以下、本発明に係る遊技機の好ましい実施形態について詳細に説明する。なお、以下に述べる実施形態では、本発明に係る遊技機として、パチンコ遊技機を例にとって説明する。
<実施形態一覧:図24>
本発明の実施形態には、右打ちから左打ちへ誘導情報表示の切り替えが行われる弾球遊技機の種類により、実施形態1〜6のものがある。これを図24に一覧として示す。実施形態1(図24の区分a)は「即転落タイプ」と称される遊技機に係るもの、実施形態2(図24の区分b〜c)は本明細書において「確変転落タイプ1」として分類している遊技機に係るもの、そして実施形態3(図24の区分d〜e)は本明細書において「確変転落タイプ2」として分類している遊技機に係るものである。また実施形態4(図24の区分f)は、本明細書において「ST機タイプ」として分類している遊技機に係るもの、実施形態5(図24の区分g〜h)は、本明細書において「電サポ(電チューサポート)付き大当りを含むタイプ」として分類している遊技機に係るもの、そして実施形態6(図24の区分i)は、本明細書において「電サポ無し大当り(通常大当り)を含むタイプ」として分類している遊技機に係るものである。
上記の即転落タイプ、確変転落タイプ1、確変転落タイプ2は、確変状態を許容する変動回数が長期間となる規定回数(確変状態が継続されるならば、その確変状態中にほぼ確実に大当りに当選しうる回数:たとえば、1万回)として設定されるため、この点に着目するとST機タイプとしても分類できるものである。図24の区分g〜h「電サポ付き大当りを含むタイプ」でおいて「確変大当り」を扱う場合も、同様である。なお確変状態とする場合、1万回に替えて無限大を設定することもできる。
以下、図面を参照しながら、実施形態1を中心に、実施形態1〜6を順に説明して行く。
<実施形態1>
<1.構成の概要:図1、図2>
図1および図2を参照して、本発明の実施形態1に係るパチンコ遊技機の構成の概要を説明する。図1は本発明の実施形態1に係るパチンコ遊技機の外観を示す正面側の斜視図、図2は遊技盤の正面側を示した図である。
まず図1を参照して、パチンコ遊技機1の正面側の構成について説明する。図1に示すパチンコ遊技機1は、木製の外枠4の前面に額縁状の前枠2を開閉可能に取り付け、前枠2の裏面に取り付けた遊技盤収納フレーム(図示せず)内に遊技盤3(図2参照)を装着し、この遊技盤3の表面に形成した遊技領域3aを前枠2の開口部に臨ませた構成を有する。この遊技領域3aの前側には、透明ガラスを支持したガラス扉6が設けられている。
ガラス扉6の前側には扉ロック解除用のキーシリンダ(図示せず)が設けられており、このキーシリンダにキーを差し込んで一方側に操作すれば前枠2に対するガラス扉6のロック状態を、他方側に操作すれば外枠4に対する前枠2のロック状態をそれぞれ解除して前側に開放できるようになっている。
ガラス扉6の下側には、ヒンジ(図示せず)により前枠2に開閉自在に枢支された前面操作パネル7が配置されている。前面操作パネル7には、上受け皿ユニット8が設けられ、この上受け皿ユニット8には、排出された遊技球を貯留する上受け皿9が形成されている。
また上受け皿ユニット8には、上受け皿9に貯留された遊技球をパチンコ遊技機1の下方に抜くための球抜きボタン14と、パチンコホール島設備側の遊技球貸出装置(図示せず)に対して遊技球の払い出しを要求するための球貸しボタン11と、遊技球貸出装置に挿入した有価価値媒体の返却を要求するためのカード返却ボタン12とが設けられている。
また上受け皿ユニット8には、遊技者が操作可能に構成され、その操作の前後で特定の演出(たとえば、遊技者参加型演出)に変化をもたらす際に利用され、第1演出ボタン(通常ボタン)、第2演出ボタン(回転灯ボタン)、第3演出ボタン(ローリングボタン)として活躍する「枠演出ボタン13」が設けられている。この枠演出ボタン13は、たとえば、特定の演出中や特定の期間中に、操作可能(入力受付可能)となり、その操作可能期間中(入力受付期間中)に操作することにより、演出に変化をもたらすための「演出用操作手段」として働く。
また前面操作パネル7の右端部側には、発射装置32(図3参照)を作動させるための発射操作ハンドル15が設けられている。また前枠2の上部の両側と発射操作ハンドル15の上側とには、音響により音演出効果(効果音)を奏するスピーカ46が設けられている。また、ガラス扉6の各所には、光の装飾により光演出効果を奏する複数の装飾ランプ45が設けられている。
(遊技盤:図2)
次に図2を参照して、遊技盤3の構成について説明する。図2に示す遊技盤3は、略正方形状の木製合板または樹脂板を主体として構成されている。この遊技盤3には、図示のように、発射された遊技球を案内する球誘導レール5が盤面区画部材として環状に装着されており、この球誘導レール5取り囲まれた略円形状の領域が遊技領域3aとなっており、四隅は非遊技領域となっている。
この遊技領域3aの略中央部には、たとえば3つ(左、中、右)の表示エリア(図柄変動表示領域)において、独立して数字やキャラクタや記号などによる複数種類の装飾図柄(たとえば、左図柄(左表示エリア対応)、中図柄(中表示エリア対応)、右図柄(右表示エリア対応))の変動表示および停止表示が可能である液晶表示装置36(LCD:Liquid Crystal Display)が設けられている。この液晶表示装置36は、後述する演出制御部24の制御の下、種々の演出を画像により表示する。
また遊技領域3a内には、液晶表示装置36の表示面の周りを遠巻きに囲繞する形でセンター飾り48が設けられている。センター飾り48は、周囲の遊技球から液晶表示装置36の表示面を保護するとともに、遊技球の打ち出しの強さまたはストローク長により、遊技球の流路を左右に振り分けることを可能とする部材(流路振分手段)として働く。本実施形態では、センター飾り48の存在によって遊技領域3a内の上部両側(左側と右側)に遊技球の流路が形成されるように、遊技領域3aのほぼ中央部に配置されている。ただし、この実施形態の場合、センター飾り48は少し右側に膨出した形となっている。
センター飾り48は、遊技盤3の前面側に沿って設けられ、かつ固定ネジなどにより遊技盤3に固定される前面装着板48aと、センター飾り48の外周囲を形成し液晶表示装置36の表示画面を取り囲む鎧枠部48bとを一体に備えている。鎧枠部48bは、その略全体が前面装着板48aから前側に突出しており、その内側、すなわち液晶表示装置36側への遊技球の侵入を阻止するようになっている。センター飾り48の上面と球誘導レール5との間には遊技球が通過可能な遊動領域が形成され、右側へも遊技球が案内されるようになっている。発射装置32により遊技領域3aの上部側に打ち込まれた遊技球は、この鎧枠部48bの上部側で左右に振り分けられ、センター飾り48の左側の左流下経路3bと右側の右流下経路3cとのいずれかを流下する。このようなセンター飾り48は、遊技球の落下方向を変換する遊技球落下方向変換部材(落下方向変換手段)として働く。
なお図示していないが、センター飾り48には、液晶表示装置36の前側下部に、鎧枠部48bの左側部に設けられた入球口(図示せず)から入球した遊技球を左右方向に自由に転動させて、左右方向中央の落下口(始動口案内路)またはその左右両側から落下させるステージが設けられている。またセンター飾り48には、適所に、その動作態様により視覚的演出効果を奏する可動体役物(後述の時計盤部81、花型役物90など)が設けられている。
また遊技盤3の右上縁付近(右上隅)の非遊技領域は各種機能表示部となっており、7セグメント表示器(ドット付)を上始動口34(第1の特別図柄用)と下始動口35(第2の特別図柄用)に対応させて横に並べて構成される特別図柄表示装置38a(第1の特別図柄表示手段)と特別図柄表示装置38b(第2の特別図柄表示手段)とが設けられている。上記の特別図柄表示装置38a、38bでは、7セグにより表現される「特別図柄」の変動表示動作(変動開始および変動停止を一セットする変動表示動作)により特別図柄変動表示ゲームが実行されるようになっている。なお上記の液晶表示装置36は、特別図柄表示装置38a、38bによる特別図柄の変動表示と時間的に同調して、画像による装飾図柄を変動表示するもので、予告演出(たとえば、演出画像表示)とともに装飾図柄変動表示ゲームが実行されるようになっている(これらの図柄変動表示ゲームについての詳細は追って説明する)。
また各種機能表示部には、特別図柄表示装置38a、38bの隣りに、7セグメント表示器(ドット付)からなる複合表示装置(保留複合表示用LED表示器)38cが配設されている。複合と称したのは、特別図柄1の作動保留球数の表示、特別図柄2の作動保留球数の表示、変動時間短縮機能作動中(時短中)および高確率状態中(高確中)の状態報知という、5つの表示機能を有する保留・時短・高確複合表示装置(以下単に「複合表示装置」と称する)であるからである。
また各種機能表示部には、複合表示装置38cの隣りに、複数個(この実施形態では2個)のLEDを配置してなる普通図柄表示装置39a(普通図柄表示手段)が設けられている。この普通図柄表示装置39aでは、2個のLEDにより表現される普通図柄の変動表示動作(たとえば、シーソー的に交互に点灯と消灯を繰り返し、いずれかの側が点灯した状態で停止することで当否が判明する)により普通図柄変動表示ゲームが実行されるようになっている。また、この普通図柄表示装置39aに隣接して3個のLED(第1〜第3ラウンド表示LED)を配置してなるラウンド数表示装置39bが設けられている。
センター飾り48の下方には、上始動口34(第1の特別図柄始動口:第1の始動手段)と、下始動口35(第2の特別図柄始動口:第2の始動手段)を備える普通変動入賞装置41とが上下に設けられ、それぞれの内部には、遊技球の通過を検出する検出センサ34a、35a(上始動口センサ34a、下始動口センサ35a:図3参照)が形成されている。
第1の特別図柄始動口である上始動口34は、特別図柄表示装置38a(第1の特別図柄表示装置)における第1の特別図柄(以下、第1の特別図柄を「特別図柄1」と称し、場合により「特図1」と略す)の変動表示動作の始動条件に係る入賞口であり、始動口開閉手段(始動口を開放または拡大可能にする手段)を有しない入賞率固定型の入賞装置として構成されている。本実施形態では、遊技領域3a内の遊技球落下方向変換部材(たとえば、遊技くぎ(図示せず)、風車44、センター飾り48など)の作用により、上始動口34へは、左流下経路3bを流下してきた遊技球については入賞容易な構成であるのに対し、右流下経路3cを流下してきた遊技球については入賞困難または入賞不可能な構成となっている。
普通変動入賞装置41は、始動口開閉手段により始動口の遊技球の入賞率を変動可能な入賞率変動型の入賞装置として構成されており、具体的には、第2の特別図柄始動口である下始動口35を、開放または拡大可能にする左右一対の可動翼片(可動部材)47を備える、いわゆる「電動チューリップ型」の入賞装置として構成されている。普通変動入賞装置41の下始動口35は、特別図柄表示装置38b(第2の特別図柄表示装置)における第2の特別図柄(以下、第2の特別図柄を「特別図柄2」と称し、場合により「特図2」と略す)の変動表示動作の始動条件に係る入賞口であり、この下始動口35の入賞領域は、可動翼片47の作動状態(作動または非作動)に応じて、入賞を容易とする開状態(入賞容易状態)と、その開状態よりも入賞を困難にし、または入賞を不可能にする閉状態(入賞困難状態)とに変換される。本実施形態では、可動翼片47が非作動の場合、下始動口35への入賞が不可能とする閉状態(入賞不可能状態)を保持している。
普通変動入賞装置41の両側には、一般入賞口43が左側に3つ、右側に1つ、計4つ配設されており、それぞれの内部には、遊技球の通過を検出する一般入賞口センサ43a(図3参照)が形成されている。
また普通変動入賞装置41の右斜め上方、つまり右流下経路3cの中間部より上部側には、遊技球が通過可能な通過ゲート(特定通過領域)からなる普通図柄始動口37が設けられている。この普通図柄始動口37(第3の始動手段)は、普通図柄表示装置39aにおける普通図柄の変動表示動作に係る入賞口であり、その内部には、通過する遊技球を検出する普通図柄始動口センサ37a(図3参照)が形成されている。なお本実施形態では、普通図柄始動口37は右流下経路3c側にのみに形成され、左流下経路3b側には形成されていない。しかし本発明はこれに限らず、左流下経路3bのみに形成しても良いし、両流下経路のそれぞれに形成しても良い。
右流下経路3c内の普通図柄始動口37から普通変動入賞装置41へかけての経路途中には、突没式の開放扉52bにより大入賞口50を開放または拡大可能に構成された特別変動入賞装置52(特別電動役物)が設けられており、その内部には大入賞口50に入球した遊技球を検出する大入賞口センサ52a(図3参照)が形成されている。
大入賞口50の周囲は、遊技盤3の表面から膨出した膨出部(装飾部材)55となっており、この膨出部55の上辺55aが右流下経路3cの下流案内部を形作っている。そして開放扉52bにより大入賞口50が閉鎖状態(大入賞口閉状態)であれば、この膨出部55の上辺55aと連続する面を形成することによって、右流下経路3cの下流案内部(上辺55a)の一部を形作るようになっている。また右流下経路3cの下流域には、膨出部55の上辺55aの上方の領域、正確には大入賞口50の上方の遊技領域において、遊技球の流下方向にほぼ平行に流路修正板51dが突設されており、流下する遊技球を大入賞口50の方向に寄せる働きをするようになっている。
大入賞口50への遊技球の入球過程は次のようになる。センター飾り48の上面と球誘導レール5との間の遊動領域を通過した遊技球は、遊技盤3より突出していて遊技球のガイドとして機能する膨出部55の頂面(上辺)55a上に沿って流下して来る。そして、その遊技球が遊技盤3面から突出している流路修正板51dの右端に接触し、これにより、当該遊技球の流下方向は大入賞口50の方向(下方向)に修正される。このとき、突没式の開放扉52bにより大入賞口50が蓋をされている状態(大入賞口閉状態)であれば、この上を遊技球が転動して、さらに図示しない所定配列の遊技くぎにより、チューリップ式の普通変動入賞装置41(下始動口35)の方向に導かれる。このとき、下始動口35が入賞可能状態(始動口開状態)であれば、下始動口35に遊技球が入賞しうる。他方、開放扉52bが遊技盤面内に後退していて大入賞口50が開いている状態(大入賞口開状態)であれば、遊技球が大入賞口50内に導かれる。なお本実施形態のパチンコ遊技機1では、遊技者が特別変動入賞装置52側に発射位置を狙い定めた場合(遊技球が右流下経路3cを通過するように狙いを定めた場合)、上始動口34側には遊技球が誘導され難い、または誘導されない構成となっている。したがって「大入賞口閉状態」であれば、普通変動入賞装置41の可動翼片47が作動しない限り、各始動口34、35への入賞が困難または不可能とされるようになっている。
上記した入賞手段が左右の流下経路のいずれに属するか、つまり左流下経路3bまたは右流下経路3cのいずれを流下する遊技球が入賞可能であるかについて分類すると、左流下経路3bに属する入賞手段には、上始動口34、下始動口35、および左側の3つの一般入賞口43があり、右流下経路3cに属する入賞手段には、上始動口34、下始動口35、普通図柄始動口37、大入賞口50、および右側の1つの一般入賞口43がある。
下始動口35については、可動翼片47が開いた状態(始動口開状態)であれば、左流下経路3bおよび右流下経路3cの双方に属し、左右のいずれの流下経路からも入賞が可能となっている。しかし、下始動口35の可動翼片47は、遊技領域3aの右側に位置する普通図柄始動口37に遊技球の通過(入賞)がその作動条件となっているので、実質的には右流下経路3cにのみに属するといえる。また上始動口34については、概ね左流下経路3bか、または左流下経路3bのみに属し、右流下経路3cからの遊技球については、入賞が困難または不可能となっている。すなわち、遊技領域3a内の遊技くぎやその他の遊技部品の配置は、左流下経路3bを流下して来た遊技球(センター飾り48のステージを経た遊技球を含む)について、これを上始動口34へ誘導しうるが、右流下経路3cを流下してきた遊技球については、これを上始動口34へ誘導困難または誘導しない、という誘導路を形成するように配設されている。また大入賞口50については右流下経路3cのみに属し、右流下経路3cからの遊技球だけが入賞可能となっている。
上記の上始動口34、下始動口35、普通図柄始動口37、大入賞口50、または一般入賞口43などの各入賞口は、遊技領域3a内に配置された入賞手段として機能し、また、上始動口センサ34a、下始動口センサ35a、普通図柄始動口センサ37a、大入賞口センサ52a、または一般入賞口センサ43aなどの検出スイッチ(入賞検出スイッチ)は、入賞手段に入球した遊技球を検出する入賞検出手段として機能する。
本実施形態のパチンコ遊技機1においては、遊技領域3aに設けられた各種入賞口のうち、普通図柄始動口37以外の入賞口への入賞があった場合には、各入賞口別に約束づけられた入賞球1個当りの賞球数(たとえば、上始動口34または下始動口35は3個、大入賞口50は13個、一般入賞口43は10個)が遊技球払出装置19(図3参照)から払い出されるようになっている。なお、各入賞口に入賞しなかった遊技球は、アウト口49を介して遊技領域3aから排出される。ここで「入賞」とは、入賞口がその内部に遊技球を取り込んだり、入賞口が遊技球を内部に取り込む構造ではなく、通過型のゲートからなる入賞口(たとえば、普通図柄始動口37)である場合は、そのゲートを遊技球が通過したりすることをいい、実際には入賞口ごとに形成された各入賞検出スイッチにより遊技球が検出された場合、その入賞口に「入賞」が発生したものとして扱われる。この入賞に係る遊技球を「入賞球」とも称する。
<可動体役物>
また遊技盤の領域内には遊技球の流下を妨害しない位置に、視覚的演出効果を奏する複数の可動体役物が配設されている。本例ではセンター飾り48内の右上側、つまり右流下経路3cを通る遊技球の流下を妨害しない位置に第1の可動体役物(時計型役物)80が配設され、その右斜め下側に第2の可動体役物(花型役物90)が配設されている。また第3の可動体役物(回転灯62および発光装置を納めた半透明の球状の可動体73)が枠演出ボタン13内に揺動および回転可能に一体的に組み込まれている。枠演出ボタン13は、この内蔵する可動体73の静止時の向き(遊技者から見える面の位置)によって、通常ボタン13A(第1の演出ボタン)または回転灯ボタン66(第2の演出ボタン:ラッキーパト)として機能し、可動体73が前方に回転している状態にある場合には爽快ボタン70(第3の演出ボタン:ローリングボタン)として機能するようになっている。なお爽快ボタン(ローリングボタン)70は、押圧ボタン型筒体72内またはその下方に、可動体73を回転可能かつローリング可能に組み込んだ構造となっているので、第3の可動体役物としても機能する。これらの可動体役物は、特定の演出(たとえば、疑似連演出やリーチ演出など)において動作し、大当りへの当選期待感を煽るための演出手段として利用される。
<2.制御装置:図3>
次に図3を参照して、本実施形態に係るパチンコ遊技機1の遊技動作制御を司る制御装置について説明する。図3は、その制御装置の概要を示す制御ブロック図である。
本実施形態に係るパチンコ遊技機1の制御装置は、遊技動作制御を統括的に司る主制御部(主制御手段)20と、主制御部20から演出制御コマンドを受けて、画像と光と音についての演出動作制御(演出手段に対する演出現出制御)を統括的に司る演出制御部(演出制御手段)24と、賞球の払い出し制御を行う払出制御基板(払出制御手段)29と、外部電源(図示せず)から遊技機に必要な電源を生成し供給する電源基板(電源制御手段)31と、を中心に構成される。また演出制御部24には、画像表示装置としての液晶表示装置36が接続されている。なお、図3において電源供給ルートは省略してある。
(2−1.主制御部20)
主制御部20は、CPU201(主制御CPU)を内蔵したマイクロプロセッサを搭載するとともに、ROM202(主制御ROM)と、RAM203(主制御RAM)とを搭載し、全体としてマイクロコンピュータ(Z80システム相当品)を構成している。
ROM202は、遊技動作制御に係る遊技データを記憶する記憶手段(主制御側記憶手段)として機能し、遊技動作制御手順を記述した制御プログラムの他、遊技動作制御に必要な種々のデータが格納されている。またRAM203は、ワークエリアやバッファメモリとして機能し、遊技進行の際に必要なデータが処理状態に応じて格納され利用される。またRAM203は、特定の抽選(たとえば、特別図柄に係る変動パターン抽選)に利用される乱数カウンタとして機能し、ソフトウェア的に乱数を生成する乱数生成手段として働く。
また図示はしていないが、主制御部20は、Z80システムに周期的割込みや一定周期のパルス出力作成機能(ビットレートジェネレータ)や時間計測の機能を付与するCTC(Counter Timer Circuit)、CPUに割込み信号を付与するタイマ割込などの割込機能(割込禁止機能を含む)を発揮する割込コントローラ回路、カウンタ回路なども備えている。上記カウンタ回路は、ハードウェア的に一定範囲の乱数を生成する乱数生成回路と、その乱数生成回路から所定のタイミングで乱数値をサンプリングするサンプリング回路とを含んで構成され、全体として16ビットカウンタとして働く。CPU201は、処理状態に応じて上記サンプリング回路に指示を送ることで、上記乱数生成回路が示している数値を内部抽選用乱数値(乱数の大きさ:65536)として取得し、その乱数値を大当り抽選に利用する。
主制御部20には、上始動口34への入賞を検出する上始動口34aと、下始動口35への入賞を検出する下始動口センサ35aと、普通図柄始動口37の通過を検出する普通図柄始動口センサ37aと、大入賞口50への入賞を検出する大入賞口センサ52aと、一般入賞口43への入賞を検出する一般入賞口センサ43aと、パチンコ遊技機1に対する不正行為(ゴト行為)を検出する不正検出センサ99とが接続され、主制御部20はこれらからの検出信号を受信可能となっている。
また主制御部20には、下始動口35の可動翼片47を開閉制御するための普通電動役物ソレノイド41cと、大入賞口50の開放扉52bを開閉制御するための大入賞口ソレノイド52cとが接続され、主制御部20はこれらを制御するための制御信号を送信可能となっている。
また主制御部20には、特別図柄表示装置38aと特別図柄表示装置38bとが接続され、主制御部20は、特別図柄を表示制御するための制御信号を送信可能となっている。また、主制御部20には、普通図柄表示装置39aが接続され、普通図柄を表示制御するための制御信号を送信可能となっている。
また主制御部20には、複合表示装置38cとラウンド数表示装置39bとが接続され、主制御部20は、これに表示される情報を表示制御するための制御信号を送信可能となっている。ラウンド数表示装置39b
また主制御部20には、枠用外部集中端子基板21が接続され、主制御部20は、遊技進行に関する情報(たとえば、大当り当選情報や賞球数情報や図柄変動表示ゲーム実行回数情報など)を、枠用外部集中端子基板21を介して、遊技機外部に設置されるホールコンピュータHCに送信可能となっている。
また主制御部20は、処理状態に応じて、特別図柄変動表示ゲームに関する情報やエラーに関する情報などを含む種々の演出制御コマンドを、演出制御部24に送信可能となっている。このような主制御部20からの演出制御コマンドは、外部からのゴト行為による不正な信号が演出制御部24を介して主制御部20に入力されることを防止するため、一方向通信により演出制御部24に送信される。
また主制御部20には、払出制御基板(払出制御部)29が接続され、この払出制御基板29には、発射装置32を制御する発射制御基板(発射制御部)28と、遊技球の払い出しを行う遊技球払出装置(遊技球払出手段)19とが接続されている。主制御部20は、払出制御基板29に対し、払い出しに関する制御コマンド(賞球数を指定する払出制御コマンド)を送信可能となっている。この払出制御基板29の主な役割は、主制御部20からの払出制御コマンドの受信、払出制御コマンドに基づく遊技球払出装置19の賞球払い出し制御、主制御部20への払出状態信号の送信などである。
また主制御部20には、払出制御基板(払出制御部)29が接続され、この払出制御基板29には、発射装置32を制御する発射制御基板(発射制御部)28と、遊技球の払い出しを行う遊技球払出装置(遊技球払出手段)19とが接続されている。主制御部20は、払出制御基板29に対し、払い出しに関する制御コマンド(賞球数を指定する払出制御コマンド)を送信可能となっている。この払出制御基板29の主な役割は、主制御部20からの払出制御コマンドの受信、払出制御コマンドに基づく遊技球払出装置19の賞球払い出し制御(球払出機構部を駆動する払出モータの制御)、主制御部20への払出状態信号の送信などである。
また払出制御基板29は発射制御基板28に対し発射制御信号を送信可能になっている。発射制御基板28は、上記発射制御信号に基づき、発射装置32に設けられた発射ソレノイド(図示せず)への通電を制御し、発射操作ハンドル15の操作による遊技球発射動作を実現している。
(2−2.演出制御部24)
演出制御部24は、CPU241(演出制御CPU)を内蔵したマイクロプロセッサを搭載するとともに、ROM242(演出制御ROM)と、RAM243(演出制御RAM)とを搭載したマイクロコンピュータを中心に構成され、その他、音源IC、CTC、タイマ割込などの割込機能(割込禁止機能を含む)を備える割込みコントローラ回路、ハードウェア的に乱数を生成するためのカウンタ回路などが設けられている。ROM242は、演出動作制御に係る遊技データを記憶する記憶手段(演出制御側記憶手段)として機能し、演出制御手順が記述された演出制御プログラムの他、演出動作制御に必要な種々のデータが格納されている。またRAM243は、ワークエリアやバッファメモリとして機能し、演出を現出する際に必要なデータが処理状態に応じて格納され利用される。またRAM203は、演出の抽選に利用される演出抽選用乱数の乱数カウンタとして機能し、ソフトウェア的に乱数を生成する乱数生成手段として働く。
この演出制御部24の主な役割は、主制御部20からの演出制御コマンドの受信、演出制御コマンドに基づく演出の選択決定、液晶表示装置36の画像表示制御、スピーカ46の音制御、装飾ランプ45や各種LED(演出用LED:図示せず)の発光制御、可動体役物の動作制御などである。
また演出制御部24は、液晶表示装置36の表示制御を司る表示制御部(図示せず)を備えている。この表示制御部は、画像展開処理や画像の描画などの映像出力処理全般の制御を司るVDP(Video Display Processor)と、VDPが画像展開処理を行う画像データ(演出画像データ)を格納した画像ROMと、VDPが展開した画像データを一時的に記憶するVRAM(Video RAM)と、VDPが表示制御を行うために必要な制御データを出力する液晶制御CPUと、液晶制御CPUの表示制御動作手順を記述したプログラムやその表示制御に必要な種々のデータを格納する液晶制御ROMと、ワークエリアやバッファメモリとして機能する液晶制御RAMと、を中心に構成されている。
また演出制御部24は、種々の演出(光演出や音演出や可動体演出)を現出させるために、装飾ランプ45や時計型役物80の時計盤部(数字表示部)81や各種LEDを含む光表示装置45aに対する光表示制御部、スピーカ46を含む音響発生装置46aに対する音響制御部(音源LSI)、各種の可動体役物(時計型役物80、花型役物90、回転灯62、可動体73など)を動作させるための可動体役物モータ61、61a、61b、63に対する駆動制御部(モータ駆動回路)などを備えている。ここで、可動体役物モータ61は時計型役物80を構成する時計針82の駆動用、可動体役物モータ61a、61bは花型役物90を構成する可動体91、92の駆動用、可動体役物モータ63は回転灯62を構成する反射鏡62bの駆動用、可動体役物モータ73aはローリングボタン70を構成する可動体73の駆動用である。演出制御部24は、これらの駆動制御部に対し、演出手段に関する制御信号を送信可能となっている。
また演出制御部24には、時計針82に対する位置検出スイッチ97と、花型役物90の第1可動体91、第2可動体92に対する位置検出スイッチ97a、97bとが接続され、演出制御部24はこれらからの検出信号を受信可能となっている。演出制御部24は、各位置検出スイッチ97、97a、97bからの検出信号に基づき、可動体役物の現在の動作位置(たとえば、原点位置からの移動量)を監視しながらその動作態様を制御し、また可動体役物の動作の不具合(正常動作か否か(たとえば、動作後、原点位置に正しく戻っているか否かなど))を監視する。
また演出制御部24には、遊技者が操作可能な第1、第2演出ボタンのスイッチ、つまり枠演出ボタン13のスイッチおよび回転灯スイッチ65が接続され、演出制御部24は、これらの演出ボタン13A、66からの操作検出信号を受信可能となっている。
演出制御部24は、主制御部20から送られてくる演出制御コマンドに基づき、あらかじめ用意された複数種類の演出パターンの中から抽選によりあるいは一意に決定し、必要なタイミングで各種演出手段を制御する。これにより、演出パターンに対応する液晶表示装置36による演出画像の表示、スピーカ46からの音の再生、装飾ランプ45やLEDの点灯点滅駆動が実現され、種々の演出パターン(装飾図柄変動表示、予告演出など)が時系列的に展開されることにより、広義の意味での「演出シナリオ」が実現される。
なお演出制御コマンドは、1バイト長のモード(MODE)と、同じく1バイト長のイベント(EVENT)からなる2バイト構成により機能を定義し、MODEとEVENTの区別を行うために、MODEのBit7はON、EVENTのBit7をOFFとしている。これらの情報を有効なものとして送信する場合、モード(MODE)およびイベント(EVENT)の各々に対応してストローブ信号が出力される。すなわち、CPU201(主制御CPU)は、送信すべきコマンドがある場合、演出制御部24にコマンドを送信するためのモード(MODE)情報の設定および出力を行い、この設定から所定時間経過後に1回目のストローブ信号の送信を行う。さらに、このストローブ信号の送信から所定時間経過後にイベント(EVENT)情報の設定および出力を行い、この設定から所定時間経過後に2回目のストローブ信号の送信を行う。ストローブ信号は、CPU241(演出制御CPU)が確実にコマンドを受信可能とする所定期間、CPU201によりアクティブ状態に制御される。
また演出制御部24(CPU241)は、ストローブ信号の入力に基づいて割込を発生させてコマンド受信割込処理用の制御プログラムを実行し、この割込処理において演出制御コマンドが取得されるようになっている。またCPU241は、CPU201とは異なり、ストローブ信号の入力に基づいて割込が発生した場合には、他の割込に基づく割込処理(定期的に実行されるタイマ割込処理)の実行中であっても、当該処理に割り込んでコマンド受信割込処理を行い、他の割込が同時に発生してもコマンド受信割込処理を優先的に行うようになっている。
<3.動作の概説>
次に、上記制御装置(図3)を用いたパチンコ遊技機1に係る遊技動作について説明する。
(3−1.図柄変動表示ゲーム)
(3−1−1.特別図柄変動表示ゲーム、装飾図柄変動表示ゲーム)
本実施形態のパチンコ遊技機1では、所定の始動条件、具体的には、遊技球が上始動口34または下始動口35に遊技球が入球(入賞)したことに基づき、主制御部20において乱数抽選による「大当り抽選」が行なわれる。主制御部20は、その抽選結果に基づき、特別図柄表示装置38a、38bに特別図柄1、2を変動表示して特別図柄変動表示ゲームを開始させ、所定時間経過後に、その結果を特別図柄表示装置に導出表示して、これにより特別図柄変動表示ゲームを終了させる。
ここで本実施形態では、上始動口34への入賞に基づく大当り抽選と、下始動口35への入賞に基づく大当り抽選とは別個独立して行われる。このため、上始動口34に関する大当り抽選結果は特別図柄表示装置38a側で、下始動口35に関する大当り抽選結果は特別図柄表示装置38b側で導出されるようになっている。具体的には、特別図柄表示装置38a側においては、上始動口34に遊技球が入球したことを条件に、特別図柄1を変動表示して第1の特別図柄変動表示ゲームが開始され、特別図柄表示装置38b側においては、下始動口35に遊技球が入球したことを条件に、特別図柄2を変動表示して第2の特別図柄変動表示ゲームが開始されるようになっている。そして、特別図柄表示装置38a、または特別図柄表示装置38bにおける特別図柄変動表示ゲームが開始されると、所定の変動表示時間経過後に、大当り抽選結果が「大当り」の場合には所定の「大当り」態様で、それ以外の場合には所定の「ハズレ」態様で、変動表示中の特別図柄が停止表示され、これによりゲーム結果(大当り抽選結果)が導出表示されるようになっている。
なお本明細書中では、説明の便宜上、特別図柄表示装置38a側の第1の特別図柄変動表示ゲームを「特別図柄変動表示ゲーム1」と称し、特別図柄表示装置38b側の第2の特別図柄変動表示ゲームを「特別図柄変動表示ゲーム2」と称する。また特に必要のない限り、「特別図柄1」と「特別図柄2」とを単に「特別図柄」と称し(場合により「特図」と略す)、また「特別図柄変動表示ゲーム1」と「特別図柄変動表示ゲーム2」とを単に「特別図柄変動表示ゲーム」と称する。
また上述の特別図柄変動表示ゲームが開始されると、これに伴い、液晶表示装置36に装飾図柄(演出的な遊技図柄)を変動表示して装飾図柄変動表示ゲームが開始され、これに付随して種々の演出が展開される。そして、特別図柄変動表示ゲームが終了すると、装飾図柄変動表示ゲームも終了し、特別図柄表示装置には大当り抽選結果を示す所定の特別図柄が、そして液晶表示装置36には当該大当り抽選結果を反映した装飾図柄が導出表示されるようになっている。すなわち、装飾図柄の変動表示動作を含む演出的な装飾図柄変動表示ゲームにより、特別図柄変動表示ゲームの結果を反映表示するようになっている。
したがってたとえば、特別図柄変動表示ゲームの結果が「大当り」である場合(大当り抽選結果が「大当り」である場合)、装飾図柄変動表示ゲームではその結果を反映させた演出が展開される。そして特別図柄表示装置において、特別図柄が大当りを示す表示態様(たとえば、7セグが「7」の表示状態)で停止表示されると、液晶表示装置36には、「左」「中」「右」の各表示エリアにおいて、装飾図柄が「大当り」を反映させた表示態様(たとえば、「左」「中」「右」の各表示エリアにおいて、3個の装飾図柄が「7」「7」「7」の表示状態)で停止表示される。
この「大当り」となった場合、具体的には、特別図柄変動表示ゲームが終了し、これに伴い装飾図柄変動表示ゲームが終了して、その結果として「大当り」の図柄態様が導出表示された後、特別変動入賞装置52の大入賞口ソレノイド52c(図3参照)が作動して開放扉52bが所定の動作パターンで開閉動作を行い、これにより大入賞口50が開閉され、通常遊技状態よりも遊技者に有利な特別遊技状態(大当り遊技)が発生する。この大当り遊技では、開放扉52bにより、大入賞口の開放時間が所定時間(最大開放時間:たとえば、29.8秒)経過するまでか、または大入賞口に入賞した遊技球数(大入賞口50への入賞球)が所定個数(最大入賞数:役物の1回の作動によりその入口が開き、または拡大した入賞口に対して許容される入賞球数の上限個数:たとえば、9個)に達するまで、その入賞領域が開放または拡大され、これらいずれかの条件を満した場合に大入賞口が閉鎖される、といった「ラウンド遊技」が、あらかじめ定められた規定ラウンド数(たとえば、最大15ラウンド)繰り返される。なお、大入賞口50が閉鎖される条件はこれに限らず、大入賞口の開放時間のみに基づくものであっても良いし、大入賞口に入賞した遊技球数のみに基づくものであっても良い。
上記大当り遊技が開始すると、最初に大当りが開始された旨を報知するオープニング演出が行われ、オープニング演出が終了した後、ラウンド遊技があらかじめ定められた規定ラウンド数を上限として1または複数回行われる。そして、規定ラウンド数終了後には、大当りが終了される旨を報知するエンディング演出が行われ、これにより大当り遊技が終了する。すなわち、大当り遊技は、大別すると、オープニング演出、ラウンド遊技、およびエンディング演出の各遊技期間から構成される。ただし、大入賞口閉状態であるオープニング演出期間とエンディング演出期間とを除いたラウンド遊技実行期間を、大当り遊技期間と捉えても良い。
上記の装飾図柄変動表示ゲームの実行に必要な情報に関しては、まず主制御部20が、上始動口34または下始動口35に遊技球が入球(入賞)したことに基づき、具体的には、上始動口センサ34aまたは下始動口センサ35aにより遊技球が検出されて始動条件(特別図柄に関する始動条件)が成立したことを条件に、「大当り」または「ハズレ」のいずれであるかを抽選する‘当落抽選(当否種別抽選)’と、「大当り」であったならばその大当り種別を、「ハズレ」であったならばそのハズレ種別を抽選する‘図柄抽選(当り(当選)種別抽選)’とを含む大当り抽選を行い(ハズレが1種類の場合は、ハズレ種別の抽選を行う必要がないため、その抽選を省略することができる)、その抽選結果情報に基づき、特別図柄の変動パターンや、最終的に停止表示させる特別図柄(特別停止図柄)を決定する。そして、処理状態を特定する演出制御コマンドとして、少なくとも特別図柄の変動パターン情報(たとえば、大当り抽選結果、特別図柄の変動時間に関する情報など)を含む「変動パターン指定コマンド」を演出制御部24側に送信する。これにより、装飾図柄変動表示ゲームに必要とされる基本情報が演出制御部24に送られる。なお本実施形態では、演出のバリエーションを豊富なものとするべく、特別停止図柄の情報(図柄抽選結果情報(当り種別に関する情報))を含む「装飾図柄指定コマンド」も演出制御部24に送信している。
上記特別図柄の変動パターン情報には、大当り抽選結果情報の他、特定の予告演出(後述のリーチ演出や、疑似連演出など)の発生を指定する情報を含むことができる。詳述するに、特別図柄の変動パターンは、大当り抽選結果情報に応じて、当りの場合の「当り変動パターン」と、ハズレの場合の「ハズレ変動パターン」とに大別され、これら変動パターンには、たとえばリーチ演出の発生を指定するリーチ演出指定用の変動パターン(リーチ変動パターン)、リーチ演出の発生を指定しない非リーチ演出指定用の変動パターン(通常変動パターン)、疑似連演出とリーチ演出との複合発生を指定する疑似連演出指定用のリーチ変動パターン(疑似連有りリーチ変動パターン)、疑似連演出の発生を指定し、リーチ演出の発生は指定しない疑似連演出指定用の通常変動パターン(疑似連有り通常変動パターン)などを含むことができる。なお、リーチ変動パターンや疑似連有り変動パターンは、大当り当選期待感を煽るような演出を指定するという関係上、基本的には、通常変動パターンよりも変動時間が長くなるように定められている。
演出制御部24は、主制御部20から送られてくる演出制御コマンド(ここでは、変動パターン指定コマンドと装飾図柄指定コマンド)に含まれる情報に基づいて、装飾図柄変動表示ゲーム中に時系列的に展開させる演出内容(演出シナリオ)や、最終的に停止表示する装飾図柄(装飾停止図柄)を決定し、特別図柄の変動パターンに基づくタイムスケジュールに従い装飾図柄を変動表示して装飾図柄変動表示ゲームを実行させる。これにより、特別図柄表示装置38a、38bによる特別図柄の変動表示と時間的に同調して、液晶表示装置36による装飾図柄が変動表示され、特別図柄変動表示ゲームの期間と装飾図柄変動表示ゲーム中の期間とが、実質的に同じ時間幅となる。また演出制御部24は、演出シナリオに対応するように、液晶表示装置36または光表示装置45aあるいは音響発生装置46aをそれぞれ制御し、装飾図柄変動表示ゲームにおける各種演出を展開させる。これにより、液晶表示装置36での画像の再生(画像演出)と、効果音の再生(音演出)と、装飾ランプ45やLEDなどの点灯点滅駆動(光演出)とが実現される。
このように特別図柄変動表示ゲームと装飾図柄変動表示ゲームとは不可分的な関係を有し、特別図柄変動表示ゲームの表示結果を反映したものが装飾図柄変動表示ゲームにおいて表現されることとしているので、この2つの図柄変動表示ゲームを等価的な図柄遊技と捉えても良い。本明細書中では特に必要のない限り、上記2つの図柄変動表示ゲームを単に「図柄変動表示ゲーム」と称する場合がある。
(3−1−2.普通図柄変動表示ゲーム)
またパチンコ遊技機1においては、普通図柄始動口37に遊技球が通過(入賞)したことに基づき、主制御部20において乱数抽選による「補助当り抽選」が行なわれる。この抽選結果に基づき、LEDにより表現される普通図柄を普通図柄表示装置39aに変動表示させて普通図柄変動表示ゲームを開始し、一定時間経過後に、その結果をLEDの点灯と非点灯の組合せにて停止表示するようになっている。たとえば、普通図柄変動表示ゲームの結果が「補助当り」であった場合、普通図柄表示装置39aの表示部を特定の点灯状態(たとえば、2個のLED39が全て点灯状態、または「○」と「×」を表現するLEDのうち「○」側のLEDが点灯状態)にて停止表示させる。
この「補助当り」となった場合には、普通電動役物ソレノイド41c(図3参照)が作動し、これにより可動翼片47が逆「ハ」の字状に開いて下始動口35が開放または拡大されて遊技球が流入し易い状態(始動口開状態)となり、通常遊技状態よりも遊技者に有利な補助遊技状態(以下、「普電開放遊技」と称する)が発生する。この普電開放遊技では、普通変動入賞装置41の可動翼片47により、下始動口35の開放時間が所定時間(たとえば、0.2秒)経過するまでか、または下始動口35に入賞した遊技球数が所定個数(たとえば、4個)に達するまで、その入賞領域が開放または拡大され、これらいずれかの条件を満たした場合に下始動口35を閉鎖する、といった動作が所定回数(たとえば、最大2回)繰り返されるようになっている。なお、下始動口35が閉鎖される条件はこれに限らず、下始動口の開放時間のみに基づくものであっても良いし、下始動口に入賞した遊技球数のみに基づくものであっても良い。また、補助当りには、普電開放遊技態様として、下始動口35の開放時間および/または開放回数が異なる複数種類の補助当りを定めても良い。
ここで本実施形態では、特別/装飾図柄変動表示ゲーム中、普通図柄変動表示ゲーム中、大当り遊技中、または普電開放遊技中などに、上始動口34または下始動口35もしくは普通図柄始動口37に入賞が発生した場合、すなわち上始動口センサ34aまたは下始動口センサ35aもしくは普通図柄始動口センサ37aからの検出信号の入力があり、対応する始動条件(図柄遊技開始条件)が成立した場合、これを変動表示ゲームの始動権利に係るデータとして、変動表示中にかかわるものを除き、所定の上限値である最大保留記憶数(たとえば、最大4個)まで保留記憶されるようになっている。この図柄変動表示動作に供されていない保留中の保留データまたはその保留データに係る遊技球を、「作動保留球」とも称する。この作動保留球の数を遊技者に明らかにするため、パチンコ遊技機1の適所に設けた専用の保留表示器(図示せず)、または液晶表示装置36による画面中にアイコン画像として設けた保留表示器を点灯表示させる。
また本実施形態では、特別図柄1、特別図柄2、および普通図柄に関する作動保留球をそれぞれ最大4個までRAM203の該当記憶領域に保留記憶し、特別図柄または普通図柄の変動確定回数として保留する。なお、特別図柄1、特別図柄2、および普通図柄に関する作動保留球数の最大記憶数(最大保留記憶数)は特に制限されず、各図柄の最大保留記憶数の一部または全部が異なっていても良い(たとえば、特別図柄1側の最大保留記憶数を4個、特別図柄2側の最大保留記憶数を2個、普通図柄側の最大保留記憶数を6個など)。また特別図柄1および特別図柄2に関し、大当り抽選により得られる利益が相対的に高くなる図柄側の最大保留記憶数を多く設定しても良い。本実施形態では、特別図柄2に係る大当り抽選が、遊技者とり相対的に利益が高い大当り種別が得られることから、たとえば特別図柄1側の最大保留記憶数を2個、特別図柄2側の最大保留記憶数をそれよりも多い4個に設定しても良い。
(3−2.遊技状態)
次に、遊技状態について説明する。本実施形態に係るパチンコ遊技機1では、特別遊技状態である上記大当りの他、複数種類の遊技状態を発生可能に構成されている。本発明の理解を容易なものとするために、先ず、種々の遊技状態の発生に関連する機能(手段)について説明する。
本実施形態のパチンコ遊技機1は、主制御部20(CPU201)がその機能部を担う「確率変動(以下、「確変」と略す)機能」を備えている。これには特別図柄に係る確変機能(以下、「特別図柄確変機能」と称する)と普通図柄に係る確変機能(以下、「普通図柄確変機能」と称する)の2種類がある。
特別図柄確変機能は、大当りの抽選確率を所定確率(通常確率)の低確率(たとえば、397分の1)から高確率(たとえば、39.7分の1)に変動させて、通常遊技状態よりも有利な「高確率状態」を発生させる機能である。この特別図柄確変機能が作動中の遊技状態(高確率状態)下では、大当り抽選確率が高確率となることから、大当りが生起され易くなる。したがって、遊技者が期待する遊技状態は、この特別図柄確変機能が作動中の遊技状態であるといえる。なお、特別図柄確変機能の作動開始条件およびその作動終了条件の詳細については、追って説明する。
普通図柄確変機能は、補助当り抽選確率が所定確率(通常確率)である低確率(たとえば、256分の2)から高確率(たとえば、256分の255)に変動させて、通常遊技状態よりも有利な「補助当り確変状態」を発生させる機能である。この普通図柄確変機能が作動中の遊技状態(補助当り確変状態)下では、補助当り抽選確率が高確率状態となることから補助当りが生起され易くなり、普電開放遊技が頻繁に発生して、通常遊技状態よりも単位時間当りの可動翼片47の作動率が向上する作動率向上状態となる。なお、本実施形態のパチンコ遊技機1では、普通図柄確変機能の作動開始条件は、後述の特別図柄時短機能の作動開始条件と同じ条件となっており、その作動終了条件も当該特別図柄時短機能の作動終了条件と同じ条件となっている。
また本実施形態のパチンコ遊技機1は、主制御部20がその機能部を担う「変動時間短縮(以下、「時短」と称する)機能」を備えている。これには特別図柄に係る時短機能(以下、「特別図柄時短機能」と称する)と普通図柄に係る時短機能(以下、「普通図柄時短機能」と称する)の2種類がある。
特別図柄時短機能は、1回の特別図柄変動表示ゲームに要する平均的な時間(特別図柄が変動を開始してから確定表示される迄の平均時間(特別図柄の平均変動時間))を短縮する「特別図柄時短状態」を発生させる機能である。特別図柄時短機能が作動中の遊技状態(特別図柄時短状態)下では、1回の特別図柄変動表示ゲームにおける特別図柄の平均的な変動時間が短縮され(たとえば、リーチなしハズレ変動に要する平均時間が8秒から2秒に短縮される)、通常遊技状態よりも単位時間当りの大当り抽選回数が向上する抽選回数向上状態となる。なお本実施形態のパチンコ遊技機1では、特別図柄の変動時間が作動保留球数の違いにより短縮される場合があるが、この場合は、特別図柄時短状態が発生しているわけではなく、他の制御処理(たとえば、後述の変動パターン振分指定番号(Tcode)や作動保留球数など)によるものである。
普通図柄時短機能は、1回の普通図柄変動表示ゲームに要する平均的な時間(普通図柄が変動を開始してから確定表示されるまでの平均的な時間(普通図柄の平均変動時間))を短縮する「普通図柄時短状態」を発生させる機能である。普通図柄時短機能が作動中の遊技状態(普通図柄時短状態)下では、1回の普通図柄変動表示ゲームにおける普通図柄の平均的な変動時間が短縮され(たとえば、10秒から1秒に短縮される)、通常遊技状態よりも単位時間当りの補助当り抽選回数が向上する抽選回数向上状態となる。なお本実施形態のパチンコ遊技機1では、普通図柄の変動時間が作動保留球数の違いにより短縮される場合があるが、この場合は、普通図柄時短状態が発生しているわけではなく、他の制御処理によるものである。また本実施形態のパチンコ遊技機1では、普通図柄時短機能の作動開始条件は、上述の特別図柄時短機能の作動開始条件と同じ条件となっており、その作動終了条件も当該特別図柄時短機能の作動終了条件と同じ条件となっている。
さらにまた、本実施形態のパチンコ遊技機1は、主制御部20がその機能部を担う「開放延長機能」を備えている。
