以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、以下の説明で参照する図面における各部の大きさや厚さ等は、実際の寸法とは異なっている場合がある。
<実施の形態1>
[圧力検出システムの構成]
図1は、実施の形態に係る圧力検出システム1の概略構成図である。
この圧力検出システム1は、内燃機関10における燃焼室C内の圧力(燃焼圧)を検出する圧力検出装置20と、圧力検出装置20に対する給電を行うとともに圧力検出装置20が検出した圧力に基づいて内燃機関10の動作を制御する制御装置80と、圧力検出装置20と制御装置80とを電気的に接続する接続ケーブル90とを備えている。
ここで、圧力の検出対象となる内燃機関10は、内部にシリンダが形成されたシリンダブロック11と、シリンダ内を往復動するピストン12と、シリンダブロック11に締結されてピストン12等とともに燃焼室Cを構成するシリンダヘッド13とを有している。また、シリンダヘッド13には、燃焼室Cと外部とを連通する連通孔13aが設けられている。この連通孔13aの内部には雌ねじ(図示せず)が形成されており、圧力検出装置20の外周面に形成された雄ねじ(図示せず)をねじ込むことで、内燃機関10に対して圧力検出装置20を取り付けている。なお、連通孔13aの両端部側には、シリンダヘッド13と圧力検出装置20との間に介在して、燃焼室C内の気密性を保つためのシール部材(図示せず)が設けられている。
[圧力検出装置の構成]
図2は、圧力検出装置20の斜視図である。また、図3は、実施の形態1の圧力検出装置20の断面図(図2のIII−III断面図)である。さらに、図4は、実施の形態1の圧力検出装置20の先端側の拡大断面図である。
本実施の形態の圧力検出装置20は、圧力を検出する検出部30と、検出部30による圧力の検出に伴って得られた電気信号に各種処理を施す処理部50とを有している。そして、この圧力検出装置20は、図1に示す内燃機関10に対し、検出部30が燃焼室C(図1において下方)を向くとともに処理部50が外部(図1において上方)を向くように取り付けられる。なお、以下の説明では、図2において、図中左下に向かう側(検出部30側)を圧力検出装置20の「先端側」と称し、図中右上に向かう側(処理部50側)を圧力検出装置20の「後端側」と称する。また、以下の説明では、図2に一点鎖線で示す圧力検出装置20の中心線方向を、単に中心線方向と称する。
[検出部の構成]
検出部30は、処理部50に設けられた後端側筐体51(詳細は後述する)の先端側とはめ合う先端側筐体31と、先端側筐体31の先端側に取り付けられたダイアフラムヘッド32とを有している。
これらのうち、先端側筐体31は、中空構造を有し且つ全体として筒状を呈する部材である。この先端側筐体31は、導電性を有するともに耐酸性が高いステンレス等の金属材料によって構成されている。この先端側筐体31は、相対的に先端側に位置する第1先端側筐体311と、相対的に後端側に位置する第2先端側筐体312とを備えている。ここで、先端側筐体31では、第1先端側筐体311の後端側と第2先端側筐体312の先端側とをレーザ溶接することで、両者を一体化させる構成となっている。そして、第1先端側筐体311の先端側には、レーザ溶接によってダイアフラムヘッド32が取り付けられるとともに、第2先端側筐体312の後端側には、はめ合いによって後端側筐体51が取り付けられる。なお、第2先端側筐体312の中心線方向中央部の外周面には、シリンダヘッド13の連通孔13a(図1参照)の内周面に設けられた雌ねじ(図示せず)と噛み合う雄ねじ(図示せず)が形成されている。
一方、ダイアフラムヘッド32は、全体として円板状を呈する部材である。このダイアフラムヘッド32は、導電性を有するとともに耐熱性および耐酸性が高いステンレス等の金属材料によって構成されている。特に、この例では、ダイアフラムヘッド32および上記先端側筐体31を、同じ材料で構成している。このダイアフラムヘッド32は、外部(燃焼室C側)に露出することで圧力を受ける圧力受面(表面)32aと、圧力受面32aの裏側となる裏面を環状に切り欠くことによって設けられた凹部32bと、凹部32bの存在により、結果として圧力受面32aの裏面の中央部から後端側に向けて突出する凸部32cとを有している。このダイアフラムヘッド32は、第1先端側筐体311の先端側の開口部を塞ぐように設けられている。そして、ダイアフラムヘッド32と第1先端側筐体311との境界部には、外周面の一周にわたってレーザ溶接が施されている。
また、検出部30は、先端側筐体31の内側に配置(収容)された、圧電素子33、絶縁プレート34、先端電極部材35、後端電極部材36、第1加圧部材37、第2加圧部材38、支持部材39、絶縁パイプ40、第1絶縁リング41、第2絶縁リング42、第3絶縁リング43、第4絶縁リング44および第5絶縁リング45をさらに備えている。
圧電素子33は、全体として円柱状を呈する部材である。この圧電素子33は、圧電縦効果の圧電作用を示す圧電体を備えている。圧電縦効果とは、圧電体の電荷発生軸と同一方向の応力印加軸に外力を加えると、電荷発生軸方向の圧電体の表面に電荷が発生することをいう。この圧電素子33は、先端側筐体31の内側であって、ダイアフラムヘッド32の後端側に配置されている。この圧電素子33は、中心線方向が応力印加軸の方向となるように、先端側筐体31内に収容されている。ここで、圧電素子33は、先端側筐体31の内部に設けられた第1加圧部材37の内側であって、この第1加圧部材37の内部に設けられた絶縁パイプ40の内側に配置されている。また、圧電素子33の外径は、この圧電素子33を内部に収容する絶縁パイプ40の内径よりもわずかに小さい。そして、圧電素子33の先端側の面は、先端電極部材35の後端側の面と接触している。一方、圧電素子33の後端側の面は、後端電極部材36の先端側の面と接触している。また、圧電素子33の外周面は、絶縁パイプ40の内周面と対峙している。このように、第1加圧部材37の内周面と圧電素子33の外周面との間に、絶縁パイプ40を設けることにより、第1加圧部材37および圧電素子33は、直接には接触しない。
次に、圧電素子33に圧電横効果を利用した場合を例示する。圧電横効果とは、圧電体の電荷発生軸に対して直交する位置にある応力印加軸に外力を加えると、電荷発生軸方向の圧電体の表面に電荷が発生することをいう。薄板状に薄く形成した圧電体を複数枚積層して構成しても良く、このように積層することで、圧電体に発生する電荷を効率的に集めてセンサの感度を上げることができる。圧電素子33で使用可能な圧電体としては、圧電縦効果及び圧電横効果を有するランガサイト系結晶(ランガサイト、ランガテイト、ランガナイト、LTGA)や水晶、ガリウムリン酸塩などを使用することを例示することができる。なお、本実施の形態の圧電素子33では、圧電体としてランガサイト単結晶を用いている。
絶縁プレート34は、全体として円板状を呈する部材である。この絶縁プレート34は、絶縁性を有するとともに耐熱性が高いアルミナ等のセラミックス材料によって構成されている。この絶縁プレート34は、先端側筐体31の内部に設けられた第1加圧部材37の先端側に存在する開口部を塞ぐ位置に配置されている。そして、絶縁プレート34は、ダイアフラムヘッド32の後端側であって、先端電極部材35の先端側に配置されている。また、絶縁プレート34の外径は、第1加圧部材37の先端側に設けられた開口部の内径よりもわずかに小さく、ダイアフラムヘッド32の凸部32cの外径よりもわずかに大きい。そして、絶縁プレート34の先端側の面は、ダイアフラムヘッド32の凸部32cと接触している。一方、絶縁プレート34の後端側の面は、先端電極部材35の先端側の面と接触している。また、絶縁プレート34の外周面は、第1加圧部材37の先端側に設けられた開口部の内周面と対峙している。
先端電極部材35は、全体として円柱状を呈する部材である。この先端電極部材35は、導電性を有するとともに耐熱性が高いステンレス等の金属材料によって構成されている。この先端電極部材35は、先端側筐体31の内部に設けられた第1加圧部材37の内側に配置されている。ただし、先端電極部材35は、上述した圧電素子33とは異なり、絶縁パイプ40内に収容されていない。そして、先端電極部材35は、絶縁プレート34の後端側であって、圧電素子33の先端側に配置されている。また、先端電極部材35の外径は、この先端電極部材35を内部に収容する第1加圧部材37の内径よりもわずかに小さい。そして、先端電極部材35の先端側の面は、絶縁プレート34の後端側の面と第1加圧部材37の先端側に設けられた開口部の裏側の面とに接触している。一方、先端電極部材35の後端側の面は、圧電素子33の先端側の面に接触している。また、先端電極部材35の外周面は、第1加圧部材37の内周面と対峙している。
