以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。以下の実施形態は、本発明の患者状態表示装置を適用した一例であり、発明の内容が、本実施形態に限定されるものではないのは勿論である。
[1.システム全体]
まず、本実施形態におけるシステム全体について説明する。図1は、患者状態表示装置を組み込んだ患者状態表示システム1の全体を説明するための図である。
まず、患者Pが、ベッド3に載置されるマットレス5の上に横臥している。そして、ベッドには状態検出装置20が設けられている。
状態検出装置20は、連続的に患者の生体情報を取得可能な装置であり、例えば患者の体重、体動、血圧、血糖値といった値を取得している。状態検出装置20の一例としては、例えば図1に示すように、ベッド3と、マットレス5の間に設けられても良いし、センサを患者に設けることにより、状態を検出しても良い。また、ベッド装置に直接設ける(例えば、アクチュエータに係る荷重を利用する)構成としてもよい。そして、状態検出装置20は、患者状態表示装置10と接続されている。
患者状態表示装置10は、状態検出装置20と接続されたり、測定装置60と接続されたり、ネットワークを介して他のサーバ装置等に接続されたりしている。また、認証カード65を患者状態表示装置10にかざすことにより、認証処理(ログイン処理)を実現することが可能となる。
ログインは、例えばスタッフ(看護師、医師、介護スタッフ)等の権限を有する者により行われる。ログインすることで、生体情報値や、アラームの内容を確認したり、電子カルテに登録したりすることができる。また、ログイン者毎に権限を設定し、操作ができる範囲を変えることができてもよい。
ネットワークには、例えば、サーバ30と、電子カルテサーバ40と、端末装置50と、携帯端末装置55とが接続されている。
サーバ30は、各種サービスを提供するサーバであり、病院内や施設内のLANに接続されていてもよいし、インターネットを介して外部に設けられていてもよい。
電子カルテサーバ40は、患者に関する電子カルテの情報を記憶しているサーバである。通常は、病院内や施設内のネットワークに接続されているが、例えば外部のクラウドサーバを利用しても良い。
端末装置50は、ナースステーションや管理室において接続するための端末装置であり、離れていても患者状態表示装置10の状態を把握することが可能となる。また、携帯端末装置55は、例えばLANに無線で接続可能となっており、看護師や介助スタッフ等が患者状態表示装置10の情報を容易に確認することが出来るようになっている。
患者状態表示装置10について、図2を用いて詳しく説明する。患者状態表示装置10は、表示端末1000と、接続装置2000とを含めて構成されている。表示端末1000は、例えばタブレット型の表示端末であり、各種情報を表示したり、各種操作の入力を受け付けたりする。表示端末1000としては、患者状態表示装置10を構成する専用の端末であってもよいし、汎用のタブレット端末に、アプリケーション(プログラム)をインストールして実現する事としてもよい。
接続装置2000は、表示端末1000と各種装置とを接続するための装置である。すなわち、種々の装置のハブ的な役割を果たしている。例えば、図1で示したように、状態検出装置20と接続されることにより、連続的に患者の生体情報を取得可能であり、測定装置60(例えば、体温計)から生体情報を受信したり、患者の身につける装置(例えば腕時計型のウエアラブルの測定装置)から生体情報を受信したりすることも可能である。また、認証カード65が、例えば、通信部220に接続されることにより、認証処理(例えば、患者の認証や、スタッフの認証)も実現可能である。なお、認証方法としては、本実施形態においては近距離無線通信の一例としてNFCを利用しているが、例えば、バーコードや、赤外線、ICタグといった他の方法を利用して認証することとしてもよい。
また、報知部260が設けられており、例えばエラーが発生した場合に報知することが可能である。更に、LAN(LANは有線LANであっても無線LANであっても良い)を介したサーバ装置等とも接続可能である。この報知部260は、普段は見えない状態であり、報知するときだけ点灯する(表示される)構成であっても良い。また、表示ではなく、例えば、アラーム音や警告音、音声といった音で報知したり、光で報知するといった構成であっても良い。
なお、本実施形態では、表示端末1000は、接続装置2000の上に置いて使用されることとして説明しているが、表示端末1000と、接続装置2000は分離して使用してもよい。例えば、表示端末1000を持ち出して別の場所で利用したり、接続装置2000をベッド装置に内蔵し、表示端末1000を別に使用したりしてもよい。
[2.機能構成]
つづいて、本実施形態における機能構成について、図を用いて説明する。図3は、患者状態表示装置10のうち、表示端末1000と、接続装置2000との機能構成を説明するための図である。
[2.1 表示端末]
まず、表示端末1000の機能構成について説明する。表示端末1000には、制御部100と、記憶部110と、装置通信部150と、操作部160と、表示部170と、LAN通信部180とを有して構成されている。
制御部100は、表示端末1000の全体を制御するための機能部である。制御部100は、記憶部110に記憶されている各種プログラムを読み出して実行することにより各種機能を実現しており、例えばCPU(Central Process Unit)等により構成されている。
記憶部110は、表示端末1000の動作に必要な各種プログラムや、各種データが記憶されている機能部である。記憶部110は、例えば、半導体メモリや、HDD(Hard Disk Drive)等により構成されている。
また、記憶部110には、図4に示すように、生体情報112と、個別電子カルテデータ120と、アラーム閾値テーブル122とが記憶されており、プログラムとして、メインプログラム132と、アラームプログラム134と、患者状態表示プログラム136と、生体情報表示プログラム138と、電子カルテ登録プログラム140と、生体グラフ表示プログラム142とが記憶されている。
生体情報112は、状態検出装置20から連続的に検出される生体情報である連続生体情報114と、任意のタイミングで測定装置60から受信された測定生体情報116とが記憶されている。なお、連続生体情報や、測定生体情報は、必要に応じて手入力をすることも可能である。
また、連続生体情報は、検出した分について蓄積情報として蓄積生体情報118にも記憶される。例えば、10秒毎に生体情報値として検出されている場合は、当該生体情報値は蓄積生体情報118にも記憶される。なお、蓄積生体情報118は、所定期間分記憶されても良い。また、時間帯によって記憶される(例えば、就寝時だけ記憶される)という設定にしても良い。
ここで、連続生体情報114のデータ構造の一例を図5に示す。本実施形態の連続生体情報114は、状態検出装置20から検出される生体情報の値や、他の患者から状態が検出可能な生体情報の値が記憶されている。
