JP7031189B2 - 凝集体解砕シミュレーション方法、及びそれに用いる撹拌翼 - Google Patents

凝集体解砕シミュレーション方法、及びそれに用いる撹拌翼 Download PDF

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Description

本発明は、凝集体解砕シミュレーション方法、及びそれに用いる撹拌翼に関し、より詳しくは、非鉄金属精錬の選鉱、分散、分離工程における凝集体解砕用撹拌装置の解砕能力を評価するシミュレーション方法、及びそのための小型実験装置に装着する撹拌翼に関する。
非鉄金属精錬の選鉱工程、すなわち、銅鉱石からMo、鉄分などを分離する工程における凝集体解砕用の撹拌装置において、工程に供給される鉱石の粒度分布や鉱石スラリーの凝集状態が変化した場合でも、高い分離効率を維持すると共に、撹拌翼摩耗、鉱石沈積などによる工程トラブルを防止するため、分離工程で必要最小限の解砕強度を設定するために小型実験装置で模擬実験を行うことにより、実機の解砕力を評価する凝集体解砕シミュレーション方法、及びそれに用いる撹拌翼が要望されていた。
銅鉱石からMo、鉄分などを分離する工程(以下、「分離工程」ともいう)では、供給される鉱石スラリー中の凝集体を解砕すれば、分離効率(Mo分離の場合「Mo実収率」という)が向上する場合がある。そのために、凝集体スラリーを解砕する技術として、例えば、せん断力の優れた撹拌機を備えた撹拌槽内でスラリーを長時間混合する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
このような撹拌機の凝集体解砕能力を向上させるためには、せん断力の大きな撹拌翼を用いて比較的高い回転速度で長時間撹拌すれば良い。そうした場合、撹拌翼の摩耗が顕著になる。その摩耗を防ぐためには回転速度を下げる必要がある。特に、鉄製の撹拌翼が摩耗すると、脱鉄効率を悪化させてしまう。
また、特許文献1には、硫化銅鉱物から湿式法で銅を回収する製錬工程において、金を含有する硫化銅鉱物から銅を浸出した浸出残渣中の金を濃縮して、効率的に分離回収する方法が開示されている。より具体的には、まず、金を含有する硫化銅鉱物の浸出残渣を、篩上物と篩下物とに篩い分けし、篩い分けられた篩下物を浮遊選鉱して浮鉱と沈鉱とに分離する。
また、篩い分けられた篩上物と、浮遊選鉱と、より得た浮鉱から硫黄を除去し、脱硫黄物を酸化焙焼する。酸化焙焼した後に得られた酸化焙焼物を硫酸溶液で溶解して、銅溶解液から金含有残渣を分離回収する。このようにして、金を含有する硫化銅鉱物から銅を浸出した浸出残渣中の金を濃縮し、効率的に分離回収する、という方法である。
また、浮遊選鉱工程(分離工程)を実施する工場の実機における浮選プラントの稼働能力を事前に評価するため、小型の実験用浮遊選鉱機(実験機・Labo機)を用いて再現性のある有効なテスト結果を得ることが知られている。このような小型の実験機を用い、大型の実機における分離工程で装入される多様な凝集体別に固有の必要解砕力について、模擬実験することによって効率良く推定したいという要望もあった。
この浮遊選鉱試験機では、浮遊選鉱工程で添加する各種の浮選剤を異なる複数の試料として、それらを分析できるほか、実際の浮選プラントで必要な溶液・試薬等の混合割合を決定することも可能である。なお、浮遊選鉱試験機内に試料を保持させ、浮選剤溶液内で撹拌することにより、粉末・スラリー状ではない試料においても浮遊選鉱を模擬した表面状態を再現することができる。
また、非特許文献1では、バルク粉体よりなる粉粒体の混合過程において、凝集塊(体)を解砕する場合の装置特性や操作条件を、計算結果及び実験により評価するシミュレーションについて開示されている。特に実験では、撹拌翼の数、寸法及び回転速度を変更しながら混合過程、すなわち、時間の経過に従い凝集体が解砕され、粒径が小さくなっていく過程が観察されている。
その結果について、凝集体粒度分布の経時変化等をグラフ表示可能に把握できている。このような実験に対応づけられた計算による推定値と、実測値と、の相関関係も良好に示されている。このように、非特許文献1に開示されたシミュレーションは、実際の解砕現象をうまく表現していることが確認されている。
特開2010-180450号公報
J.SOC.Power Technol.,Japan, 粉体工学会誌 研究論文 Vol.34 No5(1997), p.330~336
上述の特許文献1及び非特許文献1に開示された技術を組み合わせただけでは、実機と試験用撹拌装置とを関連付けた凝集体解砕シミュレーション精度が低いため、以下の課題を解決できなかった。すなわち、必要解砕力に対し付与する解砕力が不十分な場合、粒径の大きな凝集体が撹拌槽内に沈積することにより、撹拌機モータの定格動力を超える程にまで、撹拌に必要な動力負荷が上昇し、プロセスの稼働停止を余儀なくされる。この状態から再稼働するためには、沈積した鉱石を除去する等の対応が必要となる。このような事態は、当然に稼働率低下の原因となっていた。
逆に、必要解砕力に対し付与する解砕力が過剰な場合、撹拌翼摩耗その他の機械的負担、メンテナンス負担やエネルギー負担が増大する無駄を生じる。そこで、実機に供給される鉱石の粒度分布や鉱石スラリーの凝集状態が変化した場合でも、高い分離効率を維持すると共に、撹拌翼摩耗、鉱石沈積等による稼働停止の頻度を低減することが要望されていた。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、実機と試験用撹拌装置とを高精度に関連付けた凝集体解砕シミュレーション方法を提供することにある。
本発明の一態様は、実機として使用される凝集体解砕用撹拌装置(100)に対応する試験用撹拌装置(99)を用いた模擬実験により前記実機の凝集体解砕能力を評価し、最適な解砕力を求める凝集体解砕シミュレーション方法であって、
前記実機(100)の撹拌翼(50)の表面近傍に高せん断領域(49)を設定してせん断歪速度(γ)を求め、
該せん断歪速度(γ)を解砕力指標にして前記試験用撹拌装置(99)の撹拌翼(10~30)の形状及び回転速度を設定し、
前記実機(100)と前記試験用撹拌装置(99)とを関連付けたものである。
また、本発明の一態様において、実機として使用される凝集体解砕用撹拌装置(100)に対応する試験用撹拌装置(99)を用いた模擬実験により前記実機(100)の凝集体解砕能力を評価し、最適な解砕力を求める凝集体解砕シミュレーション方法であって、
異なる凝集体の装入があればそれぞれに対応可能な解砕力指標としてせん断歪速度を用い、
換装可能で翼形状が異なる2種類以上の撹拌翼(10~30)を前記試験用撹拌装置(99)に順次装着してそれぞれに指定された異なる回転速度で回転し、
前記2種類以上の撹拌翼(10~30)それぞれの表面近傍の流れ場を含むように形成され領域(40)のせん断歪速度分布を求め、
該せん断歪速度分布について前記2種類以上の撹拌翼(10~30)を相互に比較し所定の判定基準に基づいてせん断歪速度分布に一致点(J,K)が有るか否かを判定し、
該判定結果に基づいて、前記回転速度が異なるにもかかわらずせん断歪速度分布に一致点(J,K)が有ると判定された2種類の撹拌翼(20,30)を前記試験用撹拌装置(99)に装着し、
前記一致点(J,K)に係るせん断歪速度(α,β)の範囲に前記実機(100)の撹拌翼(50)のせん断歪速度(γ)を設定し、
前記せん断歪速度分布を求めるために、該せん断歪速度分布を算出可能な流体解析ソフトウェアをコンピュータで実行し、
