本発明の一実施形態に係る発光ダイオード駆動装置によれば、上述した構成に加えて、さらに前記強制消灯電圧値を、前記第一LED部及び第二LED部を構成する直列接続されたLED素子の順方向電圧を加算した第二順方向電圧よりも低い値に設定することができる。
また、本発明の他の実施形態に係る発光ダイオード駆動装置によれば、上記いずれかの構成に加えて、前記強制消灯手段の、前記強制消灯電圧値を可変とすることができる。上記構成により、強制的に消灯する消灯期間を可変とすることが可能となり、用途に応じた微調整が可能となる。
さらに、本発明の他の実施形態に係る発光ダイオード駆動装置によれば、上記いずれかの構成に加えて、さらに前記整流回路から出力される整流電圧に基づいて、高調波抑制電圧を生成するための高調波抑制電圧生成手段を備え、前記電流制御手段が、前記電流検出手段で検出された電流検出信号と、前記高調波抑制電圧生成手段で生成された高調波抑制電圧とを比較して、高調波成分を抑制するように前記第一通電制御手段及び電流制限手段をそれぞれ制御することができる。上記構成により、入力側の高調波成分と実際に得られたLED駆動電流との対比によって、出力波形を調整する制御が可能となり、効果的な高調波成分の抑制が実現できる。
さらにまた、本発明の他の実施形態に係る発光ダイオード駆動装置によれば、上記いずれかの構成に加えて、前記電流制御手段は、前記強制消灯手段で生成された強制消灯信号でもって、前記高調波抑制電圧生成手段で生成された高調波抑制電圧を無効化することができる。上記構成により、整流電圧が強制消灯電圧値を下回る区間では高調波抑制電圧を無効化することでLEDを容易に強制的に消灯させることが可能となる。
さらにまた、本発明の他の実施形態に係る発光ダイオード駆動装置によれば、上記いずれかの構成に加えて、前記電流制御手段がオペアンプを含み、前記オペアンプの一方の入力側に、前記強制消灯手段で生成された強制消灯信号と、前記高調波抑制電圧生成手段で生成された高調波抑制電圧を入力させることができる。上記構成により、オペアンプの一方の入力に強制消灯信号と高調波抑制電圧を与えることで、強制消灯信号が作用する区間では高調波抑制電圧を無効化することでLEDを容易に強制的に消灯させることが可能となる。
さらにまた、本発明の他の実施形態に係る発光ダイオード駆動装置によれば、上記いずれかの構成に加えて、前記電流制御手段が、前記整流回路で整流された整流電圧を基準電圧として、前記第一通電制御手段及び電流制限手段の動作を制御する動作制御信号を出力し、前記高調波抑制電圧生成手段で検出された整流電圧の変動と、前記電流検出手段によって検出された電流検出信号との和に基づいて、前記電流制御手段が、前記第一通電制御手段及び電流制限手段の動作を制御するよう構成できる。
さらにまた、本発明の他の実施形態に係る発光ダイオード駆動装置によれば、上記いずれかの構成に加えて、さらに、前記第二LED部と直列に接続される、前記第一LED部及び第二LED部への通電を制御する、前記電流制限手段に通電される電流をバイパスするためのLED駆動手段とを備えており、前記電流制限手段を、前記LED駆動手段と並列に接続することができる。
さらにまた、本発明の他の実施形態に係る発光ダイオード駆動装置によれば、上記いずれかの構成に加えて、前記第一通電制御手段の下流側を、前記電流検出手段と電流制限手段の間に接続することができる。
さらにまた、本発明の他の実施形態に係る発光ダイオード駆動装置によれば、上記いずれかの構成に加えて、さらに前記第一LED部及び第二LED部が発する光のピーク照度を調整するための可変抵抗器を有するピーク照度調整手段を備えることができる。上記構成により、消灯期間の制御のみならず、ピーク照度すなわち振幅側も調整可能とすることで、消灯期間を維持したまま調光を行うことが可能となる。
さらにまた、本発明の他の実施形態に係る発光ダイオード駆動装置によれば、上記いずれかの構成に加えて、さらに前記第一LED部及び第二LED部と直列に接続される、少なくとも一のLED素子を含む第三LED部と、前記第三LED部と並列で、且つ前記第一LED部及び第二LED部と直列に接続される、該第一LED部及び前記第二LED部への通電量を制御するための第二通電制御手段とを備えており、前記電流制御手段が、前記電流検出手段で検出された電流検出信号に応じて、前記第一通電制御手段、第二通電制御手段及び電流制限手段の動作を制御する動作制御信号を出力するよう構成できる。
さらにまた、本発明の他の実施形態に係る発光ダイオード駆動装置によれば、上記いずれかの構成に加えて、さらに、前記第一LED部、第二LED部及び第三LED部と直列に接続される、少なくとも一のLED素子を含む第四LED部と、前記第四LED部と並列で、且つ前記第一LED部、第二LED部及び第三LED部と直列に接続される、該第一LED部、前記第二LED部及び第三LED部への通電量を制御するための第三通電制御手段とを備えており、前記電流制御手段が、前記電流検出手段で検出された電流検出信号に応じて、前記第一通電制御手段、第二通電制御手段、第三通電制御手段及び電流制限手段の動作を制御する動作制御信号を出力するよう構成できる。
さらにまた、本発明の他の実施形態に係る発光ダイオード駆動装置によれば、上記いずれかの構成に加えて、さらに前記強制消灯電圧値を外部機器に出力し、かつ該外部機器からの該強制消灯電圧値に対する評価値を示す評価信号を受信するための通信手段を備え、前記強制消灯手段は、前記通信手段で受信した外部機器からの評価信号に基づき、前記強制消灯電圧値を調整可能に構成できる。上記構成により、外部機器での評価値に基づいて強制消灯電圧値を調整し、消灯期間の長さを用途に応じたより適切な値に微調整することが可能となる。
さらにまた、本発明の他の実施形態に係る植物栽培用照明によれば、上記何れかの発光ダイオード駆動装置を用いることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための発光ダイオード駆動装置及びこれを用いた植物栽培用照明を例示するものであって、本発明は発光ダイオード駆動装置及びこれを用いた植物栽培用照明を以下のものに特定しない。また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。また、一部の実施例、実施形態において説明された内容は、他の実施例、実施形態等に利用可能なものもある。
