以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本開示の一実施形態に係る通信制御装置を含んだ通信システムのシステム構成を示す図である。図1に示されるとおり、通信システム1は、MME(Mobility Management Entity)10、S-GW(Serving Gateway)20、P-GW(PDN Gateway)30、PCRF(Policy and Charging Rules Function)40、eNodeB50、および通信端末60を含んで構成されている。また、MME10、S-GW20、P-GW30、およびPCRF40は、EPC(Evolved Packet Core)という無線通信網におけるコアネットワークを構成している。なお、通信システム1の構成は一例であり、図1に示すものに限定されない。
MME10は、基地局であるeNodeBを収容し、モビリティ制御およびベアラ制御機能を提供する交換機である。MME10は、例えば、地域ごとに配置されるものであり、一地域に対して一または複数のMME10が配置されている場合がある。
S-GW20は、基地局であるeNodeBを収容する在圏パケット交換機である。
P-GW30は、PDNとの接続するためのゲートウェイ装置であり、IPアドレスの割当てや、S-GW20へのパケット転送などを行う交換機である。また、PCRF40と連携して、QoS制御およびベアラ設定制御などを行う。
PCRF40は、ユーザデータ転送のQoS制御および課金制御を行う論理ノードである。
eNodeB50は、基地局であって、通信端末60との間で無線通信を行う部分である。
通信端末60は、ユーザに保持される端末であって、eNodeB50を介して、他の通信端末60または外部サーバ(図示せず)から配信されるパケットを受信可能な端末である。
なお、図1では、複数のeNodeB50として2つのeNodeB50A,50Bを示している。また、eNodeB50Aには複数の通信端末60として複数の通信端末60Aがアクセスし、eNodeB50Bには複数の通信端末60として複数の通信端末60Bがアクセスしている状態を示している。
上記の通信システム1に含まれる通信端末60以外の各装置は、通信端末60同士が通信を行う場合、または、通信端末60が外部サーバとの間で通信を行う場合に、各通信端末60に関する通信毎に自装置のリソースを割り当てている。なお、本実施形態では、各装置が通信処理の際に使用するメモリやCPU等のハードウェア資源を「リソース」という。
例えば、特定地域に設けられたMME10は、当該地域で通信を行う通信端末60に対してリソースを割り当てる必要がある。また、eNodeB50Aは、自装置にアクセスする通信端末60Aが通信を行う場合には、各通信に対して自装置のリソースを割り当てている。ただし、リソースには上限があるため、リソースの上限を超える通信が発生した場合には、当該通信を取り扱うことができなくなるため、一部の通信端末60に係る通信を規制する必要がある。
本実施形態で説明する通信システム1では、各装置が保持するリソースを、自発的に通信を開始する側である発信側用の通信端末60に対して使用する発信側リソースと、他の通信端末等からの通信要求に基づいて通信を開始する側である着信側の通信端末60に対して使用する着信側リソースと、を区別する。そして、通信システム1の各装置では、発信側リソースおよび着信側リソースを柔軟に運用する。すなわち、各装置では、発信側および着信側において、個別にリソースの使用状況を確認し、通信規制を行うか否かを判断する。また、各装置では、発信側リソースおよび着信側リソースの割り当ての割合を、実際の通信に用いられた呼量に応じて調整を行う。
なお、通信システム1の各装置は、通信端末60が送信/受信を行うデータを中継する際に通信端末60が実際に相手方の装置との間で送受信するデータ量に対応させて自装置のリソースを割くのではなく、通信端末60が相手方の装置との間でデータを送受信するための通信路を設けるために自装置のリソースを割く。したがって、原則的に、自装置が中継する通信を行う通信端末60の数に応じて自装置が割くリソースは変化する。本実施形態において「呼量」とは、相手方の装置との間でデータを送受信するための通信路等を設けるために必要な(複数の)通信端末60に対して割り当てることが必要なリソースを示す量であり、概ね呼数に対応することになる。
通信システム1を構成する装置のうち、通信端末60以外の各装置がそれぞれ上記の方法で自装置のリソースを管理することができる。本実施形態では、上記の方法でリソースを管理する装置を、通信制御装置という。なお、全ての装置が上記の方法でリソースを管理していなくてもよい。すなわち、通信システム1に含まれる装置の一部のみが通信制御装置としての機能を有していてもよい。また、リソースを有する装置と、当該リソースの割り当てを制御する通信制御装置とは別体であってもよい。