後端電極部材36は、全体として円柱状を呈する部材である。この後端電極部材36は、導電性を有するとともに耐熱性が高いステンレス等の金属材料によって構成されている。この後端電極部材36は、先端側筐体31の内部に設けられた第1加圧部材37の内側に配置されている。ここで、後端電極部材36の先端側は、第1加圧部材37の内部に設けられた絶縁パイプ40の内側に配置されている。これに対し、後端電極部材36の後端側は、この絶縁パイプ40の外側に配置されている。この後端電極部材36における後端側の面の中央部には、第2加圧部材38の先端側を挿入するための座ぐり穴36aが形成されている。また、後端電極部材36の外径は、圧電素子33の外径とほぼ同じであって、絶縁パイプ40の内径よりもわずかに小さい。そして、後端電極部材36の先端側の面は、圧電素子33の後端側の面と接触している。一方、後端電極部材36の後端側の面は、第1絶縁リング41の先端側の面と接触し、後端電極部材36の後端側に設けられた座ぐり穴36aの底面は、第2加圧部材38の先端側と接触している。また、後端電極部材36の外周面の先端側は、絶縁パイプ40の内周面と対峙している。これに対し、後端電極部材36の外周面の後端側は、エアギャップを介して第1加圧部材37の内周面と対向している。このように、第1加圧部材37の内周面と後端電極部材36の外周面との間に、絶縁パイプ40およびエアギャップを設けることで、第1加圧部材37と後端電極部材36とは、直接には接触しない。
第1加圧部材37は、全体として筒状を呈する部材である。この第1加圧部材37は、導電性を有するとともに耐熱性が高いステンレス等の金属材料によって構成されている。この第1加圧部材37は、先端側筐体31の内部に設けられており、その先端側に設けられた開口部を塞ぐように絶縁プレート34が配置され、その内部に、圧電素子33、先端電極部材35、後端電極部材36、第2加圧部材38、支持部材39の先端側、絶縁パイプ40および第1絶縁リング41を収容している。そして、第1加圧部材37は、ダイアフラムヘッド32の後端側であって、処理部50を構成する緩衝部材55(詳細は後述する)の先端側に配置されている。また、第1加圧部材37の外径は、中心線方向の位置によって異なるが、すべての位置において先端側筐体31(より具体的には第1先端側筐体311)の内径よりも小さい。さらに、第1加圧部材37の内径は、絶縁プレート34、先端電極部材35、絶縁パイプ40(圧電素子33、後端電極部材36)および第1絶縁リング41と対峙する部位では、これらの外径よりも大きく、支持部材39と対峙する部位では、支持部材39の外径よりもわずかに小さい。ここで、第1加圧部材37の後端側の外周面と第1先端側筐体311の後端側の内周面との間には、相対的に先端側となる位置に第2絶縁リング42が、相対的に後端側となる位置に第3絶縁リング43が、それぞれ配置されている。そして、第1加圧部材37の先端側の面(開口部の表側の面)は、ダイアフラムヘッド32の後端側に設けられた凹部32bと対峙している。一方、第1加圧部材37の後端側は、緩衝部材55の先端側に接触しており、これらはレーザ溶接によって一体化している。また、第1加圧部材37の外周面の後端側は、第2絶縁リング42の内周面と接触し、その後端側は、エアギャップを介して第3絶縁リング43と対峙している。さらに、第1加圧部材37の外周面の先端側は、エアギャップを介して第1先端側筐体311の内周面と対峙している。このように、第1加圧部材37の先端側の面とダイアフラムヘッド32の裏面との間に、凹部32bによるエアギャップを設け、且つ、第1加圧部材37の外周面と先端側筐体31の第1先端側筐体311の内周面との間に、第2絶縁リング42および第3絶縁リング43を設けることで、先端側筐体31およびダイアフラムヘッド32と第1加圧部材37とは、直接には接触しない。これに対し、第1加圧部材37の内周面は、先端電極部材35、絶縁パイプ40、第1絶縁リング41および支持部材39の各外周面とは、直接に接触する。また、第1加圧部材37の内周面は、圧電素子33および後端電極部材36の各外周面とは、直接には接触しない。
第2加圧部材38は、全体として螺旋状を呈する部材であって、中心線方向に伸縮するコイルスプリング(円筒型圧縮コイルバネ)である。この第2加圧部材38は、導電性を有するとともに先端側筐体31よりも導電性が高くバネ性が高いリン青銅等の金属材料によって構成されている。この第2加圧部材38は、先端側筐体31の内部に設けられた第1加圧部材37の内側であって、第1加圧部材37の内側に位置する支持部材39の先端部に設けられた開口部および第1絶縁リング41を通過して後端電極部材36の座ぐり穴36aに到達するように配置されている。そして、第2加圧部材38は、後端電極部材36の後端側であって、処理部50に設けられた伝導部材53(詳細は後述する)の先端側に配置されている。また、第2加圧部材38の外径は、支持部材39の先端側に設けられた開口部の内径、第1絶縁リング41に設けられた貫通孔の内径、および、後端電極部材36の座ぐり穴36aの内径よりも小さい。さらに、第2加圧部材38の内径は、伝導部材53の先端側に設けられた先端側凸部53a(詳細は後述する)の外径よりも大きい。そして、第2加圧部材38の先端側は、後端電極部材36の座ぐり穴36aに挿入されることで後端電極部材36と接触している。一方、第2加圧部材38の後端側は、伝導部材53の先端側凸部53aが挿入されることで伝導部材53と接触している。また、第2加圧部材38の外周面の先端側は、後端電極部材36の座ぐり穴36aの内周面および第1絶縁リング41の貫通孔の内周面に対峙している。さらに、第2加圧部材38の外周面の後端側は、エアギャップを介して支持部材39の内周面と対峙している。このように、支持部材39の内周面と第2加圧部材38との間に、エアギャップを設けることで、支持部材39と第2加圧部材38とは、直接には接触しない。
支持部材39は、全体として筒状を呈する部材である。この支持部材39は、導電性を有するとともに耐熱性が高いステンレス等の金属材料によって構成されている。この支持部材39は、先端側筐体31の内部に設けられており、その先端側は第1加圧部材37の内側に、その後端側は第1加圧部材37の外側に、それぞれ位置している。また、支持部材39は、その内部に、第2加圧部材38の後端側を収容するとともに、処理部50の先端側に位置する伝導部材53および被覆部材54(詳細は後述する)の先端側を収容している。そして、支持部材39は、第1絶縁リング41の後端側であって、処理部50を構成する収容部材56(詳細は後述する)の先端側に配置されている。ここで、本実施の形態では、支持部材39で後端側となる部位と、収容部材56で先端側となる部位とが、軸方向において互いに重なる位置関係にある。すなわち、支持部材39と収容部材56とは、軸方向においてオーバーラップしている。なお、この例においては、支持部材39の後端側が、収容部材56の先端側の内側に位置するようになっている。そして、支持部材39の後端側の外径は、収容部材56の先端側の内径よりもわずかに大きい。また、支持部材39の外径は、第1加圧部材37の内径よりもわずかに大きい。さらに、支持部材39の内径は、中心線方向の位置によって異なるが、すべての位置において処理部50に設けられた伝導部材53および被覆部材54の外径よりも大きい。そして、支持部材39の先端側の面(開口部の表側の面)は、第1絶縁リング41の後端側の面と接触している。一方、支持部材39の後端側の面は、エアギャップを介して被覆部材54と対峙している。また、支持部材39の先端側の外周面は、第1加圧部材37の内周面と接触している。さらに、支持部材39の後端側の外周面は、収容部材56の先端側の内周面と対峙している。さらにまた、支持部材39の内周面は、エアギャップを介して第2加圧部材38、伝導部材53および被覆部材54と対峙している。このように、支持部材39の内周面と、第2加圧部材38、伝導部材53および被覆部材54との間に、エアギャップを設けることで、支持部材39と第2加圧部材38、伝導部材53および被覆部材54とは、直接には接触しない。
