JP7019141B2 - 差圧室連通装置及び差圧室連通方法 - Google Patents

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Description

本発明は、複数の差圧室を順番に配置し、この順番に従って差圧室の圧力が低くなるように複数の差圧室を吸引する場合に、高圧側の差圧室のガスが低圧側の差圧室に流入することを防止する技術に関する。
複数の差圧室を順番に配置し、この順番に従って差圧室の圧力を低くする場合がある。例えば、非特許文献1では、複数の差圧室を、重元素イオンビーム(ウラン、Xeなどの元素のイオンビーム)の通過経路上に配列している。これらの差圧室は、重元素イオンビームの通過経路上に位置する連通路を介して互いに連通しており、真空ポンプにより配列順に従って圧力が低くされている。最も高圧側の差圧室には、重元素イオンビームを荷電変換するためのヘリウムガスが供給される。このように、ヘリウムガスを最も高圧側の差圧室に供給することにより、最も高圧側の差圧室のヘリウムガスの密度を、重元素イオンビームを荷電変換できる高さに維持しつつ、最も低圧側の差圧室の真空度を高く維持している。
Proceedings of the 10th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (August 3-5, 2013, Nagoya, Japan)
非特許文献1において、複数の差圧室は互いに連通しているので、最も高圧側の差圧室のヘリウムガスは、低圧側の差圧室へ順に流入する可能性がある。ヘリウムガスが低圧側の差圧室からさらに別の箇所(例えば荷電変換された重元素イオンビームが通過するサイクロトロン)へ流入するのを防止するために、あるいは、ヘリウムガスの消費量を抑えるために、ヘリウムガスが低圧側の差圧室へ流入するのを抑えることが望まれる。また、この場合、低圧側の差圧室と高圧側の差圧室との真空封止性能を高めることが望まれる。
また、非特許文献1の場合に限らず、複数の差圧室を順番に配置し、この順番に従って差圧室の圧力が低くなるように複数の差圧室を吸引する場合に、高圧側の差圧室のガスが低圧側の差圧室へ流入することを抑え、低圧側の差圧室と高圧側の差圧室との真空封止性能を高めることが望まれる。
一例では、加速器において真空の内部空間で陽子を加速して陽子ビームを出力し、この陽子ビームを中性子発生ターゲットに照射することにより、中性子発生ターゲットから中性子を発生させる場合に、中性子発生ターゲットへの陽子ビームの通過経路を次のように形成することが考えられる。陽子ビームの通路を、加速器の内部空間から中性子発生ターゲットを収容したターゲット容器の内部空間まで連続して互いに連通する複数の差圧室で形成する。この場合、加速器の内部空間はターゲット容器の内部空間よりも低圧であるので、ターゲット容器の内部空間のガスが、陽子ビームの通路を通って加速器の内部空間へ流入することを複数の差圧室において抑え、低圧側の差圧室と高圧側の差圧室との真空封止性能を高めることが望まれる。なお、加速器の内部空間へのガスの流入を抑えることで、加速器内でのガスとの散乱によるビーム損失を防ぐことができる。
そこで、本発明の目的は、複数の差圧室を順番に配置し、この順番に従って差圧室の圧力が低くなるように複数の差圧室を吸引する場合に、高圧側の差圧室のガスが低圧側の差圧室へ流入することを抑え、低圧側の差圧室と高圧側の差圧室との真空封止性能を高められる装置と方法を提供することにある。
上述の目的を達成するため、本発明の差圧室連通装置は、互いに連通するように順番に配置される複数の差圧室をそれぞれ形成する複数の差圧室形成体と、
前記順番に従って前記複数の差圧室の圧力が低くなるように、かつ、前記順番における最初と最後の差圧室の圧力差が十分に大きくなるように、前記複数の差圧室の一部又は全部を吸引する吸引装置と、
前記順番において隣接する2つの前記差圧室を互いに連通するジェット供給用の連通路を形成する通路形成体と、
前記連通路をガスジェットが横断するように前記連通路に前記ガスジェットを供給して、該ガスジェットで、低圧側の領域と高圧側の領域とに前記連通路を分断するガスジェット装置と、を備える。
また、上述の目的を達成するため、本発明の差圧室連通方法では、
(A)複数の差圧室を互いに連通するように順番に配置し、
(B)前記順番において隣接する2つの差圧室を互いに連通するジェット供給用の連通路を通路形成体により形成し、
(C)前記順番に従って前記複数の差圧室の圧力が低くなるように、かつ、前記順番における最初と最後の差圧室の圧力差が十分に大きくなるように、前記複数の差圧室の一部又は全部を吸引し、
(D)前記(C)の時に、前記連通路をガスジェットが横断するように前記連通路に前記ガスジェットを供給して、該ガスジェットで、低圧側の領域と高圧側の領域とに前記連通路を分断する。
本発明では、ガスジェットが、連通路を横断するように連通路に供給され、連通路を、低圧側の領域と高圧側の領域とに分断する。これにより、高圧側の差圧室のガスが低圧側の差圧室へ流入することを防止できる。
また、ガスジェットの周囲で静圧の低下が起こる。これにより、ジェット供給用の連通路が接続される2つの差圧室のうち低圧側の差圧室の圧力の上昇を防止できる。これについて、差圧室の配置の順番において最初と最後の差圧室の圧力差を十分に大きくする場合に、ガスジェットにより、非常に高い真空封止性能が得られる。
