JP6914036B2 - 竪型ミル - Google Patents

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Description

本発明は、回転テーブルとローラとの間に石炭などの被粉砕物を挟み込んで粉砕する竪型ミルに関する。
図1に示したように、石炭などの被粉砕物を挟み込んで粉砕する竪型ミル51は、一般に、ケーシング52と、ケーシング52の内部に被粉砕物を積層して水平面内で回転する回転テーブル53と、油圧シリンダ等を使用した加圧機構55と、ローラ支持部材59の先端に支軸56周りに揺動自在に配設されたローラ54とを備え、加圧機構55の作動により回転テーブル53上に積層された被粉砕物を、ローラ54を回転テーブル53の表面に向けて押し付けることにより粉砕するように構成されている(例えば、特許文献1)。
このような粉砕メカニズムに基づく竪型ミル51においては、運転開始直後等において回転テーブル53上に十分な量の被粉砕物が積層されていない場合、ローラ54が回転テーブル53の表面に当接し、ローラ54および回転テーブル53に重大な損傷を与え、また、竪型ミル51に過大な振動を発生させ、竪型ミル51に重大な損傷を招くおそれがある。
このため、竪型ミル51においては、一般に、回転テーブル53とローラ54との間隙が、予め設定された最小間隙以下に接近しないように、加圧機構55によるローラ54の下方への揺動を制限するためのストッパ57が配設されている。ストッパ57は、例えば、調整ボルト58が前後進することにより調整ボルト58の先端部が前記最小間隙に対応した位置に位置決めされ、ローラ支持部材59の下部の当接部60がストッパ57の先端部に当接することにより、ローラ54の下方への揺動を制限するように構成されている。
ここで、回転テーブル53およびローラ54は、竪型ミル51の運転時間の経過に伴い、表面の磨耗等が進行していくため、その磨耗量に応じて、前記所定の間隔を維持するために、調整ボルト58の位置の再調整を行う必要がある。
しかし、この調整ボルト58の位置の再調整は、従来、竪型ミル51のケーシング52の内部を開放して、回転テーブル53上に被粉砕物が載置されていない状態で、スペーサや測定器等を用いて、回転テーブル53とローラ54との間隙を測定しつつ調整ボルト58を操作し調整する作業を行う必要があった。このため、作業が煩雑であるとともに、機内の冷却や大気開放、運転再開のための復旧等のために長時間にわたって竪型ミル51の運転を停止する必要があり、稼働率が低下するという問題があった。
また、運転時間の経過に伴うローラ54および回転テーブル53の磨耗量の増加を把握して交換の必要性を判断するためには、ローラ54および回転テーブル53の磨耗量を適宜把握する必要があるところ、従来は、竪型ミル51のケーシング52の内部を開放して、回転テーブル53上に被粉砕物が載置されていない状態で、測定器等を用いて磨耗量を測定していたため、調整ボルト58の位置の再調整の場合と同様に、機内の冷却や大気開放、運転再開のための復旧等のために長時間にわたって竪型ミル51の運転を停止する必要があり、稼働率が低下するという問題があった。
特開平5−345138号公報
本発明は、前記の従来技術の課題を解決するためになされたものであって、ケーシング内の冷却や大気開放および運転再開のための復旧作業等を必要とせず、高品質な粉体製品の製造のために回転テーブルとローラとの間隙を容易に最適化できる竪型ミルを提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明の第1の態様は、ケーシングと、前記ケーシング内に配置された回転テーブルと、前記回転テーブルの上方に配置されたローラと、前記ローラと前記回転テーブルとの間隙を調整するための間隙調整装置と、を備え、前記間隙調整装置は、前記ローラと前記回転テーブルとが当接したことを検知して、当接検知時の状態を基準として前記ローラと前記回転テーブルとの間隙を調整するように構成されている、ことを特徴とする。
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記間隙調整装置は、前記ローラを昇降駆動するための油圧シリンダを有し、前記油圧シリンダを作動させて前記ローラを下降させたときの前記油圧シリンダの作動油圧の変化に基づいて、前記ローラが前記回転テーブルに当接したことを検知するように構成されている、ことを特徴とする。
本発明の第3の態様は、第1または第2の態様において、前記間隙調整装置は、前記ローラを揺動可能に支持するためのローラ支持部材を有し、前記ローラを下降させたときの前記ローラ支持部材の揺動角度の変化に基づいて、前記ローラが前記回転テーブルに当接したことを検知するように構成されている、ことを特徴とする。
本発明の第4の態様は、第1乃至第3のいずれかの態様において、前記間隙調整装置は、前記回転テーブルを駆動する電動モータの駆動電流を取得するための電流取得手段を有し、前記ローラを下降させたときの前記電動モータの駆動電流の変化に基づいて、前記ローラが前記回転テーブルに当接したことを検知するように構成されている、ことを特徴とする。
本発明の第5の態様は、第1乃至第4のいずれかの態様において、前記回転テーブルに作用する荷重を取得するための荷重取得手段が前記回転テーブルに設けられ、前記ローラを下降させたときの前記荷重取得手段により取得された荷重の変化に基づいて、前記ローラが前記回転テーブルに当接したことを検知するように構成されている、ことを特徴とする。
本発明の第6の態様は、第1乃至第5のいずれかの態様において、前記間隙調整装置は、前記ローラが前記回転テーブルに対して予め定めた最小間隙を超えて接近することを制限するための最小間隙制限手段を有し、前記最小間隙制限手段は、前記ローラと前記回転テーブルとが当接したことを検知して、当接検知時の状態を基準として前記最小間隙を設定するように構成されている、ことを特徴とする。
本発明の第7の態様は、第6の態様において、前記間隙調整装置は、前記ローラを揺動可能に支持するためのローラ支持部材を有し、前記最小間隙制限手段は、前記ローラ支持部材に当接される受圧部と、前記受圧部を進退駆動するためのサーボモータと、を有し、前記ローラ支持部材に前記受圧部が当接された状態で、前記サーボモータを駆動して前記受圧部を後進させて前記ローラを下降させたときの前記サーボモータの駆動電流の変化に基づいて、前記ローラが前記回転テーブルに当接したことを検知するように構成されている、ことを特徴とする。
本発明の第8の態様は、第7の態様において、前記ローラ支持部材に先端部が連結又は当接されるピストンロッドを有するシリンダを備え、前記ピストンロッドにより前記ローラ支持部材を押圧して前記ローラを前記回転テーブルに向けて押圧するように構成されている、ことを特徴とする。
