JP6980277B2 - 鼻カニューレ - Google Patents

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Description

本発明は、High Flow Nasal Cannula(高流量式鼻カニューレ(カニュラ))等で用いられる鼻カニューレに関する。
High Flow Nasal Cannula(以下、「HFNC」)は、専用の鼻カニューレ(カニュラ)・ブレンダ・加温加湿器・回路を用いて鼻腔から高流量の酸素が投与できるため、軽度のPEEP様効果(非特許文献1)や、上気道CO2ウォッシュアウト効果(非特許文献2)が期待されている酸素療法の新たなデバイスである。HFNCは、Noninvasive Intermittent Ventilation(NIV)の必要性を減少させる効果(非特許文献3)が期待され、近年急性期から慢性期にかけて幅広く利用されている。
HFNCは、比較的高い流量で酸素を供給する装置であり、ヒトの呼吸等に伴う肺の動き等により気圧差が生じ、装置もそれらの影響を受ける。HFNCは酸素消費量の多い治療方法ではあるが、人工呼吸器治療など患者への侵襲が大きな治療を回避できる可能性がある事から、従来、ブレンダや、加温加湿器、回路等の構成を中心に検討がなされてきた。
一方、HFNCの直接ヒトと接する部分は、鼻カニューレ部分となる。この鼻カニューレの構造等については、特許文献1〜6のような開示がされている。また、市販されている専用鼻カニューレにも形状、先端径の異なる様々なデバイスがある。
特表2017−506949号公報 特表2015−532888号公報 特開2013−226356号公報 特開昭61−58667号公報 特開2013−138874号公報 特許第2745237号公報
Parke R1, McGuinness S, Eccleston M: Nasal high-flow therapy delivers low level positive airway pressure. Br J Anaesth. 2009;103:886-90 Kernick J1, Magarey J.: What is the evidence for the use of high flow nasal cannula oxygen in adult patients admitted to critical care units? A systematic review. Aust Crit Care. 2010 ;23:53-70. Parke RL1, McGuinness SP, Eccleston ML: A preliminary randomized controlled trial to assess effectiveness of nasal high-flow oxygen in intensive care patients. Respir Care. 2011;56:265-70.
一部前述したようにHFNCは、専用鼻カニューレ・ブレンダ・加温加湿器・回路を用いた酸素療法の装置であり、近年急性期から慢性期にかけて幅広く利用されている。HFNCは、空気と酸素ガスとを、適宜混合(ブレンド)して使用される。この酸素ガスは、患者の症状によっては、酸素濃度が非常に高い状態とされ、酸素ガスそのものが供給される場合もある。同時に、HFNCは流量が10L/min〜60L/minのように、非常に気体供給量が多いシステムである。このため、このHFNCの装置は大量の酸素を使用することが問題となっていた。これは、緊急時に備えた酸素ガスの予備等も求められる病院にとっても設備負荷が大きく、経済的負担も大きいものとなっていた。
HFNCには、軽度のPEEP様効果や、上気道CO2ウォッシュアウト効果が期待されている。PEEPとは、positive end expiratory pressureの略称で、呼気終末陽圧ともよばれ、このPEEPに相当する効果をPEEP様効果とよぶ。上気道CO2ウォッシュアウトとは、HFNCにより連続的に酸素を供給するとき、肺から排出された呼気が上気道に残存してCO2濃度が上昇することを防止して、そのCO2を排出することである。
