出装置の動作モードに基づいて(これらに限定されない)選択されうる。様々な実施形態では、処理システム110は、センサ電極120の少なくとも一部分を選択的に遮蔽し、かつ他のセンサ電極120によって選択的に受信しかつ/又は送信している間にグリッド電極122によって選択的に遮蔽又は送信するように構成されうる。
容量性画素からの1組の測定値は、画素における容量結合を表す「容量性イメージ」(「容量性フレーム」とも)を構成する。複数の容量性イメージは、複数の時間期間にわたって取得されてもよく、それらの間の差が、検出領域内の入力に関する情報を導出するために使用される。例えば、連続する時間期間にわたって取得された連続の容量性イメージは、検出領域内に入る1つ以上の入力オブジェクト、検出領域から出る1つ以上の入力オブジェクト、検出領域内にある入力オブジェクトの運動を追跡するために使用されうる。
上記実施形態のいずれにおいても、複数のセンサ電極120は、センサ電極120が同時に変調されるか同時に受け取るように連動されてもよい。前述された方法と比較して、複数のセンサ電極を連動させると、正確な位置情報を識別するために使用できない可能性がある粗い容量性イメージが作成されうる。しかしながら、粗い容量性イメージは、入力オブジェクトの存在を検出するために使用されうる。一実施形態では、粗い容量性イメージは、処理システム110又は入力装置100を「ドーズ(doze)」モード又は低消費電力モードから移行するために使用されうる。一実施形態では、粗い容量性イメージは、容量性検出ICを「ドーズ」モード又は低消費電力モードから移行するために使用されうる。別の実施形態において、粗い容量性イメージは、ホストICと表示ドライバの少なくとも一方を「ドーズ」モード又は低省電力モードでなくすために使用されうる。粗い容量性イメージは、全センサ領域又はセンサ領域の一部分にのみ対応しうる。
入力装置100のバックグラウンドキャパシタンスは、検出領域170内に入力オブジェクトがないことと関連付けられた容量性イメージである。バックグラウンドキャパシタンスは、環境及び動作条件により変化し、様々な方法で評価されうる。例えば、幾つかの実施形態は、検出領域170内に入力オブジェクトがないことが決定されたときに「ベースラインイメージ」を取得し、そのようなベースラインイメージをそれらのバックグラウンドキャパシタンスの評価として使用する。バックグラウンド容量又はベースライン容量は、2つのセンサ電極間の漂遊容量結合によって(一方のセンサ電極が、変調信号によって駆動され、他方が、系統接地に対して一定に保持される)、又はレシーバ電極と近傍変調電極の間の漂遊容量結合によって存在しうる。多くの実施形態では、バックグラウンド又はベースライン容量は、ユーザ入力ジェスチャの時間期間にわたって比較的一定でありうる。
容量性イメージは、より効率的な処理のために入力装置100のバックグラウンドキャパシタンスに合わせて調整されうる。幾つかの実施形態は、容量性画素における容量結合の測定値を「ベースライン化」して「ベースライン容量性イメージ」を作成することによってこれを達成する。即ち、幾つかの実施形態は、キャパシタンスイメージを構成する測定値を、それらのイメージと関連付けられた「ベースラインイメージ」の適切な「ベースライン値」と比較し、そのベースラインイメージからの変化を決定する。
幾つかのタッチスクリーン実施形態では、センサ電極120の1つ以上が、表示画面の表示の更新に使用される1つ以上の表示電極を含む。表示電極は、セグメント化Vcom電極(コモン電極)の1つ以上のセグメント、ソース駆動ライン、ゲートライン、アノードサブ画素電極、カソード画素電極、又は他の適切な表示要素など、アクティブマトリクスディスプレイの1つ以上の要素を含みうる。これらの表示電極は、適切な表示画面基板上に配置されうる。例えば、コモン電極は、幾つかの表示画面(例えば、面内スイッチング(IPS)、フリンジ場スイッチング(FFS)、又はプレーントゥラインスイッチング(PLS)有機発光ダイオード(OLED)上の透明基板(ガラス基板、TFTガラス、又は他の透明材料)上、幾つかの表示画面(例えば、パターン化垂直整列(PVA)又はマルチドメイン垂直整列(MVA))のカラーフィルタガラスの下面上、放出層(OLED)の上などに配置されうる。そのような実施形態では、複数の機能を実行するので、表示電極は、「組み合わせ電極」とも呼ばれうる。様々な実施形態では、センサ電極120のそれぞれは、1つ以上のコモン電極を含む。他の実施形態では、少なくとも2つのセンサ電極120が、少なくとも1つのコモン電極を共用できる。以下の記述は、センサ電極120及び/又はグリッド電極が1つ以上のコモン電極を含むことについて述べうるが、前述されたような様々な他の表示電極が、コモン電極と共に又はコモン電極の代替として使用されうる。様々な実施形態では、センサ電極120とグリッド電極は、コモン電極層全体(Vcom電極)を含む。
様々なタッチスクリーン実施形態では、「容量性フレームレート」(連続する容量性イメージが取得されるレート)は、「表示フレームレート」(画面をリフレッシュして同じ画像を再表示することを含む、表示画像が更新されるレート)のものと同じでもよく異なってもよい。様々な実施形態では、容量性フレームレートは、表示フレームレートの整数倍である。他の実施形態では、容量性フレームレートは、表示フレームレートの分数倍である。更に他の実施形態では、容量性フレームレートは、表示フレームレートの分数でも整数倍でもよい。1つ以上の実施形態では、表示フレームレートは、変化することがあるが(例えば、電力を削減するか三次元表示情報などの追加画像データを提供するため)、タッチフレームレートは一定のままである。他の実施形態では、表示フレームレートは、一定のままでよく、タッチフレームレートが増減される。