本発明がなされた過程を示す着想の手順を示す。 本発明の実施形態による差圧室連通装置の構成例を示す。 差圧室連通装置を荷電変換装置に適用した場合の構成例を示す。 図3において重元素イオンビームを示した図である。 図3の構成において得られた真空封止性能とガス流入防止性能を示す実験データである。 差圧室連通装置を加速器駆動未臨界炉装置に適用した場合の構成例を示す。 図6における部分拡大図であり、差圧室連通装置を示す。
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
(着想の過程)
図1は、後述の差圧室連通装置10がなされた過程を示す着想の手順を示す。図1(A)は、低圧側領域と高圧側領域とが互いに連通している状態を示す。低圧側領域と高圧側領域には共通のガスG1(例えばヘリウム)が存在する。図1(A)において、高圧側領域のガスG1が低圧側領域に流入するのを抑えるために、図1(B)のように、低圧側領域と高圧側領域との間に、中間領域を設け、この中間領域に、高圧側領域のガスG1に代わる置換ガスG2を導入することを本願の発明者は考えた(ガスG2は例えば窒素ガス)。さらに、図1(C)のように、中間領域を短くして低圧側領域と高圧側領域を互いに近づけることにより、構造全体をコンパクトにすることを本願の発明者は考えた。さらに、図1(D)のように、中間領域をガスG2のジェットに置き換えることを本願の発明者は考えた。このような過程に基づいて、後述の差圧室連通装置10はなされた。
(差圧室連通装置)
図2(A)は、本発明の実施形態による差圧室連通装置10の構成例を示す。図2(B)は図2(A)の部分拡大図であり、図2(C)は図2(B)のC-C断面図であり、図2(D)は図2(B)のD-D断面図であり、図2(E)は図2(B)のE-E断面図である。差圧室連通装置10は、差圧室形成体1A~1Dと吸引装置Vと通路形成体3とガスジェット装置5とを備える。
複数の差圧室形成体1A~1Dは、それぞれ、互いに連通路3a,19を介して連通するように順番に直列に配置される複数の差圧室1a~1dを形成する。図1では、差圧室形成体の数(すなわち差圧室の数)は、図2(A)の例では4つであるが、これに限定されず、2つ又は3つであってもよいし、5つ以上(例えば5以上であって10以下の数)であってもよい。
本願において、「差圧室」とは、この差圧室に連通する隣りの差圧室と圧力が異なる領域を意味する。また、本願において、連通路とは、この連通路により連通される2つの差圧室の各々の断面積よりも小さい断面積を有する連通路を意味する。ここで、連通路の断面積と、差圧室の断面積は、当該連通路による差圧室同士の連通方向(例えば後述の連通方向D2)と直交する平面による断面の面積を意味する。差圧室の断面積は、例えば、この連通路と接続している2つの差圧室の断面積(2つの差圧室の断面積が同じでない場合には、小さい方の断面積)の1/2以下、1/3以下、1/5以下、または1/10以下であってよいが、これらの例に限定されない。各差圧室は、外部(例えば大気)に対して密閉されていてよい。
吸引装置Vは、差圧室の配置の順番(差圧室1a~1dの順番)に従って複数の差圧室1a~1dの圧力が低くなるように複数の差圧室1a~1dの一部又は全部を吸引する。吸引装置Vは、上述の順番における最初と最後の差圧室1a,1dの圧力差が、十分に大きくなるように、複数の差圧室1a~1dの一部又は全部を吸引する。本実施形態では、上述の順番における最初と最後の差圧室1a,1dの圧力をそれぞれP1,P2とした場合に、吸引装置Vは、P1/P2が10以上又は10以上又は10以上の値になるように、複数の差圧室1a~1dを吸引する。図2(A)の例では、差圧室1dの圧力が最も低い。また、図2(A)の例では、吸引装置Vは、複数の差圧室1a~1dにそれぞれ接続され差圧室1a~1dをそれぞれ吸引する複数の真空ポンプ6a~6dを備える。ただし、吸引装置Vは、複数の差圧室のうちの一部(例えば2つ以上)の差圧室を吸引してもよい。例えば、吸引装置Vは、上記順番において最初の差圧室を吸引せずに(図2(A)では真空ポンプ6aを省略して)、最初の差圧室を除く各差圧室(図2(A)では差圧室1b~1d)を吸引してもよい。
通路形成体3は、差圧室の配置の順番において隣接する2つの差圧室(図1(A)の例では差圧室1b,1c)を互いに連通するジェット供給用の連通路3aを形成する。通路形成体3は、図2(A)において破線で囲んだ部分の構造部である。
ガスジェット装置5は、図2(B)に示すように、ガスジェットJが連通路3aを横断して通過するように、連通路3aの横断方向D1にガスジェットJを連通路3aに供給する。ガスジェット装置5は、連通路3aの断面の全体にわたってガスジェットJが流れるようにガスジェットJを連通路3aに供給する。これにより、ガスジェットJで、連通路3aを2つに完全に分断できる。ここで、連通路3aの断面とは、差圧室1bから差圧室1cへ連通路3aが延びている方向(以下で連通方向D2という)に直交する平面による連通路3aの断面を意味する。ガスジェットJは、窒素ガスであってよいが、これに限定されず、例えばアルゴンガス、ヘリウムガス又は空気であってもよい。アルゴンガスは重いので、ガスジェットJの通過領域を当該ガスに置き換えやすく、その拡散性を下げることができる。空気の場合、大気をコンプレッサで圧縮することにより簡単にガスジェットJを形成できる。
ガスジェット装置5は、ジェット供給口3bから、例えば音速以上の速度でガスジェットJを連通路3aへ供給する。ここで、音速の定義はガスの種類(質量)に依るが、窒素ガスを用いた場合、音速以上の速度は、350m/秒以上、400m/秒以上、または450m/秒以上であってもよい。ただし、ガスジェットJにより、高圧側の差圧室1bのガスが低圧側の差圧室1cへ流入することを防止できれば、ジェット供給口3bから連通路3aへ供給されるガスジェットJの速度は、音速より小さくてもよい。
