本発明の実施形態は、ハウジングに設けられ、生体組織を穿孔するための先端部まで延びるヘリックス(helix)を含む固定要素を有する生体刺激装置、例えば、リードレス心臓ペースメーカに関する。より詳細には、ワイヤ(ヘリックス)は、ヘリックス軸(helical axis)に沿って、ヘリックス面(helix face)を規定する遠位縁部まで延びている。先端部は、ワイヤ面の中心とハウジングとの間のワイヤ面上に設けられる。本発明の生体刺激装置は、後述するように、心臓組織をペーシングするために使用することができる。なお、本発明の生体刺激装置は、脳深部刺激などの他の用途にも使用することができる。したがって、本発明の生体刺激装置は、心臓ペースメーカと称しても、これに限定されるものではない。
様々な実施形態において、説明は図面を参照して行われる。しかしながら、特定の実施形態は、これらの特定の詳細のうちの1以上を伴わずに、または他の既知の方法及び構成と組み合わせて実施することができる。以下の説明では、実施形態の完全な理解を提供するために、具体的な構成、寸法、及びプロセスなどの様々な具体的な詳細が示される。他の例では、周知の方法及び製造技術は、説明を不必要に不明瞭にしないために、特に詳細には説明しない。本明細書を通じて、「一実施形態」、「或る実施形態」等とは、記載された特定の機能、構造、構成、または特性が、本発明の少なくとも一実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書を通じて様々な場所で「一実施形態」、「或る実施形態」等の語句が現れても、必ずしも同じ実施形態を指しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、構成、または特性は、1以上の実施形態において任意の適切な方法で組み合わせてもよい。
説明全体を通しての相対的な用語の使用は、相対的な位置または方向を示すことができる。例えば、「遠位」は、生体刺激装置のハウジングの長手方向軸に沿った第1の方向を示すことができる。同様に、「近位」は、第1の方向とは反対の第2の方向を示すことができる。しかしながら、これらの用語は、相対的基準枠を確立するために提供されたものであり、生体刺激装置の使用または配向を、下記の様々な実施形態において記載される特定の構成に制限することを意図するものではない。
一態様では、生体刺激装置が提供される。本発明の生体刺激装置は、該装置を患者の解剖学的構造に固定するために、該装置を標的組織に係合させるための固定要素を含む。固定要素は、ヘリックス軸に沿って、ヘリックス面まで延びるヘリックス(螺旋状部材)を含む。ワイヤ(ヘリックス)の先端部は、ワイヤ面の中心と生体刺激装置のハウジングとの間のワイヤ面上に設けられる。したがって、先端部は、ワイヤ面の近位部分に位置する。近位に位置する先端部は、ワイヤ面の中心に対して遠位に位置する先端部と比較して、標的組織により浅く穿刺される。その結果、固定要素が標的組織を完全に貫通する可能性が低くなる。
一態様では、生体刺激装置は、任意選択で、固定要素が組織と係合したときに、固定要素及び/または生体刺激装置のハウジングの後退に対して抵抗するためのバックストップ要素を含む。バックストップ要素には、ハウジングに設けられたヘリックスから外向きに延びる非金属フィラメントが含まれる。非金属フィラメントは、固定要素の螺旋状ワイヤが該ワイヤを標的組織にねじ込む方向とは反対方向に回転したときに、組織を把持することによって、固定要素の後退に対して抵抗することができる。さらに、バックストップ要素は、固定要素のワイヤとヘリックスマウントの遠位端部との間に、ピンチポイントを有し得る。固定要素が標的組織にねじ込まれたとき、組織は、ピンチポイントにおいて、固定要素とヘリックスマウントとの間に挟み込まれ、これにより、生体刺激装置が組織にクランプされる。クランプ力は、固定要素の後退に対して抵抗することができる。
一実施形態では、生体刺激装置は、ヘリックスマウント上に、固定要素の先端部の位置合わせ範囲を規定するための1以上のマークを有する。より詳細には、固定要素は、先端部が1以上のマークの間の位置合わせ範囲と位置合わせされるまで、ヘリカルヘリックスマウントにねじ込まれる。このように位置合わせすると、ワイヤは、先端部まで約1.5回転して延びることができる。このような態様でセットすると、固定要素の標的組織への固定が提供され、組織はピンチポイントでクランプされて後退に対して抵抗することができる。
1以上のリードレス生体刺激装置、例えばリードレス心臓ペースメーカを備えたシステムの様々な実施形態が説明される。例えば、本発明のシステムは、リードレス心臓ペースメーカを備えた心臓ペーシングシステムであり得る。リードレスペースメーカは、心腔の内側または外側への配置または取り付けに適した密閉ハウジング内に実質的に封入することができる。ペースメーカは、心腔の筋肉にペーシングパルスを送達するため、並びに、任意選択で、筋肉から電気的活動を感知するため、及び、体内または体外の少なくとも1つの別の装置と双方向通信するために、ハウジングの内部、表面、または近傍に配置された2以上の電極を有し得る。ハウジングは、ペーシング、センシング、及び通信(双方向通信など)のための電力を供給するために、一次エネルギー源、例えばバッテリを収容することができる。ハウジングは、任意選択で、電気回路を収容することができる。例えば、ハウジングに収容される電気回路は、電極から心臓活動を感知するためのものであり得る。ハウジングは、電極を介して少なくとも1つの別の装置から情報を受信するための回路や、電極を介して送出するペーシングパルスを生成するための回路を収容することができる。例えば、パルス発生器は、リードレスペースメーカのハウジング内に密閉的に収容され、リードレスペースメーカの少なくとも第1の電極及び第2の電極に電気的に接続される。パルス発生器は、少なくとも第1の電極及び第2の電極を介して電気パルスを生成及び送達して心収縮を引き起こすように構成することができる。ハウジングは、任意選択で、電極を介して少なくとも1つの別のデバイスに情報を送信するための回路や、デバイスの健全性を監視するための回路を収容することができる。また、ハウジングは、これらの動作を所定の方法で制御するための回路を収容することができる。
いくつかの実施形態では、心臓ペースメーカは、人体の組織への植え込みに適している。特定の実施形態では、リードレス心臓ペースメーカは、患者の少なくとも1つの心腔に、例えば心腔の内壁または外壁上の心臓組織に隣接して植え込まれるように適合または構成することができる。リードレス心臓ペースメーカは、リードレス心臓ペーシングのために構成することができ、例えば、リードレス心臓ペースメーカは、体内に配置された少なくとも1つの別の装置からトリガ信号を受信すると、ペースメーカのハウジングの表面または内部に配置された2以上の電極を使用して心腔をペーシングすることができる。自己完結型すなわちリードレス型のペースメーカまたは他の生体刺激装置は、心筋内にねじ込まれるスクリューや螺旋状部材などの能動的な係合機構によって、心臓内の植え込み部位に固定することができる。
図1は、生体刺激装置100を示す。生体刺激装置100は、リードレス生体刺激装置、例えば、リードレス心臓ペースメーカであり得る。生体刺激装置は、密閉ハウジング102を含む。密閉ハウジング102は、その表面に配置された電極104及び106を有する。電極は、ハウジング102と一体的に構成してもよいし、ハウジングから2センチメートルの最大距離でハウジングに接続されていてもよい。ハウジング102は、任意選択で、ペーシング電極104、106に電力を供給するためのエネルギー源(図示せず)を収容することができる。エネルギー源は、一フッ化炭素リチウム(CFx)電池などの電池、または、CFxと酸化バナジウム銀との複合混合化学電池(SVO/CFx)などのハイブリッド電池であり得る。同様に、エネルギー源は、ウルトラキャパシタであり得る。一実施形態では、エネルギー源は、機械的歪みを電流または電圧に変換する圧電素子などのエネルギーハーベスティングデバイスであり得る。
特定の実施形態では、エネルギー源は、ハウジングの外部に配置することができる。例えば、電気回路に電力を供給するために必要なエネルギーは、ハウジングの外部に配置された超音波送信機から超音波エネルギーを受信する超音波トランスデューサ及び受信機から得ることができる。
図示のように、電極106は、固定要素105に配置するか、または固定要素105と一体的に設けることはでき、電極104は、ハウジング102に配置することができる。固定要素105は、後述するように、ハウジング102に設置することができる。固定要素105は、固定ヘリックス(fixation helix)、または、ハウジング102を心臓組織などの組織に取り付けるのに適した他の可撓性または剛性の構造体であり得る。固定要素105は、代替的に、主要固定要素、主要固定ヘリックス、固定ヘリックス、主要ヘリックス等と称され得る。このような用語は、ハウジング102を組織に取り付けた後に、主要固定要素105の除去に抵抗する別の補助的固定要素と区別するのに役立つ。別の実施形態では、電極106は、様々な形態及びサイズで固定要素から独立していてもよい。ハウジングはまた、ハウジング内に、生体刺激装置の作動に必要な電子部品を収容する電子機器区画110を含み得る。刺激電極をペーシング発生器と共に配置し、心臓内に適合するようにパルス発生器のサイズを小型化することによって、生体刺激装置をリードレスにすることができる。密閉ハウジングは、人間の心臓の上または内部に植え込まれるように適合させることができる。また、密閉ハウジングは、例えば、円筒形、長方形、球形、または任意の他の適切な形状であり得る。
ハウジングは、導電性、生体適合性、不活性、かつ陽極の安全な材料、例えばチタン、316Lステンレス鋼、または他の同様の材料を含むことができる。ハウジングは、電極104及び電極106を互いに離間させるために導電性材料上に配置された絶縁体108をさらに含むことができる。絶縁体は、電極間のハウジングの一部分上の絶縁性コーティングであり得、例えば、シリコーン、ポリウレタン、パリレン、または、植え込み可能な医療デバイスに一般的に使用される別の生体適合性電気絶縁体などの材料であり得る。図1の実施形態では、単一の絶縁体108が、ハウジングにおける、電極104と電極106との間の部分に沿って配置されている。いくつかの実施形態では、ハウジング自体は、導体の代わりに絶縁体、例えばアルミナセラミックまたは他の同様の材料を含むことができ、電極はハウジング上に配置することができる。
図1に示すように、生体刺激装置は、電極104を電極106から分離するためのヘッダーアセンブリ112をさらに含むことができる。ヘッダーアセンブリ112は、テコタンまたは他の生体適合性プラスチックから作製することができ、セラミックから金属へのフィードスルー、ガラスから金属へのフィードスルー、または他の適切なフィードスルー絶縁体を含むことができる。
電極104及び電極106は、ペース/感知電極または戻り電極を含み得る。低分極コーティングが、例えば、白金、白金イリジウム、イリジウム、酸化イリジウム、窒化チタン、炭素、または、分極効果を低減させるために一般的に使用される他の材料などの電極に適用され得る。図1では、電極106はペース/感知電極であり得、電極104は戻り電極であり得る。電極104は、導電性のハウジング102における、絶縁体108を含まない部分であり得る。
ハウジング102を心臓の内壁または外壁に取り付けるために、いくつかの技術及び構造体を使用することができる。螺旋状固定要素であり得る固定要素105は、誘導カテーテルを通じて心臓内または心外膜に医療刺激装置を挿入することを可能にすることができる。ハウジングを回転させて固定要素を心臓組織内に押し込むために、トルク可能なカテーテルを使用することができ、これにより、固定要素(図1の電極106)を、刺激可能な組織に接触させることができる。電極104は、感知及びペーシングのための不関電極としての機能を果たすことができる。固定要素は、電気的絶縁のために部分的または完全に被覆されてもよい。また、線維化反応を最小限に抑えるために、ステロイド溶出マトリクスが、装置上または装置の近傍に含まれてもよい。
生体刺激装置100は、動的環境で使用することができる。例えば、生体刺激装置100は、拍動する心臓の動的環境内、例えば、心臓の心房または心室内に配置されたリードレスの心臓ペースメーカであり得る。固定要素105が、収縮及び弛緩する心臓組織と係合した場合、固定要素105の脱離、例えば螺脱(unscrewing)を促進する力が生体刺激装置100に加えられ得る。したがって、特定の実施形態では、生体刺激装置100が脱離する可能性は、脱離に抵抗する抗螺脱要素(anti-unscrewing feature)を生体刺激装置100に組み込むことによって低減させることができる。
生体刺激装置100は、1以上のバックストップ要素(図2)を含むことができる。バックストップ要素(backstop element)は、生体刺激装置に設けられた様々な抗螺脱要素を含むことができる。バックストップ要素は、任意選択で設けられる。例えば、生体刺激装置100の固定要素105は、バックストップ要素を有していなくてもよい。バックストップ要素は、バックストップ要素を有していない生体刺激装置と比べて、生体刺激装置を組織から螺脱させるのに必要なトルクをより大きくすることができる。バックストップ要素は、組織を把持し、固定要素105を組織に係合させるのに必要な回転とは反対方向の回転(バックアウト)に対する抵抗を提供するので、補助的固定要素とも称される。バックストップ要素、抗螺脱要素、または補助的固定要素は、以下に交互に言及するように、縫合糸、ウィスカ(whisker)、または、固定要素105を組織に係合させたときにハウジング102の後退に抵抗する、その後退を防止する、若しくはその後退を阻止する他の手段を含むことができる。例えば、バックストップ要素は、生体刺激装置100のいくつかの構成要素間、例えば、固定要素105とハウジング102との間の機能的相互作用を含むことができ、この機能的相互作用は、動的状況下での生体刺激装置100の脱離に対して抵抗するために心臓組織をピンチまたはクランプする。
いくつかの実施形態では、生体刺激装置を組織から除去するのに必要なトルクは、生体刺激装置100の固定要素105を組織にさらにねじ込む、係合させる、または再係合させるのに必要なトルクよりも大きい。バックストップ要素がこの機能を提供すると、生体刺激装置が組織から誤って螺脱または脱離する可能性が低減する。生体刺激装置を組織に最初に挿入するのに必要なトルクは、組織の穿刺または穿孔、及び螺旋状キャビティの形成に起因して大きくなることに留意されたい。したがって、いくつかの実施形態では、抗螺脱要素は、生体刺激装置を組織から螺脱させるのに必要なトルクが、生体刺激装置が組織にすでに植え込まれた後(すなわち、組織を穿刺した後)に生体刺激装置を組織から螺脱させるのに必要なトルクよりも大きくなるようにするだけでよい。
生体刺激装置の抗螺脱要素の効果は、心臓内の生体刺激装置の固定位置、より具体的には、固定位置を取り囲む組織の形状に応じて異なり得る。例えば、心室壁の各々は、房室弁から心臓の心尖部に向かって先細りになる中隔を有する略円錐形のボリュームを規定する傾向がある。心臓の拍動中に心室壁が収縮すると、心室壁と中隔との間の距離は、特に心尖部に最も近い領域で狭くなる。このような狭窄は、心室壁及び/または中隔を、心尖部付近に固定された生体刺激装置の側方に接触させる結果となる。その結果、生体刺激装置から側方に延びる抗螺脱要素は、心室の先端部領域内で生体刺激装置の固定を維持するのに十分な抗螺脱性能を提供することができる。
心室の一般的な円錐形/先細り形状と比較して、心房壁は、心室壁と中隔との間で観察されるのと同様の狭小化効果が観察される心房領域が存在しないように、実質的に丸みを帯びたキャビティを画定する傾向がある。むしろ、心房壁の表面は、心房の収縮を通じて、実質的に平坦なままである。この結果、心房内に固定された生体刺激装置は、側方に延びる抗螺脱要素が心房壁に係合して生体刺激装置の螺脱に抵抗しないように、心房壁と実質的に面一に取り付けられる。
上記に照らして、本開示による生体刺激装置は、生体刺激装置が心臓組織と実質的に面一に取り付けられた場合であっても、抗螺脱機能を提供する側方または前方を向いたバックストップ要素を含むことができる。より具体的には、本開示による生体刺激装置は、主要固定要素(例えば、螺旋スクリュー)に隣接して生体刺激装置の前面に配置された1以上のバックストップ要素を含むことができる。例えば、バックストップ要素は、生体刺激装置100の遠位領域から側方または前方に延びる、縫合糸などの非金属フィラメントを含むことができる。縫合糸は、第1の方向への回転による生体刺激装置の固定後に、第1の方向とは反対方向の回転によって縫合糸が補助的固定要素に隣接する組織と係合し、それによって、第1の方向とは反対方向へのさらなる回転に抵抗するように、主要固定要素と少なくとも部分的に反対方向に配向される。
心房などの特定の実施形態では、生体刺激装置は、側方を向いたバックアップ要素または前方を向いたバックアップ要素のみを含む。
特定の実施形態では、生体刺激装置は、心房または心室のいずれかに植え込まれるように生体刺激装置を構成するために、側方を向いたバックアップ要素及び前方を向いたバックアップ要素の両方を含む。
特定の実施態様では、縫合糸は、生体刺激装置に加えられる十分な逆回転力(第1の方向とは反対方向の回転力)によって屈曲し、それにより、該縫合糸を主要固定要素に隣接する組織から脱離させることができるように、可撓性の材料から形成される。その結果、固定部位の組織への損傷を最小限に抑えて、生体刺激装置を固定部位から除去または再配置することができる。1以上の縫合糸の脱離はまた、逆回転中の縫合糸の屈曲が補助的固定要素/螺旋スクリューによって阻止されるように縫合糸を位置決めすることによって制御することができる。本開示の他の態様は、縫合糸の特定の配置及び縫合糸を生体刺激装置ハウジングに結合される方法に関する。
当業者には理解されるように、ペースメーカヘリックスは、最初の穿刺及びその後の心臓組織への挿入を容易にするために鋭利な先端部で終端している。鋭利な先端部は、ヘリックスの遠位端部に形成することができ、この鋭利な先端部により、ヘリックスの先端部が形成される。このような先端部の構成は、良好な組織係合及び固定特性を有するが、ヘリックスの最も遠位の縁部に鋭利な先端部を設けることにより、特に心房などの心臓壁が薄い部分において、ヘリックスが心臓壁を貫通する可能性が増大する。特定の場合では、ヘリックスによる心臓壁の貫通は、心膜との好ましくない相互作用、及び心タンポナーデなどの合併症をもたらす。例えば、特定の場合では、ヘリックスは、大動脈を貫通する程度まで心膜を貫通してねじ込まれる。