引き続き図3を参照すると、センサ電極120に結合された処理システム110は、検出モジュール310と、必要に応じてディスプレイドライバモジュール320を含む。検出モジュール310は、入力検出を必要とする期間中の容量性検出のためにセンサ電極120の少なくとも1つを駆動するように構成された回路を含む。一実施形態において、検出モジュール310は、少なくとも1つのセンサ電極120に変調信号を印加して、少なくとも1つのセンサ電極と入力オブジェクトの間の絶対キャパシタンスの変化を検出するように構成される。別の実施形態において、検出モジュール310は、少なくとも1つのセンサ電極120にトランスミッタ信号を印加して、少なくとも1つのセンサ電極と別のセンサ電極120との間の相互キャパシタンスの変化を検出するように構成される。変調信号とトランスミッタ信号は、一般に、入力検出のために割り当てられた時間期間に複数の電圧遷移を含む様々な電圧信号である。様々な実施形態では、センサ電極120及び/又はグリッド電極が、様々な動作モードで違うふうに駆動されうる。一実施形態では、センサ電極120及び/又はグリッド電極は、位相、振幅及び/又は形状のいずれか1つが異なりうる信号(変調信号、トランスミッタ信号及び/又はシールド信号)が印加されうる。様々な実施形態では、変調信号とトランスミッタ信号は、少なくとも1つの形状、周波数、振幅及び/又は位相が類似する。他の実施形態では、変調信号とトランスミッタ信号は、周波数、形状、位相、振幅及び位相が異なる。検出モジュール310は、センサ電極120及び/又はグリッド電極の1つ以上に選択的に結合されうる。例えば、検出ジュール310は、センサ電極120の選択部分と結合され、絶対キャパシタンス検出モード又は相互キャパシタンス検出モードで動作できる。別の例では、検出モジュール310は、センサ電極120の異なる部分でよく、絶対キャパシタンス検出モード又は相互キャパシタンス検出モードで動作できる。更に別の例では、検出モジュール310は、全てのセンサ電極120に結合され、絶対キャパシタンス検出モード又は相互キャパシタンス検出モードで動作できる。
検出モジュール310は、センサ電極120を近くの導体の電気的影響から遮蔽できるシールド電極としてグリッド電極を作動させるように構成される。一実施形態において、処理システムは、センサ電極120を近くの導体の電気的影響から「遮蔽」できる遮蔽電極としてグリッド電極を動作させ、またセンサ電極120をグリッド電極から防護してグリッド電極とセンサ電極120の間の寄生容量が少なくとも部分的に減少するように構成される。一実施形態では、遮蔽信号が、グリッド電極に印加される。シールド信号は、系統接地若しくは他の接地などの接地信号又は任意の他の定電圧(即ち、非変調)信号でよい。別の実施形態では、グリッド電極をシールド電極として動作させることは、グリッド電極を電気的に浮動されることを含みうる。一実施形態では、グリッド電極は、他のセンサ電極に対する大きい結合により電極が浮動されている間に有効遮蔽電極として動作できる。他の実施形態では、シールド信号は、「ガーディング信号」と呼ばれることがあり、ガーディング信号は、センサ電極に印加される変調信号と類似の位相、周波数及び振幅の少なくとも1つを有する可変電圧信号である。1つ以上の実施形態では、ルーティングトレースは、グリッド電極及び/又はセンサ電極120の下に引き回すことによって入力オブジェクトに対する応答から遮蔽されることがあり、したがって、センサ電極120として示されたアクティブセンサ電極の一部ではないことがある。
1つ以上の実施形態では、容量性検出(又は、入力検出)と表示更新は、少なくとも部分的に重複する期間に行われうる。例えば、表示更新のためにコモン電極が駆動されるとき、コモン電極は、容量性検出のためにも駆動されうる。別の実施形態では、容量性検出と表示更新は、非表示更新期間とも呼ばれる非重複期間に行われてもよい。様々な実施形態では、非表示更新期間は、表示フレームの2つの表示ラインのための表示ライン更新期間の間に生じることがあり、少なくとも表示更新期間と同じ時間の長さでよい。そのような実施形態では、非表示更新期間は、「長い水平ブランキング期間」、「長いhブランキング期間又は「分散ブランキング期間」と呼ばれることがあり、ブランキング期間は、2つの表示更新期間の間に生じ、少なくとも表示更新期間と同じ長さである。一実施形態では、非表示更新期間は、フレームの表示ライン更新期間の間に生じ、トランスミッタ信号の複数の遷移をセンサ電極120に印加することを可能にするのに十分の長さである。他の実施形態では、非表示更新期間は、水平ブランキング期間と垂直ブランキング期間を含みうる。処理システム110は、様々な非表示更新時間の1つ以上又はその任意の組み合わせの最中に、容量性検出のためにセンサ電極120を駆動するように構成されうる。繰り返しコヒーレント周波数及び位相によって重複する表示更新期間と容量性検出期間の正確な制御を提供するために、検出モジュール310とディスプレイドライバモジュール320の間で同期信号が共用されうる。一実施形態では、そのような同期信号は、比較的安定した電圧を有する表示更新期間と一致するように、入力検出期間の始めと終わり(例えば、入力積分器リセット時間の終わり近くと表示電荷共用時間の終わり近く)で比較的安定した電圧を可能にするように構成されうる。変調信号又はトランスミッタ信号の変調周波数が、表示ライン更新レートの高調波でよく、その位相は、表示要素からレシーバ電極にほぼ一定の電荷結合を提供するように決定される。この結合はベースラインの一部でありうる。