連通路3aには、ジェット供給口3bとジェット排出口3cが開口している。図2(A)の例では、ジェット供給口3bとジェット排出口3cは、通路形成体3により形成されている。
ガスジェット装置5によりジェット供給口3bから連通路3aに横断方向D1に供給されたガスジェットJは、ジェット排出口3cから連通路3aの外部へ出ていく。そのために、ジェット供給口3bとジェット排出口3cとは、上記横断方向D1に互いに対向している。横断方向D1と連通方向D2の両方に交差(例えば直交)する方向を連通路3aの幅方向D3として、図2(C)~(E)に示すように、ジェット供給口3bとジェット排出口3cは、連通路3aにおける幅方向D3の一端から連通路3aにおける幅方向D3の他端まで延びている。これにより、ガスジェットJで、連通路3aを2つに完全に分断し続けつつ、ガスジェットJを連通路3aから排出し続けることが可能になる。
図2(E)において、ジェット供給口3bを、ジェット排出口3cに横断方向D1に投影した部分(すなわち破線で囲んだ部分)として示している。なお、図2の例では、ジェット供給口3bは、幅方向D3に細長く延びている。すなわち、連通方向D2におけるジェット供給口3bの寸法は、幅方向D3におけるジェット供給口3bの寸法よりも大きくなっている。また、横断方向D1から見た場合に、ジェット供給口3bは図2(E)では略矩形であるが、他の形状であってもよい。
ジェット供給口3bの面積で、ジェット供給口3bから噴出されるガスジェットJの流量が決まる。ジェット供給口3bが大きすぎると、ガスジェットJが減速され、ジェット排出口3cに排出できなくなる。すなわち、ジェット供給口3bの面積は、高圧側と低圧側の差圧室1b,1cの圧力やジェット排出口3cの排気性能などで決まるパラメータである。
さらに、ジェット供給口3bから連通路3aに供給されたガスジェットJの全て又はほぼ全てが、連通路3aの内面に衝突することなく、ジェット排出口3cに流入するように、ジェット排出口3cの位置と大きさが設定されている。例えば、図2(E)に示すように、連通方向D2におけるジェット排出口3cの寸法は、幅方向D3の全体にわたって、連通方向D2におけるジェット供給口3bの寸法よりも大きくなっている。ま別の観点から述べると、横断方向D1に見た場合、図2(E)のように、ジェット排出口3cに横断方向D1に投影したジェット供給口3b(破線で囲んだ部分)は、ジェット排出口3cの範囲内に含まれており、この範囲よりも小さい。
ジェット供給口3bから噴出されたガスジェットJは、高圧側の差圧室1bの圧力に押されて低圧側の差圧室1c側に曲がる。そのため、横断方向D1に見た場合、図2(D)のように、ジェット供給口3bの中心C1は、ジェット供給口3bの中心C2から低圧側の差圧室1b側にずれて位置している。
ガスジェット装置5の一例について、より詳しく説明する。ガスジェット装置5は、図2の例では、ガス供給部5aとガス供給管5bとノズル5cを有する。ガス供給部5aは、ガス供給管5bを通してノズル5cへ加圧ガスを供給する。ガス供給部5aは、液体窒素が蓄えられたタンクであってもよいし、高圧ガスが蓄えられたタンクであってもよいし、ガスを加圧してガス供給管5bへ送出するコンプレッサであってもよいし、他の構成を有していてもよい。連通路3aに噴出されるガスジェットJの流量と速度は、一例では、ガス供給管5bに設けた圧力レギュレータを用いて調整される。この場合、ガスジェットの流量を一定値に保つために、ガス供給管5bにおいて、圧力レギュレータの下流にマスフローコントローラを取り付けてもよい。
ノズル5cは、その先端において上述したジェット供給口3bを形成している。ノズル5cは、ガス供給部5aから供給されたガスをガスジェットJとして連通路3aに噴出する。ノズル5cは、図2(B)(C)において破線で囲んだ部分の構造部である。図2(C)の例では、連通路3aの断面は円形である。この円形の中心まわりの周方向においては、ジェット供給口3bと連通路3aとの境界は、この円形の半分(図2(C)で上半分)を区画する半円の一端から他端まで円弧状に延びている。ジェット排出口3cと連通路3aとの境界は、この円形の残りの半分(図2(C)で下半分)を区画する半円の一端から他端まで円弧状に延びている。ただし、連通路3aの断面の形状は、円形に限定されず、矩形や他の形状であってもよい。
ノズル5c内部のガス流路11は、図2(B)のように、先端側部分11aを有する。先端側部分11aは、その断面積が先端側へ移行するにつれて次第に小さくなり、その先端ではジェット供給口3bとなっている。図2(B)の例では、先端側部分11aの断面は、連通方向D2の寸法が、ノズル5cの先端に移行するにつれて次第に小さくなっている。図2(B)(C)の例では、先端側部分11aの断面は、幅方向D3においても、ノズル5cの先端に移行するにつれて次第に小さくなっている。ただし、ノズル5cの形状は、これに限定されない。
(差圧室連通装置の効果)
