JP7037264B2 - 遊技機 - Google Patents

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Description

本発明は、いわゆる弾球式遊技機(以下、「パチンコ遊技機」又は「パチンコ機」ともいう)や回胴式遊技機(一般的に「パチスロ機」、「スロットマシン」とも称する)などの遊技機に関するものである。
一般的なパチンコ遊技機では、遊技領域に発射された遊技球(遊技媒体)が特定の通過口(始動口)を通過したことに基づいて、大当りを発生させるか否かの抽選処理が行われる。大当りが発生すると、所定の入賞口(大入賞口)が開放されて遊技球を容易に入球可能な状態となることによって、遊技者は多くの賞球を獲得することができる。
また近年では、演出を表示する液晶表示装置の他、役物を搭載して遊技を盛り上げる遊技機も提案されている(例えば特許文献1)。
特開2015-126928号公報
しかしながら、前述したような演出等にはまだまだ工夫が必要である。
そこで本発明は、上述した課題に鑑み、演出の工夫が施された遊技機を提供することを目的とする。
前記目的を達成するため、本発明は、所定の始動条件の成立によって得られる情報に基づいて当落を判定し、当該当落の判定の結果に基づいて図柄の可変表示を行い、該可変表示を行った結果として当りの表示結果が導出表示されると遊技者にとって有利な特別遊技が行われる遊技機であって、複数回の前記図柄の可変表示を跨いで第1の演出態様を連続的に出力可能な通常演出制御手段と、前記図柄の可変表示中に、前記特別遊技が行われる期待を示唆する特別演出を実行可能な特別演出制御手段と、を備え、前記特別演出制御手段によって前記特別演出が実行されると複数回の前記図柄の可変表示を跨いで出力可能とされる前記第1の演出態様の出力が停止するようにされており、前記特別演出が実行されたにもかかわらず前記図柄の可変表示における前記当落の判定結果がはずれである場合、当該はずれの表示結果が導出表示されるより前に前記第1の演出態様の出力を再開させ、前記再開させた前記第1の演出態様は、前記はずれの表示結果が導出表示されたあとに移行可能な前記図柄の可変表示が行われていない第1状況および当該第1状況に移行してから所定時間が経過したときに移行する当該第1状況とは異なる第2状況のいずれにおいても出力され、前記第2状況において、前記第1の演出態様と該第1の演出態様とは異なる第2の演出態様とを出力することが可能とされ、前記第1の演出態様が出力されている前記第2状況において特別条件が成立すると前記第2の演出態様が出力され、前記第2状況において前記第2の演出態様が出力されているときに前記図柄の可変表示が開始されたとしても、当該図柄の可変表示が行われているときに前記第2の演出態様力し、さらには、当該図柄の可変表示が開始されたときに背景変化演出を行うことを可能とし、前記第2状況において前記第2の演出態様が出力されているときに前記図柄の可変表示が開始されたとしても、当該図柄の可変表示が行われているときに前記第2の演出態様の出力が可能とされているなかで、前記図柄の可変表示が行われていないときの音量よりも、前記図柄の可変表示が行われているときの音量の方が大きくなることを可能とすることを特徴とする遊技機である。
本発明によれば、演出の工夫が施された遊技機を提供することができる。
実施形態に係るパチンコ機の外枠に対して本体枠を開放し、本体枠に対して扉枠を開放した状態を示す斜視図である。 パチンコ機の正面図である。 パチンコ機の右側面図である。 パチンコ機の平面図である。 パチンコ機の背面図である。 パチンコ機を構成する外枠、本体枠、遊技盤、扉枠の後方から見た分解斜視図である。 パチンコ機を構成する外枠、本体枠、遊技盤、扉枠の前方から見た分解斜視図である。 外枠の正面斜視図である。 外枠の正面から見た分解斜視図である。 外枠の正面図である。 外枠の背面斜視図である。 外枠の右側面図である。 本体枠の上軸支金具と外枠の上支持金具との脱着構造を説明するための斜視図である。 (A)は外枠の上支持金具の裏面に設けられるロック部材の取付状態を示す分解斜視図であり、(B)は(A)の図を下方から見た斜視図である。 軸支ピンとロック部材との関係を説明するための上支持金具部分の裏面図である。 ロック部材の作用を説明するための上支持金具部分の裏面図である。 扉枠の正面図である。 扉枠の背面図である。 扉枠を右前方から見た斜視図である。 扉枠を左前方から見た斜視図である。 扉枠の右後方から見た斜視図である。 扉枠を正面から見た分解斜視図である。 扉枠を背面から見た分解斜視図である。 (A)は扉枠における扉枠ベースユニットの正面斜視図であり、(B)は扉枠における扉枠ベースユニットの背面斜視図である。 扉枠ベースユニットを分解して前から見た分解斜視図である。 扉枠ベースユニットを分解して後ろから見た分解斜視図である。 扉枠ベースユニットにおける扉枠ベース基板カバーと配線保持部材とを後から見た斜視図である。 扉枠と本体枠とを電気的に接続する配線の様子を拡大して示す斜視図である。 (A)は扉枠における右サイド装飾ユニットの正面斜視図であり、(B)は扉枠における右サイド装飾ユニットの背面斜視図である。 右サイド装飾ユニットを分解して前から見た分解斜視図である。 右サイド装飾ユニットを分解して後から見た分解斜視図である。 (A)は扉枠における左サイド装飾ユニットの正面斜視図であり、(B)は扉枠における左サイド装飾ユニットの背面斜視図である。 左サイド装飾ユニットを分解して前から見た分解斜視図である。 左サイド装飾ユニットを分解して後から見た分解斜視図である。 左サイド装飾ユニットの断面図である。 左サイド装飾ユニットの発光態様を写真で示す説明図である。 扉枠における上部装飾ユニットの正面斜視図である。 扉枠における上部装飾ユニットの背面斜視図である。 上部装飾ユニットを分解して前から見た分解斜視図である。 上部装飾ユニットを分解して後から見た分解斜視図である。 扉枠における皿ユニットの正面斜視図である。 扉枠における皿ユニットの背面斜視図である。 皿ユニットを分解して前から見た分解斜視図である。 皿ユニットを分解して後から見た分解斜視図である。 扉枠における皿ユニットの貸球ユニットの部位で切断した断面図である。 (A)は扉枠における操作ユニットの正面斜視図であり、(B)は扉枠における操作ユニットの背面斜視図である。 操作ユニットを分解して右前上方から見た分解斜視図である。 操作ユニットを分解して右前下方から見た分解斜視図である。 操作ユニットの断面図である。 操作ユニットにおける押圧操作部押した状態で示す断面図である。 (A)は扉枠におけるハンドル装置を分解して前から見た分解斜視図であり、(B)はハンドル装置を分解して後から見た分解斜視図である。 (A)扉枠におけるファールカバーユニットを分解して前から見た分解斜視図であり、(B)はファールカバーユニットを分解して後から見た分解斜視図である。 ファールカバーユニットの前カバーを外した状態で示す正面図である。 (A)は扉枠における球送りユニットの正面斜視図であり、(B)は球送りユニットの背面斜視図である。 球送りユニットの背面図である。 (A)は球送りユニットを分解して前から見た分解斜視図であり、(B)は球送りユニットの後ケースを外して後から見た分解斜視図である。 (A)は球送りユニットにおける不正防止部材の平面図であり、(B)は不正防止部材の正面図であり、(C)は不正防止部材を前から見た斜視図であり、(D)は不正防止部材の作用を示す説明図である。 扉枠を上下方向略中央で切断して示す断面図である。 扉枠における発光装飾用のLEDの配置を示す正面図である。 扉枠における発光装飾用のLEDの系統を示す正面図である。 本体枠の正面図である。 本体枠の背面図である。 本体枠の正面斜視図である。 本体枠の背面斜視図である。 本体枠の左側面図である。 本体枠を分解して前から見た分解斜視図である。 本体枠を分解して後から見た斜視図である。 本体枠における本体枠ベースの正面斜視図である。 本体枠における本体枠ベースの背面斜視図である。 本体枠における打球発射装置の正面斜視図である。 本体枠における打球発射装置の背面斜視図である。 本体枠における賞球ユニットの正面斜視図である。 本体枠における賞球ユニットの背面斜視図である。 賞球ユニットを分解して前から見た分解斜視図である。 賞球ユニットを分解して後から見た分解斜視図である。 賞球ユニットにおける賞球タンクとタンクレールユニットとの関係を分解して後方から示す分解斜視図である。 賞球ユニットにおける賞球装置を分解して後から見た分解斜視図である。 賞球装置における払出通路と払出モータと払出回転体との関係を示す背面図である。 賞球ユニットにおける球の流通通路を示す断面図である。 本体枠における球出口開閉ユニットの正面斜視図である。 本体枠における球出口開閉ユニットの背面斜視図である。 本体枠における球出口開閉ユニットと扉枠におけるファールカバーユニットとの関係を示す説明図である。 本体枠における基板ユニットの正面斜視図である。 本体枠における基板ユニットの背面斜視図である。 基板ユニットを分解して前から見た分解斜視図である。 基板ユニットを分解して後から見た分解斜視図である。 基板ユニットにおける電源基板ボックスの立壁部の作用を説明する斜視図である。 (A)は基板ユニットにおける端子基板ボックスの断面図であり、(B)は基板ユニットにおける端子基板ボックスを分解して前から見た分解斜視図である。 (A)は発射電源基板ボックスの正面図であり、(B)は(A)に示すA-A線の断面図である。 (A)は本体枠における裏カバーの正面斜視図であり、(B)は本体枠における裏カバーの背面斜視図である。 裏カバーにおける締結機構の部位を拡大して示す断面図である。 裏カバーにおける締結機構を分解して後側から見た分解斜視図である。 (A)は本体枠における錠装置の左側面図であり、(B)は本体枠における錠装置を前から見た斜視図である。 (A)は錠装置の背面斜視図であり、(B)は錠装置のコ字状基体の内部に摺動自在に設けられるガラス扉用摺動杆と本体枠用摺動杆を示す背面斜視図であり、(C)は(B)の正面斜視図である。 錠装置を分解して後から見た分解斜視図である。 錠装置におけるガラス扉用摺動杆と本体枠用摺動杆の動作を示す説明図である。 錠装置における不正防止部材の動作を示す説明図である。 パチンコ機の扉枠を外した状態で本体枠に取付けられた遊技盤を示す正面図である。 遊技盤の正面図である。 遊技盤を分解して前から見た分解斜視図である。 遊技盤を分解して後から見た分解斜視図である。 (A)はパチンコ機に取付けた状態で遊技盤における機能表示ユニットを拡大して示す正面図であり、(B)は機能表示ユニットの他の形態を示す正面図である。 図100等の例とは異なる実施形態の遊技パネルを用いた遊技盤を分解して前から見た分解斜視図である。 図103を後から見た遊技盤の分解斜視図である。 図103の遊技盤における遊技パネルを縦方向に切断した断面図である。 図103等の例とは異なる実施形態の前構成部材を用いた遊技盤を分解して前から見た分解斜視図である。 図106を後から見た遊技盤の分解斜視図である。 パチンコ機の軸支側における防犯構造を示す部分断面図である。 本体枠内に遊技盤を収容した状態で後側から見た斜視図である。 パチンコ機における遊技盤の正面図である。 遊技盤を斜め右前から見た斜視図である。 遊技盤を斜め左前から見た斜視図である。 遊技盤を後から見た斜視図である。 遊技盤を構成する主な部材毎に分解して斜め前から見た斜視図である。 遊技盤を構成する主な部材毎に分解して斜め後から見た斜視図である。 遊技盤における表ユニットを前から見た斜視図である。 遊技盤における表ユニットを後から見た斜視図である。 アタッカユニットを前から見た斜視図である。 アタッカユニットを後から見た斜視図である。 アタッカユニットを主要な部材毎に分解して前から見た分解斜視図である。 アタッカユニットを主要な部材毎に分解して後から見た分解斜視図である。 アタッカユニットにおける第一ユニットを分解して前から見た分解斜視図である。 アタッカユニットにおける第一ユニットを分解して後から見た分解斜視図である。 アタッカユニットにおける第二ユニットを分解して前から見た分解斜視図である。 アタッカユニットにおける第二ユニットを分解して後から見た分解斜視図である。 アタッカユニットにおける第三ユニットを分解して前から見た分解斜視図である。 アタッカユニットにおける第三ユニットを分解して後から見た分解斜視図である。 アタッカユニットにおける第四ユニットを分解して前から見た分解斜視図である。 アタッカユニットにおける第四ユニットを分解して後から見た分解斜視図である。 アタッカユニットの一部を切断して示す正面図である。 (a)は表サイドユニットを前から見た斜視図であり、(b)は表サイドユニットを後から見た斜視図である。 センター役物を斜め右上前から見た斜視図である。 センター役物を斜め左下前から見た斜視図である。 センター役物を後から見た斜視図である。 センター役物を主要な部材毎に分解して前から見た分解斜視図である。 センター役物を主要な部材毎に分解して後から見た分解斜視図である。 センター役物の表右中演出ユニットを前から見た斜視図である。 センター役物の表右中演出ユニットを後から見た斜視図である。 表右中演出ユニットを分解して前から見た分解斜視図である。 表右中演出ユニットを分解して後から見た分解斜視図である。 表右中演出ユニットにおける固定装飾体の第二実施形態を分解して前から見た分解斜視図である。 図141の固定装飾体を分解して後から見た分解斜視図である。 (a)は図141の固定装飾体の前カバーと演出シートを前から見た斜視図であり、(b)は(a)を正面に対してやや左寄りの位置から見た斜視図であり、(c)は(b)よりも更に左寄りの位置から見た斜視図である。 (a)は図141の固定装飾体における演出シートの構成を示す説明図であり、(b)は消灯時の状態を示す説明図であり、(c)は青色点灯時の発光装飾態様を示す説明図であり、(d)は赤色点灯時の発光装飾態様を示す説明図である。 遊技盤における裏ユニットを前から見た斜視図である。 遊技盤における裏ユニットを後から見た斜視図である。 裏ユニットを主な構成部材毎に分解して前から見た分解斜視図である。 裏ユニットを主な構成部材毎に分解して後から見た分解斜視図である。 裏ユニットにおける裏横演出ユニットを前から見た斜視図である。 裏ユニットにおける裏横演出ユニットを後から見た斜視図である。 裏横演出ユニットを主な部材毎に分解して前から見た分解斜視図である。 裏横演出ユニットを主な部材毎に分解して後から見た分解斜視図である。 裏横演出ユニットにおける一つの回転装飾体ユニットを前から見た斜視図である。 裏横演出ユニットにおける一つの回転装飾体ユニットを後から見た斜視図である。 裏横演出ユニットの回転装飾体ユニットを分解して前から見た分解斜視図である。 裏横演出ユニットの回転装飾体ユニットを分解して後から見た分解斜視図である。 表ユニットにおけるセンター役物の表右中演出ユニットの動きを示す遊技盤の正面図である。 (a)は表右中演出ユニットの表右中可動装飾体が通常位置の状態で正面やや上から見た斜視図であり、(b)は表右中可動装飾体が出現位置の状態で正面やや上から見た斜視図である。 裏ユニットにおける裏横演出ユニットの動きを示す遊技盤の正面図である。 裏ユニットにおける裏上演出ユニットと裏下演出ユニットの動きを示す遊技盤の正面図である。 パチンコ機の制御構成を概略的に示すブロック図である。 主制御基板における機能的な構成を示すブロック図である。 (a)はセンター役物の窓部から臨む通常の状態を簡略化して示す説明図であり、(b)は回転装飾体を回転させながら裏右演出ユニット及び裏左演出ユニットを出現させると共に液晶表示手段の表示画面を三分割する演出例を示す説明図であり、(c)は(b)に続いて回転装飾体を停止させた状態を示す説明図である。 図163とは異なり裏右演出ユニット及び裏左演出ユニットの出現に関し液晶表示手段の表示画面を六分割した演出例を示す説明図である。 裏右演出ユニット及び裏左演出ユニットを出現させる前に、回転装飾体の回転位置を異ならせて出現させる演出例を示す説明図である。 (a)は、同実施の形態の主制御MPUによって実行されるメイン処理についてその手順を示すフローチャートであり、(b)は、同実施の形態の主制御MPUによって定期的に行われる割り込み処理についてその手順を示すフローチャートである。 同実施の形態の主制御MPUによって実行される特別図柄プロセス処理についてその手順を示すフローチャートである。 同実施の形態の主制御MPUによって実行される第一始動口通過処理についてその手順を示すフローチャートである。 同実施の形態の主制御MPUによって実行される第二始動口通過処理についてその手順を示すフローチャートである。 同実施の形態の主制御MPUによって実行される第一特別図柄プロセス処理についてその手順を示すフローチャートである。 同実施の形態の主制御MPUによって実行される第一特別図柄通常処理についてその手順を示すフローチャートである。 同実施の形態の主制御MPUによって実行される大当り判定処理についてその手順を示すフローチャートである。 (A)は、大当りについての抽選処理に用いられる大当り判定テーブルであり、(B)は、リーチについての抽選処理に用いられるリーチ判定テーブルであり、(C)は、大当りの種類についての抽選処理に用いられる図柄決定テーブルである。 同実施の形態の主制御MPUによって実行される第一特別図柄停止図柄設定処理についてその手順を示すフローチャートである。 同実施の形態の主制御MPUによって実行される第一変動パターン設定処理についてその手順を示すフローチャートである。 同実施の形態の主制御MPUによって実行される第一特別図柄変動処理についてその手順を示すフローチャートである。 同実施の形態の主制御MPUによって実行される第一特別図柄停止処理についてその手順を示すフローチャートである。 同実施の形態の主制御MPUによって実行される普通図柄プロセス処理についてその手順を示すフローチャートである。 同実施の形態の主制御MPUによって実行されるゲート部通過処理についてその手順を示すフローチャートである。 同実施の形態の主制御MPUによって実行される普通図柄通常処理についてその手順を示すフローチャートである。 同実施の形態の周辺制御MPUによって実行されるサブメイン処理についてその手順を示すフローチャートである。 同実施の形態の周辺制御MPUによって実行される16ms定常処理についてその手順を示すフローチャートである。 演出制御処理の処理例を示すフローチャートである。 装飾図柄変動開始処理の処理例を示すフローチャートである。 特別図柄変動パターンにおける判定結果と演出時間との関係を説明するための図である。 当落演出を含む演出パターンの振分を説明するための図(振分テーブル1A)である。 振分テーブル1Aを用いて各当落演出が現出された際の信頼度をまとめた図である。 当落演出を含む演出パターンの振分を説明するための図(振分テーブル1B)である。 振分テーブル1Bを用いて各当落演出が現出された際の信頼度をまとめた図である。 通常種別の当落演出が実行されるときの演出画像の遷移を説明するための図である。 SP1種別の当落演出が実行されるときの演出画像の遷移を説明するための図である。 SP2種別の当落演出が実行されるときの演出画像の遷移を説明するための図である。 当落演出を含む演出パターンの振分を説明するための図(振分テーブル2A)である。 当落演出を含む演出パターンの振分を説明するための図(振分テーブル2B)である。 第1の演出パターンによる代替演出が実行されるときの演出画像の遷移を説明するための図(その1)である。 第1の演出パターンによる代替演出が実行されるときの演出画像の遷移を説明するための図(その2)である。 第1の演出パターンによる代替演出が実行されるときの演出画像の遷移を説明するための別図(その1)である。 第1の演出パターンによる代替演出が実行されるときの演出画像の遷移を説明するための別図(その2)である。 第1の演出パターンによる代替演出を説明するためのタイムチャートである。 第2の演出パターンによる代替演出を説明するためのタイムチャートである。 第3の演出パターンによる代替演出を説明するためのタイムチャートである。 第4の演出パターンによる代替演出を説明するためのタイムチャートである。 連続撃破演出が実行されたときの液晶表示装置における具体的な演出画像(その1)である。 連続撃破演出が実行されたときの液晶表示装置における具体的な演出画像(その2)である。 有利大当りに当選した場合の遊技進行を説明するための図である。 図205に示した遊技進行に伴う演出表示例を説明するための図である。 高確率時短状態の変動パターンを説明するための図である。 大当りの種別に基づく強制バトルの変動パターンを説明するための図である。 強制バトルによる表示演出を説明するための図である。 特別PC画像による表示演出を説明するための図である。 特別選択モードによる表示演出を説明するための図である。 特別台詞による表示演出を説明するための図である。 非連続変動に備えた第2の制御例を説明するための図である。 デモ演出から引継演出への移行を説明するための図である。 BGM演出における制御処理例を説明するためのタイムチャート(その1)である。 BGM演出における制御処理例を説明するためのタイムチャート(その2)である。 BGM演出における制御処理例を説明するためのタイムチャート(その3)である。 拍合わせ演出の進行を説明するための図(その1)である。 拍合わせ演出の進行を説明するための図(その2)である。 本実施形態に係るパチンコ機の盤面の別例を示す図である。 導光板予告演出の演出進行例を説明するための図(その1)である。 導光板予告演出の演出進行例を説明するための図(その2)である。 導光板予告演出の演出進行例を説明するための図(その3)である。 導光板予告演出の演出進行例を説明するための図(その4)である。 専用蝶演出の演出進行例を説明するための図である。
[1.パチンコ機の全体構造]
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について、図面を参照して説明する。まず、図1乃至図7を参照して実施形態に係るパチンコ機の全体について説明する。図1は、実施形態に係るパチンコ機の外枠に対して本体枠を開放し、本体枠に対して扉枠を開放した状態を示す斜視図である。図2は、パチンコ機の正面図であり、図3は、パチンコ機の右側面図である。また、図4は、パチンコ機の平面図であり、図5は、パチンコ機の背面図である。更に、図6は、パチンコ機を構成する外枠、本体枠、遊技盤、扉枠の後方から見た分解斜視図であり、図7は、パチンコ機を構成する外枠、本体枠、遊技盤、扉枠の前方から見た分解斜視図である。
図1乃至図7において、本実施形態に係るパチンコ機1は、遊技ホールの島設備(図示しない)に設置される外枠2と、外枠2に開閉自在に軸支され前側が開放された箱枠状の本体枠3と、本体枠3に前側から装着固定され遊技媒体としての遊技球が打ち込まれる遊技領域1100を有した遊技盤4と、本体枠3及び遊技盤4の前面を遊技者側から閉鎖するように本体枠3に対して開閉自在に軸支された扉枠5とを備えている。このパチンコ機1の扉枠5には、遊技盤4の遊技領域1100が遊技者側から視認可能となるように形成された遊技窓101と、遊技窓101の下方に配置され遊技球を貯留する皿状の上皿301及び下皿302と、上皿301に貯留された遊技球を遊技盤4の遊技領域1100内へ打ち込むために遊技者が操作するハンドル装置500と、を備えている。
本例のパチンコ機1は、図示するように、正面視において、外枠2、本体枠3、及び扉枠5が夫々上下方向へ延びた縦長の矩形状に形成されており、夫々の左右方向の横幅が略同じ寸法とされていると共に、上下方向の縦幅の寸法が、外枠2に対して本体枠3及び扉枠5の寸法が若干短く形成されている。そして、本体枠3及び扉枠5よりも下側の位置において、外枠2の前面に装飾カバー23が取付けられており、扉枠5及び装飾カバー23によって外枠2の前面が完全に閉鎖されるようになっている。また、外枠2、本体枠3、及び扉枠5は、上端が略揃うように夫々が配置されると共に、外枠2の左端前側の位置で本体枠3及び扉枠5が回転可能に軸支されており、外枠2に対して本体枠3及び扉枠5の右端が前側へ移動することで開状態となるようになっている。
このパチンコ機1は、正面視において、略円形状の遊技窓101を介して遊技球が打ち込まれる遊技領域1100が望むようになっており、その遊技窓101の下側に前方へ突出するように二つの上皿301及び下皿302が上下に配置されている。また、扉枠5の前面右下隅部には、遊技者が操作するためのハンドル装置500が配置されており、上皿301内に遊技球が貯留されている状態で遊技者がハンドル装置500を回転操作すると、その回転角度に応じた打球強さで上皿301内の遊技球が遊技盤4の遊技領域1100内へ打ち込まれて、遊技をすることができるようになっている。
なお、詳細は後述するが、扉枠5の遊技窓101は、透明なガラスユニット590によって閉鎖されており、遊技者から遊技領域1100内を視認することができるものの、遊技者が遊技領域1100内へ手等を挿入して遊技領域1100内の遊技球や障害釘G(図110を参照)、各種入賞口や役物等に触ることができないようになっている。また、本体枠3の後側には、各種の制御基板が備えられていると共に、遊技盤4の後方を覆うように閉鎖するカバー体1250備えられている。
[1-1.外枠]
外枠2について、主として図8乃至図16を参照して説明する。図8は外枠の正面斜視図であり、図9は外枠の正面から見た分解斜視図であり、図10は外枠の正面図である。また、図11は外枠の背面斜視図であり、図12は外枠の右側面図である。更に、図13は、本体枠の上軸支金具と外枠の上支持金具との脱着構造を説明するための斜視図である。また、図14(A)は外枠の上支持金具の裏面に設けられるロック部材の取付状態を示す分解斜視図であり、(B)は(A)の図を下方から見た斜視図である。図15は、軸支ピンとロック部材との関係を説明するための上支持金具部分の裏面図である。更に、図16は、ロック部材の作用を説明するための上支持金具部分の裏面図である。
図8及び図9に示すように、本実施形態のパチンコ機1における外枠2は、横方向へ延びる上下の上枠板10及び下枠板11と、縦(上下)方向へ延びる左右の側枠板12,13と、夫々の枠板10,11,12,13の端部を連結する四つの連結部材14と、を備えており、連結部材14で各枠板10,11,12,13同士を連結することで縦長の矩形状(方形状)に組立てられている。本例の外枠2における上枠板10及び下枠板11は、所定厚さの無垢材(例えば、木材、合板、等)により形成されており、左右両端の前後方向の略中央に、上下に貫通し左右方向中央側へ窪んだ係合切欠部15が備えられている。なお、上枠板10における左側端部の上面及び前面には、その他の一般面よりも窪んだ取付段部10aが形成されており、この取付段部10aに後述する上支持金具20が取付けられるようになっている。
一方、側枠板12,13は、一定断面形状の軽量金属型材(例えば、アルミ合金)とされており、外側側面は略平坦面とされていると共に、内側側面は後端部に内側へ突出し上下方向(押出方向)に貫通する空洞を有した突出部16を備えており、強度剛性が高められている(図9及び図108を参照)。なお、側枠板12,13の外側側面及び内側側面には、上下方向へ延びた複数の溝が形成されており、パチンコ機1を遊技ホールの島設備に設置する際等に、作業者の指掛りとなってパチンコ機1を保持し易くすることができるようになっていると共に、外観の意匠性を高められるようになっている。なお、便宜上、側枠板12,13の側面に形成された複数の溝を省略して示した図面もある。
本例の外枠2における連結部材14は、所定厚さの金属板をプレス成型等によって屈曲塑性変形させることで形成されたものであり、上枠板10又は下枠板11に固定され左右方向へ延びた板状の水平片17と、水平片17の外側端部から上下方向の一方側へ延び側枠板12,13に固定される板状の垂直片18と、垂直片18とは反対方向へ延び上枠板10又は下枠板11の係合切欠部15内に挿入係合可能な板状の係合片19と、を有している。なお、本例では、上枠板10と左側の側枠板12とを連結する連結部材14と、上枠板10と右側の側枠板13とを連結する連結部材14とは、夫々左右非対称の形状に形成されていると共に、垂直片18が前後に分かれて形成されている。一方、下枠板11と左側の側枠板12とを連結する連結部材14と、下枠板11と右側の側枠板13とを連結する連結部材14とは、夫々左右対称の形状に形成されている。
この連結部材14は、水平片17の上面及び下面が上枠板10及び下枠板11の下面及び上面と当接すると共に、係合片19が上枠板10及び下枠板11の係合切欠部15内に挿入係合された状態で、水平片17及び係合片19を貫通して所定のビスが上枠板10及び下枠板11にねじ込まれることで、上枠板10及び下枠板11に固定されるようになっている。また、上枠板10に固定された連結部材14は、その垂直片18が側枠体12,13の上端内側側面に当接した状態で、側枠体12,13を貫通して所定のビスが垂直片18へねじ込まれることで、上枠板10と側枠板12,13とを連結することができるようになっている。なお、上枠板10に固定された連結部材14における後側の垂直片18は、側枠板12,13の突出部16内に挿入された状態で、側枠板12,13へ固定されるようになっている。更に、下枠板11に固定された連結部材14は、その垂直片18が側枠体12,13の下端内側側面に当接した状態で、側枠体12,13を貫通して所定のビスが垂直片18へねじ込まれることで、下枠板11と側枠板12,13とを連結することができるようになっており、四つの連結部材14により、上枠板10、下枠板11、及び側枠板12,13を枠状に組立てることができるようになっている。
本例の外枠2は、上枠板10の左端上面に固定される上支持金具20と、上支持金具20と対向するように配置され左側の側枠板12における下部内側の所定位置に固定される下支持金具21と、下支持金具21の下面を支持するように配置され左右の側枠板12,13を連結するように固定される補強金具22と、補強金具22の前面に固定される装飾カバー23と、を備えている。この上支持金具20及び下支持金具21は、本体枠3及び扉枠5を開閉可能に軸支するためのものである。
まず、上支持金具20は、上枠板10に固定される板状の固定片20aと、固定片20aの前端から上枠板10の前端よりも前方へ突出する支持突出片20bと、支持突出片20bにおける前端付近の右側端から先端中央部へ向かって屈曲するように切欠かれて形成された支持鉤穴20cと、固定片20及び支持突出片20bの左端から下方へ垂下し左側の側枠板12における外側側面と当接する板状の垂下固定片20d(図14(A)を参照)と、垂下固定片20dと連続し支持突出片20bの外側縁に沿って垂下する垂下壁20e(図14を参照)と、垂下壁20eと連続し支持鉤穴20cの入口端部で内側へ向って傾斜した停止垂下部20f(図15を参照)と、を備えている。この上支持金具20における支持鉤穴20cには、後述する本体枠3における上軸支金具630の軸支ピン633(図63を参照)が着脱自在に係合されるようになっている。また、上支持金具20は、固定片20aと垂下固定片20dとによって、上枠板10と左側の側枠板12とを連結することができるようになっている。
この上支持金具20は、支持突出片20bの外側縁から垂下する垂下壁20eによって、支持突出片20bの強度が高められていると共に、詳細は後述するが、正面から見た時に支持突出片20bの裏面に配置されるロック部材27が遊技者側から視認できないように隠蔽することができ、外観の見栄えを良くすることができるようになっている。また、支持突出片20bに形成された支持鉤穴20cは、垂下壁20eが形成されない反対側(右側)の側方から先端中央部に向かって傾斜状となるようにく字状に屈曲した形状とされていると共に、支持鉤穴20cの傾斜状穴部の幅寸法は、軸支ピン633の直径よりもやや大きな寸法とされている。
一方、下支持金具21は、補強金具22上に載置固定される水平固定片21aと、水平固定片21aの左端から上方へ立上がり左側の側枠板12の内側側面に固定される垂直固定片21bと、水平固定片21aの前端から上枠板10及び下枠板11よりも前方へ突出する板状の支持突出片21cと、支持突出片21cの前端付近から上向きに突設されたピン状の支持突起21dと、を備えている。この下支持金具21における支持突起21dには、後述する本体枠3の本体枠軸支金具644(図66等を参照)に形成された本体枠軸支が挿入されるようになっており、下支持金具21の支持突起21dを、本体枠3における本体枠軸支金具644の支持穴に挿入した後に、本体枠3の上軸支金具630の軸支ピン633を支持鉤穴20cに係止することにより簡単に本体枠3を開閉自在に軸支することができるようになっている。
また、本例の外枠2は、図示するように、右側の側枠板13の内側に、上下方向に所定距離離反して配置される二つの閉鎖板24,25が取付固定されている。これら閉鎖板24,25は、平面視で略L字状に形成されており、下側に配置される閉鎖板25には、前後方向に貫通する矩形状の開口25aを有している(図9を参照)。この閉鎖板24,25は、外枠2に対して本体枠3を閉じる際に、本体枠3の開放側辺に沿って取付けられる錠装置1000のフック部1054,1065(図93を参照)と係合するものであり、詳細は後述するが、錠装置1000のシリンダ錠1010に鍵を差し込んで一方に回動することにより、フック部1054,1065と閉鎖板24,25との係合が外れて本体枠3を外枠2に対して開放することができるものである。
更に、本例の外枠2は、補強金具22の右端上面に固定される案内板26を更に備えている。この案内板26は、外枠2に対して本体枠3を閉止する際に、本体枠3をスムーズに案内するためのものであり、交換可能に装着固定されている。
また、本例の外枠2は、図14等に示すように、上支持金具20における支持突出片20bの裏面に支持されたロック部材27を更に備えており、リベット28によって支持突出片20bに対して回動可能に軸支されている。このロック部材27は、合成樹脂により形成されており、リベット28により軸支される位置から前方へ突出するストッパ部27aと、リベット28により軸支される位置から右方向へストッパ部27aよりも短く突出する操作部27bと、操作部27bに対してリベット28により軸支される位置とは反対側から突出する弾性片27cと、ストッパ部27aの先端に前方側へ膨出するように形成された円弧状の先端面27dと、を備えている。このロック部材27は、図示するように、ストッパ部27aと操作部27bとで、略L字状に形成されている。また、ロック部材27の弾性部27cは、ストッパ部27aや操作部27bよりも狭い幅に形成されていると共に、ストッパ部27aから左方へ遠ざかるに従って前方へ延びだすように形成されている。
このロック部材27は、図14(B)や図15に示すように、上支持金具20の支持突出片20bに支持した状態(通常の状態)では、弾性片27cの先端当接部が垂下壁20eの内側面と当接しており、ストッパ部27aが支持鉤穴20cの傾斜状穴部を閉塞するようになっていると共に、ストッパ部27aの先端部分が、支持鉤穴20cの傾斜状穴部の先頭空間部分を閉塞した状態とはならず、支持鉤穴20cの先頭空間部分に本体枠3の上軸支金具630の軸支ピン633を挿入可能な空間が形成された状態となっている。
本例の上支持金具20とロック部材27とを用いた軸支ピン633の支持機構は、軸支ピン633が支持鉤穴20cの傾斜状穴部の先端空間部分に挿入されてストッパ部27aの先端側方が入口端部の停止垂下部20fに対向している状態(この状態ではストッパ部27aの先端側方と停止垂下部20fとの間に僅かな隙間があり当接した状態となっていない)である通常の軸支状態においては、屈曲して形成される支持鉤穴20cの傾斜状穴部の先端空間部分に位置する軸支ピン633とストッパ部27aの先端面27dとの夫々の中心が斜め方向にずれて対向した状態となっている。そして、この通常の軸支状態においては、重量のある本体枠3を軸支している軸支ピン633が支持鉤穴20cの先端部分に当接した状態となっているので、軸支ピン633からストッパ部27aの先端面27dへの負荷がほとんどかかっていないため、ロック部材27の弾性片27cに対し負荷がかかっていない状態となっている。なお、ストッパ部27aの先端に円弧状の先端面27dを備えているので、ロック部材27を回動させるために操作部27bを回動操作した時に、ロック部材27がスムーズに回動するようになっている。また、図示では、先端面27dの円弧中心が、リベット28の中心(ロック部材27の回転中心)とされている。
従って、軸支ピン633が支持鉤穴20cの傾斜状穴部の傾斜に沿って抜ける方向に作用力Fがかかって円弧状の先端面27dに当接したとき、その作用力Fを、軸支ピン633と円弧状の先端面27dとの当接部分に作用する分力F1(先端面27dの円弧の法線方向)と、軸支ピン633と支持鉤穴20cの傾斜状穴部の一側内面との当接部分に作用する分力F2と、に分けたときに、分力F1の方向がリベット28の中心(ロック部材27の回転中心)を向くため、ロック部材27のストッパ部27aの先端部が支持突出片20bから外れる方向(図示の時計方向)に回転させるモーメントが働かず、軸支ピン633がロック部材27のストッパ部27aの先端部と支持鉤穴20cの傾斜状穴部の一側内面との間に挟持された状態を保持する。このため、通常の軸支状態でもあるいは軸支ピン633の作用力がロック部材27にかかった状態でも、ロック部材27の弾性片27cに常時負荷がかからず、合成樹脂で一体形成される弾性片27cのクリープによる塑性変形を防止し、長期間に亘って軸支ピン633の支持鉤穴20cからの脱落を防止することができる。なお、仮に無理な力がかかってロック部材27のストッパ部27aの先端部が支持突出片20bから外れる方向(図示の時計方向)に回転させられても、ストッパ部27aの先端部の一側方が停止垂下部20fに当接してそれ以上外れる方向に回転しないので、ロック部材27が支持突出片20bの外側にはみ出ないようになっている。
なお、ストッパ部27aの先端面27dの形状は円弧状でなくても、上記した分力F1の作用により回転モーメントが生じない位置又はロック部材27をその先端部が支持突出片20bの外側に向って回転させる回転モーメントが生ずる位置にロック部材27の回転中心(リベット28により固定される軸)を位置させることにより、常時ロック部材27の弾性片27cに対しても負荷がかかることはないし、ロック部材27が回転してもストッパ部27aの先端一側方が停止垂下部20fに当接するだけであるため、ロック部材27が支持突出片20bの外側にはみ出ることもないという点を本出願人は確認している。
本例のロック部材27の作用について図16を参照して具体的に説明する。外枠2に本体枠3を開閉自在に軸支する前提として、本体枠3の本体枠軸支金具644(図63を参照)に形成される本体枠軸支穴(図示しない)に下支持金具21の支持突起21dが挿通されていることが必要である。そのような前提において、図16(A)に示すように、本体枠3の上軸支金具630の軸支ピン633をロック部材27のストッパ部27aの側面に当接させて押し込むことにより、図16(B)に示すように、ロック部材27が弾性片27cを変形させながら反時計方向に回動させるので、軸支ピン633を支持鉤穴20cに挿入することができる。そして、軸支ピン633が支持鉤穴20cの傾斜状穴部の先頭空間部分に到達すると、図16(C)に示すように、軸支ピン633とストッパ部27aの先端側面とが当接しなくなるためロック部材27が弾性片27cの弾性力に付勢されて時計方向に回動し、ロック部材27のストッパ部27aが再度通常の状態に戻って支持鉤穴20cの入口部分を閉塞すると同時に、ストッパ部27aの先端部分が軸支ピン633と対向して軸支ピン633が支持鉤穴20cから抜け落ちないようになっている。
そして、この状態は、図16(D)に示すように、本体枠3が完全に閉じられた状態でもあるいは本体枠3の通常の開閉動作中も保持される。次いで、軸支ピン633を支持鉤穴20cから取外すためには、図16(E)に示すように、指を支持突出片20bの裏面に差し入れてロック部材27の操作部27bを反時計方向に回動することにより、ロック部材27が弾性片27cの弾性力に抗して回動し、ストッパ部27aの先端部分が支持鉤穴20cから退避した状態となるため、軸支ピン633を支持鉤穴20cから取り出すことができる。その後、本体枠3を持ち上げて、本体枠軸支金具644に形成される本体枠軸支穴と下支持金具21の支持突起21dとの係合を解除することにより、本体枠3を外枠2から取外すことができるようになっている。
上述したように、本例の外枠2は、外枠2の外郭を構成する上枠板10と下枠板11とを従来と同じく木製とすると共に、側枠板12,13を軽量金属(例えば、アルミ合金)の押出型材としているので、パチンコ機1を遊技場に列設される島設備に設置する場合に、島の垂直面に対し所定の角度をつけて固定する作業を行う必要があるが、そのような作業は上枠板10及び下枠板11と島とに釘を打ち付けて行われるため、釘を打ち易くすることができ、既存の島設備に本パチンコ機1を問題なく設置することができるようになっている。また、側枠板12,13を軽量金属(例えば、アルミ合金)の押出型材としているので、従来の木製の外枠と比較して強度を維持しつつ肉厚を薄く形成することが可能となり、側枠板12,13の内側に隣接する本体枠3の周壁部605(図63等を参照)の正面から見たときの左右幅を広くすることができ、左右方向の寸法の大きな遊技盤4を本体枠3に装着することができると同時に、遊技盤4の遊技領域1100を大きく形成することができるようになっている。
また、外枠2の外郭を構成する上枠板10、下枠板11、及び側枠板12,13を連結部材14で連結するようにしており、連結部材14が側枠板12,13の内面に密着して止着されると共に連結部材14と上枠板10及び下枠板11が係合した状態で止着されるので、外枠2の組付け強度を高くすることができ、頑丈な方形状の枠組みとすることができるようになっている。また、連結部材14によって上枠板10、下枠板11、及び側枠板12,13を連結した後、上支持金具20を所定の位置に取付けたときに、図10に示すように、各枠板10,11,12,13の外側面(外周面)から外側に突出する部材が存在しないので、パチンコ機1を図示しない遊技ホールの島設備に設置する際に、隣接する装置(例えば、隣接する玉貸機)と密着して取付けることができるようになっている。
[1-2.扉枠の全体構成]
次に、上記した本体枠3の前面側に開閉自在に設けられる扉枠5について、図17乃至図23を参照して説明する。図17は扉枠の正面図であり、図18は扉枠の背面図であり、図19は扉枠を右前方から見た斜視図である。また、図20は扉枠を左前方から見た斜視図であり、図21は扉枠の右後方から見た斜視図である。更に、図22は扉枠を正面から見た分解斜視図であり、図23は扉枠を背面から見た分解斜視図である。
本実施形態のパチンコ機1における扉枠5は、図示するように、外形が縦長の矩形状に形成され内周形状がやや縦長の円形状(楕円形状)とされた遊技窓101を有する扉枠ベースユニット100と、扉枠ベースユニット100の前面で遊技窓101の右外周に取付けられる右サイド装飾ユニット200と、右サイド装飾ユニット200と対向し扉枠ベースユニット100の前面で遊技窓101の左外周に取付けられる左サイド装飾ユニット240と、扉枠ベースユニット100の前面で遊技窓101の上部外周に取付けられる上部装飾ユニット280と、を備えている。
また、扉枠5は、扉枠ベースユニット100の前面で遊技窓101の下部に取付けられる皿ユニット300と、皿ユニット300の上部中央に取付けられる操作ユニット400と、皿ユニット300を貫通して扉枠ベースユニット100の右下隅部に取付けられ遊技球の打込操作をするためのハンドル装置500と、扉枠ベースユニット100を挟んで皿ユニット300の後側に配置され扉枠ベースユニット100の後面に取付けられるファールカバーユニット540と、ファールカバーユニット540の右側で扉枠ベースユニット100の後面に取付けられる球送りユニット580と、扉枠ベースユニット100の後側に遊技窓101を閉鎖するように取付けられるガラスユニット590と、を備えている。
[1-2A.扉枠ベースユニット]
続いて、扉枠5における扉枠ベースユニット100について、主に図24乃至図28を参照して説明する。図24(A)は扉枠における扉枠ベースユニットの正面斜視図であり、(B)は扉枠における扉枠ベースユニットの背面斜視図である。また、図25は扉枠ベースユニットを分解して前から見た分解斜視図であり、図26は扉枠ベースユニットを分解して後ろから見た分解斜視図である。更に、図27は扉枠ベースユニットにおける扉枠ベース基板カバーと配線保持部材とを後から見た斜視図であり、図28は扉枠と本体枠とを電気的に接続する配線の様子を拡大して示す斜視図である。
本例の扉枠ベースユニット100は、図示するように、外形が縦長の矩形状に形成されると共に、前後方向に貫通し内周が縦長の略楕円形状に形成された遊技窓101を有する扉枠ベース本体110と、扉枠ベース本体110の前面で遊技窓101の下端左右両外側に配置される一対のサイドスピーカ130と、サイドスピーカ130を扉枠ベース本体110へ固定するためのスピーカブラケット132と、扉枠ベース本体110の前面で正面視右下隅部に取付けられハンドル装置500を支持するためのハンドルブラケット140と、を備えている。
なお、扉枠ベースユニット100は、正面視で右側のサイドスピーカ130の外側には、サイドスピーカ130の側面と、右サイド装飾ユニット200等へ接続される配線(図示は省略)の前側とを覆い扉枠ベース本体110の前面に取付けられるカバー部材134を更に備えている。このカバー部材134は、配線をスピーカ取付部111の外周に沿って案内させることができると共に、サイドスピーカ130を取付ける際や取外す際に、配線が邪魔にならないように配線を保持することができるようになっている。
また、扉枠ベースユニット100は、扉枠ベース本体110の後側に固定される金属製で枠状の補強ユニット150と、扉枠ベース本体110の後面で遊技窓101の下部を被覆するように取付けられる防犯カバー180と、扉枠ベース本体110の後面で遊技窓101の外周の所定位置に回動可能に取付けられるガラスユニット係止部材190と、背面視で左右方向の中央より左側(開放側)に配置され遊技窓101の下端に沿って扉枠ベース本体110の後面に取付けられる発射カバー191と、発射カバー191の下側で扉枠ベース本体110の後面に取付けられハンドル装置500の回転位置検知センサ512と主制御基板4100との接続を中継するハンドル装置中継基板192と、ハンドル装置中継基板192の後側を被覆するハンドル装置中継基板カバー193と、左右方向の中央を挟んで発射カバー191やハンドル装置中継基板192等とは反対側(背面視で左右方向中央よりも右側(軸支側))に配置され扉枠ベース本体110の後面に取付けられる扉枠ベース基板194と、扉枠ベース基板194の後側を被覆する扉枠ベース基板カバー195と、扉枠ベース基板カバー195の後面に回動可能に軸支され扉枠5側と本体枠3側とを接続する配線コード196(図28を参照)の一部を保持する配線保持部材197と、を備えている。
本例の扉枠ベースユニット100は、合成樹脂からなる矩形状の扉枠ベース本体110の後側に、金属板金をリベット等で組立てた補強ユニット150が固定されることで、全体の剛性が高められていると共に、各装飾ユニット200,240,280や皿ユニット300等を充分に支持することができる強度を有している。
この扉枠ベースユニット100における扉枠ベース基板194は、サイドスピーカ130や左右のサイド装飾ユニット200,240の上部スピーカ222,262と接続されると共に、後述する遊技盤4に備えられた周辺制御部4140と接続されており、周辺制御部4140から送られた音響信号を増幅して各スピーカ130へ出力する増幅回路を備えている。なお、本例では、各装飾ユニット200,240,280及び皿ユニット300や操作ユニット400に備えられた各装飾基板430,432、操作ユニット400に備えられたダイヤル駆動モータ414やセンサ432a,432b,432c、ハンドル装置中継基板192、皿ユニット300の貸球ユニット360等と、払出制御基板4110や周辺制御部4140等とを接続する配線コード196が、扉枠ベース基板194の背面視で右側(軸支側)の位置に集約して束ねられた上で、詳細は後述するが、配線保持部材197に保持されて後方へ延出し、本体枠3の主側中継端子板880や周辺側中継端子板882に接続されるようになっている(図1及び図28を参照)。
本例の扉枠ベースユニット100における扉枠ベース本体110は、図25及び図26等に示すように、合成樹脂によって縦長の額縁状に形成されており、前後方向に貫通し内形が縦長で略楕円形状の遊技窓101が全体的に上方へオフセットするような形態で形成されている。この遊技窓101は、図示するように、左右側及び上側の内周縁が連続した滑らかな曲線状に形成されているのに対して、下側の内周縁は左右へ延びた直線状に形成されている。また、扉枠ベース本体110における遊技窓101の下側の内周縁には、軸支側(正面視で左側)にファールカバーユニット540の第一球出口544aを挿通可能な方形状の切欠部101aが形成されている。この扉枠ベース本体110は、遊技窓101によって形成される上辺、及び左右の側辺の幅が、後述する補強ユニット150の上側補強板金151、軸支側補強板金152、及び開放側補強板金153の幅と略同じ幅とされており、正面視における扉枠ベース本体110の大きさに対して、遊技窓101が可及的に大きく形成されている。従って、扉枠5の後側に配置される遊技盤4のより広い範囲を遊技者側から視認できるようになっており、従来のパチンコ機よりも広い遊技領域1100を容易に形成することができるようになっている。
この扉枠ベース本体110は、遊技窓101の他に、遊技窓101の下辺の左右両外側に配置されサイドスピーカ130を取付固定するためのスピーカ取付部111と、球送りユニット580を取付固定するための球送りユニット取付凹部112(図26を参照)と、球送りユニット取付凹部112の所定位置で前後方向に貫通し皿ユニット300の上皿301に貯留された遊技球を球送りユニット580へ供給するための球送り開口113と、正面視で右下隅部に配置され前方へ膨出した前面の右側(開放側)端が後退するように斜めに傾斜しハンドルブラケット140を取付けるためのハンドル取付部114と、ハンドル取付部114の所定位置で前後方向へ貫通しハンドル装置500からの配線が通過可能な配線通過口115と、ハンドル取付部114の上側で前方へ向かって短く延びた筒状に形成され後述するシリンダ錠1010が挿通可能な錠穴116と、を備えている。
また、扉枠ベース本体110は、図26に示すように、球送りユニット取付凹部112に下側にハンドル装置中継基板192を取付けるための中継基板取付部117と、背面視で扉枠ベース本体の下部右側(軸支側)に配置され扉枠ベース基板194を取付けるための基板取付部118と、遊技窓101の下端の背面視左側(開放側)でスピーカ取付部111よりも中央寄りの配置から後方へ突出し防犯カバー180の装着弾性片185を装着するための防犯カバー装着部119と、扉枠ベース本体110は、その後側に、遊技窓101の内周に略沿って前側へ凹みガラスユニット590の前面外周縁が当接可能なガラスユニット支持段部110aと、遊技窓101の外周の所定位置から後方へ突出しガラスユニット係止部材190を回動可能に支持するための二つの係止部材取付部110bと、を更に備えている。
更に、扉枠ベース本体110の後側には、その下辺から後方へ所定量突出する扉枠突片110cを備えており、この扉枠突片110cは、後述する本体枠3の係合溝603内に挿入されるようになっている。これにより、扉枠5が本体枠3に対して位置決め係止することができると共に、扉枠5と本体枠3との下辺の隙間からピアノ線等の不正な工具をパチンコ機1内に挿入しようとしても、係合溝603と係合した扉枠突片110cによって工具の侵入を阻止することができ、パチンコ機1の防犯機能が高められている。また、扉枠ベース本体110の後側には、背面視で錠穴116よりもやや右下の位置から後方へ突出し本体枠3の嵌合溝612と嵌合する位置決め突起110dを、備えており、この位置決め突起110dが嵌合溝612と嵌合することで、扉枠5と本体枠3とが正しい位置に位置決めされるようになっている。
また、扉枠ベース本体110は、図25に示すように、その前面に、装飾ユニット200,240,280や皿ユニット300等を固定するための前方へ突出した複数の取付ボス110eが備えられていると共に、ハンドルブラケット140等を取付けるための取付穴が適宜位置に多数形成されている。また、扉枠ベース本体110は、サイドスピーカ130を取付けるスピーカブラケット132を取付けるための取付部110gや、サイドスピーカカバー338を取付けるための取付孔110h(図18等を参照)が、適宜位置に夫々形成されている。
また、扉枠ベース本体110には、球送りユニット取付凹部112と基板取付部118との間で、後述する皿ユニット300の皿ユニットベース310における下皿球供給口310g及びファールカバーユニット540の第二球出口544bと対応する位置に、前後方向に貫通する矩形状の球通過口110fを備えている。
更に、扉枠ベース本体110は、その前面側で左右のスピーカ取付部111の上側に形成され、略三角形状に後方へ窪んだ浅い皿状の防犯凹部120を備えている。この防犯凹部120内には、前側から浅い箱状に形成された防犯部材121が挿入されるようになっている。防犯部材121は、金属板を屈曲させて前側が開放された浅い箱状に形成されている。これにより、パチンコ機1の内部に対して不正行為を行うために、例えば、サイド装飾ユニット200,240と皿ユニット300との接合部位から細いドリル等により穴を開けられてしまうのを金属製の防犯部材121によって阻止することができ、不正行為が行われるのを防止することができるようになっている。
また、扉枠ベースユニット100における一対のサイドスピーカ130は、詳細な図示は省略するが、その中心軸の交点が正面視で遊技領域1100の中央から前方へ所定距離(例えば、0.2m~1.5m)の位置となるように斜めに固定されており、パチンコ機1の前に着座した遊技者に対して最も効率良く音が届くようになっている。また、このサイドスピーカ130は、主に中高音域の音を出力するようになっていると共に、パチンコ機1に対して、可及的に左右方向へ離反した位置に配置されており、左右のサイドスピーカ130から関連した異なる音を出力させることで、ステレオ感の高い音を出力することができるようになっている。
これらサイドスピーカ130は、その外周が、前側に配置された略円環状のスピーカブラケット132と、後側に配置された扉枠ベース本体110のスピーカ取付部111とによって挟持されることで、扉枠ベース本体110に取付けられるようになっている。なお、スピーカブラケット132は、所定のビスによって、前側から扉枠ベース本体110の取付部110gに取付けられるようになっている。
また、扉枠ベースユニット100における扉枠ベース基板カバー195は、図25乃至図27等に示すように、前側が開放された薄い箱状に形成されていると共に、後側の後面に、上下方向の中央よりもやや下寄りの位置で前方へ窪んだ段部195aを備えている。この扉枠ベース基板カバー195の段部195aに、配線保持部材197が回動可能に取付けられている。
一方、扉枠ベースユニット100における配線保持部材197は、図27及び図28等に示すように、横方向へ長く延びた板状に形成されていると共に、断面がI字状に形成されており、比較的、硬質の合成樹脂によって形成されている。また、配線保持部材197は、図示するように、上下両端に長手方向へ沿って所定間隔で複数(本例では、上下に夫々三つずつ)の保持孔197aを備えている。この配線保持部材197は、扉枠5を組立てた状態で扉枠5が本体枠3に軸支される側の端部が、扉枠ベース基板カバー195における後面の段部195aに、上下方向へ延びた軸周りに回動可能に軸支されており、詳細な図示は省略するが、配線保持部材197の自由端側が扉枠ベース基板カバー195側へ回動することで、配線保持部材197が扉枠ベース基板カバー195の段部195a内へ収容することができるようになっている。
この配線保持部材197は、その後面側に扉枠5と本体枠3とを電気的に接続するための配線コード196を沿わせた状態で、上下で対になった保持孔197aに所定の結束バンド198を挿通させて、その結束バンド198により配線保持部材197ごと配線コード196を締付けることで、配線コード196を保持することができるようになっている(図1及び図28を参照)。
本例の配線保持部材197は、本体枠3に対して扉枠5を閉じる方向へ回動させると、配線保持部材197の自由端側が、配線コード196における自由端側から本体枠3へ延びた部分により前方へ押されて扉枠ベース基板カバー195側へ近付く方向へ回動することとなる。これにより、扉枠5が閉まるに従って、配線保持部材197の自由端側が扉枠ベース基板カバー195へ接近すると共に、配線保持部材197の自由端から本体枠3側へ延びだした配線コード196が自由端付近で折れ曲りが大きく(鋭く)なる。そして、本体枠3に対して扉枠5が閉じられた状態となると、配線コード196が配線保持部材197の自由端側で横方向へ二つに折り畳まれたような状態となる。
一方、本体枠3に対して閉じられた扉枠5を開ける場合では、本体枠3と扉枠5とが相対的に遠ざかることとなるので、本体枠3側に接続された配線コード196によって配線保持部材197の自由端側が後方へ引っ張られることとなり、自由端側が扉枠ベース基板カバー195から遠ざかる方向(本体枠3の方向)へ移動するように配線保持部材197がスムーズに回動する。これにより、配線保持部材197の自由端側で折り畳まれた配線コード196が真直ぐに延びるように展開し、配線コード196によって阻害されること無く扉枠5を開くことができるようになっている。
このように、本例によると、配線保持部材197における扉枠5が軸支された側と同じ側の端部を、自由端側が本体枠3側へ移動するように扉枠ベース基板カバー195の後面に回動可能に軸支させると共に、扉枠5と本体枠3とを電気的に接続する配線コード196の一部が上下方向へ移動しないように保持するようにしているので、本体枠3に対して扉枠5を開閉させる際に、配線保持部材197の自由端側で配線コード196を横方向へ折り畳んだり、展開したりすることができ、扉枠5の開閉時に配線コード196が引っ掛かったり挟まれたりして不具合(配線コード196の断線、接続コネクタの外れ、等)が発生するのを防止することができるようになっている。
また、本例によると、配線保持部材197を比較的硬質で剛性の高い合成樹脂によって形成するようにしているので、扉枠5の開閉時に、配線コード196を介して力が作用しても、上下方向へブレ難くすることができ、配線コード196を確実に横方向へ折り畳んで不具合の発生を防止することができるようになっている。
更に、上述したように、本体枠3に対して扉枠5を開閉させると、配線保持部材197によって本体枠3と扉枠5との間に橋が掛けられたような状態となり、配線196の一部が配線保持部材197によって架橋された状態となるので、扉枠5を開閉させても配線196が垂れ下がるのを防止することが可能となり、配線196が垂れ下がることで他の部材に引っ掛かって断線したり扉枠5を閉じることができなくなったりする不具合が発生するのを防止することができ、本体側電気機器としての主制御基板4100、周辺制御部4140、払出制御基板4110等、と扉側電気機器としての各装飾基板214,216,254,256,288,290,322,430,432、スピーカ130,222,262、貸球ユニット360、ハンドル装置500等、とを接続する配線196に不具合が発生するのを可及的に低減させることが可能なパチンコ機1を提供することができる。
また、配線196の一部を回動可能な配線保持部材197で保持するようにしており、扉枠5を開ける時に、配線196が無理に引っ張られても、配線保持部材197が回動することでその力を逃がすことができるので、配線196が引っ張られるのを防止することができ、配線196が引っ張られて断線したり接続コネクタが外れたりするような不具合が発生するのを防止することができる。また、配線保持部材197によって配線196の一部を保持しており、配線196は配線保持部材197の回動に伴って単に部分的に曲がるだけなので、従来のもの(例えば、特開2009-213675)のように配線196が摺動することは無く、配線196が擦れて漏電や断線等の不具合が発生するのを防止することができる。
更に、配線保持部材197では、長手方向へ所定間隔で複数配置された貫通する保持孔197aに結束バンド198を挿通し、その結束バンド198によって配線196を保持するようにしているので、配線196を保持した結束バンド198が保持孔197aによって配線保持部材197の長手方向へ移動(スライド)するのを防止することができ、配線保持部材197から結束バンド198ごと配線196が脱落するのを確実に防止することができる。
また、本体枠3や扉枠5から配線196が延びだす位置を、扉枠5を軸支した側辺から離れた位置に配置しても、上述したように、配線保持部材197によって配線196をガイド(案内)して扉枠5を開閉する際に配線196が垂れ下がるのを良好に防止することができるので、扉枠5おける軸支された側辺側の強度・剛性を高めた本体枠3や扉枠5とすることができ、不正行為に対する防犯性の高いパチンコ機1とすることができる。
更に、配線保持部材197に、長手方向に対して直角方向両端から少なくとも配線196が沿う側へ突出した突条を備えるようにしているので、一対の突条と配線保持部材197の板面によって配線196の三方を囲むことができ、配線保持部材197に沿って配線196を保持し易くすることができる。また、配線保持部材197に突条を備えているので、板状の配線保持部材197の曲げ剛性を高めることができ、扉枠5を開閉する際に配線保持部材197が撓むのを防止して、良好な状態で扉枠5を開閉させることができる。
また、配線保持部材197の基端から先端までの長さを、扉枠5の軸心から基端の軸心までの距離と略同じ長さとすると共に、配線196における本体枠3の延出した所定位置を、本体枠3に対して扉枠5を閉じた状態で、配線保持部材197の先端よりも扉枠5の軸心側の位置としており、扉枠5の軸心と、配線保持部材197の軸心と、配線保持部材197の先端と、本体枠3における配線196が延出した位置とで、パンタグラフ状のリンクが形成されることとなるので、扉枠5を開閉する時の配線保持部材197や配線196等の動きをスムーズにすることができ、開閉作業を行い易くすることができると共に、配線196等に無理な力が作用するのを低減させて断線等の不具合が発生するのを防止することができる。また、パンタグラフ状のリンクを形成するようにしており、扉枠5を閉じる時に、配線196における配線保持部材197の先端から延出した部位が、配線保持部材197と沿うように先端側で折返されるので、扉枠5を閉じた状態では配線196を折り畳んでコンパクトに纏めることができ、配線保持部材197や配線196に係るスペースを小さくすることができる。
また、配線保持部材197を軸支した扉枠5の扉枠ベース基板カバー195に、本体枠3に対して扉枠5を閉じた状態で、本体枠3側へ向かって開口するように凹み、配線保持部材197を収納可能な段部195aを備えるようにしており、本体枠3に対して扉枠5を閉じた状態とすると、配線保持部材197が扉枠ベース基板カバー195に備えられた段部195a内へ収納されるので、扉枠5側から本体枠3側への配線保持部材197の突出を殆ど無くすことができ、扉枠5を閉じ易くすることができると共に、配線保持部材197や配線196をコンパクトに纏めることができ、配線196が他の部材に引っ掛かるのを抑制して不具合が発生するのを防止することができる。
更に、配線196を、本体枠3に対して扉枠5を閉じた状態で、配線保持部材197における本体枠3側を向いた面に沿って保持させるようにしており、本体枠3に対して扉枠5を閉じた状態とした時に、配線保持部材197を扉枠5側(扉枠ベース基板カバー195側)へ可及的に近づけることができるので、これによっても、扉枠5からの配線保持部材197の突出を少なくすることができ、扉枠5を閉じ易くすることができると共に、配線保持部材197や配線196に係るスペースを可及的に小さくすることができる。
また、配線保持部材197を移動(開閉)する扉枠5側に備えているので、扉枠5を開閉させる慣性力や衝撃力等によって配線保持部材197を回動させ易くすることができ、上述した作用効果を確実に奏することができる。また、配線保持部材197を扉枠5に備えており、本体枠3に配線保持部材197を備えるためのスペースを確保する必要が無いので、相対的に本体枠3における遊技盤4を保持するスペースを大きくしてより大きな遊技領域1100を有した遊技盤4を保持させることができ、大型の遊技盤4を有して遊技者の関心を強く引付けることが可能なパチンコ機1とすることができる。
更に、扉枠ベースユニット100におけるハンドルブラケット140は、図25及び図26等に示すように、前後方向へ延びた円筒状の筒部141と、筒部141の後端から筒部141の軸に対して直角方向外方へ延びた円環状のフランジ部142と、筒部141内に突出し筒部141の周方向に対して不等間隔に配置された複数(本例では三つ)の突条143と、筒部141の外周面とフランジ部142の前面とを繋ぎ筒部141の周方向に対して複数配置された補強リブ144と、を備えている。このハンドルブラケット140は、フランジ部142の後面を、扉枠ベース本体110におけるハンドル取付部114の前面に当接させた状態で、所定のビスによってハンドル取付部114に取付けられるようになっており、図示は省略するが、ハンドル取付部114に取付けた状態で、筒部141の軸が配線通過口115と略一致するようになっている。
このハンドルブラケット140は、筒部141内の上側に一つ、下側に二つの突条143が備えられており、これら突条143はハンドル装置500におけるハンドルベース502の円筒部の外周に形成された三つの溝部502aと対応する位置に配置形成されている。そして、ハンドルブラケット140の三つの突条143と、ハンドル装置500の三つの溝部502aとが一致した状態でのみ、筒部141内にハンドル装置500の円筒部を挿入させることができるようになっている。従って、ハンドルブラケット140に挿入支持されたハンドル装置500のハンドルベース502は、ハンドルブラケット140に対して相対回転不能の状態に支持されるようになっている。
なお、このハンドルブラケット140は、斜めに傾斜したハンドル取付部114に取付けることで、筒部141の軸が正面視で前方へ向かうに従って右側(開放側)へ向かうように延びるように取付けられ、この状態でハンドルブラケット140に支持されたハンドル装置500の軸も、同様に斜めに傾いた状態となるようになっている。
続いて、扉枠ベースユニット100における補強ユニット150は、主に図25及び図26に示すように、扉枠ベース本体110の上辺部裏面に沿って取付けられる上側補強板金151と、扉枠ベース本体110の軸支側辺部裏面に沿って取付けられる軸支側補強板金152と、扉枠ベース本体110の開放側辺部裏面に沿って取付けられる開放側補強板金153と、扉枠ベース本体110の遊技窓101の下辺裏面に沿って取付けられる下側補強板金154と、を備えており、それらが相互にビスやリベット等で締着されて方形状に形成されている。
この補強ユニット150は、図25に示すように、軸支側補強板金152の上下端部に、その上面に上下方向に摺動自在に設けられる軸ピン155を有する上軸支部156と、その下面に軸ピン157(図18を参照)を有する下軸支部158と、を一体的に備えている。そして、上下の軸ピン155,157が本体枠3の軸支側上下に形成される上軸支金具630及び下軸支金具640に軸支されることにより、扉枠5が本体枠3に対して開閉自在に軸支されるようになっている。
また、補強ユニット150の下側補強板金154は、所定幅を有して扉枠ベース本体110の横幅寸法と略同じ長さに形成され、その長辺の両端縁のうち下方長辺端縁に前方へ向って折曲した下折曲突片159と(図25を参照)、上方長辺端縁の正面視右側(開放側)部に前方へ向って折曲した上折曲突片160と、上方長辺端縁の中央部分に後方へ折曲した上で垂直方向に延設された垂直折曲突片161と、を備えている。この下側補強板金154は、下折曲突片159や上折曲突片160等によって強度が高められている。また、この下側補強板金154の垂直折曲突片161は、後述するガラスユニット590のユニット枠592の下端に形成された係止片592bと係合係止するように形成されており、ガラスユニット590を扉枠5の裏面側に固定した時に、垂直折曲突片161がガラスユニット590におけるユニット枠592の係止片592bが係止されることで、ガラスユニット590の下端が左右方向及び後方へ移動するのを規制することができるようになっている。なお、下側補強板金154には、扉枠ベース本体110の切欠部101aと略対応した切欠部162が形成されている。
また、補強ユニット150の開放側補強板金153は、上側補強板金151と下側補強板金154との間の長辺の両側に、後方へ向かって屈曲された開放側外折曲突片163と、開放側内折曲突片164とを備えており、図示するように、開放側外折曲突片163よりも開放側内折曲突片164の方が後方へ長く延び出したように形成されている。また、開放側補強板金153の後側下部には、後述する錠装置1000の扉枠用フック部1041と当接するフックカバー165が備えられている。更に、軸支側補強板金152には、その長辺の外側端に後方へ延び出すと共に軸支側の外側に開口したコ字状の軸支側コ字状突片166を備えている(図108を参照)。また、上側補強板金151は、その長辺の両側に後方へ向かって屈曲された屈曲突片167を夫々備えている。
この補強ユニット150の軸支側補強板金152は、本体枠3に対して上軸支部156と下軸支部158の上下の二点でのみ取付支持されるようになっているので、軸支側の扉枠5と本体枠3との間にドライバーやバール等の不正な工具が差込まれると、軸支側補強板金152が変形して扉枠5と本体枠3との隙間が大きくなって不正行為を行い易くなる虞があるが、本例の軸支側補強板金152では、軸支側コ字状突片166を備えているので、軸支側補強板金152の強度がより高められており、軸支側補強板金152が曲がり難くなっている。また、軸支側補強板金152の軸支側コ字状突片166は、そのコ字内に後述する本体枠3における側面防犯板950における前端片952bが挿入されるようになっており(図108を参照)、工具の挿入を阻止することができると共に、軸支側補強板金152のみが曲がるのを防止することができ、パチンコ機1の防犯機能を高めることができるようになっている。
次に、扉枠5における扉枠ベースユニット100の防犯カバー180について、主に図25及び図26を参照して説明する。この防犯カバー180は、上記したガラスユニット590の下部裏面を被覆して遊技盤4への不正具の侵入を防ぐ防犯機能が付与されたものであり、図示するように、透明な合成樹脂によって左右の補強板金152,153の間に配されるガラスユニット590の下方部を覆うような平板状に形成され、その上辺部に遊技盤4の内レール1112の下方円弧面に略沿って円弧状に形成された当接凹部181と、当接凹部181の上端に沿って後方に向って突出する防犯後突片182と、を備えている。また、防犯カバー180の左右両端には、その端部形状に沿って後方へ突出する防犯後端部突片183が夫々備えられている。なお、背面視で右側(軸支側)の防犯後端部突片183は、反対側(開放側)の防犯後端部突片183よりも後方へ長く延びだした形態となっている。一方、防犯カバー180の前面には、防犯カバー180を取付けた状態でガラスユニット590におけるユニット枠592の下方形状に沿って突設する防犯前突片184と、防犯前突片184の外側で左右の下部端に前方へ突出するU字状の装着弾性片185と、を備えている。
この防犯カバー180は、正面視で右側(開放側)の装着弾性片185を扉枠ベースユニット100の防犯カバー装着部119に装着すると共に、反対側(軸支側)の装着弾性片185を皿ユニット300の防犯カバー装着部364に装着することで、扉枠5の裏面側に着脱自在に取付けられるようになっている。この防犯カバー180を、扉枠5に取付けた状態では、詳細な図示は省略するが、防犯前突片184がガラスユニット590のユニット枠592の下部外周と嵌合するようになっていると共に、ユニット枠592の下端部後面が垂直折曲突片161と当接するようになっている。また、後方へ突出した防犯後突片182は、扉枠5を閉じた時に、軸支側の半分が遊技盤4に固定された内レール1112の下側面に挿入され、開放側の半分が前構成部材1110における内レール1112のレール防犯溝1118に挿入された状態となるようになっている。これにより、遊技盤4の遊技領域1100に不正な工具を侵入させようとしても、内レール1112の下側に挿入された防犯後突片182によりその侵入を阻止することができるようになっている。
なお、防犯カバー180は、その裏面によって、扉枠5を閉じた状態で外レール1111と内レール1112とで形成される打球の誘導通路の前面下方部分を覆うことができるようになっているので、誘導通路部分を飛送若しくは逆送する打球のガラス板594への衝突を防止することができるようになっている。
これにより、本例では、防犯カバー180で扉枠5におけるガラスユニット590(遊技窓101)の後側下部外周を覆うようにしているので、扉枠5の前側から遊技窓101とガラスユニット590との間に可撓性の高い工具を挿入してパチンコ機1内(遊技領域1100内)に対して不正行為を行おうとしても、防犯カバー180によって工具の侵入を阻止することができ、不正行為等に対してより安全性の高いパチンコ機1とすることができるようになっている。
続いて、扉枠ベースユニット100における四つのガラスユニット係止部材190は、扉枠ベース本体110から後方へ突出する係止部材取付部110bに対して回動可能に嵌合する嵌合部190aと、嵌合部190aの軸方向に対して直角方向へ延出しガラスユニット590の係止突片451fを係止する係止片190bと、を備えている。このガラスユニット係止部材190は、嵌合部190aに対して扉枠ベース本体110の係止部材取付部110bが貫通した状態で、係止部材取付部110bの先端に抜止め用のビスを固定することで、係止部材取付部110bに対して回転可能に軸支されるようになっている。
このガラスユニット係止部材190の係止片190bは、詳細な図示は省略するが、後側に後方へ突出した突条を有しており、この突条がガラスユニット590の着脱時において、回転操作する際の指掛りとなっている。
また、扉枠ベースユニット100における発射カバー191は、補強ユニット150における下側補強板金154の後側に固定されるようになっている。また、ハンドル装置中継基板カバー193及び扉枠ベース基板カバー195は、夫々扉枠ベース110の後側の所定位置に固定されるようになっている。なお、扉枠ユニットベース100に対して発射カバー191、ハンドル装置中継基板カバー193、及び球送りユニット580を取付けた状態では、それらの後面が略同一面状となるようになっており、それらによって本体枠3に取付けられる打球発射装置650の前面を被覆することができるようになっている。
[1-2B.右サイド装飾ユニット]
続いて、扉枠5における右サイド装飾ユニット200について、主に図29乃至図31を参照して説明する。図29(A)は扉枠における右サイド装飾ユニットの正面斜視図であり、(B)は扉枠における右サイド装飾ユニットの背面斜視図である。また、図30は、右サイド装飾ユニットを分解して前から見た分解斜視図である。更に、図31は、右サイド装飾ユニットを分解して後から見た分解斜視図である。
本実施形態における扉枠5の右サイド装飾ユニット200は、図示するように、遊技窓101の前側外周のうち、正面視で下部を除く右側半分を装飾するものであり、内側が遊技窓101に沿って円弧状に形成されていると共に、外側が扉枠ベースユニット100の外周に沿って直線状に形成されている。この右サイド装飾ユニット200は、右サイド装飾ユニット200の外面を形成し略紡錘状の複数の湾曲面を有したサイドレンズ210と、サイドレンズ210の後側に配置されるサイドインナーレンズ212と、サイドインナーレンズ212の後側で上下方向の略中央から上側に配置され表面に複数のLED214a(フルカラーLED),214b(白色LED)が実装された右サイド上装飾基板214と、下側でサイドインナーレンズ212の上下方向の略中央から下側に配置され表面に複数のLED216a(フルカラーLED),216b(白色LED)が実装された右サイド下装飾基板216と、右サイド上装飾基板214の後側を覆い右サイド上装飾基板214を挟むようにサイドインナーレンズ212に取付けられる右サイド上装飾基板カバー218と、右サイド下装飾基板216の後側を覆い右サイド下装飾基板216を挟むようにサイドレンズ210及びサイド装飾フレーム202に取付けられる右サイド下装飾基板カバー220と、を備えている。
また、右サイド装飾ユニット200は、サイドレンズ210の右上隅に取付けられるサイドアウターカバー202と、サイドレンズ210の前面で且つ遊技窓101の周方向に所定間隔で配置されると共に遊技窓101の略中央を中心として放射状に延びた複数のサイド閃光レンズ204と、サイドインナーレンズ212における左上部とサイドレンズ210との間に配置されるサイド上部インナーレンズ206と、サイド上部インナーレンズ206をサイドインナーレンズ212に取付けるためのインナーレンズブラケット208と、サイド上部インナーレンズ206に取付けられる右上部スピーカ222と、を備えている。
この右サイド装飾ユニット200は、サイドアウターカバー202、サイド閃光レンズ204、サイド上部インナーレンズ205、インナーレンズブラケット208、サイドレンズ210、及びサイドインナーレンズ212が、透光性の部材によって形成されており、サイドアウターカバー202、サイド上部インナーレンズ205、インナーレンズブラケット208、サイドレンズ210、及びサイドインナーレンズ212が略無色透明に、サイド閃光レンズ204が有色透明(本例では赤色)とされている。
なお、詳細な図示は省略するが、サイドインナーレンズ212及びサイド上部インナーレンズ206の表面には、複数の小径レンズが形成されており、光を乱屈折させることができるようになっている。そのため、サイドレンズ210、サイドインナーレンズ212、及びサイド上部インナーレンズ206の後側に配置された右サイド上装飾基板214や右サイド下装飾基板216の表面(前面)に実装されたLED214a,214b,216a,216b等が、遊技者側から明確に視認することができないようになっている。また、右サイド上装飾基板214や右サイド下装飾基板216の前面は、白色とされており、実装されたLED214a,214b,216a,216b等の光によって右サイド装飾ユニット200を効率良く発光装飾させることができるようになっていると共に、LED214a,214b,216a,216bが非点灯時に各装飾基板214,216が目立たないようになっている。なお、右サイド上装飾基板214及び右サイド下装飾基板216は、夫々周辺制御部4140と接続されており、周辺制御部4140からの駆動信号(発光駆動信号)により各LED214a,214b,214c,216a,216bを適宜発光させて、右サイド装飾ユニット200を発光装飾させることができるようになっている。
本例の右サイド装飾ユニット200におけるサイドレンズ210は、図示するように、正面視で右端及び上端が扉枠ベース本体110の外周に沿った直線状に形成されていると共に、左端が遊技窓101の右側外周に沿った湾曲状に形成されている。このサイドレンズ210は、略紡錘状の複数の湾曲面からなる周レンズ部210aと、周レンズ部210aを遊技窓101の周方向へ複数に分割すると共に遊技窓101と略同心円状に延びた複数のプリズム面からなる放射レンズ部210bと、を備えている。このサイドレンズ210における複数の放射レンズ部210bは、図示するように、正面視で遊技窓101の中央下部を中心とした放射線上に延びるように形成されていると共に、周レンズ部210aの前面よりも後方へ窪んだ状態に形成されており、その窪みにサイド閃光レンズ204が挿入されるようになっている。
また、サイドレンズ210は、右側面に、前後方向へ延びると共に上下方向へ列設されたサイド拡散レンズ部210cを備えている。このサイド拡散レンズ部210cにより、右サイド上装飾基板214及び右サイド下装飾基板216からの光をパチンコ機1の右方向及び上下方向へ広く拡散させることができるようになっている。なお、詳細な図示は省略するが、サイドレンズ210における右上部スピーカの下側に該当する部位には、複数の貫通孔が形成されており、右上部スピーカからのサウンドを遊技者側へ良好に伝達させることができるようになっている。
サイドインナーレンズ212は、略無色透明でサイドレンズ210の内部に後側から挿入嵌合されるものであり、図示するように、サイドレンズ210における周レンズ部210aと対応した部位がシワ状に形成されていると共に、放射レンズ部210bと対応した部位が平坦面状に形成されている。また、詳細な図示は省略するが、サイドインナーレンズ212は、サイドレンズ210の周レンズ部210aに対応したシワ状の部位における前方へ突出した山部に複数の小径レンズが形成されている。このサイドインナーレンズ212は、シワ状の部位と複数の小径レンズとによって光を乱屈折及び乱反射させることができ、前側に配置されるサイドレンズ210と協同して右サイド装飾ユニット200の外観をキラキラさせると共に遠近感が不明瞭な不思議な感じに見せることができるようになっている。
右サイド装飾ユニット200の右サイド上装飾基板214及び右サイド下装飾基板216は、表面に高輝度のカラーLEDが複数実装されており、サイドレンズ210の周レンズ部210aと対応する位置に配置されたLED214a,216aは比較的照射角度の広いもの(例えば、60゜~180゜)が用いられており、サイドレンズ210の放射レンズ部210bと対応する位置に配置されたLED214b,216bは比較的照射角度の狭いもの(例えば、15゜~60゜)が用いられている。なお、右サイド上装飾基板214のLED214cは、本例では、赤色と緑色のLEDとされている。
右サイド装飾ユニット200の右上部スピーカ222は、サイドスピーカ130と同様に、中高音域の音を出力するものであり、サイド上部インナーレンズ206により所定位置に所定方向へ向けて取付けられるようになっている。この右上部スピーカ222を支持するサイド上部インナーレンズ206は、正面視でパチンコ機1の左右中央で斜め前下方に向かって延びた円筒状のホーン部を備えており、ホーン部の上端裏側に、右上部スピーカ222が固定されて正面視では右上部スピーカ222が遊技者側から見えないようになっている。
本例の右上部スピーカ222は、サイド上部インナーレンズ206のホーン部によって、パチンコ機1の上部から下方の遊技者へ向かって発せられるようになっており、他のパチンコ機に対して騒音に為り難いようになっている。なお、このサイド上部インナーレンズ206もまた、サイドインナーレンズ212と同様に、その前面がシワ状に形成されていると共に、シワ状の部位における前方へ突出した山部に複数の小径レンズが形成されており、シワ状の部位と複数の小径レンズとによって光を乱屈折及び乱反射させることができるようになっている。
右サイド装飾ユニット200のサイド閃光レンズ204は、サイドレンズ210の後方へ窪んだ放射レンズ部210bの前側に挿入配置されるようになっており、紡錘状の複数の湾曲面によりゴツゴツした岩場を模したサイドレンズ210にアクセントを付けることができるようになっている。また、サイド閃光レンズ204は、後側に配置される右サイド上装飾基板214及び右サイド下装飾基板216のLED214b,216aの発光により、放射状の発光演出を行うことができると共に、周レンズ部210aを遊技窓101の周方向へ分割させて夫々を強調させることができるようになっている。
[1-2C.左サイド装飾ユニット]
続いて、扉枠5における左サイド装飾ユニット240について、主に図32乃至図36を参照して説明する。図32(A)は扉枠における左サイド装飾ユニットの正面斜視図であり、(B)は扉枠における左サイド装飾ユニットの背面斜視図である。また、図33は、左サイド装飾ユニットを分解して前から見た分解斜視図である。更に、図34は、左サイド装飾ユニットを分解して後から見た分解斜視図である。また、図35は左サイド装飾ユニットの断面図であり、図36は左サイド装飾ユニットの発光態様を写真で示す説明図である。
本実施形態における扉枠5の左サイド装飾ユニット240は、図示するように、遊技窓101の前側外周のうち、正面視で下部を除く左側半分を装飾するものであり、右側が遊技窓101に沿って円弧状に形成されていると共に、左側及び上側が扉枠ベースユニット100の外周に沿って直線状に形成されており、右サイド装飾ユニット200とは非対称に形成されている。この左サイド装飾ユニット240は、右サイド装飾ユニット200の幅と略同じ幅で遊技窓101の周方向へ延びた複数の大窓枠242a、及び大窓枠242a同士の間に配置される楕円状の小窓枠242bを有した枠状のサイド下装飾フレーム242と、サイド下装飾フレーム242の上側に連続し遊技窓101の周方向へ延びると共に列設された二つの大窓枠244a、及び大窓枠244a同士の間に配置される一つの楕円状の小窓枠244bを有した枠状のサイド上装飾フレーム244と、を備えている。
また、左サイド装飾ユニット240は、サイド下装飾フレーム242及びサイド上装飾フレーム244の各小窓枠242a,244aに対して後側から嵌込まれるサイド閃光レンズ246と、サイド閃光レンズ246を後側から支持すると共にサイド下装飾フレーム242及びサイド上装飾フレーム244の大窓枠242a,244aに対して後側から嵌込まれる周レンズ部250aを複数有した透明なサイドレンズ250と、サイドレンズ250における周レンズ部250aの後側に配置され遊技窓101の周方向に延びた複数のスリット251aが形成され表面に金属光沢を有するメッキ層を備えたインナー装飾部材251と、インナー装飾部材251の後側に配置され遊技窓101の左右中央下部を中心とした放射状に延びる複数の帯状レンズにより形成された拡散部252aを有するサイドインナーレンズ252と、を備えている。
また、左サイド装飾ユニット240は、サイドインナーレンズ252の後側で上下方向の略中央から上側に配置され表面に複数のLED254a(フルカラーLED),254b(白色LED)が実装された左サイド上装飾基板254と、下側でサイドインナーレンズ252の上下方向の略中央から下側に配置され表面に複数のLED256a(フルカラーLED),256b(白色LED)が実装された左サイド下装飾基板256と、左サイド上装飾基板254の後側を覆い左サイド上装飾基板254を挟むようにサイドインナーレンズ252に取付けられる左サイド上装飾基板カバー258と、左サイド下装飾基板256の後側を覆い左サイド下装飾基板256を挟むようにサイドレンズ250に取付けられる左サイド下装飾基板カバー260と、を備えている。
更に、左サイド装飾ユニット240は、サイドインナーレンズ252の前側且つ正面視右上部に配置される左上部スピーカ262と、左上部スピーカ262を支持しサイドインナーレンズ252の前面右上部に取付けられる透明な上部スピーカブラケット264と、上部スピーカブラケット264の前面に取付けられ正面視右上のインナー装飾部材251内に後側から挿入され左右中央下部を中心とした放射状に延びる複数の帯状レンズにより形成された拡散部266aを有する右上インナーレンズ266と、を備えている。なお、左上部スピーカ262は、サウンドを透過可能な金属板からなる保護板268を挟むように上部スピーカブラケット264に取付けられている。
この左サイド装飾ユニット240は、サイド下装飾フレーム242、サイド上装飾フレーム244、左サイド上装飾基板カバー258、及び左サイド下装飾基板カバー260が不透光性の部材によって形成されており、インナー装飾部材251の表面には所定色(本例では、銀色)のメッキ層が備えられている。また、サイド閃光レンズ246は、透光性を有し全体が乳白色の合成樹脂により形成されている。また、サイドレンズ250、サイドインナーレンズ252、上部スピーカブラケット264、及び右上インナーレンズ266は、略無色透明の合成樹脂によって形成されている。
なお、本例では、サイド下装飾フレーム242及びサイド上装飾フレーム244における夫々の小窓枠242b,244bの両側(遊技窓101の左右中央下部を中心とした放射線状の軸線方向に対して小窓枠242b,244bを挟んだ両側)には、サイド下装飾フレーム242及びサイド上装飾フレーム244の側面まで切欠いた状態で貫通する開口枠242c,244cが形成されており、小窓枠242b,244b及び両側の開口枠242c,244cが後側からサイド閃光レンズ246によって閉鎖されるようになっている。従って、遊技者側からは、サイド下装飾フレーム242及びサイド上装飾フレーム244における小窓枠242b,244b及び開口枠242c,244cの後側が、乳白色のサイド閃光レンズ246によって視認できないようになっている。
一方、サイド下装飾フレーム242及びサイド上装飾フレーム244における大窓枠242a,244aには、後側から透明なサイドレンズ250における周レンズ部250aが挿入されて閉鎖されており、透明な周レンズ部250aを通して後側に配置されたインナー装飾部材251が遊技者側から視認できるようになっている。このインナー装飾部材251の後側には、サイドインナーレンズ252の拡散部252aが位置しており、拡散部252aで光が乱屈折することでインナー装飾部材251のスリット251aを通してサイドインナーレンズ252の後側を明確に視認することができないようになっている。つまり、インナー装飾部材251のスリット251aを通してサイドインナーレンズ252の後側に配置された左サイド上装飾基板254や左サイド下装飾基板256の表面(前面)に実装されたLED254a,254b,256a,256b等が、遊技者側から明確に視認することができないようになっている。
また、左サイド上装飾基板254や左サイド下装飾基板256の前面は、白色とされており、実装されたLED254a,254b,256a,256b等の光によって左サイド装飾ユニット240を効率良く発光装飾させることができるようになっていると共に、LED254a,254b,256a,256bが非点灯時に各装飾基板254,256が目立たないようになっている。なお、左サイド上装飾基板254及び左サイド下装飾基板256は、夫々周辺制御部4140と接続されており、周辺制御部4140からの駆動信号(発光駆動信号)により各LED254a,254b,256a,256bを適宜発光させて、左サイド装飾ユニット240を発光装飾させることができるようになっている。
本例の左サイド装飾ユニット240におけるサイド下装飾フレーム242は、遊技窓101の左側外周に沿って上下方向へ延びた形態とされ、後側が開放された断面コ字状に形成されている。このサイド下装飾フレーム242は、遊技窓101の外周に沿って延び前後方向に貫通した複数の大窓枠242aと、大窓枠242a同士の間に配置され前後方向へ貫通した略楕円形状の小窓枠242bと、小窓枠242bの両側(遊技窓101側及びパチンコ機1の外側)に配置され前後方向に貫通すると共に側面まで切欠かれた開口枠242cと、を備えており、合成樹脂により形成されている。
サイド下装飾フレーム242は、大窓枠242aにサイドレンズ250の対応する周レンズ部250aが後側から嵌め込まれるようになっていると共に、小窓枠242b及び開口枠242cに対応するサイド閃光レンズ246が後側から嵌め込まれるようになっている。つまり、サイド下装飾フレーム242は、夫々対応するサイドレンズ250の周レンズ部250aとサイド閃光レンズ246の外周枠を形成することができるようになっている。
また、左サイド装飾ユニット240におけるサイド上装飾フレーム244は、サイド下装飾フレーム242の上端に連続し遊技窓101の左上側外周から上側外周にかけて延びた正面視が略三角形状の形態とされ、後側が開放された断面コ字状に形成されている。このサイド上装飾フレーム244は、遊技窓101に沿って延び前後方向に貫通した二つの大窓枠244aと、大窓枠244a同士の間に配置され前後方向に貫通した略楕円形状の小窓枠244bと、小窓枠244bの両側(遊技窓101側及びパチンコ機1の外側)に配置され前後方向に貫通すると共に側面まで切欠かれた開口枠244cと、を備えており、合成樹脂によって形成されている。
このサイド上装飾フレーム244は、大窓枠244aにサイドレンズ250の対応する周レンズ部250aが後側から嵌め込まれるようになっていると共に、小窓枠244b及び開口枠244cに対応するサイド閃光レンズ246が後側から嵌め込まれるようになっている。つまり、サイド上装飾フレーム244は、夫々対応するサイドレンズ250の周レンズ部250aとサイド閃光レンズ246の外周枠を形成することができるようになっている。サイド上装飾フレーム244は、左サイド装飾ユニット240として組立てた状態では、サイド下装飾フレーム242と連続した意匠を形成するようになっている。
なお、本例では、サイド下装飾フレーム242及びサイド上装飾フレーム244は、黒色に着色されており、大窓枠242a,244a、小窓枠242b,244b、及び開口枠242c,244cから臨むサイドレンズ250やサイド閃光レンズ246が強調されて見えるようになっている。
また、左サイド装飾ユニット240におけるサイドレンズ250は、サイド下装飾フレーム242とサイド上装飾フレーム244とを組合せた大きさとされ、遊技窓101の左側及び上側で中央よりも左側に亘る大きさとされている。このサイドレンズ250は、サイド下装飾フレーム242及びサイド上装飾フレーム244の大窓枠242a,244aに後側から嵌め込まれる周レンズ部250aと、周レンズ部250a同士の間で後側へ窪んだ形態に形成され前側にサイド閃光レンズ246が配置される放射レンズ部250bと、を備えている。サイドレンズ250は、周レンズ部250aが夫々滑らかに湾曲した一つの曲面により形成されており、放射レンズ部250bが略平坦な面により形成されている。また、サイドレンズ250は、透明な合成樹脂により形成されており、後側が視認できるようになっている。
更に、左サイド装飾ユニット240におけるインナー装飾部材251は、サイドレンズ250における各周レンズ部250aの後側に配置され、遊技窓101の外周に沿って延び前後方向に貫通した複数のスリット251aを備えている。インナー装飾部材251は、図示するように、複数のスリット251aが、遊技窓101の外周に沿って延びると共に、遊技窓101の中央を中心として同心円状となるように、その幅方向に対しても複数備えられている。また、インナー装飾部材251は、複数のスリット251aが形成された前面が、サイドレンズ250の周レンズ部250aの内面に略沿った湾曲状に形成されている。なお、本例のインナー装飾部材251は、表面に銀色の金属光沢を有したメッキ層を有しており、透明なサイドレンズ250の周レンズ部250aを通して遊技者側から視認できるようになっている。
また、左サイド装飾ユニット240におけるサイドインナーレンズ252は、インナー装飾部材251の後側に配置されると共にサイドレンズ250と略同じ大きさ且つ外形形状とされ、略無色透明な合成樹脂により形成されている。サイドインナーレンズ252は、インナー装飾部材251と対応する部位が各インナー装飾部材251の内部へ後側から挿入されるように前方へ膨出した拡散部252aが形成されている。このサイドインナーレンズ252の拡散部252aは、前面に遊技窓101の左右方向中央下部を中心とした放射状に延びる複数の帯状レンズが形成されており、帯状レンズの延びる方向が前側に配置されるインナー装飾部材251のスリット251aの延びる方向に対して交差(略直交)するようになっている。
サイドインナーレンズ252は、インナー装飾部材251のスリット251aを通して拡散部252aが遊技者側から見えるようになっているが、拡散部252aに形成された複数の帯状レンズにより光が乱屈折するため、拡散部252aを通しては後側が明確には見えないようになっている。また、サイドインナーレンズ252は、図示するように、拡散部252a同士の間が略平坦面となっており、後側に配置される左サイド上装飾基板254や左サイド下装飾基板256からの光を、拡散させたり屈折させたりすることなく前方へ透過させることができるようになっている。
また、左サイド装飾ユニット240の左サイド上装飾基板254及び左サイド下装飾基板256は、表面に高輝度のカラーLEDが複数実装されており、サイド下装飾フレーム242及びサイド上装飾フレーム244の大窓枠242a,244a(サイドレンズ250の周レンズ部250a)と対応する位置に配置されたLED254a,256aは比較的照射角度の広いもの(例えば、60゜~180゜)が用いられており、サイド下装飾フレーム242及びサイド上装飾フレーム244の小窓枠242b,244b及び開口枠242c,244c(サイドレンズ250の放射レンズ部250b、つまり、サイド閃光レンズ246)と対応する位置に配置されたLED254b,256bは比較的照射角度の狭いもの(例えば、15゜~60゜)が用いられている。
左サイド装飾ユニット240の左上部スピーカ262は、サイドスピーカ130と同様に、中高音域の音を出力するものであり、上部スピーカブラケット264により所定位置に所定方向へ向けて取付けられるようになっている。この左上部スピーカ262を支持する上部スピーカブラケット264は、正面視でパチンコ機1の左右中央で斜め前下方に向かって突出する円筒状のホーン部(図示は省略)を備えている。そして、上部スピーカブラケット264におけるホーン部の上端裏側に、左上部スピーカ262が保護板268を介して固定されるようになっており、正面視では、左上部スピーカ262が遊技者側から見えないようになっている。また、金属板からなる保護板268により、左上部スピーカ262にイタズラされたり、左上部スピーカ262のコーンを破ってパチンコ機1内に不正工具が挿入されたりするのを防止することができるようになっている。本例の左上部スピーカ262は、パチンコ機1の上部から下方の遊技者へ向かって発せられるようになっており、他のパチンコ機に対して騒音に為り難いようになっている。
次に、本例の左サイド装飾ユニット240における特徴的な発光演出について説明する。左サイド装飾ユニット240は、上述したように、左サイド装飾ユニット240の外面を形成し湾曲した透明な周レンズ部250aを備えたサイドレンズ250と、周レンズ部250aの後側に配置され表面に金属光沢のメッキ層を有し前後方向に貫通した複数のスリット251aを備えたインナー装飾部材251と、インナー装飾部材251の後側に配置されスリット251aの延びる方向に対して交差する方向へ延びた複数の帯状レンズからなる拡散部252aを備えたサイドインナーレンズ252と、サイドインナーレンズ252の後側に配置され複数のLED254a,256aが実装された左サイド上装飾基板254及び左サイド下装飾基板256と、を備えている(図35等を参照)。これにより、左サイド装飾ユニット240では、LED254a,256aを発光させると、前方へ照射された光が、サイドインナーレンズ252の拡散部252aで拡散された上でインナー装飾部材251のスリット251aを通り、サイドレンズ250の周レンズ部250aから遊技者側へと照射され、左サイド装飾ユニット240の周レンズ部250aを発光装飾させることができるようになっている。
ところで、インナー装飾部材251のスリット251aを通って前方(サイドレンズ250側)へ照射された光は、その一部が透明なサイドレンズ250の周レンズ部250aを透過して遊技者側へ照射されると共に、残りの光が周レンズ部250aの内面で反射してインナー装飾部材251の前面を照射することとなる。そして、インナー装飾部材251に表面には銀色の金属光沢を有したメッキ層が備えられているので、周レンズ部250aの内面でインナー装飾部材251側へ反射した光が、インナー装飾部材251の表面(前面)で周レンズ部250a側へ反射することとなり、インナー装飾部材251の表面で反射した光の一部が周レンズ部250aを透過して遊技者側へ照射されることとなる。
この際に、本例では、図35に示すように、周レンズ部250a、インナー装飾部材251の前面、及びサイドインナーレンズ252の拡散部252aが、夫々滑らかに湾曲しているので、内面側(後面側)で反射した光は収束し外面側(前面側)で反射した光は拡散することとなり、周レンズ部250aには、インナー装飾部材251のスリット251aを通した直接的な光と、周レンズ部250a及びインナー装飾部材251の前面で反射した間接的な光とが、夫々ずれた位置に照射されることとなる。また、インナー装飾部材251のスリット251aを通過する光は、サイドインナーレンズ252における複数の帯状レンズにより形成された拡散部252aによって、スリット251aの延びた方向に対して縞状に拡散されると共に交差(略直交)する方向へ拡散される。従って、サイドレンズ250における周レンズ部250aには、スリット251aの幅よりも長くスリット251aの延びた方向に対して交差する方向へ延び、濃淡の異なる複数の縞状の光が照射(投影)されることとなり、遠近感のある幻想的な発光装飾をすることができるようになっている(図36を参照)。
[1-2D.上部装飾ユニット]
続いて、扉枠5における上部装飾ユニット280について、主に図37乃至図40を参照して説明する。図37は、扉枠における上部装飾ユニットの正面斜視図であり、図38は、扉枠における上部装飾ユニットの背面斜視図である。また、図39は上部装飾ユニットを分解して前から見た分解斜視図であり、図40は上部装飾ユニットを分解して後から見た分解斜視図である。
本実施形態の扉枠5における上部装飾ユニット280は、図17等に示すように、扉枠5の前面中央上部で、右サイド装飾ユニット200及び左サイド装飾ユニット240における中央側の上端縁同士の間に取付けられ、それらの間を装飾するものである。上部装飾ユニット280は、図示するように、前後方向に貫通した円環状の中央枠281a、中央枠281aの上部から左右に細長く延出し先端に向かうに従って細くなる枠状の上部延出枠281b、及び中央枠281aの下部から左右に延出し先端に向かうに従って細くなる枠状の下部延出枠281cを備えた前面装飾部材281と、前面装飾部材281の後側に配置され上部延出枠281b及び下部延出枠281cの枠内を閉鎖すると共に中央枠281aの内径よりも小径の貫通孔282aを備えた透光性を有する上部レンズ282と、上部レンズ282の貫通孔282aに挿入される筒状の中央スリーブ283と、中央スリーブ283内に挿入され前方へ膨出した上部中央レンズ284と、上部中央レンズ284の後側に配置され表面に微細なプリズムが複数形成された板状の拡散レンズ285と、拡散レンズ285の外周を保持すると共に上部レンズ282の後側に支持される環状のレンズ支持部材286と、レンズ支持部材286の後側に配置されレンズ支持部材286の内径と略同径の筒部287aを有した遮光部材287と、遮光部材287の後側に配置され遮光部材287の筒部287aの内側と対応した位置に配置された複数のLED288a、及び筒部287aの外側と対応した位置に配置された複数のLED288bが前面に実装された上部中央装飾基板288と、を備えている。
また、上部装飾ユニット280は、前面装飾部材281、上部レンズ282、遮光部材287、及び上部中央装飾基板288を後側から支持するユニットベース289と、ユニットベース289の後側に配置され前面に複数のLED290aが実装された上部サイド装飾基板290と、上部サイド装飾基板290の後面を覆いユニットベース289の後側に取付けられる基板カバー291と、基板カバー291の後面下部に取付けられ後方に延出した取付ブラケット292と、取付ブラケット292の下側に取付けられ前面装飾部材281の下部後端から後方へ延出した上部下カバー293と、上部下カバー293の下側を多い透光性を有すると共に所定形状に造形された上部下装飾カバー294と、を備えている。
更に、上部装飾ユニット280は、基板カバー291に取付けられると共に前面装飾部材281の上部後端から後方へ板状に延出し、左右方向中央に後端側が開放された切欠き部295aを有する上部上カバー295と、上部上カバー295の切欠き部295aを閉鎖する板状の蓋部材296と、ユニットベース289の正面視右側面に取付けられ所定形状に造形された飾り部材297と、を備えている。
本例の上部装飾ユニット280は、前面装飾部材281の表面に、銀色の金属光沢を有したメッキ層が形成されており、前面装飾部材281が外部からの光によってキラキラ光るようになっている。また、上部レンズ282は、無色透明な合成樹脂により形成されており、貫通孔282aの外周で前面装飾部材281の中央枠281a内に臨む中央環レンズ部282bと、前面装飾部材281における上部延出枠281b及び下部延出枠281cの枠内に臨む延出枠レンズ部282cと、を備えている。上部レンズ282は、中央環レンズ部282bの後面に放射状に延びた複数の帯状レンズが周方向に列設されていると共に、延出枠レンズ部282cの前面に貫通孔282aの軸芯を中心とした同心円状に延びた複数のプリズムが形成されている。これにより、上部レンズ282の複数のプリズムや帯状レンズにより、光を乱屈折させることができ、上部レンズ282の後側が明確には見えないようになっている。
また、上部装飾ユニット280の上部中央レンズ284は、無色透明な合成樹脂により形成されている。この上部中央レンズ284は、前面側が滑らかな紡錘形状に形成されているのに対して、後面側が同心円状の複数のレンズが形成されており、光を乱屈折させることができるので、後側が明確には見えないようになっている。
また、上部装飾ユニット280の上部中央装飾基板288は、前面に実装された複数のLED288a,288bが夫々フルカラーLEDとされており、上部中央レンズ284と前面装飾部材281における中央枠281aの枠内で上部中央レンズ284の外周とを夫々別々に発光装飾させることができるようになっている。更に、上部装飾ユニット280の上部サイド装飾基板290は、前面に実装された複数のLED290aが夫々フルカラーLEDとされており、それらLED290aが前面装飾部材281における上部延出枠281b及び下部延出枠281cの夫々枠内と対応した位置に配置されている。この上部サイド装飾基板290は、LED290aを適宜発光させることで、前面装飾部材281の上部延出枠281bや下部延出枠281cを発光装飾させることができるようになっている。
[1-2E.皿ユニット]
続いて、扉枠5における皿ユニット300について、主に図41乃至図45を参照して説明する。図41は、扉枠における皿ユニットの正面斜視図であり、図42は、扉枠における皿ユニットの背面斜視図である。また、図43は、皿ユニットを分解して前から見た分解斜視図であり、図44は、皿ユニットを分解して後から見た分解斜視図である。図45は、扉枠における皿ユニットの貸球ユニットの部位で切断した断面図である。
本実施形態の扉枠5における皿ユニット300は、後述する賞球装置740から払出された遊技球を貯留するための上皿301及び下皿302を備えていると共に、上皿301に貯留した遊技球を球送りユニット580を介して後述する打球発射装置650へ供給することができるものである。本例の皿ユニット300は、図43及び図44等に示すように、扉枠ベースユニット100の下部前面に固定される左右方向延びた略板状の皿ユニットベース310と、皿ユニットベース310の前面略中央に固定され上方及び後方が開放され正面視左側(軸支側)が大きく前方へ膨出した皿状の上皿本体312と、上皿本体312の上部外周を覆うと共前端が正面視で左右方向中央が前方へ突出するように湾曲状に形成された上皿上部パネル314と、上皿上部パネル314の上側前端縁に取付けられる上皿前部装飾部材316と、上皿前部装飾部材316と上皿上部パネル314との間に配置される上皿上部インナー装飾部材318と、上皿前部装飾部材316における右側の部位と連続すると共に上皿上部パネル314における右側上部を覆う上皿上部右装飾部材319と、を備えている。
また、皿ユニット300は、上皿上部パネル314における左右中央から右側の下面に取付けられ表面に微細なプリズムが複数形成された板状の基板取付ベース320と、基板取付ベース320の下側に取付けられ上面に複数のLED322aが実装された上皿装飾基板322と、を備えている。この上皿装飾基板322のLED322aを適宜発光させることで、上皿前部装飾部材316の一部と上皿上部右装飾部材319を発光装飾させることができるようになっている。
更に、皿ユニット300には、上皿本体312の下側で皿ユニットベース310の前面に固定され上方及び後方が開放されると共に正面視で左右方向中央が前方へ膨出し前端が左右方向中央へ向かうに従って低くなるように形成された皿状の下皿本体324と、下皿本体324の上部に固定され正面視で左右方向中央が下皿本体324と略同様に前方へ膨出し前端が左右方向中央へ向かうに従って高くなるように湾曲した板状の下皿天板326と、下皿本体324の下辺前端を被覆し正面視で右側へ延出した部位に後述する錠装置1000のシリンダ錠1010が臨む錠孔328aを有した下皿カバー328と、下皿カバー328下端の左右中央左寄りの位置から右側を装飾し下皿カバー328の錠孔328aと同軸上の上開口部330a及び上開口部330aの下側に開口し前方からハンドル装置500が挿入される下開口部330bを備えた下皿右サイドカバー330と、を備えている。
また、皿ユニット300には、下皿本体324の左辺前端及び下皿天板326の左側前端を覆う斜めに延びた下皿左上サイドカバー332と、下皿左上サイドカバー332の下端に配置され前後方向に貫通した開口部334aを有する下皿左下サイドカバー334と、下皿左下サイドカバー334の開口部334aを後側から閉鎖しサウンドが透過可能とされた金属板からなる保護カバー336と、保護カバー336の外周を保持し下皿左下サイドカバー334の後面に取付けられる枠状の保持部材337と、を備えている。なお、下皿天板326の右側前端は、上皿前部装飾部材316によって覆われるようになっている。
また、皿ユニット300は、皿ユニットベース310の左右両端上部に取付けられ右サイド装飾ユニット200及び左サイド装飾ユニット240の下端と下皿サイドカバー330及び下皿左上カバー332の上端とがデザイン的に連続するような形状に形成されると共に扉枠ベースユニット100に取付けられたサイドスピーカ130と対応する位置に前後方向に貫通した開口部338aを有するサイドスピーカカバー338と、サイドスピーカカバー338の開口部338aを後側から閉鎖し前側へ膨出するように緩く湾曲した円盤状で複数の孔を有したカバー体339と、を備えている。
なお、本例では、カバー体339が、所定のパンチングメタルによって形成されているので、表側から押されたり、叩かれたりしても、変形し難いようになっており、サイドスピーカ130を可能な限り保護することができるようになっている。また、サイドスピーカカバー338は、表面に銀色の金属光沢を有したメッキ層が形成されている。カバー体339は、黒色に着色されている。
更に、皿ユニット300には、皿ユニットベース310及び上皿本体312に取付けられ上皿301に貯留された遊技球を下皿302へ抜くための上皿球抜き機構340と、下皿本体324の下面に取付けられ下皿302に貯留された遊技球を下方へ抜くための下皿球抜き機構350と、皿ユニットベース310の正面視で左側上部に取付けられパチンコ機1に隣接して設置された球貸し機(CRユニット6とも称す、図示は省略)を作動させる貸球ユニット360と、を備えている。
本例の皿ユニット300は、皿ユニットベース310の一部、上皿本体312、及び上皿上部パネル314等によって遊技球を貯留可能な上皿301を構成している。また、皿ユニット300は、皿ユニットベース310の一部、下皿本体324、下皿天板326、及び下皿カバー328等によって遊技球を貯留可能な下皿302を構成している。
この皿ユニット300における皿ユニットベース310は、図43に示すように、左右方向へ延びた略板状に形成されており、左右へ延びた上端縁には所定形状の形成された装飾部310aが備えられている。この装飾部310aの左端に前後方向へ貫通し貸球ユニット360を取付けるための貸球ユニット取付部310bが形成されている。この皿ユニットベース310は、貸球ユニット取付部310bの下側(正面視で左上隅部近傍)に配置され横長の矩形状で前後方向に貫通する上皿球供給口310cと、上皿球供給口310cよりも下側(皿ユニットベース310の高さ方向の略中間)で装飾部310aの右端近傍の下側に前後方向へ貫通し上下方向へ延びた上皿球排出口310dと、上皿球排出口310d及び上皿球供給口310cの直下に配置され前方へ突出すると共に上面が同じ高さとされた一対の下皿支持部310eと、を備えている。なお、上皿球排出口310dは、直下に配置された下皿支持部310eの上面の前後方向中間位置まで連続して形成されている。
また、皿ユニット300は、一対の下皿支持部310eの間に配置され下皿本体324及び下皿天板326の後端と嵌合し正面視で横長の矩形環状に形成された下皿支持溝310fと、下皿支持溝310fによって囲まれた部位の中央右寄りの下部に配置され前後方向に貫通する矩形状の下皿球供給口310gと、を備えている。更に、皿ユニットベース310は、図44に示すように、下皿球供給口310gと連続するように後方へ筒状に延びた下皿球供給樋310hと、下皿球供給樋310hの開放側側面に形成され遊技球が通過可能な大きさの切欠部310iと、を備えている。
この皿ユニットベース310の上皿球供給口310cは、扉枠ベースユニット100における扉枠ベース本体110及び補強ユニット150の切欠部101a,162を介して扉枠ベースユニットの後側に取付けられるファールカバーユニット540の第一球出口544aと連通するようになっている。この上皿球供給口310cの前端には、正面視右方向へ長く延び後方へ窪んだ誘導凹部310jを備えている。この誘導凹部310jは、左右方向に対しては正面視右端側が若干低くなるように傾斜していると共に、前後方向に対しては前端側が低くなるように傾斜している。これにより、誘導凹部310jの前端と上皿本体312の底面との高低差は、誘導凹部310j右端へ向かうほど高くなるようになっており、誘導凹部310jの右端では、上皿本体312の底面との高低差が遊技球の外径よりも若干高くなるようになっている。
従って、本例では、上皿301内に貯留された遊技球によって上皿球供給口310cの前側が閉鎖された場合、ファールカバーユニット540を介して賞球装置740から払出された遊技球が、上皿球供給口310cから直線的に前方の上皿301内に出ることができなくなるので、払出された遊技球は上皿球供給口310cの前側を閉鎖した遊技球に当接してその転動方向が変化し、誘導凹部310j内を正面視右方向へと転動するように誘導され、誘導凹部310jの右端付近から上皿301内に貯留された遊技球の上側へと放出されることとなる。これにより、上皿301内において遊技球を自動的に上下二段に貯留させることができるので、上皿球供給口310cの前を遊技球が塞いだ時に遊技者が手で遊技球を寄せなくても払出された遊技球を上皿301内に供給(放出)し続けることが可能となり、上皿301への遊技球の貯留に対して遊技者が煩わしく感じてしまうのを抑制することができ、遊技者を遊技球の打込操作や打ち込まれた遊技球による遊技に専念させて遊技に対する興趣が低下するのを抑制することができると共に、上皿301における遊技球の貯留量を多くすることができるようになっている。
皿ユニットベース310の上皿球排出口310dは、上皿球抜き機構340における上皿球抜きベース344の開口部344a、及び扉枠ベースユニット100における扉枠ベース本体110の球送り開口113、を介して扉枠ベースユニット100の後側に取付けられる球送りユニット580の進入口581aと連通するようになっている。更に、下皿球供給口310gは、その後側から後方へ延びた下皿球供給樋310hが、扉枠ベースユニット100における扉枠ベース本体110の球通過口110fを貫通して後方へ延出した上で、扉枠ベースユニット100の後側に取付けられるファールカバーユニット540の第二球出口544bに接続されていると共に、下皿球供給樋310hの切欠部310iが、上皿球抜き機構340における上皿球抜きベース344の球抜き流路344cと接続されている。
なお、本例では、図示するように、下皿球供給口310gの前端には、正面視で左方向へ広がった拡口部310kを備えており、この拡口部310kによって下皿球供給口310gの前端が左右方向へ広がった状態となっている。これにより、下皿球供給口310gの前側に溜まった下皿302内の遊技球により下皿球供給口310gにおいて早期に球詰りが発生してしまうのを抑制することができ、より多くの遊技球を下皿302内へ供給することができるようになっている。
皿ユニット300の上皿本体312は、正面視で中央よりも左側(軸支側)が前方へ膨出し、底面が全体的に左端側(開放側)及び後端側が低くなるように形成されている。この上皿本体312の底面は、軸支側の後端が皿ユニットベース310における上皿球供給口310cの底辺付近に、開放側の後端が皿ユニットベース310における上皿球排出口310dの上下方向中間位置付近に、夫々位置するように形成されており、上皿球供給口310cから上皿本体312(上皿301)に供給された遊技球が、上皿球排出口310dへ誘導されるようになっている。
なお、上皿本体312は、底面の後端で左右方向中央から開放側に遊技球と接触可能な金属製の上皿レール313が取付けられている。この上皿レール313は、図示は省略するが、電気的に接地(アース)されており、遊技球に帯電した静電気を除去することができるようになっている。
皿ユニット300の上皿上部パネル314は、上皿本体312の上端から扉枠5の左右方向中央が前方へ突出するように湾曲状に延びだしており、上皿本体312の開放側よりも外側に上下方向へ貫通し後述する上皿球抜き機構340の上皿球抜きボタン341が取付けられる取付孔314aが形成されている。この上皿上部パネル314は、前端に上皿本体312の上部前端よりも一段下がった段状に形成され上皿前部装飾部材316及び上皿上部インナー装飾部材318を取付けるための装飾取付部314bと、左右方向の中央で上皿本体312よりも前側の位置で装飾取付部314bよりも更に下がった段状に形成され後述する操作ユニット400を取付けるための操作ユニット取付部314cと、を備えている。
上皿前部装飾部材316は、無色透明な合成樹脂により、上皿上部パネル314の前端に沿って左右方向へ湾曲状に延びた形状に形成されている。この上皿前部装飾部材316は、左右方向中央右寄りの位置から左側が滑らかな形状に形成されているのに対して、右側が紡錘状に湾曲した複数の湾曲面により形成されており岩場のようなゴツゴツした形状に形成されている。また、上皿前部装飾部材316は、詳細な図示は省略するが、複数の湾曲面により形成された右側の後面に複数の小径レンズが形成されており、光を乱屈折させることができると共に遊技者側から後側が明確に見えないようになっている。上皿上部インナー装飾部材318は、上皿前部装飾部材316における左側の滑らかに形成された部位の後側に配置されるものであり、表面に銀色の金属光沢を有したメッキ層が備えられている。これにより、上皿上部インナー装飾部材318は、組立てた状態では上皿前部装飾部材316の左側を通して見える部位が遊技者側から明確に見えるのに対して、上皿前部装飾部材316の右側を通して見える部位は遊技者側から不明確で距離感の定まらない感じに見えるようになっている。
また、上皿上部右装飾部材319は、無色透明な合成樹脂により形成されている。この上皿上部右装飾部材319は、表面が上皿前部装飾部材316の右側の部位と同様に、紡錘状に湾曲した複数の湾曲面により形成されており、上皿前部装飾部材316の右側の部位と一体的な形状に形成されている共に、上部右端側が後述する上皿球抜き機構340の上皿球抜きボタン341の外周を装飾するように形成されている。また、上皿上部右装飾部材319は、裏面(下面)に複数の小径レンズが形成されており、光を乱屈折させることができると共に、遊技者側から下側が明確に見えないようになっている。なお、上皿前部装飾部材316における右側の部位の後側と、上皿上部右装飾部材319の下側には、上皿装飾基板322が配置されており、上皿装飾基板322のLED322aを適宜発光させることで、上皿前部装飾部材316及び上皿上部右装飾部材319を適宜発光させることができるようになっている。
皿ユニット300の下皿本体324は、平面視で前方へ扇状に広がり後端が左右方向へ直線状に形成され上面の略中央が最も低くなるように形成された底板324aと、底板324aの中央に上下方向へ貫通するように形成された下皿球抜き孔324bと、底板324aの後端を除く前端及び側端から上方へ立上る側板324cと、を備えている。この下皿本体324の側板324cは、底板324aの側端から上方へ立上った上端が、前側が最も低く後側へ向かうに従って高くなるように曲線状に形成されていると共に、底板324aの側端から上方へ立上った上端が直線状に形成されており、上端の直線状の部分に下皿天板326の左右両端が載置接続されるようになっている。
この下皿本体324は、底板324a及び側板324cの後端が、皿ユニットベース310の前面に形成された下皿支持溝310f内に挿入支持されるようになっている。また、下皿本体324の下皿球抜き孔324bは、底板324aの裏面側に配置される下皿球抜き機構350の開閉シャッター352によって閉鎖されるようになっている。
下皿カバー328は、黒色の合成樹脂で形成されている。一方、下皿サイドカバー330は、所定の合成樹脂により形成されていると共に表面に銀色で金属感(鏡面ではなくサンドブラスト処理をしたような艶消しの状態)のあるメッキ層が備えられている。この下皿サイドカバー330は、下端から後方へ延出し皿ユニット300の底面の一部を形成する板状の部位を備えている。下皿カバー328の錠孔328aと下皿サイドカバー330の上開口部330aとは、本体枠3に取付けられた錠装置1000のシリンダ錠1010と対応した位置に形成されており、本体枠3に対して扉枠5を閉じた状態とすると、この錠孔328a及び上開口部330aからシリンダ錠1010の錠穴が臨むようになっている。
また、下皿左上カバー332は、所定の合成樹脂により形成されていると共に表面に銀色の金属光沢を有したメッキ層が備えられている。また、下皿左下カバー334は、所定の合成樹脂により形成されていると共に表面に赤色の金属光沢を有したメッキ層が備えられており、下端から後方へ延出し皿ユニット300の底面の一部を形成する板状の部位を備えている。下皿左下カバー334の開口部334aは、後述する本体枠3に備えられたスピーカ821の前面に相当する位置に形成されており、スピーカ821からのサウンドを遊技者側へ透過させることができるようになっている。この下皿左下カバー334の開口部334aを閉鎖する保護カバー336は、金属板に複数の孔を穿設したパンチングメタルとされており、内部に不正工具が挿入されるのを防止している。
本例の皿ユニット300は、下皿サイドカバー330と下皿左下カバー334とによって左右方向中央を除いた底面が閉鎖されるようになっており、下皿サイドカバー330と下皿左下カバー334との間の底面が後述する下皿球抜き機構340によって閉鎖されるようになっている。
皿ユニット300における上皿球抜き機構340は、上皿上部パネル314の取付孔314aに対して上下方向へ進退可能に取付けられる上皿球抜きボタン341と、上皿球抜きボタン341の操作に対して上皿球抜きボタン341の上下動よりも大きく上下動し皿ユニットベース310の前面側に支持される作動片342と、作動片342を作動(回動)可能に支持すると共に皿ユニットベース310の前面に取付けられる取付ベース346と、取付ベース346に支持された作動片342の上下動によって上下方向へスライドし後述する球送りユニット580における球抜き部材583の作動棹583cと当接する当接片343aを備え皿ユニットベース310の後側に配置される上皿球抜きスライダ343と、上皿球抜きスライダ343を上下方向へスライド可能に支持し皿ユニットベース310の後側に取付けられる上皿球抜きベース344と、を備えている。
この上皿球抜き機構340は、詳細な図示は省略するが、上皿球抜きボタン341が上側の移動端に位置するように、上皿球抜きボタン341と伴に上下動する作動片342がコイルバネによって上方側へ付勢されている。また、上皿球抜きスライダ343は、上皿球抜きベース344との間に備えられたコイルバネによって上方側へ付勢された状態となっている。
上皿球抜き機構340の上皿球抜きベース344は、皿ユニットベース310の上皿球排出口310dを閉鎖すると同時に上皿球排出口310dと連絡し前方へ向かって開口する開口部344a(図43を参照)と、上皿球抜きベース344の裏面側で開口部344aと連通し開口部344aを通過した遊技球を下方へ誘導した後に後方へ誘導する球誘導流路344b(図42及び図44を参照)と、球誘導流路344bの下側から下方へ延出した後に上皿球抜きベース344の下辺に略沿って背面視で右側(軸支側)の端部へ向かって延出し遊技球が流通可能とされた球抜き流路344cと、を備えている。
上皿球抜きベース344は、開口部344aが上皿球排出口310dと連通すると共に、開口部344aと連通する球誘導流路344bの下端が扉枠ベースユニット100における扉枠ベース本体110の球送り開口113を介して扉枠ベース本体110の後側に取付けられる球送りユニット580の進入口581aと連通するようになっており、上皿301内に貯留された遊技球を、球送りユニット580へ供給することができるようになっている。
また、上皿球抜きベース344の球抜き流路344cは、球誘導流路344bと隣接した上端が扉枠ベース本体110の球送り開口113を介して球送りユニット580の球抜口581bと連通していると共に、軸支側へ延びた下端が皿ユニットベース310における下皿球供給樋310hの切欠部310iと連通しており、球送りユニット580の球抜口581bから排出された遊技球を下皿302へ誘導することができるようになっている。なお、球抜き流路344cの後端下部は上皿球抜き流路カバー345によって閉鎖されている。
この上皿球抜き機構340は、コイルバネの付勢力に抗して上皿球抜きボタン341を下方へ押圧すると、上皿球抜きスライダ343が下方へスライドすると共に後方へ突出した当接片343aも下方へ移動する。そして、当接片343aの上面と当接する球送りユニット580における球抜き部材583の作動棹583cは、当接片343aが下方へ移動することで球抜き部材583の仕切部583aが所定方向へ回動し、仕切部583aによって仕切られた進入口581aと球抜口581bとの仕切りが解除されて進入口581aと球抜口581bとが連通した状態となる。これにより、上皿301に貯留された遊技球は、上皿球排出口310dから上皿球抜きベース344の開口部344a及び球誘導路344bを介して、球送りユニット580の進入口581aへ進入した上で球抜口581bから上皿球抜きベース344の球抜き流路344cへと排出され、皿ユニットベース310の下皿球供給樋310hを介して下皿球供給口310gから下皿302へ排出することができるようになっている。
なお、球送りユニット580の球抜き部材583は、その作動棹583cがコイルバネによって上方へ付勢された上皿球抜きスライダ343における当接片343aの上面と当接しているので、球抜き部材583の仕切部581a上に遊技球が勢い良く供給されても、その衝撃を、作動棹583cを介して上皿球抜きスライダ343を付勢するコイルバネによって吸収させることができ、球抜き部材583等が破損するのを防止することができると共に、遊技球が仕切部583aで跳ね返るのを防止することができるようになっている。
皿ユニット300における下皿球抜き機構350は、下皿本体324の下側で下皿サイドカバー330と下皿左下カバー334との間に配置され皿ユニット300の底面中央部を形成する下皿球抜きベース351と、下皿球抜きベース351の上面に回動可能に軸支され下皿本体324の下皿球抜き孔324bを開閉可能な板状の開閉シャッター352と、開閉シャッター352を回動させると共に下皿球抜きベース351の上面に前後方向へスライド可能に支持された下皿球抜きスライダ353と、下皿球抜きスライダ353の前端に取付けられる下皿球抜きボタン354と、を備えている。
この下皿球抜きベース351は、下皿本体324の下皿球抜き孔324bと対向する位置に上下方向に貫通したベース球抜き孔351aを備えている。また、開閉シャッター352は、下皿球抜き孔324bを閉鎖可能な閉鎖部352aと、閉鎖部352aの前側に配置され下皿球抜き孔324bと略一致可能な上下方向に貫通したシャッター球抜き孔352bと、を備えており、下皿球抜きベース351との間でコイルバネ356によって閉鎖部352aが下皿球抜き孔324b及びベース球抜き孔351aを閉鎖する位置となるように付勢されている。
なお、詳細な図示は省略するが、開閉シャッター352は、下皿球抜きスライダ353と当接可能な当接ピンを備えており、この当接ピンが下皿球抜きスライダ353と当接することで、下皿球抜きスライダ353によって閉鎖部352a及びシャッター球抜き孔352bが後方へ移動するように回動させられたり、コイルバネ356の付勢力により下皿球抜きスライダ353を前方側へスライドさせたりすることができるようになっている。
また、下皿球抜き機構350は、開閉シャッター352のシャッター球抜き孔352bが、下皿本体324の下皿球抜き孔324b及び下皿球抜きベース351のベース球抜き孔351aと略一致した回動位置に保持するために、下皿球抜きスライダ353を所定位置に保持する保持機構355を、更に備えている。
この下皿球抜き機構350は、下皿球抜きボタン354の表面形状が下皿カバー328等の表面形状と連続したような状態では、下皿球抜きボタン354が前方端へ移動した閉状態であり、開閉シャッター352の閉鎖部352aによって下皿本体324の下皿球抜き孔324bが閉鎖された状態となっている。この状態で、下皿本体324(下皿302)内に遊技球を貯留することができるようになっている。閉状態の下皿球抜きボタン354を、後方へ押圧すると、下皿球抜きボタン354と下皿球抜きスライダ353とが後方へスライドすると共に、下皿球抜きスライダ353の後方へのスライドによって開閉シャッター352がコイルバネ356の付勢力に抗してその閉鎖部352a及びシャッター球抜き孔352bが後方へ移動するように回動することとなる。
そして、開閉シャッター352が後方へ回動することでシャッター球抜き孔352bが下皿球抜き孔324b及びベース球抜き孔351aと重なるようになり、やがて、シャッター球抜き孔352bと下皿球抜き孔324bとが一致し、下皿302に貯留された遊技球を下皿球抜き孔324bを介して皿ユニット300の下方へ排出することができる。なお、シャッター球抜き孔352bと下皿球抜き孔324bとが略一致する位置へ下皿球抜きスライダ353が後方へ移動すると、下皿球抜きスライダ353が保持機構355によってスライドが保持されるようになっており、下皿球抜きスライダ353のスライドがロック(保持)されることで下皿球抜きボタン354が後方へ後退した開状態のままとなると共に、シャッター球抜き孔352bが下皿球抜き孔3324bと一致した状態で保持され、下皿球抜きボタン354を押し続けていなくても、下皿302に貯留された遊技球を下方へ排出することができるようになっている。
一方、下皿球抜き孔324bを閉鎖する場合、後退した開状態の下皿球抜きボタン354を更に後方へ押圧すると、保持機構355による下皿球抜きスライド353の保持が解除されて、下皿球抜きスライド353がスライドすることができるようになり、コイルバネによって閉鎖部352aが下皿球抜き孔324bを閉鎖する方向へ付勢された開閉シャッター352が、その付勢力によって閉鎖部352aが下皿球抜き孔324bの方向(前方)へ移動する方向へ回動することとなる。そして、開閉シャッター352の前方への回動に伴って下皿球抜きスライド353が前方へスライドし、閉鎖部352aによって下皿球抜き孔324bが閉鎖されると共に、下皿球抜きボタン354が下皿カバー328等の前面と略一致した閉状態の位置に復帰し、下皿302内に遊技球を貯留することができるようになる。
なお、下皿球抜き機構350の保持機構355は、上記の機能を有した公知の技術を用いており、その詳細な機構については、説明を省略する。
皿ユニット300における貸球ユニット360は、後方へ押圧可能な貸球ボタン361及び返却ボタン362を備えていると共に、貸球ボタン361と返却ボタン362の間に貸出残表示部363を備えている。この貸球ユニット360は、パチンコ機1に隣接して設けられた球貸し機に対して現金やプリペイドカードを投入した上で、貸球ボタン361を押すと、所定数の遊技球を皿ユニット300の上皿301内へ貸出す(払出す)ことができると共に、返却ボタン362を押すと貸出された分の残りを引いた上で投入した現金の残金やプリペイドカードが返却されるようになっている。また、貸出残表示部363には、球貸し機に投入した現金やプリペイドカードの残数が表示されるようになっている。
この貸球ユニット360は、皿ユニットベース310における上端の装飾部310aに形成された球貸ユニット取付部310bに対して、後側から取付けられるようになっている。また、球貸ユニット360には、後面から後方へ突出し防犯カバー180における軸支側(正面視で左側)の装着弾性片185を装着係止する防犯カバー装着部364を備えている。
更に詳述すると、貸球ユニット360は、貸出残表示部363の前面側を覆う透明な前カバー365と、前カバー365の後側に配置され貸出残表示部363が取付けられると共に貸球ボタン361及び返却ボタン362の操作により作動するスイッチが取付けられる貸球ユニット基板366(図45を参照)と、貸球ユニット基板366の後側を覆い皿ユニットベース310の貸球ユニット取付部310bの後側に取付けられる後カバー367と、を備えている。なお、防犯カバー装着部364は、後カバー364の後面に備えられている。
この貸球ユニット360が取付けられる皿ユニットベース310の貸球ユニット取付部310bには、貸球ボタン361及び返却ボタン362が臨む円形状のボタン開口310mと、ボタン開口310m同士の間に形成され前カバー365によって閉鎖される矩形状の表示開口310nと、二つのボタン開口310mの外周に夫々形成され前方へ突出した突出部310oと、を備えており、表示開口310nを閉鎖する透明な前カバー365を通して後側に配置された貸出残表示部363が遊技者側から見えるようになっている。また、皿ユニットベース310の突出部310oは、図45に示すように、前端が丸く形成されている。
本例の貸球ユニット360は、図示するように、皿ユニットベース310の貸球ユニット取付部310bが、上皿301よりも上側で上皿球供給口310cの直上に配置されていると共に、正面を向くように配置されている。また、貸球ユニット360は、返却ボタン362が貸球ボタン361よりも左右方向中央寄りの位置に配置されている。なお、本例では、貸球ボタン361及び返却ボタン362が、皿ユニットベース310(貸球ユニット取付部310b)とは異なる色に着色されている。これにより、遊技者に対して貸球ボタン361や返却ボタン362が認識し易くなっている。
また、貸球ユニット360は、貸球ボタン361及び返却ボタン362の外周から前方(遊技者側)へ突出した突出部310oを備えており、遊技者が上皿301内に手を挿入した際に、手が貸球ボタン361や返却ボタン362に触れる前に突出部310oに触れることとなるので、遊技者に対して貸球ボタン361や返却ボタン362の存在に気付かせることができ、貸球ボタン361や返却ボタン362等を誤操作してしまうのを防止することができるようになっている。
本例の皿ユニット300は、上皿301と下皿302とを備えており、貯留皿を二つ備えた従前のパチンコ機と同様な感じのパチンコ機1とすることができるので、昔ながらのパチンコ機を髣髴とさせることができ、新しいパチンコ機1(新機種のパチンコ機)でも遊技者に与える不安感等を低減させて遊技するパチンコ機として選択し易いパチンコ機1とすることができるようになっている。
[1-2F.操作ユニット]
次に、扉枠5における操作ユニット400について、主に図46乃至図50を参照して説明する。図46(A)は扉枠における操作ユニットの正面斜視図であり、(B)は扉枠における操作ユニットの背面斜視図である。また、図47は、操作ユニットを分解して右前上方から見た分解斜視図であり、図48は、操作ユニットを分解して右前下方から見た分解斜視図である。更に、図49は、操作ユニットの断面図であり、図50は、操作ユニットにおける押圧操作部押した状態で示す断面図である。
本実施形態の扉枠5における操作ユニット400は、正面視左右方向の略中央で上皿301の前面に配置され、遊技者が回転操作可能なダイヤル操作部401と、遊技者が押圧可能な押圧操作部405と、を備えており、遊技状態に応じて遊技者の操作を受付けたり、ダイヤル操作部401が可動したりすることができ、遊技者に対して遊技球の打込操作だけでなく、遊技中の演出にも参加することができるようにするものである。
この操作ユニット400は、円環状のダイヤル操作部401と、ダイヤル操作部401の円環内に挿入される円柱状の押圧操作部405と、ダイヤル操作部405の下端と連結される円環状の従動ギア410と、従動ギア410と噛合する円盤状の駆動ギア412と、駆動ギア412が回転軸に固定されるダイヤル駆動モータ414と、従動ギア410を回転可能に支持する円環状のギアレール416a、及び押圧操作部405を上下方向へ摺動可能に支持する円筒状のボタン支持筒416bを有した操作部保持部材416と、操作部保持部材416のボタン支持筒416b内に配置され押圧操作部405を上方へ付勢するバネ418と、操作部保持部材416のギアレール416a及びボタン支持筒416bが通過可能な開口420aを有し操作部保持部材416とダイヤル駆動モータ414とが下面に固定されるベース部材420と、ベース部材420の上面を覆いダイヤル操作部401の内筒部401aが通過可能な開口422aを有した上カバー422と、上カバー422の下側にベース部材420を挟むように取付けられベース部材420及びダイヤル駆動モータ414の下面を覆う下カバー424と、を主に備えている。
また、操作ユニット400は、上カバー422の上側を覆うようにベース部材420に固定されダイヤル操作部401の内筒部401aが通過可能な開口426a、及び開口426aの左右両側から外方へ延出し皿ユニット300における操作ユニット取付部314cへ固定するための固定部426bを有したカバー本体426と、カバー本体426の上側に配置され所定形状に形成されると共に表面に銀色の金属光沢を有したメッキ層が備えられたインナーカバー427と、インナーカバー427の上面を覆う透明な表面カバー428と、を備えている。インナーカバー427及び表面カバー428には、ダイヤル操作部401の外筒部401cが通過可能な円形の開口が形成されている。
更に、操作ユニット400は、ベース部材420の上面に取付けられ操作部保持部材416のボタン支持筒416b及びダイヤル操作部401の内筒部401aが通過可能な開口430aを有し上面におけるダイヤル操作部401の円環と対応した位置に複数のカラーLED430bが実装されたダイヤル装飾基板430と、操作部保持部材416の下側に固定され、ダイヤル操作部401の回転を検知する一対の回転検知センサ432a,432b、押圧操作部405の操作を検知する押圧検知センサ432c、及び押圧操作部405の直下の上面に実装されたカラーLED432dを有したボタン装飾基板432と、を備えている。このボタン装飾基板432は、操作部保持部材416の基板保持爪416gによって操作部保持部材416の下面に係止保持されるようになっている。
本例の操作ユニット400におけるダイヤル操作部401は、透光性を有した素材により形成されており、上下方向へ延びた筒状の内筒部401aと、内筒部401aの上端から外方へ延出し表面に所定の装飾が施された円環状の天板部401bと、天板部401bの外周端から下方へ筒状に延出し内筒部401aよりも短い外筒部401cと、外筒部401cの下端から外側へ環状に延出する鍔部401dと、を主に備えている。このダイヤル操作部401における鍔部401dの外径は、上カバー422における開口422aの内径よりも大径とされている。また、ダイヤル操作部401は、内筒部401aの下端に連結係止部(図48を参照)を備えており、従動ギア410の連結係止爪410bが係止されることで、ダイヤル操作部401と従動ギア410とを連結することができるようになっている。
更に、ダイヤル操作部401は、上端から所定距離下がった位置に内筒部401aの内壁から中心方向へ突出した突出部401fを更に備えている。ダイヤル操作部401の突出部401fは、内筒部401aの内周に沿って環状に形成されている。この突出部401fは、詳細は後述するが、押圧操作部405におけるボタンキャップ407の段部407aと当接することができるようになっており、ボタンキャップ407の段部407aがダイヤル操作部401の突出部401fと当接することで、ボタンキャップ407(押圧操作部405)がこれ以上内筒部401e内へ没入するのを防止することができるようになっている(図50を参照)。
なお、図示するように、ダイヤル操作部401の突出部401fと、押圧操作部405におけるボタンキャップ407の段部407aは、互いの当接面が、ダイヤル操作部401の中心へ向かうに従って低くなるような傾斜面とされており、互いが当接した時の接触面積が大きくなるようになっている。これにより、押圧操作部405からの荷重をダイヤル操作部401側へより多く分散させる(逃がす)ことができると共に、ダイヤル操作部401からの振動を押圧操作部405側へ伝え易くすることができるようになっている。
また、操作ユニット400における押圧操作部405は、上端が閉鎖された円筒状に形成されており、有底筒状のボタン本体406と、ボタン本体406の上端を閉鎖するボタンキャップ407と、ボタンキャップ407の内側に配置されボタン本体406の上端とボタンキャップ407の間に挟持されるキャップインナ408と、を備えている。この押圧操作部405のボタン本体406は、底部下面が下方へ向かうに従って窄まる円錐台形状とされており、この円錐台形状の下面にコイル状のバネ418の上端が挿入されるようになっていると共に、円錐台形状の下端面中央に上下方向に貫通する貫通孔406aを備えており、この貫通孔406aを通してボタン装飾基板432のLED432dからの光がボタンキャップ407及びボタンインナ408へ照射されるようになっている。
また、ボタン本体406は、外周下部から下方へ向かって延出し下端が軸直角方向外方へ突出した一対の係止爪406bを有しており、この係止爪406bが操作部保持部材416のボタン支持筒416b内に形成された係止凸部416f(図49及び図50を参照)と係止することで、ボタン本体406がボタン支持部416bから抜けないように、上方への移動端を規制することができるようになっている。また、詳細な図示は省略するが、操作部保持部材416におけるボタン支持筒416b内には、ボタン本体406の係止爪406bが周方向へ移動するのを阻止する当接部を備えており、ボタン本体406(押圧操作部405)が、ボタン支持筒416b内で回転しないようになっている。なお、ボタン本体406の係止爪406bと、ボタン支持筒416b内の当接部との間には、周方向へ所定量の隙間が形成されており、その隙間によって、ボタン本体406が所定角度範囲内で回動することができるようになっている。
また、ボタン本体406は、係止爪406bとは外周下部の異なる位置から下方へ延出しボタン装飾基板432の押圧検知センサ432cによって検知可能な押圧検知片406cを備えている。この押圧検知片406cは、バネ418の付勢力に抗してボタン本体406(押圧操作部405)が下方へ移動すると、押圧検知センサ432cによって検知されるようになっている。
更に、押圧操作部405のボタンキャップ407は、図示するように、上下方向の略中央よりも下側の外径が上側よりも小径とされており、上側と下側との間に段部407aが形成されている。このボタンキャップ407(押圧操作部405)は、段部407aよりも下側が、ダイヤル操作部401における突出部401fの内径よりも小径とされていると共に、段部407aよりも上側が、ダイヤル操作部401の内筒部401aの内径よりも小径で突出部401fの内径よりも大径とされている。これにより、ボタンキャップ407(押圧操作部405)を、ダイヤル操作部401の上側から内筒部401a内へ挿入すると、ボタンキャップ407の段部407aがダイヤル操作部401の突出部401fに当接して、ボタンキャップ407(押圧操作部405)がこれ以上内筒部401e内へ没入することができないようになっている(図50を参照)。
更に、押圧操作部405のボタンキャップ407及びキャップインナ408は、透光性環有した素材によって形成されている。キャップインナ408の上面には「Push」の文字が表示されており、その文字がボタンキャップ407を通して外側から視認することができるようになっている。
操作ユニット400における従動ギア410は、円環状の外周に駆動ギア412と噛合する複数のギア歯を備えている。この従動ギア410は、その内径が操作部保持部材416におけるボタン支持筒416bの外径よりも若干大径とされていると共に、下面に操作部保持部材416のギアレール416aと当接する円環状の摺動面410aを備えている。この摺動ギア410をボタン支持筒416bへ挿入すると共に、摺動面410aをギアレール416a上に当接させることで、摺動ギア410がボタン支持筒416bと略同心状に摺動回転することができるようになっている。
また、従動ギア410は、上端の対向する位置から上方へ延出した上で内側へ向かって突出する一対の連結係止爪410bを備えており、この連結係止爪410bがダイヤル操作部401における内筒部401aの連結係止部401eと係止することで、従動ギア410とダイヤル操作部401とが一体回転可能に連結されるようになっている。
また、従動ギア410は、下端から下方へ突出し周方向に一定間隔で列設された複数の回転検知片410cを備えている。これら回転検知片410cは、ボタン装飾基板432に取付けられた一対の回転検知センサ432a,432bによって検知されるようになっており、詳細は後述するが、回転検知片410cと回転検知片410c同士の間に形成されたスリット410dとにより、回転検知片410cに対する各回転検知センサ432a,432bの検知パターンによって従動ギア410すなわちダイヤル操作部401の回転方向を検知することができるようになっている。なお、本例では、回転検知片410cとスリット410dにおける周方向の長さが、略同じ長さとされている。
また、操作ユニット400における駆動ギア412は、図示するように、従動ギア410と噛合する平歯車とされており、ダイヤル駆動モータ414の回転軸と一体回転可能に固定されている。また、ダイヤル駆動モータ414は、回転方向、回転速度、及び回転角度を任意に制御可能な公知のステッピングモータとされており、ダイヤル駆動モータ414によって回転軸を介して駆動ギア412を回転駆動させることで、従動ギア410を介してダイヤル操作部401を回転させることができるようになっている。また、ダイヤル駆動モータ414によって駆動ギア412(回転軸)を小刻みに正転・逆転を繰返させることで、ダイヤル操作部401を振動させるようにすることができる。また、回転検知センサ432a,342bからの検知信号等に基づいて所定回転角度毎にダイヤル駆動モータ414の回転を短時間停止させるようにすることで、ダイヤル操作部401の回転操作に対して、クリック感を付与することができるようになっている。
更に、操作ユニット400における操作部保持部材416は、従動ギア410を回転可能に支持する円環状のギアレール416aと、ギアレール416aの内側から上方へ筒状に突出し内部に押圧操作部405のボタン本体406を上下方向へ摺動可能に支持するボタン支持筒416bと、ボタン支持筒416b内の底部近傍の内周面に形成されボタン本体406の係止爪406bと係止可能な係止凸部416f(図49及び図50を参照)と、ボタン支持筒416b内の底部中央を貫通しボタン装飾基板432に実装されたLED432dからの光をボタン支持筒416b内(押圧操作部405)へ送る貫通孔416cと、ボタン支持筒416bよりも外側の底部を上下方向に貫通しボタン装飾基板432に取付けられた回転検知センサ432a,432bが通過可能な開口部416dと、ボタン支持筒416b内の底部を上下方向に貫通しボタン装飾基板432に取付けられた押圧検知センサ432cが上側から望む開口部416eと、下面から下方へ延出しボタン装飾基板432を係止保持するための一対の基板保持爪416gと、を備えている。
また、操作部保持部材416は、詳細な図示は省略するが、ボタン支持筒416b内に配置され、ボタン本体406の係止爪406bに対して周方向へ所定量の隙間を形成すると共に係止爪406bと当接可能とされた複数の当接部を更に備えている。この当接部によって、ボタン本体406(押圧操作部405)が、所定角度範囲内で回動することができると共に、ボタン支持筒416b内でグルグルと回転しないようになっている。更に、操作部保持部材416は、詳細な説明は省略するが、ベース部材420へ固定するためのビス孔や、ベース部材420やボタン装飾基板432との位置決めをするための位置決めボス等が適宜位置に備えられている。
