JP7039448B2 - 中性子検出装置および中性子検出方法 - Google Patents

中性子検出装置および中性子検出方法 Download PDF

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Description

本発明の実施形態は、中性子検出装置および中性子検出方法に関する。
材料検査などで使用される中性子ラジオグラフィ、中性子回折などでは、平行な中性子ビームを検査対象物に照射し、その反射、吸収特性を検出器で測定する。中性子ラジオグラフィで使用される検出器としては、イメージングプレート(IP)などが一般的に使用されている。イメージングプレートを用いる場合、ある一定の露光時間が必要になるため、一般的には静止画の撮影となる。
これに対し、測定データの取得を高速で実施するため、高強度の中性子線源などを使用し、アレイ検出器で中性子の数を1個ずつ計測することで画像を作成する装置が知られている。このような装置の場合、中性子線源や検査対象物で発生するγ線など、測定対象外の放射線の影響を受けるなどの課題がある。
また、複数の検出器の各前面に、複数の穴を開けた枠を設け、複数の検出器で同時に信号を検出した際に、中性子の信号として画像を作成する手法が知られている。そのような手法によれば、中性子以外の信号を除き、鮮明な画像を安定して供給できる。
また、シンチレータの光を波長シフトファイバーで変換し、ファイバーである程度離れた位置で測定する技術が知られている。
特開2007-183149号公報 特開2002-71816号公報
上述の従来技術では、中性子個別の信号を検出して中性子イメージングが可能になる。しかし、枠によるデットスペースが発生し検出感度が落ちるとともに解像度が劣化してしまうなどの課題があり、また、複数のシンチレータの発光を波長シフトファイバーでまとめて取得するため、複数の信号が重ならないような強度での適用に限定される、という課題があった。
本発明の実施形態は上述した課題を解決するためのものであり、中性子検出にあたり、感度および分解能を両立させることを目的とする。
本発明の実施形態に係る中性子検出装置は、中性子と反応して発光する第1の中性子反応材を含むシンチレータと、少なくとも3個が前記シンチレータの第1の面に沿って並べられて、前記シンチレータで発光した光を検出する複数の検出器と、前記複数の検出器それぞれで検出された光に基づいて電気信号を取得する複数の信号量取得部と、前記信号量取得部で同時刻に発生した電気信号の信号量を合算して総信号量を算出する総信号量算出部と、前記総信号量算出部で得られた前記総信号量に基づいて、前記信号量取得部で取得した電気信号から、中性子と前記第1の中性子反応材との反応に起因する第1中性子反応材起因信号を弁別する信号弁別部と、前記信号弁別部で弁別された前記第1中性子反応材起因信号について、前記複数の検出器の信号量の空間的分布から、前記シンチレータの発光位置を算出する発光位置算出部と、を備え、前記発光位置算出部は、前記複数の検出器それぞれの位置と前記複数の検出器のそれぞれの信号強度との関係を表す関数に基づいて、信号強度が最大になる最大強度位置およびその最大強度位置における信号強度を推定する、ことを特徴とする。
また、本発明の実施形態に係る中性子検出方法は、中性子と反応して発光する第1の中性子反応材を含むシンチレータと、少なくとも3個が、前記シンチレータの第1の面に沿って並べられて、前記シンチレータで発光した光を検出する複数の検出器と、前記複数の検出器それぞれで検出された光に基づいて電気信号を取得する複数の信号量取得部と、前記複数の信号量取得部で得られた電気信号に基づいて演算を行う演算部と、を備えた中性子検出装置を用いた中性子検出方法であって、前記演算部が、前記信号量取得部で同時刻に発生した電気信号の信号量を合算して総信号量を算出する総信号量算出ステップと、前記演算部が、前記総信号量算出ステップで得られた前記総信号量に基づいて、前記信号量取得部で取得した電気信号から、中性子と前記第1の中性子反応材との反応に起因する第1中性子反応材起因信号を弁別する信号弁別ステップと、前記信号弁別ステップで弁別された前記第1中性子反応材起因信号について、前記複数の検出器の信号量の空間的分布から、前記シンチレータの発光位置を算出する発光位置算出ステップと、を有し、前記演算部は、前記複数の検出器それぞれの位置と前記複数の検出器のそれぞれの信号強度との関係を表す関数に基づいて、信号強度が最大になる最大強度位置およびその最大強度位置における信号強度を推定することを特徴とする。