ガスジェット装置5がガスジェットJを連通路3aに供給することにより、連通路3aにおいて、ガスジェットJのカーテンが形成される。ガスジェットJのカーテンは、一例では連通路3aを2つに完全に分断する。ここで、カーテンとは、ガスジェットJの壁を意味し、差圧室1b側のガスを遮って差圧室1bのガスが低圧側の差圧室1cへ流入するのを防止する機能を持つ。すなわち、差圧室1bのガスは、連通路3aを通って低圧側の差圧室1c側へ移動する時にガスジェットJに合流してガスジェットJと共に連通路3aから排出されるので、差圧室1bのガスが連通路3aを通って差圧室1cに流入することが回避される。なお、低圧側の差圧室1cのガスが、連通路3aを通って高圧側の差圧室1bへ移動しようとしたとしても、ガスジェットJに合流してガスジェットJと共に連通路3aから排出される。あるいは、高圧側の差圧室1bのガスは、ガスジェットJと共に連通路3aから排出されるが、ガスジェットJのガスの一部は、低圧側の差圧室1cに流出して、このガスに差圧室1cのガスが置換されてもよい。
また、ガスジェットJのカーテンにより、高圧側の差圧室1bの圧力と低圧側の差圧室1cとが分断されるとともに、ガスジェットJがジェット排出口3cから排出されることにより、ガスジェットJの周囲で静圧の低下が起こる。これにより、低圧側の差圧室1cの圧力の上昇を防止できる。その結果、高圧側の差圧室1bと低圧側の差圧室1cとの圧力差の低下も防止できる。これについて、差圧室1a~1dの配置の順番における最初と最後の差圧室1a,1dの圧力差を十分に大きくする場合に、ガスジェットJにより、非常に高い真空封止性能が得られることを本発明者は発見した。例えば、後述の図5(A)のように、ガスジェットJを供給しない場合と比べて、ガスジェットJの上流側の圧力を約10倍高くすることができる。
(差圧室連通方法)
上述の差圧室連通装置10を用いた差圧室連通方法では、次の(A)~(D)が行われる。
(A)複数の差圧室1a~1dを、互いに連通するように、この順番に配置する。
(B)複数の差圧室1a~1dに含まれ上述の順番において隣接する2つの差圧室1b、1cを互いに連通するジェット供給用の連通路3aを通路形成体3により形成する。
(C)上述の順番に従って複数の差圧室1a~1dの圧力が低くなるように、かつ、上述の順番における最初と最後の差圧室1a,1dの圧力差が、十分に大きくなるように、複数の差圧室1a~1dの一部又は全部を吸引する。
(D)上記(C)の時に、連通路3aをガスジェットJが横断するように連通路3aにガスジェットJを供給して、ガスジェットJで、低圧側の領域と高圧側の領域とに連通路3aを分断する。
上記(D)の時、ガスジェット装置5は、上述したガスジェットJのカーテンが途切れないように、ガスジェットJを連通路3aに供給し続ける。このように連通路3aに供給されたガスジェットJは、ジェット排出口3cから連通路3a以外の他の領域へ流れ続ける。図1の例では、連通路3a供給されたガスジェットJは、ジェット排出口3cから排出管13を通って真空ポンプ等を介し上記他の領域(例えば大気)へ排出され続ける。
<差圧室連通装置の適用例1>
図3は、上述した差圧室連通装置10を荷電変換装置30に適用した場合の構成例を示す。荷電変換装置30は、重元素イオンビームに対して荷電変換を行うものである。すなわち、荷電変換装置30は、重元素イオンビームを構成する各イオンから電子をはぎ取り、このイオンにおいて質量に対する電荷の割合を上げるものである。
重元素イオンビームは、図示しないイオンビーム生成装置から荷電変換装置30へ入射され、荷電変換装置30により荷電変換がなされた後、サイクロトロンに入射されることにより加速され、標的物質に入射され、標的物質と物理的な変化を引き起こす。例えば、重元素イオンビームが標的物質を透過する場合、重元素イオンビームの一部のイオンの原子核は、標的物質を透過する過程で、標的物質中の原子核と衝突して核反応で別の核種になる。この核種のビームは、標的物質を透過した後、電磁石などにより選別して取り出され(例えば研究に)利用される。例えば、重元素イオンビームは、ウラン元素またはXe元素のイオンのビームであってよいし、水素の同位体の重陽子のビームであってもよい。なお、荷電変換装置30は、例えば、上述した核種の研究に利用される装置として製造販売することができるものである。
荷電変換装置30は、上述した差圧室連通装置10を備える。図3の例では、2組の差圧室連通装置10が設けられている。以下において、一方の組の差圧室連通装置10について説明するが、他方の組の差圧室連通装置10は、一方の組の差圧室連通装置10と同じ構成を有する。また、荷電変換装置30を、他方の組の差圧室連通装置10を省略した構成とすることも可能である。
差圧室連通装置10は、複数の差圧室1a~1fをそれぞれ形成する複数の差圧室形成体1A~1Fを備える。これらの差圧室の数は、図3では6つであるが、上述のようにこれに限定されない。
複数の差圧室1a~1fは、この順番に配置される。各差圧室1a~1fは、当該順番において隣りの差圧室と連通路19又は3aを介して互いに連通している。ここで、差圧室1dと差圧室1eとを連通する連通路は、ジェット供給用の連通路3aである。なお、図3の例では、上記順番において最初の差圧室1aは、2組の差圧室連通装置10に共有されている。なお、上記順番において最後の差圧室1fは、重元素イオンビームの通路に連通しており、さらに例えば上記サイクロトロンの内部に連通している。
荷電変換装置30は、上記順番において最初の差圧室1aにヘリウムガスを供給するヘリウム供給装置21を備える。最初の差圧室1a内のヘリウムガスは、重元素イオンビームを構成するイオンの電子を剥ぎとるためのものである。ヘリウム供給装置21は、ヘリウム供給部21aとヘリウム供給管21bを有する。ヘリウム供給部21aは、ヘリウム供給管21bを通して最初の差圧室1aにヘリウムガスを供給する。例えば、ヘリウム供給部21aは、ヘリウムガスが蓄えられたタンク(ボンベ)であってもよいし、液体ヘリウムが蓄えられたタンクであってよい。この場合、最初の差圧室1aに供給されるヘリウムガスの流量と速度は、一例では、ヘリウム供給管21bに設けた圧力レギュレータを用いて調整される。この場合、ヘリウムガスの流量を一定値に保つために、ヘリウム供給管21bにおいて、圧力レギュレータの下流にマスフローコントローラを取り付けてもよい。