以下の実施形態では、通信システム1に含まれる装置(MME10,S-GW20、P-GW30、PCRF40、eNodeB50)のうち、上記の通信制御装置としての機能を有している装置を通信制御装置100として説明する。
図2に示すように、通信制御装置100は、通信端末60の通信に使用されるリソース110(無限リソース)と、リソース110におけるリソースの割り当ておよび通信規制の制御等を行う制御部120とを含む。
リソース110は、通信端末60に係る通信を行うために使用する資源である。
リソース110は、基本的に上限が設定されているものである。通信制御装置100では、発信側の通信端末60に対して利用するリソース(発信側リソース)と、着信側の通信端末60に対して利用するリソース(着信側リソース)とを区別して割り当てている。リソース110の全体値(上限値)をXとし、発信側リソースへの割り当て値をYとし、着信側リソースへの割り当て値をZとした場合、以下の関係が成り立つ。
X=Y+Z
発信側リソースの割り当て値Yおよび着信側リソースの割り当て値Zは、発信側および着信側での通信規制の判定にも使用することができる。例えば、発信側の通信を行う通信端末60の台数が増加したなどの理由により、発信側の通信端末60に係る呼量(リソースの使用量)が増大した場合、通信制御装置100では、発信側リソースの割り当て値Yを超える通信が発生しないように、発信側の通信端末60の通信の一部が規制される。したがって、発信側リソースの割り当て値Yは、発信側の通信規制を開始する際の基準となる規制値(発信側の規制値)としても使用される。これは着信側でも同様であり、着信側リソースの割り当て値Zは、着信側の通信規制を開始する際の基準となる規制値(着信側の規制値)としても使用される。発信側の規制値Yおよび着信側の規制値Zは、実際に通信制御装置100により制御される(通信制御装置100の制御対象となる)呼量等に基づいて変更されるが、その点は後述する。
通信制御装置100の制御部120は、呼量情報取得部121、規制制御部122、および、設定変更部123を含む。
呼量情報取得部121は、通信制御装置100により制御される通信の呼量に係る情報を取得する。呼量に係る情報は、リソース110のうち実際の呼量に割り当てたリソースの量である呼量を特定する情報を含む。リソース110のうち実際の呼量に割り当てたリソースの量はリソース110の使用状況から把握することができる。呼量情報取得部121は、リソース110の使用状況に係る情報を取得し、規制制御部122に送る。呼量情報取得部121は呼量に係る情報(リソース110の使用状況)を定期的に取得する構成とすることができる。
規制制御部122は、呼量情報取得部121において取得されたリソース110の使用状況に基づいて、通信端末60の通信規制が必要か否かを判断し、必要に応じて通信規制を実施する。また、規制制御部122は、通信規制を終了(解除)するか否かも判断し、判断結果に基づいて通信規制を終了する。規制制御部122における通信規制の要否の判断には、予め設定された発信側および着信側の規制値が用いられる。
設定変更部123は、リソース110の発信側リソースおよび着信側リソースの割り当て値を変更する。また、割り当て値の変更にともなって、通信規制の判断に使用される発信側および着信側の規制値の設定および見直しを行う。本実施形態の場合、割り当て値と規制値とが同じになるため、割り当て値の変更は規制値の変更に対応する。発信側および着信側の規制値の設定は、例えば、当該通信制御装置100を使用開始する際などに行われる。また、発信側および着信側の割り当て値の見直しは、規制制御部122による通信規制により発信側と着信側の両方の通信規制が実施されている時間帯には行われず、発信側または着信側において通信規制が行われていないタイミングで実施される。
次に、図3を参照しながら、通信制御装置100における通信規制の制御の手順について説明する。
まず、通信制御装置100では、設定変更部123によりリソース110の使用に関して発信側規制値Y(発信側のリソース割り当て値に対応)および着信側規制値Z(着信側のリソース割り当て値に対応)を設定する(S01)。発信側規制値Yおよび着信側規制値Zについては、例えば、過去の呼量等に基づいて設定することができるが、設定方法は特に限定されない。
次に、呼量情報取得部121により、リソース110での呼量情報を取得し、当該情報に基づく通信規制に係る処理が行われる。この処理は、発信側と着信側とで個別に行われるが、処理自体は並行して行ってもよいし、発信側と着信側とで交互に行われてもよい。
