(蓄電システムの構成)
図1は、本開示の一実施形態に係る蓄電システム1の一例を示す概略構成図である。蓄電システム1には、パワーコンディショナ10及び蓄電装置20A、20B及び20C等の機器が含まれてもよい。図1において、蓄電装置20A、20B及び20Cは電線40により並列に接続され、パワーコンディショナ10を介して電力系統60と接続される。図1において、電線40は実線で示される。蓄電システム1は、電力系統60に接続され、電力系統60に接続された負荷70等に電力を供給する。負荷70は、例えば、照明、エアーコンディショナ又は情報処理装置等の電力を消費する任意の電気機器が含まれてもよい。また、蓄電システム1は、電力系統60から供給された電力を蓄電装置20A、20B及び20Cに蓄積する。以下、蓄電装置20A、20B及び20Cを特に区別しない場合、単に、蓄電装置20と総称する。蓄電システム1において、パワーコンディショナ10及び蓄電装置20等の蓄電システム1に含まれる機器は、通信線50により互いに通信可能に接続される。図1において、通信線50は点線で示される。通信線50は、例えば、バス型に構成され得る。図1では、一例として、1台のパワーコンディショナ10と、3台の蓄電装置20を含む蓄電システム1が図示されているが、蓄電システム1に含まれる機器の構成及び数は任意に定められてもよい。例えば、蓄電システム1に求められる充電容量等の要件に応じて、パワーコンディショナ10及び蓄電装置20のそれぞれは、個別に増設又は撤去されてもよい。なお、通信線50は、有線であっても無線であってもよい。
パワーコンディショナ10は、PCS(Power Conditioning System:電力制御装置)ともいう。パワーコンディショナ10は、例えば、蓄電装置20の電力の充放電を制御する。その際に、パワーコンディショナ10は、蓄電装置20により充放電される電力の電圧値が一定になるように制御する定電圧制御、或いは充放電される電力の電流値が一定になるように制御する定電流制御を行ってもよい。パワーコンディショナ10は、蓄電装置20からの直流電力を交流電力に変換して電力系統60又は負荷70等に出力し、或いは電力系統60からの交流電力を直流電力に変換して蓄電装置20に出力する。
蓄電装置20は、電力系統60に接続された負荷70等に電力を供給する。蓄電装置20は、売電可能な電力等を電力系統60に供給してもよい。また、蓄電装置20は、電力系統60から供給された電力を蓄積する。蓄電装置20は、例えば、リチウムイオン電池、鉛蓄電池、ナトリウム硫黄電池、ニッケル水素蓄電池又はその他の蓄電池であってもよい。蓄電装置20は、パワーコンディショナ10から受信した制御信号に基づき、電力の充電及び放電等の動作、或いは蓄電装置20自身に関する情報を含む信号の送信等を実施してもよい。以下、蓄電装置自身のことを自装置ともいう。
本開示の一実施形態に係る蓄電システム1において、例えば、パワーコンディショナ10は、蓄電装置20の蓄電部の電圧値のうち最大値又は最小値を指定して、充電又は放電を行う制御信号を蓄電装置20のそれぞれに送信する。蓄電装置20は、制御信号で指定された電圧値と自装置の電圧値との比較に基づきスイッチング部を制御して、電力を昇圧又は降圧して充電又は放電を行い、或いは充放電の動作を停止する。これにより、蓄電システム1に含まれる電圧値が異なる蓄電装置20に対して充放電をさせることができる。以下、詳細を説明する。
(蓄電装置の構成)
以下に、本開示の一実施形態に係る蓄電装置の一例である蓄電装置20の概略構成を示す。図1において、蓄電装置20は、制御部21、蓄電部22、測定部23、端子部24、スイッチング部25、開閉器26、通信部27、記憶部28、報知部29、入力部30及び電線31等の機能部を備える。
制御部21は、詳細を後述するように、蓄電装置20の各機能を実現するための制御及び処理能力を提供する1つ以上のプロセッサである。制御部21は、制御手順を規定したプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ又は各機能の処理に特化した専用のプロセッサで構成されてもよい。
制御部21は、上述した蓄電装置20の各機能部と有線又は無線により接続され、これらの機能部をはじめとして蓄電装置20の全体または一部を制御及び管理する。制御部21は、記憶部28に記憶されているプログラムを取得して、このプログラムを実行することにより、蓄電装置20の各機能部に係る種々の機能を実現する。制御部21が行う本実施形態に特徴的な制御については、さらに後述する。
蓄電部22は、制御部21の制御に基づき、電力の充電及び放電を行う。蓄電部22は、後述する端子部24を介して、蓄電装置20の外部と通電可能に配置される。蓄電部22における電力の充電及び放電は、蓄電部22を構成するセルの単位で、制御部21により制御及び管理されてもよい。蓄電部22は複数のセルを備えていてもよい。また、セルは、複数のセルを接続したモジュール単位で、制御部21により制御及び管理されてもよい。
蓄電システム1に含まれるそれぞれの蓄電装置20の蓄電部22にかかる電圧値はそれらの蓄電装置20の劣化の度合い又は充電率等の条件によって異なり得る。例えば、同一の仕様及び性能の蓄電装置20であっても、使用回数、使用頻度又は設置環境等の違いにより、それぞれの蓄電装置20の劣化の度合いに差が生じる。蓄電装置20の劣化の度合いに応じて蓄電装置20の充電容量及び放電容量に差異が生じるため、例えば、満充電又は空の状態における蓄電部22にかかる電圧値は異なり得る。以下、劣化の度合いをSOH(State of Health)ともいう。SOHは、現在の満充電容量(FCC:Full Charge Capacity)の設計容量(DC:Design Capacity)に対する比(%)で表され得る。また、それぞれの蓄電装置の充電容量は同一であっても、充電量が異なる場合には、それぞれの蓄電部22にかかる電圧値が異なり得る。以下、充電率をSOC(States Of Charge)ともいう。SOCは、満充電容量に対する現在の充電量の比(%)で表され得る。
測定部23は、蓄電部22にかかる電圧値を測定する。測定部23は、電圧計であってもよい。本明細書において、測定部23により測定された蓄電部22にかかる電圧値を第1の電圧値ともいう。測定部23は、測定した電圧値を、制御部21に送信する。測定部23は、任意の位置に設置されてもよい。例えば、測定部23は、蓄電部22と別体として設けられているが、この限りではない。測定部23は、蓄電部22の内部に設けられてもよい。また、測定部23の数は任意であってもよい。例えば、モジュール又はセルの単位に複数の測定部23が設けられ、それらの測定部23が測定した値から蓄電部22にかかる電圧値が算出されてもよい。
端子部24は、電線を介して他の蓄電装置20と並列に接続される。端子部24は、蓄電装置20の外部から電線40等を接続される端子を含む。本実施形態において、蓄電装置20は並列接続にて他の機器と接続されることを想定している。そのため、端子部24は、正極端子24A及び負極端子24Bを備えてもよい。図1において、正極端子24Aは電線31Aを介して蓄電部22の正極端子に接続され、負極端子24Bは電線31Bを介して蓄電部22の負極端子に接続される。端子部24に含まれる端子の数は、任意の数とされてもよい。例えば、蓄電装置20の蓄電部22が複数のセルを備える場合、端子部24には、セルの数に応じた複数の端子が含まれてもよい。他の機器は、例えばパワーコンディショナ10又は蓄電装置20等の機器であってもよい。電線40により接続される機器は、パワーコンディショナ10及び蓄電装置20に限られず、例えば、太陽電池、風力発電装置、水力発電装置及び燃料電池等を含む任意の電源装置、或いは情報処理装置等を含む、任意の機器であってもよい。
図1において、蓄電装置20Aの端子部24の正極端子24A及び負極端子24Bはそれぞれパワーコンディショナ10、他の蓄電装置20B及び20Cの正極端子及び負極端子と電線40A及び40Bを介して接続される。これにより、蓄電システム1において、蓄電装置20A、20B及び20Cは並列に接続される。本実施形態において、蓄電装置20はそれぞれ1つの端子部24を備えるものとして説明するが、この限りではない。蓄電装置20が備える端子部24の数は蓄電システム1における他の機器との接続方法等に応じて、任意の数としてもよい。
