JP6979338B2 - 配線構造の安全性評価システム - Google Patents

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Description

本発明は、コネクタを介して複数の電子機器が電線で接続された配線構造の安全性を定量的に評価するシステムに関するものである。
例えば、入力装置、制御装置及び出力装置の間をワイヤハーネス(Wire Harness、以下単にハーネスと言うことがある)で接続する配線システムは、システムが組み上げられた後に、ハーネスを構成する電線が適正なルートで接続されているのか冗長性を確認する必要がある。例えば、複数の電線が束になって枝分かれしているハーネスのある束の部分が切断しても、冗長性を要する複数の指示系統のすべてが喪失することなく、システムに支障を来さないようにすることが要求される。
そこで、冗長性のある複数の指示系統を司る複数の電線を同じ束として束ねることなく、互いに異なった束に束ねて配線し、それら複数の束が物理的に分離隔離されたルートに艤装する必要がある。
ところが、束を持つハーネスの数、入力装置などの末端装置又は中継装置の数が多いシステムになると、複数にまたがる配線図から接続ルートの妥当性をチェックしたり、配線の安全性を確認したりするのは容易ではない。
そこで本出願人はこれまで、大規模なシステムであっても、単線の単位で接続ルートを容易に確認できる配線の接続確認システムを特許文献1で提案している。また、同束リスクのあるハーネス、及び、同時に故障すると安全性を損なうリスクのあるハーネスを容易に抽出するシステムを特許文献2で、さらに、複雑な配線構造に対しても、定性的に配線の安全性を解析できるシステムを特許文献3で提案している。
特許第5182973号公報 特許第5984603号公報 特開2014−194676号公報
また、安全性の評価手法としてフォルトツリー分析(Fault Tree Analysis:FTA)が広く知られており、高い安全性が要求される電子機器、端末装置及び電線の冗長性を確認する手法として適用することができる。フォルトツリー分析により、冗長性が必要な電線が離れているかどうかを確認する定性的な確認方法と共に、何らかの定量的な評価による配線の信頼性向上が航空機の安全性の確認手法としては必要である。配線の信頼性を向上する手法の1つとして、コネクタ及び電線の故障率データに基づく配線設計方法が考えられる。しかしながら、前者のコネクタに関しては、MIL-HDBK-217F等の公共規格を適用することにより、コネクタの故障率に基づいて設計することが可能であるが、後者の電線に関しては、適用可能な公共規格が無く、これまで、電線の故障率に基づく設計が困難であった。
そこで本発明は、容易に配線構造の安全性を定量的に評価できるシステムを提供することを目的とする。
本発明は、ワイヤハーネスに属する複数の電線の各々が、中継要素を介して末端に位置する一対のコネクタに接続される配線構造の安全性評価システムに関する。
本発明の電線の安全性評価システムは、配線構造において、イベントの識別情報であるイベントIDと、当該イベントIDに対応するゲートの種別を示すゲートタイプと、当該イベントIDがトップ事象であることの識別情報と、が対応付けられたフォルトツリー情報を記憶する記憶部と、トップ事象の発生確率を計算する処理部と、を備える。
本発明の配線構造の安全性評価システムにおいて、処理部は、ゲートタイプが、ORゲート及びANDゲートのいずれであるかを認識し、認識された全てのANDゲートをORゲートに置き換えて、トップ事象の第一発生確率を求める、ことを特徴とする。なお、条件付きゲートもANDゲートと同様、ORゲートに置き換えれば良いことは言うまでもない。
本発明における処理部は、フォルトツリー情報における最下段の基本事象から最上段のトップ事象に向けて第一発生確率を計算し、第一発生確率の計算は、ORゲートに繋がる事象の発生確率を、その下位に繋がる全ての事象の発生確率の和として求める、ことができる。
本発明における処理部は、求められた第一発生確率が要求値を満足するか否かを評価し、要求値を満足しないものと評価すると、ORゲートに置き換えられたANDゲートに対して電線の独立性を評価し、独立性が確認されると、ORゲートをANDゲートに戻して、トップ事象の第二発生確率を求める、ことができる。
本発明における処理部は、フォルトツリー情報における最下段の基本事象から最上段のトップ事象に向けて第二発生確率を計算し、第二発生確率の計算は、ANDゲートに繋がる事象の発生確率を、その下位に繋がる全ての事象の発生確率の積として求める、ことができる。
本発明の配線構造の安全性評価システムにおいて、トップ事象に直接的又は間接的に繋がる複数の事象のそれぞれの発生確率を、第一故障率に基づいて計算できる。
本発明における処理部は、求められた第一発生確率が要求値を満足するか否かを評価し、要求値を満足しないものと評価すると、ORゲートに置き換えられたANDゲートに対して電線の独立性を評価し、独立性が確認されると、ORゲートをANDゲートに戻して、トップ事象の第二発生確率を求めかつ、処理部は、求められた第二発生確率が要求値を満足するか否かを評価し、要求値を満足しないものと評価すると、第一故障率よりも低い第二故障率、又は、第三故障率に基づいて、トップ事象の第三発生確率を求める、ことができる。
本発明における処理部は、第三発生確率が、要求値を満足するか否かを評価し、要求値を満足しないものと評価すると、配線構造の設計を変更するように促すか、又は、配線構造の点検・整備の間隔を変更するように促す、ことができる。
本発明における処理部は、第一発生確率、第二発生確率又は第三発生確率を求めるのに、電線に関するイベントに関わる故障率を、ワイヤハーネスに属するバンドルの単位でそれぞれ求め、その合計として算出する、ことができる。
また、本発明における処理部は、第一発生確率、第二発生確率又は第三発生確率を求めるのに、電線に関するイベントに関わる故障率を、ワイヤハーネスの単位でそれぞれ求め、その合計として算出する、こともできる。この場合、電線単位長当たりの故障率の基準値として、代表値、又は、電線単位長当たりの平均故障率を適用する、ことができる。
本発明において、電線に関するイベントに関わる故障率は、複数の故障率要素の関数として与えることができるが、この場合に処理部は、複数の定数及び複数の変数で一般化された関数の基準値と、一般化された関数における任意条件によるそれぞれの変数の差分と、に基づいて故障率を算出する、ことができる。
本発明によれば、容易に配線構造の安全性を定量的に評価できるシステムを提供できる。
本発明の実施形態に係る配線の安全性評価システムで評価されるワイヤハーネスの構成を示す図である。 本実施形態の評価システムの概略構成を示す図である。 フォルトツリーを示す図である。 フォルトツリーの他の例を示す図である。 端末装置のコネクタC1及びC2のFMEA(Failure Modes and Effects Analysis)の一例を示す図である。 イベントの識別情報であるイベントID、ゲートの識別情報であるゲートタイプ及び親IDを対応付けたフォルトツリー情報をテーブル形式で示す図である。 電線の識別情報である電線IDとコネクタの識別情報であるコネクタIDとを対応付けた電線−コネクタ接続情報をテーブル形式で示す図である。 電線の種別情報及び故障パラメータ情報を示す図である。 互いに嵌合されるコネクタに属するピンの対応関係であるコネクタ−コネクタ接続情報をテーブル形式で示す図である。 バンドルの識別情報と一対のコネクタの識別情報とを対応付けたバンドル接続情報をテーブル形式で示す図である。 バンドルに属する電線をバンドルに対応付けて示す電線リストを示す図である。 バンドルに属する電線の種別ごとの本数を示す図である。 図1の配線例におけるバンドルの束径の算出結果を示す図である。 電線に関するイベントの故障率を算出するのに用いられる情報を示す図である。 本実施形態における定量的な評価の手順を示すフローチャートである。 本実施形態における故障率算出の手順を示すフローチャートである。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る配線構造の安全性評価システム10(以下、単に評価システム10)を説明する。