すなわち、連続的に検出可能な値に基づいて記憶されている。例えば、測定日時(例えば、「2015/05/16 20:00」)と、生体情報の種類に対応する値として、脈拍数(例えば、「126」)と、体温(例えば、「37.2」)と、呼吸数(例えば、「15」)と、SpO2(例えば、「99」)とが記憶されている。すなわち、連続生体情報114は、予め決められた測定値をいつでも取得可能である。連続生体情報114を取得する方法としては、状態検出装置20から取得してもよいし、ベッド3に設けた検出装置から取得してもよい。また、患者の体に各種センサを設けて取得してもよい。
そして、各種取得された生体情報をまとめて連続生体情報として管理可能となっている。これらの生体情報の値は、必要に応じて検出される項目は異なる(例えば、体動検出センサのみを使った場合は、体動状態、睡眠状態、患者姿勢(離床・在床・おきあがり)、脈拍数、呼吸数が連続生体情報として検出される)。
測定生体情報116は、体温計や血圧計、体脂肪計といった外部の測定装置から受信される生体情報が記憶される。例えば、図6に示すように、本実施形態の測定生体情報116として、受信日時(例えば、「2015/05/16 20:00」)と、生体情報の種類(例えば、「体温」)毎に、その値(例えば、「37.2」)とが記憶されている。また、例えば、最高血圧(例えば、「159」)と、最低血圧(例えば、「98」)とが記憶されている。
また、検出された連続生体情報114や、測定生体情報116は、所定期間記憶されていてもよい。記憶される期間としては、例えば、1日分や3日分のデータが記憶される。また、連続生体情報114や測定生体情報116は、サーバ30に記憶されることとしても良い。
個別電子カルテデータ120は、患者個人の電子カルテデータが記憶されている。この患者個人の電子カルテデータを集めたものが、電子カルテサーバ40に記憶されている。なお、個別電子カルテデータ120のデータ構造は、電子カルテサーバ40に記憶されているものと同一のものであるため、詳細は後述する。すなわち、患者情報の他に、登録された時点の連続生体情報、測定生体情報等が登録されている。
なお、本実施形態では、記憶部110に記憶されていることとして説明するが、直接電子カルテサーバ40のデータを利用しても良い。この場合は、記憶部110に個別電子カルテデータ120は記憶しなくて良い。
アラーム閾値テーブル122は、各種生体情報の値に対してアラーム閾値を記憶している。測定された(受信された)生体情報の値が、アラーム閾値を超えた場合に、報知を実行したり、エラー処理を行ったりする。このアラーム閾値は予め設定されてあってもよいし、任意に設定しても良い。
図7にアラーム閾値テーブル122の一例を示す。図7に示すように、生体情報毎に上限値と下限値とのアラーム閾値が記憶されている。また、アラーム閾値は、アラームの種類によって複数記憶することができる。また、本実施形態では、アラーム閾値により注意レベルと、警告レベルとで2段階記憶している。
例えば、生体情報の一つである「脈拍」については、生体情報値として脈拍数の閾値(注意レベル、警告レベルとなる範囲の閾値)が記憶されている。そして、上限閾値として、注意レベルは「110」、警告レベルは「130」と記憶されている。また、下限閾値として、注意レベルは「60」、警告レベルは「30」と記憶されている。
例えば、脈拍数が130以上又は30以下の場合は警告レベルの範囲に含まれていると判断することができる。また、脈拍数が「110以上130未満」又は「30より大きく60以下」の場合は注意レベルの範囲に含まれていると判断することができる。なお、当該閾値を超えた場合(例えば、警告レベルの範囲の脈拍数が130より大きい場合又は30未満の場合)であっても良い。
なお、本実施形態では、説明の都合上注意レベルと警告レベルと2段階で説明しているが、それ以上の範囲を設定してもよいことは勿論である。
患者状態識別情報124は、患者の状態について記憶するための情報である。患者状態識別情報を利用して、後述する患者状態識別表示が行われることとなる。本実施形態では、ログアウトから現在までの区間の患者の生体情報に基づいて判断される患者状態識別情報(区間患者状態識別情報)と、現在の患者の生体情報に基づいて判断される患者状態識別情報(現在患者状態識別情報、第1患者状態識別情報)とが記憶される。
ここで、患者状態識別情報には、「正常」「注意」「警告」の状態が記憶される。正常とは、患者の生体情報値が、アラーム閾値範囲内(注意レベルでも警告レベルでもない範囲)に入っている場合である。また、「注意」は、患者の生体情報値のうち、注意レベルの閾値範囲内に入っている生体情報値がある場合である。同様に、「警告」は、患者の生体情報値のうち、警告レベルの閾値範囲内に入っている生体情報値がある場合である。
また、区間患者状態識別情報は、本実施形態では前回のログアウトから現在までの時の生体情報値に基づいて判断されるが、例えば、前々回のログアウトから前回のログイン時の間の生体情報値に基づいて別の区間患者状態識別情報を更に記憶してもよい。
なお、本実施形態においては、生体情報値のうち、一つでも該当すれば患者状態識別情報は変化することとするが、複数の生体情報値が注意レベルや警告レベルとなったときに患者状態識別情報を更新するとしても良い。また、患者状態識別情報は1つではなく、生体情報毎や、所定のグループ毎に記憶させることとしても良い。例えば、所定のグループとしては、連続生体情報、測定生体情報とを分けて、それぞれの患者の状態に基づいた患者状態識別情報を判定し、記憶してもよい。
また、記憶部110に記憶されているプログラムは、制御部100が読み出して各種機能を実現することが出来る。具体的には、メインプログラム132を読み出して実行することによりメイン機能が、アラームプログラム134を読み出して実行することにより、アラーム機能が、患者状態表示プログラム136を読み出して実行することにより、患者状態表示機能が、生体情報表示プログラム138を読み出して実行することにより、生体情報表示機能が、電子カルテ登録プログラム140を読み出して実行することにより、電子カルテ登録機能が、生体グラフ表示プログラム142を読み出して実行することにより、生体グラフ表示機能がそれぞれ実現される。
なお、本実施形態においては、各種プログラムは記憶部110に記憶されることとしているが、例えばサーバ側で実行されてもよい。この場合、例えば、サーバに各種情報を送信し、サーバで実行されて出力された結果を受信すれば良い。このように、各プログラムは患者状態表示装置10で実行されても良いし、サーバ側で実行される、例えばASP(Application Service Provider)のような方式で提供されても良い。
装置通信部150は、後述する装置通信部250と通信を行う為の機能部である。本実施形態では、例えばUSBで接続し、通信が行われることとして説明するが、例えば他の汎用的な接続方法であったり、無線(Bluetooth(登録商標)や、無線LAN等)で接続されたりしてもよい。また、専用の接続インタフェースを設けて、通信を行っても良い。
操作部160は、利用者からの操作入力を受け付ける機能部であり、例えばタッチパネルにより実現されるソフトウェアキーであったり、キーボード、マウス等の入力装置であったりしてもよい。また、音声入力等を利用してもよい。
表示部170は、利用者に対して各種情報を表示したり、報知処理を行ったりする機能部である。例えば、液晶ディスプレイ等により実現されている。また、操作部160と、表示部170とが一体に形成されたタッチパネルにより実現されてもよい。