以下、発光ダイオード駆動装置を植物の栽培用の照明として用いる例を説明する。従来より、正弦波の交流電圧を整流して、多段に接続されたLED部に印加して点灯させる正弦波多段駆動回路を用いた照明装置が提案されている。ここで比較例として、正弦波多段駆動回路の一例を図1に示す。このような正弦波多段駆動回路では、全波整流された整流電圧は図2Aのように時間と共に周期的に変化するところ、LED部は直列接続されたLED素子の数で決まる順方向電圧以上でないと点灯しないので、整流電圧の低い区間では消灯する。この結果、図2Bに示すように交流電源の周期の半分の周期でピークの発光と消灯を繰り返すため、ちらつきが発生する。一般的な照明光としては、ちらつきの少ない均一な光が得られるような動作が求められるため、消灯期間が短くなるような機構が必要となる。例えば全波整流した整流電圧を平滑化して、順方向電圧以下に下がらないようにする等の対策が行われている。
一方、植物の栽培を人工的に行う植物工場が近年普及している。このような植物工場で用いる植物育成用の光源として、低消費電力で長寿命なLEDが利用されている。従来は、直流駆動で照射することが行われていたが、本発明者らの行った試験によれば、直流駆動のLEDと等しい平均照度で、交流電源によりピーク発光と消灯を繰り返すパルス状の点灯パターンの照明を行い、ほうれん草(植物A)と、わさび(植物B)と、かぶ(植物C)の3種類の植物の育成状況を比較したところ、図3のグラフに示すように、パルス点灯の方が有効量子収率が高いという知見が得られた。なお、図3、図4のグラフの縦軸は、クロロフィル蛍光を利用した有効量子収率φII(有効量子収率)を示す。これは光合成に光をどれだけ消費したかを数値化したもので、1が最大値となる。また、グラフの各棒の上位に、最大値と最小値の範囲をそれぞれ付記している。
一般に、植物の栽培に際しては、照明光のピーク照度を高くすることに着目されている。ピーク照度を高くするには、駆動電流を高くすることが考えられるが、その分だけ電力消費量が高くなり、電気代が増すことに加えて、発熱量も増えるため、駆動回路の発熱の影響を考慮した対策も必要となる。ここで本願発明者らは、点灯期間の内、消灯期間に着目して、消灯時間の変化が植物の育成に与える影響を詳細に調べるべく、かぶ(植物C)に対して消灯時間を長くする試験を行った。ここで、交流電源を用いたパルス点灯において、60Hz、100V交流の商用電源で、LEDを四段に等分して直列接続したLEDの全体の順方向電圧Vf_allを120V程度として点灯する場合を考えると、交流電源の一周期1/60s≒16msを全波整流した一周期が8msとなり、この内、約7ms点灯し、約1msの消灯期間が生じる。これに対して、消灯期間をこの4倍の4ms(点灯期間4ms)に長くするように調整した点灯パターン(図2Cに相当)で試験を行った。この結果を、図4のグラフに示す。このグラフでは比較のため、直流駆動のデータも付記している。このグラフから明らかなとおり、消灯期間を図2Bの状態から図2Cに示すように長くすることで、常識的には光量の積分値が低下する分、植物の有効量子量が減少すると予想されるところ、逆に有効量子収率が高くなることが判った。また、消灯期間を長くすることは、LEDの発熱量や消費電力の観点からも好ましい。
このように本発明者らの行った試験によれば、この消灯期間の長さが、植物の光合成に関係する有効量子収率に影響する。よって植物の育成に影響するという知見が得られた。この消灯期間は、植物の品種の違いや、ピークの照度によっても最適な時間が変化すると思われる。したがって本実施形態においては、上記知見に基づき、LED駆動装置に消灯期間を調整可能な機能を追加することで、植物栽培用として好適な光源を提供するものである。具体的には、強制消灯回路を追加することで、消灯期間の長さを、育成対象の植物の種類に応じて、あるいは同じ種類の植物であっても育成の季節や平均気温などの環境に応じて調整可能とすることで、より適切な光を植物に供給することが可能となる。
交流駆動の多段回路で、消灯期間を調整する方法として、以下の2つが挙げられる。
1.点灯開始のタイミングを調整する。例えば、LEDの全体の順方向電圧Vfを調整し、点灯開始電圧を設定する。
2.消灯開始のタイミングを調整する。例えば、AC電圧を検出し、設定された電圧以上の期間のみ点灯させる。
この内、前者の方法によれば、各LEDのVfを調整できないことから、LEDを直列接続する個数を調整することとなって、回路が複雑になる。またLEDの使用数が変わると、照度も変化し、所望の設計値を得ることの制約となる。そこで本実施形態では、後者の方法を採用した。具体的には、AC電圧を整流した整流電圧を検出し、設定された電圧以上の期間のみ点灯させる方式を採用している。
(実施形態1)
図5に、本発明の実施形態1に係る発光ダイオード駆動装置100の回路図を示す。この図に示す発光ダイオード駆動装置100は、整流回路2と、LED集合体10と、第一通電制御手段21と、電流制限手段3と、電流検出手段4と、電流制御手段30と、強制消灯手段8を備える。この発光ダイオード駆動装置100は、交流電源APに接続されて、整流回路2で交流電圧を整流した整流電圧を得る。また整流回路2の出力側において、第一LED部11と第二LED部12で構成されたLED集合体10を、出力ラインOL上で直列に接続している。出力ラインOLには、LED集合体10と、電流制限手段3と、電流検出手段4とを直列に接続している。
(整流回路2)
整流回路2は、交流電源APに接続される。この整流回路2は、交流電源APから供給される交流電圧を全波整流して整流電圧を得るための部材である。整流回路2は、ダイオードブリッジが好適に利用できる。ダイオードブリッジで構成される整流回路2を通過させて整流することで、交流電圧は整流された整流電圧が得られる。一般の照明装置では、ちらつきを低減するためこの整流電圧を平滑化する平滑手段として、平滑コンデンサ等を用いる。なお植物栽培用照明においては、一般照明のようなちらつきの低減を求められないことから、このような平滑コンデンサを使用しない構成としてもよい。特に平滑コンデンサとして一般的な電解コンデンサは大容量である反面、電解液の減少などに起因する経時劣化が生じ、寿命がある。よって、電解コンデンサを発光ダイオード駆動装置から排除することで、電解コンデンサの寿命でもって発光ダイオード駆動装置の寿命が決定されるような事態を回避でき、長期間に亘って安定的に使用可能な信頼性の高い発光ダイオード駆動装置が実現される。
(LED集合体10)