この操作部保持部材416は、ボタン支持筒416bの外周に従動ギア410を挿通させてギアレール416a上に載置することで、従動ギア410(ダイヤル操作部401)を所定の回転軸を中心として摺動回転可能に支持することができるようになっている。また、ボタン支持筒416b内に押圧操作部405のボタン本体406を挿入することで、ボタン本体406を介して押圧操作部405を上下方向へ摺動可能に支持することができるようになっている。なお、ボタン支持筒416b内の底部とボタン本体406の円錐台状の下面と間に、コイル状のバネ418が配置されるようになっており、このバネ418によって、ボタン本体406(押圧操作部405)が上方へ向かって付勢された状態となっている。
操作ユニット400におけるベース部材420は、アルミ合金等の金属により形成されており、ダイヤル操作部401や押圧操作部405を強く叩いても操作ユニット400が破損し難いようになっている。このベース部材420は、操作保持部材416の外周が嵌合可能とされ上方へ向かって窪んだ下部凹部420bと、下部凹部420bの底部(天井部)を上下方向に貫通し操作部保持部材416のギアレール416aが通過可能な内形とされた開口420aと、開口420aを挟んで下部凹部420bとは反対側に配置され少なくとも従動ギア410を収容可能な下方へ向かって窪んだ上部凹部420cと、を備えている。また、ベース部材420は、図48に示すように、下部凹部420bの外側に下方へ向かって開放されダイヤル駆動モータ414を取付けるためのモータ取付部420dと、下部凹部420bの外側から下方へ向かって所定量突出する複数(本例では四つ)の脚部420eと、各脚部420eの下端に下方へ向かって開口する位置決め孔420fと、を備えている。
また、ベース部材420は、上部凹部420cの外側に上方に配置されるカバー本体426を固定するための複数のカバー固定部420gと、カバー固定部420gとは上部凹部420cの外側の異なる位置から上方へ突出しダイヤル装飾基板430を取付けるための複数の基板取付ボス420hと、を備えている。更に、ベース部材420は、詳細な説明は省略するが、その上面及び下面の適宜位置に、各部材の位置決めをするための位置決めボスや、取付孔等が形成されている。
このベース部材420は、中央の開口420aに対して、下側からボタン支持筒416b及びギアレール416aが通過するように下部凹部420b内に操作部保持部材416を嵌合挿入した上で、所定のビスを上側から下部凹部420bの天井部を通して操作部保持部材416にねじ込むことで、操作部保持部材416を支持することができるようになっている。ベース部材420は、詳細な図示は省略するが、操作部保持部材416を支持した状態では、ギアレール416aの上端が下部凹部420bの天井部の上面、つまり、上部凹部420cの底面よりも僅かに上方へ突出した状態となるようになっており、ギアレール416a上に載置される従動ギア410が、上部凹部420c内で問題なく摺動回転することができるようになっている。
また、ベース部材420の脚部420eは、その下端に形成された位置決め孔420fが、後述する下カバー424における底部の上面に形成された位置決め突起424aと嵌合するようになっており、ベース部材420と下カバー424とが互いに決められた位置に位置決めすることができるようになっている。また、ベース部材420の基板取付ボス420hは、上部凹部420c内に収容配置された従動ギア410よりも上方の位置まで突出しており、基板取付ボス420h上に取付けられたダイヤル装飾基板430が、従動ギア410と接触しないようになっている。
更に、ベース部材420は、モータ取付部420dにダイヤル駆動モータ414を取付けることで、ダイヤル駆動モータ414の上面と面で接触するようになっており、ダイヤル駆動モータ414からの熱をベース部材420側へ充分に伝達させることができ、ダイヤル駆動モータ414の熱を、ベース部材420によって放熱させることができるようになっている。これにより、ダイヤル駆動モータ414の過熱を抑制させることができ、過熱によりダイヤル駆動モータ414等に不具合が発生するのを防止することができるようになっている。
操作ユニット400の上カバー422は、下方が開放された箱状で、その天板にダイヤル操作部401の外筒部401cが通過可能で鍔部401dが通過不能とされた内径の開口422aを備えている。この上カバー422は、平面視で、押圧操作部405(従動ギア410)の軸心と、ダイヤル駆動モータ414(駆動ギア412)の軸心とを結ぶ方向(パチンコ機1における左右方向)が長く延びたように形成されており、その長軸方向両端に下方へ突出した係合爪422bを備えており、この係合爪422bを下カバー424の係合部424bに係合させることで、上カバー422と下カバー424とを組立てることができるようになっている。
また、上カバー422は、短軸方向(パチンコ機1における前後方向)の一方(パチンコ機1における前側)の外周から下方へ延出した上で下端が外側へ突出した爪状の係止片422cを備えている。この係止片422cは、皿ユニット300における上皿前部装飾部材316と係止することができるようになっており、係止片422cを上皿前部装飾部材316に係止させることで、操作ユニット400が操作ユニット取付部314cから上方へ抜けるのを阻止することができるようになっている。
この上カバー422は、ベース部材420に、操作部保持部材416、従動ギア410、ダイヤル装飾基板430、及びダイヤル部材401等を取付けた状態で、開口422aに対して下側からダイヤル操作部401が通るようにベース部材420の上方を覆うことで、開口422aによってダイヤル操作部401が上方へ抜けるのを防止することができるようになっている。
一方、操作ユニット400の下カバー424は、上方が開放された箱状で、外周形状が上カバー422の外周と略一致した形状とされており、底部上面の所定位置にベース部材420における脚部420d下端の位置決め孔420fと嵌合可能な位置決め突起424aを備えている。この下カバー424は、長軸方向(パチンコ機1における左右方向)両端の上部に、上カバー422の係合爪422bと係合可能な係合部424bを備えており、この係合部424bに係合爪422bを係合させることで、下カバー424に上カバー422を取付けることができるようになっている。
操作ユニット400におけるカバー本体426は、図示するように、中央に上下方向に貫通し上カバー422が通過可能な開口426aと、開口426aの左右両側から外方へ延出し皿ユニット300の操作ユニット取付部314cに固定される固定部426bと、開口426aの外周下面から下方へ延出しベース部材420のカバー固定部420gに固定される固定ボス426cと、を備えている。
本例の操作ユニット400は、カバー本体426の固定部426bを介して皿ユニット300に取付けられるようになっており、詳細な図示は省略するが、皿ユニット300の操作ユニット取付部314cに取付けた状態では、操作ユニット400(下カバー424)の下面が操作ユニット取付部314cの上面よりも若干浮いた状態(例えば、0.5mm~2.0mm)で取付けられるようになっており、操作ユニット400を押圧操作した場合や叩いた場合に、カバー本体426が弾性変形して衝撃を緩和させることができるようになっている。
なお、この操作ユニット400は、インナーカバー427及び表面カバー428を外した状態で、皿ユニット300の操作ユニット取付部314cに対して、カバー本体426の固定部426bを所定のビスで取付け、その後、カバー本体426の上面にインナーカバー427及び表面カバー428を取付けるような構造となっている。
本実施形態の操作ユニット400は、ダイヤル操作部401と共に回転する従動ギア410の回転検知片410cが、隣接する回転検知片410c同士の間のスリットにおける周方向の長さと、回転検知片410cの周方向の長さが同じ長さとされている。また、ボタン装飾基板432に取付けられた一対の回転検知センサ432a,432bは、ダイヤル操作部401に対応した周方向の間隔が、回転検知片410の周方向における長さの2.5倍の間隔とされている。これにより、詳細は後述するが、遊技者がダイヤル操作部401を回転操作することで、一対の回転検知センサ432a,432bによる回転検知片410cの検知・非検知にタイムラグが発生し、各回転検知センサ432a,432bによる回転検知片410cの検知パターンから、ダイヤル操作部401が何れの方向に回転しているのかを検知することができるようになっている。
また、本例の操作ユニット400は、詳細は後述するが、ダイヤル駆動モータ414の駆動力によって、ダイヤル操作部401を時計回りや、反時計周りの方向へ回転させることができるようになっている。また、操作ユニット400は、ステッピングモータを用いたダイヤル駆動モータ414の駆動力によって、ダイヤル操作部401を、カクカクと段階的に回転させたり、遊技者がダイヤル操作部401を回転操作した時に、その回転を補助したり、わざと回らないようにしたり、回転にクリック感を付与したりすることができるようになっている。更に、操作ユニット400は、ダイヤル駆動モータ414を小刻みに正転・逆転を繰返させることで、ダイヤル操作部401を振動させるようにすることができるようになっている。
また、本例の操作ユニット400は、図50に示すように、押圧操作部405を下方へ押圧すると、ボタンキャップ407の段部407aがダイヤル操作部401の突出部401fへ当接して、ボタンキャップ407(押圧操作部405)がこれ以上内筒部401e内へ没入することができないようになっているので、押圧操作部405へ加えられた荷重を、段部407a及び突出部401fを介してダイヤル操作部401側へ分散させることができ、押圧操作部405(操作ユニット400)が壊れ難いようになっている。
更に、本例の操作ユニット400は、押圧操作部405を押圧してボタンキャップ407の段部407aとダイヤル操作部401の突出部401fとが当接した状態で、ダイヤル駆動モータ414を小刻みに正転・逆転を繰返させることで、ダイヤル操作部401と共に押圧操作部405も振動させるようにすることができ、押圧操作部405の振動によって遊技者を驚かせて遊技や演出を楽しませることができるようになっている。
本例の操作ユニット400によると、遊技者が回転操作可能なダイヤル操作部401と押圧操作可能な押圧操作部405とを、金属製のベース部材420によって支持するようにしており、操作ユニット400の強度を高めることができるので、遊技者等が操作部401,405を強く叩いても、操作ユニット400が破損するのを防止することができ、遊技者に対して操作部401,405を自由に操作させることができると共に、操作部401,405の操作性を向上させることができ、操作部401,405を用いた演出を楽しませて遊技者の遊技に対する興趣が低下するのを抑制することができる。
また、円環状のダイヤル操作部401の中心に押圧操作部405を配置するようにしており、押圧操作部405を強く叩こうとすると、蓋然的に、ダイヤル操作部401も叩くこととなり、操作部401,405を叩く力をダイヤル操作部401と押圧操作部405とに分散させることができ、叩いた衝撃が集中するのを抑制して、操作ユニット400や皿ユニット300が破損するのを防止することができるので、操作ユニット400の操作部401,405を強打に耐え得るものとすることが可能となり、遊技者に対して操作部401,405を自由に操作させることができ、操作部401,405の操作性を向上させることができると共に、操作部401,405を用いた演出を楽しませて、遊技に対する興趣が低下するのを抑制することができる。
また、操作ユニット400のベース部材420等を皿ユニット300の凹んだ操作ユニット取付部内314cに収容すると共にベース部材420の下端と操作ユニット取付部314cの底面との間で所定量の隙間が形成されるように、ベース部材420に取付けられたカバー本体426を皿ユニット300の上面に固定しており、操作ユニット400の操作部401,405を叩いて衝撃をかけたり、荷重をかけたりした場合、操作ユニット400の下端が操作ユニット取付部314cの底面と当接するまでは、カバー本体426の弾性変形によって衝撃や荷重を吸収することができ、操作ユニット400の下端が操作ユニット取付部314cの底面と当接した後には、操作ユニット取付部314cの底部(皿ユニット300)によって衝撃や荷重を受けることができるので、操作部401,405からの衝撃等を分散させて衝撃等が集中するのを回避させることができ、操作ユニット400及び皿ユニット300による耐衝撃性や耐荷重性を高めることができる。
更に、操作部401,405を支持する位置から離れた位置に下方へ突出した複数の脚部420eをベース部材420に備えるようにしており、ベース部材420の脚部420eが皿ユニット300における操作ユニット取付部314cの底面と当接して、操作部401,405からの衝撃がベース部材420にかかっても、衝撃の直下に脚部420eが配置されていないので、ベース部材420における操作部401,405を支持した部位が衝撃によって撓むこととなり、ベース部材420が撓む(弾性変形する)ことで操作部401,405からの衝撃をある程度吸収することができ、ベース部材420から皿ユニット300へかかる衝撃を減少させて皿ユニット300が破損するのを防止することができる。
また、ベース部材420に下側から取付けられる操作部保持部材416によって、ダイヤル操作部401の一部が平面視でベース部材420と重なるようにダイヤル操作部401を保持するようにしているので、ダイヤル操作部401を上側から強打した時に、ダイヤル操作部401を保持する操作部保持部材416がベース部材420から外れて下方へ移動しても、ベース部材420の上面にダイヤル操作部401が当接してベース部材420によりダイヤル操作部401の下方への移動を規制することができ、ダイヤル操作部401が落ち込んでしまうのを良好に防止することができる。
更に、中心に押圧操作部405を配置したダイヤル操作部401を、遊技状態に応じてダイヤル駆動モータ414により回転させるようにしているので、勝手に回転(振動も含む回転駆動)するダイヤル操作部401によって、遊技者を驚かせて操作部401,405による演出に注目させることができ、遊技者を楽しませることができると共に、ダイヤル操作部401をダイヤル駆動モータ414によって適宜駆動させることで、ダイヤル操作部401(押圧操作部405)を用いた演出をより多様なものとして飽き難くすることができ、遊技者の遊技に対する興趣が低下するのを抑制することができる。
また、ダイヤル操作部401を従動ギア410及び駆動ギア412を介してダイヤル駆動モータ414によって回転させるようにしており、蓋然的に、ダイヤル駆動モータ414の回転軸の位置をダイヤル操作部401(従動ギア410)の回転軸の位置に対して偏芯した位置とすることができるので、ダイヤル操作部401や押圧操作部405が強く叩かれても、その衝撃がダイヤル操作部401の回転軸を介して直接ダイヤル駆動モータ414にかかるのを回避させることができ、ダイヤル駆動モータ414(操作ユニット400)が破損するのを防止することができる。
更に、ベース部材420の開口420aをダイヤル操作部401よりも小径とした上で、その開口420aを通して操作部保持部材416のギアレール416aによりダイヤル操作部401を支持するようにしているので、ダイヤル操作部401からの衝撃や荷重によってギアレール416a(操作部保持部材416)が下方へ移動しても、ダイヤル操作部401がベース部材420の開口420a上面に当接することができ、ダイヤル操作部401がベース部材420よりも落ち込んでしまうのを確実に防止することができる。また、ダイヤル操作部401を円環状のギアレール416aによって支持するようにしているので、ダイヤル操作部401と操作部保持部材416(ギアレール416a)との接触面積を増加させることができ、ダイヤル操作部401からの衝撃や荷重を分散させて操作部保持部材416が破損するのを防止することができる。
また、ダイヤル操作部401を回転駆動させるダイヤル駆動モータ414を金属製のベース部材420に取付けるようにしているので、ダイヤル駆動モータ414によりダイヤル操作部401を頻繁に回転駆動させたり、ダイヤル駆動モータ414により回転駆動させられているにも関わらず遊技者によってダイヤル操作部401の回転が強制的に停止させられていたりすることで、ダイヤル駆動モータ414に対する過度の負荷により発熱量が多くなっても、ダイヤル駆動モータ414から発生する熱を、ベース部材420を介して良好に発散・放熱させることができ、過熱によってダイヤル駆動手段414に不具合が発生するのを防止することができると共に、ダイヤル駆動手段414を高い負荷に耐えられるようにすることが可能となり、上述したようなダイヤル駆動手段414を用いたダイヤル操作部401の演出を十分に具現化することができ、遊技者を楽しませられるパチンコ機1とすることができる。
更に、ダイヤル操作部401の回転を検知する回転検知センサ432a,432bと、押圧操作部405の押圧を検知する押圧検知センサ432cと、を備えるようにしており、ダイヤル操作部401や押圧操作部405の回転操作や押圧操作を検知することができるので、その検知信号に基づいて遊技者の操作に応じた演出を行うことが可能となり、操作部401,405を操作する遊技者に対してより一体感の有る演出を提供することができ、遊技者を楽しませて遊技に対する興趣が低下するのを抑制することができる。また、操作部401,405を発光装飾させるためのダイヤル装飾基板430やボタン装飾基板432を備えるようにしており、操作部401,405を発光装飾させることができるので、操作部401,405を発光させることで、遊技者の関心を操作部401,405に引付けることができ、遊技者に対して操作部401,405を操作させ易くすることができる。
また、操作ユニット400における押圧操作部405を押圧した時に、押圧操作部405の段部407aとダイヤル操作部401の突出部401fとが互いに接触するようにしているので、遊技者が押圧操作部405を押圧した時に、ダイヤル駆動モータ414によりダイヤル操作部401を所定角度範囲内で正転・逆転を繰返させて振動させることで、ダイヤル操作部401の突出部401fと接触した段部407aを介して押圧操作部405も振動させるができる。従って、押圧操作部405を振動させるためのバイブレータ等を別途備えなくても、遊技者に対して押圧操作405に対する操作感を付与することができるので、操作ユニット400を用いた演出を楽しませて遊技に対する興趣が低下するのを抑制することができる。また、押圧操作部405を押圧操作した時に押圧操作部405が振動するので、勝手には動かないと思っていた押圧操作部405が動くことで遊技者を大きく驚かせることができ、何か良いことがあるのではないかと思わせることが可能となり、遊技に対する期待感を高めて興趣が低下するのを抑制することができる。従って、従来の操作部と違ってダイヤル操作部401や押圧操作部405が勝手に動くことで遊技者の関心を操作ユニット400へ強く引付けることができ、操作ユニット400を用いた演出へ参加させ易くすることができると共に、遊技者に対して操作ユニット400を積極的に操作させることができ、操作ユニット400のダイヤル操作部401や押圧操作部405の操作を楽しませて遊技に対する興趣が低下するのを抑制することができる。
更に、押圧操作部405を押圧操作した時に、押圧操作部405とダイヤル操作部401とが互いに接触するようにしているので、押圧操作部405からの力をダイヤル操作部401側へ伝達させることが可能となり、押圧操作部405を強打された場合でも、押圧操作部405にかかった荷重や衝撃をダイヤル操作部401側にも分散させることができ、押圧操作部405に対する耐荷重性や耐衝撃性を高めることができる。従って、押圧操作部405を強打しても、押圧操作部405が破損するのを防止することができるので、押圧操作部405(操作ユニット400)の破損によって遊技が中断してしまうのを回避させることができ、遊技の中断によって遊技者の遊技に対する興趣が低下するのを防止することができる。
また、押圧操作部405を、上下方向へ延びた軸心周りに対して所定角度範囲内のみ回動可能に支持するようにしており、遊技者が押圧操作部405を押圧操作した時に、ダイヤル駆動モータ414によってダイヤル操作部401を回転駆動させても、押圧操作部405がダイヤル操作部401と一緒に回転しようとするのを防止することができるので、遊技者に対して操作ユニット400におけるダイヤル操作部401と押圧操作部405の夫々の役割を確実に認識させることができ、遊技者に対して操作ユニット400を用いた演出を楽しませ易くすることができると共に、押圧操作部405の上面に案内された「PUSH」の文字が回ったり大きく傾いたりすることがなく遊技者側から読み易くすることができ、遊技者に対して押圧操作部405が押圧操作するものであることを確実に認識させることができる。
また、ダイヤル操作部401における内筒部401aの内周から軸心側へ突出した突出部401fを備えると共に、押圧操作部405の外周面に上下方向の所定位置よりも下側を小径とすることで形成する段部407aを備えるようにしているので、操作ユニット400の上端ではダイヤル操作部401の内筒部401aの内周面と押圧操作部405の外周面とを可及的に近付けることができ、ダイヤル操作部401と押圧操作部405との隙間を可及的に小さくして見栄えを良くすることができると共に、ダイヤル操作部401と押圧操作部405との隙間を介して操作ユニット400内へゴミや埃等の異物の侵入をし難くすることができ、異物の侵入によってダイヤル操作部401が回動し難くなったり、押圧操作部405を押圧し難くなったりする不具合の発生を防止することができる。
更に、操作ユニット400における押圧操作部405とダイヤル操作部401との接触部位を円環状に形成しており、押圧操作部405を押圧操作した際に、ダイヤル操作部401に対して周方向のどの位置でも接触することができるので、押圧操作部405が傾くような感じで押圧(押圧操作部405の中心よりも外周へ偏った位置を押圧)されても、確実にダイヤル操作部401と接触させることができ、ダイヤル操作部401を介してダイヤル駆動モータ414からの回動駆動を押圧操作部405へ確実に伝達させることができる。また、ダイヤル操作部401と押圧操作部405とが円環状に接触するので、押圧操作部405からの荷重を広くダイヤル操作部401側へ分散させることができ、押圧操作部405に対する耐荷重性や耐衝撃性をより高めることができる。
また、操作ユニット400における押圧操作部405とダイヤル操作部401との接触部位を、ダイヤル操作部401の回転軸心の方向へ向かって低くなるように傾斜させているので、傾斜していない場合と比較して相対的に接触面積を増やすことができ、ダイヤル操作部401を介してダイヤル駆動モータ414からの駆動力を押圧操作部405側へ伝達させ易くすることができる。また、押圧操作部405からの荷重を、回転軸心の延びた方向に対して直角方向の外側方向へ放射状に分散させることができ、荷重が集中するのを防止して、操作ユニット400における耐荷重性や耐衝撃性を確実に高めることができると共に、操作ユニット400の耐久性を高めることができ、遊技中に不具合が発生するのを可及的に低減させて遊技者の興趣が低下するのを抑制することができる。
更に、操作ユニット400のダイヤル駆動モータ414を、正転・逆転可能なステッピングモータとしているので、ダイヤル操作部401を単に回転させるだけでなく、簡単に所定位置で停止させたり、正転、逆転の繰返しにより簡単に振動させたりすることができ、上記の作用効果を奏する操作ユニット400(パチンコ機1)を確実に具現化することができる。
また、遊技球を貯留する上皿301を備えた皿ユニット300に操作ユニット400を支持させるようにしているので、蓋然的に、多数の遊技球を貯留するために皿ユニット300の強度剛性が高くなっており、操作ユニット400(押圧操作部405)への強打に対しても充分に対応することができ、操作ユニット400を用いた演出を楽しませ易くすることができる。
[1-2G.ハンドル装置]
次に、扉枠5におけるハンドル装置500について、主に図51を参照して説明する。図51(A)は扉枠におけるハンドル装置を分解して前から見た分解斜視図であり、(B)はハンドル装置を分解して後から見た分解斜視図である。本実施形態のハンドル装置500は、図示するように、皿ユニット300における皿サイド外カバー334のハンドル挿通孔334aを通して扉枠ベースユニット100における扉枠ベース本体110の前面に取付けられたハンドルブラケット140に固定され円筒状で前端が軸直角方向へ丸く膨出したハンドルベース502と、ハンドルベース502に対して相対回転可能にハンドルベース502の前側に配置されるハンドル本体504と、ハンドル本体504の前面に配置されると共にハンドルベース502に固定されハンドルベース502と協働してハンドル本体後504を回転可能に支持する前端カバー506と、を備えている。
また、ハンドル装置500は、ハンドル本体504の後側でハンドルベース502の前面に取付けられるインナーベース508と、インナーベース508及び前端カバー506とによって後端及び前端が回転可能に支持されると共にハンドル本体504と一体回転可能とされ外周に駆動ギア部510aを有した軸部材510と、軸部材510の駆動ギア部510aと噛合する伝達ギア511と、伝達ギア511と一体回転可能な検知軸部512aを有しインナーベース508とハンドルベース502との間に挟持される回転位置検知センサ512と、を備えている。
更に、ハンドル装置500は、一端側がインナーベース508に取付けられると共に他端側が伝達ギア511に取付けられ伝達ギア511を介して回転位置検知センサ512の検知軸部512aを正面視で時計回りの方向へ付勢する補助バネ514と、インナーベース508の後側に取付けられるタッチセンサ516と、タッチセンサ516とはインナーベース508の後面の異なる位置に取付けられる発射停止スイッチ518と、インナーベース508に対して回転可能に軸支され発射停止スイッチ518を作動させる単発ボタン520と、一端側がハンドルベース502に取付けられると共に他端側がハンドル本体504に取付けられハンドル本体504を初期回転位置(正面視で反時計周りの方向への回転端)へ復帰させるように付勢するハンドル復帰バネ522と、を備えている。
本例のハンドル装置500のハンドルベース502は、図示するように、前側が開放され後方へ丸く膨出した前端部から後方へ円筒状に延びた後端部を有した形態とされ、後端部の円筒状の外周に軸方向へ延びた三つの溝部502aが形成されている。ハンドルベース502の三つの溝部502aは、ハンドルブラケット140における筒部141内の三つの突条143と対応するように、上側に一つ、下側に二つ、周方向に対して不等間隔に配置されている。このハンドルベース502は、溝部502aが突条143と嵌合するように、ハンドルブラケット140の筒部141内に挿入することで、回転不能な状態で支持されるようになっている。
ハンドル装置500は、ハンドル本体504に、その回転軸と同心円状に配置された円弧状のスリット504aが形成されていると共に、前端カバー506に、後方へ突出する三つの取付ボス506aが形成されており、これら取付ボス506aがハンドル本体504のスリット504aを通してハンドルベース502の前面に固定されるようになっている。これにより、ハンドル本体504におけるスリット504aの周方向端部が、前端カバー506の取付ボス506aに当接することで、ハンドル本体504の回転範囲が規制されるようになっている。
また、ハンドル装置500は、ハンドル本体504に、後方へ突出する係止突部504bが形成されており、この係止突部504bにコイル状のハンドル復帰バネ522の他端側(前端側)が係止されることで、一端側がハンドルベース502に取付けられたハンドル復帰バネ522によってハンドル本体504が正面視で反時計周りの方向へ回動するように付勢されている。
本例のハンドル装置500は、扉枠ベース本体110のハンドル取付部114に対して、ハンドルブラケット140を介して取付けられるようになっている。この扉枠ベース本体110のハンドル取付部114は、上方から見た平面視において、その取付面が、外側(開放側)を向くように傾斜しているので、ハンドルブラケット140を介して取付けられるハンドル装置500も平面視で外側に傾斜(換言すると、パチンコ機1の前面垂直面に直交する線に対してその先端部がパチンコ機1の外側に向かうように傾斜している。)して扉枠5に取付固定されるようになっている。これにより、遊技者がハンドル装置500を握り易く、回動動作に違和感がなく回動操作が行い易いようになっている。
また、ハンドル装置500は、回転位置検知センサ512が可変抵抗器とされており、ハンドル本体504(ハンドル装置500)を回転させると、軸部材510及び伝達ギア511を介して回転位置検知センサ512の検知軸部512aが回転することとなる。そして、検知軸部512aの回転角度に応じて回転位置検知センサ512の内部抵抗が変化し、回位置検知センサ512の内部抵抗に応じて後述する打球発射装置650における発射ソレノイド654の駆動力が変化して、ハンドル装置500の回転角度に応じた強さで遊技球が遊技領域1100内へ打ち込まれるようになっている。
なお、ハンドル本体504や前端カバー508の外周表面は、導電性のメッキが施されており、遊技者がハンドル本体504等に接触することでタッチセンサ516が接触を検出するようになっている。そして、タッチセンサ516が遊技者の接触を検出している時に、ハンドル本体504が回動すると、その回動に応じた強さで発射ソレノイド654の回転駆動が制御されて、遊技球を打ち込むことができるようになっている。つまり、遊技者がハンドル装置500を触らずに、何らかの方法でハンドル装置500を回転させて遊技球の打ち込みを行おうとしても、発射ソレノイド654は駆動されず、遊技球を打ち込むことができず、遊技者が本来とは異なる遊技をすることを防止してパチンコ機1を設置する遊技ホールに係る負荷(負担)を軽減させることができるようになっている。
また、遊技者がハンドル装置500を回転操作中に、単発ボタン520を押圧すると、発射停止スイッチ518が単発ボタン520の操作を検知し、発射制御部4120(図161を参照)によって発射ソレノイド654の回転駆動が停止させられるようになっている。これにより、ハンドル装置500の回転操作を戻さなくても、遊技球の発射を一時的に停止させることができると共に、単発ボタン520の押圧操作を解除することで、単発ボタン520を操作する前の打込強さで遊技球を発射することができるようになっている。
本例のハンドル装置500は、ハンドル本体504の回転操作を回転位置検知センサ512によって電気的に検知した上で、その回転位置検知センサ512からの回転位置の検知に基づいて、発射制御部4120で発射ソレノイド654の回転駆動強さを制御するようにしているので、従来のパチンコ機のように、扉枠5に備えられるハンドル装置500と、本体枠3に備えられる打球発射装置650とを、扉枠5の閉鎖時には互いに連係し、扉枠5の開放時には連係が解除されるように機械的(例えば、ジョイントユニット)な機構を備える必要が無く、パチンコ機1に係る構成を簡略化することができると共に、ジョイントユニットでの不具合の発生をなくすことができ、遊技球の打込不具合によって遊技者の興趣が低下するのを抑制することができるようになっている。
[1-2H.ファールカバーユニット]
次に、扉枠5におけるファールカバーユニット540について、主に図52及び図53を参照して説明する。図52(A)は扉枠におけるファールカバーユニットを分解して前から見た分解斜視図であり、(B)ファールカバーユニットを分解して後から見た分解斜視図である。また、図53は、ファールカバーユニットの前カバーを外した状態で示す正面図である。
扉枠5におけるファールカバーユニット540は、扉枠ベースユニット100における遊技窓101よりも下側の後面に取付けられ、後述する賞球ユニット700から払出された遊技球や、打球発射装置650により発射されにも関わらず遊技領域1100内へ到達しなかった遊技球(ファール球)を、皿ユニット300の上皿301や下皿302へ誘導するものである。本例のファールカバーユニット540は、前側が開放され複数の遊技球の流路を内部に有したカバーベース542と、カバーベース542の前端を閉鎖する前カバー544と、を備えている。
このファールカバーユニット540のカバーベース542は、図52(B)に示すように、背面視で右上隅に配置され前後方向に貫通する第一球入口542aと、第一球入口と連通しカバーベース542の前端に向かうに従って正面視右側へ広がる第一球通路542bと、第一球入口542aの外側(背面視で右側)に配置され第一球入口542aよりも大口の第二球入口542cと、第二球通路542dと連通しカバーベース542の内部で、下方へ延びた上で正面視右下隅へ向かって低くなるように傾斜した第二球入口542cと、を備えている。この第一球入口542a及び第二球入口542cは、扉枠5を本体枠3に対して閉じた状態で、賞球ユニット700における満タン分岐ユニット770の通常球出口774及び満タン球出口776と夫々対向する位置に形成されている。なお、カバーベース542における第二球通路542dは、図示するように、下端に沿って左右方向へ延びた部分の高さが、遊技球の外径に対して約3倍の高さとされており、所定量の遊技球を収容可能な収容空間546が形成されている。
また、カバーベース542は、左右方向の略中央上部に配置され上方に開口したファール球入口542eと、ファール球入口542eと連通し第二球通路542dの下流付近の上部へ遊技球を誘導可能なファール球通路542fと、を備えている。また、カバーベース542は、第二球入口542cの下側の後面に球出口開閉ユニット790の開閉シャッター792を作動させるための開閉作動片542gを、備えている。この開閉作動片542gは、扉枠5を本体枠3に対して閉じた時に、球出口開閉ユニット790における開閉クランク793の球状の当接部793dと当接することで、開閉クランク793を回転させて開閉シャッター792を開状態とすることができるものである。
ファールカバーユニット540の前カバー544は、カバーベース540の前面を閉鎖する略板状に形成されており、正面視左上隅に配置されカバーベース540の第一球通路542bと連通し前後方向に貫通した第一球出口544aと、正面視右下隅に配置されカバーベース540の第二球通路の下流端と連通し前後方向に貫通した第二球出口544bと、を備えている。前カバー544の第一球出口544aは、扉枠ベースユニット100の切欠部101aを通して皿ユニット300の上皿球供給口310cと接続されるようになっている。また、第二球出口544bは、扉枠ベース本体110の球通過口110fを通して皿ユニット300における下皿球供給樋310hの後端が接続されるようになっている。
本例のファールカバーユニット540は、賞球ユニット700における満タン分岐ユニット770の通常球出口774から第一球入口542aへ供給された遊技球を、第一球通路542bを通って第一球出口544aから皿ユニット300の上皿球供給口310cを介して上皿301へ供給することができるようになっている。また、ファールカバーユニット540は、賞球ユニット700における満タン分岐ユニット770の満タン球出口776から第二球入口542cへ供給された遊技球を、第二球通路542dを通って第二球出口544bから皿ユニット300の下皿球供給樋310h及び下皿球供給口310gを介して下皿302へ供給することができるようになっている。
更に、ファールカバーユニット540は、詳細は後述するが、扉枠5を本体枠3に対して閉じた状態とすると、ファール球入口542eが本体枠3のファール空間626の下部に位置するようになっており、打球発射装置650により発射された遊技球が遊技領域1100内へ到達せずにファール球となってファール空間626を落下すると、ファール球入口542eによって受けられるようになっている。そして、ファールカバーユニット540は、ファール球入口542eに受けられた遊技球を、ファール球通路542f及び第二球通路542dを通って第二球出口544bから皿ユニット300の下皿302へ排出(供給)することができるようになっている。
また、本例のファールカバーユニット540は、第二球通路542dにおける収容空間546の上流側(正面視左側)側面を形成し収容空間546内に貯留された遊技球によって揺動可能にカバーベース542に軸支された揺動部材548と、揺動部材548の揺動を検知する満タン検知センサ550と、揺動部材548が満タン検知センサ550によって非検知状態となる方向へ付勢するバネ552と、を備えている。この揺動部材548は、図53に示すように、カバーベース542に対して下端が回動可能に軸支されていると共に、上端が正面視左側へ回動するようになっており、略垂直な状態で収容空間546の左側側壁を形成するようになっている。また、揺動部材548は、バネ552によって略垂直状態となる位置へ付勢されている。また、動揺部材548は、収容空間546側とは反対側の側面に外側へ突出する検知片548aが形成されており、この検知片548aが満タン検知センサ550によって検知されるようになっている。
更に、ファールカバーユニット540は、第二球通路542dにおける収容空間546の底部に配置されるアースレール554と、カバーベース542の背面視で右端と、左端を夫々被覆する板状のアース金具556と、を備えており、遊技球の流通による転動抵抗によって発生する静電気を除去することができるようになっている。
本例では、賞球ユニット700から払出された遊技球が満タン分岐ユニット770の通常球出口774からファールカバーユニット540を介して皿ユニット300の上皿301へ供給されるようになっており、上皿301内が満杯となっても更に遊技球が賞球ユニット700から払出されると、ファールカバーユニット540の第一球通路542b内で滞り、更に満タン分岐ユニット770における通常球出口774の上流の通常通路773内も一杯になると、満タン分岐ユニット770の分岐空間772を介して満タン通路775側へ遊技球が流通するようになり(図79を参照)、満タン分岐ユニット770の満タン球出口776からファールカバーユニット540の第二球入口542c、第二球通路542d、及び第二球出口544bを介して皿ユニット300の下皿302へ供給されるようになる。
そして、皿ユニット300の下皿302内が遊技球で一杯になると、ファールカバーユニット540の第二球出口544bから遊技球が出られなくなり、第二球通路542d内の収容空間546内に滞った遊技球が貯留されることとなる。更に、賞球ユニット700から遊技球が払出されて収容空間546内に遊技球が多く貯留されるにつれて、遊技球の貯留圧が揺動部材548に作用し、バネ552の付勢力に抗して揺動部材548の上端が左方へと移動することとなる。そして、揺動部材548の検知片548aが、満タン検知センサ550によって検知されると、払出制御基板4110(図161を参照)において賞球ユニット700から遊技球の払出しが停止されると共に、遊技者に対して皿ユニット300内の遊技球を外部へ排出するのを促す通知を行うようになっている。
なお、収容空間546(下皿302)内の遊技球が排出されて、揺動部材548がバネ552の付勢力によって略垂直な状態に復帰すると、満タン検知センサ550による検知片548aの検知が非検知となり、賞球ユニット700からの遊技球の払出しが再開されるようになっている。
[1-2I.球送りユニット]
続いて、扉枠5における球送りユニット580について、主に図54乃至図57を参照して説明する。図54(A)は扉枠における球送りユニットの正面斜視図であり、(B)は球送りユニットの背面斜視図である。また、図55は、球送りユニットの背面図である。また、図56(A)は球送りユニットを分解して前から見た分解斜視図であり、(B)は球送りユニットの後ケースを外して後から見た分解斜視図である。更に、図57(A)は球送りユニットにおける不正防止部材の平面図であり、(B)は不正防止部材の正面図であり、(C)は不正防止部材を前から見た斜視図であり、(D)は不正防止部材の作用を示す説明図である。扉枠5における球送りユニット580は、皿ユニット300における上皿301から供給される遊技球を一つずつ打球発射装置650へ供給することができると共に、上皿301内に貯留された遊技球を、上皿球抜き機構340の上皿球抜きボタン341の操作によって下皿302へ抜くことができるものである。
この球送りユニット580は、皿ユニット300の上皿301に貯留された遊技球が、皿ユニットベース310の上皿球排出口310d、扉枠ベース本体110の球送り開口113を通して供給され前後方向に貫通した進入口581a、及び進入口581aの下側に開口する球抜口581bを有し後方が開放された箱状の前カバー581と、前カバー581の後端を閉鎖すると共に前方が開放された箱状で、前後方向に貫通し前カバー581の進入口581aから進入した遊技球を打球発射装置650へ供給するための打球供給口582aを有した後カバー582と、後カバー582及び前カバー581の間で前後方向へ延びた軸周りに回動可能に軸支され前カバー581の後側で進入口581aと球抜口581bとの間を仕切る仕切部583aを有した球抜き部材583と、球抜き部材583の仕切部583a上の遊技球を一つずつ後カバーの打球供給口582aへ送り前カバー581と後カバー582との間で上下方向へ延びた軸周りに回動可能に支持された球送り部材584と、球送り部材584を回動させる球送ソレノイド585と、を備えている。本例では、図示するように、正面視で、球送り部材584が進入口581aの右側に配置されており、この球送り部材584の左側に球抜き部材583が右側に球送ソレノイド585が夫々配置されている。
この球送りユニット580の前カバー581は、正面視で球抜口581bの左側に、球抜き部材583の回転中心に対して同心円状に形成された円弧状のスリット581cを備えており、このスリット581cから後述する球抜き部材583の作動棹583cが前方へ延びだすようになっている。また、前カバー581は、進入口581aの上縁から上側が上方へ延びだしており、扉枠ベースユニット100へ組立てた際に、上皿球抜きベース344における球誘導流路344bの後端開口を閉鎖するように形成されている。
また、球抜き部材583は、進入口581aよりも下側で進入口581aと球抜口581bと間を仕切り上面が球送り部材584の方向へ向かって低くなる仕切部583aと、仕切部583aの球送り部材584とは反対側の端部から下方へ延出すると共に上下方向の中間付近から球抜口581bの下側中央へ向かってく字状に屈曲し下端が前後方向へ延びた軸周りに回動可能に支持される回動棹部583bと、回動棹部583bの上端から前方へ向かって突出する棒状の作動棹583cと、作動棹583cよりも下側で回動棹部583bの側面から仕切部583aとは反対側へ突出した錘部583dと、を備えている。この球抜き部材583の作動棹583cは、前カバー581に形成された円弧状のスリット581cを通して前方へ突出するように形成されており(図54を参照)、扉枠ベース本体110の球送り開口113を介して皿ユニット300の上皿球抜き機構340における上皿球抜きスライダ343の当接片343aの上端と当接するようになっている。
更に、球送り部材584は、進入口581a及び球抜き部材583の仕切部583aの方向を向き上下方向へ延びた回転軸芯を中心とした平面視が扇状の遮断部584aと、遮断部584aの後端から回転軸芯側へ円弧状に窪んだ球保持部584bと、球保持部584bの後端から下方へ延出する棒状の棹部584cと、を備えている。この球送り部材54における遮断部584aと球保持部584bは、夫々回転軸芯を中心とした約90゜の角度範囲内に夫々形成されている。また、球送り部材584の球保持部584bは、一つの遊技球を保持可能な大きさとされている。この球送り部材584は、球送ソレノイド585の駆動によって回転軸芯と偏芯した位置に配置された棹部584cが左右方向へ移動させられることで、回転軸芯周りに回動するようになっている。
球送り部材584は、遮断部584aが仕切部583aの方向を向くと同時に球保持部584bが打球供給口582aと連通した方向を供給位置と、球保持部584bが仕切部583aの方向へ向いた保持位置との間で回動するようになっている。この球送り部材584が供給位置の時には、球保持部584bに保持された遊技球が、打球供給口582aから打球発射装置650へ供給されると共に、進入口581aから仕切部583a上に進入した遊技球が、遮断部584aによって球保持部584b(打球供給口582a)側への移動が遮断されて仕切部583a上に留まった状態となる。一方、球送り部材584が保持位置へ回動すると、球保持部584bが仕切部583aの方向を向くと共に、球保持部584bの棹部584c側の端部が打球供給口582aを閉鎖した状態となり、仕切部583a上の遊技球が一つだけ球保持部584b内に保持されるようになっている。
また、球送りユニット580は、球送ソレノイド585の駆動(通電)によって先端が上下方向へ揺動する球送り作動桿586と、球送り作動桿586における上下方向へ揺動する先端の動きによって前後方向へ延びた軸周りに回動すると共に、球送り部材584を上下方向へ延びた軸周りに回動させる球送りクランク587と、を備えている。この球送りクランク587は、球送り作動桿586の上下動する先端と係合可能とされ左右方向へ延びた係合部587aと、係合部587aの球送り作動桿586と係合する側とは反対側に配置され前カバー581と後カバー582との間で前後方向へ延びた軸周りに回動可能に軸支される軸部587bと、軸部587bから上方へ延出し球送り部材584における回動中心に対して偏芯した位置から下方へ突出する棒状の棹部584c(図56を参照)と係合する伝達部587cと、を備えている。
本例の球送りユニット580は、球送り作動桿586及び球送りクランク587によって、上下方向へ進退する球送ソレノイド585の駆動により揺動する球送り作動桿586の動きを伝達させて球送り部材584を回動させることができるようになっている。なお、球送ソレノイド585の非駆動時(通常時)では、球送り作動桿586が球送ソレノイド585の下端から離れて揺動する先端が下方へ位置した状態となるようになっており、この状態では球送り部材584が供給位置に位置した状態となる。また、球送ソレノイド585の駆動時では、球送り作動桿586が球送ソレノイド585の下端に吸引され揺動する先端が上方へ位置した状態となり、球送り部材584が保持位置へ回動するようになっている。つまり、球送ソレノイド585が駆動される(ONの状態)と球送り部材584が遊技球を一つ受入れ、球送ソレノイド585の駆動が解除される(OFFの状態)と球送り部材584が受入れた遊技球を打球発射装置650側へ送る(供給する)ようになっている。この球送りユニット580における球送ソレノイド585の駆動は、発射制御部4120により発射ソレノイド654の駆動制御と同期して制御されるようになっている。
また、本例の球送りユニット580における回動可能に軸支された球抜き部材583は、錘部583cによって正面視反時計周りの方向へ回転するようなモーメントがかかるようになっているが、前方へ突出した作動棹583cが皿ユニット300の上皿球抜き機構340における上皿球抜きスライダ343の当接片343aの上端と当接することで、その回動が規制されるようになっており、通常時では、球抜き部材583の仕切部583aが進入口581aと球抜口581bとの間を仕切って、球抜口581b側へ遊技球が侵入しないようになっている。そして、遊技者が、皿ユニット300における上皿球抜き機構340の上皿球抜きボタン341を下方へ押圧操作すると、上皿球抜きスライダ343が当接片343aと共に下方へスライドして、当接片343aの下方への移動に伴って作動棹583cも相対的に下方へ移動することとなる。
このように、上皿球抜き機構340の当接片343aと共に作動棹583cが下方へ移動することで、球抜き部材583が正面視反時計周りの方向へ回動して仕切部583aによる進入口381aと球抜口381bとの間の仕切りが解除され、進入口381aから進入した遊技球が、球抜口381bから皿ユニット300の上皿球抜きベース344の球抜き流路344cへと排出され、下皿302へ排出(供給)されるようになっている。
なお、球抜き部材583の作動棹583cが当接する上皿球抜きスライダ343の当接片343aは、コイルバネによって上方へ付勢されているので、仕切部581a上に遊技球が勢い良く供給されても、その衝撃を、作動棹583cを介して上皿球抜きスライダ343を付勢するコイルバネによって吸収させることができ、球抜き部材583等が破損するのを防止することができると共に、遊技球が仕切部583aで跳ね返るのを防止することができるようになっている。
また、本例の球送りユニット580は、後カバー582における打球供給口582aの背面視で右上に前方へ窪んだ矩形状の取付凹部582b(図56(B)等を参照)が形成されていると共に、その取付凹部582b内に不正防止部材588が取付けられている。球送りユニット580の不正防止部材588は、工具鋼やステンレス等の硬質の金属板により形成されており、後カバー582の取付凹部582a内に対して後側から脱着可能に取付けられている。この不正防止部材588は、図55等に示すように、背面視における全体の外径が横長の矩形状に形成されており、背面視で左辺側となる先端における上下方向の略中央から反対側の基端側(右辺側)へ向かって所定長さ伸びた分割線588aを境界として上下に分断された上片部588b及び下片部588cと、上片部588b及び下片部588cの先端が互いに遠ざかるように上片部588bの基端側を不正防止部材588の一般面に対して垂直方向(後方)へ屈曲させることで上片部588bと下片部588cとの間に形成されるV字状の切断部588dと、上片部588b及び下片部588cの先端に形成され切断部588dへ向かって傾斜した傾斜部588eと、を備えている。
この不正防止部材588は、図示するように、上片部588bの先端(背面視で左端側)が後方へ移動するように上片部588bの基端側が屈曲されることで、切断部588dが平面視でV字状に形成されており、V字状の内部に不正な遊技球Iに付けられた線材Iwが挿入されるようになっている。この不正防止部材588の切断部588dは、上片部588bの下辺と下片部588cの上辺とが平面視において所定角度で交差した状態となっており、基端側へ向かうに従って隙間が狭くなるように形成されている。
また、不正防止部材588の傾斜部588eは、切断部588dの先端に形成されており、傾斜部588eによって不正な遊技球Iに付けられた線材Iwを切断部588d内へ誘導案内することができるようになっている。本例の球送りユニット580は、不正防止部材588が、図示するように、後カバー582の取付凹部582b内に後側から取付けられていると共に、後カバー582における取付凹部582b内の切断部588dが形成された部位と対応した部位が前後方向に貫通すると同時に打球供給口582aと連通した形態に形成されている。換言すると、後カバー582は、打球供給口582aが取付凹部582b内まで延びだした形状に形成されている。
この不正防止部材588によると、線材Iwが付けられた不正な遊技球Iを球送りユニット580から打球発射装置650へ供給し、打球発射装置650によって不正な遊技球Iを遊技盤4の遊技領域1100内へ向かって打込むと、打球発射装置650によって発射された不正な遊技球Iが発射レール660に沿って正面視で斜め左上へと移動し、外レール1111と内レール1112との間を通って遊技領域1100内に侵入しようとする。この際に、不正な遊技球Iに付けられた線材Iwは、打撃された遊技球Iの勢いによって引張られることとなり、線材Iwは不正な遊技球Iの移動軌跡とは異なり、遊技球の通路内において最短距離で結ぶルート上に沿うように移動することとなる。従って、皿ユニット300から球送りユニット580の打球供給口582aを通って打球発射装置650側へ延びた線材Iwは、遊技球Iが正面視で左上方向(背面視で右上方向)へ移動することで、最短ルート上へ移動しようと打球供給口582aの背面視右上隅の方へと引張られ、打球供給口582aの背面視右上に形成された取付凹部582b内へと移動することとなる。そして、打球供給口582aの背面視で右方へ延出した部位(取付凹部582b内)へ移動した線材Iwは、当該位置に配置された不正防止部材588の一対の傾斜部588eによって、切断部588d内へと案内された上で、更に、不正な遊技球Iの勢いによって背面視右方へと引張られる。
これにより、不正な遊技球Iに付いた線材Iwが、不正な遊技球Iの勢いにより、不正防止部材588の切断部588dで、その隙間が狭くなる方向(正面視で左方向)へ引張られた状態となり、切断部588dにより摩擦や剪断力が作用して、線材Iwが切断されることとなる(図57(D)を参照)。この際に、線材Iwが付いた不正な遊技球Iは、線材Iwに作用する摩擦等によりその勢いが減衰するので、遊技領域1100内へ侵入することなく外レール1111と発射レール660との間を通って排出されることとなる。
従って、不正防止部材588の切断部588dによって、不正な遊技球Iに付いた線材Iwを切断することができるので、遊技領域605内において線材Iwの付いた不正な遊技球Iで不正行為が行われるのを防止することができるようになっている。なお、仮に不正な遊技球Iが遊技領域1100内へ侵入した場合でも、上述したように、不正防止部材588により線材Iwを切断することができるので、不正行為を行うことができない状態となる。また、仮に不正防止部材588により線材Iwを切断することができなかった場合でも、線材IwがV字状の切断部588dに食込むことで不正な遊技球Iの勢いを減衰させて遊技領域1100内に侵入するのを阻止することができるので、不正行為が行われるのを防止することができるようになっている。
上述したように、本例によると、上皿301内に遊技球を貯留させて球送りユニット580へ遊技球を供給した上で、扉枠5の前面に備えられたハンドル装置500を遊技者が操作すると、球送りユニット580の球送ソレノイド585の駆動によって遊技球が打球発射装置650へ送られ、打球発射装置650によって遊技球が遊技領域1100へ打ち込まれることで、扉枠5の遊技窓101を介して視認可能とされた遊技領域1100内で遊技が行われることとなり、遊技者を楽しませることができると共に、扉枠ベースユニット100の後面に送り機構(球送り部材584や球送ソレノイド585等)と排出機構(球抜き部材583)とを備えた球送りユニット580を配置しているので、球送り部材584と球抜き部材583だけでなく球送り部材584と打球発射装置650も可及的に接近した状態となり、上皿球抜きボタン341の操作によって上皿301内の遊技球を排出させた時に、球送り部材584側に残存する遊技球の数を可及的に低減させることができ、遊技者が損した気分となるのを回避させて興趣が低下するのを抑制することができる。
また、球抜き部材583を備えた球送りユニット580を扉枠ベースユニット100の後面に配置しているので、皿ユニット300における上皿301の容量を大きくすることが可能となり、遊技球の打込操作によって上皿301内の遊技球が早期になくなったり、上皿301内が遊技球で早期に満タンとなってしまったりするのを抑制することができ、上皿301内の遊技球に対して遊技者が煩わしく感じるのを低減させて興趣が低下するのを抑制することができると共に、上皿301の容量を維持した状態で皿ユニット300を小型化することができるので、相対的に遊技領域1100を大きく(広く)して遊技者の関心を強く引付けられるパチンコ機1とすることができる。
また、球送りユニット580に球抜き部材583を備えるようにしているので、球送り部材584と球抜き部材583とを別々にしたものと比較して、球送りユニット580を取付けるだけで球送り部材584と球抜き部材583を取付けることができ、組立てに係る手間を簡略化することができると共に、送りユニット580を容易に交換することができ、球送り部材584や球抜き部材583に不具合が発生しても、球送りユニット580を交換することで簡単に不具合を解消させることができる。
更に、扉枠5における扉枠ベースユニット100の後面に球送りユニット580を配置するようにしているので、球送りユニット580を本体枠3側に備えるようにしたものと比較して、上皿球抜きボタン341の操作を球送りユニット580の球抜き部材584へ伝達させる伝達機構(上皿球抜き機構340)を開閉可能な扉枠5と本体枠3とに跨るように構成する必要がなく、伝達機構にかかる構成を簡略化することができる。また、球送りユニット580を扉枠5側に備えるようにしているので、球送りユニット580を本体枠3側に備えるようにした場合と比較して、扉枠5を開放する度に伝達機構(上皿球抜き機構340)が遮断されることで伝達機構が早期に消耗して誤作動したり破損したりする虞を回避させることができ、伝達機構や球送りユニット580等の作動に対する信頼性や耐久性を高めることができる。
また、上皿球抜きボタン341を下方へ押圧操作するものとしているので、上皿球抜きボタン341を下方へ押圧するだけで上皿301から遊技球を下皿302へ排出させたり、上皿301からの遊技球の排出を停止させたりすることができ、遊技者に対して上皿球抜きボタン341による上皿301内の球抜き操作を楽に操作させることができる。
また、上皿球抜きボタン341の操作に応じて上下方向へスライドする上皿球抜きスライダ343の動きによって、球抜き部材583の仕切部583aを可動させるようにしており、上皿球抜きスライダ343と共に仕切部583aも上下方向へ可動するので、上皿球抜きスライダ343や仕切部583aに係る水平方向の移動範囲を可及的に小さくすることが可能となり、上皿球抜き機構340や球送りユニット580を小型化することができ、上述した作用効果を確実に奏することが可能なパチンコ機1とすることができる。
更に、上皿球抜きスライダ343を上方へ付勢すると共に、上皿球抜きスライダ343が上昇位置の時に球抜き部材583の仕切部583aが進入口581aと打球供給口582aとを連通させるようにしているので、上皿301から遊技球が勢い良く仕切部583aに当接しても、その衝撃を上皿球抜きスライダ343に作用する付勢力によって緩和させることができ、仕切部583a(球抜き部材583)の耐久性を高めることができる。また、上皿球抜きスライダ343に作用する付勢力によって仕切部583aに係る衝撃を緩和させることができるので、遊技球が仕切部583aに衝突しても撥ね難くすることができ、遊技球の撥ねにより球送りユニット580等が破損して不具合が発生するのを抑制することができる。
また、仕切部583aを回動させるようにしているので、仕切部583aをスライドさせるようにした場合と比較して、仕切部583aに遊技球の荷重がかかった時の仕切部583aの移動に係るフリクションロスを低減させることができ、上皿球抜きボタン341の操作を軽くして操作性を向上させることができると共に、平面投影において仕切部583aの移動範囲を小さくすることができ、上記と同様の作用効果を奏することができる。
また、仕切部583aを、自重によって進入口581aと球抜口581bを連通する方向へ回動させるようにしているので、仕切部583aや上皿球抜き機構340に不具合が発生した場合、仕切部が自重によって回動することで進入口と排出口とを連通させた状態となり、排出操作部を操作していないのにも関わらず貯留皿内の遊技媒体が送り機構(投入装置)側へ送られずに遊技者側へ排出されることとなるため、遊技者に対してパチンコ機1に不具合が発生していることを認識させることができ、不具合の無いパチンコ機1へ移動させて興趣が低下するのを抑制することができる。
更に、球抜き部材583において仕切部583aを屈曲した回動棹部583bを介して回動させるようにしているので、遊技球が仕切部583aに衝突した場合、その衝撃を屈曲した回動棹部583bによって分散させたり、回動棹部583bの撓りによって吸収させたりすることで、回動軸へ直線的に衝撃が伝達されるのを防止することができ、球抜き部材583の耐久性を高めることができる。
また、上皿301側と連通する進入口581aの直下に球抜口581bを配置しているので、上皿301内の遊技球を排出させる際に、球送りユニット580内での遊技球の左右方向の動きを最小限とすることができ、球送りユニット580内での遊技球の通りを良くして遊技球を良好に排出させることができる。また、進入口581aの直下に球抜口581bを配置しているので、球送りユニット580内における遊技球の排出経路を可及的に短くすることができ、球送りユニット580に排出機構としての球抜き部材583を備えても、球送りユニット580が不必要に大型化するのを抑制することができる。
更に、不正防止部材588を、後カバー582の後側の取付凹部582bに取付けるようにしており、不正防止部材588(切断部588d)を打球発射装置650に対して可及的に近い位置に配置することができるので、打球発射装置650によって発射された直後の最も速度の速い(勢いのある)状態の不正な遊技球Iに付着した線材Iwが切断部588dに接触することとなり、切断部588dに対して線材Iwが速く(強く)引張られることで、線材Iwを確実に切断することができると共に、不正な遊技球Iの勢いを減衰させて遊技領域1100内に侵入するのを阻止することができ、不正な遊技球Iによって不正行為が行われるのを確実に防止することができる。
また、切断部588dを備えた不正防止部材588を、後カバー582の後面から前方へ向かって窪んだ取付凹部582b内に取付けるようにしているので、V字状の切断部588dを形成するために後方へ折曲げられた上片部588bが後カバー582の後端面から後方へ突出しない状態とすることができ、不正防止部材588の上片部588bによって組立て等の際に作業者が怪我をしてしまうのを防止することができる。
また、不正な遊技球Iに付けられた線材Iwを切断することが可能な不正防止部材588において、金属板材の右端から伸びた分割線588aを挟んで上側の上片部588bを後方へ屈曲させることで、V字状の切断部588dを形成するようにしているので、剪断力を発揮することが可能な切断部588dを簡単に形成(加工)することができ、パチンコ機1に係るコストが増加するのを抑制することができる。
[1-2J.ガラスユニット]
次に、扉枠5におけるガラスユニット590について、主に図22及び図23を参照して説明する。このガラスユニット590は、遊技窓101と略同じ大きさの開口を有し合成樹脂で成型した環状で縦長八角形状のユニット枠592と、ユニット枠592の開口の前後端を夫々閉鎖する二枚の透明なガラス板594(図108を参照)と、を備えている。このガラスユニット590のユニット枠592は、左右両辺の上部に配置され外方へ板状に延出した二つの止め片592aと、下端に沿って左右方向へ延び下方へ延出した板状の係止片592bと、を備えている。
このガラスユニット590は、下端の係止片592bを、扉枠ベースユニット100の補強ユニット150における下側補強板金154の垂直折曲突片161に対して後上方から係合するように係止させた上で、ユニット枠592の外周縁を扉枠ベース本体110のガラスユニット支持段部110a内に嵌め込み、ガラスユニット係止部材190によってユニット枠592の止め片592aを係止させることで、扉枠ベースユニット100に対して脱着可能に取付けられるようになっている(図21等を参照)。
[1-2K.扉枠における造形装飾]
次に、扉枠5における造形装飾、つまり、形状的な装飾について主に図17、図19、図20、及び図58を参照して説明する。図58は、扉枠を上下方向略中央で切断して示す断面図である。本実施形態のパチンコ機1における扉枠5は、図示するように、縦長楕円形状の遊技窓101の下側に、遊技球を貯留するための上皿301と下皿302とが上下に並ぶと共に、下皿302の正面視右側に、上皿301に貯留された遊技球を遊技窓101を閉鎖する透明なガラスユニット590の後側に配置された遊技盤4の遊技領域1100内へ打ち込むためのハンドル装置500が配置されている。また、扉枠5は、遊技窓101の左右及び上側を囲むように右サイド装飾ユニット200、左サイド装飾ユニット2200、及び上部装飾ユニット280が配置されていると共に、遊技窓101の下側を囲むように皿ユニット300が配置されている。
扉枠5は、遊技窓101を挟んで両側の外観が大きく異なっており、右側が右サイド装飾ユニット200の外面を形成するサイドレンズ210によりゴツゴツした自然の岩のような感じの外観となっているのに対して、左側が左サイド装飾ユニット240の透明なサイドレンズ250の周レンズ部250aから見えるサイド下装飾フレーム242及びサイド上装飾フレーム244により金属質のシャープで人工的な感じの外観となっている。
また、扉枠5は、図58に示すように、右サイド装飾ユニット200と左サイド装飾ユニット240とでは、前方への突出量が異なっており、右サイド装飾ユニット200の方が左サイド装飾ユニット240よりも大きく前方へ突出している。また、右サイド装飾ユニット200の前端は前方へ尖ったような形状に形成されているのに対して、左サイド装飾ユニット240の前端は緩く湾曲した平面状に形成されている。
これにより、本例の扉枠5は、右前方から見た時には右サイド装飾ユニット200と左サイド装飾ユニット240とが互いに同じようなボリュウムに見える(図19を参照)のに対して、左前方から見た時には右サイド装飾ユニット200が左サイド装飾ユニット240よりも大きく見える上に左サイド装飾ユニット240の装飾が殆ど見えなくなり、パチンコ機1に対する遊技者の立ち位置によって異なる印象を与えることができるようになっている。つまり、本パチンコ機1に対する遊技者の位置によって本パチンコ機1の外観が変化して見えて機種の異なるパチンコ機のように錯覚させることができるので、遊技するパチンコ機を選択中の遊技者等に対する訴求力を高くすることができ、遊技者の関心を強く引付けられるパチンコ機1とすることができる。
また、扉枠5の前面外観を左右非対称としているので、例えば、遊技ホールの島設備等で本パチンコ機1を左右方向へ複数列設した場合、島設備全体の外観がのっぺりとしたベタな感じになってしまうのを抑制し異なる形態の右サイド装飾ユニット200と左サイド装飾ユニット240とが交互に配置されることでリズミカルな印象を与えて遊技者をワクワクさせられる外観(雰囲気)とすることができ、遊技者に対する訴求力を高くして遊技者の関心を強く引付けることができる。
また、扉枠5は、各ユニット200,220,280,300に備えられた装飾基板214,216,254,256,288,290,322等に実装されたLEDを発光させることで、遊技窓101を囲むように任意の発光色で発光装飾させることができるようになっている。また、右サイド装飾ユニット200及び左サイド装飾ユニット220に備えられた装飾基板214,216,254,256に実装されたLEDのうち、サイド閃光レンズ204,246の後側に配置されたLED214b,216b,254b,256を点灯したり消灯したりすることで、遊技窓101を囲んだ発光装飾の態様を変化させることができるようになっている。
[1-2L.扉枠における発光装飾]
続いて、扉枠5における発光装飾について、主に図59及び図60を参照して説明する。図59は、扉枠における発光装飾用のLEDの配置を示す正面図である。また、図60は、扉枠における発光装飾用のLEDの系統を示す正面図である。本実施形態の扉枠5は、右サイド装飾ユニット200、左サイド装飾ユニット240、上部装飾ユニット280、及び皿ユニット300によって遊技盤4の遊技領域1100と略対応した遊技窓101の外周を略環状に囲うように形成されている。これら各ユニット200,240,280,300には、LEDが実装された装飾基板214,216,254,256,288,290,322を備えており、各LEDを適宜発光させることで、遊技窓101の外周を発光装飾させることができるようになっている。
扉枠5の右サイド装飾ユニット200及び左サイド装飾ユニット240は、上述したように、遊技窓101の下辺を除く外周の殆どを囲うように形成されており、サイドレンズ210,250における複数の周レンズ部210a,250aが遊技窓101の外周に沿うように配置されていると共に、サイド閃光レンズ204,246が遊技窓101の左右方向中央の下部付近を中心とした放射状の軸線に沿って延びるように隣接した周レンズ部210a,250a同士の間に配置されている。
本例の扉枠5は、右サイド装飾ユニット200におけるサイドレンズ210の周レンズ部210aが略紡錘状の複数の湾曲面により形成されているのに対して、左サイド装飾ユニット240におけるサイドレンズ250の周レンズ部250aが一つの滑らかな緩い湾曲面により形成されている。また、扉枠5は、右サイド装飾ユニット200及び左サイド装飾ユニット240におけるサイドレンズ210,250の後側に、光を拡散させることが可能なサイドインナーレンズ212,252が配置されている。なお、左サイド装飾ユニット240では、サイドレンズ250における周レンズ部250aとサイドインナーレンズ252との間に複数のスリット251aを有したインナー装飾部材251が配置されている。
また、扉枠5は、右サイド装飾ユニット200及び左サイド装飾ユニット240におけるサイドインナーレンズ212,252の後側に、右サイド上装飾基板214、右サイド下装飾基板216、左サイド上装飾基板254、及び左サイド下装飾基板256が配置されており、各装飾基板214,216,254,256の前面には複数のLED214a,214b,214c,216a,216b,254a,254b,256a,256bが実装されている。
サイドインナーレンズ212,252の後側に配置される右サイド上装飾基板214、右サイド下装飾基板216、左サイド上装飾基板254、左サイド下装飾基板256には、周レンズ部210a,250aと対応する位置に配置されたLED214a,216a,254a,256aと、放射レンズ部210b,250b(サイド閃光レンズ204,246)と対応する位置に配置されたLED214b,216b,254b,256bとを備えている。本例では、周レンズ部210a,250aと対応したLED214a,216a,254a,256aがフルカラーLEDとされており、放射レンズ部210b,250bと対応したLED214b,216b,254b,256bが比較的高輝度のLEDとされている。また、右サイド上装飾基板214における上部右端に配置された二つのLED214cは、緑色LEDと赤色LEDとされている。
なお、本例では、右サイド上装飾基板214、右サイド下装飾基板216、左サイド上装飾基板254、及び左サイド下装飾基板256の表面が、白色のフォトレジスト、白色印刷(例えば、シルク印刷)、白色塗装、等によって白色とされている。これにより、装飾基板214,216,254,256での反射率を高めることができるので、各LED210a,210b等が非点灯時に遊技者側からの光を装飾基板214,216,254,256によって反射させることで、サイドレンズ210,250が暗くなりすぎて見栄えが悪くなるのを防止することができると共に、発光する各LED210a,210b等からの光を基板によって遊技者側へ反射させることで、サイドレンズ210,250をより明るく発光装飾させることができるようになっている。
扉枠5の上部装飾ユニット280は、上述したように、右サイド装飾ユニット200及び左サイド装飾ユニット240の上部における扉枠5の左右方向中央側を向いた端部同士の間を接続するように形成されており、遊技窓101の上部中央を装飾するものである。この上部装飾ユニット280は、左右方向中央に配置される上部中央レンズ284と、上部中央レンズ284の外周に配置される環状の中央環レンズ部282bと、中央環レンズ部282bよりも外側で外方へ延びた四つの延出枠レンズ部282cと、を備えている。なお、正面視右下側の延出枠レンズ部282cは前面が上部下装飾カバー294によって被覆されている。
この上部装飾ユニット280は、上部中央レンズ284及び上部レンズ282における中央環レンズ部282bの後側に配置される上部中央装飾基板288と、上部中央装飾基板288よりも左右方向へ延出し上部レンズ282における延出枠レンズ部282c及び上部中央装飾基板288の後側に配置される上部サイド装飾基板290と、を備えている。上部中央装飾基板288には、上部中央レンズ284と対応した複数のLED288aと、中央環レンズ部282bと対応した複数のLED288bとが前面に実装されており、上部中央レンズ284と中央環レンズ部282bとを夫々別々に発光装飾させることができるようになっている。また、上部サイド装飾基板290には、延出枠レンズ部282cと対応した複数のLED290aが前面に実装されており、各延出枠レンズ部282cを夫々発光装飾させることができるようになっている。なお、上部中央装飾基板288及び上部サイド装飾基板290の各LED288a,288b,290aは、フルカラーLEDとされている。
続いて、皿ユニット300では、外側表面が略紡錘状の複数の湾曲面によって形成されており、右サイド装飾ユニット200の外観と連続した外観となっている。この皿ユニット300は、上皿前部装飾部材316の後側に上皿装飾基板322が配置されており、上皿装飾基板322に実装された複数のLED322aによって、上皿前部装飾部材316における右側の部位と、上皿球抜きボタン341の前側外周を装飾する上皿上右装飾部材319を発光装飾させることができるようになっている。なお、本例では、上皿装飾基板322のLED322aは、フルカラーLEDとされている。
次に、皿ユニット300に取付けられる操作ユニット400は、透光性を有した環状のダイヤル操作部401と、ダイヤル操作部401の内側に配置された透光性を有した円柱状の押圧操作部405とを備えており、ダイヤル操作部401及び押圧操作部405の下側にはダイヤル装飾基板430及びボタン装飾基板432が夫々配置されている。ダイヤル装飾基板430には、ダイヤル操作部401と対応するように周方向へ複数(本例では、四つ)配置されたLED430bが備えられている。また、ボタン装飾基板432には、押圧操作部405と対応するように一つのLED432dが備えられている。本例では、ダイヤル装飾基板430のLED430bが高輝度の白色LEDとされており、ボタン装飾基板432のLED432dがフルカラーLEDとされている。また、ダイヤル装飾基板430及びボタン装飾基板432の表面(上面)もまた、白色とされており、上記と同様の作用効果を奏することができるようになっている。
ところで、本例の扉枠5では、遊技窓101の下辺よりも上側の外周を覆う右サイド装飾ユニット200及び左サイド装飾ユニット240におけるサイドレンズ210,250の各周レンズ部210a,250aと対応したLED214a,216a,254a,256aが、遊技窓101に近い第一環状グループ102(図59及び図60においてハッチの範囲内)と、第一環状グループ102よりも外側に配置された第二環状グループ103(図59及び図60においてクロスハッチの範囲内)とに分けられており、第一環状グループ102と第二環状グループ103のLEDを適宜発光させることで、遊技窓101を囲むように略同心円状に複数(本例では二つ)発光装飾させることができるようになっている。つまり、第一環状グループ102のLED214a,216a,254a,256aを全て発光させると、遊技窓101に近いハッチの範囲が環状に発光装飾され、第二環状グループ103のLED214a,216a,254a,256aを全て発光させると、遊技窓101から遠ざかったクロスハッチの範囲が環状に発光装飾されるようになっている。
また、扉枠5では、右サイド装飾ユニット200及び左サイド装飾ユニット240におけるサイド閃光レンズ204,246(サイドレンズ210,250の放射レンズ部210b,250b)と対応したLED214b,216b,254b,256bが、第一環状グループ102及び第二環状グループ103を周方向へ分割するように遊技窓101(遊技領域1100)の左右方向中央下部を中心として放射状に延びた放射状グループ104(図59及び図60において網掛けの範囲内)とされている。この放射状グループ104のLED214b,216b,254b,256bを適宜発光させることで、遊技窓101の外側を放射状に発光装飾させることができる他に、第一環状グループ102や第二環状グループ103による環状の発光装飾を周方向へ分割するように発光装飾させることができるようになっている。
また、扉枠5では、右サイド装飾ユニット200におけるサイドレンズ210の右上隅と対応した右サイド上装飾基板214のLED214cは、報知グループ105とされており、このLED214cを適宜発光させることで、遊技者やパチンコ機1を設置した遊技ホールの従業員等に対して様々な情報を報知させることができるようになっている。
また、扉枠5では、遊技窓101の上側中央を装飾する上部装飾ユニット280における上部中央レンズ284及び中央環レンズ部282bと対応したLED288a,288bが、第一環状グループ102及び第二環状グループ103の上部中央を発光装飾する上部中央グループ106とされている。この上部中央グループ106のLED288a,288bを適宜発光させることで、遊技窓101の上部中央を発光装飾させることができる他に、第一環状グループ102や第二環状グループ103による環状の発光装飾の基準点となるような発光装飾をさせることができるようになっている。また、上部装飾ユニット280における延出枠レンズ部282cと対応したLED290aは、上部中央グループ106の左右両側を発光装飾させる上部中央サイドグループ107とされている。この上部中央サイドグループ107のLED290aを適宜発光させることで、第一環状グループ102及び第二環状グループ103と上部中央グループ106との境界を発光装飾させることができるようになっている。
更に、扉枠5では、遊技窓101の下側に配置された皿ユニット300の上皿前部装飾部材316及び上皿上右装飾部材319と対応したLED322aは、上皿301を発光装飾させる上皿グループ108とされている。また、扉枠5では、遊技窓101の下側中央で皿ユニット300の上部中央に配置された操作ユニット400のダイヤル操作部401及び押圧操作部405と対応したLED430b,432dが、操作ユニット400を発光装飾させる操作部グループ109とされている。この操作部グループ109のLED430b,432dを適宜発光させることで、ダイヤル操作部401や押圧操作部405を発光装飾させることができ、ダイヤル操作部401や押圧操作部405の操作タイミングや操作方向等を遊技者に知らせることができるようになっている。
本実施形態における扉枠5における発光装飾について、更に、詳述すると、本例では、扉枠5に備えられた各LED214a,214b,214c,216a,216b,254a,254b,256a,256b,288a,288b,290a,322a,430b,432dが、夫々が属するグループ102,103,104,106,107,108,109内で制御系統に対応して更に細分化されている。具体的には、図60に示すように、第一環状グループ102に属する20個のLED214a,216a,254a,256aは、サイドレンズ210,250の各周レンズ部210a,250a毎に102a~102jの10系統に分けられており、第二環状グループ103に属する26個のLED214a,216a,254a,256aは、サイドレンズ210,250の各周レンズ部210a,250a毎に103a~103jの10系統に分けられている。
また、放射状グループ104に属する20個のLED214b,216b,254b,256bは、サイド閃光レンズ204,246(サイドレンズ210,250の放射レンズ部210b,250b)毎に104a~104hの8系統に分けられている。また、報知グループ105に属する2個のLED214cは、上側105aと下側105bの2系統に分けられている。更に、上部中央グループ106に属する8個のLED288a,288bは、中央部106a、右部106b、左部106cの3系統に分けられている。また、上部中央サイドグループ107に属する7個のLED290aは、右側107aと左側107bの2系統に分けられている。
更に、上皿グループ108に属する11個のLED322aは、前後及び左右に108a~108dの4系統に分けられている。また、操作グループ109に属する5個のLED430b,432dは、ダイヤル操作部401と対応した4個のLED430bが押圧操作部405を挟んで対角線状に配置されたLED430bを一組として左右109aと前後109bの2系統、押圧操作部405と対応した1個のLED432cが1系統、の3系統に分けられている。このように、本例の扉枠5では、各LED214a,214b,214c,216a,216b,254a,254b,256a,256b,288a,288b,290a,322a,430b,432dが、42の系統に分けられている。
ところで、扉枠5では、上述したように、LED214a,216a,254a,256a,288a,288b,290a,322a,432dがフルカラーLEDとされており、それらLED214a,216a,254a,256a,288a,288b,290a,322a,432dの属する28の系統102a~102j,103a~103j,106a~106c,108a~108d,109cでは、フルカラーで発光させるためにRGBの独立した3つの系統を更に備えており、実際の発光制御では3倍の84系統となっている。また、LED288a,430bは高輝度の白色LEDとされており、それらLED288a,430bが属する4つの系統107a,109a,109bでは、高輝度で発光させるために多くの電流を必要とするので、夫々2つの系統が接続されており、実際の発光制御では2倍の8系統となっている。
なお、LED214b,216b,254b,256bは通常の輝度の白色LEDとされており、8つの系統104a~108hに属している。また、LED214cは緑色LED及び赤色LEDとされており、2つの系統105a,105bに属している。これらLED214b,216b,254b,256b,214cによる10の系統104a~108h,105a,105bは、各系統で充分に制御することができるので、実際の発光制御でも同数の10系統となっている。
従って、扉枠5における発光制御での実際の系統数は、102系統となっており、各LED214a,214b,214c,216a,216b,254a,254b,256a,256b,288a,288b,290a,322a,430b,432dが属した系統毎に、点灯・点滅等がダイナミック点灯により制御されていると共に、階調(色や明るさ)がPWM制御(パルス幅変調制御)により制御されるようになっている。これにより、表情豊かな発光演出をすることができるようになっている。
扉枠5における発光演出としては、例えば、第一環状グループ102から第二環状グループ103へ順に発光(同色、或いは、類似色で順次発光)させることで遊技窓101を中心として外側へ広がるような発光演出や、逆に、第二環状グループ103から第一環状グループ102へ順に発光(同色、或いは、類似色で順次発光)させることで遊技窓101へ向かって外側から収束するような発光演出、或いは、第一環状グループ102と第二環状グループ103とを同時に発光させることで遊技窓101の外周全体を広く発光させるような発光演出等をすることができるようになっている。
また、遊技盤4に備えられたLED(詳細な図示は省略する)と協調することで、遊技盤4のLEDと、遊技窓101に近い第一環状グループ102のLEDと、第一環状グループ102よりも外側に配置された第二環状グループ103のLEDとによって、更に表情豊かな発光演出を行うことが可能となり、遊技者の関心を強く引付けることができると共に、遊技者を楽しませて興趣が低下するのを抑制することができる。
また、第一環状グループ102、第二環状グループ103や、下部グループ108において、各系統102a~102j,103a~103jを適宜発光させることで、遊技窓101の外周に沿って上部装飾ユニット280の上部中央レンズ284へ向かって光が移動するような、或いは、上部中央レンズ284から光が遊技窓101の外周に沿って移動するような発光演出をしたりすることができる。なお、本例では、第一環状グループ102や第二環状グループ103を周方向へ10系統102a~102j,103a~103jに分割(10分割)したものを示したが、これに限定するものではなく、8系統程に分割(8分割程)されていれば遊技窓101の外周を光が周回するような発光演出を良好に行うことができる。
更に、放射状グループ104のみを発光させることで遊技窓101を中心に放射状に発光する発光演出をしたり、放射状グループ104と同時に第一環状グループ102、第二環状グループ103、及び下部グループ108を発光させることで遊技窓101の外周全体を略均一に発光させる発光演出をしたり、第一環状グループ102や第二環状グループ103の発光中に放射状グループ104を発光(点灯・点滅)させることで環状の発光装飾に対してアクセントを付与する発光演出をしたりすることができる。また、放射状グループ104の各系統104a~104hを夫々個々に発光させることで、サイド閃光レンズ204,246(放射レンズ部210b,250b)が周回するような発光演出もすることができる。
また、上部中央グループ106や上部中央サイドグループ105を発光させることで、遊技者に対してチャンスの到来や特定の遊技状態(例えば、大当り遊技状態、確変遊技状態、時短遊技状態、確変時短遊技状態、等)を示唆する発光演出を行うことができる。
更に、下部グループ108の各系統108a~108dを適宜発光させることで、上皿301を発光装飾させる発光演出をしたり、操作グループ109と関連させて発光させることで、ダイヤル操作部401や押圧操作部405の操作を促す発光演出をしたりすることができる。また、操作グループ109におけるダイヤル操作部401と対応した系統109a,109bを適宜発光させることで、ダイヤル操作部401の操作を促したり、ダイヤル操作部401の回転操作方向を案内したりする発光演出をすることができる。更に、操作グループ109における押圧操作部405と対応した系統109cを発光させることで、押圧操作部405の操作を促す発光演出をすることができる。
なお、第一環状グループ102、第二環状グループ103、上部中央グループ106、下部グループ108、及び操作グループ109の系統109cは、フルカラーLEDとされているので、各グループ102,103,106,108,109毎や、各系統102a~102j,103a~103j,106a~106c,108a~108d,109c毎に、発光色や明るさ等の階調を異ならせた発光演出を行うことができ、多彩で表情豊かな発光演出を行うことができる。
[1-3.本体枠の全体構成]
次に、パチンコ機1における本体枠3について、図61乃至図67を参照して説明する。図61は、本体枠の正面図であり、図62は、本体枠の背面図である。また、図63は、本体枠の正面斜視図であり、図64は、本体枠の背面斜視図である。更に、図66は、本体枠を分解して前から見た分解斜視図であり、図65は、本体枠の左側面図であり、図67は、本体枠を分解して後から見た斜視図である。本実施形態の本体枠3は、外枠2に対して正面視左辺が軸支されており、扉枠5の後側で外枠2の前面を開閉するように扉状に支持されていると共に、前側が扉枠5によって開閉させられるようになっている。また、本体枠3は、扉枠5の遊技窓101と対応した位置に前側から遊技盤4を着脱自在に保持することができるようになっている。
本例の本体枠3は、本体枠3の骨格を形成すると共に前後方向に貫通し遊技盤4を保持するための矩形状の遊技盤保持口601を有した本体枠ベース600と、本体枠ベース600の正面視左側端部の上端及び下端に夫々取付けられ外枠2に軸支されると共に扉枠5を軸支するための上軸支金具630及び下軸支金具640と、本体枠ベース600の下部前面に取付けられ遊技盤4の遊技領域1100内へ遊技球を打ち込むための打球発射装置650と、本体枠ベース600の後側に取付けられ皿ユニット300の上皿301へ遊技球を払出すための賞球ユニット700と、本体枠ベース600の前面に取付けられ本体枠3に対して扉枠5が開いた時に賞球ユニット700から扉枠5の皿ユニット300への遊技球の流れを遮断する球出口開閉ユニット790と、を備えている。
また、本体枠3は、本体枠ベース600の下部後面に取付けられ遊技盤4を除く扉枠5や本体枠3に備えられた電気的部品を制御するための各種の制御基板や電源基板851等を一纏めにしてユニット化した基板ユニット800と、本体枠ベース600における遊技盤保持口601の後側開口を覆う裏カバー900と、本体枠ベース600の正面視左側端部を被覆する側面防犯板950と、本体枠ベースの正面視右側端部に取付けられ外枠2に対する本体枠3の開閉施錠、及び本体枠3に対する扉枠5の開閉施錠をする錠装置1000と、を主に備えている。
[1-3A.本体枠ベース]
次に、本体枠3における本体枠ベース600について、主に図68及び図69を参照して説明する。図68は、本体枠における本体枠ベースの正面斜視図である。また、図69は、本体枠における本体枠ベースの背面斜視図である。本実施形態の本体枠3における本体枠ベース600は、合成樹脂によって一体成形されており、正面視の外形が扉枠5の外形と沿った縦長の矩形状とされていると共に、前後方向へ略一定の奥行きDを有するように形成されている(図65を参照)。これにより、本体枠ベース600に対して、その後側に賞球ユニット700、基板ユニット800、裏カバー900、及び錠装置1000等の取付作業時において、本体枠ベース600を伏せた状態で作業する際に、本体枠ベース600の後面が本体枠ベース600における奥行きDの高さで略平らな状態となり、賞球ユニット700等を容易に載置することができ、本体枠3の組立てに係る作業性を良くすることができるようになっている。
本体枠ベース600は、図示するように、上部から下部へ向かって全体の約3/4の範囲内が前後方向へ矩形状に貫通し遊技盤4の外周を嵌合保持可能な遊技盤保持口601と、本体枠ベース600の正面視左辺を除く前端外周を形成するコ字状の前端枠部602と、前端枠部602の前面から後方へ向かって窪み、扉枠5における扉枠ベース本体110の下端から後方へ突出した扉枠突片110c、扉枠5の補強ユニット150における上側補強板金151の後方へ突出した上側の屈曲突片167及び開放側補強板金153の後方へ突出した開放側外折曲突片163が挿入係合される係合溝603と、を備えている。
また、本体枠ベース600は、遊技盤保持口601の下側から本体枠ベース600下端まで延出し前端枠部602の前端から所定量後側へ窪み左右方向へ板状に広がった下部後壁部604と、前端枠部601よりも内側で後方へ突出し遊技盤保持口601の内周壁を形成する周壁部605と、を備えている。この周壁部605によって、コ字状の前端枠部602の自由端部(正面視で上下の左側端部)同士が連結されるようになっており、本体枠ベース600の外形が枠状となるようになっている。
また、本体枠ベース600は、下部後壁部604の上端に遊技盤保持口601の下辺を形成すると共に遊技盤4が載置される遊技盤載置部606と、遊技盤載置部606の左右方向略中央から上方へ突出し遊技盤4における遊技パネル1150のアウト球排出溝1156と係合する位置決め突起607と、周壁部605における正面視右側内壁の所定位置に形成され遊技盤4の遊技盤止め具1120が止め付けられる遊技盤係止部608(図61を参照)と、周壁部605の上側内壁から下方へ垂下し下端が遊技盤4の上端と当接可能な板状で左右方向に複数配置された上端規制リブ609と、を備えている。本体枠ベース600の位置決め突起607は、遊技盤4のアウト球排出溝1156と嵌合することで、遊技盤4の下端が左右方向及び後方向へ移動するのを規制することができるようになっている。また、遊技盤係止部608は、遊技盤4の遊技盤止め具1120が係止されることで遊技盤4の正面視右辺が前後方向へ移動するのを規制することができるようになっている。なお、遊技盤4の正面視左辺は、詳細は後述するが、側面防犯板950の位置決め部材956によって前後方向への移動が規制されるようになっている。
更に、本体枠ベース600は、コ字状の前端枠部602の自由端部(正面視で上下の左側端部)の後面に上軸支金具630及び下軸支金具640を取付けるための金具取付部610を備えている(図69を参照)。この金具取付部610は、図68等示すように、その前側が上下及び左右に延びた複数のリブによって補強されており、充分な強度で上軸支金具630及び下軸支金具640を取付けることができるようになっている。また、本体枠ベース600は、正面視で下部後壁部604の右端上部に前後方向に貫通した略円形のシリンダ錠貫通穴611と、シリンダ錠貫通穴611の正面視左下に形成され扉枠5における扉枠ベース本体110から後方へ突出する位置決め突起110dと嵌合するU字状の嵌合溝612と、嵌合溝612の正面視左下に形成され打球発射装置650の発射ソレノイド654を収容するソレノイド収容凹部613と、を備えている。
本例の本体枠ベース600は、上述したように、下部後壁部604が前端枠部602の前面よりも後側へ一段窪んだ位置に形成されており、下部後壁部604の正面視右側前面に、打球発射装置650の発射ソレノイド654がソレノイド収容凹部613内に収容されるように前側から打球発射装置650が取付けられるようになっている。この下部後壁部604の前面に打球発射装置650を取付けた状態では、図63や図98等に示すように、打球発射装置650における発射レール660の上端よりも正面視左側に、左方向及び下方へ広がったファール空間626が形成されるようになっている。本例では、本体枠3に対して扉枠5を閉じた状態とすると、ファール空間626の下部にファールカバーユニット540におけるファール球入口542eが位置するようになっており、ファール空間626を下降した遊技球が、ファールカバーユニット540のファール球入口542eに受けられて、皿ユニット300における下皿302へ排出されるようになっている。
また、本体枠ベース600は、正面視で下部後壁部604の左右中央よりも左側に前後方向へ矩形状に貫通する開口部614と、開口部614の上側及び正面視左右両側に複数形成され前後方向に貫通した透孔615と、を備えている。この本体枠ベース600の開口部614は、前側から中継端子板カバー692(図66等を参照)によって閉鎖されるようになっており、中継端子板カバー692の開口692aを通して、下部後壁部604の後面に取付けられた基板ユニット800の主側中継端子板880と周辺側中継端子板882とが前側へ臨むようになっている。また、複数の透孔615は、基板ユニット800のスピーカボックス820からの音を、本体枠ベース600の前側へ伝達させるためのものである。なお、開口部614の左右両側に配置された透孔615は、前側に衝壁を有したベンチレーション型の孔とされている。
また、本体枠ベース600は、開口部614の上側で下部後壁部604の前面上端付近に遊技盤4を脱着可能に固定するための遊技盤固定具690を回転可能に支持する固定具支持部616と、固定具支持部616の正面視右下から前方へ突出し遊技盤固定具690の回転位置を規制するストッパ617と、を備えている。
ここで、遊技盤固定具690は、図61等に示すように、本体枠ベース600の固定具支持部616に軸支される軸心を中心に扇状に広がる固定片690aと、固定片690aにおける周方向一端側(正面視で時計回りの方向へ回転させた時に後端となる側)から外方へ延出する操作片690bと、を備えている。この遊技盤固定具690は、本体枠ベース600の固定具支持部616に軸支させた上で、操作片690bを操作して遊技盤固定具690を正面視で時計回りの方向へ回動させると、固定片690aが遊技盤載置部606よりも上方へ突出し、遊技盤載置部606に載置された遊技盤4の固定凹部1121内に挿入されるようになっており、遊技盤4が前側へ移動するのを阻止することができるようになっている。また、遊技盤固定具690は、操作片690bがストッパ617と当接するようになっており、ストッパ617と当接することで、正面視反時計周りの方向への回動端が規制されるようになっている。
更に、本体枠ベース600は、シリンダ錠貫通穴611の下側前面に、本体枠3に対する扉枠5の開放を検知するための扉枠開放スイッチ618が取付けられており、本体枠3に対して扉枠5が開かれる(開放される)と、その押圧が解除されて扉枠5の開放を検知することができるようになっている。また、本体枠ベース600は、扉枠開放スイッチ618が取付けられた位置よりも下側後面に、外枠2に対する本体枠3の開放を検知するための本体枠開放スイッチ619が取付けられており(図69を参照)、外枠2に対して本体枠3が開かれる(開放される)と、その押圧が解除されて本体枠3の開放を検知することができるようになっている。
また、本体枠ベース600は、コ字状の前端枠部602における正面視で右側(開放側)辺の係合溝603よりも内側(軸支側)に、前後方向へ縦長に貫通する三つの扉用フック穴620と、下端の扉用フック穴620の下側に前後方向へ貫通し左右方向に二つ並んだ錠係止穴621と、を備えている。これら三つの扉用フック穴620は、上下方向の上下両端付近と、上下方向の略中央に夫々形成されている。この上側と中央の扉用フック穴620と錠係止穴621には、錠装置1000の上下両端に備えられた係止突起1004が係合係止されるようになっており、前端枠部602における正面視右辺の後側で周壁部605の外壁に沿って錠装置1000が本体枠ベース600に取付けられるようになっている。そして、本体枠ベース600に錠装置1000を取付けた状態では、錠装置1000の三つの扉枠用フック部1041が、三つの扉用フック穴620から前方へ突出すると共に、錠装置1000のシリンダ錠1010がシリンダ錠貫通穴611から前方へ突出した状態となるようになっている(図63を参照)。
更に、本体枠ベース600は、下部後壁部604の後面に、背面視で、右側上端から左右方向略中央へ向かって緩く斜めに下降した上で、左右方向の略中央で下部後壁部604における上下方向の中間からやや上寄りの位置まで垂下し遊技球が流通可能とされた本体枠ベース球抜通路622を備えている。この本体枠ベース球抜通路622は、基板ユニット800における基板ユニットベース810によって後側が閉鎖されようになっており、詳細は後述するが、賞球装置740における球抜通路741dを流通した遊技球が流通するようになっている。
また、本体枠ベース600は、周壁部605における背面視左辺の後端に、上下方向へ所定間隔で複数配置され裏カバー900の軸支ピン906を回動可能に軸支する裏カバー軸支部623と、下部後壁部604の前面で開口部614の正面視斜め左上に球出口開閉ユニット790を取付けるための取付部624と、周壁部605の正面視右側(開放側)側面に錠装置1000を取付固定するための錠取付部625と、を備えている。
なお、詳細な説明は省略するが、本体枠ベース600には、上記の他に、打球発射装置650、賞球ユニット700、及び基板ユニット800等を取付けるための取付ボスや取付孔等が適宜位置に形成されている。
[1-3B.上軸支金具及び下軸支金具]
次に、本体枠3における上軸支金具630及び下軸支金具640について、主に図66及び図67を参照して説明する。本体枠3における上軸支金具630及び下軸支金具640は、本体枠ベース600の正面視左端上下後面の金具取付部610に、所定のビスを用いて夫々取付けることで、本体枠3に対して扉枠5を開閉可能に軸支することができると共に、外枠2に対して本体枠3を開閉可能に軸支させることができるものである。
まず、上軸支金具630は、本体枠ベース600の上側の金具取付部610に取付けられ上下左右方向へ広がる板状の取付部631と、取付部631の上端から前方へ延出する板状の前方延出部632と、前方延出部632の前端付近から上方へ延びだすように突設された軸支ピン633と、軸支ピン633の正面視左側に配置され扉枠5の軸ピン155が挿入される上下方向に貫通した扉枠軸支穴634(図63等を参照)と、前方延出部632の正面視左側端部から下方へ垂下し扉枠5の開放側への回動端を規制するストッパ635(図65及び図109を参照)と、を備えている。この上軸支金具630は、取付部631、前方延出部632、及びストッパ635が、一枚の金属板を屈曲成形することで一体的に形成されている。
一方、下軸支金具640は、扉枠5を軸支するための扉枠軸支金具642と、扉枠軸支金具642の下側に配置され外枠2に対して本体枠3を軸支するための本体枠軸支金具644と、を備えている。下軸支金具640における扉枠軸支金具642は、本体枠ベース600の下側の金具取付部610に取付けられ上下左右方向へ広がる板状の取付部642aと、取付部642aの下端から前方へ延出する板状の前方延出部642bと、前方延出部642bの前端付近に上下方向へ貫通し扉枠5の軸ピン157が挿入される扉枠軸支穴642cと、前方延出部642aの正面視左側端部から上方へ立設され扉枠5の開放側への回動端を規制するストッパ642dと、を備えている。この扉枠軸支金具642は、取付部642a、前方延出部642b、及びストッパ642dが、一枚の金属板を屈曲成形することで一体的に形成されている。
また、下軸支金具640における本体枠軸支金具644は、本体枠ベース600の下側の金具取付部610に取付けられ上下左右方向へ広がる板状の取付部644aと、取付部644aの下端から前方へ延出する前方延出部644bと、前方延出部644b前端付近に上下方向へ貫通した本体枠軸支穴(図示は省略する)と、を備えている。この本体枠軸支金具644もまた、取付部644a、及び前方延出部644bが、一枚の金属板を屈曲成形することで一体的に形成されている。
本例の下軸支金具640は、扉枠軸支金具642の取付部642aと本体枠軸支金具644の取付部644aとが前後方向に重なった(接した)状態とされると共に、扉枠軸支金具642の前方延出部642bと本体枠軸支金具644の前方延出部644bとが上下方向に所定距離離間した状態で、本体枠ベース600における下側の金具取付部610に取付けられるようになっている。
この上軸支金具630及び下軸支金具640は、本体枠ベース600に取付けた状態で、上軸支金具630の軸支ピン633と、下軸支金具640の図示しない本体枠軸支穴とが同軸上に位置するようになっており、下軸支金具640における本体枠軸支金具644の本体枠軸支穴が、外枠2における下支持金具21の支持突起21dに嵌合挿入されるように、本体枠軸支金具644の前方延出部644bを、下支持金具21の支持突出片21c上に載置した上で、上軸支金具630の軸支ピン633を、外枠2における上支持金具20の支持鉤穴20c内に挿入することで、本体枠3を外枠2に対して開閉可能に軸支させることができるようになっている。
また、この上軸支金具630及び下軸支金具640は、本体枠ベース600に取付けた状態で、上軸支金具630の扉枠軸支穴634と、下軸支金具640の扉枠軸支金具642cとが同軸上に位置するようになっており、下軸支金具640における扉枠軸支金具642の扉枠軸支穴642cに、扉枠5の軸ピン157が挿入されるように扉枠5の下軸支部158を扉枠軸支金具642の前方延出部642b上に載置した上で、扉枠5の軸ピン155を、上軸支金具630の扉枠軸支穴634に挿入することで、本体枠3に対して扉枠5を開閉可能に軸支することができるようになっている。なお、本例では、扉枠5の上側の軸ピン155は、上下方向へ摺動可能とされており、上軸支金具630の扉枠軸支穴634へ挿入させる際に、軸ピン155を一旦、下方へスライドさせて、扉枠5の上軸支部156と上軸支金具630の前方延出部632とが上下に重なるようにした上で、軸ピン155を上方へスライドさせることで扉枠軸支穴634へ挿入することができるようになっている。
[1-3C.打球発射装置]
次に、本体枠3における打球発射装置650について、主に図70及び図71を参照して説明する。図70は、本体枠における打球発射装置の正面斜視図である。また、図71は、本体枠における打球発射装置の背面斜視図である。この打球発射装置650は、扉枠5の球送りユニット580から供給された遊技球を、ハンドル装置500の回転操作に応じた強さで遊技盤4の遊技領域1100内へ打ち込むことができるものである。
本実施形態の打球発射装置650は、本体枠ベース600における下部後壁部604の前面所定位置に取付けられる金属板の発射ベース652と、発射ベース652の下部後面に前側へ回転駆動軸654aが突出するように取付けられる発射ソレノイド654と、発射ソレノイド654の駆動軸654aに一体回転可能に固定される打球槌656と、打球槌656の先端に固定される槌先658と、槌先658の移動軌跡上における所定位置を基端として正面視斜め左上へ延出し発射ベース652の前面に取付けられる発射レール660と、発射レール660の基端上部に発射レール660との間で打球槌656先端の槌先658が通過可能とされると同時に遊技球が通過不能な隙間を形成し発射レール660の基端に遊技球を保持する球止め片662と、球止め片662によって発射レール660の基端に保持された遊技球を打球可能な打球位置よりも打球槌656(槌先658)が発射レール660側へ回動するのを規制するストッパ664と、を備えている。
この打球発射装置650における発射ソレノイド654は、詳細な図示は省略するが、駆動軸654aがハンドル装置500の回転操作角度に応じた強さ(速さ)で往復回動するようになっている。また、打球発射装置650の打球槌656は、発射ソレノイド654の駆動軸654aに固定される固定部656aと、固定部656aから緩やかな円弧状に延出し先端が駆動軸654aの軸心に対して法線方向を向き先端に槌先658が固定される棹部656bと、棹部656bに対して固定部656aを挟んで反対側へ延出しストッパ664と当接可能なストッパ部656cと、を備えている。打球槌656のストッパ部656cがストッパ664と当接することで、先端の槌先658が打球位置(正面視で反時計周りの方向の回動端)よりも発射レール660側へ回動するのが規制されるようになっている。
また、打球発射装置650の発射レール660は、遊技盤4の外レール1111の下端延長線上と略沿うように下方が窪んだ緩い円弧状とされている(図98を参照)と共に、前後方向に対して中央がV字状に窪んだ形状とされており、打球槌656によって打球された遊技球を発射レール660に沿って滑らかに遊技盤4側へ誘導させることができるようになっている。この発射レール660は、金属板を屈曲成形することで形成されている。
また、打球発射装置650は、打球槌656における打球位置側への回動端を規制可能なストッパ664の前面を被覆するストッパカバー666と、打球槌656における打球位置とは離れた位置の回動端(正面視で時計回りの方向の回動端)を規制するストッパ668と、を備えている。本例の打球発射装置650は、ストッパ664,668の表面がゴムで覆われており、打球槌656が当接した時の衝撃を吸収することができると共に、当接による騒音の発生を抑制することができるようになっている。
本例の打球発射装置650は、図63や図98等に示すように、本体枠ベース600の下部後壁部604に取付けた状態とすると、発射レール660の上端が左右方向の略中央で下部後壁部604の上端、つまり、遊技盤載置部606(遊技盤保持口601の下辺)よりも下方に位置するようになっており、遊技盤保持口601に保持された遊技盤4における外レール1111の下端との間で、左右方向に所定幅で下方へ広がったファール空間626が形成されるようになっている。そして、本例の打球発射装置650は、発射レール660よりも正面視左側のファール空間626を飛び越えるようにして遊技球を発射することで、遊技盤4の遊技領域1100内へ遊技球を打ち込むことができるようになっている。なお、上述したように、本体枠3に対して扉枠5を閉じた状態とすると、ファール空間626の下部にファールカバーユニット540のファール球入口542eが位置するようになっており、遊技領域1100内へ打ち込まれずにファール球となった遊技球が、ファール空間626を落下してファール球入口542eへ受入れられて、下皿302へ排出されるようになっている。
また、打球発射装置650は、発射ソレノイド654が、発射制御部4120によりハンドル装置500の回転操作に応じた駆動強さで駆動させられるようになっていると共に、球送りユニット580の球送ソレノイド585の駆動と同期するように駆動させられるようになっている。具体的には、打球発射装置650へ遊技球を供給する球送りユニット580では、球送ソレノイド585が駆動(ON)すると球送り部材584が遊技球を受入れ、その状態から球送ソレノイド585の駆動が解除(OFF)されると球送り部材584が受入れた遊技球を打球発射装置650側へ送るようになっているので、この球送りユニット580の球送ソレノイド585と略同時に発射ソレノイド654を駆動(ON)することで、球送りユニット580から発射レール660の後端へ遊技球を円滑に供給することができ、打球槌656の回動により遊技球を確実に発射することができるようになっている。
[1-3D.賞球ユニット]
次に、本体枠3における賞球ユニット700について、主に図72乃至図79を参照して説明する。図72は、本体枠における賞球ユニットの正面斜視図であり、図73は、本体枠における賞球ユニットの背面斜視図である。また、図74は、賞球ユニットを分解して前から見た分解斜視図であり、図75は、賞球ユニットを分解して後から見た分解斜視図である。更に、図76は、賞球ユニットにおける賞球タンクとタンクレールユニットとの関係を分解して後方から示す分解斜視図である。図77は、賞球ユニットにおける賞球装置を分解して後から見た分解斜視図である。図78は、賞球装置における払出通路と払出モータと払出回転体との関係を示す背面図である。また、図79は、賞球ユニットにおける球の流通通路を示す断面図である。
本実施形態の本体枠3における賞球ユニット700は、パチンコ機1を設置する遊技ホールにおける島設備において、島設備側からパチンコ機1へ供給された遊技球を貯留した上で、所定の払出指示に基づいてパチンコ機1の上皿301へ払出すものである。この賞球ユニット700は、本体枠ベース600の後面に取付けられる賞球ベース710と、賞球ベース710の後面上部に取付けられ島設備側から供給される遊技球を受けると共に貯留する賞球タンク720と、賞球タンク720の下側に配置され賞球タンク720に貯留された遊技球を整列させて下流側へ送るタンクレールユニット730と、タンクレールユニット730によって整列された遊技球を所定の払出指示に基づいて払出す払出装置740と、払出装置740によって払出された遊技球を皿ユニットの上皿301へ誘導することができると共に上皿301が遊技球で満タンになると払出された遊技球を下皿302側へ分岐誘導することができる満タン分岐ユニット770と、を主に備えている。
また、賞球ユニット700は、賞球ベース710に形成された賞球通路715の後側開口を閉鎖する賞球通路蓋780と、タンクレールユニット730や賞球装置740を接地するためのアース金具782と、賞球ベース710の後面に取付けられる外部端子板784と、外部端子板784の後側を覆う外部端子板カバー786と、を備えている。賞球ユニット700における賞球通路蓋780は、その後面に裏カバー900を固定するための裏カバー係合溝780aと、裏カバー係合溝780aの背面視左側に裏カバー900を締結固定するための裏カバー締結孔780bとが形成されている(図73及び図75等を参照)。
この賞球ユニット700は、賞球ベース710が、正面視で本体枠ベース600の上辺と左辺に沿うような逆L字状に形成されており、上辺に賞球タンク720及びタンクレールユニット730が配置されていると共に、左辺に縦長の賞球装置740が配置されており、賞球装置740の下側に満タン分岐ユニット770が配置されている。また、賞球装置740の直上でタンクレールユニット730よりも上側に賞球タンク720と隣接するように外部端子板784及び外部端子板カバー786が配置されている。
次に、賞球ユニット700における賞球ベース710は、図示するように、本体枠ベース600の上辺と正面視で遊技盤保持口601の左辺と略対応するような正面視逆L字状に形成されており、透明な合成樹脂によって一体的に成形されている。この賞球ベース710は、逆L字状の外側外周に略沿って後方へ延出した周壁部710aと、周壁部710aの後端から内側へ所定幅で延出し略同一面状に配置された後壁部710bと、を備えている。本例では、図75に示すように、周壁部710aの上辺側が、賞球ベース710の上端よりも一段下がった位置から後方へ延出するように形成されている。この賞球ベース710は、後壁部710bが前端よりも奥まった位置に位置しており、本体枠ベース600に取付けた時に、遊技盤4を収容可能な空間を形成することができるようになっている。
また、賞球ベース710は、周壁部710aの上辺上側に賞球タンク720を取付けるタンク取付部711と、タンク取付部711の横(背面視で右側)に配置され外部端子板784及び外部端子板カバー786を取付けるための外部端子板取付部712と、後壁部710bの上辺下端後側にタンクレールユニット730を取付けるための複数の取付係止部713と、後壁部710bの垂直辺後側に賞球装置740を取付けるための賞球装置取付部714と、賞球装置取付部714に隣接して賞球装置740から払出された遊技球を下方へ誘導する賞球通路715と、後壁部710bの下端に満タン分岐ユニット770を取付けるための取付係止部716と、を備えている。
更に、賞球ベース710は、後壁部710bの賞球装置取付部714の位置に前後方向へ貫通し賞球装置740から前方へ突出した払出モータ744等を逃がすための逃し穴717と、裏カバー900を固定するための裏カバー係合溝718と、を備えている。また、賞球ベース710には、詳細な説明は省略するが、賞球タンク720や賞球装置740等を取付けたり、本体枠ベース600に取付けたりするための取付孔や取付ボス等が適宜位置に形成されている。
続いて、賞球ユニット700における賞球タンク720は、図76にも示すように、上方が開放された横長箱状に形成されており、平面視が横長の略矩形状とされた底壁部721と、底壁部721の外周から上方へ立上ると共に平面視で右側後部(開放側の後部)のみが矩形状に底壁部710よりも後方へ突出した外周壁部722と、外周壁部722における右側後部の底壁部721よりも後方へ突出した部位によって形成され下方へ開口した排出口723と、排出口723の平面視左側(軸支側)から賞球タンク720の左端まで板状に延びた庇部724と、庇部724の平面視左端下側から後方へ延出する棒状の軸部725と、軸部725の基端付近及び外周壁722の前側両端に形成され賞球タンク720を賞球ベース710における賞球タンク取付部711へ取付けるための取付部726と、を備えている。
この賞球タンク720は、底壁部721の外周が外周壁部722で囲まれており、底壁部721上に所定量の遊技球を貯留することができるようになっている。また、賞球タンク720は、底壁部721の上面が、排出口723へ向かって低くなるように傾斜しており、底壁部721上の遊技球が排出口723へ向かって転動するようになっている。
また、賞球タンク720は、軸部725に回動自在に軸支される二つの球ならし部材727を備えている。この球ならし部材727は、図示するように、一端側が軸部725に軸支されるようになっていると共に内部に錘を保持しており、自重によって他端側が垂下するようになっている。この球ならし部材727は、後述するタンクレールユニット730内に垂下するようになっており、タンクレールユニット730内を流通する遊技球をならして整列させることができるものである。また、賞球タンク720の庇部724は、タンクレールユニット730の上側の略半分を覆うように形成されており、タンクレールユニット730内から遊技球が溢れるのを防止することができると共に、タンクレールユニット730内に埃等が侵入するのを防止することができるようになっている。
なお、詳細な図示は省略するが、賞球タンク720の底壁部721の上面は、平面視で左側(排出口723から遠い側)が右側へ向かって低くなるように傾斜していると共に、平面視で右側(排出口723に近い側)が後側の排出口723へ向かって傾斜するように形成されている。これにより、遊技球の流れをスムーズにすることができ、賞球タンク720内で球詰まりが発生するのを抑制することができるようになっていると共に、排出口723からタンクレールユニット730側へ遊技球をスムーズに排出することができるようになっている。
次に、賞球ユニット700におけるタンクレールユニット730は、図76にも示すように、賞球タンク720の下側に配置され左右方向へ長く延びたタンクレール731を備えている。このタンクレール731は、上方が開放された所定深さの樋状で前後方向に遊技球が二列で整列することが可能な幅(奥行)とされ、正面視左側(軸支側)端部が低くなるように底部が傾斜している。このタンクレール731は、左側(軸支側)端部に下方へ開口する排出口731a(図79を参照)と、前後方向の略中央で底部から上方へ延出した仕切壁731bと、前端下面より下方へ突出し賞球ベース710の取付係止部713に上側から係止される複数の係止突片731c(図74を参照)と、を備えている。
このタンクレール731は、正面視右側(開放側)端部が賞球タンク720における排出口723の直下に位置するようになっており、賞球タンク720の排出口723から排出された遊技球を受取った後に左方向へ転動させて排出口731aから賞球装置740側へ受け渡すことができるようになっている。また、タンクレール731の係止突片731cを賞球ベース710の取付係止部713に係止させることで、タンクレール731つまりタンクレールユニット730を賞球ベース710に取付けることができるようになっている。
また、タンクレールユニット730は、タンクレール731の排出口731a上部に回転可能に支持される整列歯車732と、整列歯車732の上部を覆う歯車カバー733と、歯車カバー733の正面視右端と連続しタンクレール731の上部を閉鎖する球押え板734と、タンクレール731内に進退可能とされタンクレール731内の遊技球が排出口731a側へ転動するのを停止させることが可能な球止片735と、タンクレール731内に配置されタンクレール731内の遊技球と接触可能とされたアース板736と、を備えている。整列歯車732は、図示するように、タンクレール731の仕切壁731bによって二列に仕切られた遊技球の二つの流路と対応するように、前後方向に並んで二つ備えられている。また、球押え板734は、上部に球止片735が取付けられる取付部734aと、上下方向に貫通し球止片735の突片735aが挿通可能な二つのスリット734bと、を備えている。
このタンクレールユニット730内には、賞球タンク720に軸支された二つの球ならし部材727が上方から球押え板734の上流側(開放側)に挿入されるようになっており、この球ならし部材727によって賞球タンク720の排出口723からタンクレール731内に排出された遊技球が、一段となるようにならすと共に、仕切壁731bに沿って二列に整列させるようにすることができるようになっている。また、球押え板734は、球ならし部材727によって一段とならなかった遊技球を強制的に一段とするためのものであり、排出口731a側へ向かうに従ってタンクレール731の底部との隙間が狭くなるようにタンクレール731に取付けられている。
タンクレールユニット730の整列歯車732は、図示するように、外周に複数の歯が形成されており、一対の整列歯車732における歯のピッチが半ピッチずつ、ずれるように軸支されている。これにより、タンクレール731を流下してきた遊技球の上部が整列歯車732の歯と噛み合いながら下流側の排出口732へ流下する時に、二列に整列された遊技球が交互に一つずつ賞球装置740へ送られるようになっている。
なお、タンクレール731の底部には、上下に貫通する細溝が形成されており、タンクレール731内を遊技球と一緒に転動する埃等の異物がその細溝から下方に落下するようになっている。また、タンクレール731の内壁に配置されたアース板736は、詳細な図示は省略するが、アース金具782を介して電源基板851のアース用コネクタを経由して外部に接地されるようになっており、タンクレール731内で遊技球がアース板736と接触することで、帯電した静電気を除去することができるようになっている。
また、タンクレールユニット730は、球押え板734の取付部734aに回動可能に取付けられた球止片735を回動させて、球止片735の突片735aをスリット734aを通してタンクレール730内へ挿入することで、突片735aによってタンクレール731内の二列の流路を閉止することができ、賞球装置740側へ遊技球が供給されるのを停止させることができるようになっている。
更に、タンクレールユニット730は、タンクレール731が透明な合成樹脂によって形成されており、外部からタンクレール731内の遊技球等の状態を視認することができるようになっている。
続いて、賞球ユニット700における賞球装置740は、タンクレールユニット730の排出口731aから排出供給された遊技球を、所定の払出指示に基づいて皿ユニット300の上皿301へ払出すためのものである。この賞球装置740は、図77乃至図79等に示すように、賞球ベース710における賞球装置取付部714に取付けられる上下方向へ延びたユニットベース741を備えている。賞球装置740におけるユニットベース741は、図示するように、後面側に、上端に開口し遊技球の外形よりも若干広い幅で上下方向の中央よりもやや下側の位置まで延出する供給通路741aと、供給通路741aの下端と連通し所定広さの空間を有した振分空間741bと、振分空間741bの背面視左側(開放側)下端と連通し略く字状に曲がって背面視左側面に開口する賞球通路741cと、振分空間741bの背面視右側(軸支側)下端と連通し下方へ延出して下端に開口する球抜通路741dと、を備えている。このユニットベース741の供給通路741a、振分空間741b、賞球通路741c、及び球抜通路741dは、後方へ開放された状態で形成されている。
本例の賞球装置740は、ユニットベース741の後側に取付けられユニットベース741よりも上下方向の長さが短い裏蓋742と、裏蓋742の下側に配置される板状のモータ支持板743と、モータ支持板743の前側に配置され回転軸744aがモータ支持板743よりも後方へ突出するようにユニットベース741に固定される払出モータ744と、払出モータ744の回転軸744aに一体回転可能に固定されモータ支持板743の後側に配置される第一ギア745と、第一ギア745と噛合しユニットベース741に軸支される第二ギア746と、第二ギア746と噛合しユニットベース741に軸支される第三ギア747と、第三ギア747と共に一体回転しユニットベース741の振分空間741c内に配置される払出回転体748と、払出回転体748とは第三ギア747を挟んで反対側に一体回転可能に固定され周方向に等間隔で複数(本例では三つ)の検出スリット749aを有した回転検出盤749と、を備えている。
また、賞球装置740は、ユニットベース741に取付けられ供給通路741a内の遊技球の有無を検出する球切れスイッチ750と、ユニットベース741に取付けられ賞球通路741c内を流通する遊技球の数を計測するための計数センサ751と、払出回転体748と一体回転する回転検出盤749の検出スリット749aを検出する回転角センサ752と、回転角センサ752を保持し裏蓋742の後面に取付けられるセンサ基板753と、払出モータ744、球切れスイッチ750、計数センサ751、及び回転角センサ752と払出制御基板4110との接続を中継し裏蓋742の後面に取付けられる賞球中継基板754と、を備えている。
更に、賞球装置740は、賞球中継基板754を後側から覆い裏蓋742の後面に取付けられる基板カバー755と、第一ギア745、第二ギア746、第三ギア747(回転検出盤749)、及びセンサ基板753を後側から覆い裏蓋742を挟んでユニットベース741の後面に取付けられるギアカバー756と、ユニットベース741の供給通路741a内を流通する遊技球と接触可能な供給通路アース金具757と、モータ支持板743を挟んで払出モータ744をユニットベース741へ固定すると共に払出モータ744をアース接続するためのビス758と、裏蓋742をユニットベース741に対して着脱可能に支持する着脱ボタン759と、を備えている。
本例の賞球装置740は、ユニットベース741の後側に裏蓋742が取付けられることで、供給通路741a、振分空間741b、賞球通路741c、及び球抜通路741dの開放された後端が閉鎖されるようになっている。また、ユニットベース741は、供給通路741aにおける上端よりも下の位置が、一旦、後方へ膨出した形状とされており、タンクレールユニット730から排出落下してきた遊技球の勢いを緩和させることができるようになっている。また、ユニットベース741は、供給通路741aにおける後方へ膨出した位置よりも下側の一方(背面視左側)の側面が部分的に切欠かれていると共に供給通路741aの切欠かれた位置の外側に球切れスイッチ750を取付けるためのスイッチ取付部741eと、賞球通路741cの途中に計数センサ751を取付けるためのセンサ取付部741fと、賞球通路741aよりも下側で前後方向へ貫通するように形成され払出モータ744を挿通可能なモータ挿通孔741gと、を備えている。
このユニットベース741のスイッチ取付部741eに球切れスイッチ750を取付けることで、球切れスイッチ741eの作動片が供給通路741aの側壁の一部を形成するようになっており、供給通路741a内に存在する遊技球によって作動片が押圧されることで球切れスイッチ741eによって供給通路741a内の遊技球の有無を検知することができるようになっている。この球切れスイッチ741eにより供給通路741e内の遊技球が検知されていない状態(球切れの状態)では、払出モータ744が回転しないようになっていると共に、球切れであることが遊技者やホール側に報知されるようになっている。
また、ユニットベース741は、第二ギア746、及び第三ギア747(払出回転体748)を軸支するための軸受部741hと、供給通路741aにおけるスイッチ取付部741eと振分空間741bとの間に配置され供給通路アース金具757を取付けるためのアース金具取付部741iと、ユニットベース741の上部に配置され裏蓋742を着脱支持するための着脱ボタン759が支持されるボタン支持孔741jと、を備えている。このユニットベース741は、アース金具取付部741iに供給通路アース金具757を取付けることで、供給通路アース金具757の後面が供給通路741a内の遊技球と接触することができるようになっていると共に、供給通路アース金具757の前面がコ字状のアース金具782の下端後面と接触するようになっており、供給通路アース金具757を介して供給通路741a内を流通する遊技球の静電気を除去することができるようになっている。
賞球装置740の裏蓋742は、全体が縦長の板状とされ上端が後方へ膨出した形態とされている。裏蓋742の上部には、着脱ボタン759を挿通させるボタン挿通穴742aと、上下方向の略中央後面に賞球中継基板754及び基板カバー755を取付けるための中継基板取付部742bと、中継基板取付部742bの下側に配置されセンサ基板753を取付けるためのセンサ基板取付部742cと、払出回転体748が通過可能な貫通孔742dと、を備えている。裏蓋742の中継基板取付部742bは、ユニットベース741のアース金具取付部741iの後側に位置するように形成されている。
また、賞球装置740のモータ支持板743は、本例では、アルミ板とされており、払出モータ744の金属製のモータハウジングと接触するようになっており、払出モータ744で発生する熱を放熱し易くすることができるようになっている。
また、賞球装置740の払出回転体748は、図78に示すように、周方向に等間隔で夫々一つの遊技球を収容可能な大きさの三つの凹部748aを備えており、払出回転体748が回転することで、供給通路741aから供給された遊技球が一つずつ凹部748aに収容されて、賞球通路741c又は球抜通路741d側へ払出すことができるようになっている。また、払出回転体748と一体回転する回転検出盤749の三つの検出スリット749aは、払出回転体748の凹部748a間と対応する位置に夫々形成されており、検出スリット749aを回転角センサ752によって検出することで、払出回転体748の回転位置を検出することができるようになっている。
本例の賞球装置740は、払出制御基板4110に、主制御基板4100からの払出コマンドやCRユニット6からの貸出コマンド等が入力されたり、球抜スイッチ860bが操作されたりすることで払出モータ744が回転して、所定数の遊技球を遊技者側(上皿301)へ払出したり、遊技ホール側(パチンコ機1の後側)へ排出したりすることができるようになっている。この払出モータ744の回転軸744aを回転駆動させると、回転軸744aに固定された第一ギア745を回転すると同時に、第一ギア745と噛合する第二ギア746が回転し、更に第二ギア746と噛合する第三ギア747が回転するようになっている。この第三ギア747には、前側に払出回転体748が、後側に回転検出盤749が、夫々一体回転可能に固定されており、第三ギア747と共に払出回転体748及び回転検出盤749が回転するようになっている。
この賞球装置740は、図78に示すように、振分空間741bの略中央に払出回転体748が回転可能に軸支されている。そして、払出モータ744によって払出回転体748が背面視反時計周りの方向へ回転させられると、供給通路741a内の遊技球が、賞球通路741c側へ払出されるようになっており、払出回転体748の回転によって賞球通路741c側へ払出された遊技球は、計数センサ751によって一つずつ数えられた上で賞球ベース710の賞球通路715へ受け渡されるようになっている。一方、払出モータ744によって払出回転体748が背面視時計回りの方向へ回転させられると、供給通路741a内の遊技球が球抜通路741d側へ払出されるようになっており、払出回転体748によって球抜通路741d側へ払出された遊技球は、球抜通路741dの下端から後述する満タン振分ユニット770の球抜通路778、本体枠ベース600の本体枠ベース球抜通路622、基板ユニット800における基板ユニットベース810の開口部812、及び電源基板ボックスホルダ840の排出通路842を介してパチンコ機1の後側外部へと排出することができるようになっている。
なお、本例の賞球装置740におけるユニットベース741は、透明な合成樹脂によって形成されており、本体枠3に組立てられた状態でも、透明な賞球ベース710を通して本体枠3の前側から、賞球装置740の供給通路741a、振分空間741b、賞球通路741c、球抜通路741d等の内部を視認することができ、球詰り等の不具合を簡単に発見することができるようになっている。
次に、賞球ユニット700における満タン分岐ユニット770について、主に図74、図75及び図79を参照して説明する。賞球ユニット700における満タン振分ユニット770は、賞球ベース710の下端に取付けられるものであり、賞球ユニット740の賞球通路741c側へ払出された遊技球を、皿ユニット300へ誘導することができると共に、皿ユニット300の上皿301において遊技球が満タンになると、皿ユニット300の下皿302に対して遊技球を払出すように振分けることができるものである。
この満タン分岐ユニット770は、前後方向の略中央上部に賞球ベース710の取付係止部716に係止される係止部770aと、後端上部に賞球ベース710の下端裏面に固定される固定部770bと、を備えている。満タン分岐ユニット770は、係止部770aを賞球ベース710の取付係止部716に、後側から係止させることで取付係止部716に対して吊持ちされた状態となり、賞球ベース710に対して固定部770bを所定のビスで固定することで、満タン分岐ユニット770を賞球ベース710の下端に取付固定することができるようになっている。
また、満タン分岐ユニット770は、図示するように、全体が後端から前端へ向かうに従って低くなるような箱状に形成されており、後端上部における左右方向の略中央に上方へ向かって開口し賞球ベース710の賞球通路715を流下してきた遊技球を受ける賞球受口771と、賞球受口771の下側に配置され左右方向へ広がった分岐空間772(図79を参照)と、分岐空間772における賞球受口771の直下から前側へ向かって遊技球を誘導する通常通路773(図79を参照)と、通常通路773を流通した遊技球を前方へ放出し前端の正面視右端に開口した通常球出口774と、分岐空間772における賞球受口771の直下よりも背面視右側へ離れた位置から前側へ向かって遊技球を誘導する満タン通路775(図79を参照)と、満タン通路775を流通した遊技球を前方へ放出し通常球出口774の正面視左側に開口した満タン球出口776と、を備えている。
更に、満タン分岐ユニット770は、後端上部の正面視左側端部に上方へ向かって開口し賞球装置740の球抜通路741dを流下してきた遊技球を受ける球抜受口777と、球抜受口777に受けられた遊技球を前側へ誘導する球抜通路778(図79を参照)と、球抜通路778を流通した遊技球を前方へ放出し正面視左端で通常球出口774及び満タン球出口776よりも後方の位置で開口した球抜出口779と、を備えている。
本例の満タン分岐ユニット770は、本体枠3に対して扉枠5を閉じた状態とすると、通常球出口774及び満タン球出口776が、夫々扉枠5におけるファールカバーユニット540の第一球入口542a及び第二球入口542cと対向して連通するようになっており、通常球出口774から放出された遊技球は、ファールカバーユニット540の第一球入口542aを通って皿ユニット300の上皿301へ供給され、満タン球出口776から放出された遊技球は、ファールカバーユニット540の第二球入口542cを通って皿ユニット300の下皿302へ供給されるようになっている。また、球抜出口779は、本体枠ベース600における本体枠ベース球抜通路622の背面視右側上端と連通するように形成されており、球抜出口779から放出された遊技球が本体枠ベース600の本体枠ベース球抜通路622へ受け渡されるようになっている。
この満タン分岐ユニット770は、賞球装置740の賞球通路741c側へ払出された遊技球が、賞球ベース710の賞球通路715を介して賞球受口771で受取られるようになっており、賞球受口771へ進入した遊技球は、通常の状態では、分岐空間772を垂下して賞球受口771の直下に配置された通常通路773内へと流下する。そして、通常通路773内へ流下した遊技球は、通常出口774からファールカバーユニット540の第一球入口542aに進入し、第一球通路542bを通って第一球出口544aから皿ユニット300の上皿301へ供給されることとなる。
ところで、皿ユニット300の上皿301が遊技球で満タンとなった状態で、更に賞球ユニット700(賞球装置740)から遊技球が払出されると、ファールカバーユニット540の第一球出口544aから上皿301側へ出られなくなった遊技球が、ファールカバーユニット540の第一球通路542b内で滞り、やがて、満タン分岐ユニット770における通常球出口774を通して上流の通常通路773内も一杯になる。この状態で、賞球受口771から分岐空間772内へ進入した遊技球は、通常通路773内へ進入することができず、分岐空間772内で横方向へ移動し始め、横方向へ移動した遊技球が満タン通路775内へ進入して、満タン球出口776からファールカバーユニット540の第二球入口542c、第二球通路542d、及び第二球出口544bを介して皿ユニット300の下皿302へ供給されるようになっている。
なお、本例の満タン分岐ユニット770は、全体が透明な合成樹脂によって形成されており、外部から内部を視認することができるようになっている。これにより、満タン分岐ユニット770内に侵入した埃やゴミ等の異物や、球詰りの発生等を、満タン分岐ユニット7700を分解しなくても簡単に発見することができるようになっている。
このように、本例の満タン分岐ユニット770は、上皿301内で遊技球が満タンとなると、その満タンが解消されるまでは、賞球装置740から払出された遊技球を、自動的に下皿302へ供給させることができるので、従来のパチンコ機のように上皿が満タンとなって上皿の球抜ボタンを操作することで遊技球が打球発射装置に供給されなくなって遊技球の打込が中断してしまうのを回避させることができ、遊技中の煩わしさを解消させて遊技に対する興趣が低下するのを抑制することができるようになっている。
また、本例の満タン分岐ユニット770は、上述したように、上皿301が満タンとなると、賞球装置740の直下、つまり、パチンコ機1の後部で払出される遊技球の通路を分岐させるようにしており、満タン分岐ユニット770の通常通路773内で滞留した遊技球は上皿301へ払出されるので、上皿301内の遊技球と通常通路773内の遊技球が打球発射装置650によって直接打ち込むことができる遊技球となり、上皿301における遊技球の貯留量は、実質的には、上皿301の容量と通常通路773の容量とを合わせた量となる。つまり、上皿301の容量を、従来のパチンコ機における上皿の容量よりも小さくしても、通常通路773の容量が加えられるので、従来と同等量の遊技球を上皿301で貯留することができる。従って、上皿301を小さくすることで相対的に扉枠5における遊技窓101を大きく(広く)することが可能となり、より広い遊技領域1100を備えたパチンコ機1とすることができ、遊技する遊技者に対して訴求力の高いパチンコ機1とすることができると共に、広い遊技領域1100により遊技者を楽しませることができるようになっている。
更に、満タン分岐ユニット770の二つの通常球出口774と満タン球出口776とを左右に並べて配置しているので、扉枠5に貯留皿を一つのみ備えるようにして受入口(第一球入口542a及び第二球入口542c)を一つのみとした場合でも、本体枠3側(満タン分岐ユニット770)を変更することなく、扉枠5側へ遊技球を送ることができる。従って、本体枠3における遊技球の流路(満タン分岐ユニット770)を変更しなくても、貯留皿の数が異なる扉枠5に対応させることが可能なパチンコ機1とすることができると共に、貯留皿の数が異なる扉枠5を備えたパチンコ機1のラインナップにかかるコストが増加するのを抑制することができる。
また、上述したように、扉枠5に備えられた貯留皿の数を変更しても、本体枠3を変更することなく対応させることができるので、扉枠5の変更にかかるパチンコ機1全体のコストを低減させることができ、多様なパチンコ機1を低コストで提供することができるようになっている。
更に、通常通路773を通って通常球出口774から扉枠5側へ送られる遊技球が、優先的に遊技領域1100内へ打ち込まれるようにしており、貯留皿を一つのみ備えた扉枠5に交換しても、賞球装置740から払出された遊技球を通常通路773及び通常球出口774を介して直ちに貯留皿へ送ることができるので、払出しから貯留までのタイムラグを少なくすることができ、打ち込むための遊技球が不足して遊技者の興趣が低下するのを抑制することができると共に、貯留皿の数が異なる扉枠5に対して充分に対応することができるようになっている。
また、上皿301が満タンでない限りは、賞球装置740から払出された遊技球が上皿301へ送られるので、下皿302に貯留された遊技球を上皿301へ移す頻度を低減させることが可能となり、遊技球の打込操作等に遊技者を専念させることができ、遊技者の遊技に対する興趣が低下するのを抑制することができる。
また、満タン分岐ユニット770の通常球出口774と満タン球出口776とを、左右に並んで配置しており、扉枠5に貯留皿を一つのみ備えるようにした場合でも、第一球入口542a等に相当する受入口の下端の位置を、貯留皿を二つ備えた扉枠5の上皿301と対応した第一球入口542a等と同じ高さとすることができるので、貯留皿の深さが浅くなるのを回避させることが可能となり、貯留皿を深くして充分な遊技球の貯留量を確保することができ、遊技者に対して頻繁に貯留量を気にさせることなく遊技を行わせることができると共に、本体枠3側を変更することなく、異なる数の貯留皿を備えた扉枠5に対応させることができ、パチンコ機1の機種変更等にかかるコストが増加するのを抑制することができる。
更に、満タン分岐ユニット770における満タン通路775が通常通路773から分岐する位置を、賞球装置740に可及的に近い位置で分岐させるようにしており、上皿301が遊技球で満タンとなり通常球出口774から遊技球が出られなくなっても、通常球出口774から満タン通路775の分岐位置までの間の通常通路773内に貯留される遊技球の量を可及的に多くすることができ、上皿301に貯留される実質的な遊技球の貯留量を可及的に多くすることができる。なお、扉枠5に一つのみ貯留皿を備えるようにした場合では、貯留皿が遊技球で満タンとなって通常球出口773や満タン球出口776から遊技球が出られなくなっても、通常通路773から満タン通路775が分岐する位置を、賞球装置740に対して可及的に近い位置に配置しているので、通常通路773だけでなく満タン通路775にも多くの遊技球を貯留させることができ、貯留皿に貯留される実質的な遊技球の貯留量を可及的に多くすることができる。従って、扉枠5側に備えられた貯留皿の数が異なっていても、本体枠3側(満タン分岐ユニット770)を変更することなく、夫々の扉枠5における遊技球の貯留量を最大限に多くすることができ、異なる扉枠5に対して充分に対応することが可能なパチンコ機1とすることができる。
また、満タン分岐ユニット770における通常通路773及び満タン通路775を、複数列で遊技球を流通可能な広さとしており、満タン分岐ユニット770内での遊技球の停留量(貯留量)をより多くすることができるので、扉枠5に備えられた貯留皿の数が異なっていても、満タン分岐ユニット770内の遊技球を合わせた実質的な貯留量が少なくなるのを回避させることができ、本体枠3における遊技球の流路を変更することなく、貯留皿の数が異なる扉枠5に対応させることが可能なパチンコ機1とすることができる。
また、満タン分岐ユニット770を透明樹脂で形成することで通常通路773及び満タン通路775の内部を、外部から視認可能としているので、満タン分岐ユニット770内で遊技球が詰まって不具合が発生した際に、満タン分岐ユニット770の外部から球詰りの箇所を容易に発見することができ、不具合を早期に解消させてパチンコ機1の稼働率を高めることができる。
[1-3E.球出口開閉ユニット]
次に、本体枠3における球出口開閉ユニット790について、主に図80乃至図82を参照して説明する。図80は、本体枠における球出口開閉ユニットの正面斜視図である。また、図81は、本体枠における球出口開閉ユニットの背面斜視図である。更に、図82は、本体枠における球出口開閉ユニットと扉枠におけるファールカバーユニットとの関係を示す説明図である。本実施形態の本体枠3における球出口開閉ユニット790は、本体枠ベース600の下部後壁部604における正面視左上端付近に形成された取付部624に取付けられるものであり、本体枠3に対して扉枠5が開いた時に、賞球ユニット700における満タン分岐ユニット770前端の通常球出口774と満タン球出口776とを閉鎖して、賞球ユニット700から扉枠5の皿ユニット300への遊技球の流れを遮断することができるものである。
この球出口開閉ユニット790は、本体枠ベース600の下部後壁部604における正面視左上端付近に形成された取付部624に下部後壁部604の上端よりも突出しないように取付けられるシャッターベース791と、シャッターベース791に上下方向へスライド可能に保持される板状の開閉シャッター792と、開閉シャッター792を上下方向へスライドさせる開閉クランク793と、開閉クランク793を介して開閉シャッター792が上昇するように付勢する開閉バネ794と、を備えている。
球出口開閉ユニット790のシャッターベース791は、開閉シャッター792がシャッターベース791の上端よりも上方へ突出するように上下方向へスライド可能に保持するための上下方向へ延びた一対のスライド溝791aと、一対のスライド溝791aの間で前後方向に貫通した矩形状の開口部791bと、正面視で左側端部前面に配置され開閉クランク793を前後方向へ延びた軸周りに回動可能に支持するクランク支持部791cと、開閉バネ794の一端(上端)を係止するバネ係止部791dと、を備えている。シャッターベース791のクランク支持部791cは、開口部791bの正面視左側に配置されていると共に、バネ係止部791dは、正面視で左右方向中央から左寄りの上部付近に配置されている。
また、球出口開閉ユニット790の開閉シャッター792は、平板状のシャッター本体792aと、シャッター本体792aの前面から突出しシャッターベース791のスライド溝791a内を摺動する一対の摺動突部(図示は省略)と、一対の摺動突部の間でシャッターベース791の開口部791bから臨む位置に配置され前後方向へ貫通した横長矩形状の駆動孔792bと、を備えている。
更に、球出口開閉ユニット790の開閉クランク793は、シャッターベース791のクランク支持部791cにより前後方向へ延びた軸周りに回動可能に支持される軸部793aと、軸部793aの正面視右側外周から右外方へ延出し先端が開口部791bの左右方向中央付近まで延出した駆動棹793bと、駆動棹793bの先端から後方へ突出し開閉シャッター792の駆動孔792b内に摺動可能に挿入される駆動ピン793cと、軸部793aの正面視下側外周から下方へ延出し先端が球形状とされた当接部793dと、駆動棹793bの途中上面に形成され開閉バネ794の他端(下端)を係止するバネ係止部793eと、を備えている。
なお、本例の球出口開閉ユニット790は、シャッターベース791及び開閉シャッター792が、透明な合成樹脂によって形成されており、開閉シャッター792が上昇した状態でも、開閉シャッター792を通して後側に配置された満タン分岐ユニット770における通常球出口774や満タン球出口776等が視認できるようになっている。
本例の球出口開閉ユニット790は、開閉クランク793が前後方向へ延びた軸回りに回動することで、開閉クランク793の駆動ピン793cが円弧状に上下方向へ回動すると同時に、駆動ピン793cが挿入された駆動孔792bを介して開閉シャッター792が上下方向へスライドするようになっている。この球出口開閉ユニット790は、本体枠3に対して扉枠5を閉じた状態では、開閉クランク793の当接部793dが扉枠5におけるファールカバーユニット540の開閉作動片542gと当接して、当接部793dが正面視で時計回りの方向へ開閉バネ794の付勢力に抗して回動させられるようになっており、当接部793dと共に駆動ピン793cが正面視時計回りの方向へ回動することで、開閉シャッター792が下降して満タン分岐ユニット770前端の通常球出口774と満タン球出口776とを開放させることができるようになっている。
この状態から本体枠3に対して扉枠5を開くと、開閉クランク793の当接部793cと、扉枠5におけるファールカバーユニット540の開閉作動片542gとの当接が解除され、開閉クランク793が開閉バネ794の付勢力によって正面視反時計周りの方向へ回動すると同時に、開閉シャッター792が上昇して、満タン分岐ユニット770前端の通常球出口774と満タン球出口776とを閉鎖することができるようになっている。
このように、本体枠3に対する扉枠5の開閉に応じて、球出口開閉ユニット790により賞球ユニット700における満タン分岐ユニット770前端の通常球出口774と満タン球出口776とを自動的に開閉させることができるので、満タン分岐ユニット770内に遊技球が残っている状態で扉枠5を開いても、通常球出口774や満タン球出口776から遊技球がこぼれてしまうのを防止することができるようになっている。
[1-3F.基板ユニット]
次に、本体枠3における基板ユニット800について、主に図83乃至図89を参照して説明する。図83は、本体枠における基板ユニットの正面斜視図であり、図84は、本体枠における基板ユニットの背面斜視図である。また、図85は、基板ユニットを分解して前から見た分解斜視図である。更に、図86は、基板ユニットを分解して後から見た分解斜視図である。また、図87は、基板ユニットにおける電源基板ボックスの立壁部の作用を説明する斜視図である。図88(A)は基板ユニットにおける端子基板ボックスの断面図であり、(B)は基板ユニットにおける端子基板ボックスを分解して前から見た分解斜視図である。また、図89(A)は発射電源基板ボックスの正面図であり、(B)は(A)に示すA-A線の断面図である。
本体枠3における基板ユニット800は、本体枠ベース600の下部後壁部604の後面に取付けられる基板ユニットベース810と、基板ユニットベース810の正面視左側後面に取付けられるスピーカボックス820と、基板ユニットベース810の正面視右端後面に取付けられる発射電源基板ボックス830と、発射電源基板ボックス830を後側から囲うように基板ユニットベース810の後面に取付けられる電源基板ボックスホルダ840と、電源基板ボックスホルダ840の後面に取付けられ後端がスピーカボックス820の後端と略同一面状となる大きさに形成された電源基板ボックス850と、電源基板ボックス850及びスピーカボックス820の後面に取付けられる払出制御基板ボックス860と、払出制御基板ボックス860の正面視左側端部を覆うようにスピーカボックス820の後面に取付けられる端子基板ボックス840と、基板ユニットベース810の前面に取付けられる主側中継端子板880及び周辺側中継端子板882と、を備えている。