該実行中の前記コンピュータに、前記実機(100)の撹拌翼(50)及び前記2種類以上の撹拌翼(10~30)それぞれについて、形状と、寸法と、羽根の面積と、回転速度と、スラリーについて、密度と、粘性(温度、pH等によって定められる物性)と、より選択されるパラメータを入力し、
前記2種類以上の撹拌翼(10,20)それぞれについて前記せん断歪速度分布を演算して出力し、
前記判定基準は、前記比較する2種類の撹拌翼(10,20)について、異なるせん断歪速度(α,β)にそれぞれ対応する前記せん断歪速度分布に一致点(J,K)があれば、せん断歪速度分布に一致点(J,K)が有ると判定し、
前記一致点(J,K)が有ると判定されて前記模擬実験に採用された2種類の撹拌翼(10~30)それぞれに指定された異なる回転速度の上限及び下限を、前記実機(100)に設定される回転速度(W)の可変範囲とし、
最終目的の一つとして前記実機(100)に設定される回転速度(W)は前記凝集体の
違いに応じた必要解砕力を発生させる最小限にすることが好ましい。
また、本発明の一態様において、前記試験用撹拌装置(99)は、通常用いられる既存のものより凝集体解砕力を低減させるように形状変更された前記2種類の撹拌翼(10~30)の少なくとも何れかに換装して前記模擬実験に用いられることが好ましい。
また、本発明の一態様において、前記撹拌翼(10,20)は異なる種類の第1撹拌翼(10)及び第2撹拌翼(20)が用意され、
まず第1撹拌翼評価工程(S10)により、強めの解砕力を付与する第1撹拌翼(10)が前記試験用撹拌装置(99)に装着された状態で凝集体解砕能力を評価し、
前記第1撹拌翼評価工程(S10)で強めの解砕力を付与されたことにより、必要解砕力を超過していると判断(S14)された凝集体は、第2撹拌翼評価工程(S20)へ移行し、
該第2撹拌翼評価工程(S20)では、弱めの解砕力を付与する第2撹拌翼(20)が前記試験用撹拌装置(99)に装着された状態で凝集体解砕能力を評価し、
各凝集体別に固有の必要解砕力を推定することが好ましい。
また、本発明の一態様において、前記第1撹拌翼(10)と前記第2撹拌翼(20)との中間の強さの解砕力を付与する第3撹拌翼(30)がさらに用意され、
前記第2撹拌翼評価工程(S20)で、弱めの解砕力を付与されたことにより、必要解砕力が不足していると判断(S24)された凝集体は、第3撹拌翼評価工程(S30)へ移行し、
該第3撹拌翼評価工程(S30)では、中位に加減された解砕力を付与する前記第3撹拌翼(30)が前記試験用撹拌装置(99)に装着された状態で凝集体解砕能力を評価し、
各凝集体別に固有の必要解砕力を推定することが好ましい。
また、本発明の一態様において、前記第1撹拌翼評価工程(S10)は、
丸棒(11~14)を均等な放射状に4本配設された前記第1撹拌翼(10)が前記試験用撹拌装置(99)に装着される工程(S11)と、
前記第1撹拌翼(10)を高速で回転させながら強めに解砕する工程(S12)と、
該強めに解砕する工程(S12)の条件で各凝集体別に固有の必要解砕力を評価する工程(S13)と、
必要解砕力を超過するものが有るか否かを各凝集体別に判断する工程(S14)と、を有し、
前記第2撹拌翼評価工程(S20)は、
前記第1撹拌翼(10)に4本配設された丸棒(11~14)を2本の角棒(21~22)に変更した第2撹拌翼(20)に換装する工程(S21)と、
前記第2撹拌翼(20)を低速で回転させながら弱めに解砕する工程(S22)と、
該弱めに解砕する工程(S22)の条件で各凝集体別に固有の必要解砕力を評価する工程(S23)と、
必要解砕力が不足するものが有るか否かを各凝集体別に判断する工程(S24)と、を有し、
前記第3撹拌翼評価工程(S30)は、
前記第1撹拌翼(10)に4本配設された丸棒(11~14)のうち2本を突出長さが無くなるまでの範囲で縮小した前記第3撹拌翼(30)を用意し、
前記第2撹拌翼(20)から前記第3撹拌翼(30)へと換装する工程(S31)と、
該第3撹拌翼(30)で前記第1撹拌翼(10)と同じ速度で回転させながらも中位の解砕能力に加減して解砕する工程(S32)と、
該中位の解砕能力に加減して解砕する工程(S32)の条件で各凝集体別に固有の必要解砕力を評価する工程(S33)と、を有することが好ましい。
また、本発明の一態様において、前記試験用撹拌装置(99)は、浮選機の1000gポットから固定翼(92)を外した状態で用い、
前記第1撹拌翼(10)は、外径26±5mmのボス(93)に、長さ30±5mmで断面外径が6±2mmの前記丸棒(11~14)を均等な放射状に4本配設された翼径が60±10mmであり、
前記強めに解砕する工程(S12)の条件として、前記第1撹拌翼(10)を1400±140rpmで高速回転させ、
前記第2撹拌翼(20)は、外径26±5mmのボス(94)に、長さ30±5mmで断面縦横共に7±2mmの前記角棒(21~22)を均等な放射状に2本配設された翼径が60±10mmであり、
前記弱めに解砕する工程(S22)の条件として、前記第2撹拌翼(20)を800±100rpmで低速回転させ、
前記第3撹拌翼(30)は、前記第1撹拌翼(10)を形成する4本の丸棒(11~14)のうち、周対称配置された2本の両端間は、60mm×(50±20)%の長さで18mm~42mm位を調整範囲にしたものを用い、
前記中位の解砕能力に加減して解砕する工程(S32)の条件として、前記第3撹拌翼(30)を1400±140rpmで高速回転させることが好ましい。
また、本発明の一態様において、前記実機(100)に装入された前記凝集体を主目的物とそれ以外とに分離する工程で前記凝集体解砕能力をMo実収率で評価することが好ましい。
また、本発明の一態様において、前記試験用撹拌装置(99)は、前記2本の丸棒を最適な長さに縮小調整された前記第3撹拌翼(30)を装着して前記模擬実験に用いられ、
該模擬実験による解砕結果に基づいて前記実機(100)に装入される前記凝集体に対する必要解砕力を求め、
前記実機(100)に設定される回転速度(W)は前記必要解砕力を発生させるための必要最小限にすることが好ましい。
本発明によれば、実機と試験用撹拌装置とを高精度に関連付けた凝集体解砕シミュレーション方法を提供できる。
凝集体解砕用撹拌装置(以下、「実機」ともいう)の構成及びせん断歪速度分布の概略を説明するための模式図であり、図1(A)は撹拌槽の透視斜視図、図1(B)はせん断歪速度分布を矢印で示した透視正面図である。 図1の実機をより詳細に説明する図であり、は撹拌翼の表面近傍に形成された高せん断領域を示す要部斜視図である。 本発明の一実施形態に係るシミュレーション方法(以下、「本方法」ともいう)に用いる試験用撹拌装置(以下、「Labo機」ともいう)を説明するための要部斜視図である。 撹拌翼の表面近傍に形成された高せん断領域設定されて、せん断歪速度の平均値を得るための領域を説明するための図であり、図4(A)は丸棒4本でなる第1撹拌翼の正面図、図4(B)は角棒2本でなる第2撹拌翼の正面図である。 丸棒と角棒の表面近傍に形成された高せん断領域を比較して説明するための模式斜視図であり、図5(A)は丸棒、図5(B)角棒、の高せん断領域をそれぞれ示している。 異なる撹拌翼での浮選性能を実測値に基づいて比較説明するためのグラフであり、グラフの左方は第2撹拌翼、右方は第3撹拌翼での性能をそれぞれ示している。 図6で用いた2種類の撹拌翼それぞれについて、高せん断領域のせん断歪速度分布を比較して説明するためのグラフである。 せん断歪速度について二次元の説明をするための模式図である。 本発明の一実施形態に係るシミュレーション方法における撹拌評価工程を説明するためのフローチャートである。 せん断歪速度計算値の平均値に対応した解砕結果を顕微鏡観察に基づいて、凝集体の解砕残留率(Retention rate of agglomeration)の変化を説明するグラフであり、横軸にせん断歪速度(Shear strain Rate、又はStrain rate)、縦軸に凝集体の解砕残留率、をそれぞれ示している。 本方法でLabo機に装着して用いられる丸棒4本でなる第1撹拌翼の要部外形図であり、図11(A)は斜視図、図11(B)は回転軸に沿った縦断面図である。 図11の第1撹拌翼に代えた角棒2本でなる第2撹拌翼の要部外形図であり、図12(A)は斜視図、図12(B)は回転軸に沿った縦断面図である。 図12の第1撹拌翼を一部縮径加工した第3撹拌翼の要部外形図であり、図13(A)は斜視図、図13(B)は回転軸に沿った縦断面図である。