LED集合体10は、第一LED部11と、第二LED部12で構成される。第一LED部11は、整流回路2の出力側と直列に接続される。また第二LED部12は、第一LED部11と直列に接続される。これら第一LED部11、第二LED部12等の各LED部は、一以上のLED素子を直列及び/又は並列に接続している。LED素子は、表面実装型(SMD)や砲弾型のLEDが適宜利用できる。またSMDタイプのLED素子のパッケージは、用途に応じて外形を選択でき、平面視が矩形状のタイプ等が利用できる。さらに、複数のLED素子を共通のパッケージ内で直列及び/又は並列に接続したLEDをLED部として使用することも可能であることは言うまでもない。
また第一LED部11は、複数の第一LED分割部に分割することもできる。例えば第一LED部11を、第一LED分割部と、第二LED分割部とに二分割する。第一LED分割部と第二LED分割部とは、互いに直列に接続されている。なお、第一LED分割部と第二LED分割部との間に、第二LED部12を接続してもよい。このようにすることで、長時間点灯される第一LED部11を分散して配置し、LED集合体10の光分布を均一に近付けることができる。特に長時間点灯する第一LED部11は、点滅する第二LED部12に比べて駆動時間が長い分、発熱量が多くなる。このため、発熱量の大きい第一LED部11を分割して配置することにより、放熱性の点でも有利となる。
第一LED部11に含まれるLED素子の順方向電圧の加算値である第一順方向電圧Vf1は、直列接続されたLED素子の個数によって決まる。例えば順方向電圧3.6VのLED素子を10個使用する場合の第一順方向電圧は、3.6×10=36.0Vとなる。また第一LED部11と第二LED部12を共に点灯させるための第二順方向電圧Vf2は、この第一順方向電圧Vf1にさらに、第二LED部12に含まれる直列接続されたLED素子の順方向電圧を加えた値となる。
(第一通電制御手段21)
第一通電制御手段21は、第一LED部11への通電量を制御するための部材である。この第一通電制御手段21は、第二LED部12と並列で、且つ第一LED部11と直列に接続される。また第一通電制御手段21は、一端を第一LED部11の下流側と直列に接続し、他端を電流制限手段3の上流側と接続している。この第一通電制御手段21は、第一LED部11への通電量を調整するバイパス経路を構成する。すなわち、第一通電制御手段21によってバイパスされる電流量を調整できるので、結果的に第一LED部11の通電量を制御できる。図5の例では、第二LED部12と並列に第一通電制御手段21が接続され、第一バイパス経路BP1を形成する。なおここでいう並列接続とは、各LED部の両端と各通電制御手段が接続されていることを要さず、各通電制御手段の一端が各LED部の一端と接続されており、電流が分岐されるように構成されていれば足りる。例えば図5の例では、第一通電制御手段21はその一端を第二LED部12の上流側と接続し、他端を出力ラインOL上で、電流制限手段3の上流側と接続している。このように各通電制御手段の並列接続とは、出力ラインOL上に接続された各LED部の電流を分岐させるような接続形態を指す意味で使用する。
第一通電制御手段21は、例えば第一LED部11を流れる電流をバイパスさせるバイパス手段と、このバイパス手段の動作を制御する電流制御手段30とで構成できる。通電制御手段は、LED部の電流駆動を行う電流回路の制御用の部材である。例えば、第一通電制御手段21と、この第一通電制御手段21の動作、すなわちON/OFFや電流量連続可変といった動作を制御する電流制限手段3とで、一種の定電流回路が構成される。この定電流回路の制御は、例えば出力ラインOLに接続された電流検出手段4を用いてLED集合体10の電流量をモニタし、この値に基づいて電流制御手段30がバイパス手段の制御量を切り替える。なお、このように第一通電制御手段21を、バイパス手段と電流制御手段30とで構成する他、一体的に第一通電制御手段として構成してもよい。このような第一通電制御手段21は、トランジスタ等の半導体駆動素子で構成できる。
(電流制限手段3)
電流制限手段3は、第一LED部11及び第二LED部12と直列に接続され、第一LED部11及び第二LED部12への通電量を制御するための部材である。
(電流検出手段4)
電流検出手段4は、第一LED部11及び第二LED部12が直列に接続される出力ラインOL上を流れる電流量に基づく電流検出信号を検出するための部材である。発光ダイオード駆動装置100は、電流検出手段4で検出した電流値に基づいて、各LED部に対する通電量の制御を行う。いいかえると、整流電圧の電圧値でなく、現実に通電される電流量に基づいた電流制御であるため、LED素子の順方向電圧のばらつきに左右されず、適切なタイミングで正確なLED部の切り替えが実現され、信頼性の高い安定した動作が見込まれる。この電流値の検出を、電流検出手段4が担う。電流検出手段4には、抵抗器等が好適に利用できる。なお図5の例では、電流検出手段4は電流制限手段3の下流側に接続されているが、この位置に限らず、電流検出手段4は出力ラインOL上のどの位置に設けてもよい。さらに、電流検出手段4は一に限らず、複数設けてもよい。
(電流制御手段30)
電流制御手段30は、電流検出手段4によって検出された電流検出信号に応じて、第一通電制御手段21及び電流制限手段3の動作を制御する動作制御信号を出力するための部材である。この電流制御手段30は、整流回路2で整流された整流電圧を基準電圧として、第一通電制御手段21及び電流制限手段3の動作を制御する動作制御信号を出力する。また第一通電制御手段21の下流側は、電流検出手段4と電流制限手段3の間に接続されている。
(強制消灯手段8)
強制消灯手段8は、整流回路2で整流された整流電圧の電圧値が、第一LED部11を点灯可能とする第一順方向電圧よりも高い値に設定された強制消灯電圧値Voffを下回る期間で、第一LED部11及び第二LED部12を強制的に消灯するよう電流制御手段30を動作させる強制消灯信号を生成するための部材である。これにより、整流電圧が点灯可能な第一順方向電圧を越えており、本来的に点灯可能な期間であるにも拘わらず、敢えて強制的に消灯させることが可能となる。この結果、消灯期間に意義のある特定の用途、例えば植物育成などに適した光源を実現できる。特に、直流駆動の発光ダイオードを交流電圧で駆動する際に発生する消灯期間を逆に活用することで、一般照明としては照明の品質が低くなるところを、逆に有効利用することが可能となる。
また強制消灯手段8は、強制消灯電圧値Voffを可変とすることができる。これにより、強制的に消灯する消灯期間の長さを可変とでき、用途に応じた微調整が可能となる。例えば植物育成においては、育成対象の植物の種類や、同じ植物でも育成環境や育成地、個体差に応じた微調整が可能となり、収率の改善や育成の促進、疫病への耐性向上等が図られる。特に、比較的簡易な強制消灯手段8を付加するのみで足りるため、安価で簡便に消灯期間の調整機能を付加できる。