本例の基板ユニット800における基板ユニットベース810は、図示するように、左右方向へ長く延びた形態とされ、左右方向の略中央部が下方へ一段下がり左右両端へ向かうに従って緩やかに上側へ傾斜し前面から前方へ突出した壁状の遮蔽壁部811と、遮蔽壁部811における左右方向中央の一段下がった位置の上側に配置され前後方向へ貫通した開口部812と、遮蔽壁部811の下側で正面視左端近傍の前面に形成され主側中継端子板880及び周辺側中継端子板882を取付けるための基板取付部813と、基板取付部813の正面視左側で前後方向へ横長の矩形状に貫通した筒状のダクト部814と、後面に固定されるスピーカボックス820のスピーカ821と対応する位置で前後方向に貫通する縦長スリット状の複数の透孔815と、背面視左側(正面視右側)上部の後面に後方及び上方へ開放され発射電源基板ボックス830の前側を収容可能なボックス収容部816と、を備えている。
この基板ユニットベース810は、遮蔽壁部811が、本体枠ベース600における下部後壁部604の後面に形成された本体枠ベース球抜通路622の下側に沿うように形成されており、本体枠ベース球抜通路622から遊技球が下方へ脱落するのを防止することができると共に、基板ユニットベース810の強度を高めることができるようになっている。また、基板ベースユニット810は、前後方向に貫通した開口部812を通して、本体枠ベース球抜通路622を流下してきた遊技球を基板ユニットベース810の後側に配置された電源基板ボックスホルダ840へ送ることができるようになっている。
また、基板ユニットベース810は、主側中継端子板880及び周辺側中継端子板882を取付ける基板取付部813が、本体枠ベース600における矩形状に開口した開口部614と対応した位置に配置されており、基板取付部813に主側中継端子板880と周辺側中継端子板882を取付けた状態では、本体枠ベース600の開口部614から主側中継端子板880と周辺側中継端子板882が前側へ臨むようになっている。また、基板ユニットベース810は、ダクト部814及び複数の透孔815によってスピーカボックス820のスピーカ821からの音を前側へ良好に伝達させることができるようになっている。
更に、基板ユニットベース810は、ボックス収容部816が後側に配置される電源基板ボックスホルダ840の前ボックス収容部843と対応した位置に形成されており、ボックス収容部816と前ボックス収容部843とで、発射電源基板ボックス830を収容する収容凹部を形成することができるようになっている。
基板ユニット800におけるスピーカボックス820は、文字通り、前側を向いて取付けられたスピーカ821を備えている。このスピーカボックス820は、スピーカ821の後側を密閉状に覆うと同時に、正面視でスピーカ821の左側に横長矩形状の開放口822が形成されている。この開放口822は、詳細な図示は省略するが、所定の迷路状の通路を介してスピーカ821の後側の空間と連通することで、スピーカ821の後側の音の位相を反転させて前方へ放射するようにしており、スピーカ821の口径に対してより重低音を発することが可能なバスレフ型のスピーカボックスとされている。なお、基板ユニットベース810におけるダクト部814は、スピーカボックス820の開放口822と対応する位置に形成されており、開放口822から放射される音を前方へ良好に伝達させることができるようになっている。
基板ユニット800における発射電源基板ボックス830は、後方が開放された箱状に形成されており、その後端開口を閉鎖するように取付けられた発射電源基板831を備えている。この発射電源基板ボックス830は、発射電源基板831に取付けられた各種電子部品が内部に収容されるようになっており、上面及び下面に形成されたスリット830aを介して、電子部品等からの熱を外部へ放出することができるようになっている。
この発射電源基板ボックス830は、基板ユニットベース810のボックス収容部816と、後述する電源基板ボックスホルダ840の前ボックス収容部844とによって形成される上方へ開放された収容凹部内に、上方から脱着可能に収容されるようになっている。これにより、本体枠3を組立てた状態では、発射電源基板ボックス830に不具合が発生した場合、本体枠3の前側から発射電源基板ボックス830を簡単に脱着して交換したり修理したりすることができるようになっている(図63を参照)。
更に、発射電源基板ボックス830を詳述すると、図89にも示すように、発射電源基板831には、DC/DCコンバータ831aと、DC/DCコンバータ831aからの電力を充電及び放電する電解コンデンサSC0と、を備えており、DC/DCコンバータ831aからの電流と電解コンデンサSC0からの放電による電流とを併合した併合電流を打球発射装置650の発射ソレノイド654に電流を流して駆動している。この発射電源基板ボックス830は、発射電源基板831に実装されるDC/DCコンバータ831a及び電解コンデンサSC0が発する熱を外部へ放出するために、その上面及び下面に放熱孔としてのスリット830aが形成されている。
また、発射電源基板831の電解コンデンサSC0はDC/DCコンバータ831aと比べて熱によって破損しやすい電子部品であるため、電解コンデンサSC0が配置される発射電源基板ボックス830の側面には放熱孔としてのスリット830aが形成されている。また発射電源基板ボックス830には、その内部空間を、DC/DCコンバータ831aを収容するための空間と、電解コンデンサSC0を収容するための空間と、の2つの空間に仕切る仕切壁830bが上面内壁と下面内壁とを接続するように底面から端開口縁まで一体に形成されている。これにより、発射電源基板ボックス830の端開口に発射電源基板831を取付けて発射電源基板ボックス830の内部空間を閉鎖すると、発射電源基板ボックス830の内部空間が仕切壁830bによって、電解コンデンサSC0を収容するための収容空間830cと、DC/DCコンバータ831aを収容するための収容空間830dと、の2つ空間が形成されるため、仕切壁830bは、電解コンデンサSC0を収容するための収容空間830cと、DC/DCコンバータ831aを収容するための収容空間830dと、の熱の出入りを遮断する断熱壁として機能している。
電解コンデンサSC0が収容された収容空間830c内の熱は、つまり、電解コンデンサSC0が発する熱は、収容空間830cと外気とを連通する上面、側面、及び下面にそれぞれ形成された放熱孔としてのスリット830aを介して、外部へ放出されることにより、この放出される熱をDC/DCコンバータ831aが収容される収容空間830dへ入り込ませないようにすることができる。従って、電解コンデンサSC0が発する熱をDC/DCコンバータ831aへ伝えないようにすることができる。また、DC/DCコンバータ831aが収容された収容空間830d内の熱は、つまり、DC/DCコンバータ831aが発する熱は、収容空間830dと外気とを連通する上面及び下面にそれぞれ形成された放熱孔としてのスリット830aを介して、外部へ放出されることにより、この放出される熱を電解コンデンサSC0が収容される収容空間830cへ入り込ませないようにすることができる。従って、DC/DCコンバータ831aが発する熱を電解コンデンサSC0へ伝えないようにすることができる。
本実施形態では、打球発射装置650の発射ソレノイド654に流す併合電流を作成するためのDC/DCコンバータ831a及び電解コンデンサSC0が電源基板851に設けられるのではなく、電源基板851と別体の発射電源基板831に設けられることにより発射電源基板831のサイズを電源基板851のサイズと比べて小さくすることができる。従って、発射電源基板831の小型化により取り扱え易くなって発射電源基板831の交換作業が容易となりその交換作業に費やす時間の短縮化に寄与することができる。この交換作業では、発射電源基板ボックス830の端開口に発射電源基板831が取付けたままの状態、つまり発射電源基板ボックス830ごと、交換することもできる。
またパチンコ遊技機1が稼働されて電解コンデンサSC0がその寿命を迎え、発射ソレノイド654による駆動発射が突然発射不能となって遊技を中断せざるを得なくなっても、発射電源基板831の交換作業が容易に行えることにより遊技の中断を早い段階で解消することができる。したがって、電解コンデンサSC0の寿命による発射不能を極めて簡単に解消することができるとともに、その発射不能による遊技の中断を早い段階で解消して遊技を再開することができ、遊技者の興趣が低下するのを抑制することができる。
なお、発射電源基板831の電解コンデンサSC0は、発射ソレノイド654による駆動発射が行われるごとに、例えば、1分当たりに100回という頻度において、充放電が繰り返し行われることにより劣化して寿命を迎えるのに対して、電源基板851は、遊技ホール等の島設備の交流電源から直流電源を作成するものの、発射電源基板831の電解コンデンサSC0と同様の頻度で充放電が繰り返し行わるものではないため、発射電源基板831と比べると、その寿命は極めて長い。換言すると、発射電源基板831は、電解コンデンサSC0の充放電にともなう劣化によって寿命を迎えるのに対して、電源基板851は、経年変化によって寿命を迎える。発射ソレノイド654に流す併合電流を作成するためのDC/DCコンバータ831a及び電解コンデンサSC0が電源基板851に設けられるのではなく、電源基板851と別体の発射電源基板831に設けられることにより、寿命の長い経年変化にともなう電子部品を電源基板851に集中させることができる。これにより、寿命の長い経年変化にともなう電子部品が寿命の短い電解コンデンサSC0と一緒に交換されることを防止することができる。
また、打球発射装置650を制御する電解コンデンサSC0を備えた発射電源基板831を、遊技盤4を保持する遊技盤保持口601を通して前側から脱着可能としているので、打込特性を変化させるために容量の異なる電解コンデンサSC0に変更する不正を行おうとしても、発射電源基板831を脱着させるには遊技盤保持口601に保持された遊技盤4を取外す必要があり、発射電源基板831を交換し辛くして不正を行い難くすることができ、発射電源基板831が不正改造されて最適化されている打込強さを故意に変化させる不正を抑止することができると共に、不正を行い難くすることで苛立ち等を覚えた遊技者が不正行為等の不正へ発展するのを抑止することが可能なパチンコ機1とすることができるようになっている。
また、発射電源基板831を脱着可能として交換できるようにしているので、仮に、発射電源基板831の電解コンデンサSC0等に対して不正が行われても、発射電源基板831を直ちに交換して不正を解消させることができ、遊技の中断期間を可及的に短くすることができると共に、遊技の中断によって苛立ちを感じたり残念な気分になってしまったりするのを早期に解消させることができ、遊技者の遊技に対する興趣が低下するのを抑制することができるようになっている。
更に、打球発射装置650を制御する発射制御部4120における電解コンデンサSC0を備えた発射電源基板831が、遊技盤4を保持する本体枠3の遊技盤保持口601を通して前側から脱着可能とされており、機種変更等により遊技盤4を交換する際に、発射制御部4120の発射電源基板831(発射電源基板ボックス830)も簡単に交換することができるので、交換する新機種のコンセプト等にマッチした打込特性を実現できる電解コンデンサSC0やDC/DCコンバータ831aを備えた発射電源基板831に交換することで、本体枠3に以前から備えられている打球発射装置650の打込特性を、新しい遊技盤4にマッチしたものとすることができる。従って、遊技球の打込特性を遊技盤4のコンセプトに簡単に合わせることができるので、新機種の遊技盤4による遊技を充分に楽しませることができ、遊技者の興趣が低下するのを抑制することができる。
また、発射制御部4120の発射電源基板831を前側から脱着できるようにしているので、発射電源基板831を交換する際に、遊技ホール等の島設備に対して本体枠3を開ける必要がなく、交換にかかる手間を簡略化することができると共に、短時間で交換することができ、遊技ホール側の負担が増加するのを抑制することができる。また、発射電源基板831(発射電源基板ボックス830)を脱着可能として交換できるようにしているので、発射制御部4120(払出制御基板4110)全体を交換する場合と比較して、打込特性の変更にかかるコストを低減させることができ、ホール側等の負担を軽減させることができる。
更に、機種等を変更する際に、遊技盤4のみを交換して扉枠5や本体枠3等は以前のものをそのまま使用できるようにしているので、長期間の使用によって発射制御部4120の発射電源基板831の電解コンデンサSC0等が劣化した場合、上述したように、発射電源基板ボックス830を前側から簡単に交換することができるので、劣化によって不具合が発生して発射電源基板831を直ちに交換して不具合を解消させることができ、遊技の中断期間を可及的に短くすることができると共に、遊技の中断によって苛立ちを感じたり残念な気分になってしまったりするのを早期に解消させることができ、遊技者の遊技に対する興趣が低下するのを抑制することができる。
また、本体枠3の遊技盤保持口601を通して発射電源基板831(発射電源基板ボックス830)を支持させるようにしており、発射電源基板831を脱着させるには、遊技盤保持口601に保持された遊技盤4を取外す必要があるので、扉枠5と本体枠3との隙間から不正行為を行うための工具を侵入させても、遊技盤4によって不正な工具が発射電源基板831に到達するのを阻止することができ、発射電源基板831に対して不正行為が行われるのを防止することができると共に、不正行為に対する防御力の高いパチンコ機1とすることができる。
更に、遊技盤保持口601を通して発射電源基板ボックス830を支持させるようにしており、蓋然的に、発射電源基板ボックス830を支持する位置が本体枠3の前面よりも後側となるので、発射電源基板ボックス830を支持するためのスペースを確保し易くすることができ、発射電源基板ボックス830を支持して上記の作用効果を奏するパチンコ機1を確実に具現化することができる。
また、電解コンデンサSC0を発射電源基板831に備えるようにしており、発射電源基板831を本体枠3の前側から簡単に脱着することができるので、電解コンデンサSC0から発射ソレノイド654へ電源を供給することで電解コンデンサSC0にかかる負荷が大きくなって電解コンデンサSC0が劣化し易くなっても、電解コンデンサSC0(発射電源基板831)を簡単に交換することができ、不具合を早期に解消させて遊技の中断時間を可及的に短くすることができると共に、上述した作用効果を確実に奏するパチンコ機1とすることができる。
また、基板ユニット800における電源基板ボックスホルダ840は、正面視で左右中央よりも左側前面に、上方へ開放され遊技盤4のアウト球排出部1161から排出された下方へ排出された遊技球を受ける排出球受部841と、排出球受部841で受けられた遊技球を下方へ誘導して排出する排出通路842と、排出通路842及び排出球受部841の横(正面視で右側)の前面に前方及び上方へ開放され発射電源基板ボックス830の後側を収容可能な前ボックス収容部843と、電源基板ボックスホルダ840の後面全体が前側へ窪んだように形成され電源基板ボックス850の前端を収容可能な後ボックス収容部844と、を備えている。
この電源基板ボックスホルダ840は、排出通路842の開放された前端側が基板ユニットベース810の後面によって閉鎖されるようになっていると共に、基板ユニットベース810の開口部812が排出通路842へ望む位置に形成されており、本体枠ベース600における下部後壁部604の後面に形成された本体枠ベース球抜通路622を流通して基板ベースユニット810の開口部812を通って基板ユニットベース810の後側へ流下した遊技球と、詳細は後述するが遊技盤4のアウト球排出部1161から排出されて排出球受部841で受けられた遊技球とを、排出通路842を通してパチンコ機1の後側下方へ排出することができるようになっている。
また、電源基板ボックスホルダ840は、基板ユニットベース810のボックス収容部816と対応した位置に形成されており、ボックス収容部816と前ボックス収容部843とで、発射電源基板ボックス830を収容する収容凹部を形成することができるようになっている。
更に、基板ユニット800における電源基板ボックス850は、前方が開放された横長の箱状に形成されており、その前端開口を閉鎖するように取付けられた電源基板851を備えている。この電源基板ボックス850は、電源基板851に取付けられた各種電子部品が収容されるようになっており、上面及び下面に形成された複数のスリット850aを介して、電子部品等からの熱を外部へ放出することができるようになっている。なお、図86に示すように、電源基板ボックス850の後面には、電源基板851に取付けられた電源スイッチ852が臨むようになっている。
また、電源基板ボックス850は、電源基板851における電源スイッチ852の下側に取付けられた電源端子853(図84及び図86を参照)が後側へ臨む開口の下辺に沿って後方へ突出した立壁部850bと、立壁部850bの後端の両側から後方へ突出した突起部850cと、立壁部850bよりも前側且つ下側に配置され電源基板ボックス850の外周との間で配線コード854を挿通可能な隙間を形成する配線ガイド部850dと、を備えている。なお、詳細な図示は省略するが、電源基板851に実装された電源端子853は、コネクタ端子855の係止爪と係止する係止片を有しており、それら係止爪と係止片とを係止させることで、電源端子853からコネクタ端子855が外れないようになっている。
この電源基板ボックス850は、立壁部850bが、図87に示すように、電源基板851の電源端子853に配線コード854のコネクタ端子855を接続した状態で、コネクタ端子855の後端よりも若干後方へ突出するように形成されている。本例の電源基板ボックス850では、配線コード854が電源基板ボックス850の前方下側から立壁部850bの後端に引っ掛かるように後側へ回り込んだ状態で、電源基板851の電源端子853にコネクタ端子855が接続されるようになっている。
ところで、基板に取付けられた接続端子に対して、配線コードが延びだしたコネクタ端子を接続した上で、その配線コードを基板側へ引っ張った状態とすると、配線コードから係る張力によってコネクタ端子が接続端子側へ押し付けられるような状態となるので、接続端子からコネクタ端子を外し難くなる問題がある。しかしながら、本例の電源基板ボックス850によると、配線コード854の先端側(電源端子853と接続されたコネクタ端子855側とは反対側)が電源基板851側(本体枠3に対して前側)へ引っ張られても、コネクタ端子855よりも後方へ突出した立壁部850bによって、配線コード854がコネクタ端子855よりも後側へ回り込む(折返す)ように取り回されているので、配線コード854からコネクタ端子855が電源端子853側へ押し付けられるような力が作用するのを防止することができ、電源端子853に接続されたコネクタ端子855を簡単に外すことができるようになっている。
また、電源基板ボックス850は、立壁部850bの後端両側に後方へ突出した突出部850cを備えているので、配線コード854が立壁部850bの後端に沿ってスライドしても、後端の両端に備えられた突起部850cによって、それ以上外側へ配線コード854がスライドするのを阻止することができ、配線コード854が立壁部850bから外れるのを防止することができるようになっている。
また、電源基板ボックス850の配線ガイド部850dに配線コード854を挿入させることで、立壁部850bで折返された配線コード854を立壁部850b側へ寄せることができるので、立壁部850bから配線コード854を外れ難くすることができると共に、立壁部850bで配線コード854を折返した上で、直ちに配線ガイド部850dで配線コード854を立壁部850b側へ寄せることができるので、一連の作業を連続して行わせることができ、組立てに係る作業工程を簡略化することができるようになっている。
なお、電源基板ボックス850及び電源基板ホルダ840は、互いに組付けた状態における前後方向の寸法が、スピーカボックス820の前後方向の寸法と略同じとなるように形成されており、基板ユニットベース810に取付けると、電源基板ボックス850の後面と、スピーカボックス820の後面とが略同一面状となるようになっている。
また、本例では、電源基板851を覆う電源基板ボックス850の開口から臨む電源端子853にコネクタ端子855を接続した上で、コネクタ端子855の後端よりも後側へ突出した立壁部850bによってコネクタ端子855の後端から延出した配線コード854を折返させるようにしているので、配線コード854が引っ張られることでコネクタ端子855に作用する張力を、係止爪等により接続が固定された電源端子853との接続を解除するような方向へ作用させることが可能となり、配線コード854によってコネクタ端子855が外せなくなるのを回避させることができ、電源基板851の電源端子853に接続されたコネクタ端子855を外し易くして基板の交換等のメンテナンスを簡単に行うことができる。
また、電源基板ボックス850の立壁部850bによって配線コード854を折返させるようにしており、立壁部850bが無い場合と比較して、配線コード854の折曲がり具合を緩くさせることができるので、配線コード854自体に無理な力が作用するのを回避させることができ、無理な力により配線コード854が断線して不具合が発生するのを防止することができる。
更に、電源端子853が臨む電源基板ボックス850の開口の近傍に立壁部850bを備えるようにしており、蓋然的に、立壁部850bが電源端子853と隣接した位置となるので、電源端子853に接続されたコネクタ端子855から延びた配線コード854を、コネクタ端子855に対して可及的に真直ぐ後側へ延びださせることが可能となり、コネクタ端子855と配線コード854との繋ぎ目が折れて無理な力が作用するのを防止することができ、断線等の不具合が発生するのを防止することができる。
また、電源基板851を被覆する電源基板ボックス850に立壁部850bを備えるようにしているので、電源基板851に立壁部850bを備える必要が無く、電源基板851の組立作業を容易にすることができる。また、電源基板ボックス850で電源基板851を覆うようにしているので、電源基板851に不具合の発生原因となる埃やゴミ等が付着するのを防止することができると共に、電源基板851に実装された電子部品(例えば、抵抗器、コンデンサ、トランジスタ、IC、CPU、メモリー、等)に対して触れ難くしたり交換し難くしたりすることができ、不正行為に対する防御力を高めることができるようになっている。
また、電源基板851における電源端子853にコネクタ端子855を接続する方向を、基板面に対して略直角方向(前後方向)としており、電源基板851に実装された電源端子853に対して、コネクタ端子855を接続したり取外したりする時にかかる力を電源基板851の面に作用させ易くすることができるので、電源端子853におけるリード部に剪断力が作用するのを防止することが可能となり、リード部が破断して通電不良が発生したり電源基板851から電源端子853が外れてしまったりするのを防止することができ、不具合が発生し難いパチンコ機1とすることができる。
更に、コネクタ端子855と電源端子853との接続を係止爪と係止片とによる固定手段によって固定するようにしているので、配線コード854が立壁部850bによって折返されることで配線コード854を介してコネクタ端子855に電源端子853との接続を解除するような方向へ力が作用しても、コネクタ端子855と電源端子853との接続が解除されてしまうのを防止することができ、コネクタ端子855と電源端子853との接続を確実に維持して接触不良や通電不良等の不具合が発生するのを防止することができる。
また、電源基板ボックス850の立壁部850bにおける配線コード854が折返される後端の両端に、後方へ突出する突起部850cを備えるようにしているので、配線コード854が立壁部850bにおける折返される辺に沿ってスライドしても、辺の両端に備えられた突起部850cによって、それ以上外側へ配線コード854がスライドするのを阻止することができ、配線コード854が立壁部850bから外れるのを防止して上述した作用効果を確実に奏するパチンコ機1を具現化することができる。
また、電源基板ボックス850に備えられた配線ガイド部850dによって、立壁部850bで折返された配線コード854を立壁部850b側へ寄せるようにしているので、立壁部850bから配線コード854を外れ難くすることができ、上述した作用効果を確実に奏するようにすることができると共に、立壁部850bで配線コード854を折返した上で、直ちに配線ガイド部850dで配線コード854を立壁部850b側へ寄せることが可能となり、一連の作業を連続して行わせることができ、組立てに係る作業工程を簡略化してコストが増加するのを抑制することができる。
また、基板ユニット800における払出制御基板ボックス860は、横長で後方が開放された薄箱状のボックスベース861と、ボックスベース861内へ後側から嵌合し前方が開放された薄箱状のカバー862と、ボックスベース861の後面に取付けられカバー862によって後面が覆われる払出制御基板4110(図161を参照)と、を備えている。また、払出制御基板ボックス860は、背面視左端から外方へ突出しボックスベース861及びカバー862の双方に形成された複数の分離切断部863を備えており、複数の分離切断部863の一箇所でボックスベース861とカバー862とがカシメ固定されている。これによってボックスベース861とカバー862とを分離するためには、分離切断部863を切断しないと分離できないようになっており、払出制御基板ボックス860を開くと、その痕跡が残るようになっている。従って、払出制御基板ボックス860が不正に開閉させられたか否かが判るようになっている。なお、本例では、検査等のために払出制御基板ボックス860を一回だけ開閉することができるようになっている。
この払出制御基板ボックス860は、払出制御基板4110に取付けられたエラー解除スイッチ860a、球抜スイッチ860b、検査用出力端子860c、等がカバー862を通して後方へ臨むようになっている(図62を参照)。また、払出制御基板ボックス860は、主制御基板4100等と接続するための各種接続用の端子が、カバー862を通して後方へ臨むようになっている。
更に、基板ユニット800における端子基板ボックス870は、スピーカボックス820の後面に取付けられ、背面視左側上部後面に形成された基板取付部871a、及び背面視右端後面に形成された基板カバー取付部871bを有した基板ベース871と、基板ベース871の基板取付部871aに後側から取付けられ後面に周辺パネル中継端子872aが取付けられた周辺パネル中継端子板872と、基板ベース871の基板カバー取付部871bに後側から取付けられ後壁部873aに上下方向へ延びた開口部873bを有する接続端子板カバー873と、接続端子板カバー873の開口部873aから後方へ臨むCRユニット接続端子874aが後面に取付けられた接続端子板カバー873内に支持されるCRユニット接続端子板874と、接続継端子板カバー873と共に基板ベース871の後側を覆う基板ボックスカバー875と、を備えている。
この端子基板ボックス870における周辺パネル中継端子板872は、パチンコ機1を設置する島設備側に備えられたパチンコ機1の稼動状態等を表示するための度数表示器と本パチンコ機1とを接続するためのものであり、CRユニット接続端子板874は、パチンコ機1と隣接して設置される球貸し機(CRユニット6とも称す)と本パチンコ機1とを接続するためのものである。なお、端子基板ボックス870における基板ベース871、接続端子板カバー873、及び基板ボックスカバー875は、夫々透明な合成樹脂によって形成されており、外部から内部の周辺パネル中継端子板872やCRユニット接続端子板874等を視認することができるようになっている。また、基板ボックスカバー875の後面には、パチンコ機1において球詰り等の不具合が発生した場合に、島設備側に設置された度数表示器やCRユニット6等に表示されるエラーコードの内容が表示された状態表示シール876が貼り付けられている。
この端子基板ボックス870における基板ベース871は、図88に示すように、基板取付部871aが、後端が開放された薄い箱状に形成されている。この基板ベース871は、基板取付部871aの内側上部に形成され周辺パネル中継端子板872の上端を固定する固定片(図示は省略する)と、基板取付部871aの内側下部に形成され周辺パネル中継端子板872の下端を係止する係止爪871cと、を備えており、固定片と係止爪871cとによって周辺パネル中継端子板872を後側から脱着可能に保持することができるようになっている。
また、基板ベース871は、基板カバー取付部871bが、後側へ開放された薄い箱状に形成されており、その内周の大きさが接続端子板カバー873の外周が挿入可能な大きさとされていると共に、その内周壁が前後方向へ延びた外片部871cとされている。基板ベース871は、背面視右側の外片部871cを左右方向へ貫通する一対の固定孔871dと、基板カバー取付部871bの底壁から後方へ延出しCRユニット接続端子板874の前面と当接する上下方向へ延びた二つの突条871eと、基板カバー取付部871bの背面視左外側に配置され前後方向へ貫通する係止孔871fと、を備えている。この基板ベース871における突条871eは、後方への突出量が外片部871cよりもやや控えた状態となっていると共に、図示するように、CRユニット接続端子板874の両側端に可及的に近い位置となるように配置されている。
更に、基板ベース871は、基板カバー取付部871bの背面視右側後面に上下方向へ離反して配置され基板ボックスカバー875を回動可能に軸支するための一対の軸受部871gと、背面視左端部付近の後面に配置され前後方向へ延びた角筒状の係止部871hと、を備えている。
端子基板ボックス870における接続端子板カバー873は、CRユニット接続端子板872の外周を囲うと共に基板ベース871の外片部871cで囲まれた基板カバー取付部871b内へ挿入可能とされた外壁部873cと、外壁部873cの後端を閉鎖する後壁部873aと、後壁部873aを貫通し上下方向へ延びた矩形状の開口部873bと、開口部873bの内周に略沿って後壁部873aから前方(基板ベース871側)へ延出する内壁部873dと、内壁部873dの前端がCRユニット接続端子板874の前面と当接するようにCRユニット接続端子板874を保持し上下の外壁部873cに形成された鉤爪状の一対の基板保持部873eと、を備えている。
また、接続端子板カバー873は、CRユニット接続端子板874に取付けられた複数の内部接続端子874bと対応する位置に配置され後壁部873aを貫通した複数の開口部873fと、上下方向の略中央に配置された開口部873fの後側を覆い背面視左側が開放された箱状の保護部873gと、外壁部873cにおける背面視右側端部から外方(右方向)へ延出し基板ベース871の固定孔871d内へ挿通可能とされた一対の固定片873hと、外壁部873cにおける背面視左側端部に形成され基板ベース871の係止孔871fへ係止可能とされた弾性爪状の係止爪片873iと、を備えている。なお、図示は省略するが、保護部873gを備えた中央の開口部873fにおける内周の上下にも前方へ延出した内壁部873dが形成されている。
この接続端子板カバー873は、外壁部873cと後壁部873aとによって、前側が開放された薄い箱状となっている。また、接続端子板カバー873は、開口した前側からCRユニット接続端子板874を内部へ挿入することで、内壁部873dの前端によってCRユニット接続端子板874が後方へ移動するのを規制することができると共に、一対の基板保持部873eによってCRユニット接続端子板874が前方へ移動するのを規制することができ、而して、CRユニット接続端子板874を脱着可能に保持することができるようになっている。更に、接続端子板カバー873は、その固定片873hを基板ベース871の固定孔871d内へ挿入した上で、係止爪片873iを基板ベース871の係止孔871fへ係止させることで、基板ベース871の基板カバー取付部871bへ脱着可能に取付けることができるようになっている。
端子基板ボックス870におけるCRユニット接続端子板874は、その表面側(後面側)に、パチンコ機1と遊技ホールの島設備側に設置されたCRユニット6とを接続するためのCRユニット接続端子874aの他に、払出制御基板4110や、貸球ユニット360等と接続するための複数の内部接続端子874bが備えられている。なお、本例のCRユニット接続端子板874では、図示するように、CRユニット接続端子874aが係止機能を有したD-subコネクタとされており、内部接続端子874bが角形ツーピースコネクタとされている。
また、端子基板ボックス870における基板ボックスカバー875は、基板ベース871の後面全体を略覆う大きさで全体が前側へ開放された薄い箱状に形成され、背面視右側面に配置され基板ベース871の軸受部871gに回動可能に軸支される一対の軸部875aと、接続端子板カバー873における開口部873bと対応し前後方向へ貫通した貫通口875bと、貫通口875bの左右両側端から前方へ延出する衝壁875cと、基板ベース871の係止部871hに係止される係止片875dと、を備えている。
この基板ボックスカバー875は、一対の軸部875aを基板ベース871の軸受部871gに軸支させることで、接続端子板カバー873と共に基板ベース871の後面を開閉可能に覆うことができるようになっている。また、基板ボックスカバー875は、軸部875aに近い側(軸支された側)の衝壁875cが基板ベース871の後面まで延出する長さとされており、軸部875aから遠い側の衝壁875cが接続端子板カバー873の後面まで延出する長さとされている。つまり、本例の端子基板ボックス870では、基板ボックスカバー875を閉じた状態とすると、夫々の衝壁875cの前端が、基板ベース871や接続端子板カバー873の後面に略当接した状態となるようになっている。
本例の端子基板ボックス870は、CRユニット接続端子板874のCRユニット接続端子874aをD-subコネクタとしているので、図88に示すように、CRユニット接続端子板874の後面に対してCRユニット接続端子874aの本体が浮いた状態となっており、CRユニット接続端子874aから延びたリード部がCRユニット接続端子板874の後面側でも外部に露出した状態となっている。また、CRユニット接続端板874の内部接続端子874bは、角形のツーピースコネクタとされており、図示するように、後方から嵌合接続できるように取付けられている。
そして、本例の端子基板ボックス870は、図88に示すように、組立てた状態では、CRユニット接続端子板874の前面に沿った方向には接続端子板カバー873の外壁部873cと基板ベース871の突条871e及び外片部871cとが、また、CRユニット接続端子板874の後面に沿った方向には接続端子板カバー873の外壁部873cと内壁部873dと基板ボックスカバー875の軸部875a側の衝壁875cとが、夫々存在するので、幾重にもよる防壁が構築されることとなると共に、接続端子板カバー873と基板ベース871との境界の断面形状が蛇行したクランク形状となるようになっている。従って、喩え、接続端子板カバー873と基板ベース871との間(境界)に、可撓性に優れた不正な工具を侵入させようとしても、境界に沿って工具が曲がらず、CRユニット接続端子板874の面に沿った方向からの不正な工具の侵入を確実に阻止することができ、CRユニット接続端子板874に備えられたCRユニット接続端子874aに対する不正行為を確実に防ぐことができるようになっている。
また、この端子基板ボックス870は、接続端子板カバー873における内壁部873dの前端がCRユニット接続端子板874の後面と当接するようになっているので、CRユニット接続端子874aとして取付けられたCRユニット接続端子板874との間に隙間が形成されるD-subコネクタを用いても、内壁部873dによって露出したリード部の外周を覆うことができ、不正行為が行われるのを防止することができるようになっている。
また、端子基板ボックス870は、基板ベース871の後面に回動可能に軸支された基板ボックスカバー875に、CRユニット接続端子874aが臨む貫通口875bの軸部875a側に、一対の軸部875a間に跨る長さの衝壁875cを備えており、衝壁875cによって基板ボックスカバー875の強度・剛性を高めることができるので、基板ボックスカバー875と基板ベース871との間にドライバー等を差し込んで一対の軸部875aの間に隙間を形成させようとしても、基板ボックスカバー875が歪むのを阻止して隙間が形成されるのを防止することができ、不正行為を行い難くして抑止力の高いものとすることができるようになっている。
更に、本例の端子基板ボックス870は、CRユニット接続端子板874の中央付近の内部接続端子874bの後側を接続端子板カバー873の保護部873gと基板ボックスカバー875とで覆うようにしているので、ツーピースコネクタとされた内部接続端子874bに配線コード側の接続端子が嵌合接続された状態で接続端子のコネクタ本体と配線コードとの隙間を通して針状の電極を挿入する不正行為を行おうとしても、保護部873gと基板ボックスカバー875とによって電極の挿入を阻止することができ、内部接続端子874bに対する不正行為も防止することができるようになっている。
このように、本例によると、本体枠3の後面にCRユニット接続端子板874を収容した端子基板ボックス870を取付けるようにしているので、パチンコ機1の表側から外枠2と本体枠3との間等を介して不正な工具を挿入して、パチンコ機1の裏面側へ不正な工具の先端を侵入させても、端子基板ボックス870によって、収容されたCRユニット接続端子板874を保護することができ、CRユニット接続端子板874に対する不正行為を確実に防ぐことができる。
また、端子基板ボックス870内にCRユニット接続端子板874を収容した状態では、CRユニット接続端子板874の前面(基板の裏面)に沿った方向には接続端子板カバー873の外壁部873cと基板ベース871の突条871e及び外片部と871cが、また、CRユニット接続端子板874の後面(基板の表面)に沿った方向には接続端子板カバー873の外壁部873cと内壁部873dと基板ボックスカバー875の衝壁875cとが、夫々存在するので、幾重にもよる防壁が構築されることとなると共に、接続端子板カバー873と基板ベース871との境界の断面形状が蛇行したクランク形状となり、喩え、接続端子板カバー873と基板ベース871との間(境界)に、可撓性に優れた不正な工具を侵入させようとしても、境界に沿って工具が曲がらず、CRユニット接続端子板874の面に沿った方向からの不正な工具の侵入を確実に阻止することができ、CRユニット接続端子板874に備えられたCRユニット接続端子874aや内部接続端子874bに対する不正行為を確実に防ぐことが可能なパチンコ機1とすることができる。
また、接続端子板カバー873における内壁部873dの前端がCRユニット接続端子板874の後面と当接するようにしているので、CRユニット接続端子874aとして基板との間に各リード部が露出するようなD-subコネクタを用いても、内壁部873dによって露出したリード部の外周を覆うことができ、不正行為が行われるのを確実に防止することができる。
更に、端子基板ボックス870に、基板ベース871の後面に一方の端部が回動可能に軸支されて接続端子板カバー873の後面を開閉可能に覆うと共に、接続端子板カバー873の開口部873bと対応した貫通口875bにおける軸支された側の側端から前方へ基板ベース871の後面まで延出する板状の衝壁875cを有した基板ボックスカバー875を更に備えるようにしているので、基板ボックスカバー875における基板ベース871に対して軸支された部位同士の間に、ドライバー等を差し込んで隙間を形成して不正な工具を侵入させようとしても、衝壁875cによって不正な工具が接続端子板カバー873(CRユニット接続端子板874)側へ到達するのを阻止することができ、不正行為が行われるのを防止することができる。
また、端子基板ボックス870内のCRユニット接続端子板874を取出すには、基板ボックスカバー875を開けた上で接続端子板カバー873を開けなければならず、CRユニット接続端子板874を取出し難くすることができ、不正行為に対する抑止力を高めることができる。また、衝壁875cによって基板ボックスカバー875の強度・剛性を高めることができるので、基板ボックスカバー875と基板ベース871との間にドライバー等を差し込んで隙間を形成させようとしても、基板ボックスカバー875が歪むのを阻止して隙間が形成されるのを防止することができ、不正行為を行い難くして抑止力の高いものとすることができる。
更に、CRユニット接続端子板874のC内部接続端子874bに接続された配線コード側の端子における被コネクタ本体と配線コードとの隙間を通して、針状の電極を挿入する不正行為を行おうとしても、対応した開口部873fの後側、すなわち、被コネクタ本体の配線コードと沿った隙間の開口の後側を保護部873gと基板ボックスカバー875とで覆うようにしているので、端子基板ボックス870の外側(後側)から被コネクタ本体の隙間へ針状の電極を挿入することができず、接続された配線コードの端子に対して不正行為が行われるのを防止することができ、防犯能力の高いものとすることができる。
また、接続端子板カバー873の外壁部873cに、CRユニット接続端子板874を保持する基板保持部873eを備えると共に、外壁部873cをCRユニット接続端子板874よりも前側へ延出させているので、不正行為を行うために接続端子板カバー873と基板ベース871との間にドライバー等を差し込んで隙間を形成させても、CRユニット接続端子板874が接続端子板カバー873と共に後側へ移動するため、接続端子板カバー873における外壁部873cの前端とCRユニット接続端子板874との位置関係は変化することが無く、CRユニット接続端子板874の外周が外壁部873c(接続端子板カバー873)で保護されたままとすることができ、CRユニット接続端子板874の後面のCRユニット接続端子874a等に対して不正行為を行うことができず、CRユニット接続端子板874やCRユニット接続端子874a等を狙った不正行為を防止することができる。
更に、端子基板ボックス870を、透明樹脂によって形成しており、外側から端子基板ボックス870内を視認することができるので、端子基板ボックス870を分解しなくても、端子基板ボックス870の外側から、内部に収容されたCRユニット接続端子板874や周辺パネル中継端子板872等に対して不正な工具が挿入されていないか、CRユニット接続端子板874等自体が不正なものに交換されていないか、或いは、CRユニット接続端子板874等に実装された電子部品(例えば、ROM、IC、抵抗器、コンデンサ、等)が不正なものと交換されていないか、等を簡単に点検することができ、不正行為を発見し易くすることができると共に、不正行為が発見し易くなるので、不正行為を行うものに対して不正行為の実行を躊躇させることができ、不正行為に対する抑止力を高めることができる。
また、本体枠5の裏面側に、CRユニット接続端子板874等の表面が後側を向く方向となるように端子基板ボックス870を取付けているので、メンテナンス等の際に外枠2に対して本体枠5を前側へ回動させて本体枠5の後側が現れると、端子基板ボックス870に収容されたCRユニット接続端子板874等が作業者側(遊技者側)を向いた状態となり、CRユニット接続端子板874等や端子基板ボックス870を点検し易くすることができる。
基板ユニット800における主側中継端子板880及び周辺側中継端子板882は、本体枠3に取付けられる遊技盤4に備えられた周辺制御部4140や基板ユニット800の払出制御基板4110等と、扉枠5に備えられたハンドル装置500、各装飾基板や操作ユニット400等との接続を中継するためのものである。これら主側中継端子板880及び周辺側中継端子板882は、本体枠3側や扉枠5側へ接続するための複数の接続端子を備えており、基板ユニットベース810の前面に形成された基板取付部813に取付けることで、それら接続端子が本体枠ベース600の前面から前側を向くようになっている。
なお、主側中継端子板880及び周辺側中継端子板882は、図61及び図63等に示すように、本体枠ベース600の前面に取付けられる中継端子板カバー692によってその前側が覆われるようになっていると共に、中継端子板カバー692の開口692aを通して、扉枠5側と接続するための接続端子のみが前側へ臨むようになっており、それらの接続端子に配線コード196が接続されるようになっている(図1及び図28を参照)。
また、主側中継端子板880は、扉枠5側に配置される皿ユニット300における貸球ユニット360の貸球ボタン361、返却ボタン362、貸出残表示部363、ハンドル装置500の回転位置検知センサ512、タッチセンサ516、発射停止スイッチ518、及びファールカバーユニット540の満タン検知センサ550と、本体枠3側に配置される払出制御基板4110との接続を中継するためのものである。また、周辺側中継端子板882は、扉枠5側に配置される各装飾ユニット200,240,280及び皿ユニット300や操作ユニット400に備えられた各装飾基板430,432、及び操作ユニット400に備えられたダイヤル駆動モータ414やセンサ432a,432b,432cと、本体枠3側に配置される遊技盤4の周辺制御部4140との接続を中継するためのものである。
[1-3G.裏カバー]
続いて、本体枠3における裏カバー900について、図90乃至図92を参照して説明する。図90(A)は本体枠における裏カバーの正面斜視図であり、(B)は本体枠における裏カバーの背面斜視図である。また、図91は、裏カバーにおける締結機構の部位を拡大して示す断面図であり、図92は、裏カバーにおける締結機構を分解して後側から見た分解斜視図である。本例の裏カバー900は、透明な合成樹脂によって形成されており、パチンコ機1の後側から本体枠3内を視認することができるようになっている。
本体枠3における裏カバー900は、本体枠3における遊技盤4を保持するための遊技盤保持口601(本体枠3に取付けられた遊技盤4)の後側を開閉可能に被覆するものである。この裏カバー900は、遊技盤保持口601の後側開口を閉鎖する板状の本体部902と、本体部902の正面視右辺から前方へ延出する側部904と、側部904の前端に上下方向へ並んで複数配置され下方へ向かって突出し本体枠ベース600の裏カバー軸支部623に軸支される軸支ピン906と、本体部902の正面視左辺上部と下部に夫々形成され賞球ベース710の裏カバー係合溝718と賞球通路蓋780の裏カバー係合溝780aとに夫々係合する係合片908と、下側の係合片908の近傍に裏カバー900を本体枠3に対して開閉不能に締結するための締結機構920とを備えている。
裏カバー900における締結機構920は、図91及び図92等に示すように、裏カバー900の本体部902における下側の係止片908の背面視で左側に前後方向へ貫通した円形の挿通孔921と、挿通孔921の背面視で左側に所定距離はなれて配置され前後方向へ貫通した縦長矩形状の係止口922と、係止口922に対して後側から弾性係止される係止片923aを一端側に有すると共に他端側に挿通孔921と対応した横長の長孔923bを有する板状のガイド部材923と、ガイド部材923の長孔923bへ後側から挿通され本体部902の挿通孔921を介して賞球通路蓋780の裏カバー締結孔780bへ螺合される雄ねじ部924aを有した締結部材924と、締結部材924の雄ねじ部924aにガイド部材923を挟むように取付けられる保持部材925と、を備えている。なお、締結機構920におけるガイド部材923は、軟質の合成樹脂によって形成されており、曲がり易くなっている。
また、締結機構920は、ガイド部材923の係止片923aが、本体部902の係止口922に対して遊嵌状態で係止されるようになっており、ガイド部材923が所定の範囲内で遊動することができるようになっている。また、締結機構920は、締結部材924の雄ねじ部924aに取付けられた円盤状の保持部材925によって、締結部材924が長孔923bを通してガイド部材923に支持された状態となり、長孔923bに沿って左右方向へスライドすることができると共に、長孔923bから脱落しないようになっている。この締結機構920は、本体部902の係止口922へ後側からガイド部材923の係止片923aを係止させると、ガイド部材923の長孔923bを介して前側へ突出した締結部材924の雄ねじ部924aが、本体部902の挿通孔921へ挿通された状態となるようになっている。
本例の裏カバー900は、軸支ピン906を本体枠ベース600の裏カバー軸支部623に軸支させることで、本体枠3における遊技盤保持口601の後側開口を開閉することができ、係合片908を本体枠ベース600及び賞球通路蓋780の裏カバー係合溝718,780aに係合させることで、閉じた状態とすることができるようになっている。なお、裏カバー900を閉じた状態とすると、締結機構920における挿通孔921と賞球通路蓋780の裏カバー締結孔780bとが略一致した状態となるようになっている。
この裏カバー900を閉じた状態では、挿通孔921へ後側から前側へ挿通された締結部材924の雄ねじ部924aが、裏カバー締結孔780b内へ自然と螺合されることがないので、裏カバー900を閉じても雄ねじ部924aの先端が裏カバー締結孔780bの後端で止まった状態となり、締結部材924が裏カバー900の本体部902から後方へ突出することとなる。ところで、本例では、締結部材924が裏カバー900の本体部902の係止されたガイド部材923の長孔923b内に支持されているので、締結部材924が裏カバー900から脱落することなく、本体部9002の後側に位置した状態が維持されるようになっている。
そして、この状態から締結部材924の雄ねじ部924aの先端を裏カバー締結孔780bへ挿入して締結部材924を回転させることで、雄ねじ部924aが裏カバー締結孔780b内へとねじ込まれて(螺合されて)、裏カバー900を締結固定することができるようになっている。なお、本例の締結機構920は、締結部材924を裏カバー締結孔780bへねじ込む時に、締結部材924を支持するガイド部材923が本体部902に対して斜めになっていても、締結部材924を長孔923bで支持しているので、締結部材924(雄ねじ部924a)を裏カバー締結孔780bの軸心に対して真直ぐに位置させることができ、締結部材924を裏カバー締結孔780bへ良好にねじ込むことができるようになっている。
また、本例では、裏カバー900を、一箇所の締結機構920によって本体枠3側へ締結固定するようにしているので、一箇所の締結部材924を操作するだけで簡単に締結したり締結を解除したりすることができ、裏カバー900の開閉に係る手間を簡略化してメンテナンス性を向上させることができるようになっている。
また、裏カバー900は、本体部902の正面視右側下端で上方へ矩形状に切欠かれた接続用切欠部910と、接続用切欠部910の正面視上側で矩形状に貫通した確認用開口部912と、本体部902の正面視左下隅部に矩形状に切欠かれた確認用切欠部914と、を備えている。
この裏カバー900は、図5に示すように、本体枠3に対して閉じた状態で、接続用切欠部910を通して遊技盤4における主制御基板ボックス1170のRAMクリアスイッチ4100cや試験用端子4100f等が後側へ臨むようになっている。また、裏カバー900は、確認用開口部912を通して、主制御基板ボックス1170の後面に貼り付けられた基板管理シール1178(図101を参照)が後側へ臨むようになっていると共に、確認用切欠部914を通して主制御基板ボックス1170の封止部1176が臨むようになっている。これにより、裏カバー900を本体枠3に対して開かなくても、主制御基板ボックス1170及び主制御基板4100の作動確認や外観確認、管理状態確認等を行うことができるようになっている。
また、裏カバー900は、本体部902及び側部904に細長く貫通した複数のスリット916が形成されており、これらスリット916を通して遊技盤4等で発生した熱を本体枠3(パチンコ機1)の後側外部へ排出することができるようになっている。なお、図示するように、中央から正面視でやや左寄りの位置に、幅広で上下方向へ長く延びた左右方向へ所定間隔で列設された複数の透孔918を備えている。これら透孔918は、裏カバー900を本体枠3に対して閉じた状態とすると共に、本体枠3内に遊技盤4を収容保持させた状態で、遊技盤4における液晶表示装置1900の後側に備えられた周辺制御部4140や液晶制御部4150を冷却するための冷却ファンの後側に位置するようになっており、周辺制御部4140等からの熱を良好に排気することができるようになっている。因みに、透孔918の幅は、遊技球の外径よりも小さい幅とされており、透孔918を通してパチンコ機1内へ遊技球が侵入しないようになっている。
これにより、本例では、本体枠3に保持された遊技盤4の後側を閉鎖する裏カバー900を本体枠3へ締結する締結部材924を、裏カバー900に取付けられたガイド部材923に対して遊動可能に保持させているので、本体枠3に遊技盤4を保持した状態で、本体枠3の後側から裏カバー900を開いて遊技盤4の後側をメンテナンス等を行う際に、本体枠3に対して裏カバー900を締結固定している締結部材924の締結を解除して本体枠3の裏カバー締結孔780bから締結部材924を分離させても、締結部材924がガイド部材923を介して裏カバー900に保持された状態となり、締結部材924を紛失してしまったり、パチンコ機1内に取残してしまったりするのを防止することができ、裏カバー900から締結部材924が脱落するのを防止することが可能なパチンコ機1とすることができる。
また、上述したように、開いた裏カバー900から締結部材924が脱落するのを防止することができるので、メンテナンス等の際に、締結を解除した締結部材924を所定位置に保管する必要が無く、ガイド部材923を介して裏カバー900の挿入孔921の近傍に保持することができ、メンテナンスを行い易くすることができる。
また、ガイド部材923の長孔923bを、少なくとも係止口922側とは反対側へ延びるようにしているので、ガイド部材923が裏カバー900の面に対して傾いた状態となっていても、締結部材923の雄ねじ部924aを裏カバー900の挿通孔921を通して本体枠3の裏カバー締結孔780bへ真直ぐに位置させることができ、裏カバー締結孔780bに対して雄ねじ部924aを正しい状態で確実に締結させることができる。従って、本体枠3に裏カバー900をきちんと締結させることができ、裏カバー900による防犯効果を確実に発揮させることができる。
更に、締結部材924の頭部と協働して締結部材924をガイド部材923に対して遊動可能に保持させる保持部材925を締結部材924の雄ねじ部924aに取付けるようにしているので、締結部材924の頭部と保持部材925とでガイド部材923が挟まれた状態となり、締結部材924の雄ねじ部924aがガイド部材923の長孔923bから抜けるのを確実に防止することができると共に、保持部材925との隙間と長孔923bによってガイド部材923に対して締結部材924を遊動可能に保持させることができる。
また、裏カバー900における挿通孔921の周囲に保持部材を収容可能な収容凹部を備えるようにしており、締結部材924の雄ねじ部924aを、裏カバー900の挿通孔921を通して本体枠3の裏カバー締結孔780bへ締結させる際に、締結部材924の頭部とでガイド部材923を挟んだ保持部材925を、収容凹部内へ収容することができるので、裏カバー900とガイド部材923とを密着させて裏カバー900からの突出を可及的に少なくすることができ、ガイド部材923や締結部材924の突出した部位に他の部材が当接する可能性を低くして不具合が発生するのを低減させることができると共に、見栄えを良くすることができる。
また、本体枠3の裏カバー締結孔780bを雌ねじ部として、締結部材924の雄ねじ部924aとねじ結合するようにしているので、単なる係止爪による係合と比較して、引っ張っただけでは締結を解除することができず裏カバー900を取外し難くすることができ、裏カバー900による防犯効果をより高めることができると共に、不正行為に対する抑止力の高いパチンコ機1とすることができる。
更に、可撓性を有したガイド部材923としており、ガイド部材923が撓むことができるので、裏カバー900(挿通孔921)に対する締結部材924の動きの自由度を更に高めることが可能となり、締結部材924の雄ねじ部924aを本体枠3の裏カバー締結孔780bに対して真直ぐな位置に位置させたり、雄ねじ部924を裏カバー締結孔770bに対して真直ぐに移動させたりするのをし易くすることができ、裏カバー締結孔780bに対して雄ねじ部924aを確実に締結させることができる。
また、ガイド部材923の係止片923aが、裏カバー900の係止口922における挿通孔921とを結んだ軸線に対して直角方向へ延びた内壁に沿って当接した状態で、係止口922へ弾性係止されるようにしているので、遊動可能に取付けられたガイド部材923の先端側(長孔923b側)を、挿通孔921とを結んだ軸線に対して直角方向へ延びた軸心周りを回動するように動かすことができ、係止口922に対して係止片923aが軸支されたようにすることができる。従って、ガイド部材923の先端側の長孔923bに保持された締結部材924を、裏カバー900の挿通孔921、すなわち、本体枠3の裏カバー締結孔780bを開閉するように回動させることができるので、挿通孔921や裏カバー締結孔780bに対して締結部材924の雄ねじ部924aを挿入し易くすることができ、締結部材924による締結作業を行い易くすることができる。
更に、本体枠3における裏カバー締結孔780bとは異なる位置に複数の裏カバー係合溝718,780aを更に備えた上で、裏カバー900に裏カバー係合溝718,780aと夫々弾性係合する複数の係合片908を更に備えるようにしており、裏カバー900の係合片908を本体枠3の裏カバー係合溝718,780aに係合させることで、締結部材924による締結とは別に、裏カバー900を本体枠3へ固定することができるので、締結部材924を用いて締結する箇所を一箇所のみとして締結作業を可及的に少なくすることができ、組立てやメンテナンス等の作業性を高めることができる。また、上述したように、締結部材924とは別に係合片908と裏カバー係合溝718,780aとの係合によって裏カバー900を本体枠3へ固定することができるので、閉鎖範囲の広い裏カバー900でも締結部材924による締結箇所を増やすことなく良好な状態で本体枠3における遊技盤保持口601の後側(遊技盤4の後側)を閉鎖させることができる。
また、本体枠3(本体枠ベース600)の裏カバー軸支部623に裏カバー900の軸支ピン906を軸支させることで、本体枠3に対して裏カバー900を回動可能に軸支できるようにしているので、裏カバー900を閉じる方向へ回動させて本体枠3における遊技盤保持口601の後側を閉鎖するだけで、裏カバー900の挿通孔921と本体枠3の裏カバー締結孔780bとを簡単に一致させることができ、挿通孔921を通して裏カバー900に保持された締結部材924を簡単に裏カバー締結孔780bへ締結させることができる。また、本体枠3に対して裏カバー900を回動可能に軸支するようにしているので、メンテナンス等の際に、締結部材924による締結を解除して裏カバー900を開けた場合でも、裏カバー900を本体枠3に軸支させた状態のままとすることができ、裏カバー900を本体枠3から取外す必要が無く、裏カバー900の開閉にかかる手間を簡略化することができる。
[1-3H.側面防犯板]
次に、本体枠3における側面防犯板950について、主に図66及び図67を参照して説明する。本体枠3における側面防犯板950は、図示するように、正面視における本体枠3の左側面を形成するものであり、本体枠ベース600に取付けられるようになっている。この側面防犯板950は、平面視で浅いコ字状に押出し成形された金属製の本体952と、本体952の内側前端付近の上下に固定され本体枠ベース600の前面に取付けられる取付金具954と、本体952の内側に固定され遊技盤4の位置決め凹部1119と係合する位置決め部材956と、を備えている。
この側面防犯板950の本体952は、本体枠ベース600の高さと略同じ長さで上下方向へ延びると共に前後方向が略一定奥行きとされた側板片952aと、側板片952aの前端から正面視右方向へ延出した前端片952bと、前端片952bの後側に所定量の隙間を形成するように配置され前端片952bよりも突出量の少ない中片952cと、側板片952aの後端から正面視右方向へ前端片952bよりも長く延出した後端片952dと、を備えている(図108を参照)。この本体952は、側板片952a、前端片952b、及び後端片952dによって浅いコ字状に形成されており、中片952cと後端片952dとの間に遊技盤4における前構成部材1110と遊技パネル1150との正面視左側側部が挿入されるようになっている(図108を参照)。
本例の側面防犯板950は、取付金具954が本体枠ベース600の前面に取付けられると共に、本体952の後端片952dが本体枠ベース600の後面に取付けられるようになっている。この側面防犯板950は、本体枠3に対して扉枠5を閉じた状態とすると、本体952の前端片952bが、扉枠5の補強ユニット150における軸支側補強板金152の軸支側コ字状突片166のコ字内に挿入されるようになっており、正面視左側において本体枠3と扉枠5との間に不正行為を行うための工具が挿入されるのを防止することができるようになっている(図108を参照)。また、側面防犯板950の本体952は、金属(例えば、アルミ合金)の押出型材とされていると共に、側板片952aの面に対して直角方向へ配置された前端片952b、中片952c、及び後端片952dを備えているので、側面防犯板950の強度・剛性が高められており、本体枠3全体の強度を高めて遊技盤4や扉枠5等を良好に支持することができるようになっている。
このように、本例によると、本体枠3の前面を扉枠5で閉鎖した状態とすると、防犯側面板950の前端内側に形成された前端片952bと中片952cとの間に扉枠5における補強ユニット150の略コ字状に形成された軸支側コ字状突片166の後側の片が挿入される(侵入する)ようになっており、前端片952bを軸支側コ字状突片166で挟持した状態となるので、本体枠3に対して扉枠5を無理やり開けようとしても、扉枠5の軸支側コ字状突片166が本体枠3の前端片952bに当接して扉枠5の軸支側コ字状突片166が本体枠3から離れる方向へ移動するのを阻止することが可能となり、閉鎖された扉枠5が抉じ開けられるのを防止することができ、本体枠3に対して扉枠5を抉じ開けるような不正行為が行われるのを防止することが可能なパチンコ機1とすることができる。
また、本体枠3における金属により形成された防犯側面板950と、扉枠5における金属により形成された補強ユニット150とを嵌合させるようにしているので、本体枠3と扉枠5との間の強度・剛性が高くなり、不正工具によって本体枠3や扉枠5を歪み難くすることができ、パチンコ機1における防犯性能を高めることができる。また、遊技盤4を支持する本体枠ベース600を合成樹脂により形成した上で、扉枠5を軸支する側(軸支側)の防犯側面板950を金属により形成するようにしているので、本体枠3全体を金属によって形成するようにした場合と比較して、パチンコ機1に係るコストを低減させることができる。
更に、本体枠3に対して扉枠5を施錠する錠装置1000の扉枠用フック部1041を、上下両端と上下両端の間の一箇所で扉枠5における補強ユニット150のフックカバー165と係止させるようにして、錠装置1000側(開放側)における扉枠5と本体枠3との間を三つの扉枠用フック部1041によって係止するようにしているので、開放側がバール等の不正な工具によって抉られても扉枠5と本体枠3との間が広がるのを良好に防止することができ、扉枠5が無理やり抉じ開けられるのを防止することができる。
また、防犯側面板950における側面片952aの後端を、遊技盤4の前面(遊技領域1100)よりも後方へ延出させるようにしており、側面片952aの前後方向の寸法が長くなることで前後方向へかかる荷重に対する曲げ剛性が強くなるので、防犯側面板950全体の強度・剛性をより高めることができ、防犯側面板950が無理やり曲げられて不正行為が行われるのを防止することができる。
また、金属製の押出型材によって本体枠3の防犯側面板950を形成するようにしているので、前端片952bや中片952cを有した所定断面形状の防犯側面板950(本体952)を簡単に形成することができ、パチンコ機1の防犯性能を高めてもコストが増加するのを抑制することができると共に、金属板を屈曲させた場合と比較して、加工時に生ずる強度低下等の欠陥を可及的に少なくすることができ、耐久性や強度の高い防犯側面板950とすることができる。
[1-3I.錠装置]
続いて、本体枠3における錠装置1000について、主に図93乃至図97を参照して説明する。図93(A)は本体枠における錠装置の左側面図であり、(B)は本体枠における錠装置を前から見た斜視図である。また、図94(A)は錠装置の背面斜視図であり、(B)は錠装置のコ字状基体の内部に摺動自在に設けられるガラス扉用摺動杆と本体枠用摺動杆を示す背面斜視図であり、(C)は(B)の正面斜視図である。更に、図95は、錠装置を分解して後から見た分解斜視図であり、図96は、錠装置におけるガラス扉用摺動杆と本体枠用摺動杆の動作を示す説明図であり、図97は、錠装置における不正防止部材の動作を示す説明図である。
本体枠3における錠装置1000は、本体枠3の本体枠ベース600における周壁部605の開放側の外側側面に沿って本体枠3の略上端から下端にかけて取付けられるものであり、図68に示すように、本体枠ベース600における前端枠部602の正面視右側(開放側)辺の上部に形成された扉用フック穴620及び下部に形成された錠係止穴621と、本体枠ベース600における周壁部605の正面視右側側面に複数形成された錠取付部625と、に取付られるようになっている。
図93乃至図95に示すように、錠装置1000は、断面コ字状に形成される錠基体としてのコ字状基体1001と、コ字状基体1001内に摺動自在に設けられる扉枠用摺動杆1040と、コ字状基体1001内に摺動自在に設けられる本体枠用摺動杆1050と、本体枠用摺動杆1050の摺動を不正に行うことができないようにコ字状基体1001の下部に取付けられる不正防止部材1023,1032と、を備えている。
錠装置1000におけるコ字状基体1001は、所定の金属板を断面コ字状となるように折曲成形したものであり、その内部に扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050とが摺動可能に配置されるようになっている。なお、コ字状基体1001は、その横幅寸法が従来の断面L字状に成形された基体に集約された錠装置に比べて極めて薄いものとなっている。これにより、錠装置1000の左右方向の寸法を可及的に薄くすることが可能となり、相対的に本体枠3における遊技盤保持口601の左右方向の寸法を大きくすることができ、より遊技領域1100の広い遊技盤4を備えることができるようになっている。
このコ字状基体1001は、断面コ字状の開放側が本体枠ベース600の裏面と対面した状態で取付けられるようになっており、錠装置1000を本体枠3に取付けた状態では、コ字状基体1001の開放側が本体枠ベース600に閉鎖されるようになっている。これにより、コ字状基体1001の内部に配置された扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050とが、夫々のフック部1041、1054,1065を除いてコ字状基体1001に完全に被覆された状態となり、外部から錠装置1000に対して不正行為を行い難い不正防止構造となっている。
また、錠装置1000におけるコ字状基体1001は、その開放側(後側)と反対の閉塞側(前側)上下に本体枠用摺動杆1050のフック部1054,1065が貫通可能な長方形状のフック貫通開口1002と、前側における本体枠ベース600の周壁部605と接する側面1001b(図95を参照)の上部と中程に外方へ向かって突設されたビス止め部1003と、ビス止め部1003が突設された側面1001bとは反対側の側面1001a(図95を参照)の開放側(前側)の上端部と中間部、及び開放側の両側面1001a,1001bの下端部から前方へ突出した係止突起1004と、を備えている。
コ字状基体1001のビス止め部1003と係止突起1004は、錠装置1000を本体枠ベース600の裏面に取付けるためのものであり、係止突起1004を本体枠ベース600の扉用フック穴620及び錠係止穴621に後側から挿入した上で、上方へ移動させると、ビス止め部1003と本体枠ベース600の錠取付部625とが一致するようになっており、ビス止め部1003を介して図示しないビスを錠取付部625へ螺着することで、錠装置1000を本体枠ベース600(本体枠3)に強固に固定することができるようになっている。
なお、錠装置1000のビスによる取付けは、上部と中程のビス止め部1003だけではなく、後述する錠取付片1008に形成されたビス止め部1003と、シリンダ錠貫通穴611の上方近傍に形成された錠取付部625と、においても図示しないビスで本体枠ベース600に止着されるようになっており、錠装置1000の下方も取付けられるようになっている。
また、錠装置1000の取付けに際し、コ字状基体1001の開放側(前側)の上中下の3箇所に形成された係止突起1004を、上中の扉用フック穴620と錠係止穴621とに挿入して位置決め係止すると共に、コ字状基体1001のビス止め部1003を錠取付部625にビスで固定する構造としているので、極めて簡単な構造で錠装置1000を本体枠ベース600(本体枠3)に強固に固定することができるようになっている。
換言すると、錠装置1000を極めて横幅寸法の薄いコ字状基体1001に集約して構成した場合でも、錠装置1000の前側及び後側の係止及び固定により、錠装置1000を本体枠3に強固に固定することができるものである。特に、本実施形態の場合には、前側の係止構造(固定構造でもよい)を構成する係止突起1004がコ字状基体1001の周壁部605と接しない側面1001aに突設した上で、後側の固定構造を構成するビス止め部1003がコ字状基体1001の周壁部605と密する側面1001bから周壁部605側へ突設した構造としているので、前側の係止構造が周壁部605と密する側面1001bに形成した場合と比較して、ガタ付きが生じないように錠装置1000を本体枠3に固定することができるようになっている。
また、コ字状基体1001は、その両側面1001a,1001bの上部、中程、下部に左右方向へ貫通した挿通穴1005を備えており、コ字状基体1001に扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050を収納した状態で挿通穴1005にリベット1006を差込んでかしめることで、コ字状基体1001の内部に扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050を上下方向へ摺動自在に取付けることができるようになっている。
つまり、図94(C)に示すように、扉枠用摺動杆1040の上中下の3箇所に形成されたリベット用長穴1042の上端部にリベット1006が貫通していると共に、図94(B)に示すように、本体枠用摺動杆1050の上フック部材1051及び下フック部材1052に夫々一つずつ形成されたリベット用長穴1055,1061の下端部にリベット1006が貫通しており、扉枠用摺動杆1040を上方に、本体枠用摺動杆1050を下方に移動させることができるようになっている。
更に、コ字状基体1001は、その下部の閉塞側面に形成された不正防止切欠部1007と、開放側の本体枠ベース600における周壁部605と接する側面1001bの前端から側方へ向かって突設されシリンダ錠1010を取付けるための錠取付片1008と、周壁部605と接する側面1001bに挿入縦開口1020、バネ係止片1021、及び逃げ横穴1022と、が夫々形成されている。コ字状基体1001の不正防止切欠部1007は、詳細は後述するが、第一不正防止部材1023のストッパ片部1027が進退するようになっている。また、コ字状基体1001の錠取付片1008は、錠装置1000を本体枠ベース600の裏面に取付けた状態で、遊技盤保持口601の下端辺よりも下方の位置となるように側面1001bの前端部から側方に向かって突設されており、シリンダ錠1010が貫通する錠挿通穴1009と、シリンダ錠1010の錠取付基板1011に形成された取付穴1013をビス1012で取付けるため上下2箇所に穿設された取付穴1014と、錠装置1000の下部を本体枠3の裏面に取付けるために穿設されたビス止め部1003と、が形成されている。
また、コ字状基体1001は、シリンダ錠1010に固定される係合カム1016の第一係合突片1017及び第二係合突片1018がシリンダ錠1010の回動時に侵入する挿入縦開口1020と、第二不正防止部材1032を上方へ付勢するバネ1035を係止するためのバネ係止片1021と、連結ピン1034の移動の邪魔をしないように逃げ穴を形成する逃げ横穴1022と、を備えている。
錠装置1000におけるシリンダ錠1010は、コ字状基体1001における錠取付片1008に取付けられるものである。このシリンダ錠1010は、円筒状のシリンダ錠本体の後端に錠取付片1008へ取付けるための錠取付基板1011が固定されており、錠取付基板1011の後面からシリンダ錠本体の錠軸1015が延びだしていると共に、錠軸1015の後端にビス1019によって係合カム1016が固定されている。この係合カム1016は、ブーメラン形状に形成され、一端辺が回動時に本体枠用摺動杆1050の下降係合穴1062に係合する第一係合突片1017とされていると共に、他端辺が回動時に扉枠用摺動杆1040の上昇係合穴1045に係合する第二係合突片1018とされている。
このシリンダ錠1010は、円筒状のシリンダ錠本体部分を錠取付片1008に形成された錠挿通穴1009に後側から挿通した上で、錠取付基板1011の上下2箇所に形成された取付穴1013を通して錠取付片1008の取付穴1014へビス1012を螺着することで、シリンダ錠1010をコ字状基体1001に固定することができるようになっている。
錠装置1000のコ字状基体1001に取付けられる不正防止部材1023,1032は、シリンダ錠1010を正式な鍵で回動させずに、例えばピアノ線や針金等で不正に本体枠用摺動杆1050を下降させることを防止するためのものである。この不正防止部材1023,1032は、図95に示すように、第一不正防止部材1023と第二不正防止部材1032とを連結ピン1034で連結した構造となっている。第一不正防止部材1023は、縦長の板状で上端の揺動軸穴1025を中心にしてコ字状基体1001に揺動自在に支持されるようになっている。具体的には、この第一不正防止部材1023は、その揺動軸穴1025を通して、コ字状基体1001の内部に配置される扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050と共に最下方の挿通穴1005及びリベット1006によって取付けられるようになっている。
また、第一不正防止部材1023は、その板状面にコ字状基体1001の挿入縦開口1020と重複する位置で縦長に開口し係合カム1016の第二係合突片1018が挿入可能とされた突片挿入穴1026を備えている。この突片挿入穴1026と挿入縦開口1020とを、係合カム1016の第二係合突片1018が貫通することで、コ字状基体1001の内部に設けられた扉枠用摺動杆1040の上昇係合穴1045と第二係合突片1018とが係合するようになっている。また、第一不正防止部材1023は、突片挿入穴1026の前斜め上方の外辺に、係合カム1016の回動時に第一係合突片1017の後面側と当接可能な斜めに傾斜した傾斜部1024を備えており、この傾斜部1024が、係合カム1016の回動時に第一係合突片1017と当接することで、第一不正防止部材1023が揺動軸穴1025を中心として揺動(図97(B)において時計回転方向)するようになっている。
更に、第一不正防止部材1023は、突片挿入穴1026の斜め後下方の外辺からコ字状基体1001側へ向かって突出したストッパ片部1027と、ストッパ片部1027が突出した位置から更に下方へ突出した規制突片1031と、規制突片1031の前側に左右方向へ貫通し上下に配置されたピン穴1029及び連結穴1030と、を備えている。この第一不正防止部材1023のストッパ片部1027は、本体枠用摺動杆1050の施錠時に、不正防止切欠部1007及び本体枠用摺動杆1050の係合切欠部1066に侵入係合させることで、本体枠用摺動杆1050が不正に摺動しないようにすることができるようになっている。また、第一不正防止部材1023の規制突片1031は、バネ1035によって上方へ付勢された第二不正防止部材1032と当接することで、第二不正防止部材1032が上方(付勢方向)へ移動するのを規制することができるようになっている。
また、第一不正防止部材1023のピン穴1029は、ガイドピン1028が第一不正防止部材1023の裏面側から挿入固定されるようになっており、ピン穴1029に固定されたガイドピン1028を、コ字状基体1001における挿入縦開口1020の最下端部に形成された横長状開口部に係合させることで、第一不正防止部材1023をコ字状基体1001の側面1001bに沿って案内することができるようになっている。更に、第一不正防止部材1023の連結穴1030は、連結ピン1034によって、第一不正防止部材1023と第二不正防止部材1032とを回動可能に連結するためのものである。
一方、第一不正防止部材1023に連結される第二不正防止部材1032は、逆「て」字状の板材で形成され、その上部一端に連結穴1033と、上部他端にバネ係止穴1036とが夫々穿設されていると共に、下方端部に当接部1037が備えられている。第二不正防止部材1032は、連結穴1033を第一不正防止部材1023の連結穴1030と合わせた上で連結ピン1034を挿入することで第一不正防止部材1023と相対回転可能に連結することができるようになっている。また、第二不正防止部材1032は、バネ係止穴1036に、上端(一端)がコ字状基体1001のバネ係止片1021に係止されたバネ1035の下端(他端)を係止させることで、バネ1035によって上方へ付勢されるようになっている。更に、第二不正防止部材1032は、当接部1037が、本体枠3の閉鎖時に外枠2の内側下部に固定された閉鎖板25と当接するようになっている。
次に、錠装置1000における扉枠用摺動杆1040は、コ字状基体1001の内部に摺動自在に支持され、縦長の金属製の板状部材によって形成されている。この扉用摺動杆1040は、その一側縦辺の上中下の3箇所に前方へ向かって突出する扉枠用フック部1041を備えている。扉用摺動杆1040の扉枠用フック部1041は、コ字状基体1001内に扉用摺動杆1040を収納した状態で、コ字状基体1001の開放側から前方に突出するようになっており、錠装置1000を本体枠ベース600の裏面に固定した時に、本体枠ベース600に形成された扉用フック穴620(図63及び図68等を参照)から前方に突出して、扉枠5の裏面に形成されるフックカバー165(図18を参照)に係止することができるようになっている。なお、扉枠用フック部1041は、図示するように、下向きの係合爪形状となっており、これにより、扉枠用摺動杆1040を上昇させることで扉枠用フック部1041とフックカバー165との係止状態を解除することができるようになっている。
また、扉枠用摺動杆1040は、上中下の側面中央に穿設されリベット1006が挿通される縦長のリベット用長穴1042と、最上部のリベット用長穴1042の下方及び扉枠用摺動杆1040の最下端に扉枠用摺動杆1040の面に対して直角方向へ突出したガイド突起1043と、を備えている。この扉用摺動杆1040のリベット用長穴1042は、コ字状基体1001の挿通穴1005に挿通されるリベット1006が挿通されるようになっていると共に、リベット1006が扉枠用摺動杆1040の上昇動作を邪魔しないように縦長に形成されている。なお、通常状態では、リベット用長穴1042の上端部に貫通したリベット1006が当接した状態となっている。また、扉枠用摺動杆1040は、ガイド突起1043が、本体枠用摺動杆1050の上フック部材1051及び下フック部材1052に形成された突片移動穴1056,1064に挿通されるようになっており、扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050との相互の摺動動作を案内することができるようになっている。
また、扉枠用摺動杆1040は、上端部にスプリング1048の一端を係止するスプリングフック部1046が形成されている。このスプリングフック部1046に係止されたスプリング1048の他端は、本体枠用摺動杆1050における上フック部材1051のスプリングフック部1057に係止されており、スプリング1048によって、扉枠用摺動杆1040が下方向に、本体枠用摺動杆1050が上方向に、夫々相互に付勢されるようになっている。また、扉枠用摺動杆1040は、上下方向の中程に凸状に形成された当接弾性片1047を備えており、扉枠用摺動杆1040の一側側面からプレス成形により打ち出して凸状に形成されている。この当接弾性片1047は、コ字状基体1001の内側面に当接するようになっており、コ字状基体1001の内部で扉枠用摺動杆1040がガタ付くのを抑制することができるようになっている。
更に、扉枠用摺動杆1040は、下方部分の側面に縦長な遊び穴1044と、上昇係合穴1045と、を備えている。この遊び穴1044は、係合カム1016の第一係合突片1017が差し込まれて回動する時に、係合カム1016の回動動作の邪魔にならないように第一係合突片1017の先端部が移動可能な空間を構成するものである。また、上昇係合穴1045は、係合カム1016の第二係合突片1018が差し込まれて回動する時に、係合カム1016の回動動作によって扉枠用摺動杆1040が上昇するように係合するためのものである。なお、扉枠用摺動杆1040は、縦辺下部後方に、不正防止切欠部1007よりも上下方向に大きく切欠いた逃げ切欠部1049を備えている。この逃げ切欠部1049は、第一不正防止部材1023のストッパ片部1027が、確実に不正防止切欠部1007及び係合切欠部1066に係合するように、扉枠用摺動杆1040が邪魔にならないように該当部分を切欠いたものである。
一方、本体枠用摺動杆1050は、金属板製の上フック部材1051と、金属板製の下フック部材1052と、上フック部材1051と下フック部材1052とを連結する連結線杆1052と、を備えている。つまり、本体枠用摺動杆1050は、従来のように1つの金属製の縦長板で構成されておらず、フック部1054,1065を有する上フック部材1051と下フック部材1052とを金属製の板材をプレスで形成し、その金属製の上フック部材1051と下フック部材1052とを細い金属製の連結線杆1053で連結したものである。これにより、狭いコ字状基体1001の空間に扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050とを効率よく収納することができるようになっている。
この本体枠用摺動杆1050の上フック部材1051は、上端部に後方に向かって形成されたフック部1054と、フック部1054に隣接した板面部に左右方向へ貫通したリベット用長穴1055と、リベット用長穴1055の下方に左右方向へ貫通した突片移動穴1056と、突片移動穴1056の前方の縦辺下端部に形成されたスプリングフック部1057と、スプリングフック部1057の下側に穿設された連結穴1058と、上フック部材1051の上辺及び下辺に形成された当接部1059と、を備えている。この上フック部材1051のフック部1054は、コ字状基体1001の上方のフック貫通開口1002を貫通して外枠2の開放側内側の上部に備えられた閉鎖板24に係合するようになっており、上向きに係止爪部が形成されている。
また、上フック部材1051のこのリベット用長穴1055は、扉枠用摺動杆1040の上部に形成されたリベット用長穴1042に対応する位置に配置されており、このリベット用長穴1055にリベット1006が貫通した通常の状態では、リベット1006がリベット用長穴1055の最下端部を貫通した状態となり、上フック部材1051が下方へ向かって移動することができるようになっている。上フック部材1051の突片移動穴1056は、扉枠用摺動杆1040の上方のガイド突片1043が挿入されるようになっており、扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050との相互の移動を案内することができるようになっている。
また、上フック部材1051のスプリングフック部1057は、スプリング1048の他端が係止されるようになっている。また、上フック部材1051の連結穴1058は、連結線杆1053の上端が折り曲げられて挿入されるようになっている。更に、上フック部材1051の当接部1059は、コ字状基体1001に収納された時に、コ字状基体1001の内部側壁に当接するようになっており、上フック部材1051の摺動動作においてガタ付きがなくスムーズに摺動することができるようになっている。
一方、本体枠用摺動杆1050の下フック部材1052は、下端部から後方に向かって突設されたフック部1065と、下フック部材1052の板面部の上端付近で左右方向へ貫通したリベット用長穴1061と、リベット用長穴1061の下側に配置された下降係合穴1062と、下降係合穴1062の下部後側から下方へ延出した遊び穴1063と、遊び穴1063の下方で下端付近に形成された突片移動穴1064と、下フック部材1052の縦辺上端部の前端側に穿設された連結穴1060と、下フック部材1052の後方の縦辺下部に形成された係合切欠部1066と、下フック部材1052の上辺及び下辺に形成された当接部1067と、を備えている。
この下フック部材1052のフック部1065は、コ字状基体1001の下方のフック貫通開口1002を貫通して外枠2の開放側内側の下部に形成された閉鎖板25と係合するようになっており、上向きに係止爪部が形成されている。また、下フック部材1052のリベット用長穴1061は、扉枠用摺動杆1040の下部に形成されたリベット用長穴1042と対応する位置に形成されており、このリベット用長穴1061にリベット1006を貫通させた通常の状態では、リベット1006がリベット用長穴1061の最下端部を貫通した状態となるようになっている。これにより、下フック部材1052が下方に向かって移動することができるようになっている。
また、下フック部材1052の下降係合穴1062は、係合カム1016の第一係合突片1017が差し込まれて回動する時に、その回動動作によって本体枠用摺動杆1050が下降するように係合するためのものである。また、下フック部材1052の遊び穴1063は、係合カム1016の第二係合突片1018が差し込まれて回動する時に、その回動動作の邪魔にならないように第二係合突片1018の先端部が移動可能な空間を形成することができるようになっている。また、下フック部材1052の突片移動穴1064は、扉枠用摺動杆1040の下方のガイド突片1043が挿入されるようになっており、扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050との相互の移動を案内することができるようになっている。
また、下フック部材1052の連結穴1060は、連結線杆1053の折り曲げられた下端が挿入されるようになっている。更に、下フック部材1052の当接部1067は、コ字状基体1001に収納された時に、コ字状基体1001の内部側壁に当接するようになっており、コ字状基体1001に対して下フック部材1052が摺動動作する際に、ガタ付きがなくスムーズに摺動させることができるようになっている。
次に、本実施形態の錠装置1000の組立てについて説明する。この錠装置1000を組付けるには、本体枠用摺動杆1050の上フック部材1051と下フック部材1052とを連結線杆1053で連結し、その状態で扉枠用摺動杆1040のガイド突片1043を、上フック部材1051と下フック部材1052の突片移動穴1056,1064に挿入すると共に、相互のリベット長穴1042とリベット用長穴1055,1061を位置合わせして重ね合わせ、その重ね合わせた状態で上フック部材1051のフック部1054と下フック部材1052のフック部1065とを、コ字状基体1001のフック貫通開口1002に貫通させながら扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050をコ字状基体1001のコ字状の空間に挿入した後に、挿通穴1005からリベット1006を差し込む。
このリベット1006を挿入する際に、リベット1006がリベット用長穴1055,1061、1042を貫通するように差し込む。なお、最下端のリベット1006を差し込む時には、第一不正防止部材1023の揺動軸穴1025にもリベット1006を差し込んで第一不正防止部材1023をコ字状基体1001に同時に取付ける必要がある。また、第一不正防止部材1023をコ字状基体1001に取付ける前に、第一不正防止部材1023と第二不正防止部材1032とを連結ピン1034で連結し、且つ、ガイドピン1028を、ピン穴1029に図示しないビスで止着してから、さらにガイドピン1028を挿入縦開口1020の最下端の開口部に挿入しておく必要がある。
更に、リベット1006で扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050をコ字状基体1001内に収納固定した状態で、スプリング1048をスプリングフック部1046,1057相互間に掛け渡し、扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050とを相互に反対方向に付勢し、さらに、バネ1035をバネ係止片1021とバネ係止穴1036とに掛け渡して第二不正防止部材1032が規制突片1031に当接した状態とする。その後、錠取付片1008の錠挿通穴1009に、シリンダ錠1010の円筒状本体部分を挿入してシリンダ錠1010をビス1012で取付穴1014に固定する。なお、この時、係合カム1016の第一係合突片1017の先端部が傾斜部1024の外側で且つ挿入縦開口1020に僅かに挿入されると共に、係合カム1016の第二係合突片1018の先端部が第一不正防止部材1023の突片挿入穴1026及び挿入縦開口1020に僅かに挿入された状態となるようにシリンダ錠1010を錠取付片1008に取付ける。
このように、組立てた錠装置1000を本体枠ベース600の裏面に取付けるには、扉枠用摺動杆1040の扉枠用フック部1041を本体枠ベース600に形成された扉用フック穴620に差し込みながら、鉤型に突出する係止突起1004を本体枠ベース600の扉用フック穴620及び錠係止穴621に差し込んで上方に移動させ、その状態で水平方向に突出したビス止め部1003を錠取付部625に一致させ、その一致した穴に図示しないビスを螺着することにより、錠装置1000を本体枠ベース600の裏面に強固に固定することができる。特に、本実施形態の場合には、前方部の係止構造を構成する係止突起1004がコ字状基体1001の周壁部605と接しない側面1001aに突設形成される一方、後方部の固定構造を構成するビス止め部1003がコ字状基体1001の周壁部605と接する側面1001bから水平方向に突設形成される構造とされているので、前方部の係止構造が周壁部605と接する側面1001bに形成された場合と比較して、ガタ付きが生じないように錠装置1000を本体枠ベース600に固定することができるようになっている。
次に、本実施形態の錠装置1000の作用について、図96及び図97を参照して説明する。図96に示すように、本体枠ベース600(本体枠3)が外枠2に対して閉じ且つ扉枠5が本体枠3に対して閉じている状態においては、図96(A)に示すように、外枠2の閉鎖板24,25と本体枠用摺動杆1050のフック部1054,1065とが係止し且つ扉枠用摺動杆1040の扉枠用フック部1041と扉枠5のフックカバー165とが係止した状態となっている。その状態でシリンダ錠1010に図示しない鍵を差し込んで係合カム1016の第一係合突片1017が挿入縦開口1020内に侵入する方向に回動すると、図96(B)に示すように、第一係合突片1017の先端が本体枠用摺動杆1050の下降係合穴1062に係合してスプリング1048の付勢力に抗して下フック部材1052を下方に押下げ、これと連結されている連結線杆1053と上フック部材1051も押下げられて下降する。これにより、外枠2の閉鎖板24,25と本体枠用摺動杆1050のフック部1054,1065との係止状態が解除され、本体枠3を前面側に引くことにより本体枠3を外枠2に対して開放することができる。
なお、本体枠3を閉じる場合には、フック部1054,1065がスプリング1048の付勢力により上昇した状態(図96(A)に示す状態と同じ上昇した位置)となっているが、フック部1054,1065の上辺が外側に向かって下り傾斜しているため、強制的に本体枠3を外枠2に対して押圧することにより、フック部1054,1065の上辺傾斜部が閉鎖板24,25の下端部と当接するので、本体枠用摺動杆1050が下方に下降し、フック部1054,1065の上向き爪部と閉鎖板24,25とが再度係止した状態となって本体枠用摺動杆1050が上昇して係止状態に戻るようになっている。
一方、シリンダ錠1010に図示しない鍵を差し込んで係合カム1016の第二係合突片1018が挿入縦開口1020内に侵入する方向に回動すると、図96(C)に示すように、第二係合突片1018の先端が扉枠用摺動杆1040の上昇係合穴1045に係合してスプリング1048の付勢力に抗して扉枠用摺動杆1040を上方に押し上げ上昇する。このため、扉枠5のフックカバー165と扉枠用摺動杆1040の扉枠用フック部1041とが係止状態が解除されるので、扉枠5を前面側に引くことにより扉枠5を本体枠3に対して開放することができる。
なお、扉枠5を閉じる場合には、扉枠用フック部1041がスプリング1048の付勢力により下降した状態(図96(A)に示す状態と同じ下降した位置)となっているが、扉枠用フック部1041の下辺が外側に向かって上り傾斜しているので、強制的に扉枠5を本体枠3に対して押圧することにより、扉枠用フック部1041の下辺傾斜部がフックカバー165の上端部と当接して扉枠用摺動杆1040が上方に上昇し、更に、扉枠用フック部1041の下向き爪部とフックカバー165とが再度係止した状態となって扉枠用摺動杆1040が下降して係止状態に戻る。なお、本実施形態における扉枠用摺動杆1040は、コ字状基体1001の全長と略同じ長さに形成されると共に、そのコ字状基体1001が本体枠3の縦方向の側面の略全長に亘って取付けられ、しかも、扉枠5との係止部である扉枠用フック部1041が扉枠用摺動杆1040の上端部、中央部、下端部の3箇所に形成されているので、扉枠5と本体枠3の縦方向の全長における施錠を確実に行うことができ、扉枠5と本体枠3との間を無理やりこじ開けてその間からピアノ線等の不正具を挿入する不正行為を行うことができないようになっている。
このように、本実施形態の扉枠3の錠装置1000は、シリンダ錠1010に差し込んだ鍵を一方向に回動することにより、外枠2に対する本体枠3の施錠を解除し、他方向に回動することにより、本体枠3に対する扉枠5の施錠を解除することができる。また、本例の錠装置1000は、シリンダ錠1010に鍵を差し込むことなく本体枠用摺動杆1050のフック部1054,1065にピアノ線等を引っ掛けてこれを下降させるような不正行為を行うことができないようになっている。このような不正行為を防止する構造の第一番目が第一不正防止部材1023と第二不正防止部材1032とから構成されるロック機構であり、第二番目の不正防止構造がコ字状基体1001の閉鎖空間に扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050が収納される構造である。
まず、第一番目の不正防止構造であるロック機構の作用について図97を参照して説明する。まず、外枠2と本体枠3とが閉じている状態では、図97(A)に示すように、外枠2の閉鎖板25と第二不正防止部材1032の当接部1037とが当接した状態となっている。この状態においては、バネ1035の付勢力により第一不正防止部材1023が反時計方向に回動してストッパ片部1027が不正防止切欠部1007内に侵入し、ストッパ片部1027が不正防止切欠部1007に対応する位置にある本体枠用摺動杆1050の下フック部材1052に形成される係合切欠部1066と係合した状態となっている。これにより、本体枠用摺動杆1050にピアノ線等を引っ掛けて引き降ろそうとしても、ストッパ片部1027と係合切欠部1066とが係合しているので、本体枠用摺動杆1050を不正に下方に引き降ろすこと(解錠すること)が不能となり、本体枠3を開放するという不正行為を行うことができないようになっている。
一方、シリンダ錠1010に鍵を差し込んで正規に本体枠3を開錠する場合には、図97(B)に示すように、鍵を回動させることにより係合カム1016の第一係合突片1017が挿入縦開口1020内に侵入するように回動される。この第一係合突片1017の回動時に、第一不正防止部材1023の傾斜部1024と第一係合突片1017の側面とが当接するため、第一不正防止部材1023が揺動軸穴1025を中心として図示の時計回転方向に回転を始め、ストッパ片部1027も不正防止切欠部1007から退避するように移動する。これにより、ストッパ片部1027と係合切欠部1066との係合が解除された状態となる。この時、第二不正防止部材1032は、バネ1035を伸ばして当接部1037が後退した位置となっている。この状態でさらに係合カム1016を回動させて第一係合突片1017も回動させると、第一係合突片1017の先端が下フック部材1052の下降係合穴1062に係合して本体枠用摺動杆1050の全体を下降させるので、フック部1054,1065と外枠2の閉鎖板24,25との係止状態が解除されて本体枠3を外枠2に対して開放することができるようになっている。
なお、本体枠3を外枠2に対して閉じる時には、第二不正防止部材1032は、規制突片1031に当接した状態となっているので、第一不正防止部材1023と第二不正防止部材1032との位置関係は、図97(A)に示す状態と略同じ位置関係になっている。この状態で本体枠3を閉めると、外枠2の閉鎖板25と第二不正防止部材1032の当接部1037とが正面から当接し、最終的に図97(A)に示す状態となる。これにより、第一不正防止部材1023と第二不正防止部材1032とが、本体枠3を閉じる時に邪魔にならないようになっている。また、本実施形態においては、第一不正防止部材1023と第二不正防止部材1032とが本体枠用摺動杆1050の下降動作だけが不正に行われないように防止しているのは、本体枠用摺動杆1050を不正に開放すれば、解放後に扉枠用摺動杆1040を手動で簡単に開けることができることと、ピアノ線等で摺動杆を上昇させる不正行為は事実上行い難いという理由により、本体枠用摺動杆1050に対する不正操作ができないように工夫されている。
また、上記した第一番目の不正防止構造であるロック機構であっても、第一不正防止部材1023をピアノ線等で揺動させることにより、ロック機構の機能を無力化することも不可能ではない。そこで、万一ロック機構のロック機能が不正な行為により無力化される場合を想定すると、本実施形態においては、錠装置1000が本体枠3(本体枠ベース600)に取付けられた状態では、内部に設けられる扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050とが、夫々のフック部1041、1054,1065を除いてコ字状基体1001の閉鎖空間に収納されて完全に被覆された状態となっているので、ピアノ線等を差し込んでコ字状基体1001の閉鎖空間の内部に設けられる本体枠用摺動杆1050を引き下げようとしても、コ字状基体1001の両側面1001a,1001bによって不正具の閉鎖空間への侵入が阻止されるため、不正行為を簡単に行うことができない構造となっている。
このように、本実施形態の錠装置1000は、その横幅寸法が従来のL字状基体に集約される錠装置に比べて極めて薄いコ字状基体1001の内部に扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050とを摺動可能に設け且つ錠装置1000を操作するためのシリンダ錠1010のコ字状基体1001への取付位置を遊技盤4の下端辺よりも下方となる位置としているので、遊技盤4の左右方向及び上下方向の大きさを極めて大きくすると共に、本体枠3の側面壁540~543で囲まれる空間を大きくしても、錠装置1000を本体枠3の裏側に強固に取付けることができる。
また、コ字状基体1001の断面コ字状の開放側が本体枠3の裏面に対面するように取付けられるので、錠装置1000が本体枠3(本体枠ベース600)に取付けられた状態では、内部に配置された扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050とが、夫々のフック部1041、1054,1065を除いてコ字状基体1001に完全に被覆された状態となっており、ピアノ線等を差し込んで内部に設けられる本体枠用摺動杆1050を引き下げる等の不正行為を簡単に行うことができないようになっている。
また、錠装置1000の取付けに際し、コ字状基体1001の開放側(前方部)の上中下の3箇所に形成される係止突起1004を扉用フック穴620や錠係止穴621に差し込んで位置決め係止し、コ字状基体1001の閉塞側(後方部)の上中下の3箇所に形成されたビス止め部1003を錠取付部625にビスで固定する構造としているので、極めて簡単な構造で錠装置1000を本体枠3(本体枠ベース600)に強固に固定することができるようになっている。
なお、本例の錠装置1000では、コ字状基体1001の下方部をビス止めする構造として錠取付片1008に形成されたビス止め部1003と本体枠3のシリンダ錠貫通穴611の上部近傍に形成した錠取付部625とを螺着する構造としたものを示しているが、これに代えて、シリンダ錠1010を錠取付片1008に取付けるビス1012を利用して、ビス1012の先端が錠取付片1008を貫通して螺着される錠取付穴をシリンダ錠貫通穴611の上下に形成する構造としても良い。また、コ字状基体1001の下方部をビス止めしなくても、錠装置1000の後方部のビス止め部1003と錠取付部625との固定だけでも、錠装置1000を本体枠3(本体枠ベース600)の裏面に、充分に強固に固定することができる。
また、本例の錠装置1000では、扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050を左右の側面1001a,1001bを有するコ字状基体1001で完全に被覆するものを示したが、例えば、扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050を周壁部605に接しない反対側の側面1001aに摺動自在にリベット等で装着し、周壁部605に接する側面1001bを省略したL字状基体(錠基体)とし、そのL字状基体(錠基体)の側面1001aと第一側面壁540とによって形成される閉鎖空間に扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050を収納する構造としても良く、上述した錠装置1000と同様の作用効果を奏することができる。
上述したように、本例の本体枠3によると、本体枠ベース600の後側に後方(前後方向)へ延出した周壁部710aを有する透明な賞球ベース710と、賞球ベース710の上側に本パチンコ機1を設置する遊技ホールの島設備側から供給された遊技球を貯留する賞球タンク720と、賞球タンク720から排出された遊技球を整列させ賞球ベースの後壁部710bの後側に取付けられる透明なタンクレールユニット730と、タンクレールユニット730から放出された遊技球を所定の払出指示に基づいて扉枠5の上皿301へ払出し賞球ベース710の後壁部710bの後側に取付けられる一部が透明の賞球装置740と、本体枠ベース600の後端へ延出した側部904を有し後面がタンクレールユニット730や賞球装置740の後面と略同一面状に配置された透明な裏カバー900とを備えているので、賞球ベース710や裏カバー900等を通して本体枠ベース600の遊技盤保持口601に保持された遊技盤4の後側と後側側面とを視認することができ、遊技盤4の後側を覆う裏カバー900を開けなくても簡単に遊技盤4の後側を点検(目視点検)することが可能なパチンコ機1とすることができる。
また、透明な賞球ベース710や裏カバー900等を通して遊技盤4の後側(後面)だけでなく遊技盤4の後側側面も視認することができるので、本体枠ベース600の遊技盤保持口601へ前側から遊技盤4を脱着した際に、遊技盤4と裏カバー900との間にドライバーやペンチ等の工具、洗浄用のウエス、埃やゴミ、等が残留した場合でも、それらを外側からは簡単に発見することができ、残留物によって何らかの不具合が発生するのを防止することができる。
更に、上述したように、遊技盤4の後面や後側側面を外側から視認することができるので、遊技盤4の後側や側面等に不正行為を行うための不正な装置や工具等が取付けられていても、容易に発見することができ、不正行為が行われるのを防止することができると共に、遊技盤4に取付けられた不正な装置等を外側から簡単に発見することができるので、不正な装置等の取付けを躊躇させることができ、不正行為に対する抑止力の高いパチンコ機1とすることができる。
また、遊技盤4の後側を賞球ベース710や裏カバー900で覆うようにしているので、パチンコ機1を設置した島設備内の他の部材が遊技盤4と接触したり、遊技盤4の後側にゴミや埃等の異物が付着したりするのを防止することができ、遊技盤4を良好な状態に維持して不具合が発生するのを抑制することができる。
また、賞球タンク720の後面が本体枠ベース600の奥行きDに対して、本体枠ベース600の前端から約2倍の奥行きの位置となるようにしている、つまり、本体枠ベース600の奥行きDを、本体枠3の奥行きの約半分としているので、賞球ベース710や裏カバー900等を通して遊技盤4の後側や後側側面をより見易くすることができ、上記した作用効果を確実に奏することができる。また、本体枠ベース600の奥行きDを、本体枠3の奥行きの約半分としているので、本体枠ベース600を伏せた時の高さを可及的に低くして平坦な形状とすることができ、本体枠ベース600の後側へ賞球ベース710や裏カバー900、タンクレールユニット730、賞球装置740等を取付ける取付作業を行い易くすることができる。
更に、透明な裏カバー900の後面(本体部902)を、賞球ベース710に取付けられた賞球タンク720、タンクレールユニット730、及び賞球装置740等の後面と、略同一面状となるようにしているので、パチンコ機1の後面を略フラットな面とすることができ、後方への突起物を無くすことで設置される島設備内の他の部材に引っ掛かったり当接したりするのを防止して不具合が発生するのを防止することができる。また、パチンコ機1の後面が略フラットとなるので、パチンコ機1を搬送する際に、単純な形状の緩衝材を用いることができると共に、集積効率(収納効率)を高くすることができ、パチンコ機1に係るコストを低減させることができる。
また、裏カバー900に、複数のスリット916や透孔918を備えるようにしており、スリット916等を介して遊技盤4の後側や後側側面等を直接視認することができるので、遊技盤4の後側等を更に見易くすることができ、上述した作用効果を確実に奏することができる。また、本体枠ベース600に保持された遊技盤4の後側を裏カバー900で覆っても、裏カバー900のスリット916等を介して遊技盤4からの熱を外部へ放出することができるので、遊技盤4からの熱が蓄積されるのを防止することができ、熱によって遊技に関する制御が不安定になったり、合成樹脂等の部材が変形したりして不具合が発生するのを抑制することができる。更に、裏カバー900のスリット916や透孔918を、遊技球が通過不能な大きさとしているので、例えば、島設備内でパチンコ機1の後側に遊技球がこぼれても、スリット916等を通して遊技球がパチンコ機1内へ侵入するのを阻止することができ、遊技球の侵入によって不具合が発生するのを防止することができる。
[1-4.遊技盤の基本構成]
次に、パチンコ機1における遊技盤4の基本構成について、図98乃至図107を参照して説明する。図98は、パチンコ機の扉枠を外した状態で本体枠に取付けられた遊技盤を示す正面図である。また、図99は、遊技盤の正面図であり、図100は、遊技盤を分解して前から見た分解斜視図であり、図101は、遊技盤を分解して後から見た分解斜視図である。更に、図102(A)はパチンコ機に取付けた状態で遊技盤における機能表示ユニットを拡大して示す正面図であり、(B)は機能表示ユニットの他の形態を示す正面図である。
また、図103は、図100等の例とは異なる実施形態の遊技パネルを用いた遊技盤を分解して前から見た分解斜視図であり、図104は、図103を後から見た遊技盤の分解斜視図である。また、図105は、図103の遊技盤における遊技パネルを縦方向に切断した断面図である。更に、図106は図103等の例とは異なる実施形態の前構成部材を用いた遊技盤を分解して前から見た分解斜視図であり、図107は図106を後から見た遊技盤の分解斜視図である。
本実施形態の遊技盤4は、図示するように、遊技者がハンドル装置500を操作することで遊技球が打ち込まれる遊技領域1100の外周を区画し外形が正面で略矩形状とされた前構成部材1110と、前構成部材1110の後側に配置され遊技領域1100の後端を区画する板状の遊技パネル1150と、遊技パネル1150の後側下部に配置される基板ホルダ1160と、基板ホルダ1160の後面に取付けられ遊技球を遊技領域1100内へ打ち込むことで行われる遊技内容を制御する主制御基板4100を収容する主制御基板ボックス1170と、主制御基板4100からの制御信号に基づいて所定の遊技状況を表示可能とされ前構成部材1110の所定位置に遊技者側へ視認可能に取付けられる機能表示ユニット1180と、を備えている。この遊技盤4は、図98乃至図105での図示は省略し詳細は後述するが、遊技パネル1150の前面に取付けられる表ユニット2000と、遊技パネル1150の後面に取付けられる裏ユニット3000と、を更に備えている(図110乃至図116等を参照)。
本実施形態の遊技盤4は、前構成部材1110、遊技パネル1150、基板ホルダ1160、主制御基板ボックス1170、及び機能表示ユニット1180によって、基本的な構成が形成されており、遊技パネル1150に取付けられる表ユニット2000と裏ユニット3000、及び主制御基板ボックス1170内に収容される主制御基板4100によってパチンコ機1(遊技盤4)を特徴付ける詳細な構成が形成されている。ここでは、遊技盤4の基本構成を説明し、詳細構成については後述する。
[1-4A.前構成部材]
続いて、遊技盤4における前構成部材1110について説明する。本例の遊技盤4における前構成部材1110は、外形が本体枠3の遊技盤保持口601内へ挿入可能な略矩形状とされ、内形が略円形状に前後方向へ貫通しており、内形の内周によって遊技領域1100の外周が区画されるようになっている。この前構成部材1110は、正面視で左右方向中央から左寄りの下端から時計回りの周方向へ沿って円弧状に延び正面視左右方向中央上端を通り過ぎて右斜め上部まで延びた外レール1111と、外レール1111に略沿って外レール1111の内側に配置され正面視左右方向中央下部から正面視左斜め上部まで円弧状に延びた内レール1112と、内レール1112の下端から滑らかに連続するように正面視反時計回りの周方向へ沿って外レール1111の終端(上端)よりも下側の位置まで円弧状に延びた内周レール1113と、内周レール1113の終端(上端)と外レール1111の終端(上端)とを結び外レール1111に沿って転動してきた遊技球が当接可能とされた衝止部1114と、内レール1112と内周レール1113との境界部で遊技領域1100の最下端に配置され後方へ向かって低くなったアウト口誘導面1115と、内レール1112の上端に回動可能に軸支され、外レール1111との間を閉鎖するように内レール1112の上端から上方へ延出した閉鎖位置と正面視時計回りの方向へ回動して外レール1111との間を開放した開放位置との間でのみ回動可能とされると共に閉鎖位置側へ復帰するように図示しないバネによって付勢された逆流防止部材1116と、を備えている。
この前構成部材1110は、遊技盤4を本体枠3に取付けた状態とすると、図98等に示すように、外レール1111と内レール1112との間の下端開口が、本体枠3の打球発射装置650における発射レール660の延長線上に位置するようになっている。この外レール1111の下端と、発射レール660の上端との間には、左右方向及び下方へ広がった空間が形成されており、打球発射装置650の発射レール660に沿って打ち出された遊技球が、その空間を飛び越えて、外レール1111と内レール1112との間の下端開口から外レール1111と内レール1112との間へ打ち込まれるようになっている。外レール1111と内レール1112との間に打ち込まれた遊技球は、その勢いに応じて外レール1111に沿って上方へ転動し、内レール1112の上端に軸支された逆流防止部材1116を、その付勢力に抗して開放位置側へ回動させることにより、遊技領域1100内へ進入することができるようになっている。
また、打球発射装置650において遊技球を強く打球した場合、遊技領域1100内で外レール1111に沿って転動した遊技球が、外レール1111の終端に備えられた衝止部1114に当接するようになっており、この衝止部1114に遊技球が当接することで遊技球の転動方向を強制的に変化させることができ、外レール1111から内周レール1113へ連続して遊技球が転動するのを防止することができるようになっている。なお、遊技領域1100内へ進入した(打ち込まれた)遊技球が、外レール1111と内レール1112との間へ戻ろうとしても、その前に逆流防止部材1116が付勢力によって閉鎖位置へ復帰することで、逆流防止部材1116によって遊技球の逆流が阻止されるようになっている。
また、遊技領域1100内へ打ち込まれた遊技球は、後述する表ユニット2000の始動口2101,2102や入賞口2103,2104,2201等に受入れられなかった場合は、遊技領域1100の下端へと流下し、内レール1112と内周レール1113との境界のアウト口誘導面1115によって、遊技パネル1150のアウト口1151へ誘導され、アウト口1151から遊技盤4の後側下方へ排出されるようになっている。
一方、打球発射装置650から発射された遊技球が、内レール1112先端の逆流防止部材1116を越えて遊技領域1100内へ進入することができなかった場合は、外レール1111と内レール1112との間を逆方向の下方へ向かって転動し、外レール1111と内レール1112との間の下端開口から、発射レール660の上端と外レール1111の下端との間に形成されたファール空間626を落下することとなり、ファール空間626の下部に位置する扉枠5におけるファールカバーユニット540のファール球入口542eに受入れられて、皿ユニット300における下皿302へ排出されるようになっている。
なお、前構成部材1110における外レール1111は、その表面に金属板が取付けられており、遊技球の転動による耐摩耗性が高められていると共に、遊技球が滑らかに転動するようになっている。また、衝止部1114は、表面にゴムや合成樹脂等の弾性体が配置されており、遊技球が外レール1111に沿って勢い良く転動してきて衝突しても、その衝撃を緩和させることができるようになっていると共に、遊技球を内側へ反発させることができるようになっている。
また、前構成部材1110は、外レール1111の下部外側から前方へ向かって突出した壁状の防犯突起1117と、アウト口誘導面1115の下側から内周レール1113に沿って上下方向の略中央まで延出し前端から所定量窪んだ溝状のレール防犯溝1118と、を備えている。前構成部材1110における防犯突起1117は、本体枠3に対して扉枠5を閉じた状態とした時に、扉枠5における防犯カバー180の防犯後端部突片183と上下方向に重複するようになっており、これにより、軸支側(正面視左側)における本体枠3と扉枠5との間からピアノ線等の不正具を侵入させても、不正具を遊技領域1100内まで到達させることができないようになっている。
また、本例の前構成部材1110は、本体枠3に対して扉枠5を閉じた状態とすると、レール防犯溝1118内に、扉枠5における防犯カバー180の防犯後突片182が挿入されるようになっていると共に、防犯後突片182が内レール1112の外側(遊技領域1100とは反対側)面に略接するように内レール1112と外レール1111との間に挿入されるようになっており、内レール1112及びレール防犯溝1118と防犯後突片182とでも、本体枠3と扉枠5との間から侵入させたピアノ線等の不正具が遊技領域1100内へ到達するのを防止することができるようになっている。
また、前構成部材1110は、正面視左端に上下方向へ離間して配置され前方から後方へ向かって窪むと共に左端に開放された一対の位置決め凹部1119と、正面視右端に上下方向へ離間して配置された一対の遊技盤止め具1120と、外レール1111の下端よりも正面視左側に配置され下方へ開放されると共に上側が円弧状に形成され前側から窪んだ固定凹部1121と、正面視下端の左側端部付近に下端から上方へ左右方向へ長く延びた矩形状に切欠かれた球通路用切欠部1122と、を備えている。前構成部材1110の位置決め凹部1119は、本体枠3における側面防犯版950の内側に取付けられた位置決め部材956と嵌合させることで、遊技盤保持口601に挿入された遊技盤4の正面視左端が、前後方向へ移動するのを規制することができるようになっている。また、遊技盤止め具1120は、本体枠3における本体枠ベース600の遊技盤係止部608に対して着脱可能に係止することができるようになっており、遊技盤止め具1120を遊技盤係止部608に係止させることで、本体枠3の遊技盤保持口601に挿入された遊技盤4の正面視右端が、前後方向へ移動するのを規制することができるようになっている。
また、前構成部材1110の固定凹部1121は、遊技盤4を本体枠3の遊技盤保持口601へ挿入した状態で、本体枠3の前面に軸支された遊技盤固定具690を正面視で時計回りの方向へ回動させると、遊技盤固定具690の固定片690aが挿入されるようになっており、遊技盤固定具690によって遊技盤4の下端が前方へ移動するのが規制されるようになっている。また、前構成部材1110の球通路用切欠部1122は、遊技パネル1150の同位置にも同様の球通路用切欠部1152が形成されており、遊技盤4を本体枠3の遊技盤保持口601へ挿入した状態では、球通路用切欠部1122,1152内に満タン分岐ユニット770の前端が挿通されるようになっている。
更に、前構成部材1110は、下端部における正面視右端近傍に、前後方向へ貫通した横長の貫通穴1123と、貫通穴1123の下辺における左右方向の中央から正面視左寄りの位置に前後方向の厚さを薄く形成した締結部1124と、貫通穴1123の正面視左側に配置され証明確認用の証紙を貼付るための証紙貼付部1125と、を備えている。この前構成部材1110における締結部1124は、詳細な図示は省略するが、本遊技盤を従前の本体枠に取付ける場合に、従前の本体枠に形成された締結穴に対して所定の締結バンドを互いに巻き掛けて締結することで、遊技盤4を取外し難くすることができ、遊技盤4の不正な取外しを防止することができるものである。
また、前構成部材1110は、内周レール1113に沿ったレール防犯溝1118の外側で正面視右下に、後述する機能表示ユニット1180の表示部1181が配置されている。また、前構成部材1110は、後面の下部の左右両端から後方へ突出した複数の取付ボス1126と、内レール1112の後面から後方へ突出した複数の位置決め突起1127と、を備えている。この取付ボス1126は、遊技パネル1150を貫通して基板ホルダ1160の固定ボス1162と係合するようになっており、基板ホルダ1160の後側から固定ボス1162を通して取付ボス1126へ所定のビスを螺着することで、前構成部材1110と基板ホルダ1160とで遊技パネル1150を挟持することができるようになっている。また、位置決め突起1127は、遊技パネル1150に形成された内レール固定孔1155へ嵌合させることで、内レール1112を遊技パネル1150の所定位置に固定することができるようになっている。
[1-4B.遊技パネル]
続いて、遊技盤4における遊技パネル1150について説明する。本例の遊技パネル1150は、所定厚さ(例えば、18mm~21mm)のベニヤ合板等の木質板材によって形成されており、外形が前構成部材1110の外形と略同形状とされている。この遊技パネル1150は、正面視左右方向略中央の下部で前構成部材1110におけるアウト口誘導面1115と対応した位置に前後方向へ貫通するアウト口1151と、下端の正面視左側に前後方向へ横長に貫通すると共に下方へ開放され前構成部材1110の球通路用切欠部1122と同形状の球通路用切欠部1152と、正面視右下隅部に前後方向へ貫通し機能表示ユニット1180の後方突出部1182が挿入される挿入穴1153と、を備えている。
また、遊技パネル1150は、下部の左右両端付近で前構成部材1110の取付ボス1126と対応した位置に前後方向へ貫通した複数のボス挿通孔1154と、前構成部材1110の位置決め突起1127が挿入固定される複数の内レール固定孔1155と、アウト口1151の後面側で後面から前方へ向かって所定量窪むと共に下端側が下方へ開放された溝状のアウト球排出溝1156(図101を参照)と、前構成部材1110の遊技盤止め具1120と対応した位置に形成され正面視右端から前後方向へ貫通するように切欠かれた切欠部1157と、を備えている。また、遊技パネル1150は、適宜位置に前構成部材1110の後面に対して取付固定するための複数の取付孔を備えている。
本例の遊技盤4における遊技パネル1150は、前構成部材1110によって外周が区画される遊技領域1100の後端を区画することができるものであり、前面における遊技領域1100と対応した範囲内に、複数の障害釘(図示は省略)が所定のゲージ配列で植設されるようになっていると共に、表ユニット2000が取付けられるようになっている。また、遊技パネル1150の後面には、裏ユニット3000が取付けられるようになっている。また、遊技パネル1150は、アウト口1151が、遊技領域1100の最下端に位置するように形成されており、遊技盤4に組立てた状態では、前構成部材1110における遊技領域1100の最下端に形成されたアウト口誘導面1115によって後方へ誘導された遊技球がアウト口1151へ進入して遊技盤4の後側へ排出されるようになっている。
[1-4C.基板ホルダ]
次に、遊技盤4における基板ホルダ1160について説明する。基板ホルダ1160は、上方及び前方が開放された横長の箱状に形成されている。この基板ホルダ1160は、正面視左右方向の略中央における底壁部の前端に上下方向へ貫通するように形成されたアウト球排出部1161が形成されていると共に、底壁部の上面がアウト球排出部1161へ向かって低くなるように形成されており、遊技パネル1150のアウト口1151、表ユニットや裏ユニットから排出されて、基板ホルダ1160の底部上面に供給(排出)された遊技球が、アウト球排出部1161から下方へ排出されるようになっている。なお、アウト球排出部1161は、遊技盤4を本体枠3に取付けた状態とすると、本体枠3における基板ユニット800の排出球受部841の直上に位置するようになっており、遊技盤4から排出された遊技球は、すべて基板ユニット800の排出通路842を通ってパチンコ機1の後側下方へ排出されるようになっている。
また、基板ホルダ1160は、側壁部における上下両端の前端から前方へ突出した複数の固定ボス1162を備えている。複数の固定ボス1162は、先端が遊技パネル11520の後側からボス挿通孔1154内へ挿入された上で、前構成部材1110の取付ボス1126の後端と嵌合するようになっており、取付ボス1126と嵌合させた状態で、基板ホルダ1160の後側から固定ボス1162内を貫通して取付ボス1126へ所定のビスを螺着することで、前構成部材1110に対して基板ホルダ1160を組付けることができるようになっていると共に、前構成部材1110と基板ホルダ1160とで遊技パネル1150を挟持することができるようになっている。
また、基板ホルダ1160は、図101に示すように、後壁部における後面の背面視左側端部に主制御基板ボックス1170の固定片1174が横側から嵌合可能な固定部1163と、固定部1163と対向するように配置され主制御基板ボックス1170の弾性固定片1175が後方から係止可能な係止部1164と、を備えている。この基板ホルダ1160の固定部1163及び係止部1164によって、基板ホルダ1160の後面に主制御基板ボックス1170を着脱可能に支持することができるようになっている。
[1-4D.主制御基板ボックス]
続いて、遊技盤4における主制御基板ボックス1170について説明する。この主制御基板ボックス1170は、後側が開放された薄い横長箱状の基板ベース1171と、基板ベース1171の後面を覆い前側が開放された薄い横長箱状で基板ベース1171の内部へ後側から嵌合する基板カバー1172と、基板カバー1171の前端に電子部品や端子等が後面側に実装された主制御基板4100と、を備えている。また、主制御基板ボックス1170は、基板ベース1171における背面視左側端部から外方へ延出し基板ホルダ1160の固定部1163と嵌合する固定片1174と、基板カバー1172における背面視右側端部から後方へ突出し基板ホルダ1160の係止部1164に弾性係止される弾性固定片と、を備えている。
また、主制御基板ボックス1170は、図101等に示すように、弾性固定片1175を挟んで上下に二つずつ背面視右側端部に配置され基板ベース1171と基板カバー1172との開閉を封止可能な封止部1176と、基板ベース1171と基板カバー1172の下端で基板ベース1171と基板カバー1172とに跨って貼付けられる密封シール(図示は省略)と、密封シールの表面を被覆する透明なシール保護カバー1177と、基板カバー1172の後面に貼り付けられる基板管理シール1178と、を備えている。この主制御基板ボックス1170の封止部1176は、基板ユニット800における払出制御基板ボックス860の分離切断部863と同様の構成とされており、四つの封止部1176の何れか一つにおいてカシメ固定されている。この主制御基板ボックス1170は、基板ベース1171と基板カバー1172とを分離するには、カシメ固定された封止部1176を切断する必要があり、主制御基板ボックス1170の開閉の痕跡が残るようになっている。これにより、主制御基板ボックス1170が不正に開かれたか否かが外部から目視で明瞭に判別することができるようになっている。
なお、主制御基板ボックス1170の封止部1176は、本例では四つ備えられているので、主制御基板ボックス1170を三回まで開閉することができるようになっている。また、本例の主制御基板ボックス1170は、基板ベース1171と基板カバー1172とに跨って密封シールが貼付られており、基板ベース1171と基板カバー1172とを分離させる際に、密封シールを切断したり剥したりする必要があり、この密封シールにおいても開閉の痕跡が残るようになっている。従って、主制御基板ボックス1170が不正に開閉されて、内部の主制御基板4100が不正に改造されたり、不正な主制御基板(或いは、遊技内容のプログラム等を記憶したROM)と交換されたりしても、外部から目視で確認することができ、それらの不正行為が行われるのを防止することができるようになっている。
また、主制御基板ボックス1170は、基板カバー1172の前後方向へ貫通した開口が適宜位置に形成されており、その開口を通して主制御基板4100に取付けられた、RAMクリアスイッチ4100cや試験用端子4100f、周辺制御基板4010や払出制御基板4110等と接続するための各種接続端子等が後側へ臨むようになっている。なお、主制御基板ボックス1170の後面から臨む試験用端子4100fに、所定の計測機器を接続することで、主制御基板ボックス1170を開けることなく主制御基板4100を外部からチェックすることができると共に、上述の封止部1176や密封シールに対して巧妙な細工がなされていても、主制御基板4100に対する不正な改造の有無を目視以外に確認することができ、防犯性能の高いパチンコ機1とすることができるようになっている。
[1-4E.機能表示ユニット]
次に、遊技盤4における機能表示ユニット1180について説明する。この機能表示ユニット1180は、前構成部材1110の所定位置に取付配置されるものであり、前構成部材1110の前面で遊技者側から視認可能に配置される表示部1181と、前構成部材1110の後面よりも後方へ突出した後方突出部1182と、を備えている。
本例の機能表示ユニット1180の表示部1181には、図102(A)に拡大して示すように、正面視左側端部に遊技領域1100内へ打ち込まれた遊技球によって変化する遊技状態を表示するための一つのLEDからなる遊技状態表示器1183と、遊技状態表示器1183の右側で上下方向へ並んだ二つのLEDからなり第一始動口2101への遊技球の受入れに関する保留数を表示するための第一特別図柄記憶表示器1184と、第一特別図柄記憶表示器1184の右側に配置され第一始動口2101への遊技球の受入れにより抽選された第一特別抽選結果を第一特別図柄として表示するための一つの7セグメントLEDからなる第一特別図柄表示器1185と、第一特別図柄表示器1185の右斜め上に配置され第二始動口2102への遊技球の受入れにより抽選された第二特別抽選結果を第二特別図柄として表示するための一つの7セグメントLEDからなる第二特別図柄表示器1186と、第二特別図柄表示器1186の右側で上下方向へ並んだ二つのLEDからなり第二始動口2102への遊技球の受入れに関する保留数を表示するための第二特別図柄記憶表示器1187と、を備えている。
また、機能表示ユニット1180の表示部1181には、第二特別図柄表示器1186の直上から内周レール1113に略沿った円弧状に並んで配置され遊技球によるゲート部2105の通過に関する保留数を表示するための四つのLEDからなる普通図柄記憶表示器1188と、普通図柄記憶表示器の下側に配置され遊技球がゲート部2105を通過することで抽選された普通抽選結果を普通図柄として表示するための一つのLEDからなる普通図柄表示器1189と、普通図柄記憶表示器1188の斜め右上側へ並んで配置され第一特別抽選結果又は第二特別抽選結果が「大当り」の時に大入賞口2103の開閉パターンの繰返し回数(ラウンド数)を表示するための二つのLEDからなるラウンド表示器1190と、を備えている。
本例の機能表示ユニット1180における遊技状態表示器1183は、赤色・緑色・橙色と、その発光色を変化させることが可能なカラーLEDとされており、発光する発光色と、点灯・点滅との組合せにより、様々な遊技状態(例えば、確率変動状態、時間短縮状態、確変時短状態、大当り遊技状態、小当り遊技状態、等)を表示することができるようになっている。
また、機能表示ユニット1180における第一特別図柄記憶表示器1184は、第一特別図柄表示器1185において第一特別図柄を変動表示させることができない時に、第一始動口2101へ遊技球が受入れられた場合に、変動表示の開始が保留(記憶)された第一特別図柄の保留数(記憶数)を表示するものである。この第一特別図柄記憶表示器1184は、所定のLEDからなる第一特別図柄記憶ランプ1184aと、第一特別図柄記憶ランプ1184bとを有しており、第一特別図柄記憶ランプ1184a,1184bの点灯・点滅パターンによって、保留数を表示することができるようになっている。具体的には、例えば、保留数が一つの時には第一特別図柄記憶ランプ1184aが点灯して第一特別図柄記憶ランプ1184bが消灯し、保留数が二つの時には第一特別図柄記憶ランプ1184a,1184bが共に点灯し、保留数が三つの時には第一特別図柄記憶ランプ1184aが点滅して第一特別図柄記憶ランプ1184bが点灯し、保留数が四つの時には第一特別図柄記憶ランプ1184a,1184bが共に点滅するようになっている。なお、本例では、四つまで保留されるようになっている。
また、機能表示ユニット1180における第二特別図柄記憶表示器1187は、第二特別図柄表示器1186において第二特別図柄を変動表示させることができない時に、第二始動口2102へ遊技球が受入れられた場合に、変動表示の開始が保留(記憶)された第二特別図柄の保留数(記憶数)を表示するものである。この第二特別図柄記憶表示器1187は、所定のLEDからなる第二特別図柄記憶ランプ1187aと、第二特別図柄記憶ランプ1187bとを有しており、第二特別図柄記憶ランプ1187a,1187bの点灯・点滅パターンによって、保留数を表示することができるようになっている。具体的には、例えば、保留数が一つの時には第二特別図柄記憶ランプ1187aが点灯して第二特別図柄記憶ランプ1187bが消灯し、保留数が二つの時には第二特別図柄記憶表示ランプ1187a,1187bが共に点灯し、保留数が三つの時には第二特別図柄記憶ランプ1187aが点滅して第二特別図柄記憶ランプ1187bが点灯し、保留数が四つの時には第二特別図柄記憶ランプ1187a,1187bが共に点滅するようになっている。なお、本例では、四つまで保留されるようになっている。
更に、機能表示ユニット1180における第一特別図柄表示器1185及び第二特別図柄表示器1186は、第一始動口2101や第二始動口2102への遊技球の受入れにより、抽選された第一特別抽選結果や第二特別抽選結果を表示するものであり、7セグメントLEDが特別抽選結果に応じた所定の時間、変動した後に停止し、停止した7セグメントLEDの発光パターン(特別図柄)によって、第一特別抽選結果や第二特別抽選結果を遊技者側に認識させることができるようになっている。
また、機能表示ユニット1180における普通図柄表示器1189は、赤色・緑色・橙色と、その発光色を変化させることが可能なカラーLEDとされており、発光する発光色と、点灯・点滅との組合せにより、ゲート部2105を遊技球が通過することで抽選される普通抽選結果を表示することができるようになっている。なお、普通図柄表示器1189による普通図柄の表示も、特別図柄と同様に、所定時間変動表示した後に、普通抽選結果に対応した発光パターンで停止表示するようになっている。
また、機能表示ユニット1180における普通図柄記憶表示器1188は、普通図柄表示器1189において普通図柄を変動表示させることができない時に、ゲート部2105を遊技球が通過した場合に、変動表示の開始が保留(記憶)された普通図柄の保留数(記憶数)を表示するものである。この普通図柄記憶表示器1188は、下から並んで配置された四つの普通図柄記憶ランプ1188a~1188dを備え、夫々が所定のLEDとされており、保留数に応じて下から普通図柄記憶ランプ1188a~1188dを順次点灯させることで普通図柄の保留数を表示させることができるようになっている。なお、本例では、普通図柄の変動表示が四つまで保留(記憶)されるようになっている。
更に、機能表示ユニット1180におけるラウンド表示器1190は、所定のLEDからなる2ラウンド表示ランプ1190aと、15ラウンド表示ランプ1190bとを備えており、夫々のランプが点灯することで「大当り」遊技におけるラウンド数を表示することができるようになっている。
本例の機能表示ユニット1180は、図102(A)に示すように、遊技盤4をパチンコ機1に取付けた状態で、扉枠5の遊技窓101を通して遊技者側から視認することができるようになっている。また、機能表示ユニット1180の遊技状態表示器1183、第一特別図柄記憶表示器1184、第一特別図柄表示器1185、第二特別図柄表示器1186、第二特別図柄記憶表示器1187、普通図柄記憶表示器1188、普通図柄表示器1189、及びラウンド表示器1190は、機能表示基板1191(図162を参照)の前面に取付けられている。また、機能表示ユニット1180の後方突出部1182の後端には、機能表示基板1191と、主制御基板4100とを接続するための接続端子が取付けられている。
本例では、機能表示ユニット1180を遊技盤4の前構成部材1110に備えるようにしているので、遊技パネル1150に取付けられる表ユニット2000や裏ユニット300に備えるようにした場合と比較して、機能表示ユニット1180を遊技盤4の基本構成として流用することができ、パチンコ機1に係る構成を簡略化してコストが増加するのを防止することができると共に、パチンコ機1の機種(表ユニット2000や裏ユニット3000により具現化されパチンコ機1の機種を特徴付けることが可能な遊技盤4の詳細構成)が異なっていても、機能表示ユニット1180の表示部1181の位置が変化しないので、遊技者や遊技ホールの店員等に対して、戸惑うことなく表示部1181の位置を認識させることができるようになっている。
また、パチンコ機1の機能表示ユニット1180としては、図102(B)に示すような形態としても良い。この例では、7セグメントLEDにより構成した第一特別図柄表示器1185と第二特別図柄表示器1186を、夫々八つのLED群によって構成したものである。また、第一特別図柄記憶表示器1184と第二特別図柄記憶表示器1187を、夫々四つのLED群により構成すると共に、普通図柄記憶表示器1188を、二つのLEDにより構成するようにしている。
この機能表示ユニット1180でも上記と同様の作用効果を奏することができる他に、第一特別図柄表示器1185と第二特別図柄表示器1186を八つのLED群で構成するようにしているので、7セグメントLEDを用いた場合と比較して、遊技者に対して表示される特別図柄を憶え難くすることができる。従って、機能表示ユニット1180で表示されている内容が判り辛いので、遊技中に機能表示ユニット1180の表示が気掛かりとなって遊技に専念し難くなるのを抑制することができ、遊技球の動き、可動演出や演出画像等に専念させて遊技をより楽しませることができるようになっている。
[1-4F.遊技パネルの第二実施形態]
続いて、上記した遊技盤4における遊技パネル1150とは異なる形態の遊技パネル1200について、図103乃至図105を参照して説明する。なお、図103乃至図105における前構成部材1110、基板ホルダ1160、及び主制御基板ボックス1170は、上述したものと同一の構成とされており、ここでの詳細な説明は省略する。本実施形態の遊技パネル1200は、上述した遊技パネル1150よりも厚さが薄く前構成部材1110によって外周が区画された遊技領域1100の後端を区画可能な板状で前構成部材1110の外形よりも外形が小さく形成されたパネル板1210と、パネル板1210を前側から脱着可能に保持すると共に前構成部材1110の後面に取付けられる枠状のパネルホルダ1220と、を備えている。
この遊技パネル1200パネル板1210は、その外形が遊技領域1100よりも若干大きい多角形状とされており、アクリル樹脂、ポリカーボネイト樹脂、ポリアリレート樹脂、メタクリル樹脂等の合成樹脂板や、ガラスや金属等の無機質板により形成されている。このパネル板1210の板厚は、パネルホルダ1220(遊技パネル1150)よりも薄く、障害釘Gを前面に植設したり表ユニット2000を取付けたりしても十分に保持可能な必要最低限の厚さ(8~10mm)とされている。なお、本例では、透明な合成樹脂板によってパネル板1210が形成されている。
このパネル板1210は、外周近傍に配置され前後方向に貫通する丸孔からなる複数の嵌合孔1211と、左下部の外周近傍に配置され前後方向に貫通し上下方向に延びる長孔1212と、を備えている。これら嵌合孔1211及び長孔1212は、遊技領域1100よりも外側に配置されており、パネルホルダ1220との位置決めを行うものである。また、パネル板1210には、その上辺の両端と下辺の両端に、前側が窪んだ段状の係合段部1213が夫々備えられている。この係合段部1213は、パネル板1210の板厚の略半分まで切欠いた形態とされると共に、嵌合孔1211及び長孔1212と同様に、遊技領域1100よりも外側に配置されており、パネル板1210をパネルホルダ1220へ係合固定するためのものである。
また、パネル板1210は、所定位置に内レール固定孔1214が複数備えられている。この内レール固定孔1214に内レール1112の後側から突出する位置決め突起1127を嵌合固定させることで、内レール1112を所定の位置に固定することができるようになっている。更に、パネル板1210は、詳細は後述するが、アタッカユニット2100やセンター役物2500等の表ユニット2000を取付けるための前後方向へ貫通した複数の開口部1215を備えており、開口部1215に対して前側からアタッカユニット2100等が挿入固定されるようになっている(図115等を参照)。
一方、遊技パネル1200におけるパネルホルダ1220は、パネル板1210を包含する大きさで外形が略四角形状とされ、上述した木質板からなる遊技パネル1150の厚さと略同じ厚さ(本例では、約20mm)とされた合成樹脂(例えば、熱可塑性合成樹脂)からなるものである。このパネルホルダ1220には、パネル板1210を着脱可能に保持し前面側から後方側に向かって凹んだ保持段部1221と、保持段部1221の内側において略遊技領域1100と同等の大きさで前後方向に貫通する貫通口1222とを主に備えている。
パネルホルダ1220の保持段部1221は、前面からの深さがパネル板1210の厚さと略同じ深さとされており、保持段部1221内に保持されたパネル板1210の前面がパネルホルダ1220の前面と略同一面となるようになっている。また、この保持段部1221は、その前側内周面が、パネル板1210の外周面に対して所定量のクリアランスが形成される大きさとされている。このクリアランスにより、温度変化や経時変化により相対的にパネル板1210が伸縮しても、その伸縮を吸収できるようになっている。なお、クリアランス内にゴム等の弾性部材を詰めても良い。
また、パネルホルダ1220には、保持段部1221に保持されるパネル板1210に形成された嵌合孔1211及び長孔1212と対応する位置に配置され、保持段部1221の前面から前方に向かって延び、パネル板1210の嵌合孔1211及び長孔1212に嵌合及び挿通可能な複数の突出ピン1223を備えている。これらの突出ピン1223をパネル板1210の嵌合孔1211及び長孔1212に嵌合及び挿通することで、パネルホルダ1220とパネル板1210とを互いに位置決めすることができるようになっている。
更に、パネルホルダ1220には、パネル板1210の係合段部1213と対応する位置に、係合段部1213と係合する係合爪1224及び係合片1225を供えている。詳述すると、係合爪1224は、パネルホルダ1220の上側の保持段部1221に配置されており、パネル板1210における上側の係合段部1213と対応し、保持段部1221の前面から前方に向かって突出し係合段部1213と弾性係合するようになっている。この係合爪1224は、その先端がパネルホルダ1220の前面から突出しない大きさとされている。一方、係合片1225は、パネルホルダ1220の下側の保持段部1221に配置され、パネル板1210における下側の係合段部1213と対応し、保持段部1221の前面との間にパネル板1210の係合段部1213が挿入可能な大きさの所定の隙間を形成した状態で、パネルホルダ1220の前面に沿って上側(中心側)に向かって所定量延びる形態とされている。これら係合爪1224及び係合片1225にパネル板1210の係合段部1213を係合させることで、パネル板1210がパネルホルダ1220に対して着脱可能に保持されるようになっている。
また、パネルホルダ1220には、前構成部材1110に備えられた取付ボス1126を挿通可能な前後方向に貫通するボス挿通孔1226を備えており、このボス挿通孔1226に前構成部材1110の取付ボス1126を挿通することで、パネルホルダ1220と前構成部材1110とが互いに位置決めされるようになっている。
このパネルホルダ1220には、図104に示すように、その後面側に、上下方向の中央やや下方より下側と外周縁を残すように前側に所定量窪んだ形態の取付支持部1227が備えられている。この取付支持部1227により、パネルホルダ1220の後面は、下端より所定高さまでの所定範囲より上側で、後面側外周部が後方に突出したような状態で窪んだ形態となると共に、その窪み量(深さ)が、取付支持部1227に取付固定される裏ユニット3000における裏箱3010のフランジ状の固定部3010c(図155等を参照)を収容できる深さ(本例では、約2.5mmとされており、1~3mmの間とすることが望ましい)とされている。この取付支持部1227に所定の部材を取付固定することで、その固定部3010cがパネルホルダ1220よりも後側に突出するのを防止することができ、パネルホルダ1220すなわち遊技盤4を本体枠3(パチンコ機1)の遊技盤保持口601内に確実に設置装着できるようになっている。
更に、パネルホルダ1220には、図示するように、後面側の取付支持部1227内及び収容凹部630hよりも上側に配置され所定のビスを螺合可能な複数の取付孔1228が所定配列で配置されている。また、パネルホルダ1220には、取付孔1228と対応するように配置される複数の位置決め孔1229が備えられている。この位置決め孔1229は、取付孔1228を用いて取付固定される部材に形成された位置決め突起(例えば、裏箱3010における前面のフランジ状に形成された固定部3010cから前方へ突出する位置決め突起(図示は省略する))が挿入されるものである。なお、本例では、位置決め孔1229は、背面視略矩形状(角孔状)の止り孔とされている。
なお、取付孔1228に対して、その孔の内径が大径のものと小径のものとを混在させるようにして、取付固定する所定の部材の大きさや重量等に応じて、適宜径の取付孔1228を用いるようにしても良い。
また、パネルホルダ1220には、少なくとも下端から所定高さまでの所定範囲では後面側に開口する複数の肉抜き部1230が形成されており、肉抜き部1230によりパネルホルダ1220の重量が軽減されるようになっている。図103に示すように、収容凹部630hの前側、つまり、パネルホルダ1220の前面側の下端から所定高さまでの所定範囲内には、これらの肉抜き部1230が形成されておらず、その範囲内では、パネルホルダ1220の前面が略平らな面となるようになっているので、その前面に配置される前構成部材1110の後面が略平らな面となり、打球発射装置650から発射された遊技球が、滑らかに案内されるようになっている。また、このパネルホルダ1220は、図示するように、肉抜き部1230が形成されることで、取付孔1228等がボス状に形成されると共に、それらを支持したりパネルホルダ1220の強度を維持したりするために、箱状のリブが形成された状態となっている。
なお、このパネルホルダ1220には、障害釘植設装置(図示しない)や、組立治具等の位置決め手段に対応した位置決め部1231が形成されており、障害釘植設装置に遊技パネル1150を保持した状態でセットできるようになっている。また、パネルホルダ1220の下部には、前構成部材1110のアウト口誘導面1115と対応した位置に前後方向へ貫通するアウト口1232と、下端の正面視左側に前後方向へ横長に貫通すると共に下方へ開放され前構成部材1110の球通路用切欠部1122と同形状の球通路用切欠部1233と、正面視右下隅部に前後方向へ貫通し機能表示ユニット1180の後方突出部1182が挿入される挿入穴1234と、を備えている。
また、パネルホルダ1220は、アウト口1232の後面側で後面から前方へ向かって所定量窪むと共に下端側が下方へ開放された溝状のアウト球排出溝1235(図104を参照)と、前構成部材1110の遊技盤止め具1120と対応した位置に形成され正面視右端から前後方向へ貫通するように切欠かれた切欠部1236と、を備えている。また、パネルホルダ1220は、適宜位置に前構成部材1110の後面に対して取付固定するための複数の取付孔を備えている。
このパネルホルダ1220におけるアウト球排出溝1235は、遊技盤4を本体枠3の遊技盤保持口601へ挿入保持させると、本体枠3(本体枠ベース600における遊技盤載置部606の上面)に備えられた位置決め突起607と嵌合するようになっており、アウト球排出溝1235が位置決め突起607と嵌合することで、本体枠3に対して遊技盤4が左右方向へ相対移動するのが規制されるようになっている。
本実施形態の遊技パネル1200は、前方からパネルホルダ1220の保持段部1221内へパネル板1210を嵌合挿入して、係合爪1224及び係合片1225と、係合段部1213とを係合させることで、パネルホルダ1220にパネル板1210を保持させることができると共に、パネル板1210とパネルホルダ1220の前面側が略面一となるようになっており、従来より用いられている障害釘植設装置を改造等しなくてもパネル板1210をパネルホルダ1220に保持した状態で従前の障害釘植設装置にセットすることが可能となり、障害釘Gの植設にかかるコストが増加するのを抑制することができるようになっている。