このHFNCにおいて、ヒトと直接接する部分である、鼻カニューレの形状が種々提案等されているが、どのような構造とすればどのような効果が得られるかは必ずしも明確ではなかった。細い鼻カニューレは上気道のCO2ウォッシュアウト効果に特化したものと考えられており、太いカニューレはPEEP様効果に特化した形状であると考えられていたが、必ずしも十分な根拠が確立されているとはいえない部分があった。また、実際、PEEP様効果と、CO2ウォッシュアウト効果を兼ね備えた鼻カニューレは存在しなかった。
係る状況下、本発明は、PEEP様効果と、CO2ウォッシュアウト効果を兼ね備えた鼻カニューレを提供することを目的とする。さらに、HFNCの気体供給量を低減しても、PEEP様効果と、CO2ウォッシュアウト効果を達成することで、酸素消費量も低減することができる鼻カニューレを提供する。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記の発明が上記目的に合致することを見出し、本発明に至った。すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
<1> 鼻孔挿入部の外径d2と、鼻孔挿入部の内径d1との差Dが、3mm以上、6mm以下である鼻カニューレ。
<2> 前記内径d1が、2.5mm以上、7mm以下である前記<1>記載の鼻カニューレ。
<3> 前記外径d2が、5.5mm以上、13mm以下である前記<1>または<2>記載の鼻カニューレ。
<4> 前記鼻孔挿入部から、鼻カニューレ基端までのカニューレ突起部の長さが、10mm以上である前記<1>〜<3>のいずれかに記載の鼻カニューレ。
<5> 前記鼻孔挿入部から、鼻カニューレ基端までのカニューレ突起部が円筒状部または円錘台部を有する前記<1>〜<4>のいずれかに記載の鼻カニューレ。
<A1> 鼻孔挿入部の外径d2と、鼻孔挿入部の内径d1との差Dが、3.8mm以上、4.5mm以下であり、前記内径d1が、2.7mm以上、5.0mm以下であり、前記外径d2が、6mm以上、13mm以下であり、前記鼻孔挿入部から、鼻カニューレ基端までのカニューレ突起部の長さが、10mm以上20mm以下であり、前記外径d2が、鼻カニューレを使用する患者の鼻孔径の50〜70%の太さであり、呼気終末陽圧(PEEP)様効果および上気道CO2ウォッシュアウト効果を有する、高流量式鼻カニューレ(HFNC)用の鼻カニューレ。
<A2> 前記内径d1が、3mmであり、前記径d2が、7mmである前記<A1>記載の鼻カニューレ。
<A3> 前記内径d1と前記外径d2の比(d1:d2)が、3:7である前記<A1>記載の鼻カニューレ。
<A4> 前記カニューレ突起部が円筒状部または円錘台部を有する前記<A1>〜<A3>のいずれかに記載の鼻カニューレ。
<A5> 前記鼻カニューレ突起部が、シリコーンゴムおよび/またはビニール樹脂である(弾力性の圧縮性発泡体シールであるものを除く)前記<A1>〜<A4>のいずれかに記載の鼻カニューレ。
本発明によれば、High Flow Nasal Cannulaにおいて、従来よりも少ない流量でも、PEEP様効果とCO2ウォッシュアウト効果を達成することができる。
本発明に係る鼻カニューレの第一の実施形態の概略斜視図である。 本発明に係る鼻カニューレの第一の実施形態の概略断面図である。 本発明に係る鼻カニューレの第一の実施形態の概略正面図である。 本発明に係る鼻カニューレの第一の実施形態の概略側面図である。 本発明に係る鼻カニューレの第一の実施形態の概略平面図である。 本発明に係る鼻カニューレの第二の実施形態の概略斜視図である。 本発明に係る鼻カニューレの第二の実施形態の概略断面図である。 本発明に係る鼻カニューレの第三の実施形態の概略断面図である。 本発明の実施例における実験システムの概略を示す図である。 本発明の実施例におけるPEEP様効果の実験結果を示す図である。 本発明の実施例におけるCO2ウォッシュアウト効果の実験結果を示す図である。 本発明の実施例における呼気一回換気量の実験結果を示す図である。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を変更しない限り、以下の内容に限定されない。なお、本明細書において「〜」という表現を用いる場合、その前後の数値を含む表現として用いる。
