JP6948688B2 - 視線計測装置、視線計測方法および視線計測プログラム - Google Patents
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Description
そこで、実視線データに対する推定視線データの誤差を補正するために、ユーザ毎の補正用パラメタを予め算出しておき、算出された推定視線データをこの補正用パラメタで補正するキャリブレーションと呼ばれる処理が行われる。
キャリブレーションは、予め定められた複数のマーカを利用者に順に注視させ、それぞれのマーカが注視されたときの推定視線データを検出し、検出された推定視線データと眼球から各マーカへの実際の方向データとの差から補正用パラメタを算出する。
特許文献2に開示された視線計測装置は、ディスプレイ画面を見ているユーザについて、光源からの光が反射した眼球画像をカメラで取得し、眼球画像から角膜の曲率中心と瞳孔の瞳孔中心とを結ぶ軸である光軸を算出し、算出した光軸と、中心窩と角膜の曲率中心とを結ぶ軸である視軸との間のずれを算出し、光軸と視軸との間のずれに基づき、光軸をずらして視軸を求め、ユーザの画面上での注視点を画面と視軸の交点として算出するものである。
本発明者は、主に遠方を眺めるユーザの視線計測を、予め定めた注視点を意識的に注視されて行うキャリブレーションではなく、遠方を自然に眺める状態下で、左右両眼の視軸(視線)が平行であることを拘束条件として自動でキャリブレーションを行い、眼球の光軸と視軸のずれを求める視線計測装置を提案している(特許文献3を参照)。
1−1)パラメタ取得手段
観測者の左右の眼球のそれぞれの瞳孔とそれぞれの角膜表面で反射する各2つの光源反射光から、左右の眼球の角膜曲率半径(R)と、角膜曲率中心と瞳孔中心との距離(K)を取得する。
1−2)光軸算出手段
一方のカメラ手段には2つの光源反射光が検出され、他方のカメラ手段には光源反射光が検出されない場合に、検出された2つの光源反射光、予め算出した角膜曲率半径(R)および距離(K)に基づいて、角膜曲率中心位置と瞳孔中心位置を算出し、角膜曲率中心位置と瞳孔中心位置を結ぶ軸である光軸を算出する。
なお、眼球と検出したカメラの間の距離範囲の制約条件、例えば、自動車の運転手の前方の車内にカメラを設置するような場合では、眼球と検出したカメラの間の距離範囲を300〜900mmとする制約条件を加えて、光軸を算出しても構わない。この制約条件は実施態様に依存する。
1−3)注視点算出手段
左右の眼球においてそれぞれ算出された光軸に基づいて注視点を算出する。
2−1)パラメタ取得手段
観測者の左右の眼球のそれぞれの瞳孔とそれぞれの角膜表面で反射する各2つの光源反射光から、左右の眼球の角膜曲率半径(R)と、角膜曲率中心と瞳孔中心との距離(K)を取得する。
2−2)光源識別手段
各々の光源手段による各々の光源反射光を識別する。
2−3)光軸算出手段
2つのカメラ手段には各々1つの光源反射光が検出された場合に、検出された2つの光源反射光、上述の光源識別手段を用いて識別された2つの光源反射光に対応する光源手段の位置、予め算出した角膜曲率半径(R)および距離(K)に基づいて、角膜曲率中心位置と瞳孔中心位置を算出し、角膜曲率中心位置と瞳孔中心位置を結ぶ軸である光軸を算出する。
2−4)注視点算出手段
左右の眼球においてそれぞれ算出された光軸に基づいて注視点を算出する。
3−1)パラメタ取得手段
観測者の左右の眼球のそれぞれの瞳孔とそれぞれの角膜表面で反射する各2つの光源反射光から、左右の眼球の角膜曲率半径(R)、角膜曲率中心と瞳孔中心との距離(K)、2つの光源反射光の相対位置関係を取得する。
3−2)反射光補完手段
一方のカメラ手段には1つの光源反射光が検出され、他方のカメラ手段には光源反射光が検出されない場合に、予め算出した2つの光源反射光の相対位置関係を用いて、光源反射光を1つ補完して2つの光源反射光が検出されたとする。
ここで、相対位置関係とは、2つの光源反射光の間隔と向きであり、ベクトルで示すことができる。
3−3)光軸算出手段