開放延長機能は、普通変動入賞装置41の可動翼片47の開動作期間(可動翼片47の開放時間およびその開放回数の少なくともいずれか一方)を延長した「開放延長状態」を発生させる機能である。この開放延長状態は、「電チューサポート有りの状態」または「電チューサポート状態」と称される。上記開放延長機能が作動中の遊技状態(開放延長状態)下では、可動翼片47の開動作期間(始動口開状態時間)が、たとえば0.2秒から1.7秒に延長され、またその開閉回数が、たとえば1回(開放延長機能が非作動中のとき)から2回(開放延長機能が作動中のとき)に延長されて、通常遊技状態よりも単位時間当りの可動翼片47の作動率が向上する作動率向上状態となる。なお、本実施形態のパチンコ遊技機1では、開放延長機能の作動開始条件は、上述の特別図柄時短機能の作動開始条件と同じ条件となっており、その作動終了条件も当該特別図柄時短機能の作動終了条件と同じ条件となっている。したがって、開放延長状態中は、普通図柄確変機能および普通図柄時短機能も作用するため、可動翼片47の作動率が著しく向上した遊技状態が発生する。
以上のような各機能を1または複数種類作動させることにより、遊技機の内部的な遊技状態(内部遊技状態)に変化をもたらすことができる。ここで本実施形態では、普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能の作動開始条件は、特別図柄時短機能の作動開始条件と同じ条件としているので、各機能が同じ契機にて動作することになる。以下では、説明の便宜上、特別図柄確変機能、特別図柄時短機能、普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能が作動する遊技状態を「確変状態」と称し、これらの機能のうちから特別図柄確変機能を除去した遊技状態を「時短状態」と称し、特別図柄確変機能のみが作動する遊技状態を「潜伏確変状態(潜確または潜確状態)」と称し、全機能が作動中でない(非作動)状態を「通常遊技状態」と称する。したがって、これらの遊技状態における大当り抽選確率に着目すれば、遊技状態が「時短状態」または「通常遊技状態」である場合には大当り抽選確率が‘低確率状態’となり、遊技状態が「潜確状態」または「確変状態」の場合においては大当り抽選確率が‘高確率状態’となる。また条件装置作動に係る大当り中は大入賞口が開閉される当り遊技が発生するが、上記各機能については全ての機能が非作動とされ、基本的には、上記通常遊技状態と同じ遊技状態下に置かれる。
(3−2−1.高ベース遊技状態)
本実施形態では、上記の普通図柄に関する機能、すなわち普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能は、特別図柄時短機能の作動開始条件と同じ条件となっているので、これら3つの機能が同じ契機にて動作することになる。しかし、上記の普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能を個々に着目した場合、これらの機能のうち少なくともいずれか1つが作動すると、上記の可動翼片47の作動率が向上する作動率向上状態となり下始動口35への入賞頻度が上昇することから、遊技状態としては、大当りの抽選結果を導出する特別図柄変動表示ゲームの始動条件の成立頻度が通常遊技状態より高まる「高ベース遊技状態(始動条件向上状態)」となる。なお、ここでいう「高ベース遊技状態」とは、普通図柄に関する機能が作動する場合の遊技状態をいい、特別図柄に関する機能、すなわち特別図柄確変機能および特別図柄時短機能の少なくともいずれか一方が作動する場合の遊技状態とは異なる。
他方、特別図柄に関する機能(特別図柄確変機能と特別図柄時短機能)を個々に着目した場合、上記特別図柄確変機能が作動する場合には大当り抽選確率が通常遊技状態より高まる「高確率状態」となり、上記特別図柄時短機能が作動する場合には、特別図柄変動表示ゲームの消化時間が通常遊技状態よりも早い「特別図柄時短状態」となる。この点において、特別図柄変動表示ゲームの始動条件の成立頻度が通常遊技状態より高くなる上記「高ベース遊技状態」とは区別される。
また本実施形態では上記「高ベース遊技状態」の一例として、少なくとも開放延長機能が付与された電チューサポート状態を「高ベース遊技状態」として扱う。電チューサポート状態下では、普通変動入賞装置41の可動翼片47の作動率(開放時間や開放回数)が向上して下始動口35への入賞率が高まり、単位時間当りの入賞頻度が上昇することから、電チューサポート状態でない場合(低ベース遊技状態)と比較して、遊技者にとって有利な遊技状態になる。この電チューサポートの有無に着目した場合、遊技状態が「通常遊技状態」または「潜確状態」の場合には‘電チューサポート無しの状態(以下、「電サポ無し状態」とも称する)’となり、遊技状態が「時短状態」または「確変状態」である場合には‘電チューサポート有りの状態(以下、「電サポ有り状態」とも称する)’となる。なお、大当り抽選確率や電サポの有無などの決定に関する各機能(特別図柄確変機能、特別図柄時短機能、普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能)の作動状況に着目した遊技状態を「内部遊技状態」と称する。この内部遊技状態を識別するデータであるとして「遊技状態判定番号(YJ)」が設けられている。
後述する当り種別として、説明の便宜のために、確変状態への移行契機となる大当りを「確変大当り」、時短状態への移行契機となる大当りを「時短大当り」、潜確状態への移行契機となる大当りを「潜確大当り」、通常状態への移行契機となる大当りを「通常大当り」と称する。また少なくとも高ベース状態を伴う遊技状態(確変状態または時短状態)への移行契機となる大当りを「電サポ付き大当り」と称し、高ベース状態を伴わない遊技状態(潜確状態または通常遊技状態)への移行契機となる大当りを「電サポ無し大当り」と称する場合がある。
ここで、上述の内部遊技状態に関連した多様な演出を実現するために、後述の「変動パターン選択モード(以下、「変動パターン振分指定番号(Tcode)」と称する)」を利用し、一の内部遊技状態をさらに分類して管理することができる。たとえば、上記「確変状態(低確・電サポ無し)」については、「確変A」、「確変B」、および「確変C」といった複数種類の確変状態を設定し、それぞれ異なる遊技状態として管理することができる。詳しくは、大当り抽選確率や電サポの有無などの決定に関する各機能(特別図柄確変機能、特別図柄時短機能、普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能)の作動状況、すなわち「内部遊技状態」に着目した場合に、同じ「確変状態」でありながらも、特別図柄の変動パターンに関しては、「確変A」、「確変B」、「確変C」という各遊技状態(変動パターン振分指定番号(Tcode))に対応した固有の変動パターン種別(1または複数種類の変動パターン)のうちから目的の変動パターンを選択することができるようになっている。またこれに起因して、演出制御部24側においては、「確変A」、「確変B」、「確変C」という各遊技状態に対応した演出モードを設け、これら演出モード下における演出を発生させることができるようになっている(演出モードの詳細については後述する)。これにより、同一の内部遊技状態下であっても、変動パターン選択モードに対応した特別図柄の変動パターンを選択することができるので、図柄変動表示ゲームの変動時間(ゲーム消化時間)や、これに関連する演出に大きな変化をもたらすことができる。なお説明の便宜のために、特に必要のない限り、上記「内部遊技状態」と、「特別図柄の変動パターンの決定(演出の決定)に着目した場合の遊技状態(変動パターン振分指定番号(Tcode))」とを区別せずに、単に「遊技状態」と称する場合がある。
上記「変動パターン振分指定番号(Tcode)」は、現在の遊技状態を識別するためのデータとして利用される。特別図柄の変動パターンを選択する際には、大当り抽選結果と変動パターン振分指定番号(Tcode)とが参照され、現在の遊技状態に応じた目的の変動パターンが選択されるようになっている(後述の図12のステップS412(特別図柄変動パターン作成処理)参照)。たとえば、後述の実施形態4のST機タイプ(図24の区分f)の場合、変動パターン振分指定番号(Tcode)が「00H」の場合には「通常(通常状態)」を、ST期間中(内部遊技状態が確変状態中)において「01H」の場合には「ST前半(確変)」を、「02H」の場合には「ST後半(確変)」を、「03H」の場合には「ST最終(確変)」を、「04H」の場合にはCZを、「05H」の場合には「潜確状態」を示す、というように設定される。このように、変動パターン振分指定番号(Tcode)として異なる値を使用することにより、同一の確変状態を「ST前半」と「ST後半」と「ST最終」という複数種類の確変状態に区分し、それぞれ異なる演出モードの区間として管理することができる。したがって、変動パターン振分指定番号(Tcode)は、必ずしも内部遊技状態の変化とともに変更されるわけではなく、所定の遊技状態変更条件を満たした場合に変更される。この点で、変動パターン振分指定番号(Tcode)は、内部遊技状態そのものを識別する「遊技状態判定番号(YJ)」のように、内部遊技状態の変化とともに変更されるデータとは異なる。
<4.当りについて>
次に、本実施形態に係るパチンコ遊技機の「当り」について説明する。
(4−1.当り種別について:図4)
本実施形態1に係るパチンコ遊技機1は、複数種類の当りを対象に大当り抽選(当り抽選)を行うようになっている。この当り種別は特別図柄1の場合と特別図柄2の場合とで異なる。特別図柄1の場合の当り種別は、図4(イ)に示すように、「15R長開放確変大当り」、「2R短開放潜確大当り」、および「小当り」であり、特別図柄2の場合の当り種別は、図4(ロ)に示すように、「15R長開放確変大当り」のみとなっている。
これらの当りのうち、「15R長開放確変大当り」および「2R短開放潜確大当り(2R潜確大当り)」などの大当りは、条件装置の作動契機となる「大当り」種別に属する当りであり、「小当り」は条件装置の作動契機とならない「非大当り」種別に属する当りである。ここで「条件装置」とは、その作動がラウンド遊技を行うための役物連続作動装置の作動に必要な条件とされている装置で、特定の特別図柄の組合せが表示され、または遊技球が大入賞口内の特定の領域を通過した場合に作動するものをいう。上記「大当り」種別に属する当りや、「非大当り」種別に属する当り(小当り)は、いずれも大入賞口の開閉動作を伴う特別遊技状態(当り遊技)への移行契機(発生契機)となる当りである。したがって、「非大当り」種別に属する当りは、単なる「ハズレ」とは異なる。
上記‘大当り’種別に属する当りのうち、「15R長開放確変大当り(15R確変大当り)」および「2R短開放潜確大当り」は、その大当り遊技終了後の遊技状態を、少なくとも高確率状態を伴う特典遊技状態(本実施形態では、確変状態または潜確状態)に移行させる「確変大当り」に属する大当り種別となっている。また「小当り」は、当選時の遊技状態を継続させる当り種別となっている。なお「小当り」は‘非大当り’種別に属する当りではあるが、説明の便宜上、特に必要がない限り上記の大当りと区別することなく、大当り種別の一つとして同列に扱うことにする。
上記のいずれかの大当りに当選した場合、特別図柄表示装置38における特別図柄に関しては、そのまま抽選結果が反映した特別図柄が表示される。つまり特別図柄表示装置38には、確変大当りを報知する特別図柄またはハズレを報知する特別図柄もしくは小当りを報知する特別図柄が表示される。一方、液晶表示装置36には、装飾図柄と称される別の図柄を用いて特別図柄変動表示ゲームに対応する図柄ゲームが表示される。
(4−2.当り遊技)
次に、上記した各当りによる当り遊技について説明する。
(4−2−1.15R長開放確変大当りによる当り遊技)
15R長開放確変大当りによる当り遊技(以下、「15R確変大当り遊技」と称する)は、規定ラウンド数を15ラウンドとする大当りであり、本実施形態では、1回のラウンド遊技における大入賞口50の最大開放時間が「長開放時間」の‘29.8秒’に設定される。このように、最大開放時間が上記「長開放時間」に設定される開閉パターンを「長開放パターン」と称する。ここで「長開放時間」とは、その時間内に大入賞口への入賞数が上記最大入賞数(たとえば、9個)に達する可能性がある(最大入賞数に達する可能性が十分ある)時間幅として定めたものである。
ラウンド遊技が開始されて大入賞口50が開放された後、上記の最大開放時間が経過した場合は大入賞口50が閉鎖されて今回のラウンド遊技が終了し、規定ラウンド数の15ラウンドに達していなければ、所定時間(ラウンド間インターバル時間)が経過した後、次のラウンド遊技に移行される。ただし、最大開放時間経過前であっても大入賞口50に入賞した遊技球数(入賞球数)が最大入賞数(たとえば、9個)に達した場合は、大入賞口50が閉鎖されて今回のラウンド遊技が終了し、所定時間(ラウンド間インターバル時間)が経過した後、次のラウンド遊技に移行される。つまり、大入賞口の最大開放時間が経過した場合か、または大入賞口に入賞した遊技球数が最大入賞数に達した場合かのいずれか一方の条件を満たすと、開放された大入賞口が閉鎖され、所定のインターバル時間を挟んで、次のラウンド遊技に移行されるようになっている(後述の「2R短開放潜確大当り」の場合も同様)。
ラウンド遊技が開始されて大入賞口50が開放された後、上記の最大開放時間が経過した場合は大入賞口50が閉鎖されて今回のラウンド遊技が終了し、規定ラウンド数の15ラウンドに達していなければ、所定時間(ラウンド間インターバル時間)が経過した後、次のラウンド遊技に移行される。ただし、最大開放時間経過前であっても大入賞口50に入賞した遊技球数(入賞球数)が最大入賞数(たとえば、9個)に達した場合は、大入賞口50が閉鎖されて今回のラウンド遊技が終了し、所定時間(ラウンド間インターバル時間)が経過した後、次のラウンド遊技に移行される。つまり、大入賞口の最大開放時間が経過した場合か、または大入賞口に入賞した遊技球数が最大入賞数に達した場合かのいずれか一方の条件を満たすと、開放された大入賞口が閉鎖され、所定のラウンド間インターバル時間を挟んで、次のラウンド遊技に移行されるようになっている(後述の「2R短開放潜確大当り」の場合も同様)。ラウンド遊技間における上記「ラウンド間インターバル時間」は、「残存球排出時間」と、この残存球排出時間が経過してから次のラウンド遊技が開始されるまでの「開放前インターバル時間」とからなる。上記「残存球排出時間」とは、大入賞口の閉鎖後における大入賞口内部の残存球を排出するための余裕時間(たとえば、1980ms)を指す。
(4−2−2.2R短開放潜確大当りによる当り遊技)
2R短開放潜確大当りによる当り遊技(以下、「2R潜確大当り遊技」と称する)は、規定ラウンド数を2ラウンドとする大当りであり、本実施形態では、1回のラウンド遊技における大入賞口(大入賞口50)の最大開放時間は「短開放時間」の0.1秒に設定される。このように、最大開放時間が上記「短開放時間」に設定される開閉パターンを「短開放パターン」と称する。したがって、2R潜確大当り遊技では、大入賞口が短開放時間(0.1秒)しか開放されずに、そのラウンド遊技数も2ラウンド分と少ないことから、実質的には賞球が殆ど得られない大当り遊技となっている(正確には、大入賞口への入賞も発生する可能性はあるが、各ラウンド遊技の大入賞口の最大開放時間が短開放時間に設定される関係上、その可能性は低くなる)。
また特図1側の当り種別の2R潜確大当り遊技中の当り中演出(当り遊技中に現出される演出)は、特図1側の当り種別の2R短開放小当り中の当り中演出と実質的同一(同一または酷似)の演出が現出されるようになっている。つまり、この2R短開放潜確大当りによる当り中演出を含む当り遊技に係る動作は、2R短開放小当りに係る遊技動作と実質的に同一挙動を示し、遊技者側から見て、どちらの当り遊技が実行されているかの識別が困難または不可能とされる。これにより、2R短開放小当りに当選した場合であっても、高確率状態への移行契機となる「2R短開放潜確大当り」への当選期待感を遊技者に与えることができるようになっている。
(4−2−3.小当りによる当り遊技)
小当りによる当り遊技(以下、「小当り遊技」と称する)では、外見から捉えた大入賞口の開閉動作が、上記2R潜確大当り遊技のものと実質的に同一の動作態様で制御されるようになっている。詳述するに、この「小当り」は「条件装置」の作動契機とはならない当り種別であることから、「大当り」のようなラウンド遊技は実行されない。しかし2R潜確大当り遊技と実質的に同一の動作態様で大入賞口を開閉制御することにより、疑似的なラウンド遊技を実現させて、見た目上、あたかも2R短開放潜確大当りに当選したかの如く装うことを可能としている。
また小当り遊技中の当り中演出は、2R潜確大当り遊技中の当り中演出と実質的同一(同一または酷似)の演出が現出される。つまり、当り中演出を含む小当り遊技に係る動作は、2R短開放潜確大当りに係る遊技動作と実質的に同一挙動を示し、遊技者側から見て、確変または通常のどちらの当り遊技が実行されているかの識別が困難または不可能とされる。これにより、小当りに当選した場合であっても、高確率状態への移行契機となる「2R短開放潜確大当り」への当選期待感を遊技者に与えることができる。
なお上記では、2R潜確大当り遊技や小当り遊技では、最大開放時間を上記短開放時間に設定すると説明したが本発明はこれに限られない。たとえば、大入賞口への入賞がある程度許容されるように、15R確変大当り遊技と同じ長開放時間を設定しても良いし、上記最大入賞数に達することは困難または不可能であるが、大入賞口への入賞球数をある程度確保できるような開放時間(長開放時間よりも短く、短開放時間よりも長い中間的な開放時間:たとえば、5秒)に設定しても良い。また、大当りに係るラウンド遊技数は、適宜定めることができる。本実施形態の場合、図4に示すように、特別図柄1の当り種別は「15R長開放確変大当り」、「2R短開放潜確大当り」、および「小当り」であり、特別図柄2の場合の当り種別は、「15R長開放確変大当り」のみと説明したが、本発明はこれに限らず、特別図柄1、2の当り種別として、1または複数種類の当り種別を定めることができる。
(4−3.当り遊技終了後の遊技状態:図4)
次に図4を参照して、上記の各当り遊技後に移行される遊技状態について説明する。図4は、各当り遊技後に移行する遊技状態の説明に供する説明図である。図示の各遊技状態は、内部遊技状態ではなく、変動パターン選択モード(遊技状態)に着目した遊技状態を示してある。
(4−3−1.15R確変大当り遊技終了後の遊技状態)
本実施形態1では「即転落タイプ」の遊技機(図24(a))を扱っており、15R確変大当り遊技終了後は、図示のように、当り当選時の遊技状態にかかわらず転落抽選付の「確変状態」に移行され、その後は、転落抽選に当選するまで確変状態が継続される。
上記「転落抽選」は、主として、大当り抽選確率が高確率状態を伴う遊技状態(たとえば、確変状態や潜確状態)において実行される。この転落抽選に当選した場合、高確率状態が終了されて低確率状態に移行される。なお、転落抽選は、大当り抽選で「ハズレ(小当りを含んでも良い)」に当選した場合に実行されても良いし(大当り抽選優先タイプ)、転落抽選を実行した後、大当り抽選を実行しても良い(転落抽選優先タイプ)。後者の転落抽選優先タイプの場合、今回の図柄変動表示ゲームにおいて、転落抽選実行前までは高確率状態であるが、転落抽選に当選してしまい、大当り抽選実行のときには低確率状態で大当りの当否が抽選される場合がある。実施形態1〜6では、説明の便宜上、後者の転落抽選優先タイプを採用した遊技機として説明する。
上記「即転落タイプ」の遊技機(図24(a))の場合、今回の図柄変動表示ゲームで転落抽選に当選すると、高ベース遊技状態(電サポ有り状態)も終了され、「電サポ無し+低確率状態」の通常遊技状態に移行されるようになっている。
(4−3−2.2R潜確大当り遊技終了後、小当り遊技後の遊技状態)
2R潜確大当りや小当りの場合、図示のように、その2R潜確大当り遊技終了後の遊技状態や小当り遊技終了後の遊技状態は、次のようになる。
2R潜確大当り遊技後は、その当り当選時の遊技状態に応じて、移行先の遊技状態が異なり、本実施形態の場合、「通常状態」であった場合には「CZ(潜確)」(変動パターン選択モードは「CZ」、内部遊技状態は「潜確状態」)に、潜確状態であった場合は「潜確状態」に、「CZ(通常)」(変動パターン選択モードは「CZ」、内部遊技状態は「通常状態」)であった場合には「CZ(潜確)」に、「CZ(潜確)」であった場合は「潜確状態」に、確変状態であった場合には「確変状態」に移行されるようになっている。なお、当選時の遊技状態が潜確状態であった場合には、確変状態に移行させても良い。
ただし、小当り当選に起因した‘内部遊技状態’の移行制御は行わない一方、特別図柄の変動パターンの決定(演出の決定)に関する‘遊技状態(変動パターン選択モード)’の移行制御は行う。このような移行形態を利用し、たとえば、小当り遊技後の遊技状態と2R潜確大当り遊技後の遊技状態とを同じ遊技状態に移行させた場合には、双方で同じ演出をなす演出モード(秘匿演出モード)に滞在させ、小当り遊技後であっても、2R潜確大当り遊技後と同じ演出モード下による演出を発生させることが可能になる。これにより、演出上からは、2R短開放潜確大当りに当選して「潜確状態」に移行したかも知れない、という高確率状態への突入期待感を遊技者に与えることができるようになっている。上記「CZ」は、秘匿演出モードを現出させるための遊技状態(変動パターン選択モード)として利用される。
上記「CZ(潜確)」または「CZ(通常)」となった場合には、特別図柄変動表示ゲームの実行回数が所定回数(たとえば20回)終了するまでの間か、またはその所定回数内で大当りするまで当該「CZ」が継続し、その所定回数内で転落抽選に当選せずかつ大当りが確定することもなく特別図柄変動表示ゲームが終了したときには、当該「CZ」が終了して、内部遊技状態に応じて、次ゲームから「潜確状態」または「通常遊技状態」に移行し、内部遊技状態を演出上から、明らかにするようになっている。
(4−3−4.実施形態2に係る確変転落タイプ1の場合(図24の区分b〜c))
実施形態2に係る「確変転落タイプ1」の場合(図24(b)(c))、確変大当りに当選し、その大当り遊技終了後に転落抽選付の確変状態(高確率、電サポ有り)に移行するタイプである。大当り遊技終了後の転落抽選付の確変状態に移行した後、転落抽選にハズレ続け、電サポ保証100回転以内に大当りできないときは、「電サポ無し状態」に移行する。ここで「電サポ保証X回」とは、特別図柄変動表示ゲームの実行回数(特別図柄の変動回数。本実施形態では、特別図柄変動表示ゲーム1および2の合計実行回数(特別図柄1および2の合計変動回数))が所定の上限回数(X回)に達するまで、転落抽選に当選したか否かによらず、電サポ有り状態が保証されるという意味である。ただし、その所定の上限回数内で大当りが確定(当選)した場合は、再度、電サポ有り状態が上限回数保証されることになる。
したがって確変状態は、特別図柄変動表示ゲームの実行回数が所定回数(ここでは100回)に達することで、電サポ保証が終了し、その後は、高確率状態のままで電サポ無し状態、つまり「潜確状態(高確率、電サポ無し)」に突入する。この「潜確状態」中に転落抽選に当選した場合には、高確率状態から低確率状態に移行して、遊技状態が「潜確状態(高確率、電サポ無し)」から「通常状態(低確率、電サポ無し)」に移行する。
また、確変状態(高確率、電サポ有り(電サポ保証100回))中に転落抽選に当選した場合には、高確率状態から低確率状態に転落するが、電サポは無くならない。したがってこの場合は、「確変状態」から「時短状態(低確率、電サポ有り)」に移行し、残りの電サポ保証回数を消化するまでに大当りに当選しない場合は、電サポ有り状態が終了され、「時短状態」から「通常状態」に移行する。
また電サポ保証100回の確変状態中に確変大当り(たとえば、「15R長開放確変大当り」または「2R短開放潜確大当り」)に当選した場合、その当り遊技終了後、再び確変状態に突入する。したがって開放延長機能が付与されている上記電サポ保証回数100回の高ベース遊技状態中(確変状態中または時短状態中)に大当りに当選し続ける限り、次回もまた高ベース遊技状態下で15R長開放確変大当り引く可能性を獲得できることになる。
(4−3−5.実施形態3に係る確変転落タイプ2の場合(図24の区分d〜e))
実施形態3に係る「確変転落タイプ2」の場合(図24(d)(e))、実施形態2と同じく、確変大当りに当選し、その大当り遊技終了後に転落抽選付の確変状態に移行するタイプである。ただし、実施形態3に係る「確変転落タイプ2」の場合、転落抽選付の確変状態に移行した後、転落抽選にハズレ続け、電サポ保証100回転以内に大当りできないときは、転落抽選に当選するまで「確変状態」が継続するようになっている。この点、実施形態2と異なる。また電サポ保証100回転消化後の確変状態中に転落抽選に当選した場合には、実施形態1の「即転落タイプ」と同じく、即転落状態となり、転落抽選に当選した図柄変動表示ゲーム「通常状態」に移行される。他方、電サポ保証中の確変状態中に転落抽選に当選した場合には、上述の実施形態2に係る「確変転落タイプ1」と同じく、時短状態に移行し、残りの電サポ回数を消化するまでに大当りに当選しない場合は、電サポ有り状態が終了され、「時短状態」から「通常状態」に移行する。
(4−3−6.実施形態4に係るST機タイプの場合(図24の区分f))
実施形態4に係るST機タイプの場合(図24(f))、確変大当りに当選し、その大当り遊技終了後に「回数切り確変状態(ST)」に移行するタイプである。実施形態4に係るST機タイプの場合(図24(f))、その大当り遊技終了後の「確変状態」が、特別図柄変動表示ゲームの実行回数が所定回数(たとえば、100回)終了するまでの間か、またはその所定回数内で大当りが確定(当選)するまで確変状態が継続する。しかし、その所定回数内で大当りに当選しなかった場合には、確変状態が終了して、次ゲームから「通常状態」に移行される。この実施形態4に係るST機タイプは、大当り抽選確率が少なくとも高確率状態となる遊技状態に移行された後、大当り(ただし、内部遊技状態の移行契機とならない「小当り」は除く)に当選することなく特別図柄変動表示ゲームが所定回数終了した場合、高確率状態を終了させて大当り抽選確率を低確率に移行させるという「回数切りの確変機(ST機)」であり、この点、実施形態1〜3のように、転落抽選により低確率状態に転落する「転落タイプ遊技機」とは異なる。この高確率状態が継続される特別図柄変動表示ゲーム(特別図柄の変動回数)の上限回数を「規定ST回数」と称する。
(4−3−7.実施形態5に係る「電サポ付大当りを複数種類含むタイプ」の場合(図24の区分g〜h))
実施形態5(図24の区分g〜h)は、本明細書において、「電サポ付大当りを複数種類含むタイプ」として分類している遊技機に係るものである。ここでは、その一例として、時短状態への移行契機となる複数種類の「時短大当りを含むタイプ」の遊技機を例示してある。図示では、時短大当りとして、時短状態の終了回数がそれぞれ異なる(20回、30回、40回)の複数種類の時短大当り(時短大当りA〜C)を設けたものを例示してある。実施形態5では、大当り遊技終了後、時短大当りAは電サポ保証(時短回数)20回転、時短大当りBは電サポ保証30回転、時短大当りCは電サポ保証40回転とする時短大当りである。
実施形態5の場合、電サポ保証回数以内に大当りできないときは、時短状態が終了し(「電サポ有り状態」が終了)、「通常状態」に移行する。ここで、大当り遊技後の演出モード下の演出においては、少なくとも時短回数を秘匿状態とすることが好ましい。より好ましくは、時短大当りA〜Cの大当り遊技態様および当り中演出をそれぞれ同一または類似するものとして、いずれの時短大当りが当選したのかをも遊技者から秘匿状態とする。このようにすれば、いずれの時短大当りに当選したか、つまり、付与される電サポ保証回数(本例では、時短回数)が遊技者に悟られてしまうのを避け、電サポ有り状態がどこまで続くのかを遊技者に期待させることができるので、遊技者の遊技興趣を盛り上げることができる。
また実施形態5の場合、電サポ付大当り種別として、1または複数種類の時短大当りと、1または複数種類の確変大当りとを含んでも良い。この場合、電サポ付大当りのうち、第1の電サポ付き大当りと第2の電サポ付き大当りとで、電サポ保証回数を異ならせることが好ましい。なお、時短大当りの大当り遊技態様(ラウンド数や大入賞口の開放パターンなど)は、確変大当りと同じものであっても良いし、異なっていても良く、適宜設定することができる。
(4−3−8.実施形態6に係る「電サポ無し大当り」を含むタイプの場合(図24の区分i))
実施形態6(図24の区分i)は、本明細書において「電サポ無し大当りを含むタイプ(少なくとも通常大当りを含むタイプ)」として分類している遊技機に係るものである。
上記した実施形態1〜6に関して、本発明の目的を達成できるものであれば、どのような大当り種別を設けても良い。たとえば、実施形態1の場合、図4(イ)に示すように、特別図柄1の場合の当り種別は「15R長開放確変大当り」、「2R短開放潜確大当り」、および「小当り」であり、特別図柄2の場合の当り種別は、図4(ロ)に示すように、「15R長開放確変大当り」のみとなっているが、これに限らず、特別図柄1または2の抽選対象の当り種別には、1または複数種類の確変大当り、時短大当り、通常大当り、または小当りを設けることができる。
<5.演出について>
(5−1.演出モード)
次に、演出モード(演出状態)について説明する。本実施形態1のパチンコ遊技機には、遊技状態の移行に関連する演出をなす複数種類の演出モードが設けられており、その演出モード間を行き来可能に構成されている。上記演出モードには、具体的には、「「通常状態」」滞在中はこれに関連する演出をなす「通常演出モード」、「「CZ(CHANCE ZONE)」」滞在中はこれに関連する演出をなす「CZ演出モード」、「潜確状態」滞在中はこれに関連する演出をなす「潜確演出モード」、「確変状態」滞在中はこれに関連する演出をなす「確変演出モード」といった、各遊技状態に応じた複数種類の演出モードが設けられている。また「確変状態」滞在中は、電サポ有り状態(確変状態や時短状態)からの転落を暗示する演出をなす「転落暗示演出モード」が複数種類設けられている。なお上記「CZ演出モード」または「転落暗示演出モード」は、演出上、現在の大当り抽選確率状態(内部遊技状態)を秘匿状態とし、遊技者に高確率状態の期待感を煽る演出をなす「秘匿演出モード」として働く。
演出制御部24(CPU241)は、複数種類の演出モード間を移行制御する機能部(演出状態移行制御手段)を有する。演出制御部24(CPU241)は、主制御部20(CPU201)から送られてくる特定の演出制御コマンド、具体的には、現在の遊技状態(内部遊技状態を含む)を指定したり、遊技状態が移行される旨を指定したりする、といった主制御部側で管理される遊技状態に関する情報を含む「特定の演出制御コマンド」に基づいて、主制御部20側で管理される遊技状態と整合性を保つ形で、複数種類の演出モード間を移行制御可能に構成されている。「特定の演出制御コマンド」には、上記「変動パターン指定コマンド」、遊技状態の変化があった場合に送信され、現在の遊技状態を指定するための「遊技状態指定コマンド」、後述の「転落コマンド」や「残り電サポ回数コマンド」、当り中に送信される所定のコマンド(「大当り開始インターバルコマンド(大当り開始コマンド)」、「大当り終了インターバルコマンド(大当り終了コマンド)」)などがある。また演出制御部24は、遊技状態に関連した演出モードを管理する機能部(演出状態管理手段)を有する。演出制御部24(演出状態管理手段)は、上記の特定の演出制御コマンドにより、少なくとも主制御部20側で管理される遊技状態(変動パターン振分指定番号(Tcode))を把握し、主制御部20側と整合性を保つ形で、演出モードを移行制御可能に構成されている。本実施形態の演出制御部24は、上記の特定の演出制御コマンドにより、主制御部20側で管理される内部遊技状態および変動パターン振分指定番号(Tcode)を管理可能に構成され、遊技状態の切り替わりタイミングを把握可能となっている。詳細は後述するが、本実施形態の場合、遊技状態が切り替わることに応じて、右打ち状態であるか左打ち状態であるかを遊技者に指示する「発射誘導報知演出」を現出可能となっている。
(5−2.各演出モード下の基本的演出)
また各演出モードでは、遊技者がどのような遊技状態に対応した演出モード下に滞在しているのかを把握できるように、演出モードのそれぞれにおいて、装飾図柄の変動表示画面のバックグラウンドとしての背景表示が、基本的には、それぞれ異なる背景演出に切り替え制御されるようになっている。また背景画像演出を各演出モードに応じて変化させるものに限らず、各演出モードに対応した異なる絵柄の装飾図柄を利用したり、音演出や光演出などを変化させたりすることにより各演出モードを示唆する。これには、当選期待度の観点からではなく、遊技者が不利な遊技状態に転落する観点から見て、その転落をそれとなしに暗示する「転落暗示演出モード」の演出(図34、図35)も含まれる。
(5−3.現在の遊技状態をそれとなしに知らせる暗示情報を付与する演出モード:図34、図35)
また本実施形態1のパチンコ遊技機では、現在の遊技状態が転落前であるか転落後であるかを、それとなしに遊技者に知らせるため、遊技状態に関連する複数種類の演出モードが設けられ、その演出モードを示唆する演出を行き来するように構成されている。
上記演出モードとして、本実施形態1では、主制御部20側で管理される現在の遊技状態が高確率状態にあるか否かを暗示する演出の演出モードとして、遊技状態が高確率状態にある可能性が低い順に演出モードA、B、Cの三種類が設けられている(図34、図35参照)。「演出モードA」は遊技状態が高確率状態にある可能性が最も低く、したがって開放延長機能付きの高ベース状態であっても確変状態または時短状態の可能性は低く、開放延長機能付加なしの低ベース状態であれば通常状態である可能性の方が高い演出モードである。「演出モードB」は遊技状態が高確率状態にある可能性が中程度で、したがって開放延長機能付きの高ベース状態であれば確変状態または時短状態の可能性について希望が持て、開放延長機能付加なしの低ベース状態であっても通常状態である可能性は中程度と推測できる演出モードである。「演出モードC」は遊技状態が高確率状態にある可能性が最も高く、したがって開放延長機能付きの高ベース状態であれば確変状態または時短状態の可能性について確信が持て、開放延長機能付加なしの低ベース状態であっても通常状態である可能性は薄いと推測できる演出モードである。
また保留内に大当りする保留記憶(保留内連チャン)が確定することを報せる演出である演出モードDと、開放延長機能が付加されている電サポ保証100回の変動回数以内に大当りする可能性が高い状態であることを報せる演出モードEとが設けられている(図34、図35参照)。
(5−4.予告演出)
次に、予告演出について説明する。演出制御部24は、上述した演出モード下において、主制御部20からの演出制御コマンドの内容、具体的には、少なくとも変動パターン指定コマンドに含まれる変動パターン情報(たとえば、当落抽選結果、リーチ演出の有無、および特別図柄の変動時間など)に基づき、上記演出モードと大当り抽選結果とに関連した様々な予告演出を現出制御する機能部(予告演出現出制御手段)を備える。予告演出現出制御手段に関し、実施形態1〜3のような転落抽選機能付の機種(転落タイプの機種)の場合には、少なくとも「変動パターン指定コマンド」と「転落コマンド」(装飾図柄指定コマンドを含んでも良い)とに含まれる情報(たとえば当落抽選結果情報、リーチ演出の有無、疑似連の有無、特別停止図柄種別情報(当り種別情報)、特別図柄の変動時間情報、転落抽選結果情報など)に基づき、様々な予告演出を現出制御可能に構成されており、実施形態4〜6のような転落タイプでない機種の場合には、「変動パターン指定コマンド」と「装飾図柄指定コマンド」とに含まれる情報に基づき、様々な予告演出を現出制御可能に構成されている。
斯様な予告演出態様は、当り種別に当選したか否かの信頼度または期待度(以下、「当選期待度」と称する)を示唆(予告)し、遊技者の当り種別への当選期待感を煽るための「煽り演出」として働く。予告演出として代表的なものは、「リーチ演出」の他、「疑似連演出」などがある。「疑似連演出」とは、装飾図柄の疑似的な連続変動表示状態(疑似変動)を伴う演出態様をいい、「疑似変動」とは、装飾図柄変動表示ゲーム中において、装飾図柄の一部または全部を一旦仮停止状態(見た目上、停止表示したかのように装う変動停止動作)とし、その仮停止状態から装飾図柄の再変動表示動作を実行する、といった表示動作を1回または複数回繰り返すことにより、見た目上、1回の図柄変動表示ゲーム中に、装飾図柄の変動表示動作が複数回実行されているように表現する変動表示態様をいう。この点、複数回の図柄変動表示ゲームに跨って展開されるような後述の「先読み予告演出(連続予告演出)」とは異なる。
この疑似変動を行う場合には、たとえば、仮リーチ状態(リーチ状態の可能性がある旨を示唆したり、リーチ図柄が形成されるかの如く装ったりする変動表示態様)を形成しながら、一旦ハズレとなる図柄の組合せで仮停止状態としてから再変動表示動作を実行したり、あるいは、通常の装飾図柄に替えて特殊な装飾図柄(疑似連の発生可能性がある旨を示唆する特殊な装飾図柄(疑似連発動チャンス図柄))を含ませた図柄の組合せで仮停止状態としてから再変動表示動作を実行したりすることができる。したがって、疑似連演出には、見た目上、1回の図柄変動表示ゲーム中に、装飾図柄の変動表示動作が複数回実行されているかのように表現する演出態様の他、上述の「疑似連発動チャンス図柄」を利用して、疑似変動の発生可能性を遊技者に示唆しながら実行される演出態様を含むことができる。
また予告演出には、未だ図柄変動表示ゲームの実行(特別図柄の変動表示動作)には供されていない作動保留球(未消化の作動保留球)について、大当りの当選可能性がある旨(当選期待度)を事前に報知する、所謂「先読み予告演出」がある。この先読み予告演出については、まず主制御部20において、作動保留球が発生した場合(始動条件が成立した場合)、当該作動保留球が図柄変動表示ゲームの実行(特別図柄の変動表示動作)に供される前に、当該作動保留球に係る大当り抽選結果を事前に判定する「先読み当り判定」が行われる。
さらに上記「先読み当り判定」結果を利用して、将来、その作動保留球が図柄変動表示ゲームの実行に供された際の特別図柄の変動パターン(変動開始時の変動パターン)を事前に判定する「先読み変動パターン判定」が行われる(図10のS319(始動口入賞時乱数判定処理))。この事前に判定される特別図柄の変動パターンを「先読み変動パターン」と称する。この先読み変動パターン判定では、たとえば、どのようなリーチ状態を経由するリーチ変動パターンとなるのか、それともリーチ状態を経由しない通常変動パターンとなるのかについて事前に判定される。
なお上記先読み変動パターンは、少なくとも当落抽選結果(本実施形態では、当落抽選および図柄抽選の事前判定結果)を利用して判定されるため、演出制御部24側に送信される先読み変動パターン情報には、リーチの有無、リーチ演出種(当選期待度に応じたリーチ演出の種類)、疑似連の有無やその回数などに関する情報だけでなく、変動開始時の変動パターンが、大当り(小当りを含む)当選時の「当り変動パターン」であるか、ハズレ当選時の「ハズレ変動パターン」であるかの情報も含まれる。この先読み変動パターンの情報が主制御部20から演出制御部24に送信されると、演出制御部24において先読み予告演出に関する演出制御処理(図18のS714等参照)が行われる。このように、先読み当り判定を経て先読み変動パターンを判定する一連の処理を「先読み判定」と称する。
先読み予告演出としては、次のようなものがある。図5を参照して、実施形態1〜6のパチンコ遊技機1では、液晶表示装置36の画面内の一部に(図示では、装飾図柄の表示エリアの下方左側)、特別図柄1側の作動保留球数を表示する保留表示領域76と、特別図柄2側の作動保留球数を表示する保留表示領域77とが設けられており、作動保留球の有無に関しては、その旨を点灯状態(作動保留球あり:通常色である白色の作動保留球ありの場合(通常保留表示態様)は白丸印で、また青、黄、緑、赤、D柄、虹色などの色付きの作動保留球ありの場合(専用保留表示態様)はハッチングを施した丸印で示す)か、あるいは消灯状態(作動保留球なし:図示の破線の丸印で示す)にて示し、現在の作動保留球数に関する情報が報知されるようになっている。
この作動保留球の有無に関する表示(以下、「保留表示」と称する)は、その発生順(入賞順)に順次表示され、各保留表示領域76、77には最大4個の保留表示が可能となっている。具体的には、各保留表示領域76、77において、一番左側の作動保留球が、当該保留表示内の全作動保留球のうち時間軸上で一番先に生じた(つまり最も古い)作動保留球として表示される。この実施形態では、図示のように、液晶表示装置36の画面内の一部に、最大保留記憶数と同数(4個)だけ設けた保留アイコン(アイコン画像)からなる保留表示部a1〜d1(特図図柄1側に対応)、a2〜d2(特図図柄2側に対応)が設けられている。これらの保留表示部a1〜d1、a2〜d2を使用して、先読み予告演出を実行することができる。たとえば、通常は、先読み判定する際に存在する作動保留球数と同数、たとえば3個だけ、その表示態様が作動状態(点灯状態)に切り替える。したがって、この保留表示部が作動保留数を表示する保留表示手段として働く。しかし、先読み予告演出を実行する場合は、保留表示部a1〜d1、a2〜d2のうちの該当する一の保留表示部の保留表示態様を所定の先読み予告表示態様(専用保留表示態様)に変更し、これにより先読み予告演出を発生させる手段として働く。
先読み予告を現出する場合、上記保留表示部a1〜d1、a2〜d2の保留アイコンのうちで、その先読み予告対象となった保留アイコンが、たとえば、通常の保留表示の白色から、予告表示の青色、黄色、緑色、赤色、D柄、または虹色などの専用保留色に変化するといった「保留表示変化系」の先読み予告演出が行われる(たとえば、図6(1)の先読み予告当選保留)。ここで、保留アイコンの青色、黄色、緑色、赤色、D柄、虹色の表示は、この保留色の順に、当選期待度が高いことを意味しており、青色、黄色、緑色は当選期待度が相対的に低い低期待感演出(低期待度演出)に属し、赤色、D柄、虹色は当選期待度が相対的に高い低期待感演出(高期待度演出)に属し、特に虹色の保留アイコンの表示は、大当り確定(当確)表示となるプレミアム的な保留アイコンとなっている。いずれの保留色に変化させるかについては、先読み変動パターンの内容に基づいて抽選により決定される。具体的には、「ハズレ」よりも「大当り」の方が、また当選期待度が相対的に高いリーチ種別の場合の方が、当選期待度の高い保留色が高確率で選択されるようになっている。
現存する作動保留球は、図6の(1)〜(4)に示すように、図柄変動表示ゲームの実行を契機に順次消化される。このとき、作動保留球が1つ消化したことを表現するべく、現存する作動保留球に対応した保留表示部の表示位置を繰り上げ移行され(順次左側にシフト)、その表示個数が減じられるといったシフト表示制御が行われるが、上記した通常と異なる保留表示態様は、この間も保留表示の表示位置を変えながら連続的に表示され続ける(図6(1)〜(3)参照)。この点、上記の保留表示変化系(入賞時変化系)の先読み予告演出(保留変化予告)は、1または複数回の図柄変動表示ゲーム(複数回の図柄変動表示動作)にて専用の予告演出を現出させうるといった「連続予告演出」の一態様であるといえる。なお、「保留表示変化系」の先読み予告演出は、作動保留球発生時に発生する場合もあるし、入賞時は通常保留表示態様であるが、シフト表示された際に専用保留表示態様に変化する場合もあり、どのようなタイミングで保留表示を変化させるかは、適宜定めることができる。また、専用保留表示態様に変化した後にも、さらに他の専用保留表示態様に変化させることもできる。たとえば、入賞時に青色保留に変化した後、シフト表示した際に黄色保留に変化させることができる。
また、保留表示領域76、77の左側には、現に特別図柄変動表示ゲームに供されている作動保留球(以下「ゲーム実行中保留」と称する)を示すための変動中表示領域78が設けられている。この実施形態の場合、変動中表示領域78は、受座Jのアイコン上に、現在ゲームに供されているゲーム実行中保留Kのアイコンが載る形の画像が現れるように構成されている。すなわち、特別図柄1または特別図柄2の変動表示が開始される際に、保留表示領域76、77に表示されていた最も古い保留a1またはa2のアイコン(アイコン画像)が、ゲーム実行中保留Kのアイコンとして、変動中表示領域78おける受座Jのアイコン上に移動し、その状態が所定の表示時間にわたり維持される。このゲーム実行中保留Kが受座J上に載る際には、基本的には、保留表示領域76、77での保留表示態様と同じ表示態様が維持され、今回の図柄変動表示ゲームに係る作動保留球を対象とした先読み予告表示態様(専用保留表示態様)が当該ゲーム中においても遊技者に報知される。これにより、遊技者に対し、当選期待感を煽ることができるようになっている。保留表示がゲーム実行中保留Kとして表示される場合、保留表示領域76、77での保留表示態様とは異なる保留表示態様を現出可能となっている。たとえば、図柄変動表示ゲーム中の所定のタイミングで、アイコンの表示色が変化したり(たとえば、保留表示領域76、77に表示されていた保留表示態様よりも当り当選期待度が相対的に高い保留表示態様に変化する)、別の形状(たとえば、当り当選期待度を示唆、または疑似連発生(疑似連回数)を示唆するキャラクタ画像やアイテム画像など)に変化したりするようになっている。これにより、今回の特別図柄変動表示ゲームに関する当選期待度がより明確に報知される。
また本実施形態では、上述の「保留表示変化系」の先読み予告演出とは異なり、図柄変動表示ゲームが開始したことを契機としてなされる「変動開始時変化系」の先読み予告演出を現出可能となっている。この「変動開始時変化系」の先読み予告演出とは、たとえば、図6(2)に示すように、液晶表示装置36の画面に先読み専用の予告画像(図示の稲妻画像)を表示させ、これを1または複数回の図柄変動表示ゲームにて実行し、単発的または連続的に表示させるといった「画像表示変化系」の先読み予告演出である。この点、「変動開始時変化系」の先読み予告演出も「保留表示変化系」の先読み予告演出と同じく、複数回の特別図柄変動表示ゲームに跨って専用の予告演出を現出させるといった「連続予告演出」の一態様であるといえる。「画像表示変化系」の先読み予告演出は、保留表示変化系の先読み予告の終了(先読み予告対象保留が図柄変動表示ゲームに供されたとき)に伴い終了させても良いし、図6(4)に示すように、先読み予告対象保留が図柄変動表示ゲームに供され、保留表示変化系の先読み予告が終了した当該ゲームにおいても、単独的に現出させても良い。
(5−5.演出手段)
パチンコ遊技機1に係る演出手段は、視覚、聴覚、触覚など、人間の知覚に訴えることにより演出効果を発揮し得る刺激伝達手段であれば良く、装飾ランプ45やLED装置などの光発生手段、スピーカ46などの音響発生装置、液晶表示装置36などの演出表示装置、操作者の体に振動を伝える加振装置、遊技者の体に風圧を与える風圧装置、ないし、その動作により視覚的演出効果を発揮する可動体役物などは、その代表例である。
<6.実施形態一覧:図24>
ここで図24に戻り、本発明の各実施形態1〜6について、「右打ちから左打ち誘導報知への切り替えが生じる遊技状態の移行態様」と、「右打ちから左打ち誘導報知へ切り替わるタイミング」とを、誘導報知の表示態様と関連させながら、まとめて説明する。上記「右打ちから左打ち誘導報知への切り替えが生じる遊技状態の移行態様」とは、電サポ有り状態を伴う遊技状態から電サポ無し状態を伴う遊技状態に移行する場合である。なお、各実施形態1〜6において、遊技状態の移行に関して既に説明した内容については、重複記載を避けるために適宜省略する。
(6−1.右打ちから左打ち誘導報知への切り替えが生じる遊技状態の移行態様)
(実施形態1の場合:図24の区分a)
実施形態1(図24の区分a)に係る即転落タイプの遊技機では、大当り遊技が終了すると確変状態(高確率、電サポ有り)に移行し、この確変状態中に大当り抽選と転落抽選とが行われて、先に転落抽選に当選した場合には、その時点で遊技状態が確変状態から通常状態(低確率、電サポ無し)に移行する。したがって、実施形態1では、この確変状態から通常状態への移行する際に、右打ちから左打ち誘導報知への切り替えが生じる。
(実施形態2の場合:図24の区分b〜c)
実施形態2(図24の区分b〜c)に係る「確変転落タイプ1」の遊技機では、大当り遊技が終了すると確変状態(高確率、電サポ有り)に移行し、この確変状態中に大当り抽選と確変転落抽選とが行われる。そして、保証サポ保証回数(たとえば100回転)以内の図柄変動表示動作において先に転落抽選に当選した場合には、その時点で遊技状態が確変状態から時短状態(低確率、電サポ有り)に移行する。また、電サポ保証回数の100回転内において大当り抽選にも転落抽選にも当選しなかった場合は、電サポ保証回数を超えた101回転目において確変状態が終了して潜確状態(高確率、電サポ無し)に移行し、その後は転落抽選に当選しない限り潜確状態が継続し、大当り抽選に当選するよりも先に転落抽選に当選した場合には、潜確状態から通常状態(低確率、電サポ無し)に移行する。したがって、実施形態2では、確変状態から潜確状態への移行する際に、または時短状態から通常状態に移行する際に、右打ちから左打ち誘導報知への切り替えが生じる。