本発明の鼻カニューレは、鼻孔挿入部の外径d2と、鼻孔挿入部の内径d1との差Dが、3mm以上、6mm以下である。このような鼻カニューレを用いて、HFNCを行うことで、PEEP様効果とCO2ウォッシュアウト効果を達成することができる。
本発明は、次のような知見に基づく。本発明者は、カニュラ先端径(内径・外径)の違いにより治療効果(PEEP様効果・上気道CO2ウォッシュアウト効果)に差があるのではないかと考え、3Dプリンタを用いて作成したカニューレを用いて、PEEP様効果とCO2ウォッシュアウト効果を測定し治療効果を比較検証した。
そこで、HFNCの装置の一部である専用鼻カニュラの鼻孔挿入部について、PEEP様効果とCO2ウォッシュアウト効果双方を兼ね備え、かつ酸素使用料を減らす形状について実験的に検討した。その結果、鼻孔挿入部が内径と外径の差が大きい形状であった場合に、PEEP様効果とCO2ウォッシュアウト効果双方が得られ、酸素使用量も減らせることを見出した。
[第一の実施形態]
図1〜5は本発明に係る鼻カニューレの第一の実施形態を説明するための図である。図1の鼻カニューレ10は、鼻孔挿入部101、102を有する。鼻孔挿入部101、102は、鼻孔挿入部の外径d2と、鼻孔挿入部の内径d1との差Dが、3mm以上、6mm以下である。鼻カニューレ10において、鼻孔挿入部101は、鼻カニューレ1の管腔40の基端301から突設したカニューレ突起部201の先端部分である。同様に鼻孔挿入部102は、鼻カニューレ10の管腔40の基端302から突設したカニューレ突起部202の先端部分である。接続口50は、HFNCのガス供給手段の管等に接続される。接続口50から管腔40に気体が供給され、鼻孔挿入部101、102の開口部から、その気体が送出される。鼻カニューレ10を用いて、HFNCを行うとき、鼻孔挿入部101が右の鼻に挿入され、鼻孔挿入部102が左の鼻に挿入される。
図2は、鼻カニューレ10の鼻孔挿入部101、102での概略断面図である。図3は、鼻カニューレ10の概略正面図である。図4は鼻カニューレ10の概略右側面図である。図5は、鼻カニューレ10の概略平面図である。
図2に示すように、鼻カニューレ10の管腔40内は中空である。管腔40はヒトの上唇に配置され、上唇に沿うような形状や、上唇にあたるような形状を有する。また、カニューレ突起部201、202も筒状であり、管腔40の上面にカニューレ突起部201、202の大きさに合わせて設けられた開口部を基端301、302として、管腔40に略垂直に突設して取り付けられている。管腔40の中空部と、筒状のカニューレ突起部201、202の中空部とは連通している。また、カニューレ突起部201、202の先端は開口部を有しており、これらの先端は鼻孔挿入部101、102となる。
鼻カニューレ10は、鼻孔挿入部101、102の外径d2、内径d1が所定の大きさのものである。鼻孔挿入部の外径d2と、鼻孔挿入部の内径d1との差Dは、3mm以上、6mm以下である。ここで、D(mm)=d2(mm)−d1(mm)である。内外径の差Dがこの範囲のとき、HFNCに使用したとき、PEEP様効果とCO2ウォッシュアウト効果を比較的低い流量の気体供給量でも両立することができる。これは、内外径の差Dが大きいことで呼気と衝突する面積が増えるためPEEP様効果が大きくなり、その内外径の差Dを満足する細さの内径d1からの送出される気体が十分にCO2ウォッシュアウト効果を奏する流速となるためである。また、従来のカニュラよりも少ない流量(Flow)で十分なPEEP様効果、上気道のCO2ウォッシュアウト効果が得られるため酸素使用量も削減でき、経済的な効果もある。なお、内径d1、外径d2は、鼻孔挿入部の形状が楕円状等の非円状の場合、開口部分を内径部分とし、全周囲を外径部分とし、それぞれの面積に基づく円相当径とした値をそれぞれ内径d1、外径d2とみなす。