本発明の第9の態様は、第1乃至第8のいずれかの態様において、前記ローラを前記回転テーブルに当接させた状態で前記回転テーブルを回転させて前記回転テーブルの路面状態を検出するための検出手段を備える、ことを特徴とする。
本発明の第10の態様は、第9の態様において、前記検出手段は、前記回転テーブルを回転させた際に前記ローラが最も上昇した位置を検出するように構成されている、ことを特徴とする。
本発明の第11の態様は、第9又は第10の態様において、前記検出手段は、前記ローラを揺動可能に支持するためのローラ支持部材の揺動角度又は前記ローラ支持部材に先端部が連結又は当接される油圧シリンダのピストンロッドの移動量に基づいて前記回転テーブルの路面状態を検出するように構成されている、ことを特徴とする。
本発明の第12の態様は、第9乃至第11のいずれかの態様において、前記検出手段は、前記回転テーブルを駆動する電動モータの駆動電流に基づいて前記回転テーブルの路面状態を検出するように構成されている、ことを特徴とする。
本発明の第13の態様は、第1乃至第13のいずれかの態様において、前記間隙調整装置は、前記ローラを揺動可能に支持するための前記ローラ支持部材の揺動角度に基づいて前記ローラと前記回転テーブルとの間隙を調整するように構成されている、ことを特徴とする。
前記課題を解決するために、本発明の第14の態様は、ケーシングと、前記ケーシング内に配置された回転テーブルと、前記回転テーブルの上方に配置されたローラと、前記ローラと前記回転テーブルとの間隙を調整するための間隙調整装置と、を備え、前記間隙調整装置は、前記ローラを前記回転テーブルに当接させた状態で前記回転テーブルを回転させて前記回転テーブルの路面状態を検出するための検出手段を有する、ことを特徴とする。
本発明の第15の態様は、第14の態様において、前記検出手段は、前記回転テーブルを回転させた際に前記ローラが最も上昇した位置を検出するように構成されている、ことを特徴とする。
本発明の第16の態様は、第14又は第15の態様において、前記検出手段は、前記ローラを揺動可能に支持するためのローラ支持部材の揺動角度又は前記ローラ支持部材に先端部が連結又は当接される油圧シリンダのピストンロッドの移動量に基づいて前記回転テーブルの路面状態を検出するように構成されている、ことを特徴とする。
本発明の第17の態様は、第14乃至第16のいずれかの態様において、前記検出手段は、前記回転テーブルを駆動する電動モータの駆動電流に基づいて前記回転テーブルの路面状態を検出するように構成されている、ことを特徴とする。
本発明の第18の態様は、第14乃至第17のいずれかの態様において、前記間隙調整装置は、前記ローラを揺動可能に支持するための前記ローラ支持部材の揺動角度に基づいて前記ローラと前記回転テーブルとの間隙を調整するように構成されている、ことを特徴とする。
本発明に係る竪型ミルにより、ケーシングの内部の冷却や大気開放および運転再開のための復旧作業等を必要とせず、高品質な粉体製品の製造のために回転テーブルとローラとの間隙を容易に最適化できる。
従来の竪型ミルの構成を示す断面図である。 本発明に係る竪型ミルの第一の実施形態における間隙調整装置の構成を示す図である。 本発明に係る竪型ミルの第二の実施形態における間隙調整装置の構成を示す図である。
以下、本発明に係る竪型ミルの実施形態について、図面に基づいて説明する。
<第一の実施形態>
図2は、本発明に係る竪型ミルの第一の実施形態における間隙調整装置の構成を示す図である。なお、本発明に係る竪型ミルの第一の実施形態は、図2に示される間隙調整装置以外の部分については、特に矛盾等がない限り、図1に示される竪型ミルと同様である。
第一の実施形態の竪型ミルは、ケーシング2と、ケーシング2の内部に配置され被粉砕物を積層して回転する回転テーブル3と、回転テーブル3の上方に配置されたローラ4と、ローラ4を昇降させるとともにローラ4と回転テーブル3との間隙を調整するための間隙調整装置5とを備えている。
間隙調整装置5は、ケーシング2に支持された油圧シリンダ6およびローラ4を回転自在に保持して油圧シリンダ6により支軸10のまわりに上下に揺動してローラ4を昇降させるローラ支持部材7と、ローラ4と回転テーブル3が予め定めた最小間隙を超えて接近することを制限する最小間隙制限手段としてのストッパ14と、を備えている。
油圧シリンダ6は複動形とされており、油圧ポンプ22から切替弁23、流量制御弁29を介して油圧シリンダ6内のピストンの両側に作動油が供給されるように構成され、切替弁23により、ピストンの後方側(油圧シリンダ6のケーシング2内部側を前方側、その反対側を後方側と呼ぶ。)のシリンダ室に、供給管路33を介して作動油を供給するとピストンロッド19が前進し、ピストンの前方側のシリンダ室に、供給管路34を介して作動油を供給するとピストンロッド19が後進する。これにより、油圧シリンダ6によりピストンロッド19を前後進させて、ピストンロッド19の先端部に連結されたローラ支持部材7が支軸10を中心に上下の揺動することにより、ローラ4を昇降させることができる。
供給管路33の内部の油圧は、圧力センサ24によって検出することができる。圧力センサ24からの検出信号は、油圧制御装置20に送信される。
ピストンロッド19の前後進速度は、流量調整弁29により油圧シリンダ6へ供給する作動油の流量を制御することにより調整可能である。なお、支軸10は、ケーシング2に取付ボルト31により着脱可能に連結されたカバー30に支持されている。
支軸10には、ローラ支持部材7の揺動角度を検出するための角度センサ8が取り付けられている。
ストッパ14は、図2に示されるように、カバー30の下方部に配設された雌ネジ15と、雌ネジ15に螺合する押しボルト16とを有し、押しボルト16を回転させることにより、軸方向に移動することができる。押しボルト16は、固定ナット35で固定することができる。
油圧シリンダ6によりピストンロッド19を前進させてローラ支持部材7を下方に揺動させてローラ支持部材7の下部に配設されている当接部18を押しボルト16の先端部に配設されている受圧部17に当接させてローラ4の下降を制限することができ、ローラ4と回転テーブル3が予め定めた最小間隙を超えて接近することを制限するとき(最小間隙制限の設定)は、押しボルト16を回転させることにより押しボルト16を前後進させて、受圧部17の位置を最小間隙に対応する位置に位置決めすることにより行う。
ここで、最小間隙は、ローラ4が回転テーブル3に当接することを防止することに加え、被粉砕物を粉砕して粉砕製品を製造する際に、粒度等の粉砕製品の品質を確保するためのローラ4と回転テーブル3との適切な間隙として選定されている。
竪型ミルの運転時間の経過によるローラ4および/または回転テーブル3の表面の損耗量の増加に応じて、押しボルト16を後進させローラ4を下降させて、押しボルト16の受圧部17にローラ支持部材7の当接部18が当接した状態におけるローラ4と回転テーブル3との間隙を、最小間隙被粉砕物の性状や粉体製品の要求品質に応じて予め定めた最小間隙となるように設定し直す(再設定する)ために、本実施形態に係る竪型ミルにおいては、点検口を開放せずにケーシング2の内部を外気と隔離した状態において、ローラ4を回転テーブル3との当接を検知し、検知されたローラ4と回転テーブル3とが当接した位置を基準として、ローラ4と回転テーブル3との最小間隙を設定することしている。