図27Aを参照すると、生体刺激装置100は、標的組織における生体刺激装置の固定に影響を与えるいくつかの要素を有することができる。例えば、ピッチ2701は、生体刺激装置の植え込み中に、生体組織が捕捉される螺旋巻回部間のギャップを規定する。ギャップは、例えば、表面積と組織との比率を調節することによって、固定に影響を与えることができる。また、ギャップは、アンカーの挿入深さを決定する際の変数とすることもできる。
図27Bを参照すると、同様に、生体刺激装置100の遠位端部を越えたアンカーの先端部の突出量2703は、植え込み中のヘリックスの挿入深さを決定することによって、アンカーに影響を与えることができる。特定の実施形態では、先端部は、ヘリックスマウントから組織の厚さを超える突出量で突出していない。特定の実施形態では、最大突出量2703は、1.5mmである。生体刺激装置の遠位端部、例えば、電極2711の遠位端部と電極に近位するヘリックスとの間の干渉量2705は、標的組織から生体刺激装置にどの程度の背圧がかかるか、すなわち、生体刺激装置がどの程度よく固定されるかに対して影響を与える。干渉量2705は、電極の遠位端部とヘリックスマウントの遠位端部との間の距離である。
再び図27Aを参照すると、下記に説明するように、組織ピンチポイント2110の配置は、標的組織がピンチポイントによってどの程度よく把持されるか、すなわち、生体刺激装置が標的組織にどの程度よく固定されるかに対して影響を与えることができる。これらの変数のいくつかまたは全部は、共依存的であり、ピンチポイントを越えた螺旋状アンカーの巻回数によって影響される。より具体的には、アンカーの巻回数は、他の共依存変数と組み合わせて、生体刺激装置が標的組織にどれだけよく固定されるか、及び標的組織に対する損傷の程度を決定する変数であり得る。したがって、アンカーの巻回数は、臨床的リスクの程度、例えば、植え込まれた生体刺激装置が標的組織から脱離する可能性の程度、及び植え込まれた生体刺激装置が標的組織に損傷を引き起こす可能性の程度に相関する。
再び図27Bを参照すると、一実施形態では、主要ヘリックス205は、0.076~0.762mm(0.003~0.03インチ)のワイヤ直径2750を有し得る。主要ヘリックス205は、1.524~0.762mm(0.06~0.3インチ)のピッチ直径を有し得る。ピッチ2701は、0.254~1.27mm(0.01~0.05インチ)であり得る。生体刺激装置100の遠位端部を越えたアンカーの先端部の突出量2703は、0~1.5mmであり得る。電極2711の遠位端部と、電極に近位するヘリックスとの間の干渉量2705は、0~1.5mmであり得る。
特定の実施形態では、組織ピンチポイント2110は、本明細書に記載されているように、ヘリックスを1.5回転させることによって、植え込み中にピンチポイント2110で挟み込まれる。しかしながら、本明細書に記載されているように、手術者は、特定の患者に応じて、生体刺激装置100をより多くまたはより小さく回転させてもよい。例えば、患者が脆弱な組織を有する場合、手術者は、生体刺激装置200を1.5回転ではなく1.25回転で回転させることを選択してもよい。
図28を参照すると、生体刺激装置の植え込み角度と、臨床リスクとの関係を示すグラフが示されている。植え込み後の生体刺激装置の脱離のリスクと、標的組織(例えば心膜)を穿孔するリスクとのバランスをとる範囲2801が示されている。一実施形態では、範囲2801は、両リスク間のバランスが効果的に最小化される巻回数の範囲である。例えば、植え込み中の生体刺激装置の植え込み角度が1~2回転である場合に、脱離及び損傷のリスクの許容可能なレベルが達成され得る。したがって、固定要素を1.5回転させて標的組織に挿入することにより、許容可能な固定及び許容可能な低リスクの穿孔を提供することができる。植え込み角度は、上述した複数の共依存変数、及び、後述する固定要素の先端部の配置などの追加的な変数に依存し得る。
一実施形態では、本開示による生体刺激装置の先端部は、心臓に対する過度の外傷の可能性を低減させながら、心臓組織内での生体刺激装置の係合及び留置を容易にするように配向され得る。上述のように、固定要素105の浅い挿入は、特定の解剖学的環境において有利であり得る。さらに、挿入の深さは、固定要素105の先端部のクロッキング(clocking)に依存し得る。以下の説明ではクロッキングの概念について言及しているので、ここではクロッキングの概念を説明する。図33を参照すると、6時の位置3301に先端部1052を有する主要ヘリックス205Aと、12時の位置3303に先端部1052を有する主要ヘリックス205Bとを比較のために並べて示されている。先端部1052の位置は、クロック3305を参照して理解することができる。クロック3305は、クロックの頂部に12時の位置を有しており、この12時の位置は、長手方向軸304に対して最も遠位の位置に対応する。同様に、クロックの底部の6時の位置は、長手方向軸304に対して最も近位の位置に対応する。したがって、6時の位置3301は、12時の位置3303に対して長手方向に隣接する。この概念に従うと、先端部1052は、代替的に、クロックの左側の9時の位置に対応する9時の位置(図12A)に位置してもよいし、または、クロックの右側の3時の位置に対応する3時の位置(図示せず)に位置してもよい。
図29を参照すると、本開示による、層状組織環境において組織を貫通する固定要素の透視図が示されている。層状組織環境は、心筋2901(例えば、右心耳の組織壁)及び心膜2970(例えば、右心耳を覆う心膜嚢の組織)を含み得る。このような場合、心筋2901は、1~2mmの厚さであり得る。したがって、固定要素105の先端部1052は、図示のように、心筋2901を貫通し、薄い壁を完全に貫通することができる。
このように、先端部1052が12時の位置に位置する場合には、実際には心筋層から突出して心膜2970を把持することが見出された。いくつかの場合では、先端部1052は、心膜嚢を穿刺するか、または心筋に対して心膜嚢を引っ張る、すなわち、心膜嚢を心筋にピンニングすることができる。いずれの場合も、心膜の損傷及び患者の損傷が生じ得る。
図30を参照すると、本開示による、層状組織環境内の組織を貫通する6時の位置に先端部1052を有する固定要素の透視図が示されている。固定要素105は、6時の位置に先端部1052を有し、これにより、心膜嚢をピンニング(pinning)するリスクを低減させることができる。より詳細には、先端部1052は、より浅く穿刺することができ、したがって、心筋2901を完全に貫通しない。たとえ、先端部1052が心筋2901を貫通しても、先端部1052よりも遠位の12時の位置に配置された固定要素105の遠位後縁部3001により、先端部1052を心膜2970から遮蔽することができる。例えば、先端部1052とは対照的に、遠位後縁部3001は、心膜に対して露出しても心膜嚢を把持しない。したがって、先端部1052を6時の位置に配置することによって、先端部1052と心膜2970との間の接触を回避することができ、これにより、心膜のピンニング及び患者の損傷が生じる可能性を低減させることができる。したがって、先端部1052を6時の位置に配置することにより、生体刺激装置の性能を向上させることができる。
主要固定ヘリックスの貫通に関する上述の問題に対処するために、本開示の実施形態は、鋭利な先端部がヘリックスの遠位縁部から離間して配置された主要固定ヘリックスを含む。例えば、特定の実施形態では、鋭利な先端部は、ヘリックスの端部において、最も遠位の縁部の反対側の位置(すなわち、6時の位置に)に配置される。このことによって、ヘリックスが心臓を貫通する可能性が低減する。また、ヘリックスが心臓壁を貫通する場合、後縁部が心膜2970を乗り越えるので、鋭利な先端部は隣接する心膜から離間するようにバイアスされ、これにより、ヘリックスが心膜組織に係合して穿孔する可能性が低減する。
図2は、本開示による生体刺激装置200の等角図である。生体刺激装置200は、ハウジング202と、それに結合されたヘッダーアセンブリ204とを含む。ハウジング202のヘッダーアセンブリ204への結合は、これに限定しないが、例えば、生体適合性接着剤、ねじ結合、または超音波溶接のうちの1以上を含む様々な方法で達成することができる。
ヘッダーアセンブリ204は、一般的に、主要固定要素205と、1以上のバックストップ要素203とを含む。バックストップ要素203は、前方を向いた、側方を向いた、または側方に延出するバックストップ要素203であってよく、これらにより抗螺脱要素が提供される。より具体的には、主要固定要素205は、第1の方向を指す主要ヘリックスであり、バックストップ要素203は、前方を向いた抗螺脱要素212A、212Bを含むことができる。前方を向いた抗螺脱要素は、生体刺激装置200の前面から、第1の方向とは反対の第2の方向に延びる、いくつかの前方を向いた縫合糸を含むことができる。
主要ヘリックス205は、これに限定しないが、ステンレス鋼、ニッケル-チタン合金(例えば、ニチノール)、ニッケル-クロム合金(例えば、Incoloy(登録商標))、チタン、及び多相ニッケル合金(例えば、MP35N(登録商標)または35N LT(登録商標)など)のうちの1以上を含む、任意の適切な生体適合性材料から実質的に形成され得る。特定の実施形態では、主要ヘリックス205の基材は、主要ヘリックス205が心臓組織の感知及び/またはペーシングのための電極として使用できるように、導電性であってもよい。
主要ヘリックス205は、好ましくは、心臓組織の損傷を最小限に抑えながら、生体刺激装置200を心臓組織に結合させるような大きさに形成される。主要ヘリックス205は、ヘリックス軸を中心として任意の巻回数で先端部まで延びている。特定の実施形態では、例えば、主要ヘリックス205は、ヘリックスマウント206から0.25回転~3回転の巻回数で延びている。主要ヘリックス205は、0.076~0.762mm(0.003~0.03インチ)のワイヤ直径を有し得る。主要ヘリックス205は、1.524~~0.762mm(0.06~0.3インチ)のピッチ直径を有し得る。主要ヘリックス205は、0.254~1.27mm(0.01~0.05インチ)のピッチを有し得る。本開示の他の実施態様は、主要ヘリックス205に加えて、複数の固定ヘリックスを有することができ、各固定ヘリックスは、同一の方向に延びており、かつ、生体刺激装置200の回転に応じて心臓組織と係合するように構成されている。このような複数の固定ヘリックスを含む実施形態は、複数のワイヤが一体的に巻回されているマルチフィラヘリックスを有する生体刺激装置、または複数のオフセットヘリックスを有する生体刺激装置を含み得る。
縫合糸212A、212Bの機能性は、少なくとも一部は、それらの可撓性に依存する。縫合糸の可撓性は、とりわけ、材料の選択及び縫合糸の寸法によって調節することができる。一方、前方を向いた縫合糸によって提供される全体的な逆回転抵抗は、とりわけ、使用される縫合糸の量及び縫合糸の相対的位置によってさらに調節することができる。材料に関しては、縫合糸212A、212Bは、これに限定しないが、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ナイロン、ポリウレタン、シリコーン、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、及びポリカーボネートのうちの1以上を含む、様々な可撓性の生体適合性材料から形成することができる。非金属フィラメント212A、212Bを形成するために使用することができる他の生体適合性材料には、天然材料が含まれる。例えば、縫合糸212A、212Bには、1以上の毛髪、馬の毛、爪、皮、角、または植物繊維(例えば、トクサまたはアザミ)などの天然繊維が含まれ得る。天然材料はまた、微小孔性で、サンドペーパーと似ている粗面を有するサメ皮を含み得る。粗面は、補助的固定要素の心臓組織への固定を促進することができ、また、サメ皮は、心臓組織の補助的固定要素内への内方成長を妨げる材料特性を有する。このような抗内方成長特性は、特定の状況において有益であると考えられる。
寸法的には、縫合糸212A、212Bの長さ及び直径は、生体刺激装置200の特定の構成に応じて変更され得る。なお、特定の実施態様では、縫合糸212A、212Bは、0.076~5.08mm(0.003~0.2インチ)の長さ、及び、0.076~0.762mm(0.003~0.03インチ)の直径を有する。特定の実施態様では、縫合糸212A、212Bの可撓性は、患者の一般的な心臓活動及び運動によって生じる逆回転(主要固定要素の螺脱方向の回転)に抵抗するのに十分に高いが、生体刺激装置200の除去及び/または再配置を心臓組織に大きな損傷を与えることなく行うことができるように十分に低くなるように設定される。例えば、縫合糸212A、212Bの各々は、0.5~10ギガパスカル(GPa)の剛性(ヤング率)を有し得る。特定の実施形態では、縫合糸212A、212Bは、心臓組織との係合を向上させるように構成された先端部を含むことができる。例えば、縫合糸212A、212Bは、トリミングされるか、または鋭利な先端部を有するように形成され得る。
ヘッダーアセンブリ204は、ヘリックスマウント206、キャップ208、及びフランジ210を含む複数の構成要素を含み得る。一般的に、ヘリックスマウント206は、主要ヘリックス205と結合して該ヘリックスを保持し、キャップ208は、いくつかの前方を向いた縫合糸の各々を保持する。フランジ210は、ヘッダーアセンブリ204をハウジング202に結合させ、ヘリックスマウント206及びキャップ208の各々が取り付けられる中央構造体を形成する。フランジ210はさらに、生体刺激装置が植え込まれたときに組織と接触し、電気刺激を送達する電極211を含む。例示的な生体刺激装置200はさらに、いくつかの側方に延びるバックストップ要素203を含む。例えば、バックストップ要素203は、側方に延びる非金属フィラメント214A~214Cを含むことができる。側方に延びるバックストップ要素は、側方縫合糸214A~214C(側方縫合糸214Cは図2では隠れている)であり得る。図2に示すように、このような側方を向いた縫合糸は、ヘリックスマウント206に結合され、該マウントから延出している。
ヘッダーアセンブリ204の一部は、生体適合性エポキシまたは同様の材料で被覆または充填され得る。例えば、特定の実施態様では、ギャップ250は、フランジ210とヘリックスマウント206との間に存在してもよく、例えば、NuSil(商標)医療用接着剤6219及びHysol(登録商標)M31-CLなどの生体適合性接着剤またはエポキシで充填されてもよい。このような接着剤及びエポキシは、ヘッダーアセンブリ204の構成要素間の結合を強化し、構成要素を摩耗及び腐食から保護するために使用することができる。
1以上の表面改質技術を、生体刺激装置200の接触面に適用してもよい。一般的に、生体刺激装置200の接触面は、生体刺激装置200が植え込まれたときに心臓組織と接触するか、または他の方法で相互作用する、生体刺激装置200の任意の構成要素に相当し得る。生体刺激装置200の接触面の例としては、これに限定しないが、キャップ208の外面、及び主要ヘリックス205の外面が挙げられる。例えば、キャップ208を実質的に形成する基材と比較してキャップ208の特性を変更するために、キャップ208の全体または一部(例えば、キャップ208の特定の部分のみ)に表面改質処理が適用され得る。
このような技術は、とりわけ、表面エネルギー、表面電荷、表面化学、または接触面の表面形態のうちの1以上を変更する技術を含み得る。このような変更を適用して、生体刺激装置200が植え込まれたときに、接触面の周りに形成されるより組織化されたより薄い繊維性カプセルを促進し、これにより、ペーシング閾値に対するこのようなカプセルの効果を低減させることができる。例えば、生体刺激装置200を心臓内に植え込むと、生体刺激装置200の遠位端部の周囲若しくはその近傍、または、キャップ208及び主要ヘリックス205などの生体刺激装置200の特定の構成要素の周囲に、身体の自然な異物応答(FBR)によって厚い瘢痕組織が形成される。この瘢痕組織は、最終的に、生体刺激装置200によるペーシングを妨げる恐れがある。表面改質技術を適用して、生体刺激装置200(またはその特定の構成要素)と心臓との間の接触面の特性を変更することによって、より予測可能な組織反応が促進されるようにFBRを調節または制御することができる。例えば、表面修飾技術を適用して、生体刺激装置200の周りの比較的薄く均一な組織カプセルの形成を促進することができる。表面改質技術はまた、基材と組織との向上した接着を促進するために使用され、これにより、心臓組織内での生体刺激装置200の固定を向上させる。
様々な表面改質技術が、様々な技術を用いて接触面に適用され得る。例えば、接触面の表面エネルギーは、とりわけ、接触面のグロー放電またはプラズマ処理によって調節することができる。別の例として、表面電荷は、材料選択、または、帯電または導電性であり得るポリマーまたは他の材料を接触面上に堆積させることによって調節することができる。このような材料の例としては、これに限定しないが、圧電ポリマーフィルム、及びポリフッ化ビニリデン(PVDF)フィルムが挙げられる。界面化学は、他の技術の中でも特に、放射線グラフト化、ソフトリソグラフィーまたはマイクロコンタクトプリンティングによるタンパク質パターン化、及び、材料表面上の特定の微細パターンにおけるペプチドまたはタンパク質の固定化のうちの1以上によって改変され得る。さらに別の例として、表面形態は、接触面のトポグラフィーパターニングによって改変することができる。このようなパターニング技術には、これに限定しないが、レーザマイクロマシニング及びマイクロモールディング、例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS)を使用したマイクロモールディングなどのうちの1以上が挙げられる。
図3は、生体刺激装置200の遠位面302の概略図である。明確にするために、図3では、生体刺激装置200は、遠位面302を含む単純な円筒として示されており、生体刺激装置200の様々な機構及び構成要素は省略されている。
生体刺激装置200は、遠位面302を通って延びる長手方向軸304を規定する。
前方を向いた縫合糸212A、212Bが、長手方向線を中心として配置されている。上述の説明の残りの部分は、縫合糸212Aの態様を詳細に説明する。しかしながら、上述の説明は、縫合糸212Bにも同様に適用可能である。さらに、生体刺激装置200は2つの前方を向いた縫合糸212A、212Bを含むが、この生体刺激装置200は本開示の一実施例としてのみ意図されている。別の実施態様では、1つの縫合糸または3以上の縫合糸が、生体刺激装置200の前面302から延びていてもよい。複数の縫合糸が前面から延びる実施形態では、複数の縫合糸は、前面302の周りに均等にまたは不均等に配置され得る。