各差圧室1a~1fと各連通路3a,19は、重元素イオンビームの通過経路上に位置する。各連通路3a,19は、一直線上に位置しており、重元素イオンビームの通過経路を構成する。一例では、各連通路3a,19は、直径が12mmの円形断面を有する。荷電変換装置30における重元素イオンビームの通過経路は、途中に物体(固体)が存在しない連続した直線状の空間である。図4は、図3において、上記通過経路を通過している重元素イオンビームBを破線で示した図である。図4のように、重元素イオンビームBが、各連通路3a,19と複数の差圧室1a~1fを通過するようになっており、重元素イオンビームBは、最初の差圧室1aの高密度ヘリウムガスにより荷電変換される。
差圧室連通装置10の吸引装置Vは、複数の差圧室1a~1fの一部又は全部を吸引して複数の差圧室1a~1fを真空状態にする。吸引装置Vは、複数の差圧室1a~1fを圧力が互いに異なるようにそれぞれ吸引する。すなわち、複数の差圧室1a~1fの圧力が上記順番に従って低くなっていくように、吸引装置Vは、複数の差圧室1a~1fを吸引する。これにより、最初の差圧室1aのヘリウムガスの密度を、真空状態で高めることができる。一例では、上記順番において最初の差圧室1aの圧力は7kPaであり、上記順番において最後の差圧室1fの圧力は10-5Paのオーダー以上であって10-4Paのオーダー以下の範囲内の値である。図3の例では、吸引装置Vは、最初の差圧室1aを除く各差圧室1b~1fをそれぞれ吸引する。すなわち、吸引装置Vは、差圧室1b~1fを吸引する循環用真空ポンプ31c,31d、後述の回収用真空ポンプ33、および真空ポンプ7,8を備える。
差圧室連通装置10は、ヘリウム循環装置31を備えてよい。ヘリウム循環装置31は、ジェット供給用の連通路3aと上記順番において最初の差圧室1aとの間に位置する差圧室(図3では差圧室1b,1c)からヘリウムガスを吸引して、最初の差圧室1aへ戻す装置である。図3の例では、ヘリウム循環装置31は、上記順番において、差圧室1b,1cに対して、以下の構成を有する。ヘリウム循環装置31は、差圧室1bに接続された第1配管31aと、差圧室1cに接続され第1配管31aに合流する第2配管31bとを有する。第1配管31aは、差圧室1bから最初の差圧室1aまで延びている。ヘリウム循環装置31は、第1配管31aの途中(図3では第2配管31bが合流する箇所の下流側)に設けられた複数の循環用真空ポンプ31c(一例ではメカニカルブースタポンプ)と、第2配管31bの途中に設けられた循環用真空ポンプ31d(一例ではメカニカルブースタポンプ)とを有する。なお、図3において、他方の組の差圧室連通装置10の第1配管31aは、差圧室1bから延びて一方の組の差圧室連通装置10の第1配管31aに合流している。
このようなヘリウム循環装置31では、複数の循環用真空ポンプ31cが、差圧室1b内のヘリウムガスを吸引して第1配管31aを通して最初の差圧室1aへ流す。また、複数の循環用真空ポンプ31c,31dが、差圧室1c内のヘリウムガスを吸引して第1配管31aのヘリウムガスに合流させる。これにより、最初の差圧室1aとジェット供給用の連通路3aとの間に位置する差圧室1b,1cのヘリウムガスは最初の差圧室1aへ戻される。なお、図示を省略するが、第1配管31aにおいて、熱交換器や、不純物を除去するフォアライントラップ(foreline trap)などが設けられてよい。
なお、図3の例では、荷電変換装置30において、回収用真空ポンプ33と回収管35が設けられている。回収用真空ポンプ33は、差圧室1d内のヘリウムガスを吸引し、吸引したヘリウムガスを回収管35を通して所定の箇所へ流す。これによりヘリウムガスを回収できる。また、真空ポンプ7,8は、それぞれ差圧室1e,1fを吸引する。
(荷電変換装置における差圧室連通方法)
上述した荷電変換装置30における差圧室連通方法では、次の(1)~(4)が並行して行われる。
(1)吸引装置Vが作動することにより、複数の差圧室1a~1fの圧力が上記順番に従って低くなっていくように、複数の差圧室1a~1fが真空状態にされる。
(2)ヘリウム供給部21aは、ヘリウムガスを最初の差圧室1aに供給する。
(3)複数の差圧室1a~1fと各連通路3a,19を重元素イオンビームが通過する。この時、最初の差圧室1a内のヘリウムガスは、イオンビームのイオンから電子を剥ぎとる。
(4)連通路3aをガスジェットJが横断するように連通路3aにガスジェットJをガスジェット装置5が供給し続ける。
上記(3)において、一例では、最初の差圧室1aに、7kPaの圧力で、0.7mg/cmの厚さのヘリウムガスが蓄積された状態になる。このような密度のヘリウムガスは、重元素イオンビームが最初の差圧室1aを通過する時に重元素イオンビームのイオンから電子を剥ぎとる。
また、上記(1)~(4)が並行して行われている時に、次の(5)が行われてもよい。
(5)ヘリウム循環装置31は、最初の差圧室1aと連通路3aとの間に位置する差圧室(図3では、差圧室1b,1c)のヘリウムガスを最初の差圧室15aへ戻す。これにより、ヘリウムガスが循環する。
上記(1)(4)(5)は、図3の例では2組の差圧室連通装置10により同時に行われる。