また、本例の遊技パネル1200は、図示は省略するが、パネル板1210の前面における遊技領域1100と対応した範囲内に、複数の障害釘が所定のゲージ配列で植設されるようになっていると共に、表ユニット2000が取付けられるようになっている。また、パネルホルダ1220の後面には、裏ユニット3000が取付けられるようになっている。これにより、薄いパネル板1210においては、表ユニットのみを支持するようにしているので、表ユニットの荷重によってパネル板1210が歪むのを防止することができるようになっている。
更に、遊技パネル1200を、パネル板1210とパネルホルダ1220とによる分割構造としているので、パネル板1210を透明板としても遊技パネル1200全体の重量が増加するのを抑制することができ、透明なパネル板1210を通して遊技領域1100の後側が遊技者から見えるパチンコ機1を具現化することができ、遊技者の関心を強く引付けられるパチンコ機1とすることができるようになっている。
また、遊技パネル1200を、パネル板1210、及びパネルホルダ1220に分割するようにしているので、パチンコ機1の機種によって障害釘や入賞口等の位置が変化するパネル板1210を交換パーツとすると共に、パネルホルダ1220を共通パーツとすることができ、パネル板1210のみを交換するだけで種々の機種に対応可能な遊技盤4を備えたパチンコ機1とすることができるようになっている。
更に、パネルホルダ1220に予め複数の取付孔1228が所定配列で備えられているので、機種に応じてパネルホルダ1220の後面側に取付固定される裏ユニット3000等の種々の所定部材の取付固定位置が異なる位置となっていても、各種部材の固定部を取付孔1228の位置と対応させるように設計することで、パネルホルダ1220を機種に依存しないパチンコ機1の共通パーツとすることができるようになっている。
[1-4G.前構成部材の第二実施形態]
次に、上記した遊技盤4における前構成部材1110とは異なる形態の前構成部材1110Aについて、図106及び図107を参照して説明する。なお、図106及び図108における遊技パネル1200、基板ホルダ1160、及び主制御基板ボックス1170は、パネル板1210の外形とパネルホルダ1220の貫通口1222の内形が、図103乃至図105の実施形態と異なるのみで、図103乃至図105の例と同一の構成とされており、ここでの詳細な説明は省略する。
図106及び図107に示す前構成部材1110Aは、上記の前構成部材1110と比較して、前後方向に貫通した内周形状の一部が異なっている他に、機能表示ユニット1180を備えていない点が大きく異なっている。なお、その他の構成については、前構成部材1110と同様であり、同一の符号を付すと共に、詳細な説明は省略する。また、この前構成部材1110Aを用いた遊技盤4では、機能表示ユニット1180が、遊技盤4における表ユニット2000又は裏ユニット3000の何れかに備えられるようになっている(本例では、表ユニット2000に備えられている)。
この前構成部材1110Aは、図示するように、枠状の内周形状が、アウト口誘導面1115を基点として正面視で時計回りの方向へ内レール1112及び外レール1111の衝止部1114までの形状が、前述の前構成部材1110と同じ形状に形成されており、衝止部1114から時計回りの方向へアウト口誘導面1115までの形状が、前述の前構成部材1110とは異なる形状となっている。具体的には、衝止部1114から衝止部1114の直下に配置された右側の証紙貼付部1125の直上までの間が緩やかな円弧状に形成されていると共に、円弧状の下端からアウト口誘導面1115までの間がアウト口誘導面1115へ向かって低くなるように傾斜した直線状に形成されている。
本例の前構成部材1110Aは、前述の前構成部材1110と比較して、遊技領域1100がより広く確保することができるようになっており、広い遊技領域1100によって遊技者をより楽しませることができるようになっている。
なお、図106及び図107の例では、前構成部材1110Aの後側に遊技パネル1200を取付けるものを示したが、これに限定するものではなく、前構成部材1110Aの後側に図100及び図101に示すような一枚の板からなる遊技パネル1150を取付けるようにしても良い。
[1-5.パチンコ機の防犯構造]
続いて、本実施形態のパチンコ機1における防犯構造について、主に図108及び図109を参照して説明する。図108は、パチンコ機の軸支側における防犯構造を示す部分断面図である。また、図109は、遊技盤を収容した状態で後側から見た斜視図である。
まず、本例のパチンコ機1における軸支側の防犯構造は、図108に示すように、本体枠3における合成樹脂によって形成された本体枠ベース600の軸支側(正面視で左側)の側面に取付けられる金属製の防犯側面板950と、扉枠5における合成樹脂によって形成された扉枠ベース110の後面に取付けられる金属製の補強ユニット150とによって構成されている。
本体枠3の防犯側面板950は、上述したように、金属(例えば、アルミ合金)製の押出型材によって形成されており、上下方向の寸法が本体枠ベース600の上下方向の寸法と略同じ寸法とされると共に、前後方向の寸法が遊技盤4における前構成部材1110と遊技パネル1150とを合せた前後方向の寸法よりも大きい寸法とされている。この側面防犯板950は、上下方向へ延びると共に前後方向へ延び本体枠3の側面を形成する板状の側面片952aと、側面片952aの前端から略直角方向内側(開放側)へ延びた前端片952bと、前端片952bの後側に所定量の隙間を形成するように側面片952aから前端片952bに沿って延びた中片952cと、側面片952aの後端から略直角方向内側へ延びた後端片952dとを備えている。これにより、防犯側面板950の前端は、前端片952bと中片952cとによって内側(開放側)に開口する断面が略コ字状に形成されている。
また、側面防犯板950(本体952)は、側板片952aの面に対して直角方向へ配置された前端片952b、中片952c、及び後端片952dにより、側面防犯板950の強度・剛性が高められており、本体枠3全体の強度を高めて遊技盤4や扉枠5等を良好に支持することができるようになっている。
一方、扉枠5の補強ユニット150は、上述したように、複数の長尺状の金属板をスポット溶接やリベット等を用いて扉枠5における遊技窓101の外周を囲うように枠状に形成したものであり、軸支側の軸支側補強板金152の外側辺には外側(軸支側)に開口した断面が略コ字状の軸支側コ字状突片166を備えている。この補強ユニット150の軸支側補強板金152では、軸支側コ字状突片166によって軸支側補強板金152の強度がより高められており、軸支側補強板金152が曲がり難くなっている。
ところで、本例では、扉枠5が本体枠3に対して上軸支部156と下軸支部158の上下の二点でのみ取付支持されるようになっているので、軸支側の扉枠5と本体枠3との間にドライバーやバール等の不正な工具が差込まれると、軸支側補強板金152が変形して扉枠5と本体枠3との隙間が大きくなりその隙間を介して不正行為が行われる虞がある。これに対して、本例の防犯構造は、本体枠3に対して扉枠5を閉じた状態とすると、防犯側面板950の前端内側に形成された前端片952bと中片952cとの間に扉枠5における補強ユニット150の略コ字状に形成された軸支側コ字状突片166の後側の片が挿入される(侵入する)ようになっており、前端片952aを軸支側コ字状突片166で挟持した状態となるようになっている。これにより、本体枠3に対して扉枠5を無理やり開けようとしても、扉枠5の軸支側コ字状突片166が本体枠3の前端片952bの後面側に当接して扉枠5の軸支側コ字状突片166が本体枠3から離れる方向へ移動するのを阻止することができるので、閉鎖された扉枠5が抉じ開けられるのを防止することができ、本体枠3に対して扉枠5を抉じ開けるような不正行為が行われるのを防止することができるようになっている。
また、本体枠3における金属により形成された防犯側面板950と、扉枠5における金属により形成された補強ユニット150とを嵌合させるようにしているので、本体枠3と扉枠5との間の強度・剛性が高くなり、不正な工具によって本体枠3や扉枠5を歪み難くすることができ、防犯性能を高めることができるようになっている。
更に、防犯側面板950における側面片952aの後端が遊技盤4における遊技パネル1150よりも後方へ延出するようにしているので、仮に側面片952aの後端よりも後側の本体枠ベース600が破壊されても、側面片952aの後端から遊技盤4(遊技パネル1150)の前面の遊技領域1100内へピアノ線等の不正な工具を侵入させることができず、不正行為が行われるのを確実に防止することができるようになっている。なお、図108に示すように、防犯側面板950の外側を覆うように外枠2の側枠板12が接しているので、堅牢な側面を有したパチンコ機1となっており、側面側からの破壊行為に対して充分に対抗できるようになっている。また、一般的に、パチンコ機1を設置する遊技ホールでは、パチンコ機1の側面がパチンコ機1を設置するための島設備の枠内に挿入固定されるようになっているので、遊技者側(前側)からは側面片952cの後端よりも後側へ不正工具を侵入させることはほとんど不可能な状態となり、パチンコ機1の防犯性能をより高められた状態となるようになっている。
続いて、本例のパチンコ機1における後方側からの防犯構造としては、図109に示すように、遊技盤4を収容する本体枠3における賞球ベース710、タンクレール731、賞球装置740のユニットベース741、満タン分岐ユニット770、及び裏カバー900が、透明な合成樹脂によって形成されているので、本体枠3内に収容された遊技盤4の後側や側面側を、遊技盤4を本体枠3から取外したり裏カバー900を開けたりしなくても、本体枠3の後側から視認することができるようになっている。これにより、遊技盤4の後側等に不正な装置が取付けられていても、容易に発見することができ、不正行為が行われるのを防止することができるようになっている。また、遊技盤4に取付けられた不正な装置等を外側から簡単に発見することができるので、不正な装置の取付けを躊躇させることができ、不正行為に対する抑止力を高めることができるようになっている。
また、本体枠3の後側から遊技盤4の後側や側面側を、透明な賞球ベース710や裏カバー900等を通して視認することができるので、メンテナンスや機種の変更を行うために本体枠3に対して遊技盤4を脱着した際、本体枠3と遊技盤4との間に、ドライバーやペンチ等の工具、洗浄用のウエス、埃やゴミ、等が残留した場合でも、それらを外側から簡単に発見することができ、それらによって何らかの不具合が発生するのを防止することができるようになっていると共に、パチンコ機1に対するメンテナンス性を向上させることができるようになっている。
[2.遊技盤の詳細構成]
続いて、本実施形態のパチンコ機1における遊技盤4の詳細な構成について、図110乃至図115を参照して説明する。図110はパチンコ機における遊技盤の正面図であり、図111は遊技盤を斜め右前から見た斜視図であり、図112は遊技盤を斜め左前から見た斜視図である。また、図113は、遊技盤を後から見た斜視図である。更に、図114は遊技盤を構成する主な部材毎に分解して斜め前から見た斜視図であり、図115は遊技盤を構成する主な部材毎に分解して斜め後から見た斜視図である。
本実施形態のパチンコ機1における遊技盤4は、外レール1111及び内レール1112を有し、遊技者がハンドル装置500を操作することで遊技媒体としての遊技球(単に「球」とも称す)が打ち込まれる遊技領域1100の内周を区画形成する枠状の前構成部材1110Aと、前構成部材1110Aの後側に遊技領域1100を閉鎖するように取付けられ遊技領域1100と対応する位置に所定形状で前後方向へ貫通した複数の開口部1158(図114等を参照)を有し遊技領域1100の後端を区画する板状の遊技パネル1150と、を備えている。
本例の遊技パネル1150は、ベニヤ板等の木製の合板により形成されている。
また、遊技盤4は、遊技パネル1150の開口部1158に対して前側から取付けられる表ユニット2000と、遊技パネル1150の後面に取付けられる裏ユニット3000と、裏ユニット3000の後側に遊技者側から視認可能に取付けられ所定の演出画像を表示可能な液晶表示装置1900と、裏ユニット3000の下部を後側から覆うように遊技パネル1150の後面下部に取付けられる基板ホルダ1160と、基板ホルダ1160の後面に取付けられる主制御基板ボックス1170と、を備えている。
本例の遊技盤4における表ユニット2000は、遊技領域1100内の下部でアウト口1151の直上から正面視右方向へ延びるように配置されたアタッカユニット2100と、アタッカユニット2100の右端前面でパチンコ機1へ取付けた時に扉枠5の遊技窓101から遊技者側へ視認可能となる位置に取付けられ遊技状態等を表示可能な機能表示ユニット1180と、アタッカユニット2100の左側で遊技領域1100の内周に沿って配置された表サイドユニット2200と、遊技領域1100の略中央部分に配置された枠状のセンター役物2500と、を備えている。
また、遊技盤4における裏ユニット3000は、遊技パネル1150の後側に取付けられ前側が開放されると共に後壁3010aに液晶表示装置1900の表示画面が臨み前後方向に貫通する開口3010bが形成された裏箱3010と、裏箱3010内における開口3010bの上側及び左右両側に亘って配置される裏横演出ユニット3100と、裏箱3010内における開口3010bの上側に配置される裏上演出ユニット3300と、裏箱3010内における開口3010bの下側に配置される裏下演出ユニット3500と、を備えている。
また、遊技盤4における液晶表示装置1900の後側には、詳細は後述するが、周辺制御部4140及び液晶制御部4150を有した周辺制御基板4010(図161を参照)を収容する周辺制御基板ボックス1910と、バックライトとしての冷陰極管を駆動するためのインバータを有したインバータ基板1922を収容するインバータ基板ボックス1920と、を備えている。
本実施形態のパチンコ機1における遊技盤4は、遊技パネル1150に取付けられたセンター役物2500によって遊技領域1100が左右に分割されるようになっており、センター役物2500の右側の外周と遊技領域1100の内周(前構成部材1110Aの内周)との間では遊技球の外径よりも若干大きい幅の領域とされていると共に、センター役物2500の左側の外周と遊技領域1100の内周(前構成部材1110Aの内周)との間では遊技球が充分に流通可能な広い領域とされており、遊技領域1100におけるセンター役物2500の左側と下側の領域内において、遊技パネル1150の前面に、複数の障害釘(図示は省略)が所定のゲージ配列で植設されている。
本例の遊技盤4は、センター役物2500の右側へ遊技球を打込む(所定以上の強さで打込む)と、センター役物2500の右側外周を通ってアタッカユニット2100における第四ユニット2140の案内通路部材2142へと流下し、案内通路部材2142の案内通路2142aに案内されてゲート部2105の直上から下方へ放出され、極めて高い確率でゲート部2105を遊技球が通過するようになっている。つまり、所謂右打ちを行うことで簡単に遊技球をゲート部2105へ進入させることができるようになっている。
また、詳細は後述するが、本例では、ゲート部2105を遊技球が通過してゲートセンサ2126により検知されると、極めて短時間で普通抽選結果が抽選されて実行されるようになっているので、普通抽選結果が「当り」であれば、可動片2106が後退して第二始動口2102への遊技球の受入れが可能となり、ゲート部2105へ進入した遊技球が第二始動口2102へ入賞するようになっている。なお、普通抽選が「ハズレ」の場合は、ゲート部2105を通過した遊技球が、大入賞口2103の上側へ放出されるようになっている。従って、右打ちを行うことで、第二始動口2102や大入賞口2103を直接的に狙った遊技を行うことができるようになっている。
一方、センター役物2500の左側へ遊技球を打ち込む(所謂左打ち)と、植設された複数の障害釘によって遊技球が、表サイドユニット2200やアタッカユニット2100の方向へ誘導されることで、表サイドユニット2200の一般入賞口2201や、アタッカユニット2100の第一始動口2101、一般入賞口2104等へ遊技球を入賞させることが可能となっている。また、センター役物2500のステージ2510へと繋がるワープ入口2504へ誘導されてワープ入口2504へ遊技球が進入すると、センター役物2500のステージ2510へ遊技球が供給されるようになっており、ステージ2510へ供給された遊技球はステージ2510上を左右方向へ転動し、障害釘による動きとは異なる動きを楽しませることができると共に、ステージ2510のチャンス出口2514から遊技球が遊技領域1100内へ放出されると、高い確率でアタッカユニット2100の第一始動口2101へ入賞させることができるようになっている。
このように、本実施形態の遊技盤4では、センター役物2500の右側と左側とでは、異なる印象の遊技を行うことができるようになっており、多彩な遊技を提供して飽き難くすることができるようになっている。
[2-1.表ユニットの全体構成]
次に、本実施形態のパチンコ機1における遊技盤4の表ユニット2000の全体構成について、図116及び図117を参照して説明する。図116は遊技盤における表ユニットを前から見た斜視図であり、図117は遊技盤における表ユニットを後から見た斜視図である。
遊技盤4における表ユニット2000は、遊技領域1100内の左右方向略中央下部でアウト口1151の直上から右側へ延びるように配置され遊技パネル1150の前面に支持されるアタッカユニット2100と、アタッカユニット2100における正面視右端前面に取付けられる機能表示ユニット1180と、アタッカユニット2100の左側に配置され遊技領域1100の内周に略沿って円弧状に延びた表サイドユニット2200と、遊技領域1100の略中央部から遊技領域の右寄りに配置され遊技パネル1150に支持される枠状のセンター役物2500と、を備えている。
表ユニット2000におけるアタッカユニット2100は、詳細は後述するが、遊技球の受入れにより所定数の遊技球を払出すと共に受入れを契機として所定の特別抽選結果が抽選される第一始動口2101及び第二始動口2102と、特別抽選結果に応じて遊技球の受入れが可能となると共に遊技球の受入れにより所定数の遊技球を払出す大入賞口2103と、遊技球の受入れにより所定数の遊技球を払出す一般入賞口2104と、遊技球の通過を契機として所定の普通抽選結果が抽選されるゲート部2105と、を備えている。
本例の第一始動口2101と一般入賞口2104は、常時遊技球を受入可能とされている。また、第二始動口2102と大入賞口2103は、遊技球を受入可能な状態と受入不能な状態とに変化することができる可変入賞口とされている。この第二始動口2102は、ゲート部2105への遊技球の通過を契機として抽選される普通抽選結果に応じて受入可能となり、大入賞口2103は、第一始動口2101や第二始動口2102への遊技球の受入れを契機として抽選される特別抽選結果に応じて受入可能となるようになっている。
本例のアタッカユニット2100の第一始動口2101は、センター役物2500におけるステージ2510の直下で遊技領域1100における左右方向中央を通る軸線上(アウト口1151の直上)に配置されている。また、第二始動口2102は、第一始動口2101よりも正面視右下側に配置されている。更に、大入賞口2103は、第二始動口2102の下側且つ第一始動口2101よりも正面視右側で左端が第二始動口2102の略直下となるように配置されている。また、アタッカユニット2100の一般入賞口2104は、第一始動口2101よりも正面視右上側に配置されている。また、ゲート部2105は、アタッカユニット2100の一般入賞口2104よりも正面視右上側で第二始動口2102の直上に配置されている。
また、表ユニット2000の表サイドユニット2200は、詳細は後述するが、アタッカユニット2100の正面視左側に配置される三つの一般入賞口2201と、一般入賞口2201よりも正面視左上に配置され遊技領域1100内におけるセンター役物2500の正面視左側を流下してきた遊技球を右方向へ誘導可能な棚部2202とを備えている。
更に、表ユニット2000のセンター役物2500は、詳細は後述するが、遊技パネル1150の略中央に形成された大きな開口部1158に取付けられ、後側に配置された液晶表示装置1900の表示画面等が遊技者側から視認することができる窓部2501を有した枠状に形成されている。このセンター役物2500には、遊技パネル1150の前面と当接する略枠状のフランジ部2502aと、遊技領域1100内を流下してきた遊技球が枠内へ侵入するのを阻止する周壁部2503と、周壁部2503の所定位置に開口するワープ入口2504と、ワープ入口2504に進入した遊技球を枠内へ放出するワープ出口2505と、ワープ出口2505から放出された遊技球を左右方向へ転動させた後に遊技領域1100内へ放出して還流させるステージ2510と、が備えられている。
このセンター役物2500のステージ2510は、アタッカユニット2100における第一始動口2101の直上に配置されており、ステージ2510のチャンス出口2514から遊技領域1100内へ還流放出された遊技球が、高い確率でアタッカユニット2100の第一始動口2101へ受入れられるようになっている。
[2-2.アタッカユニット]
次に、本実施形態のパチンコ機1の遊技盤4における表ユニット2000のアタッカユニット2100について、図118乃至図130を参照して説明する。図118はアタッカユニットを前から見た斜視図であり、図119はアタッカユニットを後から見た斜視図である。また、図120はアタッカユニットを主要な部材毎に分解して前から見た分解斜視図であり、図121はアタッカユニットを主要な部材毎に分解して後から見た分解斜視図である。更に、図122はアタッカユニットにおける第一ユニットを分解して前から見た分解斜視図であり、図123はアタッカユニットにおける第一ユニットを分解して後から見た分解斜視図である。また、図124はアタッカユニットにおける第二ユニットを分解して前から見た分解斜視図であり、図125はアタッカユニットにおける第二ユニットを分解して後から見た分解斜視図である。また、図126はアタッカユニットにおける第三ユニットを分解して前から見た分解斜視図であり、図127はアタッカユニットにおける第三ユニットを分解して後から見た分解斜視図である。更に、図128はアタッカユニットにおける第四ユニットを分解して前から見た分解斜視図であり、図129はアタッカユニットにおける第四ユニットを分解して後から見た分解斜視図である。また、図130は、アタッカユニットの一部を切断して示す正面図である。
本例の表ユニット2000における遊技盤4のアタッカユニット2100は、遊技パネル1150における左右方向中央の下部に形成された開口部1158に対して、前側から挿入された上で、遊技パネル1150の前面に固定されるものである。このアタッカユニット2100は、遊技領域1100内へ打ち込まれた遊技球が受入可能とされた複数の受入口(入賞口)を有している。具体的には、遊技パネル1150におけるアウト口1151の直上に配置され遊技球を常時受入可能とされた第一始動口2101と、第一始動口2101に対して正面視右側且つやや下側の位置に配置された第二始動口2102(図130を参照)と、第二始動口2102の下側且つ第一始動口2101の正面視右側に配置された大入賞口2103と、第一始動口2101と第二始動口2102との間で第一始動口2101よりもやや上側に配置された一般入賞口2104と、を備えている。
また、アタッカユニット2100は、遊技球の通過を契機として普通抽選結果が抽選されるゲート部2105を備えている。このゲート部2105は、一般入賞口2104の正面視右側且つやや上側で第二始動口2102の略直上に配置されている(図130を参照)。
アタッカユニット2100の第一始動口2101は、図示するように、遊技球の直径よりもやや広い幅で上方へ向かって開放されており、遊技球を常時受入可能な状態となっている。また、第二始動口2102は、遊技球の直径よりもやや広い幅で上方へ向かって開放されていると共に、その開放された開口に対して前後方向へ進退可能な板状の可動片2106を備えている。この第二始動口2102は、可動片2106が前進すると遊技球の受入れが不能となり、可動片2106が後退すると遊技球の受入れが可能となるようになっており、所謂、可変入賞口とされている。
また、アタッカユニット2100の大入賞口2103は、正面視左右方向が遊技球の直径に対して4~6倍の長さで上下方向が遊技球の直径よりもやや長い横長矩形状で前方へ向かって開放されていると共に、その開放された開口を開閉可能な板状の開閉部材2107を備えている。この大入賞口2103は、開閉部材2107が、下辺を回転軸として回動可能とされており、開閉部材2107が略垂直な状態となると遊技球の受入れが不能となり、開閉部材2107が略水平な状態となると遊技球の受入れが可能となるようになっており、所謂、可変入賞口とされている。
更に、アタッカユニット2100の一般入賞口2104は、第一始動口2101と同様に、遊技球の直径よりもやや広い幅で上方へ向かって開放されており、遊技球を常時受入可能な状態となっている。また、アタッカユニット2100のゲート部2105は、遊技球の直径よりもやや広い幅で上下方向へ遊技球が流通可能に形成されている。
本実施形態のアタッカユニット2100について更に詳述すると、アタッカユニット2100は、第一始動口2101及び大入賞口2103を有した第一ユニット2110と、第二始動口2102及びゲート部2105を有した第二ユニット2120と、一般入賞口2104を有した第三ユニット2130と、機能表示ユニット1180が取付けられる第四ユニット2140と、第一ユニット2110、第二ユニット2120、第三ユニット2130、及び第四ユニット2140を後側から支持するユニットベース2150と、ユニットベース2150の後側に取付けられアタッカソレノイド2113、始動口ソレノイド2124、カウントセンサ2114、及び第二始動口センサ2125とパネル中継基板3025との接続を中継するアタッカユニット中継基板2160と、を備えている。
アタッカユニット2100の第一ユニット2110は、第一始動口2101を有すると共に大入賞口2103が臨む開口2111aを有し遊技パネル1150の前面に取付けられる板状の第一ベース2111と、第一ベース2111の開口から大入賞口2103が臨むように第一ベース2111の後側に取付けられ大入賞口2103を有すると共に大入賞口2103を開閉する開閉部材2107を回動可能に支持する箱状の第一ケース2112と、第一ケース2112内に支持され開閉部材2107を開閉駆動させるためのアタッカソレノイド2113と、第一ケース2112内に支持され大入賞口2103に受入れられた遊技球を検知するカウントセンサ2114と、第一ケース2112の後側に配置され前面に複数のLEDが実装された大入賞口装飾基板2115と、を備えている。
また、第一ユニット2110は、第一ベース2111の前面で第一始動口2101の下側に取付けられる中物体検知センサ2116と、中物体検知センサ2116の前側に配置され第一ベース2111の前面に取付けられ所定の装飾を有した中誘導装飾部材2117と、第一ベース2111の後側で中物体検知センサ2116及び中誘導装飾部材2117と対応した位置に取付けられ前面に複数のLEDが実装されたアタッカ中装飾基板2118と、を備えている。この第一ユニット2110は、第一ベース2111を介してユニットベース2150に取付けられるようになっている。
第一ユニット2110の第一ベース2111は、遊技パネル1150の前面から前方(遊技領域1100内)へ突出すると共に上方及び後方が開放された第一始動口2101が一体形成されており、その後端が遊技パネル1150に取付けた状態で遊技パネル1150の後面と略一致する位置まで延びている。これにより、第一始動口2101に受入れられた遊技球を、遊技パネル1150の後側へ誘導することができるようになっている。
第一ユニット2110の第一ケース2112は、前側が開放された箱状で、上ケース2112aと下ケース2122bとで上下に分割された形態となっている。また、第一ケース2112は、内部に大入賞口2103に受入れられてカウントセンサ2114に検知された遊技球を所定位置から下方へ放出する放出口部材2112cを備えている。この第一ケース2112は、透光性を有する素材で形成されており、後側に配置された大入賞口装飾基板2115からの光を開閉部材2107側へ導いて、大入賞口2103内や開閉部材2107を発光装飾させることができるようになっている。
第一ユニット2110のアタッカソレノイド2113は、図示は省略するが、プランジャが左右方向へ進退するように第一ケース2112に支持されている。このアタッカソレノイド2113は、通電により進退するプランジャの先端に接続されたリンク部材2113aによって開閉部材2107を回動させることができるようになっている。なお、図示は省略するが、アタッカソレノイド2113は、プランジャを前進(突出)させる方向へ付勢するバネを備えていると共に、プランジャを前進させた状態で開閉部材2107が大入賞口2103を閉鎖する位置となるようになっている。つまり、本例では、アタッカソレノイド2113に通電すると、プランジャが後退(没入)し、開閉部材2107が閉位置から開位置へ回動して大入賞口2103への遊技球の受入れが可能となるようになっている。
第一ユニット2110の中物体検知センサ2116は、詳細な図示は省略するが、投光部と受光部とを備えており、前方の所定範囲内に位置した物体を検知することができるようになっている。なお、本例では、中物体検知センサ2116の投光部と受光部とが左右方向に列設されており、中物体検知センサ2116の前面において、左右方向へ移動する物体よりも上下方向へ移動する物体の方が、検知し易いようになっている。
第一ユニット2110の中誘導装飾部材2117は、前面に、円形の中に下向きの矢印を配置した装飾が施されており、前面装飾の後側にその装飾の外周に沿った壁が後方へ延出する筒枠状の遮光部材2117aを備えている。これにより、中誘導装飾部材2117の後側に配置されたアタッカ中装飾基板2118によって、矢印の内側と外側とを異なる態様で発光装飾させることができるようになっている。
アタッカユニット2100の第二ユニット2120は、遊技パネル1150の前面に取付けられる板状の第二ベース2121と、第二ベース2121の前面に取付けられ遊技パネル1150の前面よりも前方(遊技領域1100内)へ突出し第二始動口2102やゲート部2105を形成する通路形成部材2122と、第二ベース2121の後側に取付けられ第二始動口2102を開閉する可動片2106を前後方向へスライド可能に支持する第二ケース2123と、第二ケース2123内に支持され可動片2106を開閉駆動させるための始動口ソレノイド2124と、を備えている。
また、アタッカユニット2100の第二ユニット2120は、第二ベース2121と第二ケース2123とで支持され第二始動口2102に受入れられた遊技球を検知する第二始動口センサ2125と、第二ベース2121と第二ケース2123とで支持されゲート部2105を通過している遊技球を検知するゲートセンサ2126と、第二ベース2121の後側に配置され前面に複数のLEDが実装された第二始動口装飾基板2127と、第二始動口装飾基板2127と第二ベース2121との間に配置され前後方向に貫通した複数の開口部を有する遮光部材2128と、を備えている。
なお、アタッカユニット2100における第二ユニット2120には、第二ベース2121の前面の所定位置に、二つのLEDからなる普通図柄表示器1189が前面に実装された機能表示基板1191の一部を構成する普通図柄表示基板1191aが取付けられている。
第二ユニット2120の第二ベース2121は、前面の略全体が遊技パネル1150の面に沿った平坦面状に形成されており、通路形成部材2122と協働して前面側に遊技球が流通可能な通路を形成することができるようになっている。また、第二ベース2121は、正面視左下隅に遊技球が通過可能な前後方向へ貫通した通過孔2121aと、正面視右上隅付近に後方へ湾曲状に窪んだ凹部2121bと、を備えている。更に、第二ベース2121は、詳細な図示は省略するが、板状の可動片2106が通過可能な開口部、第二始動口センサ2125やゲートセンサ2126を支持するためのセンサ支持部2121b、普通図柄表示基板1191aを支持する基板支持部2121d、基板支持部2121dの正面視右端から前方へ延出し普通図柄表示器1189の右側を覆う壁部2121e、等を備えている。なお、第二ベース2121は、透光性を有する素材で形成されている。また、第二ベース2121は、ユニットベース2150に取付けられるようになっている。
第二ユニット2120の通路形成部材2122は、図示するように、正面視の形状が、上下方向へ延びた部位と、その下端から左方向へ延びた部位とを有した、反L字状に形成されている。この通路形成部材2122は、正面視上下方向へ延びた部位の位置に、遊技球を上下方向へ流通可能とし、上端及び下端が開口した第一通路2122aを備えている。また、通路形成部材2122は、正面視左右方向へ延びた部位の位置に、遊技球を左右方向へ流通可能とし、右端側が第一通路2122aの下端開口と略対向する位置で上方へ開口すると共に左端側が閉鎖された第二通路2122bを備えている。この通路形成部材2122の第一通路2122aと第二通路2122bとは、遊技球の外径よりも若干大きい距離、上下方向に離間して配置されている。
また、通路形成部材2122は、第一通路2122aにおける正面視右側側壁の下端と第二通路2122bの右端側開口の右端とを繋ぐ板状の壁部2122cと、壁部2122cの上端側で第一通路2122aの正面視右側面に開口し遊技球が通過可能な右放出口2122dと、右放出口2122dの下端から正面視右方向へ向かって低くなるように短く延出した右棚部2122eと、壁部2122cとは第一通路2122aを挟んだ反対側で第一通路2122aの正面視左側下端と第二通路2122bの上端とで形成され遊技球が通過可能な左放出部2122fと、左放出部2122fの下端と連続すると共に第二通路2122bの上側に形成され正面視左方へ向かって低くなるように傾斜した左棚部2122gと、第一通路2122a内における右放出口2122dが形成された高さ位置で前壁から後方へ突出した誘導壁2122hと、を備えている。
この通路形成部材2122は、第一通路2122aの上端開口がゲート部2105とされていると共に、第二通路2122bの右端側開口が第二始動口2102とされている。また、通路形成部材2122は、第一通路2122aの上下方向略中央で右放出口2122dよりも上側の位置で、ゲートセンサ2126を支持することができるようになっており、第一通路2122aを流通している遊技球をゲートセンサ2126によって検知することができるようになっている。
また、通路形成部材2122は、第二通路2122bの右端側開口が、第二ユニット2120として組立てた状態で第二ベース2121の前面から前方へ進退する可動片2106と対応した位置に形成されており、右端側開口が第二始動口2102となっている。更に、通路形成部材2122は、第二通路2122bの左右方向略中央の位置で、第二始動口センサ2125を支持することができるようになっており、第二通路2122bを流通している(つまり、第二始動口2102を通過した)遊技球を第二始動口センサ2125によって検知することができるようになっている。
また、通路形成部材2122は、右棚部2122eよりも下側の部位で、第二ベース2121の前面に取付けられた普通図柄表示基板1191aの前側を被覆することができるようになっている。
通路形成部材2122の第二通路2122bは、正面視右端側開口の直下に位置する底壁が、円弧状に形成されており、右端側開口(第二始動口2102)を通過した遊技球をスムーズに左方向へ流通させることができるようになっている。通路形成部材2122における第一通路2122a内に形成された誘導壁2122hは、第二ベース2121における凹部2121bと対応した位置に配置されていると共に、後方へ向かって低くなるように円弧状に傾斜しており、第一通路2122aの上端開口(ゲート部2105)を通過した遊技球を、第二ベース2121の凹部2121b内へスムーズに誘導することができるようになっている。
第二ユニット2120の第二ケース2123は、前側が開放された箱状で、上ケース2123aと下ケース2123bとで上下に分割することができるようになっており、上ケース2123aと下ケース2123bとの間で可動片2106を前後方向へスライド可能に支持することができるようになっている。また、第二ケース2123は、可動片2106及び始動口ソレノイド2124の他に、始動口ソレノイド2124の上下方向へ進退するプランジャの動きを伝達させて可動片2106を前後方向へ進退させるリンク部材2129を、内部に支持している。
第二ユニット2120の始動口ソレノイド2124は、第二ケース2123によってプランジャが下方へ進退するように支持されており、通常の状態(非通電時)ではプランジャが下方へ突出した状態となっている。この通常の状態では、始動口ソレノイド2124におけるプランジャの先端に接続されたリンク部材2129を介して、可動片2106が第二ベース2121の前面よりも前方へ突出した状態となり、第二始動口2102への遊技球の受入れが阻止された状態となるようになっている。一方、始動口ソレノイド2124に通電させると、プランジャの先端が没入するように上昇し、プランジャの先端に接続されたリンク部材2129を介して可動片2106が、第二ベース2121の前面よりも後方へ後退することとなり、第二始動口2102への遊技球の受入れが可能な状態となるようになっている。
第二ユニット2120は、遮光部材2128に左右方向へ列設された矩形状の開口部2128aを複数備えていると共に、第二始動口装飾基板2127の前面には遮光部材2128の各開口部2128aと対応するようにLEDが実装されており、各開口部2128a毎に発光装飾させることができるようになっている。
この第二ユニット2120は、上端開口(ゲート部2105)から遊技球が第一通路2122a内へ進入すると、ゲートセンサ2126を通過した上で、後方へ傾斜した誘導壁2122hによって第二ベース2121の凹部2121b内へ一旦送られた後に、凹部2121b内から再び第一通路2122a内へと戻り、第二始動口2102上へ流下する。この第一通路2122a内では、誘導壁2122hと凹部2121bとによって遊技球が蛇行するようになっており、遊技球の流下速度を減衰させて、下流側に配置された可動片2106や第二通路2122aに当接した時にかかる衝撃を低減させることができるようになっている。
本例では、ゲート部2105の通過をゲートセンサ2126によって検知するようになっており、ゲートセンサ2126により遊技球の通過が検知されると、普通抽選が行われ所定の普通抽選結果が抽選される。この抽選された普通抽選結果が当りの場合は、始動口ソレノイド2124の駆動により可動片2106が第二ベース2121の前面から後退し、第二始動口2102が開放されて遊技球が受入可能となり、第一通路2122aから流下してきた遊技球が、第二始動口2102を通って第二通路2122b内へ進入することとなる。そして、第二通路2122b内へ進入した遊技球は、円弧状の底壁によって正面視左方向へ流通し、第二始動口センサ2125によって検知された後に、第二通路2122bの左側端部から後方側の第二ベース2121の通過孔2121aを通って、第二ユニット2120の後側(遊技パネル1150の後側)へ放出(排出)されるようになっている。なお、本例では、ゲートセンサ2126が遊技球の通過を検知してから始動口ソレノイド2124の駆動により可動片2106をスライドさせて第二始動口2102へ遊技球が受入可能となるまでの時間が、短時間(例えば、0.1秒~1秒)とされており、普通抽選結果が当りであれば、極めて高い確率でその抽選の契機となった遊技球が第二始動口2102へ受入れられるようになっている。また、始動口ソレノイド2124の駆動は、一回の当りに対して所定時間(例えば、0.5秒~2秒)のみ駆動されるようになっており、所定時間が経過すると始動口ソレノイド2124の駆動が終了して可動片2106が前方へスライドし、第二始動口2102が閉鎖された状態となるようになっている。
一方、抽選された普通抽選結果がハズレの場合は、始動口ソレノイド2124が駆動されず可動片2106が前方へ前進したままの状態となり、第一通路2122aから流下してきた遊技球が、可動片2106によって第二始動口2102への進入が阻止されることとなる。そして、可動片2106によって第二始動口2102への受入れが阻止された遊技球は、第一通路2122aと第二通路2122bとの間の左放出口2122fから左棚部2122gへと流通し、左棚部2122gの左端から(遊技パネル1150の前面の遊技領域1100内へ)放出されるようになっている。なお、可動片2106は、上面が正面左側が低くなるように傾斜しており、遊技球が可動片2106上に留まろうとしても、その傾斜によって正面視左方向へ自然に転動し、左放出口2122fから左棚部2122gへ放出されるようになっている。
なお、第二ユニット2120では、第一通路2122aを流通する遊技球の状態によっては、第一通路2122aにおける右放出口2122dから遊技球が放出される場合もあり、右放出口2122dから放出された遊技球は、右棚部2122eを通って右棚部2122eの右端から遊技領域1100内へ放出されるようになっている。
また、アタッカユニット2100の第三ユニット2130は、遊技パネル1150の前面と当接可能とされ一般入賞口2104を有すると共に一般入賞口2104の正面視右側に前後方向へ貫通した透孔2131aを有した第三ベース2131と、第三ベース2131の透孔に対して後側から挿入されると共に第三ベース2131に取付けられ透光性を有したレンズ部材2132と、レンズ部材2132の後側に配置され前面にLEDが実装されたゲート装飾基板2133と、を備えている。
第三ユニット2130の第三ベース2131は、遊技パネル1150の前面から前方(遊技領域1100内)へ突出すると共に上方及び後方が開放された一般入賞口2104が一体形成されており、その後端が遊技パネル1150に取付けた状態で遊技パネル1150の後面と略一致する位置まで延びている。また、第三ベース2131は、ユニットベース2150に取付けられるようになっている。
第三ユニット2130のゲート装飾基板2133は、前面に実装されたLEDを適宜色に発光させることで、レンズ部材2132によって第三ベース2131の透孔内を発光装飾させることができるようになっている。なお、ゲート装飾基板2133は、ユニットベース2150に取付けられている。
アタッカユニット2100の第四ユニット2140は、遊技パネル1150の前面に取付けられると共に下部後面に機能表示基板1191が取付けられる板状の第四ベース2141と、第四ベース2141の上部前面に取付けられ遊技パネル1150の前面よりも前方(遊技領域1100内)へ突出し遊技球を左右方向へ案内する案内通路2142aを有した案内通路部材2142と、案内通路部材2142における案内通路2142aの下側に配置されると共に第四ベース2141の前面に取付けられる右物体検知センサ2143と、右物体検知センサ2143の右側で前面が前方へ露出するように案内通路部材2142に取付けられ所定の装飾を有した右誘導装飾部材2144と、を備えている。
第四ユニット2140の第四ベース2141は、正面視の形状がフ字状の三角形状とされており、左端の斜辺が遊技領域1100の内周形状に略沿った円弧状とされている。また、第四ベース2141は、下部に機能表示基板1191の前面に実装された複数のLEDが夫々臨む複数の貫通孔2141aが形成されている。この第四ユニット2140の第四ベース2141は、ユニットベース2150に取付けられるようになっている。
第四ユニット2140の案内通路部材2142は、第四ベース2141の左右方向へ延びた上辺に沿って延び正面視右端が上方へ開口すると共に左端が下方へ開口し遊技球が流通可能な案内通路2142aを備えている。案内通路部材2142の案内通路2142aは、前側が閉鎖されると共に後側が開放されており、開放された後側が第四ベース2141の前面によって閉鎖されるようになっている。また、案内通路部材2142の案内通路2142aは、正面視左側が低くなるように傾斜している。
また、案内通路部材2412の案内通路2142aは、組立てた状態で、正面視右端が遊技領域1100の内周に接近した位置となるようになっており、遊技領域1100の右側内周に沿って流下してきた遊技球が、右端側開口から内部へ進入するようになっている。更に、案内通路部材2412の案内通路2142aは、図130に示すように、正面視左端側が下方へ屈曲しており、アタッカユニット2100として組立てた状態で下方へ開口した左端側開口が、ゲート部2106(第二ユニット2120における第一通路2122aの上端開口)の直上に位置するように形成されている。なお、案内通路2142a内と第四ベース2141における案内通路2142aと対応した前面に、上下方向へ延びた突条が左右方向へ交互に列設されており、案内通路2142a内で遊技球を前後方向へ蛇行させて流通速度を減衰させることができるようになっている。また、案内通路2142aの左端側開口と第一通路2122aの上端開口とは、遊技球の外径よりも若干長い距離、離間している。
第四ユニット2140の右物体検知センサ2143は、投光部と受光部とを備えており、前方の所定範囲内に位置した物体を検知することができるようになっている。なお、本例では、右物体検知センサ2143の投光部と受光部とが上下方向に列設されており、右物体検知センサ2143の前面において、上下方向へ移動する物体よりも左右方向へ移動する物体の方が、検知し易いようになっている。また、第四ユニット2140は、右物体検知センサ2143の前側を被覆し第四ベース2141の前面に取付けられるセンサカバー2145を備えている。
第四ユニット2140の右誘導装飾部材2144は、前面に、円形の中に右向きの矢印を配置した装飾が施されている。この右誘導装飾部材2144の後側には、右誘導装飾部材2144の装飾形状に沿った壁が後方へ延出する筒枠状の遮光部材2146を備えている。これにより、右誘導装飾部材2144の後側に配置された裏ユニット3000の裏右下装飾基板3021によって、矢印の内側と外側とを異なる態様で発光装飾させることができるようになっている。
アタッカユニット2100のユニットベース2150は、前側が開放された浅い箱状に形成されている。また、ユニットベース2150は、第二ユニット2120における第二ベース2121の通過孔2121bを通った遊技球を受取って、ユニットベース2150の後面から後方へ排出する排出口2150aを備えている。
本例のアタッカユニット2100は、遊技領域1100内に配置した状態では、第一始動口2101が遊技領域1100の左右方向略中央で中誘導装飾部材2117を挟んでアウト口1151の直上に位置すると共に、大入賞口2103が第一始動口2101と遊技領域1100における右側内周との間の左右方向略中央に位置するようになっている。
アタッカユニット2100は、第一始動口2101が、アウト口1151の直上で詳細は後述するセンター役物2500におけるステージ2500のチャンス出口2514の直下に位置している。これにより、チャンス出口2514から放出された遊技球を、第一始動口2101において高い確率で受入れることができるようになっている。この第一始動口2101に受入れられた遊技球は、遊技パネル1150の後側へ送られた上で、後述する裏ユニット3000における裏左誘導部材3070の中誘導通路3071へ送られるようになっている。
また、アタッカユニット2100は、機能表示ユニット1180を大入賞口2103の正面視右側に位置するように支持すると共に、右側端部(機能表示ユニット1180の右側端部)が、遊技領域1100における右側内周から若干内側(左側)に位置するようになっている。これにより、遊技領域1100の右側内周に沿って上方から流下してきた遊技球は、アタッカユニット2100における第四ユニット2140の案内通路部材2142上に落下し、右端側で上方へ開口した案内通路2142a内へ進入するようになっている。案内通路2142a内に進入した遊技球は、案内通路2142aによって正面視左方向へ案内され、第二ユニット2120における第一通路2122aの上端開口つまりゲート部2105の直上で下方へ放出されるようになっている。そして、案内通路2142aの左端側開口から下方へ放出された遊技球は、極めて高い確率でゲート部2105へ進入するようになっている。
アタッカユニット2100のゲート部2105へ進入した遊技球は、第一通路2122a内に配置されたゲートセンサ2126により通過が検知された後に、通路形成部材2122の誘導壁2122hにより後方へ誘導され、第二ベース2121の凹部2121b内へ進入する。そして、凹部2121b内に進入した遊技球は、凹部2121bの下端部で前方へ誘導され通路形成部材2122の前壁の後面に当接して下方へ流下することとなる。つまり、アタッカユニット2100の第一通路2122a内では、遊技球が前後方向に蛇行して流下するようになっている。
本例では、ゲート部2105を遊技球が通過してゲートセンサ2126により検知されると、即座に普通抽選が行われ、抽選された普通抽選結果が普通図柄表示器1189において瞬時に表示されると共に、抽選された普通抽選結果が当りの場合は始動口ソレノイド2124が駆動して可動片2106が後退し、第二始動口2102への遊技球の受入れが可能となるようになっている。従って、ゲート部2105を通過した遊技球は、普通抽選結果として当りが抽選されると、極めて高い確率で第二始動口2102へと受入れられるようになっている。
そして、第二始動口2102に受入れられた遊技球は、第二始動口2102から第二通路2122bへと進入し、正面視左方向へ送られて第二始動口センサ2125によって検知された上で、第二通路2122bの左端から進路が後方へ変更されて、第二ベース2121の通過孔2121a及びユニットベース2150の排出口2150aを通って遊技パネル1150の後側へ排出されるようになっている。
なお、普通抽選結果がハズレの場合は、第一通路2122aから下方へ放出された遊技球が、第二始動口2102を閉鎖する可動片2106に当接し、第一通路2122aと第二通路2122bとの間の左放出口2122fから第二通路2122bの上側の左棚部2122gへと放出され、左棚部2122gを正面視左方向へ転動した後に、左棚部2122gの左端から遊技領域1100内における大入賞口2103の上側の領域へ放出されるようになっている。
また、アタッカユニット2100は、第一始動口2101や第二始動口2102に遊技球が受入れられることで抽選される特別抽選結果に応じて(例えば、「大当り」、「中当り」、「小当り」、等)、第一ユニット2110におけるアタッカソレノイド2113が所定パターンで駆動されるようになっており、アタッカソレノイド2113の駆動により開閉部材2107が直立した閉位置から略水平となった開位置へ回動し、大入賞口2103への遊技球の受入れが可能となるようになっている。そして、大入賞口2103へ受入れられた遊技球は、遊技パネル1150の後側でカウントセンサ2114に検知された後に、アタッカユニット2100の下方へ排出されるようになっている。
更に、アタッカユニット2100は、第一始動口2101とゲート部2105との間に配置された一般入賞口2104に受入れられた遊技球を、遊技パネル1150の後側へ誘導した後に、後述する裏ユニット3000における裏右誘導部材3060の上開口3061から右誘導通路内へ送るようになっている。
[2-3.表サイドユニット]
続いて、本実施形態のパチンコ機1の遊技盤4における表ユニット2000の表サイドユニット2200について、主に図131を参照して説明する。図131(a)は表サイドユニットを前から見た斜視図であり、(b)は表サイドユニットを後から見た斜視図である。遊技盤4の表ユニット2000における表サイドユニット2200は、遊技パネル1150のパネル板1210における遊技領域1100内の左右方向中央よりも左側で上下方向中央から下寄りの位置に、遊技領域1100の内周(内レール1112の正面視右側面)と接するように遊技パネル1150の前面に固定されるものである。
本例の表サイドユニット2200は、図示するように、正面視が遊技領域1100の内周に沿った円弧状に形成されており、正面視右端から左方向へ円弧に略沿って列設された三つの一般入賞口2201と、三つの一般入賞口2201よりも左上に配置され右端側が低くなるように傾斜した棚部2202と、を主に備えている。表サイドユニット2200の三つの一般入賞口2201は、前端側が遊技パネル1150の前面よりも前方へ延出すると共に後端側が遊技パネル1150の後面よりも後方へ延出し、上方及び後方が開放され、遊技領域1100内において遊技球を常時受入可能に形成されている。
表サイドユニット2200の棚部2202は、左端が遊技領域1100の左側内周と略接するような位置に配置されており、遊技領域1100内におけるセンター役物2500の正面視左側の領域を流下してきた遊技球を、右方向へ誘導させることができるようになっている。
また、表サイドユニット2200は、遊技パネル1150の前面に取付けられ三つの一般入賞口2201を有した板状のユニットベース2210と、ユニットベース2210の前面に取付けられ遊技パネル1150の前面から前方へ突出すると共に上端に棚部2202が形成された案内部材2211と、案内部材2211の正面視右側で棚部2202の右端部の下側に配置されユニットベース2210の前面に取付けられる左物体検知センサ2212と、左物体検知センサ2212の左側で前面が前方へ露出するように案内部材2211に取付けられ所定の装飾を有した左誘導装飾部材2213と、ユニットベース2210の後側に取付けられ前側が開放された浅い箱状で透明なユニットカバー2214と、を備えている。
表サイドユニット2200のユニットベース2210は、遊技パネル1150の前面に当接する板状の部位と、板状の部位から後方へ延出し遊技パネル1150における対応した開口部1158内に挿入される枠状の部位とを備えており、板状の部位において遊技パネル1150に取付けられるようになっている。このユニットベース2210は、前面に浅いレリーフ状の装飾が施されていると共に、部分的に透光性を有するように形成されている。
表サイドユニット2200の案内部材2211は、正面視の形状が略逆三角形状とされており上辺に右側が低くなるように直線的に傾斜した棚部2202とされている。この案内部材2211は、略中央に左誘導装飾部材2213が挿入される円形状の貫通孔を備えている。
表サイドユニット2200の左物体検知センサ2212は、詳細な図示は省略するが、投光部と受光部とを備えており、前方の所定範囲内に位置した物体を検知することができるようになっている。なお、本例では、左物体検知センサ2212の投光部と受光部とが上下方向に列設されており、左物体検知センサ2212の前面において、上下方向へ移動する物体よりも左右方向へ移動する物体の方が、検知し易いようになっている。
表サイドユニット2200の左誘導装飾部材2213は、前面に、円形の中に左向きの矢印を配置した装飾が施されており、前面装飾の後側にその装飾の外周に沿った壁が後方へ延出する筒枠状の遮光部材2213aを備えている。なお、遮光部材2213aは、取付けた状態で後端が遊技パネル1150の後面よりも若干前側の位置まで延出している。これにより、左誘導装飾部材2213の後側に配置された裏ユニット3000における裏左下装飾基板3020のLEDよって、矢印の内側と外側とを異なる態様で発光装飾させることができるようになっている。
表サイドユニット2200のユニットカバー2214は、外形がユニットベース2210における枠状の部位と略同じ形状とされ、取付けた状態で後端が遊技パネル1150の後面よりも若干前側に位置する奥行きに形成されている。このユニットカバー2214は、左誘導装飾部材2213の遮光部材2213aを挿通可能な貫通孔を有しており、遮光部材2213aの後端が後方へ臨むようになっている。
本実施形態の表サイドユニット2200は、遊技領域1100内におけるセンター役物2500の左側を流下してきた遊技球を、棚部2202によって右方向へ案内することができると共に、棚部2202よりも下流側に配置された三つの一般入賞口2201によって遊技球を受入れることができるようになっている。表サイドユニット2200の一般入賞口2201に受入れられた遊技球は、遊技パネル1150の後側へと送られ、後述する裏ユニット3000における裏左誘導部材3060の左開口3072を通って左誘導通路へ受渡されるようになっている。
[2-4.センター役物]
続いて、本実施形態のパチンコ機1の遊技盤4における表ユニット2000のセンター役物2500について、主に図132乃至図144を参照して説明する。図132はセンター役物を斜め右上前から見た斜視図であり、図133はセンター役物を斜め左下前から見た斜視図であり、図134はセンター役物を後から見た斜視図である。図135はセンター役物を主要な部材毎に分解して前から見た分解斜視図であり、図136はセンター役物を主要な部材毎に分解して後から見た分解斜視図である。また、図137はセンター役物の表右中演出ユニットを前から見た斜視図であり、図138はセンター役物の表右中演出ユニットを後から見た斜視図である。更に、図139は表右中演出ユニットを分解して前から見た分解斜視図であり、図140は表右中演出ユニットを分解して後から見た分解斜視図である。
本例のセンター役物2500は、遊技パネル1150の略中央を貫通するように大きく形成された開口部1158に対して、前側から挿入された上で、遊技パネル1150の前面に固定されるものであり、図110等に示すように、遊技領域1100の大半を占める大きさの枠状で前後方向へ貫通し後側に配置された液晶表示装置1900が視認可能とされた大きな窓部2501を備えている。
センター役物2500は、窓部2501の外周で遊技パネル1150の前面と当接可能なフランジ部2502aを有した枠状のユニットベース2502と、ユニットベース2502から前方へ膨出し左右方向の略中央を境として遊技領域1100内を流下してきた遊技球を左右へ誘導すると共に枠内(窓部2501内)への遊技球の侵入を阻止する周壁部2503と、を備えている。なお、周壁部2503は、一部がユニットベース2502によって形成されている。
また、センター役物2500は、周壁部2503の左側の外周面に開口し遊技領域1100を流下する遊技球が進入可能とされたワープ入口2504(図112を参照)と、ワープ入口2504に進入した遊技球を枠内へ放出するワープ出口2505と、ワープ出口2505から放出された遊技球を左右方向へ転動させた後にアタッカユニット2100における第一始動口2101の上側の遊技領域1100内へ放出・還流させ窓部2501の下内縁に配置されたステージ2510と、を備えている。
更に、センター役物2500は、周壁部2503の後側に配置され窓部2501を閉鎖する透明板状の隔壁部材2520と、窓部2501の正面視左側及び下側で周壁部2503の後側に配置され前面に複数のLEDが実装されたセンター下装飾基板2521と、窓部2501の上側で周壁部2503の後側に配置され前面に複数のLEDが実装されたセンター上装飾基板2522と、ユニットベース2502の後面で正面視左上部に取付けられフランジ部2502aの一部を形成する上部フランジ部材2523と、ユニットベース2502の後面で正面視左辺に取付けられ枠内を装飾する左後装飾部材2524と、を備えている。
また、センター役物2500は、ステージ2510の正面視右側に配置され第一始動口2101や第二始動口2102への遊技球の受入れにより抽選された特別抽選結果の保留数、及びゲート部2105を遊技球が通過されることで抽選される普通抽選結果の保留数を表示可能な保留数表示器2530と、保留数表示器2530が配置されると共にユニットベース2502の前側に取付けられユニットベース2502の前面を装飾するセンター装飾部材2540と、窓部2501の上側の周壁部2503に配置されパチンコ機1のコンセプトに沿った所定のロゴの装飾を有しセンター上装飾基板2522によって発光装飾可能とされた表上演出ユニット2550と、窓部2501の正面視右側に配置され遊技状態(特別抽選結果)に応じて可動可能な表右可動装飾体2610を有した表右中演出ユニット2600と、表右中演出ユニット2600における表右可動装飾体2610の外周を囲むように配置され所定の装飾を有した表右外演出ユニット2700と、を備えている。
センター役物2500のステージ2510は、ワープ出口2505から放出された遊技球が供給されると共に左右方向へ転動可能とし、供給された遊技球を所定位置から前方へ放出可能な第一ステージ2511と、第一ステージ2511の前側に配置され第一ステージ2511から遊技球が供給されると共に左右方向へ転動可能とし、供給された遊技球を所定位置から前方の遊技領域1100内へ放出可能な第二ステージ2512と、第二ステージ2512上の所定位置から遊技球が進入可能とされたチャンス入口2513と、チャンス入口2513に進入した遊技球を第二ステージ2512よりも下側の位置から遊技領域1100内へ放出可能なチャンス出口2514と、を備えている。
ステージ2510における第一ステージ2511は、左右両端が最も高くなるように湾曲状に形成された上で、遊技領域1100の左右方向中央が高くなるように形成されており、全体として滑で扁平なW字状の波状に形成されている。この第一ステージ2511は、左右方向中央の高くなった部位に形成され前方へ向かって低くなると共に左右方向の幅が広くなる中央放出部2511aと、中央放出部2511aの左右両側で最も低くなった部位に形成され前方へ向かって低くなると共に左右方向の幅が中央放出部2511aよりも広くなるサイド放出部2511bと、を備えている。
なお、第一ステージ2511は、中央放出部2511a及びサイド放出部2511b以外の前端が、上方へ突出しており、中央放出部2511a及びサイド放出部2511b以外から遊技球が前方へ放出され難くなっている。また、第一ステージ2511は、正面視右端側が、保留数表示器2530側へ喰い込むように右方向へ延出している。
ステージ2510における第二ステージ2512は、第一ステージ2511における二つのサイド放出部2511bに跨るように左右方向へ延びると共に左右方向中央が低くなるように湾曲した形状に形成されている。なお、第二ステージ2512は、左右方向中央が若干高くなっている。この第二ステージ2512は、左右方向の中央位置に形成され後方へ向かって低くなると共に左右方向の幅が広くなる中央案内部2512aと、中央案内部2512aの左右両側で最も低くなった部位に形成され前方へ向かって低くなると共に左右方向の幅が中央案内部2512aよりも広くなるサイド放出部2512bと、を備えている。なお、第二ステージ2512では、サイド放出部2512b以外の前端が、上方へ突出しており、サイド放出部2512b以外からは遊技球が前方へ放出され難くなっている。
ステージ2510におけるチャンス入口2513は、第一ステージ2511と第二ステージ2512との間に形成される上下方向へ延びた壁状の部位に前方へ向かって開口し、第二ステージ2512における中央案内部2512aの後側に配置されている。これにより、第二ステージ2512上を転動する遊技球が、中央案内部2512aにより後方へ案内されると、チャンス入口2513へ進入するようになっている。
ステージ2510におけるチャンス出口2514は、フランジ部2502aにおける第二ステージ2512の左右方向中央下側の位置に、前方へ向かって開口するように形成されている。このチャンス出口2514は、チャンス入口2513と連通する通路内に前後方向へ延びると共に左右方向離間した一対の突条が備えられている。これにより、チャンス出口2514から放出される遊技球は、一対の突条によって前方へ案内されることで左右方向の揺動が抑制された状態で、遊技領域1100内へ放出されるようになっている。
センター役物2500のステージ2510は、チャンス出口2514が、組立てた状態で、アタッカユニット2100における第一始動口2101の直上に位置するようになっており、チャンス出口2514から遊技球が遊技領域1100内へ放出されると、高い確率で第一始動口2101に受入れられるようになっている。
また、センター役物2500のステージ2510は、略全体が透明な部材によって形成されており、センター下装飾基板2521によって発光装飾可能とされている。また、第一ステージ2511及び第二ステージ2512は、ステージ部材2515によって、一体に形成されており、ユニットベース2502の後側に取付けられている。
また、センター役物2500の保留数表示器2530は、前面に複数のLEDが実装された保留数表示基板2531と、保留数表示基板2531の前面に配置され保留数表示基板2531の各LED同士を区画する格子状の遮光部材2532と、遮光部材2532の各格子内に夫々配置され保留数表示基板2531のLEDからの光を夫々前方へ導く導光部材2533と、各導光部材2533が前方へ臨む開口を複数有し遮光部材2532の前側に配置される前面カバー2534と、前面カバー2534、遮光部材2532、及び保留数表示基板2531の上側を覆う上面カバー2535と、を備えている。
保留数表示器2530の上面カバー2535は、図示するように、正面視左端側が低くなるように傾斜していると共に、左右方向中央が上側へ膨出した円弧状に形成されている。この上面カバー2535は、ステージ2510と表右中演出ユニット2600(表右中可動装飾体2610)との間に配置されており、ステージ2510から遊技球が表右中演出ユニット2600側へ逸脱しても、ステージ2510側へ戻すことができるようになっている。なお、上面カバー2535は、ユニットベース2502と一体形成されている。
センター役物2500の表上演出ユニット2550は、装飾の詳細については省略するが、パチンコ機1のコンセプトに沿ったロゴが浅いレリーフ状に形成され透光性を有した表上装飾部材2551と、表上装飾部材2551の後側に配置され光を拡散可能な板状の拡散導光部材2552と、拡散導光部材2552の上側に配置され下面に複数のLEDが実装されたロゴ装飾基板2553と、を備えている。拡散導光部材2552及び表上装飾部材2551は、ユニットベース2502の前面に取付けられている。表上演出ユニット2550は、ロゴ装飾基板2553のLEDを適宜発光させることで、発光装飾させることができるようになっている。
センター役物2500の表右中演出ユニット2600は、正面視円形状に形成された固定装飾体2620、及び固定装飾体2620の外周を囲み回転可能とされた円環状の回転装飾体2630を有する表右中可動装飾体2610と、表右中可動装飾体2610の後側に配置され前面に複数のLEDが実装された表右中装飾基板2640と、表右中装飾基板2640の後側に配置され表右中可動装飾体2610の回転装飾体2630を回転駆動させる回転駆動機構2650と、回転駆動機構2650、表右中可動装飾体2610、及び表右中装飾基板2640を支持しユニットベース2502の後側の所定位置で前後方向へ延びた軸芯周りに回動可能に支持されるベース部材2660と、ベース部材2660を所定角度範囲内で回動させる回動駆動機構2670と、を備えている。ベース部材2660は、ユニットベース2502の後面に取付けられる支持ピン2601によって回動可能に支持されるようになっている。
表右中演出ユニット2600の表右中可動装飾体2610における固定装飾体2620は、外周が円形状で前面が前方へ膨出すると共に前面が不定形に前後方向へ貫通した透明な前装飾体2621と、前装飾体2621の内部に配置され前面が前装飾体2621の前面よりも緩く前方へ膨出すると共に前面に所定の文字が浮き彫りされた透光性を有する円盤状の後装飾体2622と、を備えている。なお、表右中装飾基板2640は、後装飾体2622の後側となる位置に複数のLEDが実装されており、後装飾体2622及び前装飾体2621を発光装飾させることができるようになっている。
また、固定装飾体2620は、前装飾体2621の外周に配置され放射状に突出した仕切片2623aを周方向へ複数有した遮光部材2623を、更に備えている。また、固定装飾体2620の前装飾体2621は、外周から放射状に突出すると共に遮光部材2623の各仕切片2623a同士の間に夫々配置される複数のレンズ部2621aを備えている。この前装飾体2621のレンズ部2621aは、先端が星型に形成されている。固定装飾体2620の仕切片26223a及びレンズ部2621aは、回転装飾体2630の内部に位置するようになっている。なお、表右中装飾基板2640は、レンズ部2621aの後側となる位置にLEDが実装されており、レンズ部2621aにおける星型に形成された先端を発光装飾させることができるようになっている。
固定装飾体2620の前装飾体2621は、後装飾体2622、遮光部材2623、及び表右中装飾基板2640を挟持した状態で、円環状のスペーサ部材2624を介してベース部材2660に取付けられるようになっている。
表右中可動装飾体2610の回転装飾体2630は、円環状に形成されていると共に、表面に所定の装飾が立体的に形成されており、装飾同士の間が前後方向へ貫通した状態となっている。また、回転装飾体2630は、後側及び内周側が開放された状態に形成されており、固定装飾体2620における前装飾体2621のレンズ部2621a、遮光部材2623、及び表右中装飾基板2640が内部に挿入されるようになっている。この回転装飾体2630は、後端が表右中装飾基板2640よりも後側へ延出し、後述する回転駆動機構2650の円環状の作動ギア2654に取付けられることでベース部材2660に対して回転可能に支持されるようになっている。
この回転装飾体2630は、表右中装飾基板2640における前装飾体2621のレンズ部2621aの後側に位置したLEDを適宜発光させることで、発光装飾させることができるようになっている。
表右中演出ユニット2600の回転駆動機構2650は、回転装飾体2630よりも上側の位置でモータベース2665を介してベース部材2660に取付けられる表第一駆動モータ2651と、表第一駆動モータ2651の回転軸に固定される駆動ギア2652と、駆動ギア2652と噛合しベース部材2660に回転可能に支持される伝達ギア2653と、伝達ギア2653と噛合しベース部材2660に回転可能に支持されると共に前面に回転装飾体2630が取付けられる円環状の作動ギア2654と、を備えている。
回転駆動機構2650の表第一駆動モータ2651は、モータベース2665の前側に取付けられており、回転軸がモータベース2665を貫通して後側へ延びだすようになっている。また、駆動ギア2652及び伝達ギア2653は、モータベース2665とベース部材2660との間に配置されている。
回転駆動機構2650の作動ギア2654は、中心に前後方向へ貫通した円形のガイド孔2654aを有している。この作動ギア2654は、ベース部材2660とスペーサ部材2624との間に配置されており、ガイド孔2654aにおいてベース部材2660及びスペーサ部材2624に軸支されたブッシュ2656を介して回転可能に支持されている。
また、回転駆動機構2650は、回転装飾体2630の回転位置を検知可能な回転位置検知センサ2655を備えている。回転駆動機構2650は、駆動ギア2652に外方へ延出した板状の検知片2652aを備えており、この検知片2652aを回転位置検知センサ2655で検知することで、回転装飾体2630の回転位置を検知することができるようになっている。
表右中演出ユニット2600のベース部材2660は、表右中可動装飾体2610及び回転駆動機構2650の後側を覆うように形成されている。このベース部材2660は、表右中可動装飾体2610を支持する部位から上方へ延出した腕部2661と、腕部2661の先端に形成されユニットベース2502に対して回動可能に支持される軸受部2662と、軸受部2662と表右中可動装飾体2610を支持する部位との間の腕部2661に形成され軸受部2661の中心を通る放射線上に沿って長く延び前後方向に貫通したスリット2663と、を備えている。ベース部材2660は、軸受部2662に、ユニットベース2502の後側に後方へ延出するように取付けられる支持ピン2601が挿入されるようになっており、支持ピン2601により回動可能に支持されるようになっている。
また、ベース部材2660の前側に取付けられるモータベース2665は、表右中可動装飾体2610の下側に相当する下端に、軸受部2662を中心とした円弧状に延びたガイド片2664を備えている。このガイド片2664は、軸受部2662を中心とした外周端に、前後方向へ延出した板状の部位を有しており、ユニットベース2502と隔壁部材2520とで形成される円弧状の溝内に挿入されるようになっている。これにより、ガイド片2664によって、ベース部材2660を回動させた時に前後方向へ揺れが抑制されるようになっている。
表右中演出ユニット2600のガイド片2664は、ステージ2510における第一ステージ2511の正面視右側の延長線上に位置するようになっている。これにより、表右中可動装飾体2610を回動駆動機構2670によって通常位置から出現位置へ正面視左方向に回動させると、ガイド片2664が第一ステージ2511の右端の上部を覆うように位置することとなり(図157を参照)、第一ステージ2511から遊技球が右方向へ跳ねても、遊技球が表右中可動装飾体2610の回転装飾体2630に接触するのを防止することができる。従って、回転する回転装飾体2630によって遊技球が跳ね飛ばされてしまうことで、遊技球本来の動きが損なわれて遊技者に不信感を与えてしまうのを防止することができ、遊技者の遊技に対する興趣が低下するのを抑制することができる。
また、ガイド片2664は、正面視左端側面が、左端が低くなるように傾斜している。これにより、表右中可動装飾体2610が通常位置の時には、ガイド片2664の左端と、ユニットベース2502と隔壁部材2520とで形成される円弧状の溝とによって、回転装飾体2630の下側に遊技球を収容可能な空間を形成することができるので、万が一第一ステージ2511の右端側から遊技球が右方向へ逸脱しても、前述の空間に遊技球を収容保持して遊技球の動きを停止させることができ、遊技球が本来とは異なる動きをしてしまうのを防止することができる。
なお、前述の空間に収容保持された遊技球は、表右中可動装飾体2610を通常位置から正面視左方向の出現位置へ移動(回動)させることで、ガイド片2664の左端の斜めになった側面により、左方向(第一ステージ2511の方向)へ転動し、ステージ2510へ送り返されるようになっている。従って、表右中可動装飾体2610を通常位置から出現位置へ移動させる速度によっては、ガイド片2664の左端に収容保持された遊技球を、ステージ2510側へ飛ばすことが可能となる(図158を参照)ので、センター役物2500の枠内でステージ2510を転動する遊技球の動きとは異なる動きを遊技者に見せることができ、遊技者に遊技媒体の動きを楽しませて興趣が低下するのを抑制することができるようになっている。
表右中演出ユニット2600の回動駆動機構2670は、回転軸が前後方向へ延びるようにユニットベース2502の所定位置に取付けられる表第二駆動モータ2671と、表第二駆動モータ2671の回転軸に固定される円盤状のリンクホイール2672と、リンクホイール2672における回転軸から偏芯した位置に支持されベース部材2660のスリット2663内へ摺動可能に挿入されるリンクピン2673と、を備えている。
また、回動駆動機構2670は、ユニットベース2502の所定位置に取付けられベース部材2660を介して表右中可動装飾体2610の回動位置を検知する回動位置検知センサ2674を備えている。この回動位置検知センサ2674は、ユニットベース2660に取付けられるモータベース2665のガイド片2664の正面視右端を検知できる位置に取付けられている。
この回転駆動機構2670は、表第二駆動モータ2671によってリンクホイール2672を回転させると、リンクピン2673が所定半径の円周上を公転するようになっており、リンクピン2673が公転することで、リンクピン2673がスリット2663内を摺動すると同時に、リンクピン2673がスリット2663の内壁を所定方向へ押圧し、ベース部材2660が軸受部2662(支持ピン2601)を中心として回動するようになっている。
回動駆動機構2670は、リンクピン2673がベース部材2660の軸受部2662と表右中可動装飾体2610との間に配置されているので、リンクピン2673の公転直径よりも表右中可動装飾体2610を大きく移動させることができるようになっている。本例の表右中演出ユニット2600は、回動移動機構2670によって、表右中可動装飾体2610を、窓部2501の正面視右辺側に位置した通常位置と、窓部2501の正面視中央側に位置した出現位置との間で回動させることができるようになっている。
なお、回動駆動機構2670のリンクホイール2672は、隔壁部材2520の前側に位置すると共に、外周面の一部が窓部2501内へ臨むようになっている(図112及び図133を参照)。これにより、メンテナンス等の作業者が、センター役物2500(遊技盤4)の前側からリンクホイール2672の外周に触れてリンクホイール2672を回転させることができるので、ベース部材2660(表右中可動装飾体2610)が所定以外の回動位置で停止する不具合が発生しても、センター役物2500を分解することなく前側からリンクホイール2672を回転させてベース部材2660を正規の位置へ復帰させることができ、メンテナンス等にかかる手間を簡略化することができると共に、不具合発生により遊技が中断する時間を可及的に短縮することができ、遊技者の遊技に対する興趣が低下するのを抑制することができるようになっている。
また、センター役物2500の表右中演出ユニット2600は、詳細な図示は省略するが、表右中可動装飾体2610が正面視で最も右側へ位置した通常位置の時に、支持ピン2601(軸受部2662)の中心を通る垂直線が、リンクホイール2672の中心とリンクピン2673との間を通るように、支持ピン2601及びリンクホイール2672等が配置されている。これにより、表右中可動装飾体2610を、正面視でより左側へ回動させることができ、表右中可動装飾体2610の出現位置をより中央へ寄せて遊技者に対して注目し易くすることができるようになっている。なお、表右中可動装飾体2610を出現位置から通常位置へ戻す際に、公転するリンクピン2673が支持ピン2601の中心を通る垂直線を跨って移動することとなるので、リンクピン2673が当該垂直線に到達してから通常位置まで公転する間は、表右中可動装飾体2610等からの荷重がリンクピン2673に作用して表第二駆動モータ2671に負荷がかかり、表右中可動装飾体2610が通常位置へ戻ることができないことがあるかも知れないが、上述したように、センター役物2500の枠内に一部が露出したリンクホイール2672を回転操作することで、リンクピン2673を公転させて表右中可動装飾体2610を通常位置へ戻すことができるようになっている。
センター役物2500の表右外演出ユニット2700は、表右中可動装飾体2610が通常位置の状態で、表右中可動装飾体2610の下側に配置され前面に所定文字の装飾を有した表右中下装飾部材2710と、表右中下装飾部材2710の後側に配置され前面に複数のLEDが実装された表右中下装飾基板2711と、前面に表右中下装飾部材2710とは異なる文字の装飾を有し表右中可動装飾体2610の上側に配置さる表右中上装飾部材2720と、表右中上装飾体2720と表右中下装飾体2710との間で表右中可動装飾体2610における固定装飾体2620の右側外周を囲むように配置され上方へ向かって幅が広くなる円弧状の表右中外周装飾部材2730と、表右中外周装飾部材2730と表右中上装飾部材2720の後側に配置され前面に複数のLEDが実装された表右中外周装飾基板2733と、を備えている。
表右外演出ユニット2700の表右中下装飾部材2710は、文字の部位が透光性を有するように形成されていると共に、遊技パネル1150の前面よりも前方へ突出し周壁部2503の一部を形成している。この表右中下装飾部材2710は、正面視保留数表示器2530の右側の位置でユニットベース2502の前面に、表右中下装飾基板2711を挟持するように取付けられている。この表右中下装飾部材2710は、表右中下装飾基板2711のLEDを適宜発光させることで、発光装飾することができるようになっている。
表右中上装飾部材2720は、文字の部位が透光性を有するように板状に形成され、表右中外周装飾部材2730の上部前面に取付けられている。この表右中上装飾部材2720は、表右中外周装飾基板2733における対応したLEDを適宜発光させることで、発光装飾することができるようになっている。
表右外演出ユニット2700の表右中外周装飾部材2730は、外形が上方へ向うに従って幅が広くなる円弧状で上方へ向うに従って周方向の長さが長くなる複数の開口を有した枠状の枠部材2731と、枠部材2731の後側に配置されると共に枠部材2731の各開口内に挿入されるブロック部を備え透光性を有したレンズ部材2732と、を備えている。この表右中外周装飾体2730は、枠部材2731がユニットベース2502の前面に取付けられており、枠部材2731とユニットベース2502との間にレンズ部材2732と表右中外周装飾基板2733とが挟持されるようになっている。表右中外周装飾基板2733は、枠部材2731の各開口と対応した位置に夫々LEDが配置されており、各開口(レンズ部材2732のブロック部)毎に発光装飾させることができるようになっている。
本実施形態のセンター役物2500は、正面視で左右方向の略中央よりも上側及び右側の周壁部2503の外周が、遊技領域1100の内周(前構成部材1110Aの内周)に略沿った形状とされており、遊技パネル1150に取付けた状態では、センター役物2500における上側及び右側の周壁部2503の外周に沿って、遊技球の外径よりも若干大きい隙間が形成されるようになっている。これにより、右側外周の隙間に遊技球が進入するように遊技球を打ち込む(所謂、右打ちする)と、アタッカユニット2100の案内通路2142a内に進入するようになっており、極めて高い確率でゲート部2105に遊技球を通過させることができるようになっている。
また、センター役物2500は、遊技パネル1150に取付けた状態では、センター役物2500の左側の外周に、遊技領域1100の内周との間で所定幅の領域が形成されるようになっている。これにより、センター役物2500の左側へ遊技球が進入するように遊技球を打ち込むと、その領域内で遊技球が複雑な動きで流下し、遊技球の動きを楽しめる遊技を行うことができるようになっている。また、センター役物2500の左側を流下するように遊技球を打ち込むと、ワープ入口2504へ遊技球を進入させることが可能となるので、ステージ2510上を転動する遊技球の動きを楽しむことができると共に、ステージ2510から遊技領域1100内へ還流放出される遊技球が、第一始動口2101等へ受入れられるか否かで遊技者の期待感を高めさせることができ、遊技者を楽しませて遊技に対する興趣が低下するのを抑制することができるようになっている。
[2-4A.表右中演出ユニットにおける固定装飾体の第二実施形態]
次に、センター役物2500の表右中演出ユニット2600における固定装飾体2620Aの第二実施形態について、主に図141乃至図144を参照して説明する。図141は表右中演出ユニットにおける固定装飾体の第二実施形態を分解して前から見た分解斜視図であり、図142は図141の固定装飾体を分解して後から見た分解斜視図であり、図143(a)は図141の固定装飾体の前カバーと演出シートを前から見た斜視図であり、(b)は(a)を正面に対してやや左寄りの位置から見た斜視図であり、(c)は(b)よりも更に左寄りの位置から見た斜視図である。図144(a)は図141の固定装飾体における演出シートの構成を示す説明図であり、(b)は消灯時の状態を示す説明図であり、(c)は青色点灯時の発光装飾態様を示す説明図であり、(d)は赤色点灯時の発光装飾態様を示す説明図である。なお、同一構成の部材については、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
本例の固定装飾体2620Aは、上述した固定装飾体2620における前装飾体2621と後装飾体2622に対して置換え可能とされているものである。この固定装飾体2620Aは、図示するように、外周が円形状で前面が前方へ丸く膨出すると共に前面に所定形状の浅いレリーフが形成された透明な前カバー2625と、前カバー2625内に配置される薄板状の演出シート2626と、演出シート2626の後側に配置され複数の微細なプリズムを有した薄板状の拡散レンズシート2627と、拡散レンズシート2627の後側に配置されると共に前カバー2625内に挿入される透明円盤状の保持部材2628と、を備えている。
この固定装飾体2620Aは、演出シート2626が、透光性を有しスモーク色のベースフィルムと、ベースフィルムの裏面に形成された着色層とで構成されており、前側から見ると黒っぽく見えるようになっている(図144(b)を参照)。固定装飾体2620Aは、前から見ると、演出シート2626の前面に前カバー2625に形成されたレリーフ状の装飾が写るようになっている(図143を参照)。これにより、固定装飾体2620Aを発光装飾させない状態で正面から見ると、前カバー2625のレリーフと演出シート2626に写ったレリーフ、及び、前カバー2625の前面までと演出シート2626の前面までとの距離の差によって、前カバー2625のレリーフがよりデコパージュのように立体的に見えることとなり、これまでにない装飾を遊技者に提示することができると共に、図143(b)及び(c)に示すように、遊技者の見る位置によって見え方が変化するので、遊技者の関心を強く引付けることができ、遊技者を楽しませることができるようになっている。
また、固定装飾体2620Aは、演出シート2626における着色層が、図144(a)に示すように、殆ど透光性を有しない黒色部2626aと、透光性を有した青色部2626bと、透光性を有した赤色部2626cと、着色されていない未着色部2626dとで構成されている。これにより、表右中装飾基板2640における固定装飾体2620Aの後側に位置したLEDを、発光させていない時には図144(b)のようにベースフィルムのスモーク色により全体が黒っぽくなって絵柄が見えない状態となるのに対して、LEDを、青色で発光させると図144(c)のような絵柄で発光し、赤色で発光させると図144(d)のような絵柄で発光するようになっている。
詳述すると、固定装飾体2620Aにおける演出シート2626の着色層は、図144(c)の絵柄と図144(d)の絵柄とを重ねた時に、何れの絵柄にも含まれない部位を黒色部2626aとしていると共に、何れの絵柄にも含まれる部位を未着色部2626dとしている。また、図144(c)の絵柄と図144(d)の絵柄とを重ねた時に、図144(c)の絵柄のみの部位を青色部2626bとしていると共に、図144(d)の絵柄のみの部位を赤色部2626cとしている。従って、LEDを青色に発光させると、青色部2626bと未着色部2626dでは光が透過し、黒色部2626aと赤色部2626cでは光が透過しないので、図144(c)のような絵柄(動物を模した絵柄)が青色に発光することとなる。また、LEDを赤色に発光させると、赤色部2626cと未着色部2626dでは光が透過し、黒色部2626aと青色部2626bでは光が透過しないので、図144(d)のような絵柄(文字を模した絵柄)が赤色に発光することとなる。なお、LEDを白色で発光させた場合は、図144(a)のような絵柄が発光する。
このように、固定装飾体2620Aは、後側に配置された表右中装飾基板2640のLEDを発光させていない時には、前カバー2625に形成されたレリーフが演出シート2626に写ることで立体感のある装飾を提示することができる一方、LEDの発光色に応じて、異なる絵柄を発光表示させることができ、多彩な演出を遊技者に提示して飽き難くすることができるようになっている。なお、前カバー2625のレリーフは、LEDを青色に発光させた時に発光表示される絵柄と略同じ形状とされており、これにより、前カバー2625のレリーフと合せて青色に発光した絵柄に立体感を付与することができるようになっている。
[2-5.裏ユニットの全体構成]
続いて、本実施形態のパチンコ機1における遊技盤4の裏ユニット3000について、図145乃至図148を参照して説明する。図145は遊技盤における裏ユニットを前から見た斜視図であり、図146は遊技盤における裏ユニットを後から見た斜視図である。また、図147は裏ユニットを主な構成部材毎に分解して前から見た分解斜視図であり、図148は裏ユニットを主な構成部材毎に分解して後から見た分解斜視図である。
本実施形態の裏ユニット3000は、遊技パネル1150の後側に取付けられ前側が開放されると共に後壁3010aに液晶表示装置1900の表示画面が臨み前後方向へ貫通する開口3010bが形成された裏箱3010を備えている。裏ユニット3000における裏箱3010は、前側が開放された箱状で後壁3010aに前後方向に貫通した略矩形状の開口3010bと、前端外周から外側へ延出し遊技パネル1150の後側に固定されるフランジ状の固定部3010cとを備えている。裏箱3010の開口3010bは、液晶表示装置1900の正面視外形よりも小さく形成されている。
また、裏箱3010は、後壁3010aの後面における開口3010bの外周に液晶表示装置1900の外形と略同じ大きさで前方へ向かうように窪んだ液晶挿入部3010dと、液晶挿入部3010dにおける背面視右辺に形成され液晶表示装置1900の固定片1902を挿入可能とされた液晶固定部3010eと、液晶固定孔3010eとは液晶挿入部3010dにおける反対側の辺(背面視右辺)に形成されロック機構3040が取付けられるロック機構取付部3010fと、を備えている。この裏箱3010は、液晶挿入部3010d内に液晶表示装置1900が後側から挿入されるようになっていると共に、後壁3010aにおける液晶挿入部枠3010d内の後面が平坦面とされており、液晶表示装置1900の前面が当接するようになっている。
なお、詳細な説明は省略するが、裏箱3010には、各演出ユニット3100,3300,3500、基板やカバー等を取付けるための取付孔や取付ボス等が適宜位置に形成されている。
また、裏ユニット3000は、裏箱3010内の前端付近で表サイドユニット2200と対応した位置に取付けられ前面に複数のLEDが実装された裏左下装飾基板3020と、裏箱3010内の前端付近でアタッカユニット2100の案内通路部材2142と対応した位置に取付けられ前面に複数のLEDが実装された裏右下装飾基板3021と、裏箱3010内における開口3010bの上側で後壁3010aの前面に取付けられる裏上中継基板3022と、裏箱3010内における開口3010bの正面視右側で後壁3010aの前面に取付けられる裏右中継基板3023と、裏箱3010内における開口3010bの正面視左側で後壁3010aの前面に取付けられる裏左中継基板3024と、を備えている。
更に、裏ユニット3000は、裏箱3010の後壁3010aにおける後面で開口3010bよりも下側の背面視左下隅に取付けられるパネル中継基板3025と、パネル中継基板3025の背面視右側に配置され裏箱3010における後壁3010aの後面に取付けられる第一駆動基板3026と、第一駆動基板3026の背面視右側に配置され裏箱3010における後壁3010aの後面に取付けられる第二駆動基板3027と、を備えている。
また、裏ユニット3000は、パネル中継基板3025の後側を覆い裏箱3010に取付けられるパネル中継基板カバー3030と、第一駆動基板3026の後側を覆い裏箱3010に取付けられる第一駆動基板カバー3031と、第二駆動基板3027の後側を覆い裏箱3010に取付けられる第二駆動基板カバー3032と、を備えている。
また、裏ユニット3000は、裏箱3010における後壁3010aの後面に液晶表示装置1900を脱着可能に保持するためのロック機構3040を備えている。本例のロック機構3040は、裏箱3010のロック機構取付部3010fに対して上下方向へスライド可能に取付けられるようになっており、上側へスライドさせると、液晶表示装置1900の固定片1902を後側から挿入することができる挿入口が開口し、その挿入口から固定片1902を挿入した上でロック機構3040を上側へスライドさせると、挿入口の後端が閉鎖されて固定片1902が抜けないようになり、液晶表示装置1900をロックすることができるようになっている。
更に、裏ユニット3000は、裏箱3010内の左端における前端付近に取付けられた上下方向へ延びた板状の裏左ホルダ3050と、裏箱3010内の前端付近でアタッカユニット2100の第二始動口2102及び一般入賞口2104と対応した位置に取付けられ遊技球を誘導可能な裏右誘導部材3060と、裏箱3010内の前端付近でアタッカユニット2100の第一始動口2101及び表サイドユニット2200の三つの一般入賞口2201と対応した位置に取付けられ遊技球を誘導可能な裏左誘導部材3070と、を備えている。
また、裏ユニット3000は、裏左ホルダ3050及び裏右誘導部材3060の所定位置に取付けられ磁気を検出可能な磁気検出センサ3080と、裏左誘導部材3070の所定位置に取付けられ第一始動口2101に受入れられた遊技球を検知可能な第一始動口センサ3081と、裏右誘導部材3060及び裏左誘導部材3070の所定位置に夫々取付けられ一般入賞口2104,2201に受入れられた遊技球を検知可能な一般入賞口センサ3082と、を備えている。
更に、裏ユニット3000は、裏箱3010内における開口3010bの上側及び左右両側に亘って配置される裏横演出ユニット3100と、裏箱3010内における開口3010bの上側に配置される裏上演出ユニット3300と、裏箱3010内における開口3010bの下側に配置される裏下演出ユニット3500と、を備えている。
裏ユニット3000の裏左下装飾基板3020は、前面に実装されたLEDを適宜発光させることで、表ユニット2000における表サイドユニット2200を発光装飾させることができるようになっている。また、裏右下装飾基板3021は、前面に実装されたLEDを適宜発光させることで、表ユニット2000におけるアタッカユニット2100の案内通路部材2142を発光装飾させることができるようになっている。
裏ユニット3000における裏上中継基板3022は、第一駆動基板3026及び第二駆動基板3027と周辺制御基板4010との接続を中継するためのものである。また、裏右中継基板3023は、第一駆動基板3026及び第二駆動基板3027と裏横演出ユニット3100における裏右演出ユニット3100Rの裏横中継基板3112との接続を中継するためのものであり、裏左中継基板3024は、第一駆動基板3026及び第二駆動基板3027と裏横演出ユニット3100における裏左演出ユニット3100Lの裏横中継基板3112との接続を中継するためのものである。
裏ユニット3000におけるパネル中継基板3025は、主制御基板4100と周辺制御基板4010との接続や、主制御基板4100と第一始動口センサ3082、第二始動口センサ2125、カウントセンサ2114、一般入賞口センサ3082、ゲートセンサ2126、始動口ソレノイド2124、アタッカソレノイド2113等との接続を中継するためのものである。
裏ユニット3000における第一駆動基板3026及び第二駆動基板3027は、周辺制御基板4010からの制御信号(コマンド)に基づいて、扉枠5に備えられた各装飾基板214,216,254,256,288,290,322,430,432等や、遊技盤4に備えられた各装飾基板2115,2118,2127,2133,2521,2522,2640,3020,3021,3129,3130等に実装されたLEDの発光を制御したり、周辺制御基板4010からの制御信号(コマンド)に基づいて、扉枠5に備えられたダイヤル駆動モータ414や、遊技盤4に備えられた各駆動モータ3123,3152,3159,3302,3506等の駆動を制御したりするためのものである。
裏ユニット3000における裏左ホルダ3050は、センター役物2500におけるワープ入口2504と対応した位置に磁気検出センサ3080を支持するようになっており、磁石を用いて遊技球をワープ入口2504へ誘導させるような不正行為を検出することができるようになっている。
裏ユニット3000における裏右誘導部材3060は、センター役物2500における第一始動口2101と対応した位置に磁気検出センサ3080を支持するようになっており、磁石を用いて遊技球を第一始動口2101へ誘導させるような不正行為を検出することができるようになっている。
この裏右誘導部材3060は、アタッカユニット2100における第二ユニット2120及び第三ユニット2130の後側に配置されるようになっており、上端部前面に一般入賞口2104と連通可能な上開口3061と、上下方向略中央部前面に第二始動口2102と連通可能な中開口3062と、を備えている。裏右誘導部材3060は、図示は省略するが、上開口3061から下端まで延び遊技球が流通可能とされると共に下端が下方へ向かって開口した右誘導通路を備えている。中開口3062は、右誘導通路の途中と連通しており、上開口3061や中開口3062に進入した遊技球は、ともに右誘導通路によって下端から下方へ排出されるようになっている。
これにより、裏右誘導部材3060は、アタッカユニット2100の一般入賞口2104へ受入れられて遊技パネル1150の後側へ誘導された遊技球が上開口3061から右誘導通路内へ進入するようになっていると共に、第二始動口2102へ受入れられて遊技パネル1150の後側へ誘導された遊技球が中開口3062から右誘導通路内へ進入するようになっている。なお、裏右誘導部材3060では、右誘導通路における上開口3061と中開口3062との間の位置に、一般入賞口センサ3082が取付けられており、上開口3061つまり一般入賞口2104からの遊技球のみを検知することができるようになっている。
裏ユニット3000における裏左誘導部材3070は、アタッカユニット2100における第一始動口2101が配置された部位と、表サイドユニット2200における三つの一般入賞口2201が配置された部位とに跨るようにそれらの後側に配置されるようになっている。正面視右端部で上下方向へ延びると共に遊技球が流通可能とされ、上端部がアタッカユニット2100の第一始動口2101と連通可能とされた中誘導通路3071と、中誘導通路3071の正面視左側前面に形成され、表サイドユニット2200の各一般入賞口2201と夫々連通可能とされた三つの左開口3072と、を備えている。
裏左誘導部材3070の中誘導通路3071は、下端が下方へ向かって開放されていると共に、開放された前側がアタッカユニット2100の後面によって閉鎖されるようになっている。これにより、第一始動口2101に受入れられて遊技パネル1150の後側へ誘導された遊技球が、上端部から中誘導通路3071内に進入し、中誘導通路3071により下方へ誘導されて下端から下方へ排出されるようになっている。なお、中誘導通路3071の上部付近と下部付近に第一始動口センサ3081が取付けられており、一つの遊技球を二回検知するようになっている。つまり、詳細は省略するが、二つの第一始動口センサ3081からの遊技球の検知信号の検知パターンに基づいて第一始動口2101への遊技球の受入れ(入賞)を判断するようにしており、予め設定した正規の検知パターンと異なる検知パターンが検知された場合は、例えば、第一始動口2101に対して不正工具を出し入れするような不正行為が行われていると判断し、不正行為に対する所定の遊技処理を行うようになっている。
また、裏左誘導部材3070は、図示は省略するが、中誘導通路3071の正面視左側に、三つの左開口3072と連通し下端に遊技球が通過可能な排出口を有した左誘導通路を備えている。この左誘導通路の排出口に一般入賞口センサ3082が取付けられており、三つの一般入賞口2201の何れに遊技球が受入れられても、一つの一般入賞口センサ3082によって検知されるようになっている。
[2-6.裏横演出ユニット]
続いて、裏ユニット3000における裏横演出ユニット3100について、主に図149乃至図156を参照して説明する。図149は裏ユニットにおける裏横演出ユニットを前から見た斜視図であり、図150は裏ユニットにおける裏横演出ユニットを後から見た斜視図である。また、図151は裏横演出ユニットを主な部材毎に分解して前から見た分解斜視図であり、図152は裏横演出ユニットを主な部材毎に分解して後から見た分解斜視図である。更に、図153は裏横演出ユニットにおける一つの回転装飾体ユニットを前から見た斜視図であり、図154は裏横演出ユニットにおける一つの回転装飾体ユニットを後から見た斜視図である。また、図155は裏横演出ユニットの回転装飾体ユニットを分解して前から見た分解斜視図であり、図156は裏横演出ユニットの回転装飾体ユニットを分解して後から見た分解斜視図である。
本実施形態の裏ユニット3000における裏横演出ユニット3100は、裏箱3010内における開口3010bの上側、及び左右両側に配置され、裏箱3010内における開口3010bの上下両側の位置で取付けられている。裏横演出ユニット3100は、裏箱3010内における開口3010bの正面視右側に配置される裏右演出ユニット3100Rと、裏右演出ユニット3100Rとは略左右対称に形成され裏箱3010内における開口3010bの正面視左側に配置される裏左演出ユニット3100Lと、裏左演出ユニット3100L及び裏右演出ユニット3100Rを夫々独立して左右方向へ移動させることができ裏箱3010内における開口3010bの上側及び下側に配置される裏横スライドユニット3150と、を備えている。
裏横演出ユニット3100における裏右演出ユニット3100R及び裏左演出ユニット3100Lは、裏横スライドユニット3150によって上端及び下端が左右方向へスライド可能に支持され、前側及び裏箱3010の開口3010bに対して正面視左右方向中央へ向いた側が開放された縦長箱状の裏横ベース3110と、裏横ベース3110における開放された前側及び中央へ向いた側の夫々一部を被覆可能とし裏横ベース3110の前面に取付けられる裏横装飾部材3111と、裏横ベース3111における開放された中央へ向いた側とは反対側の外側面に取付けられる縦長の裏横中継基板3112と、箱状の裏横ベース3110内に上下方向へ列設した状態で取付けられる三つの回転装飾体ユニット3120と、を備えている。
裏右演出ユニット3100R及び裏左演出ユニット3100Lの裏横ベース3110は、上下方向の高さが、裏箱3010における開口3010bの上下方向の高さよりも若干高く形成されている。また、裏横ベース3110は、上端前面から上方へ突出し裏横スライドユニット3150の右連結部材3157又は左連結部材3162の下端と接続されるスライダ取付部3110aと、下端から下方へ突出し左右方向に延び裏横スライドユニット3150の右下ガイド部材3170R又は左下部ガイド部材3170L内に挿入案内される被案内部3110bと、を備えている。この裏横ベース3110は、透明な合成樹脂によって形成されている。
裏右演出ユニット3100R及び裏左演出ユニット3100Lの裏横装飾部材3111は、裏横ベース3110内に取付けられた三つの回転装飾ユニット3120の各回転装飾体3126と対応する位置で、各回転装飾体3126の前側及び裏箱3010の開口3010bの左右方向中央を向いた側が臨むように切欠かれた複数の切欠き部3111aを備えている。この裏横装飾部材3111は、切欠き部3111a同士の間の部位で、回転装飾体ユニット3120の回転装飾体3126の上下に位置する下部ベース3121と上部ベース3122とを遊技者側から隠すことができるようになっている。
また、裏横装飾部材3111は、前面に浅いレリーフ状の装飾が施されていると共に、回転装飾体ユニット3120における裏横装飾基板3130と対応した位置に装飾に沿うように前後方向へ貫通した複数の開口3111bを有している。これにより、裏横装飾部材3111の開口3111bを通して裏横装飾基板3130からの光を前方へ直接的に照射させることができるようになっている。
裏右演出ユニット3100R及び裏左演出ユニット3100Lの回転装飾体ユニット3120は、左右方向へ延びた板状の下部ベース3121と、下部ベース3121における左右方向中央から裏箱3010の開口3010bに対して正面視左右方向中央へ向いた側とは反対側の上側に取付けられる箱状の上部ベース3122と、上部ベース3122の上面に回転軸が下部ベース3121側へ延出するように取付けられる裏横回転駆動モータ3123と、裏横回転駆動モータ3123の回転軸に固定されると共に下部ベース3121の上面で回転可能に支持される駆動ギア3124と、駆動ギア3124と噛合すると共に駆動ギア3124と同径に形成され下部ベース3121の上面で回転可能に支持される平歯車状の従動ギア3125と、従動ギア3125の上面に取付けられ上下方向に延びた有底筒状で外周が略正四角形に形成された回転装飾体3126と、回転装飾体3126の回転位置を検知可能とし上部ベース3122に取付けられる回転位置検知センサ3127と、を備えている。
また、回転装飾体ユニット3120は、回転装飾体3126の内部に上方から挿入されると共に上端が上部ベース3122に取付けられ上下方向へ延びた半円筒状のレンズ部材3128と、レンズ部材3128の弦側に取付けられレンズ部材3128側を向いた面に複数のLEDが実装された縦長の回転装飾体装飾基板3129と、上部ベース3122の前面における左右方向の略中央に取付けられ前面に複数のLEDが実装された裏横装飾基板3130と、を備えている。
回転装飾体ユニット3120の下部ベース3121は、前後方向の長さが回転装飾体3126の外径よりも若干長く形成されており、左右両端における従動ギア3125を挟んで駆動ギア3124とは反対側の端部が、従動ギア3125の軸芯と略同心とされた半円形状に形成されている。また、下部ベース3121は、駆動ギア3124を回転可能に支持し上方へ延出した駆動軸部3121aと、従動ギア3125を回転可能に支持し上方へ延出した従動軸部3121bとを備えている。駆動軸部3121aは、駆動ギア3124の下面に形成された軸孔(図示は省略)内に挿入されるようになっている。また、従動軸部3121bは、従動ギア3125の軸芯を貫通した軸孔3125a内に、ブッシュ3131を介して挿入されるようになっている。
回転装飾体ユニット3120の上部ベース3122は、下部ベース3121における左右方向中央から駆動ギア3124を支持する側に配置され下側及び従動ギア3125側(開口3010bにおける左右方向中央を向いた側)が開放された箱状の本体部3122aと、本体部3122aの上端における開放された従動ギア3125側から上方へ延出した立壁部3122bと、立壁部3122bの上端から従動ギア3125側へ下部ベース3121と略平行に延びた天板部3122cと、を備えている。本例の回転装飾体ユニット3120は、上下方向へ延びた軸芯周りに回転可能とされた回転装飾体3126が下部ベース3121と上部ベース3122の天板部3122cとの間に配置されている。
この上部ベース3122は、本体部3122aの下端が下部ベース3121に取付けられるようになっている。また、上部ベース3122は、本体部3122aの上面に裏横回転駆動モータ3123が取付けられるようになっている。上部ベース3122の立壁部3122bは、本体部3122aに取付けた裏横回転駆動モータ3123よりも高く上方へ延出している。上部ベース3122の天板部3122cは、立壁部3122bとは反対側の先端が半円形状に形成されており、下面にレンズ部材3128が取付けられるようになっている。
なお、上部ベース3122における天板部3122cの下面には、回転装飾体3126の内部に挿入される円筒状のガイド筒(図示は省略)を有した円環状の上部ガイド3132が取付けられるようになっている。この上部ガイド3132は、回転装飾体3126の内部に挿入されるガイド筒の外径が、回転装飾体3126の内接円の直径よりも若干小さい径とされており、回転装飾体3126の上端側を回転可能に支持することができるようになっている。
回転装飾体ユニット3120の駆動ギア3124は、上端が裏横回転駆動モータ3123の回転軸に固定され下方へ延出した軸部3124aと、軸部3124aの下端に形成され従動ギア3125と噛合する平歯車状のギア部3124bと、軸部3124aの上下方向略中央から軸直角方向へ扇状に延出した検知片3124cと、ギア部3124bの中心で下面側から上方へ窪んだ軸孔(図示は省略)と、を備えている。この駆動ギア3124は、軸孔が下部ベース3121の駆動軸部3121aに挿入されるようになっており、裏横回転駆動モータ3123から遠く配置されたギア部3124bの回転軸芯が振れ難いようになっている。また、検知片3124cは、上部ベース3122における本体部3122a内に取付けられた回転位置検知センサ3127によって検知されるようになっており、駆動ギア3124の検知片3124cを検知することで回転装飾体3126の回転位置を検知することができるようになっている。
回転装飾体ユニット3120の回転装飾体3126は、図示するように、外周が略正四角形の上下方向へ延びた有底筒状に形成されており、回転装飾体ユニット3120として組立てることで正四角形の中心を略軸芯とした上下方向へ延びた軸周りを回転可能とされている。この回転装飾体3126は、透光性を有すると共に、外周の四面に夫々異なる装飾が施されている。
回転装飾体ユニット3120のレンズ部材3128及び回転装飾体装飾基板3129は、組立てた状態で上部ベース3122の天板部3122cから回転装飾体3126の下端付近まで延びた長さとされており、回転装飾体3126の上下方向の全体を略均一に発光装飾させることができるようになっている。なお、断面半円形状のレンズ部材3128は、その弦方向が、前後方向に対して直角方向へ広がった面(遊技パネル1150の前面と平行な面)に対し、裏箱3010における開口3101bの左右方向中央側が後退するように傾斜した状態(例えば、平面視で約30度傾斜した状態)で上部ベース3122に取付けられている。これにより、レンズ部材3128の弦側に取付けられた回転装飾体装飾基板3129の前面が、遊技者側を向くこととなり、回転装飾体3126を発光装飾させた時に遊技者がより明るく感じられるようになっている。
回転装飾体ユニット3120の裏横装飾基板3130は、上部ベース3122における本体部3122aの前面側で、立壁部3122bの上端まで延出するように取付けられている。この裏横装飾基板3130は、前面に実装されたLEDを適宜発光させることで、裏横装飾部材3111を後側から発光装飾させることができるようになっている。
本実施形態の回転装飾体ユニット3120は、図示するように、組立てた状態では、回転装飾体3126外周の四面の内、裏箱3010における開口3010bの左右方向中央側とは反対側を向いた面を除く、三面を露出させることができるようになっている。また、回転装飾体ユニット3120は、下部ベース3121及び上部ベース3122の後面が夫々裏横ベース3110内に取付けられるようになっている。
なお、回転装飾体ユニット3120は、裏右演出ユニット3100R用と裏左演出ユニット3100L用とでは、互いに左右対称に形成されている。
裏横演出ユニット3100の裏横スライドユニット3150は、裏箱3010内の前端付近で開口3010bよりも上側の位置に取付けられ略全幅に亘るように左右方向へ延びたユニットベース3151と、ユニットベース3151の正面視右端付近の後面上部に取付けられユニットベース3151を貫通して回転軸が前方へ延出する裏横右スライド駆動モータ3152と、裏横右スライド駆動モータ3152の回転軸に固定される平歯車状の駆動ギア3153と、駆動ギア3153の正面視左側の位置でユニットベース3151により回転可能に支持され駆動ギア3153と噛合する平歯車状の第一伝達ギア3154と、第一伝達ギア3154の正面視左側の位置でユニットベース3151により回転可能に支持され第一伝達ギア3154と噛合する平歯車状の第二伝達ギア3155と、第二伝達ギア3155と噛合する左右方向へ延びたラックギア3156aを有し、ユニットベース3151における第二伝達ギア3155よりも下側前面の位置で左右方向へスライド可能に支持される板状の右スライダ3156と、右スライダ3156の下端に上端が取付けられると共に下端が裏右演出ユニット3100Rにおける裏横ベース3110のスライダ取付部3110aに取付けられる右連結部材3157と、を備えている。
また、裏横スライドユニット3150は、ユニットベース3151の所定位置に取付けられ裏右演出ユニット3100Rの左右方向スライド位置を検知可能な右スライド位置検知センサ3158を備えている。この右スライド位置検知センサ3158は、右スライダ3156に備えられた検知片(詳細な図示は省略する)を検知することで、右スライダ3156を介して裏右演出ユニット3100Rのスライド位置を検知することができるようになっている。
また、裏横スライドユニット3150は、ユニットベース3151の正面視左右方向中央よりも左側の上部後面に取付けられユニットベース3151を貫通して回転軸が前方へ延出する裏横左スライド駆動モータ3159と、裏横左スライド駆動モータ3159の回転軸に固定される平歯車状の駆動ギア3160と、駆動ギア3160と噛合する左右方向へ延びたラックギア3161aを有し、ユニットベース3151における駆動ギア3160の下側前面の位置で左右方向へスライド可能に支持される板状の左スライダ3161と、左スライダ3161の下端に上端が取付けられると共に、下端が裏左演出ユニット3100Lにおける裏横ベース3110のスライダ取付部3110aに取付けられる左連結部材3162と、を備えている。
更に、裏横スライドユニット3150は、ユニットベース3151の所定位置に取付けられ裏左演出ユニット3100Lの左右方向スライド位置を検知可能な左スライド位置検知センサ3163を備えている。この左スライド位置検知センサ3163は、左スライダ3161に備えられた検知片(詳細な図示は省略する)を検知することで、左スライダ3161を介して裏左演出ユニット3100Lのスライド位置を検知することができるようになっている。
また、裏横スライドユニット3150は、ユニットベース3151の前面に取付けられ、駆動ギア3153,3160、右スライダ3156、及び左スライダ3161等の前側を被覆する板状のユニットカバー3165を備えている。
更に、裏横スライドユニット3150は、裏箱3010内で開口部3010bの下側に取付けられ上側が開放されると共に左右方向へ延び裏右演出ユニット3100Rの下端を左右方向へスライド可能に案内する右下部ガイド部材3170Rと、裏箱3010内で開口部3010bの下側に取付けられ上側が開放されると共に左右方向へ延び裏左演出ユニット3100Lの下端を左右方向へスライド可能に案内する左下部ガイド部材3170Lと、を備えている。右下部ガイド部材3170R及び左下部ガイド部材3170Lは、上方から裏右演出ユニット3100R及び裏左演出ユニット3100Lにおける裏横ベース3110の被案内部3110bが摺動可能に挿入されるようになっており、被案内部3110bを介して裏右演出ユニット3100R及び裏左演出ユニット3100Lを左右方向へスライド可能に案内することができるようになっている。
裏横スライドユニット3150における右スライダ3156及び左スライダ3161は、夫々上端に左右方向へ延びるように形成されたラックギア3156a,3161aと、裏箱3010における開口3010bの左右方向中央寄りの左右方向端部から上方へ板状に延出する検知片(図示は省略)と、後側が開放され左右方向へ延びると共に、上下方向へ平行に離間して形成されたガイド溝(図示は省略)と、を備えている。
これら右スライダ3156及び左スライダ3161は、ユニットベース3151の前面に回転可能に支持された複数のローラ(図示は省略)が、後面のガイド溝内に挿入されるようになっており、複数のローラによって左右方向へスライドできるようになっている。また、右スライダ3156及び左スライダ3161は、ユニットカバー3164とユニットベース3151とによって前後方向への移動が規制されるようになっている。
裏横延出ユニット3100の裏横スライドユニット3150は、裏横右スライド駆動モータ3152及び裏横左スライド駆動モータ3159を適宜方向へ回転駆動させることで、右スライダ3156及び左スライダ3161を所定範囲内で左右方向へ夫々独立してスライドさせることができ、而して、右スライダ3156及び左スライダ3161に取付けられた右連結部材3157及び左連結部材3162を介して裏右演出ユニット3100R及び裏左演出ユニット3100Lを左右方向へスライドさせることができるようになっている。
本実施形態の裏横演出ユニット3100は、正面視で左右方向へ離間して配置される裏右演出ユニット3100Rと裏左演出ユニット3100Lとに、夫々上下方向へ延びた軸回りを回転可能とされた回転装飾体3126が同軸状に上下方向へ三つ夫々列設されていると共に、上下に列設された回転装飾体3126が裏右演出ユニット3100Rと裏左演出ユニット3100Lとで互いに対向するように配置されている。本例の裏横演出ユニット3100は、裏横スライドユニット3150によって裏右演出ユニット3100R及び裏左演出ユニット3100Lを、互いに最も離反した位置(後退位置)と、最も接近した位置(出現位置)との間で夫々独立して左右方向へスライド移動させることができるようになっている。裏右演出ユニット3100R及び裏左演出ユニット3100Lが最も離反した位置の状態では、裏右演出ユニット3100Rと裏左演出ユニット3100Lとが、夫々センター役物2500における窓部2501の正面視外側に位置し、遊技者側から視認できない状態となるようになっている(図110等を参照)。そして、この状態が、通常の遊技状態となっている。
一方、裏横演出ユニット3100は、裏右演出ユニット3100R及び裏左演出ユニット3100Lを、互いに最も接近する位置へ移動させた状態とすると、夫々に回転可能に支持された回転装飾体3126が、センター役物2500における窓部2501の正面視内側に位置し、遊技者側から上下に列設された三つの回転装飾体3126が視認できる状態となる(図159を参照)。また、裏右演出ユニット3100R及び裏左演出ユニット3100Lを互いに最も接近させた状態では、センター役物2500の窓部2501から臨む液晶表示装置1900の表示画面の広さが、通常の状態よりもおよそ半分の広さとなるようになっている。
この裏横演出ユニット3100は、第一始動口2101や第二始動口2102へ遊技球が受入れられることで抽選される特別抽選結果に応じて可動するようになっている。
[2-7.裏上演出ユニット]
次に、裏ユニット3000における裏上演出ユニット3300について、主に図147及び図148を参照して説明する。
本実施形態の裏ユニット3000における裏上演出ユニット3300は、裏箱3010内における開口3010bの上側に取付けられ、裏横演出ユニット3100における裏横スライドユニット3150のユニットベース3151の後側に配置されている。この裏上演出ユニット3300は、裏箱3010内に取付けられ左右方向へ延びたユニットベース3301と、ユニットベース3301における正面視左端部付近の後面に取付けられユニットベース3301を貫通して回転軸が前方へ延出する裏上駆動モータ3302と、裏上駆動モータ3302の回転軸に固定される平歯車状の駆動ギア(図示は省略)と、駆動ギアと噛合し円弧状に延びたラックギアを有し、ユニットベースによって周方向へスライド可能に支持される円弧状で板状のスライダ(図示は省略)と、を備えている。
また、裏上演出ユニット3300は、図示しないスライダの前面に取付けられる裏上装飾体ベース3305と、裏上装飾体ベース3305の前面に取付けられ所定の装飾が施された裏上装飾体3306と、裏上装飾体3306と裏上装飾体ベース3305との間に配置され前面に複数のLEDが実装された裏上装飾基板(図示は省略)と、を備えている。
更に、裏上演出ユニット3300は、裏上装飾体ベース3305の後側に配置されると共にユニットベース3301の前面に取付けられ、駆動ギア及びスライダの前面を被覆するユニットベースカバー3308と、ユニットベースカバー3308とユニットベース3301とにより所定位置において前端及び後端が支持される前後方向へ延びた円柱状の三つの軸部材(図示は省略)と、各軸部材に夫々回転可能に挿入され、外周がスライダと当接可能とされた複数のブッシュ(図示は省略)と、を備えている。この裏上演出ユニット3300は、スライダが軸部材及びブッシュを介してユニットベース3301に対して周方向へスライド可能に支持されている。
また、裏上演出ユニット3300は、ユニットベース3301の所定位置に取付けられスライダのスライド位置を検知可能なスライド位置検知センサ(図示は省略)と、ユニットベース3301の所定位置に取付けられ、裏上装飾基板と第一駆動基板3026との接続を中継するための裏上中継基板(図示は省略)と、を備えている。
また、裏上演出ユニット3300は、図示は省略するが、裏上装飾体ベース3305における正面視右側端部と、ユニットベース3301における正面視右側端部に、夫々磁石が備えられており、互いに引き合う向きに取付けられている。
この裏上演出ユニット3300のユニットベース3301は、図示は省略するが、前側が開放された浅い箱状に形成されており、駆動ギアやスライダ等を収容することができるようになっている。また、ユニットベース3301は、図示は省略するが、所定位置に前後方向へ貫通し軸部材(図示は省略)の後端が挿入される三つの軸孔を備えている。
また、図示は省略するが、裏上演出ユニット3300の駆動ギアは、ユニットベース3301の高さ寸法に対して、約2/3の寸法の外径とされており、大径の平歯車状のギアとされている。
また、図示は省略するが、裏上演出ユニット3300のスライダは、ユニットベース3301よりも下方に中心を有した円弧状に延びると共に、略一定の幅で形成されており、半径方向外側の周面に駆動ギアと噛合するラックギアが配置されている。また、スライダは、周方向両端に形成され裏上装飾体ベース3305を取付けるための取付部と、半径方向の略中央で前後方向に貫通すると共に周方向へ延びたスリットと、周方向へ延びたラックギアの正面視右端外側に形成された板状の検知片と、を備えている。
裏上演出ユニット3300のスライダは、半径方向内側の周面とスリット内に、ユニットベース3301の軸孔に後端が支持された軸部材に挿入されるブッシュが当接するようになっており、当接したブッシュが回転することでスムーズに周方向へスライドできるようになっている。また、スライダは、スリットの両端が閉鎖されており、スリットの周方向端部にブッシュが当接することで、スライダの周方向のスライド範囲が規制されるようになっている。更に、裏上演出ユニット3300のスライダは、検知片がスライド位置検知センサによって検知可能とされており、検知片が検知されることでスライダ、つまり、裏上装飾体のスライド位置を検知することができるようになっている。
裏上演出ユニット3300の裏上装飾体ベース3305は、詳細な図示は省略するが、正面視でスライダに沿って延びるように形成され、正面視左端側がスライダの左端に取付けられると共に、右端側がユニットベースカバー3308の透孔(図示は省略)を通してスライダの右端部に取付けられるようになっている。この裏上装飾体ベース3305は、左右方向の略中央から正面視左側が平板状に形成されていると共に、外形が裏上装飾体3306の外形に沿った形状に形成されている。
裏上演出ユニット3300の裏上装飾体3306は、握り拳を模した浅い(薄い)レリーフ状に形成され、手の甲に相当する部位に所定の文字からなる透光性を有した装飾部3306aを備えている(図160を参照)。この裏上装飾体3306は、外周と装飾部3306a以外が不透光に近い状態に形成されており、スクリーン印刷等により所定の色彩が施されている。また、図示は省略するが、裏上装飾体3306の前面に施された装飾としての色彩は、外周から遠ざかるほど明度が低くなる(暗くなる)色彩とされている。
裏上演出ユニット3300の裏上装飾基板は、前面における裏上装飾体3306の外周と装飾部3306aとに対応した位置に複数のLEDが実装されている。これにより、裏上装飾基板によって裏上装飾体3306の外周と装飾部3306aとを、夫々発光装飾させることができるようになっている。
本例の裏上演出ユニット3300は、ユニットベース3301とユニットベースカバー3308とによってスライダを正面視左右方向中央よりも左側の位置で、周方向へスライド可能に支持されるようになっている。このスライダは、スライダの円弧に対する弦が水平に対して正面視左側がやや下がった状態(退避位置の状態)から、正面視で反時計回りの方向へスライダの円弧に対する弦が略垂直となる状態(出現位置の状態)まで、周方向へスライドすることができるようになっている。
この裏上演出ユニット3300は、通常の状態では、スライダの円弧に対する弦が水平に対して左側がやや下がった状態となっており、この状態では、スライダの前側に取付けられた裏上装飾体3306が、ユニットベース3301の真正面に位置した状態となっている。従って、通常の状態では、裏上演出ユニット3300の裏上装飾体3306が、センター役物2500における窓部2501よりも上側に位置した状態となり、遊技者から視認不能な状態、つまり、退避位置の状態となっている(図110を参照)。
一方、裏上演出ユニット3300は、裏上駆動モータ3302の駆動によってスライダを正面視反時計回りの周方向へスライドさせて、スライダの円弧に対する弦が略垂直となった状態では、スライダの前側に取付けられた裏上装飾体3306が、ユニットベース3301の真正面よりも下側に位置すると共に拳が下を向いた状態となっている。この状態では、裏上演出ユニット3300の裏上装飾体3306は、センター役物2500における窓部2501の上辺から窓部2501内へ垂下し、窓部2501の略中央に位置した状態となり、遊技者側から視認可能な状態、つまり、出現位置の状態となっている(図160を参照)。
[2-8.裏下演出ユニット]
続いて、裏ユニット3000における裏下演出ユニット3500について、主に図147及び図148を参照して説明する。本実施形態の裏ユニット3000における裏下演出ユニット3500は、裏箱3010内における開口3010bの下側で左右方向の略中央に取付けられ、裏左誘導部材3070の後側に配置されている。
本例の裏下演出ユニット3500は、略左右対称の所定形状に形成されると共に部分的に透光性を有した裏下装飾体3501と、裏下装飾体3501の後側に配置され前面に複数のLEDが実装された裏下装飾基板(図示は省略)と、裏下装飾基板の後側に配置されると共に裏下装飾体3501に取付けられるスライダ(図示は省略)と、スライダの後側に配置されると共にスライダを上下方向へスライド可能に支持し横長で後側が開放された浅い箱状のユニットカバー3504と、ユニットカバー3504の後側に取付けられると共に裏箱3010内に取付けられ横長で前側が開放された浅い箱状のユニットベース3505と、ユニットベース3505の後面に取付けられスライダを上下方向へスライド駆動させるための裏下駆動モータ3506と、を備えている。
裏下演出ユニット3500の裏下装飾体3501は、炎を模した形状に形成されている。また、図示は省略するが、裏下演出ユニット3500のスライダは、左右両端の位置で上下方向へ離間して配置され後方へ突出した筒状の支持ボスと、支持ボス同士の間で左右方向中央を挟んで左右両側に配置され前後方向へ貫通すると共に左右方向へ延びた一対のスリットと、を備えている。
裏下演出ユニット3500のユニットカバー3504は、図示は省略するが、左右方向に離間し前後方向へ貫通すると共に上下方向へ延びスライダの支持ボスが摺動可能に挿入される一対の昇降案内溝と、一対の昇降案内溝同士の間で左右方向中央を挟んで左右対称に配置され左右方向中央側が膨出するように円弧状に延びると共に前後方向へ貫通した透孔部と、を備えている。このユニットカバー3504は、一対の昇降案内溝によりスライダを上下方向へスライド可能に支持することができるようになっている。
裏下演出ユニット3500のユニットベース3505は、外形形状が、ユニットカバー3504の外形形状と同じ形状とされ、ユニットカバー3504とで前後方向の奥行きが浅い箱を形成することができるようになっている。裏下演出ユニット3500の裏下駆動モータ3506は、正面視で左右方向中央よりも左側の位置で、ユニットベース3505の後面に取付けられるようになっていると共に、ユニットベース3505に取付けた状態で回転軸が、ユニットベース3505を貫通して前側へ延出するようになっている。
また、裏下演出ユニット3500は、図示は省略するが、ユニットカバー3504とユニットベース3505との間で裏下駆動モータ3506の回転軸に固定される平歯車状の駆動ギアと、駆動ギアと噛合すると共に駆動ギアの正面視右側に配置され、ユニットベース3505によって回転可能に支持される平歯車状の第一伝達ギアと、第一伝達ギアと噛合すると共に第一伝達ギアの正面視右側に配置され、ユニットベース3505によって回転可能に支持される平歯車状の第二伝達ギアと、第二伝達ギアと噛合すると共に第二伝達ギアの正面視右側で駆動ギアと同じ高さに配置され、ユニットベース3505によって回転可能に支持される平歯車状の第三伝達ギアと、駆動ギアと噛合すると共に駆動ギアよりも正面視左側の位置でユニットベース3505により回動可能に支持される扇状のギア部、ギア部よりも半径方向外方へ延出する延出片、及び延出片の先端から前方へ突出しユニットカバー3504における正面視左側の透孔部を貫通してスライダの左側のスリット内へ摺動可能に挿入される伝達ピンを有した左リンク部材と、第三伝達ギアと噛合すると共に第三伝達ギアよりも正面視右側の位置でユニットベースにより回動可能に支持される扇状のギア部、ギア部よりも半径方向外方へ延出する延出片、及び延出片の先端から前方へ突出しユニットカバー3504における正面視右側の透孔部を貫通してスライダの右側のスリット内へ摺動可能に挿入される伝達ピンを有した右リンク部材と、を備えている。
裏下演出ユニット3500は、図示は省略するが、左リンク部材と右リンク部材とが左右方向中央を挟んで左右対称に配置されており、裏左駆動モータ3506により駆動ギアが回転駆動させられると、駆動ギア、及び複数の伝達ギアにより、左リンク部材と右リンク部材とが、夫々の伝達ピンが同じ高さの状態で互いに相反する方向へ回動するようになっている。つまり、左リンク部材及び右リンク部材が回動することで、夫々の伝達ピンの高さ位置が変化するようになっており、伝達ピンによってスライダつまり裏下装飾体3501を上下方向へスライドさせて昇降させることができるようになっている。
更に、裏下演出ユニット3500は、図示は省略するが、ユニットカバー3504における昇降案内溝に挿通されたスライダの支持ボスに後側から挿入され、支持ボスと昇降案内溝との間に配置される昇降ブッシュと、スライダのスリットに挿入された左リンク部材及び右リンク部材の伝達ピンに対して前側から挿入され伝達ピンとスリットとの間に配置される伝達ブッシュと、左リンク部材における延出片と駆動ギアとの間に配置されると共にユニットベース3505に取付けられる円弧状のギア押えと、ユニットベース3505の前面に取付けられ裏下装飾体3501のスライド位置(昇降位置)を検知可能な昇降位置検知センサと、ユニットカバーの前面に取付けられ裏下装飾基板と第二駆動基板3027との接続を中継する裏下中継基板と、を備えている。
裏下演出ユニット3500の左リンク部材は、図示は省略するが、回動軸芯に対してギア部とは反対側で半径方向外方へ延出した検知片を備えており、この検知片を昇降位置検知センサによって検知することで、左リンク部材の回動位置を検知することができ、而して、裏下装飾体3501の昇降位置を検知することができるようになっている。
本実施形態の裏下演出ユニット3500は、裏下装飾体3501が上下方向のスライド端に対して下端に位置した状態では、裏下装飾体3501がセンター役物2500における窓部2501の下側に位置しており、遊技者側から視認不能な状態(退避位置の状態)となっている(図110を参照)。一方、裏下装飾体3501が上下方向のスライド端に対して上端に位置した状態では、裏下装飾体3501がセンター役物2500における窓部2501の下辺から上側の窓部2501内に位置しており、遊技者側から視認可能な状態(出現位置の状態)となっている(図160を参照)。なお、図160に示すように、裏上演出ユニット3300の裏上装飾体3306と、裏下演出ユニット3500の裏下装飾体3501は、互いに出現位置の状態とした時に、夫々の下端と上端とが接触しない程度に接近するようになっている。
[2-9.液晶表示装置]
続いて、本例の遊技盤4における液晶表示装置1900について説明する。この液晶表示装置1900は、裏ユニット3000における裏箱3010の後面に脱着可能に取付けられるようになっており、遊技状態に応じて所定の演出画像を表示することができるようになっている。この液晶表示装置1900は、図114や図115等に示すように、左右両側から外方へ突出した固定片1902を備えており、この固定片1902を介して裏箱3010の後側に取付けられるようになっている。
具体的には、液晶表示装置1900は、裏箱3010における後壁3010aの後側に形成された液晶挿入部3010d内へ後側から挿入されるようになっており、正面視左辺から突出した二つの固定片1902が、裏箱3010における背面視右側の二つの液晶固定部3010e内に挿入された上で、反対側の固定片1902がロック機構3040により形成される挿入口に挿入させた上で、ロック機構3040を下方へスライドして挿入口を閉鎖することで液晶表示装置1900を裏箱3010にロックして取付けられるようになっている。
また、液晶表示装置1900は、図115等に示すように後側に、周辺制御部4140や液晶制御部4150(図161を参照)等を収容した周辺制御基板ボックス1910と、周辺制御基板ボックス1910の下部から後方へ延出したボリューム1912と、を備えている。このボリューム1912を適宜方向へ回転させることで、扉枠5に備えられた各スピーカ130,222,262や本体枠3に備えられたスピーカ821等から出力される音量を調節することができるようになっている。
更に、液晶表示装置1900は、周辺制御基板ボックス1910の背面視左側に、バックライトとしての冷陰極管を駆動するためのインバータを有したインバータ基板1922を収容するインバータ基板ボックス1920を備えている。
[2-10.遊技盤における可動演出]
次に、本実施形態の遊技盤4における主な可動演出について、主に図157乃至図160を参照して説明する。図157は表ユニットにおけるセンター役物の表右中演出ユニットの動きを示す遊技盤の正面図であり、図158(a)は表右中演出ユニットの表右中可動装飾体が通常位置の状態で正面やや上から見た斜視図であり、(b)は表右中可動装飾体が出現位置の状態で正面やや上から見た斜視図である。また、図159は裏ユニットにおける裏横演出ユニットの動きを示す遊技盤の正面図であり、図160は裏ユニットにおける裏上演出ユニットと裏下演出ユニットの動きを示す遊技盤の正面図である。本例の遊技盤4は、図110等に示すように、通常の状態では、センター役物2500の窓部2501を通して後側に配置された液晶表示装置1900の表示画面が遊技者側から視認できるようになっている。
また、遊技盤4は、通常の状態では、図110等に示すように、表ユニット2000のセンター役物2500における表右中演出ユニット2600の表右中可動装飾体2610が、正面視で窓部2501の右端に位置し、表右中可動装飾体2610における円形状の固定装飾体2620の外周を、表右外演出ユニット2700の表右中外周装飾部材2730によって囲まれた状態となっている。この通常の状態では、裏右中可動装飾体2610の固定装飾体2620は遊技者側から全体が視認できるのに対して、回転装飾体2630は正面視左側の一部を除いて遊技者側から視認できない状態となっている。
更に、通常の状態では、裏ユニット3000における裏横演出ユニット3100の裏右演出ユニット3100R及び裏左演出ユニット3100L、裏上演出ユニット3300の裏上装飾体3306、裏下演出ユニット3500の裏下装飾体3501が、夫々正面視センター役物2500における窓部2501の外側に位置しており、遊技者側から視認できないようになっている。
本実施形態の遊技盤4は、通常の状態から、第一始動口2101や第二始動口2102へ遊技球が受入れられることで抽選される特別抽選結果に応じて、表右中演出ユニット2600、裏横演出ユニット3100、裏上演出ユニット3300、及び裏下演出ユニット3500が、適宜可動して、所定の可動演出を行うことができるようになっている。
具体的には、例えば、表右中演出ユニット2600では、表第一駆動モータ2651を回転駆動させることで、表右中可動装飾体2610における環状の回転装飾体2630を所定の方向へ回転駆動させることができる。この際、上述したように、回転装飾体2630は、正面視左側の一部しか遊技者側から視認できない状態となっているので、この状態で回転装飾体2630が回転すると、円形状の固定装飾体2620の左側が回転方向に応じて上方或いは下方へ流れるような可動演出を遊技者に見せることができるようになっている。
また、表右中演出ユニット2600では、表第二駆動モータ2671を回転駆動させることで、表右中可動装飾体2610を支持したベース部材2660を、その上端に形成された軸受部2662を中心に回動させることができ、通常の状態である正面視最も右側に位置した通常位置から、液晶表示装置1900の正面中央側へ位置した出現位置へと回動移動することができる(図157を参照)。この出現位置の状態では、図157に示すように、表右中可動装飾体2610が表右外演出ユニット2700から正面視左方向へ移動した状態となり、正面視左側の一部しか遊技者側から視認できなかった表右中可動装飾体2610の回転装飾体2630が、表右中外周装飾部材2730の後側から外れてその殆どが遊技者側から視認できる状態となる。
表右中演出ユニット2600を、出現位置へ回動移動させることで、表右中可動装飾体2610が液晶表示装置1900の中央寄りの位置へ移動し、表中可動装飾体2610を遊技者側から目立たせることができる。この表右中可動装飾体2610を出現位置へ移動させた状態で、表第一駆動モータ2651の駆動により回転装飾体2630を回転させることで、表右中可動装飾体2610を更に目立たせることができ、遊技者の関心を表右中可動装飾体2610へ強く引付けることができるようになっている。
この表右中演出ユニット2600は、図示するように、出現位置の状態では、ステージ2510の正面右上側にガイド片2664が延出するようになっており、ステージ2510側から表右中可動装飾体2610側へ遊技球が跳ねても、ガイド片2664によってステージ2510側へ跳ね返すことができるようになっている。
なお、表右中演出ユニット2600のガイド片2664は、ステージ2510における第一ステージ2511の正面視右側の延長線上に位置するようになっていると共に、ユニットベース2502と隔壁部材2520とで形成される円弧状の溝(空間)によって案内されるようになっているので、ステージ2510(第一ステージ2511)の右端側から右方向へ逸脱した遊技球が、ガイド片2664を案内する溝(空間)内に収容保持(図158(a)を参照)されても、表右中演出ユニット2600(表右中可動装飾体2610)が通常位置から出現位置へ移動することで、収容保持した遊技球をガイド片2664で左方向へ押出して、ステージ2510側へ戻すことができるようになっている。
表右中演出ユニット2600のガイド片2664は、表右中可動装飾体2610を通常位置から出現位置へ移動させる速度によって左端側に収容保持した遊技球を、ステージ2510側へ飛ばすことが可能となる(図158(b)を参照)ので、センター役物2500の枠内でステージ2510を転動する遊技球の動きとは異なる動きを遊技者に見せることができ、遊技者に遊技媒体の動きを楽しませて興趣が低下するのを抑制することができるようになっている。
また、遊技盤4の裏横演出ユニット3100では、裏横スライドユニット3150における裏横右スライド駆動モータ3152及び裏横左スライド駆動モータ3159を駆動させることで、裏右演出ユニット3100R及び裏左演出ユニット3100Lを、夫々遊技者側から視認不能な位置(後退位置)から、液晶表示装置1900の中央側へ移動して遊技者側から視認可能となる位置(出現位置)へと移動することができる(図159を参照)。裏右演出ユニット3100R及び裏左演出ユニット3100Lが出現位置へ移動した状態では、後側に配置された液晶表示装置1900の表示画面が、裏右演出ユニット3100R及び裏左演出ユニット3100Lによって左右方向の幅が縦長に狭められた状態となると共に、遊技者側から視認できる表示画面の左右両側に、上下方向へ三つ列設された回転装飾体3126が夫々配置された状態となり、遊技者の関心を裏右演出ユニット3100R及び裏左演出ユニット3100Lや液晶表示装置1900に強く引付けることができるようになっている。
この裏横演出ユニット3100では、裏右演出ユニット3100R及び裏左演出ユニット3100Lに夫々支持された三つの回転装飾体3126を、裏横回転駆動モータ3123の駆動により夫々別々に上下方向へ延びた軸芯周りに回転させることができるようになっており、裏右演出ユニット3100R及び裏左演出ユニット3100Lの各回転装飾体3126が遊技者側から視認可能な状態の時に、それらを回転させることで、回転装飾体3126の回転による可動演出も楽しませることができるようになっている。
具体的には、例えば、裏横演出ユニット3100の裏右演出ユニット3100Rや裏左演出ユニット3100Lを出現位置へ移動させる際に、後退位置の状態で裏横回転駆動モータ3123の駆動により回転装飾体3126を回転させて所定の装飾が施された面が遊技者側を向くように停止させた上で、出現位置へ移動させるようにすると共に、出現位置へ移動させる度に回転装飾体3126の回転停止位置を異ならせるようにすることもできる。これにより、裏右演出ユニット3100R及び裏左演出ユニット3100Lを出現させる度に回転装飾体3126の装飾が異なることとなり、出現する装飾の違いによって遊技者を楽しませることができるようになっている。
或いは、裏右演出ユニット3100Rや裏左演出ユニット3100Lを後退位置から出現位置へ移動させる際に、各裏横回転駆動モータ3123により回転装飾体3126を回転させた状態で、出現位置へ移動させることもできる。これにより、液晶表示装置1900の表示画面上をローラのように転動する複数の回転装飾体3126が現れることとなるので、遊技者の関心を裏右演出ユニット3100Rや裏左演出ユニット3100Lへ強く引付けることができる。
更には、裏右演出ユニット3100Rや裏左演出ユニット3100Lを出現位置へ移動させてから、各裏横回転駆動モータ3123により回転装飾体3126を回転させるようにしても良く、これにより、裏右演出ユニット3100Rや裏左演出ユニット3100Lによって液晶表示装置1900の左右両側を被覆した上で、更に、裏右演出ユニット3100Rや裏左演出ユニット3100Lに支持された回転装飾体3126が回転することで、遊技者を驚かせることができ、回転装飾体3126等へ遊技者を注目させて、回転装飾体3126による可動演出を楽しませることができる。
また、遊技盤4の裏上演出ユニット3300では、裏上駆動モータ3302を駆動させることで、裏上装飾体3306を遊技者側から視認不能な退避位置から、円弧状に下方へスライドして遊技者側から視認可能となる出現位置へ移動させることができる。裏上装飾体3306が出現位置の状態では、図160に示すように、拳を模した裏上装飾体3306における拳の略中心が、液晶表示装置1900の略中央に位置した遊技者側から非常に目立った状態となっており、遊技者の関心を強く引付けることができるようになっている。
更に、遊技盤4の裏下演出ユニット3500では、裏下駆動モータ3506を駆動させることで、裏下装飾体3501を遊技者側から視認不能な退避位置から、遊技者側から視認可能な上方の出現位置へ移動させることができる。裏下装飾体3501が出現位置の状態では、図160に示すように、液晶表示装置1900の左右方向略中央でセンター役物2500におけるステージ2510の後側から上方へ延出した状態となっている。
本例の遊技盤4は、裏上演出ユニット3300と裏下演出ユニット3500とを共に出現位置へ移動させた状態とすると、図160に示すように、裏上装飾体3306の下端と裏下装飾体3501の上端とが互いに接近した状態となるようになっており、拳を模した裏上装飾体3306が、炎を模した裏下装飾体3501を打撃しているような可動演出を行うことができるようになっている。
また、遊技盤4は、図示は省略するが、表右中演出ユニット2600による可動演出と、裏横演出ユニット3100による可動演出、又は、裏上演出ユニット3300及び裏下演出ユニット3500による可動演出とを組み合わせた可動演出を行うことができるようになっており、より多彩な可動演出を遊技者に提示して、遊技者が飽き難いようになっている。
[3.各種基板]
続いて、パチンコ機1の各種制御を行う制御基板について、図161を参照して説明する。図161はパチンコ機の制御構成を概略的に示すブロック図である。パチンコ機1の制御構成は、図示するように、主基板4000のグループ及び周辺制御基板4010のグループから構成されており、これら2つのグループにより各種制御が分担されている。主基板4000のグループは、遊技動作(遊技の進行)を制御する主制御基板4100と、遊技球の払出し等を制御する払出制御基板4110と、を備えて構成されている。また、周辺制御基板4010のグループは、主制御基板4100からのコマンドに基づいて遊技中の各種演出を制御する周辺制御部4140と、周辺制御部4140からのコマンドに基づいて液晶表示装置1900での演出画像の表示を制御する液晶制御部4150と、を備えている。
[3-1.主制御基板]
遊技の進行を制御する主制御基板4100は、図161に示すように、各種処理プログラムや各種コマンドを記憶するROMや一時的にデータを記憶するRAM等が内蔵されるマイクロプロセッサである主制御MPU4100aと、入出力デバイス(I/Oデバイス)としての主制御I/Oポート4100bと、各種検出スイッチからの検出信号が入力される主制御入力回路4100fと、各種ソレノイドを駆動するための主制御ソレノイド駆動回路4100gと、主制御MPU4100aに内蔵されているRAM4100e(以下、「主制御内蔵RAM4100e」とも記載する。)に記憶された情報を完全に消去するためのRAMクリアスイッチ4100cと、を備えている。主制御MPU4100aは、その内蔵されたROM4100d(以下、「主制御内蔵ROM4100d」とも記載する。)や主制御内蔵RAM4100eのほかに、その動作(システム)を監視するウォッチドックタイマや不正を防止するための機能等も内蔵されている。
主制御基板4100の主制御MPU4100aは、第一始動口2101へ受入れられた遊技球を検出する第一始動口センサ3081、第二始動口2102へ受入れられた遊技球を検出する第二始動口センサ2125、及び一般入賞口2104,2201へ受入れられた遊技球を検出する一般入賞口センサ3082からの検出信号が夫々主制御I/Oポート4100bを介して入力されたり、ゲートセンサ2126、一般入賞口センサ3082、カウントセンサ2114、及び裏ユニット3000に取付けられた磁気検出センサ3080からの検出信号が、遊技盤4に取付けられたパネル中継基板3025、及び主制御I/Oポート4100bを介して入力されたりするようになっている。
主制御MPU4100aは、これらの検出信号に基づいて、主制御I/Oポート4100bから主制御ソレノイド駆動回路4100gに制御信号を出力することにより、パネル中継基板3025を介して始動口ソレノイド2124、及びアタッカソレノイド2113に駆動信号を出力したり、主制御I/Oポート4100b、パネル中継基板3025、及び機能表示基板1191を介して第一特別図柄表示器1185、第二特別図柄表示器1186、第一特別図柄記憶表示器1184、第二特別図柄記憶表示器1187、普通図柄表示器1189、普通図柄記憶表示器1188、遊技状態表示器1183、ラウンド表示器1190に駆動信号を出力したりする。
なお、本実施形態おいて、第一始動口センサ3081、第二始動口センサ2125、ゲートセンサ2126、及びカウントセンサ2114には、非接触タイプの電磁式の近接スイッチを用いているのに対して、一般入賞口センサ3082には、接触タイプのON/OFF動作式のメカニカルスイッチを用いている。これは、遊技球が第一始動口2101や第二始動口2102に頻繁に入球するし、ゲート部2105を頻繁に通過するため、第一始動口センサ3081、第二始動口センサ2125、及びゲートセンサ2126による遊技球の検出も頻繁に発生する。このため、第一始動口センサ3081、第二始動口センサ2125、及びゲートセンサ2126には、寿命の長い近接スイッチを用いている。また、遊技者にとって有利となる大当り遊技状態が発生すると、大入賞口2103が開放されて遊技球が頻繁に入球するため、カウントセンサ2114による遊技球の検出も頻繁に発生する。このため、カウントセンサ2114にも、寿命の長い近接スイッチを用いている。これに対して、遊技球が頻繁に入球しない一般入賞口2104,2201には、一般入賞口センサ3082による検出も頻繁に発生しない。このため、一般入賞口センサ3082には、近接スイッチより寿命が短いメカニカルスイッチを用いている。