以下、本実施形態において、ローラ4と回転テーブル3との間隔を最小間隙に設定する方法等、特に竪型ミルの運転を行い、ローラ4等が磨耗した後にローラ4と回転テーブル3との間隔を最小間隙に設定する方法等について説明する。
ローラ4が回転テーブル3に当接可能となる位置まで押しボルト16を後進させ(最小間隙制限の解除)、切替弁23を操作してピストンの後方側のシリンダ室に作動油を供給する。なお、仕切弁(ゲートバルブ)32は常時閉とされている。これにより、ピストンロッド19が前進し、ローラ支持部材7の揺動によりローラ4が回転テーブル3に向けて下降する。
ローラ4が回転テーブル3に当接すると、回転テーブル3によりローラ4の下降が制限され、ローラ支持部材7の下方への揺動が停止する一方、ピストンの後方側のシリンダ室に作動油を供給が継続されるため、ピストンの後方側のシリンダ室内の作動油の圧力Pが上昇する。
これにより、ピストンの後方側のシリンダ室への供給管路33に配設された圧力センサ24の圧力Pを監視し、圧力Pの上昇によりローラ4の回転テーブル3への当接を検知することができる。
ここで、ローラ4が回転テーブル3に当接するとローラ支持部材7はそれ以上、下方に揺動することはないから、油圧シリンダの圧力系の脈動等を考慮して、例えばピストンロッド15の前進時の圧力P0に対して所定の閾値(例えば、5%ないし10%)の圧力上昇があった時点において角度センサ8により測定された揺動角度を用いることにより、ローラ4が回転テーブル3に当接した時点の正確な揺動角度を取得することができる。
圧力センサ24により測定された圧力P信号は、間隙調整装置5の制御装置28内の信号処理部26内へ送信され、圧力P0に対して所定の閾値の上昇を監視・判断し、所定の閾値の上昇があった時点における角度センサ8から入力された揺動角度をローラ4が回転テーブル3に当接したときの揺動角度として、揺動角度取得部27を介して取得して記憶部25に記憶する。
記憶部25は、ローラ4と回転テーブル3との当接点を基準としたローラ支持部材7の揺動角度に対するローラ4と回転テーブル3との間隙の関係、および油圧シリンダ6のピストンロッド19の前後進量とローラ支持部材7の揺動角度との関係を、テーブルまたは関数などの形式により記憶してあり、これらの記憶データをもとに、信号処理部26により最小間隙を設定するためにローラ支持部材7を上方へ揺動すべき揺動角度を算出し、さらに算出された揺動角度だけ揺動すべきピストンロッド19の後進する距離を算出する。
なお、記憶部25には、ローラ4と回転テーブル3との当接点を基準としたローラ支持部材7の揺動角度に対するローラ4と回転テーブル3との間隙の関係、および油圧シリンダ6のピストンロッド19の前後進量とローラ支持部材7の揺動角度との関係の2種類の関係の代わりに、ローラ4と回転テーブル3との当接点を基準とした回転テーブル3との間隙に対する油圧シリンダ6のピストンロッド19の前後進量の関係を記憶しておき、これらの記憶データをもとに、信号処理部26により最小間隙を設定するためにピストンロッド19の後進する距離を算出してもよい。
そして、上記により算出された距離だけピストンロッド19が後進するように信号処理部26より油圧制御装置20に指令が出されて、ピストンロッド19が後進してローラ4が回転テーブル3に対して最小間隙離れた位置まで上昇して停止する。
この最小間隙を確保したピストンロッド19の位置決めを正確に実行するためには、油圧シリンダ6の油圧制御系は、位置に対するサーボ制御系が構成されていることが好ましい。
その後、押しボルト16を前進させて先端の受圧部17をローラ支持部材7の当接部18に当接させた後、押しボルト16が前後進しないように固定ナット35で固定する。
なお、高圧による油圧系のシール部等の漏洩や損傷の防止のため、作動油の所定の圧力上昇によりローラ4の回転テーブル3への当接が検知されると同時に、油圧シリンダ6への作動油の供給を停止する。
上述した実施形態においては、角度センサ8により測定されたローラ支持部材7の揺動角度に基づいてローラ4と回転テーブル3との間隙を調整等することとしているが、角度センサ8の代わりに、例えば、油圧シリンダ5のピストンロッド19の移動量を測定するリニアスケール(距離センサ)を使用して、ローラ4と回転テーブル3との当接検知時のピストンロッド19の位置情報に基づいて、ピストンロッド19の移動量とローラ4の昇降量等との関係等から、間隙調整、最小間隙制限の設定等を行ってもよい。以下に説明する変形例や他の実施形態においても同様である。
以上の方法により、カバー14を取り外すことなくケーシング2の内部を外気と隔離した状態において、最小間隙を設定することができるため、ケーシング2の内部の冷却や大気開放および運転再開のための復旧等を必要とせず、所定の回転テーブル3とローラ4との間隙を容易に確保して高品質な粉体製品を製造することができる。
なお、製作当初の磨耗のない状態のローラ4と回転テーブル3とを当接させたときのローラ支持部材7の揺動角度またはピストンロッド19の位置を測定、記録しておき、所定の運転後にローラ4と回転テーブル3とを当接させたときのローラ支持部材7の揺動角度またはピストンロッド19の位置を測定し、製作当初のローラ支持部材7の揺動角度またはピストンロッド19の位置とを対比して、記憶部25に記憶してある関係により、信号処理部26によりローラ4および回転テーブル3の合計磨耗量を求めることができ、ケーシング2の内部の冷却や大気開放および運転再開のための復旧等を必要とせずに、ローラ4または回転テーブル3の交換寿命等を推定することができる。
(1)変形例1
前記第一の実施形態における最小間隙を(再)設定する方法(以下、「第一の実施形態の基本例」という。)の変形例として、以下に説明する方法(以下、「第一の実施形態の変形例1」という。)によっても、最小間隙を(再)設定することもできる。なお、以下において特に説明しない事項等については、矛盾等がない限り、第一の実施形態の基本例と同様である。
先ず、第一の実施形態における基本例と同様に、ローラ4が回転テーブル3に当接可能となる位置まで押しボルト16を後進させ(最小間隙制限の解除)、切替弁23を操作して作動油をピストンの後方側のシリンダ室に作動油を供給してピストンロッド19を前進させて、ローラ支持部材7の揺動によりローラ4を回転テーブル3に向けて下降させる。
ローラ4が回転テーブル3に当接すると、回転テーブル3によりローラ4の下降が制約されローラ支持部材7の下方への揺動が停止する。
これにより、角度センサ8の出力信号を監視し、揺動角度の変化のなくなったことによりローラ4の回転テーブル3への当接を検知することができる。