縫合糸212Aは、長手方向軸304から半径rの位置の縫合糸起点310から延びる。特定の実施態様では、半径rは、0.762~7.62mm(0.03~0.3インチ)の距離である。基準系を設定するために、第1の軸314が、縫合糸起点310を通って、長手方向軸304と平行に延びる。第2の軸316が、縫合糸起点310を通って、長手方向軸304に向かって、第1の軸314に対して直交して延びる。最後に、第3の軸318が、第1の軸314及び第2の軸316のそれぞれに対して直交して延びる。第1の軸314、第2の軸316、及び第3の軸318の特定の位置及び配向は、縫合糸212Aに対して意図的に規定される。したがって、本開示による生体刺激装置が追加の縫合糸を含む場合には、生体刺激装置の各縫合糸は、同様に、それぞれの基準系を規定する。
本開示による生体刺激装置の前方を向いた縫合糸は、一般的に、生体刺激装置200の主要ヘリックス(図示せず)が向く方向と反対の方向に向けられる。特定の実施形態では、縫合糸は、前面302から所定の方向に延びており、所定の長さを有することができる。例えば、縫合糸212Aは、第1の軸314に対して第1の角度αをなし、第3の軸318に対して第2の角度βをなし、かつ、縫合糸起点310から長さLだけ延びている。特定の実施態様では、Lは、0.254~7.62mm(0.01~0.3インチ)であり、αは、10~50度であり、βは、15~75度である。
図4A~図4Dは、生体刺激装置200、より具体的には縫合糸212Aと心臓組織402の一部との相互作用を示す。
図4Aは、心臓組織402の一部に対する生体刺激装置200の固定を示す。図4Aに示すように、主要ヘリックス205は、生体刺激装置を時計回りに回転させることによって、心臓組織402に固定される。主要ヘリックス205を心臓組織402に係合させ、生体刺激装置200を心臓組織に向けて前進させると、バックストップ要素203が心臓組織と接触する。例えば、バックストップ要素203は、心臓組織402と係合することなく、屈曲して、心臓組織402に沿って移動する縫合糸212Aであり得る。
図4Bは、縫合糸212Aの抗回転挙動を示す。主要ヘリックス205の固定後、生体刺激装置200が逆回転(すなわち、反時計回りの回転)すると、縫合糸212Aは心臓組織402と係合し、それにより、縫合糸212Aは、主要ヘリックス205のさらなる逆回転及び心臓組織402からの脱離に抵抗する。
縫合糸212Aによって提供される逆回転抵抗は、一般的に、規則的な心臓活動の間、生体刺激装置200の心臓組織402への固定を維持することを意図している。しかしながら、場合によっては、生体刺激装置200の除去、交換、及び/または再配置が必要となることがある。そのような場合、縫合糸212Aによって提供される逆回転抵抗は、追加の逆回転力を生体刺激装置200に加えることによって克服することができる。図4Cに示すように、このような逆回転力は、縫合糸212Aが一時的に主要ヘリックス205と同じ方向に配向されるように、縫合糸212Aを屈曲させることができる。
図4Dに示すように、図4Cに示した屈曲後に、縫合糸212Aをさらに逆回転させると、縫合糸212Aは心臓組織402から脱離し、これにより、主要ヘリックス205を心臓組織402から螺脱させることができる。螺脱中、縫合糸212Aは一般的に、図4Eに示すように、生体刺激装置200が心臓組織402から十分に脱離しており、縫合糸212Aがその開始位置に戻るまでは屈曲したままである。
図5は、図2の生体刺激装置200の上面図である。図5に示すように、前方を向くバックストップ要素203、例えば、縫合糸212A、212Bは、少なくとも部分的に、主要ヘリックス205の内径502を越えて延出している。このような延出により、主要ヘリックス205の互いに隣接するコイル間に延在する縫合糸が得られる。例えば、縫合糸212Aは、主要ヘリックス205の遠位コイル間に延在するように示されている。縫合糸212A、212Bのオーバーラップが、縫合糸212A、212Bによって提供される抗回転抵抗をさらに調節するために用いられ得る。より具体的には、生体刺激装置200が抗回転力を受け、縫合糸212A、212Bが屈曲を開始すると、縫合糸212A、212Bのうちの1以上が主要ヘリックス205と接触する。このような接触により、追加の逆回転力が加えられない限り、縫合糸212A、212Bの追加の屈曲を防止することができる。
側方を向いたバックストップ要素203、例えば縫合糸214A~214Cも図5に示されている。特定の実施態様では、側方を向いた縫合糸214A~214Cは、ヘリックスマウント206の周りに配置された側方を向いた縫合糸であり、生体刺激装置200に隣接する組織と係合することによって、逆回転力に対して抵抗するように構成されている。前方を向いた縫合糸212A、212Bと同様に、側方を向いた縫合糸214A~214Cは、可撓性の生体適合性材料から構成してもよい。また、側方を向いた縫合糸214A~214Cは、心臓及び患者の活動によって生じる螺脱に抵抗する剛性を有し、かつ、大きな組織損傷を伴うことなく生体刺激装置200の除去を容易に行うことができるように設計され得る。例えば、側方を向いた縫合糸214A~214Cの各々は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ナイロン、ポリウレタン、シリコーン、PLA、PGA、ポリイミド、PEEK、及びポリカーボネートなどの可撓性の生体適合性及び/またはポリマー材料で構成され得る。縫合糸214A~214Cを形成するために使用することができる他の生体適合性材料には、天然材料、例えば、馬の毛、爪、皮、角、または植物繊維(例えば、トクサまたはアザミ)などが含まれる。天然材料には、サメ皮も含まれる。側方を向いた縫合糸214A~214Cは、0.5~10GPaの剛性値(ヤング率)を有する。特定の実施態様では、生体刺激装置200は、ヘリックスマウント206の周りに均等にまたは不均等に配置された、1~8つの側方を向いた縫合糸を含み得る。側方を向いた縫合糸214Aを特に参照すると、側方を向いた縫合糸の各々は、生体刺激装置200の長手方向軸304と側方を向いた縫合糸214Aの起点506との間に延在する法線504に対して所定の角度θをなして、所定の距離dだけヘリックスマウント206から延びるように構成され得る。特定の実施態様では、dは、0.762~1.27mm(0.003~0.05インチ)であり、θは、15~75度である。側方を向いた縫合糸214A~214Cの各々はまた、0.076~0.762mm(0.003~0.03インチ)の直径を有する。
図6A~図6Bは、患者の心臓600の心腔における生体刺激装置602A、602Bの心臓内植え込みを示す。図6Aに示すように、第1の生体刺激装置602Aは心臓600の心房604内に植え込まれ、第2の生体刺激装置602Bは心臓600の心室606内に植え込まれる。第1の生体刺激装置602A及び第2の生体刺激装置602Bの各々の植え込みは、一部には、生体刺激装置602A、602Bを、ガイドカテーテルを介して心臓内に挿入することによって達成することができる。トルク可能なカテーテルを使用して、生体刺激装置602A及び生体刺激装置602Bの各々のハウジングを回転させ、生体刺激装置602A及び生体刺激装置602Bの各々の主要ヘリックス605A及び主要ヘリックス605Bをそれに対応する心臓組織にねじ込んで固定することにより、主要ヘリックス605A及び主要ヘリックス605Bに対応する電極を刺激可能な組織に接触させることができる。同様に、図6Bに示すように、生体刺激装置602A、602Bの除去及び回収は、ガイディングカテーテル608を介して心内膜で達成することができる。図6Bの例では、第2の生体刺激装置602Bは、心臓600から除去される過程にある。第2の生体刺激装置602Bを除去するために、ガイディングカテーテル608を介して心臓600内にトルク可能カテーテル610を挿入し、生体刺激装置602Bに結合させることができる。そして、上述のように、トルク制御可能なカテーテル610を逆回転させて、生体刺激装置602Bを心臓組織から脱離させることができる。ガイディングカテーテル及びトルク可能カテーテルを挿入する同様のプロセスは、本開示による心外膜固定及び生体刺激装置の除去にも使用され得る。
図7は、図2のヘッダーアセンブリ204の分解図であり、主要ヘリックス205、前方を向いた縫合糸212、及び側方を向いた縫合糸214は、明確にするために除去されている。図7に示すように、フランジ210は、ヘリックスマウント206及びキャップ208の各々を貫通し、かつ、ヘリックスマウント206及びキャップ208の各々と結合される中央ポスト702を含む。特定の実施形態では、中央ポスト702は、ヘリックスマウント206の対応するねじと係合してねじ結合を形成するように構成されたねじ部分704を含む。別の実施形態では、ヘリックスマウント206とフランジ210との結合は、これに限定しないが、接着剤及び超音波溶接を含む他の方法によって達成することができる。したがって、ハウジング102に同様に取り付けられる中央ポスト702及び/またはフランジ210にヘリックスマウント206を取り付けることによって、ヘリックスマウント206をハウジング102に取り付けることができる。中央ポスト702は、ヘリックスマウント206を貫通して挿入され、かつ、電極211でキャップされた滑らかな部分706をさらに含むことができる。
キャップ208は、前方を向いた縫合糸212A、212B(図2に示す)の位置及び向きが、ヘリックスマウント206及び主要ヘリックス205(図2に示す)に対して維持されるように、ヘリックスマウント206に結合され得る。例えば、図7に示すように、キャップ208は、ヘリックスマウント206に対するキャップ208の特定の配向を設定するために、ヘリックスマウント206の対応するキー710が挿入されるキー溝708を有する。別の実施形態は、キャップ208がヘリックスマウント206に対して特定の配向で取り付けられることを同様に確実にする、キャップ208とヘリックスマウント206との別の嵌合要素を有し得る。例えば、特定の実施態様では、ヘリックスマウント206及びキャップ208は、ヘリックスマウント206に締結されたときにキャップ208を所定の配向で配置するように構成された、単条ねじなどの係合ねじを含み得る。所定の配向には、固定要素105の先端部と、1以上のバックストップ要素203の先端部との間の相対位置が含まれ得る。例えば、前方を向いた縫合糸212A、212Bの先端部は、心臓組織を貫通するときに主要固定要素105の先端部と干渉しないように、主要固定要素105の先端部から離間している。より詳細には、生体刺激装置100の遠位端部を組織に対して回転させるときに、バックストップ要素203が固定要素105の経路内に進入しないことを確実にする量で、バックストップ要素203の先端部が固定要素205の先端部を追従することができる。この一例が図2に示されており、前方を向いた縫合糸212Aの先端部は、固定要素205の先端部を、長手方向軸を中心として少なくとも15度の角度をなして追従している。例えば、前方を向いた縫合糸212Aの先端部は、固定要素205の先端部を反時計回りに30度の角度をなして追従している。
図8A~図8Bは、キャップ208の上面図及び底面図である。キャップ208は、一般的に、図2に示した縫合糸212A、212Bなどの前方を向いた縫合糸を受容し、保持するように構成されている。このため、キャップ208は、縫合糸212A、212Bを保持し、かつ、縫合糸212A、212Bが通過して延びるいくつかの縫合糸孔802A、802Bを有する。より詳細には、生体刺激装置200の非金属フィラメント203は、キャップ138の縫合糸孔802A、802B、または任意の他の孔を通して挿入することができる。各縫合糸孔802A、802Bは、各孔を通って特定の角度で延びる縫合糸を維持するように角度をつけてもよい。例えば、縫合糸孔802A、802Bは、縫合糸孔802A、802Bを通って延びる縫合糸が角度α及びβに維持されるように、図3の文脈において前述した角度α及びβに配向され得る。
特定の実施態様では、各縫合糸は、別々に形成され、キャップ208内に個別に設置される。各縫合糸の設置は、とりわけ、接着剤を塗布すること、または、縫合糸をキャップ208の下側、若しくはキャップ208によって画定されるキャビティ内に固定することを含み得る。別の実施形態では、図2の縫合糸212A及び212Bなどの縫合糸の対は、長さが揃えられた単一の長さの縫合糸材料から形成してもよい。例えば、キャップ208は、縫合糸孔802A、802Bの間に延在する縫合糸溝804を有し得る。製造中、所定の長さの縫合糸材料を、第1の縫合糸孔802A、802Bに挿入し、縫合糸溝804を通して、第2の縫合糸孔802A、802Bから出すようにしてもよい。次に、必要に応じて、各縫合糸孔802A、802Bから延びる糸の部分の長さを揃える。追加の対の縫合糸及び縫合糸孔を有する実施形態では、各対の縫合糸は、同様に、単一の長さの縫合糸材料から形成され得る。単一の長さの縫合糸材料は、複数対の縫合糸孔に通され、2以上の縫合糸が同じ長さの縫合糸材料から形成されるように、対応する縫合糸溝に沿って延ばす。
図9は、ヘリックスマウント206の側面図及び断面側面図である。ヘリックスマウント206は、ハウジング102に取り付けることができる。ヘリックスマウント206は、主要ヘリックス205を受容するように形成されたヘリックス溝904を画定するヘリックスマウント本体部902を含む。より詳細には、ヘリックスマウント206は、ヘリックスマウント本体部902の周りに螺旋状に延びて、固定要素205を取り付けることができるねじ付きフランジ形状を形成するヘリックスマウントフランジ903を含む。例えば、固定要素205は、固定要素105をヘリックスマウント206及びハウジング202に固定するためにヘリックスマウント206にねじ込むことができるコイル状ワイヤを含む。固定要素205は、固定要素205が動作中にヘリックスマウント206に対して回転しないように、例えば、溶接、接着、または他の方法で構成要素を互いに結合させることによって、製造中にヘリックスマウント206上に固定することができる。
ヘリックスマウント206は、側方を向いた縫合糸214A~214C(側方を向いた縫合糸214Cは図5に示されている)の各々が挿入されて固定されるいくつかの孔または同様のキャビティ906をさらに画定し得る。例えば、バックストップ要素214A~214Cの第1の端部は、キャビティ906内に配置することができ、バックストップ要素は、ヘリックスマウントフランジ903を通って第2の端部まで延びている。例えば、バックストップ要素は、第1の端部から第2の端部までヘリックスマウントフランジ903の側壁907に形成された各孔を通って延びる非金属フィラメントであり得る。キャビティ906に接着剤または他の充填剤を充填して、キャビティ内の非金属フィラメントの第1の端部を固定することにより、バックストップ要素をヘリックスマウント206に固定することができる。
生体刺激装置内への、及び生体刺激装置を通じての、心臓組織の内方成長を促進するキャビティ及び貫通孔などの要素は、生体刺激装置の心臓組織への固定を強化し、それにより、生体刺激装置の心臓組織からの螺脱及び係合解除を防止することができる。本明細書に記載される抗螺脱要素の多くは、生体刺激装置の植え込み直後、かつ、心臓組織が生体刺激装置内に成長する前に、心臓組織からの生体刺激装置の意図しない脱離を防止するように構成されていることを理解されたい。一実施形態では、貫通孔は、生体刺激装置の遠位面上で、オリフィスに対して角度が付けられている。
本明細書に記載される貫通孔は、開放されていて、いかなる閉塞材料も含まれていなくてもよく、あるいは、マンニトールなどの速溶性物質、または徐々に生体吸収される材料で充填されてもよい。生体刺激装置の植え込み前に貫通孔またはキャビティを充填する利点は、細菌増殖のための病巣としての機能を果たす閉じ込められた空気塞栓及びキャビティのリスクを排除できることである。
本明細書に記載されている抗螺脱要素は、生体刺激装置が意図せずに螺脱したり、組織から脱離したりするのを防止することを意図している。この抗螺脱要素は、生体刺激装置の植え込み後の短期間(例えば、植え込み後の1~3ヵ月以内)において、最も重要である。植え込み後の1~3ヶ月後、内皮化が十分に行われ、生体刺激装置は心臓組織によって完全に被包される。完全に被包された生体刺激装置が心臓組織から意図せずに脱離することはほとんどない。
螺脱防止要素(抗螺脱要素)は、植え込み後の短い期間(例えば、植え込み後の最初の1~3ヶ月以内)において最も効果的であるように設計され得る。したがって、抗螺脱要素は、生体吸収性材料から製造され得る。抗螺脱要素は、生体刺激装置の脱離防止のために不要になると、生体吸収されて消失する。したがって、本明細書に記載されている抗螺脱要素、例えば、前方を向いた縫合糸は、植え込み後の最初の1~3ヶ月の期間の後に身体に吸収される生体吸収性材料から製造され得る。
図2に示した主要ヘリックス205などの固定要素は、固定要素の長さに沿った切欠部または凹部を有し得る。切欠部は、固定要素内に半円形の切欠部を含むことができる。この切欠部は、固定要素が組織内に挿入された後の組織の内部成長を可能にする。図示しないが、切欠部は、三角形、正方形、長方形などの形状の切り欠きを含む他の形状の切り欠きを含み得る。
本開示のいくつかの実施では、電極は、固定要素から分離されてもよい。そのような実施形態では、電極は、生体刺激装置の本体部またはハウジングから外向きに延びる可撓性のアーム上に取り付けられ得る。可撓性のアームは、生体刺激装置の本体部またはハウジングから半径方向外方に延びて、生体刺激装置の心臓組織からの螺脱または脱離が開始されたときに、心臓組織に対する追加的な抵抗を提供することができる。可撓性のアームは、螺脱をさらに防止するために、貫通孔、返し部(barb)、歯部、縫合糸などの追加の螺脱要素を有し得る。いくつかの実施形態では、可撓性のアームは、一方の回転方向(例えば、リードレス生体刺激装置が組織から螺脱させるのを可能にする回転の方向)においてのみ可撓性であり、他方の回転方向においては剛性または非可撓性である。
図32Aを参照すると、固定要素205内に配置された螺旋状アクティブ電極211を含む、生体刺激装置200の別の実施形態の斜視図が示されている。より詳細には、電極211及び固定要素205は両方とも長手方向線を中心として螺旋状に巻回されているが、固定要素205の螺旋半径は、電極211の螺旋半径より大きい。より詳細には、電極211は、生体刺激装置200のハウジング102に取り付けられた螺旋状アクティブ電極211であり、この螺旋状アクティブ電極211は、二重ペーシング及び固定機能を行うことができる。例えば、電極211には、長手方向軸304を中心として電極ヘリックス軸3205に沿って延びる補助的ヘリックス、例えば、電極ヘリックス3203が含まれ得る。螺旋状アクティブ電極211の電極ヘリックス軸3205は、固定要素205のヘリックス軸1001の半径方向内側に位置する。一態様では、固定要素205のヘリックス軸1001と螺旋状アクティブ電極211の電極ヘリックス軸3205との両方は、長手方向軸304を中心として同一回転方向に螺旋状に巻回され得る。例えば、固定要素205のヘリックス軸1001と螺旋状アクティブ電極211の電極ヘリックス軸3205との両方は、長手方向軸304を中心として反時計回りの方向に螺旋状に巻回され得る。