また、主制御MPU4100aは、遊技に関する各種情報(遊技情報)及び払出しに関する各種コマンド等を払出制御基板4110に送信したり、この払出制御基板4110からのパチンコ機1の状態に関する各種コマンド等を受信したりする。更に、主制御MPU4100aは、遊技演出の制御に関する各種コマンド及びパチンコ機1の状態に関する各種コマンドを、主制御I/Oポート4100bを介して後述する周辺制御基板4010の周辺制御部4140に送信したりする(主制御基板4100と周辺制御部4140との基板間は図示しないハーネスより電気的に接続されている)。なお、主制御MPU4100aは、その詳細な説明は後述するが、払出制御基板4110からパチンコ機1の状態に関する各種コマンドを受信すると、これらの各種コマンドを整形して周辺制御部4140に送信する。
主制御基板4100には、詳細な説明は後述するが、電源基板851から各種電圧が供給されている。この主制御基板4100に各種電圧を供給する電源基板851は、電源遮断時にでも所定時間、主制御基板4100に電力を供給するためのバックアップ電源としての電気二重層キャパシタ(以下、単に「キャパシタ」と記載する。)を備えている。このキャパシタにより主制御MPU4100aは、電源遮断時にでも電源断時処理において各種情報を主制御内蔵RAM4100eに記憶することができるようになっている。この記憶した各種情報は、電源投入時に主制御基板4100のRAMクリアスイッチ4100cが操作されると、主制御内蔵RAM4100eから完全に消去(クリア)されるようになっている。このRAMクリアスイッチ4100cの操作信号(検出信号)は、払出制御基板4110にも出力されるようになっている。
また、主制御基板4100には、停電監視回路が設けられている。この停電監視回路は、電源基板851から供給される各種電圧の低下を監視しており、それらの電圧が停電予告電圧以下となると、停電予告として停電予告信号を出力するようになっている。この停電予告信号は、主制御I/Oポート4100bを介して主制御MPU4100aに入力される他に図示しないハーネスを介して払出制御基板4110等にも伝達されている。
[3-2.払出制御基板]
遊技球の払出し等を制御する払出制御基板4110は、図161に示すように、払出しに関する各種制御を行う払出制御部4111と、発射ソレノイド654による発射制御を行うとともに、球送ソレノイド585による球送制御を行う発射制御部4120と、パチンコ遊技機1の状態を表示するエラーLED表示器4130と、エラーLED表示器4130に表示されているエラーを解除するためのエラー解除スイッチ860aと、賞球タンク720、タンクレール731、及び賞球装置740内の遊技球をパチンコ遊技機1の外部へ排出して球抜き動作を開始するための球抜きスイッチ860bと、を備えている。
[3-2A.払出制御部]
払出制御基板4110における払出しに関する各種制御を行う払出制御部4111は、図161に示すように、各種処理プログラムや各種コマンドを記憶するROMや一時的にデータを記憶するRAM等が内蔵されるマイクロプロセッサである払出制御MPU4111aと、I/Oデバイスとしての払出制御I/Oポート4111bと、払出制御MPU4111aが正常に動作しているか否かを監視するための外部ウォッチドックタイマ4111c(以下、「外部WDT4111c」と記載する。)と、賞球装置740の払出モータ744に駆動信号を出力するための払出モータ駆動回路4111dと、払い出しに関する各種検出スイッチからの検出信号が入力される払出制御入力回路4111eと、を備えている。払出制御MPU4111aには、その内蔵されたROM(以下、「払出制御内蔵ROM」と記載する。)やRAM(以下、「払出制御内蔵RAM」と記載する。)のほかに、不正を防止するため機能等も内蔵されている。
払出制御部4111の払出制御MPU4111aは、主制御基板4100からの遊技に関する各種情報(遊技情報)及び払い出しに関する各種コマンドを払出制御I/Oポート4111bを介してシリアル方式で受信したり、主制御基板4100からのRAMクリアスイッチ4100cの操作信号(検出信号)が払出制御I/Oポート4111bを介して入力されたりする他に、満タン検知センサ550からの検出信号が入力されたり、球切れスイッチ750、計数センサ751及び回転角センサ752からの検出信号が賞球中継基板754を介して入力されたりする。
賞球装置740のベースユニット741に形成された供給通路741a内に遊技球の有無を検出する球切れスイッチ750、及びベースユニット741に形成された賞球通路741c内を流下する遊技球を検出する計数センサ751からの検出信号は、まず賞球装置740の賞球中継基板754を介して払出制御入力回路4111eに入力され、払出制御I/Oポート4111bを介して払出制御MPU4111aに入力されている。賞球装置740の回転検出盤749に形成された検出スリット749aを検出するための回転角センサ752からの検出信号は、まず賞球装置740のセンサ基板753、そして賞球中継基板754を介して払出制御入力回路4111eに入力され、払出制御I/Oポート4111bを介して払出制御MPU4111aに入力されている。
また、本体枠3に対する扉枠5の開放を検出する扉枠開放スイッチ618、及び外枠2に対する本体枠3の開放を検出する本体枠開放スイッチ619からの検出信号は、まず払出制御入力回路4111eに入力され、払出制御I/Oポート4111bを介して払出制御MPU4111aに入力されている。
また、ファールカバーユニット540の収容空間546が貯留された遊技球で満タンであるか否かを検出する満タン検知センサ550からの検出信号は、まずハンドル装置中継基板192、そして主側中継端子板880を介して払出制御入力回路4111eに入力され、払出制御I/Oポート4111bを介して払出制御MPU4111aに入力されている。
払出制御MPU4111aは、払出モータ744を駆動するための駆動信号を、払出制御I/O4120b、そして賞球中継基板754を介して払出モータ744に出力したり、パチンコ遊技機1の状態をエラーLED表示器4130に表示するための信号を、払出制御I/Oポート4111bを介してエラーLED表示器4130に出力したり、パチンコ遊技機1の状態を示すためのコマンドを、払出制御I/Oポート4111bを介して主制御基板4100にシリアル方式で送信したり、実際に払い出した遊技球の球数を払出制御I/Oポート4111bを介して外部端子板784に出力したりする。この外部端子板784は、遊技場(ホール)に設置されたホールコンピュータと電気的に接続されている。このホールコンピュータは、パチンコ遊技機1が払い出した遊技球の球数やパチンコ遊技機1の遊技情報等を把握することにより遊技者の遊技を監視している。
エラーLED表示器4130は、セグメント表示器であり、英数字や図形等を表示してパチンコ遊技機1の状態を表示している。エラーLED表示器4130が表示して報知する内容としては、次のようなものがある。例えば、図形「-」が表示されているときには「正常」である旨を報知し、数字「0」が表示されているときには「接続異常」である旨(具体的には、主制御基板4100と払出制御基板4110との基板間の電気的な接続に異常が生じている旨)を報知し、数字「1」が表示されているときには「球切れ」である旨(具体的には、球切れスイッチ750からの検出信号に基づいて賞球装置740のベースユニット741に形成された供給通路741a内に遊技球がない旨)を報知し、数字「2」が表示されているときには「球がみ」である旨(具体的には、回転角センサ752からの検出信号に基づいて賞球装置740のベースユニット741に形成された供給通路741aと連通する振分空間741bの入口において払出回転体748と遊技球とがその入口近傍でかみ合って払出回転体748が回転困難となっている旨)を報知し、数字「3」が表示されているときには「計数スイッチエラー」である旨(具体的には、計数センサ751からの検出信号に基づいて計数センサ751に不具合が生じている旨)を報知し、数字「5」が表示されているときには「リトライエラー」である旨(具体的には、払い出し動作のリトライ回数が予め設定された上限値に達した旨)を報知し、数字「6」が表示されているときには「満タン」である旨(具体的には、満タン検知センサ550からの検出信号に基づいてファールカバーユニット540の収容空間546が貯留された遊技球で満タンである旨)を報知し、数字「7」が表示されているときには「CR未接続」である旨(払出制御基板4110からCRユニット6までに亘るいずれかにおいて電気的な接続が切断されている旨)を報知し、数字「9」が表示されているときには「ストック中」である旨(具体的には、まだ払い出していない遊技球の球数が予め定めた球数に達している旨)を報知している。
球貸スイッチ365aからの遊技球の球貸要求信号、及び返却スイッチ365bからのプリペイドカードの返却要求信号は、まず度数表示板365、主側中継端子板880、そしてCRユニット接続端子板874を介してCRユニット6に入力されるようになっている。CRユニット6は、球貸要求信号に従って貸し出す遊技球の球数を指定した信号を、CRユニット接続端子板874を介して払出制御基板4110にシリアル方式で送信し、この信号が払出制御I/Oポート4111bで受信されて払出制御MPU4111aに入力されるようになっている。またCRユニット6は、貸し出した遊技球の球数に応じて挿入されたプリペイドカードの残度を更新するとともに、その残度を残度数表示器365cに表示するための信号を、CRユニット接続端子板874、主側中継端子板880、そして度数表示板365に出力し、この信号が残度数表示器365cに入力されるようになっている。
[3-2B.発射制御部]
発射ソレノイド654による発射制御と、球送ソレノイド585による球送制御と、を行う発射制御部4120は、図161に示すように、発射に関する各種検出スイッチからの検出信号が入力される発射制御入力回路4120aと、定時間毎にクロック信号を出力する発振回路4120bと、このクロック信号に基づいて遊技球を遊技領域1100に向かって打ち出すための発射基準パルスを出力する発射タイミング制御回路4120cと、この発射基準パルスに基づいて発射ソレノイド654に駆動信号を出力する発射ソレノイド駆動回路4120dと、発射基準パルスに基づいて球送ソレノイド585に駆動信号を出力する球送ソレノイド駆動回路4120eと、を備えている。発射タイミング制御回路4120cは、発振回路4120bからのクロック信号に基づいて、1分当たり100個の遊技球が遊技領域1100に向かって打ち出されるよう発射基準パルスを生成して発射ソレノイド駆動回路4120dに出力するとともに、発射基準パルスを所定数倍した球送基準パルスを生成して球送ソレノイド駆動回路4120eに出力する。
回転ハンドル本体前506に手のひらや指が触れているか否かを検出するタッチセンサ516、及び遊技者の意志によって遊技球の打ち出しを強制的に停止するか否かを検出する発射停止スイッチ518からの検出信号は、まずハンドル装置中継基板192、そして主側中継端子板880を介して発射制御入力回路4120aに入力され、発射タイミング制御回路4120cに入力されている。またCRユニット6とCRユニット接続端子板874とが電気的に接続されると、CR接続信号として発射制御入力回路4120aに入力され、発射タイミング制御回路4120cに入力されるようになっている。回転ハンドル本体前506の回転位置に応じて遊技球を遊技領域1100に向かって打ち出す強度を電気的に調節する回転位置検知センサ512からの信号は、まずハンドル装置中継基板192、そして主側中継端子板880を介して発射ソレノイド駆動回路4120dに入力されている。
この発射ソレノイド駆動回路4120dは、回転位置検知センサ512からの信号に基づいて、回転ハンドル本体前506の回転位置に見合う打ち出し強度で遊技球を遊技領域1100に向かって打ち出すための駆動電流を、発射基準パルスが入力されたことを契機として、発射ソレノイド654に出力するようになっている。これに対して、球送ソレノイド駆動回路4120eは、球送基準パルスが入力されたことを契機として、主側中継端子板880、そしてハンドル装置中継基板192を介して球送ソレノイド585に一定電流を出力することにより球送ユニット580の球送部材584が皿ユニット300の上皿301に貯留された遊技球を1球受入れ、その球送基準パルスの入力が終了したことを契機として、その一定電流の出力を停止することにより球送部材584が受入れた遊技球を打球発射装置650側へ送るようになっている。このように、発射ソレノイド駆動回路4120dから発射ソレノイド654に出力される駆動電流は可変に制御されるのに対して、球送ソレノイド駆動回路4120eから球送ソレノイド585に出力される駆動電流は一定に制御されている。
なお、払出制御基板4110に各種電圧を供給する電源基板851は、電源遮断時にでも所定時間、払出制御基板4110に電力を供給するためのバックアップ電源としてのキャパシタを備えている。このキャパシタにより払出制御MPU4111aは、電源遮断時にでも電源断時処理において各種情報を払出制御内蔵RAMに記憶することができるようになっている。この記憶した各種情報は、電源投入時に主制御基板4100のRAMクリアスイッチ4100cが操作されると、払出制御内蔵RAMから完全に消去(クリア)されるようになっている。
[3-3.周辺制御基板]
周辺制御基板4010は、図161に示すように、主制御基板4100からのコマンドに基づいて演出制御を行う周辺制御部4140と、この周辺制御部4140からの制御データに基づいて液晶表示装置1900の描画制御を行う液晶制御部4150と、を備えている。
[3-3A.周辺制御部]
周辺制御基板4010における演出制御を行う周辺制御部4140は、図161に示すように、マイクロプロセッサとしての周辺制御MPU4140aと、各種処理プログラムや各種コマンドを記憶する周辺制御ROM4140bと、高音質の演奏を行う音源IC4140cと、この音源IC4140cが参照する音楽及び効果音等の音情報が記憶されている音ROM4140dと、を備えている。
周辺制御MPU4140aは、パラレルI/Oポート、シリアルI/Oポート等を複数内蔵しており、主制御基板4100から各種コマンドを受信すると、この各種コマンドに基づいて、遊技盤4の各装飾基板に設けられたカラーLED等への点灯信号、点滅信号又は階調点灯信号を出力するための遊技盤側発光データをランプ駆動基板用シリアルI/Oポートからランプ駆動基板3041に送信したり、遊技盤4に設けられた各種演出ユニットを作動させる駆動モータへの駆動信号を出力するための遊技盤側駆動データを遊技盤装飾駆動基板用シリアルI/Oポートから裏箱3010の後面に取付けられたモータ駆動基板3045に送信したり、扉枠5に設けられたダイヤル駆動モータ414等の電気的駆動源への駆動信号を出力するための扉側駆動データと、扉枠5の各装飾基板に設けられたカラーLED等への点灯信号、点滅信号又は階調点灯信号を出力するための扉側発光データと、から構成される扉側駆動発光データを枠装飾駆動基板用シリアルI/Oポートから周辺パネル中継端子板872、そして周辺側中継端子板882を介して扉枠ベース基板194に送信したり、液晶表示装置1900に表示させる画面を示す制御データ(表示コマンド)を液晶制御部用シリアルI/Oポートから液晶制御部4150に送信したりするほかに、音ROM4140dから音情報を抽出するための制御信号(音コマンド)を音源IC4140cに出力したりする。
遊技盤4に設けられた各種演出ユニットの原位置を検出するための各種原位置検出センサからの検出信号は、裏箱3010の後面に取付けられたモータ駆動基板3045を介して周辺制御MPU4140aに入力されている。扉枠5に設けられた操作ユニット400のダイヤル操作部401の回転を検出する回転検知センサ432a,432b、押圧操作部405の操作を検出する押圧検知センサ432cからの検出信号は、扉枠ベース基板194、周辺側中継端子板882、そして周辺パネル中継端子板872を介して周辺制御MPU4140aに入力されている。
また周辺制御MPU4140aは、液晶制御部4150が正常に動作している旨を伝える信号(動作信号)が液晶制御部4150から入力されており、この動作信号に基づいて液晶制御部4150の動作を監視している。
音源IC4140cは、周辺制御MPU4140aからの制御データ(音コマンド)に基づいて音ROM4140dから音情報を抽出し、周辺パネル中継端子板872、そして周辺側中継端子板882を介して本体枠3に設けられたスピーカ821から各種演出に合せた音楽及び効果音等が流れるよう制御を行うとともに、周辺パネル中継端子板872、周辺側中継端子板882、そして扉枠ベース基板194を介して扉枠5に設けられたスピーカ130,222,262や、本体枠3に備えられたスピーカ821から各種演出に合せた音楽及び効果音等が流れるよう制御を行っている。なお、周辺制御基板4010に実装され周辺制御基板ボックス1910から後方へ突出したボリューム1912を回転操作することで、音量を調整することができるようになっている。
なお、周辺制御部4140は、周辺制御MPU4140aに内蔵されたウォッチドックタイマ(以下、「周辺制御内蔵WDT」と記載する。)のほかに、図示しない、外部ウォッチドックタイマ(以下、「周辺制御外部WDT」と記載する。)も備えており、周辺制御MPU4140aは、周辺制御内蔵WDTと周辺制御外部WDTとを併用して自身のシステムが暴走しているか否かを診断している。
この周辺制御MPU4140aから液晶制御部4150に出力される表示コマンドはシリアル入出力ポートにより行われ、本実施形態では、ビットレート(単位時間あたりに送信できるデータの大きさ)として19.2キロ(k)ビーピーエス(bits per second、以下、「bps」と記載する)が設定されている。一方、周辺制御MPU4140aから裏箱3010の後面に取付けられたランプ駆動基板3041やモータ駆動基板3045に出力される、初期データ、扉枠側点灯点滅コマンド、遊技盤側点灯点滅コマンド、可動体駆動コマンド、表示コマンドと異なる複数のシリアル入出力ポートにより行われ、本実施形態では、ビットレートとして250kbpsが設定されている。
この裏箱3010の後面に取付けられた第一駆動基板3026や第二駆動基板3027は、受信した扉枠側点灯点滅コマンドに基づいて点灯信号又は点滅信号を、周辺側中継端子板882を介して扉枠5に備えられた各装飾基板214,216,254,256,288,290,322,430,432等のLEDに出力したり、受信した遊技盤側点灯点滅コマンドに基づいて、点灯信号又は点滅信号を遊技盤4に備えられた各装飾基板2115,2118,2127,2133,2521,2522,2640,3020,3021,3129,3130等のLEDに出力したりする。
また、裏箱3010の後面に取付けられた第一駆動基板3026や第二駆動基板3027は、受信した可動体の駆動コマンドに基づいて駆動信号を、周辺側中継端子板882を介して扉枠5に備えられたダイヤル駆動モータ414や、遊技盤4に備えられた各駆動モータ3123,3152,3159,3302,3506等に出力したりする。
また、周辺制御MPU4140aは、液晶制御部4150が正常動作している旨を伝える信号(動作信号)が液晶制御部4150から入力されたり、扉枠5における皿ユニット300に備えられた操作ユニット400におけるダイヤル操作部401の回転操作を検知する回転検知センサ432a,432bや、操作ユニット400における押圧操作部405の操作を検知する押圧検知センサ432cからの検知信号が、周辺側中継端子板882及び裏箱3010の後面に取付けられた第一駆動基板3026や第二駆動基板3027を介して入力されたりする。
音源IC4140cは、周辺制御MPU4140aから出力された音コマンドに基づいて音ROM4140dから音情報を抽出し、裏箱3010の後面に取付けられた第一駆動基板3026や第二駆動基板3027等及び周辺側中継端子板882を介して扉枠5のサイドスピーカ130や上部スピーカ222,262から、或いは、裏箱3010の後面に取付けられた第一駆動基板3026や第二駆動基板3027等を介して本体枠3のスピーカ821から、各種演出に合せた音楽及び効果音等が流れるよう制御を行う。本例では、上述したように、遊技窓101における下辺の左右両側に配置されたサイドスピーカと、遊技窓101の上側に配置された上部スピーカ222,262と、本体枠3の下部に備えられた低音用のスピーカ821に、音情報としての音響信号(例えば、2chステレオ信号、4chステレオ信号、後述する下部スピーカ391を加えた2.1chサラウンド信号或いは4.1chサラウンド信号、等)を送ることで、従来よりも臨場感のある音響効果(音響演出)を提示することができるようになっている。
[3-4.液晶制御部]
次に、周辺制御基板4010における液晶表示装置1900の描画制御を行う液晶制御部4150は、図161に示すように、マイクロプロセッサとしての液晶制御MPU4150aと、各種処理プログラム、各種コマンド及び各種データを記憶する液晶制御ROM4150bと、上述した液晶表示装置1900を表示制御するVDP(Video Display Processorの略)4150cと、液晶表示装置1900に表示される画面の各種データを記憶するキャラROM4150dと、このキャラROM4150dに記憶されている各種データが転送されてコピーされるキャラRAM4150eと、を備えている。
この液晶制御MPU4150aは、パラレルI/Oポート、シリアルI/Oポート等を内蔵しており、周辺制御部4140からの制御データ(表示コマンド)に基づいてVDP4150cを制御して液晶表示装置1900の描画制御を行っている。なお、液晶制御MPU4150aは、正常に動作していると、その旨を伝える動作信号を周辺制御部4140に出力する。また液晶制御MPU4150aは、VDP4150cから後述する実行中信号が入力されており、この実行中信号の出力が16msごとに停止されたことを契機として、割り込み処理を行っている。
液晶制御ROM4150bは、液晶表示装置1900に描画する画面を生成するための各種プログラムのほかに、周辺制御基板4010からの制御データ(表示コマンド)と対応するスケジュールデータ、その制御データ(表示コマンド)と対応する非常駐領域転送スケジュールデータ等を複数記憶している。スケジュールデータは、画面の構成を規定する画面データが時系列に配列されて構成されており、液晶表示装置1900に描画する画面の順序が規定されている。非常駐領域転送スケジュールデータは、キャラROM4150dに記憶されている各種データをキャラRAM4150eの非常駐領域に転送する際に、その順序を規定する非常駐領域転送データが時系列に配列されて構成されている。この非常駐領域転送データは、スケジュールデータの進行に従って液晶表示装置1900に描画される画面データを、前もって、キャラROM4150dからキャラRAM4150eの非常駐領域に各種データを転送する順序が規定されている。
液晶制御MPU4150aは、周辺制御基板4010からの制御データ(表示コマンド)と対応するスケジュールデータの先頭の画面データを液晶制御ROM4150bから抽出してVDP4150cに出力した後に、先頭の画面データに続く画面データを液晶制御ROM4150bから抽出してVDP4150cに出力する。このように、液晶制御MPU4150aは、スケジュールデータに時系列に配列された画面データを、先頭の画面データから1つずつ液晶制御ROM4150bから抽出してVDP4150cに出力する。
VDP4150cは、液晶制御MPU4150aから出力された画面データが入力されると、この入力された画面データに基づいてキャラRAM4150eからスプライトデータを抽出して液晶表示装置1900に表示する描画データを生成し、この生成した描画データを液晶表示装置1900に出力する。またVDP4150cは、液晶制御MPU4150aからの画面データを受入れないときに、その旨を伝える実行中信号を液晶制御MPU4150aに出力する。なお、VDP4150cは、ラインバッファ方式が採用されている。この「ラインバッファ方式」とは、液晶表示装置1900の左右方向を描画する1ライン分の描画データをラインバッファに保持し、このラインバッファに保持した1ライン分の描画データを液晶表示装置1900に出力する方式である。
キャラROM4150dには、極めて多くのスプライトデータが記憶されており、その容量が大きくなっている。キャラROM4150dの容量が大きくなると、つまり液晶表示装置1900に描画するスプライトの数が多くなると、キャラROM4150dのアクセス速度が無視できなくなり、液晶表示装置1900に描画する速度に影響することとなる。そこで、本実施形態では、アクセス速度の速いキャラRAM4150eに、キャラROM4150dに記憶されているスプライトデータを転送してコピーし、このキャラRAM4150eからスプライトデータを抽出している。なお、スプライトデータは、スプライトをビットマップ形式に展開する前のデータである基データであり、圧縮された状態でキャラROM4150dに記憶されている。
ここで、「スプライト」について説明すると、「スプライト」とは、液晶表示装置1900にまとまった単位として表示されるイメージである。例えば、液晶表示装置1900に種々の人物を表示させる場合には夫々の人物を描くためのデータを「スプライト」と呼ぶ。これにより、液晶表示装置1900に複数人の人物を表示させる場合には複数のスプライトを用いることとなる。また人物のほかに、背景を構成する家、山、道路等もスプライトであり、背景全体を1つのスプライトとすることもできる。これらのスプライトは、画面に配置される位置やスプライト同士が重なる場合の上下関係(以下、「スプライトの重ね合わせの順序」と記載する。)が設定されて液晶表示装置1900に描画される。
なお、スプライトは縦横それぞれ64画素の矩形領域を複数張り合わせて構成されている。この矩形領域を描くためのデータを「キャラクタ」と呼ぶ。小さなスプライトの場合には1つのキャラクタを用いて表現することができるし、人物など比較的大きいスプライトの場合には、例えば横2×縦3などで配置した合計6個のキャラクタを用いて表現することができる。背景のように更に大きいスプライトの場合には更に多数のキャラクタを用いて表現することができる。このように、キャラクタの数及び配置は、スプライトごとに任意に指定することができるようになっている。
液晶表示装置1900は、その正面から見て左から右に向かって順次、画素に沿った一方向に画素ごとの表示状態を設定する主走査と、その一方向と交差する方向に主走査を繰り返し行う副走査と、によって駆動されるようになっている。液晶表示装置1900は、液晶制御部4150から出力された1ライン分の描画データが入力されると、主走査として液晶表示装置1900の正面から見て左から右に向かって順次、1ライン分の画素にそれぞれ出力する。そして1ライン分の出力が完了すると、液晶表示装置1900は、副走査として直下のラインに移行し、同様に次ライン分の描画データが入力されると、この次ライン分の描画データに基づいて主走査として液晶表示装置1900の正面から見て左から右に向かって順次、1ライン分の画素にそれぞれ出力する。
[4.遊技内容]
本実施形態のパチンコ機1における遊技内容について、主に図162を参照して説明する。図162は主制御基板における機能的な構成を示すブロック図である。まず、本実施形態のパチンコ機1における主制御基板4100での遊技演出制御に係る機能的な構成について、図162等を参考に説明する。なお、遊技球の払出しに係る機能的な構成については省略する。本例の主制御基板4100では、図示しないROMに予め格納された所定のプログラムを主制御MPU4100aによって実行することで各種の遊技制御や演出制御等が具現化されるようになっている。
この主制御基板4100には、ゲートセンサ2126から遊技球の検出信号が入力されると、普通図柄に対する抽選結果となる所定の普通乱数を発生させる普通乱数発生手段4200と、発生した普通乱数を所定の条件に応じて一時的に記憶する普通図柄保留記憶手段4202と、普通図柄保留記憶手段4202により記憶された上で実行された普通乱数と対応する普通図柄変動パターンを、主制御基板4100のROMに格納された所定の普通図柄変動パターンテーブルから選択する普通図柄変動パターン選択手段4204と、選択された普通図柄変動パターンに基づいて普通図柄表示器1189の普通図柄を変動表示させる普通図柄表示制御手段4206と、普通図柄表示制御手段4206によって普通図柄表示器1189に表示された普通乱数(普通抽選結果)が「普通当り」であると始動口ソレノイド2124を駆動して可動片2106を後退(没入)させる始動口開閉制御手段4208と、普通図柄保留記憶手段4202に保留記憶された普通図乱数の数を記憶数として普通図柄記憶表示器1188に表示させる普通図柄記憶数表示制御手段4210とを備えている。
上述の普通図柄保留記憶手段4202は、普通図柄表示制御手段4206によって普通図柄が変動表示中に、ゲートセンサ2126からの遊技球の検出信号を契機として発生した普通乱数を所定数(例えば、四つ)まで記憶すると共に、普通図柄の変動表示が可能となるまで記憶した普通乱数の実行を保留するものである。
また、主制御基板4100には、第一始動口2101への始動入賞により第一始動口センサ3081で検出された検出信号に基づいて第一特別図柄に対する第一特別抽選結果となる所定の第一特別乱数を発生させる第一特別乱数発生手段4212と、第一特別乱数発生手段4212において発生した第一特別乱数を所定の条件に応じて一時的に記憶する第一特別図柄保留記憶手段4214と、第一特別図柄保留記憶手段4214により記憶された上で実行された第一特別乱数と対応する第一特別図柄変動パターンを、主制御基板4100のROMに予め記憶された所定の特別図柄変動表示パターンテーブルから選択する第一特別図柄変動パターン選択手段4216と、第一特別図柄変動パターン選択手段4216で選択された第一特別図柄変動パターンに基づいて第一特別図柄表示器1185の第一特別図柄を変動表示させる第一特別図柄表示制御手段4218と、第一特別図柄保留記憶手段4214で保留記憶された第一特別乱数の数を記憶数として第一特別図柄記憶表示器1184に表示させる第一特別図柄記憶数表示制御手段4220とを備えている。
更に、主制御基板4100には、第二始動口2102への始動入賞により第二始動口センサ2125で検出された検出信号に基づいて第二特別図柄に対する第二特別抽選結果となる所定の第二特別乱数を発生させる第二特別乱数発生手段4222と、第二特別乱数発生手段4222において発生した第二特別乱数を所定の条件に応じて一時的に記憶する第二特別図柄保留記憶手段4224と、第二特別図柄保留記憶手段4224で記憶された上で実行された第二特別乱数と対応する第二特別図柄変動パターンを、主制御基板4100のROMに予め記憶された所定の特別図柄変動表示パターンテーブルから選択する第二特別図柄変動パターン選択手段4226と、第二特別図柄変動パターン選択手段4226で選択された第二特別図柄変動パターンに基づいて第二特別図柄表示器1186の第二特別図柄を変動表示させる第二特別図柄表示制御手段4228と、第二特別図柄保留記憶手段4224で保留記憶された第二特別乱数の数を記憶数として第二特別図柄記憶表示器1187に表示させる第二特別図柄記憶数表示制御手段4230とを備えている。
これら第一特別図柄保留記憶手段4214及び第二特別図柄保留記憶手段4224は、第一及び第二特別図柄表示制御手段4218,4228によって第一及び第二特別図柄が変動表示中等の新たに特別図柄を変動表示させることができない時に、第一始動口センサ3081、及び第二始動口センサ2125からの検出信号を契機とした第一特別乱数や第二特別乱数を夫々所定数(例えば、夫々四つ)まで記憶すると共に、特別図柄の変動表示が可能となるまで記憶した第一特別乱数や第二特別乱数の実行を保留するものである。
なお、主制御基板4100には、第一特別図柄保留記憶手段4214と第二特別図柄保留記憶手段4224で保留された第一特別乱数や第二特別乱数を、始動口2101,2102への始動入賞タイミングよりも、第二特別乱数の方を優先して実行(消化)させる優先保留消化手段4231を備えており、この優先保留消化手段4231によって第二特別乱数、つまり、第二始動口2102に係る抽選結果の保留が優先して実行(消化)されるようになっている。
また、主制御基板4100には、第一特別図柄保留記憶手段4214や第二特別図柄保留記憶手段4224に記憶された、第一特別乱数(第一特別抽選結果)や第二特別乱数(第二特別抽選結果)に基づいて遊技者が有利となる有利遊技状態を発生させる有利遊技状態発生手段4232と、有利遊技状態発生手段4232からの指示に基づいて大入賞口2103を閉鎖する開閉部材2107を所定パターンで開閉するようにアタッカソレノイド2113の駆動制御をする大入賞口開閉制御手段4234とを備えている。
また、主制御基板4100には、有利遊技状態発生手段4232によって有利遊技状態が発生する第一特別乱数や第二特別乱数(第一特別図柄変動パターンや第二特別図柄変動パターン)に応じて、第一特別図柄変動パターンテーブルや第二特別図柄変動パターンテーブルを変更する変動パターンテーブル変更手段4236を更に備えている。この変動パターンテーブル変更手段4236は、例えば、通常の変動パターンテーブルよりも有利遊技状態の発生する変動パターンが高い確率で選択される変動パターンテーブル(例えば、高確率変動パターンテーブル)に変更したり(所謂、確変)、通常の変動パターンテーブルよりも第一特別図柄や第二特別図柄の変動時間が短い時間の変動パターンテーブル(例えば、時間短縮変動パターンテーブル)に変更したり(所謂、時短)、通常よりも有利遊技状態が発生する確率が高く特別図柄の変動時間の短い変動パターンテーブル(例えば、確変時短変動パターンテーブル)に変更したり(所謂、確変・時短)するものである。
更に、主制御基板4100には、普通乱数、第一特別乱数、第二特別乱数に応じた、普通図柄変動パターン、第一図柄変動パターン、第二図柄変動パターン、及び、第一特別図柄記憶、第二特別図柄記憶等に基づいて、演出コマンド等の所定の制御用のコマンドを生成するコマンド生成手段4238と、コマンド生成手段4238で生成されたコマンドを周辺制御部4140へ送信するコマンド送信手段4240とを備えている。
本実施形態のパチンコ機1は、扉枠5の右下に配置されたハンドル装置500を遊技者が回転操作することで、皿ユニット300の上皿301に貯留された遊技球が、遊技パネル1150の前面に配置された遊技領域1100内の上部へと打ち込まれて、遊技球による遊技が開始されるようになっている。遊技領域1100内の上部へ打ち込まれた遊技球は、その打込強さによってセンター役物2500の上側の左側或いは右側の遊技領域1100内を流下することとなる。なお、遊技球の打込強さは、ハンドル装置500の回転量によって調整することができるようになっており、時計回りの方向へ回転させるほど強く打ち込むことができるようになっている。また、遊技領域1100内には、適宜位置に所定のゲージ配列で複数の障害釘が遊技パネル1150の前面に植設されており、遊技球がその障害釘に当接することで、遊技球の流下速度が抑制されると共に、遊技球に様々な動きが付与されて、その動きを楽しませられるようになっている。
センター役物2500の上部へ打込まれた遊技球が、センター役物2500の周壁部2503における最も高くなった部位よりも左側へ進入すると、複数の障害釘又は周壁部2503の傾斜した上面によってセンター役物2500の左側の領域へ誘導される。また、センター役物2500の上部に打込まれた遊技球が、センター役物2500の周壁部2503における最も高くなった部位よりも右側へ進入すると、センター役物2500の右側外周と遊技領域1100の内周との狭い隙間を通ってアタッカユニット2100における案内通路部材2142の案内通路2142aへと進入し、案内通路2142aの正面視左端開口からゲート部2105直上の遊技領域1100内へ放出される。
そして、遊技領域1100内におけるセンター役物2500の右側を流下した遊技球が案内通路2142aに案内されて遊技領域1100内へ放出されると、極めて高い確率でゲート部2105を通過してゲートセンサ2126により検出されることとなる。遊技球がゲートセンサ2126により検出されると、その検出信号に基づいて主制御基板4100では、普通乱数発生手段4200で普通抽選結果としての普通乱数が発生する。
この普通乱数に基づいて、機能表示ユニット1180における普通図柄表示器1189の普通図柄が変動表示(例えば、赤色と緑色の二つのLEDからなる普通図柄表示器1189が交互に発光)され、所定時間(例えば、0.1秒~1秒の間)経過後に抽出され普通乱数(普通抽選結果)に基づいた普通図柄が停止表示(普通図柄表示器1189の二つのうちの何れかのLEDが発光)される。なお、本例では、アタッカユニット2100における第二ユニット2120に備えられた普通図柄表示基板1191aにおいても同様の変動表示が行われるようになっている。この普通図柄の変動表示は、普通図柄変動パターン選択手段4204において所定の普通図柄変動パターン選択テーブルから選択された普通図柄変動パターンに基づいて行われるようになっている。
詳しくは、抽選された普通乱数が「普通当り」乱数の場合、当りを示唆する普通図柄で停止表示(普通図柄表示器1189が緑色に発光)され、抽選された普通乱数が「普通ハズレ」乱数の場合、ハズレを示唆する普通図柄で停止表示(普通図柄表示器1189が赤色に発光)されるようになっている。そして、当りを示唆する普通図柄が停止表示されると、第二始動口2102を閉鎖する可動片2106が所定時間(例えば、0.3秒~6秒の間)後退して、第二始動口2102へ遊技球が入賞できるようになっている。
なお、本例では、普通図柄の変動時間が従来のパチンコ機と比較して極めて短時間とされているので、ゲート部2105を通過して「普通当り」を抽選した遊技球が第二始動口2102を閉鎖する可動片2106に到達するか否かのタイミングで、可動片2106が始動口ソレノイド2124により後退して第二始動口2102への受入れが可能となるようになっており、「普通当り」が抽選された場合は極めて高い確率で第二始動口2102へ受入れられるようになっている。
そして、ゲート部2104を通過し「普通当り」を抽選して第二始動口2102へ遊技球が受入れられると、第二始動口センサ2125に検出され、第二始動口センサ2125の検出信号に基づいて主制御基板4100では払出制御基板4110に対して所定の払出コマンドを送信し、その払出コマンドに応じて払出制御基板4110が賞球装置740の払出モータ744を制御して1個の遊技球が、上皿301へ払出されるようになっている。つまり、本例では、遊技球がセンター役物2500の右側を通る打込操作(所謂、右打ち)を行うと、極めて高い確率でゲート部2104を通過するようになっていると共に、ゲート部2105を通過した遊技球が「普通当り」を抽選すると極めて高い確率で第二始動口2102へ受入れられるようになっているので、初心者や遊技に不慣れな遊技者でも簡単に第二始動口2102へ入賞させることができ、遊技者を楽しませることができるようになっている。
ところで、上述したように、本パチンコ機1では、遊技者が右打ちをすることで、第二始動口2102へ遊技球を簡単に入賞させることができるので、第二始動口2102への入賞により払出される遊技球が多くなると、本パチンコ機1を設置する遊技ホール側の負担が大きくなり、本パチンコ機1の設置に躊躇してしまう虞がある。しかしながら、本パチンコ機1では、第二始動口2102への遊技球の入賞により払出される遊技球の数を、1個としているので、第二始動口2102への入賞による特別抽選結果の抽選により遊技者の興趣を高めつつ遊技ホール側の負担を軽減させることができ、問題なく本パチンコ機1を設置させることができるようになっている。
また、本例では、普通図柄表示器1189において普通図柄が変動表示中に、ゲートセンサ2126で遊技球の通過が検出されると、変動中の普通図柄停止して先に発生・抽出された普通乱数の結果が確定するまでの間、ゲートセンサ2126からの検出信号に基づいて抽出された普通乱数(普通図柄変動パターンを含む)を普通図柄記憶保留手段4202で一時的に記憶してその表示を保留するようになっており、その記憶された普通乱数の数(保留数とも言う)を、普通図柄記憶表示器1188で表示するようになっている。この普通図柄記憶表示器1188は、四つのLEDからなっており、点灯する各LEDの数によって記憶数を示唆するようになっており、本例では、四つまで記憶して表示するようになっている。なお、記憶数が四つを越えた場合は、ゲートセンサ2126の検出信号に基づいて抽出された普通乱数が破棄されるようになっている。
一方、ゲート部2104を遊技球が通過して「普通ハズレ」が抽選された場合は、ゲート部2105の直下に配置され第二始動口2102を閉鎖する可動片2106が、第二始動口2102を閉鎖したままの状態となるので、ゲート部2105を通過した遊技球は、可動片2106の上面に当接し、左放出口2122fから左棚部2122g上を左方向へ転動することとなり、左棚部2122gの左端から第一始動口2101や一般入賞口2104よりも下側で大入賞口2103よりも上側の遊技領域1100内へ放出されることとなる。
また、遊技領域1100内へ打込まれセンター役物2500の左側を流下した遊技球は、表サイドユニット2200の棚部2202によってセンター役物2500の下側で遊技領域1100の中央側へ寄せられるようになっている。そして、センター役物2500の下方に配置された一般入賞口2104,2201に遊技球が入賞して、一般入賞口センサ3082に検出されると、その検出信号に基づいて主制御基板4100では払出制御基板4110に対して所定の払出コマンドを送信し、その払出コマンドに応じて払出制御基板4110が賞球装置740の払出モータ744を制御して所定数(例えば、10個)の遊技球が、上皿301へ払出されるようになっている。
なお、遊技領域1100内へ打込まれた遊技球が、一般入賞口2104,2201、第一始動口2101、第二始動口2102、及び大入賞口2103の何れにも入賞しなかった場合、遊技領域1100の左右方向中央下端に設けられてアウト口1151から、遊技盤4の後側下方へ排出されるようになっている。また、遊技球が、一般入賞口2104,2201、第一始動口2101、第二始動口2102、及び大入賞口2103の何れに入賞しても、入賞した遊技球は、遊技領域1100内へ戻されること無く遊技盤4の後側下方へ排出されるようになっている。
ところで、センター役物2500の左側を流下する遊技球が、センター役物2500の左側側面に開口するワープ入口2504へ進入すると、センター役物2500のステージ2510へと供給されるようになっている。詳述すると、ワープ入口2504に進入した遊技球は、ワープ出口2505からステージ2510における第一ステージ2511の左端に供給され、第一ステージ2511を左右方向へ転動した後に主に最も低くなった部位から前方へ放出される。そして、第一ステージ2511から前方へ放出された遊技球は、第一ステージ2511の前側且つ下側に配置された第二ステージ2512に供給され、第二ステージ2512を左右方向へ転動した後に最も低くなった部位から前方でアタッカユニット2100における第一始動口2101よりも上側の遊技領域1100内へ還流放出される。
このステージ2510を転動する遊技球が、第二ステージ2512の左右方向中央後側に開口したチャンス入口2513へ進入すると、第一始動口2101の直上に開口したチャンス出口2514から遊技領域1100内へ放出され、高い確率で第一始動口2101へと受入れられるようになっている。そして、遊技球が第一始動口2101に受入れられて第一始動口センサ3081に検出されると、主制御基板4100等を介して賞球装置740から所定数(例えば、3個)の遊技球が、上皿301へ払出されるようになっている。
なお、本例のパチンコ機1では、第一始動口2101へ遊技球を入賞させたい場合は、遊技球がセンター役物2500の左側を流下するような打込操作(所謂、左打ち)をすれば良く、第二始動口2102へ遊技球を入賞させたい場合は、遊技球がセンター役物2500の右側を流下するような打込操作(所謂、右打ち)をすれば良いので、遊技者の興味や気分等に応じて遊技球の打込操作を選択させることができ、遊技者の思いを反映させて楽しませることができるようになっている。
また、本例のパチンコ機1では、ステージ2510から遊技領域1100内へ還流放出された遊技球が、第一始動口2101へ受入れられずに第一始動口2101よりも右下側へ流下した場合、大入賞口2103へ受入れられる可能性があるようになっている。一方、ステージ2510から遊技領域1100内へ還流放出された遊技球が、第一始動口2101へ受入れられずに第一始動口2101よりも左下側へ流下した場合、表サイドユニット2200の一般入賞口2201へ受入れられる可能性があるようになっている。
本例のパチンコ機1の主制御基板4100では、これら第一始動口2101、第二始動口2102に遊技球が入賞して、第一始動口センサ3081、第二始動口センサ2125に検出されると、第一始動口2101では第一特別乱数発生手段4212による所定の第一特別乱数の発生・抽出が、第二始動口2102では第二特別乱数発生手段4222による所定の第二特別乱数の発生・抽出が夫々行われる。そして、抽出された特別乱数に基づいて、機能表示ユニット1180の対応する第一特別図柄表示器1185や第二特別図柄表示器1186に表示された特別図柄の変動表示が開始された後に、抽出された特別乱数と対応する特別図柄が特別抽選結果として停止表示されるようになっている。
これら第一特別図柄表示器1185や第二特別図柄表示器1186において、「大当り」を示唆する態様で特別図柄が停止表示されると、アタッカユニット2100の開閉部材2107が、所定のパターンで開閉動作する特別有利遊技状態(例えば、大当り遊技)が発生し、その間に大入賞口2103へ遊技球を入賞させることで、より多くの遊技球を獲得できるようになっている。なお、一つの遊技球が大入賞口2103へ入賞すると、賞球装置740から所定数(例えば、13個)の遊技球が上皿301へ払い出されるようになっている。
なお、これら第一始動口2101、及び第二始動口2102においても、ゲート部2105への遊技球の通過による普通図柄の変動表示と同様に、第一特別図柄表示器1185や第二特別図柄表示器1186において特別図柄が変動表示中、又は、特別有利遊技状態としての大当り遊技中等の特別図柄を変動表示さることができない時に、始動口2101,2102へ遊技球が入賞して第一始動口センサ3081、第二始動口センサ2125で検出されると、特別図柄の変動表示が可能となるまでの間、第一始動口センサ3081、第二始動口センサ2125からの検出信号に基づいて抽出された第一特別乱数や第二特別乱数を、第一特別図柄保留記憶手段4214や第二特別図柄保留記憶手段4224で記憶してその表示を保留するようになっており、その記憶された特別乱数の数を、第一特別図柄記憶表示器1184や第二特別図柄記憶表示器1187において表示するようになっている。
これら第一特別図柄記憶表示器1184や第二特別図柄記憶表示器1187は、夫々二つのLEDからなっており、消灯・点灯・点滅する各LEDの発光状態の組合せによって記憶数を示唆するようになっており、本例では、夫々四つまで記憶して表示するようになっている。なお、記憶数が四つを越えた場合は、抽出された特別乱数が破棄されるようになっている。また、優先保留消化手段4231によって、第二特別図柄保留記憶手段4224で記憶(保留)された第二特別乱数が、第一特別図柄保留記憶手段4214で記憶された第一特別乱数よりも優先して実行(消化)されるようになっている。つまり、第二始動口2102及び第三始動口2415に係る抽選結果の保留が、第一始動口2101に係る抽選結果の保留よりも優先して実行(消化)されるようになっている。
また、主制御基板4100では、第一始動口センサ3081、第二始動口センサ2125の検出に基づいて抽出された第一特別乱数や第二特別乱数の特別乱数を、第一特別図柄変動パターン選択手段4216や第二特別図柄変動パターン選択手段4226において予め決められた所定の乱数判定テーブル(特別図柄変動パターンテーブルとも称す)と照合することで、その特別乱数が、「ハズレ」、「大当り」の何れであるかが判別されると共に、「大当り」について、「4R大当り」、「8R大当り」、「16R大当り」の何れかであるかも判別されるようになっている。また、乱数判定テーブルによって、「確変時短無し当り」「確変当り」、「時短当り」、「確変時短当り」等も判別されるようになっている。
そして、抽出された第一特別乱数や第二特別乱数が、「大当り」の場合、主制御基板4100は、有利遊技状態発生手段4232によってアタッカユニット2100の開閉部材2107を開状態とした後に、所定時間(例えば、約30秒)経過、或いは、所定個数(例えば、10個)の遊技球が大入賞口2103に入賞の何れかの条件が充足すると開閉部材2107を閉状態とする開閉パターン(一回の開閉パターンを1ラウンドと称す)を、所定回数(所定ラウンド数)繰返すようになっており、「4R大当り」であれば4ラウンド、「8R大当り」であれば8ラウンド、「16R大当り」であれば16ラウンド、夫々繰返して、遊技者に有利な有利遊技状態を発生させるようになっている。なお、所定ラウンド数の終了後に、「大当り」については、抽出された特別乱数に応じて変動パターンテーブル変更手段4236によって乱数判定テーブルを高確率時短テーブル等と交換するようになっている。
本実施形態のパチンコ機1では、第一始動口2101、及び第二始動口2102への遊技球の始動入賞を契機として抽出された第一特別乱数や第二特別乱数に応じて(特別抽選結果に応じて)、機能表示ユニット1180の第一特別図柄表示器1185や第二特別図柄表示器1186が変動表示される他に、液晶表示装置1900においても、特別乱数(特別抽選結果)に応じた演出画像が表示されるようになっている。具体的には、液晶表示装置1900等において、複数の異なる図柄からなる一連の図柄列が複数列(例えば、三列)表示された状態で各図柄列の変動表示が開始され、その後に、順次停止表示され、最終的に全ての図柄列が停止表示されると、停止表示された図柄の組合せによって抽出された特別乱数の判定結果が遊技者側に示唆されるようになっている。つまり、始動入賞による特別抽選結果に応じて、複数の図柄列が変動表示された後に特別抽選結果を示唆するように停止表示される演出画像が表示されるようになっている。なお、第一及び第二特別図柄表示器1185,1186の特別図柄よりも、液晶表示装置1900に表示される図柄の方が大きく見易いため、一般的に遊技者は液晶表示装置1900に表示された図柄に注目することとなる。
この複数の図柄列が変動表示する演出画像の一つとして、一つの変動する図柄列を残して停止表示された図柄の組合せが特定条件(リーチ)を充足するように表示される「リーチ演出画像」があり、この「リーチ演出画像」が表示される特別抽選結果として、「リーチ当り」、「リーチハズレ」、がある。また、「リーチ演出画像」と繋がるように表示され、リーチ表示後に、変動表示している残りの図柄列を強調して表示する「リーチ発展演出画像」もある。すなわち、リーチ演出画像及びリーチ発展演出画像は、大当りに当選し得るかもしれないことを暗示するためのリーチ演出(当落演出)を行うために用いられる画像であり、これらのリーチ演出の結果、複数の図柄列が変動停止することによって表示された停止態様によって、大当りとなったか、又はハズレとなったかが遊技者から認識可能に示される。また、液晶表示装置1900には、始動入賞に係る演出表示だけでなく、「大当り」遊技中に表示される「大当り遊技演出画像」も表示可能とされている。
なお、第一特別図柄表示器1185や第二特別図柄表示器1186での特別図柄の変動表示は、主制御基板4100によって直接制御されるようになっているのに対して(図162を参照)、液晶表示装置1900等での図柄の変動表示は、主制御基板4100から周辺制御部4140へ送信される抽選結果に係るコマンドに基づいて周辺制御部4140及び液晶制御基板4150によって制御されるようになっている。これにより、特に遊技者が注目する液晶表示装置1900での図柄の変動表示を周辺制御部4140等で制御するようにしているので、主制御基板4100から送信されてくる抽選結果に係る或る一つのコマンドに対して、複数の図柄の変動パターンを予め用意して液晶表示装置1900における図柄の変動パターンをより多くすることができる。また、「大当り」遊技中等に表示される「大当り遊技演出画像」等も周辺制御部4140等で制御されるようになっており、様々なパターンの演出画像が予め用意されている。これにより、主制御基板4100における演算処理の負荷を高めることなく表示される演出画像の表示パターンを増やすことができ、遊技者をより楽しませて飽きられ難いパチンコ機1とすることができるようになっている。
また、周辺制御部4140では、演出画像の制御の他に、抽選結果に係るコマンドに基づいて、表ユニット2000や裏ユニット3000に備えられた各駆動モータ3123,3152,3159,3302,3506等を適宜作動させると共に、遊技盤4に備えられた各装飾基板2115,2118,2127,2133,2521,2522,2640,3020,3021,3129,3130等に実装されたLEDを適宜発光させるようにしており、可動演出や発光演出によって遊技者を楽しませることができるようになっている。
なお、本例のパチンコ機1では、液晶表示装置1900に表示される演出画像による画像演出と、表ユニット2000における三つの誘導装飾部材2117,2144,2213(物体検知センサ2116,2143,2212)とを用いた複合演出(コラボレーション演出)や、液晶表示装置1900による画像演出と、表ユニット2000や裏ユニット3000に備えられた演出ユニット2550,2600,2700,3100,3300,3500とを用いた複合演出も行うことができるようになっており、遊技者をより楽しませて飽きられ難いパチンコ機1とすることができるようになっている。
[4-1.演出例]
続いて、本実施形態のパチンコ機1における液晶表示装置1900と裏横演出ユニット3100とによる演出例(コラボレーション演出の例)について、主に図163乃至図165を参照して説明する。図163(a)はセンター役物の窓部から臨む通常の状態を簡略化して示す説明図であり、(b)は回転装飾体を回転させながら裏右演出ユニット及び裏左演出ユニットを出現させると共に液晶表示手段の表示画面を三分割する演出例を示す説明図であり、(c)は(b)に続いて回転装飾体を停止させた状態を示す説明図である。また、図164は、図163とは異なり裏右演出ユニット及び裏左演出ユニットの出現に関し液晶表示手段の表示画面を六分割した演出例を示す説明図である。更に、図165は、裏右演出ユニット及び裏左演出ユニットを出現させる前に、回転装飾体の回転位置を異ならせて出現させる演出例を示す説明図である。
まず、通常の状態では、裏ユニット3000における裏横演出ユニット3100の裏右演出ユニット3100R及び裏左演出ユニット3100Lが、夫々互いに離反して遠ざかった後退位置に位置しており、この状態では、裏右演出ユニット3100R及び裏左演出ユニット3100Lが、夫々センター役物2500における窓部2501の正面視左右外側に位置した状態となっている。従って、裏横演出ユニット3100の裏右演出ユニット3100R及び裏左演出ユニット3100Lは、センター役物2500や遊技パネル1150によって遊技者側から見えない状態となっており、窓部2501を通して液晶表示装置1900の表示画面のみが主に遊技者側から見える状態となっている(図163(a)を参照)。
この状態で、遊技領域1100内へ打ち込まれた遊技球が、第一始動口2101又は第二始動口2102へ受入れられ、所定の特別抽選結果が抽選されると、裏右演出ユニット3100R及び裏左演出ユニット3100Lに夫々三つ備えられた回転装飾体ユニット3120の裏横回転駆動モータ3123を駆動させ、上下に列設された三つの回転装飾体3126が上下方向へ延びた軸周りに回転させる。なお、この時の回転速度は、回転装飾体3126の外周面に施された装飾が認識し辛い速度とされている。
裏右演出ユニット3100R及び裏左演出ユニット3100Lに夫々備えられた三つの回転装飾体3126を回転させた状態で、裏横スライドユニット3150の裏横右スライド駆動モータ3152と裏横左スライド駆動モータ3159とを夫々駆動させ、裏右演出ユニット3100Rを正面視左方向へ、裏左演出ユニット3100Lを正面視右方向へ夫々スライドさせる。
一方、液晶表示装置1900では、裏右演出ユニット3100R及び裏左演出ユニット3100Lに夫々上下に三つ列設された回転装飾体3126と対応するように、表示画面を上下に三分割し、夫々に異なる画像を表示させる。
そして、裏右演出ユニット3100R及び裏左演出ユニット3100Lが退避位置の状態から、互いに接近する方向へスライドさせると、上下に三つ異なる画像が表示された液晶表示装置1900の表示画面の左右から、回転する回転装飾体3126が出現し、遊技者の関心を回転する回転装飾体3126と三つに分割された夫々の演出画像に引付けることができる。
裏右演出ユニット3100R及び裏左演出ユニット3100Lを、各回転装飾体3126を回転させた状態で、互いに最も接近した出現位置までスライドさせる(図163(a)を参照)。なお、裏右演出ユニット3100R及び裏左演出ユニット3100Lでは、出現位置へ到達するまでに、裏右演出ユニット3100R及び裏左演出ユニット3100Lを左右へ揺動させながらスライドさせるようにしても良く、演出に対する緊迫感を付与して遊技者を楽しませることができる。
そして、裏右演出ユニット3100R及び裏左演出ユニット3100Lが出現位置に到達したら、回転している回転装飾体3126を停止させる。各回転装飾体3126の回転を停止させる際に、回転装飾体3126の外周に施された四つの絵柄や図柄等の装飾に対して、抽選された特別抽選結果に対応するような装飾が施された面が遊技者側を向くように停止させる(図163(c)を参照)。これにより、複数(ここでは六つ)の回転装飾体3126により現された装飾の組み合せ等により、抽選された特別抽選結果を遊技者に示唆して、遊技者の遊技に対する期待感を高めさせることができるようになっている。
なお、この演出では、抽選される特別抽選結果に応じて、回転している複数の回転装飾体3126を一斉に停止させるパターンと、順次停止させるパターンとがある。また、この演出中に、回転装飾体装飾基板3129のLEDが適宜発光するようになっている。
また、液晶表示装置1900と裏横演出ユニット3100とを用いた演出としては、図164に示すような、上記の演出において、液晶表示装置1900に表示される演出画像を、各回転装飾体3126に対して夫々別々に対応するように、六分割する演出も行うことができるようになっている。この演出では、各回転装飾体3126を回転させた状態で、裏右演出ユニット3100R及び裏左演出ユニット3100Lを出現位置へスライドさせると共に、各回転装飾体3126に対応するように六分割され表示画面に、夫々異なる画像を表示させる(図164(a)を参照)。
そして、裏右演出ユニット3100R及び裏左演出ユニット3100Lを出現位置へ到達させてから所定時間経過した後に、回転している複数の回転装飾体3126を順次回転停止させる(図164(b)を参照)。回転を停止させる回転装飾体3126は、全ての回転装飾体3126の回転を停止させた時に、遊技者側を向いた各装飾の組み合せが、抽選された特別抽選結果と対応する組み合せとなるように、夫々の回転装飾体3126を順次停止させる。
その後、全ての回転装飾体3126の回転が停止すると、回転装飾体3126における停止して遊技者側を向いた装飾の組み合せにより、遊技者に対して抽選された特別抽選結果を示唆し、遊技者の遊技に対する期待感を高めさせることができるようになっている(図164(c)を参照)。
なお、この演出では、裏右演出ユニット3100R及び裏左演出ユニット3100Lを出現位置として全ての回転装飾体3126を回転させている状態で、六つの演出画像の周りを光が周回するように、各回転装飾体ユニット3120に備えられた回転装飾体装飾基板3129のLEDを順次発光させるパターンがある。また、回転を停止させる回転装飾体3126の発光装飾を点滅させたり、回転装飾体3126の横に配置された裏横装飾基板3130のLEDを発光させたりするパターンもある。更に、六つに分割されて夫々に表示された画像の色彩に応じた色で、回転装飾体3126を発光装飾させるパターンもある。
更に、液晶表示装置1900と裏横演出ユニット3100とを用いた演出としては、裏右演出ユニット3100R及び裏左演出ユニット3100Lが後退位置に位置した通常の状態(図165(a)を参照)、つまり、回転装飾体3126が遊技者側から視認できない状態で、回転装飾体3126を回転させた上で、抽選された特別抽選結果に応じた特定の装飾が施された面が遊技者側を向くように回転停止させる。そして、その状態で、裏右演出ユニット3100R及び裏左演出ユニット3100Lを夫々出現位置へスライド移動させ、裏右演出ユニット3100R及び裏左演出ユニット3100Lが出現して遊技者側から視認可能となった回転装飾体3126の装飾(図165(b1),(b2)を参照)により、遊技者に抽選された特別抽選結果を示唆させて、遊技者の遊技に対する期待感を高めさせる。
これにより、裏右演出ユニット3100R及び裏左演出ユニット3100L(複数の回転装飾体3126)が出現する度に、遊技者側から見える回転装飾体3126の装飾が異なることとなる(図165(b1),(b2)を参照)ので、裏右演出ユニット3100R及び裏左演出ユニット3100Lがどのような装飾で出現するのかで遊技者をワクワクさせることができ、遊技者をより楽しませて興趣が低下するのを抑制することができるようになっている。
[5.主制御基板の制御処理]
次に、主制御基板4100(特に主制御MPU4100a)で実行される制御処理の例について説明する。図166(a)は、当該パチンコ機1に電源が投入されたとき、上記主制御基板4100の主制御MPU4100aによって行われる制御処理の手順を示すフローチャートである。
同図166(a)に示されるように、この実施の形態にかかる主制御基板4100はまず、RAMクリアスイッチ4100cが操作されていることを条件にステップS1の処理として、各種のレジスタやRAMに格納されているデータを初期化する。RAMクリアスイッチ4100cはパチンコ機1の背面側に設けられ、本体枠3が開放されなければ操作できないようになっている。また、RAMクリアスイッチ4100cは電源投入から所定期間(例えば1秒)が経過する以前の操作に応じてクリア信号を主制御基板4100に出力し、電源投入時に主制御MPU4100aがクリア信号を入力されていると判断した場合に初期化処理(ステップS1)を実行して各種のレジスタや主制御MPU4100aのRAMに格納されているデータを初期化するようになっている。
なお、図示していないがこの例では、パチンコ機1への電源を遮断するときには遊技の進行状況を示す情報(例えば各種フラグ等)を主制御MPU4100aのRAMに保存するバックアップ処理を実行する。そしてパチンコ機1への電源を投入したときにRAMクリアスイッチ4100cが操作されていなければ、初期化処理(ステップS1)を実行することなくバックアップ処理で主制御MPU4100aのRAMに保存された情報を参照し、該情報に応じた状態に復旧させる復旧処理を実行する。また、パチンコ機1への電源投入時にRAMクリアスイッチ4100cを操作した場合には、復旧処理を実行することなく初期化処理を実行してパチンコ機1を初期状態に設定するようになっている。
次いで、ステップS2の処理として、予め定められた数値範囲内で更新される数である乱数の更新を行う。すなわち、この実施の形態にかかる主制御基板4100では、上記特別図柄の変動表示停止時における表示態様についての抽選処理に供される特別乱数(第一特別乱数、第二特別乱数)、上記特別図柄の変動表示制御に要する所定の時間(変動時間)についての抽選処理に供される変動乱数、上記特別図柄の変動表示に対応して液晶表示装置1900で実行される装飾図柄の変動表示にてリーチ(左装飾図柄と右装飾図柄を同一図柄で停止表示して中装飾図柄を未だ停止表示していない状態や、左・中・右の装飾図柄を全て同一図柄となるように同期して変動表示する状態)するか否かの抽選処理に供されるリーチ乱数、上記特別乱数に基づいて大当りとすると判定された場合に大当りの種類を決定するための抽選処理に供される図柄乱数(第一図柄乱数、第二図柄乱数)、上記可動片2105の動作契機となる当りの当落にかかる抽選処理に供される乱数(普通乱数)等々、といった乱数を保持する乱数カウンタを備えている。
なお、本例では第一特別図柄と第二特別図柄とで共通のリーチ乱数を用いるように、すなわち第一始動口2101に始動入賞した場合であっても、第二始動口2102に始動入賞した場合であっても、リーチ乱数を更新する同一のカウンタからリーチ乱数を取得するように構成しているが、リーチ乱数を更新する乱数の範囲が異なるカウンタから取得することによりリーチ演出の実行割合を異ならせるようにしてもよいし、取得したリーチ乱数と比較するリーチ判定テーブルとして第一特別図柄に対応する第一リーチ判定テーブルと、第二特別図柄と対応し、第一リーチ判定テーブルとは異なる判定値が設定される第二リーチ判定テーブルとを備えることによりリーチ演出の実行割合を異ならせるようにしてもよい。
このステップS2の処理では、これら乱数のうちの当落に関わらない乱数(変動乱数)のみが更新されるかたちで当該乱数カウンタのカウンタ操作が行われることとなる。なお、こうしてステップS1及びS2の処理が行われた後は、上記ステップS2の処理のみが基本的に繰り返し行われる。ただし、この実施の形態では、例えば4ms毎に以下のタイマ割込制御が行われる。
図166(b)は、上記主制御基板4100の主制御MPU4100aによって定期的に行われるタイマ割込制御についてその処理手順を示すフローチャートである。
同図166(b)に示されるように、この割込制御ではまず、ステップS11の処理として、レジスタの退避処理が行われる。次いで、ステップS12の処理として、上記ゲートセンサ2126、上記第一始動口センサ3081、上記第二始動口センサ2125、上記カウントセンサ2114、上記一般入賞口センサ3082など、各種のスイッチからの検出信号が入力される。そして次に、ステップS13の処理として、上記乱数を発生させる乱数カウンタの値を更新するための乱数更新処理が行われる。なお、このステップS13の処理では、上述の乱数のうち、上記特別図柄及び上記普通図柄の変動表示停止時における表示態様に関わる乱数(特別乱数、普通乱数)が更新されるかたちで上記乱数カウンタのカウンタ操作が行われる。
そして、こうして乱数の更新が行われた後、当該主制御基板4100の主制御MPU4100aは、ステップS14の処理として、上記特別図柄の変動表示停止時における表示態様にかかる抽選処理を含む特別図柄プロセス処理を実行する。なお、この特別図柄プロセス処理については後述するが、ここでは、基本的に、上記主制御MPU4100aのRAMに格納されている遊技の進行状況を示す特別図柄プロセスフラグ(第一特別図柄プロセスフラグ、第二特別図柄プロセスフラグ)に基づいて該当する処理が選択的に実行されることとなる。
そして次に、同主制御基板4100の主制御MPU4100aは、ステップS15の処理として、上記可動片2106の動作契機となる当りの当落にかかる抽選処理を含む普通図柄プロセス処理を実行する。なお、この普通図柄プロセス処理でも、基本的に、遊技の進行状況を示す普通図柄プロセスフラグに従って該当する処理が選択的に実行されることとなる。また、上記主制御基板4100の主制御MPU4100aは、大当り遊技状態(4R大当り遊技状態の一部を除く)の終了後に再び大当りとなるまでの期間内は、上記可動片2106の駆動頻度がより高くなるように当該抽選処理を実行する構成となっている(いわゆる時短状態)。なお、この実施の形態では、上記大当り遊技状態の終了後に再び大当りとなるまで上記普通図柄の当選確率を高くするとともに、上記普通図柄の変動表示制御に要する時間を短縮し、上記普通図柄の抽選結果が当りとなったときには、上記可動片2106の開放時間を延長することによって、こうした時短状態を実現するようにしている。
また、上記特別図柄プロセス処理(ステップS14)及び普通図柄プロセス処理(ステップS15)が行われると、上記主制御基板4100の主制御MPU4100aは、次にステップS16の処理として、同特別図柄プロセス処理にて主制御MPU4100aのRAMの所定の領域に設定されたコマンドを上記周辺制御基板4010などに送信する処理を行う。次いで、ステップS17の処理として、上記普通図柄プロセス処理にて同じくRAMの所定の領域に設定されたコマンドを例えば上記周辺制御基板4010などに送信する処理を行う。
また、同主制御基板4100の主制御MPU4100aは、次にステップS18の処理として、例えばホール管理用コンピュータに供給される当り情報(15R大当り、10R大当り)などのデータを出力する情報出力処理を行う。
そして次に、同主制御基板4100の主制御MPU4100aは、ステップS19の処理として、上記第一始動口センサ3081、上記第二始動口センサ2125、上記カウントセンサ2114、一般入賞口センサ3082などの検出信号がオン状態にあるときは、それら信号に応じた賞球が遊技者に払い出されるよう上記払出制御基板4110に払出制御コマンドを出力する。これにより、上記払出制御基板4110に搭載される払出制御MPU4111aは、払出モータ駆動回路4111dから払出モータ744に駆動信号を出力し、遊技者に賞球を払い出すようになる。
また、同主制御基板4100の主制御MPU4100aは、次にステップS20の処理として、始動記憶数の増減をチェックする記憶処理を実行する。次いで、ステップS21の処理として、パチンコ機1の制御状態を遊技機外部で確認できるようにするための試験信号を出力する処理である試験端子処理を実行する。そしてその後、常時動作するアクチュエータの駆動制御を行うとともに(ステップS22)、上記レジスタの内容を復帰させ(ステップS23)、割込許可状態に設定した時点で(ステップS24)、この制御が終了することとなる。
以上の制御によって、この実施の形態では、遊技制御処理は4ms毎に起動されることになる。なお、この実施の形態では、タイマによる割込処理によって遊技制御処理を実行することとしたが、当該割込処理では例えば割り込みが発生したことを示すフラグのセットのみを行うようにしてもよい。ただしこの場合、遊技制御処理をメイン処理にて実行することとなる。
図167は、上記特別図柄プロセス処理(ステップS14)についてその手順を示すフローチャートである。
いま、各種の抽選処理に供される乱数が更新されたとすると(ステップS13)、同図167に示されるように、この主制御基板4100の主制御MPU4100aはまず、上記第一始動口センサ3081による検出信号がオン状態(第一始動口2101への入球あり)にあることを条件に(ステップS31)、第一特別図柄の第一特別乱数を上記乱数カウンタから取得してこれをRAMの第一特別図柄保留記憶領域に格納するなどの第一始動口通過処理を実行する(ステップS32)。また、上記第二始動口センサ2125による検出信号がオン状態(第二始動口2102への入球あり)にあることを条件に(ステップS33)、第二特別図柄の第二特別乱数を上記乱数カウンタから取得してこれをRAMの第二特別図柄保留記憶領域に格納するなどの第二始動口通過処理を実行する(ステップS34)。
次いで、大当り遊技状態に制御している旨を示す大当り実行中フラグがセットされているか否かを判別し(ステップS35)、大当り実行中フラグがセットされていれば、大当り遊技状態の制御を行う大当り制御処理(ステップS39)を実行する。なお、大当り制御処理では、特別図柄(第一特別図柄、第二特別図柄)の変動表示停止時における表示態様についての抽選処理の結果が「4R潜伏確変大当り(特定1)」、「4R確変大当り(特定2)」、「4R通常大当り(非特定)」を示唆する態様となったときに、4R大当り遊技状態に応じて上記大入賞口2103を開放状態に制御し、「8R確変大当り(特定4)」を示唆する態様となったときに、8R大当り遊技状態に応じて上記大入賞口2103を開放状態に制御し、「16R突然確変大当り(特定3)」、「16R確変大当り(特定5)」を示唆する態様となったときに、短時間開放又は長時間開放の16R大当り遊技状態に応じて上記大入賞口2103を開放状態に制御する処理を実行する。
また、大当り実行中フラグがセットされていなければ、第二特別図柄保留記憶領域に記憶される第二特別乱数の個数を示す第二特別保留数カウンタの値が「0」であることを条件に(ステップS36)、第一特別図柄の変動表示停止時における表示態様にかかる抽選処理を含む第一特別図柄プロセス処理を実行し(ステップS37)、第二特別図柄保留記憶領域に記憶される第二特別乱数の個数を示す第二特別保留数カウンタの値が「0」でないことを条件に(ステップS36)、第二特別図柄の変動表示停止時における表示態様にかかる抽選処理を含む第二特別図柄プロセス処理を実行する(ステップS38)。このようにこの例では、第二特別保留数カウンタの値が「0」でないときには第二特別図柄の変動表示を優先的に実行するように構成されている。
図168は、上記第一始動口通過処理(ステップS32)についてその手順を示すフローチャートである。
いま、上記ステップS31の処理において、上記第一始動口センサ3081がオン状態にあり、上記第一始動口2101への遊技球の入球があったと判断されたとすると、同図168に示されるように、上記主制御基板4100の主制御MPU4100aは、ステップS41の処理として、まず、上記第一特別保留数カウンタによるカウンタ値を主制御MPU4100aのRAMから取得する。そして、このカウンタ値に基づいて上述の第一特別図柄の保留数がその最大値である「4」であるか否かの判断を行う。
このステップS41の処理において、上記第一特別図柄の保留数がその最大値でないと判断された場合には、上記第一特別図柄の変動表示制御を新たに保留の状態とすべく、以下のステップS42~S44の処理を行うこととなる。すなわち、まず、上記ステップS42の処理として、上記第一特別保留数カウンタをカウントアップ(1加算)する。次いで、ステップS43の処理として、上記第一特別乱数、上記リーチ乱数、上記第一図柄乱数、上記変動乱数を上記乱数カウンタから取得する。そして次に、ステップS44の処理として、こうして取得された各乱数を、上記主制御MPU4100aのRAMの記憶領域のうちの上記第一特別保留数カウンタによるカウンタ値に対応する第一特別図柄保留記憶領域に格納する。
ただし、上記ステップS41の処理において、上記第一特別図柄の保留数がその最大値であると判断された場合には、上記第一特別図柄の変動表示制御は新たに保留されない。すなわち、ステップS42~ステップS44の処理を実行することなく処理を終了することで、上記第一特別図柄の変動表示制御を新たに保留の状態としない。
図169は、上記第二始動口通過処理(ステップS34)についてその手順を示すフローチャートである。
いま、上記ステップS33の処理において、上記第二始動口センサ2125がオン状態にあり、上記第二始動口2102への遊技球の入球があったと判断されたとすると、同図169に示されるように、上記主制御基板4100の主制御MPU4100aは、ステップS51の処理として、まず、上記第二特別保留数カウンタによるカウンタ値を主制御MPU4100aのRAMから取得する。そして、このカウンタ値に基づいて上述の第二特別図柄の保留数がその最大値である「4」であるか否かの判断を行う。
このステップS51の処理において、上記第二特別図柄の保留数がその最大値でないと判断された場合には、上記第二特別図柄の変動表示制御を新たに保留の状態とすべく、以下のステップS52~S54の処理を行うこととなる。すなわち、まず、上記ステップS52の処理として、上記第二特別保留数カウンタをカウントアップ(1加算)する。次いで、ステップS53の処理として、上記第二特別乱数、上記リーチ乱数、上記第二図柄乱数、上記変動乱数を上記乱数カウンタから取得する。そして次に、ステップS54の処理として、こうして取得された各乱数を、上記主制御MPU4100aのRAMの記憶領域のうちの上記第二特別保留数カウンタによるカウンタ値に対応する第二特別図柄保留記憶領域に格納する。
ただし、上記ステップS51の処理において、上記第二特別図柄の保留数がその最大値であると判断された場合には、上記第二特別図柄の変動表示制御は新たに保留されない。すなわち、ステップS52~ステップS54の処理を実行することなく処理を終了することで、上記第二特別図柄の変動表示制御を新たに保留の状態としない。
図170は、第一特別図柄プロセス処理(ステップS38)についてその手順を示すフローチャートである。なお、特別図柄プロセス処理のステップS38で実行される第一特別図柄プロセス処理と特別図柄プロセス処理のステップS39で実行される第二特別図柄プロセス処理とは同様のプログラムモジュールであり、判定に用いる乱数やテーブルが異なるだけであるため、ここでは特別図柄プロセス処理のステップS38で実行される第一特別図柄プロセス処理についてのみ説明する。第一特別図柄プロセス処理では、上述の第一特別図柄プロセスフラグに応じて、以下の5つのプロセス処理の1つを選択的に実行することとなる。
1.主制御MPU4100aのRAMに格納されている第一特別乱数を読み出し、読み出した第一特別乱数に基づいて上記第一特別図柄の変動制御停止時における表示態様についての抽選処理などが行われる第一特別図柄通常処理(ステップS80)
2.第一特別図柄の変動制御停止時における表示態様についての抽選処理の結果に基づいて第一特別図柄の変動制御停止時の態様の決定処理などが行われる第一特別図柄停止図柄設定処理(ステップS81)
3.変動乱数に基づいて上記第一特別図柄表示器1185に表示される第一特別図柄の変動態様や、上記液晶表示装置1900に特別図柄に対応して実行される演出表示の変動態様についての抽選処理などが行われる第一変動パターン設定処理(ステップS82)
4.第一特別図柄表示器1185における上記第一特別図柄の変動表示が停止されるまで待機する第一特別図柄変動処理(ステップS83)
5.第一特別図柄の変動制御停止時における表示態様についての抽選処理の結果に基づいて決定された第一特別図柄の変動制御停止時の態様が上記第一特別図柄表示器1185に表示されるように上記第一特別図柄の変動表示を停止させる第一特別図柄停止処理(ステップS84)
なお、上記第一特別図柄プロセスフラグは、上述のステップS1の処理(図166参照)において、上記第一特別図柄通常処理(ステップS80)を行うべき旨を示すよう操作されている。
図171は、上記第一特別図柄通常処理(ステップS80)についてその手順を示すフローチャートである。
上記第一特別図柄プロセスフラグが当該第一特別図柄通常処理を行うべき旨を示しているときは、同図171に示されるように、上記主制御基板4100の主制御MPU4100aは、まず、ステップS101の処理として、上記第一特別保留数カウンタによるカウンタ値に基づいて保留の状態にある第一特別図柄の変動表示制御があるか否かの判断を行う。この結果、保留の状態にある第一特別図柄の変動表示制御があると判断された場合には、次にステップS102の処理として、上記主制御MPU4100aのRAMの第一特別図柄保留記憶領域に格納されている第一特別図柄の表示態様に関わる乱数(例えば、第一特別乱数、第一図柄乱数、リーチ乱数、変動乱数)のうちの最先の記憶領域に格納された乱数を同RAMから読み出す。そして次に、ステップS103及びS104の処理として、上記第一特別保留数カウンタをカウントダウンするとともに、上記主制御MPU4100aのRAMの第一特別図柄保留記憶領域の各記憶領域に格納されている上記第一特別図柄の変動表示停止時における表示態様に関わる乱数(第一特別乱数、第一図柄乱数、リーチ乱数、変動乱数)を先入れ先出し(First-In First-Out)の態様にてシフト操作する。
具体的には、第一特別図柄保留記憶領域は1~4の4つの記憶領域を有し、始動入賞の発生に応じて抽出した乱数を1番目(最先)の領域から順に記憶する。そして、n番目(n=1~3)の記憶領域に乱数が記憶されている場合に始動入賞が発生するとn+1番目(n=1~3)の記憶領域に抽出した乱数を記憶し、1番目の記憶領域に格納された乱数に基づく変動表示の開始条件が成立すると1番目の記憶領域に記憶されている各種乱数を読み出すとともにN番目(N=2~4)の記憶領域に記憶されている各種乱数をN-1番目(N=2~4)番目の記憶領域に移動させる。これにより、上記第一特別図柄の変動表示制御の保留が発生した順序を特定可能に記憶されるとともに最先の保留(最も先に発生した保留)から順に変動表示制御の保留が解除されるようになる。
そしてその後、ステップS105の処理として、上記読み出された第一特別図柄の第一特別乱数に基づいて上記大当りの当落についての抽選処理である大当り判定処理を行う。その後、上記第一特別図柄停止図柄設定処理(ステップS81)にプロセス移行されるよう上述の第一特別図柄プロセスフラグが更新された時点で(ステップS106)、この処理を終了する。
図172は、上記大当り判定処理(ステップS105)についてその手順を示すフローチャートである。
上記主制御基板4100の主制御MPU4100aは、現在の遊技状態が高確率状態(高確率時短状態、高確率非時短状態)であれば(ステップS111)、図206(A)に示す高確率時の大当り判定テーブルを選択し(ステップS112)、現在の遊技状態が低確率状態であれば(ステップS111)、図206(A)に示す低確率時の大当り判定テーブルを選択し(ステップS113)、選択した大当り判定テーブルと第一特別図柄通常処理のステップS102で読み出した第一特別乱数とを比較する(ステップS114)。
図173(A)に示す大当り判定テーブルは、上記主制御MPU4100aのROM4100dに記憶され、遊技状態が低確率時(通常状態(低確率非時短状態)及び時短状態(低確率時短状態))の場合に使用する低確率時の大当り判定テーブルと、遊技状態が高確率時(高確率非時短状態、高確率時短状態)の場合に使用する高確率時の大当り判定テーブルと、を備えている。そして、低確率時の大当り判定テーブルでは、10種類の第一特別乱数が大当りに当選したことを示す大当り判定値と一致し、2390種類の第一特別乱数が上記はずれであることを示すはずれ判定値と一致するように上記第一特別乱数がそれぞれ関連付けされている。なお、特別図柄プロセス処理のステップS39で実行される第二特別図柄プロセス処理内において、第二特別乱数と比較するために参照される低確率時の大当り判定テーブルでは、第一特別乱数と比較するために参照される低確率時の大当り判定テーブルと同様に、10種類の第二特別乱数が大当りに当選したことを示す大当り判定値と一致し、2390種類の第二特別乱数が上記はずれであることを示すはずれ判定値と一致するように上記第二特別乱数がそれぞれ関連付けされている。
また、高確率時の大当り判定テーブルでは、低確率時の大当り判定テーブルに設定される第一特別乱数と同一の第一特別乱数を含む20種類の第一特別乱数が大当り判定値と一致し、2380種類の第一特別乱数がはずれ判定値と一致するように上記第一特別乱数がそれぞれ関連付けされている。このように、この実施の形態では、高確率状態(高確率時短状態、高確率非時短状態)では、大当りに当選したことを示す大当り判定値が低確率時(通常状態(低確率非時短状態)及び時短状態(低確率時短状態))の2倍に高められる。なお、特別図柄プロセス処理のステップS39で実行される第二特別図柄プロセス処理内において、第二特別乱数と比較するために参照される高確率時の大当り判定テーブルでは、第一特別乱数と比較するために参照される高確率時の大当り判定テーブルと同様に、低確率時の大当り判定テーブルに設定される第二特別乱数と同一の第二特別乱数を含む20種類の第二特別乱数が大当りに当選したことを示す大当り判定値と一致し、2380種類の第二特別乱数が上記はずれであることを示すはずれ判定値と一致するように上記第二特別乱数がそれぞれ関連付けされている。
上記主制御基板4100の主制御MPU4100aは、選択した大当り判定テーブルと第一特別図柄通常処理のステップS102で読み出した第一特別乱数との比較の結果、大当りとすると判定した場合には(ステップS115)、当該変動が大当りに当選していることを示す大当りフラグをセットして処理を終了し(ステップS116)、選択した大当り判定テーブルと第一特別図柄通常処理のステップS102で読み出した第一特別乱数との比較の結果、はずれとすると判定した場合には、図173(B)に示すリーチ判定テーブルとステップS102で読み出したリーチ乱数とを比較する(ステップS117)。
図173(B)に示すリーチ判定テーブルは、上記主制御MPU4100aのROM4100dに記憶され、遊技状態が確変時(高確率状態(高確率非時短状態、高確率時短状態))の場合に使用する確変時のリーチ判定テーブルと、遊技状態が通常時(通常状態)の場合に使用する通常時のリーチ判定テーブルと、を備えている。そして、確変時のリーチ判定テーブルでは、240種類の全てのリーチ乱数がリーチすることを示すリーチ判定値と一致することがなく、リーチしないことを示すリーチ判定値と一致するように上記リーチ乱数がそれぞれ関連付けされている。このように、確変時(高確率状態)では、はずれとすると判定した場合において、リーチはずれとすると判定することがないため、後述のリーチフラグがセットされることがなく、リーチ演出を実行することがない。このため、確変時にリーチを形成し、リーチ演出を実行した場合には、その時点で大当りとなることを認識することができる。
また、通常時のリーチ判定テーブルでは、7種類のリーチ乱数がリーチすることを示すリーチ判定値と一致し、233種類のリーチ乱数がリーチしないことを示すリーチ判定値と一致するように上記リーチ乱数がそれぞれ関連付けされている。このように、通常時(通常状態)では、確変時(高確率状態)とは異なり、リーチすることを示すリーチ判定値が設けられている。このため、通常時にリーチを形成し、リーチ演出を実行したとしても、全ての装飾図柄が停止表示するまでは、大当りとなるか否かを認識することができない。
上記主制御基板4100の主制御MPU4100aは、選択したリーチ判定テーブルとステップS102で読み出したリーチ乱数との比較の結果(ステップS117)、リーチはずれとすると判定した場合には(ステップS118)、当該変動がリーチとなることを示すリーチフラグをセットして処理を終了する(ステップS119)。
図174は、上記第一特別図柄停止図柄設定処理(ステップS81)についてその手順を示すフローチャートである。
上記第一特別図柄プロセスフラグが当該第一特別図柄停止図柄設定処理を行うべき旨を示しているときは、同図174に示されるように、上記主制御基板4100の主制御MPU4100aは、まず、第一特別図柄の変動表示停止時における表示態様の抽選処理の結果、すなわち上記大当り判定処理(ステップS105)の結果を判別する。抽選処理結果の判別は、大当りフラグがセットされているか否か(ステップS121)を判別することにより行う。
主制御MPU4100aは、ステップS121で大当りフラグがセットされていれば、第一特別図柄通常処理のステップS102で読み出した第一図柄乱数と図173(C)に示す図柄決定テーブルとを比較することにより(ステップS122)、大当りの種類を決定し、該決定した大当りの種類に対応する第一特別図柄の変動制御停止時の態様(第一特別図柄の停止図柄)を決定する(ステップS123)。
図173(C)に示すように、図柄決定テーブルには、判定結果毎(特定1の4R潜伏確変大当り、特定2の4R確変大当り、特定3の16R突然確変大当り、特定4の8R確変大当り、特定5の16R確変大当り、非特定の4R通常大当り)に図柄乱数(第一図柄乱数、第二図柄乱数)が関連付けされるかたちで記憶されている。主制御基板4100の主制御MPU4100aでは、取得した図柄乱数に対応して関連付けされている判定結果を特定することにより、大当りの種類を決定する。なお、本例の図柄決定テーブルでは、第一図柄乱数に基づいて決定される大当りの種類の決定確率と第二図柄乱数に基づいて決定される大当りの種類の決定確率とが異なるように設定している。
具体的には、
1.4R大当り遊技状態(アタッカユニット2100の開閉部材2107を開閉する開閉パターンを4回(4ラウンド)繰り返す)を遊技球が入球困難な態様で制御し、該4R大当り遊技状態の終了後に再び大当りとなるまで前記高確率非時短状態に制御するものであって、液晶表示装置1900において高確率状態であるか否かを判別困難な遊技演出を実行する特定1の4R潜伏確変大当り
2.4R大当り遊技状態を遊技球が入球容易な態様で制御し、該4R大当り遊技状態の終了後に再び大当りとなるまで前記高確率時短状態に制御する特定2の4R確変大当り
3.16R大当り遊技状態(アタッカユニット2100の開閉部材2107を開閉する開閉パターンを16回(16ラウンド)繰り返す)を遊技球が入球困難な態様で制御し、該16R大当り遊技状態の終了後に再び大当りとなるまで前記高確率時短状態に制御する特定3の16R突然確変大当り
4.8R大当り遊技状態(アタッカユニット2100の開閉部材2107を開閉する開閉パターンを8回(8ラウンド)繰り返す)を遊技球が入球容易な態様で制御し、該8R大当り遊技状態の終了後に再び大当りとなるまで前記高確率時短状態に制御する特定4の8R確変大当り
5.16R大当り遊技状態を遊技球が入球容易な態様で制御し、該16R大当り遊技状態の終了後に再び大当りとなるまで前記高確率時短状態に制御する特定5の16R確変大当り
6.4R大当り遊技状態を遊技球が入球困難な態様で制御し、該4R大当り遊技状態の終了後に前記低確率非時短状態(通常状態)に制御するものであって、液晶表示装置1900において高確率状態であるか否かを判別困難な遊技演出を実行する非特定の4R通常大当り、の6種類の大当りの中からいずれかの大当りに決定する。
本例では、第一特別図柄に対応する図柄決定テーブルと、第二特別図柄に対応する図柄決定テーブルとを備えている。そして、第二特別図柄に対応する図柄決定テーブルでは、第一特別図柄に対応する図柄決定テーブルと比べて判定値の振分けが異なるように設定されており、各々の大当りの決定割合が異なるようにしている。具体的には、図173(C)に示すように、第一特別図柄に対応する図柄決定テーブルにおいて、特定1の4R潜伏確変大当り、特定2の4R確変大当り、特定3の16R突然確変大当り、特定4の8R確変大当り、非特定の4R通常大当りに対して判定値の振分けが設定されているのに対し、第二特別図柄に対応する図柄決定テーブルにおいて、特定1の4R潜伏確変大当り、特定2の4R確変大当り、特定5の16R確変大当り、非特定の4R通常大当りに対して判定値の振分けが設定されている。
なお、本例では、特定2,4,5と特定1,3及び非特定とで大当り遊技状態における1ラウンドあたりの上記大入賞口2103の開放時間(上記アタッカユニット2100の開閉部材2107を開放制御する時間)を異ならせている。具体的には、特定2,4,5となった場合には、1ラウンドあたりの上記大入賞口2103の開放時間を30秒とする長開放状態に制御するのに対し、特定1,3又は非特定となった場合には、1ラウンドあたりの上記大入賞口2103の開放時間を長開放状態よりも極端に短い0.05秒とする短開放状態に制御している。このような短開放状態に制御される場合には、1ラウンドあたりの上記大入賞口2103の開放時間が短過ぎるため、上記アタッカユニット2100の開閉部材2107の開放制御が認識されたとしても、上記大入賞口2103へ遊技球を入賞させることが困難となっている。つまり、大当り遊技状態における短開放状態の制御中には、上記大入賞口2103に遊技球が入賞することが殆どなく、長開放状態の制御中とは異なり、多くの遊技球の獲得を期待することができない(このような大当りを「実質出玉なしの大当り」ともいう)。
また、大当りの種類を決定すると大当りの種類に応じた停止図柄を第一特別図柄の停止時の態様として決定する。具体的には、特定1の4R潜伏確変大当りに決定した場合には第一特別図柄の4R潜伏確変大当り図柄に決定し、特定2の4R確変大当りに決定した場合には第一特別図柄の4R確変大当り図柄に決定し、特定3の16R突然確変大当りに決定した場合には第一特別図柄の16R突然確変大当り図柄に決定し、特定4の8R確変大当りに決定した場合には第一特別図柄の8R確変大当り図柄に決定し、非特定の4R通常大当りに決定した場合には第一特別図柄の4R通常大当り図柄に決定する。一方、ステップS121で大当りフラグがセットされていなければ、第一特別図柄の変動停止時の態様としてはずれ図柄に決定する(ステップS124)。
そして、こうして停止図柄についての決定処理が行われた後は、ステップS125の処理として、これら抽選結果(大当りの種類、リーチはずれ、はずれのいずれかの指示(第一特別図柄の停止図柄の態様を指示するものであってもよい))が上記周辺制御基板4010に送信されるよう抽選結果それぞれに応じた判定結果通知コマンドをセットする。そしてその後は、ステップS126の処理として、上記第一変動パターン設定処理(ステップS82)にプロセス移行されるよう上述の第一特別図柄プロセスフラグを更新した時点で、この処理を終了する。周辺制御MPU4140aは、受信した判定結果通知コマンド及び変動パターンコマンドに基づいて液晶表示装置1900を表示制御する。
具体的には、周辺制御MPU4140aは、液晶表示装置1900に表示される装飾図柄の変動停止時の態様(停止図柄)として、受信した判定結果通知コマンドから大当りのうち特定2の4R確変大当りを特定した場合には4R確変大当り図柄(「1」、「3」、「5」、「7」の奇数の同一の装飾図柄の組合せ)に決定し、大当りのうち特定4の8R確変大当りを特定した場合には8R確変大当り図柄(「1」、「3」、「5」、「7」の奇数の同一の装飾図柄の組合せ。4R確変大当り図柄と共通)に決定し、特定5の16R確変大当りを特定した場合には16R確変大当り図柄(「1」、「3」、「5」、「7」の奇数の同一の装飾図柄の組合せ。4R確変大当り図柄及び8R確変大当り図柄と共通)に決定し、変動パターンコマンドから特定される変動時間の経過時(遊技演出の終了時)においてその決定された停止図柄を液晶表示装置1900に表示制御する。このように、液晶表示装置1900に表示される装飾図柄として「1」、「3」、「5」、「7」の奇数の同一の装飾図柄の組合せが変動停止したときには、装飾図柄の停止図柄から特定2の4R確変大当り、特定4の8R確変大当り、特定5の16R確変大当りのいずれかを判別することができないが、4R大当り遊技状態、8R大当り遊技状態又は16R大当り遊技状態の終了後に高確率状態に制御することを判別することができる。そして、4R大当り遊技状態における演出結果を導出するまでは、4R大当り遊技状態の終了後に8R大当り遊技状態又は16R大当り遊技状態まで継続して制御するか否かを判別することができない。
また、周辺制御MPU4140aは、液晶表示装置1900に表示される装飾図柄の変動停止時の態様(停止図柄)として、受信した判定結果通知コマンドから大当りのうち特定1の4R潜伏確変大当りを特定した場合には4R潜伏確変大当り図柄(「2」、「4」、「6」の偶数の同一の装飾図柄の組合せ)に決定し、大当りのうち非特定の4R通常大当りを特定した場合には4R通常大当り図柄(「2」、「4」、「6」の偶数の同一の装飾図柄の組合せ。4R潜伏確変大当り図柄と共通)に決定し、変動パターンコマンドから特定される変動時間の経過時(遊技演出の終了時)においてその決定された停止図柄を液晶表示装置1900に表示制御する。このように、液晶表示装置1900に表示される装飾図柄として「2」、「4」、「6」の偶数の同一の装飾図柄の組合せが変動停止したときには、装飾図柄の停止図柄から特定1の4R潜伏確変大当り又は非特定の4R通常大当りのいずれであるかを判別することができず、4R大当り遊技状態の終了後にも液晶表示装置1400において高確率状態であるか否かを判別困難な遊技演出を実行するため、これらの大当り遊技状態の終了後に高確率状態に制御するか否かを判別することができない。
また、周辺制御MPU4140aは、液晶表示装置1900に表示される装飾図柄の変動停止時の態様(停止図柄)として、受信した判定結果通知コマンドから大当りのうち特定3の16R突然確変大当りを特定した場合には16R突然確変大当り図柄(はずれ図柄のうち予め定められた装飾図柄の組合せ(ばらけ目)。具体的には例えば、「357」の装飾図柄の組合せ)に決定し、変動パターンコマンドから特定される変動時間の経過時(遊技演出の終了時)においてその決定された停止図柄を液晶表示装置1900に表示制御する。このように、液晶表示装置1900に表示される装飾図柄として「357」の装飾図柄の組合せが変動停止したときには、装飾図柄の停止図柄から特定3の16R突然確変大当りであるかを判別し、16R大当り遊技状態(遊技球が入球困難な態様での16R大当り遊技状態)の終了後に高確率状態に制御することを判別することができる。
また、周辺制御MPU4140aは、液晶表示装置1900に表示される装飾図柄の変動停止時の態様(停止図柄)として、受信した判定結果通知コマンドからリーチはずれを特定した場合にはリーチを伴ったはずれ図柄(同一とはならない装飾図柄の組合せ。ただし左右の装飾図柄が同一)に決定し、はずれを特定した場合にはリーチを伴わないはずれ図柄(同一とはならない装飾図柄の組合せ。ただし左右の装飾図柄が非同一)に決定し、変動パターンコマンドから特定される変動時間の経過時(遊技演出の終了時)においてその決定された停止図柄を液晶表示装置1900に表示制御する。
図175は、上記第一変動パターン設定処理(ステップS82)についてその手順を示すフローチャートである。
上記第一特別図柄プロセスフラグが当該第一変動パターン設定処理を行うべき旨を示しているときは、同図175に示されるように、上記主制御基板4100の主制御MPU4100aは、大当りフラグがセットされていれば(ステップS141)、第一特別図柄停止図柄設定処理のステップS123で決定した大当りの種類、及び現在の遊技状態に応じた大当り時の変動パターンテーブルを選択し(ステップS142)、リーチフラグがセットされていれば(ステップS143)、現在の遊技状態に応じたリーチ時の変動パターンテーブルを選択し(ステップS144)、大当りフラグとリーチフラグとのいずれもセットされていない場合、すなわち通常のはずれ(リーチ演出を実行しないはずれ)となる場合には、はずれ時の変動パターンテーブルを選択する(ステップS145)。
そして、選択した変動パターンテーブルと第一特別図柄通常処理のステップS102で読み出した変動乱数とを比較することにより実行する変動パターンを決定し(ステップS146)、決定した変動パターンを開始することを周辺制御基板4010に通知する変動パターンコマンドをセットして第一特別図柄表示器1185に表示される第一特別図柄の変動表示を開始する(ステップS147)。また、主制御MPU4100aは、変動パターンを決定すると決定した変動パターンに対応して設定されている変動時間を変動タイマに設定する(ステップS149)。これにより、こうして決定された変動時間だけ第一特別図柄表示器1185及び上記液晶表示装置1900にて演出制御が行われるようになる。
なお、本例の変動パターンテーブルは、特別乱数(第一特別乱数、第二特別乱数)及び図柄乱数(第一図柄乱数、第二図柄乱数)に基づく判定結果毎に複数種類設けられている。また、各変動パターンテーブルに設定される変動パターンには上記特別図柄(第一特別図柄、第二特別図柄)の変動表示制御に要する所定の時間(変動時間)を示す複数の変動時間情報が上記変動乱数にそれぞれ対応して関連付けされるかたちで記憶されている。しかして、主制御MPU4100aは、特別乱数及び図柄乱数に基づく判定結果に応じた複数種類の変動パターンテーブルのうち、選択した変動パターンテーブルと第一特別図柄通常処理のステップS102で読み出した変動乱数とを比較し、上記読み出した変動乱数に関連付けされている変動時間情報をこのテーブルから取得することで、上記特別図柄(第一特別図柄、第二特別図柄)の変動パターンを決定する。これにより、上記特別図柄(第一特別図柄、第二特別図柄)の変動パターンについての抽選処理が行われるようになる。なお、上記変動パターンテーブルは、上記主制御MPU4100aのROMに記憶されている。
また、本例のリーチ時の変動パターンテーブルでは、いずれのリーチ演出を実行するかを示す判定値と変動乱数とを比較することにより実行するリーチ演出の態様種別を決定するように設定されている。例えば、リーチ演出のうちスーパーリーチ演出(例えば、後述の図186,188におけるSP1種別,SP2種別の当落演出に相当)は、ノーマルリーチ演出(例えば、後述の図186,188における通常種別の当落演出に相当)よりも大当り期待度が高く、スーパーリーチ演出が実行されたときには、大当り遊技状態に対する遊技者の期待度が高まるようになっている。本例のパチンコ機1におけるリーチ演出に関する詳細な説明は、後述する。
また、第一特別図柄の変動表示制御が開始されると、次にステップS149の処理として、上記第一特別図柄変動処理(ステップS83)にプロセス移行されるよう上述の第一特別図柄プロセスフラグを更新した時点で、この処理を終了する。
本例では、時短時の変動パターンテーブルにおいて、1秒程度に設定された1種類の特別図柄の変動時間情報が上記特別図柄乱数(第一特別図柄、第二特別図柄)の全てに関連付けされるかたちで、特別図柄の変動パターンが設定されている。一方、非時短時の変動パターンテーブルにおいて、10~120秒の範囲で設定された複数種類の特別図柄の変動時間情報が上記特別図柄乱数に各々対応して関連付けされるかたちで、特別図柄の変動パターンが設定されている。すなわち、時短時の変動パターンテーブルでは、非時短時の変動パターンテーブルと比べると、上記特別図柄の変動表示制御に要する時間が1秒程度と短くなるよう、上記特別図柄の変動時間情報が設定されている。
図176は、上記第一特別図柄変動処理(ステップS83)についてその手順を示すフローチャートである。
上記第一特別図柄プロセスフラグが当該第一特別図柄変動処理を行うべき旨を示しているときは、同図176に示されるように、上記主制御基板4100の主制御MPU4100aは、まず、ステップS171の処理として、上記変動パターンについての抽選処理(ステップS82)で決定した変動パターンに応じた変動時間が設定される変動タイマを1減算する。そして、変動時間タイマが0、すなわち、上記抽選された変動時間が経過したと判断されると(ステップS172)、次にステップS173の処理に移行する。すなわち、このステップS173の処理において、上記第一特別図柄停止処理(ステップS84)にプロセス移行されるよう上述の第一特別図柄プロセスフラグを更新した時点で、この処理を終了する。
図177は、上記第一特別図柄停止処理(ステップS84)についてその手順を示すフローチャートである。
上記第一特別図柄プロセスフラグが当該第一特別図柄停止処理を行うべき旨を示しているときは、同図177に示されるように、上記主制御基板4100の主制御MPU4100aは、まず、ステップS181の処理として、上記第一特別図柄停止図柄設定処理にて決定された停止図柄を上記第一特別図柄表示器1185に表示させるための表示制御を行うとともに、上記液晶表示装置1900に第一特別図柄の停止図柄に応じた装飾図柄の表示結果の導出表示を指示する停止表示コマンドを上記周辺制御基板4010へのコマンドとしてセットする(ステップS182)。
次いで、上記主制御基板4100の主制御MPU4100aは、上記大当りフラグがセットされているときは(ステップS186)、大当り遊技状態を開始することを示す大当り開始コマンドをセットし(ステップS187)、大当り遊技状態の開始までの待機時間(大当り遊技状態を開始する旨の表示等を行う時間)をインターバルタイマにセットする(ステップS188)。そして、大当り遊技状態の実行中であることを示す大当り実行中フラグをセットするとともに上記時短フラグをリセットし(ステップS189)、第一特別図柄プロセスフラグを初期値である第一特別図柄通常処理にプロセス移行されるように更新した時点で(ステップS190)、この処理を終了する。なお、大当り開始コマンドは、周辺制御基板4010に送信されるコマンドであり、大当りの種類(4R潜伏確変大当り、4R確変大当り、16R突然確変大当り、8R確変大当り、16R確変大当り、4R通常大当り)に応じて個々に用意されている。ステップS187では、大当りの種類(4R潜伏確変大当り、4R確変大当り、16R突然確変大当り、8R確変大当り、16R確変大当り、4R通常大当り)に応じた大当り開始コマンド(4R潜伏確変大当り開始コマンド、4R確変大当り開始コマンド、16R突然確変大当り開始コマンド、8R確変大当り開始コマンド、16R確変大当り開始コマンド、4R通常大当り開始コマンド、)をセットする。これにより、大当り開始コマンドによって指示された大当りの種類に応じた大当り遊技状態の演出が液晶表示装置1900、ランプ・LED及びスピーカ130,222,262等により実行される。
図178は、上記普通図柄プロセス処理(ステップS15)についてその手順を示すフローチャートである。
いま、ステップS801の処理において、上記ゲートセンサ2126による検出信号がオン状態にあり、上記ゲート部2105への遊技球の通過があったと判断されたとすると、同図178に示されるように、上記主制御基板4100の主制御MPU4100aは、ステップS802の処理として、まず、普通図柄の普通乱数を上記乱数カウンタから取得してこれをRAMの普通図柄保留記憶領域に格納するなどのゲート部通過処理を実行する。
次いで、普通図柄プロセス処理では、普通図柄プロセスフラグに応じて、以下の5つのプロセス処理の1つを選択的に実行する。
1.主制御MPU4100aのRAM4100eに格納されている普通乱数を読み出し、読み出した普通乱数に基づいて上記普通図柄の変動制御停止時における表示態様についての抽選処理などが行われる普通図柄通常処理(ステップS803)
2.普図変動乱数に基づいて上記普通図柄表示器1189に表示される普通図柄の変動態様(変動時間)についての抽選処理などが行われる普通図柄変動時間決定処理(ステップS804)
3.普通図柄表示器1189における上記普通図柄の変動表示が停止されるまで待機する普通図柄変動処理(ステップS805)
4.普通図柄の変動制御停止時における表示態様についての抽選処理の結果に基づいて決定された普通図柄の変動制御停止時の態様が上記普通図柄表示器1189に表示されるように上記普通図柄の変動表示を停止させる普通図柄停止処理(ステップS806)
5.普通図柄の変動制御停止時の態様についての抽選処理の結果が「普図当り」を示唆する態様となったとき、上記可動片2106が後退して第二始動口2102への遊技球の受入れを可能に制御する処理を実行する普通電動役物開放処理(ステップS807)
なお、上記普通図柄プロセスフラグは、上述のステップS1の処理(図166参照)において、上記普通図柄通常処理(ステップS803)を行うべき旨を示すよう操作されている。
図179は、上記ゲート部通過処理(ステップS802)についてその手順を示すフローチャートである。
いま、上記ステップS801の処理において、上記ゲートセンサ2126による検出信号がオン状態にあり、上記ゲート部2105への遊技球の通過があったと判断されたとすると、同図179に示されるように、上記主制御基板4100の主制御MPU4100aは、ステップS811の処理として、まず、上記普通保留数カウンタによるカウンタ値を主制御MPU4100aのRAM4100eから取得する。そして、このカウンタ値に基づいて普通図柄の保留数がその最大値である「4」であるか否かの判断を行う。
このステップS811の処理において、上記普通図柄の保留数がその最大値でないと判断された場合には、上記普通図柄の変動表示制御を新たに保留の状態とすべく、以下のステップS812~S814の処理を行うこととなる。すなわち、まず、上記ステップS812の処理として、上記普通保留数カウンタをカウントアップ(1加算)する。次いで、ステップS813の処理として、上記普通乱数、上記普図変動乱数を上記乱数カウンタから取得する。そして次に、ステップS814の処理として、こうして取得された各乱数を、上記主制御MPU4100aのRAM4100eの記憶領域のうちの上記普通保留数カウンタによるカウンタ値に対応する普通図柄保留記憶領域に格納する。
ただし、上記ステップS811の処理において、上記普通図柄の保留数がその最大値であると判断された場合には、上記普通図柄の変動表示制御は新たに保留されない。すなわち、ステップS812~ステップS814の処理を実行しないことで、上記普通図柄の変動表示制御を新たに保留の状態としない。
図180は、上記普通図柄通常処理(ステップS803)についてその手順を示すフローチャートである。
上記普通図柄プロセスフラグが当該普通図柄通常処理を行うべき旨を示しているときは、同図180に示されるように、上記主制御基板4100の主制御MPU4100aは、まず、ステップS821の処理として、上記普通保留数カウンタによるカウンタ値に基づいて保留の状態にある普通図柄の変動表示制御があるか否かの判断を行う。この結果、保留の状態にある普通図柄の変動表示制御があると判断された場合には、次にステップS822の処理として、上記主制御MPU4100aのRAMの普通図柄保留記憶領域に格納されている普通図柄の表示態様に関わる乱数(例えば、普通乱数、普図変動乱数)のうちの最先の記憶領域に格納された乱数を同RAMから読み出す。そして次に、ステップS823及びS824の処理として、上記普通保留数カウンタをカウントダウンするとともに、上記主制御MPU4100aのRAMの普通保留記憶領域の各記憶領域に格納されている上記普通図柄の変動表示停止時における表示態様に関わる乱数(普通乱数、普図変動乱数)を先入れ先出し(First-In First-Out)の態様にてシフト操作する。
具体的には、普通図柄保留記憶領域は1~4の4つの記憶領域を有し、上記ゲート部2105への遊技球の通過に応じて抽出した乱数を1番目(最先)の領域から順に記憶する。そして、n番目(n=1~3)の記憶領域に乱数が記憶されている場合に上記ゲート部2105に遊技球が通過するとn+1番目(n=1~3)の記憶領域に抽出した乱数を記憶し、1番目の記憶領域に格納された乱数に基づく変動表示の開始条件が成立すると1番目の記憶領域に記憶されている各種乱数を読み出すとともにN番目(N=2~4)の記憶領域に記憶されている各種乱数をN-1番目(N=2~4)番目の記憶領域に移動させる。これにより、上記普通図柄の変動表示制御の保留が発生した順序を特定可能に記憶されるとともに最先の保留(最も先に発生した保留)から順に変動表示制御の保留が解除されるようになる。
次いで、上記主制御基板4100の主制御MPU4100aは、現在の遊技状態が時短状態(低確率時短状態、高確率時短状態)であれば(ステップS826)、時短時の普図当り判定テーブル(図示しない)を選択し(ステップS826)、現在の遊技状態が非時短状態(低確率非時短状態、高確率非時短状態)であれば(ステップS825)、非時短時の普図当り判定テーブル(図示しない)を選択し(ステップS827)、選択した普図当り判定テーブルと普通図柄通常処理のステップS822で読み出した普通乱数とを比較する(ステップS828)。
なお、普図当り判定テーブルは、上記主制御MPU4100aのROM4100dに記憶され、遊技状態が時短時(低確率時短状態及び高確率時短状態)の場合に使用する時短時の普図当り判定テーブルと、遊技状態が非時短時(低確率非時短状態、高確率非時短状態)の場合に使用する非時短時の普図当り判定テーブルと、を備えている。そして、普通乱数と比較するために参照される時短時の普図当り判定テーブルでは、251種類の全ての普通乱数が普図当りに当選したことを示す普図当り判定値と一致し、普図はずれであることを示す普図はずれ判定値と一致することがないように上記普通乱数がそれぞれ関連付けされている。このように、時短時では、上記ゲート部2105への遊技球の通過があったとき、普図当りに必ず当選し、上記可動片2106が後退して第二始動口2102への遊技球の受入れを可能に制御している。
なお、可動片2106は、一般的には「電チュー」とも呼ばれる。また、可動片2106が作動(本例では後退)すると第二始動口2102への遊技球の受入れが容易にされることから、このような可動片2106の作動を「開放」とも呼び、その作動継続時間を開放時間と呼ぶ。本例では、時短時に普図当りに当選したとき、可動片2106の開放時間を5800msとする。このように比較的長時間の開放時間を設定することによって、右打ちされた遊技球が第二始動口2102に入球し得る期間を長くすることができる。また、後の普通図柄変動時間決定処理(ステップS804)では、普通図柄の変動時間が決定されるが、本例では、時短時における普通図柄の変動時間を従来よりも短時間に設定することによって、可動片2106が開放状態にある割合をより高める工夫がなされている。具体的には例えば、普通図柄が変動される時間を80ms、変動停止した普通図柄が表示される時間を500msとする。また、可動片2106が閉鎖されてから(開放状態が終了してから)次の普通図柄の変動が開始されるまでのインターバル期間を464msとする。
パチンコ機1では、上記のような普通図柄の変動時間を設定することによって、時短時に遊技球がゲート部2105を通過した場合、当該遊技球が可動片2106に到達するまでの間に、普通図柄の変動表示を終了させて普図当り当選による可動片2106の開放を間に合わせることができる。その結果、時短時にゲート部2105を通過した遊技球の略全てが第二始動口2102に受入れられる可能性を高めることができる。パチンコ機1は、このような特徴的な構成を備えることによって、時短状態(低確率時短状態、高確率時短状態)において、第二始動口2102への入球を容易にし、第二始動口2102への入球に基づいて行われる第二特別抽選を間断なく連続的に実行させることができる。別の言い方をすれば、第二特別図柄記憶表示器1187に表示される第二特別抽選の保留数を維持又は増加させ易い。なお、本実施形態のパチンコ機1におけるこのような普通当りの特徴は、[5]章や[8]章でも述べられる。
また、普通乱数と比較するために参照される非時短時の普図当り判定テーブルでは、251種類の全ての普通乱数が普図当りに当選したことを示す普図当り判定値と一致することがなく、普図はずれであることを示す普図はずれ判定値と一致するように上記普通乱数がそれぞれ関連付けされている。このように、非時短時では、上記ゲート部2105への遊技球の通過があったとしても、普図当りに当選することがないため、上記可動片2106が後退して第二始動口2102への遊技球の受入れを可能に制御することがない。
上記主制御基板4100の主制御MPU4100aは、選択した普図当り判定テーブルと普通図柄通常処理のステップS822で読み出した普通乱数との比較の結果、普図当りとすると判定した場合には(ステップS829)、当該変動が普図当りに当選していることを示す普図当りフラグをセットした後(ステップS830)、普通図柄の変動制御停止時の態様(普通図柄の停止図柄)としての普図当り図柄を決定する(ステップS831)、一方、選択した普図当り判定テーブルと普通図柄通常処理のステップS822で読み出した普通乱数との比較の結果、はずれとすると判定した場合には、普通図柄の変動制御停止時の態様(普通図柄の停止図柄)としての普図はずれ図柄を決定する(ステップS832)。そしてその後、上記普通図柄変動時間決定処理(ステップS804)にプロセス移行されるよう上述の普通図柄プロセスフラグが更新された時点で(ステップS833)、この処理を終了する。
[6.周辺制御基板の制御処理]
次に、周辺制御基板4010に搭載される周辺制御MPU4140aによって実行される処理について説明する。図181は、当該パチンコ機1に電源が投入されるとき、上記周辺制御基板4010に搭載される周辺制御MPU4140aによって行われる制御についてその処理手順を示すフローチャートである。
図181に示すように、パチンコ機1への電力供給が開始されると、周辺制御MPU4140aは、初期設定処理を行う(ステップS501)。この初期設定処理は、周辺制御基板4010に搭載される周辺制御MPU4140aのRAMをクリアする処理等が行われる。なお、この初期設定処理中では割込禁止となっており、初期設定処理のあと割込許可となる。初期設定処理(ステップS501)が終了すると、16ms経過フラグTがセットされたか否かを監視するループ処理を開始する(ステップS502)。
この実施の形態では、周辺制御MPU4140aは、2ms経過毎に割込を発生させ、2ms定常処理を実行する。2ms定常処理では、16ms経過監視カウンタをカウントアップする(16ms経過監視カウンタを1加算する)処理が実行され、16ms経過監視カウンタの値が8になったとき、すなわち、16ms経過したときに16ms経過フラグTをセットするとともに、16ms経過監視カウンタをリセット(0にする)処理が実行される。このように、16ms経過フラグTは、2ms定常処理にて16ms毎に「1」に設定(セット)され、通常は「0」に設定(リセット)されている。ステップS502で16ms経過フラグがセットされている(16ms経過フラグTが「1」)ときには、16ms経過フラグをリセットした後(ステップS503)、16ms定常処理を行う(ステップS504)。
この16ms定常処理では、主制御基板4100から受信したコマンドにもとづいて液晶表示装置1900、ランプ・LED、スピーカ130,222,262等を制御する処理が実行される。16ms定常処理を終了すると、再びステップS502に戻り、16ms経過フラグTがセットされる毎に、つまり16ms毎に上述したステップS503~ステップS504を繰り返し行う。一方、ステップS502で16ms経過フラグTがセットされていない(16ms経過フラグTが「0」)ときには、16ms経過フラグTがセットされるまでループ処理を行う。
図182は、サブメイン処理にて16ms毎に実行される16ms定常処理の一例を示すフローチャートである。16ms定常処理において、周辺制御MPU4140aは、ステップS601~ステップS606の処理を実行する。ステップS601のコマンド解析処理では、周辺制御MPU4140aは、主制御基板4100から受信したコマンド(例えば演出コマンド)を解析し、当該解析結果に応じて、周辺制御RAM4140eに格納されている複数種類のフラグのうち、当該コマンドに対応するフラグをセットする。
ステップS602の演出制御処理では、主制御基板4100から受信したコマンドに基づいて、液晶表示装置1900に関わる制御処理を実行する。主制御基板4100から受信するコマンドとは例えば、変動パターン設定処理(第一変動パターン設定処理のステップS147、第二特別図柄プロセス処理の第一変動パターン設定処理に対応する処理(第二変動パターン設定処理))でセットされることにより送信された変動パターンコマンド、始動口通過処理(第一始動口通過処理のステップS45,S47、第二始動口通過処理のステップS55,S57)でセットされることにより送信された保留数指定コマンドや乱数指定コマンド等である。なお、周辺制御基板4010の周辺制御部4140において、周辺制御ROM4140bには、変動パターンコマンドに基づく各変動パターンに対応づけて、液晶表示装置1900で行われる表示演出のパターンとしての「演出パターン」がそれぞれ記憶されている。ステップS602の演出制御処理では、周辺制御MPU4140aが、当該変動パターンコマンドが示す変動パターンに対応した演出パターンを決定し、液晶表示MPU4150aに、当該演出パターンに基づく表示演出を液晶表示装置1900で実行させる。演出制御処理の詳細な処理については、後述する。
また、ステップS603の音制御処理では、スピーカ130,222,262等に関わる制御処理を実行する。ステップS604のランプ制御処理では、パチンコ機1に設けられたランプ・LEDに関わる制御処理を実行する。ステップS605の情報出力処理では、ランプ駆動基板3013にランプ・LEDの点灯信号を送信する処理などを実行する。ステップS606の乱数更新処理では、演出制御処理(ステップS602)で各種設定に用いられる乱数(例えば先読み乱数)を更新する処理を実行する。
なお、16ms定常処理におけるステップS601~ステップS606の処理は16ms以内に終了する。仮に、16ms定常処理を開始してから当該16ms定常処理の終了までに16ms以上かかったとしても、16ms定常処理を開始してから16ms経過したときに直ぐに16ms定常処理を最初から(ステップS601のコマンド解析処理から)実行しない。すなわち、16ms定常処理の実行中に16ms経過したときには、16ms経過フラグのセットのみを行い、当該16ms定常処理の終了後にステップS502で16ms経過フラグがセットされていると判定されたときに16ms定常処理を開始する。
また、この実施の形態では、16ms定常処理にて乱数更新処理(ステップS606)を実行して各種乱数を更新するように構成しているが、各種乱数を更新する時期(タイミング)はこれに限られるものではない。例えば、サブメイン処理におけるループ処理および16ms定常処理のいずれか一方または両方にて各種乱数を更新するように構成してもよい。
以下では、演出制御処理(図182のステップS602)の詳細な処理について説明する。図183は、演出制御処理の処理例を示すフローチャートである。図183に示すように、周辺制御MPU4140aは、遊技の進行状態を示す処理選択フラグの値を参照して、ステップS1210、S1220、S1230の何れかの処理を実行する。処理選択フラグは、例えば周辺制御RAM4140eに保持される。
処理選択フラグが「0」の時に実行される装飾図柄変動開始処理(ステップS1210)では、変動パターンコマンドを受信していれば装飾図柄の変動表示を開始させるための設定を行う。具体的には、変動パターンコマンドおよび大当りコマンドに応じて装飾図柄の停止図柄を決定すると共に、予告演出等の設定を行う。ここで、大当りコマンドとは、図182のステップS601で周辺制御MPU4140aが主制御基板4100から受信するコマンドの1つであり、特別図柄の抽選結果が大当りであることを示すコマンドである。受信された大当りコマンドは、ステップS601のコマンド解析処理によって当該コマンドが示す大当りに関する情報が解析される。
処理選択フラグが「1」の時に実行される装飾図柄変動処理(ステップS1220)では、周辺制御MPU4140aが、特別図柄の変動停止に関する変動停止コマンドを主制御基板4100から受信した時に液晶制御部4150(特に液晶制御MPU4150a)に表示コマンドを送信して装飾図柄の変動表示を停止させる制御を行う。
処理選択フラグが「2」の時に実行される大当り表示処理(ステップS1230)では、周辺制御MPU4140aが、主制御基板4100から送信される大当り開始コマンドに応じて、液晶制御部4150を介して液晶表示装置1900に大当り遊技状態の開始を示す表示や大当り遊技状態中の表示(例えば、ラウンド表示等)をさせる制御を行う。
図184は、装飾図柄変動開始処理の処理例を示すフローチャートである。図184に示すように、まず、周辺制御MPU4140aは、変動パターン受信フラグがセットされているか判別する(ステップS1211)。変動パターン受信フラグは、上述したコマンド解析処理(ステップS601)でセットされ、主制御基板4100から変動パターンコマンドを受信したことを示すフラグである。変動パターン受信フラグは、例えば周辺制御RAM4140eに保持される。ステップS1211において変動パターン受信フラグがセットされていなければ、周辺制御MPU4140aは、変動パターンコマンドを受信していないと判別して処理を終了する。
ステップS1211において変動パターン受信フラグがセットされている場合は、周辺制御MPU4140aは、変動パターン受信フラグをリセットするとともに(ステップS1212)、受信した変動パターンコマンドに基づく変動パターンが大当りを発生させる変動パターン(当りパターン)であるか否かを判別する(ステップS1213)。
ステップS1213において変動パターンが当りパターンである場合(ステップS1213のYES)は、周辺制御MPU4140aは、当該変動パターンに基づいて、大当りを示唆する大当り図柄配列を形成する装飾図柄の停止図柄を決定する(ステップS1214)。また、ステップS1213において変動パターンが当りパターンでない場合(ステップS1213のNO)は、周辺制御MPU4140aは、当該変動パターンに基づいて、はずれを示唆するはずれ図柄配列を形成する装飾図柄の停止図柄を決定する(ステップS1215)。
なお、本実施形態のパチンコ機1において、装飾図柄は、液晶表示装置1900の表示画面に表示される図柄であり、第一特別図柄及び第二特別図柄の変動に伴って変動し、当該特別図柄の停止態様に対応する態様で停止表示される。すなわち、第一特別抽選結果又は第二特別抽選結果が当り(大当り)である場合に、当りパターンの変動パターンを示す変動パターンコマンドが主制御基板4100から周辺制御基板4010(周辺制御部4140、周辺制御MPU4140a)に送信され、第一特別図柄又は第二特別図柄が当り態様で停止表示するのと合わせて、装飾図柄も大当り図柄配列を形成する停止図柄で停止表示される。また、第一特別抽選結果又は第二特別抽選結果が当り(大当り)ではない「はずれ」である場合に、当りパターンではないはずれパターンの変動パターンを示す変動パターンコマンドが主制御基板4100から周辺制御基板4010(周辺制御部4140、周辺制御MPU4140a)に送信され、第一特別図柄又は第二特別図柄がはずれ態様で停止表示するのと合わせて、装飾図柄もはずれ図柄配列を形成する停止図柄で停止表示される。
続いて、周辺制御MPU4140aは、予告判定乱数に基づいて予告演出を実行するか否かの判別を行う予告選択処理を実行し(ステップS1216)、変動パターンに基づく演出パターン(詳細は後述する)と、特別図柄(第一特別図柄又は第二特別図柄)の変動時間に基づいて決定された演出時間(変動時間)と、予告種類格納領域に記憶される予告パターンと、ステップS1214,S1215で決定した装飾図柄の停止図柄と、に応じた表示コマンドをセットする。なお、予告演出を備えないパチンコ機の場合は、ステップS1216における予告選択処理は不要であり、ステップS1217以降の処理においても、予告演出に関連する情報の処理(例えば、予告種類格納領域に対する入出力処理)は不要となる。その後、周辺制御MPU4140aは、処理選択フラグを「1」に更新して(ステップS1218)処理を終了する。
なお、ステップS1217でセットされた表示コマンドは、情報出力処理(図182のステップS605)において液晶制御部4150に送信される。液晶制御部4150の液晶制御MPU4150aは、受信した当該表示コマンドに基づいて、液晶表示装置1900における装飾図柄の変動表示を開始する。周辺制御MPU4140aは、主制御基板4100から演出停止コマンドを受信すると、当該演出停止コマンドを液晶制御部4150の液晶制御MPU4150aに送信し、液晶制御MPU4150aは、受信した演出停止コマンドに基づいて、装飾図柄の変動表示を終了する。
また、ステップS1217において予告種類格納領域に記憶される予告パターンを読みだした場合には、当該予告パターンを読みだした後に、予告種類格納領域の内容をクリアすることによって、次回の装飾図柄の変動表示の際に、以前の装飾図柄の変動表示を開始する時に決定した予告パターンに基づく予告演出が誤って実行されることを防止することができる。
[6-1.当落演出を含む演出パターンの決定]
次に、図184のステップS1217で述べた「変動パターンに基づく演出パターン」について詳しく説明する。「演出パターン」は、主制御基板4100によって決定された(特別図柄の)変動パターンに基づいて、周辺制御基板4010の周辺制御MPU4140aが決定するものであり、言い換えれば、「装飾図柄の変動パターン」である。演出パターン(装飾図柄の変動パターン)は、予め周辺制御ROM4140b等に記憶された複数種類の演出パターンのうちから、実行されるパターンが決定される。このような演出パターンには、当落演出を含む表示演出を実行可能な変動パターン(当落演出を含む演出パターン)と当落演出を含まない表示演出を実行可能な変動パターン(当落演出を含まない演出パターン)とがある。なお、厳密にいえば、当落演出は、リーチ状態を形成する演出と、その後に大当りとなるか否かを示唆する演出(リーチ後演出)とを含むが、ここでは両演出をまとめて当落演出(リーチ演出)と呼ぶ。
そして、周辺制御MPU4140aは、決定した演出パターンが示す演出内容に従って、演出を進行する。この場合、周辺制御MPU4140aは、例えば、音源IC4140cに制御信号(音コマンド)を出力することによってスピーカ121、391から音を出力し、モータ駆動基板3013aに駆動コマンドを出力することによって拳銃ユニット3075を動作させ、液晶制御部4150(液晶制御MPU4150a)に表示コマンドを出力することによって液晶表示装置1900に画像を表示させる。以下では、このような演出パターンのうち、当落演出を含む演出パターンについて詳細に説明する。
図185は、特別図柄変動パターンにおける判定結果と演出時間との関係を説明するための図である。図174,175で前述したように、主制御基板4100は、特別抽選の結果に基づいた判定結果通知コマンド(ステップS125)及び特別図柄の変動パターンに応じた変動パターンコマンド(ステップS147)をセットする。そして、周辺制御MPU4140aは、主制御基板4100から受信した判定結果通知コマンド及び変動パターンコマンドに基づいて、装飾図柄の変動パターンを決定する。図185には、このように周辺制御基板4010に送信される特別図柄変動パターンについて、特別抽選結果(判定結果)と変動時間(演出時間)との関係例がまとめられている。図185では、一例として、第一特別図柄の変動パターン(図175のステップS146参照)の一部について、特別抽選の判定結果(この場合は、通常状態における第一特別抽選結果)と演出時間(変動時間)との関係が示されている(特別図柄変動パターンテーブル)。なお、当落演出に関する以降の説明では、簡略のために第一特別図柄について説明を行うが、これに限定するものではない。
図185の判定結果欄は、判定結果通知コマンドによって通知される特別抽選結果に基づいて、「はずれ」、「低当り」、及び「高当り」に区分されている。例えば図185の「はずれ」欄には、「はずれ」又は「リーチはずれ」を通知する判定結果通知コマンドと組になって送信される変動パターンがまとめられる。なお、図185では、変動時間が20秒以上の変動パターンがまとめられており、このような比較的長い変動時間ではずれパターンの変動パターンでは、全てリーチフラグがセットされる(リーチが形成される)とする。換言すれば、図185に示す「はずれ」の変動パターンは、図173(B)に示したリーチ判定テーブルにおいて「リーチ有」が選択されるような特別乱数に対応した変動パターンであり、所謂、「リーチはずれ」に対応する変動パターンである(本節における以下の説明では、簡略のために、単に「はずれ」、「はずれパターン」と称する)。このようなはずれパターンの特別図柄変動パターンを受信した周辺制御MPU4140aは、当該特別図柄変動パターンに基づく演出パターンとして、当落演出を含む表示演出が実行される変動パターン(当落演出を含む演出パターン)を選択し、選択した変動パターン等に基づいて表示コマンドをセットする(図184のステップS1217参照)。
また、図185の「低当り」欄には、「低当り」に相当する大当りを通知する判定結果通知コマンドと組になって送信される変動パターンがまとめられ、図185の「高当り」欄には、「高当り」に相当する大当りを通知する判定結果通知コマンドと組になって送信される変動パターンがまとめられる。
ここで、本実施形態で用いる「高当り」及び「低当り」は、有利度合いに関する所定の基準に基づいて、パチンコ機1における複数種類の大当りを区分した際の仮称である。前述したように、本実施形態のパチンコ機1では複数種類の大当りが用意されており、具体的には例えば、「4R大当り」、「8R大当り」、「16R大当り」といったような大当り時のラウンド数が異なる大当りがある。また例えば、「確変」や「時短」といったような大当り後に制御される遊技状態が異なる大当りもある。またこの他にも、大当り中の各ラウンドにおける大入賞口2103の開閉パターンを異ならせる大当り(大入賞口2103の開放時間が比較的長い大当りと比較的短い大当り等)を考えることもできる。
本実施形態のパチンコ機1では、このような複数種類の大当りを、有利度合いが比較的高い「高当り」と、「高当り」よりも有利度合いが低い「低当り」とに区分して取り扱うことができ、大当りが「高当り」又は「低当り」の何れであるかによって、後述する当落演出の振分割合を異ならせ得るという特徴を備えている。
以下の実施例の説明では、一例として、確変大当りを「高当り」とし、そのほかの大当り(所謂、通常大当り)を「低当り」とする。すなわち、図173(C)に例示した大当りの特定種別でいえば、特定1~特定5が「高当り」に相当し、特定6が「低当り」に相当する。なお、図173(C)の例示によれば、第一特別図柄による特別抽選(第一特別抽選)において、第一図柄乱数が「40-199(160個)」の場合が「高当り」で第一図柄乱数が「0-39(40個)」の場合が「低当り」となるので、第一特別抽選による「高当り」と「低当り」との比率は、160:40=4:1であるが、以下では、簡略のために、第一特別抽選による「高当り」と「低当り」との比率は1:1であるとして説明を行う。また、「高当り」及び「低当り」の区分や設定に関するその他の例については、[6-5]で詳述する。
図185には、特別図柄の判定結果の区分ごとに、どのような割合で変動パターンの演出時間(変動時間)がどの程度になるかが例示されている。例えば、「はずれ」の場合、34%が20秒の変動時間、50%が30秒の変動時間、15%が60秒の変動時間、1%が120秒の変動時間となる。このとき、「はずれ」時の平均的な変動時間は32秒となる。同様に、「低当り」又は「高当り」の場合は、5%が20秒の変動時間、50%が30秒の変動時間、60%が60秒の変動時間、10%が120秒の変動時間となる。そして、「低当り」時又は「高当り」時の平均的な変動時間は56.5秒となる。したがって、図185に示すような特別図柄の変動パターンであるとき、リーチ演出が現出された際、演出結果がはずれとなる場合よりも当り(低当り又は高当り)となる場合のほうが、平均的な変動時間が長くなりやすい。
また、図185を参照して変動時間が同じ場合の判定結果の内訳を考えると、「はずれ」、「低当り」、「高当り」の何れも分母を100として振分が記載されていることから、各判定結果の振分比によって、変動時間を基準にした場合の各判定結果の現出比率を算出することができる。例えば変動時間30秒の場合、各判定結果の振分数は、「はずれ」が50、「低当り」が25、「高当り」が25となっていることから、現出比率は、「はずれ」:「低当り」:「高当り」=50:25:25=2:1:1である。また、「大当り」は「低当り」及び「高当り」の合計であるから、変動時間30秒の場合の「はずれ」と「大当り」との現出比率は、「はずれ」:「大当り」=50:50=1:1である。すなわち、30秒の変動時間の場合、「はずれ」と「大当り」とが1対1で現出するものであり、大当りに当選することへの期待度(信頼度)は50%である。
また、低当りと高当りとを分けて考えると、「はずれ」:「低当り」:「高当り」=50:25:25=2:1:1という上述の関係から、低当り及び高当りの現出比を1としたときにはずれの現出比は2となる。このとき、1/4(25%)が低当り又は高当りとなり、2/4(50%)がはずれとなるので、30秒の変動時間の場合、「低当り」への当選期待度、及び「高当り」への当選期待度は、それぞれ25%である。
[6-1-1.変動時間30秒での演出パターンの振分(その1)]
図186は、当落演出を含む演出パターンの振分を説明するための図(振分テーブル1A)である。演出パターン(装飾図柄の変動パターン)は、特別図柄の変動パターンに基づいて決定されるが、そのように決定される演出パターンが当落演出(リーチ演出)を含む演出パターンである場合、当落演出を有する複数の演出パターンのうちから実行される演出パターン(実質的には、実行される当落演出と読み換えても問題ない)が選択されることになる。図186は、このような当落演出を含む演出パターンの選択の振分を例示するものであり、特別図柄の変動パターンとして変動時間が「30秒」である際に使用される演出パターンの振分テーブルであり、図186に示す各当落演出の演出時間(装飾図柄の変動時間)は30秒以内である。なお、図185を参照して前述したように、特別図柄の変動パターンにおいて変動時間が30秒である場合には、50%の確率で大当りに当選する(信頼度50%)。換言すれば、図186に示す振分テーブルが使用されるとき、特別抽選の結果は半分(50%)が大当りであり、かつ、特別図柄の変動時間は「30秒」である。なお、図186に示す当落演出の振分は簡略に説明を行うための一例であって、本実施形態のパチンコ機1における当落演出の種別及び種類等を限定するものではない。各振分の設定内容は、予め周辺制御ROM4140b等に記憶されており、周辺制御MPU4140aが必要に応じて読み出すことができる。
本実施形態によるパチンコ機1は、特定の当落演出を含む演出パターンが選択及び実行され、かつ、当該当落演出によって装飾図柄がはずれ図柄配列で停止する場合に、周辺制御RAM4140e等に遊技結果を記憶し(戦歴の記録)、以降の遊技において、複数の演出パターンのうちから当該当落演出を含む演出パターンが選択される振分を変動させることができる。振分の変動に関する具体的な内容について図186を参照して説明する。なお、「特定の当落演出」を含む演出パターンは、「特定の当落演出」が実行される演出パターンであり、このような演出パターンを選択及び決定することは、実質的に「特定の当落演出」を選択及び決定することに同義である。したがって、以降の説明では、簡略のために、「当落演出を含む演出パターン」の代わりに「当落演出」と記載することがある。
まず、図186における「種別」とは、当落演出を大別した種別であり、一例として「通常」、「SP1」、及び「SP2」が設けられている。「SP1」及び「SP2」に含まれる当落演出は、一般的にはスーパーリーチと呼ばれるような当落演出に対応するものであり、「通常」種別の当落演出が現出された場合よりも、大当りへの期待度(信頼度)が比較的高く設定される。図186では、一例として、当落演出の演出内容に基づいて種別が大別されており、「SP1」種別の当落演出では、物語が進行するような態様の演出が進行し、進行結果によって大当り(及びその種類)かはずれかを認識可能な態様で表示される。また、「SP2」種別の当落演出では、一例として、対戦形式による演出が進行し、進行結果によって大当り(及びその種類)かはずれかを認識可能な態様で表示される。また、「SP1」とも「SP2」とも異なる進行態様となる当落演出を「通常」種別にしている。なお、詳細は後述するが、本実施形態のパチンコ機1における当落演出の振分は、当落演出の現出状況(どの当落演出が選択及び実行されたか、さらには、当該当落演出が大当りに結び付いたか否か、等)に応じた「戦歴」の蓄積によって振分内容が変更されるという特徴を有しているが、戦歴の蓄積による変更を受ける前の「初期設定」(戦歴Pに相当)において、種別ごとの大当りへの期待度(信頼度)は、「通常」、「SP1」、次いで「SP2」の順に高く設定されている、とする。図186に記載された当落演出の演出内容は、図190~192で具体例を挙げて説明する。
図186における「演出名称」とは、各当落演出の呼称例である。例えば、「通常」種別に含まれる演出名称には「ノーマル」及び「ロング」が記載され、「SP1」種別に含まれる演出名称には「ストーリーA」、「ストーリーB」、及び「ストーリーC」が記載され、「SP2」種別に含まれる演出名称には「バトルA」、「バトルB」、及び「バトルC」が記載されている。「SP1」、「SP2」における「A」~「C」は、各当落演出の実行時に液晶表示装置1900に表示されるキャラクタや場面等を区別したものである。
また、図186における「戦歴」とは、当落演出の振分の組合せを示す区分であり、どの戦歴の振分が用いられるかは、遊技の経過に伴う当落演出の現出状況に基づいて選択される。当落演出の振分について具体的に図186を参照すると、例えば、「戦歴P」が用いられるとき、はずれパターンの変動パターンを示す変動パターンコマンドを主制御基板4100から受信したことに基づいて周辺制御MPU4140aが決定する当落演出は、分母100のうちの30の振分(すなわち30%)で「ノーマル」の当落演出(ノーマルリーチ)が選択され、14の振分(14%)で「ロング」の当落演出(ロングリーチ)が選択され、20の振分(20%)で「ストーリーA」の当落演出(ストーリーAリーチ)が選択される(図186の振分「X1-P」に相当)。振分「X1-P」において、全当落演出のうち最も選択されやすいのはノーマルリーチであり、最も選択されにくいのは「バトルC」の当落演出(バトルCリーチ)である。また、低当りパターンの変動パターンを示す変動パターンコマンドを主制御基板4100から受信したことに基づいて周辺制御MPU4140aが決定する当落演出は、分母100のうちの1の振分(1%)で「ノーマル」の当落演出(ノーマルリーチ)が選択され、3の振分(3%)で「ロング」の当落演出(ロングリーチ)が選択され、3の振分(3%)で「ストーリーA」の当落演出(ストーリーAリーチ)が選択される(図186の振分「Y1-P」に相当)。振分「Y1-P」において、全当落演出のうち最も選択されやすいのは「バトルC」の当落演出(バトルCリーチ)である。また、図186の戦歴Pにおいて、高当りパターンの振分(図186の振分「Z1-P」に相当)は低当りパターンの振分「Y1-P」と同じに設定されているので、高当りパターンの変動パターンを示す変動パターンコマンドの場合に決定される当落演出も同様である。
なお、図186では、戦歴ごとに、当り(大当り)の際に選択される当落演出の振分の少なくとも一部が異なるように設定されている。ここでは、一例として、パチンコ機1の初期設定としての振分の組み合わせを「戦歴P」とし、はずれ図柄配列で停止する特定の当落演出の実行に基づいて、「戦歴Q」、さらには「戦歴R」に選択先が移行するものとする。特別抽選の抽選結果ごとに言えば、戦歴の選択先が「戦歴Q」の場合、「はずれ」時には振分「X1-Q」が、「低当り」時には振分「Y1-Q」が、「高当り」時には振分「Z1-Q」が用いられる。また、戦歴の選択先が「戦歴R」の場合、「はずれ」時には振分「X1-R」が、「低当り」時には振分「Y1-R」が、「高当り」時には振分「Z1-R」が用いられる。そして、戦歴の選択先が移行する移行条件の具体例として、「はずれ」時に「バトルA」の当落演出が選択された場合(すなわち、はずれのバトルAリーチが現出する場合)に、1回選択されるごとに、「戦歴P」から「戦歴Q」、さらには「戦歴R」の順に選択先が移行するものとし、選択先が「戦歴R」になった以降は、大当りに当選するまで選択先は「戦歴R」から変更されないとする。以下では、このような戦歴の移行条件に従って図186を用いた場合にどのような演出パターンの選択が行われるかについて説明する。
まず、初期設定における振分の選択先である「戦歴P」の場合、はずれとなる演出パターンのうちでバトルAリーチが選択される割合は12%であり、当りとなる演出パターンのうちでバトルAリーチが選択される割合は8%である。こうして選択された当落演出(を含む演出パターン)に基づく表示コマンドに応じて、液晶表示装置1900では、バトルAリーチが表示される(現出する)ことになり、はずれとなる演出パターンの場合は、はずれ態様で装飾図柄が変動停止し、当りとなる演出パターンの場合は大当り態様で装飾図柄が変動停止する。当りとなる演出パターンには、低当りを示す演出パターンと高当りを示す演出パターンとが含まれるが、低当りが通常大当り、高当りが確変大当りだとすれば、低当りを示す演出パターンの場合は、通常大当りの大当り態様で装飾図柄が変動停止し、高当りを示す演出パターンの場合は、確変大当りの大当り態様で装飾図柄が変動停止する。または、これ以外に低当りでも高当りでも同様の装飾図柄を変動停止させ、大当り遊技中に低当りなのか高当りなのかを教示するようにしてもよい。そのようにすることで、特別抽選の結果が低当りの場合であっても、高当りへの期待を遊技者に持たせて大当り遊技を遊技させることができる。
ここで、図186の振分テーブル1Aは変動時間が30秒である場合に用いられ、図185を参照しながら前述したように、変動時間が30秒である場合の判定結果の内訳は、「はずれ」:「低当り」:「高当り」=2:1:1であり、「はずれ」:「大当り」=1:1である。したがって、図186の振分テーブルが用いられるとき、「低当り」への当選期待度、及び「高当り」への当選期待度は、それぞれ25%であり、「大当り」への当選期待度は50%である。
また、変動パターンテーブル(図185)及び振分テーブル(図186)を参照することにより、特定の当落演出が現出された場合の大当りへの期待度を算出することができる。特定の当落演出が現出された場合の大当りへの期待度は、『出現比率を配分した当りの振分』の『個々の出現比率を配分した各振分の全体和』に対する比率で算出できる。例えば、戦歴PにおいてバトルAリーチが現出された場合の大当りへの期待度を考察すると、図186を参照すれば、低当りの振分は8(振分Y1-P)、高当りの振分は8(振分Z1-P)で、はずれの振分は12(振分X1-P)である。そして、図185から、各出現比率は、低当り及び高当りがそれぞれ1であるのに対してはずれが2である。以上から、戦歴PにおいてバトルAリーチが現出された場合の大当りの期待度は、
〔(8×1+8×1)/((8×1+8×1)+(12×2))〕×100
の算出式を用いて、『40.0%』であることが示される。
また、戦歴PにおいてバトルAリーチが現出された場合の高当りへの期待度については、〔(8×1)/((8×1+8×1)+(12×2))〕×100
の算出式を用いて、『20.0%』であることが示される。
以降の説明においても、上述したような方法を用いて大当りの期待度(信頼度)の算出を行うが、途中の算出式は適宜省略する。
次に、戦歴PではずれのバトルAリーチが選択された場合に、周辺制御MPU4140aは、特定の当落演出(ここでは、バトルAリーチ)によって大当りに当選しなかったこと(換言すれば、はずれの特定の当落演出が現出されたこと)を記録し、所定条件を満たした場合(後段の例で言えば、演出結果記憶フラグのフラグ値が「1」になった場合)に、以降の遊技における当落演出の振分の選択先を「戦歴Q」に変更する。
ここで、特定の当落演出によって大当りに当選しなかったことを記録する「戦歴の記録」の方法としては例えば、周辺制御RAM4140e内に所定のフラグ(演出結果記憶フラグ)を保持させ、周辺制御MPU4140aがフラグ値を更新(追加)すればよい。演出結果記憶フラグに対するフラグ値の更新タイミングは、バトルAリーチが選択されたときに限定するものではなく、例えば、バトルAリーチによる表示演出が液晶表示装置1900に現出し、装飾図柄がはずれ態様で停止したタイミングや、当該遊技における特別図柄の停止タイミング等であってもよい。何れにしても、特定の当落演出(はずれのバトルAリーチ)が現出することに基づいて書き換えられる演出結果記憶フラグのフラグ値に応じて、周辺制御MPU4140aは振分の選択先を決定するようにすればよく、例えば、演出結果記憶フラグのフラグ値が「0」である場合は、戦歴Pを選択するとし、当該フラグ値が「1」に更新(追加)された場合は戦歴Qを選択するとし、当該フラグ値が「2」に更新(追加)された場合は戦略Rを選択するものとすればよい。また、「戦歴の記録」の際に記憶される情報は、前述のように所定条件が成立したことに基づいて値が変更されるフラグ(演出結果記憶フラグ)のような形態に限定されるものではない。例えば、特定の当落演出に対応するリーチパターンを特定可能なコマンドやデータを記憶するようにしてもよく、また、記憶先についても、周辺制御基板4010の記憶媒体に限定するものではなく、主基板4100の記憶媒体又は別基板等の記憶媒体、或いは、それらの複数に亘って記憶するようにしてもよい。
なお、本例では、「戦歴の記録」に関する情報は周辺制御MPU4140aによって周辺制御RAM4140eに格納されるとしているが、このように「戦歴の記録」に関する情報が周辺制御基板4010で管理される場合には、周辺制御MPU4140aは、特別図柄の変動パターンに示される特別図柄の変動時間以内という条件下で、「戦歴の記録」に基づいて装飾図柄の演出パターンを選択することができるため、特別図柄の変動パターンと1対1に対応しない多様な演出の選択を実現することができる。また、別例として「戦歴の記録」に関する情報が主制御基板4100で管理される場合には、主制御MPU4100aが、「戦歴の記録」に基づいて特別図柄の変動パターンを選択するようにすれば、「戦歴の記録」に基づいて特別図柄の変動時間を変更することも可能となる。そうして例えば、特別図柄の変動時間を短縮すると、1回の遊技消化に要する時間が短縮されるため、単位時間当りの回転数を向上させ、遊技効率を高めることが期待できる。また例えば、特別図柄の変動時間を延長すると、図柄が変動表示していない非回転期間を減らすことができるため、遊技中の期間を延ばして遊技の合間を生じにくくする効果が期待できる。