内外径の差Dが3mmよりも小さい場合、PEEP様効果とCO2ウォッシュアウト効果を両立することが困難である。特にPEEP様効果を奏するための気体供給量を高く設定する必要が生じ、HFNCの装置や設備、使用する患者への負担が大きくなる恐れがある。この内外径の差Dは、3.5mm以上がより好ましく、3.8mm以上がさらに好ましい。
内外径の差Dが6mmよりも大きい場合、相対的に鼻カニューレ全体が太くなりすぎて使用する患者の鼻孔に挿入しにくかったり、患者が異物感を感じやすくなったりする恐れがある。この内外径の差Dは、5.5mm以下がより好ましく、5.0mm以下がさらに好ましく、4.5mm以下が特に好ましい。
この内外径差Dは、カニューレ突起部を円筒状とすることができ、その先端が鼻孔挿入部となることから、カニューレ突起部を形成する管の厚みとして設定することもできる。この管の厚みは、内外径差D/2の大きさである。よって、厚みが1.5mm以上、3mm以下の円筒を用いてカニューレ突起部を設けることで、鼻孔挿入部の内外径の差Dを調整することができる。従来の鼻カニューレは、厚み1mm以下程度のチューブ等を用いてカニューレ突起部やプロングを製造しており、鼻カニューレの製造コストを低減し、かつ、小さく薄いことで患者が装着したときの異物感をより低減する設計思想で製造されており、本発明のような太いカニューレ突起部やプロングとすることはなかった。
内径d1は、鼻カニューレ10を使用する患者の体形や症状、使用期間等を考慮適宜設定することができる。内径d1は、2.5mm以上、7mm以下であることが好ましい。内径d1が、2.5mmよりも細いとき、HFNCの装置内圧や回路内圧が高くなり過ぎる恐れがある。内径d1は、2.7mm以上や、2.8mm以上、2.9mm以上がより好ましい。内径d1が、7mmよりも太いとき、相対的に鼻カニューレ全体が太くなりすぎて使用する患者の鼻孔に挿入しにくかったり、患者が異物感を感じやすくなったりする恐れがある。また、内径を細くすることによりカニュラ先端からの流速が上昇し、上気道のCO2ウォッシュアウト効果がより安定して得られる。このため、内径d1は、6.5mm以下や、6.0mm以下、5.5mm以下、5.0mm以下がより好ましい。
外径d2は、鼻カニューレ10を使用する患者の体形や症状、使用期間等を考慮適宜設定することができる。外径d2は、6mm以上、13mm以下であることが好ましい。この外径d2は、前述した内径d1と、内径d1との差である内外径の差Dとの関係から設定することができる。なお、外径d2は、鼻孔挿入部の太さとなることから、特に使用する患者に合わせて設定する部分となり、HFNCにおいて、患者の鼻孔径の50〜70%の太さとすることが好ましいとされていることから、前述した範囲とすることが好ましい。
鼻孔挿入部101と鼻孔挿入部102との間隔L1(図3参照)は、鼻カニューレ10を使用する患者の体形や症状、使用期間等を考慮して適宜設定することができる。未熟児や新生児用の場合、6mm以上10mm以下程度とすることができる。小児用や成人用以上の場合、9mm〜20mm、好ましくは10mm〜18mmとして設定することができる。この長さL1は、各鼻孔挿入部の重心位置の直線距離である。この間隔は管腔に対するカニューレ突起部を設ける基端の位置により調整してもよいし、管腔のカニューレ突起部間の長さを調整できる形状とすることで調整してもよい。例えば、カニューレ突起部間の管腔部分を蛇腹状としたり、カニューレ突起部を設ける管腔を分離した状態として接続部で接続するものとして接続部の長さを段階的に調整したりすることができる。
