本発明に係るタンクの製造方法を適用した実施形態に係るタンク10の製造方法について図面を参照して説明する。
まず、タンク10の構成について説明する。タンク10は、図1に示すように、ライナー11と、口金12、13と、ライナー11の外周面に形成された補強層14とにより構成されている。タンク10は、気体を透過させにくい性質、いわゆるガスバリア性を有しており内部には水素などの比較的高圧のガスが充填されるよう構成されている。
ライナー11は、筒状の中空容器からなり、ポリアミド樹脂(PA)、いわゆるナイロン(登録商標)などの高い機械的強度を有するエンジニアリングプラスチックや金属材料で形成されており、シリンダー部15と、ドーム部16、17とを有している。シリンダー部15は円筒状に形成され、ドーム部16、17は、それぞれ中空の略半球体からなりシリンダー部15と一体的に形成されている。ドーム部16、17は、図示しない口金装着部を有しており、口金装着部には口金12、13が装着されている。
口金12は、金属材料からなり、略半球状に形成されドーム部16からライナー11の軸線方向に突出している。口金13は、口金12と同様、金属材料からなり、略半球状に形成されドーム部17からライナー11の軸線方向に突出している。
補強層14は、繊維束Fがライナー11の外周面に巻き付けられて形成されている。繊維束Fは、カーボン繊維(Carbon Fiber)、ガラス繊維(Glass Fiber)やアラミド繊維(Aromatic Polyamide Fiber)などの繊維をプラスチックの中に入れて強度を向上させた複合材料で形成されている。
繊維束Fは、数十本の単繊維を撚り合わせて1本の糸にした、いわゆるマルチフィラメントが、数千〜数万本程度束ねられた繊維束からなる。補強層14の形成は、例えば、図示しないフィラメントワインディング装置(Filament Winding Process、以下FW装置という。)によって行われる。なお、本実施形態に係るタンク10の繊維束Fは、本発明に係るタンクの製造方法における繊維に対応する。
このFW装置は、太い繊維束Fを引伸ばして細くするとともに,あまい撚りを与えて粗糸とし、巻き取ったいわゆる粗紡糸(カーボンロービング、ガラスロービングなどのロービング)に樹脂を含浸させながら、または、樹脂が含浸された粗紡糸にテンションをかけ、被加工物に連続的に巻き付ける製造装置をいう。粗紡糸に含浸させる樹脂は、例えば、エポキシ樹脂(EP)、ポリエステル樹脂(PE)やポリアミド樹脂(PA)などの熱硬化性樹脂からなる。このFW法によれば、巻き付ける際の角度を調整することにより、被加工物の軸方向および周方向の強度を調整することができる。
本実施形態に係るタンク10の製造方法について説明する。タンク10の製造方法は、図2に示すように、準備工程と、巻付工程と、固定工程と、熱硬化工程と、次工程とを含んで構成されている。各工程は、順に行われる。なお、本実施形態の巻付工程、固定工程および熱硬化工程は、本発明に係るタンクの製造方法を構成している。
準備工程は、繊維束Fが巻き付けられた複数のボビンがFW装置にセットされ、ボビンから巻き出された繊維束FがFW装置の各構成要素にセットされ、FW装置が稼働可能な状態になるよう準備が行われる(ステップS1)。
巻付工程においては、FW装置が稼働し、FW装置によって繊維束Fがライナー11の外周面に巻き付けられる(ステップS2)。FW装置は、ライナー11の口金12、13を支持する支持部と、ライナー11を軸心周り回転させる回転駆動部とを有す図示しない繊維束巻付機構を備えている。繊維束巻付機構は、繊維束Fのライナー11の軸線方向への往復移動と、ライナー11の回転との協働により、ライナー11の外周面に繊維束Fを巻き付けるよう構成されている。
繊維束巻取機構は、繊維束のライナー11の軸線方向への移動速度(m/sec)と、ライナー11の回転速度(rpm)とを図示しない制御部により制御することで、ライナー11の繊維束Fの巻き付け方をヘリカル巻きやフープ巻きに変化できるように構成されている。