(実施形態3の場合:図24の区分d〜e)
実施形態3(図24の区分d〜e)に係る「確変転落タイプ2」の遊技機では、大当り遊技が終了すると確変状態(高確率、電サポ有り)に移行し、この確変状態中に大当り抽選と転落抽選とが行われて、電サポ保証回数(たとえば100回転)以内の図柄変動表示動作において先に転落抽選に当選した場合には、その時点で遊技状態が確変状態から時短状態(低確率、電サポ有り)に移行するが、電サポ保証回数の100回転内において大当り抽選にも転落抽選にも当選しなかった場合は、電サポ保証回数を超えた101回転目以降も確変状態が継続し、101回転目以降において、大当り抽選に当選するよりも先に転落抽選に当選した場合には、直ちに確変状態から通常状態(低確率、電サポ無し)に移行する。したがって、実施形態3では、確変状態から通常状態への移行する際に、または時短状態から通常状態に移行する際に、右打ちから左打ち誘導報知への切り替えが生じる。
(実施形態4の場合:図24の区分f)
実施形態4(図24の区分f)に係る「ST機タイプ」の遊技機では、大当り遊技が終了すると確変状態(高確率、電サポ有り)に移行し、その後、所定の規定回数だけ確変状態が継続し、その間に大当りしなければ確変状態から通常状態(低確率、電サポ無し)に移行する。したがって、実施形態4では、確変状態から通常状態への移行する際に、または時短状態から通常状態に移行する際に、右打ちから左打ち誘導報知への切り替えが生じる。
(実施形態5の場合:図24の区分g〜h)
実施形態5(図24の区分g〜h)に係る「電サポ付大当りを含むタイプ」の遊技機では、大当り遊技が終了すると時短状態に移行するが、時短大当りA〜Cのいずれの時短大当りに当選したかに応じて、その時短回数が20回、30回、40回の3種類のいずれかで終了する。したがって、実施形態5では、時短大当りA〜Cのいずれかに当選した場合、時短状態から通常状態への移行する際に、右打ちから左打ち誘導報知への切り替えが生じる。
(実施形態6の場合:図24の区分i)
実施形態6(図24の区分i)に係る「電サポ無し大当り(通常大当り)を含むタイプ」の遊技機では、大当り遊技が終了すると通常状態(低確率、電サポ無し)に移行する。したがって、実施形態6では、通常大当りの場合は、大当り遊技から通常状態への移行する際に、右打ちから左打ち誘導報知への切り替えが生じる。
(6−2.誘導報知の表示態様:図25)
図25に実施形態1〜6における誘導報知の表示態様を示す。
右打ちと左打ちのどちらが遊技者に有利であるかについて説明すると、実施形態1〜6(区分a〜i)の遊技機は、いずれも遊技盤3内の右側(右流下経路3c側)に、開放延長機能により入賞率を変動可能な入賞装置(普通変動入賞装置41)が存在することを前提としている。また、右流下経路3c側に大入賞口50が属するため、上記区分a〜iの遊技機のいずれにおいても、「大当り遊技中」および「電サポ有り中(確変状態中、時短状態中)」においては、「右打ち」が有利である。そこで、遊技球の打ち出し方向を示す発射誘導情報としての誘導報知画像(発射誘導報知演出)が、右打ち方向を示す表示態様で表示される。
本実施形態1〜6においては、この誘導報知画像373の「右打ち方向を示す表示態様」として、図25(a)に示すように、右向き矢印画像374aが複数個一直線状に並んで右方向に一定速度または間欠的に順次移動する「右矢印右移動」の「動的表示態様」が用いられ、この「右矢印右移動」の動的表示態様による右向き矢印画像374aが、装飾図柄や予告演出の邪魔にならない位置に表示される。本実施形態の場合、液晶画面内の右上隅に表示される。なお、図25(a)中に加えた破線矢印375は、矢印画像374aの「指し示す方向」が当該矢印画像374aの「移動方向」と異なる場合(図25(b))があるため、当該矢印画像374aの「移動方向」が右または左のいずれであるかを理解しやする便宜のために図中に書き添えたものであり、液晶画面に表示される矢印画像を示したものではない。この右向き矢印画像374a(図示の複数個からなる矢印画像群)は液晶画面の上部右側に略同一のサイズ、同一色または同一系統の色で表示される。
その後、図24の「遊技状態の移行」の欄に示すような状態の切り替わり、たとえば即転落タイプ(区分a)の遊技機において確変状態から通常状態への移行が生じると、電サポが無くなるため右打ちが有利であるという理由が消失し、左打ちの方が有利である状態になる。そこで、遊技球の打ち出し方向を示す誘導報知画像として、左打ちを示す誘導報知画像が、図24の右側欄に示す所定のタイミングにおいて現出する。この左打ちを示す誘導報知画像は、既に右打ちを示す誘導報知画像が消失していた場合には、その消失期間の経過後に「新たに表示される形」で現出することになり、また右打ちを示す誘導報知画像が直前まで継続していた場合は、その右打ち誘導報知画像から左打ち誘導報知画像に「切り替わる形」で現出する。以下、説明上の便宜のため、この「新たに表示される形」および「切り替わる形」を特に区別することなく、切り替わる直前まで右打ち誘導報知が継続している場合、つまり左打ち誘導報知に「切り替わる形」を代表例として説明する。
本実施形態1〜6においては、この誘導報知画像373の「左打ち方向を示す表示態様」として、図25(b)に示すように、左向き矢印画像374bが複数個一直線状に並んで右方向に一定速度または間欠的に順次移動する「左矢印右移動」の「動的表示態様」が用いられ、この「左矢印右移動」の動的表示態様による左向き矢印画像374bが液晶画面内の右上隅に映し出される。なお、図25(b)中に加えた破線矢印375は、矢印画像374bの「指し示す方向」が当該矢印画像374bの「移動方向」と異なっているため、当該矢印画像374bの「移動方向」が右または左のいずれであるかを理解しやする便宜のために図中に書き添えたものであり、液晶画面に表示される矢印画像を示したものではない。この左向き矢印画像374bは、右向き矢印画像374aが現出していた液晶画面上の位置と同一または略同一の位置(画面の上部右側)にて、かつ右向き矢印画像374aと同一または略同一のサイズ、同一色または同一系統の色もしくは類似した色で表示される。「類似した色」とは、色相環が、たとえば、マンセル表色系色相環、商工会議所カラーコーディネーションチャート(CCIC)表色系色相環、日本色研配色体系(PCCS)色相環、ナチュラルカラーシステム(NCS)表色系色相環、またはオストワルト色相環等であり、−15°〜+15°(色相差が1)の隣接色である。
本実施形態では、右向き矢印画像374aから左向き矢印画像374bに切り替え表示する場合、左向き矢印画像374bを右向き矢印画像374aが現出していた液晶画面上の位置と同一または略同一の位置(画面の上部右側)に表示し、さらに右向き矢印画像374aと同一または略同一のサイズ、同一色または同一系統の色もしくは類似した色で表示する。つまり、発射誘導情報報知が右打ち誘導報知から左打ち誘導報知に切り替った際に、左向き矢印画像374bを右向き矢印画像374aと明確に区別されるような画像で表示せずに、矢印画像の変化を即座に悟られないような画像表示演出を現出させ、「右矢印右移動」から「左矢印右移動」へという発射誘導情報の切り替わりを遊技者にとり認識し難い状況を作り出している。このような画像表示演出を現出させる理由について、左打ち誘導報知への切り替りタイミングを踏まえながら説明する。
(6−3.左打ち誘導報知への切り替りタイミング)
上記したように誘導報知画像373は遊技機の種類と遊技機の移行状態に応じて「右矢印右移動」の右向き矢印画像374aから「左矢印右移動」の左向き矢印画像374bへと切り替わる。この切り替えが行われる時点(境界)を詳しく観察するならば、切り替えが行われるタイミングには、(i)遊技状態が変化する前の図柄変動の終端において行われる場合と、(ii)遊技状態が変化した図柄変動の始端で行われる場合との二種類がある。図24の区分a〜iのケースの場合、このいずれかのタイミングにおいて左打ち報知への切り替えが行われる。
(区分aの確変→通常のケースの場合)
実施形態1の区分aは「即転落タイプ」において確変状態中に転落抽選に当選して通常状態に移行するケースを扱っており、転落抽選に当選して通常状態に転落した時点で電サポが無くなる(図26に示す具体例1、時刻t6参照)。そこで、区分aのケースでは、転落抽選に当選した図柄変動表示ゲームの開始タイミング、つまり転落した当該図柄変動の始端で、誘導報知画像373が「左矢印右移動」の左向き矢印画像374bへ切り替わる。
(区分bの時短→通常のケースの場合、具体例2A)
実施形態2の区分bは、「確変転落タイプ1」において、確変状態中の電サポ保証100回転以内に転落抽選に当選したケースを扱っている。この区分bのケースの場合、転落した時点から時短状態となり(図29に示す具体例2A、時刻t6参照)、その後、電サポ保証100回転目(図29に示す具体例2A、時刻te参照)が到来するまで時短状態が続き、次回の図柄変動(101回転目)で時短状態から通常状態になる。そこで誘導報知画像373の切り替えタイミングとして、次回の101回転目の図柄変動の始端から、誘導報知画像373を「左矢印右移動」の左向き矢印画像374bへ切り替えることが考えられる。
しかし101回転目の図柄変動に供される保留記憶が無い場合を考慮すると、電サポ保証100回転目が終了したときに、誘導報知画像373が「左矢印右移動」の左向き矢印画像374bへと切り替わっていなければならない。何故なら、101回転目の入賞を行わせるためには、保留記憶ゼロの状態で打ち出しを開始しなければならず、その打ち出しの際に打ち出し方向の指示が「右打ち」のままとなっていたのでは、遊技者は打ち出し開始の際に「右打ち」の誘導報知に従って打ち出しを行うことになり、不利な方向の打ち出しを強いられることになるからである。そこで区分bのケースでは、電サポ保証100回転目の図柄変動が終了したタイミング、つまり電サポが無くなる101回転目の図柄変動の直前の図柄変動(100回転目の図柄変動)の終端で、誘導報知画像373が「左矢印右移動」の左向き矢印画像374bへ切り替えられる。
(区分cの確変→潜確のケースの場合、具体例2B)
実施形態2の区分cは、「確変転落タイプ1」において、確変状態中の電サポ保証100回転以内に転落抽選に当選することなく電サポ保証100回転目が到来したケースを扱っている。この区分cのケースの場合、電サポ保証100回転目が終了した時点(図30に示す具体例2B、時刻te参照)から潜確状態となって電サポが無くなるため、100回転目終了後から右打ちが遊技者に不利な状況下になる。そこで区分cのケースの場合は、区分bの場合と同じく、101回転目の図柄変動を行わせる保留記憶が無い場合を考慮して、電サポ保証100回転目の図柄変動が終了したタイミング、つまり電サポ有りの終了契機となる100回転目の図柄変動(直前の図柄変動)の終端(または終了直後)、誘導報知画像373が左矢印右移動」の左向き矢印画像374bへ切り替えられる。
(区分dの時短→通常のケースの場合、具体例3A:具体例2Aと同じ)
実施形態3の区分dは、「確変転落タイプ2」において、確変状態中の電サポ保証100回転以内に転落抽選に当選し、転落した時点から時短状態となるケース(具体例3A)を扱っている。この区分dのケースにおける切り替えタイミングは、具体例2Aと同じになる。すなわち、この区分dのケースの場合も、区分bの場合と同じく、時短状態に転落した後に電サポ保証100回転目が到来し(図29に示す具体例2A、時刻te参照)、この100回転目終了後に時短状態から通常状態になるので、電サポ保証100回転目の図柄変動が終了したタイミング、つまり電サポ有りの終了契機となる100回転目の図柄変動の終端で、誘導報知画像373が「左矢印右移動」の左向き矢印画像374bへ切り替えられる。
(区分eの確変→通常のケースの場合、具体例3B)
実施形態3の区分eは、「確変転落タイプ2」において、確変状態中の電サポ保証100回転を越えても転落抽選に当選しておらず、それより後も確変状態が続いて、130回転目(図36の時刻t6参照)で転落抽選に当選したケース(具体例3B)を扱っている。この区分eのケースの場合、当該130回転目の図柄変動から通常状態となって電サポが無くなり、右打ちが遊技者に不利な状態になる。そこで区分eの場合は、当該130回転目の図柄変動の始端で、誘導報知画像373が左矢印右移動」の左向き矢印画像374bへ切り替えられる。
(区分fの確変→通常のケースの場合)
実施形態4の区分fは、「ST機タイプ」において、ST規定回数の100回転目が到来したケースを扱っている。この区分fのケースの場合、ST規定回数の100回転目終了により確変状態から通常状態に転落する。そこで、100回転目の図柄変動が終了したタイミングで、つまり電サポ有りの終了契機となる100回転目の図柄変動の終端で、誘導報知画像373が左矢印右移動」の左向き矢印画像374bへ切り替えられる。
(区分gの時短→時短のケースの場合)
実施形態5の「時短大当りを含むタイプ(複数種類の時短大当り(それぞれ異なる電サポ保証回数を付与する時短大当り)を含むタイプ)」(区分g〜h)においては、大当り遊技の終了後、時短回数20回、30回、40回の3種類のうちのいずれかの時短回数が付与されるが、それの時短回数が遊技者に対し報知されていない場合、つまり電サポ保証回数を遊技者から秘匿するケース(電サポ保証回数秘匿演出)を扱っている。このうち区分gは、たとえば、時短回数30回または40回の電サポ保証回数であり、20回の時短長さの境界数値に達したが、まだ時短状態が継続するケースを扱っている。たとえば「時短30回」や「時短40回」が付与された場合に、その前に到来する時短長さの境界数値である「時短20回転目」や「時短30回転目」が到来したケースである。このようなケースでは、付与された時短回数(ここでは時短30回や時短40回)よりも先に到来する時短長さの境界数値(「時短20回」や、「時短20回」と「時短30回」)毎に、当該境界数値に係る時短の図柄変動が終了するタイミングでは、時短が終了することなく継続するので、誘導報知画像373が左矢印右移動」の左向き矢印画像374bへ切り替えられることなく、そのまま右向き矢印画像374aが継続して表示される。
(区分hの時短→通常のケースの場合)
実施形態5の区分hは、上述の区部gのケースとは異なり、「時短大当りを含むタイプ」において、大当り遊技の終了後、時短回数20回、30回、40回の3種類のうちのいずれかの時短回数が付与され、その時短回数20回、30回、40回の時短長さの最長境界数値に達して、時短状態が終了するケースを扱っている。このケースでは、付与された時短回数(20回、30回、40回)が到来した場合、つまり最長境界数値に達した場合、当該最長境界数値に係る時短の図柄変動が終了するタイミングで、つまり時短「20回転目」「時短30回転目」「時短40回転目」の図柄変動の終端で、誘導報知画像373が左矢印右移動」の左向き矢印画像374bへ切り替えられる。
上記のように、誘導報知画像373は、電サポが終了したか否かを直接的に報知するものである。このため、たとえば、実施形態1の区分aの「即転落タイプ」のような機種の場合には、転落抽選に当選したゲームの開始時に発射誘導情報の切り替え(右打ち報知から左打ち報知に切り替え)を要するため、遊技者に発射誘導情報の切り替わりを即座に察知されてしまうと、今回の図柄変動表示ゲームの終了を待つことなく、転落したことが把握されてしまう。このようなケースでは、遊技者は、無駄球防止のために、今回の図柄変動表示ゲームの終了を待つことなく打ち出しを止めてしまい、その結果、遊技機の稼働率の低下が懸念される。また予告演出として、転落抽選の当選・非当選を煽るような特殊な予告演出(たとえば、後述の「宝箱演出」など)を現出させる場合、この予告演出を見ることなく、転落抽選に当選したことが遊技者に察知されてしまい、折角の煽り演出が台無しになってしまう。他の実施形態の場合も同様に、電サポ終了のタイミングを察知されてしまうことを遅らせることができれば、遊技機の稼働率を上げることができたり、図柄変動表示ゲームに係る予告演出をじっくり鑑賞させたりすることができるようになる。
そこで本実施形態では、右向き矢印画像374aから左向き矢印画像374bに切り替え表示する場合に、左向き矢印画像374bを右向き矢印画像374aが現出していた液晶画面上の位置と同一または略同一の位置(画面の上部右側)に表示し、さらに右向き矢印画像374aと同一または略同一のサイズ、同一色または同一系統の色もしくは類似した色で表示させて、「右矢印右移動」から「左矢印右移動」へという発射誘導情報の切り替わりが認識し難い状況を作りだし、左打ち誘導報知に切り替ったことを即座に悟られ難いようにしている。これにより、遊技者においては、誘導報知画像373が右打ち報知から左打ち報知に切り替わったと認識する時点が遅れて、電サポ終了の認識が後方にずれることが多くなると予測される。
(区分iの大当り遊技→通常のケースの場合)
なお、実施形態6の区分iは、「電サポ無し大当りを含むタイプ」を扱っている。すなわち、電サポ無しの通常大当りに当選し、その大当り遊技が終了した後は、直ちに電サポの付かない通常状態へ移行する。したがって大当り遊技の終了後は直ちに右打ちが有利な状態でなくなるので、大当り遊技終了直前(最終ラウンド遊技終了後のエンディング演出中)または大当り遊技が終了したタイミング(終了直後)で、誘導報知画像373が左矢印右移動」の左向き矢印画像374bへ切り替えられる。大当り遊技の終了は、エンディング演出より遊技者に報知されるので、大当り遊技終了後に電サポ状態に移行しない場合には、特に、発射誘導情報の切り替わりを認識し難くする必要性がなく、むしろ、大当り遊技終了を明確に報知すべく、左打ち誘導報知を遊技者が即座に認識できる演出態様で表示することが好ましいといえる。したがって、通常大当りの場合には、上記した実施形態1〜5の場合とは異なり、左向き矢印画像374bを右向き矢印画像374aと明確に区別されるような画像で表示することが好ましい。たとえば、右向き矢印画像374aから左向き矢印画像374bに切り替え表示する場合に、左向き矢印画像374bを右向き矢印画像374aが現出していた液晶画面上の位置とは異なる位置に表示する、右向き矢印画像374aと異なるサイズで表示する、および特殊色(たとえば、色相環で正反対に位置する関係の色(補色関係の色)か、または異なる系統の色)で表示させる、という表示態様のうち少なくともいずれか1つを採用することが好ましい。
<7.左打ち誘導報知への切り替わりと宝箱演出:図25>
本実施形態1では、主制御部20側の遊技状態が電サポ有り状態(確変状態)から電サポ無し状態(通常状態)に切り替わった場合(転落抽選に当選した場合)、転落コマンドが送信される(図13のステップS425)。演出制御部24側では、この転落コマンドを受信した場合、他のリーチ演出等の予告演出に優先して、またはこれらの予告演出に平行してもしくは重なる形で、遊技状態が電サポ無し状態へ移行した可能性があることを疑わせる予告演出として「懐疑的演出」を発生させる。具体的には、「懐疑的演出」として、図25(b)に示す「宝箱演出」を発生させる。つまり液晶画面が、通常画面の図25(a)から、図25(b)の宝箱演出画面に替わる。この宝箱演出は、液晶画面内に宝箱画像371と押しボタン画像372とが現出し、所定の操作有効期間内に、これに対応する押しボタン(枠演出ボタン13)を操作し所定のボタン操作条件を満たした場合(たとえば、押しボタンを所定時間長押しする、あるいは所定回数連打するなど)、演出結果として、画面内の宝箱(宝箱画像371)の蓋が開いて宝石の山が出現され、電サポ有り状態の継続が報知される「蓋開放演出(成功演出)」や、押しボタンを操作しても、宝箱の蓋が開かずに、電サポ有り状態の終了が報知される「蓋未開放演出(失敗演出)」が現出される「遊技者参加型」の演出態様となっている。なお、所定の操作有効期間にボタン操作がなされない場合も、演出結果として、電サポ有り状態の継続か終了かのいずれかが報知される。上記「宝箱演出」は、遊技状態が電サポ無し状態へ移行した可能性があることを疑わせる予告演出として働くため、演出制御部24側では、転落コマンドを受信した場合に限らず、転落抽選の非当選時に係る特定の変動パターン指定コマンド(たとえば、特定のリーチ変動パターンを指定するコマンド)を受信した場合にも、上記宝箱演出(懐疑的演出)を現出可能となっている。
<注意逸らし演出について>
上記の「宝箱演出」を発生させる真の目的は、遊技状態が電サポ無し状態へ移行して発射誘導情報報知が右打ち報知から左打ち報知に切り替った場合に、その誘導情報の切り替りを報知する事象(誘導報知画像373の表示)から遊技者の注意を他に向けさせて、発射誘導情報報知が左打ち誘導報知に切り替ったことを悟らせないようにするためである。本実施形態1では、右向き矢印画像374aから左向き矢印画像374bに切り替え表示する場合に、左向き矢印画像374bを右向き矢印画像374aと似せた画像演出を現出させ、この演出だけでも遊技者に左打ち誘導報知に切り替ったことを悟られ難いようにしているが、「宝箱演出(懐疑的演出)」を重ねて現出させることで遊技者の注意を誘導報知画像373から逸らすことにより、発射誘導情報報知が左打ち誘導報知に切り替ったことを、より一層、悟られ難いようにしている。したがって「宝箱演出」は、内容的には遊技状態が電サポ無し状態へ移行したことを匂わせまたは疑わせる「懐疑的演出」であるが、使用目的ないし作用から見ると、発射誘導情報の報知から遊技者の注意を逸らせることを目的とした演出(以下、「注意逸らし演出)」と称する)としても働く。
本実施形態における「宝箱演出」は、この「注意逸らし演出」として出現させるところに狙いがあるため、発射誘導報知の切り替わり事象から遊技者の注意を逸らして他に向けさせる作用が得られるのであれば、宝箱演出に替えて他の演出を発生させることができる。この宝箱演出に替えて他の演出を発生させることとする場合でも、遊技者の気を逸らせることが目的であるため、押しボタンを遊技者に操作させるなどの遊技者参加型演出とするのが好ましい。しかし、必ずしも遊技者参加型演出でなくてもよい。たとえば、人は動くものに注意が向く傾向が強いこと利用し、宝箱演出の一環として、可動体役物による可動体演出を含ませることで、注意逸らし演出的作用を得ることができる。たとえば、宝箱が開放される前の前兆演出として、花型役物90を所定の動作パターンで動作させる可動体演出(たとえば、花型役物90を上下に振動させる)を現出し、これにより宝箱が開放されるか否かの期待感を煽り、花型役物90に遊技者の注意を向けさせつつ、「宝箱開放演出」を現出させる。特に、花型役物90の動作態様の違いにより、電サポ有り状態の継続期待度を示唆するようにすれば、遊技者が花型役物90の動作に注目するようになり、注意逸らし演出的作用を得るには好適である。
図25を参照して、この遊技者参加型の演出が開始するタイミングは、誘導報知画像373が左打ち報知に切り替わった当該図柄変動表示ゲームが行われるゲーム期間(図柄変動が開始してから停止するまで)のうちで、当該ゲームが開始される時点(始端)である。つまり当該図柄変動表示ゲームが開始されると、図25(b)に示すように、そのゲーム期間の始端から、一方では「左矢印右移動」の動的表示態様の誘導報知画像373が液晶画面内に現出するとともに、他方では「宝箱演出」の画像が液晶画面内に現出する。
この「宝箱演出」は、液晶画面内に現出する押しボタン画像372に対応する押しボタンを遊技者が連打する遊技者参加型演出となっているため、遊技者の意識ないし注意は、多くの場合、押しボタンを連打することと、画面内の宝箱が開くか否かの点に注がれる。この事に加えて、誘導報知画像373においては、図25(a)の「右矢印右移動」の動的表示態様から図25(b)の「左矢印右移動」の動的表示態様への切り替わりにより、矢印画像は右矢印画像374aから左矢印画像374bに切り替わってはいるものの、両者の矢印画像374a、374bは共に右方向に移動しており、移動方向が同じであり、さらに右向き矢印画像374aと左向き矢印画像374bとが同一または類似する矢印画像であるという点で共通しているため、誘導方向が切り替わったことをあまり遊技者に感じさせない。
すなわち、この宝箱演出には2つの要素が含まれていることになる。1つは、右矢印画像374aと左矢印画像374bとが互いに類似する(変化の幅が小さい)という「静的な注意逸らし要素(厳密には注意を逸らすのではなく、注意されにくくする要素)」、もう1つは、矢印画像が変化するタイミングでさらに大きな変化表示(宝箱演出や連打演出)が行われるという「動的な注意逸らし要素」である。前者は遊技者がなるべく変化に気付かないようにする消極的対応策であり、後者は積極的に対象物(遊技者からの注意を逸らしたい表示物)から遊技者の注意を逸らす積極的対応策である。当然、これらはそれぞれが一定の効果を有するため、双方だけでなく、いずれか一方のみ逸らし要素を採用することができる。
図25を参照するならば、誘導報知画像373が「静的な注意逸らし手段」であり、宝箱画像371や押しボタン画像372が「動的な注意逸らし手段」に該当する。なお、実施例はこれに限定されず、保留表示a1〜a4、b1〜b4を「静的な注意逸らし手段」として色や表示形態が変化する際に派手なエフェクト表示をほとんど行わないまたは一切行わないようにしても良い。また、図示はしないが、たとえば表示領域の半分以上を占めるキャラクタ画像を「動的な注意逸らし手段」として画面上を横切るように表示するとともに保留表示の手前側に重なるように表示し、キャラクタが保留表示と重なって保留表示が一瞬見えなくなる間に保留表示が変化しているようにしても良い。これは、画像表示に限らず、遊技機に設けられた可動役物などを「動的な注意逸らし手段」としても良い。
ここで、図25の実施例に戻ると、上記の2つの要素(静的な注意逸らし演出と動的な注意逸らし演出)が重なり合った場合、つまり遊技者の意識が押しボタン連打に向けられている状況と、「右矢印右移動」から「左矢印右移動」へという発射誘導情報の切り替わりが認識し難い状況とが重なり合った場合、遊技者においては、誘導報知画像373が右打ち報知から左打ち報知に切り替わったと認識する時点が遅れて、上記1ゲーム期間内の後方にずれることが多くなると予測される。このことは、「宝箱演出」についての遊技決着が付くまで、つまり宝箱が開放するか否かが明らかになるまで、遊技者が押しボタンを連打し続けるケースが多くなることを意味する。よって、結果として、宝箱演出の面白さが遊技者に十分に堪能されることから、宝箱演出を設けたことが意義あるものとなり、遊技機の遊技性を豊かにすることになる。したがって、これら2つは併用することが好ましいし、いずれか一方のみとするのであれば積極的対応策である動的な注意逸らし演出を優先して採用することが好ましい。
なお、前述の通り、遊技機は先読み判定が可能であるため、先読み判定により保留内に転落抽選に当選した保留があると判定された場合、当該保留の変動を開始するよりも前から上記懐疑的演出を開始することも可能である。この場合、宝箱演出は複数変動に跨って実行されることになり、一見すると1回の変動内における演出のようでも実際には複数回の保留を消化していることとなる。この利点としては、上記懐疑的演出の開始と同時に右打ち報知から左打ち報知に戻るのではなく、懐疑的演出の途中(転落抽選に当選した保留の変動が開始された時点または停止された時点)で左打ちに戻るので、懐疑的演出に注目している遊技者が右打ち報知から左打ち報知に変化したことに気づきにくい点が挙げられる。
なお、実施形態1、3の場合は電サポ有り状態終了タイミングが固定的ではなく、また実施形態5の場合は電サポ保証回数が、演出上、遊技者から秘匿状態とされるため、これら実施形態に係る宝箱演出は、主に、電サポ有り状態が継続するか否かを報知するための演出として用いられる。他方、実施形態2、4の場合は、電サポ有り状態終了タイミングが固定的であるため、これら実施形態係る宝箱演出は、主に、大当りに当選したか否かの期待感を煽る演出として用いられる(これについては後述する)。
<主制御部側の処理:図7〜図14>
次に図7〜図14を参照して、本実施形態の主制御部20側における遊技動作処理について説明する。主制御部20側の処理は、主に、所定のメイン処理(主制御側メイン処理:図7)と、CTCからの定時割込みで起動されるタイマ割込処理(主制御側タイマ割込処理:図8)とを含んで構成される。
<8.主制御側メイン処理:図7>
図7は、主制御部20側のメイン処理を示すフローチャートである。メイン処理が開始されるのは、停電状態からの復旧時のように初期化スイッチ(RAMクリアスイッチ:図示せず)が操作されることなく電源がON状態になる場合と、初期化スイッチがON操作されて電源がON状態になる場合とがある。いずれの場合でも、パチンコ遊技機1に電源が投入されると、電源基板31によって各制御基板に電圧が供給され、主制御部20(CPU201)が図7に示す主制御側メイン処理を開始する。
この主制御側メイン処理において、CPU201は、まず遊技動作開始前における必要な初期設定処理を実行する(ステップS011)。
次いで、図示してない入力ポートを介して入力されるRAMクリアスイッチの出力信号であるRAMクリア信号の状態(ON、OFF)を判定する(ステップ012)。ここでRAMクリア信号とは、RAMの全領域を初期設定するか否かを決定する信号であって、通常、パチンコ店の店員が操作する初期化スイッチのON/OFF状態に対応した値を有している。ここでは、RAMクリア信号がON状態であったと仮定すると、ステップS012の判定結果が‘YES’となり、RAMの全領域がゼロクリアされる(ステップS016)。
次に、RAM領域がゼロクリアされたことを報知するための「RAMクリア表示コマンド」を初期化コマンドとして各制御基板に送信する(ステップS017)。そして、RAMクリア報知タイマに、RAMクリアされた旨を報知するための時間として、たとえば、30秒を格納する(ステップS018)。なお、RAMクリアが実行されると遊技状態が初期化され、内部遊技状態は通常遊技状態に、変動パターン振分指定番号(Tcode)))は通常状態に設定される。また演出制御部24が上記RAMクリア表示コマンドを受けると、RAMクリアされた旨を報知する初期化報知演出を、上記RAMクリア報知タイマ(30秒)が経過するまで実行し、RAMクリア後の初期状態の演出モードとして、演出モードを通常状態に対応する「通常演出モード」に設定する。
次に、タイマ割込み動作を起動する割込み信号を出力するCTCを初期設定して(ステップS019)、CPUを割込み許可状態に設定する。
その後は、割込みが発生するまで割込禁止状態と割込許可状態とを繰り返すとともに、その間に、各種乱数更新処理を実行する(ステップS020〜S022)。この各種乱数更新処理(ステップS021)では、特別図柄変動表示ゲームや普通図柄変動表示ゲームに使用される各種乱数を更新する。上記各種乱数には、たとえば、インクリメント処理によって所定数値範囲を循環している大当り抽選に係る乱数(図柄抽選に利用される特別図柄判定用乱数)の初期値(スタート値)変更のために使用する乱数(特別図柄判定用初期値乱数)や、補助当り抽選に係る乱数(補助当り抽選に利用される補助当り判定用乱数、普通図柄判定用乱数)の初期値変更のために使用する乱数(補助当り判定用初期値乱数、普通図柄判定用初期値乱数)や、変動パターンの選択に利用される変動パターン用乱数などが含まれる。
大当り抽選に係る図柄抽選、補助当り抽選、または変動パターン抽選などに利用される各種の乱数カウンタとして、特別図柄判定用乱数カウンタ初期値の生成用カウンタ、特別図柄判定用乱数カウンタ、補助当り判定用乱数カウンタ初期値の生成用カウンタ、補助当り判定用乱数カウンタ、変動パターン用乱数カウンタなどが設けられている。ステップS021の各種乱数更新処理では、上述の特別図柄判定用乱数カウンタや補助当り判定用乱数カウンタの初期値を生成する2つの初期値生成用カウンタ、変動パターン用乱数カウンタなどを更新して、上記各種のソフト乱数を生成する。たとえば、変動パターン用乱数カウンタとして取り得る数値範囲が0〜238とすると、RAM203の変動パターン用乱数の値を生成するためのカウント値記憶領域から値を取得し、取得した値に1を加算してから元のカウント値記憶領域に格納する。このとき、取得した値に1を加算した結果が239であれば0を元の乱数カウンタ記憶領域に格納する。他の初期値生成用乱数カウンタも同様に更新する。CPU201は、間欠的に実行されるタイマ割込処理を行っている間を除いて、各種乱数更新処理を繰り返し実行するようになっている。
ステップS012の判定処理に戻って説明を続けると、停電状態からの復旧時には、RAMクリアスイッチ(RAMクリア信号)はOFF状態である(ステップS012:YES)。そこで、このような場合、ステップS012の判定処理に続き、バックアップフラグ値を判定する(ステップS013)。なお、バックアップフラグは、電源遮断時にON状態(バックアップフラグ=5AH(‘**H’は任意の16進数の意)に設定され、電源復帰後の最初のタイマ割込み処理の処理でOFF状態(バックアップフラグ=00H)にリセットされる。
したがって、電源投入時や停電状態からの復旧時である場合には、通常では、バックアップフラグがON状態のはずである。ただし、何らかの理由で電源遮断までに所定の処理が完了しなかったような場合には、バックアップフラグはリセット(OFF)状態になる。バックアップフラグがOFF状態となる場合には(ステップS013:NO)、ステップS016の処理に移行させて遊技機の動作を初期状態に戻す。
一方、バックアップフラグがON状態であれば(ステップS013:YES)、チェックサム値を算出するためのチェックサム演算を実行する。ここで、チェックサム演算とは、RAM203のワーク領域を対象とする8ビット加算演算である。そして、チェックサム値が算出されたら、この演算結果を、RAM203のSUM番地の記憶値と比較をする(ステップS014)。上記SUM番地には、電源遮断時に、同じチェックサム演算によるチェックサム値が記憶されている。そして、記憶された演算結果は、RAM203の他のデータと共に、バックアップ電源によって維持されている。したがって、本来は、ステップS014の判定によって両者が一致するはずである。
しかし、電源遮断時にチェックサム演算が実行できなかった場合や、実行できても、その後、メイン処理のチェックサム演算の実行時までの間に、ワーク領域のデータが破損している場合もあり、このような場合にはステップS014の判定結果は不一致となる。判定結果の不一致によりデータ破損が検出された場合には(ステップS014:NO)、ステップS016の処理に進みRAMクリア処理を実行し、遊技機の動作状態を初期状態に戻す。一方、チェックサム演算によるチェックサム値と、SUM番地の記憶値とが一致する場合には(ステップS014:YES)、バックアップデータに基づき、電源遮断前におけるスタックポインタを復帰し、電源遮断時の処理状態から遊技を開始するために必要な遊技復旧処理を行う(ステップS015)。
ステップS015の遊技復旧処理を終えると、ステップS019の処理に進み、CTCを初期設定してCPUを割込み許可状態に設定し、その後は、割込みが発生するまで割込禁止状態と割込許可状態とを繰り返すとともに、その間に、上述した各種乱数更新処理を実行する(ステップS020〜S022)。
<9.主制御側タイマ割込処理:図8>
次に図8を参照して、主制御側のタイマ割込処理について説明する。図8は、主制御側タイマ割込処理を示すフローチャートである。この主制御側タイマ割込処理は、CTCからの一定時間(4ms程度)ごとの割込みで起動され、主制御側メイン処理実行中に割り込んで実行される。以下では説明の便宜のために、CPU201がRAMやROMなどのメインメモリを読み書きする際のアドレス値(そのアドレスに記述されているデータ類を含む)やプログラム上の演算処理により得られた結果情報などを、CPU内蔵のレジスタ内に読み込んだり取り込んだりするなどの処理を「取得」と称し、またCPU201がRAMのワーク領域にアクセスして、所定のデータを記憶させることを「格納」と称する場合がある。
図8において、CPU201は、タイマ割込みが生じると、レジスタの内容をスタック領域に退避させた後、まず電源制御基板31からの電源の供給状態を監視する電源異常チェック処理を行う(ステップS051)。この電源異常チェック処理では、主に、電源が正常に供給されているかを監視する。ここでは、たとえば、電断が生じるなどの異常が発生した場合、電源復帰時に支障なく遊技を復帰できるように、電断時における所定の遊技情報をRAMに格納するバックアップ処理などが行われる。
次いで、遊技動作制御に用いられるタイマを管理するタイマ管理処理を行う(ステップS052)。パチンコ遊技機1の遊技動作制御に用いる各種タイマ(たとえば、後述の特別図柄役物動作タイマなど)のタイマ値はここで管理(更新)される。
次いで、入力管理処理を行う(ステップS053)。この入力管理処理では、パチンコ遊技機1に設けられた各種センサによる検出情報を入賞カウンタに格納する。ここでの各種センサによる検出情報とは、たとえば、上始動口センサ34a、下始動口センサ35a、普通図柄始動口センサ37a、大入賞口センサ52a、一般入賞口センサ43aなどの入賞検出スイッチから出力されるスイッチ信号のON/OFF情報(入賞検出情報)である。これにより、各入賞口において遊技球を検出(入賞が発生)したか否かが割込みごとに監視される。なお上記「入賞カウンタ」とは、各々の入賞口ごとに対応して設けられ、入賞した遊技球数(入賞球数)を計数するカウンタである。本実施形態では、RAM203の所定領域に、上始動口34用の上始動口入賞カウンタ、下始動口35用の下始動口入賞カウンタ、普通図柄始動口37用の普通図柄始動口入賞カウンタ、大入賞口50用の大入賞口入賞カウンタ、一般入賞口43用の一般入賞口用の入賞カウンタなどが設けられている。
次いで、各変動表示ゲームに係る乱数を定期的に更新するタイマ割込内乱数管理処理を行う(ステップS054)。この定期乱数更新処理では、特別図柄判定用乱数や補助当り判定用乱数の更新(割込み毎に+1加算)と、乱数カウンタが一周するごとに、乱数カウンタのスタート値を変更する処理を行う。たとえば、特別図柄判定用乱数カウンタの値を所定範囲で更新(+1加算)し、特別図柄判定用乱数カウンタが1周するごとに、特別図柄判定用乱数カウンタ初期値の生成用カウンタの値を読み出し、その生成用カウンタの値を特別図柄判定用乱数カウンタに格納する。これにより、特別図柄判定用乱数カウンタのスタート値が上記の生成用カウンタの値に応じて変更されるので、更新周期は一定でありながらも特別図柄判定用乱数カウンタのカウント値はランダムになる。
次いで、遊技動作状態の異常の有無を監視するエラー管理処理を行う(ステップS055)。このエラー管理処理は、遊技機に異常が生じたか否かを判定する異常判定手段としても機能し、遊技動作状態の異常を監視し、動作異常(エラー)が発生した場合には、発生したエラーに対応したエラー処理を行う。
次いで、賞球管理処理を行う(ステップS056)。この賞球管理処理では、上記入力管理処理で格納したデータを把握して、上記入賞カウンタの確認を行い、入賞があった場合は、賞球数を指定する払出制御コマンドを払出制御基板(払出制御部)29に送信する。この払出制御コマンドを受信した払出制御基板29は、遊技球払出装置19を制御し、指定された賞球数の払い出し動作を行わせる。これにより、それぞれの入賞口に対応した賞球数(入賞口別に約束づけられた入賞球1個当りの所定の賞球数×入賞カウンタの値分の賞球数)が払い出されるようになっている。
次いで、普通図柄管理処理を行う(ステップS057)。この普通図柄管理処理では、普通図柄変動表示ゲームにおける補助当り抽選を行い、その抽選結果に基づいて、普通図柄の変動パターンや普通図柄の停止表示態様(最終的に停止表示させる普通図柄(普通停止図柄))を決定したり、所定時間毎に点滅を繰り返す普通図柄のデータ(普通図柄変動中のLED点滅表示用データ)を作成し、普通図柄が変動中でなければ、停止表示用のデータ(普通図柄停止表示中のLED点滅表示用データ)を作成したりする。この普通図柄管理処理は、補助遊技抽選手段、普通図柄の変動表示動作を制御する普通図柄表示手段(普通図柄表示制御手段)として機能する。
次いで、普通電動役物管理処理を行う(ステップS058)。この普通電動役物管理処理では、普通図柄管理処理(ステップS057)の補助当り抽選の抽選結果に基づき、普電開放遊技発生に必要な普通電動役物ソレノイド41aに対するソレノイド制御用の励磁信号の生成およびそのデータ(ソレノイド制御データ)の設定を行う。ここで設定されたデータに基づき、後述のソレノイド管理処理にて、励磁信号が普通電動役物ソレノイド41aに対して出力され、これにより可動翼片47の動作が制御される。
次いで、特別図柄管理処理を行う(ステップS059)。この特別図柄管理処理は、大当り判定手段および転落判定手段として働き、主に、特別図柄変動表示ゲームにおける大当り抽選を行い、その抽選結果に基づいて、特別図柄の変動パターン(先読み変動パターン、変動開始時の変動パターン)や特別停止図柄などを決定する。なお、特別図柄管理処理の詳細は図9にて後述する。
次いで、特別電動役物管理処理を行う(ステップS060)。この特別電動役物管理処理では、主に、大当り抽選結果が「大当り」または「小当り」であった場合、その当りに対応した当り遊技を実行制御するために必要な設定処理を行う。なお、特別電動役物管理処理の詳細は図14にて後述する。
次いで、右打ち報知情報管理処理を行う(ステップS061)。この右打ち報知情報管理処理では、「電サポ有り状態」の高ベース遊技状態が生起する遊技状態である場合、または当り遊技中である場合、右打ち状態中であるとして、右打ち指示情報(右流下経路3cを狙う旨を指示する情報(大入賞口50や普通図柄始動口37に入賞を促す指示情報))を報せる「右打ち報知演出(発射誘導報知演出)」を現出させるための処理を行う。上記右打ち状態中である場合には、上記発射誘導報知演出の開始を指示する「右打ち指示コマンド」が演出制御部24に送信され、このコマンドを受けて、演出制御部24が上記発射誘導報知演出を制御可能な構成となっている。これにより、遊技者に適切な発射位置を指示するようになっている。
また右打ち報知情報管理処理では、「電サポ無し状態」の低ベース遊技状態が生起する遊技状態である場合、または当り遊技中でない場合、左打ち状態中であるとして、右打ち報知演出を現出させない処理や現出中の右打ち報知演出の実行を中止するための処理を行う。左打ち状態中である場合には、上記発射誘導報知演出の中止を指示する「左打ち指示コマンド」が演出制御部24に送信され、このコマンドを受けて、演出制御部24が上記発射誘導報知演出を現出制御可能な構成となっている。
また演出制御部24側では、自身が管理する現在の演出モードおよび/または現在の遊技状態に基づき、右打ち指示コマンドまたは左打ち指示コマンドを受信した場合、上記右打ち状態中から左打ち状態中、または左打ち状態中から右打ち状態中に切り替わるタイミングであるか否かに応じて、誘導報知画像373(右向き矢印画像374aまたは左向き矢印画像374b)の現出制御を行う。本実施形態1の場合、図25(a)に示すように、右打ち報知演出として、誘導報知画像373が、液晶画面内の装飾図柄表示領域などの邪魔にならない位置(右上隅部)に、「右矢印右移動」の動的表示態様にて表示される。また右打ち状態中から左打ち状態中に切り替える場合は、演出制御部24が誘導報知画像373を図25(b)の「左矢印右移動」の動的表示態様による表示へ切り替える構成となっている。なお、右向き矢印画像374aまたは左向き矢印画像374bの切り替えは、上記右打ち指示コマンドや左打ち指示コマンドを利用するのではなく、たとえば、変動パターン指定コマンド、遊技状態指定コマンド、当り中に送信される所定のコマンド(大当り(小当り)開始コマンド、大当り(小当り)終了コマンドなど)、後述の残り電サポ回数コマンド、時短終了コマンド、転落コマンドなどにより、遊技状態の変更タイミングを把握し、現在の遊技状態に応じた発射誘導報知演出を現出可能な構成としてもよい。
次いで、LED管理処理を行う(ステップS062)。このLED管理処理では、普通図柄表示装置39aや特別図柄表示装置38a,38bに対して表示データを出力する。これにより、普通図柄や特別図柄の変動表示および停止表示が行われる。なおステップS057の普通図柄管理処理で作成された普通図柄の表示データや、ステップS059の特別図柄管理処理中の特別図柄表示データ更新処理(後述の図9のステップS309)で作成される特別図柄の表示データは、このLED管理処理で出力される。
次いで、外部端子管理処理を行う(ステップS063)。この外部端子管理処理では、枠用外部集中端子基板21を通して、パチンコ遊技機1の動作状態情報をホールコンピュータHCや島ランプなどの外部装置に対して出力する。上記動作状態情報には、大当り遊技が発生した旨(条件装置が作動した旨)、小当り遊技が発生した旨、図柄変動表示ゲームが実行された旨、入賞情報(たとえば、始動口や大入賞口に入賞した旨や賞球数情報)、エラー発生情報などの各種情報が含まれる。
次いで、ソレノイド管理処理を行う(ステップS064)。このソレノイド管理処理では、ステップS058の普通電動役物管理処理で作成されたソレノイド制御データに基づく普通電動役物ソレノイド41cに対する励磁信号の出力処理や、ステップS060の特別電動役物管理処理で作成されたソレノイド制御データに基づく大入賞口ソレノイド42c、52cに対する励磁信号の出力処理などを行う。これにより、可動翼片47や開放扉42bや開放扉52bが所定のパターンで開閉動作し、下始動口35や大入賞口50が開閉される。
以上のステップS051〜ステップS064の処理を終えた後、退避していたレジスタの内容を復帰させて(レジスタ復帰処理)、割込み許可状態に設定する(ステップS065)。これにより、タイマ割込処理を終了して、割込み前の上記主制御側メイン処理に戻り、次のタイマ割込みが発生するまで主制御側メイン処理を行う。
<10.特別図柄管理処理:図9>
次に、図8中の特別図柄管理処理(ステップS059)について説明する。図9は、ステップS059の特別図柄管理処理の詳細を示すフローチャートである。
図9において、CPU201は、まず特別図柄1側(上始動口34側)に関する特図1始動口チェック処理を行い(ステップS301)、次いで、特別図柄2側(下始動口35側)に関する特図2始動口チェック処理を行う(ステップS302)。この詳細は図10で後述する。
ステップS301〜S302の始動口チェック処理を終えると、小当り中フラグの状態を判定する(ステップS303)。この「小当り中フラグ」とは、小当り遊技中であるか否かを指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には小当り遊技中である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には小当り遊技中ではない旨を示す。
上記小当り中フラグがOFF状態(=00H)の場合(ステップS303:≠5AH)、次いで、条件装置作動フラグの状態を判定する(ステップS304)。この「条件装置作動フラグ」とは、大当り遊技中であるか否かを指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には大当り遊技中である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には大当り遊技中ではない旨を示す。
上記条件装置作動フラグがOFF状態(=00H)の場合(ステップS304:≠5AH)、すなわち、小当り遊技中でもなく大当り遊技中でもない場合(ステップS303:≠5AH、かつステップS304:≠5AH)、特別図柄動作ステータス(00H〜03H)に応じて、特別図柄の変動表示動作に関する処理を行う(ステップS305:特別図柄動作ステータス分岐処理)。一方、小当り遊技中(ステップS303:=5AH)、または大当り遊技中である場合には(ステップS304:=5AH)、ステップS306〜S308の特別図柄の変動表示動作に関する処理を行わずに、そのままステップS309の特別図柄表示データ更新処理に進む。したがって、小当り遊技中または大当り遊技中のいずれかである場合には、特別図柄の変動表示動作は行われない(特別図柄表示装置の特別図柄の表示状態は、小当り後または大当り後に確定表示されたままの状態が保持されている)。なお「特別図柄動作ステータス」とは、特別図柄の挙動を示すステータス値であり、このステータス値は処理状態に応じて変更され、RAM203の特別図柄動作ステータス格納領域に格納される。
ステップS305の特別図柄動作ステータス分岐処理では、特別図柄動作ステータスが「待機中(00H、01H)」「変動中(02H)」「確認中(03H)」のいずれのステータス値であるかに応じて、それぞれに対応する処理を実行する。