(実施形態2)
また発光ダイオード駆動装置は、高調波抑制電圧生成手段6を備えることもできる。発光ダイオード駆動装置を高調波電流規格に適合させるためには、白熱電球と同様に正弦波の電流波形になるよう設計することが望まれる。そこで、電流制限手段3の基準電圧に正弦波を重畳させることで、LED駆動電流波形を正弦波に近似した波形とし、25W超の高調波電流規格に適合させた安価でコンパクトな発光ダイオード駆動装置を提供できる。このような例を実施形態2に係る発光ダイオード駆動装置200として、図6に示す。この図に示す発光ダイオード駆動装置200は、実施形態1の構成に加えて、さらに高調波抑制電圧生成手段6を備えている。
(高調波抑制電圧生成手段6)
電流制御手段30は、高調波抑制電圧生成手段6と接続される。高調波抑制電圧生成手段6は、整流回路2から出力される整流電圧に基づいて、高調波抑制電圧を生成する。ここでは、高調波抑制電圧生成手段6は、整流回路2で整流された整流電圧を適当な大きさに圧縮し、電流制御手段30に送出する。電流制御手段30は、高調波抑制電圧生成手段6から送られた信号を参照信号とし、電流検出手段4で検出された電流検出信号と比較する。電流制御手段30はこの比較結果を基に、それぞれの第一通電制御手段21~第四通電制御手段24を介して適切なタイミングと電流で、それぞれのLED部を駆動する。これにより、入力側の高調波成分と実際に得られたLED駆動電流との対比によって、出力波形を調整する制御が可能となり、効果的な高調波成分の抑制が実現できる。
また電流制御手段30は、強制消灯手段8で生成された強制消灯信号でもって、高調波抑制電圧生成手段6で生成された高調波抑制電圧を無効化する。これにより、整流電圧が強制消灯電圧値Voffを下回る区間では高調波抑制電圧を無効化することでLED集合体10を強制的に消灯させることが容易となる。特に、高調波抑制電圧生成手段6が備える回路の一部、例えば整流した整流電圧の分圧回路などを利用して、強制消灯手段8を構成できるので、強制消灯手段8の回路構成を簡素化し、また一部の回路を共通化して、発光ダイオード駆動装置全体での部品点数の削減や回路構成の簡素化、低コスト化などを図ることができる。
(実施形態1の動作例)
次に、図5に示す実施形態1に係る発光ダイオード駆動装置100の動作例を説明する。ここでは、第一LED部11を点灯させるため第一LED部11を構成するLED素子の順方向電圧を加算した第一順方向電圧Vf1よりも高い値に、強制消灯電圧値Voffを予め設定しておく。第一LED部11及び第二LED部12を点灯させるための第二順方向電圧Vf2が、強制消灯電圧値Voffよりも高い値となるように設計してもよい。
整流電圧が0Vから徐々に上昇し、第一順方向電圧Vf1よりも高くなり本来であれば第一LED部が点灯される区間となっても、整流電圧が強制消灯電圧値Voffに至るまでは、第一LED部11は(及び第二LED部12も共に)、消灯状態とされる。具体的には、第一LED部11及び第二LED部12をONしないように、電流制御手段30が第一通電制御手段21及び電流制限手段3をONさせないよう、強制消灯手段8が制御している。
次に整流電圧が強制消灯電圧値Voffを越えると、強制消灯手段8による制限が解除され、第一LED部11の点灯が開始される。整流電圧が第二順方向電圧Vf2よりも低い区間は、第一通電制御手段21でもって第一LED部11の通電が制御される。このとき、第一LED部11のみが点灯し、第二LED部12は消灯された状態となる。
整流電圧がさらに上昇して、第二順方向電圧Vf2に達した時点で、第二LED部12への通電が開始される。整流電圧が第二順方向電圧Vf2以上の区間では、第一LED部11及び第二LED部12が共に点灯され、電流制限手段3でもって第二LED部12の通電が制御される。
一方、整流電圧がピークを越えて低下し始めると、第二順方向電圧Vf2に達した時点で、第二LED部12への通電が停止されて消灯される。整流電圧が第二順方向電圧Vf2以下の区間では、第二LED部12は消灯され、第一LED部11のみが第一通電制御手段21でもって点灯される。
そして強制消灯電圧値Voffに至った時点で、強制消灯手段8による強制消灯制御が開始され、第一LED部11及び第二LED部12が共に消灯状態とされる。
さらに整流電圧が0Vに至った後、再度上昇し始めると、整流電圧が強制消灯電圧値Voffに至るまでは強制消灯手段8による強制消灯制御が維持されて第一LED部11及び第二LED部12が共に消灯され、強制消灯電圧値Voffに至ると、上述の通り第一LED部11の点灯が共用され、同様の動作が繰り返される。
(実施形態3)
以上の図5の例では、LED集合体10を構成するLED部を2つ使用して、第一LED部11、第二LED部12を直列に接続した回路構成例を説明した。ただ本発明は、LED部の段数を2個に限定せず、3個以上とすることもできる。このような例を、図7、図8に基づいて説明する。なおこれらの図において、図5と同じ部材については同じ符号を付して詳細説明を適宜省略する。
図7に示す実施形態3に係る発光ダイオード駆動装置300は、さらに第三LED部13と、第二通電制御手段22を備える。第三LED部13は、第一LED部11及び第二LED部12と直列に接続される。この第三LED部13も、第一LED部11や第二LED部12と同様、少なくとも一のLED素子を含む。
第二通電制御手段22は、第一LED部11及び第二LED部12への通電量を制御するための部材である。この第三LED部13と並列で、且つ第一LED部11及び第二LED部12と直列に接続されている。電流制御手段30が、電流検出手段4で検出された電流検出信号に応じて、第一通電制御手段21、第二通電制御手段22及び電流制限手段3の動作を制御する動作制御信号を出力するよう構成される。
(実施形態4)
また図8に示す実施形態4に係る発光ダイオード駆動装置400は、第三LED部13、第二通電制御手段22に加えてさらに、第四LED部14と、第三通電制御手段23を備える。第四LED部14も、第一LED部11、第二LED部12及び第三LED部13と直列に接続される。この第四LED部14も、第一LED部11等と同様、少なくとも一のLED素子を含む。第一LED部11~第四LED部14は、同じ個数のLED素子とすることが好ましい。ただ、上述の通り強制消灯電圧値Voffは、Vf1<Voff、さらにはVf1<Vf2とすることが好ましいことから、このような条件を満たすように、特に第一LED部11と第二LED部12とでLED素子の数を適宜調整して、異なる数としてもよい。