以下、本発明の好適な実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。また、各図にわたって、同一効果の部材及び箇所には、外形に多少の違いがあっても同一符号を付して説明の重複を避けている。
本発明の目的は、実機と試験用撹拌装置とを高精度に関連付けた凝集体解砕シミュレーション方法を実現することである。また、本発明の実施形態によっては、実機に供給される鉱石の粒度分布や鉱石スラリーの凝集状態が変化した場合でも、高い分離効率を維持すると共に、撹拌翼摩耗や鉱石沈積等による稼働停止の頻度を低減できる凝集体解砕シミュレーション方法、及びそれに用いる撹拌翼を実現することも可能である。さらに、実施形態によっては、凝集体別に固有の必要解砕力に適応させて、実機を最適な設計すると共に運転操作を改善することも可能である。
図1は、実機の構成及びせん断歪速度分布の概略を説明するための模式図であり、図1(A)は撹拌槽の透視斜視図、図1(B)はせん断歪速度分布を矢印で示した透視正面図である。なお、ここでいう実機100(以下、符号を省略することもある)は、例えば銅鉱山のバルク選鉱後の分散工程(「分離工程」ともいう)、あるいは有用鉱物とそうでないものを分別する浮遊選鉱機(浮選機)の選鉱工程(こちらも「分離工程」という)用に構成された凝集体解砕用撹拌装置である。
図1に示すように、凝集体解砕用撹拌装置(実機)100は、上方の撹拌モータ110から撹拌軸115を介して回転自在の撹拌翼50が、撹拌槽130の中央付近に懸垂されている。撹拌モータ110は、モータ制御部120により可変速制御され、回転速度Wが規定範囲に設定される。回転速度Wの一例として320rpmで、撹拌翼50の翼端部のせん断速度は約14m/sに設定されている。撹拌槽130内に位置付けられる撹拌翼50の高さについては適宜調整される。撹拌翼50は、形状、回転速度、及び高さを調整することで解砕力を加減できる。
撹拌翼50は、撹拌槽130内にスラリーの状態で異なる凝集体の装入があれば、それぞれに対応する最適な解砕力を発揮するように設定されることが望ましい。撹拌翼50は、角棒部材51~56が円盤の周囲に中心角を統一して放射状に配設備されている。ただし、図1に示した撹拌翼50は一例に過ぎず、角棒部材51~56による6枚羽根や8枚羽根のほか、タービンのような形状であっても構わないが、ここではそれ以上の説明を省略する。
なお、図1(A)に示すX,Y,Zは、後述する数式[4]~[6]等を用いて後述するせん断歪速度分布を三次元まで展開して算出するための座標軸である。また、図1(B)に示す矢印は、撹拌槽130内の流れ場におけるせん断歪速度分布を模式的に図示したフローパタンである。ただし、このフローパタンは、有限体積法により流れ場を微小区画に細分して算出した結果を、視覚的な理解が容易な程度に簡略化した模式図であるため、忠実なベクトル表示ではない。計算どおりに表示すれば、より微細なベクトル表示となる。
図2は、図1の実機100をより詳細に説明する図であり、図2は撹拌槽の表面近傍に形成された高せん断領域を示す要部斜視図である。図2に示すように、撹拌翼50の表面近傍には高せん断領域49が形成されている。特に、角棒部材51~56の表面近傍には、泡粒のような印(以下、「泡印」という)で示している。この泡印はせん断歪速度300(1/S)以上である点を示すものであり、実際に発泡しているわけではない。しかし、この泡印の体積を合計すれば、図7を用いて後述するせん断歪速度分布を、単純な体積(Volume m)の単位を用いて便宜的に表示できる。その結果、せん断歪速度分布を容易に比較することができる。
高せん断領域49は、撹拌翼50がスラリーと相対運動して形成する流れ場において、撹拌翼50との相対速度が大きく、流体が翼面やエッジ近辺のせん断部分を単位時間に何回通過するか、その頻度を流動特性評価される領域である。上述した撹拌翼50の回転速度Wの一例として320rpmで、撹拌翼50の翼端部のせん断速度が約14m/sと高速である点で、小型のLabo機99(図3)と大きく異なるため、流体解析のパラメータにせん断速度だけを用いても、正確なシミュレーションはできない。そこで、後述するように、実機100とLabo機99(図3)で一致させられる別のパラメータを用いるようにした。なお、表1により、撹拌槽の規模に対する高せん断領域40の比率等を示している。
Figure 0007031189000001
表1で示すように、高せん断領域(High Shear Zone)49は、撹拌槽130の容量(Tank Volume m3)が巨大化する程に、その中で占める比率を低下させる。1つで7m3のセルを7段に重連接続した合計容量49m3の場合、高せん断領域49は、0.03%のため、高せん断領域の合計(Total High Shear Zone)は、0.0147 m3である。これに対し、1つで50m3のセルを2段に重連接続した合計容量100m3の場合、高せん断領域は、0.01%のため、高せん断領域の合計は、0.01 m3となる。
図3は、本方法に用いるLabo機を説明するための要部斜視図である。図3に示すLabo機99は、浮遊選鉱工程を実施する工場における浮選プラントの稼働実態や能力を、事前に評価するため、再現性のある小型の実験装置でシミュレーションするものである。すなわち、図3に示すLabo機99は、図1に示した実機100の動作を模擬実験するため、小規模化した以外の点で、同一に対応付けられることが望まれている。
このLabo機99は、図示を省略した基台や本体と、基台に載置された液槽91と、本体に固定された撹拌モータ98と、撹拌軸97と、第1撹拌翼10(以下、単に「撹拌翼10」ともいう)と、より主要構成されている。液槽91は、異なる凝集体のうち少なくとも何れかを試験の対象物として装入し、浮選剤等を混在させて撹拌する容器である。なお、Labo機99は、撹拌槽91に予め固定翼(ステータ)が配設されていれば、これを撤去すると共にエアブロウを停止した状態で運転することが好ましい。エアブロウは他のパラメータに対する大きな変動要因となり、シミュレーションを阻害するので、その阻害要因を排除するためである。
撹拌翼10を平面視認すると、ボス93を中心とする放射状の十文字に組み合わされた丸棒4本で構成されている。この撹拌翼10は、撹拌モータ98に撹拌軸115を介して液槽91の中心で底部近傍に軸懸垂されているため、スラリー等の流体中で回転自在に駆動され、液槽91の内容物を撹拌する。このような構成のLabo機99は、その液槽91内に試験の対象物を装入して浮遊選鉱試験を行う。
