以下に、実施の形態にかかる映像プラットフォーム装置、映像プラットフォームシステム、映像提供方法およびコンピュータプログラムを図面に基づいて詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかる映像プラットフォーム装置を含む映像プラットフォームシステムの構成例を示す図である。本実施の形態の映像プラットフォームシステムは、映像プラットフォーム装置2と、通信装置3とを備える。
本実施の形態の映像プラットフォームシステムは、スポーツ、コンサート、演劇などのイベントの映像を配信する配信事業者に、付加価値のある映像を提供する。イベントは、例えば、野球、サッカー、格闘技、ボートレース、競馬、競輪、コンサート、演劇などであり、例えば、野球、サッカーおよびコンサートのうち少なくとも1つを含むが、これらに限定されない。これらのイベントは、スタジアム、多目的ホール、コンサートホール、競艇場、競馬場などの定められた会場で行われる。1つの会場で行われるイベントは1つであるとは限らず、例えば、スタジアムでは野球、コンサート、格闘技など多様なイベントが行われる。
本実施の形態の映像プラットフォームシステムは、撮影装置4によって撮影された映像データである第1映像データを、映像サービスに応じた処理を行う映像サービス装置1へ送信し、映像サービス装置1から、映像サービスに応じた処理が行われた後の映像データである第2映像データを受信する。映像サービス装置1は、第1映像データを用い映像サービスに対応する映像データである第2映像データを生成する。そして、映像プラットフォームシステムは、第2映像データを配信事業者から要求された形式の映像データである第3映像データに変換し、第3映像データを配信事業者装置5に配信する。映像サービスは、例えば、自由視点映像を生成する自由視点映像サービス、指定されたアングルに近い撮影装置4の映像に切り替え可能なアングル切替映像を生成するアングル切替映像サービス、ドローンによる空撮映像サービスであるが、映像サービスはこれらに限定されない。映像サービスの詳細については後述する。これらの映像サービスは、映像に付加価値を与えるサービスであり、また高度な映像を提供するサービスである。すなわち、映像サービス装置1から送信される第2映像データは、付加価値のあるデータであり、高度な映像データである。図1では、映像サービス装置1が1台図示されているが、映像サービス装置1は複数であってもよい。また、1台の映像サービス装置1が1つの映像サービスに対応していてもよく、1台の映像サービス装置1が複数の映像サービスに対応していてもよい。
配信事業者装置5は、イベントに関して配信を行う権利を有する配信事業者によって運用される装置である。配信事業者装置5は、映像プラットフォーム装置2から受信した第3映像データをユーザ装置6-1~6-nへ配信する。nは2以上の整数である。ユーザ装置6-1~6-nは、配信事業者との間でイベントの配信を受ける権利を有するエンドユーザの端末装置である。以下、ユーザ装置6-1~6-nを個別に区別せずに示すときにはユーザ装置6と記載する。図1では、配信事業者装置5を1台図示しているが、映像プラットフォーム装置2は複数の配信事業者に利用されてもよく、この場合、配信事業者装置5は配信事業者ごとに設けられる。なお、エンドユーザが配信を受ける権利を取得するためには、例えば、当該エンドユーザが配信事業者との間で契約を締結し配信のための料金を支払うが、本実施の形態では、エンドユーザと配信事業者との間の契約および配信の方法については特に制約はないため、説明を省略する。
撮影装置4は、例えば、固定されたカメラ、移動可能なカメラ、ドローンに搭載されたカメラなどを含む。また、図1では撮影装置4を1台図示しているが、撮影装置4は複数であり、撮影装置4の台数はイベントごとに、適用する映像サービスと配信事業者の要求に応じて定められる。撮影装置4は、イベントの会場に既に設置されているものを含んでいてもよいし、イベントのために設置されるものを含んでいてもよい。複数の撮影装置4は通信機能を有し、撮影して得られた映像データを有線通信回線、あるいは無線通信回線により通信装置3へ送信する。複数の撮影装置4のうち少なくとも一部は、無線通信機能を有し、撮影して得られた映像データを無線通信回線により通信装置3へ送信してもよい。撮影装置4が無線通信回線を用いて映像データを送信することで、通信ケーブルが不要となり、イベント、映像サービスの内容、配信事業者の要求などに応じて撮影装置4の位置を容易に変更することができる。全ての撮影装置4が無線通信機能を有していてもよいし、一部の撮影装置4は有線で映像プラットフォーム装置2と接続されていてもよい。
通信装置3は、撮影装置4から無線通信回線により受信した映像データである第1映像データを映像プラットフォーム装置2へ送信する。通信装置3と撮影装置4との間の無線通信回線は、どのような回線を用いてもよいが、高伝送速度、大容量、低遅延の無線通信回線を用いると映像データを低遅延で伝送することができる。特に、無線通信回線として、ローカル5G(5th Generation Mobile Communication System:第5世代移動通信システム)を利用した回線などのように、限られたエリアで専用の無線リソースを用いる専用無線回線が用いられると、Wi-Fi(登録商標)、携帯電話網などの干渉を受けにくく、高画質の映像データをリアルタイムに伝送することができる。このように、第1映像データは撮影装置4からイベントの会場における専用無線回線により送信されてもよい。なお、専用無線回線は、ローカル5Gを用いた回線に限らず、第6世代移動通信システムにおけるローカル5G相当の仕様を用いた回線などであってもよく、高速伝送が可能であり専用に用いることができる無線回線であればよい。
映像プラットフォーム装置2は、図1に示すように第1映像データ入出力部21、第2映像データ取得部22、データ変換部23、要求情報取得部24、要求情報記憶部25および第3映像データ出力部26を備える。