反射光補完手段により補完された光源反射光と検出された光源反射光、眼球と検出したカメラ手段の間の距離範囲の制約条件、予め算出した角膜曲率半径(R)および距離(K)に基づいて、角膜曲率中心位置と瞳孔中心位置を算出し、角膜曲率中心位置と瞳孔中心位置を結ぶ軸である光軸を算出する。
3−4)注視点算出手段
左右の眼球においてそれぞれ算出された光軸に基づいて注視点を算出する。
自動車の中の運転者が、左右のドアミラーを確認するといった動作では、顔が左右に大きく振られ、眼球が左右に大きく傾く。この場合、顔正面に配置された2組のカメラ手段と光源手段では、瞳孔および光源反射光の画像を取得できない場合がある。そのため、顔の移動方向に応じて、カメラ手段と光源手段の少なくとも何れかを移動させて、瞳孔および光源反射光の画像を取得できるようにし、視線計測を可能とする。
視線を計算するためには、実空間における3次元的な光源位置と、眼球画像上での反射像であるプルキニエ像の位置を対応付ける必要がある。光源手段が複数存在する場合、光源手段が角膜に複数反射しているが、このような場合は、カメラ手段により撮影されたプルキニエ像と実際の光源手段との対応付けを行なう必要がある。
ここで、各々の光源手段の照射光の形状パターンを異なるものにするとは、例えば、a)複数の光源手段からなる形状パターンを異なるものとするもの、b)光源手段から照射する光の形状を星形,ハート型,文字型,QRコード(登録商標)に代表される二次元コードなど光源毎にユニークなものとするもの、c)形状が既知のものの自然光を用いるものにより光源手段を判別するものである。また、各々の光源手段の照射光の波長を異なるものにするとは、光の色(可視光波長のみならず赤外線波長も含む)によって光源手段を判別することである。
各々の光源手段を順次点灯させるとは、順番に光源手段を点灯させて、眼球に映る光源反射像であるプルキニエ像を対応させることである。また、所定時間内に各々の光源手段をユニークに点滅させるとは、光源手段の点灯/消灯を2値データとし、特定の光源手段と対応付けすることである。
(ステップa)一方のカメラ手段には2つの光源反射光が検出され、他方のカメラ手段には光源反射光が検出されない場合は、検出された2つの光源反射光、予め算出した角膜曲率半径(R)および距離(K)に基づいて、角膜曲率中心位置と瞳孔中心位置を算出し、角膜曲率中心位置と瞳孔中心位置を結ぶ軸である光軸を算出する第1の光軸算出ステップ
(ステップb)2つのカメラ手段には各々1つの光源反射光が検出された場合は、各々の光源手段に由来する光源反射光を識別する光源識別ステップと、検出された2つの光源反射光、光源識別ステップを用いて識別された2つの光源反射光に対応する光源手段の位置、予め算出した角膜曲率半径(R)および距離(K)に基づいて、角膜曲率中心位置と瞳孔中心位置を算出し、角膜曲率中心位置と瞳孔中心位置を結ぶ軸である光軸を算出する第2の光軸算出ステップ
(ステップc)一方のカメラ手段には1つの光源反射光が検出され、他方のカメラ手段には光源反射光が検出されない場合は、予め算出した2つの光源反射光の相対位置関係を用いて、光源反射光を1つ補完して2つの光源反射光が検出されたとする反射光補完ステップと、反射光補完ステップにより補完された光源反射光と検出された光源反射光、眼球と検出したカメラ手段の間の距離範囲の制約条件、予め算出した角膜曲率半径(R)および距離(K)に基づいて、角膜曲率中心位置と瞳孔中心位置を算出し、角膜曲率中心位置と瞳孔中心位置を結ぶ軸である光軸を算出する第3の光軸算出ステップ
1)一方のカメラ手段には2つの光源反射光が検出され、他方のカメラ手段には光源反射光が検出されない場合
2)2つのカメラ手段には各々1つの光源反射光が検出される場合
3)一方のカメラ手段には1つの光源反射光が検出され、他方のカメラ手段には光源反射光が検出されない場合
4)一方のカメラ手段には2つの光源反射光が検出され、他方のカメラ手段には1つ又は2つの光源反射光が検出される場合
5)2つのカメラ手段に瞳孔が検出される場合
6)一方のカメラ手段にのみ瞳孔が検出される場合