具体的には、特別図柄動作ステータスが「待機中(00H、01H)」である場合には、特別図柄変動開始処理(ステップS306)を、「変動中(02H)」である場合には、特別図柄変動中処理(ステップS307)を、「確認中(03H)」である場合には、特別図柄確認時間中処理(ステップS308)を実行する。ここで上述の「待機中」とは、特別図柄の挙動が次回変動のための待機状態である旨を示し、「変動中」とは特別図柄の挙動が変動(変動表示)中である旨を示し、上記「確認中」とは特別図柄の変動が終了して停止(確定)表示中(特別図柄確認時間中)である旨を示す。これらの処理により、特別図柄の変動開始および変動停止を一セットする変動表示動作が実現されることになる。なお上記の特別図柄変動開始処理(ステップS306)の詳細は、図12にて後述する。
上記ステップS306〜S308のいずれかの処理を終えると、後述のステップS309の特別図柄表示データ更新処理を行う。この特別図柄表示データ更新処理では、特別図柄が変動中であるか否かを判定し、変動中であれば、所定時間(たとえば0.5秒)毎に点滅を繰り返す特別図柄のデータ(特別図柄変動中の7セグ点滅表示用データ)を作成し、特別図柄が変動中でなければ、停止表示用のデータ(特別図柄停止表示中の7セグ点滅表示用データ)を作成する。ここで作成した特別図柄の表示データは、図8のLED管理処理(ステップS62)で出力され、特別図柄表示装置38a、38b上における特別図柄の変動表示および停止表示が実現される。これにより特別図柄管理処理を抜けて、図8のステップS060の特別電動役物管理処理に進む。
(10−1.始動口チェック処理:図10)
まず、始動口チェック処理(図9のステップS301、S302)について説明する。図10は、ステップS301の特図1始動口チェック処理、ステップS302の特図2始動口チェック処理の詳細を示すフローチャートである。この始動口チェック処理は、所定の始動条件の成立に基づいて実行される入賞時処理としての役割を果たし、ステップS301の特図1始動口チェック処理では、特別図柄変動表示ゲーム1を実行させるための開始前処理として、上始動口34の入賞発生に起因した特図1側の作動保留球数の加算処理、各種乱数の記憶処理、入賞時コマンド、保留加算コマンドの作成・送信処理などが行われ、ステップS302の特図2始動口チェック処理では、特別図柄変動表示ゲーム2を実行させるための開始前処理(特図2側の入賞時処理)として、下始動口35の入賞発生に起因した特図2側の作動保留球数の加算処理、各種乱数の記憶処理、および保留加算コマンドの作成処理などが行われる。図10では、特図1始動口チェック処理に着目して説明し、特図2始動口チェック処理については、特図1始動口チェック処理と実質的に同一の処理内容のため、重複記載を避けるために詳細な説明は、省略する。
図10において、CPU201は、まず上始動口34において入賞(入賞球)を検出したか否かを判定する(ステップS311)。
上始動口34の入賞を検出した場合(ステップS311:YES)、特別図柄1の作動保留球数が4以上であるか否か判定する(ステップS312)。すなわち、特別図柄1に係る作動保留球(以下、「特図1作動保留球」と称する)の数が最大保留記憶数(ここでは、上限4個)未満であるか否かを判定する。なお、上始動口34の入賞検出がなかった場合は(ステップS311:NO)、何もしないで特図1始動口チェック処理を抜ける。
上始動口34の入賞を検出したが特図1作動保留球数が4以上である場合(ステップS312:YES)、後述のステップS325の処理に進み、特図1作動保留球数が4以上でない場合、つまり4未満の場合は(ステップS312:NO)、特図1作動保留球数に1加算(+1)して(ステップS313)、ステップS314の処理に進む。
ステップS314の処理に進むと、今回発生した特図1作動保留球に係る特別図柄変動表示ゲーム1に利用される各種乱数を取得する(ステップS314)。具体的には、各種の乱数カウンタから大当り判定用乱数、特別図柄判定用乱数、変動パターン用乱数、および転落判定用乱数の現在値を取得し、その取得した乱数値をRAM203の保留記憶エリアに格納する。この保留記憶エリアは、図柄変動表示ゲームに係る所定の遊技情報を作動保留球(保留データ)として記憶する領域であり、この保留記憶エリアには、保留データとしての上記の各種乱数値が特別図柄1の変動表示動作に供されるまで(特別図柄変動表示ゲーム1実行時まで)、始動条件の成立順(入賞順)に保留記憶されていく。なお上記保留記憶エリアには、特別図柄1側と特別図柄2側とに対応した保留記憶エリア(特別図柄1に対応する特図1保留記憶エリア(第1の保留記憶エリア)と、特別図柄2に対応する特図2保留記憶エリア(第2の保留記憶エリア))とが設けられている。これら保留記憶エリアには、保留1記憶エリア〜保留n記憶エリア(nは最大作動保留球数:本実施形態では、n=4)が設けられており、それぞれ最大作動保留球数分の保留データを格納可能となっている。
なお上記各種乱数のうち、特別図柄判定用乱数、変動パターン用乱数は、それぞれに対応したソフトウェア的に乱数を生成する乱数カウンタから抽出される。これら乱数カウンタの乱数値は、各々に対応したカウント値記憶領域において、間欠的に生じる割込み処理と割込み処理の間に実行されるメイン処理において乱数的に更新されているので、その値がそのまま取得される。他方、大当り判定用乱数値は、ハードウェア的に乱数を生成する乱数生成回路(大当り判定用乱数カウンタ:図示せず)から抽出される。この乱数生成回路は、上始動口センサ34aまたは下始動口センサ34aから遊技球の検出信号が入力されると、このタイミングにおけるカウント値をラッチして、そのカウント値がマイクロコンピュータに入力されるようになっている。CPU201は、このカウント値を大当り判定用乱数値として、RAM203の保留記憶エリアと別個に設けられたRAM203の大当り判定用乱数値用の記憶領域(特別電動役物作動判定用乱数ラッチバッファ)に格納し、必要なタイミングで、その特別電動役物作動判定用乱数ラッチバッファに格納された大当り判定用乱数値を読み出し利用する。
次いで、入賞時コマンドを作成するための入賞コマンドデータ(入賞時コマンドの下位バイト側(EVENT)に相当するデータ)として、先読み判定を禁止する先読み禁止データ(EVENT:「FFH」)を取得し(ステップS315)、「特図1先読み禁止条件」が成立しているか否かを判定する(ステップS316)。上記「特図1先読み禁止条件」とは、特図1作動保留球を対象とした先読み判定を禁止するための条件である。
特図1先読み禁止条件が成立している場合(ステップS316:YES)、先読み判定に関する処理(ステップS317〜S319)は行わずに、ステップS320Aの処理に進む。この場合、ステップS315の処理により、先読み禁止データ(EVENT:「FFH」)を持つ入賞時コマンドが先読み禁止を指定するものとなり、今回の特図1作動保留球を対象とした先読み判定が禁止され、これにより、先読み予告演出も実行されないことになる(ステップS316:YESの処理ルート参照)。本実施形態では、‘電サポ有り状態’を伴う遊技状態中である場合、特別図柄1側の先読み判定を禁止する。これは、電サポ有状態中は、下始動口35の入賞が頻繁に発生し、上始動口34への入賞はほぼ発生しないため、特別図柄1側の先読み予告を発生させる必要性に乏しく、制御負担軽減のためである。
特図1先読み禁止条件が成立していない場合(ステップS316:NO)、ステップS316Aの基底状態設定処理(図11)を経てからステップS317の処理に進み、乱数判定処理を行う(ステップS317)。この乱数判定処理は、‘先読み判定’処理の一環として行われるものであり、ここでは、今回の作動保留球(ここでは、本処理では、特別図柄変動表示ゲーム1(特図1)側)に係る「当落抽選」を事前に判定する‘先読み判定(先読み当落判定)’を行う。
(基底状態設定処理:図11)
図11に基底状態設定処理(図10のステップS316A)の詳細を示す。この基底状態設定処理では、まず現在の先読み基底状態フラグが高確率状態(図では高確率中として示す)であるか否かを判断する(ステップS351)。高確率状態中であれば(ステップS351:YES)、保留記憶エリアに保留データとして格納された転落判定用乱数またはレジスタに保持された転落判定用乱数について、その乱数値(種別情報)の先読み判定を行い(ステップS352)、高確率状態を低確率状態に移行させる「転落抽選」に当選したか否かを判断する(ステップS353)。この転落抽選に当選すると先読み判定された場合は(ステップS353:YES)、先読み基底状態フラグを低確率状態(図では低確率中として示す)に設定する(ステップS354)。そして基底状態設定処理を抜ける。また転落抽選に当選しないと先読み判定された場合は(ステップS353:NO)、先読み基底状態フラグを高確率状態に維持したまま基底状態設定処理を抜ける。そして図10のステップS317に進む。
またステップS351の判断において先読み基底状態フラグが低確率状態であれば(ステップS351:NO)、転落判定用乱数の先読み判定(ステップS352)を行わないで基底状態設定処理を抜ける。そして図10のステップS316Aに戻り、ステップS317に進む。
したがって、この基底状態設定処理を経ることにより、その後のステップS317〜S319(先読み判定手段)で行われる各乱数の判定は、入賞時の遊技状態(先読み基底状態)に基づいて正しく行われる。すなわち、入賞時の先読み基底状態が低確率状態中の場合は低確率の抽選データに基づいて、また高確率状態中の場合は高確率の抽選データに基づいて先読み判定が行われる。
図10に戻り、ステップS317の乱数判定処理に入ると、まずRAM203(特別電動役物作動判定用乱数ラッチバッファ)に格納された大当り判定用乱数値を取得し、次いで、後述の当り乱数判定テーブル(図示せず)を取得する。そして、取得した大当り判定用乱数値と当り乱数判定テーブルとに基づき、今回の作動保留球を対象とした当落抽選(大当り、小当り、ハズレの別の判定)、つまり今回の作動保留球が変動表示動作に供されるときに実行される「特別電動役物作動判定用乱数判定処理(後述の図12のS409参照)」の抽選結果(変動開始時の当落抽選結果)を先読み判定し、その結果を取得する。
(T−1.当り乱数判定テーブル)
上記当り乱数判定テーブルには、特別図柄変動表示ゲーム1に係る「特図1用当り乱数判定テーブル(図示せず)」と、特別図柄変動表示ゲーム2に係る「特図2用当り乱数判定テーブル(図示せず)」とが含まれ、図10の特図1始動口チェック処理中においては「特図1用当り乱数判定テーブル」、図11の特図2始動口チェック処理中においては「特図2用当り乱数判定テーブル」が参照される。なお本実施形態の場合、ステップS317の乱数判定処理では、特別図柄変動表示ゲーム1と特別図柄変動表示ゲーム2とで共通の「当り乱数判定テーブル」が参照されるようになっている。
本実施形態の当り乱数判定テーブルには、大当り抽選確率状態(高確率状態(高確)、低確率状態(低確))別に、大当り判定用乱数値(大当り判定用乱数の大きさ:65536)と当落(当否)種別(大当りか小当りかハズレの別)を決定するための判定領域(判定値)とが関連付けて定められており、具体的には、大当り判定用乱数値がいずれの判定値に属するか否かにより、大当りか小当りかハズレかの別が決定されるようになっている。したがって、取得した大当り判定用乱数値が同じ判定値に属する場合であっても(大当り判定用乱数値が同じ値である場合)、現在の大当り抽選確率状態が、高確率状態であるか低確率状態であるかにより、一方では「大当り」となるが、他方では「ハズレ」となる、といったように「当落(当否)種別」が異なる場合がある。なお小当りの当選確率は、大当り抽選確率状態にかかわらず、一定の当選確率(約1/200)となっており、この点、大当り抽選確率状態により当選確率が変動する大当りとは性格を異にする。
この当落抽選(先読み当落判定)により、「大当り」当選となった場合には大当り判定フラグとして「5AH(大当り判定フラグがON状態)」が取得され、それ以外の判定値に属する場合には「00H(大当り非当選(大当り判定フラグがOFF状態))」が取得される。また「小当り」当選となった場合には小当り判定フラグとして「5AH(小当り判定フラグがON状態)」が取得され、それ以外の判定値に属する場合には「00H(小当り非当選(小当り判定フラグがOFF状態))」が取得される。したがって大当り判定用乱数値が、大当り判定フラグ「00H」、かつ小当り判定「00H」となる判定値に属する場合には、「大当り」および「小当り」のいずれにも当選しなかったことになり、今回の当落判定結果は‘ハズレ(大当り判定フラグおよび小当り判定フラグがOFF状態)’となる。
ここで本実施形態では、このステップS317の処理の結果をCPU201が備えるレジスタに保持した状態のままRAM203には格納せずに、この乱数判定処理を抜けて、ステップS318の特別停止図柄データ作成処理に進む。その理由は次の通りである。
今回の乱数判定処理で得られた判定結果、すなわち先読み判定における当落抽選結果のデータは、続く「特別停止図柄データ作成処理」で直ちに利用され、その後、このデータが必要とされることがない。したがって、この判定結果をRAM203に格納せずにレジスタに保持した状態のままで乱数判定処理を抜けても問題はない。これにより、乱数判定処理の判定結果(入賞時処理における当落判定処理の判定結果(先読み判定に係る当落結果))を格納するためのプログラムを必要とせず、またその判定結果を格納するための専用の格納領域を別途設ける必要はないことから、ROMやRAMのメモリ容量を削減し、制御負担を軽減することができるようになっている。
上記のステップS317は、保留記憶された大当り判定用乱数(第1の遊技情報)に基づき、抽選手段(図12のステップS409の特別電動役物作動判定用乱数判定処理)による抽選結果を、当該保留記憶が特別図柄の変動表示動作に供される前に先読み判定する第1の先読み判定手段として働く。また上記した図11のステップS352〜S353は、保留記憶された転落判定用乱数(第2の遊技情報)に基づき、転落抽選手段(図12のステップS408の転落判定処理:図13のステップS422〜S423)による転落抽選において転落することになるか否かを当該保留記憶が特別図柄の変動表示動作に供される前に先読み判定する第2の先読み判定手段として働く。
上記したステップS317の乱数判定処理を終えると、次いで、特別停止図柄データ作成処理を行う(ステップS318)。この特別停止図柄データ作成処理は、‘先読み判定’処理の一環として行われるものであり、ここでは、今回の作動保留球に係る「図柄抽選」を事前に判定する‘先読み判定(先読み図柄判定:(当り(当選)種別の先読み判定))’を行う。なお上記乱数判定処理(ステップS317)〜特別停止図柄データ作成処理(ステップS318)が大当り抽選結果を先読み判定する‘先読み当り判定’に係る処理となる。
ステップS318の特別停止図柄データ作成処理では、まずステップS317の乱数判定処理で得られた当落抽選結果を取得し、この当落抽選結果(大当り、小当り、ハズレの別)に応じた図柄テーブル(後述の大当り図柄テーブル、小当り図柄テーブル、ハズレ図柄テーブル:図示せず)を選択する。そして、ステップS314で取得した特別図柄判定用乱数値を取得して、選択した図柄テーブルと特別図柄判定用乱数値とに基づき、今回の作動保留球を対象とした図柄抽選、つまり今回の作動保留球が変動表示動作に供されるときに実行される「特別停止図柄作成処理(後述の図12のステップS410参照)」の抽選結果(変動開始時の図柄抽選結果)を先読み判定する。
(T−2.図柄テーブル)
上記図柄テーブルには、「特別図柄判定用乱数値(特別図柄判定用乱数値の大きさ:200)」と、当選種別を決定するための判定領域(判定値)とが関連付けて定められており、具体的には、特別図柄判定用乱数値がいずれの判定値に属するか否かにより、特別図柄判定データおよび特別停止図柄番号が決定されるようになっている。
上記「特別図柄判定データ」とは、当選種別(当選の種類:大当り種別、小当り種別、およびハズレ種別)を識別するデータであり、本実施形態の場合、2R短開放潜確大当り、15R確変大当り、小当り種別(小当りが複数種類ある場合は、その種別(たとえば、小当りA、小当りBなど))、ハズレ種別(ハズレが複数種類ある場合は、その種別(たとえば、ハズレA、Bなど))のいずれに当選したのかを識別するためのデータである。この特別図柄判定データは、当選種別情報が必要とされる処理(たとえば、後述の図12のステップS411の遊技状態移行準備処理、ステップS412の特別図柄変動パターン作成処理、大当り遊技の実行制御に関する処理(図8の特別電動役物管理処理(ステップS060)など)において利用されるデータである。
また上記の「特別停止図柄番号」とは、特別図柄表示装置に停止表示する特別停止図柄態様を指定するデータであり、主制御部20側において特別図柄の停止図柄種を特定する際に利用される。本実施形態では、同じ15R確変大当りの場合であっても、判定値によっては特別図柄表示装置38a、38bに表示される特別停止図柄の表示態様(本実施形態では‘7セグ’の表示態様)が異なる場合がある。
(T−2−1.大当り図柄テーブル)
本実施形態の大当り図柄テーブルには、特別図柄変動表示ゲーム1に係る特図1用の「大当り図柄テーブル1」と特別図柄変動表示ゲーム2に係る特図2用の「大当り図柄テーブル2」とが含まれ、特図1始動口チェック処理中においては「大当り図柄テーブル1」、特図2始動口チェック処理中においては「大当り図柄テーブル2」が参照される。
これら大当り図柄テーブルには、特別図柄判定用乱数値と、大当り種別を決定するための判定値とが関連付けて定められており、具体的には、特別図柄判定用乱数値がいずれの判定値に属するか否かにより、複数種類の大当りのうちからいずれか一つの大当りが決定されるようになっている。上記大当り図柄テーブル1では、たとえば、特別図柄判定用乱数値が判定値0〜139の範囲に属する場合には「2R確変大当り」当選となり(図柄選択率(図柄抽選確率):140/200)、判定値140〜199の範囲に属する場合は「15R確変大当り」当選となり(図柄選択率:60/200)、大当り種別が所定の図柄選択率で決定され、これに対応する特別図柄判定データおよび特別停止図柄番号が決定されるようになっている。
上記大当り図柄テーブル2は、上述の大当り図柄テーブル1と基本的な構成は同じであるが、大当り図柄テーブル1と次の点が異なる。大当り図柄テーブル2では、大当り図柄テーブル1と比較し、特定の大当りの図柄選択率(図柄抽選確率)が異なる。具体的には、特別図柄判定用乱数値が判定値0〜39の範囲に属する場合には「2R確変大当り」当選となり(図柄選択率:40/200)、判定値40〜199の範囲に属する場合には「15R確変大当り」当選となり(図柄選択率:160/200)となっている。つまり、大当り図柄テーブル1による図柄抽選よりも大当り図柄テーブル2による図柄抽選の方が相対的に高い利益の大当りの種類が選択される確率が高く、遊技者にとって有利な図柄抽選となっている。これにより、特別図柄変動表示ゲーム1よりも特別図柄変動表示ゲーム2の抽選を受ける方が遊技者にとって有利なゲーム展開とされる。特に、電サポ有り状態下では、下始動口35側の入賞確率が飛躍的に向上して特別図柄変動表示ゲーム2の実行機会も増えるため、電サポ有り状態中は、高ベース遊技状態であるだけでなく、図柄抽選の観点からも遊技者にとって有利な遊技状態とされる。
ステップS318の処理において、上記した図柄テーブルから得られた各種データ(先読み判定における図柄抽選結果:特別図柄判定データ、特別停止図柄番号)は、CPU201が備えるレジスタに保持した状態のまま(たとえば、特別図柄判定データはAレジスタに、特別停止図柄番号はBレジスタ)、RAM203には格納せずに、特別停止図柄データ作成処理を抜けて、ステップS319の始動口入賞時乱数判定処理に進む。その理由は次の通りである。
本実施形態では、今回の特別停止図柄データ作成処理で得られた判定結果(先読み判定における図柄抽選結果)の各種データは、続く「始動口入賞時乱数判定処理」で直ちに利用され、その後、このデータが必要とされることはない。したがって、この判定結果をRAM203に格納せずにレジスタに保持した状態のままで特別停止図柄データ作成処理を抜けても特に問題はない。これにより、特別停止図柄データ作成処理の判定結果をRAMに格納するためのプログラムを必要とせず、またその判定結果を格納するための専用の格納領域を設ける必要がない。その結果、メモリ容量を削減し、制御負担の軽減することができるようになっている。
上記したステップS318の特別停止図柄データ作成処理を終えると、次いで、ステップS319の始動口入賞時乱数判定処理を行う。この始動口入賞時乱数判定処理も、上記乱数判定処理(ステップS317)や特別停止図柄データ作成処理(ステップS318)と同じく、‘先読み判定’処理の一環として行われるものであり、ここでは、今回の作動保留球に係る「変動開始時の変動パターン」を事前に判定する‘先読み判定(先読み変動パターン判定’を行う。
上記始動口入賞時乱数判定処理では、ステップS317の乱数判定処理で得られた当落抽選結果と、ステップS318の特別停止図柄データ作成処理で得られた‘図柄抽選’結果と、ステップS314の処理で得られた‘変動パターン用乱数’とを利用し、今回の作動保留球に係る変動開始時の変動パターン、つまり今回の作動保留球が変動表示動作に供されるときに実行される「特別図柄変動パターン作成処理(後述の図12のS412参照)」の結果(変動開始時の変動パターン内容)を先読み判定する。そして、その先読み判定結果に基づいて、後述の「入賞時コマンド」の作成に利用される入賞コマンドデータの作成処理を行う。ここでは、入賞コマンドデータとして、少なくとも当落抽選結果(当り・ハズレの別)を特定可能な「MODE_1(1バイト目(上位バイト))」側のコマンドデータと、先読み変動パターンの内容を特定可能とする「EVENT(2バイト目(下位バイト))側のコマンドデータとを取得する。この始動口入賞時乱数判定処理において決定される入賞コマンドデータにより、先読み変動パターン(保留球数情報は除く)の内容が指定される。なお、実施形態1の場合、上位バイトが当落抽選と転落抽選結果とに関する情報(転落抽選結果、当落抽選結果)を特定可能とするデータとなっている。
ステップS319の始動口入賞時乱数判定処理を終えると、始動口入賞時乱数判定処理において決定されたコマンドデータに基づき「入賞時コマンド」を作成し(ステップS320A)、続いて、先読み判定時の作動保留球数を指定する「保留加算コマンド」を作成する(ステップS320)。この「保留加算コマンド」は2バイトで構成され、今回先読み対象となった作動保留球が特図1側であるか特図2側であるかを指定する上位バイト(MODE)側と、入賞時の作動保留球数を指定する下位バイト(EVENT)側とで構成される。保留加算コマンドは、演出制御部24側において、作動保留球発生の際、保留表示領域76、77に対し、現在の作動保留球数に関する情報を報知したり、先読み予告演出が実行される場合には、その予告対象保留についての先読み予告演出(保留表示変化系の先読み予告演出)を現出する際に利用される。
次いで、作成した入賞時コマンドと保留加算コマンドをそれぞれ演出制御部24に送信する(ステップS321)。
上記入賞時コマンドと保留加算コマンドとが主制御部20から送信されると、これを受けた演出制御部24は、これらコマンドに含まれる情報に基づき先読み予告演出の実行可否に関する抽選(先読み予告抽選)を行い、その抽選結果により実行可と決定された場合(先読み予告抽選に当選した場合)、今回の作動保留球を対象とする先読み予告演出を現出させる。また演出制御部24は、入賞時コマンドおよび/または保留加算コマンドを受けた場合、先読み予告演出を現出させるか否かにかかわらず、始動口に入賞があった旨を報知する「入賞演出」を現出させることができる。
なお、作動保留球数が4以上の場合に新たな入賞があった場合にもオーバーフロー(overflow)を指定する入賞時コマンドと保留加算コマンド(以下、これらを「OFコマンド」と略す)とが作成され、演出制御部24に送信されるようになっている(ステップS312:YES→ステップS320A)。
以上により、ステップS301の特図1始動口チェック処理を抜けて、続いて図9のステップS302の特図2始動口チェック処理を行うことになる。
(10−3.特別図柄変動開始処理:図12)
次に、特別図柄変動開始処理(ステップS306)について説明する。図12は、図9の特別図柄変動開始処理の詳細を示すフローチャートである。
図12において、CPU201は、まず特図2作動保留球数がゼロか否かを判定し(ステップS401)、特図2作動保留球数がゼロでない場合には(ステップS401:NO)は、ステップS403の処理に進み、今回の変動表示に供する特図2作動保留球を対象とした変動開始時の処理(ステップS403〜S416)を行う。一方、特図2作動保留球数がゼロの場合には(ステップS401:YES)、続いて特図1作動保留球数がゼロか否かを判定し(ステップS402)、特図1作動保留球数がゼロでない場合には(ステップS402:NO)は、ステップS403の処理に進み、今回の変動表示に供する特図1作動保留球を対象とした特別図柄の変動開始に係る処理(ステップS403〜S416)を行う。このステップS401とS402の処理により、特図1作動保留球と特図2作動保留球のどちらを優先的に変動表示動作に供するか(どちらの作動保留球を優先的に消化していくか)の「優先変動順位」が定まる。本実施形態では、特図1作動保留球と特図2作動保留球の双方に作動保留球が存在する場合、特図2作動保留球が優先的に消化される、つまり特別図柄変動表示ゲーム1よりも特別図柄変動表示ゲーム2の方が優先的に実行されるようになっている。
特図2作動保留球数と特図1作動保留球数の双方の作動保留球数がゼロである場合(ステップS401:YES、かつステップS402:YES)、「作動保留球なし」の状態となる。この「作動保留球なし」の状態は、特別図柄が待機中であり、かつ保留記憶無しの状態となった場合であり、この状態に突入したことを演出制御部24側に知らせて、液晶表示装置36に対し、客待ち待機用のデモ画面表示に切り替え制御させる。そこで、「作動保留球なし」になった場合は、ステップS417に進み、特別図柄動作ステータスが上記「作動保留球なし」の状態を示す「待機中(00H)」であるか否かを判定する(ステップS417)。
ステップS417の判定処理を通過したとき、つまり上記「作動保留球なし」の状態となったとき、このときの特別図柄動作ステータスが「待機中(01H)」であった場合には(ステップS417:NO:後述の図17Aの特別図柄確認時間中処理中のステップS472参照)、特別図柄動作ステータスを「待機中(00H)」に切り替える(特別図柄動作ステータスに00Hを格納:ステップS418)。そして、演出制御コマンドとして、デモ画面を表示させるための「デモ表示コマンド」を演出制御部24に送信して(ステップS419)、特別図柄変動開始処理を抜ける。演出制御部24は、上記デモ表示コマンドを受けてから所定時間経過しても、何ら図柄変動表示ゲームに係る演出制御コマンド(たとえば、入賞時コマンドや保留加算コマンド)を受けない場合、変動表示動作が一定時間行われない状態(客待ち待機状態)が発生したとみなして、液晶表示装置36において、遊技待機状態中を報知する「デモ画面表示」を行うこととしている。
特図2作動保留球数がゼロでない場合(ステップS401:NO)、または特図2作動保留球数がゼロであるが、特図1作動保留球数がゼロでない場合(ステップS401:YES→ステップS402:NO)、今回の変動表示に供する作動保留球を対象とした特別図柄の変動開始時に係る処理(ステップS403〜S416)を行っていく。なお、以下に説明するステップS403〜S416の処理については、上記のステップS401の判定で‘NO’であった場合は特図2作動保留球を対象とした処理、上記のステップS402の判定で‘NO’であった場合は特図1作動保留球を対象とした処理となるが、処理の仕方は実質的に同じである。よって、重複記載を避けるために、特に必要が無い限り、特別図柄1側の作動保留球を対象とした処理なのか、特別図柄2側の作動保留球を対象とする処理なのかという区別はせずに説明していく。
ステップS403の処理に進むと、作動保留球数を1減算し(今回の変動表示動作に供する特別図柄側に係る作動保留球数−1:ステップS403)、減算後の作動保留球数情報を含む「保留減算コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS404)。この保留減算コマンドにより、演出制御部24側は、今回の作動保留球数消化後の残余作動保留球数を把握する。
次いで、特別図柄作動確認データを格納する(ステップS405)。この特別図柄作動確認データは、今回の変動開始側の特別図柄種別を指定する情報であり、たとえば、特別図柄1が変動開始側であるならば「00H」を、特別図柄2が変動開始側であるならば「01H」を特別図柄作動確認データに格納する。
次いで、RAM203の保留記憶エリアに格納されている保留データをシフトして(ステップS406)、保留4記憶エリアをゼロクリアする(ステップS407)。このステップS406〜S407の処理では、保留記憶数n=1に対応する保留記憶エリア(保留1記憶エリア)に格納されている保留データ(大当り判定用乱数、特別図柄判定用乱数、および変動パターン用乱数)を読み出し、RAM203の判定用乱数記憶エリアに格納するとともに、保留n記憶エリア(n=2、3、4)に対応する保留記憶エリア(保留2記憶エリア、保留3記憶エリア、保留4記憶エリア)に格納されている保留データを、それぞれ‘n−1’に対応する保留記憶エリアに格納し(ステップS406)、保留4記憶エリアをクリアして空き領域を設ける(ステップS407)。これにより、特別図柄変動表示ゲームの開始順番は、作動保留球数n(n=1、2、3、4)の順番と一致し、始動口入賞時に取得された作動保留球がいずれの保留記憶エリアに対応するものであるかが特定されるとともに、新たな作動保留球の保留記憶が可能になる。
そして本実施形態1の場合はステップS407の次に転落判定処理(ステップS408)に進む。しかし実施形態2、3の場合は、図12中に破線で示すように、電サポが付加されることが保証されている特別図柄の変動回数(電サポ保証回数)について、残り電サポ回数が有るか否かをチェックし(ステップS407A)、残り電サポ回数が有る場合は(ステップS407A:YES)、残り電サポ回数コマンドを送信(ステップS407B)して、ステップS408の転落判定処理に進む。残り電サポ回数がない場合は(ステップS407A:NO)、このコマンドの送信をせずにステップS408の転落判定処理に進む。
(10−3−1.転落判定処理:図13)
図13に、ステップS408(図12)の転落判定処理の詳細を示す。これは特別図柄変動表示動作が開始する際、つまり変動開始時に行われる転落判定処理であり、当り判定処理(特別電動役物作動判定用乱数判定処理:ステップS409)に先立って行われる。まず、現在の変動開始時の遊技状態が確変状態であるか否か、すなわち、後述の特別図柄確変状態フラグがON(=5AH)されているか否かを判断する(ステップS421)。特別図柄確変状態フラグがONされている場合(ステップS421:=5AH)は、ステップS314(図10)で取得した転落判定用乱数を判定テーブルで判定し(ステップS422)、図柄遊技の変動開始時の判断として、転落抽選に当選しているか否かを判断する(ステップS423)。
図柄遊技の変動開始時の判断として転落抽選に当選していると判断した場合は(ステップS423:YES)、特別図柄確変状態フラグをOFFするとともに、特別図柄時短状態フラグをOFFとし、現在の遊技状態情報を報知する報知LED出力番号を00H(OFF)にする(ステップS424)。なお、上記特別図柄確変状態フラグがONからOFFになると、大当り抽選確率状態の判断ベースが高確率状態から低確率状態に移行(転落)することになる。
そしてステップS425に進み、主制御部20での制御のため転落コマンドを送信する(ステップS355)。この転落コマンドは、開放延長機能が作動して高ベース状態となっている電サポ中(電サポ中)とそれ以外の状態に応じてコマンドを分けて送信する。そして処理を終了し、図12のステップS408に戻る。
一方、特別図柄確変状態フラグがセットされていない場合(ステップS421:≠5A)は転落判定用乱数の判定を行わずに処理を終了し、また転落抽選に非当選であった場合(ステップS423:NO)も何もしないで処理を終了し、図12のステップS409に進む。
実施形態4の「ST機タイプ」の場合や実施形態5の「時短付大当りを複数種類含むタイプ」は非転落タイプの機種である。したがって、実施形態4、5の場合は、この転落判定処理(ステップS408)を行わず、ステップS407AとステップS407Bの処理を行う。実施形態4の場合は、ST規定回数まで確変状態が継続されるので、ステップS407Aでは、ST期間をカウントするために、後述の特別図柄時短回数カウンタ(特別図柄時短状態が終了するまでの残り回数を計数するためのカウンタ)がゼロであるか否かを判定し、残りの時短回数(ST回数)がある場合は、その残り回数情報を含む「残り電サポ回数コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS407B)。実施形態5の場合は、所定回数まで時短状態が継続するので、ステップS407Aでは、実施形態4の場合と同じく、特別図柄時短回数カウンタがゼロであるか否かを判定し、残りの時短回数がある場合は、その残り回数情報を含む「残り電サポ回数コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS407B)。この「残り電サポ回数コマンド」により、演出制御部24側は、残りのST回数を把握することができる。これにより、演出手段を利用して残りST回数情報を報知したり、発射誘導報知の切り替えタイミング(ST終了となる図柄変動表示ゲーム)を把握して、適切なタイミングにて発射誘導報知演出(ここでは、右打ちから左打ち報知への切り替え)を現出させたりすることができる。
(10−3−2.図12のS407A〜S408)
図12に戻り、ステップS408に次いで、特別電動役物作動判定用乱数判定処理を行う(ステップS409)。この特別電動役物作動判定用乱数判定処理では、大当り判定用乱数値を利用し、今回の特別図柄変動表示ゲームに係る「当落抽選」を行う。なお特別電動役物作動判定用乱数判定処理は、「当落抽選」を行うといった点において‘先読み判定’処理の一つである「乱数判定処理(図10のステップS319)」と同じような働きをする処理であるが、ここでは、今回の変動表示動作に供される作動保留球を対象とした‘変動開始時の判定’における「当落抽選」を行う。特別電動役物作動判定用乱数判定処理の処理手順は、乱数判定処理(図10のステップS319)と実施的に同じ処理手順であるので、重複記載を避けるために適宜省略して説明する。
ここではまず、特別図柄作動確認データに基づき、今回の変動表示側に対応する当り乱数判定テーブルを取得する。この当り乱数判定テーブルは、乱数判定処理(図10のステップS317)で利用した当り乱数判定テーブルと同じものである。次いで、判定用乱数記憶エリアに格納された大当り判定用乱数値を取得し、大当り判定用乱数値と当り乱数判定テーブルとに基づく、大当り、小当り、およびハズレの別の当落抽選を行い、その結果をRAM203の当り判定フラグ領域に格納する。
この当落抽選(変動開始時の当落抽選)により、「大当り」当選となった場合には大当り判定フラグが「5AH(大当り判定フラグがON状態)」に設定され、それ以外の判定値に属する場合には「00H(大当り非当選(大当り判定フラグがOFF状態))」となる。また「小当り」当選となった場合には小当り判定フラグが「5AH(小当り判定フラグがON状態)」に設定され、それ以外の判定値に属する場合には「00H(小当り非当選(小当り判定フラグがOFF状態))」となる。したがって大当り判定用乱数値が、大当り判定フラグ「00H」、かつ小当り判定「00H」となる判定値に属する場合、「大当り」および「小当り」のいずれにも当選しなかったことになり、今回の当落判定結果は‘ハズレ(大当り判定フラグおよび小当り判定フラグがOFF状態)’となる。
ここで、ステップS409の特別電動役物作動判定用乱数判定処理により得られたデータをRAM203に格納する理由は次の通りである。特別電動役物作動判定用乱数判定処理において得られたデータ(大当り判定フラグ、小当り判定フラグ)は、先読み判定時における「乱数判定処理(図10のステップS317)」で得られたデータのように後続処理で直ちに利用されてその後に不必要となるといったデータではなく、後々の特別停止図柄作成処理(ステップS410)において必要となるデータだからである。
ステップS409の特別電動役物作動判定用乱数判定処理を終えると、次いで、特別停止図柄作成処理を行う(ステップS410)。この特別停止図柄作成処理では、ステップS409の特別電動役物作動判定用乱数判定処理の当落抽選結果と特別図柄判定用乱数値を利用し、今回の特別図柄変動表示ゲームに係る「図柄抽選」を行う。特別停止図柄作成処理は、「図柄抽選」を行うといった点において‘先読み判定’処理の一つである「特別停止図柄データ処理(図10のステップS318)」と同じような働きをする処理であるが、ここでは、今回の変動表示動作に供される作動保留球を対象とした‘変動開始時の判定’における「図柄抽選」を行う。その特別停止図柄作成処理の基本的な処理手順は、特別停止図柄データ処理(図10のステップS318)と同じであるので、重複記載を避けるために、適宜省略しながら説明する。
ここではまず、特別図柄作動確認データと、ステップS409の特別電動役物作動判定用乱数判定処理で得られた当落抽選結果(上記大当り判定フラグと小当り判定フラグ)とを取得し、これらに基づき、大当り図柄テーブル、小当り図柄テーブル、およびハズレ図柄テーブルのいずれかを選択する。この図柄テーブルは、特別停止図柄データ処理(図10のステップS318)で利用した図柄テーブルと同じものである。次いで、判定用乱数記憶エリアに格納された特別図柄判定用乱数値を取得し、上記選択した図柄テーブルと、特別図柄判定用乱数値とに基づき、今回の特別図柄変動表示ゲームに係る「図柄抽選」を行い、図柄抽選結果(特別図柄判定データ、特別停止図柄番号)をRAM203の所定領域(特別図柄判定データ記憶領域、特別図柄停止図柄番号記憶領域)に格納する。これにより、今回の特別図柄変動表示ゲームに係る当選種別(当りの種類)が決定される。
ここで、ステップS410の特別停止図柄作成処理により得られたデータをRAM203に格納する理由は次の通りである。特別停止図柄作成処理において得られたデータ(特別図柄判定データ、特別停止図柄番号)は、先読み判定時における「特別停止図柄データ処理(図10のステップS318)」で得られたデータのように後続処理で直ちに利用されてその後に不必要となるといったデータではなく、後々の特別図柄変動パターン作成処理(ステップS412)や、特別電動役物処理(ステップS60)において必要となるデータだからである。
ステップS410の特別停止図柄作成処理を終えると、次いで、遊技状態移行準備処理を行う(ステップS411)。この遊技状態移行準備処理では、遊技状態を移行させるための設定として、当り遊技後の遊技状態を指定するために必要な設定処理を行う。具体的には、大当り種別に応じて、確変状態、時短状態、潜確状態、CZ(通常)、CZ(潜確)、通常状態など、当り遊技後に移行させる遊技状態を指定するために必要な各種データを所定の移行状態バッファに格納する。移行状態バッファに格納されたデータは、後述の大当り終了処理(ステップS509)で利用される。
遊技状態を指定する各種データとしては、普電役物開放延長状態フラグ(開放延長機能の作動状態(電サポ状態の有無)を指定するためのフラグ)、普通図柄時短状態フラグ(普通図柄時短機能の作動状態を指定するためのフラグ)、普通図柄確変状態フラグ(普通図柄確変機能の作動状態(補助当り抽選確率状態)を指定するためのフラグ)、特別図柄時短状態フラグ(特別図柄時短機能の作動状態を指定するためのフラグ)、特別図柄確変状態フラグ(特別図柄確変機能の作動状態(大当り抽選確率状態)を指定するためのフラグ)、特別図柄時短回数カウンタ(特別図柄時短機能の作動(特別図柄時短状態)が終了するまでの残り回数を計数するためのカウンタ)、特別図柄確変回数カウンタ(特別図柄確変機能の作動(高確率状態)が終了するまでの残り回数を計数するためのカウンタ)、および特別図柄変動回数カウンタ(変動パターン振分指定番号を更新するための特別図柄の変動回数を計数するためのカウンタ)などがある。これらフラグやカウンタの設定状態により、特別図柄や普通図柄に関する機能の作動状態などが定まり、遊技状態が定まることになる。なお、これらフラグやカウンタについては、各実施形態1〜6のタイプの機種を実現するために必要なデータを設ければよい。
ステップS411の遊技状態移行準備処理を終えると、次いで、特別図柄変動パターン作成処理を行う(ステップS412)。この特別図柄変動パターン作成処理では、特別停止図柄作成処理の図柄抽選結果(少なくとも特別電動役物作動判定用乱数判定処理で得られた当落抽選結果)、変動パターン用乱数、変動パターン振分指定番号(Tcode)(現在の遊技状態)、および作動保留球数などを利用し、今回の変動表示動作に供される作動保留球を対象とした特別図柄の変動パターン、つまり「変動開始時の変動パターン」を抽選により決定する。そして、その変動パターンの内容を特定可能な「変動パターン指定コマンド」を作成し、これを演出制御部24側に送信する。
ステップ412の特別図柄変動パターン作成処理を終えると、次いで、変動表示中である旨を指定する特別図柄N変動中フラグ(N=1、2)に5AH(ON状態)を格納する(ステップS413)。上記「特別図柄N変動中フラグ」とは特別図柄1、2のどちらの特別図柄が変動中であるかを示すフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には特別図柄が変動中である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には特別図柄が停止中である旨を示す。なお、特別図柄1変動中フラグ(N=1)は特別図柄1側に対応し、特別図柄2変動中フラグ(N=2)は特別図柄2側に対応する。
次いで、ステップS410の特別停止図柄作成処理で得られた図柄抽選結果に基づき、装飾図柄指定コマンドを作成し(ステップS414)、演出制御部24に送信する(ステップS415)。装飾図柄指定コマンドは、変動側の特別図柄種別を指定する上位バイト(MODE)と、大当り種別、小当り種別、ハズレ種別を指定する下位バイト(EVENT)の2バイトで構成される。したがって、この装飾図柄指定コマンドには、変動側の特別図柄種別と当選種別(図柄抽選結果)とに関する情報が含まれる。具体的には、上位バイト(MODE)側については、変動側の特別図柄が特別図柄1の場合には「B5H」、特別図柄2の場合には「B6H」が設定され、下位バイト(EVENT)側については、当選種別がハズレの場合には「01H」が、15R確変大当りの場合には「02H」が設定され、2R短開放潜確大当りの場合は「03H」、小当りの場合は「04H」が設定される。なお、実施形態1〜6では、下位バイト(EVNET)に当選種別を特定可能とするデータが設定されるが、特別停止図柄番号または特別図柄判定データを特定可能とするデータであっても良い。この装飾図柄指定コマンドは、当選種別に関する情報が含まれることから、演出制御部24側において、主として、リーチ状態を形成する際の装飾図柄の組合せ(リーチ図柄を構成要素となる図柄種)や、最終的に停止表示させる装飾図柄(装飾停止図柄)の組合せや、図柄変動表示ゲームにおいて当選種別に対応する予告演出などを決定する際に利用される。
そして、変動開始時設定処理として、特別図柄動作ステータス「変動中(02H)」に切り替え(特別図柄動作ステータスに02Hを格納)、判定用乱数記憶エリアをゼロクリア(00Hを格納する)する(ステップS416)。
以上により、この特別図柄変動開始処理を抜けると、図9の特別図柄表示データ更新処理(ステップS309)を行い、かくして特別図柄の変動表示が開始されることになる。
なお、特別図柄変動中処理(ステップS307)では、特別図柄の変動中であるか否か、つまり特別図柄の変動時間が経過したか否かを監視し、変動時間が経過したならば、演出制御コマンドとして、「変動停止コマンド」を演出制御部24に送信する処理や、特別図柄役物動作タイマに確定表示時間(たとえば、500ms)を格納し、特別図柄動作ステータスを「確認中(03H)」に切り替え(特別図柄動作ステータスに03Hを格納)処理などを行う。上記「変動停止コマンド」とは、特別図柄の変動が終了したことを示すコマンドであり、この変動停止コマンドにより演出制御部24は、特別図柄の変動時間経過して特別図柄変動表示ゲームが終了したこと(終端)を把握し、現在変動表示中の装飾図柄を停止表示させる。これにより、特別図柄変動表示ゲームの終了とともに、装飾図柄変動表示ゲームも終了することになる。また、上記「確定表示時間」とは、特別図柄の変動表示が終了して特別図柄の停止表示した際、その停止表示を保持する時間(停止表示時間)である。
また特別図柄確認時間中処理(ステップS308)では、上述の確定表示時間が経過したか否かを監視し、確定表示時間が経過したならば、今回の特別図柄変動表示ゲームが終了したとして、特別図柄動作ステータスを「待機中(01H)」に切り替え(特別図柄動作ステータスに01Hを格納)、今回の特別図柄変動表示ゲームが大当りであれば、大当り遊技を開始するために要する処理(大当り図柄停止時の各種設定処理)を行い、小当りであれば、小当り遊技を開始するために要する処理(小当り図柄停止時の各種設定処理)を行う。大当り図柄停止時の各種設定処理では、大当り判定フラグ、普電役物開放延長状態フラグ、普通図柄時短状態フラグ、普通図柄確変状態フラグ、特別図柄時短状態フラグ、特別図柄確変状態フラグ、特別図柄時短回数カウンタ、特別図柄確変回数カウンタ、および特別図柄変動回数カウンタの各々をクリアし(00Hを格納)、条件装置作動フラグをON状態(5AHを格納)にする。また、小当り図柄停止時の各種設定処理では、小当り判定フラグクリアし(00Hを格納)、小当り中フラグに5AH(ON状態)を格納する。
またここでは、特別図柄時短回数カウンタ(特別図柄時短状態の残り回数)、特別図柄確変回数カウンタ(残りST回数)、特別図柄変動回数カウンタが監視され、小当りまたはハズレの場合は、今回の特別図柄変動表示ゲームの消化分として、ゼロでないカウンタについては、当該カウンタが1減算される。
減算後の特別図柄時短回数カウンタがゼロであれば、今回のゲームで特別図柄時短状態の終了回数に達したとして、時短終了時の設定処理を行う。ここでは、時短終了時の設定処理として、普電役物開放延長状態フラグ、普通図柄時短状態フラグ、普通図柄確変状態フラグ、および特別図柄時短状態フラグの各々をクリアし、また変動パターン振分指定番号(Tcode)に所定値(たとえば、通常状態を示す00H)を格納し、演出制御コマンドとして、特別図柄時短状態が終了した旨を示す(電サポ無し状態移行情報)「時短終了コマンド」を演出制御部24に送信する。これにより次ゲームから、電サポ無し状態下に置かれることになる。上記時短終了コマンドは、今回の図柄変動表示ゲーム終了時に送信されるので、演出制御部24は、次ゲームから‘電サポ無し状態’となる旨を次ゲームの開始前に把握することができ、次ゲームの開始前に演出モードを切り替えたり(背景画像を切り替える)、適切なタイミングにて発射誘導報知演出(ここでは、右打ちから左打ち報知への切り替え)を現出させたりすることができる。
また、減算後の特別図柄確変回数カウンタがゼロであれば、今回のゲームで特別図柄確変状態の終了回数に達したとして、確変終了時の設定処理を行う。ここでは、潜確状態終了または確変状態終了に伴う通常遊技状態への移行設定処理として、普電役物開放延長状態フラグ、普通図柄時短状態フラグ、普通図柄確変状態フラグ、特別図柄時短状態フラグ、および特別図柄確変状態フラグの各々をクリアし、必要であれば、変動パターン振分指定番号(Tcode)に所定値(たとえば、通常状態を示す00H)を格納する。これにより、次ゲームから、大当り抽選確率が高確率状態から低確率状態下に置かれることになる。
また、減算後の特別図柄変動回数カウンタがゼロであれば、特別図柄の変動回数が遊技状態移行規定回数に達したとして、遊技状態の移行設定処理を行う。ここでは、変動パターン振分指定番号(Tcode)の更新を行う。たとえば、CZ(04H)が終了した場合、「通常状態(00H)」を指定する変動パターン振分指定番号(Tcode)に更新したり、ST期間中を前半区間(たとえば、変動回数30回まで)、後半区間(たとえば、変動回数93回まで)、および最終区間(たとえば、変動回数100回まで)の3つの区間に区切る場合、各区間の終了したときは、遊技状態移行規定回数に達したとして、次の区間を指定する変動パターン振分指定番号(Tcode)に更新する。また、新たな変動パターン振分指定番号(Tcode)に変更した場合には、遊技状態の移行情報を含む「遊技状態指定コマンド」を演出制御部24に送信する。演出制御部24は、遊技状態指定コマンドにより遊技状態の移行を把握することができる。