本発明の実施形態によれば、中性子検出にあたり、感度および分解能を両立させることができる。
本発明の第1の実施形態に係る中性子検出装置の構成を示すブロック図。 本発明の第1の実施形態に係る中性子検出装置の一つの検出器の出力波形の一例を示すグラフ。 本発明の第1の実施形態に係る中性子検出装置の検出器の出力波形における電圧しきい値を超える時間幅と波高値との関係を示すグラフ。 本発明の第1の実施形態に係る中性子検出装置の検出器位置と信号量との関係の一例を示すグラフ。 本発明の第1の実施形態に係る中性子検出装置における総信号量と発生頻度との関係の一例を示すグラフ。 本発明の第2の実施形態に係る中性子検出装置の構成を示すブロック図。 本発明の第2の実施形態に係る中性子検出装置における総信号量と発生頻度との関係の一例を示すグラフ。 本発明の第3の実施形態に係る中性子検出装置の構成を示すブロック図。
以下に図面を参照しながら本発明の実施形態に係る中性子検出装置および中性子検出方法について説明する。ここで、互いに同一または類似の部分には共通の符号を付して、重複説明は省略する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る中性子検出装置の構成を示すブロック図である。第1の実施形態に係る中性子検出装置11は、たとえば、パルス中性子源20で発生した中性子を検査対象物21に照射して、検査対象物21を透過したり検査対象物21で散乱したりした中性子を検出するものである。
パルス中性子源20は、パルス状の中性子を発生させる装置であり、たとえば、加速器中性子源やD-T管などである。
中性子検出装置11は、平板状のシンチレータ12と、シンチレータ12の片面に沿って配列された複数の検出器13と、複数の検出器13それぞれの信号量を取得する複数の信号量取得部14と、複数の信号量取得部14から出力される電気出力信号を処理する演算部15と、演算部15による演算の結果を表示する表示部16とを有する。
シンチレータ12は、中性子と反応して発光する第1の中性子反応材を含む。第1の中性子反応材としては、たとえば、Li-6、B-10、Gdなどが適用可能である。また、B入りのプラスチックシンチレータやLiF、LiCAFなどが適用可能である。
複数の検出器13は、シンチレータ12の片面(検査対象物21と反対側の第1の面)に沿って、2次元的に配列されている。検出器13は、それぞれ、シンチレータ12で発光した光を電気信号に変換し、時間、発光量を測定するためのものであり、たとえば、光電子増倍管(PMTs)やシリコンPMT(Si-PN)や、フォトダイオード(PD)、アバランシェフォトダイオード(APD)などが適用可能である。また、必要に応じてシンチレータ12と検出器13の間に光を透過する光学窓や光学グリスなど(図示せず)を使用することも可能である。
信号量取得部14は、検出器13で得られるパルス信号の大きさを取得するもので、パルス信号の電荷量もしくは、最大電圧値(波高値)などを測定できるものである。信号量取得部14は、たとえば、中性子由来の信号を増幅するアンプと、波高値測定ができる装置を含む。波高値測定は、たとえば、アナログ・ディジタル変換器(ADC)などを利用したマルチチャンネルアナライザー(MCA)やパルス信号の時間情報から算出するTime over Threshhold法などが適用できる。
演算部15は、たとえば電子計算機で実現することができるものであって、その機能として、総信号量算出部30と、信号弁別部31と、発光位置算出部32と、イベント強度算出部33とを有する。
総信号量算出部30は、複数の信号量取得部14から得られた同時刻に発生したパルス信号の信号量を合算する。総信号量算出部30は、信号量取得部14で得られたデータを、デジタルデータとして和を取得しても、パルス信号を電気的に合算して後に、ADCなどを利用して総和を取得することも可能である。
信号弁別部31は、総信号量算出部30の出力のうち、信号量で信号を弁別し特定のイベントを抽出するものである。総信号量算出部30の出力がデジタルデータの場合は、しきい値との比較演算を実施できればよい。総信号量算出部30の出力がアナログ信号の場合は、コンパレータやADCによるデジタル化後に評価する方法などが考えられる。信号弁別部31における弁別方法の具体例については、図5を用いて後述する。