検出モジュール310は、入力検出が必要とされる期間中の変調信号又はトランスミッタ信号に対応する影響を含む結果信号を、センサ電極120及び/又はグリッド電極によって受け取るように構成された回路を含む。検出モジュール310は、検出領域170内の入力オブジェクトの位置を決定してもよく、結果信号を示す情報を含む信号を、別のモジュール又はプロセッサ(例えば、関連付けられた電子装置150(即ち、ホストプロセッサ)の決定モジュール330又はプロセッサに提供して、検出領域170内の入力オブジェクトの位置を決定してもよい。
ディスプレイドライバモジュール320は、処理システム110に含まれてもよく、処理システム110と別個でもよい。ディスプレイドライバモジュール320は、非検出(例えば、表示更新)期間中に表示装置160の表示に表示画像更新情報を提供するように構成された回路を含む。
一実施形態では、処理システム110は、ディスプレイドライバモジュール320と、検出モジュール310の少なくとも一部分(例えば、トランスミッタモジュール及び/又はレシーバモジュール)とを含む第1の一体型コントローラを含む。別の実施形態では、処理システム110は、ディスプレイドライバモジュール320を含む第1の一体型コントローラと、検出モジュール310を含む第2の一体型コントローラとを含む。更に別の実施形態では、処理システムは、ディスプレイドライバモジュール320と、センサモジュール310の第1の部分(例えば、トランスミッタモジュールとレシーバモジュールの一方)とを含む第1の一体型コントローラと、検出モジュール310の第2の部分(例えば、トランスミッタとレシーバモジュールのうちの他方の1つ)を含む第2の一体型コントローラとを含む。複数の一体型回路を含むこれらの実施形態では、これらの間に、表示更新期間、検出期間、トランスミッタ信号、表示更新信号などを同期させるように構成された同期機構が結合されてもよい。
例示的検出の実施態様
図4は、本明細書に記載された実施形態による、様々な検出周波数に選択された混合期間を適用するための典型的処理システムを示す図である。より具体的には、実施態様400は、前述された処理システム110の1つの可能な実施態様を提供する。更に、実施態様400は、図2と図3に関して前述されたセンサ電極の実施態様200,300など、本明細書に記載された様々な実施形態と関連して使用できる。
実施態様400内で、検出モジュール310は、複数のセンサ電極群405を含む。複数のセンサ電極群405の各群G1,G2,G3,G4,...,GNは、処理システム110と結合された複数のセンサ電極のうちの少なくとも1つのセンサ電極に対応する。処理システム110は、センサ電極の群G1,G2,G3,G4,...,GNのうちの選択された群を作動させて容量性検出信号を送りかつ/又は結果信号を受け取ることによって容量性検出を実行する働きをする。例えば、相互キャパシタンス検出実施態様では、1つ以上のセンサ電極の第1群G1に容量性検出信号が印加され、1つ以上の他のセンサ電極の第2群G2が、結果信号を受け取る。別の例では、絶対キャパシタンス検出実施態様において、センサ電極の特定の群G1に容量性検出信号が印加され、結果信号を受け取るために使用される。
検出モジュール310は、更に、複数の所定の検出周波数415を含む。処理システム110によって生成され、その後で選択センサ電極に印加される容量性検出信号は、一般に、検出周波数fSENS,1,fSENS,2,fSENS,3,...,fSENS,Kのうちの選択された検出周波数に対応する周波数を有する時変信号である。更に、処理システム110の動作中、生成された容量性検出信号の周波数は、干渉を回避し、したがって検出性能を改善するために、検出周波数fSENS,1,fSENS,2,fSENS,3,...,fSENS,Kのうちの選択された検出周波数間で遷移されうる。幾つかの例では、検出周波数fSENS,1,fSENS,2,fSENS,3,...,fSENS,K間の遷移は、処理システム110によって行われる干渉測定に応じて実行される。
幾つかの実施形態において、所定の検出周波数fSENS,1,fSENS,2,fSENS,3,...,fSENS,Kは、複数のセンサ電極内で識別された1つ以上の最も遅いセンサ電極410に基づいて選択される。1つ以上の最も遅いセンサ電極410が、相対的に最も長いRC時定数と関連付けられ、それにより、1つ以上の最も遅いセンサ電極410は、様々な信号(生成された容量性検出信号など)が印加されるときの方が安定するのが遅い。例えば、入力装置内で、最も遅いセンサ電極410は、一般に、処理システム110から空間的に最も遠くかつ最も長くかつ/又は最も遠回りの導電性トレースと接続されたセンサ電極に対応しうる。そのような実施形態において、所定の検出周波数fSENS,1,fSENS,2,fSENS,3,...,fSENS,Kは、最も遅いセンサ電極410の場合でも、最も高い検出周波数を有する容量性検出信号の生成が許容可能な検出性能を生成するように選択される。
検出モジュール310は、センサ電極によって(即ち、選択されたセンサ電極群G1,G2,...,GNによって)受け取られる結果信号を復調するために使用される複数の所定の混合期間420(又は「混合ウィンドウパルス幅」)を有する。複数の所定の混合期間420の各混合期間TMIX,1,TMIX,2,TMIX,3,...,TMIX,Kは、特定の検出周波数fSENS,1,fSENS,2,fSENS,3,...,fSENS,Kに対応する。