絶縁パイプ40は、全体として円筒状を呈する部材である。この絶縁パイプ40は、絶縁性を有するLCP(Liquid Crystal Polymer:液晶ポリマ)等の合成樹脂材料によって構成されている。この絶縁パイプ40は、先端側筐体31の内部に設けられた第1加圧部材37の内側に配置されている。この絶縁パイプ40は、内部に、圧電素子33と後端電極部材36の先端側とを収容している。そして、絶縁パイプ40は、先端電極部材35の後端側であって、第1絶縁リング41の先端側に配置されている。また、絶縁パイプ40の外径は、第1加圧部材37の内径よりもわずかに小さい。さらに、絶縁パイプ40の内径は、圧電素子33および後端電極部材36のそれぞれの外径よりもわずかに大きい。そして、絶縁パイプ40の先端側は、先端電極部材35の後端側の面に対峙している。一方、絶縁パイプ40の後端側は、第1絶縁リング41の先端側の面に対峙している。また、絶縁パイプ40の外周面は、第1加圧部材37の内周面と対峙している。さらに、絶縁パイプ40の内周面は、圧電素子33の外周面および後端電極部材36の外周面と対峙している。このように、第1加圧部材37と圧電素子33および後端電極部材36との間に、絶縁パイプ40および絶縁パイプ40によるエアギャップを設けることにより、第1加圧部材37と圧電素子33および後端電極部材36とは、直接には接触しない。
第1絶縁リング41は、全体として環状を呈する部材である。この第1絶縁リング41は、絶縁性を有するとともに耐熱性が高いアルミナ等のセラミックス材料によって構成されている。この第1絶縁リング41は、先端側筐体31の内部に設けられた第1加圧部材37の内側に配置されている。この第1絶縁リング41の中央部には、中心線方向に沿って第1絶縁リング41を貫通する貫通孔が形成されている。また、第1絶縁リング41の外径は、第1加圧部材37の内径よりもわずかに小さい。さらに、第1絶縁リング41の貫通孔の内径は、第2加圧部材38の外径よりもわずかに大きい。そして、第1絶縁リング41の先端側の面は、後端電極部材36の後端側の面と接触している。一方、第1絶縁リング41の後端側の面は、支持部材39の先端側の面と接触している。また、第1絶縁リング41の外周面は、第1加圧部材37の内周面と対峙している。さらに、第1絶縁リング41の内周面は、第2加圧部材38の外周と対峙している。
第2絶縁リング42は、全体として環状を呈する部材である。この第2絶縁リング42は、絶縁性を有するとともに耐熱性が高いアルミナ等のセラミックス材料によって構成されている。この第2絶縁リング42は、先端側筐体31の内側であって、第1加圧部材37の後端側且つ外側に配置されている。この第2絶縁リング42の中央部には、中心線方向に沿って第2絶縁リング42を貫通する貫通孔が形成されている。また、第2絶縁リング42の外径は、先端側筐体31(より具体的には第1先端側筐体311)の内径よりもわずかに大きい。さらに、第2絶縁リング42の内径は、第1加圧部材37の外径よりもわずかに小さい。そして、第2絶縁リング42の先端側の面は、第1加圧部材37の外周面から外側に突出する突出部の後端側の面と接触している。一方、第2絶縁リング42の後端側の面は、第3絶縁リング43の先端側の面と接触している。また、第2絶縁リング42の外周面は、先端側筐体31の内周面と接触している。さらに、第2絶縁リング42の内周面は、第1加圧部材37の外周面と接触している。
第3絶縁リング43は、全体として環状を呈する部材である。この第3絶縁リング43は、絶縁性を有するとともに耐熱性が高いアルミナ等のセラミックス材料によって構成されている。この第3絶縁リング43は、先端側筐体31の内側であって第1加圧部材37の外側に配置されている。この第3絶縁リング43の中央部には、中心線方向に沿って第3絶縁リング43を貫通する貫通孔が形成されている。また、第3絶縁リング43の外径は、先端側筐体31(より具体的には第1先端側筐体311)の内径よりもわずかに大きい。さらに、第3絶縁リング43の内径は、第1加圧部材37の外径よりも大きく、第2絶縁リング42の内径よりも大きい。そして、第3絶縁リング43の先端側の面は、第2絶縁リング42の後端側の面と接触している。一方、第3絶縁リング43の後端側の面は、その後端側に設けられたエアギャップと対峙している。また、第3絶縁リング43の外周面は、先端側筐体31の内周面と接触している。さらに、第3絶縁リング43の内周面は、エアギャップを介して第1加圧部材37の外周面と対峙している。
第4絶縁リング44は、全体として環状を呈する部材である。この第4絶縁リング44は、絶縁性を有するとともに耐熱性が高いアルミナ等のセラミックス材料によって構成されている。この第4絶縁リング44は、先端側筐体31(より具体的には第2先端側筐体312)の内側であって、処理部50に設けられた収容部材56(詳細は後述する)の先端側且つ外側に配置されている。この第4絶縁リング44の中央部には、中心線方向に沿って第4絶縁リング44を貫通する貫通孔が形成されている。また、第4絶縁リング44の外径は、先端側筐体31の内径よりもわずかに大きい。さらに、第4絶縁リング44の内径は、収容部材56の外径よりもわずかに小さい。そして、第4絶縁リング44の先端側の面は、先端側筐体31の内周面と接触している。一方、第4絶縁リング44の後端側の面は、収容部材56の外周面と接触している。また、第4絶縁リング44の外周面は、先端側筐体31の内周面と接触している。さらに、第4絶縁リング44の内周面は、収容部材56の外周面と接触している。
第5絶縁リング45は、全体として環状を呈する部材である。この第5絶縁リング45は、絶縁性を有するとともに耐熱性が高いアルミナ等のセラミックス材料によって構成されている。この第5絶縁リング45は、先端側筐体31(より具体的には第2先端側筐体312)の内側であって、処理部50に設けられた収容部材56(詳細は後述する)の後端側且つ外側に配置されている。この第5絶縁リング45の中央部には、中心線方向に沿って第5絶縁リング45を貫通する貫通孔が形成されている。また、第5絶縁リング45の外径は、先端側筐体31の内径よりもわずかに大きい。さらに、第5絶縁リング45の内径は、収容部材56の外径よりもわずかに小さい。そして、第5絶縁リング45の先端側の面は、先端側筐体31の内周面と接触している。一方、第5絶縁リング45の後端側の面は、収容部材56の外周面と接触している。また、第5絶縁リング45の外周面は、先端側筐体31の内周面と接触している。さらに、第5絶縁リング45の内周面は、収容部材56の外周面と接触している。
このように、先端側筐体31と処理部50を構成する収容部材56との間に、第4絶縁リング44および第5絶縁リング45を設けることにより、先端側筐体31と収容部材56とは、直接には接触しない。
[処理部の構成]
処理部50は、上述した先端側筐体31(具体的には第2先端側筐体312)の後端側とはめ合う後端側筐体51と、先端側は後端側筐体51の後端側の内部に収容されるとともに、後端側は後端側筐体51の後端側の外部に露出するように設けられ、接続ケーブル90(図1参照)の接続対象となる接続部材52とを有している。
これらのうち、後端側筐体51は、中空構造を有し全体として筒状を呈する部材である。この後端側筐体51は、導電性を有するとともに耐酸性が高いステンレス等の金属材料によって構成されている。そして、この後端側筐体51の先端側には、はめ合いによって先端側筐体31(具体的には第2先端側筐体312)の後端側が取り付けられるとともに、その後端側には、はめ込みによって接続部材52が取り付けられる。
一方、接続部材52は、全体として柱状を呈する部材である。この接続部材52は、絶縁性を有するPPT(Polypropylene Terephthalate:ポリプロピレンテレフタレート)等の合成樹脂材料によって構成された基材と、導電性を有する銅等の金属材料で構成された配線および端子等とを含んでいる。ただし、接続部材52のうち、上述した後端側筐体51と接触する部位(外周面)は合成樹脂材料で構成されており、この部位に金属材料を露出させない(接続部材52と接触させない)ようになっている。また、接続部材52の先端側には、それぞれが電気的な接続端子となる第1基板側端子521、第2基板側端子522および第3基板側端子523が、先端側に向かって突出して設けられている。これに対し、接続部材52の後端側には、凹んだ形状を有するとともに後端側に向かって開口する開口部520が形成されている。そして、開口部520の内部には、接続ケーブル90(図1参照)の接続対象となる第1接続端子52a、第2接続端子52bおよび第3接続端子52cが、後端側に向かって突出して設けられている。ここで、第1基板側端子521は第1接続端子52aと、第2基板側端子522は第2接続端子52bと、第3基板側端子523は第3接続端子52cと、それぞれ電気的に接続されている。