発光位置算出部32は、信号弁別部31で弁別されたイベントに対し、複数の検出器13の信号量の空間的分布から、シンチレータ12が発光した位置を算出する。
イベント強度算出部33は、信号弁別部31および発光位置算出部32の出力に基づいて、中性子と第1の中性子反応材との反応に起因する第1中性子反応材起因信号の強度を算出する。
以上説明した中性子検出装置において、パルス中性子源20から発した中性子は、検査対象物21に照射される。中性子は電荷をもっていないため、検査対象物21に入射した場合、物質中の原子核と弾性散乱、非弾性散乱、捕獲などの反応の反応が発生する。これらの反応断面積は、中性子のエネルギーと物質の原子核の種類で決まり、大きいものほど反応がしやすい。
中性子がシンチレータ12に入射し、B-10やLi-6などと反応すると、α粒子やイオンなどの荷電粒子が発生し、これらの荷電粒子によってシンチレータ12が部分的に発光する。
シンチレータ12で発光した光は概ね等方的にシンチレータ12内を拡散しながら伝送され、シンチレータ12と光学的に接続された複数の検出器13に入射される。伝送経路があるものの、シンチレータ12内で伝送される光は非常に高速のため、検出器に到達する光は実質的に同時に入射され、検出器13に到達した光量に応じた信号が発生する。同時に発生した信号のうち、最も信号量が高い位置が中性子とシンチレータ12が反応した点に近いため、検出器13ごとの信号量を測定することで発光した位置を特定できる。反応した位置別の強度分布を算出することで、複数の検出器13における中性子の強度分布を測定できる。
具体的には、信号の発生電荷量と光量に相関があるため、信号量の測定は、チャージアンプ、波形整形アンプなどで総電荷量を波高値に変換した後に波高値を測定する手法や、信号を高速ADCで読み取り、デジタルデータ変換後にデジタルデータで積分することで総電荷量を測定する方法で測定できる。
また、図2および図3に示すTime over Threshold法を利用することもできる。図2は、第1の実施形態に係る中性子検出装置の一つの検出器の出力波形の一例を示すグラフである。図3は、第1の実施形態に係る中性子検出装置の検出器の出力波形における電圧しきい値を超える時間幅と波高値との関係を示すグラフである。
図2に示すように、同一構成の検出器を使用した際に、発生するパルス信号の波形(時間に対する電荷量)は相似形になる。この性質を利用して、一定のしきい値を超えるパルス信号の時間幅を取得することにより、この時間幅から波高値を求めることができる。図3に示すように、波高値と時間幅の関係式あらかじめ求めておく。時間情報から波高値を推定する手法を使用した場合、ADCのような複雑な装置ではなく、信号の有無を検出するような装置のみで動作可能になる。
信号量取得部14で得られた検出器13ごとの信号量のうち、同時刻で発生したものの分布を比較し、最大値となる位置を発光位置算出部32で算出する。最大値となる位置を求める方法としては、たとえば、デジタルデータを比較し最大値を観測された検出器番号の中心座標を参照する方法でもよい。
最大値および最大となる位置の求め方として、たとえば図4に示す方法がある。図4は、第1の実施形態に係る中性子検出装置の検出器位置と信号量との関係の一例を示すグラフである。この方法では、信号量の空間的分布をもとに最小二乗法などを用いてFittingを実施し、近似曲線(近似曲面)aを求め、この近似曲線(近似曲面)aによって中心座標を算出する。この方法の変形として、位置別の信号量から信号量の重心を演算する方法などで算出することも可能である。
発光位置算出部32で算出された発光場所を、イベント強度算出部33で任意のピッチで定義されたピクセルに当てはめ、場所ごとの強度(イベント数)分布を作成することで、中性子と反応した位置を測定することができる。さらに、信号量の空間的分布からFittngや重心演算で発光位置を算出した場合は、一つの検出器サイズよりも小さいピクセルを定義することが可能であり、得られる解像度を向上させることが可能になる。
ここで、信号弁別部31などによる弁別方法の一例を、図5を参照して説明する。図5は、第1の実施形態に係る中性子検出装置における総信号量と発生頻度との関係の一例を示すグラフである。
検出器13で検出されて信号量取得部14で取得された信号には、中性子に起因する信号のほかに、γ線などに起因する信号が含まれている。