{(P´ji−Cj)×(Li−Cj)}・(X−Cj)=0 ・・・(式1)
ここでは、光軸方向を示す単位ベクトルを光軸ベクトルと呼ぶ。図5に示すように、光軸ベクトルdは角膜曲率中心Aと瞳孔中心Bとカメラjのレンズ中心Cjを含む面内にある。この面は、下記数式2のように表すことができる。ここで、B´jは、カメラjのイメージセンサ上の瞳孔中心位置である。
{(Cj−B´j)×(A−Cj)}・(X−Cj)=0 ・・・(式2)
X=A+td ・・・(式4)
これは、「右目の光軸と注視対象物との交点」と「左目の光軸と注視対象物との交点」との中点を、注視点とする方法である。かかる中点は注視点の近似を与えることが知られており、注視点は最小二乗誤差(RMSE)1.58°で推定できる(参考文献:Takashi Nagamatsu, Ryuichi Sugano, Yukina Iwamoto, Junzo Kamahara, and Naoki Tanaka, User-calibration-free Gaze Estimation Method Using a Binocular 3D Eye Model, IEICE Transactions on Information and Systems, Vol. E94-D, No.9, pp.1817-1829, 2011.9)。この方法により、眼球の光軸と視軸のずれであるカッパ角の近似値を求めることができる。この他、対象物(例えばディスプレイ)をしばらく注視する、または、遠方をしばらく注視することにより、カッパ角を求める方法もある。
何れかの方法によりカッパ角を推定して、算出した眼球の光軸をカッパ角分だけ補正することにより、視線(眼球の視軸)を求めることができる。
本実施例では、片眼に対してカメラ2台、点光源2個を用い、眼球の形状モデルを用いたモデルベースのアプローチを用いる。これにより、3次元で視線を求めることができ、十分な計測精度をもたせることができる。注視点算出では、注視対象物と、左右の眼球の光軸との交点の中点を注視点として算出する方法を用いる。これにより、速く(1フレームで)眼球の光軸を求めることが可能である。
LED218は、視線計測装置100によって視線を計測する被験者に対して、光を照射する。カメラ219は、被験者の眼球画像を撮影する。2台のカメラの場合、それらはステレオカメラとして構成され、両眼の画像を撮影するために用いる。また、4台のカメラの場合、2組のステレオカメラが構成され、左右の眼の画像を撮影するために用いる。
(A)パラメタ取得手段について
観測者の左右の眼球のそれぞれの瞳孔とそれぞれの角膜表面で反射する各2つの光源反射光から、個人依存のパラメタである左右の眼球の角膜曲率半径R、角膜曲率中心と瞳孔中心との距離K、2つの光源反射光の相対位置関係を取得する。
これらのパラメタは、カメラ2台でそれぞれ点光源の反射光を2個検出できている時に算出する。ここで、一方のカメラに2個の反射光、他方のカメラに1個の反射光が検出できている時にも算出でき、そのような時にパラメタを算出してもよい。パラメタRは、計算上、3平面が求まれば計算できるからであり、パラメタKは、パラメタRを求める条件を満たした上で、カメラ2台にそれぞれ瞳孔が検出できた時に計算できるからである。この他、カメラ2台でそれぞれ点光源を2個検出できない状態が続き、算出不可の場合は、人の平均値を用いることも可能である。角膜曲率半径Rの平均値は7.8、角膜曲率中心と瞳孔中心との距離Kの平均値は4.2である。
2つの光源反射光の相対位置関係は、光源、カメラ、眼球の位置関係によって変化するものである。自動車などの運転者の場合、固定された椅子に座って運転操作を行うことから、眼球の前後移動が少ない。光源とカメラが固定されている場合は、角膜に反射する2つの光源反射光は常にほぼ一定の相対位置関係で撮影される。このことから、カメラ2台でそれぞれ点光源を2個検出できている時に2つの光源反射光の相対位置関係を取得し、取得した相対位置関係を用いて光軸を算出する。