「戦歴Q」では、「戦歴P」と比較すると、当りの演出パターンにおける振分の一部が変更されている。図186を参照して具体的な振分の変更内容を確認する。各振分の変更は、はずれパターンについては振分X1-Pと振分X1-Qとを比較すればよく、低当りパターンについては振分Y1-Pと振分Y1-Qとを比較すればよく、高当りパターンについては振分Z1-Pと振分Z1-Qとを比較すればよい。このとき、はずれパターン及び低当りパターンでは、戦歴Pから戦歴Qになっても振分内容に変化はない。しかし、高当りパターンでは、SP1種別の当落演出のうち、ストーリーAリーチの振分が「3」から「1」に2減少し、ストーリーBリーチの振分が「5」から「3」に2減少し、ストーリーCリーチの振分が「10」から「5」に5減少する。合計すると、SP1種別全体の当落演出(ストーリーA~C)の振分は、戦歴Pでは「18」だったところが戦略Qでは「9」になって9減少する。さらに高当りパターンでは、SP2種別の当落演出のうち、バトルAリーチの振分が「8」から「17」に9増加し、SP2種別全体の当落演出(バトルA~C)の振分は、戦歴Pでは「78」だったところが「87」になって9増加する。
また、「戦歴Q」による振分を、各当落演出が現出された場合の大当りへの期待度(信頼度)によって「戦歴P」の場合と比較すると、次のようになる。各当落演出に関する信頼度は、前述したバトルAリーチの信頼度と同様にして算出している。
まず、「戦歴P」及び「戦歴Q」における大当り(低当り及び高当りを合わせたもの)の信頼度については、
戦歴Pでは、
ストーリーAリーチの信頼度は13.0%(6/46×100)、
ストーリーBリーチの信頼度は33.3%(10/30×100)、
ストーリーCリーチの信頼度は62.5%(20/32×100)であり、
SP1種別全体の信頼度は33.3%(36/108×100)である。
また、バトルAリーチの信頼度は40.0%(16/40×100)、
バトルBリーチの信頼度は80.0%(40/50×100)、
バトルCリーチの信頼度は94.3%(100/106×100)であり、
SP2種別全体の信頼度は79.6%(156/196×100)である。
一方、戦歴Qでは、
ストーリーAリーチの信頼度は9.1%(4/44×100)、
ストーリーBリーチの信頼度は28.6%(8/28×100)、
ストーリーCリーチの信頼度は55.6%(15/27×100)であり、
SP1種別全体の信頼度は27.3%(27/99×100)である。
また、バトルAリーチの信頼度は51.0%(25/49×100)、
バトルBリーチの信頼度は80.0%(戦歴Pと変わらず)、
バトルCリーチの信頼度は94.3%(戦歴Pと変わらず)であり、
SP2種別全体の信頼度は80.5%(165/205×100)である。
すなわち、大当りへの期待度について「戦歴P」と「戦歴Q」とを比較すると、「戦歴Q」では、「戦歴P」に比べて、SP1種別の各当落演出(ストーリーA~C)及び種別全体における大当りへの期待度が低下する一方で、SP2種別の特定の当落演出(バトルA)及び種別全体における大当りへの期待度が向上する。また、SP2種別のうち特定の当落演出以外の当落演出(バトルB,C)における大当りへの期待度は変化しない。
上記のような期待度(信頼度)の変化は、特に高当りにおいて顕著となる。「戦歴P」及び「戦歴Q」における高当りの信頼度(高当りすることへの期待度)については、
戦歴Pでは、
ストーリーAリーチの信頼度は6.5%(3/46×100)、
ストーリーBリーチの信頼度は16.7%(5/30×100)、
ストーリーCリーチの信頼度は31.3%(10/32×100)であり、
SP1種別全体の信頼度は16.7%(18/108×100)である。
また、バトルAリーチの信頼度は20.0%(8/40×100)、
バトルBリーチの信頼度は40.0%(20/50×100)、
バトルCリーチの信頼度は47.2%(50/106×100)であり、
SP2種別全体の信頼度は39.8%(78/196×100)である。
一方、戦歴Qでは、
ストーリーAリーチの信頼度は2.3%(1/44×100)、
ストーリーBリーチの信頼度は10.7%(3/28×100)、
ストーリーCリーチの信頼度は18.5%(5/27×100)であり、
SP1種別全体の信頼度は9.1%(9/99×100)である。
また、バトルAリーチの信頼度は34.7%(17/49×100)、
バトルBリーチの信頼度は40.0%(戦歴Pと変わらず)、
バトルCリーチの信頼度は47.2%(戦歴Pと変わらず)であり、
SP2種別全体の信頼度は42.4%(87/205×100)である。
すなわち、高当りへの期待度について「戦歴P」と「戦歴Q」とを比較すると、「戦歴Q」では、「戦歴P」に比べて、SP1種別の各当落演出(ストーリーA~C)及び種別全体における高当りへの期待度が大幅に低下する。例えば、SP1種別全体の高当りの信頼度は、戦歴Pでは16.7%であるのが、戦歴Qでは9.1%にまで低下している。一方で、SP2種別の特定の当落演出(バトルA)及び種別全体における高当りへの期待度が大幅に向上する。例えば、バトルAの高当りの信頼度は、戦歴Pでは20.0%であるのが、戦歴Qでは34.7%にまで向上している。また、SP2種別のうち特定の当落演出以外の当落演出(バトルB,C)における高当りへの期待度は、大当りに対する期待度と同様、変化しない。
次に、戦歴QではずれのバトルAリーチが選択された場合に、周辺制御MPU4140aは、戦歴Pの場合と同様に、特定の当落演出(ここでは、バトルAリーチ)によって大当りに当選しなかったことを周辺制御RAM4140e(演出結果記憶フラグ)に記録する。この処理によって、演出結果記憶フラグのフラグ値が「1」から「2」に更新(追加)された場合は、周辺制御MPU4140aは、以降の遊技における当落演出の振分の選択先を「戦歴R」に変更する。
「戦歴R」では、「戦歴Q」から更に、当りの演出パターンにおける振分の一部が変更されている。図186を参照して具体的な振分の変更内容を確認する。各振分の変更は、はずれパターンについては振分X1-Qと振分X1-Rとを比較すればよく、低当りパターンについては振分Y1-Qと振分Y1-Rとを比較すればよく、高当りパターンについては振分Z1-Qと振分Z1-Rとを比較すればよい。このとき、はずれパターン及び低当りパターンでは、戦歴Qから戦歴Rになっても振分内容に変化はない。しかし、高当りパターンでは、SP1種別の当落演出のうち、ストーリーAリーチの振分は「1」のままであるが、ストーリーBリーチの振分が「3」から「1」に2減少し、ストーリーCリーチの振分が「5」から「1」に4減少する。合計すると、SP1種別全体の当落演出(ストーリーA~C)の振分は、戦歴Pでは「9」だったところが戦略Qでは「3」になって6減少する。さらに高当りパターンでは、SP2種別の当落演出のうち、バトルAリーチの振分が「17」から「23」に6増加し、SP2種別全体の当落演出(バトルA~C)の振分は、戦歴Pでは「87」だったところが「93」になって9増加する。
このとき、「戦歴P」や「戦歴Q」の説明と同様に、「戦歴R」の振分における、各当落演出が現出された場合の大当りへの期待度(信頼度)、及び、高当りへの期待度(信頼度)は、以下のようになる。
まず、「戦歴R」における大当り(低当り及び高当りを合わせたもの)の信頼度については、
ストーリーAリーチの信頼度は9.1%(4/44×100)、
ストーリーBリーチの信頼度は23.1%(6/26×100)、
ストーリーCリーチの信頼度は47.8%(11/23×100)であり、
SP1種別全体の信頼度は22.6%(21/93×100)である。
また、バトルAリーチの信頼度は56.4%(31/55×100)、
バトルBリーチの信頼度は80.0%(戦歴P,Qと変わらず)、
バトルCリーチの信頼度は94.3%(戦歴P,Qと変わらず)であり、
SP2種別全体の信頼度は81.0%(171/211×100)である。
すなわち、大当りへの期待度について「戦歴Q」と「戦歴R」とを比較すると、「戦歴R」では、「戦歴Q」に比べて、SP1種別の当落演出(ストーリーB,C)及び種別全体における大当りへの期待度が低下する一方で、SP2種別の特定の当落演出(バトルA)及び種別全体における大当りへの期待度が向上する。また、SP2種別のうち特定の当落演出以外の当落演出(バトルB,C)の信頼度は変化しない。
また、「戦歴R」における高当りの信頼度については、
ストーリーAリーチの信頼度は2.3%(戦歴Qと変わらず)、
ストーリーBリーチの信頼度は3.8%(1/26×100)、
ストーリーCリーチの信頼度は4.3%(1/23×100)であり、
SP1種別全体の信頼度は3.2%(3/93×100)である。
また、バトルAリーチの信頼度は34.7%(23/55×100)、
バトルBリーチの信頼度は40.0%(戦歴P,Qと変わらず)、
バトルCリーチの信頼度は47.2%(戦歴P,Qと変わらず)であり、
SP2種別全体の信頼度は44.1%(93/211×100)である。
すなわち、高当りへの期待度について「戦歴Q」と「戦歴R」とを比較すると、「戦歴R」では、「戦歴Q」に比べて、SP1種別の各当落演出(ストーリーB,C)及び種別全体における高当りへの期待度が大幅に低下する。例えば、SP1種別全体の高当りの信頼度は、戦歴Qでは9.1%であるのが、戦歴Rでは3.2%にまで低下している。一方で、SP2種別の特定の当落演出(バトルA)及び種別全体における高当りへの期待度が大幅に向上する。例えば、バトルAの高当りの信頼度は、戦歴Qでは34.7%であるのが、戦歴Rでは41.8%にまで向上している。また、SP2種別のうち特定の当落演出以外の当落演出(バトルB,C)における高当りへの期待度は、大当りに対する期待度と同様、変化しない。
図187は、振分テーブル1Aを用いて各当落演出が現出された際の信頼度をまとめた図である。図187の各欄には、上述したような算出方法によってそれぞれ求めた信頼度が記載されている。
このように、図186に例示した振分テーブル1Aを用いることによって、特定の当落演出(バトルAリーチ)が大当りとならずに(はずれで)現出されたことに基づいて振分の組合せを変更し、当該変更後の以降の遊技において、特定の当落演出以外の少なくともいくつかの当落演出(その他の当落演出:ストーリーA~C)が当りパターン(厳密には高当りパターン)で選択される振分は低く抑えられる一方で、特定の当落演出が当りパターン(厳密には高当りパターン)で選択される振分を多くすることができる。なお、選択先の戦歴が移行しても、はずれパターンで選択される振分の配分は変更されない。その結果、振分の組合せ(戦歴)が変更された後の遊技において、振分が低く抑えられた「その他の当落演出」が現出された場合の大当り及び高当りに対する期待度(信頼度)は、変更前の信頼度よりも低下する一方、特定の当落演出が現出された場合の信頼度を変更前の信頼度よりも高めることができる。
また、振分の組合せ(戦歴)の選択先が複数段階移行する場合は、選択先が移行するごとに、上述のような振分の変更が行われることから、以降の遊技において、特定の当落演出が当りパターンで選択される振分を更に多くすることができ、特定の当落演出が現出された場合の大当り及び高当りに対する期待度も更に高めることができる。
[6-1-2.変動時間30秒での演出パターンの振分(その2)]
図188は、当落演出を含む演出パターンの振分を説明するための図(振分テーブル1B)である。図188に示す振分テーブル1Bは、図186に示した振分テーブル1Aの代わりに用いることができる、演出パターンの振分テーブルの別例である。振分テーブル1Bは、振分テーブル1Aと同様に、特別図柄の変動パターンとして変動時間が「30秒」である際に使用される演出パターンの振分テーブルであり、図188に示す各当落演出の演出時間(装飾図柄の変動時間)は30秒以内である。なお、図185を参照して前述したように、特別図柄の変動パターンにおいて変動時間が30秒である場合には、50%の確率で大当りに当選する(信頼度50%)。換言すれば、図186に示す振分テーブルが使用されるとき、特別抽選の結果は半分(50%)が大当りであり、かつ、特別図柄の変動時間は「30秒」である。なお、図188に示す当落演出の振分は簡易的に説明を行うための一例であって、本実施形態のパチンコ機1における当落演出の種別及び種類等を限定するものではない。各振分の設定内容は、予め周辺制御ROM4140b等に記憶されており、周辺制御MPU4140aが必要に応じて読み出すことができる。
図188に示す振分テーブル1Bは、振分テーブル1Aと同様に特定の当落演出(バトルAリーチ)がはずれ態様で現出されたことに基づいて戦歴の記録が行われることに基づいて、選択先の戦歴が「戦歴P」から「戦歴Q」、「戦歴R」へと移行するものである。振分テーブル1Bが振分テーブル1Aと異なる所は、戦歴の移行に伴う振分の内訳であり、以下に具体的に説明する。
振分テーブル1Bでは、「戦歴P」から「戦歴Q」に移行する際に、高当りパターンにおいて、SP2種別の当落演出のうち、「特定の当落演出」であるバトルAリーチの振分が「8」から「23」に15増加し、SP2種別の他の当落演出であるバトルBリーチの振分が「20」から「15」に5減少し、バトルCリーチの振分が「50」から「40」に10減少する。なお、高当りパターンにおけるSP2種別全体の当落演出(バトルA~C)の振分は、「78」のまま変わらない。また、SP2種別以外の種別(当落演出群)である通常種別やSP1種別に含まれる当落演出の振分は変更されない。
また、振分テーブル1Bでは、「戦歴Q」から「戦歴R」に移行する際も、「戦歴P」から「戦歴Q」に移行する際と同様に、高当りパターンにおける振分が変更される。このような振分の変更は、SP2種別に含まれる当落演出間だけで行われ、他の種別に含まれる当落演出には影響しない。具体的には、高当りパターンにおけるSP2種別の当落演出のうち、「特定の当落演出」であるバトルAリーチの振分が「23」から「43」に20増加し、SP2種別の他の当落演出であるバトルBリーチの振分が「15」から「10」に5減少し、バトルCリーチの振分が「40」から「25」に15減少する。高当りパターンにおけるSP2種別全体の当落演出(バトルA~C)の振分は、「78」のまま変わらず、SP2種別以外の種別(当落演出群)である通常種別やSP1種別に含まれる当落演出の振分も変更されない。
図189は、振分テーブル1Bを用いて各当落演出が現出された際の信頼度をまとめた図である。各欄の信頼度は、振分テーブル1Aの場合の図187と同様の算出式を用いて算出しているが、詳細な記載は省略する。
図188,189を参照すると、振分テーブル1Bを用いて各当落演出が現出された際の信頼度は、種別全体ごとの大当り又は各当りに対する信頼度に変化はなく、SP2種別の特定の当落演出(バトルA)における大当り及び高当りへの期待度が向上する一方で、それ以外のSP2種別の当落演出(バトルB,C)の大当り及び高当りへの期待度が低下することが示される。この特徴は、「戦歴P」から「戦歴Q」を経て「戦歴R」に移行することによってより大きく現れる。具体的には、戦歴Pのとき、特定の当落演出(バトルAリーチ)が現出されたときの大当りの信頼度は40.0%であるが、戦歴Qになると56.4%になり、さらに戦歴Rでは68.0%にまで向上している。また、高当りへの期待度の変化はさらに顕著であり、バトルAリーチが現出されたときの高当りの信頼度は、戦歴Pのときは20.0%であるが、戦歴Qになると41.8%と倍以上に高まり、さらに戦歴Rになれば57.3%となり、戦歴Pと比べると3倍近い信頼度に向上する。一方で、特定の当落演出であるバトルAリーチと同種別のバトルBリーチ及びバトルCリーチの高当りパターンの振分が抑制されているが、SP2種別全体の信頼度は戦歴の移行によって変化していない。
このような振分テーブルによれば、特定の当落演出(バトルA)が大当りとならずに(はずれで)現出されたことに基づいて振分の組合せを変更し、当該変更後の以降の遊技において、特定の当落演出が含まれる当落演出群(種別)のうちの当該特定の当落演出以外の少なくともいくつかの当落演出(同一種別内の他の当落演出:バトルB,C)が当りパターン(厳密には高当りパターン)で選択される振分を低く抑えられる一方で、特定の当落演出が当りパターン(厳密には高当りパターン)で選択される振分を多くすることができる。なお、選択先の戦歴が移行しても、はずれパターンで選択される振分の配分は変更されない。その結果、振分の組合せ(戦歴)が変更された後の遊技において、振分が低く抑えられた「同一種別内の他の当落演出」が現出された場合の大当り及び高当りに対する期待度(信頼度)は、変更前の信頼度よりも低下する一方、特定の当落演出が現出された場合の信頼度を変更前の信頼度よりも高めることができる。
[6-1-3.変動時間30秒での演出パターンの特徴]
以上、振分テーブル1A(図186参照)や振分テーブル1B(図188参照)を用いて説明してきたように、本実施形態のパチンコ機1によれば、特定の当落演出がはずれ態様で現出されたことに基づいて戦歴の記録が行われ、当該戦歴の記録に基づいて振分の組合せが変更される(戦歴の移行)ことにより、戦歴の移行後に当該特定の当落演出が現出された場合に、大当りに対する期待度を高めることができ、特に、有利度の高い高当りに対する期待度を高めることができるものである。
また、本実施形態のパチンコ機1では、特定の当落演出を含む演出パターンが選択及び実行され、かつ、当該当落演出によって装飾図柄がはずれ図柄配列で停止する場合に、周辺制御MPU4140aが周辺制御RAM4140e等に遊技結果を記憶する「戦歴の記録」を行うが、このような「戦歴の記録」で記憶された当該当落演出に関する情報を遊技者に教示するようにしている(戦歴の教示)。戦歴の教示は、例えば、周辺制御MPU4140aによる指示に従って、液晶制御MPU4150aが液晶表示装置1900の表示領域に、特定の当落演出ではずれたことを示唆するような所定の画像等を表示することによって実現される。そして、戦歴の教示が行われることによって、当該教示された内容に関する当落演出の大当りに対する期待度が向上することが、遊技者に教示される。具体的には例えば、バトルAリーチに対応するキャラクタ「A」を示唆する態様で戦歴の教示が行われた(後述の図192に示す教示領域1900aに相当)場合、キャラクタ「A」が強化されている状態(キャラクタのパワーアップ)が示され、これを見た遊技者は、キャラクタ「A」に関する当落演出であるバトルAリーチについて、大当りの期待度が高くなることを認識できる。すなわち、バトルAに関する戦歴の教示が行われることによって、キャラクタ「A」がパワーアップしていることを遊技者から認識可能にし、以降の遊技でバトルAリーチが現出された際に大当りに期待しやすい状況を教示する。なお、キャラクタ「A」がパワーアップしている状況の認識を補足するために『キャラクタAパワーアップ中』といった文字等を表示するようにしてもよい(パワーアップ状態の補足表示)。但し、パワーアップ状態の補足表示が行われる場合でも、当落演出(バトルAリーチ)による表示に対して邪魔にならない領域(所謂「バトルAリーチが当るか否かを遊技者が認識する領域」に重ならない領域)に表示されることが望ましい。このように、当落演出の表示を邪魔しない領域でパワーアップ状態の補足表示が行われることで、当該補足表示によるパワーアップしたキャラクタに対する認識と、当落演出の表示による当落結果の認識との双方を満足させることができる。
このような戦歴の教示に用いられる画像データ等は、例えば液晶制御部4150内の液晶制御ROM4150bやキャラROM4150dに格納されており、戦歴の教示が行われる際に、液晶制御MPU4150a(又はVDP4150c)によって適当な画像データが読み出されて液晶表示装置1900に描画される。戦歴の教示の具体例については、次節で改めて説明するが、液晶表示装置1900でこのような教示が行われている遊技状況で特定の当落演出が現出された場合に、遊技者は、当該特定の当落演出による信頼度が従来(例えば初期設定)よりも高いことを認識し得ることから、大当りへの期待感をより高めることができ、興趣の向上が期待できる。
また、液晶表示装置1900で振分テーブル1Aを用いて上記のような戦歴の教示が行われている場合には、バトルBリーチやバトルCリーチといった、元から信頼度が比較的高い当落演出以外に、特定の当落演出(バトルAリーチ)が発生しても信頼度が高くなることから、遊技者はリーチ状態が発生することに対してより期待感を抱くようになる。また、振分テーブル1Bを用いて上記のような戦歴の教示が行われている場合には、バトルBリーチやバトルCリーチといった元の信頼度が比較的高い当落演出の信頼度がある程度確保されたまま(例えば期待度50%以上)、同一種別に含まれる特定の当落演出(バトルAリーチ)が発生した場合でも信頼度が高くなることから、遊技者はリーチ状態が発生することに対してより期待感を抱くようになる。したがって、本実施形態によるパチンコ機1によれば、遊技進行に関する遊技者の期待感を向上させることが期待できるとともに、当該戦歴の教示が行われている状況下では、遊技を終了すると勿体ない等の気持ちを抱かせ、遊技の続行意欲を高めることも期待できるものである。
なお、上述の説明で用いた「特定の当落演出」は、戦歴の移行に伴って振分の配分が高められ得る当落演出(又は、当該当落演出を含む演出パターンと読み替えてもよい)であり、例えば設計段階で予め定められる。また、本実施形態のパチンコ機1では、「特定の当落演出」が複数種類の当落演出であってもよい。具体的には、図186,188では、特定の当落演出として「バトルAリーチ」だけに注目した「戦歴P」~「戦歴R」を例示したが、本実施形態のパチンコ機1では、「特定の当落演出」は1種類の当落演出(又は当落演出を含む演出パターン)に限定するものではない。例えば、バトルAリーチ及びバトルBリーチをそれぞれ「特定の当落演出」とする場合には、バトルAに関する戦歴の複数段階の移行と、バトルBに関する戦歴の複数段階の移行とを組み合わせるような実施形態が考案できる。そして、バトルBに関する戦歴の移行では、振分テーブル1Aを用いる場合は、バトルAに関する戦歴の移行と同様に、高当りパターンでのストーリーA~Cの振分を減少させて高当りパターンでのバトルBを増加させるようにすればよい。また、振分テーブル1Bを用いる場合は、高当りパターンでのSP2種別の他の当落演出(バトルA,C)の振分を減少させて高当りパターンでのバトルBの振分を増加させるようにすればよい。このとき、戦歴の教示として、バトルAに対応するキャラクタAとバトルBに対応するキャラクタBとがそれぞれパワーアップしているような教示が行われる。
なお、振分テーブル1Bを用いて同一種別内の複数の当落演出をそれぞれ「特定の当落演出」として戦歴の記録の対象とする場合、各当落演出の現出に基づくそれぞれの戦歴の記録によって、振分の配分が干渉されることが想定されるが、このような場合の処理を特に限定するものではなく、各当落演出が現出して戦歴が記録されるたびに、柔軟に振分が変更されるようにすればよい。具体例を挙げると、バトルAリーチ及びバトルBリーチをそれぞれ「特定の当落演出」とする場合に、バトルAに関する戦歴の移行時には、高当りパターンの振分について、1段階移行するごとにバトルBリーチの振分を「5」、バトルCリーチの振分を「3」減少させてバトルAリーチの振分を「8」増加させるとし、バトルBに関する戦歴の移行時には、1段階移行するごとにバトルAリーチの振分を「4」、バトルCリーチの振分を「3」減少させてバトルBリーチの振分を「7」増加させるようにすればよい。このときの増減幅についても限定されるものではなく、適宜設定するようにしてもよい。後述の図190~192では、バトルA~Cリーチのそれぞれで戦歴が移行する場合の画面例が示されている。また、「特定の当落演出」はSP2種別のバトルリーチに限定するものではなく、別の種別の当落演出であってもよいが、このような場合、当該当落演出と同じ種別(当落演出群)に含まれる他の当落演出の振分が抑制される。
さらに、本実施形態のパチンコ機1では、複数種類の当落演出を「特定の当落演出」の対象候補として予め設定し、当該対象候補のうちから遊技者の希望に応じて「特定の当落演出」を指定可能にしてもよい。このような指定の具体的な操作としては例えば、遊技者の所定操作に応じて液晶表示装置1900に入力画面を表示可能にし、当該入力画面に対する操作を遊技者が行ったことに基づいて、「特定の当落演出」を決定する。内部的な処理としては、対象候補の各当落演出に関する戦歴の移行について振分の変更を管理する振分テーブルを予め周辺制御ROM4140bに格納しておき、周辺制御MPU4140aが、遊技者の操作によって選択された「特定の当落演出」に基づいて、当落演出の選択に使用する振分テーブルを決定すればよい。
[6-2.当落演出の実施例]
ここでは、図186,188に記載した当落演出について、図190~192を参照しながら、変動時間が30秒の特図変動パターンに基づいて実行される当落演出の種別ごとに演出内容を説明する。各図に例示された演出は、周辺制御MPU4140aによって選択された演出パターンに応じて実行されるものであり、当該演出パターンに基づいて液晶制御MPU4150aが液晶表示装置1900に表示させる。
図190は、通常種別の当落演出が実行されるときの演出画像の遷移を説明するための図である。図190(A)~(D)は、それぞれ、液晶表示装置1900における演出画像を模式的に示している。図190(A)において、教示領域1900a,1900b,1900cは、戦歴の記録が行われたはずれの当落演出に関する情報が示される領域である。具体的には例えば、教示領域1900aは、バトルAリーチがはずれで現出されたことに基づいて、バトルAに関する戦歴の記録が行われたことを教示(示唆)するための領域であり、バトルAリーチによる戦歴の記録に基づいて、例えば「A」の文字の背景に所定色で発光する画像が表示される。同様に教示領域1900bは、バトルBリーチがはずれで現出されたことに基づいてバトルBに関する戦歴の記録が行われたことを教示(示唆)するための領域であり、教示領域1900cは、バトルCリーチがはずれで現出されたことに基づいてバトルCに関する戦歴の記録が行われたことを教示(示唆)するための領域であり、教示領域1900aと同様に、「B」や「C」の文字の背景に所定色で発光する画像が表示可能にされている。図190(A)~(D)では、教示領域1900a~1900cは特に発光表示されていないとし、具体的な発光色等については、図192を参照して後述する。
図190(A)に示す画像表示領域1900dは、装飾図柄の図柄列や当落演出の画像等が表示される領域である。例えば、画像表示領域1900dに示された矢印は、変動中の装飾図柄を意味し、図190(A)では画像表示領域1900dに3つの矢印が示されていることから、左・中・右の各列で装飾図柄が変動中である。
図190(B)に示す文字表示領域1900eは、画像表示領域1900dで文字や記号等を表示可能な領域であり、演出状況に応じて所定の文字等が表示される。例えば、図190(B)では、画像表示領域1900dに「7・矢印・7」と示されているように、左右列の装飾図柄が「7」図柄で停止し、中列の装飾図柄が変動中の状態にあることから、リーチ状態が形成された状況である。このとき、文字表示領域1900eに「リーチ!」の文字が表示されることにより、遊技者にリーチ状態の形成を確実に通知することができる。
なお、図190(A)~(D)や、後述する図191(A)~(E)及び図192(A)~(E)において、教示領域1900a~1900c、画像表示領域1900d、並びに文字表示領域1900eと同一の記号が付されたものは同一の領域を示すものであり、個々の説明を省略する。
図190(B)に示したようにリーチ状態が形成されると、通常種別の当落演出(ノーマルリーチ、又はロングリーチ)の演出画面が表示される。具体的には、変動中である中列の装飾図柄が所定時間の経過後に何れかの図柄で停止し、当該当落演出による遊技結果の表示を行う。遊技結果が当り(大当り)となる場合には、周辺制御MPU4140aによって当りパターンの当落演出を含む演出パターンが選択されているので、当該演出パターンに対応する演出結果として、図190(C)に示すように、リーチ状態を形成した左右列の装飾図柄と同じ図柄(この場合は「7」図柄)が揃って停止する。この結果、遊技者は、液晶表示装置1900に表示された演出結果から、本遊技で大当りに当選したことを認識できる。なお、パチンコ機1における大当り図柄の表示規定によっては、同一図柄揃いに限る必要はなく、例えば大当りを示す特定の図柄が停止するようにしてもよい。図190(C)のように大当りに当選した場合は、当該遊技における特別図柄(第一特別図柄又は第二特別図柄)の停止後に、大当り遊技が開始される。
また、遊技結果がはずれとなる場合には、周辺制御MPU4140aによってはずれパターンの当落演出を含む演出パターンが選択されているので、当該演出パターンに対応する演出結果として、図190(D)に示すように、リーチ状態を形成した左右列の装飾図柄とは異なる図柄(ここでは「2」図柄)が停止する。この結果、遊技者は、液晶表示装置1900に表示された演出結果から、本遊技で大当りに当選できなかった(はずれた)ことを認識できる。図190(D)のように大当りに当選しなかった場合は、当該遊技における特別図柄(第一特別図柄又は第二特別図柄)の停止後に、次の遊技に移行する。
なお、通常種別の当落演出として、ノーマルリーチとロングリーチとを例示したが、両者の違いは例えば、中列に停止する装飾図柄の法則で区別され、ロングリーチの場合は、はずれ時に停止する中列の装飾図柄がリーチ状態を形成した図柄と数字的又は配列的に近い(例えば前後1~2コマ)図柄であり、ノーマルリーチの場合は、はずれ時に停止する中列の装飾図柄が、それ以外の、リーチ状態を形成した図柄と数字的又は配列的に遠い図柄であるとする。このようにロングリーチにおける挙動をノーマルリーチとは異ならせることによって、遊技者にノーマルリーチよりも大当りへの期待度を抱かせることが期待できる。しかし、通常種別の当落演出は、図190に示したように、リーチ状態が形成された後に格別の演出画面が表示されるといったものではなく、大当りへの期待度は、後述するSP1,SP2種別の当落演出ほどに高いものではない。
図191は、SP1種別の当落演出が実行されるときの演出画像の遷移を説明するための図である。図191(A)~(G)は、それぞれ、液晶表示装置1900における演出画像を模式的に示しており、図191(A),(B)は、図190(A),(B)と同一の演出画面なので、説明を省略する。
図191(B)に示したようにリーチ状態が形成されると、SP1種別の当落演出(ストーリーAリーチ、ストーリーBリーチ、又はストーリーCリーチ)の演出画面が表示される。ここで、SP1種別の当落演出である「ストーリーリーチ」はスーパーリーチの1種であり、図191(C)に示すような専用の当落演出画面が表示され、当落演出の種類「A」~「C」に対応してキャラクタや進行経路等の異なる演出が行われる。より具体的に説明すると、まず、図191(B)まで画像表示領域1900dに表示されていた装飾図柄の変動表示は、第二画像表示領域1900fに表示されるとともに、画像表示領域1900dには、キャラクタがゴールに向けて進むかのような画面が表示される。図191(C)は、ストーリーリーチAを例示しているため、キャラクタ「A」が描画されている。このようなストーリーリーチの演出画面では、キャラクタ「A」の進行先に穴(図191(C)内の縞部)が描かれており、キャラクタ「A」が穴を超えてゴールに到達できるか否かによって、遊技結果が大当りか否かが示唆される。
その後、図191(C)に示した演出画面に続いてストーリーAリーチの演出画面は遷移し、遊技結果が当り(大当り)となる場合には、周辺制御MPU4140aによって当りパターンの当落演出を含む演出パターンが選択されているので、当該演出パターンに対応する演出結果として、図191(D)に示すように、キャラクタ「A」が無事ゴールに到達できたことを示す演出画面が描画される。それと同時に、第二画像表示領域1900fには大当りを示す装飾図柄の組合せ(例えば「7」図柄揃い)が停止表示される。そして、図191(E)に示すように、第二画像表示領域1900fに停止表示された装飾図柄の揃い態様が画像表示領域1900dに大きく表示され、本遊技で大当りに当選したことが遊技者から認識可能にされる。図191(E)のように大当りに当選した場合は、当該遊技における特別図柄(第一特別図柄又は第二特別図柄)の停止後に、大当り遊技が開始される。
また、遊技結果がはずれとなる場合には、周辺制御MPU4140aによってはずれパターンの当落演出を含む演出パターンが選択されているので、当該演出パターンに対応する演出結果として、図191(F)に示すように、キャラクタ「A」が穴に嵌まってゴールに到達できなかったことを示す演出画面が描画される。それと同時に、第二画像表示領域1900fには大当り以外を示す装飾図柄の組合せ(例えば「7・5・7」)が停止表示される。そして、図191(G)に示すように、第二画像表示領域1900fに停止表示された装飾図柄の揃い態様が画像表示領域1900dに大きく表示され、本遊技で大当りに当選できなかった(はずれた)ことが遊技者から認識可能にされる。図191(G)のように大当りに当選しなかった場合は、当該遊技における特別図柄(第一特別図柄又は第二特別図柄)の停止後に、次の遊技に移行する。
なお、SP1種別の各当落演出(ストーリーA~C)は、例えば図186に示した振分から算出できるように、少なくとも初期設定(戦歴P)において、ストーリーA、ストーリーB、ストーリーCの順に信頼度が高く設定されている。そのため、キャラクタ「A」よりもキャラクタ「B」、キャラクタ「B」よりもキャラクタ「C」を有益なキャラクタとして登場させることによって、同じSP1種別の当落演出であっても、遊技者に異なる期待感を抱かせることができる。また、SP1種別の当落演出による大当りへの期待度(信頼度)は、前述したように通常種別の当落演出による信頼度よりも高いことから、通常種別の当落演出よりも特別な印象を抱かせ得る演出画面が描画されることが好ましい。
図192は、SP2種別の当落演出が実行されるときの演出画像の遷移を説明するための図である。まず図192(A)は、図190(A)や図191(A)と同様に左・中・右の各列で装飾図柄が変動中であることを示すものであるが、教示領域1900a,1900bが、教示領域1900cと異なる模様で示されている。
ここで、教示領域1900a~1900cは、それぞれ、対応する特定の当落演出(バトルA~Cリーチ)がはずれ態様で現出された場合に戦歴が記録されたことに基づいて、背景の表示が変化する(パワーアップ表示の変化)。例えば、バトルA,B,Cのそれぞれに関する戦歴の移行段階を、初期設定を含めて4段階とすると、初期設定の第1段階では背景色を「白」とし、次段階の第2段階では背景色を「青」とし、さらに次段階の第3段階では背景色を「緑」とし、その次段階の第4段階では背景色を「赤」とする。そして、図192(A)の教示領域1900aの斜線模様は「緑」を示し、教示領域1900bの梨地模様は「青」を示し、教示領域1900cの無地模様は「白」を示すとする。また、図192(F),(G)に示す教示領域1900aの格子模様は「赤」を示す。すなわち、図192(A)においては、バトルAに関する戦歴は第3段階まで移行し、バトルBに関する戦歴は第2段階まで移行し、バトルCに関する戦歴は初期設定である第1段階であることが分かる。この状態を各キャラクタのパワーアップの状態で述べるならば、キャラクタAとキャラクタBとがパワーアップしている状態である。但し、キャラクタAの方がよりパワーアップしている。なお、上記のような教示領域1900a~1900cにおける各段階の表示は、当落演出を含む演出パターンの振分の組合せとして選択されている内部的な振分テーブルの選択先と、基本的に対応している。
次に、図192(B)において「7」図柄によるリーチ状態が形成されると、SP2種別の当落演出(バトルAリーチ、バトルBリーチ、又はバトルCリーチ)の演出画面が表示される。ここで、SP2種別の当落演出である「バトルリーチ」はスーパーリーチの1種であり、図192(C)に示すような専用の当落演出画面が表示され、当落演出の種類「A」~「C」に対応してキャラクタや対戦形式等の異なる演出が行われる。より具体的に説明すると、まず、図192(B)まで画像表示領域1900dに表示されていた装飾図柄の変動表示は、第二画像表示領域1900fに表示されるとともに、画像表示領域1900dには、味方キャラクタが敵キャラクタと戦闘するような画面が表示される。図192(C)は、バトルリーチAを例示しているため、味方キャラクタ「A」が描画されている。このようなバトルリーチの演出画面では、味方キャラクタ「A」が敵キャラクタ(図192(C)では「Z」)と対決し、勝利できるか否かによって、遊技結果が大当りか否かが示唆される。図192(C)のゲージ領域1900gは、敵キャラクタの体力を示す表示領域であり、斜線部分が少なくなるほど、敵キャラクタがダメージを受けて弱ることを示す。なお、敵キャラクタ「Z」は、バトルリーチの種類や、当該遊技における戦歴に応じて他のキャラクタ(例えば、弱そうに見える敵キャラクタ「X」や、強そうに見える敵キャラクタ「Y」等)が描画されるようにしてもよい。
また、図192(C)では、戦歴が記録される「特定の当落演出」であるバトルAリーチの演出が行われることに基づいて、教示領域1900aが、通常時よりも強調されて表示される。このように現出された当落演出に対応して教示領域1900aが強調表示されることにより、遊技者に、戦歴が記録された「特定の当落演出」による演出パターンが実行されていることを明確に認識(例えば視認)させることができ、このときのバトルAリーチの信頼度は初期設定よりも高くなっていることから、遊技者の興趣を著しく高める効果が期待できる。なお、教示領域1900を視覚的に強調する以外にも、音声や文字表示等によって「特定の当落演出」であるバトルAリーチの現出を遊技者に認識させるようにしてもよい。また、教示領域1900aが強調表示される際の演出画面では、味方キャラクタ「A」が通常のバトルAリーチとは異なる見た目(例えば周囲が発光しているかのような表示態様等)で描画されるようにして、特別な演出が進行中であることを教示するようにしてもよい。
その後、図192(C)に示した演出画面に続いてバトルAリーチの演出画面は遷移し、遊技結果が当り(大当り)となる場合には、周辺制御MPU4140aによって当りパターンの当落演出を含む演出パターンが選択されているので、当該演出パターンに対応する演出結果として、図192(D)に示すように、味方キャラクタ「A」が敵キャラクタ「Z」に勝利したことを示す演出画面が描画される。ゲージ領域1900gには、斜線部分がなくなった様子が描画される。それと同時に、第二画像表示領域1900fには大当りを示す装飾図柄の組合せ(例えば「7」図柄揃い)が停止表示される。そして、図192(E)に示すように、第二画像表示領域1900fに停止表示された装飾図柄の揃い態様が画像表示領域1900dに大きく表示され、本遊技で大当りに当選したことが遊技者から認識可能にされる。図192(E)のように大当りに当選した場合は、当該遊技における特別図柄(第一特別図柄又は第二特別図柄)の停止後に、大当り遊技が開始される。なお、バトルAリーチで大当りに到達した場合は、戦歴の記録方法及び教示方法の一例として、教示領域1900aにおける背景色を「白」の初期設定に戻すとともに、バトルAに関する戦歴の記録を消去(リセット)する一方、教示領域1900bにおける背景色を現状の「青」のままとしてバトルBに関する戦歴の記録を残す。
また、遊技結果がはずれとなる場合には、周辺制御MPU4140aによってはずれパターンの当落演出を含む演出パターンが選択されているので、当該演出パターンに対応する演出結果として、図192(F)に示すように、味方キャラクタ「A」が敵キャラクタ「Z」に敗北したことを示す演出画面が描画される。それと同時に、第二画像表示領域1900fには大当り以外を示す装飾図柄の組合せ(例えば「7・6・7」)が停止表示される。そして、図192(G)に示すように、第二画像表示領域1900fに停止表示された装飾図柄の揃い態様が画像表示領域1900dに大きく表示され、本遊技で大当りに当選できなかった(はずれた)ことが遊技者から認識可能にされる。図192(G)のように大当りに当選しなかった場合は、当該遊技における特別図柄(第一特別図柄又は第二特別図柄)の停止後に、次の遊技に移行する。
なお、図192(F)では、「特定の当落演出」であるバトルAリーチがはずれ態様で現出しているため、バトルAリーチに関する戦歴の記録の条件を満たすことになる。このとき、図192(F)に一例を示したように、「A」の敗北結果(戦歴)が記録されるかのような態様で、教示領域1900aの背景色が斜線模様(第3段階の「緑」)から格子模様(第4段階の「赤」)に変更される。このバトルAに関する戦歴の段階の移行に伴って、当りパターンの当落演出の振分に関する組合せの選択先(振分テーブルにおける戦歴の選択先)も移行される。そして、以降の遊技では、図192(A)に示したような液晶表示装置1900の表示画面でバトルAに関する戦歴の記録を教示する教示領域1900aが格子模様で表示されることになり(キャラクタAの更なるパワーアップ)、再度バトルAリーチが現出された場合は、より信頼度が高い当落演出となることを遊技者に示唆することが可能となる。
また、SP2種別の各当落演出(バトルA~C)は、例えば図186に示した振分から算出できるように、少なくとも初期設定(戦歴P)において、バトルA、バトルB、バトルCの順に信頼度が高く設定されている。そのため、味方キャラクタ「A」よりも味方キャラクタ「B」、味方キャラクタ「B」よりも味方キャラクタ「C」を有益な(強力な)キャラクタとして登場させることによって、同じSP2種別の当落演出であっても、遊技者に異なる期待感を抱かせることができる。また、SP2種別の当落演出による大当りへの期待度(信頼度)は、前述したように通常種別及びSP1種別の当落演出による信頼度よりも高いことから、これら他の当落演出よりも特別な印象を抱かせ得る演出画面が描画されることが好ましい。
なお、図188の振分テーブル1Bを用いて説明したように、本実施形態のパチンコ機1では、特定の当落演出であるバトルAリーチが大当りに到達しないはずれ態様で現出されたことに基づいてバトルAに関する戦歴の記録及び移行が行われるが、バトルAに関する戦歴の移行が複数段階進行すると、バトルAリーチが現出された際の大当り(及び高当り)の信頼度が、同一種別であるSP2種別の他の当落演出(例えばバトルBリーチ)よりも高くなることがあり得る。このように初期設定での信頼度の順番が入れ替わるほどに特定の当落演出(バトルAリーチ)の信頼度が高められた場合には、バトルAの現出時に味方キャラクタ「A」を味方キャラクタ「B」よりも強力なキャラクタであるかのように見せる特別な効果演出を行うようにしてもよく、その結果、信頼度が大幅に上昇したバトルAに対する遊技者の期待を誘うことが期待できる。また、バトルAに関する戦歴が高段階に移行して信頼度が高められ、一方でバトルBに関する振分が減少して信頼度が低くなったような場合に、戦歴の教示として、味方キャラクタ「A」をパワーアップした態様で表示するだけでなく、味方キャラクタ「B」を通常よりも弱った(パワーダウン)態様で表示するようにしてもよい。このような表示を行うことによって、味方キャラクタ「A」に対応するバトルAリーチに対する遊技者の期待を効果的に高めることができる。
[6-3.当落演出に関する別例]
以上、本実施形態のパチンコ機1における当落演出を含む演出パターンの選択及びその実行時における特徴について説明してきたが、本発明は上記例に限定されるものではなく、例えば、以下のような別例によって実現されてもよい。
まず例えば、本実施形態のパチンコ機1において、戦歴間の移行条件や各戦歴における振分数等の設定は、例示条件に限定されるものではない。例えば、戦歴間の移行条件として、はずれ態様の特定の当落演出が規定回数現出された場合に移行するようにしてもよいし、さらにこの規定回数を戦歴間で異なる回数に設定してもよい。また、この他にも、例えば、はずれ時にバトルAが現出されているときに、始動口2101に遊技球が入賞したことに基づく保留に対して所謂「先読み保留」が行われた場合(このとき、該保留の大当り期待度が高まっている)には、上述したような戦歴の1段階移行ではなく、戦歴を一気に2段階移行させるようにしてもよい。なお、このような場合には、戦歴の移行後の大当りに対する期待度をそれまでの期待度(例えば50%)よりも高い値にするように設定することが望ましい。また、戦歴の設定数も限定されるものではなく、図186,188に示した「戦歴R」よりも先の移行先として「戦歴S」や更なる移行先となる戦歴を設定してもよい。
また例えば、図186,188の例示では、戦歴ごとに振分が予め設定されているように記載しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、所定の移行条件を満たした場合に、所定の法則や確率に従って特定の当落演出の振分数を加減するようにしてもよい。具体的には例えば、はずれのバトルAリーチが選択されて戦歴の移行条件を満たした場合に、高当りパターンでのSP1種別の当落演出の振分をそれぞれ「0」~「5」減算するとともに、バトルAリーチの当り時の振分を「9」加算する、等としてもよい。但し、内部処理を効率的に行う観点から、振分の減算数の合計値と加算数の合計値とが同一になるように設定されることがより好ましい。
また、上述の実施例では、戦歴の記録に基づく教示が行われる教示領域(図190~192における教示領域1900a~1900c)において、「A」~「C」等の文字の背景色を、選択先の戦歴に応じて異なる色に発光させるとしたが、本実施形態によるパチンコ機1は、このような戦歴の記録に基づく教示の態様を背景色に限定するものではなく、例えば、選択先の戦歴の移行に伴って対応する教示領域の表示方法(サイズや輝度等)を変更したり、特定の当落演出を示唆可能な「A」~「C」等の文字の表示方法(サイズや色等)を変更したりしてもよい。また、それ以外の戦歴の教示方法の一例として、戦歴の記録の対象となる当落演出に対応するキャラクタ(例えば、キャラクタ「A」~キャラクタ「C」)を液晶表示装置1900の表示領域内に出現させる等によって、戦歴が記録された当落演出を示唆するようにしてもよい。何れにしても、特定の当落演出(例えばバトルAリーチ)への対応関係を認識可能な表示(「A」の強化表示やキャラクタ「A」のパワーアップ表示等)が行われればよい。
また、戦歴の教示を行うタイミングについては、図192の例示では、常に最新の戦歴の状況を教示領域1900a~1900cに表示するようにしたが、上記に限定されるものではなく、例えば、戦歴が記録された特定の当落演出が次回に現出された際、演出画面に表示過程の任意のタイミングで当該特定の当落演出に関する戦歴の教示を行うようにしてもよい。このような場合に、本遊技が戦歴の記録に基づいて信頼度が向上している当落演出が行われる遊技であることが、戦歴の教示が行われた時点で遊技者に通知されることになるので、遊技に対する興味を急激に高め、大当り及び高当りへの期待感を抱かせる効果が期待できる。また例えば、複数の当落演出を「戦歴の記録」の対象とする場合に、対象となる全ての当落演出に関する「戦歴の教示」を行う必要はなく、より出現頻度が高い当落演出に限定したり、前回又は過去の所定遊技回数の間に現出された対象の当落演出に関する「戦歴の教示」だけを行うようにしたり、等の様々な制御を実現するようにしても構わない。
また、本実施形態のパチンコ機1では、戦歴の記録に基づく教示を液晶表示装置1900の表示領域に表示させるか否かは、遊技者から選択可能に設定してもよく、このような場合に、特定の当落演出が現出されたときに戦歴の記録によって信頼度が高くなっているか否かを敢えて曖昧にしたまま結果を楽しみたい等といった遊技者の好みに合わせて、遊技演出を提供することができる。このように多様な方法で「戦歴の教示」を可能にすることによって、遊技性を更に高めることができる。
また、上述の実施例では、特定の当落演出がはずれで現出されたことに基づいて戦歴が記録されるとともに、振分の組合せの選択先が移行(戦歴の移行)することによって、以降の遊技において特定の当落演出が現出された際の大当り及び高当りの信頼度を高くすることについて説明したが、このような戦歴の移行条件や維持条件は上述例に限定されるものではない。例えば選択先の移行条件については、特定の当落演出が連続してはずれ態様で現出された場合でなくてもよく、必ずしも毎回戦歴の記録又は戦歴の移行が行われなくてもよい。また、所定期間内に一定回数以上特定の当落演出がはずれ態様で現出された場合に戦歴の選択先を移行させるようにしてもよいし、前述したように、その他の所定条件を満足したことに基づいて選択先を移行させるようにしてもよい。
また、複数の当落演出が戦歴の記録の対象とされる際の戦歴の移行について具体的を挙げると、バトルAリーチがはずれ態様で現出してバトルAに関する戦歴の記録が行われ、バトルAに対応する戦歴の教示としてキャラクタ「A」のパワーアップ表示が行われた後に、バトルBリーチがはずれ態様で現出された場合、バトルBリーチの現出に基づく戦歴の記録の有無に拘わらず、キャラクタ「A」のパワーアップ状態が残されることが好ましい。このように制御されることにより、キャラクタ「A」のパワーアップ状態が、無関係と感じられるバトルBの現出によって消されないため、バトルBリーチがはずれで現出された後でも、バトルAに対する期待感を維持できるという安心感を遊技者に提供することができる。そして、はずれたバトルBリーチによってバトルBに対応する戦歴の教示(キャラクター「B」のパワーアップ)が別途行われた場合には、遊技者の期待感を更に増大させることができる。
戦歴の記録の対象となる特定の当落演出がはずれで現出された際に、必ずしも毎回、戦歴の移行が行われない、という戦歴の移行条件の一例を、はずれのバトルAリーチを戦歴の記録の対象として図186の振分テーブル1Aを用いて説明する。具体的には、戦歴PにおいてはずれのバトルAリーチが現出されたときに1/2(50%)の確率で戦歴Qに移行するとし、さらに、戦歴QにおいてはずれのバトルAリーチが現出されたときに1/5(20%)の確率で戦歴Rに移行するとする。このように、戦歴が記録されても戦歴の移行が必ずしも行われないようにする場合には、バトルAリーチではずれたとしても、戦歴の教示が行われた場合に、バトルAリーチに対応するキャラクタ「A」がパワーアップするような演出が実行されることに期待できるようになるため、特定の当落演出がはずれたとしても、戦歴の移行が行われるかどうか、という点に対して、遊技者の楽しみや期待感を向けさせることができ、遊技性を向上させる効果を奏する。さらに、戦歴Pから戦歴Qへの移行条件(確率50%)を、戦歴Qから戦歴Rへの移行条件(確率20%)よりも厳しく設定した場合には、第1段階(初期段階)から第2段階に比較的移行しやすくなるため、キャラクタ「A」のパワーアップ等の戦歴の教示が行われやすくなる。この結果、キャラクタがパワーアップしているという特別な状態が提供される機会を高められるので、遊技者の興趣を高め、稼働を促進する効果が期待できる。
また、「戦歴の記録」で記憶される情報は、戦歴の移行に伴って所定の条件を満たした場合に、周辺制御MPU4140a等によってその一部又は全てが適宜消去されるようにしてもよい。このように「戦歴の記録」で記憶される情報を消去することで、利用機会がないデータを過剰に保持し続けることを抑制し、処理能力の低下を抑制する効果が期待できる。
戦歴の記録に関する情報を消去する機会の1つに、戦歴のリセットがある。戦歴のリセットとは、所定の遊技結果を契機として、戦歴を初期状態に戻すことである。戦歴がリセットされる条件としては、例えば、大当たりに当選した場合が考えられるが、次回何らかの所定の大当り(例えば、高当り)に当選した時点で戦歴を初期設定にリセットするようにしてもよいし、特定の当落演出によって所定の大当りに当選するまでは移行先の戦歴を維持するようにしてもよいし、または、特定の当落演出によって所定の大当りに当選した際に、戦歴を所定段階だけ戻して選択先とするようにしてもよい。また、本実施形態のパチンコ機1では、大当りに当選した際に全ての戦歴をリセットしなくてもよい。具体的には例えば、キャラクタ「A」,「B」がパワーアップしている状態(バトルA,Bに関する戦歴の教示が行われている状態)において、バトルAリーチによって高当りに到達した際に、バトルAに関する戦歴のみを初期状態にリセットしてキャラクタ「A」のパワーアップを解除し、バトルBに関する戦歴は維持してキャラクタ「B」のパワーアップ状態も残すようにしてもよい。このように制御する場合、キャラクタ「A」に関連するバトルAリーチで大当りに当選したのに、無関係のキャラクタ「B」のパワーアップ状態までもが解除されることによって遊技者が抱き得る理不尽な心情を抑制することができる。そして、当該大当りの後も、キャラクタ「B」に関連するバトルBリーチの現出に対して遊技者の期待を維持させることができるため、遊技の継続を促進する効果が期待できる。また、別例としては、特定の当落演出によって低当りに当選した場合には、戦歴をリセットせずに維持するようにしてもよく、このような制御を行うことによって、高当りに対する期待感を高め得る本実施形態の効果をより適切に遊技者に体感させることができる。
また、本実施形態のパチンコ機1が、大当りとは異なる特別抽選結果が得られたにも拘わらず大当り時に類似した大入賞口2103の開閉制御を行う(所謂、小当り)機能を有している場合、小当りが実行されても戦歴の記録に関する情報が消去されないことが好ましい。また、小当りを契機として特殊な遊技期間(例えばチャンスゾーンのような有利期間)に移行したとしても、やはり戦歴の記録に関する情報が消去されないことが好ましい。このような制御を行うことによって、遊技者視点では遊技状態が変更されたかのように見える場合であっても、内部の遊技状態が変更されていない場合に戦歴の記録に関する情報が変更されてしまうことを防止できるため、大当りに当選する等して遊技者が実質的に特典を獲得できるまで戦歴を保持することができ、大当りへの期待度の向上に対する戦歴の記録による貢献度合いを遊技者に体感させることが期待できる。
また、戦歴の移行によって振分の変更が繰り返し行われた場合に、ある当落演出に対する振分値が「0」になってしまうことも想定し得るが、このような事態を回避するために、最低限の閾値を予め規定し、当該閾値を下回らないように制御してもよい。当落演出の振分が「0」になってしまうと、当該当落演出が選択されなくなるため、当落演出の選択幅が減ることになり、遊技性を損なうおそれがあるが、このように制御することにより、選択されうる当落演出の種類を確保しつつも、大当り(高当り)への期待度を変更させる戦歴の移行を実現できるという効果がある。また、遊技者の観点からすれば、多彩な当落演出が提供される状況に変わりはないなかで、特定の当落演出が現出された際に興趣が高められるという効果を奏する。また同様に、特定の当落演出に対する振分値の上限値を閾値によって制限するように制御してもよい。
また、本実施例では特定の当落演出(例えばバトルAリーチ)が当りではない態様(はずれ)で現出されたことに基づいて、以降の遊技において、高当り時における当該特定の当落演出の振分を増加することで、当該特定の当落演出が現出された際の大当り(高当り)への期待度を高め得るとしてきたが、本実施形態のパチンコ機1によれば、当該特定の当落演出(バトルAリーチ)が現出された際の高当りへの期待度を高め得る方法はこれに限定するものではない。例えば、特定の当落演出(例えばバトルAリーチ)が当りではない態様(はずれ)で現出されたことに基づいて、以降の遊技において、『はずれ時』並びに『低当り時』における当該特定の当落演出の振分を減少させることで、相対的に当該特定の当落演出が現出された際の高当りへの期待度を高めるようにしてもよい。但し、当りの振分を変更させたほうが、特定の当落演出で大当りに当選する遊技の現出機会を高められるため、戦歴の教示に対応して大当りに期待できる当落演出に対する遊技者の興趣の向上をより促進することが可能となる。
[6-4.変動時間が異なる変動パターンの場合]
これまでの説明では、本実施形態のパチンコ機1において、例えば30秒の変動時間を有する特別図柄の変動パターンが選択された場合に、当該変動パターンに基づいて決定される装飾図柄の演出パターン(当落演出)の決定方法について述べてきた。しかし、図185に例示したように、特別図柄の変動パターンには複数種類の変動時間を有する変動パターンが存在し、変動時間30秒とは異なる変動パターン(例えば変動時間60秒)が選択された場合には、上述してきたような演出パターンの決定処理を行うことはできない。
しかし、本実施形態のパチンコ機1では、特定の演出(例えば、バトルAリーチ)を現出させ得る所定の変動パターン(30秒の変動時間を有する特別図柄の変動パターン)とは異なる変動パターンが選択された場合であっても、後に詳述する「代替演出」が実行されることによって「特定の演出」を現出させることができる。以下では、このような制御処理について説明する。なお、「所定の変動パターンとは異なる変動パターン」は、「変動時間が60秒の特別図柄の変動パターン(特別図柄変動パターン)」とする。
また、以下では「変動時間が60秒の特別図柄変動パターン」に基づいて決定される当落演出の振分について説明するが、本実施形態のパチンコ機1は、このような「変動時間が60秒の特別図柄変動パターン」の場合の処理と、[6-1-1]~[6-1-3]で述べた「変動時間が30秒の特別図柄変動パターン」の場合の処理とを、組み合わせて構成することができる。具体的には、変動パターンの変動時間が30秒の場合は、[6-1-1]で説明した振分テーブル1A(図186)、又は[6-1-2]で説明した振分テーブル1B(図188)の何れかを用いるようにし、変動パターンの変動時間が60秒の場合は、後述する[6-4-1]の振分テーブル2A(図193)、又は[6-4-2]の振分テーブル2B(図194)の何れかを用いるようにしてよい。
[6-4-1.変動時間60秒での演出パターンの振分(その1)]
図193は、当落演出を含む演出パターンの振分を説明するための図(振分テーブル2A)である。図193に示した振分テーブル2Aは、特別図柄の変動パターンとして変動時間が「60秒」である際に使用される演出パターンの振分テーブルであり、図193に示す各当落演出の演出時間(装飾図柄の変動時間)は60秒以内である。なお、図185に例示したように、特別抽選結果に基づいて変動時間が60秒となる特別図柄の変動パターンが選択される割合は、「はずれ」の場合に15/100とし、「低当り」又は「高当り」の場合にそれぞれ60/100とする。別の見方をすれば、変動時間60秒の変動パターンが選択される際、各判定結果の比は、「はずれ」:「低当り」:「高当り」=15:60:60=1:4:4となり、11.1%(1/9)が「はずれ」となり、88.9%(8/9)が大当り(低当り又は高当り)となることが示される。換言すれば、図193に示す振分テーブル2Aを用いて当落演出が振分けられるとき、特別抽選の結果は11.1%が「はずれ」であり、「88.9%」が大当りであり、かつ、特別図柄の変動時間は「60秒」である。なお、図193に示す当落演出の振分は簡略に説明を行うための一例であって、本実施形態のパチンコ機1における当落演出の種別及び種類等を限定するものではない。各振分の設定内容は、予め周辺制御ROM4140b等に記憶されており、周辺制御MPU4140aが必要に応じて読み出すことができる。
図193に示す振分テーブル2Aの各項目(種別、演出名称、戦歴等)は、図186の振分テーブル1Aや図188の振分テーブル1Bの場合と同様であり、説明を省略する。振分テーブル2Aの「種別」には、「SP3」が設けられている。「SP3」に含まれる当落演出は、一般的にはスーパーリーチと呼ばれるような当落演出に対応するものであり、スーパーリーチの中でも特に大当りへの期待度が高く設定されている。「SP3」種別の当落演出では、一例として、「SP2」種別の当落演出と同様に対戦形式による演出がSP2種別よりも長い変動時間で進行し、進行結果によって大当り(及びその種類)かはずれかを認識可能な態様で表示される。そして、SP3種別に含まれる当落演出は6つ(「ロングバトルA」、「ロングバトルA’」、「ロングバトルB」、「ロングバトルB’」、「ロングバトルC」、「ロングバトルC’」)あるが、演出内容の特徴(例えば、対戦演出の際に味方キャラクタとして選択されるキャラクタA~C)に基づいて種類分けすると「ロングA」、「ロングB」、「ロングC」の3種類に分けることができる。
このようなSP3種別の当落演出のうち、ロングバトルBリーチとロングバトルB’リーチのように、同じ型のロング(ここではロングB)に分類される2種の当落演出の演出内容について概要を説明する。まず、ロングBに含まれる両リーチは、図196,188で説明したバトルBリーチと同様に、味方キャラクタと敵キャラクタとが対戦し、敵キャラクタに勝利できるか否かによって大当りするか否かが示される対戦形式のリーチ演出であり、基本的にはキャラクタBが味方キャラクタとして選択される。但し、その対戦期間(変動時間)は、バトルBリーチが30秒以下であったのに対し、ロングBリーチは60秒以下と長く設定される。ここで、ロングバトルBリーチは、当該リーチ演出を通じてキャラクタBが中心キャラクタであるのに対し、ロングバトルB’リーチでは、全体的な演出内容はロングバトルBリーチと類似しているものの、当該リーチ演出の何れかのタイミングで、ロングバトルBリーチとは異なる別演出内容に切り替わる(差替えられる)ことを特徴としている。そして、切り替わる演出内容は、戦歴の記録に基づいた演出である。具体的には例えば、バトルAリーチがはずれ態様で現出されたことに基づいて『バトルAに関する戦歴の記録』が行われたときに、ロングバトルB’リーチが実行される場合には、ロングバトルBリーチと同一(又は類似)の演出が進行している途中で、『バトルAに関する戦歴の記録』に基づいて「バトルAリーチ」の演出と同一(又は類似)の演出が現出される。同様に、『バトルAに関する戦歴の記録』が行われたときにロングバトルC’が選択された場合には、ロングバトルCリーチと同一(又は類似)の演出が進行している途中で、戦歴の記録に基づいて、「バトルAリーチ」の演出と同一(又は類似)の演出が現出される。このように、ロングバトルB’リーチやロングバトルC’リーチは、種類こそロングB又はロングCの当落演出であるものの、当該演出の少なくとも一部が、戦歴の記録に基づく特定の演出(バトルAリーチの演出)に代替される演出であり、「代替演出」と呼べるものである。「代替演出」の詳細な演出画面やその画面遷移等については、[6-5]以下で後述する。
なお、[6-2]で図192等を参照しながら説明したのと同様に(具体的には、教示領域1900a~1900c)、「戦歴の記録」が行われた以降の遊技において変動時間60秒の変動パターンに基づく装飾図柄の変動表示としてSP3種別の当落演出が現出される場合においても、液晶表示装置1900上等において「戦歴の教示」が行われる。具体的には例えば、バトルAリーチに関する戦歴の記録が行われた場合に、バトルA又はキャラクタAを認識可能な態様で液晶表示装置1900上に「戦歴の教示」が行われる。さらにこの状態で、ロングバトルB’リーチやロングバトルC’リーチが実行されることによってバトルAリーチの演出と同一(又は類似)の演出が現出されるときには、「戦歴の教示」で示された情報に対応する演出(バトルAリーチの演出)が現出されていることを遊技者に確実に認識させ得る強調表示が行われることが好ましい。また、「戦歴の教示」の表示形態は、[6-2]と同様に様々な態様を取ってよい。
また、図193の振分テーブル2Aでは、戦歴P、戦歴Q、戦歴Rの移行条件についても、図186,188に示した振分テーブル1A,1Bと同様であるとし、「バトルAリーチ」を「特定の当落演出」とするときに、バトルAリーチがはずれ態様で現出されたことに基づいて戦歴の記録が行われ、当該戦歴の記録に基づいて、振分テーブル2Aで選択される戦歴が移行する。
次に、図193の振分テーブル2Aにおいて、戦歴の移行に伴って変更される当落演出の振分について説明する。戦歴Pの振分(振分X2-P,Y2-P,Z2-P)は、初期設定で用いられる振分である。図193の振分テーブル2Aでは、バトルAリーチを特定の当落演出として「バトルAに関する戦歴の記録」が行われる際に用いられる振分テーブルの一例として、ロングバトルA’に対する振分が存在しない。また、初期設定の戦歴Pでは、ロングバトルB’,ロングバトルC’に対する振分も存在しないとする。
「戦歴P」が選択された状態においてバトルAに関する戦歴の記録が行われ、所定の戦歴の移行条件を満たした場合には、当落演出を決定する際に「戦歴Q」が選択されるようになる。「戦歴Q」では、「戦歴P」と比較すると、ロングB及びロングCにおいて、各パターン(はずれ、低当り、高当り)における振分の一部が変更されている。
具体的には、はずれパターンの振分X2-Qによれば、振分X2-Pと比べて、ロングBのうち、ロングバトルBリーチの振分が「3」減少しロングバトルB’リーチの振分が「3」増加する。そして、ロングCのうち、ロングバトルCリーチの振分が「3」減少しロングバトルC’リーチの振分が「3」増加する。また、低当りパターンの振分Y2-Qによれば、振分Y2-Pと比べて、ロングBのうち、ロングバトルBリーチの振分が「10」減少しロングバトルB’リーチの振分が「10」増加する。そして、ロングCのうち、ロングバトルCリーチの振分が「10」減少しロングバトルC’リーチの振分が「10」増加する。また、高当りパターンの振分Z2-Qについても、低当りパターンの振分Y2-Qの場合と同様に、「10」ずつ増減する。但し、種類ごと(ロングA,B,C)の振分の合計数は変更されていない。
このように、振分テーブル2Aでは、「戦歴P」から「戦歴Q」への移行に伴って、ロングバトルBリーチ及びロングバトルCリーチに対する振分個数が減少する一方で、当初は振分が「0」であったロングバトルB’リーチ及びロングバトルC’リーチに対する振分個数が増加する。但し、その振分個数の増減は、「はずれ」における増減個数(「3」)よりも「大当り」における増減個数(低当りの「10」と高当りの「10」を合計すると「20」)の方が多くなるように定められる。
次に、「戦歴Q」が選択された状態においてバトルAに関する戦歴の記録がさらに行われ、所定の戦歴の移行条件を満たした場合には、当落演出を決定する際に「戦歴R」が選択されるようになる。「戦歴R」では、「戦歴Q」と比較すると、ロングB及びロングCにおいて、各パターン(はずれ、低当り、高当り)における振分の一部が変更されており、その変更内容は、「戦歴P」から「戦歴Q」へ移行する際の振分内容の変更と同様である。
このように、「戦歴P」から「戦歴Q」、さらには「戦歴R」に移行するに伴って、ロングバトルBリーチ及びロングバトルCリーチに対する振分個数が次第に減少し、初期設定では振分「0」のロングバトルB’リーチ及びロングバトルC’リーチに対する振分個数が次第に増加する。さらに、「はずれ」における振分の増減個数と「大当り」における振分の増減個数との差も次第に大きくなる。すなわち、戦歴の記録に基づいて選択される戦歴が移行することによって、ロングB種類の当落演出が選択される際にロングバトルB’リーチが現出されたり、ロングC種類の当落演出が選択される際にロングバトルC’リーチが現出されたりするようになる。そして、このようなリーチ演出(ロングバトルB’,C’)の実行時には、前述したように、ロングバトルB,Cリーチと類似した演出内容が進行する途中で戦歴の記録の対象であるバトルAリーチの画面(又はバトルAリーチに関連する画面)が表示される。すなわち、特定の演出(バトルAリーチ)を現出させ得る所定の変動パターン(例えば変動時間30秒でバトルAリーチが選択され得る変動パターン)とは異なる変動パターン(例えば変動時間60秒でロングバトルBが選択され得る変動パターン)が選択されたとしても、代替演出(例えばロングバトルB’リーチ)が現出され得ることによって当該特定の演出(バトルAリーチ)を現出させることができる。
なお、戦歴P,Q,Rの各戦歴において、各当落演出(リーチ演出)が現出された際の大当り(低当り又は高当り)に対する期待度(信頼度)は、以下の通りである。なお、各信頼度は、前述したように「はずれ」:「低当り」:「高当り」=1:4:4という出現比を考慮して算出しているが、算出式の詳細は省略する。また、振分が「0」であるリーチ演出の信頼度は記載しない。
まず、「戦歴P」における大当り(低当り及び高当りを合わせたもの)の信頼度については、
ロングA(ロングバトルA)リーチの信頼度は76.2%(160/210×100)、ロングB(ロングバトルB)リーチの信頼度は88.9%(240/270×100)、ロングC(ロングバトルC)リーチの信頼度は95.2%(400/420×100)であり、
SP3種別全体の信頼度は88.9%(800/900×100)である。
次に、「戦歴Q」における大当り(低当り及び高当りを合わせたもの)の信頼度については、
ロングA(ロングバトルA)リーチの信頼度は76.2%(戦歴Pと変わらず)、であり、
ロングバトルBリーチの信頼度は85.6%(160/187×100)、
ロングバトルB’リーチの信頼度は96.4%(80/83×100)、
ロングB全体の信頼度は88.9%(戦歴Pと変わらず)であり、
ロングバトルCリーチの信頼度は95.0%(320/337×100)、
ロングバトルC’リーチの信頼度は96.4%(80/83×100)、
ロングC全体の信頼度は95.2%(戦歴Pと変わらず)であり、
SP3種別全体の信頼度は88.9%(戦歴Pと変わらず)である。
次に、「戦歴R」における大当り(低当り及び高当りを合わせたもの)の信頼度については、
ロングA(ロングバトルA)リーチの信頼度は76.2%(戦歴Pと変わらず)、であり、
ロングバトルBリーチの信頼度は76.2%(80/105×100)、
ロングバトルB’リーチの信頼度は97.0%(160/165×100)、
ロングB全体の信頼度は88.9%(戦歴Pと変わらず)であり、
ロングバトルCリーチの信頼度は94.1%(240/255×100)、
ロングバトルC’リーチの信頼度は97.0%(160/165×100)、
ロングC全体の信頼度は95.2%(戦歴Pと変わらず)であり、
SP3種別全体の信頼度は88.9%(戦歴Pと変わらず)である。
このように、「戦歴P」から「戦歴Q」、さらには「戦歴R」に移行した場合に、新たに振分が追加(増加)された当落演出(ロングバトルB’,C’)が現出された際には、「はずれ」となる可能性も低確率で存在するものの、高い確率(95%以上)で大当りに強く期待できるようになる。すなわち、本実施形態によるパチンコ機1によれば、振分テーブル2Aを用いたとき、特定の演出(バトルAリーチ)を現出させ得る所定の変動パターン(例えば変動時間30秒でバトルAリーチが選択され得る変動パターン)とは異なる変動パターン(例えば変動時間60秒でロングバトルBが選択され得る変動パターン)が選択されたとしても、代替演出(例えばロングバトルB’リーチ)が現出され得ることによって当該特定の演出(バトルAリーチ)を現出させることができるが、このような代替演出は、大当りへの期待度が高い場合に選択される。換言すれば、戦歴の記録が行われているときに特別抽選の結果が大当りであった場合に、「特定の演出を現出させ得る所定の変動パターンとは異なる変動パターン」が選択されたとしても当落演出として「代替演出」が選択され易くなるので、「特定の演出」が現出され易くなる。したがって、戦歴の記録が行われているときに「特定の演出」が現出された場合に、大当りに対する高い期待度を実現することができる。
[6-4-2.変動時間60秒での演出パターンの振分(その2)]
図194は、当落演出を含む演出パターンの振分を説明するための図(振分テーブル2B)である。図194に示す振分テーブル2Bは、図192に示した振分テーブル2Aの代わりに用いることができる、変動時間60秒での演出パターンの振分テーブルの別例である。振分テーブル2Bは、戦歴の移行に伴う振分内容が異なる点以外は、図193に示した振分テーブル2Aと同様の振分テーブルであり、各当落演出や戦歴等の設定については説明を省略する。
図194の振分テーブル2Bは、図193の振分テーブル2Aと比較すると、戦歴Q及び戦歴Rにおいて、低当りパターンでのロングバトルB及びロングバトルCに対する振分量が異なっている。具体的には、戦歴Qの低当りパターンでの振分Y2-Qにおいて、戦歴Pの低当りパターンでの振分Y2-Pと比べて、ロングバトルBリーチに対する振分量が「5」減少し、ロングバトルB’リーチに対する振分量が「5」増加し、ロングバトルCリーチに対する振分量が「5」減少し、ロングバトルC’リーチに対する振分量が「5」増加している。さらに、戦歴Rの低当りパターンでの振分Y2-Rにおいて、戦歴Qの低当りパターンでの振分Y2-Qと比べて、ロングバトルBリーチに対する振分量が「5」減少し、ロングバトルB’リーチに対する振分量が「5」増加し、ロングバトルCリーチに対する振分量が「5」減少し、ロングバトルC’リーチに対する振分量が「5」増加している。なお、「戦歴Q」「戦歴R」の何れにおいても、高当りパターンでの振分量は、振分テーブル2Aと同じく「10」ずつ変動している。
このように、図194の振分テーブル2Bでは、バトルAに関する戦歴の記録に基づいて戦歴が移行した場合(戦歴Q,R)に、低当りパターンでのロングバトルB’リーチ及びロングバトルC’リーチへの振分量が、高当りパターンでの同リーチへの振分量よりも少なくされる。また、振分テーブル2Aの場合と同様に、「はずれ」における増減個数(戦歴Pから戦歴Qでは「3」)よりも「大当り」における増減個数(戦歴Pから戦歴Qでは、低当りの「5」と高当りの「10」を合計すると「15」)の方が多くなるように定められる。さらに言えば、「はずれ」における増減個数は少なくとも「高当り」の増減個数よりも多く定められることが好ましい。本実施形態によるパチンコ機1は、このような振分テーブル2Bを用いることによって、振分テーブル2Aを用いたときと同様に、特定の演出(バトルAリーチ)を現出させ得る所定の変動パターン(例えば変動時間30秒でバトルAリーチが選択され得る変動パターン)とは異なる変動パターン(例えば変動時間60秒でロングバトルBやロングバトルCが選択され得る変動パターン)が選択されたとしても、代替演出(例えばロングバトルB’リーチやロングバトルC’リーチ)が現出され得ることによって当該特定の演出(バトルAリーチ)を現出させることができるだけでなく、このような代替演出を低当りよりも高当りの場合に選択され易くできる。
上述したように代替演出(ロングバトルB’リーチ、ロングバトルC’リーチ)が低当りよりも高当りの場合に選択され易いことについて、各戦歴(戦歴P~R)において、各代替演出が現出した際の信頼度を算出して検証する。
まず、「戦歴P」においては、ロングバトルB’リーチもロングバトルC’リーチも振分がないため、現出されない。
次に、「戦歴Q」においては、
ロングバトルB’リーチの大当り信頼度は95.2%(60/63×100)であり、
大当り別の内訳は、
高当り信頼度が63.5%(40/63×100)、
低当り信頼度が31.7%(20/63×100)である。
ロングバトルC’リーチの大当り信頼度は95.2%(60/63×100)であり、
大当り別の内訳は、
高当り信頼度が63.5%(40/63×100)、
低当り信頼度が31.7%(20/63×100)である。
次に、「戦歴R」においては、
ロングバトルB’リーチの大当り信頼度は96.0%(120/125×100)であり、
大当り別の内訳は、
高当り信頼度が64.0%(80/125×100)、
低当り信頼度が32.0%(40/125×100)である。
ロングバトルC’リーチの大当り信頼度は96.0%(120/125×100)であり、
大当り別の内訳は、
高当り信頼度が64.0%(80/125×100)、
低当り信頼度が32.0%(40/125×100)である。
以上の算出値から、各代替演出が現出された場合は低当りよりも高当りに対する期待度が高いことが示され、換言すると、各代替演出は、低当り当選時よりも高当り当選時に実行され易い当落演出である。したがって、本実施形態によるパチンコ機1は、このような振分テーブル2Bを用いることによって、戦歴の記録が行われているときに特別抽選の結果が高当りであった場合に、「特定の演出を現出させ得る所定の変動パターンとは異なる変動パターン」が選択されたとしても当落演出として「代替演出」が選択され易くなるので、「特定の演出」が現出され易くなる。かくして、戦歴の記録が行われているときに「特定の演出」が現出された場合に、高当りに対する高い期待度を実現することができる。
なお、本実施形態によるパチンコ機1では、[6-2]で説明したような戦歴の教示について、「特定の演出を現出させ得る変動パターン(変動時間30秒のバトルAリーチ)とは変動時間が異なる変動パターン(変動時間60秒の代替演出)」の場合でも、「変動時間が同じ変動パターン」の場合と同様に実行される、と前述したが、[6-3]で述べたような別例(戦歴の教示を行うタイミングや戦歴のリセット等に関する処理)についても同様に、変動時間60秒の代替演出の場合に実行され得る。個々の別例については[6-3]の説明と重複するため省略するが、特に、戦歴の記録に関する情報を消去する機会については、代替演出が選択されて大当りになったこと等を契機として当該情報の消去(又はリセット)が行われるようにすることで、「特定の演出を現出させ得る変動パターンとは変動時間が異なる変動パターン」が選択された場合であっても、戦歴に基づく演出の振分変更を行うことができるとともに、当該演出(代替演出)によって大当りに到達したことを戦歴に反映できるため、戦歴の記録及び教示に基づいて特定の演出が現出した際の大当りへの期待度を向上するという特徴的な効果を、より確実に提供することができる。
[6-5.代替演出の演出パターン]
上述してきたように、本実施形態によるパチンコ機1では、特定の演出(例えばバトルAリーチ)を現出させ得る所定の変動パターン(例えば変動時間30秒でバトルAリーチが選択され得る変動パターン)とは異なる変動パターン(例えば変動時間60秒でSP3種別の当落演出(ロングB,ロングC)が選択され得る変動パターン)が選択されたとしても、当該戦歴の記録に基づく特定の演出を代替的に現出させる「代替演出(例えばロングバトルB’リーチやロングバトルC’リーチ)」を実行することができる。本実施形態のパチンコ機1では、振分テーブル2A(図193)や振分テーブル2B(図194)のような振分テーブルが用いられることによって、戦歴の記録に基づいて戦歴の移行が行われているときに大当り(又は高当り)に当選した場合、このような代替演出が選択されやすくなり、代替演出が実行されることによって戦歴が記録された特定の演出を現出させることが可能となる。以下では、このような「代替演出」による具体的な演出パターンについて、特定の演出をバトルAリーチの演出、代替演出をロングバトルB’リーチとして説明する。なお、本実施形態によるパチンコ機1では、以下の各演出パターンで示す代替演出を組み合わせて実行可能にしてもよく、複数の演出パターンのうち、代替演出として現出させる演出パターンが選択されるようにしてもよい。
なお、これまでの説明では、「バトルAリーチ」を特定の演出としてきたが、より厳密に説明すべく、以後では、「バトルAリーチの演出(「バトルA演出」とも呼ぶ)」を特定の演出とする。この「バトルAリーチの演出(バトルA演出)」は、装飾図柄の変動開始からリーチ状態の形成を経て装飾図柄が変動停止するまでの「バトルAリーチによる一連の演出」のうち、リーチ状態が形成された後の演出を意味するとし、具体的にはキャラクタAが登場する対戦形式の演出(例えば図192(C)以降の演出)に相当する。すなわち、バトルAリーチは、リーチ状態が形成されるまでの演出(リーチ前演出)とバトルA演出とからなる。バトルAリーチの表示期間としては、例えば後述の図199でいえば、リーチ前演出が8秒間現出され、その後、22秒間に亘ってバトルA演出が現出される。
[6-5-1.代替演出の第1の演出パターン]
まず、代替演出の第1の演出パターンとして、代替演出の表示期間の前半に特定の演出を現出させる代替演出について説明する。
図195,196は、第1の演出パターンによる代替演出が実行されるときの演出画像の遷移を説明するための図である。図195,196の各図は、バトルA演出に関する戦歴の記録が行われているときに現出されるロングバトルB’リーチの演出画面例を示しており、図195(A)~(D)までがロングバトルB’リーチの表示期間の前半に現出される演出画面例である。なお、図195,196の各図のうち、図190~図192で説明済みと同様の演出画面については、説明を簡略に済ませ、このような説明の簡略は後述の図197,198でも同様とする。
図195(A)は、リーチ状態が形成される前の装飾図柄が変動中である状態(リーチ前状態)を示し、図195(B)は、左列と右列とに同じ装飾図柄(7図柄)が停止したことによりリーチ状態が形成された状態を示している。図195(A)における教示領域1900a~1900cの表示状態は、図192(A)と同様とする。具体的には、戦歴の移行段階を初期設定(第1段階)を含めて4段階とするとき、バトルA演出に関する戦歴の記録が表示される教示領域1900aは第3段階の緑色であり、バトルB演出に関する戦歴の記録が表示される教示領域1900bは第2段階の青色であり、バトルC演出に関する戦歴の記録が表示される教示領域1900cは第1段階の白色である。
図195(B)でリーチ状態が形成されると、ロングバトルB’リーチによる演出画面の表示が行われるが、このとき(ロングバトルB’リーチの表示期間の前半に)、特定の演出であるバトルA演出が現出される(図195(C))。図195(C)では、味方キャラクタ(キャラクタA)と敵キャラクタ(キャラクタZ)との対決演出が表示されるが、その画面表示や画面遷移の詳細は、図192で説明したSP2種別のバトルAリーチと同様であってよく、詳細な説明は省略する。
なお、図192でも説明したように、図195(C)においても、教示領域1900aが通常時よりも強調されて表示されることにより、戦歴が記録されたバトルA演出が行われていることを明確に遊技者に認識(視認)させることができる。さらに、戦歴の記録に基づく演出が現出された場合には信頼度が高められていることから、ここで現出されたバトルA演出による信頼度は初期設定よりも高いものであり、遊技者の興趣を著しく高める効果が期待できる。
その後、画像表示領域1900dではバトルA演出による対決演出が表示され、その結果、所定の演出時間(例えば22秒)の経過内に決着がついてキャラクタAが勝利した場合は、勝利画面が表示され(図195(D))、所定の演出時間の経過内に決着がつかない場合には、キャラクタAによる対決演出が継続して表示される(図196(G))。ここで、所定の演出時間とは、代替演出の表示期間の前半が経過するまでの時間であり、後述するタイムチャート(図197)の例示に基づけば22秒である。そして、図195(C)から図195(D)に移行した場合は、ロングバトルB’リーチの表示期間の前半に、バトルAリーチと同様の対決演出によってキャラクタAが勝利することで、バトルA演出が終了する。
図195(D)では、画像表示領域1900dでキャラクタAが勝利するとともに、第二画像表示領域1900dに、同一図柄の装飾図柄(図中では「7」図柄揃い)が表示される。但し、図195(D)で第二画像表示領域1900dに示される装飾図柄は、停止表示されず、少なくとも1以上の装飾図柄が揺動状態にある。その後、図195(E)に示すように、第二画像表示領域1900dに示された装飾図柄が画像表示領域1900d全体に表示されるが、このときも少なくとも1以上の装飾図柄が揺動状態にされる。すなわち、代替演出の表示期間の後半において装飾図柄の揺動状態が維持され、その後、所定時間が経過すると左・中・右の各列の装飾図柄が同一図柄で停止表示され、大当りに当選したことが示される(図195(F))。この結果、遊技者は、液晶表示装置1900に表示された演出結果から、本遊技で大当りに当選したことを認識できる。図195(F)のように大当りに当選した場合は、当該遊技における特別図柄(第一特別図柄又は第二特別図柄)の停止後に、大当り遊技が開始される。このように図195(A)~(F)の順に遷移する演出画面は、大当りパターンのロングバトルB’リーチで表示される。
一方、バトルA演出が開始されてから(図195(C))、所定の演出時間の経過内に決着がつかない場合には、図196(G)に示すようにキャラクタAによる対決演出が継続して表示される(バトルAの延長演出)。このバトルAの延長演出は、代替演出の表示期間の後半に入った後も継続して表示され、特別抽選の結果に従って、最終的にはキャラクタAの勝利又は敗北という対戦結果が表示される。図196(H)は、特別抽選の結果がはずれである場合に表示されるキャラクタAの敗北画面例であり、その後、大当り以外を示す装飾図柄の組合せ(例えば「7・5・7」)が停止表示される(図196(I))。図196(I)のように大当りに当選しなかった場合は、当該遊技における特別図柄(第一特別図柄又は第二特別図柄)の停止後に、次の遊技に移行する。このような図195(A)~(C)から図196(G)~(I)の順に遷移する演出画面は、はずれパターンのロングバトルB’リーチで表示される。
なお、上述の説明では、はずれパターンのロングバトルB’リーチにおいて、図195(A)~(C)から図196(G)に遷移するとしたが、ロングバトルAリーチ(図193,194参照)による演出でもこのような演出画面を表示するようにしてもよい。このとき、図195(C)の後にキャラクタAが勝利する図195(D)に移行せず図196(G)の演出画面が表示されたとしても、ロングバトルAリーチの演出画面である可能性があることから、遊技結果がはずれと確定するわけではないため、遊技者に遊技結果を諦めさせないことができる。より具体的には、大当りパターンのロングバトルAリーチが現出される場合は、図196(G)でバトルAの延長演出が表示された後に、キャラクタAが勝利する演出画面が表示されて大当りが示される。また、はずれパターンのロングバトルAリーチ又ははずれパターンのロングバトルB’リーチが選択されていた場合には、図196(H)~(I)の演出画面が表示されて、はずれの遊技結果が確定する。
このように、図195,196に示したような演出画面が表示されることによって、表示期間の前半に特定の演出を現出させる、第1の演出パターンの代替演出を実現することができる。
次に、第1の演出パターンによる代替演出の別例を説明する。図197,198は、第1の演出パターンによる代替演出が実行されるときの演出画像の遷移を説明するための別図である。図197,198の各図は、バトルA演出に関する戦歴の記録が行われているときに現出されるロングバトルB’リーチの演出画面例を示しており、図197(A)~(D)までがロングバトルB’リーチの表示期間の前半に現出される演出画面例である。なお、図197(A)~(D)、及び図198(H)~(J)は、それぞれ図195(A)~(D)、及び図196(G)~(I)と同様の演出画面であり、説明を省略する。
図197,198は、第1の演出パターンによる代替演出の別例として、ロングバトルB’リーチ(代替演出)の表示期間の前半に、バトルA演出がキャラクタAが勝利する態様で現出され、その後の表示期間の後半にキャラクタAに関する演出画面(エピソードA)が表示されるような演出画面例を示している。具体的には、大当りパターンのロングバトルB’リーチが選択された場合に、図197(D)でキャラクタAがキャラクタZに勝利した後、表示期間の後半に亘って、図197(E)~(F)に示すようにエピソードAが表示され、その後、大当りを示す装飾図柄の停止表示が行われる(図197(G))。一方、はずれパターンのロングバトルB’リーチが選択された場合には、図197(C)の後に図198(I)に遷移し、図196と同様にはずれの遊技結果を示す演出画面が表示されることになる。
このように、図197,198に示したような演出画面が表示される場合も、図195,196に示した演出画面例の場合と同様に、表示期間の前半に特定の演出を現出させる、第1の演出パターンの代替演出を実現することができる。
なお、図196(H)~(I)や図198(I)~(J)では、バトルA演出が現出されたにも拘わらず、大当りにならずにはずれの遊技結果が示されることから、このはずれ遊技を、戦歴の記録対象としてもよい。このとき、図196(H)や図198(I)に示したように、「A」の戦歴に対応する教示領域1900aの表示内容が変化し、具体的には第3段階の緑色から第4段階の赤色となる(図中の網掛け)。このように代替演出で特定の演出(バトルA演出)が現出されたにも拘わらず大当りが得られなかった場合には戦歴の記録が行われることによって、遊技者に、今回の遊技結果がはずれであったことを無駄に感じさせることなく、以降の遊技で再び特定の演出が現出された場合に、より高い大当りへの期待を抱かせることができる。
上述してきたように、第1の演出パターンによる代替演出では、代替演出の表示期間の前半に戦歴の記録に関する特定の演出が現出されるが、演出時間の推移に伴う各演出画面の表示タイミングについて、時系列で改めて説明する。図199は、第1の演出パターンによる代替演出を説明するためのタイムチャートである。図199(A)は、第1の演出パターンによる代替演出(ロングバトルB’リーチ)が現出された際に、図195(A)~(F)又は図197(A)~(G)の流れで大当りが示されるときのタイムチャートであり、図199(B)は、第1の演出パターンによる代替演出(ロングバトルB’リーチ)が現出された際に、図196(G)又は図198(I)に移行するときのタイムチャートである。
図199(A)では、まず、装飾図柄の変動表示が開始されてリーチ状態が形成されるまでの「リーチ前状態」に8秒間が経過する(例えば図195(A)~(B))。そして、リーチ状態が形成されたことを契機として、22秒間に亘ってバトルA演出が現出される(例えば図195(C))。その後、バトルAでキャラクタAが勝利したことで(例えば図195(D))、同一図柄の装飾図柄が揺動状態で30秒間に亘って表示された(例えば図195(E))後、大当りが示される(例えば図195(F))。なお、同一図柄の装飾図柄が揺動状態で表示される代わりに、エピソードAが30秒に亘って表示されてもよい(例えば図197(E)~(F))。
このような図199(A)において、代替演出の全体の表示期間は60秒であり、SP3種別の当落演出(ロングバトルB’リーチが含まれる)が選択され得る特別図柄変動パターンの変動時間に対応している。そして、代替演出の表示期間の前半の30秒が経過するまでに、特定の演出であるバトルA演出が現出されていることが分かる。図199(A)に示すタイムチャートは、大当りパターンの代替演出(ロングバトルB’)の場合を示している。
また、図199(B)では、装飾図柄の変動表示が開始してリーチ状態が形成されるまでの状態(リーチ前状態)の後、代替演出の表示期間の前半にバトルA演出が22秒間に亘って現出されるが、バトルの決着がつかずに、「バトルAの延長演出」として代替演出の表示期間の後半にバトルA演出が継続して表示される(例えば図196(G))。その後、バトルの決着が表示され、本遊技の遊技結果が大当りか否か(はずれ)が遊技者に示される。図199(B)に示すタイムチャートは、はずれパターンの代替演出(ロングバトルB’)の場合や、代替演出とは異なる同一種別(SP3種別)の当落演出(ロングバトルA)の場合を示している。
図195~図199を参照しながら説明したように、第1の演出パターンによる代替演出では、記録(及び教示)された戦歴に基づいて、特定の演出が代替演出の表示期間の前半に現出されるため、遊技者は、当該代替演出の序盤から、特定の演出が現出されたことを認識することで、大当り(特に高当り)への期待感を高めることができる。そして、特定の演出(例えばバトルA演出)は、当該特定の演出に対する期待度(すなわち、バトルAリーチにおける信頼度)が仮に比較的低かったとしても、戦歴の記録に基づいて代替演出で現出された際には高い信頼度の演出とされることから、大当り(特に高当り)への期待感を遊技者に抱かせることができ、遊技者の興趣を高め得る効果を奏する。
また、上述の図195~図199を参照した説明では、バトルA演出を特定の演出とする戦歴が記録されたときに代替演出としてロングバトルB’リーチが実行される際、リーチ状態の形成後に即座にバトルA演出が現出されることから、内部的にはキャラクタAとは無関係のB系(非A系)の当落演出が選択されたにも拘わらずバトルA演出が現出されているということは遊技者に認識されない。これに対し、本実施形態のパチンコ機1では、別例として、代替演出の実行時に、非A系の当落演出が選択されたことを遊技者に認識させたうえでバトルA演出が現出されるようにしてもよい。具体的には例えば、図195(B)に示したようにリーチ状態が形成された後、対決演出に移行する前に、対決するキャラクタが選択される画面(キャラクタ選択画面)等を表示するようにする。そして、当該キャラクタ選択画面において、初期状態をキャラクタBが選択された状態とし、決定時にはキャラクタAが選択されるようにして、その後の対決演出はキャラクタAによるバトルA演出が現出されるようにすればよい。
このようにすることで、キャラクタBに関する当落演出であることを遊技者に認識させつつ、特定の演出であるバトルA演出を代替演出の前半に現出させることができる。そして、このような場合に、選択キャラクタのBからAへの変更が明示されることによって、遊技者の期待感を高めることができる。詳述すれば、例えば、キャラクタBに関する当落演出に関する大当りへの期待度が比較的高くなかったとしても、戦歴の記録に基づく特定の演出(バトルA演出)に変更されることによって、遊技者の大当り(特に高当り)への期待度を急激に高めることができる。また、キャラクタ選択画面の初期状態では、非A系の当落演出(この場合は例えばバトルB系のリーチ)が予想されるため、当該当落演出による大当りへの期待を遊技者に抱かせ、その後、戦歴の記録に対応するキャラクタAが選択されることによって大当り(特に高当り)に対してより高い期待感を遊技者に抱かせることができるので、このような本実施形態のパチンコ機1によれば、段階的に遊技者の興趣を高めることができる。
[6-5-2.代替演出の第2の演出パターン]
次に、代替演出の第2の演出パターンとして、代替演出の表示期間内に特定の演出を現出させるとともに、当該現出される特定の演出の合間に、特定の演出に関連した関連演出を現出させる代替演出について説明する。なお、第2の演出パターン、及び後述する第3並びに第4の演出パターンにおいて、特定の演出(バトルA演出)が現出される際には、第1の演出パターンで説明した図195~図198のようにキャラクタAによる敵キャラクタとの対決演出が表示されるが、その詳細は重複するため省略する。
図200は、第2の演出パターンによる代替演出を説明するためのタイムチャートである。図200(A)は、第2の演出パターンによる代替演出の第1例のタイムチャートであり、図200(B)は、第2の演出パターンによる代替演出の第2例のタイムチャートである。第1例と第2例とでは、関連演出が表示されるタイミングが異なっているが、代替演出(ロングバトルB’リーチ)の表示期間内に特定の演出(バトルA演出)が現出され、かつ、当該特定の演出の合間に関連演出が現出される点については変わらない。なお、第2の演出パターンでは、図200(A)に示すバトルA1~バトルA4のように、他の演出パターンの場合には連続して表示される特定の演出(バトルA演出)が複数回に分けて現出される。
まず、図200(A)に示す第2の演出パターンによる代替演出の第1例では、代替演出の表示期間内に現出されるバトルA演出(バトルA1~バトルA4)の合間に、バトルA演出に関連した関連演出(カットイン1~カットイン3)が複数回に亘って現出される。
具体的には、装飾図柄の変動表示が開始されて8秒後にリーチ状態が形成されると、まず、バトルA演出が開始される(バトルA1)。バトルA1では例えば、味方であるキャラクタAと敵方であるキャラクタZとの対決演出の開始が表示される。バトルA1に関する画像が表示される6秒間が経過すると、最初の関連演出が表示される(カットイン1)。カットイン1では、例えば、キャラクタAがキャラクタZにパンチ攻撃を行い、攻撃が的中するか否かが表示される。当該攻撃が的中するか否かは、本遊技における特別抽選の結果(大当りか否か)に基づいて内部的な計算が行われて決定されればよい。攻撃が的中した場合は、ゲージ領域1900g(例えば図195(C)参照)に示される敵キャラクタの体力を減少させて、勝利に近づくような印象を遊技者に与える。
カットイン1の表示期間(8秒)が経過すると、再びバトルA演出の続きが4秒間表示される(バトルA2)。その後、第2の関連演出が8秒間に亘って表示される(カットイン2)。カットイン2では、例えば、カットイン1におけるパンチ攻撃と同様に、キャラクタAがキャラクタZにキック攻撃を行い、攻撃が的中するか否かが表示される。攻撃が的中した場合は、ゲージ領域1900gに示される敵キャラクタの体力をさらに減少させ、より勝利に近づく印象を遊技者に与える。
その後、再びバトルA演出の続きに戻り(バトルA3)、4秒経過後に第3の関連演出が14秒に亘って表示される(カットイン3)。カットイン3では、例えば、カットイン1やカットイン2における攻撃よりも強力な攻撃として奥義攻撃が表示され、本遊技における特別抽選の結果が大当りの場合には、当該奥義攻撃が敵キャラクタに的中するような表示が行われる。そして、奥義攻撃が的中した場合には、続いて表示されるバトルA演出(バトルA4)において、ゲージ領域1900gに示される敵キャラクタの体力を0まで減らして、キャラクタAの勝利を示し、本遊技の遊技結果が大当りであることを遊技者に認識させる。奥義攻撃が的中しなかった(失敗した)場合には、バトルA4においてキャラクタAの敗北を示し、本遊技の遊技結果がはずれであることを遊技者に認識させる。なお、図200(A)に示すバトルA4の演出時間は、分割されたバトルA演出(バトルA1~バトルA4)のうち最長となる8秒間である。
このような第1例の演出によれば、特定の演出であるバトルAが現出される合間に複数回に亘って関連演出が現出されることで、バトルAの勝敗結果に対する期待度を関連演出ごとに増減させることができ、遊技者の期待感を多様に変化させることができる。具体的には、上述のパンチ攻撃及びキック攻撃の成功回数が多いほど大当りに期待できたり、仮にパンチ攻撃及びキック攻撃がともに成功しなかったとしても、最後の奥義攻撃が的中しさえすれば逆転勝利に期待できたりする。
また、第1例における関連演出の内容は、上述したようにキャラクタAの攻撃に限定されるものではなく、特定の演出を盛り上げる意味を備えた様々な演出であってよい。例えば、敵キャラクタZの攻撃を表示して当該攻撃を回避できるか否か、としても良いし、キャラクタ同士で出現させる攻撃パターン(技の種類)等によって期待度を変更させてもよい。さらに、表示色を変更して期待度を変動させるようにしてもよく、これは関連演出(カットイン1~カットイン3)だけでなく、特定の演出(バトルA1~バトルA4)でも行われてよい。
次に、図200(B)に示す第2の演出パターンによる代替演出の第2例では、代替演出の表示期間内に現出されるバトルA演出(バトルA1及びバトルA4)の合間に、バトルA演出に関連した関連演出(カットイン)が連続して現出される。
具体的には、装飾図柄の変動表示が開始されて8秒後にリーチ状態が形成されると、まず、バトルA演出が開始される(バトルA1)。バトルA1では例えば、味方であるキャラクタAと敵方であるキャラクタZとの対決演出の開始が表示される。バトルA1に関する画像が表示される10秒間が経過すると、バトルAの関連演出が表示される(カットイン)。カットインでは例えば、キャラクタAとキャラクタZとの会話が表示され、その後、キャラクタAがパワーアップするかのような表示が行われる。カットインによる演出結果は、特別抽選の結果に基づく内部的な計算で決定されるようにすればよい。キャラクタAとキャラクタZとの間で交わされる会話の内容や表示色によって大当りへの期待度に変化を持たせ、また、キャラクタAがパワーアップに成功すれば、キャラクタAの攻撃力が高まるようにして勝利に近づくような印象を遊技者に与える。
そして、カットインの演出が30秒間に亘って表示された後に、バトルA演出の続きが12秒間に亘って表示され、キャラクタAが勝利するか否かが決定する(バトルA4)。大当りパターンのロングバトルB’リーチが選択されている場合は、バトルA4でキャラクタAの勝利を示し、本遊技の遊技結果が大当りであることを遊技者に認識させる。はずれパターンのロングバトルB’リーチが選択されている場合は、バトルA4でキャラクタAの敗北を示し、本遊技の遊技結果がはずれであることを遊技者に認識させる。
このような第2例の演出によれば、特定の演出であるバトルAが現出される合間に30秒という長時間の関連演出(カットイン)が現出されることで、特定の演出の本来の変動時間(バトルA演出を含むバトルAリーチ全体でも30秒)よりも長い時間(図200(B)では、バトルA1、A4、カットインを合計すると52秒)に亘り、特定の演出に関連性を有する演出が現出されることになる。この結果、特定の演出に対する遊技者の注目度及び期待度を向上させ、大当り(特に高当り)への期待感を高めることができる。
なお、上記第1例及び第2例で説明したように、バトルA4では代替演出による当落演出の最終的な判定結果(端的には大当りか否か)が示されることから、バトルA4の演出期間は代替演出の進行上最も重要な演出期間の1つといえる。したがって、代替演出の第2のパターンでは、複数回に分けて現出されるバトルA演出(バトルA1~バトルA4)のうち、最後に現出されるバトルA演出(すなわちバトルA4)の演出時間を最も長く設定することが好ましい。例えば、第1例の図200(A)では、バトルA4の演出時間は8秒であり、他のバトルA演出(バトルA1~バトルA3)による最大6秒の演出時間よりも長い。また例えば、第2例の図200(B)では、バトルA4の演出時間は12秒であり、他のバトルA演出(バトルA1)による10秒の演出時間よりも長い。
このように、代替演出の第2の演出パターンにおいて、代替演出の表示期間内に複数回に分けて現出される特定の演出(バトルA演出)のうち、当該代替演出における判定結果を表示する演出(バトルA4)の演出時間を、分割された他の特定の演出(バトルA1~バトルA3)の演出時間よりも長く設定する場合には、「判定結果(例えば、大当りか否か)」を表示するための期間を長めに確保できるため、遊技者の関心を十分に惹き付け、興趣を高める効果が期待できる。
また、代替演出の第2の演出パターンでは、特定の演出が現出している合間に現出される関連演出の表示パターンを、複数種類(例えば、第1例及び第2例)のうちから選択されるようにし、かつ、表示パターンごとに大当りへの期待度に差異を付けることができる。このような場合には、遊技者の期待感の向上度合いに差異を付けることができるため、遊技性を高めることが期待できる。また、前述したように、特定の演出が初期設定で比較的低い信頼度の演出であったとしても、代替演出で現出される際には信頼度が高められているため、遊技者の興趣の低下を抑制し得るという効果を奏する。
なお、図200(A),(B)を参照しながら、バトルA演出に関する戦歴の記録が行われているときに代替演出としてロングバトルB’リーチが選択された場合の演出例を説明してきたが、さらに、代替演出のロングバトルB’リーチと同じ変動時間を有するSP3種別の別の当落演出(具体的にはロングバトルAリーチ)の演出を、代替演出の関連演出を除く演出内容と類似するようにしてもよい。このような場合に、ロングAバトルリーチと代替演出(ロングバトルB’リーチ)とを比較すると、変動時間が60秒である点、及び、キャラクタAによる対戦形式の演出画面が表示される点は共通し、関連演出としてのカットインが発生するか否かが差異となる。また、大当り(又は高当り)への期待度は、図193,194を参照して説明した通り、代替演出のほうが高い。したがって遊技者は、カットイン(関連演出)が発生するまでは、ロングバトルAリーチかロングバトルB’リーチ(代替演出)か判別できず、さらに、当該カットインが発生した場合には期待度の高いロングバトルB’リーチを推測できることから、演出の進行状況により期待を抱くことができる。
さらに、ロングバトルAリーチの演出は、ロングバトルB’リーチにおける関連演出と類似した演出画面も表示可能にして、前段で説明したロングバトルAリーチよりもさらにロングバトルB’リーチと類似した演出にしてもよい。このような場合に、ロングバトルAリーチとロングバトルB’リーチとの判別はより困難になり、遊技者は演出が完了するまで表示結果を楽しむことができる。
また、代替演出の第2の演出パターンでは、特定の演出を含む30秒のショートバトル(例えば図200(A),(B)においては、8秒のリーチ前状態と合計22秒のバトルA演出とを含む30秒の演出に相当)を現出させる演出現出制御が行われている時に、合間演出(例えば図200(A),(B)におけるカットイン演出に相当)を差し込む差込制御を行い、この差込制御が行われた時には演出現出制御を中断する中断制御を行うようにしても良い。なお、中断制御は所定時間(例えば図200(A)のバトルA1後の中断制御時でいえば、カットイン1に相当する8秒間)の経過時に中断制御の実行を中断し、該中断したタイミングで演出現出制御を再開させる(バトルA2に相当する演出画面が表示される)ように制御することで代替演出を現出させることができる。
またこの他にも、60秒の変動時間が選択された時に、代替演出そのものを表示可能な演出データとして周辺制御基板4010側で演出パターンを設けるようにしても良い。このように最初から代替演出としての演出パターンを設けることで第1~第4の演出パターンのいずれが選択される場合でも代替演出を現出可能とすることができる。
[6-5-3.代替演出の第3の演出パターン]
次に、代替演出の第3の演出パターンとして、代替演出の表示期間内に、特定の演出が開始されることを示唆するとともに、示唆された特定の演出を現出させる代替演出について説明する。
図201は、第3の演出パターンによる代替演出を説明するためのタイムチャートである。図201のタイムチャートには、バトルA演出を特定の演出として戦歴の記録が行われているときに代替演出(例えばロングバトルB’リーチ)が選択された際の時間経過に伴う演出画面の変化が示されている。
図201を参照すると、まず、代替演出の表示期間の初期の8秒間に、装飾図柄の変動が開始してリーチ状態を形成するまでの期間(リーチ前状態)がある。その後、30秒間に亘って示唆演出が現出される(示唆演出A)。この示唆演出Aは、戦歴が記録された「特定の演出(バトルA演出)」の表示が開始されることを示唆する内容の演出であり、特定の演出が開始されることへの期待度合いに差異を付けた複数種類の示唆演出から選択して現出されるようにしてもよい。また、リーチ前状態の合間にも示唆演出Aが現出されるようにしてもよい。
示唆演出Aの具体的な演出例を以下に示す。例えば、示唆演出の序盤に「何かが起きる」といった予告的な演出表示を行い、中盤に「対戦演出」が行われることを予告し、終盤に「キャラクタA登場予定」といった態様でキャラクタAによる対戦演出(すなわちバトルA演出)が開始されることを示唆する。
また例えば、示唆演出Aの序盤に敵キャラクタを登場させ、中盤に敵キャラクタによる味方の危機的状況を表示し、終盤にキャラクタAに助けを求めるといった演出を行うことで、示唆演出Aの後にキャラクタAによる敵キャラクタとの対戦(すなわちバトルA演出)が開始されることを示唆する。
また例えば、示唆演出Aの序盤ではキャラクタBによるバトルB演出が開始されそうな画面を表示し、中盤ではバトルB演出が開始される前にキャラクタAが登場してキャラクタBの代わりになるような会話を行い、終盤ではキャラクタBからキャラクタAに交代するといった画面が表示されることで、示唆演出Aの後にキャラクタAによるバトル演出(すなわちバトルA演出)が開始されることを示唆する。
そして、このような示唆演出(示唆演出A)が所定期間(例えば30秒間)に亘って現出された後、当該示唆演出で開始が示唆された特定の演出が22秒間に亘って現出される(バトルA)。バトルAでは、キャラクタAが敵キャラクタと対戦する対戦演出が表示され、特別抽選の結果が大当りである場合には、最終的にキャラクタAの勝利を示し、本遊技の遊技結果が大当りであることを遊技者に認識させる。また、特別抽選の結果が大当りではない(はずれ)場合には、最終的にキャラクタAの敗北を示し、本遊技の遊技結果がはずれであることを遊技者に認識させる。
なお、このような第3の演出パターンによる代替演出においては、後半のバトルA演出の際に、戦歴の記録に対応した特定の演出(バトルA演出)が現出されていることを強調して教示することが好ましい。さらに、示唆演出の段階では、このような強調教示までは行わず、特定の演出が開始される可能性があることを示すように、例えば、バトルAに関する教示領域1900aを点滅させるといった期待演出を行うようにしてもよい。このように、戦歴の記録と特定の演出の現出との関連性が遊技者に明確に教示されることにより、遊技者は確実に大当り(特に高当り)への期待度が高い演出が現出されていることを視覚的に認識することができる。
以上のような第3の演出パターンによる代替演出が行われると、示唆演出が現出された時点で、実際にはバトルA演出が開始される前にも拘わらず、特定の演出(バトルA演出)が現出することに対する遊技者の期待感を高めさせる期待期間を創出できる。そしてバトルA演出が現出されると大当り(特に高当り)への期待度が高いことから、示唆演出AからバトルA演出が終了するまでの長時間(図201の例では、52秒間)に亘って、遊技者の期待感や興趣を高めることができる。
また、示唆演出が現出されると、必ず又は比較的高確率で「特定の演出の開始」が確定するようにしてもよく、このような場合に、遊技者は、示唆演出が現出される代替演出の序盤の段階で、高信頼度の特定の演出が現出されることを確信できるため、安心感を抱きながらその後の有利な遊技展開(大当りや高当り)に期待することができる。
また、示唆演出が現出されても必ずしも「特定の演出の開始」が確定しないように、いわゆる「偽の示唆演出」を含めるようにしてもよく、このような場合には、遊技者に、高信頼度の特定の演出が現出されることに対して通常時よりも期待感を高めさせるとともに、実際に特定の演出が現出されるまでドキドキ感を抱いて遊技展開を楽しませることができる。
また、代替演出の第3の演出パターンにおける示唆演出は、必ずしも液晶表示装置1900上に表示される演出に限らず、当該代替演出の後半で特定の演出が開始されることを示唆できる態様であれば、例えば役物の作動演出やLEDランプの点灯演出等、他の演出方法が採用されてもよく、さらにこれらの演出方法を組み合わせられてもよい。
[6-5-4.代替演出の第4の演出パターン]
次に、代替演出の第4の演出パターンとして、代替演出の表示期間の前半に特定の演出を想起し難い(特定の演出と関連性が薄い)「異演出」を現出させるとともに、代替演出の表示期間の後半に特定の演出を現出させる代替演出について説明する。
図202は、第4の演出パターンによる代替演出を説明するためのタイムチャートである。図202のタイムチャートには、バトルA演出を特定の演出として戦歴の記録が行われているときに代替演出(例えばロングバトルB’リーチ)が選択された際の時間経過に伴う演出画面の変化が示されている。
図202を参照すると、まず、代替演出の表示期間の初期の8秒間に、装飾図柄の変動が開始してリーチ状態を形成するまでの期間(リーチ前状態)がある。その後、30秒間に亘って「異演出」が現出される(異演出Aとして、例えばバトルB)。前述したように、「異演出」は特定の演出(ここではバトルA演出)を想起し難い演出であり、特定の演出と関連性が薄い演出であればよい。ここでは、ロングバトルB’リーチにおける異演出Aとして、キャラクタBが敵キャラクタと対戦するバトルB演出が現出されるとしているが、その他のキャラクタが対戦するような演出(例えばバトルC演出)や、キャラクタAとは無関係のキャラクタやストーリー等による対戦形式以外の演出(例えば図186等で説明したストーリーB)であってもよい。
なお、異演出では、演出内容として何らかの決着(例えばキャラクタBが敗北又は勝利する等)を付けても付けなくてもよいが、何れにしても全装飾図柄の変動が停止することはなく、代替演出の後半に現出されるバトルA演出が終了するまで装飾図柄は変動する。
そして、異演出Aが所定期間(例えば30秒間)に亘って現出された後、特定の演出が現出される(バトルA)。バトルAでは、キャラクタAが敵キャラクタと対戦する対戦演出が表示され、特別抽選の結果が大当りである場合には、最終的にキャラクタAの勝利を示し、本遊技の遊技結果が大当りであることを遊技者に認識させる。また、特別抽選の結果が大当りではない(はずれ)場合には、最終的にキャラクタAの敗北を示し、本遊技の遊技結果がはずれであることを遊技者に認識させる。
なお、このような第4の演出パターンによる代替演出においては、後半のバトルA演出の際に、戦歴の記録に対応した特定の演出(バトルA演出)が現出されていることを強調して教示することが好ましい。このように、戦歴の記録と特定の演出の現出との関連性が遊技者に明確に教示されることにより、遊技者は、代替演出の後半に特定の演出が現出されたことで、大当り(特に高当り)への期待度が高い状態になっていることを視覚的に認識することができる。
ここで、異演出とその後の特定の演出との演出上の繋がりについて、具体例で詳しく説明する。例えば、異演出AとしてバトルB演出が現出されるとき、味方キャラクタであるキャラクタBが敵キャラクタであるキャラクタZと対戦する演出が表示される。そして、異演出Aの一例として、バトルB演出でキャラクタBがキャラクタZに敗北する画面が表示されるようにして、遊技者視点では本遊技がはずれであったと感じさせる。その後、一定時間の経過後にキャラクタAを出現させ、キャラクタAがキャラクタZに再戦を挑むような画面を表示させる。このような代替演出によれば、代替演出の前半で異演出Aが行われてから、代替演出の後半で特定の演出(バトルA演出)が現出されることによって、一旦はキャラクタBで敗北した後に、キャラクタAによる雪辱戦が開始され、バトルA演出でキャラクタAが勝利した場合には大当りが遊技者に示されるので、遊技者に一旦は本遊技のはずれを意識させた後に大当りへの期待を復活させることができ、興趣を急激に高めることが期待できる。
また、異演出の別例として、特別抽選の結果が大当りである場合に、当該大当りの有利度合いに応じて、画像表示領域1900dに揃える装飾図柄を変更する演出の一環として異演出Aを使うようにしてもよい。すなわち、前半の異演出A(バトルB演出)でキャラクタBがキャラクタZに勝利する画面を表示させ、このとき有利度合いの比較的低い大当り(低当り)を示す装飾図柄の揃い態様を一時的に(揺動状態で)表示させる。その後、異演出Aの終盤で突如キャラクタAを登場させて大当りの昇格演出が開始されるように演出し、当該昇格演出として特定の演出(バトルA演出)が現出させる。そして、特別抽選の結果が有利度合いの比較的高い大当り(高当り)である場合には、バトルA演出でキャラクタAが勝利するようにして、装飾図柄の揃い態様を高当り用の並びに変更する。また、特別抽選の結果が有利度合いの比較的高い大当り(高当り)ではない場合には、バトルA演出でキャラクタAが勝利できない(例えば引き分け)ような表示を行い、装飾図柄の揃い態様は変更しないようにすればよい。このような代替演出によれば、異演出によって大当りが示される喜びを遊技者に与えた後に、昇格演出としての特定の演出を急に現出させることによって、当該大当りが有利度合いの比較的低い大当り(低当り)であることに対する遊技者の無念が払拭される機会が与えられ、さらに有利度合いの高い大当りに変換された場合には大きな喜びを遊技者に与えることができるものであり、遊技者に多段階の満足感を与えるという効果を奏する。
このように第4の演出パターンによる代替演出では、特定の演出を想起し難い異演出の現出の後に特定の演出が現出されることにより、遊技者に驚きと期待感を抱かせることができ、パチンコ機1で現出され得る様々な演出に対して遊技者の興趣を高める効果が期待できる。
より詳しく説明すれば、第4の演出パターンによる代替演出が行われると、代替演出の前半では特定の演出と関係が無い異演出が行われるため、この段階では遊技者は特定の演出を意識することなく、異演出による遊技展開を楽しむことができる。そして、その後急に特定の演出が現出されることによって、驚きを伴う遊技性を提供することができ、さらに当該特定の演出が現出されることによって大当り(特に高当り)への期待度が高められることから、興趣を高めることができる。
また、上述したように第4の演出パターンによる代替演出では、特定の演出を表示するための変動時間さえ確保できていれば、異演出が現出されたあとに特定の演出が現出されるタイミングを任意に変更することもできる。このような代替演出が実行され得るパチンコ機1では、遊技者視点からはどのタイミングで特定の演出(バトルA演出)が現出されるか分からない。例えば、SP2種別のバトルBリーチやSP3種別のロングバトルBリーチが選択されている場合は、キャラクタBによる対戦演出が開始されるものの、その後バトルA演出が現出されることなく当該対戦演出が終了する。しかし、ロングバトルB’リーチが選択されている場合には、バトルB演出によってキャラクタBが勝利できなかったとしても、キャラクタAによるバトルA演出が現出されることで、再び大当りに対する期待感を抱かせることができるため、遊技者は、発生するかもしれない特定の演出に対して常に期待感を抱きながら演出の展開を楽しむことができる。
なお、第4の演出パターンの代替演出では、前述したように、異演出は特定の演出と関連性の薄い演出であればよいが、さらなる関係性として、特定の演出から想起される当落演出と異演出から想起される当落演出とについて、それぞれの大当りの信頼度に差異がある関係を意識的に形成するようにしてもよい。
例えば、特定の演出をバトルA演出、異演出をバトルB演出とする場合、既述の各振分テーブル(1A,1B)等を参照すると、特定の演出であるバトルA演出から想起される当落演出(例えばSP2種別)はバトルAリーチであり、異演出AのバトルB演出から想起される当落演出(例えばSP2種別)はバトルBリーチである。この各当落演出について初期段階(戦歴P)における大当りの信頼度を比較すると、バトルBリーチの方がバトルAリーチよりも信頼度が高い(図187,189参照)ことから、バトルA演出及びバトルB演出を単独演出として見た際、バトルB演出が現出された場合の方がバトルA演出が現出された場合よりも大当り(又は高当り)への期待度が高くなる。また、SP3種別の当落演出で比較しても、バトルA演出から想起されるロングバトルAリーチよりは、バトルB演出から想起されるロングバトルBリーチの方が信頼度が高い([6-4-1],「6-4-2」参照)ことから、やはり、バトルB演出の方がバトルA演出よりも大当りへの期待度が高くなる。このように、特定の演出(バトルA演出)よりも異演出A(バトルB演出)の方が信頼度が高い組合せで行われる第4の演出パターンの代替演出では、前半に高信頼度の異演出Aが現出されることで遊技者の大当りへの期待感を高めさせることができる。そして、異演出Aで大当りに到達できない(バトルB演出で敗北する)展開となると一旦は遊技者を落胆させてしまうが、その後、特定の演出(バトルA演出)が現出されることによって、再度遊技者に大当りへの期待を抱かせることができる。すなわち、代替演出の前半に現出された高信頼度の演出で大当りが示されなかったとしても、以後の展開(特定の演出が現出すること)によって再び大当りに期待させることができることから、興趣の低下を抑制することができる。
また例えば、特定の演出をバトルA演出とするとき、バトルA演出よりも信頼度が低い演出を異演出Aとして第4の演出パターンによる代替演出を行うようにしてもよい。「バトルA演出よりも信頼度が低い演出」とは、厳密には、バトルA演出によって想起される当落演出よりも信頼度が低い当落演出を想起させ得る演出である。このとき、代替演出において前半に低信頼度の異演出が現出されても、大当りに対する期待を遊技者にさほど高く持たせられないかもしれないが、その後、代替演出の後半で高信頼度の特定の演出(バトルA演出)が現出されることにより、遊技者の大当りへの期待感を急激に高めることができる。すなわち、代替演出の前半に比較的低い信頼度の演出が現出されたとしても、その後に特定の演出(バトルA演出)が現出しさえすれば信頼度が高い演出になるため、低信頼度の演出が現出されても大当りや高当りに対する期待感を抱かせることができ興趣の低下を抑制することができる。
また、異演出の後に戦歴の記録に基づく特定の演出が現出された場合には、大当り(特に高当り)に対する期待度が高められているので、特定の演出が突然現出されることによって、演出上の楽しさだけでなく、実益(特典の獲得)上の期待感を高める演出を実現することができる。
また、異演出の具体例で前述したように、バトルB演出でキャラクタBが敗北した後にキャラクタAによるバトルA演出が現出される場合には、復活パターンの演出になるため、1回の遊技演出において当落演出が複数回行われている(当落機会が複数回存在する)ように遊技者に感じさせることができるため、遊技者の興趣を高めることが期待できる。さらに、このような復活パターンに繋がる異演出を、一度の代替演出の前半期間に複数回現出させるようにすれば、当落機会がさらに増加したような連続演出を実現することもでき、遊技者の興趣をますます高めることができる。
以上に述べたように、本実施形態によるパチンコ機1では、第1~第4の演出パターンによる代替演出が行われることによって、戦歴の記録に基づく特定の演出(バトルA演出)を、本来の表示時間(バトルA演出は22秒。バトルAリーチ全体としても30秒)よりも長い表示時間が選択された場合(ここでは60秒の代替演出)でも現出させることができる。一般的には表示時間が長いほど、遊技結果が大当りや高当りになることへの遊技者の期待が高まり易い傾向があるため、本来の表示時間よりも長い表示時間で特定の演出を現出させ得ることによって、当該遊技の重要性及び高信頼性を遊技者に感じさせる効果が期待できる。
また、[6-4-1]~[6-4-2]で前述したように、戦歴の記録が行われているときに大当り(又は高当り)した場合に代替演出が実行される割合は、戦歴の記録が行われていないときに比べて高い。したがって、特定の演出(バトルA演出)に関する戦歴の記憶及び教示が行われているときに当該特定の演出が現出されると、遊技者は、大当り(又は高当り)への期待度を高めることができるが、このような特定の演出が、バトルA演出に対応する本来の変動時間(30秒のバトルAリーチ)とは異なる変動時間の当落演出であっても代替演出によって現出され得ることから、特別変動パターンの変動時間に拘わらず特定の演出が現出されることに期待でき、複数種類の当落演出に対する遊技者の期待感を高めさせることができる。
また、本実施形態のパチンコ機1では、戦歴の移行によって特定の演出に関する信頼度(特定の演出が現出される当落演出における信頼度)が向上するため、特定の演出が初期設定では比較的大当りへの期待度が低い低信頼度演出であったとしても、戦歴が記録されたあとには、特定の演出に対して期待度の高い演出として期待させることができる。その結果、従来の遊技機で見られたような低信頼度演出が現出されたことによる遊技者の興趣の低下を抑制する効果を奏する。
[6-6.演出パターンの決定に関する補足]
なお、本実施形態によるパチンコ機1では、[6-1]~[6-4]で上述したような振分テーブルを用いる際に、必ずしも低当りパターンにおける振分の変更を行わなくてもよい。但し、低当りパターンで振分の変更を行う場合には、高当りパターンにおける振分の上昇量を超えない程度に変更するものとする。具体的には、振分テーブル1A,1Bの場合には、高当りパターンにおける特定の当落演出(バトルAリーチ)の振分の上昇量を超えない程度で変更するものとする。そのようにすることで、低当りパターンに対する振分が変更されるとしても、高当りパターンにおける振分量を多くすることにより、戦歴の記録が行われた後の遊技で特定の当落演出が現出された際に、高当りへの期待度を高めることができる。また、振分テーブル2A,2Bの場合には、振分が増加される当落演出(ロングバトルB’リーチ、ロングバトルC’リーチ)における高当りパターンの振分の上昇量を超えない程度で変更するものとする。このように、低当りパターンに対する振分が変更されるとしても、高当りパターンにおける振分量を多くすることにより、戦歴の記録が行われた後の遊技において、特定の当落演出(バトルAリーチ)を現出させ得る所定の変動パターン(例えば変動時間30秒でバトルAリーチが選択され得る変動パターン)とは異なる変動パターン(例えば変動時間60秒でロングバトルBが選択され得る変動パターン)が選択されたとしても、ロングバトルB’リーチが現出され得ることによって当該特定の演出(バトルAリーチ)を現出させることができ、高当りへの期待度を高めることができる。
また、上述の実施形態では、変動時間30秒の際に選択され得る「バトルAリーチ(厳密にはバトルA演出)」を特定の演出(特定の当落演出)として説明したが、その他の演出を特定の演出としてもよい。また、特定の演出の対象は1つのリーチ演出に限定されるわけではなく、関連性を有する複数のリーチ演出を特定の演出の対象としてもよい。具体的には例えば、キャラクタAに関するリーチ演出を特定の演出とすることによって、変動時間30秒の変動パターンのときに選択され得るバトルAリーチだけでなく、変動時間60秒の変動パターンのときに選択され得るロングバトルAリーチも、同じカテゴリの「特定の演出」に含めることができる。このような「特定の演出」に対して戦歴の記録を行うとすれば、バトルAリーチがはずれ態様で現出されたときだけでなく、ロングバトルAリーチがはずれ態様で現出されたときにも、戦歴が記録される。その結果、「キャラクタAに関するリーチがはずれ態様で現出されたこと」という戦歴の結果がまとめて記録されるので、キャラクタAに関する複数種類の当落演出が現出されたのに大当りが得られないような場合に、キャラクタAをパワーアップさせることができ、このような当落演出が次に現出した際の大当り(及び高当り)への期待度を高めることができる。
また、上述の実施例では、確変大当りを有利度合いの高い「高当り」とし、通常大当りを有利度合いの低い「低当り」としたが、本実施形態のパチンコ機1では、「高当り」と「低当り」との区分は特に限定されるものではない。例えば、当り遊技後の遊技状態に関する他の条件(時短遊技が付与されるか否か、付与される時短遊技の回数等)に基づいて高当りと低当りとを区分してもよい。「高当り」及び「低当り」に関してこのような区分を行う場合は、大当りに基づいて制御される一連の有利状態を通じて遊技者が獲得し得る特典(例えば出玉)期待値に基づいて、有利度合いの高低を区分していると捉えることができる。
また、「高当り」と「低当り」との区分の別例として、大当り遊技における大入賞口2103の開閉制御の違い等に基づいて区分してもよい。具体的には例えば、大当り遊技におけるラウンド数(16R大当りか16R未満の大当りか等)に基づいて区分できる。また例えば、大当り中の各ラウンドにおける大入賞口2103の開放時間が比較的長い大当りと比較的短い大当りとで区分できる。また例えば、大当り中において遊技媒体の入球が容易な開放制御が行われるラウンド数(実質ラウンド数)の違いに基づいて区分できる。「高当り」及び「低当り」に関してこのような区分を行う場合は、大当りによって遊技者が獲得し得る遊技球の多寡(出玉の獲得期待値)に基づいて、有利度合いの高低を区分していると捉えることができる。
そして、上述したような区分基準を組み合わせて「高当り」と「低当り」とを区分しても構わない。一例をあげれば、「確変大当りであること」及び「当該大当りによる実質的な出玉の獲得期待値が所定量を超えること」を「高当り」に区分するための基準とすれば、所謂「潜伏当り」のように実質的な出玉の獲得が期待できない大当りを高当りから除外することもできる。すなわち、図173(C)に示した大当り種別を例にとれば、「特定2の4R確変大当り」、「特定4の8R確変大当り」、及び「特定5の16R確変大当り」だけを「高当り」に区分し、「特定1の4R潜伏確変大当り」や「特定3の16R突然確変大当り」を「非特定の4R通常大当り」と一緒に「低当り」に区分することも可能である。このような場合、戦歴の記録が行われているときに「特定の演出」が現出することで「高当り」への大当り期待度を高められるとすれば、確変大当りで実質的な出玉が得られるという最も有利度の高い大当りに対する期待度を向上させることができるので、遊技者の期待感を一層高めさせることが可能となる。
また、有利度合いの差異に基づく区分は、高低の2種類である必要はなく、3種類以上の区分が行われてもよい。また、「高当り」と「低当り」とを当りの種別によって決定づけるようにしても良い。そのようにすることで、開発期間の短縮及び開発コストの短縮に効果が期待できる。具体的には例えば、ある機種において、有利度の低い当りである種別A,Bを「低当り」に区分し、有利度の高い当りである種別Cを「高当り」に区分していたとする。ここで、別の機種を開発するにあたり、種別Aを有利度の高い当りに変更しようとする場合に、当該変更に応じて種別Aを「高当り」の区分に変更すればよいため、容易に変更が可能である。すなわち、「高当り」と「低当り」とを当りの種別によって決定づけるようにする場合は、各種別に含まれる個々の当りについて設定を変更する必要がなく、開発上の負担を軽減させることが期待できる。
また、このような「高当り」及び「低当り」の区分は、周辺制御基板4010(主制御基板4100以外としてもよい)で設定されることが好ましい。本実施形態のパチンコ機1では、当落演出を含む演出パターンの振分が、「高当り」と「低当り」とで異なる態様で変更され得るが、このような演出パターンに関する処理は、周辺制御基板4010(特に周辺制御MPU4140a)で制御されることから、「高当り」及び「低当り」の区分設定が同じ周辺制御基板4010で行われる場合には、主制御基板4100側の処理負担を軽減させるだけでなく、主制御基板4100と周辺制御基板4010との間の通信量を軽減させることができ、さらに、周辺制御基板4010内での処理効率の向上が期待できる。
なお、前述したように、「高当り」や「低当り」は、説明を容易にするために用いた仮称であり、内部設計上このような用語を用いる必要はなく、例えば、複数種類の当りのそれぞれが、「高当り」又は「低当り」に相当する区分ができるように管理されればよい。このように、本実施形態におけるパチンコ機1では、様々な基準に基づいて有利度合いの高低を意識的に区分して当落演出の特徴的な振分設定を行うことにより、遊技機ごとに異なる特性や仕様を反映させつつ、特定の当落演出の現出に対する期待度の変化を実現させることが可能となる。
[6-7.当落演出に関する効果]
主に[6-1]~[6-3]で述べたように、本実施形態のパチンコ機1では、特定の当落演出(特定の演出)を含む演出パターンがはずれ態様で現出する場合に、本遊技の結果を記憶し(戦歴の記録)、以降は当該戦歴の記録を教示させながら遊技演出を行うとともに、複数の演出パターンのうちから当該当落演出を含む演出パターンが選択される振分を変動させることによって、以降の遊技において大当りに当選した場合に、当該特定の当落演出を含む演出パターンを選択されやすくすることができる。そのため、特定の当落演出が大当りにならなかったとしても、以降の遊技において特定の当落演出が次回現出された際には大当りへの期待度(信頼度)が高められることで、遊技者の遊技意欲の低下を抑制することができる。
特に、本実施形態のパチンコ機1では、[6-1-1]~[6-1-3]で述べたように、特定の当落演出に関する戦歴の記録が行われた状態において、特定の当落演出が現出された際には、有利度合いの異なる有利遊技(低当り及び高当り)のうち、有利度の高い有利遊技(すなわち、高当り)に対する期待度が高められる。具体的には、バトルAリーチを特定の当落演出として、バトルAリーチがはずれ態様で現出されたことに基づいて戦歴の記録及び教示を行うとともに、当落演出の振分先を変更する(戦歴の移行)ことにより(例えば図186の振分テーブル1A参照)、以降の遊技において高当りパターンにおけるバトルAリーチの振分数が増加するため、バトルAリーチが現出された場合に高当りに対する期待度(信頼度)が高められる。
したがって、本実施形態のパチンコ機1では、図186の振分テーブル1Aや振分テーブル1Bを用いて当落演出が現出されることにより、特定の当落演出に関する戦歴の移行後に当該特定の当落演出が現出された場合に、有利度の高い有利遊技(高当り)に対する遊技者の期待感を高めることができるものである。そして、(仮に、特定の当落演出が初期状態では大当り(又は高当り)に対する期待度が比較的高くない演出であったとしても、)戦歴の記録及び教示が行われているときに当該特定の当落演出が現出された際には、高当りへの期待度を高め得ることから、当該特定の当落演出の現出に対して遊技者の興趣が低下することを抑制する効果を奏する。
また、このような特定の当落演出によるはずれの記録(戦歴の記録)に基づく教示が遊技者に示されることによって、特定の当落演出が再度現出された際に、大当り(特に高当り)への期待感が高い当落演出が行われていることが遊技者から容易に認識できるようになり、遊技者の興趣をより高めやすくなる。さらに、このような教示によって、現出された際に信頼度が高くなる当落演出の存在が示唆されることになるため、特定の当落演出の現出を普段よりも強く遊技者に望ませることが期待でき、遊技上の新たな楽しみを提供することができる。
また、本実施形態のパチンコ機1によれば、上述したような当りパターン(特に高当りパターン)の当落演出に関する振分の変更によって特定の当落演出の期待度が遊技状況に応じて変更されることから、「特定の当落演出」の信頼度が初期設定時には比較的低い、低信頼度のリーチ演出であったとしても、当該特定の当落演出が再度現出された際の期待度が以前よりも高くなり、遊技者の期待感を高める効果が期待できる。そもそも従来の遊技機では、低信頼度のリーチ演出は、他の項信頼度のリーチ演出よりも発生する機会が比較的高い当落演出であるため、低信頼度のリーチ演出が発生することによって、遊技者の遊技意欲が低下してしまうというおそれがあったが、本実施形態によるパチンコ機1では、このような低信頼度のリーチ演出であったにも拘らず、特定の当落演出として現出された際には、低信頼度ではなく、信頼度が高められた当落演出となるため、上述したような遊技者の遊技意欲の低下を抑制できるだけでなく、大当り(特に高当り)への期待感を創出できるという格別の効果を奏するものである。
また、本実施形態のパチンコ機1によれば、主に[6-4-1]で述べたように、「特定の演出」がはずれ態様で現出されたことに基づいて戦歴の記録及び教示が行われるとともに、実行される当落演出の振分に関して戦歴の移行が行われることによって、「特定の演出」を現出させ得る所定の変動パターンとは異なる変動パターンが選択された場合であっても、「特定の演出」を現出させることができる。
具体例で説明すると、バトルAリーチを「特定の演出」とすれば、「『特定の演出』を現出させ得る所定の変動パターン」は、バトルAリーチを現出させ得る変動時間30秒の特別図柄変動パターンであり、「所定の変動パターンとは異なる変動パターン」は、例えば変動時間60秒の特別図柄変動パターンである。このとき、バトルAリーチがはずれ態様で現出されたことに基づいて戦歴の記録及び教示を行うとともに、図193の振分テーブル2Aにおいて選択先の戦歴を「戦歴Q」や「戦歴R」に変更すること(戦歴の移行)によって、大当り時のバトルAリーチに関する「代替演出」、すなわち、大当り時のロングバトルB’リーチ及びロングバトルC’リーチへの振分量が増加される。そして、このような戦歴の移行が行われた後に特別抽選で大当りの結果が得られて変動時間60秒の特別図柄変動パターンが選択された場合には、振分量が増加された「代替演出」が選択される割合が増加し、当該「代替演出」を現出させることによって、その演出途中で、バトルAリーチの演出(すなわち「特定の演出」)を現出させることができる。
したがって、本実施形態のパチンコ機1では、特定の演出に関する戦歴の移行後に、変動時間60秒の特別図柄変動パターンが選択された大当り時に、図193の振分テーブル2Aを用いて代替演出が現出されて当該特定の演出が現出され易くなることから、特定の演出に関する戦歴の記憶が行われているときに特定の演出が現出された場合に、大当りに対する遊技者の期待感を高めることができる。このような効果は、特定の演出が初期設定では大当りへの期待度が比較的高くない低信頼度演出であったとしても適用され得るものであるから、このような低信頼度演出が現出された際に遊技者の興趣が低下するおそれがあった従来の課題を解決し得る。
また、本実施形態のパチンコ機1では、図193の振分テーブル2Aを用いる場合、移行する各戦歴(戦歴Q,R)において、大当りパターン(低当りパターン及び高当りパターン)での代替演出の振分数が増加されているが、大当りパターンの振分数よりも少ない程度ではずれパターンでの代替演出の振分数も設定されている。このようにはずれパターンでの振分を用意することによって、代替演出で特定の演出(バトルAリーチの演出)が現出された場合であっても、低確率で大当りに結び付かない可能性があるようにして、最終的な停止態様の確定まで遊技者を飽きさせないことが期待できる。なお、このようなはずれパターンでの代替演出の振分は、必ずしも必要ではなく、敢えて振分を行わないことによって、戦歴の記憶及び教示がされているときに代替演出で特定の演出が現出された時点で大当りが確定する特別な当落演出としてもよい。
また、本実施形態のパチンコ機1によれば、主に[6-4-2]で述べたように、「特定の演出」がはずれ態様で現出されたことに基づいて戦歴の記録及び教示が行われるとともに、実行される当落演出の振分に関して戦歴の移行が行われることによって、「特定の演出」を現出させ得る所定の変動パターンとは異なる変動パターンが選択された場合であっても、「特定の演出」を現出させることができる。
具体例で説明すると、バトルAリーチを「特定の演出」とすれば、「『特定の演出』を現出させ得る所定の変動パターン」は、バトルAリーチを現出させ得る変動時間30秒の特別図柄変動パターンであり、「所定の変動パターンとは異なる変動パターン」は、例えば変動時間60秒の特別図柄変動パターンである。このとき、バトルAリーチがはずれ態様で現出されたことに基づいて戦歴の記録及び教示を行うとともに、図194の振分テーブル2Bにおいて選択先の戦歴を「戦歴Q」や「戦歴R」に変更すること(戦歴の移行)によって、高当り時のバトルAリーチに関する「代替演出」、すなわち、高当り時のロングバトルB’リーチ及びロングバトルC’リーチへの振分量が増加される。そして、このような戦歴の移行が行われた後に特別抽選で有利度の高い有利遊技(高当り)の結果が得られて変動時間60秒の特別図柄変動パターンが選択された場合には、振分量が増加された「代替演出」が選択される割合が増加するため、当該「代替演出」を現出させることによって、その演出途中で、バトルAリーチの演出(すなわち「特定の演出」)を現出させることができる。
したがって、本実施形態のパチンコ機1では、特定の演出に関する戦歴の移行後に、変動時間60秒の特別図柄変動パターンが選択された高当り時に、図194の振分テーブル2Bを用いて代替演出が現出されて当該特定の演出が現出され易くなることから、特定の演出に関する戦歴の記憶が行われているときに特定の演出が現出されて大当り遊技に移行する場合に、当該大当りが高当りであることへの期待を高めることができる。すなわち、戦歴の記憶が行われているときに特定の演出が現出された場合に、遊技者に高当りへの期待感を抱かせることができる。このような効果は、特定の演出が初期設定では大当りへの期待度が比較的高くない低信頼度演出であったとしても適用され得るものであるから、このような低信頼度演出が現出された際に遊技者の興趣が低下するおそれがあった従来の課題を解決し得る。
また、本実施形態のパチンコ機1では、図194の振分テーブル2Bを用いる場合、移行する各戦歴(戦歴Q,R)において、高当りパターンでの代替演出の振分数よりも低い程度で低当りパターン及びはずれパターンでの代替演出の振分数が設定されているが、このような低当りパターンやはずれパターンでの代替演出の振分は必ずしも設定されなくてもよい。例えば、はずれパターンでの代替演出の振分を行わない場合は、戦歴の記憶及び教示がされているときに代替演出で特定の演出が現出された時点で、大当りとなることが確定し、さらに当該大当りは高当りである確率が高い、特別な演出を実現できる。また、低当りパターンでの代替演出の振分を行わない場合は、戦歴の記憶及び教示がされているときに代替演出で特定の演出が現出された時点で、低当りの可能性がなく、当りになれば必ず大当りになるという演出を実現できる。さらに、はずれパターン及び低当りパターンの何れについても代替演出の振分を行わない場合は、戦歴の記憶及び教示がされているときに代替演出で特定の演出が現出された時点で、高当りが確定する特別な演出を実現できる。
さらに、本実施形態のパチンコ機1では、図186の振分テーブル1A、図188の振分テーブル1B、図193の振分テーブル2A、図194の振分テーブル2B、何れにおいても、戦歴の記録に基づいて戦歴の移行が行われるが、このような戦歴の移行が行われた後には、特定の演出(当落演出)が現出された際の大当り又は高当りに対する期待度が高められ、戦歴の移行が行われるほど、その期待度は高くなる。したがって、例えばバトルAリーチを特定の演出とすると、バトルAリーチがはずれ態様で現出するほど、遊技者は大当りを得られなかったことに対する残念な心情を抱く一方で、戦歴が記録され、戦歴の移行段階が進むことに期待できるため、以降の遊技においてバトルAリーチが現出することに対する期待を高めることになる。そして、バトルAリーチの現出(又は代替演出によるバトルAリーチの演出の現出)によって大当りが得られた場合には、それまでのバトルAリーチによるはずれの経緯を払拭できる達成感を遊技者に与えることができ、さらに、振分テーブル1A,1B,2Bが用いられる場合には、このような大当りが高当りである期待度が高いことから、より大きな達成感を遊技者に与えることができる。
また、上述したように、本実施形態によるパチンコ機1では、特定の演出に関する戦歴の記録が行われているときに実行され得る「代替演出」によって、当該特定の演出を現出させ得る所定の変動パターンとは異なる変動パターンが選択されたとしても、当該戦歴の記録に基づく特定の演出を代替的に現出させることができることを特徴とし、このような「代替演出」は、戦歴の記録に伴って戦歴が移行するごとに、大当り(又は高当り)への期待度が高められるという特徴も備えている。このような本実施形態によるパチンコ機1によれば、戦歴の記録に基づく特定の演出(例えばバトルA演出)を、本来の表示時間(バトルA演出は22秒。バトルAリーチ全体としても30秒)よりも長い表示時間(例えば60秒)が選択された場合でも、代替演出によって当該特定の演出を現出させることができる。そして、一般的には表示時間が長いほど、遊技結果が大当り(又は高当り)になることへの遊技者の期待が高まり易い傾向があるため、本来の表示時間よりも長い表示時間で特定の演出を現出させ得ることによって、当該遊技の重要性及び高信頼性を遊技者に感じさせる効果が期待できる。
さらに、本実施形態によるパチンコ機1によれば、代替演出の各演出パターン(第1~第4の演出パターン)によって、[6-5-1]~[6-5-4]で述べた格別な効果をそれぞれ奏するものである。
なお、本発明に係る遊技機として上述した本実施形態によるパチンコ機1において、主制御基板4100(主に主制御MPU4100a)は、遊技領域に向けて発射された遊技媒体が所定領域を通過したことに基づいて、はずれ及び有利度合いの異なる有利遊技を少なくとも含む複数種類の抽選結果のうちから何れかの抽選結果を抽選する抽選手段の一例である。なお、所定領域は例えば、第一始動口2101又は第二始動口2102に相当する。また、液晶表示装置1900は、前記抽選手段による抽選結果に基づいて演出を表示可能な演出表示手段の一例である。また、周辺制御基板4010(主に、周辺制御MPU4140a及び周辺制御RAM4140e)は、前記抽選手段による抽選が行われたにも拘わらず前記有利遊技の抽選結果が得られなかった場合に特定の演出が前記演出表示手段に現出されたことに基づいて、該特定の演出が現出されたことを記憶し得る演出記憶手段の一例であり、具体的な処理例としては、SP2種別のバトルAリーチ(特定の演出)がはずれ態様で実行された場合に、周辺制御MPU4140aが周辺制御RAM4140eに戦歴の記録を行うことに相当する。また、周辺制御基板4010(主に、周辺制御MPU4140a、液晶制御MPU4150a、及びVDP4150c)及び液晶表示装置1900は、前記演出記憶手段に記憶された前記特定の演出に関する情報を教示する情報教示手段の一例であり、特定の演出に関する情報とは、例えば液晶制御部4150内の液晶制御ROM4150bやキャラROM4150dに格納される「戦歴の教示に用いられる画像データ等」に相当する。具体的な教示例は、図192に示した教示領域1900a~1900cにおける表示である。
また、周辺制御基板4010(主に、周辺制御MPU4140a)は、前記演出記憶手段による記憶が行われているときには、前記特定の演出よりも長い特別な演出を現出可能な変動時間が選択されたとしても、該特別な演出を前記特定の演出を含む態様で現出させ得る特別演出制御手段の一例であり、前記特別な演出の表示期間の前半に、前記特定の演出を想起し難い異演出を前記演出表示手段に現出させる異演出実行手段、及び、前記特別な演出の表示期間の後半に、前記特定の演出を前記演出表示手段に現出させる特定演出実行手段の一例である。ここで、「特別な演出」とは、第4の演出パターンによる代替演出に相当し、異演出実行手段によって現出される異演出とは、例えば図202におけるバトルB(異演出A)に相当し、特定演出実行手段によって現出される前記特定の演出とは、図202におけるバトルAに相当する。また、周辺制御基板4010(主に、周辺制御MPU4140a)は、前記特別演出制御手段によって前記特定の演出が現出され得ることにより、前記演出記憶手段による記憶が行われているときに前記特定の演出が現出されて前記有利遊技に移行する場合に、該移行する有利遊技が前記有利度合いの高い有利遊技である期待を高め得る高特典期待増加手段の一例である。具体的には、バトルA演出に関する戦歴の記録が行われているときに、バトルAリーチを現出させ得る変動時間30秒の変動パターンではなく、変動時間60秒の変動パターンで高当りに当選した場合に、振分テーブル2Bの戦歴Qや戦歴Rによる振分によって特別な演出、すなわち「代替演出(ロングバトルB’リーチやロングバトルC’リーチ)」が選択され易くなっていることから、バトルA演出に関する戦歴の記録が行われているときに、バトルA演出(特定の演出)が現出されて大当りの遊技に移行する場合、当該大当りが高当りである期待度が高いことに相当する。
[7.誘導装飾部材(物体検知センサ)を用いた連続撃破演出]
本実施形態では、液晶表示装置1900に表示される演出画像による画像演出と、表ユニット2000における三つの誘導装飾部材2117,2144,2213(物体検知センサ2116,2143,2212)とを用いた複合演出として、誘導装飾部材2117,2144,2213に対する遊技者の操作を物体検知センサ2116,2143,2212が検知することにより、液晶表示装置1900に表示される敵キャラクタを倒すことが可能な連続撃破演出を実行している。この連続撃破演出では、詳しくは後述するが、液晶表示装置1900に表示される演出画像として、装飾図柄の変動表示を開始した後、3つの誘導装飾部材2117,2144,2213の夫々に対応した3人の敵キャラクタが出現し、3人の敵キャラクタをいずれの順序で倒したらよいか(3つの誘導装飾部材2117,2144,2213をいずれの順序で操作したらよいか)の指示が与えられる。また、3つの誘導装飾部材2117,2144,2213を指示された順序で操作(3つの物体検知センサ2116,2143,2212が指示された順序で検知)した後には、操作ユニット400における押圧操作部405を遊技者が1回操作するように指示が与えられる。そして、押圧操作部405を操作することにより敵キャラクタを倒した場合には、擬似連続変動を継続(装飾図柄の変動表示にて全ての装飾図柄をリーチ態様とはならないはずれ図柄で仮停止表示した後、再び装飾図柄の変動表示を開始する制御)し、敵キャラクタが残った場合には、リーチ態様を形成することで擬似連続変動を継続することがなく、リーチ演出を展開するといった演出を実行している。
図110に示すように、中物体検知センサ2116及び中誘導装飾部材2117は、いずれも遊技パネル1150の前面に取付けられるアタッカユニット2100の第一ユニット2110に設けられると共に、中誘導装飾部材2117が中物体検知センサ2116の下側に隣接するように配置されている。また、中物体検知センサ2116は、投光部と受光部とを備えた光学式センサであり、遊技者から遊技領域1100内を視認することを可能とする透明なガラスユニット590越しに、遊技者の手が中誘導装飾部材2117をタッチしたかを検知することができるようになっている。
また、中誘導装飾部材2117は、液晶表示装置1900及び第一始動口2101の下側に配置されると共に、遊技者から視認することが可能な遊技領域1100の下側の周縁部(アウト口1115を除いては遊技領域1100の内周に近接した位置)に配置されている。また、中誘導装飾部材2117は、遊技領域1100の横方向の略中央に配置されると共に、右誘導装飾部材2144及び左誘導装飾部材2213よりも下側に配置されており、遊技者が着座した状態でハンドル装置500を右手で回転操作しながら右誘導装飾部材2144に左手でタッチするには右誘導装飾部材2144及び左誘導装飾部材2213よりも腕を持ち上げる必要がなく、3つの誘導装飾部材2117,2144,2213の中では操作がし易くなっている。なお、中誘導装飾部材2117は、3つの誘導装飾部材2117,2144,2213のうち遊技者から視認して相対的に下側に配置されることに対応して、前面に、円形の中に下向きの矢印を配置した装飾が施されている。