中性子とB-10やLi-6などが反応した場合、数MeV以上の高いエネルギーがシンチレータ12に付与される。γ線による信号は、シンチレータ12の場合、多くの場合、シンチレータ12へのエネルギー付与は数100keVに限定される。特に、シンチレータ12が薄くなるほど、そのエネルギー付与の大きさの差は顕著になり、発生する信号量は、図5に示すように、中性子由来のピークを持つ分布になる。
そのため、本実施形態では、信号量取得部14で取得した検出器13ごとの信号量のうち、同時刻で発生したイベントを総信号量算出部30で足し合わせて総信号量を算出する。得られた総信号量に対し、信号弁別部31で、ある一定のしきい値以上のものであるかなどの判断に基づき、中性子由来のイベントを抽出することができる。なお、信号量のみでの弁別を記載したが、パルス信号の立ち上がり、減衰時間情報などをもとに弁別する手法も適用できる。
本実施形態によれば、検出器上に枠などによるデッドスペースを設けることなく、中性子とγ線などの信号を弁別しながら、中性子の強度分布が測定可能であり、感度と分解能を両立させることが可能となる。
[第2の実施形態]
図6は、本発明の第2の実施形態に係る中性子検出装置の構成を示すブロック図である。第2の実施形態は第1の実施形態の変形であって、シンチレータ12の複数の検出器13と反対側の面(前面、第2の面とも呼ぶ)に沿ってその第2の面を覆うようにカバー部材40が配置されている。カバー部材40は、中性子との反応することにより電子、アルファ粒子、イオンを発生させる第2の中性子反応材を含む。第2の中性子反応材は、たとえば、Gd単体、または、Gdを含む金属などの板材である。
その他の構成は、第1の実施形態と同様である。ただし、後述するように、信号弁別部31の機能が相違する。
一般に、シンチレータ12を用いて中性子強度分布を測定する場合、シンチレータ12を厚くすると感度が上がるものの、シンチレータ12内の光の拡散により発光位置の特定が困難になることや、γ線などの信号の影響を受けやすくなるなどの課題も発生する。そのため、シンチレータ12の厚さは用途によって、感度もしくは分解能のいずれかを犠牲にするのが一般的である。
この第2の実施形態では、感度と分解能を両立させるため、シンチレータ12の前面に、第2の中性反応材を含むカバー部材40を設置する。カバー部材40に中性子が照射されることによってカバー部材40内で荷電粒子が発生する。この荷電粒子の一部は、シンチレータ12に入射し、シンチレータ12の一部が発光する。
シンチレータ12内の第1の中性子反応材との反応で光が発生した場合は、ほぼすべてのエネルギーがシンチレータ12に付与されるが、カバー部材40内で発生した荷電粒子に起因するシンチレータ12での発光は、発光量が少なくなる。しかし、発光する位置が必ずシンチレータ12の表面になるため、発光位置の特定が比較的容易になる。
図7は、第2の実施形態に係る中性子検出装置における総信号量と発生頻度との関係の一例を示すグラフである。
第2の実施形態では、総信号量算出部30で得られる総信号量は、第1の中性子反応材(シンチレータ12)由来のピークと、第2の中性子反応材(カバー部材40)由来のピークの二つのピークを持ち、3種類以上に弁別する信号弁別部31によってこれらを識別し、それぞれのイベントに対して発光位置算出部32で発光位置を算出する。この際、第2の中性子反応材由来のイベントは、前述したとおり必ずシンチレータ12の前面で発光するため、この情報をもとに発光位置算出部32で使用するFitting関数などを弁別したイベントごとに最適化したものを使用することが可能になる。
第2の中性子反応材(カバー部材40)にGdを用いた場合、Gdの中性子反応断面積は中性子のエネルギー0.1eV以下で急激に高くなるのに対し、第1の中性子反応材(シンチレータ12)で使用するB-10、Li-6の反応断面積は中性子の速度vに反比例(1/vに比例)する。このため、イベント強度算出部33で、第2の中性子反応材由来のイベントと、第1の中性子反応材由来のイベントを分けて算出するようにすることで、単純な強度分布に加え、追加情報を得ることが可能となる。
たとえば、第2の中性子反応材由来のイベント強度が支配的であった場合、中性子ビームに含まれる中性子のエネルギーの多くは0.1eV以下の熱中性子が支配的である可能性があることや、第1の中性子反応材由来のイベント強度が支配的であった場合、検査対象物21などによって熱中性子が吸収されてしまい、1eV以上の中性子が支配的になっているなどの判断が可能となる。