まず、発信側については、呼量情報取得部121は、リソース110における発信側の呼量情報を取得する(S02)。呼量情報には、発信側の呼量yの数値情報が含まれる。次に、呼量情報(呼量y)は規制制御部122へ送られる。規制制御部122では、発信側の通信規制を行うか否かを判断する。すなわち、呼量情報に含まれる呼量yが規制値Y以上であるか否かに基づいて、規制の要否を判断する(S03)。呼量yが規制値Y以上である場合には、発信側の通信が増大していると判断して発信規制を実施する(S04)。一方、呼量yが規制値Yよりも小さい場合には、発信側の通信規制は不要として、発信規制を実施しない(S05)。なお、発信規制を実施しない(S05)場合において、それよりも前の段階で規制を実施していた場合には、規制を解除する処理を行ってもよい。
発信側と同様に着信側でも通信規制の要否を判断する。呼量情報取得部121は、リソース110における着信側の呼量情報を取得する(S06)。呼量情報には、着信側の呼量zの数値情報が含まれる。次に、呼量情報(呼量z)は規制制御部122へ送られる。規制制御部122では、着信側の通信規制を行うか否かを判断する。すなわち、呼量zが規制値Z以上であるか否かに基づいて、規制の要否を判断する(S07)。呼量zが規制値Z以上である場合には、着信側の通信が増大していると判断して着信規制を実施する(S08)。一方、呼量zが規制値Zよりも小さい場合には、着信側の通信規制は不要として、着信規制を実施しない(S09)。なお、着信規制を実施しない場合において、それよりも前の段階で規制を実施していた場合には、規制を解除する処理を行ってもよい。
上記の発信側の通信規制の要否判断および必要な場合の通信規制(S02~S05)、および、着信側の通信規制の要否判断および必要な場合の通信規制(S06~S09)を実施した後、発信側および着信側の両方で通信規制が実施された状態か否かを判断する(S10)。発信側および着信側の両方で通信規制を実施した場合(S10-YES)には、通信規制実施後の発信側および着信側の呼量の変化(偏り)が評価できず、また、規制値を変更可能な状態ではないことから、規制値の見直しを行わない。そのため、呼量情報の取得から必要な場合の通信規制(S02~S09)を繰り返す。呼量が変化し、発信側または着信側の少なくとも一方で通信規制を行わない状態(解除された状態)となった場合には、発信側および着信側の両方で通信規制が実施された状態とはなくなるため(S10-NO)、後段の処理を行う。
発信側および着信側の一方のみで通信規制を実施し他方は通信規制を実施しなかった場合、または、両方で通信規制を実施しなかった場合(S10-NO)は、設定変更部123において、リソース110の割り当て値、すなわち規制値の見直し(S11)を行う。
規制値の見直しを行った後には、再び呼量情報の取得から必要な場合の通信規制(S02~S09)を繰り返し、両方で通信規制を行っている場合(S10-YES)を除き、規制値の見直し(S11)を行う。
呼量情報の取得から必要な場合の通信規制(S02~S09)を繰り返す間隔は特に限定されないが、例えば、数秒おき~数十秒おきに行うことができる。ただし、繰り返す間隔は、例えば、通信状況等に基づいて、適宜変更する構成としてもよい。
規制値(割り当て値)の見直し(S11)の具体的な手順について、図4および図5を参照しながら説明する。規制値の見直しの手順は、発信側および着信側のいずれで規制が実施されたのかによって異なる。図4および図5は、リソース110における規制値の割り振りを説明する図である。
まず、前提として、上述したようにリソース110の上限値をXとし、発信側リソースへの割り当て値をYとし、着信側リソースへの割り当て値をZとした場合、X=Y+Zという関係が成り立つ。また、上述したように、発信側および着信側へのリソースの割り当て値はそれぞれの制限値として使用することができる。ここでは、図4(a)に示すように、初期の発信側および着信側の規制値をそれぞれY1、Z1とする。上述したように、リソースの割り当て値と制限値とを等しくすることができるため、X=Y1+Z1の関係が成り立つ。
ここで、発信側で通信規制を実施し(S04)、着信側で通信規制を実施しなかった(S09)場合の規制の見直し方法について説明する。発信側で通信規制を実施したということは、発信側規制値Y1に対して発信側として通信を行おうとする通信端末60が多かったということになる。一方、着信側で通信規制を実施しなかったということは、着信側規制値Z1に対して着信側として通信を行おうとする通信端末60が少なかったということになる。そこで、規制値を見直す場合には、着信側として通信を行った通信端末60の呼量の実績に基づいて規制値を変化させる。具体的には、図4(b)に示すように、着信側規制値を呼量情報取得部121が取得した着信側の呼量zに変更する。すなわち、変更後の着信側規制値Z2は呼量zとなる。一方、発信側規制値は、リソース110の上限値Xに対する着信側規制値Z2の残分に変更する。すなわち、X-Z2を発信側規制値Y2とする。この結果、変更後の発信側規制値Y2は、変更前の発信側規制値Y1と比較して、着信側規制値Z1と実際の呼量zとの差分だけ増加することになる。