(荷電変換装置における差圧室連通装置の効果)
本実施形態の荷電変換装置30では、差圧室連通装置10により、上述のように、高圧側差圧室9aのヘリウムガスが連通路3aを通って高圧側の差圧室1dから低圧側の差圧室1eに流入することが回避されるとともに、高圧側の差圧室1dと低圧側の差圧室1eとの圧力差の低下も防止できる。その結果、ヘリウムガスの消費量を抑えることができ、排気するのが困難なヘリウムガスが、荷電変換後の重元素イオンビームが入射する上記サイクロトロンの内部に流入することが防止される。
図5(A)は、図3の構成において得られた真空封止性能を示す実験データである。図5(A)において、横軸は、連通路3aにおいてガスジェットJよりも下流側(差圧室1e)の圧力を示し、縦軸は、連通路3aにおいてガスジェットJよりも上流側の圧力を示す。図5(A)において、黒塗りの各丸印は、連通路3aにガスジェットJを供給しなかった場合のデータを示し、白抜きの各丸印、黒塗りの各三角印、白抜きの各三角印、および白抜きの三角印は、それぞれ、ガスジェットJとして窒素ガスを連通路3aに、4L/min、6L/min、8L/min、および10L/minの流量で供給した場合のデータを示す。
図5(A)から分かるように、ガスジェットJを供給することにより、ガスジェットJの供給箇所よりも上流の圧力を、ガスジェットJを供給しない場合と比べて約10倍高くすることができる。この効果は、ガスジェットJを供給しない場合と比べて10倍の数の真空ポンプ7,8,31c,31d,33(例えば真空ポンプの価格は1台につき数百万円である)を設置することと同等の効果である。すなわち、本実施形態の差圧室連通装置10により、ガスジェットJの供給箇所の上流側と下流側の高い圧力差を得るための設備コストが、ガスジェットJを供給しない場合と比べて格段に少なくなる。このように本実施形態の差圧室連通装置10により非常に高い真空封止性能が得られることが実証された。このことは、隣接する差圧室の間に圧力差を生じさせる差動排気システムの限界が引き上げられたことを示している。
そのため、例えば、連通路3a,19の断面(重元素イオンビームの断面に対応)を大きくしても、低圧側の差圧室1eと高圧側の差圧室1dとの圧力差を大きく維持できる。したがって、重元素イオンビームの通過効率を増やすことが可能となる。
図5(B)は、図3の構成において得られたガス流入防止性能を示す実験データである。図5(B)において、横軸は、連通路3aに供給したガスジェットJの流量を示し、縦軸は、ガスジェットJの供給箇所よりも下流側(差圧室1f)のヘリウムガスの分圧(He分圧)、窒素ガスの分圧(N分圧)、および全圧を示す。図5(B)において、黒塗りの各丸印、白抜きの各丸印、および黒塗りの各三角印は、He分圧、N分圧、および全圧を示す。
図5(B)から分かるように、ガスジェットJにより、ガスジェットJの供給箇所の上流側から下流側に、排気するのが困難なヘリウムガスが流入することが防止されることが分かる。
<差圧室連通装置の適用例2>
図6は、上述した差圧室連通装置10を加速器駆動未臨界炉(ADSR:Accelerator Driven Subcritical Reactor)装置(以下でADSR装置40という)に適用した場合の構成例を示す。
ADSR装置40は、陽子が通過する加速空間41aを有し加速空間41a内の陽子を加速して陽子ビームを生成し出力する陽子加速器41を備える。陽子は、荷電粒子源43で生成されて加速空間41aに供給される。加速空間41aでの加速性能を保つために、加速空間41aは、後述のジャケット47内の液体ヘリウムの低温により圧力が下げられている。陽子加速器41は、例えば、加速空間41aとしての超伝導加速空洞41aを形成する空洞形成体45を有する直線加速器である。
超伝導加速空洞41aは、複数の空洞が連なったものであってよい。空洞形成体45は、超伝導材料(例えばニオブ材)で構成されている。空洞形成体45は、(例えばチタン製の)ジャケット47内に配置されている。ジャケット47の内部であって空洞形成体45の外側に液体ヘリウムが供給されることにより、空洞形成体45は、冷却されて超伝導状態に維持される。
超伝導加速空洞41aには、陽子を加速させるための周波数を持つ高周波電力が高周波発振器49から供給される。これにより、供給された高周波電力により、超伝導加速空洞41aが共振して加速勾配(単位長さ当りの加速エネルギ)が形成される。この加速勾配により、超伝導加速空洞41aの内部に供給された陽子は、加速されながら、超伝導加速空洞41aを通過する。
ADSR装置40は、陽子加速器41からの陽子ビームが供給される加速器駆動未臨界炉(ADSR)51を備える。ADSR51は、陽子ビームが照射されることにより中性子を発生する中性子発生ターゲット53を内部空間55aに収容するターゲット容器55を有する。中性子発生ターゲット53は、例えば固体または液体金属であってよい。ADSR51には、ターゲット容器55の外部に核燃料57が設けられている。陽子加速器41からの陽子ビームが、ターゲット容器55の内部空間55aにおける中性子発生ターゲット53に照射される。これにより、核分裂反応を起こして大量の中性子が中性子発生ターゲット53から発生する。発生した中性子は、核燃料57に照射されて、核分裂反応を起こしてエネルギーを発生させる。このエネルギーは例えば発電に利用される。