角度センサ8により取得(測定)された角度信号に基づき、前記方法により揺動角度取得部27、信号処理部26により算出された角度が、ローラ4が回転テーブル3に当接したときの揺動角度と判断され、記憶部25に記憶する。
記憶部25は、ローラ4と回転テーブル3との当接点を基準としたローラ支持部材7の揺動角度に対するローラ4と回転テーブル3との間隙の関係、および油圧シリンダ6のピストンロッド19の移動量とローラ支持部材7の揺動角度との関係を、テーブルまたは関数などの形式により記憶してあり、これらの記憶データをもとに、信号処理部26により最小間隙を設定するためにローラ支持部材7を上方へ揺動すべき揺動角度を算出し、さらに算出された揺動角度だけ揺動すべきピストンロッド19の後進する距離を算出する。
そして、上記により算出された距離だけピストンロッド19が後進するように信号処理部26より油圧制御装置20に指令がされて、ピストンロッド19が後進してローラ4が回転テーブル3に対して最小間隙離れた位置まで上昇して停止する。
その後、押しボルト16を前進させて先端の受圧部17をローラ支持部材7の当接部18に当接させた後、押しボルト16が前後進しないように固定ナット35で固定する。
(2)変形例2
第一の実施形態の基本例の変形例として、以下に説明する方法(以下、「第一の実施形態の変形例2」という。)によっても、最小間隙を(再)設定することができる。なお、以下において特に説明しない事項等については、矛盾等がない限り、第一の実施形態の基本例と同様である。
先ず、油圧シリンダ6への作動油の供給を停止するとともに、切替弁23を開き、油圧シリンダ6のピストンの両側へのシリンダ室同士が、供給管路33と供給管路34とを介して連結する。これにより、ピストンロッド19に軸方向で負荷が作用すると、油圧シリンダ6のピストンの両側へのシリンダ室間に自由に作動油が流動することができ、ピストンロッド19が負荷の作用方向に自由に移動することができる。
次に、押しボルト16を回転させて押しボルト16を後進させると、ローラ支持部材7には、ローラ4およびローラ支持部材7自身の重量により下方に揺動する作用力(モーメント)が作用するので、それに応じてピストンロッド19が拘束なく自由に前進するため、ローラ支持部材7の当接部18が押しボルト16の受圧部17の後進に追従し受圧部17に当接した状態で、ローラ支持部材7が下方に揺動する。
ローラ支持部材7の下方への揺動が進行し、ローラ4が回転テーブル3に当接すると、当接部18が受圧部17の移動に追従できなくなり、ローラ支持部材7の下方への揺動が停止するため、角度センサ8により測定された揺動角度の変化を監視することにより、揺動角度が一定値となったことにより、ローラ4の回転テーブル3への当接を検知することができる。
角度センサ8により取得(測定)された角度信号に基づき、前記方法により揺動角度取得部27、信号処理部26により算出された角度が、ローラ4が回転テーブル3に当接したときの揺動角度と判断され、記憶部25に記憶する。
記憶部25は、ローラ4と回転テーブル3との当接点を基準としたローラ支持部材7の揺動角度に対するローラ4と回転テーブル3との間隙の関係、および油圧シリンダ6のピストンロッド19の前後進量とローラ支持部材7の揺動角度との関係を、テーブルまたは関数などの形式により記憶してあり、これらの記憶データをもとに、信号処理部26により最小間隙を設定するためにローラ支持部材7を上方へ揺動すべき揺動角度を算出し、さらに算出された揺動角度だけ揺動すべきピストンロッド19の後進する距離を算出する。
そして、上記により算出された距離だけピストンロッド19が後進するように信号処理部26より油圧制御装置に指令がされて、ピストンロッド19が後進してローラ4が回転テーブル3に対して最小間隙離れた位置まで上昇して停止する。
その後、押しボルト16を前進させて先端の受圧部17をローラ支持部材7の当接部18に当接させた後、押しボルト16が前後進しないように固定ナット35で固定する。
(3)変形例3
第一の実施形態の基本例の変形例として、以下に説明する方法(以下、「第一の実施形態の変形例3」という。)によっても、最小間隙を(再)設定することもできる。なお、以下において特に説明しない事項等については、矛盾等がない限り、第一の実施形態の基本例と同様である。
第一の実施形態の変形例3は、回転テーブル3を回転駆動する電動モータ(図示省略)のモータ電流を測定するモータ電流計(図示省略)をさらに備え、基本例における油圧シリンダ6の作動油圧の変化に代えて、モータ電流計により測定されたモータ電流の変化に基づいてローラ4が回転テーブル3に当接したことを検知するものである。
以下、変形例3におけるローラ4と回転テーブル3との間隔を最小間隙に(再)設定する方法等、特に竪型ミルの運転を行い、ローラ4等が磨耗した後にローラ4と回転テーブル3との間隔を最小間隙(再)設定する方法等について説明する。
先ず、第一の実施形態の基本例と同様に、ローラ4が回転テーブル3に当接可能となる位置まで押しボルト16を後進させる(最小間隙制限の解除)。
その後、回転テーブル3を回転させるとともに、切替弁23を操作して作動油をピストンの後方側のシリンダ室に作動油を供給してピストンロッド19を前進させて、ローラ支持部材7の揺動によりローラ4を回転テーブル3に向けて下降させる。
ローラ4が回転テーブル3に当接すると、ローラ4による大きな押し付け力が回転テーブル3に作用するため、回転テーブル3を回転させるための負荷トルクが大きく増加し、それにより回転テーブル3を回転駆動する電動モータのモータ電流が大きく増加する。そこで、このモータ電流を監視し、その上昇によりローラ4の回転テーブル3への当接を検知することができる。
ここで、ローラ4が回転テーブル3に当接するとローラ支持部材7はそれ以上、下方に揺動することはないから、モータ電流の脈動等を考慮して、例えばローラ4の回転テーブル3への当接前のモータ電流値に対して所定の閾値(例えば、5%ないし10%)の上昇があった時点において角度センサ8により測定された揺動角度を用いることにより、正確な揺動角度を取得することができる。
角度センサ8により取得(測定)された角度信号に基づき、前記方法により揺動角度取得部27、信号処理部26により算出された角度が、ローラ4が回転テーブル3に当接したときの揺動角度と判断され、記憶部25に記憶する。
記憶部25は、ローラ4と回転テーブル3との当接点を基準としたローラ支持部材7の揺動角度に対するローラ4と回転テーブル3との間隙の関係、および油圧シリンダ6のピストンロッド19の前後進量とローラ支持部材7の揺動角度との関係を、テーブルまたは関数などの形式により記憶してあり、これらの記憶データをもとに、信号処理部26により最小間隙を設定するためにローラ支持部材7を上方へ揺動すべき揺動角度を算出し、さらに算出された揺動角度だけ揺動すべきピストンロッド19の後進する距離を算出する。