一方で、双方の中性子反応材由来のイベントが観測された場合は、シンチレータ12で反応したイベントに加え、第2の中性子反応材由来のイベントも観測できていることとなり、シンチレータ12だけの場合に比べて感度を向上させることができる。
以上説明したように、この第2の実施形態によれば、カバー部材40の存在により、分解能の悪化をすることなく感度をさらに向上させることが可能である。
[第3の実施形態]
図8は、本発明の第3の実施形態に係る中性子検出装置の構成を示すブロック図である。第3の実施形態は第1の実施形態の変形であって、中性子検出装置11は、中性子発生時刻取得部50を有する。さらに、第3の実施形態では、演算部15が、時間差取得部51、時間差別信号強度取得部52およびエネルギー別強度分布算出部53を有する。その他の構成は第1の実施形態と同様である。
中性子発生時刻取得部50は、パルス中性子源20で中性子が発生する時刻の信号を取得する。時間差取得部51は、相対的な時間を計測できるものであって、中性子発生時刻取得部50で得られた時刻と、複数の信号量取得部14それぞれで得られた信号との時間差の信号を取得する。時間差別信号強度取得部52は、発光位置算出部32の出力と時間差取得部51の出力とに基づいて、時間差別の信号強度を取得する。エネルギー別強度分布算出部53は、時間差別信号強度取得部52の出力に基づいて、中性子エネルギー別の強度分布を算出する。
中性子はそのエネルギーによって速度が異なるため、パルス中性子源20で発生した中性子のうちエネルギーが高い中性子ほど早く検出器13に到達する。一方、中性子と物質との反応は中性子のエネルギーに強く依存し、特定のエネルギー領域で吸収されやすい物質や、回折する物質などが存在するため、中性子エネルギー別に強度分布を算出することにより、目的の材料、事象を高分解能で測定することが可能となる。
そのため、パルス中性子源20での中性子発生時刻と、複数の検出器13で観測された時刻から、時間差取得部51を用いて時間差を算出し、パルス中性子源20と複数の検出器13の設置条件から決まる飛行距離を用いて中性子の速度へ換算することができる。さらに、中性子の速度から中性子のエネルギーに変換させることができる。
この第3の実施形態によれば、発光位置算出部32で求めた各イベントの位置と、算出した中性子エネルギー情報をもとに、時間差別信号強度取得部52で任意の時間分解能で強度分布を作成することが可能になる。また、この第3の実施形態によれば、中性子のエネルギー別の強度分布を作成可能であり、目的に応じたデータを精度よく取得することが可能である。
[他の実施形態]
上記第3の実施形態は、第1の実施形態の変形として説明した。他の実施形態として、第2の実施形態を元にして、その変形として、第3の実施形態と同様に、中性子検出装置11が中性子発生時刻取得部50を有し、さらに、演算部15が、時間差取得部51、時間差別信号強度取得部52およびエネルギー別強度分布算出部53を有するものとしてもよい。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
11…中性子検出装置、 12…シンチレータ、 13…検出器、 14…信号量取得部、 15…演算部、 16…表示部、 20…パルス中性子源、 21…検査対象物、 30…総信号量算出部、 31…信号弁別部、 32…発光位置算出部、 33…イベント強度算出部、 40…カバー部材、 50…中性子発生時刻取得部、 51…時間差取得部、 52…時間差別信号強度取得部、 53…エネルギー別強度分布算出部

Claims (9)

  1. 中性子と反応して発光する第1の中性子反応材を含むシンチレータと、
    少なくとも3個が前記シンチレータの第1の面に沿って並べられて、前記シンチレータで発光した光を検出する複数の検出器と、
    前記複数の検出器それぞれで検出された光に基づいて電気信号を取得する複数の信号量取得部と、
    前記信号量取得部で同時刻に発生した電気信号の信号量を合算して総信号量を算出する総信号量算出部と、
    前記総信号量算出部で得られた前記総信号量に基づいて、前記信号量取得部で取得した電気信号から、中性子と前記第1の中性子反応材との反応に起因する第1中性子反応材起因信号を弁別する信号弁別部と、
    前記信号弁別部で弁別された前記第1中性子反応材起因信号について、前記複数の検出器の信号量の空間的分布から、前記シンチレータの発光位置を算出する発光位置算出部と、
    を備え