図4は、撹拌翼の表面近傍に形成された高せん断領域設定されて、せん断歪速度の平均値を得るための領域を説明するための正面図である。図4(A)に示す第1撹拌翼10の表面近傍に数mmの厚さで高せん断領域41が形成されている。同様に、図4(B)に示す第2撹拌翼20(以下、単に「撹拌翼20」ともいう)は、ボス93を中心とする直径方向の角棒2本で構成され、その第2撹拌翼20の表面近傍に数mmの厚さで高せん断領域42が形成されている。なお、図4(A),図4(B)に示すX,Y,Zも、後述する数式[4]~[6]等を用いて後述するせん断歪速度分布を三次元まで展開して算出するための座標軸である。
図5は、丸棒と角棒の表面近傍に形成された高せん断領域を比較して説明するための模式斜視図である。図5(A)は第1撹拌翼10を構成する丸棒4本それぞれの高せん断領域41、特に先端近傍の表面に泡粒の印でせん断歪速度の高い部分があることを示している。同様に、図5(B)は第2撹拌翼20を構成する角棒2本それぞれの高せん断領域42、特に先端近傍の表面に泡粒の印でせん断歪速度の高い部分があることを示している。
本発明の一実施形態に係る実機100に対応するLabo機99を用いた模擬実験により実機100の凝集体解砕能力を評価し、最適な解砕力を求める凝集体解砕シミュレーション方法である。最も基本的な手順としては、まず、実機100の撹拌翼50の表面近傍に高せん断領域49を設定してせん断歪速度γを求める。そのせん断歪速度γを目標にLabo機99の撹拌翼10~30(図13も参照)の形状及び回転速度を設定する。
図1及び図2に示した実機100の撹拌翼50は、簡素に描写しているが、実際には効率、摩耗耐久性、多様な凝集体への兼用、又は回転速度の可変速特性等を考慮した設計が施される。一方、Labo機99用の撹拌翼10~30は、試行錯誤の結果、きわめて簡素な形状である。
せん断歪速度α,β,γ(図7)を解砕力指標に用いて実機と試験用撹拌装置99とを関連(ひも)付けることで、シミュレーション精度を高められる。その結果、凝集体解砕のための最適な解砕力が求められる。最適な解砕力とは、多様な凝集体に固有の必要解砕力であり、その必要解砕力をむやみに超えないように制御された最小限の解砕力である。
実機100とLabo機99とは、大きさや形状等が異なる。特に撹拌翼の形状及び回転速度が異なるので、流れ場の状態を近似して解析することが困難である。そのため、実機100をLabo機99で模擬実験してもシミュレーション精度が得られないことが多い。そこで、実機100と、Labo機99と、異なる流れ場に共通する解砕力指標として、せん断歪速度α,β,γを用いることにより、シミュレーション精度を高めることが可能となった。
図6は、異なる撹拌翼での浮選性能を実測値に基づいて比較説明するためのグラフであり、グラフの左方は第2撹拌翼、右方は第3撹拌翼での性能をそれぞれ示している。柱状グラフに対応して左縦軸にMo回収率(recovery)%を示し、折れ線グラフに対応して右縦軸にMoに対するFe品位(Fe Grade in Mo Conc)%を示している。また、グラフの左方は角棒(Square)2本の第2撹拌翼20を装着した条件である。一方、グラフの右方は丸棒(round)4本のうち2本(図13の丸棒32,34)を特に短く削って、実質的には丸棒11,13の2本だけにした第3撹拌翼30を装着した条件である。これら第2撹拌翼20と、第3撹拌翼30と、は両者の性能仕様の一部を、同一のせん断歪速度190(1/S)に揃えた条件でそれぞれ示している。
上述のように、これら第2撹拌翼20と、第3撹拌翼30と、2種類の異なる撹拌翼で、Mo回収率%と、Moに対するFe品位%と、を比較した。その際、両方ともに図4に示した高せん断領域41,42におけるせん断歪速度の計算による平均値を190(1/S)に揃えるように、それぞれの回転速度を調整している。せん断歪速度の平均値を190(1/S)に揃えた理由は、図7を用いて後述するが、図7でα=190(1/S),β=2000(1/S)の2か所でせん断歪分布の一致点J,Kを確認できており、これら2点のうち、より現実的なα=190(1/S)を模擬実験に採用している。
第2撹拌翼20と、第3撹拌翼30とは、形状及び回転速度が違うため解砕力の空間分布が異なる。空間分布が異なるにもかかわらず、せん断歪速度分布に共通点(図7の一致点J,K)が有るならば、異なる空間分布に起因する解砕力の違いを相殺する作用がある。この作用は、実機100と、それにひも付けられたLabo機99と、の高精度な関係を実現させる。つまり、実機100に装着された撹拌翼50と、それにひも付けられてLabo機99に装着された撹拌翼10~30と、の形状及び回転速度が違っていても、異なる空間分布に起因する解砕力の違いを相殺できる。その結果、高精度なシミュレーションが実現される。なお、第3撹拌翼30は、基本形状として図5(A)に示した第1撹拌翼10の翼体12,14を、突出長さが無くなるまでの範囲で少しずつ削って縮小しながら試行錯誤の結果、最適形状が見出されたものである。
図6の柱状グラフで示したMo回収率(%)は高い程に好都合であり、折れ線グラフに示したMoに対するFe品位(%)は低い程に好ましい。つまり、図6の比較において、右側の柱状グラフの方が、より高いMo回収率(%)のため好成績であり、右側の折れ線グラフの方が、Moに対するFe品位(%)をより低く示しているので好ましい。このように、図6は、せん断歪速度の計算による平均値を190(1/S)に揃えたならば、角棒2本の第2撹拌翼20よりも、上述の第3撹拌翼30の方が、浮選性能の高いことを意味している。
図7は、図6で用いた2種類の撹拌翼それぞれについて、高せん断領域のせん断歪速度分布を比較して説明するためのグラフである。図7の横軸は、せん断歪速度(Strain Rate)(1/S)である。これに対する図7の縦軸は体積(Volume m)であるが、この体積という単位は、説明の便宜上、仮に用いた単位に過ぎない。この体積は、せん断歪速度300(1/S)以上の領域を図5に示した泡印の存在数を、その泡の合計を計算した体積である。
この泡印の体積を合計すれば、図7に示すように、せん断歪速度分布を、単純な体積(Volume m)の単位を用いて便宜的に表示できる。その結果、せん断歪速度分布を容易に比較することができる。ここでいう、せん断歪速度分布とは、高せん断領域41,42,49(図1、図2、図4)において、せん断歪速度の強弱に応じて、どの位の強さで、どの場所に、どの程度分布しているかを定義している。
図7のグラフを得るために、まず、上述の第3撹拌翼30を1400rpmで高速回転させた条件と、図5(B)で示した角棒2本の第2撹拌翼20を875rpmで低速回転させた条件と、それぞれの場合についての推定値を1本ずつの折れ線にプロットするように計算した。これらは、撹拌翼20,30それぞれの緒元と各種パラメータから算出される計算値であり、実測値ではない。なお、図2に示した実機100の撹拌翼50についても、その表面近傍に設定された高せん断領域49のせん断歪速度分布を同様に算出して表示できるが、ここでは省略する。
それらの計算は、後述する数式[4]~[6]等であり、実際の計算処理については、流体計算ソフトウェアを用いて実行する。例えば、ANASYS社製のFluentという流体計算ソフトウェアが好適である。この流体計算プログラムを実行中のコンピュータに、以下のパラメータを入力する。