螺旋状アクティブ電極211は、これに限定しないが、白金イリジウムを含む金属生体適合性材料から形成され得る。螺旋状アクティブ電極211は、例えば窒化チタンでコーティングされ得る。コーティングには、白金、白金イリジウム、イリジウム、酸化イリジウム、窒化チタン、炭素などの低分極コーティングが含まれ得る。螺旋状アクティブ電極211の一部は、最適化された電極表面積を達成するためにマスクされ得る。
図32Bを参照すると、寸法的には、螺旋状アクティブ電極211は、0.25回転~3回転の巻回数で、ハウジングから延びている。螺旋状アクティブ電極のワイヤ直径は、0.076~0.762mm(0.003~0.03インチ)であり、ピッチ直径は、0.508~7.62mm(0.02~0.3インチ)であり、ピッチは、0.254~2.54mm(0.01~0.1インチ)であり得る。螺旋状アクティブ電極211は、固定要素205とは異なるピッチを有し、固定中に固定要素205を通過する組織に対する異なるグリップを可能にする。例えば、螺旋状アクティブ電極211のピッチが固定要素205のピッチよりも0.1mm大きい場合、固定要素205は、固定の過程で0.1mm圧縮され、固定要素が固定した組織を圧縮(またはグリップ)し、これにより、リードレスペースメーカ200の脱離を低減させ、かつ、信号ノイズを低減させる。
再び図32Aを参照すると、螺旋状アクティブ電極211は、活性剤溶出ペイロード3201の周りを巻回することができる。例えば、ペイロードは、電極211が標的組織内に固定されたときに標的組織内に溶出する材料のステロイドプラグであり得る。
再び図32Bを参照すると、螺旋状アクティブ電極211は、ヘリックスマウント206を越えて、0~2.5回転の巻回数、例えば2.5回転の巻回数で延びている。螺旋状アクティブ電極211は、固定要素205から突出していてもよい。より詳細には、螺旋状アクティブ電極211の遠位先端部は、固定要素205の遠位先端部に対して遠位であってもよい。固定要素205から突出した螺旋状アクティブ電極211は、固定前の閾値の検出を可能にし、再配置の必要性を低減させることができる。突出量3207の一例が示されている。突出量3207は、例えば0.508mm(0.020インチ)であり得、これは、螺旋状アクティブ電極211の一回転を可能にし得る。固定要素205から突出した螺旋状アクティブ電極211は、固定要素205のためのパイロット孔としての機能を果たすことができ、心臓が鼓動している間、固定要素205を中心に維持することを可能にする。さらに、固定要素205から突出した螺旋状アクティブ電極211は、固定要素205がぐらつく可能性を低減させることができる。より詳細には、螺旋状アクティブ電極211は、固定要素205を安定化させて、標的組織内への予測可能な固定を提供することができる。
一実施形態では、螺旋状アクティブ電極211は、固定要素205(図示しない)と同じ高さ、または、固定要素205よりも低い高さである。螺旋状アクティブ電極211をより短くすると、電極表面積を減少させることができ、これにより、生体刺激装置の電池寿命を延ばすことができる。螺旋状アクティブ電極211の高さを、固定要素205の高さと同じか、または固定要素205よりも低くすると、螺旋状アクティブ電極211をより浅い深さに固定することができ、これにより、心臓組織及び心膜への損傷を最小限に抑えることができる。
アクティブ電極の螺旋は、固定要素205について本明細書で説明したのと同様の構造的特徴を有し得る。例えば、両方の螺旋は、リードレスペースメーカの組織へのねじり力が両方の固定要素を同時に活性化するように、同じ方向に巻回され、それによって、冗長な固定要素を追加し、リードレスペースメーカの脱離を低減させ、かつ、信号ノイズを低減させることができる。
別の実施形態では、電極211の先端部は、標的組織への浅い侵入を促進するために、6時の位置に位置し得る。しかしながら、固定要素205とは対照的に、電極211は、上述したように標的組織に電気インパルスを送達するように機能し得る。生体刺激装置は、固定要素205及び電極211を組織にねじ込むことによって組織に取り付けることができる。固定要素205が組織と係合すると、電極211は組織と接触するように配置される。電極211によって、組織と係合する螺旋表面積が増大することにより、さらなる固定が提供される。本明細書に記載されているように、抗螺脱要素を追加して、生体刺激装置が意図せずに組織から脱離したり、螺脱したりするのを防止することができる。
図10A~図10Eは、図2の固定要素205をさらに詳細に示す。具体的には、図10A及び図10Bは、互いに異なる角度から見た主要ヘリックス205の側面図であり、図10C及び図10Dは、主要ヘリックス205の遠位ヘリックス端部1050の詳細図であり、図10Eは、遠位ヘリックス端部1050の上面図である。図2に示すように、主要ヘリックス205は、一般的に、図2の生体刺激装置200などの生体刺激装置の遠位端部に配置され、生体刺激装置200をねじ込み方向に回転させることによって、心臓の壁部に生体刺激装置200を取り付けるように構成されている。
ここで図10A~図10Bを参照すると、固定要素205は、ヘリックス軸1001に沿って延びるヘリックスを含むことができる。例えば、主要ヘリックス205は、ワイヤコイル1002から形成され、生体刺激装置200の長手方向線(例えば、図3に示すような長手方向軸304)と略同一直線をなすヘリックス軸1004を中心として延びる螺旋ばねであってもよい。一態様では、ヘリックスは螺旋ワイヤであり、例えば、ソリッドワイヤまたはカットチューブであり得る。より詳細には、本明細書で使用されるワイヤという用語は、ヘリックス軸1001を中心として延びる外面を有する細長い構成要素、例えば、ストランド、フィラメントなどを指す。また、外面は、ハイポチューブの壁部を、螺旋コイルを形成するために螺旋状に切断(例えば、レーザ切断)することによって形成することができる。電解研磨やサンドブラストなどの後処理を行ってバリを除去することにより、チューブ状に形成された螺旋ばねの切断縁を平滑にすることができる。チューブ状に形成された螺旋ばねの先端部は、ソリッドワイヤコイルと同様に、本明細書に記載される点形態を形成するために、研削及び研磨作業によってさらに加工することができる。螺旋ばねは、金属製であってもよい。ワイヤのヘリックス軸1001は、長手方向軸304を中心として螺旋状に延びている。ワイヤコイル1002は、外周1006を画定する断面を有する固定要素205の少なくとも一部を形成することができる。
一実施形態では、固定要素205のワイヤは、ヘリックス軸に沿って遠位縁部1007まで延びている。遠位縁部1007は、ヘリックス軸1001を中心として延在しており、ヘリックス軸1001上にヘリックス面1009を画定することができる。例えば、図10A~図10Eの例のように、端部から見た場合、ワイヤ面1009は、ほぼ円形であり得る。これは、ワイヤが円形の外面1011を有する円形ワイヤの場合である。より詳細には、近位縁部から遠位縁部1007までヘリックス軸1001に沿って延びる外面1011が円形断面を有する場合、ワイヤ面1009は円形領域(平らなワイヤ面がヘリックス軸1001と直交する場合)を有する。対照的に、外面1011が非円形である場合、例えば、ワイヤが楕円形ワイヤである場合、遠位縁部1007は楕円形であり得る。したがって、ワイヤコイル1002の円形の外周は、本開示の実施形態において用いることができる外周形状の一例に過ぎず、他の形状及びワイヤコイルのタイプを有する主要ヘリックスを本開示に用いてもよい。例えば、ワイヤコイル1002は一般的に、これに限定しないが、円形ワイヤ、扁平なまたは正方形のワイヤ、または皮下チューブのうちの1つに形成された生体適合性材料から形成してもよい。ワイヤコイル1002は、ニッケル-コバルト-クロム-モリブデン合金、例えばMP35N(登録商標)または35N LT(登録商標)、医療グレードのステンレス鋼、ニチノール、または耐疲労性を有する同様の金属ベースの誘導体などの金属生体適合性材料から作製することができる。ワイヤコイル1002は、同様に、機械加工された、鋳造された、または成形されたプラスチックから作製することができる。
遠位縁部1007は、外面1011とワイヤ面1009との間の交差部である。したがって、遠位縁部1007は、ワイヤ表面、例えば円筒表面と固定要素205の先端部1052との間の遷移部であり得る。この遷移縁部は、角のある縁部、または丸みを帯びた縁部であり得る。例えば、ワイヤの外面は、遷移面が識別可能な角度を有することなく、外面が連続的に先端部1052に遷移するように、先端部1052に向かって徐々に丸くすることができる。このような場合、遠位面1009は、ワイヤの中心から外面1011までの距離よりも短い距離だけ半径方向にオフセットされたワイヤの任意の部分と見なすことができる。
特定の実施態様では、主要ヘリックス205は、主要ヘリックス205の形状に関する所定のパラメータに従うことができる。例えば、図10Aに示すように、主要ヘリックス205は、所定のピッチ1008、及び所定のピッチ角1010を有するように形成される。特定の実施態様では、ピッチ1008は、0.1778~1.524mm(0.007~0.060インチ)であり、ピッチ角1010は、2.5~20度である。
図10A~図10Eの各図に示すように、遠位ヘリックス端部1050は、鋭利な先端部または先端部1052とも称される先端部で終端している。先端部1052は、例えばダブルベベルまたはトリプルベベルなどのマルチベベルによって形成してもよいし、または、ベベル面(面取り面)を用いずに外面1011を先端部1052まで徐々に減少させてもよい。
先端部1052は、ヘリックス軸1001の方向における、ワイヤの最も遠位の点である。したがって、先端部1052は、遠位面1009上に位置する。遠位面1009上における先端部1052の位置が固定要素205の貫通能力に影響を与えることが見出された。より詳細には、心臓組織内に配置するとき、固定要素205は、先端部1052がハウジング102に対してより近位にある場合、固定要素205は組織内により浅く挿入される。例えば、心臓組織内に配置するとき、6時の位置(図10Cに示すように、遠位縁部1007上におけるハウジング102に対して最も近位の位置)に配置された先端部1052は、12時の位置(図11Aに示すように、ハウジング102に対して最も遠位の位置)に配置された先端部1052と比べて、組織を深く貫通しない傾向がある。したがって、心房壁などの薄い組織壁に配置する場合、「6時」の位置は、組織壁を完全に貫通し、心膜などの外部構造をピンニングする可能性を低減させることができる。
一態様では、先端部1052は、挿入深さを制御するために、より遠位の位置またはより遠位ではない位置に配置することができる。例えば、図10Cを参照すると、先端部1052は、横断面1051とハウジング102との間に位置し、これにより、固定要素105が標的組織内へより深く挿入しないようにすることができる。より具体的には、先端部1052は、横断面1051の近位に位置してもよい。対照的に、先端部1052が、横断面1051を挟んでハウジング102の反対側に位置する場合、例えば横断面に対して遠位に位置する場合には、固定要素105を標的組織内により深く挿入することができる。
横断面1051は、長手方向軸304(またはヘリックス軸1004)に対して直交し、かつ、ワイヤ面1009の中央線に沿って延びている。より詳細には、横断面1051は、ワイヤ面1009の中心1053と交差している。したがって、横断面1051は、ワイヤ面1009の近位側部分(横断面1051とハウジング102との間の表面領域)と、ワイヤ面1009の遠位側部分(横断面1051を挟んでハウジング102の反対側の表面領域)との間に、ヘリックス軸1001の長手方向に延びるセパレータを画定することができる。先端部1052がワイヤ面1009の近位側部分内に位置する場合、固定要素205をより浅く挿入することができる(逆もまた同様である)。先端部1052の様々な位置が以下により詳細に説明されるが、上述した原理にしたがって挿入深さを制御するために、ワイヤ面1009上の任意の場所に先端部1052を配置できることを理解されたい。
一実施形態では、図10A~図10Dに示すように、先端部1052は、ワイヤコイル1002の外周1006、例えば遠位縁部1007上に配置することができる。例えば、先端部1052は、心臓組織へねじ込むときに先端部1052の挿入深さを減少させる近位または「6時」の位置に配置することができ、これにより、過剰な挿入、及びそれに伴う外傷の可能性が低減する。6時の位置は、ワイヤ面1009の中心1053において横断面1051と交差する長手方向面1059上に位置する。より詳細には、長手方向面1059は、横断面1051と直交し、かつ長手方向軸304と平行をなす面であり、その結果、ワイヤ面1009の中心1053における横断面1051と長手方向面1059との交差により、端部から見たときにワイヤ面1009は四分円に分割される。一実施形態では、先端部1052は、長手方向面1059上に位置する。例えば、先端部1052は、長手方向面1059上における、横断面1051に対して近位の位置(図10C)、または、横断面1051に対して遠位の位置(図11C)に配置される。一実施形態では、先端部1052は、6時の位置に位置し、これは、遠位縁部1007における、遠位縁部1007と長手方向面1059(図10C)とが交差する位置である。
一実施形態では、ワイヤ面1009は、先端部1052で交差する複数のベベル面を含む。例えば、図10Cを参照すると、第1のベベル面1090A及び第2のベベル面1090Bは、ワイヤ面1009の別々の部分を形成する。図10Dを参照すると、ベベル面は、前縁部1092に沿って交わっている。前縁部1092は、先端部1052と基端部1056との間に延在する縁部1054である。より詳細には、前縁部1092は、ワイヤ面1009に沿って、先端部1052から遠位縁部1007上の基端部1056まで延在している。基端部1056は、横断面1051を挟んでハウジング102の反対側に位置する。
先端部1052の概略的な位置及び向きは、縁部1054の相対角度の観点から説明することができる。例えば、図10A~図10Dの各図に示すように、ベクトル1058が、ヘリックス軸1004に対して平行に基端部1056から遠位方向に延びており、このベクトル1058とヘリックス軸1004とにより平面1060が画定される。そして、先端部1052の向きは、平面1060に沿ってベクトル1058から離れる方向の角度に対応する角度θ(図10Cに示す)の観点から説明することができる。角度θは、0~180度であり得、180度は、図10A~10Dに示す「6時」の位置に対応する。第2の角度ψは、先端部1052が前方へ延びる方向を規定することができる。より具体的には、第2の角度ψは、縁部1054が平面1060となす角度に対応する。特定の実装形態では、第2の角度ψは、10~60度である。遠位ヘリックス端部1050はまた、基端部1056と先端部1052との間の長手方向距離に概ね対応する所定の先端部長さ1070を有する。例えば、特定の実施形態では、先端部長さ1070は、0.0508~0.762mm(0.002~0.03インチ)である。
図11A~図14Cは、様々な先端部の構成を有する固定要素の実施形態を示す。
例えば、先端部1152、1252、1352、1452は、図10A~図10Dと比較して、異なる位置に配置されるか、または異なる数のベベル面の集合によって形成される。上記で使用した基準幾何学及び用語、例えば、横断面1051、長手方向面1059などが以下の説明で明示的に使用されない場合でも、構成は、そのような用語で暗示的に説明されることを理解されたい。
図11A~図11Cは、本開示による主要ヘリックス1100の概略図である。主要ヘリックス1100は、横断面1051に対して遠位の遠位縁部1007上に先端部1152を有する固定要素1100である。より具体的には、先端部1152は、長手方向面1059上の12時に配置されている。図11Aは、主要ヘリックス1100の側面図であり、図11B~図11Cは、主要ヘリックス1100の遠位ヘリックス端部1150の詳細図である。主要ヘリックス1100は、ワイヤコイル1102から形成され、ヘリックス軸1104を中心として延びている。主要ヘリックス1100を形成するワイヤコイル1102は、外周1106を含む。
図11A~図11Cの各図に示すように、遠位ヘリックス端部1150は、先端部1152がワイヤコイル1102の外周1106上に配置されるように、二重ベベルによって形成された鋭利な先端部1152で終端する。図10A~図10Dに示した、先端部1052が近位の位置すなわち「6時」の位置に配置された主要ヘリックス205とは対照的に、主要ヘリックス1100の先端部1152は遠位の位置すなわち「12時」の位置に配置される。より具体的には、先端部1052を形成する二重ベベルにより、先端部1052と基端部1156との間に延在する縁部1154が形成される。ベクトル1158が、ヘリックス軸1104に対して平行に基端部1156から遠位方向に延びており、このベクトル1158とヘリックス軸1104とにより平面1160が画定される。「12時」の位置では、平面1160に沿ったベクトル1158と基端部1156との間の角度θは実質的にゼロである。先端部1152の「12時」の位置は、一般的に、図10A~図10Dの主要ヘリックス205と比較して、より深く穿刺される先端部に対応する。したがって、このような主要ヘリックスは、比較的厚い心臓組織への植え込み、または過剰な挿入によって無用な外傷が生じない部位、例えば心室などの部位への植え込みにより適している。図11Bに示すように、また、主要ヘリックス1000の先端部1052と同様に、先端部1152が前方へ延びる方向は、第2の角度ψによって規定することができる。より具体的には、第2の角度ψは、縁部1154が平面1160となす角度に対応する。特定の実装形態では、第2の角度ψは、10~60度である。遠位ヘリックス端部1150はまた、基端部1156と先端部1152との間の長手方向距離に概ね対応する所定の先端部長さ1170を有する。例えば、特定の実施形態では、先端部長さ1170は、0.0508~0.508mm(0.002~0.02インチ)である。