第1映像データ入出力部21は、第1映像データを撮影装置4から受信し、第1映像データを、第1映像データを用いて映像サービスに対応する映像データである第2映像データを生成する映像サービス装置1へ送信する。詳細には、第1映像データ入出力部21は、通信装置3を介して第1映像データを受信し、受信した第1映像データを映像サービス装置1へ送信する。なお、撮影装置4と映像プラットフォーム装置2との間が有線通信回線で接続されている場合には、第1映像データ入出力部21は、通信装置3を介さずに第1映像データを撮影装置4から受信し、受信した第1映像データを映像サービス装置1へ送信する。第1映像データは、例えば、上述したようにイベントが撮影された映像データである。第2映像データ取得部22は、映像サービス装置1から第2映像データを受信し、受信した第2映像データをデータ変換部23に出力する。
データ変換部23は、要求情報記憶部25に記憶されている要求情報を用いて、第2映像データを要求情報内のデータ形式の映像データである第3映像データに変換する。詳細には、データ変換部23は、要求情報記憶部25に記憶されている要求情報を用いて、第2映像データを配信事業者の要求に応じた形式の映像データである第3映像データに変換し、第3映像データを第3映像データ出力部26へ出力する。要求情報は、配信事業者が映像プラットフォーム装置2から受信する第3映像データのデータ形式などを定めた情報であり、例えば、あらかじめ定められた複数の映像サービスのなかから配信事業者によって選択された映像サービスを示す選択サービス種別と、配信事業者が取得を要求する映像のデータ形式とを含む。要求情報の詳細については後述する。第3映像データ出力部26は、第3映像データを配信事業者装置5へ送信する。
要求情報取得部24は、要求情報を取得し、取得した要求情報を要求情報記憶部25に記憶する。図1では、要求情報取得部24が、配信事業者装置5から要求情報を受信する例を示しているが、これに限らず、要求情報取得部24は、図示しない入力手段により要求情報が入力されることで要求情報を取得してもよいし、図示しない他の装置から要求情報を受信することで要求情報を取得してもよい。映像プラットフォーム装置2が、複数の配信事業者装置5に第3映像データを提供する場合には、要求情報取得部24は、配信事業者ごとに要求情報を取得し、取得した要求情報を要求情報記憶部25に記憶する。
映像サービス装置1は、図1に示すように、第1映像データ取得部11、データ処理部12、第2映像データ出力部13を備える。第1映像データ取得部11は、映像プラットフォーム装置2から第1映像データを受信し、データ処理部12へ出力する。データ処理部12は、第1映像データに対して映像サービスに対応した処理を施すことで第2映像データを生成し、生成した第2映像データを第2映像データ出力部13へ出力する。第2映像データ出力部13は、第2映像データを映像プラットフォーム装置2へ送信する。
配信事業者装置5は、図1に示すように、要求情報送信部51、第3映像データ取得部52および配信部53を備える。要求情報送信部51は、要求情報を映像プラットフォーム装置2へ送信する。第3映像データ取得部52は、映像プラットフォーム装置2から第3映像データを受信し、配信部53へ出力する。配信部53は、第3映像データまたは第3映像データをユーザ装置6に応じた形式に変換した映像データを、ユーザ装置6へ配信する。
次に、本実施の形態の動作について説明する。図2は、本実施の形態における各装置の動作例を示すチャート図である。図2に示すように、配信事業者装置5は、要求情報を映像プラットフォーム装置2へ送信する(ステップS1)。なお、上述したように、要求情報は、配信事業者装置5から送信される代わりに、映像プラットフォーム装置2に入力されてもよいし、他の装置から送信されてもよい。映像プラットフォーム装置2は、要求情報を記憶する(ステップS2)。ステップS1,S2は、イベントの開始前、すなわち撮影装置4によりイベントの撮影が開始される前に行われる。
図3は、本実施の形態の要求情報の一例を示す図である。図3に示した例では、要求情報は、会場(イベントの会場)、イベントの種類、配信事業者によって選択された映像サービスを示す選択サービス種別、撮影装置4(使用される撮影装置4)、第3映像データのデータ形式を含む。データ形式は、例えば、音声コーデック種別、映像コーデック種別(H.264,H.265など)、解像度(2K,4K,8Kなど)、ビットレート(30Mbps,10Mbps)などを含む。また、選択サービス種別が複数の場合には、選択サービス種別ごとに第3映像データの形式を示す情報が定められる。したがって、選択サービス種別が複数の場合、要求情報は、映像サービスと撮影装置4との対応を示す情報を含む。例えば、図3に示した例では、360度映像サービスには、撮影装置4-1~4-mが用いられ、空撮映像サービスには撮影装置4-100が用いられる。なお、撮影装置4-1~4-m,4-100は、それぞれ上述した撮影装置4である。
図2の説明に戻る。イベントが開始されると、撮影装置4は撮影を行うことで第1映像データを取得し、第1映像データを、通信装置3を介して映像プラットフォーム装置2へ送信する(ステップS3)。なお、図2では通信装置3を省略している。映像プラットフォーム装置2では、撮影装置4から受信した第1映像データを映像サービス装置1へ送信する(ステップS4)。詳細には、第1映像データ入出力部21が、撮影装置4から受信した第1映像データを映像サービス装置1へ送信する。このとき、映像サービス装置1が複数設けられている場合には、第1映像データ入出力部21は、要求情報記憶部25に記憶されている要求情報を参照する。第1映像データ入出力部21は、映像サービスと映像サービス装置1との対応を示す対応情報を保持しており、保持している対応情報と、要求情報とを用いて、撮影装置4と映像サービス装置1との対応を把握し、各撮影装置4により取得された第1映像データを、対応する映像サービス装置1へ出力する。