スイッチング部25は、端子部24と蓄電部22との間に設けられる。スイッチング部25は、制御部21の制御に基づいて、端子部24と蓄電部22との電力の入出力の可否を切り替え得る。また、スイッチング部25は、制御部21の制御に基づいて、端子部24と蓄電部22との間で入出力される電力を変圧し得る。スイッチング部25の制御は、所定の電圧値に基づいて行われてもよい。例えば、所定の電圧値には、蓄電部22にかかる電圧値が含まれる。以下、蓄電部22にかかる電圧値を第1の電圧値ともいう。また、所定の電圧値には、蓄電システム1に含まれる蓄電装置20に充放電させる際に指定される入出力の電力の電圧値であってもよい。以下、充放電させる際に指定される入出力の電力の電圧値を第2の電圧値ともいう。第2の電圧値は、蓄電装置20の端子部24にかかる電圧値であってもよい。例えば、蓄電システム1に含まれる蓄電装置20に充放電中に、パワーコンディショナ10によって、電線40Aと電線40Bとの電位差が第2の電圧値となるように制御されてもよい。制御部21は、第1の電圧値と第2の電圧値とに基づいてスイッチング部25を制御してもよい。スイッチング部25の構成は、電力の入出力の可否を切り替える動作、蓄電部22に充電する電力を昇圧又は降圧する動作、或いは、蓄電部22から放電する電力を昇圧又は降圧する動作等、その動作に応じて、任意の構成であってもよい。スイッチング部25の構成例を以下に示す。
(スイッチング部の構成例1)
スイッチング部の構成例として、スイッチング部25Aを図2に示す。スイッチング部25Aは、スイッチング素子32を備えてもよい。図2において、スイッチング素子32は、端子部24の正極端子24Aと蓄電部22の正極端子を接続する電線31Aに設けられている。スイッチング素子32は、例えば、トランジスタ又はMOSFET等の任意のスイッチング素子であってもよい。かかる構成を有するスイッチング部25Aは、制御部21によってスイッチング素子32が切り替えられることで、端子部24と蓄電部22との電力の入出力の可否を切り替える。また、制御部21は、スイッチング素子32を切り替えて、所定の抵抗値を持つように制御することによって、スイッチング部25Aにおいて電圧又は電流を制御し得る。制御部21は、スイッチング素子32をPWM(Pulse Width Modulation)制御してもよい。
(スイッチング部の構成例2)
スイッチング部の他の構成例として、スイッチング部25Bを図3に示す。スイッチング部25Bは、スイッチング素子32、コイル33及びダイオード34を備える、DC/DCコンバータであってもよい。図3において、構成例1で上述したスイッチング素子32に加え、コイル33が電線31Aのスイッチング素子32よりも端子部24側に設けられる。また、ダイオード34が電線31Aのスイッチング素子32とコイル33との間と電線31Bを接続するように設けられている。かかる構成を有するスイッチング部25Bは、蓄電装置20から放電する場合、つまり、蓄電部22から端子部24に電力を出力する場合に、スイッチング素子32を繰り返し切り替えることによって、スイッチング部25Bに入力された電力を降圧して出力する。なお、スイッチング部25Bにおいて電力を降圧しない場合には、制御部21は、スイッチング素子32を閉状態に維持するよう制御してもよい。
(スイッチング部の構成例3)
スイッチング部の他の構成例として、スイッチング部25Cを図4に示す。スイッチング部25Cは、2つのスイッチング素子32A、32B及びコイル33を備える、DC/DCコンバータであってもよい。図4を参照すると、構成例2で上述した構成に対して、ダイオード34の代わりにスイッチング素子32Bが設けられている。かかる構成を有するスイッチング部25Cは、蓄電装置20から放電する場合に、スイッチング素子32A及び32Bを繰り返し切り替えることによって、スイッチング部25Cに入力された電力を降圧して出力する。また、スイッチング部25Cは、蓄電装置20に充電する場合、つまり、端子部24から蓄電部22に電力を出力する場合に、スイッチング素子32A及び32Bを繰り返し切り替えることによって、スイッチング部25Cに入力された電力を昇圧して出力する。なお、スイッチング部25Cにおいて電力を降圧または昇圧しない場合には、制御部21は、スイッチング素子32Aを閉状態に維持し、スイッチング素子32Bを開状態に維持するように制御してもよい。
(スイッチング部の構成例4)
スイッチング部の他の構成例として、スイッチング部25Dを図5に示す。スイッチング部25Dは、2つのスイッチング素子32A、32B及びコイル33を備える、DC/DCコンバータであってもよい。図5を参照すると、構成例3で上述した構成に対して、コイル33とスイッチング素子32Aとが置き換えられている。かかる構成を有するスイッチング部25Dは、蓄電装置20から放電する場合に、スイッチング素子32A及び32Bを繰り返し切り替えることによって、スイッチング部25Dに入力された電力を昇圧して出力する。また、スイッチング部25Dは、蓄電装置20に充電する場合に、スイッチング素子32A及び32Bを繰り返し切り替えることにより、スイッチング部25Dに入力された電力を降圧して出力する。なお、スイッチング部25Dにおいて電力を降圧または昇圧しない場合には、制御部21は、スイッチング素子32Aを閉状態に維持し、スイッチング素子32Bを開状態に維持するように制御してもよい。
開閉器26は、端子部24と蓄電部22を通電可能に接続するように設けられる。これにより、開閉器26が閉じられると、蓄電装置20の蓄電部22と端子部24を介して接続された他の機器とは通電可能に接続される。一方で、開閉器26が開かれると、蓄電装置20の蓄電部22と端子部24を介して接続された他の機器との通電が遮断される。開閉器26の数は任意の数であってもよい。
通信部27は、制御部21の制御に基づき、他の機器と通信を行う。通信部27は、例えば、CAN(Controller Area Network)通信モジュール、有線LAN通信モジュール又は無線LAN(Local Area Network)通信モジュール等を備えてもよい。図1において、蓄電装置20Aの通信部27は、蓄電システム1に含まれるパワーコンディショナ10、蓄電装置20B及び20Cとともに共通の通信線50に接続されている。これにより、蓄電装置20Aは、例えば、蓄電装置を制御する制御信号を蓄電システム1に含まれる他の機器から受信し、受信した制御信号に基づき動作することができる。制御信号には、蓄電装置の充放電等の動作を開始させる命令、或いは動作を停止させる命令等が含まれるが、この限りではない。また、蓄電装置20は、詳細を後述する第2の電圧値を示す信号を蓄電システム1に含まれる他の機器と送受信し得る。信号を送受信するために、蓄電装置20をはじめ、通信線50に接続される機器には、識別子(identifier:ID)等の通信を行う際に機器を一意に特定するための情報が付与されていてもよい。かかる場合、信号には、対象とする機器、信号の送信元の機器、又は信号の送信先の機器等を特定するためにID等の情報が含まれてもよい。
記憶部28は、例えば半導体メモリ、磁気メモリ又は光メモリ等を備える。記憶部28は、例えば主記憶装置又は補助記憶装置として機能してもよい。記憶部28は、制御部21に含まれるプロセッサのキャッシュメモリ等であってもよい。また、記憶部28は、揮発性の記憶装置であってもよく、不揮発性の記憶装置であってもよい。記憶部28は、蓄電装置20の各機能を実現するための制御及び処理に用いられる情報及びプログラムを記憶する。記憶部28は、例えば、蓄電システム1に含まれる他の機器を一意に特定するための情報を記憶してもよい。例えば、他の機器を一意に特定するための情報には、上述したID等が含まれ得る。また、記憶部28は、後述するスイッチング部の制御に用いられる条件を記憶してもよい。記憶部28に記憶された情報及びプログラムの少なくとも一部が、他の機器との間で共有され、或いは同期されてもよい。