第三通電制御手段23は、第四LED部14と並列で、且つ第一LED部11、第二LED部12及び第三LED部13と直列に接続される。この第三通電制御手段23は、第一LED部11、第二LED部12及び第三LED部13への通電量を制御する。電流制御手段30が、電流検出手段4で検出された電流検出信号に応じて、第一通電制御手段21、第二通電制御手段22、第三通電制御手段23及び電流制限手段3の動作を制御する動作制御信号を出力するよう構成される。
また第二LED部12、第三LED部13、第四LED部14には、各々一端に通電量を制御するための第一通電制御手段21、第二通電制御手段22、第三通電制御手段23が接続される。第一通電制御手段21、第二通電制御手段22、第三通電制御手段23は、それぞれLED部に対して並列に設けられ、他端を電流検出手段4の上流側と接続しており、各LED部への通電量を調整するバイパス経路を構成する。すなわち、第一通電制御手段21、第二通電制御手段22、第三通電制御手段23によってバイパスされる電流量を調整できるので、結果的に各LED部の通電量を制御できる。図8の例では、第二LED部12と並列に第一通電制御手段21が接続され、第一バイパス経路BP1を形成する。また第三LED部13と並列に第二通電制御手段22が接続され、第二バイパス経路BP2を形成する。さらに第四LED部14と並列に第三通電制御手段23が接続され、第三バイパス経路BP3を形成する。
(電流制御回路)
またLED部の電流駆動を行う電流回路の制御用に電流制御回路が設けられる。図8の回路例では、第一通電制御手段21、第二通電制御手段22、第三通電制御手段23、第四通電制御手段24と、電流制御手段30、電流制御信号付与手段5とで、一種の定電流回路が構成されており、この電流回路の制御は電流制御手段30と電流制御信号付与手段5とで行われる。
電流制御手段30は、電流制御信号付与手段5を介して第一通電制御手段21、第二通電制御手段22、第三通電制御手段23、第四通電制御手段24と接続されている。この電流制御手段30は、第一通電制御手段21、第二通電制御手段22、第三通電制御手段23、第四通電制御手段24のON/OFFや電流量連続可変といった動作を制御する。電流制御手段30は、電流検出手段4に接続されてLED集合体10の電流量をモニタし、その値に基づいて第一通電制御手段21、第二通電制御手段22、第三通電制御手段23、第四通電制御手段24の制御量を切り替える。
図8の例では、電流制御手段30が第一LED部11の通電量に基づいて、第一通電制御手段21による第一LED部11への通電制限量を制御する。具体的には、第一通電制御手段21及び第二通電制御手段22、第三通電制御手段23、第四通電制御手段24がONの状態で、通電量に応じて、第一通電制御手段21は第一LED部11を電流駆動する。その後入力電圧が上昇して、第一LED部11と第二LED部12を共に駆動できる電圧に達すると、第二LED部12に電流が流れ始め、さらにその電流値が一定量を超えると、第一通電制御手段21はOFFとなる。さらに電流制御手段30が第一LED部11及び第二LED部12の通電量に基づいて、第二通電制御手段22による第一LED部11及び第二LED部12への通電制限量を制御する。具体的には、通電量に応じて第二通電制御手段22は第一LED部11と第二LED部12を電流駆動する。その後入力電圧が上昇して、第一LED部11と第二LED部12と第三LED部13とを共に駆動できる電圧に達すると、第三LED部13に電流が流れ始め、さらにその電流値が一定量を超えると、第二通電制御手段22はOFFとなる。
さらに電流制御手段30が第一LED部11、第二LED部12、第三LED部13の通電量に基づいて、第三通電制御手段23による第一LED部11、第二LED部12、第三LED部13への通電制限量を制御する。具体的には、通電量に応じて第三通電制御手段23は第一LED部11と第二LED部12と第三LED部13とを電流駆動する。その後入力電圧が上昇して、第一LED部11と第二LED部12と第三LED部13と第四LED部14を共に駆動できる電圧に達すると、第四LED部14に電流が流れ始め、さらにその電流値が一定量を超えると、第三通電制御手段23はOFFとなる。最後に第四通電制御手段24及び電流制御手段30は、第一LED部11、第二LED部12、第三LED部13、第四LED部14を通電量に応じて電流駆動させる。
以上のように発光ダイオード駆動装置400は、家庭用電源等の交流電源APを用いて、その交流を整流した後に得られる周期的に変化する脈流電圧に合わせて、直列に配置されたLED素子を適切な個数だけ点灯させるように構成した複数のバイパス回路を備えており、各バイパス回路を各々適切に動作させるように電流制御手段30を動作させることができる。
この発光ダイオード駆動装置400は、電流値の上昇に伴って第一LED部11、第二LED部12、第三LED部13、第四LED部14を順次通電させる。特に各LED部への通電量を電流制御によって制限することで、電流量に応じてLED部の通電量の制御を行うことができ、脈流電圧に対して効率よくLEDを点灯駆動できる。
さらに図8の例では、第四通電制御手段24と並列にLED駆動手段3’が接続されており、第四通電制御手段24に流れる電流の一部をLED駆動手段3’で分岐させることによってLED駆動手段3’が第四通電制御手段24の負荷を低減している。
(実施形態5)
(通信手段9)
さらに発光ダイオード駆動装置は、通信手段9を設けてもよい。このような例を実施形態5に係る発光ダイオード駆動装置500として、図9に示す。この通信手段9は、強制消灯電圧値Voffを外部機器に出力し、かつこの外部機器からの強制消灯電圧値Voffに対する評価値を示す評価信号を受信する。強制消灯手段8は、通信手段9で受信した外部機器からの評価信号に基づき、強制消灯電圧値Voffを調整する。これにより、外部機器での評価値に基づいて強制消灯電圧値Voffを調整し、消灯期間の長さを用途に応じたより適切な値に微調整することが可能となる。
(実施形態6)
(光量パターン調整)
また本発明の実施形態6に係る発光ダイオード駆動装置によれば、LED部の光量が時間変化するパターンを調整することもできる。比較例に係る発光ダイオード駆動装置1000によるLED部の光量を、図10Aに示すように、OFF状態からON状態に切り替わる際、急峻に光量が上がるように設計した。一方、実施形態6に係る発光ダイオード駆動装置では、図10Bに示すように、立ち上がりの光量は、最大光量よりも低い初期値まで急峻に上昇した後、曲線状あるいは円弧状に最大光量に至った後、同様のカーブで初期値と同じ光量にまで徐々に低下した後、急峻にOFFとなるように設計した。本発明者らが植物育成用光源としてこれらの光源を用いて比較試験を行った結果、図10Bのような光量パターンを採用することで、植物が疾病(特にチップバーン)になり難い傾向があることが判明した。その機序は明確でないものの、点灯と消灯を繰り返す点灯パターンにおいても、点灯と消灯の切り替えを急峻な変化でなく光量変化を緩やかにしたことで、負荷を軽減して植物の免疫力を高めることに資するものと推察される。