映像サービス装置1は、第1映像データに対してデータ処理を行う(ステップS5)。詳細には、第1映像データ取得部11が第1映像データを受信してデータ処理部12へ出力し、データ処理部12が第1映像データに対してデータ処理を行う。データ処理は、映像サービス装置1に対応する映像サービスに対応した処理である。映像サービスは、例えば、360度自由視点映像サービス、アングル切替映像サービス、3次元空間自由視点映像サービス、VR(Virtual Reality)映像サービス、AR(Augmented Reality)映像サービス、空撮映像サービスが挙げられるがこれらに限定されない。360度自由視点映像サービスを提供する場合、映像サービス装置1のデータ処理部12は、例えば、撮影装置4と撮影装置4との間のアングルの映像を複数の撮影装置4の映像から合成する処理を行う。アングル切替映像サービスを提供する場合、データ処理部12は、ユーザーが指定した被写体が映っているカメラ映像(撮影装置4により撮像された映像)を自動的に選択して配信する。3次元空間自由視点映像サービスを提供する場合、データ処理部12は、例えば、複数設置した撮影装置4の映像データから、ステージ全体の3次元モデルを作成し、任意の場所、角度の映像を3次元モデルからリアルタイムに生成する。VR映像サービスを提供する場合、データ処理部12は、例えば、複数の撮影装置4の映像データと観客席のCG(Computer Graphics)から会場のVR映像を生成する。
映像サービス装置1は、データ処理により得られた第2映像データを映像プラットフォーム装置2へ送信する(ステップS6)。詳細には、データ処理部12がデータ処理により得られた第2映像データを第2映像データ出力部13へ出力し、第2映像データ出力部13が第2映像データを映像プラットフォーム装置2へ送信する。
映像プラットフォーム装置2は、要求情報に基づき第2映像データを第3映像データへ変換する(ステップS7)。詳細には、第2映像データ取得部22が第2映像データを映像サービス装置1から受信し、受信した第2映像データをデータ変換部23へ出力し、データ変換部23が、要求情報記憶部25に記憶されている要求情報に基づき第2映像データを第3映像データへ変換する。なお、データ変換部23は、映像サービスごとに、当該映像サービスの音声コーデック種別、映像コーデック種別、解像度、ビットレートなどのデータ形式を保持しているとする。
図4は、本実施の形態のデータ変換部23の構成例を示す図である。データ変換部23は、音声CODEC(コーデック)部231、画像処理部232、重畳処理部233、3D(3次元)処理部234、映像CODEC(コーデック)部235、解像度変換部236および同期処理部237を備える。音声CODEC部231は、第2映像データを、要求情報により指定されている音声コーデック種別へ変換する。画像処理部232は、第2映像データに対して要求情報により指定されている画質へ変換する処理を行う。画像処理部232は、例えば、超解像処理(2Kを4Kに変換する処理)、HDR(ハイダイナミックレンジ)、γ補正、明るさ補正、ノイズ除去、輪郭強調などの処理を行う。重畳処理部233は、要求情報により重畳が指定されている場合、異なる映像サービスに対応する複数の第2映像データを重畳する処理である重畳処理を行う。
図5は、本実施の形態における重畳処理された映像の一例を示す図である。図5に示した例では、映像サービスAの第2映像データに対応する映像41に映像サービスBの第2映像データに対応する映像42が重畳されている。なお、図5は一例であり、重畳される位置、大きさ、重畳される映像の形状は図5に示した例に限定されない。また、3つ以上の映像サービスの映像が重畳されてもよい。なお、要求情報では、映像サービスごとに変換の必要な項目について指定が行われればよい。例えば、第2映像データの解像度をそのまま用いる場合には要求情報で解像度が指定されなくてもよい。
また、データ変換部23は、音声CODEC部231、画像処理部232、重畳処理部233、3D処理部234、映像CODEC部235、解像度変換部236および同期処理部237の全てが必ず処理を行う必要はなく、要求情報に応じてデータ変換に必要な機能部が処理を行えばよい。例えば、データ変換部23は、コーデック、ビットレートおよび解像度のうち少なくとも1つの変換処理を行う。
3D処理部234は、要求情報で3D処理を行うことが指定されている場合、第2映像データに3D処理を行う。3D処理部234は、例えば、2次元の映像を擬似的に3次元の映像に変換したり、その逆の処理を行ったりする。映像CODEC部235は、第2映像データを、要求情報により指定されている映像コーデック種別へ変換する。解像度変換部236は、第2映像データを、要求情報により指定されている解像度へ変換する。同期処理部237は、異なる映像サービスに対応する複数の第2映像データを同期させる処理である同期処理を行う。複数の映像サービスでは、それぞれの内部処理の違いにより一般に数フレーム程度表示がずれることが多く、同期処理ではこのずれを修正する処理が行われる。
図2の説明に戻る。映像プラットフォーム装置2は、第3映像データを配信事業者装置5へ送信する(ステップS8)。詳細には、データ変換部23は、第3映像データを第3映像データ出力部26へ出力し、第3映像データ出力部26が、配信事業者装置5へ第3映像データを送信する。以降、イベントが終了するまで、ステップS3~ステップS8が繰り返される。図2では、1つの映像サービス装置1が図示されているが、要求情報において選択サービス種別が複数指定されている場合には、複数の映像サービス装置1に、映像プラットフォーム装置2から対応する撮影装置4の第1映像データが送信され、複数の映像サービス装置1のそれぞれにおいてデータ処理が実施される。そして、映像プラットフォーム装置2は、複数の映像サービス装置1から受信した複数の第2映像データを、それぞれ要求情報に応じて変換して複数の第3映像データを生成し、複数の第3映像データを配信事業者装置5へ送信する。
以上の動作により、配信事業者装置5はユーザ装置6への配信に用いる付加価値のある第3映像データを取得することができる。
次に、本実施の形態の各装置の配置について説明する。図6は、本実施の形態の各装置の配置の第1の例を示す図である。図6に示した第1の例では、映像サービス装置1、映像プラットフォーム装置2、通信装置3および撮影装置4が、イベントの会場の一例であるスタジアムX内に配置されており、配信事業者装置5およびユーザ装置6はスタジアムXの外に配置されている。これにより、スタジアムXの外のエンドユーザが保持するユーザ装置6へスタジアムXのイベントに関する付加価値のある映像データが配信される。なお、配信事業者装置5もスタジアムX内に設けられてもよい。また、上述したように、通信装置3は映像プラットフォーム装置2内に設けられてもよい。