パラメータは、実機100の撹拌翼50及び2種類以上の撹拌翼10~30それぞれについて、形状と、寸法と、羽根の面積と、回転速度と、スラリーについて、粘性(温度、pH等によって定められる物性)と、各撹拌翼10~30との境界条件と、より選択されるパラメータを入力する。計算結果は、一例を図7のグラフにプロットして示すように出力する。2種類以上の撹拌翼10~30それぞれについて、上述のパラメータより、せん断歪速度分布を演算して出力する。
図7に示すように、この計算結果により、α=190(1/S),β=2000(1/S)の2か所でせん断歪分布の一致点J,Kを確認できた。これら2点の共通点に係るせん断歪速度α~βの範囲、すなわち約190~2000(1/S)の範囲では、上述の第3撹拌翼30による丸棒を示す破線が、第2撹拌翼20による角棒を示す実線よりも概ね高くプロットされている。そのことから、以下のことが推定できた。つまり、高せん断領域40,41それぞれに対するせん断歪速度分布の比較において、せん断歪速度が190~2000(1/S)の範囲、特に300~1000(1/S)の範囲に限っては、角棒2本の第2撹拌翼20を低速回転した場合よりも、上述の第3撹拌翼30を高速回転した場合の解砕力が強い、ということを計算結果から導かれる。
図7に示す2本の折れ線が2か所で交差するという判定結果は、2種類の撹拌翼20,30について、せん断歪速度分布に一致点J,Kが有るとの判定を導くことになる。2種類の撹拌翼20,30は、形状及び回転速度が違うため、当然に解砕力の空間分布が異なる。それにもかかわらず、2種類の撹拌翼20,30は、せん断歪速度分布に共通点(一致点J,K)が有るならば、これらをLabo機99に装着することによって、高精度のシミュレーションを実現できるのである。
その理由は、せん断歪速度分布の共通点(一致点J,K)に係るせん断歪速度α=190(1/S),β=2000(1/S)の範囲内では、形状及び回転速度が違う2種類の撹拌翼20,30に対し、解砕力の空間分布が異なることを相殺できるからである。ただし、これによる良好な計算結果が導かれたとしても、実測して確認する必要がある。その点については、図6を用いて先に説明したとおりである。2種類の撹拌翼20,30は、このように、計算値と実測値との両面から裏付けられながら、試行錯誤を経て想到されたものである。
また、図6に示した実測値に基づくMo実収率について、せん断歪速度190(1/S)に揃えた条件では、角棒2本の第2撹拌翼20よりも、上述の第3撹拌翼30の方が良好であった。Labo機99について、図6の実測結果と、図7の計算結果と、両方を考慮して実機100に反映させれば、実機100による凝集体の解砕に必要なせん断歪速度は600~1000(1/S)であることが推定できる。
さらに、せん断歪速度と解砕残留率との関係において、せん断歪速度500(1/S)を超えると解砕効率が急上昇して解砕残留率が劇的に低減する作用も確認されている。この作用はLabo機99で知り得た動作特性を実機100に反映させるにあたって好都合である。本シミュレーションの結論としては、せん断歪速度600(1/S)を実機100に反映させることが最適である。
数式[1]~[3]は、せん断歪速度について二次元の説明するための数式である。図8は、数式[1]~[3]に対応する模式図である。数式[1]~[3]は、せん断歪速度(Shear strain Rate)について、三次元まで完全な説明ができるものではなく、ここでは二次元の説明に止めておく。なお、せん断歪速度について、数式を用いた一次元の説明もあるがこれも省略する。
Figure 0007031189000002
Figure 0007031189000003
図8に示すように、流れの中に微小な四角形の流体要素を考えたときに、2つの辺がなす角が単位時間あたりに減少する割合を示したものである。なお、「せん断歪速度」は、「せん断速度」や「ずり速度」と呼ばれることもあり、ここではスラリーに浸漬された中で回転する撹拌翼10~30,50の後方に発生する渦が連れていかれるか、残されるかを数値化したものと定義してもよい。
いま、四角形の辺の長さを dx , dy とし、点Aの x , y 方向の流速をそれぞれ u , v とすると、微小時間dtにおける線分ABと線分ADの角度変化量は、それぞれ、数式[1]と数式[2]で表される。また、線分ABと線分ADがなす角の変化量はこれらの和によって求められる。それをdtで除して、単位時間当たりの角度変化量に換算したものがせん断歪速度であり、数式[3]で与えられる。
Figure 0007031189000004
数式[4]~[6]は、本方法で用いた流体計算ソフトウェアにより、せん断歪速度分布を算出するために用いた数式の一部である。三次元まで展開する数式[4]~[6]も、本発明で定義したせん断歪速度(Shear strain Rate)について、完全な説明ができるものではなく、ここでの数式説明は参考程度に止めておく。
Figure 0007031189000005
歪テンソルは、数式[4]のように定義され(The strain tensor is defined by)、このテンソルは3つのスカラー不変量を持ち(This tensor has three scalar invariants,)、その1つはせん断歪速度とも呼ばれ(one of which is often simply called the shear strain rate)、数式[5]に示される。
Figure 0007031189000006
これらは、速度成分U,U,U,を用いて、数式[6]のように展開される(with velocity components U,U,U,this expands to)。非ニュートン流体の速度は、このスカラーせん断歪速度の関数として表されることが多い(The velocity of non-Newtonian fluids is often expressed as a function of this scalar shear strain rate.)。
Figure 0007031189000007
図9は、本発明の一実施形態に係るシミュレーション方法における撹拌評価工程を説明するためのフローチャートである。図9に示すように、第1撹拌評価工程(S10)~第3撹拌評価工程(S30)の後で、実機設計工程(S40)を実行することが好ましい。ここで用いるLabo機99は、Denver浮選機の1000gポットから固定翼(ステータ)を外した状態で用いる。Labo機99に固定翼92を装着したままの状態では、解砕力が強すぎて実機100に対応するシミュレーションの精度が得られないことが確認されている。なお、Denver浮選機は、撹拌翼の回転速度を700~1400rpmの範囲に設定可能であり、その両極端の速度で模擬実験に利用する。
本方法において、各凝集体別に固有の必要解砕力を推定するために、試験用撹拌装置99に装着される撹拌翼10~30として、異なる種類の第1撹拌翼10、第2撹拌翼20及び第3撹拌翼30が用意されている。これらは解砕力が異なるものであり、第1撹拌翼10は強力、第2撹拌翼20は弱めの威力、第3撹拌翼30は中位の威力である。まず第1撹拌翼評価工程(S10)により、強めの解砕力を付与する第1撹拌翼10が試験用撹拌装置99に装着された状態で凝集体解砕能力を評価する。
第1撹拌翼10は、図11に一例を示すように、外径26±5mmのボス93に、長さ30±5mmで断面外径が6±2mmの丸棒11~14を均等な放射状に4本配設された翼径が60±10mmに設定されている。後述する工程(S12)の条件として、第1撹拌翼10を例えば1400±140rpmで高速回転させることにより、強めに解砕する。