報知部29は、音、振動、ライトの点灯及び画像等で情報を報知する。報知部29は、例えばスピーカ、振動子、ライト及び表示デバイス等の少なくとも1つを含む。表示デバイスは、例えば液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等とすることができる。報知部29は、制御部21の制御に基づいて、蓄電装置20のID、蓄電装置20に充電された電力の残量の情報、又は蓄電装置20の充放電等を含む動作の状態等の少なくとも1つを報知してもよい。
入力部30は、ユーザからの入力操作を受け付ける。入力部30は、例えば報知部29の表示デバイスと一体的に設けられたタッチパネル、キーボード、マウス、カメラ又はマイク等の入力デバイス等を含んでもよい。入力部30は、ユーザ操作を検知すると、そのユーザ操作を電子情報として制御部21に送信する。報知部29及び入力部30の少なくとも一方は、例えば、蓄電装置20から物理的に切り離されたリモコン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ又は制御装置等に設けられてもよい。
以下に、制御部21による蓄電装置20の各機能の制御について説明する。制御部21は、蓄電部22にかかる第1の電圧値を測定部23により測定する。制御部21は、電圧値の測定要求を測定部23に送信し、電圧値の測定要求に基づいて測定部23が測定した蓄電部22にかかる第1の電圧値を測定部23から受信してもよい。或いは、制御部21は、測定部23により測定された値に基づいて、蓄電部22にかかる第1の電圧値を算出してもよい。
制御部21は、通信部27により、第2の電圧値を示す信号を受信する。制御部21は、当該信号を任意の方法で受信してもよい。例えば、制御部21は、他の機器が所定の時間間隔等で送信する第2の電圧値を示す信号を受信してもよい。或いは、制御部21は、通信部27により、第2の電圧値を示す信号の送信要求を他の機器に送信し、当該送信要求に基づき他の機器が送信した第2の電圧値を示す信号を受信してもよい。
第2の電圧値を示す信号には、第2の電圧値又は第2の電圧値を算出するために用いられる情報が含まれてもよい。例えば、第2の電圧値を示す信号には、パワーコンディショナ10によって蓄電システム1に含まれる蓄電装置20A、20B及び20Cの蓄電部22にかかる電圧値に基づいて算出された第2の電圧値が含まれていてもよい。かかる場合、第2の電圧値は、パワーコンディショナ10または蓄電装置20の端子の電圧であってもよい。第2の電圧値は、パワーコンディショナ10の端子部、蓄電装置20の端子24A及び24Bの電圧を測定する電圧計によって測定されてもよい。第2の電圧値は、例えば、それぞれの蓄電装置20A、20B及び20Cが備える電線31Aと電線31Bとの間の電圧を測定する電圧計によって測定され得る。第2の電圧値は、例えば、蓄電装置20A、20B及び20Cの蓄電部22にかかる電圧値の最大値、最小値、又は平均値であってもよい。かかる場合、それぞれの蓄電装置20の制御部21は、第2の電圧値に基づいて放電又は充電を行うように自装置を制御する。また、第2の電圧値を示す信号には、第2の電圧値を算出するために用いられる情報として、他の蓄電装置20が測定した自装置の蓄電部22にかかる電圧値が含まれていてもよい。かかる場合、蓄電装置20の制御部21は、受信した他の蓄電装置20の蓄電部22にかかる電圧値と自装置の第1の電圧値との最大値、最小値、又は平均値等を第2の電圧値として算出してもよい。蓄電装置20の制御部21は、算出した第2の電圧値に基づいて放電又は充電を行うように自装置を制御する。第2の電圧値を算出するために用いられる情報は、他の蓄電装置20の蓄電部22にかかる電圧値に限られない。第2の電圧値を算出するために用いられる情報には、例えば、上述した他の蓄電装置20の蓄電部22のSOC、SOH、又は他の蓄電装置20で測定された電流値であってもよい。
第2の電圧値を示す信号には、上述した第2の電圧値又は第2の電圧値を算出するために用いられる情報に加えて、その他の情報が含まれてもよい。例えば、第2の電圧値を示す信号には、蓄電装置に対する充電又は放電等の動作をさせる制御命令が含まれてもよい。これにより、第2の電圧値を示す信号は、例えば、第2の電圧値を指定して放電させる制御信号、又は第2の電圧値を指定して充電させる制御信号として用いられ得る。その他の情報には、更に、動作の開始条件及び終了条件、制御の開始時間及び終了時間、或いは制御の継続時間等の任意の情報が含まれてもよい。これにより、第2の電圧値を示す信号を用いてより詳細な制御指示を蓄電装置20に伝達することが可能となる。
制御部21は、第1の電圧値と第2の電圧値とに基づいてスイッチング部25を制御する。制御部21は、第1の電圧値と第2の電圧値とに基づいて、スイッチング部25を制御して、端子部24と蓄電部22との電力の入出力の可否を切り替えてもよい。制御部21は、例えば、自装置の蓄電部22にかかる第1の電圧値と第2の電圧値との電位差が所定の範囲内にあるか否かを判定してもよい。制御部21は、電位差が所定の範囲内にあると判定されると、スイッチング部25に入力された電力を変圧せずにそのまま出力するようにスイッチング部25を制御してもよい。制御部21は、電位差が所定の範囲内にないと判定されると、端子部24と蓄電部22との電力の入出力を遮断するようにスイッチング部25を制御してもよい。
例えば、蓄電システム1に含まれる蓄電装置20A、20B及び20Cに電位差が生じており、蓄電装置20Aの電圧値が最も低いとする。蓄電装置20Aの制御部21は、自装置の第1の電圧値よりも高い第2の電圧値を指定して放電させる制御信号を受信した場合、スイッチング部25により電力の入出力を遮断して、放電を実施しない。蓄電システム1の他の蓄電装置20からの放電が進み、他の蓄電装置20の電圧値が下がる。他の蓄電装置20の電圧値が下がることで第2の電圧値も下がる。その後、自装置の第1の電圧値と第2の電圧値との電位差が所定の範囲になったのち、第2の電圧値を指定して放電させる制御信号を受信した場合、制御部21は、スイッチング部25により電力の入出力を可能にして、放電を実施する。これにより、蓄電システム1に含まれる蓄電装置20A、20B及び20Cは互いの電位差を解消して、放電を継続することができる。
また、制御部21は、第1の電圧値と第2の電圧値とに基づいて、スイッチング部25を制御して、端子部24と蓄電部22との間で入出力される電力を変圧してもよい。制御部21は、例えば、第1の電圧値と第2の電圧値との電位差を算出してもよい。制御部21は、電位差が所定の範囲内にないと判定されると、スイッチング部25に入力された電力を電位差の分だけ昇圧又は降圧させて出力するようにスイッチング部25を制御してもよい。制御部21は、電位差が所定の範囲内にあると判定されると、スイッチング部25に入力された電力を変圧せずにそのまま出力するようにスイッチング部25を制御してもよい。
例えば、蓄電システム1に含まれる蓄電装置20A、20B及び20Cに電位差が生じており、蓄電装置20Aの電圧値が最も低いとする。蓄電装置20Aの制御部21は、自装置の第1の電圧値よりも高い第2の電圧値を指定して放電させる制御信号を受信した場合、スイッチング部25により第1の電圧値と第2の電圧値との電位差だけ電力を昇圧して、放電を実施する。蓄電システム1の他の蓄電装置20からの放電が進み、他の蓄電装置20の電圧値が下がる。他の蓄電装置20の電圧値が下がることで第2の電圧値も下がる。その後、自装置の第1の電圧値と第2の電圧値との電位差が所定の範囲になったのち、第2の電圧値を指定して放電させる制御信号を受信した場合、制御部21は、スイッチング部25により電力を昇圧せずに、放電を実施する。これにより、蓄電システム1に含まれる蓄電装置20A、20B及び20Cは互いの電位差を解消して、放電を継続することができる。