図7は、本実施の形態の各装置の配置の第2の例を示す図である。図7に示した第2の例では、通信装置3および撮影装置4が、イベントの会場の一例であるスタジアムX内に配置されており、映像サービス装置1、映像プラットフォーム装置2、配信事業者装置5およびユーザ装置6はスタジアムXの外に配置されている。このように、映像プラットフォーム装置2をスタジアムXの外に設けても、スタジアムXの外のエンドユーザが保持するユーザ装置6へスタジアムXのイベントに関する付加価値のある映像データが配信される。第2の例においては、映像プラットフォーム装置2は例えばクラウドシステムにより実現されてもよい。第1の例では、スタジアムXなどの会場ごとに、映像プラットフォーム装置2および映像サービス装置1を設けることになるが、第2の例では、映像プラットフォーム装置2および映像サービス装置1は、複数の会場にそれぞれ設けられた通信装置3から第1映像データを受信することで、複数の会場ごとで行われるイベントに対応することができる。したがって、映像プラットフォーム装置2および映像サービス装置1を会場ごとに設ける必要がない。
図8は、本実施の形態の各装置の配置の第3の例を示す図である。図8に示した第3の例では、映像サービス装置1、映像プラットフォーム装置2、通信装置3および撮影装置4が、イベントの会場の一例であるスタジアムX内に配置されており、配信事業者装置5およびユーザ装置6はスタジアムXの外に配置されている。また、スタジアムX内に映像サービス装置1と同様に演出装置9も配置されている。演出装置9は、映像サービス装置1の一例であり、例えば配信事業者により運用されるが運用主体はこれに限定されない。さらに、スタジアムX内には大型映像装置61、リボン型映像装置62およびユーザ端末63が配置される。大型映像装置61は演出装置9と有線で接続される。ユーザ端末63は、例えば、スタジアムXに来場した観客のスマートフォン、タブレットなどの端末である。図8に示した例では、リボン型映像装置62およびユーザ端末63は、通信装置3を介して無線回線を用いて演出装置9と接続されるが、これに限らず、演出装置9とリボン型映像装置62は有線回線で接続されてもよい。また、ユーザ端末63と演出装置9とは通信装置3を経由せずに別の回線を介して接続されてもよい。図8に示した第3の例では、配信事業者装置5の配信部53がユーザ装置6に付加価値のある映像データを配信するとともに、演出装置9による映像データの生成も行われる。例えば、映像プラットフォーム装置2がサービス装置1から受信した第3映像データを演出装置9へ送信し、演出装置9が、映像プラットフォーム装置2から受信した第3映像データを用いて総合演出処理により大型映像装置61、リボン型映像装置62およびユーザ端末63へそれぞれ配信する映像データを生成する。そして、演出装置9は、生成した映像データを、有線回線、通信装置3を介して、または他の回線を経由して、大型映像装置61、リボン型映像装置62およびユーザ端末63へ送信する。演出装置9は、映像プラットフォーム装置2を介して、生成した映像データをリボン型映像装置62、ユーザ端末63などへ送信してもよい。これにより、スタジアムXの外のエンドユーザだけなく、来場した観客に対して高度な演出を提供できる。なお、演出装置9はスタジアムX外に設けられてもよい。なお、図6から図8に示した配置は一例であり、各装置の配置は図6から図8に示した例に限定されない。
次に、本実施の形態の映像プラットフォーム装置2、映像サービス装置1および配信事業者装置5のハードウェア構成について説明する。本実施の形態の映像プラットフォーム装置2、映像サービス装置1および配信事業者装置5は、コンピュータシステム上で、映像プラットフォーム装置2、映像サービス装置1および配信事業者装置5のそれぞれにおける処理が記述されたコンピュータプログラムであるプログラムが実行されることにより、コンピュータシステムがそれぞれ映像プラットフォーム装置2、映像サービス装置1および配信事業者装置5として機能する。図9は、本実施の形態の映像プラットフォーム装置2を実現するコンピュータシステムの構成例を示す図である。図9に示すように、このコンピュータシステムは、制御部101と入力部102と記憶部103と表示部104と通信部105と出力部106とを備え、これらはシステムバス107を介して接続されている。
図9において、制御部101は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、等のプロセッサである。制御部101は、本実施の形態の映像プラットフォーム装置2における処理が記述されたプログラムを実行する。例えば、制御部101は、CPUと、GPU等の専用ハードウェアとで実現され、CPUにより専用ハードウェアが制御される。入力部102は、たとえばキーボード、マウスなどで構成され、コンピュータシステムの使用者が、各種情報の入力を行うために使用する。記憶部103は、RAM(Random Access Memory),ROM(Read Only Memory)などの各種メモリおよびハードディスクなどのストレージデバイスを含み、上記制御部101が実行すべきプログラム、処理の過程で得られた必要なデータ、などを記憶する。また、記憶部103は、プログラムの一時的な記憶領域としても使用される。表示部104は、ディスプレイ、LCD(液晶表示パネル)などで構成され、コンピュータシステムの使用者に対して各種画面を表示する。通信部105は、通信処理を実施する受信機および送信機である。出力部106は、プリンタ、スピーカなどである。なお、図9は、一例であり、コンピュータシステムの構成は図9の例に限定されない。
ここで、本実施の形態のプログラムが実行可能な状態になるまでのコンピュータシステムの動作例について説明する。上述した構成をとるコンピュータシステムには、たとえば、図示しないCD(Compact Disc)-ROMドライブまたはDVD(Digital Versatile Disc)-ROMドライブにセットされたCD-ROMまたはDVD-ROMから、コンピュータプログラムが記憶部103にインストールされる。そして、プログラムの実行時に、記憶部103から読み出されたプログラムが記憶部103の主記憶領域に格納される。この状態で、制御部101は、記憶部103に格納されたプログラムに従って、本実施の形態の映像プラットフォーム装置2としての処理を実行する。