図12A~図12Cは、本開示による主要ヘリックス1200の概略図である。主要ヘリックス1200は、横断面1051に沿って遠位縁部1007上に先端部1252を有する固定要素1200である。より具体的には、先端部1252は、横断面1051上の9時の位置に配置されている。ワイヤ面1209は、2つのベベル面が先端部1252で交わる二重ベベル設計を有する。図12Aは、主要ヘリックス1200の側面図であり、図12B~図12Cは、主要ヘリックス1200の遠位ヘリックス端部1250の詳細図である。主要ヘリックス1200は、ワイヤコイル1202から形成され、ヘリックス軸1204を中心として延びている。主要ヘリックス1205を形成するワイヤコイル1202は、外周1206を含む。
図12A~図12Cの各図に示すように、遠位ヘリックス端部1250は、先端部1252がワイヤコイル1202の外周1206上に配置されるように、二重ベベルによって形成された鋭利な先端部1252で終端する。図10A~図10Dに示した、先端部1052が近位位置すなわち「6時」の位置に配置された主要固定ヘリックス205とは対照的に、主要ヘリックス1200の先端部1252は、外側側方位置すなわち「9時」の位置に配置される。より具体的には、先端部1252を形成する二重ベベルにより、先端部1252と基端部1256との間に延在する縁部1154が形成される。ベクトル1258が、ヘリックス軸1104に対して平行に基端部1156から遠位方向に延びており、このベクトル1258とヘリックス軸1204とにより平面1260が画定される。「9時」の位置では、平面1260に沿ったベクトル1258と基端部1256との間の角度θは約90度である。先端部1252の「9時」位置は、一般的に、図10A~図10Dに示した先端部1052のより浅く穿刺される「6時」の位置と、図11A~Cに示した先端部1052のより深く穿刺される「12時」の配置との中間の穿刺程度を有する。
上述したように、先端部の各位置は、生体刺激装置の有効性、例えば、固定性及び安全性に関してユニークな利点を有する。例えば、先端部の位置により、先端部の前縁部を心膜ピニングから保護して、長期ペーシング性能に対して悪影響を及ぼす可能性を低減させることができる。したがって、生体刺激装置100は、意図された植え込み位置に特異的な先端部の位置を有するように製造することができる。一例として、心室内への植え込みを意図した生体刺激装置100は、先端部が12時の位置を有するように製造される。対照的に、心房内への植え込みを意図した生体刺激装置100は、先端部が6時の位置を有するように製造される。
図10A~図12Cに示すように、角度θはヘリックス軸から離れて測定される。しかしながら、別の実施形態では、代わりに、角度θはヘリックス軸に向かって測定してもよい。例えば、角度θが約90度である実施形態は、先端部1052が「3時」の位置(すなわち、図12A~図12Cに示した先端部1252の位置の反対側)に配置された実施形態に対応する。したがって、本開示が角度θに言及し、θの値の範囲を提供する場合、そのような値は、ヘリックス軸に向かってまたはヘリックス軸から離れて測定される角度に基づくことができる。
本開示の特定の実施形態では、主要固定ヘリックスの先端部は、代わりに、主要ヘリックスによって画定されるエンベロープに対して提供されてもよい。例えば、図13Aは鋭利な先端部1352を有する遠位ヘリックス端部1350を有する主要ヘリックス1300の概略図であり、図13Bは、遠位ヘリックス端部1350の側面図であり、図13Cは、遠位ヘリックス端部1350の正面図である。
図13A~図13Cに示すように、主要ヘリックス1300は、ワイヤ面1009上における、遠位縁部1306から内向きに、かつ横断面1051に対して遠位に配置された先端部1352を有する固定要素1300であり得る。より詳細には、先端部1352は、長手方向面1059に沿って、12時の位置の方向に配置されている。ワイヤ面1009は、3つのベベル面が先端部1252で交わるような三重ベベル設計を有する。遠位ヘリックス端部1350は、コイルワイヤ1302から形成される。遠位ヘリックス端部1350は、鋭利な先端部1352で終端するテーパ部分1354を含む。図10A~図12Cの主要ヘリックスでは、鋭利な各先端部がコイルワイヤの周縁部、例えば遠位縁部1007上に配置されていたのに対して、主要ヘリックス1300の先端部1352は、コイルワイヤ1302の非テーパ部分1355によって画定される突出したボリューム1356内に配置されている。突出したボリューム1356は、非テーパ部分1355がテーパ部分1354を越えて延在する場合に、非テーパ部分1355によって占められる体積に対応する。したがって、テーパ部分1354は、突出したボリューム1356内に延びて先端部1352で終端する。
図13Bに示すように、先端部1352の位置は、非テーパ部分1355の端部からの第1の距離1358と、コイルワイヤ1302によって画定され、コイルワイヤ1302を通って長手方向に延びる第1の軸1357からの第2の距離1360とによって規定される。第2の距離1360は、第1の軸1357と直交し、かつヘリックス軸1304(図13Aに示す)に対して平行な第2の軸1359に沿って規定される。したがって、例えば、第2の距離1360がゼロである実施形態では、先端部1352は、第1の軸1357に沿って配置される。第2の距離1360がゼロでない別の実施形態では、先端部1352は、第1の軸1357に対して変位する。例えば、図13A~図13Cの主要ヘリックス1300の第2の距離1360は、先端部1352が第1の軸1357に対して遠位方向に変位するように、遠位方向においてゼロでない値である。別の実施形態では、第2の距離1360は、実質的に近位方向における第2の軸1359に沿った距離に対応し得る。
特定の実施形態では、第1の距離1358及び第2の距離1360は、所定の範囲内であり得る。例えば、第1の距離1358は、0.0508~0.762mm(0.002~0.03インチ)である。同様に、第2の距離1360は、0.0254~0.2286mm(0.001~0.009インチ)であり、一実施形態では、0.1016mm(0.004インチ)である。ある特定の実施形態では、第1の距離は0.254mm(0.01インチ)であり、第2の距離は0.1016mm(0.004インチ)である。
図14Aは鋭利な先端部1452を有する遠位ヘリックス端部1450を含む主要ヘリックス1400の概略図であり、図14Bは、遠位ヘリックス端部1450の側面図であり、図14Cは、遠位ヘリックス端部1450の正面図である。
図14A~図14Cに示すように、主要ヘリックス1400は、ワイヤ面1009上における、遠位縁1406から内向きに、かつ横断面1051に対して近位に配置された先端部1452を有する固定要素1400であり得る。より詳細には、先端部1452は、横断面1051と長手方向面1059との交差によって画定される左下象限に位置する。ワイヤ面1009は、3つのベベル面が先端部1452で交わるような三重ベベル設計を有する。遠位ヘリックス端部1450は、コイルワイヤ1402から形成される。遠位ヘリックス端部1450は、鋭利な先端部1452で終端するテーパ部分1454を含む。図13A~図13Cの主要ヘリックス1300と同様に、主要ヘリックス1400の先端部1452は、コイルワイヤ1402の非テーパ部分1455によって画定される突出したボリューム1456内に配置される。
図14Bに示すように、先端部1452の位置は、非テーパ部分1455の端部からの第1の距離1458と、コイルワイヤ1402によって画定され、コイルワイヤ1402を通って長手方向に延びる第1の軸1457からの第2の距離1460とによって規定される。第2の距離1460は、第1の軸1457と直交し、かつヘリックス軸1404(図14Aに示す)に対して平行な第2の軸1459に沿って規定される。図13A~図13Cの主要ヘリックス1300とは対照的に、図14A~図14Cの主要ヘリックス1400の先端部1452の位置は、第2の軸1459に対する角度αによってさらに規定される。したがって、先端部1452は、第1の軸1457及び第2の軸1459の各々からオフセットされている。
特定の実施形態では、第1の距離1458及び第2の距離1460は、所定の範囲内であり得る。例えば、第1の距離1458は、0.0508~0.508mm(0.002~0.02インチ)であり、第2の距離1460は、0~0.254mm(0~0.01インチ)である。同様に、角度αは、90~160度である。特定の実施形態では、例えば、第1の距離は0.2032mm(0.008インチ)であり、第2の距離は0.0508mm(0.002インチ)であり、角度αは120度である。
図15は、縫合糸の配置を示す図2の生体刺激装置200の等角図である。図2に関連して前述したように、生体刺激装置200は、ハウジング202と、該ハウジング202に結合されたヘッダーアセンブリ204とを含む。ヘッダーアセンブリ204は、一般的に、主要固定要素205を含み、この主要固定要素205は、図15では、生体刺激装置200によって画定される長手方向軸304を中心として延びる主要ヘリックス205である。主要ヘリックス205は、図2に関連して前述したのと同様の材料で形成してもよく、また、同様の寸法特性を有してもよい。図15に示すように、主要ヘリックス205は、該主要ヘリックス205がヘッダーアセンブリ204の遠位面207を越えて遠位方向に延びるように、ヘッダーアセンブリ204に結合される。遠位面207は、ヘッダーアセンブリ204のキャップ208の遠位端部に対応し得る。
特定の実施形態では、ヘッダーアセンブリ204は、遠位面207から延びるバックストップ要素212A、212Bをさらに含む。図15の抗螺脱要素212A、212Bは、例えば、生体刺激装置200の遠位面207から延びる可撓性縫合糸212A、212Bである。特定の実施形態では、以下により詳細に説明するように、縫合糸212A、212Bは、主要ヘリックス205の巻回方向とは反対方向に所定の角度をなして延びている。図2に関連して前述したように、縫合糸212A、212Bは、これに限定しないが、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ナイロン、ポリウレタン、シリコーン、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、及びポリカーボネートのうちの1以上を含む、様々な可撓性の生体適合性材料から形成され得る。バックストップ要素212A、212Bは、上述の天然材料から形成され得る。図15に示すように、生体刺激装置200はまた、側方キャビティ213などの側方キャビティを含むことができ、該キャビティ内に、追加の縫合糸を配置してもよい。側方キャビティ213は、ヘリックスマウント206の側壁に形成された孔であり得る。この孔に、例えば非金属フィラメントなどのバックストップ要素203を挿入して固定することができる。そのような縫合糸は、例えば、図2の縫合糸214A、214Bであり得る。
図16は、図15の生体刺激装置200の遠位図である。図示のように、主要ヘリックス205は、螺旋半径215で、長手方向軸304を中心として延びている。螺旋半径215は、一般的に、主要ヘリックス205のピッチ半径に相当する。対照的に、縫合糸212A、212Bは、それぞれ、第1の縫合糸半径217A及び第2の縫合糸半径217Bで、遠位面207から突出している。図16に示すように、縫合糸半径217A、217Bは、縫合糸ごとに異なっていてもよい。しかしながら、一般的に、各縫合糸半径は、縫合糸212A、212Bが、主要ヘリックス205によって画定されるボリューム209を少なくとも部分的に通って延びるように、螺旋半径215より小さく設定され得る。また、図16に示すように、縫合糸212A、212Bは、それぞれのフィラメント軸1602に沿ってそれぞれのフィラメント先端部1604まで延在する。バックストップ要素212A、212Bは、縫合糸212A、212Bがボリューム209の外側で終端するように、螺旋半径215を越えて延在する。螺旋半径215を超えて延在する場合、縫合糸212A、212Bの各々は、図18及び図19に関連して以下により詳細に説明するように、主要ヘリックス205の互いに隣接する巻回部(turn)の間に延在することができる。
図17は、明確にするために主要ヘリックス205を除去した、図15の生体刺激装置200の遠位図である。図17に示すように、縫合糸212A、212Bの各々は、それらが主要ヘリックス205の巻回方向とは反対の巻回方向に少なくとも部分的に延びるように「スウェプト(swept)」されている。縫合糸212A、212Bのこのような逆方向のバイアスは、特定の実施形態において、縫合糸212A、212Bによって提供される、主要ヘリックス205の螺脱に対する抵抗を向上させることができる。例えば、図17では、縫合糸212A、212Bの各々は、長手方向軸304から各縫合糸の起点へ延びるそれぞれの線221A、221Bに対して角度φで延びている。特定の実施形態では、角度φは、15~75度であり得る。
図18及び図19は、縫合糸212A、212B及び主要ヘリックス205の相対的な長手方向の配置を示すことを目的とした生体刺激装置200の側面図である。前述したように、特定の実施形態では、縫合糸212A、212Bは、それらが主要ヘリックス205の互いに隣接する巻回部の間に延在するように配置することができる。換言すれば、主要ヘリックス205は、縫合糸212A、212Bの各々を越えて遠位方向に延びるように構成されている。このような実施形態では、縫合糸212A、212Bが主要ヘリックス205の植え込み位置に隣接する組織と係合可能になるまで、主要ヘリックス205を所定の回転数でねじ込まなければならない。特定の実施形態では、主要ヘリックス205は、縫合糸212A、212Bを越えて1/8回転~2回転の巻回数で延びている。例えば、図18に示すように、主要ヘリックス205は、縫合糸212Aを越えて約半回転延びている。図19に示すように、主要ヘリックスは、縫合糸212Bを越えて、約1回転延びている。図18及び図19の実施形態に示したように、主要ヘリックスが組織に対して1回転ないし1回転半回転して係合した場合、縫合糸は組織内に配置され、バックストップ要素の作動を確実にする。
縫合糸212A、212Bは、図15~図19では、生体刺激装置200の長手方向軸304に対して実質的に直交する方向に延びるように示されている。図2~図9Bで説明したような別の実施態様では、本開示による生体刺激装置は、フィラメント軸に沿ってフィラメント先端部まで少なくとも部分的に遠位方向に延びる縫合糸を含むことができる。図2の生体刺激装置200は、例えば、キャップ208から部分的に遠位方向に延びる縫合糸212A、212Bを含む。図3に関連して説明したように、そのような縫合糸は、生体刺激装置200の長手方向軸304に対して15~75度の角度をなして延びることができる。このような縫合糸212A、212Bはまた、それらが主要ヘリックス205の巻回方向と反対方向を部分的に指すような角度で「スウェプト」され得る。そのような角度は、特定の実施態様では、15~75度であり得る。図15~図19の実施形態と同様に、図2は、主要ヘリックス205が縫合糸212Bを越えて約1/8回転だけ延びるように、主要ヘリックス205の互いに隣接する巻回部の間に延在する縫合糸212Bを図示している。
図20~図22は、本開示において前述した様々な概念を組み込んだ例示的な生体刺激装置2000を示す。より具体的には、図20は、生体刺激装置2000の第1の等角図であり、図21A及び図21Bは、生体刺激装置2000の遠位端部に焦点を当てた生体刺激装置2000の側面図であり、図22は、生体刺激装置2200の遠位図である。
他の構成も可能であるが、生体刺激装置2000は、試験中に有利な性能特性を有することが判明した特定の構成を示す。したがって、生体刺激装置2000及びその構成要素の特定の特徴が以下に提供される場合、それについての説明は、非限定的なものであり、本開示による生体刺激装置の単なる一例を提供することを意図している。
図20~図21を参照すると、生体刺激装置2000は、ハウジング2002と、それに結合されたヘッダーアセンブリ2004とを含む。ヘッダーアセンブリ2004は、一般的に、生体刺激装置2000によって画定される長手方向軸2001を中心として延びる主要ヘリックス2005の形態の主要固定要素2005を含む。主要ヘリックス2005は、図2に関連して前述したのと同様の材料で形成してもよく、また、同様の寸法特性を有してもよい。図20に示すように、主要ヘリックス2005は、主要ヘリックス2005がヘッダーアセンブリ2004の遠位面2007を越えて遠位方向に延びるように、ヘッダーアセンブリ2004に結合される。遠位面2007は、ヘッダーアセンブリ2004のキャップ2008の遠位端部に対応し得る。しかしながら、遠位面2007は、長手方向軸2001に対して直交していなくてもよい。
ヘッダーアセンブリ2004はさらに、遠位面2007から側方に延びる遠位側方縫合糸2012A、2012Bと、遠位側方縫合糸2012A、2012Bに近位するヘッダーアセンブリ2004のヘリックスマウント2006から側方に延びる近位側方縫合糸2013A~2013Cとを含む。一般的に、遠位側方縫合糸2012A、2012B及び近位側方縫合糸2013A~2013C(近位側方縫合糸2013Cは、図23に示されている)の各々は、主要ヘリックス2005の巻回方向と反対方向に所定の角度をなして側方に延びている。
主要ヘリックス2005は、心臓組織への損傷を最小限に抑えながら、生体刺激装置2000を心臓組織に結合させるようなサイズに形成された単一の螺旋状に巻回されたワイヤを含む。図20及び図21に最も明確に示されているように、主要ヘリックス2005は、ヘリックスマウント2006の遠位端部2050から約1.5回転の巻回数で延びている。一般的に、ヘリックスマウント2006の遠位端部2050から約1.5回転の巻回数で延びることにより、主要ヘリックス2005を心臓の壁部に係合させることができる容易さと、そのような係合の強度との間のバランスが得られる。主要ヘリックス2005はまた、約0.4064mm(0.016インチ)の直径、及び約0.8128(0.032インチ)のピッチを有するワイヤから形成される。材料に関しては、主要ヘリックス2005は、約2.413ギガパスカル(GPa)(約350キロポンド/平方インチ(ksi))の降伏/極限引張強さを有するタイプ302のステンレス鋼で形成される。同様の特性を有する他の生体適合性材料もまた、別の実施形態で使用することができる。例えば、一実施形態では、タイプ302のステンレス鋼の代わりに、35N LT(登録商標)などの合金を主要ヘリックス2005に使用することができる。