図8は、点光源Liとカメラ中心Cjと角膜曲率中心Aを通る平面である。Rの求め方は以下の通りである。まず、Rを適当に設定し、角膜の球(Aを中心とした半径Rの球)とP´jiとCjを通る直線との交点P´´jiを求めて、P´´jiでの入射ベクトル(Li−P´´ji)と反射ベクトル(Cj−P´´ji)がP´´jiでの球の法線ベクトル(P´´ji−A)となす角度が等しくなるかどうかを確認する。Rを変化させて、これを繰り返し、この反射の関係を満たすようなRを探索する。Rの平均値は、一般に7.8mmであることが知られており、Rの値を6mm〜9mmの範囲で探索するとよい。
上記の計算は、カメラと点光源の組み合わせによって、3〜4パターンの計算が可能である。これらの3〜4パターンから計算した角膜曲率半径の平均値を、最終的なRの推定値とすると、より安定する。
まず、瞳孔中心位置Bを求める。図5より、瞳孔中心から出た光は、角膜表面上のB´´jで屈折する。B´´jの位置で、カメラから光が来た場合の数式にすると、入射ベクトルは下記数式5で表される。
光源算出手段について、3通りに分けて説明する。
光源算出手段1は、眼球を左右に傾ける、もしくは、画像処理の都合などにより、一方のカメラ手段には2つの光源反射光が検出され、他方のカメラ手段には光源反射光が検出されない場合に、検出された2つの光源反射光、眼球と検出したカメラの間の距離範囲の制約条件、予め算出した角膜曲率半径(R)および距離(K)を用いて、角膜曲率中心位置と瞳孔中心位置を算出し、角膜曲率中心位置と瞳孔中心位置を結ぶ軸である光軸を算出する。
光源算出手段2は、眼球を左右に傾ける、もしくは、画像処理の都合などにより、2つのカメラ手段には各々1つの光源反射光が検出された場合に、検出された2つの光源反射光、それぞれの光源反射光に由来する光源手段と眼球の間の距離範囲の制約条件、予め算出した角膜曲率半径(R)および距離(K)を用いて、角膜曲率中心位置と瞳孔中心位置を算出し、角膜曲率中心位置と瞳孔中心位置を結ぶ軸である光軸を算出する。
光源算出手段3は、眼球を左右に傾ける、もしくは、画像処理の都合などにより、一方のカメラ手段には1つの光源反射光が検出され、他方のカメラ手段には光源反射光が検出されない場合に、予め算出した2つの光源反射光の相対位置関係を用いて、補完された光源反射光と検出された光源反射光、眼球と検出したカメラの間の距離範囲の制約条件、予め算出した角膜曲率半径(R)および距離(K)を用いて、角膜曲率中心位置と瞳孔中心位置を算出し、角膜曲率中心位置と瞳孔中心位置を結ぶ軸である光軸を算出する。
眼球が大きく傾いた場合、特徴点(瞳孔中心とプルキニエ像)の検出ができない場合がある。そこで、特徴点の取得状況に応じて分類し、それぞれの場合の光軸算出手段(算出方法)を用意し、取得できた特徴点の数により、切り替えて計算する。様々な外乱により、反射光が検出できない場合もあるが、これらの場合も含める。
上述のパラメタ取得手段のように、カメラ2台、点光源2個を用いて、1つの眼球を撮影して、特徴点(瞳孔中心と2つのプルキニエ像)を検出すると、個人依存のパラメタである左右の眼球の角膜曲率半径R、角膜曲率中心と瞳孔中心との距離K、2つの光源反射光の相対位置関係を取得でき、それから眼球の光軸を算出できる。パラメタ取得手段により取得した上記のパラメタは、特徴点がいくつか検出できない時に、光軸の算出に用いる。
(1)光源反射光の検出数による角膜曲率中心の計算方法の場合分け
(1a)一方のカメラに2個の反射光、他方のカメラに2個の反射光
(1b)一方のカメラに2個の反射光、他方のカメラに1個の反射光
(1c)一方のカメラに2個の反射光、他方のカメラに0個の反射光
(1d)一方のカメラに1個の反射光、他方のカメラに1個の反射光
(1e)一方のカメラに1個の反射光、他方のカメラに0個の反射光
(2)瞳孔の検出による瞳孔中心の計算方法の場合分け
(2a)瞳孔が両方のカメラで検出
(2b)瞳孔が一方のカメラでのみ検出
上記(1c)と(1d)と(1e)の場合は、パラメタ取得手段により予め取得したパラメタを用いて、眼球の光軸を算出できる。これについては以下説明する。