評価システム10は、複数のハーネスが接続される配線システムの設計データである電線、コネクタ等の接続情報を参照するとともに、フォルトツリー分析(FTA)を行うツールの情報であるフォルトツリー情報を用いて、配線システムの安全性を定量的に評価するものである。ここで、ハーネスとは、電気コネクタと電線の束(バンドル:Bundle)で構成されるアセンブリであり、各電線はコネクタのピン又は端子とそれぞれ電気的に接続されている。
評価システム10の評価対象となる配線システムは、フォールト・トレランス(Fault Tolerance:FT)の考え方が適用されるものであり、ハーネスを構成する電線に必要な冗長数が設定される。例えば、「致命的な故障事象(Catastrophic Failure)」に繋がる電線については、互いに独立した3系統以上の冗長数が確保され、同様に、「危険な故障事象(Hazardous Failure)」に繋がる電線については、互いに独立した2系統以上の冗長数が確保されることにより、発生確率として許容できるレベルを担保する。電線が必要な冗長数を確保するには、当該電線が同じハーネスの同じ区間に属する同束を回避する必要がある。なお、必要な冗長数は必要に応じて設定されるものであり、また、この定義付けはあくまで一例である。
図1は、配線システムの一部を構成する2つのハーネスWH1及びハーネスWH2を示している。ハーネスWH1,WH2を用いて、電線の同束について説明する。
図1のハーネスWH1は、コネクタC1、コネクタC2、コネクタC3及びコネクタC4の4つのコネクタを備え、これらコネクタの相互間がバンドルB1、バンドルB2、バンドルB3、バンドルB4及びバンドルB5を介して接続されている。バンドルB1、バンドルB2及びバンドルB3は中継点A1で接続され、バンドルB3、バンドルB4及びバンドルB5は中継点A2で接続されている。それぞれのバンドルB1〜バンドルB5は図示を省略する複数の電線を含んでいる。
また、ハーネスWH2は、コネクタC5、コネクタC6、コネクタC7及びコネクタC8の4つのコネクタを備え、これらの相互間がバンドルB6、バンドルB7、バンドルB8、バンドルB9及びバンドルB10を介して接続されている。コネクタC5及びコネクタC6は、それぞれ、コネクタC3及びコネクタC4と接続されている。バンドルB6、バンドルB8及びバンドルB9は、中継点A3で接続され、バンドルB7、バンドルB8及びバンドルB10は中継点A4で接続されている。
ここでは、末端部分としてコネクタだけを示しているが、これらのコネクタC1〜C8は、通常、入力装置、制御装置及び出力装置などの機器に付随、或いは、複数のハーネスをお互いに接続する中継コネクタに接続される。また、中継点A1〜A4は、複数のバンドルが分岐、合流する位置の識別情報である。
ハーネスWH1において、コネクタC1とコネクタC2は、バンドルB1とバンドルB2により接続されている。バンドルB1とバンドルB2は中継点A1に繋がれることで、中継点A1がバンドルB1とバンドルB2の経由地又は接点となる。
同様に、中継点A1と中継点A2は、バンドルB3により接続され、バンドルB3は、一端が中継点A1に繋がれ、他端が中継点A2に繋がれている。
コネクタC3、コネクタC4、コネクタC5、コネクタC6、コネクタC7及びコネクタC8についても同様である。
バンドルB1〜バンドルB10は、それぞれが複数の電線を含んでおり、これらの電線はコネクタC1〜C8の対応するピンに接続されている。なお、図1はピンの図示を省略している。例えば、コネクタC1に接続される全ての電線はバンドルB1を通り、その一部の電線はバンドルB2を通ってコネクタC2に接続され、また、他の電線がバンドルB3を通って中継点A2に達する。コネクタC2に接続される全ての電線はバンドルB2を通り、一部の電線がバンドルB1を通ってコネクタC1に接続され、また、他の電線がバンドルB3を通って中継点A2に達する。同様に、コネクタC3に接続される全ての電線はバンドルB4を通り、一部の電線がバンドルB5を通ってコネクタC4に接続され、また、他の電線がバンドルB3を通って中継点A1に達する。コネクタC4に接続される全ての電線はバンドルB5を通り、一部の電線がバンドルB4を通ってコネクタC3に接続され、また、他の電線がバンドルB3を通って中継点A1に達する。コネクタC5〜コネクタC8についても同様である。
ハーネスWH1において、例えば、バンドルB2を通ってコネクタC2に接続される以外のバンドルB1に属する電線はバンドルB3に属し、バンドルB2に属する電線は、バンドルB1を通ってコネクタC1に接続される以外はバンドルB3に属する。バンドルB3に属するこれらの電線が同束をなすが、冗長性を必要とする複数の電線がバンドルB3で同束になるのを避けて独立性を有しなければならない。
次に、コネクタC5〜コネクタC8の部分について観ると、バンドルB6に属する電線は中継点A3を通ると、バンドルB8及びバンドルB9のいずれかに属し、バンドルB7に属する電線は中継点A4を通ると、バンドルB8及びバンドルB10のいずれかに属する。バンドルB8に属するこれらの電線が同束をなすことになり、冗長性を有する複数の電線がバンドルB8で同束をなすことを避けて独立性を有しなければならない。バンドルのそれぞれに属する電線は、図11の電線リストに示されている。
評価システム10が行う定量的な評価は、フォルトツリー情報を用い、そのトップ事象の発生確率求めることにより、配線システムを定量的に評価する。
評価システム10は、この評価を、以下のSTEP−1、STEP−2及びSTEP−3の3つのステップにより行う。STEP−1〜STEP−3の概要は以下の通りである。
STEP−1:フォルトツリー情報に含まれる故障事象の「AND」ゲートの全てを「OR」ゲートに置き換えて、トップ事象の発生確率を計算する。計算結果が発生確率の要求値を超える場合には、次のSTEP−2を実施する。
ANDゲートの全てをORゲートに置き換えると、複数の配線同士の独立性を確認する必要がなく、また、ORゲートにして計算する方が、必ずANDゲートによる計算を上回る故障率が算出されるので、算出された数値が安全側にシフトし、その数値が要求値よりも小さければ、安全性が定量的に証明される。なお、条件付きゲートもANDゲートと同様、ORゲートに置き換えれば良いことは言うまでもない。
STEP−2:STEP−1でORゲートに置換えたANDゲートに対し、配線の独立性、つまり同じハーネスに属しているか否かの評価を実施する。
配線の独立性が確認できた故障事象については、置き換えたORゲートをANDゲートに戻して、発生確率を算出する。
一方、配線の独立性が有していないと評価されると、本来の発生確率を容易に定義できないので、安全側(最大値)となるORゲートのまま、発生確率を算出する。
発生確率の計算結果が、発生確率の要求値を満足しない場合は、STEP−3を実施する。
STEP−3:STEP−1,2で用いた故障率(第一故障率)よりも低い故障率(第三故障率)、つまり実機条件の故障率を用いてトップ事象の発生確率を計算する。発生確率の要求値を満足しない場合は、該当する配線に対して、設計変更を促すなどを要求する。
[評価システム10の概要]
図2に示すように、評価システム10は、入力部1と、処理部2と、第一記憶部3と、第二記憶部4と、表示部5と、を備えている。評価システム10は、パーソナルコンピュータ、その他のコンピュータ装置により構成することができる。
評価システム10は配線描画システム20と接続されている。配線描画システム20もまた、コンピュータ装置により構成される。
入力部1は、評価システム10を実行するために必要な指示を入力する部位である。コンピュータの入力装置としてのキーボードにより入力部1を構成できる。
処理部2は、第一記憶部3に記憶されたフォルトツリー情報、その他の情報を読み出して、後述する手順を実行し、その結果を第二記憶部4に記憶させたり、表示部5に表示させたりする。その他の情報については、追って説明する。
表示部5は、処理部2により処理された結果を表示する。コンピュータの表示装置としての液晶表示装置により表示部5を構成できる。
[配線描画システム20の概要]