LAN通信部180は、LANに接続可能なインタフェース部である。Ethernet(登録商標)に接続するためのNIC等により構成される。なお、LAN通信部180は、接続装置2000に設けてもよい。この場合、送信されるデータは、一度装置通信部150(250)を介して接続装置2000に送られた後、ネットワークに送信される。なお、LANに接続するためには、有線で接続されても良いし、無線で接続されても良い。
[2.2 接続装置]
つづいて、接続装置2000の機能構成について説明する。接続装置2000は、制御部200と、記憶部210と、通信部220と、インタフェース部230と、装置通信部250と、報知部260とを有して構成されている。
制御部200は、接続装置2000の全体を制御するための機能部である。制御部200は、記憶部210に記憶されている各種プログラムを読み出して実行することにより各種機能を実現しており、例えばCPU(Central Process Unit)等により構成されている。
記憶部210は、接続装置2000の動作に必要な各種プログラムや、各種データが記憶されている機能部である。記憶部210は、例えば、半導体メモリや、HDD(Hard Disk Drive)等により構成されている。
通信部220は、他の装置や、認証カードと通信を行う為の機能部である。例えば、近距離無線通信として、NFC(Near Field Communication)通信を行うことが可能である。NFC通信の場合、認証カード65がかざされることにより、認証処理が実行される。また、測定装置60がNFC通信機能を有している場合には、測定装置60をかざすことにより、接続装置2000を介して生体情報を受信可能である。なお、測定装置60としては、例えばスマートフォンのような装置であっても良いし、時計のようなウエアラブル端末装置であっても良い。
また、通信部220としては、例えば、Bluetooth(登録商標)、TransferJet(登録商標)、ZigBee(登録商標)、RFIDといった何れの方法を用いても良いことは勿論である。また、LAN(無線LAN、有線LAN)等を利用しても良い。
インタフェース部230は、他の装置と通信を行う為の機能部である。例えば、状態検出装置20と接続するための機能部として設けられている。接続するインタフェースとしては、専用のインタフェースで実現されても良いし、USB、RS−232Cといった汎用のインタフェースで実現されても良い。
装置通信部250は、上述した装置通信部150を介して表示端末1000と、接続装置2000とが通信を行うための機能部である。例えば、USB等を利用して接続されてもよいし、LANを介して接続されてもよい。なお、本実施形態は説明の都合上、各通信部の機能の構成について分けて説明しているが、一つで構成されていてもよい。すなわち、全ての通信をBluetoothで行った場合には、装置通信部250、通信部220、インタフェース部230は一つの機能部で構成される。
報知部260は、接続装置2000が報知処理を実行する場合に動作する機能部である。例えば、エラー表示を行いたければ、その旨を報知する。報知する手段としては、音、光、表示、振動等の何れかの方法が考えられる。
[2.3 電子カルテサーバ]
つづいて、電子カルテサーバ40の機能構成について図8を用いて説明する。電子カルテサーバ40は、制御部400と、通信部410と、記憶部450とを有して構成されている。
制御部400は、電子カルテサーバ40の全体を制御するための機能部である。制御部400は、記憶部450に記憶されている各種プログラムを読み出して実行することにより各種機能を実現しており、例えばCPU(Central Process Unit)等により構成されている。
通信部410は、ネットワークに接続するためのインタフェース部である。例えば、Ethernetに接続可能なNICにより構成されている。通信部410を介して他の装置と通信を行うことができる。
記憶部450は、電子カルテサーバ40の動作に必要な各種プログラムや、各種データが記憶されている機能部である。記憶部450は、例えば、半導体メモリや、HDD(Hard Disk Drive)等により構成されている。
また、記憶部450には、電子カルテデータ452が記憶されている。電子カルテデータの一例として図9に示す。電子カルテデータは、患者情報が記憶されており、例えば図9のR100に示すように、患者番号、氏名等の基本情報、主治医等の診療情報に併せて、患者の状態等を示した注意情報(R102)、ピクトグラム、測定された生体情報(生体情報値)(R104)が患者毎に記憶されている。
ここで、注意情報としては、患者の状態を医療従事者、介助者等と専門家に伝えるための注意喚起をするための情報である。例えば、注意喚起に関する情報(鼻かみ禁止等)や、リスクアセスメントとして、褥瘡アセスメントや、転倒リスクアセスメント等が記憶される。これらの情報は、フラグにより管理されてもよいし、文字、アイコン、絵等により管理されてもよい。
また、より解りやすくするために、ピクトグラム情報が記憶されても良い。ピクトグラムは、日常生活に関する情報を基本としている。当該ピクトグラムが表示されることで、たまたま通りがかった人でも患者への配慮ができることにより、安全・安心を提供するものである。このように、ピクトグラム情報としては、多くの人に対して患者の状態を提供する情報に対し、注意情報は、専門家に対して患者の状態の情報を伝えるものである。
[3.画面(状態)遷移図]
つづいて、本実施形態におけるシステム全体の流れについて、図10の画面遷移図(状態遷移図)を用いて説明する。
まず、システムを起動するとアラーム状態にあるか、すなわち、各生体情報値がアラーム閾値を超えている(又はアラーム閾値未満となっている)か否かが判定される。そして、必要に応じてアラーム画面(P100)が表示される。このアラーム画面は、問題が発生していることが確認出来るが、ログインするまでは、エラーの内容は表示されない。これにより、患者や家族に表示すべきではないエラー内容を表示させないでおくことができる。
なお、アラーム画面は、電源投入時等のシステム起動時にも表示されるが、随時アラーム状態にあるか否かを判定していてもよい。そして、アラーム状態になった場合、割り込み処理として、アラーム画面に遷移するという構成としてもよい。
つづいて、メイン状態として、患者状態表示画面(P102)が表示される。この画面において、患者の基本情報としてネームプレート情報、ピクトグラム情報、注意情報、エラー状態等が表示される。これにより、看護師や医師等の医療従事者、介助者、介助をしている家族に対して必要な情報を表示することができる。
患者状態表示画面(P102)は、患者や病院での家族を始め、見舞いに訪れた第三者も見られることから、詳細な情報を表示しない。必要であれば、認証処理を実行し、ログインを行うことにより、ログイン画面(P104)に切り替わる。ログイン画面からは各種画面に遷移することが可能となる。例えば、患者情報を表示可能な患者情報表示画面(P114)、生体情報値を表示させる生体情報表示画面(P106)、生体情報値の履歴を表示させることが可能な生体グラフ表示画面(P108)、当該生体情報値を電子カルテに登録する電子カルテ登録画面(P110)に切り替えることが可能である。