<実施例1>
次に、実施形態4に係る発光ダイオード駆動装置400の具体的な回路構成の例を、実施例1として図11の回路図に示す。この図に示す発光ダイオード駆動装置400’は、交流電源APに接続された整流回路2としてダイオードブリッジを用いている。また交流電源APと整流回路2との間には、過電流阻止のためのヒューズFSが設けられる。さらに整流回路2の出力側には、バイパスコンデンサBCが接続される。なお交流電源APと整流回路2との間には、図示しないが保護抵抗やサージ防護回路を設けてもよい。
(交流電源AP)
交流電源APは、100Vや200Vの商用電源が好適に利用できる。この商用電源の100V又は200Vは実効値であり、整流された整流波形の最大電圧は約141V又は282Vとなる。
(LED集合体10)
LED集合体10を構成する各LED部は、相互に直列に接続すると共に、複数のブロックに分け、ブロック同士の境界からは端子を引き出して、第一通電制御手段21、第二通電制御手段22、第三通電制御手段23、第四通電制御手段24と接続している。図11の例では、第一LED部11、第二LED部12、第三LED部13、第四LED部14の4つのグループでLED集合体10を構成している。
図11に示す各LED部11~14は、一のLEDシンボルが複数のLEDチップを実装したLEDパッケージ1を表している。この例では、各LEDパッケージ1は、10個のLEDチップを実装している。各LED部の発光ダイオード接続数、あるいはLED部の接続数は、順方向電圧の加算値、すなわち直列接続されたLED素子の総数と、使用する電源電圧とで決定される。例えば商用電源を使用する場合は、各LED部のVfの合計である合計順方向電圧Vfallが、141V程度、又はそれ以下となるように設定される。
なおLED部は、一以上の任意の数のLED素子を備えている。LED素子は、一個のLEDチップや、複数個のLEDチップを一パッケージに纏めたものを利用できる。この例では、図示する一のLED素子として、それぞれ10個のLEDチップを含むLEDパッケージ1を使用している。
また図11の例では、4つのLED部のVfを同一となるように設計している。ただこの例に限られず、上述の通りLED部数を3以下、あるいは5以上としてもよい。LED部数を増やすことで、電流制御の数を増やしてより細かなLED部間の点灯切り替え制御が可能となる。さらに各LED部のVfは同一としなくとも良い。
(第一通電制御手段21~第四通電制御手段24)
第一通電制御手段21、第二通電制御手段22、第三通電制御手段23、第四通電制御手段24は、各LED部に対応して、電流駆動するための部材である。このような第一通電制御手段21~第四通電制御手段24としては、トランジスタ等のスイッチング素子で構成される。特にFETは、ソース-ドレイン間飽和電圧がほぼゼロであるため、LED部への通電量を阻害することがなく好ましい。ただ、第一通電制御手段21~第四通電制御手段24はFETに限定されるものでなく、バイポーラトランジスタ等でも構成できることはいうまでもない。
図11の例では、第一通電制御手段21~第四通電制御手段24として、LED電流制御トランジスタを利用している。具体的には、第二LED部12、第三LED部13、第四LED部14、LED駆動手段3’には、それぞれ第一通電制御手段21~第四通電制御手段24である第一LED電流制御トランジスタ21B、第二LED電流制御トランジスタ22B、第三LED電流制御トランジスタ23Bが接続される。各LED電流制御トランジスタは、その前段のLED部の電流量に応じて、ON状態や電流制御が切り替わる。LED電流制御トランジスタがOFFになると、バイパス経路に電流が流れなくなって、LED部に通電される。すなわち、各第一通電制御手段21~第四通電制御手段24によってバイパスされる電流量を調整できるので、結果的に各LED部の通電量を制御できることになる。図11の例では、第二LED部12と並列に第一通電制御手段21が接続され、第一バイパス経路BP1を形成する。また第三LED部13と並列に第二通電制御手段22が接続され、第二バイパス経路BP2を形成する。さらに第四LED部14と並列に第三通電制御手段23が接続され、第三バイパス経路BP3を形成する。さらにまた第四LED電流制御トランジスタ24BがLED駆動手段3’と並列に接続され、第四バイパス経路BP4を形成し、第一LED部11、第二LED部12、第三LED部13及び第四LED部14への通電量を制御する。
(逆流防止ダイオード)
また各バイパス経路には、逆流防止ダイオードが設けられている。具体的には、第一バイパス経路BP1には第一逆流防止ダイオード121が、第二バイパス経路BP2には第二逆流防止ダイオード122が、第三バイパス経路BP3には第三逆流防止ダイオード123が、第四バイパス経路BP4には第四逆流防止ダイオード124が、それぞれ設けられる。
ここで第一LED部11は、並列に接続されたバイパス経路や通電制御手段を設けていない。第二LED部12と並列に接続された第一通電制御手段21が、第一LED部11の電流量を制御するからである。また第四LED部14については、第四LED電流制御トランジスタ24Bが電流制御を行う。
図11の発光ダイオード駆動装置400’は、LED駆動手段3’として抵抗器を備えている。抵抗器は、電流制限手段3と並列に接続され、また第四LED部14と直列に接続されている。なお図11の例では、電流制限手段3を第四LED電流制御トランジスタ24Bと兼用している。並列接続された電流制限手段3である第四LED電流制御トランジスタ24Bと、LED駆動手段3’である抵抗器とで、LED駆動回路を構成し、第一LED部11~第四LED部14への通電を制御する。図11の例では、第四通電制御手段24である第四LED電流制御トランジスタ24Bと並列にLED駆動回路として抵抗器を接続することで、電流量が大きくなる際に第四通電制御手段24に通電される電流を抵抗器にバイパスして、第四通電制御手段24への負荷を軽減するよう構成している。ただ、第四通電制御手段24に十分な電流耐性を持たせた場合は、LED駆動回路を省略してもよい。
(電流制御手段30B)