幾つかの実施形態において、混合期間TMIX,1,TMIX,2,TMIX,3,...,TMIX,Kは、複数の取得されたベースライン容量性測定値425(即ち、入力オブジェクトなしに実行されるベースライン容量性測定値B(1),B(2),...,B(K))に対応する複数の平均電流値430(即ち、平均電流値IAVG,1,IAVG,2,IAVG,3,...,IAVG,K)が、異なる検出周波数fSENS,1,fSENS,2,fSENS,3,...,fSENS,Kと所定の関係を有するように選択される。したがって、処理システム110の動作中の所定の検出周波数fSENS,1,fSENS,2,fSENS,3,...,fSENS,Kの異なる検出周波数間の任意の遷移に関して、対応する平均電流値IAVG,1,IAVG,2,IAVG,3,...,IAVG,Kは、容量性検出測定値に必要とされうる任意の補正又は補償(例えば、スケーリング又はシフティング)を単純化する所定の関係を有する。このようにして、処理システム110は、個々のセンサ電極又は容量性画素ごとに補償値を較正し記憶する必要を回避し、これにより、メモリ要件並びに関連コスト及びサイズが低減される。
一実施形態において、様々な混合期間TMIX,1,TMIX,2,TMIX,3,...,TMIX,Kは、対応する平均電流値IAVG,1,IAVG,2,IAVG,3,...,IAVG,Kが実質的に同一になるように選択される。そのような場合、処理システム110は、異なる検出周波数fSENS,1,fSENS,2,fSENS,3,...,fSENS,K間で遷移するときに容量性検出測定値に補正又は補償を行う必要がない。別の実施形態において、複数の平均電流値430は、検出周波数fSENS,1,fSENS,2,fSENS,3,...,fSENS,Kの変化に実質的に比例を有し、これは、処理システム110による比較的単純な補正又は補償しか必要としない。
幾つかの実施形態において、実施態様400は、センサ電極の群G1,G2,G3,G4,...,GNに対応する1つ以上のセンサ電極と結合された1つ以上のスイッチング要素435を含む。処理システム110は、一般に、複数の平均電流値430(即ち、平均電流値IAVG,1,IAVG,2,IAVG,3,...,IAVG,K)が、異なる検出周波数fSENS,1,fSENS,2,fSENS,3,...,fSENS,Kと所定の関係を有するように、スイッチング要素435を作動させる。幾つかの実施形態において、スイッチング要素435は、混合期間TMIX,1,TMIX,2,TMIX,3,...,TMIX,Kから選択された混合期間中に導電(又は「オン」)状態であり、非混合期間中に非導通(又は、「オフ」)状態である。このようにして、スイッチング要素435は、混合期間中に検出実施態様内の関連センサ電極を結合し、非混合期間中にセンサ電極を切り離す。スイッチング要素435の動作とタイミングは、後で図9、図10及び図11に関してより詳しく検討される。1つ以上のスイッチング要素435の幾つかの非限定的な例には、トランジスタとマルチプレクサが含まれる。更に、スイッチング要素435は、処理システム110の外部であるように表されたが、代替として処理システム110内に含まれうる。
図5は、本明細書に記載された実施形態による、異なる検出周波数に選択された混合期間を適用するための検出実施態様500(又は、「実施態様」)の概略図である。実施態様500は、図2と図3に関連して検討されたセンサ電極の実施態様200,300及び図4に描かれた処理システムなど、本明細書で検討された様々な実施形態と併せて使用できる。
実施態様500は、電圧波形VTXを有する容量性検出信号を生成する電圧源505を備える。電圧波形VTXは、任意の適切な形状を有することができ、電圧波形VTXの周波数は、選択された所定の検出周波数(例えば、図4のfSENS,1,fSENS,2,fSENS,3,...,fSENS,K)に基づいて制御される。電圧源505は、容量性検出信号をセンサ電極510に印加し、この信号は、トランスミッタ抵抗RTXとトランスミッタキャパシタンスCTXとを有する一次モデルとして表される。センサ電極510とセンサ電極515と間の相互キャパシタンスCTに基づいて、センサ電極515は、レシーバ回路520に提供された結果信号を受け取る。また、センサ電極515は、レシーバ抵抗RRXとレシーバキャパシタンスCRXを有する一次モデルとして表される。しかしながら、本明細書で検討される原理は、複数のセンサ電極のより複雑な(例えば、分散された)モデリングにも当てはまる。更に、2つの別個のセンサ電極510,515を有する相互キャパシタンス実施態様の観点から述べたが、本明細書に記載された原理は、容量性検出信号を送受信するために同じセンサ電極が使用される絶対キャパシタンス実施態様にも当てはまる。
図示されたように、レシーバ回路520は、増幅器525(又は、「オペアンプ」)、電流コンベヤ(又は、「電流ミラー」)530及び復調器(又は、「混合器」)535を含む。入力電流IINは、センサ電極515によって受け取られた結果信号を表わし、電流コンベヤ530(任意の適切な利得値Aを有する)によって、出力電流IOUTとして反射される。受け取った復調信号に基づいて、復調器535は、より高い(RF)周波数を有する出力電流IOUTを復調電流IMIXにダウンコンバートし、復調電流IMIXは、ほぼ直流(DC)レベル(即ち、実質的に周波数成分がない)を有するように後続回路によってフィルタリングされうる。図示されたように、電圧源540は、選択された所定の混合期間(例えば、図4のTMIX,1,TMIX,2,TMIX,3,...,TMIX,K)に基づいて電圧波形VMIXを有する復調信号を生成する。