また、処理部50は、先端側筐体31および/または後端側筐体51の内側に配置(収容)された、伝導部材53、被覆部材54、緩衝部材55、収容部材56、回路基板57および保持部材58をさらに備える。
伝導部材53は、全体として棒状を呈する部材である。この伝導部材53は、導電性を有する真ちゅう等の金属材料によって構成されている。この伝導部材53には、その先端に、中心線方向の中央部よりも直径が小さい先端側凸部53aが設けられており、その後端に、中心線方向の中央部よりも直径が小さい後端側凸部53bが設けられている。この伝導部材53は、先端側筐体31の内部に設けられており、その先端側は第1加圧部材37の内側に、その後端側は収容部材56の内側に、それぞれ位置している。また、伝導部材53の先端側と後端側との間に位置する中間部は、第1加圧部材37と支持部材39とが重なる部位の内側、支持部材39の内側および支持部材39と収容部材とが重なる部位の内側に、それぞれ位置している。その結果、本実施の形態の伝導部材53は、第1加圧部材37と支持部材39と収容部材56とによって形成される金属製の筒状体に内包されている。そして、伝導部材53は、第2加圧部材38の後端側であって、回路基板57の先端側に配置されている。また、伝導部材53の先端側凸部53aの外径は、第2加圧部材38の内径よりもわずかに大きい。さらに、伝導部材53の後端側凸部53bの外径は、被覆部材54に設けられた後端保持部54a(詳細は後述する)の内幅とほぼ同じである。さらにまた、伝導部材53の中心線方向中央部の外径は、被覆部材54の内径とほぼ同じである。伝導部材53は、被覆部材54に中心線方向に沿って設けられた貫通孔を貫通するように配置されており、先端側凸部53aは被覆部材54の先端よりも先端側に突出し、後端側凸部53bは被覆部材54の後端側に設けられた凹部よりも後端側に突出している。そして、伝導部材53の先端側凸部53aは、第2加圧部材38の内側に挿入されることで、第2加圧部材38と接触している。一方、伝導部材53の後端側凸部53bは、被覆部材54に設けられた後端保持部54aにはめ込まれている。また、伝導部材53の中心線方向中央部の外周面は、被覆部材54の内周面と接触している。
被覆部材54は、全体として筒状を呈する部材である。この被覆部材54は、絶縁性を有するPPT等の合成樹脂材料によって構成された基材と、導電性を有する銅等の金属材料で構成された配線および端子等とを含む。ただし、被覆部材54のうち、支持部材39、緩衝部材55および収容部材56と対向する部位(外周面)は、合成樹脂材料で構成されており、この部位に金属材料を露出させないようになっている。また、被覆部材54の後端側には、金属材料で構成され、伝導部材53の後端側凸部53bをはめ込んで保持する後端保持部54aが設けられている。この被覆部材54は、先端側筐体31の内部に設けられており、上述した伝導部材53と同じく、第1加圧部材37と支持部材39と収容部材56とによって形成される金属製の筒状体に内包されている。そして、被覆部材54は、第2加圧部材38の後端側であって、回路基板57の先端側に配置されている。この被覆部材54の外周面は、先端側から後端側に向かって、外径が階段状に大きくなっていく形状を有している。この被覆部材54の中央部には、中心線方向に沿って被覆部材54を貫通する貫通孔が形成されている。また、被覆部材54の先端側の外径は、支持部材39の内径よりも小さく、被覆部材54の後端側の外径は、収容部材56の内径よりも小さい。さらに、被覆部材54の内径は、伝導部材53の中心線方向中央部の外径とほぼ同じである。そして、被覆部材54の先端は、伝導部材53の先端側に設けられ、自身の中心線方向中央部よりも若干外径が太い膨出部の後端と接触している。一方、被覆部材54の後端は、回路基板57の先端に接触している。また、被覆部材54の外周面は、エアギャップを介して支持部材39の内周面と対峙している。さらに、被覆部材54の内周面は、伝導部材53と接触している。
緩衝部材55は、全体として螺旋状を呈する部材であって、中心線方向に伸縮するコイルスプリング(円筒型圧縮コイルバネ)である。この緩衝部材55は、導電性を有し且つバネ性が高いリン青銅等の金属材料によって構成されている。この緩衝部材55は、先端側筐体31の内部に設けられており、その先端側は第1加圧部材37の外側に、その後端側は収容部材56の外側に、その中間部は支持部材39の外側に、それぞれ位置している。すなわち、緩衝部材55は、第1加圧部材37と支持部材39と収容部材56とに跨って配置されている。また、緩衝部材55の外径は、先端側筐体31(具体的には第2先端側筐体312)の内径よりも小さい。さらに、緩衝部材55の内径は、第1加圧部材37の後端の外径および収容部材56の先端側の外径よりもわずかに小さい。そして、緩衝部材55の外周は、エアギャップを介して先端側筐体31と対峙している。一方、緩衝部材55の先端側の内周は、第1加圧部材37の後端側の外周面と接触し、緩衝部材55の後端側の内周は、収容部材56の先端側の外周面と接触している。また、緩衝部材55の内周は、第1加圧部材37の外周、支持部材39の外周および収容部材56の外周と対峙し、これらの内部に存在する被覆部材54(および伝導部材53)とは、直接には対峙しない。このように、緩衝部材55の外周と先端側筐体31の内周面との間に、エアギャップを設けることで、緩衝部材55と先端側筐体31とは、直接には接触しない。
収容部材56は、全体として筒状を呈する部材である。この収容部材56は、導電性を有するリン青銅等の金属材料によって構成されている。この収容部材56は、先端側筐体31の内部と後端側筐体51の内部とに跨って設けられている。そして、収容部材56は、第1加圧部材37の後端側であって、接続部材52の先端側に配置されている。この収容部材56の外周面および内周面は、先端側から後端側に向かって、外径および内径が階段状に大きくなっていく形状を有している。この収容部材56の中央部には、中心線方向に沿って収容部材56を貫通する貫通孔が形成されている。また、収容部材56の先端側の外径は、先端側筐体31の内径よりも小さく、収容部材56の後端側の外径は、後端側筐体51の内径よりも小さい。ここで、収容部材56の外周面と先端側筐体31の内周面との間には、相対的に先端側となる部位に第4絶縁リング44が、相対的に後端側となる部位に第5絶縁リング45が、それぞれ配置されている。さらに、収容部材56の先端側の内径は、被覆部材54の外径よりも大きく、収容部材56の後端側の内径は、保持部材58の外径よりわずかに小さく、収容部材56の先端側と後端側との間に位置する中間部の内径は、回路基板57の外径よりもわずかに大きい。そして、収容部材56の先端側は、緩衝部材55の後端側と接触しており、これらは半田付けによって一体化している。また、収容部材56の先端側の内周面は、支持部材39の後端側の外周面と対峙している。一方、収容部材56の後端側は、エアギャップを介して接続部材52と対峙している。また、収容部材56の先端側の外周面は、第4絶縁リング44、第5絶縁リング45およびこれらによって形成されたエアギャップを介して先端側筐体31と対峙し、収容部材56の後端側の外周面は、エアギャップを介して後端側筐体51と対峙している。
回路基板57は、全体として矩形板状を呈する部材である。この回路基板57は、受けた圧力に応じて圧電素子33が出力する微弱な電荷による電気信号(電荷信号:検出信号の一例)に、電気回路を用いた各種処理を施すものであって、所謂プリント配線板によって構成されている。この回路基板57は、先端側筐体31の内部と後端側筐体51の内部とに跨って設けられている。また、回路基板57は、伝導部材53および被覆部材54の後端側であって、接続部材52の先端側に配置されている。さらに、この回路基板57は、その全体が収容部材56の内側に配置されており、回路基板57の後端側の外周面と収容部材56の後端側の内周面との間には、保持部材58が設けられている。そして、回路基板57の後端側には、上述した第1基板側端子521、第2基板側端子522および第3基板側端子523の接続対象となる受電端子57c、出力信号端子57dおよび出力接地端子57eが設けられている。ここで、受電端子57cは第1基板側端子521と、出力信号端子57dは第2基板側端子522と、出力接地端子57eは第3基板側端子523と、それぞれ電気的に接続されている。なお、詳細は後述するが、受電端子57cは回路基板57に対する電源の供給に用いられ、出力信号端子57dは回路基板57からの信号の出力に用いられ、出力接地端子57eは回路基板57の接地に用いられる。回路基板57の詳細については後述する。