<11.特別電動役物管理処理:図14>
次に、図8中の特別電動役物管理処理(ステップS060)について説明する。図14は、ステップS060の特別電動役物管理処理の詳細を示すフローチャートである。
図14において、CPU201は、まず小当り中フラグの状態を判定する(ステップS501)。上記小当り中フラグがON状態(=5AH)の場合(ステップS501:=5AH)、小当り遊技に係る特別変動入賞装置(大入賞口の開閉制御)の一連の動作を制御するための小当り処理を行い(ステップS504)、この特別電動役物管理処理を抜ける。
上記小当り中フラグがOFF状態(=00H)の場合(ステップS501:≠5AH)、次いで、条件装置作動フラグの状態を判定する(ステップS502)。条件装置作動フラグがOFF状態(=00H)の場合(ステップS502:≠5AH)、この場合は、小当り遊技中ではなく(ステップS501:≠5AH)、大当り遊技中でもないので、何もしないでこの特別電動役物管理処理を抜ける。
条件装置作動フラグがON状態(=5AH)の場合(ステップS502:=5AH)、特別電動役物動作ステータス(00H〜04H)に応じた処理を行う(ステップS503:特別電動役物ステータス分岐処理)。なお「特別電動役物動作ステータス」とは、特別変動入賞装置42、52の挙動を示すステータス値であり、このステータス値は処理状態に応じて変更され、RAM203の特別電動役物動作ステータス格納領域に格納される。
ステップS503の特別電動役物動作ステータス分岐処理では、特別電動役物動作ステータス値に応じた処理を呼び出して実行させる。具体的には、特別電動役物動作ステータスが「開始処理中(00H)」の場合には、大当り開始処理(ステップS505)を、「作動開始処理中(01H)」の場合には、特別電動役物作動開始処理(ステップS506)を、作動中(02H)」の場合には、特別電動役物作動中処理(ステップS507)を、「継続判定中(03H)」の場合には、特別電動役物作動継続判定処理(ステップS508)を、「終了処理中(04H)」の場合には、大当り終了処理(ステップS509)を呼び出して実行させる。これらの処理により大当り遊技に係る特別変動入賞装置52の動作が制御される。ここで、上述の「開始処理中(00H)」とは、大当り遊技開始前の待機状態である旨を示し、「作動開始処理中(01H)」とはラウンド遊技開始前の待機状態である旨を示し、「作動中(02H)」とはラウンド遊技が実行中である旨を示し、「継続判定中(03H)」とは次回のラウンド遊技を継続させるか否かの判定中である旨を示し、「大当り終了処理中(04H)」とは大当り遊技終了時の終了処理中である旨を示す。上記ステップS505〜S509のいずれかの処理を終えると、特別電動役物管理処理を抜けて、図8のステップS061の右打ち報知情報管理処理に進む。
以下に、大当り遊技制御処理(ステップS505〜S509)と、小当り遊技制御処理(ステップS504)とについて説明する。
(11−1.大当り開始処理)
先ず、大当り開始処理(ステップS505)について説明する。
大当り遊技開始時には、特別電動役物動作ステータスが初期ステータス値の「開始処理中(00H)」に設定されている。したがって、大当りとなった場合には、まずこの大当り開始処理が行われるようになっている。
ここでは、まず大当り遊技を開始する際に必要な大当り遊技開始時の設定処理として、役物連続作動装置作動フラグに5AH(ON状態)を格納し、特別電動役物動作ステータスを「作動開始処理中(01H)」に切り替え(特別電動役物動作ステータスに01Hを格納)、連続回数カウンタに01Hを格納する。上記「役物連続作動装置作動フラグ」とは、役物連続作動装置の作動状態を指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には役物連続作動装置作動中(ラウンド遊技継続可)である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には役物連続作動装置非作動(ラウンド遊技継続不可)である旨を示す。また「連続回数カウンタ」とは、ラウンド遊技の連続実行回数を管理するためのカウンタであり、現在のラウンド数はここに記憶される。ここでの連続回数カウンタは「01H」が設定されるので、現在のラウンド数は1R目を示している。
次いで、「大当り開始設定テーブル(図示せず)」を取得する。この「大当り開始設定テーブル」には、特別図柄判定データ(大当り種別)に応じた、最大ラウンド数(規定ラウンド数データ)、ラウンド表示LED番号(規定ラウンド数表示データ)、および開始インターバル時間が定められており、主制御部20は、大当り開始設定テーブルを参照して、今回の大当り種別に応じた各データを、それぞれに対応するRAM203の記憶領域に格納する。なお上記「開始インターバル時間」とは、特別図柄の確定表示時間が経過して大当りが確定した後、特別変動入賞装置52が作動するまでのインターバル区間であって、オープニング演出が行われる区間を定めた時間幅を指す。
次いで、オープニング演出の開始を指示する「大当り開始コマンド」を演出制御部24に送信し、この大当り開始処理を抜けて、図8のステップS061の右打ち報知情報管理処理に進む。上記「大当り開始コマンド」は、今回の大当り種別とその大当り当選時の遊技状態とを特定可能な情報(たとえば、今回の大当り種別と、その大当り当選時の遊技状態(変動パターン振分指定番号(Tcode)および/または内部遊技状態情報)を含み、オープニング演出の開始を指示する役割の他、演出制御部24側において、大当り遊技中に展開される一連の当り演出(大当り種別ごとに対応するオープニング演出、ラウンド演出、ラウンド終了演出、およびエンディング演出など)を決定する際にも利用される。
(11−2.特別電動役物作動開始処理)
次に、特別電動役物作動開始処理(ステップS506)について説明する。
ここではまず、特別図柄役物動作タイマがゼロであるか否かを判定する。ここでの特別図柄役物動作タイマには、「ラウンド遊技開始前のインターバル時間」が設定されている。このインターバル時間としては、初回のラウンド(1R目)では、上記ステップS505の大当り開始処理で設定された「開始インターバル時間」が監視されるが、2R目以降でこの特別電動役物作動開始処理(ステップS506)を通過するときは、「開放前インターバル時間(後述の特別電動役物作動継続判定処理(ステップS508)で設定されるインターバル時間)」が監視される。この特別図柄役物動作タイマがゼロになるまでの間は、何もしないでこの特別電動役物作動開始処理を抜ける。
一方、特別図柄役物動作タイマがゼロ、つまり開放前インターバル時間(初回のラウンド(1R目)の場合は、開始インターバル時間)が経過したならば、「大入賞口開閉動作設定処理」を行う。この大入賞口開閉動作設定処理では、特別図柄判定データ(大当り種別)と現在のラウンド数とに応じた大入賞口50の開閉動作パターンを設定する。具体的には、大入賞口50を開閉動作させるための大入賞口開閉動作時間(たとえば、長開放パターンであれば29.8秒、短開放パターンであれば0.1秒)を特別図柄役物動作タイマに格納し、大入賞口ソレノイド52cを制御するためのソレノイド用制御データを設定する。このソレノイド用制御データは、特別図柄役物動作タイマの値に応じて変更される。そして上記大入賞口開閉動作設定処理を終えると、特別電動役物動作ステータスを「作動中(02H)」に切り替え(特別電動役物動作ステータスに02Hを格納)、特別電動役物管理処理を抜け、図8のステップS061の右打ち報知情報管理処理に進む。
(11−3.特別電動役物作動中処理)
次に、特別電動役物作動中処理(ステップS507)について説明する。
ここではまず、大入賞口最大入賞数確認処理を行う。この大入賞口最大入賞数確認処理では、大入賞口50への入賞球数をカウントし、その入賞球数が最大入賞数に達したか否かを確認し、最大入賞数に達した場合には特別図柄役物動作タイマをクリアする。これにより、ステップS506の特別電動役物作動開始処理で設定されたタイマ値が強制的にゼロになり、最大入賞数に達したことをもって開放中の大入賞口50が閉鎖されるようになっている。大入賞口最大入賞数確認処理を終えると、特別図柄役物動作タイマがゼロであるか否かを判定し、タイマ値がゼロになるまでの間は(大入賞口開放動作時間経過するか、または最大入賞数に達するまでの間)、何もしないでこの特別電動役物作動中処理を抜ける。
特別図柄役物動作タイマがゼロになったならば(最大入賞数に達したか、または大入賞口開放動作時間経過した場合)、今回のラウンド遊技が終了したとして、特別電動役物動作ステータスを「継続判定中(03H)」に切り替え(特別電動役物動作ステータスに03Hを格納)、特別図柄役物動作タイマに残存球排出時間(たとえば、1980ms)を格納し、特別電動役物作動中処理を抜けて、図8のステップS061の右打ち報知情報管理処理に進む。
(11−4.特別電動役物作動継続判定処理)
次に、特別電動役物作動継続判定処理(ステップS508)について説明する。
ここではまず、特別図柄役物動作タイマがゼロであるか否かを判定する。ここでの特別図柄役物動作タイマには、大入賞口閉鎖後の上記残存球排出時間(1980ms)が設定されているので(ステップS507参照)、この残存球排出時間が経過したか否かが判定される。特別図柄役物動作タイマがゼロになるまでの間は、何もしないでこの特別電動役物作動継続判定処理を抜ける。
一方、特別図柄役物動作タイマがゼロ(残存球排出時間経過)になったならば、連続回数カウンタを取得して現在のラウンド数が規定ラウンド数(最大ラウンド数)に達したか否かを判定する。最大ラウンド数に達していない場合には、ラウンド遊技継続時の処理として、連続回数カウンタに1加算(+1)し、「開放前インターバル時間」を特別図柄役物動作タイマに格納し、特別電動役物動作ステータスを「作動開始処理中(01H)」に切り替える(特別電動役物動作ステータスに01Hを格納)。これにより、特別電動役物作動継続判定処理を抜けて、図8のステップS061の右打ち報知情報管理処理に進む。
現在のラウンド数が最大ラウンド数に達した場合には、「終了インターバル時間」を特別図柄役物動作タイマに格納し、次いで、ラウンド遊技終了時の各種設定処理として、特別電動役物動作ステータスを「終了処理中(04H)」に切り替える(特別電動役物動作ステータスに04Hを格納)。上記「終了インターバル時間」とは、最終ラウンドのラウンド遊技が終了して残存球排出時間が経過した後、大当り遊技が終了するまでのインターバル区間であって、エンディング演出が行われる区間を定めた時間幅を指す。
そして、エンディング演出の開始を指示する「大当り終了コマンド」を演出制御部24に送信し、この特別電動役物作動継続判定処理を抜けて、図8のステップS061の右打ち報知情報管理処理に進む。上記「大当り終了コマンド」は、今回の大当り種別とその大当り当選時の遊技状態とに関する情報、つまり大当り遊技終了後の遊技状態を特定可能な情報を含み、演出制御部24側において、大当り遊技後の演出モードを決定する際にも利用される。なお、上述の「大当り当選時の遊技状態に関する情報」には、変動パターン振分指定番号(Tcode)および内部遊技状態に関する情報を含むことができる。これにより、大当り当選時の遊技状態が「CZ」であった場合、そのCZが「CZ(通常)」であったのか「CZ(潜確)」であったのかをも特定することができ、大当り遊技終了後の演出モードを正しく移行させることができるようになっている。
(11−5.大当り終了処理)
次に、大当り終了処理(S509)について説明する。
ここではまず、特別図柄役物動作タイマがゼロであるか否かを判定する。ここでの特別図柄役物動作タイマには、上記終了インターバル時間が設定されているので、この終了インターバル時間が経過したか否かが判定される。上記特別図柄役物動作タイマがゼロになるまでの間は、何もしないでこの大当り終了処理を抜けて、図8のステップS061の右打ち報知情報管理処理に進む。
特別図柄役物動作タイマがゼロ(終了インターバル時間経過)になったならば、特別図柄変動開始処理中(図12)のステップS411の遊技状態移行準備処理で設定した移行状態バッファの各々のデータを利用して、大当り遊技後の遊技状態を設定する。これにより、大当り遊技後の遊技状態が特定される。次いで、大当り遊技制御処理中に利用した各種のデータ(条件装置作動フラグ、役物連続作動装置作動フラグ、連続回数カウンタ、最大ラウンド数、ラウンド表示LED番号、各種バッファなど)をそれぞれクリアし、特別電動役物動作ステータスを「開始処理中(00H)」に切り替える(特別電動役物動作ステータスに00Hを格納)。
上記大当り終了処理を終えると、大当り遊技に関する一連の制御処理が終了したことになる。この大当り終了処理を抜けると、図8のステップS061の右打ち報知情報管理処理に進む。
(11−6.小当り処理)
次に、小当り処理(ステップS504)について説明する。
小当り遊技では、大当り遊技のような「ラウンド遊技」が実行されない。したがって、ここでは、既に説明したように、小当り遊技中の動作態様が「2R系大当り遊技」(本実施形態では「2R潜確大当り」のみ設けているが、非確変の「2R非確変大当り」を設けた場合には、この両者を含む)の動作態様と実質的同一となるように、大入賞口の開閉動作パターンを制御するための処理が行われる。
この小当り処理に入ると、まず小当り遊技における「開始インターバル時間」を特別図柄役物動作タイマに設定し、オープニング演出の開始を指示する「小当り開始コマンド」を演出制御部24に送信する。開始インターバル経過したならば、次いで、後述の小当り遊技後の遊技状態を指定する小当り時遊技状態移行準備処理を行い、続いて、大入賞口50の開閉動作が「2R系大当り遊技」と同一または酷似する動作態様となるように、大入賞口ソレノイドを制御するためのソレノイド用制御データを設定する。これにより、大入賞口50が2R系大当り遊技の如く開放動作し、小当り遊技中の疑似的なラウンド遊技が実行される。なお小当り遊技中における大入賞口50への最大入賞数は大当りによるものと同じ(たとえば、9個)となっており、当該最大入賞数に達すると、大入賞口50が閉鎖状態に移行される。ただし、小当り遊技は大当り遊技のようなラウンド遊技が実行されないため、上記最大入賞数に達した場合、上記疑似的なラウンド遊技自体が終了されることになる。
大入賞口50の一連の開閉動作が終了したならば、エンディング演出の開始を指示する「小当り終了コマンド」を、演出制御部24に送信する。この「小当り終了コマンド」には、今回の小当り種別とその小当り当選時の遊技状態とを特定可能な情報が含まれ、演出制御部24側において、小当り遊技後の演出モードを決定する際にも利用される。したがって、この小当り終了コマンドは、エンディング演出の開始指示の役割の他に、遊技状態を指定する遊技状態指定コマンドとしての役割も担い、大当り遊技に係る「大当り終了コマンド」と同じ働きをする演出制御コマンドである。
<12:演出制御部側の処理:図15〜図23>
次に、図15〜図23を参照して、本実施形態の演出制御部24側における演出制御処理について説明する。演出制御部24側の処理は、主に、所定のメイン処理(演出制御側メイン処理:図15)と、CTCからの定時割込みで起動されるタイマ割込処理(演出制御側タイマ割込処理:図17)とを含んで構成される。
<13.演出制御側メイン処理:図15>
図15は、演出制御部側のメイン処理(演出制御側メイン処理)を示すフローチャートである。演出制御部24(CPU241)は、遊技機本体に対して外部から電源が投入されると、図15に示す演出制御側のメイン処理を開始する。
この演出制御側のメイン処理において、CPU241は、まず遊技動作開始前における必要な初期設定処理を行う(ステップS071)。ここでは、初期設定処理として、たとえば、コマンド受信割込み設定、可動体役物の起点復帰処理、CTCの初期設定、タイマ割込みの許可、マイクロコンピュータの各部を含めてCPU内部のレジスタ値の初期設定などを行う。
ステップS071の初期設定処理を終えると、正常動作時の処理として、所定時間ごとにステップS073〜S078のメインループ処理を行い、それ以外ではステップS079の演出用ソフト乱数更新処理を繰り返し行う。
ステップS072の処理において、CPU241は、メインループ更新周期用カウンタ値を参照して、メインループ処理の実行契機となるメインループ更新周期が到来したか否かを判定する(ステップS072)。上記メインループ更新周期用カウンタは、後述の演出制御側タイマ割込処理中のメインループ更新処理(図17のステップS096)で更新されるカウンタである。なお本実施形態では、16ms程度ごとにメインループ処理を行うようになっている。このメインループ更新周期が到来するまでは(ステップS072:NO)、各種演出抽選用乱数の更新を行う(ステップS079:各種演出用ソフト乱数更新処理)。
上記メインループ更新周期が到来した場合(ステップS072:YES)、CPU241は、受信コマンド解析処理を行う(ステップS073)。この受信コマンド解析処理では、コマンド受信バッファに演出制御コマンドが格納されているか否かを監視し、演出制御コマンドが格納されていればこのコマンドを読み出し、読み出した演出制御コマンドに対応した演出制御処理を行う。この演出制御コマンドの中には、既に説明した、保留加算コマンド、保留減算コマンド、変動パターン指定コマンド、装飾図柄指定コマンド、変動停止コマンドなどが含まれる。
たとえば、少なくとも変動パターン指定コマンド(本実施形態では、変動パターン指定コマンドと装飾図柄指定コマンド)が受信され、それが受信バッファに格納されている場合、コマンド解析処理において、そのコマンドに含まれる情報(変動パターン情報と当選情報(または当選種別情報))に基づいて、1または複数種類の演出パターンを決定する。ここで決定される演出パターンは、演出シナリオを構成する要素としての「パーツ演出」として働く。続いて、上記決定された演出パターン(パーツ演出)を、どのようなタイミングで、どれだけの演出時間幅をもって現出させるかについてのタイムスケジュールを決定し、これにより演出シナリオを構成して、その演出シナリオのデータをRAM243のシナリオ設定領域に格納する。この演出シナリオに組み込まれた種々の演出パターン(パーツ演出)が、次々に、あるいは複数同時展開されることにより、広義の意味での「演出シナリオ」が実現される。なお、決定された演出シナリオの中に「ボタン予告演出」を組み込む場合、枠演出ボタン13が操作されなかった場合の「非操作用演出シナリオ」を基本演出シナリオとして構築しておく。ボタン予告演出実行中に枠演出ボタン13が操作された場合は、その非操作用演出シナリオを、枠演出ボタン13が操作された場合の「操作用演出シナリオ」に変更する必要が生じるが、このようなシナリオ変更に関する処理は、次に述べるステップS074の「シナリオ更新処理」で行うようになっている。
ステップS073の受信コマンド解析処理を終えると、シナリオ更新処理を行う(ステップS074)。このシナリオ更新処理では、演出パターンの実行に必要なタイマの内容を更新する。上記タイマの代表的なものは、演出の発生タイミングに関するタイムスケジュールを管理する演出シナリオタイマである。たとえば、特別図柄が変動表示されている変動期間(特別図柄変動期間)内と実質的に同一期間内である、装飾図柄が変動表示されている変動期間(装飾図柄変動期間)内において、その時間軸上で、どのような演出パターンを、どれだけの時間幅をもって、演出手段に現出させるかについての時間的なスケジュールがこのタイマにより管理される。斯様な演出シナリオタイマは、後述のLEDデータ更新処理(ステップS075)や演出役物制御データ更新処理(ステップS077)などに関する演出処理においても利用される。ここでは、この演出シナリオタイマを監視し、一の演出の発生時期が到来すると、スピーカ46用の音データと、画像表示制御用の液晶コマンドとを作成し、それぞれをRAM243の指定領域に格納する。なお、光表示装置用のLEDデータに関しては後述のLEDデータ更新処理(ステップS075)で、可動体役物用のモータ制御データに関しては後述の演出役物制御データ更新処理(ステップ077)で作成される。
次いで、LEDデータ更新処理を行う(ステップS075)。このLEDデータ更新処理では、上記演出シナリオデータと演出シナリオタイマとに基づき、装飾ランプ部45やLEDなどの光表示装置用のLEDデータを作成し、RAM243の指定領域に格納する。ここで作成されたデータは、後述するタイマ割込処理中の演出LED管理処理(図17のステップS095)で利用される。
次いで、サウンド出力処理を行う(ステップS076)。このサウンド出力処理では、ステップS074のシナリオ更新処理で作成された音データを取得し、再生する音データが有る場合には、音響制御部(音源LSI)を通じてスピーカ46から効果音を出力させる。これにより、演出シナリオに沿った音演出が実現される。
次いで、演出役物制御データ更新処理を行う(ステップS077)。この演出役物制御データ更新処理では、上記演出シナリオデータと演出シナリオタイマとに基づき、可動体役物モータ61、61a、61b、63、73aに対する駆動制御用データを作成する。ここで作成されたデータは、後述するタイマ割込処理中の演出役物動作管理処理(図17のステップS094)で利用される。
次いで、音源LSIなどの誤作動を監視するノイズ対策管理処理を行う(ステップS078)。誤作動によりプログラムが暴走状態となった場合は、ウォッチドッグタイマがタイムアップし、CPUが自動的にリセットされて上記暴走状態から復帰する。これにより、メインループ処理を終了して、次のメインループ更新周期が到来するまで、ステップS079の演出用ソフト乱数更新処理を行う。
<14.コマンド受信割込処理:図16>
次に図16を参照して、コマンド受信割込処理について説明する。図16は、演出制御側のコマンド受信割込処理を示すフローチャートである。このコマンド受信割り込み処理は、主制御部20から演出制御コマンドを受信した場合、後述する演出制御側タイマ割込処理(図17)よりも優先的に実行される。
まず演出制御部24(CPU241)は、図15に示すメイン処理実行中に主制御部20側からのストローブ信号に基づく割込みが生じると、レジスタの内容をスタック領域に退避させて(ステップS081)、受信した演出制御コマンドをRAM243のコマンド受信バッファに格納し(ステップS082)、退避していたレジスタの内容を復帰させる(ステップS083)。これにより、コマンド受信割込処理を終了して、割込み前の上記演出制御部側メイン処理に戻り、次の上記ストローブ信号に基づく割込みが発生するまで演出制御側メイン処理を行う。このように、主制御部20から送られてくる各種演出制御コマンドを受けた場合、このコマンド受信割込処理が実行されて、演出制御コマンドを受信した時点で、そのコマンドがコマンド受信バッファに格納される。
<15.演出制御側タイマ割込処理:図17>
次に図17を参照して、演出制御側のタイマ割込処理について説明する。図17は、演出制御側タイマ割込処理を示すフローチャートである。この演出制御側タイマ割込処理は、CTCからの一定時間(1ms程度)ごとの割込みで起動され、演出制御側メイン処理実行中に割り込んで実行される。
図17において、CPU201は、タイマ割込みが生じると、レジスタの内容をスタック領域に退避させた後(ステップS091)、演出ボタン入力管理処理を行う(ステップS092)。この演出ボタン入力管理処理では、枠演出ボタン13からの操作(ON操作)検出信号の入力の有無を監視し、当該操作検出信号を受信したことを確認した場合、その検出情報をRAM243の所定領域に格納する。この情報は、上記ボタン予告演出に利用される。
次いで、液晶コマンド送信処理を行う(ステップS093)。この液晶コマンド送信処理では、図15の演出制御側メイン処理中のシナリオ更新処理(ステップS074)で作成された液晶コマンドが有る場合には、表示制御部(液晶制御CPU)に液晶コマンドを送信して、液晶表示装置36に対する画像表示制御を実行させる。これにより、演出シナリオに沿った画像演出が実現される。
次いで、演出役物動作管理を行う(ステップS094)。この演出役物動作管理では、演出役物制御データ更新処理(ステップS077)で作成された可動体役物用のモータ駆動制御用データに基づき、駆動制御部を通じて可動体役物モータ61、61a、61b、63、73aに制御信号を出力する。これにより、演出シナリオに沿った可動体役物による視覚的演出が実現される。
次いで、演出LED管理を行う(ステップS095)。この演出LED管理では、LEDデータ更新処理(ステップS075)で作成されたLEDデータに基づき、光表示制御部を通じて装飾ランプ部45やLEDを点灯点滅させる。これにより、演出シナリオに沿った光演出が実現される。
次いで、メインループ更新周期を管理するメインループ更新処理を行う(ステップS096)。このメインループ更新処理では、メインループ更新周期用カウンタを割込みごとに更新する(メインループ更新周期用カウンタ+1)。メインループ更新周期用カウンタは、たとえばインクリメント処理によって16の倍数の範囲(たとえば、0〜31)を循環するカウンタである。
以上のステップS091〜ステップS096の処理を終えた後、退避していたレジスタの内容を復帰させる(ステップS097)。これにより、このタイマ割込処理を終了して、割込み前の上記演出制御側メイン処理に戻り、次のタイマ割込みが発生するまで演出制御側メイン処理を行う。
<受信コマンド解析処理の内容:図18〜図23>
図18〜図23は受信コマンド解析処理(図15のステップS073)で実行される処理のうち、本発明と関連性の深いものを示したものである。以下、「入賞時コマンド」、「変動パターン指定コマンド」、「装飾図柄指定コマンド」、発射誘導報知演出に要する特定のコマンドを受信(格納)した場合についてそれぞれ説明する。
<16.入賞時コマンドの受信処理:図18>
図18は、入賞時コマンドを受信した場合の受信コマンド解析処理を示すフローチャートである。ここで扱う入賞時コマンドは、図10の始動口チェック処理のステップS321で送信される演出制御コマンドである。
図18において、演出制御部24(CPU241)は、入賞時コマンドを受信した場合、まずその入賞時コマンドの内容を解析し、先読み判定結果情報を取得する(ステップS710)。ここでは取得した情報を、RAM203の先読み情報記憶エリアに格納する。先読み情報記憶エリアにはRAM203の保留記憶エリアと同じように、特別図柄1側と特別図柄2側とに対応した先読み情報記憶エリア(特別図柄1側に対応する先読み情報記憶エリアと、特別図柄2側に対応する先読み情報記憶エリア)が設けられている。また、これら先読み情報記憶エリアには、作動保留球数に対応した保留1先読み情報記憶エリア〜保留n先読み情報記憶エリア(本実施形態では、n=4)が設けられており、それぞれ最大作動保留球数分の先読み判定結果情報が格納可能となっている。
また、図示していないが、ステップS321(図10)で送信された保留加算コマンドについて既に受信し記憶しているので、その保留加算コマンドの内容を解析し保留球数情報も取得する(ステップS711)。
次いで、先読み禁止期間であるか否かを判定する(ステップ712)。先読み禁止とすべき期間には、本実施形態1〜3において宝箱演出が発生している期間や、実施形態4において、ST前半残り回数が4回未満、ST後半残り回数が4回未満、ST最終残り回数が1回などがある。これらの区間に係る特定の演出モード中に先読み予告演出が発生すると、当該特定の演出モードの演出と先読み予告演出との間で相互に矛盾や違和感をもたらす可能性がある。そこで、遊技状態がこれらの区間に滞在している間は、先読み予告抽選処理を迂回する構成にして、当該特定の演出モード下でなす演出と先読み演出予告との間に矛盾や違和感が発生しないようにする。すなわち、先読み禁止期間である場合(ステップS712:YES)、何もしないで、後述のステップS719の処理に進む。
先読み禁止期間でない場合(ステップS712:NO)、「連続予告カウンタ」がゼロか否かを判定する(ステップS713)。この「連続予告カウンタ」とは、重複して先読み予告演出が発生してしまうことを禁止する禁止期間を定めるためのカウンタである。具体的には、次に述べるステップS714の先読み予告抽選により今回の作動保留球が先読み予告演出の実行対象とされた場合(先読み予告抽選に当選した場合)、今回の作動保留球が消化される(変動表示動作に供される)までの間に、新たに生じた作動保留球が先読み演出の実行対象とされないようにするためのカウンタである。なお「連続予告カウンタ」には、上述の理由から、現在の作動保留球数Nまたは最大作動保留記憶数(N=4)の値が格納されるようになっている(後述のステップS717参照)。
上記連続予告カウンタがゼロでない場合(ステップS713:NO)、先読み予告抽選禁止状態であるとして、何もしないでステップS718の処理に進む。
連続予告カウンタの値がゼロである場合(ステップS713:YES)、先読み予告抽選許可状態であるとして、先読み予告抽選処理を行う(ステップS714)。この先読み演出抽選処理は、変動開始時に決定されることとなる変動パターン種別を先読みした結果として入賞時コマンドで指定される先読み変動パターン種別に基づき、先読み予告演出を行うか否かの抽選を行うものである。本実施形態における「入賞時コマンド」は、先読み変動パターン種別、特別図柄種別のそれぞれに関する情報を含んだ形態のものである。したがって、これらの情報のうちの先読み変動パターン種別に関する情報が、先読み演出抽選の抽選契機に利用される。しかし、作動保留球数、先読み変動パターン種別、特別図柄種別に関する情報を、保留加算コマンドに担持させる形態とした場合には、その形態における先読み変動パターン種別に関する情報を含んだ制御コマンドを受信した場合に、先読み演出抽選を行うことになる。
ここで「先読み予告演出」には二種類がある。一つは、始動口に遊技球が入賞して始動条件が成立した際(つまり入賞時または始動条件成立時)に生起させる保留表示変化系の予告演出を、1または複数回の図柄変動表示動作において実行することによる先読み予告演出(連続予告演出)であり、本実施形態では保留表示変化系の予告演出を連続させる、つまり表示位置シフトさせることにより行う先読み予告演出である。他の一つは、図柄遊技の図柄変動表示動作を実行する際(つまり変動開始時)に生起させる変動開始時変化系の予告演出を、複数回の図柄変動表示動作に跨って表示させることによる先読み予告演出であり、本実施形態では画像表示変化系の予告演出(稲妻出現)を連続させることにより行う連続予告演出である。したがって、先読み予告演出の抽選としては、変動開始時変化系の予告演出を行うか否かについての抽選と、変動開始時変化系の予告演出を行うか否かについての抽選とがあり、両者を独立に行う。しかし、両者をまとめて一緒に抽選する形態(先読み予告演出と変動開始時変化系の予告演出を一の抽選結果に係らしめて実行する形態)にして、先読み予告演出の抽選に当選するときは同時に変動開始時変化系の予告演出の抽選にも当選するように構成してもよい。
上記先読み演出抽選処理では、入賞時コマンドで指定される先読み変動パターン種別に基づき、図示してない先読み演出抽選テーブルを参照して先読み予告演出を決定し(ステップS714)、その先読み演出抽選の結果に基づく演出情報(先読み演出抽選結果に関する情報)をセットする(先読み予告動作ステータス設定処理:ステップS715)。この演出情報は先読み予告演出を現出する際に利用される。ここでセットされる演出情報には、(i)保留表示変化系の先読み予告演出を指定する情報、たとえば、保留表示に関する情報(保留色やアイコン画像による保留表示態様を指定する)の他、(ii)上記(i)の保留表示変化系の予告演出と下記(iii)の変動開始時変化系の予告演出の両方を指定する情報や、(iii)変動開始時変化系の予告演出を指定する情報(たとえば、稲妻演出の種別(強稲妻演出(当選期待度高)、中稲妻演出(当選期待度中)、弱稲妻演出(当選期待度低)の別))や、(iv)先読み演出抽選非当選情報(保留表示変化系の先読み予告演出を実行しない旨の情報)などが含まれる。
本例の場合、上記(i)の保留表示変化系の先読み予告演出だけを行わせる場合は先読み動作ステータスに「01H」を、上記(ii)の保留表示変化系と変動開始時変化系の両方の先読み予告演出を行わせる場合は先読み動作ステータスに「02H」を、上記(iii)の変動開始時変化系の先読み予告演出だけを行わせる場合は先読み動作ステータスに「03H」を、上記(iv)のいずれの先読み予告演出も実行しない場合は先読み動作ステータスに「00H」を、RAM243の所定領域に格納する(ステップS715)。
上記先読み演出抽選処理を終了するとステップS716に進み、先読み判定動作ステータスを判定する。先読み動作ステータスが「00H」の場合(ステップS716:=00H)、先読み予告演出は行われないので、何もせずにステップS718の処理に進む。
一方、先読み動作ステータスが「00H」以外である場合(ステップS716:≠00H)、現在の保留球数の値(1〜4個または1〜8個)を連続予告カウンタに格納する(ステップS717)。これにより、新たな作動保留球を対象とした先読み予告抽選が一定期間禁止される。なお、このカウンタ値は、後述の図20の装飾図柄指定コマンド受信処理において、先に生じた古い作動保留球が消化されるごとに1ずつ減算されていくようになっている。
上記のように先読み演出抽選に当選した際に現存する保留球数の値を「連続予告カウンタ」にセットすることで(ステップS717)、当該保留球数の値に対応する図柄変動回数の間、新たな入賞球が発生しても、それについて先読み予告演出の抽選が禁止される(ステップS713:NOのルート)。たとえば現在の保留球数が3個の場合、当該保留球数に対応する3回の図柄変動の間、先読み予告演出の抽選が禁止され、これにより先読み予告演出の発生が阻止される。なお上述の「連続予告カウンタ」は、先読み予告当選に関する情報としても利用することができる。つまり、「連続予告カウンタ」がゼロであれば、先読み予告非当選中(先読み予告非実行状態)であり、ゼロ以外の値であれば先読み予告当選中(先読み予告実行状態)と判断することができる。
ステップS718の処理に進むと、上記先読み予告抽選処理、先読み予告動作ステータス設定処理および連続予告カウンタの設定処理の結果を盛り込んだ内容の先読み予告用演出シナリオを設定する処理を行う(ステップS718)。
ステップS719の処理に進むと、保留加算表示処理を行う(ステップS719)。この保留加算表示処理では、液晶表示画面に対する保留表示(図5参照)を行うための液晶制御コマンドを液晶制御部側に送信する。ここでは、作動保留球数情報を指定する液晶制御コマンドや、保留表示変化系の先読み予告演出を現出させるための液晶制御コマンドなどが送信される。これにより、液晶表示画面に作動保留球数に対応する数のアイコン画像が点灯表示され、保留表示変化系の先読み予告演出に係る保留表示態様(通常の保留色(白色)または専用の保留色(青色、黄色、緑色、赤色、D柄または虹色のいずれかの色))が表示される。
<18.変動パターン指定コマンドの受信処理:図19>
図19は、変動パターン指定コマンドを受信した場合の受信コマンド解析処理を示すフローチャートである。この変動パターン指定コマンドは、図12の特別図柄変動パターン作成処理のステップS412で送信される演出制御コマンドである。
図19において、演出制御部24(CPU241)は、変動パターン指定コマンドを受信した場合、まずそのコマンドの内容を解析し(ステップS731)、その内容である特別図柄の変動パターン情報を取得し、RAM243の所定領域に格納する(ステップS732)。図柄変動表示ゲーム中の演出シナリオは、まだこの時点では決定せず、変動パターン指定コマンドに続いて送られてくる装飾図柄指定コマンドを受信した場合に決定される。つまり、ここで格納された変動パターン情報と装飾図柄指定コマンドに含まれる情報(特別図柄判定データ情報)とに基づき、図柄変動表示ゲーム(装飾図柄変動表示ゲーム)中の演出シナリオが決定されるようになっている。
<19.装飾図柄指定コマンドの受信処理:図20>
図20は、装飾図柄指定コマンドを受信した場合の受信コマンド解析処理を示すフローチャートである。この装飾図柄指定コマンドは、図12の特別図柄変動開始処理のステップS415で送信される演出制御コマンドである。ここでは、図19の変動パターン指定コマンド受信処理で得られた変動パターン情報と、装飾図柄指定コマンドにより得られる情報とに基づいて、図柄変動表示ゲーム中の演出(各種の予告演出)、装飾図柄の表示態様(疑似連中の仮停止図柄、リーチ図柄、停止装飾図柄など)、可動体役物による予告演出などが決定され、今回の変動表示ゲームに係る演出シナリオが構成される。本実施形態では、主制御部20側が保留減算コマンド、変動パターン指定コマンド、および装飾図柄指定コマンドを、この順に演出制御部24に対して送信し(図12の特別図柄変動開始処理のステップS404、S412、S415参照)、演出制御部24側では、この装飾図柄指定コマンドを受信した際に、図20の装飾図柄指定コマンドの受信処理を行う。
図20において、演出制御部24(CPU241)は、まず装飾図柄指定コマンドの内容を解析し、その内容を取得する(ステップS740)。
次いで、装飾図柄停止図柄抽選処理を行う(ステップS741)。この装飾図柄停止図柄抽選処理では、ステップS732の処理で得られた変動パターン情報と装飾図柄指定コマンドに含まれる当選種別情報とに基づき、最終的に停止させる左図柄・中図柄・右図柄(装飾図柄停止図柄の組合せ)を抽選により決定する。たとえば、変動パターンの内容がリーチ演出指定の当り変動パターンであり、かつ当選種別情報が15R長開放確変大当りである場合、当該15R長開放確変大当りに関連した装飾図柄の停止表示態様を決定するべく、まず左図柄を抽選により決定し、次いで、その左図柄とリーチ状態が形成可能な装飾図柄を右図柄として決定(リーチ図柄の決定)して、その決定された左図柄と右図柄とに基づき、15R長開放確変大当りに関連した装飾図柄列(大当り図柄)が最終的に停止されるように中図柄を決定する。これにより、今回の装飾図柄変動表示ゲームが完了したときの装飾図柄の組合せが定まる。この決定された装飾図柄データは、RAM243の装飾図柄データ格納領域に格納され利用される。
次いで、発射誘導情報制御処理を行う(ステップS742)。この発射誘導情報制御処理では、右打ち誘導情報を何時のタイミングで表示させるかについての右打ち誘導情報の出力開始と、右打ち誘導情報をいつまで継続させるか、つまり当該図柄変動表示ゲームで終了させるのかまたは複数回の図柄変動に亘って継続させた後に終わらせるのかについての出力終了処理とがなされる。また、右打ち誘導情報の表示を何時のタイミングで右打ち誘導情報の表示に切り替えるかについての右打ち誘導情報の出力開始と、左打ち誘導情報をいつまで継続させるか、つまり当該図柄変動表示ゲームで終了させるのかまたは複数回の図柄変動に亘って継続させた後に終わらせるのかについての出力終了処理とがなされる。詳細は次に後述するが、右打ち誘導情報の表示から右打ち誘導情報の表示への切り替えは、本実施形態1では、右打ち誘導情報を表示している確変状態が継続している状況下で、転落抽選に当選した場合に行われる。しかし他の実施形態1〜5などは、電サポ有り状態から電サポ無し状態に移行したことが、右打ちから左打ちへ切り替えるべき条件が成立したと捉えて処理される。
(19−1.宝箱演出:S743〜S745)
次いで、ステップS743に進み、電サポ有り状態が終了したか否か、本実施形態1では確変状態が終了したか否か、を判断する(ステップS743)。確変状態から通常状態に転落して電サポ無し状態に切り替わった場合は(ステップS743:YES)、電サポの継続の有無に直接に関わる宝箱演出(本物の宝箱演出)を、所定期間、たとえば当該転落した変動表示ゲーム期間または当該転落した変動表示ゲーム期間を含む複数の変動表示期間にわたり発生させる設定をする(ステップS744)。これにより液晶表示画面は、図51(a)から図51(b)に切り替わり、その宝箱演出画面が予め定められた1変動表示ゲーム〜複数の変動表示ゲームの実行回数にて表示されることになる。また電サポ有り状態が継続している場合は(ステップS743:NO)、電サポの継続の有無に直接に関わらない宝箱演出(ガセの宝箱演出)を現出させるか否かを抽選で決定する。各実施形態における宝箱演出の詳細については後述する。
次いで、ステップS746に進み、上記ステップS744またはS745で設定した宝箱演出が実行されている期間(宝箱演出期間)中であるか否かを判断する(ステップS746)。宝箱演出期間中である場合は(ステップS746:YES)、他の演出を抑制して宝箱演出を優先的に現出させるため、連続予告演出処理および予告演出抽選処理を迂回して、ステップS749に進む。宝箱演出期間中でない場合は(ステップS746:NO)、連続予告演出処理および予告演出抽選処理を行うべくステップS747に進む。
(19−2.連続予告演出処理:S747)
ステップS747では、まず、図18のステップS715で設定した先読み動作ステータスが「00H:先読み予告演出実行せず」であるか否かを判断する。ここでは、先読み動作ステータスが「00H:先読み予告演出実行せず」でない場合、つまり「01H:保留先読み予告のみ実行」、「02H:保留先読み予告および背景(稲妻)先読み予告の両方実行」、「03H:背景(稲妻)先読み予告のみ実行」のいずれかである場合を条件に、この連続予告演出処理(ステップS747)を行う。
このステップS747で行う連続予告演出処理は、今回の図柄変動表示ゲーム中における「変動開始時変化系」の連続予告演出を現出させるための演出処理である。ここでは、ステップS714(図18)の先読み演出抽選処理において「変動開始時変化系」の先読み予告演出に当選していた場合(先読み動作ステータスが「02H」または「003」)、専用予告画像(稲妻を模した稲妻画像)表示による稲妻演出用演出データを作成し、これをRAM243のシナリオ設定領域に格納する。これにより、液晶表示装置36の画面に稲妻画像表示による稲妻演出が現出される(図6(2)参照)。
この「変動開始時変化系」の連続予告演出は「連続予告カウンタ」のカウンタがゼロになるまで実行され、この「連続予告カウンタ」の値は図柄変動表示ゲームが1回行われる度に1減算される。たとえば、先読み予告抽選当選保留が3個目の保留であった場合、連続予告カウンタのカウンタ値が保留球数N=3個でセットされ、「N=3」となっている。この3個の保留記憶がすべて消化されるまで、連続予告が行われることになる。
また連続予告演出処理は、次回以降の他の保留加算コマンド、入賞時コマンドが受信されたときに、連続予告カウンタがゼロで、かつ先読み動作ステータスが「02H」になっていない限り処理が行われない。すなわち、先読み予告演出の対象となった作動保留球が消化しない限り新たな作動保留球を対象とした先読み予告演出は発生せず、重複した先読み予告演出の発生が禁止されるようになっている。これにより、先後の作動保留球による先読み予告間の重複発生が制限され、いずれの作動保留球を対象とした先読み予告であるかを遊技者が把握することができるようになっている。
(19−3.予告演出抽選処理:S748)
ステップS748の予告演出抽選処理では、図示しない予告演出抽選テーブル指定テーブルに規定される予告抽選テーブル(図示せずと)と変動パターンの内容とに基づいて、複数の予告演出の中から一の予告演出を抽選で選択する。
この予告演出抽選処理には、確変状態(電サポ有り状態)から通常状態(電サポ無し状態)に移行(転落)している場合、そのことを、それとはなしに知らせる演出モードの移行処理も含まれる。この転落をそれとはなしに知らせる演出モードについて、一の演出モードから他の演出モードに移行するモード移行契機の成立は、大当り終了コマンドを受信した場合、特定SP変動パターンを受信した場合、非特定SP変動パターンの受信した際に移行契機抽選に当選した場合、ハズレ変動回数30回目、電サポ終了を受信した場合などである。この詳細については後述する。
(19−4.演出情報設定処理)
ステップS748の予告演出抽選処理を終えると、次いで、演出情報設定処理を行う(ステップS749)。この演出情報設定処理では、抑制カウンタをクリアし、ステップS743〜S748を経て決定された予告演出に関する演出情報を設定する。ここでは、後述のステップS750の演出シナリオ設定処理で演出シナリオを構築する際に必要となる演出情報(たとえば決定された予告演出の種類を特定可能とする情報)が設定される。
(19−5.演出シナリオ設定処理)
次いで、演出シナリオ設定処理を行う(ステップS750)。
ステップS750の演出シナリオ設定処理では、上記演出情報に基づいて、今回の装飾図柄変動表示ゲームにおいて現出させる演出の演出シナリオを構築する。各予告演出は、図柄変動表示ゲーム中における開始タイミングや、演出が現出される期間(演出時間幅)があらかじめ定められており、ステップS743〜S748を経て決定された予告演出と、今回の変動パターンの内容(変動時間、リーチ演出の有無、リーチ演出有りの場合はその種別、疑似連の有無、疑似連有りの場合はその疑似連回数など)とに基づいて、今回の装飾図柄変動表示ゲーム中に展開させる各種演出の演出シナリオが構築される。この演出シナリオのデータは、RAM243のシナリオ設定領域に格納される。
ステップS750の演出シナリオ設定処理を終えると、装飾図柄指定コマンド受信処理を抜けて、以後、上記演出シナリオに基づく装飾図柄変動表示ゲームが開始されることになる。
<20.発射誘導情報制御処理:図21〜図23>
図21は、発射誘導報知演出に係る発射誘導情報制御処理の詳細を示すフローチャートである。この発射誘導情報制御処理(図21)では、発射誘導情報演出の開始時期が到来したこと、具体的には、遊技状態コマンド(発射誘導報知演出の現出に必要な遊技情報を含む特定の演出制御コマンド)を受信したか否かが判定され、遊技状態コマンドを受信した場合には(ステップS761:YES)、図21に示す発射誘導情報出力開始処理が実行される(ステップS762)。上記「遊技状態コマンド」としては、たとえば、変動パターン指定コマンド、遊技状態指定コマンド、当り中に送信される所定のコマンド(大当り(小当り)開始コマンド、大当り(小当り)終了コマンドなど)、残り電サポ回数コマンド、時短終了コマンド、転落コマンド、右打ち指示コマンド、左打ち指示コマンドなどがあり、現在の遊技状態に応じた発射誘導報知演出を現出するために、どのようなコマンドを利用して発射誘導報知演出を実現するかは、遊技機のタイプに応じて適宜定めることができる。
(20−1.発射誘導情報出力開始処理:図22)
この発射誘導情報出力開始処理(図22)では、受信した遊技状態コマンドに基づき、発射誘導報知演出の開始契機が到来したか否かを判定する(ステップS771)。
受信した遊技状態コマンドが、たとえば、大当り開始コマンドであれば、当り遊技開始による右打ちを報知するために、図25(a)に示すように、右打ち誘導情報「→」(矢印)を含む誘導報知画像373の表示や、音声による「右打ち」のメッセージや、光矢印による方向指示等からなる発射誘導情報の出力(右打ち報知)を開始し、発射誘導情報出力中フラグがONに切り換える(ステップS772)。当り遊技中は、右流下経路3c上にある大入賞口50が開放されるため、遊技者は右流下経路3c側を狙って「右打ち」を行うことが遊技者に有利となるからである。なお、電サポ有り状態中に大当り抽選に当選し、当り遊技が開始しても「右打ち」が有利な状態は変わらないため、電サポ有り状態中に生起した当りである場合には、右打ち誘導情報の報知を新たに開始(更新)しないように制御してもよい。
また、受信した遊技状態コマンドが、電サポ有り状態の開始を特定可能な電サポ開始情報を含むコマンド(たとえば、電サポ付大当り(確変大当りや時短大当り)に係る大当り終了コマンド、右打ち指示コマンドなど)であれば、右打ち報知が開始され、発射誘導情報出力中フラグがONに切り換えられる(ステップS772)。電サポ有り状態の開始を特定可能な電サポ開始情報を含むコマンドが送信される場合は、遊技状態が電サポ有り状態(確変状態または時短状態)に移行されることになり、遊技者は右流下経路3c側を狙って「右打ち」を行う方が自己に有利となる。なお、今回の図柄変動表示ゲームが特定の変動パターン(たとえば、SPリーチ変動パターン)である場合、表示画面には、誘導報知画像373と重なると予告演出効果が妨げられる予告演出画像が発生する可能性がある。そこで、特定の変動パターンである場合、または特定の予告演出中は、発射誘導報知演出を抑制(禁止または中断)してもよい。これにより、当該リーチ変動パターンによる図柄変動および予告演出の表示が優先され、右打ちまたは左打ちの誘導情報の表示は抑制(禁止または中断)させることができる。