復調器535は、一般に、矩形波混合器、高調波拒絶混合器、正弦波混合器などの任意の適切な実施態様を有する連続時間復調器である。一般に、連続時間復調器535の使用によって、レシーバ回路520の比較的単純なハードウェア実施態様が可能になり、同時に、個別のセンサ電極又は容量性画素ごとに補償値を較正し記憶する必要がなくなる。幾つかの実施形態において、復調器535は、正レベル、負レベル及びゼロレベルを有する3レベル復調信号を受け取る。
図6は、本明細書に記載された実施形態による、様々な検出周波数の選択された混合期間を適用する方法600を示す図である。方法600は、図4に表された処理システム又は任意の他の適切な処理システムなど、本明細書で検討される様々な実施形態と共に使用できる。
方法600は、ブロック605で始まり、処理システムは、複数のセンサ電極の第1群に、所定の第1の検出周波数を有する第1の容量性検出信号を印加する。ブロック615で、処理システムは、印加された第1の容量性検出信号に基づいて、複数のセンサ電極の第2群によって受け取られる結果信号の第1の容量性測定値を取得する。第1群と第2群とはそれぞれ、1つ以上のセンサ電極を含む。幾つかの絶対キャパシタンス検出実施態様では、第1群と第2群は同じである。幾つかの相互キャパシタンス検出実施態様では、第1群と第2群が異なる。ブロック615で、処理システムは、更に、第1の検出周波数と関連した検出期間内で規定された所定の第1の混合期間を有する第1の復調信号を適用する。
ブロック625で、処理システムは、複数のセンサ電極の第3群に、第1の検出周波数とは異なる第2の検出周波数を有する第2の容量性検出信号を印加する。第3群は第1群と同じでよいが、これは必須ではない。幾つかの例では、第1の検出周波数と第2の検出周波数の間の遷移は、第1の検出周波数における検出干渉に応じて行われる。ブロック635で、処理システムは、印加された第2の容量性検出信号に基づいて、複数のセンサ電極の第4群によって受け取られる結果信号の第2の容量性測定値を取得する。第4群は第2群と同じでもよいが、これは必須ではない。ブロック635で、処理システムは、更に、第1の混合期間とは異なる所定の第2の混合期間を有する第2の復調信号を適用する。幾つかの実施形態において、第1及び第2の混合期間は、第1の検出周波数における第1のベースライン容量性測定値の第1の平均電流値が、第2の検出周波数における第2のベースライン容量性測定値の第2の平均電流値と比例関係を有するように選択される。方法600は、ブロック635の完了後に終わる。
図7は、本明細書に記載された実施形態による、混合期間の調整を行わない検出実施形態の典型的な動作を示す図700である。一般に、図700は、図5に表された検出実施態様500又は他の適切な処理システムの動作を表わす。
図700は、マイクロ秒(μs)で表した時間の経過によるボルト(V)で表した電圧波形VTXのプロット705を含む。図示されたように、電圧波形VTXは、300キロヘルツ(kHz)の検出周波数を有し、3Vレベルと0Vレベルの間で交番する矩形波である。図700は、更に、復調電流IMIX(即ち、復調器からの出力電流)のプロット720と、入力電流IIN(即ち、受け取った結果信号からの入力電流)のプロット725とを含むグラフ710を含む。図700は、更に、電圧波形VMIXのプロット715を含み、これは、図示されたように、300kHzの検出周波数で作動し、2つのレベル(即ち、1Vレベルと-1Vレベル)の間で交番する矩形波である。
それぞれの所定の検出期間は、複数の検出サイクル740-1、740-2などを構成する。それぞれの検出サイクル740-1,740-2は、正検出半サイクル730と負検出半サイクル735とを含む。各検出サイクル740-1,740-2は、300kHz検出周波数に対応する約3.33μsの持続時間を有する。図示されたように、正検出半サイクル730中、復調器は、正レベルの復調信号(即ち、1V)を適用し、負検出半サイクル735c中、復調器は、負レベルの復調信号(即ち、-1V)を適用し、その結果、入力電流IINと電圧波形VMIXの乗算によって、単一の信号検出期間又は整数の検出期間にわたって非ゼロ平均値を有する信号が生成される。プロット715内で、混合期間TMIXは、各検出半サイクル730,735の長さ(ここでは、約1.67μs)と等しい。
図8は、本明細書に記載された実施形態による、混合期間に実行された調整を有する検出実施形態の典型的な動作を示す図800である。
図800は、300キロヘルツ(kHz)の検出周波数を有し3Vレベルと0Vレベルの間で交番する矩形波である電圧波形VTXのプロット705を含む。各検出サイクル740-1,740-2は、300kHz検出周波数に対応する約3.33μsの持続時間を有する。図800は、更に、復調電流IMIXのプロット815と入力電流IINのプロット820を含むグラフ805を含む。図800は、更に、図示されたように、正レベル(即ち、1Vレベル)、負レベル(即ち、-1V)及びゼロレベルを有する3レベル復調信号である電圧波形VMIXのプロット810を含む。