    前記発光位置算出部は、前記複数の検出器それぞれの位置と前記複数の検出器のそれぞれの信号強度との関係を表す関数に基づいて、信号強度が最大になる最大強度位置およびその最大強度位置における信号強度を推定する、
    ことを特徴とする中性子検出装置。
  2. 前記信号弁別部および前記発光位置算出部の出力に基づいて、中性子と前記第1の中性子反応材との反応に起因する第1中性子反応材起因信号の強度を算出するイベント強度算出部、
    をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の中性子検出装置。
  3. 前記信号量取得部は、前記複数の検出器のそれぞれで取得する電気信号のパルス状の時間変化パターンの時間情報に基づいてパルス波高を推定すること、を特徴とする請求項1または請求項2に記載の中性子検出装置。
  4. 前記第1の中性子反応材は、LiおよびBのうちの少なくとも一方を含む材料であること、を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の中性子検出装置。
  5. 前記シンチレータに対して前記第1の面の反対側の第2の面に沿って配置されて、中性子と反応して、電子、アルファ粒子およびイオンのうちの少なくとも一つを発生させる第2の中性子反応材を含むカバー部材をさらに備え、
    前記カバー部材で発生した電子、アルファ粒子およびイオンのうちの少なくとも一つが前記シンチレータに入力されたときに前記第1の中性子反応材が発光するように構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の中性子検出装置。
  6. 前記信号弁別部は、前記総信号量算出部で得られた前記総信号量に基づいて、前記信号量取得部で取得した電気信号から、中性子と前記第1の中性子反応材との反応に起因する前記第1中性子反応材起因信号と、中性子と前記第2の中性子反応材との反応に起因する第2中性子反応材起因信号と、前記第1中性子反応材起因信号および前記第2中性子反応材起因信号を除く信号とを弁別するものであること、を特徴とする請求項5に記載の中性子検出装置。
  7. 前記第2の中性子反応材はGdを含む材料であること、を特徴とする請求項5または請求項6に記載の中性子検出装置。
  8. パルス中性子源で発生したパルス中性子のパルス発生時刻を取得する中性子発生時刻取得部と、
    前記中性子発生時刻取得部が取得した前記パルス発生時刻と、前記複数の検出器それぞれにおける信号発生時刻との時間差を取得する時間差取得部と、
    前記複数の検出器それぞれについて、前記信号量取得部で取得された前記電気信号と前記時間差取得部で取得された前記時間差とに基づいて、時間差別の信号強度を取得する時間差別信号強度取得部と、
    をさらに備えること、を特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の中性子検出装置。
  9. 中性子と反応して発光する第1の中性子反応材を含むシンチレータと、
    少なくとも3個が、前記シンチレータの第1の面に沿って並べられて、前記シンチレータで発光した光を検出する複数の検出器と、
    前記複数の検出器それぞれで検出された光に基づいて電気信号を取得する複数の信号量取得部と、
    前記複数の信号量取得部で得られた電気信号に基づいて演算を行う演算部と、
    を備えた中性子検出装置を用いた中性子検出方法であって、
    前記演算部が、前記信号量取得部で同時刻に発生した電気信号の信号量を合算して総信号量を算出する総信号量算出ステップと、
    前記演算部が、前記総信号量算出ステップで得られた前記総信号量に基づいて、前記信号量取得部で取得した電気信号から、中性子と前記第1の中性子反応材との反応に起因する第1中性子反応材起因信号を弁別する信号弁別ステップと、
    前記信号弁別ステップで弁別された前記第1中性子反応材起因信号について、前記複数の検出器の信号量の空間的分布から、前記シンチレータの発光位置を算出する発光位置算出ステップと、
    を有し、
    前記演算部は、前記複数の検出器それぞれの位置と前記複数の検出器のそれぞれの信号強度との関係を表す関数に基づいて、信号強度が最大になる最大強度位置およびその最大強度位置における信号強度を推定することを特徴とする中性子検出方法
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