また、図110に示すように、右物体検知センサ2143及び右誘導装飾部材2144は、いずれも遊技パネル1150の前面に取付けられるアタッカユニット2100の第四ユニット2140に設けられると共に、右誘導装飾部材2144が右物体検知センサ2143の右側に隣接するように配置されている。また、右物体検知センサ2143は、投光部と受光部とを備えた光学式センサであり、遊技者から遊技領域1100内を視認することを可能とする透明なガラスユニット590越しに、遊技者の手が右誘導装飾部材2144をタッチしたかを検知することができるようになっている。
また、右誘導装飾部材2144は、液晶表示装置1900の右下側に配置されると共に、遊技者から視認することが可能な遊技領域1100の右やや下側の周縁部(遊技領域1100の内周に近接した位置)に配置されている。また、右誘導装飾部材2144は、遊技領域1100の横方向の右側に配置されており、遊技者が着座した状態でハンドル装置500を右手で回転操作しながら右誘導装飾部材2144に左手でタッチするには中誘導装飾部材2117及び左誘導装飾部材2213よりも左手からの距離が遠いことから、3つの誘導装飾部材2117,2144,2213の中では操作がし難くなっている。なお、右誘導装飾部材2144は、3つの誘導装飾部材2117,2144,2213のうち遊技者から視認して相対的に右側に配置されることに対応して、前面に、円形の中に右向きの矢印を配置した装飾が施されている。
また、図110に示すように、左物体検知センサ2212及び左誘導装飾部材2213は、いずれも遊技パネル1150の前面に取付けられる表サイドユニット2200に設けられると共に、左誘導装飾部材2213が左物体検知センサ2212の左側に隣接するように配置されている。また、左物体検知センサ2212は、投光部と受光部とを備えた光学式センサであり、遊技者から遊技領域1100内を視認することを可能とする透明なガラスユニット590越しに、遊技者の手が左誘導装飾部材2213をタッチしたかを検知することができるようになっている。
また、左誘導装飾部材2213は、液晶表示装置1900の左下側に配置されると共に、遊技者から視認することが可能な遊技領域1100の左やや下側の周縁部(遊技領域1100の内周に近接した位置)に配置されている。また、左誘導装飾部材2213は、遊技領域1100の横方向の左側に配置されており、右誘導装飾部材2144と同じ高さに配置されているが、遊技者が着座した状態でハンドル装置500を右手で回転操作しながら左誘導装飾部材2213に左手でタッチするには右誘導装飾部材2144よりも左手からの距離が近いことから、3つの誘導装飾部材2117,2144,2213の中では操作がし易くなっている。なお、左誘導装飾部材2213は、3つの誘導装飾部材2117,2144,2213のうち遊技者から視認して相対的に左側に配置されていることから、前面に、円形の中に左向きの矢印を配置した装飾が施されている。
本例では、3つの誘導装飾部材2117,2144,2213(3つの物体検知センサ2116,2143,2212)が、いずれも液晶表示装置1900よりも下方に配置されている。従来のように、物体検知センサを液晶表示装置の周辺(例えば、センター役物内)に配置した場合には、物体検知センサが検知するように遊技者が操作したときに、その自らの手が液晶表示装置の前面に位置し、液晶表示装置に表示される演出画像を視認するのに妨げとなり、演出内容が十分に理解されなくなってしまう虞があった。しかしながら、3つの誘導装飾部材2117,2144,2213が、いずれも液晶表示装置1900よりも下方に配置されることで、3つの物体検知センサ2116,2143,2212のいずれかが検知するように遊技者が操作したとしても、その自らの手が液晶表示装置1900の前面に位置することがなく、液晶表示装置1900に表示される演出画像を視認するのを妨げることがない。また、3つの物体検知センサ2116,2143,2212のいずれかが検知するように遊技者が操作したとしても、液晶表示装置1900以上の高さまで腕を持ち上げる必要がなく、3つの誘導装飾部材2117,2144,2213の夫々の操作がし易くなっている。
また、遊技者から視認することが可能な遊技領域1100の前面には、透明なガラスユニット590が設けられており、3つの物体検知センサ2116,2143,2212のいずれかが検知するように遊技者が操作する際、ガラスユニット590の表面に触れて、その表面を汚してしまうことがあった。このとき、液晶表示装置1900の前面におけるガラスユニット590の表面を汚してしまうと、液晶表示装置1900に表示される演出画像を視認するのに支障が生じるが、物体検知センサ2116,2143,2212のいずれかが検知するように遊技者が操作したとしても、誘導装飾部材2117,2144,2213の前面におけるガラスユニット590の表面を汚すのみであり、液晶表示装置1900に表示される演出画像を視認するのに支障が生じることがない。
また、本例では、3つの誘導装飾部材2117,2144,2213(3つの物体検知センサ2116,2143,2212)が、いずれも遊技者から視認することが可能な遊技領域1100の周縁部(遊技領域1100の内周に近接した位置)に配置されている。すなわち、3つの誘導装飾部材2117,2144,2213(3つの物体検知センサ2116,2143,2212)は、遊技者から視認することが可能な遊技領域1100のうち、遊技球が転動することが可能な転動領域の外側の領域に配置されており、物体検知センサ2116,2143,2212のいずれかが検知するように遊技者が操作したとしても、その自らの手が液晶表示装置1900の前面に位置しないだけでなく、転動領域、特に第一始動口2101に遊技球が入賞するか否かの周辺の領域の前面にも位置することがなく、第一始動口2101に遊技球が入賞するか否かを視認するのを妨げることがない。また、転動領域の前面におけるガラスユニット590の表面を汚してしまうと、第一始動口2101に遊技球が入賞するか否かを視認するのに支障が生じるが、物体検知センサ2116,2143,2212のいずれかが検知するように遊技者が操作したとしても、誘導装飾部材2117,2144,2213の前面におけるガラスユニット590の表面を汚すのみであり、第一始動口2101に遊技球が入賞するか否かを視認するのに支障が生じることがない。
また、本例では、誘導装飾部材2117,2144,2213が、物体検知センサ2116,2143,2212の夫々に隣接するように配置されており、物体検知センサ2116,2143,2212を用いた演出を実行する際、物体検知センサ2116,2143,2212を遊技者がタッチするのではなく、誘導装飾部材2117,2144,2213を遊技者がタッチするように誘導する演出(例えば、誘導装飾部材2117,2144,2213のうち指定された誘導装飾部材のみを発光装飾する演出)を実行している。このため、物体検知センサ2116,2143,2212のいずれかが検知するように遊技者が操作したとしても、誘導装飾部材2117,2144,2213の前面におけるガラスユニット590の表面を汚すのみであり、物体検知センサ2116,2143,2212の前面におけるガラスユニット590の表面を汚すことがない。すなわち、物体検知センサ2116,2143,2212の前面におけるガラスユニット590の表面を汚してしまうと、誘導装飾部材2117,2144,2213にタッチした遊技者の手を検知し難くなるが、物体検知センサ2116,2143,2212の前面におけるガラスユニット590の表面を汚すことがなく、誘導装飾部材2117,2144,2213にタッチした遊技者の手を確実に検知することができる。
また、本例では、非時短状態の制御中において、第一始動口2101を狙ってセンター役物2500の左側に遊技球を打ち込むようにした遊技が行われるが、遊技者から視認することが可能な遊技領域1100のうち、センター役物2500の左側から遊技球が転動することが可能な転動領域の側には、3つの誘導装飾部材2117,2144,2213(3つの物体検知センサ2116,2143,2212)のうち、中誘導装飾部材2117及び左誘導装飾部材2213(中物体検知センサ2116及び左物体検知センサ2212)が配置されている。一方、時短状態の制御中において、第二始動口2102を狙ってセンター役物2500の右側に遊技球を打ち込むようにした遊技が行われるが、遊技者から視認することが可能な遊技領域1100のうち、センター役物2500の右側から遊技球が転動することが可能な転動領域の側には、3つの誘導装飾部材2117,2144,2213(3つの物体検知センサ2116,2143,2212)のうち、右誘導装飾部材2144(右物体検知センサ2143)が配置されている。このように、転動領域としては、遊技状態に応じてセンター役物2500の左右のいずれか一方の側しか使用されず、遊技領域1100が手狭な印象を与えかねないが、3つの誘導装飾部材2117,2144,2213(物体検知センサ2116,2143,2212)を用いた演出を実行すると、センター役物2500の左右の両側、すなわち遊技領域1100の全体を使用するようになり、広々とした遊技が行われている印象を与えることができる。
また、本例では、誘導装飾部材2117,2144,2213が、いずれも遊技者から視認することが可能な遊技領域1100の周縁部(遊技領域1100の内周に近接した位置)に配置されており、誘導装飾部材2117,2144,2213(物体検知センサ2116,2143,2212)を用いた演出を実行していない期間においては、遊技領域1100の装飾部としての役割(例えば、発光装飾)を果たしている。このように、誘導装飾部材2117,2144,2213は、遊技領域1100の装飾部としての役割を兼用していることから、誘導装飾部材2117,2144,2213を配置するための領域を装飾部とは別個に設ける必要がなく、遊技領域1100の面積が限られながらも、遊技球が転動することが可能な転動領域を十分に確保することができる。
なお、本例では、3つの誘導装飾部材2117,2144,2213(3つの物体検知センサ2116,2143,2212)が、いずれも液晶表示装置1900よりも下方、且つ、遊技領域1100の周縁部(遊技領域1100の内周に近接した位置)に配置されているが、3つの物体検知センサ2116,2143,2212のいずれかが検知するように遊技者が操作したときに、少なくとも液晶表示装置1900に表示される演出画像を視認するのを妨げない位置であればよい。また、液晶表示装置1900だけでなく、遊技球が入賞するか否かの始動口(第一始動口2101及び第二始動口2102の周辺の領域や、その他の演出に関わる情報表示(遊技者にとって有益な情報となり得る情報表示)をする領域(例えば、表右中演出ユニット2600、表右外演出ユニット2700、裏上演出ユニット3300、裏下演出ユニット3500、等。遊技領域の周縁部に設けられた単なる装飾領域(ランプ等)は含まれない)に対しても、3つの物体検知センサ2116,2143,2212のいずれかが検知するように遊技者が操作したときに、遊技者が視認するのを妨げない位置であることが望ましい。
次に、誘導装飾部材2117,2144,2213(物体検知センサ2116,2143,2212)を用いた連続撃破演出の具体的な演出例について、図203及び図204を参照して説明する。本演出例では、主制御基板4100の主制御MPU4100aによって処理される第一変動パターン設定処理(ステップS82)又は第二変動パターン設定処理において、リーチ演出を実行するよりも前に「擬似連続変動」(リーチ態様とはならないはずれ図柄を所定回数(例えば、1~3回)だけ仮停止表示)を実行するように設定された変動パターンを決定(擬似連続変動を実行しない変動パターンであってもよい)し、主制御基板4100から送信される変動パターンコマンドに基づき、周辺制御基板4010の周辺制御MPU4101aによって処理される演出制御処理(ステップS602)において、連続撃破演出を実行するように決定した場合を示す。
図203(A)に示すように、装飾図柄の変動表示を開始した後に実行される連続撃破演出では、液晶表示装置1900の画面上方に「センサにタッチして敵を攻撃だ!」の指示が表示されると共に、液晶表示装置1900の画面中央に3人の敵キャラクタが横並びで表示されている。また、3人の敵キャラクタの夫々の前面には、1~3番のいずれかの番号が振分けられており、3人の敵キャラクタをいずれの順序で倒したらよいかが指示(本例では、中の敵キャラクタ→左の敵キャラクタ→右の敵キャラクタでの順序が指示)されている。なお、本例では、3人の敵キャラクタのうち順序が早い敵キャラクタであるほど大きくなるように表示されており、3人の敵キャラクタをいずれの順序で倒したらよいかが認識し易いようになっている。
また、液晶表示装置1900の画面下方には、3つの誘導装飾部材2117,2144,2213の夫々を模写した部材表示1900a~1900cとして、左から順に、左誘導装飾部材2213に対応して左向きの矢印が描かれた左部材表示1900a、中誘導装飾部材2117に対応して下向きの矢印が描かれた中部材表示1900b、右誘導装飾部材2144に対応して右向きの矢印が描かれた右部材表示1900cが表示されている。これらの部材表示1900a~1900cは、3人の敵キャラクタの夫々の下方に表示されており、3人の敵キャラクタを指定された順序で倒すために、3つの誘導装飾部材2117,2144,2213のいずれを操作したらよいかが指示されている。すなわち、本例では、中の敵キャラクタ→左の敵キャラクタ→右の敵キャラクタの順序で敵キャラクタを倒すように指示されており、これらに対応して、中誘導装飾部材2117→左誘導装飾部材2213→右誘導装飾部材2144の順序で遊技者がタッチすればよいことを認識できるようになっている。ただし、本例では、中誘導装飾部材2117→左誘導装飾部材2213→右誘導装飾部材2144の順序で遊技者がタッチすることを要求されているが、3つの誘導装飾部材2117,2144,2213のうちいずれの順序で遊技者がタッチすることを要求してもよい。このように、連続撃破演出を実行するごとに、液晶表示装置1900上で指示される順序、すなわち遊技者がタッチするべき誘導装飾部材2117,2144,2213の順序を異ならせることで、遊技領域1100上で遊技者の手が描く軌跡が変化し、誘導装飾部材2117,2144,2213を用いた連続撃破演出を飽きさせない演出とすることができる。
また、液晶表示装置1900の画面やや下方には、3つの物体検知センサ2116,2143,2212により検知することが許可される有効時間の残り時間が表示されている。本例では、有効時間を開始すると共に、まず、物体検知センサ2116,2143,2212のうち中物体検知センサ2116による検知のみを許可し、液晶表示装置1900に表示された中部材表示1900bのみを所定の色で点灯すると共に、中部材表示1900bに対応した中誘導装飾部材2117のみを同色で点灯することで、中誘導装飾部材2117に遊技者がタッチするように指示している。なお、本例では、有効時間として5秒が設定されており、夫々が離れた3つの誘導装飾部材2117,2144,2213を短時間でタッチすることが要求されている。このように、液晶表示装置1900の画面には、有効時間の残り時間が明確に示されることで、3つの誘導装飾部材2117,2144,2213に対して遊技者のタッチが完了しなければならない期限を確実に認識できるようになっている。
図203(B)に示すように、中誘導装飾部材2117に遊技者がタッチして中物体検知センサ2116が検知した場合には、中の敵キャラクタに振り分けられた1番の番号を消去すると共に、中の敵キャラクタを攻撃して「HIT!」の文字を表示することで、遊技者の手を中物体検知センサ2116が検知したことを確実に認識できるようになっている。そして、物体検知センサ2116,2143,2212のうち左物体検知センサ2212による検知のみを許可し、液晶表示装置1900に表示された左部材表示1900aのみを所定の色で点灯すると共に、左部材表示1900aに対応した左誘導装飾部材2213のみを同色で点灯することで、左誘導装飾部材2213に遊技者がタッチするように指示している。
図203(C)に示すように、左誘導装飾部材2213に遊技者がタッチして左物体検知センサ2212が検知した場合には、左の敵キャラクタに振り分けられた2番の番号を消去すると共に、左の敵キャラクタを攻撃して「HIT!」の文字を表示することで、遊技者の手を左物体検知センサ2212が検知したことを確実に認識できるようになっている。そして、物体検知センサ2116,2143,2212のうち右物体検知センサ2143による検知のみを許可し、液晶表示装置1900に表示された右部材表示1900cのみを所定の色で点灯すると共に、右部材表示1900cに対応した右誘導装飾部材2144のみを同色で点灯することで、右誘導装飾部材2144に遊技者がタッチするように指示している。
図203(D)に示すように、右誘導装飾部材2144に遊技者がタッチして右物体検知センサ2143が検知した場合には、右の敵キャラクタに振り分けられた3番の番号を消去すると共に、右の敵キャラクタを攻撃して「HIT!」の文字を表示することで、遊技者の手を右物体検知センサ2143が検知したことを確実に認識できるようになっている。そして、3人の敵キャラクタの全てを攻撃した後には、押圧検知センサ432cにより検知することが許可される有効時間を開始すると共に、押圧検知センサ432cによる検知の許可を開始する。また、図204(E)に示すように、液晶表示装置1900の画面ほぼ中央には、「吹っ飛ばせ!」の文字を表示すると共に、押圧操作部405を模写した画像を表示することで、押圧操作部405を遊技者が操作するように指示している。
図204(F)に示すように、押圧検知センサ432cの有効期間内において、押圧操作部405を遊技者が操作して押圧検知センサ432cが検知した後、液晶表示装置1900の画面内で爆発が起こり、3人の敵キャラクタを倒すことができた場合には、連続撃破演出が成功したと判断している。そして、図204(G)に示すように、装飾図柄の変動表示を、左装飾図柄→右装飾図柄→中装飾図柄の順序で、擬似連続変動を継続する装飾図柄の組み合わせ(本例では、「7・擬似連・8」の仮停止図柄)となるように仮停止表示することで、擬似連続変動を継続するようになっている。すなわち、3人の敵キャラクタを倒すことができた場合には、連続撃破演出が成功し、擬似連続変動を継続することが認識できるようになっている。なお、本例では、擬似連続変動を継続する装飾図柄の組み合わせとして、左右装飾図柄がリーチ態様とはならないはずれ図柄であり、中装飾図柄が「擬似連」と描かれた図柄を用いている。そして、擬似連続変動を継続した場合には、再び装飾図柄の変動表示を開始し、図203及び図204に示すような連続撃破演出を再び実行するようになっている。
一方、図204(H)に示すように、押圧検知センサ432cの有効期間内において、押圧操作部405を遊技者が操作して押圧検知センサ432cが検知した後、液晶表示装置1900の画面内で爆発が起こらず、3人の敵キャラクタを倒すことができなかった場合には、連続撃破演出が失敗したと判断している。そして、図204(I)に示すように、装飾図柄の変動表示を、左装飾図柄→右装飾図柄の順序で、リーチ態様を形成(本例では、「7」のリーチ図柄)するように停止表示することで、その後にリーチ演出を実行するようになっている。すなわち、3人の敵キャラクタを倒すことができなかった場合には、連続撃破演出が失敗し、連続撃破演出の成功時のように擬似連続変動を継続しないことが認識できるようになっている。
本例では、3つの誘導装飾部材2117,2144,2213が、3つの物体検知センサ2116,2143,2212の夫々に隣接し、遊技者から視認することが可能な遊技領域1100の前面の離間した位置に設けられおり、連続撃破演出を実行する際、液晶表示装置1900での指示通りに3つの誘導装飾部材2117,2144,2213を順次、遊技者にタッチさせることで、その離間した位置を遊技者の手が移動させなければならず、遊技領域1100の領域内で躍動した動作を行わせることができる。また、遊技領域1100を遊技者が操作するための領域として用いることで、遊技球が転動したり液晶表示装置1900に画像を表示したりするだけでなくなり、遊技領域1100の広い領域を有効的に活用できると共に、遊技者に遊技との一体感を生じさせることができる。
また、本例では、遊技者から視認することが可能な遊技領域1100の前面の離間した位置に、3つの誘導装飾部材2117,2144,2213が、3つの物体検知センサ2116,2143,2212の夫々に隣接して設けられている。例えば、遊技領域1100内に3つの物体検知センサ2116,2143,2212が設けられただけでは、3つの物体検知センサ2116,2143,2212が検知する位置を明確に認識することができないが、3つの誘導装飾部材2117,2144,2213が設けられることで、遊技者がどこをタッチすれば物体検知センサ2116,2143,2212が検知するのかを明確に認識することができる。このため、3つの物体検知センサ2116,2143,2212が遊技領域1100の前面の離間した位置に設けられながら、遊技者がどこをタッチすればよいのかに迷うことがなく、連続撃破演出を実行する際、3つの物体検知センサ2116,2143,2212が順に検知するように遊技者が素早くタッチすることを可能にしている。したがって、連続撃破演出では、3つの物体検知センサ2116,2143,2212により検知することが許可される有効時間の残り時間が明確に示されるが、その有効時間が短く設定(本例では、5秒)された場合であっても、遊技者が慌てることなく、有効時間内に3つの誘導装飾部材2117,2144,2213へのタッチを完了することを可能にしている。
また、本例では、液晶表示装置1900の画面内において、3つの誘導装飾部材2117,2144,2213のいずれを遊技者がタッチしたらよいかが指示されるだけでなく、その指示された誘導装飾部材2117,2144,221のみを点灯することで、遊技者がタッチするべき誘導装飾部材2117,2144,221に迷うことがなく、遊技者が素早くタッチすることを可能にしている。
また、本例では、3つの物体検知センサ2116,2143,2212として光学式センサを用いており、遊技者から遊技領域1100内を視認することを可能とする透明なガラスユニット590越しに、遊技者の手が誘導装飾部材2117,2144,2213をタッチしたかを検知している。これらの物体検知センサ2116,2143,2212の検知範囲としては、誘導装飾部材2117,2144,221の前方領域だけでなく、その前方領域の周辺の領域であっても検知することが可能であると共に、透明なガラスユニット590越しに誘導装飾部材2117,2144,221を遊技者が必ずしもタッチする必要がなく、誘導装飾部材2117,2144,221の前方領域が含まれる領域を通過(ガラスユニット590と遊技者の手とが僅かに離れている状態)するだけであっても検知することが可能になっている。すなわち、誘導装飾部材2117,2144,2213を遊技者に明確に認識させながらも、誘導装飾部材2117,2144,2213の領域よりも広い範囲で遊技者の手を検知することが可能になっている。このため、誘導装飾部材2117,2144,2213を遊技者が素早く操作する際、曖昧に操作したとしても、物体検知センサ2116,2143,2212が検知することを可能にしている。したがって、連続撃破演出では、3つの物体検知センサ2116,2143,2212により検知することが許可される有効時間の残り時間が明確に示されるが、その有効時間が短く設定(本例では、5秒)された場合であっても、遊技者が慌てることなく、有効時間内に3つの誘導装飾部材2117,2144,2213へのタッチを完了することを可能にしている。
なお、遊技領域1100上において、例えば押圧操作部405のような遊技者が直接的に操作することが可能な操作部を設けた場合には、遊技者が操作(押圧)した際の振動が遊技領域1100に伝わり、遊技領域1100上での遊技球の転動に影響を与えかねないが、誘導装飾部材2117,2144,221及び物体検知センサ2116,2143,2212を用いることで、遊技者が直接的に操作する必要がなく、そのような問題が生じないようになっている。
また、本例では、3つの誘導装飾部材2117,2144,221が、液晶表示装置1900の画面と平行面をなした遊技領域1100上に設けられるのに対して、押圧操作部405が、遊技窓101の下側に前方に突出し且つ遊技球を貯留する上皿301を有する皿ユニット300のうち、液晶表示装置1900の画面と垂直面をなした上部中央に設けられている。換言すると、誘導装飾部材2117,2144,221における遊技者がタッチするべき対象が、液晶表示装置1900の画面と平行面をなしているのに対して、押圧操作部405における遊技者が操作するべき対象が、液晶表示装置1900の画面と垂直面をなしている。例えば、複数の押圧操作部を皿ユニット300上に設けた場合には、遊技者が操作するべき押圧操作部を認識するため、液晶表示装置1900の画面を視認していた遊技者が下を向かなくてはならず、液晶表示装置1900の画面に表示される演出内容を見逃してしまうおそれがあった。これに対し、3つの誘導装飾部材2117,2144,221を遊技領域1100上に設けた場合には、液晶表示装置1900の画面を視認していた遊技者が下を向くことなく、遊技者がタッチするべき誘導装飾部材2117,2144,221を認識することが可能であり、液晶表示装置1900の画面に表示される演出内容を見逃すことがない。なお、3つの誘導装飾部材2117,2144,221は、押圧操作部405よりも液晶表示装置1900の画面から近くに設けられており、遊技者をより演出(液晶表示装置1900の画面に表示される演出内容)に参加している気分にさせることができる。
また、本例では、3つの誘導装飾部材2117,2144,221が遊技領域1100上、すなわち液晶表示装置1900の画面を視認しながらも遊技者の視界に入れることが可能な領域に設けられるのに対し、押圧操作部405が皿ユニット300上、すなわち液晶表示装置1900の画面を視認しながら遊技者の視界に入れることが困難な領域に設けられている。このように、3つの誘導装飾部材2117,2144,221は、液晶表示装置1900の画面を視認しながらも遊技者の視界に入れることが可能な領域として、遊技領域1100上だけでなく、例えば、扉枠5に形成された遊技窓101を通して遊技者側から視認可能な遊技盤4上の領域(遊技盤4のうち遊技領域1100以外の領域等)に設けられたり、遊技領域1100の下端よりも上方であれば、遊技領域1100の周辺となる扉枠ベース本体110の側に設けられたりしてもよい。
また、本例では、3つの物体検知センサ2116,2143,2212により検知することが許可される有効時間内に、3つの誘導装飾部材2117,2144,2213の全てに遊技者がタッチすることなく、3つの物体検知センサ2116,2143,2212の全てが検知しなかった場合、又は3つの誘導装飾部材2117,2144,2213のうち最後に指定された誘導装飾部材まで遊技者がタッチすることなく、3つの物体検知センサ2116,2143,2212のうち1~2つの物体検知センサしか検知しなかった場合には、3人の敵キャラクタの全てを攻撃していない。このような場合には、有効時間(本例では、5秒)の終了後、図204(E)に示すように、押圧操作部405を遊技者が操作するように指示し、3人の敵キャラクタの全てを攻撃した後と同様の演出を実行するようにしている。
また、本例では、押圧検知センサ432cにより検知することが許可される有効時間内に、押圧操作部405を遊技者が操作することなく、押圧検知センサ432cが検知しなかった場合には、押圧検知センサ432cの有効期間内の終了後において、液晶表示装置1900の画面内で爆発が起こることに基づき、3人の敵キャラクタを倒すことができるか否か、すなわち連続撃破演出が成功した否かを判断することができる。このような場合には、押圧検知センサ432cの有効期間内の終了後まで、擬似連続変動を継続するか否かを認識することができず、押圧操作部405を遊技者が操作(連続撃破演出に参加)するようになる。
また、本例における「擬似連続変動」とは、「通常変動」(リーチ態様を伴わないはずれ図柄で停止表示する変動)に類似して、装飾図柄の変動表示にて全ての装飾図柄をリーチ態様とはならないはずれ図柄(ただし本例では、中装飾図柄が「擬似連」と描かれた図柄)で仮停止表示(例えば、上下に小刻みに揺れて完全には停止していない状態:揺れ変動表示)した後、再び装飾図柄の変動表示を開始し、所定回数(変動パターンに設定された回数)だけ連続して(繰り返して)リーチ態様とはならないはずれ図柄で仮停止表示する変動である。また、装飾図柄の変動表示にてリーチ態様とはならないはずれ図柄で仮停止表示する限りは、再び装飾図柄の変動表示を開始し、一方、リーチ態様を形成した場合には、その後にリーチ演出(変動パターンに設定されたリーチ演出)を実行するようになっている。また、本例では、リーチ演出を実行するよりも前に「擬似連続変動」を実行するが、「擬似連続変動」においては、リーチ態様とはならないはずれ図柄を1~3回のいずれかの回数だけ仮停止表示できるようになっている。
また、本例では、第一変動パターン設定処理(ステップS82)又は第二変動パターン設定処理で参照される変動パターンテーブルにおいて、「擬似連続変動」を実行する変動パターンとして、リーチ態様とはならないはずれ図柄を1~3回のいずれかの回数だけ仮停止表示する変動パターンが夫々設定されている。そして、変動パターンテーブルでは、「擬似連続変動」を実行する際、リーチ態様とはならないはずれ図柄を仮停止表示する回数が多くなるほど、大当り期待度(大当り期待度=大当り時の出現率/全出現率)が高くなるように、変動パターンに対して判定値が振分けられている。すなわち、判定結果が大当り時には、「擬似連続変動」を実行する際、判定結果がはずれ時よりも高い割合でリーチ態様とはならないはずれ図柄を仮停止表示する回数が多く実行されるようになる。このため、「擬似連続変動」を実行する際、リーチ態様とはならないはずれ図柄を仮停止表示する回数が多く実行されるほど、判定結果が大当りとなる割合が高くなり、大当り遊技状態に対する期待感が高まるようになっている。
また、本例では、制御基板4100の主制御MPU4100aによって処理される第一変動パターン設定処理(ステップS82)又は第二変動パターン設定処理において、「擬似連続変動」の変動パターンを決定した場合には、その変動パターンを特定可能な変動パターンコマンドを主制御基板4100から周辺制御基板4010に送信する。そして、周辺制御基板4010の周辺制御MPU4101aによって処理される演出制御処理(ステップS602)では、変動パターンコマンドから「擬似連続変動」の変動パターンを特定した場合、その変動パターンに基づいて連続撃破演出を実行するか否かを決定し、連続撃破演出を実行すると決定した場合には、「擬似連続変動」にてリーチ態様とはならないはずれ図柄を仮停止表示する回数に応じて、連続撃破演出が成功する回数を決定する。例えば、「擬似連続変動」にてリーチ態様とはならないはずれ図柄を3回だけ仮停止表示する場合には、その回数と同じく、連続撃破演出が3回だけ成功するようになっている。また、「擬似連続変動」を実行する際、リーチ態様とはならないはずれ図柄を仮停止表示する回数が多く実行されるほど、すなわち連続撃破演出が成功する回数が多いほど、判定結果が大当りとなる割合が高くなっている。このため、連続撃破演出では、その演出が成功して「擬似連続変動」が継続することを望み、誘導装飾部材2117,2144,2213に遊技者がタッチしたり押圧操作部405を遊技者が操作したりするようになり、連続撃破演出に参加するようになる。
また、本例では、「擬似連続変動」を実行する変動パターンを決定した場合だけでなく、「擬似連続変動」を実行しない変動パターンを決定した場合にも、その変動パターンに基づいて連続撃破演出を実行するか否かを決定してもよい。このとき、連続撃破演出を実行すると決定した場合であっても、「擬似連続変動」のようにリーチ態様とはならないはずれ図柄を仮停止表示することがなく、最初の連続撃破演出で失敗するようになっている。
また、本例では、「擬似連続変動」を実行する際、リーチ態様とはならないはずれ図柄(本例では、「7・擬似連・8」の仮停止図柄)を仮停止表示するが、「擬似連続変動」にてリーチ態様とはならないはずれ図柄を仮停止表示する回数がいずれの回数であっても、同じ仮停止図柄が繰り返し仮停止表示するようになっている。また、「擬似連続変動」にて最初に仮停止表示される左装飾図柄が、そのまま「擬似連続変動」の実行後に形成されるリーチ態様の図柄(本例では、「7」のリーチ図柄)となるように制御している。すなわち、周辺制御基板4010の周辺制御MPU4101aによって処理される演出制御処理(ステップS602)では、まず、主制御基板4100から送信された判定結果通知コマンドに基づいて装飾図柄の停止図柄を決定した後、変動パターンコマンドから「擬似連続変動」の変動パターンを特定した場合には、「擬似連続変動」にて最初に仮停止表示される左装飾図柄が、決定した装飾図柄の停止図柄のうち最初に停止表示される左装飾図柄と同一の図柄となるように決定し、「擬似連続変動」にて左装飾図柄の次に仮停止表示される右装飾図柄が、左装飾図柄の仮停止図柄とは異なる図柄(本例では、左装飾図柄+1の図柄)となるように決定し、「擬似連続変動」にて最後に仮停止表示される中装飾図柄が、「擬似連」と描かれた図柄となるように決定するようになっている。
また、本例では、「擬似連続変動」を実行する変動パターンを決定した場合において、誘導装飾部材2117,2144,2213に遊技者が順にタッチした後、押圧操作部405を遊技者が操作するように指示される連続撃破演出を実行しているが、いずれか一方のみを用いた連続撃破演出を実行してもよく、連続撃破演出での指示通りに、誘導装飾部材2117,2144,2213に遊技者が順にタッチしたとき、または、押圧操作部405を遊技者が操作したときに、連続撃破演出が成功した否かを判断し、擬似連続変動を継続するか否かを認識できるようにしてもよい。
なお、本例では、連続撃破演出以外にも、押圧操作部405を用いた演出を実行し、誘導装飾部材2117,2144,2213を用いた演出よりも高い割合で、押圧操作部405を用いた演出を実行するようにしている。例えば、リーチ演出を実行するよりも前の「通常変動」(装飾図柄の変動表示を開始してからリーチ態様を形成するか否かの装飾図柄を停止表示するまでの期間)において、液晶表示装置1900の画面に「箱」を表示すると共に、押圧操作部405を遊技者が操作するように指示する。このとき、押圧検知センサ432cにより検知することが許可される有効時間を開始すると共に、押圧検知センサ432cによる検知の許可を開始する。そして、押圧検知センサ432cの有効期間内において、押圧操作部405を遊技者が操作して押圧検知センサ432cが検知した場合には、液晶表示装置1900の画面に表示された「箱」からキャラクタA~Cのいずれかが出現する演出を実行するようにしている。このような演出では、キャラクタA→キャラクタB→キャラクタCの順序で大当り期待度(大当り期待度=大当り時の出現率/全出現率)が高くなるように、出現させるキャラクタを決定するようにしており、例えばキャラクタCが出現した場合には、判定結果が大当りとなる割合が高くなり、大当り遊技状態に対する期待感が高まるようになっている。
[8.高確率時短状態における遊技]
本実施形態のパチンコ機1では、遊技状態が高確率時短状態に制御されているときに特徴的な遊技を提供することができる。本章では、このような高確率時短状態における遊技について詳細に説明する。なお、本章では、説明の簡略のために、これまでの説明で用いた設定内容とは異なる数値等を新たに設定する場合があるが、特段の指定を行わない限りは、本実施形態のパチンコ機1は、これまでの説明で用いた設定内容や構成を引き継ぐ。
以下では、本実施形態のパチンコ機1において高確率時短状態に制御されているときの特徴的な構成について詳しく説明する。まずは[8-1]において、時短状態(高確率時短状態を含む)における遊技方法について説明し、[8-2]以降において、高確率時短状態における遊技進行等について説明する。
なお、本章においては、図173(C)に例示された大当りの種別について、特定1に当選した場合は、大当り遊技後の遊技状態は高確率非時短状態に制御されるとし、特定2~特定5に当選した場合は、大当り遊技後の遊技状態は高確率時短状態に制御されるとし、非特定に当選した場合は、大当り遊技後の遊技状態は低確率非時短状態に制御される。すなわち、特定2~特定5は、大当り遊技後に高確率時短状態という遊技者にとって有利な遊技状態が付与される大当りであり、以下では「有利大当り」とも呼ぶ。一方、特定1又は非特定は、大当り遊技後は非時短状態に制御される大当りであって、「有利大当り」よりは遊技者にとって有利度合いが低いことから、以下では「不利大当り」とも呼ぶ。
[8-1.右打ち遊技]
本実施形態のパチンコ機1において、遊技盤4は、センター役物2500の右側へ遊技球を打込む(所定以上の強さで打込む)と、センター役物2500の右側外周を通ってアタッカユニット2100における第四ユニット2140の案内通路部材2142へと流下し、案内通路部材2142の案内通路2142aに案内されてゲート部2105の直上から下方へ放出され、極めて高い確率でゲート部2105を遊技球が通過するようになっている。つまり、所謂右打ちを行うことで簡単に遊技球をゲート部2105へ進入させることができるようになっている。
そして、本実施形態のパチンコ機1では、遊技状態が時短状態に制御されているときには、右打ちによる遊技が推奨され、右打ち遊技が行われることによって、ゲート部2105に進入した遊技球を極めて高い確率で第二始動口2102に入球させることを可能にしている。
具体的には、時短状態の制御において、普通図柄の当選確率を100%(例えば、251/251)に設定して普通図柄の抽選結果が常に当りとなるようにしている。さらに、普通図柄の変動表示制御に関して、普通図柄の変動時間を80ms、停止表示時間を500ms、可動片2106の閉鎖から次の普通図柄変動開始までのインターバル期間を464msとすることで、普通図柄の変動表示制御が行われる時間を、従来の遊技機と比べて極端に短い所定時間に設定している。さらに、普通図柄の抽選で当りが得られたときには、可動片2106による第二始動口2102の開放時間を5800msという所定時間に設定することによって、第二始動口2102に入球容易な開状態が長く維持されるようにしている。
つまり、上記のような設定で制御されることによって、時短状態では、普通図柄の抽選結果が当りとなる確率が極めて高く(全て当りとなり)、普通図柄の変動表示制御に要する時間が一定で短く、第二始動口2102の開状態の時間が長いこと等により、第二始動口2102へ遊技球を入賞させることが格段に容易となるものであって、第一始動口2101よりも第二始動口2102を狙って右打ちを行ったほうが、効率良く遊技球を入賞させることができる。
また、本実施形態のパチンコ機1では、時短状態において、普通図柄の変動表示制御に要する時間を一定の短時間とし、普通図柄の当選に伴う可動片2106の開放時間(第二始動口2102の開放時間と読み替えてもよい)を一定の長時間とすることによって、ゲート部2105の遊技球の通過に基づく普通抽選の開始から可動片2106の開放及び閉鎖までの一連の動作を一定時間で実行させることができる。そして、ゲート部2105を遊技球が通過してから可動片2106が開放されるまでを短時間とし、当該開放されてから閉鎖されるまでを長時間とすることによって、ゲート部2105を通過した遊技球が、そのまま第二始動口2102に受入れられ易くしている。また、可動片2106が閉鎖状態にある時間はインターバル期間を含めても短時間とされることから、何れの入賞口にも受入れられずにアウト口1151に向かう遊技球の割合を減らすことができる。すなわち、本実施形態のパチンコ機1では、上記のような設定時間で普通図柄の変動表示や可動片2106の開放を制御することによって、時短時にゲート部2105を通過した遊技球の略全てを、第二始動口2102に受入れさせることができる。
さらに、本実施形態のパチンコ機1では、上記のようにゲート部2105を通過した遊技球の略全てが第二始動口2102に受入れられるような状況を実現することに加えて、第二始動口2102への入球に基づいて行われる第二特別図柄の変動処理に関する平均的な所要時間を、遊技球が連続して打ち出されるときの1周期(例えば、1分間に100発であれば1発あたり60ms)よりも長くすることで、時短状態で右打ち遊技が連続して行われた場合に、第二特別図柄の保留数が維持又は増加する傾向を有するようにでき、第二特別抽選を間断なく連続的に実行させることができる。
なお、本実施形態では、第二始動口2102への遊技球の入賞により払出される遊技球の数を「1個」とすることによって、第二始動口2102への遊技球の入賞が頻繁に起きたとしても、遊技者の手持ちの遊技球が増加してしまうことを抑制し、遊技者の興趣を高めつつ遊技ホール側の負担を軽減させることができる。
一方、本実施形態のパチンコ機1では、非時短状態の遊技状態(例えば、低確率非時短状態)では、センター役物2500の左側へ遊技球を打ち込む(所謂左打ち)が推奨される。このような遊技状態で左打ちが行われるときは、植設された複数の障害釘によって遊技球が、表サイドユニット2200やアタッカユニット2100の方向へ誘導されることで、表サイドユニット2200の一般入賞口2201や、アタッカユニット2100の第一始動口2101、一般入賞口2104等へ遊技球を入賞させることが可能となっている。また、センター役物2500のステージ2510へと繋がるワープ入口2504へ誘導されてワープ入口2504へ遊技球が進入すると、センター役物2500のステージ2510へ遊技球が供給されるようになっており、ステージ2510へ供給された遊技球はステージ2510上を左右方向へ転動し、障害釘による動きとは異なる動きを楽しませることができると共に、ステージ2510のチャンス出口2514から遊技球が遊技領域1100内へ放出されると、高い確率でアタッカユニット2100の第一始動口2101へ入賞させることができるようになっている。
また、本実施形態のパチンコ機1では、非時短状態で右打ちが行われた場合に、第二始動口2102への入球が容易とならないように、非時短状態に制御されているときは、普通図柄の当選確率を0%(例えば、0/251)に設定する。このようにすることで、普通図柄の抽選結果が当りとならいようにすることができるので、第二始動口2102を狙った右打ちが行われたとしても第二始動口2102に遊技球を入球させないようにすることができる。
以上のように、本実施形態のパチンコ機1では、時短状態に制御されている場合、第一始動口2101よりも第二始動口2102を狙ったほうが効率良く遊技球を入賞させることができるため、遊技者は、第二始動口2102に遊技球が入賞するようにセンター役物2500の右側を狙った右打ち遊技を行うことになる。また、遊技盤4の構造上、第二始動口2102を開放したときに、第二始動口2102を狙ってセンター役物2500の右側に遊技球を打ち込むと、ゲート部2105を通過した遊技球が、第二始動口2102に極めて高い確率で入賞するようになっている。このため、時短状態の制御中では、センター役物2500の右側に打ち込んだ遊技球が無駄となる(アウト口1151から外部に排出される)ことが殆どなく、非時短状態の制御中における第一始動口2101と比べて、遊技球が極めて効率良く第二始動口2102に入賞するようになる。
[8-2.遊技進行の概要(高確率時短状態)]
本実施形態のパチンコ機1では、第一特別抽選または第二特別抽選が行われて所定の大当りに当選し、当該大当りの大当り遊技が終了した後に、遊技状態が高確率時短状態に制御される。このような所定の大当りとは、[8]で前述した「有利大当り」であって、図173(C)に例示した大当りの種別でいうと、特定2~特定5の大当りに相当する。
図205は、有利大当りに当選した場合の遊技進行を説明するための図である。図205では、有利大当り当選後の遊技の進行段階として、「大当り中」、「大当りED(エンディング)」、「メーカ案内」、「PC(プリペイドカード)注意喚起」、「モード選択」、「モード決定」、及び「モード専用演出」が示されている。図205の各進行段階に添えられた数字は、それぞれの進行段階に割当てられた滞在時間の一例を示している。なお、「大当り中」以外の各進行段階のことを「演出モード」とも呼ぶ。また、図206は、図205に示した遊技進行に伴う演出表示例を説明するための図である。図206では、各進行段階において液晶表示装置1900に表示される表示画面の代表例が示されている。以下では、図205,図206を参照しながら、有利大当りに当選した場合の遊技進行を現出される演出モード順に説明する。
なお、以降で説明する各種の演出は、主に液晶表示装置1900の表示画面において表示される演出であって、周辺制御基板4010によって制御される。
まず、「大当り中」は、大当り遊技の消化中(大当り遊技状態中)であることを示す演出モードである。本実施形態のパチンコ機1では、出玉ありの大当り時(特定2,特定4,特定5)、右打ち遊技で大当り遊技が消化される。そして、当該大当りの大当り遊技後は、何れも高確率時短状態に制御されることから、少なくとも次回の大当り当選まで、右打ち遊技の推奨が続くこととなる。
図206(A)は、「大当り中」における液晶表示装置1900の表示画面例である。図206(A)の表示画面のうち、左上の「Final」は最終ラウンド(例えば16R目)の実行中であることを意味し、中央部の「V」は大当り中であることを意味している。また、右下の表示領域1900pに示された「333」は、消化中の大当りに対応した装飾図柄揃いを示している。また、表示領域1900qには、大当り遊技の消化を右打ちで行うように指示するための表示(右打ち表示)が表示される。
なお、図206(A)の液晶表示装置1900の表示画面におけるこれらの表示位置は一例に過ぎず、設計時に任意の場所に任意の画像等を表示させることができる。そして、このような自由度は、後述する図206(B)~図206(G)でも同様である。
次に、「大当りED(エンディング)」は、「大当り中」のうち大当り遊技の最終ラウンドの後に遷移する演出モードであって、図205によれば、6780ms(500+6280)の滞在時間が割当てられている。
なお、本実施形態のパチンコ機1では、「大当りED」の途中から、特別図柄の当落に関する抽選処理(第二特別抽選に関しての保留がない場合には第一特別抽選、第二特別抽選に関しての保留がある場合には第二特別抽選)が開始され、当該抽選処理の結果に基づいて特別図柄の変動パターンが決定され、特別図柄の変動パターンの変動時間内に収まるような装飾図柄の変動パターンが決定され、当該決定されたそれぞれの変動パターンにしたがって特別図柄及び装飾図柄の変動表示が開始される。なお、以降では、このような一連の流れを広義に捉えて、「抽選処理(特別抽選)の結果に基づいて図柄(特別図柄,装飾図柄)の変動パターンが決定される」といった表記をすることがある。
このような特別抽選の開始について、図205では、「大当りED」に遷移してから500ms経過したとき(P点)に上記抽選処理が開始されることが示されている。言い換えれば、主制御基板4100(特に主制御MPU4100a)は、「大当り中」から「大当りED」のP点のタイミングまでは、遊技状態を通常遊技状態(低確率非時短状態)に制御し、この間、特別図柄の当落に関する抽選処理や変動処理は行わない。そして、P点のタイミングになると、主制御基板4100(特に主制御MPU4100a)は、遊技状態を高確率時短状態に移行させ、特別図柄の当落に関する高確率時用の抽選処理を実行可能とする。
なお、普通図柄の抽選(普通抽選)については、大当り中を含め、P点を迎えるまでのタイミングでは通常の低確率状態で抽選が行われる。P点を迎えたときに普通図柄が変動していた場合は、当該変動は決められた時間が経過して確定する。そして、その後から時短用の高確率状態で普通抽選が行われる。また、本実施形態のパチンコ機1では、上記低確率状態(通常)における普通抽選で当選した場合、または、上記高確率状態(時短用)における普通抽選で当選した場合の何れも、極端に短い普通図柄の変動時間が選択される。
前述したように本実施形態のパチンコ機1では、時短状態で右打ちされると、遊技球が高確率でゲート部2105を通過し、その後、当該遊技球を極めて高い確率で第二始動口2102に受入れさせることができるため、P点に至る直前で右打ちが行われていれば、仮に特別図柄変動の保留が存在しないとしても、高確率遊技状態の開始後直ちに第二特別抽選を開始させることができるとともに、その後も右打ちが継続されることによって、第二特別抽選を連続して行わせることが可能となる。
図206(B)は、「大当りED」における液晶表示装置1900の表示画面例である。図206(B)では表示画面に大当り遊技の終了を示す所定の画像が表示されており、このような画像の表示によって、遊技者に対して大当り遊技が終了したことを教示することができる。図206(B)の表示領域1900r及び表示領域1900sにおける表示については、図206(C)に例示する「メーカ案内」でも同様の表示が行われているため、そちらで説明する。
次に、「メーカ案内」は、「大当りED」に割当てられた滞在時間が経過した後に遷移する演出モードであって、図205によれば、6280msの滞在時間が割当てられている。
図206(C)は、「メーカ案内」における液晶表示装置1900の表示画面例である。図206(C)では、表示画面の中央下部にパチンコ機1の製造元メーカを示す所定の画像が表示されている。また、図206(C)の中央上部の表示領域1900sには、時短状態の消化を右打ちで行うように指示するための表示(右打ち表示)が示される。なお、図206(C)における表示領域1900sの右打ち表示は、図206(A)や図206(G)における表示領域1900qの右打ち表示よりも強調された表示態様とされており、右打ちを行うことを、より強く遊技者に訴求し得る表示となっている。
また、図206(C)の表示画面の3箇所の隅に設けられた表示領域1900rには、それぞれ1個の数字が示されている。この表示領域1900rは、装飾図柄が変動表示されるための表示領域であって、3箇所の表示領域1900rの表示をまとめることで装飾図柄列が形成される(例えば、3箇所の隅に設けられた表示領域1900rの全てに「7」が表示された場合は、上述した奇数の同一装飾図柄の組合せとなる)。このような表示領域1900rにおける装飾図柄の表示は、高確率時短状態における特定の演出モード(具体的には、図205のP点からQ点までに含まれる演出モード)で現出され、その他の遊技状況における装飾図柄の表示よりも、遊技者にとって装飾図柄列を認識し難い態様とされる。例えば、図206(G)で表示画面の中央付近に大きく表示された装飾図柄列(「矢印」は変動中の装飾図柄を意味する)と比べると、図206(G)では3つの装飾図柄が1箇所(表示画面の中央付近)に並んで装飾図柄列が表示されており、複数の装飾図柄が夫々独立した位置に表示される表示領域1900rのほうが遊技者にとって装飾図柄列の認識度合いが低くなることは明らかである。
なお、上記した「高確率時短状態における特定の演出モード」における装飾図柄の表示態様は、図206(C)の表示領域1900rの表示例に限定されるものではなく、装飾図柄の変動(停止を含む)に対する認識度合いを抑制できる態様であればよい。例えば、装飾図柄1個当りの表示面積を小さくしたり、表示輝度を下げたりするなどして、装飾図柄列(又は装飾図柄自体)の認識度合いを低下させるようにしてもよいし、これらを組合せてもよい。このように装飾図柄列(又は装飾図柄自体)の認識度合いを抑制することによって、遊技者に対して装飾図柄の変動に気付かせ難くすることができる。多くの遊技者は液晶表示装置1900の表示画面を中心に見ながら遊技を行うことから、装飾図柄の変動表示に気付き難い遊技状況を実現することで、内部的に特別抽選が実行されていることを遊技者に気付かせないようにすることが期待できる。
以上、図206(C)を参照しながら「メーカ案内」の演出モードにおける表示画面例を説明してきたが、表示領域1900sの「強調態様による右打ち表示」や表示領域1900rの「認識度合いを抑えた装飾図柄表示」は、大当り遊技の終了後の所定のタイミングから液晶表示装置1900の表示画面に表示される。具体的には、「大当りED」に遷移したタイミングから表示が開始される(図206(B)参照)。なお、「強調態様による右打ち表示」や「認識度合いを抑えた装飾図柄表示」を他の表示画像に加えて表示させるような場合、その表示方法は、透過性を有する複数のレイヤーによる重畳表示であってもよいし、複数の表示画像を周期的に入替えて表示させる切替表示などであってもよい。
次に、「PC注意喚起」は、「メーカ案内」の後に遷移する演出モードであって、図205によれば、12560msの滞在時間が割当てられている。「PC注意喚起」では、遊技球の貸出に必要なプリペイドカード(PC)を玉貸機に入れたまま忘れないように注意するなど、遊技者が不利益を被らないように有益な情報を提供する「注意演出」が行われる。このような注意演出は、特別図柄抽選や普通図柄抽選のような遊技に関する抽選の実行の有無とは関係なく、遊技者に対して所定の有益な情報を提供するという点で、機能演出(又は機能的演出)と呼ぶことができる。機能演出としては、上記の注意演出の他にも、パチンコ機1における音量や光量等を調節可能にする「設定演出」がある。
図206(D)は、「PC注意喚起」における液晶表示装置1900の表示画面例である。図206(D)では、表示画面に「プリペイドカードの取り忘れや盗難にご注意ください」という注意喚起文とともに、玉貸機からプリペイドカード(PC)を取出すように教示する注意喚起画像が表示されている。このような表示が行われることによって、大当り遊技を経過して玉貸機内のプリペイドカードに対する遊技者の関心が薄れている状況において遊技者に改めて注意を喚起し、遊技者の不利益を抑制することができる。
なお、図206(D)の表示画面では、図206(C)の場合と同様に、「強調態様による右打ち表示」と「認識度合いを抑えた装飾図柄表示」とが表示されている。なお、表示領域1900tの右打ち表示は、図206(C)の表示領域1900rにおける右打ち表示よりはやや目立たないものの、それでも表示領域1900qの右打ち表示よりは強調された表示態様であることから、「強調態様による右打ち表示」と呼ぶことができる。このような「強調態様による右打ち表示」と「認識度合いを抑えた装飾図柄表示」の表示は、後述の「モード選択(図206(E))」や「モード決定(図206(F))」でも同様である。
次に、「モード選択」は、「PC注意喚起」に割当てられた滞在時間が経過した後に遷移する演出モードであって、図205によれば、12560msの滞在時間が割当てられている。
図206(E)は、「モード選択」における液晶表示装置1900の表示画面例である。図206(E)では、表示画面の中央部に2種類のキャラクタが選択可能に表示され、下部には「キャラクタを選べ」という指示が表示されている。モード選択の画面は、その後のモード専用演出(図206(G))で使用するキャラクタを選択するための画面であって、その選択方法は、例えば、ジョグダイヤルなどを遊技者が操作し、所定時間経過時に前面に表示されている(選択を希望する)キャラクタが決定されるようにしてもよいし、周期的に異なるキャラクタが選択可能になるようにして遊技者が好みのタイミングで決定用のボタンを押下するようにしてもよい。また、ここでは一例としてキャラクタの選択を行わせているが、他にもストーリー種別の選択や演出種別の選択など、任意の選択用モードを用意することができる。
次に、「モード決定」は、「モード選択」に割当てられた滞在時間が経過した後に遷移する演出モードであって、図205によれば、14444msの滞在時間が割当てられている。
図206(F)は、「モード決定」における液晶表示装置1900の表示画面例であって、「モード選択」で選択されたキャラクタの選択が確定したことを表示している。但し、「モード決定」における演出態様は、「モード選択」の選択結果が確定したことを示すものであって、当該選択結果が有効にされた演出は、次の「モード専用演出」の段階から実行される。図206(F)の表示画面例では、表示画面の中央部に選択されたキャラクタが所定の台詞を話す画面が表示され、その後に遷移する「モード専用演出」において当該キャラクタに応じた演出が行われることを示している。
「モード専用演出」は、「モード決定」に割当てられた滞在時間が経過した後に遷移する演出モードであって、次回の大当りに当選するまで継続する。「モード専用演出」では、「モード決定」で決定されたモードに基づいて、予め用意された専用の演出が行われる。
図206(G)は、「モード専用演出」における液晶表示装置1900の表示画面例であって、「モード決定」で示されたキャラクタに基づいた「専用の演出」が開始されている様子を示している。具体的には、図206(G)の表示画面例では、選択されたキャラクタが目的地を目指して歩いているような画像が表示されることで、当該キャラクタを中心とした専用の演出が示されている。なお、ここでいう専用の演出とは、高確率時短遊技状態における演出の1つであって、例えば、液晶表示装置1900における画面表示の背景や表示キャラクタが「専用の演出」とされるものを想定することができる。
また、図206(G)の表示画面例の下部の表示領域1900uには、装飾図柄の変動保留状況(4個を保留の最大数として3個が保留されている)が表示されている。また、表示領域1900pでは装飾図柄列の変動表示が行われるようにされているが、このような装飾図柄列の表示は、図205のP点からQ点までの「認識度合いを抑えた装飾図柄表示」とは異なり、遊技者から認識し易い装飾図柄の表示となっている。このように、「モード専用演出」の演出モードに移行した後(Q点以降)は、「モード決定」までの演出モードまでとは異なり、装飾図柄の変動表示を遊技者が認識または意識し易い態様による演出表示が行われるようになり、遊技者にはQ点のタイミングから図柄変動が開始されたかのような印象を与えることができる。
以上のように、本実施形態のパチンコ機1では、「大当り中」で示される大当り遊技の後に高確率時短状態に制御される場合に、「大当りED」(図206(B))から「モード専用演出」(図206(G))までの各演出モードが予め定められた順番で遷移する。このうち、「大当りED」から「モード専用演出」までは、固定的な順番で遷移する演出モードであって、当該各演出モードの演出内容は、特別抽選の実行結果とは関連しないものである。以降では、このように特別抽選とは関係なく表示される「大当りED」から「モード専用演出」による演出モード群を「一連の演出モード群」と呼ぶ。なお、図205に例示したように滞在時間によって遷移が決定されている場合には、「一連の演出モード群」の各演出モードは、特別抽選の実行とは関係なく現出される演出モードとも言える。
そして、本実施形態のパチンコ機1では、有利大当り(大当り遊技後に高確率時短状態に制御される大当り)に当選した場合の遊技進行として、「大当りED」の途中(図205のP点)から特別抽選(第二特別抽選に関しての保留がない場合には第一特別抽選、第二特別抽選に関しての保留がある場合には第二特別抽選)が開始され、さらに「モード決定」までの間(図205のQ点まで)は、当該特別抽選に伴って行われる装飾図柄の変動表示が遊技者からは認識し難い表示態様とされる。そして、「モード専用演出」になってからは、装飾図柄の変動表示は遊技者から認識し易くされる。このようにすることによって、本実施形態のパチンコ機1では、「モード決定」までの一連の演出モード群の実行中に、遊技者からは認識し難い状況で特別抽選の実行及び図柄(主に装飾図柄)の変動表示を進めることができるため、第二特別抽選の実行に伴う図柄の変動演出が表示されているなかで当選の結果が得られない遊技状況の長期化を抑制することができる。
なお、本例において、「モード専用演出」は、高確率遊技状態に制御されているときのみ現出され得る演出とする。すなわち、「モード専用演出」の演出態様が表示された場合に、高確率遊技状態であることが遊技者に示唆(または教示)される。そして、このような「モード専用演出」におけるキャラクタを決定するための演出態様として、「モード専用演出」の前に「モード選択」及び「モード決定」が存在することから、「モード選択」及び「モード決定」は、内部的には高確率遊技状態に既に制御されているものの、見かけ上で遊技者に「高確率遊技状態の開始を示す演出」である。
[8-3.高確率時短状態における変動パターン]
以下では、[8-2]で説明した高確率時短状態の各演出モードにおける変動パターンの決定や、高確率時短状態で大当りに当選した際の特別な演出等について説明する。
まず、前述したように、高確率時短状態では、第二始動口2102への入球に基づいた第二特別抽選が特別抽選の中心となり、第二特別抽選で用いられる大当り判定テーブルによれば、大当りとなる第二特別乱数が1/120の当選確率で選ばれる(図173(A))。また、はずれ時のリーチ判定テーブルによれば、高確率時短状態(確変)では、はずれ時にはリーチ演出は選択されない。また、大当り当選時には必ずリーチ演出を選択するようにし、したがって、高確率時短状態(確変)でリーチ演出が現出された場合には必ず大当りとなる(図173(B))。そして、高確率時短状態(確変)で第二特別抽選によって当選し得る大当りの種別は、特定1,特定2,特定5,非特定の何れかとなる。
また、高確率時短状態において選択される特別図柄の変動パターンについて、リーチ無しの場合(すなわち、はずれ時)の変動時間は、保留が存在する状態では、変動状態が128msで停止状態が500msの合計628msの変動時間が選択されるとし、保留が存在しない状態では、変動状態が1920msで停止状態が500msの合計2420msの変動時間が選択されるとする。なお、本例において、特別図柄の変動時間と装飾図柄の変動時間とは一致するものとする。
[8-3-1.大当り終了後の回転数に応じた変動パターン]
図207は、高確率時短状態の変動パターンを説明するための図である。図207では、主制御基板4100(主に主制御MPU4100a)が、有利大当りの終了後の特別図柄の回転数、当落の抽選結果、および当り種別に応じて、変動パターン(図柄を確定させるまでの変動時間)を決定している。そして、主制御基板4100が決定したそれらの条件をもとに、周辺制御基板4010(周辺制御部4140,液晶制御部4150)が、何れの演出を実行するかを決定することが示されている。前述してきたように、本実施形態のパチンコ機1では、「大当り中」からその後の各演出モードに掛けて右打ち遊技が継続されることによって、第二始動口2102への入球が継続的に促進され、「大当りED」の途中から特別抽選(主に第二特別抽選)を開始可能にして、当該特別抽選の結果に基づいた図柄(特別図柄,装飾図柄)の変動表示を連続して実行させることができる。そして、はずれ時には、628msという固定時間の変動時間が選択されるとともに、図205で示したように各演出モードの滞在時間は予め設定されていることから、大当り終了後の回転数と「大当りED」以降の各演出モードの滞在状況とを関連付けることができる。図207における「大当り終了後回転数」と「演出モード」との対応はこのような背景から成立している。
図207に示された変動パターンは、特別抽選の結果に基づいて選択される装飾図柄の変動パターンである。装飾図柄の変動時間は、特別抽選の結果に基づいて決定される特別図柄の変動時間と等しい。図207によれば、特別抽選の結果がはずれである場合は、変動パターンの演出は通常変動が選択され、その変動時間は628msに固定される。なお、628msという変動時間は1秒に満たない短時間であるため、通常変動の演出では装飾図柄がほぼ即時停止するような表示態様であってもよい。
また、図207によれば、特別抽選の結果が大当りである場合は、大当り当選時の大当り終了後の回転数(以後、単に「回転数」と略記することがある)と大当りの種別とに基づいて、変動パターンの選択が行われる。
大当りの種別が非特定(出玉なしの4R通常当り)の場合は、回転数に拘わらず変動パターンの演出は「強制バトル」が選択され、その変動時間は30000msに固定される。「強制バトル」はリーチ演出の1つであって、その詳細は図208,図209を参照して後述する。
大当りの種別が特定1(出玉なしの4R確変当り),特定2(出玉ありの4R確変当り),特定5(出玉ありの16R確変当り)の場合は、回転数に基づいて以下のように変動パターンが選択される。
まず、回転数が1回から10回まで(演出モードは「大当りED」に対応)の場合、または回転数が11回から20回まで(演出モードは「メーカ案内」に対応)の場合は、変動パターンの演出は「強制バトル」が選択され、その変動時間は30000msまたは40000msが選択される。大当りが確変であるときの「強制バトル」の変動時間は、大当りの種別に応じて30000msまたは40000msが選択されるが、これについては図208を参照して後述する。
次に、回転数が21回から40回まで(演出モードは「PC注意喚起」に対応)の場合、変動パターンの演出は、「強制バトル」または「特別PC画像」の何れかが1:1で選択され、その変動時間は「強制バトル」の場合は30000msまたは40000ms、「特別PC画像」の場合は2000msが選択される。「特別PC画像」は特定の大当りが確定する特別な演出の1つであって、その詳細は図210を参照して後述する。
次に、回転数が41回から60回まで(演出モードは「モード選択」に対応)の場合、変動パターンの演出は、「強制バトル」または「特別選択モード」の何れかが1:1で選択され、その変動時間は「強制バトル」の場合は30000msまたは40000ms、「特別選択モード」の場合は6000msが選択される。「特別選択モード」は特定の大当りが確定する特別な演出の1つであって、その詳細は図211を参照して後述する。
次に、回転数が61回から83回まで(演出モードは「モード決定」に対応)の場合、変動パターンの演出は、「強制バトル」または「特別台詞」の何れかが1:1で選択され、その変動時間は「強制バトル」の場合は30000msまたは40000ms、「特別台詞」の場合は10000msが選択される。「特別台詞」は特定の大当りが確定する特別な演出の1つであって、その詳細は図212を参照して後述する。
最後に、回転数が84回以降(演出モードは「モード専用演出」に対応)の場合は、変動パターンの演出は「強制バトル」が選択され、その変動時間は30000msまたは40000msが選択される。なお、回転数が84回以降(「モード専用演出」)では、本例で例示しないその他の変動パターンや演出が用意されてもよい。なお、特定1については、大当り遊技後は高確率非時短状態に制御されることから、大当り遊技後に高確率時短状態に制御される「有利大当り」よりは有利度合いが低く、前述したように「不利大当り」に含めることができるため、図207においても、通常当りと同様の変動パターンが選択されるようにしてもよい。
このように、本実施形態のパチンコ機1では、図207に例示したように、特別抽選の結果が大当りである場合は、大当り当選時の大当り終了後の回転数と大当りの種別とに基づいて変動パターンの選択が行われるが、このような変動パターンの選択には、次のような特徴がみられる。つまり、回転数が1回から20回まで(「大当りED」または「メーカ案内」)のときに大当りに当選した場合、当該大当りを示す変動パターンの変動時間は最短でも30000msであり、図柄変動の停止によって当該大当りが示されるまでには少なくとも30000msの時間が経過する。ここで、特別抽選の開始が許容されてからの「大当りED」および「メーカ案内」のそれぞれの滞在時間が6280ms(合計すると12560ms)であることを考慮すると、演出モードが「大当りED」または「メーカ案内」であるときに大当りに当選したとしても、図柄の変動表示が終了して当該大当りが教示されるときには、演出モードは「PC注意喚起」に遷移している。
すなわち、本実施形態のパチンコ機1では、「大当りED」の途中から特別抽選を実行可能にするが、特別抽選で大当りに当選したことが「大当りED」または「メーカ案内」の演出モード中に遊技者に教示されることはなく、少なくとも「PC注意喚起」以降の演出モードで教示されるように制御される。
そして、本実施形態のパチンコ機1では、特別抽選の実行結果とは関連しない演出態様で現出される一連の演出モード群の期間(より厳密には、当該期間に対応する大当り後回転数の期間)で大当りに当選した場合には、表示演出の選択肢として「強制バトル」が用意される。さらに、上記一連の演出モード群のうちの特定の演出モード(「PC注意喚起」,「モード選択」,「モード決定」)で有利大当りに当選した場合には、「強制バトル」以外の特別な表示演出(「特別PC画像」,「特別選択モード」,「特別台詞」)も選択肢として用意される。
なお、本実施形態のパチンコ機1では、液晶表示装置1900の表示画面で「一連の演出モード群」に含まれる演出モードの演出が表示されている場合には、図207に沿った変動パターン(例えば、後段で詳細を説明する「強制バトル」とする)が選ばれたとしても、選ばれた強制バトルの演出を必ずしも全て表示画面に表示させなくてもよい。例えば、実行中の演出モードの演出表示を表示画面に表示させたまま、強制バトルの演出を表示画面に表示させることなく(遊技者に見せることなく)進め、強制バトルの演出における特定部分(例えば、大当りに対する期待割合を変化させるような重要部分)のタイミングになったときに、当該特定部分を表示画面に表示させ、その後、当落結果を示す表示を最後に表示させてもよい。また、演出モードの演出表示及び強制バトルの演出表示について、双方を遊技者から視認可能に表示させたり(重畳表示)、遊技者から視認可能な表示を片方ずつに切替えながら表示させたり等してもよい。
[8-3-2.強制バトル]
以下では「強制バトル」について詳しく説明する。「強制バトル」は、どのような演出モードに滞在しているかに拘わらず、所定のバトル演出(リーチ演出)が強制的に割込まれるようにして行われる表示演出である。
図208は、大当りの種別に基づく強制バトルの変動パターンを説明するための図である。図208に示すように、大当りの当選時に選択され得る「強制バトル」演出には、大当りの種別によって異なる変動パターンが用意されている。そして、「強制バトル」演出の結果が敗北であった場合には、比較的不利な大当り(大当り遊技で実質的に出玉が得られない、大当り後は高確率時短状態に制御されない)の当選を意味し、「強制バトル」演出の結果が勝利であった場合には、比較的有利な大当り(大当り遊技で出玉が得られる、大当り後は高確率時短状態に継続して制御される)の当選を意味する。ただし、比較的不利な大当りであっても、当該大当りが特定1である可能性が含まれることから、当該大当りの後に時短状態に制御されなくても高確率状態であることには期待できるので、敗北結果によって遊技者の期待が徹底的に損なわれてしまうことを抑制することができる。
大当りが特定1の場合は、変動パターンAとして30000msの変動時間が選ばれ、バトルの結果が敗北となる演出内容が選択される。バトルの経過や結果については、図209を参照しながら後述する。
大当りが特定2の場合は、変動パターンBとして40000msの変動時間が選ばれ、バトルの結果が勝利となる演出内容が選択される。
大当りが特定5の場合は、何れも40000msの変動時間による変動パターンCまたは変動パターンDが1:1の割合で選ばれる。変動パターンCでは、バトルの結果が敗北となった後に、敗北から復活して「7」図柄揃いが表示される演出内容が選択される。変動パターンCの演出では、バトルの結果が敗北となるまでは変動パターンAと同じく30000msの変動時間が使われ、その後に10000msの変動時間を使って敗北からの復活演出が行われる。変動パターンDでは、バトルの結果が勝利となった後に図柄揃いが再変動して「7」図柄揃いが表示される演出内容が選択される。変動パターンDの演出では、「7」図柄揃いが表示されるまでの演出全体で40000msの変動時間が使われる。なお、本例において、「7」図柄揃いの表示は、「出玉あり16R確変大当り(特定5)」という有利度合いの最も高い大当りの当選を示す特別な表示とする。
大当りが非特定の場合は、変動パターンEとして30000msの変動時間が選ばれ、バトルの結果が敗北となる演出内容が選択される。
次に、強制バトルによる具体的な表示演出例を説明する。図209は、強制バトルによる表示演出を説明するための図である。図209(A)~図209(I)は、強制バトルの進行に伴う液晶表示装置1900の表示画面を示している。強制バトルでは、例えば、味方キャラクタと敵キャラクタとの対戦が繰り広げられる。本例では、強制バトルによる対戦結果が味方キャラクタの勝利であった場合には、有利大当り(大当り遊技後に高確率時短状態が再継続する大当り)の当選を意味し、対戦結果が味方キャラクタの敗北であった場合には、不利大当り(高確率時短状態が終了し、大当り遊技後に非時短状態に制御される大当り)の当選を意味する。
まず、図209(A)には、強制バトルの発生時の演出画像例が示されている。変動パターンに強制バトルが選択された場合は、液晶表示装置1900に表示されている演出モードの表示に割込む態様で、強制バトルの発生時の演出画像が表示される。なお、図209(A)では、表示画面の右下部に変動中の装飾図柄がまとめて表示されているが、強制バトル中の装飾図柄の変動は、図206(C)のように、表示画面の隅に分割された表示領域1900rに表示されるようにしてもよい。
次いで、図209(B)に示すように、味方キャラクタと敵キャラクタとの対戦が開始される。対戦の結果が表示される前に、図209(C)のように期待度合いを高めるカットイン等が表示されることもある。なお、図209(C)のような期待度合いを向上させる演出は、変動パターンの種別(例えば、図208に示した変動パターンA~E)に基づいて現出割合に変化を持たせたり、異なる種類の期待度合い向上演出を表示させたりする等してよい。
その後、対戦の結果が表示される。まずは対戦結果が勝利であった場合の演出遷移例を説明する。図209(D)は味方キャラクタが勝利したことを示す表示画面例であり、図208で説明した強制バトルの変動パターンの振分によれば、変動パターンBまたは変動パターンDが選択された場合(特定2または特定5の大当り)に表示される。本例では、図209(D)のように勝利結果が表示された段階で、有利大当りの当選が確定し、例えば図209(D)の表示領域1900pには「333」の装飾図柄揃いが示されている。そして、変動パターンB(特定2)が選択されている場合は、図209(D)の演出表示によって強制バトルの結果が確定し、その後、特定2の大当り遊技(4R確変)が開始される。
なお、変動パターンDの場合は、図208で説明したように、勝利結果が表示された後に、図柄の再変動が行われて「7」図柄揃いが表示される。このような演出表示の遷移例を示したものが図209(E)及び図209(F)であって、図209(E)では、図209(D)の表示結果からの変更を示唆する「CHARGE!」という語句が表示され、その後の図209(F)では、「777」の装飾図柄揃いが示される。このとき、表示領域1900pの図柄表示列も再変動して「777」が停止表示されている。変動パターンDでは、最終的に「7」図柄揃いが表示されることによって、有利度合いの最も高い大当り(「出玉あり16R確変大当り(特定5)」)が遊技者に教示される。そして、その後、特定5の大当り遊技(16R確変)が開始される。
次に、対戦結果が敗北であった場合の演出遷移例を説明する。図209(G)は味方キャラクタが敗北したことを示す表示画面例であり、図208で説明した強制バトルの変動パターンの振分によれば、変動パターンA、変動パターンC、または変動パターンEが選択された場合(特定1、特定5、非特定の大当り)に表示される。このうち、変動パターンA(特定1)または変動パターンE(非特定)の場合は、図209(G)の演出表示によって強制バトルの結果が確定し、その後、大当り遊技(特定1の場合は4R潜確、非特定の場合は4R通常)が開始される。
ただし、本例では、図209(G)のように敗北結果が表示されたとしても、更なる演出の変化が発生することによって、不利大当りから有利大当りとなる復活パターンの可能性が残されている。具体的には、変動パターンCが選択されていた場合には、図209(H)に示したように、図209(G)の演出表示が最終形態ではないことを示唆する「まだです!」という語句が表示され、その後の図209(H)では、「777」の装飾図柄揃いが示される。このとき、表示領域1900pの図柄表示列も再変動して「777」が停止表示されている。変動パターンCでは、最終的に「7」図柄揃いが表示されることによって、有利度合いの最も高い大当り(「出玉あり16R確変大当り(特定5)」)が遊技者に教示される。そして、その後、特定5の大当り遊技(16R確変)が開始される。
このように、本実施形態のパチンコ機1では、特別抽選の実行結果とは関連しない演出態様で現出される「一連の演出モード群」が表示されている期間であっても、強制バトルが発生した場合には、図209(A)~(I)に示したような演出が行われることで大当り(有利大当りまたは不利大当り)の結果が遊技者に教示される。
[8-3-3.特別な表示演出]
特別抽選の実行結果とは関連しない演出態様で現出される「一連の演出モード群」のうち特定の演出モード(「PC注意喚起」,「モード選択」,「モード決定」)で有利大当りに当選した場合に実行され得る、「強制バトル」以外の特別な表示演出(「特別PC画像」,「特別選択モード」,「特別台詞」)について説明する。本例では、当該特別な表示演出が現出された場合には、有利大当りの当選が確定する。
以下では、具体例をあげて上記の特別な表示演出を説明する。なお、これらの具体例では、現在滞在している演出モードの表示内容の一部を特別な表示内容に変更することによって、特別な表示演出を実現している。
まず、「特別PC画像」について説明する。図207を参照して説明したように、「特別PC画像」は、高確率時短状態において、大当り終了後の回転数が21回から40回までの間に次の大当りに当選した場合のうち、当該当選した大当りが有利大当りである場合に選択され得る変動パターンの演出である。このような場合、「PC注意喚起」の演出モードに滞在していると推定されるが、「特別PC画像」の演出が選ばれた場合には、「特別PC画像」の表示画面を利用して「PC注意喚起」の演出が行われる。
図210は、特別PC画像による表示演出を説明するための図である。図210には、「特別PC画像」による表示画面例が示されている。図210の表示画面例を図206(D)の「PC注意喚起」における表示画面例と比較すると、プリペイドカード(PC)の表示態様が目立ちやすくされている(具体的には例えば、プリペイドカードの大きさを大きくしたり、プリペイドカードの色を黄金色や虹色にしたりする)。このように、通常の画像(PC注意喚起の画像)とは異なるPCの画像を用いることによって、特別な遊技状況にあることを遊技者に気付かせるとともに、有利な結果が提供されることに対する期待感を抱かせることができる。また、「PC注意喚起」の表示画面を使わなくても、遊技者に対してプリペイドカードの取り忘れ等を注意喚起することができ、「PC注意喚起」の演出モードに課せられた機能的役割も果たすことができる。
なお、図210の表示画面は一例に過ぎず、例えば、プリペイドカードの替わりに別の画像を表示させたり、PC注意喚起における注意喚起文を変更したり等してもよい。但し、そのような場合でも、上記したような機能的な役割を果たせるよう、プリペイドカードに関する注意喚起を促す本来の表示画像のイメージを残すようにすることが好ましい。
次に、「特別選択モード」について説明する。図207を参照して説明したように、「特別選択モード」は、高確率時短状態において、大当り終了後の回転数が41回から60回までの間に次の大当りに当選した場合のうち、当該当選した大当りが有利大当りである場合に選択され得る変動パターンの演出である。このような場合、「モード選択」の演出モードに滞在していると推定されるが、「特別選択モード」の演出が選ばれた場合には、「特別選択モード」の表示画面を利用して「モード選択」の演出が行われる。
図211は、特別選択モードによる表示演出を説明するための図である。図211には、「特別選択モード」による表示画面例が示されている。図211の表示画面例を図206(E)の「モード選択」における表示画面例と比較すると、「モード選択」では選択可能な対象が2人のキャラクタであったのに対し、「特別選択モード」では上記2人のキャラクタに加えて「WIN」という語句のプレートが選択可能にされている。「WIN」という語句は、勝利を意味するものであり、すなわち、大当りを示唆する特別な表示である。「特別選択モード」の表示画面では、このような特別な表示が行われることによって、遊技者に「WIN」のプレートを選択させて大当りであることを教示することができる。また、遊技者が「WIN」のプレートを選択せずに、何れかのキャラクタを選択したとしても、決定操作を行ったときに「WIN」の表示に変更する等すれば、大当りであることを遊技者に教示することができる。
なお、図211の表示画面は一例に過ぎず、例えば、「WIN」のプレートの替わりに、通常の「モード選択」では選択肢として表示されないキャラクタを選択可能に表示させたり、選択可能なキャラクタの人数を通常とは異なるように表示させたり等してもよい。但し、そのような場合でも、「モード選択」を基調とした表示演出であるような表示画面であることが好ましく、「モード選択」に類似した特殊な演出であることを遊技者に認識させることで、特別な演出が現出されたという優越感を遊技者に抱かせることができる。
次に、「特別台詞」について説明する。図207を参照して説明したように、「特別台詞」は、高確率時短状態において、大当り終了後の回転数が61回から83回までの間に次の大当りに当選した場合のうち、当該当選した大当りが有利大当りである場合に選択され得る変動パターンの演出である。このような場合、「モード決定」の演出モードに滞在していると推定されるが、「特別台詞」の演出が選ばれた場合には、「特別台詞」の表示画面を利用して「特別台詞」の演出が行われる。
図212は、特別台詞による表示演出を説明するための図である。図212には、「特別台詞」による表示画面例が示されている。図212の表示画面例を図206(F)の「モード決定」における表示画面例と比較すると、前段階の「モード選択」で選択されたキャラクタによる台詞が、「任せろ!」から「大当りだ!」に変更されている。このように、キャラクタの台詞を通常の画像(モード選択の画像)とは異なる台詞にすることによって、特別な遊技状況にあることを遊技者に気付かせるとともに、有利な結果が提供されることに対する期待感を抱かせることができる。
なお、図212の表示画面は一例に過ぎず、例えば、別の台詞を表示したり、キャラクタや台詞の表示態様(色、大きさ、描画タッチ等)を変更したり、モード選択で選択されたキャラクタとは別の特別なキャラクタを表示したりしてもよい。何れの場合も、通常の演出(モード決定)とは異なる態様で演出が行われることによって、特別な演出が現出されたという優越感を遊技者に抱かせることができる。
以上が、特別抽選の実行結果とは関連しない演出態様で現出される「一連の演出モード群(「大当りED」~「モード決定」)」のうち特定の演出モード(「PC注意喚起」,「モード選択」,「モード決定」)で有利大当りに当選した場合に実行され得る特別な表示演出である。なお、これらの特別な表示演出が実行された場合は、その最後に大当りを教示する図柄揃いを表示するようにして、大当りに当選したことを遊技者が認識し易くすることが好ましい。また、特別な表示演出の実行中に、対応する通常の演出モードの滞在時間を超えてしまう場合は、例えば、実行中の特別な表示演出をそのまま表示し(次に遷移予定の演出モードを表示せず)、最後に大当りを教示する図柄揃いを表示した後、大当り遊技を開始させればよい。
[8-4.高確率時短状態の遊技制御による特徴的効果]
これまで[8]章を中心に高確率時短状態の遊技制御の特徴を説明してきたが、このような本実施形態のパチンコ機1によれば、以下に示す特徴的な効果を実現する遊技機を実現することができる。
[8-4-1.第1の特徴的効果]
本実施形態のパチンコ機1によれば、抽選(主に特別抽選)が実行されて図柄の変動表示が表示されているなかで当該抽選による当選結果が得られない遊技状況の長期化を抑制し得る遊技機を実現することができる。そして、このような遊技機によれば、第1の特徴的効果として、いわゆるハマりの遊技期間を抑制できることで、ハマりの状態で遊技者が抱きやすい嫌悪感を抑制することができる。以下に詳しく説明する。
本実施形態のパチンコ機1では、大当り後に制御された高確率時短状態において、図205に示したように、予め定められた順番で遷移する一連の演出モード群(大当たりED~モード決定)が現出されるが、これらの演出モードの滞在中でも、特別抽選および図柄の変動表示(特に装飾図柄の変動表示)が実行可能に制御される。一方で、これらの演出モードにおける表示画面は、特別抽選の実行結果とは関連しない演出態様であって、図206の例示を参照しながら説明したように、遊技者にとって装飾図柄列を認識し難い態様とされることから、一連の演出モード群の滞在中に実行される特別抽選及び図柄の変動表示は遊技者から認識され難い。
すなわち、本実施形態のパチンコ機1によれば、一連の演出モード群の表示が終わった後から図柄の変動表示が開始されるように遊技者に感じさせることができるため、一連の演出モード群が表示されている期間で特別抽選による結果がはずれであったとしても、遊技者にはそのはずれ結果を認識させず、いわゆる「ハマり」の状態を感じさせないようにすることができる。
また、別の言い方をすれば、本実施形態のパチンコ機1では、大当り遊技の終了後に、高確率遊技状態が開始されることを示す演出態様(モード選択およびモード決定)が表示されているとき、さらにはこれらを含む、特別抽選の実行結果とは関連しない演出態様(大当りED~モード決定)が表示されているときに、遊技者から認識し難い態様で図柄の変動を実行可能にすることによって、特別抽選が実行されて図柄の変動表示が表示されているなかで特別抽選による当選結果が得られない遊技状況の長期化を抑制することができる。
以上のような第1の特徴的効果を奏する本実施形態のパチンコ機1について、図173,図205,図207等の例を用いて具体的な数値で説明する。まず、高確率時短状態における特別抽選の大当り当選確率は1/120であって、はずれ時の変動時間は628msが選択され、リーチ演出は選択されない。また、本実施形態のパチンコ機1では、大当り遊技から右打ち遊技が継続されることによって、第二始動口2102への入球が極めて容易にされているため、特別抽選の実行が可能に制御されるタイミング(図205のP点)から連続的に特別抽選が実行される。ここで、図205を参照すれば、一連の演出モード群が遊技者にとって装飾図柄列を認識し難い態様で現出される期間のうち、特別抽選の実行が可能な時間は、P点からQ点までの52124msとなる。前述したように、1回の特別抽選の結果に基づいて実行される1回の図柄変動に要する時間は628msであるから、52124msの間では、83回の特別抽選及び図柄変動が可能となる(52124/628=83)。そして、特別抽選で大当りに当選する確率が1/120であることを考慮すると、特別抽選が83回行われる間に大当りに当選する割合は、約50.07%である(算出の詳細は省略)。なお、本例におけるはずれ時の変動時間628msは、一般的な図柄の変動時間と比して極めて短時間であり、このようにはずれ時の変動時間を短く設定するようことで、所定期間内で実行可能な特別抽選の試行回数を増やす工夫がされている。
そして、上記具体例に基づいた計算によれば、高確率時短状態において、特別抽選による結果がはずれであったとしても当該はずれの結果を遊技者に認識させ難い「一連の演出モード群」が表示される期間内に、50%を超える確率で次回の大当りに当選させることができ、このような大当りを得られることによって、遊技者にハマりの状態を感じさせないようにすることができる。また、仮に「一連の演出モード群」の表示期間である83回を超えても次回の大当りに当選できなかったとしても、83回分の特別抽選の実行期間は遊技者から認識され難いことから、やはり遊技者に対して、特別抽選による当選結果が得られない遊技状況の長期化を抑制し得ることができる。つまり、高確率時短状態において、半数(50%)以下の大当りに関しては上述した所定回数(83回)を超える回数で大当りすることになるが、そのような場合でも当該所定回数(83回)については抽選されていないと遊技者に認識させているので、例えば100回転で大当りしたとしても、遊技者は17回転(100-83=17)で大当りに当選したと認識することになり、ハマりの状態という認識を持ち難い。
なお、高確率状態における変動パターンの選択率、変動パターンの時間値(変動時間)の設定、及び一連の演出モード群の演出時間などについては、上記例のように、抽選されていないと遊技者に認識させる一連の演出モード群の演出期間で半数(50%)以上の当りを大当りに当選させる設計思想のもとに設計されていればよく、上記数値に限定されるものではない。
なお、本実施形態のパチンコ機1によるこのような構成は、高確率遊技状態に制御されているときに、大当り遊技の終了までに保留された特別乱数によって次回の大当りを実現させたり(所謂、保留連)、大当り遊技の終了後に即座に次回の大当りを実現させたり(所謂、即連)することを目的としたものではなく、次回の大当りにいつ当選するか確定しない遊技進行の過程で、遊技者視点において特別抽選による当選結果が得られない遊技状況の長期化を抑制することを目的としている点を特徴の1つとしている。
また、本実施形態のパチンコ機1では、以上に述べた第1の特徴的効果をより確かにするために、以下のような構成を適宜備えるようにしてもよい。
例えば、「一連の演出モード群」のうち高確率遊技状態の開始を示す演出態様(「モード選択」や「モード決定」)と、高確率遊技状態であることを示す演出態様(「モード専用演出」)とで、液晶表示装置1900の表示画面中における装飾図柄の表示位置を異ならせるようにしてもよい。具体的には例えば、モード選択の表示画面を例示した図206(E)とモード専用演出の表示画面を例示した図206(G)とを比較すると、前者では装飾図柄は3箇所に分割された表示領域1900rに表示され、後者では装飾図柄は1箇所の表示領域1900pに図柄列として表示される。さらにいえば、装飾図柄1つ当りに割当てられる表示領域の大きさ(表示される装飾図柄の大きさ)は、前者よりも後者のほうが大きくされる。このように構成することで、本実施形態のパチンコ機1では、高確率遊技状態による遊技の開始を示す演出態様では装飾図柄の変動表示を認識させ難くする一方、高確率遊技状態であることを示す演出態様では装飾図柄の変動表示を認識させ易くするということを実現可能にするだけでなく、装飾図柄の見た目(大きさや表示位置)によって、高確率遊技状態であることを遊技者が簡単に認識できるようにすることができる。
また例えば、これまでの説明では、特別抽選とは関係なく表示され、各演出モードの遷移順が予め決定されていることから、「大当りED」、「メーカ案内」、「PC注意喚起」、「モード選択」、「モード決定」によって「一連の演出モード群」が形成されるとしたが、これらの演出モードは、表示内容に基づいて別の分類をすることもできる。
具体的にはまず、「大当りED」は、それまで実行された大当り遊技の終了を示すものであるから、大当り演出の一部ともいえる。そして、「メーカ案内」及び「PC注意喚起」は、特別抽選とは関係なく表示されるだけでなく、その表示内容も特別抽選とは関連性が薄い(メーカ名の表示やプリペイドカード取り忘れ注意の表示が特別抽選に関連するとは言い難い)ことから、固定的な演出態様といえる。そして、「モード選択」及び「モード決定」は、前述したように、高確率遊技状態であることを示す「モード専用演出」の前段階の演出態様であって、高確率遊技状態の開始を示す演出態様といえる。但し、当該時点で高確率遊技状態による遊技は内部的には開始されており、遊技者に対する見かけ上の演出態様であることは前述した通りである。
そして、このように演出態様を分類するとき、高確率遊技状態の開始を示す演出態様は、大当り演出からの一連の演出ではなく、その間に上記固定的な演出態様が挟まれる。このとき、本実施形態のパチンコ機1によれば、大当りに関する演出が終了した後、大当りに関する演出とは異なる演出として高確率遊技状態が開始されることを示す演出態様が表示されているときでも図柄の変動を行うようにすることで、高確率遊技状態であることを示す演出態様が表示されているときに大当りに当選できない期間が長期化することを抑制することができる。
[8-4-2.第2の特徴的効果]
本実施形態のパチンコ機1によれば、抽選(主に特別抽選)の結果を示す演出とは関係ない機能演出が表示されているときであっても、当該抽選の結果を教示する特別演出を表示可能な遊技機を実現することができる。そして、このような遊技機によれば、第2の特徴的効果として、特典が得られるか否かとは関係ない機能演出が表示されているときでも、当該機能演出に対して遊技者に興味を抱かせることができる。また、このような遊技機によれば、機能演出の表示を行いながらも、特別抽選の結果を遅延させることなく遊技者に教示することができる。以下に詳しく説明する。
まず、上記した機能演出とは、抽選(主に特別抽選)の実行の有無とは関係なく遊技者にとって有益な情報を提供する演出であって、例えば「PC注意喚起」が機能演出に相当する。図207などの例示を参照しながら説明した通り、本実施形態のパチンコ機1では、大当りED途中の所定タイミング(図205のP点)から特別抽選が連続的に実行される場合、大当り終了後の回転数が21回から40回までの間は「PC注意喚起」の演出モードになる。「PC注意喚起」の演出モードにおける表示画面は、図206(D)に例示した通り、特別抽選の実行の有無や実行結果とは関係なく表示されるものであって、「プリペイドカードの取り忘れや盗難」という遊技者にとって不利益をもたらす状況への注意喚起を行うことで遊技者に有益な情報を提供している。そして、このようなPC注意喚起の演出モードに滞在しているときでも、特別抽選で大当りに当選した場合には、図207に示したように「強制バトル」または「特別PC画像」の変動パターンが選択されることによって、大当りが教示される。
ここで、図210に例示したように、「特別PC画像」は全体的には「PC注意喚起」の表示画面と類似した表示態様でありながら、一部(例えばプリペイドカードの描画部分)の表示態様を異ならせるようにすることで、「PC注意喚起」に対応する特別な演出となるようにしている。そして、このような「特別PC画像」の演出が変動パターンとして選択された場合には、プリペイドカードの取り忘れなどに対する注意喚起が継続して行われながらも(機能演出の維持)、有利大当りの大当りを遊技者に教示することができる(抽選の結果の教示)。
すなわち、本実施形態のパチンコ機1によれば、「PC注意喚起」のような機能演出が表示されているときであっても、抽選の結果を教示する「特別PC画像」のような特別演出が用意されることによって、上記機能演出による効果を維持したまま、当該抽選の結果を遅延なく(選択された変動パターンの変動時間を経て)遊技者に教示することができる。その結果、特典が得られるか否かに本来は関係ない機能演出が表示されているときでも、当該機能演出に対して遊技者に興味を抱かせることができる。また、特に機能演出が注意演出である場合には、注意内容を遊技者に印象付ける効果に期待できる。
なお、図210に例示した「PC特別画像」の演出は、プリペイドカードの取り忘れや盗難に対する注意喚起をしている点で機能演出としての役割を有するとともに、プリペイドカードの表示態様によって大当り(有利大当り)の当選を教示または示唆するという点で「PC特別画像」自体が当落演出としての役割を有している。すなわち、図210のような「PC特別画像」を採用することによって、機能演出と抽選の結果に関する表示演出とを同時に現出させることができる。
また、本実施形態のパチンコ機1では、以上に述べた第2の特徴的効果をより確かにするために、以下のような構成を適宜備えるようにしてもよい。
本実施形態のパチンコ機1では、抽選の結果(例えば大当り)を遅延なく教示しながらも、機能演出を表示可能にすることができるものであるが、抽選の結果の種別や、抽選の結果が得られたタイミング等によって、機能演出を表示しないようにしてもよい。
例えば、大当り遊技の後に連続して有利遊技状態(例えば高確率時短状態)に制御される大当り(有利大当り)の当選が、機能演出が表示される前に決定している場合には、当該機能演出による表示を中止して、表示画面に現出される演出を表示させることなく、機能演出としての役割を持たない別の演出に差替えるようにしてもよい。これは、当該機能演出による表示が中止されたとしても、その後の大当り遊技の後に、当該機能演出が再度表示される機会が確保されているためであり、このように機能演出の現出機会が確保されていれば、遊技者に有益な情報を提供するという機能演出の役割を果たすことができる。
より具体的にいえば、図207において、大当り終了後の回転数が1回から20回までの間で有利大当りに当選した場合、その当選を示す図柄の変動停止タイミングはPC注意喚起の演出モード中になるが、このとき変動パターンとして選択される強制バトルの演出が「PC注意喚起の演出を表示させることなく行われる」ように制御すればよい。
また例えば、機能演出が表示されている期間に停止される図柄変動によって有利大当りの当選が確定する場合には、当該機能演出による表示を中断して、表示画面に現出される演出を、機能演出としての役割を持たない別の演出に差替えるようにしてもよい。このように制御する場合も、機能演出の現出機会は確保され、機能演出の役割を果たさせることができる。
より具体的にいえば、図207において、大当り終了後の回転数が21回から40回までの間で有利大当りに当選した場合に、変動パターンとして強制バトルが選択されたとして、当該強制バトルの演出が「PC注意喚起の演出から切替えて行われる」ように制御すればよい。また、特別PC画像とは別の特別演出が用意されていたとして、当該特別演出が変動パターンの演出として選択されて「PC注意喚起の演出から切替えて行われる」ように制御してもよい。
一方で例えば、大当り遊技の後に有利遊技状態よりも不利な遊技状態(例えば低確率状態や非時短状態)に制御される大当り(不利大当り)の当選が、機能演出が表示される前に決定している場合は、機能演出の表示機会を確保してその役割を果たさせるために、重畳表示を行うなどして、当該当選を示す演出と合わせて機能演出を実行させることが好ましい。
さらに例えば、機能演出が表示されている期間に停止される図柄変動によって、抽選の結果がはずれまたは不利大当りで確定する場合にも、機能演出の表示機会を確保してその役割を果たさせるために、重畳表示を行うなどして、当該抽選の結果を示す演出と合わせて機能演出を実行させることが好ましい。
なお、[8-2]で前述したように、機能演出には、「PC注意喚起」のような注意演出の他に、パチンコ機1における音量や光量等を調節可能にするような「設定演出」も含まれる。そして、第2の特徴的効果に関して説明してきた「機能演出」は、このような「設定演出」に適宜置き換えることもできる。
具体的には例えば、抽選が行われていない時間が所定時間(例えば30秒)経過したときに自動的に表示される画面(所謂、デモ画面)において、音量や光量を調節可能な「設定演出」が表示されるとする。従来の遊技機では、このような設定演出が表示されている場合でも、始動口に入球があると、当該表示が即座に消されて遊技に関する表示に切替えられるため、調節中の遊技者を不快にさせることがあった。しかし、本実施形態のパチンコ機1では、設定演出において音量や光量の調節が行われている最中は、始動口に入球して抽選が行われたとしても、当該設定演出における調節が確定するまでは表示を消さずに継続させる制御を行わせてもよい。但しこのような場合でも、抽選の結果を遅延なく表示させるために、設定演出の演出態様と、抽選の結果に関する演出態様とを重畳表示させるなどすることが好ましい。本実施形態のパチンコ機1によれば、このような制御を行うことで、抽選の結果を遅延なく表示させるとともに、機能演出が完結する(音量等の調節が確定する)までを合わせて表示することができるため、遊技者が抱き得る不満や不快を抑制することができる。
[8-4-3.第3の特徴的効果]
本実施形態のパチンコ機1によれば、抽選の実行の有無に拘わらず予め定められた期間内で実行される通常演出と、抽選の結果に基づいて実行され、抽選の結果が当りであることに対する期待割合を変化させ得る特定演出が特定のタイミングで現出されるように構成された期待演出と、を表示可能に制御する遊技機において、通常演出が表示されているときに期待演出の実行が決定された場合に、当該通常演出の演出を継続しながらも、特定のタイミングが到来したときに、期待演出における特定演出を当該通常演出よりも優先して表示させ得る遊技機を実現することができる。そして、このような遊技機によれば、第3の特徴的効果として、上記通常演出のような固定的な演出の実行中であっても遊技者に意外性を与える演出を見せることで、遊技者の飽きを抑制することができる。以下に詳しく説明する。
第3の特徴的効果は、本実施形態のパチンコ機1において、高確率時短状態の遊技制御を以下のように制御することで実現される。すなわち、「一連の演出モード群」に含まれる演出モードを「抽選の実行の有無に拘わらず予め定められた期間内で実行される通常演出」とし、当該演出モードが表示されているときに、抽選及び図柄の変動を実行可能にする。そして、装飾図柄の変動パターンとして、図209(C)に例示したカットイン演出のような「抽選の結果に基づいて実行され、抽選の結果が当りであることに対する期待割合を変化させ得る特定演出」が特定のタイミングで現出される「期待演出」を用意する。期待演出の演出態様は、例えば、図209に示した強制バトルのように、「期待演出」を挟みながら所定の演出が行われ、最終的な勝敗によって大当りの当落が示されるものを利用すればよい。
このようなパチンコ機1において、表示画面に演出モードが表示されているときに「期待演出」の変動パターンが選択された場合に、表示画面には演出モードを表示させたまま、「期待演出」を表示させずに内部的に進行させ、カットイン演出(特定演出)のタイミングになったときに、当該カットイン演出だけを表示画面に表示させるように制御する。このような制御をおこなうことによって、期待演出における特定演出を通常演出よりも優先して表示させることができる。なお、期待演出による最終的な当落に関する表示は最後に表示画面に表示させるものとする。
なお、このようなパチンコ機1では、特別抽選の結果が大当りではなくはずれであった場合でも、装飾図柄の変動パターンとして期待演出を選び得るようにすることで、期待演出における特定演出を表示画面に突然現出させるようにしてもよい。
また、特定演出が現出される特定タイミングが到来するまでは、期待演出が内部的に実行されていることを遊技者には報知しないようにすることが好ましく、このように制御することで、特定演出が突然現出されるようになり、遊技者に意外性を感じさせる効果が高まる。
また、期待演出に含まれる特定演出は、抽選の結果が当りであることに対する期待割合を変化させ得る演出であれば、カットイン演出に限定されるものではない。別の言い方をすれば、特定演出は、期待演出のなかで、当該特定演出の前後で当り結果への期待度合が変更され得る、特定の演出パートであればよい。具体的には例えば、大当りが確定するプレミア演出であってもよいし、大当りの期待度を示唆する演出等であってもよい。また、期待演出のなかに複数の特定演出が含まれる場合には、全ての特定演出をそれぞれの特定タイミングで突然現出させるようにしてもよいし、任意の重要な特定演出だけを突然現出させるようにしてもよい。重要な特定演出とは、例えば、期待演出の最終段階で表示され得るカットイン演出や、決着前にキャラクタが繰り出す手や足を表示する演出パートなどが考えられる。
また、上記のように演出モード(通常演出)の表示中に期待演出を内部的に実行させながら特定演出を突然現出させるような表示制御としては、通常演出および期待演出を並行して実行させながら、それぞれの表示優先度(プライオリティ)を適宜変更するようにしてよい。このような表示制御をおこなう場合は、演出モードおよび特定演出における個々の演出の表示位置や表示サイズなどを変更することはできないが、特定タイミングで表示優先度を変更するだけでよいため、周辺制御基板4010における処理負荷を軽減することができる。
また、別の表示制御としては、表示画面において演出モード(通常演出)および期待演出を合わせて表示制御するようにしてもよく、このとき、特定演出を現出させる特定タイミング以外では期待演出の表示濃度を極めて薄くするなどして、遊技者から認識させ難くすればよい。このような表示制御をおこなう場合は、上記特定タイミングで特定演出を強調して表示させる他、任意のタイミングで重要度の高い演出を表示画面に優先して表示するようにすることができる。さらに、通常演出と期待演出とで重要度の高い演出の表示タイミングが被るような場合には、表示位置をずらしたり表示サイズを調整したりするなどの細かい表示制御を行うこともできる。
[8-4-4.第4の特徴的効果]
本実施形態のパチンコ機1によれば、表示手段に表示させ得る演出の少なくとも一部について、遊技者による複数の演出候補からの演出の選択を可能にし、該選択された演出を表示手段に表示させる制御手段を備えた遊技機において、高確率遊技状態に制御されてから抽選手段による抽選の実行回数が特定回数に達するまでは、上記演出の選択を抑制するなかで当該抽選の結果を表示させる一方、当該抽選の実行回数が特定回数を超えた場合には、上記演出の選択を許容するなかで当該抽選の結果を表示手段に表示させることが可能な遊技機を実現することができる。そして、このような遊技機によれば、第4の特徴的効果として、大当りに当選しない遊技状況が特定の変動回数を超えて長期化し得る場合に、表示手段(例えば液晶表示装置1900の表示画面)に現出される演出の種類を遊技者によって選択可能にすることで、大当りに当選しない遊技状況の長期化に伴う遊技者の飽きを防止し、興趣の低下を抑制することができる。以下に詳しく説明する。
本実施形態のパチンコ機1では、大当り後に制御された高確率時短状態において、大当り遊技終了後の特定の変動回数未満では実行される演出を選択できないが、特定の変動回数以上では選択した演出を実行させることができる。より具体的には、図205や図207に示したように、大当り終了後の回転数が83回を超えたときに、モード専用演出が実行されるが、このモード専用演出では、遊技者がモード選択及びモード決定の演出モードを経て選択したキャラクタに応じた演出が行われ、特別抽選の結果が表示される。また、モード専用演出以前に実行される一連の演出モード群の演出(大当りED~モード決定)においても、特別抽選の結果(例えば大当り)を表示することができる。
したがって、大当り終了後の回転数が84回以降で実行されるモード専用演出による演出は、「遊技者による複数の演出候補からの選択が許容された演出」と捉えることができ、それ以前の大当り終了後の回転数が83回までに実行される一連の演出モード群による演出は、「遊技者による複数の演出候補からの選択が許容されていない演出」と捉えることができる。このような演出の表示制御が行われることによって、抽選の実行回数が特定回数(例えば83回)に達するまでは、一連の演出モード群による演出が行われるため、上記演出の選択を抑制するなかで当該当選の結果が表示される。そして、抽選の実行回数が特定回数(例えば83回)を超えた場合には、上記演出の選択を許容するなかで当該抽選の結果を表示させることが可能となる。
このような本実施形態のパチンコ機1によれば、特別抽選の実行回数が特定回数(83回)までの遊技では、遊技者に選択権がない演出が表示されるが、このような遊技状況は大当り遊技終了後からの経過時間が比較的短期の期間であるため、演出の選択権が遊技者に与えられなくても、遊技者は演出を楽しむことができると想定される(大当り遊技終了直後の状態であれば大当りに対する期待感が維持されていると想定される)。一方、特定回数を超えたときは、大当り遊技終了後から少なくとも一定の時間が経過しているが、このようなタイミングで遊技者が選択可能な演出を表示できるようにすることで、大当りに当選できない期間が続いていることに起因する遊技者の飽き(大当りに対する期待感が持続できないことによる飽き)を防止し、興趣の低下を抑制することに期待できる。
特に、本実施形態で示した具体例では、図207を参照しながら説明したように、特別抽選が83回行われるまでに50%を超える確率で大当り結果を得ることができる。したがって、特定回数を83回とすることによって、半数以上のケースでは予め計画された一連の演出モード群の遷移による演出表示中に大当り結果が表示される一方、残りのケースでは、多少のハマり状態を遊技者が感じ始めることが想定される期間に、遊技者に演出を選択可能にさせ得ることで、遊技者に対して効果的なタイミングで新たな興趣を与えることが期待できる。
なお、このような特定回数の設定は、遊技機の製造段階で任意に設定することができるが、遊技者がハマりを感じると想定される遊技状況では演出の選択を可能にするような特定回数が設定されることが好ましい。ここで、ハマりの遊技状況に対する具体的な定義も任意に定めることができるが、例えば、前述した「83回」のように大当りの当選期待値が50%を超える抽選回数(または変動回数)としてもよいし、大当りの当選確率の確率分母数(例えば、当選確率が1/128のときは「128」)を示す抽選回数(または変動回数)としてもよい。これらの定義の根拠は、半数以上のケースで大当り当選に期待できる期間を超えた場合や、抽選回数が当選確率の確率分母数を超えた場合にハマりと感じ易いからである。
また、特定回数は、一定の回数に固定しなくてもよく、適宜変更可能にしてもよい。例えば、設定された特定回数未満で連続して大当りとなった場合には、遊技者が演出を選択できる機会が得難くなることから、遊技性を広げるために、所定回数だけ特定回数を引き下げて設定し直すようにしてもよい。
また、遊技者が選択したキャラクタに基づいたモード専用演出のように、遊技者が選択した演出が実行されたなかで有利度合いの高い当選結果(例えば有利大当り)が得られた場合には、当該演出は遊技者にとって印象の良い演出となるため、次回の大当り遊技が終了した時点から、特定回数の経過を待つことなく、当該演出が続けて現出するように選択を可能とするよう制御してもよい(この場合には、上述した「一連の演出モード群」の演出について表示画面に表示させるようにしても構わないし、重複表示させてもよい)。なお、このような場合に、他の演出を選択できるようにしてもよいが、有利大当りが得られたときの演出をデフォルトの演出とすることによって、遊技者が改めて選択する操作を行わなくても、遊技者にとって印象の良い演出を継続して現出させることができるため、遊技者の手間を掛けずに興趣を高めることができる。
また、遊技者が選択した演出が実行されたなかで有利度合いの高い当選結果(例えば有利大当り)に当選した場合は、当該有利大当りの大当り遊技中に、当該演出に基づいた演出を現出させるように制御してもよい。例えば、キャラクタAによるモード専用演出が選択されて実行されているときに有利大当りに当選した場合、その後に実行される大当り遊技の表示演出として、キャラクタAに関連する所定のエピソード演出を実行させるような制御を行うようにすればよい。このような制御が行われることで、遊技者が選択した演出と有利度合いの高い当選結果とをより深く関連させて印象付けることができるため、遊技者の選択が正しかったと感じさせて遊技者の満足感を高めることができる。
[8-5.変動回数と演出モードとの同期]
これまで、[8-1]~[8-3]では、本実施形態のパチンコ機1で大当り遊技後に高確率時短状態に制御されるとき、特別抽選の開始が可能にされたタイミングから連続的に特別抽選が実行されることによって、当該特別抽選の結果に基づいた図柄の変動表示(特別図柄の変動表示及び装飾図柄の変動表示)が上記タイミングから遅滞なく連続して行われるものとして説明してきた。以降では、簡略のために、このような遊技状況を「連続変動の遊技状況」と呼ぶ。
このような連続変動の遊技状況を実現させるために、本実施形態のパチンコ機1では、時短状態では推奨される遊技方法による遊技(具体的には右打ち)が行われることによって極めて高い確率でゲート部2105を遊技球が通過するようにし、さらに、ゲート部2105に進入した遊技球を極めて高い確率で第二始動口2102に入球させるという工夫がなされており(詳細は[8-1]を参照)、この結果として、図207に示したように、大当り遊技終了後の回転数と、大当り遊技終了後から表示される「一連の演出モード群」に含まれる各演習モードの演出タイミングと、を関連付けることができた(詳細は[8-3-1]を参照)。
しかし、[8-1]~[8-3]では、連続変動の遊技状況が実現されることを基準として上記各演出モードの遷移スケジュールが設定されている(図207参照)ため、仮に連続変動の遊技状況が実現されないような状況となった場合(例えば、遊技者が食事休憩やトイレなどの諸事情により打出を止めてしまった場合など)には、大当り遊技終了後の回転数と各演出モードの演出タイミングとの間にずれが生じてしまい(例えば、大当り遊技終了後に打出を止めた場合で20000ms経過した場合には、大当り遊技終了後の回転数は0回(保留が無いとした場合)でありながら、演出としては図205のPC注意喚起まで遷移しているなど)、上記回転数に基づいて選択された装飾図柄の変動パターンに沿った演出が、表示されている演出モードの演出に対応しないものとなり、違和感のある演出態様となってしまう可能性がある。
具体的には例えば、右打ち遊技が一時的に停止される等して、液晶表示装置1900の表示画面で「モード選択」の演出モードが表示されているにも拘わらず、大当り遊技終了後の回転数が30回にしか満たないというような遊技状況を想定する。このとき、特別抽選の結果が有利大当りとなって「特別PC画像」の変動パターンが選択されたとする(図207参照)と、液晶表示装置1900の表示画面では、「モード選択」の演出態様(図206(E)参照)から急に「特別PC画像」の演出態様(図210参照)に表示が切替えられることになってしまう。
本実施形態のパチンコ機1では、このような「大当り遊技終了後の回転数と各演出モードの演出タイミングとの間にずれが生じる」状況を抑制するために、以下のような制御を行うようにしてもよい。まず、[8-5-1]では、連続変動の遊技状態を維持するための制御について説明する。そして、[8-5-2],[8-5-3]では、連続変動の遊技状態が実現されない場合であっても、大当り遊技終了後の回転数と一連の演出モード群の演出タイミングとのずれによる違和感を抱かせないようにする制御(非連続変動に備えた制御)について説明する。なお、以下の[8-5-1]~[8-5-3]では、これまでの説明と同様に、大当り遊技状態およびその後の高確率時短状態において「推奨される遊技方法」を右打ち遊技として説明する。
なお、[8-5-1]で説明する制御は、[8-5-2]で説明する制御または[8-5-3]で説明する制御の何れかと組合せて実行することができる。ただし、[8-5-2]で説明する制御と[8-5-3]で説明する制御とは、演出モードの遷移に関する設定が異なるため、組合せることはできない。
[8-5-1.連続変動の促進]
本実施形態のパチンコ機1において、連続変動の遊技状態を維持するための制御について説明する。前述してきたように、本実施形態のパチンコ機1では、高確率時短状態で連続変動の遊技状態が維持されることが好ましい。従来の遊技機においても、遊技者にとって有利な遊技方法として右打ち遊技を教示する場合には、液晶表示装置1900などにおいて右打ち表示が行われていたが、大当り遊技では右打ち表示にしたがって右打ち遊技が行われたとしても、高確率時短状態に制御されているときには、食事休憩やトイレなどのために一時的に遊技球の打出が停止されることがあった。
そこで、本実施形態のパチンコ機1では、大当り遊技の終了後の高確率時短状態において連続変動が維持されるようにするために、高確率時短状態における右打ち表示を大当り遊技中とは異なる表示態様で表示させる制御を行うことができる。このような表示態様の変更によって、右打ち表示について遊技者に注意喚起することができる。
具体的には例えば、図206(B)には、大当りEDの演出モードにおける表示画面例が示されているが、表示領域1900sに連続変動を促進させ得る右打ち表示の一例が示されている。表示領域1900sの右打ち表示は、大当り遊技中に表示された右打ち表示(図206(A)の表示領域1900q)と比較すると、「右打ち」の装飾文字や右向き矢印のサイズが、より大きい表示態様にされているため、遊技者に右打ちを強く勧めることができる。また、右打ち表示の表示位置も、大当り遊技(表示領域1900q)では表示画面の右上部であるのに対して、大当りED(表示領域1900s)では表示画面の中央付近とされており、液晶表示装置1900の表示画面を見る遊技者に対して、より気付き易い位置に表示されることで、遊技者に右打ち遊技を強く訴求することができる。
また、図206(D)~図206(F)には、それぞれPC注意喚起、モード選択、モード決定の演出モードにおける表示画面例が示されているが、これらの表示画面において表示領域1900tに示された右打ち表示も、連続変動を促進させ得る右打ち表示の一例である。表示領域1900tに示された右打ち表示は、メーカ案内(表示領域1900s)における右打ち表示よりは強調度合いが低いものの、大当り遊技(表示領域1900q)における右打ち表示よりは「右打ち」の装飾文字や右向き矢印のサイズが大きい表示態様にされているため、大当り遊技中よりも強く遊技者に右打ちを勧める効果が期待できる。
以上のように、本実施形態のパチンコ機1では、大当り遊技の後に実行され得る「一連の演出モード群」のうち、特別抽選の実行が許可される各演出モードにおいて、大当り遊技中よりも強調された表示態様で右打ち表示を行うようにすることができ、このようにすることで、上記各演出モードにおいて右打ち遊技を中断または停止させることなく、連続遊技させることを遊技者に訴求することができる。そして、連続した右打ち遊技が行われることによって、図柄の連続変動を実現することができる。
なお、図206(G)には、一連の演出モード群の後に遷移するモード専用演出における表示画面例が示されているが、表示領域1900qに示された右打ち表示は、大当り遊技中の右打ち表示(図206(A)の表示領域1900q)と同様の表示態様とされている。これは、一連の演出モード群による演出が終了した後のモード専用演出では、連続変動を維持する必要性が薄いためである。
このように本実施形態のパチンコ機1は、大当り遊技の終了後、連続変動を維持することが好ましい所定の期間だけ、大当り遊技中の右打ち表示とは異なる表示態様で右打ち表示を行わせるようにして、当該所定の期間が経過した後は、大当り遊技中の右打ち表示と同様の表示態様で右打ち表示を行わせるように制御してもよい。このとき、本実施形態のパチンコ機1は、遊技状況に応じて所定の遊技方法を教示するための表示(右打ち表示)の表示態様を、特定の遊技状態(大当り遊技)の表示態様とは異なる表示態様とすることができる。なお、大当り遊技中の右打ち表示とモード専用演出における右打ち表示とは、完全に同じ表示態様で行われる必要はないが、少なくとも、上記所定の期間における右打ち表示の表示態様よりは強調度合いが低いものとする。
また、本実施形態のパチンコ機1では、連続変動を促進するために、上記制御に加えて、以下のような制御を行うようにしてもよい。
前述した高確率時短状態の所定の期間だけでなく、大当り遊技の終了後から高確率時短状態で特別抽選が開始されるまでの特定の期間(すなわち、大当り遊技中ではなく、特別抽選も実行されない期間)にも、大当り遊技とは異なる右打ち表示を行わせる制御を行うようにしてもよい。
特定の期間に表示される右打ち表示の表示態様は、高確率時短状態の所定の期間に表示される「強調された右打ち表示」の表示態様のほうが好ましい。そして、特定の期間の前後も含めた表示態様の変更の別例として、以下のような表示制御を行うようにしてもよい。
例えば、特定の期間では、大当り遊技中に表示された右打ち表示の表示濃度を徐々に薄くしたり、または、点滅表示させたりする。このような表示態様は右打ち表示が終了することを予感させる表示態様の一例である。右打ち表示の終了を予感させる表示態様を見せることで、右打ち遊技によって右打ち表示が継続または復活するのではないかという印象を与え、右打ち遊技を継続しようとする意欲を抱かせることができる。なお、このような表示態様の変更は、大当り遊技の最終ラウンドから開始するようにしてもよいし、大当りEDの演出中だけ行うようにしてもよい。
なお、上記した表示濃度の低下や点滅表示といったような表示態様の変更は、右打ち遊技が行われなかった場合、あるいは、右打ち遊技が行われないと推測できる場合に発動されるようにしてもよい。具体的には例えば、ハンドル装置500から遊技者の手が離れた場合や右打ち以外の遊技が行われた場合などに相当するが、このような状況は、ハンドル装置500や打球発射装置650の作動状況等に基づいて判断することができる。このように、右打ち遊技が行われない場合に動的に表示態様を変更することによって、変更された表示態様の右打ち表示を見た遊技者に対して、右打ち遊技を行うことを強く勧める効果が期待できる。
また、特定の期間の右打ち表示が行われる直前、すなわち、大当り遊技の最終ラウンドにおいて、それまでの大当り遊技中の表示態様と比して、特に強調された右打ち表示の表示態様に変更するようにして、大当り遊技の終了に伴って右打ち遊技が停止されないようにしてもよい。具体的には例えば、大当り遊技の最終ラウンドの表示画面に、特大サイズや特殊絵柄を用いた右打ち表示を行わせる。また、「DANGER(危険)」や「WARNING(警告)」のような装飾文字を追加表示するようにして、右打ち遊技を行う必要性をより強調してもよい。このような表示態様の右打ち表示を行うようにすることで、特定の期間に至る前(大当り遊技の最終ラウンド)から、右打ち遊技をしなければならないことを煽ることができ、大当り遊技の終了後も右打ち遊技の継続を誘導する効果が期待できる。なお、「特に強調された右打ち表示の表示態様」は、大当り遊技の最終ラウンドの後の「特定の期間」でも継続して表示させてもよいが、他の演出表示の視認性を確保するために、最終ラウンドだけの表示とするようにしてもよい。
また、大当りEDのうち特別抽選を実行できない期間に割当てられる演出時間を短縮するようにして(例えば、図205では500msのところを最短で8msまで短縮可能)連続変動を促進することができる。
以上、高確率時短状態における連続変動を促進するために、大当り遊技における表示態様とは異なる様々な右打ち表示を説明してきたが、本実施形態のパチンコ機1では、大当り遊技の表示態様とは異なるこれらの右打ち表示が行われるように制御することによって、遊技者に不利益を与えない遊技方法(右打ち遊技)を推奨し、当該遊技方法にそった遊技を継続させることができる。
また、本実施形態のパチンコ機1は、上述したような連続変動の遊技状態を維持するための制御を行うことによって、限られた遊技時間のなかでより多くの抽選が行われ得る遊技機を提供することができる。従来から、遊技機における大当りの当落結果は、特別抽選が行われてから図柄の変動表示による所定の経過時間を経て教示されるため、限られた遊技時間(例えば、遊技場の営業時間や遊技者が遊技に費やせる時間)のなかで特別抽選を受けられる回数には限りがあった。これに対して、本実施形態のパチンコ機1では、具体例で上述したように、大当り遊技状態から大当り遊技状態終了直後(例えば、図205のP点)までの所定期間のなかの何れかのタイミング(例えば大当りEDの表示開始時)で、「強調された右打ち表示」(図206(B)の表示領域1900s参照)を表示させる制御を行うことによって、大当り遊技終了後の高確率遊技状態において特別抽選の実行が可能になるタイミング(図205のP点)で即座に特別抽選が開始されるようにして、図柄の連続変動を促進することができる。かくして、本実施形態のパチンコ機1によれば、特別抽選の実行に対する効果的な遊技方法が遊技者に教示され、限られた遊技時間において多くの抽選が行われるようにすることができる。
[8-5-2.非連続変動時に備えた制御(その1)]
本実施形態のパチンコ機1において、連続変動の遊技状態が実現されない場合であっても、大当り遊技終了後の回転数と一連の演出モード群の演出タイミングとのずれによる違和感を抱かせないようにするための、非連続変動に備えた第1の制御について説明する。
本実施形態のパチンコ機1では、非連続変動に備えた第1の制御として、大当り遊技終了後に時間経過に基づいて表示内容が遷移する一連の演出モード群が表示画面に表示されるときに特別抽選が実行された場合に、当該特別抽選の結果と表示画面に表示されている演出モード(一連の演出モード群の表示段階)とに基づいて図柄の変動演出を決定する制御を行う。なお、一連の演出モード群の表示段階が大当り遊技終了後から所定の時間経過に基づいて遷移することから、表示画面に表示されている演出モード(現在実行中の演出モード)は、大当り遊技終了後からの経過時間に基づいて判定することができる。
この非連続変動に備えた第1の制御が行われることによって、現在実行中の演出モードに対応する態様となるように図柄の変動演出(装飾図柄の変動パターンの演出)が決定されることから、本実施形態のパチンコ機1は、推奨される遊技(例えば、継続した右打ち遊技)が行われずに図柄の連続変動が維持されない期間が挟まれたとしても、演出モードによる表示画面と装飾図柄の変動演出の表示画面との間で違和感を生じさせないようにでき、遊技者に快適な遊技演出を提供することができる。
非連続変動に備えた第1の制御について具体例を挙げて説明する。まず、前述の図207では、特別抽選の結果に基づいて、大当り遊技の終了後の回転数のゾーンに応じて異なる変動パターンの組から、装飾図柄の変動パターンが選択されていた。図207では、図柄の連続変動が維持されていることを前提とすることで、大当り遊技の終了後の回転数と実行中の演出モードとを1対1で対応付け、当該対応付けに基づいた変動パターンの候補が用意されていた。具体的には例えば、大当り遊技終了後の回転数が21~40回までのときはPC注意喚起の演出モードが実行されていると想定しており、特別抽選で有利大当りに当選した場合には、50%の割合で特別PC画像(変動時間2000ms)の変動パターンが選ばれるようになっていた。しかし、図柄の連続変動が中断した場合などには、時間経過で遷移する演出モードだけが大当り遊技終了後の回転数よりも先行するので、大当り遊技の終了後の回転数と実行中の演出モードとの対応付けが崩れてしまうおそれがあった。具体的には、非連続変動によって大当り遊技終了後の回転数が30回転しか経過していないときにモード決定の演出モードが実行されているときなどで、この場合には主制御基板4100は変動パターンとして2000msの変動時間を選択する可能性があるが、周辺制御部4140は演出用の時間として2000msを用意していない(図207参照)。
そこで、非連続変動に備えた第1の制御では、上記した大当り遊技の終了後の回転数と実行中の演出モードとの対応付けが崩れた場合にも対応できる制御として、装飾図柄の変動パターンの選択において、大当り遊技終了後の回転数のゾーンに基づいて異なる変動時間が選択されたとしても、実行中の演出モードに基づいた演出候補から演出が選択されるような制御を行う。なお、[8-1]~[8-3]の説明で用いた図173や図205~図212(図207を除く)は、そのまま非連続変動に備えた第1の制御に流用するものとする。
図207を応用して、非連続変動に備えた第1の制御による装飾図柄の変動パターンの選択について、具体的に説明する。なお、図207では、特別抽選の結果がはずれまたは不利大当り(通常当り)である場合は、大当り遊技終了後の回転数に拘わらず同じ変動パターンの候補から変動パターンが決定されており、このような場合は、大当り遊技の終了後の回転数と実行中の演出モードとの対応付けが崩れたとしても、演出表示上のずれは発生しない。したがって、以下の説明では、大当り遊技終了後の回転数のゾーンによって異なる変動パターンが選択されるケース、すなわち、特別抽選の結果が有利大当り(図中の確変当り)である場合に限定して説明を進める。
なお、以下の説明では、演出モードの遷移制御について、大当り遊技終了後の回転数が84回に到達するまでは「モード専用演出」に移行させない制御を追加する。すなわち、「大当りED」から「モード決定」までの一連の演出モード群は、特別抽選が実行されなくても時間経過に伴って遷移していくが、「モード専用演出」は、大当り遊技終了後に84回転目の図柄変動が開始されるまでは遷移しないようにする。このとき、例えば、遊技者が大当り終了後に30分間の食事休憩をとった後に、遊技を再開した場合には、83回転の図柄変動が消化されるまでは、図206(F)に例示したようなキャラクタの決定画像が継続して表示される。このような「モード専用演出」に関する移行制御を行うことによって、大当り遊技終了後の回転数が1回から83回までの各ゾーンでは、「モード専用演出」が実行されることはなくなる。
まず、大当り遊技終了後の回転数が1回から10回までのゾーンでは、図柄の連続変動が中断された場合を考慮すると、大当りEDの演出モードだけでなく、以降のメーカ案内からモード専用演出までの各演出モードが表示されることがある。また、大当り遊技終了後の回転数が11回から20回までのゾーンでは、メーカ案内の演出モードだけでなく、以降のPC注意喚起からモード決定までの各演出モードが表示される可能性がある。しかし、これらの回転数のゾーンでは、有利大当りに当選した場合に選択される変動パターンは強制バトル(変動時間は30000msか40000ms)しかなく、他の回転数のゾーンで有利大当りに当選した場合に選択され得る強制バトルの変動パターンとの間にずれは生じないため、図207に例示した以外の変動パターンの候補を用意する必要はない。
一方、大当り遊技終了後の回転数が21回から40回のゾーンでは、図柄の連続変動が中断された場合を考慮すると、PC注意喚起の演出モードだけでなく、以降のモード選択からモード決定までの各演出モードが表示される可能性がある。図207では、当該ゾーンにおいて有利大当りに当選した場合の50%で、「特別な演出」として特別PC画像(変動時間2000ms)が選択されるが、演出モードがPC注意喚起よりも後の演出モードが実行されていた場合にこのような変動パターンによる演出が行われると、ずれが生じる。
このようなずれに対応するために、非連続変動に備えた第1の制御では、有利大当りに当選した場合の50%で「特別な演出」の変動パターンが選択されるとき、「特別な演出」の演出内容を現在実行中の演出モードに対応する演出とする。例えば、現在実行中の演出モードが「PC注意喚起」であった場合には、図207と同様に、特別PC画像(変動時間2000ms)の変動パターンが選択される。しかし、現在実行中の演出モードが「モード選択」であった場合には、特別選択モード(変動時間2000ms)の変動パターンが選択されるようにし、現在実行中の演出モードが「モード決定」であった場合には、特別台詞(変動時間2000ms)の変動パターンが選択されるようにする。
また、このように装飾図柄の変動演出が実行中の演出モードに基づいて異なる演出となる場合でも、装飾図柄の変動時間は変更されない(例えば、2000msで固定)。大当り遊技終了後の回転数によるゾーンに基づいて特別図柄の変動時間が決定され、当該特別図柄の変動時間に基づいて装飾図柄の変動時間が決定されるためである。つまり、主制御基板4100で決定される変動時間に対応するかたちで演出を実行するということであり、当該演出の実行は周辺制御基板4010で制御される。
大当り遊技終了後の回転数が21回から40回のゾーンにおける変動パターンの候補についてまとめると、有利大当りに当選した場合の50%で、実行中の演出モードに基づいて「特別PC画像(変動時間2000ms)」、「特別選択モード(変動時間2000ms)」、「特別台詞(変動時間2000ms)」の何れかの変動パターンが選択される。残りの50%では、図207の場合と同様に「強制バトル(変動時間30000msまたは40000ms)」が選択される。
大当り遊技終了後の回転数が41回から83回のゾーンも、それぞれのゾーンに応じて同様に変動パターンの候補が用意される。
大当り遊技終了後の回転数が41回から60回のゾーンでは、モード選択以降の各演出モードが表示される可能性があるため、有利大当りに当選して「特別な演出」が選択された場合には、実行中の演出モードに対応する演出の変動パターンが選択される。当該ゾーンにおける変動パターンの候補についてまとめると、有利大当りに当選した場合の50%で、実行中の演出モードに基づいて「特別選択モード(変動時間6000ms)」、または「特別台詞(変動時間6000ms)」の何れかの変動パターンが選択される。残りの50%では、図207の場合と同様に「強制バトル(変動時間30000msまたは40000ms)」が選択される。
大当り遊技終了後の回転数が61回から83回のゾーンでは、モード決定の演出モードしか表示される可能性がないため(モード専用演出は84回目にならないと実行されないように追加制御)、有利大当りに当選した場合の50で、「特別な演出」として「特別台詞(変動時間10000ms)」の変動パターンが選択される。残りの50%では「強制バトル(変動時間30000msまたは40000ms)」が選択される。これらの選択は図207の場合と同様である。
大当り遊技終了後の回転数が84回以降のゾーンは、モード専用演出しか実行されないため、特に説明はしない。
「特別な演出」に関する変動パターンの候補を演出ごとにまとめると、図207に示された変動パターンとの相違点として、「特別選択モード」には、6000ms,10000msの2通りの変動時間が用意され、「特別台詞」には、2000ms,6000ms,10000msの3通りの変動時間が用意される。
なお、上記の具体例では、大当り遊技終了後の回転数が84回に到達するまでは、「モード専用演出」に移行しないようにするとして説明したが、このような制御を行わずに、時間経過によって遷移するようにしてもよい。但しこのような場合には、大当り遊技終了後の回転数が84回未満で「モード専用演出」が実行中に有利大当りに当選した場合の50%で「特別な演出」が選択されたときに、「モード専用演出」に対応する「特別な演出」を新たに用意する必要がある。
以上、非連続変動に備えた第1の制御が行われることによって、大当り遊技の終了後に時間経過に基づいて表示内容が遷移する一連の演出モード群が表示画面に表示されるとき、図柄の連続変動が維持されない状況になったとしても、特別抽選の結果に基づいて図柄の変動パターンを選択するときに、現時点で実行されている演出モードを参照し、当該演出モードに対応する候補から変動演出を選択するように制御することができるため、演出モードと変動演出とのずれを抑制することができる。
そして、このような第1の制御が行われることによって、本実施形態のパチンコ機1は、推奨される通常の遊技方法(例えば、右打ち遊技の継続)が行われず、本来想定されている遊技状況(例えば図柄の連続変動)が実現されなかったとしても、演出のずれのような遊技進行上の問題が発生することを抑制することができる。すなわち、本実施形態のパチンコ機1によれば、通常の遊技方法とは異なる遊技方法に対しても従来にはなかったフォローを実現できる。上述した具体例でいえば、高確率時短状態において、推奨される通常の遊技方法(右打ち遊技)とは異なる遊技方法が行われた場合には、図柄の連続変動が維持できなくなることが想定されるが、このような非連続変動の状況であっても、主制御基板4100が決定した変動パターンに対して、遊技者に違和感を与えない適切な演出を選択可能にすることで、上記異なる遊技方法が行われた場合に発生し得る問題(変動パターンと演出とのミスマッチ)を防止することに相当する。
また、本実施形態のパチンコ機1において非連続変動に備えた第1の制御が行われる場合には、上述したような図柄の非連続変動時の効果を実現できるだけでなく、図柄の連続変動が維持された場合の効果(例えば[8-4]参照)も実現することができる。
また、非連続変動時に備えた第1の制御を行うためには、図207で例示した変動パターンの候補よりも多くの変動パターンの候補を用意する必要があるため、周辺制御基板4010の記憶領域(例えば、周辺制御ROM4140b)に格納するデータ量が増加する。しかし、変動パターンの候補は、大当り遊技終了後の回転数のゾーンごとに実行され得る演出モードを考慮して必要最小限に留めることによってデータ量の増加が抑えられている。上記した具体例では、特別選択モード(2000ms)及び特別台詞(2000ms,6000ms)の計3個の変動パターンの候補が追加されるだけである。かくして、本実施形態のパチンコ機1は、非連続変動時に備えた第1の制御を行うことによって、格納するデータ量の増加を抑制しながら、遊技者に快適な遊技演出を実現することができる。
[8-5-3.非連続変動に備えた制御(その2)]
本実施形態のパチンコ機1において、連続変動の遊技状態が実現されない場合であっても、大当り遊技終了後の回転数と一連の演出モード群の演出タイミングとのずれによる違和感を抱かせないようにするための、非連続変動に備えた第2の制御について説明する。
本実施形態のパチンコ機1では、非連続変動に備えた第2の制御として、大当り遊技終了後に遷移順が定められた複数の演出モードから形成される一連の演出モード群が表示されるとき、大当り遊技終了後の回転数のゾーンに応じて異なる候補から変動パターンが選択されるように変動パターンの候補を用意するとともに、大当り遊技終了後の回転数に基づいて演出モードを遷移させるように制御することができる。
本実施形態のパチンコ機1は、非連続変動に備えた第2の制御が行われることによって、大当り遊技終了後の回転数(すなわち、特別抽選が実行された回数、または図柄の変動回数に相当)の蓄積状況に基づいて実行される演出モードが決定されることから、大当り遊技終了後の回転数と実行中の演出モードとの対応付けが崩れることなく、大当り遊技終了後の回転数のゾーンに応じた変動パターンを選択し、実行させることができる。かくして、推奨される遊技(例えば継続した右打ち遊技)が行われずに図柄の連続変動が維持されない非連続変動の状況となったとしても、演出画面において演出モードと図柄の変動表示との違和感を生じさせることなく、遊技者に快適な遊技演出を提供することができる。
非連続変動に備えた第2の制御について具体例を挙げて説明する。まず、前述の図205では、大当り遊技の終了後から時間経過に伴って実行される演出モードが遷移する一連の演出モード群が示されていた。このような演出モードの遷移制御が行われるとき、遊技が中断されるなどして図柄の連続変動が途切れた場合には、大当り遊技終了後の回転数が増加しないまま演出モードが先に進んでずれが発生することがあった。
そこで、非連続変動に備えた第2の制御を行う場合には、図205に示した演出モードの遷移制御の替わりに、大当り遊技終了後の回転数の蓄積状況(回転数のモード)に基づいて、一連の演出モード群の各演出モードを遷移させる。図213は、非連続変動に備えた第2の制御例を説明するための図である。図213では、有利大当り当選後の遊技の進行段階の一例が示されており、一連の演出モード群の構成は図206と同様である。また、大当りEDの途中(P点)から特別抽選の実行が開始される点も、図206と同様である。図213を図206と比較すると、図206では演出モードごとに滞在時間が予め設定されていたのに対し、図213では、P点以降の遊技進行において、大当り遊技終了後の回転数(図中の「回転数」に相当)に基づいて、各演出モードの滞在が決定される。なお、[8-1]~[8-3]の説明で用いた図173や図206~図212は、そのまま非連続変動に備えた第2の制御に流用するものとする。
このとき、上記の図213のように演出モードの遷移を制御することによって、大当り遊技終了後の回転数による複数ゾーンの夫々に対して、同時期に実行される演出モードを1対1の関係で対応させることができる。したがって、特別抽選の結果に基づいて決定される図柄の変動パターンは、図柄の連続変動が維持されない場合でも、図207の例示を流用することができる。
例えば、大当り遊技の終了後に30回の回転数が消化された後、右打ち遊技が停止されて図柄の連続変動が中断したとする。このとき、図213によれば、PC注意喚起の演出モードが実行されるので、表示画面には、図206(D)に例示したようなPC注意喚起の演出画面が表示される。その後、再び右打ち遊技が再開されると、その間の時間経過に拘わらず、大当り遊技の終了後の回転数が40回に到達するまでは、PC注意喚起の演出モードが実行された状態で図柄の変動表示が行われる。このときの変動表示の変動パターンは、図207で大当り終了後の回転数が「21回~40回」の行に示された変動パターンの候補から選択されるため、表示画面で実行されている演出モードと選択される変動パターンとのずれが生じることはない。
なお、非連続変動に備えた第2の制御が行われるときに図柄の連続変動が維持された場合には、図213に示したような演出モードの遷移が連続的に行われるが、このような遷移は、時間経過の観点から見ると図205に示したのと同様であることから、[8-1]~[8-4]で前述したような効果も実現することができる。すなわち、本実施形態のパチンコ機1において非連続変動に備えた第2の制御が行われる場合には、上述したような図柄の非連続変動時の効果を実現できるだけでなく、図柄の連続変動が維持された場合の効果をも実現することができる。
また、本実施形態のパチンコ機1では、非連続変動に備えた第2の制御を行う場合に、液晶表示装置1900の表示画面などにおいて、演出モードの遷移に関する示唆(または教示)を行うための所定の演出表示を重ねて表示させるようにしてもよい。具体的には例えば、新たな演出モードが表示されたときに空のゲージを表示し、大当り遊技終了後の回転数が溜まるごとに当該ゲージの指標を増加させるような演出表示を行い、当該ゲージの指標が上限に達したときに次の演出モードが表示されるようにすればよい。このような演出表示によれば、特別抽選(例えば第二特別抽選)の実行回数に応じてゲージが満たされていくため、遊技進行とリンクした態様で一連の演出モード群を表示させることができ、遊技進行の臨場感を高めて、各演出モードの表示を楽しませることができる。
以上、非連続変動に備えた第2の制御を行うことによって、本実施形態のスロットマシン1では、所定の遊技状態(高確率時短状態)における遊技進行が推奨される形態(図柄の連続変動の維持)とは異なるものになったとしても、表示画面で実行される演出モードと変動表示に関する演出(変動パターン)との間で違和感を生じさせないようにすることができる。また、大当り遊技終了後の回転数のゾーンと実行される演出モードとを1対1の関係で対応付けることができるため、上記ゾーンごとに複数の変動パターンの組を用意する必要がなく、周辺制御基板4010の記憶領域(例えば、周辺制御ROM4140b)に格納するデータ量の増加を抑制することができる。かくして、非連続変動に備えた第2の制御を行うことによって、過剰に変動パターンを用意することなく、想定された演出モードの表示遷移を維持しながら、抽選(主に第二特別抽選)の結果に基づいた図柄の変動表示を適切かつ自然に現出させることができる。
なお、本実施形態のパチンコ機1では、高確率時短状態において、右打ち遊技が推奨されることで第二特別抽選の実行及び第二特別図柄の変動が中心となって遊技が進行するが、諸事情により(右打ち以外の打出が行われて第一始動口2101に遊技球が入球してしまった場合や、打出自体が行われずに第一特別抽選に関する保留が残っていた場合など)、第一特別抽選が実行されて第一特別図柄の変動表示が行われることもあり得る。しかし、本実施形態のパチンコ機1は、第二特別抽選のほうが第一特別抽選よりも有利であるため(図173(C)参照)、高確率時短状態では第二特別抽選が実行されることが望ましい。このような課題を解決するため、高確率時短状態における第一特別図柄の変動パターンについては、保留の有無に拘わらず、第二特別抽選に関する保留の確保が期待できる程度に長い変動時間(例えば10秒)とすることが望ましい。
また、本実施形態のパチンコ機1は、非連続変動に備えた第2の制御を行うことによって、通常時よりも高い割合で大当りに当選する高割合抽選(確変時の特別抽選)が行われる遊技状態(例えば高確率時短状態)であるときに限って、大当り遊技の終了後に行われた上記高割合抽選の結果に基づく当落演出の実行回数(大当り遊技終了後の回転数)に基づいて、一連の演出モード群に含まれる演出の表示遷移を制御することができる。
このような本実施形態のパチンコ機1によれば、高確率状態で大当り抽選が行われるなかで、大当り遊技終了後の回転数に基づいて、実行する演出モードを変更していくことができるだけでなく、このような演出モードの変更を伴っても大当りへの期待度合いは変えることなく高確率状態を維持することができる。
したがって、従来の遊技機のように高確率状態で大当り抽選が実行されるだけでは遊技者の興趣を維持することが難しいとしても、本実施形態のパチンコ機1によれば、遊技者に対して、大当りへの期待度合いが高い遊技状態を維持したまま、遊技進行(大当り遊技終了後の回転数)に基づいて異なる演出モードを現出可能にすることで、遊技者の興趣低下を抑制することができる。
[8-6.引継演出]
これまで[8]章では高確率時短状態における特徴的な遊技に関して説明してきたが、以下では、その他の遊技状態において本実施形態のパチンコ機1が実行可能な特別な演出として、引継演出について説明する。
本実施形態の引継演出は、パチンコ機1において、特別抽選が行われなくても変動パターン演出のうちの特定の演出(高期待演出)の一部を表示画面に表示するデモ演出を実行可能とするとき、デモ演出の実行中に特別抽選が行われた場合に、当該デモ演出で表示されている高期待演出を利用した演出態様で現出されて当該特別抽選の結果を教示する演出である。引継演出は、例えば低確率非時短状態の遊技状態に制御されているときに、主に周辺制御基板4010の制御によって実行されるとする。
なお、本実施形態のパチンコ機1におけるデモ演出の実行条件は、従来の一般的な遊技機と同様であってよい。具体的には例えば、保留が全て消化されて図柄の変動表示が行われていない(特別抽選が実行されていない)遊技状況で、所定時間が経過した場合(例えば30秒間経過)や操作ユニットに対する特定の操作が行われた場合(例えば押圧操作部405の押下)等が考えられる。パチンコ機1でこのような実行条件が満たされると、液晶表示装置1900の表示画面において、所定のデモ画面が表示される(デモ演出)。
また、デモ演出の演出パターンは1通りであってもよいが、複数通りが用意されていてもよい。そして、複数通りの演出パターンが用意されている場合は、実行される演出パターンをランダムに選んでもよいし、過去の実行履歴に基づいて所定の順番で演出パターンを選ぶようにしてもよい。そして、デモ演出では、大当り結果への期待度合いが比較的高い高期待演出の紹介が行われる。
本来、高期待演出は、大当り結果への期待度合いが高いために、期待度合いが低めのその他の演出に比べて、遊技中における出現率は低く、遊技者が高期待演出を体験する機会は提供され難い。そこで、本実施形態のパチンコ機1では、このような高期待演出の存在を遊技者に教示し、高期待演出の出現に期待させるために、デモ演出において高期待演出の少なくとも一部を紹介するようにしている。詳細は、高期待アクション紹介として後述する。
本実施形態のパチンコ機1では、上記のようなデモ演出の実行中に遊技球が始動口(第一始動口2101,第二始動口2102)に入球して特別抽選が行われた場合に、当該特別抽選の結果を教示する図柄の変動演出(装飾図柄の変動パターン)として、引継演出を選択可能にすることができる。なお、引継演出が選択可能になるための条件は、予め任意に設定することができるが、具体的には例えば、特定の遊技状態であること、所定の実行抽選に当選したこと、特別図柄の変動パターン時間が比較的短時間であること、等が想定される。そして、引継演出が選択された場合には、デモ演出で紹介中の高期待演出を利用した演出態様の表示を経て、特別抽選の結果を教示する。
以下では、引継演出をより具体的に説明する。図214は、デモ演出から引継演出への移行を説明するための図である。図214には、表示画面においてデモ演出による表示画面(デモ画面)が表示されている状態で始動口(第一始動口2101,第二始動口2102)に遊技球が入球し、当該入球に基づいて引継演出の実行が選択された場合の画面表示の遷移例が示されている。
図214において、デモ演出が行われているときは、液晶表示装置1900の表示画面の下部に「DEMO」の装飾文字が表示されることで、特別抽選に基づいた遊技に関する表示画面と混同させないようにしている。すなわち、図214の場合、図214(A)~図214(D)まではデモ演出による表示画面の一例であり、図214(E)~図214(F)が特別抽選に基づいた遊技に関する表示画面の一例である。
図214(A)では、まず、デモ演出の開始画面の一例として、「高期待アクション紹介」という装飾文字が表示されている。これは、パチンコ機1に用意された演出のうち、大当り結果への期待度合いが比較的高い高期待演出の一部(高期待アクション)を紹介するものである。
なお、高期待アクション紹介で紹介されるデモ演出の演出態様は、対応する変動パターンの演出の全てが表示されなくてもよく、特徴的な一部の演出が抜粋される態様であればよい。すなわち、当該演出のなかで希少なキャラクタが登場する場面の演出表示や、希少なカットインが出現する場面の演出表示が紹介されるような態様であってもよいし、当該演出の途中部分が紹介されるような態様であってもよい。また、高期待アクションが含まれる高期待演出は、大当り結果への期待度合いが比較的高い演出であることから、通常の遊技における出現率はその他の演出よりも大幅に低いものとされる。