検出サイクル740-1は、復調器が正レベルの復調信号を適用する正検出半サイクル730、復調器が負レベルの復調信号を適用する負検出半サイクル735、及びゼロレベルが適用される所定の期間825-1,825-2(又は、非混合期間)を含む。正検出半サイクル730と負検出半サイクル735の間で所定の期間825-1が生じ、その後の検出サイクル740-2の負検出半サイクル735と正検出半サイクルの間で所定の期間825-2が生じる。図示されたように、混合期間TMIXは、変調信号が所定の検出周波数で正レベルと負レベルのそれぞれにある時間の長さを示す。プロット810内で、混合期間TMIXは、約1.06μsであり、各所定の期間825-1,825-2は、約0.60μsである。
幾つかの実施形態において、混合期間TMIX(又は、検出半サイクル730,735)、と所定の期間825-1,825-2の持続時間は、ベースライン容量性測定値が異なる所定の検出周波数で取得された場合に、各検出半サイクル730,735中に取得された平均電流値が所定の関係を有するように制御される。1つの非限定的な例において、平均電流値は、様々な検出周波数で同じでありうる。別の非限定的な例において、平均電流値は、検出周波数間の差に基づく線形関係を有しうる。
また図5に表された検出実施態様500を参照して、RTX=0とCTX=0を仮定すると、検出半サイクル中の平均電流値は、次のように表わされうる。
の場合(図7に表されたような)、検出半サイクル中の平均電流値は、次のように表わされうる。
これは、項(R
RX・(C
r+C
RX))がゼロに近づくときI
MIX=2C
T・V
TX∙f
SENS)(線形結果)に単純化する。したがって、出力電流I
OUTは、検出周波数f
SENSの変化と線形で増減しなければならない。したがって、測定キャパシタンスは、
と決定されうる。第1の検出周波数f
SENS,1から第2の検出周波数f
SENS,2に遷移する際、
の比は
の比と等しい。換言すると、I
MIX,1は、
によって線形で増減されI
MIX,2が得られる。
ベースライン基準として、T
MIXが、検出周波数f
SENSの変化に対して一定に維持される場合、平均電流値は、理想的には、T
MIXウィンドウごとに一定のままである。したがって、定数T
MIXが式(1)に適用された場合の性能改善は、式(2)に示された
の場合を越えて、次のように表わされうる。
したがって、式(1)の定数TMIXを適用することによって、式(2)に示された場合より少なくとも2倍改善される。しかしながら、これは、センサ電極が完全には安定せず、センサ電極の初期状態が様々な検出周波数fSENSと共に変化しうるので、IMIX(eq.1)が検出周波数fSENSの変化に対して一定にならないことを示す。
幾つかの実施形態では、異なるTMIX値が様々な検出周波数fSENSに適用される。
ここで、
したがって、様々な検出周波数fSENSに異なるTMIX値を適用することによってIMIX,1とIMIX,2の所望の線形関係が達成されうる。前述された分析は、単極モデル(即ち、RTX=0とCTX=0を仮定する)に関するものであるが、異なるTMIX値が様々な検出周波数fSENSに適用される典型的な分散RCモデルの性能は、図12に更に詳しく示される。更に、幾つかの実施形態では、所望の利得値Aが、電流コンベヤによって入力電流IIN(プロット820で示された)に適用されうる。
図9は、本明細書に記載された実施形態による、1つ以上のスイッチング要素を異なる検出周波数で動作させるための検出実施態様900(又は、「実施態様」)の概略図である。実施態様900は、図2と図3に関連して検討されたセンサ電極の実施態様200,300及び図4に描かれた処理システムなど、本明細書で検討された様々な実施形態と併せて使用できる。
実施態様900は、電圧波形VTXを有する容量性検出信号を生成する電圧源505を備える。電圧波形VTXは、任意の適切な形状を有することができ、電圧波形VTXの周波数は、選択された所定の検出周波数(例えば、図4のfSENS,1,fSENS,2,fSENS,3,...,fSENS,K)に基づいて制御される。電圧源505は、容量性検出信号をセンサ電極510に印加し、これは、トランスミッタ抵抗RTXとトランスミッタキャパシタンスCTXとを有する一次モデルとして表わされる。センサ電極510とセンサ電極515の間の相互キャパシタンスCTに基づいて、センサ電極515は、レシーバ回路905に提供された結果信号を受け取る。センサ電極515も、レシーバ抵抗RRXとレシーバキャパシタンスCRXを有する一次モデルとして表わされる。しかしながら、本明細書で検討される原理は、複数のセンサ電極のより複雑な(例えば、分散された)モデリングにも当てはまる。更に、2つの別個のセンサ電極510,515を有する相互キャパシタンス実施態様の観点から述べたが、本明細書に記載された原理は、容量性検出信号を送受信するために同じセンサ電極が使用される絶対容量性実施態様にも当てはまる。
図示されたように、レシーバ回路905は、増幅器525(又は、「オペアンプ」)、電流コンベヤ(又は、「電流ミラー」)530、及び復調器(又は、「混合器」)535を含む。入力電流IINは、センサ電極515によって受け取られた結果信号を表わし、電流コンベヤ530(任意の適切な利得値Aを有する)により、出力電流IOUTとして反射される。受け取った復調信号に基づいて、復調器535は、より高い(RF)周波数を有する出力電流IOUTを復調電流IMIXにダウンコンバートし、復調電流IMIXは、ほぼ直流(DC)レベル(即ち、実質的に周波数成分がない)を有するように後続回路によってフィルタリングされうる。図示されたように、電圧源540は、選択された混合期間(例えば、図4のTMIX,1,TMIX,2,TMIX,3,...,TMIX,K)に基づく電圧波形VMIXを有する復調信号を生成する。