規制値の変更前は、着信側のリソースの割り当てに対して実際に使用する通信端末60が少ないために着信側のリソースが余剰となっていた。これに対して、上記の通り着信側のリソースの割り当てを実績に基づいた値に変更することで、余剰となっていたリソースを発信側に割り当てることができ、通信規制が実施されなかった側のリソースが余剰となることが防がれ、リソースを有効に活用することができる。
次に、発信側で通信規制を実施せず(S05)、着信側で通信規制を実施した(S08)場合の規制の見直し方法について説明する。この場合は、発信側で通信規制を実施し(S04)、着信側で通信規制を実施しなかった(S09)場合と同様に、通信規制を実施しなかった発信側として通信を行った通信端末60の呼量の実績に基づいて規制値を変化させる。具体的には、図4(c)に示すように、発信側規制値を呼量情報取得部121が取得した発信側の呼量yに変更する。すなわち、変更後の発信側規制値Y3は呼量yとなる。一方、着信側規制値は、リソース110の上限値Xに対する発信側規制値Y3の残分に変更する。すなわち、X-Y3を着信側規制値Z3とする。この結果、変更後の着信側規制値Z3は、変更前の着信側規制値Z1と比較して、発信側規制値Y1と実際の呼量yとの差分だけ増加することになる。
規制値の変更前は、発信側のリソースの割り当てに対して実際に使用する通信端末60が少ないために発信側のリソースが余剰となっていた。これに対して、上記の通り発信側のリソースの割り当てを実績に基づいた値に変更することで、余剰となっていたリソースを着信側に割り当てることができ、通信規制が実施されなかった側のリソースが余剰となることが防がれ、リソースを有効に活用することができる。
次に、発信側および着信側の両方で通信規制を実施しなかった(S05、S09)場合の規制の見直し方法について説明する。発信側および着信側の両方で通信規制を実施しなかったということは、発信側の通信端末60による呼量および着信側の通信端末60による呼量の両方が規制値よりも少なかったということになる。ただし、呼量の実績に対して規制値が偏っている場合には、呼量が増加した場合にリソース110全体としては余剰があるにもかかわらず通信規制が発生することが考えられる。そこで、通信規制を実施しない場合には、呼量の実績に基づいて、発信側および着信側の規制値を調整する。
まず、前提は、図4(a)と同じく、図5(a)に示すように、初期の発信側および着信側の規制値をそれぞれY1、Z1とする。上述したように、リソースの割り当て値と制限値とを等しくすることができるため、X=Y1+Z1の関係が成り立つ。また、図5(a)に示すように、Y1>Z1の関係となっているとする。
ここで、呼量情報として取得した発信側の呼量がyであり、着信側の呼量がzであったとする。呼量y,zをリソース110に対して当てはめた状態を図5(b)に示す。呼量yは発信側規制値Y1よりも小さく、呼量zは着信側規制値Z1よりも小さい。ただし、発信側規制値Y1に対する呼量yの割合をβ発信(%)とし、着信側規制値Z1に対する呼量zの割合をβ着信(%)とすると、β発信(%)とβ着信(%)との間に大きく偏りがある。すなわち、β発信(%)>β着信(%)となっている。
そこで、図5(c)に示すように、β発信(%)とβ着信(%)との差が小さくなるように、変更後の発信側規制値Y4および着信側規制値Z4を決定する。図5(c)に示す例では、β発信(%)=β着信(%)となるように発信側規制値Y4および着信側規制値Z4を決定しているが、少なくとも変更前よりもβ発信(%)とβ着信(%)との差が小さくなるように発信側規制値および着信側規制値を変更する。当然ながら、X=Y4+Z4の関係は満たされる。
規制値の変更前は、発信側のリソースの割り当てに対する通信端末60が使用する呼量の割合と、着信側のリソースの割り当てに対する通信端末60が使用する呼量の割合と、に偏りが生じていた。この場合、発信側および着信側の両方で同じ割合で呼量が増加したとすると、一方側ではリソースの余剰があるにもかかわらず他方側ではリソースが全て使用されて通信規制が実施される可能性があり、リソースの余剰が存在する状況で通信規制が実施されることが考えられる。これに対して、上記の通り呼量の実績に基づいて割り当て値(規制値)を調整することで、一方側でリソースが余剰となっている状態での通信規制の実施を防ぎやすくなり、リソースを有効に活用することができる。
以上のように、本実施形態に係る通信制御装置100では、呼量情報取得部121がリソース110のうち発信側リソースを使用した呼量に係る発信側呼量情報(呼量yが含まれる情報)および着信側リソースを使用した呼量に係る着信側呼量情報(呼量zが含まれる情報)と、を取得する。また、設定変更部123において、発信側呼量情報および着信側呼量情報の少なくとも一方に基づいて、発信側リソースと着信側リソースとの割り当てを変更する。このような構成とすることにより、実際の呼量に係る呼量情報に基づいてリソース110の割り当てを変更することができるため、発信側および着信側の両方においてリソースの有効利用が可能となる。また、本実施形態に係る通信制御装置100では、発信側および着信側において、リソースが余剰した状態での通信規制の発生を防ぐことができる。