ヘリカル巻きは、図3(a)に示すように、繊維束Fの巻回軌跡がライナー11の軸線CLに対して、例えば10°〜30°程度の低角度θで交差する巻き付け方で、繊維束Fがライナー11のシリンダー部15と、ドーム部16、17の全体に亘って螺旋状に繰り返し巻回される。
フープ巻きは、図3(b)に示すように、繊維束Fの巻回軌跡がライナー11の軸線CLに対して、例えば90°程度の直角に近い角度で交差する巻き付け方で、繊維束Fがライナー11のシリンダー部15の外周面に繰り返し巻回される。
固定工程においては、繊維束固定装置20により行われ、補強層14に巻き付けられた繊維束Fの巻き終わりとなる終端部Eに熱風を吹き付けて、終端部Eを補強層14の外周部に固定する固定処理が行われる(ステップS3)。
繊維束固定装置20は、図4(a)および図4(b)に示すように、ワークテーブル21と、背面側側板22と、搬入側側板23と、搬出側側板24と、天板25と、自動シャッター26と、ワーク搬送ユニット30と、熱風ブローユニット40と、スライドユニット50とにより構成されている。ワークテーブル21、背面側側板22、搬入側側板23、搬出側側板24、天板25および自動シャッター26によりワーク収容室Rが形成されている。ワーク収容室Rには、ワークとしてのライナー11が搬入されるとともに、搬出されるように構成されている。
ワークテーブル21は、床Kに設置された背面側基盤21aと、前面側基盤21bと、背面側基盤21aおよび前面側基盤21bに固定され、平坦な上面を有するテーブル21cとにより構成されている。床Kからテーブル21cの上面までの高さは、作業者Mの床Kから膝までの高さとほぼ同じ高さで形成されている。なお、背面、前面および上面は、作業者Mから見た各構成要素の位置関係を示す。
背面側側板22は、背面側基盤21aの上部に位置し、ワークテーブル21の上面に固定され、搬入側側板23は、ワーク収容室Rの搬入側でワークテーブル21の上面に固定され、搬出側側板24は、ワーク収容室Rの搬出側でワークテーブル21の上面に固定されている。天板25は、図4(b)に示すように、ワーク収容室Rの上側を覆い、背面側側板22、搬入側側板23および搬出側側板24に固定されており、作業者Mの頭よりやや高くなるように構成されている。
自動シャッター26は、背面側側板22に対向する側でワークテーブル21のテーブル21cと天板25との間に設けられており、作業者Mの作業時に自動的に開かれ、作業終了時に自動的に閉じられるよう構成されている。
ワーク搬送ユニット30は、パレット30aと、パレット30aに固定されライナー11の口金12および口金13を支持する一対の支持ブロック30bを有している。ワーク搬送ユニット30は、パレット30aを搬送し、ワーク収容室Rに搬入するとともに搬出するように構成されている。ワーク収容室Rに搬入されたパレット30aは、図4(a)に示すように、ワーク収容室Rの中央位置で静止するように構成されている。
熱風ブローユニット40は、スライドユニット50に載置された熱風発生部40aと、熱風発生部40aから熱風を放出するノズル40bとを有している。図5に示すように、ノズル40bは、内径がD1で形成されており、ライナー11に対して、ノズル40bの軸線JLと、ライナー11の中心を水平に通る線HLとのなす角がθとなるように位置している。また、ノズル40bは、ライナー11の補強層14の外周部と、ノズル40bの先端との距離がL1となり、補強層14の繊維束Fの終端部Eから軸線JLまでの距離がL2となるように位置している。
放出される熱風の温度、ノズル40bの内径D1、なす角θ、距離L1およびL2は、熱風ブローユニット40およびライナー11の構造や大きさなどの設定諸元や実験値などのデータに基づいて適宜選択される。具体的には、熱風の温度は、繊維束Fに含浸されているエポキシ樹脂の種類や、ワーク収容室R内の温度によっても異なるが、250℃〜350℃程度に設定され、熱風の吹き付け時間は、2分〜3分程度に設定される。なす角θは、繊維束Fの終端部Eに対して斜め上方から熱風を吹き付けることで、熱風の風力で終端部Eを剥がす力が発生しないように、10度程度に設定される。