また、更に、アラーム状態となる条件を設定するアラーム設定・履歴画面(P116)、次にやるべきこと(例えば投薬の指示等)について設定できるリマインダー画面(P112)に切り替えることができる。
このように、本実施形態によれば、患者に関する情報を一元的に表示することが可能となり、必要に応じて画面を切り替えることで、適切な情報を表示することが可能となる。また、複数の測定装置の情報を一元的に取得し、電子カルテに登録することで、患者に関する情報を一元的に管理することが可能となる。
[4.各処理の説明]
つづいて、本実施形態における各処理について、図を用いて説明する。
[4.1 メイン処理]
本実施形態におけるメイン処理について図11を用いて説明する。メイン処理は、制御部100が、記憶部110に記憶されたメインプログラム132を読み出して実行することにより実現される処理である。
まず、アラーム状態にあるか否かが判定される(ステップS102)。具体的には、各バイタル値と、アラーム閾値とを比較し、アラーム閾値を超えていたり、アラーム閾値未満であったりするかを判定し、アラームを出すべきか否かを判定する。そして、アラームを出す必要がある場合には、アラーム処理を実行する(ステップS102;Yes→ステップS104、図12)。
なお、アラーム閾値を超えているか等は、生体情報の種類によって異なる。また、両方が判断基準により判定する(すなわち、バイタル値が所定の範囲内にあるか否かを判定する)場合もある。
つづいて、患者状態を判定し、判定された内容に基づいて患者状態を表示する患者状態表示処理が実行される(ステップS106、図13)。ここで、ログイン認証が行わなければ(又はログイン失敗していれば)、ステップS102から処理が繰り返し実行される(ステップS108;No→ステップS102)。
ここで、ログイン認証が正しく行われた場合には(ステップS108;Yes)、ログイン画面であるスタッフ画面が表示される(ステップS110)。スタッフ画面は、各種処理を選択できる画面である。ここで、スタッフ処理が選択された場合(ステップS112;Yes)には、選択されたスタッフ処理に応じて処理が実行される(ステップS114)。なお、ここで実行される各処理については、後述する。
スタッフ処理が選択されないか(ステップS112;No)、またはスタッフ処理を実行後であっても、ログアウトが実行されなければ、ログイン状態が継続して処理を繰り返し実行する(ステップS116;No→ステップS110)。他方、ログアウトが実行されればログアウトし、ステップS102から処理が繰り返し実行される(ステップS116;Yes→ステップS102)。
ここで、選択されるスタッフ処理は、図10の画面遷移図で説明したP106〜P116に対応する処理である。なお、処理については、処理フローや、画面例を用いて説明する。
[4.2 アラーム処理]
アラーム処理について、図12を用いて説明する。アラーム処理は、図10のP100(図11のステップS104)に対応する処理であり、制御部100が、記憶部110に記憶されたアラームプログラム134を読み出して実行することにより実現される処理である。
まず、機器の接続エラーがあるか否かを判定する(ステップS202)。ここで機器の接続エラーがあれば、機器エラーの出力(アラーム)が表示される(ステップS202;Yes→ステップS204)。
つづいて、アラーム状態となる生体情報があるか否かを判定する(ステップS202;No→ステップS206又はステップS204→ステップS206)。具体的には、各生体情報値と、アラーム閾値とを比較して、アラーム状態にあるか否かを判定する。そして、アラーム状態となる生体情報の値がある場合には(ステップS206;Yes)、報知処理を実行する(ステップS208)。
報知処理の一例としては、報知部260から報知処理を行ったり、表示部170においてアラーム画面を表示したりする。なお、このときに詳細情報は、ログインした後(認証された後)でないと、表示しないようにする。
なお、アラーム処理については、図11のステップS104で実行されることとして説明したが、一定時間毎に確認し、割り込み処理として実行されることとしても良い。
このように、アラーム状態となる生体情報があれば、報知処理を行うことでアラームを出力することが可能となる。また、機器接続エラーがある場合でも、アラームの一つとして機器エラーを出力することも可能である。なお、機器接続エラーは別の方法として出力しても良いし、出力しないこととしても良い。
また、当該アラームの内容を端末装置50や、携帯端末装置55等に通報する事としてもよい。この場合、例えば注意レベルや警告レベルに応じて通報先を変えたり、通報内容を変えたりしても良い。
例えば、患者毎に、患者の状態や生体情報の種類に対応づけてどのように通報を行うかを記憶するテーブルを記憶しておく。このとき、通報設定としては、通報しない「OFF」か、通報するレベルとして注意レベルのときに通報する「注意」、警告レベルのときに通報する「警告」とが記憶される。また、種類によっては、例えば離床しているか否かのように単純に「ON」「OFF」が設定される場合もある。
また、通報設定に対応して通報先が予め決められていてもよい。例えば、第1通報先として「受持看護師の携帯端末装置」と、ナースステーション等にある「PC」とが設定され、第2通報先として「受持看護師の携帯端末装置」、「PC」に加えて「担当医の携帯端末装置」が決められている。
この場合、通報設定が「ON」「注意」の場合は第1通報先に通報される。また、通報設定が「警告」の場合は第2通報先に通報される。また、本実施形態において、「受持看護師」や「担当医」については、電子カルテから抽出する。なお、電子カルテとは別に通報先情報として設定しても良い。
このように、予め設定された通報先に対して、通報設定に応じた内容の通報が行われることとしてもよい。なお、患者毎に設定されるのに加えて、共通する通報先が設定されていても良い。例えば、全患者共通として緊急通報先でラピッドレスポンスチームが設定されているとする。この場合、例えば患者の生体情報値が緊急を有する閾値を超えていたり、複数の警告レベルの状態が発生した場合には、緊急通報先に通報が行われるという設定としても良い。
また、通報設定は注意レベル、警告レベルの場合に通報すると設定されているが、各レベル以上という設定となっている。例えば、注意レベルに設定されている場合、当該生体情報が注意レベルになった場合に第1通報先に通報が行われ、更に警告レベルになった場合には第2通報先に通報が行われる。すなわち、注意レベルは、警告レベルを含んだものである。なお、設定により、注意レベルのみ通報することとしても良い。
[4.3 患者状態表示処理]
[4.3.1 処理の流れ]
患者状態表示処理について、図13を用いて説明する。患者状態表示処理は、図10のP102(図11のステップ106)に対応する処理であり、制御部100が、記憶部110に記憶された患者状態表示プログラム136を読み出して実行することにより実現される処理である。
まず、個別電子カルテデータ120を読み出す(ステップS302)。なお、この電子カルテのデータを読み出す前に、患者の認証処理を実行しておき、認証された患者のデータを読み出すこととしても良い。