そして、上記により算出された距離をピストンロッド19が後進するように信号処理部26より油圧制御装置に指令がされて、ピストンロッド19が後進してローラ4が回転テーブル3に対して最小間隙離れた位置まで上昇して停止する。
その後、押しボルト16を前進させて先端の受圧部17をローラ支持部材7の当接部18に当接させた後、押しボルト16が前後進しないように固定ナット35で固定する。
なお、ローラ4を降下させて回転テーブル3に当接させる際には、予め回転テーブル3を回転させながらローラ4を降下させ、当接時点における電流値の変化を検出することができる。或いは、ローラ4の降下動作を段階的に実施して、それぞれの降下動作の後に回転テーブル3を回転させ、非当接状態と当接状態との間の電流値の変化を検出するようにしても良い。
なお、回転テーブル3が円周方向に損耗量の分布がある場合またはローラ4が外周に沿って損耗量の分布がある場合には、それに起因してローラ4による回転テーブルの押し付け力が変動し、回転テーブル3を回転させるための負荷トルクの変動により回転テーブル3を回転駆動する電動モータのモータ電流が変動する。そこで、モータ電流の変動状態から、回転テーブル3の円周方向の損耗量の分布またはローラ4の外周に沿う損耗量の分布を推定することができる。
(4)変形例4
第一の実施形態の基本例の変形例として、以下に説明する方法(以下、「第一の実施形態の変形例4」という。)によっても、最小間隙を(再)設定することもできる。なお、以下において特に説明しない事項等については、矛盾等がない限り、第一の実施形態の基本例と同様である。
第一の実施形態の変形例4は、回転テーブル3の鉛直方向または水平方向に作用する鉛直/水平荷重を測定する鉛直/水平荷重センサ(図示省略)をさらに備え、基本例における油圧シリンダ6の作動油圧の変化に代えて、鉛直/水平荷重センサにより測定された鉛直/水平荷重の変化に基づいてローラ4が回転テーブル3に当接したことを検知するものである。なお、鉛直/水平荷重センサは、例えば歪みゲージやロードセル(歪み式、磁歪式、静電容量式、ジャイロ式など)を使用することができ、回転テーブル3の側面や裏面等に取り付けられる。
以下、変形例4におけるローラ4と回転テーブル3との間隔を最小間隙に設定する方法等、特に竪型ミルの運転を行い、ローラ4等が磨耗した後にローラ4と回転テーブル3との間隔を最小間隙に設定する方法等について説明する。
先ず、第一の実施形態における基本例と同様に、ローラ4が回転テーブル3に当接可能となる位置まで押しボルト16を後進させる(最小間隙制限の解除)。
その後、切替弁23を操作して作動油をピストンの後方側のシリンダ室に作動油を供給してピストンロッド19を前進させて、ローラ支持部材7の揺動によりローラ4が回転テーブル3に向けて下降させる。
ローラ4が回転テーブル3に当接すると、ローラ4による大きな押し付け力が回転テーブル3に作用するようになるので、回転テーブル3には鉛直下方への鉛直荷重が大きく増加することから、この鉛直荷重を監視し、その上昇によりローラ4の回転テーブル3への当接を検知することができる。
ここで、ローラ4が回転テーブル3に当接するとローラ支持部材7はそれ以上、下方に揺動することはないから、鉛直/水平荷重センサによる測定値の微小変動等を考慮して、例えばローラ4の回転テーブル3への当接前の鉛直/水平荷重測定値に対して所定の閾値(例えば、5%ないし10%)の上昇があった時点において角度センサにより測定された揺動角度を用いることにより、正確な揺動角度を取得することができる。
なお、回転テーブル3に取り付けられる鉛直/水平荷重センサが1つの場合、ローラ4が鉛直荷重センサより遠方位置に当接しているときは、鉛直/水平荷重の増加を検知できない可能性があるが、ローラ4と回転テーブル3とが当接する円周線近傍に鉛直/水平荷重センサを配置することにより、回転テーブル3が回転しているためにローラ4と回転テーブル3との当接点が鉛直/水平荷重センサの検知可能領域まで回転し鉛直荷重の増加を検知可能である一方、ローラ4が回転テーブル3に当接した後は、揺動角度に変化しなくなることから、鉛直/水平荷重の変化の検知時点において取得された揺動角度が、ローラ4が回転テーブル3に当接したときの揺動角度となる。
角度センサ8により取得(測定)された角度信号に基づき、前記方法により揺動角度取得部27、信号処理部26により算出された角度が、ローラ4が回転テーブル3に当接したときの揺動角度と判断され、記憶部25に記憶する。
記憶部25は、ローラ4と回転テーブル3との当接点を基準としたローラ支持部材7の揺動角度に対するローラ4と回転テーブル3との間隙の関係、および油圧シリンダ6のピストンロッド19の前後進量とローラ支持部材7の揺動角度との関係を、テーブルまたは関数などの形式により記憶してあり、これらの記憶データをもとに、信号処理部26により最小間隙を設定するためにローラ支持部材7を上方へ揺動すべき揺動角度を算出し、さらに算出された揺動角度だけ揺動すべきピストンロッド19の後進する距離を算出する。
そして、上記により算出された距離をピストンロッド19が後進するように信号処理部26より油圧制御装置に指令がされて、ピストンロッド19が後進してローラ4が回転テーブル3に対して最小間隙離れた位置まで上昇して停止する。
その後、押しボルト16を前進させて先端の受圧部17をローラ支持部材7の当接部18に当接させた後、押しボルト16が前後進しないように固定ナット35で固定する。
<第二の実施形態>
図3は、本発明に係る竪型ミルの第二の実施形態における間隙調整装置の構成を示す図である。
以下、図3に基づき、第二の実施形態について説明する。なお、以下に説明がない事項については、特に矛盾がない限り、第一の実施形態またはその変形例と同様であり、図3に示される間隙調整装置以外の部分については、図1に示される従来の竪型ミルと同様である。
第二の実施形態の竪型ミルは、第一の実施形態と同様に、ケーシング2と、ケーシング2の内部に配置され被粉砕物を積層して回転する回転テーブル3と、回転テーブル3の上方に配置されたローラ4と、ローラ4を昇降させるとともにローラ4と回転テーブル3との間隙を調整する間隙調整装置5とを備えている。
間隙調整装置5は、ケーシング2に支持された油圧シリンダ6およびローラ4を回転自在に保持して油圧シリンダ6により支軸10のまわりに上下に揺動してローラ4を昇降させるローラ支持部材7と、ローラ4と回転テーブル3が予め定めた最小間隙を超えて接近することを制限する最小間隙制限手段としてのストッパ14と、を備えている。
油圧シリンダ6の構成、作用や機能は、第一の実施形態と同様である。
ストッパ14は、図3に示されるように、カバー30の下方部に形成された雌ネジ15と、雌ネジ15に螺合する押しボルト16と、押しボルト14を回転させて直線移動させるともに位置決めするためのサーボモータ21と、を有している。サーボモータ21は、サーボ制御部36により制御される。油圧シリンダ6によりピストンロッド19を前進させてローラ支持部材7を下方に揺動させて、ローラ支持部材7の下部に配設されている当接部18が、押しボルト16の先端部に配設されている受圧部17に当接することで、ローラ4の下降が制限される。