本開示において、前述した制御部21をはじめとする蓄電装置20の機能の一部又は全部は、蓄電装置20を制御する制御装置により提供されてもよい。制御装置は、蓄電装置20に含まれてもよく、或いは蓄電装置20の外部に別体として設けられてもよい。別体として設けられる場合、制御装置は、例えばホームエネルギーマネジメントシステム(Home Energy Management System:HEMS)、バッテリーマネジメントシステム(Battery Management System:BMS)、リモコン、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末又はPC(Personal Computer)等を含む、蓄電装置20を制御可能な情報処理装置であってもよい。また、制御装置は、上述したパワーコンディショナ10、或いは他の蓄電装置20であってもよい。
(蓄電システムの動作例)
以下、本開示の一実施形態に係る蓄電システム1が実行する、蓄電装置20の制御の一例を説明する。図1に示すように、蓄電システム1には、パワーコンディショナ10、蓄電装置20A、20B及び20Cの機器が含まれる。蓄電装置20A、20B及び20Cは並列に接続されている。蓄電システム1において、パワーコンディショナ10は蓄電装置20A、20B及び20Cの制御装置として動作するものとする。図6に、蓄電システム1の処理のシーケンス図を示す。具体的には、蓄電装置20A、20B及び20Cは第1の電圧値を測定して、パワーコンディショナ10に送信する(ステップS101~S102)。パワーコンディショナ10は蓄電装置20A、20B及び20Cから受信した第1の電圧値の最大値又は最小値を算出して第2の電圧値とする(ステップS103)。パワーコンディショナ10は第2の電圧値を指定して充電又は放電させる制御信号を蓄電装置20A、20B及び20Cに送信する(ステップS104)。蓄電装置20A、20B及び20Cは、第1の電圧値と第2の電圧値とに基づいてスイッチング部25を制御して、充電又は放電を実行する(ステップS105)。パワーコンディショナ10、蓄電装置20A、20B及び20Cは上述した動作を繰り返すことにより、蓄電システム1による充放電を実現する。以下、蓄電システム1の動作例の詳細を、蓄電装置20Aが上述した構成例1~4のスイッチング部25を備える場合ごとに説明する。
(蓄電システムの動作例1)
図1、図2及び図7を参照して、蓄電装置20が構成例1のスイッチング部25を備える蓄電システム1の放電時の動作例を説明する。パワーコンディショナ10は、蓄電装置20A、20B及び20Cが測定した第1の電圧値を受信する(ステップS101、ステップS102)。蓄電システム1の放電時に、パワーコンディショナ10は、蓄電装置20A、20B及び20Cの第1の電圧値の最大値を第2の電圧値とする(ステップS103)。パワーコンディショナ10は、第2の電圧値を指定して放電させる制御信号を蓄電装置20A、20B及び20Cに送信する(ステップS104)。例えば、図7に示すように、蓄電装置20A、20B及び20Cの第1の電圧値をそれぞれVa、Vb及びVcとし、時刻tsにおいてVa>Vb>Vcであるとする。パワーコンディショナ10は、時刻tsに蓄電システム1の放電を開始させる場合、第2の電圧値V2にVaの値を指定して放電させる制御信号を蓄電装置20A、20B及び20Cに送信する。蓄電装置20A、20B及び20Cは放電の制御信号を受信すると、それぞれの蓄電部22にかかる第1の電圧値Va、Vb及びVcと、制御信号に含まれる第2の電圧値V2とを比較する(ステップS105)。蓄電装置20A、20B及び20Cは第1の電圧値と第2の電圧値の差が所定の範囲内であればスイッチング部25を制御して放電を実施する。また、蓄電装置20A、20B及び20Cは第1の電圧値と第2の電圧値の差が所定の範囲内になければスイッチング部25を制御して放電を停止する(ステップS106)。時刻tsにおいて、V2=Va>Vb>Vcであるため、蓄電装置20Aのみが放電を開始する。一方で、蓄電装置20B及び20Cは放電を開始しない。
パワーコンディショナ10は、蓄電システム1の充放電中に、蓄電装置20A、20B及び20Cそれぞれの第1の電圧値を例えば一定の時間間隔にて受信し、それらの最大の電圧値を第2の電圧値に再設定する。図7において、第2の電圧値の遷移を実線で示す。パワーコンディショナ10は、第2の電圧値が再設定されるたびに、再設定された第2の電圧値を指定して放電させる制御信号を蓄電装置20A、20B及び20Cに送信する。蓄電装置20Aの放電が進み、時刻t1において、蓄電装置20Aの第1の電圧値がVbと等しくなると、パワーコンディショナ10により制御信号に設定される第2の電圧値V2はVa及びVbと等しくなる。V2=Va=Vb>Vcであるため、蓄電装置20Aに加え、蓄電装置20Bが放電を実施する。一方で、蓄電装置20Cは放電を実施しない。更に蓄電装置20A及び20Bの放電が進み、時刻t2において、第2の電圧値V2がVa、Vb及びVcと等しくなると、V2=Va=Vb=Vcとなるため、蓄電装置20Cが放電を開始する。これにより蓄電装置20A、20B及び20Cの放電が実施される。その後、それぞれの蓄電装置は、放電を終了させる制御信号を受信し、或いは第1の電圧値がぞれぞれの蓄電装置に設定された放電終了電圧値に達することにより放電の終了条件が満たされると、放電を終了する。
(蓄電装置の処理例1)
図8を参照して、本開示の一実施形態に係る蓄電装置である蓄電装置20が実行する処理の一例を説明する。本処理は、構成例1のスイッチング部25を備える蓄電装置20による放電処理である。
ステップS201:制御部21は、測定部23により第1の電圧値を測定する。
ステップS202:制御部21は、第1の電圧値を示す信号を送信する。
ステップS203:制御部21は、第2の電圧値を示す信号を受信する。
ステップS204:制御部21は、第1の電圧値と第2の電圧値の電位差が所定の範囲内か否かを判定する。
ステップS205:制御部21は、電位差が所定の範囲内である場合(ステップS204-Yes)、スイッチング部25をオンにして放電を実施する。
ステップS206:制御部21は、電位差が所定の範囲内にない場合(ステップS204-No)、スイッチング部25をオフにして放電を停止する。
ステップS207:制御部21は、放電の終了条件が満たされたか否かを判定する。制御部21は、終了条件が満たされた場合(ステップS207-Yes)、本処理を終了する。制御部21は、終了条件が満たされていない場合(ステップS207-No)、S201から本処理を繰り返す。
図1、図2及び図9を参照して、蓄電装置20が構成例1のスイッチング部25を備える蓄電システム1の充電時の動作例を説明する。蓄電装置20A、20B及び20Cのそれぞれが満充電まで充電された際の第1の電圧値Va、Vb及びVcを最大電圧値Vamax、Vbmax及びVcmaxとする。パワーコンディショナ10は、充電対象とする全ての蓄電装置20が最大電圧値に達するまでは定電流制御を行い、達した場合には定電圧制御を行う。そのために、蓄電システム1の充電時に、パワーコンディショナ10は、蓄電装置20A、20B及び20Cの第1の電圧値の最大値を第2の電圧値V2に指定して充電させる制御信号を蓄電装置20A、20B及び20Cに送信する。
充電の初期段階では定電流制御が行われる。図9の時刻t1において蓄電装置20Cの第1の電圧値VcがVcmaxに達するまでは、蓄電装置20A、20B及び20Cの第1の電圧値Va、Vb及びVcには等しい電圧がかかる。そのため、第2の電圧値V2=Va=Vb=Vcのまま充電が進められる。蓄電装置20A、20B及び20Cのそれぞれは自装置の蓄電部22にかかる第1の電圧値Va、Vb及びVcと制御信号に含まれる第2の電圧値V2とを比較する。蓄電装置20A、20B及び20Cのそれぞれは、第1の電圧値と第2の電圧値の差が所定の範囲内であるため、スイッチング部25をオンに制御して第2の電圧値V2で充電を実施する。