配線描画システム20は、CAD(Computer Aided Design)21を備える。CAD21は、配線設計作業にともなうコネクタ、ケーブル及び機器に関する接続情報を取得して、結線図(Wiring Diagrams、以下単にWDということがある)を作成する。WDは図1に示すハーネスWH1,WH2に属する電線とコネクタとの接続関係が図示されたものである。WDに基づく接続情報は、ハーネスの識別情報(ハーネスID)と、電線の識別情報(電線ID)と、コネクタ及びピンの識別情報(コネクタID,ピンID)と、が対応付けられている。CAD21は、取得した接続情報を評価システム10の第一記憶部3に提供する。第一記憶部3は、CAD21から提供される接続情報を記憶する。
[フォルトツリー情報(図3,図4)]
図3及び図4に、フォルトツリー(Fault Tree:FT)の一例を示す。なお、図3、図4は、配線を含むシステムにおける故障事象の一部のみを示しており、実際のシステムは数十枚あるいは数百枚におよぶフォルトツリーで構成される。また、フォルトツリーは、公知のFTAを行うソフト(FTAツール)により作成できる。
図3について説明すると、発生するのが好ましくない事象(AAA)をフォルトツリーの最上段に配置する。これをトップ事象(Top Event)と称するが、通常、トップ事象は、その発生を防止できる性質のものに限られ、自然現象をトップ事象にすることはできない。トップ事象の下には、トップ事象の発生に関与する要因事象(十分条件)が系統的に列挙される。この要因事象は、中間事象(Middle Event)と基本事象(Basic Event)に区分され、基本事象は当該系統の最下段に配列される。
図3のフォルトツリーにおいて、下位に列挙される要因事象のいずれか1つが発生すれば上位の事象が発生する関係を示す論理記号をORゲートという。また、下位に列挙される要因事象が同時に発生した場合に限って上位の事象が発生する関係を示す論理記号をANDゲートという。図3においては、トップ事象AAAの下位の要因事象AAB、ABA、BBA、ABBのいずれか1つが発生すればトップ事象AAAが発生する関係をORゲートで示している。また、図3のフォルトツリーにおいて、下位の要因事象BBB及びBABの両者が同時に発生した場合に限って上位事象ABAが発生する関係をANDゲートで示している。図4のフォルトツリーも同様の規則によって作成されている。図4では、トップ事象CCCの発生に関与する要因事象として、例えば、図3のトップ事象AAAが存在する場合を示しており、基本事象として当該系統、つまり図4のフォルトツリーの最下段に配列される。
図3、図4も含めフォルトツリーに示される事象(イベント)には、電線に限るものでなく、対象とするトップ事象に関連するシステム、機能、機器、部材などが含まれるが、ここでは理解を容易にするために、AAAというように記号で示している。ただし、電線に関するイベントについては、W11,W12という名称を用いることで、他のイベントとの区別を明確にしている。また、これら電線に関するイベントは、電線に関する故障モード、例えば、ショート故障や断線故障等の影響を評価するFailure Modes and Effects Analysis(FMEA)を実施することにより抽出できるが、端末装置に属するコネクタを対象にFMEAを実施することにより、重複なくかつ漏れなく効率的に抽出することができる。
[故障モードの影響評価情報(図5)]
図5(a),(b)は、端末装置に属するコネクタC1及びC2のFMEAによる故障モードの影響評価情報の一例を示す。図5(a)に示すFMEAは、コネクタC1の、例えば、P13のピンに接続される電線、コネクタのショート故障あるいは断線故障により、図4のフォルトツリーのイベントW11が発生することを示している。同様に、図5(b)に示されるFMEAは、コネクタC2の、例えば、P23のピンに接続される電線のショート故障により、図3のフォルトツリーのイベントW12が発生することを示している。このように、影響評価情報は、当該コネクタに属する複数のピンとイベントIDが対応付けられており、第一記憶部3に記憶されている。なお、図5には、故障率の情報は記載されていないが、端末装置に属するコネクタと電気的に繋がる電線、又は、コネクタの少なくともいずれか一方の故障率を全て算出し、当該イベントの故障率として設定し、第一記憶部3に記憶しておけば、前述のFTAツールを用いて、トップ事象の発生確率を定量的に解析、評価できる。
本実施形態においては、電線に関するイベントW11,W12を含むフォルトツリーにおけるトップ事象の発生確率を計算し、システムを定量的に評価する。
図3のフォルトツリーにおいて、電線に関するイベントW12が生じるとトップ事象AAAが発生する。一方、図4のフォルトツリーにおいて、電線に関するイベントW11が生じると中間事象CDCが発生することが判る。今、図4において、中間事象CDCの上位事象CCDが発生する論理記号はANDゲートであるため、イベントW11とW12の組合せが同時に発生するとトップ事象であるイベントCCCが発生することが判る。
ただし、本実施形態のSTEP−1は、後述するようにANDゲートを全てORゲートに置き換えて、トップ事象の発生確率(第一発生確率)の計算を行う。なお、図3及び図4のように、一方のトップ事象(AAA)が他方の中間事象になることを入れ子構造と称している。
[フォルトツリー情報(図6)]
図6は、トップ事象の発生確率を計算するのに用いられるフォルトツリー情報を示す。このフォルトツリー情報は、あらかじめ第一記憶部3に記憶されている。
フォルトツリー情報は、上位に位置するイベントの識別情報(親ID)、イベントごとの識別情報(イベントID)及びイベントIDと下位に位置するイベントとの間のゲートに関する識別情報(ゲートタイプ)が対応付けられたテーブル形式の情報である。なお、フォルトツリー情報は、親ID、イベントID及びゲートタイプ以外の情報を含んでいるが、ここでは本実施形態の評価に必要な情報のみを掲げている。
図6において、イベントIDがAAAからW12までの情報が図3のフォルトツリーに対応し、イベントIDがCCCからAAAまでの情報が図4のフォルトツリーに対応している。トップ事象に該当するイベントCCCには、上位のイベントが存在しないため、親IDが空欄となっている。この空欄は当該イベントIDがトップ事象に該当することの識別情報となるが、この識別情報を積極的に付与してもよい。
詳しくは後述するが、フォルトツリー情報の中で電線に関するイベントを選択して、ゲートタイプの種別に応じてより上位に位置するイベントに達するか否かを順に評価して、トップ事象に達するか否かを確認し、評価する。STEP−2により選択される同束をなしているハーネス、バンドル、コネクタは、例えば、イベント(W11,W12)であることが検索、特定される。電線に関するイベント(W11,W12)の組合せ、あるいは、電線に関するイベント(W11,W12の少なくとも1つ)と電線以外のイベントとの組み合わせによってトップ事象に達することが確認されれば、当該電線の配線経路を変更する必要がある。
[電線−コネクタ接続情報(図7)]
図7は、第一記憶部3に記憶される接続情報の一例を示す。
この接続情報は、図1に示されるハーネスWH1,WH2のそれぞれに属する電線の識別情報(電線ID)とコネクタの識別情報(コネクタID)の接続関係を対応付ける電線−コネクタ接続情報を示している。
ハーネスWH1について説明すると、電線IDがW101,W102の電線はコネクタC1とコネクタC2に接続され、電線IDがW103,104の電線はコネクタC1とコネクタC3に接続され、電線IDがW105,106の電線はコネクタC1とコネクタC4に接続されることが示されている。その中で、電線IDがW101,102の電線は、コネクタC1とはピンIDがP11,P12のピンと接続され、コネクタC2とはピンIDがP21,P22のピンと接続されることが示されている。他の電線及びハーネスWH2についても同様である。
なお、ここでは配線システムの中の一部のハーネスについてのみ示しているが、実際の配線システムにおいては、含まれる全てのハーネスに関する電線−コネクタ接続情報を備える。