第2撹拌翼20は、図12に一例を示すように、外径26±5mmのボス94に、長さ30±5mmで断面縦横共に7±2mmの角棒21~22を均等な放射状に2本配設された翼径が60±10mmに設定されている。後述する工程(S22)の条件として、第2撹拌翼20を例えば800±100rpmで低速回転させることにより、弱めに解砕する。
第3撹拌翼30は、図13に一例を示すように、第1撹拌翼10を形成する4本の丸棒11~14のうち、周対称配置された2本の先端部を短くして丸棒32,34と符号を代えている。このような丸棒32,34の両端間は、60mm×(50±20)%の長さで18mm~42mm位を調整範囲にしている。なお、特に短くした一例として、丸棒4本のうち2本(図13の丸棒32,34)を特に短く削って、実質的には丸棒11,13の2本だけにした第3撹拌翼30もある。後述する工程(S32)の条件として、第3撹拌翼30を例えば1400±140rpmで高速回転させることにより、中位の解砕能力に加減して解砕する。
第1撹拌翼評価工程(S10)で強めの解砕力を付与されたことにより、必要解砕力を超過していると判断(S14)された凝集体は、第2撹拌翼評価工程(S20)へ移行する。第2撹拌翼評価工程(S20)では、弱めの解砕力を付与する第2撹拌翼20が試験用撹拌装置99に装着された状態で凝集体解砕能力を評価する。
第1撹拌翼評価工程(S10)は、丸棒11~14を均等な放射状に4本配設された第1撹拌翼10が試験用撹拌装置99に装着される工程(S11)と、第1撹拌翼10を低速で回転させながらも強めに解砕する工程(S12)と、その工程(S12)の条件で各凝集体別に固有の必要解砕力を評価する工程(S13)と、必要解砕力を超過するものが有るか否かを各凝集体別に判断する工程(S14)と、をさらに有する。
また、第2撹拌翼評価工程(S20)で、弱めの解砕力を付与されたことにより、必要解砕力が不足していると判断(S24)された凝集体は、第3撹拌翼評価工程(S30)へ移行する。第3撹拌翼評価工程(S30)では、中位に加減された解砕力を付与する第3撹拌翼30が試験用撹拌装置99に装着された状態で凝集体解砕能力を評価する。このような工程を経て各凝集体別に固有の必要解砕力が推定される。
第2撹拌翼評価工程(S20)は、第1撹拌翼10に4本配設された丸棒11~14を2本の角棒21~22に変更した第2撹拌翼20に換装する工程(S21)と、第2撹拌翼20を例えば800±100rpmで低速で回転させながら弱めに解砕する工程(S22)と、その工程(S22)の条件で各凝集体別に固有の必要解砕力を評価する工程(S23)と、必要解砕力が不足するものが有るか否かを各凝集体別に判断する工程(S24)と、をさらに有する。
第3撹拌翼評価工程(S30)は、第2撹拌翼20から第3撹拌翼30へと換装する工程(S31)と、第3撹拌翼30で高速で回転させながらも中位の解砕能力に加減して解砕する工程(S32)と、工程(S32)の条件で各凝集体別に固有の必要解砕力を評価する工程(S33)と、をさらに有する。なお、第3撹拌翼30は、第1撹拌翼10に4本配設された丸棒11~14のうち2本を縮小したものである。
実機設計工程(S40)は、各凝集体別に推定された固有の必要解砕力に基づいて実機の設計又は運転の少なくとも何れかを支援する工程(S41)と、各凝集体に兼用の撹拌翼を設計して回転速度のみ調整可能範囲を設定するか、又は各凝集体別に換装可能な専用撹拌翼を設計する工程(S42)と、をさらに有する。なお、実機設計工程(S40)へは、上述の工程(S14)又は工程(S24)から直接に移行しても良い場合がある。
図10は、せん断歪速度計算値の平均値に対応した解砕結果を顕微鏡観察に基づいて、凝集体の解砕残留率(Retention rate of agglomeration)の変化を説明するグラフであり、横軸にせん断歪速度(Strain rate)、縦軸に凝集体の解砕残留率、をそれぞれ示している。せん断歪速度を500(1/S)から620(1/S)に変化させると、解砕残留率は32%から17%まで急激に半減する。つまり、そのせん断歪速度500~620(1/S)に閾値(スレッショルドthreshold)が存在する。その閾値以下なら解砕の効力が不足して解砕残留率が高いままで留まるが、その閾値以上なら解砕力が向上するので解砕残留率が良好に低下する。
図11は、本方法でLabo機に装着して用いられる第1撹拌翼の要部外形図であり、図11(A)は斜視図、図11(B)は回転軸に沿った縦断面図である。図11に示す第1撹拌翼10は、図3に示したように、Labo機99の中心で回転する回転軸97の下端には雄ネジが切られ、ボス93がその雄ネジに螺合するように雌ネジが中心部に切られている。なお、撹拌翼10は、数式[4]~[6]に示した計算を容易にするためにも極力簡素な形状であることが好ましい。
ボス93は回転軸97の下端にネジ止められて一体回転する。ボス93はネジ止めによる結合を着脱可能であるため、ボス93を外して他の形状の撹拌翼20,30に適宜換装自在である。上述のように、第1撹拌翼10は、外径26±5mmのボス93に、長さ30±5mmで断面外径6±2mmの丸棒11~14を均等な放射状に4本配設された翼径が60±10mmに設定されている。
丸棒11~14でなる翼体は、ボス底部95より2~10mmだけ高くなるように隙間Dが設定されている。撹拌翼10は、Labo機99のなかで、ボス底部95が槽底96から5mm以上の隙間Gを有するように配設されている。
図12は、図12の第1撹拌翼に代えた第2撹拌翼の要部外形図であり、図12(A)は斜視図、図12(B)は回転軸に沿った縦断面図である。この第2撹拌翼20は、第1撹拌翼10と似た形状であり、外径26±5mmのボス93に長さ30±5mm、断面縦横共に7±2mmの角棒21~22でなる翼体を均等な放射状に2本配設され、翼径としては50~60mmに設定されたものである。つまり、第1撹拌翼10の翼体を丸棒4本から角棒2本に代えたものが第2撹拌翼20である。また、2本の角棒21~22が植設されたボス94も以下の点でボス93と同様である。
すなわち、回転軸97の下端にネジ止めされて一体回転する点と、ネジ止めによる結合を着脱可能である点と、外径26±5mmである点と、丸棒11~14に代えた角棒21~22がボス底部95より2~10mmだけ高くなるように隙間Dを設定されている点と、ボス底部95が槽底96から5mm以上の隙間Gを有するように配設されている点と、の共通点を有する。なお、撹拌翼20も、数式[4]~[6]に示した計算を容易にするため、極力簡素な形状であることが好ましい。
図13は、図12の第1撹拌翼を一部縮径加工した第3撹拌翼の要部外形図であり、図13(A)は斜視図、図13(B)は回転軸に沿った縦断面図である。この第3撹拌翼30は、第1撹拌翼10を形成する4本の丸棒11~14のうち、周対称配置された2本の先端部を短くして丸棒32,34と符号を代えている。このような丸棒32,34の両端間は、60mm×(50±20)%の長さで18mm~42mm位を調整範囲にしている。なお、特に短くした一例として、丸棒4本のうち2本(図13の丸棒32,34)を特に短く削って、実質的には丸棒11,13の2本だけにした第3撹拌翼30もある。ちなみに図6の右側に示した成績は、このような第3撹拌翼30を用いての成績である。