その後、時刻t1において、蓄電装置20Cの第1の電圧値Vcが最大電圧値Vcmaxに達すると、蓄電装置20Cの第1の電圧値Vcはそれ以上上昇できないため、蓄電装置20Cの第1の電圧値Vcと第2の電圧値V2との差が所定の範囲を超える。蓄電装置20Cは、他の蓄電装置20A及び20Bの充電が継続しているため、スイッチング部25をオフに制御して自装置の充電を終了する。蓄電装置20Bも同様に、時刻t2までは第2の電圧値V2で充電を実施し、時刻t2において第1の電圧値Vbが最大電圧値Vbmaxに達すると、他の蓄電装置20Aの充電が継続しているため、自装置の充電を終了する。蓄電装置20B及び20Cの第1の電圧値Vb及びVcは、図9に示すように、充電終了後、自然放電により徐々に低下する。蓄電装置20Aは、時刻teまでは第2の電圧値V2で充電を実施し、時刻teにおいて第1の電圧値Vaが最大電圧値Vamaxに達すると、他の蓄電装置20Aの充電が継続しているか否かを判定する。時刻teにおいて、他に充電中の蓄電装置20がないため、充電を継続する。以後、パワーコンディショナ10からは蓄電装置20Aの第1の電圧値Va=Vamaxを第2の電圧値V2に指定して充電させる制御信号が送信される。そのため、蓄電装置20Aにおいて、充電の終了条件が満たされるまで、自然放電を補うトリクル充電による定電圧制御が行われる。
(蓄電装置の処理例2)
図10を参照して、本開示の一実施形態に係る蓄電装置である蓄電装置20が実行する処理の一例を説明する。本処理は、構成例1のスイッチング部25を備える蓄電装置20による充電処理である。
ステップS301:制御部21は、測定部23により第1の電圧値を測定する。
ステップS302:制御部21は、第1の電圧値を示す信号を送信する。
ステップS303:制御部21は、第2の電圧値を示す信号を受信する。
ステップS304:制御部21は、第1の電圧値と第2の電圧値の電位差が所定の範囲内か否かを判定する。
ステップS305:制御部21は、電位差が所定の範囲内である場合(ステップS304-Yes)、スイッチング部25をオンにして充電を実施する。
ステップS306:制御部21は、電位差が所定の範囲内にない場合(ステップS304-No)、他に充電中の蓄電装置20があるか否かを判定する。制御部21は、他に充電中の蓄電装置20がある場合(ステップS306-Yes)、スイッチング部25をオンにして充電を実施する。
ステップS307:制御部21は、他に充電中の蓄電装置20がない場合(ステップS306-No)、スイッチング部25をオフにして充電を停止して、本処理を終了する。
ステップS308:制御部21は、充電の終了条件が満たされたか否かを判定する。制御部21は、終了条件が満たされた場合(ステップS308-Yes)、本処理を終了する。制御部21は、終了条件が満たされていない場合(ステップS308-No)、S301から本処理を繰り返す。
(蓄電システムの動作例2)
図1、図3、図11を参照して、蓄電装置20が構成例2のスイッチング部25を備える蓄電システム1の放電時の動作例を説明する。蓄電システム1の放電時に、パワーコンディショナ10は、蓄電装置20A、20B及び20Cの第1の電圧値の最小値を第2の電圧値V2に指定して放電させる制御信号を蓄電装置20A、20B及び20Cに送信する。例えば、図11に示すように、蓄電装置20A、20B及び20Cの第1の電圧値をそれぞれVa、Vb及びVcとし、時刻tsにおいてVa>Vb>Vcであるとする。パワーコンディショナ10は、時刻tsに蓄電システム1の放電を開始させる場合、第2の電圧値V2にVcの値を指定して放電させる制御信号を蓄電装置20A、20B及び20Cに送信する。蓄電装置20A、20B及び20Cは放電の制御信号を受信すると、それぞれの蓄電部22にかかる第1の電圧値Va、Vb及びVcと、制御信号に含まれる第2の電圧値V2とを比較する。蓄電装置20A、20B及び20Cは第1の電圧値と第2の電圧値の差が所定の範囲内であればスイッチング部25に入力された電力を変圧せずにそのまま出力するようにスイッチング部25を制御して放電を実施する。一方で、蓄電装置20A、20B及び20Cは第1の電圧値と第2の電圧値の差が所定の範囲内になければスイッチング部25を制御して第1の電圧値から第2の電圧値まで降圧して放電を実施する。時刻t1までは、V2=Vc<Vb<Vaであるため、蓄電装置20Cのみが第1の電圧値のまま放電を実施する。一方で、蓄電装置20A及び20Bは、それぞれ第1の電圧値Va及びVbから第2の電圧値V2に降圧して放電を実施する。
パワーコンディショナ10は、蓄電システム1の放電中に、蓄電装置20A、20B及び20Cそれぞれの第1の電圧値を一定の時間間隔にて受信し、それらの最小の電圧値を第2の電圧値V2に再設定する。図11において、第2の電圧値V2の遷移を実線で示す。パワーコンディショナ10は、第2の電圧値V2が再設定されるたびに、再設定された第2の電圧値V2を指定して放電させる制御信号を蓄電装置20A、20B及び20Cに送信する。それぞれの蓄電装置20の放電が進み、時刻t1において、蓄電装置20Bの第1の電圧値がVcと等しくなると、パワーコンディショナ10により設定される第2の電圧値V2はVa及びVbと等しくなる。V2=Vc=Vb<Vaであるため、蓄電装置20B及び20Cは変圧せずに第1の電圧値Vb及びVcで放電を行う。一方で、蓄電装置20Aは第1の電圧値Vaから第2の電圧値V2に変圧して放電を行う。その後、更に蓄電装置20の放電が進み、時刻t2において、第2の電圧値V2がVa、Vb及びVcと等しくなると、V2=Va=Vb=Vcとなるため、蓄電装置20A、20B及び20Cは変圧せずに第1の電圧値Va、Vb及びVcで放電を行う。その後、それぞれの蓄電装置は、放電を終了させる制御信号を受信し、或いは第1の電圧値がぞれぞれの蓄電装置に設定された放電終了電圧値に達することにより放電の終了条件が満たされると、放電を終了する。
(蓄電装置の処理例3)
図12を参照して、本開示の一実施形態に係る蓄電装置である蓄電装置20が実行する処理の一例を説明する。本処理は、構成例2のスイッチング部25を備える蓄電装置20による放電処理である。
ステップS401:制御部21は、測定部23により第1の電圧値を測定する。
ステップS402:制御部21は、第1の電圧値を示す信号を送信する。
ステップS403:制御部21は、第2の電圧値を示す信号を受信する。
ステップS404:制御部21は、第1の電圧値第2の電圧値の電位差が所定の範囲内か否かを判定する。
ステップS405:制御部21は、電位差が所定の範囲内である場合(ステップS404-Yes)、スイッチング部25で降圧せずに放電を実施する。
ステップS406:制御部21は、電位差が所定の範囲内にない場合(ステップS404-No)、スイッチング部25で降圧して放電を実施する。
ステップS407:制御部21は、放電の終了条件が満たされたか否かを判定する。制御部21は、終了条件が満たされた場合(ステップS407-Yes)、本処理を終了する。制御部21は、終了条件が満たされていない場合(ステップS407-No)、S401から本処理を繰り返す。
構成例2の蓄電装置20を有する蓄電システム1の充電時の動作は、図1、図2及び図7を参照して上述した構成例1の蓄電装置20を有する蓄電システム1と同様である。蓄電システム1の充電時に、パワーコンディショナ10は、蓄電装置20A、20B及び20Cの第1の電圧値の最大値を第2の電圧値に指定して充電させる制御信号を蓄電装置20A、20B及び20Cに送信する。蓄電装置20A、20B及び20Cのそれぞれが満充電まで充電された際の第1の電圧値Va、Vb及びVcを最大電圧値Vamax、Vbmax及びVcmaxとする。パワーコンディショナ10は、充電対象とする全ての蓄電装置20がそれぞれの最大電圧値に達するまでは定電流制御を行い、達した場合には定電圧制御を行う。それぞれの蓄電装置20は第1の電圧値が最大電圧値に達するまでは、第2の電圧値V2で充電を実施する。それぞれの蓄電装置20は第1の電圧値が最大電圧値に達すると、他の蓄電装置20の充電が継続している場合には、自装置の充電を終了する。一方で、それぞれの蓄電装置20は第1の電圧値が最大電圧値に達すると、他の蓄電装置20の充電が継続していない場合には、自装置の充電を継続する。構成例2のスイッチング部25を備える蓄電装置20による充電処理は、図10を参照して上述した構成例1のスイッチング部25を備える蓄電装置20による充電処理と同様である。