また、電線−コネクタ接続情報は、それぞれの電線W101〜W212の長さ情報(Leng.の欄)、電線の種別情報(WIRE CODE)及びコネクタの種別情報(CON. CODE)を含んでいる。例えば、図7の電線W101は、コネクタC1とコネクタC2を接続し、その長さがL1、電線の種別が♯W1、それぞれのコネクタの種別が♯C1,♯C2であることが示されている。また、電線W107は、コネクタC2とコネクタC3を接続し、その長さがL4、電線の種別が♯W2、それぞれのコネクタの種別が♯C2,♯C3であることが示されている。また、ハーネスの端部に位置する一対のコネクタの間の電線のルートが1つならば、その長さ(Leng.)は同じとなるが、一対のコネクタの間の電線のルートが複数あれば、その長さ(Leng.)が異なることもある。
[故障パラメータ情報(図8)]
図8(a),(b)は、第一記憶部3に記憶される故障パラメータ情報の一例を示す。この故障パラメータ情報は、電線に関する基本イベントの発生確率を計算するのに用いられる。
故障パラメータ情報は、図8(a)に示される電線の種別情報(WIRE CODE)と故障率要素としての材質Mw、線径d、被覆の種類Mi、温度T、振動Vとが対応付けられたものと、図8(b)に示されるコネクタの種別情報(CON. CODE)と故障率要素としての材質Mcとが対応付けられたものの二種類がある。
図8は、例えば、種別が♯W1の電線は故障率要素としての材質がMw1であり、線径dがd1であること、種別が♯C1のコネクタは故障率要素としての材質がMc1であることを示している。
なお、ここでは電線及びコネクタの故障率要素として材質のMw,Mcと簡潔に示している。実際の故障率の計算は、複数のパラメータを所定の式に代入することで求められており、また、電線の故障率については、断線に関するものとショート(短絡)に関するものが存在している。したがって、発生確率又は故障率は、材質Mwにより決まる電線の個別の柔軟性、可撓性等を考慮したパラメータ、及び、ハーネスを敷設する場所の振動や温度などの使用環境条件を考慮したパラメータを用いて算出される。
[コネクタ−コネクタ接続情報(図9)]
次に、図9は、ハーネスWH1,WH2において、互いに嵌合されるコネクタ同士の接続情報であるコネクタ−コネクタ接続情報を示している。コネクタ-コネクタ接続情報は、第一記憶部3に記憶されている。
図1に示すように、ハーネスWH1とハーネスWH2において、コネクタC3とコネクタC5が嵌合され、また、コネクタC4とコネクタC6が嵌合されている。コネクタ−コネクタ接続情報は、ピン同士の接続関係も含めたこの嵌合の関係を示している。
コネクタC3とコネクタC5について観ると、図9に示すように、コネクタC3はP31〜P36のピンIDで特定される6つのピンを備え、コネクタC5がP51〜P56というピンIDで特定される6つのピンを備え、さらに、コネクタC3のP31〜P36のピンと嵌合するコネクタC5のP51〜P56のピンの接続関係のそれぞれが示されている。
コネクタC4とコネクタC6についても同様であり、例えば、図9は、コネクタC3のピンP31とコネクタC5のピンP55が嵌合し、コネクタC4のピンP41とコネクタC6のピンP61が嵌合することを示している。
ここで、図7に示される電線−コネクタ接続情報及び図9に示されるコネクタ-コネクタ接続情報を参照することにより、特定の電線の配線経路を探索することができる。例えば、図7において、電線W103は、コネクタC1のピンP13とコネクタC3のピンP31に接続されており、図9において、コネクタC3のピンP31はコネクタC5のピンP55と接続されており、さらに、図7に戻り、コネクタC5のピンP55にはコネクタC8のピンP81との間に電線W205が接続されている。
また、図7において、電線W107は、コネクタC2のピンP23とコネクタC3のピンP33に接続されており、図9において、コネクタC3のピンP33はコネクタC5のピンP53と接続されており、さらに、図7において、コネクタC5のピンP53にはコネクタC7のピンP71との間に電線W203が接続されている。
このように、図7の電線−コネクタ接続情報及び図9のコネクタ-コネクタ接続情報を参照すれば、複数のハーネスに属する電線がどのような経路をたどるのかの配線経路を探索できる。
[バンドル接続情報(図10)]
次に、図10は、ハーネスWH1,WH2に関するバンドル接続情報を示している。バンドル接続情報は第一記憶部3に記憶されている。
バンドル接続情報は、ハーネスWH1,WH2に属する電線の束であるバンドルの識別情報(バンドルID)とバンドルの両端のコネクタ又は中継点の識別情報(ITEM1,ITEM2)とを対応付けた情報である。例えば、図10において、バンドルB1は、コネクタC1と中継点A1の間に配置されることが示されている。
このバンドル接続情報と図7の電線−コネクタ接続情報を照合することにより、それぞれのバンドルに属する電線を特定することができる。例えば、図7のコネクタC1とコネクタC2を例にすると、コネクタC1とコネクタC2を接続するのは電線W101及びW102であり、一方、図10に示すようにコネクタC1とコネクタC2の間には、中継点A1を介して、バンドルB1とバンドルB2がつながっている。したがって、図7及び図10を参照することにより、電線W101及びW102のいずれもバンドルB1とバンドルB2に属することを特定できる。
以上のように、バンドル接続情報は、それぞれのバンドルB1〜B10の単位で、その両端に接続されるコネクタ及び中継点がバンドルと対応付けられたものであるが、バンドル単位の長さ(Length)も対応付けられている。
図11は、以上のようにして特定される、バンドルとバンドルに属する電線とが対応付けられた電線リストを示す。例えば、図11よりバンドルB1に属する電線W101〜W106は同束であることが判る。この電線リストは、第一記憶部3に記憶されている。
[定量評価手順]
以下、評価システム10を用いた配線システムにおける評価手法の手順を、図15を参照しながら、STEP−1、STEP−2及びSTEP−3の順で説明する。以下のSTEP−1〜STEP−3は、処理部2が第一記憶部3に記憶されている情報を参照することにより行われる。
[STEP−1]
STEP−1は、まず、図3及び図4に示されるフォルトツリーの基本イベント(基本事象)のそれぞれについて故障率を計算する(図15 S101)。例えば、図3のフォルトツリーについていえば、トップ事象であるAAA事象、及び、中間イベント(中間事象)であるABA事象、BBA事象などを除くBBB事象、BAB事象などの6つの事象のそれぞれについて故障率を計算する。
故障率の計算方法については後述するが、STEP−1,2で計算される故障率はSTEP−3よりも大きい値であるワースト条件(第一故障率)に基づいて計算される。
次に、フォルトツリー(Fault Tree)を修正する(図15 S103)。この修正は、フォルトツリーにおけるANDゲートをORゲートに置き換える処理からなる。具体的には、処理部2は、図3におけるBBB事象とBAB事象の上位に存在するゲートがANDゲート(Gate1)であることを認識すると、ANDゲートをORゲートに置き換え、また、処理部2は、図4におけるCDC事象とAAA事象の上位に存在するゲートがANDゲート(Gate2)であることを認識すると、ANDゲートをORゲートに置き換える。
フォルトツリーにおけるANDゲートをORゲートに置き換えたならば、図3及び図4におけるトップ事象であるCCC事象の発生確率(第一発生確率)を計算する(図15 S105)。
発生確率の計算は、フォルトツリーの最下段の基本事象から最上段のトップ事象に向けて行われる。基本事象の発生確率Pは、故障率λに暴露時間Trを乗じることにより計算される。ORゲートで繋がる中間事象の発生確率Pは、その下位に繋がる全ての事象の発生確率の和として求められる。ここでいうORゲートは、もともとORゲートであるもの、およびANDゲートをORゲートに置き換えたものの双方を含む。図4を例にすると、以下の通りである。なお、ANDゲートに繋がる中間事象の発生確率Pは、一般的に、その下位に繋がる全ての事象の発生確率の積として求められる。ただし、例えば、中間事象のイベントCCDにおいては、W11とW12に関わる配線が1つのバンドルをなす場合、または、コネクタで同束となる場合には、互いに独立とはならないため、発生確率を積として求めることはできない。
BBB事象の発生確率P1とBAB事象の発生確率P2とを足し込んで中間事象ABAの発生確率P8を、また、AAC事象の発生確率P3とW12事象の発生確率P4とを足し込んで中間事象BBAの発生確率P9を得る。次いで、AAB事象及びABB事象のそれぞれの発生確率P5、P6に加えて、発生確率P8と発生確率P9を足し込んだ値が、トップ事象の発生確率P10と定義される。以上を計算式で示すと以下の通りである。