従来からのリソースの管理方法として、発信側および着信側に割り当てることなく、リソースを一体的に管理する方法が挙げられる。この方法では、リソースの利用率が制限値に近くなるまで高くなった場合に通信規制が行われる。ただし、例えば、着信側の通信のみが増大した場合に、発信側の通信が大幅に規制されてしまうことも考えられる。このようなケースを考慮して、リソースを発信側および着信側に割り当てて個別に管理する方法も考えられる。ただし、割り当て値に対して実際の呼量が不適切である場合、例えば、発信側ではリソースが大量に余剰しているにもかかわらず、着信側の通信規制が行われるために、リソースの有効活用ができない可能性が考えられた。
これに対して、本実施形態に係る通信制御装置100では、発信側呼量情報および着信側呼量情報の少なくとも一方に基づいて、発信側リソースと着信側リソースとの割り当てを変更するため、呼量の実績に基づいた割り当ての変更が可能となる。したがって、リソースの余剰がある場合には、リソースの割り当てを変更するなど、割り当ての柔軟な変更が可能となり、リソースの有効利用ができる。また、発信側または着信側の実情に応じたリソースの割り当ての変更となることから、発信側および着信側の両方においてリソースの有効利用が可能となる。
また、通信制御装置100では、呼量情報取得部121において取得された発信側呼量情報および着信側呼量情報に基づいて、発信側および着信側の通信規制を行う規制制御部122をさらに有し、設定変更部123は、規制制御部122による発信側および着信側の通信規制の実施の有無に基づいて、発信側リソースと前記着信側リソースとの割り当て方法を変更する。このような構成とすることで、通信規制が実施されている場合には、呼量の増大を考慮したリソースの割り当ての変更が可能となるため、発信側または着信側の実情に応じたリソースの割り当ての変更となり、発信側および着信側の両方においてリソースの有効利用が可能となる。
また、通信制御装置100の設定変更部123は、規制制御部122により発信側および着信側の一方に対して通信規制が行われた場合、通信規制が行われなかった側のリソースの割り当てを、発信側呼量情報および前記着信側呼量情報のうち通信規制が行われなかった側の呼量情報により特定される呼量に対応した値に変更する。このように、一方側で通信規制が行われた場合に、通信規制が行われずリソースに余剰があると思われる他方側のリソースを、実績の呼量に対応した値に変更することで通信規制が行われない側のリソースの余剰を適切に抑制し、通信規制が行われる側のリソースに割り当てることが可能となる。したがって、発信側および着信側の両方においてリソースの有効利用が可能となる。
さらに、設定変更部123は、規制制御部122により発信側および着信側の両方に対して通信規制が行われなかった場合、発信側リソースおよび着信側リソースに対する割り当て値の関係が、発信側呼量情報により特定される呼量と着信側呼量情報により特定される呼量との関係に対応した値に変更する。このような構成とすることで、通信規制が行われなかった場合でも、発信側および着信側の呼量の実績に基づいてリソースの割り当てを変更する構成とすることで、リソースの割り当てが偏ることによって発信側および着信側で通信規制が発生することを防ぐことができ、リソースの有効利用が可能となる。
なお、上記実施形態で説明した通信制御装置100は上記の構成に限定されず、種々の変更を加えることができる。
上記実施形態では、通信制御装置100が1台の装置により構成されている場合について説明したが、上記の通信制御装置100に係る機能が複数台の装置に分散配置された構成であってもよい。
また、上記実施形態では、通信制御装置100がリソース110を有している場合について説明したが、リソース110を有する装置と制御部120を有する装置とが別体であってもよい。さらに、リソース110が複数の装置に分散された構成であってもよい。この場合、制御部120は、複数の装置に分散されたリソース110における割り当てを一体的に管理することになる。
また、上記実施形態では、リソース110の通信規制が実施された場合と通信規制が実施されなかった場合の両方でリソースの割り当ての変更を行い、且つ、これらの場合においてリソースの割り当て方法を変更する場合について説明した。しかしながら、リソースの割り当ての変更は、例えば、リソース110の通信規制が実施された場合にのみ実施する構成としてもよい。また、リソース110の発信側および着信側の両方で通信規制が実施された場合も、実際に通信しようとしている通信端末60の数等の情報を利用して割り当て値を変更する構成としてもよい。また、リソースの割り当ての変更タイミングは、適宜変更することができる。