鼻孔挿入部101から鼻カニューレの基端までのカニューレ突起部301の長さh1(図4参照)や、鼻孔挿入部102から鼻カニューレの基端までのカニューレ突起部302の長さh1は、鼻カニューレ10を使用する患者の体形や症状、使用期間等を考慮して適宜設定することができる。このカニューレ突起部の長さh1は、10mm以上であることが好ましい。長さh1が、10mm以上あることで、一般的な体形の患者の鼻孔に鼻カニューレを十分に安定して挿入することができる。長さh1が長くても、その先端の鼻孔挿入部が鼻孔内にあれば十分に機能し、過剰な分ははみ出したままでよいため、特に上限を定めなくてもよい。長さh1は過剰に長くする必要はなく、h1が長い場合、管腔が患者の口の正面あたりに配置されてしまい、患者が話すときや食事するときの弊害となったり、患者が不快に感じたりする場合があるため、上限を定めてもよい。このようなh1の上限を設けるとき、h1は20mm以下や、18mm以下、15mm以下とすることが好ましい。
カニューレ突起部201、202は、円筒状である。すなわち、管腔40から略垂直等に突設した状態で、真直ぐ伸長する中空部を有する円筒により形成されている。このような円筒状のほうが、鼻孔内に導入しやすく、かつ、鼻孔内の気道に酸素や空気等の気体を効率よく供給することができる。特に、日本人等のように比較的鼻が低い顔の骨格を有する場合、有効である。同様に、カニューレ突起部は、円錘台部を有するものであってもよい。円錘台部においても、中央の中空部は真直ぐに伸長しており、円筒状と同様に気体を効率よく供給することができる。円錘台部を有する場合、縮径部が鼻孔挿入部側となるようにすることが好ましい。縮径部側から円滑に鼻孔に挿入しやすいためである。
鼻カニューレ10は、シリコーンゴムや、ビニール樹脂等の軟質樹脂等を用いて製造することができる。また、その構造部位等に応じて、適宜、硬質樹脂や金属部品、ガラス部品等も併用して製造することができる。
[第二の実施形態]
図6〜7は本発明に係る鼻カニューレの第二の実施形態を説明するための図である。図6の鼻カニューレ11は、鼻孔挿入部111、112を有する。鼻孔挿入部111、112は、内径d1と、鼻孔挿入部の外径d2との差(d2−d1)が、3mm以上、6mm以下である。鼻カニューレ11において、鼻孔挿入部111は、鼻カニューレ11の管腔41の基端311から突設したカニューレ突起部211の先端部分である。同様に鼻孔挿入部112は、鼻カニューレ11の管腔41の基端312から突設したカニューレ突起部212の先端部分である。
第一の実施形態に係る鼻カニューレ10は、カニューレ突起部201、202と平行方向の接続口50から気体が流入するものであった。鼻カニューレ11では、カニューレ突起部211、212に直交する方向に設けられている接続口511、512側から気体が流入する。このような鼻カニューレ11の構造とすると、接続口511、512の延長方向に供給管611、612が設けられる。
このような配置の場合、鼻カニューレ11の管腔41より下部の長さは短いものとすることができ、その配管は、管腔41の側部に延長するものとなる。よって、従来のHFNCの鼻カニューレと同様に、患者の口正面や下唇周辺の構造が減る。これのより、管腔41等が鼻の下側で上唇との間の高さで配置されて、供給管611、612等が顔の周囲を覆うような快適な配置として鼻カニューレ11を用いることが出来る。
供給管611、612は、HFNCのブレンダ・加温加湿器・回路等に接続され、供給された酸素や空気、それらを混合したものなどの気体が、それぞれ接続されている接続口511、512から管腔41に気体が供給され、鼻孔挿入部111、112の開口部から、その気体が患者の鼻孔に送出される。鼻カニューレ11を用いて、HFNCを行うとき、鼻孔挿入部111が右の鼻に挿入され、鼻孔挿入部112が左の鼻に挿入される。鼻カニューレ11も接続口511、512が設けられている方向以外については、鼻カニューレ10と共通する設計とすることができる。また、鼻孔挿入部111、112以外の構造については従来の鼻カニューレを参酌して対応する構造はその構造とすることができる。
[第三の実施形態]
図8は本発明に係る鼻カニューレの第三の実施形態を説明するための図である。図8は鼻カニューレ12の鼻孔挿入部121、122の断面図である。図8の鼻カニューレ12は、鼻孔挿入部121、122を有する。鼻孔挿入部121、122は、内径d1と、鼻孔挿入部の外径d2との差D(d2−d1)が、3mm以上、6mm以下である。鼻カニューレ12のカニューレ突起部221、222は細い筒状である。鼻カニューレ12は、この細い筒状の先端に本発明の鼻カニューレの鼻孔挿入部となる内外径の差Dを満足する円盤状の構造体を取り付けたり、一体となるように成形したりしたものである。鼻孔挿入部は、鼻孔に挿入する先端の部分であり、この先端が所定の内外径の差Dを満足すれば、PEEP様効果とCO2ウォッシュアウト効果が得られる。