P10=P5+P6+P8+P9
=P1+P2+P3+P4+P5+P6
次に、トップ事象の発生確率P10と発生確率の要求値Psとを比較して、発生確率P10が要求値Psに適合するか否か、つまりP10≦Psを満足するか判断する(図15 S107)。
トップ事象の発生確率P10が要求値Psに適合していれば(図15 S107 YES)、その旨が表示部5に表示される。この表示は、設計変更を必要としない旨を含むことができる。S209、S305も同様である。
トップ事象の発生確率P10が要求値Psに適合していなければ(図15 S107 NO)、次のSTEP−2が行われる。
STEP-1において、ANDゲートをORゲートに置き換えることにより、発生確率の計算結果が安全側にシフトする。つまり、ANDゲートで計算すると、例えば、前述の発生確率P1と発生確率P2の積が発生確率の結果になるのに対して、ORゲートで計算すると、発生確率P1と発生確率P2の和が発生確率の結果になる。ここで、個々の発生確率は1以下の値であるから、ORゲートの方がANDゲートよりも高い発生確率が算出されることになり、計算結果が安全側にシフトする。
[STEP−2]
次に、STEP−2について説明する。
STEP−2においては、はじめに、配線システムを構成する複数の配線の独立性を評価する(図15 S201,S203)。この評価は、ORゲートからANDゲートに置き換えられた部分について行われる。例えば、図4のフォルトツリーを例にすると、CDC事象とAAA事象の上位に存在するORゲート(Gate2)を元のANDゲートとみなして、複数の配線の独立性が評価される。独立性の評価手順については追って説明する。
配線の独立性が確保されていれば(図15 S203 YES)、ORゲートを元のANDゲートに戻すフォルトツリーの修正を行う(図15 S205)。ORゲートに置き換えられたANDゲートが複数ある場合には、全てのANDゲートについて、それぞれ配線の独立性が確保されているか否かを評価し、独立性が確保されていれば、当該ORゲートをANDゲートに戻す、フォルトツリーの修正を行う。
その後、STEP-1と同様の手順であるが、ANDゲートについては、ANDゲートの下位に繋がる全ての事象の発生確率の積として、トップ事象の発生確率(第二発生確率)を計算する(図15 S207)。
次に、計算されたトップ事象の発生確率と発生確率の要求値とを比較して、発生確率が要求値に適合するか否かを判断する(図15 S209)。
トップ事象の発生確率が要求値に適合していれば(図15 S209 YES)、その旨が表示部5に表示される。トップ事象の発生確率が要求値に適合していなければ(図15 S209 NO)、次のSTEP−3が行われる。
配線の独立性が確保されていなければ(図15 S203 No)、ORゲートのままでSTEP-1と同様の手順でトップ事象の発生確率を計算することになるが、これはSTEP-1の発生確率と同じになる。このため、いずれのANDゲートも、配線の独立性が確保されていないことが確認された場合(図15 S203 No)には、続く、S207及び、S209の処理を省略し、次のSTEP-3に進むことができる。
[STEP−3]
STEP-3は、図15に示すように、基本事象の故障率の計算(図15 S301)及びトップ事象の発生確率の計算(図15 S303)を行う点は、STEP-1と共通する。しかし、STEP-3は、基本事象の故障率をSTEP-1,2よりも下げた条件として、第一故障率よりも低い第二故障率、又は、実機条件の第三故障率に基づいて、トップ事象の第三発生確率を計算する。
次に、処理部2は、トップ事象の発生確率(第三発生確率)と要求値Psとを比較して、発生確率が要求値Psに適合するか否か、つまり、P10≦Psを満足するか判断する(図15 S305)。
STEP-3においてもトップ事象の発生確率が要求値Psに適合しなければ(図15 S305 NO)、処理部2は、配線システムの適合性二次評価を行い、配線システムの設計変更を促すか、又は、配線システムの点検・整備の間隔の変更を促す(図15 S307)。以下に、適合性二次評価について具体的に説明する。なお、STEP−1のS107又はSTEP−2のS209で“No”となった段階で、S307と同様の適合性二次評価を実施し、配線システムに対し設計変更を促すことも可能であることは言うまでもない。
STEP−2のS203で“No”がなかった場合、すなわち、全てのANDゲートに関わる配線がいずれも独立である場合は、配線システムの設計変更を促すと共に、点検・整備間隔を算出する。
STEP−2のS203で“No”が1つ以上あった場合、すなわち、STEP−2のS205 において、ANDゲートに戻さないゲートが1つ以上あった場合は、当該ゲートに関わる配線に対してそれぞれ設計変更を促す。そして、当該ゲートに関わる配線の独立性が確保されるように、設計変更した場合の発生確率及び、点検・整備間隔をそれぞれ計算し、適合性を評価する。なお、独立性が確保されるように設計変更した場合の発生確率の再計算は、ANDゲートとして、すなわち、ANDゲートの下位に繋がる全ての事象の発生確率の積として、計算できることは言うまでもないが、ANDゲートで計算するゲートは、複数ある当該ゲートを対象として、任意の組合せを指定して計算することもできる。つまり、独立性が確保されていない複数のANDゲートから独立性を確保させるANDゲートを選択し、他の独立性が確保されていないANDゲートをORゲートとして再計算し、故障率が要求値以下になれば、その独立性を確保した場合の配線システムが一つの設計変更案であることを表示する。
[配線の独立性評価]
STEP−2において行われる配線の独立性の評価について説明する。
この評価は始めに、図3及び図4に示されるフォルトツリーに含まれる全ての電線に関するイベントIDについて、故障モードの影響評価情報(図5)を参照することにより、当該イベントIDに対応するピンを特定する。次いで、電線−コネクタ接続情報(図7)、コネクタ−コネクタ接続情報(図9)及びバンドル接続情報(図10)を参照するなどして、当該イベントIDに関連する電線IDで同束のものを抽出する。詳しくは以下の通りである。
処理部2は、フォルトツリーに含まれる全ての電線に関するイベントIDを取得すると、第一記憶部3から故障モードの影響評価情報(図5(a),(b))を読み出すとともに、取得したイベントIDについて、影響評価情報を参照することにより、当該イベントIDに対応するコネクタID及びピンIDを特定する。例えば、取得したイベントIDがW11だとすると、図5(a)を参照することにより、コネクタC1及びピンP13が特定される。
処理部2は、次いで、第一記憶部3から電線−コネクタ接続情報(図7)を読み出し、読み出した電線−コネクタ接続情報とイベントIDを参照する。次いで、処理部2は、取得したイベントIDに対応する電線IDを特定し、さらに特定された電線IDが接続されるコネクタのコネクタIDを特定する。例えば、STEP−1で抽出されたイベントID、W11に関わるコネクタ及びピンが、図5(a)に示すように、それぞれコネクタC1及びピンP13である。そうすれば、電線−コネクタ接続情報(図7)から、コネクタC1及びピンP13に直接的に接続される電線、コネクタ及びピンが、電線W103、コネクタC3、ピンP31であり、さらに、コネクタ−コネクタ接続情報(図9)より、ピンP31に接続されるのがコネクタC5のピンP55である。そして、電線−コネクタ接続情報(図7)に戻り、ピンP55に接続されるのが、電線W205、コネクタC8、ピンP81であることが特定される。電線W205、コネクタC8、ピンP81は、ピンP13に間接的に接続される。
この特定の処理は、取得された全てのイベントIDについて行われる。例えば、イベントW12に関わるコネクタ及びピンが、図5(b)に示すように、それぞれコネクタC2及びピンP23であったとすれば、イベントW11のときと同様に、電線−コネクタ接続情報(図7)及びコネクタ−コネクタ接続情報(図9)から、接続される電線、コネクタ及びピンが、電線W107、コネクタC3、ピンP33、コネクタC5、ピンP53、電線W203、コネクタC7、ピンP71であることが特定される。