なお、上記の説明においては、CD-ROMまたはDVD-ROMを記録媒体として、映像プラットフォーム装置2における処理を記述したプログラムを提供しているが、これに限らず、コンピュータシステムの構成、提供するプログラムの容量などに応じて、たとえば、通信部105を経由してインターネットなどの伝送媒体により提供されたプログラムを用いることとしてもよい。
図1に示したデータ変換部23は、例えば、データ変換部23の各機能部がそれぞれ専用ハードウェアにより実現され、これらがCPUによって制御されることで実現される。CPUによる処理は、図9に示した記憶部103に記憶されたコンピュータプログラムが図9に示した制御部101により実行されることにより実現される。図1に示した要求情報記憶部25は、図9に示した記憶部103の一部である。図1に示した第1映像データ入出力部21は、制御部101および通信部105により実現される。図1に示した第2映像データ取得部22、要求情報取得部24および第3映像データ出力部26は、図9に示した通信部105により実現される。なお、要求情報取得部24は入力部102により実現されてもよい。映像プラットフォーム装置2は複数のコンピュータシステムにより実現されてもよい。例えば、映像プラットフォーム装置2は、クラウドコンピュータシステムにより実現されてもよい。
例えば、本実施の形態のコンピュータプログラムは、あらかじめ定められた複数の映像サービスのなかから配信事業者によって選択された映像サービスを示す選択サービス種別と、配信事業者が取得を要求する映像のデータ形式とを含む要求情報を取得するステップと、撮影装置4で取得された映像データである第1映像データを撮影装置4から受信するステップと、をコンピュータシステムに実行させる。また、コンピュータプログラムは、第1映像データを、撮影装置4を用いて映像サービスに対応する映像データである第2映像データを生成する映像サービス装置1へ送信するステップと、映像サービス装置1から第2映像データを受信するステップと、要求情報を用いて、第2映像データを要求情報内のデータ形式の映像データである第3映像データに変換するステップと、第3映像データを配信事業者が運用する配信事業者装置5へ送信するステップと、をコンピュータシステムに実行させる。
また、映像サービス装置1も、同様に、例えば、図9に示した構成のコンピュータシステムにより実現される。図1に示したデータ処理部12も、例えば、専用ハードウェアとCPUとにより実現され、CPUによる処理は図9に示した記憶部103に記憶されたプログラムが図9に示した制御部101により実行されることにより実現される。図1に示した第1映像データ取得部11および第2映像データ出力部13は、図9に示した通信部105により実現される。
また、配信事業者装置5も、同様に、例えば、図9に示した構成のコンピュータシステムにより実現される。図1に示した配信部53は、図9に示した記憶部103に記憶されたプログラムが図9に示した制御部101により実行されることにより実現される。配信事業者装置5においても専用ハードウェアが用いられてもよい。配信部53の実現には通信部105も用いられる。図1に示した要求情報送信部51および第3映像データ取得部52は、図9に示した通信部105により実現される。
以上述べたように、本実施の形態では、映像プラットフォーム装置2は、複数の映像サービスに対応し、要求情報に基づいてデータ変換を行って、配信事業者装置5へ映像データを提供するため、イベントごとに個別に新たなシステムの構築を行うことなく、付加価値のある映像を配信事業者が取得して配信できる。また、配信事業者ごとに要求情報を設定することで、複数の配信事業者に付加価値のある映像を配信事業者が取得して配信できる。これにより、イベントごとにシステムを構築する場合に比べて、大幅に人的資源および費用を削減することができる。また、撮影装置4からの映像データの取得に専用無線回線を用いるため、撮影装置4の配置変更が容易となり、またリアルタイムに映像データを配信することができる。
実施の形態2.
図10は、実施の形態2にかかる映像プラットフォーム装置を含む映像プラットフォームシステムの構成例を示す図である。本実施の形態の映像プラットフォームシステムは、映像プラットフォーム装置2aと、通信装置3と、料金管理装置7と、を備える。映像プラットフォーム装置2aは、実施の形態1の映像プラットフォーム装置2に処理負荷情報出力部27が追加されている。実施の形態1と同様の機能を有する構成要素は実施の形態1と同一の符号を付して重複する説明を省略する。以下、実施の形態1と異なる点を主に説明する。
実施の形態1では、映像プラットフォーム装置2に関連する各事業者の役割について全ては特定していなかったが、本実施の形態では各事業者の役割に応じて発生する料金の管理について説明する。実施の形態1で述べた撮影装置4で映像が撮影されてからエンドユーザのユーザ装置6へ映像が配信されるまでの全体のサービスを提供するには、複数の事業者が関与する。本実施の形態では、映像プラットフォーム装置2aを管理する管理事業者であるPF(PlatForm)事業者、配信事業者、サービス映像を提供する事業者である映像サービス事業者が、それぞれ異なる事業者である例を説明する。
PF事業者は、配信事業者から、撮影装置4で撮影されてから配信事業者へ付加価値のある映像が提供されるまでの全体の利用料であるシステム利用料を徴収する。PF事業者が配信事業者から徴収するシステム利用料は、選択サービス種別に応じた映像サービス利用料とデータ変換の負荷に応じたデータ処理料とを含む。PF事業者は、配信事業者からシステム利用料を徴収し、そのうちのサービス利用料を映像サービス事業者へ支払う。これにより、配信事業者は、PF事業者へ料金を支払うだけでよく、個別の支払いの手間を削減することができる。