ここで、光源はある周期で点滅させるなどして、検出された反射光がどの光源からのものか識別できるものとすると、その組み合わせは、光源と眼球とカメラがなす面の4つの面から2面を選択する組み合わせになり、4C2=(4×3)/(2×1)=6通りである。
{(P´ji−Cj)×(Li−Cj)}・(X−Cj)=0 ・・・(式13)
{(P´lk−Cl)×(Lk−Cl)}・(X−Cl)=0 ・・・(式14)
図9は、カメラ0で、P´00、P´01が検出できたパターンを示している。一方、図10は、カメラ1で、P´10、P´11が検出できたパターンを示している。2面はカメラ中心の位置を通るため、角膜曲率中心Aは、方向ベクトルlを用いて下記数式16のように表せる。但し、uはパラメタである。
A=Cj+ul ・・・(式16)
以上から、1つのカメラで1つの眼球に反射した反射光が2つ検出できた場合には、検出された2つの光源反射光、眼球と検出したカメラの間の距離範囲の制約条件、予め算出した角膜曲率半径(R)および距離(K)を用いて、角膜曲率中心位置と瞳孔中心位置を算出し、角膜曲率中心Aの位置と瞳孔中心位置を結ぶ軸である光軸を算出する光源算出手段1を用いる。
図11は、カメラ0で、P´00が検出できて、カメラ1でP´10が検出できたパターンを示している。一方、図12は、カメラ0でP´01が検出できて、カメラ1でP´11が検出できたパターンを示している。2面は点光源の位置を通るため、角膜曲率中心Aは、方向ベクトルlを用いて下記数式17のように表せる。但し、uはパラメタである。
(b)の場合、パラメタuの探索範囲は、パラメタuは、凡そ眼球と光源との間の距離を表しているのでその範囲で探索する。
A=Li+ul ・・・(式17)
図13は、カメラ0で、P´00が検出できて、カメラ1でP´11が検出できたパターンを示している。一方、図14は、カメラ0でP´01が検出できて、カメラ1でP´10が検出できたパターンを示している。直線が通る点は、どの点でもいいが、例えば、z=0と2面との交点(Q)を求めてそれを用いる。角膜曲率中心Aは、方向ベクトルlを用いて下記数式18のように表せる。但し、uはパラメタである。
(c)の場合、パラメタuは、座標系の取り方にもよるが、ディスプレイ面がz=0であるならば、通常の配置であるならば、ディスプレイ面から300〜900mmの範囲を探索すればよい。
A=Q+ul ・・・(式18)
まず仮に設定したパラメタuの値を用いて、角膜曲率中心Aを計算する。図4で、角膜の球(Aを中心とした半径Rの球)とP´jiとCjを通る直線との交点P´´jiを求めて、P´´jiでの入射ベクトル(Li−P´´ji)と反射ベクトル(Cj−P´´ji)がP´´jiでの球の法線ベクトル(P´´ji−A)となす角度が等しくなるかどうかを確認する。この反射の関係を満たすようにパラメタuを決定する。
以上より、角膜曲率中心Aの位置が求まる。なお、カメラと光源を含む面は2面あるので、パラメタuの値は2通り求めることが可能である。
角膜が球であれば2つの反射光が観察されるはずであるが、角膜は白目に埋もれている構造のため、目を大きく傾けると、目を向けた方向と反対方向からあてた光が白目の部分に反射するようになり、角膜上で反射光が観察できなくなってしまう。この場合、このままでは、計算ができない。そこで、仮想的に、埋もれているはずの角膜の部分にも反射し、2つの反射光を撮影している状態を作り出すこととする。
本実施例の視線計測方法の処理フローについて、図15を参照して説明する。
自動車の運転手の眼球を撮影するために、運転手の両眼の前方方向に、2つのカメラと2つの点光源が車内に配置されているとする。
次に、眼球を左右に傾けると、2つのカメラで撮像する各イメージに映る光源反射光が変わってくる。その変化をカメラ画像に映る光源反射光で捉える。すなわち、カメラが反射光を取得したかを判断する(ステップS02)。なお、眼球を傾けた際だけでなく、カメラ画像の処理の都合(ノイズや解像度の都合によるもの)によって、光源反射光が検出されない場合も本処理を適用できる。