受圧部17の位置は、サーボモータ21により押しボルト16を回転させることにより押しボルト16を前後進させて、ローラ4と回転テーブル3との間隙が最小間隙となる位置に位置決めされる。
サーボモータ21は、電磁ブレーキを有し、ローラ4と回転テーブル3との間隙が最小間隙となる位置に位置決めされた後、電磁ブレーキを作動させて押しボルト16が前後進しないようにロックする。
第二の実施形態においても、第一の実施形態と同様に、カバー30を開放せずにケーシング2の内部を外気と隔離した状態において、ローラ4を回転テーブル3との当接を検知し、検知されたローラ4と回転テーブル3とが当接した位置を基準として、ローラ4と回転テーブル3との最小間隙を設定することしている。
以下、第二の実施形態における最小間隙を(再)設定する方法等について説明する。
先ず、油圧シリンダ6への作動油の供給を停止するとともに、切替弁23を開き、油圧シリンダ6のピストンの両側へのシリンダ室同士が、供給管路33と供給管路34とを介して連結する。これにより、ピストンロッド19に軸方向で負荷が作用すると、油圧シリンダ6のピストンの両側のシリンダ室間に自由に作動油が流動することができ、ピストンロッド19が負荷の作用方向に自由に移動することができる。
次に、サーボモータ21を作動させて押しボルト16を後進させると、ローラ支持部材7は、ローラ4およびローラ支持部材7自身の重量により下方に揺動する作用力(モーメント)が作用するので、それに応じてピストンロッド19が拘束なく自由に前進するため、ローラ支持部材7の当接部18が押しボルト16の受圧部17の後進に追従し受圧部17に当接した状態で、ローラ支持部材7が下方に揺動する。
ローラ支持部材7が下方への揺動が進行し、ローラ4が回転テーブル3に当接すると、ローラ支持部材7の下方への揺動が停止して、当接部18が、受圧部17の移動に追従できなくなり、受圧部17から離反するため、押しボルト16に作用していたローラ支持部材7およびローラ4等の荷重負荷が作用しなくなる。このため、サーボモータ21に作用する負荷トルクが急激に大幅に減少することにより、サーボモータ21の作動電流が大幅に減少する。
したがって、サーボモータ21の作動電流を電流計37により測定し、測定作動電流の変化(減少)により、ローラ4が回転テーブル3に当接したことが検知することができる。
具体的には、脈動等を考慮して、当接部18が受圧部17に当接させて押しボルト16を後進させるときの電流値に対して所定の閾値(例えば、5%ないし10%)の電流の減少があったときを、ローラ4が回転テーブル3に当接したものとする。最小間隙設定のために必要な情報は、ローラ4が回転テーブル3に当接したときのローラ支持部材7の揺動角度であるところ、ローラ4が回転テーブル3に当接すると、その後の揺動角度は一定となるので、ローラ4と回転テーブル3との当接時刻の測定に多少の誤差があっても、揺動角度は正確に取得することができる。
電流計37により測定(取得)された電流値および角度センサ8により測定された角度信号に基づき揺動角度取得部27により取得された揺動角度は、信号処理部26に送信され、前記の方法により、ローラ4が回転テーブル3に当接したときの揺動角度を求め、記憶部25に記憶する。
記憶部25は、ローラ4と回転テーブル3との当接点を基準としたローラ支持部材7の揺動角度に対するローラ4と回転テーブル3との間隙の関係、および油圧シリンダ6のピストンロッド19の前後進量とローラ支持部材7の揺動角度との関係を、テーブルまたは関数などの形式により記憶してあり、これらの記憶データをもとに、信号処理部26により最小間隙を設定するためにローラ支持部材7を上方へ揺動すべき揺動角度を算出し、さらに算出された揺動角度だけ揺動すべきピストンロッド19の後進する距離を算出する。
そして、上記により算出された距離だけピストンロッド19が後進するように信号処理部26より油圧制御装置20に対して指令がされて、ピストンロッド19が後進してローラ4が回転テーブル3に対して最小間隙離れた位置まで上昇して停止する。
この最小間隙を確保したピストンロッド19の位置決めを正確に実行するためには、油圧シリンダ6の油圧制御系は、位置に対するサーボ制御系が構成されていることが好ましい。
その後、サーボモータ21を作動させて押しボルト16を前進させて先端の受圧部17をローラ支持部材7の当接部18に当接させた後、サーボ制御部36により電磁サーボモータ21の電磁ブレーキを作動させて押しボルト16を固定する。
(1)変形例1
前記第二の実施形態における最小化間隙を(再)設定する方法(以下、「第二の実施形態の基本例」という。)の変形例として、以下に説明する方法(以下、「第二の実施形態の変形例1」という。)によっても、最小間隙を設定することもできる。なお、以下において特に説明しない事項等については、矛盾等がない限り、第二の実施形態の基本例と同様である。
先ず、第二の実施形態の基本例と同様に、油圧シリンダ6への作動油の供給を停止するとともに、切替弁23を開き、油圧シリンダ6のピストンの両側へのシリンダ室同士が、供給管路33と供給管路34とを介して連結する。
次に、サーボモータ21を作動させて押しボルト16を後進させて、ローラ支持部材7の当接部18が押しボルト16の受圧部17の後進に追従し受圧部17に当接した状態で、ローラ支持部材7を下方に揺動させる。
ローラ支持部材7が下方への揺動が進行しローラ4が回転テーブル3に当接すると、ローラ支持部材7の下方への揺動が停止して、当接部18が、受圧部17の移動に追従できなくなり受圧部17から離反するため、押しボルト16が後進しているにもかかわらず、ローラ支持部材7の下方への揺動が停止する。
したがって、ローラ支持部材7の揺動角度の変化を角度センサ8により測定し、揺動角度が変化せずに一定となったことにより、ローラ4が回転テーブル3に当接したことが検知することができる。
角度センサ8により取得(測定)された角度信号に基づき、前記方法により揺動角度取得部27、信号処理部26により算出された角度が、ローラ4が回転テーブル3に当接したときの揺動角度と判断され、記憶部25に記憶する。
記憶部25は、ローラ4と回転テーブル3との当接点を基準としたローラ支持部材7の揺動角度に対するローラ4と回転テーブル3との間隙の関係、および油圧シリンダ6のピストンロッド19の前後進量とローラ支持部材7の揺動角度との関係を、テーブルまたは関数などの形式により記憶してあり、これらの記憶データをもとに、信号処理部26により最小間隙を設定するためにローラ支持部材7を上方へ揺動すべき揺動角度を算出し、さらに算出された揺動角度だけ揺動すべきピストンロッド19の後進する距離を算出する。