図12A~図12Cに示した主要ヘリックス1200と同様に、主要ヘリックス2005は、例えば二重ベベルによって形成され、主要ヘリックス2005を形成するワイヤの外周に配置される鋭利な先端部2052を含むことができる。図示のように、鋭利な先端部1252は、ほぼ「9時」の位置に配置されているが、上述したように、鋭利な先端部1252の位置は、9時の位置とは異なる位置であってもよい。換言すれば、鋭利な先端部2052は、長手方向軸2001に対して主要ヘリックス2005の側方の範囲に配置される。
図20~図22の各図に示すように、生体刺激装置2000は、生体刺激装置2000の遠位端部に配置されたキャップ2008から側方に延びる一対の遠位側方縫合糸2012A、2012Bを含む。図20~図22は、ヘリックスマウント2006を越えて2回転の巻回数で延びる固定要素2005を示しているが、ヘリックスアンカーは、ヘリックスマウントを越えて別の巻回数、例えば1.5回転~2.5回転の巻回数で延びてもよいことに留意されたい。例えば、固定要素は、ヘリックスマウントから2.5回転以上の巻回数で延びてもよい。したがって、図示は、限定ではなく例として提供される。遠位側方縫合糸2012A、2012Bは、互いに約180度離れて配置されるようにキャップ2008の周りに配置される。また、遠位側方縫合糸2012A、2012Bも、主要ヘリックス2005の先端部2052からそれぞれ約90~270度でオフセットされた位置に配置される。
生体刺激装置2000の特定の実施形態では、遠位側方縫合糸2012A、2012Bは、約0.2~約0.25mmの直径を有する#3-0縫合糸であり、ポリプロピレンから形成される。図22に示すように、遠位側方縫合糸2012A、2012Bの各々は、遠位キャップ2008から側方に延びており、各縫合糸2012A、2012Bのフィラメント先端部2015A、2015Bは、キャップ2008から約1.143mm±0.127mm(0.045インチ+/-0.005インチ)延びている。別の実施形態では、縫合糸2012A、2012Bは、0.508~2.032mm(0.020~0.080インチ)の距離だけ、遠位キャップ2008から延びている。縫合糸2012Aは、長手方向軸2001から縫合糸2012Aの起点2011Aを通って延びる第1の遠位半径方向線2009Aに対して約30度の角度をなして延びている。起点2011Aは、縫合糸2012Aが現れるキャップ2008の位置に対応する。同様に、縫合糸2012Bは、長手方向軸2001から縫合糸2012Bの起点2011Bを通って延びる第2の遠位半径方向線2009Bに対して約30度の角度をなして延びている。起点2011Bは、縫合糸2012Bが現れるキャップ2008の位置に対応する。別の実施形態では、遠位縫合糸2012A、2012Bは、それぞれの遠位半径方向線2009A、2009Bに対して75~15度の角度をなして延びている。
一実施形態では、各フィラメント先端部は、それぞれのフィラメント軸1602に沿ったフィラメント面を有するように、フィラメント軸に対して所定の角度をなすように形成される。例えば、図示のように、各先端部2015A、2015Bは、それぞれのフィラメント軸に対して約30度の角度で切断またはトリミングされ得る。
前述のように、遠位側方縫合糸2012A、2012Bに加えて、リードレス生体刺激装置2000は、ヘリックスマウント2006から延びる一組の近位側方縫合糸2013A~2013Cをさらに含む。近位側方縫合糸2013A~2013Cは、それらが互いに120度離れて配置されるように、ヘリックスマウント2006の周りに等間隔で配置される。また、近位側方縫合糸2013A~2013Cも、主要ヘリックス2005の先端部2052からそれぞれ約60度、180度、及び300度の角度でオフセットされた位置に配置される。別の実施形態では、近位側方縫合糸2013A~2013Cは、代わりに、主要ヘリックス2005の先端部2052からそれぞれ約45度、165度、及び285度の角度でオフセットされた位置に配置されてもよい。さらに別の実施形態では、近位側方縫合糸2013A~2013Cは、代わりに、主要ヘリックス2005の先端部からそれぞれ、30~70度の角度、150~190度の角度、及び270~320度の角度でオフセットされた位置に配置されてもよい。
一実施形態では、バックストップ要素、例えば非金属フィラメント2013A~2013Cは、ヘリックスマウントの側壁に形成された各孔を通って延びることができる。さらに、各孔は、バックストップ要素203が互いに長手方向にオフセットされるように、長手方向軸304に対して異なる長手方向位置に形成してもよい。図21Aに示すように、近位側方縫合糸2013A~2013Cは、遠位側方縫合糸2012A、2012Bから約0.254mm(0.010インチ)の距離2021だけ長手方向にオフセットされてもよい。別の実施形態では、距離2021は、0.127~1.27mm(0.005~0.050インチ)であり得る。また、図21に示されるように、遠位側方縫合糸2012A、2012Bと近位側方縫合糸2013A~2013Cとの間の長手方向距離は、近位側方縫合糸2013A~2013Cの各々について異なり得る。例えば、ヘリックスマウント2006はヘリックス形状を有し、近位側方縫合糸2013A~2013Cは、近位側方縫合糸2013A~2013Cの各々が互いに異なる長手方向位置に配置されるように、ヘリックス形状に沿って様々な点で延在することができる。
生体刺激装置2000の特定の実施形態では、近位側方縫合糸2013A~2013Cは、約0.15~0.2mmの直径を有する#4-0縫合糸であり、ナイロンから形成される。図22に示すように、近位側方縫合糸2013A~2013Cの各々は、各縫合糸2013A~2013Cの先端部2017A~2017Cがヘリックスマウント2006から約0.508mm±0.127mm(0.020インチ+/-0.005インチ)の長さで延びるように、ヘリックスマウント2006から側方に延びている。別の実施形態では、縫合糸2013A~2013Cは、0.254~0.762mm(0.010~0.030インチ)の距離だけヘリックスマウント2006から延びている。縫合糸2013Aは、長手方向軸2001から縫合糸2013Aの起点2019Aを通って延びる第1の近位半径方向線2023Aに対して約30度の角度をなして延び、起点2019Aは、縫合糸2013Aが現れるヘリックスマウント2006の位置に対応する。また、縫合糸2013Bは、長手方向軸2001から縫合糸2013Bの起点2019Bを通って延びる第2の近位半径方向線2023Bに対して約30度の角度をなして延びており、起点2019Bは、縫合糸2012Bが現れるヘリックスマウント2006の位置に対応する。そして、縫合糸2013Cは、長手方向軸2001から縫合糸2013Cの起点2019Cを通って延びる第3の近位半径方向線2023Cに対して約30度の角度をなして延びており、起点2019Cは、縫合糸2013Cが現れるヘリックスマウント2006の位置に対応する。別の実施形態では、近位縫合糸2013A~2013Cは、それぞれの近位半径方向線2023A~2023Cに対して、75~15度の角度をなして延びている。
一実施形態では、各フィラメント先端部は、それぞれのフィラメント軸1602に沿ったフィラメント面を有するように、フィラメント軸に対して所定の角度をなすように形成される。例えば、フィラメント先端部2015A、2015Bは、それぞれのフィラメント軸1602に対して約30度の角度で切断またはトリミングされ得る。
図21Bを参照すると、一実施形態では、生体刺激装置2100のいくつかのバックストップ要素2113A、2113B、及び2012Aは、固定要素2105のワイヤとヘリックスマウント2106の表面との間にピンチポイント2110を含むことができる。例えば、固定要素2105は、ワイヤがヘリックスマウントフランジ2160に当接するまで、先端部から近位方向に螺旋を描くことができる。より具体的には、ヘリックスマウントフランジ2160の上面は、ワイヤの外面をピンチポイント2110に並置することができる。ピンチポイント2110は、ワイヤとヘリックスマウントフランジ2160の遠位端部との間に位置し、固定要素2005が組織にねじ込まれると、捕捉された組織は、ピンチポイントでワイヤとヘリックスマウントフランジとの間に挟み込まれる。組織がピンチポイント2110で挟み込まれると、組織に加えられるクランプ力によって、生体刺激装置100は、動的な動作環境によって加えられるバックアウト力に対して抵抗する。したがって、ピンチポイント2110は、固定要素2005の後方への移動に抵抗する別の固定要素としての役割を果たす。
図26を参照すると、一実施形態による、生体刺激装置のバックアウトトルクのグラフ図が示されている。グラフは、回転角度に対するバックアウトトルクをプロットしており、回転角度は、互いに異なる組織係合事象に対応する。例えば、固定要素205が組織内に係合してねじ込まれるので、第1のバックストップ要素203を回転角度1602で標的組織に係合させた場合、先端部が最初に標的組織を第1の値まで穿刺したときに、生体刺激装置を脱離させるのに必要なバックアウトトルクはゼロであり得る。生体刺激装置を脱離させるためには、標的組織内のワイヤの摩擦を克服するだけでなく、第1のバックストップ要素によって提供される抵抗トルクも克服する必要があるため、生体刺激装置の脱離に必要なバックアウトトルクは、回転角度1602で段階的増加を示す。より多くのバックストップ要素が標的組織に係合すると、生体刺激装置の脱離に必要なバックアウトトルクは増加する。例えば、回転角度1602は、前方を向いた非金属フィラメントと標的組織との係合に対応し、回転角度1604は、側方を向いた非金属フィラメントと標的組織との係合に対応する。回転角度1604では、追加のバックストップ要素がさらにバックアウトに抵抗するので、バックアウトトルクは、別の段階的増加を示す。
一実施形態では、固定要素205が組織に係合して、組織がピンチポイント2110内に挟み込まれると、バックアウトトルクはさらに増加する。例えば、組織がピンチポイントに位置する場合、組織の剪断が生じする。組織の剪断は局所的な瘢痕を引き起こし、これにより、標的組織と固定要素205のワイヤとの間の接着が増大する。そして、接着の増大は、生体刺激装置100を除去するのに必要な除去トルクが実質的に増加する。例えば、生体刺激装置は、固定要素が組織に係合し、組織がピンチポイント2110に位置しない場合には、第1の除去トルクを有する。また、生体刺激装置100は、固定要素が組織に係合し、組織がピンチポイント2110に位置する場合には(回転角度1606の場合)、第1の除去トルクよりも大きい第2の除去トルクを有する。一実施形態では、ピンチポイントが組織上を前進するに従ってより多くの剪断が生じ、瘢痕化により接着が増大して、バックアウトに対しする抵抗が大きくなるので、バックアウトトルクの増加率は位置1606から上方に傾斜する。例えば、組織がピンチポイントに位置する場合の第2の除去トルクは、組織がピンチポイントに位置しない場合の第1の除去トルクよりも少なくとも10%大きい。
試験中、生体刺激装置2000の特性を有する生体刺激装置は、従来の生体刺激装置設計と比較して、顕著な性能上の利点を示した。特に、この設計は、生体刺激装置のトルクアウトを評価するために設計された試験において有意な向上を示した。試験中、主要ヘリックスを含む様々な縫合糸設計の生体刺激装置を、ブタの心房組織内に等間隔で植え込んだ(1.5回転の巻回数)。次いで、逆回転トルクを印加し、生体刺激装置が脱離するまで測定した。特に、生体刺激装置2000の前述の説明に従った主要ヘリックス並びに遠位及び近位側方縫合を含む生体刺激装置は、従来のリードレスペースメーカ設計と比較して、平均して300%を超えるトルクアウト値の増加を示した。さらに、近位縫合及び側方縫合の両方を含むデザインは、遠位縫合のみを含むデザインと比較して、約50%良好なトルクアウト値を示した。
図20~図22に示し、より詳細に上述した生体刺激装置2000の特定の構成は、試験中に高い性能特性を示した。しかし、生体刺激装置2000は、構成要素の1つの可能な配置を表すものであり、本開示による1つの特定の配置を示すことを意図した例としてのみ提供される。本開示を通して説明されるように、他の構成も可能であり、他の構成は、他の利点及び好ましい性能特性を示し得る。したがって、本開示の範囲は、図20~図22の特定の実施形態に限定されるべきではない。
図23~図25は、本開示において前述した様々な概念を組み込んだ例示的な生体刺激装置2300を示す。より具体的には、図23は、生体刺激装置2300の等角図であり、図24は、生体刺激装置2300の遠位端部に焦点を当てた生体刺激装置23の側面図である。図25は、生体刺激装置2300の遠位図である。
他の構成も可能であるが、生体刺激装置2300は、試験中に有利な性能特性を有することが判明した特定の構成を示す。したがって、生体刺激装置2300及びその構成要素の特定の特徴が以下に提供される場合、それについての説明は、非限定的なものであり、本開示による生体刺激装置の単なる一例を提供することを意図している。
最初に図23~図24を参照すると、生体刺激装置2300は、ハウジング2302と、それに結合されたヘッダーアセンブリ2304とを含む。ヘッダーアセンブリ2304は、一般的に、生体刺激装置2300の長手方向軸2301を中心として主要ヘリックス2305の形態の主要固定要素2305を含む。主要ヘリックス2305は、図2に関連して前述したのと同様の材料で形成してもよく、また、同様の寸法特性を有してもよい。図23に示すように、主要ヘリックス2305は、主要ヘリックス2305がヘッダーアセンブリ2304の遠位面2307を越えて遠位方向に延びるように、ヘッダーアセンブリ2304に結合される。遠位面2307は、ヘッダーアセンブリ2304のキャップ2308の遠位端部に対応し得る。
ヘッダーアセンブリ2304はさらに、少なくとも部分的に遠位面2307から遠位方向に延びる遠位縫合糸2312A、2312Bと、遠位側方縫合糸2312A、2312Bに近位するヘッダーアセンブリ2304のヘリックスマウント2306から側方に延びる近位側方縫合糸2313A~2313Cとを含む。以下により詳細に説明するように、遠位縫合糸2312A、2312B及び近位側方縫合糸2313A~2313Cの各々は、主要ヘリックス2305の巻回方向と反対方向に所定の角度をなして延びている。
主要ヘリックス2305は、生体刺激装置2000に関して上述した主要ヘリックス2005と実質的に同様である。具体的には、主要ヘリックス2305は、ヘリックスマウント2306の遠位端部2350から約1.5回転の巻回数で延び、約0.4064mm(0.016インチ)の直径及び約0.8128mm(0.032インチ)のピッチを有するワイヤから形成される。主要ヘリックス2305は、タイプ302のステンレス鋼または同様の生体適合性材料から形成され得る。
主要ヘリックス2305は、例えば二重ベベルによって形成することができ、主要ヘリックス2305を形成するワイヤの外周に配置される鋭利な先端部2352を含む。図示のように、鋭利な先端部2352は、ほぼ「9時」位置に配置されている。換言すれば、鋭利な先端部2352は、長手方向軸2301に対して主要ヘリックス2305の側方の範囲に配置される。
図23~図25の各図に示すように、生体刺激装置2300は、生体刺激装置2300の遠位端部に配置されたキャップ2308から延びる一対の遠位縫合糸2312A、2312Bを含む。遠位縫合糸2312A、2312Bは、互いに対して約180度離れて配置されるように、キャップ2308の周りに配置される。遠位縫合糸2312A、2012Bはまた、主要ヘリックス2305の先端部2352からそれぞれ約90度及び270度の角度でオフセットされた位置に配置される。
生体刺激装置2300の特定の実施形態では、遠位縫合糸2312A、2312Bは、約0.2~0.3mmの直径を有する#3-0縫合糸であり、ポリプロピレンから形成される。図25に示すように、遠位縫合糸2312A、2312Bの各々は、遠位面2307から少なくとも部分的に遠位方向に延びている。遠位縫合糸2312A、2312Bの各々が遠位面2307から延びる程度は互いに異なり得るが、図示の実施形態では、遠位縫合糸2312A、2312Bの各々は、キャップ2308から約1.143mm±0.127mm(0.045インチ+/-0.005インチ)の距離だけ延びる各先端部2317A、2317Bを含む。別の実施形態では、縫合糸2312A、2312Bは、0.508~2.032mm(0.020~0.080インチ)の距離だけ遠位キャップ2008から延びている。
前述のように、遠位縫合糸2312A、2312Bの各々は、少なくとも部分的に遠位方向に延びている。図24A及び図24Bに図示した遠位縫合糸2312Aを参照すると、遠位縫合糸2312A、2312Bが遠位方向に延びる程度は、生体刺激装置2300の長手方向軸2301を横切る平面2333(図24A及び図24B)に対する角度ψによって規定することができる。生体刺激装置2300の特定の実施形態では、角度ψは約60度である。別の実施形態では、角度ψは、15~75度などの、任意の他の適切な値を有してもよい。
遠位縫合糸2312A、2312Bの各々はまた、主要ヘリックス2305の方向と反対の方向に「スウェプト」されてもよい。例えば、縫合糸2312Aは、長手方向軸2301から縫合糸2312Aの起点2311Aを通って延びる第1の遠位半径方向線2309Aに対して約30度の角度をなして延びており、起点2311Aは、縫合糸2312Aが現れるキャップ2308の位置に対応する。同様に、縫合糸2312Bは、長手方向軸2301から縫合糸2312Bの起点2311Bを通って延びる第2の遠位半径方向線2309Bに対して約30度の角度をなして延びており、起点2311Bは、縫合糸2312Bが現れるキャップ2308の位置に対応する。別の実施形態では、近位縫合糸2313A~2313Cは、それぞれの近位半径方向線2323A~2323Cに対して、15~75度の角度をなして延びている。
一実施形態では、各フィラメント先端部は、それぞれのフィラメント軸1602に沿ったフィラメント面を有するように、フィラメント軸に対して角度をなして形成され得る。例えば、図示のように、各先端部2317A~2317Cは、約30度の角度で切断またはトリミングされ得る。