図214(B)では、高期待アクションが始まる前の装飾図柄を表示している。次いで、図214(C)では、味方キャラクタが決め台詞を叫ぶカットインの演出画面が示されている。図214(C)に示されたカットイン演出は、高期待アクションの1つであり、当該カットイン演出が表示された場合には大当りへの期待度合いが格段に高くなる。
次に、図214(D)では、図214(C)に示されたカットイン演出に続く態様で、味方キャラクタによる技「最終奥義」が繰り出される様子が示される。図214(D)に示された「最終奥義」の演出画面も高期待アクションの1つであり、当該演出画面が表示された場合には、かなりの高確率(例えば80%以上)で大当りの結果に繋がるとする。
このように、図214(B)~図214(D)にかける一連のデモ演出によって、本実施形態のパチンコ機1における高期待演出の一部として高期待アクションの一例が示されるが、ここで、遊技球が打出されて、始動口(例えば第一始動口2101)に入球したとする。
遊技球が始動口に入球すると、特別抽選が実行されるとともに、図柄の変動パターンが選択されて図柄の変動表示が開始される。このとき、本実施形態のパチンコ機1では、前述したような「引継演出が選択可能になるための条件」が満たされた場合に、デモ画面からの引継演出の実行を選択することができる。
図214(E)は、引継演出の開始時の演出画面例を示している。引継演出では、直前のデモ演出で表示される高期待アクションの演出内容の少なくとも一部を引継ぐ態様で演出表示が行われる。
なお、引継演出における演出態様は、直前のデモ演出で表示される高期待アクションの演出態様と完全に一致する必要はなく、少なくとも高期待アクションまたは高期待演出と類似した演出態様を有する演出であればよい。このような演出態様で引継演出が行われることによって、高期待演出を含む演出態様を現出させることができる。ただし、引継演出が実行されて高期待演出を含む演出態様が現出される場合であっても、当該引継演出によって教示される特別抽選の当落結果は変わるものではなく、引継演出における高期待アクションの現出は、大当りへの実際の期待度合いを変更するものではない。
また、引継演出では、直前のデモ演出で表示される高期待アクションの少なくとも何れかが表示されるとするが、「直前のデモ演出で表示される高期待アクション」とは、必ずしも、引継演出の開始時までに表示が完了していた高期待アクションに限定されない。例えば、1つのデモ演出のなかで4つの高期待アクションA,B,C,Dが順に表示される場合に、「直前のデモ演出」で高期待アクションBまでしか表示されていないタイミングで引継演出が行われるとき、当該引継演出では、表示済の高期待アクションAまたはBから表示されてもよいし(例えば、図214の場合)、未表示の高期待アクションCまたはDから表示されてもよい。特にこのなかでも、中断された「直前のデモ演出」で次に表示される予定だった高期待アクション(この場合は高期待アクションC)から、引継演出の演出表示が開始されるような場合は、デモ演出から引継ぐ態様としてより自然なものとなり好ましい。
図214(E)では引継演出の開始時の演出画面例として、図214(C)のデモ演出で紹介されたカットイン演出が表示されている。ただし、図214(E)の表示画面はデモ演出ではなく、特別抽選の結果に基づいて決定された図柄の変動演出であるため、表示画面中に「DEMO」の表示はなく、表示領域1900uには保留状態が示され、表示領域1900pには変動中の装飾図柄が示されている。なお、引継演出は、直前のデモ演出から連動する態様で開始される。例えば、図214(D)から図214(E)にかけての演出画面の遷移は、表示内容が繰り返されているように見えるが、直前のデモ演出の一部(カットイン演出)が再表示されることで、デモ演出から連動した演出態様となっている。
次いで、図214(F)では、図214(E)に続く引継演出の演出画面例として、図214(D)のデモ演出で紹介された「最終奥義」の演出が表示されている。図214(E),図214(F)において、デモ演出の一部が再現表示されることによって、引継演出として高期待アクションが現出されるため、当該引継演出による大当りへの期待度合いが高いと遊技者に感じさせることができる。
なお、図214(F)の後に続く演出態様としては、そのまま大当りの当落結果を表示するようにしてもよいし、さらに他の演出を実行したうえで最終的に大当りの当落結果を表示するようにしてもよい。引継演出全体でどのような演出態様とするかは、選択された変動パターンの変動時間及び演出に基づいて適宜対応させればよい。
以上、図214で例示したように、本実施形態のパチンコ機1では、デモ演出によって、特別抽選が行われなくても高期待演出の一部(高期待アクション)を表示することができるとともに、デモ演出の実行中に特別抽選が実行された場合には、引継演出によって、当該デモ演出で表示された高期待アクションを利用した演出を表示させて、特別抽選の結果を教示することができる。
なお、周辺制御基板4010が引継演出を実行させるためには、例えば、予め高期待アクションを含む変動演出を複数種類用意しておき、引継演出の実行時には、当該変動における変動パターンに合致する変動演出を選択するようにしてもよいし、高期待アクションを含む態様で比較的短時間で終了する部分演出を用意しておき、引継演出を実行時には、当該部分演出を表示させた後に、残りの変動時間で当落を示す通常の演出を表示させるようにしてもよい。
そして、このような引継演出によれば、本来は出現率が低い高期待演出の少なくとも一部が現出されることで、当該高期待演出の出現率を高めることができる。高期待演出の出現機会が少ないと遊技者の興趣が低下するおそれがあるが、本実施形態のパチンコ機1では引継演出を実行可能にすることによって、上記のような遊技者の興趣の低下を抑制する効果に期待できる。
なお、本実施形態のパチンコ機1において、デモ演出から連動する態様で実行される引継演出は、デモ演出中の特別抽選の実行時に常時実行可能とするのではなく、所定の条件を満たした場合に実行可能に制御することが好ましい。以下、所定の条件の具体例を挙げる。
第1例としては、リーチ演出の経由が確定するような変動時間の変動パターンが選択された場合には、引継演出の実行を許可せず、当該選択された変動パターンの演出を実行させるように制御してよい。
引継演出では、デモ演出から連動する態様で高期待演出の少なくとも一部(高期待アクション)が表示されるが、高期待演出全体が表示されるわけではなく、高期待アクションの表示にはそれほど長い時間が掛からない。ここで、リーチ演出の経由が確定するような変動時間は、例えば60秒以上のように比較的長時間となるため、このような変動時間の変動パターンが選択された場合に引継演出を実行しようとすると、演出時間が余ってしまうことが予想される。そこで、上記のような比較的長い変動時間の変動パターンが選択された場合には、引継演出の実行を選択させないようにすることで、演出上の不具合が発生することを抑制できる。
また、リーチ演出の経由が確定するような変動時間の変動パターンが選択された場合には、引継演出を実行させて高期待演出を現出させなくとも、そもそも、リーチ演出が現出されることで、大当りに対する一定以上の期待度合いを有しており、遊技者に興趣を与えることができる。さらに、引継演出を実行させないことによって、本来のリーチ演出を楽しむ機会を提供することができる。
第2例としては、選択された変動時間が所定の短時間(具体的には、リーチ演出の経由が確定しない程度に短い変動時間)であった場合に、引継演出を実行するように制御してもよい。所定の短時間の変動時間による変動パターンとは、例えば、通常時(はずれ時)に所定以上の頻度で選択される「通常変動パターン(例えば、低確率非時短状態において保留が無い状態での選択頻度が最も高い変動パターン)」に相当し、その変動時間は例えば10秒程度とする。
このとき、通常変動パターンの変動時間(例えば10秒)に合わせて、表示中のデモ演出から連動する態様で表示される引継演出を、デモ演出中の複数のタイミングを起点とする演出内容で用意しておけば、引継演出の開始時におけるデモ演出の表示段階に基づいて、適切なタイミングの演出内容による引継演出を選択することができ、デモ演出からの引継演出をスムーズに実現させることができる。
また、通常時から選ばれ易い通常変動パターンが選択された場合に引継演出を実行可能にすることで、引継演出の実行頻度を高めることができるため、引継演出によって現出される高期待演出の少なくとも一部(高期待アクション)を遊技者に見せる機会を増加させることができ、遊技者の興趣を向上させ得る演出の現出機会を高めることができる。
また、引継演出では、高期待演出の少なくとも一部を表示することができるが、最も重要な演出シーンのような特定部分だけは引継演出で表示させないようにしてもよい。このように特定部分を秘匿して高期待演出の少なくとも一部を見せるようにする場合、引継演出によって当該高期待演出の概要を把握できることで遊技者に一定の満足感を与えつつも、当該高期待演出の全貌を知りたいと思わせて、出現率の低い高期待演出を出現させることへの遊技意欲を高める効果を奏する。
[9.BGM演出]
本実施形態のパチンコ機1は、電源がONされている間、楽曲を規定の再生順序で再生し続けることができる。このような楽曲の再生を「BGM演出」と呼び、以下、本実施形態のパチンコ機1で実行可能なBGM演出の詳細を説明する。
BGM演出で再生される楽曲の音源データ(楽曲データ)は、例えば周辺制御基板4010における周辺制御基板4140の音ROM4140dに記憶される(図161参照)。一例としてBGM演出に使用される楽曲が5曲とするとき、各曲の楽曲データがそれぞれ音ROM4140dに記憶されるが、本実施形態のBGM演出では楽曲データの再生順序が固定的に定められているので、全曲の楽曲データを1つの楽曲データにまとめて記憶するようにしてもよい。
そして、周辺制御MPU4140aの制御に基づいて音源IC4140cが、音ROM4140dに記憶された楽曲データを演奏(再生)する。より具体的には、音源IC4140cは、周辺制御MPU4140aからの制御データ(音コマンド)に基づいて音ROM4140dから音情報(楽曲データ)を抽出し、周辺パネル中継端子板872、そして周辺側中継端子板882を介して本体枠3に設けられたスピーカ821から各種演出に合せた音楽及び効果音等が流れるよう制御を行うとともに、周辺パネル中継端子板872、周辺側中継端子板882、そして扉枠ベース基板194を介して扉枠5に設けられたスピーカ130,222,262や、本体枠3に備えられたスピーカ821から各種演出に合せた音楽及び効果音等が流れるよう制御を行っている。なお、周辺制御基板4010に実装され周辺制御基板ボックス1910から後方へ突出したボリューム1912を回転操作することで、音量を調整することができるようになっている。また、詳細は後述するが、BGM演出による楽曲データの再生音量は、例えば特定のリーチ演出の実行中や大当り遊技中は消音する等、遊技の進行に応じて内部的に音量を調整することができる。また、BGM演出による楽曲データの再生音量は、前述の内部的な音量調整が行われる以外における通常の音量(デフォルト音量)について、遊技者が所定の音量範囲のなかから選択・設定できるようにしてもよい。ただし、BGM演出による楽曲の再生という遊技性を確保するために、デフォルト音量を消音にすることは許容しない設定が好ましい。
BGM演出は、パチンコ機1の電源がONされたことを実行契機とし、電源がONされた場合には、常に特定の楽曲から再生されるよう定められている。また、最初の楽曲データの再生が終了すると、予め規定された再生順序に従って、次の楽曲データが再生される。そして、BGM演出用に用意された全ての楽曲データ(上記例では5曲)が規定の再生順序で再生された後は、再び最初の特定の楽曲データに戻ってループ再生が行われる。なお、各楽曲の中継時に先の楽曲のフェードアウトと後の楽曲のフェードインを重ねるといったような、音データ再生における公知技術を適用してもよい。
このような同一順序による楽曲のループ再生は、パチンコ機1の電源がOFFされるまで停止することなく続けられる。特定のリーチ演出の実行中や大当り遊技中には、楽曲の再生音量が消音に制御される状況(所謂ミュート状態で、遊技者には楽曲が聞こえない状況)もあり得るが、このような状況であってもループ再生は内部的に進行しており、消音から通常の音量に復帰するときには、内部的に再生進行していた楽曲が出力される。
言い換えれば、本実施形態のBGM演出においては、電源のON/OFFのみによって楽曲の再生/停止が制御されることから、再生する楽曲を選択する等の抽選処理は一切不要である。また、本実施形態のBGM演出を実行するために、遊技機の電源を切っていても日付・時刻情報を正確に保ち続ける「リアルタイムクロック(RTC)」機能を備えた計時用チップも必要としない。
以下では、パチンコ機1における遊技の進行に応じたBGM演出の具体的な説明として、幾通りかの遊技状況を例示し、当該遊技状況におけるBGM演出の制御例を説明する。
[9-1.楽曲の切替]
図215~図217は、BGM演出における制御処理例を説明するためのタイムチャート(その1~その3)である。図215~図217には、BGM演出において再生する楽曲を切り替える制御について様々な遊技状況が例示されている。図215~図217の各図においては、主に装飾図柄の変動に伴う遊技の進行状況(例えば、装飾図柄の変動状況やリーチ演出の実行状況等)が「状態」ラインに示され、液晶表示装置1900の表示画面における表示状況が「映像」ラインに示され、スピーカからの音声出力の状況が「サウンド」ラインに示されている。
図215~図217では、BGM演出によって再生される楽曲の一例として「楽曲A」,「楽曲B」を用いることとし、BGM演出によって最初は楽曲Aが再生された後、楽曲の切替えタイミングを経て楽曲Bが再生されるものとする。また、BGM演出で再生される各楽曲に対応した背景表示を行うステージ演出によって選択されるステージ画像(映像)として、「ステージA」,「ステージB」を用いている。ステージ演出については次段落で詳述する。また、BGM演出による楽曲の切り替えタイミングが下向きの矢印で示されている。さらに、図215(B)や図216(C)には、BGM演出によって再生される楽曲の再生音量が「ボリューム」ラインに示されている。
ここで、ステージ演出について補足する。パチンコ機1では、図215に例示したBGM演出の実行時に、再生中の楽曲に対応する所定画像(映像)を所定の表示画面に背景表示する「ステージ演出」が行われるとする。ステージ演出が行われる所定の表示画面は、例えば液晶表示装置1900の表示画面である。ステージ演出で背景表示される所定画像は、BGM演出の各楽曲に対応するかたちで複数種類が予め用意されている。以後、このような所定画像(または映像)のことをステージ画像(またはステージ映像)と呼ぶ。そして、ステージ演出によれば、液晶表示装置1900の表示画面で装飾図柄の変動表示やリーチ演出の演出画面等が表示される場合であっても、それらの表示の奥側にステージ画像を表示可能にすることによって、ステージ画像による背景表示を実現する。各ステージ用のステージ画像(またはステージ映像)は、例えば液晶制御部4150のキャラROM4150dに予め格納されているとし、VDP4150cの表示制御によって液晶表示装置1900に表示される。
このように、図215~図217では、BGM演出によって再生される楽曲が切替えられるだけでなく、ステージ演出によって表示されるステージ映像が切替えられることによって、BGM演出の楽曲に対応するステージ映像が背景表示される。ただし、楽曲の切替えタイミングとステージの切替えタイミングは必ずしも同期するとは限らない。
まず、図215に例示された制御について説明する。図215(A),図215(B)には、次変動の保留記憶がないときに行われる図柄変動に関するBGM演出の制御例が示されている。より具体的には、図215(A)には、次変動の保留記憶がない図柄変動中に楽曲の切り替わりタイミングが発生する場合の制御例が示され、図215(B)には、次変動の保留記憶がない図柄変動の終了後に移行する待機状態において、デモ演出が実行されているときに楽曲の切り替わりタイミングが発生する場合のBGM演出の制御例が示されている。
ここで、図215(図216,図217でも同様)の各図の説明における「図柄変動」とは、特別図柄(第一特別図柄または第二特別図柄)の変動表示に対応して液晶表示装置1900で実行される装飾図柄の変動表示を意味する。また、「保留記憶」とは、始動情報(第一特別乱数または第二特別乱数)の保留記憶を意味する。より具体的にいえば「保留記憶がある」とは、第一始動口2101への遊技球の入球に基づいて第一特別乱数発生手段4212において発生した第一特別乱数が所定の条件(具体的には、第一特別図柄保留記憶手段4214が記憶可能な上限数(例えば4個)を超えないこと)に応じて第一特別図柄保留記憶手段4214に一時的に記憶されていること、または、第二始動口2102への遊技球の入球に基づいて第二特別乱数発生手段4222において発生した第二特別乱数が所定の条件(具体的には、第二特別図柄保留記憶手段4222が記憶可能な上限数(例えば4個)を超えないこと)に応じて第二特別図柄保留記憶手段4224に一時的に記憶されていること、に相当する。
図215(A)では、まず図柄の変動開始から暫くの間は、BGM演出によって楽曲Aが再生されている。このとき液晶表示装置1900の表示画面では、ステージ演出によって楽曲Aに対応するステージAが背景表示されている。
その後、楽曲Aの再生が終了すると、楽曲の切替タイミングが到来するので、図柄の変動中であってもBGM演出は楽曲Bの再生を開始する。一方、ステージ演出は、BGM演出が楽曲Aから楽曲Bの再生に切替えても、楽曲Bに対応するステージBの背景表示に即座に変更せず、少なくとも変動中の図柄が停止するまでの間、ステージAの背景表示を維持する。従来の遊技機では、図柄変動中に背景表示等の表示態様が変化することによってリーチ成立や大当りへの期待度が高い(または低い)ことを示唆する演出が知られている。しかし、本実施形態におけるステージ演出による背景表示の切替えは、上記のような期待度の変化を示唆するものではないため、図柄変動中にはステージ演出による背景表示が切り替わらないようにすることで、誤認識によって遊技機への遊技者の信頼感が損なわれ得る事態を防止し、遊技者に遊技演出を楽しませる効果を担保することができる。
楽曲切替え後の遊技の進行状況を確認すると、図柄の変動が終了し、図柄変動の停止が確定した(図柄確定)あと、次変動の保留記憶がないことから、所定の始動口(第一始動口2101,第二始動口2102)に遊技球が入球して次変動が開始されるまでの間は待機状態となる。待機状態における具体的な演出態様としては例えば、直前の図柄の停止態様を表示し続けるなどの「待機演出」を行うことが考えられる。また、図215(A)に例示したように、待機状態になってから所定時間が経過した場合には、予め用意されたデモ映像を表示する「デモ演出」を実行させてもよい。これら待機状態の間も、切替えられた楽曲BによるBGM演出は継続される。
その後、所定の始動口に遊技球が入球すると、図柄の変動(次変動)が開始されるタイミングで、ステージ演出は楽曲Bに対応するステージBの背景表示に切り替える。なお、ステージAからステージBに背景表示を切替える際には、切替え先のステージ名を表示するようにしたり、前後のステージ画像を重複表示しながらその重複割合を徐々に変更してステージの切替えを行う等の表示処理を行ったりしてもよい。この結果、次変動の変動が開始されたとき、BGM演出による楽曲Bの再生と、ステージ演出によるステージBの背景表示とが同期することとなる。なお、ステージ演出による背景表示の一実施例として、ステージ名または対応する楽曲名を表示することも考えられるが(曲名表示)、曲名表示だけはBGM演出による楽曲の切替と同タイミングで切替えるようにしてもよい。
図215(B)の場合は、デモ演出の実行途中にBGM演出における楽曲の切り替えタイミングが到来するまでは、BGM演出によって楽曲Aが再生される。液晶表示装置1900の表示画面では、待機演出まではステージ演出によってステージAが背景表示されるが、デモ演出の実行時にステージ演出による背景表示は一時停止され、デモ演出による演出表示が行われる。
そして楽曲の切り替えタイミングが到来すると、BGM演出は楽曲Bの再生に切替えるが、「映像」ラインによれば、表示画面ではデモ演出が継続して実施される。その後、デモ演出が終了すると、表示が停止されていたステージAによる背景表示が再開され、次回の図柄変動が開始されるときにステージBによる背景表示に切替えられる。図215(A)でも説明したように、ステージ演出による背景表示の切替えを図柄変動の開始タイミングに合わせることで、誤認識によって遊技機への遊技者の信頼感が損なわれ得る事態を防止し、遊技者に遊技演出を楽しませる効果を担保することができる。
なお、図215(B)では、「ボリューム」ラインに示したように、デモ演出が実行される前に出力音量が通常の音量(デフォルト音量)から段階的に下げられ(フェードアウト)、通常の遊技状態よりも小さい「小音量」でデモ演出が実行される。このようにすることで、デモ演出が始動口への遊技状態の入球に基づく実遊技に伴う演出ではないことを示唆できるため、遊技者に遊技状況を誤認識させないように配慮することができる。このような出力音量の変更は、図215~図217に示す他の例に適用してもよい。
次に、図216に例示された制御について説明する。図216(A)~図216(C)には、次変動の保留記憶がある図柄変動中に楽曲の切り替わりタイミングが発生する場合のBGM演出の制御例が示されている。より具体的には、図216(A)では、上記図柄変動中にリーチ演出が発生していないときに楽曲の切り替わりタイミングが発生する場合の制御例が示されている。図216(B)では、上記図柄変動中にノーマルリーチ演出が実行され、当該ノーマルリーチ演出の実行中に楽曲の切り替わりタイミングが発生する場合のBGM演出の制御例が示されている。図216(C)では、上記ノーマルリーチ演出からスーパーリーチ(SPリーチ)演出に発展したときに楽曲の切り替わりタイミングが発生する場合のBGM演出の制御例が示されている。
なお、図216に示すノーマルリーチ演出は、例えば、3つの装飾図柄の変動が行われた結果、2つが同じ装飾図柄で停止してテンパイ状態が形成された後に、残る1つの装飾図柄が停止するまでの間に実行されるリーチ演出であって、特別な専用演出や専用音(後述するSPリーチにおける専用演出や専用音)の発生を伴わないものとする。なお、テンパイ状態が形成されるとき、厳密には、装飾図柄は「仮停止」の状態であって、当該図柄が揺れ動いて表示される。そして、図216に示すスーパーリーチ(SPリーチ)演出は、パチンコ機1に用意されたリーチ演出のうち、その実行時に特別な専用音や専用演出が出力される特定のリーチ演出を指す。一般に、SPリーチ演出が実行される場合は、ノーマルリーチ演出が実行される場合よりも大当り当選の期待度合いが高いことが示唆される。
図216(A)では、次変動の保留記憶がない図柄変動中の場合(例えば図215(A))と同様に、BGM演出は、楽曲Aの再生が終了して楽曲の切替えタイミングが到来すると、図柄変動の途中であっても楽曲Bの再生に切替える。また、ステージ演出は、次変動が開始するまではステージAによる背景表示を維持し、次変動の開始に合わせてステージBに背景表示を切替える。
図216(B)では、図216(A)の場合と同様に、BGM演出は、楽曲Aの再生が終了したときに、当時の遊技状況に拘わらず、楽曲Bの再生を開始する。そしてステージ演出は、当該変動の間はステージAが継続され、ノーマルリーチ演出ではずれ結果が導出され、その後に図柄確定によって当該変動のはずれ結果が確定した後、次変動の開始時にステージBに切り替えられる。ステージ演出による背景表示の切替えを当該変動中に行わないことによって、ノーマルリーチ演出における演出態様の変化と混同されないようにすることができ、遊技者の誤認識を防止することができる。
図216(C)では、ノーマルリーチ演出が現出した後、さらに発展演出を経てスーパーリーチ(SPリーチ)演出が現出される。ここで「映像」ライン及び「サウンド」ラインを参照すれば、発展演出からSPリーチ演出の実行中は、それぞれ専用の画面演出(専用演出)及び専用音が出力され、BGM演出による楽曲の演奏及びステージ演出による背景表示は一時的に遊技者側に出力されなくなる。なお、別例として、ノーマルリーチ演出の実行中に、ノーマルリーチ演出の専用音を出力するようにしてもよく、このような場合、当該専用音が出力されている間は、BGM演出による楽曲の演奏がミュート状態にされる。
このときのBGM演出に関する制御を詳細に説明する。図216(C)において「裏モード」というラインは、BGM演出による楽曲の再生音量がミュート状態になされるときの内部的な制御を説明するためのタイムラインである。この「裏モード」ラインとBGM演出による楽曲の再生音量を示す「ボリューム」ラインとを参照すると、BGM演出による楽曲Aの再生音量は、発展演出の開始に伴ってフェードアウトを経てミュート状態に調整され、その後、SPリーチ演出を経て「通常画面」(発展演出・SPリーチ演出の実行前の表示態様による画面)に戻るまで、ミュート状態が継続される。
すなわち、発展演出が開始されると、BGM演出による楽曲Aの再生音量がフェードアウトしてミュート状態に向かう一方で、発展演出による専用音がスピーカから出力される。そして、SPリーチ演出の実行中はSPリーチ専用音だけが出力されることとなる。ただし、「裏モード」ラインに示したように、内部的にはBGM演出による楽曲の再生は、上記ミュート状態の間も停止することなく進められており、本来の楽曲の切り替わりタイミング(楽曲Aの再生が終了するタイミング)が到来すると、ミュート状態のまま内部的には楽曲Bの再生が開始される。その後、SPリーチ演出によるはずれ結果の導出(図柄停止による「はずれ結果の確定」ではない)を経て「通常画面」に戻ると、ミュート状態が解除されてBGM演出による楽曲の再生音量が復帰し、切替え後の楽曲Bがデフォルト音量で出力される。なお、復帰時の楽曲の再生音量は、ミュート状態からデフォルト音量に向けて徐々に音量を上げていくように(フェードイン)してもよく、このようにすることで、楽曲Bの急な演奏によって遊技者を驚かせないようにすることができる。また、SPリーチ演出ではずれ結果が導出された直後にデフォルト音量で楽曲Bが流れてくると、当該変動において更に何かが起こる(具体的には、はずれから復活して大当りになる)のではないか等の誤った予感を抱かせてしまうおそれが少なからずある点も、フェードインによる音量復帰を採用する理由となる。
ここで、上述の「通常画面」について補足する。「通常画面」は発展演出やSPリーチ演出の実行前の表示態様による画面と説明したが、より具体的には、装飾図柄の変動状態が完全に停止(図柄確定)するまでの期間において、「通常画面」では装飾図柄が揺れ変動している表示態様で示される。一般に、装飾図柄の変動においてテンパイ状態が形成されるように図柄が「仮停止」したとき(例えば、3個の装飾図柄のうち2個が「7」図柄で仮停止した)、当該図柄は小さく揺れ動く揺動状態で表示される。そして、テンパイ状態からのSPリーチ演出ではずれ結果が導出された場合(例えば、残り1個の装飾図柄が「6」図柄で仮停止した)、SPリーチ演出後に移行する「通常画面」では、これら3個の図柄が揺れ動きながら仮停止している状態で表示される。その後、これらの装飾図柄の揺動が完全に停止したときに初めて、最終的な図柄の停止となってはずれ結果が確定する(図柄確定)。したがって、一般的な演出変化として、SPリーチ演出がはずれ結果となっても、「通常画面」で仮停止していた装飾図柄が再変動して大当り結果が表示されるということも有り得る。
一方、液晶表示装置1900の表示画面では、「映像」ラインに示したように、発展演出の実行時にはステージ演出によるステージAの背景表示が停止されて発展専用演出だけが表示される。SPリーチ演出に移行したときも同様に、ステージ演出による背景表示は停止されている。その後、SPリーチ演出ではずれ結果が導出された後に「通常画面」に移行したとき、ステージ演出による背景表示を復帰させる。なおこのとき、内部的なBGM演出では楽曲Bの再生に切り替わっているものの、当該変動中であることから、これまでの制御例と同様にステージAの背景表示が行われる。ただし、ステージAによる背景表示のなかで、曲名表示は演奏中の楽曲Bに変更しても構わない。そして、次変動が開始されるときに、ステージチェンジ演出を経てステージBの背景表示に切替えられる。
次に、図217に例示された制御について説明する。図217には、大当り遊技中に楽曲の切り替わりタイミングが発生する場合のBGM演出の制御例が示されている。
図217では、「状態」ラインに示したように、SPリーチ演出を経て大当り結果が導出され(大当りを示す図柄確定については省略)、大当り遊技が行われ、その後、高確率状態(例えば高確時短状態)の遊技状態が制御されて図柄の変動が再開される、という遊技進行が例示されている。また、大当り遊技の細かい構成として、大当り遊技のオープニング(大当りOP)、ラウンド消化、及び大当り遊技のエンディング(大当りED)が例示されており、ラウンド消化中にBGM演出による楽曲Aから楽曲Bへの切り替わりタイミングが到来することが示されている。
このような図217におけるBGM演出の制御を説明する。SPリーチ演出の実行中は、図216(C)におけるSPリーチ演出中のBGM演出の切替と同様に、BGM演出による楽曲Aの再生音量はミュート状態に変更されている。このため、スピーカから楽曲Aは流されず、SPリーチ専用音が出力される。その後、大当り遊技中も、BGM演出による楽曲の再生音量はミュート状態が維持され、スピーカからは大当り遊技用の専用音が出力される。なお、図217の場合、「サウンド」ラインに示したように、SPリーチ演出の実行中から大当り遊技において全てのラウンドが終了までの間、「SPリーチ専用音」が継続して流されるようにしている。これは、所定のSPリーチ演出を経て大当りが得られたことを印象付けるための大当り遊技用の専用音の一例であって、例えば所定のSPリーチ演出が特定の楽曲を用いた(またはモチーフにした)演出態様によるSPリーチ演出であった場合、その後の大当りでも特定の楽曲を「大当り遊技用の専用音」として流し続けることが考えられる。そして上記「特定の楽曲」は、BGM演出で再生可能な複数の楽曲のうちの何れかであってもよい。
図217によれば、BGM演出による楽曲は、SPリーチ演出の実行中から大当り遊技が終了するまでの間はミュート状態に制御されてスピーカから流されないが、その一方で「裏モード」ラインに示したように、内部的には、BGM演出による楽曲の再生は上記ミュート状態の間も停止することなく進んでおり、本来の楽曲の切り替わりタイミング(楽曲Aの再生が終了するタイミング)が到来すると、ミュート状態のまま内部的に楽曲Bの再生が開始される。したがって、ミュート状態が解除されてBGM演出による楽曲の再生音量はデフォルト音量に復帰すると(大当り遊技終了後の高確移行後の変動開始時)、切替え後の楽曲Bが内部的な再生が進んだ状態でスピーカから出力される。
ただし、SPリーチ演出から大当たり遊技が終了するまでに演奏される楽曲が、大当り遊技中の裏モードでBGM演出によって再生される楽曲(図217の場合は楽曲B)と同一である場合には、大当り遊技中に再生される楽曲Bは裏モードで再生されている楽曲Bが優先して流されるものとし、このとき、楽曲Bの再生位置も裏モードでの再生位置が優先されるとする。このようにすることで、大当り遊技後も、楽曲Bが自然な流れで演奏されることとなり、遊技者に違和感を抱かせることなくBGM演出による楽曲の再生を楽しませる効果が得られる。また、大当り遊技で演奏される楽曲を遊技者が選択できる場合であって([11-3]の楽曲選択機能を参照)、かつ裏モードで再生されている楽曲が選択された場合にも、裏モードにおけるミュート状態を解除し、裏モードでの再生位置を優先して当該楽曲を遊技者に聞かせるようにするとよい。
また、図217の場合の液晶表示装置1900の表示画面における表示については、「映像」ラインに示したように、SPリーチ演出の実行時点でステージ演出による背景表示が停止されている。これは図216(C)と同様の制御である。SPリーチ演出時には当該SPリーチ演出の専用演出が表示され、大当りOP時に右打ちを指示する表示が行われ、ラウンド消化中は大当りしたSPリーチ演出に対応する所定の映像(ラウンドムービー)が表示される。そして、大当りEDには対応する大当りED演出が行われ、大当り遊技の終了後(高確移行後の変動開始時)には、ステージ演出による背景表示が再開され、BGM演出の再生楽曲が楽曲Bに切替えられていることに対応してステージBが表示される。
すなわち、図217の場合、BGM演出による楽曲Bの再生とステージ演出によるステージBの背景表示とが、高確移行後の変動開始時という同タイミングで遊技者に現出される。なお、図217では大当り遊技終了後の遊技状態が高確率時短状態に制御される場合を例示したが、大当り遊技終了後に他の遊技状態(高確率非時短状態、低確率時短状態、または低確率非時短状態)に制御される場合であっても、高確率時短状態の場合と同様に、大当り終了後はBGM演出の再生楽曲が楽曲Bに切替えられ、ステージ演出による背景表示はステージBが表示される。
以上、図215~図217に示したように、本実施形態のパチンコ機1では、電源ONを契機として実行されるBGM演出は、遊技の進行によってその再生音量は調整可能であるものの、内部的な再生制御(再生/停止の制御)については遊技の進行に影響を受けることなく、規定された同一の再生順序で複数の楽曲を、複数回の図柄変動ゲームを跨いで再生し続けることができる。特に、電源ONという遊技機にとっては必須の動作をBGM演出の開始契機とすることによって、どの楽曲をどのタイミングで再生するかといった抽選処理を別途実行させる必要なく、容易に同一順序による楽曲のループ再生を実現することができる。このようにBGM演出によって再生される楽曲が複数の楽曲から構成されることにより、電源ON時に再生される楽曲(最初の楽曲)の演奏が終了した後は、当該楽曲とは異なる楽曲が必ず演奏され、遊技者に多様な楽曲を楽しませることができる。
また、ステージ演出は、遊技者に違和感や誤認識を与えないためにステージチェンジのタイミングを遅延させることが許容されるなかで、BGM演出による再生楽曲に対応したステージ画像(ステージ映像)を表示することができる。また、ステージ演出による背景表示においても、BGM演出による楽曲再生と同様に、どのステージ画像を表示させるかについて専用の抽選処理を必要としない。
そして、このようなBGM演出を実行可能なパチンコ機1がホールの島設備に複数台並べて設置された場合、各パチンコ機1の電源が同時にONされることによってBGM演出が一斉に実行されることから、営業時間を通じて島設備に設置された複数のパチンコ機1が同一のタイミングで楽曲のループ再生を行い、島設備全体で一体となった演出効果を実現することができる。また、他のパチンコ機1との一体感が提供されるなかで遊技者がパチンコ機1を遊技することで、他のパチンコ機1との競争意識を持たせ、遊技意欲や遊技興趣を高めることに期待できる。
ここで、従来の遊技機では、島設備に設置された複数の遊技機で同一のタイミングで楽曲を再生しようとする場合に、リアルタイムクロック(RTC)機能を搭載する等、時間管理や同期動作についての特別な部品やプログラム処理が必要であった。これに対して本実施形態のパチンコ機1におけるBGM演出は、リアルタイムクロック(RTC)機能を搭載する必要がなく、さらに、どの楽曲をBGMとして再生するかを抽選するプログラム処理も必要としないことから、部品コストの増加やプログラム容量の圧迫といった課題を解決したうえで、上述のような効果的な演出の実現を可能とし、島設備全体の複数の遊技機で遊技者の関心を集め得る遊技機を提供することができる。
また、本実施形態のパチンコ機1によれば、特に図216(C)を参照して説明したBGM演出の制御が実行されることによって、さらに特別な効果を実現することができる。
図216(C)では、SPリーチ演出がはずれ結果となった後、図柄確定するまでの間制御される「通常画面」において、BGM演出の再生音量をミュート状態から復帰させるとともに、ステージ演出による背景表示を復帰させる制御例を示した。
この制御例によれば、パチンコ機1では、複数の図柄変動ゲームを跨いでBGM演出による複数の楽曲のループ再生(「所定の演出態様」の出力)が行われながら遊技が進行するなかで、始動口への入球に基づく抽選の結果に基づいて大当り遊技への期待を示唆するSPリーチ演出(特別演出)が実行される場合には、「所定の演出態様」の出力が停止されてSPリーチ演出に基づく演出態様が出力される(「特別の演出態様」の現出)。そして「特別演出」ではずれ結果が導出される場合には、図柄が最終的に停止して当落結果の表示が確定するよりも前に「特別の演出態様」の出力を終了し、「通常画面」において「所定の演出態様」の出力を再開することにより、遊技演出の演出態様を「特別演出」の実行前の状況にいち早く戻した状態ではずれ結果の確定を迎えるようにしている。なお、「所定の演出態様」の出力には、BGM演出による楽曲のループ再生による音出力の他、ステージ演出による背景表示が含まれてもよく、また、「特別演出」には、SPリーチ演出の他、発展演出が含まれてもよい。
本実施形態のパチンコ機1は、上記のような制御を行うことにより、はずれ結果となるゲームでどのような変動パターンが選択されても、「所定の演出態様」の出力が当該はずれによって途切れることを防止することができる。この結果、はずれ結果によるゲームの途切れを意識して遊技を中断または停止しようとする気持ちを遊技者に抱かせ難くし、はずれ結果による遊技興趣の低下を抑制しながら自然な流れで次のゲームに進ませる効果に期待できる。
また、上述したように、本実施形態のパチンコ機1は、島設備に複数台並べて設置された場合に、BGM演出によって全台で同一同曲の楽曲を再生して一体感を創出することができる。このような環境で遊技しているときに1台のパチンコ機1でSPリーチ演出が発生した場合を想定すると、その1台だけがSPリーチ演出の専用音を流すことになるため、一体感を創出している他の複数のパチンコ機1の遊技者から見ると和を乱していると感じられる程度に目立つ状況が現出される。特にSPリーチ演出の専用音がBGM演出でも使われる楽曲であって、現在のBGM演出で再生されている楽曲とは異なる楽曲(別楽曲)である場合には、他の楽曲に浮気しているといった状況が現出される。
ここで、当該SPリーチ演出で当り結果が得られた場合には、遊技者は別楽曲に浮気したけれども大当りを得たような状況となり、目立った優越感を得ることができる。しかし、仮に当り結果が得られなかった場合には、その遊技者は、他の複数のパチンコ機1が一体感を創出しているなかで、別楽曲に浮気した挙句に振られたというような恥ずかしい状況に陥る。そこで遊技者はこの悪目立ちから一刻も早く逃れ、他のパチンコ機1と同様の状態に戻りたい(浮気を止めたい)という気持ちを抱くと想定される。このような遊技者の心理状況を鑑みて、本実施形態のパチンコ機1は、特別演出(SPリーチ演出)ではずれ結果が導出された場合には、当落結果の最終的な確定(図柄確定)に至るよりも前に、他のパチンコ機1と同様の楽曲再生や背景表示の出力に戻れるよう、元のBGM演出やステージ演出を早期に再開させることが可能であり、かくして、変化する遊技者心理に寄り添った細やかな遊技機を提供することができる。
また、本実施形態に係るパチンコ機1において、大当り遊技のように遊技者に有利な特別遊技についての期待度合いが異なる複数種類のリーチ演出(例えば、高期待リーチ演出と低期待リーチ演出)が用意されていて、「所定の演出態様」を停止して何れかのリーチ演出が実行されるとする場合には、低期待リーチ演出よりも高期待リーチ演出のほうが、リーチ演出が終了した後から図柄確定までの「通常画面」の期間が長くなるよう制御される。
これは、一般的に高期待リーチ演出の方が「通常画面」で仮停止していた装飾図柄が再変動して大当り結果が表示される割合が高いことに考慮して、高期待リーチ演出の後に、遊技者が再変動に期待する期間を長めにとるものである。そしてこのようなパチンコ機1において上記のBGM演出が行われる場合、「通常画面」においてBGM演出による楽曲の再生音量が復帰して「所定の表示態様」が出力される期間についても、高期待リーチ演出が実行された後の方が、低期待リーチ演出が実行された後の場合よりも長くなるように制御する。一般的に高期待リーチ演出は低期待リーチ演出よりも長い実行期間(演出時間)を有するため、高期待リーチ演出が実行される場合のほうが、BGM演出による楽曲が停止してリーチ専用音が流れている期間も低期待リーチ演出が実行される場合より長くなる。その結果、高期待リーチ演出が実行される場合は、遊技者が別楽曲(リーチ専用音)に浮気している期間が長くなりやすく、他のパチンコ機1とは異なる目立った状態が顕著となってしまうことは避け難い。そこで、本実施形態のパチンコ機1では、高期待リーチ演出の実行時と低期待リーチ演出の実行時とで「所定の演出態様」が表示される時間を異ならせることにより、より具体的には、上述したように高期待リーチ演出の後は「所定の表示態様」が出力される期間を長くすることにより、別楽曲に浮気している期間を少しでも短くして早く元の楽曲(BGM演出による、他のパチンコ機1と同じ楽曲再生)に戻れるようにし、「他のパチンコ機1と同様の楽曲演奏に戻りたい(浮気を止めたい)」という遊技者心理に応えることができる。
また、本実施形態のパチンコ機1において、SPリーチ演出に基づく「特別の演出態様」が現出された後に「所定の演出態様」の出力が再開されるタイミングは、図柄確定するまでの間の何れかのタイミングであればよいが、より具体的には、以下に例示する何れかのタイミングとしてもよい。すなわち、装飾図柄が揺動しているとき(揺れ変動)、揺れ変動の開始前であっても遊技者がはずれ結果を認識できる装飾図柄の表示が行われたとき(具体的には例えば、液晶表示装置1900の表示画面において、変動中の装飾図柄が画面隅に小さく表示された状態で、画面中央ではジャッジ演出のような所定の当落示唆演出が行われ、当該当落示唆演出ではずれ結果が表示された後に当該はずれ結果に基づく装飾図柄が画面中央に表示されるような場合)、あるいは、揺れ変動の開始前であって遊技者がはずれ結果を認識できる装飾図柄の表示が行われていないものの遊技者がはずれたと感じ得るとき(具体的には例えば、押圧操作部405の押圧操作を求める演出が現出されて押圧操作が行われたものの特定の動作(役物の動作等)が発生しなかった場合)の何れかのタイミングで、「所定の演出態様」の出力が再開されるよう制御してもよい。
[9-2.拍合わせ演出]
上述してきたように、本実施形態のパチンコ機1は、BGM演出によって電源がONされている間中、同一順序による楽曲のループ再生を行うことができる。さらに本実施形態では、始動口への入球に基づく抽選の結果に基づいてリーチ状態の成立、SPリーチへの発展、または大当りへの当選等、遊技者に有利となり得る展開(有利展開)について示唆または報知する遊技演出において、BGM演出を活用した特徴的な拍合わせ演出を実行することができる。
拍合わせ演出とは、BGM演出による楽曲の拍に合わせてその演出態様が可変な演出であって、当該演出態様の変化によって楽曲の拍が強調されることによって、楽曲の拍のタイミングに影響されずに実行されるその他の遊技演出(非拍合わせ演出と呼ぶ)とは異なる印象を遊技者に与えることができる。
以下では、本実施形態における拍合わせ演出の詳細な説明として、予告演出に適用された拍合わせ演出(拍合わせ予告演出)を一例に挙げる。また、比較のために、拍合わせが行われない予告演出(非拍合わせ予告演出)についても説明する。
拍合わせ予告演出及び非拍合わせ予告演出は、何れも始動口(第一始動口2101,第二始動口2102)への遊技球の始動入賞を契機とする特別抽選の結果や始動情報の保留記憶数等に基づいて、周辺制御基板4010によってその実行が決定され、実行時には液晶表示装置1900の表示画面やスピーカ130等を介して所定の演出が出力されることで、当該変動または先の変動における有利展開を予告(または示唆)する。
より具体的には、拍合わせ予告演出及び非拍合わせ予告演出は、それぞれ複数段階に変化可能な演出態様を有し、予告の対象となる図柄変動ゲーム若しくはそれ以前の図柄変動ゲーム(複数ゲームも可)を予告演出の実行期間とする。そして、この予告演出の実行中に、上記の変化可能な演出態様が切り替わる(ステップアップする)ことによって当り度合いが高められ、予告の対象となる図柄変動ゲームにおける有利展開への期待度合いが高いことを予告(または示唆)する。
図218は、拍合わせ演出の進行を説明するための図(その1)である。図218には、BGM演出で比較的テンポが早い(拍の間隔が短い)楽曲が再生されているときに、拍合わせ予告演出または非拍合わせ予告演出がどのようにステップアップ(SU)していくかの一例が示されている。
図218に例示した図柄の変動状態によれば、1回転目から予告演出が開始され、3回転目が、予告演出による予告の対象の図柄変動ゲームとされる。なお、図218に例示する拍合わせ予告演出及び非拍合わせ予告演出は何れも、保留記憶されている将来の図柄変動ゲーム(図218では3回転目)の当落結果を事前に先読みすることによって、対象の図柄変動ゲームよりも前の図柄変動ゲーム(図218では1回転目,2回転目)から複数ゲームに亘って連続して実行可能な演出であり、所謂、先読み演出に属するものである。後述する図219に例示する拍合わせ予告演出及び非拍合わせ予告演出も同様である。また、図218に示した「予告可能期間」は、拍合わせ予告演出または非拍合わせ予告演出による演出態様の切替(ステップアップ)が許容される期間である。予告可能期間は、各図柄変動ゲームの変動パターン(例えば図柄のテンパイ状態が形成されるか否か、所定のリーチ演出に発展するか否か、等)に応じて任意の期間を設定可能とし、このような期間が設けられることにより、ステップアップ演出が図柄変動ゲーム中に実行され得る他の演出による演出効果を阻害しないようにすることができる。
また、図218では、「BGM」の欄において、BGM演出で再生される楽曲の拍を丸印で示している。なお、図柄の変動時間は各ゲームによって異なるため、図柄変動ゲームとBGM演出による楽曲の拍のタイミングとは同期していない。そして、図218では、BGM演出による楽曲の拍のうち、「予告可能期間」内の拍を塗りつぶした丸印(黒丸)で示しており、この黒丸が、拍合わせ予告演出によるステップアップを実行可能な拍を意味する。ただし、拍合わせ予告演出によるステップアップは、全ての黒丸のタイミングで必ず実行されるわけではなく、拍合わせ予告演出によって最終的に示されるステップアップの段階や、予告の対象となる図柄変動ゲームまでの間に存在する拍の個数等によって、適宜ステップアップの実行タイミングが決定される。
図218を参照して、拍合わせ予告演出による具体的なステップアップを説明する。まず、1回転目の変動中は、「BGM」の1拍目と2拍目のそれぞれでステップアップが行われることにより(SU1,SU2)、当り度合いは「SU2」となる。そして2回転目の変動中は、2拍目にステップアップが行われることにより(SU3)、当り度合いは「SU3」となる。そして、予告の対象の図柄変動ゲームである3回転目の変動では、装飾図柄によるテンパイ状態が形成される前に1拍目にステップアップが行われることによって(SU4)当り度合いは「SU4」となり、テンパイ状態の形成後にリーチ演出が実行されているなかで4拍目にステップアップが行われることによって(SU5)、最終的な当り度合いは「SU5」となる。そして、当該変動では「SU5」の当り度合いに対応した演出がリーチ演出によって現出され、大当りの当落が報知(または示唆)される。
なお、ステップアップによる当り度合いの段階は任意に設定可能であるが、本例では一例として、初期のステップアップ未実行の段階を「SU0」とし、ステップアップ実行によって「SU1」~「SU5」まで当り度合いを高め得るとする。また、「SU1」~「SU5」の各段階は数字が大きいほど高い期待度合いを示すとし、例えば「SU5」は大当りの確定を示唆するプレミア段階とすれば、図218の3回転目の変動では、「SU5」であることから大当りの結果が示される。
一方、非拍合わせ予告演出の場合は、図218に例示したように5回のステップアップを経て最終的に当り度合いが「SU5」に達する点は拍合わせ予告演出と同様であるとしても、各図柄変動ゲームにおける「予告可能期間」の所定のタイミングでステップアップが実行されるに過ぎず、各ステップアップの実行タイミングはBGM演出による楽曲の拍と同期していない。
図219は、拍合わせ演出の進行を説明するための図(その2)である。図219は、図218と同様の形式で示されているが、相違する条件として、BGM演出で比較的テンポが遅い(拍の間隔が短い)楽曲が再生されているときに、拍合わせ予告演出または非拍合わせ予告演出がどのようにステップアップ(SU)していくかの一例が示されている。
図219を参照して、拍合わせ予告演出による具体的なステップアップを説明する。図219に例示した図柄の変動状態によれば、図218の場合と同様、1回転目から予告演出が開始され、3回転目が、予告演出による予告の対象の図柄変動ゲームとされる。まず、1回転目及び2回転目の変動中には、それぞれ「BGM」の1拍目でステップアップが行われることにより(SU1,SU2)、当り度合いは「SU1」を経て「SU2」となる。そして予告の対象の図柄変動ゲームである3回転目の変動では、装飾図柄によるテンパイ状態が形成される前に2拍目にステップアップが行われることによって(SU3)当り度合いは「SU3」となり、テンパイ状態の形成後にリーチ演出が実行されているなかで3拍目にステップアップが行われることによって(SU4)、最終的な当り度合いは「SU4」となる。そして、当該変動では「SU4」の当り度合いに対応した演出がリーチ演出によって現出され、大当りの当落が報知(または示唆)される。
なお、図219では、「SU3」のステップアップが括弧付きで示されているが、これは当該ステップアップが実行されない(飛ばされる)場合の一例を示すものであり、詳細は後段において説明する。
一方、非拍合わせ予告演出の場合は、1回転目で「SU1」になり、2回転目で「SU2」になり、3回転目で最終的に当り度合いが「SU4」に達する点については拍合わせ予告演出と同様であるが、各ステップアップの実行タイミングは、図218で説明したのと同様にBGM演出による楽曲の拍に影響を受けていない。
以上、図218,図219に例示したように、非拍合わせ予告演出では、予定されたステップアップがBGM演出による影響を受けずに実行されるのに対して、拍合わせ予告演出では、予定されたステップアップがBGM演出によって再生される楽曲の拍を考慮して実行される。したがって拍合わせ予告演出を例とする拍合わせ演出によるステップアップの実行は、BGM演出によって再生される楽曲の拍(テンポ)によって変化するという特徴を有する。
その結果、本実施形態に係る拍合わせ演出では、遊技者が、ステップアップが発生し得るタイミングをBGMで流れている楽曲の拍から予測できることから、ステップアップという期待度合いの格上げ演出の発生を明確なタイミングで期待することができる。また、BGMの楽曲における所定の拍でステップアップが発生しなかったとしても、以後の何れかの拍で再びステップアップの発生に期待することができるため、予告の対象となる図柄変動ゲームで当落の結果が示唆・教示されるまでの間に、何度も遊技興趣を高めることができる。
また、拍合わせ演出におけるステップアップの実行タイミングがBGMの楽曲の拍に依存し、さらにBGM演出によれば異なる複数の楽曲が同一順序でループ再生されることから、拍合わせ演出の実行時にどの楽曲がBGM演出によって再生されているかによって、ステップアップの発生機会も変化することになり、遊技者はBGMの楽曲に基づいて異なるタイミングでステップアップの発生に期待しながら遊技を楽しむことができる。すなわちこのような拍合わせ演出を実行可能なパチンコ機1は、BGMとの関連性を有する斬新な演出を実行可能な遊技機である。
一方、このような拍合わせ演出と比較して、非拍合わせ予告演出を例とする非拍合わせ演出では、遊技者からみて、ステップアップが発生し得るタイミングを事前に予測し難いので、図柄変動ゲームの進行中のいつが特に期待できるタイミング(いわゆる「熱い」タイミング)か分かり難いため、効果的な遊技興趣の向上を図ることが容易ではない。また例えば、押圧操作部405の押圧操作を求める演出が現出される等によって演出表示の変化の契機(具体的にはステップアップの発生タイミング)が示唆され、当該押圧操作に基づいてステップアップが実行され得るとすれば前述の「熱い」タイミングを創出することが可能と想定できるが、このような場合でも上記押圧操作に基づいてステップアップが実行されなかったときには、ステップアップの実行に対する期待度合いが大幅に下がってしまい、以後の遊技進行に期待することが困難となってしまう。
これに対し拍合わせ演出では、上述したような演出表示の変化の契機を示唆する特定の演出(上段落の例示では押圧操作部405の押圧操作を求める演出に相当)が現出されるか否かに拘わらず、BGM演出によって再生されている楽曲の拍に合わせてステップアップが発生する機会が複数回に亘って存在することから、仮に押圧操作部405の押圧操作が求められたのにステップアップが実行されなかったとしても、その後の拍タイミング(より厳密には「予告可能期間」内の拍タイミング)でも依然としてステップアップの発生に期待させることができる。また、上記特定の演出に係る操作等(例えば押圧操作部405の押圧操作)を「予告可能期間」内の任意のタイミングで複数回に亘って求めるようにしてもよく、このようにすることで、楽曲の拍に合わせてタイミングよく押圧操作部405を押させてステップアップの発生を起こさせるといったような、演出上の新たなゲーム性を創出することができる。
さらに、本実施形態に係る拍合わせ演出では、以下に例示するような様々な派生パターンを採用することができる。
例えば、図219のSU3で触れたように、最終的なステップアップの段階数に到達するまでの間に、必ずしも同回数のステップアップを発生させる必要はなく、具体的には「SU2」の後に「SU3」のステップアップを飛ばし、次のステップアップの発生時に「SU4」まで期待度合いを上げるようにしてもよい。他にも例えば、初回のステップアップで「SU1」から始めるのではなく、「SU2」や「SU3」が示されるような演出パターンを有するようにしてもよい。そしてこのようなステップアップの「飛ばし」が発生したときには、「飛ばし」が発生せずに逐次的にステップアップが発生した場合と比べて、最終的なSUの段階が同じであっても異なる期待度合いを持たせる(例えば、「飛ばし」が発生したときのほうが大当りする期待度合いが高い)ようにしてもよい。このようにすることで、楽曲の拍が進行するなかでステップアップが発生しなかった(または多数回は発生しなかった)場合であっても、「飛ばし」のステップアップが発生しさえすれば一気に期待できる状況に変化することから、拍合わせ演出の展開に対する遊技者の興趣を維持し続けることができる。
なお、上記の「飛ばし」のステップアップの実行は、様々なパターンの制御処理によって実現可能である。例えば拍合わせ予告演出で意図的にステップアップの「飛ばし」を行う場合には、予告の対象となる図柄変動ゲーム(最終ゲーム)で最終的な段階を示すステップアップが実行されるまでの間に、ステップアップを飛ばすタイミングを予め決定してもよい。また、拍合わせ予告演出の開始タイミングから最終ゲームまでの間にステップアップを実行可能な拍の個数を予め算出し、該当する複数の拍のなかで抽選またはランダムで「飛ばし」を含めたステップアップを実行するようにしてもよい。
また、拍合わせ演出では、ステップアップの実行タイミングがBGM演出で再生されている楽曲の拍に依存するため、再生されている楽曲のテンポが比較的遅い場合や予告演出を実行可能な図柄変動ゲーム数が比較的少ない場合等に、十分な複数段階のステップアップの機会が確保できないケースが想定される。このような場合には、最終的な段階が示されるまでに帳尻を合わせるようにステップアップを実行するようにすることで、結果的にステップアップの「飛ばし」が発生させる制御も可能である。具体的には「SU4」が最終的な段階であるのに、ステップアップを実行可能な拍のタイミングが3回しかなかったような場合に、「SU1」、「SU2」の後に「SU4」とすればよい。図219で3回転目の「予告可能期間」がテンパイ状態の成立までしかないとすれば、「SU4」のステップアップを実行する機会がないので、このような場合は「(SU3)」のタイミングで「SU4」が示されるように演出態様の表示を制御する。
また、図218や図219で例示して比較したように、拍合わせ演出は全体的な演出態様の変化において非拍合わせ演出と類似する点も多いが、拍合わせ演出と非拍合わせ演出とでは遊技者に有利な結果(例えば大当りの当落)についての期待度合いが異なるようにすることが好ましい。例えば拍合わせ演出のほうが非拍合わせ演出よりも期待度合いが高いとすれば、遊技者にステップアップがBGMの楽曲の拍に合わせて発生することを強く願わせて遊技興趣を高めることができる。特に、拍合わせ演出と非拍合わせ演出とで、ステップアップで表示される表示画面が類似または同一の場合には、両者の差異はステップアップの実行タイミングだけとなることもあり、このような場合に期待度合いに差異を設けることによって、現出する演出の詳細にまで遊技者の関心を抱かせて楽しませることができる。
また、上述したように拍合わせ演出と非拍合わせ演出との類似点が多いことを利用して、本実施形態に係るパチンコ機1では、各演出の開始タイミングを同じ(または、ほぼ同じ)に制御することで、拍合わせ演出と非拍合わせ演出の何れが現出されているかを初期段階では遊技者から分かり難くするようにしてもよい。具体的には例えば、各演出における最初のステップアップの実行タイミングを図柄変動ゲームの変動開始から所定時間が経過するまでに限定したり、ステップアップの実行よりも前に各演出の実行を報知する演出態様を同じタイミングで表示させたり(1回転目の図柄変動直後に予告演出の開始画面をカットインさせる等)する制御が想定される。このように拍合わせ演出と非拍合わせ演出とについて、出現時(演出開始時)にはどちらの演出かを遊技者から判別し難くするとともに、演出の進行に伴ってどの演出かが次第に判別できるようにすることによって、演出の進行中も遊技者に関心を抱かせ遊技興趣を維持する効果が期待できる。
また、本実施形態に係る拍合わせ演出において、再生された楽曲データの拍にタイミングを合わせて可変にされる演出表示は、上述してきたステップアップのように演出態様が切り替えられることだけに限定されない。例えば、演出表示が変化されるごとに、表示内容の一部を変更するようにしてもよいし、表示画面内の構成配置(カット割り)を変更するようにしてもよいし、表示の所定部分を拡大する(ズームアップ)ようにしてもよい。また、表示内容の少なくとも一部(具体的には例えば、キャラクタ、文字、保留記憶の表示など)の配色を変更するようにしてもよい。また、拍合わせ演出で演出表示が変化する何れかのタイミングで、再生されている楽曲の歌詞(曲名を含む)を文字表示する追加演出が行われてもよい。歌詞の追加演出が行われた場合は、歌詞の追加演出が行われない場合よりも有利展開への期待度合いが高くなるようにすることが好ましい。
このように、本実施形態に係る拍合わせ演出では、様々な態様によって、再生された楽曲データの拍にタイミングを合わせて演出表示を可変にすることができるが、何れの態様が採用される場合も、楽曲の拍に合わせて表示画面内の一部またはすべてが強調表示されるように変化することによって、BGM演出による楽曲の拍と拍合わせ演出の演出表示の変化とを関連付け、楽曲の拍を強調することを特徴とする演出といえる。
なお、拍合わせ予告演出が実行されたときのゲーム進行は、拍合わせ予告演出でステップアップが行われた後、リーチ演出で当落結果が示唆・報知され、大当り結果となった場合にはその後に大当り遊技が実行される。このとき、拍合わせ予告演出の実行時に再生されていた楽曲(例えば楽曲A)を、大当りとなった場合の大当り遊技中にも再生させることができる。一般的には大当り遊技中には、対象楽曲(楽曲A)の1コーラスまたはフルコーラスが演奏される。一方、リーチ演出時は、拍合わせ予告演出の実行時に再生されていた楽曲とは異なる楽曲(例えば楽曲C)を用いた演出を実行させることもできるし、拍合わせ予告演出の実行時に再生されていた楽曲のサビ部分(例えば楽曲A’)だけを用いた演出を実行させることもできる。すなわち、大当り遊技にかけての一連のゲーム進行において使用される楽曲は、「楽曲A(拍合わせ予告演出)」-「楽曲C/楽曲A’(リーチ演出)」-「楽曲A(大当り遊技)」となる。このように遊技演出が制御されるとき、楽曲の拍に合わせた拍合わせ演出で使用される楽曲(楽曲A)のほうが、リーチ演出中に使用される楽曲(楽曲Cまたは楽曲A’)よりも演奏時間が長いという特徴を有する。
また、拍合わせ演出が実行されるときに[9-1]で説明したような楽曲の切替が発生する場合には、拍合わせ演出におけるステップアップは、楽曲の切替に応じて基準とする拍を切り替えて実行されるようにしてもよいし、楽曲が切り替えられるまでステップアップの実行を遅延し、切替後の楽曲の拍に合わせて実行されるようにしてもよい。後者の制御を行うことによって、先読みを利用した演出(例えば拍合わせ予告演出)が行われようとするときにBGM演出によって再生される楽曲が切り替わる場合には、当該演出の実行開始のタイミングが変更(遅延)するとともに、ステップアップの実行タイミングも変更することができる。同様の条件で非拍合わせ予告演出が実行される場合には、その開始タイミングはBGM演出による楽曲の切替に影響を受けないことから、拍合わせ予告演出と非拍合わせ予告演出との演出内容が類似する予告演出であったとしても、互いの演出の実行開始のタイミングやステップアップの実行タイミングが異なるものとすることができ、各演出を区別して遊技者を楽しませることができる。
また、本実施形態に係るパチンコ機1は、所定のタイミングで振動を発生させる制御を実行可能な振動器を搭載するようにしてもよく、例えばサイドスピーカ130の近傍に配置される。そして、例えば周辺制御MPU4140aがこの振動器の動作を制御することによって、所定のタイミングでパチンコ機1の所定部分(例えば押圧操作部405の周辺部分)を振動させることができる。
上記の振動器を用いた振動制御の具体的な実装例として、例えば、拍合わせ予告演出の実行時に、サイドスピーカ130等によって出力されるBGM演出の楽曲の拍に合わせて振動を発生させるよう制御してもよい。このような振動制御を行うことによって、拍合わせ予告演出のなかでステップアップが発生し得るタイミングを振動によって示唆することができるため、拍合わせ予告演出への遊技興趣を高める効果に期待できる。
また、上記の振動器を用いた振動制御の別の実装例として、例えば、SPリーチ演出の実行時に、当該SPリーチ演出で出力される音(SPリーチ専用音。BGM演出による楽曲でもよい。)の拍に合わせて振動を発生させるよう制御してもよい。このような振動制御を行う場合、SPリーチ演出の序盤では数拍置きのタイミングで振動を発生させ、当落結果が報知される終盤に近付くにつれて振動を発生させる拍間隔を狭くするようにすれば、当落結果の報知に向けて演出効果を高めることに期待できる。さらに、大当りした瞬間には、SPリーチ専用音の拍タイミングに関係なく、より短周期の振動を発生させるようにしてもよい。
また、上記のSPリーチ演出時の振動制御について、SPリーチ演出が複数種類から選択されて実行される場合には、SPリーチ専用音も様々となり拍のタイミングも異なってくる。また、同一のSPリーチ演出のなかでも演出の途中で楽曲の変更等によって拍が異なってくることもある。このとき、SPリーチ専用音の拍に合わせた振動制御が行われると、SPリーチ演出の種類やその演出内容によって振動回数や振動間隔が変化することとなり、多様な振動パターンが現出される。ただしこのような場合、振動回数や振動間隔の違いによって有利展開への期待度合いが変化するとは限らないため、遊技者の誤認識を避けるためにも、最終的な当落の報知段階では同一の振動(具体的には、前段落で述べた「より短周期の振動」)を行うようにすることが好ましい。
また、上記の振動制御が行われる場合、振動が発生するタイミングに基づいて押圧操作部405の押圧操作を求める別演出を発生させるようにしてもよい。さらに、この押圧操作が行われたときには、その後の有利展開への期待度合いに応じた所定画像を表示させるようにしてもよい。またことのき、期待度合いの高い所定画像が表示される場合の時間値(例えば、画像が継続して表示される時間や、押圧操作から画像表示までに要する時間)と期待度合いの低い所定画像が表示される場合の時間値とは異なるように設定されてもよく、特に前者の場合の時間値が長く設定されることが好ましい。
なお、上記の振動器は、当該振動器の作動によってパチンコ機1における所定の部品(例えばハンドル装置500)が振動しないように、パチンコ機1に設置されるようにしてもよい。ハンドル装置500が振動しないような振動器の設置方法としては例えば、振動器とハンドル装置500との間に緩衝材を設置するようにしてもよいし、ハンドル装置500が取り付けられる扉枠5とは別の枠(例えば本体枠3)に振動器を設置するようにしてもよいし、または、ハンドル装置500まで振動が到達しない程度の距離が確保できる場所に振動器を設置するようにしてもよい。このように遊技者が操作するハンドル装置500が振動器の作動によって振動することを抑制することにより、当該振動が円滑な遊技操作を妨害することを防止し、快適な遊技を提供することに貢献できる。
また、パチンコ機1において一般的に、SPリーチ演出は複数種類が用意されており、拍合わせ予告演出のステップアップによって示された最終段階に基づいて、移行先のSPリーチ演出が限定されるようにしてもよい。具体的には例えば、拍合わせ予告演出のステップアップで「SU4」以上になった場合は、極めて期待度合いの高い特定のSPリーチ演出にしか移行しないように制御される。このような制御が行われる場合、ステップアップの進行が有利展開への期待度合いを高めるだけでなく、通常では現出し難い特別なSPリーチ演出を楽しめるかもしれないという付加価値を創出することができる。
[9-3.その他]
これまで[9]章全体を通じて、本実施形態に係るパチンコ機1で実行可能なBGM演出に関して、具体例を挙げて「楽曲の切替([9-1]章)」や「拍合わせ演出([9-2]章)」を説明してきた。[9-3]章では、これらのBGM演出に関してパチンコ機1が実行可能な演出制御について、上述した具体例以外の派生例を補足する。
まず、本実施形態におけるBGM演出は、電源がONされている間、規定の再生順序で楽曲を再生し続けるため、パチンコ機1にエラーが発生する等してその解除のために電源断が必要になった場合には、BGM演出による楽曲の再生も停止することとなる。このような場合、エラー解除後に再度電源をONすると、BGM演出による楽曲の再生タイミングが他のパチンコ機1とずれてしまい、島全体で一斉に同一楽曲が再生される効果が低減してしまうおそれがある。そこで、パチンコ機1では、電源断が必要となる場合でも、再度の電源ON時に、他のパチンコ機1とBGM演出による楽曲の再生タイミングを合わせやすくするような工夫を施すようにしてよい。
具体的には例えば、BGM演出によって再生されている楽曲が規定の再生順序の何番目にあたる楽曲かを明示するために、各楽曲に予め番号を付け(ナンバリング)、液晶表示装置1900の表示画面等に再生中の楽曲の番号を表示するようにすることができる。さらに、楽曲ごとの再生時間も予め判別していることから、各楽曲の残り再生時間を表示可能にするようにしてもよい。残り再生時間の表示は常に行わなくてもよく、例えば残り10秒になったら残り再生時間をカウントダウンするといった方法も考えられる。
このように電源断への対応を行うことで、ホール関係者が電源断したパチンコ機1の電源を再度ONしようとするとき、他のパチンコ機1における楽曲の再生状況を把握し、当該再生状況に基づいてパチンコ機1の電源ONのタイミングを調整することにより、電源復帰時にBGM演出による楽曲の再生タイミングを島全体のパチンコ機1と合わせることが容易となる。なお、[9]章で述べたように、パチンコ機1では、BGM演出によって再生される楽曲の再生音量を所定範囲内で遊技者が調整可能であってもよいとしているが、このような場合であっても、エラー音の音量は遊技者によって調整できないようにする。また、エラー音の音量は、BGM演出によって再生される楽曲の再生音量よりも大きな最大音量に設定されることが好ましい。このようにエラー音の音量が設定されることによって、ホール関係者がエラーの発生を気付き易くすることができる。また、不正遊技を防止する観点からも、遊技者がエラー音の音量調整をできないようにすることが好ましい。
一方、BGM演出による楽曲の再生音量は、上述したようにエラー音による音量よりも小さいことが求められるが、それ以外にも、BGM演出以外の演出や効果音の音量(遊技者が音量を調整可能な場合はその最大音量)よりも小さい音量となるようにすることが好ましい。このようにすることで、エラー音による報知効果を確実に確保するだけでなく、例えばSPリーチ中のように専用音が出力される遊技状態において、専用音がBGMによって掻き消される事態を抑制し、専用音による演出を十分に遊技者に楽しませることができる。
また、BGM演出による楽曲の再生音量は、有利遊技状態(具体的には、高確率(確変)時短遊技状態、高確率(確変)非時短遊技状態、または低確率時短遊技状態に相当。特段の記載がない限り、以降も同様とする。)において、通常遊技状態(具体的には、低確率非時短遊技状態に相当。特段の記載がない限り、以降も同様とする。)と同様の音量で出力されるようにしてもよいし、通常遊技状態とは異なる音量で出力されるようにしてもよい。大当り遊技状態を除く有利遊技状態と通常遊技状態とで、同様の音量で楽曲が出力される場合には、遊技状態の違いに影響を受けることなく、BGM演出による楽曲演奏が続けられるため、遊技者は楽曲を楽しむことに集中することができる。有利遊技状態において通常遊技状態よりも楽曲の再生音量を所定程度大きくする場合には、遊技状態に拘わらず遊技者に楽曲を楽しませつつも、有利遊技状態では通常よりも大きく楽曲が流されることによって有利遊技状態を目立たせて遊技に優越感や満足感を抱かせることができる。
他の出力音についても補足する。パチンコ機1では、[9-1]章で述べたSPリーチ演出等における専用音の他にも、遊技状態に応じた専用音を用意して出力することができる。具体的には例えば、時短遊技状態や高確率遊技状態(確変遊技状態)において、それぞれ専用の音(楽曲でもよい)を出力させることができる。ただし、大当り遊技中以外の遊技状態では、出力される専用音が共通となるようにしてもよい。また、これらの専用音の音量は遊技者が調整可能にしてもよく、また、時短遊技状態や高確率遊技状態等のような所定の遊技状態においては、上記の専用音を出力するかBGM演出による楽曲を出力するかを遊技者が所定のメニュー設定画面から選択できるようにしてもよい。
また、大当り遊技中の専用音について、図217を参照して説明したように、SPリーチ演出における専用音(SPリーチ専用音)を大当り遊技中も継続して出力することができるが、このような専用音が楽曲である場合に、SPリーチ演出中から大当たり遊技にかけて、当該楽曲は継続して演奏される(大当り遊技の開始時に曲の最初が再セットされない)ようにすることが好ましい。このように制御することで、SPリーチ演出から大当たり遊技までが関連性を有する一連の遊技進行として遊技者に印象付ける効果が期待できる。
また、大当り遊技中の専用音が、SPリーチ演出実行前のBGM演出による楽曲と同一の楽曲を使用するものである場合には、大当り遊技開始時、当該楽曲を曲の最初から出力するのではなく、BGM演出による楽曲の再生位置(裏モードによる再生が行われている場合は、その再生位置)に応じて、すなわちBGM演出による楽曲の再生タイミングに合わせて、当該楽曲を再生することが好ましい。このように大当り遊技中の専用音の再生タイミングについてBGM演出による楽曲の再生タイミングを優先させることによって、BGM演出によって出力されていた楽曲の流れを引き継いで大当り遊技が進行しているように遊技者に感じさせることができ、大当り遊技中もBGM演出による楽曲を自然に楽しませる効果に期待できる。また、このように制御することによって、大当り遊技中であっても、大当り遊技中ではない他のパチンコ機1においてBGM演出によって出力されている楽曲との一体感を創出することができる。また、大当り遊技中にBGM演出による楽曲を出力する場合の再生音量は、大当り遊技中以外のときの再生音量と同じ、もしくは、より大きくすることが望ましい。
また、[9-2]章で拍合わせ演出における演出変化の一例として楽曲の歌詞が文字表示される歌詞の追加演出について述べたが、本実施形態のパチンコ機1では、歌詞の追加演出におけるさらなる派生例として、歌詞の振り仮名(ルビ)を追加表示したり、複数言語による歌詞の追加演出(歌詞の言語変化演出)を行うようにしてもよい。具体的には例えば、通常の歌詞の追加演出では楽曲の歌詞を日本語で表示し、特別な条件が成立した場合(例えばより期待度合いの高い拍合わせ演出が実行される場合)には、楽曲の歌詞を中国語で表示する。このような歌詞の言語変化演出を行う場合、対象の楽曲が日本語と中国語の歌詞をそれぞれ有することが好ましく、BGM演出に使用される複数の楽曲のうち、日本語と中国語の歌詞を有する楽曲のみを対象として歌詞の言語変化演出を実行可能にしてもよい。またさらに、歌詞の言語変化演出によって中国語の歌詞の追加演出が行われる場合には、BGM演出によって再生される当該楽曲は中国語で歌われるようにしてもよい。
また、このような歌詞の追加演出や言語変化演出が実行される場合、当該演出が実行されていることに遊技者が気付き難いことも考えられるため、台枠に設置されたLEDを点灯または点滅させる等の出力制御を行うようにしてもよい。このような出力制御を行うことによって、拍合わせ演出が継続中であることが台枠のLED等からも判別可能となり、遊技興趣の維持に貢献することができる。
また、上記の歌詞の追加演出や言語変化演出に限らず、拍合わせ演出全般について、拍合わせ演出の実行が抽選等によって選択された場合に、実際に実行するか否かを現時点でBGM演出によって再生されている楽曲の残り再生時間に基づいて判断するようにしてもよい。これは、楽曲の残り再生時間が極端に少ない場合に拍合わせ演出等を開始してしまった場合に、当該演出が発生したことに遊技者が気付かないうちに楽曲が切り替わったりしてしまい演出効果が低下してしまうおそれがあることに鑑みたものである。具体的には例えば、拍合わせ演出の実行前に、現在の楽曲の残り再生時間を算出し、算出結果が3秒以上であった場合にのみ、当該拍合わせ演出を開始するといった制御を行う。
また、上記のように楽曲の残り再生時間に基づいて拍合わせ演出の開始タイミングが変更されることは、言い換えれば、当該図柄変動ゲームが開始されたタイミングによって拍合わせ演出の開始タイミングが変更されることである。すなわち、このような拍合わせ演出は、当該演出の開始タイミングではなく、当該図柄変動ゲームの開始タイミングに基づいて、その全体の演出時間が変動し得る(演出時間が長くなったり短くなったりする)という特徴を有する。
また、[9-1]章において、BGM演出による楽曲の切替と連動してステージ演出による背景表示の切替を実行可能なことを説明したが、本実施形態のパチンコ機1では、BGM演出による楽曲の切替と連動する演出はステージ演出のような表示演出に限定されるものではなく、例えば、所定の可動役物による作動演出、LED等のランプによる発光演出、またはBGM演出による楽曲以外の効果音による音出力演出が、BGM演出による楽曲の切替と連動して実行されるようにしてもよい。
なお、可動役物、ランプ、音による演出は、一般的にそれぞれの更新タイミングが異なるものであるが(例えば、可動役物を駆動させるモータの制御は1msごとに更新され、発光制御や音制御等は33.3msごとに更新される)、BGM演出による楽曲の再生と連動させるときには、所定のタイミング(例えば、楽曲の切替タイミング)においてこれらの連動演出を更新するように制御すれば、異なる種類の連動演出の同期を実現することができる。
可動役物を用いた連動演出の具体例としては例えば、次章の導光板演出の説明で例示されるフレーム役物(大フレーム役物7110,中フレーム役物7120)を、BGM演出によって再生される楽曲に合わせて(拍や小節が同期する態様で)原点位置と作動位置との間で律動するよう制御することによって、BGM演出に連動した演出が実現される。なお、大当り遊技の終了時等に、可動役物を用いた連動演出を終了させる場合には、終了タイミングで可動役物を即時停止させるのではなく、可動役物の移動速度を段階的に低下させて徐々に停止させるフェードアウト的な制御を行うことが好ましい。このような停止制御を行うことによって、可動役物が突然停止することによって遊技機の故障と誤認されたり、不必要に遊技者を驚かせたりする事態を防止し、遊技者に安心感を与える遊技機の提供を図ることができる。
また、[9]章全体を通じて、BGM演出による楽曲の再生や拍合わせ演出は大当り遊技中以外の遊技状態で実行され得るように説明してきたが、本実施形態のパチンコ機1では、上記の各演出を大当り遊技中に実行するようにしてもよい。例えば大当り遊技中に拍合わせ予告演出が実行されるとすれば、拍合わせ予告演出のなかでステップアップが発生することによって、大当り遊技後の有利展開(具体的には、高確率(確変)遊技状態や時短遊技状態に制御されること)への期待度合いを予告し、拍合わせ予告演出の最後に当該有利展開の可否を報知する。なお、有利展開の可否を報知するタイミングは拍合わせ予告演出が現出された後のジャッジ演出であってもよく、「ジャッジ演出」には、押圧操作部405の押圧操作を遊技者に求めて当該押圧操作が行われた後に特定の役物動作等が行われるか否かによって有利度合いを教示する演出や、演出の流れによって有利度合いを教示する演出等が含まれる。
以上、パチンコ機1が、電源ONを契機として規定の再生順序で複数の楽曲がループ再生されるBGM演出を実行可能なことについて説明してきたが、本実施形態に係るパチンコ機1においては、このBGM演出のような音演出が、電源ONを契機として規定の表示順序で複数の映像がループ再生される映像演出や、電源ONを契機として規定の発光順序で複数の発光パターンがループ実行される発光演出に置き換えて実行されてもよく、これら複数の演出が組合せて実行されてもよい。
[10.導光板演出]
本実施形態に係るパチンコ機1は、背後からの光を透過すると共に自身が所定態様で発光可能な導光板を搭載することができる。そしてパチンコ機1は、通常から表示演出が行われる表示画面(液晶表示装置1900の液晶画面7200)よりも手前にこの導光板が配置された場合に、導光板を利用した導光板演出(導光板発光)と上記表示演出とを組合せることによって、特徴的な演出を実行することができる。本章ではこのような導光板演出を含む演出について説明する。
図220は、本実施形態に係るパチンコ機の盤面の別例を示す図である。図220によれば、パチンコ機1の遊技盤4Aには、センター役物の中央部に備えられた液晶表示装置1900の表示画面(液晶画面7200)よりも手前に導光板7300が備えられる。導光板7300は、その側面(上面でもよい)に設けられたLED等の光源から出た光を反射・拡散させることによって、表面を発光させることができる発光パネルであり、一般に知られている同様に発光パネルを利用することができる。また、導光板7300は透過性を有しており、後方の液晶画面7200に表示された画像は、導光板7300を透過して遊技者から視認可能にされる。なお、導光板7300は、液晶画面7200の全体(またはその大部分)を覆うようにその前方に配置されていれば、必ずしも遊技盤4に設置される必要はなく、例えば扉枠5の遊技窓101を閉鎖するガラスユニット590の内面側に設置されてもよい。
[10-1.フレーム役物]
導光板演出について詳述する前に、図220に例示されたフレーム役物について説明する。
図220に示した遊技盤4Aは、図157に示した遊技盤4と比較すると、液晶表示装置1900の液晶画面7200を取り囲むかたちで、手前から順に大フレーム役物7110,中フレーム役物7120,小フレーム役物7130が設けられている点が大きく異なる。このうち、大フレーム役物7110及び中フレーム役物7120は、接続されたモータ(不図示)の駆動力によってそれぞれが独立して所定の可動範囲(非作動時の位置を原点位置、作動時の最大移動位置を作動位置と呼ぶ)を動作可能な可動役物であり、その動作は例えば周辺制御基板4010によって制御される。小フレーム役物7130は、液晶画面7200を取り囲むように設けられた非可動役物であるが、可動役物としてもよい。例えば、所定条件の成立時に、小フレーム役物7130が、大フレーム役物7110の原点位置よりも外側にまで広がって遊技者から見えなくなるように駆動させてもよい。ここで「所定の条件の成立時」を、大当りの抽選結果が得られた場合や、複数ある変動パターンのうち比較的期待度が高いとされる変動パターンが選択された場合とすれば、小フレーム7130が広がって遊技者から普段見えているものが見えなくなれば熱い(期待度が高い)ということが容易に認識させられるようになり、さらにこのとき、液晶画面7200がより大きく見せられることで、熱い演出を大画面で見せることができる。
なお、各フレーム役物(大フレーム役物7110,中フレーム役物7120,小フレーム役物7130)には、遊技者から視認可能な前面部分等に発光部が設けられてもよく、このような発光部は、各フレーム役物の動作や、パチンコ機1における所定の遊技状況(例えば、押圧操作部405の押圧操作が行われたとき等)に応じて種々の発光態様で点灯または消灯することにより、全体として演出効果を高める効果を奏する。
大フレーム役物7110及び中フレーム役物7120の駆動について具体的に説明する。まず、可動役物(大フレーム役物7110,中フレーム役物7120)は、原点位置にあるとき、当該可動役物によって囲まれる領域が最大となり、作動位置にあるとき、当該可動役物によって囲まれる領域が最小となる。なお、大フレーム役物7110または中フレーム役物7120が駆動を停止する場合には、それぞれの原点位置に移動してから停止するよう制御されることが好ましく、このように制御されることで、突然の役物停止を防ぎ、停止動作について不自然な印象を抱かせないようにすることができる。
大フレーム役物7110は、BGM演出によって楽曲が再生されているときに、楽曲に合わせて原点位置と作動位置との間を常時動作する。楽曲に合わせた常時動作は、楽曲の拍を基本としており、例えば4拍の間に原点位置から作動位置に移動し、次の4拍の間に作動位置から原点位置に移動するといった動作が繰り返される。なお、実際に可動役物の駆動を制御する際は、大フレーム役物7110による常時動作の周期がBGM楽曲の拍タイミングに厳密に対応できない場合(拍タイミングの小数点以下の秒数を切り捨てる場合等)も有り得るが、このようなズレに対処するためには、BGM演出による楽曲が切り替えられるタイミングで、大フレーム役物7110の駆動タイミングを調整(更新)すればよい。また、1曲あたりの再生時間が比較的長い楽曲が使用される場合には、楽曲の後半で上記のズレが相当の大きさになってしまう可能性もあるので、このような場合は楽曲の途中で大フレーム役物7110の駆動タイミングを調整するようにしてもよい。
また、大フレーム役物7110は、BGM演出による楽曲の再生がミュート状態で制御されているときや、所定の遊技状況にあるとき(例えば、大当り遊技終了時や発展演出やSPリーチ演出への発展時)には、動作しないようにしてもよい。その他、図柄の変動が途切れて待機演出に移行した場合(例えば図215(A)参照)にも、大フレーム役物7110の駆動を停止してもよく、その場合は、その後に始動口2101,2102に遊技球が入球したことに基づく保留入賞のタイミング(厳密には、保留入賞したタイミングから直近のBGM演出による楽曲の拍に合わせたタイミング)で大フレーム役物7110の駆動を再開させる。また、BGM演出による楽曲が切替えられる前後は、楽曲の拍を取り難い時期となることが想定されるが、このような時期には、楽曲の拍を取ることができるまで大フレーム役物7110の駆動を保留するようにしてもよい。
以上のように、大フレーム役物7110は、BGM演出による楽曲に合わせて常時動作することにより、BGM演出に視覚的に連動した役物演出を実現することができ、BGM演出による演出効果をさらに高めることができる。
中フレーム役物7120は、所定の有利遊技状態(例えば確変遊技状態)に制御されているとき、大フレーム役物7110と同様に、BGM演出によって再生されている楽曲に合わせて原点位置と作動位置との間を常時動作する。なお、このような場合でも、中フレーム役物7120は、大フレーム役物7110で説明したのと同様に、所定の状況においては(BGM演出がミュート状態、大当り遊技終了時、発展演出時、SPリーチ演出時など)、BGM演出に合わせた動作を行わない。
一方で、中フレーム役物7120は、通常遊技状態または無抽選状態(特別図柄に関する抽選情報が取得されていない状態を意味し、具体的には、変動中を含め特別図柄の保留記憶が存在しない状態)には駆動しない。また、大当りが報知されたときには、中フレーム役物7120が中央(作動位置)に向けて駆動することによって、大当りという有利な結果が得られたことを盛り上げる。
以上のように、中フレーム役物7120は、所定の有利遊技状態において大フレーム役物7110と同様にBGM演出の楽曲に合わせて駆動することにより、大フレーム役物7110だけが駆動する遊技状態(例えば通常遊技状態)よりも重厚に、BGM演出と視覚的に連動した役物演出を実現することができ、有利遊技状態の特別さを強調することができる。なお、大フレーム役物7110と中フレーム7120とが同時に駆動するときには、両者の駆動タイミングを同期させればよいが、演出効果を高めるために駆動タイミングが反転するように制御してもよい。具体的には例えば、大フレーム役物7110が先に原点位置からの移動を開始し、大フレーム役物7110が作動位置に移動したときに、中フレーム役物7120が原点位置から作動位置への移動を遅れて開始するようにしてもよい。
なお、図220に例示したパチンコ機1では、有利遊技状態(確変遊技状態や時短遊技状態)に制御されているときに、液晶画面7200の内縁付近に、何れかのフレーム役物(例えば大フレーム役物7110)を模した形状の画像(フレーム模写画像)を表示させることによって、当該有利遊技状態にあることを教示または示唆するようにしてもよい。例えば図220に例示したパチンコ機1の場合、大フレーム役物7110は所定幅を有する略円環形の形状をしており、このような形状のフレーム模写画像が液晶画面7200の内縁付近(すなわち小フレーム役物7130のすぐ内側付近)に表示されるとすれば、フレーム役物と合わせて見た場合に、最内側にフレーム役物が一層だけ追加されたような態様となる。一般的なパチンコ機では、有利遊技状態にあることを教示するときには液晶画面内の目立つ場所にその旨を表示することが多いが、当該表示のために液晶画面内における演出の表示可能領域が狭くなりがちで、特に液晶画面の中央付近の表示可能領域が狭いと、他の演出を大きく表示することができずに演出効果が低減してしまうおそれがあった。これに対し本実施形態のパチンコ機1では液晶画面内の内縁付近に上記のようなフレーム模写画像の表示を行うことによって、液晶画面7200の中央付近は通常遊技状態と変わらない程度に表示可能領域を確保することができるため、様々な演出の表示に利用することができ、演出効果の低減を抑制する効果に期待できる。また、有利遊技状態でフレーム模写画像が表示されたときの全体的な表示態様を通常遊技状態と比べると、フレーム役物が一層だけ増えた程度の違いしかなく類似しており、一見すると有利遊技状態であることに気づき難いという特徴も有する。このように有利遊技状態であっても通常遊技状態と類似した表示態様が示されることによって、遊技者に関心を持って注意深くパチンコ機1を見るよう誘発する効果に期待できる。なお、パチンコ機1が有利遊技状態において上記のフレーム模写画像を表示する場合には、具体的な有利遊技状態を特定可能な文字列等(例えば「確変中」や「チャンス中」等)をフレーム模写画像に重ねて表示するようにしてもよい。このような文字列等を表示することによって、現在の遊技状態について遊技者を過剰に迷わせないようにすることができ、注意深い観察を推奨しながらも安心感を与え得る遊技機を提供することができる。
[10-2.導光板予告演出]
次に、導光板演出を含む演出の一例として、導光板の発光によって遊技者に有利な遊技展開(有利展開)を予告する導光板予告演出について詳述する。
図221~図224は、導光板予告演出の演出進行例を説明するための図(その1~その4)である。本実施形態のパチンコ機1における導光板予告演出は、図柄変動中の様々なタイミングで発生可能な演出であり、当該予告演出が発生した場合には、当該変動において(先読み機能を有する場合には保留記憶されている将来の変動ゲームであってもよい)極めて高確率で遊技者に有利な結果が報知される。言い換えれば、導光板予告演出は、当該変動(または上記した将来の変動ゲーム)において遊技者に有利な結果が得られることを極めて高い信頼度で予告する演出といえる。説明を簡略にするために、図221~図224の説明では、導光板予告演出が発生した場合には当該変動において必ず大当りが報知されるとする。なお、導光板予告演出はその発生タイミングによって全体的な演出の進行パターンが異なることがある。図221~図224には、これらの異なる進行パターンの一例が示されている。
ここで図221~図224には共通して、遊技窓101を通して遊技者から視認可能な範囲が示されており、図221(A)には当該範囲内の詳細な構成が番号を付して示されている。これらのうち既述の構成としては、大フレーム役物7110、中フレーム役物7120、液晶画面7200、及び導光板7300がある(小フレーム役物7130は省略されている)。新たに示された構成としては、現変動情報7211、第1保留情報7221、第2保留情報7222、第3保留情報7223、第4保留情報7224、左装飾図柄7231、中装飾図柄7232、及び右装飾図柄7233がある。現変動情報7211は、変動中の装飾図柄(当該変動)に関する情報を示すものであって、大当りへの期待度合いが高いことを示唆する場合等には表示態様を変えて表示させることができる。また、第1保留情報7221、第2保留情報7222、第3保留情報7223、及び第4保留情報7224は、最大4個までの装飾図柄の変動保留状況を示すものであって、変動保留の有無は塗りつぶしによって示される。図221(A)の場合、変動保留は3個である(第4保留情報7224は記憶されていない)。各保留情報についても、当該保留における大当りへの期待度合いが高いことを示唆する場合等には表示態様を変えて表示させることができる。また、左装飾図柄7231、中装飾図柄7232、及び右装飾図柄7233については、矢印で示されている場合は、対象の装飾図柄が変動中であることを意味する。
図221~図224に示されたパターンごとに、導光板予告演出の演出進行について順次説明する。なお、重複する演出内容については説明を省略する。
図221には、3つの装飾図柄のすべてが変動中のタイミングから導光板予告演出が発生するパターンが例示されている。
まず図221(A)では、液晶画面7200において3つの装飾図柄(左装飾図柄7231,中装飾図柄7232,右装飾図柄7233)が変動中であることが示される。この段階では、フレーム役物(大フレーム役物7110,中フレーム役物7120に相当し、以下同じ)は、BGM演出による楽曲に合わせて動作しており(以後「フレーム役物動作」と呼ぶ。詳細は[10-1]を参照。)、それぞれの発光部は液晶画面7200に現出される演出画面に応じた発光態様で発光している。但し、図221(A)では、図221(B)から発生する導光板予告演出に備えて、BGM演出によって再生されている楽曲の再生音量が所定時間(例えば1秒)の間に徐々に下げられていく(BGMのフェードアウト)。
図221(A)でBGMが十分にフェードアウトした後、図221(B)では、突然、液晶画面7200においてノイズ画面が表示される(ノイズ演出)。このとき、フレーム役物はフレーム役物動作を停止し、それぞれの発光部は照度を下げた発光態様で発光する。
図221(B)でノイズ演出が所定時間(例えば3秒)に亘って表示された後、ブラックアウト演出が発生する(図221(C))。ブラックアウト演出では、液晶画面7200における画像表示が暗転するだけでなく、フレーム役物動作は停止し、液晶画面7200近傍のランプ(例えばフレーム役物の発光部)も消灯する。液晶画面7200における暗転表示は、液晶画面7200への表示出力を一時的に停止して非表示にすることによって実現されてもよいし、液晶画面7200に真っ黒な画像を表示することによって実現されてもよい。ノイズ演出及びブラックアウト演出は、パチンコ機1におけるその他の(通常の)演出では発生しない特殊な演出態様からなるため、これらの演出が発生することによって、通常とは異なる特殊な状況であることを遊技者に知らしめることができる。
そして、ブラックアウト演出が所定時間(例えば4.1秒)に亘って現出された後、導光板7300が所定の発光態様で発光する導光板演出が実行される(図221(D))。図221~図224に例示する導光板演出では、導光板7300全体に、蝶々を示す画像が発光表示されるとともに、虹色の背景が発光表示される。導光板演出による発光は所定時間(例えば3秒)続く。また、導光板演出において、導光板7300は徐々に発光するのではなく一斉に発光し、同時に、フレーム役物の発光部も強く発光する。ただし、液晶画面7200では暗転表示が続けられる。
次いで図221(E)~図221(F)では、余韻演出が発生する。余韻演出では、導光板演出による導光板7300の発光が終了する一方で、液晶画面7200の表示が再開され、導光板演出の際に導光板7300に表示された蝶々を想起させる画像が表示される。導光板7300の発光終了と液晶画面7200の画像表示再開とは、同じタイミングで実行されなくてもよく、若干の重複期間が設けられてもよい。また、余韻演出の間は、導光板7300で蝶々の画像だけを消し、背景としての発光態様は残すようにしてもよい。
余韻演出について詳しく説明する。余韻演出によれば、導光板演出で表示された蝶々が後方に移動して飛ぶかのような演出態様が現出される。このような演出態様の実現のためにまず、液晶画面7200において、蝶々を示す画像を、導光板演出の際に導光板7300に表示されたサイズから徐々に小さくなっていくように蝶々のサイズを変えながら表示する(図221(E))。このような表示によって、前方(導光板7300)から後方(液晶画面7200)に蝶々が移動しているように見せることができる。その後、液晶画面7200において、小サイズで表示された蝶々を飛び回らせ、最終的には導光板演出と同程度の大サイズで表示し、この大サイズの蝶々が表示画面の手前を通り過ぎるような映像を見せた(図221(F))後、余韻演出を終了する。
余韻演出が終了すると、ノイズ演出(図221(B))から始まった導光板予告演出が終了され、液晶画面7200の表示は装飾図柄の変動表示画面に戻る。例えば、図221(G)に示したようにノーマルリーチ演出の開始画面が表示される。このとき、BGM演出による楽曲の再生音量もデフォルト音量に復帰し、フレーム役物動作も再開する。
なお、BGM演出による楽曲の再生音量の復帰は、余韻演出の終盤で徐々に音量が回復されるようにしてもよく、合わせて、液晶画面7200における通常の背景表示についても、余韻演出の終盤で徐々に表示されていくようにしてもよい。
その後、液晶画面7200では、上記ノーマルリーチ演出を経て、または他のリーチ演出への発展を経由して、大当りの結果が報知される(図221(H))。
以上、図221に例示した導光板予告演出によれば、図221(D)の導光板演出(導光板発光)が行われることによって遊技者に有利な結果を予告することができる。ここで、従来の遊技機でも、導光板を発光する演出は知られているが、導光板演出が発生することを事前に察知させようとするものではなく、突然の発生で遊技者を驚かせ楽しませることを目的としたものであった。これに対して本実施形態に係る導光板予告演出では、導光板演出が発生する前に、図221(B)に示したノイズ演出や図221(C)に示したブラックアウト演出が行われることで、導光板演出の発生を事前に遊技者に示唆することができる。上記のノイズ演出やブラックアウト演出は、主に液晶画面7200における表示によって実現されるものであり、導光板発光の発生を事前に示唆する示唆演出に相当する。特にブラックアウト演出は、パチンコ機1における動作が停止したかのような強烈な驚きを遊技者に与える演出態様であることから、通常とは異なる特殊な状況であることを強く遊技者に訴えることができる。
このように、本実施形態の導光板予告演出を実行可能なパチンコ機1は、導光板発光の実行を示唆する示唆演出を経て導光板発光が実行されることにより、特殊な状況にあることを遊技者に認識させたうえで有利展開を予告するものであり、遊技者を楽しませ得る新たな演出を実行可能な遊技機といえる。なお、このような導光板予告演出による効果は、図222~図224の各パターンでも共通して得られる。また、図222~図224に示す導光板予告演出の各パターンにおいて、ノイズ演出またはブラックアウト演出の何れかのみが実行されたとしても、上記の共通した効果に期待できる。
また、図221に例示した導光板予告演出では、導光板演出の後に余韻演出が実行されることによって、導光板7300から液晶画面7200に向けて、離れて設置された表示媒体の間を同一キャラクタ(蝶々)が移動するような演出態様を現出させることができ、平面的な画像表示装置を用いているにも拘わらず、キャラクタによる立体的な動きを見せるという斬新な演出効果を図ることができる。このような演出効果を液晶画面7200を基準にみると、画面外のもの(導光板7300における蝶々)が画面内に入り込んでくるという印象を与え得るものであり、主に液晶画面7200を見ながら遊技を進めることが一般的な遊技者に対して斬新な演出効果を与えることができる。
図222について説明する。図222には、3つの装飾図柄のうちの1つ(左装飾図柄7231)が停止する直前のタイミングから導光板予告演出が発生するパターンが例示されている。
まず図222(A)では、液晶画面7200において変動中の左装飾図柄7231が停止しようとする状態が示されている。この段階におけるフレーム役物の動作及び発光は、図221(A)と同様である。そして、図221(A)の場合と同様に、図222(B)から発生する導光板予告演出に備えて、BGMのフェードアウトが行われる。
図222(B)からは導光板予告演出が開始され、ノイズ演出(図222(B))、そしてブラックアウト演出が発生し(図222(C))、その後、導光板演出によって導光板7300が発光し(図222(D))、導光板予告演出は終了する。これらの演出の詳細は図221(B)~(D)と同様である。
導光板予告演出の終了後は、導光板7300が消灯し、液晶画面7200による通常の表示が再開される。例えば、図222(E)に示したように左装飾図柄7231と右装飾図柄7233が停止し、リーチ演出に発展する。このとき、BGM演出による楽曲の再生音量もデフォルト音量に復帰し、フレーム役物動作も再開する。なお、SPリーチ演出が実行される場合は、その前の発展演出の段階で再びBGMのフェードアウトが行われ、専用音の出力に切り替えられても良い(図216(C)参照)。最終的に、各種リーチ演出を経て、液晶画面7200では大当りの結果が報知される(図222(F))。
図222に例示した導光板予告演出では、図221に例示したパターンとは違って導光板演出の後に余韻演出が発生しないが、余韻演出が発生しなくても、導光板発光の実行を示唆する示唆演出(ノイズ演出、ブラックアウト演出)を経て導光板発光(導光板演出)が実行されることは共通しており、特殊な状況にあることを遊技者に認識させたうえで有利展開を予告する斬新な演出であることに変わりはない。また当然ながら、図222(D)の後から図222(E)までの間に、図221で説明した余韻演出を行ってもよい。
図223について説明する。図223には、ノーマルリーチ演出の途中から導光板予告演出が発生するパターンが例示されている。
まず図223(A)では、液晶画面7200においてノーマルリーチ演出中の状態が示されている。このとき、図216(B)を参照すると、BGM演出による楽曲の再生はノーマルリーチ演出の最中もデフォルト音量で行われているので、BGM演出の楽曲に合わせたフレーム役物動作やフレーム役物の発光部による発光が行われている。
次に、図223(B)には、ノーマルリーチ演出から発展演出に移行しようとするタイミングで導光板予告演出が開始されるときの状態が示されている。ここでは演出態様の通常変化の一例として、ノーマルリーチ演出から発展演出に移行するときに、液晶画面7200全体に白く光る態様の画面(ホワイトアウト画面)が表示されるとしている。ホワイトアウト画面の表示は、液晶画面7200におけるそれまの表示内容を見えなくすることができるため、その後の発展演出が全く異なる演出態様で示される場合に、遊技者に表示態様の変化について違和感を抱かせないようにする効果を有する。なお、ホワイト画面が表示されるときには、BGM演出による楽曲の再生音量がフェードアウトし、フレーム役物動作は原点位置に戻って停止する。
その後、図222に例示した導光板予告演出と同様に、ノイズ演出(図223(C))、次いでブラックアウト演出が発生(図223(D))した後、導光板演出によって導光板7300が発光する(図223(E))。
図223(E)に例示した導光板演出が所定時間に亘って現出された後は、導光板7300が消灯して導光板予告演出は終了し、液晶画面7200がリーチ演出の表示を再開する。例えば図223(F)では、図223(A)に示したノーマルリーチ演出からの発展先の一例として、SPリーチ演出が実行されている様子を示しており、具体的には3つの装飾図柄が揃って変動する全回転リーチが現出されている。そして最終的には、全回転リーチ演出を経て、液晶画面7200では大当りの結果が報知される(図223(G))。
以上のように、図223に例示した導光板予告演出では、ノーマルリーチ演出から発展演出に移行する直前のホワイトアウト画面のタイミングで導光板予告演出が発生するが、このような場合でも、図221,図222に例示した導光板予告演出と同様に、導光板発光の実行を示唆する示唆演出(ノイズ演出、ブラックアウト演出)を経て導光板発光(導光板演出)が実行されることは共通しており、特殊な状況にあることを遊技者に認識させたうえで有利展開を予告する斬新な演出が提供される。なお、ホワイトアウト画面は、比較的期待度合いの低いノーマルリーチ演出から、より期待度合いの高い発展演出に移行する際に表示される画面であるため、ホワイトアウト画面が現出された時点で遊技者の興趣が多少とも高められる。そしてこのタイミングで導光板予告演出が開始されることによって、有利展開に対する遊技者の興趣は一気に高められ、以後の演出を安心して楽しませることができる。
図224について説明する。図224には、SPリーチ演出の途中から導光板予告演出が発生するパターンが例示されている。
まず図224(A)では、液晶表示画面7200においてSPリーチ演出中の状態が示されている。図224(A)ではSPリーチ演出の一例として、左装飾図柄7231及び右装飾図柄7233によってテンパイ状態が形成されているなかで、中装飾図柄7232がノーマルリーチ演出よりも大きく表示されて順次ゆっくりと変動する演出態様が示されているが、SPリーチ演出の具体的な演出態様は本例に限定されない。例えばSPリーチ演出専用の映像が表示されてストーリー仕立てで進行するようなSPリーチ演出であってもよい。
そして、図224(A)の途中で突然に導光板予告演出が開始されると、図224(B)に示したようにノイズ演出が発生する。ノイズ演出以降は、図221~図223に例示した導光板予告演出と同様に、ブラックアウト演出が発生(図224(C))し、その後、導光板演出によって導光板7300が発光する(図224(D))。
図224(D)に例示した導光板演出が所定時間に亘って現出された後は、導光板7300が消灯して導光板予告演出は終了し、液晶画面7200が、図224(A)で示していたSPリーチ演出の表示を再開する(図224(E))。なお、図224(E)で表示されるSPリーチ演出の表示態様は、図224(A)におけるSPリーチ演出の表示態様と完全に一致しなくてもよく、例えば、同一のSPリーチ演出における先の展開から再開されてもよく、または、別種のSPリーチ演出(例えば全回転リーチ)に変えて再開される等であってもよい。そして最終的には、SPリーチ演出を経て、液晶画面7200では大当りの結果が報知される(図224(F))。
以上、図224に例示した導光板予告演出では、リーチ演出のなかでも比較的期待度合いの高いSPリーチ演出の実行中であっても、導光板予告演出が実行可能であることが示されており、SPリーチ演出によって有利展開に期待して高められた遊技興趣を導光板予告演出によってさらに高めて大当りを確信させることができる。
すなわち、図221~図224に示した導光板予告演出によれば、遊技進行上の様々なタイミングにおいて、導光板の発光を用いた大当り予告(導光板演出)が発生する可能性があることから、遊技者はいつでも大当り予告の発生に期待しながら遊技を楽しむことができる。
また、本実施形態に係る導光板演出は、有利展開(例えば大当り)を極めて高い信頼度で予告する演出であることから発生率の低い希少演出であるが、仮にこのような希少演出が突然に発生する場合には、遊技者が慌て、希少演出を十分に楽しめないという課題が考えられる。そこで本実施形態に係る導光板予告演出では、希少演出(導光板演出)が示唆演出(ノイズ演出、ブラックアウト演出)の現出を経てから発生することによって、遊技者は余裕を持って希少演出の発生を待つことができ、希少演出を含む一連の演出(導光板予告演出全体)をゆっくりと楽しむことができる。このような観点から、本実施形態に係る導光板予告演出は、導光板演出の実行前に、ノイズ演出またはブラックアウト演出の少なくとも何れかが実行されるものであればよい。
また、本実施形態に係る導光板予告演出によれば、演出表現を行っていた様々な構成(液晶、ランプ、音、可動体)が所定の時期に一切の機能を停止し(ブラックアウト演出)、その停止中に、上記様々な構成とは異なる構成による演出表現(導光板7300による導光板演出)がなされるという点で斬新な演出を提供することができる。より具体的に説明すると、ブラックアウト演出の前には、液晶画面7200における表示演出や、BGM演出による楽曲の再生、及び当該再生に合わせたフレーム役物(大フレーム役物7110,中フレーム役物7120)によるフレーム役物動作や発光部の発光が行われるが、ブラックアウト演出によってそれらの機能は実質的に停止されることで、演出がフリーズしたかのような状況を創出する(液晶画面7200におけるブラックアウト画面の表示は、演出上は液晶画面非表示と実質的に同等といえる)。そして、ブラックアウト演出によって上記各機能が停止している間に、それまで動作していなかった導光板7300が突然発光する導光板演出が実行されることによって、遊技者がそれまで存在を気にしていなかった新たな構成による斬新な演出が実現される。
なお、図221~図224を参照して上述してきた各パターンの導光板予告演出において、導光板予告演出のなかで実行される各演出(ノイズ演出、ブラックアウト演出、導光板演出、または余韻演出)については、その実行時に液晶画面7200に表示される内容は特定の表示態様(例えば、ノイズ画面や蝶々の画像など)に限られ、装飾図柄の変動状態等は遊技者から視認できなくなるとしてきた。しかし、本実施形態に係る導光板予告演出では、上記の各演出の実行中であっても遊技の進行状況の少なくとも一部を遊技者が把握できるようにするために、所定の表示内容(例えば、現変動情報7211、第1~第3の保留情報7221~7223、その他、装飾図柄の変動状態を示す表示情報等)を遊技者から視認可能にしながら、液晶画面7200に上記特定の表示態様を表示するようにしてもよい。
また、上述した各パターンの導光板予告演出では、BGMのフェードアウトが行われてから導光板予告演出が発生するため、導光板予告演出が発生するまでに、BGM演出による再生楽曲に合わせたフレーム役物(大フレーム役物7110,中フレーム役物7120)の動作を終了させてフレーム役物を原点位置に戻すことができる。そのため、導光板予告演出が終了してリーチ演出等に戻るときには、フレーム役物を原点位置から再動作させることができ、例えばBGM演出による再生楽曲に合わせた動作等を容易に再開することができる。
しかし、本実施形態に係る導光板予告演出は、BGMのフェードアウトを経てから実行されなくてもよいため、突然にノイズ演出やブラックアウト演出が発生した場合には、動作中のフレーム役物がその場で急停止することとなり、動作復帰時の動きが不自然になったり、動作復帰時の位置合わせ処理が複雑になってしまったりするおそれがある。そこで、このようにフレーム役物が急停止された場合には、導光板演出によって導光板7300が一斉に発光している間に、フレーム役物を原点位置に戻すよう制御することが好ましい。導光板演出の実行時には遊技者の関心は導光板7300に集中するため、その間に、発光していないフレーム役物を原点位置に戻しても目立たず、導光板演出の演出効果を妨げることもない。なお、フレーム役物を原点位置に戻すとき、周辺制御基板4010は、強制的に原点位置に戻す原点復帰コマンドを送信するようにしてもよい。このようなコマンドを用意しておくことにより、フレーム役物が偶々原点位置にある場合には改めて原点位置に戻るように動作させる必要がなく、フレーム役物が原点位置以外にある場合でもその現在位置を考慮した処理が不要となるため、制御処理が容易になる効果がある。
なお、本実施形態に係る導光板予告演出において、演出がフリーズしたかのような状況を創出するブラックアウト演出については、導光板予告演出のなかで突然に発生するようにしてもよいし(例えばノイズ演出を経ずに実行される)、または、他の予告演出と同様の演出展開を経てから分岐する態様でブラックアウト演出が発生するようにしてもよい。前者の場合は、大当りの確定予告(導光板演出)の発生予告が突然に現出することになるため、遊技者を驚かせるとともに、その後に現出される導光板演出を余裕をもって楽しませることができる。後者の場合は、他の予告演出の実行中でもブラックアウト演出への派生に期待させることができ、多様な演出態様を楽しませることができる。また、演出に多様性を持たせるために、現出後に導光板演出が発生しないブラックアウト演出(所謂、ガセのブラックアウト演出)を用意してもよい。このとき、ガセのブラックアウト演出による演出時間を、現出後に導光板演出が発生するブラックアウト演出よりも短い演出時間とすることで、ガセ演出であったことに対して遊技者が過剰に落胆しないようにすることが好ましい。
以上、導光板予告演出の演出進行例を説明してきたが、本実施形態ではさらに、導光板予告演出の実行時に図225に例示するような特定の演出(専用蝶演出)を追加してもよい。
図225は、専用蝶演出の演出進行例を説明するための図である。専用蝶演出は、導光板予告演出が発生する可能性を示唆するための演出であって、図221~図224に例示した導光板予告演出の各パターンに示した演出進行の特定タイミングに追加して実行することができる。
図225(A)は、専用蝶演出の前半段階(専用蝶飛来)を説明する図である。図225(A)では、液晶画面7200において3つの装飾図柄(左装飾図柄7231,中装飾図柄7232,右装飾図柄7233)が変動中であることが示されている。さらに、液晶画面7200の中段上方には、複数の蝶キャラクタ7241が画面の左右から飛来してきている様子が示されている。ここで、蝶キャラクタ7241の態様は、導光板演出で導光板7300に表示される蝶々(例えば図221(D)参照)をモチーフとしたものであり、導光板演出で導光板7300に表示される画像が蝶々以外であれば、蝶キャラクタ7241の態様も、適宜それに対応した態様に置き換えられるとする。
なお、液晶画面7200において蝶キャラクタ7241が飛来してくる表示は、通常時から図柄変動中に発生し得るものとし、後半段階(次段落に説明する専用蝶停止)に発展しない場合は、蝶キャラクタ7241はそのまま左右に飛去して液晶画面7200に表示されなくなる。また、このように蝶キャラクタ7241が飛来してきて飛去するという表示態様自体を、有利展開の期待度合いを示唆する1つの別演出として用意してもよく、このような場合は、前半段階までは、専用蝶演出は上記別演出と全く同じ演出態様で進行することになるので、後述の後半段階に発展するか否かという点で遊技興趣を高める効果に期待できる。
次に、図225(B)は、専用蝶演出の後半段階(専用蝶停止)を説明する図である。本例の専用蝶演出では、その後に導光板予告演出が発生する期待度合いが高いことを示唆する場合に、後半段階の専用蝶停止に発展する。制御面では、専用蝶演出を後半段階に発展させるか否かは、導光板予告演出の実行を制御する周辺制御基板4010が判定して決定すればよい。
専用蝶停止の具体的な演出態様としては、図225(B)に示したように、図225(A)で飛来していた複数の蝶キャラクタ7241の全てまたはその一部が、画面外に飛去することなく画面内に停止し、液晶画面7200に表示されたままとなる。このとき、何匹の蝶キャラクタ7241が停止するかによって導光板予告演出の発生期待度の高低を示唆してもよく、例えば5匹の蝶キャラクタ7241が停止した場合には必ず導光板予告演出が発生するといった確定示唆のパターンを有してもよい。
図225(B)に例示した専用蝶停止が発生した後は、図柄の変動表示が通常の処理で進められ、その後、周辺制御基板4010の制御によって導光板予告演出が実行され得る。すなわち、本実施形態のパチンコ機1では、図221~図224に例示した各パターンの演出進行において、ノイズ演出が発生する前の段階の任意のタイミングで、図225(A)~(B)に示した専用蝶演出を現出させることができる。
このような専用蝶演出によれば、導光板7300の発光を利用して有利展開を予告する導光板演出について、導光板演出で発光表示される特徴的な画像(蝶々)を想起させる蝶キャラクタ7241を用いて事前に所定の演出が行われることによって、導光板演出を連想させてその発生を示唆することができる。なお、導光板演出の示唆演出として前述したノイズ演出やブラックアウト演出は、当該示唆演出が現出された場合にはその直後に必ず導光板演出が発生するものであり、いわば導光板演出の予告演出ともいえるものであった。これに対して、専用蝶演出は、仮に後半段階の専用蝶停止まで発展したとしても必ずしも導光板演出の発生に繋がるものではないが、現出可能性の度合いを示唆することができる。かくして、専用蝶演出によれば、導光板予告演出に含まれる示唆演出が実行されるよりも前の段階から、遊技者に導光板演出の発生を期待させることができる。
なお、図225に例示したように専用蝶演出の表示態様は、導光板予告演出の各演出に比べると目立ち難い態様で進行するため、専用蝶停止となる場合には、周辺のランプや音によって蝶キャラクタ7241の停止を強調する報知を行ったり、専用蝶停止後のランプ発光や効果音、背景表示などを変更したりしてもよい。
また、以上に説明してきた導光板予告演出(または導光板演出)は、遊技者による操作に基づいて発生するようにしてもよい。具体的には例えば、押圧操作部405の押圧操作が行われた場合に、毎回所定の確率(例えば大当り時の1/256。確率変動大当り時に限定してもよい。)で発生するようにする。
この「所定の確率」については、パチンコ機1の電源がONになってから初めて大当りに当選するまではその確率を高め(例えば1/128)に設定してもよく、このようにすることで、ホールの開店直後には導光板予告演出(または導光板演出)を体験しやすいという特典を与えることができ、開店直後のパチンコ機1の稼働率向上に貢献することができる。また上記「所定の確率」は、パチンコ機1の電源がONになってからの初当り(低確率非時短遊技状態で当選した大当り)の回数に応じて確率を変えるようにしてもよい。例えば初当りが5~6回目の時に他の場合よりも高くする(例えば1/64)場合、初当りの回数が4~5回のパチンコ機1に対して遊技者に遊技意欲を抱かせる効果に期待できる。
また、上記したように遊技者による所定操作(押圧操作部405の押圧操作)が行われた場合に「所定の確率」で導光板予告演出(または導光板演出)を発生させるとき、押圧操作部405の押圧操作の操作回数に応じて、「所定の確率」が変化するようにしてもよい。ここで押圧操作の操作回数とは、例えば、当該ゲームにおける上記押圧操作の合計回数でもよいし、それまでの所定期間の複数ゲームにおける押圧操作の合計回数などであってもよいが、押圧操作部405が押しっぱなしにされた場合には連続して押圧操作が行われたとはみなさず、1回とカウントする。そして、これらの操作回数が所定の閾値よりも多い場合には、「所定の確率」が高くなるようにすることで、熱心に押圧操作部405の押圧操作を行ってくれている遊技者に対して、導光板予告演出(または導光板予告演出)の出現機会を増やして報いることができる。
なお、本実施形態のパチンコ機1では、実行中の演出に関係ないタイミングで押圧操作部405の押圧操作が行われた場合には、当該ゲームの当落に関係なく、実行中の演出の邪魔にならない程度に音声出力、画像変化、またはランプの発光変化等を行うようにしてもよい。このように、一見意味の無い押圧操作部405の押圧操作に対して微小な反応をすることで、上記押圧操作に基づいて導光板予告演出(または導光板演出)が発生し得ることを知らない遊技者に対しても、当該押圧操作が何らかの演出発生に繋がるのではないかと想起させ、パチンコ機1に対する興味を強めさせることに期待できる。
また、遊技者による所定操作(押圧操作部405の押圧操作)に基づいて導光板予告演出(または導光板演出)を発生させるとき、前兆なく当該演出を発生させるのではなく、現出中の演出から連続する態様で(例えば現出中の演出が派手に発展した後に)発生させることが好ましい。このようにして導光板予告演出(または導光板演出)を現出させることによって、現出中の演出からの連続性を創出し、演出進行の不自然さを感じさせないようにすることができる。なお、押圧操作部405が押しっぱなしにされた場合には、上記の導光板予告演出(導光板演出)の発生を無効にすることが好ましい。また、現出中の演出のなかで押圧操作部405の押圧操作が求められる場合にも、演出展開の繋がりを確保するために、上記の導光板予告演出(導光板演出)の発生を無効にすることが好ましい。
また、本実施形態の導光板予告演出は、当該変動(または保留記憶されている将来の変動ゲーム)において遊技者に有利な結果が得られることを極めて高い信頼度で予告する演出であり、図221~図224を参照した説明では、当該変動において必ず大当りが報知される大当り確定演出としたが、他にも例えば、必ず有利当り(確変大当り)が得られる確変確定演出としてもよい。
[11.他の演出]
本実施形態のパチンコ機1は、主に周辺制御基板4010による制御に基づいて、以下に説明する演出を実行することができる。
[11-1.同系統図柄揃い]
パチンコ機1では、主制御基板4100によって行われた特別抽選の結果に基づいて周辺制御基板4010によって装飾図柄の変動パターン(装飾図柄の停止態様や図柄変動時間等)が決定される。周辺制御基板4010は、該決定した変動パターンに基づいて液晶表示装置1900の表示画面に複数の装飾図柄を変動表示させ、その停止態様によって当該ゲームにおける当落の結果を遊技者に示す。変動表示される装飾図柄の個数は特に限定されるものではないが、以後は一例として、図221(A)に示した左装飾図柄7231,中装飾図柄7232,右装飾図柄7233のように3つの装飾図柄が変動表示されるとして説明する。各装飾図柄には「0」~「9」のような数字(文字等でもよい)が割り当てられ、3つの装飾図柄がすべて同一図柄で停止した場合(3つ揃い)に当りであることが示される。
ここで、パチンコ機1では、装飾図柄として複数の系統から構成される複数の図柄を用意して用いることができる。例えば、図柄の表示色によって図柄の系統が分けられる場合、具体例として青図柄、赤図柄、金図柄が用意されるとする。このように複数の系統から構成された装飾図柄が変動表示されるとき、停止した図柄が3つ揃いではなくても(当り結果ではなくても)、同系統の図柄が3つ揃って停止した「同系統図柄揃い」であった場合には、保留記憶されているゲーム(変動表示が行われているゲームのあとに実行されるゲーム)の当落結果を先読みし、該先読み結果に基づいた先読み予告が実行されていることが停止図柄の態様によって教示される(停止図柄による先読み予告の実行教示)。
「同系統図柄揃い」を具体的にいえば、同一図柄の3つ揃いとはならずに青図柄が揃った「青図柄揃い」と、同一図柄の3つ揃いとはならずに赤図柄が揃った「赤図柄揃い」と、同一図柄の3つ揃いとはならずに金図柄が揃った「金図柄揃い」とがある。このとき何れの系統の図柄揃いかによって、先読み予告において「当り」の結果が先読みされていることに対する期待度合い(先読みの当りに対する期待度)が示唆され、原則として、赤図柄揃いは青図柄揃いよりも期待度が高く、さらに金図柄揃いは赤図柄揃いよりも期待度が高いとする。
しかし、本実施形態では、第1の同系統図柄揃い(例えば青図柄揃い)で停止した場合であっても、「特別な図柄の組合せ」が成立していた場合には、第2の同系統図柄揃い(例えば赤図柄揃い)よりも先読みの当りに対する期待度が高いことを教示することができる。ここで「特別な図柄の組合せ」の具体例として、停止した3つの図柄に付された数字を合計した値が特定値(例えば10)である場合とする。ただし、本実施形態のパチンコ機1では、第1の同系統図柄揃い(青図柄揃い)の場合は合計値が上記特定値になり得る一方で、第2の同系統図柄揃い(赤図柄揃い)の場合にはいかなる組合せも合計値が特定値にならないようにされることが好ましい。このようにすることで、元来の期待度が比較的高い第2の同系統図柄揃いで合計値が特定値となってさらに高い期待度となることを避け、元来の期待度が比較的低い第1の同系統図柄揃いの場合だけ、合計値が特定値になって第2の同系統図柄揃いの期待度を逆転することに期待できる。
なお、テンパイ状態(左装飾図柄7231及び右装飾図柄7233が同じ図柄で停止)からリーチ演出を経て同系統図柄揃いが停止した場合は、同系統図柄揃いによって先読み予告が実行されていることの教示機能や、上記「特別な図柄の組合せ」の成立による期待度逆転の機能は発揮されない(停止図柄による先読み予告の教示対象外)とする。
しかし一方で、先読み予告の実行が決定されたとき、当該先読み予告の対象となっている変動表示が行われる以前に行われる変動ゲームにおいてリーチ演出が実行されるとされている場合には、先読み予告が実行されているにも拘わらず、停止図柄による先読み予告の教示対象外とされてしまうケースが考えられる。このようなケースへの対応として、リーチ演出ではずれ結果を示す際に特別な図柄を停止させるようにすることで、「停止図柄による先読み予告の教示対象外」の例外として、先読み予告が実行されていることを教示するようにしてもよい。具体的には例えば、通常のリーチ演出ではずれ結果を示す場合には、中装飾図柄7232に「7図柄/金図柄」が停止しないようにする一方で、先読み予告の実行が決定しているときのリーチ演出ではずれ結果を示す場合には、中装飾図柄7232に「7図柄/金図柄」が停止するようにする。そして中装飾図柄7232に「7図柄/金図柄」が停止した場合には、先読み予告の実行を教示するものとし、さらに所定の画像や効果音を追加出力してチャンス状態であることを示唆してもよい。また、リーチ演出のはずれ結果が同系統図柄停止で示された場合は「停止図柄による先読み予告の教示対象外」とすることは前述した通りであるが、そのような場合でも所定の画像や効果音が追加出力された場合には上記対象外の例外として、チャンス状態であると示唆するようにしてもよい。このように、停止図柄による先読み予告実行の教示に対して、対象外の例外となるパターンを設けることによって、先読み中にはずれ結果のリーチ演出が現出された場合であっても、先読みの継続によるチャンス状態が残ることに期待させることができ、遊技興趣の低下を抑制する効果に期待できる。
なお、以上の説明では、同系統の図柄が停止する同系統図柄揃いによって「停止図柄による先読み予告の実行教示」が行われるとしたが、本実施形態に係るパチンコ機1では、同一種類のリーチ演出の連続発生によって「停止図柄による先読み予告の実行教示」が行われるようにしてもよい。
また、本実施形態に係るパチンコ機1では、同一図柄によるリーチ態様の成立が連続する(例えば、「2」図柄によるリーチが連続する)ことによって「停止図柄による先読み予告の実行教示」が行われるようにしてもよい。このような「同一図柄リーチの連続による先読み予告の実行教示(すなわち、同一図柄リーチの連続による先読み演出)」を行う場合、本来であればリーチ態様を伴わない変動パターン(通常変動パターン)が選択された場合であっても、その変動パターンに対応した時間値のなかでリーチ態様が成立する(またはリーチ演出を実行する)ように図柄の変動態様を置き換えてよい。以下に具体例を示して詳述する。
例えば、10秒の変動時間でリーチ態様を伴わない変動パターンが選択された場合に、そのままの変動態様であれば、左装飾図柄が8秒(変動開始からの経過秒数を意味し、本段落では以後同様)で停止し、右装飾図柄が9秒で停止し、中装飾図柄が10秒で停止するものとする。一方、上記と同じ変動パターン(10秒で非リーチ態様)が選択された場合に、先読み演出としてリーチ態様が成立するように変動態様を置き換えるときには、まず左装飾図柄が6秒で停止し、次に右装飾図柄が7秒で停止する。この時点で左右の装飾図柄は同一図柄(例えば「2」図柄)にされ、「2」図柄によるリーチ態様が成立する。その後、リーチ態様が成立しているなかで中装飾図柄が3秒間のスロー変動を行って10秒で停止する。
パチンコ機1では、上記のような変動態様の置き換えを行うことによって、変動時間は変えることなく所定の図柄によるリーチ態様を現出させることができる。さらに、この置き換えを複数の図柄変動ゲームに亘って繰り返すこともできる。また、この「同一図柄リーチの連続による先読み演出」を行う場合、リーチ態様を成立させる図柄を変更することによって先読み演出を経た大当りへの期待度合いの高低を示唆するようにしてもよい。例えば、リーチ図柄の数字が大きいほど期待度が高いとしたり、リーチ図柄が特定の図柄(例えば、金図柄)であると期待度が高いとしたりすることができる。
[11-2.期待度昇格演出]
パチンコ機1では、遊技の進行中の任意のタイミングで、複数通りの展開結果が用意された所定の演出(後述する具体例における「蝶飛来」に相当)を表示画面内に現出し、当該所定の演出において特定の展開結果(同、「蝶捕獲」に相当)となった場合に、該特定の展開結果が得られた回数分だけ、当該特定の展開結果が得られたことを示す情報を表示画面に表示することができる(同、「蝶ストック」に相当)。そして、表示された上記情報の消化と引き換えに、上記特定の展開結果が得られた回数分だけ、有利展開への期待度を示唆する複数の期待度演出から構成される期待度演出群のうちから、より期待度の高い期待度演出(上位の期待度演出)が必ず実行される。このような一連の演出を期待度昇格演出と呼んで以下に説明する。
具体的な期待度昇格演出の実装例として、パチンコ機1では、液晶表示装置1900の表示画面内に蝶々が飛来してくる演出(蝶飛来)を実行可能とする。表示画面内に飛来してきた蝶々は、何の追加演出も発生しなければ表示画面外に飛去してしまうが、表示画面内で蝶々を捕まえる追加演出(蝶捕獲)が発生することがある。このとき、捕まえた蝶々が最大4匹まで表示画面内の所定領域にストックされる(蝶ストック)。そして蝶ストックが発生した場合、ストックされた蝶々が1匹ずつ消化され、該消化のたびに1回ずつ、有利展開への期待度を昇格させる演出が実行される。
前述したように、パチンコ機1では、有利展開(例えば大当りの当落)への異なる期待度を示唆する複数の期待度演出が含まれる「期待度演出群」が用意されており、期待度昇格演出が適用されることによって、これらの期待度演出群のなかから上位の期待度演出が実行される。
期待度演出群について補足する。具体的には、大当りの当落に関する期待度演出群の一例として、装飾図柄の擬似停止が連続して繰り返されるごとに大当りへの当落期待度が高く示唆される「擬似連演出」(擬似連の回数が多いほど当落期待度が高い)がある。蝶ストック3匹による期待度昇格演出が擬似連演出に適用されるときの演出進行例を簡単に説明すると、まず、装飾図柄の変動中にストックされた蝶々の1匹目が消化される(表示画面上で光って消える等)ことによって、擬似連演出の1回目が発生する。その後、ストックされた蝶々の2匹目が消化されることによって擬似連演出の2回目が発生し、3匹目の蝶々が消化されることによって擬似連演出は3回目まで連続する。このようにストックされた3匹の蝶々によって、擬似連演出は3段階目まで期待度合いが高められる。
また、大当りの当落に関する期待度演出群の別の一例として、リーチ演出の途中でカットインが繰り返されるごとに表示色が変化して大当りへの当落期待度が高く示唆される「カットインのステップアップ演出」(表示色が、青、黄、緑、赤のように変化し、後の色ほど当落期待度が高い)がある。蝶ストック3匹による期待度昇格演出が上記ステップアップ演出に適用されるときの演出進行例を簡単に説明すると、まず、リーチ演出中にストックされた蝶々の1匹目が消化されることによって青色のカットインが発生する。その後、2匹目の蝶々が消化されることによって黄色のカットインが発生し、3匹目の蝶々が消化されることによって緑色のカットインが発生する。なお、期待度昇格演出では、期待度合いがより高くなる演出(上位演出)が現出されればよいので、青・黄・緑のように1段階ずつ期待度を上げるのではなく、青・黄・赤のように複数段階先の上位演出が実行されてもよい。
また、上記例の他に、[11-1]で説明した「停止図柄による先読み予告(停止図柄予告演出)」も、本実施形態の期待度昇格演出を適用可能な期待度演出群の1つとすることができる。詳しく言えば、先読み予告の実行を教示する同系統図柄揃いに対して、ストックされた蝶々の消化による期待度昇格演出を行うことができる。具体的には例えば、一旦青図柄揃いが停止した後に、ストックされた蝶々の1匹が図柄に向かって飛来して青図柄揃いから赤図柄揃いに切替えるといった演出が実行されるとよい。この演出によって、青図柄揃いよりも期待度が高い赤図柄揃いによって先読み予告の実行が教示されることとなる。このような演出を実行することよって、ストックされた蝶々によって期待度を上がったことが明確に伝わるとともに、ストックした蝶々が消化されたことが分かりやすく示される。また、このように蝶ストックの消化を分かりやすく示す演出は、上記の停止図柄予告演出だけでなく、前述した擬似連演出やカットイン演出等にも適用するとよい。
また、本実施形態では期待度昇格演出によって期待度が昇格される「有利展開」は、大当りの当落に限定されるものではなく、例えば、実行中の大当り遊技が有利度の高い大当りの大当り遊技に変更されることであってもよい。このような大当りの変更に関して期待度昇格演出を適用可能な期待度演出群の具体的な一例としては、大当り遊技中に演出で敵キャラクタを倒すごとに、実行中の大当りが有利度の高い大当りに変更されるように見せる「大当り昇格演出」(ラウンド数の増加、さらには通常大当りから確変大当りへの変更によって有利度が高くなる)が考えられる。すなわち、4R通常の大当り遊技中であっても、蝶ストック3匹による期待度昇格演出が発生すると、ストックされた蝶々が1匹消化されるごとに16R通常大当り、4R確変大当り、さらには16R確変大当りへと、有利度が高い大当りに変更される。
なお、本実施形態のパチンコ機1における期待度昇格演出では、特定の展開結果(蝶捕獲)を経てストックされた蝶ストックについて、そのストック消化は当該ゲームの間に実行されることを原則とするが、全てを消化する前に一定の有利特典が付与された場合には、未消化のストック分が、少なくとも当該有利特典の付与中に消化される。具体的には例えば、図柄変動中に4匹の蝶ストックが行われ、当該ゲームにおいて3匹の蝶々が消化されて4R通常大当りが報知された場合、1匹分の蝶ストックが残った状態で4R通常大当りの大当り遊技が開始される。この大当り遊技中に残りの1匹分の蝶ストックが消化されることによって、大当り昇格演出が発生して4R通常大当りから16R通常大当りに変更されるという展開を実現することができる。
すなわち、本実施形態の期待度昇格演出では、特定の展開結果(蝶捕獲)を経て昇格ポイントがストックされ、該ストックされた昇格ポイントが消化されることによって、有利展開が約束される。したがって、本実施形態の期待度昇格演出によれば、昇格ポイントがストックされているときには、その消化が行われると遊技展開が有利になる(当落期待度が向上したり、大当り昇格が発生する)という特典が得られるために遊技興趣が高められる。
一方、本実施形態の期待度昇格演出は、ストックされた昇格ポイントが消化されずに有利な遊技展開に到達した場合には、未消化の昇格ポイントが残っている分だけ、その後の展開がさらに有利になるという特徴も有している。例えば、図柄変動中に3ポイントの昇格ポイントを得て(3匹の蝶ストック)、全ポイントを残したまま4R通常大当りの結果が得られた場合には、4R通常大当りの大当り遊技中に3回の期待度昇格演出が確約されるため、最終的には16R確変大当りという最も有利な特典を獲得することができる。このとき、遊技者は昇格ポイントの消化による演出の発生が起こらないことを祈念するようになり、何らかの演出の発生が期待される通常のゲーム性とは逆の斬新なゲーム性を創出することができる。
以上、本実施形態の期待度昇格演出によれば、遊技者は、昇格ポイントが多くストックされることを期待しながら遊技を楽しむとともに、昇格ポイントがストックされた後は、できるだけ昇格ポイントの消化が行われないうちに有利な遊技展開に到達すること(昇格ポイントの消化が遅延されること)に期待することとなり、斬新な演出効果を図ることができる。
なお、昇格ポイントの消化を適用可能な演出は、前述した擬似連演出、カットイン演出、または停止図柄予告演出に限られるものではない。他にも例えば、キャラクタによる台詞を表示する台詞演出(例えば台詞の色が、白文字、赤文字、金文字の順に期待度が高くなる)、先読みによって保留記憶の表示態様を変化させる先読み保留色演出(例えば表示態様が、白点滅、青、緑、赤、黒、天道虫の順に期待度が高くなる)、SPリーチ演出の開始時にそのタイトルを表示するSPリーチタイトル演出(例えばタイトルの色が、白文字、赤文字、金文字の順に期待度が高くなる)等、複数の表示態様の何れが表示されるかによって異なる期待度合いを示唆または教示可能な様々な演出に適用することができる。また、さらに、昇格ポイントの消化(蝶ストックが消化されること)を事前に教示する演出を追加してもよい。
[11-3.その他]
主に[9]章以降で本実施形態に係るパチンコ機1で実行可能な様々な演出について説明したが、パチンコ機1の演出におけるその他の派生例を補足する。
パチンコ機1では、保留表示の先読み予告が複数ゲームに跨って連続して実行されるとき、各ゲームで表示される画像等が一連のストーリー性を有する演出態様で現出されるようにしてよい。具体的には例えば、先読み予告の期待度合いが液晶画面の背景色で示唆され、低期待度合いから順に背景色が青、黄、緑、赤、金とされる場合に、青色の背景色が表示されたゲームの次ゲームでは、青色(期待度変化しないストーリー)か黄色(期待度上昇のストーリー)の背景色が選択されるようにする。したがって、青色の背景色が表示された次のゲームでいきなり金色の背景色が表示されるといったストーリー性を無視した演出を許容しないことによって、複数ゲームに亘って実行される先読み予告演出の各ゲームに興味を抱かせることができる。
パチンコ機1では、BGM演出による楽曲の再生時に当該楽曲の歌詞を表示する「歌詞の追加演出」を実行可能であるとし、さらに歌詞の追加演出におけるさらなる派生例として歌詞にルビを追加表示してもよいことを述べたが([9-3]参照)、このようなルビ表示は通常の図柄変動中に限られ、リーチ演出中にはルビ表示が行われないようにしてもよい。
パチンコ機1では、ステージ演出によって、BGM演出で再生されている楽曲と関連性を有するステージ映像を液晶表示装置1900の表示画面に背景表示することができるとした([9-1]参照)。このように楽曲と対応するステージ映像について補足すると、例えば5種類の楽曲に対応して5種類のステージ映像が用意されているとすれば、5種類のステージ映像のそれぞれにイメージカラーを持たせるとともに、色相的に近いイメージカラーのステージ映像が連続しないように、BGM演出による楽曲の再生順序が定められるとする。このようにすることで、BGM演出で再生される楽曲の切替に合わせてステージ映像の背景表示が切り替えられたとき、イメージカラーの印象が大きく変更されるため、遊技者に気付かせ易くすることができる。
なお、パチンコ機1において、ステージ演出の実行によって表示されるステージ映像はBGM演出によって同一順序でループ再生される楽曲に対応するため、ステージ映像の移行順序は、通常遊技状態であっても有利遊技状態(確変遊技状態、時短遊技状態)であっても変わらない。ただし、少なくとも上記有利遊技状態においては、ステージ映像が表示される表示画面(液晶表示装置1900の表示画面)のなかで、現在の遊技状態を示す表示(「確変中」、「時短中」など)を行ってよい。そして、BGM演出やステージ演出におけるこのような移行順序の固定性を利用して、当該固定性が崩れた場合、すなわちBGM演出やステージ演出で規定されている移行順序とは異なる順序で楽曲やステージ映像が変化した場合(所謂、順序崩れ)には大当りの可能性が高い、といった演出を搭載するようにしてもよい。ただし、楽曲やステージの順序崩れが発生する等して大当りの可能性が高い変動ゲームが現出されたものの大当り結果とならなかった場合には、その終了後の変動ゲームにおいて、速やかに他のパチンコ機1と同じ楽曲やステージに戻して全台同一の楽曲再生(またはステージ表示)が実行されるように制御することが望ましい。
パチンコ機1では、通常遊技状態と有利遊技状態(確変遊技状態、時短遊技状態)とで、液晶表示装置1900に表示する保留記憶の個数が異なるようにしてもよい。具体的には、通常遊技状態では第一特別乱数及び第二特別乱数を合わせて最大8個の保留記憶表示を可能とする一方で、有利遊技状態では第二特別乱数による最大4個の保留記憶表示だけを可能とする。有利遊技状態では、第二始動口2102への入球に基づいて発生する第二特別乱数を中心とした遊技が行われるため、第二特別乱数による保留記憶だけを表示することによって、その遊技性をより明確にするとともに、液晶表示装置1900の表示画面上で保留記憶表示以外に利用可能な領域を拡張することができる。有利遊技状態で第一特別乱数が発生した場合は、その保留記憶は液晶表示装置1900に表示しないまま当該第一特別乱数に基づく図柄変動ゲームが行われてもよい。ただし、当該第一特別乱数が当り結果となる場合には、液晶表示装置1900にその保留記憶を特別な表示態様で表示するようにしてもよい。
パチンコ機1では、大当り遊技中により有利度の高い大当りに昇格する大当り昇格演出を実行することができる。有利度の高い大当りへの昇格とは、例えば、大当りラウンド数の増加や、通常大当りから確変大当り(時短付き大当り)への変更等である。大当り昇格演出の一例として、大当り中(例えば所定ラウンドの開始時)に、ダイヤル操作部401の回転操作及び押圧操作部405の押圧操作が遊技者に求められ、当該押圧操作が受け付けられたときに導光板7300が発光した場合に、大当りの昇格を教示する。このような大当り昇格演出において、ダイヤル操作部401の回転操作が要求されて回転操作が行われると、液晶画面においてポイントが加減されていき、例えば回転させればさせるほどポイントが溜まりやすくしてもよい。そしてダイヤル操作部401の回転操作の指示から所定時間が経過した場合に、押圧操作部405の押圧操作が要求されて押圧操作が行われると、導光板7300が発光するか否か(大当り昇格するか否か)が示される。なお、大当り昇格するか否かは、それまでに溜まったポイントによって期待度合いが異なるようにされることが好ましく、特定値(100ポイント)まで溜まった場合には必ず有利な特典が付与される(例えば大当り昇格)ようにしてもよい。また、ダイヤル操作部401の回転操作が要求されてから上記所定時間が経過する前に押圧操作部405の押圧操作が要求されるようなパターンが用意されてもよく、このようなパターンでは大当り昇格に発展しやすくする。
なお、大当り昇格演出によって大当りの昇格が行われるか否かは、原則として実行中の大当り遊技がどの種別の大当りによるものであるか(具体的には、通常大当り、確変大当り、ラウンド数、付与時短回数)によって予め決められている。当初は実際よりも有利度合いが低い大当りであるかのように遊技者に見せて大当り遊技を進行し、その途中で大当りの昇格を行うことによって、本来の大当りに基づく大当り遊技を進行させる。ただし、このような仕組みのなかで大当り昇格が行われない場合(すなわち、実行中の大当り遊技と実際の大当り遊技とが同一種別の大当りに基づくものである場合)であっても、保留記憶されている特別乱数が大当り結果を導出する場合には、上記大当り昇格演出によって大当り昇格を行うようにしてもよい。具体的には例えば、8ラウンドの大当り遊技が行われているとき、保留記憶された変動で12ラウンドの大当りが確定している場合には、当該大当りを先読みすることによって大当り昇格演出で12ラウンドの追加が行われるような昇格結果(すなわち合計20ラウンド)を表示する。このような場合、1回の大当りの上限に規定されたラウンド数(例えば16ラウンド)を超えるラウンド数をも教示可能となり、遊技機の規定性能を超える態様で特典を付与することができる。
また、パチンコ機1では、大当り遊技中に、演奏されるBGM楽曲を遊技者が選択可能な楽曲選択機能を備えてもよい。楽曲選択機能では、大当り遊技中の液晶表示装置1900の表示画面において、複数の楽曲のうちから遊技者が選択可能な楽曲の一覧が示される等して遊技者が任意の楽曲を選択できるようにされる(選択画面表示)。なお、上記した大当り昇格演出が行われる場合でも、液晶表示装置1900の表示画面においてこのような楽曲選択機能による選択画面表示が行われる。そして、大当り昇格演出中のどの段階であっても楽曲選択の操作が可能とされる。
パチンコ機1では、液晶表示装置1900の表示画面に表示される保留記憶(当該変動の保留情報を含む)の表示態様を任意のタイミングで変更する保留変化の演出を実行可能とし、この保留変化を発生させることによって、大当りの期待度合いやリーチ演出発展への期待度合いの高低等を示唆することができる。ここでいう保留記憶の表示とは、例えば図221(A)に示した現変動情報7211、第1保留情報7221、第2保留情報7222、第3保留情報7223、または第4保留情報7224に相当する。保留変化後に示される表示態様は、色によって大当り期待度を示唆するものであったり、キャラクタ等によって現出されるリーチ演出を示唆するものであったりが考えられるが、その他にも、具体的な内容は不明確ながらも何かが発生し得ることを示唆する表示態様でもよい。ここで何かが発生し得ることを示唆する表示態様として「宝箱」が用意されるとするとき、パチンコ機1では、同一形状ながら宝箱の中身が透過された「透明な宝箱」も保留変化後の表示態様として用意されるようにしてよい。保留変化によって「宝箱」が表示された場合には何かが発生することに期待できる一方、「透明な宝箱」が表示された場合には具体的な発生内容を推測できることで、演出等の発生をより期待させることができる。また、「透明な宝箱」の表示を経て所定の演出が現出された場合は、「宝箱」の表示を経て当該所定の演出が現出された場合よりも最終的な有利結果に対する期待度合いが異なるようにしてもよい(例えば「透明な宝箱」経由のほうが高期待)。
パチンコ機1では、大当りを期待させる予告演出として複数の予告演出を用意することができ、前述した拍合わせ予告演出もその一つである。ここで、拍合わせ予告演出と非拍合わせ予告演出とを種類や数で比較したときには、非拍合わせ予告演出が実行されたときよりも拍合わせ予告演出が実行されたときの期待度合いを高いものにするため(高いものと遊技者に認識させやすくするため)に、拍合わせ予告演出よりも非拍合わせ予告演出の方が、種類または数が多くなるようにすることが好ましい。また、種類や数で差異を付けるのではなく、出現率によって差異を付けるようにしてもよく、その場合は、拍合わせ予告演出よりも非拍合わせ予告演出の出現率を高くすることが好ましい。
パチンコ機1では、拍合わせ予告演出が発生した場合には、予告の対象となる変動ゲームにおいて、比較的高期待度のSPリーチ演出に移行するようにしてもよい。またこのときに実行されるSPリーチ演出は、拍合わせ予告演出の実行時に出力されている楽曲と同一の楽曲データまたは関連性を有する楽曲データを利用したSPリーチ演出が選択されるようにしてもよい。例えば、ある楽曲について拍合わせ予告演出の実行時にサビより前の部分が出力され、その後のSPリーチ演出において当該楽曲のサビの部分が出力されるとした場合には、拍合わせ予告演出からSPリーチ演出にかけて一連の流れとして見せることができる。そしてこのような一連の流れを計画的に創出するために、BGM演出による楽曲再生のどのタイミングで拍合わせ予告演出が実行されるかによって、SPリーチ演出への発展先を決定するようにしてもよい(具体的には例えば、拍合わせ予告演出時にサビ前であれば、サビ部分を出力するSPリーチ演出に発展させる、等)。
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
すなわち、上記実施形態では、遊技機としてパチンコ機1に適用したものを示したが、これに限定するものではなく、パチスロ機や、パチンコ機とパチスロ機とを融合させてなる遊技機に、適用しても良く、この場合でも、上記と同様の作用効果を奏することができる。
1 パチンコ機
2 外枠
3 本体枠
4 遊技盤
5 扉枠
1100 遊技領域
1150 遊技パネル
1900 液晶表示装置
2000 表ユニット
2500 センター役物
2600 表右中演出ユニット
2601 支持ピン
2610 表右中可動装飾体
2620A 固定装飾体
2623 遮光部材
2623a 仕切片
2625 前カバー(カバー)
2626 演出シート(絵柄膜、スモークシート)
2626a 黒色部(絵柄膜)
2626b 青色部(絵柄膜)
2626c 赤色部(絵柄膜)
2626d 未着色部(スモークシート)
2627 拡散レンズシート
2628 保持部材
2640 表右中装飾基板(装飾基板)
4000 主基板
4010 周辺制御基板
4100 主制御基板
4100a 主制御MPU
4140 周辺制御部
4140a 周辺制御MPU
4140b 周辺制御ROM
4140e 周辺制御RAM
4150 液晶制御部
4150a 液晶制御MPU
4150c VDP
7110 大フレーム役物
7120 中フレーム役物
7130 小フレーム役物
7200 液晶画面
7300 導光板

Claims (1)

  1. 所定の始動条件の成立によって得られる情報に基づいて当落を判定し、当該当落の判定の結果に基づいて図柄の可変表示を行い、該可変表示を行った結果として当りの表示結果が導出表示されると遊技者にとって有利な特別遊技が行われる遊技機であって、
    複数回の前記図柄の可変表示を跨いで第1の演出態様を連続的に出力可能な通常演出制御手段と、
    前記図柄の可変表示中に、前記特別遊技が行われる期待を示唆する特別演出を実行可能な特別演出制御手段と、
    を備え、
    前記特別演出制御手段によって前記特別演出が実行されると複数回の前記図柄の可変表示を跨いで出力可能とされる前記第1の演出態様の出力が停止するようにされており、
    前記特別演出が実行されたにもかかわらず前記図柄の可変表示における前記当落の判定結果がはずれである場合、当該はずれの表示結果が導出表示されるより前に前記第1の演出態様の出力を再開させ、
    前記再開させた前記第1の演出態様は、前記はずれの表示結果が導出表示されたあとに移行可能な前記図柄の可変表示が行われていない第1状況および当該第1状況に移行してから所定時間が経過したときに移行する当該第1状況とは異なる第2状況のいずれにおいても出力され、
    前記第2状況において、前記第1の演出態様と該第1の演出態様とは異なる第2の演出態様とを出力することが可能とされ、前記第1の演出態様が出力されている前記第2状況において特別条件が成立すると前記第2の演出態様が出力され、
    前記第2状況において前記第2の演出態様が出力されているときに前記図柄の可変表示が開始されたとしても、当該図柄の可変表示が行われているときに前記第2の演出態様力し、さらには、当該図柄の可変表示が開始されたときに背景変化演出を行うことを可能とし、
    前記第2状況において前記第2の演出態様が出力されているときに前記図柄の可変表示が開始されたとしても、当該図柄の可変表示が行われているときに前記第2の演出態様の出力が可能とされているなかで、前記図柄の可変表示が行われていないときの音量よりも、前記図柄の可変表示が行われているときの音量の方が大きくなることを可能とする
    ことを特徴とする遊技機。
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