また、上記実施形態では、発信側リソースおよび着信側リソースの割り当て値と、発信側規制値および着信側規制と、が同じである場合について説明したが、これらを同じにしなくてもよい。例えば、通信規制の要否を判定する規制値は、割り当て値よりも少し小さく設定しておき、呼量が規制値を超えた段階で、通信規制を実施することができる。この場合、設定値の見直し(図3のS11)の段階において、リソース110の割り当て値を見直し、その結果に基づいて設定値を変更する構成とすることができる。
(その他)
上記実施の形態の説明に用いたブロック図は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及び/又はソフトウェアの任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現手段は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的及び/又は論理的に結合した1つの装置により実現されてもよいし、物理的及び/又は論理的に分離した2つ以上の装置を直接的及び/又は間接的に(例えば、有線及び/又は無線)で接続し、これら複数の装置により実現されてもよい。
例えば、本発明の一実施の形態における通信制御装置100は、本実施形態の通信制御装置100の処理を行うコンピュータとして機能してもよい。図6は、本実施形態に係る通信制御装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。上述の通信制御装置100は、物理的には、プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、通信装置1004、入力装置1005、出力装置1006、バス1007などを含むコンピュータ装置として構成されてもよい。
なお、以下の説明では、「装置」という文言は、回路、デバイス、ユニットなどに読み替えることができる。通信制御装置100のハードウェア構成は、図に示した各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。
通信制御装置100における各機能は、プロセッサ1001、メモリ1002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることで、プロセッサ1001が演算を行い、通信装置1004による通信や、メモリ1002及びストレージ1003におけるデータの読み出し及び/又は書き込みを制御することで実現される。
プロセッサ1001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ1001は、周辺装置とのインタフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)で構成されてもよい。例えば、通信制御装置100の各機能は、プロセッサ1001で実現されてもよい。
また、プロセッサ1001は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールやデータを、ストレージ1003及び/又は通信装置1004からメモリ1002に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、上述の実施の形態で説明した動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。例えば、通信制御装置100の各機能は、メモリ1002に格納され、プロセッサ1001で動作する制御プログラムによって実現されてもよい。上述の各種処理は、1つのプロセッサ1001で実行される旨を説明してきたが、2以上のプロセッサ1001により同時又は逐次に実行されてもよい。プロセッサ1001は、1以上のチップで実装されてもよい。なお、プログラムは、電気通信回線を介してネットワークから送信されても良い。
メモリ1002は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(ElectricallyErasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)などの少なくとも1つで構成されてもよい。メモリ1002は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ1002は、本発明の一実施の形態に係る方法を実施するために実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