復調器535は、一般に、矩形波混合器、高調波拒絶混合器、正弦波混合器などの任意の適切な実施態様を有する連続時間復調器である。幾つかの実施形態では、復調器535は、正レベル、負レベル及び零レベルを有する3つのレベルの復調信号を受け取る。
実施態様900において、第1のスイッチング要素S1は、電圧源505とセンサ電極510を選択的に結合するように構成され、第2のスイッチング要素S2は、センサ電極515とレシーバ回路905を選択的に結合するように構成される。第1のスイッチング要素S1は、制御信号915-1によって制御され、第2のスイッチング要素S2は、制御信号915-2によって制御される。幾つかの実施形態において、計算ブロック910は、電圧波形VMIXの大きさを制御信号915-1,915-2として出力する。したがって、3レベル復調信号の場合、正レベルと負レベルはそれぞれ、スイッチング要素S1及びS2の導電状態に対応し、ゼロレベルは、スイッチング要素S1及びS2の非導通状態に対応する。このようにして、レシーバ回路905は、スイッチング要素S1,S2を作動させて、それぞれのセンサ電極510,515を、電圧源505から始まりレシーバ回路905への入力で終わる検出経路に選択的に結合する。有利には、スイッチング要素S1及びS2は、比較的大きいアナログハードウェアを必要とせずにデジタル領域内で実現されうる。
幾つかの実施形態において、スイッチング要素S1,S2は、選択された混合期間TMIXによって規定された検出期間の混合期間中だけ、それぞれのセンサ電極510,515を検出経路に結合する。そのような実施形態において、混合期間TMIXの値は、様々な検出周波数fSENSにおいて一定である。スイッチング要素S1,S2が、各検出半サイクル中に一定時間長(即ち、混合期間TMIX)の間閉じられる(導通する)ので、電荷が、センサ電極上に保存され、入力電流IINの量は、実質的に様々な検出周波数fSENSにわたって同じままである。RTX=0とCTX=0を仮定すると、検出半サイクル中の平均電流値は、次のように表わされうる。
この式は、まずIMIXの平均電流値が検出周波数fSENSに依存しないことを示す。
実施態様900には2つのスイッチング要素S1,S2が示されているが、代替の実施態様は、検出経路内に単一スイッチング要素を含みうる。更に、単一センサ電極510,515が、それぞれのスイッチング要素S1,S2と結合されているように示されているが、代替実施態様は、単一のスイッチング要素と結合された複数のセンサ電極(例えば、所定の群内の複数のセンサ電極)を有しうる。
幾つかの実施形態において、1つ以上のスイッチング要素の数と位置は、関連センサ電極510,515の時定数に基づいて選択される。当業者に知られているように、特定のセンサ電極と関連した時定数は、センサ電極抵抗とセンサ電極キャパシタンスの両方に依存する。例えば、センサ電極510と関連した時定数は、RTXとCTXの値に依存する。センサ電極510と関連した時定数が、センサ電極515の時定数より支配的(即ち、かなり大きい)場合、実施態様900は、センサ電極515とレシーバ回路905への入力の間の電気接続を維持しながらスイッチング要素S1を作動させる。幾つかの実施態様において、スイッチング要素S2は、実施態様900から省略され、直接電気接続と置き換えられる。その他の実施態様において、制御信号915-1,915-2が独立しており、制御信号915-2は、スイッチング要素S2を導通状態にしたまま電気接続を生成する。
同様に、センサ電極515と関連した時定数が支配的な場合、実施態様900は、スイッチング要素S1をスイッチング要素S2と無関係に作動させて電圧源505とセンサ電極510の間の電気接続を維持してもよく、スイッチング要素S1を完全に省略してもよい。どちらの時定数も支配的でない(例えば、時定数は同程度の)場合、両方のスイッチング要素S1,S2が、実施態様900に含まれ、制御信号915-1,915-2に同じ制御信号を使用して作動されうる。
図10は、本明細書に記載された実施形態による、1つ以上のスイッチング要素を異なる検出周波数で動作させるための方法1000を示す図である。方法1000は、図4に表された処理システムと図9の検出実施態様900、又は任意の他の適切な処理システムなど、本明細書で検討される様々な実施形態と共に使用できる。
方法1000は、ブロック1005で始まり、処理システムは、複数のセンサ電極の第1群に、所定の第1の検出周波数を有する第1の容量性検出信号を印加する。ブロック1015で、処理システムは、印加された第1の容量性検出信号に基づいて、複数のセンサ電極の第2群によって受け取られた結果信号の第1の容量性測定値を取得する。処理システムは、第1の検出周波数と関連付けられた検出期間内で規定された所定の混合期間を有する第1の復調信号を適用する。幾つかの実施形態において、所定の第1の検出周波数は、1つ以上の識別された最も遅いセンサ電極に基づいて選択される。幾つかの例では、所定の第1の検出周波数は、複数の所定の検出周波数の1つであり、所定の混合期間は、所定の検出周波数のうちの最も大きい検出周波数(即ち、最高周波数)の検出半サイクル内に収まるように選択される。
ブロック1025で、処理システムは、第1の復調信号に基づいて、1つ以上のセンサ電極の第1群又は第2群と結合された1つ以上のスイッチング要素を作動させ、1つ以上のスイッチング要素は、混合期間中、導通状態である。このようにして、処理システムは、1つ以上のスイッチング要素を作動させてそれぞれのセンサ電極を検出経路に選択的に結合する。