(蓄電システムの動作例3)
図1、図4を参照して、蓄電装置20が構成例3のスイッチング部25を備える蓄電システム1の放電時の動作例を説明する。放電時の蓄電システム1の動作は、図1、図3、図11を参照して上述した構成例2の蓄電装置20を有する蓄電システム1と同様である。蓄電システム1の放電時に、パワーコンディショナ10は、蓄電装置20A、20B及び20Cの第1の電圧値の最小値を第2の電圧値に指定して放電させる制御信号を蓄電装置20A、20B及び20Cに送信する。蓄電装置20A、20B及び20Cは放電の制御信号を受信すると、それぞれの蓄電部22にかかる第1の電圧値Va、Vb及びVcと、制御信号に含まれる第2の電圧値V2とを比較する。蓄電装置20A、20B及び20Cは第1の電圧値と第2の電圧値の差が所定の範囲内であれば第1の電圧値のまま放電を実施し、第1の電圧値と第2の電圧値の差が所定の範囲内になければ第1の電圧値から第2の電圧値まで降圧して放電を実施する。それぞれの蓄電装置20の放電が進み、全ての蓄電装置20の第1の電圧値が第2の電圧値と等しくなると、蓄電装置20は変圧せずに第1の電圧値で放電を行う。その後、それぞれの蓄電装置は、放電の終了条件が満たされると、放電を終了する。構成例3のスイッチング部25を備える蓄電装置20による放電処理は、図12を参照して上述した構成例2のスイッチング部25を備える蓄電装置20による放電処理と同様である。
図1、図4及び図13を参照して、蓄電装置20が構成例3のスイッチング部25を備える蓄電システム1の充電時の動作例を説明する。蓄電装置20A、20B及び20Cのそれぞれが満充電まで充電された際の第1の電圧値Va、Vb及びVcを最大電圧値Vamax、Vbmax及びVcmaxとする。パワーコンディショナ10は、充電対象とする蓄電装置20のいずれかが最大電圧値に達するまでは定電流制御を行い、達した場合には定電圧制御を行う。そのために、蓄電システム1の充電時に、パワーコンディショナ10は、蓄電装置20A、20B及び20Cの第1の電圧値の最小値を第2の電圧値に指定して充電させる制御信号を蓄電装置20A、20B及び20Cに送信する。
充電の初期段階では定電流制御が行われる。図13の時刻t1において、蓄電装置20Cの第1の電圧値VcがVcmaxに達するまでは、蓄電装置20A、20B及び20Cの第1の電圧値Va、Vb及びVcには等しい電圧がかかる。そのため、第2の電圧値V2=Va=Vb=Vcのまま充電が進められる。蓄電装置20A、20B及び20Cのそれぞれは自装置の蓄電部22にかかる第1の電圧値Va、Vb及びVcと制御信号に含まれる第2の電圧値V2とを比較する。蓄電装置20A、20B及び20Cのそれぞれは、第1の電圧値と第2の電圧値の差が所定の範囲内であるため、スイッチング部25で昇圧を行わずに第2の電圧値で充電を実施する。
その後、時刻t1において、蓄電装置20Cの第1の電圧値Vcが最大電圧値Vcmaxに達すると、蓄電装置20Cの第1の電圧値Vcはそれ以上上昇できないため、蓄電装置20Cの第1の電圧値Vcと第2の電圧値V2との差が所定の範囲を超える。以後、パワーコンディショナ10からは蓄電装置20Cの第1の電圧値Vc=Vcmaxを第2の電圧値に指定して充電させる制御信号が送信されるため、自然放電を補うトリクル充電による定電圧制御が行われる。一方で、蓄電装置20A及び20Bは、時刻t1以降、第2の電圧値V2=Vc<Vb<Vaであるため、入力された電力を第2の電圧値V2を、時刻t1までの自装置の定電流制御を維持する第1の電圧値Va又はVbまで昇圧する。蓄電装置20Bは時刻t2において第1の電圧値Vbが最大電圧値Vbmaxに達すると、第1の電圧値Vbをそれ以上上昇させられないため、入力された電力を第2の電圧値V2から第1の電圧値Vbまで昇圧させる。そのため、蓄電装置20Bは充電の終了条件が満たされるまで、自然放電を補うトリクル充電による定電圧制御が行われる。蓄電装置20Aも同様に、時刻teにおいて第1の電圧値Vaが最大電圧値Vamaxに達すると、それ以降は入力された電力を第2の電圧値V2から第1の電圧値Vaまで昇圧させて、定電圧制御が行われる。
(蓄電装置の処理例4)
図14を参照して、本開示の一実施形態に係る蓄電装置である蓄電装置20が実行する処理の一例を説明する。本処理は、構成例3のスイッチング部25を備える蓄電装置20による充電処理である。
ステップS501:制御部21は、測定部23により第1の電圧値を測定する。
ステップS502:制御部21は、第1の電圧値を示す信号を送信する。
ステップS503:制御部21は、第2の電圧値を示す信号を受信する。
ステップS504:制御部21は、第1の電圧値と第2の電圧値の電位差が所定の範囲内か否かを判定する。
ステップS505:制御部21は、電位差が所定の範囲内である場合(ステップS504-Yes)、スイッチング部25で昇圧せずに充電を実施する。
ステップS506:制御部21は、電位差が所定の範囲内にない場合(ステップS504-No)、第1の電圧値と最大電圧値の電位差が所定の範囲内か否かを判定する。
ステップS507:制御部21は、電位差が所定の範囲内である場合(ステップS506-Yes)、スイッチング部25で昇圧して定電圧制御による充電を実施する。
ステップS508:制御部21は、電位差が所定の範囲内にない場合(ステップS506-No)、スイッチング部25で昇圧して定電流制御による充電を実施する。
ステップS509:制御部21は、充電の終了条件が満たされたか否かを判定する。制御部21は、終了条件が満たされた場合(ステップS509-Yes)、本処理を終了する。制御部21は、終了条件が満たされていない場合(ステップS509-No)、S501から本処理を繰り返す。
(蓄電システムの動作例4)
図1、図5、図15を参照して、蓄電装置20が構成例4のスイッチング部25を備える蓄電システム1の放電時の動作例を説明する。蓄電システム1の放電時に、パワーコンディショナ10は、蓄電装置20A、20B及び20Cの第1の電圧値の最大値を第2の電圧値に指定して放電させる制御信号を蓄電装置20A、20B及び20Cに送信する。上述した蓄電システム1の動作例3では、蓄電装置20の第1の電圧値の最小値が第2の電圧値に指定されていたのに対し、本動作例では、最大値が第2の電圧値に指定されるため、蓄電装置20に対して動作例3と逆方向の電圧制御が行われる。図15において、パワーコンディショナ10は、時刻tsにおいて、蓄電システム1の放電を開始させる場合、第2の電圧値V2をVaとする。蓄電装置20A、20B及び20Cは放電の制御信号を受信すると、それぞれの蓄電部22にかかる第1の電圧値Va、Vb及びVcと、制御信号に含まれる第2の電圧値V2とを比較する。蓄電装置20A、20B及び20Cは第1の電圧値と第2の電圧値の差が所定の範囲内であれば第1の電圧値のまま放電を実施し、第1の電圧値と第2の電圧値の差が所定の範囲内になければ第1の電圧値から第2の電圧値まで昇圧して放電を実施する。蓄電装置20Aは、時刻ts以降、変圧せずに第1の電圧値Vaで放電を行う。蓄電装置20Bは、時刻tsから時刻t1までは第1の電圧値Vbから第2の電圧値V2まで昇圧して放電を実施し、時刻t1において、自装置と蓄電装置20Aとの電位差が所定の範囲内になると、それ以降は変圧せずに第1の電圧値Vbで放電を行う。蓄電装置20Cも同様に、時刻tsから時刻t2までは第1の電圧値Vcから第2の電圧値V2まで昇圧して放電を実施する。蓄電装置20Cは、時刻t2において、自装置と蓄電装置20A及び20Bとの電位差が所定の範囲内になると、それ以降は変圧せずに第1の電圧値Vbで放電を行う。時刻t2以降は、蓄電装置20A、20B及び20Cは変圧せずに放電を行い、放電の終了条件が満たされると、放電を終了する。
(蓄電装置の処理例5)
図16を参照して、本開示の一実施形態に係る蓄電装置である蓄電装置20が実行する処理の一例を説明する。本処理は、構成例4のスイッチング部25を備える蓄電装置20による放電処理である。
ステップS601:制御部21は、測定部23により第1の電圧値を測定する。
ステップS602:制御部21は、第1の電圧値を示す信号を送信する。