次に、処理部2は、第一記憶部3からバンドル接続情報(図10)を読み出し、読み出したバンドル接続情報と取得したコネクタIDを照合することにより、取得したコネクタIDに接続される電線が属するバンドルのバンドルIDを特定する。
例えば、取得したコネクタIDがコネクタC1及びコネクタC3であったとすれば、図10より、コネクタC1とコネクタC3の間には中継点A1、A2を介してバンドルB1、バンドルB3及びバンドルB4が配置されている。したがって、電線W103がバンドルB1、バンドルB3及びバンドルB4の3つのバンドルに属することが特定される。
このバンドルを特定する処理を、取得された全てのコネクタIDについて行うことにより、すべてのバンドルB1〜B10に属する電線IDを特定することができる。処理部2は、特定された電線IDと属するバンドルIDとを対応付けることにより、図11に示される電線リストを生成し、第一記憶部3に記憶させる。
処理部2は、図11の電線リストを参照することにより、特定の電線と他の電線とが同束に属するか否かを評価する。例えば、前述したイベントW11について特定されたピンP13に直接的に接続される電線W103と、イベントW12について特定されたピンP23に直接的に接続される電線W107について注目する。電線W103は、バンドルB1,B3,B4に属するのに対して、電線W107は、バンドルB2,B3,B4に属するので、電線W103と電線W107は、バンドルB3及びバンドルB4において同束をなしており、独立性を有していないものと評価される。
また、前述したイベントW11について特定されたピンP13に間接的に接続される電線W205と、イベントW12について特定されたピンP23に間接的に接続される電線W203について注目する。電線W205は、バンドルB6,B8,B10に属するのに対して、電線W203は、バンドルB6,B9に属するので、電線W205と電線W203は、バンドルB6において同束をなしており、独立性を有していないものと評価される。なお、ここでは、それぞれのバンドルは、必要な隔離距離を確保し、配線・艤装されていることを前提としている。必要な隔離距離を確保できていないバンドルの組合せがある場合は、それらバンドルの組合せ条件で、配線の独立性を同様に実施すればよいことは言うまでもない。
[故障率の算出]
次に、それぞれの事象の故障率の算出手順について説明する。
はじめに、図16を参照して、故障率算出の処理手順の概要を説明する。
一連の手順は、故障率の算出を行うハーネスの識別情報(以下、ハーネスID)が入力されることで処理が開始される(図16 S401)。ハーネスIDは、それぞれのハーネスを識別するために付与された情報であり、ここでは、図2の配線例にしたがって「WH1」というハーネスIDが入力されるものとする。入力されたハーネスIDは、処理部2に送られる。
処理部2は、ハーネスIDを取得すると、第一記憶部3から当該ハーネスID(WH1)に対応する電線−コネクタ接続情報を読み出す(図16 S403,図7)。また、処理部2は、読み出した電線−コネクタ接続情報と照合することにより、第一記憶部3から、故障パラメータ情報(図8)を読み出す。この故障パラメータ情報は、前述したように、ハーネスWH1に属するコネクタC1〜C4の種別情報(#C1〜#C4)及び電線W101〜W112の種別情報(#W1〜#W3)とそれぞれの材質や線径などの故障率要素とが対応付けられた情報である(図16 S405,図8)。
次に処理部2は、第一記憶部3からハーネスWH1のバンドル接続情報を読み出す(図16 S407,図10)。
図10に示すように、バンドル接続情報は、それぞれのバンドルB1〜B5の単位で、その両端に接続されるコネクタ及び中継点がバンドルと対応付けられたものであり、さらに、バンドル単位の長さ(Length)もバンドルと対応付けられている。
処理部2は、以上の情報を読み出すと、バンドル接続情報(図10)と電線−コネクタ接続情報(図7)とを照合して、それぞれのバンドルに含まれる電線種別ごとの本数をカウントする(図12)。そして、処理部2は、バンドルB1〜B5のそれぞれに属する電線の種別ごとの本数が判明すると、図8に示す部品データにおける電線♯W1〜♯W4の線径d1〜d4を参照して、バンドルB1〜B5のそれぞれの直径(Bundle Size)で定義される束径を算出する(図16 S409,図13)。
束径Dの算出は、例えば、以下のように、線径の異なる複数種の電線を含む場合と、線径の等しい同一種類の電線を含む(6本以下の場合)場合とに区分して計算できる。
複数種:D=1.154×(d +d +d …)1/2
D;バンドルの束径
,d,d…;電線A,B,C…のそれぞれの線径(直径)
,N,N…;電線A,B,C…のそれぞれの本数
同一種:
D=2d(2本の場合),D=2.155d(3本の場合)
D=2.414d(4本の場合),D=3d(5本,6本の場合)
D=1.154×(dN )1/2(7本以上の場合)
d;電線の線径(直径)
N;電線の本数
処理部2は、電線の種別情報及び故障パラメータに対応する故障率要素と算出された束径とを用いて、各バンドル毎に電線の故障率を算出する(図16 S411,図14)。ここで、束径の値Djは、例えば、次のような式で、電線に関する故障率を算出するのに用いられる。
故障率λij=λ(Mwi,di,Mii,Tj,Vj,Dj)×Lj
λ(x):単位長当りの故障率関数
Mwi:電線iの材質
di:電線iの線径
Mii:電線iの被覆の材質
Tj:バンドルjが使用される環境の温度
Vj:バンドルjが使用される環境の振動
Dj:バンドルjの束径
Lj:バンドルjの長さ
λij:バンドルj区間内の電線iの故障率
そして、例えば、電線iの故障率λiは、各バンドルの電線iに関する故障率を求め、その合計として算出する(図16 S411,図14)。
故障率λi=Σ_j( λ(Mwi,di,Mii,Tj,Vj,Dj)×Lj); j=1, 2, …n
ここで、λ(Mwi,di,Mii,Tj,Vj,Dj)は、DOT/FAA/AR-09/47(FAA:Federal Aviation Administration)に基づくものであり、DOT/FAA/AR-09/47には13のパラメータが定義されているが、本実施形態は、一部のみを示している。
DOT/FAA/AR-09/47では、各パラメータについて、ワースト条件、ノーマル条件などの複数のレベルがそれぞれ設定されている。全ての電線に対し、実機に対応するレベルをバンドル毎にそれぞれ設定し、故障率をそれぞれ計算するのは非常に煩雑である。本実施形態においては、この計算を簡略化するために、基準故障率(第一故障率)に基づいた故障率の差分計算式を導入する。この故障率の差分計算式については、後述する。
基準故障率(第一故障率)は、電線単位長当りの平均故障率λavをハーネス毎に設定し、適用することにより、故障率の計算を大幅に簡略化できる。電線単位長当りの平均故障率λavは、例えば、次のような式を用いることができる。ハーネスの艤装されている機体環境条件の厳しさをランク分けすることにより、各バンドルの使用環境条件の基準値をハーネス毎に設定する。各パラメータは、設定した使用環境条件の基準値を基にそれぞれ設定する。なお、ワースト条件となるパラメータを選定し、全ての電線に対し、選定したワースト条件で算出した単位長当りの故障率を一律に適用しても良い。
実機条件における故障率(第三故障率)を計算する場合は、設定した基準値に基づき、後述する差分計算式を用いて計算する。
λav=Σ_j( λ(Mwi,di,Mii,Tj,Vj,Dj)×Lj)/Σ_j(Lj)
λi=α×λav×LENi
LENi:電線iの長さ
α:マージン(安全率)
以下、図16のS403以降の各ステップの具体的な内容を、順に説明する。
[電線−コネクタ接続情報の読み出し(図16 S403,図7)]
故障率算出を行う際に、処理部2が読み出す電線−コネクタ接続情報は、それぞれのハーネスに属する電線と、それぞれの電線の両端に直接接続されるコネクタと、それぞれの電線が他の電線及びコネクタを介して最終的に接続されるコネクタと、が対応付けられた情報である。
図7は、ハーネスWH1に関する電線−コネクタ接続情報を示している。
図7の例は、ハーネスWH1に12本の電線が属している。その中で、「W101」という電線IDが付与された電線の両端に接続される一対のコネクタには、それぞれ、「C1」、「C2」というコネクタIDが付与されている。