この第3撹拌翼30も、第1撹拌翼10と似た形状であり、ボス93が回転軸97の下端にネジ止めされて一体回転する点と、ネジ止めによる結合を着脱可能である点と、外径26±5mmである点と、丸棒12,14に代えてそれらの長さを縮小した丸棒32,34がボス底部95より2~10mmだけ高くなるように隙間Dを設定されている点と、Labo機99のなかで、ボス底部95が槽底96から5mm以上の隙間Gを有するように配設されている点と、の共通点を有する。
本方法は、実機100に対応するLabo機99を用いた模擬実験を行う。この模擬実験は、異なる凝集体が装入される場合にも、最適な解砕力を求める凝集体解砕シミュレーション方法であり、以下に概略を示す手順により実行される。
本方法における最大の特徴は、解砕力指標としてせん断歪速度(1/S)を用いる点である。このせん断歪速度は、装入される凝集体の違いに応じた最適な解砕力を導き出すために都合良く利用できる概念である。つまり、形状の異なる対象であれば、当然に異なる振る舞いとなる流の場であっても、せん断歪速度という共通の概念で数値化して把握することが可能となる。
したがって、翼形状が異なる撹拌翼10,20を、それぞれに指定された異なる回転速度で回転させた場合であっても、両者の解砕力を共通の数値で比較できる。共通の数値とは、撹拌翼10,20それぞれの表面近傍に形成される高せん断領域40,41(図4)のせん断歪速度分布、その合計値、又は平均値等である。これらを求めることによって、多様な凝集体に固有の必要解砕力をLabo機99の模擬実験で得られたデータから容易に推定できるようになる。つまり、実機を模擬したシミュレーションの精度が高められる。
実機100と、Labo機99と、は以下の相違点がある。まず、規模、撹拌翼の形状、及びその回転速度が異なる。そして、実機100を、例えばスケール1/20位に縮小しただけの模擬実験では、実機100を正確に評価することがでない。通常は、Labo機99で良好な条件を実機に反映させても必要解砕力に到達できず、上述した不具合を生じる。つまり、シミュレーションの精度が実用レベルではなかった。そこで、本方法では、実機100を評価するために上述した共通の数値を用いて、Labo機99による実機を模擬したシミュレーションを行う。
本方法によれば、翼形状が異なる撹拌翼10~30を、それぞれに指定された異なる回転速度で回転させた場合であっても、共通の数値で解砕力を比較できるようにした。そのためには、高せん断領域40,41(図4)のせん断歪速度分布を体積(Volume m)の単位で示したせん断歪速度分布も求める。そして、異なるせん断歪速度分布であっても、せん断歪速度分布に一致点J,Kがある2種類の撹拌翼10,20を見出す。さらに、それらの中間に相当する形状や解砕力を有する第3撹拌翼30を設定する。
翼形状が異なる撹拌翼10~30をこのようにして見出したならば、これらをLabo機99に換装しながら実機を模擬したシミュレーションを行う。その結果、実機100に装入される凝集体の違いに応じた最適な解砕力を導き出すことが可能となる。ただし、せん断歪速度分布に一致点J,K(図7)がある2種類の撹拌翼10,20を見出すためには、ある程度の試行錯誤が必要である。せん断歪速度分布の一致を確認するためには、図7の折れ線グラフで2線が2箇所以上で交差するような関係を求めることである。
具体的には、まず、換装可能で翼形状が異なる2種類以上の撹拌翼10,20をLabo機99に順次装着する。つぎに、翼形状が異なる撹拌翼10,20を、それぞれに指定された異なる回転速度で回転させ、それぞれの表面近傍に形成される高せん断領域40,41のせん断歪速度分布を求める。そのせん断歪速度分布に関連して、せん断歪速度に対応するせん断歪速度分布も求める。
その計算は、上述した数式[4]~[6]等であり、流体計算ソフトウェアを実行し、図7のグラフにプロットしている。なお、この計算には比較的高性能なコンピュータを必要とするが、近年では、高性能コンピュータも時間で借用できるので実施の制約は少ない。
より具体的には、撹拌翼10,20のうち1種類をLabo機99に装着する都度に、その撹拌羽根の表面近傍に形成される高せん断領域40,41のせん断歪速度分布、グラフにプロットされた1本の曲線として出力する。このグラフは、横軸にせん断歪速度、縦軸にせん断歪速度分布の体積合計値を示している。この曲線を2種類以上の撹拌翼10,20について各1本ずつ作成する。
せん断歪速度分布について2種類以上の撹拌翼10,20を相互に比較し所定の判定基準を参照することによりせん断歪速度分布に共通点が有るか否かを判定する。判定結果に基づいて、形状及び回転速度が異なるにもかかわらずせん断歪速度分布に共通点が有ると判定された2種類の撹拌翼10,20を模擬実験に採用する。なお、その判定基準、及び判定後に実機100の設計及び運転への適用については後述する。
判定基準として、少なくとも2か所の一致点J,Kが有れば、それらに基づいて共通点が有ると判定される。それら2か所の一致点J,Kに係るせん断歪速度α,βの範囲に、実機100の撹拌翼30のせん断歪速度γを設定する。共通点が有ると判定されて模擬実験に採用された2種類の撹拌翼10,20それぞれに指定された異なる回転速度の上限及び下限を、実機100に設定される回転速度Wの可変範囲とする。
以上、説明したように、Labo機99は、通常用いられる既存のものから凝集体解砕力を低減させるように形状変更された2種類以上の撹拌翼10~30の何れかに換装して模擬実験に用いられる。この模擬実験の結果に基づいて、実機100に装入される凝集体に対する必要解砕力が求められる。なお、場合によっては、これら2種類以上の撹拌翼10~30のうち凝集体解砕力が高い方のみを装着して模擬実験を簡略に済ませても良い(図9の工程(S14)から工程(S40)へ直接に移行)。
実機100には、このようにして求められた必要解砕力を発生させるために、必要最小限の回転速度Wに設定される。また、本方法による模擬実験によれば、実100機の凝集体解砕能力をMo実収率で評価することが可能である。また、実収率は、実機1セルの分離能力で不足ならセルを多段に重連接続することにより目標レベルまで高めることが可能である。
本発明によれば、実機と試験用撹拌装置とを高精度に関連付けた凝集体解砕シミュレーション方法を提供できる。また、実施形態によっては、実機に供給される鉱石の粒度分布や鉱石スラリーの凝集状態が変化した場合でも、高い分離効率を維持すると共に、撹拌翼摩耗や鉱石沈積等による稼働停止の頻度を低減できる凝集体解砕シミュレーション方法、及びそれに用いる撹拌翼を提供できる。
さらに、実施形態によっては、凝集体別に固有の必要解砕力に適応させて、実機の設計及び運転操作を改善できる。特に、実機の回転速度を必要最小限に設定できる。そのため、多様な凝集体に適応するように高い分離効率を維持できて、しかも撹拌翼摩耗や鉱石沈積等を低減できる。鉄製の撹拌翼を摩耗させなければ、脱鉄効率も維持できる。
また、本発明に派生して得られた技術として、実機とLabo機の何れに対しても、それらに装着する撹拌翼の翼体として、その半径方向の断面が円形の丸棒型を採用した場合、撹拌翼の摩耗が低減されるため、稼働時間や稼働期間の長きにわたって凝集体に対する解砕性能を維持し易いという効果も得られる。
なお、上述のように本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは、当業者には、容易に理解できるであろう。したがって、このような変形例は、全て本発明の範囲に含まれるものとする。