また、受信した遊技状態コマンドが、電サポ無し状態の開始を特定可能な電サポ開始情報を含むコマンド(たとえば、転落コマンド(図13のステップS425で送信される)や、時短終了コマンド、左打ち指示コマンドなど)である場合は、左打ち誘導情報の出力を開始する(ステップS779)。電サポ無し状態の開始を特定可能な電サポ開始情報を含むコマンドが送信される場合は、遊技状態が電サポ無し状態(潜確状態または通常遊技状態)に移行されることになり、右流下経路3c上にある下始動口35への入賞の可能性が極めて低くなる。このため、電サポ無し状態下では上始動口34を狙って「左打ち」を行うことが遊技者にとって有利となる。本実施形態1の場合、転落コマンド(図13のステップS425で送信される)を受信した場合には、転落した当該図柄変動の始端から既に時短状態に切り替わっているので、直ちに左打ち報知誘導情報の出力(左打ち報知)を開始する。しかし、実施形態2〜3のように電サポ保証回数が付いている場合、電サポ保証回数の最終回目の図柄変動が到来したということで電サポ有り状態から電サポ無し状態に移行する場合には、時短終了コマンドを受信した当該図柄変動の終端(または終了直後:たとえば、確定表示時間経過)が到来したタイミングで、左打ち誘導情報の出力を開始させる。保留記憶がない場合には、電サポ保証回数の最終回目の次の図柄変動が誘導報知のない状態で開始されてしまう可能性があるからである。
(20−2.発射誘導情報出力終了処理:図23)
図21の発射誘導情報制御処理に戻り、同処理のステップS763において、発射誘導情報出力中フラグがONであると判定された場合には(ステップS763:YES)、図23に示す発射誘導情報出力終了処理が実行される(ステップS764)。
この図23の発射誘導情報出力終了処理では、まず予め定められた発射誘導情報の出力終了時期(発射誘導報知演出の終了時期)が到来したか否かを判定する(ステップS781)。右打ち報知中の場合は、たとえば、電サポ有り状態(確変状態または時短状態)が終了した時点や、電サポ有り状態から電サポ無し状態へ移行した時点から所定の遊技期間(たとえば図柄変動1〜2回転)または所定時間が経過した時点、通常大当りに係る規定ラウンド遊技が終了した時点(大当り遊技が終了した時点)などにおいて、発射誘導情報の出力終了時期が到来したと判断する。左打ち報知中の場合は、大当り遊技が開始された時点、電サポ無し状態から電サポ有り状態へ移行した時点、電サポ無し状態から電サポ有り状態へ移行した時点から所定の遊技期間(たとえば図柄変動1〜2回転)または所定時間が経過した時点などにおいて、発射誘導情報の出力終了時期が到来したと判断する。しかし、発射誘導情報の出力終了時期は任意に設定することができ、たとえば遊技者に有利な発射位置が変化した時点または出力開始時点から、所定の遊技期間または所定時間が経過時した時点まで誘導報知が継続するようにしてもよい。
発射誘導情報の出力終了時期が到来したと判定した場合は(ステップS781:YES)、発射誘導情報出力中フラグをOFFに切り換えて(ステップS782)、発射誘導情報出力終了処理を終了する(ステップS783)。これにより液晶表示装置36の表示画面360上では、発射誘導情報画像373が表示されなくなる。したがって発射誘導情報報知は、途中で中断または中止されることはあっても、この発射誘導情報出力中フラグがOFFに切り換えられるまでの期間中は継続することになる。
一方、予め定められた発射誘導情報の出力終了時期が到来していない場合は(ステップS781:NO)、何もしないで当該発射誘導情報出力終了処理を終了する。
<21.実施形態1の具体例1:図26〜図27>
図26〜図27は、実施形態1(図24の区分a)に係る「即転落タイプ」の遊技機において、遊技状態が確変状態から通常状態に転落し、その結果として、打ち出し方向の誘導情報表示が「右打ち」から「左打ち」に切り替わり、その際に宝箱演出が現出するという場合を例にした具体例(実施形態1の具体例1)である。
(21−1.本物の宝箱演出:図26のt6、図27)
図26を参照して、この区分aでの具体例1では、時刻t1で15R確変大当りに当選したことで15Rの大当り遊技が開始され、その15Rの大当り遊技が終了した時刻t2から電サポ付下(確変状態:高確率状態、電サポ有り状態)での図柄変動表示動作が開始される。この大当り遊技中および確変状態中においては、演出制御部の発射誘導情報表示制御により、遊技球の打ち出し方向を示す誘導報知画像373が「右打ち方向を示す表示態様」で表示され、右打ちが有利であることが遊技者に明示される。この誘導報知画像373の「右打ち方向を示す表示態様」として、具体例1では、図25(a)に示す、右向き矢印画像374aが複数個一直線状に並んで右方向に一定速度または間欠的に順次移動する「動的表示態様」が用いられ、この「右矢印右移動」の動的表示態様にて、右向き矢印画像374aが液晶画面内の右上隅に映し出される。破線矢印375は、矢印画像374aの「移動方向」が右方向であることを示すため図中に書き添えたものであり、液晶画面に表示される矢印画像を示したものではない。
この右向き矢印画像374aが動的表示態様にて液晶画面内に表示されている状態で確変状態(高確率、電サポ有り)が継続する。その後、図26中の時刻t6で転落抽選に当選(転落入賞)して、確変状態から通常状態(低確率、電サポ無し)に移行し、「電サポ有り状態」から「電サポ無し状態」に移行する。ここで扱っている遊技機は、電サポ無し状態の場合には「左打ち」が遊技者に有利である構成となっているので、遊技機に関する規則上、打ち出し方向の誘導報知は「右打ち」から「左打ち」に変更しなければならないことになる。
そこで、液晶画面においては、転落抽選に当選(転落入賞)したことに基づいて図柄変動表示動作が開始される時点から、打ち出し方向の誘導報知画像373が示す打ち出し方向が、図25の(a)から(b)に示すように切り替わる。この例では矢印画像の向きが右から左に切り替わる。すなわち、左向き矢印画像374bが複数個一直線状に並んで右方向に一定速度または間欠的に順次移動する動的表示態様となる。この場合、注目すべき点は、矢印画像374の指し示す向きが右から左に切り替わるのみで、その左向き矢印画像374bが複数個一直線状に並んで一定速度または間欠的に順次移動する方向は依然として「右方向」であり、変化しないという点である。この「左矢印右移動」の動的表示態様にて右向き矢印画像374aが液晶画面内の右上隅に映し出される。
一方、転落抽選に当選(転落入賞)したことに基づいて図柄変動表示動作が開始される時点からは、図26の時刻t6〜t7の区間にて示すように、演出制御部の制御の下で電サポ無し状態へ移行した可能性(図26の例では確変転落の可能性)があることを匂わせる予告演出、つまり電サポ無し状態に転落したのではと怪しむ懐疑的演出として「宝箱演出」が発生する。図25(b)に示す押しボタン画像372に対応する枠演出ボタン13を連打して画面内の宝箱画像371が開けば、電サポ有り状態(図26の例では確変状態)が継続する。
図27は、この図26の時刻t6の時点を中心とする時間推移により、図柄変動(図柄変動表示動作)、発射誘導情報の報知、予告演出の関係を示したものである。転落入賞する前の図柄変動が「N−0」、転落入賞した図柄変動が「N+1」、その後の図柄変動が「N+2」、「N+3」・・であり、ここでは、それぞれの図柄変動は、全変動パターン中、最短の変動パターン(たとえば、変動時間が1秒の通常変動パターン)のものであるとする。
「図柄変動」の欄に示すように、図27では、時刻t6において、通常変動パターン(宝箱演出失敗)のコマンドが送信されるケースとなっている。この時刻t6からスタートする図柄変動N+1の期間が1単位の図柄変動表示ゲームが継続する期間であるが、実施形態1の即転落タイプの場合、この図柄変動表示ゲームの開始と同時に、既に通常状態に転落している。また図27の「発射誘導情報報知」の欄に示すように、時刻t6において誘導報知画像373が「右矢印右移動」の動的表示態様から「左矢印右移動」の動的表示態様に切り替わるが、このタイミングは、本実施形態1の場合、転落抽選に当選により内部遊技状態が通常遊技状態に即転落するので、当該転落抽選に当選した図柄変動表示ゲームの開始と同時となる。したがって、この実施形態1における具体例1(図24の区分a)の場合、一方では、図柄変動N+1の開始と同時に発射誘導情報が「右矢印右移動」から「左矢印右移動」に切り替わる。また他方では、図27の「図柄変動」と「予告演出」の関係から分かるように、時刻t6において、図柄変動N+1に関し通常変動パターン(たとえば変動時間2秒)が送信され、これに応じて予告演出(懐疑的演出)として宝箱演出が現出し、この宝箱演出が図柄変動N+1からN+2の期間中にわたって継続する。
よって、電サポ無し状態へ転落した図柄変動表示ゲームにおける当該ゲーム期間の始端から、図25(b)の「左矢印右移動」の動的表示態様の誘導報知画像373が出現し、これを遊技者が視認可能な状態になるが、これと同時に、図25(b)の「宝箱演出」が発生し、押しボタン画像372に対応する押しボタンとして枠演出ボタン13を遊技者が連打することになることから、遊技者の注意は押しボタンの連打と画面内の宝箱が開くか否かに注がれる(注意逸らし演出的作用が働く)。しかも、その際に表示されている誘導報知画像373は、図25(b)の「左矢印右移動」の動的表示態様のものであり、その左矢印画像は、図25(a)の「右矢印右移動」の動的表示態様のときと同じ方向に移動している。この両者の作用が相乗的働くことによって、遊技者において誘導報知画像373が右打ち報知から左打ち報知のものに切り替わったと認識される時期が、N+1変動のゲーム期間中の途中以降にずれると予測される。換言すれば、「宝箱演出」の遊技結果が出るまで、つまり宝箱が開放するか否かの決着がつくまで、遊技者が押しボタンを連打し続け、宝箱演出をじっくり鑑賞するケースが多くなり、結果として、宝箱演出の面白さを遊技者に十分に味わってもらえることになる。よって、誘導報知画像373が右打ち報知から左打ち報知のものに切り替わったと遊技者に認識される時期が早すぎて、遊技者が打ち止めをして遊技機の稼働率が低下してしまったり、宝箱演出を設けた意義が失われたりする、という事態を招来することを防止することができる。
(21−2.ガセの宝箱演出:図26のt4)
図26中においては、転落入賞する前の確変状態中に、時刻t4で特定のリーチ変動パターンに係る変動パターン指定コマンド(宝箱演出成功の現出に係る変動パターン指定コマンド)が送信され、確変転落とは関係のないガセの宝箱演出(確変状態継続を報知する宝箱演出)が発生しうる。このガセの宝箱演出においては、リーチ演出期間の途中からまたは最後で宝箱が開く画面が現れて、宝箱演出による報知結果が「宝箱演出成功:電サポ継続」となる。この点を除き、他は図26の時刻t6で述べた失敗の宝箱演出と同じである。このガセの宝箱演出(成功の宝箱演出)が、本物の宝箱演出(失敗の宝箱演出)の他に存在することによって、本物の宝箱演出(失敗の宝箱演出)がガセの宝箱演出(成功の宝箱演出)と区別し難くなり、宝箱演出に対する緊張感が増大し、遊技に対する興味が高まることになる。また、本物の宝箱演出とガセの宝箱演出とを適切な頻度で現出させることにより、遊技者が宝箱演出に注目する機会が多くなり、遊技者において誘導報知画像373の切り替わったこと認識される時期を遅らせることができる。
<22.実施形態2の具体例2A:図28〜図29>
図29は、電サポ保証100回転を過ぎると電サポ無しになる「確変転落タイプ1」の遊技機における区分bの場合に、電サポ状態の継続を怪しむ懐疑的演出として宝箱演出が現出する場合を例にした具体例(区分bでの具体例2A)である。
(22−1.打出し方向誘導報知と宝箱演出:図29のte)
この実施形態2の具体例2Aでは、電サポ保証100回以内に時刻t6で転落入賞して確変状態から時短状態に移行するが、この時点ではまだ電サポ有り状態が保証されているため、電サポ有り状態は電サポ保証100回転目の図柄変動まで継続する。しかし、101回転目の図柄変動では電サポ無し状態下となり、左打ちの方が遊技者に有利な状態になる。そこで、図29において、電サポ保証100回転目の図柄変動が終了した時刻teのタイミングまたはその直前で、誘導報知画像373が右打ち報知のものから左打ち報知のものに切り替えられる。
しかし、この誘導報知画像373の切り替えは、「右矢印右移動」の右向き矢印画像374aから、「左矢印右移動」の左向き矢印画像374bへと切り替えられるだけである。つまり、矢印画像374aと矢印画像374bとの違いは、その矢印画像の向きが右向きから左向きに切り替わっているだけであり、誘導報知画像373全体として移動している向きは、切り替わりの前後で変更がない。
また、この誘導報知画像373の切り替えと同時に、液晶画面内には、図25(b)に示した宝箱画像371が現出し、遊技者参加型の宝箱演出が開始されることから、遊技者は宝箱を開かせるために押しボタンの連打を行うことになり、そちらに注意が向けられることになる。この結果、誘導報知画像373が右打ち報知から左打ち報知に変わっていることに気付くのが遅れ、遊技者が打ち出しを止めてしまう時期が、当該図柄変動の始端からではなく、当該図柄変動の途中以降や終端までずれ込む。よって宝箱演出を遊技者に堪能してもらうことが可能になる。
(22−2.ガセの宝箱演出:図29のt4)
図29中においては、転落入賞する前の確変状態中に、時刻t4でSPリーチ変動パターン(宝箱演出成功)のコマンドが送信され、ガセの宝箱演出つまり電サポ無状態へ転落することとは関係のない演出(必ず電サポ有りが継続する)が発生する。よって、このガセの宝箱演出が発生し得ることによって、図26の場合と同様に、本物の宝箱演出(失敗の宝箱演出)であるのかガセの宝箱演出(宝箱演出成功)であるのかが区別し難くなり、宝箱演出に対する緊張感が増大し、遊技に対する興味が高まることになる。
なお、この実施形態2においては、電サポ保証回数が終了して電サポ無し状態になった場合、左打ち誘導報知への切り替えがなされるが、その電サポ無し状態になった図柄変動において、または当該図柄変動から1または複数回の図柄変動にわたって、または、当該図柄変動を含む前後複数回の図柄変動にわたって、左打ち誘導報知と関連付けた懐疑的演出が現出するように構成することができる。しかし実施形態2の場合、電サポ有り状態の終了タイミングが固定的であるため(電サポ保証100回)、電サポ無し状態になった図柄変動において、または当該図柄変動から1または複数回の図柄変動にわたって、または、当該図柄変動を含む前後複数回の図柄変動にわたって、懐疑的演出を現出させるだけのものとすれば、それは単に、電サポ有り状態の終了を報知するだけのものとなってしまう。そこで、実施形態2に係る宝箱演出は、実施形態1等のように、電サポ有り状態が継続するか否かを報知するというものなく、主に、大当りへの当選期待感を煽る予告演出や当選期待度を示唆する予告演出(期待感演出)として用いることが好ましい。具体的には、電サポ有り状態中において、実施形態1とは異なる性格を持つ宝箱演出として、特定のハズレ変動パターン(たとえば、SPリーチ変動パターン)の場合には「ガセの宝箱演出(失敗の宝箱演出:ハズレ)」を現出し、当り変動パターンの場合には「本物の宝箱演出(成功の宝箱演出:大当り)」を現出させるように構成する。このように、本物の宝箱演出とガセの宝箱演出とを混在させて適切な頻度で現出させるようにすれば、単に、ST規定回数周辺の図柄変動にて宝箱演出を現出させるよりも遊技者が当選期待感を示唆する宝箱演出に注目する機会が多くなり、遊技者において誘導報知画像373の切り替わったこと認識される時期を遅らせることができるので、上記注意逸らし演出作用を効果的に得ることができる。
<23.実施形態2の具体例2B:図30>
図30は、電サポ保証100回転を過ぎると電サポ無しになる「確変転落タイプ1」の遊技機における区分cの場合に、電サポ状態の継続を怪しむ懐疑的演出として宝箱演出が現出する場合を例にした具体例(区分cでの具体例2B)である。
(23−1.打出し方向誘導報知と宝箱演出:図30のte)
この実施形態2の具体例2Bでは、確変状態中の電サポ保証100回転以内に転落抽選に当選することなく時刻teで電サポ保証100回転目が到来し、その次の101回転目から潜伏確変状態となって電サポが無くなるため、右打ちは遊技者に不利になる。そこで、図30において、電サポ保証100回転目の図柄変動が終了した時刻teのタイミングで、誘導報知画像373が右打ち報知のものから左打ち報知のものに切り替えられる。
つまり「右矢印右移動」の右向き矢印画像374aから、「左矢印右移動」の左向き矢印画像374bへと切り替えられる。矢印画像374aと矢印画像374bとの違いは、その矢印画像の向きが右向きから左向きに切り替わっているだけであり、移動している向きは切り替わりの前後で変更がない。
またこの誘導報知画像373の切り替えと同時に、液晶画面内には、図25(b)に示した宝箱画像371が現出し、遊技者参加型の宝箱演出が開始され、遊技者は宝箱を開かせるために押しボタンの連打を行うこととなって、そちらに注意が向けられることになる。この結果、誘導報知画像373が右打ち報知から左打ち報知に変わっていることに気付くのが遅れ、遊技者が打ち出しを止めてしまう時期が、当該図柄変動の始端からではなく、当該図柄変動の途中以降や終端までずれ込む。よって宝箱演出を遊技者に堪能してもらうことが可能になる。
(23−2.ガセの宝箱演出:図30のt4)
図30中においては、転落入賞する前の潜伏確変状態中に、時刻t4でハズレ時のSPリーチ変動パターン(宝箱演出成功)のコマンドが送信され、「ガセの宝箱演出」つまり電サポ無し状態へ転落することとは関係のない演出が発生する。ここでの宝箱演出は、まだ高確率状態から転落していないで潜確状態中にあるのではないかと怪しむ演出(懐疑的演出)として働き、「ガセの宝箱演出(宝箱演出成功)」は潜確状態中であることを確定的に報知する、またはその可能性が高い旨を報知するもの、「本物の宝箱演出(宝箱演出失敗」は、潜確状態中でないことを確定的に報知する、またはその可能性が高い旨を報知する演出として働く。ここでの宝箱演出は、現在の演出モードや遊技状態に応じて、いずれの宝箱演出を現出させるかを決定(抽選により決定)することができる。よって、この宝箱演出が発生し得ることによって、まだ高確率状態にあるのか否かを報知したり、高確率状態であるか否かの推測要素を遊技者に与えたりすることができ、宝箱演出に対する緊張感が増大し、遊技に対する興味が高まることになる。
<24.実施形態2において宝箱演出が現出する区間長さ:図31>
実施形態2において、電サポ保証100回転以内に転落入賞(転落抽選に当選)する具体例2Aの場合は、電サポ保証100回転が経過した時刻teで電サポ有り状態が終了して通常状態に移行し、次の図柄変動表示ゲームは電サポ無し状態下で実行されることになる。また、電サポ保証100回転以内に転落入賞しなかった具体例2Bの場合も、電サポ保証100回転が経過した時刻teで電サポ有り状態が終了して通常状態に移行し、次の図柄変動表示ゲームは電サポ無し状態下で実行されることになる。このとき誘導報知画像373が「右矢印右移動」の動的表示態様から「左矢印右移動」の動的表示態様に切り替わる。つまり、実施形態2においては、左打ち誘導報知への切り替わる時点teが予め分かっている。そこで実施形態2では、左打ち誘導報知への切り替わが起きる図柄変動を含め、その前後の複数回の図柄変動動作に亘って宝箱演出を現出させる。そして、この左打ち誘導報知は、図柄変動表示時間が長い場合には1回転目まで、また図柄変動表示時間が短い場合には複数回転目まで(図31では2回転目まで)継続して終了する。
図31は、実施形態2において宝箱演出が現出する区間長さを例示したものである。実施形態1においては、誘導報知画像373が「右矢印右移動」から「左矢印右移動」の動的表示態様となる切り替わり時点teを過ぎた後も2〜3回転ほど図柄変動動作を継続させることとしたが(図27)、この実施形態2の場合(図31)では、切り替わり時点teが予め判っていることを利用して、当該切り替わり時点teより複数回遡った時点から宝箱演出を開始させる点で、実施形態1の場合(図26〜図27)と異なっている。
ここでは図31に示すように、電サポ保証回数100回の終わりが来る既知の時刻teを中心として、この時刻teよりも4回転前の図柄変動動作(97回転目の時刻tx)から宝箱演出を開始し、その後、電サポ保証回数100回の時刻teまでの間(97回転目〜100回転目)において、図柄変動表示動作毎に宝箱演出を発生させることで、図柄変動の境目を遊技者に意識させないようにして、複数回連続する宝箱演出を継続させる。この間においては、図28(a)に示すように、誘導報知画像373が「右矢印右移動」の動的表示態様により示される。そして時刻teから誘導報知画像373が「左矢印右移動」の動的表示態様に切り替わる。その後、時刻tyの2回転目(102回点目)まで、計6回転(97回転目〜102回点目)の図柄変動にて連続的に宝箱演出を発生させる。この変動回数上の時刻tx〜ty(97〜102回転目)にかけて連続する宝箱演出は、遊技者に複数回に分かれていると意識させることのない連続演出として、つまり一続きの演出であるとして現出させる。
このように電サポ保証回数100回の終了時点teを中心に4回転前(97回点目)から2回転後(102回点目)までにわたり、演出押しボタンを連打する宝箱演出を現出させる理由は、確変動作中や時短動作中に選ばれる変動パターンが、1〜2秒程度の時間幅の短い通常変動パターンのものであることが多いことを考慮し、誘導報知画像373が左打ち誘導報知に切り替わる時点が遊技者に意識されないようにするためである。
実施形態2の具体例2A、2Bでは、図31で説明したように、97回転目から102回点目の図柄変動表示動作までの計6回転の図柄変動の期間内にわたって押しボタンを連打する宝箱演出を現出させ、その宝箱演出の継続している期間中に、誘導報知画像373が「右矢印右移動」の動的表示態様(図28(a))から「左矢印右移動」の動的表示態様(図28(b))への切り替わる時点が来る関係を作り出し、これにより、注意逸らし演出的効果を発揮させ、誘導報知画像373が左打ち誘導報知に切り替わる時点が遊技者に意識されないようにしている。また、誘導報知画像373が左打ち誘導報知に切り替わる時刻teより後の2回目の図柄変動までの期間に亘り、宝箱演出を継続させる。
このようにする理由は、左打ち誘導報知への切り替わる時点、つまり101回転目の図柄変動表示ゲームが終了した後も、宝箱演出が続く状況を作り出す。この理由は、転落タイプやSTタイプの遊技機の場合、1回の図柄変動ゲームに要する消化時間が1〜2秒程度と短いことを考慮すれば、電サポがなくなった101回転目の図柄変動で宝箱演出を終了させてしまうことに比べ、時刻teより後の2回目の図柄変動までの期間に亘り宝箱演出を継続させる方が、「左矢印右移動」の動的表示態様に誘導報知画像373が切り替わる時点を遊技者に意識されなくできるためである。
<25.実施形態2における宝箱演出と保留記憶の関係:図32>
図32は、左打ち誘導報知への切り替わる時点が予め判明する他のケースとして、保留記憶が複数個以上有り、その中に電サポ有り状態が終了となる保留記憶が存在する場合、保留記憶中の電サポ有り状態が終了となる保留記憶が図柄変動に供されるまでの1または数回の図柄変動動作の実行にて宝箱演出を現出させる例を示したものである。この例は、実施形態2の具体例2A、2Bの場合だけでなく、実施形態3の具体例3Bについても適用可能である。
図32(a)に示すように、具体例2A、2B、3Bの場合、電サポの保証回数100回が未消化である間は、普通変動入賞装置41の可動翼片47に遊技球が高頻度で拾われて下始動口35への入賞が頻繁に発生し、保留記憶が3個〜上限の最大保留記憶個数4個まで溜まっている状況となる。図32(a)は、電サポ保証回数100回のうちの96回転目に相当する保留記憶の「保留1」が図柄変動表示ゲームに供され、当該保留記憶として消化中に、新たな保留記憶として「保留4」が発生し、その「保留4」が電チューサポート保証回数100回転目に相当する保留記憶である場合を示している。このとき液晶画面には、その遊技中画面の右上隅側に、誘導報知画像373が右向き矢印画像374aが複数個一直線状に並んで右方向(破線矢印375に沿った方向)に一定速度または間欠的に順次移動する「右矢印右移動」の動的表示態様で表示され、遊技者に対し右打ちが有利であることが報知されている。
96回転目の保留記憶が消化されると、次いで「保留1」〜「保留4」の保留記憶全体が図32(b)に示すようにシフトされ、97回転目に相当する「保留1」の保留記憶が図柄変動表示ゲームに供される。このとき、液晶画面には電サポ状態の継続を怪しむ懐疑的演出として宝箱演出が現出する。図32(b)に示す押しボタン画像372に対応する枠演出ボタン13を連打して画面内の宝箱画像371が開けば、電サポ有り状態が継続する。このとき誘導報知画像373は「右矢印右移動」の動的表示態様による表示を続けており、右打ち報知を継続している。
続いて図32(c)において、電サポ保証回数100回の終わりである時刻teが到来し、「保留4」の保留記憶が図柄変動表示ゲームに供される。しかし、宝箱演出はまだ継続しており、誘導報知画像373も「右矢印右移動」の動的表示態様による右打ち報知を継続している。
続いて図32(d)において、「保留5」の保留記憶が図柄変動表示ゲームに供されて、101回転目の図柄変動が開始される。この101回転目の図柄変動が開始されるのと同時に、誘導報知画像373が、右向き矢印画像374aが複数個一直線状に並んで右方向に一定速度または間欠的に順次移動する「右矢印右移動」の動的表示態様から、左向き矢印画像374bが複数個一直線状に並んで右方向に一定速度または間欠的に順次移動する「左矢印右移動」の動的表示態様に切り替わる。
しかし図32(c)の右向き矢印画像374aも図32(d)の左向き矢印画像374bも、矢印の向きが反対なだけで、移動方向は破線矢印375で示す同一方向であるので、その右打ち誘導報知から左打ち誘導報知への切り替わりはあまり画面上顕著なものではなく、その変化は認識し難い。これに加えて、宝箱演出がこの101回転目の図柄変動においても現出され続け、遊技者に対し枠演出ボタン13を連打すべきことが催促される。したがって、遊技者はこの宝箱演出に参加して連打する意識が強くなる。その結果として、左打ち誘導報知への切り替わりを認識して打ち出しを止めてしまうことなく、そのまま打ち出し(右打ち)を継続することが多くなると考えられる。
続いて図32(e)において、「保留6」の保留記憶が図柄変動表示ゲームに供されて、102回転目の図柄変動が開始される。既に誘導報知画像373は「左矢印右移動」の動的表示態様に切り替わっているが、宝箱演出がこの102回転目の図柄変動においても現出され続け、遊技者に対し枠演出ボタン13を連打すべきことが催促される。したがって、多くの場合、遊技者はこの102回転目の図柄変動における宝箱演出にまで参加することになる。その結果として、「保留1」〜「保留6」が消化されるまでの間、左打ち誘導報知への切り替わりを認識して打ち出しを止めてしまうことなく、宝箱演出に参加して、打ち出し(右打ち)を継続することになると考えられる。したがって97回転目〜102回転目という連続した複数の図柄変動に渡り、遊技者の緊張状態を維持し、宝箱演出を最後まで楽しんでもらことが可能になる。
続いて図32(f)において、「保留7」の保留記憶が図柄変動表示ゲームに供されて、103回転目の図柄変動が開始される。この時点で液晶画面は通常演出のものに戻ることになる。なお、誘導報知画像373の左打ち報知はまだ続いているが、必要とする所定の変動回数を経た後は現出しなくなる。
<変形例1>
上記実施形態2(図28〜図31)では、左打ち誘導報知への切り替わる時点が予め分かっている場合として、電サポ保証回数100回目に着目したが、既知の値として現に存在する保留記憶の個数に着目することもできる。保留記憶が複数個ある場合は、そのことを保留加算コマンドから把握することができるので、複数個目の新しい保留記憶が発生した時点で宝箱演出を発生させるか否かの抽選を行い、当該新しい保留記憶が宝箱演出発生抽選に当選したものであることを条件として、その保留記憶の数に対応する図柄変動にわたり、宝箱演出を発生させることもできる。この場合は、抽選に当選した当該新しい保留記憶が、上記の図32の保留4(電サポ終了100回転目)に対応するものとして考えればよく、この保留4の動作と同等の処理動作となる。
<26.転落をそれとはなしに知らせる演出モード移行:図33〜図35>
図29〜図32を参照して、具体例2A、2Bにおいて行われる転落をそれとはなしに知らせる演出モード移行について説明する。
主制御部20から入賞コマンドまたは保留加算コマンドによって、遊技状態が低確率状態に転落した旨の転落情報が送信されて来た場合、この転落情報に基づいて、「転落に関連する暗示情報」を演出モードにて報知する構成にする。ただし、転落に関連する暗示情報として遊技者に報知されるのは、その転落を明確に伝える性格のものではなく、その転落の可能性をそれとなしに知らせる、つまり暗示する性格のものである。本明細書では、現在の遊技状態が高確率状態にあるのか、または低確率状態に転落したかまたは転落しようとしているのかについて、それとなしに遊技者に与える刺激を「暗示情報」と称する。したがって、暗示情報には、その暗示する強弱によって、転落した旨をそれとなしに知らせる転落暗示情報と、転落していない旨をそれとなしに知らせる非転落暗示情報とが含まれる。
上記暗示情報を付与する手段は、具体的には、転落の有無、すなわち現在の遊技状態が高確率状態にあるのか、または低確率状態に転落したかまたは転落しようとしているのかについて、移行先である演出モードの種類(背景演出361の朝、昼、夕、夜、夜+雨)を、図柄変動表示動作が開始する際の変動開始時の遊技状態と関連づけて、重み付けすることで実現している。つまり転落していると移行し易い演出モード、換言すれば転落していないと移行し難い演出モードの出現傾向が、変動開始時の遊技状態により変わるようにしている。
図33および図34は、遊技状態が高確率状態に存在しているか否かについての高確率期待度が異なるものとして予め用意された複数種類の演出モードA〜Eのうち、いずれの演出モードに移行するかを示したものであり、図33および図34の両者が一体となって移行先モード振分テーブルを構成している。ここで「モード」とは演出モードの略称である。
この移行先モード振分テーブルは、モード移行契機が成立した場合に、遊技状態の高確率期待度が異なるものとして予め用意された複数種類の演出モードA〜Eのうちのいずれに移行させるかについて、その移行先を、図柄変動表示動作が開始する変動開始時の遊技状態が高確率状態であるか否か、および保留内転落当選に係る保留記憶が存在するか否かに関係させて、移行先の演出モードA〜Eの選択割合が異なるように重み付けすることにより、遊技状態が低確率状態に在るかまたは保留内転落当選に係る保留記憶が存在する場合には、上記選択割合に応じて、上記演出モードA〜Eのうちから転落していると移行し易い演出モードが選択されるように設定されている。
この移行先モード振分テーブルを構成するテーブルのうち、図33のテーブルは、4つの因子(確率状態の高低、電サポの有無、保留内転落当選の有無、保留内連チャンの有無)の組合せにより定まる遊技状況の区分(以下、単に状態区分と言う)と、その各状態区分に対し、複数種類用意されたモード選択テーブルTa〜Tdの一つを割り付け、状態区分とモード選択テーブルTa〜Tdとを関連付けをしたテーブル(以下、単に「状態区分関連付けテーブル」と称する)である。
また、図34のテーブルは、図33の状態区分関連付けテーブルで状態区分に割り付けられたモード選択テーブルTa〜Tdにより移行先として選択される演出モードA〜Eの選択割合(振り分け率)を定めたもの(以下「演出モード移行抽選テーブル」と称する)である。
図35は上記演出モードA〜Eの具体例を示したものであり、演出モードA、B、C、D、Eは、それぞれ朝背景演出、昼背景演出、夕背景演出、夜背景演出、夜+雨背景演出となっている。これらの演出モードA〜Eのうち、演出モードA、B、C、Dはこの順序で高確率期待度が大きくなるように定められている。最も期待度の大きい夜背景の演出モードDは大当り確定モードとなっている。また夜+雨背景の演出モードEは、電サポ有り状態下で大当りが期待できる演出モードであり、たとえばチャンスタイム演出と称される演出が現出する。ここで電サポ有り状態とは、普通変動入賞装置41の可動翼片47を開動作させる期間およびその開放回数を延長する開放延長機能が付与さている状態(高ベース状態)をいう。
(モード移行契機)
これらの演出モードA〜Eは、モード移行契機の成立を条件として、上記状態区分関連付けテーブル(図33)および演出モード移行抽選テーブル(図34)を通じて、そのいずれかへ移行することとなる。この演出モードA〜Eへのモード移行契機としては、(i)大当り遊技の終了または時短状態の終了といった所定の利益状態の終了、(ii)SPリーチ変動パターンなどの特定の演出制御コマンドの受信、(iii)モード移行選択抽選に当選、(iV)ハズレ変動回数が予め定めた所定回数に達したこと、などがある。
(状態区分関連付けテーブル:図33)
図33の状態区分関連付けテーブルは状態区分の特定と種類、およびこの状態区分に対するモード選択テーブルTa〜Tdの割付けを定めている。
図33の状態区分関連付けテーブルにおいて、状態区分の決定には4つの因子が関与する。その第1因子は、モード移行契機が成立して特別図柄変動表示動作が開始する際の遊技状態が、高確率状態または低確率状態のいずれであるか(確率状態の高低)であり、第2因子は開放延長機能が付与されているか否か(電サポの有無)である。したがって変動開始時の遊技状態は、図33中にa〜dを付して示すように、(a)高確率状態+高ベース状態(電サポあり)=確変状態、(b)高確率状態+低ベース状態(電サポなし)=潜伏確変状態、(c)低確率状態+高ベース状態(電サポあり)=時短状態、(d)低確率状態+低ベース状態(電サポなし)=通常状態、の4つに分類される。
状態区分の決定に関与する第3因子は、モード移行契機が成立した際に存在する保留内転落当選の有無、つまり4個を上限として記憶される保留記憶の中に、転落抽選に当選していると先読みされるもの(保留内転落当選)が存在するか否かである。したがって、上記した確変状態と潜伏確変状態は、それぞれ、保留内転落当選がある場合(e、g欄)と保留内転落当選がない場合(f、h欄)とに分類される。すなわち、確変状態で保留内転落当選がある場合(e欄)と、確変状態で保留内転落当選がない場合(f欄)と、潜伏確変状態で保留内転落当選がある場合(g欄)と、潜伏確変状態で保留内転落当選がない場合(h欄)とに分かれる。
そして状態区分の決定に関与する第4因子は、保留内大当り当選(保留内連チャン)の有無、つまり4個を上限として記憶される保留記憶の中に、大当り抽選に当選していると先読みされるもの(保留内大当り当選)が存在するか否かである。したがって、上記した確変状態で保留内転落当選がある場合とない場合(e、f欄)は、それぞれ、さらに保留内大当り当選があるケースと保留内大当り当選がないケース(j、k;l、m欄)に分類され、また潜伏確変状態で保留内転落当選がある場合とない場合(g、h欄)は、それぞれ、さらに保留内大当り当選があるケースと保留内大当り当選がないケース(n、o;p、q欄)に分類される。
すなわち確変状態(a欄)については、確変状態で保留内転落当選ありで保留内大当り当選ありの場合(j欄:状態区分K1)と、確変状態で保留内転落当選ありで保留内大当り当選なしの場合(k欄:状態区分K2)と、確変状態で保留内転落当選なしで保留内大当り当選ありの場合(l欄:状態区分K3)と、確変状態で保留内転落当選なしで保留内大当り当選なしの場合(m欄:状態区分K2)とに分類される。また潜伏確変状態(b欄)については、潜伏確変状態で保留内転落当選ありで保留内大当り当選ありの場合(n欄:状態区分K5)と、潜伏確変状態で保留内転落当選ありで保留内大当り当選なしの場合(o欄:状態区分K6)と、潜伏確変状態で保留内転落当選なしで保留内大当り当選ありの場合(p欄:状態区分K7)と、潜伏確変状態で保留内転落当選なしで保留内大当り当選なしの場合(q欄:状態区分K8)とに分類される。
次に、時短状態(c欄)および通常状態(d欄)の場合、遊技状態は既に低確率状態にあるので高確率状態からの転落という事象は存在しない。したがって保留内転落のi欄は空白となっている。よって、時短状態(c欄)と通常状態(d欄)は、それぞれ、さらに保留内大当り当選があるケースと保留内大当り当選がないケース(r、s;t、u欄)に分類される。すなわち時短状態(c欄)については、時短状態で保留内大当り当選ありの場合(r欄:状態区分K9)と、時短状態で保留内大当り当選なしの場合(s欄:状態区分K10)とに分類される。また、通常状態(d欄)については、通常状態で保留内大当り当選ありの場合(t欄:状態区分K11)と、通常状態で保留内大当り当選なしの場合(u欄:状態区分K12)とに分類される。
上記した4つの因子の組合せにより定まる個々の状態区分K1〜K12には、それぞれモード選択テーブルTa〜Tdのうちの一つが割り付けられている。本実施形態の場合、状態区分K1〜K4、K9、K10にはモード選択テーブルTaが、状態区分K6、K12にはモード選択テーブルTbが、状態区分K5、K7、K11にはモード選択テーブルTcが、状態区分K8にはモード選択テーブルTdが割り付けられている。
(演出モード移行抽選テーブル:図34)
図34は、モード選択テーブルTa〜Tdと演出モードA〜Eとの関係を示した演出モード移行抽選テーブルである。演出モードA、B、C、Dはこの順序で高確率期待度が大きくなるように定められており、演出モードDは大当り確定モード、また演出モードEは高ベース状態下であり大当りが期待できるチャンス演出モードとなっている。
この図34の演出モード移行抽選テーブルは、上記モード選択テーブルTa〜Tdの各項目を含み、その各項目Ta〜Tdは、移行先である演出モードA〜Eに対応する数のセルを有するリストによって構成され、その各リストのセル内に演出モードA〜Eに対する選択割合つまり振り分け率の値(選択率値)が、所定の割り付け分布にて設定されている。たとえばモード選択テーブルTaの項目は、演出モードA〜Eに対応する5個のセルからなるリストから構成され、そのリストの最初のセルには演出モードAに対する選択率値が、第2のセルには演出モードBに対する選択率値が、第3のセルには演出モードCに対する選択率値が、第4のセルには演出モードDに対する選択率値が、第5のセルには演出モードEに対する選択率値が、それぞれ設定されている。
そして、モード選択テーブルTa〜Tdの各項目のリストには、演出モードA〜Eに対する全体の振り分け率を100%とした場合の当該モード選択テーブルTa〜Tdの選択率値(百分率値)が、全体として所定の選択分布(振り分け分布)となるような重み付けにて設けられている。この実施形態の場合、モード選択テーブルTa〜Td毎に演出モードA〜Eに対する振り分け分布が次のように互いに異なっている。すなわち、演出モードA、B、C、D、Eの選択率値が、モード選択テーブルTaでは0%、0%、0%、0%、100%、モード選択テーブルTbでは60%、30%、10%、0%、0%、モード選択テーブルTcは10%、30%、50%、10%、0%、またモード選択テーブルTdでは10%、30%、60%、0%、0%となっている。
したがって、モード選択テーブルTa〜Tdは、高確率期待度が小さい演出モードの順(A〜C)と同じ順方向に演出モードA〜Cに対する選択割合が大きくなる第1のモード選択テーブルTdと、高確率期待度が大きい演出モードの順(C〜A)とは逆方向に演出モードA〜Cに対する選択割合が大きくなる第2のモード選択テーブル(Tb)と、高確率期待度が小さい演出モードの順(A〜C)と同じ順方向に演出モードA〜Cに対する選択割合が大きくなり、かつ大当りが確定する演出モードに対する選択割合をも含んでいる第3のモード選択テーブルTcとを有する。さらにまた100%の割合でチャンスタイム演出に移行する第4のモード選択テーブルTaをも有する。
そして、開放延長機能が付加されていない低ベース状態下(図33のb、d欄)であって、遊技状態が低確率状態に在るかまたは保留内転落当選に係る保留記憶が存在する場合(図33のg、i欄)には、保留内当り当選に係る保留記憶が無いことを条件として、選択割合に応じて第2のモード選択テーブル(Tb)が選択され(図33のK6、K12)、保留内当り当選に係る保留記憶が有ることを条件として、選択割合に応じて前記第3のモード選択テーブル(Tc)が選択される(図33のK5、K1)。
また、開放延長機能が付加された高ベース状態下(図33のa欄)であって、変動開始時の遊技状態が高確率状態に在りかつ保留内に保留内転落当選に係る保留記憶が存在しない場合(図33のf欄)には、保留内当り当選に係る保留記憶が無いことを条件として、選択割合に応じて、第1のモード選択テーブル(Td)が選択され(図33のK4)、前記保留内当り当選に係る保留記憶が有ることを条件として、前記選択割合に応じて前記第3のモード選択テーブル(Tc)が選択されるように(図33のK5、K1)設定される。
また、開放延長機能が付加された高ベース状態下であって、変動開始時の遊技状態が低確率状態に在る場合(図33のc、i欄)には、保留内当り当選に係る保留記憶が無いことを条件として、選択割合に応じて、第1のモード選択テーブル(Td)が選択され(図33のK10)、保留内当り当選に係る保留記憶が有ることを条件として、選択割合に応じて第3のモード選択テーブル(Tc)が選択される(図33のK9)ように設定されている。
ただし、この実施形態の場合、状態区分関連付けテーブルは、開放延長機能が付加された高ベース状態下(図33のa欄)であって、変動開始時の遊技状態が高確率状態に在りかつ保留内に保留内転落当選に係る保留記憶が存在しない場合(図33のf欄)、および、開放延長機能が付加された高ベース状態下であって、変動開始時の遊技状態が低確率状態に在る場合(図33のc、i欄)には、第1のモード選択テーブル(Td)の代わりに、全て同じ第4のモード選択テーブル(Ta)が選択されるように(図33のK1〜K4、K9〜K10)設定されている。
(26−1.保留内転落当選の有無と演出モードA〜Eとの関係:図33〜図34>
上述した、モード選択テーブルTa〜Tdを介して演出モードA〜Eが選択される。
(状態区分K1〜K4=確変状態の場合)
図33を参照して、状態区分K1〜K4の場合、つまり変動開始時の遊技状態が高確率状態で電サポ付の「確変状態」(a欄)である場合は、保留内に転落当選があるケース(e欄)であるか、または保留内に転落当選がないケース(f欄)であるかを問わず、それらの状態区分K1〜K4に対して全て同じ「モード選択テーブルTa」が選択される。
モード選択テーブルTaは演出モードEを100%選択し、他の演出モードを選択しないように設定されたテーブルである(図34参照)。したがって、確変状態(状態区分K1〜K4)下でモード移行契機が成立すると、モード選択テーブルTaを介して演出モードEが選択され、高ベース状態下で大当りの可能性があるチャンスタイム演出モード(図35(e))が開始されることになる。
たとえば大当り遊技が終了して確変状態に突入したことにより(または特定のリーチ変動パターンを受信したことで)モード移行契機が成立したとすると、その特別図柄変動表示動作の開始と共に、チャンスタイム演出モード(演出モードE)が開始する。このチャンスタイム演出モードへの移行は、変動開始時に保留内転落当選や保留内大当り当選に係る保留記憶が存在するか否かに関係なく行われる。つまり確変状態下で演出モードの移行が発生する場合は、常に演出モードEのチャンスタイム演出モードから開始される。
(状態区分K5〜K8=潜伏確変状態の場合)
状態区分K5〜K8の場合、つまり変動開始時の遊技状態が高確率状態でかつ電サポなしの「潜伏確変状態」(b欄)である場合は、モード移行契機が成立した際に、保留内に転落当選の保留記憶があるか否かの相違によって、選択されるモード選択テーブルの種類が異なる。
(状態区分K5〜K6=保留内転落当選ありの場合)
潜伏確変状態で保留内転落当選ありの場合(g欄)は、モード選択テーブルTcまたはTbが選択される(n欄、o欄)。ここでモード選択テーブルTcは保留内大当り当選あり(状態区分K5)の場合に、またモード選択テーブルTbは保留内大当り当選なし(状態区分K6)の場合に選択される。
モード選択テーブルTcは演出モードA、B、C(図35(a)〜(c))に対する選択率値がこの順に大きくなるように設定され、大当り確定の演出モードD(図35(d))を選択する可能性も10%残るように設定されている。すなわち演出モードA、B、Cの選択率値は、高確率期待度が高くなっている順(演出モードA<B<C<D)に見て、高確率期待度が最低の演出モードA(選択率値10%)、高確率期待度が中程度の高い演出モードB(選択率値30%)、高確率期待度が最も高い演出モードC(選択率値50%)、高確率期待度が低いが大当りが確定する演出モードD(選択率値10%)となっている。そこで、遊技者に高確率状態に居て大当りの可能性があることを暗示する手段として、保留内転落当選ありで保留内大当り当選ありの場合(状態区分K5)には、モード選択テーブルTcが選択されるように割り付けている。
一方、モード選択テーブルTbは、演出モードA、B、C(図35(a)〜(c))に対する選択率値がこの順に小さくなるように設定され、大当り確定の演出モードD(図35(d))を選択する可能性は0%となるように設定されている。すなわち演出モードA、B、Cの選択率値は、高確率期待度が最低の演出モードA(選択率値60%)、高確率期待度が中程度の演出モードB(選択率値30%)、高確率期待度が最も高い演出モードC(選択率値10%)、高確率期待度が低いが大当りが確定する演出モードD(選択率値0%)となっている。保留内転落当選の可能性が高いことを遊技者に暗示情報により報知する手段として、保留内転落当選ありで保留内大当り当選なしの場合(状態区分K6)には、モード選択テーブルTbが選択されるように割り付けている。
(状態区分K7〜K8=保留内転落当選なしの場合)
次に、潜伏確変状態で保留内転落当選なしの場合(h欄)は、モード選択テーブルTcまたはTdが選択される(p欄、q欄)。ここでモード選択テーブルTcは保留内大当り当選ありの場合(状態区分K7)に、またモード選択テーブルTdは保留内大当り当選なしの場合(状態区分K8)に選択される。
モード選択テーブルTc、Tdは共に、当選期待度の大きくなる順である演出モードA、B、Cの順に選択率値が大きくなるように設定されており、違いは、モード選択テーブルTcについては大当り確定の演出モードDを選択する可能性があり(可能性10%)、モード選択テーブルTcについては大当り確定の演出モードDを選択する可能性がない(可能性0%)、という点である。そこで、潜伏確変状態で保留内転落当選なしの場合、遊技者に、まだ高確率状態に居る可能性のあること、および保留内大当り抽選に当選している可能性のあることを暗示情報により報知する手段として、保留内大当り当選ありの場合(状態区分K7)には、モード選択テーブルTcが選択されるように割り付けている。また、同じく潜伏確変状態で保留内転落当選なしの場合であって、保留内大当り当選なしの場合(状態区分K8)には、まだ高確率状態に居る可能性のあることを暗示情報により報知する手段として、モード選択テーブルTdが選択されるように割り付けている。
(状態区分K9〜K10=時短状態の場合)
他方、変動開始時の遊技状態が低確率状態の場合、その状態からさらに転落するという事象は起こり得ない(i欄:空白)。そこで、この場合は、保留内連チャンの有無だけがモード選択テーブルの種類を選択する因子となる。
まず状態区分K9〜K10の場合、つまり変動開始時の遊技状態が低確率状態ではあるが電サポ付の高ベース状態(時短状態:c欄)である場合は、モード移行契機が成立した際、保留内に存在する保留記憶が大当り当選の保留記憶であるか否かに関わらず、モード選択テーブルTaが選択される。したがって、このモード選択テーブルTaを介して、高ベース状態下で大当りの可能性がある演出モードEのチャンスタイム演出へ移行する。この演出モードEのチャンスタイム演出は高確率状態下の状態区分K1〜K4で選択されるチャンスタイム演出と同じであり区別がつかない。したがってチャンスタイム演出へ移行した場合、遊技者は、遊技機が高確率状態に居ることを期待することになる。
(4−2−4.状態区分K11〜K12=通常状態の場合)
次に状態区分K11〜K12の場合、つまり低確率状態で電サポなしの低ベース状態(通常状態:d欄)である場合、保留内に大当りの保留記憶が存在すれば(t欄)(状態区分K11)、モード選択テーブルTcが選択され、また保留内に大当りの保留記憶が存在しなければ(u欄)(状態区分K12)、モード選択テーブルTbが選択される。このモード選択テーブルTbは、演出モードA、B、Cの選択率値がこの順に小さくなるように設定され、大当り確定の演出モードDを選択する可能性は0%となるように設定されている。したがって保留内転落当選している可能性が高いことを遊技者に報知する手段として、保留内大当り当選なしの場合(状態区分K12)には、モード選択テーブルTbが選択されるように割り付けている。