電線−コネクタ接続情報は、それぞれの電線W101〜W112が、コネクタC1〜C4のいずれのピン(端子)に接続されるのかの情報(PIN−IDの欄)を含んでいる。
また、電線−コネクタ接続情報は、それぞれの電線W101〜W112の長さ情報(Leng.の欄)、電線の種別情報(WIRE CODE)及びコネクタの種別情報(CON. CODE)を含んでいる。
図7に示す電線−コネクタ接続情報において、電線W101は、コネクタC1とコネクタC2を接続し、その長さがL1、電線の種別が♯W1、それぞれのコネクタの種別が♯C1,♯C2であることが示されている。また、電線W107は、コネクタC2とコネクタC3を接続し、その長さがL3、電線の種別が♯W2、それぞれのコネクタの種別が♯C2,♯C3であることが示されている。
[故障パラメータ情報の読み出し(図16 S405,図8)]
図8に示すように、第一記憶部3から読み出される故障パラメータ情報は、電線の種別情報(WIRE CODE)と故障率要素としての材質Mw,線径d,とが対応付けられたものと、コネクタの種別情報(CON. CODE)と故障率要素としての材質Mcとが対応付けられたものの二種類がある。
例えば、図8(a)において、種別が♯W1の電線は故障率要素としての材質がMw1であり、線径dがd1であること、図8(b)において、種別が♯C1のコネクタは故障率要素としての材質がMc1であることを示している。
なお、ここでは電線及びコネクタの故障率要素として材質のMw,Mcと簡潔に示している。しかるに、実際の故障率の計算は、前述の通り、複数のパラメータを所定の式に代入することで求められており、また、電線の故障率については、断線に関するものとショート(短絡)に関するものが存在している。すなわち、材質Mwにより決まる電線の個別の柔軟性、可撓性等を考慮したパラメータ、及び、ハーネスを敷設する場所の振動や温度などの使用環境条件を考慮したパラメータを用い故障率を算出する。
[バンドルB1〜B4の束径算出(図16 S409,図7,図8,図10,図12)]
前述したように、電線W101〜W112に関する故障率は、バンドルB1〜B5の束径を考慮する必要がある。そこで、電線−コネクタ接続情報(図7)とバンドル接続情報(図10)とを照合し、各バンドルを形成する電線の種別と本数を求めた後に、バンドルB1〜B5の束径を算出する。
バンドル接続情報は、図10に示すように、それぞれのバンドルB1〜B5の単位で、その両端に接続されるコネクタ及び中継点がバンドルと対応付けられたものである。図10において、例えばバンドルB1は、コネクタC1と中継点A1の間に配置されることが示されている。
そして、本数のカウントは以下のようにして行う。まず、対をなすコネクタ(END1,END2)を図12のように列挙する。ここで、コネクタC1とコネクタC2の関係を示しているNo.1を例にすると、図7に示すようにコネクタC1とコネクタC2を接続するのは電線W101、W102であり、一方、図10に示すようにコネクタC1とコネクタC2の間には、中継点A1を介して、バンドルB1とバンドルB2が介在している。したがって、電線W101、W102のいずれもバンドルB1とバンドルB2に属するので、バンドルB1には2本の電線が属し、また、バンドルB2にも2本の電線が属する。そして、図7に示すように、電線W101及びW102のいずれもWIRE CODEが♯W1であるから、バンドルB1において、♯W1で識別される電線の本数は2本、バンドルB2において、♯W1で識別される電線の本数は2本である。
同様に、コネクタC1とコネクタC3の関係のNo.2を例にすると、コネクタC1とコネクタC3を接続するのは電線W103、W104であり(図7)、コネクタC1とコネクタC3の間には、中継点A1、A2を介して、バンドルB1、バンドルB3及びバンドルB4が介在している(図10)。したがって、電線W103、W104のいずれもバンドルB1、バンドルB3及びバンドルB4に属するので、バンドルB1、バンドルB3及びバンドルB4のいずれにも2本の電線が属する。そして、図7に示すように、電線W103及び電線W104のいずれもWIRE CODEが♯W1であるから、バンドルB1、バンドルB3及びバンドルB4のそれぞれにおいて、♯W1で識別される電線の本数が2本である。以上のようにして求めた、対をなすコネクタとのそこに介在するバンドルごとの電線の本数を図12に示す。
処理部2は、バンドルB1〜B5のそれぞれに属する電線の種別ごとの本数が判明すると、その電線の本数を種別ごとに集計し、図8に示す故障パラメータ情報における電線♯W1〜♯W3の線径d1〜d3を参照して、バンドルB1〜B5のそれぞれの直径(Bundle Size)を算出する。その結果を図13に示すが、バンドルB1〜B5のそれぞれと当該直径(Bundle Size)とが対応付けて示されている。
[故障率算出(図16 S411,図14)。]
処理部2は、対象となるバンドルの束径を算出したならば(図16 S409)、例えば、イベントW11に関わる電線の故障率を計算する場合には、イベントW11に関わる電線の各バンドルにおける故障率をそれぞれ求め、その合計として算出する(図16 S411)。この故障率の算出には、図14(a)に示す、イベントW11に属するそれぞれの電線の故障率及び当該電線が属するバンドルの長さ(Length)に関する情報を用いる。なお、図14(b)は、イベントW12に関する同様の情報が示されている。
故障率の算出は、例えば、以下に示すCase1、Case2及びCase3の3種類がある。
Case1は、バンドルの単位でそれぞれ故障率を算出してその合計(λtotal)を求めるものであり、実機条件に基づく故障率の計算になるが、前述したように、計算が非常に煩雑になる。Case1で算出したλtotalが、第三故障率に該当する。なお、Case1で算出するλtotalは、設計変更により配線構造が改善されれば、さらに低い故障率にできることは言うまでもない。
Case2は、ハーネスの単位で故障率を算出してその合計(λtotal)を求めるものであり、差分計算式を適用することにより実機条件に近い故障率を簡略化して計算できる。Case2で算出したλtotalが、第二故障率に該当する。安全率αを適用するため、Case1で算出される第三故障率よりも高い故障率となる。Case2で算出したλtotalを、第一故障率として適用できることは、言うまでもない。
Case3は、ワースト条件で故障率を算出してその合計(λtotal)を求めるものである。Case3で算出したλtotalが、第一故障率に該当する。ワースト条件を適用するため、Case2で算出される故障率よりも高い故障率となる。以下のMw_worst、d_worst、Mi_worst、T_worst、V_worst及びD_worstがワースト条件である。
Case1:バンドル単位
λtotal = (λW103-B1 * Len1) + (λW103-B3 * Len3) + (λW103-B4 * Len4)
+ (λW205-B6 * Len6) + (λW205-B8 * Len8) + (λW205-B10 * Len10)
Case2:ハーネス単位
λtotal = α × (λWH1 * (Len1 + Len3 + Len4) + λWH2 * (Len6 + Len8 + Len10) )
Case2において、以下に示すように、単位長当たりの故障率の基準値として、代表値を適用することもできるし、前述した電線単位長当りの平均故障率λavを適用することもできる。
・基準値として代表値を適用する場合
λWH1 = λWxxx-Bx λWH2 = λWyyy-By
・基準値にλavを適用する場合
λWH1 = {(λB1 * Len1) + (λB2 * Len2) + (λB3 * Len3) + (λB4 * Len4) + (λB5 * Len5)} / (Len1 + Len2 + Len3 + Len4 + Len5)
λWH2 = {(λB6 * Len6) + (λB7 * Len7) + (λB8 * Len8) + (λB9 * Len9) + (λB10 * Len10) / (Len6 + Len7 + Len8 + Len9 + Len10)
Case-3:ワースト条件
λtotal = λWORST * (Len1 + Len3 + Len4 + Len6 + Len8 + Len10)