保持部材58は、全体として筒状を呈する部材である。この保持部材58は、絶縁性を有するPPT等の合成樹脂材料によって構成された基材と、導電性を有する銅等の金属材料で構成された配線等とを含んでいる。この保持部材58は、先端側筐体31の内部と後端側筐体51の内部とに跨るとともに、収容部材56の内側且つ回路基板57の外側となる位置に設けられている。そして、保持部材58は、第5絶縁リング45の後端側であって、接続部材52の先端側に配置されている。この保持部材58の中央部には、中心線方向に沿って保持部材58を貫通する貫通孔が形成されている。また、保持部材58の外径は、収容部材56の後端側の内径よりもわずかに大きい。さらに、保持部材58の先端側の内径は、回路基板57の外径よりもわずかに小さい。そして、保持部材58の外周面は、収容部材56の後端側の内周面と接触している。一方、保持部材58の先端側の内周面は、回路基板57の後端側の外周面と接触している。ここで,保持部材58に設けられた配線は、その外周面において収容部材56の内周面と接触し、その内周面において回路基板57の入力接地端子57b(詳細は後述する)に接続される。
ここで、本実施の形態では、先端側が一端側に、後端側が他端側に、それぞれ対応している。また、本実施の形態では、第2加圧部材38および伝導部材53が伝達部材の一例として、遮へい体70が収容体の一例として、それぞれ機能している。ここで、本実施の形態では、第1加圧部材37および支持部材39が第1筒状体の一例として、収容部材56が第2筒状体の一例として、緩衝部材55が螺旋状体あるいはバネ部材の一例として、それぞれ機能している。さらに、本実施の形態では、ダイアフラムヘッド32が受圧部の一例として、先端側筐体31および後端側筐体51が胴体部の一例として、それぞれ機能している。
[回路基板の構成]
図5は、圧力検出装置20に設けられた回路基板57の概略構成図である。
回路基板57は、1または複数の電子部品(回路素子)を実装するための配線(回路パターン)が形成されたプリント配線基板571と、プリント配線基板571に実装された処理回路572とを有している。
本実施の形態では、プリント配線基板571としてガラス布基材エポキシ樹脂をベースとした所謂ガラエポ基板を用いている。そして、回路基板57には、入出力用の端子として、入力信号端子57a、入力接地端子57b、受電端子57c、出力信号端子57dおよび出力接地端子57eが設けられている。
ここで、入力信号端子57aには、圧力検出装置20における『正の経路』(詳細は後述する)が接続され、入力接地端子57bには、圧力検出装置20における『負の経路』(詳細は後述する)が接続される。これに対し、受電端子57cには第1基板側端子521が、出力信号端子57dには第2基板側端子522が、出力接地端子57eには第3基板側端子523が、それぞれ接続される(図3参照)。なお、回路基板57では、入力接地端子57bと出力接地端子57eとが接続されている。
また、処理回路572は、圧電素子33から入力信号端子57aを介して入力されてくる電荷信号を積分して電圧信号に変換する積分回路572aと、変換後の電圧信号を増幅して出力信号端子57dに出力する増幅回路572bとを有している。ここで、積分回路572aおよび増幅回路572bには、受電端子57cを介して、これらを動作させるための電源電圧が供給される。また、積分回路572aおよび増幅回路572bのグランドは、入力接地端子57bおよび出力接地端子57eに接続される。なお、この例において、処理回路572は、所謂集積回路(IC)で構成されている。
[圧力検出装置における電気的な接続構造]
ここで、圧力検出装置20における電気的な接続構造について説明を行う。
圧力検出装置20において、圧電素子33の後端側の端面(正極)は、金属製の後端電極部材36と電気的に接続され、後端電極部材36は、金属製の第2加圧部材(コイルスプリング)38を介して、金属製の伝導部材53に接続される。そして、金属製の伝導部材53は、基本的に絶縁体で構成された被覆部材54のうち、金属製の後端保持部54aと電気的に接続され、後端保持部54aは、回路基板57に設けられた入力信号端子57aと電気的に接続される。以下では、圧電素子33の後端側の面から、後端電極部材36、第2加圧部材38、伝導部材53および後端保持部54aを介して、回路基板57の入力信号端子57aに至る電気的な経路を、『正の経路』と称する。
一方、圧力検出装置20において、圧電素子33の先端側の端面(負極)は、金属製の先端電極部材35と電気的に接続され、先端電極部材35は、金属製の第1加圧部材37(および金属製の支持部材39)を介して、金属製の緩衝部材55と電気的に接続される。そして、金属製の緩衝部材55は、金属製の収容部材56と電気的に接続され、収容部材56は、基本的に絶縁体で構成された保持部材58に設けられた金属製の配線を介して、回路基板57に設けられた入力接地端子57bと電気的に接続される。以下では、圧電素子33の先端側の面から、先端電極部材35、第1加圧部材37(支持部材39)、緩衝部材55、収容部材56および保持部材58の配線を介して、回路基板57の入力接地端子57bに至る電気的な経路を、『負の経路』と称する。
他方、圧力検出装置20において、金属製の先端側筐体31(第1先端側筐体311および第2先端側筐体312)は、金属製のダイアフラムヘッド32および金属製の後端側筐体51と電気的に接続されている。以下では、ダイアフラムヘッド32から先端側筐体31を介して後端側筐体51に至る電気的な経路を、『筐体経路』と称する。
このように、本実施の形態の圧力検出装置20では、正の経路の外側に負の経路が存在している。そして、正の経路と負の経路とは、絶縁パイプ40、第1絶縁リング41、被覆部材54およびこれらにより形成されるエアギャップによって、電気的に絶縁されている。
また、この圧力検出装置20では、負の経路の外側に筐体経路が存在している。そして、負の経路と筐体経路とは、絶縁プレート34、第2絶縁リング42、第3絶縁リング43、第4絶縁リング44、第5絶縁リング45およびこれらにより形成されるエアギャップによって、電気的に絶縁されている。
そして、この圧力検出装置20では、正の経路と負の経路とが電気的に絶縁され、且つ、負の経路と筐体経路とが電気的に絶縁されることにより、正の経路と筐体経路とが、電気的に絶縁されていることになる。
なお、以下の説明においては、『筐体経路』を構成する、先端側筐体31、ダイアフラムヘッド32および後端側筐体51を、まとめて「筐体60」と称することがある(図2および図3参照)。また、以下の説明においては、『負の経路』を構成する、先端電極部材35、第1加圧部材37、支持部材39、緩衝部材55および収容部材56を、まとめて「遮へい体70」と称することがある(図2参照)。
ここで、本実施の形態では、遮へい体70を構成する、第1加圧部材37、支持部材39および収容部材56によって、軸方向に伸びる筒状体を形成するとともに、第1加圧部材37および支持部材39と収容部材56とを、円筒型圧縮コイルバネからなる緩衝部材55を用いて電気的に接続している。そして、これらに先端電極部材35を加えた遮へい体70(負の経路)の内部に、圧電素子33を収容するとともに、正の経路を構成する後端電極部材36、第2加圧部材38および伝導部材53を収容している。また、本実施の形態では、遮へい体70の内部に、正の経路および負の経路が接続された回路基板57も収容している。
また、筐体60は、圧力検出装置20において外部に露出する部位であり、特にダイアフラムヘッド32は、燃焼に伴って酸性度が高くなる燃焼室Cに対峙する部位である。これに対し、遮へい体70は、圧力検出装置20において筐体60の内部に収容される部位であり、この例においては、負の経路を形成する部位でもある。このため、遮へい体70は、筐体60よりも導電性が高い材料で構成することが好ましく、また、筐体60は、遮へい体70よりも耐酸性が高い材料で構成することが好ましい。