本発明は、本発明に係る鼻カニューレを用いたHigh Flow Nasal Cannula(高流量式鼻カニューレ)方法に関する。本発明に係る鼻カニューレを用いたHFNC方法を実施するにあたっては、従来のHFNCの専用鼻カニューレに代えて、本発明に係る鼻カニューレを取り付けて、この鼻カニューレを患者の鼻孔に挿入し、気体を送出する。本発明に係る鼻カニューレを用いる場合、従来のHFNCと同様に、10〜60L/min程度の気体供給量で運転することができる。供給する気体は、空気や酸素、空気や酸素を混合して、適宜酸素濃度21〜100%から設定した気体などを用いることができる。
また、本発明に係る鼻カニューレを用いることで従来の鼻カニューレを用いるよりも低流量でPEEP様効果やCO2ウォッシュアウト効果が得られるため、従来よりも10%減や20%%減の流量設定で実施してもよい。または、従来よりも5L/min減や、10L/min減、15L/min減のような流量設定で実施してもよい。これらの低流量とすることは、酸素消費量の低減にも大きく資する。酸素消費量の低減により、運転中の経済的負担も低減する。また、HFNCの装置を低流量で運転することができるため、各構成部材等の故障防止や装置寿命が延びることも期待できる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を変更しない限り以下の実施例に限定されるものではない。
[評価項目]
[モデル肺を用いたPEEP様効果、CO2ウォッシュアウト効果の評価]
図9は、モデル肺を用いたPEEP様効果、CO2ウォッシュアウト効果の評価のための実験装置の構成を示す図である。
TTLモデル肺TM(アイ・エム・アイ、日本)の両肺を連結し、片肺側にフローアナライザPF−300TM(アイ・エム・アイ、日本)と模擬気管回路(鼻孔部10mm)を装着し、もう片肺側にはTTLモデル肺を駆動させるための人工呼吸器VELATM(アイ・エム・アイ、日本)を装着した。
一回換気量500mL・呼吸回数10回/minになるよう人工呼吸器を設定し模擬患者を作成した。CAD・3Dプリンタにて作成した3種類の形状の異なるカニューレ、空気−酸素ブレンダ(サンユーテクノロジー、日本)、加温加湿器MR850(Fisher&Paykel HEALTHCARE、日本)、呼吸回路RT202(Fisher&Paykel HEALTHCARE、日本)を使用した。カニューレ形状は、第一の実施形態に準じるものであり、内径、外形の形状による影響を評価するために以下の大きさとした。(図9参照)
・カニューレA:内径(d1)6mm、外径(d2)7mm 内外径差(D):1mm
・カニューレB:内径(d1)3mm、外径(d2)7mm 内外径差(D):4mm
・カニューレC:内径(d1)3mm、外径(d2)4mm 内外径差(D):1mm
酸素濃度は21%、設定流量は10〜60L/minまで10L/min刻みに増加させ模擬患者へHFNCを施行し、その際、PEEP様効果の指標となる呼気一回換気量・呼気終末回路内圧をフローアナライザにて測定した(n=10)。
さらに、CO2ウォッシュアウト効果を検証するためCO2ボンベから微量流量計を介してTTLモデル肺内部へCO2を添加し、模擬気管回路に装着したEtCO2モニタ(OLG−2800TM、日本光電)にてモニタ値が40mmHgになるよう微量流量計を調節し、模擬気管回路に装着したEtCO2モニタにてEtCO2値を測定した。
得られたデータは統計ソフトEZRを用いて、各カニューレでの治療前後の比較にはWilcoxon符号付順位和検定、カニューレA、B、C間の比較にはFriedman検定、Bonferroniの多重比較検定を行った。
(結果)