つづいて、個別電子カルテデータ120に含まれている基本情報、診療情報から、ネームプレート領域を作成し(ステップS304)、更に注意情報、設定されているピクトグラムからピクトグラム領域を作成する(ステップS306)。
具体的には、電子カルテサーバ40の電子カルテデータ452と同期された個別電子カルテデータ120に記憶されている氏名、部屋番号、主治医といった基本情報・診療情報等からネームプレート領域(表示画面におけるネームプレート情報が表示される領域)が作成される。
また、個別電子カルテデータ120に記憶されている患者・介助者に対する一般的な注意情報に基づいて、ピクトグラムの表示が作成される。
つづいて、注意情報に基づいた注意喚起領域を作成し(ステップS308)、エラー情報があればエラー情報を生成する(ステップS310)。ここで、注意喚起領域に表示される注意喚起情報は、医療従事者や、介助者といった専門家に対して注意喚起を行う情報に基づいて作成される。したがって、患者や家族といった、医療従事者以外が見ただけでは内容が分からない状態で領域が作成される。また、エラー情報は、アラームに関する情報を含むが、当該内容も同様に患者や家族といった医療従事者以外が見ただけでは解らない状態で領域が作成される。
そして、上述したステップで作成された各領域で患者状態表示画面を生成し、表示することとなる(ステップS312)。
[4.3.2 患者状態識別表示処理]
つづいて、患者状態識別表示処理を実行し、患者状態表示画面に、患者状態識別表示を行う(ステップS314)。ここで、患者状態識別表示処理について、図14を用いて説明する。
まず、ログアウト処理が行われると(ステップS352;Yes)、現在記憶されている患者状態情報が一度クリアされる(ステップS354)。そして、連続生体情報や測定生体情報が受信(入力)される(ステップS356)。
連続生体情報や、測定生体情報が受信されると、現在の患者状態(現在患者状態)を決定する(ステップS358)。ここで、現在患者状態は、受信されている全ての生体情報に基づいて「警告」「注意」「正常」の何れかの状態に決定される。具体的には、いずれかの生体情報値がアラーム閾値の注意レベルに含まれていれば「注意」と、いずれかの生体情報値がアラーム閾値の警告レベルに含まれていれば「警告」と決定される。
つづいて、区間患者状態.を更新する(ステップS362〜S370)。具体的には、まず区間患者状態が「警告」であれば、そのまま「警告」が維持される(ステップS362;Yes)。
つづいて、区間患者状態が「警告」以外の場合に現在の患者状態が「警告」であれば、区間患者状態を「警告」とする(ステップS362;No→ステップS364;Yes→ステップS366)。すなわち、区間患者状態が「注意」「正常」の場合に、現在患者状態が「警告」になれば、区間患者状態は「警告」となる。
また、区間患者状態が「正常」の場合に現在の患者状態が「注意」であれば、区間患者状態を「注意」とする(ステップS362;No→ステップS364;No→ステップS368;Yes→ステップS370)。すなわち、区間患者状態が「正常」の場合に、現在患者状態が「注意」になれば、区間患者状態は「注意」となる。なお、区間患者状態が「注意」の場合、現在患者状態が「正常」「注意」のときは、そのまま「注意」の状態が維持される(ステップS362;No→ステップS364;No→ステップS368;Yes→ステップS370)。
また、現在の患者状態が「正常」のままで、区間患者状態が「正常」であれば、そのまま区間患者状態は「正常」なまま維持される(ステップS362;No→ステップS364;No→ステップS368;No)。
このように、患者状態が「警告」>「注意」>「正常」とより重要度の高い状態になると、区間患者状態は当該状態で更新される。また、一度重要度の高い状態になると、次にクリアされるまで(例えば、次のログイン時のタイミングまで)、当該状態が維持されることとなる。
そして、当該患者状態(区間患者状態、現在患者状態)に基づいて、患者状態識別表示が更新される(ステップS372)。これにより、現在の患者状態と、前回ログアウト時から現在までの最も悪かった状態とをスタッフは容易に確認することができる。
そして、再びログイン処理が行わるまで、ステップS356から処理が繰り返し実行される(ステップS374;No→ステップS356)。
ここで、患者状態識別表示の動作の概要について図15を用いて説明する。図15(a)が、画面に表示される患者状態の識別表示の一例である。M102に区間患者状態に基づいた識別表示が、M104に現在患者状態に基づいた識別表示がそれぞれされている。本実施形態では、視認性を考慮し、識別表示M104の方を大きく表示するが、大きさは同じであっても良いし、別の形状、位置としても良い。
図15(b)は、各患者状態の識別表示の一例を示している。例えば、M110は正常、M112は注意、M114は警告を示している。なお、この表示は色や、動き、形状によって変化させても良い。例えば、色であれば、正常を「白」、注意を「黄」、警告を「赤」と表示しても良い。
図15(c)〜(e)を用いて、動作について簡単に説明する。なお、前回のログアウト時をt1、現在時点をt2として以下説明する。
図15(c)は、t1の時点には患者状態が「正常」であったが、その後一度「警告」の状態となり、その後「注意」の状態に遷移してt2に至っている。
この場合、区間患者状態として識別表示M102は、t1以降で一度「警告」となっていることから「警告」の状態で表示されている。また、現在(t2)は「注意」の状態であるので、識別表示M104は「注意」の識別状態が表示されている。
図15(d)は、t1の時点には患者状態が「注意」の状態にあったが、現在(t2)は「正常」の状態となっている状態である。この場合、区間患者状態として識別表示M102は、「注意」の状態の識別表示がされる。また、識別表示M104は、t2の時点が「正常」の状態であるので「正常」の識別表示がされる。
図15(e)は、t1の時点には患者状態は「正常」の状態であったが、途中、「注意」「警告」と遷移した場合の図である。現在(t2)においても、「警告」の状態となっている。このとき、区間患者状態を示す識別表示M102は「警告」となり、現在の患者状態を示す識別表示M104も「警告」となる。
なお、図15では説明の都合上識別表示は2つとして説明しているが、複数設けても良い。例えば、上述した患者状態(全体)の識別表示だけでなく、連続生体情報だけに基づいた識別表示を行っても良い。また、所定の生体情報(例えば、呼吸数等)に対応づけて、特別な識別表示を行っても良い。
[4.3.3 画面例]
つづいて、本処理を実行した場合の、画面例を使って説明する。図16は、患者状態表示画面W200の一例である。表示画面W200には、ネームプレート情報として、患者の名前や、主治医の名前などが領域R202、R204に表示されている。これらの項目は、電子カルテに登録されている患者情報から適宜選択されて表示されている。
また、領域R206にはピクトグラム領域として、ピクトグラム等が表示されている。さらに、領域R208には、注意情報の中からとくに注意喚起情報が表示されている。注意喚起情報は、医療従事者や、介護施設の職員といった専門家にしか解らない表示となっている。