PF事業者が配信事業者から徴収する利用料は、さらに、撮影装置4の設置および調整に関する設置調整料が含まれていてもよい。ここで、設置調整料について説明する。調整は、例えば、撮影装置4のトラブル対応、途中で調整が必要な撮影装置4の調整などの作業である。設置は、例えば、作業者が撮影装置4を手動でもって移動する作業などを含む。設置調整料は運用の料金を含んでいてもよい。運用は、例えば、撮影者が撮影装置4を手で持ちながら撮影を行う作業を含む。映像サービス事業者は、大企業である場合もあるが、ベンチャー企業などと呼ばれる小規模の事業者であることも多い。従来は、イベントにおいてサービス映像が配信事業者から配信される際には、一般には、映像サービス事業者が、配信事業者の要求に応じてイベントの会場において撮影装置4の設置、調整、運用などを行う。このような撮影装置4の設置、調整、運用は、小規模の事業者にとっては負担となる。そこで、本実施の形態では、撮影装置4の設置、調整、運用をPF事業者が手配する設置調整事業者が行う。これにより、映像サービス事業者における設置、調整、運用の負担を軽減することができる。設置調整事業者は、PF事業者とは異なる事業者であってもよいしPF事業者であってもよい。
図11は、本実施の形態における料金の徴収の流れの一例を示す図である。図11に示した例では、設置調整事業者がPF事業者と異なる例を示している。図11に示すように、PF事業者は、配信事業者からシステム利用料を徴収し、サービス利用料を映像サービス事業者へ支払い、設置調整事業者へ設置調整料を支払う。なお、配信事業者はエンドユーザであるユーザから映像配信利用料を徴収するが、映像配信利用料については配信事業者に管理および徴収される。なお、設置調整事業者がPF事業者と同一の場合には、PF事業者から設置調整事業者へ支払いは無い。
また、システム利用料は、さらに撮影装置4のリース料を含んでいてもよい。図12は、本実施の形態における料金の徴収の流れの別の一例を示す図である。図12に示した例では、システム利用料に、さらに、撮影装置リース事業者に支払うリース料が含まれており、PF事業者は、配信事業者からシステム利用料を徴収し、サービス利用料を映像サービス事業者へ支払い、設置調整事業者へ設置調整料を支払い、リース料を撮影装置リース事業者に支払う。なお、撮影装置リース事業者は、PF事業者と同一であってもよいし、設置調整事業者と同一であってもよい。例えば、撮影装置リース事業者が設置調整事業者と同一の場合には、設置調整料とリース料とがPF事業者から設置調整事業者に支払われる。また、イベントの会場によっては撮影装置4を会場の運用管理事業者が保有していることもあり、この場合には会場の運用管理事業者が撮影装置リース事業者となる。なお、リース料は、配信事業者が直接撮影装置リース事業者へ支払ってもよく、この場合には、システム利用料にリース料は含まれない。
上述したように、PF事業者はシステム利用料を配信事業者から徴収して、各事業者へ対応する料金を支払う。図10に示した料金管理装置7は、映像プラットフォーム装置2を管理する管理事業者が配信事業者から映像データの配信に関して徴収するシステム利用料を計算する装置である。映像プラットフォーム装置2aは、映像プラットフォーム装置2aにおけるイベントごとの映像プラットフォーム装置2aの処理負荷を示す処理負荷情報を料金管理装置7へ送信する。処理負荷情報は、例えば、処理時間、消費電力およびデータサイズのうちの少なくとも1つを含む。処理負荷情報は、後述するデータ処理料の算出に用いられる。処理負荷情報は、データ処理料の算出で用いられる情報が含まれていればよく、具体的な内容は処理時間、消費電力およびデータサイズに限定されない。
図13は、本実施の形態の料金管理装置7の構成例を示す図である。図13に示すように、料金管理装置7は、契約情報取得部71、契約情報記憶部72、料金情報記憶部73、撮影装置情報記憶部74、派遣人数見積部75、サービス利用料算出部76、設置調整料算出部77、リース料算出部78、データ処理料算出部79、処理負荷情報取得部80、統合部81および提示部82を備える。図13では、設置調整料およびリース料をシステム利用料に含める例を示しているが、設置調整料をシステム利用料に含めない場合には料金管理装置7は設置調整料算出部77を備えなくてもよく、リース料をシステム利用料に含めない場合には料金管理装置7はリース料算出部78を備えなくてもよい。また、図13では、料金管理装置7が、後述するように、設置調整事業者が派遣する人員に関する見積もりも行う例を示しているが、設置調整事業者が派遣する人員に関する見積もりを行われない場合には料金管理装置7は、撮影装置情報記憶部74および派遣人数見積部75を備えなくてもよい。
契約情報取得部71は、配信事業者との契約に関する情報のうち料金の算出に関する情報を契約情報として取得し、契約情報記憶部72に格納する。契約情報取得部71は、契約情報を、図示しない入力手段により入力されることで取得してもよいし、映像プラットフォーム装置2a、配信事業者装置5またはその他装置から受信することで取得してもよい。
図14および図15は、本実施の形態の契約情報の一例を示す図である。図14および図15に示すように、契約情報は、会場(イベントの会場)、イベントの種類、イベントの期間、選択サービス種別、撮影装置4(使用される撮影装置4)、設置位置(撮影装置4の設置位置)を含む。図14は、スタジアムXで行われる野球の試合の映像の配信に関する契約の例を示しており、図15は、多目的ホールZで行われるグループKのコンサートの映像の配信に関する契約の例を示している。イベントは図14に示すように1日の場合もあれば、図15に示すように複数の日にわたる場合もある。図14に示した例では、撮影装置4-1,4-2,4-100などの複数の撮影装置4が使用される。図15に示した例では、撮影装置4-201,4-202,4-301,4-302を含む複数の撮影装置4とが使用される。なお、図14および図15に例示した契約情報と、実施の形態1の図3に示した要求情報とは共通する部分があるため、図3に示した要求情報にイベントの期間を追加しておき、要求情報を契約情報として用いてもよい。また、契約情報取得部71は、図14および図15に例示した契約情報内の各情報を一度に取得しなくてもよく、各情報をそれぞれ異なるタイミングで取得してもよい。また、図14および図15に例示した契約情報のうち、イベントの種類は、設置調整事業者が派遣する人員に関する見積もりに用いられるため、料金管理装置7がこの見積もりを行わない場合には、契約情報取得部71が取得する契約情報に、イベントの種類が含まれていなくてもよい。また、図14および図15に例示した使用される撮影装置4は、設置調整事業者が派遣する人員に関する見積もりとリース料の算出とに用いられるため、料金管理装置7がこの見積もりとリース料の算出とのいずれも行わない場合には、契約情報取得部71が取得する契約情報に、使用される撮影装置4が含まれていなくてもよい。