[圧力検出装置の組立手順]
ここで、本実施の形態の圧力検出装置20の組立手順について説明を行う。
(第1構造物の組立)
まず、第1先端側筐体311の先端側とダイアフラムヘッド32の裏面側(凸部32c側)とを対向させて両者を突き当てる。そして、この状態で、第1先端側筐体311とダイアフラムヘッド32との境界部を、少なくとも一周にわたってレーザ溶接して固定する。以下では、第1先端側筐体311およびダイアフラムヘッド32を含む構造物を、「第1構造物」と称する。
(第2構造物の組立)
また、第1加圧部材37の内部に、第1加圧部材37の後端側から、先端電極部材35、絶縁パイプ40、圧電素子33、後端電極部材36、第1絶縁リング41、支持部材39を、この順で挿入する。このとき、後端電極部材36の座ぐり穴36aが後端側を向くようにする。この状態で、第1加圧部材37に対する支持部材39の中心線方向の位置調整を行い、第1加圧部材37および支持部材39を介して圧電素子33にかかる荷重(予荷重)を調整する。
そして、第1加圧部材37に対する支持部材39の中心線方向の位置調整が完了した後、第1加圧部材37と支持部材39とを、少なくとも一周にわたってレーザ溶接して固定する。以下では、このようにして得られた、圧電素子33、先端電極部材35、後端電極部材36、第1加圧部材37、支持部材39、絶縁パイプ40および第1絶縁リング41を含む構造物を、「第2構造物」と称する。
(第3構造物(先端側構造物)の組立)
続いて、第2構造物を構成する第1加圧部材37の先端側に設けられた開口部に、第1加圧部材37の先端側から、絶縁プレート34を装着する(はめ込む)。そして、第1構造物の内部に、第1構造物(第1先端側筐体311)の後端側から、絶縁プレート34の装着部位を先端側として第2構造物を挿入する。これに伴い、絶縁プレート34の先端側の面は、第1構造物を構成するダイアフラムヘッド32の裏面側に設けられた凸部32cに突き当たる。また、絶縁プレート34の後端側の面は、第2構造物を構成する先端電極部材35の先端側の面に突き当たる。さらに、第1構造物を構成するダイアフラムヘッド32の凹部32bの後端側の面と、第2構造物を構成する第1加圧部材37の先端側の面との間には、エアギャップが形成される。
そして、第1構造物に対し絶縁プレート34および第2構造物を挿入した状態で、第1先端側筐体311の内周面と第1加圧部材37の外周面との間の隙間に、後端側から、第2絶縁リング42および第3絶縁リング43を、この順で挿入する。これにより、絶縁プレート34、第2絶縁リング42および第3絶縁リング43を介して、第1構造物および第2構造物の相対的な位置決めがなされる。以下では、このようにして得られた、第1構造物、第2構造物、絶縁プレート34、第2絶縁リング42および第3絶縁リング43を含む構造物を、「第3構造物(先端側構造物)」と称する。
(第4構造物の組立)
一方、上記第3構造物(先端側構造物)の組立とは別工程にて、被覆部材54の内部に、被覆部材54の先端側から、後端側凸部53bを後端側として伝導部材53を挿入する。このとき、伝導部材53の後端側に設けられた後端側凸部53bは、被覆部材54に設けられた後端保持部54aにはまり込む。また、伝導部材53の先端側に設けられた先端側凸部53aは、被覆部材54よりも先端側に突出することで、外部に露出する。次に、被覆部材54にはめ込まれた伝導部材53の先端側凸部53aに対し、伝導部材53の先端側から、第2加圧部材38を装着する(はめ込む)。そして、第2加圧部材38の後端側と伝導部材53の先端側凸部53aとを、少なくとも一周にわたって半田付けして固定する。以下では、伝導部材53および被覆部材54を含む構造物を、「第4構造物」と称する。
(第5構造物の組立)
また、緩衝部材55の内部に、緩衝部材55の後端側から、相対的に径が小さい(細い)部位を先端側として収容部材56を挿入する。そして、収容部材56の先端側の外周面に緩衝部材55の後端側をはめ込んだ状態で、収容部材56と緩衝部材55とを、少なくとも一周にわたって半田付けして固定する。以下では、このようにして得られた、緩衝部材55および収容部材56を含む構造物を、「第5構造物」と称する。
(第6構造物の組立)
次に、第5構造物の内部に、第5構造物(収容部材56)の後端側から、伝導部材53の先端側凸部53aを先端側として第4構造物を挿入する。そして、収容部材56の内側に設けられた段差部(先端側および後端側の二箇所)に、被覆部材54の外側に設けられた段差部(先端側および後端側の二箇所)を突き当てた状態で、収容部材56の後端側から、回路基板57および保持部材58を、この順で挿入する。以下では、このようにして得られた、第4構造物、第5構造物、回路基板57および保持部材58を含む構造物を、「第6構造物」と称する。
(第7構造物(後端側構造物)の組立)
続いて、第2先端側筐体312の内部に、第2先端側筐体312の後端側から、第4絶縁リング44および第5絶縁リング45を挿入し、さらに、伝導部材53の先端側凸部53aを先端側として第6構造物を挿入する。その結果、第2先端側筐体312の内側且つ先端側に設けられた段差部と、収容部材56の外側且つ先端側に設けられた段差部とが、第4絶縁リング44を介して突き当たる。また、第2先端側筐体312の内側且つ後端側に設けられた段差部と、収容部材56の外側且つ後端端側に設けられた段差部とが、第5絶縁リング45を介して突き当たる。このとき、第6構造物に設けられた緩衝部材55の先端側の端部は、第2先端側筐体312の先端側の端面よりも先端側に突出した位置に存在する。また、このとき、第6構造物に設けられた収容部材56の後端側の端部は、第2先端側筐体312の後端側の端面よりも後端側に突出した位置に存在する。以下では、第2先端側筐体312、第4絶縁リング44、第5絶縁リング45および第6構造物を含む構造物を、「第7構造物(後端側構造物)」と称する。
(圧力検出装置の組立)
第3構造物に対し、第3構造物(支持部材39)の後端側から、伝導部材53の先端側凸部53aを先端側として第7構造物を近づけていく。その結果、第3構造物を構成する支持部材39の後端側の外周面に、第7構造物を構成する緩衝部材55の先端側がはまり込む。このとき、第7構造体において、緩衝部材55の先端側の端部は、第2先端側筐体312の先端側の端面よりも先端側に突出した位置にある。そして、支持部材39の後端側と緩衝部材55の先端側とを、少なくとも一周にわたってレーザ溶接して固定する。
第3構造物の支持部材39と第7構造物の緩衝部材55とをレーザ溶接した後、第3構造物および第7構造物に対し、軸方向に、緩衝部材55を圧縮させるための力を加える。すると、緩衝部材55が軸方向に縮むことに伴い、第7構造物を構成する第4構造物(伝導部材53、被覆部材54および第2加圧部材38)の先端側が、第3構造物の後端側から、支持部材39および第1絶縁リング41を介して後端電極部材36の座ぐり穴36aへと到達する孔に挿入される。また、緩衝部材55が軸方向に縮むことに伴い、第7構造物を構成する第2先端側筐体312の先端側且つ内部に、第3構造物を構成する第1先端側筐体311の後端側が収容される。
そして、緩衝部材55の圧縮に伴って、第7構造物を構成する第2先端側筐体312の先端側の端面が、第3構造物を構成する第1先端側筐体311の外周面に設けられた段差部に突き当たる。このとき、第3構造物を構成する後端電極部材36の座ぐり穴36aの後端側の面に、第7構造物を構成する第2加圧部材38の先端側が突き当たる。ただし、この状態において、第7構造物を構成する伝導部材53の先端側凸部53aは、後端電極部材36の座ぐり穴36aの後端側の面には接触しない。また、このとき、第7構造物を構成する収容部材56の先端側且つ内部に、第3構造物を構成する支持部材39の後端側が収容される。すなわち、支持部材39の後端側と収容部材56の先端側とは、軸方向においてオーバーラップする。なお、このとき、緩衝部材55は、自由長さと密着高さとの間の長さとなっており、隣接する金属線同士の間には隙間が存在している。
続いて、第3構造物の第1先端側筐体311と第7構造物の第2先端側筐体312とを突き当てた状態で、第1先端側筐体311と第2先端側筐体312との境界部を、少なくとも一周にわたってレーザ溶接して固定する。以上により、圧力検出装置20の組立が完了する。
[圧力検出装置による圧力検出動作]
では、圧力検出装置20による圧力検出動作について説明を行う。