また、R210には、エラーが発生していることを報知している。ここで、エラー内容を表示させるためには、認証処理を実行し、別の画面に切り替えなければならない。これによって、医療従事者や、介助者等といった専門家以外の者がエラーを確認することを防ぐことが出来る。
また、状態検出装置20の動作・状態を表示画面W200に表示させてもよい。例えば、領域R212に示すように、状態を表示させる事としても良い。また、センサの接続状態も表示される。これにより、一目でセンサが未接続であったり利用不可になっていたりすることを把握することができる。
また、患者状態識別表示が行われている。図16においては、区間患者状態の識別表示がM200に、現在患者状態の識別表示がM202にそれぞれ表示されている。なお、患者状態識別表示は種々の方式が可能であり、例えば、患者名の下に下線を表示し、色や線の太さにより識別表示をしたり、別途アイコンを表示したりしても良い。
また、患者状態識別表示は、本実施形態では連続生体情報、測定生体情報を含めた生体情報全体に対して行っているが、例えば連続生体情報と測定生体情報とを分けて表示しても良いし、生体情報として呼吸だけ別に表示するといった生体情報毎に分けて表示しても良い。
[4.4 生体情報表示処理]
つづいて、生体情報表示処理について説明する。生体情報表示処理は、図10のP106に対応する処理であり、生体情報表示プログラム138が読み出されて実行されることにより実現される処理である。
[4.4.1 処理の流れ]
生体情報表示処理について、図17を用いて処理の流れを説明する。まず、電子カルテ(例えば、個別電子カルテデータ120)から、生体情報(値)を読み出す(ステップS402)。
つづいて、アラーム閾値をアラーム閾値テーブル122から読み出す(ステップS404)。そして、この読み出されたアラーム閾値から各生体情報のアラームグラフを表示する(ステップS406)。ここでアラームグラフは、利用者が見てアラーム閾値が容易に把握出来るような表示であり、上値と下値とのアラーム閾値に基づいて注意レベルの範囲と、警告レベルの範囲とがグラフ表示(識別表示)される。
つづいて、前回測定時刻を表示し(ステップS408)、読み出された生体情報に基づく生体情報値を表示する(ステップS410)。
ここで確認情報がある場合には、確認マークを表示する(ステップS412;Yes→ステップS414)。確認マークを表示するタイミングとしては種々のものが考えられるが、例えば本実施形態においては、前回のログアウト時から、今回のログイン時までの間に、注意レベル又は警告レベルに遷移したことがある生体情報の箇所に確認マークを表示する。
なお、確認マークは、利用者(医療従事者や介護スタッフ等)により表示/非表示を生体情報毎に設定可能としても良い。また、マーク表示を、注意レベルに入った場合と、警告レベルとに入った場合とに分けて識別表示する(例えば、注意レベルの場合は黄色円を表示し、警告レベルの場合は赤い円を表示する)こととしても良い。
そして、表示する総ての生体情報について上記処理が終わったら(ステップS416;No)、利用者により処理が選択される。具体的には、生体グラフ表示が選択された場合は生体グラフ表示処理が実行(ステップS418;Yes→ステップS420)され、電子カルテ登録が選択されたら、電子カルテ登録処理が実行(ステップS418;No→ステップS422;Yes→ステップS424)される。
そして、メイン処理に戻る選択がされればメイン処理に戻り(ステップS426;Yes)、それ以外の場合はステップS402から処理が繰り返し実行されることとなる(ステップS426;No)。
[4.4.2 画面例]
図18に本処理を実行した場合の画面例として表示画面W300を示す。表示画面W300には、各生体情報について生体情報値がそれぞれ表示されている。また、領域R302には、表示されている生体情報値が登録された日時が表示されている。
さらに、生体情報値の横には、領域R304にアラーム閾値が解りやすいように表示されている。すなわち、注意レベル、警告レベルが明確となるように、アラーム閾値が表示されている。
また、表示されている生体情報値については、注意レベル、警告レベルの範囲にある場合には、背景が変化する構成としても良い。例えば、R306は、脈拍数として「126bpm」が表示されている。この生体情報値は、注意レベルに含まれているため、背景が注意レベルの色(例えば黄色)等に識別表示される。
また、生体情報に併せて各種情報を識別表示しても良い。例えば、R308の表示は、脈拍のセンサがONであること(すなわち、脈拍数を連続生体情報として取得可能である)ことが識別表示されている。
また、R310は、医療関係者、介護スタッフ等に注意喚起を促す表示である。例えば、前回のログアウト時から、今回のログイン時迄の間に問題があった生体情報について識別表示をするといったことが可能である。これにより、例えば現在患者状態識別情報が「注意」となっている場合、スタッフがログインすることにより呼吸で問題があったことを確認することができる。
[4.5 生体グラフ表示処理]
つづいて、生体グラフ表示処理について説明する。生体グラフ表示処理は、図10のP108に対応する処理であり、生体グラフ表示プログラム142が読み出されて実行されることにより実現される処理である。
[4.5.1 処理の流れ]
生体グラフ表示処理について、図19を用いて処理の流れを説明する。
まず、患者情報を読み出し(ステップS502)、表示すべき生体情報(値)を1つ読み出す(ステップS504)。つづいて、表示すべきグラフの位置をグラフ表示領域として設定する(ステップS506)。本実施形態の生体グラフ表示処理では、複数の生体情報に基づくグラフが表示されるため、生体情報に応じて順次グラフ表示領域を切り替える。
つづいて、グラフ描画処理を実行することにより(ステップS508)、ステップS506において設定されたグラフ表示領域に生体情報値の遷移が解るようにグラフが表示される。そして、全ての生体情報のグラフが描画するまで処理が繰り返し実行される(ステップS510;No→ステップS504)。
全てのグラフを描画し終わった後(ステップS510;Yes)、生体情報が1つ選択されると(ステップS512;Yes)、個別グラフ画面に切り替わる(ステップS514)。個別グラフ描画とは、選択された生体情報の生体情報値の遷移をグラフで表示する画面であり、グラフ表示領域が1つの生体情報に対応したものとなる。
そして、当該選択された生体情報に基づいてグラフ描画処理が実行される(ステップS516)。そして、グラフ表示の終了操作がなされると、本処理は終了する(ステップS518;Yes)。
[4.5.2 グラフ描画処理]
つづいて、先程のステップS508、ステップS516において実行されるグラフ描画処理について図20を用いて説明する。
まず、グラフ表示範囲が設定される(ステップS602)。グラフ表示範囲とは、グラフに表示する範囲を表すものであり、例えば「半日」「1日」「3日」「7日」「4週」といった範囲に基づいて必要な数値が設定される。
つづいて、グラフ表示範囲に応じた生体情報値を読み出す(ステップS604)。例えば、半日であれば半日間のグラフとして表示する分の、7日であれば7日間のグラフとして表示する分の生体情報値が読み出される。
なお、生体情報値の読み出し方法としては種々の方法が考えられる。例えば、等間隔の時刻で読み出しても良いし、所定個数の履歴を読み出しても良い。また、期間とプロット数から適切な時間を算出し、読み出しても良い。