前述のように、遠位縫合糸2312A、2312Bに加えて、リードレス生体刺激装置2300は、ヘリックスマウント2306から延びる近位側方縫合糸2313A~2313Cのセットをさらに含む。近位側方縫合糸2313A~2313Cは、それらが互いに120度離れて配置されるように、ヘリックスマウント2306の周りに等間隔で配置される。また、近位側方縫合糸2313A~2313Cは、主要ヘリックス2305の先端部2352からそれぞれ約60度、180度、及び300度の角度でオフセットされた位置に配置される。別の実施形態では、近位側方縫合糸2313A~2313Cは、主要ヘリックス2305の先端部2352からそれぞれ約45度、165度、及び285度の角度でオフセットされた位置に配置される。さらに別の実施形態では、近位側方縫合糸2313A~2313Cは、代わりに、主要ヘリックス2305の先端部2352から、30~70度、150~190度、270~320度の角度でオフセットされた位置に配置されてもよい。図24A~図24Bに示すように、近位側方縫合糸2313A~2313Cは、遠位縫合糸2312A、2312Bの起点2311A、2311Bから約0.254mm(0.01インチ)の距離2321だけオフセットされてもよい。別の実施形態では、距離2321は、0.127~1.27mm(0.005~0.050インチ)であり得る。また、図24A及び図24Bに示すように、遠位縫合糸2312A、2312Bと近位側方縫合糸2313A~2313Cとの間の長手方向距離は、近位側方縫合糸2313A~2313Cのそれぞれに対して異なり得る。例えば、ヘリックスマウント2306は、螺旋形状を有し得、近位側方縫合糸2313A~2313Cの各々が互いに異なる長手方向位置に配置されるように、近位側方縫合糸2313A~2313Cは、螺旋形状に沿って様々な位置で延びている。
生体刺激装置2000の特定の実施形態では、近位側方縫合糸2313A~2313Cは、約0.15~0.2mmの直径を有する#4-0縫合糸であり、ナイロンから形成される。図25に示すように、近位側方縫合糸2313A~2313Cの各々は、各縫合糸2313A~2313Cの先端部2317A~2317Cがヘリックスマウント2306から約0.508mm±0.127mm(0.020インチ+/-0.005インチ)の長さで延びるように、ヘリックスマウント2306から側方に延びている。別の実施形態では、縫合糸2313A~2313Cは、0.254~0.762mm(0.010~0.030インチ)の距離だけヘリックスマウント2306から延びている。縫合糸2313Aは、長手方向軸2301から縫合糸2313Aの起点2311Aを通って延びる第1の近位半径方向線2323Aに対して約30度の角度をなして延びており、起点2311Aは、縫合糸2313Aが現れるヘリックスマウント2306の位置に対応する。また、縫合糸2313Bは、長手方向軸2301から縫合糸2313Bの起点2311Bを通って延びる第2の近位半径方向線2323Bに対して約30度の角度をなして延びており、起点2311Bは、縫合糸2312Bが現れるヘリックスマウント2306の位置に対応する。そして、縫合糸2313Cは、長手方向軸2301から縫合糸2313Cの起点2311Cを通って延びる第3の近位半径方向線2323Cに対して約30度の角度をなして延びており、起点2319Cは、縫合糸2313Cが現れるヘリックスマウント2306の位置に対応する。別の実施形態では、近位縫合糸2313A~2313Cは、それぞれの近位半径方向線2323A~2323Cに対して、15~75度の角度をなして延びている。図示のように、各先端部2317A~2317Cは、それぞれの半径方向線2315A~2315Cに対して約30度の角度で切断またはトリミングされる。
図23~図25に示し、より詳細に上述された生体刺激装置2300の特定の構成は、試験中に強い性能特性を示した。しかし、生体刺激装置2300は、構成要素の1つの可能な配置を表すものであり、本開示による1つの特定の配置を示すことを意図した例としてのみ提供される。本開示を通して説明されるように、他の構成が可能であり、他の構成は他の利点及び好ましい性能特性を示し得る。したがって、本開示の範囲は、図23~図25の特定の実施形態に限定されるべきではない。
上述のように、組織がピンチポイント2110で捕捉されるまで固定要素205を標的組織にねじ込むことにより、トルクアウトに対する抵抗を増大させることができる。さらに、ワイヤがヘリックスマウント206の遠位端部から約1.5回転延びるように、ヘリックスマウント206に固定要素205を取り付けることにより、主要ヘリックス205を心臓の壁に係合させる容易さと、そのような係合の強度との間のバランスが得られる。より詳細には、ワイヤがピンチポイント2110から約1.5回転延びるように、固定要素205をヘリックスマウント206に取り付けることにより、生体刺激装置100の標的組織への固定が向上することが判明した。以下に説明するように、製造方法及び装置の構成要素は、この利点を達成するために実施され得る。
再び図21Aを参照すると、ヘリックスマウント2006は、先端部2052を位置合わせして固定要素2005の所定のクロック(時計位置)を生体刺激装置2000に設定することができる範囲を規定するためのマークを含むことができる。例えば、ヘリックスマウントフランジ2160は、位置合わせ範囲2152を規定する1以上のマーク2150を含むことができる。位置合わせ範囲2152は、ヘリックスマウントフランジ2160の円周または外面に沿って測定される周方向範囲とすることができる。周方向範囲は、マーク2150の左境界と右境界との間の範囲とすることができる。例えば、マーク2150は、2つのマーク、例えば、ヘリックスマウントフランジ2160上にレーザマーキングされた左側のマークと、ヘリックスマウントフランジ2160上にレーザマーキングされた右側のマークを含むことができる(図21A)。左側のマークは、左側境界を定義する左側縁部を有し、右側のマークは、右側境界を定義する右側縁部を有する。あるいは、マーク2150は、例えばヘリックスマウントフランジ2160上にレーザマーキングされた、左側境界を画定する左側縁部と右側境界を画定する右側縁部とを有する単一のマークであり得る(図24A)。
一実施形態では、マーク2150は、先端部1052(2052)がヘリックスマウントの遠位端部から正しい巻回数で巻回された位置に配置されていることを確実にするための製造補助を提供する。例えば、製造中に、マーク2150を有するヘリックスマウント2006をハウジング102に取り付けることができる。マーク2150は、位置合わせ範囲2152を定義する。組み立て作業時には、固定要素2005をヘリックスマウント2006に螺合させることができる。例えば、コイル状ワイヤは、ワイヤの先端部2052が位置合わせ範囲2152と位置合わせされるまで、ヘリックスマウントフランジ2160のねじ溝部に螺合させることができる。
図21B及び図24Bに示すように、位置合わせ状態では、固定要素205のワイヤは、ピンチポイント2110から先端部まで、ヘリックス軸1001の1.4~1.6回転、例えば1.455回転~1.555回転の巻回数で延びることができる。例えば、先端部が位置合わせ範囲2152と垂直方向に位置合わせされている場合、ワイヤは、ヘリックスマウントフランジ2160の遠位端部からヘリックス軸の1.4~1.6回転、例えば1.455~1.555回転、例えば1.5回転の巻回数で延びることができる。垂直方向の位置合わせは、長手方向線から放射状に広がり、マーク2150の左側境界を通って延びる第1の垂直平面と、長手方向線から放射状に広がり、マーク2150の右側境界を通って延びる第2の垂直平面との間に配置された円弧上のボリューム内に位置する先端部を指すことができる。先端部がそのような円弧上のボリューム内に位置合わせされる場合、生体刺激装置2300は、固定要素2305を標的組織に1.5回転以上ねじ込むことによって、ピンチポイント2110で組織を剪断しクランプするように構成することができる。ピンチポイント2110は、ヘリックスの先端部2052から180度の角度をなす位置に配置される。
製造補助としての使用に加えて、マーク2150は、臨床環境での生体刺激装置100の正確な植え込みを促進するためにも使用され得る。一実施形態では、マーク2150は、放射線不透過性である。例えば、マーク2150は、放射線不透過性インクを使用して、ヘリックスマウント206上に印刷または塗装することができる。あるいは、マーク2150は、ヘリックスマウント206に接着または圧入される、タンタルまたはプラチナのポストまたはプレートなどの放射線不透過性インレーとすることができる。いずれにしても、放射線不透過性マーク2150は、放射線透視下及び/または別の画像化モダリティを使用して画像化することができ、これにより、生体刺激装置100が標的解剖学的構造内に植え込まれたときに、手術者がマーク2150の位置を視認することができる。
一実施形態では、生体刺激装置100を使用する方法は、図6A~図6Bに関して図示及び説明したように、生体刺激装置を植え込むことを含む。生体刺激装置を標的組織に向けて前進させて、固定要素105を標的組織に接触させるとき、手術者は放射線不透過性マーク2150の位置に注目することができる。生体刺激装置100を標的組織に固定するために、手術者は、固定要素が標的組織と係合してねじ込まれるように、生体刺激装置を回転させることができる。生体刺激装置の回転中、手術者は放射線透視下でマーク2150の回転数を観察することができる。マークの所望の回転数が観察されると、手術者は、生体刺激装置100の回転を止め、生体刺激装置が標的組織内に植え込まれた状態にすることができる。
マーク2150の回転数によって制御される生体刺激装置100の回転数は、生体刺激装置の先端部とピンチポイントとの間の回転数の程度、例えば1.5回転であってもよいことに留意されたい。なお、手術者は、特定の患者に応じて、生体刺激装置をより多くまたはより少なく回転させることができる。例えば、患者が脆弱な組織を有する場合、手術者は、1.5回転ではなく1.25回転で生体刺激装置を回転させることを選択してもよい。臨床画像モダリティ下でのマーク2150の可視性は、植え込みのこのような正確な制御を可能にする。
図31を参照すると、本開示による生体刺激装置の遠位端部の分解断面図が示されている。ヘリックスマウント206は、キャップ208及びヘリックスマウントフランジ2160を含む。キャップ208は、キャップ208の前方を向いた面である遠位面207を有する。一態様では、遠位面207は滑らかであり得る。例えば、遠位面207の表面全体は、エッジ、バリ、または不連続性がない。遠位面207の平滑性は、以下に説明する構造に起因し得る。
一実施形態では、マウントフランジ2160は、フランジベース3103から遠位方向に延びるエネルギディレクタ3101を含む。フランジベース3103は、ねじ部分704に取り付けるための雌ねじを含む。
一実施形態では、キャップ208は、キャップ208とエネルギディレクタ3101との間に溶接部を形成するための消耗または変形可能領域であり得るボス3107を含む。キャップ208は、丸みを帯びた遠位面207と、その面を長手方向に貫通する貫通孔とを有する。貫通孔は、電極211よりもわずかに大きい内径3105を有する。対照的に、内径3105は、エネルギディレクタ3101の内径より小さい。したがって、遠位面207の端面図は、エネルギディレクタ3101ではなく、電極211を示し得る。より詳細には、ボス3107は、キャップ208をエネルギディレクタの上端に押し付け、部品の材料が互いに融合するまで超音波エネルギーを部品に印加することによって、エネルギディレクタ3101に超音波溶接することができる。溶融材料は、キャップ208をヘリックスマウントフランジ2160に結合する溶接部を形成し、これにより、二部分ヘリックスマウント206が形成される。
一態様では、いくつかの取り付け部品を結合する溶接部は、キャップ208によって視界から隠される。より詳細には、溶接及び流動材料は、キャップ208の基端側に位置し、内径3105を通って流れない。その結果、遠位面207は連続的に平滑であり、時間の経過と共に標的組織と擦り合う溶接エッジが平滑な表面上に存在しない。したがって、キャップ208とフランジ2160(そして、遠位面207によって視覚的に隠される)との間に溶接部または他の結合部を有する二部分ヘリックスマウント206は、経時的な組織への外傷の可能性を低減させることができる。
以下の段落では、いくつかの実施形態を、限定としてではなく、要約として説明する。
一実施形態では、患者の心臓(心臓の壁部を含む)に植え込むためのリードレス生体刺激装置が提供される。リードレス生体刺激装置は、心臓内に植え込まれるように寸法決めされかつ構成されたハウジングを含む。ハウジングは、遠位面を有し、かつ、長手方向軸を規定する。リードレス生体刺激装置は、ハウジングに取り付けられ、かつ、ねじ込み方向に回転させることによってハウジングを心臓の壁部に固定するように構成された主要固定ヘリックスを含む。主要固定ヘリックスは、ハウジングの遠位面を越えて遠位方向に延び、ハウジングの長手方向軸に対するヘリックス半径を規定する。リードレス生体刺激装置は、遠位面から延びる1以上の補助的固定要素を含む。1以上の補助的固定要素の各々は、長手方向軸から各補助的固定要素半径の距離を隔てて位置する各補助的固定要素始点から延びる。各補助的固定要素半径は、ヘリックス半径よりも小さく設定される。
一実施形態では、1以上の補助的固定要素は、可撓性の生体適合性材料から構成される。
一実施形態では、可撓性の生体適合性材料は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリウレタン、シリコーン、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、及びポリカーボネートからなる群から選択される。
一実施形態では、可撓性の生体適合性材料は、天然材料である。
一実施形態では、可撓性の生体適合性材料は、毛髪、馬の毛、爪、皮、角、サメ皮、及び植物繊維からなる群から選択される。
一実施形態では、1以上の補助的固定要素は、1~8個の補助的固定要素を含む。
一実施形態では、1以上の補助的固定要素は、ヘリックス半径を越えて延びる。
一実施形態では、1以上の補助的固定要素は、主要固定ヘリックスの互いに隣接する巻回部(turn)の間に延在する。
一実施形態では、主要固定ヘリックスは、1以上の補助的固定要素を越えて、1/8回転~2回転延びる。
一実施形態では、1以上の補助的固定要素は、主要固定ヘリックスの巻回方向とは実質的に反対の方向に巻回されており、これにより、1以上の補助的固定要素は、ハウジングが螺脱方向に回転したときに、心臓の壁部と係合して、主要固定ヘリックスが心臓の壁部から脱離することを防止する。
一実施形態では、患者の心臓(心臓の壁部を含む)内に植え込むためのリードレス生体刺激装置が提供される。リードレス生体刺激装置は、心臓内に植え込まれるように寸法決めされかつ構成されたハウジングを含む。ハウジングは、遠位面を有し、かつ、長手方向軸を規定する。リードレス生体刺激装置は、ハウジングに取り付けられ、かつ、ねじ込み方向に回転させることによってハウジングを心臓の壁部に固定するように構成された主要固定ヘリックスを含む。主要固定ヘリックスは、ハウジングの遠位面を越えて遠位方向に延び、ハウジングの長手方向軸に対するヘリックス半径を規定する。リードレス生体刺激装置は、遠位面から延びる1以上の補助的固定要素を含む。1以上の補助的固定要素の各々は、長手方向軸から各補助的固定要素半径の距離を隔てて位置する各補助的固定要素始点から延びる。各補助的固定要素半径は、ヘリックス半径よりも小さく設定される。1以上の補助的固定要素は、長手方向軸と直交する補助的固定要素面に沿って延びる。
一実施形態では、1以上の補助的固定要素の各々は、長手方向軸と各補助的固定要素始点との間を延びる線に対して所定の角度をなして延びる。所定の角度は、15~75度である。
一実施形態では、1以上の補助的固定要素は、ヘリックス半径を越えて延びる。
一実施形態では、1以上の補助的固定要素は、主要固定ヘリックスの互いに隣接する巻回部の間に延在する。
一実施形態では、1以上の補助的固定要素は、可撓性の生体適合性材料から構成される。
一実施形態では、可撓性の生体適合性材料は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリウレタン、シリコーン、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、及びポリカーボネートからなる群から選択される。
一実施形態では、可撓性の生体適合性材料は、毛髪、馬の毛、爪、皮、角、サメ皮、及び植物繊維からなる群から選択される。
一実施形態では、患者の心臓(心臓の壁部を含む)に植え込むためのリードレス生体刺激装置が提供される。リードレス生体刺激装置は、心臓内に植え込まれるように寸法決めされかつ構成されたハウジングを含む。ハウジングは、遠位面を有し、かつ、長手方向軸を規定する。リードレス生体刺激装置は、ハウジングに取り付けられ、かつ、ねじ込み方向に回転させることによってハウジングを心臓の壁部に固定するように構成された主要固定ヘリックスを含む。主要固定ヘリックスは、ハウジングの遠位面を越えて遠位方向に延び、ハウジングの長手方向軸に対するヘリックス半径を規定する。リードレス生体刺激装置は、遠位面から延びる1以上の補助的固定要素を含む。1以上の補助的固定要素の各々は、長手方向軸から各補助的固定要素半径の距離を隔てて位置する各補助的固定要素始点から延びる。各補助的固定要素半径は、ヘリックス半径よりも小さく設定される。1以上の補助的固定要素は、少なくとも部分的に、遠位面から遠位方向に延びる。
一実施形態では、1以上の補助的固定要素の各々は、長手方向軸と各補助的固定要素始点との間を延びる線に対して所定の角度をなして延びる。所定の角度は、15~75度である。
一実施形態では、1以上の補助的固定要素の各々は、15~75度の角度で遠位方向に延びる。
一実施形態では、1以上の補助的固定要素は、ヘリックス半径を越えて延びる。
一実施形態では、1以上の補助的固定要素は、主要固定ヘリックスの互いに隣接する巻回部の間に延在する。
一実施形態では、1以上の補助的固定要素は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリウレタン、シリコーン、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、及びポリカーボネートからなる群から選択される可撓性の生体適合性材料から構成される。
一実施形態では、可撓性の生体適合性材料は、毛髪、馬の毛、爪、皮、角、サメ皮、及び植物繊維からなる群から選択される。
一実施形態では、患者の心臓(心臓の壁部を含む)に植え込むためのリードレス生体刺激装置が提供される。リードレス生体刺激装置は、心臓内に植え込まれるように寸法決めされかつ構成されたハウジングを含む。リードレス生体刺激装置は、ハウジングに取り付けられ、かつ、ねじ込み方向に回転させることによってハウジングを心臓の壁部に固定するように構成された主要固定ヘリックスを含む。リードレス生体刺激装置は、ハウジングから遠位方向に延びる1以上の側方または前方を向いた補助的固定要素を含む。1以上の側方または前方を向いた補助的固定要素は、ハウジングが螺脱方向に回転したときに、心臓の壁部と係合して、主要固定ヘリックスが心臓の壁部から脱離するのを防止するように、主要固定ヘリックスの巻回方向とは実質的に反対の方向に巻回されるように構成される。