ADSR装置40は、加速空間41a(例えば超伝導加速空洞41a)とターゲット容器55の内部空間55aとを連通する陽子ビーム通路を形成するビーム通路形成体59を備える。この陽子ビーム通路は、加速空間41aと内部空間55a以外の外部に対して密閉された空間領域である。また、この陽子ビーム通路は、真空ポンプ48により超高真空(例えば圧力が10-5Paのオーダー以下の真空)にされる。
ADSR51において、ターゲット容器55の内部空間55aは、加速空間41aでの上記超高真空ではありえない。例えば、中性子発生ターゲット53に陽子ビームを照射している時には、ターゲット容器55の内部空間55aには、ADSR51の雰囲気ガス供給部61から雰囲気ガスが導入され続ける。雰囲気ガスは、中性子発生ターゲット53を冷却するガスであってよい。なお、中性子発生ターゲット53が液体金属である場合には、雰囲気ガスは、液体金属の液面に圧力を作用させる。これにより、液体金属の蒸発を抑え、または、液体金属の泡を除去する。
ターゲット容器55の内部空間55aと加速空間41aとの間の圧力差を確保するために陽子ビームの通過経路に仕切り部材を配置すると、仕切り部材は、大強度陽子ビームの通過時の熱負荷や放射線損傷により破損する。そのため、本実施形態では、陽子ビーム通路を、加速空間41aからターゲット容器55の内部空間55aに至るまで物体が存在しない連続的な空間領域にするために、加速器駆動未臨界炉装置40には差圧室連通装置10が設けられる。
図7は、図6における部分拡大図であり、ADSR装置40に設けた差圧室連通装置10を示す。この差圧室連通装置10は、複数の差圧室1a~1dをそれぞれ形成する複数の差圧室形成体1A~1Dを備える。これらの差圧室の数は、図7では4つであるが、上述のようにこれに限定されない。
複数の差圧室1a~1dは、陽子ビーム通路の一部(ビーム通路形成体59以外の部分)を形成し、ターゲット容器55側から順番に配置されている。各差圧室1a~1dは、連通路19,3aを介して、上記順番における隣りの差圧室1a~1dに連通している。ここで、差圧室1bと差圧室1cとを連通する連通路は、ジェット供給用の連通路3aである。また、上記順番において最初の差圧室1aは、別の連通路66を介してターゲット容器55の内部空間55aに連通し、上記順番において最後の差圧室1dは、別の連通路67を介してビーム通路形成体59の内部(陽子ビーム通路の一部)に連通している。各連通路19,3aと各差圧室1a~1dは、陽子ビームの通過経路上に位置する。これらの連通路19,3aは、一直線上に位置していてよい。
差圧室連通装置10の吸引装置Vは、複数の差圧室1a~1dの圧力が上記順番に従って低くなっていくように、複数の差圧室1a~1dの一部又は全部を吸引する。図7の例では、吸引装置Vは、差圧室1a,1bを吸引する後述の循環用真空ポンプ75c,75dと、差圧室1c,1dをそれぞれ吸引する真空ポンプ7,8を有する。
差圧室連通装置10は、ガス循環装置75を備える。ガス循環装置75は、ジェット供給用の連通路3aよりも上流側の差圧室(図7では、差圧室1a,1b)から雰囲気ガスを吸引してターゲット容器55の内部空間55aへ戻す装置である。図7の例では、ガス循環装置75は、上記順番において最初の差圧室1a,1bに対して、以下の構成を有する。ガス循環装置75は、最初の差圧室1aに接続された第1配管75aと、差圧室1bに接続され第1配管75aに合流する第2配管75bとを有する。第1配管75aは、最初の差圧室1aからターゲット容器55の内部空間55aまで延びている。ガス循環装置75は、第1配管75aの途中(図7では第2配管75bが合流する箇所の下流側)に設けられた複数の循環用真空ポンプ75c(一例ではメカニカルブースタポンプ)と、第2配管75bの途中に設けられた循環用真空ポンプ75d(一例ではメカニカルブースタポンプ)とを有する。これらの循環用真空ポンプ75c,75dが、差圧室1a,1bの雰囲気ガスを吸引して、配管75a,75bを通してターゲット容器55の内部空間55aに戻す。なお、図示を省略するが、第1配管75aにおいて、第2配管75bとの合流箇所よりも下流側には、雰囲気ガスを冷却する熱交換器や、不純物を除去するフォアライントラップ(foreline trap)などが設けられてよい。
(ADSR装置における差圧室連通方法)
上述したADSR装置40における差圧室連通方法では、次の(1)~(3)が並行して行われる。
(1)吸引装置Vが作動することにより、複数の差圧室1a~1dの圧力が上記順番に従って低くなっていく状態になる。
(2)陽子加速器41からの陽子ビームが、陽子ビーム通路を通ってターゲット容器55内の中性子発生ターゲット53に照射され、これにより発生した中性子が核燃料57に照射される。
(3)連通路3aをガスジェットJが横断するように連通路3aにガスジェットJをガスジェット装置5が供給し続ける。
本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。
1A~1F 差圧室形成体、1a~1f 差圧室、3 通路形成体、3a 連通路、3b ジェット供給口、3c ジェット排出口、5 ガスジェット装置、5a ガス供給部、5b ガス供給管、5c ノズル、6a~6d 真空ポンプ、7,8 真空ポンプ、10 差圧室連通装置、11 ノズル内部のガス流路、11a 先端側部分11a、13 排出管、19 連通路、21 ヘリウム供給装置、21a ヘリウム供給部、21b ヘリウム供給管、30 荷電変換装置、31 ヘリウム循環装置、31a 第1配管、31b 第2配管、31c 循環用真空ポンプ、31d 循環用真空ポンプ、33 回収用真空ポンプ、35 回収管、40 加速器駆動未臨界炉装置(ADSR装置)、41 陽子加速器、41a 加速空間(超伝導加速空洞)、43 荷電粒子源、45 空洞形成体、47 ジャケット、48 真空ポンプ、49 高周波発振器、51 加速器駆動未臨界炉(ADSR)、53 中性子発生ターゲット、55 ターゲット容器、55a 内部空間、57 核燃料、59 ビーム通路形成体、61 雰囲気ガス供給部、75 ガス循環装置、75a 第1配管、75b 第2配管、75c 循環用真空ポンプ、75d 循環用真空ポンプ、D1 横断方向、D2 連通方向、D3 幅方向、J ガスジェットV 吸引装置