つづいて、アラーム領域の識別表示を行い(ステップS606)、生体情報値に基づきグラフを描画する(ステップS608)。アラーム領域の識別表示とは、例えば注意レベルの範囲を黄色、警告レベルの範囲を赤色と表示することになる。
また、現在のグラフ描画処理が個別グラフ表示画面であり(ステップS610;Yes)、当該生体情報に対応する蓄積された生体情報(蓄積生体情報)がある場合は、蓄積生体情報に基づいたグラフを重畳して描画する(ステップS612;Yes→ステップS614)。
[4.5.3 画面例]
つづいて、生体グラフ表示処理を実行した場合の画面例について図を用いて説明する。図21は、生体情報のグラフを並列して表示した場合の一例である表示画面W400である。
表示画面W400は、各生体情報値の遷移が表示されている。例えば、表示画面W400には、体温、血圧(最高血圧、最低血圧)、脈拍、呼吸、SpO2の生体情報値の値がグラフとして表示されている、また各生体情報のグラフには、アラーム閾値の領域(注意レベルの範囲、警告レベルの範囲)も併せて表示する。これにより、生体情報値が過去のいつに異常があったのかを容易に把握することができる。
また、画面下では表示範囲を切り替え可能となっている。本実施形態では、「半日」「1日」「3日」「7日」「4週」のタブが表示されており、それぞれ容易に切り替えることができる。
なお、このグラフが表示されているときに、生体情報が一つ選択されると、当該生体情報のみを表示した個別グラフが表示されるが、このときの画面例が図22の表示画面W450である。
表示画面W450では、生体情報値がP400でプロットされ、当該生体情報値の遷移がグラフL400として表示されている。また、蓄積生体情報に基づいたグラフがL402として表示されている。これにより、測定時刻の間に異常値があったとしても、利用者(医療従事者、介護スタッフ等)は容易に異常を把握出来ることができる。
また、併せてアラーム領域が表示されている。例えば、R402に注意レベル(例えば黄色)が、R404に警告レベル(例えば赤色)がそれぞれ識別表示されている。アラーム領域が表示されていることにより、患者の生体情報値が異常値になったか否かを容易に確認することができる。
なお、図22で表示されている蓄積生体情報に基づいたグラフについて、図21の一覧表示のグラフに重畳して表示しても良いことは勿論である。
[4.6 電子カルテ登録処理]
[4.6.1 処理の流れ]
つづいて、生体情報を電子カルテに登録する電子カルテ登録処理について、図23を用いて説明する。電子カルテ登録処理は、制御部100が、記憶部110に記憶された電子カルテ登録プログラム140を読み出して実行することにより実現される処理である。
まず患者情報を読み出し(ステップS702)、当該患者の生体情報を個別電子カルテデータ120から読み出す(ステップS704)。なお、ここで呼び出される生体情報の種類、アラーム閾値等は患者の基本情報(例えば、患者のID)等に基づいて読み出されても良いし、共通の設定としても良い。
つづいて、連続生体情報を状態検出装置20から受信し(ステップS706)、当該受信された生体情報の値を表示する(ステップS708)。ここで、生体情報について入力指示があった場合には(ステップS710;Yes)、生体情報値が手動で入力される(ステップS712)。
このとき、生体情報値がアラーム領域にある場合には識別表示を行うこととしても良い。例えば、生体情報値が注意レベルの範囲に含まれていれば黄色、警告レベルの範囲に含まれていれば赤色で背景を表示したり、文字を表示したりする。これにより、現在問題が発生している生体情報であることを医療従事者、介護スタッフは把握することができたり、入力ミス等についても注意喚起を行うことができる。
また、表示画面に表示される連続生体情報としては、状態検出装置20から検出可能な生体情報(生体情報の値)を随時更新して読み出して表示しても良いし、あるタイミングで読み出された生体情報を表示しても良い。
また、他の測定装置60より、測定生体情報が受信された場合には(ステップS714;Yes)、測定生体情報が記憶される(ステップS716)。この場合、現在表示されている生体情報値が更新されるとともに、個別電子カルテデータ120に記憶される。
ここで、他の測定装置60より受信される測定生体情報のタイミングは限定されるものではない。本図では一例としてステップS716で説明しているが、予め受信されている測定生体情報を用いてもよい。また、個別電子カルテデータ120(すなわち、電子カルテデータ452)に記憶される測定生体情報も任意のものでよい。例えば、一度測定した値が正しくなければ記憶せず、再測定した値を記憶しても良い。
そして、電子カルテの登録指示があった場合には(ステップS718;Yes)、電子カルテサーバ40の電子カルテデータ452が登録される(ステップS720)。
[4.6.2 画面例]
図24は、本処理を実行した場合の一例である表示画面W500を示した図である。表示画面W500には、各生体情報と、当該生体情報の値とが表示されている。図18と同様に、アラーム閾値が領域R502に表示されており、各生体情報値が注意レベル、警告レベルにある場合には識別表示がR504のようにされている。
また、領域R506に示すように、前回測定値が併せて表示されることとしても良い。そして、生体情報の上部には、前回測定値が測定された日時も表示されている。これにより、医療従事者や介護スタッフ等は、生体情報値の遷移に気がつくことが可能となる。
また、表示されている生体情報値については、連続生体情報についてはリアルタイムに更新された値が表示されても良いし、ある時点の値が表示されていても良い。また、電子カルテデータ(個別電子カルテデータ120又は電子カルテデータ452)に記憶されている値を表示してもよい。
そして、この画面から「登録」を選択することで、現在表示されている生体情報値を電子カルテデータに登録(記憶)することができる。また、履歴参照をすることにより、過去の生体情報値を参照することができる。
[4.7 リマインダー処理]
つづいて、リマインダー処理について説明する。リマインダー処理は、スタッフや医療従事者(看護師等)が次に行うべきことをリマインダーとして登録出来る処理である。例えば、図25は、本処理を実行した場合に表示される表示画面W600の一例である。各種リマインダーとして表示されるべき作業を登録することにより、患者状態表示画面やアラーム表示画面に表示することが可能となる。
[4.8 患者情報表示処理]
つづいて、患者情報表示処理について説明する。患者情報表示処理は、患者に関する情報を表示することが可能な処理である。例えば、患者の基本情報、診療情報、注意情報、ピクトグラム等を表示したり、入力・設定したりすることが可能となる。
例えば、図26は、本処理を実行した場合に表示される表示画面W700の一例である。表示画面W700は、患者の氏名や、性別、血液型といった基本となる情報(基本情報)を電子カルテより読み出して表示している。
[4.9 アラーム設定・履歴処理]
つづいて、アラーム設定・履歴処理について説明する。本処理は、各アラーム閾値を設定したり、アラームの可否について設定したりすることが可能な処理である。また、過去に発生したアラームを履歴として確認することも可能である。