作動ブロック1035で、処理システムは、複数のセンサ電極の第3群に、第1の検出周波数とは異なる第2の検出周波数を有する第2の容量性検出信号を印加する。第3群は、第1群と同じよいが、これは必須ではない。幾つかの例では、第1の検出周波数と第2の検出周波数の間の遷移は、第1の検出周波における検出干渉に応じて行われる。
作動ブロック1045で、処理システムは、印加された第2の容量性検出信号に基づいて、複数のセンサ電極の第4群によって受け取られた結果信号の第2の容量性測定値を取得する。第4群は第2群と同じでもよいが、これは必須ではない。処理システムは、混合期間を有する第2の復調信号を印加する。1つ以上のスイッチング要素が、各検出半サイクル中、固定時間量(即ち、所定の混合期間)だけ導通状態なので、処理システムのレシーバ回路に対する入力電流の平均電流値は、第1の検出周波数と第2の検出周波数では実質的に同じままである。方法1000は、ブロック1045の完了後に終わる。
図11は、本明細書に記載された実施形態による、1つ以上のスイッチング要素を使用する検出実施形態の典型的な動作を示す図表1100である。より具体的には、図表1100は、図9の検出実施態様900又は他の適切な検出実施態様の典型的な動作を示す。
図表1100は、200kHzの検出周波数に対応する3レベル復調信号(VMIX)を表すプロット1105を含む。プロット1110は、1つ以上のセンサ電極を200kHzの検出周波数で駆動することにより生じる入力電流IINを表す。検出サイクル1120-1内で、復調信号の正レベル(即ち、1V)が正検出半サイクル1112-1中に適用され、復調信号の負レベル(即ち、-1V)が負検出半サイクル1116-1中に適用される。正検出半サイクル1112-1と負検出半サイクル1116-1はそれぞれ、所定の混合期間TMIXに対応する。検出サイクル1120-1は、また、所定の期間1114-1,1118-1(又は、「非混合期間」)を含み、その間、ゼロベルの復調信号が適用される。図示されたように、所定の期間1114-1,1118-1は、実質的に等しい長さを有するが、これは必須ではない。本明細書で検討される実施形態によれば、センサ電極と結合されたスイッチング要素は、各混合期間TMIX中に導通状態であり、各非混合期間1114-1,1118-1中に非導通状態である。
プロット1125は、250kHzの検出周波数に対応する3レベル復調信号VMIXを表し、プロット1130は、検出周波数における対応する入力電流IINを表す。同様に、プロット1135は、300kHzの検出周波数に対応する3レベル復調信号VMIXを表し、プロット1140は、対応する入力電流IINを表す。各検出サイクル1120-2(250kHz),1120-3(300kHz)内で、正検出半サイクル1112-2,1112-3と負検出半サイクル1116-2,1116-3はそれぞれ、所定の混合期間TMIXに対応し、一方、所定の期間1114-2,1118-2,1114-3,1118-3は、検出周波数が高いほど短くなる。スイッチング要素が、各検出半サイクル中に固定時間量(即ち、所定の混合期間TMIX)だけ導通状態なので、入力電流IINの平均電流値は、様々な検出周波数にわたって実質的に同じままである。また、平均電流値が、様々な検出周波数で実質的に同じになるように制御されるので、異なる検出周波数間で遷移するときに容量性ベースラインに生じるシフトが部分的又は完全に軽減される。
図12は、本明細書に記載された実施形態による、様々な検出周波数にわたるキャパシタンスの変化を示すグラフ1200である。より具体的には、グラフ1200は、複数のセンサ電極の分散RCモデルのシミュレーション結果を示し、6.4ピコファラド(pF)の相互キャパシタンスCTに対応する。グラフ1200内で、プロット1205は、所定の混合期間が特定の検出周波数に対応する期間の半分に等しい事例を表わす(図7に類似)。プロット1205は、示された検出周波数範囲(160kHz~195kHz)にわたるベースラインキャパシタンスの実質的に線形の変化を示し、この変化は、異なる検出周波数間で遷移するときに処理システムによって補償される。
プロット1210は、検出周波数の範囲にわたって適用された一定の混合期間を有する実施態様を表わす。図示されたように、上記の式(3)の検討と一致して、一定の混合期間を適用することによって、プロット1205と比較してベースラインキャパシタンスシフトが少なくとも2倍に改善(即ち、減少又は緩和)される。プロット1215は、混合期間(図9の実施態様900など)中にセンサ電極を選択的に結合するスイッチング要素を有する実施態様を表わし、この実施態様は、ベースラインキャパシタンスシフトの付加的な減少又は緩和を提供する。プロット1220は、選択された検出周波数に依存する可変混合期間を有する実施態様を表わす(図8に類似)。プロット1220の最大値は、ベースラインキャパシタンスシフトの付加的な低減又は緩和を提供する約5フェムトファラッド(fF)である。
したがって、本明細書に示された実施形態及び例は、本発明による実施形態とその特定の応用例を最もよく説明し、それにより当業者が本開示を作成し使用できるようにするために提示された。しかしながら、当業者は、以上の説明及び例が、単に説明と例のために提示されたことを理解するであろう。以上の説明は、網羅的ではなく本開示を開示した厳密な形態に限定するものでもない。
以上のことを考慮して、本開示の範囲は、以下の請求項によって決定される。