ステップS603:制御部21は、第2の電圧値を示す信号を受信する。
ステップS604:制御部21は、第1の電圧値第2の電圧値の電位差が所定の範囲内か否かを判定する。
ステップS605:制御部21は、電位差が所定の範囲内である場合(ステップS604-Yes)、スイッチング部25で昇圧せずに放電を実施する。
ステップS606:制御部21は、電位差が所定の範囲内にない場合(ステップS604-No)、スイッチング部25で昇圧して放電を実施する。
ステップS607:制御部21は、放電の終了条件が満たされたか否かを判定する。制御部21は、終了条件が満たされた場合(ステップS607-Yes)、本処理を終了する。制御部21は、終了条件が満たされていない場合(ステップS607-No)、S601から本処理を繰り返す。
図1、図5及び図17を参照して、蓄電装置20が構成例3のスイッチング部25を備える蓄電システム1の充電時の動作例を説明する。蓄電システム1の充電時に、パワーコンディショナ10は、蓄電装置20A、20B及び20Cの第1の電圧値の最大値を第2の電圧値に指定して充電させる制御信号を蓄電装置20A、20B及び20Cに送信する。上述した蓄電システム1の動作例3では、蓄電装置20の第1の電圧値の最小値が第2の電圧値に指定されていたのに対し、本動作例では、最大値が第2の電圧値に指定されるため、蓄電装置20に対して動作例3と逆方向の電圧制御が行われる。蓄電システム1の充電時に、パワーコンディショナ10は、蓄電装置20A、20B及び20Cの第1の電圧値の最大値を第2の電圧値に指定して充電させる制御信号を蓄電装置20A、20B及び20Cに送信する。蓄電装置20A、20B及び20Cのそれぞれが満充電まで充電された際の第1の電圧値Va、Vb及びVcを最大電圧値Vamax、Vbmax及びVcmaxとする。パワーコンディショナ10は、充電対象とする全ての蓄電装置20がそれぞれの最大電圧値に達するまでは定電流制御を行い、達した場合には定電圧制御を行う。それぞれの蓄電装置20は第1の電圧値が最大電圧値に達するまでは、降圧せずに第2の電圧値V2で充電を実施する。それぞれの蓄電装置20は第1の電圧値が最大電圧値に達すると、自装置の充電を第2の電圧値を第1の電圧値まで降圧して充電を実施する。蓄電装置20Cは、時刻t1において第1の電圧値Vcが最大電圧値Vcmaxに達するまでは降圧せず第2の蓄電装置V2のまま充電を継続し、時刻t1以降は、第2の電圧値V2から第1の電圧値Vcまで降圧して充電を実施する。蓄電装置20Bは、時刻t2において第1の電圧値Vbが最大電圧値Vbmaxに達するまでは降圧せず第2の蓄電装置V2のまま充電を継続し、時刻t2以降は、第2の電圧値V2から第1の電圧値Vbまで降圧して充電を実施する。蓄電装置20Aは、時刻teにおいて第1の電圧値Vaが最大電圧値Vamaxに達するまでは降圧せず第2の電圧値V2のまま充電を継続する。蓄電装置20Aは、時刻t2以降も、第2の電圧値V2は第1の電圧値Vaと等しいので、降圧せず第2の電圧値V2のまま充電を継続する。
(蓄電装置の処理例6)
図18を参照して、本開示の一実施形態に係る蓄電装置である蓄電装置20が実行する処理の一例を説明する。本処理は、構成例4のスイッチング部25を備える蓄電装置20による充電処理である。
ステップS701:制御部21は、測定部23により第1の電圧値を測定する。
ステップS702:制御部21は、第1の電圧値を示す信号を送信する。
ステップS703:制御部21は、第2の電圧値を示す信号を受信する。
ステップS704:制御部21は、第1の電圧値と第2の電圧値の電位差が所定の範囲内か否かを判定する。
ステップS705:制御部21は、電位差が所定の範囲内である場合(ステップS704-Yes)、スイッチング部25で降圧せずに充電を実施する。
ステップS706:制御部21は、電位差が所定の範囲内にない場合(ステップS704-No)、第1の電圧値と最大電圧値の電位差が所定の範囲内か否かを判定する。
ステップS707:制御部21は、電位差が所定の範囲内である場合(ステップS706-Yes)、スイッチング部25で降圧して定電圧制御による充電を実施する。
ステップS708:制御部21は、電位差が所定の範囲内にない場合(ステップS706-No)、スイッチング部25で降圧して定電流制御による充電を実施する。
ステップS709:制御部21は、充電の終了条件が満たされたか否かを判定する。制御部21は、終了条件が満たされた場合(ステップS709-Yes)、本処理を終了する。制御部21は、終了条件が満たされていない場合(ステップS709-No)、S701から本処理を繰り返す。
以上述べたように、本実施形態によれば、蓄電装置20は、電線を介して他の蓄電装置と並列に接続される端子部24と、蓄電部22と、端子部24と蓄電部22との間に設けられたスイッチング部25と、蓄電部22にかかる第1の電圧値を測定する測定部23と、端子部24にかかる第2の電圧値を示す信号を受信する通信部27と、第1の電圧値と第2の電圧値とに基づいてスイッチング部25を制御する制御部21とを備える。かかる構成によれば、蓄電装置20は、並列に接続された他の蓄電装置20が充放電する電力の電圧値に応じて、自装置の充放電を制御することができる。そのため、蓄電部22の電圧値の異なる複数の蓄電装置20、或いは蓄電部22の劣化度の異なる複数の蓄電装置20を並列に接続して使用することが可能になる。これにより、既に稼働したことのあるパワーコンディショナ10及び蓄電装置20が接続された蓄電システム1に、新品の蓄電池、或いは既設の蓄電装置20とは劣化度の異なる蓄電部22を有する蓄電装置を増設することが可能となる。このように、電圧値の異なる複数の蓄電装置に電力を充放電させる技術の有用性が向上する。
本実施形態によれば、蓄電装置20の制御部21は、スイッチング部25を制御して、端子部24と蓄電部22との電力の入出力の可否を切り替える。かかる構成によれば、蓄電装置20は、並列に接続された他の蓄電装置20が充放電する電力の電圧値に応じて、自装置の充放電を実施及び停止し得る。これにより、電圧値の異なる複数の蓄電装置に電力を充放電させる技術の有用性が向上する。
本実施形態によれば、蓄電装置20の制御部21は、スイッチング部25を制御して、端子部24と蓄電部22との間で入出力される電力を変圧する。かかる構成によれば、蓄電装置20は、並列に接続された他の蓄電装置20の充放電の電圧値に応じて、自装置が充放電する電力の電圧値を変圧し得る。これにより、電圧値の異なる複数の蓄電装置に電力を充放電させる技術の有用性が向上する。
本実施形態によれば、第2の電圧値を示す信号には、他の蓄電装置20の蓄電部22にかかる電圧値が含まれる。かかる構成によれば、蓄電装置20の制御部21は、受信した信号に含まれる他の蓄電装置20の蓄電部22にかかる電圧値に基づいて、自らが第2の電圧値を算出することができる。これにより、例えばパワーコンディショナ10等の蓄電システム1に含まれる他の機器が第2の電圧値を算出する機能を有さない場合でも、本開示にかかる処理が実施可能となり、電圧値の異なる複数の蓄電装置に電力を充放電させる技術の有用性が向上する。
前述の実施形態は代表的な例として説明したが、本開示の趣旨及び範囲内で、多くの変更及び置換ができることは当業者に明らかである。従って、本開示は、前述の実施形態によって制限するものと解するべきではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形又は変更が可能である。例えば、各手段又は各ステップ等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段又はステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
例えば、前述した実施形態において、蓄電システム1に含まれる複数の蓄電装置20には経年劣化による差はあるものの、同一の設計容量を有するものとして説明したが、この限りではない。本開示の蓄電システム1において、経年劣化によらず、当所から設計容量の異なる複数の蓄電装置20を並列に接続されてもよい。