電流制御手段30Bは、各LED部と対応する第一通電制御手段21~第四通電制御手段24が、適切なタイミングで電流駆動を行うよう制御する部材である。この電流制御手段30Bは、整流回路2で整流された整流電圧を基準電圧として、通電制御手段の動作を制御する動作制御信号を出力する。これにより、電流検出手段4で検出する出力ラインOL上の電流量を、整流電圧と比例した値に制御できる。この結果、回路全体の入力電流は交流入力電圧に比例した波形となり、高調波の抑制が可能となる。
図11の電流制御手段30Bにも、トランジスタ等のスイッチング素子が利用できる。特にバイポーラトランジスタは、電流量の検出に好適に利用できる。この例では電流制御手段30Bを、オペアンプ30Bで構成している。なお電流制御手段は、オペアンプに限定されるものでなく、コンパレータ、バイポーラトランジスタ、MOSFET等でも構成可能であるのはいうまでもない。
図11の例では、電流制御手段30Bは、各LED電流制御トランジスタ21B~24Bの動作を制御する。すなわち、各電流検出オペアンプが通電量の制御を行うことで、LED電流制御トランジスタをOFF/電流制御/ONにそれぞれ切り替える。
オペアンプで構成される図11の電流制御手段30Bは、このオペアンプの一方の入力である非反転入力端子に、強制消灯手段8で生成された強制消灯信号と、高調波抑制電圧生成手段6で生成された高調波抑制電圧を入力させている。また反転入力端子には、電流検出手段4から、出力ラインOL上を流れる電流量に基づく電流検出信号を入力している。この電流制御手段30Bは、高調波抑制電圧生成手段6で検出された整流電圧の変動と、電流検出手段4によって検出された電流検出信号との和に基づいて、電流制御手段30Bが、第一通電制御手段21及び電流制限手段3の動作を制御する。
このように、オペアンプの一方の入力に強制消灯信号と高調波抑制電圧を与えることで、強制消灯信号が作用する区間では高調波抑制電圧を無効化することでLEDを容易に強制的に消灯させることが可能となる。この電流制御手段30Bは、出力を指示する信号を0Vに落とすことで、無効化する回路動作となっている。
(電流検出手段4)
電流検出手段4は、LED部を直列接続したLED集合体10に通電される電流を電圧降下等により検出するための部材である。電流検出手段4で電流検出を行うことで、LED集合体10を構成する各LED部の電流駆動を行う。またこの電流検出手段4は、LEDの保護抵抗としても機能する。さらに電流検出手段4で検出された電流検出信号に基づいて電流駆動を行うため、電流検出手段4は、電流回路の制御を行う電流制御手段30Bであるオペアンプ30Bと接続されている。この回路例では、第一通電制御手段21、第二通電制御手段22、第三通電制御手段23、第四通電制御手段24と電流制御手段30Bで、一種の定電流回路が構成される。
(電流制御信号付与手段5)
さらに電流制御手段30Bと各通電制御手段との間には、電流制御信号付与手段5が介在されている。例えば第一通電制御手段21に付与する動作制御信号と第四通電制御手段24に付与する動作制御信号間には電位差が生じるので、電流制御信号付与手段5を設けることで第一通電制御手段21と第四通電制御手段24の動作の切り替えを確実に行うことが可能となる。各電流制御信号付与手段5は、各LED電流制御トランジスタのON/OFFをどの電流のタイミングで行うかを規定する。ここでは、入力電圧の上昇に伴い、第一~第四LED電流制御トランジスタ21B~24Bの順でOFFされるよう、各電流制御信号付与手段5として電流制御信号付与ツェナーダイオード5E、5F、5Gが設定、配置されている。なお図11の例では、電流制御信号付与手段5をツェナーダイオードで構成しているが、抵抗器、ダイオード等で構成することもできる。
図11の回路例では、整流回路2で整流された入力電圧の上昇に伴い、第一LED部11から第二LED部12、第三LED部13、第四LED部14への順で、通電量の制御を行うことができる。また入力電圧の下降時には、逆の順序でLEDが消灯される。
(高調波抑制信号生成回路)
一方図11の回路例では、電流制御手段30Bをオペアンプ30Bで構成しており、このオペアンプ30Bは、高調波抑制電圧生成手段6により制御される。高調波抑制電圧生成手段6は、高調波抑制信号生成回路で構成される。高調波抑制信号生成回路は、高調波抑制信号生成抵抗60、61と、高調波抑制信号生成抵抗61と並列に接続された高調波抑制信号生成コンデンサ62で構成される。この高調波抑制信号生成回路は、整流回路2で整流された整流電圧を分圧する。いいかえると、整流電圧を適当な大きさに圧縮する。また電流制御手段30Bであるオペアンプ30Bの非反転入力端子には、高調波抑制信号生成回路で圧縮された正弦波である高調波抑制信号が入力される。
(強制消灯回路8B)
さらに図11の発光ダイオード駆動装置400’は、強制消灯手段8として強制消灯回路8Bを備えている。強制消灯回路8Bは、整流回路2の出力側と電流制御手段30Bであるオペアンプ30Bの非反転入力端子との間で、高調波抑制信号生成回路と並列に接続される。この強制消灯回路8Bは、可変抵抗器と、複数のツェナーダイオードと、複数の抵抗器と、複数のトランジスタで構成される。トランジスタは、第一強制消灯トランジスタと第二強制消灯トランジスタを含み、ここでは第一強制消灯FET81、第二強制消灯FET82で構成される。第一強制消灯FET81のドレイン側は、第一ドレイン側抵抗器83を介して整流回路2の出力側に接続される。また第一強制消灯FET81のゲート側は、ゲート側ツェナーダイオード84を介して接地されている。また第一強制消灯FET81のゲート側には、強制消灯可変抵抗器85が接続される。この強制消灯可変抵抗器85の一端(図11において上端)は、抵抗器86と第一ツェナーダイオード87を介して整流回路2の出力側に接続され、他端(図11において下端)は接地抵抗器88を介して接地されている。さらに第一強制消灯FET81のソース側は、第二ツェナーダイオード89を介して接地されると共に、第二強制消灯FET82のゲート側に接続される。第二強制消灯FET82のドレイン側は、第二ドレイン側抵抗器99を介してオペアンプ30Bの非反転入力端子と接続される。さらに第二強制消灯FET82のソース側は接地されている。
この強制消灯回路8Bの動作原理を、説明する。整流電圧が低い状態では、整流回路2の出力側と、第一ツェナーダイオード87、抵抗器86を介して接続された強制消灯可変抵抗器85の中点の電圧も低く、特に第一強制消灯FET81のゲート-ソース間電圧Vgsのゲートしきい値電圧(約4V)よりも低い状態では、第一強制消灯FET81がOFF状態に維持される。この結果、第一ドレイン側抵抗器83には通電されず、第二強制消灯FET82はON状態となり、結果としてオペアンプ30Bの非反転入力端子には低い電圧が入力されて、OFF状態となって、第一LED電流制御トランジスタ21B等はOFFされる。