なお、眼球が傾いたか否かを判断(ステップS02)した後の場合分けに関して、4)一方のカメラには2つの光源反射光が検出され、他方のカメラには1つ又は2つの光源反射光が検出される場合を加えても構わない。その場合、運転手の左右の眼球のそれぞれの瞳孔とそれぞれの角膜表面で反射する光源反射光から、左右の眼球の角膜曲率半径(R)と、角膜曲率中心と瞳孔中心との距離(K)が算出でき、算出した角膜曲率半径(R)および距離(K)に基づいて、角膜曲率中心位置と瞳孔中心位置を算出し、角膜曲率中心位置と瞳孔中心位置を結ぶ軸(光軸)を算出できる。
11 カメラ手段
12 パラメタ取得手段
13,15,17 光軸算出手段
14 光源識別手段
16 反射光補完手段
18 注視点算出手段
100 視線計測装置
Claims (13)
- 観測者の眼球を撮影するために配置された少なくとも2組のカメラ手段と光源手段を用いて、観測者の視線を計測する装置において、
観測者の左右の眼球のそれぞれの瞳孔とそれぞれの角膜表面で反射する各2つの光源反射光から、左右の眼球の角膜曲率半径(R)、角膜曲率中心と瞳孔中心との距離(K)、2つの光源反射光の相対位置関係を取得するパラメタ取得手段と、
一方のカメラ手段には1つの光源反射光が検出され、他方のカメラ手段には光源反射光が検出されない場合に、正面方向を見ている時における1つの角膜に反射する2つの光源反射光の間隔と向きを用いて、眼球を左右に傾けた際の瞳孔の移動方向に基づき、検出された光源反射光を基点とし、補完する光源反射光の相対位置を判定し、光源反射光を1つ補完して2つの光源反射光が検出されたとする反射光補完手段と、
前記反射光補完手段により補完された光源反射光と検出された光源反射光、眼球と検出したカメラ手段の間の距離範囲の制約条件、予め算出した前記角膜曲率半径(R)および前記距離(K)に基づいて、角膜曲率中心位置と瞳孔中心位置を算出し、角膜曲率中心位置と瞳孔中心位置を結ぶ軸である光軸を算出する光軸算出手段と、
左右の眼球においてそれぞれ算出された光軸に基づいて注視点を算出する注視点算出手段、
を備えたことを特徴とする視線計測装置。 - 前記注視点算出手段は、運転時における運転者の注視点特性から導き出した前方注視対象物と、左右の眼球の光軸との交点の中点を、注視点として算出することを特徴とする請求項1に記載の視線計測装置。
- 前記パラメタ取得手段は、それぞれの観測者の左右の眼球の角膜曲率半径(R)、角膜曲率中心と瞳孔中心との距離(K)、および前記2つの光源反射光の相対位置関係について、事前にキャリブレーションを行い取得することを特徴とする請求項1又は2に記載の視線計測装置。
- 顔が左右に大きく振られ、眼球が左右に大きく傾いた場合に、
2組のカメラ手段と光源手段によって、同一又は異なるカメラ手段で、瞳孔と1つの光源反射光が検出されるように、
顔の移動方向に応じて、カメラ手段と光源手段の少なくとも何れかを移動させる手段を、
更に備えたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の視線計測装置。 - 前記光源手段は、眼球における光源の反射像が互いに分離したものとなるように各々異なる位置に配置され、
各々の光源手段の照射光の形状パターン若しくは波長を異なるものとし、何れかのカメラ手段により撮像された眼球画像上における反射像の位置と実際の光源手段の位置とを対応付けすることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の視線計測装置。 - 前記光源手段は、各々の光源手段を順次点灯させられ、或いは、所定時間内に各々の光源手段をユニークに点滅させられ、何れかのカメラ手段により撮像された眼球画像上における反射像の位置と実際の光源手段の位置とを対応付けすることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の視線計測装置。
- 観測者の眼球を撮影するために配置された少なくとも2組のカメラ手段と光源手段を用いて、観測者の視線を計測する方法において、