図27はアラーム設定・履歴処理を実行した場合に表示される表示画面W800の一例である。表示画面W800は、アラーム閾値をそれぞれ設定出来るようになっている。例えば、上限のアラーム閾値として、注意レベルの範囲の閾値がR804で、警告レベルの範囲の閾値がR802でそれぞれ設定可能である。
また、下限のアラーム閾値として、注意レベルの範囲の閾値がR808で、警告レベルの範囲の閾値がR806でそれぞれ設定可能である。
また、注意レベル、警告レベルに入った場合にそれぞれアラームを出力するか否かを設定することが可能となる。例えば、R810で示す場合は、アラームとしては出力しない(報知しない)設定となっている。
図28の表示画面W850では、R850により、注意レベルに入ったらアラームを出力する設定となっている。なお、この設定は、例えば音や光といったことを設定できても良いし、注意レベル、警告レベルと別々のアラームを設定するといったことも可能である。
また、アラームの設定は、他の画面で設定・変更できても良い。例えば、グラフ表示画面を利用して設定しても良い。具体的な例として、図29の個別グラフ表示画面W880を示す。
図29に示すように、注意レベルの閾値の変更操作ウィンドウをR882、R884に表示してここで操作できても良い。また警告レベルの閾値の変更操作ウィンドウをR886、R888に表示してここで操作できても良い。
[5.患者状態表示装置の構成による効果]
そして、これらの画面が、ベッド3とは別の場所に表示出来るというのが、本実施形態における特徴の一つでもある。これにより、看護師や医師が患者の情報を参照しやすくなったり、ベッドが入れ替わったとしても適切な患者の情報を表示することができる。
とくに、従前であれば、ベッドに設けている表示画面では使い勝手が悪かったり、ベッドサイドに表示しているピクトグラムはその都度更新する必要があったりと使い勝手が悪かった。
また、ベッドで取得出来る情報(例えば、本実施形態の連続生体情報)と、測定装置から取得できる情報(例えば、本実施形態の測定生体情報)とは、別々に管理する必要があった。これらが、患者状態表示装置10(接続装置2000)を介して、全て接続することが可能となり、更に電子カルテに記憶することが可能となる。
また、図30は、接続装置2000にエラー報知がされている場合の一例である。表示端末1000は、接続装置2000に接続され、一体となってベッドサイドに配置されている。
ここで、例えば状態検出装置20と接続できない場合には、領域R900に「センサー接続」と表示される。なお、この領域はエラーが無い場合には何も表示されていない。これにより、表示端末1000がどのような画面であっても、また、仮に表示端末1000が表示不可能な状態(例えば、故障や、表示端末1000が接続されていない場合等)であっても、重要なエラー等を確実に報知することが可能となる。
また、当該エラー報知は、患者の状態に基づいて報知することとしても良い。この場合、患者や家族等には解らない表示(記号やコード等)を表示することとしても良い。また、報知方法としては、表示するだけでなく、例えば音をならしたり、携帯端末装置55に報知するといったことを行っても良い。
[6.サーバによるサービス提供・他の提供]
なお、上述した実施形態における処理は、説明の都合上患者状態表示装置10が行うこととして説明したが、サーバ30において処理を実行し、患者状態表示装置10で結果を受信する事としても良い。
すなわち、各種プログラム(例えば、メインプログラム132、アラームプログラム134、患者状態表示プログラム136、生体情報表示プログラム138、電子カルテ登録プログラム140、生体グラフ表示プログラム142)を、必要に応じてサーバ30で実行する。患者状態表示装置10からは、生体情報をサーバ30に送信し、例えばWEBブラウザや、専用アプリケーションでサーバ30にアクセスすることで、同様の処理が実現出来る。
また、患者状態表示装置10も表示端末1000と、接続装置2000とに分けて構成しているが、一体型として専用の患者状態表示装置10として提供してもよい。
表示端末1000と、接続装置2000と分けることにより、表示端末1000は所定の条件を満たすタブレット端末を利用出来るというメリットがある。これにより、市販のタブレット端末、コンピュータを利用したり、スマートフォンを利用したりするといったことも考えられる。
また、患者状態表示装置10は、ベッド近傍に設けられることが一般的であるが、同一の画面を端末装置50、携帯端末装置55で表示可能である。例えば、看護師が巡回中であっても携帯端末装置55で患者の情報を確認出来たり、ナースステーションにおいて端末装置50を利用することにより、他の患者を含めて一括管理をすることが可能となる。
また、診療中や検査中においても、端末装置50を用いて生体情報を随時更新することが可能となり、これにより電子カルテの使い勝手が向上することとなる。
[7.変形例]
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も特許請求の範囲に含まれる。
また、実施形態において各装置で動作するプログラムは、上述した実施形態の機能を実現するように、CPU等を制御するプログラム(コンピュータを機能させるプログラム)である。そして、これら装置で取り扱われる情報は、その処理時に一時的に一時記憶装置(例えば、RAM)に蓄積され、その後、各種ROMやHDDの記憶装置に格納され、必要に応じてCPUによって読み出し、修正・書き込みが行われる。
ここで、プログラムを格納する記録媒体としては、半導体媒体(例えば、ROMや、不揮発性のメモリカード等)、光記録媒体・光磁気記録媒体(例えば、DVD(Digital Versatile Disc)、MO(Magneto Optical Disc)、CD(Compact Disc)、BD等)、磁気記録媒体(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスク等)等の何れであってもよい。また、ロードしたプログラムを実行することにより、上述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムの指示に基づき、オペレーティングシステムあるいは他のアプリケーションプログラム等と共同して処理することにより、本発明の機能が実現される場合もある。
また、市場に流通させる場合には、可搬型の記録媒体にプログラムを格納して流通させたり、インターネット等のネットワークを介して接続されたサーバコンピュータに転送したりすることができる。この場合、サーバの記憶装置も本発明に含まれるのは勿論である。
また、上述した実施形態における各装置の一部又は全部を典型的には集積回路であるLSI(Large Scale Integration)として実現してもよい。各装置の各機能ブロックは個別にチップ化してもよいし、一部又は全部を集積してチップ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路又は汎用プロセッサで実現しても良い。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いることも可能であることは勿論である。