Claims (5)

  1. 互いに連通するように順番に配置される複数の差圧室をそれぞれ形成する複数の差圧室形成体と、
    前記順番に従って前記複数の差圧室の圧力が低くなるように、かつ、前記順番における最初と最後の差圧室の圧力差が十分に大きくなるように、前記複数の差圧室の一部又は全部を吸引する吸引装置と、
    前記順番において隣接する2つの前記差圧室を互いに連通するジェット供給用の連通路を形成する通路形成体と、
    ガスジェットが前記連通路を横断してジェット排出口から前記連通路の外部へ出ていくように前記連通路に音速以上の速度で前記ガスジェットを供給して、該ガスジェットで、低圧側の領域と高圧側の領域とに前記連通路を分断するガスジェット装置と、を備える、差圧室連通装置。
  2. 前記順番における最初と最後の差圧室の圧力をそれぞれP1,P2とした場合に、前記吸引装置は、P1/P2が10以上または10以上の値になるように、前記複数の差圧室の一部又は全部を吸引する、請求項1に記載の差圧室連通装置。
  3. 互いに連通するように順番に配置される複数の差圧室をそれぞれ形成する複数の差圧室形成体と、
    前記順番に従って前記複数の差圧室の圧力が低くなるように、かつ、前記順番における最初と最後の差圧室の圧力差が十分に大きくなるように、前記複数の差圧室の一部又は全部を吸引する吸引装置と、
    前記順番において隣接する2つの前記差圧室を互いに連通するジェット供給用の連通路を形成する通路形成体と、
    前記連通路をガスジェットが横断するように前記連通路に前記ガスジェットを供給して、該ガスジェットで、低圧側の領域と高圧側の領域とに前記連通路を分断するガスジェット装置と、を備える差圧室連通装置であって
    前記差圧室連通装置は、重元素イオンビームをヘリウムガスで荷電変換させる荷電変換装置に設けられ、
    各前記連通路と前記複数の差圧室は、重元素イオンビームの通過経路上に位置し、
    前記荷電変換装置は、前記順番において最初の前記差圧室に前記ヘリウムガスを供給するヘリウム供給装置を備え、前記重元素イオンビームが、各前記連通路と前記複数の差圧室を通過するようになっており、前記重元素イオンビームは前記ヘリウムガスにより荷電変換される、差圧室連通装置。
  4. 互いに連通するように順番に配置される複数の差圧室をそれぞれ形成する複数の差圧室形成体と、
    前記順番に従って前記複数の差圧室の圧力が低くなるように、かつ、前記順番における最初と最後の差圧室の圧力差が十分に大きくなるように、前記複数の差圧室の一部又は全部を吸引する吸引装置と、
    前記順番において隣接する2つの前記差圧室を互いに連通するジェット供給用の連通路を形成する通路形成体と、
    前記連通路をガスジェットが横断するように前記連通路に前記ガスジェットを供給して、該ガスジェットで、低圧側の領域と高圧側の領域とに前記連通路を分断するガスジェット装置と、を備える差圧室連通装置であって
    前記差圧室連通装置は、加速器駆動未臨界炉装置に設けられ、
    前記加速器駆動未臨界炉装置は、陽子が通過する加速空間を有し該加速空間内の陽子を加速して陽子ビームを生成し出力する陽子加速器と、前記陽子加速器からの前記陽子ビームが供給される加速器駆動未臨界炉と、を備え、
    加速器駆動未臨界炉は、前記陽子ビームが照射されることにより中性子を発生する中性子発生ターゲットを収容するターゲット容器を有し、該中性子が核燃料に照射されるものであり、
    前記加速器駆動未臨界炉装置は、前記加速空間と前記ターゲット容器の内部空間とを連通する陽子ビーム通路を形成するビーム通路形成体を備え、
    前記複数の差圧室形成体は、前記陽子ビーム通路の一部を構成し、
    前記複数の差圧室は、前記陽子ビーム通路の一部を形成し、前記ターゲット容器側から前記順番に配置され、前記順番において最初の差圧室は、前記ターゲット容器側に位置して前記ターゲット容器の前記内部空間に連通し、前記順番において最後の差圧室は、前記加速空間側に位置して真空状態の前記ビーム通路形成体の内部に連通し、
    各前記連通路は、陽子ビームの通過経路上に位置する、差圧室連通装置。
  5. (A)複数の差圧室を互いに連通するように順番に配置し、
    (B)前記順番において隣接する2つの差圧室を互いに連通するジェット供給用の連通路を通路形成体により形成し、
    (C)前記順番に従って前記複数の差圧室の圧力が低くなるように、かつ、前記順番における最初と最後の差圧室の圧力差が十分に大きくなるように、前記複数の差圧室の一部又は全部を吸引し、
    (D)前記(C)の時に、ガスジェットが前記連通路を横断してジェット排出口から前記連通路の外部へ出ていくように前記連通路に音速以上の速度で前記ガスジェットを供給して、該ガスジェットで、低圧側の領域と高圧側の領域とに前記連通路を分断する、差圧室連通方法。
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