図13の説明に戻る。撮影装置情報記憶部74は、各撮影装置4に関する情報である撮影装置情報を記憶する。図16は、本実施の形態の撮影装置情報の一例を示す図である。図16に示すように撮影装置情報は、撮影装置4ごとに、配置(固定であるか移動できるか)、オペレータ要否(オペレータが必要であるか否か)を示す情報を含む。撮影装置情報は、図示しない入力手段により入力されてもよいし、映像プラットフォーム装置2aまたはその他装置から送信されてもよい。
派遣人数見積部75は、契約情報記憶部72に記憶されている契約情報と、撮影装置情報記憶部74に記憶されている撮影装置情報とを用いて、各イベントに派遣する人員の見積結果を算出する。派遣人数見積部75は、イベントの期間を時間帯ごとに区切り、各時間帯における作業と使用される撮影装置4とを用いて時間帯ごとに必要な人数を算出する。
図17は、本実施の形態の派遣人数見積部75による見積結果の一例を示す図である。例えば、派遣人数見積部75は、イベントの種類と期間とに応じて、図17に示したようにT1-T2までの時間帯、T2-T3の時間帯といったようにイベントの期間を時間帯に分け、各時間帯の状態(作業の状態)を見積結果に格納する。例えば、派遣人数見積部75は、イベントの種類と期間とに応じて時間帯と各時間帯の状態との対応をテンプレートとして保持しており、テンプレートを用いて各時間帯の状態(作業の状態)を見積結果に格納する。そして、派遣人数見積部75は、契約情報と撮影装置情報とを用いて状態ごとに、必要な人数を算出し、時間帯ごとの人数見積として、見積結果に格納し、見積結果を提示部82へ出力する。このとき、派遣人数見積部75は、例えば、撮影装置4の台数と設置に必要な人数との対応を保持しておき、設置作業についてはこの対応と契約情報とを用いて設置に必要な人数を算出する。撤去作業についても同様にあらかじめ撮影装置4の台数と撤去に必要な人数との対応を保持しておき、派遣人数見積部75は、この対応を用いて撤去に必要な人数を算出する。また、派遣人数見積部75は、契約情報と撮影装置情報とを参照してオペレーションが必要な撮影装置4の数を求め、数に応じて撮影に必要な人数を算出する。また、調整については、設置作業と同様に、撮影装置4の台数と調整に必要人数との対応をあらかじめ保持しておき、この対応と契約情報とを用いて調整に必要な人数を算出する。
提示部82は、見積結果を表示するまたは印刷するなどによりオペレータに提示する。提示された見積もり結果は、配信事業者との調整により適宜修正され、派遣人数見積部75は、修正された内容の入力を受け付けて受け付けた修正内容に応じて見積結果を修正する。例えば、図17に示した例では、イベントの前半と後半との間に配置変更が行われるが、テンプレートではこの配置変更は含まれない状態としておき、提示部82によってテンプレートに基づく見積結果が提示された後に、配置変更の時間帯が追加されるように修正される。派遣人数見積部75は、最終的な人数の見積結果を設置調整料算出部77へ出力する。
図13の説明に戻る。料金情報記憶部73は、各種料金を算出するための単価などを示す料金情報を記憶する。料金情報は、サービス映像の種別すなわちサービス種別ごとのサービス利用料を示す第1情報と、処理負荷に応じた料金を算出するための単価を示す第2情報と、設置調整のための人員派遣に関する単価を示す第3情報と、撮影装置4ごとのリース料を示す第4情報とを含む。
図18は、本実施の形態の第1情報の一例を示す図である。図18に示した例では、サービス種別ごとのサービス利用料が定められている。なお、サービス利用料は、利用する時間によらずサービス種別ごとに一定としてもよいし、サービス種別ごとの単価に利用する時間を乗じて算出されるなどのように利用する時間に応じて定められてもよい。
図13の説明に戻る。サービス利用料算出部76は、料金情報記憶部73に記憶されている第1情報と、契約情報記憶部72に記憶されている契約情報とを用いて、契約情報に含まれる選択サービス種別に対応するサービス利用料を算出する。選択サービス種別が複数の場合には、それぞれのサービス種別に対応するサービス利用料の合計をサービス利用料として算出する。サービス利用料算出部76は、サービス利用料の合計と内訳(選択サービス種別が複数の場合)を、統合部81へ出力する。なお、サービス利用料算出部76は、選択サービス種別の入力を受け付けて、受け付けた入力と料金情報記憶部73に記憶されている第1情報とを用いてサービス利用料の合計と内訳(選択サービス種別が複数の場合)を算出してもよい。
設置調整料算出部77は、料金情報記憶部73に記憶されている第3情報と、派遣人数見積部75から受け取った見積結果とを用いて、設置調整料を算出する。図19は、本実施の形態の設置調整料の一例を示す図である。図19に示した例では、設置、調整待機(調整および待機)、撮影の各作業の種別ごとに単価が定められており、第3情報には、各作業の種別ごとに単価(時間単価)が含まれているとする。撮影は、撮影者が撮影装置4を用いて撮影を行う作業である。設置調整料算出部77は、見積結果に基づいて各作業が行われた時間である作業時間と、人数とを算出し、作業時間に人数を乗算することで単価に乗算すべき時間を算出する。また、派遣人数見積部75による見積もりが行われない場合には、設置調整料算出部77は、作業ごとの、作業時間と人数の入力または作業時間に人数を乗算した値の入力を受け付けて、受け付けた情報と料金情報記憶部73に記憶されている第3情報とを用いて設置調整料を算出する。
図13の説明に戻る。リース料算出部78は、料金情報記憶部73に記憶されている第4情報と、契約情報記憶部72に記憶されている契約情報とを用いて、契約情報に含まれる撮影装置4に対応するリース料を算出する。リース料算出部78は、算出したリース料を統合部81へ出力する。