内燃機関10が動作しているとき、ダイアフラムヘッド32の圧力受面32aに、燃焼室C内で発生した圧力(燃焼圧)が付与される。ダイアフラムヘッド32では、圧力受面32aが受けた圧力が裏側の凸部32cに伝達され、さらに凸部32cから絶縁プレート34へと伝達される。そして、絶縁プレート34に伝達された圧力は先端電極部材35へと伝達されることで、先端電極部材35と後端電極部材36とに挟まれた圧電素子33に作用し、圧電素子33では、受けた圧力に応じた電荷が生じる。圧電素子33に生じた電荷は、正の経路すなわち後端電極部材36、第2加圧部材38、伝導部材53および後端保持部54aを介して、回路基板57の入力信号端子57aに電荷信号として供給される。回路基板57に供給された電荷信号は、積分回路572aで積分処理されることで電圧信号に変換され、さらに増幅回路572bで増幅処理されることで出力信号とされる。そして、増幅回路572bから出力された出力信号は、回路基板57の出力信号端子57dから、接続部材52に設けられた第2基板側端子522および第2接続端子52bを介して、外部(ここでは接続ケーブル90および制御装置80)に送信される。
[実施の形態1のまとめ]
本実施の形態の圧力検出装置20は内燃機関10に取り付けられており、この内燃機関10が自動車に搭載されている場合、クラクション、ヘッドライトおよびワイパー等で発生したkHzオーダーの周波数のノイズ(以下では低周波ノイズと称する)が、内燃機関10のシリンダヘッド13に侵入してくる。そして、本実施の形態では、金属で構成されたシリンダヘッド13に、圧力検出装置20のうち金属で構成された筐体60を取り付けているため、シリンダヘッド13に侵入してきた低周波ノイズは、圧力検出装置20の筐体60にも伝播する。
本実施の形態の圧力検出装置20では、筐体60すなわち筐体経路と、圧電素子33から回路基板57に至る正の経路および負の経路とを、電気的に絶縁している。このため、シリンダヘッド13から圧力検出装置20の筐体60に伝播した低周波ノイズは、回路基板57には伝達されにくくなる。その結果、低周波ノイズに起因する、回路基板57におけるグランド電位の揺れ(変動)が抑制されることになり、回路基板57から出力される出力信号の揺れ(変動)を低減させることが可能になる。
また、本実施の形態の内燃機関10が自動車に搭載されている場合、自動車の周囲には、通常、携帯電話、ラジオおよびテレビ等で使用されるMHzオーダーの周波数の電波が飛び交う。この電波が、圧力検出装置20に設けられた正の経路に照射されると、MHzオーダーの周波数のノイズ(以下では高周波ノイズと称する)が、回路基板57での処理(出力信号の生成)に影響を及ぼす。
本実施の形態では、負の経路すなわち遮へい体70を用いて、正の経路を覆っている(収容している)。このため、外部から圧力検出装置20に照射される電波は、遮へい体70によって遮られることとなり、微弱な電荷信号を伝送する正の経路に到達しにくくなる。また、本実施の形態では、遮へい体70が回路基板57も覆っているため、外部から圧力検出装置20に照射される電波は、遮へい体70によって遮られることとなり、微弱な電荷信号を処理する回路基板57にも到達しにくくなる。その結果、高周波ノイズに起因する、回路基板57における入力信号の揺れ(変動)が抑制されることになり、回路基板57から出力される出力信号の揺れ(変動)を低減させることが可能になる。
ここで、本実施の形態では、遮へい体70を構成する、軸方向に並べて配置された第1加圧部材37(支持部材39)および収容部材56を、円筒型圧縮コイルバネで構成された緩衝部材55を用いて電気的に接続した。そして、第1加圧部材37、支持部材39、緩衝部材55および収容部材56によって形成される内部空間に、正の経路(伝導部材53)および回路基板57を配置するようにした。これにより、遮へい体70を構成する各部材の寸法誤差を許容しつつ(構造の柔軟性を高めつつ)、遮へいの効果を得ることができる。また、緩衝部材55を用いないで遮へい体70を構成した場合と比較して、圧力検出装置20の組立が容易になる。
特に、本実施の形態では、遮へい体70を構成する第1加圧部材37(支持部材39)および収容部材56を、軸方向にオーバーラップさせるようにした。このため、例えば第1加圧部材37(支持部材39)および収容部材56を軸方向にオーバーラップさせないで配置した場合と比較して、正の経路への高周波ノイズの侵入を、さらに抑制することができる。
また、本実施の形態では、遮へい体70が負の経路を兼ねるようにしたので、遮へい体70と負の経路とを別々に設けた場合と比較して、圧力検出装置20の構成を簡易にすることができる。
<実施の形態2>
本実施の形態は、実施の形態1とほぼ同様であるが、圧力検出装置20における遮へい体70の構成の一部が、実施の形態1とは異なる。なお、本実施の形態において、実施の形態1と同様のものについては、同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
[遮へい体の構成]
図6は、実施の形態2の圧力検出装置20の先端側の拡大断面図である。
本実施の形態の圧力検出装置20は、支持部材39と収容部材56との位置関係が実施の形態1とは異なる。また、本実施の形態の圧力検出装置20は、緩衝部材55の圧縮状態が実施の形態1とは異なる。
本実施の形態では、支持部材39で後端側となる部位と、収容部材56で先端側となる部位とが、軸方向において互いに重ならない位置関係となっている。すなわち、支持部材39と収容部材56とは、軸方向においてオーバーラップしていない。したがって、本実施の形態では、支持部材39と収容部材56との間に形成される隙間に、伝導部材53を内部に収容した被覆部材54が露出した状態となっている。
また、本実施の形態の緩衝部材55は、実施の形態1と同様に、コイルスプリング(円筒型圧縮コイルバネ)で構成されている。ただし、本実施の形態では、圧力検出装置20に取り付けられた緩衝部材55の軸方向の中央部が、ほぼ密着高さとなるように圧縮されている。その結果、緩衝部材55の軸方向の中央部は、密着することで隙間がほぼ存在しない円筒状となっている。ここで、緩衝部材55の軸方向の中央部すなわち円筒型圧縮コイルバネを構成する金属線が密着している部位は、支持部材39および収容部材56がオーバーラップしていない領域を内部に収容していることになる。
ここで、本実施の形態では、遮へい体70を構成する、第1加圧部材37、支持部材39、緩衝部材55および収容部材56によって、軸方向に伸びる筒状体を形成するとともに、第1加圧部材37(支持部材39)と収容部材56とを、圧縮コイルバネからなる緩衝部材55を用いて電気的に接続している。すなわち、本実施の形態では、実施の形態1よりも緩衝部材55の圧縮度合いを高めることで、緩衝部材55自身を筒状化している。そして、これらに先端電極部材35を加えた遮へい体70(負の経路)の内部に、圧電素子33を収容するとともに、正の経路を構成する後端電極部材36、第2加圧部材38および伝導部材53も収容している。また、本実施の形態では、実施の形態1と同様、遮へい体70の内部に、回路基板57も収容している。
[圧力検出装置の組立手順]
ここで、本実施の形態の圧力検出装置20の組立手順について説明を行う。ただし、本実施の形態の圧力検出装置20の組立手順は、「第3構造部(先端側構造物)の組立」および「第7構造物(後端側構造物)の組立」までは、基本的に実施の形態1と同じであり、最後の「圧力検出装置の組立」が実施の形態1とは異なる。このため、ここでは、「圧力検出装置の組立」についてのみ説明を行う。
(圧力検出装置の組立)
第3構造物に対し、第3構造物(支持部材39)の後端側から、伝導部材53の先端側凸部53aを先端側として第7構造物を近づけていく。その結果、第3構造物を構成する支持部材39の後端側の外周面に、第7構造物を構成する緩衝部材55の先端側がはまり込む。このとき、第7構造体において、緩衝部材55の先端側の端部は、第2先端側筐体312の先端側の端面よりも先端側に突出した位置にある。そして、支持部材39の後端側と緩衝部材55の先端側とを、少なくとも一周にわたってレーザ溶接して固定する。
第3構造物の支持部材39と第7構造物の緩衝部材55とをレーザ溶接した後、第3構造物および第7構造物に対し、軸方向に、緩衝部材55を圧縮させるための力を加える。すると、緩衝部材55が軸方向に縮むことに伴い、第7構造物を構成する第4構造物(伝導部材53、被覆部材54および第2加圧部材38)の先端側が、第3構造物の後端側から、支持部材39および第1絶縁リング41を介して後端電極部材36の座ぐり穴36aへと到達する孔に挿入される。また、緩衝部材55が軸方向に縮むことに伴い、第7構造物を構成する第2先端側筐体312の先端側且つ内部に、第3構造物を構成する第1先端側筐体311の後端側が収容される。