(26−2.演出モードの移行先振分けの特色)
上記した図33および図34からなる移行先モード振分テーブルには次のような特色がある。
(特色1)
保留内で転落している場合(状態区分K1〜K2、K5〜K6:e、g欄)よりも、保留内で転落していない場合(状態区分K3〜K4、K7〜K8:f、h欄)の方が、高確率期待度の高い演出モードに移行しやすい。
何故なら、保留内転落当選有りと無しの関係にあっても、状態区分K1〜K2(e欄)と状態区分K3〜K4(f欄)間では、モード選択テーブルTaを介して同じチャンスタイム演出モードEが選択されるため、差がない。また、同じく保留内転落当選有りと無しの関係にあっても、保留内大当りありの場合の、状態区分K5(g欄)と状態区分K7(h欄)間では、同じモード選択テーブルTcを介して、同じ選択率分布で演出モードA〜Dの一つが選択されるため、差が存在しない。したがって保留内転落当選有りと無しの関係にあって、両者間に差が付けられているのは、状態区分K6(o欄)と状態区分K8(q欄)間だけである。すなわち、保留内大当り無しの場合の、状態区分K6(o欄)と状態区分K8(q欄)間では、前者ではモード選択テーブルTbが選択されるのに対して、後者ではモード選択テーブルTdが選択される。そして、このモード選択テーブルTbとTdは内容が次のように異なっているからである。
一方において、モード選択テーブルTbは、演出モードA、B、Cに対する選択率値が演出モードA、B、Cの順に低い選択率値となるように定められ、演出モードAへの選択率値が60%にも達する(図34)。しかし、高確率期待度の観点から見ると、演出モードA、B、C、Dの順に高確率期待度が高くなっているので、この選択率値の最も高い演出モードAが高確率期待度の最も低い演出モードである、という関係にある。他方において、モード選択テーブルTdは、演出モードA、B、Cに対する選択率値の分布がモード選択テーブルTbと逆であり、演出モードA、B、Cの順に高い選択率値となるように定められ、演出モードCへの選択率値が60%にも達する(図34)。また高確率期待度は演出モードA、B、C、Dの順に高くなるように定めてあるので、この選択率値の最も高い演出モードCが高確率期待度の最も高い演出モードである、という関係にある。
よって、これらの点から、保留内に転落抽選に当選している保留記憶がある場合(保留内転落当選ありの場合)よりも、保留内に転落抽選に当選している保留記憶がない場合(保留内転落当選なしの場合)の方が、高確率期待度の高い演出モードに移行しやすい、ということが判る。
(特色2)
また、モード選択テーブルTc、Tdについては演出モードA、B、Cに対する選択率値の分布が類似しており、高確率期待度の高い演出モードに移行する割合が高いほど、保留内大当り抽選に当選している可能性も高くなっており、モード選択テーブルTcを介して演出モード移行抽選テーブル上で演出モードDが選択されれば保留内大当りの当選が確定する。したがって、遊技者は、演出モードA、B、Cのうち、高確率期待度の高い演出モード(演出モードA、B、Cの順に高い)に移行する割合が高いほど、保留内大当り抽選に当選していると期待することになる。また演出モードDの夜背景演出に移行したときは、その夜背景演出が出現しただけで直ちに大当りとなることが遊技者に判るので、遊技者は、当該大当りと先読みされた保留記憶が変動表示動作に供されるまでの間、当該先読み対象保留の前に存在する保留記憶(消化順で見て順位が先のもの)が変動表示動作に供されて消化されるのを待ち、それらの変動表示動作で出現する予告演出(たとえば連続予告演出)について楽しむことになる。
(図33の括弧書)
上記実施形態では電サポがある場合(状態区分K1〜K4=確変状態、状態区分K9〜K10=時短状態の場合)、モード移行契機が成立すると、モード選択テーブルTaを介して演出モードEが選択され、高ベース状態下での演出モードであるチャンスタイム演出モードが開始されることにした。すなわち、電サポ有りの場合は、確率状態の高低、保留内転落の有無、保留内連チャンの有無に関わらず同一の演出モードEに移行するようにした。
しかし、図33中に示唆するように、保留内大当り当選のときはモード選択テーブルTcが選択され、保留内大当り非当選のときはモード選択テーブルTdが選択されるようにしてもよい。モード選択テーブルTc、Tdは共に演出モードA、B、Cの順に選択率値が大きくなるように設定されているので、モード選択テーブルTaを選択する場合と同様に、モード選択テーブルTcまたはTdを選択するようにすると、まだ高確率状態に居るとの期待感を持続させることができる。
なお、保留内大当り当選の状態区分K1、K3、K9のときはモード選択テーブルTcが選択され、保留内大当り非当選の状態区分K2、K4、K10のときはモード選択テーブルTdが選択されるようにしたのは、モード選択テーブルTcについては大当り確定の演出モードDを選択する可能性がある(可能性10%)が、モード選択テーブルTcについては大当り確定の演出モードDを選択する可能性がない(可能性0%)、という違いを考慮して、使い分けたものである。
(図34のTcの選択率値分布の変更)
上記実施形態の場合、モード選択テーブルTcは、演出モードA、B、Cに対する選択率値の分布がモード選択テーブルTbと逆であり、演出モードA、B、Cの順に高い選択率値となるように定められ、演出モードCへの選択率値が60%にも達する(図34)。しかし、保留内で転落している場合よりも、保留内で転落していない場合の方が、高確率期待度の高い演出モードに移行しやすい、という関係を維持しつつ、その選択率値分布をモード選択テーブルTbと同様の傾向のものに変更することができる。たとえば、モード選択テーブルTcの演出モードA、B、Cに対する選択率値の分布を、それぞれ演出モードA(40%)、演出モードB(30%)、演出モードC(20%)とすることができる。このように設定しても、演出モードAが選択される割合が60%から40%に小さくなっているので、モード選択テーブルTbに比べモード選択テーブルTcの方が高確率期待度の高い演出モードを選択しやすい、という関係を維持することができる。この場合、モード選択テーブルTcが選択されるのは、すべて保留内大当り抽選に当選しているときであるので、遊技者としては、たとえば高確率状態であったから大当り抽選に当選したのだ、と解することになる。
(26−3.実施形態2の具体例2Aにおける演出モード移行:図29)
図29に示す実施形態2の具体例2Aにおいては、図33の状態区分K1〜K4(確変状態)、K9〜K10(時短状態)で、括弧書のモード選択テーブルTcまたはTdが選択される形態を扱っている。図中の時刻t1で15R確変大当りに当選し、その後、15Rの大当り遊技が終了した時刻t2から電サポ付の図柄変動表示動作が開始され、その100回目の図柄変動が到来する時刻teまでの間に、転落入賞が発生し(時刻t6)、かつ種々の演出モード移行契機が成立する(時刻t2〜t5、t7〜t8)という事例を示している。
(イ)大当り終了コマンドを受信した場合(図29の時刻t2)
大当り遊技中で転落入賞に係る保留記憶が発生せず、図29の時刻t2で、大当り終了コマンドを受信してモード移行契機が成立した場合、演出モード移行抽選処理(ステップS748)で、移行先モード振分けテーブル(図33〜図34)を参照し、状態区分に応じて、移行先の演出モードを抽選する。このときの遊技状況は図33の状態区分K4(高ベースの確変状態で、保留内転落当選なし、保留内大当り当選なし)に該当する。そこで、図33の状態区分関連付けテーブルの状態区分K4においてモード選択テーブルTdが選択され、このモード選択テーブルTdが選択されたことに基づき、図34の演出モード移行抽選テーブル上で演出モードA、B、Cが10%、30%、60%の選択割合で選択される。
図29の具体例Aでは60%の選択割合で演出モードC(図35の夕背景)が選択された場合を示している。これは、大当りが確定する演出モードDおよびチャンスタイム演出である演出モードEを除いて考えると、演出モードA〜Cのうちで、高確率期待度が最も高い演出モードC(図35の夕背景)が移行抽選されたことを意味する。この演出モードCがセットされると、液晶表示装置36の画面が図35の夕背景に切り替わり、スピーカからは対応する演出用のBGMが流れる。したがって遊技者は、演出モードC(夕背景)に移行したことで、遊技状態が高確率状態にあると推測することになる。
なお、時刻t2において、保留内大当り抽選に当選している場合(状態区分K3)は、モード選択テーブルTcが選択され、図34の演出モード移行抽選テーブル上で演出モードA、B、C、Dが10%、30%、50%、10%の選択割合で選択される。すなわち高確率期待度に関しては、モード選択テーブルTcもTdも同様の傾向(演出モードA、B、Cの順に高い)を示すが、モード選択テーブルTcを介して演出モードが選択される場合は、大当り確定の演出モードDが選択される可能性が出て来る。この関係は、後述する時刻t4、t5、t7、t8の場合も同様である。
(ロ)非転落入賞した場合(図29の時刻t3)
図29に示す具体例2Aの時刻t3では、上記演出モードC下で非転落入賞に係る保留記憶が発生した場合をケース1(保留内転落当選なし)として想定している。
ケース1では、最初、保留記憶個数が3個の状態下で、新たな入賞球が発生して「保留4」が発生し、その保留データが先読み判定された状況にある。なお「保留4」は非転落入賞に係る「先読み対象保留」である。
この「保留4」の先読み対象保留が発生した場合、演出制御部24は、連続予告演出による先読み予告を行うか否かについての抽選を行う。この先読み予告抽選に当選し、かつ転落抽選に非当選であると判断された場合、保留数に対応する転落前の予告選択テーブルをセットする。この例では、保留数3に係る転落前の予告選択テーブルをセットする。そして、「保留1」の図柄変動が開始されて保留記憶個数が3個に減少した時点から、保留を跨いで継続される変動開始時変化系連続予告演出の継続性ランクについての抽選を行う。現在の遊技状態は演出モードCに在るので、図示してない継続性テーブル上において、予告なし、1回予告α、2回予告β、3回予告γ、4回予告δが0%、10%、10%、30%、50%の選択割合で選択される。
この例では継続性テーブル上において選択割合50%の4回予告δが選択されたものと仮定している。このため、当該非転落入賞に係る保留4(先読み対象保留)までの4回分を、連続予告回数として第2連続予告カウンタに設定する(ステップS819)。これにより、保留1〜保留4の4回分の各図柄変動表示動作において稲妻予告およびその効果音が出現して連続予告演出が実行されることとなる。
一方、保留表示変化系の先読み予告(連続予告)に関しては、「保留4」の保留記憶が発生して上記先読み予告抽選に当選したと判断された時点で、専用保留表示演出シナリオがセットされ、保留記憶個数に対応する「4」が第1連続予告カウンタにセットされる。これにより当該「保留4」の保留記憶位置がたとえば赤色に変化し、当該「保留4」の保留記憶が図柄変動表示動作に供されるまで順次表示位置をシフトしながら連続的に表示されることになる。
このケース1では、変動開始時変化系連続予告演出の継続回数(稲妻予告が保留を跨いで連続的に表示される回数)が上記保留表示変化系の先読み予告の継続回数(「保留4」の赤色保留位置が保留を跨いで連続的に表示される回数)と一致している。仮に遊技状態が低確率状態に転落した後あるいは保留内転落当選しているとすると、転落後の予告選択テーブルが参照されることから、変動開始時変化系連続予告演出の継続回数と同じ継続回数に達する手前で終了してしまうことがある。しかし、この例では、演出モードC(夕背景)に移行している上に、さらに稲妻予告による連続予告演出が「保留4」の赤色保留位置まで、つまり赤色保留の「保留4」が図柄変動表示動作に供されるまで継続している。したがって遊技者は、このことから遊技状態が低確率状態に転落していないと確信することになる。
(ハ)特定の変動パターン指定コマンドを受信した場合(図29の時刻t4)
図29に示す具体例2Aの時刻t4で、特定の変動パターン指定コマンド(たとえば、特定のリーチ演出を指定するリーチ変動パターン指定コマンド)を受信してモード移行契機が成立した場合、演出モード移行抽選処理(ステップS748)にて移行先モード振分けテーブルを参照し、状態区分に応じて、移行先の演出モードを抽選する。このときの遊技状況は時刻t2のときと変わっておらず、図33の状態区分K4(高ベースの確変状態で、保留内転落当選なし、保留内大当り当選なし)にある。そこで、図33の状態区分関連付けテーブルの状態区分K4においてモード選択テーブルTdが選択され、このモード選択テーブルTdが選択されたことに基づき、図34の演出モード移行抽選テーブル上で演出モードA、B、Cが10%、30%、60%の選択割合で選択される。図29では30%の選択割合で演出モードB(図35の昼背景)が選択された場合を示している。これは、演出モードA〜Cのうちで、高確率期待度が2番目に高い演出モードB(図35の昼背景)が移行抽選されたことを示している。この演出モードBがセットされると、液晶表示装置36の画面が図35の昼背景に切り替わり、スピーカからは対応する演出用のBGMが流れる。したがって遊技者は、演出モードC(夕背景)から演出モードB(昼背景)に移行したことで、遊技状態が低確率状態に転落したのではないかと若干心配することになる。
(ニ)演出モード移行抽選に当選した場合(図29の時刻t5)
図29に示す具体例2Aの時刻t5は、特定のSPリーチ変動パターン以外の変動パターンコマンドを受信し、かつ、演出制御部24側で行われる演出モード移行抽選に当選したことでモード移行契機が成立した場合を示す。
この場合も、演出モード移行抽選処理(ステップS748)にて移行先モード振分けテーブルを参照し、状態区分に応じて、移行先の演出モードを抽選する。このときの遊技状況は時刻t2のときと変わっておらず、図33の状態区分K4(高ベースの確変状態で、保留内転落当選なし、保留内大当り当選なし)にある。そこで、図33の状態区分関連付けテーブルの区分K4においてモード選択テーブルTdが選択され、このモード選択テーブルTdが選択されたことに基づき、図34の演出モード移行抽選テーブル上で演出モードA、B、Cが10%、30%、60%の選択割合で選択される(図38のステップS801)。図29では60%の選択割合で演出モードC(図35の夕背景)が選択された場合を示している。これは、演出モードA〜Cのうちで、高確率期待度が最も高い演出モードC(図35の夕背景)が移行抽選されたことを示している。この演出モードCがセットされると(図38のステップS802)、液晶表示装置36の画面が図35の夕背景に切り替わり、スピーカからは対応する演出用のBGMが流れる。したがって遊技者は、演出モードB(昼背景)から演出モードC(夕背景)に戻ったことで、遊技状態が低確率状態に転落していなかったと推測することになる。
(ホ)転落入賞した場合(図29の時刻t6)
図29に示す具体例2Aの時刻t6では、上記演出モードC下で転落入賞に係る保留記憶が発生した場合を想定している。ここではケース2(保留内転落当選あり)を例にして説明する。
図12(a)は、保留記憶個数が3個の状態下で、新たな入賞球が発生して「保留4」が発生し、その保留データが先読み判定された状況にある。なお「保留4」は転落入賞に係る「先読み対象保留」である。
この「保留4」の保留記憶が発生した場合、演出制御部24は、連続予告演出による先読み予告を行うか否かについての抽選を行う。この先読み予告抽選に当選し、かつ転落抽選に当選していると判断された場合、保留数に対応する転落後の予告選択テーブルをセットする。この例では、保留数3に係る転落後の予告選択テーブルをセットする。そして、「保留1」の図柄変動が開始されて保留記憶個数が3個に減少した時点から、保留を跨いで継続される変動開始時変化系連続予告演出の継続性ランクについての抽選を行う。現在の遊技状態は演出モードCに在るので、継続性テーブル上において、予告なし、1回予告α、2回予告β、3回予告γ、4回予告δが30%、10%、40%、20%、0%の選択割合で選択される。
この例では継続性テーブル上において選択割合40%の2回予告βが選択されたものと仮定している。このため、当該非転落入賞に係る保留4(先読み対象保留)の手前の保留2までの2回分を、連続予告回数として第2連続予告カウンタに設定する。これにより、保留1〜保留2の2回分の各図柄変動表示動作において稲妻予告およびその効果音が出現して連続予告演出が実行されることとなる。
しかし保留表示変化系の先読み予告演出に関しては、「保留4」の保留記憶が発生して上記先読み予告抽選に当選したと判断された時点で、専用保留表示演出シナリオがセットされ、保留記憶個数に対応する「4」が第1連続予告カウンタにセットされる。これにより当該「保留4」の保留記憶位置がたとえば赤色に変化し、当該「保留4」の保留記憶が図柄変動表示動作に供されるまで順次表示位置をシフトしながら連続的に表示されることになる。
このケース2では、変動開始時変化系連続予告演出の継続回数(稲妻予告が保留を跨いで連続的に表示される回数)が上記保留表示変化系の先読み予告の継続回数(「保留4」の赤色保留位置が保留を跨いで連続的に表示される回数)と一致していない。仮に遊技状態が低確率状態に転落した後あるいは保留内転落当選しているとすると、転落後の予告選択テーブルが参照されることから、変動開始時変化系連続予告演出の継続回数と同じ継続回数に達する手前で終了してしまうことがある。この例においても、高確率期待度が最も高い演出モードC(夕背景)に移行してはいるものの、稲妻予告による連続予告演出が「保留4」の赤色保留位置までは継続せず、その手前の「保留2」が変動表示動作に供された時点で終了している。したがって遊技者は、このことから遊技状態が低確率状態に保留内転落した可能性があると推測できることになる。
(ヘ)ハズレ変動表示動作の回数が所定回数続いた場合(図29の時刻t7)
図29に示す具体例2Aの時刻t7は、ハズレ変動表示動作の回数が所定回数続いたことでモード移行契機が成立したと判断される場合を示す。この例では、演出制御部24側にハズレ変動回数カウンタを設け、同カウンタにより、受信したハズレ変動パターンコマンドの数を積算し、その積算値があらかじめ定めた所定回数の30回(図29には30回のn倍(n:1以上の整数))に達すると、モード移行契機が成立したと判断する。
この時刻t7のケースでも、モード移行契機が成立したと判断された場合、演出モード移行抽選処理(ステップS748)において、移行先モード振分けテーブルを参照し、状態区分に応じて、移行先の演出モードを抽選する。このときの遊技状況は、転落入賞が発生した時刻t6より後であるので、図33の状態区分K10(高ベースの時短状態で保留内大当り当選なし)にある。そこで、図33の状態区分関連付けテーブルの状態区分K10においてモード選択テーブルTdが選択され、このモード選択テーブルTdが選択されたことに基づき、図34の演出モード移行抽選テーブル上で演出モードA、B、Cが10%、30%、60%の選択割合で選択される。
図29では10%の選択割合で演出モードA(図35の朝背景)が選択された場合を示している。これは、演出モードA〜Cのうちで、高確率期待度が最も低い演出モードA(図35の朝背景)が移行抽選されたことを示している。この演出モードAがセットされると、液晶表示装置36の画面が図35の朝背景に切り替わり、スピーカからは対応する演出用のBGMが流れる。したがって遊技者は、演出モードC(夕背景)から演出モードA(朝背景)に戻ったことで、遊技状態が低確率状態に転落した可能性があると推測することになる(実際には時刻t6で既に転落しているので、この推測は誤りである)。
(ト)さらにハズレ変動表示動作の回数が所定回数続いた場合(図29の時刻t8)
図29に示す具体例2Aの時刻t8は、ハズレ変動表示動作の回数が所定回数続いたことでモード移行契機が成立したと判断される場合を示す。この例では、演出制御部24側にハズレ変動回数カウンタを設け、同カウンタにより、受信したハズレ変動パターンコマンドの数を積算し、その積算値が再びあらかじめ定めた所定回数の30回(図29には30×(n+1)回目として示す)に達すると、モード移行契機が成立した(ステップS703:YES)と判断する。
このときの遊技状況は時刻t7のときと変わっていない(状態区分K10)ので、この時刻t8のケースの動作は時刻t7の場合と同じになる。ただし、時刻t8では、演出モードA〜Cのうちで、高確率期待度が中ランクの演出モードB(図35の昼背景)が移行抽選されたケースを示している。この演出モードBがセットされると、液晶表示装置36の画面が図35の昼背景に切り替わり、スピーカからは対応する演出用のBGMが流れる。したがって遊技者は、演出モードA(朝背景)から演出モードB(昼背景)に戻ったことで、遊技状態がまだ高確率状態にいる可能性があるとの期待を繋ぐことになる(実際には時刻t6で既に転落している)。
(チ)電サポが終了した場合(図29の時刻te)
図29に示す具体例2Aの時刻teは、電サポが終了してモード移行契機が成立した場合を例示したものである。この時刻teにおいては、図20のステップS743で設定された宝箱演出が優先するため、演出モードの移行は起こりえない。しかし、重複して発生させることも可能であるので、ここでは重複して発生させる場合について説明する。
図示していないが、演出制御部24は、特別図柄変動開始処理(図12)のステップS407Bで送信される残り電サポ回数コマンドを受信した場合、電サポが終了となる電サポ残り回数をセットする。そしてステップS415(図12)で送信される装飾図柄指定コマンドを受信する度に、上記の電サポ残り回数から1減算し、ゼロとなった時点、つまり電サポが終了した時点で上記モード移行契機が成立したと判断する。しかし別法として、たとえば電サポ回数カウンタがゼロとなったことで電サポ終了コマンドを送信し、これを演出制御部24が受信した場合にモード移行契機が成立したと判断しても良い。
いずれにしても、電サポが終了してモード移行契機が成立した場合、演出モード移行抽選処理(ステップS748)において、移行先モード振分けテーブルを参照し、状態区分に応じて、移行先の演出モードを抽選する。
このときの遊技状況は、転落入賞が発生した時刻t6より後であり、かつ電サポが終了しているので、図33の状態区分K12(通常状態で保留内大当り当選なし)にある。そこで、図33の状態区分関連付けテーブルの状態区分K12においてモード選択テーブルTbが選択され、このモード選択テーブルTbが選択されたことに基づき、図34の演出モード移行抽選テーブル上で演出モードA、B、Cが60%、30%、10%の選択割合で選択される。
図29では30%の選択割合で演出モードB(図35の昼背景)が選択された場合を示している。これは、演出モードA〜Cのうちで、高確率期待度が2番目に高い演出モードB(図35の昼背景)が移行抽選されたことを示している。この演出モードBがセットされると、液晶表示装置36の画面が図35の昼背景に切り替わり、スピーカからは対応する演出用のBGMが流れる。したがって遊技者は、演出モードB(昼背景)から演出モードB(昼背景)に続けて移行したことで、遊技状態がまだ高確率状態にいる可能性が低いと判断することになる(実際上も時刻t6で既に転落している)。
以上のように、図29の具体例1の場合、遊技者は、保留内転落抽選に当選した時刻t6において「継続性ランク」の低い2回予告βが選択されたこと(稲妻予告が先読み対象保留まで継続しなかったこと)から高確率状態から低確率状態に転落したと判断し(この判断は結果的に正しい)、その後は高確率期待度が最高の演出モードC(図35の夕背景)に一度も移行していないことから、時刻teで宝箱演出が発生した場合、宝箱演出が発生した時点でほぼ転落したに違いないと判断し、当該宝箱演出の結果が成功するとはあまり期待しないことになる。
(26−4.実施形態2の具体例2Bにおける演出モード移行:図30)
図29に示す実施形態2の具体例2Bにおいては、図33の状態区分K1〜K4(確変状態)、K9〜K10(時短状態)で、モード選択テーブルTaが選択される形態を扱っている。図中の時刻t1で15R確変大当りに当選し、その後、15Rの大当り遊技が終了した時刻t2から電サポ付の図柄変動表示動作が開始され、その100回目の図柄変動が到来する時刻teまでの間では転落入賞が発生しないケースとなっている。15Rの大当り遊技が終了した時刻t2、100回目の図柄変動が到来した時刻teで演出モード移行契機が成立し、その後の期間において、転落入賞が発生し(時刻t6)、かつ種々の演出モード移行契機が成立する(時刻t3〜t5、t7〜t8)。なお、説明を簡単にするため、大当り遊技中においては転落入賞に係る保留記憶が発生しないものとしている。
(イ)大当り終了コマンドを受信した場合(図30の時刻t2)
大当り遊技中で転落入賞に係る保留記憶が発生せず、図30の時刻t2で、大当り終了コマンドを受信してモード移行契機が成立した場合、演出モード移行抽選処理(ステップS748)で移行先モード振分けテーブル(図33〜図34)を参照し、状態区分に応じて、移行先の演出モードを抽選する。このときの遊技状況は図33の状態区分K4(高ベースの確変状態で、保留内転落当選なし、保留内大当り当選なし)に該当する。そこで、図33の状態区分関連付けテーブルの状態区分K4においてモード選択テーブルTaが選択され、このモード選択テーブルTaが選択されたことに基づき、図34の演出モード移行抽選テーブル上で演出モードA、B、C、D、Eが0%、0%、0%、0%、100%の選択割合で選択される。すなわち演出モードE(チャンスタイム演出)が100%の選択割合で選択される。これは、大当りのチャンスがある演出モードE(図35の夜+雨背景)が移行抽選されたことを意味する。この演出モードEがセットされると、液晶表示装置36の画面が図35の夜+雨背景に切り替わり、スピーカからは対応する演出用のBGMが流れる。したがって遊技者は、演出モードE(夜+雨背景)に移行したことで、遊技状態が高確率状態にあり大当りする可能性が高いと推測することになる。
(ロ)電サポが終了した場合(図43の時刻te)
図30に示す具体例Bの時刻teは、電サポが終了してモード移行契機が成立した場合(このモード移行契機の成立は具体例1と同じである)を例示したものである。この具体例Bの場合も、時刻teにおいては図20のステップS743で設定された宝箱演出が優先するため、演出モードの移行は起こりえない。しかし、重複して発生させることも可能であるので、ここでは重複して発生させる場合について説明する。
電サポが終了してモード移行契機が成立した場合(ステップS703:YES)、演出モード移行抽選処理(ステップS704、詳細は図38のステップS801)に移行し、移行先モード振分けテーブルを参照し、状態区分に応じて、移行先の演出モードを抽選する(図38のステップS801)。このときの遊技状況は図33の状態区分K8(低ベースの潜伏確変状態で、保留内転落当選なし、保留内大当り当選なし)に該当する。そこで、図33の状態区分関連付けテーブルの状態区分K8においてモード選択テーブルTdが選択され、このモード選択テーブルTdが選択されたことに基づき、図34の演出モード移行抽選テーブル上で演出モードA、B、Cが10%、30%、60%の選択割合で選択される。
図30では30%の選択割合で演出モードB(図35の昼背景)が選択された場合を示している。これは、高確率期待度が中ランクの演出モードB(図35の昼背景)が移行抽選されたことを意味する。この演出モードBがセットされると、液晶表示装置36の画面が図35の昼背景に切り替わり、スピーカからは対応する演出用のBGMが流れる。したがって遊技者は、大当り抽選に当選せずに100回の電サポ付の演出モードE(チャンスタイム演出:夜+雨背景)が終了してしまい、演出モードB(図35の昼背景)に移行したので、遊技状態が低確率状態に転落したのではないかと心配するものの、遊技状態はまだ高確率状態にあるとの希望的可能性に期待しつつ、宝箱演出に参加することになる。
なお、時刻teにおいて、保留内大当り抽選に当選している場合(状態区分K7)は、モード選択テーブルTcが選択され、図34の演出モード移行抽選テーブル上で演出モードA、B、C、Dが10%、30%、50%、10%の選択割合で選択される。すなわち大当り確定の演出モードDが選択される可能性が出て来る。
(ハ)非転落入賞した場合(図30の時刻t3)
図30の時刻t3は、上記演出モードB下で非転落入賞に係る保留記憶が発生した場合をケース1(保留内転落当選なし)として想定している。
ケース1では、保留記憶個数が3個の状態下で、新たな入賞球が発生して非転落入賞に係る先読み対象保留の「保留4」が発生し、その保留データが先読み判定された状況にある。
この「保留4」の先読み対象保留が発生し、連続予告演出による先読み予告を行うか否かについての先読み予告抽選に当選し、かつ転落抽選に非当選であると判断された場合、転落前の予告選択テーブルをセットする。そして、「保留1」の図柄変動が開始されて保留記憶個数が3個に減少した時点から、保留を跨いで継続される変動開始時変化系連続予告演出の継続性ランクについての抽選を行う。現在の遊技状態は演出モードB(昼背景)に在るので、図示してない継続性テーブル上において、予告なし、1回予告α、2回予告β、3回予告γ、4回予告δが10%、20%、20%、20%、30%の選択割合で選択される。
この例では継続性テーブル上において選択割合10%の4回予告δが選択されたものと仮定している。このため、当該非転落入賞に係る保留4(先読み対象保留)までの4回分を、連続予告回数として第2連続予告カウンタに設定する。これにより、保留1〜保留4の4回分の各図柄変動表示動作において稲妻予告およびその効果音が出現して連続予告演出が実行されることとなる。
一方、保留表示変化系の先読み予告演出に関しては、「保留4」の保留記憶が発生して上記先読み予告抽選に当選したと判断された時点で、図40のステップS825の判断がYESとなるので、専用保留表示演出シナリオがセットされ、保留記憶個数に対応する「4」が第1連続予告カウンタにセットされる。これにより当該「保留4」の保留記憶位置がたとえば赤色に変化し、当該「保留4」の保留記憶が図柄変動表示動作に供されるまで順次表示位置をシフトしながら連続的に表示されることになる。
このケース1では、演出モードB(昼背景)に移行しているものの、稲妻予告による連続予告演出は「保留4」の赤色保留位置まで、つまり赤色保留の「保留4」が図柄変動表示動作に供されるまで継続している。したがって遊技者は、このことから遊技状態が低確率状態に転落していないと判断することになる。
(ニ)特定の変動パターン指定コマンドを受信した場合(図30の時刻t4)
図30の時刻t4で、特定の変動パターン指定コマンド(図示では、特定のSPリーチ変動パターン指定コマンド)を受信してモード移行契機が成立した場合、演出モード移行抽選処理(ステップS748)にて移行先モード振分けテーブルを参照し、状態区分に応じて、移行先の演出モードを抽選する。このときの遊技状況は時刻teのときと変わっておらず、図33の状態区分K8(低ベースの潜伏確変状態で、保留内転落当選なし、保留内大当り当選なし)にある。そこで、図33の状態区分関連付けテーブルの状態区分K8においてモード選択テーブルTdが選択され、このモード選択テーブルTdが選択されたことに基づき、図34の演出モード移行抽選テーブル上で演出モードA、B、Cが10%、30%、60%の選択割合で選択される。
図30では60%の選択割合で演出モードC(図35の夕背景)が選択された場合を示している。これは、演出モードA〜Cのうちで、高確率期待度が最も高い演出モードC(図35の夕背景)が移行抽選されたことを意味する。この演出モードCがセットされると、液晶表示装置36の画面が図35の夕背景に切り替わり、スピーカからは対応する演出用のBGMが流れる。したがって遊技者は、演出モードC(夕背景)に移行したことで、遊技状態が高確率状態にあると推測することになる。
なお、時刻t4において、保留内大当り抽選に当選している場合(状態区分K7)は、モード選択テーブルTcが選択され、図34の演出モード移行抽選テーブル上で演出モードA、B、C、Dが10%、30%、50%、10%の選択割合で選択される。すなわち高確率期待度に関しては、モード選択テーブルTcもTdも同様の傾向(演出モードA、B、Cの順に高い)を示すが、モード選択テーブルTcを介して演出モードが選択される場合は、大当り確定の演出モードDが選択される可能性が出て来る。この関係は、後述する時刻t5、t7、t8の場合も同様である。
(ホ)演出モード移行抽選に当選した場合(図43の時刻t5)
図30の時刻t5は、特定のSPリーチ変動パターン以外の変動パターンコマンドを受信し、かつ、演出制御部24側で行われる演出モード移行抽選に当選したことでモード移行契機が成立した場合を示す。
この場合も、演出モード移行抽選処理(ステップS748)にて移行先モード振分けテーブルを参照し、状態区分に応じて、移行先の演出モードを抽選する。このときの遊技状況は時刻teのときと変わっておらず、図33の状態区分K8(低ベースの潜伏確変状態で、保留内転落当選なし、保留内大当り当選なし)にある。そこで、図33の状態区分関連付けテーブルの状態区分K8においてモード選択テーブルTdが選択され、このモード選択テーブルTdが選択されたことに基づき、図34の演出モード移行抽選テーブル上で演出モードA、B、Cが10%、30%、60%の選択割合で選択される。図30では60%の選択割合で演出モードC(図35の夕背景)が選択された場合を示している。したがって遊技者は、演出モードC(夕背景)から演出モードC(夕背景)に移行したことで、遊技状態が高確率状態にあると推測することになる。
(ヘ)転落入賞した場合(図43の時刻t6)
図30の時刻t6では、上記演出モードC下で転落入賞に係る保留記憶が発生した場合をケース2(保留内転落当選あり)として想定している。この場合の動作は図30の時刻t6で説明したところを同じであるので、説明を省略する。
この時刻t6では、高確率期待度が最も高い演出モードC(夕背景)に移行してはいるものの、稲妻予告による連続予告演出が「保留4」の赤色保留位置までは継続せず、その手前の「保留2」が変動表示動作に供された時点で終了している。したがって遊技者は、このことから遊技状態が低確率状態に保留内転落した可能性があると推測することになる。
(ト)ハズレ変動表示動作の回数が所定回数続いた場合(図43の時刻t7)
図30に示す具体例2Bの時刻t7は、ハズレ変動表示動作の回数が所定回数続いたことでモード移行契機(このモード移行契機の成立は具体例2Aと同じ)を例示したものである。
モード移行契機が成立したと判断された場合、演出モード移行抽選処理(ステップS748)に移行し、移行先モード振分けテーブルを参照し、状態区分に応じて、移行先の演出モードを抽選する。このときの遊技状況は、転落入賞が発生した時刻t6より後であるので、図33の状態区分K12(通常状態で保留内大当り当選なし)にある。そこで、図33の状態区分関連付けテーブルの状態区分K12においてモード選択テーブルTbが選択され、このモード選択テーブルTbが選択されたことに基づき、図34の演出モード移行抽選テーブル上で演出モードA、B、Cが60%、30%、10%の選択割合で選択される。図30では60%の選択割合で演出モードA(図35の朝背景)が選択された場合を示している。これは、演出モードA〜Cのうちで、高確率期待度が最も低い演出モードA(図35の朝背景)が移行抽選されたことを示している。この演出モードAがセットされると、液晶表示装置36の画面が図35の朝背景に切り替わり、スピーカからは対応する演出用のBGMが流れる。
したがって遊技者は、時刻t6で稲妻予告による連続予告演出が先読み対象保留までは継続しなかったことに加え、これに続く時刻t7で、演出モードC(夕背景)から演出モードA(朝背景)に移行したことで、遊技状態が低確率状態に転落したことがほぼ確定的であると推測することになる(実際上も時刻t6で既に転落しているので、この推測は正しい)。
(チ)さらにハズレ変動表示動作の回数が所定回数続いた場合(図30の時刻t8)
図30の時刻t8は、受信したハズレ変動パターンコマンドの数を計数するハズレ変動回数カウンタの積算値が、再びあらかじめ定めた所定回数の30回(図43には30×(n+1)回目として示す)に達して、モード移行契機が成立した場合を示す。このときの遊技状況は時刻t7のときと変わっていないので、この時刻t8のケースの動作は時刻t7の場合と同じになる。
ただし、時刻t8では、演出モードA〜Cのうちで、高確率期待度が中ランクの演出モードB(図35の昼背景)が移行抽選されたケースを示している。したがって遊技者は、演出モードA(朝背景)から演出モードB(昼背景)に戻ったことで、遊技状態がまだ高確率状態にいる可能性があるとの期待を繋ぐことになる(実際には時刻t6で既に転落している)。
<27.実施形態3の具体例3A、3B>
実施形態3の確変転落タイプ2(図24の区分d〜e)においても、実施形態2の確変転落タイプ1(図24の区分b〜c)と同様に、左打ち誘導報知と関連付けた懐疑的演出、および左打ち誘導報知と関連付けた懐疑的演出が現出するように構成し、さらに現在の遊技状態をそれとなしに暗示する演出モードの演出を現出させることができる。
(27−1.実施形態3の具体例3A)
実施形態3の区分dは、電サポ保証100回転を越えても転落抽選に当選していなければ確変状態が継続する「確変転落タイプ2」の遊技機において、時短状態に転落した後に電サポ保証100回転目が到来し、次回の図柄変動の101回転目で時短状態から通常状態になるので、この電サポ保証100回転目が到来した時点における、打出し方向誘導報知と宝箱演出の関係(具体例3A)は、具体例2Aの場合と同じになる(図29に示す具体例2A、時刻te参照)。
(27−2.実施形態3の具体例3B:図36)
図36は、電サポ保証100回転を越えても転落抽選に当選していなければ確変状態が継続する「確変転落タイプ2」の遊技機における区分eにおいて、電サポ状態の継続を怪しむ懐疑的演出として宝箱演出が現出する場合の具体例(区分eでの具体例3B)である。
(27−2−1.打出し方向誘導報知と宝箱演出:図36のt6)
実施形態3の具体例3Bでは、確変状態中の電サポ保証100回転を越えても転落抽選に当選しておらず、それより後も確変状態が続いている130回転目(時刻t6参照)で転落抽選に当選し、当該130回転目の図柄変動から通常状態となって電サポが無くなり、右打ちが遊技者に不利な状態になる。そこで当該130回転目の図柄変動の始端で、誘導報知画像373が右向き矢印画像374aから左矢印右移動」の左向き矢印画像374bへ切り替えられるとともに、確変状態が継続するか否か、つまり電サポ状態の継続を怪しむ懐疑的演出として宝箱演出が現出する。
右向き矢印画像374aと左向き矢印画像374bとの違いは、その矢印画像の向きが右向きから左向きに切り替わっているだけであり、移動している向きは切り替わりの前後で変更がない。また液晶画面内には、図25(b)に示した宝箱画像371が現出し、遊技者参加型の宝箱演出が開始され、遊技者は宝箱を開かせるために押しボタンの連打を行うため、そちらに注意が向けられることになる。この結果、誘導報知画像373が右打ち報知から左打ち報知に変わっていることに気付くのが遅れ、遊技者が打ち出しを止めてしまう時期が、当該図柄変動の始端からではなく、当該図柄変動の途中以降や終端までずれ込む。よって宝箱演出を遊技者に堪能してもらうことが可能になる。
(27−2−2.ガセの宝箱演出:図36のt4)
図36中においては、転落入賞する前の確変状態中に、時刻t4でSPリーチ変動パターン(宝箱演出成功)のコマンドが送信され、ガセの宝箱演出つまり電サポ無し状態へ転落することとは関係のない演出(必ず電サポ有りが継続する)が発生する。よって、このガセの宝箱演出が発生し得ることによって、本物の宝箱演出(失敗の宝箱演出)であるのかガセの宝箱演出(宝箱演出成功)であるのかが区別し難くなり、宝箱演出に対する緊張感が増大し、弾球遊技に対する興味が高まることになる。
(27−2−3.転落をそれとはなしに知らせる演出モード移行:図43)
実施形態3の具体例3Bにおいて、電サポ有り状態から電サポ無し状態への転落をそれとはなしに知らせる演出モード移行については、実施形態2の具体例2B(図30)で述べたところと同じである。
<28.実施形態4における演出モード>
この実施形態4のST機タイプ(図24の区分f)においては、所定のST規定回数が終了して電サポ無し状態になった場合、左打ち誘導報知への切り替えがなされる。そこで、その電サポ無し状態になった図柄変動において、または当該図柄変動から1または複数回の図柄変動にわたって、または、当該図柄変動を含む前後複数回の図柄変動にわたって、左打ち誘導報知と関連付けた懐疑的演出が現出するように構成される。しかし実施形態4の場合、上述にように、電サポ有り状態の終了タイミングが固定的であるため、電サポ無し状態になった図柄変動において、または当該図柄変動から1または複数回の図柄変動にわたって、または、当該図柄変動を含む前後複数回の図柄変動にわたって、懐疑的演出を現出させるだけのものとすれば、それは単に、電サポ有り状態の終了(ST規定回数の終了)を報知するだけのものとなってしまう。そこで、実施形態4に係る宝箱演出は、実施形態2と同じように、大当りの当選期待感を煽る予告演出として用いることが好ましい。具体的には、ST中において、特定のハズレ変動パターン(たとえば、SPリーチ変動パターン)の場合には「本物の宝箱演出(失敗の宝箱演出)」を現出し、当り変動パターンの場合には「ガセの宝箱演出(成功の宝箱演出)」を現出するように構成する。本物の宝箱演出とガセの宝箱演出とを適切な頻度で現出させることにより、単に、ST規定回数周辺の図柄変動にて宝箱演出を現出させるよりも遊技者が当選期待感を示唆する宝箱演出に注目する機会が多くなり、遊技者において誘導報知画像373の切り替わったこと認識される時期を遅らせることができるので、上記注意逸らし演出的作用を得ることができる。
<29.発射誘導情報の他の表示態様>
上記実施形態では、右打ち表示態様と左打ち表示態様を極めて近い態様で表示させる手段として、次のように定めた。すなわち、誘導報知画像373の「右打ち方向を示す表示態様」として、右向き矢印画像374aが複数個一直線状に並んで右方向に一定速度または間欠的に順次移動する「右矢印右移動」の動的表示態様を用い、また「左打ち方向を示す表示態様」として、左向き矢印画像374bが複数個一直線状に並んで右方向に一定速度または間欠的に順次移動する「左矢印右移動」の動的表示態様を用いた(図25(a)(b)、図28(a)(b))。そして、これを液晶画面上の同一または略同一の位置に、同一または略同一のサイズ、同一系統の色で表示させた。これは液晶画面上において、(i)同一または略同一位置に表示する、(ii)同一または略同一サイズで表示する、(iii)同一(系統)色で表示する、(iv)同一方向に移動またはスライド表示する、という要素を複合的に含む表示態様のものであった。また、このように構成することによって、遊技者にウソ偽りの表示をすることなく、誘導報知態様の変化に気づくまでに時間がかかることによって、遊技者が著しく興趣を損なうことのない遊技機をできるようにした。
しかし、液晶画面上の同一または略同一の位置に、同一または略同一のサイズ、同一系統の色という条件は、右打ち報知と左打ち報知との間の共通事項として必ずしも保持する必要はない。右打ち表示態様と左打ち表示態様を極めて近い態様で表示させる手段としては、このうちの一つ、たとえば「右矢印右移動」の動的表示態様と「左矢印右移動」の動的表示態様とするだけで「左打ち報知への切り替わりを分かり難くして悟らせないようにする」という初期の効果が得られるならば、他の要素をどのようにするかは自由であり、液晶画面上の異なる位置で表示させたり、異なるサイズで表示させたり、異なる系統の色で表示させたりすることができる。
また、上記実施形態では、誘導報知画像373の構成要素として「矢印画像」だけを扱い、これを複数個一直線状に並んでいる表示態様としたが、矢印以外の、たとえば「左打ち」などの文字によるメッセージ画像を誘導報知画像373の構成要素とし、この「左打ちなどの文字によるメッセージ画像」を単独に用いて、誘導報知画像373を構成してもよい。
また「矢印画像」や「左打ちなどの文字によるメッセージ画像」を単独に用いるのではなく、「矢印画像」と「左打ちなどの文字によるメッセージ画像」との組合せ、または、「矢印画像」と「左打ちなどの文字によるメッセージ画像」と「意味を持たない記号や模様など」との組み合わせで誘導報知画像373を構成してもよい。その表示態様としては、たとえば「左打ちなどの文字によるメッセージ画像」と「矢印画像」とが一直線状に並んでいる表示態様にて誘導報知画像373を表示させることができる。
上記実施形態では、表示態様として、誘導報知画像373の構成要素が複数個一直線状に並ぶ表示態様としたが、誘導報知画像373の構成要素の数に制限はなく、また必ずしも一直線状に並んでいなくてもよい。また一直線状と言ってもほぼ一直線状である場合が許容される他、複数個の矢印が進行方向と交叉する方向に併走する形で、一部または全部を複数行に表示してもよい。
また、上記実施形態では、液晶画面上の一部の領域に誘導報知画像373を表示させたが、そのように局部領域に留まるような表示形態とするのではなく、誘導報知画像373の構成要素が、画面の一端から他端に向けて画面を横切るように移動通過する表示態様とすることもできる。
<変形例2>
上記実施形態1〜6においては、誘導報知画像373の「左打ち方向を示す表示態様」として、左向き矢印画像374bが複数個一直線状に並んで右方向に一定速度または間欠的に順次移動する「左矢印右移動」の「動的表示態様」が用いられ、この「左矢印右移動」の動的表示態様による左打ち誘導報知が、所定の出力終了時期まで継続するものとした(図23のステップS781〜S783)。しかし、この左打ち誘導報知は、必ずしも、その所定の出力終了時期までの全期間に渡って、最後まで同じ表示態様にて現出させておく必要はない。出力終了時期までの全期間のうちの途中から、左向き矢印画像374bが複数個一直線状に並んで左方向に一定速度または間欠的に順次移動する「左矢印左移動」の判り良い動的表示態様に切り換えることもできる。遊技機の遊技性への信頼を損なわないようにするためである。
上記実施形態1〜6においては、「右打ち報知」と「左打ち報知」という誘導報知画像による表示演出を例にとり説明したが、遊技者に報知することを義務づけられているもの(大当りラウンド数や確変状態報知ランプなど)の表示態様を変化させる場合に限定されるものではない。
<変形例3>
それ以外の画像表示演出、たとえば、保留表示やキャラクタ表示などが所定の条件(特定演出中の時間経過や特定の演出制御コマンド受信した場合など)が成立したことに応じて、その表示態様を変化させる場合にも適用可能である。より具体的には、図25(a)に示されるキャラクタ(保留表示の左)が、変動回数やその他の条件(リーチ回数や変化抽選の当選など)に応じて変化するように設定されている場合に、その態様が変化する場合に、前述の宝箱演出を発生させることによって遊技者の注意をキャラクタから一旦逸らしても良い。
また図25等を参照し、「宝箱演出」を主制御部20側の遊技状態が電サポ有り状態(確変状態)から電サポ無し状態へ移行した可能性があることを疑わせる予告演出(「懐疑的演出」)として説明したが、これに限らない。たとえば、宝箱演出やその他の演出を「期待感演出(大当りとなる期待度が相対的に高めに設定されている演出の総称)」に用いても良い。
さらに、上記演出等を期待感演出として用いる場合に、前述の「注意逸らし演出」を用いると、遊技者に対してさらに面白みを感じてもらえる遊技機の提供が可能となる。これについて以下詳細に説明する。本例では、期待感演出として、保留表示変化系の先読み予告(保留変化予告)を採用した例を代表例にとり説明する。
具体的には、液晶画面に、その表示(または表示変化)により直接的または間接的に当選期待度を示す第1オブジェクト(物体、対象、目的などの意)として「保留表示」を行う。ここで「作動保留球」の表示態様または表示態様の変化により「直接的または間接的に当選期待度を示す」とは、たとえば、白色の保留表示が通常表示態様として定められている場合、青色に変化すると当選期待度が約1%〜10%、緑色に変化すると当選期待度が20%〜30%、赤色に変化すると当選期待度が40%〜50%等のように当選期待度を間接的に示すものや、「虹色」に変化するまたは「100%」という数字が付記されると当選期待度が‘100%(当確)’というように、当選期待度が直接的に示されるもの(当選期待度を明示するもの)が該当する。