ストレージ1003は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD-ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つで構成されてもよい。ストレージ1003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。上述の記憶媒体は、例えば、メモリ1002及び/又はストレージ1003を含むデータベース、サーバその他の適切な媒体であってもよい。
通信装置1004は、有線及び/又は無線ネットワークを介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。例えば、通信制御装置100の各機能は、通信装置1004で実現されてもよい。
入力装置1005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、センサなど)である。出力装置1006は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー、LEDランプなど)である。なお、入力装置1005及び出力装置1006は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。
また、プロセッサ1001やメモリ1002などの各装置は、情報を通信するためのバス1007で接続される。バス1007は、単一のバスで構成されてもよいし、装置間で異なるバスで構成されてもよい。
また、通信制御装置100は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアを含んで構成されてもよく、当該ハードウェアにより、各機能ブロックの一部又は全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサ1001は、これらのハードウェアの少なくとも1つで実装されてもよい。
以上、本実施形態について詳細に説明したが、当業者にとっては、本実施形態が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本実施形態は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本実施形態に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
情報の通知は、本明細書で説明した態様/実施形態に限られず、他の方法で行われてもよい。例えば、情報の通知は、物理レイヤシグナリング(例えば、DCI(Downlink Control Information)、UCI(Uplink Control Information))、上位レイヤシグナリング(例えば、RRC(Radio Resource Control)シグナリング、MAC(Medium Access Control)シグナリング、報知情報(MIB(Master Information Block)、SIB(System Information Block)))、その他の信号又はこれらの組み合わせによって実施されてもよい。また、RRCシグナリングは、RRCメッセージと呼ばれてもよく、例えば、RRC接続セットアップ(RRC Connection Setup)メッセージ、RRC接続再構成(RRCConnection Reconfiguration)メッセージなどであってもよい。
本明細書で説明した各態様/実施形態の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本明細書で説明した方法については、例示的な順序で様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
入出力された情報等は特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルで管理してもよい。入出力される情報等は、上書き、更新、または追記され得る。出力された情報等は削除されてもよい。入力された情報等は他の装置へ送信されてもよい。
判定は、1ビットで表される値(0か1か)によって行われてもよいし、真偽値(Boolean:trueまたはfalse)によって行われてもよいし、数値の比較(例えば、所定の値との比較)によって行われてもよい。
本明細書で説明した各態様/実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。また、所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的に行うものに限られず、暗黙的(例えば、当該所定の情報の通知を行わない)ことによって行われてもよい。
ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称で呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、機能などを意味するよう広く解釈されるべきである。