処理負荷情報取得部80は、映像プラットフォーム装置2aから処理負荷情報を取得し、処理負荷情報をデータ処理料算出部79へ出力する。処理負荷情報取得部80は、映像プラットフォーム装置2aから処理負荷情報を受信することで処理負荷情報を取得してもよいし、図示しない入力手段から入力されることで処理負荷情報を取得してもよい。
データ処理料算出部79は、処理負荷情報を用いてデータ処理料を算出し、算出したデータ処理料を統合部81へ出力する。データ処理料算出部79は、例えば、処理負荷情報に処理時間、消費電力およびデータサイズが含まれる場合には、処理時間、消費電力およびデータサイズの値の組み合わせごとのデータ処理料をテーブルとして保持し、このテーブルを用いて処理負荷情報に応じたデータ処理料を算出する。または、データ処理料算出部29は、処理時間、消費電力およびデータサイズからデータ処理料を算出する計算式を保持し、計算式を用いて処理負荷情報に応じたデータ処理料を算出してもよい。
統合部81は、サービス利用料算出部76、設置調整料算出部77、リース料算出部78およびデータ処理料算出部79からそれぞれ受け取った各料金の合計を計算し、合計額に応じた消費税の金額を計算することでシステム利用料を算出し、算出したシステム利用料を、内訳とともに提示部82へ出力する。なお、消費税の取り扱いについては上述した例に限定されず、サービス利用料算出部76、設置調整料算出部77、リース料算出部78およびデータ処理料算出部79が計算する各内訳の料金ごとに消費税が計算されてもよくその他の方法で計算されてもよい。なお、サービス利用料、設置調整料、リース料およびデータ処理料のうちの少なくとも1つが図示しない入力手段によって入力され、統合部81は、入力された値をもとにシステム利用料を算出してもよい。例えば、設置調整料およびリース料は、それぞれ設置調整事業者および撮影装置リース事業者により提示され、提示された値をオペレータが料金管理装置7へ入力してもよい。なお、料金管理装置7は、PF事業者により運用管理されてもよいし、設置調整事業者によって運用管理されてもよい。また、映像プラットフォーム装置2a内に料金管理装置7が設けられていてもよい。
提示部82は、システム利用料を内訳とともに表示または印刷することでオペレータにシステム利用料を提示する。システム利用料は、オペレータなどを介して配信事業者に提示される。また、提示部82は、システム利用料を内訳とともに配信事業者装置5へ送信することで配信事業者に提示してもよい。
料金管理装置7も実施の形態1で述べた図9に例示したコンピュータシステムにより実現することができる。例えば、図13に示した派遣人数見積部75、サービス利用料算出部76、設置調整料算出部77、リース料算出部78、データ処理料算出部79および統合部81は、図9に示した記憶部103に記憶されたプログラムが図9に示した制御部101により実行されることにより実現される。また、派遣人数見積部75、サービス利用料算出部76、設置調整料算出部77、リース料算出部78、データ処理料算出部79および統合部81の実現に入力部102が用いられてもよい。また、図13に示した契約情報記憶部72、料金情報記憶部73および撮影装置情報記憶部74は、図9に示した記憶部103の一部である。契約情報取得部71および処理負荷情報取得部80は、通信部105または入力部102により実現される。提示部82は、表示部104、出力部106および通信部105のうち少なくとも1つにより実現される。
以上のように、本実施の形態では、映像プラットフォームシステムが、料金管理装置7を備え、PF事業者が配信事業者から徴収するシステム利用料を計算し、システム利用料の内訳を含めて提示するようにした。映像プラットフォームシステムは、これにより、PF事業者におけるシステム利用料の徴収とPF事業者から各事業者への支払いを支援することができる。特に、料金管理装置7が映像プラットフォーム装置2aから処理負荷情報を受信してデータ処理料を計算する場合には、処理負荷に応じたデータ処理料を正確に速やかに算出することができる。
実施の形態3.
図20は、実施の形態3にかかる映像プラットフォーム装置を含む映像プラットフォームシステムの構成例を示す図である。本実施の形態の映像プラットフォームシステムは、実施の形態2の映像プラットフォームシステムに、撮影制御装置8が追加されている。実施の形態2と同様の機能を有する構成要素は実施の形態2と同一の符号を付して重複する説明を省略する。以下、実施の形態2と異なる点を主に説明する。
実施の形態2では、設置調整事業者が設置、調整などの作業を行ったが、撮影装置4によっては、位置、角度などの変更を行う作業などのように人手が必要なものがある。このような場合に、撮影装置4に位置、角度などを遠隔制御できる機構を追加し、または位置、角度などを遠隔制御できる撮影装置4を用いることで、人手による作業を減らすことができ、設置調整料を抑制することができる。撮影制御装置8は、撮影装置4の位置、角度などを遠隔制御する装置である。撮影制御装置8は、配信事業者の要求に応じて定められたシーケンスで位置、角度などを変更するように撮影装置4を制御する。撮影制御装置8は、例えば、設置調整事業者によって運用される。例えば、野球の試合における360度自由視点映像の場合、ピッチャーを中心とするか、バッターを中心とするかで、撮影装置4の向きを変える必要があるが、試合状況に応じてオペレータが撮影制御装置8を用いてカメラの向きを変えることができる。例えば、撮影制御装置8が、複数の会場の撮影装置4を遠隔制御可能とすることで、会場に派遣される人数を減らすことができ、設置調整料を抑制することができる。
なお、以上説明した例では、実施の形態2の映像プラットフォームシステムに撮影制御装置8を追加したが、実施の形態1の映像プラットフォームシステムに撮影制御装置8を追加し、同様に、撮影装置4の遠隔制御が行われてもよい。
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、実施の形態同士を組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。