そして上記第1オブジェクトが表示(または表示変化)されるまたは表示されている場合において、さらに別の第2オブジェクトを表示する。ここでは、第2オブジェクトの表示として、たとえば「キャラクタ」の表示(キャラクタ画像表示)を行う。この第2オブジェクトは、それ自体が期待感演出であっても良いし、当選期待度が相対的に高くない予告演出(低期待感演出)、または当選期待度を示すものではない予告演出(たとえば、大当り抽選結果とは無関係に発生する演出や定期的に発生する演出(特定の背景変化演出)など)であっても良い。
第2オブジェクトも期待感予告である場合を例に説明すると、保留表示がされている場合において、画面中央付近にキャラクタを表示することができる。表示されるキャラクタは複数種類用意されており(たとえば、キャラクタA〜D)、保留表示変化と同様に、キャラクタAがデフォルト(初期設定)パターンだとすると、キャラクタBが表示されると当選期待度が高まり(期待度小)、キャラクタCが表示されるとさらに期待度が高まり(期待大)、キャラクタDなら大当り当選確定、といったように設定することが可能である。また、表示開始時点でキャラクタA〜Dのいずれかが表示されるように構成しても良いし、いずれかのキャラクタが表示された後、他のキャラクタに変化するように構成しても良い。
ここで本例の特徴的な点は、第1オブジェクトと第2オブジェクトとのそれぞれの「表示開始タイミング」と「表示終了タイミング」(両方で「表示期間」)に関するものであり、また「表示位置」と「表示サイズ」と「表示階層の優先順位(プライオリティ)」に関するものである。
<表示開始タイミング、表示終了タイミング、表示期間>
保留表示自体は、作動保留球が存在すれば、基本的には、特定のSPリーチ等の所定タイミングを除いて常時表示されているが、「保留変化(専用保留表示態様への変化)」については、先読み予告抽選により決定されるため、必ずしも毎回発生するわけではなく、またその発生頻度は、遊技機の遊技性に応じて適宜設定されるものである。ここでいう「表示開始タイミング」とは、この「保留変化」の発生に関してであり、保留表示態様Aから保留表示態様Bへの切り替わり開始時点を指す。そして、保留表示態様Aから保留表示態様Bへと完全に切り替わった時点を表示終了タイミングとして、表示開始タイミングから表示終了タイミングの間を表示期間(表示変化期間)としている。このように表示期間とは、特定表示(ここでは保留変化)の期間を指しているのであって、その前後のいずれか一方または両方において、対象物(ここでは保留表示)が非表示状態を含むものに限定されない。また必要に応じて、「表示変化開始タイミング」「表示変化終了タイミング」「表示変化期間」という文言に置き換えても良い。
なお、保留変化に要する期間は1種類とは限らず、2種類以上あっても良い。たとえば、白色から青色になる場合は特別なエフェクトは用いず短時間(たとえば、50msec)で変化が完了するようにし、青色から赤色になる場合は、青色の保留表示に爆弾が仕掛けられて爆発して煙に覆われた後に赤色の保留表示に変化したり、青色の保留表示が徐々に赤色の保留表示に変化するといった特別なエフェクトを用いて比較的長い時間(たとえば、500msec)で変化が完了するようにしても良い。しかし特別なエフェクトが現出しても保留色が変化しない(爆弾が不発で保留色が変化しない)、などのガセのパターンも含むことができる。本物とガセとを現出可能にすることで、遊技者に対し保留変化の楽しみを与えることができる。
上記事項を踏まえて、第1オブジェクトとしての「保留表示」と、第2オブジェクトとしての「キャラクタ表示」との関係を整理すると、より重要度の高い表示が保留表示である場合、前述の「注意逸らし演出」を用いてあえて、その保留表示から注意を逸らせるように各演出の表示タイミングや表示期間等をうまく連携させる。これについて図37、図38を参照して説明する。
図37は、現存する特定の保留表示について保留変化予告が予定されている場合、キャラクタAを登場させるキャラクタ登場演出を注意逸らし演出として採用した例を示したものであり、図38(イ)は、図37の保留変化予告とキャラクタAの表示例に関するタイムチャートである。なお図37において、保留変化対象となる保留表示は、保留表示領域76の保留表示部c1の保留アイコンとしている。
図37および図38(イ)を参照して、まず作動保留球が発生し(図38(イ)の時刻t1)、保留表示が開始される(図37(イ))。この段階では、通常の白色保留である。そして、保留変化予告が開始されていない状態において(図38(イ)の時刻t1〜時刻t2)、画面の略中央に女性のキャラクタAを表示する(図38(イ)の時刻t2、図37(ロ))。ここでは、図37(ロ)〜(ニ)に示すように、保留変化前の所定のタイミングで、キャラクタAを登場させ、その後、手を振りながら遊技者側に近づいて来て会話する様を表現したキャラクタ登場演出となっている。このキャラクタAが表示されて、遊技者がキャラクタAに気をとられている間に、保留変化を開始する(図38の時刻ta、図37(ニ))。ここでは、保留変化予告の一例として、白色保留が徐々に赤色保留に変化する保留変化予告となっている。
そして保留変化が終了した後(図38(イ)の時刻tb、図37(ホ))、キャラクタAの表示を終了する(図38(イ)の時刻t3、図37(ヘ))。本例の場合、保留変化がなされる所定時間前にキャラクタAを登場(表示)させ、少なくとも保留変化が開始されてから保留変化が終了するまでの期間(図38(イ)の時刻ta〜tbの保留表示変化期間A)、キャラクタAを表示しておく(図38(イ)の時刻t2〜t3のキャラA表示期間)。その結果、キャラクタAに気を取られていた遊技者は、その後いつの間にか、保留表示が別の表示態様に変化(ここでは、通常保留表示態様(白色保留)から専用保留表示態様(たとえば赤色保留)に変化)することに気付き驚くことになる(図37(ヘ))。特に本例のキャラクタ登場演出では、遊技に関する情報を吹き出しの中に表示するといった「会話演出」も実行されるので(図37(ホ))、遊技者の意識はその吹き出しの中の情報に向くことになり、保留変化予告から遊技者の注意を効果的に逸らすことができる。この保留変化に関しては、当選期待度の高い専用保留表示態様(高期待感演出)に変化した場合であるほど、遊技者が保留変化に気が付いたときの驚嘆度合いが増すものと考えられる。このように、注意逸らし演出を交えた保留変化予告は、単独的に保留変化予告を現出させるよりも、インパクトのある演出効果を発揮することができる。
上記図38(イ)の例では、第2オブジェクトが表示されている期間内に第1オブジェクトの変化開始も変化終了も行われるケース(第2オブジェクト表示期間内に第1オブジェクトの表示変化期間のすべてが含まれるケース)について説明した。この例において、第2オブジェクトの表示開始時点(時刻t2)と保留表示の変化開始時点(時刻ta)が一致していても良いし、第2オブジェクトの表示終了時点(時刻t3)と保留表示の変化開始時点(時刻tb)が一致していても良い。換言すれば、第2オブジェクトを、第1オブジェクトの表示変化期間の全部が含まれるように、第1オブジェクト表示と並行して表示制御することができる。
また図38(イ)の例に限らず、図38(ロ)に示すように、第1オブジェクトの変化開始または変化終了のいずれか一方だけでも第2オブジェクトの表示期間内に含まれていれば、最低限の注意逸らし効果は発揮される。換言すれば、第2オブジェクトを、第1オブジェクトの表示変化期間の少なくとも一部と並行するように表示制御することができる。具体的には、図38(ロ)を参照して、図示の「保留変化期間C」は、保留表示の変化開始時点(時刻te)がキャラクタAの表示期間(時刻t2〜t3)に含まれるが、保留表示の変化終了時点(時刻tf)はキャラクタAの表示期間に含まれない例を示したものである。また図示の「保留変化期間B」は、保留表示の変化開始時点(時刻tc)がキャラクタAの表示期間に含まれないが、保留表示の変化終了時点(時刻td)はキャラクタAの表示期間に含まれる例を示したものである。
<表示位置>
上記例において、キャラクタ表示も、勿論、その表示態様を変化させることが可能(たとえば、1人の人物キャラクタの表示態様を変更したり、1人が3人の同一または異なる人物キャラクタに増加したりするものでも良い)であるが、この場合にも保留変化から注意を逸らすものであることが好ましい。たとえば、液晶画面の右側に1人の人物を表示した後、しばらくして(所定時間経過後)、その画面左側にも1人の人物を表示する。これにより、画面右側のキャラクタを見ていた遊技者が次に画面左側のキャラクタに注視する、といったように遊技者の関心が複数の事象に及ぶことになり、画面下部の保留表示から注意を逸らすことができる。このように、第2オブジェクト表示として、第1の画像表示演出(第1の予告演出)を表示後、第2の画像表示演出(第2の予告演出)を表示することもできる。
<表示サイズ>
また、表示物として大きいものと小さいもの(または集合体と個体)とが表示されている場合、遊技者の注目や視線は大きいもの(集合体)に向きやすくなる。これを利用して、こっそり保留変化させたい場合は、それより大きなもの(または複数のもの)を表示することにより、視線をそらすことが可能となる。これを利用して、キャラクタ表示を大きく表示(または複数表示)することで保留球から注意を逸らすことが可能となる。
<表示階層の優先順位>
また、「注意を逸らす」という表現について、必ずしも同じタイミングに両方が完全に独立して表示されている必要はない。すなわち、保留変化を行うタイミングで、その保留表示に重ねて(保留表示の前面を覆い隠すように)キャラクタを表示しても良い(対象秘匿型注意逸らし演出)。これにより、物理的に遊技者は保留表示を視認できなくなり、結果的に保留表示から注意が逸らされることになる。なお、キャラクタにより保留表示を完全に隠しても良いし、一部を視認可能としても良い。この場合、保留表示(現在の作動保留球数)が秘匿状態とされてしまうことを考慮し、さらに別の場所(表示領域上の別の場所や別の表示手段などの意)で作動保留球数を表示しておけば、遊技者を混乱させることを防止できる。
以上、第1オブジェクトを「保留表示」、第2オブジェクトを「キャラクタ表示」を例に説明したが、第1オブジェクト側を「キャラクタ表示」、第2オブジェクト側を「保留表示」とすることも勿論可能である。目的は共通しており、重要度の高い演出から一時的に逸らすことを目的としているため、重要度の高い演出をキャラクタ表示側(第1オブジェクト)とするならば、保留表示側が第2オブジェクトとしてキャラクタ表示から目を逸らすための手段となる。この場合、上述の表示タイミングや表示位置、表示サイズ等は当然これに応じたものとなる。
また、第1オブジェクト、第2オブジェクトとしては、上記2種類には限定されず、それ以外に表示されるものすべてに可能性がある。ただし、少なくとも第1オブジェクト表示(注意逸らしを目的とするオブジェクト表示側)が当選期待度を示唆しうる期待感演出であることが好ましい。また既に説明したように、高期待感演出(第1オブジェクト表示)を注意逸らしの対象とした方が、遊技者が気付いたときの驚嘆度合いが大きい。したがって、保留変化予告などのように、表示態様の違いにより当選期待度の高低を示唆しうる予告演出である場合には、当選期待度が相対的に低い表示態様(たとえば、保留表示が青色保留や黄色保留や緑色保留など)を現出するときよりも、当選期待度が相対的に高い表示態様(たとえば、保留表示が赤色保留やD柄保留や虹色保留)を現出するときの方が、高確率で注意逸らし演出(第2オブジェクト表示)を実行させることが好ましい。
<変形例4>
なお上記変形例3では「注意逸らし演出」として画像表示演出を利用した例について説明したがこれに限られない。たとえば、人は三次元的に動くものに注意が向く傾向が強いこと利用し、可動体役物を利用した可動体演出(可動体役物の動作に付随して現出される音演出や光演出を含む)を現出させることで、注意逸らし目的の対象物(変形例3で述べた保留変化などの表示物)から、遊技者の注意を逸らすことができる。具体的には、(α)第2オブジェクト表示(図37のキャラクタA)に替えて可動体演出を現出する、または(β)第2オブジェクト表示とともに可動体演出を現出する、あるいは(γ)可動体演出を前兆演出として第2オブジェクト表示する、といった形態である。特に上述の(γ)の形態の場合、可動体演出に続き、第2オブジェクト表示が表示されるので、遊技者の注意が一旦可動体役物に向いた後、さらに第2オブジェクト表示が表示されて、遊技者の注意が液晶画面に向くという二段階的に注意逸らすことができるので、対象物(第1オブジェクト表示)に対する注意がより低くなり、注意逸らし演出的作用を得るには好適である。
なお、可動体役物は液晶表示装置の外部に配設されている。本例の場合、図2に示すように、センター飾り48内の右上側に第1の可動体役物(時計型役物)80が配設され、その右斜め下側に第2の可動体役物(花型役物90)が配設されている。このため、遊技者の視線が可動体役物に向いた場合、可動体演出を視認してから液晶画面の演出に視線を向けるまでに、ある程度の時間差が生じる。したがって、必ずしも可動体役物の動作期間が、保留変化期間と重なる形で動作させなくとも、注意逸らし的演出効果を得ることができるケースが存在しうる。たとえば、上述の(α)のケースを例にとり説明すれば、図38(ハ)に示すように、可動体役物の動作期間(時刻tw(役物動作開始時点)〜時刻tx(役物動作終了時点))と、保留変化の表示変化期間(保留変化期間D:時刻ty〜tz)とが、並行(重複)することなく実行することもできる。この図38(ハ)の例では、可動体演出を視認してから液晶画面に視線を向けるまでの上述した時間差に相当する期間を「時刻tx〜tz」として表記している。この時刻tx〜tzは、実質的な注意逸らし期間として働き、当該期間の全部または一部の期間において、保留変化期間が含まれるようにすれば、注意逸らし的演出効果を得ることができる。
<変形例5>
演出制御部24は、上記したように、入賞時コマンド、変動パターン指定コマンド、装飾図柄指定コマンド、当り遊技中のコマンドなどに含まれる情報(たとえば、先読み変動パターン情報、変動パターン情報(変動時間情報、リーチ演出種別(有無を含む)や疑似連に関する情報)、大当り抽選結果情報(当落抽選結果情報、図柄抽選結果情報)、当り遊技に関する情報など)に基づき、様々な予告演出を現出制御する。予告演出のうち、画像表示による予告演出として代表的なものは、リーチ演出、疑似連演出、先読み予告演出、キャラクタ予告演出、カットイン予告演出、ステップアップ予告演出などに関する表示パターンがある。
(6−1.色要素を用いた予告演出1:図39)
次に、「色要素を用いた予告演出」について説明する。ここで「色要素(色覚)」とは「色彩」と同意義である。したがって「色彩」と言ったときと同じく、色調(色相)、明度、彩度(飽和度)の三次元をすべて含む「有彩色」の場合と、明度の次元しか含まない「無彩色(白、灰、黒)」の双方の場合を含む。特に「色要素を用いた」と表現したのは、色どりのあることを意味するのではなく、画面の一部についてだけ色彩が施されている態様が主であり、画面全体に色彩が施されている態様の場合が従であることをニアンスとして表現したかっためである。以下本明細書において「色彩」を用いて、たとえば「キャラクタ画像の色彩」と表現した場合も同様であり、特に断らなければ画面の一部に表示されるキャラクタ画像に色彩が施される場合を意味するものとする。
本実施形態において扱う「画像表示による予告演出」は、画面内の一部に似通った複数の表示物が画像表示される表示態様のもの、換言すれば「色要素を用いた予告演出」である。「似通った」とは表示態様の一部が共通しているために、遊技者が同種の表示物(構成要素)と認識してしまう程の表示物間の類似性をいう。したがって、たとえば形状の異なる表示物(たとえば○と△)であっても、同じ無彩色(白色や黒色)で統一されているとか、特定の同じ色(赤や虹色など)が施されているとかの共通性があるために、遊技者が類似するとして、一まとめに認識する場合は、その異なる表示物同士(○と△)は「似通った表示物」ということになる。換言すれば、同じ形状を持つ表示物同士(たとえば動物として犬を模した画像)において、それぞれの表示物内の一部分(犬の胴の部位)に同じ色彩が施されているにすぎない場合でも、その色彩が同じであるために、遊技者が表示物全体(犬全体)について共通性があると認識しうる場合は、その色彩の施された部分(胴部分)を含む形状全体(犬全体)について、両者は「似通った表示物」ということになる。
ここでは画面内に表示される似通った複数の表示物として、代表的に、予告演出の一つとして、人物を模した「キャラクタ予告演出」について説明する。このキャラクタ予告演出は、予告演出の一環として、または図柄変動が停止している期間中のデモ画面演出として生起される。
図39は、キャラクタ予告演出を例示したものであり、いわゆる「画像表示予告演出」に属するものである。図示のキャラクタ予告演出の場合、液晶画面内に4体のキャラクタ(表示パターンの構成要素群)画像a〜dが複数表示される。キャラクタ画像がすべて同じ人物の形状を持つ点で共通しており、遊技者は似通った複数の表示物または同一の複数の表示物であると認識する例となっている。
図39(a)は、キャラクタ予告演出において、通常のリーチ演出として、背景画像内に有彩色が施された、つまりカラー表示された4体の同じキャラクタ画像a〜dが現出される表示態様を示している。いずれのキャラクタ画像a〜dも同じ有彩色が施された表示態様であり、背景も装飾図柄の通常の有彩色のものと変わりがなく、また保留表示も、通常色の白色から変化していない状態(保留変化予告無し)である。しかし、4体ものキャラクタ画像a〜dが現出しているため、当選期待度は大中小の三段階のうちの中程度であることを報知している。
図39(b)は、キャラクタ予告演出において、当選期待度が非常に高いものとして、4体のキャラクタ画像a1〜d1のうちの一体(キャラクタ画像c1)について、そのキャラクタが外形輪郭周囲に矩形の背景画像に囲まれて現出される表示態様を示している。図39(a)と異なる点は、(i)4体のキャラクタ画像のうちの1体のキャラクタ画像(特定のキャラクタ画像)cが、無彩色のうちで明度の高い‘「白色」で彩色されたキャラクタ画像’c1に変わっており、(ii)他のキャラクタ画像a、b、dが無彩色のうちで明度の低い‘「黒色」で彩色されたキャラクタ画像’a1、b1、d1に変わっており、(iii)変動停止した装飾図柄が無彩色のうちで明度の低い‘「黒色」で彩色された装飾図柄画像’に変わっており、(iv)キャラクタ画像(特定のキャラクタ画像)c1が、無彩色のうちで明度の低い「黒色」で彩色された矩形状のキャラクタ用背景画像に囲まれたキャラクタ画像c1に変わっている点である。背景および保留表示もカラー表示のままで色変化はない。なお、キャラクタ外形の輪郭および中が黒色の場合は、キャラクタの顔つきなどが不明となるので、キャラクタがいわゆるシルエット画像として表示される態様となる。また、上記キャラクタ用背景画像は、キャラクタ画像を強調するための背景画像として利用されるものであり、その形状は、矩形状に限らず、円形状や楕円形状や多角形状など、キャラクタ画像を囲むように表現される背景画像であれば特に限定されない。ただし、キャラクタ用背景画像は無くてもよく、図39(a)と異なる点が少なくとも上述の(i)〜(ii)であってもよい。また、上記キャラクタ用背景画像は、後述の図42(b)のオーラ画像に類似するものである。
ここで、特定のキャラクタ画像c1について「白色」で彩色されたキャラクタ画像と表現したが、液晶画面での表示物について「白色で彩色された」と言った場合、表示物外形の輪郭を黒で描き中を白にした形態と、表示物外形の輪郭および輪郭内が白である形態とを含み、かつその白の明度および透明度として、白が施される下側の画像が重なって見える程度の適度な明度および透明度を有する場合と、これを有しない場合とを含む。ここでは、キャラクタ外形の輪郭が黒で中が白の形態であって白が施される下側の画像が重なって見える程度の適度な明度および透明度を有する場合を、「白色で彩色された」と称して説明する(図39〜図41において以下同じ。)。
また他のキャラクタ画像a、b、dについて「黒色」で彩色されたキャラクタ画像と表現し、また変動停止した装飾図柄について「黒色」で彩色された装飾図柄と表現したが、液晶画面での表示物について「黒色で彩色された」と言った場合、表示物外形の輪郭が白で中が黒または灰の形態と、表示物外形の輪郭が黒で中が灰の形態と、表示物外形の輪郭および中が黒の形態とを含み、かつその黒または灰の明度および透明度として、黒が施される下側の画像が重なって見える程度の明度および透明度を有する場合と、これを有しない場合とを含む。ここでは、他のキャラクタ画像a、b、dと変動停止した装飾図柄について、キャラクタまたは装飾図柄の外形の輪郭が黒で中が灰の形態であって、灰が施される下側の画像が重なって見える程度の適度な明度および透明度を有する場合を、「黒色で彩色された」と称して説明する(図39〜図41において以下同じ。)。
上記のように図39(a)の表示態様に替わって図39(b)の表示態様でキャラクタ予告演出が表示された場合、遊技者の注意は、まず有彩色のキャラクタ画像a〜dの通常の予告演出(図39(a))ではなく、無彩色のキャラクタ画像a1〜d1を含む予告演出(図39(b))が現出したことに向けられる。ここで、もしキャラクタ画像a1〜d1のすべてが同じ無彩色(この例では「黒色」で彩色)の表示態様であったとすれば、遊技者に与えるインパクトはそれ以上大きくはならない。しかし、本実施形態の場合、さらに、キャラクタ画像a1〜d1のうちで、特定のキャラクタ画像c1だけは、明度が他のキャラクタ画像a1、b1、d1と極端に異なる無彩色(この例では「黒色」に対して明度差最大の「白色」で彩色)の表示態様となっている。このため、複数のキャラクタ画像の全体中にまぎれていて分かり難くなっている場合でも、「1体だけ相違するという点に気づかないまま予告演出が終了してしまう」という事態が回避され、容易に1体だけ相違することに気付くことが可能になる。よって、有彩色の表示形態から無彩色の表示形態に変化したことによるインパクトに加え、さらに特定のキャラクタだけが明度が極端に異なるという表示態様が現出し、これがたとえば大当りが確定することを報知するプレミアム予告に相当する「希な表示態様」であると認識することができる。このため遊技者に与えるインパクトないし緊張感は更に強くなる。
また、白色に彩色された特定のキャラクタ画像c1がキャラクタ外形輪郭周囲に黒色に彩色された矩形状画像で背景画像と区分されているために、他のキャラクタ画像a、b、dとの差が背景(画像)の有無の点で顕著な存在となっている。つまり特定のキャラクタ画像c1が他のキャラクタ画像に対して顕著な存在であって、遊技者はすぐに見つけることができるため、さらなるインパクトが遊技者に与えられる。
上記では、キャラクタ画像a1〜d1の表示態様をそれぞれ黒、黒、白、黒に変化させていたが、逆に、白、白、黒、白というような表示態様に変化させた場合においても、同様の効果が得られる。また、変化前のキャラクタ画像a〜dの表示態様がそれぞれ別の有彩色、たとえば青、黄、緑、赤であった場合、上記のように白黒のいずれかに変化させるのは効果的であるが、それぞれ同じ系統の有彩色、たとえば青、青、青、青であった場合、すべてのキャラクタ画像の表示態様を白または黒に変化させなくてもよい。つまり、キャラクタ画像cの表示態様だけ、またはキャラクタ画像a、b、dを白黒のいずれかに変化させてもよく((青、青、白、青)、(青、青、黒、青、)、(白、白、青、白)、または(黒、黒、青、黒))、この場合についても上記と同様の効果が得られる。また、画像を変化させる色については、白黒灰の無彩色に限らず、青等の有彩色において彩度および色調が変化しない色(以下、モノクロ色とする)であってもよい。
また、このような二段階目のインパクトを与える方法としては、上記のように「有彩色」と「無彩色」とを対比させる方法の他、同じ有彩色同士であるが互いに「補色」の関係にある2つの「色調(色相)」を対比させる方法や、有彩色の中で「彩度」の最小と最大のものを対比させる方法や、画像を固定する手段側となるスクリーンの「画像解像度」を異ならせて対比させる方法や、2次元画像と3次元画像を対比させる方法や、表現方法をデフォルメや劇画タッチのものと対比させる方法などを採用することができる。
(6−2.色要素を用いた予告演出2:図40)
図40は、キャラクタ予告演出2として、有彩色と無彩色を対比させるようにした予告演出の他の例を示したものである。図40(a)は、図39(a)と全く同じであり、4体のキャラクタ画像a〜dは全て同じ有彩色が施された表示態様であり、背景も、停止中および変動中の装飾図柄も、通常の有彩色のもの(いわゆるカラー表示のもの)であり、また保留表示も通常色の白色表示状態である。しかし、4体ものキャラクタ画像a〜dが現出しているため、当選期待度は大中小の三段階のうちの中程度であることを報知している。
図40(b)は、キャラクタ予告演出において、当選期待度が非常に高いものとして、4体のキャラクタ画像a1〜d1が無彩色で現出される表示態様を示している。図40(a)と対比したとき、図40(b)は、(i)4体のキャラクタ画像のうちの1体のキャラクタ画像(特定のキャラクタ画像)cが、無彩色のうちで明度の高い「白色」で彩色されたキャラクタ画像c1に変わっており、(ii)他のキャラクタ画像a、b、dが無彩色のうちで明度の低い「黒色」で彩色されたキャラクタ画像a1、b1、d1に変わっており、(iii)変動停止した装飾図柄も、無彩色のうちで明度の低い「黒色」で彩色された装飾図柄に変わっている。これらの関係は先の図39(a)(b)の関係と同じである。
図40(b)のキャラクタ予告演出2において、図39(b)の場合と異なる点は、(iv)変動中の装飾図柄が「黒色」で彩色された装飾図柄に変化している、(v)岩を模した背景表示物が「黒色」で彩色された背景表示物に変化している、(vi)保留表示アイコンが「黒色」で彩色された保留表示アイコンに変化している、(vii)背景が「黒色」で彩色された背景に変化している、という点である。
ここで、変動中の装飾図柄について「黒色」で彩色された装飾図柄と表現し、また岩を模した背景表示物について「黒色」で彩色された背景表示物と表現し、保留表示アイコンについて「黒色」で彩色された保留表示アイコンと表現したが、「黒色で彩色された」と言った場合、表示物外形の輪郭が白で中が黒または灰の形態と、表示物外形の輪郭が黒で中が灰の形態と、表示物外形の輪郭および中が黒の形態とを含み、かつその黒または灰の明度および透明度として、黒または灰が施される下側の画像が重なって見える程度の明度および透明度を有する場合と、これを有しない場合とを含む。ここでは、変動中の装飾図柄、岩を模した背景表示物、保留表示アイコンについて、それらの表示物外形の輪郭が黒で中が灰の形態であって、灰が施される下側の画像が重なって見える程度の適度な明度および透明度を有する場合を、「黒色で彩色された」と称して説明する(図39〜図41において以下同じ。)。
また背景について「黒色」で彩色された背景と表現したが、「黒色で彩色された」と言った場合、背景として画面全体を灰で被うが、背景表示物や装飾図柄やキャラクタや保留表示が隠れてしまわない程度の明度および透明度を持っている(以下同じ)。
上記のように図40(a)の表示態様に替わって図40(b)の表示態様でキャラクタ予告演出が表示される場合、遊技者は、まずキャラクタ画像a1〜d1、停止した装飾図柄および変動中の装飾図柄、背景、背景対象物、保留表示が、すべて無彩色の表示態様に変化したことで、大きなインパクトを受ける。しかも、キャラクタ画像a1〜d1については無彩色に変化してはいるが、そのうちで特定のキャラクタ画像c1だけは明度の高い「白色」で彩色されており、他のキャラクタ画像a1、b1、d1が明度の低い「黒色」で彩色されていて、それらの間では明度差が極端に異なっている。このため、複数のキャラクタ画像の全体中にまぎれた1体であっても、色彩の上から、特定のキャラクタ画像c1を他と区別し得る顕著な差が付けられており、遊技者は容易に「1体だけ相違する」という点に気付くことができる。よって、液晶画面全体の画像が有彩色の表示形態から無彩色の表示形態に変化したことによるインパクトに加え、さらに特定のキャラクタ画像だけが、極端に明度が異なるという表示態様で現出したことから、これをたとえば大当りが確定することを報知するプレミアム予告であると認識することができるため、遊技者に与えるインパクトは更に強くなる。
(6−3.色要素を用いた予告演出3:図41)
図41は、キャラクタ予告演出3として、有彩色と無彩色を対比させるようにした予告演出の他の例を示したもので、具体的には当選期待度が非常に高いことを報知するリーチ演出である、いわゆる群予告の場合を例示している。図41は、図39(b)や図40(b)に相当するものであり、71(a)や図40(a)に相当する図(すべてが有彩色:カラー表示のもの)は省略されている。つまり、図41は、この有彩色表示の予告演出から無彩色表示を含む予告演出に替わった二段階目のインパクトが与えられる画面を表示している。
図41において、液晶画面内には、有彩色の背景画像内に、無彩色が施された8体の同じキャラクタ画像a1〜h1が同時に現出された表示態様を示している。これらのキャラクタ画像a1〜h1は、画面の一端側から他端側へ(本実施形態では右側から左側へ)移動して画面を通過して行くものであり、その移動途中を示したものとなっている。
8体のキャラクタ画像a1〜h1は、いずれも同じ無彩色が施された表示態様であるという点で共通している。しかし、(i)そのうちの1体のキャラクタ画像(特定のキャラクタ画像)は、無彩色のうちでも明度の高い‘「白色」で彩色されたキャラクタ画像’h1に変わっており、(ii)他のキャラクタ画像が無彩色のうちでも明度の低い‘「黒色」で彩色されたキャラクタ画像’a1〜g1に変わっている。また、(iii)変動停止した装飾図柄および変動中の装飾図柄が無彩色のうちで明度の低い‘「黒色」で彩色された装飾図柄画像’に変わっている点である。また(iv)岩を模した背景表示物および保留表示アイコンも、無彩色のうちでも明度の低い「黒色」で彩色されたものに変更されている。なお背景はもとの有彩色のままである。
上記のように、群予告のキャラクタを含め全てが有彩色(カラー表示)の表示態様でなされるキャラクタ予告演出に替わって、図41の無彩色の表示態様にて、群予告を含むキャラクタ予告演出が表示される場合、遊技者は、まずキャラクタ画像a1〜h1、停止した装飾図柄および変動中の装飾図柄、背景対象物、保留表示が、すべて無彩色の表示態様に変化したことで、大きなインパクトを受ける。しかも、キャラクタ画像a1〜h1については無彩色に変化してはいるが、そのうちで特定のキャラクタ画像h1だけは明度の高い「白色」で彩色されており、他のキャラクタ画像a1〜g1は明度の低い「黒色」で彩色されていて、それらの間では明度差が極端に異なっている。このため、群予告を構成する複数のキャラクタ画像の全体中にまぎれ込んでいる1体(キャラクタ画像h1)であっても、色彩の上からは、特定のキャラクタ画像h1を他と区別し得る顕著な差が付けられている。このため、遊技者は「1体だけ相違する」という点に容易に気付くことができる。よって、液晶画面全体の画像が有彩色の表示形態から無彩色の表示形態に変化したことによるインパクトに加え、さらに群予告中の特定のキャラクタ画像h1だけが、極端に明度が異なるという表示態様で現出したことから、これをたとえば大当りが確定することを報知するプレミアム予告であると認識することができるため、遊技者に与えるインパクトは更に強くなる。
(6−4.色要素を用いた予告演出4:図42)
図42は、キャラクタ予告演出4として、インパクトの一段階目として有彩色と無彩色を対比させ、二段階目としてキャラクタの一部分と他の表示物との間で有彩色と無彩色を対比させるようにした予告演出の他の例を示したものである。
図42(a)は、図39(a)と全く同じであり、4体のキャラクタ画像a〜dは全て同じ有彩色が施された表示態様であり、背景も、停止中および変動中の装飾図柄も、通常の有彩色のもの(いわゆるカラー表示のもの)であり、また保留表示も通常色の白色表示状態である。しかし、4体ものキャラクタ画像a〜dが現出しているため、当選期待度は大中小の三段階のうちの中程度であることを報知している。
図42(b)は、キャラクタ予告演出において、当選期待度が非常に高いものとして、4体のキャラクタ画像a1〜d1のうちの一体(キャラクタ画像c1)について、そのキャラクタが外形輪郭周囲に無彩色のオーラをまとって現出する表示態様を示している。図42(b)の場合、(i)4体のキャラクタ画像のうちの1体のキャラクタ画像(特定のキャラクタ画像)cが、無彩色のうちで明度の高い「白色」で彩色されたオーラをまとったキャラクタ画像c1に変わっており、(ii)変動停止した装飾図柄および保留表示が、無彩色のうちで明度の低い「黒色」で彩色された装飾図柄に変わっている。
この図42のキャラクタ予告演出における第1の特徴は、特定のキャラクタ画像c1がキャラクタ外形輪郭周囲に無彩色のオーラをまとって現出しているために、他の無彩色の表示物(停止した装飾図柄や保留表示)と色彩上の統一があり、ひとまとめとして、つまり類似するものとして把握される点にある。つまり無彩色の表示物を含む画面に変化したことで、一段階目のインパクトが遊技者に与えられる。
また、この図42のキャラクタ予告演出の第2の特徴は、特定のキャラクタ画像c1が、キャラクタ外形輪郭周囲に無彩色のうちで、特に明度の高い「白色」が彩色されたオーラをまとって現出しているために、他の有彩色のキャラクタ画像a、b、dとの差が色調(色相)の点で顕著であり、また、同じ無彩色であるが明度の低い「黒色」が彩色された他の表示物(停止した装飾図柄や保留表示)との明度差も大であるため、これとの対比からも顕著な存在となっている点である。つまり特定のキャラクタ画像c1が他の有彩色のキャラクタ画像および無彩色の表示物に対して顕著な存在であって、遊技者はすぐに見つけることができるため、二段階目のインパクトが遊技者に与えられる。
上記した予告演出1〜4によれば、二段階目のインパクトを遊技者に与えることができる。この点に関し、従来であれば、図43(a)に示すように、液晶画面内に似通った4体ものキャラクタ画像a〜cが有彩色で表示されるにすぎず、そのことだけを以て、当選期待度の高い予告演出が現出されたと受け止められに過ぎなかった。仮に、その後図43(b)に示すように、保留表示が通常色の白色から当選期待度の高いことを示す「赤色(図中の斜線部)」に変化すれば、それをもって当選期待度が高いと受け止められる状況に発展することになるが、このとき遊技者の注意は、保留色変化に行くので、キャラクタ画像a〜cによる予告演出の役目ないし存在感は薄くなり、これ以上の緊張感の高揚は専ら保留変化予告が担うことになる。よって、二段階目のインパクトを遊技者に与えることができない。
上記図39〜図42で説明した「キャラクタ予告演出」は、図44に示すような演出態様を現出可能に構成することができる。図44では、説明の便宜のため、主に遊技者に注意を向けさせたいことを目的とするキャラクタ画像を「特定キャラクタ画像(たとえば、図39のc1)」と表記し、それ以外のキャラクタ画像を「非特定キャラクタ画像(たとえば、図39のa1、b1、d1)」と表記する。
図示のように、キャラクタ予告演出に係る各種表示物の表示態様を「モノクローム(モノクロ)」、「反転」、「特定色要素」、「形状変化」、「ぼかし」、「追加演出」などの画像処理を利用することにより、特定キャラクタ画像とその他の画像との色要素・形状などを異ならせて対比することで、特定キャラクタ画像について遊技者に違和感を与え、注意を引くことができる。図示では、上記のような画像処理を利用して表示されるキャラクタ予告演出を「特殊表現演出」と表記する。なお、予告演出中に現出しうる表示物にはキャラクタ以外にも「背景画像」、「背景表示物画像」、「装飾図柄画像」、「保留アイコン」などの種々の表示物(以下、特に必要のない限り、これら表示物を「背景表示物」と略す)が含まれるがキャラクタ予告演出において、必ずしもこれら全てが現出されるわけではない。したがってここでは、これら背景表示物のうち少なくとも1つが上記画像処理の対象となるものとして説明する。ただし、特定キャラクタ画像の対比において本発明の目的を達成できるものであれば、全ての表示物を変化させても良いし、一部だけを特殊表現の対象としても良いことは勿論である。
図示の「モノクローム(モノクロ)」は、既に説明したように、表示物を「白色で彩色された」画像に変化させたり、「黒色で彩色された」画像に変化させたりして表示する。また白黒のグラデーション(灰色)による画像に限らず、単一色のグラデーションで彩色された画像に変化させて表現するものであってもよい。たとえば、カラー画像からセピア色の画像に変化させてもよい。このように「モノクローム」は、表示物を有彩色(カラー)からモノクロ色に変化させる。
特殊表現演出パターン1〜7は、この「モノクローム」処理を利用してキャラクタ画像等を表示する例を示したものである。図示のように、パターン1では、特定キャラクタ画像がカラーからモノクロ色に表示態様が変化するのに対し、非特定キャラクタ画像はカラーの表示態様で維持される。パターン2では、非特定キャラクタ画像がカラーからモノクロ色に表示態様が変化するのに対し、特定キャラクタ画像はカラーの表示態様で維持される。パターン3では、パターン2の表示態様に加え、背景表示物の全部または一部がモノクロ色に表示態様が変化する。
また、パターン4では、特定キャラクタ画像がカラーから「明度の高いモノクロ色(図中の「モノクローム(高)」)」に表示態様が変化するのに対し、非特定キャラクタ画像はカラーから「明度の低いモノクロ色(図中の「モノクローム(低)」)」に表示態様が変化する。「明度の高いモノクロ色」は所定の基準となる明度値よりも高い明度のモノクロ色を示しており(たとえば、明るい灰色〜白色を含むモノクロ色)、「明度の低いモノクロ色」は所定の基準となる明度値(明度高の場合の基準となる明度値と異なっていてもよい)よりも低い明度のモノクロ色を示している(たとえば、暗い灰色〜黒色を含むモノクロ色)。パターン5(図39の演出例)では、パターン4の表示態様に加え、背景表示物の全部または一部が非特定キャラクタ画像と同じ表示態様に変化する。また、パターン6では、特定キャラクタ画像がカラーから「明度の低いモノクロ色」に表示態様が変化するのに対し、非特定キャラクタ画像はカラーから「明度の高いモノクロ色」に表示態様が変化する。パターン7では、パターン6の表示態様に加え、背景表示物の全部または一部が非特定キャラクタ画像と同じ表示態様に変化する。
また図示の「反転」は、表示物を所謂「ネガポジ反転」した画像で表示する。また「反転」には、輝度反転や補色反転を利用してもよい。特殊表現演出パターン8〜10は、この「反転」処理を利用してキャラクタ画像等を表示する例を示したものである。パターン8では、特定キャラクタ画像がカラーからネガポジ反転された色に表示態様が変化するのに対し、非特定キャラクタ画像はそのままのカラーの表示態様で維持される。パターン9では、非特定キャラクタ画像がカラーからネガポジ反転された色に表示態様が変化するのに対し、特定キャラクタ画像はそのままのカラーの表示態様で維持される。パターン10では、パターン9の表示態様に加え、背景表示物の全部または一部が非特定キャラクタ画像と同じ表示態様に変化する。
また図示の「特定色要素」は、表示物に関する「色調」、「明度」および「彩度」の少なくとも1つを変化させて表示する。「色調」の変化は、暖色気味の色調(以下、「ウォーム調」とする)、または寒色気味の色調(以下「クール調」とする)に変化させることである。「明度」の変化は、所定の基準となる明度値よりも高い明度、または所定の基準となる明度値(高い明度に変化する場合の明度値と異なっていてもよい)よりも低い明度に変化させることである。「彩度」の変化は、所定の基準となる彩度値よりも高い彩度、または所定の基準となる彩度値(高い彩度に変化する場合の彩度値と異なっていてもよい)よりも低い彩度に変化させることである。
特殊表現演出パターン11、12は、上述した特定色要素を変化させてキャラクタ画像等を表示する例を示したものである。パターン11では、特定キャラクタ画像がウォーム調、基準よりも高い明度、および基準よりも高い彩度のうち少なくともいずれか一つの表示態様に変化するのに対し、非特定キャラクタ画像はクール調、基準よりも低い明度、および基準よりも低い彩度のうち少なくともいずれか一つの表示態様に変化する。なお特定キャラクタ画像がウォーム調に変化させるのであれば非特定キャラクタ画像はクール調に変化させ、特定キャラクタ画像が基準(元の表示)よりも高い明度に変化させるのであれば非特定キャラクタ画像は基準よりも低い明度に変化させ、特定キャラクタ画像が基準よりも高い彩度に変化させるのであれば非特定キャラクタ画像基準よりも低い彩度に変化させる。つまり、特定キャラクタ画像と非特定キャラクタ画像とを同じカテゴリーで変化させる。パターン12では、パターン11の表示態様に加え、背景表示物の全部または一部が非特定キャラクタ画像と同じカテゴリーで変化させる。
また図示の「形態変化」は、表示物の形態を変化させて表示する。ここでいう「形態を変化させる」とは、たとえば、サイズを拡大または縮小する、静止画から動画、動画から静止画にして表示形態を変化させる、2次元調の画像から3次元調の画像、3次元調の画像から2次元調の画像にする、デフォルメ化または劇画タッチ化あるいは実写化する等をいう。特殊表現演出パターン13、14は、上述の「形態変化」処理によりキャラクタ画像等を表示する例を示したものである。パターン13では、特定キャラクタ画像の形態を変化させるのに対し、非特定キャラクタ画像はそのままの形態で維持される。パターン14では、反対に、非特定キャラクタ画像の形態を変化させるのに対し、特定キャラクタ画像はそのままの形態で維持される。
また図示の「ぼかし」は、予告演出に係る特定キャラクタ画像以外の各種表示物を、画像の輪郭をあいまいにしたり、画像にモザイクをかけたりして表示する。特殊表現演出パターン15、16は、この「ぼかし」処理によりキャラクタ画像等を表示する例を示したものである。パターン15では、非特定キャラクタ画像をぼかす。パターン16では、非特定キャラクタ画像の他に背景表示物の全部または一部をぼかす。
「追加演出」は、特定キャラクタ画像にエフェクト画像を追加して表示する。
エフェクト画像とは、特定キャラクタを強調するための背景的画像であり、たとえば、キャラクタの周囲にオーラ(後光)を纏っている様を表現したり、キャラクタの背景に旭日旗画像などの目立つ画像等を表示する。パターン17では、特定キャラクタにエフェクト画像を表示し、パターン18では、特定キャラクタにエフェクト画像を表示するとともに、キャラクタをより強調するために、背景表示物の全部または一部がモノクロ色に表示態様が変化する。
上記では、「モノクローム」、「反転」、「特定色要素」、「形態変化」、「ぼかし」、または「追加演出」の画像処理(特殊表現)を利用することにより、キャラクタ予告演出に係る各種表示物の表示態様を変化させる特殊表現演出の種々のパターンを説明したが、これらの複数の画像処理を組合せて特定の表示物を変化させてもよい。これにより、特定キャラクタ画像とその他の画像との表示態様を顕著に異ならせて対比させることができ、特定キャラクタ画像が強調化されるので、遊技者の注意を向けさせることが容易になる。
なお、上記では、特定キャラクタが登場してから、所定の時間が経過したタイミングで各種表示物の表示態様がカラー表示態様から各種の特殊表現によりその表示態様を変化させる例について説明したが、特定キャラクタの登場時において、初めから特殊表現がなされた表示態様で表示されてもよい。つまり、特定キャラクタはカラーではなく、モノクロ色などの特殊表現がなされた状態で表示させてよく、登場時から遊技者にインパクトを与えることができる。また、各種表示物の表示態様が変化する場合の「所定の時間が経過したタイミング」については、特定キャラクタによる何かしらのアクション(たとえば、吹き出し画像が表示されて、その吹き出し内容のメッセージを発するアクション)がなされたタイミング(アクションを起こす特定キャラクタに遊技者の注意をむかせたい場合)、特定の予告演出(リーチ演出、疑似連など)の前後やその実行中、遊技者参加型演出において遊技者が枠演出ボタン13を操作したタイミングであってもよく、どのようなタイミングで表示させるかは、適宜定めることができる。
上記では、図柄変動表示ゲーム中に現出されるキャラクタ予告演出について説明したが、装飾図柄変動表示ゲーム中に現出する演出に限らず、デモ画面表示中の演出や、当り遊技中の当り演出においても特殊表現を利用した画像表示演出を現出させることができる。
図45は、遊技進行に伴い発生しうる演出と、その演出中において特殊表現を利用した演出を現出させるタイミングの代表例を示したものである。なお図中の時系列表示(時刻t)については、説明の便宜のために付したものであり、必ずしも遊技進行に対応した時刻ではない。
図45を参照して、デモ画面表示中(時刻t0〜時刻t1)には遊技履歴演出が現出可能となっている。デモ画面表示中に遊技者が枠演出ボタン13を操作すると、遊技履歴演出が現出される。この遊技履歴演出では、これまでの遊技にて得られた所定の遊技情報として、たとえば、当選した大当り種別(確変大当り、時短大当り)、連荘回数、リーチ演出種別、変動回数、装飾図柄の組合せなどの履歴(前日からの遊技履歴、電源投入時から遊技履歴など)が表示されるようになっている。これらの履歴の中で、特定の1または複数種類の遊技情報についてはカラー表示し、他の遊技情報についてはモノクロ表示することができる。具体的には、特定の大当り履歴情報画像として電サポ中の連荘大当り履歴や確変大当り等をカラー画像で表示し、単発の大当り履歴情報画像モノクロ画像で表示し、遊技者が関心を向けると考えられる履歴情報を強調して分かりやすく表示させることができる。
また、装飾図柄変動表示ゲーム中(時刻t1〜時刻t2)では、図示のように様々な予告演出が現出されうる。これらの予告演出中において、特定の演出(画像)表示を強調したい場合には、上記した各種の特殊表現を利用した表示が可能である。たとえば、リーチ演出前にリーチ状態となるかどうかの煽り状態を経てリーチ状態となったときに(時刻ta〜時刻tb)、そのリーチ状態を形成する装飾図柄を通常のカラー表示からモノクロ表示とし、その他の画像(背景画像など)をカラー画像とすることで、「いつもと違うリーチなので、当選期待度が高いかも」という期待感を遊技者に抱かせることができる。また、リーチ演出において一旦はハズレであることを報知し(リーチ演出終了後(時刻tf)の装飾図柄の仮停止状態中(時刻tf後))、実は大当りであったことを報知する復活演出が現出される場合、復活演出前の仮停止状態の装飾図柄の組合せ(たとえば、「767」など)をモノクロ表示とし、その他の画像(背景画像など)を通常のカラー表示にする、またはその逆で表示することで、装飾図柄を強調し「いつもと表示が違う」という違和感を遊技者に抱かせた後、突然の復活演出(装飾図柄「767」を「777」に変化させる)を現出させることで、インパクトのある演出効果を発揮させることができる。なお、上述の復活演出前の仮停止状態の装飾図柄をすべてカラー表示またはモノクロ表示にするのではなく、一部の装飾図柄(たとえば、中図柄)だけを強調させることができる。
また、時刻t2〜時刻t3の大当り遊技中には、図示のような当り中演出(OP演出、ラウンド中演出、ED演出など)が現出され、これらの演出中にも特殊表現を利用した画像表示演出を現出させることができる。たとえば、今回当選した大当り種別を秘匿したり(確変大当りか非確変大当りかを秘匿する)、作動保留球内に大当り当選保留がある場合に、当該大当り中の当り中演出においてこれに関する情報を報知する際、特定のラウンド遊技に係るラウンド中演出(時刻th〜ti)やエンディング演出(時刻ti〜t3)において、特定のキャラクタを強調すべく、その特定のキャラクタをカラー表示とし、その他の画像(背景画像など)をモノクロ表示する、またはその逆で表示することで(通常の演出とは異なる演出を現出させることで)遊技者に違和感を与えて、当該情報を報知することができる。なお、上記の特定のキャラクタは、プレミア的な位置付けとして、通常(本例では、確変大当りでない場合や大当り当選保留がない場合)では出現しないものであったり、表示サイズが小さくこっそり出現させたりするような場合には(たとえば、図41のようなキャラクタ画像h1の場合)、特殊表現によるキャラクタ表示は、遊技者がその特定のキャラクタに気が付いたときのインパクトが強くなり、演出効果を優れたものにすることができる。
なお、上記特殊表現による演出表示(画像表示演出)は、遊技者の注意を特定の表示物に向けるという点で、実施形態1〜6に係る上記「宝箱演出」や上記変形例3〜4の「注意逸らし演出」として作用するオブジェクト表示(第2オブジェクト表示)と同様の作用効果を奏することができる。したがって、本例は、上記「宝箱演出」や上記変形例3〜4の「注意逸らし演出」として適用してもよい。