λWORST = λ(Mw_worst, d_worst, Mi_worst, T_worst, V_worst, D_worst)
[故障率の差分計算式]
さて、本実施形態における故障率は、以下に示される簡略化された差分計算式により算出することができる。なお、前述したDOT/FAA/AR-09/47は環境ファクタπE(本実施形態の単位長当たりの故障率関数λ(x)と同義)を指数関数で規定しているので、以下の説明はDOT/FAA/AR-09/47にしたがって故障率関数λ(x)を指数関数で示している。
単位長当りの故障率関数λ(x)において、定数 a,a,a,…,a、及び、変数 x1,x2,…,xnを用いることにより、下記の(1)式の通りに一般化する。
Figure 0006979338
(1)式を用いて、故障率関数λ(x)の基準値λ(x)を次式(2)で定義する。ただし、各変数は、それぞれx10,x20,…,xn0とする。
Figure 0006979338
今、ある任意条件kにおけるλ(x)kを考える。各変数をそれぞれx1k,x2k,…,xnkとすると、(3)式が与えられる。
Figure 0006979338
(3)式に(2)式を代入、変形すると、(4)式が得られる。ここで、(4)式における各変数の差分Δxjk=0の場合にe=1となることを考慮すれば、任意条件におけるλ(x)kは、その基準値λ(x)と差分Δxjk≠0の変数のみを用いるだけで、容易に計算できることが判る。
Figure 0006979338
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
例えば、本実施形態では、STEP−1、STEP−2を経てSTEP−3を実行することにしているが、評価対象である電線を他の手立てで絞り込み、又は、評価対象である電線の数が多くはない場合には、STEP−1及びSTEP−2を経ることなくSTEP−3を実行できる。
また、本実施形態の説明に用いた配線例はあくまで一例であり、他の配線例についても本発明を適用できるし、本発明に適用される装置、機器類に制限はなく、末端装置及び中継装置が電線により接続された種々の装置、機器に本発明を適用することができる。
評価システム10は、例えば、航空機に搭載される多数のワイヤハーネスの配線構造の安全性を評価する際に好適に用いられる。
評価システム10の評価結果および配線システムが促す設計変更は、表示部5に表示することができる。
1 入力部
2 処理部
3 第一記憶部
4 第二記憶部
5 表示部
10 安全性評価システム
20 配線描画システム
A1〜A4 中継点
B1〜B10 バンドル
WH1,WH2 ハーネス

Claims (12)

  1. ワイヤハーネスに属する複数の電線の各々が、中継要素を介して末端に位置する一対のコネクタに接続される配線構造の安全性評価システムであって、
    前記配線構造において、イベントの識別情報であるイベントIDと、当該イベントIDに対応するゲートの種別を示すゲートタイプと、当該イベントIDがトップ事象であることの識別情報と、が対応付けられたフォルトツリー情報を記憶する記憶部と、
    前記トップ事象の発生確率を計算する処理部と、を備え、
    前記処理部は、
    前記ゲートタイプが、ORゲート及びANDゲートのいずれであるかを認識し、認識された全ての前記ANDゲートを前記ORゲートに置き換えて、前記トップ事象の第一発生確率を求める、
    ことを特徴とする配線構造の安全性評価システム。
  2. 前記処理部は、
    前記フォルトツリー情報における最下段の基本事象から最上段の前記トップ事象に向けて前記第一発生確率を計算し、
    前記第一発生確率の計算は、
    前記ORゲートに繋がる事象の発生確率を、その下位に繋がる全ての前記事象の発生確率の和として求める、
    請求項1に記載の配線構造の安全性評価システム。
  3. 前記処理部は、
    求められた前記第一発生確率が要求値を満足するか否かを評価し、前記要求値を満足しないものと評価すると、
    前記ORゲートに置き換えられた前記ANDゲートに対して前記電線の独立性を評価し、独立性が確認されると、前記ORゲートを前記ANDゲートに戻して、前記トップ事象の第二発生確率を求める、
    請求項2に記載の配線構造の安全性評価システム。
  4. 前記処理部は、
    前記フォルトツリー情報における最下段の基本事象から最上段の前記トップ事象に向けて前記第二発生確率を計算し、
    前記第二発生確率の計算は、
    前記ANDゲートに繋がる事象の発生確率を、その下位に繋がる全ての前記事象の発生確率の積として求める、
    請求項3に記載の配線構造の安全性評価システム。
  5. 前記トップ事象に直接的又は間接的に繋がる複数の前記事象のそれぞれの発生確率が、第一故障率に基づいて計算される、
    請求項2又は請求項4に記載の配線構造の安全性評価システム。
  6. 前記処理部は、
    求められた前記第一発生確率が要求値を満足するか否かを評価し、前記要求値を満足しないものと評価すると、
    前記ORゲートに置き換えられた前記ANDゲートに対して前記電線の独立性を評価し、独立性が確認されると、前記ORゲートを前記ANDゲートに戻して、前記トップ事象の第二発生確率を求めかつ、
    前記処理部は、
    求められた前記第二発生確率が前記要求値を満足するか否かを評価し、前記要求値を満足しないものと評価すると、
    前記第一故障率よりも低い第二故障率、又は、第三故障率に基づいて、前記トップ事象の第三発生確率を求める、
    請求項5に記載の配線構造の安全性評価システム。
  7. 前記処理部は、
    前記第三発生確率が、前記要求値を満足するか否かを評価し、前記要求値を満足しないものと評価すると、
    前記配線構造の設計を変更するように促すか、又は、
    前記配線構造の点検・整備の間隔を変更するように促す、
    請求項6に記載の配線構造の安全性評価システム。
  8. 前記処理部は、
    前記第一発生確率、前記第二発生確率又は前記第三発生確率を求めるのに、
    前記電線に関する前記イベントに関わる故障率を、前記ワイヤハーネスに属するバンドルの単位でそれぞれ求め、その合計として算出する、
    請求項6に記載の配線構造の安全性評価システム。
  9. 前記処理部は、
    前記第一発生確率、前記第二発生確率又は前記第三発生確率を求めるのに、
    前記電線に関する前記イベントに関わる故障率を、前記ワイヤハーネスの単位でそれぞれ求め、その合計として算出する、
    請求項6に記載の配線構造の安全性評価システム。
  10. 電線単位長当たりの前記故障率の基準値として、代表値、又は、電線単位長当たりの平均故障率が適用される、
    請求項9に記載の配線構造の安全性評価システム。
  11. 前記電線に関する前記イベントに関わる前記故障率は、複数の故障率要素の関数として与えられ、
    前記処理部は、
    複数の定数及び複数の変数で一般化された前記関数の基準値と、一般化された前記関数における任意条件によるそれぞれの前記変数の差分と、に基づいて前記故障率を算出する、
    請求項8〜請求項10のいずれか一項に記載の配線構造の安全性評価システム。
  12. ワイヤハーネスに属する複数の電線の各々が、中継要素を介して末端に位置する一対のコネクタに接続される配線構造の安全性評価システムであって、
    前記配線構造において、イベントの識別情報であるイベントIDと、当該イベントIDに対応するゲートの種別を示すゲートタイプと、当該イベントIDがトップ事象であることの識別情報と、が対応付けられたフォルトツリー情報を記憶する記憶部と、
    前記トップ事象の発生確率を計算する処理部と、を備え、
    前記処理部は、
    前記ゲートタイプが、ORゲート及びANDゲートのいずれであるかを認識し、前記ゲートタイプを適宜切り替えて、あるいは、更に、前記電線の独立性を評価し、前記ゲートタイプを適宜切り替えて、前記トップ事象の発生確率を段階的に求める、
    ことを特徴とする配線構造の安全性評価システム。
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