例えば、前述した実施形態において、蓄電装置は、外部に電力を供給し、外部からの電力を充電できる任意の機器であってもよい。蓄電装置には、例えば、太陽電池、風力発電装置、水力発電装置及び燃料電池等を含む任意の電源装置が含まれてもよい。かかる場合、前述した蓄電装置の蓄電部は、発電して電力を供給する電源装置と電力を充放電する蓄電装置の組合せであってもよい。
例えば、前述した実施形態において、蓄電装置20は、通信部27において第2の電圧値を示す信号を受信し、第1の電圧値と第2の電圧値とに基づいてスイッチング部25を制御する例を示したが、この限りではない。蓄電装置20は、自装置の蓄電部22が入出力する第1の電流値を測定する第2測定部35を備え、通信部27において第2の電流値を示す信号を受信し、第1の電流値と第2の電流値とに基づいてスイッチング部25を制御してもよい。以下に、蓄電装置20によって第1の電流値と第2の電流値とに基づくスイッチング部25の制御する実施形態について説明する。
第2測定部35は、蓄電部22が入出力する電流値を測定する。第2測定部35は、電流計であってもよい。本明細書において、第2測定部35により測定された蓄電部22が入出力する電流値を第1の電流値ともいう。第2測定部35は、測定した電流値を、制御部21に送信する。第2測定部35は、任意の位置に設置されてもよい。例えば、第2測定部35は、電線31Aの開閉器26の近傍に設置されてもよい。
制御部21は、通信部27により、第2の電流値を示す信号を受信する。制御部21は、当該信号を任意の方法で受信してもよい。例えば、制御部21は、他の機器が所定の時間間隔等で送信する第2の電流値を示す信号を受信してもよい。或いは、制御部21は、通信部27により、第2の電流値を示す信号の送信要求を他の機器に送信し、当該送信要求に基づき他の機器が送信した第2の電流値を示す信号を受信してもよい。
第2の電流値を示す信号には、第2の電流値又は第2の電流値を算出するために用いられる情報が含まれてもよい。例えば、第2の電流値を示す信号には、パワーコンディショナ10によって蓄電システム1に含まれる蓄電装置20の蓄電部22が入出力する電流値に基づいて算出された第2の電流値が含まれていてもよい。かかる場合、第2の電流値は、例えば、それぞれの蓄電装置20が備える電線31Aの電流を測定する電流計によって測定され得る。第2の電流値は、例えば、それぞれの蓄電装置20の蓄電部22が入出力する電流値の最大値、最小値、又は平均値であってもよい。それぞれの蓄電装置20に送信される第2の電流値を示す信号には、等しい第2の電流値が設定されてもよく、それぞれの蓄電装置20ごとに異なる第2の電流値が設定されてもよい。それぞれの蓄電装置20の制御部21は、第2の電流値に基づいて放電又は充電を行うように自装置を制御する。また、第2の電流値を示す信号には、第2の電流値を算出するために用いられる情報が含まれていてもよい。かかる場合、蓄電装置20の制御部21は、受信した第2の電流値を算出するために用いられる情報から第2の電流値を算出してもよい。蓄電装置20の制御部21は、算出した第2の電流値に基づいて放電又は充電を行うように自装置を制御する。第2の電流値を算出するために用いられる情報には、例えば、他の蓄電装置20で測定された電圧値又は電流値、或いは、上述した他の蓄電装置20の蓄電部22のSOC又はSOH等が含まれてもよい。
第2の電流値を示す信号には、上述した第2の電流値又は第2の電流値を算出するために用いられる情報に加えて、その他の情報が含まれてもよい。例えば、第2の電流値を示す信号には、蓄電装置に対する充電又は放電等の動作をさせる制御命令が含まれてもよい。これにより、第2の電流値を示す信号は、例えば、第2の電流値を指定して放電させる制御信号、又は第2の電流値を指定して充電させる制御信号として用いられ得る。その他の情報には、更に、動作の開始条件及び終了条件、制御の開始時間及び終了時間、或いは制御の継続時間等の任意の情報が含まれてもよい。これにより、第2の電流値を示す信号を用いて、より詳細な制御指示を蓄電装置20に伝達することが可能となる。
制御部21は、第1の電流値と第2の電流値とに基づいて、スイッチング部25を制御して、端子部24と蓄電部22との間で入出力される電力を変圧してもよい。制御部21は、例えば、第1の電流値と第2の電流値との差を算出してもよい。以下、第1の電流値と第2の電流値との差を、単に電流値の差ともいう。制御部21は、電流値の差が所定の範囲内にないと判定されると、スイッチング部25に入力された電力を昇圧又は降圧させて、電流値の差が所定の範囲内になるようにスイッチング部25を制御してもよい。制御部21は、電流値の差が所定の範囲内にあると判定されると、スイッチング部25に入力された電力を変圧せずにそのまま出力するようにスイッチング部25を制御してもよい。
例えば、蓄電装置20Aの制御部21は、自装置の第1の電流値よりも大きい第2の電流値を指定して放電させる制御信号を受信した場合、スイッチング部25により第1の電流値と第2の電流値との差が所定の範囲内になるように電力を昇圧して、放電を実施する。その後、自装置の第1の電流値と第2の電流値との電位差が所定の範囲になったのち、第2の電流値を指定して放電させる制御信号を受信した場合、制御部21は、スイッチング部25により電力を昇圧せずに、放電を実施する。これにより、蓄電システム1に含まれるそれぞれの蓄電装置20の蓄電部22の電圧が異なっている場合においても、蓄電システム1は、それぞれの蓄電装置20に出力させた電流を合わせた電流を外部に供給することができる。
かかる構成によれば、蓄電システム1は、蓄電システム1に含まれるそれぞれの蓄電装置20の最大放電電流値を超えた電流を外部に供給することができる。図19を参照して、放電初期における蓄電システム1の動作を説明する。例えば、蓄電システム1にそれぞれの最大放電電流値が1.5Aである蓄電装置20A及び20Bが含まれるとする。図19において、蓄電システム1は、蓄電装置20A及び20Bのうち、放電開始時刻tsにおける電圧の高い蓄電装置20Aからの電流を、電圧の低い蓄電装置20Bからの電流より多くなるように制御する。蓄電システム1は、蓄電装置20A及び20Bにスイッチング部25を制御させて、蓄電装置20Aに1.5Aの電流を、蓄電装置20Bに0.5Aの電流を出力させることにより、合計2.0Aの電流を外部に供給する。その後、蓄電装置20A及び20Bの放電が進み、時刻tmにおいて、両者の電圧が揃うと、蓄電システム1は、蓄電装置20A及び20Bにスイッチング部25の制御を終了させて、蓄電装置20A及び20Bのそれぞれから等しく1.0Aの電流を出力させることにより、時刻tm以降も合計2.0Aの電流の外部への供給を維持してもよい。
図20を参照して、放電末期における蓄電システム1の動作を説明する。例えば、蓄電システム1にそれぞれの最大放電電流値が1.5Aである蓄電装置20A及び20Bが含まれるとする。また、蓄電装置20A及び20Bはそれぞれ電圧値がVaend及びVbendとなった時点で放電を終了するとする。以降、電圧値Vaend及びVbendを放電末電圧値ともいう。図20において、蓄電システム1は、時刻tdまでは蓄電装置20A及び20Bにスイッチング部25の制御をさせず、それぞれの蓄電装置20A及び20Bから等しく1.0Aの電流を出力させることにより、合計2.0Aの電流の外部への供給を行う。時刻tdにおいて、蓄電システム1は、蓄電装置20A及び20Bのうち、放電末電圧値の低い蓄電装置20Bからの電流を、放電末電圧値の高い蓄電装置20Aからの電流より多くなるように制御する。蓄電システム1は、蓄電装置20A及び20Bにスイッチング部25を制御させて、蓄電装置20Aに0.5Aの電流を、蓄電装置20Bに1.5Aの電流を出力させることにより、時刻td以降も合計2.0Aの電流の外部への供給を維持してもよい。その後、蓄電システム1は、時刻teにおいて、蓄電装置20A及び20Bの電圧値が放電末電圧値に至るまで、蓄電装置20A及び20Bに電流を出力させてもよい。このように、蓄電システム1において、蓄電システム1に含まれる蓄電装置20のそれぞれは、等しく放電末電圧値に至るように放電を制御されてもよい。