また、距離L1は、ノズル40bから放出される熱風に乱流が発生しないよう20mm程度に設定されている。距離L1は、補強層14の終端部Eの表面がほぼ直径30mmの範囲で熱風が効率よく伝達されるように設定されている。なお、補強層14の終端部Eの幅は、16mm±8mm程度のものである。距離L1は、小さすぎると、熱風が乱流状態となり補強層14の表面温度にバラツキが発生し、終端部Eの均一な固定が得られないことがあり、大きすぎると、補強層14の表面温度が低下して適正な熱硬化温度が伝達されないことがある。
熱風ブローユニット40は、以上の具体的な構成により、繊維束Fに含浸されたエポキシ樹脂などの熱硬化樹脂が熱硬化し、補強層14の終端部Eが補強層14の外周部に接着固定されるように構成されている。補強層14の終端部Eと補強層14との接着力(N)は、引張強度で少なくとも5Nが確保される。
スライドユニット50は、図4(a)および図4(b)に示すように、テーブル21cの前面側基盤21bの上部に固定されたレール50aと、レール50aに移動可能に取り付けられ、熱風ブローユニット40をライナー11に沿って移動させるスライダー50bと、熱風ブローユニット40を保持するホルダー50cとを有している。
スライドユニット50は、作業者Mによって移動され、熱風ブローユニット40のノズル40bがライナー11に形成された補強層14の終端部Eの前述した熱硬化に最適な位置で静止するように構成されている。
以下、繊維束固定装置20の動作について、簡単に説明する。
まず、準備工程において、繊維束Fが巻き付けられた複数のボビンがFW装置にセットされ、ボビンから巻き出された繊維束FがFW装置の各構成要素にセットされる。次いで、固定工程において、ライナー11の口金12、13がそれぞれワーク搬送ユニット30の一対の支持ブロック30bに支持され、ライナー11がパレット30aにセットされる。
そして、セット以外の他の準備が完了すると、パレット30aは、ワーク搬送ユニット30によりワーク収容室R内に搬入され、ワーク収容室Rの図4(a)に示す中央位置で静止する。次いで、自動シャッター26が自動的に開かれ、ワーク収容室Rの外部から熱風ブローユニット40の操作が可能な状態となる。
次いで、作業者Mにより、スライドユニット50が操作され、熱風ブローユニット40がライナー11に並行して移動する。熱風ブローユニット40のノズル40bが、ライナー11に形成された補強層14の繊維束Fの終端部Eの所定の位置に来ると、作業者Mにより、スライドユニット50は静止する。
続いて、作業者Mにより、熱風ブローユニット40が起動し、ノズル40bから繊維束Fの終端部Eに向けて、所定の温度に設定された熱風が吹き付けられる。吹き付けから2分間〜3分間経過後に、吹き付けが停止される。吹き付けが停止すると、繊維束Fの終端部Eが補強層14の外周部に熱硬化により固定される。次いで、ワーク搬送ユニット30によりパレット30aがワーク収容室Rから搬出され、次の熱硬化工程に向けて図示しない搬送装置により搬送され、自動シャッター26が自動的に閉じられる。
熱硬化工程においては、補強層14の硬化処理が行われる(ステップS4)。補強層14の硬化は、図示しない加熱炉や高周波誘導加熱を誘起する誘導加熱コイルなどの加熱装置によって行われ、補強層14内のエポキシ樹脂などの熱硬化樹脂が加熱処理により硬化する。
なお、補強層14が形成されたライナー11は、加熱装置内で静止した状態であってもよく、回転した状態であってもよい。補強層14の硬化処理が終了すると、タンク10が完成し、パレット30aから取り出され、タンク10の製造方法は終了する。そして、完成したタンク10は、検査工程などの次工程に向けて図示しない搬送装置により搬送される。
以上のように構成された実施形態に係るタンク10の製造方法の効果について説明する。
本実施形態に係るタンク10の製造方法においては、巻付工程(ステップS2)の後に行われる固定工程(ステップS3)において、熱風ブローユニット40が、ライナー11の外周面に巻き付けられた繊維束Fの終端部Eに対して、離隔した状態で、熱風を吹き付けて、繊維束Fの終端部Eを補強層14の外周部に固定処理するようにしている。