また、ソフトウェア、命令などは、伝送媒体を介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア及びデジタル加入者回線(DSL)などの有線技術及び/又は赤外線、無線及びマイクロ波などの無線技術を使用してウェブサイト、サーバ、又は他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術及び/又は無線技術は、伝送媒体の定義内に含まれる。
本明細書で説明した情報、信号などは、様々な異なる技術のいずれかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、チップなどは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、又はこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
なお、本明細書で説明した用語及び/又は本明細書の理解に必要な用語については、同一の又は類似する意味を有する用語と置き換えてもよい。
本明細書で使用する「システム」および「ネットワーク」という用語は、互換的に使用される。
また、本明細書で説明した情報、パラメータなどは、絶対値で表されてもよいし、所定の値からの相対値で表されてもよいし、対応する別の情報で表されてもよい。
上述したパラメータに使用する名称はいかなる点においても限定的なものではない。さらに、これらのパラメータを使用する数式等は、本明細書で明示的に開示したものと異なる場合もある。
本明細書で使用する「判断(determining)」、「決定(determining)」という用語は、多種多様な動作を包含する場合がある。「判断」、「決定」は、例えば、判定(judging)、計算(calculating)、算出(computing)、処理(processing)、導出(deriving)、調査(investigating)、探索(looking up)(例えば、テーブル、データベースまたは別のデータ構造での探索)、確認(ascertaining)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、受信(receiving)(例えば、情報を受信すること)、送信(transmitting)(例えば、情報を送信すること)、入力(input)、出力(output)、アクセス(accessing)(例えば、メモリ中のデータにアクセスすること)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、解決(resolving)、選択(selecting)、選定(choosing)、確立(establishing)、比較(comparing)などした事を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。つまり、「判断」「決定」は、何らかの動作を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。
「接続された(connected)」、「結合された(coupled)」という用語、又はこれらのあらゆる変形は、2又はそれ以上の要素間の直接的又は間接的なあらゆる接続又は結合を意味し、互いに「接続」又は「結合」された2つの要素間に1又はそれ以上の中間要素が存在することを含むことができる。要素間の結合又は接続は、物理的なものであっても、論理的なものであっても、或いはこれらの組み合わせであってもよい。本明細書で使用する場合、2つの要素は、1又はそれ以上の電線、ケーブル及び/又はプリント電気接続を使用することにより、並びにいくつかの非限定的かつ非包括的な例として、無線周波数領域、マイクロ波領域及び光(可視及び不可視の両方)領域の波長を有する電磁エネルギーなどの電磁エネルギーを使用することにより、互いに「接続」又は「結合」されると考えることができる。
本明細書で使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
「含む(include)」、「含んでいる(including)」、およびそれらの変形が、本明細書あるいは特許請求の範囲で使用されている限り、これら用語は、用語「備える(comprising)」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本明細書あるいは特許請求の範囲において使用されている用語「または(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
本明細書において、文脈または技術的に明らかに1つのみしか存在しない装置である場合以外は、複数の装置をも含むものとする。本開示の全体において、文脈から明らかに単数を示したものではなければ、複数のものを含むものとする。