観測者の左右の眼球のそれぞれの瞳孔とそれぞれの角膜表面で反射する各2つの光源反射光から、左右の眼球の角膜曲率半径(R)、角膜曲率中心と瞳孔中心との距離(K)、2つの光源反射光の相対位置関係を取得するパラメタ取得ステップ、
下記1)〜3)の何れかのステップ、
左右の眼球においてそれぞれ算出された光軸に基づいて注視点を算出する注視点算出ステップ、
を実行することを特徴とする視線計測方法:
1)一方のカメラ手段には2つの光源反射光が検出され、他方のカメラ手段には光源反射光が検出されない場合は、
検出された2つの光源反射光、予め算出した前記角膜曲率半径(R)および前記距離(K)に基づいて、角膜曲率中心位置と瞳孔中心位置を算出し、角膜曲率中心位置と瞳孔中心位置を結ぶ軸である光軸を算出する第1の光軸算出ステップ、
2)2つのカメラ手段には各々1つの光源反射光が検出された場合は、
各々の光源手段に由来する光源反射光を識別する光源識別ステップ、
検出された2つの光源反射光、前記光源識別ステップを用いて識別された前記2つの光源反射光に対応する光源手段の位置、予め算出した前記角膜曲率半径(R)および前記距離(K)に基づいて、角膜曲率中心位置と瞳孔中心位置を算出し、角膜曲率中心位置と瞳孔中心位置を結ぶ軸である光軸を算出する第2の光軸算出ステップ、
3)一方のカメラ手段には1つの光源反射光が検出され、他方のカメラ手段には光源反射光が検出されない場合は、
正面方向を見ている時における1つの角膜に反射する2つの光源反射光の間隔と向きを用いて、眼球を左右に傾けた際の瞳孔の移動方向に基づき、検出された光源反射光を基点とし、補完する光源反射光の相対位置を判定し、光源反射光を1つ補完して2つの光源反射光が検出されたとする反射光補完ステップ、
前記反射光補完ステップにより補完された光源反射光と検出された光源反射光、眼球と検出したカメラ手段の間の距離範囲の制約条件、予め算出した前記角膜曲率半径(R)および前記距離(K)に基づいて、角膜曲率中心位置と瞳孔中心位置を算出し、角膜曲率中心位置と瞳孔中心位置を結ぶ軸である光軸を算出する第3の光軸算出ステップ。 - 前記反射光補完ステップは、
各々の光源手段による各々の光源反射光を識別した識別結果に基づき、
又は、
目の輪郭形状における検出された1つの光源反射光の位置に基づき、
又は、
眼球を左右に傾けた際の瞳孔の移動方向に基づき、
検出された光源反射光を基点とする補完する光源反射光の相対的位置を判定することを特徴とする請求項7に記載の視線計測方法。 - 前記パラメタ取得ステップは、それぞれの観測者の左右の眼球の角膜曲率半径(R)、角膜曲率中心と瞳孔中心との距離(K)、および前記2つの光源反射光の相対位置関係について、事前にキャリブレーションを行い取得することを特徴とする請求項7又は8に記載の視線計測方法。
- 下記1)〜4)の場合に分けて角膜曲率中心(R)を算出し、
下記5)と6)の場合に分けて瞳孔中心を算出し、
下記1〜4)の場合の何れかと下記5)と6)の何れかを組合せて、角膜曲率中心位置と瞳孔中心位置を算出し、角膜曲率中心位置と瞳孔中心位置を結ぶ軸である光軸を算出することを特徴とする請求項7〜9の何れかの視線計測方法:
1)一方のカメラ手段には2つの光源反射光が検出され、他方のカメラ手段には光源反射光が検出されない場合、
2)2つのカメラ手段には各々1つの光源反射光が検出される場合、
3)一方のカメラ手段には1つの光源反射光が検出され、他方のカメラ手段には光源反射光が検出されない場合、
4)一方のカメラ手段には2つの光源反射光が検出され、他方のカメラ手段には1つ又は2つの光源反射光が検出される場合、
5)2つのカメラ手段に瞳孔が検出される場合、
6)一方のカメラ手段にのみ瞳孔が検出される場合。 - 請求項7〜10の何れかの視線計測方法の各ステップを、コンピュータに実行させるための視線計測プログラム。
- 請求項1〜6の何れかの視線計測装置が搭載された乗り物。
- 請求項11の視線計測プログラムを実行するコンピュータが搭載された乗り物。
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