この構成により、繊維束Fの終端部Eが補強層14の外周部に確実に固定されるという効果が得られる。その結果、固定工程においては、固定処理が終了しても、繊維束Fが熱風ブローユニット40のノズル40bに貼り付くことがなく、繊維束Fがライナー11に形成された補強層14の外周部から剥離されるという従来の問題が解消されるという効果が得られる。
なお、実施形態に係るタンク10の製造方法によれば、従来の手作業の編込み方式によるタンクの製造方法における問題が解消されるという効果も得られる。
従来の手作業の編込み方式によるタンクの製造方法は、図6(a)に示すように、タンク保持冶具60に保持したライナーW1に対して、手作業でライナーW1の繊維束F1の終端部E1を固定処理する方法で構成されている。ライナーW1は、軸線方向の両端部に口金K1、K2を有しており、外周面に繊維束F1が巻き付けられて形成された補強層H1を有している。
タンク保持冶具60は、テーブル61と、口金K1を保持するホルダー62と、口金K2を保持するホルダー63とを有しており、ライナーW1を静止した状態で保持するよう構成されている。
手作業の編込み方式による固定処理方法は、図6(a)〜図6(d)に示すように、第1工程、第2工程、第3工程および第4工程で構成されており、各工程は順に行われる。第1工程においては、図6(a)に示すように、ダミー糸DF1、DF2、DF3、DF4の4本が、補強層H1を形成する繊維束F1の終端部E1の周方向に所定の間隔で作業者による手作業で入れ込まれる。
第2工程においては、図6(b)に示すように、1本の繊維束F1の終端部E1が、作業者による手作業で4本に解され、4本に解された繊維束F1は、それぞれダミー糸DF1、DF2、DF3、DF4に通される。第3工程においては、繊維束F1が通されたダミー糸DF1、DF2、DF3、DF4の各一端部が、矢印で示す口金K2の方向に作業者により引っ張られる。
これにより、繊維束F1およびダミー糸DF1、DF2、DF3、DF4が補強層H1に編込まれる。第4工程においては、編込まれた繊維束F1およびダミー糸DF1、DF2、DF3、DF4は、図6(c)および図6(d)に示すように、作業者による手作業で補強層H1の外周部からはみ出さないようにして、終端部E1が補強層H1に埋め込まれる。この構成により、終端部E1が補強層H1に固定される。
しかしながら、手作業の編込み方式による固定処理方法は、繊維束F1に含浸しているエポキシ樹脂などの熱硬化樹脂の作業者の手への付着に注意した気遣い作業が必要となる。この熱硬化樹脂が作業者の肌に付着した場合、肌に影響を与える場合があるので、作業者は熱硬化樹脂が肌に付着しないよう充分に注意して編込み作業をすることになる。したがって、繊維束F1を1本1本補強層H1に編込む作業に加えて、肌への熱硬化樹脂の付着を防ぐ気遣い作業が重なるので、作業工数が増大してしまうという問題がある。
本実施形態に係るタンク10の製造方法によれば、作業者による熱風ブローユニット40の移動だけの半自動の簡単な作業で行われ、非接触の熱風により繊維束F1の終端部E1を補強層H1の外周部に固定処理するようにしているので、手作業の編込み方式による固定処理方法における、気遣い作業や作業工数の増大の問題が解消されるという効果が得られる。
また、本実施形態に係るタンク10の製造方法によれば、従来の針刺しによる絡み付け方式によるタンクの製造方法における問題が解消されるという効果も得られる。
従来の針刺しによる絡み付け方式によるタンクの製造方法は、図7(a)に示す針刺装置70にセットされたライナーW2の補強層H2に形成された繊維束GFの終端部E2を固定処理する方法で構成されている。ライナーW2の補強層H2は、ライナーW2の外周面にカーボン繊維(Carbon Fiber)からなる繊維束CFが巻き付けられたCF層と、ガラス繊維(Glass Fiber)からなる繊維束が巻き付けられたGF層とを有している。
針刺装置70は、床Kに設置されたテーブル71と、テーブル71に設けられライナーW2を保持しライナーW2の軸線方向に移動させる移動ユニット72と、補強層H2に針を刺す針刺しユニット73と、針刺し深さを調整する針刺しハンドル74とを有している。