一方、強制消灯可変抵抗器85の中点の電圧が、第一強制消灯FET81のゲート-ソース間電圧Vgsの閾値電圧(例えば約4V)を超えると、第一強制消灯FET81がONされる。これにより、第一強制消灯FET81のゲート-ソース間電圧が低下し、第一強制消灯FET81のドレイン側と接続された第二強制消灯FET82がOFF状態に切り替えられる。この結果、第二強制消灯FET82のドレイン-ソース間電圧が低下して、オペアンプ30Bの非反転入力端子の電位が高くなり、ON状態となって、第一LED電流制御トランジスタ21B等はONされる。
図11の回路例においては、強制消灯回路8Bは整流電圧をツェナーダイオードと抵抗分圧で検出し、抵抗分圧比を強制消灯可変抵抗器85で調整している。このように強制消灯可変抵抗器85でもって、強制消灯電圧値を調整できるため、消灯期間を開始するタイミングを強制消灯可変抵抗器85でもって変更できる。ここで、強制消灯回路8Bの強制消灯可変抵抗器85でもって消灯期間を調整する様子を、図12~図15に基づいて説明する。これらの図において、図12は図1の比較例に係るLED駆動回路の入力交流電圧、及び第一LED部11の電力の時間変化を示す波形を示すグラフ、図13は図11の発光ダイオード駆動装置400’の入力交流電圧、及び消灯期間をTOFF1に設定した場合の第一LED部11の電力の時間変化を示す波形を示すグラフ、図14は図11の発光ダイオード駆動装置400’の入力交流電圧、及び消灯期間をTOFF2に設定した場合の第一LED部11の電力の時間変化を示す波形を示すグラフ、図15は図11の発光ダイオード駆動装置400’の入力交流電圧、及び消灯期間をTOFF3に設定した場合の第一LED部11の電力の時間変化を示す波形を示すグラフを、それぞれ示している。これらのグラフから明らかなとおり、比較例に係るLED駆動回路では消灯期間TOFF0が短く、一般照明としては消灯期間をできるだけ短くしてちらつきを抑えようとするのに対し、実施例1では、これよりも消灯期間を長く設定することが可能となる。消灯期間を長くするにつれて点灯期間も短くなり、照度の累積的な値すなわち積分値は低下するものの、植物の育成においては有利となることが本発明者らの試験により確認された(図4参照)。
(定電圧電源7)
オペアンプ30Bは、定電圧電源7により駆動される。定電圧電源7は、オペアンプ電源用トランジスタ70、ツェナーダイオード71、ツェナー電圧設定抵抗72で構成される。この定電圧電源7は、交流電源APを整流回路2で整流した後の整流電圧が、ツェナーダイオード71のツェナー電圧を超えている期間だけ、オペアンプ30Bに電源を供給する。この期間は、LED集合体10の点灯期間を包含するよう設定される。すなわち、LED集合体10の点灯中にオペアンプ30Bを動作させて、点灯を制御する。
一方、各オペアンプ30Bの反転入力端子には、電流検出抵抗4で検出された電流検出信号である電圧が入力される。電流検出抵抗4の電圧は、オペアンプ30Bの非反転入力端子に印加される正弦波に沿って電流制御されるよう制御される。このように、正弦波に沿って電流制御動作を行うため、LED駆動電流が正弦波に近似された波形となる。
なおLED部はそれぞれ、複数の発光ダイオード素子を相互に直列に接続して構成できる。これにより、整流電圧を複数の発光ダイオード素子で効果的に分圧できる上、発光ダイオード素子毎の順方向電圧Vfや温度特性のばらつきをある程度吸収して、ブロック単位での制御を均一化できる。ただ、LED部の数や各LED部を構成する発光ダイオード素子数等は、要求される明るさや入力電圧等によって任意に設定でき、例えばLED部を一の発光ダイオード素子で構成したり、LED部の数を多くしてより細かな制御を行うこと、あるいは逆にLED部を2つのみとして制御をシンプルにすることも可能であることは言うまでもない。
また、上記構成ではLED部の構成数を4としたが、上述の通りLED部の数を2又は3としたり、又は5以上とすることもできることはいうまでもない。特に、LED部の数を増やすことで、正弦波状の電流波形をより低い電源電圧から形成することが可能となり、一層の高調波成分の抑制が可能となる。また図11の例では、各LED部がON/OFFされる切り替え動作を、入力電流に対してほぼ均等に分割しているが、均等にする必要は必ずしも無く、異なる電流でLED部を切り替えてもよい。
さらに上記の例では、LEDを4つのLED部に分け、各LED部がそれぞれ同一のVfとなるよう構成しているが、同一のVfでなくても良い。例えばLED部1のVfをできるだけ低く、すなわちLED一個分の3.6V程度に設定できれば、電流の立ち上がりタイミングを早く、立下りタイミングを遅くできる。このことは、高調波を減少させるのにさらに有利となる。またこの方法を使用すれば、LED部の数とVf設定を自由に選択でき、さらに電流波形を正弦波に近似できるため、より柔軟性を高めて高調波抑制を実現することが容易となる。
<実施例2>
(ピーク照度可変回路)
また本発明は、照明光のピーク照度を固定とする構成の他、可変機能を付加しても良い。これにより、消灯期間の制御のみならず、ピーク照度すなわち振幅側も調整可能とすることで、消灯期間を維持したまま調光を行うことが可能となる。このような回路例を、実施例2に係る発光ダイオード駆動装置700として図16に示す。この図に示す発光ダイオード駆動装置700は、図11の構成に加えて、ピーク照度調整手段90を備えている。ピーク照度調整手段90は、図11の回路例では固定抵抗器であった高調波抑制信号生成抵抗61に代えて、第一LED部11や第二LED部12が発等のLED部が発する光のピーク照度を調整するためのピーク照度可変抵抗器91を有する。これにより、ピーク照度を可変として、消灯期間のタイミングを調整可能としながら、すなわちOFFデューティを可変としつつ、これと独立して調光を行うことが可能となる。
以上の実施例では、LED部の消灯開始のタイミングを調整する方法として、交流電圧を整流した整流電圧を検出して、設定された電圧以上の期間で点灯させる構成を採用した。ただ本発明は、消灯のタイミングを調整する方法を上記に限定せず、他の方法を採用することもできる。例えば、トライアック、サイリスタやIGBT等により交流の通電時間を制御する方法や、これらの素子を使った市販の調光器を交流AC入力側に挿入する等の方法が利用できる。