カニューレA、B、C間の比較ではA、Cに比べBは有意に鼻カニューレとして有効なものであった。
PEEP様効果の指標となる呼気終末回路内圧(Internal pressure of end expiratory circuit)はB>C>Aの順に高い結果となった(図10)。特に、カニューレBは極めて優れた呼気終末回路内圧を示すものであり、比較的、呼気終末回路内圧が高いカニューレCよりもさらに5〜10L/min程度少ない流量でも同程度の呼気終末回路内圧を達成したり、他のカニューレでは到達しない呼気終末回路内圧を達成することができた。
COウォッシュアウト効果の指標となるEtCO2値はHFNC装着前に比べ全てのカニューレで有意に低下した。また、カニューレA、B、C間の比較では、設定流量20L/min時のみAに比べ、B、Cは有意に低下した(図11)。
呼気一回換気量(Tidal volume)は流量増加に伴いカニューレA、Cは設定流量20L/minから、カニューレBは設定流量10L/minから有意に低下した(図12)。
(考察)
カニューレ内径が太い程、鼻孔を塞ぐ面積が増すためPEEP様効果に優れるのではないかとも考えられる。しかし、図10においてPEEP様効果の指標である呼気終末回路内圧は、カニューレA、BのほうがカニューレCよりも大きく、鼻孔を塞ぐ面積だけでなく、カニューレ内径が細くなる事で流速が上昇することにも依存している事が実験から考えられた。カニューレBのPEEP様効果の指標である呼気終末回路内圧は特に優れたものであった。
CO2ウォッシュアウト効果については、今回用いた全てのカニューレで低い流量から十分なウォッシュアウト効果が得られた。カニューレ間の比較では、カニューレ内径が細い程(カニューレB、C)より高いウォッシュアウト効果が得られる事が示唆された(図11)。
内外径差が大きいカニューレBは、PEEP様効果とCO2ウォッシュアウト効果双方を兼ね備えた形状であり酸素使用量を減らせる可能性など、経済的なメリットも期待できる事が実験から考えられた。
PEEP様効果は鼻孔を塞ぐ面積とカニューレ内径の細さ双方に依存し、カニューレ内径が細く、外径が太い程効果が高かった。また、CO2ウォッシュアウト効果はカニューレ内径が細い程効果が高かった。
本発明は、HFNCに用いられる装置の鼻カニューレに関するものであり、従来の鼻カニューレに代えてHFNCの装置に取り付けて使用でき、適宜、患者や使用期間に応じて取り換えながら使用でき、産業上有用である。
10、11、12 鼻カニューレ
101、102、111、112、121、122 鼻孔挿入部
201、202、211、212、221、222 カニューレ突起部
301、302、311、312、321322 基端
40、41、42 管腔
50、511、512 接続口
611、612 供給管

Claims (5)

  1. 鼻孔挿入部の外径d2と、鼻孔挿入部の内径d1との差Dが、3.8mm以上、4.5mm以下であり、
    前記内径d1が、2.7mm以上、5.0mm以下であり、
    前記外径d2が、6mm以上、13mm以下であり、
    前記鼻孔挿入部から、鼻カニューレ基端までのカニューレ突起部の長さが、10mm以上20mm以下であり、
    前記外径d2が、鼻カニューレを使用する患者の鼻孔径の50〜70%の太さであり、呼気終末陽圧(PEEP)様効果および上気道CO2ウォッシュアウト効果を有する、高流量式鼻カニューレ(HFNC)用の鼻カニューレ。
  2. 前記内径d1が、3mmであり、
    前記径d2が、7mmである請求項1記載の鼻カニューレ。
  3. 前記内径d1と前記外径d2の比(d1:d2)が、3:7である請求項1記載の鼻カニューレ。
  4. 前記カニューレ突起部が円筒状部または円錘台部を有する請求項1〜3のいずれかに記載の鼻カニューレ。
  5. 前記鼻カニューレ突起部が、シリコーンゴムおよび/またはビニール樹脂である(弾力性の圧縮性発泡体シールであるものを除く)請求項1〜4のいずれかに記載の鼻カニューレ。
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