一実施形態では、1以上の補助的固定要素は、可撓性の生体適合性材料から構成される。
一実施形態では、可撓性の生体適合性材料は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリウレタン、シリコーン、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、毛髪、ウマの毛、爪、皮、角、サメ皮、及び植物繊維からなる群から選択される。
一実施形態では、1以上の補助的固定要素は0.076~0.762mm(0.003~0.03インチ)の直径を有する。
一実施形態では、1以上の側方または前方を向いた補助的固定要素は、1~8個の補助的固定要素を含む。
一実施形態では、ハウジングは長手方向軸を規定する。そして、1以上の補助的固定要素の各々は、補助的固定要素の始点を通って延びる、かつ長手方向軸に平行な第1の軸線と、始点から長手方向軸に延びる、かつ第1の軸線に直交する第2の軸線と、長手方向軸及び第2の軸線の各々に直交する第3の軸線とをさらに規定する。補助的固定要素は、始点から第1の軸に対して角度αをなして、かつ、第3の軸に対して角度βをなして延びる。αは10~50度であり、βは15~75度である。
一実施形態では、1以上の補助的固定要素の各々は、各始点から0.254~7.62mm(0.01~0.3インチ)の長さで延びる。
一実施形態では、主要固定ヘリックスは、ハウジングから0.25回転~3回転の巻回数で延び、0.076~0.762mm(0.003~0.03インチ)のワイヤ直径、1.524~0.762mm(0.06~0.3インチ)のピッチ直径、及び、0.254~1.27mm(0.01~0.05インチ)のピッチを有する。
一実施形態では、リードレス生体刺激装置は、ハウジングによって規定される長手方向軸に対して側方に延びる1以上の側方補助的固定要素をさらに含む。1以上の側方補助的固定要素は、ハウジングが螺脱方向に回転したときに、心臓の壁部と係合して、主要固定ヘリックスが心臓の壁部から脱離するのを防止するように、主要固定ヘリックスの巻回方向とは実質的に反対の方向に巻回されるように構成される。
一実施形態では、1以上の側方補助的固定要素の各々は、側方補助的固定要素の始点と、長手方向軸から1以上の側方補助的固定要素の各々まで延びる垂線とを有する。
1以上の側方補助的固定要素の各々は、上記の垂線に対して15~75度の角度をなして延びる。
一実施形態では、1以上の側方補助的固定要素は、ハウジングに結合された本体部に配置される。1以上の側方補助的固定要素の各々は、本体部から0.762~1.27mm(0.003~0.05インチ)の長さで延びる。
一実施形態では、主要固定ヘリックスは内径を規定する。1以上の側方または前方を向いた補助的固定要素の少なくとも1つは、主要固定へリックスが心臓の壁部に固定された後に主要固定へリックスが脱螺されるときに、主要固定へリックスに干渉するように、内径を超えて延びる。
一実施形態では、1以上の補助的固定要素の各々は、0.5~10ギガパスカルのヤング率を有する。
一実施形態では、患者の心臓(心臓の壁部を含む)に植え込むためのリードレス生体刺激装置が提供される。リードレス生体刺激装置は、心臓内に植え込まれるように寸法決めされかつ構成されたハウジングを含む。リードレス生体刺激装置は、ハウジングに結合されたヘッダーアセンブリを含む。ヘッダーアセンブリは、ハウジングをねじ込み方向に回転させることによって心臓の壁部に固定するように構成された主要固定ヘリックスを有するヘリックスマウントを含む。ヘッダーアセンブリは、ハウジング及びヘリックスマウントに結合されたフランジを含み、フランジは主要固定ヘリックスを貫通して延びる。ヘッダーアセンブリは、ヘッダーアセンブリから側向または遠位方向に延びる1以上の側方または前方を向いた補助的固定要素を含むキャップを含む。1以上の側方または前方を向いた補助的固定要素は、ハウジングが螺脱方向に回転したときに、心臓の壁部と係合して、主要固定ヘリックスが心臓の壁部から脱離するのを防止するように、主要固定ヘリックスの巻回方向とは実質的に反対の方向に巻回されるように構成される。
一実施形態では、1以上の補助的固定要素は、可撓性の生体適合性材料から構成される。
一実施形態では、ハウジングは長手方向軸を規定する。そして、1以上の補助的固定要素の各々は、補助的固定要素の始点を通って延びる、かつ長手方向軸に平行な第1の軸線と、始点から長手方向軸に延びる、かつ第1の軸線に直交する第2の軸線と、長手方向軸及び第2の軸線の各々に直交する第3の軸線とをさらに規定する。補助的固定要素は、始点から第1の軸に対して角度αをなして、かつ、第3の軸に対して角度βをなして延びる。αは10~50度であり、βは15~75度である。
一実施形態では、リードレス生体刺激装置は、ヘリックスマウントに結合された1以上の側方補助的固定要素をさらに含む。1以上の側方補助的固定要素は、ヘリックスマウントから側方に延びる。また、1以上の側方補助的固定要素は、ハウジングが螺脱方向に回転したときに、心臓の壁部と係合して、主要固定ヘリックスが心臓の壁部から脱離するのを防止するように、主要固定ヘリックスの巻回方向とは実質的に反対の方向に巻回されるように構成される。
一実施形態では、ヘリックスマウントは第1の配向要素を含み、キャップは第2の配向要素を含む。第1の配向要素は、第2の配向要素と係合して、1以上の補助的固定要素を主要固定ヘリックスに対して所定の位置に維持する。
一実施形態では、1以上の補助的固定要素は、少なくとも第1の補助的固定要素及び第2の補助的固定要素を含み、キャップは、第1の補助的固定要素が挿通される第1の補助的固定要素孔、第2の補助的固定要素が挿通される第2の補助的固定要素孔、及び第1の補助的固定要素孔と第2の補助的固定要素孔との間に延在する補助的固定要素溝の各々を規定する。第1の補助的固定要素及び第2の補助的固定要素は、第1の補助的固定要素孔と第2の補助的固定要素孔との間に補助的固定要素溝を通って延在する共通の長さの補助的固定要素材料から形成される。
一実施形態では、患者の心臓(心臓の壁部を含む)に植え込むためのリードレス生体刺激装置が提供される。リードレス生体刺激装置は、心臓内に植え込まれるように寸法決めされかつ構成されたハウジングを含む。リードレス生体刺激装置は、ハウジングに取り付けられ、かつ、ねじ込み方向に回転させることによってハウジングを心臓の壁部に固定するように構成された主要固定ヘリックスを含む。リードレス生体刺激装置は、ハウジングから遠位方向に延びる2つの側方または前方を向いた補助的固定要素を含む。1以上の側方または前方を向いた補助的固定要素は、ハウジングが螺脱方向に回転したときに、心臓の壁部と係合して、主要固定ヘリックスが心臓の壁部から脱離するのを防止するように、主要固定ヘリックスの巻回方向とは実質的に反対の方向に巻回されるように構成される。側方または前方を向いた補助的固定要素の各々は、ポリプロピレンで構成され、0.076~0.762mm(0.003~0.03インチ)の直径、及び、0.5~10ギガパスカルのヤング率を有する。また、側方または前方を向いた補助的固定要素の各々は、補助的固定要素の始点を通って延びる、かつ長手方向軸に平行な第1の軸線と、始点から長手方向軸に延びる、かつ第1の軸線に直交する第2の軸線と、長手方向軸及び第2の軸線の各々に直交する第3の軸線とを規定する。補助的固定要素は、始点から第1の軸に対して角度αをなして、かつ、第3の軸に対して角度βをなして延びる。αは10~50度であり、βは15~75度である。
一実施形態では、患者の心臓(心臓の壁部を含む)に植え込むためのリードレス生体刺激装置が提供される。リードレス生体刺激装置は、心臓内に植え込まれるように寸法決めされかつ構成されたハウジングを含む。リードレス生体刺激装置は、コイル状ワイヤから形成された固定ヘリックスを含む。固定ヘリックスは、ハウジングに取り付けられ、かつ、ねじ込み方向に回転させることによってハウジングを心臓の壁部に固定するように構成される。固定ヘリックスは、3以上のベベル面(面取り面)によって形成された先端部を含む。先端部は、コイルワイヤの外周上に配置される。
一実施形態では、固定ヘリックスはヘリックス軸を規定し、3以上のベベル面は、先端部と、先端部とは反対側の外周上に配置された基端部との間に延在する縁部を形成する。縁部は、ヘリックス軸に対して平行に、かつ基端部から遠位方向に延びるベクトルに対して角度θをなして延びる。角度θは、ヘリックス軸及びベクトルの両方によって規定される平面に沿っており、0~180度である。
一実施形態では、角度θは、90~180度である。
一実施形態では、縁部は、平面から角度ψをなして延びる。角度ψは、10~60度である。
一実施形態では、コイルワイヤは、円形ワイヤ、扁平ワイヤ、皮下チューブ、及びプラスチックワイヤのうちの1つである。
一実施形態では、固定ヘリックスは、0.1778~1.524mm(0.007~0.060インチ)のピッチを有する。
一実施形態では、固定ヘリックスは、2.5~20度のピッチ角を有する。
一実施形態では、リードレス生体刺激装置は、リードレス生体刺激装置が心臓内に植え込まれたときに心臓の壁部と接触する少なくとも1つの接触面をさらに有する。少なくとも1つの接触面は、少なくとも1つの表面改質処理が施される。表面改質処理は、該処理が施される基材に対する固定ヘリックスの部分の表面エネルギー、表面電荷、表面化学、または表面形態のうちの少なくとも1つを改変する。
一実施形態では、患者の心臓(心臓の壁部を含む)に植え込むためのリードレス生体刺激装置が提供される。リードレス生体刺激装置は、心臓内に植え込まれるように寸法決めされかつ構成されたハウジングを含む。リードレス生体刺激装置は、コイル状ワイヤから形成された固定ヘリックスを含む。固定ヘリックスは、ハウジングに取り付けられ、かつ、ねじ込み方向に回転させることによってハウジングを心臓の壁部に固定するように構成される。固定ヘリックスは、テーパ付きの先端部と、テーパ付きの先端部で終端する螺旋状のテーパの付いていない部分とを含む。テーパ付きの先端部は、螺旋状のテーパの付いていない部分から延びる突出したボリューム内で終端する。突出したボリュームは、螺旋状のテーパの付いていない部分に対応する螺旋形状を有する。
一実施形態では、テーパ付きの先端部は、複数のベベル面によって形成される。
一実施形態では、複数のベベル面は2つのベベル面からなり、テーパ付きの先端部は、突出したボリュームの外側の範囲に沿って終端する。
一実施形態では、テーパ付きの先端部は、テーパの付いていない部分から0.0508~0.508mm(0.002~0.02インチ)の距離で終端する。
一実施形態では、テーパ付きの先端部は、コイル状ワイヤによって規定される長手方向軸から0.0254~0.2286mm(0.001~0.009インチ)の距離で終端する。
一実施形態では、固定ヘリックスは、0.1778~1.524mm(0.007~0.060インチ)のピッチを有する。
一実施形態では、固定ヘリックスは、2.5~20度のピッチ角を有する。
一実施形態では、いくつかのベベル面は、少なくとも3つのベベル面を含み、テーパの付いた先端部は、(i)テーパの付いていない部分から0.1778~1.524mm(0.007~0.060インチ)の距離で終端し、(ii)コイル状ワイヤによって規定される長手方向軸から0.0254~0.2286mm(0.001~0.009インチ)の距離で終端し、及び、(iii)先端軸に対して90~160度の角度をなして長手方向軸と直交し、かつ固定ヘリックスのヘリックス軸に対して平行に延びる。
一実施形態では、患者の心臓(心臓の壁部を含む)に植え込むためのリードレス生体刺激装置が提供される。リードレス生体刺激装置は、心臓内に植え込まれるように寸法決めされかつ構成されたハウジングを含む。リードレス生体刺激装置は、ハウジングの遠位端部に結合され、ヘリックス軸に沿って延びるコイル状ワイヤから形成された固定ヘリックスを含む。固定ヘリックスは、ハウジングをねじ込み方向に回転させることによってハウジングを心臓の壁部に固定するように構成される。固定ヘリックスは、コイル状ワイヤの外周に配置され、3以上のベベル面によって形成される先端部を含む。3以上のベベルにより、先端部と、先端部とは反対側の外周に配置された基端部との間に延在する縁部が形成される。縁部は、ヘリックス軸に対して平行に、かつ基端部から遠位方向に延びるベクトルから角度θをなして延びる。角度θは、ヘリックス軸及びベクトルの両方によって規定される平面に沿っており、90~180度である。
一実施形態では、角度θは90度である。
一実施形態では、角度θは180度である。
一実施形態では、縁部は、平面から角度ψをなして延びる。角度ψは、10~60度である。先端部は、0.0508~0.508mm(0.002~0.02インチ)の長さを有する。
一実施形態では、患者の心臓(心臓の壁部を含む)に植え込むためのリードレス生体刺激装置が提供される。リードレス生体刺激装置は、心臓内に植え込まれるように寸法決めされかつ構成されたハウジングを含む。リードレス生体刺激装置は、ハウジングの遠位端に結合され、かつ、遠位面を有するヘッダーアセンブリを含む。ヘッダーアセンブリは、ヘリックスマウントを含む。ヘッダーアセンブリは、ヘリックスマウントに結合され、ヘリックスマウントから遠位に延びる固定ヘリックスを含む。固定ヘリックスは、ハウジングをねじ込み方向に回転させることによってハウジングを心臓の壁部に固定するように構成される。ヘッダーアセンブリは、遠位面から側方に、かつ、少なくとも部分的に、ねじ込み方向とは反対方向に延びる複数の遠位側補助的固定要素を含む。ヘッダーアセンブリは、遠位側補助的固定要素の近位側に複数の近位側補助的固定要素を含む。近位側補助的固定要素は、ヘリックスマウントから側方に、かつ少なくとも部分的に、ねじ込み方向とは反対方向に延びる。
一実施形態では、固定ヘリックスは、長手方向軸に対する該ヘリックスの側方の範囲に配置された鋭利な先端部を有する。
一実施形態では、固定ヘリックスは、ヘッダーアセンブリの遠位面を越えて約1.5回転の巻回数で延びる。
一実施形態では、いくつかの遠位側補助的固定要素は、第1の遠位側補助的固定要素及び第2の遠位側補助的固定要素からなる。第1の遠位側補助的固定要素は、固定ヘリックスの先端部に対して約90度の第1のオフセットをなして配置され、第2の遠位側補助的固定要素は、固定ヘリックスの先端部に対して約270度の第2のオフセットをなして配置される。
一実施形態では、いくつかの遠位側補助的固定要素の各遠位側補助的固定要素は、長手方向軸から遠位側補助的固定要素の各始点まで延びる各半径方向線に対して75~15度の角度をなして延びる。
一実施形態では、各遠位側補助的固定要素は、各半径方向線に対して約30度の角度をなして延びる。
一実施形態では、いくつかの遠位側補助的固定要素の各遠位側補助的固定要素は、遠位面から0.508~2.032mm(0.020~0.080インチ)の長さで延びる。
一実施形態では、いくつかの遠位側補助的固定要素の各遠位側補助的固定要素は、遠位面から約1.143mm(0.045インチ)の長さで延びる。
一実施形態では、各遠位側補助的固定要素は、#3-0縫合糸である。
一実施形態では、いくつかの近位側補助的固定要素は、第1の近位側補助的固定要素、第2の近位側補助的固定要素、及び第3の近位側補助的固定要素からなる。第1の近位側の補助的固定要素は、固定ヘリックスの先端部から30~70度の角度の第1のオフセットをなして配置される。第2の近位側の補助的固定要素は、固定ヘリックスの先端部から150~190度の角度の第2のオフセットをなして配置される。第3の近位側の補助的固定要素は、固定ヘリックスの先端部から270~320度の角度の第3のオフセットをなして配置される。
一実施形態では、いくつかの近位側補助的固定要素の各近位側補助的固定要素は、長手方向軸から近位側補助的固定要素の各始点まで延びる各半径方向線に対して15~75度の角度をなして延びる。
一実施形態では、各近位側補助的固定要素は、それぞれの半径方向線に対して約30度の角度をなして延びる。
一実施形態では、いくつかの近位側補助的固定要素の各近位側補助的固定要素は、ヘリックスマウントから0.254~0.762mm(0.010~0.030インチ)の長さで延びる。
一実施形態では、各近位側の補助的固定要素は、遠位面から約0.508mm(0.020インチ)の長さで延びる。
一実施形態では、各近位側補助的固定要素は、#4-0縫合糸である。
一実施形態では、いくつかの遠位側の補助的固定要素は、いくつかの近位側の補助的固定要素から0.127~1.27mm(0.005~0.050インチ)の距離だけ長手方向にオフセットされている。
一実施形態では、距離は、約0.254mm(0.01インチ)である。
一実施形態では、患者の心臓(心臓の壁部を含む)に植え込むためのリードレス生体刺激装置が提供される。リードレス生体刺激装置は、心臓内に植え込まれるように寸法決めされかつ構成されたハウジングを含む。リードレス生体刺激装置は、ハウジングの遠位端に結合された遠位固定アセンブリを含む。遠位固定アセンブリは、遠位面を有するヘリックスマウントを含む。遠位固定アセンブリは、ヘリックスマウントに取り付けられ、かつ、ヘリックスマウントから遠位方向に延びる固定ヘリックスを含む。固定ヘリックスは、ハウジングをねじ込み方向に回転させることによってハウジングを心臓の壁部に固定するように構成される。遠位固定アセンブリは、遠位面から延びるいくつかの遠位側補助的固定要素を含む。遠位固定アセンブリは、遠位側補助的固定要素の近位に位置し、かつ、側方を向いて、かつヘリックスマウントからねじ込み方向とは反対方向に延びるいくつかの近位側補助的固定要素を含む。いくつかの遠位側補助的固定要素の各遠位側補助的固定要素は、長手方向軸を横切る平面に対して第1の角度をなして遠位方向に延び、長手方向軸から遠位側補助的固定要素の各始点まで延びる各半径方向線に対して第2の角度をなしてねじ込み方向とは反対方向に延びる。第1の角度及び第2の角度の各々は、15~75度である。
一実施形態では、遠位側補助的固定要素の各々は、#3-0縫合糸であり、遠位面から0.508~2.032mm(0.020~0.080インチ)の長さで延びる。
一実施形態では、いくつかの近位側補助的固定要素の各近位側補助的固定要素は、長手方向軸から近位側補助的固定要素の各起点まで延びる各半径方向線に対して15~75度の角度をなして、ヘリックスマウントから0.254~0.762mm(0.010~0.030インチ)の長さで延びる#4-0縫合糸である。
以上、本発明をその特定の例示的な実施形態を参照して説明した。添付の特許請求の範囲に記載される本発明のより広い精神及び範囲から逸脱することなく、様々な変更を行うことができることは明らかであろう。したがって、本明細書及び図面は、限定的なものではなく、例示的なものと見なされるべきである。