そして、上記により算出された距離をピストンロッド19が後進するように信号処理部26より油圧制御装置に指令がされて、ピストンロッド19が後進してローラ4が回転テーブル3に対して最小間隙離れた位置まで上昇して停止する。
その後、サーボモータ21を作動し押しボルト16を前進させて先端の受圧部17をローラ支持部材7の当接部18に当接させた後、サーボモータ21の電磁ブレーキを作動して押しボルト16を固定する。
(2)変形例2
第二の実施形態の基本例の変形例として、以下に説明する方法(以下、「第二の実施形態の変形例2」という。)によっても、最小間隙を設定することもできる。なお、以下において特に説明しない事項等については、矛盾等がない限り、第二の実施形態の基本例と同様である。
第二の実施形態の変形例2は、回転テーブル3を駆動する電動モータ(図示省略)を回転駆動する電動モータのモータ電流を測定するモータ電流計(図示省略)をさらに備え、第二の実施形態の基本例における油圧シリンダ6の作動油圧の変化に代えて、モータ電流計により測定されたモータ電流の変化に基づいてローラ4が回転テーブル3に当接したことを検知するものである。
以下、変形例2におけるローラ4と回転テーブル3との間隔を最小間隙に(再)設定する方法等、特に竪型ミルの運転を行い、ローラ4等が磨耗した後にローラ4と回転テーブル3との間隔を最小間隙に(再)設定する方法等について説明する。
先ず、油圧シリンダ6への作動油の供給を停止するとともに、切替弁23を開き、油圧シリンダ6のピストンの両側へのシリンダ室同士が、供給管路33と供給管路34とを介して連結する。これにより、ピストンロッド19に軸方向で負荷が作用すると、油圧シリンダ6のピストンの両側へのシリンダ室間に自由に作動油が流動することができ、ピストンロッド19が負荷の作用方向に自由に移動することができる。
次に、回転テーブル3を回転させるとともに、サーボモータ21を作動させて押しボルト16を後進させて、ローラ支持部材7の当接部18が押しボルト16の受圧部17の後進に追従し受圧部17に当接した状態で、ローラ支持部材7が下方に揺動させる。
ローラ4が回転テーブル3に当接すると、それ以後は、サーボモータ21の押しボルト16先端の受圧部17は当接部18から離れ、ローラ4およびローラ支持部材7の荷重は回転テーブル3で受けることになるため、回転テーブル3を回転させるための負荷トルクが大きく増加し、それにより回転テーブル3を回転駆動する電動モータのモータ電流が大きく増加する。この作用を利用して、変形例2では、回転テーブル3を回転駆動する電動モータのモータ電流を監視し、その上昇によりローラ4の回転テーブル3への当接を検知することとしている。
ここで、ローラ4が回転テーブル3に当接するとローラ支持部材7はそれ以上、下方に揺動することはなく、揺動角度は一定となるため、モータ電流の脈動等を考慮して、例えばローラ4の回転テーブル3への当接前のモータ電流値に対して所定の閾値(例えば、5%ないし10%)の上昇があった時点において角度センサにより測定された揺動角度を用いることにより、正確な揺動角度を自動的に取得することができる。
角度センサ8により取得(測定)された角度信号に基づき、前記方法により揺動角度取得部27、信号処理部26により算出された角度が、ローラ4が回転テーブル3に当接したときの揺動角度と判断され、記憶部25に記憶する。
記憶部25は、ローラ4と回転テーブル3との当接点を基準としたローラ支持部材7の揺動角度に対するローラ4と回転テーブル3との間隙の関係、および油圧シリンダ6のピストンロッド19の前後進量とローラ支持部材7の揺動角度との関係を、テーブルまたは関数などの形式により記憶してあり、これらの記憶データをもとに、信号処理部26により最小間隙を設定するためにローラ支持部材7を上方へ揺動すべき揺動角度を算出し、さらに算出された揺動角度だけ揺動すべきピストンロッド19の後進する距離を算出する。
そして、上記により算出された距離をピストンロッド19が後進するように信号処理部26より油圧制御装置に指令がされて、ピストンロッド19が後進してローラ4が回転テーブル3に対して最小間隙離れた位置まで上昇して停止する。
その後、サーボモータ21を作動させ押しボルト16を前進させて先端の受圧部17をローラ支持部材7の当接部18に当接させた後、押しボルト16が前後進しないようにサーボモータ21の電磁ブレーキを作動させて押しボルト16を固定する。
なお、上述した第2の実施形態および各変形例においては、ピストンロッド19の先端部にローラ支持部材7を連結する構成としているが、この構成に代えて、ピストンロッド19の先端部をローラ支持部材7に当接する構成とすることもできる。このような、ピストンロッド19とローラ支持部材7とを連結しない構成においても、サーボモータ21を駆動して受圧部17を進退駆動することによって、間隙調整時にローラ4を昇降駆動することができる。
ここで、サーボモータ21の前後進量については、サーボモータ21の回転角度とねじピッチにより算出することができる。
また、ローラ支軸を直接モータ等で駆動することによりローラ4を昇降駆動するようにしても良い。
また、ネジ形状の押しボルト14およびサーボモータ21に代えて、ネジ形状ではなくストレート形状の押しボルトおよび油圧シリンダを採用することができる。
なお、回転テーブル3が円周方向に損耗量の分布がある場合またはローラ4が外周に沿って損耗量の分布がある場合には、それに起因してローラ4による回転テーブルの押し付け力が変動し、回転テーブル3を回転させるための負荷トルクの変動により回転テーブル3を回転駆動する電動モータのモータ電流が変動する。
従って、上述した第一の実施形態およびその変形例、および上述した第二の実施形態およびその変形例において、このモータ電流の変動状態から、回転テーブル3の円周方向の損耗量の分布またはローラ4の外周に沿う損耗量の分布を推定することができる。
ローラ4を回転テーブル3に載せた状態で、インチングモータ等で回転テーブル3を回転させ、ローラ4が最も上昇した位置をゼロ点に設定することで、ローラ4と回転テーブル3とが接触(メタルタッチ)しない本来のゼロ点への設定が可能となる。
また、回転テーブル3での荷重検出により、回転テーブル3単品の摩耗量と、ローラ4を回転テーブル3に載せれば、ローラ4の摩耗量も検出でき、部品交換時期を予測することができる。
また、上述した回転テーブル3の路面状態の検出については、モータ電流の測定に代えて、或いはモータ電流の測定に加えて、ローラ支持部材7の揺動角度又はローラ支持部材7に先端部が連結又は当接される油圧シリンダ6のピストンロッドの移動量に基づいて路面状態を検出するようにしても良い。
また、上述した第一の実施形態およびその変形例、および上述した第二の実施形態およびその変形例においては、間隙調整装置5によって、降下するローラ4が回転テーブル3に当接したことを検知するようにしたが、上記のように回転テーブル3を回転させて路面状態を検出する場合には、必ずしもローラ4と回転テーブル3との当接時点を検出する必要はなく、例えば、回転テーブル3を回転させた際にローラ4が最も上昇した位置をゼロ点に設定することができる。