針刺しユニット73は、四角桝内に配置されたそれぞれが34本の針を有する一対の桝を有し、一対の桝毎にそれぞれ回転させ、同時に68本を補強層H2のGF層に刺して繊維束GF同士を絡ませるよう構成されている。各針は、図7(b)に示すように、それぞれが0.5mm程度の直径(D3)を有し先端部が周方向に凹凸形状に形成された段付部を有しており、段付部でGF層の繊維束GFを絡ませるように構成されている。
針刺しによる絡み付け方式による固定処理方法においては、まず、作業者により、ライナーW2が移動ユニット72にセットされ、次いで、補強層H2に形成された繊維束GFの終端部E2と針刺しユニット73の針の位置とが一致するようにライナーW2が移動される。次いで、針刺しハンドル74が作業者により操作され、図7(b)に示すように、針の先端がCF層に到達しないように、GF層における針の先端までの深さが2.1mm±0.2mmの範囲になるように調整される。
針の先端がGF層の終端部E2に刺されると、針刺しユニット73の一対の桝がそれぞれ回転することで、合計68本の針の先端がGF層内で回転し、GF層内の繊維束GF同士が絡まる。繊維束GF同士が絡まると、針刺しハンドル74が作業者により操作され、針の先端がGF層から離隔する。この構成により、補強層H2に形成された繊維束GFの終端部E2がGF層内の繊維束GFに固定処理される。
しかしながら、針刺しによる絡み付け方式による固定処理方法は、ライナーW2で構成されるタンクの機械的強度を保つCF層に損傷を与えないように、針刺しはGF層に対して行われる。したがって、針の先端がCF層に到達しないように、GF層における針刺し深さを高い精度で寸法管理する必要がある。また、針の先端部分が比較的細いので、針先端の曲がりや折損が起き易い構造を有している。したがって、針先の曲がりや折損の確認が必要となる。その結果、針刺し深さの高い精度での寸法管理や、針先の形状や折損の確認が必要となるので作業工数が増大してしまうという問題がある。
本実施形態に係るタンク10の製造方法によれば、作業者による熱風ブローユニット40の移動だけの半自動の簡単な作業で行われ、非接触の熱風により繊維束F1の終端部E1を補強層H1の外周部に固定処理するようにしているので、針刺しによる絡み付け方式による固定処理方法における、針刺し深さの高い精度での寸法管理や、針先の形状や折損の確認の問題が解消されるという効果が得られる。
本実施形態に係るタンク10の製造方法によれば、従来のコテによる圧着方式のタンクの製造方法における問題が解消されるという効果が得られる。
従来のコテによる圧着方式によるタンクの製造方法は、図7(c)に示すコテ80により、図示しないライナーに形成されたGF層からなる補強層の繊維束の終端部を固定処理する方法で構成されている。コテ80は、ライナーと接触する部分が幅L3で突出して形成されており、突出部分が加熱されるように構成されている。
コテによる圧着方式による固定処理方法においては、コテ80が200℃〜300℃の範囲で適宜選択された温度で加熱され、加熱したコテ80が図7(c)に示す矢印方向に移動して、補強層に形成された繊維束の終端部に押し付けられる。コテ80の熱により、繊維束の終端部および補強層に含浸されている熱硬化樹脂が熱硬化し、繊維束の終端部が補強層に圧着固定される。
しかしながら、コテによる圧着方式による固定処理方法は、GF層からなる補強層に繊維束の終端部を熱による圧着固定した後、補強層からコテ80を離隔する際に、補強層の繊維束がコテ80に貼り付き、コテ80により補強層の繊維束が剥離してしまうおそれがあるという問題がある。
本実施形態に係るタンク10の製造方法によれば、作業者による熱風ブローユニット40の移動だけの半自動の簡単な作業で行われ、非接触の熱風により繊維束F1の終端部E1を補強層H1の外周部に固定処理するようにしているので、コテによる圧着方式による固定処理方法における、コテ80により補強層の繊維束が剥離する問題が解消されるという効果が得られる。
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。