例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また、せん断歪み速度の具体的な計算方法、それに用いる流体解析プログラム、Labo機、及びそれに用いる撹拌翼も、本発明の実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
本発明は、分離工程における凝集体解砕シミュレーション方法、及びそれに用いるLabo機の撹拌翼に採用される可能性がある。より具体的には、非鉄金属精錬の選鉱工程、すなわち、銅鉱石からMo、鉄分などを分離する工程における凝集体解砕用の撹拌装置、特にその撹拌翼の設計、及び運転の支援のための模擬実験に用いられる可能性がある。
10 (φ6mm丸棒の翼体11~14を4本有する)第1撹拌翼(撹拌翼)、20 (7mm角棒の翼体21~22を2本有する)第2撹拌翼(撹拌翼)、30 第3撹拌翼(撹拌翼)、40 高せん断領域、50 (実機100の)撹拌翼、91 撹拌槽、93,94 ボス、95 ボス底部、96 槽底、97 (Labo機99の)撹拌軸、98 (Labo機99の)撹拌モータ、99 試験用撹拌装置(Labo機)、100 凝集体解砕用撹拌装置(実機)、110(実機100の)撹拌モータ、115 (実機100の)撹拌軸、120 モータ制御部、130 (実機100の)撹拌槽、J,K (せん断歪速度α,βにそれぞれ対応する)せん断歪速度分布の一致点、S10 第1撹拌翼評価工程、S20 第2撹拌翼評価工程、S30 第3撹拌翼評価工程、S40 実機設計工程、W(実機に設定される可変範囲の)回転速度、α,β せん断歪速度

Claims (6)

  1. 実機として使用される凝集体解砕用撹拌装置に対応する試験用撹拌装置を用いた模擬実験により前記実機の凝集体解砕能力を評価し、最適な解砕力を求める凝集体解砕シミュレーション方法であって、
    異なる凝集体の装入があればそれぞれに対応可能な解砕力指標としてせん断歪速度を用い、
    換装可能で翼形状が異なる2種類以上の撹拌翼を前記試験用撹拌装置に順次装着してそれぞれに指定された異なる回転速度で回転し、
    前記2種類以上の撹拌翼それぞれの表面近傍の流れ場を含むように形成され領域のせん断歪速度分布を求め、
    該せん断歪速度分布に関連し前記せん断歪速度に対応するせん断歪速度分布を求め、
    該せん断歪速度分布について前記2種類以上の撹拌翼を相互に比較し所定の判定基準に基づいてせん断歪速度分布に一致点が有るか否かを判定し、
    該判定結果に基づいて、前記回転速度が異なるにもかかわらずせん断歪速度分布に一致点が有ると判定された2種類の撹拌翼を前記試験用撹拌装置に装着し、
    前記一致点に係るせん断歪速度の範囲に前記実機の撹拌翼のせん断歪速度を設定し、
    前記せん断歪速度分布を求めるために、該せん断歪速度分布を算出可能な流体解析ソフトウェアをコンピュータで実行し、
    該実行中の前記コンピュータに、前記実機の撹拌翼及び前記2種類以上の撹拌翼それぞれについて、形状と、寸法と、羽根の面積と、回転速度と、スラリーについて、密度と、粘性と、より選択されるパラメータを入力し、
    前記2種類以上の撹拌翼それぞれについて前記せん断歪速度分布を演算して出力し、
    前記判定基準は、前記比較する2種類の撹拌翼について、異なるせん断歪速度にそれぞれ対応する前記せん断歪速度分布に一致点があれば、せん断歪速度分布に一致点が有ると判定し、
    前記一致点が有ると判定されて前記模擬実験に採用された2種類の撹拌翼それぞれに指定された異なる回転速度の上限及び下限を、前記実機に設定される回転速度の可変範囲とし、
    最終目的の一つとして前記実機に設定される回転速度は前記凝集体の違いに応じた必要解砕力を発生させる最小限にする、
    凝集体解砕シミュレーション方法。
  2. 前記試験用撹拌装置は、通常用いられる既存のものより凝集体解砕力を低減させるように形状変更された前記2種類の撹拌翼の少なくとも何れかに換装して前記模擬実験に用いられる、
    請求項に記載の凝集体解砕シミュレーション方法。
  3. 前記撹拌翼は異なる種類の第1撹拌翼及び第2撹拌翼が用意され、
    まず第1撹拌翼評価工程により、強めの解砕力を付与する第1撹拌翼が前記試験用撹拌装置に装着された状態で凝集体解砕能力を評価し、
    前記第1撹拌翼評価工程で強めの解砕力を付与されたことにより、必要解砕力を超過していると判断された凝集体は、第2撹拌翼評価工程へ移行し、
    該第2撹拌翼評価工程では、弱めの解砕力を付与する第2撹拌翼が前記試験用撹拌装置に装着された状態で凝集体解砕能力を評価し、
    各凝集体別に固有の必要解砕力を推定する、
    請求項1又は2に記載の凝集体解砕シミュレーション方法。
  4. 前記第1撹拌翼と前記第2撹拌翼との中間の強さの解砕力を付与する第3撹拌翼がさらに用意され、
    前記第2撹拌翼評価工程で、弱めの解砕力を付与されたことにより、必要解砕力が不足していると判断された凝集体は、第3撹拌翼評価工程へ移行し、
    該第3撹拌翼評価工程では、中位に加減された解砕力を付与する前記第3撹拌翼が前記試験用撹拌装置に装着された状態で凝集体解砕能力を評価し、
    各凝集体別に固有の必要解砕力を推定する、
    請求項に記載の凝集体解砕シミュレーション方法。
  5. 前記第1撹拌翼評価工程は、
    丸棒を均等な放射状に4本配設された前記第1撹拌翼が前記試験用撹拌装置に装着される工程と、
    前記第1撹拌翼を高速で回転させながら強めに解砕する工程と、
    該強めに解砕する工程の条件で各凝集体別に固有の必要解砕力を評価する工程と、
    必要解砕力を超過するものが有るか否かを各凝集体別に判断する工程と、を有し、
    前記第2撹拌翼評価工程は、
    前記第1撹拌翼に4本配設された丸棒を2本の角棒に変更した第2撹拌翼に換装する工程と、
    前記第2撹拌翼を低速で回転させながら弱めに解砕する工程と、
    該弱めに解砕する工程の条件で各凝集体別に固有の必要解砕力を評価する工程と、
    必要解砕力が不足するものが有るか否かを各凝集体別に判断する工程と、を有し、
    前記第3撹拌翼評価工程は、
    前記第1撹拌翼に4本配設された丸棒のうち2本を突出長さが無くなるまでの範囲で縮小した前記第3撹拌翼を用意し、
    前記第2撹拌翼から前記第3撹拌翼へと換装する工程と、
    該第3撹拌翼で前記第1撹拌翼と同じ速度で回転させながらも中位の解砕能力に加減して解砕する工程と、
    該中位の解砕能力に加減して解砕する工程の条件で各凝集体別に固有の必要解砕力を評価する工程と、を有する、
    請求項に記載の凝集体解砕シミュレーション方法。
  6. 前記試験用撹拌装置は、前記2本の丸棒を最適な長さに縮小調整された前記第3撹拌翼を装着して前記模擬実験に用いられ、
    該模擬実験による解砕結果に基づいて前記実機に装入される前記凝集体に対する必要解砕力を求め、
    前記実機に設定される回転速度は前記必要解砕力を発生させるための必要最小限にする、
    請求項に記載の凝集体解砕シミュレーション方法。
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粉体工学会誌,1997年,Vol.34,No.5,P.330-336

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