1 竪型ミル
2 ケーシング
3 回転テーブル
4 ローラ
5 間隙調整装置
6 油圧シリンダ
7 ローラ支持部材
8 角度センサ
10 支軸
14 ストッパ
15 雌ネジ
16 押しボルト
17 受圧部
18 当接部
19 ピストンロッド
20 油圧制御装置
21 サーボモータ(または油圧シリンダ)
22 油圧ポンプ
23 切替弁
24 圧力センサ
25 記憶部
26 信号処理部
27 揺動角度算取得部
28 間隙調整装置の制御装置
29 流量制御弁
30 カバー
31 取付ボルト
32 仕切弁
33 ピストンの後方側のシリンダ室への供給管路
34 ピストンの前方側のシリンダ室への供給管路
35 固定ナット
36 サーボ制御部
37 電流計

Claims (18)

  1. ケーシングと、前記ケーシング内に配置された回転テーブルと、前記回転テーブルの上方に配置されたローラと、前記ローラと前記回転テーブルとの間隙を調整するための間隙調整装置と、を備え、
    前記間隙調整装置は、前記ローラと前記回転テーブルとが当接したことを検知して、当接検知時の状態を基準として前記ローラと前記回転テーブルとの間隙を調整するように構成されている、竪型ミル。
  2. 前記間隙調整装置は、前記ローラを昇降駆動するための油圧シリンダを有し、前記油圧シリンダを作動させて前記ローラを下降させたときの前記油圧シリンダの作動油圧の変化に基づいて、前記ローラが前記回転テーブルに当接したことを検知するように構成されている、請求項1記載の竪型ミル。
  3. 前記間隙調整装置は、前記ローラを揺動可能に支持するためのローラ支持部材を有し、前記ローラを下降させたときの前記ローラ支持部材の揺動角度の変化に基づいて、前記ローラが前記回転テーブルに当接したことを検知するように構成されている、請求項1または2に記載の竪型ミル。
  4. 前記間隙調整装置は、前記回転テーブルを駆動する電動モータの駆動電流を取得するための電流取得手段を有し、前記ローラを下降させたときの前記電動モータの駆動電流の変化に基づいて、前記ローラが前記回転テーブルに当接したことを検知するように構成されている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の竪型ミル。
  5. 前記回転テーブルに作用する荷重を取得するための荷重取得手段が前記回転テーブルに設けられ、前記ローラを下降させたときの前記荷重取得手段により取得された荷重の変化に基づいて、前記ローラが前記回転テーブルに当接したことを検知するように構成されている、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の竪型ミル。
  6. 前記間隙調整装置は、前記ローラが前記回転テーブルに対して予め定めた最小間隙を超えて接近することを制限するための最小間隙制限手段を有し、
    前記最小間隙制限手段は、前記ローラと前記回転テーブルとが当接したことを検知して、当接検知時の状態を基準として前記最小間隙を設定するように構成されている、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の竪型ミル。
  7. 前記間隙調整装置は、前記ローラを揺動可能に支持するためのローラ支持部材を有し、
    前記最小間隙制限手段は、前記ローラ支持部材に当接される受圧部と、前記受圧部を進退駆動するためのサーボモータと、を有し、前記ローラ支持部材に前記受圧部が当接された状態で、前記サーボモータを駆動して前記受圧部を後進させて前記ローラを下降させたときの前記サーボモータの駆動電流の変化に基づいて、前記ローラが前記回転テーブルに当接したことを検知するように構成されている、請求項6に記載の竪型ミル。
  8. 前記ローラ支持部材に先端部が連結または当接されるピストンロッドを有するシリンダを備え、前記ピストンロッドにより前記ローラ支持部材を押圧して前記ローラを前記回転テーブルに向けて押圧するように構成されている、請求項7に記載の竪型ミル。
  9. 前記ローラを前記回転テーブルに当接させた状態で前記回転テーブルを回転させて前記回転テーブルの路面状態を検出するための検出手段を備える、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の竪型ミル。
  10. 前記検出手段は、前記回転テーブルを回転させた際に前記ローラが最も上昇した位置を検出するように構成されている、請求項9に記載の竪型ミル。
  11. 前記検出手段は、前記ローラを揺動可能に支持するためのローラ支持部材の揺動角度又は前記ローラ支持部材に先端部が連結又は当接される油圧シリンダのピストンロッドの移動量に基づいて前記回転テーブルの路面状態を検出するように構成されている、請求項9又は10に記載の竪型ミル。
  12. 前記検出手段は、前記回転テーブルを駆動する電動モータの駆動電流に基づいて前記回転テーブルの路面状態を検出するように構成されている、請求項9乃至11のいずれか一項に記載の竪型ミル。
  13. 前記間隙調整装置は、前記ローラを揺動可能に支持するための前記ローラ支持部材の揺動角度に基づいて前記ローラと前記回転テーブルとの間隙を調整するように構成されている、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の竪型ミル。
  14. ケーシングと、前記ケーシング内に配置された回転テーブルと、前記回転テーブルの上方に配置されたローラと、前記ローラと前記回転テーブルとの間隙を調整するための間隙調整装置と、を備え、
    前記間隙調整装置は、前記ローラを前記回転テーブルに当接させた状態で前記回転テーブルを回転させて前記回転テーブルの路面状態を検出するための検出手段を有する、竪型ミル。
  15. 前記検出手段は、前記回転テーブルを回転させた際に前記ローラが最も上昇した位置を検出するように構成されている、請求項14に記載の竪型ミル。
  16. 前記検出手段は、前記ローラを揺動可能に支持するためのローラ支持部材の揺動角度又は前記ローラ支持部材に先端部が連結又は当接される油圧シリンダのピストンロッドの移動量に基づいて前記回転テーブルの路面状態を検出するように構成されている、請求項14又は15に記載の竪型ミル。
  17. 前記検出手段は、前記回転テーブルを駆動する電動モータの駆動電流に基づいて前記回転テーブルの路面状態を検出するように構成されている、請求項14乃至16のいずれか一項に記載の竪型ミル。
  18. 前記間隙調整装置は、前記ローラを揺動可能に支持するための前記ローラ支持部材の揺動角度に基づいて前記ローラと前記回転テーブルとの間隙を調整するように構成されている、請求項14乃至17のいずれか一項に記載の竪型ミル。
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