そして、緩衝部材55の圧縮に伴って、第7構造物を構成する第2先端側筐体312の先端側の端面が、第3構造物を構成する第1先端側筐体311の外周面に設けられた段差部に突き当たる。このとき、第3構造物を構成する後端電極部材36の座ぐり穴36aの後端側の面に、第7構造物を構成する第2加圧部材38の先端側が突き当たる。ただし、この状態において、第7構造物を構成する伝導部材53の先端側凸部53aは、後端電極部材36の座ぐり穴36aの後端側の面には接触しない。また、このとき、第7構造物を構成する収容部材56の先端側且つ内部に、第3構造物を構成する支持部材39の後端側が収容されない。すなわち、支持部材39の後端側と収容部材56の先端側とが、軸方向においてオーバーラップしない。なお、このとき、緩衝部材55は、ほぼ密着高さとなっており、隣接する金属線同士の間には隙間がほぼ存在しない。
続いて、第3構造物の第1先端側筐体311と第7構造物の第2先端側筐体312とを突き当てた状態で、第1先端側筐体311と第2先端側筐体312との境界部を、少なくとも一周にわたってレーザ溶接して固定する。以上により、圧力検出装置20の組立が完了する。
[実施の形態2のまとめ]
本実施の形態では、実施の形態1とは異なり、支持部材39および収容部材56を軸方向にオーバーラップさせないで配置している。ただし、この部位には、第1加圧部材37(支持部材39)および収容部材56を電気的に接続する緩衝部材55の金属線を、密着させた状態で配置している。このため、本実施の形態においても、上述した実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
なお、本実施の形態では、圧力検出装置20を構成する緩衝部材55を、密着高さとなるまで圧縮することで、緩衝部材55の金属線を密着させて隙間を存在させないようにしていたが、これに限られるものではない。すなわち、遮へい体70による遮へい効果が得られる範囲において、緩衝部材55の金属線には隙間が存在していてもよい。
[緩衝部材の他の構成例]
本実施の形態では、緩衝部材55を円筒型圧縮コイルバネで構成した場合を例として説明を行ったが、緩衝部材55の構成はこれに限られるものではない。
図7は、本実施の形態の圧力検出装置20で用いられる緩衝部材55の他の構成例を示す図である。ここで、図7(a)は円筒形圧縮コイルバネの変形例である円錐型圧縮コイルバネを、図7(b)は円錐型圧縮バネの変形例である竹の子バネを、それぞれ示している。
図7(a)に示す円錐型圧縮コイルバネは、金属線を円錐状に巻き回すことで、軸方向一端部から軸方向他端部に向けて、その直径が徐々に大きくなっていく形状を有している。このような円錐型圧縮コイルバネを緩衝部材55に用いる場合、自由長さが同じ円筒型圧縮コイルバネを用いる場合と比較して、密着高さをより小さくできるという利点がある。また、円錐型圧縮コイルバネは、円筒型圧縮コイルバネと比べて、圧縮した際に金属線の軸方向のオーバーラップが容易となるため、緩衝部材55による遮へい効果を高めることもできる。なお、ここでは、円錐型圧縮コイルバネを例としたが、軸方向中央部よりも軸方向両端部の直径が大きい鼓型圧縮コイルバネや、軸方向中央部よりも軸方向両端部の直径が小さい樽型圧縮コイルバネを緩衝部材55に用いた場合にも、同様の効果が得られる。
また、図7(b)に示す竹の子バネは、金属板を円錐状に巻き回すことで、軸方向一端部から軸方向他端部に向けて、その直径が徐々に大きくなっていく形状を有している。また、竹の子バネは、円筒型圧縮コイルバネや図7(a)に示す円錐型圧縮コイルバネとは異なり、圧縮前の状態すなわち自由長さの状態において、既に金属板が軸方向にオーバーラップしている。このため、竹の子バネを緩衝部材55に用いることで、緩衝部材55による遮へい効果をより容易に高めることができる。
<その他>
なお、実施の形態1、2では、遮へい体70において、支持部材39と収容部材56とを、緩衝部材55を介して接続していたが、これに限られるものではない。例えば、第1加圧部材37と収容部材56とを、緩衝部材55を介して接続してもよい。なぜならば、実施の形態1、2において、支持部材39および第1加圧部材37はレーザ溶接によって一体化しており、電気的には同電位となっているためである。
また、実施の形態1、2では、緩衝部材55を構成する金属線の断面を円形状としていたが、これに限られるものではなく、他の形状(長方形状等)であってもかまわない。
さらに、実施の形態1では、支持部材39の後端側が、収容部材56の先端側の内側に位置するようにしていたが、これに限られるものではなく、支持部材39の後端側が、収容部材56の先端側の外側に位置するようにしてもかまわない。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
本発明者は、負の経路すなわち遮へい体70の構造を異ならせた複数の圧力検出装置20を作製し、BCI(Bulk Current Injection)試験による評価を行った。
では、各実施例(実施例1、2)および比較例のそれぞれの圧力検出装置20について、説明を行う。
まず、実施例1では、実施の形態1で説明した構造(図4参照)を採用した。また、実施例2では、実施の形態2で説明した構造(図6参照)を採用した。ここで、実施例2では、緩衝部材55として円筒型圧縮コイルバネを用いた。一方、比較例では、緩衝部材55に代えて、支持部材39と収容部材56とを、直線状の金属ワイヤにて接続する構成を採用した。
次に、各圧力検出装置20の評価に用いたBCI試験について、簡単に説明を行う。
BCI試験は、自動車のEMC(Electromagnetic Compatibility)規格のうち、EMS(Electromagnetic Susceptibility)に対応するイミュニティ規格として定められたものであって、例えばISO11452−4:2011に規定されている。
なお、今回は、圧力検出装置20に接続ケーブル90を取り付ける一方、圧力検出装置20の筐体60を、空気層等を介して外部と絶縁した状態でBCI試験を行った。ここで、接続ケーブル90の長さは1mとした。また、BCI試験における、接続ケーブル90に対するノイズの印加は、接続部材52の第1接続端子52a〜第3接続端子52cから150mmとなる位置に対して行った。さらに、接続ケーブル90に印加するノイズをAM変調方式で作成するとともに、印加するノイズの周波数範囲を、1MHz以上1000MHz(1GHz)以下とした。そして、接続ケーブル90にノイズが印加された状態で、回路基板57に設けられた出力信号端子57dと出力接地端子57eとの間の電圧の変動量(以下では、出力電圧変動量と称する)を測定した。なお、ISO11452−4:2011では、印加するノイズの周波数範囲が1MHz〜400MHzと定められており、今回は、これよりも広い周波数範囲で測定を行うこととした。
図8は、各実施例(実施例1、2)および比較例のBCI試験の結果を、グラフとして示す図である。ここで、図8(a)は実施例1の結果を、図8(b)は実施例2の結果を、図8(c)は比較例の結果を、それぞれ示している。なお、図8(a)〜(c)のそれぞれにおいては、横軸が周波数(1MHz〜1000MHz)となっており、縦軸が出力電圧変動量(V)となっている。
実施例1では、出力電圧変動量の範囲が±0.001V(±1mV)程度であり、実施例2では、出力電圧変動量の範囲が±0.003V(±3mV)程度であった。これに対し、比較例では、出力電圧変動量の範囲が±0.05V(±50mV)を超えた。すなわち、実施例1、2は、比較例と比べて、出力電圧変動量の範囲を狭くできることがわかった。
上述した結果から、測定周波数が1MHz〜1000MHzの範囲においては、支持部材39と収容部材56とを、実施例1、2のように環状(螺旋状、渦巻き状)の緩衝部材55を介して接続することにより、比較例のように直線状の金属ワイヤを介して接続する場合と比べて、出力電圧(出力信号)に重畳されるノイズが低減されていることがわかる。すなわち、各実施の形態で説明した遮へい体70の構造を採用することで、外部のノイズ源に対する圧力検出装置20の遮へい効果を高くできることがわかる。